ushio00akashi
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汐の創作メモ
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ushio00akashi · 7 years ago
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「――霞雀」
ナツメはポツリと呟くように、
足元で跪くカジャクの名を呼んだ。
儀式が終わったことの合図でもあった。
パッと顔を上げたカジャクは、
不思議そうに首を傾げた。
「どうした。やけに複雑な顔をしているが」
「へ?……あぁ〜、いやぁ…」
思いもよらぬ指摘に、ナツメは言い淀んだ。
正直、今の心境が複雑なのは間違いない。
私ってば顔に出やすいのかな?
などと頬をぐにぐにと弄り、
チラリとカジャクを見遣る。
心を読み取られているのでは……と感じるほどに、
彼の目は真っ直ぐとナツメを捉えている。
思えば、カジャクとは物心ついた頃からの仲だ。
ナツメが幼い頃から彼の姿は一欠片も変化がない。
妖として人智を超えた永い寿命によるものだろう。
そんなカジャクが。
「霞雀が私の使い魔に…なったんだなぁ、
と思って」
「なんだその言い方は。不服か」
「そ、そうじゃなくて!随分長く一緒に居るし……今更主従って感じじゃないよなぁ、とか……霞雀の主として……ちゃんとやってけるかなぁ、とか……」
なんとかカジャクの誤解���解こうと言葉を連ねる。
なんだそんなことか、
とカジャクは呆れ顔で立ち上がった。
「大丈夫だ、俺は――」
言いかけて、口を噤んだ。
少しずつ自信を持たせる方が
ナツメの為になるかもしれない。
「何?」
「なんでもねぇ」
─────────────────────
「俺はずっと、お前を主だと思ってるよ」
ってのがふと舞い降りてきたのでメモ代わりに。
これもう本にできるのでは???
まぁ急に始まって急に終わるから
私以外には意味わからん話だけど。
自らに降りかかる災いを
使い魔に引き受けてもらう呪文があって、
それをカジャクが幼いナツメに
「つらい時に唱える呪い」として教えて、
知らずナツメの「つらい」を引き受けてきたとか。
ナツメと一緒に戦うようになって、
ナツメが致命的な傷を負った時に、
「こういう時に唱える呪いを教えてやっただろ」
って無理矢理言わせて引き受けてほしい。
ナツメがその呪いの意味を知ってしまった後。
しんどい。好き。
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ushio00akashi · 7 years ago
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手を伸ばしても あと少し お前には届かない
手を伸ばしたまま 目を逸らせぬまま
この身を穿く剣の重みで 赤に沈む
わかっていたことだ この手はお前に届かない
それでも それでも お前に手を伸ばす
届かなくていい 最期まで視界に
お前をひとり 遺して逝くオレを ✕してくれ
─────────────────────
手を伸ばしてもあともう少しのところで届かない
そういうのが好き
そのままひとりで墜ちて死んで
笑ってても泣いてても
絶望してても幸福でいてもいい
ひとりで 遠ざかっていくその手の先にあるものから目を逸らさずに 墜ちて
消えるように墜ちて
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