2023.8.31thu_tokyo
最近よく眠れる。夜中に目を覚ますことが少なくなった。
6時10分にスマホのアラームで起きる。
娘の声で「おっはよ、朝だよー。おっはよ、朝だよー。おっはよ、夜かもー。おはよ〜!」というのを録音したのが再生される。苦笑とともに目を覚ます。
夏休みに入って娘が、わたしと妻の寝室で寝たいということで、ここ一ヶ月ほど娘の部屋で寝ていた。ぬいぐるみやフィギュアに囲まれて眠る奇妙な時間ももう慣れた。ロフトのような高い場所にある寝床も楽しい。このまま乗っ取ってやろうか、なんて…。夏休みが終わってもそのまま続いていたが、8月いっぱいで終わることに。これが最後かな?
車を運転して西落合へ。防水の仕事。90分ほど運転。朝の五日市街道は気持ちいい。いつも運転中はradikoのタイムフリーでいろいろな番組を聴く。今日は細野晴臣のデイジーワールドとSAYONARAシティボーイズを。デイジーワールドは深夜の番組だけど、早朝ぼやっとした頭にすごく合うんだよ。あと、大竹まことって双子なんだと初めて知った。
途中コンビニで麦茶やらコーヒーを買って、朝飯は妻が握ってくれたおにぎりを運転しながら頬張る。
現場に着きそうになったらradikoをやめて、リアルタイムのラジオに切り替えて「今」にチューニングを合わせる。
マンション屋上でひとりで作業。暑いけれど、風と陽光の感じが確実に変わったと思う。
昼は東長崎駅のほうへ歩いて福しんでチャーハン。パラパラ一辺倒ではなく油で少ししっとりしている感じで好みの味。チェーン店だけど、客と店員が近い感じがいい。富士そばにもそういうところが多いような。威勢の良いおっちゃんとおばちゃんが厨房で働いていた。
東長崎といえば保坂和志の『プレーンソング』だなとふと思ったけど、それは思いちがいで、プレーンソングの舞台は同じ西武池袋線でも中村橋だった。そういう思いちがいが、実はいっぱいあるんだろう。でも、それはその人の記憶のなかではそう思っているのだからまちがいではないわけで、人の記憶なんてそもそもそういう正しさとは関係のないところで生き続けていくのだろう。
16時半くらいに仕事にキリをつけて帰る。運転中、CDを聴く。家にCDの再生機器がないので、CDを聴くのは車の中だ。。朝、寝ぼけ眼でピックアップした、ルーリードの『ecstasy』とベルベットアンダーグラウンドの2nd。ルーリードの歌が聴きたい時期が周期的にやってくる。『ecstasy』の5曲目の「modern dance」がすばらしい。シンプルなコード進行と語るようなルーリードの歌。内省と開放が同居している気持ちよさ。これはルーリードの音楽全般に感じていることかもしれない。
18時半に帰ってきて風呂。
ビール(秋味!)を飲みながら家族と夕飯。
妻が作ってくれたジャガイモと豚肉の甘辛煮がうまい。茗荷の味噌汁もうれしい。そして、ちくわきゅうり。夏前くらいにラジオでちくわが話題になっているのを聴いて、それから週に2回くらいのペースで食べている。今わが家で定番のつまみ。
夕飯のあとは野球中継などチラ見しつつ、キンミヤで作るレモンサワー。以前はカットしたレモンをギュッと手で絞っていたけど、近所の器と古物の店「GARAGE」でもとめたガラスのレモン搾り器でガシガシ絞って入れている。楽しいしおいしい。
酒を飲みながらうとうとしてたら娘がやってきて、スーパームーンだって!というので窓を開けて月を見る。
眠る前に、最近読み始めた磯部涼の『ルポ 川崎』をパラパラと。
24時、就寝。
8月が終わった。
-プロフィール-
スギタモエル
41歳
東京都国分寺市
古本泡山・防水工
Instagram @awa_yama
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お酒の種類や銘柄の知識
ひと昔前であれば、適量のお酒は健康に良いと言われていましたが、最近ではタバコと同じように百害あって一利なしとまで言われています。
それなのにワインは、ポリフェノールが豊富で健康に良いとかも言われています。
ただ、個人的見解になってしまいますがお酒とも上手く付き合えばいいのでは?と思っています。
今回は、お酒の種類や銘柄について簡単にまとめてみました。目次
お酒の種類や銘柄の知識
ワイン
赤ワイン
白ワイン
ロゼワイン
スパークリングワイン
ウイスキー
スコッチウイスキー
アイリッ��ュウイスキー
アメリカンウイスキー
ジャパニーズウイスキー
ビール
ラガービール
エールビール
スタウトビール
ヴァイツェンビール
日本酒
辛口酒
甘口酒
爽酒
濁り酒
焼酎
その他のお酒
ブランデー
ジン
ラム
テキーラ
最後に
関連
お酒の種類や銘柄の知識
お酒には、ワイン、日本酒、ウイスキー、ビールなど、様々な種類があります。
そしてそれぞれ異なる原料や製法で作られ、味わいや飲み方も異なります。
ワイン
ワインとは、ブドウを発酵させたアルコール飲料のことを指します。
ワインには、赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、スパークリングワインなどがあります。
赤ワイン
赤ワインは、黒ブドウを使用して作られ、発酵させたものです。
赤い色や渋みがあり、肉料理やチーズなどとの相性が良いことで知られています。
代表的な赤ワインの銘柄としては、ボルドーのシャトーラフィットロートシルトや、イタリアのバローロなどがあります。
白ワイン
白ワインは、白ブドウを使用して作られ、発酵させたものです。
赤ワインと比べるとフルーティーで軽やかな味わいが特徴で、魚介類やサラダなどとの相性が良いことで知られています。
代表的な白ワインの銘柄としては、フランスのシャブリや、ドイツのリースリングなどがあります。
ロゼワイン
ロゼワインは、赤ブドウや白ブドウの皮を一定時間、発酵中に浸して作られるワインです。
ピンク色の色合いが特徴的で、赤ワインと白��インの中間のような味わいがあります。
軽い食事やBBQなどに合わせることが多く、代表的なロゼワインの銘柄としては、フランスのプロヴァンス地方で作られるロゼがあります。
スパークリングワイン
スパークリングワインは、二次発酵させて炭酸ガスを含ませたワインのことを指します。
代表的なものとしては、フランスのシャンパンがありますが、イタリアのプロセッコや、スペインのカヴァなども有名です。
祝い事やパーティーなどで飲まれることが多く、カクテルのベースとしても利用されます。
ウイスキー
ウイスキーは、麦芽や大麦、ライ麦などを原料としたアルコール飲料で、樽で熟成させたものです。
ウイスキーには、スコッチウイスキー、アイリッシュウイスキー、アメリカンウイスキー、ジャパニーズウイスキーなどがあります。
スコッチウイスキー
スコッチウイスキーは、スコットランドで作られたウイスキーのことを指します。
モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドして作られる「ブレンデッドウイスキー」と、100%モルトウイスキーで作られる「シングルモルトウイスキー」の2種類があります。
スコッチウイスキーは、地域によって味わいが異なります。
例えば、スペイサイド地方のウイスキーは、フルーティーで香り高く、アイラ地方のウイスキーは、燻製のような香りが強く、塩気があるなど、多様な味わいを楽しむことができます。
アイリッシュウイスキー
アイリッシュウイスキーは、アイルランドで作られるウイスキーのことを指します。
麦芽を使用するスコッチウイスキーと異なり、大麦や小麦を原料にしています。
また、3回蒸留されることが特徴的で、滑らかな味わいが特徴です。
アメリカンウイスキー
アメリカンウイスキーは、アメリカ合衆国で作られるウイスキーのことを指します。
コーンを原料とした「バーボン」、小麦や大麦を原料とした「リュー」といった種類があります。
また、アメリカンウイスキーは、蒸留後に樽で熟成させることが法律で定められており、バニラやキャラメルなどの甘い香りや味わいが特徴です。
ジャパニーズウイスキー
ジャパニーズウイスキーは、日本で作られるウイスキーのことを指します。
スコッチウイスキーをモデルにしているため、味わいや製法にもスコッチウイスキーの影響が強く見られます。
例えば、山崎蒸留所のウイスキーは、スコッチウイスキーの製法を取り入れつつ、日本の気候風土に合わせた独自の味わいを追求しています。
ビール
ビールは、麦芽やホップ、水、酵母などを原料にして作られるアルコール飲料で、世界中で愛される人気のある飲み物です。
種類は様々で、ラガー、エール、スタウト、ヴァイツェンなどがあります。
ラガービール
ラガービールは、低発酵のビールで、ビールの中でもっとも一般的なタイプです。
スッキリとした味わいが特徴的で、多くの場合は明るい黄色からやや濃いめの金色で、ビールの中でもっとも飲みやすく、一般的な味わいが特徴です。
代表的なラガービールとしては、アサヒスーパードライやキリン一番搾りなどがあります。
エールビール
エールビールは、高発酵のビールで、ラガービールに比べて味わいが濃厚で、ホップの香りが強く感じられます。色はラガービールよりもやや濃く、赤みがかっています。
代表的なエールビールとしては、ギネスやホッピーなどがあります。
スタウトビール
スタウトビールは、イギリス発祥の黒ビールで、ビールの中でもっともコクがあり、苦味が強いタイプです。
麦芽の焦がしを強くすることで、コクや香りを強めています。
代表的なスタウトビールとしては、ギネスのドラフトスタウトやサッポロビールの黒ラベルがあります。
ヴァイツェンビール
ヴァイツェンビールは、ドイツ発祥のビールで、小麦を原料にして作られます。
色は淡い黄色で、白濁した色合いが特徴的です。口当たりが軽く、フルーティーでさわやかな味わいが特徴的です。
代表的なヴァイツェンビールとしては、エーデルヴァイスやハイネケンのヴァイツェンなどがあります。
日本酒
日本酒は、日本で古くから作られている伝統的な酒です。
米と麹(こうじ)を原料にして、酵母を加えて発酵させることで作られます。
種類によって味わいが異なり、辛口、甘口、爽酒、濁り酒などがあります。
辛口酒
辛口酒は、麹の発酵が進んだ日本酒で、味わいがスッキリとしています。
辛口酒は、おつまみや肉料理と合わせるのに適しており、飲みやすさから多くの人に愛されています。
代表的な辛口酒としては、八海山や田酒などうも甘さが苦手な方におすすめです。
甘口酒
甘口酒は、辛口酒に比べて甘みがあり、フルーティーな香りが特徴的です。
一般的に女性に人気がありますが、男性でも飲みやすい酒として人気があります。
代表的な甘口酒としては、岡本酒造の神亀がお勧め。
爽酒
爽酒は、アルコール度数が低く、軽い飲み口が特徴的な日本酒です。
普通酒や特別純米酒、純米吟醸酒など、さまざまな種類がありますが、どの種類も飲みやすく、食事と合わせやすい酒として親しまれています。
代表的な爽酒としては、東洋美人や獺祭などがあります。
濁り酒
濁り酒は、日本酒の中でも特に風味豊かな酒です。
濾過をせずに酒の原料である米や麹の成分をそのまま残すため、白く濁った色合いが特徴的です。
口当たりがまろやかで、芳醇な香りがあります。
代表的な濁り酒としては、磯自慢や久保田などがあります。
焼酎
焼酎は、日本独自のお酒で、蒸留酒の一種です。
主に麦、米、芋、黒糖などを原料にしています。日本では、主に九州地方で作られることが多いですが、他の地域でも作られることがあります。
アルコール度数は一般的に25度~45度程度で、濃厚でコクがある芋焼酎や、さっぱりとした味わいが特徴の米焼酎など、種類によって異なる味わいが楽しめます。
焼酎は、ロックや水割り、お湯割りなどで飲むことが多く、地域によっては、熱燗や冷や燗、またはソーダ割りなど、様々な飲み方があります。
また、カクテルにも使われます。
焼酎を使ったカクテルには、レモンサワー、グレープフルーツサワー、カルピスサワー、ハイボールなどがあります。
特に、レモンサワーやグレープフルーツサワーは、焼酎の特有の香りや味わいが生かされ、爽やかで飲みやすいカクテルとして人気があります。
また、焼酎には、地域によって特徴的なものがあります。
代表的な焼酎の産地としては、宮崎県の「日向夏焼酎」や鹿児島県の「黒霧島」、「さつま芋焼酎」、「泡盛」などがあります。
これらの焼酎は、その土地の気候や風土に合わせた製法で作られ、独自の味わいを持っています。
焼酎には、ビタミンB1やポリフェノールなど、体に良い成分が含まれています。
その他のお酒
ブランデー
ブランデーは、ワインやフルーツを原料にした蒸留酒です。
樽で熟成させることで、香りや味わいが豊かになります。
一般的には、オレンジやレモンなどのシトラスフルーツを使用したカクテルに使わ
れることが多いですが、ストレートで飲むこともできます。
代表的なブランデーとしては、コニャック、アルマニャック、カルヴァドスなどがあります。
ジン
ジンは、ジュニパーベリーを主原料にした蒸留酒で、爽やかでスパイシーな味わいが特徴的です。
トニックウォーターとの相性が良く、ジントニックとして飲まれることが多いです。
また、レモンやライムを加えたカクテルとしても人気があります。
代表的なジンとしては、ビーフィータージン、ホルストゲンジン、タンカレージンなどがあります。
ラム
ラムは、サトウキビを原料にした蒸留酒で、甘みやコクがあります。
カクテルに使われることが多く、モヒートやダイキリなどが代表的です。
また、ストレートで飲まれることもあります。代表的なラムとしては、バカルディ、ハバナクラブなどがあります。
テキーラ
テキーラは、アガベを原料にした蒸留酒で、メキシコが発祥の地です。
辛口でアルコール度数が高く、ストレートで飲むことが多いです。
また、マルガリータなどのカクテルにも使われます。代表的なテキーラとしては、ホセ・クエルボ、パトロンなどがあります
最後に
お酒には、さまざまな種類があり、それぞれの特徴や飲み方があります。
自分が好きなお酒を見つけるためには、様々な種類のお酒を試してみることが大切です。
また、お酒は適量を守って、楽しみましょう。
飲み過ぎには注意して、健康的な飲酒を心がけましょう。
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(I must be?)
2ヶ月ぶりに出した現像が帰ってきた。これはある晩突然インスタライブを始めたケンゴマツモトのご尊顔。私の傍には本搾りレモンサワー。
違う友人たちと電話して2日連続でマックの話題になったので今日のお昼はそのようになった。私が住む街では���の店は「マクド」と略す文化があるようだがそのようにはならない。照り焼きバーガーとチキンナゲット、オレンジジュース。ずいぶんと食べてなかった気がする、この味。大学の時はサークルで合宿の初日の朝に少し早く集まって近くのマックで朝ごはんをみんなで食べるのが慣例になっていた。4年生の時には特に示し合わせることなく「いくでしょ?」と当然のようにいつものマックで集合した。今あの人たちと旅行するってなったとしても、同じように初日の朝ごはんはマックって当然のようにはならないだろうな。
電話してた友人に「今は住む場所が離れてるから、お前がこっち来たとしてそれでマック寄ろうっては言いづらい」と言われた。綺麗事じゃなく好きな人なら洒落たバーも街角の定食屋さんもどこにでもあるファストフードも全部楽しめる人間だから気にしなくていいのに。
書きたいことは溢れんばかりにある。ただ、子供部屋のように散らかった頭の中をアウトプットしようとすると私の情緒が分裂してしんどくなってしまう。
毎晩近くでサイレンが鳴り響いていたこと、どいつもこいつも100日後に〇〇なんてメソッドに飛びついてんじゃねぇよって悪態、木村花さんが亡くなったこと、「目立ったもん勝ち」という風潮を作り上げた現代ネットワークの功罪というか「正しさ」よりも「インパクト」が先行してる現代のヤバさ、そして私が生きている間に人類の品性は堕ちるところまで堕ちるんじゃないか、とか…。いつからか、自分の中に渦巻く失望絶望といった類の感情が、自分よりも世の中にも向かうようになった。いわゆる生きづらさは自分でなく世界に起因するようになった、とも言える。
私は無責任に「未来は明るい」と言う人間のことを等しく疑っている。痴呆の笑顔浮かべて死ぬなんて最悪じゃね?
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ミルク・ダウンのあと
わたしは大祖母に聞いたことがあるくらいだが、あなたは「ミルク・ダウン」があった年のことをどのくらい知っているのだろうか。
ミルク・ダウンとはその名の通り、牛乳が市場から消えたことである。いまはもう馴染みのこの姿であるが、牛も、我々人類も、鳥も、犬も、猫も、うさぎも、ぞうも、皆むかしは血液や筋肉、水分、臓器、そのようなもので構成されていたらしい。
ミルク・ダウンがあった前の年、政府によって我々脊椎動物の白骨化が進んでいることが発表された。
多細胞生物はもともと、たったひとつの細胞から成る"単細胞生物"であったため、白骨化するのではなく細胞の激減により単細胞生物に戻るのではないかという憶測もあったのだが、ボーン・バードが発見されたことによりその憶測は覆されてしまった。
多くを持つものは、それが減ることを恐れる。多細胞生物から単細胞生物に戻ってしまうことを恐れていた我々は、白骨化のほうがマシだと多少安堵の息を漏らしたらしい。
ボーン・バードは、骨格のみで生命の維持をつづける骨鳥である。青森県の山奥で農家を営む鴨志田さんがペットとして飼育していた鶏の「キントンちゃん」が世界最初のボーン・バードとして認められた。
キントンちゃんがボーン・バードになった経緯としては、まず、毎朝4時の鳴き声を出さなくなったらしい。鴨志田さんは毎朝、キントンちゃんの鳴き声を目覚ましに1日を始める習慣があった。
鴨志田さんの生活は、キントンちゃんの声の不在により少しずつ変化していった。4時に起きてまだ朝日の出ていない畑でペットボトル飲料に数滴の焼酎を垂らしたものを飲むのが鴨志田さんの日課だった。まず、それが終わった。そしてキントンちゃんは水やエサを徐々に食べなくなっていった。鴨志田さんは畑仕事の合間にキントンちゃんにエサをやる日課があったのだが、それも終わった。
山奥の夜は静かだ。キントンちゃんは何も言わず、食べず、かといって衰弱していく様子もなく徐々に徐々に痩せていった。
これではまずいと獣医にキントンちゃんの様子を見せようと町へ出たのだが、何度説明しても獣医はキントンちゃんを鴨志田さんの愛鳥だと認めず、
「それなら骨になる前に喰ってしまえばいい。地産地消、自給自足、新鮮鶏肉。魅力的じゃありませんか?焼き鳥でもいい、唐揚げでもいい、鶏肉は煮込み料理も美味いですからね。ああレモンサワーが飲みたい。ペット?愛鳥?本当にそんな風に思ってるんですか?鶏は3歩歩けば忘れます。あなたのことを飼い主だなんてこれっぽっちも思ってない。ならばあなたも3歩歩いて忘れなさいな。愛情も愛着もまやかしですよ。キンミヤちゃんって言いましたっけ?」
「キントン、です」
「ほら名前にも愛情のカケラもないじゃないですか。キントンって、あれでしょう、金の団子だとか金の布団、つまりあなたはあなたの財運を上げるためにそんな名前をつけた。私だったらそうですねえ、この鳥にはやはり"唐揚げ"と名付けるでしょうねえ。ああ、レモンサワーが飲みたい。とにかく、私はこの鶏を診る気は無い。痩せていく前に喰ってやる、それが一番の愛情なのではないですか?違いますかね、鴨志田さん。しかし鴨が鶏を飼うとはこれまた落語のような話だ」
鴨志田さんは肩を落とし、軽トラックの助手席にキントンちゃんを乗せ、ワイパーを動かしたが雨は降っておらず、鴨志田さんの視界に入る水分は鴨志田さん自身の涙であるとワイパーを止めてからやっと気付いたのだった。
この辺で唯一の獣医があれでは話しにならぬと、鴨志田さんは痩せていくキントンちゃんのために手を尽くす。自らと同じものを食べさせようとし、自らと同じものを飲ませようとし、栄養学についての本を読ませようとさえした。しかしキントンちゃんはまったく反応せず、いつしか皮と骨と羽根とトサカだけになり、そして最後に骨だけになった。
でも、生きていた。庭を歩き、たまに羽根のあった部分の骨を広げ、小石につまずくこともあった。鴨志田さんが朝まで眠らずにキントンちゃんの様子を見ていると、朝4時に必ず顔を日が昇るであろう方向に持ち上げ、鳴くような真似をすることも分かった。
鴨志田さんは再びあの獣医にキントンちゃんを診せに行った。獣医は驚き、日本獣医師会にすぐに連絡をし、世界的にも大きなニュースになった。
キントンちゃんはしっかりとした検査を受けるため、都会の大きな病院に預けられた。鴨志田さんはひどく寂しがったが、キントンちゃんが白骨化した理由を知るためにも離れて暮らすことを選んだ。
キントンちゃんの骨には何の異常もなかった。しかし、血液も臓器も筋肉も何も無く、ただ骨だけがあるのに他の鳥のような振る舞いで生き続けていることの原因が何なのかは一切分からず、3ヶ月後、そのままの姿で鴨志田さんの元へ帰ってきたのだ。
キントンちゃんの白骨化から間も無く、海外でもボーン・バードが見つかった。それだけでなく、東京の水族館で骨のまま泳ぐマンボウも発見された。世界は白骨化している、と誰もが少しずつ気づき始めていた。
その矢先、政府からいずれ地球上のすべての脊椎動物が白骨化する、と発表があった。
哲学者や恋をしている者たちは「心の在り処」について考察し、芸術家たちは肉体による曲線を喪うことを恐れ、すべての人類が「世界」と改めて対峙することとなった。
政府からの発表があった直後、人々は骨を強めるために牛乳をひたすら飲んだ。ありとあらゆる国が牛の乳を搾りつづけ、それはすべての牛が白骨化するまでつづいた。これが冒頭で語った「ミルク・ダウン」である。
すべての牛が白骨化した頃、まだ少数ではあったが白骨化した人類も現れ始めた。いや、正確には"白骨化した人類が現れ始めた"のではなく、"人類は骨以外を失い始めていた"。大祖母もちょうどこの頃に白骨化したらしい。
わたしが知っているミルク・ダウンと脊椎動物の白骨化に関する事柄はこれがすべてである。未だになぜわたしたちが骨格だけで生き長らえることができるのかは分かっておらず、しかし白骨化したことによって骨にも心が宿ることが明らかになり、さらに、白骨化以前は脳が行ってきたすべての処理や物事を骨で行えることも明らかになった。
身体を支える背骨や骨盤に主に心が在るとされているが、わたしはそうは思えない。指先にも、頭蓋骨にも、きっと肋骨にだって心がおさまる場所があるはずだ。
最後に。ここだけに記すことにするが……わたしは恋をしている。とても骨の細く、背骨の歪んだ、姿勢の悪い相手に。
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