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taiyaki-taberu · 4 days
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『自分を好きになる方法』
リンデという女性の3.16.28.34.47.63歳の各1日を描いた作品。
47歳のリンデの1日では以下の文が記されていた。
【この歳になれば好きも嫌いもない。いつか必ず、本物の親友が現れると信じていたこともあるけど、そんなものはとうに諦めていた。魅力的な友達なんて現れない。今、目の前にいるこのしょぼくれた人たちがリンデの、まぎれもない友達だった。そして、彼らも同じことを思っているに違いなかった。】
今、幼馴染と距離を取りたいと思っている。少しの時間会うならまだ良いのだが、旅行などの長時間一緒にいるときは性格の不一致が原因で息が詰まりそうになる。彼女の傲慢な態度に疲弊するしいちいち傷つく。本格的に距離を取ろうと思った矢先にそうもいかない状況が出てきているので我慢してそれだけ乗り越えようと思う。幼馴染というのは厄介だ。本人同士がコミュニケーションを取っていなくても親から情報が漏れる。親同士の仲が良いと余計に厄介だ。とにかく、今の私では彼女と一緒の時間を楽しめる自信がないので距離を取ったほうがお互いのためだと思うので極力避けていこうと思う。リンダの様に、人間関係に諦めているわけではない。すり合わせたり距離を置いたりしなくてはいけない関係もある、と思えば気が楽だ。
本書を読み終わったあと、正直グッとくるものはなく、主人公の身勝手さにイライラしたりしたが、解説を読んでこの感想でも良かったのかと思えた。解説では本書以外でのモヤモヤしていたことが言語化されていて3回くらい見返して脳に刻もうとした。また読み返すと思う。
2024.5.8
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taiyaki-taberu · 13 days
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『買い物��わたし 〜お伊勢丹より愛を込めて〜』
30代、女性。経済力が20代に比べ付いてきたこの年代の物の買い方や処分の方法、目利きについて、著者の経験をイラストとともにまとめたエッセイ。
結論からいうと、著者のファンになった。この本はXの投稿で見知らぬ人が紹介していて知ったのだが、確かに今自分が何を買えばよいのやらと迷っているところだった。"良いものを選びたい"という漠然とした目標はあるものの、基本財布の紐はギチギチに固いのでハイブランドには手を出さないし正直興味もない。となると身の回りのものは手頃なファストファッションやらネットで買ったものやらで、可もなく不可もなく、というのがほとんどだった。
本書ではUNIQLOが取り上げられていたのだが、
「ユニクロの服って、買うときはすごく楽しいけど、着るときはそんな楽しくないから… 」
とあり、激しく同意した。気持ちが収まらず音読した。いや、UNIQLOが嫌いなわけじゃない。私の家のタンスの半分はUNIQLOで占めているほどのヘビーユーザーなのだが、UNIQLOは"便利"なのであって、コンマリさんの言葉を借りるなら"トキメかない"。これを着ていれば間違いないというのにはなれるが、私が選んだというより世間が選んだものという感覚なのだ。
本書の最後に、
「年齢と懐具合を相談しながらちょっとずつ買い集めたものたちで、今のわたしはできている。財布、傘、バッグ、手帳、靴、ジーパン、ヘアブラシ、机。自分が選んだもので自分自身が形作られている。これは毎日の食事がその人を作っているのと同じこと。おろそかにしちゃいけない。」
このように綴られている。
そうだよね、そうだよね…。財布の紐の調節は自分次第。何を優先するべきか、どんな自分になりたいか。買い物について考えさせられる本だった。
本書は今の自分が求めている内容だったことと、素敵なイラストもあり速攻で読んでしまった。著者のファンになったのですぐさま他のエッセイを探すと『あたしたちよくやってる』を見つけた。即購入。本に関しては紐がゆるいな。
2024.4.28
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taiyaki-taberu · 14 days
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『リアルプリンセス』
おとぎ話を現代風に書き換えた、6人の作家による短編集。
アンソロジー、いい。読んだあとの一番の感想がこれだった。寺地はるなさんの本は読んだことがあるが他の作家さんは知らなかったので今回初めて読んだが、それぞれ読みやすく名残惜しいほどにサクサク読んでしまった。リアルプリンセスという設定は正直良くわからなかったけど、アンソロジーは知らない作家さんの作品も読めるのが良い。本冊はストーリーが始まる前に作者のプロフィールが書いてあるという手厚い仕様だったので今度参考にして読んでみようと思う。
2024.4.28
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taiyaki-taberu · 15 days
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『ミュージック・ブレス・ユー』
高校3年生のオケタニアザミ。カラフルな歯科矯正をしたり髪の毛を赤く染めたりと見た目のパンクさに負けず性格もなかなか。一人でしょうもないことを話し、クラスメイトから「オケタニサンっていつも一人でしゃべってるんやね、いつもそうなの?」と言われたり。そんな人との足並みを揃えるのを苦手としている彼女に受験が迫る。
学校青春系はどうも手が伸びない。本を読む理由のひとつに、登場人物と自分と重ねて見えない未来のために何か希望を見出したい、という目的がある。どうあがいたって戻れないあの時間を生きる主人公達にはどうしても感情移入ができないんじゃないか、私の指針にならないんじゃないか、楽しめないんじゃないか。そう思っていたが、そんな心配は杞憂だった。自分の読書の目的を達成できなくても得られるものはあった。そもそも、著者の作品はどんな題材でも読みたい。それらしい理由をあげて悠長に積読してるんじゃなかった。早く読めばよかった。
著者の描く主人公は毎回できた人間じゃないのが良くて、ポンコツさというか、人間味あふれる感情の機微が愛おしかった。
2024.4.26
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taiyaki-taberu · 21 days
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『命売ります』
自殺に失敗した27歳の羽仁男。その後【命売ります】という看板を掲げ、文字の如く自分の命を売る商売を始める。
名作はいつまでも名作なんだと思い知らされ、久々に読書の楽しさを再認識した。テンポの良さ、ストーリーの巧妙さ、主人公の心境の変化の描写。どれをとっても素晴らしかった。命の重さがどうこうという説教じみた話ではなかったのも良い。気になるところを最後回収してくれるのも良い。とにかく人に勧めたくなった。
私の眠っていた読書熱の起爆剤となった本冊。今年も沢山読むぞ。
2024.4.21
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taiyaki-taberu · 22 days
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『正直観光案内』
著者の独断と偏見で選んだ47都道府県の観光スポットを案内していく。
前回に続き、漠然とした旅行したい欲にかられていた時に手に取った一冊。本冊は独断と偏見というのが知らない場所を教えてくれるきっかけとなった。王道すら知らない所もあったがそれも抑えてくれるという手厚さも感じられて良かった。
自分の住んでいる所が若干ディスられていたりしたがそれはそれで読み応えがあった。少し旅行したい欲が戻ってきた。
2024.4.20
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taiyaki-taberu · 22 days
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『47都道府県 女ひとりで行ってみよう』
タイトルの通り、著者が47都道府県を巡るエッセイ。
サクッと旅をしたい。漠然とした想いを常日頃から抱いているのだが、今年は辰年ということで色々始めるには良いチャンスと聞き、手始めに情報収集をしようと本屋に行き何冊か手に取った中の一つ。著者の本は何冊か読んだことがあるので身構えること無く読んでいけたのだが、正直旅行本としての情報は薄かった。そもそもエッセイなのでそこに期待を持って読むべきではなかった。日々の仕事に忙殺されながら通勤の際に他の本と並行しながら少しづつ読んでいたこともあり、旅行への意欲が徐々に低下している、というのが現状だ。ただ、旅行にかかった費用などがざっくり書いてあるので、行きたいところが出た時には参考にしようと思った。
2024.4.19
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taiyaki-taberu · 4 months
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『まぬけなこよみ』
季節のことばにまつわる著者の思い出を綴ったエッセイ。
この本は去年の年明けに買ったと記憶している。本冊は歳時記のように扱い、季節と一緒に読み進めていった。一年かけてこの本を読んできたのだが、一つのことばについてのエピソードが4〜5ページと就寝前にちょうどよい長さと温度感でして重宝した。
新年を迎えたので記憶に遠い正月を話題にしている一番最初のページを見ると、初詣についてのエピソードだった。今年は一人で正月を過ごしたり、まだ初詣に行っていなかったりという現状だ。季節の移ろいを感じられるイベントはやっておくべきだよな、と思いつつも結局こんな感じだ。年末に厳島神社に行ったから神社チャージはしてるから良かろう、と自分ルールを発動させながら新年をむかえている。今年もほどほどに自分と向き合っていこうと思う。
2024.1.6
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taiyaki-taberu · 6 months
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『風と共にゆとりぬ』
会社員時代のことや悪化した痔などについて記された著者のエッセイ第2弾。
エッセイ第一弾『時をかけるゆとり』を読んだことがあるが、目の前の行為に対する心境をポップにセルフツッコみしていく様子が本を読んでいるというよりか漫画のような感覚に近く、めちゃくちゃ読みやすかったのを覚えている。本冊は日経新聞のプロムナードに掲載されていたものも集録されていたのだが、それは他のエッセイよりも体制を整えているというか、日経という後ろがあるからかポップさは少なかった。ただ、短い"枠"の中でも著者らしさを感じられた。むしろ短いからこそ洗礼されて印象に残るのかもしれないとさえ思われた。
合唱コンクールで使用する楽曲の歌詞を依頼されたという話があった。以下はその中での一節だ。
"私が合唱を好きな理由はいくつかあるが、そのうちの1つはあらゆる世代や地域を超えた共通言語になりうるからだ。"
読後は合唱コンクールという懐かし響きに触発されて、サブスクで昔歌った曲や、抽選に外れて歌えなかったけど知っている曲を聞きまくった。学校からの帰り道、恥も知らずに友達と大声で歌っていたあの頃を思い出した。思い返すと、他県の人と合唱コンクールなどの話をしたことがなかった気がする。今度友達に会ったら歌ってみて乗ってくるかチャレンジしてみよう。
2023.11.12
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taiyaki-taberu · 6 months
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『世界のへんな肉』
キリン、らくだ、トナカイ、アルマジロといった日本では食べられていない肉の味を旅先の体験と共に綴った作品。
上記した動物以外にも色んな動物が食材として登場していた。自分は食べよと思ったことがない見ているだけの存在であった動物が食材として扱われているのを知ると、自分の常識って自分の範囲内の尺度でしか測れてないんだなと思い知らされる。
今は色んな媒体で世界のことを知れるから異国の文化の情報が入ってきても(まぁ国が違うからね)と寛大な気持ちで受け入れられる。逆に、日本の中で一般常識だと思っていたことがそうではなかったときのほうが驚きが大きい。異文化というのは国だけじゃなく、家族や個人単位だというのを忘れてはいけないと本冊を通して再認識した。
2023.11.4
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taiyaki-taberu · 7 months
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『うどん陣営の受難』
4年に一度会社の代表を決める選挙が行われる。社内では派閥争いが起こり、それに巻き込まれる人達を描いた作品。
全103ページとさくっと読み切れる、そして製本のされ方がいつもと違う形でなんだか特別感がある本冊だった。内容は相も変わらず微細な心境変化を捉えた津村節で最高だった。
会社のパソコンが不調なので新しいのにしてくれと申請を出すが、何かと理由をつけて断られている主人公の心境が今回の私的好きなところだった。
『特に誰も頼りにならない、でもうどんはおいしい、というよくわからない流れに慰められるのを感じながら〜』
よくわからない理由で自分を慰めたり鼓舞したりするよね、しなきゃやってらんないよね、と共感した。あとは、帯にもピックアップされているが、
『控えめにいって、どっちもくそである。』
というパワーワード。わりと序盤に出てくるのでこれを見たいがためにまたこの本を手に取ろうと思った。
2023.10.28
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taiyaki-taberu · 7 months
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『むらさきのスカートの女』
むらさきのスカートの女、と呼ばれている人が近所に住んでいる。彼女のことが気になり友達になりたいと思いアプローチをしていく。
あらすじを書くにあたり、どこをどう表現すれば良いのか難しかった。この話を簡潔にそして乱暴にまとめるなら、"金銭事情が厳しく、ストーキングや無銭飲食、会社のものを転売するといった犯罪をしたりする奇人と、そのターゲットの話"とする。むらさきのスカートの女は何者で、彼女を気になっている人は一体何者何だろうと読者に考えさせたり、結局何がしたかったのだろうかと読後もなんだか晴れない気持ちとなった。
解説で英語版翻訳者のルーシー・ノースさんは、他の読者の率直な感想を挙げていて、私だけがそのモヤッとした気持ちになっていたわけじゃなかったと知りちょっと安心した。その一方で、この本から何かを見出している人もいることがわかり、読む人のコンディションやバックグラウンドによって捉え方は百万通りあるんだなと再確認した。
2023.10.27
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taiyaki-taberu · 7 months
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『対岸の彼女』
小夜子には3歳の娘がいるが、自分の子供時代と同じように引っ込み思案でなかなか友達が出来ない娘をもどかしく思っている。働くことにした小夜子は、独身女性社長 葵に出会い仕事を共にする。二人の学生時代や、職場仲間、ママ友や義実家等を通して対人関係を考えさせられる。
通勤途中に読み進めていったのだが、本を閉じてタイトルを見るたびに(対岸ね…)としみじみするほどに、女性の子育てやキャリアについての隔たりは身に沁みて感じている。
作中には夫や義母とぶつかり合う主婦と、我武者羅に生きている独身女性という2人の女性が出てくる。結婚することと、独身を選ぶこと。どちらが幸せなんだろうと20代半ばを過ぎてからずっと考えている。それは多分私だけじゃないはずだ。
私は今世間一般的に結婚適齢期なのだが、結婚したいと思っていない。一番の理由は、ずっと一緒に居たいと思える相手がいないからだ。女性の社会進出が一般化したことで独身でも白い目で見られることは十数年前に比べたら少ないだろうと思っている反面、社会の目を気にしている自分もいる。"結婚している"という事実は、その人が変わり者ではないという安心材料としてかなり効力があると感じている。そのためだけに結婚するという選択肢を捨てられずにいるわけではないが、"寂しい人"というレッテルを貼られることもないだろう、という人の目を気にする自分がどうしてもいなくならない。
独身であれば選択の幅が広がるし、何より誰かと衝突して、自分に向き合ってくれないなどと悩んで心が摩耗する心配がない。でも、それで良いのだろうかとも思う。この先あと何十年生きていくなかで独身だから誰とも衝突しないなんてことはない。仕事をしてれば家族以外と衝突することもある。そう考えると、拠り所を自分以外に増やすという視点に切り替えることもできるのではないかと考えられる、いや、でもな、、、とそれぞれのメリットデメリットをぐるぐると考えてばかりいる。いつまで続くのだろうか。
作中、娘に友達が出来ないと嘆く小夜子に葵が励ます。それは、直近の恋愛は人事を尽くしたので後悔はしていないのだが、ひとりの寂しさに時々襲われる今の私がほしかった言葉だった。以下に記す。
『私はさ、周りに子どもがいないから、成長過程に及ぼす影響とかそういうのはわかんない、けどさ、ひとりでいるのが怖くなるようなたくさんの友達よりも、ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと出会うことのほうが、うんと大事な気が、今になってするんだよね。』
2023.10.26
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taiyaki-taberu · 7 months
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『そして誰もいなくなった』
言わずとしれたミステリー小説の金字塔。無人島に誘われた10人が次々と殺されていく。犯人は誰なのか。
小説は読まないだろうと思い以前映画でこの作品に触れていた。思いの外記憶に残らなかったらしく、今回は「犯人は誰だっけ…。メイドが確か生きてたんだっけ…?」などと誰が犯人なのかを自分で推理するというよりは「誰だったんだっけ?」と記憶との勝負になってしまったのが私の中で残念な点となった。
作品自体は読みつがれる理由が納得できるサクサク読める展開構成で、本を読んでいるのにドラマを見ているかのような軽快な人物の映し方が印象に残った。最後、赤川次郎さんの感想にも書いてあったが、「過不足ない、必要にして十分な描写」だった。人物を必要以上に描きすぎずこちらに考える余白を残すのがプロだなと感じた。
2023.10.24
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taiyaki-taberu · 7 months
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『つまらない住宅地のすべての家』
女の脱獄囚がこちらに向かっている。そんなニュースをきっかけに、近隣関係に希薄なとある住宅地の住人達が団結していく。
小学生の頃は近所の子達とよく遊んでいたので近隣の人達との関わりがあったが、中学に入った辺りから個々での活動が増えて除々に近隣との関わりがなくなってきた。今やマンションのエレベーターで八合わせた時に見知らぬ人も居る。ひとり暮らしをした時は一応挨拶と思ってチャイムを押したが、結局出たのは隣の人だけだった。最近ではプライバシー等を考慮して挨拶をしない人も増えていると聞いた。近隣の人とベタベタしたり相手のプライベートに踏み込むつもりは毛頭ないのだけども、万が一に備えて顔と名前くらい知っておきたいと思う。とはいえ、それぞれの生活があるし挨拶も出来ない多忙な人もいるだろうし、性格の問題もあると思う。ご縁、というとなんだか仰々しくなってしまうが、ご近所さんとして挨拶ができる程度の関係性ではありたいなと思うのだが、一筋縄ではいかないのが近隣関係だよなと読んでいて思った。
2023.10.24
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taiyaki-taberu · 7 months
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『キリンと暮らす クジラと眠る』
もし動物と共存するならどんな心得が必要なのかやどんな生活になるのか等を、ユーモアたっぷりの文章と絵で紹介してくれる。
大人の絵本という印象を受けた。ミヒャエル・ゾーヴァの挿絵は風刺画のようなどこか意味を含んでいて目を引きそして味わい深く、アクセル・ハッケの文章表現は心くすぐられた。外国だな〜という文末表現とかが愛おしかった。ずっと側に置いておきたい作品。
2023.10.21
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taiyaki-taberu · 7 months
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『アルジャーノンに花束を』
白痴のチャーリーは脳の手術を受けてIQ180超えの天才となる。利口になりたいという念願が叶った彼だが、短期間で急激に変化した彼に周りの人はついていけなかったり、精神的に不安定になったりと不安定な状態が続く。
怒涛の勢いで読んでいった。最後の1文を読んだあとに鳥肌が立ち、言い表せない感情がぶわっと込み上げて来て泣いた。
人体実験で白痴のチャーリーが天才になって、最後にはまた以前の彼に戻るという流れなのだが、同じ人なのに中身が全く違うという状況に周りが戸惑う様子がリアルだった。以前は馬鹿にしていた人が、自分より賢くなったときの自分の惨めさ。一方チャーリーは、自分がずっと馬鹿にされてる存在だったから一緒に居られたと分かったときのやり場のない悲しみ。急激な知能の急上昇に追いつかない精神的な豊かさは彼を孤独にさせ、そのまま独りぼっちになる。読んでいて明るい兆しを感じる箇所は正直少ないのだが、次の展開がどうなるんだと気にならざるを得ない構成だった。どうやってこの物語を自分の中で消化させようかと考えるが、まだしばらく時間がかかりそう。
都合をつけるために"本当の自分"という言葉はよく聞くけど、どんなときだって良い面も悪い面も本当の自分であるわけなのだが、この様な場合はどうなんだろうと思った。知能や人柄は年月とともに変化するのは当然だとは思うのだが、「こんな人じゃなかった」と言われる筋合いがチャーリーにはあっただろうかと思う。その人が期待する人物像に当てはまらなくなったとき、見放されてしまうことの切なさを自分の経験と重ねて辛くなった。
2023.10.21
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