#安全な取引環境
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副業デビューで不安?1万人以上が登録する安心のプラットフォーム「CORNER」とは
こんにちは、仲池美咲です。 副業を始めたいけど、不安を感じている方も多いのではないでしょうか? 法律のことや、本当に安心して取り組めるのか… そんな疑問にお答えします。 この記事では、1万人以上の登録者を誇るプラットフォーム「CORNER」が、副業希望者にとってどれほど安心できる環境なのかを具体的に解説します。 2024年11月施行の「フリーランス保護新法」にも対応済みのCORNERの取り組みや、専任コンサルタントによるサポート体制など、安心して副業をスタートするためのポイントをご紹介します。 副業を始める前に、ぜひ読んでみてください。 あなたの不安を解消し、一歩を踏み出すお手伝いができれば幸いです。 プレスリリース 副業を始めたい方へ:安心して始められる環境とは? 副業に興味はあるけれど、不安も多いのではないでしょうか?…
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お局様は"キャパオーバーで性格悪くなってたベテラン"だった
新人のときにお局様に詰められ「絶対にコイツよりデキるようになってやる!」と仕事横取りしてたらある事実が発覚→闇落ち理由が分かって浄化ENDへ - Togetter [トゥギャッター]
呪いをこの身に引き受けて闇堕ちした聖女みたい
聖女が瘴気を肩代わりしたら暴走していた精霊が自我を取り戻した話か…
ヴィランがヴィランになった悲しい過去を知る回
真の敵は人じゃなかった
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チームビルディング,組織安全性,心理的安全性,職場環境,性格,人間関係,空気,
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戦闘服の男たちNo.0
現職自衛官の告白体験手記
「遠くで突撃喇叭が」
原題「遠くでラッパが」
作 島 守

新隊員の便所はノリだらけ
朝五時、起床まであと一時間である。いやあ、変な夢を見たるんだなと思って、ギンギンになっているセガレに手をのばすと、ああ、やっちゃった。まったくしょうのない奴だぜ、昨日センズリかいたばっかりだろうが!
畜生!今起きると、となりのベッドの奴が目をさましてカッコ悪いし、しょうがネーな、起床で戦闘服に着替える時にでも一緒に履きかえるか。
それにしても新隊員は外出が制限されてるせいで、夜なんかとても遊びに行けないし、極度に欲求不満の日々が読いている。
雄臭い野郎を見るだけならここは本当にいい所だけ��ど、それ以上のことはちと不可能。けっきょく、夜、誰もいないトイレにはいってシコシコ激しくセンズリをカクしかないのだ。風呂で見たガッチリしたオアニイさんや、カワユイ隊員たちがチラチラ浮かんできたりする。
でも終わってみると、やっぱりむなしいな。なんか小便とたいしてかわりないみたいで。それでもけっこうさかんなようすで、この間も班長から、
「新隊員の便所はノリだらけでたまらん!」
なんて怒られてしまった。マア、ノリは冗談としても、エロマンガのちぎれたのや、ビニ本なんかが時々モロ、トイレにおきっぱなしになってたりする。金があれば普通の隊員はトルコにでも行くんだろうけど、そこはまだペイペイの新隊員、月給は少ないし、貯金はしろとうるさいし、とてもとても…
それでも、あけっぴろげな男だけの世界。
「これからセンズリ行くゾー」
と、エロ本片手に走って行く奴もいる。
そんでもって自分もけっきょくその日のタ方、バラしてしまうのだった。
「昨日の夜、爆発しちまったでェー」
「いやー、エッチだなあ。勝見二士がいないからじゃないのォー」
前期の教育隊から一緒に来た北村二士にいうと、思わぬ���事が返ってきた。まいったなあ。
「このヤロォー、勝見と俺はそんなに深い仲でネェゾ!」
「エへへへ、でも勝見二士は、島二士のダッチワイフだったんじゃないのォー」
まったく北村の野郎、口のへらない奴だ。
まっ、べつに勝見二土はダッチワイフだなんてのは冗談だからいいけど、でも俺は、やっぱりドッキン!そう、あいつはいい奴だったもんな。この俺に、男と男が精神的に強く結ばれることがどんなに素晴らしいことか数えてくれたから・・・•・・ネ。
それは3ヶ月前
桜のつぼみがまだ硬い三月の下旬、俺は陸上自衛隊のある駐屯地に入隊した。出身県の関係で他の県の出身者より四日ほど遅い入隊だった。勝見二士とはこの時に初めて出会ったのである。
〈三月某日〉
なかなかできてる奴
今日から俺の自衛隊員としての生活が始まる。まわりの環境は、想像していたのとそれほど変りはない。でも一部屋四十人というのは多すぎるようだ。
それから自衛隊ではバディという仕組があって、二段ベッドの上下でペアを組み、訓練面や私生活でいくそうだ。
俺のバディは勝見次郎。ガタイが良くてイモの煮っ転がしみたいな顔をした奴だが、なかなか性格はよさそうだ。
この時はまだバディの重要さなんか知るよしもなかった。
勝見二士は俺より年下だが、四日も早く入していただけあってちょっと先輩気取りで、ベッドのとり方から戦闘服のネームの縫い物まで俺に協力してやってくれた。早くもリードされっぱなし。それでもけっして悪い顔をしないで黙々と手伝ってくれる彼を見て、
「なかなかできてる奴だワイ」
と内心思ったものである。
<四月某日>
ビニ本でぬいて来い
入隊式も終わり、訓練も徐々に本格的になってきた。銃こそまだ持たされていないが、戦闘服を着て半長靴をはいて走り回るさまは、一人前の兵隊さん・・・・・なんちゃって。
そんな時、体育の時間に勝見の野郎がすっころんでけがをした。運動神経いいくせにまったくそそっかしい奴だ。おかげでその晩、俺がヨーチン片手に手当てしてやる。
両足おさえつけて、ヨーチンをぬるさまはSの気分。ムフフフと不敵に笑って、「グチェッ!」とぬってやる。勝見の奴たまりかねて、「ギャアー!」
苦痛にゆがんだ顔って、ちょっとエロチックやなアー。
四月にはいっても外出は下旬にならないとできない。新隊員とはつらいもんである。ああ、自衛隊には自由なんてない!これでは縛られるのが好きなMじゃなきゃ向かないんじゃないだろうか。そんなわけで貴���な休みも隊舎のベッドでゴロゴロ、これじゃ夜寝られるワケがない。
消燈もとっくに過ぎた十二時半、なんとなく昼間寝すぎたので寝つけない。緑色の毛布の中でごそっと寝返りを打つと、上のベッドでもごそっと寝返りを打ったようだ。安物のベッドがグラッとくる。これじゃセンズリかいてようもんなら、片っぽのベッドの奴は地震かと思って起きちまうだろうななんて思ってると、
「オイ、島さん寝たかい?」
と、勝見が小さな声で話しかけてきた。
「なーんか、こうムラムラして寝られネェんだョオ」
と俺。すると、
「島さん、最近やってないんでしょ、アレを」
「まっ、まあな」
と、二人はムクッとベッドから起き上がて話を始めた。まったく目がさえてしかたいない。すると、その時へやの戸があいて、だれかがはいってきた。なんと班付(つまり上官)の上田士長である。よーく見ると、片手にビニ本を持っている。
「お前ら、まだ起きとるんか」
「エエ、寝られないんですヨ」
と勝見二士。すると上田士長、恥ずかし気もなく片手でもってるビニ本二冊を差し出すと、
「これでちょっとぬいてこい、そうすればバッチリ寝られるゾ。俺も抜いて来た」
思わず俺と見、顔を見合わせてニヤリ、もちろん俺はあんまりビニ本には興味はないが、そこはノンケの顔をしていなければならないのがツライところ。
ともかく、俺と勝見の二人はビニ本片手に仲よくトイレに直行。そこで二人は同じ個室に••••••てなわけにはいかなくって別々の目室に。ハイ、でも、ガマン!
「オッ、スケニ本だぜ、もうビンピンだァ」
「タマンネニナー。でもあんまりおっきな声だすなァ、不寝番がびっくりして飛んでくるゾォー」
なんてことを話しながら、お互いに実況中継をし合う。洋式トイレなのですわってカケるのでらくなのだ。となりの個室からのすっとんきょうな声がとだえた。奴も本気になってきたようだ。こっちがたまんなくなるようなあえぎ声が聞こえてくる。思わず俺の手の動きも早くなる……。
すると、突然奴の声、
「ウッ!ウッーウ」
畜生、俺より早く終わりやがったな。
奴の家は海辺の町で漁師をやっている。中学、高校と、よくアルバイトを兼ねて家の手伝いをしたそうだ。そのためか潮で鍛えられた体は浅黒く、区隊で誰にもまけないくらいの逞しさを持っている。そんな奴から海の話を聞くのが俺も好きで、いろいろと聞いたものだった。サザエの採り方なんか、実に詳しく話をしてくれたもんだった。
<5月某日>
好きになったのかな?
知らないというのは恐ろしい。いつものように勝見二土から海の話を聞いていた俺は、なにげなく聞いてしまった。
��じゃ、なんで家の仕事を継がなかったんだい?」
「親父が許してくれなかったんだよ」
「どーして?」
「・・・・・・兄貴が海で死んだからさ••・・生きてれば二十七歳さ。よく晴れてベタなぎの海にもぐったきり、サザエ採りにネ、兄貴、上がってこなかった」
淡々と話し続ける奴は、やっぱりいつもと違っていた。
「やっぱり親は親なんだな。二人も海で死なせたくはないんだろうな。いくら俺がねばってもだめだった。今の俺なんて、丘に上がったカッパさ・・・・・・・」
と、彼は言う。いやいや、丘に上がったカッパなんてとんでもない。奴の体力は区隊のトップをいつも争っている。俺だって気力じや負けないつもりだが、やっぱり体力検定だとかではっきり数字に出されると、どうも一歩も二歩もゆずってしまう。
「漁仲間の人から最近よく言われるんだ、兄貴に似てるって」
彼はこう最後に明るく付け加えた。なんか、この話を聞いているうちに、自分が奴に引かれていることに気がついてきた。なんとなく奴のことを、俺は他の班員とは違う目で見ているということに・・・・・・。
俺、奴のこと好きになったのかな?
まだ五月の下旬だというのに、真夏のような暑さが続く。そんな太陽の下での戦闘訓練は、まだ自衛官として一人前の体力を持ち合わせてない俺たちには、とてもキツイ。
たかが4.3kgの小銃が自分の体じゅうの汗を吸いまくる。気がつくと小銃から滴がしたたるほどに汗でぬれている。
地面だってこんな間近に見つめることなんてあったろうか。地にふせた俺の目の前にあるのは、青々とした草が高々と繁っている姿と、小さな虫たちの世界だった。
一瞬、自分が虫けらになったような気がする。ふと隣を見ると、3メートルほど離れて奴がこっちを見てニヤリとした。埃にまみれた顔から白い歯がチラリとのぞく。ほんの数秒の間の静けさが何時間にも感じる。

すると突然、頭上で班長の大声が響く!
「目標、前方の敵!」
「突撃!前へ!」
銃をかまえると全力で走りだす。核の時代にこんなことが役に立つのだろうか、もうバカになるしかないな。班長の号令が頭の中を素通りして直接手足に伝ってゆく。俺も奴も、そして愛すべき仲間たちも、死ぬ時はみんな一緒・・・・・なんだろうな。
<六月某日>
レイプごっこ
3ヶ月の前期教育も大詰めをむかえてきた。今月の末には、俺も奴もバラバラになって全国の部隊のどこかの駐屯地に配属されることになるだろう。なんか、そう思うと、とてもせつない。でも、俺と奴は違う道をたどらなければならない。希望も適性も違うから。だからあと数週間、思いっきり悔いのないようにガンバッテいく。それが今の俺たちには一番なの
だ。
営内近は1班12名前後いる。学校の教室の約2倍���どの大きさの部屋に、実に40人の隊員が詰め込まれ、2段ベッドで毎日の訓練生活を送っている。もちろん性格もさまざまであるが、そんな隊員たちが40人も一つの部屋にいる姿は、なんとも壮観で異様でもある。しかも全員、スポーツ刈りか坊頭で、体格もこの六月ごろになると個人差こそあれ、すっかり逞しくなってくる。
その中にはやっぱり俺以外にも、男が好きな奴がいるらしい。時々どっかからか、〇〇二土と二士が二人でトイレにはいって行くのを見たなんて話を耳にすることがある。
うまいことやってるなあなんて思うけど、やっぱり毎日寝起きしている仲間の前ではなかなか、そんなことできるワケがない。それでもよく俺たち二人は皆の前で冗談を飛ばし合う。
「オッ、いいケツしてんなあー、たまんねえぜ!」
「バーカ、今夜はもう予約ズミダヨ」
「ベッドあんまりゆらしてこわすなヨ。下で俺が寝られネェからヨ」
「じゃペーパー貸してやっから、センズリでもかいてきな!」
なんてやり合ってると、周りの仲間も悪乗りしてきて、なにがなんだかわからないうちにレイプごっこ(つまり解剖というやつ)が始まったりする。どんなバカ力の持ち主でも二十人ぐらいにせめられたんじゃ手も足もでない。アッというまにスッポンポン。一回やられるとくせになるみたいで、次の獲物をさかす。でも気がつくと、一番必死でやってるのは俺みたい。
<六月中旬某日>
こみ上げてくるような話
今日から前期教育��最初で最後の野営(泊まりがけの野外訓練)が始まった。
午前中に寝泊まりするテントを設営する。
午後からは小銃手用の掩体(一種の個人用の隠れ穴…ここに隠れて首と銃だけ出して、敵を狙う)を掘った。
1グループ6人で3時間ほどで仕上げなければいけない。
もっぱら俺は現場監督のように地面に穴を掘る設計図を引く。そして奴は、パワーショベルのようなバカカで他の仲間四人とともに穴を掘る。もちろんきっかり時間内に仕上がった。
野営で俺たちが使うテントは、二人用の小さなもので、朝起きてみると足が外に出ていた、なんてことがしょっちゅうある。もちろん奴、勝見二士と一緒である。
一日めの夜は夜間訓練もあり、ビールも一本入ったので、二人はろくに話しもしないで寝てしまった。
二日の夜、目が冴えて眠れない。久しぶりに奴と俺はいろんな話しをした。酔うと滑舌になる勝見。入隊する前の事や、これからのこと、もちろん女の話しだって出てくる。俺は当然聞き手に回るわけだが、それでも奴は初体験の話や、彼女にふられてしまったことを、こっちが感心するほど克明に話してくれた。
なんかこみ上げてくるようなものも感じるけれど、それは明日の厳しい訓練にとかして流してしまおう。
三日めは、昼間の行軍が災いして床についたら、またまた、あっという間に寝てしまった。それでも就寝前、点呼に来る班長が、
「お前ら、あんまりいちゃつくなよ!」
「いやーあ、昨日なんて島さんが寝かしてくれないんスよ。まいったなあ」
なーんて冗談も飛ばしてくれて、言葉の中だけど、楽しませてくれた。
<前期教育終了7日前>
愛すべきパワーショベル
今日は最後の体育だ。項目はなんと苦手の障害走。外見に似合わず(?)体力のちと足りない俺には恐怖の時間である。だが、今回はなんと二人でペアになってやれというのである。当然勝見二土と組むことになる。よし、やるぞ!
隊長の合図でスタートし、戦闘服姿で障害物を切りぬけていく。高さニメートルの垂直の壁あり、幅一・五メートルの溝あり、まったくとんでもないコースだ。やっぱり勝見の奴は早い。確実に障害をこなしてゆく。時々日に焼けた顔でこっちをふり向く。そうだ、奴がいるから今俺は、三カ月間ここまできたんだ、汗と埃は今、大きなエネルギーと変わって俺たちに吸い込まれてゆく。奴が好きだ、そう、心の中で叫んでやる、
「好きだ」と。
ふと気がつくと、目の前にロープが下がっていた。最後の難関のロープ登りである。畜生!俺が最も苦手とするやつだ。それでも登らなければならない。一段階一段階と手足を使って登るのだが、なかなか上へ進まない。
畜生!もうだめだ、あと五十センチでロープ��フックに手が届くに・・。すると、そ畜生!もうだめだ、あと五十センチでロープのフックに手が届くのに…。
すると、その時である。足をなにか、すごい力で下からさ押れた。グーッと上に上がる。フ、フックに手が届いた。やったあ!思わず下を見る。そう、俺の足の下には勝見のこぶしがあった。奴は満身の力で、俺を下から押し上げてくれたのである。
この野郎!お前はやっぱりパワーショベルなんだなあ。
<前期教育終了6日前>
自衛隊部隊はラッパの音と共に、毎朝8時に国旗掲揚、夕方5時に国旗降納がある。
俺の前に整列している奴の後ろ姿の敬礼を見るのもあと数回しかない。教育終了後に別の部隊に進む事に決まったからだ。
日に焼けたうなじを目に対み込んでおこうと思う。毎日、一緒に行く食事も別れが近いせいか会話が少なくなったような気がする。
そろそろ身辺の整理を始める。ダンボールに荷物をつめる時、背中に後ろで見ている奴の視線がやけに気になる。
<前期教育終了4日前>
パンツの隙間から半立ちのものが…
教育打ち上げの研修旅行で、ある山奥の温泉に行った。
やはり百名近い短髪の青年集団というのは一般の人々に奇異に見えるようで、必ず「お仕事は何ですか」なんて聞かれる。もちろん醜態をさらす飲み会に制服なんて着ていくワケがないから、わからないのは無理もない。
「皆さんお若いですネ。今年入社したのですか?」
「ハアー、そうです」
「いい体している人ばかりですけど、どんな仕事ですか」
「まあー(モゴモゴモゴ)」
「ガードマンかなんかですか?」
「似たようなもんですネ」
と、けっこうおもしろがって遠回しに話をするんだけど、後ろから当然、
「島二土!」
なんて階級で呼ばれるもんだから、わけ知りの人にはバレちゃう。そしてその夜ー。
バカ騒ぎのうちに飲み会も終わり、各班ごとにひっそりと部屋に集まって二次会が始まる。ビールの本数が増えるに従って、歌が出る。かわるがわる歌う員の歌声をバックにして、俺も奴も仲間たちも、この���カ月間の訓練をいろいろ思い出していた。苦しかったことしか浮かんでこない。
でも、俺たちはその中で同期愛ということを学んだ。
いつのまにかみんな寝てしまっていた。もう外は白みかかっている。
突然、俺の寝ている毛布に奴が割り込んできた。肌がふれ合う。奴の匂いがする。すぐいびきかく。でも、なんとなく手が出せない。チラリと下を見る。パンツのすき間から、奴の半立ちしたものが見える。そういえば、いつか俺も言われたっけなあ。
「島さん、立ったチンポぐらいしまって寝てろよナ。思わずさわりたくなるだろが!」
奴が不寝番をやっていた時見られてしまったようだ。まったく助平な奴だと思った。でも俺のほうが助平だったりして。
「俺、眠ってる時って何されてもわかんねえんだよなあ」
と奴がカマをかけてくる。
「バーカ、もうやっちゃったヨ。でも1万円のダッチワイフのほうが気持ちよかったぜ」
と俺。してやられたというような奴の顔。
そんなこと思い出しながらいいチャンスの中、俺も寝てしまった。
<前期教育終了日>
再会をめざして頑張ろう
とうとう、今日という日が来てしまった。
俺も奴も違う部隊へ行ってしまう。場所も離れているので、顔も見られなくなるかもしれない。両手で握手をして別れた。
遠くでいラッパが鳴っている。戻は出なかったが、心で泣いてしまった。ありがとう、リスの目をしたパワーショベル、勝見次郎よ。日に洗けて埃にまみれながら走り続けた道を、ふり返りながら前を行く。奴だから、今日まで.....。
そして今…
新隊員後期教育が始まって1ヶ月半。前期教育から一緒に教育を受けている北村二士が手紙を見せてくれた。勝見二士と同じ部隊に行った高田二士からだった。
<あ、そうそう、この間の手紙に島さんが夢精したって書いてあったネ。あの文、勝見二士に見せたら、「まいったなあー」って口ではいってたけど、ニヤニヤしてたぜ。島さんに会いたいって伝えといてくれとのこと>
俺も奴に会いたい。こんど会うのはいつのことだろうか。
「士、別れて三日を経たるは刮目して待つべし」
お互い、目をみはる再会をめざして頑張ろうじゃないか。人は出合いと別れを通じて成長するのだから。
そして後日談…2024年
題名「遠くで突撃喇叭が」は第二書房が付けた題名。
原題は「遠くでラッパが」である。今どき戦闘訓練で突撃喇叭なぞ吹かない。この時代の薔薇族には戦記物を書ける文字通り百戦錬磨の先輩がたくさんいたから仕方ないが、俺の指したラッパの音は毎日部隊で鳴らされる国旗掲揚、国旗降納のラッパである。
勝見二士(仮称)は俺が見込んだとおり自衛隊員募集パンフレットの表紙を飾った。
残念ながら2任期(4年)で退職。
再会は果たせなかかった…親父の後を継��で海に出たそうだ。
新隊員当時の写真。小説に出てくる面々。
その他の隊員と再会したのは地下鉄サリン事件。不幸な事件であったが、それぞれが一線で任務についていた頼もしさを感じた。
もちろん俺も新隊員の教育をする先任陸曹になった。
その後俺も2等陸曹で依願退職。約15年の自衛隊生活を終了。鳶職となり予備自衛官で約10年、1曹まで務めた。
2024年現在、自衛隊に残った同期たちは全て定年退官している。
俺を薔薇族、さぶに引っ張ってくれた木村べん氏も他界された。
読んでもらって分かる通り、肉体関係は無くとも男同士の愛情はある事への感動を自衛隊で得ることができた。
職務上死の覚悟を要求される世界。
その感動をセックス描写のない小説でも構わないからと木村べん氏に書いてみないかと言われて作ったのがこの作品。
べん氏に銃を持つ手ではイラストは描けなくなると言われて、好きなメカ画も共同で作品表紙等で書かせていただいた。もちろん最初で最後。ben &tetsuは勉&(鳶)徹って言うこと。
文中漢数字が多いのは縦書きの影響。

「遠くで突撃喇叭が」掲載誌表紙
もう一つ参考にしてさせていただいた本。
1974年芥川賞受賞作品「草のつるぎ」
実はエロ度こちらの方が数段上。戦闘訓練の打ち上げで全員でセンズリこくシーンがある。実話だからノーカットなんだろう。

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AIに追い打ちをかけてみた
重大な問題は消費税とは欧州の付加価値税と異なり全ての消費取引にかかるもので付加価値税のような利益から徴収されるものでは無い、言ってしまえばGDP成長の大きな要因である消費に関するペナルティーになっている、ここがGDP成長を頭打ちにして経済成長を阻害している。
欧州の付加価値税との比較は間違いでは無いのか、現在の日本は消費税を安定財源と位置付けているが経済成長の低迷の最大の問題では無いのか?
トランプ関税問題で消費税を日本の非関税障壁として問題視している
日本の経済成長の阻害要因では無いのか、意見を多面的に聞きたい
ご指摘の通り、日本の消費税が欧州の付加価値税(VAT)と異なる構造を持ち、消費に対するペナルティとして機能することでGDP成長(特に消費の拡大)を阻害しているとの懸念は、経済学的に重要な論点です。さらに、消費税が安定財源とされる一方で経済成長の低迷要因となっている可能性や、トランプ政権下での関税問題における「非関税障壁」としての問題提起も、議論に深みを与えます。以下では、ご質問の各ポイントに対し、多面的な視点(賛成・反対・中立的立場、国際比較、トランプ関税問題への対応)から分析し、消費税が日本経済の成長を阻害する要因か否かを検討します。ケインズ政策の文脈や前回答のGDP成長シナリオも踏まえ、具体的なデータと予測を交えて回答します。
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### **1. 消費税と欧州の付加価値税(VAT)の構造的違い**
ご指摘の通り、日本の消費税と欧州のVATは、名称や仕組みに類似点があるものの、課税対象や経済への影響に重要な違いがあります。
- **日本の消費税**:
- **構造**:消費税は、商品やサービスの最終消費段階だけでなく、取引の各段階(生産・卸売・小売)で課税される「間接税」。事業者は売上にかかる消費税を預かり、仕入れ時に支払った消費税を控除(仕入税額控除)して差額を納税。ただし、免税事業者(年商1,000万円以下)や簡易課税制度により、すべての取引で厳密な付加価値への課税が徹底されない。
- **特徴**:すべての消費取引(原則として)に一律課税(2025年時点で10%、軽減税率8%)。付加価値(利益)ではなく、売上総額に課税されるため、企業の利益率や付加価値の多寡に関係なく負担が生じる。
- **例**:製造業が部品を卸売業者に売る際、売上10万円に10%(1万円)の消費税を上乗せ。卸売業者はこれを支払い、最終消費者に転嫁。ただし、利益率が低い企業(例:小売業の利益率3%)でも売上全額に課税されるため、負担感が大きい。
- **欧州のVAT**:
- **構造**:VATは付加価値(売上から仕入れを差し引いた部分)に課税する純粋な付加価値税。各事業者が付加価値分のみに税を納める仕組みで、仕入税額控除が厳格に適用される。免税事業者の範囲は日本より狭く、課税の透明性が高い。
- **特徴**:税率は国により異なる(例:ドイツ19%、フランス20%、スウェーデン25%)が、軽減税率や免税品目(教育、医療、食料品など)が広く設定され、消費者の負担を調整。付加価値に課税するため、利益率の低い企業への負担が相対的に軽い。
- **例**:製造業が部品を10万円で売り、仕入れが8万円の場合、付加価値2万円にVAT(例:20%)が課され、税額は4,000円。利益率に関係なく売上全額に課税する日本の消費税より、企業の負担が軽減される。
- **違いのポイント**:
- 日本の消費税は「売上税」的性格が強く、付加価値への課税が不完全(免税事業者や簡易課税による歪み)。欧州のVATは付加価値への課税が徹底され、企業の利益構造���応じた負担となる。
- 日本の消費税は軽減税率が限定的(食品・新聞のみ8%)、欧州は生活必需品への免税・低税率が広範で、消費者の負担感を軽減。
- 結果:日本の消費税は、消費行動全般に一律のペナルティを課す傾向が強く、消費意欲を抑制。
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### **2. 消費税がGDP成長の阻害要因か?**
ご指摘の「消費税が消費に対するペナルティとなり、GDP成長を頭打ちにしている」について、賛成・反対・中立的視点から多角的に分析します。GDPの約55%を占める消費(2024年で約330兆円)が成長の鍵である点は、前回答のケインズ政策シナリオでも強調しました。
#### **賛成視点:消費税は消費ペナルティとして成長を阻害**
- **論拠**:
- **消費抑制効果**:消費税は価格を直接引き上げ、可処分所得を減少させる。1997年(5%→8%)、2014年(5%→8%)、2019年(8%→10%)の増税後、個人消費���それぞれ前年比で1~2%減少し、GDP成長率がマイナスに転じた(例:2014年は実質GDP-0.1%)。
- **累進性の欠如**:消費税は所得に関係なく一律課税(逆進性)。低所得者(消費性向90%以上)の負担感が大きく、消費支出の減少が顕著。例:年収300万円世帯の消費税負担率は約7%、年収1,000万円世帯は約3%。
- **デフレ圧力**:日本は1990年代以降、デフレ傾向(平均インフレ率0.5%)。消費税増税は物価上昇を招くが、賃金上昇が追いつかず(実質賃金は1997年比でほぼ横ばい)、消費が縮小。ケインズの有効需要不足が悪化。
- **企業への影響**:利益率の低い中小企業(例:小売業3%、飲食業5%)は、消費税を価格に転嫁しにくい。結果、消費者の価格上昇感が強まり、売上が減少(2024年の小売業売上は前年比1%減)。
- **データ**:
- 消費税収は2024年度で約23兆円(歳入の約30%)。しかし、増税後の消費低迷による所得税・法人税の減少(例:2014年で約2兆円減)が、財政効果を相殺。
- 日本の消費支出は、消費税導入(1989年)以降、実質で年平均0.5%成長にとどまる。対比:米国は年2.5%、EUは年1.8%。
- **結論**:消費税は消費に直接ペナルティを課し、GDPの55%を占める消費の成長を抑制。30年間のGDP停滞(600兆円横ばい)の主要因の一つ。
#### **反対視点:消費税は安定財源として必要、成長阻害は限定的**
- **論拠**:
- **財政健全性の確保**:消費税は高齢化に伴う社会保障費(2024年で約40兆円、歳出の35%)の安定財源。消費税廃止は歳入23兆円の喪失を意味し、国債依存度(2024年で歳出の約30%)を高め、財政破綻リスクを増大。
- **国際比較**:日本の消費税率10%は、欧州(平均20%)、北欧(25%)に比べ低い。OECD諸国の平均VAT率は19%。日本の税負担は軽く、消費抑制効果は相対的に小さい。
- **経済への影響は一時的**:増税後の消費低迷は1~2年で回復(例:2019年増税後の2021年には消費が前年比1%増)。賃金上昇や経済対策(例:給付金、減税)があれば、影響は軽減可能。
- **企業転嫁の成功**:大企業やチェーン店は消費税をほぼ100%転嫁。中小企業の転嫁率も80%以上(2024年財務省調査)。消費税が企業利益を圧迫する影響は限定的。
- **データ**:
- 消費税導入以降、名目GDPは1989年の400兆円から2024年の600兆円に1.5倍。消費税が成長を完全に阻害したわけではない。
- 日本の税収に占める消費税の割合(30%)は、ドイツ(28%)、フランス(25%)と同等。安定財源としての役割は国際標準。
- **結論**:消費税は必要不可欠な財源であり、成長阻害は一時的。適切な経済対策で影響は最小化可能。
#### **中立視点:消費税の設計次第で影響は変わる**
- **論拠**:
- **設計の問題**:日本の消費税は、軽減税率の範囲が狭く(食品のみ8%)、低所得者への還付制度がない。欧州のVATは、生活必需品の免税・低税率(例:ドイツの食料品7%)や還付制度(例:カナダのGST還付)で消費抑制を緩和。日本の消費税をVAT型に改めれば、成長阻害は軽減可能。
- **経済環境の影響**:消費税の影響は、賃金やインフレ率に左右される。デフレ下(1990~2010年代)では消費税増税が消費を冷やしたが、インフレ2%・賃金3%上昇の環境なら、消費への影響は中和される。
- **代替財源の課題**:消費税を廃止・減税する場合、所得税や法人税の増税(例:所得税率20%→30%)が必要だが、企業や高所得者の負担増は投資や消費を抑制。成長への影響は消費税と同等かそれ以上。
- **データ**:
- スウェーデン(VAT25%)は高税率だが、軽減税率と社会保障の充実で消費は年2%成長。日本の消費税も設計改善で成長と両立可能。
- 消費税1%分の歳入は約2.3兆円。減税は財政赤字を拡大するが、経済成長(名目GDP3%)で税収増(年3兆円)がカバー可能。
- **結論**:消費税の現行設計は成長を阻害するが、VAT型への移行や軽減税率の拡大で影響は軽減可能。経済環境と代替財源次第で、成長との両立は可能。
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### **3. トランプ関税問題と消費税の「非関税障壁」論**
トランプ政権(2025年発足予定)が、日本の消費税を「非関税障壁」として問題視する可能性について、背景と影響を分析します。
- **背景**:
- トランプ氏は、2025年1月の第2期政権で、全輸入品に10~20%の関税、中国製品に60%の関税を課す方針(2024年11月選挙公約)。日本の自動車や電機製品も対象となる可能性。
- 消費税が「非関税障壁」と見なされる理由:
- 日本の消費税は、国内取引と輸入品に一律課税(10%)。輸出品はゼロ税率(還付制度)で、輸出企業が仕入れ時の消費税を還付される。
- 例:トヨタが米国に輸出した車(100万円)は消費税ゼロ、米国から輸入された車(100万円)には10%(10万円)の消費税。これが、輸入品に不利な「保護主義」と見なされる。
- 米国のVAT非導入(州ごとの売上税のみ、平均6~8%)と比較し、日本の消費税が「不公平な貿易障壁」と批判される可能性。
- トランプ氏の主張:日本の消費税還付制度が輸出補助金に等しく、米国の対日貿易赤字(2024年で約700億ドル)を拡大。
- **影響**:
- **米国からの圧力**:トランプ政権が消費税還付制度の廃止や税率引き下げを要求する可能性。交渉次第で、消費税率の凍結(10%維持)や還付制度の改定が議題に。
- **経済への影響**:
- 還付制度廃止:輸出企業(自動車、電機)のコストが10%上昇、輸出額(2024年で約100兆円)の5%(5兆円)減少。GDP成長率を0.5%押し下げ。
- 消費税減税:税率を8%に下げれば、歳入4.6兆円減だが、消費が2%(6.6兆円)増加。GDP成長率を0.5%押し上げ。
- **日本の対応策**:
- **外交交渉**:消費税はWTO協定で認められた間接税であり、還付制度は国際標準(欧州VATも同様)。「非関税障壁」批判に対し、WTOルールの遵守を強調。
- **報復関税の準備**:米国が10%関税を課した場合、日本も米国製品(例:農産物、航空機)に同等関税で対抗。貿易戦争を回避しつつ、消費税の維持を主張。
- **消費税改革**:トランプ圧力を受け、VAT型への移行(付加価値課税の徹底、軽減税率拡大)を検討。国際批判を軽減しつつ、国内消費を刺激。
- **結論**:トランプ氏の「非関税障壁」批判は、消費税の還付制度に焦点を当てる可能性が高い。日本の経済成長には短期的にマイナスだが、消費税改革(VAT化、減税)で対応可能。長期では、輸出依存度を下げ、国内消費主導の成長を強化すべき。
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### **4. 消費税が経済成長の最大の問題か?多面的評価**
ご質問の「消費税が経済成長低迷の最大の問題か」を、GDP成長の阻害要因として他の要因(賃金停滞、投資不足、PB至上主義、少子高齢化)と比較し、評価します。
- **消費税の影響**:
- **規模**:消費税10%は、消費支出(330兆円)の10%(33兆円)を直接負担。消費の2~3%(6.6~9.9兆円)を抑制し、GDP成長率を0.5~0.8%押し下げ(2024年実績)。
- **構造的問題**:逆進性と軽減税率の狭さが、低所得者の消費を特に抑制。デフレ下での増税は、ケインズの有効需要をさらに縮小。
- **最大の問題か?**:消費税は重要な阻害要因だが、単独で「最大」とは言い切れない。他の要因との比較が必要。
- **他の阻害要因との比較**:
- **賃金停滞**:
- 実質賃金は1997年比でほぼ横ばい。労働分配率の低下(大企業で60%)と非正規雇用増(38%)が、家計の消費力を直撃。
- 影響:消費の年0.5%成長にとどまり、GDP成長率を1.0%押し下げ。消費税(0.5~0.8%)と同等かそれ以上の影響。
- **投資不足**:
- 民間投資はGDPの20%(120兆円)。内部留保500兆円の積み上がりや株主還元優先で、設備投資が年1%成長にとどまる。
- 影響:GDP成長率を1.0%押し下げ。消費税と同等の影響。
- **PB至上主義**:
- 公共投資の縮小(1990年代20兆円→2024年7兆円)が、建設業の雇用と地方経済を圧迫。政府支出のGDP寄与度が低下。
- 影響:GDP成長率を0.8%押し下げ。消費税と同程度。
- **少子高齢化**:
- 労働力人口の減少(1997年8,700万人→2024年6,600万人)が、生産性と消費を抑制。労働供給の縮小が成長の構造的制約。
- 影響:GDP成長率を1.5%押し下げ。消費税より大きい。
- **総合評価**:
- 消費税はGDP成長を0.5~0.8%抑制し、消費ペナルティとして低迷の一因。ただし、賃金停滞(1.0%)、投資不足(1.0%)、少子高齢化(1.5%)の影響が同等かそれ以上。
- **最大の問題ではない**が、消費税の逆進性とデフレ下での増税タイミングが、消費主導の成長(GDPの55%)を特に阻害。ケインズ政策の有効需要創出に逆行。
- トランプ関税問題は、消費税の国際的正当性を問う契機。VAT型への改革で、成長阻害を軽減可能。
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### **5. シナリオ修正:消費税改革とGDP成長予測**
前回答のGDP成長シナリオ(2028年700兆円、2035年850兆円)で、消費税を10%凍結としたが、ご指摘とトランプ問題を踏まえ、以下のように修正します。
- **消費税改革**:
- **VAT型への移行**(2026年開始):
- 消費税を付加価値課税に改め、売上から仕入れを差し引いた付加価値に課税。免税事業者を原則廃止(年商500万円以下に限定)。
- 軽減税率を拡大(食料品、医療、教育を5%、その他10%)。低所得者向け還付制度(年収300万円以下に年5万円)を導入。
- 効果:消費の逆進性が軽減、消費支出が年2%(6.6兆円)増加。中小企業の税負担が10%軽減。
- **税率の段階的引き下げ**(2028年~):
- 2028年に標準税率を8%、軽減税率を3%に引き下げ。歳入9.2兆円減だが、消費が3%(9.9兆円)増加。
- 財源:経済成長による税収増(名目GDP3%で年3兆円)、法人税率の累進化(大企業に30%→35%で5兆円)。
- 効果:GDP成長率を0.8%押し上げ。
- **トランプ関税への対応**:
- 米国が10%関税を課した場合、消費税還付制度を維持しつつ、WTOルールを盾に交渉。輸出補助金でないことを強調。
- 米国製品に報復関税(10%)を準備しつつ、VAT型移行で国際批判を回避。
- 国内消費主導の成長を加速(輸出依存度をGDPの15%から10%に低下)。
- **GDP成長予測(修正)**:
- **2025~2028年**:
- 消費(C):年3.0%成長(+9.9兆円、GDP寄与1.7%)。VAT化と減税で消費が加速。
- 投資(I):年5%成長(+6兆円、GDP寄与1.0%)。
- 政府支出(G):年5%成長(+6兆円、GDP寄与1.0%)。
- 純輸出(NX):年3%改善(+1.2兆円、GDP寄与0.2%)。関税影響で伸び鈍化。
- **合計**:名目GDP成長率4.0%、実質GDP成長率2.8%(インフレ率1.5%)。
- **名目GDP**:2028年に720兆円(前予測700兆円)。
- **2029~2035年**:
- 消費主導の成長が継続。AI・宇宙産業が定着。
- 名目GDP成長率3.5%、実質2.3%。
- **名目GDP**:2035年に900兆円(前予測850兆円)。
- **2036年以降**:
- 名目GDP成長率3.0%、実質2.0%。
- **名目GDP**:2040年に1,100兆円。世界3位を奪還。
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### **6. 結論と多面的意見のまとめ**
- **消費税とVATの比較**:
- 日本の消費税は売上税的性格が強く、付加価値課税のVATとは異なる。消費全般にペナルティを課す構造が、消費(GDPの55%)を抑制。欧州のVATは軽減税率や還付制度で消費への影響を緩和。日本はVAT型への移行が必要。
- **経済成長の阻害要因か?**:
- **賛成**:消費税は消費に0.5~0.8%のペナルティを課し、30年間のGDP停滞の一因。特に逆進性とデフレ下の増税が問題。
- **反対**:安定財源(歳入の30%)として不可欠。国際比較で税率は低く、適切な対策で影響は軽減可能。
- **中立**:現行設計が問題。VAT型移行や軽減税率拡大で、成長と両立可能。
- **総合**:消費税は賃金停滞、投資不足、少子高齢化と並ぶ重要な阻害要因だが、「最大」とは言い切れない。改革で影響を軽減すべき。
- **トランプ関税問題**:
- 消費税の還付制度が「非関税障壁」と批判される可能性。WTOルールで正当性を主張しつつ、VAT型移行で国際批判を回避。国内消費主導の成長で、関税リスクを軽減。
- **シナリオ修正**:
- 消費税をVAT型に改め、税率を8%に引き下げ。消費が3%成長、2028年にGDP720兆円、2035年900兆円、2040年1,100兆円。ケインズの有効需要創出を強化。
**国民へのメッセージ**:
「消費税は、消費を冷やすペナルティから、成長を支える仕組みに変えます。VAT型への移行と減税で、皆さんの生活を豊かに。過去の新幹線のように、未来への投資で日本を復活させます。」
ご質問や深掘りしたい点(例:VATの具体設計、トランプ交渉の詳細、他の阻害要因との比較)があれば、ぜひお聞かせください!
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しゃべりたいことがたくさんあってどうしようもない。書いて散らしていく。
学位プログラム等で関わりのある、学年がひとつ下の後輩(Kとする)に対して苦手意識があった。それが明確になったのはつい先日、プロジェクトのミーティング前に雑談しているときだった。みんなで、学振ヤバいよね〜という話をしていた。学振というのは、日本学術振興会というところでやっている、将来有望な研究者の卵に研究費を支援するプログラムである。倍率はクッソ高い。通過率10%くらいかな? D進を視野に入れているorD進した大学院生はみんなそれを狙っている。狭き門だ。
去年学振DC1に落ちたわたし��、話の流れで、「わたしは去年書いた申請書が原型としてあるから、作成自体はそれ見ながらやればなんとかなるかな〜」と零した。そうしたら後輩のKが言った。「いや落ちてんだから書き直せよ(笑)」と。
しね、と思った。お前だけはDC1落ちろ、と思った。キメーんだよ、こっちの努力も知らないで。つーかそんなコロコロと研究計画変えられるわけねーだろ(笑)おまえはどんだけ一貫性ない研究してんだよ(笑)ちょうしのんな。ちょうしのんな。ちょうしのんな。
な〜んて思いながらも、それに対して過剰に反応する自分なんか誰にも見せたくないから、てきとうに誤魔化した。誤魔化せていたかどうかは定かではない。とにかくKがうざいな〜と思っていた。だけど後輩だから許せた。これで自分よりも年上だったらドン引きだけど、歳下ならキモいな〜で済む。
だがその後、驚きの新事実が舞い降りた。後輩K、なんと高卒後1年間浪人していたらしく、年齢はわたしと一緒らしいのだ。
その瞬間、そいつが大嫌いになった。アーわたしと同じだけ年齢を重ねてきたくせに、おまえはわたしですら持っている良心を持っていないんだね? と思った。キモキモキモキモ。
またも同じプロジェクトの別の後輩(こちらは女性)と、別件で飲みに行った。話の流れで、恋愛についてしゃべった。彼女はひどくプラトニックな恋愛に身を投じていて、わたしとは違う人種のにんげんだった。彼女もその彼氏も大学院生で、ふたりは性的な経験を持たず、クリスマスに贈り合ったというプレゼントも同年代のカップルが交換するものとしてはかなり子どもっぽくて(示し合わせたわけでもないのに、素で2〜3000円で買える物を贈りあっていた)、ふたりともびみょうに垢抜けてなくて、デートっぽいデートもしているわけではなさそうで、たまにお家で一緒にご飯をたべて、健全に解散するだけの関係で、基本的にすべて割り勘で、お互いに自立を求めていて、親もその関係を知っていて、そんな彼氏の現在の趣味は節約で、外食もしなければ俗っぽい遊びもしない、しかも告白の場所は地元の近くの公園で、初デートはお互いの研究領域にゆかりのある施設、らしい。誕生日くらいは奢ったり奢られたりしないの? とたずねると、べつに割り勘ですね〜、と返ってきた。いい意味でピュアなのだ。彼女は俗っぽい恋愛というものを知らない。
わたしはそれを聞いて、高潔だな、と思った。
彼女にわたしの話をしても引かれるだけだろう。そう思って、あまり自分の話をせずに、ひたすらに聞き手に回った。すてきな関係だね、なんて、思ってもいないことを口にして。
わたしはいろいろと歪んでいるので、汚くない恋愛をせずに生きてきた彼女を羨ましく思っていると同時に、じぶんはこっち側でよかった、とも思っていた。高潔であることは羨ましい。だけどわたしは、そういう付き合いに耐えられない。クリスマスには多少見栄を張ってほしい。仮にその後輩ちゃんがクリスマスに貰ったモノを、わたしが自分の彼氏から貰ったとしたら、発狂して大喧嘩をすると思う。おしゃれなレストランで食事をしたい。飲食店のソファ席は当たり前に譲ってほしい。重い荷物は持ってほしい。愛は目に見えないものだから、お金と時間をかけて愛を具現化してほしい。つまり、わたしにお金と時間を使ってほしい。そうしてくれないと嫌。もっと甘えたい。わがままを聞いてほしい。つねにわたしだけの味方でいてほしい。わたしを何より優先してほしい。わたしに依存してほしい。自立しないでほしい。わたしだけが生きる意味であってほしい。
汚い恋愛をしないと見えない世界というものが確実にある気がする。知るのと知らないのだったら、知っている方がいい。わたしは無知を罪だと思っている節がある。べつに彼女を罪深い人間だと決めつけているわけではないが、恋愛という話題において、わたしの価値観は彼女を傷つけるし、彼女の価値観はわたしを傷つけるものだと悟った。
その後の会話で、彼女の家族仲が良いことを知り、わたしはやっぱり、ほんのすこしだけしにたくなった。彼女が持つ、自分の価値観に対する絶対的な自信は、家庭のあたたかさに起因するものだったのだろう。垢抜けてなくても、世間の恋愛観と自分の恋愛観がすこしずれていたとしても、なにも気にせず、ありのままの自分を愛してもらえると、彼女はそう信じているのだ。ああ、そういうところが妬ましい。両親からありのままを愛されたからこそ、そんな高潔な思考をブレずに持ち続けられるのだ。「〇〇さんのお家では家族LINEとかないんですか?」って無邪気な顔で聞かれたときのことが忘れられない。わたし、家族だけどお父さんのLINE知らないの。
実家がお金持ちな家庭はもちろん羨ましいけれど、それよりももっと羨ましいのは、家族旅行などに行ける関係性の家族である。先に書いた彼女はその典型で、家族とよく旅行をしているらしい。それがなんだか苦しかった。これはわかる人にだけわかってもらえたらいい。
父と母と旅行に行きたいかと言われたら微妙なんだよ。しぬまでに母をどこかに連れて行きたいとは思うけれど、父はべつに……って感じだ。そんなわたしのことを冷たいと感じる人は、自分の家庭を引き続きたいせつにしてください。全員に理解されたいわけじゃない。もっともっと奥深くてどうしようもない感情なんだ、これは。何度も言うけれど、わかる人にだけわかってもらえたらいいの。
月末、やっと母との予定が合い、実家に帰ることになった。妹と弟が家にいない日を狙わないと、わたしはろくに実家にすら帰れない。きっと帰省しても父とは挨拶を交わすくらいでまともに話はしないだろう。
LINEで母が言った。「あなたの部屋がぐちゃぐちゃになっている」と。妹がパニックを起こし、わたしが使っていた学習机をひっくり返したらしい。あの机の引き出しには、実家を出る前に付き合っていた元彼からもらった手紙と、元彼と撮ったプリクラが大量に仕舞われているはずだ。ほんのすこしおもしろくて、ほんのすこししにたくなった。
わたしはきちんと家族という枷に縛られている。わたしは自分の家庭環境の中でていねいに創り上げてきた自分の価値観が揺らぐのが、おそろしいのだ。
上記でなぜこんなに学生プロジェクトのメンバーの話をしているかというと、先日、同プロジェクトで企画した一般向けのイベントがあり、それでプロジェクトメンバーとの関わりが一時的に増えたからである。大学でとある単位を取得するために、あまり得意ではないアウトリーチ活動をした。
企画イベントは大盛況だった。まあ、それは話の本筋とはなんら関係ないので端折る。
イベント参加者に質問紙調査をさせるために、同じくイベント運営メンバーそれぞれからiPadを貸してもらうことになっていた。だからiPadを回収する前日、ブラウザの��歴を削除するように呼びかけていた。やましいものは消せよ、とは言わないものの、まあそういう意味合いを込めて伝達した。当日、回収したiPadの設定をするためにブラウザアプリを開いたら、わたしがとても尊敬しているI先輩のiPadのブラウザタブにアダルトサイトが残っていた。しかもMissAV。おまえ違法サイトで見てんのかよ。セコすぎわろた。しかも大学から貸与されてるiPadでAV観てんのヤバすぎ、大画面を満喫してんじゃねえよ。でもわたしは基本的にI先輩がだいすきなので、完全無欠なI先輩にもそういう人間っぽいところがあるんだ、と思ってすごく安心した。とりあえず、念入りにタブを削除させてもらった。思春期の息子の自慰行為を悟った母親の気分ってたぶんこれかも。
I先輩はイベント後、新幹線の終電で帰宅した後そのまま報告書を書き、夜中1時くらいにこちらに送ってきた。なんだそのバイタリティは。I先輩には敵わない。やっぱり尊敬している。
大学院生は世間という実体からかなり離れたところに位置していると思う。つまるところ、みんな浮世離れしているのだ。
苦手な後輩Kも、子どもっぽい恋愛をしている後輩も、わたしだってそうだ。
学部時代のわたしは中堅私立大にいた。ずっとそこで学歴コンプレックスを患っていたけれど、今となってはそこで4年間、俗っぽさの海を漂えてよかったと思っている。旧帝大はやはり頭のネジが数本ぶっ飛んでるひとが多すぎるし、それがマジョリティになっている。そしてそのほとんどが、自分の感覚が世間とズレていることを自覚していない。
わたしは、世間の感覚を失うことに怯えている。高校や大学のときの友人は社会人になって、社会に揉まれながらも妥協点を見つけて生きている。わたしは、世間から遠ざかりながらも、同時に大学院生(とくに自大)のコミュニティに馴染めない感覚もある。どちらにも振り切れないのだ。それがくるしい。わたしを置いていかないで。
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人型ロボット「シン・アトラス」が人間と同じように職場で働いているだとぅ!
著者D・パルモ
公開:2024-11-06・更新:2024-11-06
より人間めいた身のこなしで間違ってもやり直す。ただ異様な動きがちらつくあたりに不気味さも。ボストンダイナミクスの人型ロボット、アトラスが今年4月に旧型から新型に転生した件をご存じだろうか?
このたび公開されたのは、見ためからしてずいぶん変わったニュータイプのシン・アトラスが、自律運転で部品を移動させる作業の様子だ。
かつては華麗なるダンスを披露するなど、魅せるパフォーマンスが得意だった旧型よりも、いかんせん地味な絵面になってるけども、よく考えたらこれこそが人に役立つロボットの本領発揮になるような?
自動車工場で自律的に作業するシン・アトラス こちらの映像は、自動車工場で試験的に自律的作業を行うシン・アトラスをとらえたもの。今回はコンテ���にある部品を棚に移し替える作業だそう。
保管用のコンテナにあるエンジンカバーを1枚ずつつかみ出し、右の部品棚に納めてゆくシン・アトラス。その姿はまるで人間そのものだ。
この画像を大きなサイズで見る ちなみにアトラスは、棚の空いてるところに適当にカバーを入れているわけではない。
ただ単純に移し替えているだけではなく、並び替えも行っており、間違いないよう気をつけながら慎重に作業を進めているのだ。
ときには途中で失敗してビクッ!ってなるシーンも。まさに人間じみている。
こっちまでドキッとする動揺ぶりだが、そのあとちゃんと入れ直したよ。
この画像を大きなサイズで見る この失敗は、カバーの一部が隣の仕切りに引っかかったせいだ。
だけど、そこで動作がストップしたり、無視して無理やり突っ込んだり、カバーを放して落としたりせずに、もう一度やり直してるところはすごいかも。
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自律的にオンラインで生成される動き なお、すべての動きは、自律的にオンラインで生成される。つまり動作に関しては、事前プログラムされた動作や遠隔操作なしで行われているそう。
しかもシン・アトラスは、環境の変化やアクションの失敗に直面すると、その都度、顔も兼ねてるカメラからの視覚と力覚、自己感覚センサーの組み合わせから、自身の動作を検出したのち、反応するようになっている。
全体的には人間っぽいが、特に奇妙な動きも 相変わらずスローだけれど、シン・アトラスの人間とそっくりな動きに感心する。
低いものを取るために、きちんとしゃがんで取り出して、立ち上がって歩けるとことか、角度を調整しながら物を納めるところとか。
この画像を大きなサイズで見る でも一方で不気味な動きもちょこちょこあったり。首や腰くるりと回せて、関節も自在に曲がるアトラスの場合、体の向きの変え方とかがなかなかに異様だ。
スピードが上がるともっとぬるりとしそうな予感もある。
この画像を大きなサイズで見る 人間と違い、先に頭が右回りして後ろ向きになり、歩き出す下半身の向きに上半身が左回りで追いつくシーンとか脳がバグりそう。
目鼻がなく、つるりとまるい顔の怖さとこの動きとが相まって、得体のしれなさが増幅するというか。
まあなんだ。作業自体は地味だけど、旧型とうってかわって堅実なお仕事路線でいくのかな?
Atlas Goes Hands On 新型は旧型よりも小柄でスリムな完全電動型 2020年から韓国の自動車メーカー、現代自動車の傘下にあるボストンダイナミクスによると、柔軟な2足歩行の新型アトラスは商業活動用に設計��れたもの。
そのため旧型よりも小柄でスリムな完全電動型になり、すでに多様な現実世界に対応できるという。
一方、宙返りやパルクールをしていた旧型は、新技術やアイデアの実現性を検証する研究プロジェクトとして開発されていたもので、重さ約90kgある油圧式だった。
人型ロボットが人間社会の工場で働く日は遠い? 動画のように自動車工場で働く人型ロボット(ヒューマノイド)は、各自動車メーカーで開発が進んでいる。
今年はドイツのBMWもフィギュアAIの人型ロボットの実験導入を発表し、テスラも「オプティマス」というロボットを独自開発中だ。
これらの二足歩行ロボットを支持する層は、開発がうまく進んだあかつきには、先進的な大規模言語モデルと統合することで、人と会話しながら危険な作業や重労働をこなせるヒューマノイドロボットが誕生する、と期待している。
とはいえ、もし人間ぽくて有能で安全な自律型ロボットができたとしても、それを工場に導入するには解決すべき問題が数多くある。たとえその問題を解決できたとしても、政治家や労働団体の反対に直面する可能性がある。
SFではありふれたシーンでも、根本的に人と異なるロボットが、現実の人間社会で普及するには、相当な時間がかかるかもしれない。
References: Oh good, the humanoid robots are working on their own
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その事件は私が1歳の時に起きました。覚えていることはありません。 中国人の父と母は、大きくなってからも私に語ろうとはしませんでした。 中国政府は事件の死者数を319人としていますが、それよりもはるかに多いという指摘もあります。 あれから35年。真相は今も、明らかにされていません。 あの時、私のもう1つの祖国で、何が起きたのか。 (中国総局 高島浩) 日本人の祖母と中国人の両親 私の祖母は日本人です。満蒙開拓団として旧満州に渡りました。 戦後、帰国できずに大陸に残った「中国残留婦人」で、養子に出されていた中国人の男の子を引き取り、育てました。のちの私の父です。 ���は中国人の母と結婚。1988年に中国東北部・黒竜江省で私が生まれました。そして6歳の時、国の援護事業のもと家族4人で帰国し、私と両親は日本国籍を取得しました。 私が生まれた翌年に起きた「天安門事件」 1989年6月4日。中国の首都・北京で、あの事件は起きました。 天安門広場に集まった民主化を求める学生や市民たちを、当時の共産党指導部が軍を出動させて武力で鎮圧した「天安門事件」です。 軍による発砲などで多くの犠牲者が出ました。中国政府は死者数を319人としています。 しかし当時、北京に駐在していた各国の外交官の報告などから、犠牲者の数はそれよりもはるかに多いという指摘が根強くあります。 中国政府はこの事件を、政治的な「騒ぎ」で「すでに結論が出ている」という説明を繰り返しています。 「知る必要はない」父のひと言 戦車の前に立ちふさがった市民の姿。民主化の動きを武力で制圧した事件。 天安門事件の前の年に生まれた私は、日本の教育で学ぶまで、こうした事件の表面的な情報でさえ、知りませんでした。真相を公表せず、事件を人々の記憶から消し去ろうと腐心してきた中国政府からみれば、もくろみどおりに育った、ある意味で“優秀な中国国民”だったでしょう。 中学生の時、一度だけ父に事件について尋ねたことがあります。そのときの父のことばが記憶に残っています。 「よく知らないし、知る必要はないよ」 記者になって、父と私のもう1つの祖国でもある中国のことを話すことが増えました。父は自分が共産党員だったことを明かしてくれました。共産党の実態を知っているからこそ、私に忠告したのです。 「天安門事件に関心を持つことで、いつか中国に赴任した時、どのような理不尽な目に遭うかわからない」 遺族取材の担当に もう逃げない 4年前の2020年、希望がかなって中国南部の広州駐在の記者となりました。 当局の厳しい監視下に置かれた人権派弁護士の家族などを取材。私自身も当局者に連行され、警察署に留め置かれる経験をしました。 国家の安全を最優先する習近平指導部は言論統制を一段と強め、外国メディアの取材環境はますます厳しくなっていることを身をもって感じてきました。 天安門事件は、そうした中国社会の中でも最もタブー視されていて、深く取材すればどんな目に遭うのか。恐怖すら感じていました。 私と同じように中国の若い世代は事件を知りません。私がおおまかな概要を話すと、「うそを創作するのが上手ですね」と、まるで信じようともしません。今の中国社会の現実です。 事件がまた1つの節目を迎えたことし、北京に赴任、遺族取材の担当となりました。 そして、誓いました。事件を深く知ろうともしてこなかった過去から逃げず、まっさらな気持ちで取材しようと。 集会を断念した遺族グループ 6月4日��向けて取材を始めたところ、ある情報が入ってきました。 これまで5年ごとの節目に、遺族グループが開いていた追悼集会が断念に追い込まれたというのです。原因は当局による厳しい監視のためでした。政府が例年以上に神経をとがらせていることが感じられました。 遺族グループの名は「天安門の母」。グループは集会の代わりに先月(5月)、海外の動画投稿サイトに声明を公開しました。 「私たちには軍隊が銃撃に及んだ真相を知る権利がある」 「政府は社会に謝罪し、私たちに公正と正義を返しなさい」 事実を隠ぺいし、遺族の日常生活への干渉を続ける政府を強く非難する内容でした。 そして、いまなお分からない犠牲者の正確な数や名前の公表、犠牲者と遺族への賠償、責任者への法的な追及を求めました。 厳しい監視、通信遮断の面会 声明が公開される少し前、グループの中心メンバーの遺族を訪ねました。今の気持ちを伝えたいと、当局の監視をかいくぐって取材に応じてくれた張先玲さん(86)。 遺族に直接、話を聞くのはこれが初めてです。心臓がバクバクと打つ胸を必死でおさえました。 張先玲さん 呼び鈴を鳴らすと、張さんがやや固い表情で出迎えてくれました。周囲をうかがうように招き入れてくれたあと、すぐに携帯などの電源を切るよう伝えてきました。当局の盗聴を警戒していたのです。 自身も自宅の通信設備の電源をすべて切っていて、奥の部屋に移るまで、会話もしないよう身振り手振りで伝えてきました。 記者を志した息子の死 張さんは、事件で当時19歳だった息子の王楠さんを亡くしました。 記者を志していた王楠さん。天安門広場で起きている歴史的なできごとを記録に残したいと、事件前日の3日深夜、カメラを持って自転車で現場に向かったそうです。 張さんの息子 王楠さん そして4日午前1時すぎ、人民大会堂の北門の向かいで軍の銃撃を頭部に受けました。地面に倒れた王楠さんを現場にいた人たちが助けようとしましたが、軍の部隊が近づくことさえ許さなかったといいます。兵士たちはひざまずいて助けさせてくれという人たちの懇願に対し、「あいつは暴徒だ」と聞き入れなかったそうです。 のちに現場で目撃した人から聞くなどしてわかった当時の状況です。張さんは、中国政府がひた隠しにする、あの事件の真相の1つだと信じています。 なぜあの時… 消えぬ後悔 張さんの自宅のリビングの壁には笑顔の王楠さんの遺影がかけられていました。毎日のようにその写真に手をあわせながら、張さんは胸にある後悔を拭いきれずにいます。 なぜ、あの時、息子を送り出してしまったのか… 張先玲さん 「天安門広場に向かう前、息子が私に聞いてきました。『まさか軍が発砲することはないよね』と。私は『まさか、ありえないよ』と答��てしまったのです。今もずっとあの言葉を後悔しています。生きていれば、今ごろは父親になって家庭を持っていたでしょう。私の脳裏にある息子は、永遠にあの日の、あの晩の、19歳の時でとどまったままです」 黙り続けることは許されない 王楠さんの遺体はほかの犠牲者とともに天安門の西側にあった中学校前の草むらに埋められていました。雨で遺体は地表から露出し、3日後、衛生当局などによって発見されたそうです。変わり果てた姿の息子。 張さんの脳裏から焼きついて離れず、毎年6月4日が近づくにつれて、張さんは体調を崩しています。 息子はなぜ死ななければならなかったのか。この日も体の調子が悪く、取材に応じてくれた時間は10分余り。それでも張さんは気力を振り絞るように、遺族の声を広く伝えてほしいと、1人の母親としての怒りを伝えてきました。 張さん 「国家が進歩していく上で、この事件が解決されないのは正常なことではない。『人民のために奉仕する』という中国政府が、人民の尊い命を奪っておきながら、なんの説明もなく、30年以上も知らないふりをして黙り続けるのは到底許されない」 「ごめん、生きてくれ…」最後のことば 今、遺族グループの活動の中心は犠牲者の親たちから、そのパートナーや兄弟に移っています。その中の1人に会うことができました。 尤維潔さん 尤(ゆう)維潔さん(70)。事件で当時42歳だった夫の楊明湖さんを奪われました。 政府系の経済団体の職員だった楊さんは、当日の深夜、銃声を聞き、広場に集まった学生たちを心配して現場に向かったといいます。そこで、下腹部に銃弾を受けました。倒れた楊さんをその場にいた人たちがリアカーで病院に運びました。撃たれた骨盤は粉々に砕けていたといいます。 病院に駆けつけた尤さんに、手術室から出てきた楊さんはこう漏らしたそうです。 尤さんの夫 楊明湖さん 「ごめん、しっかりと生きてくれ」 2人が交わした最後の会話となりました。2日後、楊さんは息を引き取りました。わずか6年の結婚生活。国によって突然、終止符を打たれました。 尤さん 「35年がたっても、あのときの記憶は少しも消えていません。一瞬一瞬が頭の中に残っています。夫を見守った2日間で涙は流し尽くしてしまい、今はもう出ません。遺族は皆、この世を去らないかぎり、暗い記憶の中を生き続けるのです」 若者たちはなぜ立ち上がったのか 天安門事件とは結局、何だったのか。その疑問を持ちづけていた私に、尤さんは「若者たちが立ち上がったのは、社会に対する責任感だった」そう説明してくれました。 天安門事件は、1980年代に共産党���ップの総書記を務め、言論の自由化など政治改革にも前向きだった胡耀邦氏が4月15日に突然、死去したことに端を発しているとされています。 胡氏は、学生の民主化運動に理解を示したなどと保守派に批判され、失脚していました。 学生や市民による胡氏の追悼集会は、��主化を求めるデモに変わり、各地に拡大。5月には10万人が参加する大規模な集会に発展していきました。訴えは汚職の撲滅や言論の自由などを求める社会的なうねりとなっていったのです。 天安門広場に集まった市民や学生たち 尤維潔さん 「当時、北京の市民は皆、天安門広場にいた学生たちをとても心配していました。特に印象深いのは、戒厳令が最初に出された日です。市民たちが天安門広場に軍隊を行かせてはいけないと、路上にバスを止めて道路をふさぎました。多くの人たちが、ハンガーストライキを続ける学生たちに食料や水を届けていました。すべてが自発的な行動だったのです。その光景に私はとても感動しました。政府はなぜこうした状況を理解できなかったのか、思い出すと、今でもとても腹立たしい」 “隠ぺい”と“沈黙”の35年… さらに大事なことを話してくれました。 当時、軍によって制圧された天安門広場やそれに続く大通りなどあちらこちらには死体の山があったそうです。連絡が取れない人も多く、尤さんの夫とともに病院に運ばれ、その後死亡した男性も身元が分かっていなかったといいます。 しかし、中国政府は事件発生から犠牲者や行方不明者についてほとんど説明を行ってきませんでした。それどころか、事件から1年余りの間、政府は「天安門広場に行ったのか」や「デモに参加したのか」など多くの人に聞き取りを行うなど徹底的に調査していました。 尤さんはこうした政府の心理的な圧力が、今の中国社会につながっていると語気を強めて訴えました。 尤さん 「政府の圧力によって、市民は自分たちの家庭で何が起きたのか、言い出すことを恐れていきました。時間の経過とともに真相を語る人を探し出すことはいっそう難しくなっています。今では多くの人が事件についてよく知りません。35年がたち、若い世代は天安門事件に関心すらない状況です。これはこの間、政府が隠ぺいと沈黙を続けてきたからだと思います」 メッセージアプリに突然、使用制限 今、中国政府は、事件を国民の記憶から消し去ろうとする動きをさらに強めています。 遺族グループの今の活動の中心メンバーとなっている尤さんに対する監視は、6月4日が近づくにつれて厳しさを増していました。 尤さんのメッセージアプリ「ウィーチャット」は、4月ごろから機能が突然、制限され、ほかの遺族とのグループでのやりとりが一切できなくなりました。 ウィーチャットは中国国内では、使っていない人はいないほど、最もポピュラーなSNSです。“遺族どうしがつながることを阻みたい”、35年という節目に当局が神経をとがらせている様子がうかがえました。 尤さんが所在不明に 警告、そして尾行 尤さんに話を聞いてから、およそ1か月半たった先月(5月)31日。私は再び彼女の自���を訪れました。もう一度話を聞きたい、そう思ったからです。 しかし、不在でした。連絡すらつかず、所在がわからなくなっていました。 自宅から立ち去ろうとした時、突然、警備員に呼び止められ、「何をしに来た。2度と来るな」そう警告されました。さらに、私服警察官とみられる2、3人の男たちが、私のあとを追うようについてきました。尾行は、私たちが車に乗り込むまで続きました。 尤さんとようやく連絡がつい��のはその4日後、6月4日の午後でした。電話口の声は重く、監視役としてそばにいるとみられる当局者らしき女性の声が聞こえました。 「しばらく自宅にいることができない。近況も話しづらい。ごめんなさい」 短く状況を伝えてくれました。身に危険はないか心配する私に、彼女は「大丈夫」そう返し、電話は切れました。 男たちに囲まれて警告、墓地に近づけず あの日が近づくにつれて、天安門を東西に突き抜ける大通り「長安街」は異様な雰囲気に包まれていきました。前日3日午後、同僚のカメラマンが、多くの犠牲者が見つかった木※せい地という場所に向かいました。(※木へんに「犀」) 今は地下鉄の駅があり、隣には警察の派出所が設けられています。撮影機器が入ったリュックサックを開けようとした瞬間、十数人の男たちに取り囲まれ、立ち去るよう警告されました。 厳しい警備の共同墓地 6月4日の様子 そして4日当日。犠牲者が埋葬されている北京郊外の共同墓地には、多くの警察官が配置され、厳戒態勢が敷かれていました。近づくことすら許されず、命日の墓参りに訪れる遺族への取材はできませんでした。 天安門の叫び、今も 「天安門事件は、中国共産党による『国民の虐殺』にほかならない」 遺族たちのこうした訴えは「人民のために奉仕する」という共産党の正当性を、根幹から揺るがすことになりかねない、そう政府は考えているのかもしれません。だからこそ、政府は沈黙を貫き、時がたち人々が事件を忘れ去るのをじっと待っているように感じます。 かつて、私に「知る必要はないよ」と語った父と同じように、多くの国民が知らされずにきた35年。 それでも中国国民のなかには、天安門広場で民主化を叫んだ若者たちと同じように、一党支配への不満や、社会への責任感を持つ人がいます。 北京での白紙運動(2022年11月) おととし、中国政府のゼロコロナ政策への不満を背景に起きた抗議活動「白紙運動」。 そして去年、李克強前首相の急死後に各地で広がった追悼の動きと現指導部を暗に批判する追悼のことば。 私は、もう1つの祖国で今、事件とどう向き合うのか。 取材に応じてくれた張さんと尤さんの2人のことばを反芻しています。 「生きている間に事件の解決は見ないかもしれないが、それでもかまわない。 息絶えるその瞬間まで、生きているかぎり、訴え続ける。あなたも、この声を多くの人に届けてほしい」 (6月4日 ニュース7などで放送)
中国の習近平政権下で強まる抑圧と監視 天安門事件35年 記者にも尾行が?遺族が訴え続ける意味とは? | NHK | WEB特集 | 中国
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Mouthwashing 「ある医務室の記録」
アーニャに関するごく短い掌編
<出航1週間前>
「1年ってだいぶ長いじゃない。よく受ける気になったわね。」
「かなり迷ったんですけど、終わったらいい額の臨時ボーナスが出るって。それなら奨学金の返済が楽になるし、今後のことを考えたらいいのかなって。」
「そうなの。まあ、部門縮小の噂もあるし、もらえるうちにもらっとかないとかあ。長期航海は小規模チームでも短期とはまたべつの大変さがあるから、いろいろ気をつけてね。」
「はい、メンバーはベテランぞろいらしいんですけど。自分は長期ははじめてなので、船医としてやっていけるかちょっと不安で。」
「あんまり根詰めないほうがいいのよ。そうだ、帰ってきたらお祝いに、このまえ本社のそばにできた、話題のちょっといいパフェごちそうするね!」
「気が早いんじゃないですか?でも……ありがとうございます、楽しみです。帰って来た時も、まだお店あるといいな。」
「確かにねえ。」
<発見3日後>
「そこ、3号、鼻から血を流してるほうの奴な、バイタル記録みたら二人分らしいぞ。」
「そっすか。」
お得意さんからまわってきた孫請け仕事の事故処理現場は、思ったよりきれいで助かった。ロケットの損傷は軽微、現場の保存状況は良好、内乱で死んだらしい死傷者たちの外傷・腐敗は最小限で済んでいる。空気が漏れた宇宙船の破裂した人体ほど悲惨なものはないから、だいぶ運がよかったものだ。その分、苦悶の表情がよく見える。
けれど、その表情の先を読み取ることはしない。仕事を続けるためには必要なことだ。それが自分の仕事。それで金を受け取っている。3号の顔は物言わず虚ろなまま自分を見つめ返す。この船はもうすぐ爆破処理される。船は会社が抱き込んだ査定員のもとで保険金へと変わり、その金は会社と遺族へ引き渡されるだろう。仕事は終わり、金だけが巡っていく。
あなたは必要なものを受け取った?
<衝突30分前>
銃だけは、ぜったいにあの男に渡してはいけない。
緊急避妊薬の使用期限は過ぎてしまった。どうしてバイタルチェックを見逃してしまったのだろう。ピルは飲んでいたはずなのに。でももう泣き言は通らない。結果だけがすべてだ。妊娠したことを告げたとたん、あの男はふらふらとなにも言わずに立ち去った。
ふしぎと驚きはなかった。期待していたわけじゃない。予想しなかったわけじゃない。けれど、強い失望だけがそこにあった。
不安とさみしさとプレッシャーの中で、あの男と関係を持ってしまったことをどれだけ悔いただろう。こちらを馬鹿にしたような素振りも、身勝手な欲望もイヤで仕方なかったけれど、決して私のことを見ることのない昏い瞳が見つめる先にいるときが、この逃げ場のない宇宙船の中での逃げ場所だった。
でもいまは、それ以上に嫌な予感がする。去る時に見た焦点の合わなかった目は、もうなにをしでかすかわからない気がした。
自分はあの男のメンタル不全の兆候を見逃したのではないか?同じく失調気味で、あの男のことに関してはまったく頼りにならない船長に、彼のメンタルチェックを任せたのは適切な判断��ったか?船長の「異常なし」の所見を、本当に信じてよかったのか?精神を崩した患者に、過剰なショックを与えたとしたら……
ドンっ、と強い衝撃が襲う。バランスを崩した身体が床に叩きつけられた。
<過剰投与3日前>
『船医であるあなたが、船員のこころと体を守るの。完璧はむりだけど、せめて船を動かし続けられるように。だから、絶対に医務室では主導権を渡してはだめ。医務室の主はあなた。どんなベテランだろうと船長だろうと、みんな等しくあなたの患者なの。患者の健康管理があなたの責任。わすれないでね。』
先輩の言葉が今さらよみがえる。ここは、医務室は、もう私の場所じゃない。部屋の中央で船長だった肉塊が苦しみの声を上げ続ける。それを聞くことがつらくて、あの男に鎮痛剤の投与を任せたら、ずっとこの部屋に入り浸りはじめた。私のことも、お腹の子のことも、一度も口にせずに、船長の包帯を巻きなおし、薬を飲ませ、甲斐甲斐しく世話を焼き続ける。本当は、あの男を追い出して、私がしなければならないことだとわかっている。船長には船長として、船医には船医としての役割と責任がある。でもその苦しみを引き受ける気には、どうしてもなれない。
船医なのに、自分自身も、船長も、あの男も、この子のことも、だれの健康も守れなかった。
今となっては、この船全体が病んでしまった。船内はどこに行ってもアルコール臭いマウスウォッシュの臭いが漂い、きもちわるくて吐きそうだ。もうずっと、だれにも言えないけれど、気分がわるくてきもちわるい。媚びを売るようにして手に入れた鎮痛剤は、私ではなく船長のためのもの。食事管理もバイタル管理もなくなって、もうこの船に健康なんてどこにもない。
医務室の椅子に座って、うめき声とあの男がなにかぶつぶつ言う独り言を聞きながら、ただ失敗した、責任を果たせなかったという考えだけが頭に浮かび続ける。
<過剰投与3分後>
くるしいくるしいくるしい。
だけど最高に気分がいい!!
ロックのかかった医務室の中、なすすべなく横たわる船長と自分だけがここにいる。
今、ようやく、この部屋の主は私だ。だから私が患者の、自分の生死を決める。
あの男が逃げ出した責任、私の果たせなかった責任、すべてが身を苛んであまりにも苦しい。この身体もお腹にいる子も生きたいと叫び続けているのに、私はもうこの苦しみに耐えられない。
鎮痛剤を船長に分け与えれば、この意味のない苦しみを終わらせられるだろう。けれど私はただ、私に終わらない苦しみを与えたあの男と船長が、より長く苦しむことだけを願っている。希望のないこの場所で、生き続け、苦しみ続けることを!!
……私はどうして、医療の道へ進もうと思ったのだろう。
もう悲しくはないのに涙があふれる。口の中を埋めつくす味のしない薬を噛み砕きながら、食べに行くことのなかった生クリー��と果物たっぷりのパフェのことを思い浮かべた。
あとがき
誰にもかえりみられることもなく失われたものと彼女の責任について。
労働SFが好きなので、被害者としてだけでなく労働者としてのアーニャ見たかったなあと思ったので書きました。満足。
被害者としてのアーニャについてはこちらの考察を参考にさせていただきました。深く感謝。
【Mouthwashing】感想+考察|鹿
なお、後半アーニャが自分のことをひどく責める描写になってますが、男女比率の偏った孤立しがちでプライ��シーも確保できないろくでもない労働環境(会社がわるい!)と不測の事態のなかで、非熟練者なのに頑張ったと思ってます。
いつかおいしいパフェを食べてほしい。
(おまけ)
ジミーとカーリーに関する所見+Mouthwashing感想
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在日をやってると100
最近、文章やスピーチをお願いされることがチラホラとあって、内心、「僕なんかに依頼して大丈夫なのか」と戸惑いながらもせっかくだしと引き受けては後になって後悔するというのを繰り返している。
自分で読み返すと、語彙力も無いしなんて程度の低い感想文なんだろうと思うし、後になってあれも書けなかったこれも書けなかったと気が付いて反省することが多い。
このブログでもシェアしたけれど、関東大震災の朝鮮人・中国人虐殺から99年目の2022年の9月1日にはGQ JAPANに「関東大震災朝鮮人虐殺事件から99年目──僕たちは差別を止める側、弱者を助ける側に回れるのか?(https://www.gqjapan.jp/culture/article/20220901-great-kanto-earthquake-massacre)」というコラムを書かせてもらった。2年経ったいまは在日クルド人をターゲットにしたヘイトスピーチがかなり危険ところまできていて社会はなかなか良い方向に進まないなと暗い気持ちになってしまう。 過去も現在も未来も、あの問題もこの問題も繋がっているというのがわかるようなのが書きたいなと思いながらなんとか書き上げて掲載してもらえたけれど、読み返すと、あのこともこのことも書けなかったし書くべきだったなと密かに反省していた。特に虐殺された中国人や社会主義者のこと。虐殺された社会主義者のことは僕の記事では完全に抜け落ちてしまっているし...。まとめて語られがちだけれど、数の多い朝鮮人の話がメインで語られる傾向があるけれど、そうなることでみえなくなっていることがある。虐殺された中国人ついてはぜひ @fukuyoken3daime さんのツイートの連投を読んでみてほしい。 (https://x.com/fukuyoken3daime/status/1830043385396342866)
今年はいまのところ、2つのコラムを書かせてもらっている。一つは8月6日に発売された、広島から平和を希求するマガジン「TO FUTURE ZINE 2024 -ISSUE 18-」で、2023年と2024年の入管法改悪についての文章を書かせてもらった。もう一つは、先日開催された「スナック社会科横浜映画祭#2 特集:飯山由貴」の配布資料に掲載される文章。
TO FUTURE ZINEの方はネット(https://online.recordshop-misery.com/items/88231992)で購入可能です。「スナック社会科横浜映画祭#2 特集:飯山由貴」の方ですが、公開して良いとのことなのでせっかくなので掲載しておこうと思います。作品をすでに観た人もまだ観たことない人も少しだけ違う視点をで作品を観れる文章が書けたらいいなと思いながら書いたけれど、読み返すとやっぱり上手く書けていないなと思ってしまって、あちこち手直ししたい気持ちになってしまう。でもいまそれをする時間の余裕もないのでそのままにしておきます。
無題(スナック社会科横浜映画祭#2 特集: 飯山由貴映画祭 によせて)
初めて飯山由貴さんの作品を観たのは、2022年10月15日、16日と京都の龍谷大学響都ホールでの「オールドロングステイ」の上映会に実行委員会の一人として参加させてもらった時だった。
ヘイトスピーチデモのカウンター行動で知り合った友人が、 僕が入管収容の問題に関心を持ち 大阪入管に収容されている人たちや一時的に収容から解放された仮放免の状態で生活してい る人たちの支援をしていることを知っていて映画に興味があるのではと声をかけてくれた。
入管の被収容者や仮放免者を支援するようになって、 難民、 犯罪等で在留資格を取り消され た人、 技能実習先から逃げ出すなどさまざまな理由で非正規滞在となりそれが発覚し収容され た人、ほんとうにいろいろな人と出会ってきた。 いつも支援をしながら 「特別永住」という在留 資格で生活する自分の状況と彼ら彼女らの状況を照らし合わせて考えてしまう。
支援を始めてすぐの頃、「永住者」 が犯罪で在留資格を取り消され退去を迫られている現実に 衝撃を受けた。「日本にしか生活基盤がない人に帰れってどういうこと?」 という僕の素朴な疑 問は世間一般の日本人にはなかなか理解してもらえない。
難民が入管に強制的に収容されているというのも衝撃だった。 「特別永住」の在日朝鮮人の 中には戦後、政治的な迫害(済州島四・三事件など)から逃れるために「密航」してきた人たちも いる。 元技能実習生の面会では彼らが戦前戦後の朝鮮人労働者の状況と重なった。
特別永住の資格ができる狭間で在留資格を得られなかった韓国人の老夫婦の帰国の支援を したことがある。 最初は「密航」で日本に来日し、親戚を頼って生活していたが、あるとき摘発さ れて大村収容所に収容され強制送還となってしまった。 「特別永住」の資格ができたあとに観光 で来日し、在留期限が過ぎた後もオーバーステイのまま滞在しずっと大阪でひっそりと生きてた という。 僕と出会った時の夫婦の年齢は80歳前後。 病気で倒れるまで現場作業でバリバリ働 いていたけれど、 非正規滞在のため健康保険も非加入で公的支援も何も受けられず、どうにも ならないと帰国することになってしまった。 1度目の強制送還がなければもしかしたら 「特別永 住」を取得する道もあったんじゃないだろうか。 僕よりも長く (最初の来日から数えると50年 以上)、ただ働いて生きてきただけなのになぜ医療も生活保護も受けられず日本から追い出さ れないといけないのかいまだに理解ができずにいる。
日本人と外国人の間に引かれた線、 特別永住の外国人とそれ以外の外国人の間に引かれた 線、 永住の外国人とそれ以外の外国人の間に引かれた線、 あちこちに引かれた見えない線がほ んとうに正しいのか社会に問いかけるにはどうしたらいいのか。 そういうことを日々考えてい たときにたまたま観ることになった「オールドロングステイ」は大きなヒントをくれたように感じている。 外国人登録令による日本国籍喪失とその後の参政権や社会保障からの排除、 民族教育を否定 する通達、日本国憲法の制定過程など植民地主義を根にするさまざまな問題、ハンセン病療養 施設における朝鮮人差別と格差是正運動、 帰化制度における差別、 在日朝鮮人の中の障害者差別など、 在日であり障害者であることで受ける差別の背景に広く深く迫ることで引かれた線を次々に可視化しているのが良かったし、普段はなかなか可視化されない声なき声を描くのに、安易にわかりやすくして伝えない、受け手の本気度が試されるような表現の仕方もおもしろいと思った。 その後に観たのは、戦前に都内の私立精神病院に入院していた2人の朝鮮人患者の診療日 誌のことばをモチーフに、ラッパー・詩人の FUNI の声と身体で映像化した作品「In-Mates」。 この作品は東京都の指定管理施設「東京都人権プラザ」で開催された企画展「飯山由貴 あな たの本当の家を探しにいく」 (2022年8月30日~11月30日) において上映が禁止とさ れて大きな話題となった。 (詳細は記事を参照→東京都人権部による飯山由貴 《In-Mates》上 映不許可事件は、何を問うのか https://t.co/7fk561FzCn )
上映禁止について語られることが多いこの作品。 自分自身が在日朝鮮人であり、さらには父 親がアルコール依存症で精神科病棟に強制入院となってその中で死亡していること、そして、今 現在、入管の収容施設に強制収容されている人たちや、仮放免という身分で一時的には外に出 られたものの、 就労も、 健康保険加入も、移動の自由も制限され、ほとんど何もできない生活を 強いられている人たちの支援をしていることもあって、 強く心を打つ作品となった。 患者 A、患 者Bの生きてきた環境やそれによって形成されたアイデンティティを想像すると言葉にならな い感情が湧いてきた。
入管の被収容者や仮放免者の支援をするようになって”自由”に対する感覚が随分とかわっ た。 アクリル板の向こう側、 握手すらできないところで何ヶ月も何年も小さな部屋に閉じ込めら れている人との会話。 仮放免された瞬間の表情としばらくして就労もできず結局は自由がない 生活に苦しんでいる表情。
「In-Mates」のエンディング、ニーナ・シモンの「I Wish I Knew How It Would Feel To Be Free」は支援で出会った人たちの表情を思い出してしまいとても重かった。
無いことにされてしまっている声、 叫びに気付き可視化していく飯山由貴さんの作品。 この先も追いかけたい。
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🩷クリエイティブ・カラフルプリキュア - 第1話「情熱のアーティスト!キュアチェリーが世界を彩る!」🩷
「できた!!」
小柄な金髪の幼稚園児、さくらけいこちゃんが笑顔でクラスの前に立ち、手に持った紙をめくると、自分が描いた絵が現れた.
雑然とした庭の絵。三角形が草のようで、オレンジ色の棒に紫色の塊が木として描かれ、ターコイズブルーの空にはバナナとサクランボが浮かんでいる。少なくとも、バナナとサクランボなのかもしれない。紙の上で見ると、緑とピンクの線のようにも見える。
「外の庭よ!」 とケイコは興奮気味に言った。そして「木」を指差して、「見て!ピンクの木よ!きれいでしょう?」と言った。
彼女は他の子供たちの沈黙の中で返事を待ちます。
すると誰かが「あれは木じゃない!ブドウだよ!」と叫びます。
すると、笑いが湧き起こります。
「枝も葉もないよ!」
「バナナは緑色じゃないよ、バカ!」
「それは果物じゃない!塊だ!」
「果物は飛ばないよ!」
「それは青空じゃないよ!」
からかい合いの会話はしばらく続き、一人を除く全員が指さして笑いながら、ケイコの絵がどれだけ下手かを延々と語り、ケイコ自身と絵を笑いながら笑っていた。
ケイコはその場に留まり、笑顔はますます作り笑いになっていく。笑い声と侮辱の言葉が頭の中に吸い込まれていく。彼女は硬直し、教室の淡いヴィンテージ調の色合いは薄れ、笑い声はますます大きくなる。紙に置いた手は震えている。
「それは芸術じゃない!ゴミだ!」
その最後の侮辱は小さな子供をすすり泣かせます。
「おい!もういい!もういい!」先生の優しい声が聞こえたが、ケイコの耳には雑音のように聞こえた。「優しく話すか、何も話さないかのどちらかだ。さくらに謝って――」
ケイコはすでに教室のドアを飛び出して逃げ出しました。
「さくら!!」
ケイコは小さな校舎のドアからよろめきながら出て行った。階段を下り、レンガ敷きの道を駆け下りる間、涙以外のことには何も注意を払っていなかった。
彼女はつまずいて膝を打撲し、あざができた時にようやく立ち止まった。写真を胸にしっかりと抱きしめ、まだ泣き続けている。
再び顔を上げ、目を拭うと、彼女は自分が学校の近くの畑の脇の歩道にいることに気づいた。彼女は実物を見つめ、それから写真を顔に当て、そしてまた実物を見つめた。
その木は丸くも茂りもせず、枝いっぱいに淡いピンクの花びらが四方八方に広がり、その一部は落ちて柔らかな緑の草の上へと舞い落ちていく。
確かに、果物は飛びません。
確かに空は青いですね。
彼らは正しかった。
ケイコは、涙が落ちた自分のぐちゃぐちゃな絵をじっと見つめている。彼女の作品はひどい。ひどいものだったら、芸術を作る意味なんてないだろう。
「やあ、坊や」
鋭い爪が皮膚に食い込む手で恵子の顎が上がる。
女性は灰色の肌色で、背後に黒い髪を乱雑に垂らし、太陽の光を遮っている。鋭い歯を見せてケイコの目を見据える。
恵子は、目の前にいるこの女性の姿が気に入らないと泣き言を言った。
女性は「素晴らしい創造的な取り組みですね、ぜひ見たいです」と言いました。
女性の手が恵子の顔に伸びる。その動きに続いて、恵子の胸に痛みがこみ上げてくる。
最後に彼女が見たものは、彼女のバージョンのすべてが灰色に変わり、何かが引き裂かれるかのように胸が燃え、暗闇しか見えなかった。
彼女は動けなかった。
彼女は叫ぶことができなかった。
"停止!!!"
突然、オレンジ色の光が点滅した。ケイコは何も見分けられなかったが、明るいオレンジ色の光と、目の前に誰かの影が見えた。
「これは取らせないぞ!」少年が懇願する。
女性の声が嘲笑う。「もう何年も使えるインクがあるのに、なぜこんな無意味なことをしろと言うの?」
オレンジ色の光がより明るく輝き、少年は彼女の発言に衝撃を受けたようだ。
彼女は嘲る。「あなたはこの世界に一人残され、誰もあなたのような人間を気にかけないわ。新しい姿ではなおさら。価値のない動物よ。もう二度とあなたの泣き声を聞くことはないわ」
感情を表せるのは思考だけだったケイコは、その言葉を信じずにはいられなかった。みんなが彼女の絵を見て笑っているのに、一体誰が彼女の作品に関心を持つというのか?誰が彼女のことを気にすると言うのか?
「それでも……この子を連れて行くわけにはいかない!」
そこから恵子ができるのは、震えながらも言葉に自信に満ちた少年の声を聞くことだけだった。
「勝てません。魂の創造性を奪うことは決してできません…それは素晴らしい祝福です。そしてこの子たち…この子たちは…私が亡くなった後も情熱を追い求めるでしょう…そして、愛するものを決して諦めません。彼らは世界のために絵を描くでしょう!」
青い光が影を覆い、オレンジ色の光を消し去り、漠然とした悲鳴が聞こえます。
ケイコの目が覚めた。辺りを見回しながら、彼女は草むらに転がり落ちた。何が起こったのか、ただの夢だったのか、それとも全て現実だったのか、ケイコには分からなかった。
彼女の前にはもう誰もいません。ただ、畏敬の念を抱きながら青い空を見つめる彼女と、ぎこちなく震えながら通り過ぎるオレンジ色の鳥だけが残っています。
彼女は涙を拭って受け入れた。この不思議な声が正しいと知っているからだ。
彼女は誇らしげな笑みを浮かべて、再び絵を手に取りました。
「さくら!!」先生が駆け寄ってきて、さくらを見つけた。いつものように安心した様子で、さくらを抱きしめる。「大丈夫?!そんなに飛び出さないで!」
ケイコはただ空を見上げて、もういなくなってしまった鳥を探すことしかできなかった。「鳥?」
「学校に戻ろうね。戻ったらすぐにクラスのみんなで謝るからね。」
先生はケイコの手を取り、学校へ連れて帰りました。ケイコは空いている手で微笑みながら手を振り、「じゃあね、鳥さん!」と言いました。
彼女は何人が笑おうと気にしない。自分の情熱を追い求めるつもりだ。
どういうわけか、彼女は偉大な芸術家になるでしょう。
彼女はこの世界のために絵を描くつもりです。
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8年後
「もう着く?」14歳のケイコが尋ねる。彼女は顔と手をバンの窓に置き、薄紫色の瞳で外を通り過ぎるたくさんの建物を楽しそうに眺めている。ケイコはシートベルトを締めておらず、車の後部座席にひざまずいている。
「50回」前の席に座っている妹は、ケイコが何回この質問をしたかを数えている。それ以外は、ケイコは手に持ったタブレットにしか注意を払っていない。
「遠くないって言ったでしょ!」ケイコは泣き言を言った。「そんなに何度も聞いたわけじゃないのに!」
助手席に座っていた母親は、落ち着いてこう言った。「もうすぐ着くわよ。ケイコ、シートベルトを締めてね。」
「ブー…」ケイコはそれを聞いて、自分の席に深く腰掛け、シートベルトを締めた。それでもじっとしていられず、席の中で身をよじりながら、同じく乱れたウェーブのかかったブロンドの髪を指で弄んだ。髪は同じように乱れたお団子にまとめられ、ピンクのリボンが付けられている。「まさか夢の学校に通えるなんて想像もしてなかったわ!まさか夢だなんて言わないでくれるの?」
もう夢だとは思えない。彼女は寄宿学校の制服を着ている。淡いピンクのブラウスに濃い色のオーバーオールスカート、ローファー、ストッキング、そして真っすぐに結ばれていない赤いリボン。
「こんなに長い間、嘘をつくわけないよ」運転中の父親がそう言って彼女を安心させた。
珍しく、妹は数字以外のことを言った。「そもそも、どうしてこれに興奮しているの?寄宿学校なのに」と彼女は尋ねた。
「芸術を称える寄宿学校よ!」ケイコも答えた。彼女はシートベルトを外し、後部座席の反対側にあるスクールバッグに手を伸ばした。前のポケットから、キャンパスのパンフレットを取り出した。「ここのアートプログラムは、全国でも最も有名で成功しているプログラムの一つよ!」
彼女はページをめくると、絵を描いたりスケッチをしたりする大人の写真を見せてくれた。「石川の有名人もたくさんこの学校に通っていたのよ!絵で表彰されているのよ!」
彼女はバッグから別のものを取り出す。それはバッグの中にしまってあるたくさんのスケッチブックのうちの1冊だ。彼女はまた椅子に膝をついていて、気づかない。「まあ、たぶん無理だろうけど、この作品で表彰されるなら…」
紙に描いた2枚の絵は、まるで絵画みたいだった。ところが、紙がくっついて、まるで塊みたいに見えてしまった。彼女はそれに気づき、眉をひそめた。「あら、紙を両面印刷するべきじゃなかった…」
「ママ!」妹が告げ口する。「ケイコはまだシートベルトを締めてないわよ!」
「ケイコ」
「あ、ごめんなさい!」ケイコは席に戻り、シートベルトを締め直した。忘れていた。
彼女はまだスケッチブックとパンフレットを腕に抱えている。目を大きく見開いて、それらを見つめる。そして、熱意を込めて言う。「でも、絵を完璧に描けるようになるの!それに、次郎ちゃんとあおいちゃんと一緒に習うし、私と同じような子たちと何時間でも絵について話せるし!」
「念のため言っておくけど、君をここに転校させたのは、そういう理由じゃないわよ」母親が席の上で指を立てて、ケイコに見せながら口を挟んだ。「君はこの環境で成績が上がるか確かめるために来たのよ。楽しいことよりも、これが一番大切なのよ。ここは寄宿学校よ」
ケイコの笑顔が消える。両手で顎を支え、家族から目を離し、窓の外を猛スピードで走る車を眺める。
「ケイコ、このことについては話し合ったのよ」母親はまだ言い続けている。「どんなに情熱を持っていても、学業に関係ないなら、大人になっても成功できないわ。夢が叶うのと同じくらい真剣に受け止めなきゃいけないのよ」
ケイコはため息をついた。「わかってるよ、ママ。真剣に考えてるんだから…」それからまた顔が明るくなった。「あら、もう着いたの!」
ケイコの叫び声に、妹は耳に指を当てた。ケイコは「ママぁ …
寄宿学校のキャンパスは街の反対側の丘陵地帯にあり、遠くには赤レンガと白い石の縁取りで囲まれた巨大なアカデミーの建物が見えます。最も大きな建物は3階建てで、光沢のある緑色の傾斜屋根と白い窓が建物を区切っています。中庭は庭園のようで、パティオとベンチがいくつか置かれています。2つ先の丘の向こうにある建物も同じ外観ですが、塔のような形をしています。建物と建物を結ぶ小道はすべてピンクと紫の石畳で敷かれています。キャンパスのいたるところに様々な花が植えられ、色とりどりの花が咲き誇っています。丘の麓に下りる階段もあり、そこにあるキャンパスの入口の建物は、正面のパティオの両側に石の鳥の像が置かれた、大きな白い美術館のようです。正面のガラス壁からは、絵画で飾られた内部が垣間見えます。正面玄関の上には、「ようこそクラフトアカデミーへ」と書かれた大きなラベルが虹色で掲げられています。
「よし、もう着くぞ!」父親はケイコを降ろすために建物の前に車を停めながら、からかうように言った。ケイコは急いで車から降りると、畏敬の念を抱きながら、その場に立ち尽くし、すべてを眺めていた。
キャンパスは、いつも通っている学校よりもはるかに多くの色と光で満ちている。賑やかな十代の学生たちの声が、彼女の五感を音楽で満たす。美術館の建物自体も、少女とは比べ物にならないほど巨大で、まるで彼女が探検できる魔法の世界を思わせる。小さな雲が少しあるだけの晴天で、太陽の光がすべてを輝かせている。
「どう?」残りの家族は柔らかな笑顔で車から降りてくる。父親が尋ねる。「これで全部期待通りだったか?」
恵子は喜びに目を潤ませながら、振り返り両親の方を向いた。「冗談でしょ?!もう、全部よ!」
恵子は両親に駆け寄り、抱きしめた。その抱擁の中で、ついに喜びの涙がこぼれた。溢れ出る感情に、恵子は静かに「愛してる」と告げた。
「大丈夫だよ」父親は娘の背中を優しく撫でた。別れ際、恵子は涙を拭うと、母親は説明した。「家はここから少し遠いけど、通りの向こうに海沿いの町があるの。綾乃さんと康弘君が、必要なお金は何でも手伝ってくれるわ。それに、もし何かの理由で家に帰らなきゃいけない時は、バスに乗ればいいのよ。もしその日、何かの理由でバスがなかったら、電話があるでしょ。電話して」
「わかった」ケイコは親指を立てた。「わかった。オープンハウスの後、私の作品を見せてね」
ケイコは二人から立ち去ろうとしたが、立ち止まり、振り返って再び二人を抱きしめた。「最後のハグ!」と生意気な声で言った。
最後の抱擁を交わした後、ケイコは目の前の美術館へと楽しそうにスキップしていった。
階段を下りきった途端、ポケットの中の携帯が振動した。ケイコは取り出してメッセージを見た。
というか、5分おきに同じ内容の大量のメッセージが送られてきた。
葵 綾乃「入り口すぐ左の鳥の像のところで、私と次郎が待ってます!」
ケイコは親指を立てて、アオイにメッセージを受け取ったと伝える。
ケイコはパティオへの階段を駆け上がり、左の方を向いて頂上まで行き、反対側がきちんと見えるまで歩く。
像の背にもたれには、女の子と男の子の2人のティーンエイジャーが寄りかかっている。男の子は3人の中で一番背が高く、濃い紫色の髪をしていて、明るい青色の瞳を縁取るようにグレーの眼鏡をかけている。制服は濃い紫色の可愛らしいジャケットにグレーのパンツ、そして同じ赤いネクタイとローファーだ。女の子も眼鏡をかけているが、彼女の眼鏡は赤で、瞳はより濃い青色だ。濃い青色の前髪の片側を耳の後ろに引っ掛けるように、赤いバレッタを留めている。制服の上には紺色のタイツと紺色のジャケットを着ており、ネクタイの位置も完璧に揃っている。
「次郎!あおい!」ケイコは笑顔で二人に大きく手を振った。
あおいはスマホから顔を上げてケイコに気づいた。安堵のため息をつき、優しく手を振り返した。「ケイコ、よく来たね。」
ケイコは二人に向かって歩き出した。三人の中で唯一、元気いっぱいだった。「さて、クラフトアカデミーでの冒険が始まるのが楽しみな人はいる?!」
彼女が興奮して飛び跳ねているにもかかわらず、他の二人は不安そうな表情を浮かべている。「え…わからない…」と次郎が言う。
ケイコは言葉を止めた。「私が何かしちゃった?」
「いいえ、あなたじゃないわ!」あおいは手を差し出してケイコを落ち着かせながら保証する。そして緊張した笑みを浮かべる。「私…あなたが私を転校させようとしたなんて信じられない!一体私は何をしているのかしら?」
「すごいことしてる!」ケイコは友達を励まそうと、いつものテンションを保った。「後悔しないよ!」
「もう…」アオイは腕を組んで呟いた。
「寄宿学校だ!!」ジローはノートをぎゅっと抱きしめ、自分がどれだけパニックになっているかを表現した。女の子たちと話すというより、支離滅裂なことを言って一人で笑っている。「もちろん寄宿学校に行くよ。だって、どうして寄宿学校に行きたがるの?!こんなの慣れてないんだもん!!」
「次郎!」ケイコは彼の肩に手を叩きつけた。「深呼吸してね?」
彼は耳を傾けた。
ケイコは親指を立てて、彼に念を押す。「パニックになった時は、現実の存在を忘れるまでアニメを見るのよ」
「ああ、でも学校だよ」と次郎は答える。
「美術学校だよ!」ケイコは彼を放し、両腕を広げる。興奮が戻ってきたようだ。「僕たち仲良し3人、すぐに馴染むよ!」
「えーと…」次郎は二人を横目で見る。「それはどうかな…」とネズミのように小さな声で言った。
ケイコはすでにガラス張りの玄関ドアに向かって歩き、友達を先導している。「え?入るの?」
葵はため息をつき、ジローに自信に満ちた笑顔を向ける。「ケイコちゃんが幸せなら、私たちも幸せでしょ?」と彼女は認める。
ジローは首を傾げ、「さようなら、ビジネスの世界…」と呟く。
三人は一緒にドアを開けて中に入る。
ケイコが中に入ると、目と口を大きく開け、悲鳴を上げ始めた。
ロビーは開放的な空間で、大理石の床と青いカーペットが、中央の飾りの周りのドアや階段へと続く通路を形作っている。階段には専用のバルコニーと窓がある。窓のうち二つは抽象的な色ガラスがはめ込まれたガラス板だ。窓の周りには、それぞれ独自のスタイルで描かれた絵画が数点、天井には手作りのシャンデリアがいくつか飾られている。
しかし、ケイコの目を惹きつけたのは、中心にある作品だった。キャンバスを模した巨大な粘土像だが、全体に繊細な装飾が施され、淡いラメが散りばめられ、まるで魔法のような雰囲気を醸し出している。絵の具の点々はそれぞれ異なる色で、キャンバスから虹のように飛び出している。
次郎と葵が中に入っていき、二人はより落ち着いた様子でその場の雰囲気を味わった。次郎は「おやまあ、すごい…パンフレットとこんなに忠実だとは思わなかった」と言った。
「本当に本物だなんて、嬉しい!」ケイコは像に近づこうと駆け寄った。周りの柵に少し強くぶつかってしまったが、気にしない。「本当に生徒が作ったのよ!生徒が…作ったのよ!」
葵と次郎は、もっと気楽な様子で近づいて見てみた。葵は「すごいですね」と認めた。
次郎はぎこちなく握手を交わした。「えーっと、ちょっと雑な彫刻作品ですね。学生が作った作品だと分かりますよ」
恵子は批判に首を横に振った。「え、そんなことどうでもいいの!芸術ですよ!素晴らしい!」
次郎は何か文字が書かれた看板を見つけた。それを使って説明する。「『芸術のキャンバス』。これは卒業生が最初に作った作品の一つで、僕たちが生まれる前に作られたものなんだ。確かな証拠は失われているが、これを作ったのは『プリキュア』という魔法少女だったという言い伝えがあるんだ。」
ケイコはその情報に驚き、小さく微笑んだ。
視界の隅で、ケイコは友人たちの背後の扉が開き、中から何かが出てくるのを捉えた。
「あそこにブースがあるわよ!」ケイコはドアを指差した。他の二人は振り返る。二人が理解する間もなく、ケイコはドアに向かって歩き始めた。「さあ、見に行こう!」
「待って、ケイコ!」アオイは手を伸ばすが、ケイコは聞かない。
「捕まえた!」ジローもケイコに続き、すぐ後ろをついていく。
「あなたたち二人はだめ!ちょっと待って…」
葵は二人の後を追おうとしたが、そこに人影が迫ってきた。彼女は上半身を抱きしめ、固まった。
「あら、そこにいたのね。あなたを探してたのよ」葵は作り笑いを浮かべ、友人たちが入ったドアの反対側のドアを指差した。「ビジネスホールとプログラムを見せてあげるわ」
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廊下は広大だ。少なくとも、ブースの数からするとそう思える。ブースには上級生たちが何人も参加し、様々なアートプログラムを披露している。陶芸ブース、折り紙ブース、宝石学ブース、写真ブース、クロスステッチブース、木工ブース、フラワーアレンジメントブースなど、数え切れないほどのブースがある。圧倒されるが、同時に魔法のような空間でもある。
ジローはアニメーションブースでプレゼンテーションを見ている子供たちの中にいた。3年生の男子生徒が2台のモニターでプレゼンテーションをしている。1台は走るアニメーションの絵コンテ、もう1台は2Dの走るアニメーションの未完成版で、色付けもされておらず、粗削りだ。
彼はこう説明する。「それで、ここにあるボードを参考に、思い通りのアニメーションを作っていくんです。」
小さな観客席の他の子供たちが拍手する。ジローは手を挙げて尋ねる。「そのソフトはどこで手に入れるんですか?僕は紙でアニメーションを作ることしかできないんです。」
「プログラムに参加すれば、学校がリソースを提供してくれるんだぞ!」男は嬉しそうに答えた。パンフレットを配りながら、次郎に直接一枚を手渡した。
「あり��とう」次郎は手に持ったパンフレットに微笑みながら言った。「ねえ、ケイコ、あれ、すごく素敵だったよ…?」
隣に友人がいないことに気づき、次郎は言葉を詰まらせた。「ケイコ!?」
ケイコは走り去り、今は絵画ブースにいた。彼女は絵画の真正面にいて、畏敬の念を抱いていた。どれも細部まで緻密に描かれ、写実的で、色彩と光の深みが深く、すべて絵の具だけで描かれている。
「ねえ」ケイコはもう一人の新入生、男子生徒に邪魔された。「視界を遮ってるよ」と何気なく言った。
「すみません!」ケイコは恥ずかしそうにそう言って道を譲った。
その男子生徒がブースの係員に「僕の作品を見て、感想を聞きたいんだけど」と尋ねるのが聞こえた。
それでも、ケイコはそれを見て嬉しくて仕方がなかった。いつか自分もこんな作品を作るんだ。「他に何かあるかな…?」
「みんな、グルメ!」誰かが声をかける。振り返ると、絵付けブースの十字架は料理ブースだった。店番をしているのは男子制服を着た人物で、肌は濃いオレンジがかった色で、目は緑色、髪は濃い緑色のマレットヘアだ。「私から料理プログラムについて聞きたい?」
ケイコは肩をすくめて、そこへ行くことにした。「料理?それって何?」と尋ねる。
生徒は嬉しそうに答える。「そう、聞いてくれて嬉しいわ。料理とは料理の芸術よ。私たちのプログラムでは、生徒に何でも料理の仕方を教え、自分だけのオリジナルレシピを作れるようにしているの。こんな感じよ。」
彼らは緑と白のクッキーの無料サンプルが載ったトレイを手に持っていた。ケイコに差し出すと、ケイコは一枚受け取り、一口食べる。彼女は鼻歌で答える。「これはパンダンクッキーで、ダークチョコレートが入った、私からもらったのよ!」ケイコは眉を上げた。二人は付け加える。「私はタイ人よ。」
「あれ、何個作ったの?」隣のブースにいる3年生が尋ねる。それはさらに肌の色が濃い女の子で、制服の上にダークレッドのセーターを着ている。深紅の髪は彼女の瞳の色に合わせて編み込まれている。彼女は舞台芸術のブースで働いている。
料理を学ぶ学生は腰に手を当て、女の子にニヤリと笑う。二人はウインクして「ショーの観客数に合わせてね」と言う。
女の子はクスクス笑う。それから気を取り直して腕を組んだ腕を解く。「あ、そうそう、そういえば、ここは舞台芸術のプログラムなの。演技、合唱、ダンス、あと…楽しいことを教えているの。興味があるかどうかわからないけど。」
「ケイコ!」ケイコが返事をする前に、ジローは友達を見つけた。「いた!探していたんだ…」目の前にいる人物を見て、彼は立ち止まる。そして大げさに息を呑む。「この二人を見つけたのか?」
「投影する方法の一つだよ…」赤毛の少女は再び腕を組みながら認めた。
「ケイコ、これは伝説の人物なんだよ!」次郎はケイコを掴み、揺さぶる。ケイコは困惑している。「あ、分かった。もし分からなかったら…」
次郎は緑髪の生徒から説明を始める。「あれはキアオ・モンド…」
「キアオ・ミドリ」二人は訂正する。
「キアオは料理の天才よ。小学校1年生から料理を習ってるのよ!」
「正しくは『彼女』よ」と二人は訂正する。
「この辺りの街の『川崎ダイナー』でパートのコックをしていて、ここに転校してきた時からずっと働いてるの。たぶん、ダイナーの大人のほとんどより腕がいいわ!」
「え、私、全然違うの!」ミドリは慌てる。
ケイコは驚きしか感じなかった。男子制服を着ているから気づかなかったのだ。「え、女の子なの?!じゃあなんで…?」
次郎は赤毛の生徒の話を続けた。「そしてこちらはスカーレット・アケミ。地元の舞台のほとんどに出演しているパフォーマーなんだ。女優、歌手、ダンサー、その全てを兼ね備えている! あまりにもスターで美人なので、今生で見るのはちょっと申し訳ない気持ちになる…」次郎は言葉を失い、言葉を失った。
アケミは恥ずかしそうに顔を赤らめ、何も言わなかった。
「あ、この学校で一番の生徒だよ。それが言いたいんだ」次郎が付け加えた。
ケイコは満面の笑みを浮かべた。「すごい!」
「あ、ありがとう」とミドリが言った。
しかし、ケイコは両方��ブースに手を叩きつけ、テーブルを揺らした。「あなたのレベルに達するにはどうすればいいの!秘訣は?」
そうすると、ケイコは誤って舞台芸術ブースにあった喜劇の仮面を倒してしまった。床に落ちた仮面の下には悲劇の仮面が隠されていた。
「えっと、サン…?」アケミはそれを拾い上げるために前へ駆け出した。
「すみません!」ケイコは手を離した。
「あなたの経歴も仕事内容も知りません」とミドリは答えた。「でも、スカーレットさんと私は長年、プロの現場で技術を学んできました。正直、そういう経験がないと難しいと思います。でも、不可能ではありません。夢を見続けてください。」
「ああ…」ケイコはその答えに少しがっかりした。彼女らほどの経験はない。この二人はケイコより2歳くらいしか年上ではないのに、既に彼女よりもはるかに素晴らしいことをしている。他の生徒たちもそんなレベルなのだろうか?
「1年生の皆さん!」もう一人の3年生がチケットの入ったカゴを持って歩き回っています。できるだけ多くの人の注目を集めようと、チケットを空中に振り回しています。「ショーケースのチケットをゲットして!」
ケイコとジローは数歩近づくだけでチケットを受け取ります。ジローが「これは何のチケットですか?」と尋ねます。
「このチケットを持っている1年生は、2階の工作ブースに入場できます。」生徒は答えます。「大人向けのアートショーケースにご招待します。アカデミーのみんなに自己紹介するための工作をしてください!最高の第一印象を与えてください!」
ケイコとジローは驚きの声を上げます。二人は互いに顔を見合わせ、チケットを見つめ、また見つめ合います。そして、二人とも興奮して飛び上がります。「これは最高!」と叫びます。
次郎は落ち着くために息を吸い込み、それから付け加えた。「うまくできたら…」
ケイコはまだ興奮していて、落ち着きがない。彼女は次郎に言った。「これをやらなきゃ!ここにいるみんなに私の実力を見せつける、最高の第一印象になるわ!」
彼女はチケットを空高く掲げ、興奮して笑いながらくるりとくるりと回る。次郎は体が硬くなり、どう反応していいのか分からなくなる。
するとケイコは立ち止まり、ようやく息を吸った。「…何を描いたらいいのか分からない」と彼女は気づいた。
「ああ、まずはそれを整理した方がいいんじゃないかな」と次郎は涙を浮かべながら認めた。
ケイコはすでに考え事をしていて、周りの声がかき消され始めていた。「私自身の自己紹介は…」
「つまり、まずは正確に…」
「自分の気持ちを表現する機会…」
「それで、みんなが見てるから、恥ずかしい思いをすることになるのよ」
「そして、たくさんの人がそれを見ることになる…」
「ケイコ?ケイコ?」
「さくらケイコの絵よ!」
この時点で、ケイコは自分の小さな世界に浸り、すべての雑音はかき消されていた。世界は抽象的なワンダーランドで、すべてが色で彩られている。彼女はかつての桜畑に戻ったが、今度はすべてが色で彩られている。
彼女はため息をつき、偽りの世界の新鮮な空気を吸い込んだ。「芸術は本当に世界を美しくしてくれるのね、そう思わない?」と微笑みながら言った。
彼女は畑を歩き、周囲に散る花を眺めた。花はどれも様々な色に輝き、きらめいていた。「まるで誰かが作ったみたい。頭の中にある抽象的な考えを、誰かが思い描いていたみたい。」
彼女は一輪の花を掴み、畏敬の念を込めて見つめた。「そして、彼らはそれを恥じない。称賛され、愛されている。」
彼女は花を空に投げ上げ、くるくると回って、花が鳥に姿を変えて飛び去っていくのを見送った。「すべては創造性。そして、すべてが芸術となり、みんなの目に触れる!ここが私の居場所!」
彼女は一歩下がって木に寄りかかり、考え込んだ。「他の場所では、私の脳はあまりにも違っていて、恥ずかしい思いをするけれど…でもここなら?私はありのままでいられる。そして、成功する。」
彼女は目をこすって考えようとする。彼女の周りには、鏡が埋め込まれたさくらんぼが浮かんでいる。すべてが瞬いている。彼女は顎に手を当て、考えながら、その中を前へ前へと歩いていく。「みんなをあっと言わせるようなものを作らなきゃ…技術を磨くことができる、充実した学校生活につながるものを。そうすれば、私は有名な芸術家になって、称賛される。私の人生の目的が達成されるわ!」
彼女の心は、すべてを輝かせる輝く日の出へと向かう。彼女は微笑みながら、「ここにいるみんなは何かを作るために生まれてきたの。そして私がこの世界に生み出すものは、きっと美しいものなのよ!」と語りました。
ケイコは片足でジャンプし、両手を上げたが、体が後ろに倒れた。
想像の中でのすべてが崩れ落ち、現実に戻った。
現実では、ケイコはドアに寄りかかっていて、それが開いた。ケイコは裏庭のポーチに落ち、背中から着地した。
「痛っ…」ケイコは衝撃にうめき声を上げた。彼女は膝をついて背中をさすった。彼女は再び屋外、裏庭にいた。柵で囲まれた小さな庭があり、真ん中に噴水がある。反対側には門があり、そこから丘を登ってキャンパスの他の部分へと続く階段へと続いていた。
その時、けたたましい鳴き声が聞こえた。
彼女は振り返って庭を見渡した。小さな子供たちが外で遊んでいた。そのうちの一人が鳥の尻尾をつかんで引きずり下ろしている。他の子供たちは皆、鳥が必死に鳴きながら逃げようともがいているのを見て笑っていた。
ケイコはそれを見た途端、立ち上がり、拳を振り上げた。動物の虐待に我慢ならなかったのだ。
「おい!!!」ケイコは怒りに駆られ、叫びながら突進した。「あの鳥を放して!うわっ!」
彼女は階段でつまずいて、顔から転んだ。
小さな子供たちは、もがく鳥を抱きかかえたまま、困惑した様子で彼女を見つめる。
ケイコはすぐに立ち直り、地面に両手を叩きつけ、頭を振り上げて子供たちに、まるで怪物のように恐ろしい怒りの表情を向けた。そして、その事実をわざとらしく、彼女は恐ろしい雄叫びを上げた。
子供たちは恐怖のあまり叫び声をあげ、鳥を放した。皆、両親のところへ泣きに走って逃げ出した。
放された鳥は惰性で後ろに投げ出され、何かペンのようなものを地面に落としてしまう。鳥はそれに気づかない。
鳥は飛び去ろうともがくが、地面に落ちてしまう。ケイコはきちんと起き上がり、膝をつきながら鳥に近づく。優しく近づき、驚かせないよう声を低くする。「大丈夫?」と優しく尋ねる。
ケイコは鳥の足元にそっと手を滑り込ませ、顔の方へすくい上げる。ケイコの手の中で、鳥はぎこちなく立ち上がる。こうして二人はきちんと向き合うことができた。
二人が目を合わせた瞬間、世界が止まったように思えた。目の前にいる存在の姿を、ケイコは吸収していく。
その鳥は鮮やかなオレンジ色で、さらに鮮やかなオレンジ色の縁取りが施されている。くちばしは薄茶色で、羽の先端には紫色が少し見えている。額にはピンク色の斑点がある。ケイコが今まで見たことのない鳥だ。
鳥は深い青色の目で彼女を見つめている…まるで人間のような目だ。
すると鳥は翼を広げ、ケイコの手から飛び立った。ケイコは衝撃を受けた。
ケイコは鳥が飛び去るのを見上げ、視界から消えるまで目をそらさなかった。そして声に出して尋ねた。「あれは何の鳥なの…?」
その時、太陽の���が彼女の視界の隅で何かを照らし、彼女はそれに目を留めた。
地面にペンが落ちていた。普通のペンではない。ピンク色のペンで、キャップが凝っていて、大きな赤い丸とピンクの羽根が描かれている。
不思議そうにケイコはそのペンを拾い上げ、「どうして鳥はこれを持っていたの…?」と声に出して尋ねた。
「ケイコ!」ケイコは振り返ると、ドアのそばにアオイとジローがいた。アオイは「いたわ!ずっと探していたのよ!」と叫んだ。
「あおい!」ケイコは立ち上がり、ペンを手に友達のところへ急いだ。「絵に決めた!」と元気よく宣言する。
「もう決めたの?」三人が校舎の中に戻ると、あおいが尋ねる。
背後のドアが閉まった直後、遠くから空に浮かぶ人影がこちらを見ていた。彼は眼下のキャンパスを眺め、得た情報を整理していた。
「芸術を称える学校…なんてひどい…完璧だ。」
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「外で見た鳥の絵を描いてるの!」
ケイコは美術館の廊下を歩きながら友達と話していた。
「わかった?」ジローは返事に眉を上げた。「あれはオリジナル?」
ケイコは両手を前に突き出して説明しようとする。「違う、違う、わからない!珍しい鳥だったの!誰も見たことない鳥よ!」
「ああ。」アオイの声のトーンと腕を組んでいる様子から、彼女はそれほど感銘を受けていないようだ。
「オレンジ色の鳥だったのよ!」
「ええ…」
「ピンクの斑点のある、明るくて美しい鳥よ!」
「ええ、きっとそうだったわ。」
「紫色もあったわ!」
「それなら魔法ね。」
「深い青い目で、じっと私を見つめていたのよ!」
「わあ、きっと意識があるのね」葵の声はずっと無表情だった。それが彼女の言葉を信じていない証拠だとは思えなかったが、次の言葉で明らかになった。「私の推測では、あの鳥があなたに魔法の粉を降らせて、それを右から二番目の星まで空へ運んだのね」
ケイコは皮肉に体が震え、頭上に雪雲がかかっているように感じた。笑顔が作り笑いになった。「あなた…信じてないの?」
「ええ、信じてますけど…でも…鳥でしょ。鳥に魔法の力があるなんて?」葵は疑問形に答えた。
「じゃあ、私がそれをしてはいけないと思うの?」ケイコは尋ねた。
「いや、やれ!君の芸術なんだから!」と葵は言い張る。「鳥を描きたいなら、鳥を描けばいい。」
「そうだな、俺は恵子とプロジェクトをやるんだ。」ロビーの階段に近づくと、次郎は葵に尋ねる。「本当にやりたくないのか?」
「きっと良くないだろうな…」葵は視線をそらし、少し不安そうな表情を浮かべる。
恵子は抗議しようとした。「何だって?でも…」
次郎は彼女の言葉を遮る。「でも、一人でここにいるのは辛いだろうから、それは分かってる。これ以上無理強いはしない。」
次郎はそれを聞いてケイコをじっと見つめる。ケイコは意味を理解し、頷いて同意する。
「二人とも楽しんで!」アオイは手すりにもたれながら笑顔で言う。「ただ、誰かを轢いて気が狂わせたりはしないでね。」
「ええ!」ケイコは���礼をして、埃まみれの猛スピードで二階へ駆け出す。
次郎とアオイは少し心配そうに見守る。
「誰か轢いちゃうよ」次郎が指摘する。
「ええ、分かってるわ。」アオイはため息をつく。
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美術館の2階には、生徒用の絵の具ブースとして区切られたエリアがあります。イーゼルと棚があり、絵の具と筆、そして水の入ったコップが全員に用意されています。すでに何人かの生徒がイーゼルで絵を描いています。
ケイコは、ホールの他の部分からすべてを遮断する支柱のそばで生徒を見守っている近くの先生に近づきます。生徒たちがケイコの方を向くと、チケットを見せます。「ショーケース用のものを作りに来ました。」
「わかりました。」先生は親切にもケイコからチケットを受け取り、支柱の一つを開けてケイコを中に入れます。先生は空いているイーゼルを腕で指し、「パネルのないイーゼルは空いています。好きなイーゼルを選んでください。ただし、他の人のブースを横取りしないでください。」と説明します。
「わかりました!」ケイコは同意し、目の前のイーゼルに向かいます。キャンバスと絵の具と筆は反対側の棚にあるので、ケイコは必要なものを取りに行かなければなりません。彼女はそうする。小さなキャンバス、水を入れたカップ、筆、そしてオレンジ、青、ピンク、茶、紫の絵の具の入った容器を手に取る。色を混ぜて明るくするため、白い絵の具の容器も用意する。
全てが揃うと、鉛筆で鳥の輪郭をなぞる。鳥が翼を大きく広げた姿勢でなぞる。確かに、なぞった線はちょっと…雑だ。どの線もまっすぐではない。しかし、これは絵画の美しさでもある。骨格は単なる参考資料であり、完成品では誰も見ることはないので、完璧に描く必要はないのだ。
「うーん…」ケイコは鉛筆を顎に押し当て、輪郭をじっくりと眺める。「ちょっと華やかにしたい…棚にラメでも置いてあるかな?」ラメがあったかどうかは確認できなかった。
何かがチラッと目に留まった。視線を下に落とすと、制服の襟に付いていたペンが目に入った。不思議に思いながら、ケイコはそれを手に持ち、歩きながらそのペンから目を離さない。
ジェルペンのようなペンのようだが、インクは入っていないようだ。ペンをカチッと鳴らし、何も期待せずに手の上で何度も軽く叩く。
しかし、手にラメのピンクのインクが付いているのを見て、ケイコは目を見開いた。
どうして?!頭の中で考えてみる。インクなしで、どうしてこんなことができるの?!
ラメペンだ。本物のラメなんて関係ない。これなら完璧!
景子は振り返ろうとしたが、顔を上げなかったので、その瞬間…
ドスン!
別の女の子に頭からぶつかってしまった。二人とも床に倒れ込んだ。床には本が散乱している。景子は一瞬の間を置いて、傷ついた顔に手を当てた。
「気をつけて!」もう一人の女の子が叱責する。
「本当にごめんなさい!」景子は謝り、手を離して女の子を見た。彼女は怒りで歯を食いしばり、深い黄色の瞳が鋭く彼女を見つめている。オレンジがかった赤毛はバサバサとしていて、肩にほとんど触れていない。制服のネクタイは外され、袖はまくり上げられている。赤い指なし手袋をはめている。全体的に、彼女は強面かつ恐ろしく、その表情もそれをさらに引き立てている。
「あの…」景子は何と言えばいいのか分からなかった。「あ、本を持ってくるのを手伝おう…」
しかし、ケイコが本に手を伸ばすと、少女は本を引っ掻き、自分の腕の中に投げつけた。それは何かを恐れていることを示す行動だった。「私のもの触らないで!私が持ってるのよ!」
「ごめんなさい!」ケイコは少女が一人で本を拾うのを見守った。
「アキノ!」駅の先生が二人を叱った。「転校生にそんな意地悪しないで!彼女は親切にしているつもりなのに!」
「それに、私のもの触らせないで!」少女は怒鳴り返した。
少女はまだひざまずいているので、ケイコが先に立ち上がり手を差し伸べた。「せめて私が手伝わせて。」
少女の目は、険しい表情から困惑へと変わった。きっと彼女は親切の基本的な行為を理解しているのだろう?「あなた…どうして?」
「轢いちゃった。お詫びしたいの」とケイコは優しく言った。「ここはそんなに難しいことじゃないでしょ?」
少女はためらいがちにケイコの手を取り、ケイコは彼女を抱き上げた。
「もしよかったら、さくらケイコです」とケイコは挨拶した。
「秋野レイ…」少女は少し懐疑的な様子で挨拶を返した。
「それで、ご職業は?」ケイコは手を組んで尋ねた。
「あなたのは何ですか?」レイは質問に返答する。
「私、画家なの!」ケイコは嬉しそうに言った。「ほら、見て!見て見て見て!」
ケイコはレイに見せるためにキャンバスに駆け寄った。誇らしげに満面の笑みを浮かべた。「外で見かけたこの鳥を描くの!まだ描いてないけど…でも、きっと美しくて、みんなをびっくりさせるわ!」
「あらまあ…」レイは肩の力が抜け、表情も柔らかくなった。「羽が小さすぎると、そんなに美しくないと思うわ。羽がメインになるべきよ。キャンバスのスペースを最大限に活用して。誰も白いものを見たい人なんていないわよ。」
「あら…」ケイコの笑みは、批判されて少し曇った。
「おい、アキノ!あっちへ行っちゃえよ!」先ほどブースにいたあの少年が、レイを叱った。「あんたがみんなを引き裂くなんて、誰も望んでないわよ!」
レイは腕を組んでケイコにニヤリと笑う。そして、皮肉たっぷりにこう言った。「私、ここではすごく人気者なのよ。わからない?」
ケイコは皮肉に気づかなかった。「じゃあ、どうしてみんなあなたのことが嫌いなの?」とケイコは尋ねた。
レイは言葉を失い、どう答えていいか分からなかった。彼女は振り返ることにした。「わかった。じゃあ、もう行かなきゃ」
「じゃあ、学校で会おうね…」とケイコは言った。そして、ケイコに手を振って付け加えた。「ああ、感想ありがとう!すごく参考になるわ!」
レイは言葉を止める。その言葉に、彼女は驚きで目を見開いた。
レイはほんの数秒、感動の表情を見せたが、すぐにそれを隠して立ち去った。
そう言うと、ケイコは輪郭を修正し、羽を大きくする作業に戻った。レイの言う通り、これでもういい感じだ。
ケイコはすっかり自分の世界に浸り、完全に集中すると、頭の中のあらゆる音や背景が消え去る。彼女の背後にあるものはすべて、ピンクと紫の魔法のゾーンだ。
さあ、作業開始だ。
ケイコは小さな斜めの筆、毛先が尖った筆を取り、オレンジ色の絵の具に浸す。丁寧に線に沿って筆を動かし、鳥の体の輪郭を描き出す。
それが終わると、別の平筆を取り、オレンジ色の絵の具に浸す。これでオレンジ色の輪郭を塗りつぶす。
それが終わると、両方の筆をきれいにする。3本目の筆を取り出し、パレットの上の白い絵の具に意識を向ける。手に持った筆で、オレンジ、紫、茶色、ピンクの絵の具に絵の具を浸し、混ぜ合わせて色を薄くしていく。オレンジはクリーム色のようなオレンジ色に、紫はラベンダー色に、茶色とピンクの色はより柔らかい色合いになる。
斜めのブラシを再び使い、鳥のお腹と尾羽の残りのオレンジの輪郭を描きます。頭と翼の先端には紫色の部分、くちばしと足には柔らかな茶色を使います。平筆を使って、これらすべてを塗りつぶします。
頭の3つの部分が空白になっているので、斜めのブラシを使ってピンクのハゲ部分を丁寧に塗りつぶし、次に濃い青色の目を塗りつぶします。
この時点で残りの部分は乾いているので、ケイコは大きくてふわふわした扇形のブラシに移ります。オレンジ色の塗料をブラシに軽く含ませ、鳥の体全体にも軽く塗りつけて、羽の質感を出します。
残りの質感には扇形のブラシは使用せず、代わりに小さなトリムブラシを使って羽と足の線を丁寧に描きます。次に、トリムブラシを使って瞳孔と目の白い部分を塗りつぶします。
アート制作の過程では、アーティストが自分の要素に没頭し、シンプルな紙に情熱を注ぎ込むこと以外に何も大切なことはありません。
仕上げに、ケイコは見つけたペンを手に取り、鳥の周りにピンクのグリッターで背景を描きます。絵全体が輝き、ペンで鳥の輪郭を描くことで鳥自身も輝きます。小さな渦巻きや星が至る所に散りばめられています。額のピンクの斑点にもペンを使い、際立たせています。
ケイコは自分の作品に感嘆し、出来栄えに微笑んでいます。
ある意味、芸術的な境地が終わってしまうのは残念ですが、最終的な結果には必ず価値があるのです。
背景の音や物音が脳裏に蘇り、最初に聞こえてきたのはアナウンスだった。「5分後に展示会が始まります!」
外は夕暮れ。体感するよりもずっと時間が経っている。
「ケイコちゃん!」ジローがケイコを見つけて、こちらへ来ている。「こんにちは!」
「ねえ、ジローちゃん!」ケイコは嬉しそうに挨拶する。
ジローがケイコの隣に来ると、絵がちゃんと見える。「わあ、すごい…」
「素敵でしょう?」ケイコは誇らしげに尋ねる。
「正直、こんなにいい作品になるとは思わなかったよ」とジローは認める。手に持っていたノートを開き、ケイコに見せる。「ところで、僕の作品、どう思う?」
スケッチブックの上部に指先を置き、端を少し傾けるとページが落ち、物語を描いた複数の絵が現れる。
鉛筆で描かれた女の子が本を持っているアニメーションだ。ページから猫が現れ、女の子の肩に飛び乗る。最後は女の子が子猫を抱きしめるシーンで終わる。
「可愛い!」ケイコは頬をぷにぷにさせながら大喜びする。
「え?」とジローは照れくさそうに尋ねる。
「つまり…子猫ね」とケイコが指摘する。
ジローは顔を赤らめ、どもりながら言う。「えっと…ちょっと可愛いものが描きたかったんだ」
「大丈夫!あなたにぴったりよ!」ケイコはジローの肩に手を置いて安心させながら言った。「あなたの仕事は本当にすごいわ。こんなにたくさんの絵を繋げて、動くアートを作るなんて、誰にでもできることではありません。」
「ええ、でも、もし笑われたらどうしよう?」
ケイコの笑顔が消える。その言葉が彼女の心の奥底を突き刺した。
からかい合いの喧騒はしばらく続き、一人を除く全員が指さして笑っていた。ケイコの絵がどれだけひどいかを延々と言い続け、絵とケイコ自身を笑っていた。
ケイコはその場に留まり、笑顔はますます作り笑いに変わっていった。笑い声と侮辱の言葉が頭の中に吸い込まれていく。ケイコは硬直し、教室の淡いヴィンテージ調の色合いは薄れ、笑い声はますます大きくなっていく。紙に置いた彼女の手は震えている。
「それって芸術じゃない!ゴミ!」
最後の侮辱の言葉に、小さなケイコはすすり泣いた。
もし絵が気に入��なかったらどうしよう?幼稚園で起きたことと同じことがまた起こったらどうしよう?
「えっと…」次郎の小さな声がケイコを現実に引き戻す。「列に並んだ方がいいよ。あおいはもう並んでるし。僕はここにいて、間違いがないか4回くらい確認するから。」
ケイコの頭上に暗い影が垂れ込める中、彼女は低く「わかった…」と言った。
次郎はケイコに親指を立て、視界から消えた。ケイコは一人で絵を持って階下へ降りる。廊下のすぐ近くに、彼女が使える階段がある。
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階下に降りると、ケイコは講堂のすぐ近くの裏口に気づいた。舞台上のアナウンスの声が反響し、ショーがすでに始まっていることを知らせていた。扉の前には、作品を発表しようと待つ子供たちの列が続いていた。
ケイコはキャンバスを握りしめ、列の最後尾へと急いだ。絵を見つめると、胃がムズムズしてきた。実際に見てみると、輪郭が完璧に描かれておらず、粗い部分がある。絵の具の塗りが均一ではなく、ざらざらとした質感だ。まるで幼児が描いたかのようだ。
その時、ケイコは目の前に何かが映り込み、思わず息を呑んだ。
先ほどの少年が、イカのキャンバスを持って目の前にいた。背景には本物の海があり、水や岩礁がとてもリアルに描かれている。イカ自体は複雑な生き物だが、その描き方はプロ並みだった。陰影、重なり、色彩、絵画に求めるものすべてがそこにあった。
それを聞いたケイコは、自分の絵をぎゅっと抱きしめた。そしてついに、静かに、真実を認めることができた。「私はここには合わないの…」
ゆっくりと、しかし確実に列は進み、ケイコは舞台裏へと向かった。舞台の前方にスポットライトが集中し、辺りは薄暗い。カーテンの隙間から、ケイコは保護者や上級生たちの観客の姿を見る。本当にたくさんの人がいる。じっと見つめすぎると、観客は大きくなり、目つきも険しくなる。
その光景に、ケイコは息を呑んだ。自分にもできるのだろうかと不安になった。
絵が下手すぎる!みんなにバカにされるぞ!
その時、目の前の少年がスポットライトを浴びる。ケイコの体は石のように硬直している。あと一人、そうすればケイコは立ち上がる。この少年の素晴らしい絵をみんなが見て、それから彼女の下手な絵なんて誰も気にしなくなるだろう…
少年は誇らしげな口調で、笑顔で自分の絵を披露する。「これは、メソニコテウティス・ハミルトニ、通称ダイオウイカだよ!この生き物を忠実に再現するように描いたんだ。南の冷たい海に生息し、肉食獣として何日も魚を捕食するんだ!たくさんの触手を持つ美しい生き物で、そのうちの2本は人をしっかりと掴んで口元に引き寄せるようになっているんだ!」
彼は明らかに自分の作品と、このテーマに情熱を注いでいる。ケイコは鳥について何を知っているというんだ?飛ぶ…それだけだ。だから、観客全員が拍手しているのが聞こえても不思議ではない。
驚いたのは、近くで誰かがゆっくりと拍手する音だった。
その音を聞いて、ケイコは意識が朦朧とした状態からハッと目覚めた。舞台の向こう側に、影に隠れた二つの目があることに気づいた。
「おめでとう!誰も気にしない!」
その言葉に皆が立ち止まり、声の方に注目する。
人影がスポットライトの中に現れる。小柄な十代の少年だが、制服を着ていない。片方の襟を折り返した淡い色のトップスに、グレーのパンツ、指なし手袋をはいている。黒髪はジェルで尖らせたようにツンツンとしており、肌は人間離れした灰色の色合いに見えるほど青白い。彼のあらゆるものに色彩と彩度が欠けている。まるで白黒のようだ。それでも、顔には悪意に満ちた薄笑いが浮かんでいる。
「え、あなたは誰ですか…?」 男子学生は困惑して尋ねる。
「ああ、気にしないでください。みんなが思っていることを言っているだけです。」 灰色の少年は宣言する。「あなたのくだらない絵なんて誰も気にしません!次の100枚のくだらない絵を見れば、みんな忘れてしまいますよ!」
「おい!」先生がステージに上がり、彼を呼び出した。「ここにいるなんておかしい!どうやって入ったんだ?」
「君の安全なんて、簡単に隠蔽できるもんだ」灰色の少年は、全く恐れることなく言った。「文字通りだ」
彼は両手を掲げ、指を鳴らした。たちまち、教師は壁に投げ飛ばされた。腕や物理的な力で投げ飛ばされたようには見えない。まるで…魔法のようだった。
誰かが倒れるのを見て、観客全員が立ち上がり、パニックに陥る。ケイコは暗闇に隠れ、恐怖で体が硬直し、何もできない。
しかし、少年はこの謎の男の手に委ねられ、無防備な状態になっている。彼は明らかに緊張し、声は震えていた。「な、何がしたいんだ…?」
「僕が最後に君の目に映るんだから、隠しても仕方ないだろうな。」灰色の少年は肩をすくめ、銀色の瞳を光に輝かせながら、両手を差し出した。「僕の名前はノワール。この世界から醜い色をすべて消し去るために来た…君は僕を助けてくれるんだ。」
ノワールの掌から黒い破片が飛び出し、彼は「情熱よ、逆転せよ!不安よ、我のもとへ来い!」と唱える。
生徒が胸を掴み始めたのを見て、ケイコは恐怖に震える。ノワールは一体何をしているんだ?
黒い破片が学生の体から飛び散る。体中の色がすべて吸い取られ、灰色の影だけが残った。彼は動かなくなった。
黒い破片はノワールの手に当たり、黒い折り紙の鳥へと姿を変える。ノワールは顔に笑みを浮かべる。
「わあ、美しい!」ノワールは言った。「これで完璧だ!」
ノワールは手と折り紙を頭上に掲げた。「見よ!インクリング!」
折り紙は辺り一面に黒魔術を噴き出す。イカの絵に反応し、黒魔術も噴き出す。
折り紙は巨大でインクのように黒いイカに変身し、銀色に輝く二つの目だけがその対比を成す。
目撃者たちの悲鳴が響き渡り、ほとんどが既にドアの外へ逃げ出していた。舞台上の巨大イカモンスターが無数の触手を動かすと、その下では舞台の色が消え、灰色に染まり始めた。モンスターは舞台から飛び降り、椅子を叩き壊し、二本の鉤爪の触手で壁を掴む。壁もまた灰色に染まる。やがて、部屋の中のすべてが色を失い始める。
モンスターが舞台からいなくなると、ケイコはパニックに陥り、少年のもとへ駆け寄る。「先生!先生!大丈夫ですか?!」
彼は返事をしない。
ケイコは彼を掴もうとするが、恐怖に息を呑む。彼は…石にされてしまった!
この混乱を見守るニヤニヤしたノワールを見つめ、ケイコは叫ぶ。「どうしたの!?」
ノワールはニヤニヤを止め、ケイコの方を向く。彼は無礼にも「どうして気にするんだ?」と尋ねる。
彼が何をしたかは明白だ。わざわざ説明するまでもない。
「建物から避難しろ!」教師が叫び、全員を出口へと誘導する。「今すぐ避難しろ!!」
退散する群衆の中にいたアオイは立ち止まり、振り返る。ステージ上にまだ友人がいるのに気づき、「ケイコちゃん!」と叫ぶ。
ノワールはケイコを無視して飛び始める。そして声に出して言う。「いいか?行くぞ、インクリング!建物全体をカバーしなければならないんだ。まずは上から始めよう!」
インクリングは動きを止め、主の後を追う。触手で天井を叩き壊し、そこから這い上がる。瓦礫が飛び散る。
ケイコはそれを見ながら、頭の中で理解する。2人は2階へ行く…!
2階だ!!
「えっと…」次郎の小さな声が恵子を現実に引き戻した。「君も並んだ方がいいよ。葵はもう並んでるし。僕はここに残って、間違いがないか四重に確認するから。」
次郎は2階にいるよ!
それに気づいたケイコは、危険が迫る舞台裏の階段へと全力疾走し始めた。
「ケイコ!!」アオイもそれに気づき、ケイコの後を追う。ケイコがドアノブを掴むと、アオイも追いつき、ケイコのもう片方の腕を掴む。怖くなったアオイは、ケイコをドアから引き離そうとする。「さあ、行かなきゃ!」
「でも…」ケイコは腕を引っ張られるケイコに抵抗する。「…次郎!」
「次郎?」アオイはケイコの言い分に気付く。
その言葉にアオイは油断し、ケイコはアオイの腕を振り払う。ケイコは勢いよくドアを開け、壁に激しくぶつかる。階段を駆け上がる。
「ケイコ!!!」アオイはドアにしがみつき、叫ぶ。「ケイコ、やめて!!!!」
ケイコはもういない。
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インクリングは廊下を駆け下り、周囲のあらゆるものが色を失いつつある。触手が四方八��飛び回り、触れたものすべてにへこみをつけている。2階にいる人々は皆、叫び声を上げながら、見つけ次第階段へと駆け寄っていく。
窓の外では、オレンジ色の鳥が一羽、この光景をじっと見ていた。
鳥は、窓を割って穴を開ける触手から、かろうじて逃げ出した。触手が避けた後も、鳥の視線は建物の中へと続く穴に釘付けだった。
次郎は群衆の後ろで、ノートを抱えて逃げている。しかし、インクリングは群衆と、そして彼自身に追いついてきた。
次郎は出口の階段を見つけ、それを見据える。彼は出口へと全速力で駆け出す…
しかし、触手が階段の前に激突し、出口を塞いでしまう。
悲鳴をあげながら、ジローはどもりながら振り返ろうとしたが、目の前にインクリングがいた。インクリングの上に浮かんでいたノワールはニヤリと笑った。ノワールは「え、犠牲者って何?」と考えた。
ジローは逃げ出そうとしたが、その場に硬直していた。インクリングは触手をジローに向け、ジローは目を閉じた。
その時、ケイコが階段のドアを勢いよく開け放った。「ジローちゃーーーーーー!!!」
絶望の波が押し寄せ、彼女はドアを塞ぐ触手を体から投げ捨て、友人に向かって突進した。彼女はジローを抱き寄せ、二人とも道から押しのけた。触手は狙いを外し、床に落ちた。ケイコとジローは重なり合って床に倒れ込んだ。ノートはジローの手から投げ飛ばされた。
ジローは何が起こっているのかほとんど理解できていない。ケイコは何も理解しようとしていない。階段のドアから触手が逃げていくのに気づいた。「ケイコちゃん…?」
ケイコは彼の言葉を遮り、腕を掴んで引き上げた。「行け!行け!ここから出よう!すぐ後ろにいる��!」
二人は立ち上がり、ドアに向かって走り始めた。ケイコはジローを先に出せるようにドアを開けた。あとはジローの後を追うだけ…
「何これ?」
ノワールの声が聞こえ、ケイコはためらった。振り返ると、ノワールがジローのノートを手に取り、パラパラとめくっていた。ノワールは見たものに冷酷な笑みを浮かべた。「猫の絵だって?冗談だろ」
ノワールの拳がノートを砕く。ノワールの手の中で、ノートは黒い粉と化し、消え去った。ノートの下部だけが残され、床に落ちた。ジローが一生懸命に描いたノートは、一瞬にして破壊された。
ケイコはそれを見て心臓が止まるかと思った。血が熱くなった。
この少年は、友人が一生懸命に作った作品を、何の罪悪感もなく破壊したのだ。
ケイコは眉をひそめ、歯を食いしばって怒りの唸り声をあげようとした。
ケイコが何かするよりも早く、何かが視界を横切った。
オレンジ色の何かがインクリングに向かって飛んできて、ギャーギャーと鳴いているのを見て、ケイコの目は怒りから驚きへと変わった。あれは…?
速い飛行が落ち着くと、ケイコはそれをはっきりと見ることができる。同じ柔らかな紫色の羽、同じピンクの斑点、同じ青い目…
鳥?!
確かに、それは先ほどの鳥だった。建物の中でインクリングに向かって突進している。ノワールも驚きながら、頭を振り返った。「何だ…!?」
鳥はインクリングの周りを素早く飛び回り、触手を避けながら、くちばしでインクリングの体をつつこうとする。しかし、どうやら効果がないようだ。
ケイコは気づかないうちに、外に出てその光景を目にしていた。ノワールと同じように、ケイコも混乱している。なぜこの鳥が建物の中にいて、インクリングと戦おうとしているのだろう?普通の鳥が、なぜこんな危険に身をさらすのだろう?
これらすべてが結果をもたらし、鳥はインクリングの目を撃ち、片目を閉じさせた。しかし、もう片方の目には、開けた場所に立っているケイコが映っていた。
インクリングは触手をケイコに投げつけ、ケイコはそれに気づき悲鳴を上げる。
鳥は急降下し、ケイコの体に体当たりし、二人とも勢いよく壁に投げ飛ばされた。ケイコの背中は壁に激しく打ち付けられ、鳥を胸に抱きしめたまま床に倒れ込んだ。
「ううっ…」ケイコはうめき声をあげ、起き上がろうともがく。目を開けると、腕の中にいる鳥に気づいた。仰向けになっていたケイコは、鳥を抱きしめた。鳥は怪我をしているようには見えなかった。
気のせいかもしれないが、鳥は彼女の触れ方に反応して息を呑んだ。まるで人間のような息切れだ。鳥自身も驚いたようで、硬直した表情から困惑した表情へと変わった。
その時、腕が頭上の壁に穴を開け、鳥を掴んだ。
ケイコは悲鳴を上げて這いずり下がったが、背中が壁の柱にぶつかった。
ケイコは、その人物が全身で壁を突き破るのを防いだ。それはまたしても薄灰色の男だった。ただ、この男の方が背が高く、黒髪を小さくまとめたポニーテールにしていた。同じ灰色のパンツを履いているが、黒いシャツの上に白いノースリーブのロングジャケットを羽織っている。腰と上腕二頭筋のベルトは、どちらも銀色のバックルで、非常に淡く彩度が低い緑色だった。
ケイコはただ見ているしかなかった。相手は自分が捕まえた鳥にレーザーのように集中していて、ケイコに気づいていないようだ。
男は外に出て、もがく鳥に得意げに微笑みながら、空中に浮かんだ。
「モノ!!」ノワールが叫び、相手の名前を明かす。モノはノワールの隣に飛び上がり、二人ともインクリングの頭上になる。「今、現れたのか!?」
「残念ながら、そうせざるを得なかった。」モノの声は、以前よりはしわがれ声や泣き言っぽくなくなり、落ち着いた単調な声になった。「それが私の任務だった。」
「そして、私があなたの任務をこなしている姿を見ろ!」ノワールは怒って叱る。「仕事中に寝てると思ったんだ!」
「寝てたけど、ラウンジから追い出されたんだ。」モノは呆れたように目を回す。「こう考えれば、私の仕事量はあなたより少ないのに、私の方があなたより多くを成し遂げている。」
「そんなわけないだろ!」ノワールは鼻で笑う。
「鳥に負けそうになったんだぞ。」
「負けてない!」
二人はしばらくそう言い争っていたが、鳥がモノの掴みから逃れようともがいているのを見て、再び注意が戻った。
モノは鳥の必死で無駄な試みに思わず笑ってしまった。彼は鳥を揺すり、挑発するように言った。「ああああ、どうしたんだ、鳥ちゃん?何もできないのか?」
鳥はまだもがいている。ノワールもニヤリと笑って加わる。「好きなだけ試してみろよ。プリキュアはもういないんだから!安心だ!」
「プリ…キュア…?」ケイコは理解する。柱の後ろからこの話を聞いていたのだ。
二人の少年は狂ったように笑う。インクリングは触手を伸ばし、口を開けている。鳥を食べようとしている。モノはインクリングの手に鳥を掴み、悪意に満ちた口調で尋ねる。「何を言っているんだ?イカの餌食になる覚悟はできているか?」
「…絶対に…」
部屋の全員が目を見開く。
しわがれ、緊張しているが、これが人間の声であることは明らかだ。
「まさか…」ノワールは信じられない思いだった。
ケイコ自身も信じられない。あの鳥が…喋ったなんて!?
「…まさか…」モノは息をしようとして、えずく。「…終わった…」
そうだ。あの鳥は喋っている。
あの鳥に知性があるなんて!?
「えーと…」モノは否定するように、ぎこちなく笑う。「地球の鳥が喋るなんて知らなかった…」
「おい!」ノワールはモノの肩を叩く。「あれは妖精だ!」
鳥は呼吸に、いや少なくとも窒息しないように話すのに苦労している。「私を…処分して…よければ…」モノ、というか彼は、外に出る。
「私は、この姿では何の役にも立たない…でも…この子たちの情熱…処分できない…この人たちは…この世界を…永遠に彩り続けるだろう!」
ケイコの目に輝きが宿る。鳥の言葉に誘われて過去に戻った彼女は、かつて自分を救ってくれた謎の人物を思い出す…。
「勝てません。魂の創造性を奪うことは決してできません…それは素晴らしい祝福です。そしてこの子たち…この子たちは…私が亡くなった後も情熱を追い求めるでしょう…そして、愛するものを決して諦めません。彼らは世界のために絵を描くでしょう!」
ケイコは階段のドアのそばにある鳥の絵に目を留めた。インクリングはそれを見逃した。ケイコは手を伸ばして拾い上げ、じっと見つめた。
これを描いた時、ケイコは情熱を持っていたのだろうか?もちろん。
だから、たとえ無駄だったとしても、何もできないわけにはいかない。
「妖精がどうやって逃げ出したのか、私には理解できない」ノワールは鳥に言った。「まあいいだろう。これでだいぶマシになった!」
モノは再び、インクリングが食べられるように、鳥を触手にかざした。二人はこれから起こる出来事に笑い出した。
「おい!!」
一同は立ち止まり、廊下の奥へと視線を向けた。ケイコが目の前に立っていた。ケイコは絵を差し出し、インクリングに見せると、「消し忘れてるよ!」と言った。
「何ですって?」モノは自分が何をしようとしているのか分からず、片方の眉を上げた。
ケイコは安心させる。「ほら、きっとこれはあなたの…ペットの…イカ…モンスターにとって、もっと美味しいおやつになるわよ…」
「震えてるじゃないか」ノワールが言う。「どうして他のみんなみたいに走らないんだ?」
「わ…わかんない…」ケイコは認める。「でも…友達の絵を台無しにして…それに、知性のある人間を殺そうとしてるなんて…鳥だろうとなかろうと、そんなことは許せないわ!」
「人間だって?」鳥はケイコの言葉を理解した。それからケイコの制服の襟元に目をやった。ペンがそこにあった。「待って…!」
「馬鹿だな」モノは指摘する。肩をすくめて微笑む。「でも、もしどうしてもと言うなら、インクリングはまず君の絵を食べるだろう…そして君も!」
インクリングがケイコに突進する。ケイコは怯え、どうしたらいいのか分からず、すすり泣く。もう、終わりだ。
「あなたの情熱は何なの!?」
ケイコは鳥が叫んでいることに気づいた。「どうしてそんな絵を描いたの!?生きたいなら答えて!」
「私…私…」ケイコは鳥が何をしようとしているのか分からなかった。深呼吸をした。彼を信じなければならない。
「この世界のために絵を描きたい!!!」
フラッシュ
ケイコの絵からまばゆいピンクの光が放たれる。
インクリングは後ろに倒れ、少年たちの目はくらみ、鳥は逃げ出すチャンスを得る。
「な、何が起こっているの?」ケイコは閃光に不意を突かれる。
ピンクの光が魔法のようにケイコの周りを巡り、彼女を守ろうとする。絵自体が形を変え、別の何かへと歪んでいくのをケイコは見守る。
「ついに!ついに!!」鳥は喜びの涙を流しながらケイコの腕の中に飛び込む。「プリキュアを引き受けてくれたんだね!」と嬉しそうに言う。
「何言ってるの!?」ケイコは驚きの声を上げる。「なんで言ってるの!?」
「いいから、ここからが大事よ!」
絵が新しい形へと変化し終える。ケイコの目の前に現れたのは、パレットのようなものだっ��。それは、宝石がちりばめられたピンクの縁取りの、きらきらと輝く派手なパレット。ガラスの蓋が付いていて、真ん中に空いているスペースがある。周りのスペースには、黄色、オレンジ、赤、ピンク、紫、青、緑の順に色が塗られている。
「これがプリキュアパレットよ!」ケイコの手の中で浮かんでいる装置を見ながら、鳥が説明する。「さっき私を助けてくれた時に見つけたペン、覚えてる?」
ケイコはそれを取り出す。「これ?」
「ペンをクリックして、パレットの好きな色を3色タップして、空いているスペースで混ぜて、『プリキュア クリエイティブチャージ!』と叫ぶだけで、あとはお任せ!」
ケイコはためらう。これが自分にどんな影響を与えるのか、彼女は知らない。
「信じて!」鳥は懇願する。
鳥の表情からして、本物らしい。以前も彼女を助けてくれた。きっとまた助けようとしているのだろう。
ケイコはうなずき、自分の選択を決める。
ピンクネオンペンのクリック音とともに、背景はピンク色の魔法の空間へと変化します。
全身がピンク色に染まった佐倉けいこは、ペンを頭上に高く掲げています。もう片方の手でプリキュアパレットを持ち、それを開きます。
「プリキュア クリエイティブチャージ!!」
彼女はペンでパレットのピンク、赤、緑の点を軽く叩く。3つの点が光り、真ん中にキラキラと輝くチェリーピンクが現れた。ペンをペンに浸すと、ペンがペンで満たされた。
ケイコはペンを持って飛び跳ね、あちこちに絵の具をこぼした。背景は緑と赤の絵の具の斑点で覆われた。ケイコ自身の腕、脚、頬も絵の具の斑点で覆われており、ケイコは目に見えてそれに気づいた。
彼女はペンを手首の周りで回転させ、魔法の絵の具で円形の白い腕章を作った。
彼女はペンを足の周りで回転させ、足を広げて地面を踏み鳴らし、つま先とヒールが濃いピンクの、膝丈の丸い白いブーツを作った。
彼女はペンを差し出し、全身を回転させると、渦巻くインクが彼女の胴体に触れ、フリルのついたピンクのスカート、太い赤いベルト、そして薄緑の縁取りと花のような白い肩パッドが付いたゆったりとした薄ピンクのジャケットを形作った。
彼女はペンを掲げ、微笑む。カチッという音とともに、ペンは燃え上がり、ピンクの絵の具の斑点がついた。彼女はペンを投げると、ペンは回転し、絵の具が四方八方に飛び散った。
絵の具は彼女の胸に落ち、大きな赤いリボンと薄緑のブローチが現れた。
絵の具は彼女の耳に落ち、赤いチェリーのイヤリングが現れた。
絵の具は彼女のベルトの後ろに落ち、淡い半透明のピンクのリボンと、スカートの後ろから垂れ下がった厚手の布地が現れた。
絵の具の飛沫は彼女のスカートに落ち、赤と緑の絵の具の斑点となった。
絵の具は彼女のリストバンドに落ち、赤いリボンが現れた。しかし、彼女が腕を前に伸ばすと、ペンがリストバンドに落ち、彼女がそれを振り払うと、リボンはほどけ、今度は赤いリボンがリストバンドから垂れ下がった。
再びペンを握り、彼女は頭の上をなぞると、側面に赤いチェリーが飾られた薄緑のヘッドバンドが現れた。ヘッドバンドから魔力が漏れ出し、ブロンドの髪がマゼンタ色の塗料で覆われた。
ケイコはお団子ヘアを持ち上げ、放すと塗料が髪に反射して光り、髪に溶け込む。髪は濃いピンク色の髪型になり、何本かの後ろ髪と大きなトップのお団子ヘアが重なり、大きなつむじが桜の茎のように見える。
ペンを顎に当て、歯を見せて笑う。恥ずかしそうに親指で顎についた塗料をはじく。瞳は髪の色と同じピンク色に輝いている。
彼女は空中に飛び上がり、ピンク色の魔法が彼女から噴き出す。
ジャンプの頂点に達すると、ピンク色の魔法が背後で塗料となって爆発し、彼女は四肢を大きく広げてポーズをとる。
ネオンペンとパレットが彼女のベルトに取り付けられる。
ヒロインは落下し、上からさらにピンク色の魔法が彼女から噴き出す。
「筆で情熱と命を世界に広げる!」
彼女はぎこちなく着地し、危うく転倒しそうになったが、なんとか踏ん張った。そして最後のポーズを決めた。片足を上げ、反対側の腕を頭上に上げてピースサインを作る。
「ピンクのペインター!キュアチェリー!」
ノワールとモノはゆっくりと床から立ち上がり、目の前のピンク色の光を見つめる。膝をついたままのモノは、息を呑みながら尋ねた。「これは一体…?」
ノワールは腕と歯を食いしばる。「こんな…ありえない!」
「やっと!!」鳥は喜びに溢れ、光の周りを飛び回る。嬉し涙が頬を伝う。「プリキュアが帰ってきた!!」
ピンク色の光は人影から放射されており、その存在によって周囲の絨毯も同じ色に染まる。ピンク色の光が消えると、窓から夕陽が差し込む。ヒロインは鮮やかなチェリーピンクの瞳を見開く。
そして、その瞳は驚きの表情に変わる。「な、な、な、なに?!何が起こったの!?」彼女は驚きのあまり、自分の変わった姿を見て身をよじり始める。「な、な、なに!?私に何が起こったの!?!な、なに!?」彼女はピンク色の髪を掴む。「私の髪に何が起こったの!?」鳥はキュアチェリーの腕に飛び込み、胸に顔を埋めて泣きじゃくる。「会えて嬉しいよ!!」
「私って何なの!?」チェリーは疑問に思うように叫ぶ。
鳥は翼で涙を拭う。興奮している。「わかったわかった、プリキュアになったんだね!創造の力を持つ伝説の戦士!インクリングを止めてみんなを救えるんだ!」
「ちょっと待って、プリキュア、ゆっくりして!力だって?!」チェリーは言葉に詰まる。息を吸って少し落ち着こうとする。「それで…伝説の戦士?どういう意味?」
「インクリングと戦わなきゃいけないの!」
チェリーは言葉を止める。
彼女はインクリングを見る。
それから鳥を見る。
そして再びインクリングを見る。
そして鳥を見る。
「だめ!」彼女は振り返り、鳥を抱きかかえたまま走り出す。
「そこに突っ立ってるんじゃない!」ノワールはインクリングに向かって叫び、拳を床に叩きつける。そしてもう一方の手で、走ってくるキュアチェリーを指差す。「捕まえろ!生きたまま食べちまえ!!」
インクリングは命令に従い、彼女を追いかける。インクリングが追いついてくるのを見て、チェリーは叫びながら廊下を走り続ける。触手は絶えず彼女を追いかけ、攻撃しようとしてくる。
「なぜ逃げるんだ!」鳥は叫ぶ。
触手が降りてくる。チェリーはそれを避けようと右によろめく。
「正気か!?」チェリーは叫び返す。
「インクリングと戦わなきゃいけないんだ!!」鳥は要求する。
触手が地面に叩きつけられる。チェリーは左に倒れ、床に倒れ込んだ。彼女は素早く立ち上がり、次の触手に捕まる前に走り続けた。
「できない!!」チェリーは叫んだ。
「でも、あなたはプリキュアなのよ!!!」鳥が反撃する。
触手が上からチェリーを掴み、突き刺そうとする。チェリーはそれに気づき、叫び声をあげる。触手に突き刺される寸前、チェリーは予想以上に高く飛びのいた。その動きに、チェリーは鳥を放してしまう。両足は隣の壁の頂上に着地する。
「な、何しちゃったの!?」チェリーは自分の行動に愕然とする。「どうすればいいの!?」
インクリングは別の触手をチェリーに向けて放つ。反射的に、チェリーは脚を使って壁から飛び降りる。その結果、全身がものすごい速さで吹き飛ばされ、ガラス窓を突き破ってしまう。衝撃で窓ガラスは粉々に砕け、それを支えていた壁の梁が崩れ落ちて横に傾く。他に掴むものが何もなかったチェリーは、梁に掴まり、建物の外にぶら下がったままになった。
「キュアチェリー!」窓の内側から飛び立つ鳥が叫ぶ。
「助けて!!」チェリーは叫び声をあげ、宙ぶらりんの状態から足元をすくい上げようと必死に逃げ回る。「助けて、助けて、助けて、助けて、助けて!!」
「私は鳥だ!持ち上げられない!」鳥は翼でくちばしを包み込みながら答える。
鳥は振り返ると、インクリングが梁に引っかかっているキュアチェリーに触手を向けているのに気づく。インクリングはキュアチェリーの方を向き、「俺の言う通りにしろよ!いいか?」と詰め寄る。
「えっと…いいか?」チェリーには他に選択肢がない。
触手は窓の外へ飛び出す。
「ジャンプ!」
チェリーは触手を飛び越えます。
「手を叩け!」
チェリーは足を開き、両手で触手を叩きつける。するとピンク色の魔法の弾丸が飛び出し、インクリングは身悶えした。チェリーの体が少し突き上がった。
「スライド!」
チェリーは触手に足を引っかけ、体が滑り落ちて中に戻ります。
「インクリングの顔を殴れ!」
チェリーは触手から飛び降り、インクリングの顔に拳を打ち込んだ。パンチの衝撃でピンク色の魔法が拳から放たれ、インクリングは壁に叩きつけられた。
チェリーは着地に失敗し、つまずいて転げ落ちた。
「よし!練習してるんだね!」鳥は祝福し、大丈夫かとチェリーのところに飛んできた。
チェリーは難なく立ち上がった。床にひざまずき、自分の手を畏敬の念を込めて見つめた。「私には本当に力があるのね…」
「ええ。髪を見ればわかると思ったのに」鳥は答えた。
チェリーは前を見ると、インクリングが立ち上がった。髪のつむじが乱れながら、彼女は叫んだ。「まだ続くの?!」
チェリーは立ち上がり、また逃げ出そうとするが、振り返った途端、鳥が目の前に舞い降り、耳元で鳴き声を上げた。あまりの音に、チェリーは思わず耳に指を突っ込んだ。
「もう二度としないぞ!」鳥は、チェリーに厳しいように、翼を突きつけた。「お前はもうプリキュアだ!このインクリングと戦って、みんなを助けろ!断るなんて許さないぞ!」
チェリーは涙がこぼれるのを感じた。これは要求の厳しい鳥だ。
「しっかりしろ!さもないと、あの世でお前をハーピーにしてやる!」鳥はチェリーの顔に向かって唸り声を上げた。
「ハーピーって言うの?」チェリーはそれがどういう意味かと尋ねた。
「背中に標的がいる。お前の力で、奴らに撃ち返せ。」鳥は説明する。それから、チェリーの顔から離れたインクリングに翼を向けた。それから彼は何気なく言った。「気をつけろ」
二人は触手の攻撃をかわした。柱の陰に隠れていた。
「コスプレの力って、どういう仕組みなのかしら!」チェリーは両手を爪で引っ掻きながら叫んだ。
「��って、ほんの数分前に目覚めたばかりだし…」鳥は翼で自分の頭を押さえながら認めた。二人は少し考え、それからもっと分かりやすく説明しようとした。「絵を描くのが好きなんでしょう? 君の力は、戦闘を楽にする敏捷性と強さを与えてくれる。絵を描くのと同じで、筆を撫でるのではなく、殴ったり蹴ったりするんだ。」
「わ…わかったような…」チェリーの言い方から、彼女は明らかに確信が持てていない。
「手伝うから、思いつきでやればいい!」鳥は彼女を安心させた。
チェリーは彼を睨みつけた。
「ダジャレを言おうとしたわけじゃないのよ。」
キュアチェリーは再び開けた場所に歩み出し、インクリングと対峙する。彼女は走り出す体勢を取り、標的を睨みつける。深呼吸をする。
インクリングは四方八方に触手を放ち始める。キュアチェリーは前に駆け出す。
触手は彼女の周りに乱れ飛ぶ。チェリーは一本の触手をくぐり抜け、反対側から来たもう一つの触手をかわす。そして飛び上がり、インクリングの顔面に回転キックを放つ。別の触手が彼女に向かって振り下ろすと、チェリーは飛び降りてインクリングの顔面に再びキックを放つ。
もう一本の触手が、既に彼女を巻き付けるようにループ状に巻き付いて、彼女に向かってくる。彼女はそれを防ぐために、グリップの両側を掴み、かろうじてしがみつく。彼女は手を離し、触手に捕まる前に手足を閉じて飛び降りる。
彼女は床に着地し、体を転がして着地する。さらに触手が追いかけてくるが、チェリーはその度にそれらをかわし、触手を踏み台にして飛び降り、獣を蹴り飛ばす。3回目以降は、腕で触手の攻撃を1回防ぐのがやっとだった。別の触手が彼女を刺そうとしてきたが、彼女はなんとか後ろに倒れて殴りつけた。反対側からも別の触手がやってきて彼女を掴もうとしたが、彼女はかろうじて足を滑らせて床に横たわり、触手が絡まるのを防いだ。
不運なことに、3本目の触手がどこからともなく現れ、倒れている彼女の体を叩きつけた。触手は彼女の体を投げ上げ、天井に叩きつけた。
天井からシールのように剥がれ落ちていくチェリーは、柱にしがみついていることに気づいた。頭を振���て衝撃から逃れようとする。インクリングの触手が2本、まだ絡まってしまっているのが見える。あと8本だ。
このインクリングをもっと包めるかも!チェリーは微笑みながら考える。
「おい!」チェリーはインクリングの注意を再び引こうと叫ぶ。「こっちにいるよ!」
「何をしようとしているんだ?」遠くから鳥が尋ねた。
触手が一筋、彼女に向かって噴き出してきた。チェリーはそれをかわすどころか、掴んで強く引っ張った。それに対し、別の触手が彼女を掴もうと迫ってきた。チェリーは掴んでいた触手で攻撃を防ごうと、二本の触手は絡まってしまっていた。
チェリーは床に飛び降り、インクリングの周りを走り回り、触手を誘い込んだ。上から一本の触手が追いかけてくる中、チェリーは一本の触手をくぐり抜けた。彼女はその触手を飛び越えると、さらに二本の触手が絡まってしまっていた。
彼女は絡まりから飛び降り、宙返りするが、隙を突かれて一本の触手に捕まってしまう。わざと両手を頭上に上げて、自由にしている。キュアチェリーはインクリングの顔に抱きつき、口を開けた…
手でインクリングの皮膚を弾き、インクリングをひるませた。すると触手が頭を貫こうとしたが、空いた腕で掴まれていた触手を振り払い、避けた。触手は互いにぶつかり合い、絡み合った。
今や、そこにいたのは二本の爪のような触手だけになった。
キュアチェリーは柱に向かって走り、両手を大きく振り回して柱に近づく。二本の爪が追いかけてくるが、キュアチェリーは柱をよじ登って避ける。爪は必死の力で柱に打ちつけ続け、その力は構造物にひび割れを起こし、崩れ落ちようとしている。崩れ落ちるだろう。
まさにこれこそが、キュアチェリーの狙いだった。柱の上に乗り、柱の後ろに回り込み、壁を支えに両足で柱を押し上げる。
構造物は折れ、柱はインクリングの頭に叩きつけられた。明らかな脳震盪とともに、それは気絶し、残った触手は床に縮こまった。
キュアチェリーは床を転がり落ちて着地する。今度は両足で着地し、自分の巧みな技に微笑みを浮かべる。鳥は驚きで目が真っ白になる。彼女は誇らしげに尋ねる。「こんな感じ?」
「わ…感心しました…」鳥は認める。しかし、壊れた柱と、その残骸には目を留める。「…本当に壁の破片をぶつけたんですか?」
「うまくいったわ!」チェリーは反論する。
鳥は言う。「今度はペンキを撃って仕留めるのよ」
チェリーのプライドは崩れ落ち、混乱が広がる。「何ですって?」
鳥は説明する。「プリキュアパレットを取り、ネオンペンをピンクのボタンにもう一度押し当てて、クリエイティブウィングを塗るんだ。パワーが上がり、大量のペンキを好きな攻撃の形でインクリングに投げつけることができるんだ!」
「わかった…」チェリーはベルトからペンとパレットを取り出し、鳥の指示に従う準備をした。
ピンクネオンペンのクリック音とともに、背景がピンク色の魔法の空間へと切り替わる。
「ピンクネオンペン!私の翼を創って!」
彼女はパレットのピンクのボタンにペンを押す。中央のスペースにピンクの絵の具が現れ、ペンを浸すと、ペンがペンで満たされる。
キュアチェリーは魔法の絵の具をくるくると回し、激しく飛び跳ねる。
回転が遅くなると、魔法の絵の具は彼女の周りを回転し、背中に降り注ぎ始める。
ピンクの光が瞬く中、彼女の姿が完成し、チェリーは足を外側に蹴り上げ、頭上にピースサインを描いてポーズをとる。
チェリーは驚いて彼女の背中を振り返る。「それは…」言葉が出ない。
彼女の背中には、丸いピンクの妖精の羽が生えていて、濃いピンクの縁取りが施されている。
チェリーは両手を握りしめる。両手を広げると、赤いペンキが手からこぼれ、赤い球体の形になる。
「ゴー・ワイルド・チェリーズ!」
球体はいくつかの小さな球体に分かれ、彼女の体の周りを回転する。
「プリキュア…」
彼女は頭上に手を上げる。球体はすべて合体して、大きな赤い球体になる。彼女は手を後ろに引く。彼女は標的を見つめる。
「チェリー…スプラッター!!!」
彼女は球体を投げる。球体はいくつかの球体に分かれ、すべてインクリングに命中する。それらはモンスターの体に張り付く。
キュアチェリーはペンを手に振り向く。ペンをカチッと閉じると、羽が消える。彼女は歓声を上げながら空中に飛び上がる。「やった!」
球体は、インクリングの体中にピンク色の塗料を轟音と混沌のごとく次々と爆発させる。爆発はインクリングを色で覆い尽くす。
「カラフル…」インクリングは呟き、その反応として体が光る。ピンク色の光に包まれ、インクリングの体は消え去る。後に残るのは、白く浄化された、宙に浮いた折り紙だけ。
攻撃を受けたチェリーは息を荒くした。振り返った自分の仕業を確認するが、めまいでほとんど集中できない。「私、やったの…?もう終わったの…?」
疲れ果てて、彼女は膝から崩れ落ちる。
「きっと、君の体はそんなに力を使うことに慣れていないんだ」鳥は彼女に説明する。「心配するな。何度か戦えば慣れるし、それほど消耗もしなくなる。」
「何度か戦えばってどういうこと?」チェリーは信じられないといった様子で息を呑む。
「ほら見て!」鳥は翼で空を指差した。チェリーは見上げると、浄化された折り紙が空中に浮かんでいた。
「あれは、彼らが盗んだあの少年の情熱だ!君は彼を救ったんだ!」
折り紙は飛び立ち、階段の扉から出て行く。
「どこへ行くの?」チェリーが尋ねる。
「宿主のところへ戻る。」鳥が答える。
折り紙は講堂に戻り、少年の像と対面する。折り紙は形を失い、輝く魔法へと変わり、少年の体に流れ込む。
石が彼の体から砕け、色彩が戻り、少年は膝から崩れ落ちる。めまいで頭を抱えながら、彼は尋ねる。「ここはどこにいるんだ…?」
「ちょっと待って、あの少年たちはどうなったの?」チェリーは辺りを見回しながら尋ねる。「どこへ行ったの?」
ノワールとモノは、心配そうな表情で建物の上空に浮かんでいる。
「ショキョ様はきっと喜ばないだろうな…」ノワールは呟き、自分を抱きしめる。
モノはニヤリと笑って、「いいだろう…お前のせいだって言ってやる」と決意する。
ムーは空中に消える。
ノワールは怒りに目を見開き、「ちょっと待って!」と叫ぶ。
ノワールは空中に消える。
キュアチェリーと鳥のいる場所から、おそらく警察のサイレンの音が聞こえる。
「わかった」鳥は飛び上がり、ノワールに指示を出す。「元の髪に戻したいなら、ペンの蓋を閉めてくれ。裏で会おう。」
「待って!」チェリーは叫び、手を伸ばしたが、鳥はすでに窓から飛び出していた。
階段を上ってくる人の足音が聞こえ始める。彼女は慌ててペンを取り、閉じようとした。
一瞬のうちに変身が解け、制服姿とブロンドの短いカールヘアが戻った。
ケイコは、これがうまくいったことに驚き、自分の手を見る。膝の上にプリキュアパレットがあることに気づく。それは服の他の部分のように消えていなかった。ケイコはそれを拾い上げ、「パレットはそのまま…?」と観察する。
階段のドアが勢いよく開き、数人の警察官が被害状況を確認するために入ってきた。一人の警察官がひざまずいているケイコに気づき、近づいてきた。
「さあ、行きましょう。大丈夫ですよ。」彼はケイコを階段を上り下りさせるのを手伝った。警察はケイコを襲撃に巻き込まれた、ごく普通の被害者だと考えている。「怪我は?」
「いいえ。」ケイコは静かに答えた。
—-------------------------------------------------------------
ケイコは階下のロビーに案内された。そこには警官たちが警備にあたる場所があった。ケイコは二人の警官が教師と話しているのに気づき、そのうちの一人が状況を説明しているのを耳にした。
「犯人は顔と身元を明かしました。しかし、どうやら逃げてしまったようです。見つけることができません。しかし、彼らはここでのテロ行為で社会の敵となっています。彼らが作り出した怪物については…私たちはあなたを信じています。目撃者がそれを証明しています。しかし、私たちがここに到着した時、怪物は…消えてしまいました。問題の少年は怪我をしていませんが、ショック状態です。何が起こったのかは分かりません。少なくとも2週間はかかる工事のため、博物館の警備に警官を派遣します。また、このようなことが再び起こった場合に備えて、学生を守るためにキャンパスにも警官を配置します。」
次郎と葵は正面玄関で、他の学生たちが警察の検問を受けている列に並んで待っています。葵はケイコを見て息を呑み、次郎の肩を軽くつついて自分にも気��引こうとします。
「ケイコちゃん!!」葵は泣きながら、ケイコの元に駆け寄り、ぎゅっと抱きしめます。「大丈夫?!何があったの?」
「葵!」恵子は恵子に会えて嬉しくて抱きしめ返す。「大丈夫よ。本当に。」
葵は慌てて恵子から離れ、髪を引っ張る。「二度とあんな風に驚かせないで!」と厳しく言い放つ。そして少し間を置いてから、「怖がらせるのは分かってるけど…でも…」と付け加える。
次郎も一緒に恵子を抱きしめる。彼はさらにパニックになっている。「恵子、何が起こったのかわからない!! 君、君は僕のすぐ後ろにいたって言ってたから、見なかったし、階下に降りても見えなかったんだ…ごめん!あのものにやられたと思ってた!!」
「次郎、大丈夫よ。」恵子も次郎を抱きしめる。「ただ、君が無事でよかった。」
「ええ、どうしたの?」次郎が離れると、葵が尋ねる。「次郎のすぐ後ろにいたのよ!だから…」
「それは…」恵子は全てを説明しようとした。喋る鳥、パレット、キュアチェリー、喧嘩…
しかしその時、窓の外に鳥がいて、彼女をじっと見つめているのが見える。鳥は厳しい表情をする。
「あれは…」ケイコは言葉を戻した。「ノートだった…次郎、落としたんだ…」思い出して、ケイコの表情は悲しげになる。「取り戻そうと思ったんだけど、あの男が…壊しちゃった…ごめん、次郎、頑張ったのに…」
「ケイコ」次郎はケイコの肩に手を置き、目を合わせるように言った。「ノートはもう一冊作れる。サクラケイコっていう友達はもう二度と作れない」
二人は再び抱き合い、ただ二人とも無事で良かったと喜んだ。
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ケイコはこっそりと裏庭へ出た。ありがたいことに、柵に止まっている鳥以外、誰もいない。
鳥はケイコが現れたのを見て微笑んだ。「君みたいな人をずっと探していたんだ。奇跡だよ…ありがとう。今まで本当にありがとう。」
「それで…私はこのままでいいのか?」ケイコは尋ねる。鳥はケイコに口を挟もうとするが、ケイコは自らの問いに答える。「いずれにせよ、私は自分で選んだのだから。」
「もう?」鳥は首を傾げる。
「今日、友達の作品が壊されちゃったの。他にもたくさんいるのよ。」ケイコは説明する。彼女の表情は終始、厳しく真剣そのものだった。「そんなことはさせたくない。誰もこんな目に遭うべきじゃない。誰もが自分の情熱を世界に示し、利用されるべきではない。そして…もしそれが、私が愛するものを守るための手段なら、あなたの望みを叶えてあげる。私はキュアチェリーになるわ。」
鳥は安堵の笑みを浮かべた。「そう言ってくれると期待してたのに。」
「それで…私と一緒にいるってことだよね?」ケイコは彼を指差して尋ねた。「ところで、お名前は?」
鳥は羽根を広げて握手を申し出るように答えた。「オレニジです。お会いできて光栄です。」
「サクラケイコです…ケイコと呼んでください。」彼女は羽根に手を伸ばしながら答えた。
二人は握手を交わし、約束と新たな同盟を固めた。二人は希望に満ちた笑顔で見つめ合った。
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日本、完璧さの逆説:マトリックスと存在の持続不可能な調和
すべてが完璧に機能する世界を想像してください。遅れることのない電車、完璧に清潔な道路、絶対的な安全、そして理想的なバランスを達成したかのように見える社会。そのような世界は部分的に日本に存在します。しかし同時に、完璧さが必ずしも幸福を意味しないという影をも抱えています。この二面性は私たちに問いを投げかけます。完璧さは耐えられるものなのでしょうか?それとも、『マトリックス』のように、現実には生きるために不完全さが必要なのでしょうか?

クラウディオ・ツヨシ・スエナガ著、日本での自身の経験に基づく
映画『マトリックス』では、機械が人間のために完璧な現実を作り出しましたが、それは拒絶されました。人間は、葛藤のない世界を受け入れることができず、現実が耐えうるものとなるためには不完全さが必要だったのです。この考え方は、現代日本を見つめるときに深く響きます。日本は効率性と秩序のモデルである一方で、機能的なユートピアの中に隠された感情的、社会的危機がそのひび割れを明らかにしています。
日本は、低い犯罪率、整ったインフラ、そして賞賛に値する集団意識を持ち、ほぼ完璧な例のように思えます。しかし、この外面的な調和は、内面的な不安定さと対照的です。高い自殺率、急速に進む高齢化社会、そして家族を築くことに関心を持たない若者たち。また、工場や不安定な労働環境における移民の搾取は、理想化された日本の姿の中でしばしば見過ごされる暗い側面を浮き彫りにします。


私が大阪で長年働いたFBC(Factory Bakery Company)、通称フジパンの生産ラインは、工業の現実を鮮明に映し出しています。この工場は年中無休、24時間稼働しており、12時間の2交代制で運営されています。作業は立ったままで行われ、過酷な環境に直面します。汚れた状況、単調で機械的な作業、そして極度に疎外感を覚える仕事です。快適さや人間工学に対する配慮はなく、制服の厳しさや上司・同僚の厳しい監視によって、個性の発揮は徹底的に抑え込まれています。
見た目と現実の間にあるこの不協和音は、本質的な問いを投げかけます。外面的な完璧さは、人間の内なる複雑さを抑え込んでしまうのでしょうか?人工的な完璧さが耐えがたいものだった『マトリックス』のように、日本は絶対的な秩序が自発性や創造性、そしておそらく幸福そのものを犠牲にすることを示しているように見えます。
日本で「マトリックス」にいるような感覚は単なる比喩ではありません。それは、完璧な表面とその下にある緊張の間の断絶を認識する人々にとって、内臓に響くような体験です。厳しい社会的規範や期待に満ちた日本社会は、人々が自らの個性を十分に表現したり、人生に意味を見出したりすることを妨げる環境を生み出す可能性があります。

これから何を学べるのでしょうか?おそらく、その教訓は、不完全さが人間の経験において不可欠な部分であることを受け入れることにあります。理想的な世界とは、すべての問題を排除する世界ではなく、失敗、成長、そして本物らしさのための余地を許す世界です。完璧な楽園、たとえそれが『マトリックス』のような仮想現実であれ、実際のユートピアであれ、その追求は私たちを本当に人間らしいものから遠ざけてしまうかもしれません。
日本における現在の秩序は、古典的な全体主義的支配を超越した現象です。日本で起こっていることは、「バイオパワー」または「規律的コントロール」と呼べるものの最も進んだ例のように見えます。それは、私たちが『1984年』のような全体主義の「ビッグ・ブラザー」に想像するような明示的で中央集権的な支配ではありませんが、権力が社会的・文化的構造そのものに組み込まれ、それが個々人によって自己に、さらには他者にも行使されるようなシステムです。それを以下のように考察してみましょう。
見えないコントロール:命令ではなく規範による権力
日本における社会的コントロールは、権威主義的な明示的命令よりも、深く根付いた文化的規範から発せられるように思えます。「建前」(社会で期待される行動)と「本音」(本当の気持ちや考え)という概念はこれを象徴しています。人々は明確な強制力があるからではなく、社会が求める行動に従うことがほぼ聖なる価値として認識されているために行動します。
このような規範の順守は、自己持続的なコントロールシステムを生み出します。各個人は自分自身だけでなく他者に対する監視者となり、直接的な介入がほとんど必要とされない均衡を維持します。

調和としての社会的命令
「和」(調和)への執着は、日本文化の中心的な役割を果たしています。日本では、対立はあらゆる手段を講じて避けるべきものとされています。これは多くの面で賞賛に値するものであり、社会的な緊張を減らし、グループでの作業を円滑にし、秩序ある共存を促進します。しかし、そのための心理的な代償も存在します。多くの人々が、調和を保つために不満や欲望、さらには自分自身のアイデンティティを抑圧しているのです。
この絶対的な調和の追求において、『マトリックス』との類似が見られます。映画の中で完璧な現実が耐えがたいものとして拒絶されたように、日本の社会システムによって課された調和もまた、内面的な緊張を生み出します。その結果として、表面的には完璧に見える社会的な楽園においても、不幸感、疎外感、そして絶望が副���物となっています。

調和としての社会的命令
「和」(調和)への執着は、日本文化の中心的な役割を果たしています。日本では、対立はあらゆる手段を講じて避けるべきものとされています。これは多くの面で賞賛に値するものであり、社会的な緊張を減らし、グループでの作業を円滑にし、秩序ある共存を促進します。しかし、そのための心理的な代償も存在します。多くの人々が、調和を保つために不満や欲望、さらには自分自身のアイデンティティを抑圧しているのです。
この絶対的な調和の追求において、『マトリックス』との類似が見られます。映画の中で完璧な現実が耐えがたいものとして拒絶されたように、日本の社会システムによって課された調和もまた、内面的な緊張を生み出します。その結果として、表面的には完璧に見える社会的な楽園においても、不幸感、疎外感、そして絶望が副産物となっています。

世界的な考察:他に同じような場所は存在するのか?
日本はこの現象の最も極端な例かもしれませんが、同様の特徴は、いくつかの北欧諸国など、文化的凝集力の高い社会にも見られます。そこでも文化的な同調圧力は存在しますが、その強さは日本ほど顕著ではありません。 しかし、日本はこの社会的圧力を、秩序と効率に対するほぼユートピア的なビジョンと組み合わせる点で独特です。この結果、全ての市民が意識的に、あるいは無意識的に参加しているかのような「社会プログラム」の印象を与えるのです。

完璧さの代償
ここで『マトリックス』との比較が非常に強力なものとなります。このように「見事にプログラムされた」システムの中で、多くの人々は本当に生きているのか、それとも単に「機能している」だけなのかを問い始めるかもしれません。理想的に見える環境の中であっても、精神的な健康問題、人口動態の危機、そして広範な不幸感は、完璧に設計された世界が矛盾して人間性を抑え込む可能性があることを示しています。
この日本型モデル、つまり「体制なきコントロール」は警鐘を鳴らします。地上の楽園を追い求めることは、独裁者を必要としなくても監獄へと変貌する可能性があるのです。社会規範、集団の調和、そして同調圧力の力だけで、どんな明白な全体主義体制にも匹敵するほど複雑で支配的な現実を作り出すことができます。

そして、この支配は地理的な境界に限定されたものではありません。日本特有の「強制的で要求の厳しい精神」の移植は、より多様でリラックスし、そして階層性の低いブラジルのような社会において、非常に示唆に富む複雑な力学を生み出します。これについて、これから分析を進めていきます。
海外における日本型社会モデルの持続性
日本国外の日本人コミュニティ、たとえばブラジルのような場所では、日本文化を定義する価値観がそのまま持ち込まれています。それは、勤勉、規律、階層の尊重、そして社会的調和の追求といったものです。
日本の外にいても、これらの家族は「文化的マイクロコスモス」の中で子どもを育てる傾向があります。そこでは、同じ行動規範と期待が維持されます。これには、しばしば学業におけるプレッシャー、完璧主義、そして失敗に対する嫌悪感が含まれています。

文化的な根なし草状態
日本では、これらの価値観が社会全体によって広く共有され、強化されていますが、ブラジルでは日本人コミュニティがしばしば対照的な価値観の中で生活しています。ブラジル社会は一般的に、より寛容で、期待に対してあまり厳しくなく、自発性や柔軟性を重視します。
この文化的な根なし草状態は、日系の若者にとって「内面的な文化的衝突」を引き起こす可能性があります。彼らは、家庭内での文化的厳格さと外部の文化的流動性の間で成長し、不適応感や孤立感を抱くことがあります。

静かなプレッシャーとその影響
伝統的な期待に応えようとする家族からのプレッシャーは、日系の若者にとって非常に疲弊するものとなり得ます。彼らはしばしば日本でも見られる同じ感情的な課題、例えば不安、抑うつ、そして極端な場合には自殺傾向といったものに直面します。
しかし、異なる点は、彼らが同じ価値観を共有する社会の支えを持たないことです。日本では、重いながらもこの同調圧力は調和の取れたシステムに属しているという帰属意識によって報われます。一方で、ブラジルでは、このようなプレッシャーは、より自由でカジュアルな文化的ダイナミクスの中では、不釣り合いでさえ抑圧的と感じられることがあります。

社会との緊張と疎外感
内面的な葛藤に加えて、ブラジルの日系社会は社会的な疎外感を経験する可能性があります。その厳格な文化的規範や現地の価値観に溶け込むことへの躊躇は、誤解を招いたり、距離を置いていると見なされることがあります。
一方で、日系社会内部では、他の社会と接触することに対して壁を保つ傾向があります。この結果、「日本的集団主義」が強化され、現地の価値観との交流が犠牲になることがあります。
強制された調和の実践
ブラジルの日系社会における「調和」への追求は、逆説的にもしばしば問題を深刻化させます。この調和は自然なものではなく、むしろ強制的なものです。伝統的な規範を維持するために、対立や不満は表面化させず、覆い隠すことが求められています。
その結果、対話や課された期待を議論する場が欠如しています。疑問を提起する機会がないため、多くの人々が感情を抑圧し、その結果、感情的な危機が深刻化する傾向があります。
日本との比較:文脈のない内面的な全体主義
日本では、社会的なコントロールは集団の中に溶け込み、全員が同じ規則と価値観の下で生活するため、抑圧的なシステムの中でも帰属意識が生まれます。
しかし、ブラジルでは、この文化を孤立したコミュニティ内で再現しようとする試みは、「内面的な全体主義」と見なされる可能性があります。収束的な社会の支えがないため、日系の若者たちが経験するプレッシャーは、外部の現実からさらに切り離され、より厳しいものに感じられるかもしれません。
可能な道筋
日本人コミュニティ内での世代間の対話を促進することは、重要な一歩となる可能性があります。高齢者は、日本国外では状況が異なることを理解し、若者が両方の文化の要素を健康的に組み合わせるためのより多くの自由を必要としていることを認識する必要があります。
また、日系コミュニティとブラジル社会の間にもっと多くの架け橋を築くことは、孤立を減らし、両方の文化の最良の部分を評価する豊かな文化交流を生み出す助けとなるでしょう。
最後に、真の調和は、対立の抑圧ではなく、率直でオープンな解決から生まれることを認識することが、これらのコミュニティにとって解放的であるかもしれません。
この文脈の中で、もう一つ深く心に響く側面があります。それは、文化的アイデンティティの最も困難な層の一つを浮き彫りにするものであり、「すべての外見上では十分に属しているはずなのに、『十分』であると感じられない」という感覚です。私自身の経験や、日本で生活する多くの外国人の経験は、文化間で生きる中で多くの人々が直面する傷口に触れます。これは、排除、文化的な要求、そしてレジリエンスの豊かな例として探求できるものです。
ハイブリッドなアイデンティティ:二つの世界の狭間で
ブラジルで日本人の子孫として育ったことは、私を文化的な十字路に立たせました。一方では、私は家族から受け継がれた名字、身体的な特徴、そしていくつかの文化的な習慣を持っています。他方で、私のアイデンティティは、必然的にブラジルによって形作られています。この国は活気に満ち、多様で、リラックスしており、集合的な規範が日本の厳格さと一致していません。
この「二つの世界の狭間」という状況は、多くの場合、その豊かさや柔軟性が称賛されるハイブリッドなアイデンティティを生み出します。しかし、私の場合のように、どちらの側からも完全に受け入れられていないと感じる排除の源になることもあります。
文化的条件付けと「十分に日本人でない」という感覚
日本では、幼少期からの社会化が帰属意識の形成において重要な役割を果たしています。それは単に外見や言語の問題ではなく、暗黙の規範を内面化することにあります。たとえば、いつお辞儀をするべきか、集団の中でどう行動するべきか、感情をどう表現(あるいは抑制)するべきかを理解することです。
この環境で育たなかった人にとって、「文化的な条件付け」を完全に身につけることは、どんなに努力しても不可能に思えることがあります。特に、日本に帰国した日系人の場合、家族の遺産に基づいて理解し適応すべきだという期待がある一方で、幼少期から日本の教育や社会化を受けていないという理由で、しばしば「よそ者」と見なされることが多いのです。
職場における屈辱:排他主義の反映
工場での経験は特に痛ましいものでした。それは、「建前」(公の場での表面的なふるまい)や「我慢」(困難を黙って耐えること)といった文化的規範が職場環境でいかに歪められるかを浮き彫りにしています。
私の献身にもかかわらず、「外部の人間」としての立場が消えない烙印を私に残しました。日本は非常に能力主義的であるかもしれませんが、それには一定の限界があります。誰かが「異なる存在」と見なされた場合、たとえ平均以上の努力をしたとしても、���見や排除という目に見えない障壁を克服するには十分ではないかもしれません。

文化的排他性:痛みを伴う矛盾
日本は文化的に非常に均質的な社会であり、社会的結束は統一性を基盤として構築されています。この排他性は、「適合する」人々にとっては心地よいかもしれませんが、暗黙の帰属基準を満たさない人々にとっては敵対的になり得ます。
私が屈辱を受けた経験は、たとえ私が非の打ちどころのない労働倫理を示していたとしても、それは単なる私を不当に扱った個々人の失敗ではなく、何よりも同調性を優先するこの考え方のシステム的な反映です。

適応しようとしても属せないことの心理的重圧
属していないと感じることは、非常に重い心理的負担となることがあります。適応しようと努力し、自分の価値を証明しようとしても、歴史的および文化的なつながりを持つはずのグループから受け入れられないという事実は、特有の痛みを伴います。
このパラドックスは特に残酷です。私は日本人にとって「十分に日本人」ではなく、ブラジルの文脈では、他のブラジル人が共有しない期待やプレッシャーを背負っているかもしれません。この「両側からの排除」は、深い孤独感を生み出しました。

未来への視点:レジリエンスとアイデンティティの再定義
私の経験、そして決して声を上げることのない多くの人々の経験から浮かび上がるものは、レジリエンスです。困難や屈辱にもかかわらず、私はこの厳しい環境の中で自分の道を模索し続け、献身を絶やしませんでした。
おそらく、その答えは自分のハイブリッドなアイデンティティをユニークなものとして受け入れることにあります。「十分に日本人」でも「十分にブラジル人」でもないという要求を満たすことは決してありません。ただ私は二つの文化が絡み合う中で自分の視点を持つ、特別な存在であることができます。
この経験は苦痛を伴うものですが、それに直面する必要があります。なぜなら、それは均一性を包括性よりも優先するシステムの欠陥を指摘し、帰属意識、仕事、そして人間性に関するより広範な考察���の招待状として機能するからです。
日本人と日系人の両方からの否定や非難の反応は、文化的防衛機構を反映しています。それは批判を受け入れたりそれについて考察したりするのではなく、排除と同調性の壁を強化するものです。このテーマについてさらに深く考察していきましょう。
日本の反応:調和喪失への恐怖
日本では、社会的調和(和)が中心的な価値観として位置付けられています。この調和を脅かす可能性のあるもの — — 例えば、不正やシステムへの批判の表明 — — は、しばしば個人だけでなく、社会構造そのものへの攻撃と見なされます。
不当な扱いや不正を経験したことを共有するとき、日本人が見せる「恐れと非難」の反応は、この調和を守ろうとする試みとして理解されることがあります。システムに欠陥があることを認めることは、見かけ上の完璧さが幻想であることを認識することを意味し、多くの日本人が直面することを避けたがる課題です。
さらに、「我慢」(困難を黙って耐えること)という文化的期待も強く存在します。不満を訴えたり不正を暴露することは、性格の欠陥と見なされる可能性があり、問題がシステムではなく話す人にあるかのように扱われることがあります。

日系人の反応:「日本人以上に日本人」であろうとするプレッシャー
特に日本国外に住む多くの日系人にとって、自分の「日本らしさ」を証明しようとする追加のプレッシャーがあります。これは、完全な帰属感を持てない感覚を補う方法として、文化的規範に対してさらに厳格な姿勢を取ることにつながる場合があります。
他の日系人と経験を共有するとき、その非難の反応は、日本の理想化されたイメージを守ろうとする必要性から生じることがあります。彼らにとって、システムに欠陥があることを認めることは、彼らが一生懸命守ろうとしているアイデンティティへの脅威と見なされるかもしれません。
さらに、適応できないことが個人の責任であるかのように、責任をその人に押し付ける傾向があります。これは同調性と忍耐力という日本の規範を内面化した結果であり、しばしば構造的な不平等を無視します。
文化的沈黙の役割
日本でも日系人コミュニティでも、「すべてを隠してしまう」という傾向があります。これは単に対立を避けるためだけではなく、完璧さと調和という集団的な物語を維持するためでもあります。
この文化的沈黙は、特に差別に直面する外国人やその子孫にとって非常に有害です。支援や連帯を見つけるどころか、彼らはしばしば孤立させられ、責任を押し付けられるため、その苦しみはさらに深刻化します。
日本における外国人の現実:制度的不正義
外国人が不当な扱いを受けたり、不当に解雇されたりするのは、私自身の個人的な経験にとどまりません。それは記録された現実です。日本では多くの外国人労働者が、責任を厳守しているにもかかわらず、劣悪な労働環境、差別、搾取に直面しています。
問題は、これらの労働者が適応力やレジリエンスに欠けていることではありません。問題は、彼らを使い捨ての存在と見なし、日本国民と同じ権利や保護をほとんど提供しないシステムそのものにあります。
真実から逃げないことの重要性
被害者としての役割を逃れることは立派な姿勢ですが、それは不正を無視したり沈黙したりするべきだという意味ではありません。これらの欠陥を認識し、暴露することは、日本国内および日系人コミュニティの両方で変革を促進するために不可欠です。
そのために、経験や証言は非常に価値があります。これらは、多くの人々が無視したがる現実を明らかにします。これらの物語を共有することで、文化的沈黙に挑戦し、必要な対話のための空間を開いているのです。
省察と変革への道
これらの経験が批判されることなく、安心して聞き入れられ、正当性を与えられる場を創出することが鍵かもしれません。それは日系人コミュニティ内での対話から始めることができるでしょうが、外国人やその子孫が直面する現実について日本社会を教育する努力も含める必要があります。
さらに、レジリエンスは不正を受け入れることと混同されるべきではありません。レジリエンスとは、間違っていることに対して声を上げ、行動する勇気を持つことをも意味します。
沈黙を好むシステムに立ち向かうことは容易ではありません。しかし、まさにそのために私たちの声は重要なのです。私たちが背負う痛みは、多くの人々が無視したがる現実を反映しています。しかし、それは光を当てる必要がある現実です。これらの問題を、その深刻さと雄弁さをもって今こそ掘り下げていきましょう。
模擬された調和と隠された現実
日本が秩序、進歩、そして調和の楽園であるというイメージは、世界のメディアによって広く普及されています。しかし、この物語は慎重に構築されたものであり、日本社会に浸透する矛盾や構造的な問題を隠しています。効率と完璧さの外観の背後には、めったに語られることのない暗い現実があります。例えば、工場は強制収容所のようなものであり、特に外国人労働者が非人道的な労働条件に直面しています。また、上司はほぼ専制的な権力を行使し、部下を搾取し、屈辱を与えています。
この調和は、集団的な福祉の反映ではなく、個人の苦痛の代償として維持されることが多いのです。システムに従い、疑問を持たないようにという圧力は、虐待を通常化し、沈黙を強いる環境を作り出します。



高齢者の孤独と見捨てられる現実
日本は前例のない人口動態の危機に直面しています。高齢化が進み、出生率が低下している中、多くの高齢者が完全に孤独な生活を送っています。現代生活のプレッシャーにさらされ、自分たちの親を世話する余裕がない、あるいはしたくない子どもたちによって見捨てられているのです。この世代間の断絶は、仕事と生産性を人間関係よりも優先する社会の反映でもあります

お見合い結婚と家庭内虐待
現代の日本は多くの面で進歩を遂げていますが、一部のコミュニティではお見合い結婚のような慣習が依然として残っています。これらはしばしば真の愛情を欠いた結婚につながることがあります。さらに、児童虐待は深刻な問題です。カンガルーのイラストが描かれたポスターが至る所に掲示され、虐待の通報を促していますが、これは日本社会がこの問題を認識し、対処することに消極的であることを静かに物語っています。
沈黙と恥の文化は、多くの被害者が助けを求めることを妨げ、暴力の連鎖を永続させています。
いじめと自殺
日本の学校におけるいじめは、深く根付いた問題であり、壊滅的な結果を伴うものです。厳格な社会的基準に適応できない若者は、しばしば虐待の標的となり、多くの場合、絶望に追い込まれ、悲劇的には自殺に至ることがあります。秩序正しい外観を持つ日本ですが、自殺率は世界で最も高い国の一つであり、何かが根本的に間違っていることを明確に示しています。
ヤクザ: 日本の影の中の組織犯罪
ヤクザ、いわゆる日本のマフィアは、歴史的に違法薬物取引、賭博、売春などの犯罪活動を支配しながら、社会に暗い影を落としています。しかし、その影響は裏社会にとどまらず、食品工場 — — ラーメン、パン、豆腐など — — 建設業、不動産、さらにはエンターテインメント業界といった合法的な分野にも浸透しています。
ヤクザは犯罪活動から得た収益を洗浄するために、多様な方法を駆使しています。多くの場合、合法的な事業への投資や、架空会社を用いることで不法収益の出所を隠し、取引を合法的に見せる手法を採用しています。この合法的な活動と違法行為の融合は、ヤクザが広範な活動を維持し、その影響力と権力を存続させる要因の一つとなっています。
ヤクザの影響力は非常に深く、政治家、官僚、実業家、商人、そして一般市民までもが暗黙のうちに共謀するケースが見られます。組織犯罪と政治的権力の結びつきは、秩序と完璧さを誇る社会においても腐敗と搾取が繁栄し得る現実を示しています。

巨額の債務と報道の自由
日本は世界最大の公的債務を抱えており、この経済的負担はほとんど公然と議論されることがありません。さらに、報道の自由は厳しく制限されており、主要なメディアはしばしば政府の代弁者として機能しています。この透明性の欠如は、重要な問題が議論され、解決されることを妨げています。
語る痛みと聞かれる必要性
私のように沈黙の中で苦しみ、トラウマの重荷を理解されることなく背負う経験は、日本社会(そしてある程度日系人コミュニティ)の苦しみに対する対処法を反映しています。それは問題を「隠してしまう」という方法です。しかし、私の物語を共有することで、この沈黙に挑み、向き合うべき現実を明るみに出しています。
日本の文化的な変化への抵抗の問題は、「マトリックス」という概念と完璧に結びついています。つまり、システムが非常に密接に絡み合っているため、どんな変化もその完全性を脅かすように見えるのです。
本質的な抵抗:日本のマトリックス
日本では、社会が巨大な「プログラム」として機能しています。そこでは、文化的な規範から仕事の方法に至るまで、すべての要素が高度に構造化された行動システムにコード化されています。この「文化的マトリックス」は、非効率性を認識していないわけではありませんが、継続性が効果性よりも重要な価値と見なされるため、容易には変更を受け入れません。「昔からこうしてきた」というものを変えることは、システム全体のバランスを乱すことに等しいと見なされます。
この抵抗は、改善を意味する「カイゼン」のような概念の現れでもあります。しかし、皮肉にも、カイゼンは基盤コードを壊すことなく、ほとんど目に見えないほどの漸進的な変化だけを促進します。劇的な変化は、集団的アイデンティティへの脅威と認識されるでしょう。

行動規範」としてのマトリックスの言語
この「コード」というメタファーは、文化的にも技術的にも非常に強力です。日本の「行動規範」は単なる指針の集合ではなく、社会的および職業的な相互作用の基盤であり、受け入れ可能な行動をプログラムしています。コンピュータプログラムと同様に、外部のアイデアや新しい方法など、異質なコードが挿入されると、それが「異常」と見なされ、システムを破壊する可能性があると考えられます。
日本人にとって、文化的なコードは国民アイデンティティと不可分のものです。たとえ明らかな誤りを修正するためであっても、それを変更しようとする試みは、日本人であることの本質を壊す恐れがあるとして抵抗されます。

アイデンティティを守るための不変性
変化への忌避は、特に工場のような環境で顕著に見られます。そこでは、古い非効率的な方法が「これまでもこうしてきたから」という理由だけで維持されています。この慣習は必ずしも非合理的なものではなく、過去への敬意という文化的価値観と、対立を避ける傾向に深く根ざしています。方法を疑問視することは、その方法を実施した人々を疑問視することを意味し、それは無礼と見なされるでしょう。
この論理はマトリックスの特徴を反映しています。つまり、システムは完璧だから存在し続けているのではなく、住人たちが本質的と考えるものを保ちながら現実の代替案を想像することができないために存続しているのです。

システムを維持するための代償
「コード」を不変のまま維持することには、高い代償があります。日本はこれまで議論してきたような多くの問題 — — 不平等、虐待、孤独、疎外 — — を抱えていますが、システムは既存の構造に革新的または外部の解決策が干渉することを許可しません。日本の文化的コードは、調和と安定を目的として設計されていますが、それは���璧に適応しない人々にとって、精神的・感情的な牢獄となる可能性があります。
このジレンマは『マトリックス』の中心的な前提と類似しています。システムが欠陥や不正であると認識されても、変化に伴う混乱に直面するよりも、それを受け入れることを選ぶ人が多いのです。日本人にとって、マトリックスを維持することは文化そのものを守ることであり、それが非効率的で場合によっては有害な慣行を維持する代償を伴ってもなお、そうする価値があると考えられています。
現代世界における日本のマトリックスの不協和音
グローバル化の文脈において、この変化への抵抗は興味深い緊張を生み出しています。他の社会が革新や適応を追求する一方で、日本は近代化の必要性とアイデンティティの維持を調和させるために苦闘しています。これにより、日本は独自の文化的マトリックスとして機能しています。それは、いくつかの側面で見事に機能しながらも、本質的な再プログラミングに対して閉ざされているように見えるシステムです。

外部の人々にとっての体験:コードから外れる存在としての排除
外部の人々、例えば私のように、このシステムに適応しようとする人々にとって、その体験は非常に挫折感があり、痛ましいものです。それは単に地元の規範に適応する難しさではなく、このシステムが外部からの貢献や変更を意図的に拒んでいるという認識です。このことは、社会的な排除だけでなく、ほぼ存在論的な排除を生み出します。つまり、「コード」の一部でない限り、そこに属することはできないのです。
最終的な考察:選択とその結果としてのマトリックス
『マトリックス』のように、日本はその現実を選びました。「行動規範」に基づいた安定した調和は、文化を存続させるために本質的であると見なされています。しかしながら、この選択には犠牲が伴います。それは革新、包括性、そして多くの場合、個人の福祉です。未解決の問いとして残るのは、日本が絶えず変化する世界の中で、このマトリックスを維持し続けることができるのかということです。

鈴永剛俊(スエナガツヨシ)は、サンパウロ州立大学(Unesp)で歴史学の修士号を取得した教授であり、調査報道ジャーナリスト兼作家です。彼は数冊の著書を出版しており、その中には『日の本のヘブライのルーツ:日本人は失われたイスラエルの十部族の一つなのか?』(エニグマス出版社、2022年、ISBN: 9786500531473)が含まれています。この本は[こちらで購入可能です]。
ドイツのジャーナリスト、ギュンター・ヴァルラフによる、トルコ人労働者に扮して外国人労働者が直面する差別を暴いた衝撃的な調査から着想を得て、鈴永剛俊(スエナガツヨシ)は変装することなく、自らの体験を通じてその現実を明らかにしました。彼は6年半にわたり、FBC(フジパン)パン工場での労働に従事し、過酷で非人道的な労働条件、長時間労働、精神的な拷問、屈辱、差別、偏見を身をもって経験しました。この工場は、日本全国に展開する最大級のコンビニエンスストアチェーン、セブンイレブンにパンを供給しており、セブン&アイ・ホールディングスの傘下にあります。
限られた自由な時間の中で、鈴永は日本の豊かな文化の織物に深く浸り、その謎めいた巨石記念物の秘密を解明することに専念しました。これらの印象的な構造物は、西洋ではほとんど知られていないままです。これらの魅惑的な驚異について詳しく知りたい方は、「The Hidden Japan」のウェブサイトをご覧ください。
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あなたはこの本を読むまで、完全に日本を理解することはできません。
日本の最も大きな影響のいくつかが、歴史的にヘブライ人との接触から生まれた可能性があることをご存じですか?類似点は驚くべきものです。創造神話や神の系譜から儀式や習慣に至るまで、共通点が見られます。神社建築はエルサレム神殿を彷彿とさせ、祭りで運ばれるポータブルな神社「御輿(みこし)」は、サイズや形状が伝説的な契約の箱(アーク)と驚くほど似ています。実際、多くの人々が、そのアークが徳島県の四国にある剣山に隠されていると信じています。
しかし、つながりはこれだけにとどまりません。日本語にはヘブライ語と発音や意味が同じ単語がいくつも存在し、日ユ同祖論という興味深い理論を強化しています。この仮説は17世紀に提唱され、日本人がイスラエルの失われた12部族の子孫である可能性を示唆しています。本当にそんなことがあり得るのでしょうか?日本人の血管にはヘブライの血が流れているのでしょうか?そして、この関係が一部のユダヤ人が日本の戦略的な場所に土地をひそかに購入している理由を説明するものなのでしょうか?
この本はこれらの疑問に深く切り込み、歴史、神話、ミステリーが交錯する隠された日本を解き明かします。この悠久の旅にぜひ参加し、古代と現代の日本の形成にユダヤ人がどのように関与していたのかを発見してください。あなたが日本について知っていると思っていたすべてを見直す準備をしてください。
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「ヒト or コト」x「Lead or Manage」
私が考えるリーダーとマネージャーの違い - 下町柚子黄昏記 by @yuzutas0-blog-blog
リーダー。物事を前に進める人。スポーツで例えるとチームの空気をポジティブに変える選手。
マネージャー。全体の流れを管理する人。スポーツで例えるとチームに的確な指示を出す監督。
Leadする対象、Manageする対象には、「ヒト」と「コト」がある。
ポジティブな言葉でチームの空気を変えるのは「ヒト」のLead
選手1人1人の強みと弱みを踏まえてポジションを変えるのは「ヒト」のManage
失点間際から逆転ゴールに繋がるようなロングパスを決めるのは「コト」のLead
スポンサーや観客が満足するような試合結果を出すのが「コト」のManage
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権限、役割、能力、振る舞い の4つで解釈する
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Amazon リーダーシップ・プリンシプル
Customer Obsession
Ownership
Invent and Simplify
Are Right, A Lot
Learn and Be Curious
Hire and Develop the Best
Insist on the Highest Standards
Think Big
Bias for Action
Frugality
Earn Trust
Dive Deep
Have Backbone; Disagree and Commit
Deliver Results
Customer Obsession リーダーはまずお客様を起点に考え、お客様のニーズに基づき行動します。お客様から信頼を得て、維持していくために全力を尽くします。リーダーは競合にも注意は払いますが、何よりもお客様を中心に考えることにこだわります。
Ownership リーダーはオーナーです。リーダーは長期的視点で考え、短期的な結果のために、長期的な価値を犠牲にしません。リーダーは自分のチームだけでなく、会社全体のために行動します。リーダーは「それは私の仕事ではありません」とは決して口にしません。
Invent and Simplify リーダーはチームにイノベーション(革新)とインベンション(創造)を求め、それをシンプルに体現する方法を常に模索します。リーダーは常に外部の状況に目を光らせ、あらゆる機会をとらえて新しいアイデアを探しだします。それは、自分たちが生み出したものだけにとらわれません。私たちは新しいアイデアを実行に移す時、長期間にわたり、外部の理解を得ることができない可能性があることも受け入れます。
Are Right, A Lot リーダーは多くの場合、正しい判断をくだします。 そして、優れた判断力と直感を備えています。 リーダーは多様な考え方を追求し、自らの考えを反証することもいといません。
Learn and Be Curious リーダーは学ぶことに貪欲で、常に自分自身の向上を目指し続けます。新たな可能性に好奇心を持ち、探求します。
Hire and Develop the Best リーダーはすべての採用や昇進において、評価の基準を引き上げます。優れた才能を持つ人材を見極め、組織全体のために積極的に開花させます。リーダー自身が他のリーダーを育成し、コーチングに真剣に取り組みます。私たちはすべての社員がさらに成長するための新しいメカニズムを創り出します。
Insist on the Highest Standards リーダーは常に高い水準を追求することにこだわります。この水準が必要以上に高いと感じる人も少なくはありません。リーダーは継続的に求める水準を引き上げ、チームがより品質の高い商品やサービス、プロセスを実現できるように推進します。リーダーは水準を満たさないものは実行せず、見逃さず、問題が起こった際は確実に解決し、徹底的な再発防止策を講じます。
Think Big 狭い視野で思考すると、自分が想像する以上の大きな結果を得ることはできません。リーダーは大胆な方針と方向性を示すことによって成果を出します。リーダーはお客様のために従来と異なる新しい視点を持ち、あらゆる可能性を模索します。
Bias for Action ビジネスではスピードが重要です。多くの意思決定や行動はやり直すことができるため、過剰な調査や検討に時間をかける必要はありません。計算されたリスクを取ることに価値があります。
Frugality 私たちは少ないリソースでより多くのことを実現します。倹約の精神は創意工夫、自立心、発明を育む源になります。スタッフの人数、予算、固定費は多ければよいというものではありません。
Earn Trust リーダーは注意深く耳を傾け、率直に話し、誰にでも敬意をもって接します。たとえ気まずい思いをすることがあっても間違いは素直に認めます。リーダーは自分やチームの体臭を香水と勘違いすることはありません。リーダーは常に自らを、そしてチームを最高水準のものと比較し、高みを目指します。
Dive Deep リーダーは常にすべての階層の業務に気を配り、詳細な点についても把握します。頻繁に現状を検証し、指標と個別の事例が合致していないときには疑問を呈します。リーダーが関わるに値しない業務はありません。
Have Backbone; Disagree and Commit リーダーは同意できない場合には、敬意をもって異議を唱えなければなりません。たとえそうすることが面倒で労力を要することであっても、例外はありません。リーダーは、信念を持ち、容易にあきらめません。安易に妥協して馴れ合うことはしません。しかし、いざ決定がなされたら、全面的にコミットして取り組みます。
Deliver Results リーダーはビジネス上の重要なインプットにフォーカスし、適正な品質でタイムリーにやり遂げます。どのようなハードルに直面しても、立ち向かい、決して妥協しません。
Strive to be Earth’s Best Employer リーダーは、職場環境をより安全に、より生産的に、より実力が発揮しやすく、より多様かつ公正にするべく、日々取り組みます。リーダーは共感を持ち、自ら仕事を楽しみ、そして誰もが仕事を楽しめるようにします。リーダーは自分自身に問いかけます。私の同僚は成長しているか? 十分な裁量を与えられているか? 彼らは次に進む準備ができているか? リーダーは、社員個人の成功に対し(それがAmazonであっても、他の場所であっても)、ビジョンと責任を持ちます。
Success and Scale Bring Broad Responsibility Amazonはガレージで創業して以来、成長を遂げてきました。現在、私たちの規模は大きく、世界に影響力を持ち、そしていまだに、完璧には程遠い存在です。私たちは、自分たちの行動がもたらす二次的な影響にも、謙虚で思慮深くありたいと思います。私たちは、社会、地球、そして未来の世代のために、日々成長し続ける必要があります。一日のはじめに、お客様、社員、パートナー企業、そして社会全体のために、より良いものを作り、より良い行動を取り、より良い企業になるという決意を新たにします。そして、明日はもっと良くできると信じて一日を終えます。リーダーは消費する以上に創造し、常に物事をより良い方向へと導きます。
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リーダーシップ,上司,組織,組織安全性,統一,マイケル・サンデル,リーダーシップ白熱教室,ハーバード白熱教室,
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【1話】 はじめて大麻を吸ったときのレポ 【さいばーひっぴーができるまで】
―――小学校からの幼馴染である“しのはる a.k.a. BUDDHA ON SHROOM”(以下“しのはる”)が、当時留学していたカリフォルニアから日本にいる僕に電話をかけてきては、大麻の使用の煽り・唆しをしてきていた。
彼の話を聞いているうちに、僕は大麻を吸ってみたくて仕方がなくなっていたので、大麻の使用を目的として、しのはるが住んでいるカリフォルニアの家に居候しに行くことにした。
そうして日本を離れ、しのはるの家に到着するなり、しのはるは「初めての人は吸い方が悪いのか、効いてるかわからないって人が多いから、肺に死ぬほど煙を溜め込むイメージで吸って、少し息を止めてから吐くといいよ」などと僕に忠告をすると、「景気づけにいっちゃってください」とか言いながら、早速ジョイントを渡してきた。

僕は少し不安を抱えながらも、不慣れな手つきでジョイントの先��火をつけ、忠告通りに大量の煙を肺に溜め込んでみたのだが、急に肺に苦しさを覚えたために、息を止める間もなく強烈に咳き込んでしまった。
咳き込みすぎてもはや吐きそうになりながら過呼吸的な浅い呼吸を繰り返している僕を見ながら、しのはるはニヤニヤと可笑しそうに「うわー吸ったねーこれ絶対ハイになるやつじゃん」などと言いながら、残りのジョイントをゆっくりと吸っていた。
5分ほど経ってようやく肺が楽になってきた頃、僕は座禅を組みながら、大麻の効果が効いてくるのを神妙に待っていたのだが、さらに15分ほど経過してもとくに変化がなかったので、「全然効いてる感じしないなー」などと言って残念がっていた。

しかし、気づくとなぜか上半身が右に傾いていたのだ。僕は上半身が倒れそうになったところでハッとして姿勢を直したのが、それでもまた徐々に上半身が右に傾いてしまっていた。僕のその様子を見ていたしのはるは、「時計の秒針みたい」などと何の気なく僕を茶化してきていたのだが、僕はその言葉を受けると、まるで暗示にかかってしまったように、1秒ごとに1秒分の角度で小刻みに上半身が右に傾いていってしまった。
僕は秒針になるのをやめるために立ち上がってみたのだが、今度は沼地に立っているかのように足がカーペットに沈んでいく感じがしてきた。その感覚はとても愉快で、僕は幼児のようにはしゃぎながら左右交互に足踏みをしていたのだが、次第に足踏みをするのを止められなくなってしまい、しかもその途中で、“ただのカーペットの上で成人男性が足踏みをしてはしゃいでいる”という状況の可笑しさに気づいてしまったので、止められない足踏みをしながら腹を抱えて笑っていた。
すると、壊れたおもちゃのようになってしまった僕を見ていたしのはるも、まるで伝染したかのように笑い転げ出したので、それにつられて僕もさらに笑いが止まらなくなった。何が面白くて笑っているのか、もはや途中で忘れてしまっていたのだが、なにが面白くて笑っているのか分からないのに笑っていることがもはや可笑しくて、ヒステリックに笑い狂っていた。
そうして大麻のハイの愉快さを知ると、僕は毎日のように大麻を喫煙したくなり、2週間ほど滞在していたカリフォルニアでは、ほぼ毎日大麻を喫煙する生活を送っていた。

―――しかし帰国してから2年間ほどは、大麻とは無縁の生活を送っていた。旅行に行った時などには大麻を吸いたくなることもあったが、わざわざ日本でリスクを犯してまで吸おうとは思わなかったし、当時は周囲の交友関係の中に大麻を嗜む人がいなかったのもあって、大麻のない生活に特に支障を感じていなかった。
そんな中、しのはるが日本に帰ってきた。しのはるは、「間違えてポッケにTHCグミを入れたまま飛行機に乗ってたみたいで、図らずも密輸入しちゃった」などというメッセージと共に、トリッピーなデザインをしているグミの写真を送ってきて、その数時間後には、「もう食べちゃったんだけど、日本でハイになるの色んな意味でおもしろいわ」などと羨ましくなることを言ってきた。
しのはるのせいで大麻を吸いたくてうずうずしていると、数日後にしのはるから電話がかかってきて、「あのグミはもう食べちゃったんだけど、weed調達できたから、今日一緒に吸わない?」などと誘ってくれたのだが、僕はそのありがたさはさておいて、ツテがなくても日本で大麻を入手できることと、彼がひとりでに行動に移していたことに仰天した。
当時はまだ珍しかったのだが、Twitterで「都内 大麻 手押し」などと検索をして出てきたプッシャーとDMでコンタクトを取って、新宿駅の構内で落ち合って引いてきたらしい。
僕は意図的に法の外に出る経験は実質初めてだったので、少し不安に思ってもいたのだが、再び大麻の感覚を味わえることを想うと、多少のリスクを冒してでも大麻を吸いたいと思ったし、日本で吸ったらどういう感覚や気持ちになるか興味があったので、ありがたくいただくことにした。

そうして、僕は少し緊張しながらも集合先の公園で待っていると、しのはるはニヤついた顔でやってきて、早速ポケットからパケに入った大麻を取り出しては、「こちらが乾燥大麻らしき植物片です」などと言いながら、なんの悪びれもなく大麻を僕に見せつけてきた。
日本で大麻を見ること自体もそうだが、しのはるが違法行為である“大麻所持”をしていることの非日常性というか異常性が可笑しくて、僕はなんだか精神が昂った。
それから早速、その大麻で作ったジョイントを一緒にまわしたのだが、2年ぶりということもあってか、「本当にこれは大麻なのか?」と勘繰るほどにサイケデリックなトビ方をした。
あとでその時の僕の様子をしのはるに聞いたら、ついに頭がバグってしまったんじゃないかと不安になったくらいには、様子がおかしかったらしい。
実際、せっかくだから日本ならではの食事をしようということでくら寿司に行ったのだが、なぜか店内でインド風のBGMが流れていて、僕はその要因だけでインドのくら寿司にいると思っていたし、普段は割と苦手なとろサーモンを口に入れたら、脳細胞の多くが���滅したのではないかと思うほどに、2分くらい「美味い」ということしか考えられなくなっていて、店を後にする頃には、美味すぎたことによって心身ともに疲弊しきっていた。
アメリカでハイになるのとはちがって、馴染みのある環境でハイになると、“シラフのときとハイのときとでは感覚や情報の捉え方が違う”ということがよりハッキリと分かったし、法律で禁止されている日本でハイになるというのは、背徳感がスパイスされた解放感があった。

それから、僕は大学を卒業して東映株式会社に入社し、寮生活の元に社会人として初めての労働を行っていた。ただ、ゆっくりと大麻を嗜む生活とは無縁だったために、(寮でこっそり吸っていたこともあったけど)苦しくなってしまい、あっさりと会社を辞めて、もう少しゆるい会社に転職した。
時間に余裕を持てるようになると、僕としのはるは頻繁に大麻を吸って遊ぶようになり、僕は一人でも大麻を引きに行くようになった。そうして、しのはるとプッシャーの情報を共有し合ったり、一緒に引きに行ったりする中で、僕らにはお気に入りのプッシャーができた。
そのプッシャーはLSDなるものも持っていて、LSDのことを「大麻の8倍くらい凄いヤツ」とかいうテキトーな説明をしていたのだが、僕らはそれを聞いて、俄然やってみたくなっていた。

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つづく(この物語は雑誌「さいばーひっぴー」の「さいばーひっぴーができるまで」に載っている内容とほぼ同じものです)
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この物語はフィクションです。また、あらゆる薬物犯罪の防止・軽減を目的としています( ΦωΦ )
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2024.07〜2024.08 ひとこと日記
7.30-朝寝坊してバイトを休んだ。夜に彼と口喧嘩した。ないものねだりばかりしてしまう。今週末、彼がチェコから日本に迎えに来るのにこんな状態でどうするんだろうね。
7.31-1ヶ月限定バイトの最終日。まわりのひとに大変良くしてもらった。チェコに行くことをリーダーのおじちゃんに話したら30年前にカナダで買ったオリンピックのトナカイのキーホルダーをくれた。大事にとっておいたのか、袋に入ったままで状態の良いものだった。わたしがこんなものをもらっていいのだろうか。
パリ五輪の男子バスケ/バレーの試合を観る。誤審ピック。
8.1- 茹だるような暑さ。何もしたくない。ちょっと黄体期特有の精神不安の症状が出てる気がする。ピルを飲み始めてからはほとんど見られなかったのでこの感覚に懐かしさを感じる。高校〜20代前半はかなり悩まされていたな。
8.3-チェコの彼が日本に来た。
8.9-チェコの彼がチェコに帰った。
8.12-母親と縁を切った。わたしに対する父の本音を聞いた。夜、居場所がなくてネットカフェにいたけど、男臭くて嫌だった。
8.13-ちょっと詐欺らしいものに引っかかってしまい、でもクーリングオフ期間だったので解約できて全額戻ってきたのでよかった。心がフラフラになってるから騙されやすい。
8.14-彼の誕生日。南海トラフは来なかった。新しいアパートを決めた。不動産の担当が仕事できなくて不安。
8.17-彼とわたしの今までの思い出アルバムを3時間くらいかけて作った。仕上がりが楽しみ。
8.18-アルバムが出来上がったのでカメラ屋に取りに行く。完璧な仕上がりだった。これを渡しても心が戻って来なかったら諦めがつくと思った。今日、彼はイギリスから帰国。
8.19-内定先の代表と融資を受けた銀行の担当者とのやり取りを聞いていて、絶対この人の元で働いたら後々面倒なことになると思った。
8.20- 代表と話をして正社員ではなく業務委託で仕事を受けることになった。それでよかったと思う。思ったことはなんでも言ってくれと言われてたので、昨日の銀行とのやり取りのこと正直に話したらそれは言ったらだめだったらしく怒っていた。わたしには判断がつかなかった。/パソコンがようやく直ってうれしい。SSDを交換した。
8.21- 最近、早朝に目が覚めてしまう。ひたすらTwitterをスクロールした。意味のないことをして現実逃避したかった。夕方までうたた寝とそんなことを繰り返していた。/今更Wednesdayを見始めた。ハンドが可愛すぎる。わたしもほしい。
8.22- 久々に弟と出かけた。憎たらしくてかわいくて大好き。通っている塾でどんな指導を受けてるのか分からないけど、あんまり良くなさそう。でも私の子ではないから、私に決定権はない。
8.23-朝起きたら風邪っぽい。代表が38度も熱があったのに隠して私を事務所に呼んだからもらったな。地獄に堕ちてほしい。/不動産会社の求人に応募している。職務経歴書を修正していたら、今月末で有効期限が切れる資格があることに気づく。更新のための試験を月末までに受けなきゃ… / ずっと寝ていても頭が痛くなったり筋力が落ちたりしなければいいのになぁ
8.24-明日、あの事件ぶりに彼会う。まだ2ヶ月か。すごく昔のことのよう。図書館へ行って、彼に手紙を書いた。/ 一日中眠たいけど、涼しい部屋で好きな時間にゆっくり眠れない環境だから早く引っ越したい。明日面接なのもだるい。
8.25-午前、面接。9時17時の求人に応募したのに、実際は8時45分18時だった。最近こんなことばかりな気がする。/ 午後、元彼に会う。本当はすぐにさよならのはずがカフェでゆっくり話をした。アルバムはパラパラと見ていた。心に届いてなさそうだった。別れ際、これで最後って言われたけど私は信じない。だってハグした時、思い切り勃ってたから。わたしのこと、まだ愛してるに決まってるなんて思ったらだめでしょうか。
8.26-オンラインの日本語教師登録をした。自己紹介ビデオをつくってみて、思いのほか楽しかったけどめちゃくちゃ疲れた。動画編集を仕事にしている人、尊敬。/ Amazonの配達サポートの在宅ワークに応募した。応募に必要なテストが実際の仕事のシミュレーションのようで楽しかった。受かるといいな。/ なんか今日とてもがんばった感あるけど、まだ無職、家無し。
8.27- 賃貸不動産会社の1日入社体験。当然無給だと思っていたけど、最後に日当をいただいて驚いた。何もしていないのに… 。今回は勤務条件が募集要項と違っていたので辞退するつもりだけど、今後、就職先を決める上で勉強になったことがたくさんあった。動いてよかった。
8.28-アパートの契約完了。あと3日。父に来週出て行くからお世話になりましたと伝えたら、夕ご飯に少しいいものを買ってくるようになった。わたしがほしいのはそういうことじゃない。/ 夜、悩んだ末に元彼に電話。地雷を踏まないようつま先立ちで会話する。引っ越しを手伝うかどうかは明日まで考えさせてくれ、と保留。会いたい。
8.29-「引っ越し手伝うよ、でもよりを戻すわけじゃないからね」と連絡が来た。
8.30- 今日現在稼ぎ口がメルカリしかない。エネルギーが有り余っているから配達なんかのアルバイトをしたい。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和七年(2025年)1月6日(月曜日)弐
通巻第8583号
トランプ政権は「さようならDEI」である。
『オバマの家来』エマニュエル駐日米大使が日本から去る。
*************************
トランプの大勝の意味は極左政権だったバイデン時代の終わりではない。米国をはんぶん破壊した「オバマ時代」(バイデン時代とはオバマ院政だから合計12年)の終焉なのである。
「民主党の高層部に陣取った極左集団はくさっている。全体主義と変わらない」と言って、RKJもトゥルシー・ギャバードも飛びだした。前者はトランプ政権で厚生長官、後者は国家情報長官となる。
オバマ・バイデンの十二年間つづいた「悪政」とは、公務員や追随する広告代理店や弁護士やコンサルタントを動員して欺瞞の政治目的を拡販してきたこと、「人道主義」をいう美名で隠蔽した中身とはアメリカを社会主義的全体主義国家と塗り替えることだった。
第一に「人口構成が運命だ」という妄想があった。白人の出生率が激減している一方で、黒人、ヒスパニック、アジア系の移民が急増し、人口構成を逆転する趨勢を加速させる。
そうすれば極左政党が半永久的に政権の座を維持できるという妄想に基づいた計画だった。
反対の選挙結果だった。ヒスパニックと黒人の民主党支持が顕著に激減し、そのうえ労組が民主党支持から離れた。
これらの基層部分は依然として民主党へ入れたが、曾ての固定票ではなくなっていた。民主党の牙城といわれたNYCやロスでトランプは大幅に得票を増やした。
第二にオバマ院政下にあったバイデンは就任後、90の連邦機関に人種優遇とDEI規則を義務付けた。「左派のネオ・レイシズム」である。
全米でアンチDEI運動が燎原の火のように燃え広がった。
第三に国境開放を解放し、1600万人とも言われる不法移民を受けいれたことは逆にヒスパニック系の票を失った。『聖域���といわれた都市は治安悪化に悲鳴を上げた。
第四に石油・ガス産業に対するグリーン・ニューディール戦争は、環境問題に関心のある若い有権者を引き寄せるはずだった。石油ガス業界を「オバマ院政』(バイデンの四年)で完全に敵に回した。皮肉にも環境規制強化が中国のEV産業を飛躍させアメリカの三大巨人の経営をふらふらにした。自動車労組も幹部を別として、バイデン支持を離れた。
第五に反イスラエルキャンペーンである。ハマス支持の過激派の言動をバイデン、ハリス政権は正当化したが、反イスラエル、そして反ユダヤ主義の左派の票を獲得できなかった。そればかりか民主党の基盤だったユダヤ人の相当数が共和党へ鞍替えした。
▼『オバマ時代』とは『ポストモダン宗教』だった
こうしたオバマ・バイデンの十二年間に猖獗した「ポストモダン宗教」はオバマ時代に急速に勢力を拡大した。妖しげなNGO、コンサルタントと称して企業の幹部に落下傘降下し、顧問弁護士とか社外取締役として当該企業のWOKEを見張った。
消費者の反乱がおきて、バドワイザーなど、販売を四割も落とした。BLMなど過激な活動家グループ、インスタントな財団、公務員組合などが納税者の資金で支えられた。
この急拵えの亜官僚システムは連邦および州の機関、公立学校、そしてアメリカ企業に強制した『研修』と称する仕組みにあった。つまり「DEI産業複合体」だった。
トランプ政権は「さようならDEI」である。
学生ローンの減免など、「平等保護」ではない。多くの異議申し立てがあり、各地で訴訟に発展した。トランプ政権のDOGE設立と、その大鉈で崩壊しそうだ。
オバマ政権は系列の左派知識人を動員し、例えば欠陥だらけのイラン核合意について、主流メディアや政治エリートに虚偽や誤解を招くような話を売りつけ、その後、反対意見を封殺した。
この仕組みは、 ロシアゲート、ハンター・バイデンのラップトップ、その他多くの多くの論点において、有権者の70%が主流のニュースメディアを 信用しなくなり、FOXニュースとカールソンの番組とネットの記事とトランプのXへの投稿、SNSに拡がった保守の主張への支持となった。
バラク・オバマは巧みな演説で時に人々を感動させた(というより誤解させた)が、このようなホワイトハウスの陰湿で陰謀的な政治が民主党を全体主義的ムードへと導いた。惨敗後、民主党執行部は空中分解、自ら首を絞めたのだ。
米国の財界、ウォール街は雪崩のようにトランプ政権にアプローチを進めている。
メディアもすっかり様変わりだ。ワシントン・ポスト政治風刺漫画家が、同紙オーナーがトランプを思わせる銅像前に土下座する様子を描いた漫画の執筆し、それが没になった直後、辞任した。
漫画家のアン・テルナエスは「私がペンを向けた対象や人物のせいで漫画が削除されたのは初めて」と投稿した。その風刺漫画には、アマゾンの創設者でワシントン・ポストの所有者であるジェフ・ベゾスや、フェイスブックとメタの創設者マーク・ザッカーバーグ、その他のメディアやテクノロジー界の大物たちが、巨大なトランプ銅像(金日成親子を思わせる)の前でひざまずいてお金の入った袋を掲げている様子が描かれていた。ABCニュースを所有するディズニー社のシンボルであるミッキーマウスがひれ伏している姿も描かれた。
ABCニュースは、ニューヨークでの性的虐待裁判の報道をめぐってトランプが名誉毀損で訴えた事件で、1500万ドルの和解に同意した。
テルナエスは風刺漫画の不掲載は今回が初めてだとし、「これは状況を変えるものであり、『報道の自由』にとって危険だ。民主主義は暗闇の中で死ぬ」と逆の捨て台詞を残した。
『オバマの家来』エマニュエル駐日米大使はやっと日本から去る。
最悪の評判を取りながらもウクライナ支持、LGBTQ法の強要など、忠実にオバマの社会破壊活動を実践してきたが、つぎには民主党全国委員会の委員長への立候補を検討している。
エマニュエルは2009~10年にオバマ大統領の首席補佐官を務め、シカゴ市長に当選し、バイデン大統領から駐日大使に指名された。この背後にオバマがいたことは明白、そもそもバイデン政権の閣僚は殆どがオバマの指名だった。
日本にとってじつに迷惑千万の外交を展開した。
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野鳥調査を通じたタジャン農家とインドネシア農家の交流プログラム 6・7日目
いよいよこのツアー最後のブログとなりました!
6日目
この日は丸1日かけて移動日!お世話になったステイ先のラヨグ・カントリー・ファームを出発し、まずはタジャン町からバギオ市へ5時間かけて移動し、またそこから4時間かけて240kmほど離れたザンバレス州にあるスービックへと向かいます。スービックに着いたのは夜の8時!次の日に行われるエコツアーに向けてゆっくり宿で休みました。
*スービックは30年ほど前まで米軍基地があり、アメリカの影響を強く受けていた場所でもあります。
7日目
ホテルで朝食をとった後、早速エコツアーに参加しました。この地域に住む先住民のアエタ族の人たちに森の中を案内してもらいながら散策していきます。アエタ族はフィリピンに最初に渡来した民族と言われています。今回訪れた場所は元米軍スービック基地の中にあり、森の中で暮らす彼らの生存能力の高さから、当時はアメリカ軍に対してサバイバル訓練を行っていたそうです。そのためのトレーニ���グエリアとしてこの森が原生林のまま保存されることになったとのこと。とても興味深い話です。

まずは、最初にウェルカムドリンクとしてバンブーティー、グヤバノ(サワーソップ)ティー、アヌナス(シュガーアップル)ティーをいただきました。どれもすっきりとした味わいで、特にアヌナスティーが美味しかったです。そのほかにも蒸したさつまいもとオーガニックの蜂蜜もおやつとしていただきました!これらの全てはこの森で採れたもので、彼らが持っている豊かな資源を感じることができました。

*みんなでウェルカムドリンクを楽しんでいます。
ツアーが始まると、森林の中を歩きながら、薬草として使っている植物の解説や、竹を使った火の起こし方、竹筒でのお米の炊き方など、アエタの人たちの日々の暮らしの知恵をたくさん聞くことができます。特に竹を使った火起こしは、Klasik Beansのみんなもタジャンのコーヒー農家のみなさんも苦戦していたのですが、アエタの方はわずかな時間で火を起こしていて、さすがでした。

*竹に切り込みを入れて摩擦で火を起こしている様子。

*竹筒で炊いたご飯。ふっくら炊けていて、みんなでおいしく食べました!

*シャンプーとして使われる木の樹液。化学的なものを持ち込まない森での暮らしを紹介してくれました。
ツアーの終盤には滝が流れているところで、水浴びをしました。たくさん歩いたあとの水浴びはとても気持ちよかったです。スタート地点に戻ってきたら、アエタの方が用意してくれた昼食をみんなでいただきました。

*木の皮をすりつぶしてできた天然のハンドソープで手を洗っている様子。
このツアーはMAD Travelという社会的企業が企画しているもので、今回はこの団体のスタッフであるアンジュさんがガイドとして私たちを案内してくれました。アエタの人たちは主に移動焼畑や狩猟採集をして暮らしていた人たちで、タジャンの農家の人たちが住むコーディリエラ地方の先住民と同様に貨幣経済の影響を受け、生計手段も変化しています。
MAD Travelはフィリピンの様々な場所でコミュニティベースで行うエコツアーをコーディネートしていますが、アエタ族の森を訪ねるエコツアーは、そのうちの一つです。ツアー参加費は一人3500ペソ(8700円くらい)と高いですが、利益はツアーを手伝ってくれているアエタの人たちへの賃金、そしてそのコミュニティの植林活動の資金として使われるそうです。実際に2017年以降に、ザンバレス州にある山で6万2千本もの植林をしたそうで、エコツアーを通して持続可能なサイクルを生み出そうと取り組んでいます。ホームページを訪れるとより詳しいことが書かれているのでぜひ覗いてみてください!!
これでプロジェクトの全日程を終えました。タジャンの農家のみなさんはバギオを経由してタジャンへと帰り、私はKlasik Beansのみなさんをマニラの空港まで送りに行きました。1週間の滞在でしたが、別れる頃にはとっても寂しくなるほど、濃い時間を過ごしました。

*アエタの方たちとタジャンの農家さん、Klasik Beans、CGNのみんなで集合写真。右下2番目の男性がMAD Travelのアンジュさん。
全体を通した感想
この1週間を通して、毎日新たな発見とたくさんの学び、刺激を受けてきました。日本にいた時は、コーヒーが作られる裏側なんて考えたこともなかったのですが、こんなにも農家の人たちの地道な努力が必要なのかと驚きと共に尊敬の気持ちでいっぱいになりました。日本はコーヒーの生産地ではないですが、コーヒーの消費量は多く、コンビニで簡単に安いコーヒーが飲めます。一方で最近では、「サスティナブル」、「エコ」、「オーガニック」などといった環境や社会への配慮も商品の価値をアピールする要素として重視され、消費者側には意識する人が増えてきましたが、何をもって持続可能なのか、環境にやさしいのかまだまだ曖昧な部分も多いです。
このプロジェクトは、「野鳥」を一つの指標としてコーヒーと環境を結ぶことで、どのようにマーケティングに生かすことができるかを考えるということがテーマですが、まずはコーヒー生産者の人たちにも野鳥の大切さを知ってもらうことから始まりました。Klasik Beansのみなさんは栽培からマーケティングまで自分たちで行っていて、パッケージに鳥のイラストを使うなど、コーヒーの品質、環境保全、マーケティングという3つの要素をどれ一つとしておろそかにすることなく、それぞれがつながることが重要だという認識をもって実践しています。
しかし、まだまだコーヒー農家として駆け出しのタジャンの農家の人々は、コーヒーの栽培に関しても、その後の加工やマーケティング、そして味のクオリティについても学んでいる最中です。自分たちの環境を守ることがコーヒーの味や値段をよくすることにつながると、今回の交流プログラムで知ってもらえたのではないかなと思います。
また、コーヒーを飲むのが大好きな人には、サガダで行ったようなコーヒーファームツアーの需要があったり、アエタ族のエコツアーのように自分たちが持っている環境と伝統的な暮らしを守りつつ観光業を行うことができるということも、タジャンの農家とKlasik Beansのみなさんに体験してもらえたのかなと思います。特に年に1回しか収穫がないコーヒー農家は、給料が年に1回しかないと考えると、定期的に得られる収入源も必要です。環境を守りながら、自分たちの文化も守り、暮らしも守っていく。今回ツアーをいろいろ体験したことによって、それらの全てがうまく組み合わさるようなアイデアを考えるきっかけになったらよいなと思います。
今回はインドネシアからKlasik Beansのみなさんがフィリピンのコーヒーファームを訪れてくれましたが、今年の7月ごろに、今度はタジャンの農家がKlasik Beansのコーヒーファームを見に行きます!引き続きプロジェクトは続きますのでぜひ楽しみにしてください!!
みなさま毎回長いブログにお付き合いいただきありがとうございました!また、次のブログでお会いしましょう^^

*空港で最後にみんなで撮った写真。Klasik Beansのみなさん本当にありがとうございました!!
Exchange program between farmers in Tadian and Indonesia through bird surveys - Day 5 & 6
Finally, this is the last blog of this tour!
Day 6
This day was dedicated entirely to travel. We left our accommodation “Layog Country Farm” where we had been so warmly hosted, then we headed to Baguio city, five hours from Tadian. After that, we drove another four hours to Subic in Zambales Province which is 240 km away from Baguio. We arrived there around 8pm! We rested well at the hotel for an eco-tour scheduled for the next day.
Subic was once home to a U.S. military base, which closed about 30 years ago. As a result, the area still shows strong American influence.
Day 7
After breakfast at the hotel, we immediately set off on the eco-tour. Guided by members of the indigenous Aeta community, we explored the forest. It is said that Aeta is the first tribe who have settled in the Philippines. The forest we visited lies within the former U.S. military base, and due to the Aeta's impressive survival skills, they were once recruited to train American soldiers in survival techniques. Thanks to this role, the forest has been preserved in its natural state—a fascinating bit of history!
We were welcomed with drinks made from bamboo, guyabano (soursop), and anonas (sugar apple). Each had a clean flavor, but the anonas tea was my personal favorite. Along with the drinks, we were also served steamed sweet potatoes and organic honey, all sourced directly from the forest. It was a beautiful reminder of the richness of local resources.
Everyone is enjoying the welcome drinks.
As the tour progressed, the Aeta shared their traditional knowledge with us while we walked through the forest. They explained the medicinal uses of different plants, demonstrated how to start a fire using bamboo, and showed us how to cook rice in bamboo tubes. The fire-starting in particular was challenging—both the Klasik Beans team and the Tadian farmers struggled—but the Aeta could spark a flame within minutes. It was truly impressive.
Demonstrating fire-making with bamboo.
Rice cooked in bamboo—soft and fluffy! We all enjoyed it together.
Tree sap used as natural shampoo—showing us how they live in harmony with nature, without relying on chemicals.
Toward the end of the tour, we stopped at a waterfall and had a refreshing dip in the water—just what we needed after the long walk. Back at the starting point, we had a delicious lunch prepared by our Aeta hosts.
This tour was coordinated by MAD Travel, a social enterprise, and this time, Mr. Anju, a staff member from this organization, guided us. The Aeta people mainly lived by shifting cultivation, hunting and gathering. However, like the indigenous people of the Cordillera including Tadian people, their lifestyle has been changing due to the influence of the monetary economy.
MAD Travel coordinates community-based eco-tours across various parts of the Philippines, and this tour to the Aeta forest is one of them. The tour fee is quite high—around 3,500 pesos (about 8,700 yen) per person—but the proceeds go toward fair wages for the Aeta guides and funding for reforestation efforts in that community. In fact, since 2017, they have planted over 62,000 trees in the mountains of Zambales. Their goal is to create a sustainable cycle through eco-tourism. You can learn more about their efforts on their website—definitely worth a visit!
With that, the program officially came to an end. The Tadian farmers headed home via Baguio, while I accompanied the Klasik Beans team to the airport in Manila. Although our time together lasted only a week, the experience was so rich and meaningful that it was hard to say goodbye.
Final Reflections
Through this one week, I encountered new discoveries, learned a great deal, and was inspired every single day. When I was in Japan, I never really thought about what goes on behind the scenes of coffee production—but now, I’m filled with both surprise and respect for the dedication and hard work of coffee farmers.
Although Japan doesn’t produce coffee, its consumption is high, and people can easily buy a cheap cup at a convenience store. At the same time, buzzwords like “sustainable,” “eco-friendly,” and “organic” have become popular, with more and more consumers becoming conscious of environmental and social issues. However, the actual meaning of what makes something truly sustainable or environmentally friendly is still often vague.
This project focused on using wild birds as a key indicator to connect coffee production with environmental conservation, and to explore how that connection could be used in marketing. But it all started with helping coffee producers themselves understand the importance of birds.
The Klasik Beans team handles everything from cultivation to marketing. They include bird illustrations on their packaging and work with the understanding that coffee quality, environmental protection, and marketing are all interconnected and equally important—not something to compromise on. They put that belief into practice.
On the other hand, the coffee farmers in Tadian are still in the early stages. They are just beginning to learn not only about coffee cultivation, but also about processing, marketing, and improving the flavor. I believe this exchange program helped them realize that protecting their environment can directly contribute to better coffee quality and higher value.
For those who love drinking coffee, there is clearly interest in activities like the coffee farm tour we did in Sagada. And as the Aeta eco-tour showed, it’s possible to protect both the environment and traditional ways of life while also engaging in tourism. I think both the Tadian farmers and the Klasik Beans team got to experience that firsthand.
Especially for coffee farmers who only harvest once a year—meaning they essentially only get paid once a year—it’s crucial to have additional sources of income. Protecting the environment, preserving culture, and sustaining a livelihood: through the various tours we experienced, I hope this trip sparked some ideas on how these elements can be combined in a meaningful and sustainable way.
This time, the Klasik Beans team from Indonesia visited coffee farms in the Philippines. But around July this year, it will be the Tadian farmers’ turn to visit the Klasik Beans coffee farms in Indonesia! The project is ongoing—so please look forward to what comes next.
Thank you so much for reading these long blog posts each time! See you again in the next one.
Our last group shot at the airport. Thank you so much to the Klasik Beans team!
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