#日本史上最後の仇討
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storyomniverse · 4 months ago
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NARUTO
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ユニバース34
「メシア、忍の世界を見つめる」
メシアは静かにその世界を見渡していた。広大な大地、そびえ立つ山々、そして影のように動く者たち——この世界では「忍者」と呼ばれる者たちが、平和の均衡を支えていた。
彼らは影に生き、任務を果たし、時には命を賭して戦う。火の国、風の国、雷の国——それぞれの里が、互いのバランスを保ちながら存在していた。しかし、その均衡は決して盤石ではなかった。歴史の中で幾度も戦争が勃発し、血が流れ、恨みが積み重なってきた。
そして、この世界にはもう一つの恐怖が存在していた。
「尾獣」——災害級の存在
人々はそれを神の怒りとも、悪魔の呪いとも呼んだ。尾獣は凄まじい力を持ち、暴走すれば国一つを容易く滅ぼす。忍びの里はその力を抑えるため、「人柱力」と呼ばれる忍を生み出した。しかし、彼らは恐れられ、迫害されることも多かった。
メシアは思った。
「力を恐れるあまり、人はその持ち主まで拒絶するのか……」
尾獣を恐れる人々と、平和のために戦う忍者たち。その姿は、かつて彼が見た別の世界と重なっていた。力を巡る争い、誤解、そして悲しみ。
それでも、この世界の忍びたちは、自分たちなりの方法で未来を切り開こうとしている。忍道——それは力ではなく、信念と仲間の絆によって紡がれるものなのだ。
メシアは静かに目を閉じ、忍びたちの戦いを見守り続けた。
ユニバース2
『NARUTO -ナルト-』徹底解説! 忍者の世界に隠された魅力とは?
こんにちは、アニメ・漫画ファンの皆さん!今回は、日本だけでなく世界中で愛され続ける伝説的な作品、**『NARUTO -ナルト-』**について徹底解説していきます。1999年に連載開始し、2014年に完結した本作は、多くの読者の心に残る名作となりました。なぜ『NARUTO』はここまでの人気を誇るのか? その魅力に迫っていきましょう!
『NARUTO』とは?
基本情報
作者:岸本斉史(きしもと まさし)
連載期間:1999年~2014年(『週刊少年ジャンプ』)
単行本:全72巻(+��伝)
アニメ:2002年~2017年(NARUTO→NARUTO疾風伝)
続編:『BORUTO -ボルト-』として次世代の物語が続く
あらすじ
火の国・木ノ葉隠れの里に住む忍者の少年、うずまきナルト。彼は幼い頃から周囲に忌み嫌われていた。なぜなら、ナルトの体内には**九尾の狐「九喇嘛(クラマ)」**が封印されていたからだ。
しかし、ナルトは決して諦めることなく、「火影(里の長)」になることを夢見て努力を続ける。仲間とともに成長し、過酷な戦いを乗り越えていく彼の姿は、多くのファンの心を掴んだ。
『NARUTO』の魅力とは?
① 忍者の世界観とバトルアクション
『NARUTO』の舞台は、忍者が支配する世界。忍びの里が存在し、各国の勢力争いや戦争が繰り広げられるという、独自の設定が魅力です。
また、戦闘は「忍術」「体術」「幻術」など、多彩な戦い方があり、読者を飽きさせません。
「螺旋丸」 や 「千鳥」 など、個性的な技
血継限界(特殊な家系だけが使える技)
尾獣 や 瞳術 などの圧倒的な能力
戦いの演出が派手でありながらも、戦略的な頭脳戦が求められる点も、バトル漫画としての面白さを引き立てています。
② 仲間との絆と成長するキャラクターたち
ナルトは、最初は落ちこぼれの忍者でした。しかし、仲間とともに成長し、忍として、そして人間としても成長していきます。 キャラクター 特徴 ナルト 里に認められたい少年。火影を目指す サスケ 一族を滅ぼした兄への復讐に生きる サクラ 医療忍術を極める才女 カカシ 万華鏡写輪眼を持つ天才忍者 我愛羅 かつて孤独だった風影。ナルトと共鳴する
彼らが過酷な試練を乗り越え、絆を深めていく姿に、多くのファンが感情移入しました。
③ 伏線が張り巡らされたストーリー
『NARUTO』は、物語全体に多くの伏線が張られており、後半になって回収されることで読者を驚かせます。
サスケの一族・うちは一族の真実
ナルトの出生の���密と両親の正体
歴代火影と忍びの歴史
六道仙人とチャクラの起源
これらの謎が次々と明らかになっていく過程は、まさに名作の証といえるでしょう。
『NARUTO』の名シーンBEST 3
📌 第3位:「サスケ vs イタチ」(うちはの因縁)
長年の因縁に決着をつける戦い。サスケの憎しみと、兄イタチの隠された愛が交錯する感動のシーン。
📌 第2位:「ナルト vs ペイン」(師匠の仇討ち)
自来也を殺したペインとの戦い。里を守るため、ナルトが成長した姿を見せる最高のバトル。
📌 第1位:「ナルト vs サスケ(最終決戦)」
全ての因縁に決着をつける、ナルトとサスケの最後の戦い。拳を交えながら互いの想いをぶつける場面は、シリーズ最大のクライマックス!
『NARUTO』の社会的影響
① 世界中で大ヒット!
80カ国以上で翻訳・放送
アメリカ・ヨーロッパ・アジアでも大人気
ハリウッドで実写映画化の企画も進行中
② 後継作品『BORUTO』へ
ナルトの息子・ボルトを主人公にした続編『BORUTO -ボルト-』も連載中。新たな忍の時代が描かれています。
まとめ:『NARUTO』はなぜここまで愛されるのか?
個性豊かなキャラクターと成長の物語
壮大な伏線と緻密なストーリー構成
アクションだけでなく、感動と絆を描いた名作
『NARUTO』はただの忍者バトル漫画ではなく、「努力・友情・勝利」という王道テーマを貫いた、ジャンプ史上最高傑作の一つです!
あなたの好きなエピソードやキャラは誰ですか?ぜひコメントで教えてください!
「だってばよ!」🔥
それでは、次回の考察記事でお会いしましょう!
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kachoushi · 1 year ago
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虚子自選揮毫『虚子百句』を読む Ⅰ
花鳥誌2024年1月号より転載
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日本文学研究者
井上 泰至
 「恋の季題」は材料も尽きてお開きとしたが、書き物は続けてほしいとのお話だったので、『虚子百句』を私なりに読んでいくことにしたい。
 まず、本書の成り立ちや、おおよその性格を説いて、なぜこの書物を丁寧に読んでいくことにしたのか、その理由をあらあら述べておきたい。
 本書は昭和三三年、すなわち虚子の亡くなる前年の自選句集である。京都の便利堂からの依頼を受けたもので、短時日の間に選んだものであるから、本書の価値は、ある程度割り引いて考える必要はある。が、ともかくも虚子が、自分の代表作と認めた百句だったことは間違いない。
 選句の基準については、追々検討を加えていくが、まず揮毫しやすく、たびたび揮毫してきた句であったことは、序で虚子自身が明らかにしている。本書は、虚子の揮毫を写真で掲載し、五十句ずつを高濱年尾と星野立子が分担して、簡単な句の評釈をつけるという趣向のものだった。年尾の跋文によれば、虚子も事前に二人の文章を検したという。
 本書の企画を持ち込んだ便利堂は、明治二十年創業の書店兼出版社である。コロタイプ印刷機を早くに導入し、美術書の出版で信頼を得た。岡倉天心が創始し、今日でも美術史学の権威的雑誌の位置を保っている「國華」は、便利堂の図版印刷の高度な技術が遺憾なく発揮されたものである。
 四代目店主中村竹四郎は、国宝級の貴重書の複製印刷をも数々手がけ、『虚子百句』刊行の翌年には文化功労者として表彰されている。虚子の字は、それ自体が俳句文化の遺産としての価値を持つ、と認識されていたわけである。
 つまり、主役は百句のみならず、その揮毫でもあったわけで、この点には留意しなければならない。書は、運筆から句の呼吸や中心点を確認できる。同じ字であっても、楷書か行書かといった書き分けがあれば、それは句の眼目ともなる。
 一例を挙げよう。小諸市立虚子記念館に残る十二ヶ月十二句の揮毫を屏風に仕立てたものは、展示の目玉だが、「心」を詠んだ句が三句ある。
  鶯や文字も知らずに歌心 虚子
  二三子や時雨るる心親しめり 同
  我が心ある時軽し罌粟の花 同
 このうち三句目のみ「心」はきちんと楷書で書かれ、他の二句はややリラックスした崩し字となっている。三句目は愛児六を失った悲嘆の中で詠まれた句だからである。書道家に聞くと、「心」の字のバランスは、筆をとる者の「心」を反映するのだと言う。
 こうした鑑賞の醍醐味も『虚子百句』にはあることが、当然予想される。年尾の跋文によれば、この頃の虚子は眼が弱って、それが字に出てしまっている、という。確かに、青年期・壮年期のそれから比べ、運筆の力や字配りを焦点化する眼の力の衰えは隠せない。それでも、修練とは凄いもので、序文の虚子自身の言によれば、百句の大方は一、二時間で揮毫してしまったというから驚きである。字の味わいも、私の能力の範囲で解説を試みたい。
 本書の構成は、春夏秋冬・新年の部に分かれ、各部の句の配列は、成立順となっている。従って明治・大正・昭和と万遍なく句が拾われている。『百人一首』が古典和歌そのものの粋であり、歴史でもあるように、『虚子百句』も虚子の句業の入門書にして到達点でもある。これが本書を読む何よりの理由である。
 本書の装幀を担当した福田平八郎(一八九二〜一九七四)についても、簡単に触れておこう。虚子との縁は、『虚子京遊録』(昭和二三年)『喜寿艶』(昭和二五年)に続き、これが三度目である。  大分出身で、上村松園や竹内栖鳳も出た京都市立絵画専門学校を卒業。京都日本画画壇で重きをなす。トリミングやデザイン感覚に秀で、書物の装幀も得意とした。『虚子句集』の竹の絵は、自家薬籠中の画題であったと考えられる。
 本書は二〇一〇年、岩波書店から復刊された。解説は東京大学教授であった、日本近代文学専攻の野山嘉正が担当した。
 最後に一言。平成期、伝統派で、虚子句の解説つき選集といえば、稲畑汀子氏の『虚子百句』が定番だった。虚子自身の選句とは違ったところに新味を出した素晴らしい本だが、時に稲畑氏らしからぬ、非常に硬い内容と文章の評釈があるのは惜しい。この連載は、あくまで虚子の自選に立ち戻り、虚子句の成立事情と、選句の背景を平易に語ることに徹したい。ただし、この自選句集の性格上、私の虚子観・俳句観が問われることは言うまでもない。
1 美しき人や蚕飼の玉襷
 初出は明治三十四年四月三十日の新聞『日本』。季語は「蚕飼」。蚕はふつう四月に孵化して繭籠る。
 初出では「蚕」の題で内藤鳴雪・坂本四方太・河東碧梧桐・佐藤紅録らの各三句も載る、題詠句である。虚子の他二句は〈蝋燭の灯影に白き蚕かな〉〈蚕飼ふや年々ふやす桑畠〉。『新歳時記』にはこの句を採用せず、写生句らしい〈逡巡として繭ごもらざる蚕かな〉を載せたか。
 蚕は食欲旺盛だ。食べ残した桑やフンは蚕網(さんもう)を使って取り除く。蚕は眠る。睡眠と脱皮を四回ほど繰り返して成長すると、絲を吐き始める。ここで蔟(まぶし)という仕切りのある箱に移す。繭籠らせるのである。絹糸を吐き、繭を成す様は、実に神秘的だ。春の陽が漏れてくる中、吐き出されたばかりの絹糸は光そのものである。この過程に、ひと月ほどはかかる。
 蚕網をかけ、桑を与えると、蚕は網目を通り上にあがる。蚕網の下は蚕のフンと桑の食べ残しが残る。網を上げると、蚕とフン、食べ残した桑の分離ができる。蚕の成長に合わせて網目の大きなものへ変えながら使用する、といった具合である。丁寧さと経験が要求される女性の仕事である。
 養蚕は、明治期日本の主要産業だった。欧州では産地の南仏で病害が発生し、需要が高まったのである。巨利を成した者も多い。出荷は横浜が多かった。
 女性は襷掛けで、髪も縛る。明治期の浮世絵等を見ると、襷の色は赤が代表的である。かの富岡製糸工場では、技術のある女工は赤襷をして周囲から尊敬されたという。
 国を挙げての養蚕業振興を宮中も率先して奨励し、皇后美子が手ずから養蚕を行い、浮世絵などで宮中養蚕が喧伝された。皆赤襷で、髪はおすべらかし、すなわち、後ろでまとめた髪に「長かもじ」を継ぎ、水引や絵元結などを掛けて、長く垂らしたのである。
 結髪の問題にこだわったのも、襷掛けの女性は、皆髪を結ったり、挙げたりして、うなじがあらわになる点が一句の焦点だと考えるからである。つまり、「美しき人」の美しさの拠って立つところは、「���」に暗示される、黒髪と白いうなじだったのだ。
 「玉襷」という言葉は、『万葉集』以来ある言葉で、これ自体一種の神々しさを醸し出す。『虚子百句』の評釈で、年尾が宮中養蚕を詠んだと解したのも一理ある。しかし、もっと重要なのは、「玉襷」は「うなじ」の連想から、大和の畝傍山を呼び出す決まり文句だったことの方である。謡曲の「恋重荷」に用例がある。虚子がこれを知らないはずはない。
 蚕と繭の「白」と、後れ毛を残したうなじの「白」の連想が、この女性の「美し」さを支えるものだったと考えたい。虚子は、和装の女性の髪にはかなり執心した。
 「まあ旦那でいらしつたんですか。どなたかと思ひましてね。お断り申しましたですけれど何だか気になりまして、一寸御挨拶だけに。どうも姉さん有難う。姉さん有難う」と二人に挨拶して末座に坐つたまゝ一寸こぼれた鬢を掻き上げる。
 小光は総髪の銀杏返しに結つてゐるのが仇つぽくて、薄つすらと白いものゝついてゐる額の広々としてゐるのも美しい。 (『俳諧師』)  小光のモデルは、女義太夫の竹本小土佐で、虚子は彼女の語りがかかる東京中の演芸場へ出かけ、追い回したのであった。虚子の眼裏に焼きつけられた美しさは、挙げた髪やこぼれた鬢にあった。
 谷崎潤一郎も言っている。女性美の焦点は首だと(『陰翳礼賛』)。和服で身体が露出するのは、首・手先・襟足だ。首は細く長くなければいけない。「猪首」という言葉を想起すればよい。肌は白くなければいけない。そこにうなじの後れ毛が色気を呼ぶ。
 「玉襷」はその呼び出しであり、それは説明しないことが肝要だから、「美しき」とだけ冒頭に置いて謎を掛けた。だから、『喜寿艶』でも、この句については、木で鼻をくくったような説明しかしていない。
 完全な主観句で、実際にそういう女を見たのか、絵の中の女か、記憶の中の女か、そんなことはどうでもいい。小説家志望で主観派が本質だった虚子らしい、冒頭の一句なのである。『虚子百句』は『新歳時記』のような教育的意義を取り払った、「作家」虚子の選集だった。
___________________________
井上 泰至(いのうえ・やすし)   1961年京都市生まれ 日本伝統俳句協会常務理事・防衛大学校教授。 専攻、江戸文学・近代俳句
著書に 『子規の内なる江戸』(角川学芸出版) 『近代俳句の誕生』 (日本伝統俳句協会) 『改訂雨月物語』 (角川ソフィア文庫) 『恋愛小説の誕生』 (笠間書院)など 多数
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herbiemikeadamski · 3 years ago
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. (^o^)/おはよー(^▽^)ゴザイマース(^_-)-☆. . . 12月17日(土) #仏滅(甲辰) 旧暦 11/24 月齢 23.2 年始から351日目(閏年では352日目)にあたり、年末まであと14日です。 . . 朝は希望に起き⤴️昼は努力に生き💪 夜を感謝に眠ろう😪💤夜が来ない 朝はありませんし、朝が来ない夜 はない💦睡眠は明日を迎える為の ☀️未来へのスタートです🏃‍♂💦 でお馴染みのRascalでございます😅. . 昨日、12月の後半戦と申しました が今日からですよね✋昨日は折返 し点でした😅💦今日からが本年の 12月師走の後半戦になりますね✋ されど、51/53週目の最終日週末w 今日明日で英気を養い準備を整え ましょうって事でうかね🤣😆🤣💦 それに今日明日は熊本も天候が☔ 宜しくないようで今日は一日中の ☔☔☔な感じですから自宅待機っ て💦丁度良いかも😅💦やはり✋ 「車があればなぁ~」デスヨネ😅💦 「飛行機は要らんけど」🤣😆🤣 . 今日一日どなた様も💁‍♂お体ご自愛 なさって❤️お過ごし下さいませ🙋‍ モウ!頑張るしか✋はない! ガンバリマショウ\(^O^)/ ワーイ! ✨本日もご安全に参りましょう✌️ . . ■今日は何の日■. #飛行機の日(#ライト兄弟の日).  1903(明治36)年のこの日、アメリカ・ノースカロライナ州のキティホークでライト兄弟が人類初の動力飛行に成功した。 ライト兄弟は、アメリカ出身の発明家で、兄のウィルバー・ライト(Wilbur Wright、1867~1912年)と弟のオーヴィル・ライト(Orville Wright、1871~1948年)である。 日本における動力初飛行は、ライト兄弟の初飛行から7年後の1910年(明治43年)12月19日に陸軍軍人・徳川好敏により行われ、12月19日は「日本人初飛行の日」となっている。  その他、関連する記念日として10月25日の「民間航空記念日」や3月6日の「世界一周記念日」などがある。 . . #仏滅(ブツメツ).  六曜における大凶日。  もとは「虚��」といい勝負なしという意味で、さらに「空亡」とも称されていたが、これを全てが虚しいと解釈して「物滅」と呼ぶようになり、仏の功徳もないという意味に転じて「佛(仏)」の字が当てられたものである。  「何事も遠慮する日、病めば長引く、仏事はよろしい」ともいわれる。  また『物滅』として「物が一旦滅び、新たに物事が始まる」とされ、「大安」よりも物事を始めるには良い日との解釈もある。 . #大明日(ダイミョウニチ). 民間暦でいう吉日の一つ。  この日は、建築・旅行・婚姻・移転などすべてのことに大吉であって、他の凶日と重なっても忌む必要がないともいう。 . . #わちふぃーるどの日. 埼玉県富士見市に事業所を置く、わちふぃーるどライセンシング株式会社が制定。  製品メーカー「わちふぃーるど」の直営店第一号となる東京の自由が丘店が開店をした日。  創業、1983(昭和58)年12月17日(土)赤口.から。  ものがたりとものづくりの「わちふぃーるど」の二つの扉が開いた日に由来する。 . #日本史上最後の仇討.  1880(明治13)年12月17日(金)東京・京橋にて日本史上最後の仇討ち(アダウチ)事件が発生。 江戸時代末期から大正時代にかけての士族である #臼井 六郎(うすい ろくろう、1858年(安政5年) - 1917年(大正6年)9月4日)。 . #明治ブルガリアヨーグルトの日.  ヨーグルトの本場であるブルガリアから認められたヨーグルトとして、1973年(昭和48年)12月17日に発売された「明治ブルガリアヨーグルト」。  その発売元の株式会社明治が制定。 . . #オコパー・タコパーの日(毎月第三土曜日). . #大洗濯の日(12月第三土曜日). . #減塩の日(毎月17日). . #国産なす消費拡大の日(毎月17日). . #いなりの日(毎月17日). . #春日若宮おん祭(#春日大社). . . #ブータン建国記念日. . . ■本日の成句■. 楽あれば苦あり(ラクアレバクアリ). 【解説】 今は、安楽な思いをしていても、そのうち苦しいと思うときは来るものである。 逆に、苦しいと思っているときもいつまでも続くものではない。 その時々の感情に流されず、良いときは用心し、苦しいときはそれから抜け 出せるよう努力すべきであるという戒め。 . . 1961(昭和36)年12月17日(日)友引. #小須田康人 (#こすだすと) 【俳優】 〔東京都〕. . . (Saburou, Kumamoto-shi) https://www.instagram.com/p/CmPp9MNysAKSyWuDyQs_M74iuMByn5eVedNiAs0/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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notes-exchange · 4 years ago
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2016 演出介紹 Introduction of Performance
莎妹劇團X王嘉明X《地下室手記》
時代是十九世紀,一名年約四十歲的小公務員,在收到遠親留給他的一筆不算豐厚的遺產後毅然辭職,蟄居於聖彼得堡城市邊緣一處地下室裡,孤獨地談論自己。
他以獨白方式敘述自己,說自己有病,卻不願意求醫;他滿懷憤恨,卻又渴望羞辱,甚至從中感到絕望的歡愉──面對假想出的讀者大眾,他叨叨絮絮種種關於人的意識、自然規律、利益、慾望與痛苦的必要,並試圖藉由寫作從這些惱人的念頭中獲得解放。然而惱人的念頭彷彿聖彼得堡潮溼的雪,又黃又濁,這樣的雪讓他回想起過往不堪回首的羞恥記憶。
他曾在涅瓦大道上向一名對他視若無睹的軍官展開一場極其卑微又可笑的復仇計畫;他也曾不顧他人意願硬闖一名同窗茲維爾的餞別餐宴最終受盡屈辱;而為了從種種侮辱中解脫,他竟試圖透過虛偽的道德勸說一名妓女麗莎從良來拉抬自己的地位,卻又在麗莎表達善意的理解時以最卑劣的手段羞辱於她。
究竟什麼是真實?什麼值得尊重?要愛什麼?又要恨什麼呢?只要絕望與矛盾仍無止盡地襲來,《手記》也將無止盡地寫下去。
第七劇場X鳴海康平X《罪與罰》
原為大學生的貧窮男子拉斯柯尼科夫認為,「人類有凡人與非凡人的區別,非凡人具有犯法的權利。」因此,他想著,「若為了因貧窮而被剝奪機會的多數人,殺死人渣般的高利貸老太婆,把搶來的錢拿去拯救更多的人不也是種正義嗎?」然而,他卻錯殺了這位老太婆的妹妹,並奪取她的財物。於是在犯案後,他的精神開始變得錯亂。
沈迷在酒精中深信神的救贖的男人、人格異常男子與自己所深愛妹妹的婚約、想利用妹妹的結婚來擺脫貧窮的母親、懷疑他是殺人犯的審查官、向妹妹求愛的可疑好色鬼,在與這些人的往來中,讓他的信念開始動搖,殺人這件事情的意義也開始產生劇烈的變化。尤其當他遇見了作為娼妓持續賺錢養家的女子後,他感到彼此都是「跨越些什麼的人」,於是坦承了自己的罪行,然後自首。
而就在兩人於西伯利亞監獄確認彼此的愛意時,故事落下了幕。
台灣演出 2016新舞臺藝術節 臺南文化中心原生劇場 2016年11月18 -19日(五、六)19:30、20日(日) 14:30
日本演出 平成28年度 文化庁劇場・音楽堂等活性化事業 会場:三重県文化会館 小ホール 開演日時:2016年11月26日(土)18:00 / 27日(日)14:00
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Shakespeare’s Wild Sisters Group X 王嘉明 X『地下室の手記』
時代は19世紀、年の頃四十の小役人、彼は遠縁の親戚が残した決して多いとは言えない遺産を受け取った後、毅然として辞職、サンクトペテルブルグの片隅の地下室の中で閉じこもり、孤独の中で自分を見つめ直す。
彼は独白を通し自分を述べ、自分が病気であると言うが、別に医者に診てもらいたいわけではない。彼は憤りに満ちているが、一方で屈辱を渇望しており、それに絶望的な喜びさえ感じている。──彼は想像上の読者である大衆に対して、彼は人間の意識、自然の法則、利益、欲望、そして痛みの必要性についてくどくどと話し、書くことによってこれらの苛立たしさを解放しようとした。 しかし、苛立たしさは、サンクトペテルブルクの湿った雪のように、黄色く濁っていて、その雪は彼に過去の恥ずべき思い出を想起させた。
彼は、ネフスキー大通りで自分のことを見て見ぬふりをした将校に対して、極めて卑しくてまた馬鹿馬鹿しい復讐計画をし始める。そして他人の意志に関係なく同級生ズヴェルコフの送別会に突入し、最後はあらゆる屈辱を受ける。様々な侮辱から解放されるために、彼は偽りの道徳心で売春��リーザに売春業を廃業するよう説得し、自分の立場を優位にする。しかしリーザが彼の善意へ理解を示した途端に最も卑劣な手段で彼女を辱めるのだった。
一体何が真実だ?何が尊重に値する?何を愛し?また何を恨む?絶望と矛盾が際限なく襲いかかる限り、「手記」を書き続ける。
第七劇場 X 鳴海康平 X『罪と罰』
元は大学生の貧しい男ラスコーリニコフは、「人類には凡人と非凡人の区別があり、非凡人は法を犯す権利がある。」と認識していた。そのため、「貧しさゆえに機会を奪われてきた大勢の人のためなら、悪名高い高利貸しの老婆を殺し、奪い取ったお金を持って、さらに多くの人を救えば、それも正義なのではないか」と彼は考えていた。しかし、彼は誤って老婆の妹を殺し、彼女の財物を奪い取ってしまう。犯罪が発覚した後、彼の精神は錯乱し始める。
酒に溺れる中、神の救いを信じる男、人格異常な男と最愛の妹の婚約、妹の結婚を利用し貧困から抜け出したい母、彼を殺人犯だと疑う判事、妹に求愛する怪しい色情狂、この人たちとの付き合いの中で、彼の信念が揺らぎ始め、人を殺す事の意味にも劇的な変化が生じ始める。特に彼が娼婦として金を稼ぎ、家族を養っている女に出会った後、彼は互いが「何かを背負っている人」だと感じ、自分の罪を認め、自首する。
二人がシベリア刑務所で互いの愛を確認する時、物語の幕が下りる。
台湾公演 2016新舞台芸術祭 臺南文化中心原生劇場 2016年11月18日-19日(金、土)19:30、20日(日)14:00
日本公演 平成28年度 文化庁劇場・音楽堂等活性化事業 会場:三重県文化会館 小ホール 開演日時:2016年11月26日(土)18:00/27日(日)14:00
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演出製作團隊 Prodution
莎士比亞的妹妹們的劇團 X 地下室手記
製作人:陳汗青 編導:王嘉明 演員:Fa、王世緯、王安琪、張耀仁、佐直由佳子(第七劇場) 舞台監督:鄧湘庭 燈光設計:王天宏 服裝設計:靳萍萍 導演助理:盧琳
プロデューサー:陳汗青 演出:王嘉明 出演:Fa、王世緯、王安琪、張耀仁、佐直由佳子(第七劇場) 舞台監督:鄧湘庭 照明:王天宏 衣裳:靳萍萍 演出助手:盧琳
第七劇場 X 罪與罰
編導:鳴海康平 演員:小菅紘史、伊吹卓光、八木光太郎、堀井和也、蔡亘晏(莎妹劇團) 舞台監督:平岡希樹 燈光設計:島田雄峰 導演助理:三浦貴司
演出:鳴海康平 出演:小菅紘史、伊吹卓光、八木光太郎、堀井和也、蔡亘晏(Shakespeare’s Wild Sisters Group) 舞台監督:平岡希樹 照明:島田雄峰 演出助手:三浦貴司
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演出概念與構想 Performance Concept
王嘉明・導演的話
這是一個以沒禮貌、自以為是、不斷碎嘴、超尷尬的人物為主���的不知能否稱為小說的小說(連文體的定義都超尷尬),不只主角個性、做的事情粉尷尬,連要不要發表這篇小說都超尷尬,甚至連結束的方式都很尷尬,怎麼可以這麼尷尬呢? 這本出版於1864年的《地下室手記》,在它這152年的路上,有相當多不同的理論切入解讀,地下室裡已經塞滿了各種意義,到了現在,重新閱讀,突然覺得,這世界甚麼時候開始變得這麼正面?倒也不是正面對或不對的問題,或許換另一個問法是:甚麼時候開始這麼害怕去碰觸所謂的負面?或是,再換另一個問法:所謂正面與負面構成如迷宮般糾結的認同關係,何時開始變得如此簡化? 回到劇場,在排練過程中試了相當多處理台詞和表演的方式(真的相當多,之後的作品應該會看到),但在他的凝視下,似乎都成了自我欺瞞的手法,最後,留在作品裡的幾乎所剩無幾,怎麼會這樣呢?對呀,怎麼會這樣?排練過程也不斷繞著一些沒有答案的問題,問題簡化如下:甚麼是劇場的意義?甚麼是觀眾?甚麼是順暢?甚麼是適當?甚麼是禮貌?甚麼是表演?甚麼是生活?甚麼是討好?這些問題,將不會在作品中有解答。 至於,為何選《地下室手記》?不覺得它正是這次台日交流活動的核心的精神狀態嗎?
鳴海康平・導演的話
經常會提到一件事,對於拉斯柯尼科夫而言「罪與罰」是什麼呢?即使在原著最後,他對於自己殺人的行為,並未改過自新或後悔。但這本小說的題目卻叫做「罪與罰」,又是為什麼呢?原標題所說的「罪」與「罰」兩字其實有著宗教上的意涵,事實上這也是將這道謎題解開的其中一把鑰匙。然而,在世界上頻繁發生恐怖攻擊、充斥著難民、近代與資本主義等種種高牆被破壞的現在,對於在此時此處活著的我們而言,我認為更能看見暗藏其他意義的濃厚色彩。他不僅是不了解人所感到的苦痛,對於自己的痛苦與幸福也一無所知,甚至「自我理解」到自己的心對什麼事都無法觸動,也一直為此受折磨,我是如此詮釋的。在現今的時代,或許這並不絕對是一件特別的事也不一定。不改過也不後悔的他,在原著最後卻從一名女子身上感受到了愛��如同杜斯妥也夫斯基最後所寫的,故事還將會自此繼續下去吧!然後同時,就算到這裡結束,也會成為一個壯闊而意義深遠的故事呀!
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王嘉明・演出家のコメント
これは無礼で、独りよがりな、ペラペラとよく喋る、とても不器用な人物を主人公にした小説と言っていいのかわからない小説(文体の定義さえとても不器用)だ。主人公の性格だけでなく、する事なす事不器用で、この小説を発表する事さえ不器用、物語の結末さえもとても不器用、どうしてこんなにも不器用なのか。 1864年に出版の『地下室の手記』は、ここ152年の中で、たくさんの理論の切り口で解読された。地下室の中には様々な意義が詰め込まれ、今改めて読み直してみると、この世界はいつからこんなにもポジティブになったのか。ポジティブになったのが正しいのか正しくないのかの問題ではないが、言い換えると、いつからこのようなネガティブな部分に触れることを恐れるようになったのか。もしくは迷宮のような正と負がもたらした納得のいく関係は、いつからこんなにも簡素になったのかと急に思うようになった。 劇場に戻り、稽古の過程でかなり多くの台詞や演技方法を試みた(とても多くを試したので、作品を見ていただけたらわかるでしょう)、しかし彼の影響下では、自己欺瞞の手法になってしまい、最後は、作品の中に何も残らない。どうしてこのようなことが?そう、どうして?稽古の過程でも絶えずいくつかの答えのない問題が纏わりついた。問題を簡潔に述べるとこのようなことだ:演劇の意義とは?観衆とは?順調とは?適当とは?礼儀とは?演技とは?生活とは?ご機嫌取りとは?作品の中にこれらの問題の答えはないだろう。 それならば、なぜ『地下室の手記』を選んだのか。それはまさに今回の日台交流活動の主旨ではないだろうか?
鳴海康平・演出家のコメント
ラスコーリニコフにとって「罪と罰」とは何なのか?これはよく言われていることですが、原作の結末でも、彼は自分の殺人の行為について、改心も後悔もしていない。しかしこの小説のタイトルは「罪と罰」である。何故なのか。原題の「罪」と「罰」の二文字には宗教的な意味合いが含まれていて、事実これもこの謎を解く鍵になる。しかし、世界で頻繁にテロが発生し、難民が溢れ、近代や資本主義などがある種の壁にぶつかった今、この時そこで生きている私達にとって、また別の意味合いが色濃く映るように私は感じる。彼は人の痛みがわからないだけではなく、自分の痛みや幸福すらもわからない、それどころか「自己理解」さえ、どのようなことに��しても心が動かされる事はないとわかっていて、そのためずっと苦しめられてきたと、私はそう考えた。今の時代において、これは決して特別なことではないのかもしれない。改心も後悔もしなかった彼は、原作の最後に一人の女性との間に愛を感じる。ド��トエフスキーが最後に書いているように、物語はまたそこから始まるのだろう!そして同時に、結末に至るまでにも、雄大で深遠な物語となりえるのだろう。
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網站連結 Website
第七劇場 罪與罰 https://dainanagekijo.tumblr.com/post/174179721918/crimeandpunishment
回顧短片 https://vimeo.com/644181196
關鍵評論 | 眾聲喧嘩中的共同迴音:專訪莎士比亞的妹妹們劇團新作《交換手札》導演王嘉明 https://www.thenewslens.com/article/50528
表演藝術評論台|在交換中尋找聯結《交換手札・杜斯妥也夫斯基計畫》 https://pareviews.ncafroc.org.tw/?p=22128
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xf-2 · 6 years ago
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韓国でベストセラーとなった『反日種族主義』の編著者、李栄薫元ソウル大教授は21日、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見し、同書について「韓国現代文明に沈潜している『原始』や『野蛮』を批判した」「韓国人の自己批判書だ」などと説明した。慰安婦問題やいわゆる徴用工問題についても見解を述べた。冒頭発言の全文は次の通り。
 私と同僚研究者5人が書き、さる7月に出版した本『反日種族主義』は、韓国現代文明に沈潜している「原始」や「野蛮」を批判したものです。こんにち、韓国はその歴史に原因がある重い病を患っています。 個人、自由、競争、開放という先進的な文明要素を抑圧し、駆逐しようとする集団的、閉鎖的、共同体主義が病気の原因です。一言で言えば、文明と野蛮の対決です。私は世界のどの国もこのような対決構図から自由な国はないと思います。
 世界中のどの国も、その近代化の歴史において、このような対決構図による危機を経験していない国はありません。日本も1868年に明治維新を遂行して以来1930年代に至って、国家体制の大きな危機に瀕したことがあります。1948年に成立した大韓民国も、やはり建国70余年で大きい危機を迎えています。
 危機の兆候は非常に深刻です。下手すると、この国の自由民主主義体制は解体されるかもしれません。本『反日種族主義』は、そのような危機感から書かれました。韓国人たちに危機の根源がどこにあるのかを叫びました。それは、ほかでもない、われわれの中に沈潜している野蛮な種族主義であると告発しました。
 世界の先進社会の構成員は、自由人としてその活動範囲が世界に延びている世界人です。
 ある社会が先進化するということは、そこに属する人々が自由な世界人として進化することでもあります。大韓民国の建国は、このような自由、開放���永久平和の先進的理念に基づいてなされました。
 その後から今まで、この国が、第2次世界大戦以後に成立した数多くの新生国の中でまれにみる大きい成功を成し遂げたのは、このような世界が共有する先進理念に服したためです。
1965年に韓国と日本の間で国交正常化がなされたのも、このような理念に基づいてのことでした。国交正常化を推進した朴正煕大統領は、わが国民に歴史の旧怨にとらわれないで、アジアの模範的な反共産主義、自由民主の国家として自信感と主体意識を持ち、日本と対等な位置で新しい未来を開いていこうと訴えました。
 それ以降の日本との緊密な協力関係は、韓国経済の高度成長を可能にさせました。1990年、盧泰愚委大統領は、日本の国会で次のように演説しました。
 「こんにち、われわれは、自国を守れなかった自らを自省するだけで、過ぎ去ったことを思い返して誰かを責めたり、恨んだりしません。次の世紀に東京を出発した日本の若者たちが玄界灘の海底トンネルを通り抜けてソウルの友達と一緒に北京やモスクワへ、パリとロンドンへと大陸をつないで世界を一つにする友情の旅行ができるような時代を共に作っていきましょう」
 韓国人がこのような認識と国際協力にもっと専心していたら、今頃より自由で豊かな先進社会を作れたはずです。
 しかし、その後に展開された歴史は、それとは違う方向に進みました。歴史は、大きい費用を払ってこそ、ほんの少しの進歩を許すのかもしれません。 
 1993年に成立した金泳三政権以来、「民主化」と「自律化」の名の下で、韓国社会に深く沈潜してきた野蛮な種族主義が頭をもたげました。日本との関係は、協力から対立に転換しました。北朝鮮との統一政策では、「自由」の理念に代わって「わが民族同士」という民族主義が優位を占めるようになりました。
 韓国の「自由民主主義体制」と北朝鮮の「全体主義体制」が連邦の形態で結合した後、統一国家へ前進できるという幻想が国民的期待として成立しました。
 1992年に提起されてから今までの27年間、韓日両国の信頼と協力を妨げてきた最も深刻な障害は、いわゆる慰安婦問題です。
 朝鮮総督府と日本軍の官憲が日本軍の性的慰安のために、純潔な朝鮮のおとめを連行・拉致・監禁したという主張ほど、韓国人の種族主義的な反日感情を刺激したものはありません。
度重なる日本政府の謝罪と賠償にも関わらず、この問題が韓国で鎮定されることなく、むしろ増幅してきたのは、それが当代韓国人の精神的動向、すなわち「反日種族主義の強化」という傾向に応えたからです。
 私は、��『反日種族主義』の中で、さる27年間この問題に従事してきた韓国と日本の研究者たちと運動団体を批判しました。彼らは元慰安婦たちの定かでない証言に基づいて、慰安婦の存在形態とその全体像を過度に一般化する誤りを犯しました。
 彼らは朝鮮王朝以来、こんにちまで、長期存続した性売買の歴史において、日本軍慰安婦が成立した1937年から1945年の8年間だけを切り取る間違いを犯しました。日本軍慰安婦制は、近代日本で成立し、植民地朝鮮に移植された公娼制の一部でした。慰安婦制は、公娼制の軍事的編成に他なりません。女性たちが軍慰安所に募集された方式や経路も、女性たちが都市の遊郭に行ったそれと変わらないものでした。就業、廃業、労働形態、報酬の面でもそうでした。
 韓国における慰安婦制は1945年以後、都市の私娼、韓国軍特殊慰安部隊、米国軍慰安婦の形へと、さらに繁盛しました。1950年代、60年代において、韓国政府によって慰安婦と規定され、性病検診の対象となった女性の数は、1930年代、40年代の娼妓と慰安婦に比べてなんと10倍以上でした。彼女たちの労働の強さ、所得水準、健康状態、業主との関係は、1930年代、40年代に比べてはるかに劣悪なものでした。
 既存の研究は、このように韓国現代社会に深く浸透した慰安婦制の歴史には目をつぶっています。この点は、既存の研究者と運動団体が犯した最も深刻な誤りといえます。
さる27年間、韓国において慰安婦問題が悪化してきたのは、関連研究者たちと運動団体の責任が非常に重いです。彼らはまるで歴史の裁判官のように振る舞ってきました。彼らが元慰安婦を前に立たせて行進するとき、彼らを阻止できる何の権威も権力も存在しませんでした。彼らがこの問題に関する日本政府との協約を破棄するよう叫ぶとき、韓国政府は黙従しました。彼らは政府の上から君臨しました。国民の強力な反日種族主義が彼らを絶対的に支持したからです。
 彼らは強制連行説と性奴隷説を武器にして、日本の国家的責任を追及してきました。
 その執拗(しつよう)さは、日本との関係を破綻にすると言っても過言ではないほど盲目的でした。
 皮肉にも、強制連行説と性奴隷説は、日本で作られたものです。ある日本人は、朝鮮の女性を強制連行した自身の犯罪を告白する懺悔録を書きました。ある歴史学者は、性奴隷説を提起して、韓国の研究者と運動団体を鼓舞しました。それは、歴史学の本分を超えた高度に政治化した学説でした。
 彼らは、韓国の社会史、女性史、現代史に対して何も知らない状態でした。彼らの韓国社会と政治に対する介入は不当であり、多くの副作用が派生されました。
 今のところ、両国の関係を難しくしている徴用工問題も韓国人の種族主義的な視点から提起されたものです。信じがたいかもしれませんが、2005年に盧武鉉政権が被徴用者に補償を行う当時まで、韓国ではそのことに関する信頼できる論文や研究書が一つも存在しませんでした。
 (韓国)政府は、1939年から日本に渡った全ての朝鮮人を徴用の被���者と見なしました。その中には、1944年の8月以後の、本当の意味での徴用だけでなく、以前からあった日本の会社の募集や総督府の斡旋(あっせん)も含まれていました。
募集と斡旋は、当時の政治情勢からみて、まったく圧力がなかったとはいえませんが、あくまでも日本の会社との契約関係でした。彼らに加えて、韓国政府は連鎖移民の形で日本に自由渡航した人々まで徴用の被害者と見なしてしまう、笑ってはすまされない寸劇を演じました。
 以降、何人かの韓国人がより多くの補償を求めて国境を越えて日本でも裁判を起こしました。彼らは皆、徴用ではなく募集と斡旋の経路で日本に渡った人たちです。自国の国際的威信などには見向きもしない彼らの「僭越(せんえつ)」は、彼らだけの責任ではありません。 
 韓国の反日種族主義は、彼らの国際的裁判を支持しました。彼らは日本でも心細くありませんでした。慰安婦問題のときと同様、いわば「良心的」日本人が彼らを物心両面で支援しましたが、結果的には両国の信頼・協力関係を阻害するのに寄与しただけです。
 歴史の進歩は、遅い速度でしか進まないようです。
 韓国は人口が5000 万以上でありながら一人当たりの所得水準が3万ドル以上の世界で10カ国もない先進グループに属しています。それでも、この国の精神文化には19世紀までの朝鮮王朝が���い影を落としています。朝鮮王朝は、明・清の中華帝国の諸侯国でした。朝鮮王朝は、完璧に閉鎖された国家でした。
 中国は世界の中心として、日本は海の中の野蛮人として認識されていました。人間の「生と死」の原理は、自然宗教のシャーマニズムに多く規定されていました。個人、自由、利己心、商業を正当化する政治哲学の進歩はないか、微弱でした。
その結果、18世紀から19世紀の朝鮮の経済は、深刻な停滞を招きました。人口の多数は、なお原始と文明の境界線でさまよっていました。さる20世紀に渡って韓国人の物質生活には実に大きい変化がありました。しかし、人々の社会関係、精神文化、ひいては国際感覚において本質的な変革はありませんでした。私は、こんにちの韓国の反日種族主義を以上のような歴史的視座から理解しています。 こんにち、韓国で日本は理解の対象ではありません。もっぱら仇怨の対象なだけです。日本が韓国を支配した35年間は恥の歴史なだけです。それに対する客観的評価は、「植民地近代化論」と言われ、反民族行為として糾弾されます。その結果、こんにちの韓国人は、自分たちの近代文明がどこから、どのように生まれてきたのかを知りません。こんにちの韓国人は、自分の歴史的感覚において朝鮮王朝の臣民そのままです。同様に、こんにちの韓国人はこんにちの日本を旧帝国の延長として、ファシスト国家として感覚しています。 
 本『反日種族主義』の日本語翻訳と出版には多くの煩悶(はんもん)がありました。すでに指摘したように、本『反日種族主義』は、韓国人の自己批判書です。
 自国の恥部をあえて外国語、しかも日本語��公表する必要があるかという批判を予想することは難しくありません。それでもわれわれが出版に同意したのは、それが両国の自由市民の国際的連帯を強化するのに役に立つだろうという判断からでした。
 広く開かれた国際社会においてその波長が国際的でない事件は一件もありません。韓国人が患っている病もそうです。病気は知らせた方がよいです。 
 実は、われわれのそのような悩みは本『反日種族主義』の韓国語版の出版のときからありました。それでもわれわれの主張に多くの韓国人が応えてくれました。 
 建国70年に、少なくない韓国人が自由理念に基づいた世界人として成熟しました。全国の主要書店で本『反日種族主義』は、 総合ベストセラー1位の地位を相当な期間占めました。それは正に望外の事件でした。 
遅いながらも、歴史は着実に進歩の道を歩みました。そのような期待を本『反日種族主義』の日本語版にも懸けたいです。韓国人には自身の問題を国際的な観点から省察する好機になるでしょう。また、日本人には、韓国問題を、「親韓」あるいは「嫌韓」という感情の水準を超えて前向きに再検討できるきっかけになれると思います。
 韓国と日本は、東アジアにおける自由民主主義の堡塁(ほうるい)です。この自由民主主義が、韓半島の北側に進み、大陸にまで拡散できることを望みます。
 このような歴史的課題のため、韓日両国の自由市民が、お互いに信頼・協力する必要があります。
 本『反日種族主義』がそのような国際的な連帯を強化するのに、ほんの少しでも役立てば、それ以上の喜びはありません。
 最後に、本『反日種族主義』の日本語版の出版をしていただいた文芸春秋様には感謝の気持ちを申し上げたいです。また、韓国に対するご愛情と憂慮のお気持ちでこの本を購入していただいた日本の読者の皆さまにも御礼申し上げます。以上です。
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ayanemutuki · 6 years ago
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光の庭
!Fire Emblem Heros fan fiction!
・カミュとプリシラの話。名も無き森の夢語りの続き。
・独自解釈・ネタバレ・異世界交流を含みます。カップリング要素一切皆無。
Image song:光の庭(D)
00.
ある時、美しい真白の城に美しい姫君が居た。美しい姫君は、一人の王子様に恋をしていた。幼い頃に、出会った異国の王子様。だが、王子様は黄金郷を探しに長い長い旅に出てしまった。姫君は戻って来ない王子を慈しみ、会いたいと願った。だが、彼女の前に現れたのは、美しい悪魔だった。悪魔は言った。 「お前の願いを叶えてやろう」と。
01.
たまに愚痴りたい時もある。とかつて、この世界には居ない部下のロベルトが言っていた。王だって、王子だって――たまに不満を漏らしたい時もある。 アスク城にある酒場で、レンスターの王子はミルクを飲んでいた。 「不思議な感覚だな」 目の前に居るレンスターの王子はそう言い、椅子に座りながら此方を見ていた。 「この世界に来てから、驚きの連続だと思った。セリスの父上と母上が一緒に居て、アレスの父上と…伯母上もこの世界に居る。最初は夢だと思っていたけど��頬をつねっても、夢じゃない――本当の世界なんだなって」 「リーフ王子は、どう思いますか?」 「でも…この世界に来ていない父上と母上が来たら――僕は、どんな気持ちでいけばいいんだろうって。それが不安なんだ。フィンやナンナも、僕に気を遣ってくれているけど、僕は王の器に立つのが相応しいのかどうか、悩んでいるんだ」 リーフは王の立場であるが、王の立場に相応しいかどうかは――自分自身でも分からないのだ。幼い頃に国を追われ、若き騎士と、異国の王女と共に各地を帝国軍から逃げるように転々として来た日々。とある村でエーヴェルと言う女性に救われ、村の人達と、家族のように過ごしてきた日々。その平穏な日常が、ずっと続けばいい。その平穏が――帝国軍の襲来と共に終わった時。 自分にも見覚えがある筈だ。幼い双子の王子と王女も、立場が災いし、暗い、孤独のような日々を送ってきた。王族の頂点に立つのも、王族に生まれるのも、碌な事が起きない。それがリーフ自身が理解している事であり――黒騎士カミュの悲しみでもあった。 「貴方は貴方の道を進めばいい」 だから、自分なりの言葉を贈る事が、精一杯の類でもあった。 「王族であっても、貴方は貴方の道を進めばいいのです。誰の言葉に惑わされなくたっていい、自分の、信じる道を突き進めばいい」 それが――自分自身の答えでもあり、嘗て――自分自身が下したつらい決断でもあった。だが、目の前の王子は、 「…何だか、あなたの言葉に、救われた気がするよ…有難う、カミュ将軍」 ――救われた、か。 自分は、誰かの助けになれたのだろうか。酒場からの帰路についている最中、自分自身はその言葉に悩んでいた。 『…それでも、人は何処へ行くのでしょうか』 トルバドールの女性のプリシラから言われたその言葉は――確かに、彼の胸に響いた。人は、死んだら何処へ行く。 「…カミュ将軍、聞こえていますか?」 リーフの護衛騎士であるフィンから、ハッと我に返った自分は彼の方を見た。 「先程、リーフ様と何かお話しされていましたが…どうしましたか?」 「あ、ああ…少し、彼の悩みについて相談したりしていた」 「…そうですか、有難う御座います」 フィンからいきなり感謝され、こちらも理解がイマイチ分からなかった。何故、感謝されてしまうのだろうか。 「…私でも時、リーフ様のお力に、なれない時があるのですよ。自分自身では耐えきれない、立場故や、ナンナ様の事――そして、キュアン様とエスリン様の悩みを抱えているのですから…ですが、こちらに来てから打ち明けられる人が居て、嬉しかったと思うのですよ。だからこそ――」 「いえ、いい…此方こそ、感謝する」 自分自身でもどうすることも出来ない悩みは――リーフやフィンだけが抱えているのではない、エレブ大陸の杖使いのプリシラも心配していたと言うのなら、自分は結局。一人で悩みを抱えているのだな。と苦笑しながら。
02.
「光と闇、どちらが正しいかなんて私には分からないんですが、どちらも間違っている、どちらも正しい��て言うのは、人其々なんだと思います」 モノクルをクイッと片手で正し、闇魔導の使い手である彼――カナスはそう述べた。カナスの自室の書斎は彼にとって、宝庫であろう。ナーガ神についての伝承、ギムレーに関してのレポート、ラーマン経典、正の女神アスタルテの本…探究者である彼は、異国の騎士である自分にそう述べた。 「貴方が出会ったあの闇に堕ちた暗黒皇帝ハーディン…でしたっけ、彼は元々、善良な騎士だったと聞きます。オルレアンの方々から慕われていて、草原の民達からは希望だったと聞きました…例えるなら、闇に堕ちてしまえば、後は奈落の底――私は、堕ちてしまった人達を知っています」 黒い牙の者達の事を、述べたいであろう。剣を振るう『白狼』のロイド、獰猛な凶器を振るい、戦場を大暴れする『狂犬』ライナス――彼らの事を言いたげであった。自分は「何も言わなくていい」と告げ、カナスは「有難う御座います」と申し訳無さそうに言った。 「…闇は、必ずしも負の一面、悪とは限らないと、私は思うのです。歴史に葬り去られた、真実。語られざる、英雄の物語――それは、貴方が経験していると自分自身が物語っているからこそ、歴史が証明している。そう、例えばマルス王子が」 光の英雄なら、貴方は闇の英雄でしょうか。 「…妙な例え方だな、しっくり来る」 「でしょう?」とカナスは人差し指を振った。彼が椅子に座っており、机には色々書物が積み重なっていた。「バレンシア大陸の歴史」「ギムレー経典」「アステルテ経典」「魔石と魔王」「神竜ナーガとメディウスについて」知識を欲する彼が、異界の書物を欲するのも無理はない。と我ながら思う。するとカナスは、ある一冊の本を本棚から出した。 「英雄王マルスの物語」 知識を欲する彼が、この英雄譚に興味を持つのは珍しい事だ。自分の悩み故の決断力であろうか。 「マルス王子が、皆から慕われている光の英雄ならば、貴方とハーディンは闇の英雄です。ですが、彼と貴方の闇は、断然に差があり――違うのです。暗黒皇帝と化したハーディンは、心の闇に、呑まれた英雄。そして貴方は――例えるのは少し難しいのですが、歴史の闇に葬り去られた、英雄でしょう」 ああ、納得した。あの時の自分は黒騎士ではなく、ただの旅の者であった。カミュではなく、シリウスと名乗っていた。 「史実なき戦い、影に隠れた者――闇に葬り去られた者は、私の世界でも居ます。ですが…光と闇は、バランスが成り立たなければ存在意義を見出す事が出来ない。そして、貴方は――何を見出したのでしょうか。何を――」「カミュしょーぐん!マークス様とミシェイル様が呼んでるの!」 自分とカナスが振り返ると、ピエリとラズワルドが自室のドアを開けて、自分を呼び出しに来たのだろう。ラズワルドが「だ、大事な話をされ���いたのですね…!」と申し訳無さそうな表情をしたが、自分は「いや、良い」と手を振った。 「では、この話はまた、後程で」 まるで自分らしくない。と言い聞かせながら――自室のドアを、閉めた。 「…行ってしまいましたか」 カナスは、飛び出して行ったカミュを見つめ、ふぅ…と疲れた息を吐き出す。やはり、自分はこの世界でも探求を求めすぎている悪い癖が出てしまったようだ。 「…後で、ピエリさんとラズワルドさんに、お菓子でも贈っておきましょうか」 申し訳ない事をしてしまった表情をしたラズワルドに、お詫びの礼の品を考えておきながら、カナスは一つ、気になる事を呟いた。 「…それに、まるで彼女について話したくない素振りを、していた気がしますね…」
03.
「彼の王は泥から生まれた」 アカネイアの大陸一の弓騎士は、そう答えたという。泥から生まれた――その例えは、何処から来たのだろうか。レベッカはそう思った。 それは前、あの自分でさえも畏怖する力を持つ暗黒皇帝と相対していた時の事だ。ジョルジュやカミュが、苦虫を噛んだ表情をしていたのを忘れられない。それに、プリシラも、カミュやマークスについて余所余所しい態度をつい最近していたのも切っ掛けである。あまり他人の過去に突っ込みたくない(エリウッドや彼の御子息の有り難い御忠告である)のだが、ジョルジュと話をするタイミングが偶然にも弓を射る練習の休憩時に出来てしまったのだから。 「…ハーディンは、元々はオレルアン王の王弟だ。しかし、兄より劣る弟と言うのが災いなのか、少し心に歪があった」 ゼフィールもそうだった。彼は優秀過ぎるが故に、父親から忌み嫌われていた。とエリウッド様の御子息であるロイ様もそう仰っていたわね。とレベッカは納得の表情を浮かべた。それと同時に、遣る瀬無い感情が浮かび上がった。 「だが、アカネイアも元々は、高貴な血で建てられた国じゃない、それと同時に――神に守られし王国でもなかった。三種の神器を竜の神殿から盗み、其れを統治して出来上がった王国だった」 「こっちも、竜と人に歪な亀裂が入っていたのね」 「…人間、そう簡単に上手くいくもんじゃないがな。俺だってアカネイアの傲慢な貴族が嫌いだった。ラング将軍やエイベル将軍も、俺は死ぬほど嫌いだったが、アカネイアの為に、と何処かで逃げていた。現実逃避をしていたのかもしれない」 「こっちも大変なのね。ロイ様から、可愛らしいギネヴィア姫様が美しく成長したって言うから…もし会える機会があったら、見てみたかったなぁ」 「そうか…此方もニーナ様と出会える機会があったら、宜しく頼む」 分かった、約束するわ。とにこやかに微笑んだのだが――ジョルジュは口を開き、重たく、ある事を語る。 「――俺も、何時かはああなるだろう。と何処かで諦めていた」 「いつかは、ああなる…?」 「アカネイアの血を引く民が、他国の者達を蔑み、愚かだと嘲笑い、奴隷階級の者同士を戦わせ、動物の様��目でしか見ない剣闘士達の闘技場を見世物の様に観戦し…俺はそれが嫌いだった。だが、俺では何とかならなかった。ニーナ様は、その現状を変えようと必死に頑張っていた。だから俺は彼女の手伝いをしようと考えていた。だが、俺では役不足だったと…グルニア軍と戦う時に、気付いてしまった」 「あ…ああー…黒騎士の、カミュ将軍の事かしら?」 「だが、彼でしかニーナ様の心を開く事しか出来なかったんだろうな。敵国の騎士と、我々の国の王女、相容れない関係なのに、出会ってしまった。出会わなければ良かったのか、出会ってしまったのは必然だったのだろうか。それは今の俺にとっては分からない事だった」 ジョルジュの疑問に、レベッカはある事を口にしようとしたが――開けなかった。 ――ねえ、それはもう、必然だった方が良かったのじゃないかしら。辛い事や、悲しい事、楽しい事があるけれども、出会わなければ、何かが産まれなかったんじゃないかしら。 ニニアンの事を思いながら、レベッカの拳は固く握りしめた。
04.
ニノは歌を歌っている。古い、エレブに伝わる歌である。まだ幼さが残っている魔導士の少女は、アスク城のバルコニーの冷たい夜風に吹かれながらも、用意されている椅子に座って歌を歌っていた。 それを遠回しに見ていたカミュとミシェイルは、暗夜第一王女カミラの臣下である竜騎士の少女から貰った(彼女曰く、日頃レオンやマークスと接していたからそのお礼らしい)暗夜王国産のワインをグラスに注ぐ。 「何処か、遠い国の歌のように見えた」 とカミュはそう述べた。歌は、竜と人の物語を準えた叙事詩のようであった。竜と契約した者と、美しい少女の物語。エレブ大陸に伝わる、悲しい物語でもあった。 「あの少女は、雪を義理の兄と一緒に見た事があるらしい…俺も、ろくに妹であるマリアに、其れらしい事が出来なかったな」 王の激務に追われ、妹のマリアと一緒に、遊んだり一緒にお出かけする事が出来なかったらしい。その王位が、自らの父を手をかけた代償だったとしても、マリアはミシェイルが大好きだった。大好きな兄を、慕っていたのだ。 「…私も、同じ気持ちだ」 敬愛する王の子であるユミナ様とユベロ様と、一緒に遊んだり笑ったり、泣いたりする事はごく僅かで、彼等に何か残す事が出来たのか――後悔した事もあった。 カミュはそう、述べていたがミシェイルに至っては 「貴様はバレンシアであのリゲルの王子と楽しく接していたのではないか」と答えたが、カミュは首を横に振った。 (貴様は本当に優しすぎるな。それが仇となる時があるのだがな――) ミシェイルはそう思う。マリアから見たら自分は「優しい兄」だと思うのであろう。だが、自分はそう優しい兄ではない。妹のミネルバから見たら「父親殺しの自分勝手な兄」と認識された事もあった。 ニノが歌を歌い終わり、立ち上がる。バルコニーの玄関に優しい兄であるロイドとライナス、大事な人であるジャファルが居て、ニノは駆け寄ってロイドに抱きしめる。 (兄である俺が、何をしてやれたんだろうな) ミシェイルは思い悩む――すると、カミュは笑って誤魔化した。 「だとすれば���貴方も私も同じ悩みを抱えていたのではないか。優しい兄と、王子と王女に仕える騎士が、何をやれたのだろうか」 「お前は悩んでいるのか?」 「ええ、自分は――優しすぎるのではないのか。と思い悩む事があるのです。少し、コンウォル家の令嬢と出かけた時に」 あのトルバドールの少女の事か。とミシェイルはすぐに分かった。彼女は厳格な兄と、彼に使える優しげな、柔らかな声音をした修道士の従者が居る。 「…カミュ」 「…何だ」 「――ドルーアに従った者同士、同じ悩みを抱えているが…貴様も俺も、『どうしようもない大人同士』また、飲む事があったら悩みを打ち明けようか?」 「…それは遠慮しておきます」 やはりこいつは騎士であるが故に優しすぎるな。とミシェイルはそう思いながらも、最後の一杯であるワインを飲み干した。
05.
戦場を駆ける漆黒の駿馬、まるで父上の様だと最初は、そんな感想を自分の心に抱いていた。 「…おい、貴様」 プリシラはゲストルームで暗夜王国のあのドジなメイドのフェリシアが淹れた紅茶を飲んでいる最中に、ある人物と出会った。プリシラは唇をハンカチで上手に拭き取り、後ろの方を振り返る。やはり、最近召喚されたばかりの――師子王エルトシャンの息子であり、セリスやリーフと共にユグドラルの解放戦争を戦った仲でもある…。 ――黒騎士アレス。父親譲りの剣裁きをし、戦場にその名を轟かせている聖騎士だった。 「はい、何でしょうか」 自分がそう答えると、アレスは「丁度良かった、貴様に話がある」とソファに腰掛けた。ベルクトといい、ミシェイルといい、兄と同じ融通が利かない人達と何気に縁があるのだろうか。とそう思っていると、アレスは意外なことを口にする。 「…最近、カミュについて気にしているのだな」 「えっ」プリシラはティーカップを落としそうになったのだが、アレスは「いや、忘れてくれ」とそっけなく答えた。これでは話になっていないのでは。思い切って、プリシラが思い当たる部分を考え、アレスに対してある事実を口にする。 「…貴方のお父様を、思い出しちゃったの?」 無言。どうやら図星のようだ。だが、アレスは「ああ、そうだ」と答えを口にする。プリシラは「やっぱり、そうなんですね」とふふっと笑う。早速だから、彼もお茶に誘ってしまおう。と、隣に居たジョーカーに、紅茶を頼んだ。 「エルトシャン殿下と、カミュ将軍は無茶をし過ぎなんだと思います」 毎回、シグルドとミシェイルが彼等を抱えて私やセーラさんの所に駆けつけて杖の治療を受けてしまうんです。と口にする。 「父上が、シグルド…様と本当に親友だったのか」やはり彼は敵討ちのシグルドに対して敬語をつけるかどうか、まだ迷っているみたいだった。 「で、カミュがミシェイルに抱えられているのは…どんな関係なんだ?歴史書だと、ドルーア側に就いたマケドニアとグルニアの総帥だったと聞いているが」 「…どんな関係、ですか」 確か、その時カミュの事を話していたミシェイルは、友人と言うか、親友とは言い難い…所謂、共犯者?の様な態度をしていた。 「ええっと…一緒に戦った、戦友?」 上手く誤魔化しておく事にした。彼等に首を突っ込むと、余計事態が悪化してしまう。 「そうか」とアレスは納得した表情をした。 「正直、思う。俺はずっと復讐の事を考えていたが…実は、父上の背中を追っていただけだろうな。と今は思ってる」 プリシラは、何も口にしない。アレスの話を、ただ聞いているだけだ。 「…父上は、立派な騎士だったと、母上から聞かされていた。高潔で、誇り高く、優しい騎士だったと聞いていた。俺はそんな父上に憧れていた」 だが、父上が死んだ時は――全てが変わった。とアレスは何処か暗い表情で語る。 「…そうですか、誇り高い黒騎士さんでも、弱音を吐く事はあるんですね」とプリシラは、ちょっと皮肉を込めた言葉を吐き出した。 「騎士である彼等は、誰かを守る為に戦っているんです。貴方のお父様やシグルド殿下、セリス様に、エリウッド公…それに、カミュ将軍や、ミネルバ王女も、前線で戦っている。人はいつか死にます…ですが、その何かを、また次の誰かが受け継いでいるのでしょう」 アレスは「そうか」と口にすると、ソファを棚代わりにして置いているミストルティンを構える。 「…この剣は、父上が俺を見守っている証だったんだな」 プリシラは、そんな彼を見て――ゆっくりと微笑んだ。 「私も貴方も、似たような悩みを抱えているんですね。だったら、一緒にお話ししましょうか」
「んで、俺が弓兵に狙われている若を守る為に、颯爽と弓兵を背後から攻撃して、若を助けたんですよ!」 「成程…今度、ミカヤが狙われた時にはその戦法を組み込む事も考えてみるか」 「じゃあ弓兵はあたしに任せるね!マシューは魔導士をお願い!」 「いやいやいや、俺は若様命だからな!じゃあ魔導士はガイア、お前に任せるぜ!レベッカー、期待してるぜー」 「何で俺!?おい、アズ…ラズワルド、笑いを堪えるな!」 ハハハ…と、食堂で弾んでいるマシュー達の姿を見て、ルーテは考える。プリシラがカミュについて気にしている。つまり、プリシラはカミュを見て何かを思い出した可能性は高い。だとしたら、カミュと関わりのある人物を探ってみる事にした。ジョルジュ、リンダ、ミシェイル、ミネルバ、マリア、パオラ、カチュア、エスト、ベルクト、アルム…思い当たる節が見当たらない。だとすれば、まだ可能性がある筈だ。此処はプリシラに尋ねるしか方法は無いだろう。ルーテが心の中でえいえいおー!と誓った途端に、カミュがミシェイルと一緒に、食堂に入って行った。 「いっつも行動しているのは、お友達なのかしら?」とラーチェルが困惑している表情をしていた。何時だったか、覚えていない。ふと、彼等の会話が聞き取れた。 「…で、最近その御令嬢が貴様を気にしていると?」 「ああ、そうだが……恐らくは、あの一件で」「そうか」 (つまり) 「一緒に出掛けた時に、彼女の言葉が…うん…」 (プリシラさんと出掛けた――つまり、彼女の方程式に考えると、ピクニックか何処かに行ってきたのでしょう。そして、彼女の言葉を考えると――やはり、カミュ将軍の過去に何か関係が?) ルーテがその光景を見ていると――後ろからカナスが「何をやっているんですか?」と話しかけてきた。 「いえ、人間観察です」 「人間観察って…ああ、カミュ将軍の事で��か」とカナスは、何か納得した表情で見据えた。 「多分、彼等については、放っておいたほうがいいと思います」 「どうしてですか?私は非常に気になるのです」 するとカナスは――微笑み、こう答えた。 「あれが、彼等なりの答えなのですから」 (彼等なり、ですか) 恐らくは、自分が介入しなくても、無自覚に彼の善人さが――悩みを解決してくれるのだろう。ルーテはそう思い、魔導書を持ち、立ち上がる。 「カナスさん、有難う御座いました」 ルーテが立ち去った後、一人取り残されたカナスは――ちょうど部屋に��ろうとしていたマシューを呼び出す。 「…マシュー、少し良いですか?」 「えぇ、何だぁ?」 「私の悩みも聞いてくれませんか」「は、はあ…」 恐らく、カミュについては…勝手に誰かが、悩みを解決してくれるのだろうから。
07.
「わぁー!雪だ!」 黒い天馬に乗っている軍師ルフレの娘と名乗る少女は、降り積もる雪を見て感想を述べた。護衛にはパオラが居るが、どうやら雪と聞いて駆け付けたターナと、追っかけてやって来たであろうフロリーナも参加した。ミシェイルは不満げに竜で空を飛んでいるが――そう言えば、雪なんて久々だろう。とこの時思った。 『貴様は、雪を見たと言っていたが――何時頃だ、アンリの道か?』 『アンリの道…確か、氷竜神殿に行く最中に、だ。ミシェイルは雪の中を行くと言うのか?』 『少しあの軍師の娘とやらが雪を見たいと言っていてな…全く、あの黒い牙の少女もそうだが、少しは危機感を…』 『いえ、それは構わないと思った方がいい――こんなに降り積もる雪の中で戦った時は、氷竜神殿で竜達と戦った時以来だったな。だが、こっちの方が、まだ暖かい』 『…まだ、暖かい?』 『あの時、猛吹雪で――凍えるような息吹を感じたが、ニフルで降り積もる雪は…暖かさを感じる。死を感じられない雪だ』 出発前のカミュとのやり取りを思い出す。自分が彼女らの護衛に立候補に参加したのは、マークが自分の末っ子の妹を思い出す故か、将又他の立候補役が彼女等を任せられない故なのか(ナーシェンやヴァルター)…。だが、ミシェイルはこの雪に、確かな暖かさを感じられたのは事実だった。 「…あの、ミシェイル様?どうなされましたか?」 「いや、少し昔の事を思い出してな」 「…昔の事、ですか?」 「もし、俺と貴様、どっちがマルス王子率いるアカネイア軍を討ち取れるかとしたら――貴様はどっちを選ぶ?」 カミュは自分の忽然とした問いかけに戸惑いを隠せずに居るが、『もし仮にマルス王子を討ち果たし、そしてガーネフを倒せるか』についてを答えるとしたら。まあ、小難しい問いかけに彼は答える事が出来ないだろう――と確信した矢先。 「…ミシェイル、陛下だろう」 驚きを隠せない答えだった。何故自分がマルス王子を倒せるか?とカミュに問いかけた。しかし彼は 「騎士として死ねるのなら、それでいい」と答えるだけだった。丁度その頃は、雪がしんしんと降り続いていた。 結局は、この戦いに何も意味がないと分かっていただろうか、それとも――あの双子の未来が掛かった戦い故の、結論だろうか。 この雪には何もいい思い出がない。が、カミュは気楽に答えた。勝者と敗者の答えなのか、それとも…まあ、いい。これが終わったらカミュにさっさと暖かい酒を寄越せと訴えかけてやろう――降り積もる雪に、舌打ちをしながら。
08.
あいつの顔を見る。高慢な性格のリゲルの王子であるベルクトから見た黒騎士さんについての物語と言うのを誰かはそう言う。俺は彼ではなく、リゲルにいた頃を思い返す。叔父上と話していた時に、今と違う笑い方をしていた。何となくだが、あの時は陰りがない顔をしていた――あのティータという女性と幸せそうに、睦まじく過ごしていた。だが、今の姿は――リゲルの騎士ではなく、グルニアの黒騎士団を率いる騎士の姿だ。何処か、陰りが見えたような気がした。 「貴様からしたら、どうなんだ」「だが、彼が優れた騎士であるのは間違いないだろう」 ノディオンの騎士であるエルトシャンから見たら、自分から見たら優れた騎士である事を直ぐに見抜いた。若くして死んだ者であるが、シグルドの戦友である彼の下す判断は、流石はクロスナイツ騎士団長でありながら、ミストルティンを持つ(どうでもいいが、息子も優れた騎士であるが俺と似た性格をしている)騎士である判断であろう。 「優れた騎士でも、弱点を取られると直ぐに脆くなる」「例えば?」 エルトシャンは口ごもった。きっとあのノディオンの王女や妻の事を言いたいのだろう。自分はそう易々と言及する事は無かった。自分もリネアの事を思い返していたからだ。 「父上は、そう仰っていたのか」 「そうだ」 アレスは自分の問いかけに答え「そうか…」と悩める、思春期の少年らしさをまだ残している表情をしていた。すると会話している自分達の後ろでプリシラが絵本を持って何処かに行こうとしていた。 「おい、いったい何をしに行くつもりだ?」 「あれ、ベルクトさんに…アレスさん?珍しいですね。二人で何をしていたのですか?」 「ちょっとな…貴様こそ、何をするつもりだ?」 「ノノやミルラが絵本を読みたいって言うから、書斎から絵本を取り出してきたんです。この絵本が一番好きそうかなー…と考えてしまったんです。じゃあ、私は先を急いでますから」 それでは、失礼します。と言い、彼女は先に行ってしまった。 (分からない事だらけだ、結局は――自分は皇帝にはなれないと、何処かで感じてしまったのか。だが、あいつは…王になる器になんて持っていなかった。そう言えば、カミュも何時だったか、ある事を自虐していたな) 『私は騎士の器を持っているとは思えないのですが――王には、猶更向いていなかったのかもしれません』 (…似たもの同士、って事か) 急に用事があると言い、ベルクトが立ち去った後一人取り残されたアレスも自室に帰ろうとした瞬間、後ろから肩をポンポンと叩かれた。後ろを振り返ると――不機嫌な表情をした、従妹のナンナが居た。 嗚呼、これはまた説教のパターンか。と理解したのだが…ナンナは、意外な言葉を口にした。 「ちょっと、話があるの」
09. 「最近、プリシラと言うあのトルバドールの少女とよく話してるわね…私だけじゃ、相手にならないと思っているわけ?」 伯母上譲りの気の強さが得りなナンナの言葉に、アレスは言葉を詰まらせた。別にそう言う訳ではない、ただのお茶会仲間だ。と上手く話せば、ナンナは「…そう」と溜息を吐きながらそう言った。彼女と話をするのは久々だろうか?…いや、ナンナ���いつもリーフと話をしていた。そりゃあ彼女はリーフの大事な人だから…幼い頃から一緒にいた仲だろう、仕方がないとは言え、彼女に詰め寄られては困る。「気の強いナンナ様」に言い寄られては、流石の黒騎士アレスもお手上げだろう。 「…そうだな、ナンナ。俺は今、悩んでいるんだ」 「…悩んでいる?どうしたの、らしくないわよ」 らしくない、か。そうだな。と確かに今の発言はまずかっただろうか。ふと考えると、ナンナにある事を尋ねた。 「…ナンナ、一ついいか?」 「どうかしたの?」 「…お前は、フィンの事をどう思ってる?」 えっ。まさかアレスから、フィンの事を尋ねられるとは思っていなかった。これは、答えに迷ってしまう。私はフィンのことを理解している母とは違うのだ…だが、ナンナははっきりと答えた。 「大切な人よ。私やリーフを、立派にエーヴェルと一緒に育ててくれて…エーヴェルが石化した時も、支えてくれた人」 そうか。とアレスは無表情で頷き、天井を見上げた。 …アレスと別れた後、ナンナは彼の行動に不可解を感じた。 (…でも、どうしてあんな事を。いつものアレスだったら――あれ?) そう言えばプリシラと言えば、一つ気になる事がある。プリシラは別の異界で黒騎士と言われているカミュについて詳しく調べている様子が見受けられた。アレスも、プリシラとお茶会をしていたと言う訳ではなさそうだ。じゃあ、一体何の為に?とナンナが考えるとしたら――直接カミュ本人に問い質すしか無さそうだ。 「…でも、どうしてアレスは悩んでいたのかしら…あら?そういえば、カミュ将軍と、叔父上は一緒に出撃していたから…もしかして、そのせい…?」 ナンナは、やっぱりアレスの気持ちも考えた方が良いのかしら。とぼやいた。
10. ざく、ざく、ざく。プリシラはニフルの土地を歩いていた。雪が降り積もるこの国は、雪合戦でも出来そうだ。と考える程だった。そう言えばカミュも、カナスに話をしていたらしく、自分も彼も、似た悩みを持っているのだな――と思いながら、雪がじゃりじゃりとなるこの地を足で踏みしめながら、前に――カミュと一緒に森を歩いていた事を思い出した。死んだら、魂はどこへ行くのだろうか。と問いかけていた。彼は、ニーナ王女の事を語っていた。救国の聖女。と何処かの記述ではそう記され、或いは傾国の魔女。と記されていた。他者を犠牲で成り立っている平和と言うのは、あまりにも残酷だったのだろう――ロイが語っていた『女王ギネヴィア』の物語――ゼフィールの豹変、そしてベルン動乱…竜と人が、分かり合える日は何時かは来るのだろうか。もし、そうだったとしたら…この冬景色を、竜達が見られる日が来るのかもしれない。 ふと、プリシラの足元に、誰かが居た――下を見たら、竜の少女であるファが、雪を見てキラキラと目を輝かせていた。 「ファ、雪を初めて見た!」「ふふふ、そうですね。これが雪なんですよ」 あのね、ニニアンお姉ちゃんからお話しをしてもらったの!イリアの雪はね、綺麗なんだって!と健気に話す姿は、とても楽しかった。 カミュとミシェイル、それに兄とルセアも一緒に連れて来て、ファと一緒に遊ぶのも考えたのだが――雪を見て、思った。 「カミュ将軍に――また、問いかけたい事があります」 この世界にきて、どう思ったのでしょうか。私はそれが、聞きたいです。 「…」 外でニフルの雪を見て、カミュは思う。自分は役目を果たしたからそれでいい。と何処かで思っていた。だが、バレンシアのアルムやベルクト、ティータを見て――一度は考え直した。生きると言うのは、とても残酷な事だ、だが、必死に生きていれば、結果が見えてくる事もある。と言うのも、事実だ。だが、一つだけ心残りがあるとすれば――。 「…この雪を、一度だけニーナに見せてもらいたかったな」 彼女がこの世界に来るのは、まだ遠い。
11.
真白のお姫様に王子様に会える対価というのは、人の心臓でした。人の心臓を悪魔に渡せば、お前の願いは叶えてあげる。そう、1000人の人間の心臓を私に渡せ。と。 お姫様は必死に人間の心臓を食らい続け、悪魔に献上をしました。そして残り一つの心臓を悪魔に上げれば、王子様に会える――しかし、現実は残酷でした。何故なら、残りの心臓は、王子様でしたから。 そう、お姫様は、王子様の国の民や、家族の心臓を喰らい、悪魔に献上したのです。 怒り狂った王子様は、国の民や家族を殺したお姫様にこう言ったのです。 「人殺し」と。 そうして真白のお姫様の心臓は剣で貫かれ、ドレスは真っ赤に血に染まったのです。
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team-ginga · 2 years ago
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映画『極道大戦争』
 Amazon Primeで三池崇史監督の映画『極道大戦争』(2015)を見ました。
 私はヤクザ映画は好きではありません。反社会的勢力を美化するのが嫌なのです。
 だから、高倉健や鶴田浩二のヤクザ映画も『仁義なき戦い』や『極道の妻たち』も見たことがありません。コッポラの『ゴッドファーザー』やスコセッシの『グッド・フェローズ』は見ましたが、それほど高くは評価していません。
 この映画も普通にタイトルを見ただけなら、まず見ない映画です。でも、三池崇史監督なら、あの『殺し屋1』を撮った三池なら、何かやってくれるだろうと思って見ました。
 そして期待に違わぬ怪作でした。
 市原隼人演じる主人公は「カタギには手を出しちゃいけねえ」と言うヤクザの組長のリリー・フランキーに心酔しています。彼は組長と同じ刺青を入れたいのですが、敏感肌(!?)なためそれができません。
 この辺りからすでにちょっと「変」でしょ。でもこんなのはまだ序の口です。
 組長の命を狙って殺し屋が街にやって来ます。棺桶を背負ったマカロニウエスタン風のガンマン(!?)です。
 組長とガンマンが向かい合っている時、後ろにいた外国人が「ココハ秋葉原デスカ?」としつこく聞いてきます(!?)。しかし、この外国人はガンマンの仲間ーー組長を油断させるためにそんな芝居をしていたのです。
 市原隼人が組長を助けるために駆けつけますが、時すでに遅しーー組長は二人組に殺され、首を捻じ切られています。市原隼人も二人組にボコボコにされてしまいます。
 意識を取り戻した市原隼人が組長の首を持ち上げると、首はカッと目を開き「我が血を受け継げ」と言って、市原隼人の首に噛みつきます。
 えーっと、つまり……組長はバンバイアだった、組長に噛み付かれた市原隼人はバンパイアになったというわけですね。
 組長殺害を企てたのは組のナンバー2である高島礼子と若頭である渋川清彦でした。彼らのところに河童がやってきます。
 はい、河童です。頭に皿があり、背中に甲羅があり、全身緑色のあの河童です。
 なぜ河童なのか説明は一切ありませんが、とにかく河童です。
 河童は「奴がやって来る」と警告します。「奴」とは最強・最悪のテロリストだそうです。
 一方、バンパイアになった市原隼人はカタギの��婦に因縁をつけていたチンピラを瞬く間に殺し、勢い余って夫婦の首筋に噛みつき血を吸ってしまいます。噛まれた夫婦はバンパイアになり、たまたまそこにいた女子高生に噛みつきます。
 そんなことになったら町中バンパイアだらけになるじゃないかと思いますよね。はい、そうなります。
 組長の行きつけの居酒屋の主人でんでんによると、組長はバンパイアヤクザ(!?)だった、バンパイアは血を吸わなければ死んでしまう、しかしヤクザの血はまずいし栄養価も低い(!?)、カタギの血を吸わねばならないが、そうすると噛まれたカタギはヤクザになってしまう(!?)とのこと。
 な、なるほど……
 町中の人間が次々とヤクザになっていくので、高島礼子と渋川清彦は困ってしまいます。高島礼子はだんだんおかしくなり、畑を耕し、ビニールハウスを作って、そこにカタギを植えて育てようとします。
 え?
 やがて、ついに「奴」がやって来ます。「奴」は……カエルくんです。
 えーっと、つまり……カエルです。
 カエルの着ぐるみを着ています。
 でも最強・最悪のテロリストです。
 市原隼人とカエルくんが対峙します。市原隼人は「ちょっと待って」と言って、ある少年を高島礼子のところに連れて行きます。
 高島礼子は少年の父親・中村靖日を殺し屋に殺させました。その仇を討たせようというわけです。
 高島礼子はラーメン屋でひとりラーメンを食べています。少年がナタを持って現れると、高島礼子はラーメンの中からなるとを指で摘み出し、それを少年に突きつけて「私の気持ちがわかるか?」と言います。
 少年が無事仇を討ったので、2人は改めて対峙します。
 そして……まあ、いろいろあって、カエルくんは着ぐるみを脱ぎます。すると筋骨隆々の体が現れます。でも顔はやっぱりカエル。そしてヘソには絆創膏がバッテンの形に貼られています。
 市原隼人は苦戦しますが、最終的にカエルくんのヘソの絆創膏を剥ぎ取ります。するとヘソから光線が出て、富士山麓で巨大なカエルくん怪獣が地中から現れ暴れ始めます。
 最後はバンパイアとして完全に覚醒した市原隼人がカエルくん怪獣と戦うべく空高く飛び上がるところでオシマイ。
 嘘だと思うでしょ? 私だってそう思いました。
 でも本当にそういう映画です。
 『極道大戦争』というある意味シンプルな題名からこの内容は予想できませんでした。
 素晴らしいですね。
 三池監督は『極道怪奇大劇場 牛頭 GOZU』(2003)という映画も撮っているようです。
 み、見てみたい!
 でもこれはAmazon Primeにはありません。
 どこかで見られませんかね。
 いずれにせよ、『極道大戦争』ーー万人受けするとは絶対に言えませんが、いい映画でした。
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iseilio-blog · 2 years ago
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金援無法改變貧窮
【外電】中國相關問題
與媒體對抗 air 討論區文章剪輯 07/31/2005 國際新聞版
金援無法改變貧窮﹗
尤其當一個此類國家的經濟步上一定程度的改善之後,一般的金援
就是會停止,比如數十年前給台灣的美援。重要的是財政收入的
支配﹔對一個無憂外患的專制國家而言,其政府為維持其專制統治
的存在,在財政上做錯誤的配置安排,內部因為失去道德的自生、
自省能力,貪污腐化、人人看錢﹔更因為歷史的仇恨等種種政治
原因,而窮兵黷武,大力擴張軍事,其最終受害者,正就是它治下
的子民。這在非洲國家,似乎就是通例,無一可免。
中國不可能有真正義意的民主改革﹗
中國在法制上的改革,基本上是以經濟為目標。要民主改革,起碼
一個真正意義的鄉鎮地方選舉,都不應該徒具形式,純做表面功夫。
地方選舉即使會產生地方政治派系,這些地方派系也很大的可能會
以金錢為標的,卻仍舊是人民民主覺醒的一大要因。
大眾傳播必需有起碼的言論自由,中國目前所看到的一些言論自由,
有來自因太大而難以控管,有來自彼此較勁的政治鬥爭,有限的自由
言論,基本上屬於民生問題;共產政權的根本,是無法讓你稍動
寒毛、稍做挑戰的。台灣是一個顯例﹗
蘇聯的解體,緣由於其事先經濟的大幅度落後,而對有了經濟加持的
中國而言,其專制政權因此而不必然就會發生改變或崩潰。台灣僅
彈丸大小,很早就有了地方選舉,這還不夠;有著二二八的催化劑
之外,更有著人民追求民主自由的決心,還有來自海外的壓力 ,所有
這些條件中國並不具備,更為錯誤的愛國思潮所推崇。至今台灣下野
黨的反動惡鬥,讓台灣仍舊處於混沌不明的狀態。民主來自人民自身
的全力爭取,並不來自當權者的良心讓與,尤其對一個碩大無比的
中國而言,民主之途將更為坎坷。
四億人挾持了九億人的生存,基礎即使有可能擴大,卻也因為共產
政權的不會下台,成了一個踐踏公義、價值混亂的國家,這是此類
國家的正常狀態,也是我選擇台灣獨立的根本原因。
中國民主化的重要催化劑是台灣獨立﹔因為與人為善的民族主義讓
您與馬英九一樣,在大是大非之前與共產黨站到同一陣線,更讓您等
成了反民主、反自由的罪魁幫手。蕭小姐﹗您是位溫柔、體貼,善解
人意的高知美麗女性,有如此糊塗的看法令我替中國人深覺悲哀、
寂寞。
(69) 日本老屋與空屋の對策|尾道老房子的重啟人生(我們的島 第1231集 2023-11-20) - YouTube
(78) 台湾建筑老旧是落后的体现?为什么台湾的街道会比大陆陈旧那么多? #锵锵行天下 #锵锵拾遗 #窦文涛 #梁文道 #马未都 #马家辉 #周轶君 #许子东 #圆桌派 - YouTube
Kyoto Event: Kitano Odori Dance Performance [4K]
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esoterics-posts · 2 years ago
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存在
自分の才能も、立場も、生まれた境遇も、老いも、病も、貧しさも、失敗も、反省も、血や、遺伝子も、国籍も、光線や進化段階でさえも、全てを受け入れるしかない。無理しないでー。不完全から完全に至る系譜の中のプロトタイプで、神の創造した其の中の1つのピースであるに過ぎないと自覚する。
望み
死に対峙して生きていく事の辛さが分かる。
別離の寂しさと儚い命と今日と云う1日。
予め運命に依って定められている人生。
失うのは命であって真我ではないが、痛みは残る。
愛は最高度の感受性であり、傷付く事からは逃れられない。この自我の命は燃え尽きても、魂の光は継承されるのである。
魂の次元
誤った仮初めの身体の存在との自己同一性に侵食されるのは間違いに繋がる恐れがある。一時的な身体の属性に振り回されているのは問題である。目に視えない潜在力も、目に視える顕在力と同じに価値とリアリティー(実相)のある事である。死は一時的な避暑地である。人生は魂の真我を反映する。
真理
メンタル界の錯覚イリュージョンillusionとアストラル界の幻惑グラマーgrammarもまた障壁である。現象界に対する歪んだ認識であるこれらは虚偽であり、非現実であるが、巧妙に我々の目は容易に覆い隠されてしまう。その背後にあって、輪廻の滑車を回す者である法則は神の実在の反映であるー。
⑦④アクエリアス(宝瓶宮)
①③破壊や⑤死を避けずに未来の文明は成り立たない。③⑤⑦死と②④⑥生命の中間段階である①④⑥幽霊や④⑦輪廻転生を通して世界を創り変える事は可能であり、⑦データと①④(モナド)神の閃光に依って④光の街を表象する事ができる。①煉獄や④霊界や⑥天国は実存するー。
第三段階を越えない『#退化の弧』
#坂本龍一、#小室哲哉、#宇多田ヒカル、#小林武史、#久石譲
レオナルド・ダ・ヴィンチが批判する。目が見えぬ者の為の音楽であって、目に見えぬモノの表現として絵画芸術より劣っているが、人工的な芸術である音楽は絵画の姉妹としての形式として高く評価できる。
#心理学、#霊感、#創造性 の泉としての音楽
#心霊治療 #霊的側面 #霊的力
心理的エネルギー #光線
魔術や超能力開発は精神的な不調や発作が起きる恐れがあるので推奨できない。
②朱雀、⑥青龍、①白虎、⑤玄武、
③麒麟、④蛙、⑦悪魔(物質性)
#ティアナのアポロニウス
#クリシュナ #孔子
聖なる目的
お金は中性であるから、経済的な取引自体や公平な投資が悪いわけではない。何の為に使うのか?実態のない想像上の経済活動が暴利を貪る事が許されるべきではない。不当に物価を引き上げる事が、株式市場のフォースであるなら其れは邪悪な力である。労働の対価としての賃金は正しいー。
豊かさと貧しさ
労働者は社会の奴隷や家畜であってはならない。
生活者の生活を破壊する者こそが悪である。
貧困や不足が社会の害悪であり、取り除かれるべきである。協働者として協力し、公的に生活を豊かにする事は正義である。人類の幸いなる不幸は時間は無限である故の老齢人口の増減であるー。
聖別された目的
宗教であれ、政治であれ、生活の平和や安定を脅かす行為である如何なるテロリズムも有罪である。革命を齎す為の粛清はグレイであり、全面的な否定はできない。復讐の為であっても、人を殺める事は罪に問われ、近代の法治国家であれば法体系で裁きを受ける事になるー。『仇討ちは正義』
命の宗教
①光に返す瞑想の技ー全部を太陽の光に捧げる
②動物とその命に対する憐憫と愛情ー不肉食
③骨と皮だらけの身体ー慈悲としての食事
④菜食主義の短命ー同情と理解と共感
⑤人間の罪悪感と疑似食ー霊的成長に繋がる
⑥動物の命と自分の身体に対する同情
⑦唯物論と割り切れるか?
現実問題
第5光線の化学の構造主義に対抗する為に、第6光線の夢実存のごり押しで第7光線のシステマティックな現の科学が姿を顕す。病理的パンデミックは全ての在りと凡ゆる分野に於いてその究極的な対処療法が完成するまで続く。全ての #全体論的科学 の過程が要求される。何処までも深刻な問題。
#マトリックス
ポーションか?エーテルか?
解決できるのはデータと化学に対する調和の術である霊薬。宇宙の問題。認識の問題。意識の問題。実在の問題。時間の問題。次元の問題。光線の問題。命の問題。環境の問題。表象の問題。
①緊張と②弛緩と③活動と④想像力と⑤記憶力と⑥夢と⑦物自体
#マトリックス
FFシリーズーリザレクション
ゲームクリエイターのネオは実は人類が、ザイオンの支配に依って実際には電池として、マトリックス(仮想現実)の中にいる事を知り、実在の抵抗運動に参加するー。
#伝導瞑想 は☯️☸️✝️☪️⚛️🔯🕉️ #キリスト・マイトレーヤ の霊的貯蔵庫に繋がる奉仕の形態。
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groyanderson · 4 years ago
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☆プロトタイプ版☆ ひとみに映る影シーズン2 第七話「復活、ワヤン不動」
☆プロトタイプ版☆ こちらは電子書籍「ひとみに映る影 シーズン2」の 無料プロトタイプ版となります。 誤字脱字等修正前のデータになりますので、あしからずご了承下さい。
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(シーズン2あらすじ) 私はファッションモデルの紅一美。 旅番組ロケで訪れた島は怪物だらけ!? 霊能者達の除霊コンペとバッティングしちゃった! 実は私も霊感あるけど、知られたくないなあ…… なんて言っている場合じゃない。 諸悪の根源は恩師の仇、金剛有明団だったんだ! 憤怒の化身ワヤン不動が、今度はリゾートで炸裂する!!
pixiv版 (※内容は一緒です。)
དང་པོ་
 ニライカナイから帰還した私達はその後、魔耶さんに呼ばれて食堂へ向かう。食堂内では五寸釘愚連隊と生き残った河童信者が集合していた。更に最奥のテーブルには、全身ボッコボコにされたスーツ姿の男。バリカンか何かで雑に剃り上げられた頭頂部を両手で抑えながら、傍らでふんぞり返る禍耶さんに怯えて震えている。 「えーと……お名前、誰さんでしたっけ」  この人は確か、河童の家をリムジンに案内していたアトム社員だ。特徴的な名前だった気はするんだけど、思い出せない。 「あっ……あっ……」 「名乗れ!」 「はひいぃぃ! アトムツアー営業部の五間擦平雄(ごますり ひらお)と申します!」  禍耶さんに凄まれ、五間擦氏は半泣きで名乗った。少なくともモノホンかチョットの方なんだろう。すると河童信者の中で一番上等そうなバッジを付けた男が席を立ち、机に手をついて私達に深々と頭を下げた。 「紅さん、志多田さん。先程は家のアホ大師が大っっっ変ご迷惑をおかけ致しました! この落とし前は我々河童の家が後日必ず付けさせて頂きます!」 「い、いえそんな……って、その声まさか、昨年のお笑いオリンピックで金メダルを総ナメしたマスク・ド・あんこう鍋さんじゃないですか! お久しぶりですね!?」  さすがお笑い界のトップ組織、河童の家だ。ていうか仕事で何度か会ったことあるのに素顔初めて見た。 「あお久しぶりっす! ただこちらの謝罪の前に、お二人に話さなきゃいけない事があるんです。ほら説明しろボケナスがッ!!」  あんこう鍋さんが五間擦氏の椅子を蹴飛ばす。 「ぎゃひぃ! ごご、ご説明さひぇて頂きますぅぅぅ!!」  五間擦氏は観念して、千里が島とこの除霊コンペに関する驚愕の事実を私達に洗いざらい暴露した。その全貌はこうだ。  千里が島では散減に縁を奪われた人間が死ぬと、『金剛の楽園』と呼ばれる何処かに飛び去ってしまうと言い伝えられている。そうなれば千里が島には人間が生きていくために必要な魂の素が枯渇し、乳幼児の生存率が激減してしまうんだ。そのため島民達は縁切り神社を建て、島外の人々を呼びこみ縁を奪って生き延びてきたのだという。  アトムグループが最初に派遣した建設会社社員も伝説に違わず祟られ、全滅。その後も幾つかの建設会社が犠牲になり、ようやく事態を重く受け止めたアトムが再開発中断を検討し始めた頃。アトムツアー社屋に幽霊が現れるという噂が囁かれ始めた。その霊は『日本で名のある霊能者達の縁を散減に献上すれば千里が島���安全に開発させてやろう』と宣うらしい。そんな奇妙な話に最初は半信半疑だった重役達も、『その霊がグループ重役会議に突如現れアトムツアーの筆頭株主を目の前で肉襦袢に変えた』事で霊の要求を承認。除霊コンペティションを行うと嘘の依頼をして、日本中から霊能者を集めたのだった。  ところが行きの飛行機で、牛久大師は袋の鼠だったにも関わらず中級サイズの散減をあっさり撃墜してしまう。その上業界ではインチキ疑惑すら噂されていた加賀繍へし子の取り巻きに散減をけしかけても、突然謎のレディース暴走族幽霊が現れて返り討ちにされてしまった。度重なる大失態に激怒した幽霊はアトムツアーイケメンライダーズを全員肉襦袢に変えて楽園へ持ち帰ってしまい、メタボ体型のため唯一見逃された五間擦氏はついに牛久大師に命乞いをする。かくして大師は大散減を退治すべく、祠の封印を剥がしたのだった。以上の話が終わると、私は五間擦氏に馬乗りになって彼の残り少ない髪の毛を引っこ抜き始めた。 「それじゃあ、大師は初めから封印を解くつもりじゃなかったんですか?」 「ぎゃあああ! 毛が毛が毛がああぁぁ!!」  あんこう鍋さんは首を横に振る。 「とんでもない。あの人は力がどうとか言うタイプじゃありません。地上波で音波芸やろうとしてNICを追放されたアホですよ? 我々はただの笑いと金が大好きなぼったくりカルトです」 「ほぎゃああぁぁ! 俺の貴重な縁があぁぁ、抜けるウゥゥーーーッ!!」 「そうだったんですね。だから『ただの関係者』って言ってたんだ……」  そういう事だったのか。全ては千里が島、アトムグループ、ひいては金剛有明団までもがグルになって仕掛けた壮大なドッキリ……いや、大量殺人計画だったんだ! 大師も斉二さんもこいつらの手の上で踊らされた挙句逝去したとわかった以上、大散減は尚更許してはおけない。  魔耶さんと禍耶さんは食堂のカウンターに登り、ハンマーを掲げる。 「あなた達。ここまでコケにされて、大散減を許せるの? 許せないわよねぇ?」 「ここにいる全員で謀反を起こしてやるわ。そこの祝女と影法師使いも協力しなさい」  禍耶さんが私達を見る。玲蘭ちゃんは数珠を持ち上げ、神人に変身した。 「全員で魔物(マジムン)退治とか……マジウケる。てか、絶対行くし」 「その肉襦袢野郎とは個人的な因縁もあるんです。是非一緒に滅ぼさせて下さい!」 「私も! さ、さすがに戦うのは無理だけど……でもでも、出来ることはいっぱい手伝うよ!」  佳奈さんもやる気満々のようだ。 「決まりね! そうしたら……」 「その作戦、私達も参加させて頂けませんか?」  食堂入口から突然割り込む声。そこに立っていたのは…… 「斉一さん!」「狸おじさん!」  死の淵から復活した後女津親子だ! 斉一さんは傷だらけで万狸ちゃんに肩を借りながらも、極彩色の細かい糸を纏い力強く微笑んでいる。入口近くの席に座り、経緯を語りだした。 「遅くなって申し訳ない。魂の三分の一が奪われたので、万狸に体を任せて、斉三と共にこの地に住まう魂を幾つか分けて貰っていました」  すると斉一さんの肩に斉三さんも現れる。 「診療所も結界を張り終え、とりあえず負傷者の安全は確保した。それと、島の魂達から一つ興味深い情報を得ました」 「聞かせて、狸ちゃん」  魔耶さんが促す。 「御戌神に関する、正しい歴史についてです」  時は遡り江戸時代。そもそも江戸幕府征服を目論んだ物の怪とは、他ならぬ金剛有明団の事だった。生まれた直後に悪霊を埋め込まれた徳松は、ゆくゆくは金剛の意のままに動く将軍に成長するよう運命付けられていたんだ。しかし将軍の息子であった彼は神職者に早急に保護され、七五三の儀式が行われる。そこから先の歴史は青木さんが説明してくれた通り。けど、この話には続きがあるらしい。 「大散減の祠などに、星型に似たシンボルを見ませんでしたか? あれは大散減の膨大な力の一部を取り込み霊能力を得るための、給電装置みたいな物です。もちろんその力を得た者は縁が失せて怪物になるのですが、当時の愚か者共はそうとは知らず、大散減を『徳川の埋蔵金』と称し挙って島に移住しました」  私達したたびが探していた徳川埋蔵金とはなんと、金剛の膨大な霊力と衆生の縁の塊、大散減の事だったんだ。ただ勿論、霊能者を志し島に近付いた者達はまんまと金剛に魂を奪われた。そこで彼らの遺族は風前の灯火だった御戌神に星型の霊符を貼り、自分達の代わりに島外の人間から縁を狩る猟犬に仕立て上げたんだ。こうして御戌神社ができ、御戌神は地中で飢え続ける大散減の手足となってせっせと人の縁を奪い続けているのだという。 「千里が島の民は元々霊能者やそれを志した者の子孫です。多少なりとも力を持つ者は多く、彼らは代々『御戌神の器』を選出し、『人工転生』を行ってきました」  斉一さんが若干小声で言う。人工転生。まだ魂が未発達の赤子に、ある特定の幽霊やそれに纏わる因子を宛てがって純度の高い『生まれ変わり』を作る事。つまり金剛が徳松に行おうとしたのと同じ所業だ。 「じゃあ、今もこの島のどこかに御戌様の生まれ変わりがいるんですか?」  佳奈さんは飲み込みが早い。 「ええ。そして御戌神は、私達が大散減に歯向かえば再び襲ってきます。だからこの戦いでは、誰かが対御戌神を引き受け……最悪、殺生しなければなりません」 「殺生……」  生きている人間を、殺す。死者を成仏させるのとは訳が違う話だ。魔耶さんは胸の釘を握りしめた。 「そのワンちゃん、なんて可哀想なの……可哀想すぎる。攻撃なんて、とてもできない」 「魔耶、今更甘えた事言ってんじゃないわよ。いくら生きてるからって、中身は三百年前に死んだバケモノよ! いい加減ラクにしてやるべきだわ」 「でもぉ禍耶、あんまりじゃない! 生まれた時から不幸な運命を課せられて、それでも人々のために戦ったのに。結局愚かな連中の道具にされて、利用され続けているのよ!」 (……!)  道具。その言葉を聞いた途端、私は心臓を握り潰されるような恐怖を覚えた。本来は衆生を救うために手に入れた力を、正反対の悪事に利用されてしまう。そして余所者から邪尊(バケモノ)と呼ばれ、恐れられるようになる……。 ―テロリストですよ。ドマル・イダムという邪尊の力を操ってチベットを支配していた、最悪の独裁宗派です―  自分の言った言葉が心に反響する。御戌神が戦いの中で見せた悲しそうな目と、ニライカナイで見たドマルの絶望的な目が日蝕のように重なる。瞳に映ったあの目は……私自身が前世で経験した地獄の、合わせ鏡だったんだ。 「……魔耶さん、禍耶さん。御戌神は、私が相手をします」 「え!?」 「正気なの!? 殺生なんて私達死者に任せておけばいいのよ! でないとあんた、殺人罪に問われるかもしれないのに……」  圧。 「ッ!?」  私は無意識に、前世から受け継がれた眼圧で総長姉妹を萎縮させた。 「……悪魔の心臓は御仏を産み、悪人の遺骨は鎮魂歌を奏でる。悪縁に操られた御戌神も、必ず菩提に転じる事が出来るはずです」  私は御戌神が誰なのか��確証を持っている。本当の『彼』は優しくて、これ以上金剛なんかの為に罪を重ねてはいけない人。たとえ孤独な境遇でも人との縁を大切にする、子犬のようにまっすぐな人なんだ。 「……そう。殺さずに解決するつもりなのね、影法師使いさん。いいわ。あなたに任せます」  魔耶さんがスレッジハンマーの先を私に突きつける。 「失敗したら承知しない。私、絶対に承知しないわよ」  私はそこに拳を当て、無言で頷いた。  こうして話し合いの結果、対大散減戦における役割分担が決定した。五寸釘愚連隊と河童の家、玲蘭ちゃんは神社で大散減本体を引きずり出し叩く。私は御戌神を探し、神社に行かれる前に説得か足止めを試みる。そして後女津家は私達が解読した暗号に沿って星型の大結界を巡り、大散減の力を放出して弱体化を図る事になった。 「志多田さん。宜しければ、お手伝いして頂けませんか?」  斉一さんが立ち上がり、佳奈さんを見る。一方佳奈さんは申し訳なさそうに目を伏せた。 「で……でも、私は……」  すると万狸ちゃんが佳奈さんの前に行く。 「……あのね。私のママね、災害で植物状態になったの。大雨で津波の警報が出て、パパが車で一生懸命高台に移動したんだけど、そこで土砂崩れに遭っちゃって」 「え、そんな……!」 「ね、普通は不幸な事故だと思うよね。でもママの両親、私のおじいちゃんとおばあちゃん……パパの事すっごく責めたんだって。『お前��せいで娘は』『お前が代わりに死ねば良かったのに』みたいに。パパの魂がバラバラに引き裂かれるぐらい、いっぱいいっぱい責めたの」  昨晩斉三さんから聞いた事故の話だ。奥さんを守れなかった上にそんな言葉をかけられた斉一さんの気持ちを想うと、自分まで胸が張り裂けそうだ。けど、奥さんのご両親が取り乱す気持ちもまたわかる。だって奥さんのお腹には、万狸ちゃんもいたのだから……。 「三つに裂けたパパ……斉一さんは、生きる屍みたいにママの為に無我夢中で働いた。斉三さんは病院のママに取り憑いたまま、何年も命を留めてた。それから、斉二さんは……一人だけ狸の里(あの世)に行って、水子になっちゃったママの娘を育て続けた」 「!」 「斉二さんはいつも言ってたの。俺は分裂した魂の、『後悔』の側面だ。天災なんて誰も悪くないのに、目を覚まさない妻を恨んでしまった。妻の両親を憎んでしまった。だからこんなダメな狸親父に万狸が似ないよう、お前をこっちで育てる事にしたんだ。って」  万狸ちゃんが背筋をシャンと伸ばし、顔を上げた。それは勇気に満ちた笑顔だった。 「だから私知ってる。佳奈ちゃんは一美ちゃんを助けようとしただけだし、ぜんぜん悪いだなんて思えない。斉二さんの役割は、完璧に成功してたんだよ」 「万狸ちゃん……」 「あっでもでも、今回は天災じゃなくて人災なんだよね? それなら金剛有明団をコッテンパンパンにしないと! 佳奈ちゃんもいっぱい悲しい思いした被害者でしょ?」  万狸ちゃんは右手を佳奈さんに差し出す。佳奈さんも顔を上げ、その手を強く握った。 「うん。金剛ぜったい許せない! 大散減の埋蔵金、一緒にばら撒いちゃお!」  その時、ホテルロビーのからくり時計から音楽が鳴り始めた。曲は民謡『ザトウムシ』。日没と大散減との対決を告げるファンファーレだ。魔耶さんは裁判官が木槌を振り下ろすように、机にハンマーを叩きつけた! 「行ぃぃくぞおおおぉぉお前らああぁぁぁ!!!」 「「「うおおぉぉーーーっ!!」」」  総員出撃! ザトウムシが鳴り響く逢魔が時の千里が島で今、日本最大の除霊戦争が勃発する!
གཉིས་པ་
 大散減討伐軍は御戌神社へ、後女津親子と佳奈さんはホテルから最寄りの結界である石見沼へと向かった。さて、私も御戌神の居場所には当てがある。御戌神は日蝕の目を持つ獣。それに因んだ地名は『食虫洞』。つまり、行先は新千里が島トンネル方面だ。  薄暗いトンネル内を歩いていると、電灯に照らされた私の影が勝手に絵を描き始めた。空で輝く太陽に向かって無数の虫が冒涜的に母乳を吐く。太陽は穢れに覆われ、光を失った日蝕状態になる。闇の緞帳(どんちょう)に包まれた空は奇妙な星を孕み、大きな獣となって大地に災いをもたらす。すると地平線から血のように赤い月が昇り、星や虫を焼き殺しながら太陽に到達。太陽と重なり合うやいなや、天上天下を焼き尽くすほどの輝きを放つのだった……。  幻のような影絵劇が終わると、私はトンネルを抜けていた。目の前のコンビニは既に電気が消えている。その店舗全体に、腐ったミルクのような色のペンキで星型に線を一本足した記号が描かれている。更に接近すると、デッキブラシを持った白髪の偉丈夫が記号を消そうと悪戦苦闘しているのが見えた。 「あ、紅さん」  私に気がつき振り返った青木さんは、足下のバケツを倒して水をこぼしてしまった。彼は慌ててバケツを立て直す。 「見て下さい。誰がこんな酷い事を? こいつはコトだ」  青木さんはデッキブラシで星型の記号を擦る。でもそれは掠れすらしない。 「ブラシで擦っても? ケッタイな落書きを……っ!?」  指で直接記号に触れようとした青木さんは、直後謎の力に弾き飛ばされた。 「……」  青木さんは何かを思い出したようだ。 「紅さん。そういえば僕も、ケッタイな体験をした事が」  夕日が沈んでいき、島中の店や防災無線からはザトウムシが鳴り続ける。 「犬に吠えられ、夜中に目を覚まして。永遠に飢え続ける犬は、僕のおつむの中で、ひどく悲しい声で鳴く。それならこれは幻聴か? 犬でないなら幽霊かもだ……」  青木さんは私に背を向け、沈む夕日に引き寄せられるように歩きだした。 「早くなんとかせにゃ。犬を助けてあげなきゃ、僕までどうにかなっちまうかもだ。するとどこからか、目ん玉が潰れた双頭の毛虫がやって来て、口からミルクを吐き出した。僕はたまらず、それにむしゃぶりつく」  デッキブラシから滴った水が地面に線を引き、一緒に夕日を浴びた青木さんの影も伸びていく。 「嫌だ。もう犬にはなりたくない。きっとおっとろしい事が起きるに違いない。満月が男を狼にするみたいに、毛虫の親玉を解き放つなど……」 「青木さん」  私はその影を呼び止めた。 「この落書きは、デッキブラシじゃ落とせません」 「え?」 「これは散減に穢された縁の母乳、普通の人には見えない液体なんです」  カターン。青木さんの手からデッキブラシが落ちた途端、全てのザトウムシが鳴り止んだ。青木さんはゆっくりとこちらへ振り向く。重たい目隠れ前髪が狛犬のたてがみのように逆立ち、子犬のように輝く目は濁った穢れに覆われていく。 「グルルルル……救、済、ヲ……!」  私も胸のペンダントに取り付けたカンリンを吹いた。パゥーーー……空虚な悲鳴のような音が響く。私の体は神経線維で編まれた深紅の僧衣に包まれ、激痛と共に影が天高く燃え上がった。 「青木さん。いや、御戌神よ。私は紅の守護尊、ワヤン不動。しかし出来れば、お前とは戦いたくない」  夕日を浴びて陰る日蝕の戌神と、そこから伸びた赤い神影(ワヤン)が対峙する。 「救済セニャアアァ!」 「そうか。……ならば神影繰り(ワヤン・クリ)の時間だ!」  空の月と太陽が見下ろす今この時、地上で激突する光の神と影の明王! 穢れた色に輝く御戌神が突撃! 「グルアアァァ!」  私はティグクでそれをいなし、黒々と地面に伸びた自らの影を滑りながら後退。駐車場の車止めをバネに跳躍、傍らに描かれた邪悪な星目掛けてキョンジャクを振るった。二〇%浄化! 分解霧散した星の一片から大量の散減が噴出! 「マバアアアァァ!!」「ウバアァァァ!」  すると御戌神の首に巻かれた幾つもの頭蓋骨が共鳴。ケタケタと震えるように笑い、それに伴い御戌神も悶絶する。 「グルアァァ……ガルァァーーーッ!!」  咆哮と共に全骨射出! 頭蓋骨は穢れた光の尾を引き宙を旋回、地を這う散減共とドッキングし牙を剥く! 「がッは!」  毛虫の体を得た頭蓋骨が飛び回り、私の血肉を穿つ。しかし反撃に転じる寸前、彼らの正体を閃いた。 「さては歴代の『器』か」  この頭蓋骨らは御戌神転生の為に生贄となった、どこの誰が産んだかもわからない島民達の残滓だ。なら速やかに解放せねばなるまい! 人頭毛虫の猛攻をティグクの柄やキョンジャクで防ぎながら、ティグクに付随する旗に影炎を着火! 「お前達の悔恨を我が炎の糧とする! どおぉりゃああぁーーーーっ!!」   ティグク猛回転、憤怒の地獄大車輪だ! 飛んで火に入る人頭毛虫らはたちどころに分解霧散、私の影体に無数の苦痛と絶望と飢えを施す! 「クハァ……ッ! そうだ……それでいい。私達は仲間だ、この痛みを以て金剛に汚された因果を必ずや断ち切ってやろう! かはあぁーーーっはーーっはっはっはっはァァーーッ!!!」  苦痛が無上の瑜伽へと昇華しワヤン不動は呵呵大笑! ティグクから神経線維の熱線が伸び大車輪の火力を増強、星型記号を更に焼却する! 記号は大文字焼きの如く燃え上がり穢れ母乳と散減を大放出! 「ガウルル、グルルルル!」  押し寄せる母乳と毛虫の洪水に突っ込み喰らおうと飢えた御戌神が足掻く。だがそうはさせるものか、私の使命は彼を穢れの悪循環から救い出す事だ。 「徳川徳松ゥ!」 「!」  人の縁を奪われ、畜生道に堕ちた哀しき少年の名を呼ぶ。そして丁度目の前に飛んできた散減を灼熱の手で掴むと、轟々と燃え上がるそれを遠くへ放り投げた! 「取ってこい!」 「ガルアァァ!!」  犬の本能が刺激された御戌神は我を忘れ散減を追う! 街路樹よりも高く跳躍し口で見事キャッチ、私目掛けて猪突猛進。だがその時! 彼の本体である衆生が、青木光が意識を取り戻した! (戦いはダメだ……穢れなど!)  日蝕の目が僅かに輝きを増す。御戌神は空中で停止、咥えている散減を噛み砕いて破壊した! 「かぁははは、いい子だ徳松よ! ならば次はこれだあぁぁ!!」  私はフリスビーに見立ててキョンジャクを投擲。御戌神が尻尾を振ってハッハとそれを追いかける。キョンジャクは散減共の間をジグザグと縫い進み、その軌跡を乱暴になぞる御戌神が散減大量蹂躙! 薄汚い死屍累々で染まった軌跡はまさに彼が歩んできた畜生道の具現化だ!! 「衆生ぉぉ……済度ぉおおおぉぉぉーーーーっ!!!」  ゴシャアァン!!! ティグクを振りかぶって地面に叩きつける! 視神経色の亀裂が畜生道へと広がり御戌神の背後に到達。その瞬間ガバッと大地が割れ、那由多度に煮え滾る業火を地獄から吹き上げた! ズゴゴゴゴガガ……マグマが滾ったまま連立する巨大灯篭の如く隆起し散減大量焼却! 振り返った御戌神の目に陰る穢れも、紅の影で焼き溶かされていく。 「……クゥン……」  小さく子犬のような声を発する御戌神。私は憤怒相を収め、その隣に立つ。彼の両眼からは止めどなく饐えた涙が零れ、その度に日蝕が晴れていく。気がつけば空は殆ど薄暗い黄昏時になっていた。闇夜を迎える空、赤く燃える月と青く輝く太陽が並ぶ大地。天と地の光彩が逆転したこの瞬間、私達は互いが互いの前世の声を聞いた。 『不思議だ。あの火柱見てると、ぼくの飢えが消えてく。お不動様はどんな法力を?』 ༼ なに、特別な力ではない。あれは慈悲というものだ ༽ 『じひ』  徳松がドマルの手を握った。ドマルの目の奥に、憎しみや悲しみとは異なる熱が込み上がる。 『救済の事で?』 ༼ ……ま、その類いといえばそうか。童よ、あなたは自分を生贄にした衆生が憎いか? ༽  徳松は首を横に振る。 『ううん、これっぽっちも。だってぼく、みんなを救済した神様なんだから』  すると今度はドマルが両手で徳松の手を包み、そのまま深々と合掌した。 ༼ なら、あなたはもう大丈夫だ。衆生との縁に飢える事は、今後二度とあるまい ༽
གསུམ་པ་
 時刻は……わからないけど、日は完全に沈んだ。私も青木さんも地面に大の字で倒れ、炎上するコンビニや隆起した柱状節理まみれの駐車場を呆然と眺めている。 「……アーーー……」  ふと青木さんが、ずっと咥えっ放しだったキョンジャクを口から取り出した。それを泥まみれの白ニットで拭い、私に返そうとして……止めた。 「……洗ってからせにゃ」 「いいですよ。この後まだいっぱい戦うもん」 「大散減とも? おったまげ」  青木さんにキョンジャクを返してもらった。 「実は、まだ学生の時……友達が僕に、『彼女にしたい芸能人は?』って質問を。けど特に思いつかなくて、その時期『非常勤刑事』やってたので紅一美ちゃんと。そしたら今回、本当にしたたびさんが……これが縁ってやつなら、ちぃと申し訳ないかもだ」 「青木さんもですか」 「え?」 「私も実は、この間雑誌で『好きな男性のタイプは何ですか』って聞かれて、なんか適当に答えたんですけど……『高身長でわんこ顔な方言男子』とかそんなの」 「そりゃ……ふふっ。いやけど、僕とは全然違うイメージだったかもでしょ?」 「そうなんですよ。だから青木さんの素顔初めて見た時、キュンときたっていうより『あ、実在するとこんな感じなの!?』って思っちゃったです。……なんかすいません」  その時、遠くでズーンと地鳴りのような音がした。蜃気楼の向こうに耳をそばだてると、怒号や悲鳴のような声。どうやら敵の大将が地上に現れたようだ。 「行くので?」 「大丈夫。必ず戻ってきます」  私は重い体を立ち上げ、ティグクとキョンジャクに再び炎を纏った。そして山頂の御戌神社へ出発…… 「きゃっ!」  しようとした瞬間、何かに服の裾を掴まれたかのような感覚。転びそうになって咄嗟にティグクの柄をつく。足下を見ると、小さなエネルギー眼がピンのように私の影を地面と縫いつけている。 ༼ そうはならんだろ、小心者娘 ༽ 「ちょ、ドマル!?」  一方青木さんの方も、徳松に体を勝手に動かされ始めた。輝く両目から声がする。 『バカ! あそこまで話しといて告白しねえなど!? このボボ知らず!』 「ぼっ、ぼっ、ボボ知らずでねえ! 嘘こくなぁぁ!」  民謡の『お空で見下ろす出しゃばりな月と太陽』って、ひょっとしたら私達じゃなくてこの前世二人の方を予言してたのかも。それにしてもボボってなんだろ、南地語かな。 ༼ これだよ ༽  ドマルのエネルギー眼が炸裂し、私は何故かまた玲蘭ちゃんの童貞を殺す服に身を包んでいた。すると何故か青木さんが悶絶し始めた。 「あややっ……ちょっと、ダメ! 紅さん! そんなオチチがピチピチな……こいつはコトだ!!」  ああ、成程。ボボ知らずってそういう…… 「ってだから、私の体で検証すなーっ! ていうか、こんな事している間にも上で死闘が繰り広げられているんだ!」 ༼ だからぁ……ああもう! 何故わからないのか! ヤブユムして行けと言っているんだ、その方が生存率上がるしスマートだろ! ༽ 「あ、そういう事?」  ヤブユム。確か、固い絆で結ばれた男女の仏が合体して雌雄一体となる事で色々と超越できる、みたいな意味の仏教用語……だったはず。どうすればできるのかまではサッパリわかんないけど。 「え、えと、えと、紅さん……一美ちゃん!」 「はい……う、うん、光君!」  両前世からプレッシャーを受け、私と光君は赤面しながら唇を近付ける。 『あーもー違う! ヤブユムっていうのは……』 ༼ まーまー待て。ここは現世を生きる衆生の好きにさせてみようじゃないか ༽  そんな事言われても困る……それでも、今私と光君の想いは一つ、大散減討伐だ。うん、多分……なんとかなる! はずだ!
བཞི་པ་
 所変わって御戌神社。姿を現した大散減は地中で回復してきたらしく、幾つか継ぎ目が見えるも八本足の完全体だ。十五メートルの巨体で暴れ回り、周囲一帯を蹂躙している。鳥居は倒壊、御戌塚も跡形もなく粉々に。島民達が保身の為に作り上げた生贄の祭壇は、もはや何の意味も為さない平地と化したんだ。  そんな絶望的状況にも関わらず、大散減討伐軍は果敢に戦い続ける。五寸釘愚連隊がバイクで特攻し、河童信者はカルトで培った統率力で彼女達をサポート。玲蘭ちゃんも一枚隔てた異次元から大散減を構成する無数の霊魂を解析し、虱潰しに破壊していく。ところが、 「あグッ!」  バゴォッ!! 大散減から三メガパスカル級の水圧で射出された穢れ母乳が、河童信者の一人に直撃。信者の左半身を粉砕! 禍耶さんがキュウリの改造バイクで駆けつける。 「河童信者!」 「あ、か……禍耶の姐御……。俺の、魂を……吸収……し……」 「何言ってるの、そんな事できるわけないでしょ!?」 「……大散、ぃに、縁……取られ、嫌、……。か、っぱは……キュウリ……好き……っか……ら…………」  河童信者の瞳孔が開いた。禍耶さんの唇がわなわなと痙攣する。 「河童って馬鹿ね……最後まで馬鹿だった……。貴方の命、必ず無駄にはしないわ!」  ガバッ、キュイイィィ! 息絶えて間もない河童信者の霊魂が分解霧散する前に、キュウリバイクの給油口に吸収される。ところが魔耶さんの悲鳴! 「禍耶、上ぇっ!!」 「!」  見上げると空気を読まず飛びかかってきた大散減! 咄嗟にバイクを発進できず為す術もない禍耶さんが絶望に目を瞑った、その時。 「……え?」  ……何も起こらない。禍耶さんはそっと目を開けようとする。が、直後すぐに顔を覆った。 「眩しっ! この光は……あああっ!」  頭上には朝日のように輝く青白い戌神。そしてその光の中、轟々と燃える紅の不動明王。光と影、男と女が一つになったその究極仏は、大散減を遥か彼方に吹き飛ばし悠然と口を開いた。 「月と太陽が同時に出ている、今この時……」 「瞳に映る醜き影を、憤怒の炎で滅却する」 「「救済の時間だ!!!」」  カッ! 眩い光と底知れぬ深い影が炸裂、落下中の大散減を再びスマッシュ! 「遅くなって本当にすみません。合体に手間取っちゃって……」  御戌神が放つ輝きの中で、燃える影体の私は揺らめく。するとキュウリバイクが言葉を発した。 <問題なし! だぶか登場早すぎっすよ、くたばったのはまだ俺だけです。やっちまいましょう、姐さん!> 「そうね。行くわよ河童!」  ドルルン! 輩悪苦満誕(ハイオクまんたん)のキュウリバイクが発進! 私達も共に駆け出す。 「一美ちゃん、火の準備を!」 「もう出来ているぞぉ、カハァーーーッハハハハハハァーーー!!」  ティグクが炎を噴く! 火の輪をくぐり青白い肉弾が繰り出す! 巨大サンドバッグと化した大散減にバイクの大軍が突撃するゥゥゥ!!! 「「「ボァガギャバアアアアァァアアア!!!」」」  八本足にそれぞれ付いた顔が一斉絶叫! 中空で巻き散らかされた大散減の肉片を無数の散減に変えた! 「灰燼に帰すがいい!」  シャゴン、シャゴン、バゴホオォン!! 御戌神から波状に繰り出される光と光の合間に那由多度の影炎を込め雑魚を一掃! やはりヤブユムは強い。光源が��いと力を発揮出来ない私と、偽りの闇に遮られてしまっていた光君。二人が一つになる事で、永久機関にも似た法力を得る事が出来る!  大散減は地に叩きつけられるかと思いきや、まるで地盤沈下のように地中へ潜って行ってしまった。後を追えず停車した五寸釘愚連隊が舌打ちする。 「逃げやがったわ、あの毛グモ野郎」  しかし玲蘭ちゃんは不敵な笑みを浮かべた。 「大丈夫です。大散減は結界に分散した力を補充しに行ったはず。なら、今頃……」  ズドガアアァァァアン!!! 遠くで吹き上がる火柱、そして大散減のシルエット! 「イェーイ!」  呆然と見とれていた私達の後方、数分前まで鳥居があった瓦礫の上に後女津親子と佳奈さんが立っている。 「「ドッキリ大成功ー! ぽーんぽっこぽーん!」」  ぽこぽん、シャララン! 佳奈さんと万狸ちゃんが腹鼓を打ち、斉一さんが弦を爪弾く。瞬間、ドゴーーン!! 今度は彼女らの背後でも火柱が上がった! 「あのねあのね! 地図に書いてあった星の地点をよーく探したら、やっぱり御札の貼ってある祠があったの。それで佳奈ちゃんが凄いこと閃いたんだよ!」 「その名も『ショート回路作戦』! 紙に御札とぴったり同じ絵を写して、それを鏡合わせに貼り付ける。その上に私の霊力京友禅で薄く蓋をして、その上から斉一さんが大散減から力を吸収しようとする。だけど吸い上げられた大散減のエネルギーは二枚の御札の間で行ったり来たりしながら段々滞る。そうとは知らない大散減が内側から急に突進すれば……」  ドォーーン! 万狸ちゃんと佳奈さんの超常理論を実証する火柱! 「さすがです佳奈さん! ちなみに最終学歴は?」 「だからいちご保育園だってば~、この小心者ぉ!」  こんなやり取りも随分と久しぶりな気がする。さて、この後大散減は立て続けに二度爆発した。計五回爆ぜた事になる。地図上で星のシンボルを描く地点は合計六つ、そのうち一つである食虫洞のシンボルは私がコンビニで焼却したアレだろう。 「シンボルが全滅すると、奴は何処へ行くだろうか」  斉三さんが地図を睨む。すると突如地図上に青白く輝く道順が描かれた。御戌神だ。 「でっかい大散減はなるべく広い場所へ逃走を。となると、海岸沿いかもだ。東の『いねとしサンライズビーチ』はサイクリングロードで狭いから、石見沼の下にある『石見海岸』ので」 「成程……って、君はまさか!?」 「青木君!?」  そうか、みんな知らなかったんだっけ。御戌神は遠慮がちに会釈し、かき上がったたてがみの一部を下ろして目隠れ前髪を作ってみせた。光君の面影を認識して皆は納得の表情を浮かべた。 「と……ともかく! ずっと地中でオネンネしてた大散減と違って、地の利はこちらにある。案内するので先回りを!」  御戌神が駆け出す! 私は彼が放つ輝きの中で水上スキーみたいに引っ張られ、五寸釘愚連隊や他の霊能者達も続く。いざ、石見海岸へ!
ལྔ་པ་
 御戌神の太陽の両眼は、前髪によるランプシェード効果が付与されて更に広範囲を照らせるようになった。石見沼に到着した時点で海岸の様子がはっきり見える。まずいことに、こんな時に限って海岸に島民が集まっている!? 「おいガキ共、ボートを降りろ! 早く避難所へ!」 「黙れ! こんな島のどこに安全が!? 俺達は内地へおさらばだ!」  会話から察するに、中学生位の子達が島を脱出しようと試みるのを大人達が引き止めているようだ。ところが間髪入れず陸側から迫る地響き! 危ない! 「救済せにゃ!」  石見の崖を御戌神が飛んだ! 私は光の中で身構える。着地すると同時に目の前の砂が隆起、ザボオオォォン!! 大散減出現! 「かははは、一足遅いわ!」  ズカアァァン!!! 出会い頭に強烈なティグクの一撃! 吹き飛んだ大散減は沿岸道路を破壊し民家二棟に叩きつけられた。建造物損壊と追い越し禁止線通過でダブル罪業加点! 間一髪巻き込まれずに済んだ島民達がどよめく。 「御戌様?」 「御戌様が子供達を救済したので!?」 「それより御戌様の影に映ってる火ダルマは一体!?」  その問いに、陸側から聞き覚えのある声が答える。 「ご先祖様さ!」  ブオォォン! 高級バイクに似つかわしくない凶悪なエンジン音を吹かして現れたのは加賀繍さんだ! 何故かアサッテの方向に数珠を投げ、私の正体を堂々と宣言する。 「御戌神がいくら縁切りの神だって、家族の縁は簡単に切れやしないんだ。徳川徳松を一番気にかけてたご先祖様が仏様になって、祟りを鎮めるんだよ!」 「徳松様を気にかけてた、ご先祖様……」 「まさか、将軍様など!?」 「「「徳川綱吉将軍!!」」」  私は暴れん坊な将軍様の幽霊という事になってしまった。だぶか吉宗さんじゃないけど。すると加賀繍さんの紙一重隣で大散減が復帰! 「マバゥウゥゥゥゥウウウ!!!」  神社にいた時よりも甲高い大散減の鳴き声。消耗している証拠だろう。脚も既に残り五本、ラストスパートだ! 「畳み掛けるぞ夜露死苦ッ!」  スクラムを組むように愚連隊が全方位から大散減へ突進、総長姉妹のハンマーで右前脚破壊! 「ぽんぽこぉーーー……ドロップ!!」  身動きの取れなくなった大散減に大かむろが垂直落下、左中央二脚粉砕! 「「「大師の敵ーーーっ!」」」  微弱ながら霊力を持つ河童信者達が集団投石、既に千切れかけていた左後脚切断! 「くすけー、マジムン!」  大散減の内側から玲蘭ちゃんの声。するうち黄色い閃光を放って大散減はメルトダウン! 全ての脚が落ち、最後の本体が不格好な蓮根と化した直後……地面に散らばる脚の一本の顔に、ギョロギョロと蠢く目が現れた。光君の話を思い出す。 ―八本足にそれぞれ顔がついてて、そのうち本物の顔を見つけて潰さないと死なない怪物で!― 「そうか、あっちが真の本体!」  私と光君が同時に動く! また地中に逃げようと飛び上がった大散減本体に光と影は先回りし、メロン格子状の包囲網を組んだ! 絶縁怪虫大散減、今こそお前をこの世からエンガチョしてくれるわあああああああ!! 「そこだーーーッ!! ワヤン不動ーーー!!」 「やっちゃえーーーッ!」「御戌様ーーーッ!」 「「「ワヤン不動オォーーーーーッ!!!」」」 「どおおぉぉるあぁああぁぁぁーーーーーー!!!!」  シャガンッ! 突如大量のハロゲンランプを一斉に焚いたかのように、世界が白一色の静寂に染まる。存在するものは影である私と、光に拒絶された大散減のみ。ティグクを掲げた私の両腕が夕陽を浴びた影の如く伸び、背中で燃える炎に怒れる恩師の馬頭観音相が浮かんだ時……大散減は断罪される! 「世尊妙相具我今重問彼仏子何因縁名為観世音具足妙相尊偈答無盡意汝聴観音行善応諸方所弘誓深如海歴劫不思議侍多千億仏発大清浄願我為汝略説聞名及見身心念不空過能滅諸有苦!」  仏道とは無縁の怪獣よ、己の業に叩き斬られながら私の観音行を聞け! 燃える馬頭観音と彼の骨であるティグクを仰げ! その苦痛から解放されたくば、海よりも深き意志で清浄を願う聖人の名を私がお前に文字通り刻みつけてやる! 「仮使興害意推落大火坑念彼観音力火坑変成池或漂流巨海龍魚諸鬼難念彼観音力波浪不能没或在須弥峰為人所推堕念彼観音力如日虚空住或被悪人逐堕落金剛山念彼観音力不能損一毛!!」  たとえ金剛の悪意により火口へ落とされようと、心に観音力を念ずれば火もまた涼し。苦難の海でどんな怪物と対峙しても決して沈むものか! 須弥山から突き落とされようが、金剛を邪道に��落とされようが、観音力は不屈だ! 「或値怨賊繞各執刀加害念彼観音力咸即起慈心或遭王難苦臨刑欲寿終念彼観音力刀尋段段壊或囚禁枷鎖手足被杻械念彼観音力釈然得解脱呪詛諸毒薬所欲害身者念彼観音力還著於本人或遇悪羅刹毒龍諸鬼等念彼観音力時悉不敢害!!」  お前達に歪められた衆生の理は全て正してくれる! 金剛有明団がどんなに強大でも、和尚様や私の魂は決して滅びぬ。磔にされていた抜苦与楽の化身は解放され、悪鬼羅刹四苦八苦を燃やす憤怒の化身として生まれ変わったんだ! 「若悪獣囲繞利牙爪可怖念彼観音力疾走無辺方蚖蛇及蝮蝎気毒煙火燃念彼観音力尋声自回去雲雷鼓掣電降雹澍大雨念彼観音力応時得消散衆生被困厄無量苦逼身観音妙智力能救世間苦!!!」  獣よ、この力を畏れろ。毒煙を吐く外道よ霧散しろ! 雷や雹が如く降り注ぐお前達の呪いから全ての衆生を救済してみせよう! 「具足神通力廣修智方便十方諸国土無刹不現身種種諸悪趣地獄鬼畜生生老病死苦以漸悉令滅真観清浄観広大智慧観悲観及慈観常願常瞻仰無垢清浄光慧日破諸闇能伏災風火普明照世間ッ!!!」  どこへ逃げても無駄だ、何度生まれ変わってでも憤怒の化身は蘇るだろう! お前達のいかなる鬼畜的所業も潰えるんだ。瞳に映る慈悲深き菩薩、そして汚れなき聖なる光と共に偽りの闇を葬り去る! 「悲体戒雷震慈意妙大雲澍甘露法雨滅除煩悩燄諍訟経官処怖畏軍陣中念彼観音力衆怨悉退散妙音観世音梵音海潮音勝彼世間音是故須常念念念勿生疑観世音浄聖於苦悩死厄能為作依怙具一切功徳慈眼視衆生福聚海無量是故応頂……」  雷雲の如き慈悲が君臨し、雑音をかき消す潮騒の如き観音力で全てを救うんだ。目の前で粉微塵と化した大散減よ、盲目の哀れな座頭虫よ、私はお前をも苦しみなく逝去させてみせる。 「……礼ィィィーーーーーッ!!!」  ダカアアアアァァアアン!!!! 光が飛散した夜空の下。呪われた気枯地、千里が島を大いなる光と影の化身が無量の炎で叩き割った。その背後で滅んだ醜き怪獣は、業一つない純粋な粒子となって分解霧散。それはこの地に新たな魂が生まれるための糧となり、やがて衆生に縁を育むだろう。  時は亥の刻、石見海岸。ここ千里が島で縁が結ばれた全ての仲間達が勝利に湧き、歓喜と安堵に包まれた。その騒ぎに乗じて私と光君は、今度こそ人目も憚らず唇を重ね合った。
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c3oyama · 5 years ago
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12/17 #飛行機の日 誕生日/ #夏目雅子 #牧瀬里穂 #パッキャオ #ベートーヘヴェン #有森裕子 #西村知美 誕生日 1770年 ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(独・音楽家) ベートーヴェン『運命』交響曲第五番第一楽章 https://www.youtube.com/embed/PTr1v1ksWkQ 1876年 島木赤彦(歌人・アララギ派) 1878年 野間清治(講談社創立者) 1900年 カティナ・パクシノワ(女優) 1900年 勅使河原蒼風(生け花・草月流創始者) 1921年 おおば比呂司(漫画家) 1932年 柳家小三治(10代目・落語家) 1936年 トミー・スティール(俳優) 1947年 マリリン・ハセット(女優) 1957年 夏目雅子(女優) 1959年 蓑輪単志(HOUND DOG・歌手) 1960年 TARAKO(声優・ちびまる子) 1965年 池山隆寛(野球) 1966年 有森裕子(マラソン) 1969年 田村潔司(プロレス) 1970年 西村知美(タレント) 1971年 いわぶちかつひこ(歌手) 1971年 牧瀬里穂(タレント) 1978年 マニー・パッキャオ(ボクシング) 1979年 KEN(Da Pump・歌手) 1982年 水野良樹(いきものがかり・ミュージシャン) 1984年 福田明日香(元モーニング娘。・歌手) 1985年 緒方龍一(w-inds. ・ミュージシャン) 誕生花は 白の胡蝶蘭、花言葉は“厳粛な愛” 誕生石は ダイヤモンド(diamond)、宝石言葉は“清浄無垢” 飛行機の日 1903年のこの日、アメリカ・ノースカロライナ州のキティホークで、ウィルバーとオーヴィルのライト兄弟が動力飛行機の初飛行に成功した。 この日には4回飛行し、1回目の飛行時間は12秒、4回目は59秒で飛行距離は256mだった。 建国記念日 [ブータン] 1907年のこの日、ウゲン・ワンチュクがブータンの初代国王に即位した。 浅草寺で歳の市、羽子板市(東京都) 歴史・出来事 1880年 最後の仇討ち 1903年 ライト兄弟、人類初の公開飛行 1952年 京阪電鉄が戦後初の車内暖房 1957年 上野動物園にモノレール登場 1996年 『Yahoo! JAPAN』サービスを開始 #今日は何の日 #パーソナルカラー #カラードレープ #カラーパレット #こんにちは #色見本 #PCCS #ドレープ120色 #パーソナルカラー用品 #テストドレープ #C³ #色のみかた #シーキューブ (パーソナルカラー用品ドレープ、見本帳,PCCSのご用命はc3(シーキューブ)) https://www.instagram.com/p/CI4INvjgtvG/?igshid=gw4xl4rboz5k
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tukumoteiog · 5 years ago
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プレインズウォーカーのための「忘れられた領域、フォーゴトン・レルム」案内 その3
フォーゴトン・レルムの組織①  組織というのはその世界における人類種族の意志の表れである。ラヴニカ次元には10のギルドがあり公共事業を支えている。カラデシュ次元は領事府と改革派という2陣営の争いを描いているが、発明組合やクルナ事業会といった細かい組織が陣営の動きに影響を与えている。
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 フォーゴトン・レルムは非常に広く、組織は地域によって多様に存在し、それぞれの影響力も異なってくる。西方の諸都市の政に大きな影響を持つ組織は前回、前々回で少し触れた領主同盟であるが、その他にも一般の人々の安全(と危険)に関連した組織が存在する。これらの組織の名称は『D&D The Forgotten Realms』カードセットがフォーゴトン・レルム西方を舞台にしていた場合に登場することになるだろう。
 今回はその中でも、善なる組織として代表的な「ハーパー」と「ガントレット騎士団」、そして悪の組織から「ゼンタリム」について記載する。
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ハーパー
 MTGのマナの色で言うなれば、ハーパーは秩序の白と知識の青になるだろう。ハーパー(竪琴ひき)はその名の通り吟遊詩人の組織、というわけではなく、魔法使いとスパイたちの半秘密組織になっている。
 彼らはレルム全体の文明と自然のバランスを維持するため、歴史を保存し、特定の国家が拡大しすぎることを防いでいる。彼らは権力組織を監視し、公正さと公平さを維持することでレルムの人々のうち清廉なる者、弱者、貧者たちを圧制から護っているのだ。
 ハーパーの強みはその情報網にあり、これが青マナの性質にマッチしている。彼らは単独行動を信条とするが、ハーパー同士で情報をはじめとして魔法、非魔法を問わずの支援を受けつつ強敵を打ち倒す。君がハーパーの冒険者であるならば、レルムのあちこちで彼らの情報保管庫や情報提供者の協力を受けることができるだろう。こうした情報の強さは、カードセットでも強力なドロー能力として表現されるに違いない。  彼らが単独行動をする理由は、自分ひとりの力を信じて味方をつけずに戦うことによって金や権力による堕落的誘惑に打ち勝つためである。とはいえ、ハーパーは孤独で排他的な集団ではない。その結束は固く、困難に倒れそうな同志がいれば迷わず手を差し伸べるのだ。
 ハーパーの紋章は創設当時の評議会を率いたムーンエルフの魔道士ダスル・ミストウィンターの家紋に由来する。現在に至る1000年の間に消滅と再興を繰り返してきたハーパーは、デイル歴1487年のドラゴン・カルトとの戦いに尽力したことによって活動を活発化させた。現在のハーパーは大魔道士エルミンスターやストーム・シルバーハンドなどを含む評議会によって主導されており、闇の神々のカルトやゼンタリムなどと対立している。
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ガントレット騎士団  MTGのマナの色で言うなれば、ガントレット騎士団は正義の白と��情の赤となるだろう。そう、ラヴニカで言えば彼らはボロス軍に似た性質を持つ。性格的な違いを述べるのであれば、ガントレット騎士団はより宗教的な精神に立脚している点が特徴だ。
 パラディン、戦士、騎士、クレリックといった聖職者の連合である彼らは、悪に立ち向かう強い信仰心と意志の強さを持つとともに、悪が様々な形態をとり得ることも理解している。彼らは最も危険なダンジョンや穢れた場所へと自ら乗り込み、悪党を根絶やしにしようとする。また騎士団のクレリックやパラディンは己の内に眠る悪を排するため長く深い祈りを行い、そののちに、世界を清めるための剣をふるう。
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 1400年代(現在から約90年前)に成立したガントレット騎士団の信ずるところによれば、生まれつきの悪人はおらず、およそ知性を有するすべての者は自らの意志によって理性と善の光に至らねばならないのだという。そのため、彼らは悪心を抱いた者を行動に移さぬうちから罰することはない。彼らの関心事は考えではなく行動にのみ着目し、この世界に良き模範を示すことで他者を啓発せんとしているのだ。騎士団の規範においては実際に悪が為されて初めて敵を討つことが許される。そのため、ガントレット騎士団は常に警戒を怠らず、あらゆる手段を尽くして悪が為される瞬間を突き止めようとする。
 騎士団は各地で無法者と戦う者を支援しており、特にレルム北方のネヴァーウィンターでの強い影響力を持つ。彼らは神(主に勇気と自己犠牲の神トーム、裁きの神ティア、復讐と仇討の神ホアに仕える)、友人、そして自分自身を信ずることを旨とする。騎士団はほとんどの場合グループで行動する。
 ハーパーとガントレット騎士団は異なる理念で運営されている組織であるものの、フェイルーンの秩序を守るために目的を同じくする同盟関係にある。
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ゼンタリム  このようにフォーゴトン・レルムの社会は人間種族が団結し、正義と秩序を保っている。だが、光あるところに必ず影があるように、法と秩序とは真逆の組織も存在している。そんなレルムで最も名の知れた、最も恐れられる悪の組織がゼンタリムである。ゼンタリムをマジックの色で表すならば、黒を中心としたグリクシスカラー(青黒赤)が相応しい。
 ゼンタリムの主な活動は違法品の交易によるものだ。彼らは武器や禁制品、奴隷や麻薬などを主に取り扱い、闇の通商網でそれを売りさばく。彼らのブラック・ネットワークは魔術師や聖職者、兵士たちによるものだが、実働を行うのは主にスパイたちとなる。
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「悪の組織」というと邪悪なキャラクターを従えたニコル・ボーラスの無限連合のようなものを想像しがちだが、ゼンタリムはもう少し利益主義、実用主義的なところがある。例えば彼らの抱える傭兵を金持ちに雇わせるために、もとからいた護衛を殺してしまうなどというのは日常茶飯事だし、法律や条文の穴を突くことも欠かさない。莫大な黒い富を抱えるゼンタリムの傭兵たちは最高級の武具を持ち、戦士としての質も上々である。そのため、ゼンタリムの間者はありとあらゆる組織や貴族の護衛、果ては都市の城壁を守る衛兵の中にも存在しているだろう。
 しかし、もし君が冒険者であり、この世の中でも後ろ暗いアンダーダークやアビスといった法の光の届かないところへ行くのならば、彼らの助力を得なければならないことも出てくるかもしれない。ゼンタリム以上にそうした土地についての知識と経験を持つ者たちはいないだろう。そんなところに行く予定はない? ときに冒険者は自分の命や名誉を投げ打つ覚悟でそうした場所を訪れることがあるのだ。そのときは、眼前だけでなく背中にも気を付けたまえ。
 さて、今回の組織の紹介はこのあたりにして、最後にレルム北方の大都市をひとつご紹介しよう。
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復興しゆく街、ネヴァーウィンター  ウォーターディープから徒歩で北上すること2週間ほど、 「冬知らぬ街」 ことネヴァーウィンターの都市はさらに北へと向かう冒険者たちを出迎えてくれる。
 北方の宝石とも称されたネヴァーウィンターは、火山に住む精霊によって温められた不凍の川が流れることに加え、卓越した庭師たちが過酷な冬の間にも花を咲かせ続けるために考案した技術から名を取られたと言われている(街の名前については諸説あり、この地で戦ったエルフのハルエス・ネヴァーに由来するという話もある)。
 優れた職人を抱える商業都市としても知られるネヴァーウィンターで作られた水時計やランプは、フォーゴトン・レルム全土で見かけることができるだろう。厳粛な宣誓を行うときに慣用句として用いられる「ネヴァーウィンターの時計により」というのはその時計の精度の高さと仕事への誠実さに由来している。
 かつては絵画のような美しさを誇ったネヴァーウィンターであったが、約50年前に起きたホートナウ火山の噴火によってその姿を一変させてしまう。街は完全に破壊され、市中のあちこちに地下の荒廃地帯と繋がる陥没孔が開いたことで呪文荒廃によって捻じれたプレイグチェンジド・ホラーと呼ばれる怪物が絶えず湧き出した。こうして20年あまり危険な廃墟と化したネヴァーウィンターは、ウォーターディープの公開ロードのひとりであるダガルト・ネヴァレンバー卿の尽力によってかつての栄えある姿を取り戻すこととなった。このあたりのくだりはホビージャパンD&D公式サイトの、D&D第4版の配布シナリオにも詳しく記載がある。第5版のルールに沿うように調整すれば現在でもプレイ可能なシナリオなので、ダンジョンマスターならずとも目を通してみると面白いだろう。
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 また、ネヴァーウィンターはPCゲーム版D&D『ネヴァーウィンター・ナイツ』の舞台としても知られる。このゲームはネヴァーウィンターを舞台にしたいわゆる普通のRPG的な遊び方に加えて、旧版D&Dベースのルールを使ってダンジョンマスターがシナリオを自作し、オンラインでプレイヤーを集めて遊ぶことができる疑似的オンラインTRPGとも言える機能がついている。セガから日本語版も発売されているので、調べてみるとよいだろう。
次回は組織その2と、暗黒の地下世界アンダーダークについて取り扱う。
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theatrum-wl · 7 years ago
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【アンケート企画】 「2017年の3本」
WLでは読者のみなさんから2017年に見た舞台作品の中で印象に残った3本を、その理由などを書いたコメントとあわせて募るアンケートを実施しました。WLスタート以来毎年行っているこの企画、3回目の今回は20名の方にご参加いただきました。掲載は到着順です。
雨宮 縁(会社員) ・劇団四季『ノートルダムの鐘』(四季劇場〔秋〕) ・ホリプロ『パレード』(東京芸術劇場 プレイハウス) ・ホリプロ『ファインディング・ネバーランド』(東急シアターオーブ ) 『ノートルダムの鐘』は何が悪なのか? 怪物は誰なのか? 人間の業と差別について圧倒的なクワイアの歌声で問われる秀逸な作品。 ミュージカル『パレード』はストレートプレイを見ているようなミュージカル。アメリカ南部で起こった実話の冤罪事件をミュージカル化した異色作。ある少女殺人事件をきっかけに人種差別や成功者への妬みなどから警察やマスコミ、政治家様々な立場の人達により犯人に仕立て上げられていく恐ろしさ。これが物語ではなく実話であるというさらなる恐ろしさに声が出ない程の衝撃だった。実力者ぞろいの出演者達で見応え満点だった。 ブロードウェイミュージカル『ファインディング・ネバーランド』は来日公演。ミュージカルらしい作品。イマジネーションの世界は自由だと夢のあるミュージカル。窮屈な現実から解き放される感動作で前向きな気持ちにしてくれます。(年間観劇本数:24本)
小田島 創志(大学院生・非常勤講師) ・KAAT『オーランド―』(KAAT神奈川芸術劇場) ・やみ・あがりシアター『すずめのなみだだん!』(小劇場てあとるらぽう) ・地人会新社『豚小屋』(新国立劇場 小劇場)  1.KAAT『オーランド―』…ジェンダー、言葉の意味、文化慣習、時代精神などの脱自然化を、舞台上で緻密に表現。観客の想像力を喚起する役者さんの演技も白井さんの演出も圧巻。「男である」「女である」のではなく、「男になる」「女になる」というボーヴォワール的な価値観を、演劇的にスタイリッシュに表現していて素晴らしかった。 2.やみ・あがりシアター『すずめのなみだだん!』…個人と社会、個人と宗教の関係性を、コミカルかつ丁寧な言葉を紡いで描いた意欲作。テーマが複層的で、観客側の思考を誘う。 3.アソル・フガード『豚小屋』…個人よりも集団が過剰に優先され、個人の犠牲の上に集団が成り立つ状況下で、戦争に駆り立てられる庶民の「受難」を、北村有起哉さんと田畑智子さんの壮絶な演技で伝えていた。(年間観劇本数:53本)
豊川 涼太(学生) ・ロロ『父母姉僕弟君』(シアターサンモール) ・木ノ下歌舞伎『東海道四谷怪談 通し上演』(あうるすぽっと) ・ままごと『わたしの星』(三鷹市芸術文化センター 星のホール) 今年の3本を選んでみると、全てが再演(初演はどれも観ていない)だった。 特にロロ『父母姉僕弟君』はキティエンターテイメントプロデュースで、より大きなサイズで大きなスケールで上演できていた。 他の方々も語るように、再演賞を設ける等、演劇界全体で再演文化の定着に力を入れて欲しい。(年間観劇本数:50本程度)
なかむら なおき(観光客) ・月刊「根本宗子」『スーパーストライク』(ザ・スズナリ) ・劇団四季 『ノートルダムの鐘』(四季劇場〔秋〕) ・こまつ座『イヌの仇討』(紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA) 『スーパーストライク』は良し悪しの前にもっとも欲していることが届く作品だったので。『ノートルダムの鐘』はあえて出来事だけを表現して観客に判断を任せているのが面白かった。そして『イヌの仇討』は忠臣蔵を下敷きに目に見えない得体の知れない大きな力を描いていて続々としたなぁと。あ、これらは趣味です。 で、上演された作品を見ると、今の世の中に応答するような作品が多いように思うのです。そして小劇場界隈で育ってきた演出家が大劇場の演出を務めるようになってきているように思うのです。また少し変わったかなぁと思うのです。(年間観劇本数:100本ぐらいですかね)
北村 紗衣(研究者) ・ケネス・ブラナー演出、トム・ヒドルストン主演『ハムレット』(RADA) ・カクシンハン『マクベス』(東京芸術劇場 シアターウエスト) ・モチロンプロデュース『クラウドナイン』(東京芸術劇場 シアターイースト) 今年は『ハムレット』を6本見て、アンドルー・スコット主演版や川崎ラゾーナ版なども良かったのですが、ヒドルストンの『ハムレット』が一番好みでした。ハムレット以外の若者役を全員女性にするキャスティングが効いていました。カクシンハンの『マクベス』はまるでゴミみたいなセットでしたが、内容はゴミとはほど遠いエネルギッシュなものでした。『クラウドナイン』は大変面白かったのですが、あまりよく考えずに「レズ」とか「少年愛」などという言葉を使っているマーケティングは大変残念でした。 (年間観劇本数:121本)
町田 博治(会社役員) ・青☆組『グランパと赤い塔』(吉祥寺シアター) ・小松台東『山笑う』(三鷹市芸術文化センター 星のホール) ・ SPAC『アンティゴネ ~時を超える送り火~』(駿府城公演特設会場) 『グランパと赤い塔』 吉田小夏が人の綾なす思いを紡ぎ、丁寧に織り上げられる。 背筋が伸び厚みと洒脱さを合わせ持つ老紳士を佐藤滋が見事に演じ、福寿奈央の初老の妻も見事。二人が作品に一本の筋を通す。 裏の主役とでも言うべき女中役を大西玲子が、目線、ことば、仕草、身体で見事に演じていた。役者が皆素晴らしい。 『山笑う』 兄と妹、地方と都会、肉親ゆえの諍い。 静かに光る小さな宝石の様な作品。 松本哲也の演出がシリアスさと笑いをバランスさせ絶妙。厚みのある演技、役者達のバランスも絶妙。 『アンティゴネ』 冒頭女優石井萠水がミニ・アンティゴネを演じ客を引き込む。 舞台は一面水。灯篭が浮かび明かりが揺れる。あの世と現世の境としての水、水上で舞台が静かに進む。背後に投射された動きが影となり、台詞、歌唱が絡み、幻想的。 「弔い」にこだわるアンティゴネ、最後、円く連なってゆく静かな盆踊りが弔いを暗示胸を締め付ける。(年間観劇本数:299本)
文月 路実(派遣社員・フリーライター) ・ゴキブリコンビナート『法悦肉按摩』(都内某公園) ・NODA・MAP『足跡姫』(東京芸術劇場プレイハウス) ・ 範宙遊泳『その夜と友達』(STスポット) 「五感を総動員する」と謳っていたゴキコンの本公演は、まさにその通りの悪夢だった。入り口で目隠しされ、何が何やらまったくわからない状態で味わう地獄。四方八方から泥水や血糊や汚物や虫が飛んでくる。突然役者が飛び出してきて身体の上に載る。内容はいつも通りのひどい話だ。テント内はかなり暑く、なにやら異臭がすごい。終わったときには頭に虫がとまり、レインコートは泥や血糊でぐしょぐしょ、汗で眉毛が半分消えておったとさ。そんなに過酷だったのにもかかわらず爽快感を覚えたのは不思議。普段使わない感覚を刺激されたからか。これこそが演劇の力なのでは。『足跡姫』は勘三郎へのオマージュ。ここ数年の野田作品のなかで一番ストレートに「想い」が伝わってきて、純粋に美しいと思った。『その夜と友達』は、生きづらさを抱えた「夜」というキャラクターが個人的に刺さった。「しんどさ」を知ってしまった人間にも希望はあるのだと信じたい。(年間観劇本数:42本)
永田 晶子(会社員) ・努力クラブのやりたくなったのでやります公演『フォーエバーヤング』(人間座スタジオ) ・燐光群『湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土、日除ク)』(ザ・スズナリ) ・dracom Rough Play 『ぶらんこ』(OPA_Lab) 上演日順です。 ・説明が削られ、描くべきことだけ残った合田団地氏の劇作は、努力クラブの魅力のひとつです。同世代の俳優による静かな演技で、人生における中途半端な時間の儚さをより楽しめました。 ・燐光群の公演で、劇場という閉ざされた空間が持つ危うさを確かめました。戯曲に負けない強い演技と、暗闇にわずかな光を感じるラストシーンが印象的でした。失われた街に思いを馳せる機会にもなりました。 ・既存戯曲を本読み一回・稽古一回で上演するラフプレイを観て、演劇は一度きりの瞬間に在ると思いました。会場全体に広がる「わかりあえなさ」に、戸惑いつつも笑いました。戯曲を忠実に辿ろうとするデッサンのような行為は、dracom の新作での慎重な表現にも繋がっていたと思います。(年間観劇本数:100本くらい)
青木 克敏(地方公務員) ・SPAC『アンティゴネ〜時を超える送り火〜』(駿府城公演特設会場) ・ロシア国立サンクトペテルブルク マールイ・ドラマ劇場『たくらみと恋』(世田谷パブリックシアター) ・NAPPOS PRODUCE『SKIP〜スキップ』(サンシャイン劇場) あまりぱっとしない演劇状況に思えました。その中で、SPACの宮城聰さんの取り組みは素晴らしいものに感じています。アンティゴネは構成がしっかりとしていて分かりやすいかったですが、私の価値観を揺るがしてくれるほどの感動を、与えてくれました。たくらみと恋では、俳優陣をはじめとして芸術レベルの高さを見せつけられました。そして、スキップ。なんだかんだ言っても、キャラメルボックスは、夢と希望をいつだって分かち合おうと走り続ける劇団です。(年間観劇本数:32本)
矢野 靖人(一般社団法人shelf代表理事・芸術監督) ・WORLD STAGE DESIGN『The Malady of Death』(台北国立芸術大学) ・HEADZ『を待ちながら』(こまばアゴラ劇場) ・SCOTサマーシーズン2017『サド侯爵夫人 第二幕』(新利賀山房) The Malady of Death”はバンコクの盟友、僕がいちばん信頼している僕自身のプロデューサー的存在でもあるリオンが演出する作品とあってわざわざそれを観るためだけに台湾まで行った作品。そういうことが出来る/したいと思える仲間がいることに感謝。今年いちばん記憶に残っている。デュラス晩年の最後の恋人は実はゲイで、しかし献身的にデュラスを愛し、デュラスに尽くしたという。美しく儚い作品だった。鈴木忠志「サド侯爵夫人 第二幕」はこの超絶技巧のこのアーティフィシャル(人工的)な日本語台詞をねじ伏せた俳優陣に快哉。久しぶりに劇場で観劇した飴屋法水さんの「を待ちながら」はこちらが思っていた以上に泣けるほどに清々しくベケットで。選外に1作品、APAFワン・チョン氏演出の「Kiss Kiss Bang Bang2.0」を。ノンバーバル且つインターナショナルな演劇の新たな可能性を垣間見せてくれた。(年間観劇本数:43本)
野呂 瑠美子(一観客) ・劇団昴ザ・サードステージ『幻の国』(サイスタジオ大山第1) ・劇団チョコレートケーキ『熱狂』(シアターウェスト) ・文学座創立80周年記念公演『中橋公館』(紀伊国屋ホール) どの時代をどういう切り口で、どのように選ぶかは作者の意識と力量による。劇団チョコレートケーキの古川健さんは、大きな歴史の流れを巧妙に切り取り、多大な資料を元に、新たに肉付けをして、その時代がどんなであったかを観客に見せてくれる。『幻の国』『熱狂』ともに、3時間ほどの舞台からは、困難な時代に置かれた人々の思いと息遣いが伝わってくるようであった。文学座の真船豊の『中橋公館』も、殆ど知られることがなかった、外地・北京で敗戦を迎えた日本人の様子をよく伝えていて、感心した。どの作品も、過ぎ去った時代を描きながら、実は現代をきちんと映し出している秀作揃いで、感動とともに、印象深い作品となった。最近あまり見なくなった歌舞伎だが、今年は仁左衛門の『千本桜』がかかり、おそらく彼の一世一代の知盛であろうと思われて、拝見した。人生は速い。(年間観劇本数:80本)
片山 幹生(WLスタッフ) ・SPAC『病は気から』 (静岡芸術劇場) ・ゴキブリコンビナート『法悦肉按摩』 ・平原演劇祭2017第4部 文芸案内朗読会演劇前夜&うどん会  「や喪めぐらし」(堀江敏幸「めぐらし屋」より) ノゾエ征爾翻案・演出のSPAC『病は気から���は17世紀フランス古典主義を代表するモリエールの喜劇の現代日本での上演可能性を切り拓く優れた舞台だった。ゴキコンはいつも期待を上回る斬新で過激な仕掛けで観客を楽しませてくれる。高野竜の平原演劇祭は昨年第6部まで行われ、いずれも既存の演劇の枠組みを逸脱する自由で独創的なスペクタクルだったが、その中でも文庫版200頁の小説を4人の女優がひたすら読むという第4部の企画の体験がとりわけ印象的だった。食事として供された変わったつけ汁でのうどんもおいしかった。(年間観劇本数:120本)
kiki(勤め人) ・日本のラジオ『カーテン』(三鷹市芸術文化センター 星のホール) ・あやめ十八番『三英花 煙夕空』(平櫛田中邸/シアトリカル應典院) ・風琴工房『アンネの日』(三鷹市芸術文化センター 星のホール) カーテン:この一年で拝見できた日本のラジオの作品はどれも面白かったが、結局一番好みにあったのがコレ。劇場の使い方や題材の面白さに加えて、奥行きのある人物描写で15人のキャストの魅力が充分に生きた。 三英花 煙夕空:あやめ十八番初の二都市公演で、東京と大阪の会場がどちらも物語によく似合いつつ印象はガラリと変わって面白かった。音の響きや照明も変わり、キャストも変わって、東京公演では濃密な仄暗さが、大阪公演ではエッジの効いた明暗がそれぞれ印象に残った。 アンネの日:風琴工房の題材への取り組み方にはいつも心惹かれるが、観る前には地味だろうと思っていたこの作品がこの一年で最もツボにハマった。描かれた人々の誠実さと強さ、それを演じるキャスト陣の説得力が魅力的だった。(年間観劇本数:155本)
りいちろ(会社員) ・第27班 キャビネット公演B『おやすみ また明日 愛してるよ』(シアターミラクル) ・コマイぬ『ラッツォクの灯』(石巻 GALVANIZE gallery) ・アマヤドリ『青いポスト』(花まる学習会 王子小劇場) 2017年も足を運ぶ先々に多彩な舞台の力がありましたが、中でも常ならぬ舞台の密度や呼吸を感じた3作品を。 この一年、くによし組や劇団ヤリナゲ、劇団普通、KAZAKAMI、遠吠え、キュイなど若い作り手たちの作品にも心惹かれつつ、てがみ座『風紋』、風琴工房『アンネの日』、青組『グランパと赤い塔』、うさぎストライプ『ゴールデンバット』、ワワフラミンゴ『脳みそあるいてる』など実績のある作り手の更なる進化を感じる作品も数多く観ることができました。FunIQの5人の作演での連続上演の試み,ロロの「いつ高シリーズ」やシンクロ少女の『オーラルメソッド4』のように過去作品と新作を合わせて上演することも作品の世界観を再認識させ作り手の進化を感じさせる良いやり方だったと思います。またあやめ十八番や水素74%などの歴史建造物での上演にも、スイッチ総研の諸公演やガレキの太鼓ののぞき見公演などの企みにも捉われました。(年間観劇本数:315本)
矢作 勝義(穂の国とよはし芸術劇場 芸術文化プロデューサー) ・ イキウメ『天の敵』(東京芸術劇場 シアターイースト) ・TBSテレビ『俺節』(TBS赤坂ACTシアター) ・風琴工房『アンネの日』(三鷹市芸術文化センター 星のホール) 『天の敵』は、戯曲・演出・美術・俳優など全てのピースが寸分の狂いもなく組み合わされた、これまで観たイキウメ作品の中で一番素晴らしい舞台でした。 『俺節』は、主演の安田章大の歌・芝居ともに素晴らしく、回りを固める小劇場系の俳優も一丸となり、見事に劇世界を支えていました。何と言っても、脚本・演出の福原充則の仕事ぶりが充実していました。 風琴工房の詩森ろばさんは、2017年の1年間で多数の作品を生み出していましたが、なかでも『アンネの日』は、教養エンターテイメントと名付けたいと思います。事実の羅列や解説にとどまらず、それをエンターテイメントに昇華しながらも、一つの物語として創り上げられたとても素敵なものでした。 番外として、自身の劇場制作の、青木豪作、稲葉賀恵演出の「高校生と創る演劇『ガンボ』」と桑原裕子作・演出の穂の国とよはし芸術劇場プロデュース『荒れ野』を上げておきたいと思います。(年間観劇本数:132本)
須川 渡(研究者) ・ dracom『空腹者の弁』(ウイングフィールド) ・山下残『無門館の水は二度流せ 詰まらぬ』(アトリエ劇研) ・アイホールがつくる「伊丹の物語」プロジェクト『さよなら家族』(AI・HALL)  今年も関西で多くの作品を観ました。劇場の閉館はたびたび議論になりますが、dracomと山下残はこの問いかけに作品という形で応答していました。dracomはウイングフィールドという場所で演劇を続けること、山下残はアトリエ劇研がなくなることの意味を、どちらも非常に挑戦的な方法で示していました。『さよなら家族』は、伊丹という場所と時間をかけて丁寧に向き合った秀作です。スタイルは様々ですが、観客である私も、同じ場所にとどまって演劇を観続けるとはどういうことかに思いを巡らせた1年でした。 (年間観劇本数:133本)
かいらくえんなつき(演劇ウォッチャー) ・ロロ いつ高シリーズvol.4『いちごオレ飲みながらアイツのうわさ話した』(こまばアゴラ劇場) ・悪魔のしるし『蟹と歩く』(倉敷市立美術館 講堂) ・範宙遊泳『その夜と友達』(STスポット) 2017年も前半は大阪にいたので、関東近辺の演劇はそこまで多くは観ていません。とはいえ、ここにどうしても挙げたいと思う関西の作品に出会えなかったのは、残念。 選んだのは今後ずっと忘れないだろうなと思う観劇体験だったものです。 この他に挙げられなかったのは、FTで上演された『忉利天(とうりてん)』 (構成・演出・美術:チェン・ティエンジュオ)。 これだけをみていうのもと思いますが、それでもいいたくなるぐらい、中国の勢いを感じさせられ、それと裏返しの日本の閉塞感を感じました。 2017年は(も?)色々と区切りとなる出来事の多かった1年だったような気がしています。 毎年同じようなことを書いている気がしますが、2018年はもっともっと新しい刺激的な作品に出会いたい!!(年間観劇本数:おそらく150本くらい)
薙野 信喜(無職) ・ Schauspiel Leipzig『89/90』(Berliner Festspiele) ・Akram Khan Company「Until the Lion」(Main Hall, ARKO Arts Theater) ・日本総合悲劇協会『業音』(西鉄ホール)  2017年は、海外で観た20数本の作品の印象が強い。パリで観たオペラ・バスティーユ『ラ・ボエーム』、オデオン座『三人姉妹』、コメディ・フランセーズ『テンペスト』、ベルリンドイツ劇場『フェードル』『しあわせな日々』、ソウルで観た Yulhyul Arts Group『Defeat the ROBOT 3』、明洞芸術劇場『メディア』の印象が強烈だった。
九州に来演した作品では、ヨーロッパ企画『出てこようとしてるトロンプルイユ』、サードステージ『舞台版ドラえもん のび太とアニマル惑星』、イキウメ『散歩する侵略者』、トラッシュマスターズ『たわけ者の血潮』 などが楽しめた。 九州の劇団では、劇団きらら『プープーソング』、そめごころ『ちずとあゆむ』、転回社『夏の夜の夢』 がおもしろかった。(年間観劇本数:156本)
でんない いっこう(自由人) ・東京芸術劇場『リチャード三世』(東京芸術劇場 プレイハウス) ・新国立劇場『プライムたちの夜』(新国立劇場小劇場) ・文学座『鳩に水をやる』(文学座アトリエ) 1.リチャード三世の人格形成に身体の障害を前面に出さなかったし、最期の苦しみを、脳内の様子が突然飛び出し襲い掛かるような映像と音響で訴えたプルカレーテ演出の意外性が惹きつける。 2.人は何に向って本心を言えるのか、自身の老後は応答するロボットを考えていたが、人型のAI・スライムなら2062年でなくとも頷けてしまう身近な物語であった。人を失した悲しみ、本来わかりえない存在、一個の人間。 3.童話作家だった男、今は認知症の鳩に水をやる男。誰にわかると言うのだ、その内面の心理が。過去を生きている男に通じる回路を持たない今を生きてる者達。次点は若い俳優、演出家の成長が嬉しい『その夜と友達』『ダニーと紺碧の海』『ナイン』気になる劇作・演出家で楽しかった『ベター・ハーフ』大野一雄に惹かれ、その時代の映像が見たくて、疑念を持ちながら観たのに何故か後半引き込まれてしまった『川口隆夫「大野一雄について」』等がある。(年間観劇本数:27本)
小泉 うめ(観劇人・WLスタッフ) ・点の階『・・・』(京都芸術センター 講堂) ・風琴工房『アンネの日』(三鷹市芸術文化センター 星のホール) ・神里雄大/岡崎藝術座『バルパライソの長い坂をくだる話』(京都芸術センター 講堂) 前半は人生最高ペースの観劇本数だったが、後半は落ち着いて、おしなべてみれば例年並みの本数になった。そのため見逃したと思っている作品も多い。演劇が演劇であるが故の悔やみである。 『・・・』 ファンタジーという言葉だけでは済まされない不思議な観劇体験となった。窓の外の雪や隙間から入ってくる冷たい空気までもが演劇だった。 『アンネの日』 詩森の戯曲はいつも緻密な取材力とそこからの跳躍力に支えられているが、この戯曲からは一人の女性として、ひいては一人の人間としての彼女の姿が明瞭にうかがえ、彼女の代表作となるだろう。 『バルパライソの長い坂をくだる話』 神里のターニングポイントと言える。再び上演される機会もあるだろうが、あの場所であの役者陣でのスペイン語上演は、当然のことながら二度とないものを観たという印象が強い。 西日本での観劇も例年よりは少なかったが、結局KACで上演された2本を選んでいるあたりも私らしいところか。(年間観劇本数:355本)
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xf-2 · 7 years ago
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韓国を助けるな、教えるな、関わるな
古田博司氏に聞く「東アジア3カ国との付き合い方」
2015.4.6(月)
井本 省吾
日韓関係は冷却したまま。中国ともあつれきが絶えず、北朝鮮とは緊張関係が続いている。東アジア3カ国とどう付き合うべきか。左翼・リベラル派の政治家、マスコミ、研究者はもとより、保守派の政治家、外交官、ジャーナリストでも大方は友好関係維持が基本的な考え方だ。極力、対話を続け、譲るところは譲ることが日本の長期的な平和と安全につながる、という意見が多い。
 だが、長年、朝鮮半島の歴史や政治を研究してきた筑波大学大学院教授の古田博司氏は「韓国に対しては『助けない、教えない、関わらない』を『非韓三原則』にして日本への甘えを断ち切ることが肝要」と説く。
 助けても教えても恩を仇で返すのが彼の国の性格で、関わらないのが日本のためになるという。中国、北朝鮮に対してもほぼ同様に接するのが賢明だと主張する。
 「『それでは日本はアジアで孤立する』などと恐れることはない。日本は多くのアジア諸国から支持されている。孤立しているのは東洋的専制国家の東アジア3カ国の方だ。ただ、韓国と手を切る戦略について日本の最大の同盟国である米国を納得させることが肝要だ」
 こう主張する古田教授に、韓国を中心に東アジア3カ国との付き合い方を聞いた。
なぜ「非韓三原則」なのか
井本 「非韓三原則」を説く理由からお聞きします。
古田 助けてもロクなことがないから。教えても感謝せず、むしろ「ちゃんと教えない」などと難癖をつけてさらに要求してくる。
 日本は幕末から明治維新にかけて初めて西洋に出会った、とよく言われますが、実は当時、東洋にも初めて出会ったのです。
 何も知らないのに、自分も東洋人だから、東洋のことはよく知っていると思い込んでいた。それが間違いのもとだった。
 明治期の朝鮮は驚くほど遅れた貧しい国家で、針一本作れない。木を丸くする技術もないので樽もクルマの車輪も作れない。染料がないので、衣服はすべて白衣でした。近世でも中世でもなく、古代に近かった。
清国(中国)は大国ではあったが、古代王朝の世界に沈潜していた。ウソ、ごまかし、裏切り、汚職が横行する。それが東洋であり、実は日本は東洋ではなかった。それなのに、東アジアの現実を何も知らず、「日本は東洋の国々と連携して西洋列強に対抗しなければならない」と考えるアジア主義が広がっていました。それは今でも続いていますが。
 戦後は、戦前に中韓に迷惑をかけたという贖罪意識もあって友好第一ということになった。でも、援助しても教えても、反日運動は強まるばかり。プライドが高く、日本を見下しているからです。だから関わらないことが日本にとって一番なんです。
井本 では戦前、韓国を併合したのも間違っていた?
古田 いや、当時は帝国主義の時代でロシアの南下を防ぐために、朝鮮を確保せざるを得ませんでした。朝鮮半島をロシアに取られたら、日本列島まで攻め込まれる危険が大きかった。
井本 日露戦争に勝利した後、韓国を併合せずに独立させていれば韓国は日本に感謝し、その後良好な関係が続いたはずだ、という見方もありますが。
古田 それは当時の朝鮮の経済、社会状態を知らない人の意見です。古代のような貧しい朝鮮は清国の属国として全面依存しており、とても独立できるだけの経済・社会基盤はなかった。朝鮮の国庫は空だったのです。
 で、日本は対ロ防衛のために朝鮮を近代化させる必要があった。莫大な投資をして教育水準を高め、民生を向上させねばならなかった。その負担が大きすぎ、日本の朝鮮経営は大赤字が続きました。
日韓通貨スワップ協定も平昌オリンピック支援も必要なし
井本 後知恵ですが、それならロシアとは戦わず、朝鮮併合もせず、日本海側の防備だけを固めておくという政策もあったのではないか。ロシアに朝鮮を支配されたとしても、ロシアは朝鮮経営に足を取られて疲弊し、日本に攻め込む余力はなかったかもしれません。
古田 当時は帝国主義の時代ですよ。ロシアには奴隷制の歴史もあり、囚人をシベリア送りにする国でした。面倒なことになるなら、朝鮮人を農奴にするだけのことです。朝鮮民族を全滅させる方法を取ることもできた。インカ帝国などはそうして滅びたではないですか。民族の征服、滅亡があちこちで起こっていた時代です。
井本 なるほど。話を元に戻すと、2月に金融危機の際に外貨を融通し合う日韓通貨スワップ協定が終了しましたが、韓国の金融事情には不安があり、イザというときは韓国が協定復活を頼みこんでくる可能性があります。これも助けない方がいいと・・・。
古田 韓国は日本の金融支援に対し感謝しないどころか、韓国の金融危機は日本に原因があったような言い方をする。恩を仇で返し、同情すると、すぐにたかってくる国です。関わらないに越したことはない。
韓国が通貨協定終了で強気なのは、イザとなれば中国に助けてもらえると考えているからでしょう。中国も今はその構えですが、でも、そうなれば中国が韓国にたかられ、韓国は中国に首根��こを締め上げられる関係になります。だから、こちらは傍観していればいいんです。
井本 2018年冬の平昌(ピョンチャン)オリンピックも経済面、運営面で準備不足と言われ、日本の支援を求めてくるとも予想されています。
古田 助けてはなりません。支援してもオリンピックが円滑に運ばないと、日本のせいにされるのが落ちで、少しも日本のプラスになりません。2002年のサッカー・ワールドカップの日韓共催でも、いろいろ苦い思いをさせられたではありませんか。
井本 慰安婦問題で朴槿恵(パク・クネ)大統領は「日本が誠意を見せなければ首脳会談はできない」と言い続けていますが。
古田 これこそ日本は日韓基本条約で解決した問題だとする従来の毅然とした態度を貫くべきです。どんなに譲歩しても必ず、まだ誠意が足りないと言ってきます。今の韓国は反日が国是で、日本に謝罪を続けさせることが、自らの政権維持につながるからです。
韓国の中国接近は必然
井本 古田さんは雑誌「WiLL」2月号で元外交官でキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦氏と対談しました。宮家氏は「(韓国が日米韓の枠組みを離れ)中国に寄り過ぎないように牽制する必要がある・・・そのためには(日本は)韓国と付き合っていかなければならない」と強調しています。これに対し、古田さんは「無駄でしょうね」と応じています。
古田 韓国は中国との貿易が最大となり、経済的に弱体化していることもあって中国への経済依存がどんどん強くなっています。地政学的、歴史的な経緯もあって中国にすり寄らざるを得ない状況です。
 また、韓国は民主的な政治体制が崩れ、強権政治になりつつある。独裁体制の北朝鮮と似てきています。
 朴大統領の任期は2018年2月まで。急速に人気が衰えていることから、それ以前に大統領の座を追われる可能性もあるが、いずれしろ、今の情勢では次期大統領は最大野党である新政治民主連合になるでしょう。
 こちらの方が、文在寅(ムン・ジェイン)代表や、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長など、人材がそろっています。
 2人とも確信犯的な親北朝鮮派です。すると、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)時代のように北朝鮮に資金援助するようになり、両国はもっと近づいていくでしょう。これに、中国も加わって3国連合になっていく可能性が高い。だから、日本がいくら韓国に接近しようとしても無駄な努力に終わると見ているのです。
井本 北朝鮮が金正日(キム・ジョンイル)氏の元側近で中国と近しかった張成沢(チャン・ソンテク)氏を処刑して以来、中国と北朝鮮の関係は冷却化していますが。
古田 中国は重油の対北朝鮮輸出を止めていますが、石油精製品の輸出は増やしている。そういう馴れ合いがあるんですよ(笑い)。関係が悪化しても中国が北朝鮮を経済的な支配下に置く関係は変わってません。
井本 南北朝鮮が一緒になり、中国が両国を支配するようになったら、強大な専制国家が誕生し、日本の平和と安全保障が危うくなるという見方についてはどうですか。
古田 それほど心配する必要はありません。まず北主導の南北統一はあり得ない。韓国は北朝鮮に従属するなんて関係を認めません。
井本 でも、次期大統領の有力候補は親北派で、韓国民の多くも北朝鮮になびいているのでしょう。
古田 それは1990年代以降、北朝鮮の韓国への思想工作が奏功したこともあって「北朝鮮は抗日戦争の結果、誕生した。歴史的正当性を持っている」と多くの韓国民に思われているからです。戦ったと言っても日本の討伐隊に追われて極東ソ連領に逃げ込むような状況でしたが、戦ったことは間違いない。
 一方の韓国は米軍に解放されたのであって、自ら独立を勝ち取ったわけではない。だから対北朝鮮コンプレックスがある。「北の方が立派なんじゃないか」と。
 しかし、経済も軍事も韓国の方が格段に優位。韓国民は自分たちの方が上だというプライドも強い。だから、韓国が北朝鮮に支配される形の南北統一はあり得ません。
井本 北朝鮮は核兵器やミサイルを持っていますが、朝鮮半島が日本にとって危険な国家に統一されることはないと?
古田 北が核兵器やミサイルを保有していると言っても、それだけのこと。米国と軍事同盟を結んでいる日本に攻め込むなどということは考えられませんね。
中国による朝鮮半島支配は恐るるに足らず
井本 でも、中国が朝鮮半島を飲み込む形で支配すれば、日本への脅威が増すのではないですか。
古田 中国は経済的、政治的に朝鮮半島を支配下に置いておけばいいんです。領土として欲しいわけではない。また、朝鮮が政治的に南北統一されるのはいいけれども、DMZ(38度線・非武装中立地帯)がなくなるのは困るのです。
 朝鮮半島は北東側に険しい山脈がありますが、西側はほとんど平坦な土地で、いわば「廊下」です。中国の遼東半島から平壌(ピョンヤン)、ソウルを通り半島南西部の海岸まで抜ける廊下。だから、朝鮮戦争では一度韓国軍が半島南部まで一気に追い詰められたものの、南から米軍が上陸し「廊下」を伝わって、これまた一気に押し戻した。これに中国があわてて、参戦してきた。
地政学的に言って、朝鮮半島は中国の弱点なのです。歴史的にも北からモンゴルなどに攻め込まれています。弱点を補強するにはDMZを保持し、廊下に壁を作る必要がある。だから、中国は南北統一があっても38度線が残るように、1国2制度のような形を支持する可能性が高い。
 連邦形式にして北、南双方の自治権を残す。この仕組みは北朝鮮、韓国双方にとっても都合がいい。結果として韓国が緩衝地帯となるので、米国にとっても悪くない。だから、中国は「中国優位のもとで南北連合はするけど、1国2制度にして38度線は置いておくという線でどうか」と、米国と交渉するかもしれない。
井本 それは日本にとってもいい?
古田 そうです。第一、中国主導の朝鮮統一が実現したとしても、強大な統一国家にはなり得ません。一緒になったら、朝鮮半島では必ず南北双方で仲違いを起こすとともに、両者で別々に反中国運動が起こります。
 歴史的に朝鮮は中国に従属し、様々な経済援助を受けながらも、いろいろと文句をつけ、難題を吹っかけ、もっと援助を寄越せと注文するなど、ゴタゴタが絶えなかった。中国、北朝鮮、韓国の三つ巴の内部争いが続き、疲弊し、日本に脅威を与える余力などほとんどでてきませんね。
 だから、3国連合を不安視することはない。ほっておけばいいのです。韓国が中国側に行くように積極的に仕向けて一緒にし、その後のゴタゴタで双方を疲れさせるようにするぐらいでちょうどいい。
米国を説得する方法
井本 米国は東アジアの緊張が高まるのを懸念し、「韓国と仲良くしろ。慰安婦問題なども譲歩せよ」と日本に圧力をかけてきています。
古田 日本政府は韓国の問題点を具体的に米国に説明すべきです。
 第1に、韓国は日本の領土(竹島)を奪い、日本を仮想敵国として軍事演習を行っている。第2に、韓国は日本の元首(天皇)を侮辱し、邪悪な対日敵対宣伝行為を全世界的に繰り広げている。
 第3に、日韓基本条約など国際的な基本条約、協定を反古にする韓国の司法に政府が加担し、三権分立を悪用するのみならず、反日の過去訴求法を実施し、自由民主主義に反する国民弾圧を行っている。
 その上でマーク・リッパート駐韓米国大使がソウルで暴徒に襲われ、大けがをした例を示しながら「韓国は法治国家でなく、日米と共通の価値観もない。助けるは必要ない」とはっきり言えばいいんです。米国も最近は自分勝手で一方的に甘えてくる韓国に嫌気が差してきている。軍事予算を削減する必要もあって、駐留韓国軍は早く撤退させたいとも考えています。
 ただ、中韓が結束したら困るとも思っている。だから、「結束してもすぐに仲違いを始めるから心配する必要はない、歴史的にそうだった」と、米国を説得すればいいんです。
井本 先ごろ、外務省はホームページで韓国に関する記述のうち「我が国と自由と民主主義、市場経済等の基本的価値観を共有する」という項を削除しました。
古田 あれは産経新聞の前ソウル支局長を起訴して出国禁止にするなど、およそ民主国家にあるまじき行動があったことなどが原因です。もっとも、あの削除程度では韓国は動じないでしょう。
 ただ、安倍晋三首相が昨年7月に「朝鮮半島有事の際、日本の基地にいる米軍を出動させるには日本の了解が必要」とした発言は、かなり韓国に利いたと思う。韓国はこれまでどんなに日本にひどい態度をとっても、必ず最後は助けにくると、日本に甘えてきた。米国の要求もあり、日本は韓国を助けざるを得ないはずだと。
 安倍首相はこれに対し「常に助けるわけではない、韓国次第だ」と暗黙に歯止めをかけたことになる。適切な発言ですね。
安倍首相の戦後70年談話も米国重視が基本
井本 安倍首相と言えば、夏に発表する戦後70年談話にも、戦争の反省などについて海外の注文がついています。
古田 中韓は何を言っても文句をつけてきます。だから、��視すればいい。問題はやはり米国で、米国が納得する形での談話にする必要があります。基本は日米同盟です。
 今、軍事的にも危ないのは尖閣諸島ですね。あそこは石油ルートの要だし、中国海軍が西太平洋に出るための要衝で、中国が支配しようと狙っている。でも、日米同盟が万全ならば恐れることはない。このため、安倍政権が集団的自衛権の行使容認に踏み切ったことは適切でした。
井本 貿易など中韓との経済的な関係はどうするのですか。
古田 今まで通り、続ければいい。ただし、過去に迷惑をかけたからなどと変な贖罪意識を持って、こちらが損するような技術・金融支援は一切、行わないこと。つけ込まれて要求水準を高めてきますから。双方が納得いくギブ&テイクの取引を淡々と進めることが肝心です。
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friendship-korea-japan-jp · 5 years ago
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5.朋党の争い
問い5:李氏朝鮮中期の状況について>5.朋党の争い
目次は こちら
5.朋党の争い
 『朝鮮儒教の二千年』の「第十七章 英租・正祖時代の実学派」の「1 朋党とは何か」422~より、引き続いて要部を引用します。
[1575年(宣宗8年)に士林派が東人派と西人派に分かれて以来、各党派は「大同」をもって団結するよりは「小異」を拡大して分裂に次ぐ分裂をつづけ、お互いに論争する段階からそれが高じて、殺し合いの段階にまで悪化した。
 (中略)
 朋党争いが最も甚だしい時期は、1659年の孝宗の没後、彼の父王仁祖の継妃趙氏の服喪期間を巡る宋時烈と尹鏙との論争からはじまった。両者の論争は西人派と南人派との党争に発展し、(中略)ほぼ六五年間であった。そのなかでもっとも長い粛宗の治世期四六年間は、果てしない党争に明け暮れた。
 (中略)
 この65年間の政権交替(「換局」という)とその党争過程を時系列に従って整理すると、つぎのようになる。
1660年(顕宗元年) ――孝宗没後の第一次礼訴、南人派に対する西人派の勝利。
1674年(顕宗15年) ――第二次礼訴、西人派に対する南人派の報復(庚寅換局)。 <宋時烈の流配、西人勢力の追放>
1680年(粛宗6年) ――西人派が執権、南人派の許積、尹鐫に対する報復(庚申換局)
1683年(粛宗9年) ――西人派が老論派と少論派に分裂(懐尼是非)
1689年(粛宗15年) ――南人派が執権。老論派の宋時烈、金寿恒らに対する報復(己巳換局)
1694年(粛宗20年) ――論派が執権、南人派に対する報復。(甲戌換局) <これを契機に南人は決定的打撃をこうむり、政権党としての再起の道はほとんど絶たれてしまった。>
1721~1722年(景宗元~2年) ――少論派が執権、老論派に対する弾圧(辛壬士禍)] <老論の四大臣はじめ逮捕された六名はほとんどが獄死したり処刑された。>]
 上の記述で南人派・西人派・小論派・老論派などの名称には意味はなく、朋党を区別するためのものです。また、< >の間に記された事項は『朝鮮の歴史・新版』の「第五章 朝鮮王朝の成立と展開」からの引用です。
 前掲書の175ページには、それ以降も自派の利益のために、やはり政争に明け暮れている朝鮮の統治者たちのことが記されています。
[1727年、 王は丁未換局に踏み切る。老論の領袖閔鎮遠以下を失脚させ、少論官僚を釈放・登用し、李光佐らを宰相とする蕩平政権を発足させた。「蕩平」とは、本来君主政治の公平無私を強調する言葉だが、朝鮮では党弊打破のため、各党派を公平に登用して対立を調停する政策をいう。具体的には一七世紀の朋党政治から一九世紀の勢道(世道)政治に変わる英宗・正宗の過度的政治形態を指す。
1728年3月15日、 清州で反乱(戊申乱)が勃発し、清州城が陥落した。反乱軍は英宗の王位継承に不満を持ち、英宗と老論の除去のため、京畿と三南地方で挙兵の準備をすすめていたもので、南人名門出身の李麟佐が率いる青洲の南人と小論系の士族計500余人であった。  (中略) 反乱鎮圧軍を進軍させ、まもなく反乱は鎮圧して、多くの反乱関連者を処刑した(175~176ページ)。
1755年、 羅州の客舎に「奸臣」と書いた凶書を掛けた事件が起こる。政府はすぐ戊申乱の残党として摘発をはじめ、多くの少論急進派を処刑しただけでなく、戊申乱関係者の子孫まで処罰がおよんだ(180ページ)。]
 この95年間にわたる老論派、南人派、小論派の主たる争点は国政や民生の政治問題ではなく、実質的には党派間の権力争いでした。すなわち政治不在の党争でした。姜在彦氏が、「この党派間の中傷や誹謗、謀略、誅戮、政治と党争の混同など朝鮮儒教史から切り捨ててしまいたいほど汚辱の歴史であった」と言われるほどでした。しかし、彼は切り捨てずに正直に記して、なぜこのようなことになったのか、『朝鮮儒教の二千年』の427~428ページで最も重要なことを記しています。
[ところが李瀷は先に引用した「朋党論」のなかで、全ての朋党は「利」によって結ばれていると、きわめてリアルにその本質を喝破した。
 《朋党は争闘から生まれ、争闘は利害から生まれる。利害が切実であるほどその党の根は深く、利害が久しいほどその党の結束が固くなるのは当然である……朋党はなぜあるのか。科挙試を頻繁に行って選抜された者が多過ぎ、愛憎が偏って進退が定まらないからである。》
 (中略)
 要するに朋党争いとは、「君子」と「小人」との対立というものではなく、反対派を「小人の党」にこき下ろして君側から排除し、自派による権力の独占を狙ったものに他ならない。つまり「党同異伐」の権力闘争である。]
 政権を担う人々が、65年間とその後の30年間にわたる党争に明け暮れ、国民の生活や幸せを考えず、政治の本質に関係ない枝葉末節を取り立てて自分の党の利益の為に報復に報復を重ね、相手の党の絶滅を図り、利益を独占するやり方は、朝鮮の歴史にとって消してしまいたい時代であった���思います。
 一方、『韓国の歴史教科書』の74ページには、「朋党がつくられる」として次の記述があります。
【二つの勢力の対立が激しくなる過程で、吏曹銓郎職をめぐって東人と西人に分かれることになった。新進士大夫を中心に東人が、既成士林を中心に西人が形づくられた。李滉や徐敬徳ら学問を継承した士林が東人を形成し、李珥や成渾ら文人を主軸に西人が形成された。その後朋党は学派、地域、政治理念により結集し、学派的・政派的性格を同時に持つことになった。】
 この記述は意味不明な記述が目立ちます。その第一は「東人を形づくった新進士大夫」と「西人を形づくった既成士林」との区別があいまいなことです。新進士大夫とは士林のことであり、既成士林は新進士大夫であり、この両者は同じ人たちです。
 第二は「学問を継承した士林」の東人と、「文人」を主軸にした西人との区別も曖昧です。学問の継承は文人の証しであり、文人は学問を継承するのに、この両者を区分するのが不可能です。
 第三は、朋党の争いは、政治理念により結集した党派ではなく、学派的・政派的性格を持っていたとは認められないことです。 姜在彦氏が言っているように、「自派による権力の独占を狙ったものに他ならない。つまり「党同異伐」の権力闘争である」と見るのが妥当だと思われます。『韓国の歴史教科書』は「党同異伐」の権力闘争が95年も続いたことを覆い隠すために、意味不明な表現を使い、存在もしない政治理念や学派による結集として、事実と異なる表現をしているものと理解されます。
 また、フランス人が著した『朝鮮事情』)の「第2章 歴史」の40ページには、次の記述があります。
[一般に、政治的活気とか進歩、革命といわれるものは、朝鮮には存在しない。人民は無視され、彼らの如何なる意見も許されない。権力を一手に掌握している貴族階級が人々に関心を向けるのは、ただ彼らを抑圧して出来るだけ多くの富を搾り取ろうとする時だけである。貴族たちは、幾つかの派閥に分かれ、互いに執拗な憎悪をぶつけ合っている。しかし、彼らの党派は、何ら政治的、行政的原理を異にするものではなく、ただ尊厳だとか、職務上の影響力のみを言い争っている大義名分だけのものである。朝鮮における最近3世紀の期間は、ただ貴族層の血なまぐさい不毛の争いの単調な歴史にしかすぎなかった。】
 フランス人のシャルル・ダレは1874年すなわち19世紀に『朝鮮事情』を記していますので、最近の3世紀とは17~19世紀を意味しています。さらに『朝鮮事情』には、朋党が形成された経緯や党派間の憎しみ合や敵を貶める方法の記述の後、その憎しみと仇を打つことを子々孫々まで伝える様子が、41~42ページに、次のように記されています。
[以上が、朝鮮に今も存在している四派の起源である。すべての貴族は、それら党派の一つに必ず属し、ただ、高位高官を独占し敵対派の接近を排除することだけに腐心する。このことから、永続的な不和と争いが生じるようになった。これらの争いは、多くの場合、敗北した党派の指導者の抹殺を期して終焉する。ふつう抹殺の方法は、武力とか暗殺によらず、首尾よく敵対派の官職を剥奪した側がさらに国王を動かして敵に死を宣告させたり、少なくとも無期の流刑に処したりするのである。
 (中略)
 このような憎しみ合いは、世襲され、父親はそれを子供に伝える。常に最大の人数を擁し、かつ最大の勢力をもち、最も激烈にふるまった南人と老論のなかでは、ただの一家族あるいは一個人さえも、他派に転じた例はない。(中略)敵の陰謀によって官職や命を失った貴族は、その復讐を子孫に委ねる。しばしば復讐のための有形の形見が授けられる。たとえば、子に衣服を与え、自分の仇を討つまでは決して脱いではならないという遺言が残される。子はその衣服を絶えず身につけており、万が一、志を全うできずに死ぬ場合は、やはり前と同じ条件でまたその子に伝える。先祖の血に報い、その魂を鎮めようとして、子孫たちは二、三代にわたり、このぼろ服を日夜身につけている。そういう貴族を、しばしば目にすることがある。
 朝鮮では、父親の仇を討たなければ、父子関係が否認され、その子は私生児となり、姓を名乗る権利さえ無くなってしまう。このような不孝は、祖先崇拝だけで成り立っているこの国の宗教の根本を侵すことになる。]
 現在の韓国人に「恨」の精神が宿っていると言われていますが、それは17世紀から19世紀にわたる朋党間の復讐につぐ復讐の争いよって形成された蓋然性がありあす。その基本が儒教の祖先を敬い従う教えから来ており、その教えが李氏朝鮮の朋党の争いを通じて、人々の心の奥深く刻み込まれたようです。しかし、「恨」は、人々に復讐を誓わせるので、韓国社会の中で人々を分裂させ、些細な事でも復讐が復讐を呼んで、人々を永遠に不幸にするものであると思います。
 朝鮮では復讐は無罪であるとの不文律があったようです。。
 しかし、朝鮮の人々を永遠に不幸にする復讐が復讐を呼ぶ復讐の連鎖は、幸か不幸か日本統治によって、表面的には断ち切られたようです。それは日本統治では、相手を殺し、傷つけ、損害を与え、騙し、貶め、苦しめることは、たとえそれが復讐であっても許されず、罪となるからです。そして日本の統治により、誣告や讒言が意味をなさず、通用しなくなったからです。
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team-ginga · 5 years ago
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映画『暗殺のオペラ』と『ギャング・オブ・ニューヨーク』
 またぞろブログをサボっています。
 ひとつにはバイオリズムが低調というか、心身ともに疲れているからですが、それ以上にコロナウイルス騒ぎのせいです。
 この時期に何か書くとすれば、コロナウイルスについて触れないわけにはいきません。しかし、私はコロナウイルスについて語るべき言葉を持ちません。
 もちろん思うことはいろいろあります。ただ、私は医学的知識がないのですから、自信を持って何かをいうことはできません。そもそも今回のことは、善悪正邪に関わる倫理的道徳的問題でもイデオロギー的問題でもなく、コロナウイルスの蔓延をいかに阻止するかという有効性の問題なのですから、私のような門外漢が何かを言ってはいけないような気がしますし、何を言っても嘘になってしまうような気がします(私がここに何を書こうと、大勢に影響はないというのは重々わかっていますが、それはまた別の問題です)。
 というわけでほとんど何もせずダラダラ生きています。
 これではいかんと思って……というわけでもありませんが、Wowowオンデマンドでベルナルド・ベルトルッチ監督の『暗殺のオペラ』(1970)とマーティン・スコセッシ監督の『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002)を見ました。
 正直どちらもあ���り期待していませんでした。ベルトルッチもスコセッシも巨匠と言っていい監督でしょうが、個人的にはベルトルッチの『ラスト・タンゴ・イン・パリ』も『ラスト・エンペラー』も、スコセッシの『タクシー・ドライバー』も『グッド・フェローズ』も、それほど好きではありません(ただ、日本ではそれほど有名ではありませんが、スコセッシの『キリスト最後の誘惑』だけは名作中の名作です)。
 でも、『暗殺のオペラ』も『ギャング・オブ・ニューヨーク』も、素晴らしい映画でした。
 『暗殺のオペラ』は、ある青年が田舎の町を訪れるところから始まります。青年は彼を呼んだ女性(アリダ・ヴァリ、『第三の男』のヒロインというべきなのかもしれませんが、個人的にはやはり『かくも長き不在』のヒロインです)に言われて、父親を暗殺した犯人を探すことになります。1930年代、ムッソリーニ率いるファシスト党が台頭してきた時代、数少ない反ファシストだった青年の父親は、町のオペラハウスで暗殺されたのです。
 原案はボルヘスの短編だそうで、物語の筋立てもなかなか見事ですが、町の美しい情景と不穏な……というか不条理な雰囲気のコントラストが魅力的で、青年が夜にトイレに行くと外からかんぬきがかけられ閉じ込められてしまったり、翌朝いきなりやってきた見知らぬ男に殴られたりするところは、ゾクゾクします。
 父親をめぐる回想シーンで、青年を演じている役者がそのまま父親を演じるというのも、その不思議な雰囲気をさらに盛り上げています。
 改めて考えると、それほど住人が多いとも思えない田舎町に立派なオペラハウスがあること自体おかしいのですが、それもまた不思議な雰囲気を作り上げる要素とも言えそうです。
 ラストもその不思議さを引きずっている(?)のかなーーでも、正直私はよくわかりませんでした。
 青年は父親の暗殺の真相を知り、それを誰にも告げぬまま町を出ようとします。彼は駅で列車を待っていますが、列車は35分(だったと思います)遅れているというアナウンスが流れます。
 プラットフォームにいる青年の前を、かつて父親の同志であった3人の男たち(だと思います)がトロッコで通り過ぎます。そのあとカメラが移動しながら線路を写します。線路には雑草が生えています。青年がその雑草に顔を近づけてみるところでエンドマークが出ます。
 このラストは一体何を意味しているのでしょう。
 雑草が生えているということは、列車が通っていないということを意味するのでしょうか。だとすれば、青年は町から出られないということになり、それはそれで面白い結末だと思いますが、列車が通っていないというのであれば、青年は一体どうやってこの町に来たのでしょう。うっかりすると物語の設定さえ危うくなってしまいそうな気がします。
 とはいえ、こういうわけのわからなさは決して嫌いではありません。とてもいい映画だと思いました。
 『ギャング・オブ・ニューヨーク』は1870年代、南北戦争時代のニューヨークのギャング団(と言っていいのかなあ)の抗争を描いた物語です。
 主人公のアムステルダム(レオナルド・デカプリオ)はアイルランドからアメリカに渡ってきた移民の息子です。神父だった彼の父親ヴァロンは、アイルランド移民のグループのリーダーで、ネイティブ・アメリカン(!?)を名乗る英国系アメリカ人との抗争で、敵方のリーダーであるビル・ブッチャー(ダニエル・デイ=ルイス)に殺され、少年院で育ちます(なぜ少年院なんでしょう。アムステルダム自身は何も悪いことはしていないはずですが……しかし、まあそれは問わないでおきましょう)。
 16年後、少年院を出たアムステルダムは、育った街に戻ってきます。成り行きから下っ端としてビル・ブッチャーの部下になった彼は、めきめきと頭角を現し、ブッチャーに気に入られます。
 アムステルダムは父親の仇を討つつもりなのでしょうが、ブッチャーが刺客に襲われ撃たれたとき、とっさに彼をかばい助けてしまったこともあって、二人の間には擬似的な父子関係が生まれます。
 その後、アムステルダムはブッチャーの愛人であった女スリ(キャメロン・ディアス)とベッドを共にします。するとそこへブッチャーがやってきます。ブッチャーは怒るかと思いきや、今まで戦った相手の中で本物の男と言えるのはヴァロン神父だけだと言い、「俺は息子を持たなかった」と言います。言わずもがなのことですが、ブッチャーはアムステルダムを息子と思っているということです。
 名場面ですね。しびれました。
 いかにもな物語、ありがちな物語のような気もしますが、ではどこでそんな物語を読んだかと言われると、全く読んだことがありません。強いて言うなら、ジャン=ポール・サルトルの『汚れた手』くらいでしょうか。
 そもそも、ギャングやマフィアの抗争を描いた映画は星の数ほどありますが、19世紀のギャングの抗争を描いた作品というとほとんどないーー少なくとも私は他に知りません。
 アムステルダムはブッチャーを殺すべきかどうか煩悶するだろうと思っていたら、さにあらずーーあっという間にそれから数年がたち、アムステルダムはあっさりブッチャー暗殺を試み、あっさり失敗します。
 うーん、この展開は予想できませんでした。
 しかし、ブッチャーはアムステルダムを殺さず、顔に焼印をつけて放逐します(その後の場面ではデカプリオの顔に焼印が付いているべきですが、なぜかありません。天下の二枚目デカプリオにそんな顔をさせることはできないということなのでしょうか。それとも単に忘れただけ?)。
 アムステルダムはアイルランド系移民たちを結集させ大きなグループを作り、ブッチャーのグループに対抗します。すわ抗争かと思いきや、両陣営はそれぞれ候補者を立ててニューヨーク市の保安官の選挙で戦うことになります。
 え? 選挙? 意外な展開です。
 で、アムステルダムの立てた候補者が勝つのですが、ブッチャーはその候補者を殺して……ええっとそれから、やっぱり両陣営は決闘でカタをつけることになります。
 結局、抗争じゃん。
 そこから訳が分からなくなります。いや、分からないではありませんーーただ、両陣営の決闘の話とニューヨーク徴兵暴動の話が一緒くたになっているため、物語として非常に不透明な感じがしてしまうのです。
 スコセッシとしては、アムステルダムとブッチャー個人の問題と、アイルランド系移民と英国系アメリカ人の対立と、ニューヨーク徴兵暴動という歴史上の事件を同時に描くことで、「歴史の中の人間」を描きたかったのでしょう。
 それはわかりますーーわかるけれども、映画としては失敗で、焦点がぼけてしまったと思います。
 とはいえ、おかしな言い方かもしれませんが、そういう失敗は決して嫌いではありません。
 ダニエル・デイ=ルイスの「怪演」もあって、やはり素晴らしい映画だと思いました(ラブコメディーを得意とするーーというか、ラブコメディーしかできないと思っていたーーキャメロン・ディアスにあんな役ができるというのも発見でした)。
 どちらもとてもいい映画です。是非ご覧ください。
**********
『メフィスト』毎月1回1年間ロングラン
次回3月27日(金曜)の公演は昨今の事情に鑑みて中止にすることにいたしました。
ご予約くださいましたお客さま、楽しみにしておられたお客さま、本当に申し訳ありません。我々も断腸の思いです。
事態が終息し、4月には公演を再開できるようになることを祈っております。
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