#感謝の巡る暮らしを
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servant222 · 3 months ago
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2025/03/26 休みの日
子ども達の引越しもほぼ終わって向こうに行かなくても良い休みの日の2回目。生活自体もう始まっているので必要なものはネットで頼み、向こうに届くというようにしてあり大きめの何かが昨���全て届く日だった。
新しい生活を始めるということは、時間もお金もかかるものだなと改めて知る。
私はというと毎月の定期通院の日、午前中かけて2つのクリニックに行き薬をもらう。貧血は前回から鉄剤を処方され毎朝内服している。少し前に採血したのでその結果も教えてもらった。ちゃんと数値は上がっていた。鉄剤ってすごい。それでもまだ基準値に満たないものもあるのでまだ継続します、と先生に言われまたひと月分の処方をもらう。確かに体を動かす際の息切れというかしんどさが軽くなった気がする。貧血、良くないね。
どちらのクリニックもさほど待つことは無かったが待ち時間に少し文庫に目を通す。スマホをなんとなく見て過ごす時もあるけれど、文庫をカバンに一冊入れてあるので、それを読むことも多い。
今カバンに入っているのは川端康成と三島由紀夫の往復書簡、というものだ。持ち歩いて出先で読む程度なので全然読み進んではいないけれど、三島由紀夫の川端康成に対する敬愛がすごく分かる。手紙というのはとても個人的なものになるのに、著名人の場合、時代が過ぎてからこんな風に公開されるなんて本人は恥ずかしいと思っているのかもしれないとか思ったり。
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通院と通院の間に少し時間があったので辺りを歩いてみた。道端には土筆がたくさん生えており、すっかり穂も開いていて過ぎゆく春を感じる。そういえば小さな頃は祖母と土筆を採っては煮て食べたけれど、もうそんなこともすることは無いな、と幼い頃に思いを馳せた。
土手の水仙は強い香りを辺りに放ち雪柳は溢れんばかりだ。真っ黒の嘴だけ白い鳥たちがすいすいと川面を泳いでいた。調べてみるとオオバンという渡り鳥らしい。
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それにしても黄砂の影響か、空が白い。
2箇所の通院を終えるとそろそろ昼だった。昼からは実家で髪の毛を切って染める予定。少し早めに行こうと思っていたところに母からのLINEが入る。お昼をこっちで食べないか、とのこと。そちらに向かっている旨を返信。
実家に着くと「お父さんと土筆を採りに行ったのと、お客さんから土筆をもらったのがたまたま重なって、思ってた以上にたくさん作れた」 と母がタッパーを見せる。
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パッと見るとちょっと気持ち悪いかもしれないが土筆です。
驚いた。さっき土筆なんてもう食べられないだろうな、なんて思ったところだったし、母だってもう何十年もそんなことしたことが無かったというのに、採りに行ったのともらうのが重なるなんてことあるのか。偶然の一致とはなんて運命的なんだろう。
子ども達が家を出てからというもの、母が私の方を気にしているようでこうやって何かがあるからと食事を一緒に食べさせてくれることが増えた。ありがたいことだ。
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両親とともに食事を済ませて、母に髪の毛を切ってもらう。入学式やら何やらあるのでさっぱりした。その後、母が近所のスーパーが割引の日だからと言うので母を乗せ買い物に行った。
まだ両親とも車の運転もしている。そこまでの年では無いし乗せられて怖くもないけれど、子ども達にお金も手間もかかる今、両親が元気でいてくれることは本当にありがたいと思う。親の介護と子育てが重なることほど大変なことはない。両親に日々感謝だ。
買い物をして帰宅すると時間指定で頼んでんあったものが配達された。私も自分だけの食事管理になるため、心機一転というのかそれ用にフライパンを買ったのだ。ダン���ールを開けていると下の子からLINEが入る。所用があり急遽帰るとのこと。そんなつもりは無かったがこんな夕方から帰ってくるのなら戻る時は���って行くことになるなと思う。
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下の子が帰宅するくらいの時間に合わせて晩ごはんを準備する。届いたフライパンも早速使う。大きめで色々入れられるように、とそれ目的で買ったものだ。
昼は母の手料理をご馳走になりすっかり子どもの立場だったが、こうなると母の立場になって子どものために食事を作る。これもまた巡っている感じがしておもしろい。
最寄りの駅まで迎えに行くと、月初めに開けた口元のピアスのキャッチを紛失したためこのままドンキホーテに行きたいとのたまう。毎日締めていてもすぐにバーベルの玉がどこかにいってしまうらしい。ホールが安定していないので取れてしまうのは困る。ドンキホーテで予備も含め2つ滅菌済みラブレットスタッドを購入。ボディピも大変だ。
そんなこんなで帰宅し下の子と作っておいた食事をする。珍しく美味しい美味しいと言いながら完食した。姉妹暮らしで主に食事を担当している下の子は、そんな風に思うのだなと感心する。親のありがたみというのではなく、他者に作ってもらった食事というのは格別美味しく感じる、というのを体感しているようで良かったなと思う。
慌ただしくて完成した食事を撮らなかった。一応もやしと豆苗に鱈を乗せたもの、小松菜を豚肉で巻いたもの、菜の花のおひたしとゆでたまごがメニューだった。
下の子が必要だったものを持ち、上の子の届いている荷物を持ちアパートに向かう。夜なので道も空いていて思ったより早く着いた。上の子はシャワーを浴びていて風呂のドア越しに少し会話をした。先週体調を崩していたようだったが元気そうなので安心した。22時頃にアパートを出た。帰り道もトラックばかりで混んでおらず1時間半かからずに家に着いた。
朝から夜まで何かと動いていた一日だったし、向こうには行かなくてよいと思ってたけど結局行ったな、などと思いながら風呂に入り布団に潜り込む。
この頃ゆっくり日々を振り返る時間が無く随分長くなってしまったが、記録として書いておく。ふと思ったことなんて慌ただしさに追いやられてすぐに忘れてしまうから。
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kennak · 6 months ago
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宮城県警は20日、仙台市青葉区に住む中国籍の大学院生の男性を私電磁的記録不正作出・供用の疑いで書類送検した。令和3年6月頃、4年1月頃に日本ウイグル協会のサイトから協会主催の講演会に虚偽の日本人名で申し込むなどした疑い。協会の講演会を巡っては、中国語を話す人物が撮影して回るケースが相次いで確認されており、協会は「現地の中国当局の指示」とみて人権活動に関わる在日ウイグル人の情報が中国当局に渡ることに危機感を強めていた。 ウイグル決議が影響か 県警によれば、大学院生は当時市内の大学の学生で、講演に出席した理由は「ゼミのため」、日本人名をかたった理由は「中国名は警戒されるから」と供述しているという。県警は大学院生の背後関係について慎重に捜査する構え。 協会によると大学院生は令和3年6月に茨城県日立市で開いた講演会に、4年1月には東京都港区の笹川記念館でジャーナリストの櫻井よしこ氏を招いた講演会にそれぞれ参加したといい、偽名での出席には気付かなかったという。当時、国会では超党派議連などが中国当局による新疆ウイグル自治区での人権侵害状況を非難する国会決議の採択を目指しており、協会は「人権決議をやめさせるための情報収集の一環ではないか」と指摘する。 メールで「バイト」募る 協会に関するウイグル人会合は5年12月頃まで不審な人物による撮影が半ば常態化していた。 例えば、5年7月に神奈川県逗子市で開かれたウイグル人証言集会。会合に先立って報酬付きで集会の撮影者を募集するメールが在日中国人に出回った。①参加人数②配布資料の部数③講演者数④自治区出身者数─などの情報を求める内容。送り主の男性が中国から出席する予定だったが、悪天候のため飛行機が飛ばなかったため代理を募ったという。 日本ウイグル協会の会合を撮影した中国人女性にお金を渡して撮影を依頼したと証言する男性と携帯電話でやりとりする協会幹部=令和5年12月21日、東京都北区(奥原慎平撮影) 実際、集会には日本人名を名乗る男女が会場内を撮影して回り、外に出ると中国語を話し出し、警察が警戒を強めたという。 その後、同県大和市で街頭活動を行った際、ウイグル人を撮影している不審な人物に協会関係者が尋ねると、「メールを受け取ったアルバイトだ」と認めたという。 「日本でやりたい放題だった��� なぜ、こうした情報を集めるのか─。主催した丸山治章・逗子市議は「中国当局に送られていることは想像に難くない。中国国内と同じく、在日ウイグル人の活動を監視しようとしているのだろう。放置するのは危険だ」と指摘する。 自治区のウイグル人「強制収容所」などの実態を国際世論の後押しを通じて改善を目指す協会。名前や顔を公表して活動するのは少数に過ぎず、多くは名前や顔を隠して活動をサポートする。自治区で暮らす親族や自身が戻った際に当局による圧力を懸念するためだ。 こうした撮影行為は在日ウイグル人の「萎縮」につながっている。顔や名前を隠していた協会関係者は、活動内容が自治区の当局者になぜか把握され、家族が脅され、協会から遠ざかったという。 協会のレテプ・アフメット会長は、「中国当局はやりたい放題で活動の情報を取っていた。人権活動に対する『スパイ』を書類送検したことは非常に意味がある。在日中国人が軽い気持ちで加担することが抑止される」と宮城県警の対応に謝意を示し、「平穏な日本社会で外国のスパイ行為が暗躍している実態を知って、問題意識を持ってほしい」と語っている。(奥原慎平)
偽名でウイグル講演侵入の中国人院生、宮城県警が送検 相次ぐ不審な撮影、当局関与指摘も - 産経ニュース
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elle-p · 2 years ago
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P3 Club Book Koromaru short story scan and transcription.
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虎狼丸の優雅な一日
初夏の爽やかな日差しが心地よい日曜日。今日もなかなかの散歩日和だ。少し早めに出かけて、少し寄り道をするのもいいかもしれない。明確な言葉によるものではないが、だいたいそんなことを考えつつ、その柴犬は神社の石畳から身を起こして軽くあくびをした。
犬の名はコロマル。正式には虎狼丸と書くのだが、本人 (本犬?) は字が読めないので、とくにその違いにこだわりはない。彼がこだわっているのは、毎日の散歩。先日、彼の飼い主である神社の神主が事故で亡くなって以来、新しく神社の主となった人間は、最低限必要な食事は出してくれるものの、散歩に連れて行ったり頭をなでてくれたりはしない。コロマル自身、前の飼い主だけが唯一の主人であると思っており、もし新たな神主が散歩に連れて行こうとしたとしても、以前のルートを変えるなど考えもつかないことだった。なので、今日もコロマルは散歩に行く。まず、長鳴神社からムーンライトブリッジを超えてポートアイランドの駅前まで。その後、再びブリッジから蔵戸台方面に戻り、町をぐるりと巡ってから神社に戻る。これが、毎日の長い散歩のロードマップ。
「わん!」
人間の言葉に直せば、さあ行くか、といった感じだろうか。コロマルは一声鳴くと、いつもののんびりとしたペースで歩き出した。
「あ、コロ助、おはよ!」
ふと、かけられた声に、コロマルは面倒くさそうに顔を向ける。それは、三つ編みの髪を頭の両側でお団子にした、小学生くらいの女の子。いつも、夕方ごろに神社で遊んでいる子だ。
実を言うと、コロマルはこの子が少し苦手だった。嫌いなわけではないのだが、ややコロマルを構いすぎる傾向にあるのだ。大人と比べて体温が高い子供が、気温が高い日にむしゃぶりつくように抱きしめてくることを想像してほしい。毛皮に覆われたコロマルの苦労は、その想像の軽く上をいくものだ。ただし、慈悲深いコロマルは、そんな女の子も無下には扱わない。この子がわりと苦労人であることを、コロマルは知っているのだ。そう��ょっちゅうではないが、この子の両親は酷いケンカをするらしく、夕刻の神社で悲しみをこらえるようにコロマルに抱きついてくることがある。群れで暮らす犬族は、それこそ家族や仲間は命に等しい。それが仲良く暮らせない悲しみは、いかほどのものだろうか?そう思うと、コロマルは多少うっとうしくても、彼女に優しくせずにはいられないのである。
「あ、もう時間だ。ごめんねコロちゃん、舞子もう行かなきゃ。あーあ、塾面倒くさいなあ」
そう言って、彼女はコロマルの頭をひとなですると、廠戸台商店街方面へと歩み去った。うん、これぐらいのスキンシップが、コロマルにとってはちょうどいい。少し気分を良くして、コロマルも再び歩み始めたのだった。
潮の香りがする中、コロマルはムーンライトブリッジをてくてく進む。人間は、ここを観光地とかいう扱いでありがたがって見に来るらしいのだが、コロマルにとっては散歩ルート中もっとも退屈な行程である。というのも、橋の手すりが高すぎて、コロマルの体高では絶景と噂の風景も見えないからだ。しかも、やたらとたくさんの自動車が前から後ろから突っ走ってきて、危ないわ埃っぽいわ、嫌な油臭い空気を吐き出すわで不愉快ですらある。
であるからして、コロマルはこの場所を無心で歩く。なるべく潮の匂いにだけ集中し、遠くに見えるポロニアンモールの丸いドームを目指してずんずん歩く。時おり、ランニング中の人間が立ち止まって手を伸ばしてきたりするが、それも可能な限り無視してひたすら前へ。
しかし、それでも2度呼ばれると、つい立ち止まってしまう。コロマルが行ってやらないと、呼んだ人間は時々えらく傷ついた顔をすることがあるのだ。人間を傷つけることは、コロマルの本意ではない。なので、コロマルはあくまで “仕方なく” 人間に思うさま頭をなでさせる。コロマルはそういう自分の性格を時おり誇らしくすら思っているが、じつはなでられている間、ついつい尻尾を振ってしまっていることには気づいていない。コロマルはそんな犬だった。
「あれー、コロちゃん?こんなとこまでお散歩に来てるの?」
「あ、ホントだ。健脚だね〜」
ポロニアンモールに来たところで、厳戸台あたりでよく見る女子高校生に出会った。いつもの制服姿ではなく私服姿。セミロングの髪の子は、ピンクのタンクトップにデニムのジーンズ、ショートの髪の小さい子の方は、水色のワンピースを着ている。もっとも、犬であるコロマルにとって、服の違いは別にどうでもいいのだが。
このふたりは、けっこうコロマルのお気に入りである。水色ワンピースの子は、動物の扱い方を心得ているのか、コロマルが気持ちいい場所を的確になでてくれる。タンクトップの子は、なでかたこそ普通だが、あまりベタベタしようとし��い点で好感が持てる。コロマルに触りたいという気持ちは、たくさん伝わってくるので、むしろもっと触ってくれてもいいのに、と思うことすらある。もし犬の言葉がわかる人がいれば、遠慮しないでいいよと言ってあげたいほどだ。まあ、そうそう都合のいいことはないと、犬ながらに買いコロマルはそう思う。
「あ、コロちゃん、こういうの食べるかな?」
そう言って、水色ワンピースの子が手に提げていた袋から何かを取り出す。赤いビニールに包まれた、棒状の何か。漂ってくるかすかな匂いに、ある期待を抱き、思わずコロマルの尾がぶんぶんと大振りになった。
「あれ?ソーセージじゃん。どーしたの?」
「え?あ、た、たまには自分で料理しようかと思って······さっきデパートで、ちょっと」
「ふーん、風花も料理したりするんだ」
「ま、まあね。あはははは」
ワンピースの子は何か焦った様子だが、すでにコロマルは、想像の中に広がるソーセージの味で心が一杯になっている。ワンピースの子は、そんなコロマルの期待に応えるように、できるだけ意いでビニールをむいてくれた。
「はい、どうぞ」
「わん!」
礼を言うのもそこそこに、コロマルはソーセージにかぶりついた。そういえば、朝食をとってからけっこうな時間が過ぎている。ちょうどいいタイミングの思わぬ幸運に、コロマルの心にじんわり幸せが広がっていく。やはり、何かを食べているときが、いちばん幸せだ。それがとくに、好きな人が手ずから食べさせてくれるとあれば、それ以上何を望むことがあろうか。
欠片ひとつ残さずにコロマルはソーセージをたいらげ、もう一度「わん」と礼を言う。
「どういたしまして」
とワンピースの子が答え、買い物の続きがあるからと、コロマルをひとなでしてどこかの店へと向かってふたりは歩き出した。ごくまれにだが、このようにコロマルの意思が、人間に通じているように思��ることがある。それは単なる錯覚や勘違いかもしれないが、それもまたコロマルに満足感を与えることのひとつなのだ。
ともあれ、コロマルは今日彼女たちに会えた幸運に感謝しつつ、散歩の続きを楽しむことにした。いずれ、コロマルは先ほどの想像どおり彼の言葉を理解できる存在と出会い、この日もっとも幸運だったことは、ワンピースの子がくれた食物が “調理前” だったことにあったのだと知るのだが、それはまた別の話である。
散歩の折り返し点、ポートアイランド駅に着いたときには、太陽は南天を過ぎ、もっとも暑い時間帯を迎えていた。駅そばにあるオープンテラスのカフェは、日曜ということもあって満員。いつもなら、ここで小腹が空くタイミングとなるために、カフェの客に愛想を振りまいたりすることもあるのだが、今日はもらったソーセージのおかげでその必要もない。
とりあえず、涼しい日陰でも探そうかとコロマルが駅前広場を見回したとき、ぞわり、と背中の毛 が逆立つような感覚がした。無意識に、尻尾が丸くなって足の間に挟みこまれる。コロマルは、その感覚に覚えがあった。
--いた。
花塩そばのベンチに座った、白いドレスの少女。手には大きめのスケッチブックを持ち、空ろな目でしばし前を見つめては、手元に目線を移して右手を動かす。その作業を、少女はひたすら続けている。
コロマルは、あまりこの少女に近づいたことがない。別に危害を加えられた訳ではない。ただ、以前1度だけ、少女の前方にいたときにじっとあの目で見つめられた。それだけだ。その目が、コロマルは今も怖くて仕方がない。
言葉を持たないコロマルは、その印象をうまくまとめることはできないが、あえて説明するとしたら、それは生き物としてはありえないほどの、虚無に満ちた視線だった。コロマルの目からは、少女は既に死者に等しく見えた。
だが、そんな少女が。
「······おいで」
なんと、コロマルを認めて声をかけてきたのである。一瞬のためらいののちに、コロマルは少女のほうへと近寄った。丸めた尻尾は、気力を振り絞って常態に戻している。少女に対しておびえを見せることが、何となく申し訳���く思えたからだ。それがなぜかは、わからない。
コロマルが近寄ると、少女は手に持ったスケッチブックを数枚めくり、やがてコロマルにひとつの絵を示した。強弱が定まらない輪郭線、不安定な色彩。正直、犬であるコロマルに絵の良し悪しはわかりはしないのだが、その絵からは何か圧倒されるものが伝わってきた。それは、この世のすべての生き物が恐れるべく定められた、“死” そのもののイメージだった。
「······これ、お前よ」
その言葉に、コロマルは首をかしげて再び絵を見る。よくわからない。だが、コロマルの生き物としての鋭敏な感覚が、その絵にこめられた別のイメージを感じ取った。
これは、憧れ?
紙の上にすみずみまで満ち溢れる、死というマイナスイメージの中、ほんのかすかに匂う生への憧れというプラス。それはまるで、地平線まで広がる黒々とした底なし沼の真ん中から、すがるように空に向かって伸ばされた白い手。
「普通は······誰かに見せたりしないけど······お前は、勝手にモデルにしたから、一応······」
目を合わせず、言い訳するように少女は呟き、そそくさとスケッチブックを畳んでしまう。
「く~ん」
と、コロマルは、甘えるように鼻を鳴らす。少女に付きまとう、得体の知れない死のイメージは微塵も薄れてはいないが、それでも小さな小さな助けを呼ぶような気配が気になった。だが、少女にはそんな想いは通じず--。
小さな体に不釣合いな大きさのスケッチブックを抱え、少女は無言で立ち去ってしまった。
自分には、あの虚無から彼女を助けることはできない。それを本能的に知覚し、コロマルは少し悲しくなる。そしてコロマルは気づく。
--誰かを守れる力が欲しい。
そんな想いが、自分でも意外なほどに、強く強く満ち溢れていることに。それは、愛する主人を突然の事故で亡くして以来、自分の気づかない場所で、静かにっていた火だった。
それから、コロマルは沈んだ気分を晴らすように、ポートアイランド駅近辺をたっぷり散策した。今日はなかなか面白い人間が多く、別に吠えたり呻ったりもしていないのに「ちょっと!アタシは犬って苦手なのよ!犬は悪い人がわかるって言うし、アタシなんか噛まれるに違いないんだからね!しっし!訴えて慰謝料とるわよっ!」と叫ぶ中年男にじゃれ付いたり、なにやら月高の女生徒を付け回す同じく月高の男子生徒を、真似して尾行してみたりした。そして、ほんの少し気持ちが復活したところで、コロマルはポートアイランドをあとにして、行きと同じ道を辿って帰路に着く。
ポロニアンモールで立ち話をする主婦の、買い物袋から漂う匂いの誘惑に打ち勝ち、相変わらず埃っぽくて油臭いムーンライトブリッジをずんずん進み、ほんのちょっと厳戸台駅前に寄り道をする。これもいつものルート。
このあたりに来ると、昼が長い夏とは言え、すっかり日は傾きかけていた。駅前商店街に多数存在する食べ物屋からは、それぞれに違ったいい匂いが漂ってくる。とくに気になるのが、香ばしく焦げたソースの匂い。前に1度だけ食べたことがある、たこ焼きの匂いである。
ちょっとした気まぐれで、店主が散歩中のコロマルに投げてよこしたたこ焼きは、今までに経験のない美味だった。
「ホンマは犬猫にタコやイカはあかんのやけどな。ウチのはほら、タコ入ってへんから」
店主はそんなことを言っていたが、コロマルにとってはどうでもいいことである。ただ、もう1度だけ店主が気まぐれを起こしてくれないかと、このあたりで足を止める癖がついてしまったのが、我ながら情けない。
空腹をこらえながら、コロマルは商店街を進む。今日はあいにく、コロマルに食べ物を恵んでくれる気になる人間はいないようだ。いつも新しい神主が提供してくれる食事は、コロマルにとってはやや物足りない分量である。今日はちょっと疲れたので、もしかするとあれでは足りないかもしれない。今夜は、空腹をこらえて寝るしかないかと、コロマルが覚悟したとき。
「よう、コロちゃんじゃねえか」
後ろからかかる声。
大きく尻尾を振って、コロマルは声の主のもとに走り寄った。亡くなった主人を除けば、おそらくコロマルがもっとも大好きな人間だ。
「ほら、焦るなって」
そういって、その人は懐から容器を取り出し、地面に置いて開けてくれる。中身は何か肉を煮込んだもの。巌戸台商店街やポートアイランドでよく見かけるその人は、いつの頃からか、定期的にコロマルに食べ物を持ってきてくれるようになっていた。口調は乱暴だが、優しい人だ。
「よし、いいぜ。食えよ」
いつものことだが、コロマルは律儀に一声吠えて礼をいい、それから出された食事を食べ始める。あまり味を気にしないコロマルだが、その肉は絶品だった。濃す��ない味付け、適度な歯ごたえ、神社で出されるドッグフードとは雲泥の差である。食べながらコロマルは思う。色々あったが、今日は総じていい日だった。明日もいい日になるだろうか?
どちらにせよ、コロマルは毎日を精一杯生きるだけだし、日課の散歩も変わらないだろう。手が届く範囲の幸せ、それを守ることがコロマルの重要事であり、それは確かに、生き物すべての真理なのである。
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ndmnemosyne · 2 years ago
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2023.7.18
わたしのヒースクリフ、今日は高い場所の整理をしていたときに右の二の腕をつったらしい。湿布を貼っていると心地よい。帰宅中はなんとかなったけれど、シャワーを浴びている時からどんどん腕が重くなってしまった。明日には軽減しているといいけれど。
帰宅してからも仕事のことばかり考えている。休日でもそう。だって待ち望んでいた仕事なのだから!非正規とはいえずっとずっと憧れていた仕事。だからどんなことでもできる。失敗も怖くない。うそ、怖いし、できない。その小心さゆえにずっと仕事のことばかり考えている。どうしたら正しくマニュアルに従って、個人の解釈を1ミリも入れず業務を遂行できるか。繰り返しやることでしか覚えられないこともあるから、言葉が足らないだとか、別の解釈の余地を残してしまうとか、そういう失敗ばかりしてしまう。なのでマニュアルを読んだり、丁寧な説明ができるように書き起こしたりしている、時もある。持ち帰り仕事をして自分の時間を使ってはいけないのだと思うけれど、そうでもしないと追いつかないのだ。赤の女王が言っていた通り。その場にいたいなら走るしかない。違う場所へ行きたいならその二倍走らなくてはならない!
予約の指示に従って書庫や書架から資料を探すのはとても好きだ。わたしはその仕事については第二位の担当なので時々担当する。探している時の脳内は半端なく回転していて、音が聞こえてきそうなくらいだし、実際軽く酔っていると思う。それぐらい好きだ。嫌いなのはILL、というか主担当ではないし主担当のやり方が今ひとつわかっていないから。そもそもちゃんとはわかっていないのに、それでも担当させることでなんとか仕事を教えてくださった上司には感謝しかないのだ。わたしの可能性だけを信じてくれていたのだから、とてもありがたいこと。
その時は、申し込みがあればすぐ探し、可能性のあるところにある程度数を絞っていたとはいえ、最低限のルールを守った上で、感覚で依頼し、受入をしていた(ので、巡回の際に一人でしまった、と思うくらい抱えてしまい、途方に暮れたくなることもあった。もちろんある程度は分担してもらえたのだが調整して依頼する、ということを知らなかった……)。今は主担当が管理して調整して受入をしている。主担当が分担すると判断した分だけを担当するので、全体がよくわからない。でもそれが分担するということなのだろう。まじでなんもわからん素人が業界に飛び込んだと思って欲しい。右も左も知らんことばかり、初めてやることばかり、ちょっと仕事を知っている人から見たら鈍臭くて見ていられない、そういう事を今、しているのだ。恥も何もない、しがみつきたい一心で。
本当はもっと業務のことを解りたい。なのにちょっと時間があると「自分に戻りたがって」しまう。「自分に戻る」とはある程度時間をかけて頭の中をクリアにする、その為にネットを(今ならSNSを)繰り返し徘徊・更新して新しい書き込みを読むこと。そうしている間に擬態していた緊張が解けて落ち着き、したいことをする元気が戻る。そのうち自分の決めている導入剤を飲む時間が来る。日付の変わる前には気絶できるように計算した時間に導入剤を飲み、明日を待つ。
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mxargent · 2 years ago
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"Kill them with kindness" Wrong. CURSE OF MINATOMO NO YORITOMO
アイウエオカキクケコガギグゲゴサシスセソザジズゼゾタチツテトダ ヂ ヅ デ ドナニヌネノハヒフヘホバ ビ ブ ベ ボパ ピ プ ペ ポマミムメモヤユヨrラリルレロワヰヱヲあいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよらりるれろわゐゑを日一国会人年大十二本中長出三同時政事自行社見月分議後前民生連五発間対上部東者党地合市業内相方四定今回新場金員九入選立開手米力学問高代明実円関決子動京全目表戦経通外最言氏現理調体化田当八六約主題下首意法不来作性的要用制治度務強気小七成期公持野協取都和統以機平総加山思家話世受区領多県続進正安設保改数記院女初北午指権心界支第産結百派点教報済書府活原先共得解名交資予川向際査勝面委告軍文反元重近千考判認画海参売利組知案道信策集在件団別物側任引使求所次水半品昨論計死官増係感特情投示変打男基私各始島直両朝革価式確村提運終挙果西勢減台広容必応演電歳住争談能無再位置企真流格有疑口過局少放税検藤町常校料沢裁状工建語球営空職証土与急止送援供可役構木割聞身費付施切由説転食比難防補車優夫研収断井何南石足違消境神番規術護展態導鮮備宅害配副算視条幹独警宮究育席輸訪楽起万着乗���述残想線率病農州武声質念待試族象銀域助労例衛然早張映限親額監環験追審商葉義伝働形景落欧担好退準賞訴辺造英被株頭技低毎医復仕去姿味負閣韓渡失移差衆個門写評課末守若脳極種美岡影命含福蔵量望松非撃佐核観察整段横融型白深字答夜製票況音申様財港識注呼渉達良響阪帰針専推谷古候史天階程満敗管値歌買突兵接請器士光討路悪科攻崎督授催細効図週積丸他及湾録処省旧室憲太橋歩離岸客風紙激否周師摘材登系批郎母易健黒火戸速存花春飛殺央券赤号単盟座青破編捜竹除完降超責並療従右修捕隊危採織森競拡故館振給屋介読弁根色友苦就迎走販園具左異歴辞将秋因献厳馬愛幅休維富浜父遺彼般未塁貿講邦舞林装諸夏素亡劇河遣航抗冷模雄適婦鉄寄益込顔緊類児余禁印逆王返標換久短油妻暴輪占宣背昭廃植熱宿薬伊江清習険頼僚覚吉盛船倍均億途圧芸許皇臨踏駅署抜壊債便伸留罪停興爆陸玉源儀波創障継筋狙帯延羽努固闘精則葬乱避普散司康測豊洋静善逮婚厚喜齢囲卒迫略承浮惑崩順紀聴脱旅絶級幸岩練押軽倒了庁博城患締等救執層版老令角絡損房募曲撤裏払削密庭徒措仏績築貨志混載昇池陣我勤為血遅抑幕居染温雑招奈季困星傷永択秀著徴誌庫弾償刊像功拠香欠更秘拒刑坂刻底賛塚致抱繰服犯尾描布恐寺鈴盤息宇項喪伴遠養懸戻街巨震願絵希越契掲躍棄欲痛触邸依籍汚縮還枚属笑互複慮郵束仲栄札枠似夕恵板列露沖探逃借緩節需骨射傾届曜遊迷夢巻購揮君燃充雨閉緒跡包駐貢鹿弱却端賃折紹獲郡併草徹飲貴埼衝焦奪雇災浦暮替析預焼簡譲称肉納樹挑章臓律誘紛貸至宗促慎控贈智握照宙酒俊銭��堂渋群銃悲秒操携奥診詰託晴撮誕侵括掛謝双孝刺到駆寝透津壁稲仮暗裂敏鳥純是飯排裕堅訳盗芝綱吸典賀扱顧弘看訟戒祉誉歓勉奏勧騒翌陽閥甲快縄片郷敬揺免既薦隣悩華泉御範隠冬徳皮哲漁杉里釈己荒貯硬妥威豪熊歯滞微隆埋症暫忠倉昼茶彦肝柱喚沿妙唱祭袋阿索誠忘襲雪筆吹訓懇浴俳童宝柄驚麻封胸娘砂李塩浩誤剤瀬趣陥斎貫仙慰賢序弟旬腕兼聖旨即洗柳舎偽較覇兆床畑慣詳毛緑尊抵脅祝礼窓柔茂犠旗距雅飾網竜詩昔繁殿濃翼牛茨潟敵魅嫌魚斉液貧敷擁衣肩圏零酸兄罰怒滅泳礎腐祖幼脚菱荷潮梅泊尽杯僕桜滑孤黄煕炎賠句寿鋼頑甘臣鎖彩摩浅励掃雲掘縦輝蓄軸巡疲稼瞬捨皆砲軟噴沈誇祥牲秩帝宏唆鳴阻泰賄撲凍堀腹菊絞乳煙縁唯膨矢耐恋塾漏紅慶猛芳懲郊剣腰炭踊幌彰棋丁冊恒眠揚冒之勇曽械倫陳憶怖犬菜耳潜珍
“kill them with kindness” Wrong. CURSE OF RA 𓀀 𓀁 𓀂 𓀃 𓀄 𓀅 𓀆 𓀇 𓀈 𓀉 𓀊 𓀋 𓀌 𓀍 𓀎 𓀏 𓀐 𓀑 𓀒 𓀓 𓀔 𓀕 𓀖 𓀗 𓀘 𓀙 𓀚 𓀛 𓀜 𓀝 𓀞 𓀟 𓀠 𓀡 𓀢 𓀣 𓀤 𓀥 𓀦 𓀧 𓀨 𓀩 𓀪 𓀫 𓀬 𓀭 𓀮 𓀯 𓀰 𓀱 𓀲 𓀳 𓀴 𓀵 𓀶 𓀷 𓀸 𓀹 𓀺 𓀻 𓀼 𓀽 𓀾 𓀿 𓁀 𓁁 𓁂 𓁃 𓁄 𓁅 𓁆 𓁇 𓁈 𓁉 𓁊 𓁋 𓁌 𓁍 𓁎 𓁏 𓁐 𓁑 𓀄 𓀅 𓀆
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teddyysblog · 8 days ago
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### 『紫陽花の鎖~傷痕の向こう側~』
#### 【第一章:帰宅後の静寂】
雨の滴りが窓を伝う夕暮れ時、僕は鍵を回す手を震わせながら自宅のドアを開けた。玄関にはお姉ちゃんの靴がな��、ようやく肩の力が抜ける。リビングの時計は午後5時30分を指していた。お姉ちゃんは今日も委員会で遅いのだ。
「...はあ」
鞄を放り投げ、制服の上着を脱ぐ。左腕の袖には、昼休みにトイレでこっそりつけたばかりの血痕が滲んでいた。誰にも気づかれずに済んだと思っていたが、体育の着替えで見つからないかと考えるだけで胃が痛む。
#### 【第二章:浴室の儀式】
浴室の鏡に映るのは、いつも通りの冴えない顔。不細工だな、と自分でも思う。お姉ちゃんだけが「世界一可愛い」と言ってくれるけど、それはきっと姉の愛情でしかない。
「...もう、いいよな」
カミソリの刃を手に取り、浴槽の縁に座る。右手が震えている。今日も廊下で山本たちに肩をぶつけられ、「キモい」と囁かれたことが頭を巡る。
プスッと鈍い音がして、左腕に新しい赤い線が加わる。痛みよりも、むしろ安心感がこみ上げてくる。これでまた少し、苦しみが外に出せた気がした。
#### 【第三章:運命の瞬間】
「弟くん、おかえ...り...?」
バタンとドアが開く音。振り向くと、そこには買い物袋を抱えたお姉ちゃんが立ち尽くしていた。紫色の瞳が大きく見開かれ、唇が震えている。袋からオレンジが転がり落ち、床を転がっていく。
「お、お姉ちゃん...今日は...早いんだ...」
僕は慌ててタオルで腕を覆うが、時すでに遅し。お姉ちゃんの視線は、床に落ちたカミソリの刃へと移った。
#### 【第四章:崩壊の始まり】
「...な...なんで...」
お姉ちゃんの声が、僕の知っているそれとは全く違う。低く、震え、そして...
"なんでぇぇぇえええ!!!"
突然の金切り声。お姉ちゃんが買い物袋を放り投げ、駆け寄ってくる。165cmの長身が155cmの僕を覆い、Cカップの胸が激しく上下している。
"だれが...だれが弟くんを...こんなことにさせたの!?"
お姉ちゃんの長い紫髪が乱れ、涙で化粧が滲んでいる。僕は初めて、お姉ちゃんがこんなに泣いているのを見た。
#### 【第五章】
お姉ちゃんの手が、僕の腕を優しくつかむ。その指先が震えているのが分かる。
"痛い...?消毒しなきゃ...絆創膏は...どこ...?"
普段は明るくて元気なお姉ちゃんが、今はまるで壊れた人形のようだ。僕は小さく首を横に振る。
「もう...痛くないよ...」
"うそつき!!!"
お姉ちゃんの叫び声が浴室に響く。突然、僕を強く抱きしめ、そのまま床に崩れ落ちる。
"どうして...どうして言ってくれなかったの...?私が...私がもっと早く気づいてあげられれば..."
お姉ちゃんの涙が僕の首筋に伝う。ラベンダーの香りと涙の塩味が混ざり合う。
#### 【第六章】
寝室で、お姉ちゃんが丁寧に僕の傷の手当てをしている。消毒液の刺激で僕が顔をしかめると、お姉ちゃんはすぐに「ふーふー」と息を吹きかけてくれる。
"もう...絶対に...こんなことさせないから..."
お姉ちゃんの声が震えている。普段はテンション高くて賑やかなのに、今はとても静かで、その分だけ余計に切ない。
「ごめん...お姉ちゃん...心配かけて...」
"ばか...!謝ることじゃないで��ょ...!"
お姉ちゃんは僕の頭を胸に押し付け、ぎゅっと抱きしめる。その力加減から、どれだけ必死なのかが伝わってくる。
#### 【第七章】
夜、ベッドでお姉ちゃんが僕の腕を優しく撫でている。包帯の上から、そっと触れるように。
"ねえ...明日から、私がずっと付いててあげる"
「え...でも学校...」
"委員会も部活も全部やめる!弟くんより大切なものなんてないんだから!"
お姉ちゃんの紫色の瞳が、暗闇の中で強く輝いている。本気だ。本当にそうするつもりだ。
「お姉ちゃん...」
僕は思わずお姉ちゃんの袖を握りしめた。この温もりが、傷の痛みよりもずっとずっと、心に染み渡る。
#### 【第八章】
朝日が差し込むベッドで、僕はお姉ちゃんに抱きしめられたまま目を覚ました。彼女は一睡もしていないようで、僕の顔を見つめるや否や、また涙を浮かべた。
"おはよう...痛みはない?熱は?"
「うん...大丈夫...」
お姉ちゃんは僕の額にキスをし、そっと囁いた。
"もう二度と...一人にさせないから...約束だよ?"
その言葉に、僕はお姉ちゃんの胸に顔を埋めた。この温もりがあれば、もう大丈夫な気がした。
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hazakura-ki · 18 days ago
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宮台真司『子どもを森へ帰せ』②
宮台 僕が懇意だった廣松渉の四肢構造論は前期と後期のハイデガーの統合です。いわく潜在行為群を文脈とした道具性が認知を与えます(飲水という潜在行為がコップを与える)。その潜在行為群は分業連関が与えます。認知を上部構造に、潜在行為群を与える分業連関を下部構造に配当するのが、廣松的マルクス改釈。ハイデガーベースのマルクス理解です。 分業連関が与える潜在行為群という発想は後期ハイデガーの総駆り立て論です。森で暮らすハイデガーは木こりの例が好き。昔は生活に必要な道具を製作すべく木を切る。今は製材所に駆り立てられ切る。製材所はパルプ工場に駆り立てられ製材する。パルプ工場は出版社に駆り立てられ製紙する。出版社は書店に駆り立てられ出版する。書店は読者に……。 駆り立て連鎖は誰かの主体性に服さない。木こりは製材所の駆り立てを拒めば切られる。だから原生自然の贈与に感謝して切り過ぎないというフィジオクラティックな選択肢はない。そもそも駆り立て連鎖の全体性が見えない。資本主義であれ共産主義であれ分業編成の複雑化があれば変わらない。ゆえに自然生態系の破壊は止まらず、気付いたときは遅い。
宮台 事後に熟考しました。話した通り1996年から過剰を回避して「KYを恐れてキャラを演じる」作法が拡大。悩みをすべて話せる友達がいなく��り、友達=知り合いに頽落した。結果、窓開けの率先すら、過剰だと見做され始めた。これは共同体の同調圧力とは似て非なるもの。周囲が何を感じているのかを探らないまま、行為の外形だけをキョロメする浅ましさです。 結果「空気の支配」が、周囲の内面をスキップし、外形にだけ照準したものになる。すると「空気の支配」を破る契機が失われます。山岸俊男が計量分析を元にいわく、一般にイジメを見たときに止めに入るか否かは、同調する者が何人いるかという見立てに依存する。アメリカでは1人いれば踏み出すのに、日本では10人いないとダメ。それが「空気の支配」。
宮台 ユダヤ人と中国人はグローバル化に強い。ディアスポラやジェノサイドの悲劇の共有を経て形成された血縁主義ゆえホームベースが失われないからです。彼らは世界中どこに赴任・留学・進出しても「単身乗り込む」ことはない。どこにでも血縁ネットワークがあり、見ず知らずの者でも同じネットワーク上にあると分かれば、徹底的にリソースをシェアします。 血縁主義とは血縁ネットワークをホームベースとする生活形式。血縁ネットワークに育まれてリソースをシェアされる。疲れたり失敗したりしたら、そこに帰還して力をリストアし、新たにバトルフィールドにリエントリ(再参入)する。リソースのシェアと、バトルフィールドでの戦闘とホームベースでの回復のサイクルが、圧倒的な強さを支えます。 その営みは国境と国籍を超えます。19世紀アメリカでは、清教徒の教義ゆえに差別された、利子を生業とする金融業を、ユダヤ血縁ネットワークが一手に担い、国外に勢力圏を拡大して巨大投資を要する重工業化を支え、各国でユダヤロビーが力を持つようになります。血縁主義を知らぬ者から見ると陰謀を巡らす利権集団に見え、更に差別されるようになる。 日本では久米三十六姓に象徴される中国の伝統で、沖縄だけが例外的に血縁主義です。就職にしろ結婚にしろ、疲れたり倦んだりしたらいつでも戻ってこいというホームベースからのメッセージを受け取り、そのぶん失業率と離婚率が高くなります。沖縄に限らず、失業率と離婚率は必ずしも社会の劣化を意味せず、弱者が助け合うという絆を意味し得るんですね。
アルバート・バンデューラ カナダ出身の心理学者。1925~2021年。主著に『激動社会の中の自己効力』『モデリングの心理学-観察学習の理論と方法』がある。
ラルフ・ウォルドー・エマソン アメリカ��思想家。1803~1882年。主著に『自己信頼』がある。
宮台 取っ組み合いの喧嘩は危険。でもそうした経験がないのもまた危険。①イザというときに暴力に立ち向かえない。②程度が分からず手加減できない。③本気の対立を収拾する仕方が分からない。④言語的対立に於いてすら本気を示せない。⑤長じて自己防衛のために公共的意義がある本気の対立に向かえない。⑥喧嘩したからこそ信頼を得て仲良くなるという回路を使えない、などなど。 総じて危険回避ゆえの劣化の危険です。それを昔の人は「雨降って地固まる」と伝えてきました。
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yotchan-blog · 1 month ago
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2025/5/26 19:00:15現在のニュース
備蓄米5キロ2千円、首相「可能性極めて高い」 随意契約巡り期待感(朝日新聞, 2025/5/26 18:59:41) 都立高校「いじめアンケート」39人分を紛失 昨年7月に実施、副校長が5月確認したら… 流出報告はなし(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2025/5/26 18:58:50) プーチン氏の「帝国史観」支える側近 ウクライナ停戦交渉の団長に - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2025/5/26 18:57:21) 集合住宅の一室に侵入し1億円入り金庫窃盗容疑 匿流か、男2人逮捕(朝日新聞, 2025/5/26 18:52:27) 清水氏がさいたま市長再選 「もっと暮らしやすいまち」へ問われる真価 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2025/5/26 18:51:17) M&A「のれん」償却不要 政府の規制改革会議、企業の新陳代謝促す - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2025/5/26 18:51:17) 「夢見る少女じゃいられない」相川七瀬さん ブラジル親善大使に委嘱(毎日新聞, 2025/5/26 18:47:11) 農林中金16年ぶり最終赤字 2025年3月期、過去最大1.8兆円 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2025/5/26 18:39:13) 円高・ドル安示し続けるチャート分析 進む円キャリー解消 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2025/5/26 18:39:13) 日米関税交渉、30日軸に4回目の閣僚協議 赤沢氏は週内に再度渡米(朝日新聞, 2025/5/26 18:38:00) 万博会場内に喫煙所設置へ 「遠い」苦情相次ぎ ユスリカ対策本部も | 毎日新聞([B!]毎日新聞, 2025/5/26 18:36:24) ハーバードのアキレス腱を攻めたトランプ政権 「中国浸透」も問題視:朝日新聞([B!]朝日新聞, 2025/5/26 18:36:15) 防衛装備株高まる関心 国際展示会「DSEI Japan 2025」の出展倍増、三菱重工は次期戦闘機 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2025/5/26 18:33:14) 中2いじめ自死訴訟、市が和解案 「心情深く傷つけた」遺族に謝罪へ(朝日新聞, 2025/5/26 18:30:48) 山梨学院高サッカー部で集団飲酒、退学処分も 全国制覇2回の強豪(朝日新聞, 2025/5/26 18:30:48)
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hakoniwa-h · 2 months ago
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12周年目のトモダチコレクション新生活「とにかくマジメな後編」
 さて、うれしいうれしいと語っていた前編から、政治についてマジメに考えないと「政治を好き勝手利用されて裏金・関税で大変なことになるぞ!」というのを身に染みて感じているここ数年ですが、先ず、日本の12年から……。
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そんなこと言わず気にして!
■日本の12年  11年前、Tomodachi Lifeが発表になった時、日本社会の影響を強く受けたこのゲームは男女という性差が分けられ、恋愛・結婚がヘテロセクシュアル(異性愛者)の間でしかできないことに対して指摘を受け、その指摘を「政治的思想」とNintendo Americaが発表し、人権団体から批判される残念な出来事があった。Nintendo Americaはこの批判を受け謝罪した。  後、Miitopiaというゲームが3DSで発表になった。Miiは助けてくれる仲間をスキになり、自分の足を引っ張る仲間をキライになって喧嘩したり、と“性別の垣根を超えたシステム”にパワーアップして帰ってきた。
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 ケンカすることもあるけれど、みんななかよし。
 そうした事態から12周年目の今年……、「同性愛は政治的思想」と発信したNintendo Americaの後ろに居たNintendo本社のある日本では、司法から同性婚が認められつつある。これは全国各地で訴えを起こした当事者・協力者の存在があってのこと。
 日本の同性婚は今司法から自由を選択しつつある。  大変暖かな風が吹いている。
・毎日新聞:同性婚訴訟、高裁で2連続の「違憲」判決 裁判長「根拠のない差別」https://mainichi.jp/articles/20241030/k00/00m/040/067000c
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 トモダチコレクション新生活が『Tomodachi Life』として出荷されるときに、同性で結婚できないことは、「同性婚」について考えたことの無かった多くのユーザーにも影響を与える出来事だったと今では思う。
 それから、ハーヴェイ・ワインスタインのような芸能界の大物に対するMetooの告発が実り始めている。メディアから失脚しつつある大物コメディアン、アイドル、映画監督など、この中にはMiitopiaの宣伝に登場した俳優も含まれ、決してMiiを愛する人にも他人事ではない。  フジテレビの長い第三者機関による報告書で明確な「上納システム」の存在が詳らかにされ、第三者委員会で大変長い報告書が公開された。これは私たちも読み、考え、変えなければならない社会、企業の仕組みがある。  同時期、大阪地検の男性元検事正が女性検事に対して性暴行を行ったとして刑事告訴しましたが不起訴になり、検察審査会に審査申し立てが行われたのが2025年4月16日、トモダチコレクション新生活発売記念日の2日前だった。  上記の件は政治に関するYoutube番組「ポリタスTV」に被害を受けた女性検事が出演し、自ら「何が起きたのか」話をしていた。
・ポリタスTV Youtube:検察にも第三者委員会の検証を|元大阪地検トップの性暴力を告発した被害者をゲストに、権力を利用した性暴力、検察組織による二次加害について伺います(4/15) https://www.youtube.com/watch?v=dHP4P_QOSxw  フジテレビの報告書も、上記番組も、見ると心が重く辛くなるが、目をそらしてはいけないことだと思うので、休み休み見て欲しい。事件があったことについて心に留め、それを真剣にくみ取ってほしいと心から望む。  特に、女性検事が被害を受けたこと、私たちが性被害を受けた��しても司法組織がこのような状態では、被害届を提出するのも憚られ、それがまた、ジャニーズ問題、フジテレビ問題にもつながっていく。
■日本に影響が強いアメリカの今  あの時日本を怒ってくれた人権団体があるアメリカが、今、不自由になりつつあるのを報道で聞いている。今年6月、名著に着目した番組「100分で名著」はマーガレット・アトウッドの『侍女の物語』『誓願』を取り上げると発表があった。これはアメリカ国内の「中絶」を巡る戦いにも繋がるのですが、なかなか理解しにくい処があると思う。
 ガブリエル・ブレアの『射精責任』という本の中に大変わかりやすく書かれていた。  プロライフ派:生命尊重、中絶に反対の立場(共和党)  プロチョイス派:女性の選択権の尊重、中絶に賛成の立場(民主党)  大まかにこの二つに分けられ、宗教上の理由からアメリカでは「プロライフ派」が多いのだそう。プロライフ派は胎児の声の代弁者として中絶が胎児の命を不当に奪っていると主張する。  一方、プロチョイス派は女性(母体)の自己決定権を根拠に中絶を支持する。これには母親が「産みたい」と望めば産ませることも含まれる。つまり、母親の決定を重視している。  そして選挙で共和党(トランプ)が勝ってしまったので、母親の自己決定権が侵害され、健康上の理由から堕胎が推奨されるような状態があったとしても、子どもを中絶することが難しくなった地域がある。  著者ガブリエル・ブレアは「産む産まない以前に、男が射精しなければ妊娠しないのだから、男性が避妊の責任を持て」という立場。これはプロライフ、プロチョイスで争うことではなく、書籍中で男性の責任であることを強調している。
 先日のNintendo Switch2の発表後、ドナ��ド・トランプの考えるMAGA(Make America Great Again=アメリカを再び偉大な国に,ドナルド・トランプの政治スローガン)思考からの「関税」発表があり、Switch2の予約がアメリカ&余波あってカナダの二国で延期になった。日本の大臣がMAGA帽子を被り批判されていたのだが、理由がここにある、日本と実は韓国も、世界的に見た場合、アメリカの子分に見られがちだ。しかし、右派政権に対してNOを突きつけた韓国に対して、日本はどうするのか、……多分それは今年の参議院選挙にかかっている。
・TBS:MAGAキャップかぶる赤沢大臣 ホワイトハウスが写真公開 https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1865078?display=1
■DROP THE PRICE! の裏で…。  日本版のNintendo Switch2は(日本語設定他を切り捨てることで)本体価格を5万円以下に抑える裏で、アメリカはこの関税の影響で本体価格が449.99ドル(6万5543円ほど)、『マリオカートワールド』同梱版が499.99ドル(7万2825円ほど)、という値段となった。北欧では9万円で販売されることが話題になり、10万円を超す可能性も見ている。  この発表と決定にNintendoゲームの翻訳を担当しているTree HouseのYoutubeライブチャットには「DROP THE PRICE!」(価格を下げろ!)の声で溢れた。
 そして、保守的な国(ロシア)では相変わらず、このゲームは同性愛を宣伝(プロパガンダ)するものとして「反社会的」とみなされ続けるだろうし、中国ではSNS規制に引っかかるので販売が難しくなるのではないかと思う。中国代理店だったテンセントとの関係も2026年に切れることになるので、「人口が多い国」の2国への販売ができないという状態にある。  地味にSwitch2の販売開始は厳しい状態からのスタートだと感じていたのだが、日本国内の予約状況は悪くない数字に見える。ただ、日本はPS5とXBOXシリーズがあまり売れていないので、“Nintendoしかない”という状態でもある。
■“クローゼット”を覗かれる、暴かれる危険  トモダチコレクションわくわく生活の発表後、Nintendo Switch2の価格を見て、これが一番懸念することになった。Nintendo Switch2が価格的に「一家に一台」の機種のように感じていて、これがもしかしたら“クローゼット”(性的少数者であることを明らかにしていない状態)の中にいるマイノリティにとって危険を含まないかという不安を感じたのだ。 というのも、過去作のトモダチコレクションはDS機という「一人一台」の機種でリリースされ、自分の手の中で眺めて誰かと誰かの生活や恋愛を眺めて、他人に見せないことも選択できた。 しかし、値段・価格的にリビングに置かれるSwitch2を想像してほしい。一家に一台購入となってしまった(また家庭・家族がそう判断してしまう)場合、クローゼットに隠しておきたい恋愛感情がちょっとしたイタズラでオープンになってしまう危険を多いに含む。
・PRIDE JAPAN:LGBTQ用語解説から「クローゼット」 https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/glossary/ka/1.html
 トモダチコレクションが売れたのは、自分がどの“トモダチ”を身近に置くか、チョイスしておける秘密をDSという「一人一台」の機種が隠してくれた側面もあると思っていて、それは今回のSwitch2が持つ「みんなで」というコンセプトに合わない気がする。  過去作はソフト一つで一人一つの島を持てたが、今作はその「島」の扱いがどうなっているのか、未だ明かされていないので不安がある。『あつまれどうぶつの森』のように「一つの島を共有する」システムだと、家族に、友人に、知人に、クローゼットを覗かれ、場合によっては暴かれる危険があるのではないかと感じた。  その、一人一つの島で、好きな人と(性別を分けなければならないという問題があったが)何とか暮らせていた島を、リビングというオープンな場所で無理やり共有されてしまう可能性は、現在、世界的にLGBTQ+当事者が置かれている状態を鑑みても大変重たい問題だと思う。日本が10年前、人権団体から注意を受けた問題でオープンを求められた関係性が、もしかしたら今、不自由になりつつある国や環境下で、性的少数者であることを隠さなければならない人々を危険に晒すかもしれない。  この点について、人権団体がどう判断しているのか、少し厳しく構え、情報を集める必要がある。特にロシアなどの「同性愛プロパガンダ禁止法」を強いている国では逮捕、投獄、前線派遣の危険もある。実はハンガリーとポーランドも危機下にある。
・同性愛プロパガンダ禁止法 BBC:ロシア下院、「同性愛宣伝禁止法」改正案を可決 映画や書籍も規制対象 https://www.bbc.com/japanese/63751986 HUFFPOST:ハンガリーでプライドパレードを禁止する法案が可決。LGBTQコミュニティへの抑圧だと抗議の声 https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_67da0705e4b0177e4d711a9b
■戦争に半導体や金属が使われることについて  各地で起こる戦争に半導体や金属(他にもゴム、プラスチックとかさ)が使われる/使われる可能性があることについて、ゲーマーはどうして反対しないのだろうか。と思うことがある。誰かの命を奪うのに半導体や金属を使われることは、私たちの愛するゲームに半導体や金属が回ることを遅らせることを意味するし、ゲームやパソコンの部品の値上げに日本社会はかなり苦しんでいる。  それだけじゃない。その半導体や金属は誰かの生命を奪い、その奪われた生命の主がMiiを愛してくれる、愛している人かもしれないのだ。金属も、鉱物紛争が無い地域のものを使う方が良い。ゲームを遊ぶための金属が、人や環境を苦しめる形で採掘されたものではなく、できるだけ平和な方法で手に入るものだったら毎日心おきなく遊びも楽しめる。 ゲーム、他にも漫画や小説などのカルチャーは多くの人が買ってくれないと次に繋がらない。ゲームソフトだけ何本も毎日買う人は余程のマニア位だろう。
それから、トモダチコレクションとは直接関係はないが、ゼルダの伝説実写映画版の監督がイスラエルのガザ侵攻に賛同を表しているシオニストで虐殺賛成派であるAvi Aradであることに反対意見が出ており、署名活動も始まった。
・HUFFPOST: 任天堂「ゼルダの伝説」実写映画で、イスラエル系の著名プロデューサーとの制作に反対続出。過去にネタニヤフ批判の米政治家を非難も https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_67f323b5e4b0f679b404e2f5
 ガザ地区にもNintendoのソフトを愛する、愛してくれる人がいる。彼らは“そこに住んでいるから”と言う理由で攻撃されている。その中にはトモダチコレクションを遊び、愛する人もいるだろうことについて、なぜ攻撃されているのか、とつい考えてしまいがちだが、ウクライナ、ガザとそこに居るだけで殺される人がいることを突きつけられてきた。  そして、インドとパキスタン境界で行われたテロでインドとパキスタンの状況にも注目が集まっている。
・BBC:パキスタンがインドに報復措置、貿易停止など カシミール銃撃めぐり https://www.bbc.com/japanese/articles/c045xegp01xo
 日本は「差別をしない」ということと「誰とでも仲良くする」と言うのが混同されがちな気がするのですが、「キライな奴、苦手な奴、考えが違う奴でも同じ権利を持つ」という人権・平等の考えと、好き嫌いは別だ。
 数週間前、SNSで突然月経になり、困ったことを呟いた女性議員が、「誰しも使える場所にナプキンを置いて欲しい」と呟いたことに大変攻撃的な意見が集まっていた。生理の貧困対策ともいえる月経用品の配付を「自分が使わないから」「自分には必要ない」と邪魔をしている人がいる。  それが繰り返される社会と言うのは、自分に必要ないから「医療費」「生活保護費」「年金」「子育て支援」‥、イザと言う時に必要な、さまざまなものが切り捨てられる社会になるし、本当にその人に関係ないと言えるのか、私はそう思えない。例えばだが、女性が多い看護業の人が薄給と月経困難から服や床を汚して歩く社会なんてあってはならないと思うし、そんな国ではゲームなんて売れないし売ってる場合じゃない。  しかも報道当時3000通(後日8000通に増えていた)もの殺害予告が届いたとのこと。この嫌がらせメールにもまたIT機器が使われている訳で、この想像力の無さも許せないし、許してはいけないと思う。
 私は多くの人が暮らしにくい社会はMiiも暮らしにくいだろうと訴えてきた。日本には暖かな風が吹きつつあるが、世界的に見れば状態は悪化しており、Miiにもとても不自由な社会になりつつあると思う。
 戦争がなくて、紛争がなくて、差別が無くて、好きな人と暮らせる、そして災害が起こったとしても助け合える、復興に道具が使える、Switch2が手に入りやすい方が幸せだと私は思うのだが、人は誰かを殺すために資源を奪い合っているし、誰かとは共存できないと差別が続けられている。 日本に住んでいて感じるその理由の一つは「政治について、福祉について、“考えてこなかった”」ことにあると思う。ここ数年、裏金や物価の上昇などで「日本ヤバイ」と思った人が増えたのだと思うものの、未だヤバイ状態には変わりなく、気を抜けない状態が続いている。
 私はトモダチコレクションが好きだし、Miiのゲームが誰にでも届いて欲しいと願っている���トモダチコレクションワクワク生活発売前にはSwitch2がみんなに届いて欲しいし、ゲームを安全に遊びたいじゃない。  そしてできればみんなの手に取れる環境にあれば、他のゲームにもチャンスがもっと広がると思う。震災で被害に遭った時、たくさんのSwitchを無償修理する余裕を持つような会社であってほしい。戦争に巻き込まれて、金属を集めるためにゲーム機を徴収する……なんて未来になってほしくない。
 またトモダチコレクションのことだけのんびり考えられる社会になってほしいと思うのなら、まずやることは政治をしっかり見張ることだ。  頑張って社会を考えてくれる政治家に投票しないといけない。選挙に行こう。SNSの甘言に騙されないで、投票しようとしている政治家が、何をしているのか、何をしたのか、その政治家が属している党の考えはどうか、良し悪し両方、真剣に検討しよう。難しいけれど、好きなことのために頑張ろう。
【参考】 <本>ガブリエル・ブレア著 村井理子訳『射精責任』
BBC:【米大統領選2024】10州で中絶権の保護・拡大を求める住民投票、結果さまざま https://www.bbc.com/japanese/articles/c5ygpxkg62yo
IT Media NEWS:Switch 2、日本との価格差が海外で物議に Duolingoも「日本語を学んで133ドル節約しよう」と便乗https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2504/04/news171.html
NHK:三重県議殺害ほのめかすメール 議会事務局に3000件以上 https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20250331/3070014864.html
Kit & Krysta(Youtube):The Reactions Inside Nintendo As Fans Rage About Switch 2 Pricing https://www.youtube.com/watch?v=jMibVyYvSYU&t=17s ↑(キット&クリスタはNintendo Californiaに勤めていたが、カリフォルニアオフィス閉鎖後独立し、現在はゲーム情報に関する発信を行いながらインディーゲームメーカーのマーケティング事業などの宣伝を行っているようです。過去はE3などでNintendoゲームの発信に貢献していたのを覚えています)
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naritamarchaiswebsite · 3 months ago
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暮らしの彩り~その198
東京に住む友人が、自身が撮影した桜の写真と、弟さんが撮影した桜の写真を送ってくれました。
まずは弟さんの写真がこちら。『水元公園散歩してます。満開です』とのメッセージ付きだったそうです。
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水元公園は葛飾区にあり、私も子どもの頃葛飾区に住んでいて(写真を送ってくれたのはその時からの友人)、水元公園は徒歩遠足の行先でもありました。ああ、でも遠足は桜の季節ではなかったから、こうして桜を見ることはなかったなあ・・・懐かしい場所の桜を見ることができて嬉しいです。
不思議な気分。徒歩遠足は子どもにしてはけっこうな距離を歩いた記憶があり、でも、友達と過ごすいつもと違う時間はやっぱりわくわくで・・・そんなこと思い出している私は、もう娘たちが巣立った大人になっていて・・・時間は実はまっすぐに一定方向に向かって進んでいるわけではない、と言われるけれど、そんな実感はないけれど、こんな時にふと「やっぱりそうなのかもしれない」という気持ちになります。
そして、こちらは友人が先日「井の頭公園」で撮影したという桜の写真。
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この写真を見た瞬間「浮世絵みたいだな」と思いました。なんと素晴らしい写真でしょう!
そしたら、その後追伸で『先ほどの写真、広重の亀戸梅屋敷を意識して撮ったの』とメールが来たので「ああ、やっぱり!」と思ってそう返事をしたら『ここ数年、広重の名所江戸百景をたどって、東京を、巡る企画を一人で楽しんでます』とのこと。
桜の写真で一足早くお花見気分を楽しめたこともとても嬉しかったけれど、友人がわくわくする一人企画を楽しんでいると知ったことは、実はもっと嬉しいことでした。大人になるって素敵なことだと思わせてもらえて、すごく幸せな気持ちになりました。
私も自分なりの「一人企画」考えたくなりました。
新年度となり、新しい環境に馴染むことで精一杯な方も多いと思うのですが、「ちょっとお楽しみ企画」が合間合間にあって、心が緩む時間がありますように・・・
いろんな意味で素敵な春を運んでくれた友人に感謝です!
富谷の桜も間もなくです!
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masayuki038 · 6 months ago
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2024年振り返り
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仕事
上期は昨年と同じようなスタンスでプロジェクトを続けていたが、下期に入る前にプロジェクトの方針が変わり、一部をリリースしたい、という話が出た。そこでそのリリースのスコープを決める為に、6-8月くらいまではステークホルダーに相談していた。何とかリリーススコープも決まり、ちょっと遅れは出たものの開発も終わって、テストフェーズに入っているところ。リリーススコープの調整は思ったよりも大変で、ここ2-3年の中では一番バタバタした年になった。
そんなバタバタがありながらも、稼働時間は昨年よりもさらに短くなり、時間外に仕事をすることはほとんど無い状態が続いている。週一出社も相変わらず。
ありがたいことに、社内のNon Billableプロジェクトに誘われ、そこでAI系の仕事を始めることになった。その中で色々とツールを使わせてもらい、本業のプロジェクトでも使わせてもらっている。そのおかげで、今年は仕事の仕方がかなり変わった。そのせいもあって、ちょっとKaggleのコンペに参加してみたり、Huggingfaceにupされているモデルを���したり、今年後半はややITに戻ってきた感じがある。
今年はリリースまわりで日本のチームと話をすることが多かったので、英語はほとんど上達しなかった。それでも開発チームやインフラの話は英語なので、もうちょっと英語をうまく使えるようになりたい気持ちはあるけれども、優先度は低め。
音楽
日々の暮らしの中で没入感のある音楽を求めているうちにDubに辿り着き、聴いてるうちに作ってみたくなり、去年の秋ぐらいから作り始めた。海外のレーベルからEPをリリースするのは一つの目標だったが、2月にPiranha Siberia DubからEPをリリースした。Dubを作り始めてからこんなに早くEPリリースになるとは思っていなかったので、とても嬉しかった。自分のトラックを別のアーティストにremixしてもらったのも初めて。
また、逆にいくつかのtrackのremixもやらせてもらえた。自分のtrack/remixは、このレーベルの他のtrackと比べるとBPMがかなり遅いので扱いづらいと思うけど、それでも機会をくれたレーベルには感謝しかない。
今年は自分のtrackを4つ、remixを3つリリースし、Dub mixも一度やらせてもらった。年明けにもremixが1つリリースされる予定。結局、今年はDub Liveが出来なかったので、来年はやってみたい。機材を揃えることができれば、というところ。
引っ越し
住んでいた場所からそれほど離れていない場所に、約20年ぶりの引っ越しをした。それに伴い、不動産の売却を初体験。上期はこれがあった為に本当にハードだった。それだけでも大変なのに、引っ越しの準備とtrack/remixのsubmit期限がバッティングしてしまい、submitの期限を融通してもらったり、深夜まで楽曲制作を頑張ったりと、かなりキツかった。
幸い、不動産会社が色々とサポートしてくれたおかげで、何とか引っ越しという大イベントを乗り越えられた、というところ。彼らには感謝しかない。
前よりも最寄り駅から離れたものの、部屋がスッキリしてリモートワークは大分しやすくなった。
健康
自分は大きな出来事は無かったが、妻が頚椎のヘルニアで5-7月の間動けなくなってしまった。自力で立つことすらできない状態だったので、その間は出社せずにずっと家で仕事をしながら妻をサポートしていた。コロナの時にはほとんど使わなかったフードデリバリーを駆使し、家事をしながら妻の回復を待った。
その頚椎ヘルニアは、総合病院(所謂HP)に通院して投薬治療で回復した。あんなにツラそうにしていた頚椎ヘルニアが、投薬のみで回復していくのは驚いた。
妻が回復してからは、妻が通っていたジムに自分も通い始めるようになった。一つは自分の健康の為、もう一つは妻がジムでハードワークにならないように(これがヘルニアの原因かもしれないので)。しかし、ヘルニアから立ち直った妻は、年末年始でジムが休みとなると他のジムに出張ったりしており、前よりもアクティブになった...。妻も私も専らスタジオメニューばかり受けている。スタジオメニューは最初は全然できなくて本当にシンドいが、日に日に出来るようになっっていくのが面白い。
週4ジム通いになったので、時間は本当に無くなった。今年、仕事の稼働時間がさらに減ったのは、ジム通いを始めたせいでもある。その結果、標準体重を下回り、よく食べるようになった。それが健康なのかは分からないけど、人間ドックで何か問題が出ない限りは、暫くこのペースで通うことになりそう。ジム通いのおかげで、仕事以外で人と話をする機会が増えたのも良い。
Game
細々とPoEを続けている。まだ手を出してないけど、来年はPoE2かな…。また時間が無くなるな…
旅行
今年も台湾に行ってきた。毎年、移動は地下鉄かバスだけど、今年は自転車で台北の街を走った。快適。自転車は街中のいたるところに配置されていて、悠遊卡(ヨーヨーカー - SUICAのようなカード)で借りることができる。市内で美味しい食べ物、飲み物を巡る旅では使い勝手が良い。
あと、初めて湿地というものを見れたのも良かった。(台中 - 上の写真)
今年もありがとうございました。来年もよろしくお願いします。
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itocaci · 7 months ago
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懐かしの滋賀と紫式部の逆鱗
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こんばんは。
先日、久しぶりに滋賀に遊びに行ってきた。
毎年、京都に紅葉狩りに行くのだけど、今年は急遽滋賀へ。
僕にとってはとても思い入れのある街になる。
僕は学生時代を滋賀で過ごした。
京都の大学を受けたので、憧れの京都ライフを送れるものかと思っていたら、どうやら僕の学部は滋賀にあるようで、憧れの京都ライフは目の前で崩れ落ちた。
そんな思ってもみなかった僕の滋賀ライフ。
気がつくとその魅力の年々ハマっていき、大学を卒業する頃には滋賀に永住してもいいと思うほど大好きな県になった。
何がいいかと言われると、「程よい」としか言えないのだけど、都会からの距離感であったり、自然の近さであったり、様々な面においてとても程よい県なのだ。
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そんな滋賀に住んでいた頃、定期的に僕が訪れていたお寺がある。
それが今回の目的地「石山寺」である。
紫式部が源氏物語を書いた地ともされており、今年の大河ドラマ「光る君へ」の反響も多いのでは無いだろうか。
僕は、そんな紫式部とか源氏物語とは一切関係なく、この「石山寺」と言うお寺がとにかく好きなのだ。
好きなお寺を聞かれたら、福井の永平寺かこの石山寺を挙げたい。
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麗らかな春も、新緑に溢れる夏も、色づく秋も、ピリッとした冬も。
自然に溶け込むようなお寺で、春夏秋冬、どの季節に行っても気持ち良い風景を見せてくれる。
そんな訳で、15年ぶりに、大好きな石山寺へと行ってきた。
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行きは気持ちよく懐かしの瀬田川を30分くらい散歩しながら。
元々歩こうと決めていたので、この日の足元は、こちらも大学生の頃、滋賀で仲良くさせてもらっていた古着屋で買った”Danner”のマウンテンブーツを選んだ。
そんな滋賀との思い出を取り入れたコーデで臨んだ。
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琵琶湖を始まりとし、のちに淀川へと続く瀬田川。
学生の頃、朝から晩まで、時には3日くらい家にも帰らず、瀬田川沿いでずっとバカな話をしながら釣りに明け暮れていた時期もある。
そんな知人たちとくだらないことで笑い合った日々を思い出す。
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懐かしい思い出に浸りながら歩いていると、遂に石山寺へ。
実は、今回、ちょっと紫式部に対して挑発的な態度を僕は取ってしまった。
この旅のお供に選んだ1冊「枕草子」
ここで言いたいのは、たまたま「枕草子」を読んでいたことだけは理解して欲しい。
とはいえ、家を出る前にこれは「挑戦」だなんて思ってしまったので、確信犯ではある。
絶対に、紫式部の前で見せてはいけない作品だろう。
ちなみに紫式部はめちゃくちゃ清少納言のことをディスっていることで有名だ。
紫式部より清少納言派の僕からすると、敵の総本山に出かけるようなものだ。
なんだか、石山寺はめちゃくちゃ好きなのに、とても複雑な気持ちだ。笑
「親友の友達がめっちゃ苦手な奴」的な感じだ。
だから、こちらも負けていられるかと。
「清少納言」だぁぁくらいの勢いで行ってやろうと。
そもそも読みかけの本を中断させるものかくらいの勢いで乗り込んだ。
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お寺はやっぱりとても気持ちよかった。
じっくりゆっくり。
美しい紅葉であったり、苔であったり、秋の匂いであったり。
この季節を堪能した。
本当に気持ちの良いお寺だ。
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一応、紫式部さんにも挨拶だけはしてきた。
多分、この瞬間に目をつけられたのだろう。。
のちに、この対峙が災いを招くこととなる。
そんな石山寺をゆっくりと堪能した後は、僕は学生の頃住んでいた街へ足を伸ばしてみた。
駅で言うと隣の駅になるで、懐かしの街を歩いてみたりした。
ふと僕が住んでいたマンションはまだあるのか気になったので、近くまで行ってみると、あの頃と何も変わらずまだあって、それがちょっと嬉しかった。
滋賀のちょっとした旅の最後は行きつけだったカフェに。
最後に顔を出したのは7年前くらいになるのだけど、未だに覚えていてくれて、お互いの近況報告もできて楽しく、懐かしいひと時を楽しむことができた。
そして、ここで僕は大きなショックを受けることになる。
15年寄り添ってきたブックカバーをどこかに落としてしまったのだ。
石山寺で「枕草子」を見せつけるために外したことは覚えいる。
つまり、あの後僕は、大切に使ってきたブックカバーを落としてしまったのだ。
マジでガチ凹みしたけど、冷静に考えると、確かに今日の僕の行為は「紫式部」と言う女性に対して、大変失礼なものだったと。
全くもって敬意を払っていなかったと。
調子に乗っていたと言わざるをえない。
「清少納言」もそんなことは望んでいなかったはずだ。
自業自得。
思いっきり反省した。
次は源氏物語を持って行こう。
そして、心から謝罪をしよう。
そんな理由をつけないと立ち直れないくらいショックだ。
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思い出の滋賀巡り。
懐かしさや気持ちよさを存分に感じつつ。
一方では急に雨に降られたり、大切なものを失ったり。
もう、「喜怒哀楽」ここまで感情を揺さぶられることになるとは思わなかった。
色んなことが凝縮された半日だったけど。
やっぱり滋賀は心地よい場所だ。
また、季節を変えて改めて来たいと思った。
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皆さんも、訪れる場には敬意を払うようにしましょうね。
そんな教訓を得た旅となった。
それでは次回もお楽しみに。
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マジで一夜明けて。
未だにブックカバーは凹んでます。
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moko1590m · 8 months ago
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住民の2割以上が外国人の町 “共生”のための知恵 相互理解に「文化の通訳」 10/17(木) 18:02配信
人口約4万人の群馬県大泉町。製造業が盛んなこの町の住民の5人に1人は外国籍だ。群馬県で一番小さな町だが50以上の国の人が暮らし、人口の2割以上を占めている。市街地にはポルトガル語にトルコ語、英語、ハングル…さまざまな言語の看板が立ち並ぶ。
【画像】外国人との”共生”進む 群馬・大泉町
大泉町で生まれ育ったという住民は「最初はいきなり外国人が増え、何事か?と思ったけど、今は外国人の友達もたくさんできた。古くから付き合いのある地元の仲間と変わらない」と話す。
30年以上前から外国人労働者を受け入れ、外国人との“共生”が進む町として知られる大泉町は今も外国籍の住民が増え続けている。当初は製造業に従事する外国人労働者がほとんどであったが、最近は違う分野で活躍する人材も出てきた。
日本で労働人口の減少が懸念され、海外から労働者の受け入れが議論されている昨今、1990年代にいち早く外国人を招き、すでに共生が進むこの町の取材を進めていくと、日本が抱えている大きな問題とどのように向き合っていくべきか、ヒントが見えて来た。
(外報部 横田容典)
■「みんなアミーゴ」 9月22日、大泉町中心部にある公園は、様々な言語の歓声で賑わっていた。2010年から始まった地元住民と、移住してきた外国人の交流イベント「活きな世界のグルメ横丁」は今回で第101回を迎えた。ブラジルや、ネパール、ベトナム、トルコ、パラグアイなど、様々な国の料理を出す屋台の前には行列が伸びている。シュラスコやケバブなど、世界各地の本格的な味を楽しむことができる。イベントのクライマックスには、ステージでプロのダンサーによるサンバが披露され、会場が歌や踊り、写真撮影で一体となって盛り上がった。
地元のブラジル人女性が、この町の魅力を話してくれた。
「人種、国籍関係なく、誰もが仲良くなれる町。みんなアミーゴ!」
いまや全国から観光客も集まる人気イベントとなり、日本人の観光客からは、「海外旅行に来ているみたいで楽しい」といった声も聞かれた。
「町に住む外国人と触れ合うことができるこのイベントは、いつも楽しみにしている」と話すのは地元で生まれ育ったという70代の男性。最初は良い印象だけではなかったが、徐々に町に外国人が増えていくことに対しても好意的な考えに変わっていったと話す。
■30年を超える“共生”への道のり 町では、1990年代から工場などでの労働力の不足を補うため、外国人労働者を主に日系ブラジル人から受け入れ始め、1996年には外国籍の住民が4000人を超えた。労働人口が増えることで税収は伸び、地元経済も活性化した。
2008年にリーマンショックが起きると、“出稼ぎ”のため来日していた外国人の中には帰国を選択する人も増え、一時町の人口も減少した。当初は数年間日本で働き、貯金がたまったら帰国する人が多かったという。
しかし、2013年以降は再び増加傾向に転じた。「町に定住しよう」と考える人も増えて来た。「外国人が住みやすい」という評判は南米系だけでなく、アジアや中東出身の外国人の間にも広まり、移住者の国籍も増えた。
今年に入り外国籍の住民の人数は8500人を超え、増加し続けている。
大泉町の日本人の高齢化率は上がっているが、若い世代の外国人が増えているため群馬県内では最も高齢化率が低い自治体となっている。
■「最初は大変だったけど…」 大泉町の観光協会に所属し、「世界のグルメ横丁」の運営スタッフの一人、斉藤恵梨子さんも、「外国人が大勢入ってきて最初は、日本の文化を知らなかった事によるトラブルもたくさんあった。最初は大変だったけど、町も色々な施策を打ち出し、徐々に(外国人と地元住民が)お互いを思いやる気持ちも芽生え、みんなが心地よく暮らせる町になっていった」と話す。
外国人労働者を受け入れ始めた1990年代当初は、ゴミ出しの分別がされていなかったり、静かな住宅街で大音量の音楽を流したり、喫煙マナーも守れない人も少なくなかったという。
特に言葉が通じないという点が、地元住民との間に大きな壁を作っていた。どのように注意をすればいいのかわからない。「体格も良く、瞳の色も違う外国人ににらまれたらとにかく怖かった」と住民は話す。
■言葉を訳すだけではなく“文化”を通訳 外国人が日本の文化に馴染めるように、町は2007年から地域で暮らすためのマナーや日本の文化、習慣、制度などを伝える「文化の通訳」を導入した。母国語で正確に情報伝達できる外国人住民を登録して、ボランティアで自身の周囲の人たちに周知してもらうのだ。現在、文化の通訳には739人が登録していて、 ポルトガル語、スペイン語、英語、ベトナム語、などの言語を話せる人たちが活躍している。
この取り組みが徐々に効果を発揮して、住民とのトラブルも減っていったという。
また、住民が緊急に情報を把握する必要がある場合、速やかに役場から文化の通訳にメールで伝達される仕組みができている。彼らからそれぞれの言語の話者の住民に情報を拡散してもらうのだ。
最近では台風が接近した際、役場から文化の通訳の元に、最新の状況や防災マップの確認を促すメールを送り、コミュニティーに周知してもらった。新型コロナウイルス蔓延時には、緊急事態宣言に関する情報や日々の感染者数、感染対策の周知などについても速やかに情報を共有することに成功した。
文化の通訳として活躍する外国人も「地域に貢献できるだけでなく、さらに日本の文化を学ぶことができるので楽しい」と、やりがいを持って取り組む。
■役場にはポルトガル語の通訳が常駐 また、大泉町は特にポルトガル語を話すブラジル人が多いため、文化の通訳とは別にポルトガル語の通訳を積極的に職員として採用している。語学に堪能な職員は、ブラジル人の住民に日本の慣習を広めるため年に10回ほど役場で講習会を開いたり、行政手続きに必要な書類などもポルトガル語に翻訳したりと、少しでも日本の生活で困らないよう力を発揮している。
こうした取り組みが実を結んだのか、実際に大泉町を歩いていても、ゴミ集積所が荒れている様子は見受けられず、マナーの悪い外国人に出会うこともなかった。
9月、来春、小学校に入学する児童を持つ家族を対象とした説明会が役場で開かれ、ブラジル人を中心に数十組の親子が参加した。
「筆記用具は各家庭でそろえる」「欠席や遅刻の連絡は必ず入れる」「荷物はロッカーにしまう」といった日本の小学校の基本的な決まり事を、職員がポルトガル語で丁寧に説明すると、親子は真剣に聞き入っていた。
参加した親からは、「私たちが知らないと、子どもたちが恥ずかしい思いをしてしまうことがたくさんあるので安心する」と、感謝の声が聞かれた。
■大泉町に住み続ける外国人 「活きな世界のグルメ横丁」で出会った、大泉町で生まれ育った20代のブラジル人男性は、日本語もポルトガル語もネイティブで、現在は町内の工場に勤める。
「東京に出ようかと思ったこともありますが、やっぱりこの町が好きなんです。あたたかいし、みんなにすぐ会いに行ける」と笑顔で語った。
近年では工場だけでなく、福祉の分野で働く外国人労働者が目立つようになってきた。大泉町の介護施設では日本で身に付けたスキルで、日本のお年寄りに外国人が寄りそう姿もよく見られる。
町に住む10人ほどの外国人に大泉町に住む理由を尋ねたが皆、同じような答えが返って来た。
「様々な人���、国籍を持つ人が暮らしていて、住みやすくていい町だから」
また、話を聞かせてくれた日本人も外国人も、色んな文化が同居する地元の話を、楽しそうに、誇らしげに語った。
「子どもが将来大きくなって、どんな仕事に就きたいか考えるようになった時、きっと視野が広がるんだろうな」
■町長「共生のモデルとして全国に発信」 大泉町の状況を見ると、さまざまな国籍を持つ住民と、古くから地元に住む住民たちは、互いの文化を尊重し合いながら平和に暮らしていて共生を実現している。海外から日本に移住してきて働き、家族を築いて、その次の世代も町で働くというケースも珍しくない。持続化可能な労働力を創出している。
日本では、労働人口はこの先大幅に減り、福祉、医療など、様々な分野で問題が生じてくることが懸念されている。社会を維持していくための手段として、外国人労働者の受け入れに関する議論は続いている。
「外国人の労働者を受け入れて行かなくては日本の経済は回らなくなってしまう」
こう話すのは、大泉町の村山俊明町長だ。
「外国籍の方々と本町の住民が一つの共生のモデルとして、全国に発信できるような政策を打ち出していきたい」と話し、大泉町を成功事例と見て視察に来る自治体や大学も増えているという。町長は今後も外国人の受け入れを続けていくという。
外国人の受け入れは世界の前例を見ても容易ではない。
戦後から積極的に移民労働者を受け入れて来たドイツでは、移民排斥を訴える極右政党が台頭している。アメリカでは過激な発言で移民を批判するトランプ前大統領が大きな支持を集めていて、移民を巡り社会の分断も生じている。
もし、日本が今後外国人労働者をさらに増やしていくというのであれば、「共生」はキーワードになる。大泉町が歩んできた30年間はこれからの日本社会全体にとって大きなヒントになる。
(住民の2割以上が外国人の町 “共生”のための知恵 相互理解に「文化の通訳」(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュースから)
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cvhafepenguin · 9 months ago
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まこ
 「まこ」という名前の意味は漢字で書いて真っさらな子供です。
 それは私が小説が書けなくなった時期に子供の代わりにと妻が授けた名前でした。この物語は、妻と私が寝入る前のわずかな時間に共に紡いでいったものです。書き出しは妻からでした。いささか長いお話しですので要約してお話しします。
 「まこ」はこの物語の主人公です。出張中に大きなあんこうに攫われてしまった唯一の肉親である叔父さんを助けるために、彼女は海を冒険します。まこは幼い頃に両親や兄妹を洪水で失っており、頼れる肉親は叔父だけでした。まこは家族を奪った水が恐ろしく、海を見るだけでトラウマで身のすくむ思いでしたが幼馴染の妖精のシーに励まされて奮起し、彼女と手を取り大切な叔父のためあんこうの影を追って出航します。まことシーはあんこうを追い諸島を巡り、臆病な木彫りの牛のホリィや勇敢なおたまじゃくしのジェムといった仲間たちと出会い、冒険を通して友情を育み成長します。最初は恐怖だった海も、様々な出会いや美しい冒険を経験するにつれ、まこにとって愛すべきものへと変わっていきました。
 すみません、まこの出自を思い出すとどうしてもいつも涙が止まらなくて…妻ですか?妻は度々癇癪を起こす私に疲れ果て手紙を置き出ていってしまいました。情けない話ですが、「いずれこうなる」と私は結婚をして、いや、婚約を結んだ幸せのピークと呼べる時期においても喜ぶ妻を後目に心の片隅でいつも考えていましたので、あまりショックではありませんでした。なんてことはない、私という人間は所詮平凡で酷薄な男なのだということを痛感します。せめてアップダイクのウサギのように走ることができたならば実存に張りが出て仕事くらいはうまくいきそうなものなのですが、かなしいことに私のこの脚は老いた酔っ払いの使い物にならない脚へと枯れていくばかりです。物語に戻りましょう。
         
 まことその仲間たちは島を巡るうちにやがて、なぜ自分が冒険に出たのかを忘れてしまいます。それはなぜかと言うと、溌剌として勇猛果敢でかわいいまこに恋心を抱いた海の亡霊が、密かにまことシーとホリィとジェムに取り憑いて叔父に関する記憶を食べてしまっていたからです。亡霊は海の亡霊なので、まこが叔父を見つけて海から離れたまこの故郷に帰ってほしくなかったのです。亡霊は臆病で極度の寂しがり屋でした。そんな亡霊の思惑通りに、まこは叔父をすっかり忘れ、魅力的な海を愛し、やがて冒険の経験を活かして島を巡る航海士として貿易船に乗り、航海で生計を立て暮らし始めました。
  
 まこが航海士として名を馳せるさなかあんこうの下でどれいとしてこき使われているまこの叔父は、ずたぼろになり疲れ果て病気をし、もはやあんこうにとって使い物にならなくなりました。用済みになった叔父はあんこうに生きたまま平らげられたのち、どろどろに消化され、糞として排出され海中の微生物に分解されて、未練の深いその魂は消え去ることができずにこの世に繋がれ、永遠にだれにも見つけられない暗い海底を亡霊として彷徨う定めを負いました。
 海の亡霊はまこと一緒にいられて嬉しい反面、みんなの記憶を食べた罪悪感にひどく苦しみました。叔父はすでに死んでいるに違いありません。
 亡霊はまこのことを強く愛しているにもかかわらず、ホリィやジェムやシーと同じようにまことお話しすることはできません。海に繋がれた亡霊がまこに取り憑くことができるのも、まこが海にいる時だけです。だからたまに船内の椅子を転かしたり、船で仮眠するまこの夢枕に立って、亡霊はまこの気を引きます。
 私は妻と籍を入れてから突如不能となりました。妻とセックスをしようとすると吐き気が込み上げ、どうしても勃起することができませんでした。私は幼少期に、親から性的虐待を受けていたのでそれによるPTSDだと精神科医に診断されました。妻と結婚する前はほどほどにセックスができたのですが、結婚して家族として構成員を増やすための営みとそれを意識した途端、事に及ぶ際に生理的な嫌悪感が身体中を駆け巡るようになり、とても勃起できるような状態ではありませんでした。それに伴いメンタルも崩れ、原稿もボツを連発し、そのうち執筆するのも億劫になりました。
 両親は私の前でセックスをすることにより興奮するたちでした。両親はたびたび眠っている私を起こして目の前で情交にふけりました。むせかえる温気立ち込める部屋の暗闇からギロリと私を覗く四つ目のキマイラ、その怪物が放つ悍ましい慟哭。思い出すと悍ましくて吐き気が込み上げてきます。私にはそれが耐えられないのでそのことを忘れようと努めました。本当の私はいなくて、ここにいる私は別の私なのだと思うように努め、私は私を殺しました。その時から私は私の殻の外から私を見る私となりました。私が高校に進学したころ、母は私の弟を身籠りました。しかし高齢で身籠ったこともあり、その子は流産してしまいました。両親はそれから不仲となり離婚してしまいました。それから私は母の実家にひきとられました。その日からだったと思うのですがたびたび同じパターンの夢を見ます。それは弟が生きていて私と話す夢です。私が虐待されていたことの詳細を弟にうちあけ、弟が黙り込んで考え込むという内容です。夢に現れる弟の姿は様々でした。働き盛りの市役所の職員の時も有れば、白髪の老人の時もあり、小学生の姿で現れることもありました。夢の内容はワンパターンで、私と弟はいつも何もない白い部屋で椅子に座り膝を突き合わせ、ただただ黙り込んでいます。
 私は精神科やカウンセリングに通うようになり、妻はそんな私を励ましとても気遣ってくれました。
 当時のことを思い出すと、今でも感謝と申し訳ない気持ちが溢れ、涙が出そうになります。
 そして妻が深く気を使ってくれているのにも関わらず、私の心はどんどん憎悪で満たされていきました。その憎悪は、仕事や生殖が上手くいかない事に対して際限なく湧き上がる行き場のないヘドロのようなもので、それは大層厄介なものでした。惨めさと言うのは一個の人格をたやすく破壊するものなのだと今にして思います。妻が「まこ」を産み出したのはちょうどこの頃でした。子供がいれば少し違ったのかもしれないねと私が話すとじゃあ作りましょうと妻がまこを産んでくれました。そんな妻の愛をも裏切り、私は今まで飲まなかった酒を1日中飲んでは心配する妻を罵倒し、時には手を上げることさえありました。私は妻を憎悪した。惨めな私を受容し優しい言葉をかけ続ける妻は哀れな私を見下しているのだと思い込んでいました。酒浸りの虚な頭で原稿に向かっては数行で投げ出し泣きながら当て所なく外を歩き回り、酒を飲んで帰宅して夜は靄が掛かった頭で妻と「まこ」を冒険させる。そんな日々がしばらく続きました。時間の感覚が麻痺し終わることのない夜のぬかるみの中を歩いているかのような、そんな心地がしました。私と妻は救いのないひんやりとしたまさに地獄と呼ぶべき世界に居ました。歩くたびに苦痛を伴い、何処へも進めない。最早手詰まりといった状態でした。そしてとうとう妻は、手紙と離婚届と指輪を置いて、実家へと帰って行きました。私は当然だと受け入れ離婚届に署名をしました。それから妻とのやり取りはずっと義両親を通して行っています。これは義両親の発案で妻はそれに合意したということでした。私は妻が出て行ってから一度も話していないので、実のところ彼女が生きているのか死んでいるのかもわからない状態なのです。私は妻が居なくなっても一人地獄の中で「まこ」の物語を書き続けました。
 まこは貿易船で勤めたキャリアを活用して王国お抱えの冒険家へと出世しました。そして王の命により資源を求め航海し、続々と新しい島々を発見しました。まこの開いた航路は王国の輝かしい繁栄の礎となり、まこはまさに伝説の冒険家となりました。何もしなくても3回の人生を送れるほどの褒賞を与えられた晩年のまこは家族も作らず人目を避け、灯台守として隠居しながら、愛する海の側でこれまでの交友関係や冒険をまるでお気に入りの本を読み返すように何度も思い出し噛み締め、そして十分に満足しながら穏やかにこの世を去りました。最期まで叔父のことを思い出すことはなく、充実した生をまこは全うしたのです。そしてそれゆえにまこは亡霊になりませんでした。その魂は肉体を離れると忽ち風に���り散りに飛ばされていきました。まこの魂のかけらたちは、追い縋る海の亡霊が伸ばした手をすり抜け夕空の遥か彼方へと消えて行きました。煌めきだけを僅かに空に残して…そしてその煌めきは滲んで亡霊の瞳から溢れ落ちました。
 ホリィやジェムやシーもすでに死んでしまっていて、亡霊だけがただ1人取り残されてしまいました。老いることができず、記憶の忘却という機能を持たない不死の呪われた亡霊は、永遠にまこへの恋心を忘れることができません。あのときもし、まこの記憶を食べずかつ叔父を助けることも失敗して、まこに悔いが残ればまこも死後亡霊になり、亡霊どうし触れ合いお話しをして一緒に過ごせる可能性があったのではないか。
 そんな想像が、不幸になったまこすら願ってしまう自分の存在が、亡霊をたまらなく苦しませます。しかしそんな亡霊の深くて巨大な苦しみは誰にも届きません。
 氷に触れても冷たくなく、火に飛び込んでも熱くない。そんな亡霊のなかに、まこへの恋や後悔や自己嫌悪をはじめとした様々な苦しみが溶けて混ざり合いヘドロのようなどろどろになり、どろどろはさらに新たな苦痛を取り込んで際限なく膨らんでいきます。
 ひとりぼっちの海の亡霊の苦しみを誰が知ることができるだろう。理解されることのないその苦しみは発散されることなく、海の上で永遠に膨らみ続けます。それは風が吹くと波が立つくらい当然のことでした。
 亡霊の苦しみは消して浄化されません。ところでもう一杯如何ですか。
 
 俺は胡乱な廃人に進められるがままジャックダニエルをグラスに注いでもらう。ボトルを持つ廃人のしわくちゃで乾燥した手はぶるぶる震え、ジャックダニエルがグラスから溢れる。
 今日たまたま横の席になり知り合ったばかりなのに、自分語りしすぎているこのよれよれの廃人のことが俺は怖かった。
 その気持ちをはぐらかすようにぐいとロックを流し込み窓の外を眺めた。まだ日は沈み切っておらず、うつむいて駅に向かって歩くサラリーマンたちは皆、大体がすでに退勤してるであろうになんだかせわしない風だ。
 酔いが回ってきたところでちょっと強気になってきた。そして俺はこの店から出るタイミングを測り始めた。逡巡しているうちに手元の空のグラスにジャックダニエルがまた注がれていく。
 俺はそれを一気に飲み干してすぐ会計を済まし、席を立って廃人に礼も言わず速足で店を出た。
 話されたことを全て忘れたかった。振り返ると窓の磨りガラス越しに、あの廃人が見える。
 廃人のぼやけたシルエットはこの世に滲んでこびりついた「しみ」のようで、まさに亡霊だった。
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ymifune · 10 months ago
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awai #197
これからの話をしよう。
登録日本語教員試験はとりあえず受けて、合格できるようにしようと思う。資格・・・特に国家資格は持っていて腐るものではなかろう。が、日本語教師という仕事を本当にこれからも続けるかどうかは、判断を保留にしようと思う。週4日勤務で現在の手取り月給は135000円ほどだ。今働いている学校には感謝しても仕切れないほど感謝している。ここまで長いこと続けられたのは協力体制が厚いこの学校だったからだ。 東京が好きだ。今更の話ではあるけれども。東京の何がすごいかという話をすると、東京は世界中の現代美術を具に見ることができる。iPhoneやiMacのディスプレイ越しに見るのとは訳が違うのだ。埼玉や神奈川、千葉ぐらいだったら、今日は美術館巡りをする日だと決めて、あちらこちらを1日で行くこともできるとは思うが、忙しい日々の中、ふとした隙間時間に美術館にいけるからこそ、尚更、美術が開けた風穴が尊く思えるのだと思う。 だから、東京と同じくらい美術館やギャラリーが充実している町になら住めると思う。で、もし、Barcelonaに引っ越すなんていう機会があったりしたら、それは多分大丈夫だと思う。Barcelonaなら東京にも勝るとも劣らない美術の拠点が存在することだろう。
新曲"Endorphins"を作って、リリースまで漕ぎ着けた。一応まだディストリビューターの審査を待っている状態だが。次はシングル曲としては3 stepの曲を作るということでいいのかなとも思っているのだが、2025年1月まではリリースの予定が埋まっているので、少しアルバム用の曲を作り始めてもいいのかなと思っている。制作途中で見つけたきれいな音だったりを小さいノートにメモしているのだが、そういう音を使って、アンビエント楽曲を作るのもよかろうと思う。 To Do Listのメモにもこんな感じの曲を作りたいという軽いメモがあるので、それを元に歌のスケッチをしてみるのもいいだろう。肩に力の入っていない曲を少し作ってもいいのかなと思っている。今年の冬休みはどれぐらいまとまった時間が取れるのかというところだが。 Cubaseには付属されているピッチコレクターがあるのだが、Auto-Tuneのようなものも内蔵されているらしいことを知った。Vari Audioというらしい。Sega BodegaがAuto Tuneのようなボーカルエフェクターを使っていたのだが、本人曰く、Apple Logicに内蔵されてるものと少しのDelayしか使っていないのだという。なるほど。 月間リスナーは100人前後で推移している。どういうきっかけがあればまた浮上できるものだろうか。
何というか、今自分が恵まれた場所にいるのはわかっている。きちんとボカさずに書くが、もし両親が亡くなったら、そこそこ凌げるだけのものを引き継ぐことができる。で、今私が週4日勤務でも生活を成り立たせることができているのは、実家暮らしであることや、両親が共に健在で、父に至ってはまだ最前線で働いていることなど、複合的な要素があって、こうなっているのだ。 環境は変わる。時間は流れる。 選択肢がなくなってから、自分は自由だったんだなと気がつくこともあるだろう。 あるいは、もっと自分が自分一人で何とか立って歩いていけるほどの金額のお金を持つことができるような仕事に就いたら、今までどうしてこんな生活に甘んじていたんだろうと思う時が来るかもしれない。 期待せず、でも自分で自分に限界を定めず、できるだけ冷静にできることに対処したい。
今週はそんなに絶対に行きたいような目ぼしいアートの展覧会がないので、ジム以外は家にいる週末となっている。今日もまあ予習だったり、身の回りの整理整頓だったりに時間を割き、丁寧に生きようと思う。 丁寧に生きよう。
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takahashicleaning · 1 year ago
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TEDにて
マッシモ・バンジ:創造力をオープンソース化するArdurino
(詳しくご覧になりたい場合は上記リンクからどうぞ)
マッシモ・バンジが生みの親の一人であるArduino(アルデゥイーノ)は、小さな使いやすいオープンソースのマイクロコントローラーで世界の何千という人たちを触発しおもちゃから人工衛星まで創造力の限りを尽くした素敵な物の数々を作らせることになりました。
彼が言うように、「何かすごいものを作るのに誰の許可もいらない」のです(オープンソースは世界の教育格差を解消する目的の一環)
Arduinoの何がいいかという���、このハードウェアが・・・愛を込めてイタリアで作られたこと。これは基盤の裏を見てもらえば 分かりますが、それに加えてオープンであるということ。回路の設計書は、すべてネットで公開されていてそれをダウンロードして何かを作ったり改良したり学ぶために使えます。
プログラミングを学んでいた頃。他の人のコードや 雑誌に載っていた回路図を見て勉強していました。このプロジェクトの様々なものがオープンにされています。ハードウェアは、クリエイティブコモンズライセンスで公開されています。
ハードウェアが歌や詩のように一部として、クリエイティブ・コモンズで共有され、それを元に新しいものを作っていけるという考えは素敵だと思います。また、ソフトウェアは、GPLでこれもオープンソースです。ドキュメントや実践的なトレーニング方法もクリエイティブコモンズで公開されたオープンソースです。
Arduino自体。多くのオープンソースの要素から成り立っています。それぞれの要素は、12歳の子が使うには難しいものですが、それをArduinoでマッシュアップして1つにまとめ上げ、手早くものを作り上げられる最高のユーザー体験を与えられるよう努めています。
Arduinoは、また大型ハドロン衝突型加速器のような本格的な現場でも使われています。アートプロジェクトもあります。この機械は、DIYバイオ・ムーブメントから生まれたもので、DNA処理に必要なあるステップを行います。これもすべてオープンソースになっています。
Googleのような会社もこのテクノロジーを使って、携帯電話やタブレットと現実世界の間のインターフェースを作っています。GoogleのADKは、Arduinoベースのオープンソースです。
しかし、こんなに沢山のアイデアがあるときいったいどうしたものでしょう?何千というアイデアがあって全部紹介しようと思ったら7時間もかかるでしょう。7時間やるつもりはありませんので、ただ、この例だけご覧いただきましょう。
この人たちは、Pebbleという会社を作ってブルートゥースで携帯と連携して情報を表示する腕時計を試作しました。ノキアの携帯から取った液晶画面とArduinoを使っています。それから商品化のための資金10万ドルをKickstarterで募りました。そうしたら、1千万ドル集まったんです。十分な資金が得られただ素晴らしい製品で人々を熱狂させたんです。
最後にご紹介したいプロジェクトは、ArduSatです。Kickstarterで募集中(現在終了)なので、貢献したい方はどうぞ。宇宙に飛ばす衛星です。オープンソースでやろうとは、なかなか思わないことですが、Arduinoを沢山のセンサーに繋いでいます。
ですから、Arduinoの使い方を知っていれば、自分の実験をこの衛星にアップロードして実施できるんです。想像してみてください。自分で1週間衛星を自由に使えて宇宙で実験するというのを!
言いました通り例はあまりに沢山あるのでこの辺でお終いにしておきましょう。毎日、たくさんのすごいプロジェクトを生み出し続けているArduinoコミュニティに感謝したいと思います。ありがとうございました。
MakerBotの3Dプリンターの頭脳にも使用されていますし、クワッドコプターにも使用されている物もあります。こちらはイタリア製ですがRaspberry Pi(ラズベリーパイ)という選択肢もあります。
これは、ラズベリーパイ財団によってイギリスで開発されたARMプロセッサを搭載したシングルボードコンピューターで、10年前のパソコンの処理能力(ほぼ700MHz)が搭載されています。
たった数千円で電子工作以上のPICプログラムが組めるなんて•••
しかも、会社でしかできなかったことが、簡単にできるなんて、素晴らしい世の中になったもんですね。
2015年には、Raspberry Pi 2も登場し、CPUは「ARM Cortex-A7」(4コア・900MHz)に処理能力を上げて、メモリは1GBに増加しました。
さらに、7インチタッチスクリーンも登場。このタッチスクリーンでは、簡単な設定だけでベーシックで持ち運べるタブレットやノートパソコンを構築できるようになります。
2017年時点では、Raspberry Pi 3にバージョンアップしています。
2023年には、Raspberry Pi 5にバージョンアップ。SoCにBroadcom BCM2712(4コア/2.4GHz、Arm Cortex-A76)を搭載。前世代のRaspberry Pi 4と比べてCPU性能が2倍以上高速化した。
GPUがVideoCore VIIで性能が向上。メモリは4GBまたは8GB LPDDR4X-4267。
I/Oコントローラには独自開発のRP1を採用し、各種インターフェイス機能が改善、PCI Express 2.0が新たに利用可能になりました。
グラフィックボードの接続も可能かもしれないので、ChatGPTなどの大規模言語プログラムをスタンドアローンで動かせるかもしれません。
しかし、Arduino(アルデゥイーノ)もリアルタイム性やアナログ処理の性能の良さがあります。
情報技術の発展とインターネットで大企業の何十万、何百万単位から、facebook、Apple、Amazom、Google、Microsoftなどで数億単位で共同作業ができるようになりました。
現在、プラットフォーマー企業と呼ばれる法人は先進国の国家単位レベルに近づき欧米、日本、アジア、インドが協調すれば、中国の人口をも超越するかもしれません。
法人は潰れることを前提にした有限責任! 慈愛や基本的人権を根本とした社会システムの中の保護されなければならない小企業や個人レベルでは、違いますが・・・
ヨーロッパでの一般データ保護規則(GDPR)でも言うように・・・
年収の低い個人(中央値で600万円以下)から集めたデータほど金銭同様に経済的に高い価値を持ち、独占禁止法の適用対象にしていくことで、高価格にし抑止力を持たせるアイデア。
自分自身のデータを渡す個人も各社の取引先に当たりデータに関しては優越的地位の乱用を年収の低い個人(中央値で600万円以下)に行う場合は厳しく適用していく。
なお、ビックデータは教育や医療に限定してなら、多少は有効かもしれません。それ以外は、日本の場合、プライバシーの侵害です。
通信の秘匿性とプライバシーの侵害対策として、匿名化処理の強化と強力な暗号化は絶対必要です!
さらに、オープンデータは、特定のデータが、一切の著作権、特許などの制御メカニズムの制限なしで、全ての人が
望むように再利用・再配布できるような形で、商用・非商用問わず、二次利用の形で入手できるべきであるというもの。
主な種類では、地図、遺伝子、さまざまな化合物、数学の数式や自然科学の数式、医療のデータやバイオテクノロジー
サイエンスや生物などのテキスト以外の素材が考えられます。
こういう新産業でイノベーションが起きるとゲーム理論でいうところのプラスサムになるから既存の産業との
戦争に発展しないため共存関係を構築できるメリットがあります。デフレスパイラルも予防できる?人間の限界を超えてることが前提だけど
しかし、独占禁止法を軽視してるわけではありませんので、既存産業の戦争を避けるため新産業だけの限定で限界を超えてください!
最後に、マクロ経済学の大目標には、「長期的に生活水準を高め、今日のこども達がおじいさん達よりも良い暮らしを送れるようにする!!」という目標があります。
経済成長を「パーセント」という指数関数的な指標で数値化します。経験則的に毎年、経済成長2%くらいで巡航速度にて上昇すれば良いことがわかっています。
たった、経済成長2%のように見えますが、毎年、積み重ねるとムーアの法則みたいに膨大な量になって行きます。
また、経済学は、大前提としてある個人、法人モデルを扱う。それは、身勝手で自己中心的な欲望を満たしていく人間の部類としては最低クズというハードルの高い個人、法人。
たとえば、生産性、利益という欲だけを追求する人間。地球を救うという欲だけを追求する人間。利益と真逆なぐうたらしたい時間を最大化したいという欲を追求する人間。などの最低生活を保護、向上しつつお金の循環を通じて個人同士の相互作用も考えていく(また、憎しみの連鎖も解消する)
多様性はあるが、欲という側面では皆平等。つまり、利益以外からも解決策を見出しお金儲けだけの話だけではないのが経済学(カントの「永遠平和のために」思想も含めて国家や権力者は透明性を究極にして個人のプライバシーも考慮)
(個人的なアイデア)
こういうロケットエンジン、ジェット機くらいのひとつ数億円単位で手の届かない価格帯の商品を庶民に手の届く数十万円くらいの価格帯に人間の限界を遥かに超えるテクノロジーで実現することが本当のプラスサムになるイノベーションかもしれません。
<おすすめサイト>
ティム・バーナーズ=リー:ウェブのための大憲章(マグナカルタ)
MicroView: Chip-sized Arduino with built-in OLED Display!
MicroLink GSM - tiny, Arduino compatible, rapid prototyping
Dobot: Robotic Arm for Everyone! Arduino & Open Source
Hackabot Nano: Compact Plug and Play Arduino Robot
ルネデカルトの「方法序説」についてOf Rene Descartes on “Discourse on Method”
デイヴィッド・ブルックス:人間の本質と社会的動物
デール・ドーファティ:私たちはメーカーMaker���ある!
<提供>
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