スクエアンノウン.02.まだ日本にいる
前回のあらすじ「もしかして:朝」
168 :六窓:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:Square
じゃあこうしよう!
お前にスクエアで俺の手首預けるから、柱の(ような)男の所まで着いたらモーニングコールして!!
169 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
灰塔戦は六窓先輩の能力がないと乗客の安全が厳しいので駄目です。
大事ことなので二回言いますが、駄目です。
170 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
メガネヒロイン(ただしスタンド使いにしかメガネは見えない)キターーー!!
171 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
格ゲー女子の様な足で相手の股間をけり潰す系女子……
ご褒美…ではないな…再起不能(リタイヤ)だわ…
172 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
>>169
ってことは飛行機落さないのか?
いきなり黄色いヤツのところついたらレベルリング足りなくて死なない?
173 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
唯一のおにゃのこ成分が筋肉女子か。結局ムサイな。
174 :六窓:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:Square
確かに外が明るかった。朝か…。
まぁ二回言われたし、一睡もしてないけどこのまま黄色いヤツに会いに行ってくるわ。
じゅうはっさい(笑)パワーでなんとかなるだろ。たぶん。
175 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
>>172
その辺は昨晩六窓先輩と打ち合わせた結果、パイロット以外を可能な限り助ける方向に決まりました。
助けられそうなのに助けないということに言い訳はできないでしょうが、飛行機が墜ちないとおっしゃるとおり経験値不足で全員リタイアすること間違いなし。戦車もスルーしてしまうので、落とします。
176 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
>>173
馬鹿野朗!六窓先輩がいるだろ!
じゅうはっさい(笑)の爽やかなきゃわいい成分の風が吹いてるだろ!
ダボダボの袖でショタアピールかと思いきや、ばりばりトリックに活用してる抜け目ない六窓先輩が!!
177 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
あの……俺、一応IPアドレスとか、その他もろもろを調べたんだけど、
どこまで漁っても当然のようにスタンド名だったりエラー表記だったりしかないっていう情報はもう要らない感じ?
178 :六窓:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:Square
ところで俺なんかは対人でぶっとばしたり病院送りにしてみたりしてるけど、サユの方はそういうの大丈夫なのか?
鍛えてるってのも、特技は格闘技とかしか見えなかったが
あと>173と>176は何の話をしてんだよ
179 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
なんだこの秩序のない転生スレ…荒れてないけど荒れてる…
目と頭が足りない……
180 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
>>179
つ「アン・ノウン」
>>178
黄色いヤツを目の前で、柿ピービジョンで見て流石にばっちり覚悟キメましたよ。
それに、行ってみたら3ヶ月ですよ3ヶ月!「帰らないのかよ!!」ってブリッジの姿勢で叫びましたよもう!!
いつ柿ピーが肉の芽のせいで私の能力のことを喋るかひやひやもやもや。黄色いヤツは身体能力からしてスタンドと張り合うくらいチートだし、サイコゲーマーとか予知漫画とか霧魔女とかイエテンとか、行ってみたらバレそうな要素結構あったしで、物理でこのストレスを100倍返しにしなければ気が済みません。
よくもまぁそんな長い間バレずに盗撮盗聴し続けられたなと自分を褒めたいくらいですよ! その分ステータスの収穫はばっちりホックホクですけどね!! あと最後の方は怪しまれてましたけどね(白目)!!
181 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
軽い感じで流れてるけど命の取り合いだもんな
3部とか24時間気が抜けないといえば気が抜けないし
182 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
なんか六窓とサユのレス早くね?
スタンドだから?
183 :六窓:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:Square
>>180
戦いが大丈夫そうなのは良いが、そのバレそうなくだり後で説明しろ怖い
あとお前らに速報。知ってたと思うけど聖子さん倒れる。
というわけでちょっと離脱するわ。
質問受け付ける>>190-195
俺は暇になったら寝るので、答えはサユからいくと思われ
184 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
命かけた戦いっていうのはキツいよなって思った途端にサユの勢い…
185 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
3ヶ月って結構長いって言うか、
良く考えたらテンメイって旅してるより長く黄色いヤツのところにいたんだな。
それでサイコゲーマーの能力とか館の幻覚知らないってなんか変じゃね?
186 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
この勢いでその安価指定とな。
整理する時間が欲しいわ。
安価なら結局写真のこと説明されてないからそれで
187 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
>>185
そういうこと言い出したらもともとの話が…ほら…大人は間違いをするだけだから…
安価ならテンメイは館にいる間何してたのか
188 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
>>185
銀戦車もそうだが、肉の芽を植えられるまでの話はしてるがそれからのことは全然話してない。
その間の記憶がほとんどないんじゃないか?
そしてこういうとき、俺は必ずみんなのパンツの色を聞かなければならないと考えている。
189 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
柿ピーとサユは付き合ってるのか?
親友とか言う割りに一緒に寝る発言気になるんだが
190 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
安価なら>186
だよな
サユの能力っぽいけど、結局なんで写真取れるのか説明されてない
191 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
スクエアの背面で攻撃防いでるみたいだけど、
なんで地面とかどうでもいいところに繋げたヤツにしないのか
192 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
最初に戦ってる時、なんか最後テンメイの様子がおかしかったみたいだけどサユなにしてたの?
193 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
やっぱり旅は50日間なのか?
アン・ノウンで聖子さんのスタンド解析できないのか?
194 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
黄色いヤツのカリスマはどのくらいやばかったか
195 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
書き込むのってどうやってる?
アン・ノウンは脳内キーボードだろ?
スクエアは?
196 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
柿ピーの前髪は左右落ち着いてますか?
197 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
おっぱい何カップ?
198 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
スクエアって1枚どのくらいの力で動かせるんだ?
自分で上に乗ってたけど、50kgくらいか?
199 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
敵の命は積極的に奪っちゃう予定か
200 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
無難に決まったな
201 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
パンツおっぱい系はもう親の顔より見た質問だから、転生スレでしかも今やんなくて良いよ…
202 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
まとめた
・写真を撮る方法
・スクエアで積極的に攻撃を受ける理由
・初戦ラストあたりで柿ピーの様子が少しおかしかった理由
・聖子さんの容体どうにかならんの?
・ガチ黄色いヤツのカリスマレベルはどうだったか
・スクエアの書き込み方法
203 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
まずまずそれなりに真面目な質問かな
204 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
花とサユの関係は個人的に知りたかったが
205 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
まぁまた質問安価来るだろ
リクエストすればやってくれそうな感じだし
206 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
「ガチ黄色いヤツ」の言い方だと「とても黄色いヤツ」って感じに思えるww
207 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
果たして、腐ってることがカリスマに対してどうはたらくのか
208 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
>>188
ガチ黄色いヤツ「最悪肉の芽取れてもその間の記憶ないし、日本への刺客はテンメイ一人で行かせるか…」
サユ「ステータスの収穫はばっちりホックホクですけどね!!」
こうですね分かります。
眼鏡を押し上げる動作フェチな俺だったが、どうあがいても見れない絶望に打ちひしがれている。
今からスタンド使いに目覚めたいし、アン・ノウンで鏡を撮ればいいと提案したい。
209 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
雑談スレ作った。【なんか】スクエアンノウン・Withスタクル【立てられた】
あいつらさくさく進めてくから消費早いし、六窓は話が長いし、こっちは保守だけにして別で話そうぜ。安価とか考える時間もなく流れる。
210 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
ガチ黄色いヤツか……声はどっちだったんだろうか。
211 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
>>209
おつー
212 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
>>209
おk
258 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
保守
259 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
保守
260 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
ズアッ
261 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
ちくわ大明神
262 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
保守
263 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
誰だ今の
264 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
>>261
さり気なく入るなwwwwww
265 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
おかえりー
266 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
ただいま戻りました。
まとめ乙ありです。
・写真を撮る方法
視界スクショです。ログインしてアン・ノウンをかけていれば他の人でもできます。
私と柿ピーのIDは一部だけ切り取るスニッピングや動画撮影も可。
・スクエアで積極的に攻撃を受ける理由
うっかり自分側に繋がってる窓に通したら普通の物理攻撃でも死ぬからだそうです。
背面ならダメージを受けても六分の一。リスクとリターンを考えてのこと。
・初戦ラストあたりで柿ピーの様子が少しおかしかった理由
柿ピーにアン・ノウンを貸した状態で戦う時、Z注目とか緊急回避エフェクトとかを出すのですが、
それを全くしなかったのでどうかしたのかということです。
・聖子さんの容体どうにかならんの?
多少どうにかなりました。
・ガチ黄色いヤツのカリスマレベルはどうだったか
ガチ黄色くて見るだけで腐海の住人の血が騒ぎだすくらいにゲロヤバでしたが、
1部の顔芸と鼻毛真拳を思い出しながら見ていたので、大丈夫で問題ありません。
・スクエアの書き込み方法
実質マウスしかない状態のはずなのにあんまりサクサク書き込むので、私も気になっていたんですが、
I M E パ ッ ド の 手 書 き 機 能 でした。
一瞬ちょっと何を言っているのか私も分からなかったですね。
でも六窓先輩、ガチ恐ろしいくらい使いこなしてるんですよ……。
慣れるとそんなものなんですかね……。
267 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
おかえり
268 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
ジョジョジョージョ・ジョージョジョwwwwwwwwwww
269 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
聖子さんどうにかなったのか
270 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
見るだけで腐海の住人の血が騒ぎだすくらいにゲロヤバってwwwwwwww
それゲロヤバなのは黄色いヤツの貞操じゃねーかwwwwwwwww
271 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
視界スクショいいな。
となると最初のテンメイの微妙な笑顔は「これがサユですよ」の時のか。
272 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
余命50日脱した?
273 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
一気に答えたな…
Z注目とかお前それ、タライとホースの…
274 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
六窓先輩戦闘慣れしてるな
自称正義の味方ってどこまでやってたんだ?
275 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
IMEパッド!?
キーボード並みに打ってるのに!?
276 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
一晩IMEパッドで徹夜で語り明かした六窓先輩ェ…
277 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
スニッピングとはなんぞや
278 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
>>271
写真→Exactly(その通りでございます)
柿ピーのそれは、3ヵ月前までは私が一週間に一回は見ていた表情です。
守りたい、この笑顔>eee(σ‐ロ-ロ)クイッ
>>275
IMEパッド→マジだぜ
承り先輩の家に六窓先輩のノートがあったんですが、字はめちゃくちゃ綺麗でしたね。
>>277
スニッピング→詳しくはWebで
知るとネット生活がより豊かに変わるかもしれなくはない機能です。
279 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
聖子さんの件kwsk頼む!
何とかなったのに承り黄色いヤツんとこ行くのか?
280 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
>>279
もともとkwskするつもりでした。
以下、名無しに変わりまして眼鏡ガール(ただしスタンド使いにしか眼鏡は見えない)がお送りいたします。
----サユリ視点----
朝起きて、まずいつもと違う布団の感触、いつもと違う空気を感じる。
次に典明が(思いっきり殴られたし、頭に穴も開いてるが)無事帰ってきたことを思い出し、久しぶりに『自分の体からアン・ノウンを出した』。
懐かしい我が本体のサイズを調整し、布団の上でセーラー服に着替え、いつものように三つ編みを作っていく。
「まさか本気で3ヶ月もエジプトにいるとは……」
真っ青な顔で日本へ帰国したおじさんとおばさん、その表情は今も昨日のことのように思い出せる。
しかしそれでも、居場所は私が知っていますなどと口が裂けても言えるものではない。3ヵ月、ただ『見ながら』只管にその時を待った。幼馴染が行方不明とあれば自らを追い詰めるかのごとく稽古に励むのも不自然ではないし、多少独り言が増えても見逃される。DIOへ強制的に憧れさせられてしまっている典明に、上手く私の能力を伏せさせきったのは自分でも褒めてやりたいくらいだ。ただ、その分日本へ『私達の知らない刺客』が来ているかもしれない。伝人先輩には早めにその辺りを相談しておきたい。彼の能力のバグ技のような奇跡で『予習』ができるというのはかなりありがたかったが、知らない敵が怖い。
「ああ、先輩ログイン状態ロックしっぱなしだった、……か? あ? いや、ちょっ……!?」
そしてたった今、伝人先輩が一睡もしていないという事態に遭遇した。
彼のスタンドとリンクして私もネットができるようになったのはかなり便利だが、彼の見ているページしか見れないというのは不便だ。その上、スクエアが『ネットと私に繋がっている』ことが条件ときた。下手なフィルタリングや通信制限より、分かりやすくて使いにくい。
向こうも私に繋げっぱなしのままだったらしい。そして今はそれが事態の把握に最善の状態で、彼のコンディションは最悪の状態だろうと分かる。
深呼吸を一つ。布団を畳んで鞄を掴んだ。
無数の世界線を越えた未来の電子掲示板で、前世のように馬鹿なノリで話すと、自然とSAN値は回復していく。少し離れた、テレビのある部屋で寝ている(ハズだった)伝人先輩の顔を見に、廊下を歩いて襖を開ける。
「ハァイ、おはようございます。どうぞお外をご覧下さい。もしかしなくても、朝です」
「ああ、まぁ……そうなるな……。一晩繋げっぱとか通りで消耗してるわけだよ俺のアホ」
ソファに仰向けに沈んだまま、顔だけをこちらに向けて視線を合わせる。
梟のようなその顔立ちは、昨日最後に見た時より少し虚ろな表情だった。
「さて、リンクしたの、話しますか? 私はまだ伏せたいですね。出会って2日目ですから」
「そうだな、俺もそうしたい。花京院に特定の会話ログとかIDが増えたのとかって隠せるか?」
「アン・ノウンは育成10年目の我が本体ですよ。そのくらい朝飯前です」
ダルそうにしながらも、その指先は恐ろしく正確に素早く、文字を書き出している。
スピード・精密動作Aかな? などと考えながら、脳内と現実とで風邪を引きそうな温度差で手早く打ち合わせを進めた。主に私からは未知の敵への警戒の件を、伝人先輩からは出発の飛行機は夜だから睡眠の件は安心してくれという件を。
「さて、私は典明の所へ行ってきますね」
「行ってら」
三つ編みを首に巻きつけて、典明の部屋へ向かう。
長らく意味のなくなっていた米神を押さえる私の癖が再び意味を持った今、運命の時は近い。
「おはよう柿ピー」
昨日と同じように勝手に部屋に入り、寝ている典明の傍に胡坐をかいて座る。
久しぶりにまともに顔を見た。今までずっと視点を借りてDIOの館での生活を擬似体験していたので、しっかりと他人として顔を見るのは3ヶ月ぶり。
少し『見て』みるが、館で鍛えられ、スペックが幾らか向上していること以外、3ヶ月前と何ら変わらない。
去年の入学式で加えられた、『17歳まで生きる』とかいうふざけた一文も、変わらない。
「おはよう、起きろや。朝だぞー」
「……サ、ユ……?」
軽く布団の上から叩いて、声をかける。
一瞬、知らない天井だという表情をした後、私の顔を見て状況を思い出したと見えた。
「サユリは ノリアキを 起こした! ▽」
「ノリアキは 起こされてしまった! どうする? ▽」
「……」
「……くっ」
「あははっ」
「フハハッ」
いつもみたいなやりとりに、少し間を開けて笑った。
起き上がった分、しゃがんでいる私と目線がかち合う。懐かしすぎてテンションが上がる。
「久々に生身でご対面! 下らない茶番!! やらずにはいられない!!」
「ただいまサユ。……大分苦労かけた気が、する」
「うん、大分苦労かけられた。詫びろ」
「悪気はなかった」
典明の身支度を眺めながら、今日の予定を話した。
駅に借りっぱなしのチャリンコを返し、典明はすっかり忘れているかもしれないが、コインロッカーに荷物を取りに行くつもりだ。私の荷物は既に鞄にまとめてきたし、そこまで急ぐことはないだろう。
「……?」
「なんか騒がしいね」
DIOの居場所を突き止めるのは昨日やった訳で。どういう理屈かは分からないが、ホリィさんのイベントが早まったらしい。それは今日の朝飯は抜きということ��し、私の出番ということである。承太郎先輩が許せばの話だが。
.
.
294 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
ここまでおkです?
295 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
おk
296 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
ていうかテンメイの荷物ってなんだ
眼鏡と羽衣以外に荷物あったのかよ
297 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
おk
そうそう、夜の飛行機だからクワガタ戦でみんな寝てたんだよ
298 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
>>296
そういえば、眼鏡院はお絵かきしてなかったな。ハンカチも承りに渡しちゃったし。
299 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
ナチュラルにいちゃつくなwwwwwwwww
くっそwwwwwwwwwwwww和むwwwwwwww
俺も彼女欲しい、切実に
300 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
>>296
何を言ってるんですか。
エジプトから遥々来ておいて、荷物が「私」だけだなんて思ってました?
金なし服なし資料なしで、どうやって日本で承り先輩を探すんです?
301 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
六窓の徹夜という杞憂
302 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
じゃあ六窓は今2セットサユのカキコのためにスクエア使っちゃってるのか
敵が来たらサユの通信がブチ切りされる可能性
303 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
>>300
すげぇごもっともだった
304 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
それに、サイコゲーマーが作ってくれたガクセー服は、もう一着あるんですよ。
このままじゃ塩塗れの学ランで旅に出る羽目にって、そういえばどっちみち塩塗れにはなるんでしたね!
305 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
>>304
あっ執事さんお疲れ様です……
306 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
>>304
飛行機は落ちるし船は爆散するし
前半は海水浴ばっかりだよ
307 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
>>306
予習できるのは六窓先輩のスクエアだけで、私の仕事はここの世界の正確なプロフィールの収集ですから……。
この17年で相当記憶も薄れて、ざっくりしたあらすじしか覚えてませんでしたから……。
メモしなきゃと思ったのは柿ピーに会ってからだったので、それもぼんやりでしたし。
308 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
スターダストクルセイダーズ~塩味~
309 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
サイコゲーマー服も作れるのかよ
人形の細かいのが作れるんだからやろうと思えばでき…るか?
310 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
>>308
イチゴ味みたいに言うのやめろww
311 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
替えのガクセー服を取りに行こうと言ったら、
やはり洗脳状態の記憶は薄いようで「えっこれ黄色いヤツの館の執事が……?」って顔しましたね。
似合ってるし、なにより結構良い生地を惜しげもなくぶッ込んであるからもらっとけって言っておきました。
因みに、作る前の話なんですけど、ハートとかいっぱい入れられそうになったのを、テンメイは「冗談だと思うか?」と相談してきました。私からは「執事さんとか亜空さんの服を見なよ、断らなかったらホントにハートまみれになるよ」と返し、そのまま「目立つから」という理由でお断りです。
312 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
>>307
まぁ普通に転生したら前世の漫画の話なんてどんどん忘れるよな
もう読み返せないし語る相手もいないし
313 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
つか俺、1回日本戻ってから転校? だと思ってたんだが。
ここのテンメイ、本当に3ヵ月ずっと館にいたのか?
314 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
>>313
いたよ!! 私だって流石にマジで3ヶ月もいるとは思ってなかったよ!!
普通に旅行から帰って来て、こっそり指令でも来て承りのとこ行くのかなって思ってたよ!!
思ってた時期が私にもありましたよ!!!!!
私の本体は日本で柿ピーのことを心配しつつも平然とガクセーしてなきゃいけないのにね(白目)!!
もう色々と「どういうことだよ!!」って100回くらい叫びそうになりまーーした!!!!!!!
315 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
ハート塗れのテンメイも見たかったと思ってしまうww
316 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
サユ敬語取れたwwwwwwww
館で大変だったんだなwwwwwwww
317 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
無事だったんだからもちつけwwwwww
318 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
そうだよな…
柿ピー行方不明とかテラ茶番状態な上に自分のほうが命が危ないんだもんな
319 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
100回も叫びそうになる色々って何だwwwwwwww
320 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
やっぱり館常駐メンツの服のデザインがアレなのって、黄色いのがハートマーク好きだから…?執事の趣味…?
321 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
>>319
色々は色々ですよ……。
とりあえずこれ、サイコゲーマーの本気料理です……。
他にも色々突っ込みどころはあったんですが、メシテロいい加減にして欲しかった……時差7時間……夜中に柿ピーから『美味しい』とかいうコメントと一緒に通知くるのホント辛かった……。
つ【高級ホテルのディナーのような写真】
「なんすかこれ? 私はちょっと間違ったら死ぬってのに、何のんきに美味しいもん堪能してんの?」
って思いましたし、実際に言っておきました。
322 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
>>321
ファーーーーーーーーーーーwwwwwwwww
執事(21)灰スペック杉かwwww俺も食いてぇwwwwwwww
323 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
花「何コレ美味しい、サユに送ろwwwwwwww」
サ「テメェエエエエエ時差考えろこの汚らしい阿呆がァーーーーーッッ!!」
こうですね分かります
324 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
地味に苦労してたwwwwwwww
325 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
参加してない食事会の画像を送りつけられる気分www
326 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
腹減るwwwww
アメリカ料理じゃなかったwwwwwwwww
普通に美味そうwwwwwwwwwwwww
327 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
脱線しました。
で、その後のこと続けますね。
聖子さんがぶっ倒れて、こいつぁ黄色いヤツの息の根を止めなきゃならんとなりまして。
承り家にSPW財団のお医者様方を呼び寄せたわけですが、
お医者様が来るまでの間に、星屑十字軍+六窓先輩を少し離れたところに呼び、ここで私の案をぶちまけました。
会話ログコピペ弄ったの張るので、下開けておいてください。
328 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
ありがとうございます続きです。
サユ「承りさん、隠紫さん、……ひとつ、提案があります」
星家「提案?」
サユ「その前にヴ男さん、要するに『闘争心』が湧けば、症状は和らぐ筈ですよね?」
ヴ男「あ、ああ……だが、彼女は」
サユ「私なら、彼女の精神状態を見ながら話せます」
承り「!」
承り先輩は鋭いですね。ここで勘付きました。
隠紫「まさか……!」
サユ「彼女の愛を試すようなマネになりますし、承りさんの名誉をも傷つけるような発言をしなくてはなりません」
因みに柿ピーには事前に少し話していたので、無言で聞いてくれてました。
そして六窓先輩はかなり眠そうでしたが、頑張って真剣に聞いてました。
サユ「ショックを受けてしまうと余計に悪化するとは思いますが、……賭けますか? 賭けませんか?」
承り「くどいぜ。やれ」
隠紫「承り!」
少し揉めましたが任せてくれることになり、詳細は結構なことを言ったので省きますが、
『聖子さんは スタンドに 目覚めた! ▽
しかし 黄色いヤツの 影響が大きすぎる!!
倒さなければ まともな 生活は 続けられないぞ!!▽』
『承り・隠茨・ヴ男・六窓、 4人からの 信頼を それぞれ 2P獲得!
承り からの 友情を 2P獲得!
聖子 からの 信頼を 3P失った! しかし 直後に 2P獲得!
柿ピ からは 何もなかった! なんかくれよ!!▽』
という結果になりました。因みに信頼ポイントは能力ではなくこの場で適当に言ってるだけです。
おめでとうございます。余命50日という点は改変クリアです。
329 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
サユすげええええええええええええ!!!
330 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
\ヤッターーーー!!/
∧_∧
((´∀` /^)
/⌒ ノ
γ (,_,丿ソ′
i,_,ノ |||
バンザイ バンザイ ヤッター オメデトー
∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
(^(,, ´∀`)) ・∀・)(ヽ )')((・∀・ /')
ヽ / ヽ ノ ヽ ノ ノ ノ
ノ r ヽ / | / O | ( -、 ヽ
(_,ハ_,),_,/´i,_,ノ (,_,/´i,_,ノ し' ヽ,_,)
331 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
承りやっぱかっこいいな
ズバッと即決か
332 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
嬉しいんだけど「なんかくれよ!!」がじわるwwwwwwww
333 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
良かった…
なんか転生のオペレータ?が敵サイドにいるんだよな
パワーアップした敵と戦うのに50日の時間制限変わらなかったらマジ怖すぎ
334 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
承りも当然のようにイケメンだったが
自ら汚れ役を買って出たサユさんも相当なイケメンだった
335 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
心理戦はお任せください >eee(σ‐ロ∀ロ)ドヤァ~~!
336 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
ああああああ死にそうな聖子さん見てるの結構キツかったからめっちゃ嬉しい!!
そしてサユには抱かれたい!!
337 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
>>336
だが断る
338 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
この感じ、3部より4部な雰囲気だな
静かに確実に手を回す感じがこう、ひっそりと怖い
339 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
>>336
断られてやんのwwwwwwwww
340 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
>>338
全ての始まりはロマンホラーだから…
341 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
ていうかサユは今何してんの?
柿ピーとデートがてら荷物取りに?
342 :336の目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
ウィッス……サーセン……調子乗りました
343 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
>>341
みなさんまるで私が柿ピーの彼女のような言い回しをされていますが
それは誤解でここは駅の2階、そして我々10年コンビと相対するは黄色いヤツの刺客。
六窓先輩は相変わらず寝てるので、暫くしたらどっちかが戻ります。>eee(‐□д□)ノシ アデュー
344 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
サユのスタンドチートかと思ったら割りと制限あるのなって思ったらやっぱりチートだった
345 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
ぅゎサユっょぃ
346 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
いやちょっと待てなんかさらっと離脱したけど!!
347 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
>>343
予想していたとはいえ軽すぎである
----サユリ視点----
無事チャリンコを返却し、執事が準備してくれた荷物を回収したところで、私達に纏わり着く『意識の糸』に気づいた。
警戒していたとはいえ、赤の他人の糸。よっぽど私達にご執着でなければ気づけない。そこまでの手練れではなさそうだ。
「……んー、2時方向」
「ああ」
「身タテナガ、薄茶白系の。アウターはグレーで」
最近のゲームの話や稽古中の出来事について話していたが、あからさまに気づいてますよという会話は憚れるため、それに交えて敵の体系、髪色、肌色、目に付く服装を簡潔に伝えた。
こんな街中でおっ始められては困るため、さり気なく人気のない方へ歩いていく。
「使い手だろうか?」
「さあ、『糸』は何かの形を取ってなかったけど」
典明には簡略化したアン・ノウン用語が通じるのでとてもやりやすい。
いつ攻撃が来るかは分からない。来る直前の意識の変化を見れば良いが、万全とはいえない。
人の足が薄れてきたところで不意に狭い路地へ曲った。通り道に触脚を張り巡らせながら進み、前は私が警戒する。
「サユ、後ろから来る」
「ば、ばれて……!!」
振り返ると、私達に続く『糸』が揺らめいた。曲り角から姿を表した男の顔は、どこか精気がない。
名前が分からないのでステータスを見ることはできないが、表情からして自信の欠片もなく、……ついでに、『人間』とも読み取れない。
「!? 人間じゃない、胸の辺りに警戒が必要、敵意は全面に放たれてる!!」
「くっ!? ウォオッ!?」
急いでハイエロの触脚で手足を絡めとり、本体を行動不能にする。それでもスタンドは出てこない。
それに、幾らスタンドがスタンドでしか攻撃できないとはいえ、典明はハイエロに対して余り力を込めていない。よって吸血鬼でもゾンビでもなかった。
「サユ、『これ』はスタンドじゃあないんだな?」
「スタンドじゃないし、既にスタンドが出てるようにも見えない。でも人間じゃない、洗脳状態っぽい感じにも見えない……」
「み、身動きが……! やっぱり一人じゃ無理だったんだ……畜生……!!」
「……典明、この人『見えてない』。ハイエロを全く認識できてない」
刺客というよりは、脅されているようだった。気味の悪いくらい白い顔は、絶望の色で染まっている。
見えない触脚で拘束されたまま、狭い路地でじたばたともがく。
脅迫されての使いっぱしりとあっては流石に可哀想だと思うが、放すわけにはいかない。
そして、男が思いっきり身を捩った拍子に白い手が壁にぶつかって、パキリと指が折れて飛んだ。
「指が……?」
「……に、人形……!?」
生身でなかったその指を拾い上げてみると、義手、というにはあまりに簡単な関節で、かなり金のかかった人形であると分かった。
人形遣い、いたような気もする。しかしこんな完璧なヒトガタの、しかも物体としての人形を使うヤツなんていただろうか。何せ読み手側だったのは17年前のこと。覚えてない。起きろ伝人先輩、アンタの知識が必要だ。
「もう無理だ! 爆発するッ!!」
「ばっ!?」
「典明退くよッ!!」
物騒極まる発言。急いでハイエロを解く典明の襟を引っ掴み、路地の奥へと駆け出す。
直後に軽いうめき声と、カチリという音がして、路地裏に爆音が響き渡った。
「ゲホッ……爆破を食らったのに、ダメージがない……? 胸に本物の爆弾を仕込んでいたってことかッ!?」
「そうみたいだよ……! んー、野次馬のせいで『見えない』から、一旦意識の感知レベル落すわ」
典明がハイエロを回収しきったのを見計らって手を放す。手でアン・ノウンを抑えつつ、意識の糸で真っ白になった視界を調節。ダッシュで人目から逃れて距離を稼いだ。
……壁の修理代とかその辺は、世界征服を阻止するための戦いの結果なので見逃して欲しい。所謂、勇者特典ってことで。
「……遠隔操作型? でもスタンドらしい表示は何も見えなかったし……」
「純粋なヒトではないとしたら、受け答えがはっきりしすぎていた……。彼は本当に脅されていたんじゃあないか?」
「脅されて、自爆?」
人ごみから離れて、分析しながら再び意識の糸を探る。
もう此方へ向けられたものは見当たらなかった。追撃の心配は低い。駅の方もなんともない。
「そもそも人形が脅されるって……。……心当たり、あった」
「あるのか」
「館の執事がそういう……ここじゃアレだから、『かけて』。直接話す」
手早くアン・ノウンを渡し、かけてもらう。ログインしてもらって説明した。
実際に見た彼も、しまい込んで一人で楽しむタイプだったのでその発想はなかった。
が、コレクションを置いて遠出することもあっただろうし、簡単なつくりでも目玉や口が動いていたのを覚えている。確かにやろうと思えばできたかもしれない。そして館に運び込まれていた何らかの機械や火薬。想像通りなら、私達を襲わせることもやはり可能だろう。
なにせ実際に『人間の魂が入っている』のだから。一々指示しなくても一人で考えて一人で動ける。家族や友人、恋人とセットで魂を手に入れてしまえば人質で脅すのは容易い。更に幾ら壊れて死んだところでスタンドではないので本体にフィードバックはないし、本体が死ねば人形も死ぬので謀反の心配も薄い。
「……マジ、吐き気がするほど邪悪じゃん」
考えれば考えるほど、この使い方は恐ろしく使い勝手が良くて、ローリスクハイリターンだった。
ただ仕向けてくる黄色いヤツよりも、『私達と同じ』オペレータのオネーサンの方が、よっぽども厄介かもしれない。
『……サユ』
『何?』
説明しながらも半分ぼうっとしていたが、典明に『直接』呼ばれて意識を戻す。
『その、ペレータというのは、サユに気づいてたりはしないのか?』
『(白目)』
『オイ』
『……えっと、ですね……たぶん、さっきの人形は、気づいていたからこそのペレータからの刺客ではないかとか、そんな風な予想があったり、なかったり……』
『ひじょうにまずいやつだな』
『ひじょうにまずいやつです』
実は日本に来る直前、ペレータに、アン・ノウンについて『その眼鏡は何であるか』という質問をされたことがあったのだ。
『もしかして僕のせいか』
『柿ピーのせいっていうか……運命的に運が悪かったっていうか……』
勘付かれる切欠は、余りに酷かった。
旅行から帰らずそのまま館に残るという衝撃の始まりから2ヶ月と幾日。なんだかんだ、私はギリギリまで普通に眼鏡として過ごせていた。
だがその日、私の肉体のほうが風呂に入って気を抜いていたのと、典明がチェリー1箱を貰ってテンションが上がっていたのと、風が強かったのと、イエテンのナルシストが館でスタンドに飯を与えていたのとが奇跡的に相まって、外に面した階段で風に飛ばされ、『私』はイエテンの中に落ちかけた。眼鏡なんて細くて薄くて小さな道具型スタンド、消化するのに数秒とかからないだろう。
ぐんぐん迫るイエローカラーに、私は思った。第3部、完。と。
しかし予想に反し、私は黄色い粘菌の海に溺れることはなかった。
『でも、柿ピーがチェリーを放り出してまで、後に続いて飛んでくれてたんだよね』
『えっ』
更に風に煽られて、くるりと回転した視界。その中に典明の必死な形相と、伸ばされた手と緑色を見た。
次に感じたのは確りと掴まれた感触と、ドウッという表現しがたい音。半瞬遅れて、光る緑色の隙間から『あ、ありのまま今起こったことを話すぜ』というラバーソールの顔も窺えた。
典明は、私を上に掲げて庇った状態、すなわち溶鉱炉に沈むアンドロイドのような感じで、私の代わりにイエテンに突っ込んだのである。お陰で私は傷一つ負わなかったし、ラバーソールが思考停止したため、典明も極軽い火傷程度で済んだ。しかし、その必死の救助が怪しまれる原因となったし、挙句最後の質問に典明は『JOJOを始末するついでに連れてきますよ』とかのたまいやがったのである。
『……え? 何だ? その酷すぎる展開』
『悲しいけれど事実なのよね……』
『どこから突っ込んで良いのか分からない……。ただ、その、ラバーソールとかいうヤツに会った時が気マズ過ぎるかな』
『んー、会わない会わない!! たぶんきっとメイビー!!』
私の記憶が間違ってなくて、ペレータが典明にぶつかるよう仕向けて来なければ、の話だが。
370 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
ほ
371 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
し
372 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
ゅ
ということでただいまです
373 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
ゅ
374 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
おかえり急に消えるな!!
375 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
倒したのか?
ていうか刺客誰だった?
376 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
吐き気を催す邪悪とは……なにも知らぬ無知なる者を利用することだ……。
自分の利益だけのために利用することだ…………。
377 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
無事か!?
378 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
サユ姉貴お帰りィ!!
379 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
どうした
380 :名無しの目覚め:XXXX/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:--------
まだ日本出てすらないのになんかヤバイ敵でも来たんか?
381 :サユ:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:an known
敵サイドのオペレータの案と思われるのですが、
サイコゲーマーの能力がバージョンアップした模様です。
kwskは六窓先輩と私で『直接』お話しつつまとめて投下していきます。
389 :六窓:1988/XX/XX(X) XX:X:XX.XX ID:Square
おはよ
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