#白化粧掻き落とし
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「シン・東洋陶磁―MOCOコレクション」展
大阪市立東洋陶磁美術館で、リニューアルオープン記念特別展「シン・東洋陶磁―MOCOコレクション」を見る。惹句にあるように“オールスター・珠玉の約380件(国宝2件、重要文化財13件含む)”が揃った、なんとも贅沢な特別展である。全面的に撮影可能。無料のアプリをダウンロードすれば音声ガイドも聞ける(書き起こしもあって文字でも読める)。
また、美術館の公式サイトでは収蔵品画像オープンデータが公開されており、この展覧会に出品されている作品も参照することができる。さらに、公開されている画像は“当館への申請が必要なく、自由にダウンロード、複製、再配布することができます。例えば出版物やウェブサイトへの掲載、講演会等でのスクリーンへの投影、テレビ番組での放送、販売商品への印刷など、営利・非営利に関わらず利用が可能です”とのこと。でも、公式画像は美しいけれども展覧会の臨場感(?)が出ないので、いつもどおり自分で撮ったしょぼいスマホ写真を載せることにする。
展示は全部で13のパートに分かれており、それぞれに格好良さげなタイトルがついている。
1 「天下無敵(てんかむてき)-ザ・ベストMOCOコレクション」
この展示室では陶磁器と六田知弘の写真作品《壁の記憶》との取り合わせが楽しめる。《壁の記憶》は写真家が世界各地で撮った壁の写真のシリーズのようである。展示風景はたとえばこんな感じ。

このようにコーディネートされており、意外性もあってなかなかよかった。上の赤い写真作品の壁はベネチア(イタリア)、下の白っぽいのはサンティアゴ・デ・コンポステーラ(スペイン)。

展示室から展示室へと移動する途中に特別あつらえらしい展示ケースがあり、国宝の油滴天目が鎮座していた。たしかに美しいが、正直なところ自分の好みではあまりなく、油滴天目なら以前別の美術館で見た別のもの(もっと油滴が細かくて繊細に光る感じ)のほうが好みだったなあと思い出すなどした。

2 「翡色幽玄(ひしょくゆうげん)-安宅コレクション韓国陶磁」
青磁好きにはたまらない展示室。あれもこれも全部青磁、もちろんクオリティも高い。


3 「粉青尚白(ふんせいしょうはく)-安宅コレクション韓国陶磁」
下の写真の3点は日本では三島とか三島手と呼ばれるタイプの焼き物。三島は朝鮮半島製のほうが日本のより圧倒的に良い出来で、とても好き。

そして次の3点は粉引の瓶。日本の茶人などの間で好まれたタイプで、たしかに良い風情である。

4 「清廉美白(せいれんびはく)-安宅コレクション韓国陶磁」
《青花 草花文 面取瓶》。日本では「秋草手」と呼ばれる文様。面取の具合も文様も端正で美しい。

《白磁 角杯》。遊牧民族が酒などを飲むのに用いていた角の形の杯を模したもの。王室用の白磁らしく、品がある。

ロビーの展示ケースにあった、ルーシー・リー《青ニット線文鉢》。

これもロビーにあった、《青花 ��鵲文 壺》。18世紀後半、朝鮮時代の作。ここに描かれた虎が美術館のキャラクターに採用されて「mocoちゃん」と呼ばれることになった。MOCOは美術館の英語名の略である。

6 「優艶質朴(ゆうえんしつぼく)-李秉昌コレクション韓国陶磁」
《青磁象嵌 雲鶴文 椀》。象嵌技法にすぐれた一品。釉薬の貫入がまったくないのも特徴。

《白磁鉄地 壺》。下半分はちょっと見には焼き締めのようだがそうではなく、鉄絵具を塗ったもの。16世紀朝鮮時代の作だが不思議と現代的に見え、たとえば「ルーシー・リー(あるいは誰か他の現代の陶芸家)の作品だよ」などと言われたらつい信じてしまいそうである。無理を承知で言うならこれはうちにも欲しい。

6 「陶魂無比(とうこんむひ)-日本陶磁コレクション」
中国や朝鮮半島の優品を見てしまうと、日本の焼き物は正直かなり見劣りしてしまう。悪くないものはあるのだが、ほうっと溜め息をついたりつくづく感心しながら眺めるようなものはなかなかない(好みの問題かもしれないが)。そんな中で自分の目に留まったのはこれ。料理が映えそうなデザインで、実際に使ってみたいと思った。

7 「陶花爛漫(とうからんまん)-李秉昌コレクション中国陶磁」
このパートに展示してある作品は、古いものだと新石器時代ごろまで遡る。中国文明の先進ぶりを目の当たりにして恐れ入る。この下の美しい白磁の杯も、さすがに紀元前とまではいかないが隋の時代(7世紀)の作。高台に釉薬が溜まって緑がかって見えるのもチャームポイント。

8 「喜土愛楽(きどあいらく)-現代陶芸コレクション」
現代の作家の作品がロビーにいくつか並んでいた。下の写真は金子潤《2フィート・トール・ダンゴ》。ガラス張りのロビーだが、作品の背後には薄手のシェードが掛けてあった。

9 「明器幽遠(めいきゆうえん)-安宅コレクション中国陶磁」
MOCOのヴィーナスこと《加彩 婦女俑》。自分がお目にかかるのはこれで2度目である。360度回転する展示台にお乗りあそばされている。

こんなふうに回っておられる。

後ろ姿のなんと優美なことか。

《黒釉刻花 牡丹文 梅瓶》。白化粧をした上に黒釉をかけ、黒釉を削り落として文様を表現する技法(掻落し)で作られたもの。掻落しで自分の好みに合うものはあまり多くないのだが、これは堂々とした存在感でひときわ目を引いた。

《木葉天目 茶碗》。本物の木の葉(桑の枯葉)を焼き付けて作られた天目茶碗。加賀藩前田家伝来とのこと。

10 「天青無窮(てんせいむきゅう)-安宅コレクション中国陶磁」
点数は少ないが、うっとり眺めてしまうようなものばかり集めた特別な室。
《青磁 水仙盆》。これは以前この美術館を訪れた際にも見たので、またお会いできましたねと声をかけたくなった。宋の時代に宮廷用の青磁を生産していた汝窯の逸品。美しいが、これよりもっと素晴らしいのがこの世に存在している(台湾の故宮博物院が持っている)というのもまたすごい。

国宝《飛青磁 花生》。自分のスマホ写真では到底うまく色を再現できないのが残念。

この特別な展示室では自然光による採光がなされているのが大きなポイント。青磁の微妙な色合いをよく見ることができるとされる。

11 「皇帝万歳(こうていばんざい)-安宅コレクション中国陶磁」
中国の皇帝の身辺を彩るにふさわしい、文様が華やかだったり色鮮やかだったりする作品の多い室。
《釉裏紅 牡丹文 盤》。銅顔料が使われており、たまたま中央部の牡丹の花のところだけ赤っぽく濃いめに発色したというのがおもしろい。

抹茶色が特徴的な《茶葉末釉 双耳方形瓶》。茶葉末釉は個人的にそれほど好きな色ではないのだが、これはとても出来が良いように見えて印象に残った。

12 「百鼻繚乱(ひゃくびりょうらん)-沖正一郎コレクション鼻煙壺」
いわゆる嗅ぎタバコ入れが勢ぞろい。下の写真はほんの一部である。

この虫づくしのはどこか現代的な感じがする。とてもいい。虫好きな人がこぞって欲しがるのではないか。自分も欲しい。

13 「泥土不滅(でいどふめつ)-現代陶芸コレクション」
現代の陶芸作家の作品がいくつか展示されていた。これは星野曉《表層・深層》。

併設のカフェには「陶片クッキー」なるメニューがある。これは注文せざるを得ない。作家がひとつずつ彩色(アイシング)を施しているというから凝っている。ふたつとも涼しげな色合いなのは、もしかして夏だから? 海や水辺をイメージしたとか? 別の季節にも行ってクッキーの色合いを確かめてみたい。なお、味���ほうはいまいち口に合わなかった……惜しい。

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同じことについて歌ってるのに
ある同じテーマについて作品にしてるのに、方向が全然ちがうということがよくあります。例えば、キャンディ・ダーリングについて曲にしようという時にキンクスは「ローラ」を作りルー・リードは「キャンディ・セッズ」になるというように。
そしてキンクスは完璧な男の子について「デヴィッド・ワッツ」という曲を作り、アンダートーンズは「マイ・パーフェクト・カズン」という曲を作りました。
「デヴィッド・ワッツ」はレイ・デイヴィスに歌われるとそのまま純粋な憧れのようにも聞こえるし、ほめ殺しのようにも聞こえます。それに比べると「マイ・パーフェクト・カズン」はアンダートーンズらしい、もっとずっとストレートな曲です。アンダートーンズはパンクバンドのなかでもとりわけかわいらしくてメッセージ性のないバンドです。そこがバブルガムだという人もいますが私はそういうとこが好きです。パンクだって怒ってばかりじゃ疲れてしまう。
この曲は完璧ないとこがいてつらいよ、と言いつつ「シンセサイ��ーで雑音作ってる」とか「あいつは自分を愛してるだけ」とか素直に悪口言ってて笑ってしまうし単純にメロディーも歌詞も良いです。「My perfect cousin, what I like to do he doesn’t」というフレーズは本当に素晴らしい。自分と気の合わない人物をこんな風にシンプルにリズミカルに表現されると英語っていいなと思います。
私にも社会的にはまともに思われてるいとこがいるのでこの歌には非常に共感を覚えます。立場はあるけど嫌なやつ。こいつについてはまさにwhat I like to do she doesn’tとしか言いようがないです。私は彼女のように周りに誰もいない時に嫌味言ったり、あからさまに馬鹿にした顔するような、そんな昼ドラの悪役みたいなことして平気でいられるほどプライドのない人間じゃないけど。そして彼女はブスだけど。
そして話を「ローラ」と「キャンディ・セッズ」の方に戻すと、この2曲はどちらも全然ちがった方向に素晴らしいのです。キャンディがどれほどインスピレーションを掻き立てる存在だったのか、ということが伺えます。
今でこそキャンディのような生き方もありとされていますが、いくら他人から生き方が認められたってミューズやスーパースターになれたって、どこまで行っても自分には折り合いのつけられないことなんだからどうしようもない。認められないうちは認められたいと思うものですが、いざ認められてみるといちばん認められてなかったのは自分だった、というのはよくある話です。
アンディ・ウォーホルの著書「ポッピズム」に書かれたキャンディのエピソードの中でとりわけ印象に残っているのは、キャンディがタンパックス(つまりタンポン)を持ち歩いていたというところです。キャンディは女性になりたい。そのためには女性の日々の問題を自分にも起こることなのだと思いたい。そうすればもっと大きな問題、つまりチンがついているということについて考えなくて済む、というのです。小さな問題についてずっと頭を悩ましていれば、大きな問題を忘れていられる。私はこの考え方について、読むたびに驚嘆してしまいます。
このことについてウォーホルはタンパックスを「小さな問題」と書いていたり多少、こいつほんとに女のこと興味ないんだな生理は小さな問題じゃねぇよと思ったりしますが、男性から見て今日はメイクがうまくいかないとか、イヤリングがすぐ落っこちちゃうとか、デートの相手がハズレだったとか、女性というものはこういうことで大騒ぎしているように見えるというのはわからなくはないです。私だって子供の頃は友達がずっと髪の毛とかしてるのどうでもいいな��思ってたし。でもこのキャンディの気持ちをあんな風に曲にしたルー・リードはやっぱりすごい、繊細なんてもんじゃないと思ってしまいます。それはなによりもルー自身が、折り合いのつけられない自分というものをわかっていたからだと思います。私は自分のことも含めて、折り合いのつけられない生き方というものにめちゃくちゃ心惹かれるタイプなのです。
ヴァレリー・ソラニスの映画「アンディ・ウォーホルを撃った女」にもヴァレリーの友人としてキャンディが出てきますが、この映画の中のキャンディはなかなか人間臭い。最初はヴァレリーや他のドラグ・クイーンたちと演劇をやっていますが、ヴァレリーの脚本はファクトリーにいたウォーホルやポール・モリッシーから突っ返され、女でここにいられるのは美しい人間だけと言われてしまい、キャンディはその通り美しさでファクトリーのメンバーになれます。当時彼らが入り浸っていた「マックスズ・カンザス・シティ」というレストランで「奥の部屋」に入れるのは美しくてクールな人たちだけ、という不文律がありました。お金持ちとか偉いとかそんなことは関係ない、「キテる」かどうかだけ。それがお店の名物でした。そこでは王族のディナーの席のようだった「アンディと同じテーブル」に着いたキャンディは、ヴァレリーに対して「あたしは(あんたとちがって)綺麗だからここに座れるのよ」と言い放ちます。悲しいけどこういうもんだよね人って。私もいとこはブスとか書いてるもんね。
そうは言ってもルームメイトだったヴァレリーの本の出版の話が流れてしまい、いよいよヴァレリーが進退極まってしまうと、キャンディはヴァレリーをなだめようともします。しかし完全に逆恨みを募らせた状態のヴァレリーはキャンディに向かって「お前なんか女じゃない。女でもないし男でもない。人間でもない」と言って飛び出してしまうのです。そう言われたキャンディはベッドに突っ伏してヨヨヨ…という感じで泣いてしまうのですが、この場面はあーそれは言っちゃダメ…という気持ちと、キャンディはちょっと不幸に酔っているのではという気持ちがない混ぜになります。キャンディがなりたいのは単なる女性ではなく、メロドラマのような「男からぞんざいな扱いを受ける場末のバーの女」だからです。ここがやっぱりちがうんだよな言いづらいけど。だからキャンディを美化しすぎず場末のバーの女なんか実際なったらろくなもんじゃないよ、お芝居とはちがうんだから、と言いたい。別に私は元場末のバーの女とかいうわけでは全然ないのですが、むしろ正反対の人間なのですが、だからこそ夜の女のファンタジーというものに女として抵抗を感じます。
以前テレビでマツコとIKKOが「吉原炎上」や「陽暉楼」でキャッキャしてたけど、そりゃあんたらは楽しいでしょうよ、と思いました。(でもこの2作品は場面ごとのインパクト���すごいけど、一本の映画としては別に面白くないと思う)
ところで実際に美しかったキャンディは置いておいて、女性の姿になることが本当の自分になることだと考えている男性は時々います。男性の姿で男性として暮らさなければいけないことに息苦しさを感じているらしい人はいますが、では女性の姿になったところでそれが本当の自分なのか、というと一部の人は少し違うような気がするのです。一部の人が本当の自分と思っているのは「美しい女性」の姿なのであって、現在の自分に化粧を施しドレスアップしたからといって、美しくなれるかどうかはまた別の話なのです。でも社会的な立場での姿で生きなければいけないこの世間の目がつらいのだと思い続ければ、本人が美しいかそうでないのかはとりあえず忘れていられます。実際にやってみれば、かなり気を配らなければならない部分がどうしても出てきます。これはどんな装いをするかということだけではなくて、いろんなことに当てはまるものです。痩せさえすれば、身長さえ高ければ、男であれば、女であれば、これさえあれば、これさえ無ければ、本当の理想の自��になれるのに、という考え方の人も時々います。それができないから今の自分はこんなに苦しいのだ、というわけです。しかしその枷が外れてみたところで、たったひとつの理由だけが自分の道を塞いでいたのだなんてことはほとんど起こらないのです。こう言ってはなんですが、ガタイのいい男性がかわいいピンクの洋服着たいんですって言ったところで、着るのは勝手だけど着ただけで綺麗になると思うなよ、という気持ちになります。女性はお店に行ってピンクの服を買っても変な顔はされません。しかしそれが似合うかどうかは本人次第なのです。大体の女性はかわいい服を買ったら他の部分もバランス良くひきたてられるよう他のことに対しても努力と工夫を重ねます。
かつて私がよく利用していたアメリカの通販サイトには、購入者が着用画像を投稿できるコーナーがありました。そこにものすごくたくさんの写真を載せていたある男性は、鍛えたわけでも無いムチっとした体型にヒゲに短髪という、ごくごく普通の白人男性の見た目なのにいつもぴちぴちのミニスカートやワンピースを着ていました。はっきり言って「ただ着ただけ」という感じで、お腹は見えてるし似合ってもないし美しくもなければ味があるわけでもなかった。ぴちぴちなのでサイズの参考になるわけでもなかった。なのに男性がミニスカートを履いているだけで、他の投稿者よりFavがケタ違いに多かったのです。こういうのはファッションを愛する者としてモヤモヤします。せめてサイズぐらい合わせてほしい。そして着ただけで褒めてやるのは本人のためにはならないと思うのです。なぜ日本ではすっぴん黒髪でゴスロリを着るオタクの女の子は揶揄されるのに、アメリカではぴちぴちミニスカートの男は褒められるのか。アメリカはそういうところが良くない。男がミニスカートを履いた、それだけでありのままの自分偉いと褒めてやるのは偽善です。ファッションを愛する者として、着るのは勝手だけど反応を求めないでよねと思います。ありのままの自分偉いなどというのは何にも持ってないしょうもない人間の言うことであって、あなたはそんなとこで留まってていいのか、そうじゃないでしょうというのがそういう人にいいねを押さない私の無言の主張です。
また、私はある日スーパーでレジに並んでいた時、コロナ禍で距離を取らなければならなかったので、前の人の姿が全身よく見えたことがありました。一見女性のようだったその人は背が高くガタイがよく、髪の毛もカツラっぽくどうやら女装した男性のようでした。それは別にいいのですが、その人はかがんだ後にずり上がったミニスカートを直さなかったので、そういうとこだぞと思わないわけにはいきませんでした。女性だったらかがんだらミニスカートがずり上がってしまうことを知っているし、そのままでいたら自分のためにならないということも知っている。男性だからダメというわけではもちろん無いのです。自分らしさを大事にしようなどとみんな言うけれど、それがすべて褒められるべきというのは筋違いです。キモいと言われたけどキモい自分も好き、これでいいの、と思わないのなら、褒められたいと思っているのなら、本当に自分のために着てるのではなくなってしまう。たとえばそれがキャンディ・ダーリングならスカートを直す仕草も研究していたのではないかと思います。ウォーホルはキャンディがいちばん良かったころに初めて会っていたのなら、男性だなんて信じられなかっただろうと書いています。キャンディはそれほど自分を理想に近づけようと思っていた。それでもどうしても叶わないことがあったのだと思うと、そんなキャンディに心を動かされた人たちがいるというのも頷ける話です。もちろんそれはファッションの話だけではないのですが。
一方レイ・デイヴィスの方は、細かいことはいいじゃん!的な曲にしつつ後世に大きな影響を残したというのがかっこいいなぁと思います。疲れたから終わり!
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narrative

------------------------------------------------------ 『揺らぐ香りの』 ------------------------------------------------------
あの香りを嗅ぐと、恋の記憶がよみがえる。 少し背伸びをして、素敵な女の子のふりをしようとしていた。 思い出すと恥ずかしくて、くすぐったくて……少しだけ、切なくなる。
「先輩、どうされたんですか?」 声をかけられてハッとする。催事場のざわめきが一気に流れ込んでくる。 「ごめんなさい。人が多いから、少し圧倒され��ゃって」 「そっか、先輩は初めてだって言ってましたね。バレンタインデーフェアって毎年どこもこんな感じなんですよ」 「すごいのね」 世界中のチョコレートショップを集めた催事会場を眺めて、思わず感心してしまう。人、人、人の波。目を輝かせた人々が所狭しとひしめきあっている。バレンタインデーフェアというから女性ばかりかと思っていたけれど、意外と男性の姿も多い。女性の付き添いというだけでなく、男性同士やひとりで来ている人もいるようだ。 「目的は人それぞれなんですよ。恋人に贈る人もいれば、義理チョコ目当ての人も、自分へのご褒美を買いに来る人もいます」 「自分への?」 「そうですよ。だって、高くて美味しくて珍しいチョコがいっぱいあるんですよ。人にあげておしまいなんてもったいなくないですか?」 「そう言われてみれば、そうかも」 私が頷くと、後輩はキラリと目を光らせた。 「だからね、先輩。取引先用のチョコを選びつつ、自分用のチョコも選びません? 平日のお昼に来れるチャンスなんて、なかなか無いんです。土日だと売り切れちゃうような限定チョコも、今ならまだ残ってるっぽいんですよー」 「なるほど。買い出しの手伝いを真っ先に名乗り出てくれたのは、それが目的だったのね」 「あはは……バレちゃいましたか」 後輩は照れたように笑って頬をかいている。普通ならば先輩としてたしなめるべきなのだろうが、そんな気が全く起きない。 「しょうがないわね」と言いつつ、つい許してしまった。 この後輩を前にすると、私だけでなく他の誰もがそんな対応になってしまう。にこっと笑って頬を掻いてみせられると、みんなが「しょうがないなあ」と許してしまうのだ。 要領が良いのに嫌味なところが無い。愛嬌たっぷりで、誰にでも分け隔てなく接している。そんなところが、人を惹きつけるのに違いない。 昔から生真面目そうに見られて、人から怖がられてしまうことの方が多い私にとって、後輩の天性の愛嬌はとても眩しく映る。 「先輩、こっちにあるお店が結構おすすめなんですよ。日本初上陸なんです」 「最初に取引先へのチョコレートを買うのは忘れないでね?」 「分かってますよー」 人混みを器用に通り抜けていく後輩の背中を追いかける。ずいぶんと活き活きして見えるから、思わず苦笑してしまう。そういえば後輩が、「甘いものに目がなさすぎる」と会社の女の子たちにからかわれている姿を見かけたことがあったっけ。 「――――」 不意に足が止まった。 周囲の音が瞬時に消えた。 どきん、と鼓動が大きく跳ねた。 あの香りだ。 すれ違った女の子の髪がふわりと舞って、微かに香った懐かしい香り。 チョコレートの香りがどんなに強くても、お化粧の香りや、他の香水の香りがどんなに混ざり合って��ても、私には分かる。 恋の記憶を呼び覚ます、あの香り。 (そうだ――あの香水をつけたのも、ちょうどバレンタインデーの日だった)
小学五年生の冬、私は初恋に戸惑っていた。 相手はクラスメイトの男の子だった。明るくて、体育が得意で、愛嬌があって、誰からも好かれる人気者の男の子。 対して私は、クラスで一番地味で、真面目で、先生が決めたルールを守ることしか取り柄の無い女の子だった。 クラスメイトの女の子たちが、バレンタインデーにこっそりと学校へチョコレートを持ち込む方法を話し合っている時だって私は仲間外れにされていた。私に知られたら、先生に告げ口されてしまうというのが女の子たちの共通認識だったからだ。 真面目で目立たない生徒だっただけで、教師から気に入られていた記憶もないのだけれど……とにかく女の子たちはそうやって、一生懸命に恋の秘密を守ろうとしていたのだ。 だからこそ、私はひとりで悩むしかなかった。好きな男の子に、どうやってチョコレートを渡そうか、と。 お年玉は地道に貯めていたので、チョコレートを買うお金はあった。母親の買い物についていって、きれいにラッピングされたチョコレートを買うのも難しくはなかった。 問題は、チョコレートを渡す勇気が無いことだけだったのだ。
「先輩はぐれちゃいますよ」 再び人混みを縫って、後輩が私の前まで戻ってくる。 「さっきからぼうっとしちゃって、どうしたんですか? 疲れたなら、一旦出ましょうか?」 「大丈夫。心配させてごめんなさい」 誤魔化すように笑うと、後輩は少し眉をひそめた。それから、ぱっと顔を輝かせる。 「それなら、そこのイートインでちょっと休みましょう。この催事限定のチョコレートドリンクが売ってるんです」 「……心配しているふりをして、本当はその限定ドリンクが目当て?」 「違いますよ、これは純粋に先輩を心配してるからこその提案です!」 大真面目に言う後輩に、少し笑ってしまう。 そういえば、後輩はどこか彼に似ているところがある。だからこそ、今日はやけに鮮明に彼のことを思い出してしまうのかもしれなかった。
限定ドリンクを買って、イートインスペースに落ち着く。取引先へのチョコレートを選ぶことすらしていないのに、休憩していることに少し罪悪感を覚える。 「おいしいですね、これ!」 「……そうね」 ささやかな罪悪感は、後輩の笑顔の前に浄化されてしまう。 「それじゃあ先輩。さっきからぼうっとしてた理由、教えてくださいよ」 「さっき、人が多いからだって言ったでしょう?」 「絶対それだけじゃないですよ」 後輩はにやりと笑った。 「恋する乙女みたいな顔してましたよ。もしかして、好きな人にあげるチョコのこととか、考えてました?」 「違うわよ」 「すぐに否定するところが怪しいなあ」 「…………」 答えるまでは引かない気みたいだ。好奇心でキラキラしている後輩の目に負けて、私は白状することにした。 「懐かしい香水の香りがしたのよ」 「香水?」 「ええ。子どものころ、こっそりつけた香水の香り」 「どういうことですか?」 身を乗り出して話を聞く気満���の後輩に、私はぽつりぽつりとバレンタインデーの思い出を打ち明けた。
バレンタインデーの当日。 私は一世一代の勇気を振り絞って彼を学校近くの公園に呼び出した。 家に一度帰って、チョコレートが入った紙袋を持って――それから、家を出るのが怖くなった。 もしも彼が来てくれなかったら? むしろ、友達を大勢引きつれて待っていたら? 告白を馬鹿にされたら? チョコレートを拒否されたら? 呼び出すことに勇気を使いすぎたせいだろうか。悪いことばかりが頭を巡って、部屋から一歩も動けなくなってしまったのだ。 その時だった。母のお気に入りの香水のことを思い出したのは。
「香水と告白の勇気って、どう結びつくんですか?」 後輩が首をかしげる。 「香水の香りにはたくさんの効果があるっていうのが、母の持論だったのよ。香水の香りは、勇気と自信を与えてくれる魔法なんだって」 「そっか。それで先輩、いつも香水をつけてるんですか?」 「ええ。……少ししかつけていないのに、よく気付いたわね」 「そりゃ気付きますよ。先輩とすれ違うたびに、良い香りがしますから」 後輩はにっこりと笑った。 「それより、告白は上手くいったんですか?」 後輩の問いかけに、私は首を左右に振った。
彼に意識してほしくて。 他の女の子とは違う、特別な女の子だと思って欲しくて。 “好きな人”の“好きな人”になりたくて、一生懸命考えてつけた初めての香水。 繊細な意匠のガラス瓶からワンプッシュ髪の毛にふきかけて、やっと外に出る勇気が出たのだった。
果たして、公園には彼がひとりで待っていた。 挨拶もそこそこに、どぎまぎしながらチョコレートの紙袋を差し出したのを覚えている。 彼は少し驚いた顔をして、それから照れくさそうに紙袋を受け取ってくれた。 次は告白の言葉だ。 そう意気込む私に、彼は思いもよらない言葉を投げかけてきた。 「ありがとう。俺が転校するって知って、プレゼント用意してくれたんだろ?」 「転校?」 「うん。父さんの仕事の関係でさ」 絶句してしまった。バレンタインデーのチョコレートだという弁解も、告白の言葉も、全て真っ白に吹き飛んでしまうくらいに。 「開けてもいい?」 彼にそう聞かれ、私はこくこくと頷いた。衝撃が大きくて、まだ声を出せるような状態ではなかったのだ。 茫然としている私の前で、彼は包みを丁寧に解いていった。溌剌とした彼のイメージからすると、バリバリ包みを破るものかと思っていたから意外に感じたのを覚えている。 「チョコかあ!」 彼は嬉しそうに笑った後、不思議そうに目をぱちくりさせた。 「……どうしたの?」 やっとバレンタインチョコだということに気付いたのかと、少しドキドキしながら訊ねた。 彼は答えを待つ私へと、無言で距離を詰めてきた。 そして、くんくんと鼻をひくつかせて。 「ずっと良い匂いがしてると思ってたんだ。このプレゼントの匂いだと思ってたけど、違うみたいだな」 チョコレートの箱と私を交��に見て、納得したように頷いた。 「きみから良い匂いがしてたんだ。俺、この匂い結構好きだ」 そして、ちょっと恥ずかしそうに頬を掻いた。
「それで、彼とは?」 後輩が気づかわしそうに問いかけてくる。 「何もないわ。そのまま転校してしまって、それきり」 当時の切なさが少しよみがえってくる。誤魔化すように、視線を逸らした。 「うーん、甘酸っぱい思い出ですね」 後輩はチョコレートドリンクの最後のひと口を飲み干す。 「そういえば、兄から似たような話を聞いたことがありますよ」 「えっ?」 戸惑う私に、後輩は意味ありげな笑みを向けてくる。 「そうです。転校が決まったころのバレンタインデーに、兄がチョコレートを持って帰ってきたんです。兄は鈍感だから『転校するからお別れのプレゼントをもらった』なんて言ってましたけど……僕はちゃんと気付きましたよ。それで、見知らぬ女の子に同情していました。だから、よく覚えてるんです」 後輩は、私の顔を覗き込む。彼は私の反応を窺うように、じっとこちらを見つめている。 単なる偶然。ありきたりなバレンタインデーエピソードだから、彼にも似たような思い出があるだけ。そう思いたいのに、上手くいかない。 後輩の表情が、あまりにも確信的だったから。 「その男の子の名字、覚えていませんか?」 後輩に言われて、やっと思い至る。後輩の名字と、初恋の男の子の名字が全く一緒だということに。 「もしかして、あなた――」 言いかけた私に、後輩はにっこりと笑顔を見せた。 「今度紹介しましょうか。あの頃の誤解を解くには、良い機会かもしれませんよ」 「でも、そんなに急に言われても困るわ。彼とは一生再会できないだろうと思って、こうして思い出話にできているわけだし……」 「香水の香りを嗅ぐたびに思い出すなんて、今も好きって言ってるようなものですよ」 後輩は苦笑して、それから少し切なそうに私を見る。 「僕だって、いつも先輩がつけてる香水の香り、覚えちゃってますから。デパートとかで嗅ぐたびに、先輩を思い出しますよ」 そう言って、赤い頬をぽりぽりと掻く。 (それって――) 後輩の言葉を借りれば、“好きって言っているようなもの”だ。 にわかに顔が熱くなる。 「弟としては正直、鈍感な兄に先輩を渡したくありませんけど……恋の勝負は正々堂々とやるべきですもんね」 愛嬌たっぷりに笑う後輩を前に、私は言葉を失ってしまう。さすがに「しょうがないなあ」と言うには、少し時間がかかりそうだった。
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UnsplashのLaura Chouetteが撮影した写真
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TUFREQ タフレック L360 は実は、耐荷重がたったの50kgしかない。とはいえ、実際は100kg以上積むこともしばしば。そうすると間の14mmパイプが撓んでくる。縦に木を取り付ければ、横の太い20mmパイプ3本に重さがかかるので、間の14mmパイプには負担がかからなくなるので、全体的に耐荷重はアップするはず。というわけで、ワタシがキャリアにウッド加工を施すのは、決してオシャレの為ではなく、耐荷重アップの為である!
さて、材が届きました。今回は気合の入った材です。ウリンやイペ、イタウバなんかの輸入材は、耐候性はすごく良いらしいんですが、いかんせん木目が単調で面白くない。VWタイプ3のキャリアの時は定番の檜材を使いましたが、今回は、強いと噂の国産杉 赤身 選別材をチョイ��。ウッドショックで近所の材木屋はちょっと手の届かない金額だったので、ネットで安いところを探しました。計6本等間隔に敷いて、隙間が6.5cm程空くようにして荷留めのゴムバンドフックもかけやすい設計です。



まずは下準備。届いた材は、節も少ない良い材でしたが、そのままサンディングすると、こ綺麗になりすぎるので、鑿で角を落としたり、真鍮ワイヤーブラシで擦ってみたり、トンカチで叩いたり、工具で引っ掻いてみたり・・とにかく雑に扱って、最後にサンダーのポリネット120番と150番で、ラフに仕上げました。物を載せるものなのでどのみち傷も付くので最初から多少エイジングしておきました。



塗料は、いつもの油性キシラデコール。屋外用なのでたっぷり塗る必要があり、どの色も仕上がりがイマイチパッとしない色味でいつも残念な思いをするが、木材保護性能は確かだ。迷いに迷って、結局、明るい『ピニー』に少し濃いめの『オリーブ』を混ぜて、オリーブを少し明るくしたようなマホガニー寄りの褐色に。ランクルは天井が高くてせっかくの木材が目立たないので、今回はウォールナットのような濃い色ではなく、多少明るめにした。しかし昨今の物価高騰を受けてピニーをケチったせいで、二度目塗りで量が足りず・・裏面だけはオリーブ単色で二度目塗りをしたので濃い目になってしまった。まぁリバーシブルということで結果オーライ。表と裏で交互に敷いてみようかと思います。後で調べたら、無色の『やすらぎ』カラーを各色に混ぜて使うと、性能が落ちずに色を淡く調整できるらしい。ただお値段が高杉晋作なので、次回は吉田製油所のスーパーウッドステインあたりに変えようかと目論んでいる。

さて、今回は木ネジも贅沢ですよ。材は18x100x1900mmで、厚さ18mmと薄めなので普通はタッピングビスを使うと思いますが、それだと食い込みが弱いので、探しに探して、コーススレッドのステンレス製、モドトラス、M4.8の18mmネジを購入。さらに緩み防止・防振の為、2mm厚のCNRゴムワッシャーをかまします。CNRというのは耐候性・耐油性 共に優れたものらしい。本当はボルトどめの方が良さそうですが構造上、ボルトの化粧が荷物の邪魔になりそうなので木ネジにしました。
空冷エンジンの時苦労したので、今回もディーゼル車なので防振には気を使ってます。20mmサドルバンドもゴム付きです。これでもガタつくようなら他の緩衝材も検討します。
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新作 #楕円鉢 中サイズで使いやすい大きさです♪ こちらの #白化粧掻き落とし シリーズ ☞5枚目から #カップ #プレート ☕️ #カップソーサー などお迎え頂いています💫 在庫がカップだけだったり、プレートだけだったりと少なくなってますがまだ一部ご覧頂けます♪ お茶碗はまだ色々あります。 今日は立川にいつもいらしてくださいますご常連様に本当に大きなオーダーをいただきました♪ いつもありがとうございます🙇♀️ ご希望にそうように制作させていただきます😊 そして初めまして様にも沢山お立ち寄りいただきました。 先日ご紹介した #アラベスク模様 のカップや蓋物 #ブルー花紋 シリーズなどお迎え頂きました。 ブルー花紋の楕円皿は立川分は完売しました。 この後の展示会ではご覧いただけます。 🍁今月から来月の展示会予定🍁 10月19日〜25日 #伊勢丹立川店 6階和食器売り場 10月26日〜11月1日 #大宮高島屋 6階リビング 11月2日〜8日 #横浜高島屋 7階リビング #花のある暮らし #花の器 #花のうつわ #花が好きな人と繋がりたい #花が好き #器好き #うつわ好き #器のある暮らし #器好きな人と繋がりたい #秋の花 #秋の器 #花紋 #器 #パステルカラー #陶芸工房ラプエルタ #小林恵 (伊勢丹立川店) https://www.instagram.com/p/CkBVraXPKKW/?igshid=NGJjMDIxMWI=
#楕円鉢#白化粧掻き落とし#カップ#プレート#カップソーサー#アラベスク模様#ブルー花紋#伊勢丹立川店#大宮高島屋#横浜高島屋#花のある暮らし#花の器#花のうつわ#花が好きな人と繋がりたい#花が好き#器好き#うつわ好き#器のある暮らし#器好きな人と繋がりたい#秋の花#秋の器#花紋#器#パステルカラー#陶芸工房ラプエルタ#小林恵
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9月10日の役者紹介
はいどうもこちら9月7日お昼下がりのクオリアです。33期です。野良の幕班員の仕事がないのでこっそり役者紹介していこうと思います。
黍
ウチのマイメン神友ズッ友フォーエバーきびのまきび。何度バ先を聞いても人を殺すバイトと言われ、クオリアだけには家の場所を教えないよう先輩に釘をさしたらしい。��れでも君は私のズッ友。
これで何度目か知らないが君のセンス全てが好きさ。でも僕の見ている君はきっと氷山の一角なんだろうね……そんな!氷山の一角だなんて!じゃあ全ての力が解放されたらどうなっちゃうの?!次回「黍、はじめてのモルカー」デュエルスタンバイ!
ふう。
やらかすと怖いから同期から先紹介しちゃお。
竹之内かの
雰囲気だけでちゃうかの汚れを浄化し、優しいアロマの香で包み込む。その柔らかな笑顔の前では皆鼻の下が伸びきるため、真剣佑さえ3頭身になるとの噂も。可愛らしい雰囲気とは裏腹に、鼻の底に潜む狂気が沸々と泡立つ。これがパンケーキの泡なのか、マグマなのか私には分からない。しかし、天然かつ一品ものであることは確実だ。
田中かほ
彼女の笑顔は次世代のエネルギーとして日本中が期待を寄せる。余りにもにっこりかわいいために最近ビリケンさんが自信喪失中とのこと。しかし、ゆるゆるした空気に釣られてなめてかかってはいけない。すぐ様舌先の刃でとどめを刺される。ハニトラにかかった気分だよ全く。そんなとこもす
余談だが大道具の出席率は150%。1ミリも関係ない映像編集を手伝ってくれたしめちゃくちゃ優しい子。努力家な彼女には見習うべき点がおおい。
山根拓己
アラビア山脈の奥底には険しくも厳しい砂漠がある。そこに眠るオアシスを巡り、人々は幾千もの争いを繰り返していた…。争いは熾烈を極めたが、その中でも初回裏敗退を果たし、地区予選に進めなかった一族がいる。かつあげを恐れた彼らはせめて幼き者だけでも、イカダを使って赤子を海に流した。それこそが彼、しあらである。そのため、彼は30歳になったらシカゴに帰らなくてはならないらしい。
ベジ山ハム太郎
なんか野菜がいっぱい入ってる。私はハムサンドよりもたまごサンドの方が好き。多分食べ進めると中にいちごジャムとかはいってると思う。何でいちごジャムなのー?って聞いたらエヘヘへへって笑いながら「だってさー、美味しくない?ジャムってさあ、何にでも合うねんなぁ。エヘヘへへっえ、美味しくない?美味しくない?なあハク、美味しいよなぁ?なぁ?」て言うと思う。絶対。
君安飛那太
可愛い。可愛いけど可愛いと思ってはいけない。なぜなら奴はあざといからだ。前世で橋本環奈の爪の垢とか飲んだに違いない全く���う羨ましいぜ。いいヴォイスでいいキャラが繰り広げられるため君のシーンは飽きの来ない面白さがある。キレッキレな演技には見習うべきところが多い。あと可愛い。
頬張りマスト
最近上野動物園を脱走したパンダ。笹と竹の見分けに苦戦している。
#劇団ちゃうかちゃわん
オペさん
藤丸翔さん
右手にナグリ、左手に灯台、その口うねり出すは鋭きツッコミ。「1人三種の神器」というあだ名が着いたのも納得だ、その全てが一等品なのだから。彼が1人立っているだけで会話の盛り上がりが違う。一見滑りそうなボケだって彼の手に掛かればA級ギャグに早変わりするぜ。これには平野レミもびっくり。
スダチさん
うどんに入れると美味しいが、ちゃうかのちゃわんに入れるともっと美味しい。人々を釘付け、否、インパクト付けにする映像を華麗に作り続ける須田さん、その鋭い眼差しの先には一体何が見えているのか。たまに楽屋裏でお菓子をつまむ様を見かける。有能細身イケメンがお菓子もぐもぐしてるの可愛い。映像余裕持って出したかったごめんなさい
久保勇貴さん
あいも変わらず忙しそう。オムニ期間くらいまでは会う度に印象が変遷していた。今のところはダークブルーで描かれてる3日後ピンクとかになってるかも。制作会計などまとめるお仕事が多そうだけどストレスまで抱えちゃダメよ適度に除いてね。と、言っても頑張ってしまうのがくうやさんなんだろうけど。
私の本名頬張りマストなんで苗字が「ほ行」じゃないですか。そうすると大体最後に回されるんですよ。給食で好きなおかず選べるみたいなのあったんだけど大抵唐揚げとか残ってなくてなんか鯖の塩焼きでがっかり、みたいな。なんで今回はオペさんを間に挟もうと思いました。名付けてオペサンド!すだちうどんの次に美味しそう。
先輩方
敬称は略しませんが敬語は略します。あぶり焼きとかしたら出てくるかもしれないです。あぶり焼きしないでください。
でぃあっ♡さん
でぃあさんが立ち上がると風がお辞儀し、空気が弦をはり始める。その圧倒的なプロポーションの良さに空いた口がマンホールになりそう。だけど何か教えてくれる時はとっても優しい。これは33期への自慢だが私はでぃあさんと柔軟を組ませていただいたことがある。どうだ羨ましいだろうでへへへ。
ひろせんせーさん
CVが豪華とのことでこの夏話題沸騰中。たちまちTwitterのトレンドを掻っ攫い、街にはグッズが溢れかえった。何のとは言わないが演技を始めた瞬間���が憑依して、貫禄まで滲む彼の演技力たるや。因みにアドリブもツョツョっぽい。なんてこったぱんなこった。
島﨑愛乃さん
鈴を転がしたような透明な声と花を摘んだような朗らかな笑顔のこっこさん。こっこさんの歌声を例えるなら夏に雑貨屋で売ってる、ピンク色の小瓶にちょこんと詰まった可愛らしい飴。ついつい手に取ってしまい、時々カランコロンと鳴らして楽しい、でも頬張ったらゆるゆる溶けちゃう、そんな飴。
おはようさぎさん
余りにもいい人。力作業も編集も演技もラップも全部すげぇのにその上いい人だから33期の尊敬の眼差しを掻っ攫ってる。信念に少年漫画をめちゃくちゃ感じる。ぶびさぎょうで理想の恋について(私が)語ってたらいつの間にやらガウスさんが話してた。黒の組織の話に移り変わってた。なんでやねん。髪色なんでも似合ってて凄い。
土下座したい
謝りたい気持ちが先行しすぎたまずい。舞台の上ではエモを、放課後にはハケを自在に使いこなす我らがぶびチの橋本悠樹さん。私は後輩に怒らないことで定評のあるはっしーさんを悉く困らせてしまったため顔向けが出来ない。なので二度とペンキを撒き散らさないことを50回くらい誓おうと思います。私はそうなれないことを知った上ではっしーさんにめちゃくちゃ憧れている。センスもノリの良さも色々。だからなんだって話だけど迷惑かけるかもしれないが見守っててほしい🙇♀️
津島ヨモツさん
演出家と役者、2デッキ使いののちぇさん。31期Tシャツもドタイプです。せんびののちぇさん入れたら3デッキかもしれない。後、先輩としても優しいのが伝わってくるしお話面白いし1、2、3…あれ?もしかしてNデッキ使い?のちぇさん最初めっちゃしっかりした人かと思ったらしっかりしてるんだけど偶にふにゃふにゃしてて可愛い。
堀文乃さん
圧倒的な演技力と唯一無二の安定感を誇るカリスマらめるさん。凄すぎる人って周りの人が遠慮して近づけなくなったりしがちだけど(後輩の身分だと悪気なくそうなっちゃう)そうならないのはらめるさんのお人柄ゆえ。私たちにも積極的に絡んでくださってしかもめっちゃ優しいから「らめるさん〜🥺」ってなる。仕事あまり抱えすぎないでお体ご自愛ください🙇♀️
中津川つくもさん
よく絡んでくださる優しい先輩。いっぱいお話しできるのめっちゃ嬉しい!舞監としてのしっかりしたつくもさんと、普段の明るく優しいつくもさんどっちもカッコいいんだもん憧れちゃうよねー。あ、あとダンス💃がお上手すぎてポケ〜って見惚れてまう。なんて言うか…美しい。あと立て看の作り方は大体つくもさんに教えていただいた。カフェ行きたいです���フェカフェ。
なしもとはなさん
あまりにもハマり役。はなさんがセリフを喋る度に関係ない私にまでグッとくるものがある…グッとね…こうグッと…。ぐはっ!
後輩と喋ってくださる時めちゃ優しい。前、稽古で2人になった時私のセリフ読みにめちゃ付き合ってくれた。あとコーナンの場所もめちゃ教えてくれた。めちゃめちゃ美しくて優しい先輩。めちゃっ。
雑賀厚成さん
演技や部署で絡まない人(私)にもお疲れ様〜とか声かけてくれたり兎に角優しいシドさん。この前音響会議のお菓子くれた。やったね!喉にカセットテープ飼ってるタイプの人間。先輩曰くKing Gnuが“よすぎる“らしいので今度リクエストしようと思う。私の目の前で歌ってくれないかな…チラッ(p_-)
杏仁アニーさん
全部署の裏方における圧倒的ハイセンス、柔らかな微笑みと眼差し、息飲む演技力、悪人のパンダでさえ涙しそうな優しさ…どの角度から見ても完璧すぎてルービックキューブが土下座するレベル。ちなみに後輩の私は頭が半分くらい地面にのめり込んでる。めりめり。センスがハンパないし仕事のキャパもエゲツない。けど無理はしないでほしいよドラゲナイ。
トニーー板倉さん
電車で鉢合わせたため奴は隣にいる。ここらへんから9月10日世界線のクオリアですどうも。魅惑のヴォイスとアフロを武器にちゃうかの奴隷となった男、とにさん。照明しかり稽古しかり全体像を俯瞰するのに長けてる人だと思ってる。面倒見良いし、1番頼りにしてる先輩。だる絡みしてごめんねウザかったら練4から突き落としてもいいよ、怪我のない範囲で。
西田幸輝さん
ゆるゆるとした空気感を醸し出しながら舌先から放たれる言葉は切れ味抜群。ギャップ萌え選手権審査員賞を受賞した経歴は伊達じゃない。ちなみに伊達巻は美味しい。頼もしき大道具の方。なんか大道具上層部って共通する空気感ないですか?え、ないかな。なかったらごめん。ないかも。声のトーン好きです。衣装も似合ってます。ちゅるちゅる。
暁あじろさん
ニトロさん。名前が美味しそうなちゃうかランキング8位くらいを飾る強者。高身長イケメン抜群の運動神経などモテる要素のよりどりみどり風見鶏パック。でもどことなく"こっち側“の雰囲気を持ち合わせてるのがいい出汁になってる。こんな失礼な私にも優しく接してくれたことからも根っからのいい人だと伺える。頼りにしてますニトロさん🙇♀️
山内詫助さん
オレオの何がいいってさ、クッキーの間にクリームが挟まってるところだよね。でさ、オレオさんの良いところってさ、その優しさの間に神的なセンスとマグマのような謎が挟まってるところだよね。紹介するならそんな感じの人だと思っている。ちなみにオレオさんの深淵は覗いたことないからわからない、当たり前か。
西岡克起さん
神の経路と書いて神経と読むが、そのことを実感するのがこの方。抜群の運動神経、寸分狂いの無い書、圧巻の演技力、すぐ始まるジャン負け…凄い、あまりにも凄すぎる。彼の身体には神が駆け巡っているに違いない。会話途中で「ねぇクォーリー散歩いこー」とか「自販機行こー」とか思い立ったが即行動って感じの誘い方してくれる。んで着いてくと大体楽しい。西岡さんが楽しい人だからね、これからもいっぱい話してほすぅい
かけうどんさん
誰とも共有できなかったところでシンパシーを感じるため、先祖で交流があったのかもしれない。万屋の店員と客とか仙人と弟子とか。ひねくれてると言っていたが、そのひねくれを真っ直ぐ貫けるのがロッドさんなのだろう。世間に合わせてひねくれを捻じ曲げてしまう方が実はひねくれなんじゃないかうんぬんかんぬん…あと竹川食堂行きたすぎる料理作ってくんで招待してください🙇♀️
高井下高井戸店さん
センスいいとか多才とか言われ慣れてるでしょ?でもなんぼあっても困るもんじゃないですからね、何度でも言いますセンスいいし多才かよ。習ってないピアノを練習したりギリシャ神話や日本史の本借りてるところを見た。自分が思う良いものに対して向き合ってどんどん吸収していく人なんだろうな。センス良いって結局はそういうことを言うんだろうなと思ってる。あとお化粧した時のお顔が可愛くて好き。あとロビさんとお話し出来ると嬉しくて心がぴょんぴょこするのでもっと話しかけて良いですか?
完
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伊達の家 vol.2
伊達市の新築工事の続きです。
棟が上がると上棟式。
最近は上棟式をされない方も多くなっていると言いますが、 BANKSのお客様には、できれば上棟式の開催をお願いしております。
大きな式にされることはありませんが、 「上棟式」は、ダルマの目に墨を入れるような縁起の良い行事。
長く住む家だからこそ、「大事に住みますよ」と家にお伝えするタイミングが必要かな、と考えています。
また、お施主様に家の構造など、完成してからは見ることができない家の作りを、実際に見ていただく貴重な機会でもあります。
そんな上棟式の様子から、つい最近の風景までをまとめてご紹介いたします。

上棟式の日。 工事は、外壁下地のモイスが貼られ、室内も壁下地が進んでいます。
昔と違い、棟上げのその日に上棟式をすることは、仕事の流れ的にも難しい時代となりました。(本来は、棟上げした日の夕方に上棟式をして、その後、打ち上げ的に直会をすることが上棟式でした)
今では、お施主様の休日のタイミングで、棟上げから数日後のタイミングで上棟式をするケースが多いです。

室内に飾られた、五色の旗。
古くは、陰陽五行にルーツがあると言われるこの旗(吹き流し)は、 方位除けの意味があり、東西南北中央の厄除けです。

破魔矢と破魔弓も飾りました。
破魔矢が魔を退治してくれるように、鬼門に向け、家の棟上げまで終了したことへの感謝と、完成��での工事の無事を祈願しています。

祭壇には、お施主様が供えてくれた野菜や果物、魚など。

棟梁による、上棟式を執り行いました。

通し柱に酒、塩、米を撒き、清めます。

棟梁が掛け声とともに、槌で叩く「四方固め」。
家がしっかりとその土地に根付くことを祈ります。

上棟式は、女性やお子さんは参加せず、男性だけで行うことが通例です。
式が終わった後に、奥様やお嬢様にも二階に上がっていただき、上棟後の室内をみていただきました。
窓からの開放的な景色に、喜ぶお嬢さん。

上棟式後、棟の下に幣串は祀られます。

家の守神。

魔を除ける破魔矢。

すっかりと、家らしくなった外観。
白い壁は、耐力面材である、モイス。
サッシは断熱性の高い、トリプル樹脂サッシのシャノンです。

伊達エリアは、瓦屋根の多い地域です。
街並みを考え、今回は私たちも瓦屋根を採用しました。
重��瓦を、昇降機で屋根の上に運びます。

瓦は、経年による劣化がほとんどなく、長期間安定して家を守ってくれます。

1階の化粧柱には、「祝新築」の養生紙が巻かれ、傷がつかないよう大事に保護しています。

広いお庭で、ピクニック。
お施主様が、直会のお弁当を準備してくださいました。 こんなご時世ですので、みんなで密になって食べることは叶いませんでしたが、 家が完成した後の住まいかたが垣間みられて、とても嬉しく思いました。

お施主様が描いた、庭のプランも見せていただきました。
とても素敵なお庭になりそうで、今から楽しみです。

広々とした敷地。
市街化調整区域は、新築を建てる許可をとることは難しい土地ですが、 ハードルをクリアできると広々と開放的な家づくりができます。
難しいことにチャレンジされたお施主様だからこそ、手に入れられた環境です。

敷地までのアプローチも、素敵な小道になっています。

上棟式から数日後。
室内は、断熱材が入りました。
白い不織布の奥には、大量で高密度なセルロースファイバーが充填されています。

等間隔に貼られた白いテープは、少しづつ確実に断熱材が充填されたことを示す、充填口です。
シャノン のサッシと断熱材のおかげで、外部の熱はだいぶ防がれている印象に。

ユニットバス が入る空間。
床下には50mmのボード断熱材が貼られ、浴室の温度が下がることを防ぎます。

夏は日射が入りにくく、冬は日射が入りやすく。
太陽の熱をうまくコントロールすることによって、 夏涼しく冬暖かいを実現します。

外壁は、モイスの上に下地の木材が施工されています。
二階は板張り、一階は左官で仕上げるツートーン仕様。
左官の下地は「木摺(きずり)」と呼ばれる板を張り巡らせます。
日本古来の伝統技法です。

石膏ボードが貼られたタイミングで、再度お施主様に室内確認に来ていただきました。

コンセントの位置など、細かな調整をこのタイミングでお願いしました。
室内は、断熱材の上から貼られた「タイベックスマート」と、その上から石膏ボードが貼っていっているタイミング。
タイベックスマートは、気密を取りながら調湿もするハイテクシート。 フラット35や長期優良住宅の認定を取るために採用しているシートです。

玄関も設置され、だいぶ家の完成形が見えてきました。

板張り部分には、ウッドロングエコという「木を老けさせる天然塗料」を施工し、新築のタイミングですでに経年変化した後のような表情の仕上げをしています。
一階の左官壁は、木摺の上にラスをはり、一度目のモルタル左官が終わった段階です。
この後、仕上げの左官を行い、表面を削る「掻き落とし」を施して仕上げとなる予定です。
次回、家の仕上げ工事をまとめる予定です。ぜひ完成をお楽しみにお待ちください。
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各地句会報
花鳥誌 令和3年5月号

坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
………………………………………………………………
令和3年2月3日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
帯の色白と黒との寒稽古 世詩明 初夢や逆夢にして安堵せり 同 受話器より来る熱燗の酔ひつぷり 清女 もう雪も落ちついたかとココア飲む 同 湯のたぎる薬罐の音の冬支度 誠 ゆつくりとガラスを滑る霙かな 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年2月4日 うづら三日の月句会 坊城俊樹選 特選句
寒の明け空の青さのどこまでも 柏葉 雪の舞ふ上へ下へと北陸路 喜代子 寒戻り雄島は浪に翻弄す 都
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年2月6日 零の会 坊城俊樹選 特選句
祈る人白く光らせ春の寺 小鳥 壺菫傾ぐ黄昏の密会 季凜 饅頭屋の幟ぱたぱた春疾風 美智子 嬰児へ春の揺籃なりしかな 順子 寒紅や鏡の中の女たち きみよ 春を描く赤で縁取る黄土色 千種 ギャルソンのベストの在庫春埃 荘吉 バーの椅子冬日も遊ぶ道具街 荘吉 春潮のかをる手をもて貝洗ふ 順子 ペンダントはづして春の風邪に寝る 光子 黄泉の国へとラビリンスめく雪間 眞理子 オキーフとゴッホの黄なる春の蝶 伊豫 ロマノフ朝語る早春のため息 慶月 仲見世の半分閉ぢて亀鳴けり 梓渕
岡田順子選 特選句
江戸つ子へ黄水仙咲く格子窓 光子 春の日の跳ねたりしつつ神田川 小鳥 壺菫傾ぐ黄昏の密会 季凜 吾輩は道具街の猫日脚伸ぶ 荘吉 春浅き野へと黄衣の遊行僧 慶月 花瓶売れざり春の日を黄昏れて 俊樹 笊は受く春の日差や道具街 季凛 菜の花や主のゐない家に棲み 伊豫 大方は縁なき道具街うらら 秋尚 隠れ耶蘇語る窓辺の余寒かな はるか ��り手婆春画を鬻ぎつつ春眠 俊樹 黄塵万丈浅草に人沸き出す 梓渕 産土の海光を背に絵踏せり 光子 生国を刻みし墓へ梅香る 慶月 祈る人白く光らせ春の寺 小鳥
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年2月8日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
散歩みち犬に吠えられ日脚伸ぶ 三四郎 子等はしやぐ声の大作雪だるま みす枝 寝るだけに戻りし部屋の虎落笛 ただし 初詣巫女の化粧の濃かりけり 世詩明 贔屓目にみても毛皮の似合はざる 上嶋昭子 大氷柱剣のごとく堂宇守る 時江 崖の上に耐へて咲きたる水仙花 久子 神杉に裂けし傷あり斑雪 時江 風花の散華の中を柩ゆく 信子 湯たんぽを母の温もる如く抱く さよ子 廃屋の雪の声きく真暗がり ただし 嚏して饒舌の人黙りけり 三四郎
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年2月9日 萩花鳥句会
住所録ゐぬ人ばかり春時雨 祐子 降り立てばカルスト台地草萌ゆる 美恵子 春まだ来産卵仕掛ける川漁師 健雄 春時雨ビニール傘に裂け目あり 吉之 下萌えて平幕力士の賜杯かな 陽子 雪雫八分音符と四分音符 ゆかり 微睡の草木起こせし春時雨 明子 面接の練習の声寒明くる 克弘
………………………………………………………………
令和3年2月11日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
護摩焚きの煙の深き節分会 あけみ 節分や子の夢に出る方相氏 登美子 節分や炒豆撒いて稽古終ふ 令子 車窓には雪しろの山々続く あけみ 大雪も奮闘えち鉄動き出す 紀子 野兎の駈けし跡あり野辺深し 同 ひらがなの娘の手紙春隣 裕子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年2月12日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
白杖の突けば凍土鼓動して 都 磯竈海女と蜑との声太く 益恵 獣園の柵に並ぶ子草青む 栄子 春の雪店はいつものビートルズ 佐代子 日脚伸ぶ明るき方へ人も鳥も 都 寒木瓜の棘の交差に交差して 悦子 白髭を撫で庭を掃く春隣 幸子 寒月へ町定位置に静もりて 都 春雷や酒供はりて力士像 宇太郎 さよならと筆置く音に落椿 悦子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年2月13日 札幌花鳥会 坊城俊樹選 特選句
人生は借り物かしら春一番 修子 日の永き台所にて聖書読む 同 永く生きすぎた気もして春の風 同 どの家も砦のやうに雪積みて 寛子 街路樹の上に余寒の空低し 同 針供養叔母は短気でお人好し のりこ 掌に一滴春の化粧水 岬月
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年2月16日 伊藤柏翠俳句記念館 坊城俊樹選 特選句
ひたすらに鶴は鶴とし凍つるのみ 雪 寒鴉申し合はせしごと啼かず 同 観念をしたる如くに大枯木 同 温石に温石と云ふ石の貌 同 薄氷や着物をつまみ避け乍ら 千代子 深々と音消し積もる真夜の雪 同 春炬燵くの字しの字の混み合へり みす枝 ランドセルに筆箱入れて春を待つ 同 銀の波揺らし川辺の猫柳 英美子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年2月17日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
薄氷の割れて漂ひ重ね合ひ 千加江 数独に挑んで老の春を待つ 清女 節分や柱時計がつと止る 啓子 薄氷を張り尽したる法の池 泰俊 鴬や何か賑やかなる甍 同 凍て鶴として人の世を凍つるのみ 雪 華やかに古りし虹屋の桐火桶 同 凍て様も金輪際や檻の鶴 同 人の世の枷を解かれし古火桶 同 寒鴉啼くを忘れてゐはせぬか 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年2月19日 さゞれ会 坊城俊樹選 特選句
冴え返る言葉の綾に躓きて 雪 勿体なや冬籠りにも厭きしとは 同 乾杯の種の尽きたるちやんちやんこ 同 うららかや犬が好みの猫まんま 清女 虹屋へと二月��者の関西弁 千代子 水仙の花に折鶴遊ばせり 希 路地裏を斜めに走るうかれ猫 啓子 水尾も無く流れのまゝの鴨滑る 天空
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年2月21日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
飄々とした人の訃や冬の果 佑天 学舎の武張りて遠く春の富士 圭魚 アトリエに遺せし絵の具冴返る ゆう子 シスターの病むや余寒の廊長し 和子 手の皺の翳は目立ちて春を待つ ます江 存分に椿の落ちて椿寺 佑天 堂裏の日溜り豊か落椿 圭魚
栗林圭魚選 特選句
よき喫茶閉ぢし通りの余寒かな 慶月 磐座の裳裾にこぞる蕗の薹 幸風 菰踏めば春泥ぬると動きたる 三無 朝光の瀬音そびらに蘆の角 幸風 アトリエに遺せし絵の具冴返る ゆう子 寺領ひっそり孕猫つとのそりゆく 文英 細波の煌めき尖る浅き春 斉 シスターの病むや余寒の廊長し 和子 春みかづき童話の色の夜の街 和子 春光や眉毛一本づつ描く 千種
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年2月22日 鯖江花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
二度三度黙の呼び鈴冴返る 一涓 遠き日の武原はんの風花す 同 雪掻きて掻きて怨嗟を紛らせり 同 佐保姫来式部の像の辺りより 同 古里ぞ遠海鳴りも温石も 雪 其の頃はへつつひ二つ竈猫 同 お駄賃は袋のお菓子春の風 上嶋昭子 アプレゲールと言はれし卒寿日向ぼこ 同 春一番絵馬カタカタと恋の宮 信子 夕焼けを少し暈して春の色 紀代美 春着着しより梵妻の顔となる 中山昭子 水仙や少女一心勉学す みす枝
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
九州花鳥会 坊城俊樹選 特選句
東風に扉を開けよ羽衣なびくまで 美穂 面影のちよと夫似なる古ひひな 千代 波音のままに揺蕩ふ若布かな 桂 大津絵の鬼の飛び出す春の雷 喜和 梟の吾を呼びたる父祖の山 千代 遠き目でみる耶蘇浦の若布船 かおり 薄氷を踏むもふまぬも人の道 睦子 冬灯しらじら明けの裏酒場 勝利 恋猫の敗れ幣履のごとく消ゆ 伸子 その沖は霞み衣桁の陣羽織 由紀子 寂しらの汀に寄する若布かな 久美子 浮かみくる七色の泡春の池 愛 集落を貫く碧き雪解川 由紀子 タンデムで若布を買ひに島日和 美穂 結ひ髪のほろほろ解けて絵踏かな かおり 紙漉の若き水ほどよく躍る 佐和 蹼に薄氷つきしまま歩む 睦子 星辰の恵みに育つ若布かな 美穂
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
なかみち句会(投句のみ) 栗林圭魚選 特選句
探梅の坂より駅を見渡せり 貴薫 焼山の命の早さ確かめり ます江 風尖りをれど遠山霞みをり 怜 枝影の網目ぼんやり春の土 秋尚 受診日や梅林抜けて隣り駅 せつこ 料峭の森覚ましゆく水の音 三無 野焼見る怪しくはやる気持あり あき子 日を浴びて胸張る如し犬ふぐり せつこ 青海苔を採って沖には白い波 史空 梅林や古木の幹に力あり 迪子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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【小説】The day I say good-bye (1/4) 【再録】
今日は朝から雨だった。
確か去年も雨だったよな、と僕は窓ガラスに反射している自分の顔を見つめて思った。僕を乗せたバスは、小雨の降る日曜の午後を北へ向かって走る。乗客は少ない。
予定より五分遅れて、予定通りバス停「船頭町三丁目」で降りた。灰色に濁った水が流れる大きな樫岸川を横切る橋を渡り、広げた傘に雨音が当たる雑音を聞きながら、柳の並木道を歩く。
小さな古本屋の角を右へ、古い木造家屋の住宅ばかりが建ち並ぶ細い路地を抜けたら左へ。途中、不機嫌そうな面構えの三毛猫が行く手を横切った。長い長い緩やかな坂を上り、苔生した石段を踏み締めて、赤い郵便ポストがあるところを左へ。突然広くなった道を行き、椿だか山茶花だかの生け垣のある家の角をまた左へ。
そうすると、大きなお寺の屋根が見えてくる。囲われた塀の中、門の向こうには、静かな墓地が広がっている。
そこの一角に、あーちゃんは眠っている。
砂利道を歩きながら、結構な数の墓の中から、あーちゃんの墓へ辿り着く。もう既に誰かが来たのだろう。墓には真っ白な百合と、あーちゃんの好物であった焼きそばパンが供えてあった。あーちゃんのご両親だろうか。
手ぶらで来てしまった僕は、ただ墓石を見上げる。周りの墓石に比べてまだ新しいその石は、手入れが行き届いていることもあって、朝から雨の今日であっても穏やかに光を反射している。
そっと墓石に触れてみた。無機質な冷たさと硬さだけが僕の指先に応えてくれる。
あーちゃんは墓石になった。僕にはそんな感覚がある。
あーちゃんは死んだ。死んで、燃やされて、灰になり、この石の下に閉じ込められている。埋められているのは、ただの灰だ。あーちゃんの灰。
ああ。あーちゃんは、どこに行ってしまったんだろう。
目を閉じた。指先は墓石に触れたまま。このままじっとしていたら、僕まで石になれそうだ。深く息をした。深く、深く。息を吐く時、わずかに震えた。まだ石じゃない。まだ僕は、石になれない。
ここに来ると、僕はいつも泣きたくなる。
ここに来ると、僕はいつも死にたくなる。
一体どれくらい、そうしていたのだろう。やがて後ろから、砂利を踏んで歩いてくる音が聞こえてきたので、僕は目を開き、手を引っ込めて振り向いた。
「よぉ、少年」
その人は僕の顔を見て、にっこり笑っていた。
総白髪かと疑うような灰色の頭髪。自己主張の激しい目元。頭の上の帽子から足元の厚底ブーツまで塗り潰したように真っ黒な恰好の人。
「やっほー」
蝙蝠傘を差す左手と、僕に向けてひらひらと振るその右手の手袋さえも黒く、ちらりと見えた中指の指輪の石の色さえも黒い。
「……どうも」
僕はそんな彼女に対し、顔の筋肉が引きつっているのを無理矢理に動かして、なんとか笑顔で応えて見せたりする。
彼女はすぐ側までやってきて、馴れ馴れしくも僕の頭を二、三度柔らかく叩く。
「こんなところで奇遇だねぇ。少年も墓参りに来たのかい」
「先生も、墓参りですか」
「せんせーって呼ぶなしぃ。あたしゃ、あんたにせんせー呼ばわりされるようなもんじゃございませんって」
彼女――日褄小雨先生はそう言って、だけど笑った。それから日褄先生は僕が先程までそうしていたのと同じように、あーちゃんの墓石を見上げた。彼女も手ぶらだった。
「直正が死んで、一年か」
先生は上着のポケットから煙草の箱とライターを取り出す。黒いその箱から取り出された煙草も、同じように黒い。
「あたしゃ、ここに来ると後悔ばかりするね」
ライターのかちっという音、吐き出される白い煙、どこか甘ったるい、ココナッツに似たにおいが漂う。
「あいつは、厄介なガキだったよ。つらいなら、『つらい』って言えばいい、それだけのことなんだ。あいつだって���つらいなら『つらい』って言ったんだろうさ。だけどあいつは、可哀想なことに、最後の最後まで自分がつらいってことに気付かなかったんだな」
煙草の煙を揺らしながら、そう言う先生の表情には、苦痛と後悔が入り混じった色が見える。口に煙草を咥えたまま、墓前で手を合わせ、彼女はただ目を閉じていた。瞼にしつこいほど塗られた濃い黒い化粧に、雨の滴が垂れる。
先生はしばらくして瞼を開き、煙草を一度口元から離すと、ヤニ臭いような甘ったるいような煙を吐き出して、それから僕を見て、優しく笑いかけた。それから先生は背を向け、歩き出してしまう。僕は黙ってそれを追った。
何も言わなくてもわかっていた。ここに立っていたって、悲しみとも虚しさとも呼ぶことのできない、吐き気がするような、叫び出したくなるような、暴れ出したくなるような、そんな感情が繰り返し繰り返し、波のようにやってきては僕の心の中を掻き回していくだけだ。先生は僕に、帰ろう、と言ったのだ。唇の端で、瞳の奥で。
先生の、まるで影法師が歩いているかのような黒い後ろ姿を見つめて、僕はかつてたった一度だけ見た、あーちゃんの黒いランドセルを思い出す。
彼がこっちに引っ越してきてからの三年間、一度も使われることのなかった傷だらけのランドセル。物置きの中で埃を被っていたそれには、あーちゃんの苦しみがどれだけ詰まっていたのだろう。
道の途中で振り返る。先程までと同じように、墓石はただそこにあった。墓前でかけるべき言葉も、抱くべき感情も、するべき行為も、何ひとつ僕は持ち合わせていない。
あーちゃんはもう死んだ。
わかりきっていたことだ。死んでから何かしてあげても無駄だ。生きているうちにしてあげないと、意味がない。だから、僕がこうしてここに立っている意味も、僕は見出すことができない。僕がここで、こうして呼吸をしていて、もうとっくに死んでしまったあーちゃんのお墓の前で、墓石を見つめている、その意味すら。
もう一度、あーちゃんの墓に背中を向けて、僕は今度こそ歩き始めた。
「最近調子はどう?」
墓地を出て、長い長い坂を下りながら、先生は僕にそう尋ねた。
「一ヶ月間、全くカウンセリング来なかったけど、何か変化があったりした?」
黙っていると先生はさらにそう訊いてきたので、僕は仕方なく口を開く。
「別に、何も」
「ちゃんと飯食ってる? また少し痩せたんじゃない?」
「食べてますよ」
「飯食わないから、いつまでも身長伸びないんだよ」
先生は僕の頭を、目覚まし時計を止める時のような動作で乱雑に叩く。
「ちょ……やめて下さいよ」
「あーっはっはっはっはー」
嫌がって身をよじろうとするが、先生はそれでもなお、僕に攻撃してくる。
「ちゃんと食わないと。摂食障害になるとつらいよ」
「食べますよ、ちゃんと……」
「あと、ちゃんと寝た方がいい。夜九時に寝ろ。身長伸びねぇぞ」
「九時に寝られる訳ないでしょう、小学生じゃあるまいし……」
「勉強なんかしてるから、身長伸びねぇんだよ」
「そんな訳ないでしょう」
あはは、と朗らかに彼女は笑う。そして最後に優しく、僕の頭を撫でた。
「負けるな、少年」
負けるなと言われても、一体何に――そう問いかけようとして、僕は口をつぐむ。僕が何と戦っているのか、先生はわかっているのだ。
「最近、市野谷はどうしてる?」
先生は何気ない声で、表情で、タイミングで、あっさりとその名前を口にした。
「さぁ……。最近会ってないし、電話もないし、わからないですね」
「ふうん。あ、そう」
先生はそれ以上、追及してくることはなかった。ただ独り言のように、「やっぱり、まだ駄目か」と言っただけだった。
郵便ポストのところまで歩いてきた時、先生は、「あたしはあっちだから」と僕の帰り道とは違う方向を指差した。
「駐車場で、葵が待ってるからさ」
「ああ、葵さん。一緒だったんですか」
「そ。少年は、バスで来たんだろ? 家まで車で送ろうか?」
運転するのは葵だけど、と彼女は付け足して言ったが、僕は首を横に振った。
「ひとりで帰りたいんです」
「あっそ。気を付けて帰れよ」
先生はそう言って、出会った時と同じように、ひらひらと手を振って別れた。
路地を右に曲がった時、僕は片手をパーカーのポケットに入れて初めて、とっくに音楽が止まったままになっているイヤホンを、両耳に突っ込んだままだということに気が付いた。
僕が小学校を卒業した、一年前の今日。
あーちゃんは人生を中退した。
自殺したのだ。十四歳だった。
遺書の最後にはこう書かれていた。
「僕は透明人間なんです」
あーちゃんは僕と同じ団地に住んでいて、僕より二つお兄さんだった。
僕が小学一年生の夏に、あーちゃんは家族四人で引っ越してきた。冬は雪に閉ざされる、北の方からやって来たのだという話を聞いたことがあった。
僕はあーちゃんの、団地で唯一の友達だった。学年の違う彼と、どんなきっかけで親しくなったのか正確には覚えていない。
あーちゃんは物静かな人だった。小学生の時から、年齢と不釣り合いなほど彼は大人びていた。
彼は人付き合いがあまり得意ではなく、友達がいなかった。口数は少なく、話す時もぼそぼそとした、抑揚のない平坦な喋り方で、どこか他人と距離を取りたがっていた。
部屋にこもりがちだった彼の肌は雪みたいに白くて、青い静脈が皮膚にうっすら透けて見えた。髪が少し長くて、色も薄かった。彼の父方の祖母が外国人だったと知ったのは、ずっと後のことだ。銀縁の眼鏡をかけていて、何か困ったことがあるとそれをかけ直す癖があった。
あーちゃんは器用だった。今まで何度も彼の部屋へ遊びに行ったことがあるけれど、そこには彼が組み立てたプラモデルがいくつも置かれていた。
僕が加減を知らないままにそれを乱暴に扱い、壊してしまったこともあった。とんでもないことをしてしまったと、僕はひどく後悔してうつむいていた。ごめんなさい、と謝った。年上の友人の大切な物を壊してしまって、どうしたらよいのかわからなかった。鼻の奥がつんとした。泣きたいのは壊されたあーちゃんの方だっただろうに、僕は泣き出しそうだった。
あーちゃんは、何も言わなかった。彼は立ち尽くす僕の前でしゃがみ込んだかと思うと、足下に散らばったいびつに欠けたパーツを拾い、引き出しの中からピンセットやら接着剤やらを取り出して、僕が壊した部分をあっという間に直してしまった。
それらの作業がすっかり終わってから彼は僕を呼んで、「ほら見てごらん」と言った。
恐る恐る近付くと、彼は直ったばかりの戦車のキャタピラ部分を指差して、
「ほら、もう大丈夫だよ。ちゃんと元通りになった。心配しなくてもいい。でもあと1時間は触っては駄目だ。まだ接着剤が乾かないからね」
と静かに言った。あーちゃんは僕を叱ったりしなかった。
僕は最後まで、あーちゃんが大声を出すところを一度も見なかった。彼が泣いている姿も、声を出して笑っているのも。
一度だけ、あーちゃんの満面の笑みを見たことがある。
夏のある日、僕とあーちゃんは団地の屋上に忍び込んだ。
僕らは子供向けの雑誌に載っていた、よく飛ぶ紙飛行機の作り方を見て、それぞれ違うモデルの紙飛行機を作り、どちらがより遠くへ飛ぶのかを競走していた。
屋上から飛ばしてみよう、と提案したのは僕だった。普段から悪戯などしない大人しいあーちゃんが、その提案に首を縦に振ったのは今思い返せば珍しいことだった。そんなことはそれ以前も以降も二度となかった。
よく晴れた日だった。屋上から僕が飛ばした紙飛行機は、青い空を横切って、団地の駐車場の上を飛び、道路を挟んだ向かいの棟の四階、空き部屋のベランダへ不時着した。それは今まで飛ばしたどんな紙飛行機にも負けない、驚くべき距離だった。僕はすっかり嬉しくなって、得意げに叫んだ。
「僕が一番だ!」
興奮した僕を見て、あーちゃんは肩をすくめるような動作をした。そして言った。
「まだわからないよ」
あーちゃんの細い指が、紙飛行機を宙に放つ。丁寧に折られた白い紙飛行機は、ちょうどその時吹いてきた風に背中を押されるように屋上のフェンスを飛び越え、僕の紙飛行機と同じように駐車場の上を通り、向かいの棟の屋根を越え、それでもまだまだ飛び続け、青い空の中、最後は粒のようになって、ついには見えなくなってしまった。
僕は自分の紙飛行機が負けた悔しさと、魔法のような素晴らしい出来事を目にした嬉しさとが半分ずつ混じった目であーちゃんを見た。その時、僕は見たのだ。
あーちゃんは声を立てることはなかったが、満足そうな笑顔だった。
「僕は透明人間なんです」
それがあーちゃんの残した最後の言葉だ。
あーちゃんは、僕のことを怒ればよかったのだ。地団太を踏んで泣いてもよかったのだ。大声で笑ってもよかったのだ。彼との思い出を振り返ると、いつもそんなことばかり思う。彼はもう永遠に泣いたり笑ったりすることはない。彼は死んだのだから。
ねぇ、あーちゃん。今のきみに、僕はどんな風に見えているんだろう。
僕の横で静かに笑っていたきみは、決して透明なんかじゃなかったのに。
またいつものように春が来て、僕は中学二年生になった。
張り出されていたクラス替えの表を見て、そこに馴染みのある名前を二つ見つけた。今年は、二人とも僕と同じ��ラスのようだ。
教室へ向かってみたけれど、始業の時間になっても、その二つの名前が用意された席には、誰も座ることはなかった。
「やっぱり、まだ駄目か」
誰かと同じ言葉を口にしてみる。
本当は少しだけ、期待していた。何かが良くなったんじゃないかと。
だけど教室の中は新しいクラスメイトたちの喧騒でいっぱいで、新年度一発目、始業式の今日、二つの席が空白になっていることに誰も触れやしない。何も変わってなんかない。
何も変わらないまま、僕は中学二年生になった。
あーちゃんが死んだ時の学年と同じ、中学二年生になった。
あの日、あーちゃんの背中を押したのであろう風を、僕はずっと探してる。
青い空の果てに、小さく消えて行ってしまったあーちゃんを、僕と「ひーちゃん」に返してほしくて。
鉛筆を紙の上に走らせる音が、止むことなく続いていた。
「何を描いてるの?」
「絵」
「なんの絵?」
「なんでもいいでしょ」
「今年は、同じクラスみたいだね」
「そう」
「その、よろしく」
表情を覆い隠すほど長い前髪の下、三白眼が一瞬僕を見た。
「よろしくって、何を?」
「クラスメイトとして、いろいろ……」
「意味ない。クラスなんて、関係ない」
抑揚のない声でそう言って、双眸は再び紙の上へと向けられてしまった。
「あ、そう……」
昼休みの保健室。
そこにいるのは二人の人間。
ひとりはカーテンの開かれたベッドに腰掛け、胸にはスケッチブック、右手には鉛筆を握り締めている。
もうひとりはベッドの脇のパイプ椅子に座り、特にすることもなく片膝を抱えている。こっちが僕だ。
この部屋の主であるはずの鬼怒田先生は、何か用があると言って席を外している。一体なんの仕事があるのかは知らないが、この学校の養護教諭はいつも忙しそうだ。
僕はすることもないので、ベッドに座っているそいつを少しばかり観察する。忙しそうに鉛筆を動かしている様子を見ると、今はこちらに注意を払ってはいなそうだから、好都合だ。
伸びてきて邪魔になったから切った、と言わんばかりのショートカットの髪。正反対に長く伸ばされた前髪は、栄養状態の悪そうな青白い顔を半分近く隠している。中学二年生としては小柄で華奢な体躯。制服のスカートから伸びる足の細さが痛々しく見える。
彼女の名前は、河野ミナモ。僕と同じクラス、出席番号は七番。
一言で表現するならば、彼女は保健室登校児だ。
鉛筆の音が、止んだ。
「なに?」
ミナモの瞬きに合わせて、彼女の前髪が微かに動く。少しばかり長く見つめ続けてしまったみたいだ。「いや、なんでもない」と言って、僕は天井を仰ぐ。
ミナモは少しの間、何も言わずに僕の方を見ていたようだが、また鉛筆を動かす作業を再開した。
鉛筆を走らせる音だけが聞こえる保健室。廊下の向こうからは、楽しそうに駆ける生徒たちの声が聞こえてくるが、それもどこか遠くの世界の出来事のようだ。この空間は、世界から切り離されている。
「何をしに来たの」
「何をって?」
「用が済んだなら、帰れば」
新年度が始まったばかりだからだろうか、ミナモは機嫌が悪いみたいだ。否、機嫌が悪いのではなく、具合が悪いのかもしれない。今日の彼女はいつもより顔色が悪いように見える。
「いない方がいいなら、出て行くよ」
「ここにいてほしい人なんて、いない」
平坦な声。他人を拒絶する声。憎しみも悲しみも全て隠された無機質な声。
「出て行きたいなら、出て行けば?」
そう言うミナモの目が、何かを試すように僕を一瞥した。僕はまだ、椅子から立ち上がらない。彼女は「あっそ」とつぶやくように言った。
「市野谷さんは、来たの?」
ミナモの三白眼がまだ僕を見ている。
「市野谷さんも同じクラスなんでしょ」
「なんだ、河野も知ってたのか」
「質問に答えて」
「……来てないよ」
「そう」
ミナモの前髪が揺れる。瞬きが一回。
「不登校児二人を同じクラスにするなんて、学校側の考えてることってわからない」
彼女の言葉通り、僕のクラスには二人の不登校児がいる。
ひとりはこの河野ミナモ。
そしてもうひとりは、市野谷比比子。僕は彼女のことを昔から、「ひーちゃん」と呼んでいた。
二人とも、中学に入学してきてから一度も教室へ登校してきていない。二人の机と椅子は、一度も本人に使われることなく、今日も僕の教室にある。
といっても、保健室登校児であるミナモはまだましな方で、彼女は一年生の頃から保健室には登校してきている。その点ひーちゃんは、中学校の門をくぐったこともなければ、制服に袖を通したことさえない。
そんな二人が今年から僕と同じクラスに所属になったことには、正直驚いた。二人とも僕と接点があるから、なおさらだ。
「――くんも、」
ミナモが僕の名を呼んだような気がしたが、上手く聞き取れなかった。
「大変ね、不登校児二人の面倒を見させられて」
「そんな自嘲的にならなくても……」
「だって、本当のことでしょ」
スケッチブックを抱えるミナモの左腕、ぶかぶかのセーラー服の袖口から、包帯の巻かれた手首が見える。僕は自分の左手首を見やる。腕時計をしているその下に、隠した傷のことを思う。
「市野谷さんはともかく、教室へ行く気なんかない私の面倒まで、見なくてもいいのに」
「面倒なんて、見てるつもりないけど」
「私を訪ねに保健室に来るの、――くんくらいだよ」
僕の名前が耳障りに響く。ミナモが僕の顔を見た。僕は妙な表情をしていないだろうか。平然を装っているつもりなのだけれど。
「まだ、気にしているの?」
「気にしてるって、何を?」
「あの日のこと」
あの日。
あの春の日。雨の降る屋上で、僕とミナモは初めて出会った。
「死にたがり屋と死に損ない」
日褄先生は僕たちのことをそう呼んだ。どっちがどっちのことを指すのかは、未だに訊けていないままだ。
「……気にしてないよ」
「そう」
あっさりとした声だった。ミナモは壁の時計をちらりと見上げ、「昼休み終わるよ、帰れば」と言った。
今度は、僕も立ち上がった。「それじゃあ」と口にしたけれど、ミナモは既に僕への興味を失ったのか、スケッチブックに目線を落とし、返事のひとつもしなかった。
休みなく動き続ける鉛筆。
立ち上がった時にちらりと見えたスケッチブックは、ただただ黒く塗り潰されているだけで、何も描かれてなどいなかった。
ふと気付くと、僕は自分自身が誰なのかわからなくなっている。
自分が何者なのか、わからない。
目の前で展開されていく風景が虚構なのか、それとも現実なのか、そんなことさえわからなくなる。
だがそれはほんの一瞬のことで、本当はわかっている。
けれど感じるのだ。自分の身体が透けていくような感覚を。「自分」という存在だけが、ぽっかりと穴を空けて突っ立っているような。常に自分だけが透明な膜で覆われて、周囲から隔離されているかのような疎外感と、なんの手応えも得られない虚無感と。
あーちゃんがいなくなってから、僕は頻繁にこの感覚に襲われるようになった。
最初は、授業が終わった後の短い休み時間。次は登校中と下校中。その次は授業中にも、というように、僕が僕をわからなくなる感覚は、学校にいる間じゅうずっと続くようになった。しまいには、家にいても、外にいても、どこにいてもずっとそうだ。
周りに人がいればいるほど、その感覚は強かった。たくさんの人の中、埋もれて、紛れて、見失う。自分がさっきまで立っていた場所は、今はもう他の人が踏み荒らしていて。僕の居場所はそれぐらい危ういところにあって。人混みの中ぼうっとしていると、僕なんて消えてしまいそうで。
頭の奥がいつも痛かった。手足は冷え切ったみたいに血の気がなくて。酸素が薄い訳でもないのにちゃんと息ができなくて。周りの人の声がやたら大きく聞こえてきて。耳の中で何度もこだまする、誰かの声。ああ、どうして。こんなにも人が溢れているのに、ここにあーちゃんはいないんだろう。
僕はどうして、ここにいるんだろう。
「よぉ、少年」
旧校舎、屋上へ続く扉を開けると、そこには先客がいた。
ペンキがところどころ剥げた緑色のフェンスにもたれるようにして、床に足を投げ出しているのは日褄先生だった。今日も真っ黒な恰好で、ココナッツのにおいがする不思議な煙草を咥えている。
「田島先生が、先生のことを昼休みに探してましたよ」
「へへっ。そりゃ参ったね」
煙をゆらゆらと立ち昇らせて、先生は笑う。それからいつものように、「せんせーって呼ぶなよ」と付け加えた。彼女はさらに続けて言う。
「それで? 少年は何をし、こんなところに来たのかな?」
「ちょっと外の空気を吸いに」
「おお、奇遇だねぇ。あたしも外の空気を吸いに……」
「吸いにきたのはニコチンでしょう」
僕がそう言うと、先生は、「あっはっはっはー」と高らかに笑った。よく笑う人だ。
「残念だが少年、もう午後の授業は始まっている時間だし、ここは立ち入り禁止だよ」
「お言葉ですが先生、学校の敷地内は禁煙ですよ」
「しょうがない、今からカウンセリングするってことにしておいてあげるから、あたしの喫煙を見逃しておくれ。その代わり、あたしもきみの授業放棄を許してあげよう」
先生は右手でぽんぽんと、自分の隣、雨上がりでまだ湿気っているであろう床を叩いた。座れと言っているようだ。僕はそれに従わなかった。
先客がいたことは予想外だったが、僕は本当に、ただ、外の空気を吸いたくなってここに来ただけだ。授業を途中で抜けてきたこともあって、長居をするつもりはない。
ふと、視界の隅に「それ」が目に入った。
フェンスの一角に穴が空いている。ビニールテープでぐるぐる巻きになっているそこは、テープさえなければ屋上の崖��ぷちに立つことを許している。そう。一年前、あそこから、あーちゃんは――。
(ねぇ、どうしてあーちゃんは、そらをとんだの?)
僕の脳裏を、いつかのひーちゃんの言葉がよぎる。
(あーちゃん、かえってくるよね? また、あえるよね?)
ひーちゃんの言葉がいくつもいくつも、風に飛ばされていく桜の花びらと同じように、僕の目の前を通り過ぎていく。
「こんなところで、何をしていたんですか」
そう質問したのは僕の方だった。「んー?」と先生は煙草の煙を吐きながら言う。
「言っただろ、外の空気を吸いに来たんだよ」
「あーちゃんが死んだ、この場所の空気を、ですか」
先生の目が、僕を見た。その鋭さに、一瞬ひるみそうになる。彼女は強い。彼女の意思は、強い。
「同じ景色を見たいと思っただけだよ」
先生はそう言って、また煙草をふかす。
「先生、」
「せんせーって呼ぶな」
「質問があるんですけど」
「なにかね」
「嘘って、何回つけばホントになるんですか」
「……んー?」
淡い桜色の小さな断片が、いくつもいくつも風に流されていく。僕は黙って、それを見ている。手を伸ばすこともしないで。
「嘘は何回ついたって、嘘だろ」
「ですよね」
「嘘つきは怪人二十面相の始まりだ」
「言っている意味がわかりません」
「少年、」
「はい」
「市野谷に嘘つくの、しんどいのか?」
先生の煙草の煙も、みるみるうちに風に流されていく。手を伸ばしたところで、掴むことなどできないまま。
「市野谷に、直正は死んでないって、嘘をつき続けるの、しんどいか?」
ひーちゃんは知らない。あーちゃんが去年ここから死んだことを知らない。いや、知らない訳じゃない。認めていないのだ。あーちゃんの死を認めていない。彼がこの世界に僕らを置き去りにしたことを、許していない。
ひーちゃんはずっと信じている。あーちゃんは生きていると。いつか帰ってくると。今は遠くにいるけれど、きっとまた会える日が来ると。
だからひーちゃんは知らない。彼の墓石の冷たさも、彼が飛び降りたこの屋上の景色が、僕の目にどう映っているのかも。
屋上。フェンス。穴。空。桜。あーちゃん。自殺。墓石。遺書。透明人間。無。なんにもない。ない。空っぽ。いない。いないいないいないいない。ここにもいない。どこにもいない。探したっていない。消えた。消えちゃった。消滅。消失。消去。消しゴム。弾んで。飛んで。落ちて。転がって。その先に拾ってくれるきみがいて。笑顔。笑って。笑ってくれて。だけどそれも消えて。全部消えて。消えて消えて消えて。ただ昨日を越えて今日が過ぎ明日が来る。それを繰り返して。きみがいない世界で。ただ繰り返して。ひーちゃん。ひーちゃんが笑わなくなって。泣いてばかりで。だけどもうきみがいない。だから僕が。僕がひーちゃんを慰めて。嘘を。嘘をついて。ついてはいけない嘘を。ついてはいけない嘘ばかりを。それでもひーちゃんはまた笑うようになって。笑顔がたくさん戻って。だけどどうしてあんなにも、ひーちゃんの笑顔は空っぽなんだろう。
「しんどくなんか、ないですよ」
僕はそう答えた。
先生は何も言わなかった。
僕は明日にでも、怪人二十面相になっているかもしれなかった。
いつの間にか梅雨が終わり、実力テストも期末テストもクリアして、夏休みまであと一週間を切っていた。
ひと夏の解放までカウントダウンをしている今、僕のクラスの連中は完璧な気だるさに支配されていた。自主性や積極性などという言葉とは無縁の、慣性で流されているような脱力感。
先週に教室の天井四ヶ所に取り付けられている扇風機が全て故障したこともあいまって、クラスメイトたちの授業に対する意欲はほぼゼロだ。授業がひとつ終わる度に、皆溶け出すように机に上半身を投げ出しており、次の授業が始まったところで、その姿勢から僅かに起き上がる程度の差しかない。
そういう僕も、怠惰な中学二年生のひとりに過ぎない。さっきの英語の授業でノートに書き記したことと言えば、英語教師の松田が何回額の汗を脱ぐったのかを表す「正」の字だけだ。
休み時間に突入し、がやがやと騒がしい教室で、ひとりだけ仲間外れのように沈黙を守っていると、肘辺りから空気中に溶け出して、透明になっていくようなそんな気分になる。保健室には来るものの、自分の教室へは絶対に足を運ばないミナモの気持ちがわかるような気がする。
一学期がもうすぐ終わるこの時期になっても、相変わらず僕のクラスには常に二つの空席があった。ミナモも、ひーちゃんも、一度だって教室に登校してきていない。
「――くん、」
なんだか控えめに名前を呼ばれた気はしたが、クラスの喧騒に紛れて聞き取れなかった。
ふと机から顔を上げると、ひとりの女子が僕の机の脇に立っていた。見たことがあるような顔。もしかして、クラスメイトのひとりだろうか。彼女は廊下を指差して、「先生、呼んでる」とだけ言って立ち去った。
あまりにも唐突な出来事でその女子にお礼を言うのも忘れたが、廊下には担任の姿が見える。僕のクラス担任の担当科目は数学だが、次の授業は国語だ。なんの用かはわからないが、呼んでいるのなら行かなくてはならない。
「おー、悪いな、呼び出して」
去年大学を卒業したばかりの、どう見ても体育会系な容姿をしている担任は、僕を見てそう言った。
「ほい、これ」
突然差し出されたのはプリントの束だった。三十枚くらいありそうなプリントが穴を空けられ紐を通して結んである。
「悪いがこれを、市野谷さんに届けてくれないか」
担任がひーちゃんの名を口にしたのを聞いたのは、久しぶりのような気がした。もう朝の出欠確認の時でさえ、彼女の名前は呼ばれない。ミナモの名前だってそうだ。このクラスでは、ひーちゃんも、ミナモも、いないことが自然なのだ。
「……先生が、届けなくていいんですか」
「そうしたいのは山々なんだが、なかなか時間が取れなくてな。夏休みに入ったら家庭訪問に行こうとは思ってるんだ。このプリントは、それまでにやっておいてほしい宿題。中学に入ってから二年の一学期までに習う数学の問題を簡単にまとめたものなんだ」
「わかりました、届けます」
受け取ったプリントの束は、思っていたよりもずっとずっしりと重かった。
「すまんな。市野谷さんと小学生の頃一番仲が良かったのは、きみだと聞いたものだから」
「いえ……」
一年生の時から、ひーちゃんにプリントを届けてほしいと教師に頼まれることはよくあった。去年は彼女と僕は違うクラスだったけれど、同じ小学校出身の誰かに僕らが幼馴染みであると聞いたのだろう。
僕は学校に来なくなったひーちゃんのことを毛嫌いしている訳ではない。だから、何か届け物を頼まれてもそんなに嫌な気持ちにはならない。でも、と僕は思った。
でも僕は、ひーちゃんと一番仲が良かった訳じゃないんだ。
「じゃあ、よろしく頼むな」
次の授業の始業のチャイムが鳴り響く。
教室に戻り、出したままだった英語の教科書と「正」の字だけ記したノートと一緒に、ひーちゃんへのプリントの束を鞄に仕舞いながら、なんだか僕は泣きたくなった。
三角形が壊れるのは簡単だった。
三角形というのは、三辺と三つの角でできていて、当然のことだけれど一辺とひとつの角が消失したら、それはもう三角形ではない。
まだ小学校に上がったばかりの頃、僕はどうして「さんかっけい」や「しかっけい」があるのに「にかっけい」がないのか、と考えていたけれど、どうやら僕の脳味噌は、その頃から数学的思考というものが不得手だったようだ。
「にかっけい」なんてあるはずがない。
僕と、あーちゃんと、ひーちゃん。
僕ら三人は、三角形だった。バランスの取りやすい形。
始まりは悲劇だった。
あの悪夢のような交通事故。ひーちゃんの弟の死。
真っ白なワンピースが汚れることにも気付かないまま、真っ赤になった弟の身体を抱いて泣き叫ぶひーちゃんに手を伸ばしたのは、僕と一緒に下校する途中のあーちゃんだった。
お互いの家が近かったこともあって、それから僕らは一緒にいるようになった。
溺愛していた最愛の弟を、目の前で信号無視したダンプカーに撥ねられて亡くしたひーちゃんは、三人で一緒にいてもときどき何かを思い出したかのように暴れては泣いていたけれど、あーちゃんはいつもそれをなだめ、泣き止むまでずっと待っていた。
口下手な彼は、ひーちゃんに上手く言葉をかけることがいつもできずにいたけれど、僕が彼の言葉を補って彼女に伝えてあげていた。
優しくて思いやりのあるひーちゃんは、感情を表すことが苦手なあーちゃんのことをよく気遣ってくれていた。
僕らは嘘みたいにバランスの取れた三角形だった。
あーちゃんが、この世界からいなくなるまでは。
「夏は嫌い」
昔、あーちゃんはそんなことを口にしていたような気がする。
「どうして?」
僕はそう訊いた。
夏休み、花火、虫捕り、お祭り、向日葵、朝顔、風鈴、西瓜、プール、海。
水の中の金魚の世界と、バニラアイスの木べらの湿り気。
その頃の僕は今よりもずっと幼くて、四季の中で夏が一番好きだった。
あーちゃんは部屋の窓を網戸にしていて、小さな扇風機を回していた。
彼は夏休みも相変わらず外に出ないで、部屋の中で静かに過ごしていた。彼の傍らにはいつも、星座の本と分厚い昆虫図鑑が置いてあった。
「夏、暑いから嫌いなの?」
僕が尋ねるとあーちゃんは抱えていた分厚い本からちょっとだけ顔を上げて、小さく首を横に振った。それから困ったように笑って、
「夏は、皆死んでいるから」
とだけ、つぶやくように言った。あーちゃんは、時々魔法の呪文のような、不思議なことを言って僕を困惑させることがあった。この時もそうだった。
「どういう意味?」
僕は理解できずに、ただ訊き返した。
あーちゃんはさっきよりも大きく首を横に振ると、何を思ったのか、唐突に、
「ああ、でも、海に行ってみたいな」
なんて言った。
「海?」
「そう、海」
「どうして、海?」
「海は、色���せてないかもしれない。死んでないかもしれない」
その言葉の意味がわからず、僕が首を傾げていると、あーちゃんはぱたんと本を閉じて机に置いた。
「台所へ行こうか。確か、母さんが西瓜を切ってくれていたから。一緒に食べよう」
「うん!」
僕は西瓜に釣られて、わからなかった言葉のことも、すっかり忘れてしまった。
でも今の僕にはわかる。
夏の日射しは、世界を色褪せさせて僕の目に映す。
あーちゃんはそのことを、「死んでいる」と言ったのだ。今はもう確かめられないけれど。
結局、僕とあーちゃんが海へ行くことはなかった。彼から海へ出掛けた話を聞いたこともないから、恐らく、海へ行くことなく死んだのだろう。
あーちゃんが見ることのなかった海。
海は日射しを浴びても青々としたまま、「生きて」いるんだろうか。
彼が死んでから、僕も海へ足を運んでいない。たぶん、死んでしまいたくなるだろうから。
あーちゃん。
彼のことを「あーちゃん」と名付けたのは僕だった。
そういえば、どうして僕は「あーちゃん」と呼び始めたんだっけか。
彼の名前は、鈴木直正。
どこにも「あーちゃん」になる要素はないのに。
うなじを焼くようなじりじりとした太陽光を浴びながら、ペダルを漕いだ。
鼻の頭からぷつぷつと汗が噴き出すのを感じ、手の甲で汗を拭おうとしたら手は既に汗で湿っていた。雑音のように蝉の声が響いている。道路の脇には背の高い向日葵は、大きな花を咲かせているのに風がないので微動だにしない。
赤信号に止められて、僕は自転車のブレーキをかける。
夏がくる度、思い出す。
僕とあーちゃんが初めてひーちゃんに出会い、そして彼女の最愛の弟「ろーくん」が死んだ、あの事故のことを。
あの日も、世界が真っ白に焼き切れそうな、暑い日だった。
ひーちゃんは白い木綿のワンピースを着ていて、それがとても涼しげに見えた。ろーくんの血で汚れてしまったあのワンピースを、彼女はもうとっくに捨ててしまったのだろうけれど。
そういえば、ひーちゃんはあの事故の後、しばらくの間、弟の形見の黒いランドセルを使っていたっけ。黒い服ばかり着るようになって。周りの子はそんな彼女を気味悪がったんだ。
でもあーちゃんは、そんなひーちゃんを気味悪がったりしなかった。
信号が赤から青に変わる。再び漕ぎ出そうとペダルに足を乗せた時、僕の両目は横断歩道の向こうから歩いて来るその人を捉えて凍りついてしまった。
胸の奥の方が疼く。急に、聞こえてくる蝉の声が大きくなったような気がした。喉が渇いた。頬を撫でるように滴る汗が気持ち悪い。
信号は青になったというのに、僕は動き出すことができない。向こうから歩いて来る彼は、横断歩道を半分まで渡ったところで僕に気付いたようだった。片眉を持ち上げ、ほんの少し唇の端を歪める。それが笑みだとわかったのは、それとよく似た笑顔をずいぶん昔から知っているからだ。
「うー兄じゃないですか」
うー兄。彼は僕をそう呼んだ。
声変わりの途中みたいな声なのに、妙に大人びた口調。ぼそぼそとした喋り方。
色素の薄い頭髪。切れ長の一重瞼。ひょろりと伸びた背。かけているのは銀縁眼鏡。
何もかもが似ているけれど、日に焼けた真っ黒な肌と筋肉のついた足や腕だけは、記憶の中のあーちゃんとは違う。
道路を渡り終えてすぐ側まで来た彼は、親しげに僕に言う。
「久しぶりですね」
「……久しぶり」
僕がやっとの思いでそう声を絞り出すと、彼は「ははっ」と笑った。きっとあーちゃんも、声を上げて笑うならそういう風に笑ったんだろうなぁ、と思う。
「どうしたんですか。驚きすぎですよ」
困ったような笑顔で、眼鏡をかけ直す。その手つきすらも、そっくり同じ。
「嫌だなぁ。うー兄は僕のことを見る度、まるで幽霊でも見たような顔するんだから」
「ごめんごめん」
「ははは、まぁいいですよ」
僕が謝ると、「あっくん」はまた笑った。
彼、「あっくん」こと鈴木篤人くんは、僕の一個下、中学一年生。私立の学校に通っているので僕とは学校が違う。野球部のエースで、勉強の成績もクラストップ。僕の団地でその中学に進学できた子供は彼だけだから、団地の中で知らない人はいない優等生だ。
年下とは思えないほど大人びた少年で、あーちゃんにそっくりな、あーちゃんの弟。
「中学は、どう? もう慣れた?」
「慣れましたね。今は部活が忙しくて」
「運動部は大変そうだもんね」
「うー兄は、帰宅部でしたっけ」
「そう。なんにもしてないよ」
「今から、どこへ行くんですか?」
「ああ、えっと、ひーちゃんに届け物」
「ひー姉のところですか」
あっくんはほんの一瞬、愛想笑いみたいな顔をした。
「ひー姉、まだ学校に行けてないんですか?」
「うん」
「行けるようになるといいですね」
「そうだね」
「うー兄は、元気にしてましたか?」
「僕? 元気だけど……」
「そうですか。いえ、なんだかうー兄、兄貴に似てきたなぁって思ったものですから」
「僕が?」
僕があーちゃんに似てきている?
「顔のつくりとかは、もちろん違いますけど、なんていうか、表情とか雰囲気が、兄貴に似てるなぁって」
「そうかな……」
僕にそんな自覚はないのだけれど。
「うー兄も死んじゃいそうで、心配です」
あっくんは柔らかい笑みを浮かべたままそう言った。
「……そう」
僕はそう返すので精いっぱいだった。
「それじゃ、ひー姉によろしくお伝え下さい」
「じゃあ、また……」
あーちゃんと同じ声で話し、あーちゃんと同じように笑う彼は、夏の日射しの中を歩いて行く。
(兄貴は、弱いから駄目なんだ)
いつか彼が、あーちゃんに向けて言った言葉。
あーちゃんは自分の弟にそう言われた時でさえ、怒ったりしなかった。ただ「そうだね」とだけ返して、少しだけ困ったような顔をしてみせた。
あっくんは、強い。
姿や雰囲気は似ているけれど、性格というか、芯の強さは全く違う。
あーちゃんの死を自分なりに受け止めて、乗り越えて。部活も勉強も努力して。あっくんを見ているといつも思う。兄弟でもこんなに違うものなのだろうか、と。ひとりっ子の僕にはわからないのだけれど。
僕は、どうだろうか。
あーちゃんの死を受け入れて、乗り越えていけているだろうか。
「……死相でも出てるのかな」
僕があーちゃんに似てきている、なんて。
笑えない冗談だった。
ふと見れば、信号はとっくに赤になっていた。青になるまで待つ間、僕の心から言い表せない不安が拭えなかった。
遺書を思い出した。
あーちゃんの書いた遺書。
「僕の分まで生きて。僕は透明人間なんです」
日褄先生はそれを、「ばっかじゃねーの」って笑った。
「透明人間は見えねぇから、透明人間なんだっつーの」
そんな風に言って、たぶん、泣いてた。
「僕の分まで生きて」
僕は自分の鼓動を聞く度に、その言葉を繰り返し、頭の奥で聞いていたような気がする。
その度に自分に問う。
どうして生きているのだろうか、と。
部屋に一歩踏み入れると、足下でガラスの破片が砕ける音がした。この部屋でスリッパを脱ぐことは自傷行為に等しい。
「あー、うーくんだー」
閉められたカーテン。閉ざされたままの雨戸。
散乱した物。叩き壊された物。落下したままの物。破り捨てられた物。物の残骸。
その中心に、彼女はいる。
「久しぶりだね、ひーちゃん」
「そうだねぇ、久しぶりだねぇ」
壁から落下して割れた時計は止まったまま。かろうじて壁にかかっているカレンダーはあの日のまま。
「あれれー、うーくん、背伸びた?」
「かもね」
「昔はこーんな小さかったのにねー」
「ひーちゃんに初めて会った時だって、そんなに小さくなかったと思うよ」
「あははははー」
空っぽの笑い声。聞いているこっちが空しくなる。
「はい、これ」
「なに? これ」
「滝澤先生に頼まれたプリント」
「たきざわって?」
「今度のクラスの担任だよ」
「ふーん」
「あ、そうだ、今度は僕の同じクラスに……」
彼女の手から投げ捨てられたプリントの束が、ろくに掃除されていない床に落ちて埃を巻き上げた。
「そういえば、あいつは?」
「あいつって?」
「黒尽くめの」
「黒尽くめって……日褄先生のこと?」
「まだいる?」
「日褄先生なら、今年度も学校にいるよ」
「なら、学校には行かなーい」
「どうして?」
「だってあいつ、怖いことばっかり言うんだもん」
「怖いこと?」
「あーちゃんはもう、死んだんだって」
「…………」
「ねぇ、うーくん」
「……なに?」
「うーくんはどうして、学校に行けるの? まだあーちゃんが帰って来ないのに」
どうして僕は、生きているんだろう。
「『僕』はね、怖いんだよ、うーくん。あーちゃんがいない毎日が。『僕』の毎日の中に、あーちゃんがいないんだよ。『僕』は怖い。毎日が怖い。あーちゃんのこと、忘れそうで怖い。あーちゃんが『僕』のこと、忘れそうで怖い……」
どうしてひーちゃんは、生きているんだろう。
「あーちゃんは今、誰の毎日の中にいるの?」
ひーちゃんの言葉はいつだって真っ直ぐだ。僕の心を突き刺すぐらい鋭利だ。僕の心を掻き回すぐらい乱暴だ。僕の心をこてんぱんに叩きのめすぐらい凶暴だ。
「ねぇ、うーくん」
いつだって思い知らされる。僕が駄目だってこと。
「うーくんは、どこにも行かないよね?」
いつだって思い知らせてくれる。僕じゃ駄目だってこと。
「どこにも、行かないよ」
僕はどこにも行けない。きみもどこにも行けない。この部屋のように時が止まったまま。あーちゃんが死んでから、何もかもが停止したまま。
「ふーん」
どこか興味なさそうな、ひーちゃんの声。
「よかった」
その後、他愛のない話を少しだけして、僕はひーちゃんの家を後にした。
死にたくなるほどの夏の熱気に包まれて、一気に現実に引き戻された気分になる。
こんな現実は嫌なんだ。あーちゃんが欠けて、ひーちゃんが壊れて、僕は嘘つきになって、こんな世界は、大嫌いだ。
僕は自分に問う。
どうして僕は、生きているんだろう。
もうあーちゃんは死んだのに。
「ひーちゃん」こと市野谷比比子は、小学生の頃からいつも奇異の目で見られていた。
「市野谷さんは、まるで死体みたいね」
そんなことを彼女に言ったのは、僕とひーちゃんが小学四年生の時の担任だった。
校舎の裏庭にはクラスごとの畑があって、そこで育てている作物の世話を、毎日クラスの誰かが当番制でしなくてはいけなかった。それは夏休み期間中も同じだった。
僕とひーちゃんが当番だった夏休みのある日、黙々と草を抜いていると、担任が様子を見にやって来た。
��頑張ってるわね」とかなんとか、最初はそんな風に声をかけてきた気がする。僕はそれに、「はい」とかなんとか、適当に返事をしていた。ひーちゃんは何も言わず、手元の草を引っこ抜くことに没頭していた。
担任は何度かひーちゃんにも声をかけたが、彼女は一度もそれに答えなかった。
ひーちゃんはいつもそうだった。彼女が学校で口を利くのは、同じクラスの僕と、二つ上の学年のあーちゃんにだけ。他は、クラスメイトだろうと教師だろうと、一言も言葉を発さなかった。
この当番を決める時も、そのことで揉めた。
くじ引きでひーちゃんと同じ当番に割り当てられた意地の悪い女子が、「せんせー、市野谷さんは喋らないから、当番の仕事が一緒にやりにくいでーす」と皆の前で言ったのだ。
それと同時に、僕と一緒の当番に割り当てられた出っ歯の野郎が、「市野谷さんと仲の良い――くんが市野谷さんと一緒にやればいいと思いまーす」と、僕の名前を指名した。
担任は困ったような笑顔で、
「でも、その二人だけを仲の良い者同士にしたら、不公平じゃないかな? 皆だって、仲の良い人同士で一緒の当番になりたいでしょう? 先生は普段あまり仲が良くない人とも仲良くなってもらうために、当番の割り振りをくじ引きにしたのよ。市野谷さんが皆ともっと仲良くなったら、皆も嬉しいでしょう?」
と言った。意地悪ガールは間髪入れずに、
「喋らない人とどうやって仲良くなればいいんですかー?」
と返した。
ためらいのない発言だった。それはただただ純粋で、悪意を含んだ発言だった。
「市野谷さんは私たちが仲良くしようとしてもいっつも無視してきまーす。それって、市野谷さんが私たちと仲良くしたくないからだと思いまーす。それなのに、無理やり仲良くさせるのは良くないと思いまーす」
「うーん、そんなことはないわよね、市野谷さん」
ひーちゃんは何も言わなかった。まるで教室内での出来事が何も耳に入っていないかのような表情で、窓の外を眺めていた。
「市野谷さん? 聞いているの?」
「なんか言えよ市野谷」
男子がひーちゃんの机を蹴る。その振動でひーちゃんの筆箱が机から滑り落ち、がちゃんと音を立てて中身をぶちまけたが、それでもひーちゃんには変化は訪れない。
クラスじゅうにざわざわとした小さな悪意が満ちる。
「あの子ちょっとおかしいんじゃない?」
そんな囁きが満ちる。担任の困惑した顔。意地悪いクラスメイトたちの汚らわしい視線。
僕は知っている。まるでここにいないかのような顔をして、窓の外を見ているひーちゃんの、その視線の先を。窓から見える新校舎には、彼女の弟、ろーくんがいた一年生の教室と、六年生のあーちゃんがいる教室がある。
ひーちゃんはいつも、ぼんやりとそっちばかりを見ている。教室の中を見渡すことはほとんどない。彼女がここにいないのではない。彼女にとって、こっちの世界が意味を成していないのだ。
「市野谷さんは、死体みたいね」
夏休み、校舎裏の畑。
その担任の一言に、僕は思わずぎょっとした。担任はしゃがみ込み、ひーちゃんに目線を合わせようとしながら、言う。
「市野谷さんは、どうしてなんにも言わないの? なんにも思わないの? あんな風に言われて、反論したいなって思わないの?」
ひーちゃんは黙って草を抜き続けている。
「市野谷さんは、皆と仲良くなりたいって思わない? 皆は、市野谷さんと仲良くなりたいって思ってるわよ」
ひーちゃんは黙っている。
「市野谷さんは、ずっとこのままでいるつもりなの? このままでいいの? お友達がいないままでいいの?」
ひーちゃんは。
「市野谷さん?」
「うるさい」
どこかで蝉が鳴き止んだ。
彼女が僕とあーちゃん以外の人間に言葉を発したところを、僕は初めて見た。彼女は担任を睨み付けるように見つめていた。真っ黒な瞳が、鋭い眼光を放っている。
「黙れ。うるさい。耳障り」
ひーちゃんが、僕の知らない表情をした。それはクラスメイトたちがひーちゃんに向けたような、玩具のような悪意ではなかった。それは本当の、なんの混じり気もない、殺意に満ちた顔だった。
「あんたなんか、死んじゃえ」
振り上げたひーちゃんの右手には、草抜きのために職員室から貸し出された鎌があって――。
「ひーちゃん!」
間一髪だった。担任は真っ青な顔で、息も絶え絶えで、しかし、その鎌の一撃をかろうじてかわした。担任は震えながら、何かを叫びながら校舎の方へと逃げるように走り去って行く。
「ひーちゃん、大丈夫?」
僕は地面に突き刺した鎌を固く握りしめたまま、動かなくなっている彼女に声をかけた。
「友達なら、いるもん」
うつむいたままの彼女が、そうぽつりと言う。
「あーちゃんと、うーくんがいるもん」
僕はただ、「そうだね」と言って、そっと彼女の頭を撫でた。
小学生の頃からどこか危うかったひーちゃんは、あーちゃんの自殺によって完全に壊れてしまった。
彼女にとってあーちゃんがどれだけ大切な存在だったかは、説明するのが難しい。あーちゃんは彼女にとって絶対唯一の存在だった。失ってはならない存在だった。彼女にとっては、あーちゃん以外のものは全てどうでもいいと思えるくらい、それくらい、あーちゃんは特別だった。
ひーちゃんが溺愛していた最愛の弟、ろーくんを失ったあの日。
あの日から、ひーちゃんの心にぽっかりと空いた穴を、あーちゃんの存在が埋めてきたからだ。
あーちゃんはひーちゃんの支えだった。
あーちゃんはひーちゃんの全部だった。
あーちゃんはひーちゃんの世界だった。
そして、彼女はあーちゃんを失った。
彼女は入学することになっていた中学校にいつまで経っても来なかった。来るはずがなかった。来れるはずがなかった。そこはあーちゃんが通っていたのと同じ学校であり、あーちゃんが死んだ場所でもある。
ひーちゃんは、まるで死んだみたいだった。
一日中部屋に閉じこもって、食事を摂ることも眠ることも彼女は拒否した。
誰とも口を利かなかった。実の親でさえも彼女は無視した。教室で誰とも言葉を交わさなかった時のように。まるで彼女の前からありとあらゆるものが消滅してしまったかのように。泣くことも笑うこともしなかった。ただ虚空を見つめているだけだった。
そんな生活が一週間もしないうちに彼女は強制的に入院させられた。
僕が中学に入学して、桜が全部散ってしまった頃、僕は彼女の病室を初めて訪れた。
「ひーちゃん」
彼女は身体に管を付けられ、生かされていた。
屍のように寝台に横たわる、変わり果てた彼女の姿。
(市野谷さんは死体みたいね)
そんなことを言った、担任の言葉が脳裏をよぎった。
「ひーちゃんっ」
僕はひーちゃんの手を取って、そう呼びかけた。彼女は何も言わなかった。
「そっち」へ行ってほしくなかった。置いていかれたくなかった。僕だって、あーちゃんの突然の死を受け止めきれていなかった。その上、ひーちゃんまで失うことになったら。そう考えるだけで嫌だった。
僕はここにいたかった。
「ひーちゃん、返事してよ。いなくならないでよ。いなくなるのは、あーちゃんだけで十分なんだよっ!」
僕が大声でそう言うと、初めてひーちゃんの瞳が、生き返った。
「……え?」
僕を見つめる彼女の瞳は、さっきまでのがらんどうではなかった。あの時のひーちゃんの瞳を、僕は一生忘れることができないだろう。
「あーちゃん、いなくなったの?」
ひーちゃんの声は僕の耳にこびりついた。
何言ってるんだよ、あーちゃんは死んだだろ。そう言おうとした。言おうとしたけれど、何かが僕を引き留めた。何かが僕の口を塞いだ。頭がおかしくなりそうだった。狂っている。僕はそう思った。壊れている。破綻している。もう何もかもが終わってしまっている。
それを言ってしまったら、ひーちゃんは死んでしまう。僕がひーちゃんを殺してしまう。ひーちゃんもあーちゃんみたいに、空を飛んでしまうのだ。
僕はそう直感していた。だから声が出なかった。
「それで、あーちゃん、いつかえってくるの?」
そして、僕は嘘をついた。ついてはいけない嘘だった。
あーちゃんは生きている。今は遠くにいるけれど、そのうち必ず帰ってくる、と。
その一週間後、ひーちゃんは無事に病院を退院した。人が変わったように元気になっていた。
僕の嘘を信じて、ひーちゃんは生きる道を選んだ。
それが、ひーちゃんの身体をいじくり回して管を繋いで病室で寝かせておくことよりもずっと残酷なことだということを僕は後で知った。彼女のこの上ない不幸と苦しみの中に永遠に留めておくことになってしまった。彼女にとってはもうとっくに終わってしまったこの世界で、彼女は二度と始まることのない始まりをずっと待っている。
もう二度と帰ってこない人を、ひーちゃんは待ち続けなければいけなくなった。
全ては僕のついた幼稚な嘘のせいで。
「学校は行かないよ」
「どうして?」
「だって、あーちゃん、いないんでしょ?」
学校にはいつから来るの? と問いかけた僕にひーちゃんは笑顔でそう答えた。まるで、さも当たり前かのように言った。
「『僕』は、あーちゃんが帰って来るのを待つよ」
「あれ、ひーちゃん、自分のこと『僕』って呼んでたっけ?」
「ふふふ」
ひーちゃんは笑った。幸せそうに笑った。恥ずかしそうに笑った。まるで恋をしているみたいだった。本当に何も知らないみたいに。本当に、僕の嘘を信じているみたいに。
「あーちゃんの真似、してるの。こうしてると自分のことを言う度、あーちゃんのことを思い出せるから」
僕は笑わなかった。
僕は、笑えなかった。
笑おうとしたら、顔が歪んだ。
醜い嘘に、歪んだ。
それからひーちゃんは、部屋に閉じこもって、あーちゃんの帰りをずっと待っているのだ。
今日も明日も明後日も、もう二度と帰ってこない人を。
※(2/4) へ続く→ https://kurihara-yumeko.tumblr.com/post/647000556094849024/
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3月に入ってから御言葉で異性の罪、情の罪についてのお話があったので、なんとなく警戒していたのだけれど、やっぱりというか、案の定というか、異性から告白されるというイベントが発生した。
有料記事を読んでいる方は既にご存知の通り、信仰を持つとサタンが堕落させようと必死で信仰者に恋愛イベントを持ち込み出します。
今までモテと無縁だった人でも謎のモテ状態になる。異性の罪が一番重い罪だとサタンは知っているからです。
異性の罪と聞いて有料記事未読の方は何がなにやらだと思うんですけど、神様と疎通して恋人同士になることが本来人間にとっての「幸せ」というものなんだよという話であり、世の中の男女が上手く行かない原因の根本がこれなのです。
アダムとエバがまだ霊的に成長してないのに身体の関係を持ってしまって、人生が狂った。そして彼らは神様が人類の救いの為に立てた中心者でもあったので、人類の運命も狂った。それを聖書の中では木の実を食べたで表現している。ことを私はRaptさんのブログで初めて知りました。
まあ異性の罪についての詳しい話は有料記事をお読み頂くとして、今回どうやって告白イベントをクラッシュして乗り切ったかを書き出し、分析して、自己反省していこうと思います。
告白されたのはコロナ休校で学校に通わなくてもよくなった休校中でした。
そう。私はつい最近まで通学していました。
その前はアルバイトをしていたのですが(アルバイトする前はポルターガイスト現象に見舞われたりしながら半ば世捨て人というか、ニートみたいな感じで、そもそも社会に参加してなかったんだけど、それは人によっては馴染みのない話だからまたの機会に)、
個性才能を発見したいというか、手に職をつけたほうがいいなとか…
いや本音を言うと、御言葉の中に電気的なことや工学的な話が出てくるから、それを理解できるようになりたいなという理由で学生になることにしたのでした。スマホの中身とか仕組みが分からないし、コンピュータやネットの概念が自分の中でフワッとしていたからです。
私はもともと小さい頃は図鑑を読んだり図工をしたりするのが好きで、小学校では本ばかり読んでいたし(バレエもやってたけど)、中学では美術をやって、高校は霊現象に見舞われてたから中退したけど美術部の先生には入部を誘われていた(寮生で門限とかもあったから入れなかったわけだけど…)所謂どっちかといえば文系人間であった。
でも今回通ったのは理系分野だったので、もう、それはそれは未知の世界だったわけなのですが、意外や意外、文系は設計などのモノ作りの世界に向いてるっぽい?
いや、単に神様がそう導いてくれただけの可能性のが強い?
入学試験の日に面接があって、面接官をやっていた先生たちが「女の人他にいないけど大丈夫ですか?」って訊いてきたので、「え?女の人だと困る事例が今までにあったのでしょうか?」って訊き返したら、「いやそういう話は特にないです」と返されたので、なんだそれは…どういう意図の会話だったのだ…?と疑問に思いました。
一応卒業生に女の人は何人かいるんだけど、学年飛び飛びで発生するからお互いに写真でしか知らない感じです。
最終学年の夏季休暇より前だったかに会社見学先で会った女性の先輩は、2人きりになった瞬間に「女の人1人だけだと大変ですよね…」って切り出してきたから何かあったんだと思う。
そして先生たちには相談できなかったんだと思う。女の人は、いや人は、「この人に相談したところで解決しない」とわかっている相手に相談したりなどしないからである。この先生たちはあまり頼りにならない存在だとみなされていたんだろうなと思う。
私も入学早々話しかけてきた男の人(クラスメイト)相手に頭痛と吐き気を覚えたことがあって、「授業内容に関わること意外で私に話しかけないでもらえますか?何故か頭痛がするんで」と素直に伝えたんですけど(読んでる人は笑ってもいいです)、「え?なんで?いろんな雑談するほうが楽しくない?」みたいにヘラヘラ食い下がってきたし、それから1年くらいはしつこかった。
本当に面倒臭かった。めっちゃ滅びを祈ってた。どうせサタンに主管されてた人だと思ったから。そう、彼が他のクラスメイトと話す内容は大変下品な下ネタか、目下年下の人間を見下す高圧的で卑劣なもので、あと無い学歴で高学歴マウントをとろうとする(たまにいるよねこういう謎の行為するやつ)などの老害行為とか、とにかくこの世の地獄のような思想を煮詰めた煮こごりみたいな人だった。
そんでその下品な男の人は1年くらいして、ようやく私のことを「最初から生理的に受け付けなかったし」と言って避けるように(無視するように?)なってくれた。私はそれまでずっと「好き嫌いという以前に、人として生理的に受け付けないので関わりたくないです」とめげずに伝え続けてきたので、その台詞はパクリでは?と思いながらも、あと最初からそう思ってくれて話しかけないでくれていたなら私も楽だったのに…とか相手の発言に矛盾を感じながらも喜びました。
今まであなたによって発生してしまった無駄な時間はなんだったんだろうな?あとあなたが勝手にメルカリに出品した私が制作したキーホルダーも返してくれると嬉しかったけどそれは返してくれないのな?(追記:返してもらえませんでした)まあいいよ悪人が離れてくれればそれで。この世の物品など平和な生活に比べたらなんてことないぜ。
そんなこんなで、私は紅一点ながらも下心を持った男の人には塩対応する部分をみんなに見せてきたので、その後謎アタックしてくる人や、謎アプローチしてくる人はいなくなりました。他の科の頭のおかしい人が名前を連呼しながら横を通過したりとかはあったけど、その他は概ね平和に過ごせたと思う。
男子生徒と女子生徒で態度変える��イプの男の先生たちからは「人使いが荒い」と言われていたし、クラスメイトにも「まあ…あの人はクレイジーだから…」とか「誰よりも男らしい」とか言われていたので、まあ大丈夫だろう、みたいな。
まあ大丈夫じゃなかったことが今回発覚したんだけど。
突然の休校が決まったのはニュースで臨時休校が話題になってからずっと後で、その前は周りに建っている小中学校や高校が休みになる中うちの学校はというと、スカイプを使ってのんびり他校とロボットカーレース的なことをしていた。
会社によってはリモートワークの環境作りに四苦八苦していたようだけど、流石は電気系の先生が多めの学校というか、大会におけるスカイプ空間は学校の設備と先生たちの私物によってサクサク構築されていった。やっぱり最近売れてる自撮り用の小さいながらも高性能なカメラは便利そうである。結構高いみたいだし、海外製は当たりハズレもあるみたいだけど。
そんな感じでのんびり過ごしていたのに突然休校することになったのは周り(東京都の偉い人とか)の目を気にして焦ったからなのか?
ちなみに学校から感染者は1人も出ていないし、もちろんインフルすら出てない。
まあコロナはインフルなのでパンデミックの報道はデマなんだけど、学校は男の人ばかりであるせいかみんな基本的に不健康な生活を送っていたので、そういう暮らしを目にすることに私は若干辛みを感じていたので、休暇は素直に嬉しかったです。(なんで男の人は健康な食事にあそこまで無頓着なのだろうか?)
休暇だけど最終学年なので、つまりは卒業であり、ある意味クラスメイト達とはこの先恐らく二度と会わなくなることを意味します。
それでサタンも焦ったのでしょうか?今回は卒業制作を一緒に仕上げた人間から告白されたんですね。
学校最終日、私はいつものように普通に登校しました。
休校になることは突然知らされたので、荷物や教科書を全て持って帰らねばならなくなったこともあり、まあまあ驚きましたが、それ以上に驚いたのがその日はなんとなくカートをゴロゴロ引いて登校してきたので、スムーズに荷物が持って帰れるという偶然でした。(いや、神様は偶然はないと仰っていましたから神様が霊感で持たせて下さったのでしょう。よって私は神様に感謝しました)
それまでの授業ではラズパイでサーバを構築してHPを作る授業が行われていたのですが無事終わったので、持ち込んでたモニタをもって帰ろうと思ってカートを持ってってたんですね。そこで突然の休校です。
午前中は後輩に教室を明け渡す為に作業場を掃除したりして過ごして、午後は後輩たちのプレゼン大会が予定されていて、いつもより授業の始まる時間が遅かったので私は一旦家に帰ることにしました。あとなんか掃除中にヘアゴムが切れてしまってピンチで、そのへんにあった針金で留めていたので、家でまとめ直したかったというのもある。
やばいピンチだ…と針金で留め直してたとき、思い返せば今回告白してきた人が髪を下ろしたらどうなるのか的な質問をしてきて、「どうって、邪魔ですよね。作業するのに」と返したら「そっか」と笑っていたけど、なんか違和感を感じたやり取りだったのだけど、そういうことだったのかね?
思い返せば中学生の頃プールの授業のあとで髪を下ろして乾かしてたら、当時学校にいた私のことを観察する会的な謎の集団がわざわざそれを見にやってきたことがあった。だからそう、こういう髪に関することで注目してくる男の人はもうなんか駄目なんだと思う。そういうことだったのかも。
そんで家に帰ってから髪を留めて、なんとなくハンカチを新しいものに替えて、また学校へと出発しました。
ちなみに家に着いたとき、たまたま祖母が家にいて何故かご飯を炊いていて、「ちょうど出来たから食べていく?」っていうので、いつもはお昼ごはん食べないんだけどその日は食べてから出発したのでした(よってちょっと出遅れた)。いつもは一駅歩くのだけど、遅刻は嫌なので駅のホームで電車を待っていたら、若い女の人達が「〇〇駅ってどうやって行くんだっけ?」とワイワイ喋りながらスマホで乗り換え検索しながらこちらに向かってきた。でも〇〇駅は反対方向の電車に乗ってから乗り継がなければならないので声をかけてそれを伝えたら、ちょうど反対側に電車がくるところだったのもあり「ありがとうございます!」と言いながら彼女たちは駆け足でギリギリセーフで乗車していった。(そこで私は思った。ああそうか、それで私は家を出遅れたのかも。神様ありがとう!)
なので学校に着いた時刻はプレゼン予定時刻ギリギリだったんだけど、予定が押したみたいでまだ余裕であった。神様ありがとうございます。
後輩達は私達の学年より真面目な子達が多いので、プレゼンはとてもクオリティが高かった。んだけど中に仏教かぶれの人がいて若干むむってなった。仏教は悪魔崇拝だからです。まあネタ化されてたからガチではないのかもしれないけど。全ての神社仏閣が滅びますように。
最後はなんか、お別れの挨拶をそれぞれ述べて終了という流れになったんだけど、プレゼンを指導していた外部講師の方が今日で十数年に渡る講師活動を終えるとのことで泣きながら色々と思い出を語っていた。熱血タイプの先生なので涙が思いと一緒に溢れてしまったのだろうと思う。私達も突然で驚いたけど色々とタイミングが良すぎである。もういっそ今日が卒業式ってことで良いのではと思った。
お化粧が崩れるのも構わず泣いている先生を見ていて、「そういえば私何故か新しいハンカチ持ってきてたな」と思い出し、そのハンカチを渡した(この時新しいハンカチを持たせて下さったのは間違いなく神様だと思った)。
彼女は潔癖症なので未使用であることを伝えて渡した。「もう学校最後だから洗って返せない。どうしよう!」と言うので、「あげますよ」って言ったら、「洗わないでとっておこうかな(笑)」とか言いだしたので、潔癖症なのにご冗談をと思いながら「いや洗いましょう。何か繁殖しちゃうかもしれないじゃないですか」って返したら「コロナとか?」と笑われたので、私はその流れのまま「コロナはインフルエンザなんですよ」って話をした。
(私最近会う人会う人誰とでもコロナはインフルの話をしているけれど、まだ誰にも否定されたり拒絶されてない。Twitterの工作員とは随分反応が違うよね)
そんなこんなで授業もおわり、作業室で卒業制作で作ったマシンを班員と二人で動かしたりして遊んだ。校長先生を乗せる約束をしていたのにまだ乗せてなくて可愛そうだという話があったので、久々の起動に様子を見ながら発進させてたんだけど、校長を呼んで乗せてたらしばらく動いてマシンは死んだ。
FETが爆発したりしたわけじゃないから、多分ダイオードが死んだとかじゃん?という結論になったんだけど、調べないとわからん…わからんけどもう時間がないので、あとはもう後輩たちが好きにすれば良いんじゃん?ということになった。大掃除のときにモータドライバの同人誌を託したことだし(次回はデジタルアイソレータとか入れてみてほしい)。
校長先生や担任の先生たちとのお喋りも今日で最後か…というわけで、せっかくなのでコロナの画像がサンゴ礁の写真を加工した画像だった説や、タピオカヤクザの話や、蓮舫議員の闇のお婆ちゃん陳杏村の話をした。私は学級日誌でも毎度こんな話しか書いてなかったので先生たちも慣れていたのもあると思うんだけど、割とスムーズに受け入れてくれました。東京都からお金が出てパーツとか買ったりする学校だったけど、都知事をディスったところで咎める者は誰もいなかった。小池百合子はやはり都の職員からも嫌われているのではないか。
このまま興味を持って色々調べるようになってくれれば嬉しいのだがどうだろうか。調べてくれますように。
そして私の知らないところで同性に伝道されるなり、ネットで伝道されるなりすれば良いと思う。
先生たちには「忘れ物があったら取りにおいでね」と言われたけど、学校まではルート的に結構距離があるので、私は「思い出と一緒に置いていきますね」と答えた。そしたら「じゃあ思い出が欲しくなったらいつでも来て下さい」と返されてしまった。グヌヌ被せボケ…
最後まで一緒に残っていたもうひとりのクラスメイトは「あと2時間くらいお話していたいですね!」とか言っていた。勘弁してほしい。
死にかけのマシンはホールに飾られることとなった。
試作の小型機は班員が夜なべして書いたプログラムのお陰か元気に走ったので、最後に走らせて展示場に到着させた。
班員は小型機にゴリアテと名付けようとか言い出して、私はゴリアテ倒す派なので(ダビデの話参照)その場で反対したのだけれど、その後どうなったのかは分からない。今思えば何かの暗示であったのかもしれない。今回告白してきた人間はこの班員であるからである。
そんなこんなで帰りが遅くなってしまったのが良くなかったんじゃないかと今では思う。
校門を出たら外は真っ暗だった。冬だったので星がキラキラしていて大変綺麗で良かったんだけど「星が綺麗ですね…ってもう寝る時間じゃん!」と焦った。私は早く寝て早く起きて祈ったりしたいからです。
さてさよならするぜと班員に別れを告げるとき、私は特に台詞が思い浮かばなかったので、「とりあえず禁煙したら」と言った。彼は喫煙者だったからである。そしたら今までは絶対無理とか言っていたのに、今回は珍しく「禁煙外来に行こうと思う」と言い出した。
喫煙者が減ることは良いことだし、そのことは普通に嬉しかったので神様に感謝して、私は家に帰った。
その日は風が強くて、家の近所の庭的な広場に誰かのTシャツが落ちていたので、風向きから推測したマンションに届けに行った…のはいいものの、どこに置けばいいのか分からなかったから、そこら辺にいた住人らしき方に訊いて、エントランスに引っ掛けてきた。住人らしき方は見ず知らずの私にお礼まで言ってくれて、最近世間がピリピリしているというのに、優しく対応してくれてありがとうと思った。
それから1週間くらい経った頃だろうか。なんだか体が重かった。生理でも無いのに日中眠かった。
勉強したくても頭がモヤモヤするというか、お祈りの時間に起きられてもなんだか体が重かった。そういう日が数日続いた。
そんなある日、制作課題用に作ったSNSルームに置きっぱにしていたファイルをダウンロードしようとPCを立ち上げログインしたら、告白文が踊っていた。
いや、その前から就活どう?的な情報交換はしてた(私の就活はゆっくりでギリギリだったので先生やクラスメイトたちが私の代わりに心配していたというのもある)のだが、まさかこれを使って告白されることになるとは。そういう素振りを相手が見せたことがなかったので余計に驚いた。
読んだ瞬間はいつものごとく目眩と吐き気に襲われた。なぜ私は異性に好意を向けられたと認識した途端に吐き気と頭痛がしてくるんだろう?神様を信じるようになってからそうなるようになったのね。霊魂の苦しみが脳を通して肉体に伝わるからでしょうか?その仕組が知りたいのですががが。
ところで異性の罪は重罪なので、思わず「ブルータスお前もなの…?」と呟いてしまった。
霊魂は肉体と違って異性の罪によって、まるでウジやハエや汚物を飲まされているかのような地獄を味わうのだと、以前主が御言葉の中で仰っていました。
相手にこうして罪を犯させるような行動を私はどこかでしてしまっていたのだろうかとか、なんかそんな感じでショックを受けたついでにそのままブルータスについてググったら、なんと告白された日とカエサルが殺された日が同じ3月15日だったので思わず笑ってしまった。
よくイルミナティたちが日付にこだわって重要人物を殺したりするけど、確かその中に3月15日もあった気がする(そういうツイートを前に読んだ気がする)。
サタンが験担ぎして告白させたのかもしれんな。はっはっは…(真顔)
(そういえば志村けんが死にましたね。やっぱり小林麻央が海老蔵に生贄として殺されたみたいな感じで他殺なんでしょうか?)
告白文の内容は概ねこんな感じであった。
最終日にそちらから告白を受けたが(してないんですが?)、過去に色々あって二股かけて失敗しているのと(なんですと!?)、一緒に住んでる腐れ縁のルームメイトが人生に問題を抱えていてこれからも自分が助けになり支えていきたいので(誰のことだ?)、貴方の気持ちには応えたいが応えるわけにはいかないと思った。けれど前から可愛いと思っていたし称賛する気持ちは絶対に伝えたいと思っていたので今回告白に至ったと。その他、私と会うのを楽しみに学校に通っていたこと、可愛さにため息がとまらない(?)、私が小型機を操縦している様がキラキラして見えた(?)、ここ1週間ほど私のことを考えていた、買い物しに車を出して気付けば学校まで運転しておりそのまま夜空を眺め続けてしまった(重症では?)ことなどが書かれていた。
()は私の感想です。
そんで、うーん…?私そもそも告白してないけど?どういうこと???ってなった。
私としては、突然相手が目の前でサンドペーパーを敷きだしたと思ったらそのまま助走をつけて全裸で一気にスライディンクした挙げ句血まみれになりながら「どうもすみませんね…」とヨロヨロ退出していったような、こちらとしては見てはいけないものを見てしまったような、そんな気分である。
というか、1週間念を送られていたから具合が悪かったのかもしれないな…?
なんか頼もしいとか崇高とかいう文字も文章内に組み込まれていたので一応リスペクトしてくれてたっぽいことは分かるんだけど、恋愛フィルターを通してそう見えてただけだと思うと素直に受け取るわけにはいかないですよね。だって正気じゃないんだから。
校長先生が入学当初、学校の仲間は将来同じ分野の仕事仲間にもなるわけだから仲良くして情報交換していくといいよ的なアドバイスをお話してくれてた気がするんだけど、でもそこで相手に恋愛フィルターがかかっちゃったらさ、相手が間違ってるときに情が邪魔して相手を正論でコテンパンにしてあげられないわけだからもうその時点で良き仕事仲間とは言えないじゃん。
それに男の人って(弟もそうなんだけど)相手を褒めるときもそんないちいち褒めたりしないですよね。あっても一言で終わるじゃないですか。「スッゲ」「ヤベえ」「ウケんだけど」「流石ですな」「かっけえ」みたいな。だからこうやってリスペクトしてますよ感出して長文ぶつけてくるときは告白じゃなくとも下心があると疑った方が良いっぽい。よ。
可愛いに関してもよくわからなかったんだけど(私には可愛げがないという定評がある)、告白文を見るに、どうも頑張っていた姿がいじらしく見えたとかそういう意味での可愛いということであったらしい。ということは、男の人に比べたてまだまだ頼りない部分があったために可愛いに繋がってしまったのかもしれない。ネットで調べたところ庇護欲を掻き立てる女性はモテるらしいので、こいつは一人でもやっていけるなと思わせるキャリアウーマン的な女性にならないといかんなこれはと思ったし、反省した。
しかし腑に落ちないのが私が告白したことになっている部分なんだけど、どうも「星が綺麗ですね」と最終日に言ったことが告白と取られたらしいのね。
でも「月が綺麗ですね」は聞いたことがあるけど「星が綺麗ですね」はちょっと聞いたことがない。
それに夏目漱石が「月が綺麗ですね」と言ったという話はデマであることがわかっているし、それを告白に持ってくる現代っ子がどれくらいいるのかね?
わからん。
わからんので調べたら、出てくるわ出てくるわ…

ちょっとバリーエーション増やしすぎじゃない?
これじゃあ異性の前で景観を褒めてはいけないことにならないかい?
しかも「星が綺麗ですね」はタロットが元ネタだと?悪魔崇拝者共め…なんと迷惑な。(ちなみに占いもタロットも、悪魔崇拝からきた文化です)

なので私は告白してないのでそれは勘違いだし、一応漱石はデマだよと伝えた。
(あとうっかりここにたどり着いてこれを読んでる方で陰謀論よくわからない人向けにお知らせしとくと、夏目漱石の名前の由来はフリーメイソンなので、興味が湧いた方は調べてみて下さい。)
あとキラキラして見えるとかため息が止まらないとか深夜徘徊とか目に余る異常行動が気になったのでそっちも調べたんだけど、人は恋に落ちると脳内麻薬が出て、なんかそういう状態になるらしい。
というか、完全に病気だよね。
脳内麻薬で脳が酸欠になるらしい。煙草でも脳は酸欠状態になるっていうのに、お前さんはこのまま死ぬつもりか?
冷静になあれ。
とりあえずセロトニンが不足するとそういう情緒不安定状態になるらしいので、日光浴をおすすめしといた。
そしてSNSからは重要ファイルをサルベージした後離脱した(Twitterにおけるブロックのようなものです)。
しかし業務用のSNSで告白って公私混同って感じで普通にルール違反だと思う。勘違いとは言え、気持ちに応えるわけにはいかないからと理性で踏み留まってくれたのは、有難いっちゃ有難いけれど、結果告白してしまったのでは無意味なのではないか。それは踏み留まれているとは言えないわけで。
恋は病気。
愛は理知。
冬の星が綺麗な理由は太陽が早く沈むから残照の影響が少なく湿度も低いためにその分光がこちらに届くから。
よって、さらばだブルータス。
というか以前「背中を押すのは友人の特権だ」とか発言してたような気がするのだけど、友達だと思ってくれていたのは嘘だったということか?
まあ私は私で男友達ですら御免だしこの先男とはプライベートで仲良くするつもり無いですって言ってたわけだけど、大事なことだからそれ2回くらい伝えたはずなんだけど、聞いてなかったのかねブルータスは。
ちなみに「ブルータスお前もか」は「月が綺麗ですね」と同じく言ってないのに言ったとされてる言葉の一つなのであった。綺麗にオチまでついてしまったのであった…
実はその後、学校に卒業書類貰いに行かなきゃいけない日があって、ちょっと憂鬱だったんだけど、エンカウントしないように祈って早めに登校したら、早めに書類もらえたし、早めに帰れたのでブルータスには会わずに済みました。
神様ありがとうございます!
あと水筒持ってくの忘れたんだけど何故か先生が自販機の飲み物奢ってくれるっていうのでお水を買ってもらえました。
先生ありがとうございました。
おしまい!
帰りが遅くなった最終日、家族が私の身を案じて祈ってくれていたそうである。私は本当に、神様に、みんなに助けられて生きてきたし、今もそうである。感謝します。どうかみんなの信仰生活も守られますように。
今サタンが絶賛大暴れしているそうなので、他の信仰者の方々もゲリラ告白をされたりしているのだろうか。どうか無事に撃退できますように。
あと恋の脳内麻薬は3年くらい出続けるらしいから3年は会わない方がいいっぽい。先生には悪いけど文化祭も行かないほうが良さそう。
異性の罪を犯したときに3年くらい期間を設ける話はもしや脳内麻薬にも関係しているのだろうか?まだまだ分からないことが沢山ありますね。
しかし思いがけずスムーズに荷物が持って帰れたり、知らない人が電車に間に合ったり、奇跡的なタイミングでハンカチを差し出せたからといってなんだっていうんだろう。神様にとって有益かというと、そうでもない。
結局学校は神様に意識を向けて生活し辛い空間だったことが証明されただけなんだと思う。卒業が早まってよかった。それこそ、神様に感謝すべきことだったのではないか。
唯一連絡手段が残された相手と縁が切れたことも、信仰生活を送るうえでとても有難いことであったと思います。ありがとうございました。
あと私は異性からの好意に気付かなさすぎであるということが発覚したので、これからもっと遠巻きにしてもらえるように頑張ろうと思いました。
そして恋愛コラム的なことが書かれているサイトって、全部占いへ誘導するようなものばかりで、この世の中に恋愛の文化を広めたのがサタンであることがよくわかる構図だなと思いました。
人間との恋愛は人間を幸せにはしません。不幸への入り口です。
占いは闇です。何も解決しません。
何事も神様に求めるべきです。神様に相談しましょう。
今回色々あった中で私にとって良かったことって、コロナはインフルだって話ができたことくらいじゃないでしょうか。もっとディープな話をスムーズに展開できるようになりたいですね。
反省!
こうして自分を省みる機会を与えて下さった神様とRaptさんに感謝します。どんなに神様が機会を与えて下さっても、Raptさんの宣布する御言葉がなければ理解できないし、悟れないからです。それから私の為に祈ってくれた方々にも感謝します。本当に命拾いしました。ありがとうございます。
コロナのデマが世界中の人々にバレますように。
あと最近初めて行った公園が心臓の形してる気がした。

そして電車の広告にあった有名テニスプレイヤーの顔がそっくりで、2人は血縁かもしれないと思った。

この春あちこち散歩したけれど、東京都民は都知事の言うことなんて心の底では信じていなくて、パンデミックは演出不足であるなと思った。
だって人がわんさか住んでる団地で1人も感染者出てないし、誰も死んでないし、噂好きなおばさまも誰かが死んだ噂すら聞かないって言ってるし、というか2月も3月も全然救急車来てないし(12月と1月は夜でもバンバン来てたのに。餅かな?)。
都民はみんな訝しがっている。
陽の光を浴びながら元気に遊ぶ子どもたちを見ながら散歩したけど、あれはあれで免疫力がアップしてインフルにかかりにくくなって良いのではないかと思った。
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1: 名無しさん@お大事に 2012/10/21 00:33:25 ID:4grZN3bi 入院するなら絶対持ってけ!な物 「これ持ってくといいよ!」 「これはマジで便利」 などなど、入院生活について情報交換するスレです。 2: 名無しさん@お大事に 2012/10/21 00:34:22 ID:4grZN3bi 入院時の注意 盗難(小型金庫がある所もある) 多額のお金や貴重品(手術時は、事前に付添い人やナースセンターへ預ける事) 食べ物の差入れは極力控える(絶食の人がいるため) 匂いのする物は避ける(コーヒー、紅茶、芳香剤、煙草、アロマオイル、化粧等) 病院の売店は当てにしない 携帯/PHSやパソコンなど電子機器の使用は許可を貰った方が良い(後述) 看護師・医師には『感謝の心』、同室の人には『挨拶と会話』 (入退院時、同室の人に何かしら配りたい人は ミネラルウォーター(軟水)やTVカードが喜ばれる *食事制限がある場合があるので、食べ物は予め確認した方が良い) *医師・看護師・同室の方への贈り物は必要無しという意見もあり 快適に過ごすために 【生活】あらかじめベットにタオルを敷いておく(シーツ等は週一で交換の所が多い) 枕に肌触りの良いバスタオルを巻く(安眠しやすい) 自分の匂いの染み付いているもの(毛布・枕など)があると落ちつく カーテン閉めていても良い(日中、窓際な人が開けると部屋が明るい) 体力が落ちやすいので、できるだけ起きて過ごすと良い 【便利】100円ショップを活用し、使い捨てのものを揃える 便利屋さんの利用(家族に買って来てもらう) 湯呑みの蓋がない時はサランラップを用いると良い 風邪薬の空き瓶があれば綿棒・爪楊枝入れに シャンプー・薬などは小分けにしておく *1回分ずつ小袋と輪ゴムで分けておくと便利 【住】 洗面具(歯ブラシ、コップ、石鹸(洗濯用にもあると良い) シャンプー、リンス(リンスインシャンプーだと楽) *ドライシャンプーなど水の入らないものがあると便利 バスタオル(白、またはパステルカラーの物が良い) うがい薬、毛穴すっきりシート、トイレ消臭剤(無香料) サランラップ(湯呑みの蓋代わりにも) ティッシュ、ウェットティッシュ 耳掻き(綿棒)、爪切り、毛抜き、孫の手 ニットキャップ、もしくはハンカチ(頭を隠すため) 電話用小銭・千円札(TVカード購入時など) アイスノン(名前入り)、団扇(ミニ扇風機) *夜中にクーラーを切るところが多い S字フック *カーテンレールにかけると怒られる事がある はさみ、ハンガー、ペンライト、スタンドミラー 小型置き時計、カレンダー、ぬいぐるみ(クッション・身代わりにも) リップクリーム、スキンクリーム・ハンドクリーム・乳液(保湿のため) 袋(紙、布、ナイロン製のものやフロシキ(ゴミ・洗濯物用)) *ビニール袋は音が結構うるさいので注意 洗濯ばさみ、スポンジ、洗濯用洗剤、食器用洗剤 整理用カゴ(身動き出来ない時のゴミ箱代わり、ティッシュの空箱でも可) 3: 名無しさん@お大事に 2012/10/21 00:35:04 ID:4grZN3bi 【せっかく時間があるのだから、色々やってみよう】 たまには手紙を書いてみては如何でしょうか 日記、随筆、詩、短歌、俳句、はたまた小説なんぞモノしてみるとか・・・ *SF小説「デューン砂の惑星」シリーズの著者フランク・ハーバートは もともと新聞記者で、第一作を入院中のベッドの上で書き上げた 編物やネイルケアとかも、ちゃんと始めるいい機会に *爪磨きティッシュ持参で爪がピカピカになって楽しいという意見も 【入院中の最大の暇つぶしは知り合いを作ること】 同じ世代の人がいたら、思い切って話し掛けて見るのも吉 喫煙室や談話室は、なんだかんだでコミュニケーションの場となっている 【保険関連】 まずは保険会社に問い合わせること。自分の保険の条項を理解する あと一日長く入院していれば額が増えるなどの場合は退院を伸ばしてもらえる場合も 日帰り入院などの短期間入院で 給付金の支払額が5万円未満かつ手術なし かつ退院後の請求なら病院の領収書で請求できる(診断書は必要なし) *保険会社によるので要確認すること 【携帯・PHSの病院内持込みについて】 医療機器への影響が影響される携帯電話は、慎重に取り扱いましょう。 このあたりは全面禁止の所もあれば、携帯は自分のベッドや所定の場所なら 利用可能等、かなり病院によって幅があります。 まずは病院に持込み可能か確認すること。 また、利用可能と言えど病室で通話が許されている所はあまりないと思います。 メールのボタン音も消灯後は気になるものなので、大部屋での利用は注意を。 PHSは医療機器への影響は少ないですが、見た目が携帯と同じなので、 やはり携帯と同じ扱いにされる場合が多いです。 また携帯電話とペースメーカーの距離ですが「22センチあければ大丈夫」 という説があげられています。 【パソコンの持込みについて】 電子機器の持ち込みは電気料金を請求される病院も(一時間~一日単位)。 AirH、@Freed、京ぽんの持込みはまず病院に問い合わせること。 ちゃんと説得すれば例外的に使わせてくれる病院もあります。 パソコンとネットが持込めたら、あとはキータッチの音に注意して、 各々愉しみましょう。 4: 名無しさん@お大事に 2012/10/21 00:36:10 ID:4grZN3bi 【持ってけ!な荷物について】 ここに掲載された便利品を揃えると大変便利な反面、大きなカバン等を 用意しなければならない、といった問題に直面してしまいます。 付添い人が手伝ってくれる場合などは良いのですが、単身の方や 車椅子などで荷物を持ち運べないと、退院時に途方に暮れます。 このような場合、宅急便等の配達サービスを利用すると便利です。 入院時は病室へ、退院時は自宅へ荷物を送る事で、負担が軽減されます。 *宅配サービスが病院で利用可能かは、事前に必ず確認しておきましょう。 【お見舞いに行く人へ】 食べ物は同室に絶食な人が居る場合があるので控えたほうがいいです。 入院してる人からすれば現金が一番ありがたいですが、お返しが面倒なのも事実。 そういう場合は漫画、小説、雑誌等、モノの差し入れがお互いにとってよさそう。 手術後の場合、頭が疲れないように短編小説や雑誌などが良いかも。 生花のお見舞いは禁止の場合があります(感染を防ぐ為) 小さな子供は連れて行かない(はしか や おたふくなどの病原を持込んでしまう)
【もしもの時・・】 入院するなら絶対持ってけ!な物 2ch ふぁみりー通信
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「陶芸の進行形」展

菊池寛実記念 智美術館で「陶芸の進行形」展を見る。1970~80年代生まれを中心とする25名の陶芸家の作品を紹介する展示である。
星野友幸《練継器》。美しいピンク色がスマホ写真ではうまく再現できないのが残念。



釣光穂の作品群。紐を編んだように見えるが、紐は紐でも陶土でできた紐である。



竹村友里作品。《深淵》《冬の悦び》《時の虚ろい》のような意味深なタイトルが付いていた。


津金日人夢の青磁。かなり大きい作品なので、このサイズの器を破綻なく形作るだけでも大変なのではないかと素人ながら想像した。

高橋奈己の白磁。

庄村久喜の白妙彩磁鉢。

岡田泰の淡青釉鉢。

津守愛香作品。

和田山真央《Relation》。

五味謙二作品。


桑田卓���作品。



増原嘉央理作品。まるでモザイクのように見えるがそうではなく、キャプションによると、「焼成後に黒く発色する素地に白い化粧土を重ね、それを掻き落として素焼きし、さらに部分的に赤い絵具を塗布した後、本焼きして完成する」とのこと。素人の想像力など及ぶべくもない。

シンガポール出身の張蕙敏 (Teo Huey Min) による、ユーカリのさやをかたどり球形に組み合わせた作品。

中田博士の真珠光彩壺。この写真では再現できていないが、名のごとく真珠様の光沢がある。


哲学を学んでいた新里明士のコンセプチュアルな作品。


中田雅巳作品。左の写真の一対の作品には九谷五彩を混ぜた化粧土を使っている由。


高橋朋子《游ぐ月》。磁器と金銀箔を組み合わせる名手であるらしい。

今泉毅の窯変天目。

画像の枚数制限もありすべての作品を載せることはできなかったが、クラシカルなものからデコラティブなものまで幅広い作品を楽しめた。展示室の一角で流れていた、25人全員の地元や工房を撮った映像もよかった。
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備忘録/ スキンケアについて
スキンケアは数年、『米肌』シリーズに落ち着いている。去年は皮膚トラブルに次々見舞われ、その発端が、ラン回数が増えたゆえの日光アレルギーだった。あまりきちんと紫外線予防もしなかったので、母に指摘を受ける位、目元に日光による大きな染みが濃くなってしまっていた。それよりも、今年さらに酷いのが、花粉症である。信州に行くと特に酷くなる。もはや、アレルギー抑制の錠剤も効かない。それは遂に皮膚に表れた。左顔半分が痒くてたまらない日々が続き、寝ている間に掻きむしって傷だらけで起きて驚く朝がある。皮膚が赤らんであちこち白くカピカピ乾いている。こうなると、もう、何も塗れない…。洗顔料も控えて、保湿が最良な方法というので、化粧水もやめ、ぺパリン泡保湿剤のみ塗ることにした。ランの時は流石にUVを塗るが…。今のところ、痒みも治まり、白カピカピも治まり、しっとりしている。飲み過ぎると口の周りがひどく白く粉ふく。痛飲した昨夜。まあ、とても楽しかったから良い。しかしながら、走るようになってから、自然界がバランスを崩しているのを身をもって感じるかな。2022.5.2
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2/10(木)
17時に仕事を切り上げて恵比寿LIQUIDROOMでPK shampooツアー初日。ここでpk見るのは3回目くらいだけど、だいたいヤマトパンクスの調子が悪い。
調子が悪いというか、もうよくわからない、これが普通なのかも。音源がやたら凝っているというかすごくいい状態に仕上がっているから余計、ライブってガーって勢いで細かいことを気にさせないくらい入り込ませて欲しいけど、むずかしい。もはやバンドの問題でなくて自分の気持ちの持ちようなのかなとか思ってしまう。
天王寺減衰曲線が新アルバムver.になってるのがちょっと面白かった。ライブ前に食べた人類みな麺類がめっちゃ美味かった。そこの店員がムキムキで歯が白かった。クソ雨なのに外までお見送りしてくれ���優しかった。てか半分雪なのでリキッドは死ぬほど床が滑って、フロアに行くまでに階段を上がって下がらなきゃいけないんだけど誰かがド派手に転けたっぽい。超痛そうだし、たぶん遠くからデカい叫び声みたいな泣き声が聴こえた気がする。幻聴かも。
全体にモヤモヤしながらクソ寒いクソ寒いと言いながら帰宅したら彼氏がコーヒーとお風呂を入れてくれていた。多謝…
2/11(金)
3連休初日。今日は絶対にダラダラすると決め込んだ日だったのでほぼ記憶がなく、たぶんめっちゃ携帯をいじっていた。トマトの煮込みだったものをハヤシライスに変えるくらいのことはしたけど、昼ごはんも思い出せない。ハヤシライスを作ったのは夕方だから、たぶん昼ごはんはハヤシライスではない。トマト煮をどうやったらちょっと黒いハヤシライスにできるのか知らなかったけど、インスタントコーヒーで苦味を足せばあっという間に早変わりということだった。
酸味+苦味ね〜。普段カレーばっかりだったけどこんなにサクッと味が整うならたまには作ってやってもいい、そんなメニューだった。本当はしっかり玉ねぎとか焦がすらしい。玉ねぎを焦がし始めたら、わたしはカレーかオニオンスープを作るので断念。
夜はネイルへ行った。最近長めのスクエア形に爪を整えていたけど気まぐれに弾くギターのコードが押さえにくいし、じんましんで身体全体を引っ掻き回すので安全のため爪を短く丸くすることにした。そうなるとショート向けのデザインにしよう、などと考えが巡りなかなかデザインが決まらなくなる。だいたいこんなふうにしたいというニュアンスだけ伝えて、参考画像を2〜3枚だし、おまかせで、という注文をしているんだけどありがたいことにとってもかわいいデザインになる。施術中はずっと喋っているんだけど似たような好みしているから余計に伝わるし汲み取ってくれる。サービス業だし技術職だし、すごい。
あと年齢がほぼ同じだから、最近ハマってるアニメとか恋愛の話とかするのが本当に楽しい。ずっと推してた年下の男の子とディズニーへ行く話を前回話していたところだったので、その結果を聞いていいものかソワソワしていたらうまいこと行ったみたいだった。本当によかった。バカみたいな語彙でずっとはしゃいでいるけど、月1回話せるならネイルは永遠にしたいものだと思う。
帰宅後の記憶、あまりなし。
2/12(土)
昨日の夜、ひなこから買い物へ誘われたので夕方から遊ぶ。ということで、日中は彼氏と出かけることになった。久しぶりに銀座のナイルレストランへどうしても行きたくなったので日比谷方面へ。学生時代、バイト前後は銀座付近で遊びまくっていたので懐かしい気分と少し変わった雰囲気に驚く。特に地下鉄はだいぶ綺麗になっていた。というか"銀座"にしてはかつての駅が汚すぎたんだけど。
お腹が減りすぎて真っ直ぐ東銀座へ向かい、ちょっと並んで入店。今日は2階席だったし、若いお兄ちゃん店員だったので強制皿まぜまぜは発生しなかった。落ち着いてカレーの全てを自分で混ぜたけど、人に混ぜてもらった方がいいテクスチャになっている気もする、たぶん気のせい。
食べ終わって、隣にできていた謎のジャムパンを買った後は有楽町へレコードを見に行った。ギンザレコードはオシャレすぎてよくわからなかったし、レジェンド級のは揃っていたけどクソ高かった。古めのアメリカンポップス何も知らないのに聴くと楽しいと思ってしまうから欲しいと思ってしまう。何を聞けばいいのか。
その後は特にやることもないので日比谷公園へ行き、寒いのにベンチでパンを食べた。日比谷公園は日本式の庭園エリアとイングリッシュガーデンエリアがあって、混沌。冬なので松は冬支度をしていて実に風流だったがバラは全て枯れ木だった。
そのあと池袋へ丸の内線で移動して、ココ池へ。どこかで書いたか忘れたけど最近LPプレーヤー買いました。
ムカつくカップルがいたのでわたしは不機嫌になりここで彼氏と別れる。東口の喫煙所にてひなこ合流。
西武でいろいろ買い物して、最終的にコスメカウンターをみた。実はめっちゃくちゃ久しぶりにあの空間に行った。最近化粧してなさすぎて何を買えばいいのかさっぱり分からん。アイシャドウは家に死ぬほどある。とりあえず適当なことを言いPAUL&JOEで下地のテスターを2種類強奪した。
その後はお菓子を買おうという話だったけどあまりの人混みに慄いて、ご飯を食べることにした。まうみで焼肉するのは好きだ。落ち着くし肉もうまい。いろいろ話した。ひなことまったりいろいろ話すのはすごく楽しい。アニメやらマンガの話もできるし、生活の話、人との話もできるので豊かである。あと肉もうまかった。
特にお酒も飲まなかったのでそのあとルミネで服を見た。買うつもりはなかったのにmerry jennyでスカートわかってしまった。でも本当はブラウスもワンピースもカーデガンも欲しかった。突然遺産が転がり込んでくることを切に願いながら、閉店間際のお菓子売り場へ駆け込み、ピエールエルメの色とりどりのマカロンを恨めしく眺めたあと生チョコを買った。程なくして新宿で解散。帰宅後の記憶、なし。
2/13(日)
週末が始まる前からどこかへ出かけようと話していたのだけど、パラッパラッパーのレコードが大船のハードオフにあると聞き、車を出すことに。わたしが鎌倉の方へ行きたかったのでちょうどいい感じのルートだと思ったがこの日は1日ひどい雨だった。
武蔵小金井を出たあたりから雲行きが非常に怪しく、大船へ着く頃には土砂降りだった。
大船モールとかいう、変なショッピングモールは団地の隙間に突如現れた怖い建物なのにほぼコーナンだしなぜ人がこんなにも…と思ったが、田舎なんてものは大抵こうだったことを途中で思い出した。ハードオフへ行くとじんましんがひどくなるので、ちょっとしか見なかったけどGBAがいい感じの状態で売っていたり、カラーのハム太郎ソフトが何故か2箱売っていたり、ちょっとした掘り出し物感はあってよかった。
雨は止まなかったけど、お腹があまりにすいたのでしらす丼を食べに向かった。長谷駅周辺に適当に車を停めてもらい、ご飯後もついでにその辺りを歩いた。生しらすは、なかった……。でも海鮮丼がすごく美味しかったのでいい。刺身がうまいことはあまりないから。
長谷駅を南側に歩くと急に海が見えるからテンションが上がった。でもあまりに雨で寒かった。
散策が終わった後はとりあえず江ノ島付近��行ったけど、やっぱり雨で江の水も特に気分でなかったのでいっぱい雨の海を見た。
その後は厚木健康センターに行った。草加よりはもろもろ劣るらしいものの、サウナ水風呂ともに申し分なくて久しぶりに頭の中がバワバワバワとなった。3回目にサウナには入ったらちょうどアロマ水投入タイムだったんだけど「ほうじ茶(バジャー)の香りを(バシャ)おたのしみ(バシャ~)ください〜(ドォー)」という怒涛の勢いで水を入れ始めたので蒸気で焼き殺されるかと思った。
6:15に上がる約束をしたのに、露天のTVでやっていたちびまる子ちゃんが気になる回だったので少し遅刻してしまった。姉のさきこが西城秀樹にバレンタインチョコをあげる話なんだけど、「がんばってくだ 西城秀樹…」って父が言い始めたので夢中になってしまった。
あと健康センターの象徴であるラッコがなぜか親子揃って2足立ちしていた。お前らラッコだろ…。
その後はビューと武蔵小金井に帰りました。
本当は運転すべきだったけどあまりの視力低下と雨にビビって彼氏におまかせしてしまった。多謝…。
ドライブはいっぱい音楽が聴けるからいい。
2/14(月)
自宅での夜ご飯の米禁止令が発令されて1日。
蒸し野菜で全てを乗り越えた。
また気が向いたら書く。
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新作 #白化粧掻き落とし 楕円鉢 使いやすい大きさの中サイズです♪新しく制作 #クリスマス🎄 小皿 2枚目☞追加制作した楕円皿 新デザイン カップ☕️とお揃いになります♪ 3枚目☞ ご好評いただいている #時計🕰 新作を制作 #スクエアフリル 型 気がつけば10月に🫣また追い込み期間に入りました😵 #箸置き 🎃🐇🕊️🍁🍎🐬🐻 も色々新作出来てます♪ お近くにお越しの際は是非ご覧いただけたらと思います♪ 🍁今月から来月の展示会予定🍁 10月19日〜25日 #伊勢丹立川店 6階和食器売り場 10月26日〜11月1日 #大宮高島屋 6階リビング 11月2日〜8日 #横浜高島屋 7階リビング #花のある暮らし #花の器 #花のうつわ #花が好きな人と繋がりたい #花が好き #器好き #うつわ好き #器のある暮らし #器好きな人と繋がりたい #秋の花 #秋の器 #花紋 #器 #パステルカラー #陶芸工房ラプエルタ #小林恵 #スペインタイル https://www.instagram.com/p/Cjhf5IdLSCU/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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UB戦争とラグナロク戦争・続33
何よ。今更増援が来た所で、何も変わらないのよ!そう叫びながら焦げたところを振り払う黒の翼。
それはどうかな。今戦っているのはフェリンソワとエオレンスタ、そして火の敵と水の敵に、錨の敵。2対3と不利なこの状況だが、それでも彼らは諦めない。敵の攻撃を回避しつつ、距離を取って戦う。僕達は今、神界を護らなければならない。
これはかわせるかな!
飛ばされた長い錨。しかしそれを、フェリンソワは燃える右足で思いっきり蹴り上げて破壊した。まだだよ!
彼女に向けられた冷たい水をエオレンスタが濁流を使って押し流した。休む間も無く敵が蔦を振るい、光を放って攻めていく。あの蔦が、不意打ちではあるけどあの綿津見の神様を一撃で仕留めたんだね。
必死についていく2人。だが、流石に人数不利からなのか次第にジリ貧になり、防戦一方で押されていく。エオレンスタに向けられた水さえも凍らせる冷気をフェリンソワがさっきの不意打ちで飛ばした火球で掻き消す。攻撃は消せるけど、敵を蹴っ飛ばす暇が無いね………。
そんな時。2人の後ろに水色と桃色に光る両目が交差する斬撃と共に敵の影の爪をはたき落とした。お、お前は!
遅くなりました、申し訳ありません。さっきまで戦ってた特別個体の怪我人を運んでたら、傷だらけのアルカディア様とゼーレ様から私に話をしてくれました。怪我人は此方で何とかすると仰ってくれたが、それを聞いてたらどうやら2人の背負う負担が大きくなってしまったみたいですね。でも、それももう終わりです。
遅れて来たのはアイヴァンヌ。I.A.の本部で負傷者を運んでいた彼女の話によれば量産型の戦いに参加していたアルカディアとゼーレもこの戦闘で既に負傷し、降り積もった雪化粧の様に真っ白な肌に生傷と鮮血が流れていたらしい。戦線からは一旦離脱し、少し治療に専念するとの事。
………私も参加する。
そしてやっと、この戦場へと足を踏み入れたアイヴァンヌは長い前髪を左に流し、隠れていた左目を露わにした。静かに怒る彼女は短剣を構え、3人の敵を見詰める。
まさか、お前も………「メレンジア」なのか!?そ、そんな事ないよ!明らかにびびる敵。確かにオッドアイだけど、ちょっと強いからってメレンジアには………
やってくれましたねえ………。私は貴方達と違って両親も、帰る場所もあるのです。邪魔をしないでいただけますか。
そ、そんな………。両親がいる。つまり、彼女は数の少ない「真性メレンジア」であり、偽性のそれとは全く性質が違う物だった。しかし、当の彼女にはそんな種族の肩書などプレッシャーでしか無い物だった。
ともあれ、やっと3人と3人という状況には持ち込む事が出来たようだ。これ以上はやらせないよ。例え倒れても、君達を止める。話したい事がまだありますけど、今は戦いが先です。
はあ………神様が勝てなかったのに、君達が勝てるわけないよ。半目で見詰める橙の翼。いや、まだ油断なりませんね。警戒するのは紫の翼。そして3人の戦いは始まった。
あの錨を使う敵は私に任せて下さい。1人ずつ引き離し、火の敵をフェリンソワが、水の敵をエオレンスタが、錨の敵をアイヴァンヌが担当した。うん、やろう。
そぉい!!
火の敵はフェリンソワに飛び付き、暴れ回るかの様に彼女に襲い掛かった。ちょっと、やめて!
右足で敵を蹴り飛ばし、距離を取って再び構える。それから、燃える火球を敵に向かって飛ばした。一つ聞きたい事があるの。本当に君達は、あの3姉妹みたいな「上の人」に従ってるだけなの?それとも「自分達のやり方がある」から戦ってるだけなの?
疑問をぶつけたフェリンソワ。………どっちでもない。だけど、従うしかないし、私達がやれることはこんな事しか無いの。火の敵は火球をガードして、再び火炎放射を撃ち出した。
………そっか。
水の敵も、エオレンスタに鋭い氷柱を落としまくった。やっぱり君達は、「彼ら」に従うのは嫌か。彼が起こした濁流が敵を押し流す。
うん………まあそうだな。お前達の様に素晴らしい、命を託してまでも従える様な王では無いからな。彼の問いに答えた敵。そして、エオレンスタは水のポンプを発砲した。
負けたらどうせ死ぬから、こうやって必死になってんだけどな!
水を防御した敵は、負けじとポンプを発射する。もうどうせ生きる道が無いと言う事か。それなら、僕達がそれを否定するまでだ。
焦る敵の3人。だが、ここからまだ増援が来る事をこの時はまだ知らなかった。
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