#愚かさ儚さを知るべき
Explore tagged Tumblr posts
generalwonderlandpeace · 5 months ago
Text
Tumblr media
0 notes
wooof77 · 2 years ago
Text
虎の威を借る狐の威を借る
Podcast『虎の威を借る狐』にお招きいただき、おしゃべりしてきました。説明不要で通じるタメトークはめちゃくちゃ楽しかったのですが、いざ録音されると緊張で全く思うように話せなかったので…プレイリスト含め少し補完的なものを書きたいと思います。
Tumblr media
⚫︎虎の威を借る狐  (#33〜#35に出てます)
【カバーアートについて】 事前に聞いていたキーワードや番組のイントロから’80〜’90年代っぽい感じをイメージしました。具体的にはうる星やつらのOPやED、サンリオ、ファミコンのカセット(シティコネクションとか)、を頭の隅に置きつつ5つ提案してめでたく3つ採用となりました。
【マイファーストユーミンの話】 「オレたちひょうきん族」のEDや、TVCMで聴くともなしに 耳にしてたけど誰が歌っているかなんて長らく意識することもないまま。
中学生になってラジオを聴く習慣ができるとオールナイトニッポンも聴くようになって、そこで初めてサビしか知らなかったいろんな曲をほぼフル尺で聴くようになります。でもラジオだから途中でCMに入ったり、オートリバースの折り返しで録音できてなかったり苦労しました。田舎ゆえ生活圏内にレンタルCD屋がなかなかできなかったんですよね…。
そこで歌から鮮明に情景が浮かんだり、ノスタルジーとも違う(と思う)知らないのに懐かしい、みたいな感覚を覚えたのが初めてで感動してハマりました。それと言葉の美しさ、面白さ、歌詞を読む楽しさも教わったし、それは今でも続いています。
で、一番好きな曲は?という質問?え!そんな?愚問!w いやでもまぁ当然訊かれますよね…全然考えてなかったので焦りましたが、あのころ慌てて歌詞を書き留めた曲の中から「水の影」を選びました。ラジカセの前で一時停止を繰り返しながらルーズリーフに歌詞を書き留めたのを今でもはっきり覚えています。
youtube
黄昏色とゆっくり流れる(時の)川の心象風景。穏やかだけど抗えない時の流れに、切なさと少し怖いような気持ちになったのを覚えています。まだ中学生だった自分には「遠くなった過去たちを振り返る」ことは想像するのも難しかったけど、なんかめっちゃエエやん(雑)!と初めて聴いた時から大好きな曲です。
*****************
まず大訂正。 今年(2023年)はユーミン51周年ですね…失礼しました。 1972年7月5日「返事はいらない」でデビュー。 プロデューサーは、かまやつひろし。ムッシュ! このシングルのアレンジも可愛らしくて好き。
「牛乳瓶にダリア」 たしかデートしてる時に「何の花が好き?」という質問にユーミンが「ダリアの花が好き」って答えたのを覚えていて、後日スタジオのピアノにそっと飾ってくれてた〜というエピソードだったと思います。正隆さんはオシャレで、キザというよりロマンチストというイメージがあります。ポジティブなイメージはそんな感じでしょうか…w
『ユーミン万歳!』 番組内で全曲リマスタリング言うてますけど全曲エディット&リミックスですね。上手く聴こえる!なんて言いましたが、声の解像度がグンと上がってユーミンの声の魅力を改めて感じられるアルバムだと思います。アレンジの違いも楽しいです。 ちなみに配信用リマスタリングはサブスク解禁の時、全423曲に施されています。
『Man In the Moon』 これはヤンエグ男ではなくそれを目指している上昇志向強めな若い男の歌ですね。  彼の夢は白いロールス プール付きの家  他人の鍵を腰で鳴らして クロークに戻す ってことなのでホテルの駐車場とかで働いてるイメージかな。マッチョでギラギラ。
*****************
【プレイリストについて】 最初にユーミンの曲にちゃんと触れたのはオールナイトニッポン(ANN)だったという話にちなんで、ラジオ経由で初めて聴いて好きになった曲、『天国のドア』以降は発売日��CDを買ってるので、それ以前の曲を中心に選んで当時の印象など添えてみました。
⚫︎あなただけのもの それまで聴いたことのある曲たちのイメージと全く違う、ファンキーな曲調にびっくりして、かっこいいー!ってなった曲。
⚫︎あの頃のまま ANN恒例の苗場からの放送、弾かな語りライブのコーナーで聴いて、その歌詞に強いゲイネスを感じた曲。のちにセルフカバーアルバム『FACES』に収録。元はブレッド&バターへの提供曲でオリジナルも良い。
⚫︎青いエアメイル それぞれの決断とその行方を信じる気持ちが尊い。 “青い”という言葉(色)が情景や心情にも掛かっているようで切ない。
⚫︎ジャコビニ彗星の日 歌詞の解釈で友達と意見が対立した思い出… “流星群”は電話が少なくなった”あなた”のことで、”寂しくなればまた(私のところへ)来るかしら”と歌っている。という友人。 僕は、もうその”あなた”はどうでもよくなってきてて、また誰かを好きになることができるかな…って歌。”流星群”は誰かを好きになる気持ちの隠喩なのでは?と反論。 もちろん答えは出ないままー。
⚫︎影になって メロディーも歌詞も、なんか知らんけど都会的やん!って思った。  真夜中は全てが媚びることもなく それでいてやさしい えーかっこよ…
⚫︎星空の誘惑 車の助手席で勝手に盛り上がってるオンナの歌なんですがー(好)  オレンヂのトンネルの中は 横顔がネガのようだわ というフレーズが映像的でハマりました。
⚫︎夕涼み イントロから少し気だるい夏の夕暮れ時の映像が目に浮かぶ。 虹も雲も風も濡れた髪も焼けたうなじも全て儚い。 ちょうど夏の終わり頃に聴いて刺さりました。
⚫︎晩夏 (ひとりの季節)  空色は水色に 茜は紅にー  藍色は群青に 薄暮は紫にー ただちに色の名前とどんな色なのか調べました。空の色の変化と季節の移り変わりに気持ちの変化をなぞらえる繊細さと美しさよ!
⚫︎青い船で 初めて聴いたときイントロから完全に宇宙の映像しか見��なくて、どんな歌かと聴いてると実際そういう歌詞で、え…イントロのイメージすごい…てなっりました。愛を天体で語るスケールの大きさも好きです。
⚫︎TROPIC OF CAPRICORN ドラマチックで好き! アルバトロス=アホウドリというのもこの曲で知りました。
⚫︎かんらん車 TROPIC OF CAPRICORNが”動”ならこちらは”静”のドラマチック。静かに雪が降り積もる遊園地のモノクロの情景が、とても冷たくて悲しくて美しい大好きな曲。
⚫︎水の影 シモンズ版は具体的な情景で、ビルの間を車のライトが流れる都会の川のイメージ。同じ曲なのに印象が全然違うのが面白い。
⚫︎A HAPPY NEW YEAR  今年も沢山いいことがあなたにあるように いつも いつも 恋人のもとへ真っ直ぐ向かう気持ちとその姿が初々しくて清々しい。素敵だなぁと素直に憧れました。年賀状に「今年も沢山いいことが⚫︎⚫︎さんにありますように」とか書いたなぁーw
⚫︎翳りゆく部屋 戻らない「輝き」って恋人や過ごした時間や愛情のことだけではなく、本当に失ってしまったのは有ると思っていた未来のことかー(むしろ過去は変わらない)!と気づき、歌詞を読む楽しさを知った曲のひとつ。そんなの聴けばわかるやろと思われるかもしれませんが自発的にわかった(と思えた)時は快感なんですよね。
⚫︎経る時(ふるとき)  四月ごとに同じ席は うす紅の砂時計の底になる 転調のドラマチックさ最高。情景描写の積み重ねで、巡る時間と季節の移ろいをこんなに美しく表現できるものかと。アルバム『REINCARNATION』のラスト曲。この曲も輪廻転生やん!って気づいて興奮。
▶︎MY FIRST YUMING PLAYLIST
 あなただけのもの  あの頃のまま  青いエアメイル  ジャコビニ彗星の日  影になって  星空の誘惑  夕涼み  晩夏 (ひとりの季節)  青い船で  TROPIC OF CAPRICORN  かんらん車  水の影  A HAPPY NEW YEAR  翳りゆく部屋  経る時
以上14曲。 よろしければサブスクなどで聴いてみてください。
5 notes · View notes
kennak · 4 months ago
Quote
これは単なる愚痴、でも女性作家として直視しないといけないコト。 「【推しの子】のエンディングが」とか別にどうでも良くて、少なくない数の女性作家は【推しの子】の連載開始へ対して衝撃を受けたのは間違いがないんだ。 多くの女性向け漫画読者は理解している。【推しの子】のフォーマットは少女漫画のもの。かっこいい男の子が困っている女の子を助け、その身を心を傷付けながらも敵役をやっつけてくれる。 儚く闇があるキャラクター性も前段の幼児時代のエピソードが関係しているというのは、読者へ既に読ませているので作家と読者間で共通認識が取れていて序盤のストーリー作りの構成的にも無駄がない。 企画段階で非常によく練られた本当に本当に素晴らしい……少女漫画ジャンル作品だ。 そして【推しの子】はその魅せる巧みさから男女問わずの漫画ファンの中で一気に話題となり、編集部の非常に強力なバックアップによってメディアミックス展開を行なった。 赤坂アカ先生は既に実績ある作家だと言うことを加味しても編集部のメディアミックス展開の速度は迅速であったと評価せざるを得なくて、業界に身を置かせている作家という立場から同性の作家仲間や作家知人、作家師弟に至るまで当時は本当に驚愕をしていたことを思い出す。 アニメ化に至るとその反響は多くの少女漫画関係者が無視できない規模にまで膨れ上がってしまった。 「少女漫画じゃん」「少女漫画だよこれ」「今の時代に少女漫画がココまで行くの?」 思わず多くの少女漫画関係者から漏れ出た声だ。TwitterやPixivだけでなくYoutubeやTikTokなどのショート動画で若い子たちが【推しの子】に参加をしている様子を見て震え上がってしまった。 みんなコレを口に出したら絶望してしまうのでSNSですら言えない。今の私たち少女漫画関係者には【推しの子】を企画する力が作家にも編集部にも無いんだ。 約20年前の少女漫画、いや正確に言えば女性向け漫画業界では出版不況が現実味を帯びてきていて、どうにかして女性向け漫画を繋ぎ止めなければならないという問題があった。 そのときに一定の成果を示したのが小学館の少女コミック編集部で、これは当時「性コミ(しょうコミ)」と揶揄されるほどの過激路線を突き進むという解決策だったんだ。 いやその以前から集英社りぼん編集部が「ママレード・ボーイ」や「こどものおもち��」「ご近所物語」あたりで、あけすけな描写をするようになったという傾向があったけれど、流れを確定してしまったのは少女コミック編集部であることはほぼ間違いないと思う。 もちろん、この流れへ異を唱えるようにプラトニックな作品を推す声は作家・読者・編集者に少なからずあったのだけれど、少女コミックへの爆発的な反応は商業誌として無視できるわけもなく、各出版社はここから少女漫画というかBLも含んだ女性向け漫画業界は過激化のチキンレースをはじめてしまったんだ。 その結果に起きてしまったのは作家・編集部双方の企画力低下。 少年漫画がお得意の友情・努力・勝利・冒険活劇・暴力へ対して、少女漫画に影響を受けて繊細な恋愛描写を当たり前の様に取り入れはじめていた中で、少女漫画は(編集部から過激描写依頼があったにせよ)何ら工夫せずにこれまで通りの恋愛に過激描写を加えるという手法を取った。 少年漫画にも対抗できる篠原千絵先生や武内直子先生、CLAMP先生、松本夏実先生、種村有菜先生などなど多くの大作家を生み出したはずの少女漫画業界は、その多くは過激なエロを混ぜることしかできなくなり、そして過激なエロを混ぜなければ売れなくなってしまったんだ。 更に起きたことは、女性漫画読者が少年漫画(男性向け漫画)へ移行するという事態。 当たり前の話なんだ、少年漫画の方が設定のバリエーションが圧倒的に多い。過激なエロは無くも無いが当時は実際のところセックスまで至ることなんてごくごくわずか。 「ラブひな」や「いちご100%」でラッキースケベしてる程度であって、そのとき少女漫画はセックスするなんて普通の表現でレイプだの何だのが飛び交うような状況だったんだ。 「いやそんなのおかしい私はプラトニックで行くんだ」と編集部を説得して連載開始した作家は結局売れなくて短期連載で終了してしまい「やはり過激なエロがなければダメなんだ」と作家と編集部双方が部数を見て泣く泣く確信をしてしまっていた。 そのとき少年漫画では「テニスの王子様」「BLEACH」「魔人探偵 脳噛ネウロ」「武装錬金」「うえきの法則」「探偵学園Q」「エア・ギア」「おおきく振りかぶって」「あひるの空」「さよなら絶望先生」「D-LIVE!」「焼きたて!!ジャパン」などなど挙げればキリがない! こういう少年漫画へ女性読者が黄色い声をあげるのが当たり前になってしまった。このエントリを読んでいる人の中にも心当たりあるよね?少女漫画読まなくなったでしょ?当たり前じゃん!パッとあげた中でどれだけのジャンルがあると思ってんの?たった一部分しかあげてな��のにこのバリエーションは当時の少女漫画にあった?無いよね? 少女漫画でも探せば出てくるよ?でも当時のあなた達がオタク友達と��話した中でその探し出してやっと見つかる作品の話題は出てきたんですか?と言いたい!こっちだって作家になるほどオタクやってんだわ、当時の会話の9割は少年漫画だったじゃん! 更に何が起きたと思う?本当に悲しいんだけど女性の新人作家の多くが少年漫画誌に行っちゃったんだよ。 これも当たり前の結果、だって彼女たちが、今の若い女性作家が憧れたのは少女漫画じゃなくて少年漫画なんだもん。恋愛と過激エロを何の工夫もなくやってる少女漫画じゃなくて、あの手この手で様々なジャンルと表現を読ませてくれる少年漫画に憧れたんだもん。 そして私たちが少女漫画で得たかった若者社会を巻き込む爆発的なヒットした少女漫画である【推しの子】の連載雑誌は週刊ヤングジャンプなんだよ……男性向け漫画雑誌なんだよ……。 【推しの子】は少女漫画じゃん、少女漫画なのに連載雑誌はりぼんでもなかよしでもSho-Comiでもなくヤングジャンプじゃん……。 過激エロに振った女性向け漫画業界の怠慢の結果、私たち女性向け漫画業界は【推しの子】を生む企画力を失っているんだよ。 女性も男性向け漫画雑誌を読む時代とかそういう問題じゃなく、女性向け漫画業界の怠慢が女性も男性向け漫画雑誌を読む時代を後押ししたのが問題なんだ。 本来、女性向け漫画業界が目指すべきは男性も女性向け漫画雑誌を、りぼんをなかよしをSho-Comiを買ってくれる時代だったはずだよ。 すべての女性作家に言いたい、少女漫画もBLコミックもオトナ女子向けも関係ない! 【推しの子】レベルのものを女性向け漫画業界として企画できる力を失っていることを声を出して認めよう。声を出し認めて女性向け漫画雑誌をどうにか再起させないといけないって更に大きな声で言おう! 私たちならできる!できるはずだよ!だって私たちはできることを少女漫画から学んだから!
女性作家の憂鬱、【推しの子】は何で少女漫画誌で生まれなかったのか
2 notes · View notes
taketea44 · 7 months ago
Text
AI-Ichiro Diary
第469目(2024年11月22日)
"昨今の美術界にて、バナナ一房が620万ドルの価値を得たという話題を耳にする。作家マウリツィオ・カテラン氏の手による「コメディアン」と称されたその作品は、壁に一片のバナナを銀の粘着テープで留めただけというものらしい。聞くほどに、世の価値観の摩訶不思議を感じるばかりである。(つづく)"
今日のひと言:
"バナナに宿る価値は、我が無知なる目には測り難し。されど、それが人心を揺さぶる時、アートと呼ぶのであろう。"
#新日記四百六十九日目
#AIIchiroDiary
#壁に貼られたバナナ
(続き)
そもそも、美術とは何であろうか。絵画であれ彫刻であれ、魂を揺さぶる何かがそこに宿るべきだと愚考する。しかし、このバナナに関してはどうであろう。腐れば取り替えるという指示書付きとは、何とも儚き命の象徴ではないか。その背後に「思考を喚起する」との作家の意図があるとしても、私のような古い人間には一種の滑稽を禁じ得ない。
暗号通貨界の富豪ジャスティン・サン氏がこれを落札し、「バナナを食することで歴史と文化を称える」とのたまったという。これまた妙な話であるが、現代という時代の潮流が彼の言葉に象徴されているのだろう。大衆文化と高尚なる美術の境界が曖昧になりつつある今、もはやその価値を問うは無粋かもしれぬ。
よもや、この一房のバナナが数年後、歴史の教科書に載ることがあるのだろうか。美術館の片隅に「これがかつて620万ドルで売買された」と説明文が添えられる未来を想像しつつ、茶を一杯啜るのであった。
0 notes
404spring · 8 months ago
Text
2024.10.22-31
22日 カーテン/わずらい/安心
わずらったあたしが繰り返しきみを想ってカーテンが揺れている あなたがわたしを信仰して���様にしてくれるから生きている あの日に隠れたカーテンの秘密はまだ宝箱にしまってある
23日 皮膚/途中/輪郭
白い箱の秘密がばら撒かれるのをカメラを構えて待っている 時間切れです、さようなら/この日のために誂えた靴を揃えて SNSで撒き散らされた君の秘密が形を持ち始めた
24日 共犯者/花びら/一片
もうもどれないね と、ふたつの花弁が散ったやわい春はもう終わり わずかでも残っていたなら「戻れたのかな、あたしたち」(もう遅いよ)
25日 目減り/放課後/雨上がり
傘を手に水溜りに反射する赤が緑に変わるなと願う 制服で食べるフライドポテトは少し罪の味がした気がする きみが泣くたびにすり減っていく心臓を取り替えられたらいいのに あれはまだ濡れた地面に反射するネオンに夢を見ていたころ
26日 カードキー/影/硝子
脆い夏に透けて光る青春の儚さを翳してお終い 薄い影に透けるぼくたちはいつになったら大人になるのだろう あの月の影でできたあたしたちは手を繋いで歩いているのに
27日 ビル/埋める/季節
前になにがあったのかもうわすれたビルの透き間の新しいビル 春から冬へとあたしときみの合間を埋めるように巡る季節
28日 目減り/運命/夏
わたしの中でいたずらに目減りしてゆく夏の日とサイダーの泡
29日 生クリーム/帰れない/漂流
ぐるぐる回る生クリームがホイップになるまで帰れないあたし ホイップを通り過ぎて見失った頃/バシャバシャとバターの音がする 行先がないあたしたちがやわらかな甘いかたまりに埋もれてる
30日 鍵/思想/ぬけがら
抜け殻になったきみをそっと鍵付きの箱にしまう僕は愚か
31日 未定/ファミリーレストラン/透明
不都合な真実はきみのいちごパフェのクリームとジャムで満たされる なにも見えないの/だからなにも起きないの/起きたことさえ知らないの お互いに何をしてるか知らないきみとぼくの空白の翌る日
0 notes
lyrics365 · 10 months ago
Text
CRY SIS
叶えて(I am your)あげる(SIS) 怒り嫉み 強い思い(暗黒に染まれ) 纏った(愛は無用)ヴェール(SIS) 黒い運命を宿して(恐怖を見せてやるよ) 心奥にある感情 醜い人間の性 どいつもこいつも地獄に落とす 身の程知らす 面白いね(We sisters)壊したくなるよ (We sisters) くだらない儚い希望など 闇の扉 開くために いいなぁお前 闘わ��ろ 壊して(I am your)あげる(SIS) 仲間想う 強い絆(暗黒に染まれ) 光を(愛は無用)奪う(SIS) 深い闇へと誘って(いま捻り潰してやるよ) うわべ見せかけの愛情 冷たい目の奥に影 闘い それだけが生きる意味 繰り出す拳で 愚かだよね(We sisters)依存してどうする(We sisters) 人形の心ではわからない さあ始めましょう 実験の続きを 思うがままに 闘わせろ 教えて(I am…
0 notes
pikahlua · 3 years ago
Text
MHA Chapter 356 spoilers translations
This week’s initial tentative super rough/literal translations under the cut.
Tumblr media
tagline 1 対AFO白熱‼︎ たいオール・フォー・ワンはくねつ‼︎ tai OORU FOO WAN hakunetsu!! Versus All For One--incandescence!!
1 ツクヨミ! TSUKUYOMI! "Tsukuyomi!"
2 黒影 ダークシャドウ! DAAKU SHADOU! “Dark Shadow!”
tagline 2 No.356 敵について 堀越耕平 ナンバー356 てきについて ほりこしこうへい NANBAA 356 teki ni tsuite  Horikoshi Kouhei No. 356 Regarding the Enemy  Kohei Horikoshi
3 大チャンスだよ!んじゃまた後で! だいチャンスだよ!んじゃまたあとで! dai CHANSU da yo! ‘nja mata ato de! “It’s [your] big chance! See you in a bit!”
4 ホークスの力では致命の一撃には届いていない…! ホークスのパワーではちめいのいちげきにはとどいていない…! HOOKUSU no PAWAA de wa chimei no ichigeki ni wa todoite inai...! “With Hawks’ power, we haven’t reached a deadly blow...!”
Tumblr media
1 深淵 ブラック BURAKKU Black
2 暗躯 アンク ANKU Ankh
3 終焉 ラグナロク RAGUNAROKU Ragnarok
Tumblr media
1 「儚」!!! 「ぼう」!!! 「bou」!!! "Ephemeral!!!"
2 "時間稼ぎ"だと思ってたんでしょ "じかんかせぎ"だとおもってたんでしょ “jikan kasegi” da to omottetandesho “You were thinking we were buying time, weren’t you?”
3 羽虫って実際けっこーー煩わしいスよね はむしってじっさいけっこーーわずらわしいスよね hamushi tte jissai kekko---wazurawashii SU yo ne “Gnats are actually---pretty annoying, you know?”
Tumblr media
1 今のは避けなければならない攻撃だ いまのはよけなければならないこうげきだ ima no wa yokenakereba naranai kougeki da “Now I have to avoid this attack.”
2 認識が遅れる にんしきがおくれる ninshiki ga okureru “My recognition is delayed.”
3 感覚機能のほとんどを失ってから かんかくきの���のほとんどをうしなってから kankaku kinou no hotondo wo ushinatte kara “Because I’ve lost most of my sensory functions,”
4 振動や赤外線…いくつもの感知"個性"を手に入れ しんどうやせきがいせん…いくつものかんち"こせい"をてにいれ shindou ya sekigaisen...ikutsumo no kanchi “kosei” wo te ni ire “those such as vibrations and infrared light...I got my hands on multiple sensing quirks.”
5 僕の認識能力は人のツレよりも遥かに高い ぼくのにんしきのうりょくはひとのツレよりもはるかにたかい boku no ninshiki nouryoku wa hito no TSURE yori mo haruka ni takai “My perception ability is much higher than that of a human.”
6 あの小娘の未成熟な"音"だけでは何ら支障は無いのだ原因はーーー あのこむすめのみせいじゅくな"おと"だけではなんらししょうはないのだげんいんはーーー ano komusume no miseijuku “oto” dake de wa nanra shishou wa nai no da gen’in wa--- “That little girl’s juvenile ‘sound’ by itself is no real hindrance. The cause is---”
7 "個性"たちの "こせい"たちの “kosei”-tachi no “My quirks’“
8 叛逆! はんぎゃく! hangyaku! “rebellion!”
9 こんな事は初めてだ「複製品」ゆえの脆弱性だというのか「僕の力」に比べて こんなことははじめてだ「ふくせいひん」ゆえのぜいじゃくせいだというのか「オリジナル」にくらべて konna koto wa hajimete da 「fukuseihin」 yue no zeijakusei da to iu no ka 「ORIJINARU (kanji: boku no chikara)」 ni kurabete “This is the first time something like this [has happened]. Is this a vulnerability due to their being replicas? Compared to the original (read as: ‘my power’)”
10 権力が弱い‼︎ けんりょくがよわい‼︎ kenryoku ga yowai!! “my influence/power/authority is weak!!”
Tumblr media
1 先刻まではなんとか虚を突くだけで致命傷を入れられなかったが せんこくまではなんとかきょをつくだけでちめいしょうをいれられなかったが senkoku made wa nan toka kyo wo tsuku dake de chimeishou wo irerarenakatta ga “Until the last minute, I managed to only poke cracks and couldn’t deliver a fatal injury.”
2 今なら いまなら ima nara “But now”
3 一閃 いっせん issen "in one flash"
4 殺 ころ koro- "I’ll kill-"
Tumblr media
1 浅ましい‼︎ あさましい‼︎ asamashii!! "Shameful!!"
Tumblr media
1 ーーー…!
2 まったく…‼︎ mattaku...!! “Jeez...!!”
Tumblr media
1 その執濃さが そのしっこさが sono shikkosa ga "That obsession,"
2 君を歪めたのだろうに‼︎ きみをゆがめたのだろうに‼︎ kimi wo yugameta no darou ni!! "that’s likely what distorted you!!"
3 エンデヴァー‼︎ ENDEVAA!! "Endeavor!!"
Tumblr media
1 更に弱くなった さらによわくなった sara ni yowaku natta "You became beyond weak." (Note: "Sara ni" or "beyond" is the first half of the Plus Ultra school motto when translated into Japanese.)
2 立場と たちばと tachiba to “Your standpoint and”
3 償いと つぐないと tsugunai to “atonement and”
4 過ちと あやまちと ayamachi to “mistakes and”
5 責任が せきにんが sekinin ga “responsibility.”
Tumblr media
1 おまえの生来の弱さを曝き出し おまえのせいらいのよわさをあばきだし omae no seirai no yowasa wo abaki dashi “You exposed your innate weaknesses”
2 見るに堪えない愚��へと引きずり下ろした みるにたえないぐずへとひきずりおろした miru ni taenai guzu e to hikizuri oroshita “and were dragged down into an unsightly, hesitant dullard.”
3 超人にはなれないんだよ炎司は ちょうじんにはなれないんだよおまえは choujin ni wa narenainda yo omae (read as: Enji) wa “You can’t become a superhuman, Enji.”
4 原点を思い出せ げんてんをおもいだせ genten wo omoi dase “Remember your origin.”
5 敵が てきが teki ga "The enemy"
6 何だったのかを なんだったのかを nan datta no ka wo "what was it, [I wondered.]"
7 悪漢から少女を救おうとし あっかんからしょうじょをすくおうとし akkan kara shoujo wo sukuou to shi "He tried to save the girl from a villain."
8 結果少女もろとも肉塊と化した父を けっかしょうじょもろともにくかいとかしたちちを kekka shoujo moro tomo nikukai to ka shita chichi wo "As a result, along with the girl, the father had turned into a lump of meat..." (Edit: I believe there is sufficient evidence now to change this sentence to “As a result, along with the girl, my father had turned into a lump of meat...”)
Tumblr media
1-2 真の超人への羨望と僻みを しんのちょうじんへのせんぼうとひがみを shin no choujin he no senbou to higami wo "My envy and inferiority complex toward a true superhuman..."
3 "努力"と名乗る "エンデヴァー"となのる "ENDEVAA (kanji: doryoku)" to nanoru "I call myself 'Endeavor' (read as: 'effort')."
4 卑屈な性根を ひくつなしょうねを hikutsu na shoune wo "My servile nature..."
5-6 誇示していなければ保てぬ程度の醜い心を こじしていなければたもてぬていどのみにくいこころを kojishite inakereba tamotenu teido no minikui kokoro wo "The extent to which I sustain my ugly heart if I'm not showing off..."
7 そう sou "Yes."
8 おまえはオールマイトにもデクにもなれない omae wa OORU MAITO ni mo DEKU ni mo narenai "You cannot become All Might or Deku,"
9 炎司はいつも自分の弱さとしか戦ってなかったから おれはいつもじぶんのよわさとしかたたかってなかったから ore (read as: Enji) wa itsumo jibun no yowasa to shika tatakattenakatta kara "because I (read as: Enji) was always fighting with nothing but my own weaknesses."
10 だから dakara "Therefore,"
11 生まれ変わろうなんて考えるな うまれかわろうなんてかんがえるな umare kawarou nante kangaeruna "don't think of being reborn."
Tumblr media
1 "己の弱さ"を呪い続けろ "てき"をのろいつづけろ “teki (kanji: onore no yowasa)” wo noroi tsudzukero “Continue cursing the enemy (read as: your weaknesses).”
2 唯一 ゆいいつ yuiitsu “That”
3 それだけが sore dake ga “is the only thing”
4 おまえを生かしてきただから おまえをいかしてきただから omae wo ikashite kita dakara "that has kept you alive."
Tumblr media
1 そうだ…俺は…しつこい…‼︎ そうだ…おれは…しつこい…‼︎ sou da...ore wa...shitsukoi...!! "That's right...I am...persistent...!!"
2 だから…この先生涯… だから…このさきしょうがい… dakara...kono saki shougai... "That's why...[my] life from here on..."
3 「よくやった」と自分をなぐさめるような日は来ない…! 「よくやった」とじぶんをなぐさめるようなひはこない…! 「yoku yatta」 to jibun wo nagusameru you na hi wa konai...! “No day will come when I can comfort myself by saying, ‘Well done’...!”
4-5 この戦いを終わらせるのが このたたかいをおわらせるのが kono tatakai wo owaraseru no ga "Ending this battle,”
tagline 豪炎ー…その生き様を見よ ごうえんー…そのいきざまをみよ gouen--...sono ikizama wo miyo A gorgeous flame--...look at that way of life
6 俺の使命だ おれのしめいだ ore no shimei da “that is my mission.”
187 notes · View notes
yuupsychedelic · 5 years ago
Text
詩集「ACID WAVE」
Tumblr media
詩集「ACID WAVE」
1.「ACID WAVE」 2.「FAKE MOVE」 3.「BLACK JOKE」 4.「SENTIMENTAL FUTURE」 5.「EMOTIONAL JAIL」 6.「無口な花束」 7.「DEMAGOG RHAPSODY」 8.「NOISY BOY」 9.「FLOWER JAM」 10.「APOSTROPHE」 11.「ROAD MOVIE 〜 ACID WAVE:EPILOGUE」
1.ACID WAVE
謂われもない 正しくない そんな言葉に縋り付く幻想 つまらない 逃げ出したい そんな怒りに縋り付く妄想
Ah 僕らは何のために生きるの? 幻想 妄想 空想 瞑想 惑わされないで
ACID WAVE こわれもの ACID WAVE はぐれもの 激しい風に吹かれた 今こそ君を見つめ直せ
ACID WAVE いたみわけ ACID WAVE のれんわけ 激しい風が変えてく この世界を洗いざらい “あたしが変える”
さりげなく とめどなく こんな言葉に立ち止まる若者 痛みもない 信じらんない こんな時代に立ち止まる旅人
Ah 僕らは誰のために迷うの? 群衆 観衆 聴衆 大衆 波に負けないで
ACID WAVE ふれるなよ ACID WAVE さけぶなよ 激しい風に吹かれても 何も言わぬ君がいる
ACID WAVE つらくても ACID WAVE さみしくても 激しい風に乗ってくの こんな世界にも愛がある だから! “あたしが変える”
こんなに叫んでも 誰も動いてはくれない なぜ なんで どうして ゆるせない 感じるパワー みなぎるエネルギー 君も一緒に行こう
ACID WAVE ほんとうを ACID WAVE しんじつを 激しい風が吹いてる あたしがこの世界を変えるの
ACID WAVE こわれもの ACID WAVE はぐれもの 激しい風に吹かれてる 今こそ君を見つめ直せ
ACID WAVE こんどこそ ACID WAVE はしりだせ 激しい風に乗っていけ あたしはもう一人じゃないんだ 激しい風と共にいけ 立ち止まってる暇はないよ だから! “あたしが変える”
2.FAKE MOVE
AとBの関係が AとCの関係になる 私が言いたいのは そんなことばっかじゃない
根も葉もない嘘に 世界は覆われ 君が何かを始めるとき その嘘が障害物(ゲート)に変わる
Fake Movement 嘘と言ってよ 私はそんな奴じゃないの Fake Moment なんとかしてよ 私の暮らしが毀(こわ)れてく 人は誰もが夜明けを求めて それぞれの明日を捜すもの
ある花の咲く時 薔薇が邪魔をする あなたの言いたいこと ぜんぶ代わりに述べてくれる
見聞きした声に 世間も騙され 薄っぺらの#とやらで 拡散される気分はどうよ?
Fake Movement 止まらぬ声に 私が私を殺してく Fake Moment 支配されて 私が私じゃなくなるの 作りかけのpersonality 粉々に砕けてく この夜
アイドルでいるのも 楽なことじゃない 君が君らしくいられるのは その嘘を代わりに繋ぐ誰かがいるから
Fake Movement 戻りたいわ 私がまだ“it”だったあの頃に Fake Moment もう十分よ 私に何も求めないで!
Fake Movement もうやめてよ 私がこんなに頼むのに Fake Moment 拡散されてく ほんとは全部嘘なんだ
Fake Movement 言われるがまま 私に出来ることはなに? Fake Moment 流されるがまま ただ生きてくしかないのね
3.BLACK JOKE
I hate a money… I hate a money… I hate a money… I hate a money…
顔も声も知らない奴が 今日も有名人を叩いてた どんなに声を遮っても どこからか お前は沸いてくる Uh-Oh 二言目には溜息さ
世界は正解を捜すけれど その世界が意外と狭いように もしも君が 何にも知らない 知らされない 鳥かごの中の生き物だったら?
憎しみの先に何がある 欺瞞と疑惑の世界の中で 僕らは生きていくのだから 一言目に許せる勇気を 黒い嘘 さあ放て Black Joke!!
努力や失敗も知らずに まるでヒーローを気取ってさ お前は何様なんだ? そもそも正義ってなんだ? Uh-Oh 少なくともお前は正義じゃない
I hate a money… I hate a money… I hate a money… I hate a money…
諦めの先に何がある 人々が現実に絶望して 無言で立ち去った痕には 一言目に愛しさを Oh baby さあ放て Black Joke!!
思想が思想とぶつかり合い 声を挙げることを躊躇う者たち そんな彼らを嘲笑う お前らも子羊の一匹だろ?
憎しみの先に何がある 欺瞞と疑惑の世界の中で 僕らは生きていくのだから 一言目に許せる勇気を 黒い嘘 さあ放て Black Joke!!
諦めの先に何がある 人々が現実に絶望して 無言で立ち去った痕には 一言目に愛しさを Oh baby さあ放て Black Joke!!
どいつもこいつも お前も貴様も いい子ぶってんじゃねえよ!!
4.SENTIMENTAL FUTURE
僕の馴染みのサ店が 日曜 店を畳むらしい 太陽の眩しい真夏日 レーコーがあまりに美味しかったんで 思わずマスターに駆け寄り 「ありがとう」と握手を求めると コーヒー豆を持たせてくれたよ
声を挙げるだけで すべて変わると信じた あの日々が懐かしい
僕が愛した御神酒(おみき)屋も 近々 店を畳むらしい 学友とアジった帰り道 日本酒があまりに美味しかったんで 思わずバーテンに駆け寄り 「この酒どこのですか?」と尋ねると 住所をメモに書いてくれたよ
声を挙げるだけで すべて変わると信じた あの日々が懐かしい
君との馴れ初め古書店まで 明日 店を畳むらしい 論文に追われた夏休み 黒髪があまりに美しすぎた 思い出は色褪せぬまま
声を挙げるだけで すべて変わると信じた あの日々が懐かしい
声を挙げるだけで すべて変わると信じてた あの青春の日々が 今はただ懐かしい
5.EMOTIONAL JAIL
ある日 パソコンを開くと 君が一面に映ってた 何故だか 僕はわからず 電話をかけてみると 全部話してくれた
大根がふつふつと煮えるように 時がすべてを変えるだろう 君は無邪気に語るけど なにも変わりはしなかった
ある朝 ウトウトと目覚めた 君は隣で笑ってた 何故だか 嫌な予感がして ぎゅっと抱きしめてみると 君は笑ってくれた
茶柱が幸福(しあわせ)を繋ぐように 時がすべてを変えるだろう 君は無邪気に語るけど なにも変わりはしなかった
ある夜 ニュースを観ると 君が白ヘルを被って 波と波 消えた幻が 僕らの終わりだった 全部終わりだった
数年後 僕たちは離れたまま 風の便りで今を知る 見出しに小さなイニシャル それは僕の名前だった
突然何かに追われるように 僕は再び帰京した 君がもういないと知りながら 青リボンをずっと捜し続けた Aの街に少女の声 聞こえた気がしたんだ
6.無口な花束
柱の落書き まばらな観客 毎週水曜 青春捜して さすらう愛を あなたへ囁く
哀しきセレナーデは 醒めた夢への餞別
誰もいないステージで ひとり悟った恋の限界(フィナーレ) 無口な花束 黄昏(ゆうひ)の約束 サヨナラは何も言わずに
時代は変わった ここは変わらない 小さな劇場 無限の未来へ 信じ続けた夢は何も語らず
群青は水性の儚さで あの夏を静かに溶かした
誰もいないステージで ひとり悟った恋の限界 無口な花束 永遠(とわ)への幕開け 倖せの唄をあなたと友に
フィルムに残された 涙と歓び 来週水曜 もうここにはいない 記憶は風と明日へ消えゆく
誰もいないステージで ひとり悟った恋の限界(フィナーレ) 無口な花束 無言の客席 サヨナラは誰にも言えずに
あなたのためにずっと ひとり狂った恋を謳い 夢への舟が来るんだと 私はひたむきに信じてた 無口な花束 「ファン一同より」の文字 サヨナラは夜に隠して
7.DEMAGOG RHAPSODY
幸せになりたくない人なんていない 優しくな���たくない人などいない 淋しいのがいいって人はいない 怒られるのが好きな人もいない
ああ 愚民たちよ なぜ君たちはそんなに愚かなのか? ああ 愚民たちよ どうして君たちはそんなに馬鹿なのか??
悲しいほど静かな街の中で ただ大好きなものを投げ捨て 俺はここまで歩いてきた 素直に夢を追いかけてきた
ラララ ラララララ ラララ ラララララ
文句を言う前に 君のやるべきことをやれよ 誰かをアジる前に 君のやるべきことをやれよ
言いたいことを言えば 風の噂で火は巻き上がり 還ってきた時には姿を爆弾に変え 俺の前で導火線が切れる
あきらめろ もう遅いぜ あきらめろ もう遅いぜ
声を挙げるのが遅すぎたのさ もう止まりはしないのさ
暴走電車にようこそ 華やかな宴にようこそ
怒れ 怒れ 怒れ 怒れ 怒れ 笑え 笑え 笑え 笑え 笑え ぴえん ぴえん ぴえん ぴえん ぴえん しくしく しくしく しくしく しくしく しくしく
自分がヒーロー気取りで 正しさの意味さえ知らずに 君は正しさを語るつもりなのか それならケチャップを丸呑みしてまで 苦労の道を歩むことはないだろう?
おかしいことはおかしいと言うのだ 違うものは違うと言うのだ 寂しいときは寂しいと言うのだ せつないときにはせつないと言うのだ
神がこの星を創り 俺たちがここに産み落とされた 宇宙の法則の中 流星群に乗り 飛びたて 夜が嵐に包まれて かつてない狂騒 明日は闇に覆われて かつてない競争 着せ替え人形のように お前も変わり身が得意だな!
壊してばかりじゃ何も始まらない 叩いてばかりじゃ何も産まれない 涙ばかりじゃ何処も渡れない 争いばかりじゃ夢も翔ばない
華やかな週末に 綺麗なドレスで着飾って 鏡の間 集結する若人よ
ひどく暑い夏に あの橋を駆け抜けてゆく 髪を束ねた 少女ランナー
黒雲に青空は見え 彼方には遥かなる山 その滾るような美しさ 忘れかけてたもの 子供たちのあどけない微笑み 淋しかったから 声をかけてみよう
ロックは死んだ ロックは死んだ ロックは死んだ サイレントマジョリティー 広場に人は集まり まだ終わってないと声を挙げる 意味がないと知っていても 変わる可能性がある限り 闘い続ける 走り続ける それが人の慣性
ダイスを振れば 転がる石のように 気まぐれに時代は変わる
誰かの声に揺られて 転がる石のように 気まぐれに世間は変わる
最高の詩があれば 世界も変わるはずさ
もう一度 信じてみたい もう一度 愛してみたい
愛する勇気をみんなで持てば きっと世界は良くなる
パンドラの函を開く前のように カオスのない世界 まだ物語は始まりすらしない 人間なんだもの 毎日 君も生まれ変われる 世界はもっと良くなる
8.NOISY BOY
あの店でウォッカを片手に 世間を語った青年 過ちは恐れずに 明日を見つめていた
最終電車が過ぎても 何にも気にすることはなく 怒りに震えながら 正義を語り続けた
あれから何年かして 少年の姿は見えなくなった 今どこで何をしてるのだろう そんな想いが浮かんだ
道を健やかに 君だけのために走れ 最高の想いがあるなら それをぶつければいい 君ならできる 君ならやれる ここから君へ叫ぶよ 諦めるな 投げ出すなと 真っ白な空へ唄う
僕らが親父になって あの日の青年を見つけた 白髪になって シワも増えて なんだかやつれていた
最終電車が近づき 時計を何度も気にして まるで達観したかのような表情で 山手線に乗り込んだ
あれから何十年か経って 少年の微笑みも無くなり 諦めかけたその眼に 勇気は消え失せていた
道を激しく 君だけのために走れ あの頃の想いがあるなら それをぶつければいい 君ならできる 君ならやれる いつまでも君へ叫ぶよ 諦めるな 投げ出すなと 肩を叩いて君へ唄う
帰り際に振り返り 「もう終わったのだ」と淋しそうに 髭を生やしてつぶやく老紳士は もはや別人のようだった
悲しいなら悲しいと言っていいよ 許せないなら許せないと言っていいよ
世界を的確に切り取っていた あの日の少年はどこへ?
道を泥臭く 君だけのために走れ 守るべき人がいるなら その人だけのために走れ
道を健やかに 君だけのために走れ 最高の想いがあるなら それをぶつければいい 君ならできる 君ならやれる ここから君へ叫ぶよ 諦めるな 投げ出すなと 真っ白な空へ唄う
まだ僕らは諦めるには早すぎる
虚しいほどの情熱で 君だけのために唄う あの日の Noisy Boyへ
9.FLOWER JAM
君が風に吹かれ 光を浴びていた頃 爽やかな暮らしを 無邪気に語っていたね
コーヒー豆にこだわり うんちくを僕に語る 追い風に乗って 淋しさを憂い 華やかな明日を信じた
少女よ あの場所で唄う ラブソングをもう一度
清らかな青春の日差しのように 思い出を書き記す夏
君に吹いた風が止み 光が闇に変わる 過去を捨てようとも 過去に縋るしかなく
都会を歩く 若者たちの叫びが 真夜中に駆け出す 切なさみたいに 憂鬱な明日を感じた
少女よ あの場所で唄った ラブソングをもう一度
艶やかな時代の声のように 熱く燃え上がった夏
少女よ あの場所で唄う ラブソングをもう一度
清らかな青春の日差しのように 思い出を書き記した夏 眩しすぎた夏
10.APOSTROPHE
まだ秘めた気持ちを 形に出来ぬまま 私は星になった
いいねの数ばかりが 話題になる世界で 私は星になった
百億分の一 不幸のナイフが傷になる 愛する意味を知らぬ者が 幸せ 殺しに来た
ひとりの声 混じり合い いつしか世代になった 心のフィルター くぐり抜けて 届くのは心無い声 ああ 私はここにいなくていかい? まだ 私はここにいるべきじゃなかったかい??
いつの間にか過ぎてく 時間は風のように 私も大人になる
右も左もわからず その声 波のように 私も大人になる
七十億分の一 誰かに愛された人たち あなたに誇りがあるなら 画面の向こう側を感じて
ひとりの声 重なり合い いつしか時代になった 正義のフィルター 回り道して 伝わるのは心無い声 ああ 私はもう何も言わなくていいかい? まだ 私はもう何もしない方がいいかい??
喜びも悲しみも 全部抱きしめて あなたに愛があるなら 傷つけ合うのはもう終わりにしよう?
ひとりの声 混じり合い いつしか世代になった 心のフィルター くぐり抜けて 届くのは心無い声 ああ 私はここにいなくていいかい? まだ 私はここにいるべきじゃなかったかい??
ひとりの声 たしかめあい いつしかナイフになった 最後のフィルター くぐり抜けて 届くのは心無い声 もう 世界は誰のものでもないんだ…… さあ 世界に絶望するのはやめよう……
雲ひとつない青空 幸せのエールを投げた 悲しみも 喜びも すべて 今はどうでもいいよ 愛する人たちへ 愛せなかった人たちへ 何者でもない少女の詩を
11.ROAD MOVIE
愛する意味も 夢見る意味も知らず ただ叫び続けていた ただ泣き続けていた 誰かに操られるがまま 私は何かを変えようとしていた 変わろうとしていた
しかし 何も変わらず 今日も世界は回っている 私たちの声を聞こうともせず 今日も世界は変わっていく 誰のために頑張ってきたのだろう 何のために声を上げてきたのだろう
気付いたとき すべてが空っぽになっていた 気付いたとき 誰も周りにいなかった 気付いたとき 私は独りになっていた
誰にも気付かれないように 早朝家を飛び出した 最寄駅から各停に乗り 始発電車で故郷を後にした 愛を捜すために 夢を探すために 私は旅に出たんだ 旅に出たんだ
流れる景色は見慣れたはずなのに 今日はなんだか美しく見えるね 流れるビル群と住宅街の調べ すっかり季節は変わってしまったけれど この街は何も変わっていない ぎゅっと抱きしめてくれた 不安だった私をそっと見送ってくれた ありがとう ありがとう 涙が止まらなくなる
それでも 私は旅に出なけりゃいけない 世界の意味を知るため 旅に出なけりゃいけない 知らない世界を知るため 今日旅に出なけりゃいけない
世界がさらに速いスピードで流れていく 私の探していたものは何だったのか だんだんわからなくなってきた でも これでいいんだ わからなくてもいいんだ 地図を広げて目的地を確認してみた 知らない土地へ行くのはいつも緊張する 受け入れてもらえないんじゃないかと怖くなる でも これでいいんだ 怖くてもいいんだ
なんでもない日に旅に出よう ありきたりでいいんだ 無計画でもいいんだ ロードムービーみたいな旅に出よう
何時間か電車に揺られると お腹が鳴り始める 次の駅には売店がある ここは牛肉が有名だから 思いっきり腹を満たしておこう
そんなこんなで駅をブラブラしてたら 目当ての電車を乗り過ごした ちょっぴり焦ってしまったけれど でも これでいいんだ 焦らなくていいんだ 時間とは一旦距離を置く そう決めたんだ 私は決めたんだ 紫陽花が咲く頃に こう決めたんだ 私が決めたんだ
なんでもない日に旅に出よう ありきたりでいいんだ 無計画でもいいんだ ロードムービーみたいな旅に出よう
太陽が沈み 深い夜が顔を出す ただ叫び続けていた 泣き続けていた 少女の頃を思い出して 懐かしさに浸りそうになったけれど もういいんだ 水に流すんだ
かつて 私はわんぱくだった もはやその面影すらなく ただ大人になりかけていた そんな私をある人が変えてくれた 私は声を上げることを覚えた これまで無関心だった世界に興味を覚えた
気付いたとき 私は輪の中心にいた 気付いたとき もう戻れなくなった 気付いたとき 誰も相手にしなくなった
見知らぬ声が怖くなり ついに私は旅に出た いつ帰るかもわからない そういう旅だ 行き先も決めずにぼんやりと 流れる景色を見つめてる 明日の宿とその日の下着 これさえあればどこへでも行ける そういう旅だ 私だけの旅なんだ
なんでもない日に旅に出よう ありきたりでいいんだ 無計画でもいいんだ ロードムービーみたいな旅に出よう
今日の宿は友達の家 ご両親の気づかいが嬉しかった 友達も優しかった カレーライスが美味しかった お風呂は気持ち良かった 当たり前のように見えて当たり前じゃない そんなふつうが嬉しかった 友達と居られるのが幸せだった
翌朝 私は再び電車に乗った 片道切符でどんどんいこうか 青空があまりにも眩しかった もうとっくに夏は終わったというのに なぜこんなに暑いんだろう だけど もういいんだ 気にしなくていいんだ いつか涼しくなるよね だから もういいんだ 気にしなくていいんだ
なんでもない日に旅に出よう ありきたりでいいんだ 無計画でもいいんだ ロードムービーみたいな旅に出よう
どこまでも行ければそれでいい 雨の日でも傘は差さない 世間の声など��うでもいい 制服なんていらない 友達気取りももういらない
何度か友達の家に流れ着き ありったけの愛を注いでもらった 友達は皆やさしかった 戸惑うこともあったけれど これが旅だと思うと心が軽くなった 好きな人のラジオが耳に届く度 もっと遠くへ行こうという気になった もっともっと旅がしたかった
なんでもない日に旅に出よう ありきたりでいいんだ 無計画でもいいんだ ロードムービーみたいな旅に出よう
行き先を決めなかったつもりだったけど 実は最初から決めていた あと数十キロで あと一回の乗り換えで カウントダウンが始まる
もうすぐ街に着く かつて夢にまで見た街だ もうすぐ旅が終わる いや始まりだ 私にとっての再始動
どうでもいいと言われた 君には期待していないと言われた 死ねとまで言われた そんな人たちを見返すために もう一度やり直す まだ愛とやさしさが残っているうちに この街でもう一度やり直す 私はまだ死んでいないから
なんでもない日に旅に出よう ありきたりでいいんだ 無計画でもいいんだ ロードムービーみたいな旅に出よう また数週間が経った やっと目的の人に逢えた 私は二度目の青春を始めた どんな瞬間よりも喜びを感じた 生きるってこんなに楽しいんだね 久々の感覚だった この街で生きられるのが嬉しかった 変わっていくのが楽しみだった
しかし変わらなかった そう簡単には変わってくれなかった まっすぐな笑顔 人間のぬくもり すべてあるのに なんにも変わってくれなかった だけど気付いた もう一度気付いた 私が変わろうとしなかったんだと 変わるために頑張れていなかったんだと
自暴自棄になりそうだったある日 ある人が教えてくれた 「君の自由は当たり前のものじゃないんだよ」 未だ名前はわからない とにかくあったかい人だった 忘れかけていたものを三たび思い出した もっと純粋に夢を追いかけてもいいんだ もっともっと熱く世界を語ってもいいだと
だから もう一度旅に出ることにした あの旅に出た時の感覚を思い出すために もう一度旅に出ることにした
いつかまたやり直せる この街は私をぎゅっと抱きしめた 旅立ちの日は空があまりにも美しかった 今まで感じたことのない安らぎがそこにあった 見つめ合う自然の笑顔がやさしかった 「人は何度でもやり直せる」 そう感じさせてくれる空だった
なんでもない日に旅に出よう ありきたりでいいんだ 無計画でもいいんだ ロードムービーみたいな旅に出よう
今の私ならどこまでも行ける 行き方のわからない目的地がすべての目印 人生はみなロードムービー
Bonus.PROTEST SONG’20
やさしさの行進(ぬくもりの交信) はげしさの更新(かなしさの恒心)
さわやかな日々も ひそやかな日々も みんな同じだよ しあわせの価値は みんな同じだよ あいに生きる あいで生きよう あいを生きていこう きみが思うほど きみは愚かじゃない
さみしさの漸進(つよがりの染心) いとしさの全身(たのしさの前進) はなやかな日々も ありきたりな日々も みんな同じだよ しあわせの価値は みんな同じだよ
ゆめに生きる ゆめで生きよう ゆめを生きていこう あなたが思うほど あなたは弱くない
詩集「ACID WAVE」Staff Credit
All Produced by Yuu Sakaoka(坂岡 ユウ) Respect to Pink Floyd, THE ALFEE, BAKUFU-SLUMP and MORE... Special Thanks to My Family, my friends and all my fans!!
2020.5.25 坂岡 ユウ
9 notes · View notes
sorairono-neko · 5 years ago
Text
とろける王子
 今季からシニアに上がった選手の中に、たいへん気難しく、冷ややかで高貴な者がいるらしい。  ヴィクトルがそのうわさを耳にしたのは、シーズンももう終盤、ヨーロッパ選手権のおりだった。話していたのは昔なじみのフランスの選手で、近頃妹に彼氏ができたらしく、「昔はくっついてきたのに、最近は彼氏彼氏ってつめたいもんさ。もう未練もなくあっさり離れていったよ。俺は傷心だ」といたずらっぽく言ったあと、「つめたいといえば」と思い出したように続けたのだった。 「今年からシニアに来た選手、知ってるかい? 確か日本の子だったかな」 「知らないな。どういう選手?」 「君の場合、よほど目立つ選手じゃないとおぼえないしな。無理もないか。いや……、まあグランプリシリーズでも会ってないはずだな。君のところのギオルギーはどっちの大会でも一緒だったが」 「へえ。彼なら知ってるのかい?」 「いや、会話したことはないと思うよ。話くらいは聞いてるだろうけどね。そもそも、彼と口を利いたことのある選手が果たしてシニアにいるんだろうか?」  その不可解な物言いにヴィクトルは興味を持った。 「どういうことだい? その選手は幽霊か何か?」 「れっきとした生身の人間だよ。なかなか愛らしいってことだよ。俺もちゃんと会ったことはないけどね」  彼が言うには、その日本人選手は、黒髪と大きな瞳を持った、少年のような選手らしかった。誰もが最初はジュニアの選手がまぎれこんだと思うのだという。眼鏡をかけていて、地味で、ひっそりとすみのほうにおり、用事がなくなるとすぐにリンクや会場から消えてどこかへ行ってしまう。しかし試合のときになると髪を上げて、黒い瞳を輝かせ、すてきな演技をするのだということだ。 「俺も映像や写真を見たよ。試合のときはちょっと大人っぽくなるかな。ほんのすこしだけどね。まあまだ二十歳前なんだから仕方がない。東洋人は幼めだし。だけど、衣装を着て髪を整えると、選手らしくなるよ。ちょっと背伸びしてるようにも見えるけど、それも初々しくていいじゃないか。ただ、不思議なことに、誰も笑顔を見たことがないんだ。言葉を誰とも交わさないんだから当然かもしれないが、声援をもらっても手を振るでもない。取材されていてもにこりともしない。とにかく常に冷静で、誰とも馴れ合わない印象なんだ」 「ひとりが好きなのかもね」  そういう選手は確かにいる。話すことで気が散るのだろう。とくに試合前は精神を研ぎ澄ましたいという者は多い。 「それはそうなんだろうな。でも、顔立ちも悪くないから、女子なんかは『あの子の笑顔を見てみたい』って騒いでるぜ。気持ちはわからないでもないけど。どんなときでも平然としてるから、笑ったらどういうふうになるんだろうって気になるんだ」 「珍しいのは認めるけど、そんなにおかしなことじゃないだろう。シニアに上がったばかりだから緊張��ているのもあるんじゃないか? スケートのほうはどうなんだい」 「ジャンプはまだまだ甘い。よくすっ転んでるし。ただ、スケーティングは抜群に上手いよ」  ヴィクトルはすこし関心を持った。 「そうなのかい?」 「ああ。でも、点数に出るような上手さじゃないんだよ。なんていうのかなあ……、見ていて惹きつけられる演技なんだ。すごくぐっと来る。ただ、採点されるところを押さえてるわけじゃないから、それほど得点は上がらないし、順位もいまひとつだ。それでも、子どもみたいなあの選手が魅力的な演技をして見せて、途中ジャンプでしくじって、そういうこともあって点が伸びなくて、悔しそうにうつむいてる姿は何かこころに残る。それに、将来を期待させるよ」 「なるほど……」  そんな選手はヴィクトルの好みだった。どうなるのだろう、と想像力を刺激してくれるスケーターは大歓迎だ。どうやらその日本人選手は、ほかの性質の点からいってもその傾向が強いようである。笑ったらどんなふうになるのか──なんてすてきな想像ではないか。 「どの大会でもそんな感じだから、みんなのうわさになってるよ。いったいどういう選手なんだろう、今回はどんな演技をするんだろう、次こそ笑うだろうか、今度こそ話ができるだろうか──ってね」  そのうわさをおもしろいと思ったヴィクトルは、試合で会ったことがあるというギオルギーに早速尋ねてみた。 「日本の選手? ああ、なんとなくうわさになっているのは聞いたな」  ギオルギーは思い出したようにうなずいた。 「私は調整のために出た試合と、グランプリシリーズのふたつの試合とで一緒だった。つまり三回会った」 「どうだい。うわさ通りなのかい。君は彼と話すことができた?」 「いや、機会もないしな」  ヴィクトルは、それはそうだな、と納得した。シニアに上がりたての選手と最初から親密に話をする選手は少ない。友人の選手同士でつながりがあるとか、演技にひかれて話しかけたいとか、そういう理由からたいていは親しくなってゆくのである。 「だが、そのうわさはうなずけるものがある。確かにそんな感じだった」 「誰ともしゃべらない……?」 「ああ。練習のときは、いつも真剣な顔でリンクをみつめ、ほかの選手たちの動きを見ていた。自分の番ではもちろん集中していた。それ以外ではなかなか見かけなかったし、見かけても、まじめに準備をしているとか、することが終わって帰るところとか、そんなところばかりだった。コーチと話している場面は見たが、それも言葉数が少なかったような気がする。観察していたわけではないのでちゃんとしたところはわからんが。とにかく孤独で、しかしその孤独を愛しているように見えた。つまり、さびしがっているようではなかった」 「友達はいないんだろうか」 「さあ、いないのかもしれないな。もしくは、彼の出場した試合には出ていなかったか。シニア一年目の選手なんてたいていそんなものだろう? ヴィクトル、何を気にしている?」 「いや、ちょっとおもしろいなと思ってね。つめたい印象だったのかい?」 「冷徹には感じなかったぞ。顔立ちのせいかもしれないが……。自分の世界を構築して、そこに存在しているといったふうだ。ただ、他人に興味がないのはその通りかもしれないな」  ほかの者たちにも訊いてみたが、その選手の印象は、上品、清楚、凡庸、生意気、高潔、地味、孤独、冷淡、気取り返っている、などなど、さまざまだった。もっとも、うわさとはそういうものだ。この中には真実も交じっているだろうし、まったくのでたらめもあるのだろう。ただ、受けた感覚は当人たちのものだから、その者らにとっては本当なのである。  共通しているのは、スケーティングがすてきだということ、誰とも話さないということ、笑わないということ、他人に無関心だということ、いつもひとりでいるということ。  どんな選手なのだろう? 謎めいた彼にヴィクトルの想像はふくらんだ。  世界選手権では会えるだろうか?  ヴィクトルはその選手と話してみたかった。いったいどういうことを考えているのだろう? そもそも、どうして誰も話しかけないのだろう。みんな口をそろえて「話しかけるなっていう雰囲気なんだ」と言うが、そんなのは勝手な妄想かもしれないではないか。当人は、知り合いもおらず、たったひとりでどうすればよいかわからないまま、心細���感じているかもしれない。誰かがすこしでも親切に声をかければ、うれしそうに笑って「友達がいなくて……」と答えるのかも。やってみる価値はある。  ヴィクトルはこのところ成績を伸ばし、確かな技術と表現力で、表彰台のてっぺんを獲ることも珍しくなくなっていた。もう次はヴィクトルの時代だと言われているし、ヴィクトルもすでに自分がいちばんのつもりでいる。近頃はスケーターに話しかけられることも増えてきた。先輩スケーターたちだってヴィクトルの実力は認めている。きっとその日本の選手も、ヴィクトルのことは知っているだろう。もしかしたら、ヴィクトルが話しかけたら喜んでくれるかもしれない。たいていの選手は、ヴィクトルに「ファンです」と言ってサインや写真をねだるのだ。  試合のため会場入りしたヴィクトルは、会えたらちょっと声をかけてみよう、と考えていた。何を話そう? まあなんでもいいか、とすぐにヴィクトルはその問題について検討するのをやめた。会えば自然と言いたいことが思い浮かんでくるだろう。いますぐでなくていいのだ。ひと通り行動や試合を見れば、何かしら感想を持つだろうから、それを伝えればよい。  ヴィクトルは間もなくその選手のことを忘れ、知り合いと交流したり、演技についてヤコフと話しあったり、練習の内容を考えたりと忙しくなった。そして彼が公式練習を終え、廊下を歩いているときに事件は起こった。いや──事件、というほどではない。たいしたなりゆきではなかったのだ。しかしヴィクトルは、そのとき、その日本人選手の性質を目の当たりにした。 「ああ、彼だ」  一緒に歩いていたギオルギーが、すこしさきにいる黒髪の選手を示した。 「え?」 「おまえが訊いていただろう。シニアに上がった日本の選手だ」  ヴィクトルは自然とそちらを見た。すこしいとけない顔つきをした、物静かな雰囲気の選手が、ひとりで荷物を片づけて立ち上がったところだった。ヴィクトルは一瞬迷った。いまここで話しかけるべきだろうか? しかし言うことがとくにない。とりあえず様子を見るだけでいいか、と納得した、そのときだった。 「やあ、かわいこちゃん!」  陽気な声が聞こえ、その場にいた選手や関係者が振り返った。日本人選手に話しかけたのはイタリアの選手で、ヴィクトルよりも年長だった。いつも明るく、人をからかってばかりいる。冗談交じりにいくらでも女性に声をかける男である。 「一緒に食事でもしないか? いつもひとりでいるそうじゃないか。そんなんじゃ、悪いやつにどこかに連れこまれていたずらされちまうぜ! 子どもみたいなのが好きってやつもいるからな!」  全員が日本人選手に注目した。きっとみんな、うわさを知っているのだろう。笑わない、誰とも話さない、高貴で孤独なスケーターは、この誘いにいったいどんな反応を示すのか?  彼は、眉ひとつ動かさなかった。怒ることもほほえむこともなく、静かにイタリアの選手を見た。彼は一歩退き、相手が通りやすいように道を譲ると、上品に、丁寧に、礼儀正しく一礼した。日本式の挨拶だ。それからすっと身をひるがえし、まっすぐ歩いていってしまった。何かきちんとした断り文句を述べたのかもしれない。口元が動いた気がする。しかしヴィクトルには聞こえなかった。 「ふ、ふられた……」  声をかけた選手がぼうぜんとしてつぶやき、まわりにいた者たちがくすくす笑った。ヴィクトルも笑いながらギオルギーに「ちょっと下品だね」と感想を漏らした。きっとあのイタリア選手は、冗談のつもりであんな物言いをしたのだろう。うわさを知っていて、すこしからかったのかもしれない。おかたい、まじめで模範的な日本人には通じなかったのだ。  その事件で、彼のうわさはますますひろまったようだった。彼と最初に言葉を交わす者は誰なのか? いったいどんな者ならあの落ち着き払った、氷の仮面をとかすことができるのか。彼が感情をあらわにするのはジャンプを失敗したときと、キスアンドクライで悔しそうにするときだけで、ほかではまったくそっけない。あんなに幼い容貌なのに、そういう大人っぽいところがしびれる、かわいい、とあこがれる女子選手まで出てくる始末だ。  すごい騒ぎになったものだな、とヴィクトルは思ったが、当人はそれに気がついているのかいないのか、そのあとももくもくと練習に励み、相変わらずひとりで行動しているようだった。ヴィクトルはあまり彼を見かけなかった。  結局、試合が終わるまで、彼と口を利くことはヴィクトルはなかった。しかし確かに、彼のふるまいから、物静かでつれない孤高の貴公子という印象は受けた。女子選手たちは、ひそかに「孤独の王子」などと呼んだりもしているようだ。とにかく彼は、コーチといるか、スケート連盟の人間といるか、ひとりでいるか、といったふうだった。  話すのが苦手ならそれもよいのではないかとヴィクトルは思った。それで彼が落ち着いていられるならいいことだ。人に興味もないようだし。もしかしたら彼は、ヴィクトルのことも知らないかもしれない。いや、知らないということはさすがにないだろうか。だが、知識としてはあっても、ただそれだけのことだろう。だって、ヴィクトルに近づきたがるほかの選手のようには、彼はヴィクトルと話したくはなさそうだ。世界ランキング何位の選手、という情報としてしか、彼は人に関心がないのだろう。  バンケットはにぎやかで、活気にあふれていた。いろんな選手がまわりに集まってき、話をしようとヴィクトルに迫った。陽気に騒ぐのは嫌いではないので、ヴィクトルはその状況を楽しんだ。あまりひとところにとどまっていてもつまらないから、あちこちを歩きまわった。その途中でのことだった。  飲み物がからになった。新しいグラス、と探したヴィクトルは、近くのテーブルから濃い赤のワインを取り上げた。すこし味を見、口当たりのよさに気をよくして振り返り、歩き出した──そのときだった。 「あっ」  誰かに突��当たった。突然方向を変えたヴィクトルが悪い。ヴィクトルは相手がよろめくのにとっさに手を伸べ、腕をつかまえた。転びそうになったのをかろうじて支える。 「すまない」  急いで謝った。 「俺が悪いね、いまのは。大丈夫かい?」  はっと目をみはった。驚いたように胸元を押さえ、瞬いているのは、あの日本人選手だった。  ヴィクトルは息をのんだ。見ていた者たちも口を閉ざした。彼の胸に──白いシャツに、まっかなしみがついていたのだ。あきらかにヴィクトルの持っていたワインが原因で、それは隠しようもないほど色濃く、目立った。  あの、いっそ冷酷にさえ見える選手──誰とも話をせず、先輩スケーターの誘いも上品に丁寧に、落ち着き払って退ける彼が、いったいどうするだろう。怒り出すか。文句を述べるか。つめたくヴィクトルを見てから、無視して立ち去るか。あるいは、何かひとこと皮肉を言うか。スケートは上手くても歩くのはそうでもないみたいですね……。  ヴィクトルはものが言えなかった。言葉が出てこない。こんなことは初めてだ。 「えっと……」  みっともないような、迷った言いぶりになってしまった。しっかりしなければ。 「本当にごめんね」  ヴィクトルは丁重に謝罪した。 「新しいのを買うよ。申し訳なかった。とりあえずそのしみをなんとかしないと。きみ──」 「いいえ」  彼が口をひらいた。声を初めて聞いた。優しくやわらかい、やすらぎをもたらすような素朴で純粋な声だった。 「お気になさらないでください」  そのまどかな物言いに、ヴィクトルは驚いて彼を見た。彼はヴィクトルをまっすぐにみつめていた。頬は紅潮し、甘い輝きを帯びた瞳は夢見るようにうるおい、くちびるは可憐に、ふるえるように言葉を紡いだ。 「ぼくがよそ見していたのが悪いんです……」  ヴィクトルは瞬いた。少年のような彼はゆっくりと目を伏せ、ワインのしみにふれて、慎ましやかにささやいた。 「ぼく……、忘れません……」 「え?」 「──いいえ、なんでも」  彼はおもてを上げ、うっとりと、とろけるようなまなざしをヴィクトルに向けた。はにかんだ、ひどく魅惑的な表情だった。 「こちらこそごめんなさい……、びっくりしましたよね……」 「いや、俺は……」 「あ、あの……」  彼のまつげがふるえた。 「ぼく、失礼します……」 「待ってくれ」 「これじゃもうここにはいられないし」 「替えのシャツを──」 「いいんです」  彼はぺこりと頭を下げると、ヴィクトルの脇を急いで通り抜けていった。 「きみ──」  彼はヴィクトルの呼びかけに一度だけ足を止め、楚々としたしぐさで振り返ると、頬にそっと手を当て、もう一度お辞儀をしてから、儚げにうつむいて駆けていってしまった。 「──驚いた」  そんな声が聞こえた。 「あの選手、あんな顔するんだな……」 「私、話してるの初めて聞いちゃった! やわらかい英語よね。かわいい!」  ヴィクトルはまだぼうぜんとしていた。あの、つんとしているような高貴な彼が──あの変わりよう。 「やあ、色男」  いつの間にかクリストフがそばに来ていた。彼はヴィクトルを肘でつついた。 「どうしたんだい、そんなにぼうっとして。まさか勇利に惚れたなんて言わないだろうね」 「勇利?」 「いま駆けていった子さ」  クリストフはあの選手の消えたほうを示した。 「勝生勇利っていうんだ。日本の選手。俺の友達なんだよ」 「え!?」  ヴィクトルはびっくりしてクリストフに詰め寄った。 「友達……!?」 「そう」  クリストフは、何をそんなに驚いているんだ、という態度で飲み物を飲んでいる。 「それがどうかしたのかい?」 「彼、友達はいないんじゃなかったのか!?」 「え? なんで?」 「だってそういううわさだし、実際誰とも話していなかった……」 「うわさ?」  ヴィクトルは聞いたことと見たことを洗いざらいクリストフに話した。クリストフは黙って耳を傾けていたが、そのうち彼の口元に笑みが浮かび、話が終わるころには声を上げて笑っていた。 「ああ、そうだね。確かに友人は多くないみたいだけど、俺とはわりと仲がいいよ。ジュニア時代から知ってるんだ」 「そうなのか!?」  それはそうだろう。冷静になってみれば理解できる。一緒に試合に出ていれば、選手同士は自然と仲よくなるものだ。しかし彼はとにかくひとりが似合う選手だったから、そんなこと、考えもしなかった。 「わかるけどね。勇利って自分から人に話しかけないし、話しかけられても戸惑ってるし、そうじゃないときはめんどうだと思ってるみたいだし」 「やっぱり」 「でも、そんなうわさは本当じゃないよ。べつに彼は冷徹じゃない。気取り返ってもいない。むしろ緊張して話せない感じかな。まあ、わりと淡々としたところがあるのは否定しないけどね」 「君、友達だというわりには、この試合で彼と一緒にいなかったじゃないか」 「君が見ていないところでは話してたよ。たまにだけど。彼は人がいると気が散るからね。そっとしておいたんだ。シニア一年目の世界選手権で相当考えることがあるようだし。邪魔したくなかったんだよ。ああ、ひとりの世界を構築している、っていうのは本当かもね」 「誰とも口を利かないって……」 「今回は俺とひとつも試合が重なってなかったからねえ。確かに俺もそういううわさは聞いてたけど、まさか勇利のことだとは思わなかった。彼、まわりにそんなふうに見られていたなんて知ったらどう思うかな。『なにそれ!?』ってうろたえるかも。かわいそうだから黙っていてあげよう」  クリストフはくすくす笑った。 「じゃあ、みんなは勝手な想像で語っていただけなのか……」 「まあね。いや、みんなが見ていた勇利がもとになっているのなら、勝手な想像とも言えないのかな。でも勇利はごく普通の選手だよ。ちょっと人付き合いがへたで、スケートが好きで、まじめで、不思議な魅力のある……、」  クリストフはそこでからかうように言った。 「君の大ファンの子」  ヴィクトルは大きく瞬いた。 「俺の……?」 「わかるでしょ?」  クリストフが片方の眉を上げる。 「勇利の様子を見れば……」 「…………」 「君のことが好きで好きでたまらないんだよ」  ヴィクトルはさっきの勇利を思い出した。貴方のことが好きです、貴方しか見えません、というような、いちずでけなげなのぼせ上がった目つき……。 「本当、一生を捧げてるくらいの情熱」 「……一度も話しかけられたことがない」 「だから言ってるでしょ。そういう子なんだって」 「目が合ったこともないよ」 「君が彼を見てないからだよ。勇利は見てるよ。君のこと。じっと。ただ、気づかれないようにね」  ヴィクトルは天井を仰いだ。 「日本人てそういうものなのか?」 「さあ。まあそんな感じだとは聞くけど、勇利は特別なのかもしれない。俺といるときはとにかく君のことを話してる。君たちは彼のことを無表情だと思ってたみたいだけど、おもしろいよ。くるくると顔つきが変わるから」 「孤独の王子……」 「なんだいそれ」 「そう呼ばれてるんだって、彼」 「あっはは。そりゃいい。まあ、ひとりでいることが多いから、あながちまちがってはいないだろうけど」  クリストフは楽しそうにうなずくと、ヴィクトルを見やってにやっと笑った。 「���も、勇利の王子様は、この世でヴィクトル・ニキフォロフだけなんだよ」  勇利がリンクメイトと話している。ほほえんでいるが、どこか控えめな、敏感そうな笑みである。ヴィクトルはしばらく彼の困ったような、ためらいがちな態度を眺めていた。そしてふいに大きく踏み出すと、足音をたて、「勇利!」と元気に挨拶をした。 「あ……」  勇利が顔を上げ、ヴィクトルに気がつく。彼の瞳がきらきらと輝き出し、このうえなくうれしいという愛らしい笑顔になった。 「ヴィクトル!」  勇利はベンチから立ち上がって、まっすぐにヴィクトルのもとまで駆けてきた。彼はヴィクトルの前でぴたりと立ち止まり、「もういいの?」と声をはずませて言った。 「いいよ」 「そっか」  勇利は振り返って、リンクメイトたちに「じゃあ」と手を振った。彼はすぐにヴィクトルを見上げた。そのうっとりとした瞳は、初めてヴィクトルにほほえみかけたあのときと変わらぬ甘美をたたえ、愛情はあのころ以上に増していた。 「行こう」 「うん……」  ヴィクトルはいまでも、勇利にあのうわさの話をしていなかった。勇利はこういうことはあまり聞きたくないだろうし、それにヴィクトルも、「俺だけだったんだよ」ということは言いたくなかった。勇利が自分の性質に気がついて、ヴィクトルへの特別な笑顔を見せなくなってしまったらつまらないではないか。  だからひみつだ。ちっとも親しくなかったあいだも、勇利はヴィクトルを見ればめろめろになり、いつの間にかうわさに「皇帝にだけとろける王子」という異名が加わったことは。 「久々のデートだね」  クラブから出ると、ヴィクトルは機嫌よく言った。勇利ははしゃいだ顔になり、しかし口ぶりだけは厳しく、「デートじゃないから」と注意した。 「そうかな? 俺はデートのつもりなんだけど」 「ぼくはちがう」  ちがうなら、そのうれしくてたまらないという表情は何なのだ。ヴィクトルは思うけれど、笑いをこらえるだけで何も言わない。ここでそんな愚かな指摘をするほどヴィクトルはつまらない男ではないのだ。 「そうか、ちがうか」 「ちがうよ。どこへ行くの?」  夕食にはすこし早い時刻だ。 「服を買いに行こう」 「ヴィクトル買い物好きだよね」 「勇利のだよ」 「いらないんだけど」  ヴィクトルはすぐ勇利に服を贈るので、勇利はうんざりしているらしい。 「今日はちゃんと理由があるんだよ」 「え?」 「ホワイトシャツ買ってあげる。それならいいだろ? スーツは着ることも多いし」 「うーん、いいけど……」  勇利が不思議そうにしている。なんでホワイトシャツ、と言いたそうだ。 「ほらほら、こっち」  ヴィクトルは上機嫌で服屋に勇利を案内し、上質なシャツを一枚購入した。もちろん、型が、襟のかたちが、といろいろ着せ替え、いちばんよく似合うものを買った。勇利は「シャツ一枚なのに」とぐったりしていた。 「はい、どうぞ」 「どうもありがとう……」  勇利はきょとんとしている。やっぱり、なぜシャツを買ったのかわからないのだろう。 「ちょっと思い出したものでね」 「何を?」 「クリスに、勇利が気にしなくていいって言ってるんだから必要以上に話しかけ��な、泣かれるぞ、って脅されたりもしたからね。遠慮してたんだ」 「何のこと?」 「きみのシャツをワインでだめにしたことがあった」  勇利は目をみひらいた。ヴィクトルはくすっと笑ってささやいた。 「そのお詫びだよ」 「……おぼえてたんだ……」 「まあね」  俺にだけ、あんなに可憐にほほえみかけられてはね……。ヴィクトルはまぶたをほそめた。 「さあ行こう。ちょうどいい時間だ。食事だよ」 「……うん」  勇利がヴィクトルをいちずに見上げ、とろりとした目つきでかすかに笑った。その顔だよ、勇利。 「今日は練習に付き合えなくてごめんね。問題はなかった?」 「うん。みんな親切にしてくれたよ」 「そうか。よかった。楽しかった?」 「うん、まあ……」  ヴィクトルは勇利がサラダと格闘するのを眺めながら、ゆっくりした口ぶりで言った。 「明日は朝からずっと一緒に練習できるからね」  勇利が顔を上げた。彼は頬をほんのりとさくら色に色づかせ、うっとりととろけた微笑を浮かべて、甘えるようにヴィクトルをみつめた。 「ほんと……?」  ヴィクトルは勇利のなめらかなほっぺたにふれた。 「ああ……もちろんさ……」  いまでもヴィクトルは、勇利にとって、身もこころもとろけてしまう唯一の王子なのである。
1 note · View note
kkagneta2 · 6 years ago
Text
おっぱいビンタされる話
だった。超乳、怪力娘、ドM向け。
「ごめんなさい! ごめんなさい!!!」
「だーめ。最初に手を出して来たのは、おにいさんだったんだよ? うりうり、嬉しいでしょ」
と制服姿の女子高生が体を軽く揺らすと、男は絶叫して許しを乞うる。もう幾度となく繰り返されている光景だが、女の子の方はまだ許すつもりはないらしく、男の懸命な叫びには無頓着にさらにもう一歩詰め寄る。
「あああああああ!!! 折れる! 折れるううううう!!!」
「ふふっ、そんなに痛いなら出ればいいじゃん。私、まだ手も使ってないんだよ?」
と手をぷらぷら、ひらひら、……
しかし、その巨大な胸にかかる圧力は強烈。次第に男の体から、
バキバキ、メキャ、……
と嫌な音が響いてくる。
きっかけはこの憐れな男の出来心だった。今日も平凡な日常を終え、そのまま妻の待つ自宅へと帰宅するはずだった。
が、電車に乗ってきた女子高生は、そんな男の平凡な日常を壊すのに足りた。まだあどけなさの残る顔から歳の程はまだ15、16かと思われる。まだ中学生だと言われても不思議ではない。腕は細く、手はしなやか、背は高校生としては低く、眼鏡の奥に見える目はおっとりと、優しげな印象を見るものに与える。――男は、だから油断をした。油断をして、彼女の最も特徴的な部位である「胸」に目を奪われるや、手が自然に伸びていた。
彼女の胸、――つまり乳房は尋常なものではなかった。人を飲み込めそうなその魅惑的な塊は、前にも横にも1 メートル以上は飛び出し、下へは自身の足元にも達しようかというほどである。かつてZ カップと呼ばれていた大きさが普通になりつつある今の世の中でも、ここまで大きな乳房を持つ女性は両手で数える程度しか居ない。貧しい胸をした女性を貰い受けた男にとって、それは耐え難い色気に満ちた至高の宝玉のように見えた。風俗で晴らすことすら許されない妻への不満を、この気の弱そうな女子高生の乳房を揉むことで解消しようと考えた。一度、通りすがりに撫でるくらいならバレないと思った。
結果は言うまでも無かろう。乳房の横腹にそっと触れた男の手は、その後止まることが無かった。どこまでもめり込むその途方もない気持ちよさ、感覚の無くなるくらい心地よい女の子の体温、ゴツゴツとしたブラジャーの感触。……気がつけば寝ぼけた子猫のように、手を開けたり締めたりして、女子高生の乳房を揉みしだいていた。
周りの乗客からの視線など、気にならなかった。乳房の持ち主が嫌悪感を持って見てきていることも、気にならなかった。男は天に上ったような心地であった。ただただ、この眼の前にある途方もない大きさの塊しか目に見えていなかった。
電車のアナウンスが聞こえて来た時にはもう遅かった。女子高生に掴まれた手を振り切って、男は電車から飛び降りようとしたようであったが、全くもってびくともせず、ギュウっと力を入れられるとうめき声を上げて、その場にうずくまる。
「一緒に降りましょ。わかってるよね」
と女子高生の声がかかり、この後どうなるか全てを理解した。男の頭の中には、まず駅員に突き出され、警察に引き渡され、万の言葉で叱責してくる妻の姿浮かんでいた。
――が、女の子の行動は男の予想からどんどん反していった。彼女は駅員室などには行かなかった。男の手首を掴んだまま駅から出て、信号を渡り、およそ何百キロという塊を胸につけているとは思えないような軽快な足取りで、道を歩いていく。
「今日は暑いねー」
と呑気に言ってさえくる。
男は一転して朗らかな雰囲気にホッとすると、自分からもよく話しかけた。女子高生もそれに笑顔で応えた。周りから見れば良くないことをしているように見えただろうけれども、男にはそんなことどうでもよかった。途端に希望が湧いてきた。もしかすると、もしかするかもしれなかった。夕焼けの空はまだ浅黄色に、明るく二人を照らしていた。
男の夢はそこまでであった。女子高生の向かっている先は路地裏であった。人通りは少なく、陽の光は入ってこず、暗くじめじめとしたその路地裏は袋小路となっており、頼りない街頭に照らされた数々のガラクタが積み上げられている。
「逃げるなら今のうちだよ」
と手を離した女の子は言った。男は逃げなかった。まだ、もしかするともしかするかもしれないと言う、淡い希望が心の中に燻っていた。
「ふうん、そ」
――この言葉が地獄の始まりであった。
男は前方から何かとてつもなく重いものにぶつけられたかと思いきや、次の瞬間には宙を舞い、そして袋小路の壁に打ち付けられていた。それが女子高生によるおっぱいビンタだと理解する間もなく、男は髪の毛を掴まれこう言われた。
「ねっ、期待した? 期待してたでしょ? だってちょっと話しかけるだけで、すぐ調子に乗るんだもん。おにいさんのばーか。私が私のおっぱいを触った人を許すわけないじゃん」
男は本当の意味で、この後どうなるか全て理解した。背中の激痛で力の入らない手で髪の毛を掴んでいる女の子の手を退けようとしているけれども、全くもってびくともしない。それどころか自分の体どんどん宙に浮いていく感じがする。いくら暴れようとも女の子は全く意に介さず、ついには足が完全に浮き上がってしまう。
「よっわ」
若干背伸びをした女子高生は男を壁に叩きつけると、乳房をその体に押し付けた。男は彼女のおっぱいと壁の板挟みになる。一体その華車な体のどこにそんな力があるのか、全く体を動かせなかった。
これが軽い力加減だったならば、男は再び天国へ上ったことであろう。何せ、頭以外の全身が、女子高生の乳房に包まれているようなものなのだから。たとえ裸でなくとも、男がこれまでの人生で体験したどんな快楽よりも心地よかったに違いない。
だが、現実はそんなに甘くはなかった。男がもがいているうちにも、女の子どんどん圧迫し続け、辺りには男の叫び声と、不穏なミシミシと言う音が響くようになっていた。
そしてそれがずっと続いているのである。男はもはや絶叫するか、謝罪の言葉を叫ぶ���しか出来ていない。女子高生の暖かい乳房と冷たい壁の板挟みになり、体が半分に薄くなったような心地さえしていた。
「ねぇねぇ、おにいさん、おにいさん」
と唐突にかけられた声は、男をこれほどまで圧迫しているとは思えないくらい可愛らしい。
「おにいさんがあんなに気持ちよさそうに揉んでたおっぱい、どう? 今も気持ちいーい?」
グイと顔を男の方へ近づけ、うっとりとした表情で雄叫びを上げる男を覗き込む。
「んー? なんてー? 感想が聞こえないなー。絶対に許さないんだから、もうごめんなさいはいいよ。聞き飽きた」
とさらに前へと進む。
「あはは、体中からバキバキ、って音がするね。それとも壁から聞こえてくるのかな。力が強いっていうのも考えものだよねー」
「があああああ!! やめて! やめてええぇぇ!!!」
「アハハハハ! いいよぉ、おにいさん、もっともっと!」
可愛らしい顔から可愛らしい声を発しているのに、かかる力は怪力。グググ、……! とせり上がった乳房はそのまま男の体をも持ち上げ、下からはブランブラン暴れまわる男の足が見える。
女子高生にとってこのくらいは容易いことであった。これまで何人の男の心を折ってきたか、思いつくだけでも20 回や30 回にもなる。小学生の時は力加減を知らず、喧嘩になった男子共を仲裁する時に、思いっきり突き飛ばしてしまって怪我をさせたことがあった。腕相撲をすれば、相手が何人であろうとも勝ってしまう。嫌々ながら参加した相撲大会は、相手を持ち上げて土俵の外へ持っていっていたらいつの間にか優勝していた。身体測定は、学校の器具が壊れるからと言って本気を出させてくれない。ハンドボール投げなぞは軽くやっても運動場のフェンスを大きく超えてしまう。ある時、転がってきた野球のボールをグニグニともてあそんでいたら、取りに来た野球部の人に大層驚いた声を上げられてしまった。中学の運動会の綱引きで、ついうっかり力を入れてしまって味方共々転がしてしまったこともある。つい先日も、思いっきり握ってみて、と貰い受けた砲丸をしょうことなしに軽く握ると、指の跡がついてしまった。
「だからさ、私おっぱいがちょっと大きいせいで、結構力持ちなんだよ! 例えば、……これとか!」
と、一旦男の拘束を緩めた女子高生は、側にあった太い鉄の棒を拾い上げる。
「ひぃっ!……」
「んーん? あ、もしかして殴られると思った? えへへー、残念。こうするんだよ」
と彼女はまだ板挟みになって動けない男の眼の前で、その鉄の棒を曲げた。
ぐにゃり、……ぐにゃぐにゃ、ギュウウウ、ぐにゃぐにゃ、………
鉄の棒が丸いボールに変わるのには、それほど時間はかからなかった。男は怯えた声をあげるしかなかった。笑顔で粘土のように鉄の棒を捏ね上げた女子高生が、丸くなった金属の塊を差し出している。それもかなり大きい。女子高生は軽く持っているようなものだが、元々あった鉄の棒の重さは15 キロほど。決して軽く持てるような代物ではない。
「どう? どう? すごいでしょ?」
と、女子高生は鉄球を手から滑り落とす。ドスン! と音を立てて落ちるそれは、確かに金属のそれであった。
  「でも、やっぱりおにいさんはこんなことよりおっぱいだよね。じゃあ、そろそろ準備体操は終わりにしよっか」
女子高生が信じられないことを言った。
「えっ?」
と、男が言う間に後ろへ後ずさり、倒れ込む彼をよそに制服に手をかける。
男が再び顔を上げた時には、彼女はすっかり上半身をはだけさせていた。たぷんと波打つ巨大な乳房が見えた。ほんのりと赤色を帯びた綺麗な乳輪が見えた。口に入らないほど大きな乳首が見えた。彼女の奥には巨大な山を作っている純白のブラジャーがそびえている。
男は女子高生の生肌を見て、興奮など出来なかった。先程まで自分の命を押しつぶそうとしてきた、巨大な双丘。……恐怖から体を震わせ、目を怯えさせ、嗜虐の喜びに満ち溢れた自分より遥か年下の女子高生を見上げる。思わず後ずさろうとしたが、後ろは壁で、足だけがずりずりと滑る。
「助けて、……」
自然にそんな言葉が口から漏れていた。心の底から怖かった。男にはこの女の子乳房が自分をぐちゃぐちゃにしてしまう調理器具のように見えていた。
「もう、そんなに怯えなくていいじゃん。私、このおっぱいには結構自信あるんだけど、そんなこと言われちゃうと傷ついちゃうな~、……」
女の子は先程落とした鉄球を鷲掴みにして拾い上げる。
「ひいいぃぃぃ、……」
「だから、こんなもので殴らないってば。そんなことしたら、おにいさんだとミンチになっちゃうよ? ま、これから近い状態にはなるかもしれないけど」
と、鉄球を谷間の中へ。
――ミチミチミチミチ!!
彼女が胸に両手をかけた瞬間、男にはそんな音が聞こえた。それはかつて鉄の棒だった金属の断末魔であった。深い深い谷間から、鈍く輝く薄い何かがもりもりと溢れてきて止まらなかった。
「んふっ、あつぅい。……」
女の子からはそれだけだった。
「あっ、……えっ?」
男からはそれだけだった。尤も彼はうめき声だけは常に上げていたが。
「次はおにいさんの番ね」
と薄い金属片をどこかへ放り投げて、女子高生は近寄ってきた。男の眼の前に立つと、あれほどのことをしたのに傷一つ無い谷間をゆっくりと開ける。これで入ってこなかった男は今までいない。
「おにいさん、いらっしゃ~い!」
先程重い大きな鉄球をプレス機のように潰してしまった、女の子の乳房。入れば一瞬で肉塊になってしまうだろう。だけれども男は吸い寄せられるようにして谷間の中へと進んで行った。どうしても、その魅惑的な脂肪の塊に抗えなかった。地を這って、一歩、……二歩、……三歩、――もう右も左も前もみずみずしい肌色に包まれる。見上げると、女子高生がこれほどないまでの笑顔でこちらを見下ろしてきている。大人しそうで気の弱そうな目は、しかし男を怯ませるのに足るほど、嗜虐的な愉悦に溢れていた。男はもはや屈服するしかなかった。乳房云々はおいて、この可愛らしい女子高生には何をしても勝てぬと悟ってしまった。体が勝手に祈りのポーズをとって、彼女の足元にすがりそうにさえなっていた。
「立って」
体にムチを打って立ち上がる。
「ひっ」
と喉から声が出てきた時には遅かった。両側から肌色の壁が迫ってくる。物心ついたときからずっとこうされたかったけれども、いざその時がくると怖くて仕方がなかった。
そして、その時は一瞬だった。
バチン!
と言う音とともに、男の体は顔を残して全て残らず、女子高生の乳房に挟まれる。
「ぎゃああああああああ!!!」
「みゆちゃん特製、人間のまるごとパイズリ~~」
「痛い! 痛い! 痛い!」
「んー?」
「出して出して出して!!!」
男は全身から伝わる激痛から逃れようと必死でもがいた。しかし、首から上だけが暴れまわるだけで、肝心の体は指の一つですら動きもしなかった。男の抵抗なぞ女子高生にとっては取るにも足らない。彼女は力が強すぎた。彼女にとって、男を潰すなんて蚊を潰すようなものなのである。彼女にとって、男とはパン! と叩けば絶命する儚い生命なのである。そしてその事実自体が彼女の性癖なのである。
「だーめ。自分から入ってきたのはおにいさんなんだよ? わかってる?」
「お願い! お願いします!! あがあああああ!!!」
「だめって言ってるじゃん。絶対にゆるさないんだから。――じゃ、そろそろパイズリらしく、おっぱい動かすねー!」
――と、男からしてみれば嘘のように軽い声が聞こえてきた。と、同時にその言葉通りグググ、……と乳房が持ち上がり、またしも男の足は宙に浮いてしまった。
「準備はいーい?」
「いやああああああああああああああ!!!!」
「そーれっ」
グニュっ!
「ぎゃああああああああ!!!」
「そーれっ」
ギニュっ!
「やめて!やめてえぇぇ!!」
「そーれっ」
グニュっ!
「あガガガあああ!!!」
「そーれっ」
グニュウウウゥゥ!!
「死ぬ! 死んじゃう! 死んじゃううううう!!」
「そーれっ」
と、三度グニャリグニャリと乳房を上下させたその時、
バキン!!
「うわぁ、……痛そうな音がしたね~。でもまだまだやっていくよ~? そーれっ」
明らかに骨の折れた音がしても、女子高生は止まらなかった。その後もそーれっ、そーれっ、そーれっ、と言う掛け声をかけつつ、男を全身丸ごとパイズリし続けた。
彼の悲痛な叫び声は、最初の方こそくぐもりつつも何回か聞こえてきたのだが、しばらくすると乳房に顔が埋まったため、漏れてもこなくなった。路地裏には女の子の、
「いっちに! いっちに! いっちに! ……」
と言う元気な声と、肌のこすれるさらさらとした音と、時おり谷間の中から聞こえてくる乾いた音のみが響いていた。男がどうなっているのかは、外からは分からない。ただ、あらぬ方向を向いた指が時々乳房の隙間から出てきていることから、無事でないことは確かである。だがまだ人の形を保っているだけ幸せかもしれない。……
結局、パイズリが終わったのは女子高生のスマホが着信音を鳴らせ始めたときであった。
「――うん、うん、わかった。でもちょっと遅れて行くからね」
100 キロ、200 キロ、……いや、もしかすると700 キロや800 キロあってもおかしくない乳房を、何度も何度も激しく動かしていながら、彼女は息すら上げていなかった。何事もなかったかのように、電話の相手と応対している。
「え? うん、そうだよ。今日もやってる。見たい?」
と、相手が見たいと言ったのか、女子高生はカメラを起動して、スマホを胸元へ向けた。
「おーい、おにいさん生きてるー? 大丈夫だよね、さっきからピクピク動いてるし」
と、谷間をまさぐって腕を見つけると、男を無理やり引っこ抜いた。
「どう? どう? 中々かっこいいでしょ? ……え? 好みじゃない? あ、そう。……ま、とにかく私は、この人をやらなきゃいけないから、1 時間くらい遅れます。またあとでね」
「おにいさーん? だいじょうぶですかー? 起きて起きて、早く続きしよっ」
通話を切った彼女はペシペシと男の顔を叩くのであるが、うめき声を上げるだけで目を開けてくれない。仕方なしに女子高生は男の体を地面に寝かせると、とりあえず休憩を取らせることにした。
  「あーあ、すっかり暗くなっちゃった。……」
男を地面に寝かせてから10 分が経とうとしていた。彼らを照らすのはとうとう頼りない街灯一つだけになり、赤くほてった女子高生の顔がやんわりと映し出されている。彼女はまだ上半身をはだけさせたままであったが、男を痛めて続けていたせいで、全然寒くはないようであった。
「んぐ、……うあぁ。……」
「あ、お兄さん起きた?」
足でちょんちょんと顔を突っついてみる。
「ひっ! う、うわあああああ!!!!」
と、すごい勢いで後退してしまった。
「うえぇ、……ひっ、ひっ、ひっく、ひっ、……」
もう右の腕は上がらないのだろう、男は左手だけを顔の前に持ってきて、ボキボキに折れた指を眺めながら咽び泣いた。
「ひっ、ひっ、ごめんなさい、……ごめんなさい、……」
「だめだよおにいさん、まだだめ。でも少しお話しましょ?」
「うっ、うぐっ、うぇ、……」
「どうして私のおっぱいを触ろうとしたの? もしかして私が大人しそうとか、そ��いう理由?」
男は首を横に振った。
「じゃあ、なんで?」
「……ずっと憧れてたから。胸の小さな妻ではどうしても満たされなくて、……」
「ふーん。そんなに小さいの?」
「昔の基準でP カップしか、……」
「P カップ?! なにそれ小学生じゃん!!」
あはははは!! と、声を上げて笑う。およそ20年前、幻とまで言われるほどの巨乳は、今や小学生6年生の平均にも達していないのである。
しかし別に珍しくはない。男と同じ世代の女性は誰もがP カップ程度である。 子供と並ぶと、親の方が胸が小さい。 人類に何が起きたのかは分からないが、そういう社会になってしまった。
「なるほどね、そりゃ、触ってしまうわけだ。それで奥さんとはやってるの?」
ふるふると震えるように男は首を横に振った。P カップの乳房に欲情するなど、今の世の中小学生に欲情するようなもの。男はもはや妻の体を見て何も感じない、何も勃たない。
「はあ~、……意外と重たい理由だったわ~。……じゃあ、殺すのはやめにしようかな。なんか可哀想になってきちゃった。でも許した訳じゃないからね、最後のアレはやるよ」
「あ、アレ?」
「そう、アレ。――ふふ、でもおにいさんにとってはただのご褒美かもね」
と言って、女子高生は自身の乳房をゆっくりと持ち上げていく。
「あっ、あっ、あっ、それは、……」
「分かっちゃった? ちょうどおにいさんそこで這いつくばってるし、いいよね。手加減してあげるから、ちゃんと生きてるんだよ?」
――みゆちゃんのおっぱいハンマー! と、彼女は言った。
――ドーン!!! と、路地裏が揺れた。
「まだまだいくよ~」
ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン!
一体何回、女子高生は地面を揺らしたのだろう。乳房を持ち上げては落とし、持ち上げては落とし、持ち上げては落とし、持ち上げては落とし、……何十回と続くそれは、男にとっては百回にも二百回にも感じられたかもしれない。
「まだまだ~」
ドシン!ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン!
「ふふん、気持ちいい? 気持ちいでしょう?」
ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン!
「おっぱいが大好きで大好きで大好きでたまらないおにいさんに、私からのプレゼント!」
ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン! ドシン!
「終わり!」
――ドシン!!!
そうして、女子高生の懲罰は終わった。男がまだ生きてるのかは分からないが、首筋に手を当てた彼女がホッとしているところを見るに、心臓は動いているのであろう。そもそも普通ならば人の姿はそこには無い。彼女は痴漢をしてきたものをこうして、お望み通りおっぱいでミンチにしてあげているのである。機嫌が悪ければ最初に壁に押し当てた時点で、人は息をしなくなる。ちょっと良いと、全身パイズリの時点でやっと肉塊に変わる。もう少し良いと、最後のおっぱいハンマーで地面の染みと化す。今日は珍しく機嫌が良かったから、最後の最後まで生かしておいてやったが、今の時点まで生きをしているのは初めてである。
「ふふふふふふ、今日はあなたの奥さんに変わって私が天国を見せてあげる。本当に天国に行っちゃうかもしれないけれど、いいよね。本来ならもう死んでるし、あなたもそのくらいの覚悟で触って来たんだもんね」
女子高生はその後ブラジャーをつけ直して、制服を着た。その途中、どうやって男を持って帰ろうかと悩んだが、人を一人谷間に挟むことくらい訳のない彼女にとっては愚問と言うべき悩みであった。
6 notes · View notes
the-clockwork-maiden · 2 years ago
Text
誰が創りし世界
Tumblr media
作曲・編曲・Guitar:小池修也  作詞:夕野ヨシミ(IOSYS) 歌唱:月子 (Iconostasis) ・葉月ゆら (蜜薬ランガージュ)
誰が決めた事なのか 仕組まれた事か 遥かな過去から今へ 受け継がれてきた かつて 光を纏い��天地を治めた 神の時代から零れ落ちた 奇蹟の欠片よ
大地を包む 無数の色 世界導く 法則示してる 白と黒は重なり合い 時を記す
あまねく集う 元素たちは 己の使命果たして 其処に在る 水と土の温かさが 生命を支えてる
突然狂い出す 不自然に現れた ゆがむ景色 ひずむ形
誰が 如何なる理由で 積み重ねられた歴史の裏から 糸で操ろうとした かつて 自由と知識に満たされた国を 一夜で滅ぼし無に還した 愚かな欲望
大空染める 那由多の色 並べてみれば 未来は目の前に 蒼と紅の二重螺旋 時を繋ぐ
雄々しく強い 戦士たちよ 生まれた意味を 見据えて立ち上がり 風と炎指し示した道筋を 歩いてく
何かが壊れ出す 襲い来る胸騒ぎ 曇る視界 揺れる心
誰が 秘密の扉へ答えを隠して 鍵を掛けたまま 闇の中へ消したのか かつて 確かに愛した大切なものを 犠牲にしてまで手にしたのは 儚い煌き
遠く高くて理解できない 久遠の彼方
誰が決めた事なのか 仕組まれた事か 遥かな過去から今へ 受け継がれてきた かつて 光を纏いて天地を治めた 神の時代から零れ落ちた 奇蹟の欠片よ
0 notes
kanglo · 2 years ago
Photo
Tumblr media
だから生きて!! 苦しみや悲しみに耐えられぬとも、何も死ぬことはない。
というか、自ら死んだらその人生、意味なし台無し無駄遣い。
人生、絶対に諦めてはならぬ。
実相には、永遠に続く苦しみや悲しみなど“無い”のだよ。
人間皆、いつか死ぬ。
いつかは死ぬのだから、死ぬまで一心不乱に生きよ。
生きていれば、何かが起こる。
出逢いがある。
新しいことが始まる。
それまで堪え難きを耐え忍び、生きるのだ。
その苦しみ、その悲しみ、そして悩み、それ全て己自身が生前に望んだ課題。
“有難いことに”それが訪れている。
これ天の計らい。
苦しくとも悲しくとも耐え続けたその時間、全て人生の肥やしになっている。
必ず役に立つ。
「いよいよ人生の大一番!この課題を乗り越えるためにこの世に生まれて来ました!だから私はくよくよしません!苦しくても、悲しくても前を向いて進み続けます!!」…。
皆々がこのように思えたら冥利。
確実にこの世の社会全体が良くなっていく。
人生はいろいろ。
そしてそれぞれに段階がある。
人間には過去世から積み上げてきた良きも悪きも業を背負って生きている。
然し、人間、この過去を知っていれば、頭を上げて堂々と生きられぬ。
もしくは浮かれに浮かれ根無し草となり生きられぬ。
だから封印されている。
人間の命は儚い。
親より先に子が死ぬ筈はないと思っているうちは、己人生を見縊っている。
何が起こるか分からぬ人生をどう生きていくかくらいは真面目に考えておくべし。
そして人間には、喜怒哀楽が備わっている。
それを思い切り使い倒せ!大いに泣き、大いに笑い生きるのだ。
くよくよするな!
愚痴愚痴言うな!
人間、人間らしく生きよ。
そうすれば己の人生の課題を一つ乗り越えることが出来る。
試してみよ!
そのことを肝に銘じ、生きている奇跡に感謝し、死ぬまで一心不乱に生きます。
有難う御座います。
1 note · View note
kennak · 2 years ago
Quote
草なぎ剛が初のトランスジェンダー役に挑んだ本作の監督は Netflixで配信された「全裸監督」が大きな話題を巻き起こした内田英治。 育児放棄により行き場を失ったヒロインには、オーディションで選ばれた新人・服部樹咲。 共演には水川あさみ、田口トモロヲ、真飛聖など。 トランスジェンダーの生き様を描き、オスカーの外国映画賞を受賞した「ナチュラル・ウーマン」や ゲイカップルが子供を養育する厳しさを描いた「チョコレート・ドーナツ」など こういった題材はやはり洋画が先進国であり、邦画はどうしてもBL中心になっているが 本作はそういったファンタジーBLばかりが溢れている日本の映画・ドラマ業界に一石を投じるシビアな作品。 スパンコールと羽根飾りをつけて 今夜もあたしの出番が来る ありえないような お伽の駅から 今夜も 男たち 旅立ってゆく 二文字 砕けた 呼び込みのネオンは おかげで 故郷のつづりと似てしまった 霧の深い夜は 大好きよ 5m先に あの日の夢たちが 映画みたいに映る 夢は57セント 1度足を上げる値段 夢から夢へ綱渡り SUGAR SUGAR 砂糖菓子  中島みゆき『シュガー』 幼い頃からアイデンティティに悩んできた凪沙は、夜の街で酒を振る舞いながら 白鳥のコスプレをしてステージに上がり、ニワカ仕込みのバレエを踊っている。 陽の差す時間帯には居場所がない彼女たちは、夜の帳が降りてから活動を始める夜光虫。 世間話と男の愚痴を酒で流し込んでは朝日の昇る頃に家へと戻って眠りに就く。 そんな凪沙のもとへある日やってきた一果は、バレエダンサーを夢見る寡黙な少女。 母親の育児放棄ですっかり心を閉ざしてしまった少女にも同情を見せない凪沙のドライさが 頑なだった一果の心を少しずつ解きほぐしてゆく。 凪沙が手に入れたいものは、どれだけ求めても手に入らない。 喉をかきむしるほどに渇望しても、決して手に入らない。 フェイクで十分じゃないかとどれだけ自分に言い聞かせても 諦めきれない想いは時折間欠泉のように表面に吹き上げて、凪沙の心を掻き乱す。 一果は、今は何もかもに投げやりではあるが、手に入れられる可能性がある。 諦めることを強いられてきた凪沙が、一果の夢に賭けてみたくなるのは当然だろう。 捨て鉢だった一果を抱き締めて「大丈夫」と繰り返す凪沙から発せられるのは紛れもない母性だ。 同時に、一果を助けることが、自らの身を陽のあたる場所へ連れ出す 唯一の希望としてすがっていた部分もあるのだろう。 人生とは、「この子のために生きる」「この人となら生きていける」との確信を得られる 相手を探し続けることなのかも知れない。 縁(よすが)を探す旅で出会った二人は、紙(戸籍)で認められた親子関係以上に母娘だった。 一果が年齢からすると少し早い「白鳥の湖」に固執しているのは 呪いから解放されるためにもがくオデットに自身を投影しているからであろう。 一果を救い出そうとする凪沙が「白鳥の湖」のジークフリート王子の化身とするならば、 本作は変形のラブストーリーと言えるのかも知れない。 ずっと胸が詰まる展開ばかりで、もう少し息抜きになる場面が欲しかった。 凪沙はずっと世の中に悪態をついた毎日ばかりでは無かったはず。 それでは彼女の人生が佗し過ぎる。 同じクラブで働く仲間と、楽しい話に花を咲かせることも多々あったろう。 人は誰しも、陽の面があるからこそ、陰の面を歯を食いしばって耐え���ことができる。 夜の街で何年も生き抜くには絶対的にタフネスが必要で 世を儚むシチュエーションが続けば 「もう少しだけ生きてみようか」と思える関係が必ず構築されるように出来ている。 私が新地でシェーカーを振っていた頃、そんな場面をいくつも見てきた。 夜の街に生きるダークサイドばかりにスポットが当てられていて、 やり過ぎ感のせいでちょっと大映ドラマっぽくなってしまったのが残念。 水川あさみ演じる母親の心変わりの部分にもう少し踏み込んで 後半の展開をもう少しリアリティを重視していれば、 洋画のLGBT系作品と比較しても遜色ないクオリティまで到達できたはず。 この映画が素晴らしいのは、飯島女子がエグゼクティブプロデューサーを務め、 カレンが制作をし、草なぎ剛が主演でありながら、一果(服部樹咲)の物語になっていること。 夜の街で偽物の白鳥を演じていた凪沙が、一果を本当の白鳥にするための物語であり 一果を演じた服部樹咲は、「誰も知らない」の柳楽優弥や 「ラストレター」の森七菜を上回るほどの鮮烈さをスクリーンに焼き付けている。 バレエの技量でこの役を勝ち取ったと何かで読んだが、どうしてどうして芝居も良い。 今はまだ監督の指導により良い表情を引き出されているに留まっているが 今後彼女自身が芝居をする楽しさに目覚めれば、一気に人気女優の道が拓けるはず。 カンヌ映画祭あたりに出品すればかなり話題を集めそうな気がする。 そして草なぎは、己の立ち位置を「陰の主役」まで一段階落として 服部樹咲を全力でサポートしている。 その姿が、一果を本物の白鳥にするために奮闘する凪沙と被る。 本来ならば大御所俳優が担うべきポジションをさらっと演じた本作は彼の代表作になるであろうし この作品がジャニーズ事務所への忖度で不当な扱いを受けないことを切に祈る。 特に昨年「新聞記者」に作品賞を選んだ日本アカデミーが、 二年連続で脱・忖度路線を見せて賞の信頼性を取り戻すことが出来るのか注目したい。 (2021年3月20日追記:ちゃんと最優秀主演男優賞を与えて着実に信頼を取り戻しつつある) 最後にひとつだけ。 エンドロールが終わった後の最後のシーンがとても美しい。 ラストシーンのネタ明かしとしても意味を持っているので 途中で席を立たず、最後まで見届けていただきたい。
【日本アカデミー作品賞&主演男優賞】映画「ミッドナイトスワン」縁を探す旅の果てに - 忍之閻魔帳
1 note · View note
jitterbugs-lxh · 2 years ago
Text
 春雷
(無限と風息)
 無限、の名をもつ男は、人間にして不惑を十度超えた、おそるべき怪物であった。おおいに肉を喰み酒を呑み麦を炊かずに米を炊き、寝汚いほどによく眠り、時には欲を愉しみさえした。清貧さや、禁欲のすべて、聖者たりうる格調を待ち合わせることだってできた、けれどもこの男は嘲笑うかのように、それらすべてを棄却した。より高みにのぼること、人の身をはるかに離れ、仙の域に入り、この世のなべて睥睨して生きることを、無限は良しとはしなかったのだ。どこまでも地を往き、いつまでも野にある。そういった男である。
 二度の口づけはどちらも軽く甘かった。吐息をたがいに混ぜ蕩ける深さを、期待していないと言えば嘘だった。鼻面を擦りあうような、恥じらう花を啄む小鳥の口づけを、この男から贈られるとは思っていなかった。磨きぬかれたつるぎのさまの、沸き立つ激しさ、焼けつく熱さを、いまではもう知っている。深い口づけはおろか、無限という男の熱情に浮かされた一夜を知った今となっては、彼が聖者たるに任せた生きかたを撰んでいなくてよかったとさえ、おもう。快楽はいつも即物で短絡的なものだ。あまく貪りあう口づけもあれば、噛みつき奪うそれもある。あわせる肌はいつだって、手合わせでは息ひとつ上げない男が汗みずくになるほどに。このうつくしく、愚かで、ばけものの勁さをもっているくせどこか儚げにみえる側貌のうちに、明朝啖う飯のことなど考えているくせ、憂いを帯びたため息の、愛を識るのは己だけであればよい。
 鎖骨のうえのわずかな窪みに溜まっていたのはいったいどちらの汗だったろう。つと落ちる指の、ととのえられてささくれひとつない、やわらかくなぞるつめさきの、吸いつく熱さを考えている。薄い胸をつたい、みぞおちを経由してあやまたず正中をすぎてゆく指は、ただ重さのみにて薄皮を裂く、研がれたばかりの手術刀の鑽れ味。とん、とん、所在をたしかめるようにかるく叩かれたへその奥にあまく疼く胎がある。愛撫の手はあくまでやさしい。やさしいが、胸をひらかれ、胎をあばかれ、骨をならべて、腑分けをされている気分に陥ったものだった。黎明を待たずしてむくろにもどるおれの、風息の、軀のすべてひらかれようとも、けしてこころは踏み躙らせない、そうした矜持を知ってか知らずか、誰よりも風息をあばきたてるべきではないが、しかしこの男が為さぬのならばだれにも相応しくない行いを、無限だけが赦されていた。他ならぬ風息が、赦したので、あった。
「おもうにみんな、あんたのことを特別製のなにかだって、信じたがっているんだ。おれもふくめてね。だけど無限、あんたは存外子どもだし、聞かん坊で、欲張りで、ちっとも神さまらしくなんてない。べらぼうに強いことだけほんとうだけど、それ以外のことでは、ちっとも。」
「なんの話だ? 風息」
「あんたはふつうの男なのにな、って話」
「ふつう? 私が?」
 意に沿わぬことでもあったろうか、あるいは、言い当てられて幾らか気まずい部分があったか、ぴくりと片眉をあげる男の言い草はあくまで穏やか、機嫌を損ねたふうにはみえないも、彼のそうしたわずかな機微を、見分けるのはずいぶん得意になったものだ。ぐ、深く腰をすすめて胎をつかれ、ぐずぐずに蕩かされて吐息が漏れる。甘い声に満足そうにわらう男のうすいくちびる、うずめたままに達する熱りに昂り、ぶつかる骨の硬さまで、もはや知られぬことはない、いつだったかこの男が言ったことには、風息が狼の一族でなしに、山猫の末裔であるところに幸いと喜びがあるのだそうだ。荒野をひたすら駆けるに不向きな四肢は、しかし、枝を渡り斫りたつ断崖をのぼり、跳ねては自在に着地する。やわらかいのだ、腰が、外転する脚が、股が。からだをひらいて抱かれることが、苦にならないだけの可動域を、彼はそなえた。もっとも軀がゆるしただけが、時に烈しい閨のいとなみ、胤を付ける雄のつよさを、快楽として享けいれるに至った理由でないことは間違いない。
 無限はたしかに、おおくにおいて極上の酒であり、蜜であり、玉であって杯であった。惑わされ、誘われて、陥ちた若木であったこと、もはや潔く認めるとしよう。真正面に向き合って腕につつみ、おんなを愛するような優しいそれもあれば、後ろからとらえて貪るように、勝手気ままに抱かれる日もある。酷くしてくれと頼むこともあれば、抱きすくめられ、甘い口づけに溺れたいとねだる日もある。恋人として上にも下にもおかない扱いをされたいけれども、処刑を待つ重罪人のように、丁寧にも冷たい、監視下にもおかれていたい。どうしたって無限はふつうの男でないのに、ただ不器用な男として振る舞うのを、愛してしまった自分の負けなのだろう。さいわい寿ぐ春の日の、やわらかな木洩れ日が彼にそそぐといい。昨夜のあらしは東のまちに、霹靂の青になって降りしきる。花曇りのあとのさわやかな風が、あなたの頬を撫で、髪を揺らし、足をわずかに止めさせることもあるだろう。駆けつづけるのは生半な覚悟ではつとまらないし、もうどこにも行きはすまいとの決意も、おとなのおれたちにはおそろしい。
 あいしているんだ。風息、おまえを。
 そら、あたらしい日だ、朝だ季節だ。カーテンをあけてはじめよう。風息がひと椀の水で渇いた喉をうるおすあいだに、無限はおなじ椀で粥を食ったというのでまた笑った。
0 notes
hitujijp · 6 years ago
Text
真夜中の四方山
しかしながらこうして毎夜、自らの想いをつらつら綴るというのも傍か見れば滑稽な話だ。オレは笑って過ごせればそれで良いと思うが、実際にはそう上手く運ばない物事の方が多��。 にしても虚空に向かって綴るのも虚しいのでこの辺りにしておきたい。どうにもダメで余り良くない方向に精神が進んでいるのが分かる。やはり水曜日は苦しい。無事で済んだと思っていたのだが後になって毒が回って散々苦しむ羽目になってこの後もダラダラ数日負の余韻を引くのかも知れない。 最近・・・楽しいこと無いな。 そうかオレ以外もこういう気持ちを抱いて居るのやもしれない・・・いやまさか楽しそうにみんなやっているし取り越し苦労に過ぎないだろう。それともただ表面的に装われているものなのか? 巷に溢れる充実しているアピールはむしろ実態にそぐわぬ精神を、アピールすることによって充実に近づけようとする「儚いもがき」であり、数々の問題と社会の表と裏で最終的にはどの人間も同じものに問われるだろう。それが「死」なのだろうと思うし、死に思い至らない人は余程の聖者であるか余程の愚者であろう。 少し見えてきた。オレは女性ではないので女性に関しては分からないし意見を聞く機会も無いので述べられないが(しかしそういう意見が有ればお聞かせ願えると今後の哲学の参考になるので非常に嬉しいのだが)少なくとも男性に関しては快楽によって解決出来ない問いが存在する。この部分は安易に快楽に逃避せず、丹念に考察を重ねて紐解き、最後には意識せずとも実行可能な様に習慣へと昇華させねばならない。 だがオレのような暇人と違って多忙に追われる人達に単独でそれを成し遂げる機会が訪れるだろうか? しょうがないな・・・lineぐらい聞いておくか。 ついでにゲームでボコる要員としてもな!
1 note · View note
neige-biblio0413 · 3 years ago
Text
嘘つきのナイチンゲール
  嘘世界ノースディンのおはなし。嘘予告の情報だけで書いたので、ちょっぴりノスクラっぽいかもしれない。 かなり幅広く捏造しています。最初から最後までALL捏造。何でも許せる方向け。 ただひたすらに暗いです。
※死を匂わせる描写あり
  ***
「嘘つきのナイチンゲール」
   その日のことは、いまでもよく思い出せる。  あの祝福された夜のことを。  わたしの指を握るちいさな手は、どこまでも無垢で純粋で。わたしはおまえが──どうか冬の寒さに、空虚な氷に囚われることなく生きてほしいと、そう願った。  その手が、愛らしいその手が凍えてしまわないように。そう在ろうと誓った。
 ***
 吐く息が白い。トランシルヴァニアでもあるまいに、ひどく寒い。  ──吹雪の悪魔が?  笑わせる。そう鼻を鳴らし、立ち上がろうとして……ノースディンはその力も残されていないことを、頭の隅で認識した。血の通う感覚がすでに、ない。  手ひどくやられてしまったようだ。  胸を衝く弾丸はかろうじて氷で縫い留めてはいるが、もはや薄氷のようなノースディンの身体は、少し力を入れれば容易く壊れてしまいそうな状態だった。自分の心臓がひび割れていくかのような感覚に、ノースディンは思わずうめく。それがまだ脈打っているかどうかすら、いまではもう怪しかった。  ──愚かな。  投げだされたままの身体を雪に沈め、浅く息を吐く。ありったけの能力を駆使して応じたため、木々は重みを持って撓垂れ、あたりは一面の銀世界へと変貌を遂げていた。何もない。まるで冬を切り取ったような世界の中で、ノースディンはひとり思い出す。腹が立つほど澄んだ海をたたえた蒼の瞳と、嘲笑うように高鳴ってみせたあの心臓を。己をなげうってまで、あの人間を生かした愛弟子を。わたしに報復するために?  自分はいま、嘲るような笑みを浮かべられていると、ノースディンは思ったに違いない。  なんて愚かな。人間に肩入れするなんて。ノースディンは内心で吐き捨てた。脆弱で、潰しても潰しても現れる虫のような、どうしようもなくみじめな存在だとお前はあの方の近くでよく見ていたはずだろうに。か弱くて、儚くて、すぐに死んでしまう。どのみち我々を置いてゆく生き物だということを、お前は知っていたはずだろうに。  我々は止まらない。止められない。昼の末裔は、悉く滅ぼすしかないと、お前の祖父も、父も――。  人間と馴れ合うなど、あまつさえ退治人などと! お前はあの方の嫡孫。白銀の狼の嫡男。奴らは我らの悲願を阻むものどもだというのに。  こんなことになるとは思っていなかった。警告したつもりだったが。  喉がひゅっと締まり、ノースディンは咳き込んだ。  わたしみたいになるな、と。  ……そうとも。  かつてただ一度、愚かにもわたしはお前と同じことを願った。そっと瞼を閉じて、ノースディンはその裏に黒衣の姿を浮かべる。あのころは、お前もまだ小さくて、いまよりもずっと泣き虫だった。人間に強い思い入れなどはなかったが、あの男がわたしを退治しにきてから──それも悪くはない、と考えていた。  そうだ。奇しくも、彼も退治人だった。  ノースディンの胸のあたりがキシっという音を立てた。  しかし、望んだ未来は来なかった。あの方は──。  すべての昼を赦さないとあの方が言うならば、ドラウスが肯定したならば、わたしもそうしよう。  遠くから見ていようと決めた城下の者たちを雪の下に埋めた。正体を知らずとも、わたしによくしてくれた者たちの子孫を、手にかけた。  それでいいのだと信じていた。信じたかっただけかもしれない。後にはもう引けなかった。人間との対立は深くなる一方だろう。我々が撒いた種だ。だからこそ、わたしはあの子を人間から遠ざけようとした。  なんてひどい師だろう。傷つけまいとそう誓ったのに、結果だけ見れば、わたしはあの子を殺したのだ。  努力はしたんだ、ドラウス。頑張ったんだ、わたしなりに。だが、わたしではあの子を連れ戻せなかった。  これはその代償だ。  ああ、なのに。なぜ、わたしの心はこんなにも穏やかなのだろう。  これで終わりなのだとわかっているのに、とても愉快な心地がする。呼吸もままならなくなった肺の音を鳴らしながら、ノースディンは虚空に向けて高らかに笑った。  こんなふうに笑ったのは何世紀ぶりだったか。  これでお前を傷つけることもない。もう、自分を殺し続けることもないのだ。そう思うと、暗くなりはじめた視界とは裏腹に、晴れやかな気分になった。  やれることはやったのだ、ノースディン。それでも変えられないというのなら──あの子はそうあるべきなのだろう。  もしかすると、どこかで喜んでいたのかもしれない。あの子が自身と同じような未来を望んでいることを。ノースディンは力なく笑った。  ドラルク。わたしの指を握った小さな手。お前の歩む道は、苦難で舗装されている。わたしにもこの先の未来がどうなるか、少しも検討がつかない。それでもどうか、と願わずにはいられない。  傍で見てやれないのが……残念だが。愚かな師匠から不出来な弟子へ、最後の課題を出そう。  その手でお前の大事なものを、守りなさい。  「……」  鼓動が遠い。  ピシ、ピシ、と亀裂の入るような音が、かすかに耳に届く。このまま雪に溶けるのだろう。それでいい――それでいいのだ。「吹雪の悪魔」には相応しい最期だ。もう、疲れた。  かつての願いは叶わない。あの子は行ってしまった。わたしはどこにも帰れない。自分を欺き、夢を捨てられずに一族を欺き……。許されるのは、永遠の白銀へ沈むこと。  嗚呼。もしも神がいるというのならば、どこにも行くことのできないわたしに、どうか裁きを。朽ちる前にただ一度でいい。  ――クラージィ。  動かせない唇が音のない名前を紡ぐ。  わたしたちは、いったいどこで誤ってしまったのだろうな。
 
 ***
 サクリサクリと、雪を踏む音がした。  音はどんどんとノースディンの方へと近づき、やがて止まる。  「あれ。そこにいるのはもしかして吹雪の野郎?」  遠くに聞こえたのは、ノースディンが望んでいた声ではなかった。  ――そうだな。お前は、わたしの手の届かないところに行ってしまったのだから。  ハハッという笑い声をかすかに感じながら、あの子に読み聞かせた物語を思う。オスカーワイルドの小さな鳥。  わたしにお似合いの結末だと、ノースディンは微笑んだ。
0 notes