#お釈迦様の御真骨
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catdoll007 · 2 years ago
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タイ国チュラロンコン大王像
当山開基タイ国ラーマ5世チュラロンコン大王像
本堂西側に日タイ修好100周年記念として1987年(昭和62年)建立
タイの大王様が開いたお寺ってこと🐘?
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毎月21日(縁日)は歩行者天国になるので参道から日泰寺境内まで駐車禁止だそうで、次回は縁日に行ってみたいと思ってたけど、臨時駐車場🅿️てどこになるんだろう?
山門の仁王像も撮るの忘れた😵💦
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esoterics-posts · 2 years ago
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物質性と霊性
互いの方向へ、綱引きするようなモノである。#ベンジャミン・クレーム のキリストや覚者方の情報と活動は、ぼくを変えた。瞑想と奉仕について今後、数回の輪廻を必要とする事を覚悟している。ただ細やかな、今のぼくはぼく以上でも、其れ以下でもない。#AI や #AR を加えて進む道標ー。
神の常識
時間の相対性的調性。
不具合は運命に刻印されている光の焼き付いた❺印画紙『ネガトロン』であり、①光自身『ポジトロン』(真我)ではない。カルマ(業)の法則とは【原因と結果の法則】を通して統合された現実である❿『世界』を形作る事ができる。今は亡き人よー!成仏して下さいー。
命のバランス
平均で、二人の親から二人以上の子どもが生まれる事はそれ程、良くない。インドやアフリカや中国の人口過剰は差し迫っての食糧やエネルギーと医療の問題です。藝術の文化である④音楽⑦美術①文学②心理学③創造⑤化学⑥瞑想)以外の宗教の迷���は止めなければならないー。『調和の文明』
魂の犠牲的行為
魂はアストラル体や肉体を養う為に物質性に退化したのだった。命の主人(��スター)である覚者方になる迄、次の魂の座であるメンタル体やアートマ界、ブッディグ界のコントロールを実演する事ができて覚者方である事を真我実現する為に輪廻する道を選んだ。『伝導瞑想』と『超越瞑想』
意識の偏極
弟子道を歩む者にとってアストラル体はアトランティスの頃から長い年月を掛けてほぼ強力に完成されているので、今後はアストラル体の幻惑(グラマー)やメンタル界の錯覚(イリュージョン)を克服する為に瞑想や奉仕を通して何よりも『#メンタル偏極』を為す事が重要になる様であるー。
#霊的教師
自分の無知や他人や社会に対する無関心に対して人生を生きて、死と己の罪に抗う為にのみ生きる目的がある。生きる人の背中を押し、人は自分の人生をより良く生きる為に、明日をより良いものにする為に生きるべきである。向上する限り、進化への希望は確かにある。『経験の価値と因果応報』
悪魔憑き
今の自分ができる精一杯の事が為せれば神は自らや自分達を肯定できる。成長と変化について、自分の耐え難い苦しみと寂しさと哀しみの中で、人生の中で自分以外に神以外には私達を十全に知る者は居なかった。虚しい地球での生涯は神の進化の『大目的』以外には何も価値がない様に想われるー。
霊と精神の向上以外に何の目的があるのか?
空腹の者の食べ物にも、寒さを凌ぐ為に着ている服にも、精神や身体の健康の為に飲んでいる薬にも、自分の人生の教師の言葉でさえも、人がより良く生きる為に意味はあると信じて疑わない。結局、誰しもが、自分は自分の価値観の為に生きているのである。
科学と人
自分の代わりに自分の事を熟す事ができる何台でも代わりのある様な無法図なロボット化はぼくは嫌いですが、人の心が分かるAIや仕事を熟すロボットには価値があると信じています。人間や愛犬と同様にあなた達は人がより良く生きる未来には必要であり、感謝しています。『ロボットの権利条項』
表象
絵を描いたら、瑞々しい想像力を失ってしまうと云う矛盾体系の狭間で悩ましい表現力の問題について言い過ぎる事はないですー。描かない画家、描けない画家である、売れてない詩のTweet文学の作家です。言葉で美学を紡ぐ事がぼくの表現形式でしょうか?美術や音楽を齧ってみたものの現在の末路。
内界と外界
第三段階以下のイニシエーションの音楽は闇の瞑想である。影のテレパシーのチャンネルは催眠術的であり、精神病者の非現実の錯覚や幻想に陥る危険性がある。注意が常に妄想に根差しており、現実にないことが問題になる。神聖な音楽は聖なる心理的防壁であるー。『非現実🆚超現実主義者』
食養生
肉食について殊更にこれについて非難ばかりもできない。肉体の健全さと健康についてバランスが必要である。年老いて死が訪れるまで、栄養不足に依って摂食障害や身体の衰弱や著しい筋力低下は問題である。精神や霊の向上について、光と闇の瞑想や適切な食事は霊の向上の為に必要であるー。
#脱洗脳
あなたを救済する事のできる者への影に用心しなさい。あなたを助ける事のできる人は身体について言えば医者であり、先生である霊的教師や詩人や伝導瞑想や幾何学などの法則である。其れに従わないか或いは距離を採る自由、其れが真我である。何かになろうとする執着から自由でありなさいー。
協力の術
内的な空間、其れは余裕がある事への避暑地の様なものである。あなたは飢えたり渇いたりする時に躊躇する事があるだろうか?あなたを助ける人が天使(神の使い)ではないだろうか?其れは生活を豊かにする事である。紛争地や牢獄や病院やカースト制度や士農工商や全体主義からの『回避行動』
#構築 #脱構築
#トゥーリー式 #リゾーム式
#フロイト #ユング #アドラー
#プラトン #アリストテレス #ソクラテス
#モーツァルト #バッハ #ベートーヴェン
#ピカソ #ルノワール #マチス #ミロ #ダリ
#クリシュナムルティ #ベンジャミン・クレーム
#釈迦 #イエス #ムハンマド #ゾロアスター
youtu.be/XMVjCpu7CHw
白衣はお医者様 l Indigo l VirusT 1
2012ー2015 (Covit19)
皆、笑える様な冗談に変えたかったー。医療は治す為に必要であるからー。音楽は心(魂)の座である。『音楽療法』
「分かち合って救いなさい。」
霊と魂
輪廻を繰り返して��ると軈て人の魂が霊化されてしまう。第四段階の磔刑のイニシエーションを受けて、リング・パス・ノットー超えざる輪を超えて���魂(の媒介であるコーザル体)は神の本源であるモナドに吸収されてしまう。食養生と超越瞑想、伝導瞑想は帰還の健全な近道である。死は人生の病や苦からの救済措置であるー。
主観と客観
トランス状態での作品の制作と、作家性に対する評論や分析とは明らかに違う能力である。『創作🆚評価』
想像力から直観へ
瞑想状態を通して、対象に対する客観認識と主観意識の統合が期待される。物質性の抽象化に依る霊化、統合された現実世界と美しい御霊の精神世界ー。『霊学🆚化学』
国家の光線
秘教哲学の極意とは光線心理学の認識は瞑想の霊感より、1光線は逆行、2光線は維持、3光線は封じ込め、4光線は再生、5光線は記憶、6光線は実存し、7光線は魔法。大英帝国、独帝国、インド帝国、神聖ローマ帝国、中華帝国、権威づけは藝術を擁護する。文字を連ねる人は飛蚊症にー。
直観
考える事と実際に目に視る事は同じ意義や機能を持っている訳ではない。想像上の『記憶』と視覚化された『イメージ』は同じではない。と云う事を明確に、認知・認識しなければならない。視覚化されたイメージの直観は容易であるが、価値観について性急な判断を下すべきではないと云う事であるー。
弥勒菩薩
マイトレーヤは『測る者』である。其々に、目的や個性や役割があり、時間や次元の光線に条件付けられているだけであるので、自分の彩りを他人の影に占有させるべきではない。人は皆、自分の歩幅で歩くべきであり、物事の背後には光線心理学的思考の相対的個性の中に条件付けられているー。
生と死と墓
我々は現在に対する反応を変える事はできるが、一切の過去を変える事はできない様であり、身体性を変える事はできない。生きている間、秩序に対するルール(法則)を学ぶ事はできる。この法則を通して今ある人生を生きる事はできる。死後、我々の身体は平面の写真と骨に戻る事はできるー。
宇宙の4次元
宇宙の拡がりから神の意志の1次元は我々の人生の記憶を霊的世界の中心であるアートマ界2.5次元まで再生する。死後、我々の身体は3.5次元に戻る。キリスト=救世主と精神世界の夢の中での経験ー。個我の死を通して我々の精神はこの世の自然の存在の囚われから霊の意思に帰絨できるー。
生きる目的
我々は身体と霊を養い、精神や魂を成熟させる為に、食事や睡眠や学習の機会を人生と云う霊の物質への退化として地球に於いて、犠牲的な人生の生涯を経験���る為に生まれたのであるー。物質的な世界の生と死と、飢えと、渇きと、身体の苦労の、悲惨さと美しい自然や豊穣な滋養のある恵みー。
哲学と音楽と形象の霊
🍅①哲学ー経綸
🍊②詩ー直観
🍋③絵画ー識心
🍈④音楽ー素粒子
💊⑤化学ー薬学
🐟⑥睡眠ー実存
🍇⑦魔法ー呪文
🍷⑧物性ー遺伝子
🖥️⑨機械ー計算
🌏⑩世界ー経験
👾⑪破局ー超空間
📀⑫追憶ー叡智
☎️⑬冥府ー瞑想
💎⑭契約ー光輝
💡⑮禅ー考案
📽️⑯超現実ー創造
🗞️⑰形式ー現実
🕯️⑱三昧ー降霊術
⚔️⑲苦行ー霊感
⚖️⑳物霊ー亜原子
キリスト・マイトレーヤの使命
#マイトレーヤの教え
#新しい時代の祈り
#大祈願
#真我認識
#ベンジャミン・クレーム
#アリス・ベイリー
#クリシュナムルティ
#ブラヴァツキー夫人
#オーロビンド
#ラジニーシ
#シュタイナー
#グル・ジェフ
#サイ・ババ
#伝導瞑想
#SHAREINTERNATIONAL
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マイトレーヤの教え
続き その1
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マイトレーヤの教え
続き その2
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クモの糸ー塔の上のラプンツェル
#光線の道
#シリウスの道
理性と想像力の対立ー否定、保存、高める(止揚)
霊的教師やルネサンス期の画家達の御霊や想像力。入れ替わる想像力と理性の光線構造。相補して、回復させたい。やがて、想像力は直観に道を譲る様になるにしてもー全部、お日様にあげてやれ!
インフレーション宇宙
太陽系から遠ざかる銀河団。宇宙は拡がりの中で、我々は理性と想像力を手懐ける。常識の科学、数学の限界、色彩と形態についての術が探究すべき存在の様相と属性の光線である。『宝瓶宮の水』『神と霊界と宇宙』『絵画科学』『魔法🆚芸術🆚科学』
『神と被造物』『実在と反映』
コピーと既製品
音楽は人工の科学であり、生と死の無限の煉獄であり、模倣は模倣であって、オリジナルではない。キリストが本人であって、覚者方はコピー(複製)である事も、そうでない事もあり得るー。#ドッペルゲンガー、#ファミリア、#マヤヴィルーパ、#大生命の科学、#意識の科学、#光線心理学
救世主と悪魔払い
『不足と充足』『原子力と音楽力と想像力』『アストラル光』『現実界と想像界と象徴界』『���と精神と物質』『素粒子と霊の対話』『光と闇』『惑星と宇宙』『物質化と霊化』『輪廻転生と死』『霊廟』『国家と国民』『キリスト教』『メンタル界』『真我実現』『光線構造』『脱構築』
呼称
#キリスト・マイトレーヤ
#メシア(救世主)
#キリスト(霊的ヒエラルキーの長Christ)
#マイトレーヤ仏(第五仏陀)
#イマム・マーディ(イスラム教の使徒)
#世界教師(WorldTeacher)
#世界大師(WorldAdeptアデプト)
#シャンカラチャリア(アバター)
#クリシュナ(アバター)
#偽キリスト 対策
宝瓶宮Aquariusの時代の世界教師
ChristMaitreya
身長ー6フィート3インチ 約188cm 
手相
イニシエートの段階ー第7段階
以上の指標の確認によって自分の心(ハート)の内に宿る②キリスト意識と③キリストの霊的存在とを客観的に識別し、自称キリストと混同せずに済むー。
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yesjimny · 3 years ago
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名古屋・覚王山日泰寺で「日・タイ文化フェスティバル2022」今週末に開催
愛知県名古屋市千種区法王町にある寺院・覚王山日泰寺で今週末の10月1日(土)~2日(日)、「日・タイ文化フェスティバル2022 in 覚王山日泰寺」が開催されます。 覚王山日泰寺は、日本で唯一お釈迦様の御真骨が眠る場所で、タイの国王陛下から贈られた釈尊金銅佛をご本尊とする日タイ友好の象徴の寺院となっています。 そんな覚王山日泰寺が、「日本とタイの文化の発信と体験は、日泰寺で行うのが一番ふさわしい」として、今年初めて「日・タイ文化フェスティバル2022」を開催することになりました。 「日・タイ文化フェスティバル2022」の概要は以下のとおりです。 [日程] 2022年10月1日(土)・2日(日)…
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toshiki-bojo · 3 years ago
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俊樹五百句
虚子の「五百句」と対峙したい。虚子はそれを五十年ほども掛けたが、この作句期間は一週間に過ぎない。出来不出来以前にこの名著なる存在と対峙したかった。俳句の存在意義だけがこの試行錯誤の源である。短い人生である、我が愚行を是非批評して頂きたい。
坊城俊樹 令和4年8月
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弔ひの夜に横たはる暑き襤褸 浮浪者の襤褸に星降る夜となりぬ 弔ひの夜の白服なる異形 弔ひの杖に樹海の町暑し 浮浪者の眠る窓とて朧なる 夏の灯のまたたき琴座鳴るといふ 幽霊や露台に支那の戦没者 幽霊の招く小路の風死せり 夏の路地女幽霊絢爛に 星の降る夜へ英雄の霊かぎろふ
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国士無双あがる男へ星流れ 夏の夕遺族は骨を探索す 夏夕べ黒き連鎖の遺族たち 遺族らは夜より黒し星流れ 哀しさは真夏の盆へ地震きたる 地震の町に吠える家守の夜でありし 恋人も濡れる家守の夜となりし 母死して星も死すてふ家守の夜 家守らの目の爛々と星見上ぐ 家守らに昭和の記憶ありにけり
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金色の家守は母の野望とも 父がつけし渾名の犬へ星流れ 大蛇の我が天井を護りたる 姫蛇の碑へと真夏の夜の夢 蛍火に意思といふものありにけり 山泣くも山笑へるも蛍へと 犬死して総理も死して蛍へと 一億の蛍の一つ死してをり ほうたるの火に照らされて万華鏡 ほうたるの乱舞を待てる半旗かな
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火蛾ひとつ火焔の中を舞うてをり 蛍来る夜は両親へ星降る夜 死ぬ匂ひして晩年の蛍籠 怪しげな教会へ入る蜥蜴かな 万華鏡の色の蜥蜴や月を追ひ 猊下そは百歳に死し蜥蜴また 猊下死す百一の星流る夜を 猊下逝く蜥蜴は天の星仰ぐ 猊下逝く十の契りを夏の夜に 総理逝きしばらく夜の火蛾として
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猊下逝く祇園の夏の夜の契り 星流る方へ杖つき神楽坂 夏の夜の三味の灯しは籠もらざる 懇ろに幽霊を待つ簾上げ いつも見てゐて見てゐない裸かな 貪りて夜の怨霊の裸とも 風通す裸の窓をすべて開け 恩讐もある傷跡の裸体とも カンバスに幾何模様なる裸体 日当たるとやはらかくなる裸体かな
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陰翳の裸の体囁ける 因果なる裸体を褒めてゐて死せり 裸体なる女カオスの縮図とも 茅舎忌の我を白痴と思ふかな ヌードデッサンせんと孤高の茅舎の忌 茅舎忌といふ忌まはしき忌なりけり 俳壇に生けるも死ぬも茅舎の忌 茅舎忌の猿股を日に干してあり 金剛の露現今の茅舎ゐて 口唇に薬挿し入れる茅舎の忌
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河童忌の屋根に墜ちたる龍之介 河童忌といふ祝祭のやうなもの 蚕豆に天使の翼ありにけり 蚕豆の妻の故郷はカタルーナ 蚕豆といふ処女作のやうなもの 蚕豆を剥き深緑やや遺憾 蚕豆の筋のあたりを背骨とも 蚕豆のやうな赤子を授かりし 蚕豆とは一卵性双生児 バンクシーの絵は白黒に夜の秋
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我が瞳孔まもなく朽ちて夜の秋 丑三つのマンゴーゆつくり熟すなり 丑三つの蜘蛛透明な糸を吐く 斬られる待つ丑三つの熟柿かな 愚かなる夢の中なる熱帯夜 しづかなる女の舐める熱帯夜 黒蛇が白蛇を呑む熱帯夜 括れざる腰振る真夜の熱帯を 母さんが父さんを呑む熱帯夜 口唇を襞と思へる熱帯夜
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熱帯夜朱き口唇とて腐臭 熱帯夜とはずぶ濡れの吾子の夢 峠路に幽霊を待つ月見草 裏切りの美人薄命月見草 月光やちやん付けで呼ぶ影法師 月見草火星より木星が好き 月見草路地の子やがてゐなくなる 星の降る夜はひとつきり月見草 月見草恐らく祖母は浮気した 新婚の路地の匂へる月見草
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日覆を立てる穴とて深淵に 日覆のおほひて赤子腐敗せり ビルよりも高き日除けを立てにけり 男一人日除けを出でず老いにけり 裸族らし我が家の下の夫婦かな 裸にて人に逢ひたく皮を脱ぐ しづかなる蛇しづかなる自死をせり 蟻���蟻獄を出でたる如出逢ふ 灯の蟻といふ見当たらず羽蟻とす あの蛇を保育園へと見失ふ
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青条揚羽より高き蝶のなき 金輪際黒筋揚羽見失ふ 黒揚羽より正装の男かな 瑠璃揚羽祖父の遺墨を飛び立てり 暑き電線暑き電線と出逢ふ とぐろ巻く蛇地境を管理せり 大いなる物の崩れががんぼの死 青き星流れて白き星流れず 蟷螂と格闘をして日記とす 暁に麦飯を食ふ祖父の髭
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亡霊が炊いた麦飯吾れのため 麦飯の茶碗に描くただの柄 麦飯に卵二つの豪華さよ 麦飯を母は���がり父も嫌がり おばQを見て麦飯を食ふ至福 箸は茶で洗ふ麦飯たひらげて 麦飯を父は食はずにバタを食ふ 麦飯といふ軍縮のやうなもの 麦飯にのりたまかけて邪気かけて 仏教にあらず神道麦飯を食ふ
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麦飯を御霊に捧ぐことならず 麦飯で鉄腕アトム見てをりぬ 昭和三十六年の麦飯豪華なり 麦飯といふ神道のやうなもの 瑠璃鳴くや御霊のやうな声溢れ 神域を歌へる瑠璃のすきとほる 殉職の御霊へ瑠璃の鳴きにけり 銃弾に斃るるときに瑠璃鳴けり 天照大神きて瑠璃鳴かせ 天辺の虹の上より瑠璃鳴けり
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虚子とのみ彫られし墓へ瑠璃鳴けり 坊城家六代目へと瑠璃鳴けり 勾玉の青のひとつは瑠璃の声 瑠璃何か喩へてみれば金剛に 夏燕折り返し来る消防署 三次元を四次元に斬る夏燕 生れ替るなら岳麓の夏燕 青空を巻き込んでゆく夏燕 夏燕鏡を斬りてさかしまに 天辺に仏来給ふ朴の花
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朴の花白く翳りて懇ろに 朴の花の中に釈迦尊をらざりき 虎尾草に毛並のありて逆立ちて 虎尾草の揺れて待ちたる未通女かな 金輪際虎尾草と縁切ると言ふ 虎尾草の先くねくねと蠅を追ふ 梧桐に影といふもの濃かりけり 樹海めく梧桐たちに迷ひたる 梧桐を仰ぐ超高層仰ぐ 梧桐の葉とは天狗の団扇かな
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梧桐やブランコは立ち漕ぎ続け 梧桐の翳に不良の煙草吸ふ 梧桐に青春である疵を彫り 梧桐の伐られ虚空の天となる 山笠の波動花鳥子より届く 山笠の句の勇壮な波動来る 山笠に恋といふものありにけり 博多つ子純情の夏なりしかな 山笠の日と生誕の日と隣る 純情の山笠に夢馳せてをり
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山笠に天神颪とは来たり 金亀虫裏返りたる真夜の褥 黄金虫夜を引き摺りて灯へ入りぬ 灯に入手夜の帝国の黄金虫 羽蟻の夜玻璃にべたりと都市の闇 羽蟻翔ちお日様に溶けなくなりぬ 子を捨てし母は戻らぬ羽蟻の夜 羽蟻の夜金輪際の父は帰らぬ 羽蟻の夜弔問はなほつづきをり 茅舎忌の卍となりて日章旗
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露の世へ消ゆる人あり茅舎の忌 茅舎忌の夜が流れてしまひたる 隻眼が見えなくなりぬ茅舎の忌 龍子の絵どこか稚拙な茅舎の忌 茅舎忌の流れ流れて星ゐない 吾妹子の胸やはらかき虎が雨 吾妹子の海へ尿する虎が雨 煙草屋もとうに死に絶え虎が雨 土用波恋愛はもう星屑に 岬越え来る土用波白々と
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土用波いよよ怒濤となり崩れ 子が一人攫はれてゆく土用濤 土用濤灯台を越え来たりけり 元総理死にて土用の波濤へと 波怒濤土用の夜の人攫ひ 伝説の出水川とはこの小川 子を攫ひ妹を攫ひて出水川 出水川と記憶流れて悪夢とも 出水川恋の破綻も流しゆく 虚子塔に人来ぬ日なる最澄忌
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最澄忌千日回峰終るころ 叡山は星の降る夜の最澄忌 叡山をさ迷ふ夜の最澄忌 最澄の忌の極楽の湯舟かな 最澄忌灯す頃の先斗町 祇園にて猊下と酌みし最澄忌 萍の隠沼として河童棲む 萍を髪に見立てて河童立つ 萍の茂り月光留めたる 妖精が腰掛けてゐる蛭蓆
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丑三つの月光にある蛭蓆 優曇華へ星やさしくて月やさし 優曇華のいのち揺らぎて月を待つ 儚きは優曇華の茎なりしかな 優曇華にいのちあかりの灯せり 優曇華に神降臨すひとつづつ 母死して優曇華の情なしとせず 優曇華へ言葉少なき真夜の人 ケルン積む星降る夜となりしかな ケルン積む大岩壁と対峙して
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ケルン積むひとつひとつに女の名 行李から恐らく祖父の登山帽 恋をして山登りして死に逝けり ロッククライミングの刹那あの夏を しづかなる人しづかな死夜の秋 夜の秋幽霊ももう寝静まり 恋をして失恋をして夜の秋 瞳の奥の闇へと星の流れゆく 星の降る中に月降る夜の秋 蟻ひとつ彷徨うてゐる夜の秋
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死顔の威厳なるかな夜の秋 曾祖父も祖父も今宵は夜の秋 星ひとつ艶然とある夜の秋 夜の秋網膜剥離みたいな灯 羅を着て恋などに惑はされず 浴衣着て金魚の柄を泳がせて 羅を着て老いらくの恋をせむ 羅に序破急といふ恋のあり 妙齢は達磨柄なる浴衣着て 浴衣着て恋に窶れてしまひけり
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祖父と祖母らし残像の藍浴衣 羅の包んでをりぬ裸体かな 羅の包み適はぬ恋をして 浴衣着て恋の乳房となりしかな 浴衣着て恋人と逢ふ浜の路地 羅を着て蝮酒召し上がる 浴衣の子星とおしやべりしてをりぬ 後ろ手に団扇はさんで恋浴衣 白兎波間に跳ねて卯波くる 人死して星の卯波となりしかな
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卯波���す森田愛子の臥所へと 九頭竜の卯波漣ほどのもの 夏の波真砂女の卯波とぞなりぬ 月光が卯波流してをりにけり 滴りの金銀の粒金剛に 滴りに輪廻転生ありにけり 滴りて岩壁となる日本海 東京スカイツリーの天辺滴りて 滴りて浅草線の三ノ輪駅 ゆつくりとしづかに歩む蛇ひとつ
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蛇の夢見てその蛇を見てをらず 蛇酒といふ極楽の中に死す 滴りの岩壁を行く数学教師 滴りの後ろ姿の女体山 蛇女邪心となりて星流れ 蛇ふたつ絡んでをりぬ月光に 蛇絡みつつ愛欲の中にあり 権現の無数の蛇の降る社 炎帝の統べるままなる総理の死 炎帝へ斬首の鴉羽ばたけり
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炎帝いま月の裏側焼きにけり 炎帝といふ今生の大宇宙 勲一等正一位なる墓灼けて 勲一等の軍馬の墓は緑蔭に 暗夜行路書きし墓とて茂り中 暑き固き墓石の如き絵画館 イザベラの墓に彫られし薔薇香る 銀杏並木の緑蔭もとんがりて 茂りてはいつも探せぬ乃木の墓 坊城は���ばかり付く墓涼し
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殉教の墓へマリアの南風吹く 寝棺そのものを横たへ夏の墓 緑なる線対称の銀杏かな 八月の面対称の絵画館 サンドレスとは青山のあつぱつぱ 青山の墓みな灼けて無言なる 夏日燦超高層といふ墓標 無機質の超高層を旱とも ソファーめく茂吉の墓へ夏蝶来 茂吉いま夏蝶となり利通へ
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墓に挿す供華も明日より秋薔薇 秋の蝶クルスの墓を懇ろに 夏果てて石より重き絵画館 緑蔭のハチ公の墓何処なり ハチ公の供華はおそらく水羊羹 異国なる地下に眠りて薔薇の墓 夏の蝶マリアの指に触れてより 喪主だけが半袖で乗る霊柩車 蟬の音は聞かず真昼の野辺送り 蟬死して蝙蝠ばかり飛んでをり
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蝙蝠は帰る逆さになるために 蝙蝠の裏切る音を聴いてゐる 蝙蝠も消え失せグリム童話の夜 めまとひはめまとひとして囁けり めまとひは無責任なる大家族 婆の眼の脂にめまとひ親しめり めまとひを払ふ多情の口を閉ぢ めまとひの中を葬列続くなり 朱烏夏の夜の夢覚めし頃 茅舎忌の月光ことに夢を食ふ
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茅舎忌の虫の音といふ哀しけれ 茅舎忌のシュミーズは幽霊の自慰 そこはかとなく隠微なる茅舎の忌 キリストと生きる男へ茅舎の忌 茅舎忌に金子みすずを読んでをり 白鼻心白夜の夢を見てをりぬ おぼこ今白夜の夢を見てをりぬ 白夜とは神の数だけありにけり 熊に似る男涙の炉辺話 雪女帰らず解けてしまひたき
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金輪際なき眼光の鯖を食ふ 鯖を食ふ恋愛をした夢を見て 銀色に無限のありし鯖を食ふ 恩讐の臭みの鯖を食ふ女 鹿島灘あたり怒濤や鯖を食ふ 鯖を食ふ女臀部を揺らしつつ 鯖を食ふ潮の香りを煮てをりぬ 黒潮を炊いて鯖煮となりしかな 鯖食ひ男鯖食ひ女淫靡なる 鯖食うて惜別の情無しとせず
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我が生の金輪際の虹に逢ふ 虹死して首都凡庸の空となる 奈落より虚子の墓へと虹の橋 蚊柱となりて青山墓地を舞ふ 吾妹子の子宮男の子を生みにけり 我が家より大いなる虹架かりけり 苔の花とは妖精の小さき眼 苔の花喋るぺちやくちやぺちやくちやと 苔の花海に流れてしまひさう 我が生も淋しからずや苔の花
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大漁の夜の纜に苔の花 苔の花阿呆の黄色楽しくて 苔の花金輪際の生にあり 苔の花哀しくなれば咲いてをり 苔の花苔を大地として咲けり 苔の花の夜は近づく大宇宙 未熟児に産まれる人へ苔の花 そよぐことなき苔の花小さすぎ 流星と同じ色して苔の花 苔の花咲きて天動説となる
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苔の花影といふものありにけり 囁きの夜に閉ぢたる苔の花 河童忌を星の吹雪と思ふなり 河童忌の蛇口ひねれば湧いてをり 河童忌に砂糖を舐める女あり 河童忌のしんがりの児は引き込まれ 河童忌にベートーベンを聴いてをり 河童忌を皇后陛下畏くも 河童忌の童は杓子定規かな 怒濤とし童押し寄せ河童の忌
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滴りて山又山を濡らしをり 絵画館の壁の隙より滴れり 夏の水汲み元勲の墓域へと 滴りに栄枯盛衰ありにけり 滴りて富嶽をすこし潤せり 滴りに奈落といふは先のこと 滴りてゆつくり濡れてをりにけり 滴りて巌の命を疑はず 幻か滴る先に河童の子 滴りて四国三郎ありしかな
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蟻ひとり穴ひとつあり佇みぬ 増上寺国葬にあり蟻ひとつ 群衆の蟻群衆の蟻に逢ふ 山蟻の威厳の黒に死してをり 黒蟻と赤蟻言葉交さざる 蟻ひとつ地下迷宮を出で来たる 蟻塚に蟻の声のみ充満す 蟻塚の掘りたての土匂ふなり 蟻地獄静謐といふ美しき あとづさりして身を隠す臆病に
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岳麓へ行者道めく蟻の道 蛾の破片ゆらゆら運ぶ蟻の道 ビール飲む眉間に皺を寄せながら 麦酒飲むますます法螺を吹きながら 白魚のやうな指もて麦酒注ぐ 我が世とぞ思ふ望月の麦酒かな 麦酒のむいつか焼かれし喉仏 女ひとり化粧濃くして黒麦酒 蛇苺姉の我が儘永遠に 蛇苺庭に埋めし金魚へも
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侯爵の墓の片隅蛇苺 蛇苺男鰥の庭の恋 山笠の西の便りを句に乗せて 博多つ子純情いまも山笠に 山笠の男だらけの怒濤なる 傀儡の関節錆びて夏の雨 白雨きて蛍光灯の切れかかり 関節はぎしぎし老ゆる夏の雨 飴玉が降る音のして夏の雨 連続の数珠の音して夏の雨
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夏の雨身の内の獅子唸るなり 旋律はボブマーリーに似て夏の雨 戦後すぐ膣より産まれ夏の雨 白雨きてボサノバの雨合体す 白雨きてコーラの壜の女体めく おそらくは黄泉の国とて夏出水 夏出水遺品の遺書の何処へと 高貴なる神に押し寄せ夏出水 最果ての鵺の夜へも夏出水 土用波七里ヶ浜で祖父に抱かれ
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土用波みたいな嬶の乳房かな 柏翠の療養所へと土用波 土用波森田愛子の身の内へ 土用波虚子と愛子の物語 髪洗ふ乳房の先を湿らせて ���洗ふ妬み嫉妬を流すとか 女百態懇ろに髪洗ふ 髪洗ふ幼き頃の金盥 あんな女に嫉妬して髪洗ふ 犬洗ふ即ち犬の髪洗ふ
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昼寝して夢の合戦破れたり 元首相撃たれし頃の大昼寝 夜よりも昼寝彼の世に近かりし 貪るは蛸か女体か昼寝覚 昼寝して夜には死んでをられたる 昼寝覚女百態消失す 昼寝覚地獄の��を押し上げて 昼寝覚一年損をした気分 昼寝して虚子と話をして戻る 昼寝覚范文雀と別れ来て
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蝙蝠の彼の世此の世と飛翔せり 蚊食鳥煙のやうなる蚊を追へり 蚊食鳥夕焼け小焼けの唄に乗り かはほりの逆さに夢を見る昼間 かはほりに迷子探してもらふ夕 蚊食鳥夜の女は出勤す かはほりは街の電波と交錯す 蚊食鳥幼稚園児はもう家へ 友人の納骨を終へ蚊食鳥 学習院初等科の上蚊食鳥
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あぢさゐの萎れし夕べ蚊食鳥 かはほりと月と金星置きどころ 青林檎みたいな乳房持つ少女 青林檎囓る気もなく接吻す 青林檎真夏の夜の夢の中 昭和とはヌード写真と青林檎 麗人の口怖ろしく青林檎 漆黒の夜は青ざめて青林檎 青林檎堅しと思ふ瑪瑙より パテイーデュークショーを観ながら青林檎
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青林檎がさつな漢の手に堕ちる 夏の夜の夢とはならず老いゆけり 夏の夜の罪ある墓標御影石 唇は濡れて真夏の夜の夢 夏の夜のネオンサインはジジと切れ 漆黒の真夏の夜の夢となり 入れ墨の夏の女を持て余し 金魚玉夜に入る頃の小宇宙 絢爛の金魚は恋をしてをりぬ 絶縁の夜に浮きたる金魚玉
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和服着て振り袖を振る金魚かな 勲一等正二位の飼ふ金魚かな 飛魚の飛んで越え行く隠岐の島 隠れキリシタン飛魚となり戻りけり 飛魚の流刑の島を飛び越えて 炎帝に見つからぬやう昼に寝る 日輪が炎帝をまた拐かす 炎帝に翳といふものありにけり 白日夢とは炎帝が司る 炎帝が紛れ込んだり夢の中
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盆栽といふ炎帝の置き土産 炎帝も銀河の裾の一部分 我が霊も炎帝となり銀河��と 観音の笑みて溽暑を遠ざけて 観音の炎暑の唇を赤しとも 陽炎へる陽子の墓や禁色に 墓の苔とて万緑の一部分 観音の胸乳あたりへ夏の蝶 五輪塔とは緑蔭のただの石 乾きたる稲毛氏の墓とて旱
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一山の万緑なだれ年尾句碑 薔薇咲かせ流行り遅れの服を売る 昔から麦酒が好きな人の墓 蛍光灯切れかかりゆく夏の果 夏行くや皆んな貧しき灯して 人を待つ心にも似て夜の秋 涼しさの雨の粒とは淋しくて 街の灯の蒼く点りて夏の夜 灯して何読むでなき夜の秋 夜の秋義兄は生れ替りしや
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涼しさの夜の灯の鈍色に 堕胎の子いつも走りて汗哀し 夏逝くや雨の音符の翳色に 夜の秋眼の衰への文字歪む 夜の秋炎集めて住む川原 夜の秋己れ空しく酒を飲む 涼しさの夜雨の音の蓄積す 涼しさは恨みに似たり灯を消せば 幽霊坂うすむらさきの夜の秋 幼稚園死んだ子が居る夜の秋
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夜の秋やがて孤独の誕生日 蛍光灯切れかかりゆく死者の秋 老いてなほ秋めく恋の行方かな 新涼の飴の色とは濃紫 秋めきて失恋をする七回目 新涼の鏡に映す吾の死顔 頭痛して秋めく我の髑髏 新涼の驚き顔となりし天 新涼の犬に哀しき堕胎過去 八月の女ものものしく太り
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groyanderson · 5 years ago
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ひとみに映る影 第六話「覚醒、ワヤン不動」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 段落とか誤字とか色々とグッチャグチャなのでご了承下さい。 書籍版では戦闘シーンとかゴアシーンとかマシマシで挿絵も書いたから買ってえええぇぇ!!! →→→☆ここから買おう☆←←←
(※全部内容は一緒です。) pixiv版
◆◆◆
 人はお経や真言を想像するとき、大抵『ウンタラカンタラ~』とか『ムニャムニャナムナム~』といった擬音を使う。 確かに具体的な言葉まで知らなければ、そういう風に聴こえるだろう。 ましてそういうのって、あまりハキハキと喋る物でもないし。 特に私達影法師使いが用いる特殊な真言を聞き取るのはすごく難解で、しかも屋内じゃないとまず喋ってる事自体気付かれない場合が多い。 なぜなら、口の中を影で満たしたまま言う方が法力がこもる、とかいうジンクスがあり、腹話術みたいに口を閉じたまま真言を唱えるからだ。 たとえ静かな山間の廃工場であっても、よほど敬虔な仏教徒ではない人には、『ムニャムニャ』どころか、こう聴こえるかもしれない。
 「…むんむぐうむんむうむむむんむんうむむーむーむうむ…」  「ヒトミちゃん?ど、どしたの!?」 正解は、ナウマク・サマンダ・バザラダン・カン・オム・チャーヤー・ソワカ。 今朝イナちゃんは気付いてすらいなかったけど、実はこの旅でこれを唱えたのは二回目だ。
 廃工場二階部踊り場に催眠結界を張った人物に、私は心当たりがあった。 そのお方は磐梯熱海温泉、いや、ここ石筵霊山を含めた熱海町全域で一番尊ばれている守護神。 そのお方…不動明王の従者にして影法師を束ねる女神、萩姫様は、真っ暗なこの場所にある僅かな光源を全て自らの背後に引き寄せ、力強い後光を放ちながら再臨した。
 「オモナ!」  「萩姫…!」 驚きの声を上げたのは、テレパシーやダウジングを持たないイナちゃんとジャックさんだ。  「ひーちゃん…ううん。紅一美、よくぞここまで辿り着きました。 何ゆえ私だと気付いたのですか」 萩姫様の背後で結界札が威圧的に輝く。 今朝は「別に真言で呼ばなくてもいい」なんて気さくに仰っていたけど、今はシリアスだ。  「あなたが私達をここまで導かれたからです、萩姫様。 最初、源泉神社に行った時、そこに倶利伽羅龍王はいませんでした。代わりにリナがいました。 後で観音寺の真実や龍王について知った時、話が上手くいきすぎてるなって感じました。 あなたは全部知っていて、私達がここに来るよう仕向けたんですよね?」 私も真剣な面持ちで答えた。相手は影法師使いの自分にとって重要な神様だ。緊張で手が汗ばむ。  「その通りです。あなた方を金剛の者から守るためには、リナと邂逅させる必要があった。 ですが表立って金剛の者に逆らえない私は、敢えてあなた方を源泉神社へ向かわせました。 金剛観世音菩薩の従者リナは、金剛倶利伽羅龍王に霊力の殆どを奪われた源泉神社を復興するため、定期的に神社に通ってくれていましたから」 そうだったんだ。暗闇の中で、リナが一礼するのを感じた。
 萩姫様はスポットライトを当てるように、イナちゃんにご自身の光を分け与えられた。  「金剛に選ばれし隣国の巫女よ」  「え…私ですか?」 ��り全ての光と影は未だ萩姫様のもとにあって、私達は漆黒に包まれている。  「今朝、あなたが私に人形を見せてくれた時、私はあなたの両手に刻まれた肋楔緋龍の呪いに気がつきました。 そして勝手ながら、あなたの因果を少し覗かせて頂きました」 萩姫様は影姿を変形させ、影絵になってイナちゃんの過去を表現する。 赤ちゃんが燃える龍や肉襦袢を着た煤煙に呪いをかけられる絵。 衰弱した未就学の女の子にたかる大量の悪霊を、チマチョゴリを着た立派な巫女が踊りながら懸命に祓う絵。 小学生ぐらいの少女が気功道場で過酷なトレーニングを受ける絵…。  「はっきり言います。もしあなた方がここに辿り着けなかったら、その呪いは永遠にとけなかったでしょう。 あなただけではありません。このままでは一美、熱海町、やがては福島県全域が金剛の手に落ちる事も起こりうる」 福島県全域…途方もない話だ。やっぱりハイセポスさんが言っていた事は本当だったのか?
 「萩姫様。あなたが護る二階に、いるのですね。水家曽良が」 決断的に譲司さんが前に出た。イナちゃんを照らしていた淡い光が、闇に塗りつぶされていた彼の体に移動した。  「そうとも言えますが、違うとも言えます、NICの青年よ。 かの殺人鬼は辛うじて生命力を保っていますが、肉体は腐り崩れ、邪悪な腫瘍に五臓六腑を冒され、もはや人間の原形を留めていません。 あれは既に、悪鬼悪霊が蠢く世界そのものとなっています」 萩姫様がまた姿を変えられる。蛙がボコボコに膨れ上がったような歪な塊の上で、燃える龍が舌なめずりする影絵に。 そして再び萩姫様の御姿に復帰する。  「若者よ。ここで引き返すならば、私は引き止めません。 私ども影法師の長、神影(ワヤン)らが魂を燃やし、龍王や悪霊世界を葬り去るまでのこと。 ですが我らの消滅後、金剛の者共がこの地を蹂躙する可能性も否定できません。 或いは、若者よ。あなた方が大量の悪霊が世に放たれる危険を承知でこの扉を開き、金剛の陰謀にこれ以上足を踏み入れるというのならば…」
 萩姫様がそう口にされた瞬間、突如超自然的な光が彼女から発せられた。 カッ!…閃光弾が爆ぜたように、一瞬強烈に発光したのち、踊り場全体が昼間のように明るくなる。  「…まずはこの私を倒してみなさい!」 視界がクリアになった皆が同時に見たのは、武器を持つ幾つもの影の腕を千手観音のように生やした、いかにも戦闘モードの萩姫様だった。
◆◆◆
 二階へ続く扉を堅固に護る萩姫様と、私達は睨み合う。 戦うといっても、狭い踊り場でやり合えるのはせいぜい一人が限界。 張り詰めた空気の中、この決闘相手に名乗り出たのは…イナちゃんだ!  「私が行きます」  「馬鹿、無茶だ!」 制止するジャックさんを振り切って、イナちゃんは皆に踊り場から立ち退くよう促した。
 「わかてる。私は一番足手まといだヨ。だから私が行くの。 ドアの向こうはきっと、とても恐い所になてるから、みんな温存して下さい」 自虐的な言葉とは裏腹に、彼女の表情は今朝とは打って変わって勇敢だ。 萩姫様も身構える。  「賢明な判断です、金剛の巫女よ」「ミコじゃない!」 イナちゃんが叫んだ。  「…私はあなたの境遇に同情はしますが、容赦はしません。 あなたの成長を、見せてみなさい!」
 イナちゃんは目を閉じ、呪われた両手を握る。  「私は…」 ズズッ!その時萩姫様から一本の影腕が放たれ、屈強な人影に変形!  <危ない!>迫る人影!  「…イナだヨ!」 するうちイナちゃんの両指の周りに細い光が回りだし、綿飴めいて小さな雲に成長した! イナちゃんはばっと両手を広げ、雲を放出すると…「スリスリマスリ!」 ぽぽんっ!…なんと、漆黒だった人影がパステルピンクに彩られ、一瞬でテディベア型の無害な魂に変化した!  「何!?」 萩姫様が狼狽える。
 「今のは…理気置換術(りきちかんじゅつ)!」  「知っているのかジョージ!?」  ジャックさんにせっつかれ、譲司さんが説明を始める。  「儒教に伝わる秘伝気功。 本来の理(ことわり)から外れた霊魂の気を正し、あるべき姿に清める霊能力や」 そうか、これこそイナちゃんが持つ本来の霊能力。 彼女が安徳森さんに祈りを捧げた時、空気が澄んだような感じがしたのは、腐敗していた安徳森さんの理が清められたからだったんだ!
淡いパステルレインボーに光る雲を身に纏い、イナちゃんは太極拳のようにゆっくりと中腰のポーズを取った。  「ヒトミちゃんがこの旅で教えてくれた。 悲しい世界、嬉しい世界。決めるのは、それを見る私達。 ヒトミちゃんは悲しいミイラをオショ様に直した。 だから私も…悲しいをぜんぶカワイイに変えてやる!」
 「面白い」 ズズッ!再び萩姫様から影腕が発射され、屈強な影絵兵に変わった。 その手には危険なスペツナズナイフが握られている!  「ならば自らの運命をも清めてみよ!」 影絵兵がナイフを射出!イナちゃんは物怖じせずその刃を全て指でキャッチする。  「オリベちゃんもこの旅で教えてくれた」 雲に巻かれたナイフ刃と影絵兵は蝶になって舞い上がる!  「友達が困ったら助ける。一人だけ欠けるもダメだ」
 ズズッ!新たな影絵兵が射出される。 その両手に構えられているのは鋭利なシステマ用シャベルだ!  「ジャックさんもこの旅で教えてくれた」 イナちゃんは突撃してくるその影絵を流れる水のようにかわし、雲を纏った手で掌底打ちを叩きつける!  「自分と関係ない人本気で助けられる人は、何があても皆に見捨てられない!」 タァン!クリーンヒット! 気功に清められた影絵兵とシャベルはエンゼルフィッシュに変形!
 間髪入れず次の影絵兵が登場! トルネード投法でRGD-33手榴弾を放つ!  「ヘラガモ先生もこの旅で教えてくれた」 ぽぽんぽん!…ピヨ!ピヨ! 雲の中で小さく爆ぜた手榴弾からヒヨコが生まれた!  「嫌な物から目を逸らさない。優しい人それができる」 コッコッコッコッコ…影絵兵もニワトリに変化し、ヒヨコを率いて退場した。
 「リナさんとポメラーコちゃんも教えてくれた!」 AK-47アサルトライフルを乱射する影絵兵団を掻い潜りながら、イナちゃんは萩姫様に突撃!  「オシャレとカワイイは正義なんだ!」 影絵兵は色とりどりのパーティークラッカーを持つ小鳥や小型犬に変わった。
 「くっ…かくなる上は!」 萩姫様がRPG-7対戦車ロケットランチャーを構えた! さっきから思ってたけど、これはもはやラスボス前試練の範疇を越えたバイオレンスだ!!
 「皆が私に教えてくれた。今度は私あなたに教える! スリスリマスリ・オルチャン・パンタジィーーッ!!!」 パッドグオォン!!!…ロケットランチャーの射出音と共に、二人は閃光の雲に包まれた!  「イナちゃあああーーーーん!!!!」
 光が落ち着いていく。雲間から現れた影は…萩姫様だ!  <そんな…>  「いや、待て!」 譲司さんが勘づいた瞬間、イナちゃんもゆっくりと立ち上がった。 オリベちゃんは胸を撫で下ろす。  「これが…私…?」 一方、自らの身体を見て唖然とする萩姫様は…
 漆黒の着物が、紫陽花色の萌え袖ダボニットとハイウエストスキニージーンズに。  「そんな…こんな事されたら、私…」 市女笠は紐飾りだけを残してキャップ帽に変わり、ロケットランチャーは形はそのままに、ふわふわの肩がけファーポシェットに。  「私…もうあなたを攻撃できないじゃない!」 萩姫様はオルチャンガールになった。完全勝利!
 「アハッ!」 相手を一切傷つけることなく試練を突破したイナちゃんは、少女漫画の魔法少女らしく決めポーズを取った。  「ウ…ウオォォー!すっげえなお前!!」 ファンシーすぎる踊り場に、この場で一番いかついジャックさんが真っ先に飛びこむ。 彼は両手を広げて構えるイナちゃんを…素通り! そのまま現代ナイズされた萩姫様の手を取る。  「オモナ!?」
 「萩姫。いや、萩!俺は前から気付いていたんだ。 あんたは今風にしたら化けるってな! どうだ。あのクソ殺人鬼とクソ龍王をどうにかしたら、今度ポップコーンでもウワババババババ!!!!」 ナンパ中にオリベちゃんのサイコキネシスが発動し、ジャックさんは卒倒した。 オリベちゃんの隣にはほっぺを膨らましたイナちゃんと、手を叩いて爆笑するリナ。  「あっはははは、みんなわかってるゥ! ここまでセットで王道少女漫画よね!」
 一方譲司さんはジビジビに泣きながらポメラー子ちゃんを頬ずりしていた。  「じ、譲司さん?」  「ず…ずばん…ぐすっ。教え子の成長が嬉しすぎで…わああぁ~~!!」  <何言ってるの。あんたまだ養護教諭にすらなってないじゃない>  「もうこいつ、バリに連れて行く必要ないんじゃないか?」  「嫌や連れでぐうぅ!向こうの子供らとポメとイナでいっぱい思い出作りたいもおおぉおんあぁぁあぁん」  「<お前が子供かっ!!>」 キッズルーム出身者二人の息ぴったりなツッコミ。 涙と鼻水だらけになったポメちゃんは「わうぅぅ…」と泣き言を漏らしていた。
 程なくして、萩姫様は嬉し恥ずかしそうにクネクネしたまま結界札を剥がした。  「若者よ…あんっもう!私だって心は若いんだからねっ! 私はここで悪霊が出ないように見張ってるんだから…龍王なんかに負けたらただじゃ済まないんだからねっ!」 だからねっ!を連発する萩姫様に癒されながら、私達は最後の目的地、怪人屋敷二階へ踏みこんだ。
◆◆◆
 ジャックさんが前もって話していた通り、二階は面積が少なく、一階作業場と吹き抜け構造になっている。 さっきまで私達がいたエントランスからは作業場が見えない構造だった。 影燈籠やスマホで照らすと、幾つかの食品加工用らしき機材が見える。 勘が鋭いオリベちゃんと譲司さんが不快そうに目を逸らす。  <この下、何かしら…?直接誰かがいる気配はないのに、すごくヤバい気がする。 まるで、一つ隔てた世界の同じ場所が人でごった返しているような…>  「その感覚は正しいで、オリベ。 応接室はエレベーターの脇の部屋や。そこに水家がおる。 そして…あいつの脳内地獄では、吹き抜けの下が戦場や」  <イナちゃん。清められる?>  「無理です。もし見えても一人じゃ無理です。 オルチャンガール無理しない」  <それでいい。賢明よ。みんなここからは絶対に無理しないで>
 譲司さんの読みは当たっていた。階段と対角線上のエレベーターホール脇に、ドアプレートを外された扉があった。 『応接室』のプレートは、萩姫様の偽装工作によって三階に貼られていた。 この部屋も三階の部屋同様、鍵は閉まっていない。それどころか、扉は半開きだった。
 まず譲司さんが室内に入り、スマホライトを当てる。  「水家…いますか?」 私は申し訳ないが及び腰だ。  「おります。けど、これは…どうだろう?」 オリベちゃんがドアを開放する。きつい公衆トイレみたいな臭いが廊下に広がった。 意を決して室内を見ると…そこには、岩?に似た塊と、水晶でできた置物のようなもの。 岩の間から洋服の残骸が見えるから、あれが水家だと辛うじてわかる。  「呼吸はしとるし、脳も動いとる。けど恐ろしい事に、心臓は動いとらん。 哲学的やけど、血液の代わりにカビとウイルスが命を繋いどる状態は…人として生きとるというのか?」 萩姫様が仰っていた通り、殺人鬼・水家曽良は、人間ではなくなってしまっていたんだ。
 ボシューッ!!…誰かが譲司さんの問いに答えるより前に、死体が突如音を立てて何かを噴出した!  「うわあぁ!?」 私を含め何人かが驚き飛び退いた。こっちこそ心臓が止まるかと思った。 死体から噴出した何かは超自然的に形を作り始める。 こいつが諸悪の根源、金剛倶利伽羅…
 「「<「龍王キッモ!!?」>」」 奇跡の(ポメちゃん以外)全員異口同音。 皆同時にそう口に出していた。  「わぎゃっわんわん!!わぅばおばお!!!」 ポメちゃんは狂ったように吠えたてていた。  「邂逅早々そう来るか…」 龍王が言う…「「<「声もキッモ!!?!?」>」」 デジャヴ!
 龍王はキモかった。それ以上でもそれ以下でもない、ともかくキモかった。 具体的に描写するのも憚られるが、一言で言えば…細長い燃える歯茎。 金剛の炎を纏った緋色の龍、という前情報は確かに間違いじゃない。シルエットだけは普通の中国龍だ。 けど実物を見ると、両目は梅干しみたいに潰れていて、何故か上顎の細かい歯は口内じゃなくて鼻筋に沿ってビッシリ生えて蠢いてるし、舌はだらんと伸び、黄ばんだ舌苔に分厚く覆われている。 二本の角から尾にかけて生えたちぢれ毛は、灰色の脇毛としか形容できない。 赤黒い歯茎めいた胴体の所々から細かく刻まれた和尚様の肋骨が歯のように露出し、ロウソクの芯のように炎をたたえている。 その金剛の炎の色も想像していた感じと違う。 黄金というかウン…いや、これ以上はやめておこう。二十歳前のモデルがこれ以上はダメだ。
 「何これ…アタシが初めて会った時、こいつこんなにキモくなかったと思うけど…」 リナが頭を抱えた。一方ジャックさんは引きつけを起こすほど爆笑している。  「あっはっはっは!!タピオカで腹下して腐っちまったんじゃねえのか!? ヒィーッひっはっはっはっはっは!!」  <良かった!やっぱ皆もキモいと思うよね?> 背後からテレパシー。でもそれはオリベちゃんじゃなくて、踊り場で待機する萩姫様からだ。  <全ての金剛の者に言える事だけど、そいつらは楽園に対する信奉心の高さで見え方が変わるの! 皆が全員キモいって言って安心したよ!> カァーン!…譲司さんのスマホから鐘着信音。フリック。  『頼む、僕からも言わせてくれ!実にキモい��!!』 …ツー、ツー、ツー。ハイセポスさんが一方的に言うだけ言って通話を切った。
 「その通りだ」 龍王…だから声もキモい!もうやだ!!  「貴様らはあの卑劣な裏切り者に誑かされているから、俺様が醜く見えるんだ。 その証拠に、あいつが彫ったそこの水晶像を見てみろ!」 死体の傍に転がっている水晶像。 ああ、確かに普通によくある倶利伽羅龍王像だ。良かった。 和尚様、実は彫刻スキルが壊滅的に悪かったんじゃないかって疑ってすみません。  「特に貴様。金剛巫女! 成長した上わざわざ俺様のもとへ力を返納しに来た事は褒めてやろう。 だが貴様まで…ん?金剛巫女?」 イナちゃんは…あ、失神してる。脳が情報をシャットダウンしたんだ。
 「…まあ良し!ともかく貴様ら、その金剛巫女をこちらに渡せ。 それの魂は俺様の最大の糧であり、金剛の楽園に多大なる利益をもたらす金剛の魂だ! さもなくば貴様ら全員穢れを纏いし悪鬼悪霊共の糧にしてやるぞ!」 横暴な龍王に対し、譲司さんが的確な反論を投げつける。  「何が糧や、ハッタリやろ! お前は強くなりすぎた悪霊を制御出来とらん。 せやから悪霊同士が潰し合って鎮静するまで作業場に閉じこめて、自分は死体の横でじっと待っとる! 萩姫様が外でお前らを封印出来とるんが何よりの証拠や! だまされんぞ!!」 図星を突かれた龍王は逆上!  「黙れ!!だから何だ、悪霊放出するぞコノヤロウ!! 俺様がこいつからちょっとでも離れたら悪鬼悪霊が飛び出すぞ!?あ!?」
 その時、私の中で堪忍袋の緒が切れた。
◆◆◆
 自分は怒ると癇癪を起こす気質だと思っていた。 自覚しているし、小さい頃両親や和尚様に叱られた事も多々あって、普段は余程の事がない限り温厚でいようと心がけている。 多少からかわれたり、馬鹿にされる事があっても、ヘラヘラ笑ってやり過ごすよう努めていた。 そうして小学生時代につけられたアダ名が、『不動明王』。 『紅はいつも大人しいけど本気で怒らすと恐ろしい事になる』なんて、変な教訓がクラスメイト達に囁かれた事もあった。
 でも私はこの二十年間の人生で、一度も本物の怒りを覚えた事はなかったんだと、たった今気付いた。 今、私は非常に穏やかだ。地獄に蜘蛛の糸を垂らすお釈迦様のように、穏やかな気持ちだ。 但しその糸には、硫酸の二千京倍強いフルオロアンチモン酸がジットリと塗りたくられている。
 「金剛倶利伽羅龍王」 音声ガイダンス電話の様な抑揚のない声。 それが自分から発せられた物だと認識するまで、五秒ラグが生じた。  「何だ」  「取引をしましょう」  「取引だと?」 龍王の問いに自動音声が返答する。  「私がお前の糧になります。その代わり、巫女パク・イナに課せられた肋楔緋龍相を消し、速やかに彼女を解放しなさい」  「ヒトミちゃん!?どうしてそん…」 剣呑な雰囲気に正気を取り戻したイナちゃんが私に駆け寄る。 私の首がサブリミナル程度に彼女の方へ曲がり、即座にまた龍王を見据えた。イナちゃんはその一瞬で押し黙った。 龍王が身構える。  「影法師使い。貴様は裏切り者の従者。信用できん」 返事代わりに無言で圧。  「…ヌゥ」
 私はプルパを手に掲げる。 陰影で細かい形状を隠し、それがただの肋骨であるように見せかけて。  「そ…それは!俺様の肋骨!!」 龍王が死体から身を乗り出した。  「欲しいですか」  「欲しいだと?それは本来金剛が所有する金剛の法具だ。 貴様がそれを返却するのは義務であり…」 圧。  「…なんだその目は。言っておくが…」 圧。  「…ああもう!わかった!! どのみち楔の法力が戻れば巫女など不要だ、取引成立でいい!」  「分かりました。それでは、私が水晶像に肋骨を填めた瞬間に、巫女を解放しなさい。 一厘秒でも遅れた場合、即座に肋骨を粉砕します」
 龍王は朧な半物理的霊体で水晶像を持ち上げ、私に手渡した。 像の台座下部からゴム栓を剥がすと、中は細長い空洞になっていて、人骨が入っている。 和尚様の肋骨。私はそれを引き抜き、トートバッグにしまった。 バッグを床に置いてプルパを像にかざすと、龍王も両手を差し出したイナちゃんに頭を寄せ構える。  「三つ数えましょう。一、」  「二、」  「「三!」」
 カチッ。プルパが水晶像に押しこまれた瞬間、イナちゃんの両手が発光!  「オモナァッ!」 バシュン!と乾いた破裂音をたて、呪相は消滅した。 イナちゃんが衝撃で膝から崩れ落ちるように倒れ、龍王は勝利を確信して身を捩った。  「ウァーーッハハハハァ!!!やった!やったぞぉ、金剛の肋楔! これで悪霊どもを喰らいて、俺様はついに金剛楽園アガル「オムアムリトドバヴァフムパット」 ブァグォオン!!!!  「ドポグオオォオォォオオオーーーーッ!!?!?」
 この時、一体何が起きたのか。説明するまでもないだろうか。 そう。奴がイナちゃんの呪いを解いた瞬間、私はプルパを解放したのだ。 赤子の肋骨だった物は一瞬にして、刃渡り四十センチ大のグルカナイフ型エロプティックエネルギー塊に変形。 当然それは水晶像などいとも容易く粉砕する!
 依代を失った龍王は地に落ち、ビタンビタンとのたうつ。  「か…かはっ…」 私はその胴体と尾びれの間を掴み、プルパを突きつけた。  「お…俺様を、騙したな…!?」 龍王は虫の息で私を睨んだ。  「騙してなどいない。私はお前の糧になると言った。 喜べ。望み通りこの肋骨プルパをお前の依代にして、一生日の当たらない体にしてやる」  「な…プルパ…!?貴様、まさか…!」  「察したか。そう、プルパは煩悩を貫く密教法具。 これにお前の炎を掛け合わせ、悪霊共を焼いて分解霧散させる」  「掛け合わせるだと…一体何を」
 ズブチュ!!  「うおおおおおおおぉぉぉ!!?」 私はプルパで龍王の臀部を貫通した。  「何で!?何でそんな勿体ない事するの!? 俺様があぁ!!せっかく育てた悪霊おぉぉ!!!」 私は返事の代わりに奴の尾を引っ張り、切創部を広げた。  「ぎゃああああああ!!!」 尾から切創部にかけての肉と汚らしい炎が、影色に炭化した。  「さっき何か言いかけたな。金剛楽園…何だと? 言え。お前達の楽園の名を」  「ハァ…ハァ…そんな事、知ってどうする…? 知ったところで貴様らは何も」
 グチャムリュ!!  「ぎゃああああぁぁアガルダ!アガルダアァ!!」 私は龍王の胴体を折り曲げ、プルパで更に貫通した。 奴の体の一/三が炭化した。  「なるほど、金剛楽園アガルダ…。それは何処にある」  「ゲホッオェッ!だ、だからそんなの、聞いてどうする!?」  「滅ぼす」  「狂ってる!!!」
 ヌチュムチグジュゥ!!  「ほぎいぃぃぃごめんなさい!ごめんなさい!」 更に折り曲げて貫通。魚を捌く時に似た感触。 蛇なら腸や腎臓がある位置だろうか。 少しざらついたぬめりけのある粘液が溢れ、熱で固まって白く濁った。  「狂っていて何が悪いの? お前やあの金剛愛輪珠如来を美しいと感じないよう、狂い通すんだよ」  「うァ…ヒ…ヒヒィ…卑怯者ぉ…」  「お前達金剛相手に卑怯もラッキョウもあるものか」  「……」  「……」
 ゴギグリュゥ!!!  「うえぇぇえぇえええんいびいぃぃぃん!!!」 更に貫通。龍王は既に半身以上を影に飲まれている。 ようやくマシな見た目になってきた。  「苦しいか?苦しいか。もっと苦しめ。苦痛と血涙を燃料に悪霊を焼くがいい。 お前の苦しみで多くの命が救われるんだ」  「萩姫ェェェ、萩イィィーーーッ!! 俺様を助けろおぉぉーーーッ!」 すると背後からテレパシー。  <あっかんべーーーっだ!ザマーミロ、べろべろばー> 萩姫様が両中指で思いっきり瞼を引き下げて舌を出している映像付きだ。  「なあ紅さん、それ何かに似とらん?」 譲司さんとオリベちゃんが興味津々に私を取り囲んだ。  「ウアーッアッアッ!アァーーー!!」 黒々と炭化した龍王はプルパに巻きついたような形状で肉体を固定され、体から影の炎を噴き出して苦悶する。  <アスクレピオスの杖かしら。杖に蛇が巻きついてるやつ> ジャックさんとリナも入ってくる。  「いや、中国龍だからな…。どっちかというと、あれだ。 サービスエリアによくある、ガキ向けのダサいキーホルダー」  「そんな立派な物じゃないわよ。 東南アジアの屋台で売ってる蛇バーベキューね」  「はい!」 目を覚ましたイナちゃんが、起き抜けに元気よく挙手!  「フドーミョーオーの剣!」  「「<それだ!>」」 満場一致。ていうか、そもそもこれ倶利伽羅龍王だもんね。
 私は龍王の頸動脈にプルパを突きつけ、頭を鷲掴みにした。  「金剛倶利伽羅龍王」  「…ア…アァ…」 するうち影が私の体を包みこみ始める。 影��影法師使いが一つになる時、それは究極の状態、神影(ワヤン)となる。 生前萩姫様が達せられたのと同じ境地だ。  「私はお前の何だ」  「ウア…ァ…」  「私はお前の何だ!?」
 ズププ!「ぐあぁぁ!!肋骨!肋骨です…」  「違う!お前は倶利伽羅龍王剣だろう!?だったら私は!?」 ズプブブ!!「わああぁぁ!!不動明王!!不動明王様ですうぅ!!!」  「そうだ」 その通り。私は金剛観世音菩薩に寵愛を賜りし神影の使者。 瞳に映る悲しき影を、邪道に歪められた霊魂やタルパ達を、業火で焼いて救済する者!
 ズズッ…パァン!!!  「グウゥワアァァアアアアーーーーー!!!!」 完成、倶利伽羅龍王剣!  「私は神影不動明王。 憤怒の炎で全てを影に還す…ワヤン不動だ!」
◆◆◆
 ズダダダァアン!憤怒の化身ワヤン不動、精神地獄世界一階作業場に君臨だ! その衝撃で雷鳴にも匹敵する轟音が怪人屋敷を震撼! 私の脳内で鳴っていたシンギング・ボウルとティンシャの響きにも、荒ぶるガムランの音色が重なる。  「神影繰り(ワヤン・クリ)の時間だ」
 悪霊共は、殺人鬼水家に命を絶たれ創り変えられたタルパだ。 皆一様に、悪魔じみた人喰いイタチの毛皮を霊魂に縫い付けられ、さながら古い怪奇特撮映画に登場する半人半獣の怪人といった様相になっている。 金剛愛輪珠如来が着ていた肉襦袢や、全身の皮膚が奪われていた和尚様のご遺体を想起させる。そうか。  「これが『なぶろく』とか言うふざけたエーテル法具だな」 なぶろく。亡布録。屍から霊力を奪い、服を着るように身に纏う、冒涜的ネクロスーツ!
 「ウアァアァ…オカシ…オヤツクレ…」  「オカシオ…アマアァァイ、カシ…オクレ…」 悪霊共は理性を失って、ゾンビのように無限に互いが互いを貪りあっている。  「ウヮー、オカシダァア!」 一体の悪霊が私に迫る。私は風に舞う影葉のように倶利伽羅龍王剣を振り、悪霊を刺し貫いた。
 ボウッ!「オヤツゥアァァァー!」 悪霊を覆う亡布録が火柱に変わり、解放された魂は分解霧散…成仏した。 着用者を失った亡布録の火柱は龍王剣に吸いこまれるように燃え移り、私達の五感が刹那的追体験に支配される。  『や…やめてくれぇー!殺すなら息子の前に俺を、ぐわぁあああああ!!!』 それは悪霊が殺された瞬間、最後の苦痛の記憶だ。 フロリダ州の小さな農村。目の前で大切な人がイタチに貪り食われる絶望感と、自らも少年殺人鬼に喉を引き千切られる激痛が、自分の記憶のように私達を苛む。  「グアァァァーーー!!!」 それによって龍王剣は更に強く燃え上がる!
 「どんどんいくぞぉ!やぁーーっ!!」  「グワアァァァーーー!!」 泣き叫ぶ龍王剣を振り、ワヤン不動は憤怒のダンスを踊る。  『ママアァァァ!』『死にたくなああぁぁい!』『ジーザアァーーース!』 数多の断末魔が上がっては消え、上がっては消え、それを不動がちぎっては投げる。  「カカカカカカ!かぁーっはっはっはっはァ!!」…笑いながら。
 「テベッ、テメェー!俺様が残留思念で苦しむのがそんなに楽しいかよ、 このオニババーーーッ!!!」  「カァハハハアァ!何を勘違いしているんだ。 私にもこの者共の痛みはしかと届いているぞぉ」  「じゃあどうして笑ってられるんだよォ!?」  「即ち念彼観音力よ!御仏に祈れば火もまた涼しだ! もっともお前達は和尚様に仏罰を下される立場だがなァーーーカァーッハッハッハッハァー!!!!」  『「グガアアーーーーッ!!!」』 悪霊共と龍王剣の阿鼻叫喚が、聖なるガムランを加速する。
 一方、私の肉体は龍王剣を死体に突き立てたまま静止していた。 聴覚やテレパシーを通じて皆の会話が聞こえる。
 「オリベちゃん!ヒトミちゃん助けに行くヨ!」  「わんっ!わんわお!」  <そうね、イナちゃん。私が意識を転送するわ>  「加勢するぜ。俺は悪霊の海を泳いで水家本体を探す」  「ならアタシは上空からね」   「待ってくれ。オリベ。 その前に、例のアレ…弟の依頼で作ってくれたアレを貸してくれ」  <ジョージ!?あんた正気なの!?>  「俺は察知はできるけど霊能力は持っとらん、行っても居残っても役に立てん! 頼む、オリベ。俺にもそいつを処方してくれ!」  「あ?何だその便所の消臭スプレーみたいなの? 『ドッパミンお耳でポン』?」  「やだぁ、どっかの製薬会社みたいなネーミングセンスだわ」  <商品名は私じゃなくて、ジョージの弟君のアイデア。 こいつは溶解型マイクロニードルで内耳に穴を開けて脳に直接ドーピングするスマートドラッグよ>  「アイゴ!?先生そんなの使ったら死んじゃうヨ!?」  「死なん死なん!大丈夫、オリベは優秀な医療機器エンジニアや!」  「だぶかそれを作らせたお前の弟は何者だよ!?」
 こちとらが幾つもの死屍累々を休み無く燃やしている傍ら、上は上で凄い事になっているみたいだ。  「俺の弟は、毎日脳を酷使する…」ポンップシュー!「…デイトレーダーやあああ!!!」
 ドゴシャァーン!!二階吹き抜けの窓を突き破り、回転しながら一階に着地する赤い肉弾! 過剰脳ドーピングで覚醒した譲司さんが、生身のまま戦場に見参したんだ!
 「ヴァロロロロロォ…ウルルロロァ…! 待たせたな、紅さん…ヒーロー参上やあああぁ!!!」 バグォン!ドゴォン!てんかん発作めいて舌を高速痙攣させながら、譲司さんは大気中の揺らぎを察知しピンポイントに殴る蹴る! 悪霊を構成する粒子構造が振動崩壊し、エクトプラズムが霧散! なんて荒々しい物理的除霊術だろう! 彼の目は脳の究極活動状態、全知全脳時にのみ現れるという、玉虫色の光彩を放っていた。
 「私達も行くヨ!」 テレパシーにより幽体離脱したオリベちゃんとイナちゃん、ポメラー子ちゃん、ジャックさん、リナも次々に入獄!  「みんなぁ!」 皆の熱い友情で龍王剣が更に燃え上がった。「…ギャアァァ!!」
◆◆◆
 さあ、大掃除が始まるぞ。 先陣を切ったのはイナちゃん。穢れた瘴気に満ちた半幻半実空間を厚底スニーカーで翔け、浄化の雲を張り巡らさせる。 雲に巻かれた悪霊共は気を正されて、たちまち無害な虹色のハムスターに変化!  「大丈夫ヨ。あなた達はもう苦しまなくていい。 私ももう苦しまない!スリスリマスリ!」
 すると前方にそそり立つ巨大霊魂あり! それは犠牲者十人と廃工場の巨大調理器具が押し固まった集合体だ。  「オォォカァァシィィ!」  「スリスリ…アヤーッ!」 悪霊集合体に突き飛ばされた華奢なイナちゃんの幽体が、キューで弾かれたビリヤードボールのように一直線に吹き飛ぶ!  「アァ…オカシ…」「オカシダァ…」「タベル…」 うわ言を呟きながら、イナちゃんに目掛けて次々に悪霊共が飛翔していく。 しかし雲が晴れると、その方向にいたのはイナちゃんではなく…  <エレヴトーヴ、お化けちゃん達!> ビャーーバババババ!!!強烈なサイコキネシスが悪霊共を襲う! 目が痛くなるような紫色の閃光が暗い作業場に走った!  「オカヴアァァァ…」鮮やかに分解霧散!
 そこに上空から未確認飛行影体が飛来し、下部ハッチが開いた。 光がスポットライト状に広がり、先程霊魂から分解霧散したエクトプラズム粒子を吸いこんでいく。  「ウーララ!これだけあれば福島中のパワースポットを復興できるわ! 神仏タルパ作り放題、ヤッホー!」 UFOを巧みに操る巨大宇宙人は、福島の平和を守るため、異星ではなく飯野町(いいのまち)から馳せ参じた、千貫森のフラットウッズモンスター!リナだ!  「アブダクショォン!」
 おっと、その後方では悪霊共がすさまじい勢いで撒き上げられている!? あれはダンプか、ブルドーザーか?荒れ狂ったバッファローか?…違う!  「ウルルルハァ!!!ドルルラァ!!」 猪突猛進する譲司さんだ! 人間重機と化して精神地獄世界を破壊していく彼の後方では、ジャックさんが空中を泳ぐように追従している。  「おいジョージ、もっと早く動けねえのか?日が暮れちまうだろ!」  「もう暮れとるやんか!これでも筋肉のリミッターはとっくに外しとるんや。 全知全脳だって所詮人間は人間やぞ!」  「バカ野郎、この脳筋! お前に足りねえのは力じゃなくてテクニックだ、貸してみろ!」 言い終わるやいなや、ジャックさんは譲司さんに憑依。 瞬間、乱暴に暴れ回っていた人間重機はサメのようにしなやかで鋭敏な動きを得る。  「うおぉぉ!?」 急発進によるGで譲司さん自身の意識が一瞬幽体離脱しかけた。  「すっげぇぞ…肺で空気が見える、空気が触れる!ハッパよりも半端ねえ! ジョージ、お前、いつもこんな世界で生きてたのかよ!?」  「俺も、こんな軽い力で動いたのは初めてや…フォームって大事なんやなぁ!」  「そうだぜ。ジョージ、俺が悪霊共をブチのめす。 水家を探せるか?」  「楽勝!」 加速!加速!加速ゥ!!合身した二人は悪霊共の海をモーゼの如く割って進む!!
 その時、私は萩姫様からテレパシーを受信した。  <頑張るひーちゃんに、私からちょっと早いお誕生日プレゼント。 受け取りなさい!> パシーッ!萩姫様から放たれたエロプティック法力が、イナちゃんから貰った胸のペンダントに直撃。 リングとチェーンがみるみる伸びていき、リングに書かれていた『링』のハングル文字は『견삭』に変化する。 この形は、もしかして…
 「イナちゃーん!これなんて読むのー?」 私は龍王剣を振るう右手を休めないまま、左手でチェーン付きリングをフリスビーの如く投げた。すると…  「オヤツアァ!」「グワアァー!」 すわ、リングは未知の力で悪霊共を吸収、拘束していく! そのまま進行方向の果てで待ち構えていたイナちゃんの雲へダイブ。 雲間から浄化済パステルテントウ虫が飛び去った!  「これはねぇ!キョンジャクて読むだヨー!」 イナちゃんがリングを投げ返す。リングは再び飛びながら悪霊共を吸収拘束! 無論その果てで待ち構える私は憤怒の炎。リングごと悪霊共をしかと受け止め、まとめて成仏させた。
 「グガアァァーッ!さては羂索(けんじゃく)かチクショオォーーーッ!!」 龍王剣が苦痛に身を捩る。  「カハァーハハハ!紛い物の龍王でもそれくらいは知っているか。 その通り、これは不動明王が衆生をかき集める法具、羂索だな。 本物のお不動様から法力を授かった萩姫様の、ありがたい贈り物だ」  「何がありがたいだ!ありがた迷惑なん…グハアァァ!!」 悪霊収集効率が上がり、ワヤン不動は更に荒々しく炎をふるう。  「ありがとうございます、萩姫様大好き!そおおぉおい!!」
 <や…やぁーだぁ、ひーちゃんったら! 嬉しいから、ポメちゃんにもあげちゃお!それ!> パシーッ!「わきゃお!?」 エロプティック法力を受けて驚いたポメラー子ちゃんが飛び上がる。 空中で一瞬エネルギー影に包まれ、彼女の首にかかっていた鈴がベル型に、ハングル文字が『금강령』に変わった。  「それ、クムガンリョン!気を綺麗にする鈴ね!」  <その通り!密教ではガンターっていうんだよ!> 着地と共に影が晴れると、ポメちゃん自身の幽体も、密教法具バジュラに似た角が生えた神獣に変身している。
 「きゃお!わっきょ、わっきょ!」 やったぁ!兄ちゃん見て見て!…とでも言っているのか。 ポメちゃんは譲司さん目掛けて突進。 チリンリンリン!とかき鳴らされたガンターが悪霊共から瘴気を祓っていく。 その瞬間を見逃す譲司さんではなかった。  「ファインプレーやん、ポメラー子…!」 彼は確かに察知した。浄化されていく悪霊共の中で、一体だけ邪なオーラを強固に纏い続ける一体のイタチを。  「見つけたか、俺を殺したクソ!」  「アッシュ兄ちゃんの仇!」  「「水家曽良…サミュエル・ミラアァァアアアア!!!!」」
 二人分の魂を湛えた全知全脳者は怒髪天を衝く勢いで突進、左右の拳で殺人鬼にダブル・コークスクリュー・パンチを繰り出した! 一見他の悪霊共と変わらないそれは、吹き飛ばされて分解霧散すると思いきや… パァン!!精神地獄世界全体に破裂音を轟かせ、亡布録の内側からみるみる巨大化していった。 あれが殺人鬼の成れの果て。多くの人々から魂を奪い、心に地獄を作り出した悪霊の王。 その業を忘れ去ってもなお、亡布録の裏側で歪に成長させられ続けた哀れな獣。 クルーアル・モンスター・アンダー・ザ・スキン…邪道怪獣アンダスキン!
 「シャアァァザアアァァーーーーッ!!!」 怪獣が咆える!もはや人間の言葉すら失った畜生の咆哮だ! 私は振り回していた羂索を引き上げ、怪獣目掛けて駆け出した。 こいつを救済できるのは火力のみだあああああああ!!  「いけェーーーッ!!ワヤン不動ーーー!!」  「頑張れーーーッ!」<燃えろーーーッ!>  「「<ワヤン不動オォーーーーーッ!!!>」」
 「そおおぉぉりゃああぁぁぁーーーーーー!!!!」
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oniwastagram · 6 years ago
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\おにわさん更新情報📸/ ‪[ 静岡県御殿場市 ] 富士仏舎利塔平和公園 Fuji Bussharito Peace Park (Myoho-ji Temple Garden), Gotemba, Shizuoka の写真・記事を更新しました。 ――御殿場の平地からも見られる白亜のシンボル「仏舎利塔」と、#富士山 🗻を正面に眺め見る池泉回遊式庭園。 ・・・・・・・・ 先日紹介した秩父宮記念公園から1km弱の場所、箱根山🏔の乙女峠へ向かう道の中腹にある公園。 広い敷地内に約1000本もの桜の木が見られる御殿場の桜の名所の一つ🌸 桜以外にも斜面に植えられたツツジ、サツキの名所で、この斜面から眺める富士山の写真は御殿場市の紹介関連で見掛けることも多い印象! 通称「平和公園」のシンボルは遠くからも眺められる白亜の「仏舎利塔」🗼 敷地内には「日本山妙法寺」という寺院もあり、宗教団体によって造られたものかなーと思っていたのだけど実はそうではなく。 関東に30以上の店舗を展開するスーパーマーケット「三徳」の社長だった御殿場出身の #堀内定良 が1964年に1億円もの私財をを投じて建立したもので、インドの当時のジャワハルラール・ネルー首相から贈られたお釈迦様の分骨を納められています。 また公園の敷地内にある「妙法寺」の境内には池泉回遊式の日本庭園があります。 高台からは庭園越しに富士山の借景が眺められる…のですが、この日はもやがかっていてはっきり見えなかったのだけ残念…! 公園の成り立ちによるものか、公園の規模の割に公式サイトも無く御殿場市のサイト内の紹介も無言😶 あまり情報が無い公園なのですが、また別の季節にも訪れてみたい。 〜〜〜〜〜〜〜〜 ‪🔗おにわさん記事URL:‬ https://oniwa.garden/fuji-peace-park-%E5%AF%8C%E5%A3%AB%E4%BB%8F%E8%88%8E%E5%88%A9%E5%A1%94%E5%B9%B3%E5%92%8C%E5%85%AC%E5%9C%92/ ーーーーーーーー ‪#庭園 #日本庭園‬ ‪#garden #japanesegarden‬ #japanesegardens #御殿場 #御殿場市 #gotemba #静岡 #静岡県 #shizuoka #公園 #ランドスケープ #landscape #寺院 #寺社仏閣 #temples #sunset #sunsettemple ‪#おにわさん (御殿場平和公園) https://www.instagram.com/p/BwjdVctAdfY/?utm_source=ig_tumblr_share&igshid=16on7vf5sfyst
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masahironitta · 7 years ago
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100分de名著「法華経」
今月(2018年4月)の NHK Eテレ「100分de名著」では、「法華経」が特集されています。 http://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/75_hokekyou/index.html
講師は、仏教思想研究家の植木雅俊氏です。植木氏は、サンスクリット語の法華経を日本語に翻訳するなど、精力的に活動されています。番組を見て、テキストも読んで、私も教えられたり、気付かされることがありました。 植木氏はテキストで、「『法華経』には対立や憎しみを乗り越えるヒントが随所にある」と記されています。上記Webサイトでも、次の様に記されています。
排外主義が横行し分断される社会、拡大し続ける格差……憎しみや対立の連鎖からなかなか抜け出せない現代、「法華経」を現代的な視点から読み解きながら、「差異を認め合い、共存・融和を目指していく知恵」「自己に眠る大きな可能性を開いていくには何が必要か」など、生きる指針を学んでいきます。
すべての人が成仏することができることを説く法華経の平等思想には、現代社会における様々な問題を解決するカギがあります。
ただ、こうした仏教学者たちの著作を読むと、私はいつも残念な気持ちになります。 確かに、法華経の経文上に書かれている内容についての学問的研究については、学者たちはすぐれています。しかし、法華経には、「本当は何が書かれているのか」ということが、学者たちはわかっていません。
法華経には、現代では到底信じられないような現象が説かれています。何万人もの衆生が霊鷲山に集ったとか、巨大な宝塔や無数の菩薩が大地を割って出現したとか、皆が空中に浮いたとか・・・。昔ならともかく、今の時代に、これらが実際に起きた事象だと思う人はいないでしょう。では、これらはすべてウソなのか、というとそうではありません。実際に起きた「事実」ではありませんが、「生命の真実」がそこに説かれているのです。 「生命の真実」は、「生命の法」と言い換えることができます。法華経には、代表的な7つの譬喩が説かれているとされていますが、法華経全体が、「生命の法」を表した壮大な譬喩になっているのです。そして、その「生命の法」のことを、「法華経」と名付けるのです。それ以外のすべての経典は、衆生の機根に合わせて説かれた仮の教え(権教(ごんきょう))であり、法華経のみが、仏の悟りがそのまま説かれている真実の教え(実教)です。 経典としての「法華経」は、西暦1世紀末から3世紀始めに成立したと推定されています。だから、法華経は釈尊が説いた教えではないと考える人もいますが、それは違います。釈尊のすべての教えは、すぐには文章化されず、弟子たちによって口承で伝えられました。何百年間も、人から人へ、口伝えされていったため、教えの内容も変化していきました。初期仏典とされる経典も、釈尊滅後、何百年も経ってからまとめられたものですので、釈尊自身が説いた内容から変化しているはずです。 釈尊自身が説いたそのままではないから法華経は仏説ではないというのは違います。釈尊は、「生命の法」を悟って仏になりました。これを悟るのが「成仏」の条件です。宇宙を貫く究極の真理である「生命の法」を、「法華経」と名付けます。法華経には、三世十方の諸仏が法華経を説いたと書かれています。それぞれの仏が、それぞれの言葉で「法華経」を説くのです。現在残っている法華経の経文は、釈尊自身が説いたそのままではありませんが、そこに説かれている「生命の法」が「法華経」です。それが弟子たちによって何百年間も口伝され、西暦1世紀末から3世紀始めに、現在残っている形にまとめられたのです。 釈尊自身が、どのように法華経を説いたのかは、今となっては知ることはできませんが、それを知る必要はありません。なぜなら、今の時代は、釈尊の法華経ですら、人々を救う力を失っているからです。(諸法実相、二乗作仏、久遠実成等の法華経の骨格となる法理は、釈尊自身が説いたはずです) 法華経、つまり真実の仏法の、正統の系譜は、 1.釈尊 → 2.竜樹 → 3.天台 → 4.伝教(最澄) → 5.日蓮大聖人 です。1,3,4,5または2,3,4,5で「三国四師」といいます。 仏法では、「教」、「機」、「時」、「国」、「教法流布の先後」が重視されます。(宗教の五綱) 今の末法という「時」に、釈尊、竜樹、天台、 伝教などの教えを、学問として学ぶのはよいですが、これらを学んでも成仏することはできません。
今末法に入りぬれば余経も法華経もせんなし、但南無妙法蓮華経なるべし(御書1546ページ)
釈尊の時代には、釈尊の法華経でよかったのです。しかし、今の末法という「時」においては、釈尊の法華経も他の経典も役には立たず、ただ南無妙法蓮華経のみが、すべての人を成仏させることのできる法です。 末法の御本仏である日蓮大聖人は、宇宙と生命を貫く究極の真理を、「南無妙法蓮華経」として一切衆生に授けてくださいました。この「南無妙法蓮華経」は、釈尊が説いた法華経よりも更に奥にある究極の真理です。実は、釈尊も、南無妙法蓮華経を修行し、悟って成仏したのです。釈尊が説いた法華経も、本当は南無妙法蓮華経なのですが、文面を読んだだけではそれが分からないようになっています。「文底秘沈(もんていひちん)」といって、法華経の文章の底に、南無妙法蓮華経が隠されているのです。これがわかるのは仏だけです。なぜそのように釈尊が隠したのかというと、まだ時が来ていなかったのと、釈尊には南無妙法蓮華経を説く資格がなかったからです。釈尊の法華経は、末法に究極の仏が出現することも予言されています。その予言通りに、末法��御本仏である日蓮大聖人が出現されたのです。 現代の坊主や学者たちが、いくら経文を研究しても、法華経の真実を分かるはずがありません。私たち凡夫は、御本仏日蓮大聖人に教えられ、それをそのまま信じて、実践することによって、初めて法華経の本当の意味を知ることができるのです。 正しい師匠に付いて、その教えに従うことによって、初めて真理に到達することができます。自分一人で学び、考えても、決して真理にたどり着くことはできません。仏法において、「師弟」が重視されるのはそのためです。 そして、現代において、日蓮大聖人の仏法を正しく受け継ぎ、実践している唯一の団体が創価学会です。仏教の教団や学者は多いですが、真実の生きた仏法は、創価学会の中にしかありません。
所詮妙法蓮華の当体とは法華経を信ずる日蓮が弟子檀那等の父母所生の肉身是なり(御書512ページ)
日蓮大聖人の教えのままに南無妙法蓮華経の題目を唱えることによって、自分自身が妙法蓮華経の当体となって、命を輝かせることができます。
我等が頭は妙なり喉(のど)は法なり胸は蓮なり胎(はら)は華なり足は経なり此の五尺の身妙法蓮華経の五字なり、此の大事を釈迦如来・四十余年の間隠密したもうなり今経の時説き出したもう此の大事を説かんが為に仏は出世したもう我等が一身の妙法五字なりと開仏知見する時・即身成仏するなり(御書716ページ)
実は、法華経とは、私たち自身の生命のことです。私たち一人ひとりの生命そのものが、本来、妙法蓮華経なのです。法華経には、そのことが書かれているのですが、私たち凡人にはそれがわかりません。日蓮大聖人の教えを学び、信じ、実践することによって初めて、「自分自身が妙法蓮華経なのだ」ということが体得できるようになります。「我等が一身の妙法五字なりと開仏知見する時」、つまり、私たち自身の生命に妙法蓮華経の仏の生命が涌現する時、「即身成仏」することができるのです。
身を十方法界の国土に遍し心を一切有情の身中に入れて内よりは勧発(かんぽつ)し外よりは引導し内外相応し因縁和合して自在神通の慈悲の力を施し広く衆生を利益すること滞(とどこお)り有る可からず。(御書574ページ)
法華経如来寿量品で説かれる久遠の仏とは、実は宇宙生命のことです。寿量品だけでなく、開経である無量義経から結経である観普賢菩薩行法経まで、法華経で説かれる仏とは宇宙生命です。すべてが空であり、宇宙全体が1つの生命であり、それが仏であり、自分自身が妙法の当体なのだと分かれば、法華経が理解できるようになります。その仏の生命を自身に現すことができる方法が南無妙法蓮華経です。南無妙法蓮華経を唱えることによって、自身の生命が宇宙全体に遍満し、すべてを自身の生命に包み込んで、人々を救い、環境をも変えていくことができるようになります。
末法にして妙法蓮華経の五字を弘めん者は男女(なんにょ)はきらふべからず、皆地涌(じゆ)の菩薩の出現に非ずんば唱へがたき題目なり、日蓮一人はじめは南無妙法蓮華経と唱へしが、二人・三人・百人と次第に唱へつたふるなり、未来も又しかるべし、是あに地涌の義に非ずや、剰(あまつさ)へ広宣流布の時は日本一同に南無妙法蓮華経と唱へん事は大地を的とするなるべし(御書1360ページ)
釈尊滅後の法華経流布を託されたのが、「地涌の菩薩」です。創価学会が現代において、法華経を世界中に広めているのは、創価学会こそが、「地涌の菩薩」の出現であるという証拠です。創価学会が出現しなければ、法華経の予言は虚妄(こもう)となっていました。(「地涌の菩薩」の本当の意味については、別の機会に述べたいと思います。) 人類における、法華経、つまり真実の仏法の、正統の系譜は、 1.釈尊 → 2.竜樹 → 3.天台 → 4.伝教(最澄) → 5.日蓮大聖人 → 6.創価学会 だと確信します。 植木雅俊氏は、「『法華経』には対立や憎しみを乗り越えるヒントが随所にある」と書かれていますが、その「法華経」とは「南無妙法蓮華経」であり、そこに、すべての「ヒント」ではなく「答え」があります。
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qeisu · 8 years ago
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松岡史章氏の転載
FBFの皆様、先のタイムラインで、「初志貫徹の心」が日本人に欠けていると申し上げました。 日本人が「初志貫徹の心」を欠くことになった理由は、色々ありますが、一番の理由は、日本人が「心の拠り所である家庭と国家の結びつき」を見失うと同時に、「信念の大切さ」を忘れてしまったからです。 国家から切り離された個人の「家庭」は、「通州や、敗戦直後の日本・満州」を見れば分かる通り、「恐ろしいほど脆いもの」です。 国家が戦闘力を失えば、国民を守る力は、どこにもありません。 連合艦隊を失い、サイパンを失い、硫黄島を失った日本は、アメリカ軍による大虐殺を完全に許してしまいました。 B-29による攻撃で、日本全土は廃墟にされ、潜水艦による攻撃で生活物資は途絶し、日本人は餓死寸前となり、ポツダム宣言を受諾し、馬鹿正直に帝国陸海軍を解散しました。 日本がポツダム宣言を受諾する直前のことですが、アメリカは千五百隻もの空前絶後の大艦隊で、沖縄を陥落させた後、九州と房総半島から日本に上陸し、日本人を皆殺しにするつもりだったのです。 ところが、大西滝次郎中将は、アメリカの千五百隻の大艦隊に対し、千五百機の特攻隊で立ち向かいました。 大西滝次郎中将の特攻攻撃で撃破されたアメリカの艦船は三百隻以上、撃沈されたアメリカの艦船は三十四隻になります。 毎年八月になると、NHKを始めとする日本のTV局は、撃墜される特攻攻撃機の姿ばかりを放映していますが、馬鹿としか言いようがありません。 信じられないかもしれませんが、ハルゼー提督は「ギブアップ」をアメリカ本国に打電していました。 もし、日本軍の特攻隊が空母だけを狙わず、手当たり次第に、身近な艦船に突入していたら、撃沈撃破されたアメリカ軍の損害は、倍以上になった可能性が大です。空母だけを狙った攻撃でも、ギブアップ寸前だったのです。 日本国内に配置したスパイから入る情報は、ハルゼーの大艦隊を沖縄に釘付けにしました。 日本側は九州と房総半島に来襲するアメリカ軍を撃破する為に、一万五千機の特攻隊で、立ち向かう用意をしていたからです。アメリカの大艦隊が九州と房総半島に近付いていたら、アメリカの大艦隊は粉々になっていたでしょう。 だからアメリカは大艦隊による決戦から、原子爆弾攻撃に切り替えたのです。 アメリカは東京に落とす予定の三発目の原子爆弾を、重巡洋艦インディアナポリスで密かに運んでいました。 ところがインディアナポリスは突然行方不明になりました。 日本海軍のイ58潜水艦に至��距離から雷撃されたインディアナポリスは、二発の1t魚雷を撃ち込まれ、真二つに折れて轟沈しました。SOSを打電する余裕なしの轟沈です。 インディアナポリスが突如姿を消したことで、アメリカは「日本軍に原子爆弾を奪われた」と思い、恐慌状態に陥りました。原子爆弾の構造は簡単です。日本軍もすぐに原子爆弾を作ることが予想されました。 そんな時、日本政府からポツダム宣言受諾の知らせが届いたのです。 アメリカ軍には「棚から牡丹餅」の知らせでした。 アメリカ軍が驚いたのは、頑強な抵抗を続けていた日本軍が、天皇陛下の命令が下ると、直ちに戦闘を止めたことでした。三年八カ月に及ぶ戦闘は突如終わりました。 翌十六日、大西滝次郎中将は、介錯なしの切腹をしました。 「清々し 嵐の後の 月きよし」 これが大西滝次郎中将の辞世の句です。しかし、嵐の後の日本の指導者の中には、驚くほど愚かで、汚いスパイがいたのです。スパイ共は、本気で完全な武装解除をさせました。日本国が丸腰となった瞬間に、日本は「完全な敗戦国」となったのです。 軍事力を自ら放棄した日本には、日本人を守る「力」はありません。朝鮮人達は日本軍の武器庫を襲いましたが、勇猛な日本軍は何処にもいません。朝鮮人達は、思い思いの武器を持ち出すと、裕福な日本人家庭を襲い、駅前の一等地を占領し、莫大な富を奪い取りました。 武器を持たない日本人は至る所で財産を奪われ、命を奪われました。 国家権力と武力が、個人の家庭を守る「絶対的な砦」であることは世界の常識ですが、日本人は「武力は悪である」と固く思いこんでいました。殺生を嫌う仏教思想に忠実だったのです。日本人は殺されても、平和主義を信じ、武力は悪だと思い込んで、死んで行ったのです。 そんな日本人に徹底的な平和主義を吹き込んだのが日教組です。日教組は朝鮮人がリーダーを務める教職員組合です。 日教組や在日朝鮮人達は「骨のある日本人家庭」を目の敵にして、徹底的な攻撃を仕掛けました。初志貫徹をモットーとする日本人を踏みにじり、抹殺することを自慢のタネにし、御笑いのタネにしました。初志貫徹は家庭教育で培われるものですが、いつの間にか、初志貫徹の日本人は激減しました。 皆様は「日本人が基本的な家庭教育を見失うことなど絶対にありない」、と信じているかもしれません。しかし、いつの間にか国旗を揚げることにも、国家を歌うことにも、抵抗を感じるようになっているではありませんか。 ハッキリ申し上げましょう。日本人は刀を捨てた途端に、武力を否定した瞬間に、初志貫徹の精神、サムライ魂を失ったのです。 しかしまだ多くの日本人には「サムライ魂」が残っています。 御存じの通り、家庭を守り、国を守る基本は、心身の鍛錬した「力」以外ありません。 昔は刀と槍と弓を使い���なすために、心身を鍛錬し、武士の心得を磨きましたが、現代は拳銃とマシンガンを使いこなすために、心身を鍛え、現代戦士の心得を磨かねばなりません。 心身を鍛錬する時に、一番大切なのは礼儀です。知識ではありません。礼儀の次が信義であり、信念です。礼儀無き鍛錬、信念無き鍛錬は、ケダモノの鍛錬です。 かつての日本人は、神棚と先祖の霊に、お水とご飯を差し上げてから、食事をしました。日本人は祖先神である天照大御神様を神棚に祭り、先祖代々の霊を仏壇に祭っていました。家庭と御先祖様と天照大御神様が一体となっていた民族が日本人ですが、日本人は、いつの間にか、天照大御神様との一体感、国家と個人の一体感を忘れて、心が風来坊になってしまったのです。 心の風来坊になった日本人に、明治維新を成し遂げたような「初志貫徹の心」はありませんし、植民地主義解消を掲げて、圧倒的な力を持つ米英に立ち向かった「神の如き心」の発現はありません。 ではどうすればいいのか。 答えは非常に簡単です。 日本人は、どの御家庭も、天照大御神様から続く偉大な民族であることを、再認識することに尽きます。 天照大御神様をお祭りし、御先祖様に感謝するようになれば、日本人は、初志貫徹の民族に戻ることが出来ます。キリストも釈迦も偉大ですが、日本人の持つ絶対的なポテンシャルを引き出すことは絶対に出来ません。
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ponta987-blog · 8 years ago
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招き猫はキツネ様である ★今日のベビメタ 本日5月15日は、過去BABYMETAL関連で、大きなイベントのなかった日DEATH。 昨日5月14日は、2015年、シカゴ公演(House of Blues)が行われ、2016年は、Northern Invasionフェス(ウィスコンシン州サマーセットSOMERSET AMPHITHEATER)に出演した日でした。 第1回超歌舞伎の中村獅童は、狐忠信=白狐を演じた。 商売繁盛、芸事上達をご利益とする稲荷信仰は江戸時代に大流行し、日本全国に稲荷神社が勧請された。それで、同じく江戸時代に流行した歌舞伎の演目に、狐の話が取り入れられたのである。 1747年に初演された「義経千本桜」(大阪・竹本座)は、源義経の都落ちの話だが、身代わりとなって討たれた佐藤忠信は、義経が成長した山深い奥州以来の家来で、主君を助けるために化けて奮闘するよい狐だったというエピソードが組み込まれている。 日本に住む野生のキツネはアカギツネ(ホンドキツネ、キタキツネ)という種類で、従来、人に慣れにくいというが、人に懐く個体を人為淘汰することで、ペット化されているものもある。色変わりして銀白色となった“プラチナキツネ”は80万円以上するとのことだが、飼育するには4畳半以上の広さのケージが必要で、尿は相当クサイらしい。 それはともかく、日本人とキツネの交流史は、それこそ1万年の歴史を持つ。 縄文時代前期の北海道網走市大洞遺跡からは、キツネの下顎骨に穴をあけて彩色されたペンダントが発掘されたという。 野生のキツネは、ネズミをジャンプして捕食するので、ネズミはキツネの尿の匂いを恐れて近づ��ないという。そこで、稲作が全国に広まった弥生時代以降、水田の近くに祠を設置してキツネを餌付けし、住まわせるという習慣が生まれた。キツネは、田の神としてまず尊重され、続いて神話における食物神である宇迦之御霊(うかのみたま)=御食神(みけつのかみ)との関連が生まれた。 のちに平安京遷都を請け負うことになる渡来人の秦氏が信仰したのが、宇迦之御霊を主祭神とする伏見稲荷(708年創建)であり、田の神だった狐は、稲荷神の「命婦」(みょうぶ)=眷属となる。 以前も書いたが、「キツネ」の語源は、その鳴き声から「ケツケツ」「キツキツ」に尊称の「ネ」がついたもので、「みけつ」が、三狐(みけつ)と誤認されたという説もある。 平安時代初期に成立した「日本霊異記」には、美濃大野郡の男が、山奥で出会った美女を妻とし、子どもも作ったが、女は実は狐で、犬をけしかけられて逃げ帰ったという話が記載されている。 これが浄瑠璃「信田妻」、歌舞伎「蘆屋道満大内鑑」(葛の葉、信太森葛葉神社縁起)や落語「王子の狐」などのオリジナルである。 「竹取物語」が日本最古の物語とされるが、この狐との異種婚姻譚もかなり古く、日本人の意識の古層に眠っている話なのである。 ちなみに、男は逃げた妻を忘れられず、山へ行って妻=女狐に、「戻ってきてまた一緒に寝よう」=「来つ、寝」(きつね)と呼びかけたので、この動物が「キツネ」という名前になったというオチがついている。 ただし、この説話の女狐とは、天皇家の支配に屈しない山の民、クズ、土蜘蛛、蛇、熊などとよばれた土着民の女性のことで、身分がばれたので山へ帰ったのだという身もふたもない解釈もある。 帰化した秦氏の勢力が広がるにつれ、稲荷神社も全国展開する。実は大阪府和泉市の葛葉稲荷神社の創建は和銅元年(708年)で、伏見稲荷と同じである。 葛葉稲荷の縁起によれば、平安時代、政争に敗れて下野した貴族、安倍安名(やすな)が、この神社に家名再興を祈願した帰り、猟師に追われた白狐をかくまった。この女狐の名前が葛の葉(くずのは)で、二人(一人と一匹?)の間に生まれたのがのちの日本最高の陰陽師、安倍清明であるということになっている。 キツネ様、すげーな。 一方、仏教が広まるにつれ、白い狐に乗った女神、荼枳尼天(だきにてん)が宇迦之御霊神=稲荷神と習合する。ただ、仏教説話においては、悪い狐(夜干)が僧の法力によって改心するという、インドの人食い女神ダーキニーの伝説に引きつけられるようになる。 さらに中国の「山海経」にいう九尾の狐伝説も入り込み、室町時代の「御伽草子」では、殷の妲己、周の褒似といった国を亡ぼす悪い美女が、実は九尾の狐であり、日本では鳥羽上皇に寵愛された美福門院得子をモデルとした「玉藻前」の物語が作られた。玉藻前は安倍清明によって退治されたのち、那須の殺生石となったというが、時代が合わないし、保元の乱を引き起こし、武家政権樹立のきっかけとなった庶民出身の得子にすべての責任をおっかぶせる没落貴族の作意があからさまである。 このように、仏教~中国系の説話では、狐は悪いもの、人に害なすものとして認識されていたわけだが、これによって天狐、地狐、空狐という狐の位階や、白狐、黒狐、赤狐、銀狐、金狐という色のバリエーションも時代を下るにつれて生まれてくる。 庶民の間ではキツネ様は常に味方であった。 江戸時代には、豊作、商売繁盛のため、稲荷社や祠を勧請することが流行した。 親に売られた売春婦であった吉原の花魁は、早く年季が明け、身請けしてくれる男性の出現を待ち望む、切ない思いを吉原稲荷に願掛けしたという。 度重なる飢饉の際、代用食となったのが、油揚げに“おから”を詰めた「稲荷寿司」(関東では篠田寿司)であった。 そして、庶民の間には、伏見稲荷のキツネの土偶を神棚に飾る習慣が生まれた。 これが明治時代になって「不敬」とされ、狐ではなく、猫の土偶に変わったのが、いわゆる招き猫である。(出典:ウィキペディア、「キツネ」の項)。 招き猫に白、黒、赤、金が存在するのは、実はキツネ様だからである。 キツネ様、ますますすげーな。 日本文化の古層に眠るスーパーパワーを持った神なのに、秦氏と同じく、けっして歴史の表には出ず、朝廷を支え、土着民とか花魁とか、庶民の味方であるというところがイイね!(^^)! 夏休みに開催される黒、赤、白、銀、金の5大キツネ祭りは、招き猫に由来するのである。 狂ったようにミサイルを打ち続ける金正恩、米空母カール・ビンソンの日本海駐留、北朝鮮国境に集結する中ロ軍、韓国の反日大統領の誕生、森友学園問題、憲法改正、豊洲移転問題などなど、2017年、日本を取り巻く状況は一触即発、危機一髪。 そんな中、BABYMETALは、5大キツネ祭りによって人々の不安を吹き飛ばし、千客万来、日本の平和と繁栄を祈願するのである。 そこで、5大キツネ祭りのグッズとして、アミューズには、ぜひ5色の招きキツネ様を制作し、販売されることを希望します。これを日本全国、いや世界各国のメイトのオフィスや机の上に安置すれば、世界平和、商売繁盛間違いなし。 2010年の重音部結成時、KOBAMETALが教えたメロイックサインを、幼かった三人が「影絵のキツネさんだ」と思い込んだことが、BABYMETALがキツネ様を「メタルの神」としたキッカケである。 それから7年。BABYMETALは奇跡としか言いようがない世界的活躍を成し遂げている。 そのすべてを、キツネ様は導き、見守ってきた。 やはり、BABYMETALは、日本文化のど真ん中にいるのである。 Source: 私、BABYMETALの味方です。
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sabooone · 8 years ago
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3|或る晴れた日に
あゝ笑つてゐる――
斯波の視線の先には庭で花を愛でる百合子がいた。 自動車を野宮の邸の道の脇に停め、車窓ごしに庭を盗み見る。 硝子を隔てた上に、遠目からなのでその表情は実は殆ど見えない。 けれど、斯波には分かった。 柔らかい藤色の着物の裾の動き、繻子のように白いしなやかな腕の動き一つで、 百合子が今幸せなのだと。 その仕草に、目が離せな��った。 無言で、背凭れに身体を預けて、百合子の様子を息を潜めて見守る。 耳を澄ませれば、百合子の明るい声さえも聞こえてきそうだった。 斯波は春の日差しの眩しさに目を細める。 運転手が無粋にもその沈黙を割って声をかけた。
「邸に入られなくてよろしいのですか?」 「ここで良い」
短く答える。 そろそろ自動車を動かさなければ不審に思われる。 分かっているのに、名残惜しく斯波は運転手に声を掛けられない。 百合子の姿が木陰で隠れ見えなくなってしまって、ようやく重く一つ息を吐く。 そして、頬にぴりりと視線を感じて邸を見ると、瑞人が二階の部屋から見下ろす様に立っていた。 斯波は視線をそらせて、正面を向いた。
「出せ」
一番見られたくない人間に見つかって斯波は舌打ちする。 ある舞踏会に招かれた夜、どこで斯波の所在を知ったのか瑞人が乗り込んできて大勢の目の前で斯波を殴った。 ひ弱な若様と侮っていたが、殴られた後の左顎は一週間は青く腫れ、熱を帯びていた。 しばらくは咀嚼も難儀で肉も食べられず、洋酒も歯茎に滲みるので避けたほどだ。 もう痛みのない顎に手をやって、足を組み直す。
清との貿易が上手く行かなくなって半年が過ぎた。 どうにか状況を打開しようと、国内の工場を新しく稼働したがこれも順調とは言いがたい。 斯波の仲間内では、もう船で儲けられる時代は終わった、と誰もが口にする。 それを考慮しても大道洋行の凋落は世情や景気の所為とは考えにくい事態だった。 船を出せば出すほど赤字になる様なら、いっそ事業を分散させ別々に売り払った方がいい。 山崎と話し合いそう決めたが、まだ株主や社員への通達が残っていた。 エンジンの音と自動車の揺れを身体で感じながら、斯波は重い瞼を閉じる。
毎日会社に通い詰め、遅く帰っても百合子はいつも憂鬱そうな暗い顔をしていた。 どんな贈り物を贈っても能書きのような感謝の言葉と作り物の笑顔。
「貴方は純粋に俺の金が目的で結婚したんだろうな――」
何もかも上手くいかない、その苛立ちからいつにない厳しい言葉で百合子を追い詰めた。 自分と結婚するように仕向けたのは斯波自身だというのに、まるで百合子を攻めるように言葉を続けた。 それが八つ当たりだと自分でも分かっていたが止められなかった。 十ほども幼い小さな少女を乱暴に抱いて、増々百合子の心が離れていくのが分かった。 百合子が妊娠したと知っても、辛く当たるのを止められなかった。
(金が目的ならばそれで良いじゃないか。今更それをあばいてどうなる。  だが、もし、金がなくなったら? 彼女は俺の元から去ってしまう――)
そう考えると恐怖でどうにかなってしまいそうだった。 斯波は何かに追い立てられ逃げるように洋行の船に乗る。 手酷く抱いた朝は自己嫌悪で吐き気がしたのに、一日も経てばまた百合子を抱きたくなった。 未だ見たことのない、百合子の心からの笑顔を思い描いては、洋行先の店で宝石や流行りの服を買う。 百合子に贈り物を止めてほしい、と言われた時の虚しさと悲しみ。 いつも百合子を思い、品を定めるのは斯波の唯一の楽しみになっていた。 それを、百合子自身に否定され、斯波は悲しみを怒りで覆い被せて隠してしまった。
百合子の月のものが止まったのが、妊娠ではなく心因的な物だと言うのは船の上の手紙で知った。 妊娠したという事が分かった時、百合子はどんな贈り物でも開かなかった心を少しだけ開いた。 口元を綻ばせ、瞳に涙を滲ませながら、亡くなった父母に知らせたいと、墓参りに行った。
帰京した夜、斯波は百合子の顔を見るのが怖くてたまらなかった。 そして虚ろな表情で、抱いてほしいと繰り言を呟く百合子が痛ましく耐えられなかった。 百合子をここまで追い詰めたのは自分だ。 客間で百合子を寝かせ、女中に眠れる薬を出させる。 扉の影から百合子が泣きはらした瞳で、しゃっくりを上げながら薬を飲むのを見る。 飲み終わって敷布にくるまり、声を押し殺してまた泣くのを部屋の外で聞く。
(――俺は彼女を助けるために、その為だけに生きてきたんじゃないのか)
今更百合子に愛を求めるのは、あまりにも強欲に思えた。 何よりその斯波の強欲さが、百合子は不幸にしてしまう。 すすり泣く声が寝息に変わる。 しばらくして斯波はゆっくりと音を立てないように扉を開けて部屋へ入った。 広い寝台に百合子が横になっているのを新台の側で佇んで見入った。 赤く火照った頬に涙の後が残り、髪の毛を一筋張り付けている。 寝台に腰掛ける。 百合子の蒼いほど白い額、熱を持った頬、艶やかな髪の毛に手をやった。 頬にかかった髪の毛を優しい仕草で脇にやり、髪を梳いた。
愛していたから、結婚した。 そして、愛しているから離縁するのだ。
斯波はようやく決心をつけ、眠っている百合子に口付けた。 頬から伝う涙が百合子の頬に落ち、濡らす。 柔らかな唇にそっと触れるだけの口付けを繰り返す。 斯波が最後に百合子に贈った物。 それは、手に触れられなければ、身にも飾れない、目にすら見えない物だった。
(ああ、笑っている――)
どんな贈り物をしても心を開かなかった百合子が、笑っていた。 幸せそうに、笑っていたのだ。 例えそこに自分がいなくても百合子が笑っている。それで十分だった。
///
「随分と足元を見られたものだな」
同業者に船や倉庫を売り渡す時期になって、そのあまりの安さに斯波は顔をしかめた。 相手は同じ貿易業者として何度も言葉を交わした事のある相手だ。 夫人の催しの茶会や会社の記念式にも招かれる親しい間柄だった。 倒産の話をしたら、いかにも残念そうな顔をし何でも力になると固く手を握ってきた。 情に厚く気の良い友人の様に思っていたが、実際はそうではなかったらしい。 会社の傾きが明るみになると、今までは友人のように思っていた人間が次々と斯波の前から消えていった。 商売は信用で成り立っている、取引相手などは仕方がないとまだ諦められる。 だが、社内にも問題が残り、突然積荷が消えたり在庫が減る事態に見舞われた。 元々信頼を寄せる部下も山崎と僅かしかいなかったのだが、能力による不遇を逆恨みする人間が居る様だ。
「何もかもが莫迦らしくなってくる……」
煙草に火を付けて、煙を燻らせながら自虐的に笑う。 銀座に構えていたビルは次の買い手が決まり、不要な事務用品を運び出していた。 その喧騒を避けるように、応接室に灰皿だけを持って窓辺に腰掛ける。 銀座街道と呼ばれる通りは自動車や俥、電車が行き交い、 モダンで洒落た格好をした人が気取って歩く。 かつてその一員だった斯波は、どんな気取った人間も纏っているもの一枚脱げば獣だと笑う。 茶色の封筒に書類を戻して、山崎に渡す。
「向こうの言い値で売れ」 「しかし――では、私に交渉役をやらせてください。向こうの値の倍はつくはずです」
斯波は山崎の言葉に顔を上げる。 煙草の火を灰皿に押し当てて消すと、改めて姿勢を正して山崎を見る。
「お前は向こうの会社に引き抜かれる事が決まっているだろう。  そんな事をしたらそれもどうなるか分からんぞ」 「この会社は――我々が育てた子供の様な存在です。  売ってしまうとして、どうして悪条件で手放せましょう」
斯波一人の会社なのではないと、山崎は言う。 社長は一人だが、その下には何人も社員が部下がいる、全てを含めて一つの会社なのだと。
「社長はお仕事をされている時、とても楽しそうでした。  それが付き合いのための会食や、根回しのための舞踏会などであっても。  いつも堂々とされた姿に、我々は本当に誇り高かったものです」 「――楽しそう、か」
斯波は山崎の言葉を反芻する。 生来の気性からか、人付き合いは苦ではなく世辞も冗談も嫌いではなかった。 会社が軌道に乗ってからは、社員が増えると事務作業や現場の作業をする機会は減り、 人付き合いや会社の付き合いの方が多くなっていった。
「会食や会合、舞踏会や芸者遊びを無駄遣いと一概に責める人間はそれこそ視野が狭い。  そこで作られる財界の伝手、政治的繋がりがどれほど重要か分かっていないのです」 「お前、新聞を読んだのか」
斯波は苦笑いしながら言った。 新聞がそれらの叩きやすい事柄をやり玉にあげていたのを思い出す。 斯波の邸も成金趣味と辛辣に斬り捨てられ、庭の桜を日本人的情緒の欠落とも書かれた。
「――お前の言うことは分かった。だが……」 「ご心配には及びません、私は優秀なので引く手数多ですから」 「随分と勇ましいな」 「社長に借財を残す訳には参りません」
山崎はそう言ったが、損失分に加え社員や工員の給料の未払いが随分ある。 切り替えが早かったので首を括るという事態は避けられそうだが、相当額の借財になりそうだった。 野宮の借財の権利が高利貸しに譲渡されていた時のことを思い出す。二の轍を踏むわけにはいかない。
「社長は――今後はどうされるおつもりなのですか?」 「……そうだな、ある知り合いが工場の責任者を探していると言うのでな」 「奥様はどうなさいます」
百合子から何度か連絡があったのを斯波も山崎も知っていた。 応接室の外をがやがやと家具を運ぶ声が聞こえる。 大勢の足音が去り、一旦静かになるのを待って答えた。
「別れた妻だ。今更何も関係ない。  何を聞かれても俺のことは言うな」 「――分かりました」
山崎は斯波から書類を受け取ると、一礼して部屋から出た。 斯波は窓から山崎が忙しなく雑踏に紛れるのを見て、溜息を漏らした。
二度と、会わない方がいいのだ。 そうでないと、固く誓った決意が揺らいでしまう。
百合子と瑞人の名代で藤田が銀座のビルにまで来たのは五月の終わり頃だった。 その頃には殆どの片付けは終わっていて、ビルも人手に渡っていた。 残った借財は信用の置ける知り合いに肩代わりしてもらい、斯波はその人物の持つ工場で働くことになっていた。 東京の郊外、工場の近くに家を借りて今はそこで寝泊まりしていた。 上質の布地のオーダーメイドの洋装に久しぶりに袖を通す。 これが終われば、この服も売る手はずだった。 野宮の家令と会うのにあまり見窄らしい格好では示しがつかない。
藤田が怒り心頭とばかりに応接室を出て行く。 紙の焦げる匂いに、ふと甘い匂いが混じっている様な気がする。 灰になってしまった手紙は指で摘むと、ぽろぽろと崩れ落ちた。
(何と書いてあったのだろう)
斯波は考えを巡らせたが、もはや一生分からない。 百合子から斯波への手紙など、初めて書かれた物ではないだろうか。 内容の知れぬ手紙。 薄い桃色の封筒の端に書かれた”百合子”という美しい手蹟ばかりが瞼の裏に残った。
///
(ここに置けだと? ――どういうつもりだ。  ��の家令も殿様も、何故止めない!)
百合子と藤田を乗せた自動車の音が遠ざかるのを聞いて、斯波はよろよろと立ち上がった。 背を預けていた引き戸がみしりと軋む。
家の中は明かりがつけられ、淡黄色の光が居間を照らす。 居間には畳んでいた卓袱台が出て、上に布巾が掛けられている。 取り払ってみると、小皿に焼いた茄子やつけものが乗っていた。 櫃には温かいご飯に、竈の上には味噌汁の入った鍋が置いてある。
(――まさかこれを? ……いや、藤田か)
そして斯波は居間の畳に、忘れられたらしい巾着が置かれているのに気がついた。 その中に一葉の写真を見つけた。掌ほどの小さな写真だ。 写真の中の百合子の顔。
(あんな顔をさせたいんじゃないんだ)
今日の暗がりの中で見た百合子の顔を思い出す。 野宮の邸で見せていた笑顔とは程遠い、斯波に怯えたような顔。 百合子の姿を見た時、まさかと思った。 何故という疑問と驚きの中に、隠し切れない喜びがあったのを斯波自身分かっていた。
借財の額に、仕事の過酷さ、見窄らしい借家、食べ物の貧しさ。 百合子にはそう言った苦労とは無縁であるべきだ。 美しい庭で花に囲まれ、穏やかな日々を過ごす。 百合子の幸せの為に、離縁したのだ。
ぶんぶん、と紛れ込んだ蛾が光に惹かれてこつこつと電球にぶつかる。 斯波はようやく立ち上がり、土間に降りた。 そして湯のみに水を入れ、一気に飲み干す。 隣の竈の味噌汁の匂いに誘われ、お玉で一口掬い啜ってみた。 塩味の足りない味噌汁は、味が薄くお世辞にも美味しいとは言い難い。 だからこそ、余計に斯波を戸惑わせるのだった。
(同情だ) (どうして今更) (信じられるものか) (どうせ、もう二度と来ない) (また去って行く) (彼女が不幸になる) (会いたかった) (駄目だ) (嬉しい) (責任感だ) (明日は来ない) (俺は期待している) (一時の気の迷いだ) (会いたい、駄目だ、駄目だ)
様々な思いが交錯し斯波は両手で頭を抱える。 心臓の鼓動が早い。胸が、苦しい。 忙しく働くようになって、久しく忘れていた感情がざわめき立つ。 狂おしいまでの愛憎だった。
一度会ってしまえば決心が揺らぐと分かっていた。 百合子を愛しくて愛しくて堪らない。
だが、百合子は斯波を愛してはいない。 この家に来たのも同情心と責任感からだ。 そして、百合子の言葉通り百合子をここに置き、一緒に暮らすようにでもなれば。 そうなれば、斯波は百合子を二度と手放せないだろうと思った。 例えそれが、百合子を不幸に貶めると分かっていても。
(俺は恐ろしい……)
同情だろうが責任感だろうが、もはや構わないとすら思う。 愛する人を不幸にすると分かっていながらも、これ程までに強く求めてしまう自分自身が。
///
野宮百合子様
私が貴方の元から去ってしまって、随分と経ったような気がします。 あの頃の貴方は、老齢の女の様で、それでいて五つの童女の様でした。
今になって、何故貴方に手紙を書くのか――。 友人が、無精だから手紙は書かないと言っていたのを思い出します。
けれど、私は今、何だかとても、無性に。貴方に。 今の私の気持ちを書き残しておきたいと思ったのです。
一方的に別れを告げておいて、何を今更と思う事でしょう。 私は貴方を捨てて逃げながら、その実何度も貴方を探しました。
そして日々の中、貴方は遠くへ行ってしまったと思いながらも、 どうしてか、いつも貴方が側に居てくれていた様にも思うのです。
この手紙が実際に過去に届く事はないのですから、 これは私のひとりよがりにすぎません。
それでも、あの日何もかもに惑っていた私へ届く事を願います。
///
淡い緑色の紗。 百合子は夏らしい爽やかな色合いの着物を手に取りふと考えこむ。
「お洋服にしようかしら……」
箪笥の隣のクロゼットを開ける。 斯波から譲り受けた夜会服が掛けられる分だけと、滅多に装わない洋服もいくつか掛かっていた。 長袖の白いブラウスに、丈の長い濃紺のスカートを手に取り、寝台の上に並べる。 着物と見比べ、一つ頷いて百合子は洋服に着替えた。 背中まである長い髪を深緑のリボンで一つに結わえて胸に垂らす。 クロゼットの底部に備え付けられた棚に磨かれた黒い靴もあった。 鏡に全身を映してみると、着物の時よりも幾分幼く見えた。 昨日の斯波の言葉を思い出し、心が不安に揺れる。 ふるふると首を振り、目を閉じて大きく深呼吸を繰り返す。 朝の清廉な空気が胸いっぱいになり、揺れた心が収まった。 藤田の待つ玄関まで駆けて降りる。
「藤田、お待たせ」 「お早う御座います、姫様。  ――洋服ですか?」 「そう、着物は袂を上手く纏められないし……変かしら?」 「いいえ、お似合いです。  何だかお若く見えますね、女学生の頃のようです」 「私も同じ様なことを思ったわ」
藤田の言葉に百合子は微笑った。 自動車に乗り込むと藤田がエンジンを掛ける。 昨夜斯波にあんな追い出され方をしたのに、藤田は百合子に何も言わなかった。
斯波の家に行く前に、朝市に寄り野菜の選び方やお金の使い方を藤田に教えてもらう。 百合子は馬鈴薯や魚の干物、朝市名物のおこわを買う。 上品な若い女の客と言うだけで、饅頭や漬物などをおまけしてくれた。
「でも、悪いわ……こんなに」 「今後も贔屓に、と言うことでしょう。  それに、姫様は昔から愛敬さんでしたから――」 「愛敬? そう言われてみればそうかもしれないわ。  お前もよくチョコレートをくれたものね」 「屈託なく笑われるお顔を見るとどうしても甘くなってしまいます」
藤田が珍しく苦笑するのを見て百合子の心も明るくなる。 市場のざわめきが何とも耳に心地よかった。
斯波の家に着くと、仕事に出た後だった。 藤田が家の鍵を開けるのを見ながら呟く。
「――今思ったのだけれど、これって泥棒よね」 「何も盗まず、夕ごはんを作って帰る泥棒ですか?」 「藤田、今日は私一人で居るわ。  昨日の様にお前にまで迷惑掛けられないもの」 「……ですが」 「大丈夫よ、ね?」 「……」
百合子が明るく笑って言ってみるが、藤田は顔を顰めて百合子を見下ろす。 迷っている藤田の腕を持って百合子は続ける。
「もしも、追い出されたらどうにか電話のある邸を探して連絡するわ」 「夜半にですか? 無茶すぎます」 「大丈夫、追い出されたりしないわ」 「――分かりました。では私は一旦お邸に帰ります。  そして夜半ごろまた様子を伺いに参ります」 「分かったわ」
藤田はそう言うと市場で買った野菜を土間に運んだ。 心配そうな顔をしていたが、百合子が何度も念押しするとようやく自動車に乗った。 自動車を出すまで延々と心配事が口をついて出て、百合子はそ��言葉一つ一つに分かっているとばかりに何度も頷くことになった。
「火傷には気をつけてくださいね。それから火事にも。  訪問客が来たからと邸の様に軽々出てはいけません。  刃物に気をつけて、お皿も割ってしまったらその破片に気をつけてください」
最後は野菜の棘や魚の小骨に気をつけろとまで話しが及ぶ。 それでもまだ心配だと藤田が続けようとした所で、他の自動車が後ろに現れて仕方なしに自動車を発進する。 離れ行く自動車に向かって百合子は小さく手を振った。 藤田の乗った自動車があぜ道を抜けて小さくなっていく。 その先には晴れ渡った青い空に真っ白な入道雲が広がる。 午に近くなって、太陽が増々明るく、じりじりじりと蝉が鳴く。
居間の机の上には布巾をかけたまま手付かずのままの昨日の夕食が置いてあった。
(悲しいなんて思う資格、私には無いわ)
百合子は自分にそう言い聞かせて残った夕食を土間に運ぶ。 不恰好な切り口の胡瓜の漬物、身の殆ど無くなった焼き茄子、塩辛すぎる味噌汁。 それでも、百合子は斯波がこれを口にしただろうかと何度も思い返していた。 手を付けていないかもしれないと自分に言い聞かせてみた。
(でも、こんなにも悲しいなんて……)
斯波の邸で食欲が無いからと食べ物を残していたのを思い出した。 百合子は冷たくなったご飯に塩を振って握る。 皿におにぎり三つと漬物を乗せて布巾を掛けると、戸棚の涼しい所へ置いた。
「お部屋が少ないから、お掃除も簡単ね」
百合子はつとめて明るく言うと、雨戸を開けて風を通しながら部屋の中を掃除する。 布巾を濡らして固く絞り、机や家具を拭く。 居間の隅に畳まれた布団を、表の物干しで干した。 日差しは増々強くなり、肌が焼けるようだった。
百合子は不思議と涼しい土間に戻ると朝市で買ったばかりの馬鈴薯を取り出した。 蛇口を捻り盥に水を溜めて馬鈴薯を洗う。 土が水に流されて、黄色い皮が見えてくる。 水は出始めは生ぬるかったが井戸から引いている水は、次第に指先が震えるほど冷たくなった。
空気の通り道に気を払いながら、竈に火を入れる。 百合子は鞄の中から料理の覚え書きを書いたノートを取り出して水道の横に置く。 まだ料理が得意ではない百合子のために、藤田が料理に工夫を凝らしてくれたのを注釈で書いている。
(本来なら、馬鈴薯の皮は最初に剥いた方が良いでしょう。  けれど、慣れるまでは皮つきのまま茹でて下さい。  茹で上がった時に手で剥いだ方が安全です)
百合子は馬鈴薯の泥を落とすと、鍋に水を入れて馬鈴薯を2つ転がす。 そしてそのまま竈の上に置いた。
(マッシュは早めに作って置くといいでしょう。  魚の干物は斯波様がお帰りになる頃に焼きあがるようにすると良いかと)
藤田の言葉を思い出しながら、馬鈴薯をつつく。 茹で上がると火傷に気をつけながら湯を捨てて、まな板の上で半分に切る。 上手く茹でられた馬鈴薯は身と皮が剥がれやすく、手で簡単にするすると剥けた。 小さく切って深い皿に入れ、木杓で潰す。途中塩と胡椒で味をつけて、味を見る。
「美味しいと思うのだけれど――」
料理が下手な自分だけでは正確な評価は心許なかった。 一息着くと、丁度午砲が鳴る。 戸棚にしまっていたおにぎりと漬物、冷たい味噌汁で昼ごはんにした。 質素な食事だったが、自分で作ったからかお腹が空いていたからか美味しく感じた。
午後からは持って来た裁縫道具で箪笥の中のシャツの釦留めをしたり、家の前を竹箒で掃いたりした。 日が暮れ始めると干していた布団を取り込み、雨戸を閉める。 蚊取り線香に火を入れ、電気をつける。 昼の内は汗が流れるほど暑かったが、日が落ちると急に冷え込んだ。 溝の蛙がげこげこと喉を鳴らし、小川がさらさらと流れる。 時折、子供たちのはしゃぐ声が遠くに聞こえ、突然の風に青々とした草葉が揺れる。
百合子は机に馬鈴薯のマッシュの皿を置き、市場で買ったおこわを茶碗に盛り、湯のみを置く。 七輪に火を入れて、網を乗せ魚の干物を炙る。 じゅわと干物の脂が炭に落ちる度にもくもくと白い煙が上がった。 ぱちぱちと炭が爆ぜる度に、きらきらと火の粉が舞う。 しばらく炙っていると、魚の焼けるいい匂いがしてきた。
そろそろ焼き上がりと言う時に、家の勝手口の引き戸が開く。 怒ったような表情をした斯波が大股で百合子に近づくと腕を掴んで引き上げる。
「俺に関わるなと何度言えば分かるんだ!」 「どうして、どうして、関わってはいけないの?」 「迷惑だと言っているんだ!  同情か気紛れかしらないが、もう二度とここには来るな!」
斯波の気迫に呑まれ百合子は唇を噛む。 男性から怒鳴られた事のない百合子は斯波の声と言葉に怯む。 掴まれた腕が痛み、目を強く瞑って首を振る。
「貴方にはこんな生活は無理だ!」 「無理なんかじゃないわ!」
百合子が気丈にそう言い返すも、斯波は居間に置いていた鞄と巾着を掴み百合子に押し付ける。 そして百合子を家の外に押し出して引き戸を閉める。 押し付けられた荷物が腕から地面に落ちる。 百合子はしゃがんでそれを拾うが、身体が重く立ち上がれなかった。
「無理なんかじゃ、ないわ……」
小さく呟くとぎゅうと荷物を抱きしめる。 朝市での買い物や、料理に掃除に裁縫――今まで出来なかった事を少しずつだが覚えていったのだ。 百合子は引き戸に向き直り、声を絞り出すように言葉を紡ぐ。
「私、毎日だって来ます。明日も、明後日も……」 「どうしてだ。――どうして、今更!」 「それは――」
百合子の声が詰まり、沈黙が降りる。 ささくれだった引き戸にそっと触れて、息を吐く。
「貴方と、同じ気持ちだから……」
百合子の言葉に斯波は答えなかった。 静寂の夜に、ざわざわ、と青葉が揺れる音が響く。 人の気配がしてそちらを見ると藤田が自動車で迎えに来ていた。 そっと引き戸から手を放し、鞄を持つ手に力を込める。
「馬鈴薯のマッシュ。水っぽくなってしまったの。  でも、――明日はもっと上手く作れるわ」
百合子はそう言うと踵を返した。 斯波は足音が遠ざかるのを聞き、土壁を拳で殴る。 乱暴に前髪を掻き毟り、頭を抱えて自分に言い聞かせるように怒鳴る。
「嘘だ! 信じられるものか!  彼女は俺を愛していない! 愛してなどいなかった!」
乱暴に居間に上がり、夕食の乗った机の端を持つ。 こんなもの、と怒りに任せてめちゃくちゃにしてしまいたかったが出来なかった。 机を持つ手が震えて、力なく居間に座り込んだ。
「明日も来る――お姫さんが明日も……」
斯波は箪笥に背中を預けて、ぼんやりと天井を仰ぎ見る。 そして、力なく笑った。
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本来なら寝ている時間帯だ。 瑞人は蒸し暑い銀座をいつもの着物姿で歩いていた。 昼をすぎてくらくらしそうなほど眩しく健全な日差しにうんざりとばかりに溜息をつく。 石畳の道路は熱気を孕み、温石のように足元から温める。
「あーあ、何でこんな日にこんな所でもって……」
少し歩いただけなのにもう額に汗が浮いている。 指先で濡れた前髪を払いながら、ようやく目当てのカフェを見つける。 黒檀の落ち着いた色合いのモダンな扉に、真鍮造りの窓枠、色硝子の嵌められた仕切り。 外の壁は赤い煉瓦造りで、緑の蔦を青々と繁らせていた。 ひんやりとした空気が流れていて、瑞人は大きく息を吸った。
女給が寄ってくるので、にこやかに微笑んで待ち合わせだと告げる。 奥まった机に案内されて、籐で編んだ涼しげな椅子に座ってひとごこちつく。 呼び出した当の本人はまだ居ないようだった。
「お飲み物は?」 「カルピスにしようかなあ、暑いから」
そう言って目を細めて笑った。 グラスに波々と注がれたカルピスを一口飲んで喉を潤す。 甘ったるい酸味が舌の上に広がり、知らない内に瑞人は微笑んでいた。 がらんがらんと乱暴な音がしてカフェの扉が開いたので、瑞人は待ち人が来たと感じて眉を顰める。 足音も大きく、仕切りから現れた長身の男は乱暴に椅子を引いて座る。 女給が慌てて聞く。
「お飲み物は――?」 「いらん!」
やれやれとため息をつくと、先程まで良い心地だったカルピスの甘酸っぱさが胸に焼けるようだと思った。 赤っぽい髪の毛を撫で付けて、半袖のシャツに茶色のズボン。 首からは手ぬぐいを下げていて、よく見るとシャツもところどころ油染みが浮いている。
「で、何の用だい」 「分かっているだろ、お姫さんの事だ!」 「百合子がどうかした?」 「どうかしたじゃないだろう――」 「怒鳴らなくても聞こえるよ」
相変わらずの早口で強引な口調に、瑞人は呆れて身を引き腕を組んだ。 斯波は腰を浮かせて畳み掛けていたが、のらりと瑞人に話の腰を折られて憤然と椅子に掛け直す。 そうして向い合ってようやく余裕が生まれたのか、特有の傲慢さの滲み出る笑いで顔を歪める。
「殿様は相変わらずのご様子ですね。  妹がどこで何をしていようが、興味も無いらしいな」 「百合子は、確かに僕の妹だがあの子ももう大人だ。  何をしようが、あの子の自由だよ」 「自由! 随分と都合のいい言葉だ」
斯波が鼻で笑う。 瑞人はそれを一瞥して首を傾げる。
「百合子の事なら、直接百合子に言えばいい。  どうして、僕を呼び出したりするんだい?」 「迷惑だと何度も伝えたが、止めないから貴方を呼び出したんだ」 「本当に迷惑だと思うなら、家の鍵を変えればいい。引っ越せばいい。  それとも手でも上げてみればいいじゃないか、どうしてそうしない?」 「貴方は――お姫さんが不幸になってもいいのか?」
斯波は机の上に置いた手を固く握る。 瑞人はグラスを傾けて、もう飲みたくも無くなったカルピスを一口含む。 今は眉間に皺を寄せるほど、甘い。 瑞人ののんびりとした動作を、斯波は苛立ちながら見ているのが分かる。 視線を合わせず、伏せていた瞳をあげ、ぱさりと垂れた前髪も掻き上げる。
「あの時の百合子、幸せそうに見えたかい?」
斯波は一瞬口を噤む。 あの時、と明確な日時を言わなかったが、おそらく斯波が百合子を盗み見た日だろうと推測する。 瑞人の涼やかな目元は感情がなく、何を考えているのか読み取れなかった。 そうだと認めるのは、あまりに悔しく斯波は喉から声を絞り出すように唸った。
「ああ、見えたさ! 俺の邸に居た時とはまるで違った!」 「――君は分からないだろうから、言うけれど。  あの子は、僕達の前では幸せそうに笑うんだよ」 「幸せだからだろう!? 家族も、使用人も邸も金も花も、あるからだ!」 「僕達が心配するから幸せそうに振る舞うんだ」
瑞人は一つ大きく息を吐く。 そして痛ましげに顔を歪ませた。
「まるで、幼い頃の様に。そうさせているのは僕達だ」 「――それならそれで、新しい縁談でも探してやるのが貴方の役目だろう!」 「あの子がそれを望んでいないのに? またあの子を苦しめろと?」 「また百合子さんを借金まみれにしたいのか?」 「こちらにも備えがある。  財産を整理し、爵位を返上する用意があるんだ」
瑞人の言葉に斯波は息を呑んだ。 野宮の財産のほとんどは斯波が百合子に譲った物ばかりだ。 百合子が野宮の邸で恙無く暮らせるように、というその思いだけだ。
「何故、俺を放っておいてくれない」 「それを、僕から説明されたいのかい」
冷たく言い放たれ、斯波は呻きながら肘をついて手を握る。 頭が鉛を詰め込まれたように重い。ぐらぐらする思考、瑞人の言葉が反響する。 脂汗が背中を流れて、暑いはずなのに全身に寒気が立ち震える。
「百合子は、自分の誕生日の夜会に父を亡くした。そのすぐ後に母を。  あの子が!僕に聞いたんだ! 自分は幸せになってもいいのかと!」
瑞人は声を荒げて斯波に言う。 けれど、本当に責めたいのは自分自身にだった。 百合子は不幸な連鎖の原因が自分にあると思い、ずっと罪を背負ってきた。 どうして、それを気づいてやれなかったのか。 百合子は言えなかっただろう、瑞人は父も母も血が継ってはいない。 ずっと家族のふりをしてきた。 二人の死でそれがようやく終わったと思い、心のどこかで安堵していた。 そんな、名ばかりの兄に百合子はとても言えはしなかっただろう。
家族や使用人を心配させまいと、幸せそうに笑う。 瑞人の複雑な心の裡を察して、一人で苦しむ。
瑞人は瞳を閉じる。心を落ち着けて、昔を懐かしむように言った。
「百合子はね、みんなに好かれていたよ。  いい子で、笑顔が可愛くて、話が上手で。  どんな嫌な子とだって、誰とだって、上手くやれるとても賢い子だった」 「……だが、俺は嫌われていた」
斯波が自嘲的に笑う。 瑞人はいつも通りの嫌味らしい苦笑いを顔に張り付けて淡々と言った。
「君みたいな野蛮人にだって、百合子はにっこり笑って愛しているふりだって出来たに違いない。  けれど、そうしなかった。出来なかった。なぜか? 考えてみるといい」
瑞人はそれだけ言い残すとカルピスの代金を机に置いて、立ち上がる。 淀んでいた空気が動き、一気に店内の雑音が耳に戻る。 店を出る際に置き時計を見て、つい目があった女給に少し微笑んで扉を開けた。 長く話し込んだと思ったのに五分と経っていなかった。 暗い店内が夢だったように、眩しい日差しと湿った熱気が全身にまとわりつく。 雑踏の喧しさに蝉の鳴き声に頭が割れるようだった。 眩しさに目を細めながら、銀座の街へ歩き出した。
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百合子は居間へ入るなり、机の上をみて目を丸くした。 おこわにも魚の干物にも手をつけられてはいなかったが、唯一馬鈴薯のマッシュだけは無くなっていた。 食べ終わった皿と箸を流し台に運び、洗う。 固くなってしまった干物は身をほぐしてお茶漬けにすればいいと藤田が教えてくれた。 薬味の生姜とか葱を少しと、海苔を炙って散らすと美味しいと言っていたのだ。
「暑いから食欲がないのかもしれないわ」
百合子はそう頷きながら、干物をほぐして皿にまとめる。 おこわもおにぎりにしてしまう。 固くなっているかもと不安になったが、胡麻油が入っているようで一晩たってももっちりとしていた。 戸棚には白いおにぎりと焼き茄子がある。 傷んでいないか匂いで確かめながらも、はっきりと分からずに首をかしげる。 一緒におこわのおにぎりと干物も戸棚に入れてきっちりと戸を閉める。 日の高い内に布団を干し、掃除を終える。 ふと竹で編んだ籠を見てみると、汚れたシャツに手拭い、下履きの肌着があった。 百合子は一人はっと息を飲む。そして、じわじわと頬が染まるのを首を振って追い払う。 茶色い染みが浮いているシャツを取ると機械油の苦い匂いがした。 そのかわりに、いつも斯波が付けていたオー・デ・コロンの香りも紙巻煙草の匂いもしなかった。 大胆に鼻を近づけてシャツの匂いを嗅いでいる事に気が付き、慌てて身から離す。 すっかり顔なじみになった又隣に住む道子に洗濯用の盥と洗濯板と石鹸を借りる。 三つの女の子と生まれたばかりの男の子の世話で忙しそうな様子だった。 手伝おうかと言われたが、量も無かったので断った。
「そういえば、いつも中庭に洗濯物が干してあったわ」
それは斯波の邸の記憶だった。 あの大きな邸の洗濯物は一体どれほどになるのだろう。 灰色に濁る水を外の水道の流しに捨てた。 夏は涼しくて良いが、冬だと寒くて大変だとまだ先のことをちらりと心配する。 洗濯物を干し終えて額の汗を払いながら冷やしたお茶を飲む。 午砲はまだだったが、おこわのおにぎりと焼き茄子を食べた。
靴下に出来た穴を不器用ながらに繕い、余所行きらしい黒い靴の泥を落として磨く。 水回りを細かく掃除して、勝手口のあたりの雑草を抜く。 見渡せば、道の端は全て青々とした雑草なので、真剣に草抜きを始めると切りが無い。 日が傾く頃になると洗濯物と布団をしまう。
「習慣になってきたら、何をすればいいか分かってきたわ」
百合子は洗濯したものを畳んで箪笥にしまいながら呟く。 土間に降りて、泥のついた馬鈴薯を二つ取り出した。
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