#もっともっと運転に飢えたところでこの子が休みの日に合わせたら京都まで運転してくれないかなぁ
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June 6, 2018 Chiba Japan by iPhone7+ #昨日は焼肉女子からお腹すいたと呼び出されて行ってきた #ドンキに行きたいと呼び出されたり腹がへったと呼び出されたり #テッチャンは大好きだけどどのぐらい焼けばいいのかわからないから焼いてと焼かされたり #この焼肉女子に限らないんだけど焼肉とかBBQに行くとほぼ必ず焼かされる #牛タンと中落ちカルビとテッチャンとウィンナーが好きといえばそれだけでどっちの焼肉女子か覚えてる人もいそう #最後の楽しみで1つずつ残してたから途中で勝手に焼いてあげて焼けって言ったじゃんと言ってやろうかと思った === #食後はもう1人の焼肉女子も合流して911ワゴンRで謎の深夜ドライブ #ムーブが相変わらずエンジン不動のままで運転に飢えてるらしい #もっともっと運転に飢えたところでこの子が休みの日に合わせたら京都まで運転してくれないかなぁ #自分のクルマの後部座席に乗るの初めてで新鮮だったけどiPhoneを充電するためのUSBが後部座席にも必要だということに気がついた === #油温計に続いて油圧計も取り付けてみたんだけど高速道路だけでなく普通に下道を走っててもオイルエレメントの取り付け部分で油温110度から115度って高すぎませんか? #水温は90度から98度で安定してるのに #そりゃあ30Wのオイルのまま荷物満載でアクセル踏みっぱなしで山道を登っていけば焼きつきますよね #ただし焼肉女子の走り方だと油温100度以下のまま上がらないんだよなぁ #後ろのクルマが車間を詰めてきたり黄色いセンターラインを無視して追い越して行ったりするけど #油温100度以下の走り方を無言の大前提に今の季節はまだオイルは30Wで大丈夫でしょとされてるなら110度まで上がるなら40Wだし普通の���行速度で115度キープならやっぱり50Wで正解だったってことになるよね #オーバーヒートさせないために油温計を取り付けたんだからエンジンへの負荷を考えながら油温が100度以上にならないよう走れってことなのかも #どのぐらいの登り坂で油温が何度ぐらいまで上がってその時に油圧がどこまで下がるのかそろそろ試してみようかな #オイルエレメントの取り付け部分が115度の時にオイルパンで何度なのかオイルパンにも油温計を取り付けてみたほうがいいのかも === #ちなみにグラスのドリンクを最後に飲み干す時にストローの先でズズズズズッって音がしてドリンクが口に入ってこなくなるでしょ #それはクルマも同じでMC22S型ワゴンRの場合オイルパンにたまってるオイルをオイルポンプが吸い上げるところは運転席側つまり車体の右側にあるのでコーナーの強い横Gでオイルが偏ってオイルを吸えなくなって焼きつくとしたらケアすべきは右コーナー #ポンコツ軽自動車の速度だしレース用のタイヤじゃないから強い横Gはめったにかからないけど逆にそういう乗り方を想定してないからこそオイルの偏り対策とかほとんど何もしてない可能性も #オーバースピード気味に強い横Gをため込みながら右コーナーを曲がっててさらに右側に小さく小さく巻き込んでいく時はこれを思い出したら油圧計をチラ見してみそ #5周10周20周と走り続けた時に同じコーナーでの油圧計の最大値と最小値を記憶できる人と運転操作だけで精一杯でメーターを見てない人と #じゃあ油温はどうでしたか水温はどうでしたかそれらを総合してどういう対策を取って次はどういう走り方をしますかとなっていくんだけど今どきはそういう話に興味なくてめんどくさがる人のほうが多いんだろうな
#最後の楽しみで1つずつ残してたから途中で勝手に焼いてあげて焼けって言ったじゃんと言ってやろうかと思った#食後はもう1人の焼肉女子も合流して911ワゴンrで謎の深夜ドライブ#オーバーヒートさせないために油温計を取り付けたんだからエンジンへの負荷を考えながら油温が100度以上にならないよう走れってことなのかも#そりゃあ30wのオイルのまま荷物満載でアクセル踏みっぱなしで山道を登っていけば焼きつきますよね#もっともっと運転に飢えたところでこの子が休みの日に合わせたら京都まで運転してくれないかなぁ#昨日は焼肉女子からお腹すいたと呼び出されて行ってきた#オイルエレメントの取り付け部分が115度の時にオイルパンで何度なのかオイルパンにも油温計を取り付けてみたほうがいいのかも#後ろのクルマが車間を詰めてきたり黄色いセンターラインを無視して追い越して行ったりするけど#ポンコツ軽自動車の速度だしレース用のタイヤじゃないから強い横gはめったにかからないけど逆にそういう乗り方を想定してないからこそオイルの偏り対策とかほとんど何もしてない可#油温計に続いて油圧計も取り付けてみたんだけど高速道路だけでなく普通に下道を走っててもオイルエレメントの取り付け部分で油温110度から115度って高すぎませんか#テッチャンは大好きだけどどのぐらい焼けばいいのかわからないから焼いてと焼かされたり#どのぐらいの登り坂で油温が何度ぐらいまで上がってその時に油圧がどこまで下がるのかそろそろ試してみようかな#水温は90度から98度で安定してるのに#ドンキに行きたいと呼び出されたり腹がへったと呼び出されたり#ムーブが相変わらずエンジン不動のままで運転に飢えてるらしい#5周10周20周と走り続けた時に同じコーナーでの油圧計の最大値と最小値を記憶できる人と運転操作だけで精一杯でメーターを見てない人と#この焼肉女子に限らないんだけど焼肉とかbbqに行くとほぼ必ず焼かされる#牛タンと中落ちカルビとテッチャンとウィンナーが好きといえばそれだけでどっちの焼肉女子か覚えてる人もいそう#ただし焼肉女子の走り方だと油温100度以下のまま上がらないんだよなぁ
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☆プロトタイプ版☆ ひとみに映る影シーズン2 第八話「シャークの休日」
☆プロトタイプ版☆ こちらは電子書籍「ひとみに映る影 シーズン2」の 無料プロトタイプ版となります。 誤字脱字等修正前のデータになりますので、あしからずご了承下さい。
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(シーズン2あらすじ) 私はファッションモデルの紅一美。 旅番組ロケで訪れた島は怪物だらけ!? 霊能者達の除霊コンペとバッティングしちゃった! 実は私も霊感あるけど、知られたくないなあ…… なんて言っている場合じゃない。 諸悪の根源は恩師の仇、金剛有明団だったんだ! 憤怒の化身ワヤン不動が、今度はリゾートで炸裂する!!
pixiv版 (※内容は一緒です。)
དང་པོ་
高々とそびえる須弥山の麓。宙にはトンビやカラスが舞い、地上では鮎や鯉が戯れに滝を登る。その平穏な滝壺のほとりで、徳川徳松少年は私達に今生の別れを告げる。 『あんたらは何も気にしないでいい。地獄行きはぼくだけだ』 「そんな」 光君はしゃがんで徳松の両肩に触れた。 「利用されてただけで。地獄など!」 『ダメだ。御戌神は沢山殺しすぎた。誰かがその業を背負って行かにゃ、地獄の閻魔さんが困っちまう』 ……野暮な事実だけど、現代に地獄や極楽へ行く人は稀だ。大昔は全ての神仏と霊が宗教という秩序のもと、亡くなった人の魂を裁いたり報うための聖域が幾つも設けられていた。けど地球全土が開拓され人口過多の現代では、そういった聖地を置ける場所も管理する神仏も足りていない。誰もが知っている程の重罪人や、誰が見ても割に合わない一生を遂げた善人だけが、狭小な聖地へ招き入れられるんだ。それが当たり前となった平成の時代に徳松が『地獄』へ赴いたとしても、事務的な獄卒にちょっと話を聞かれて追い返されるだけだろう。ただ、江戸時代からずっと本物の地獄を生き続けた彼に、私もドマルもそんな残酷な事言えるわけがなかった。 「どうしてそこまで……島の人達が、あんたに見返りを?」 『見返りなど! これは誰かがやらにゃならねえ事だから。……そりゃ本当はぼくだって辛かった。大散減が飢えたらぼくも腹ペコになって、嫌だ嫌だ��て思いながら人殺しを。しかも殺るのはぼくと本来無縁だった来世達が! ぼくは……何も出来なかった。ゴメンナサイって思うしか出来なかった』 「僕が地獄へ行く」 『バカこくな……』 「こいてねえ!」 光君は徳松を抱きしめた。 「何が救済だ! この世界は誰かがババ引かにゃ成り立たねぇなら、僕が地獄へ行く! そして何一つ反省しないで永遠に場所取り続けてやる! あんたみたいな人が落ちてこれねぇように!!」 『……!』 すると光君の背中に後光が差していく。ドマルは無言で跪き合掌。私は徳松の隣に寄り添い、彼の顔から影を拭った。 「徳松さん、もう誰もこの件で地獄に落ちる事はありません。あなたは許されたんです」 「『え?』」 光君は振り返り、自分の後ろに光輪ができている事に気がついた。 「こいつは……!」 ༼ 正しい心のもとに、仏様は宿られる。今のこの青年の言葉は、あなたが犯した罪を浄化するに足る力があった。そもそも、殺生の罪とは誰か一人に擦り付けられる物ではない ༽ ドマルも徳松の傍に寄る。 『そんな……けどぼくは実際、何度も人殺しを』 「徳松さん」 これは、あなただけの問題じゃないんだ。 「人が生きるためには、誰かが絶対に殺生をしなきゃいけないんです。お肉を食べるためには、農家の人に動物を屠殺して貰わなきゃいけない。家を守るためには、ときどき業者さんに虫や鼠を駆除して貰わなきゃいけない。殺した本人が悪い、自分で殺してないならセーフ、じゃないんです」 ༼ 言っておくが、僧侶やヴィーガンなら無罪とかそういう事もないからな。草木を殺した死体を着て胡座をかいている坊主だって、もちろん業を背負っている。大事なのは、自分や大切な人々が生きるために糧となった命達への謝意。『謝罪』と『感謝』の心だ ༽ 『謝意……』 光君は徳松の頭を撫で、徳松と指切りをする。 「徳松様。僕達の救済は殺生って形だったけど、誰もせにゃもっと沢山人が死んでたかもだ。僕はあんたの苦しみをずっと忘れない。あんたと一緒にしでかした事、あんた��繋がる縁、全てを忘れない。だから、どうか、安らかに」 『光』 光君の後光は強まり、草葉の陰にまで行き渡る。するとそこから一匹のザトウムシが現れた。針金のように細い体を手繰る、か弱い盲目の虫だ。徳松は子犬のような笑顔を浮かべた後、もはや誰も傷つける事なきその小さな魂を率いて何処へと去っていった。 ༼ はあ、最高かよ。エモいなあ ༽ ドマルが呟いた。口癖なのかな、それ。 「ドマルはどうするの?」 ༼ 拙僧はあなたの本尊だ。ムナルの遺志をあなたが成し遂げた時、この自我は自然とあなたに帰するだろう ༽ 「そう。じゃあ、金剛を滅ぼすまで成仏はお預けだね」 ༼ 成仏……あいつみたいな事を言うな。そもそも拙僧は邪尊だ ༽ ドマルは須弥山の風景を畳み、また私の影に沈んでいった。あの世界で逝去した徳松は、私と光君の中で永遠に生き続けるんだ。
གཉིས་པ་
「じゃじゃじゃじゃあ、埋蔵金って徳川徳松を襲った大妖怪の事だったんですか!?」 空港エントランスにタナカDの馬鹿でかい声が響く。熾烈を極めた大散減浄霊から一夜、五月五日午前九時。私達はしたたびの締めコメントを収録している。けど佳奈さんと二人きりじゃない。この場には玲蘭ちゃん、後女津親子、そして光君がいる。モノホンのみんなで予め打ち合わせした筋書きを、玲蘭ちゃんがカメラに向かって話す。 「したたびさんが歌の謎を解いて下さって、助かりました。マジムンは私達霊能者が協力して、一匹残らず退治しました。ね、斉一さん」 「え! え……ええ!」 斉一さんは『狸おじさん』のキャラを再現しようと、痛ましい笑顔を作った。 「いやぁ、大変だったんすよ。でもね、私の狸風水で! 千里が島の平和は……ぽ、ぽんぽこ、ぽーん、と……」 「た、狸おじさん? ひょっとして泣いてるんですか?」 タナカDが訝しむ。その涙は失った家族を思い出してのものか、はたまた安堵の涙か。カメラに映らない万狸ちゃんと斉三さんも、唇をぎゅっと噛んだ。 「い……いえね……俺今回、割とマジで命がけで頑張ったから……撮ってなかったなんてあんまりじゃないっすか、タナカDっ!」 「なはははは、そりゃすいませんねぇ! こっちも色々とおみまいされてまして……ぶえぇっくしょん!!」 そういえば光君が島民達に拉致されてから色々ありすぎて、私も佳奈さんもタナカDの事をすっかり忘れていた。スマホに入っていた何十件もの不在着信に気がついたのは、昨晩ホテルに戻っていた道中。二人で慌ててタナカDを迎えに行くと���彼は何故か虫肖寺の井戸の中で震えていたんだ。 「タナカさん、そっちは一体何があったんですか?」 「聞いてくれますか? 僕はねぇ、人生で一番恐ろしい思いをしたんですよぉ……」 未だ風邪気味な声でタナカDは顛末を語った。あの時島民達に襲われたタナカDは、虫肖寺のお御堂へ拉致された。そこの住職はタナカDに、「肋骨を一本差し出せばしたたびチーム全員をこの島から無事に帰してやる」というような脅迫をする。祟りなんて半信半疑だったタナカDは千里が島を『島丸ごと治外法権のヤバいカルト宗教村』だと判断、演者の命を優先するため取引に応じる事に。ところが「肋骨は痛そうだしちょっと……」「小指の骨とかで妥協して頂けませんかねぇ?」「足の小指です」などと交渉に交渉を重ねた結果、島民達を怒らせて殺されかけてしまう。慌ててお御堂から逃げ出したがすぐに追っ手が来たため、タナカDは咄嗟に井戸を降りて身を隠した。しかし数分やり過ごして地上へ戻ろうとしたその時、地震や爆発音などあからさまに異常事態が起きておちおち井戸から出られなくなってしまったのだという。色々とツッコミどころが満載な顛末だ。 「あなた、カルト相手に演者の命を値切りしたんですか」 「悪かったですって。けどあの時は本当に怖かったんですよぉ、紅さんだって同じ立場だったら値切るでしょぉ?」 「それは暗にまた私を小心者だと言ってるんですか? この三角眉毛は??」 「一美ちゃん、ここでキレたら小心者だよ!」 「なっはっはっはっはっは!!」 なんだか腑に落ちないけど、まあタナカDが無事だったのは本当に良かった。思い返せば虫肖寺という名前は『虫の肖像という名を冠したお寺』で、さらに漢字を繋げて読むと『蛸寺』になる。つまりそこも八本足のザトウムシ怪虫、大散減を祀る場所だったんだろう。 「皆さん、もうすぐ搭乗開始が」 光君が腕時計を見て告げる。二泊三日、色々あった千里が島ともついにお別れだ。それでも、この地で出会った人達や出来事、それら全ての『ご縁』は、決して捨てるべきじゃない大事なものだと思う。 「光君」 私は化粧ポーチから青いヘアチョークを取り出し、光君に手渡した。 「引越しが落ち着いたら、連絡してね」 「モチのロンで。一美ちゃんいないと、東京で着る服など何買えばいいかわからないんだから」 光君は徳松の成仏を機に、役場の仕事を辞めて島を出る事にしたそうだ。運転免許を取ったらすぐに引っ越すらしい。今は一時のお別れだけど、またすぐに会える。 「それじゃあみんな、帰るよ」 佳奈さんがここにいる全員の手を取った。 「……東京へ帰るよ!」 「「「おー!」」」
གསུམ་པ་
それから数週間経ち、したたびで千里が島編がオンエアされる頃。 宗教法人河童の家は、『リムジン爆発事故で教祖含め大勢の信者が亡くなった』事故で、アトムツアー社に業務上過失致死の集団訴訟を起こした。リムジンを居眠り運転をしていたアトム社員が新千里が島トンネル前のコンビニに突っ込み、そこに設置されていたプロパンガスに引火、大炎上を起こした……という筋書きだ。この捏造によって私がコンビニを焼却した件も不問になり、私は本当に河童の家さんに落とし前をつけて貰った事になる。なんだかだぶか申し訳ない気もしたけど、先日あんこう鍋さんにお会いしたら『アトムから賠償金めっちゃふんだくれたんでオッケーす、我々はただの笑いと金が大好きなぼったくりカルトですから』と一笑に付してくれた。 加賀繍さんは、玲蘭ちゃんと斉一さんが辞退した除霊賞金三億円を一切合切かっさらっていった。その資金を元手に、電話やスマホアプリで人生相談ができるサービス『みんなのぬか床』の運営を開始。それが大ヒットして、今度は星占い専用人工衛星とやらを打ち上げる計画をしているそうだ。私も興味本位で一度ビデオチャットを課金してみたら、魔耶さんと禍耶さんが相談に乗ってくれた。そういえばこのサイトには、プロフィールも名前もない謎の占い師と繋がる事がある……なんて都市伝説があったような。 後女津親子は失った斉二さんの分の戦力を補充するため、木更津のどこかにあるという聖地『狸の里』で一から修行し直すと言っていた。斉一さんは生きながら強力な妖怪の魂を持つ半妖(はんよう)という状態を目指し、万狸ちゃんと斉三さんもそれぞれ一人前の妖怪になれるよう鍛錬を欠かさないとのことだ。ちなみに万狸ちゃんは九尾の狐みたいに糸車尻尾をたくさん生やして、佳奈さんの童貞を殺す服を着た女を殺す京友禅メイド服に対抗する服を作るのが目標らしい。 玲蘭ちゃんはなんと、あの後再び千里が島に行ったそうだ。今度は沖縄から神様を大勢率いて、長年大散減によって歪んでいた島の理を正したんだという。そこまでしたのにアトムツアーから何の見返りも受け取らなかったのは、『あんな賠償やら何やらで倒産寸前の会社と今更縁を持ちたくないから』。代わりに島の魂達から感謝の印にと、ちゃんと浄化済みの大散減のエクトプラズムをたくさん授かったそうだ。これまで多くの人々が追い求めていた徳川埋蔵金は、玲蘭ちゃんが手に入れたんだ。 さて。一方私はというと、顔のかなり目立つ��置にニキビができてしまいちょっぴりヘコんでいる。しかもこんな時に限って、メッセージアプリで久しぶりに光君から連絡が来た。だぶか、これが想われニキビというやつなんだろうか。 『From:あおきち 映画の前売チケットがたまたま二枚で! ご興味など?』 ……うーん、なんてベタな誘い文句! 返信をしたら詳しく経緯を説明してくれた。 実は来週公開の『シャークの休日』というイタリア映画が、光君が以前務めていた千里が島観光課とのタイアップで『全編南地語字幕上映』という企画をやるらしい。それで光君にも、地元の元同僚さんからチケットが送られてきたそうだ。イタリア人がチャキチャキの南地語を喋ってるような字幕ってまるで想像がつかないけど、確かに面白そうだと思った。 「えーと、『来週の月曜か木曜なら木曜がいいです』……と」 実はどっちも予定は空いているけど、ニキビを治したいから遅めにして貰った。返信を終えた私は早速洗面所へ。さっきお風呂で洗顔したとはいえ、ニキビの箇所はもう一度念入りに洗ってからちゃんとスキンケアしよ……
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Fjórði
そして一週間後、『トラップブラザーズシアター東雲(しののめ)』にて。 「あ、一美ちゃん! ごめん、お待たせを!」 平日昼間にも関わらず混雑する複合ショッピングセンターで、私は道に迷った青木光、恋人の光君をメッセージアプリ頼りに探し出した。 「あれ、キョンジャクとカンリンは?」 「それが、なくなっちゃったんだ。探してるから見つけたら教えて。そんなことより、行こう?」 この期に及んで『デートできる服を持ってない』などと言い出す恋人を助けてやるため、私は映画鑑賞の時間が近付く前にメンズファッションフロアへ向かった。まるでコーディネートの基本もなっていない男に、流行に合わせた服装を宛がう。それだけで「さすがプロは違う」と煽てられるのだ。 「一美ちゃん? ひょっとして、退屈で?」 「ううん、光君と一緒にいられて楽しいよ」 上映十五分前になり、私達は映画館に戻った。ロビーのスクリーンでは、丁度今日見る作品『シャークの休日』のトレイラーが流れていた。 『餌食である��類の世界を見てみたい……海底は人喰いザメの王国から、自由を求めるサメ姫シャークリー・シャックバーンがローマにやって来たぞ! 姫は魔法で人��に化けて新聞記者と恋仲になるけど、デート中『真実の口』に手を入れたらサメだと見破られちゃった! 魔法が解けて、ローマの人々をヤケ食いし始めるお姫様……全伊震撼の大パニックムービー誕生!』 お世辞にも興味をそそられる内容とは思えないが、私は今までしてきたように楽しそうに振る舞う。 「映画、楽しみだね」 「うん。あ、一美ちゃん、あそこに真実の口が!」 光君が嬉々として示した方向には、記念写真が撮れる真実の口のパネルがあった。彼はタイマー撮影用スタンドに自分のスマートフォンをセットした。 「ねえ、光君。作中の真実の口って、トレイラーで喋ってたよね。『サメ……ウソ……』って。これも手を入れたら喋るかな?」 「一緒に確かめてみるので。いっせー……」 「のー……」 「「せ!」」 『シタタビ……ウソ……』 その時、私はこの真実の口が何か妙な事を言ったように聞こえた。シャッター音と被って耳が錯覚を起こしただけ、だろうか。 「ごめん、もう一回手を入れてみていい?」 「モチのロンで」 二人でセンサー部分に再び手をかざす。 『シタタビ……ドッキリ!』 ヌーンヌーン、デデデデデン♪ ヌーンヌーン、デデデデデン! 突然、テレビ湘南制作『ドッキリ旅バラエティしたたび』主題歌、『童貞を殺す服を着た女を殺す服』のイントロが映画館ロビーに響き渡った。忽ちこの身体は自らの意志に逆らい跳躍し、入場口とは反対方向のエスカレーターへ飛び降りていた。先月末、ドラマ『非常勤刑事』の撮影で主演の男に「一度も見破れないのはだぶか君の才能だ」と言われた記憶が脳で想起される。 「って、サメえええぇぇえええ!?」 エスカレーター階下にはサメ帽子を被ったエキストラの大軍が群がっていた。私はコミカルに叫び、スカートスタイルにも関わらず粗暴に下りエスカレーターを駆け上がった。すると階上には、『ドッキリ』と書かれたプラカードを掲げる光君と志多田佳奈が待ち受けていた。 「ドッキリ大成功ー! 志多田佳奈のドッキリ旅バラエティ、」 「「したたびでーす!」」 悔しがってどうこうなるわけでもないはずだが、この身体はヒステリックに地団駄を踏んでいた。 「やいやいやい小心者! ハニートラップに引っかかるなんてまだまだ小心者だぞ小心者!」 「うるさい万年極悪ロリータ! そこの真実の口で実年齢をバラしてやろうか!?」 「うわぁ~、みみっちー」 しかし、これを放送するのは芸能事務所に許可されるのだろうか。私はまだ世間に正式に発表できるほど、彼と進展した関係ではないはずだ。 「あのね、佳奈さん。私と光君は今日が初デートだし、まだ事務所に何も言っていないんです。こんなのオンエアされたらこちとらたまったもんじゃないんですよ!」 「あ、社長さんには私が色つけて説明しといたから大丈夫だよ」 「勝手に何してくれちゃってるんですか!?」 「だってだって、光君の一美ちゃんへの愛は本当だよねー?」 光君は気恥しそうに真実の口へ手を入れた。 『……ホント』 よく見ると真実の口は、画角外のタナカDが裏声で喋っていたようだ。 「初デートを返せこの三角眉毛ェェ!!」 「ぬわははははは!! ごめんなさいって! ナハハハ!」 「一美ちゃんごめん、本っ当ごめん! これで堪忍を!」 光君が私に何やら縦長なフリップを差し出した。それは特大サイズに拡大印刷されたシャークの休日の前売券だ。 「『映画の世界へご招待! リアルシャークの休日』……『inローマ』ああぁ!!?」 「そ! 今回のしたたびは海外企画、イタリア編! 実は私、この映画の日本版主題歌を担当させてもらったの。そのPVを、ラブラブなお二人に撮ってきて貰いまーす!」 「え、じゃあ佳奈さんは今回行かないんですか?」 「うん。だって主題歌が入るニューアルバム、まだ収録全曲終わってないし。代わりにPVでは一美ちゃんの彼氏役が必要でしょ? だから光君を呼んだの」 そういう事だったのか。今回は光君が撮影に同行するのだ。 「ドッキリは正直ちょっと気が引けたかもけど、テレ湘さんが僕達を海外旅行に連れてってくれるんだから。ローマで本物の真実の口やったり、トレビの泉でコイン投げるなど!」 光君はさぞ嬉しそうに小躍りした。だが、それでは浅はかというものだ。 「光君、ちなみにローマで何をするか知ってるの?」 「うん。だから、映画みたいに真実の口とか……」 「そのフリップ、『inローマ』の下にやたら余白があるよね。よく見て、端がめくれるようになってる」 「え? あっ本当だ! タナカさん……」 「いいですよ、めくって」 フリップから粘着紙を剥がした光君は、前髪で表情が隠れていても解る程、顔面が蒼白した。フリップ上に現れた文章は、上の文字と繋げて読むと『映画の世界へご招待! リアルシャークの休日inローマ県オスティア・ビーチ~スキューバダイビングで人喰いザメの王国へ~』と書かれている。 「そっちへ!?」 彼もまた、私と同様に番組に騙されていたという事だ。するとタナカDが高笑いしながら、タブレットPCで企画書を開いた。 「お二人には最初の三日間でライセンスを取得して、四日目にサメと潜って頂きます。天候とかあるので五日目は予備日にしていますが、運が良ければ真実の口にも行けるかもしれませんよぉ」 「行けるかもしれませんよぉ、じゃないですよ。何が悲しくてイタリアまで行ってサメのいる海に潜らなきゃいけないんですか!」 「あやや……あやややや……」 「しかもこんなショッピングセンターでネタバラシしたって事は、どうせここで荷物買って今から行くんでしょ? 予算一万とかで」 「さすが紅さん、よ��わかってらっしゃる」 「今から!? しかも一万円で旅支度を!?」 「安心して下さい、一人一万です。うははははははは!」 私達したたびチームにとっては定石である無秩序な行動に、光君はただ困惑している。 「じゃあ光君、衣装買いに行くよ。デートに行く服がなかったなら、PVに出る服だって持ってないでしょ」 「えっでも、流石にダイビングスーツは現地じゃ?」 「サメと泳ぐだけで終わらせるわけないでしょ? だぶか海中ロケなんてさっさと終わらせて、二人で街ブラする撮れ高で佳奈さんのPV埋め尽くしてやるんだ!」 「そ、そうだ……せにゃ! 見てろよ佳奈さん!」 「ふっふっふー。そう簡単にいくかな? 衣装に予算使いすぎてだぶか後で後悔するなよっ!」 「国際モデルのこの私のプチプラコーデ力を侮らないで下さい。だぶか佳奈さん本人が出てるPVより再生数稼いでやる!」 斯くして、また私達は旅に出る事になった。『行った事のない場所にみんなで殴り込んで、無茶して、笑い合って、喧嘩して、それでも懲りずにまた旅に出る』とは佳奈さんの言葉だ。それが私にとっての日常であり、私はこのような日々がいつまでも続くと漠然と思い込んでいる。
し か し 、 そ れ で は こ の 『 私 』 に 金 剛 の 有 明 は 訪 れ な い 。 間 も な く 時 が 来 る 、 金 剛 の 楽 園 ア ガ ル ダ が こ の 星 を 覆 い 尽 く す の だ 。
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【小説】ごうちゃんはいつも身勝手 (下)
五年生になってクラスが変わると、ごうちゃんへの悪質なイジメはなくなった。イジメの中心だった男子が別のクラスに変わったことが大きかったのだろう。けれど、教室の中のごうちゃんに対する冷たい空気は変わらなかった。
ごうちゃんは勉強が得意ではなかった。授業中、落ち着いて机に向かっているということ自体が苦手な彼には、黒板の文字をノートに写すということすら難しかった。彼の成績はいつも、どの教科でもさんざんだった。運動は得意で、運動会では毎年大活躍だったけれど、集団行動が取れず、すぐに暴力的になる点で減点され、体育でさえ高くは評価されなかった。
私は毎年学級委員を務め、クラスメイトにもそこそこ慕われていた。勉強もそれなりにできた。テストでは満点しか取ったことがなかった。先生からの信頼も厚かったと思う。そんな私だったからだろうか��クラスメイトには、ごうちゃんと私の仲が良いことを不思議だと言う子もいた。私にも、どうして彼が仲良くしてくれるのか、本当のところはわからなかった。
否、彼が私のことを仲良しと思っていたかどうかは、やっぱりわからない。彼はしょっちゅう私に怒っていたし、よく暴力も振るってきた。もしかしたらごうちゃんは、私に付き合うのがだいぶ面倒だったのかもしれない。
六年生になると、ごうちゃんの雰囲気はさらに悪いものへと変わっていった。明るい笑顔が似合う男の子だった彼は、この頃になると人前であまり笑わなくなり、いつも誰かのことを睨みつけていた。言葉遣いもずっと乱暴になって、彼が振るう暴力も、いまいち理由がはっきりしない、何かの八つ当たりのような形が多くなった。いつも何かに苛立っていて、私に対しても怒鳴り声を上げることが増えた。
帰り道にごうちゃんが待ち伏せしていることはほとんどなくなり、学校でもほとんど話しかけてこなくなった。休み時間も机に突っ伏している姿が目立った。それでもときどき、彼は私のところへやって来ては、「次の授業はなんだっけ」とか、「宿題何かあったっけ」とか、どうでもいいような話題を持ち出した。
私は、彼がそういう妙によそよそしい態度を取る理由が、なんとなくわかっていた。小学校を卒業して、中学校に進学したら、私とごうちゃんは別れてしまう。中学校の学区が異なる地域に住んでいたからだ。だから一緒に学校に通えるのは、この年が最後だったのだ。
ごうちゃんはいつも何か言いたそうな顔をして私に話しかけ、結局、その表情を変えることがないまま、離れて行った。
小学校の卒業式、あろうことか、ごうちゃんは来なかった。
彼の弟がちょうど一年生でいて、ごうちゃんの卒業証書やら置きっぱなしの荷物やらを、小さい身体にいっぱい抱えて持って帰って行った。彼の弟は、ごうちゃんに顔がそっくりで、私は一年生の時の、出会ったばかりの彼のことを思い出した。
小学校の六年間、私とごうちゃんは膨大な時間を一緒に過ごした。
夏休み前、学校から荷物を持ち帰ることをギリギリまで放置していた彼は、毎年のように私に自分の荷物を大量に持たせて、家まで運ばせた。夏休みの宿題に全く手をつけていなくて、二学期の放課後、毎日居残っ���やらなければならなくなった宿題を、手伝ったこともあった。
私は、校舎の二階のベランダから飛び降りてみようとする彼を止めなくてはならなかったし、トイレのスッポンを二本駆使して忍者のように壁を登ろうとする彼を説得しなければならなかった。氷の上を滑ってみたいと、真冬のプールに忍び込もうとして失敗し、職員室で教頭先生に怒られている彼の弁護をしたことだってある。
遠足に行く度に、ごうちゃんが何かとんでもないことをしでかさないかと、私はいつも彼から目が離せず、美しい景色も賑やかな遊園地も、楽しむどころではなかった。修学旅行では、寝ているうちになぜか私の布団に忍び込んできていて、目が覚めた時同じ布団にごうちゃんがいてびっくりしたこともあった。
彼と過ごした破天荒に満ちた日々は、私にとって宝物だった。
その、ありがとうとさようならが言いたかったのに、卒業式の日に来ないなんて。
私はあの時、彼のことをだいぶ恨んだものだ。
中学に進学してからは、ごうちゃんがどうしているのか気になった。いつも暴力的で身勝手なことばかりする彼が、中学校という新しい環境に適応できるとは全く思わなかったし、上級生に目を付けられてイジメられるだろうということは容易に想像できた。教室の窓から空を見上げては、「ああ、ごうちゃん大丈夫かなぁ……」と思いを馳せた。
私の予想は大当たりで、ごうちゃんは中学に全く馴染めていなかった。
その証拠に、しょっちゅう私の中学までやって来た。
それも平日の昼間、授業中の時間に堂々と。
無断で学校の敷地に入り、事務室も職員室も経由せず、けれど私の教室がどこなのかも知らないごうちゃんは、校舎内をぐるぐる徘徊しているうちに、生徒指導の先生に見つかって追いかけ回されていた。やっぱり私は彼の弁護をし、彼よりも頭を下げて先生に謝罪しなければならなかった。
誰かと喧嘩したのか、顔じゅう痣だらけにして、学生服のボタンも取れかけの、ボロボロの姿で私を待ち伏せしていた時もあった。そんな時のごうちゃんは、黙って私の手を引いて、通っていた小学校近くの公園に向かったものだった。そこで、夜遅くなるまでふたりで話をした。
彼は相変わらずの口の悪さで、会話はあまり成立していなかったけれど、私は彼の話をじっと聞いた。ごうちゃんは、小学一年生の時と同じように、また寂しそうだった。
でも彼がそうやって会いに来てくれたのも、中学校に通っていたのも、一年生のうちだけだった。二年生に進級する頃、彼は不良の先輩とつるむようになり、学校には全く通わなくなった。どうなったのか気になって、彼と同じ中学に進学した同級生にそれとなく探りを入れてみたこともあったけれど、「吉野は暴走族に入った」という噂話しか答えは見つからなかった。
中学三年生になった頃、ごうちゃんの家族は私の中学の学区内に引っ越して来た。同じ中学に転校してきた形となったが、彼は一度も登校することなく、卒業の日を迎えた。
私はと言うと、中学二年生の時に体調不良で倒れてしまい、そのことをきっかけに約五年間続いていた両親からの虐待が明るみに出た。そのことで、私と両親は別居することとなった。
私は親戚の家に預けられたり、施設に送られたりはしたけれど、「学校だけは変えないでほしい」という強い希望で、卒業まで同じ中学に通学した。中学校でも良い成績を残すことができて、先生たちには県内でも上位の進学校に余裕で合格するだろうと言われていた。
私はどんな時でも、ずっとにこにこして過ごした。
顔面から笑顔が剥がれなくなってしまって、見えない仮面を付けているようにすら思えた。周りの人たちは、不憫な目に遭っても笑顔で乗り越えようとする私を、「健気な子」だと褒めてくれた。皆が親切で、優しくて、同情してくれた。たとえそれが憐れみからの行為だったとしても、全て私のためになった。
ただ、「なんで笑ってんの」と言ってくれるごうちゃんは、もう側にはいなかった。
中学三年生の時のクラスは、本当に過ごしやすい、温かいクラスで、今までの学校生活で一番ではないかと思うほど、楽しい日々を送った。中学校特有の、あの陰湿な空気とは無縁だった。
ただ私の胸の中には、いつもごうちゃんのことがあった。転校してきたことになっている彼は、偶然にも私と同じクラスになっていたのに、その机は一度も使われなかった。
このクラスだったら、あの身勝手なごうちゃんも受け入れてもらえるかもしれない。ごうちゃんも楽しい日々を過ごせるかもしれない。いつもそんな想像をして、名簿の一番最後に記載された、「吉野郷」という名前を見つめた。
私は第一志望の高校に合格し、中学校を後にした。
それは県内でも上位の進学校で、同じ中学から入学した子は数人しかいなかった。小・中学校と、常に最優秀の成績を取ってきた私だったけれど、高校に入るとさすがにそうはいかなくなった。私と同じような成績の子たちが数十人といて、どんなに勉強に力を入れても、私が一番になることはなかった。それが今までにない経験で、たまらなく悔しく、そして空しかった。それでも、勉強に励んだ。スポーツが苦手で、趣味と呼べる趣味もない私には、現実を忘れるほど熱中できるもの、それは勉強しかなかった。
恋もした。
高校二年生の時、同じクラスの男子に告白され、お付き合いすることになった。中学生の時から、異性と付き合う子はクラスにちらほらいたけれど、私はそれが初めての経験だった。中嶋愁という名前の彼は、同じ中学から進学してきた数少ない生徒のひとりだった。しかし同じクラスになったことは一度もなく、私は彼と面識はなかった。
知的な印象を与える容姿をした、柔らかい物腰の、しかし、自分の意見をしっかりと持っている彼とは、話をするのも楽しかったし、一緒にいて楽しかった。ごうちゃんのように理不尽に怒り出すこともなければ、暴力を振るうなどあり得ないことだった。
中学を卒業してからごうちゃんがどうしているのか、私は知らなかった。ただ、高校時代に一度だけ、彼の姿を街で見かけたことがある。
それは偶然にも、私が愁くんとデートしている時のことだった。
街角で前から歩いて来た、上がジャージ、下がスウェット姿の金髪の男が、ごうちゃんだったのだ。向こうもたまたまデート中だったらしく、ミニスカートに、胸元ががっつり開いた服を着た茶髪の女の子が、彼と腕を絡めて歩いていた。
彼と目が合い、私は思わず唖然とした。四年ぶりの再会がそんな場面だったのだから当然だ。彼も私に気付いて、眉をひそめて変な顔をした。そんな顔をしている��うちゃんは、今まで見たことがなかった。けれどすぐに目を逸らし、舌打ちをひとつすると、足早に歩き去って行った。その様子が、まるで見たくないものを見てしまった、もしくは、見られたくないものを見られてしまったとでも言うように思えて、私はなぜか胸が痛んだ。
「どーしたの?」とごうちゃんの腕にくっついている女の子が尋ね、「うるせぇなぁ、なんでもねぇよ」という不機嫌そうな彼の声が、背中の向こうから聞こえてきた。「ああ、変わっていない。やっぱり今のはごうちゃんで間違いない」と私は確信した。思わず嬉しくて、笑ってしまった。
隣にいた愁くんは、突然噴き出した私を見て、「どうしたの?」と尋ねた。「今の男の子、小学校の時の同級生で」と私が説明すると、彼は「ふうん」と言って、それから、
「なんだか、こう言っちゃ悪いけれど、頭の悪そうな人だったね。ああいう、だらしない格好の人って、好きになれないな」
と、言った。
あの一瞬。
あの時に感じた怒りを、私は今でも思い出すことができる。
私はそんなことを言った彼を、許すことができなかった。愁くんは何も知らないから、そんなことが言えるのだ。あなたにごうちゃんの、何がわかると言うのだ。
その一言がきっかけだったのかはわからない。けれど、私の愁くんへの好意はだんだんと薄れていってしまい、高校三年生の夏、「お互い受験勉強に集中しよう」というもっともらしい名目で、私たちの恋は終わった。
そして私はひとりで黙々と勉強を続け、国の最高学府と呼ばれている東都大学に合格した。
上京。初めてのひとり暮らし。新しい環境、新しい日常。新鮮な毎日に適応することに気を取られ、私はいつの間にか、ごうちゃんのことを忘れていた。
今日の同窓会についても、彼が来るとは全く思っていなかった。私の頭は、彼を三年四組のメンバーとして認識していなかった。私の中のごうちゃんはいつだって、自由奔放すぎる小学生のままなのだ。
思い出に更けるのをやめて、目の前にいる、二十歳になったごうちゃんを見つめる。
小学一年生の頃から、彼はずいぶんと大人になった。
「……何、見てんだよ」
彼は不機嫌そうに言う。「ううん。なんでもないよ」と私が言うと、「恥ずかしいだろうが、馬鹿」と返された。照れている。ごうちゃんが照れている。耳まで真っ赤だ。大人になったのに、変わっていない。
不器用で、人と関わりたいのに、人を傷つけることでしか、関われなかったごうちゃん。
寂しい気持ちを押し殺すように、大きな声を出し、力いっぱい暴れて、はしゃいでいたつもりだったごうちゃん。
先生には怒鳴られ、クラスメイトには無視され、上級生には殴られ、そうやって不合理な傷ばかりを負っていったごうちゃん。
でも彼は、いつもまっすぐで、優しかった。
私はそれを知っている。誰よりもちゃんと、知っている。
「ごうちゃん、すごいね、このラブレター、ずっと持ってたんだね」
「わりぃかよ、馬鹿」
「ううん、悪くない。嬉しいよ。ほら、ごうちゃんって、プリントとかもらっても、机の奥の方に突っ込んでぐしゃぐしゃにして、すぐ失くしちゃってたじゃない」
「いつの話してんだよ、阿保か��
「ちゃんと、取っておいてくれてたんだね」
嬉しくて私がにこにこしてそう言うと、ごうちゃんは顔をしかめて言った。
「俺の側にいてくれたのは、お前だけだったから」
私はその言葉が、少し意外だった。
ごうちゃんはぽつりぽつりと、小さな声で言った。
「皆、自分のことばっかだった。自分のことばっか考えてる奴らだけが寄って来た。俺のことちゃんと見てくれる奴なんていなかった。女は、外面がかっこいいからって理由だったし、男は、喧嘩が強いからって理由だった。俺が何かすると、すぐに俺を見限って離れて行った」
そう語る彼の顔は、やっぱり今も、寂しそうだ。
「お前だけだったから。俺が何をしても、離れて行かないのは。……単にお前が、人より我慢強いだけなのかも、しんねぇけど…………」
彼は、もう知っているのだろう。
どうして私が、ごうちゃんに何をされても、笑顔で側にいられたのか。
暴力を黙って受け続け、それでも、何食わぬ顔で接し続けることができたのか。
それは、ごうちゃんのことが好きだったからでは、決してない。両親から受けていた仕打ち。「自分はどんなひどいことされても、そうされるべき人間なのだから、仕方がない」という、自分への罰の意識。今だって、そこから完全に抜け出せたという訳ではない。今だって私は、外せなくなった笑顔の仮面を付けて、笑っていることしかできない。
私は、本当はごうちゃんのことが大嫌いだった。
わがままで、自分勝手な彼のことが嫌いだった。
憎くて、妬ましくて、羨ましかった。
圧力を前にしてそれを跳ね除けることができない、反発することもできず、声も上げられず、ただただ、自分を歪めることで耐えるしかない私と、ごうちゃんは違った。似ていたけれど、違った。もしも彼のように、身勝手に振る舞うことができたら、私の子供時代はもう少し違うものだったのかもしれない。
私が彼にラブレターを書いた本当の理由は、彼がだんだん私のように、屈してい��しかない人間になりつつあったからだ。彼に私のようになってほしくはなかった。いつだって彼には、自由でいてほしかった。
でも今ならわかる。ごうちゃんは自由だった訳じゃない。常に孤独を抱え、飢えていた。
そして私でなければ、彼にあそこまで付き合うことはできなかっただろう。傷つけることなく人と関わることができないごうちゃんは、人に傷つけられることに耐え忍ぶような人間でなければ、一緒にはいられないはずだから。
ごうちゃんは、きっと私のことなんて好きじゃない。
私みたいな、黒髪で、ピアスの穴も空いていない、眼鏡をかけたガリ勉の、東都大学に通う女なんて、どう考えても似合わない。
でも彼は、ひとりでいることの寂しさに勝てないのだ。クラスが違うのに私のクラスにまでやって来て、学校が異なるのにわざわざ会いに来て、帰り道の途中でいつまでも私のことを待っている。ごうちゃんはそんな子だった。
そしてその寂しさを知っているのは、世界で私だけなのだ。
「私、昔はごうちゃんのこと好きだったけれど、今は全然、好きじゃないよ」
「……おう」
私の言葉に、彼は少し面食らったようだったけれど、でも、頷いた。そして顔をしかめたまま、とんでもないことを平気で言った。
「今はいい。俺のこと嫌いでも、なんでもいい。そりゃ、あれだけひどいことずっとしてたから、そう思われても仕方がねぇ。でも、俺の側にいてほしい。必ず、俺のこと好きにさせるから」
私は絶句した。
そして、思い切り腹筋に力を入れて、噴き出しそうになるのをこ���えた。ごうちゃんにバレないように慎重に深呼吸して、それから言った。
「側にいるって言っても、私、今東京に住んでるんだよ。今日は同窓会だったからたまたまこっちにいるだけで、明日には東京に戻るんだから」
「俺も東京に行く」
彼は、さらにとんでもないことを言い出した。
「東京に行くって……どういうこと?」
「俺も東京に住む。そうしたら、お前の側にいられる」
私は頭の中が真っ白になりそうだった。
東京に住む? ごうちゃんが、東京に住む? 私に会うために?
それは、めちゃくちゃあり得そうな話だった。
「そう簡単に言うけど、東京の家賃は高いんだからね。ごうちゃん、お金あるの?」
「金なんかねぇよ。ホームレスでも別にいいよ俺は」
「だめだよホームレスなんか! 私、許さないよ!」
私が思わず大きな声を出すと、ごうちゃんはまた、面食らった顔をした。
「そうだけどよ、そうでもしねぇと、お前に会えないだろ。お前、家族いねーじゃん。親とは、もう会ってないんだろ。この街に帰って来ることも、もうねぇだろ。なら俺が東京に行かなかったら、もう会えねぇじゃん」
不機嫌そうに、だけれど、どこか私の顔色を窺うように、ごうちゃんはそう言った。
確かに、そうなのだった。もうこの街に、私の家はない。家族もいない。東京で暮らしていて、帰省先はどこにもない。盆も正月も、自分ひとりで過ごした。
「ごうちゃんに会いに来るよ」と私が言おうとした時、彼は先に言った。
「お前は俺に会いに来たりもしない。俺に会いに来たことなんか、今までいっぺんもねぇからな。いっつも俺が会いに行ってたんだからな」
言われてみれば、それもそうだった。
「俺さ、なんで皆、俺のことちゃんと見てくれないんだろうって思ってたんだけどよ、やっと気付いたんだよ。俺も、相手のことちゃんと見てなかったからだって。だから、近寄って来る奴らも、俺のことなんか見てねぇんだって。だから、今度はちゃんと、お前のこと考えたい。今頃遅ぇのかもしんねぇけど、チャンスをくれ。一回でいい、これっきりでいいから、もういっぺん、俺の側にいてくれよ」
どこか自信なさげにそう言うごうちゃんは、やっぱり昔と変わっていなかった。
「じゃあ、一緒に住もうか」
私はそう言った。
「家賃は折半ね。うちはあんまり広くないけど、ちゃんと片付ければ、ごうちゃんが寝るところくらいはスペースあるよ」
それがウォークインクローゼットの中だと言うことは、黙っておいた。
ごうちゃんは怒ったような顔をした。
「お前、俺のこともう好きじゃないんだろ。好きじゃない男と、一緒に暮らすのかよ」
「別にいいよ。ごうちゃんだもん。もう今さら何されたって、嫌ったりしないよ」
「それじゃ意味ねぇんだよ。俺のこと嫌いなら、ちゃんと嫌ってくれねぇと、今までと変わらねぇじゃんか」
「そうかもしれないけれど、そうじゃないよ。私はごうちゃんに何をされても、ごうちゃんのこと、嫌いになったりしない」
私が笑ってそう言うと、彼は黙り込んでしまった。そのまましばらく沈黙が続いた後、ぽつりと言う。
「大人になったら、俺と結婚してくれるか?」
私たちは、もう大人になったはずだ。二十歳になったのだから。
でももしかしたら私たちは、小学生の頃のままなのかもしれない。
「私、吉野芳乃にはなりたくないなぁ」
隣でごうちゃんが噴き出した。今までずっと怖い顔をしていたその表情を、初めて笑顔に買えた。その笑顔が、なんだかとても懐かしくて、愛��しくて、眩しかった。
「心配すんな。俺が籍入れる」
笑顔で、でも大真面目にそう宣言するごうちゃんが、なんだか馬鹿らしくて、思わずこっちまで声を出して笑ってしまった。
口も悪くて、暴力も振るう。
突然、同窓会に現れて私を連れ出して、俺も東京に行くと言い出す。
昔のラブレターを持ち出してきて、十年前の約束が有効かと訊く。
なんて身勝手な男なんだろう。
おまけに格好はどう見てもただのチンピラで、働いているのかさえも怪しい。
こんな男最低だし、こんな夫はもっと最低だ。
でも、あの頃の私に、ずっとくっついてきたのが彼だった。人生で一番つらかった、あの頃。
彼だけだった。彼だけが、私の側にいつもいてくれた。
彼が私といることでその寂しさを紛らわせていたように、私も彼といる間は、家の中のつらいことを全て忘れていられた。救われていたのは、決して彼だけではないのだ。
でもきっとごうちゃんは、そんなことなど知らず、今まで自分が一方的に私に良くしてもらったと思い込んでいる。そんなことないのに。そんなところまで、彼は本当に身勝手な男だ。
ごうちゃんはいつも身勝手だ。
だから私は、彼のことが突き放せない。
私は立ち上がり、歩き出した。
「おい、どこ行くんだよ」
と後ろから大声で言う彼に、私は立ち止まって振り返り、同じように大声で返す。
「同窓会に戻るの。ごうちゃんが私のこと連れ出すから、皆きっと心配してる。ごうちゃんのせいだよ」
ごうちゃんがまたしかめっ面になる。「俺のせいじゃねーし」と言いたげな唇をしていた。
「帰り道で、待ってる」
ふてくされた声でそう言って、彼はぷいっと横を向いた。
きっとごうちゃんは、会場の周辺で待っているつもりなのだ。昔、帰り道の途中でよく待ち伏せしていた時のように。
そして、私たちはまた一緒に歩いて帰る。
それを想像して、私はそっと笑った。
東京に帰るのは明日だ。予約しておいたホテル、今から部屋をシングルからツインに変更できるだろうか。そんなことを考えながら、私は再び歩き出す。
一緒に同じ家に帰る。それも、そんなに悪くない。
そう、思いながら。
了
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ひとみに映る影シーズン2 第二話「高身長でわんこ顔な方言男子」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 最低限の確認作業しかしていないため、 誤字脱字誤植誤用等々あしからずご了承下さい。 尚、正式書籍版はシーズン2終了時にリリース予定です。
(シーズン2あらすじ) 私はファッションモデルの紅一美。 旅番組ロケで訪れた島は怪物だらけ!? 霊能者達の除霊コンペとバッティングしちゃった! 実は私も霊感あるけど、知られたくないなあ…… なんて言っている場合じゃない。 諸悪の根源は恩師の仇、金剛有明団だったんだ! 憤怒の化身ワヤン不動が、今度はリゾートで炸裂する!!
pixiv版 (※内容は一緒です。)
☆キャラソン企画第二弾 青木光「ザトウムシ」はこちら!☆
དང་པོ་
時刻は十四時三十分。MAL五八便が千里が島に到着してから既に五分以上経過した。しかし乗客はなかなか立ち上がれない。体調を崩して客室乗務員に介抱される人や、座席備え付けのエチケット袋に顔を突っ込んでいる人も見受けられる。機内に酸っぱい臭いが充満してきたあたりでようやく、私達したたびチームを含め数人がフラフラと出口に向かった。 機体と空港を繋ぐ仮設通路は『ボーディングブリッジ』というらしい、という雑学を思い出しながらボーディングブリッジを渡る。ある先輩俳優がクイズ番組でこれを『���いごのトンネル』と珍回答して笑いを取っていたけど、なるほど確かにこれはふいごのトンネルだ。実際に歩きながら、言い得て妙だと感じた。 空港に入って最初に目についたベンチに佳奈さんが横たわった。ドッキリ企画の時から着っぱなしだったゴシックタキシードのボタンを外し、首元のヒラヒラしたスカーフで青い顔を拭う。 「うぅ、吐きそう……もらいゲロかも……」 「おいおい、大丈夫ですかぁ? トイレまで歩けます?」 一方ケロッとしているタナカD。口先では心配しているような言い草だけど、ちゃっかりカメラを回し始めた。 「やめろー撮るなぁー! ここで吐くぞー……うぅるぇっ……」 「ちょっと、冗談じゃなく本当に吐きそうじゃないですか! 大惨事になる前にトイレ連れてってきます」 私は佳奈さんに肩を貸してトイレへ向かう。タナカDの下品な笑い声が遠のいていった。洋式の個室で彼女を降ろし、自分も二つ隣の空いている洋式個室に入る。チャンスだ。まず壁にかかったスイッチを押し、滝音と鳥のさえずりが合わさったエチケット音声を流す。次にトートバッグから小さなクナイ型の物を取り出す。これは『プルパ龍王剣(りゅうおうけん)』という密教宝具だ。私が過去に浄化した悪霊を封じこめてあり、そいつから何時でも力を吸い出す事ができる。 「オム・アムリトドバヴァ・フム・パット」 口を閉じたまま、他人に聞こえるか聞こえないかギリギリの声で真言を唱える。すると、ヴァンッ! プルパは私から黒々とした影を吸い上げ、龍を刺し貫いた刃渡り四十センチ程のグルカナイフ型に変形した。 「う……うぅ……」 プルパに封印された悪霊、金剛倶利伽羅龍王(こんごうくりからりゅうおう)が呻き声を漏らす。昔こいつは人を呪ったり、神様の振りをして神社を乗っ取ったり、死んだ人の魂を監禁して怨霊に育てたりと悪行の限りを尽くしていた。ご立派な名前に似合わず、とんでもない奴だ。 <機内での騒動を聞いていたな。あの毛虫みたいな化け物は何だ?> 影を介したテレパシーで、私は威圧的に倶利伽羅に囁く。ついでに壁のボタンを押し直し、エチケット音を延長。 「ア……? 俺様が知るわけがぼがぼぼごがぼごがガガガ!?」 しらばっくれようとした倶利伽羅の顔を便器に沈めて水を流した。 <どこからどう見てもお前と同類だったろうが! その縮れた灰毛、歯茎じみて汚い皮膚、潰れた目! もう一度問う。あれは何だ?> 「げ、っほ、うぉ゙ほッ……! あ、あれは散減(ちるべり)……『母乳を散り減らせし虫』……」 <母乳?> 「母乳とは……親から子へ引き継がれる、『血縁』のメタファーだ。母乳を奪えば子は親の因果を失い……他人の母乳を飲ませれば、子とその相手は縁で結ばれる」 縁。そういえば千里が島の旧地名は散減島で、縁切りパワースポットだったか。あの怪物、散減は、どうやらその伝承と関係があるようだ。それにしても、 <ならその散減とお前には如何なる縁がある? またお前を生み出した金剛有明団(こんごうありあけだん)とかいう邪教の仕業か> 「知らん! だいたい貴様、そうやって何でもかんでも金剛のせいにがぼろごぼげぼがぼげぼろこゴゴポ!!?」 流水。 <資源の無駄だ。節水に協力しろ> 「ゲッ、ゲエェーーッ! ゲホガホッ! 本当に知らな」 <それとも次は和式の水を飲みたいか> 「知らないっつってんだろぉ!! 確かに散減も母乳信仰も金剛の叡智だ。だがそれをこの田舎島に伝来したのは誰か知らん! 少なくとも俺様は無関係だ!!」 残念だけど、こいつから聞き出せる情報はこの程度のようだ。私は影の炎で倶利伽羅を熱消毒して、洗面台でプルパと自分の手を洗った。 「ぎゃああああ熱い熱い!! ぎゃああああああ石鹸が染みるウゥゥ!!」 霊的な炎にスプリンクラーが反応しなくて良かった。 ベンチに戻ると、佳奈さんは既に身軽なサマードレスに着替えていた。脱水防止に自販機でスポーツドリンクを買い、大荷物を待っていると、空港スタッフの方が私達のスーツケースを運んできてくれる。 「ようこそおいでなすって、したたびの皆さん。快適な空の旅を?」 「いやあ、それがとんでもない乱気流に入っちゃいましてね。だぶか墜落せずにここまで運んでくれた機長さんは凄いですなぁ」 「乱気流が! ははぁ、そいつぁコトだ。どうか島ではごゆっくり」 尻切れトンボな口調でスタッフの方がタナカDと会話する。これは『南地語(なんちご)』と呼ばれる、江戸の都から南方にあるこの島特有の方言だ。『~をしましたか?』が『~を?』、『~なのです』が『~ので』、といった調子で、千里が島の人は語尾を省略して喋るんだ。 「佳奈さん、私南地語を生で聞くの初めてです。なんだか新鮮ですね」 「千里が島スタイルでは南地語(なっちご)って読むんだよ」 「へえ、沖縄弁がうちなーぐちみたいな物なので?」 「そうなので!」 「「アハハハハ!」」 二人でそれらしく喋ってみたけど、なんかちょっと違う気がする。案外難しい。それより、佳奈さんがちょっと元気になったみたいで良かった。今日この後はホテルで企画説明や島の情報を聞くだけだから、今夜はゆっくり休んで、気持ちを切り替えていこう。
གཉིས་པ་
空港出入口の自動ドアを開いた途端、島のいやに生ぬるい潮風が私達を出迎えた。佳奈さんがまた気分を悪くしそうになり、深呼吸する。私も機内の騒動で平衡感覚がおかしくなっているからか、耳鳴りがする。 「ともかくお宿に行きたいな……」 そう独りごちた矢先、丁度数台の送迎車がバスターミナルに列をなして入ってきた。特に目立つのは、先頭を走るリムジンだ。白く輝く車体はまるでパノラマ写真のように長い。 「わぁすっごい! 東京からテレビが来たってだけあって、私達超VIP待遇されてる!」 「いえ、佳奈さん、あれは……」 ところがリムジンは大はしゃぎする佳奈さんを素通り。入口最奥で待機していた河童の家一団の前に停車する。すかさず助手席からスーツの男性がクネクネしながら現れ、乗降ドア前に赤いカーペットを敷き始めた。 「どうもどうもぉ、河童の家の皆様! 私めはアトムツアー営業部の五間擦(ごますり)と申します。さあさ、どうぞこちらへ……」 アトムツアー社員は乗車する河童信者達の列に跪いて靴を磨いていく。全員が乗りこむと、リムジンはあっという間に去っていった。 「……あーあ。やっぱ東京のキー局番組じゃないってバレてたかぁ~。リムジン乗りたかったなぁ」 「ただの神奈川ローカルですからね、私達」 「こう言っちゃなんですけど、さすがカルト宗教はお金持ってますなあ」 「タナカさん、今の台詞はカットしなきゃダメですよ」 「あっ一美ちゃん! 私達の、あっちじゃない?」 リムジン後方から車間距離を空け、一糸乱れぬ隊列を組んだバイク軍団が走ってくる。機体はどれも洗練されたフォルムの高級車で、それに乗るライダー達も全員眩しくなるほど美少年だ。 「「「千里が島へようこそ、お嬢様方! アトムツアー営業部ライダーズです!」」」 彼らは私達の目の前で停車すると、上品なダマスク柄の相乗り用ヘルメットを取り出し白い歯を見せて微笑んだ。 「えーっ、お兄さん達と二ケツして行くって事!? やーんどうしよ……」 佳奈さんがデレデレと伊達眼鏡を外した瞬間、 「きゃー!」「ライダー王子~!」「いつもありがとぉねぇー!」 加賀繍さんのおばさま軍団が黄色い悲鳴を轟かせ、佳奈さんを突き飛ばしてイケメンに突進! 一方イケメンライダーズは暴れ牛をいなす闘牛士の如く、キャーキャー飛び跳ねるおばさま達にテキパキとヘルメットを装着し、バイクに乗せていく。ところがおばさま軍団の殿を堂々たる態度で歩く加賀繍さんは、彼らを見るや一言。 「ヘン。どれもこれも、モヤシみたいのばかりじゃないか。コールもろくに出来なさそうだねぇ」 イケメンライダーズには目も合わそうとせず、一番大きなバイクにどかっと着席。バイク軍団は颯爽とリムジンを追いかけていくのだった。 「……あーあぁぁ。やっぱ小心者モデルじゃイケメンバイクはダメかぁ~」 「腹黒極悪ロリータアイドルじゃダメって事ですねぇ」 「加賀繍さんも稼いでるもんなあ。コールですって、きっとホスト狂いですよぉあの人」 「タナカD、その発言OA(オンエア)で流したら番組打ち切りになるよ」 三人で管巻いていると、少し間を置いて次の送迎車が現れた。トココココ……と安っぽいエンジン音をたてて走る小型シャトルバスだ。私としては別に河童の家や加賀繍さん方みたいな高級感はいいから、さっさとホテルで休ませて欲しい。ランウェイを歩いていた午前中から色んな事が起こりすぎて、もうヘトヘトなんだ。「あ、あの……」しかしバスは残酷にも、私達の待つ地点とは反対側のロータリーに停車。玲蘭ちゃんと後女津一家を乗せて去っていった。「あの、もし……」小さくなっていく『アトムツアー』のロゴに、佳奈さんが中指を立てた。私もそれに倣って、親指を 「あの! お声かけても!?」 「ふぇ!? あ、は、はい!」 声をかけられた事に気がつき振り返ると、背の高い男性……を通り越して、日本人離れした偉丈夫がいつの間にか私達の背後に立っていた。しかも恐縮そうに腰を屈めているから、まっすぐ立ったら少なくとも身長二メートル以上はありそうだ。 「遅くなっちまって失礼を。僕は千里が村役場観光事業部の、青木光(あおきひかる)です。ええと、したたびさんで?」 「ええ。しかし、君が青木君かい!? 大きいなあ、あっはっは!」 タナカDが青木さんの胸のあたりをバシバシと叩いた。青木さんはオドオドと会釈しながら後込む。身体が大きいから最初は気がつかなかったけど、声や仕草から、彼は私と同い年か少し年下のようだとわかる。 「あ、あのォこれ、紅さんがいつも髪にチョークされてるので、僕も髪色を。ど、どうです……派手すぎで?」 「あ、ヘアチョークご自分でされたんですか? すごくお似合いですよ!」 「い、いえ、床屋のおばちゃんが! でも……お気に召したなら、良かったかもだ」 青木さんは全体をホワイトブリーチした目隠れセミロングボブを、毛先だけブルーにしている。今日は私も下半分ブルーだからおそろいだ。ただ、このヘアメイクに対して彼の服装はイマイチ……素肌に白ニットセーター直着、丈が中途半端なベージュカーゴパンツ、ボロボロに履き古された中学生っぽいスニーカー。確かに、『都会からテレビが来るから村の床屋さんが髪だけ気合い入れすぎちゃった』みたいな情景がありありと目に浮かんでしまう。もうロケそっちのけで青木さんを全身コーデしたくなってきた。 「それより青木君、私達の車は?」 佳奈さんが荷物を持ち上げる。 「え。いえその、言いにくいんですけど……」 青木君は返答の代わりに、腕を左右にスイングしてみせた。まさか…… 「徒歩なんですか!?」 「すす、すみません、荷物は僕が! 役場もコンペに予算とか人員を削がれちまって、したたびさんのお世話は僕一人などと。けど僕、まだ仮免だから……」 「「コンペ?」」 首を傾げる佳奈さんとタナカD。私は飛行機内で聞いた除霊コンペティションの話をかいつまんで説明した。 「困るよぉそれ! 除霊されたらこっちの撮れ高がなくなるじゃんかよ!」 「ゲ、やっぱり! 聞いて下さい青木さん。この人達、宝探し企画とか言っておきながら、本当は私を心霊スポットに連れて行く気だったんですよ!?」 「ええっ肝試しを!? 島のお化けはおっとろしいんだから、それはちょっとまずいかもけど!」 目隠れ前髪越しでもわかるほど冷や汗を流しながら、青木君は赤べこみたいにお辞儀を繰り返す。 「そら見なさい、触らぬ神に祟りなしですよ。私達だけ徒歩になったのだって、きっと罰が当たったんだ」 「そーだそーだ! 青木君に謝れタナカD!」 「なんだと? あなただって紅さんを地上波で失禁させるって息巻いてたじゃないか!」 「佳奈さん!!」 「そこまでは言ってないし!」 「ややや、喧嘩は!」 「あ、気にしないで下さい。私達これで平常運転ですから」 この罵り合いはホテルに到着するまで続く。したたびロケではいつもの事だ。私達は良く言えば忌憚なく話し合える仲だし、悪く言えば顔を合わせる度に言葉の殴り合いをしている気がする。それでも総括的には……仲良しなのかな、どうなんだろう。 空港からホテルへは、石見サンセットロードという遊歩道を行く。海岸沿いの爽やかな道とはいえ、心霊スポットという前情報のせいか海が陰気に見える。船幽霊が見えるとかそういう事はないけど、島の人も霊も全く外を出歩いていなくてだぶか不気味だ。 到着した『ホテル千里アイランドリゾート』はそこそこ広くて立派な建物だった。それもそのはず。青木さんによると、ここは島で唯一の宿泊施設だという。但し数ヶ月後には、アトム社がもっと大規模なリゾートホテルを乱造するんだろう。玄関に到着すると、スタッフの方々が私達の荷物を運びに…… 「って、玲蘭ちゃんに斉一さん!?」 「あっ狸おじさんだ! ……と、誰?」 そうか、普段メディア露出をしない玲蘭ちゃんを佳奈さんは知らないんだった。 「この方は金城玲蘭さん、沖縄の祝女……シ��ーマンですね。私の幼馴染なんです」 「初めまして志多田さん、タナカさん。金城です。こちらの彼は……」 玲蘭ちゃんが話を振る直前、斉一さんの中にさりげなく、ドレッド狸の斉二さんが乗り移るのが見えた。代わりに斉一さんらしき化け狸が彼の体から飛び出し、 「どうも、ぽんぽこぽーん! 幸せを呼ぶ地相鑑定士、毎度おなじみ後女津斉一です!」 彼はすっかりテレビでお馴染みの風水タレントの顔になっていた。芸能界で活躍していたのはやはり斉二さんだったみたいだ。 「あの、どうしてお二人が?」 客室へ向かいながら私が問いかけると、二人共苦笑する。 「一美、実は……私達、相部屋だったんだ」 「え!?」 すごすごと玲蘭ちゃんが襖を開けると、そこはまさかの宴会場。河童の家や加賀繍さん達で客室が埋まったとかで、したたびチームと玲蘭ちゃん、後女津家が全員大部屋に押しやられてしまったのだという。 「はぁ!? じゃあ私達、川の字で雑魚寝しなきゃいけないワケ!? 男女分けは……まさか、えっこれだけ!?」 「すみません、すみません!!」 佳奈さんが宴会場中央の薄っぺらい仕切り襖を開閉するリズムに合わせ、青木さんはベコベコと頭を下げる。 「やめましょうよ佳奈さん、この島じゃ誰もアトムには逆らえないんですから」 「ぶっちゃけ俺や金城さんも、半ばアトムに脅迫される形でここに連れてこられたんだよねぇ……あ、これオフレコで」 「いやいや狸おじさん、もう全部ぶっちゃけたっていいんですよ。うちのタナカが全責任を負って放送しますから」 「勝手に約束するんじゃないよぉ! スーパー日本最大手の大企業に、テレ湘なんかが勝てるわけないんだから!」 「「「はあぁぁ……」」」 全員から重たい溜め息が漏れた。
གསུམ་པ་
簡単な荷物整理を終え、したたびチームはロビーに移動。改めて番組の企画説明が始まった。タナカDが三脚でカメラを固定し、語りだす。 「今回は『千里が島宝探し編』。狙うはもちろん、徳川埋蔵金ですからね。お二人には明後日の朝までに、埋蔵金を探し出して頂きます」 「見つからなかったらどうなるんですか?」 「いつも通り、キツい罰ゲームが待っていますよぉ」 「でしょうねぇ」 埋蔵金なんか見つかりっこないのは分かりきっている癖に。完全に出来レースじゃないか。 「もちろん手掛かりはあるよ」 佳奈さんが机に情報フリップを立てかけた。書かれているのは簡略化された千里が島地図だ。 「山の上にあるのが噂の縁切り神社、『御戌神社(おいぬじんじゃ)』。そこから真下に降りたところ、千里が島国立公園のところに書いてあるこのマークが『ザトウムシ記念碑』。一美ちゃんは、民謡の『ザトウムシ』は知ってるよね?」 「もちろん知ってますよ。お店で閉店前によく流れる曲ですよね? あれって千里が島の民謡なんですか」 「そうなの。そしてザトウムシの歌詞は、一説によると徳川埋蔵金のありかを示す暗号だと言われてるんだ!」 「へえ、そうなんですね。じゃあ暗号は解けてるんですか?」 「それはこれから考えるんだよ」 「はぁ……」 なんだか胡散臭い手掛かりだ。 「だいたい、埋蔵金なんて本当にあるんですか? そもそも、千里が島と徳川幕府に関係性が見えないんですが」 「じゃあまずは千里が島の歴史を知るところからだね。青木君ー!」 「はい、ただいまー」 佳奈さんが呼びかけると、大きなホワイトボードを引きずりながら青木さんが画角内に入る。実はさっきから、彼は私達の真横でずっとスタンバイしてくれていたんだ。青木さんはホワイトボードにゴシック体みたいな整った字で『千里が島と徳川家の歴史』と書き、解説を始めた。 千里が島、旧地名散減島。ここは元々江戸時代に都を脅かした怨霊を鎮めるためだけに開拓された地で、その伝説が縁切りや埋蔵金の噂に繋がる起源なのだそうだ。 事の発端は一六七九年。徳川幕府五代将軍、徳川綱吉が男の子を授かった。名を徳松という。しかし徳松は一歳を過ぎても母乳以外なにも飲み食いできず、見るからに虚弱だった。これを訝しんだ綱吉が時の神職者に相談してみると、徳松は江戸幕府征服を目論む物の怪によって、呪われた悪霊の魂を植え付けられていたと判明する。 「物の怪は徳松の体のミルクから、縁を奪ってたんですだ」 「ミルクから……縁?」 既に倶利伽羅から軽く説明を受けていたけど、番組撮影のためにも改めて青木さんから話を聞く。 「昔の伝承じゃ、おっかさんのミルクにゃ親子の縁が宿るなど。ミルクをとられた子は親と縁が切れて、バケモノになっちまうとか。だから徳松は、本能的にいつまでもミルクを」 「へえ、そういう信仰があったんですね」 神職者が提示した儀式は、三歳、五歳、七歳……と二年毎に分けて行われる。魂が完全形成される前の三歳の時に悪霊を摘出し、代わりに神社の聖なる狛犬の魂を素材として魂を作り直す。五歳になったら身を守るための霊能力を与えて修行を積ませ、七歳で悪霊退散の旅に向かわせる。それが幕府と神職者が本来描いていた運びだった。 「ちなみにこれが七五三参りの起源なんだよ……だがしかしィーっ!」 佳奈さんがフリップに貼ってある付箋を勢いよく剥がす! 「デデン! なんと徳松は五歳で死んでしまうのです!」 「えぇ? 七五三参りの起源になった子なのに、七歳まで生きられなかったんですか!?」 「まあ現在の七五三参りは、男の子は五歳しかお参りしませんけどね」 タナカDが画面外から補足した。徳松は修行の途中物の怪に襲われ、命を落としてしまったんだ。それでも彼は物の怪を体内に封印し、二年間耐え抜いた。しかし物の怪は激しく縁に飢え、徳松の精神をじわじわと狂わせる。そして一六八五年、人の縁を完全に失った徳松の魂は大きな狛犬のような怨霊となって江戸中の縁を貪った。徳松に縁を食われた人々は不幸にみまわれ、家族や仕事を失ったり、人間性を欠きケダモノめいて発狂したりと大パニックだ! ついに諦めた幕府と神職者は、徳松を江戸から追い出してしまう。彼らは江戸中の女性から母乳を酒樽一斗分集め、それを船に乗せて江戸から遥か南の無人島に運んだ。徳松も船を追って海を渡ると、そのまま神職者は島に神社を建て、徳松の魂を神として奉った。以降徳松は悪縁を食べてくれる縁切り神として有名になり、千里が島は今日も縁切りパワースポットとして名を馳せているんだそうだ。 「では一美ちゃん、ここでクイズです! 怨霊事件から更に二年後、一六八七年。怨霊がいなくなった後も徳松の祟りを思い出してノイローゼになっていた綱吉は、ある法律を制定しました。それはなーんだ?」 「え、法律!?」 急に佳奈さんがクイズを振ってきた。歴史は得意でも苦手でもない方だけど…… 「ええぇ、徳川綱吉で法律といえば、生類憐れみの令ぐらいしか……」 「ぴんぽんぴんぽんぴんぽーん!!」 「え、生類憐れみの令でいいんですか!?」 「その通り! 綱吉は犬畜生を見る度に徳松を思い出してしまう! そして祟りを恐れて動物を殺さないように法律を作った。それが生類憐れみの令の真実なのだあ!!」 ババババーン! と、オンエアではここで安っぽい効果音が入るのが想像に難くない。しかし七五三参りだけでなく、あまつさえ生類憐みの令まで徳川徳松が由来だったなんてさすがに眉唾な気がする。 「徳松さんってそんなに歴史的に重要な人だった割には、あまり学校じゃ習わないですね」 「今青木君と佳奈さんが説明した伝承は、あくまで千里が島に伝わる話ですからな。七五三も生類憐れみの令も、由来は諸説あるみたいですよ」 タナカDが蚊に食われた腕を掻きながら再び補足した。すると佳奈さんが反論する。 「でもだよ! もし千里が島の伝説が本当なら、法律にしちゃうほど当時の江戸の人達が徳松を恐れてたって事だよね! だったら幕府は、だぶか大事な物は千里が島に隠すと思うんだ。まさに埋蔵金とか!」 「うーん、百歩譲ってそうだったとしても、それで私達が埋蔵金を見つけて持って行っちゃったら、徳松さんに祟られませんか?」 「もー、一美ちゃんは相変わらずビビりだなあ。お化けが怖くて埋蔵金がゲット出来るかっ!」 「佳奈さん。そんな事言ってると、いつか本当にとんでもない呪いを背負わされますよ」 「その子の言う通りさね」 「え?」 突然、誰かがトークに割り入ってきた。私達が顔を上げると、そこにいたのは加賀繍さんと取り巻きのおばさま軍団。なんてことだ。恐れていた展開、ついにアサッテの霊能者に絡まれてしまった。
བཞི་པ་
ホテルロビーの椅子と机はフロントより一段低い窓際に位置する。フロント側に立つ加賀繍さんとおばさま方に見下ろされる私達は、さながら熊の群れに追い詰められた小動物のようだ。 「あんた、志多田佳奈だっけか? いい歳して幼稚園児みたいな格好して、みっとみないね。ご先祖様が泣いてるよ」 「ですよねぇ先生、大人なのに二っつ結びで」「嫌ーねー」 初対面で早々佳奈さんを罵る加賀繍さんと、それに同調するおばさま軍団。 「これはゴスロリっていうんですーっ」 佳奈さんがわざとらしく頬を膨らませた。こんな時でもアイドルは愛想を振りまくものだ。 「ゴスロリだかネンネンコロリだか知らないけどね。あんた、ちゃんとご先祖様の墓参りしているのかい? この島は特別な場所なんだから、守護霊に守って貰わなきゃあんた死ぬよ。それこそネンネンコロリだ」 出た、守護霊。日頃お墓参りを怠っていると、ご先祖様が守護霊として仕事をしなくなり不幸になる。正月の占い番組でよく聞く加賀繍さんの常套句だ。更に加賀繍さん直営の占い館では、忙しくてお墓参りに行けない人に高価なスピリチュアルグッズを売りつけているという噂だ。現に今も、おばさま方が怪しい壺やペットボトルを持って、私達をじっとりと見つめている。 「それから、そっちの黄色いの。あんたはちゃんとしてるのかい?」 黄色いの? ……ああ、アイラブ会津パーカーが黄色だから私の事か。佳奈さんは芸名で呼ばれたのに、ちょっと悔しい。 「定期的に帰ってますよ。家のお仏壇にも毎日お線香をあげてますし」 実家では、だけど。ここは彼女を刺激しないようにしたい。 「ふぅんそう。けどそれだけじゃあ、この島じゃ生きて帰れないだろうさ。仕方ないね、今回はあたしが特別にエネルギーを分けてやるよ」 そう言い加賀繍さんは指を鳴らす。するとおばさま方が私達のテーブルからフリップや資料を勝手にどかし、怪しい壺とペットボトル、銀のボウルをどかどかと並べ始めた! 慌ててタナカDが止めにかかる。 「ちょっと、加賀繍さん! 困りますよぉ、撮影中です!」 「はあ? 困るですって!?」 「あなた! 加賀繍先生が直々に御力添えして下さるのを、まさか断るってんじゃないでしょうね?」 「あ、いえ、とんでもございません」 「もー、タナカD~っ!」 しかしおばさま方に気圧されてあっさりと机を譲ってしまった。佳奈さんがタナカDの頭をペチッとはたいた。おばさまの一人がペットボトルを開け、ボウルに中身を注ぎ始める。ボトルには『悪鬼除滅水』という何やら物騒な文字が書かれている。横で加賀繍さんも壺の蓋を開ける。何か酸っぱいにおいが立ちのぼり、佳奈さんが私にしがみついた。 「エッヤダ怖い。あの壺、何が入ってるの!?」 小声で佳奈さんが囁く。加賀繍さんはその壺に……手を突っ込んでかき混ぜ始めた! グシュ、ピチャ、ヌチチチチ。まるで生肉か何かを攪拌しているような不気味な音がロビーに響く。 「やだやだやだ! 絶対生モノ入ってる! まさか、ご、ご、ご先祖様の……ご、ご、」 「ご遺体を!? タナカさん、カメラ止めにゃ!」 気がつくと青木さんまで私にしがみついて震えていた。かく言う私はというと、意外と冷静だ。あの壺や水からは、なんら霊的なものは感じない。強いて言うなら加賀繍さんご本人の中に誰かが宿っている気がするけど、眠っているのか気配は薄い。それより気になるのは、ひょっとしてこの酸っぱいにおいの正体は…… 「ぬか漬け、ですか?」 「そうさ」 やっぱり! 加賀繍さんは壺から人参のぬか漬けを取り出し、ボウルの悪鬼除滅水でぬかを洗い落とした。 「あたしん家でご先祖様から代々受け継がれてきたぬか床さ。これを食えばあんたらも家族と見なされて、いざという時あたしの強力なご先祖様方に守って貰える。ほら、食え」 加賀繍さんが人参を佳奈さんに向ける。でも佳奈さんは受け取るのを躊躇った。 「うわぁ、せ、先祖代々って……なんか、それ大丈夫なんですか?」 「なんだって!?」 「ひい!」 「し、しかしですねぇ加賀繍さん、お気持ちは有難いんで大変申し訳ないんですが、演者に生ものはちょっと……」 「カメラマン、あんたも食うんだよ」 「僕もですか!? いえ、僕はこないだ親戚の十三回忌行ったばっかだから……」 「美味しい!」 「一美ちゃん!?」「紅さん!?」 誰も手をつけないから私が頂いてしまった。これは普通に良い漬物だ。塩気や浸かり具合が丁度よくて、野菜がビチャッとしていない。ぬか床が大切に育てられている事がよくわかる。 「美味しいです加賀繍さん! 福島のおばあちゃ��の漬物を思い出しました。佳奈さんも食べてみればいいじゃないですか」 「一美ちゃん案外勇気あるなあ……。じゃ、じゃあ、いただきます……エッ美味しい!」 「でしょ?」 「はははははっ!」 私は初めて、ずっと仏頂面だった加賀繍さんがちゃんと笑う所を見た。 「あんたは本当にちゃんとしているんだね、黄色いの。よく墓参りをする人は、親や祖父母の実家によく帰るだろ。だから家庭の味ってやつをちゃんと知っている。人にはそれぞれ家族やご先祖様がいて、それが良縁であれ悪縁であれ、その人の人生を作るのさ。だから墓参りはしなくちゃいけないんだよ。この島の神様は縁を切るのが仕事のようだけど、あたしゃ自分に都合の悪い縁を切る��んて愚かだと思っているのさ」 「そうなんですね。ちなみに私、紅一美です。覚えて下さい」 「あ? 紅? じゃあ何でそんなに黄色いんだい。今日から黄色ちゃんに改名しな! ハハハハ!」 どうやら私は加賀繍さんに気に入られたようだ。地元を引き合いに出したのが良かったみたいだ。それにしても、彼女の話はなかなか説得力がある。どうする事もできない悪縁を切るために神様を頼るのが間違っているとまでは思わないけど、そうする前に自分のご先祖様や恩人との縁を大切にする方が大事なのは明白だ。彼女がアサッテだからって偏見の目で見ていた、さっきまでの自分が恥ずかしくなった。ところが…… 「じゃあ、これ御力添え代ですわ。ほい」 おばさま方の一人がタナカDに請求書を渡す。するうちタナカDは「フォッ」と声にならない音を発し、冷や汗を流し始めた。あの五百ミリリットルサイズの悪鬼除滅水ボトルに『¥三,〇〇〇』と書かれたシールが貼ってあった気がするけど、人参のぬか漬け一本は果たしていくらなんだろう。それ以外にも色々な手数料が加算されているんだろうな……。 「加賀繍さんにパワーを貰えてラッキー! 果たして埋蔵金は見つかるのか!? CMの後、急展開でーす! はいオッケーだね、じゃ私トイレ!」 佳奈さんは息継ぎもせず早口でまくし立て、脱兎のごとくホテル内へ去っていった。 「あっコラ極悪ロリータ! 勝手に締めて逃げるなぁ!!」 「青木さん、私ぬか漬け食べたらお茶が飲みたくなっちゃったなー!」 「でしたらコンビニなど! ちぃと遠いかもけど、ご案内を!」 「おい青木と黄色! この裏切り者ーーーっ!!」 私と青木さんもさっさと退散する。まあタナカさんには、演者への保険料だと思って何とかして欲しいものだ。でも私は内心、これで番組の予算が減れば今後大掛かりなドッキリ演出が控えられるだろうと少しほくそ笑んでいた。
ལྔ་པ་
新千里が島トンネルという薄暗いトンネルを抜けた所に、島唯一のコンビニ『クランマート』があった。アトム系列の『プチアトム』ではなくて良かった。私はカフェインが苦手だから紙パックのそば茶を選び、ついでに佳奈さんへペットボトルのピーチサイダーを、タナカDへは『コーヒーゼリー味』と書かれた甘そうな缶コーヒーを購入した。青木さんも私と同じそば茶、『おおきなおおきなエビカツパン』、梅おにぎりを買ったようだ。青木さんが持つエビカツパンは、なんだかすごく小さく見えた。 外は既に夕日も沈みかけて、夕焼け空が夜に切り替わる直前になっていた。黄昏時……そういえば、童謡『ザトウムシ』の歌い出しも『たそがれの空を』だったな。私はコンビニ入口の鉄手すりに腰掛け、先程タナカDから渡されたペラペラのロケ台本をめくる。巻末の方に歌詞が書いてあったはずだ。するとタイミング良く、クランマートからも閉店ミュージックとしてザトウムシが流れ始めた……。
【童謡 ザトウムシ】 たそがれの空を ザトウムシ ザトウムシ歩いてく ふらついた足取りで ザトウムシ歩いてく
水墨画の世界の中で 一本絵筆を手繰りつつ 生ぬるい風に急かされて お前は歩いてゆくんだね
あの月と太陽が同時に出ている今この時 ザトウムシ歩いてく ザトウムシ ザトウムシ歩いてく
おうまが時の門を ザトウムシ ザトウムシ歩いてく 長い杖をたよって ザトウムシ歩いてく
何でもある世界の中へ 誰かが絵筆を落としたら 何もない灰色を裂いて お空で見下ろす二つの目
ああ月と太陽はこんなに出しゃばりだったのか ザトウムシ歩いてく ザトウムシ ザトウムシ歩いてく
「改めて読むと、確かに意味深な歌詞だな……」 私が独りごつと、隣の鉄手すりに座ってエビカツパンを咀嚼していた青木さんが口を拭った。 「埋蔵金探しは、したたびさんより前にも何度か。大体皆さんザトウムシ記念碑からスタートされて、『ザトウムシ』という歌詞の数だけ歩くとか、夕焼けの時間にどっちの方角を向くなどと……。けど、それらしい物が見つかったのは一度もだ」 「そうなんですね」 「そもそもどうしてザトウムシを……徳松さんに縁があるのって、どちらかと言えば犬では? けど何故か、島ではザトウムシを特別な虫だなどと」 「言われてみれば、生類憐みの令といえばお犬様! ってイメージがありますね。……ていうか、なんか、すいません。余所者のテレビ局が島のお宝を荒らすような真似して、島民の青木さんはいい気持ちしないですよね」 「そ、そ、そんな事! だぶか!」 青木さんは慌てた様子で私の方を向き座り直した。 「僕は嬉しいんだから! だって今まで、おっとさんらは島のこと僕に何も教えてくれないし、何もさせてくれなくて。けど今回は、社会人として初めて仕事を任されたので……ので……」 緊張したような様子で青木さんの姿勢が丸まる。コンビニから流れるザトウムシのメロディに一瞬振り返った後、彼はパンの袋を両手で抱えて更に縮こまった。 「……僕だって縁切りやお化けなんか、ただの迷信と。だけどこの島の人は実際、内地に比べてよそよそしいかもだ。何も言わず友達が引っ越してたり、親戚がいつの間にかおっ死んじまってたりなど……。それで内地の人と関われる役場の観光課に入ったのに、アトムさんがリゾート開発おっ始めて公務員は御役御免。僕は島に縁を切られたので?」 「青木さん……」 私も会津の田舎町で育ったから、彼の気持ちはわかる。狭いコミュニティに住む人々は、距離が近いようで時にとても排他的になるものだ。それは多かれ少なかれ互いを監視し、情報共有し合っているから当たり前の事だけど、縁切りで有名なこの島は特にそういう土地柄なのかもしれない。 「したたびさんのおかげで、やっと僕にバトンが回ってきたんだから。僕達で絶対埋蔵金を見つけにゃ。それで島のおっとさん方もアトムも、お化けも霊能者の先生方も……」 青木さんは腰を上げ、猫背をやめて私の前にまっすぐに立った。 「僕達の縁で、みんなを見返してやるんですだ!」 その瞬間、風が彼の重たい前髪をたくし上げた。彼の子犬みたいな笑顔を見た私は初めて、以前雑誌のインタビューで適当に答えた『好きな男性のタイプ』と青木さんが完全に一致している事に気がついたのだった。
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