wingedobservationgiver
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wingedobservationgiver · 5 years ago
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伝統
大型時代劇によって国民は伝統を洗脳され続けているのかもしれない。あるいは国民性というものはどの国に言っても根を張るように強くあり、それは倒すべき壁でなく利用して乗るべき波なのかもしれない。
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wingedobservationgiver · 5 years ago
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宝石
世界的に疫病が大流行した。宝石病という病気で、罹ると手足が宝石のような凝固体に蝕まれる。うみが凝固体の殆どを形成するが、なぜか甘い花のような香りがする。香りのため、宝石病を患ったものを判別するのは容易かと思いきや、潜伏期間が2週間ほどと長く、感染を食い止めるためにロックダウンという措置が取られた。入院患者の致死率は15%ほどだ。これは患者全体の統計ではないため留意しなければならない。症状が進むと高熱と吐き気に襲われ、闘病は凄惨を極める。手足の「宝石」は徐々に人体の中心部まで進行し、末期の患者では内臓内に「宝石」が形成される。したがって吐血する。ワクチンはまだないが、軽い症状だと手指に2、3「宝石」ができる程度で済む。しかし甘い匂いは隠せない。宝石病患者への差別も多くある。それは家族にもおよぶ。悪質なものだと罵倒する内容の紙がドアに張られたり、迷惑電話がかかってくる。宝石病患者が殺害された例はまだない。
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wingedobservationgiver · 5 years ago
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アンチテーゼ
とりとめもなく考え事をしていた。私のこれまで見てきたものは何かしらのアンチテーゼではないかと。例えば勧善懲悪の物語、正義は必ず勝つ。賢いものは勝利し成功する。善なるものは悪なるものを超越する。そういった類の話のアンチテーゼではないかと。アンチテーゼであるからにはテーゼを知らなければ意味がない。テーゼを知らなければならないのだ。
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wingedobservationgiver · 5 years ago
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Twitter
不覚この上ないが、新設のアカウントと出会い系を結び付けてしまった。これでは持論を吐き出す場がない。本当に迂闊だった。
彼のことは断ったが本当にいい経験になった。
少しでも身バレにつながる情報は隠すべきなのだ。昨日おとといは怖くて外に出にくかった。用事があったため、出たが。
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wingedobservationgiver · 5 years ago
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社会的価値について
あまりに寂しすぎるので出会い系アプリなるものを入れてみた。実は高校生の時にも触ったことがある代物だがそれについては後述する。
しかしこのアプリ、見ていると社会的な価値、地位の違いというものを実感する。というのも、誰よりもまず自分の眼がそういった「フィルター」を持って人を見ていることを思い知らされるのである。
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wingedobservationgiver · 5 years ago
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日記
人の目を気にしてキーボードで入力する日記と、一人でノートに書きこむ日記ではやはり違う。私は日記でのみ本領を発揮できる方で、あれならば無限にかける。
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wingedobservationgiver · 5 years ago
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僕のため「君のため」だと君は言う。僕にはすべてわかっているのに。
命とは長くはないと知りながら語りつくそうとする愚かさ。
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wingedobservationgiver · 5 years ago
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サイレン
遠くサイレンが鳴る。
世界中の不安を引っ提げて、サイレンが鳴る。
病室の僕はただ佇んでいた。
遠くサイレンが鳴る。
ナースコールは見捨てられて、何度もその役目を鳴らした。
遠くサイレンが鳴る。
世界中の病人を載せて、世界中の悲哀を啼いて、
遠くサイレンが鳴る。
僕にしか聞こえない、サイレンが鳴る。
サイレンは薄く色づき、手招きをする。
風景は桜、桜は二分咲き。前見たときは6分咲いていた。
今年の寒気か熱風か、はたまた自分の不幸のせいか、
桜は二分しか咲いてはおらぬ。
いつまで待てば、咲くのだろうか。むしろ萎んで、しまわぬだろうか。
突然、絡めとる光に、目がくらみ
朝起きたら自室のベッドにいた。
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wingedobservationgiver · 5 years ago
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twitter
Twitterのアカウントを増やしたのだがフォロワーが一向に増えず、フラストレーションをためている。あまり明るい所で話せるようなアカウントでないゆえに、誰かに愚痴って気持ちを落ち着けることもできずにいる。現代病である。
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wingedobservationgiver · 5 years ago
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痛み
人間関係のすれ違いというものは往々にしてあるもので、私はそれで傷を負った。傷と言ってもかすり傷だが、これがしんしんと長く痛む。
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wingedobservationgiver · 5 years ago
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桜の花が散る
僕は昔、ライトノベルを書いていた。それは何の変哲もないラノベで、理由なくかわいい女の子にこき使われたりする内容のものだった。僕には講評をしてくれる数人の友人がいて、彼らはみな文芸部の部員だった。僕の作品は「突拍子無いことが一つもない、単調でつまらない、しかもライトノベルの旨味だけを取り去ってしまったかのような作品」とお世辞にも嬉しいとは思えない評価をもらったことがある。さて、大学生になった今、僕はライトノベルを書くことをやめてしまった。理由は評価されないことだけじゃなかった。大学生活が忙しすぎたのだ。僕は文系科目が得意にも関わらず理系の道を志し、大量のレポートと課題に忙殺されることになった。工学部に入ったのは、両親とも理系のエンジニアだったことと無関係ではない。
僕はまたペンをとっている。今度はライトノベルではない。日誌でもつけてみようかと思い立ったのが昨日の夜で、この文章を書いているのがその日の25時、つまり今日の深夜3時である。この分は予約投稿リストに入れるので、投稿されるのは次の日の0時、今日の24時である。桜の花も散るころに、やっとこさ思い出してきた「書く」ということの感触を僕は忘れないでいようと思う。某年、6月。
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wingedobservationgiver · 5 years ago
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ひぐらしのなく頃に
「ひぐらしのなく頃に」「ひぐらしのなく頃に解」を観た。良いアニメだった。最初はグロいシーンが多くて精神的に消耗する部分も多かったが、かえってそれが後半の梨花への感情移入につながり、一気見してしまった。全員で団結し運命に打ち勝つ最後は、見始めの頃には想像できなかった感動的なシーンだった。「礼」「煌」が残っているので、ゆっくり見ようと思うのだが、「礼」の一話目「羞晒し編」では、これまでの出来事、登場人物がネタ化されていてほっこりしてしまった。「解」の次回予告も似た趣があったので、それを楽しんでいた自分には心の救いとなる回だった。
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wingedobservationgiver · 5 years ago
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がっこうぐらし!
ずっと見たかった「がっこうぐらし!」一話を観た。衝撃的な作品だ。 
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wingedobservationgiver · 5 years ago
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エヴァンゲリオン
Netflixで新世紀エヴァンゲリオンのTV放送版を観たのだが、消化不良の感が否めない。合わせて旧劇場版も視聴したが、難しくていまいち分からなかった。破瓜のメタファーが使われてるんじゃないかなあと何となく思ったくらいだ。以前ツイッターで、この作品とAC(アダルトチルドレン) を絡めて言及している人がいて、またいたるところでエヴァへの言及を見たことも相まって、前前から興味を持っていたのだが、感想は「まあ面白い作品だった」というくらいだ。特にTVアニメ版後半は、並々ならない心象世界の描写に少々圧倒された。しかし最後に残ったのは「描く時間が足りなかったのかなあ」という印象で、途中惹きつけられた分あの終わり方では勿体無い気がしてしまった。
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wingedobservationgiver · 5 years ago
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*この物語はフィクションです。実在する人物、団体、疾患その他とは何の関係もありません。また、この物語を読むことで起きたいかなる損害にも責任を負いません。
*R-15
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女は唯一覚えていたパンケーキ屋へ向かった。自転車には触れられなかったため、やむなく崖に乗り捨てた。殺した記憶が本物だとすればパンケーキは「知人」の最期の晩餐だった。
精神病院に向かうことは何度も考えた。あそこには精神感知器がある。精神感知器を使えば自分を認識してもらえるだろう。
そして、自分の状況を何よりも冷静に判断してくれるのは病院の人間だろう。しかしこの状態で精神病院に行けば強制入院になり、薬物で寛解「させられる」と女は考えた。それは女の主義に反した。勿論この状態で街をうろつけば多くの人間の精神に干渉し、都の条例にも反するおそれがあった。女はそれを承知で、「知人の死」あるいは可能性のある「自身の死」という個人的事情を重視したのだ。
この二つはどちらか一つだけが正しいというものではない。知人と女が同時に死亡した可能性もあった。その場合それは殺人だろうか?「心中」という名で呼ばれる自殺だろうか。女は以前、そのようなケースに遭遇したことがあった。
しかし女はそのケースではなかった。女は、心霊と化した「彼女」と共に海へ飛び降りたのだった。なぜかは分からない。しかしそれが女の使命であるように感じた。この場合は「心中」と酷使しているが心霊が相手なので医学的にはただの自殺である。しかし心霊は女と区別することができないほど同一化していたため、女はこれは女による「殺人」であると考えていたのだ。
そのため女の記憶は混乱し、自分と「彼女」を混同する場面も見られた。女がパンケーキ屋に向かう間3人が嘔吐し、1人が自殺衝動を抑えられなくなり、14人が深い抑うつ状態に陥った。女はパンケーキ屋で意識を完全に喪失し、客と従業員の全員が3秒間の気絶のあと猛烈な寒気に襲われた。床に落ちたパフェをーーパンケーキ屋のメニューの中にはパフェも含まれていたのだーー気にする者はいなかった。
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wingedobservationgiver · 5 years ago
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ヒプノシスマイクロフォン
ヒプマイにドはまりしてしまって、CDを買い漁る日々である。
勉強の話をすると、欲しかった「山川日本史B」を同居人に取られてしまい、やることがなくなってしまった。
ヒプノシスマイクに話を戻すと、まだまだ謎が多くこれからのストーリーで解き明かされていくんだろうなと思っている。
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wingedobservationgiver · 5 years ago
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*この物語はフィクションです。実在する人物、団体、疾患その他とは何の関係もありません。また、この物語を読むことで起きたいかなる損害にも責任を負いません。
*R-15
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ある日、女はひとりだった。精神病院から自転車で2時間、崖の縁に立った女は波の音を聞いた。彼女はあるものを探していた。
「精神残存症候群ですね」
「え?なんですって?」女は聞き返した。目の前の医師のいうことが信じられなかった。
「自殺後精神残存症候群です」医師は繰り返した。
「過去には無いものとされていた時期もありますが、ここ数年でポピュラーな疾患となりました。この病気事態は、我々が狩りをして食料を得ていた太古の時代から存在します」
「病気……?」そのくらいの知識は女にもあったが、医師はそれを病気と表現した。女は違う立場に立っていたので、いささか喧嘩腰になった。
「はい、病気です。ずっと大昔にはこの病気は広く人々に認知されていました。しかし技術の発展と共にこの病気は根絶されたと信じられたのです。残念ながら、そうでないことはここ最近の研究からしても明らかです」
「病気と呼ぶのは不適切では?そして私が自殺性ですって?私は自殺なんてするタイプじゃありません」
医師からの返答は簡単なものだった。
「トンデモ話やエセ科学の類ではないのですよ。お薬多めに出しておきますから、すべてきっちり服用してください」
彼女はその症候群について知っていた。精神残存症候群には大まかに言って2種類あり、その1つが彼女の病名、『自殺後精神残存症』だ。もう1つは『他殺後精神残存症』で、これらはグラデーションのように境目がないことから、精神残存『症候群』などと呼ばれている。最新の研究では「自殺後」「他殺後」と呼ぶよりも「自殺性」「他殺性」と呼ばれるのがポピュラーだ。
一部では「幽霊病」ともよばれる。
この症候群は、患者の姿を他者に『感じ取り』づらくし、症状が重いほど『感じ取り』やすくする。一般に何らかの理由で死亡した患者が患い、重度の記憶機能への障害が指摘されている。
女には、自分が死亡した記憶はなく、ただ、他の誰かをそうしてしまった記憶のみがあった。その場所が、この崖であった。
「薮じゃん!」彼女は不満そうに言った。
「そうだね」
「こんなところにたびたび来てるの?」
「そうだよ」
女は彼女の背中に手を回すと、力の限り崖下へ押した。
一瞬の断末魔と飛沫の散る音の後は、穏やかな波の音が静寂を呼んだ。
「私は死んでいない」女は言った。
「それがこの疾患及び症候群の特徴でもあります」医師は言った。背後には清潔そうなカーテンがかかっている。その間を、たまに、看護士が忙しそうに通りすぎていった。
「あなたは自殺性といいましたね?」女は医師を疑っていた。
「自殺後です」医師は”後”の部分を強調した。
「殺したんですよ」女は静かに言った。どうしても、自殺性というところに納得がいかなかった。
「あなたのからだには外傷がありません。他殺後症候群の場合、その死因が『目立たされる』ことが分かっています。あなたは五体満足に見えます。そしてそれは、自殺後症候群の患者様全員に言えることです」
「それは一般論です」女は食って掛かった。
「症状が強いようです」医師は眉間に皺を寄せながら、苦虫を噛み潰したように言った。
「症状が記憶機能に作用するのは知っています。ただ、自分がそうとはおもえないだけで」
「入院での治療をお勧めしますが」
「結構です!」
女は強い口調で医師の忠言を断ると、自分の記憶へと思いを巡らせた。彼女は昼食にパンケーキを食べたことを思い出した。
「え~ウソ、また引っ越すの?」彼女は驚きつつ聞いた。
「いくら転勤が多い仕事と言ってもねえ」女は言って、パンケーキをほおばった。
「甘さがちょうどよくない?」彼女は同意を求めたが、女は違う感想を持った。
そのパンケーキは甘かった。甘い生地にタップリのメイプルソースと甘みの強い苺ソースがかかっていた。普通なら酸味がちょうどいいはずだが、その役目を果たすはずの苺ソースがべらぼうに甘いのだ。そのパンケーキは、ようするにかなりくどかった。
「ねえ、で、どこに引っ越すの?」
「横浜」
「今は中目黒でしょ?今度は横浜?横浜のどこ?」
「えっとね……」
女は続きを思い起こそうとしたがそれは叶わなかった。一時間ほどこのカフェにいたはずだが。
「死体を探そうと思うんです」
医師は苦い顔をした。
「やめておいたほうがいいですよ」
確かに、自分の死を究明しようとすることによって被害が広まることも多くあった。そしてそれは、重症であるほど大きく広くなる傾向があった。女は身に染みてそのことを分かっていたが、それ以上に抑えきれない衝動があった。
女は確実に、重症患者の行動パターンに沿っていた。重症の患者は自身の死の究明を求め、その清算を望む傾向にある。患者の行動によっては、『残存病』以外の他者の精神にも損失を及ばせることがあった。結果として、残存症者の行動範囲には、統合失調症患者やうつ病の患者が増えることになる。
「入院をおすすめしますけどねえ」医師はまた言った。
「同意してくださればすぐに準備をしますけど」医師は言った。
薬物での治療は、『精神残存症』の患者に対して行われ、すべての記憶を消去することでいわゆる『寛解』を達成する。日本でのその実績はおよそ30万人に及んだ。確実かつ完全な方法はいまだ存在しないが、症状が寛解しないわけではないことが国民には知られている。
「この近くで彼がなくなったの」曖昧な記憶の中で彼女が言った。
「あなたも……」
「いや、なんでもない」
ここで記憶は途切れ、崖から落ちた自分の水死体の記憶にジャンプした。
「あなたの望み通りで……」彼女は何か言いかけた。
女は崖っぷちに立っていた。下を見降ろしたが見つかるものは何一つとしてなかった。もやもやとした黒いものが波に流されてくるところが見えた。よく見るとそれは絡まった海藻だった。濁流に呑まれ翻弄されるそのひとつの塊は、崖に引っ掛かるとそのまま漂流していた。女はなぜかそれに心を奪われ、30分ほどそれを見ていた。翻っては波に打たれ、波に打たれては沈んでいく姿は、何かを示唆するようだった。一時間ほどそこにいただろうか。
精神残留症候群……。あれは、時間がたつほど自分を失っていく疾患だ。
女は、自分は自殺ではないと予測していた。医師は外傷がないことを「自殺性」である根拠としたが、そういう場合もまれに見られるのだ。それは患者に「未練」が無い場合だ。非常にレアなケースであるので、女がそれを自分に当てはめるのは少々不合理だ。しかし、女はそうだと信じていた。そして女は、これを「病気」だとは考えていなかった。
精神が残留することは今や珍しいことではなく、その者にはパートナーと呼ばれる監視がつけられる。それはその「精神」が病気だからではなく、「病気」がその人の精神そのものと考えられるからだ。
「でもそれは学術的ではない」記憶の中で、急に彼女が喋った。
「残存症候群の論文がでてる。たくさん。でもそれのほとんどが入院治療を促している。入院させないことは反社会的なことじゃないの?いくらNGOが言っているからと言って、正しいとは限らないのよ」
「残留者救済の会ね。私の所属を悪く言わないでくれる?そもそも、あなたみたいな幽霊が言うことじゃないでしょ。根拠だってたくさんあるのよ」
「根拠って何?それに今は『幽霊』っていうの、差別用語なの、知ってる? ついでに『成仏』もね。あれは精神が消えただけなのよ。死人は神の国になんていけないし、仏様になるわけでもない」
「そりゃ救済の会のデータベースよ。論文だって出てる。勿論あなたが死後の国を信じていないのは知ってる。でもこれは文化なのよ」
「十数個しかない論文を持ち出されても……。それに、今時幽霊だの成仏だの言う人は時代錯誤なんじゃないの?」彼女は鼻で笑った。
「量より質じゃないの」女は言った。
世界にはあるべき姿というものがあり、「残留者」は世界をあるべきままに保っておくために「残留」させられる、というものがNGO残留者救済の会の考えだった。そのため、残留者救済の会は広く世間で行われている、「残留者」の薬物による記憶削除、そしてその「寛解」に否定的だ。残留者は自分の過去の究明によって寛解、すなわち成仏するべきだと考えられる。
女は精神疾患にさほど興味がなかったが、医学部を卒業した後、幼少期からかなえたかった理想のため「残留者救済の会」に実質的に所属することとなった。女は、監視者に自ら立候補し、これまでに12人の監視を行った。うち6名が発狂をし、周囲に影響を与えたが、残る6名は自身の死因を突き止め、満足そうに消滅した。
仕事のプレッシャーはあった。しかし経験を積むごとに女は熟達した。
彼女は。以前監視していた彼女は、最後には世の中への憎悪に呑まれた。発狂したのは23人だった。
女は次に、殺してしまったはずの知人の自宅へ向かおうと思った。しかしなぜか、どんなに思い出そうとしても彼女の名前、住所、電話番号などは思いつかなかった。覚えているのは彼女の年齢と、自分との関係だけだった。彼女とは定期的に合う仲間だったが、思い返せば互いの個人情報は曖昧にしか知らないのだった。
「おかしい」女は呟いた。
彼女のことはもっとよく知っていたはずだ。想像以上に精神残留の副作用が強いのか。記憶がぽろぽろと抜け落ちていくようだ。女は考えた。なくなってしまいそうな記憶の糸を必死で手繰り寄せ、これ以上記憶を失わないよう努力した。急に寒気が襲ってきた。死というものはこんなにも早く自分を蝕むものだった���うか?
メモがいる。女はそう感じた。
女はスマートフォンを取り出すと、メモ帳をタップした。そして急いでこう入力した。
「自分は精神残存性。知人、パンケーキ、殺した。監視対象、幽霊、怨念」
入力し終えると、女は速やかに次のことをした。すなわち、連絡帳を開いたのである。そこで見たものに女は驚愕し、背筋が凍った
そこには知人の名前など存在し無かった。もっというと、知人に限らずすべての連絡先が消えてしまっていたのだ。連絡帳とは客観的な記録媒体である。そのデータが消えてしまったということは、世界が自分の存在を抹消しようとしているに等しいのではないか?女はもう一度連絡先を確認した。何度見ても「登録 0件」と書かれたきりだった。
女は自分の住所を思い出そうとした。しかし思い出せなかった。
「まずい」直感的に女はそう思った。しかしもう、その言葉は誰にも届かなかった。
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