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【グレタさん演説全文 「裏切るなら絶対に許さない」涙の訴え】 - NHKニュース : https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190924/k10012095931000.html : https://archive.fo/CYYb3 2019年9月24日 10時06分
国連の温暖化対策サミット。地球温暖化対策を訴えて若者の運動が世界に広がるきっかけとなり、学校を休んで活動を続けているスウェーデンの16歳の活動家、グレタ・トゥーンベリさんが各国の代表を前に演説しました。演説の全文です。
私が伝えたいことは、私たちはあなた方を見ているということです。そもそも、すべてが間違っているのです。私はここにいるべきではありません。私は海の反対側で、学校に通っているべきなのです。
あなた方は、私たち若者に希望を見いだそうと集まっています。よく、そんなことが言えますね。あなた方は、その空虚なことばで私の子ども時代の夢を奪いました。
それでも、私は、とても幸運な1人です。人々は苦しんでいます。人々は死んでいます。生態系は崩壊しつつあります。私たちは、大量絶滅の始まりにいるのです。
なのに、あなた方が話すことは、お金のことや、永遠に続く経済成長というおとぎ話ばかり。よく、そんなことが言えますね。 30年以上にわたり、科学が示す事実は極めて明確でした。なのに、あなた方は、事実から目を背け続け、必要な政策や解決策が見えてすらいないのに、この場所に来て「十分にやってきた」と言えるのでしょうか。
あなた方は、私たちの声を聞いている、緊急性は理解している、と言います。しかし、どんなに悲しく、怒りを感じるとしても、私はそれを信じたくありません。もし、この状況を本当に理解しているのに、行動を起こしていないのならば、あなた方は邪悪そのものです。
だから私は、信じることを拒むのです。今後10年間で(温室効果ガスの)排出量を半分にしようという、一般的な考え方があります。しかし、それによって世界の気温上昇を1.5度以内に抑えられる可能性は50%しかありません。 人間のコントロールを超えた、決して後戻りのできない連鎖反応が始まるリスクがあります。50%という数字は、あなた方にとっては受け入れられるものなのかもしれません。
しかし、この数字は、(気候変動が急激に進む転換点を意味する)「ティッピング・ポイント」や、変化が変化を呼ぶ相乗効果、有毒な大気汚染に隠されたさらなる温暖化、そして公平性や「気候正義」という側面が含まれていません。この数字は、私たちの世代が、何千億トンもの二酸化炭素を今は存在すらしない技術で吸収することをあてにしているのです。 私たちにとって、50%のリスクというのは決して受け入れられません。その結果と生きていかなくてはいけないのは私たちなのです。
IPCCが出した最もよい試算では、気温の上昇を1.5度以内に抑えられる可能性は67%とされています。
しかし、それを実現しようとした場合、2018年の1月1日にさかのぼって数えて、あと420ギガトンの二酸化炭素しか放出できないという計算になります。
今日、この数字は、すでにあと350ギガトン未満となっています。これまでと同じように取り組んでいれば問題は解決できるとか、何らかの技術が解決してくれるとか、よくそんなふりをすることができますね。今の放出のレベルのままでは、あと8年半たたないうちに許容できる二酸化炭素の放出量を超えてしまいます。 今日、これらの数値に沿った解決策や計画は全くありません。なぜなら、これらの数値はあなたたちにとってあまりにも受け入れがたく、そのことをありのままに伝えられるほど大人になっていないのです。
あなた方は私たちを裏切っています。しかし、若者たちはあなた方の裏切りに気付き始めています。未来の世代の目は、あなた方に向けられています。
もしあなた方が私たちを裏切ることを選ぶなら、私は言います。「あなたたちを絶対に許さない」と。
私たちは、この場で、この瞬間から、線を引きます。ここから逃れることは許しません。世界は目を覚ましており、変化はやってきています。あなた���が好むと好まざるとにかかわらず。ありがとうございました。
(関連ニュース「怒りと涙の訴え 16歳 グレタさんを知っていますか?」 {{ https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190924/k10012096351000.html : https://archive.fo/4BYFE : https://benediktine.tumblr.com/post/187921682366/ }} あわせてお読みください)
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【トランプ大統領 温暖化対策サミットに急きょ出席 すぐ退席】 - NHKニュース : https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190924/k10012095691000.html : https://archive.fo/7iKPK 2019年9月24日 4時57分
アメリカのトランプ大統領は国連総会に合わせて開かれている温暖化対策サミットに急きょ、短時間、出席しました。当初の予定にない出席で、トランプ大統領は発言しないまま退席しました。
トランプ大統領は23日、国連総会に合わせて国連のグテーレス事務総長が呼びかけて開いた温暖化対策サミットの会場に、ペンス副大統領やポンペイオ国務長官らとともに急きょ姿を見せ、席につきました。
トランプ大統領は15分程度、会場にとどまり、ドイツのメルケル首相らの演説を聞いたあと退席し発言はしませんでした。
サミットは、グテーレス事務総長が温暖化対策の強化につなげようと、各国政府に対しこれまでの取り組みを上回る具体策を持ち寄るよう呼びかけて開いたものです。
60か国以上の首脳や閣僚が出席して演説する予定でしたが、事前のプログラムでトランプ大統領は演説する首脳の中に含まれておらず、出席しない見通しでした。
トランプ大統領は温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から離脱を表明するなど温暖化対策に後ろ向きな姿勢を見せています。
今回の出席についてフランスのマクロン大統領は「非常に前向きなメッセージだ」と述べて評価しました。
今回の出席の意図は明らかになっていませんが、アメリカでもハリケーンや洪水の被害が相次いだことなどから、与党 共和党の支持者の間でも温暖化への懸念が徐々に高まっていて、共和党の議員からはトランプ政権に政策の変更を求める声が上がっています。
■《トランプ大統領 出席理由問われると…》
トランプ大統領は当初予定していなかっ��温暖化サミットに出席した理由について、シンガポールのリー・シェンロン首相との会談の冒頭、記者団に問われると「なぜなら私は、きれいな空気、きれいな水があるべきだと考えているからだ。とてもシンプルだ」と述べました。
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【生物季節観測、惜しむ声相次ぎ一転継続へ 市民参加調査も模索】 - 毎日新聞 : https://mainichi.jp/articles/20210331/k00/00m/040/228000c : https://archive.is/ewVnT 2021/3/31 16:54(最終更新 3/31 16:54) 856文字
{{ 図版 : 気象庁=東京都港区虎ノ門3で、黒川晋史撮影 }}
今年から大幅縮小された気象庁の「生物季節観測」について、気象庁と環境省は、対象から外れた種目を継続して観測する体制を作るため、新たに試行調査を始める。国立環境研究所(国環研、茨城県つくば市)がデータの分析を担当し、市民参加による観測も検討する。動物の初鳴きや植物の開花など、季節と環境の移り変わりを70年近く記録してきた歴史が途切れる事態は当面回避されることになった。
1953年に始まった生物季節観測は、桜の開花やウグイスの初鳴き、ツバメの初見など動物23種目、植物34種目を対象に気象庁が続けてきた。しかし、観測地点周辺の都市化などの影響で探し出すのに苦労する種目が増え、気象庁は今年1月から観測対象を桜や梅など植物6種目に絞り、その他51種目を廃止した。
だが、全国から統一された手法で集められたデータは国際的にも価値が高く、日本生態学会は2020年12月、関連学会と連名で観測継続を求める要望書を気象庁に提出。日本人の季節感とも結びつくなど文化的価値もあり、専門家や市民から廃止を惜しむ声が相次いでいた。
試行調査では、環境省生物多様性センター(山梨県富士吉田市)が運営する生き物情報のデータベース「いきものログ」を活用し、廃止対象となった動物の初鳴きなどのデータを収集する。当面は各地の専門家に調査を依頼するが、将来的には市民からも広く観測情報を提供してもらうことを検討する。
国環研はデータ分析に加え、全国の自治体などと協力し、廃止種目の観測を続ける。気候変動が生態系に及ぼす変化をとらえるのが主な目的で、今後3~5年かけて、観測を続ける意義が大きいものや観測を続けていけるものを選び出し、新たな観測網を構築するという。
事業を担当する国環研気候変動適応センターの西広淳室長(保全生態学)は「生物季節観測で集積された過去のデータは、気候変動に伴う自然界の変化を把握し、対策を考える上でかけがえのないもの。従来と同じ規模で続けることは難しいが、意義のある観測体制を作っていきたい」と話す。【阿部周一】
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【プラスティックごみを分解する新しい化学的手法が、汚染された海を救う】 - WIRED.jp : https://wired.jp/2018/08/08/plastic-pollution-chemical-process/ : https://archive.is/muKYA 2018.08.08 WED 12:00
学生2人が立ち上げたカナダの企業が、プラスティックを溶かす新しい化学プロセスを発見した。1950年代以降、83億トンのプラスティックが生産されたが、このままでは分解するには数百年を要する。その多くがごみとして海に流れていく状態が続けば、2050年までには海が魚よりもプラスティックごみが多くなってしまう。こうした事態を、新しい技術でいかに防ごうとしているのか。
TEXT BY BONNIE CHRISTIAN TRANSLATION BY NORIAKI TAKAHASHI
{{ WIRED(UK) : http://www.wired.co.uk/article/plastic-pollution-environment-chemical-process/ }}
{{ 図版 1 : plastic PHOTO: ROSEMARY CALVERT/GETTY IMAGES }}
自然の環境下では、プラスティックのレジ袋は少なくとも450年は分解されることはない。ところが、カナダの企業バイオセレクション(Biocellection)の創業者で最高経営責任者(CEO)であるミランダ・ワンは、わずか3時間でレジ袋10枚を液体にすることができる。
ワンは世界で初めて、プラスティックの寿命を終わらせる化学プロセスを発見した。彼女は中学生のときに住んでいたカナダのヴァンクーヴァーで市のリサイクル工場を友人のジニー・ヤオと見学し、この問題の大きさを知ったという。
「歩道に設置されているリサイクル用の分別箱に捨てられたプラスティックごみでさえも、結局は発展途上国へと送られます。そして海を汚染しているのを、わたしたちはそのときに知りました」
世界では1950年代以降、83億トンのプラスティックが製造された。おもちゃや自動車部品、人工の臓器となり、そして海に漂っている。分解されるのに数百年を要するので、ほとんどが残っている。つくられた83億トンのうち、実に63億トンがごみとなっているのだ。
プラスティック汚染という途方もなく大きな問題に対して、海のごみを回収するだけでなく、一定のプラスティック製品の生産・使用を禁止する取り組みがされている。ワンはこうした活動は立派ではあるが「十分ではありません」と言う。
「いますぐにプラスティックの生産をすべて禁止することができないなら、わたしたちは何をすればいいのでしょう。現実的にどう対処すればいいのでしょうか」
■《汚れたプラスティックごみに注目》
プラスティックのリサイクルで行われているのは、機械的な処理だ。色別に分けられて細かく砕いて洗浄され、溶かされる。しかしこれでは、特定の種類のプラスティックしか扱えない。
一般に使われているプラスティックは7種類ある。このうちリサイクルできるのは、ペットボトルに使われるPET(ポリエチレンテレフタラート)と、HDPE(高密度ポリエチレン)の2種類だけだ。
ほかの5種は通常、生産の際に着色料や可塑(かそ)剤が入れられるためリサイクルできない。また、ごみとなるプラスティックのほとんどは食べ物や油で汚れているので、厳しい品質を求めるリサイクル市場では自動的に拒絶されてしまうのだ。
ワンは汚れたプラスティックごみに注目した。「わたしたちの技術は食べ物や泥や埃など、あらゆる汚れのついたプラスティックフィルムを、有機酸という4種類の化学物質の結合体に変えられます」
{{ 図版 2 : garbage PHOTO: MUHAMMAD FAUZY/NURPHOTO/GETTY IMAGES }}
まだ大学生だった2015年に、ヤオとワンはバイオセレクションを立ち上げた。この企業は2人が発見したプラスティックを食べるバクテリア(細菌)を研究し、実用化することを目指した。
だがほどなくして、このバクテリアはプラスティックよりも、表面についた食べ物のほうを常に好むと判明した。プラスティックを食べるときでも、スピードはあまりに遅いことがわかったのだ。
■《97パーセント以上はリサイクルされず》
ふたりはプラスティックフィルムをターゲットとして、化学物質で処理することを考え始めた。レジ袋や食品包装などに使われるプラスティックフィルムは、極めて安価なポリエチレンという原料からつくられる。米国ではPETよりも多く、最も量的に多く製造されているプラスティックの種類だ。
このうち、97パーセント以上はリサイクルされない。「フィルムは表面に汚れがつきやすいので、最も処理しにくい種類のプラスティックです」とワンは言う。「重さはほとんどないのですが、ごみ箱の中でさまざまなごみに絡みつき、あらゆる液体や脂分を捕まえてしまうのです」
バクテリアでプラスティックを分解するのではなく、ワンは液体触媒を試すことにした。そこで、カリフォルニア州サンノゼのごみ処理場からもらってきたプラスティックごみで効果を検証した。
「このごみを細かく切ってフラスコに入れ、液体触媒を注ぎ入れました」とワンは話す。それは比較的よくある化学的なプロセスだ。処理作業の規模を将来的に大きくすることを考えて、まず試したという。普通のガラス製フラスコの中で圧力を加えることなく、120℃で反応は始まった。
そのとき、汚れのついたプラスティックの表面では反応が起きなかった。1本のポリマーという長い炭素鎖でできているプラスティックは、不安定になる。自ら崩壊して、鎖リンクの中にある4?7つの炭素を使ってほかの化学物質をつくったのだ。
「この物質は1本の長い炭素鎖ではなく、4~8本の短めな炭素の鎖をもった多くの化学物質によって形成されています。このために、化学反応の最後に液体になるのです」
この液体触媒は沸騰させたあと、システムのなかで再捕獲すれば復活する。このため常時プラスティックを分解し、連鎖反応を起こすために利用できる。
「プラスティックの化学的同一性は変化します。これが理由で最後に液体となるのです」とワンは語る。「それはもはやプラスティックの液体ではなく、化学的な液体です。なぜなら、プラスティックポリマーが化学物質に変わってしまったからです」
このあとでもう一度化学的分離を行うと、液体は化学的な白い粉に変わる。
■《「石油に代わる原料」に》
そこでできる化学物質の1つが、アジピン酸だ。ファッション用品や電子部品、自動車部品などに使われるナイロンやポリアミンなどの前駆物質になる。「わたしたちのヴィジョンはこうです。ポリエチレンはひとたびそれが消費され、使い終わって製品としての寿命がなくなれば、市場価値もなくなります。そんなポリエチレンを、石油から直接つくられるアジピン酸と同じ品質のものに変えようとしているのです」とワンは説明する。
「これによって、プラスティックフィルムが汚染の原因になるのを防げますし、石油に代わるアジピン酸の原料ができるのです」
バイオセレクションの規模を大きくする準備が整った。最初は500ミリリットルのフラスコに10枚のレジ袋を入れ、3時間かけて溶かした。だが、現在は容量5リットルの装置を開発中だ。
カリフォルニア州サンレアンドロにある工場で今年10月には実証実験を行い、3カ月間で17メートルトンのプラスティックフィルムごみを、6メートルトンの有機化合物に変える計画だという。規模を大きくした際に、システムの稼働データが得られるのも貴重だ。
「現在のところ、工業規模でどのような化学反応が起きてコストはどうなるのか、わかりません」
■《プラスティック汚染における「2つの課題」》
1日あたり5メートルトンのプラスティックごみを処理できる大きな機械を19年にはつくる計画で、それが標準機として生産される。ごみが大量にあるところなら、世界中どこへでも配送できる。コンセントに電源プラグを差し込みさえすれば、あとは機械に任せておける。次の目標は、分解処理する対象を広げることだ。
「ポリエチレンならば、堅い形状のものでも寸断さえできれば分解できます。わたしたちが興味をもっているポリプロピレンも処理できる可能性があるはずです」
{{ 図版 3 : Garbage PHOTO: DASRIL ROSZANDI/NURPHOTO/GETTY IMAGES }}
「プラスティック汚染には、ふたつの問題があります」とワンは言う。ひとつは、ごみを回収し1カ所に集めたあと、それをどうするかだ。「どうやって海のごみを回収すればいいでしょうか」とワンは言う。
次に、回収したごみをどうすればいいのだろうか。「オーシャン・クリーンナップのボイヤン・スラット[編注:海のプラスティックごみを除去するNGOオーシャン・クリーンナップを設立し、運営しているオランダの青年〕は、プラスティックごみを海から回収しています。しかし、このごみをどうするのでしょうか。彼が回収したごみを見たことがありますが、ほとんど砂と一体化していました。ごみとそれ以外を選り分けられないのなら、どうするのでしょう」とワンは語る。
「そんなごみを買ってくれる市場は存在しないのです」
■《魚よりもプラスティックのほうが多くなる》
ワンは続ける。環境団体のシーシェパードやPlastic Pollution Coalition(プラスティック汚染連合)は素晴らしい活動をしている。しかしほかの選択肢がないとはいえ、活動の多くの時間を海のプラスティックを集めて、埋め立てるしかない陸に運ぶことに費やしている。
「海をきれいにするのは大変な仕事です。彼らは懸命にやっています。しかし、ごみを1つの場所から別の場所へ移動しているだけなのです。とても残念に思います。プラスティックを破壊する方法がいまはないので、わたしたちにはこれしかできないのです」
もうひとつの問題は、この分野の研究では効果が出るまでに時間がかかり過ぎるなど、実用的でない研究が多いことだ。バクテリアにプラスティックを分解させる研究がよい例である。
「バクテリアは24時間でわずか数ミリグラムのプラスティックしか分解できません。研究では、とてもきれいなレジ袋から切り取ったポリエチレンの帯を分解させますが、実際の都市のごみは汚れています」
「これは単に不十分なだけではありません」とワンは言う。
「わたしたちが必要とするテクノロジーは、理論的に興味深いプロジェクトというのではなく、現実の社会に存在する物質を扱えるほど強固なものでなければなりません。なぜなら、50年までに実のある変化をなし遂げないと、海には魚よりもプラスティックのほうが多くなってしまいますから」
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【ウナギ業界の「異常」にイオン、岡山のベンチャーが立ち向かう理由 {続き} 】 - ITmedia ビジネスオンライン : https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1807/20/news025_4.html 2018年07月20日 08時30分 公開 [真田康弘,ITmedia]
{{ 前のページ : https://benediktine.tumblr.com/post/188899342886/ }}
■《岡山のベンチャーが挑む「持続可能な養殖」》
注目すべき動きが岡山でも始まっ��いる。岡山県西粟倉村のベンチャー企業、エーゼロは持続可能な養殖に向けて挑戦を続けている。同社は18年5月、持続可能な養殖業に対して付与される国際的なエコラベル「ASC(Aquaculture Stewardship Council)」の考え方をベースに、認証機関のアミタが試作した、ニホンウナギの独自基準による審査を受けた。ASCではウナギの認証基準が未策定であることから、アミタの独自基準はASCの他の基準を参考にしたものである。
「ちょうど審査報告書のドラフトが上がってきたところだ。やはり問題なのは天然種苗の持続可能性の点だが、それ以外の項目については問題点は多くない。水産養殖だと餌が問題になるが、ウナギの場合は餌の種類や魚粉の原料も限られているので、比較的対策しやすい」とエーゼロ執行役員で自然資本部の岡野豊部長は語る。
{{ 図版 1 : エーゼロ自然資本事業部。左から4人目の籠を持っているのが岡野豊部長(提供:エーゼロ) }} {{ 図版 2 : エーゼロがオフィスにしている旧影石小学校(提供:エーゼロ) }}
天然種苗の持続可能性の問題もあり、ASCの取得は現状では非常に難しいとも考えられるが、「今回の審査でどこにギャップがあるのかが分かるので、ギャップを詰めるための対策を練りたい」と、その意義を岡野氏は力説する。
{{ 図版 3 : エーゼロの養鰻場の様子(写真提供:エーゼロ) }}
エーゼロでは持続可能なウナギ養殖へのさらなる挑戦として、110万円で購入したシラスウナギ2200匹のうち半分を放流し、放流後の生存率などを国際自然保護連合(IUCN)種の保存委員会メンバー(ウナギ専門家グループ)でもある中央大学法学部・海部健三准教授が率いるグループとともにモニタリングをする。
{{ 図版 4 : 放流に用いた稚魚(提供:エーゼロ) }} {{ 図版 5 : 放流試験時の様子(提供:エーゼロ) }}
放流直前に追跡調査用の試薬で稚魚をマーキングをしている際、放流用の稚魚が全て死んでしまうという不運に見舞われたが、7人のスタッフは全員一致で、残った1100匹の半分を6月下旬に放流するとの決断を下した。事業としては現時点では非常に厳しい状況ではあるが、「思いを込めて取り組んでいるベンチャー企業として、小規模でも資源管理をしながら利益が出るモデルをつくりたい」と岡野氏は今後を展望している。
≫――――――≪
■《地方と大手のシナジー効果に期待》
エーゼロの挑戦はまだ始まったばかりだが、この一見大胆すぎる取り組みは、メディアや関係者の強い関心を集めた。
こうした地方からの草の根の取り組みと、大手リテーラーによる全国規模での取り組みは注目に値する。海洋環境の保護に取り組む国内外のNGOや企業、研究者が何かしらのシナジーを生み、一般人からの関心も呼び起こすことができれば、「持続可能なウナギ」のための力強い推進力となるだろう。
{{ 図版 6 : 農、林、水を繋げ、持続可能な循環型の養殖を目指している(提供:エーゼロ) }}
●著者プロフィール 真田康弘(さなだ やすひろ) 早稲田大学地域・地域間研究機構客員主任研究員・研究院客員准教授。神戸大学国際協力研究科博士課程前期課程修了(修士・政治学)。同研究科博士課程後期課程修了(博士・政治学)。大阪大学大学教育実践センター非常勤講師、東京工業大学社会理工学研究科産学官連携研究員、法政大学サステイナビリティ研究教育機構リサーチ・アドミニストレータ、早稲田大学日米研究機構客員次席研究員・研究院客員講師等を経て2017年より現職。専門は政治学、国際政治史、国際関係論、環境政策論。地球環境政策や漁業資源管理など幅広く研究を行っている。著書に『A Repeated Story of the Tragedy of the Commons: A Short Survey on the Pacific Bluefin Tuna Fisheries and Farming in Japan』(早稲田大学、2015年)、その他論文を多数発表。
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【密漁と“密輸ロンダリング”が支える「土用の丑の日」: ウナギ業界の「異常」にイオン、岡山のベンチャーが立ち向かう理由】 - ITmedia ビジネスオンライン : https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1807/20/news025.html 2018年07月20日 08時30分 公開 [真田康弘,ITmedia]
■《“絶滅危惧種指定”も無為無策の「官」》
2018年、日本はかつてないほどのシラスウナギ(ウナギの稚魚)の不漁に見舞われた。完全養殖技術が確立されていない現在、商業用のウナギを育てるには天然のシラスウナギを採り、養殖池に入れて育てるしか手段はない。このシラスウナギの漁獲量が激減しているのは周知の通りだ。
{{ 図版 1 : 今年の「土用の丑の日」は本日7月20日だ(写真提供:ゲッティイメージズ) }}
シラスウナギは毎年11月~翌年4月ごろを中心に、日本や台湾、中国などの海岸を回遊する。ウナギの産地、鹿児島では17年漁期(16年秋~17年春)578キロだった漁獲量が、今年は192キロと約70%も減った。宮崎では17年漁期は412キロだったところ、今年は約75%減の99キロに終わった。春先になって東日本での漁獲量が伸びたことから少しは持ち直したものの、今年の全国のシラスウナギの採捕量は前年比約4割減の5282キロにとどまっている。
{{ 図版 2 : 「2018年漁期採捕上限と2017・2018年漁期シラスウナギ採捕量」(出典:採捕量は日本養殖新聞2018年6月15日付「〈保存版〉2018年国内外シラスウナギ池入れデータ」参照。採捕上限は以下の通り。千葉県・茨城県・神奈川県・三重県・徳島県:県担当者からの聞き取り。静岡県:みなと新聞2018年2月2日。愛知県:みなと新聞2018年3月30日。高知県:日本経済新聞2018年2月28日。宮崎県:みなと新聞2018年4月2日。鹿児島県:みなと新聞2018年4月9日) }}
そもそもニホンウナギはIUCN(国際自然保護連合)により絶滅危惧種に指定されている。生息域である日本・韓国・中国・台湾は14年に4カ国(地域)で協議をし、資源保護対策としてシラスウナギの養殖池への池入れ量を、直近の数量から20%減らすこと(日本は21.7トンとすること)で合意した。だが、この年は例年よりもシラスウナギの漁獲量の数字が格段に多かったこともあり、その後の池入れ量は4カ国協議で取り決めた制限を常に下回っている。また、この「20%減らす」という数字にも科学的な背景はなく、規制の意味に乏しい。
18年漁期(17年秋~18年春)における稚魚の大不漁を救ったのも、ある意味ではこうした「意味に乏しい規制」、あるいは「規制の不在」が原因ともいえる。漁期も終わりに近づいた春先になり、とりわけ東日本でシラスウナギの漁獲量は伸びた。だが、最終的に前年並みの約1240キロが採捕された茨城県の採捕上限は6000キロと、規制としては無意味なものであった。同じく春先になり漁獲量が急増した結果、前年をやや下回る程度で終わった千葉県においては、そもそも採捕上限すら定められていない。
天然ウナギの漁獲量、シラスウナギ池入れ量の推移はいずれも明白な減少を示しているにもかかわらず、当事者である日本政府の腰は重い。今年6月に開催された日中韓台湾関係国・地域非公式協議では「枠を減らす科学的根拠がない(みなと新聞2018年6月11日)」との主張から、規制強化はまたしても見送られた。この非公式協議には、中国は数年前から出席すらしておらず、地域レベルでの多国間協議は、有効な資源管理の場としては全く機能していない。
{{ 図版 3 : 「天然ウナギの漁獲量」( {{ データ出典:e-Stat・ 政府統計の総合窓口「海面漁業生産統計調査」) : https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00500216&tstat=000001015174&cycle=0&tclass1=000001034726 }} }} {{ 図版 4 : 「シラスウナギの池入れ量」(出典:2003-2017年度の池入れ量は、 {{ 水産庁「ニホンウナギ稚魚(シラスウナギ)の池入れ動向について」 : http://www.jfa.maff.go.jp/j/saibai/attach/pdf/unagi-35.pdf }} 、2002年以前および2018年度については、日本養殖新聞2018年6月15日付を参照) }}
≫――――――≪
■《はびこる密漁と“密輸ロンダリング”》
加えて問題なのは、密輸と密漁の蔓延(まんえん)である。台湾は07年以降、シラスウナギの輸出を原則として禁止した。さらに現在は、 {{ 独自にニホンウナギを「極めて絶滅危機の高い種(Critically Endangered)」に指定している。 : https://cites.org/sites/default/files/eng/com/ac/30/E-AC30-18-01-A2.pdf }} だが実態は、台湾から香港を経由した密輸が今も続いているのが現実だ。
「シラスウナギが台湾から香港へと非合法に密輸され、香港経由で日本に持ち込まれるという闇ルートが成立してしまっている」ことは、日本の養鰻業界の代表も公に認めている(2017年7月11日付の水産経済新聞における白石嘉男日本養鰻漁業協同組合連合会会長兼全日本持続的養鰻機構会長の発言より)。
{{ 図版 5 : 香港から日本への輸入は合法だが、台湾から香港への輸入は「非合法」だ(「2016年日本のシラスウナギの輸入」出典: {{ JWCS「ニホンウナギの生息状況と日本におけるウナギ養殖・販売の現状」、2017年、4頁) : https://www.jwcs.org/wp-content/uploads/JP_EelsinJapan.pdf }} }} {{ 図版 6 : 輸出を禁じた2007年を境に台湾からは輸入量が激減する一方、香港からの輸入量が急増している(「シラスウナギ輸入量」 データ出典:財務省貿易統計 (注) {{ 近年ビカーラ種の稚魚がフィリピンから輸入されているが、同国では5~15cmの稚ウナギの輸出は禁止されている : https://cites.org/sites/default/files/eng/com/ac/30/E-AC30-18-01-A2.pdf }} ) }}
17年のシラスウナギ輸入の約7割は香港からのものである。フィリピンからの輸入はビカーラ種という二ホンウナギとは異なったウナギであると考えられるため、ニホンウナギの稚魚は全て香港から輸入されているものと考えられる。
財務省貿易統計によれば、17年12月~18年3月に池入れされたシラスウナギ5278キロのうち、99%の5211キロは香港から輸入されたものだ。
ワシントン条約事務局が6月2日までに公表した報告書は、14~15年漁期から16~17年漁期の間、養殖池に入れられたシラスウナギの57~69%が「違法もしくは無報告あるいは違法取引によるものと推定される」と指摘している(共同通信、北海道新聞2018年6月2日付「ウナギ稚魚、7割違法漁獲」より)。
{{ 図版 7 : 「養殖池に池入れされたシラスウナギ」(データ出典: {{ Matthew Gollock, et. al,“Status of non-CITES listed anguillid eels,”p.147 : https://cites.org/sites/default/files/eng/com/ac/30/E-AC30-18-01-A2.pdf }} ) }} {{ 図版 8 : 「養殖池に池入れされたシラスウナギの割合」(出典: {{ Matthew Gollock, et. al,“Status of non-CITES listed anguillid eels,” p.147 : https://cites.org/sites/default/files/eng/com/ac/30/E-AC30-18-01-A2.pdf }} ) }}
違法が存在する状態にありながら、香港当局も日本の当局も、シラスウナギの密輸を防止する有効な対策を何ら講じていない。加えて世界自然保護基金(WWF)の調査においても、 {{ ウナギは日本の輸入水産物のなかで最もIUU(違法・無報告・無規制)漁業由来のリスクが高いと指摘されている : https://www.wwf.or.jp/activities/data/20170907_ocean02.pdf }} 。
こうした違法行為には反社会勢力が関与している事例が存在している。例えば17年8月、高知地裁は密漁事件で県漁業調整規則違反に問われた暴力団員ら3人に対して懲役5カ月執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。この判決は確定し、高知地検幹部は「証拠上、密漁が暴力団の資金源だと明確になった」としている(朝日新聞2018年1月11日)。
密漁・密輸の蔓延という事態は、水産物の生産履歴を透明化する「トレーサビリティー制度」が整備されていない日本においても、際立ってひどい状態であると言わざるを得ない。
≫――――――≪
■《「持続可能なウナギ」のために動き出した「民」》
遅々として進まない「官」の取り組みを尻目に、「民」による持続可能なウナギ養殖への取り組みが始まっている。
その1つが、日本最大のリテーラーであるイオンによる取り組みだ。同社は18年6月、持続可能な裏付けのあるウナギの調達を進めるための「インドネシアウナギ保全プロジェクト」に取り組むと発表した。23年までに、生産場所や経路を完全に把握できるウナギの販売を目指す。
{{ 図版 9 : 「インドネシアウナギ保全プロジェクト」について説明するイオンの三宅香執行役 }}
イオンはウナギに代替する商材として、持続可能な水産物に付与される「海のエコラベル」であるMSC(Marine Stewardship Council)認証を受けた「パンガシウス(ナマズ目に属する淡水魚)」のかば焼を販売するなど、この分野では先導的な役割を担っている。インドネシアでの取り組みは、ビカーラ種という同地に生息するウナギを対象に、シラスウナギ採捕のMSC認証を目指す。
{{ 図版 10 : イオン葛西店の売り場では今年も「土用の丑の日」に向けウナギが販売されている }}
ただし、グローバルな認証制度であるMSCは認証に際して高い基準が要求され、その取得は容易ではない。このため同プロジェクトでは、環境NGOの世界自然保護基金(WWF)ジャパンからの支援を受け、ウナギとしては世界初となる「FIP (Fishery Improvement Project:漁業改善プロジェクト)」に着手する予定だ。このFIPでは、MSC認証のための予備審査で特定された課題を解決するために「漁業改善計画」を策定し、この計画に基いて活動する。最終的にはMSC認証の取得を目指す予定だ。
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{{ 続きのページ : https://benediktine.tumblr.com/post/188899358916/ }}
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【【神奈川】 台風被害1カ月、倒木の影響が際立つ 19号接近で鎌倉市、備え呼び掛け】 - 東京新聞 (TOKYO Web) : https://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201910/CK2019101002000136.html : https://archive.is/M9joD 2019年10月10日
{{ 写真 1 : 12世帯が一時孤立状態となった鎌倉市二階堂では、応急対策として板柵が設置された }}
各地で大きな被害を出した台風15号から九日で一カ月。いまだ通行止めなどの影響が続く鎌倉市では、被害のうち倒木が五百五十八件と、過去の台風と比べて多さが際立ち、倒れた木が隣地に及ぶケースも目立った。台風19号が近付き、新たな被害が懸念される中、市はあらためて、隣接する崖や山林の所有者と連絡を取れるようにするなど、備えを呼び掛けている。 (北爪三記)
市のまとめでは、台風15号による被害は全壊一棟、半壊六棟、一部損壊二百七十八棟。崖崩れも百一件あり、停電は最大で一万一千二百戸にのぼった。
強風のため電柱四本が倒れ、倒木や土砂崩れも発生した同市玉縄の市道は、対策工事のため通行止めが続く。今月中旬を目途に車両の片側通行ができるよう作業を進めている。
観光客に人気がある祇園山、葛原岡・大仏、天園の三つのハイキングコースは倒木や土砂崩れなどのため通行禁止。国の史跡に指定されている「朝夷奈切通(あさいなきりどおし)」も通行止めで、いずれも復旧のめどは立っていない。
急な斜面地が崩れて土砂や倒木が市道を約三十メートルにわたってふさぎ、付近の十二世帯が一時孤立状態となった同市二階堂では、災害派遣要請を受けた自衛隊が三日間、延べ約百六十人で撤去作業をした。その後、市が道路保全のため、高さ約四メートルの板柵を設置する応急対策を施した。
起伏に富む市内には崖地や山林が多く、土砂災害防止法に基づく「土砂災害警戒区域」は四百十四カ所にのぼる。市総合防災課は、土地の所有者が崖崩れや倒木などに備える工事をする際、費用を一部助成する「既成宅地等防災工事資金助成制度」の活用などを呼び掛けるほか、隣接する住民向けには「倒木などが起きた時の対処のため、日ごろから土地所有者の連絡先などを確認しておいて」と話している。
{{ 写真 2 : 葛原岡・大仏ハイキングコースでは、大木が根元から傾いた場所も(鎌倉市提供) }}
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【ハイキングコース通行止め続く 台風15号の爪痕深く】 - カナロコ by 神奈川新聞 : https://www.kanaloco.jp/article/entry-203001.html 神奈川新聞 2019年10月18日 19:50
{{ 写真 1 : 通行禁止となっているハイキングコース=9月9日、鎌倉市内(同市提供) }}
台風19号による被害が各地で拡大する中、鎌倉市内では1カ月前に三浦半島を直撃した台風15号による影響が長引いている。倒木などにより、多くの観光客が訪れるハイキングコースが利用できない状態が続いており、市や市観光協会はホームページや会員制交流サイト(SNS)、看板などで周知を強化している。
市の観光マップに掲載されているハイキングコースは▽天園コース(約4・5キロ)▽葛原岡・大仏コース(約3キロ)▽祇園山コース(約1・5キロ)の三つ。いずれも豊かな自然を満喫できる山道だが、台風15号の影響で9月9日から通行禁止となっている。
市観光課によると、複数箇所で崖崩れや倒木、地滑りなどが発生。今月の台風19号による被害状況については確認を続けている。
{{ 写真 2 : 通行禁止となっているハイキングコース=9月9日、鎌倉市内(同市提供) }}
木の根ごとめくれ上がっている箇所も多く、穴の埋め戻しなどが必要とされることから「復旧には数カ月を要する見込み」という。また、コースには民有地が含まれているため、作業が土地の形状を変更する規模になる場合、土地所有者の了解を得ることも欠かせなくなるという。
市はSNSでの発信や、コース入り口の看板設置、遠足などで市内を訪れる学校への事前通知といった方法で周知を徹底。市観光協会はホームページで通行禁止を知らせているほか、寺社をはじめ観光スポット約70カ所の拝観などの可否を掲載している。
同課によると、天園コースには昨年延べ約24万人が訪れており、11月下旬からの紅葉シーズンは特に人気があるという。同協会は「現地に来てハイキングコースの通行止めを知ったという観光客もいた。市内には神社や寺など楽しめる場所が他にも数多くある。今後もコースの通行禁止と併せて情報発信をしていきたい」と話している。
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ざざむし。の人 @nekton27 - 午後5:05 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/nekton27/status/1177131944636628993 既にいたらごめんだけど、これからのバスフィッシングを守る為にはこうあるべきだっていう立場から環境保全の専門的な知識を交えて啓蒙していく連載なんかがバス雑誌にあってもいいと思う。Basser誌だけはそういう傾向もあったように思うけど、結局バカやらかす連中は読まないからダメか。ダメかも。 ≫――――――≪ ざざむし。の人 @nekton27 - 午後5:34 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/nekton27/status/1177139468530155522 SNSに流れてくる部分だけ見ていると、有名な人であっても外来種擁護している多くが知識スッカスカな感情論に見えるので、受け入れられる媒体で知識を繋ぐ人がいないと無理な気がするんだよなぁ。 ≫――――――≪ ざざむし。の人 @nekton27 - 午後5:50 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/nekton27/status/1177143378808467462 私も素人なので環境保全方面の話に意識を向けていると新しい情報がどんどん入ってきて学びがあるんだけど、駆除反対派の話に目を向けても何十年前から話が止まっとんねん...って思うこと多すぎるんですよね。業界で情報を更新する流れが機能していないんじゃないかと思う。 ≫――――――≪ さかなかな @sss2016121 - 午後10:02 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/sss2016121/status/1177206778766839809 返信先: @nekton27 バスもそうですが、北海道のブラウンやニジマスとかの話を聞いてると、釣り人という人種がダメなんじゃないかと思いますね。 釣り人は自然が好きなんじゃなくて自分が釣りたい魚だけが好きで、自分が釣りたい魚がいれば自然破壊上等なんです。 釣り人として、釣り人と言う人種に絶望しつつあります。 ≫――――――≪ ざざむし。の人 @nekton27 - 午後3:35 ・ 2019年9月27日 : https://twitter.com/nekton27/status/1177471714634027009 返信先: @sss2016121 魚に関してはイワナの隠れ沢みたいなものが代表的ですが、個人で自然を改変することが長く普通に伝えられてきたのも影響しているのではと思っています。 私から見たら園芸なんかも似たようなもんですね。気付かない人が多いだけで。ツイッタはわかってる人を多く見るからうっかり安心してしまいます。 ≫――――――≪ 和辻宏志 @mononofu_master - 午前8:56 ・ 2019年9月27日 : https://twitter.com/mononofu_master/status/1177371277624954880 返信先: @nekton27 昔は LURE FREAKや釣りサンデーなどこの問題を取り上げて深く掘り下げてた雑誌は割とありましたが全て廃刊になりました。 ≫――――――≪ ざざむし。の人 @nekton27 - 午後3:59 ・ 2019年9月27日 : https://twitter.com/nekton27/status/1177477915904073729 返信先: @mononofu_master そして流行りの新商品推し推しで暗部を封じた雑誌ばかりが残され、売れ行きがそこに集中し考える人が増えなくなるという負のスパイラルに。 ≫――――――≪ おまめそう @vuik961 - 午後5:35 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/vuik961/status/1177139619856433153 返信先: @nekton27 この手の問題��結末って、グレーゾーンを広くして、黙ってヤルに落ち着く傾向があるのかなと たしかに昭和まではソレで許されていた事も多いけれども ≫――――――≪ ざざむし。の人 @nekton27 - 午後5:37 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/nekton27/status/1177140151278944256 返信先: @vuik961 でも結局、「黙って犯る」のほうが横行しちゃったんですよね。 ≫――――――≪ おまめそう @vuik961 - 午後5:39 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/vuik961/status/1177140721632989185 返信先: @nekton27 自助努力や自己賞罰を求める社会ですから、結局ヤリ得になってしまうんですよね(;^ω^) ≫――――――≪
ざざむし。の人 @nekton27 - 午後5:05 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/nekton27/status/1177131944636628993
ざざむし。の人 @nekton27 - 午後5:34 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/nekton27/status/1177139468530155522
ざざむし。の人 @nekton27 - 午後5:50 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/nekton27/status/1177143378808467462
さかなかな @sss2016121 - 午後10:02 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/sss2016121/status/1177206778766839809
ざざむし。の人 @nekton27 - 午後3:35 ・ 2019年9月27日 : https://twitter.com/nekton27/status/1177471714634027009
和辻宏志 @mononofu_master - 午前8:56 ・ 2019年9月27日 : https://twitter.com/mononofu_master/status/1177371277624954880
ざざむし。の人 @nekton27 - 午後3:59 ・ 2019年9月27日 : https://twitter.com/nekton27/status/1177477915904073729
おまめそう @vuik961 - 午後5:35 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/vuik961/status/1177139619856433153
ざざむし。の人 @nekton27 - 午後5:37 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/nekton27/status/1177140151278944256
おまめそう @vuik961 - 午後5:39 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/vuik961/status/1177140721632989185
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ざざむし。の人 @nekton27 - 午前2:00 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/nekton27/status/1176904391707594752 外来種駆除反対派からはタナゴなど在来種減少に与える影響は環境破壊のほうが大きいから二枚貝が住める環境を守れっていうすり替えのような意見も定期的に目にするけど、グロキディウム幼生ってどうやって成貝になるか知ってる?って思う。 https://ideacon.jp/technology/inet/vol21/vol21_wr01s.pdf ≫――――――≪ ざざむし。の人 @nekton27 - 午前2:57 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/nekton27/status/1176918756133441537 侵略的外来生物の「侵略」は捕食だけじゃないよ。問題は様々な形でニッチを奪う侵略性の高さだよ。それは3面護岸やメガソーラーなどと同列に環境破壊のひとつなんだよ。それでも利用したい立場なら冷静に勉強して策を挙げていかないといけない。 ≫――――――≪ ざざむし。の人 @nekton27 - 午後3:10 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/nekton27/status/1177103151045828608 あと、在来種が減っても絶滅しなければ共存できているから問題ないなんていう暴論もよく見るけど、「最小存続可能個体数」という考え方も頭に置いてほしい。本当に様々な場所で全く絶滅に関与しないと言い切れる根拠は、少なくともピラミッドに入る生物をよく知らない状態では断言できないと思う。 ≫――――――≪ べーやん @_9973671532412 - 午後8:18 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/_9973671532412/status/1177180531491885057 返信先: @nekton27 数百年に一度の噴火に生き残る性質を持った魚みたいなパンデミックに耐えるための生き物がいたり生態系の最小存続可能個体数は不明すぎますよね。 生態系は今の科学では未知で、貴重な性質が人間の利益になる可能性があるから守ろうとしてるのに感情論で話したり理解してもらうのは難しいんですかね ≫――――――≪ ざざむし。の人 @nekton27 - 午後8:24 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/nekton27/status/1177182124757016576 返信先: @_9973671532412 ウナギの産卵行動も壮大すぎて計算するにも限界ありすぎ早めの絶滅危惧指定だと思うんですが、直接永続利用したい対象ですら現実の日本では目先の利に囚われている始末なので絶望だらけの世界ですね。 ≫――――――≪ べーやん @_9973671532412 - 午後8:39 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/_9973671532412/status/1177185851639336960 返信先: @nekton27 暴論に則ると乱獲が続くうなぎも絶滅危惧種に指定されて5年以上たっても絶えてないから生態系として問題なくて大丈夫って感じになるのでしょうかね。 生きてるうちに資源回復して食べる夢は叶わないのかもしれないですね ≫――――――≪
ざざむし。の人 @nekton27 - 午前2:00 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/nekton27/status/1176904391707594752
https://ideacon.jp/technology/inet/vol21/vol21_wr01s.pdf
ざざむし。の人 @nekton27 - 午前2:57 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/nekton27/status/1176918756133441537
ざざむし。の人 @nekton27 - 午後3:10 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/nekton27/status/1177103151045828608
べーやん @_9973671532412 - 午後8:18 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/_9973671532412/status/1177180531491885057
ざざむし。の人 @nekton27 - 午後8:24 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/nekton27/status/1177182124757016576
べーやん @_9973671532412 - 午後8:39 ・ 2019年9月26日 : https://twitter.com/_9973671532412/status/1177185851639336960
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【「土用の丑の日」に憂う【後編】: 「絶滅危機」のウナギ、真の復活への道とは】 - ITmedia ビジネスオンライン : https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1907/26/news041.html 2019年07月26日 05時15分 公開 [真田康弘,ITmedia]
明日、7月27日にとうとうウナギ業界最大のイベント「土用の丑の日」が到来する――。「『土用の丑の日』に憂う」と題した本連載では、国民に広く親しまれてきた伝統食・ウナギの裏側がいかに黒いか、そして密輸や密漁、未報告のウナギの稚魚(シラスウナギ)由来のウナギの蒲焼が跋扈(ばっこ)する現状をレポートしてきた。
記事の前編「 {{ 絶滅危惧のウナギ――横行する“密漁・密輸”がもたらす『希望なき未来』 : https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1907/24/news026.html : https://benediktine.tumblr.com/post/188854154111/ }} 」 では、台湾から香港を経て横行する「ウナギロンダリング」の現状と、資源増殖のために実施されている「放流」事業が、科学的根拠に基づくものではない点を指摘した。加えて、中編「 {{ “ウナギ密漁”の実態を追う――『まるでルパン三世の逃走劇』 : https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1907/25/news035.html : https://benediktine.tumblr.com/post/188854272246/ }} 」では、高知県の事例を取材し、密漁の実態や取り締まりの最前線をお届けしてきた。
後編では、日本全体の取り組みに広げて論じていきたい。違法行為を抑止し、ウナギ資源の保全と持続可能な利用を図る道としてはどのようなものがあるのだろうか。以下、(1)国際的規制、(2)国内的規制、(3)資源増加のための対策、(4)経済的なインセンティブ、(5)流通、消費者の役割、に分けて考える。
{{ 図版 1 : ウナギを保護していくために必要なものは? }}
■《国際的規制の強化:ワシントン条約の活用》
まず国際的規制の在り方に関して説明する。ニホンウナギについては現在、日本、中国、韓国、台湾で関係国協議を開催しており、2014年にそれらの4カ国の間で(1)ニホンウナギの池入れ数量(養殖池に入れる稚魚の数量)を直近の数量から20%削減し、異種ウナギについては近年(直近3か年)の水準より増やさないための措置をとること、(2)法的拘束力のある枠組み設立について検討すること、などが合意されている。
しかし「20%」削減というのは科学的根拠に基づいたものでもなければ、資源保護のために十分とも言えない。また、中国は15年以降、非公式協議を欠席していて、地域的な法的拘束力のある枠組みの議論は全く進んでいない。
さらに問題なのは、この会議で何がどのように話し合われているのか、外からは全く見えない点だ。報道関係者も、NGOオブザーバーも参加は認められておらず、会議は非公開、結果は水産庁のプレスリリースと記者会見で知らされるのみなのだ。透明性がゼロである。
18年9月には「ニホンウナギに係る科学的データ・情報のレビュー等を行うとともに、今後どのような科学調査を実施すべきか等について、科学的な観点から議論が行」なうとして「ニホンウナギに係る地域ワークショップ」が開催されている。
しかしこちらも中国は欠席で、結果は「具体的な措置の提案には至らなかった(みなと新聞18年9月25日)」と知らされるのみだった。このままでは、埒(らち)が明かない。
{{ 図版 2 : 日本、中国、韓国、台湾で決めた「ニホンウナギの池入れ数量を直近の数量から20%削減」の20%には科学的根拠がない(水産庁「ウナギをめぐる状況と対策について(2019年7月)」より) }}
≫――――――≪
■《日本が率先して「ワシントン条約附属書掲載」を提案せよ》
そこでこの状態を打破するため、日本自らが率先して動植物の輸出入を規制するワシントン条約において附属書掲載を提案してはどうだろうか。すでにヨーロッパウナギは附属書II(取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれのある種)に掲載されていて、この条約の下で輸出入規制が行われている。
ときどき「ワシントン条約で規制されてしまうと輸出入が一切できなくなってしまう」と勘違いされることがある。確かに附属書Iに掲載されると、商業的輸出入はできなくなってしまうものの、ヨーロッパウナギのように附属書IIに掲載されている種については、輸出が(1)その種の存続を脅かすことがなく、かつ、(2)自国の法令に違反して入手されたものでない場合、輸出側は輸出許可書を発給することができる(ワシントン条約第4条2項)。
つまり、附属書IIの掲載は、商取引の禁止ではなく、資源の持続可能な利用を目的にするものともいえるのだ。
近年ワシントン条約では他の条約などで十分に守られていない種を附属書IIに掲載し、その種の保存と持続可能な利用を図る動きが活発化している。ニホンウナギもこのメカニズムを使って、率先して管理を行ってはどうだろうか。
もしニホンウナギが附属書IIに掲載されれば、香港からの輸出に対して許可書の発給は困難となるだろう。香港の管理当局が、台湾からの密輸の疑いが濃厚なシラスウナギを「自国の法令に違反して入手されたものでない」と認め難いからだ。���ちろん、附属書IIに掲載されてしまうと「ロンダリングウナギ」が断たれてしまうため、日本の養殖池に入るシラスウナギの漁は相当量減ることが予想される。
しかし、そもそも密輸された非合法なシラスウナギを使うこと自体が問題なのだから、こうした違法な「ロンダリングウナギ」に依存した養鰻業者は淘汰され、業界の適正化が図られることになるはずだ。
{{ 図版 3 : ワシントン条約の付属書に掲載されている水棲動物種(水産庁「ウナギをめぐる状況と対策について(2019年7月)」より) }}
≫――――――≪
■《国内的規制の強化》
第二は国内的規制の大幅な強化だ。中編記事で述べた通り、現在ウナギの採捕は都道府県が制定する漁業調整規則などにより規制されている一方、漁業法に定める当該規則の罰則上限は「6月以下の懲役若しくは10万円以下の罰金」にすぎず、暴力団員が直接関与した極めて悪質な事例でも、執行猶予付きの判決で済んでいる。ウナギの稚魚を違法に採捕した場合、その利益は場合によっては数十万円から百万円単位となることから、現行の罰則は違法操業を抑止するものとしては「弱すぎる」と言わざるを得ない。
こうした中、18年に改正された漁業法では罰則が引き上げられ、農林水産省令で特に指定された水産物を密漁した場合、「3年以下の懲役または3000万円以下の罰金」に処すことができるようになった(改正漁業法第132条及び第189条)。この改正はもともと密漁に悩まされているアワビやナマコを想定したものだが、筆者はウナギにもこの厳しい罰則が適用されるようにすべきだと考えている。
なお、シラスウナギの場合は養殖用の種苗(編注:しゅびょう、稚魚のこと)として特別に採捕が認められたもので、そもそも「漁業」とは認められていないため、上記の指定が難しいのではないかとの声も、規制を担当する地方自治体関係者から聞こえてくる。こうした場合は、漁業法をさらに改正し、漁業調整規則などの罰則上限を大幅に引き上げてこの懸念に対応してはどうだろうか。
法的な規制とともに、取り締まりの強化も必要だ。もちろん、各都府県で密漁を担当する人員を強化していくことが望ましい。こうした場合でも、密漁を担当する各当局が連携を強化することにより、対策を強化できるだろう。例えば中編で紹介した高知県の事例でもあったように、シラスウナギ漁の実態をよく知る県庁担当者と、取り締まりのノウハウや反社会勢力に関する情報などを有している都府県警察との連携の強化などが望まれる。
また、密漁・未報告で採捕されたシラスウナギの収益は、当然適正な税務申告がなされていない。事実、これまでにもシラスウナギ密漁に関する脱税で摘発された事案は複数あり、例えば高知地裁は18年12月、シラスウナギ仲介で得た所得を申告せず、2年間で計9600万円を脱税したとして、県内の男に懲役1年6月、執行猶予3年、罰金2000万円の判決を下している(読売新聞18年12月28日)。密漁関係の事案については適宜、所得税法違反にも同時に問い、より高額の罰金を科す形で不十分な漁業調整規則の罰則を補うべきだ。
{{ 図版 4 : アワビやナマコを密漁した場合、「3年以下の懲役または3000万円以下の罰金」に処すことができるように漁業法が改正されたが、ウナギにも適用すべきだ(水産庁のWebサイトより) }}
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■《資源増加のための対策》
第三は資源増加のための、真に有効な取り組みの強化だ。
14年と15年に環境省が実施した調査によると、堰(せき)やダム、落差工といった河川横断工作物がウナギの遡上に悪影響を与えていて、ウナギの個体数密度と相関していることが明らかとなっている。従って、まず手始めに、水位差が約40センチ以上の状態が恒常化している河川横断工作物については、必要不可欠でない場合はこれらを撤去し、ニホンウナギが遡上できる環境を整備すべきだ(環境省自然環境局野生生物課「ニホンウナギ生息地保全の考え方」、17年3月)。
もし撤去が困難な場合は、魚道を整備したり、落差を緩和したら、ウナギを下流からくみ上げて堰やダムの上流に再放流したりするなどの対策をすべきだ。
その一方、科学的にその効果がほぼ全く証明されていない養殖ウナギの放流、あるいは「石倉かご」と呼ばれる人工物の設置は、少なくとも税金を投入するものについては全面的な再考が必要だ。効果が全く不明なこうした事業に、高い説明責任が問われるはずの税金を投入すべきではない。
■《経済的なインセンティブ》
第四は経済的インセンティブだ。中編でレポートした高知県の事例のように、一部の地域では、ウナギ稚魚の採捕者が十分関与できない形で、できるだけ安く買いたい養鰻業者の主導によって買い取り価格が設定されている。安く買いたたかれたと考える採捕者は、高く買ってくれる闇業者に横流しする。ここで闇流通を発生させているのは、市場価格を歪(ゆが)める「不必要な介入」だ。採捕者と買い手側の相互行為に基づく自由な市場価格形成を阻害すべきではない。
事実、水産庁も「都道府県において指定された出荷先への販売価格を設定している場合において、その設定価格が市場価格に比べて低いときには、再点検を行うこと」を都道府県に助言している(水産庁「ウナギをめぐる状況と対策について」19年7月)。
{{ 図版 5 : 水産庁も「都道府県において指定された出荷先への販売価格を設定している場合において、その設定価格が市場価格に比べて低いときには、再点検を行うこと」と都道府県に助言している(水産庁「ウナギをめぐる状況と対策について(2019年7月)」より) }}
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■《流通・消費者の取り組み》
最後に流通・消費者の役割だ。例えば日本最大手のスーパー、イオンは6月3日、静岡県と浜名湖養魚漁業協同組合などとの協力を得て、大手小売業界で初めて完全にトレーサビリティーを確保した「静岡県浜名湖産うなぎ蒲焼」を発売した。インドネシア産のビカーラ種ウナギの蒲焼とともに完全トレース品として販売している。
イオンによると、中国でも、浙江省寧波や江蘇省南通など、一部の地方で採捕されたシラスウナギを使い、稚魚の産地まで分かる製品生産のめどが立ったとして、インドネシア産10%、静岡産5%と合わせ、40%がトレーサビリティーを確保した製品として販売可能と解説し、23年までに全てのウナギ商品の完全トレース化を目標としている(水産経済新聞19年6月4日)。
われわれ消費者も、トレーサビリティーが確保されたウナギを買うといった購買行動によって、業界へ影響を与えることができる。
消費者は、購買という選択に加えて、SNSなどでの意見表明によっても、持続可能なウナギ利用に貢献できる。例えば高知県は、極端なシラスウナギ不漁に見舞われた18年、3月5日までの漁期を20日まで15日延長(高知新聞18年2月28日) 、鹿児島県も3月10日までだった漁期を3月末まで21日間延長した(南日本新聞2018年3月11日) 。
これに対しては高知県の関係者も「(シラスウナギを)取らせたくない方々から相当な批判を受けて『炎上』した」と認めるほどSNS上で批判が集まった。今年もシラスウナギ漁は前年を下回る不漁に終わったが、採捕期間は延長されていない。SNSでの「炎上」が、この判断に寄与したともいえよう。
{{ 図版 6 : 2018年にイオン葛西店の売り場で販売されていたウナギ }}
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■《「ウナギ食文化」を将来に残すために》 大伴家持が「石麻呂にわれ物申す夏痩せに良しという物ぞ鰻(むなぎ)取り食(め)せ」と万葉集で歌ったように、ウナギが暑い夏に適した食であることが奈良時代から知られていたようである。江戸時代中・後期頃から土用の丑の日にウナギを食べる習慣が生まれ、ウナギは現在われわれの食文化として深く根付いている。
しかしシラスウナギの漁獲量の歴史的不漁が去年も今年も報道される現在、われわれのウナギ消費は持続不可能なレベルに達していると言えよう。事態は一刻を争うように思われる。将来の世代にウナギとその食文化を残してゆくために、あらゆるレベルでの取り組みが必要とされているのだ。
{{ 図版 7 : 将来世代に残していくための取り組みが急務だ(写真提供:ゲッティイメージズ) }}
●著者プロフィール 真田康弘(さなだ やすひろ) 早稲田大学地域・地域間研究機構客員主任研究員・研究院客員准教授。神戸大学国際協力研究科博士課程前期課程修了(修士・政治学)。同研究科博士課程後期課程修了(博士・政治学)。大阪大学大学教育実践センター非常勤講師、東京工業大学社会理工学研究科産学官連携研究員、法政大学サステイナビリティ研究教育機構リサーチ・アドミニストレータ、早稲田大学日米研究機構客員次席研究員・研究院客員講師等を経て2017年より現職。専門は政治学、国際政治史、国際関係論、環境政策論。地球環境政策や漁業資源管理など幅広く研究を行っている。著書に『A Repeated Story of the Tragedy of the Commons: A Short Survey on the Pacific Bluefin Tuna Fisheries and Farming in Japan』(早稲田大学、2015年)、その他論文を多数発表。
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【「土用の丑の日」に憂う【中編】: “ウナギ密漁”の実態を追う――「まるでルパン三世の逃走劇」】 - ITmedia ビジネスオンライン : https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1907/25/news035.html 2019年07月25日 05時15分 公開 [真田康弘,ITmedia]
かつて、ウナギの稚魚を「密漁」していた当事者は、筆者の取材にこう打ち明ける。
「あれはルパン三世を地で行っているようなものだった」
密漁の捜査当局者に発見され、必死に逃れようとした状況を表したひと言だ。
ウナギの稚魚であるシラスウナギ漁は通常夜間に行われる。「最高の条件は闇夜で大潮、中潮」とシラスウナギ漁関係者は語った。闇夜のなか、漁業者は夜の水面を集魚灯で照らしながら操業する。採捕が許可されている期間中であれば、誰が正規の漁業者で誰が採捕許可のない密漁者かは区別できない。
「最盛期なら東京駅で特定の人を探すくらい(密漁者が誰かは)分からない。みんな暇なら周りを見ているけど最盛期はそんな余裕無いから」と関係者。ただし期間外なら話は別、見つからないよう、光量を落として操業だ。そんな中、密漁取り締まりに発見されてサーチライトを照らされて追跡され、必死で逃げ切ろうとしていた様が、さながら警察に追われる「ルパン三世」のようだったのだろう。
{{ 図版 1 : シラスウナギの「密漁」は闇夜のなか、水面を集魚灯で照らしながら行われる }}
■《「ウナギロンダリング」だけじゃない 暴力団も絡む密漁ビジネス》
記事の前編「 {{ 絶滅危惧のウナギーー横行する“密漁・密輸”がもたらす『希望なき未来』 : https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1907/24/news026.html : https://benediktine.tumblr.com/post/188854154111/ }} 」では、台湾から香港を経由した壮絶な「ウナギロンダリング」が行われている実態をお届けした。今回の中編では、筆者がウナギの密漁ビジネスの実態を追うために、高知県まで足を運んできた結果をレポートしたい。
まず、密漁を行っている者の多くは一般人と思われるが、反社会勢力が関係する場合もある。例えば2018年、高知県警は無許可でシラスウナギ買い取り販売会社を高知市で経営していた男が、過去3年分で約6億2000万円の不法収益をあげていたとして国税当局に課税通報している。
県内では5つのグループが密漁を仕切っており、山口組系組員がこのグループに密漁を認める代わりに高額な「場所代」を取り、課税通報された男が経営する会社に密漁したシラスウナギを卸していたという(産経新聞電子版2019年3月25日) 。
17年には、高知地裁で暴力団員2人が、密漁によって漁業調整規則違反の罪に問われた事件で、懲役5カ月執行猶予3年の判決が下されている。通常、略式罰金で済むシラスウナギ密漁事案としては異例だ。16年11月には、県内で仲買人の事務所と元組員宅付近に火炎瓶が投げ込まれる事件が発生、県警はみかじめ料の支払いなどを巡るトラブルが背景にあるとみる(朝日新聞2018年1月11日) 。
今年に入ってからも、茨城県ひたちなか署と県警指定暴力団山口組・神戸山口組対立抗争集中取締本部は、六代目山口組系暴力団員ら6人をシラスウナギ密漁の疑いで逮捕している(読売新聞2019年4月23日付)。
県警組織犯罪対策課は「密漁は伝統的な暴力団の資金獲得活動だ。シラスウナギの買い取り業者は簡単にインターネットでも探せるため暴力団にとっておいしい話」と指摘する(読売新聞2019年6月26日付) 。反社会勢力関係の取材に詳しいフリーライターの鈴木智彦氏も「全国で暴力団排除条例が施行され、企業コンプライアンスの重要性が認知された現在、ここまで不正が常態化し、不透明な業界も珍しいだろう。センセーショナルに煽っているわけではない。……ここまで黒いとは予想外だった」(『サカナとヤクザ:暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う』小学館)と指摘するほど、この問題の根は深いといえる。
{{ 図版 2 : ウナギの稚魚が採捕されている高知県・四万十川の河口(筆者撮影) }} {{ 図版 3 : 漁協による密漁に対しての注意喚起もされていた }}
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■《闇業者への密流通》
シラスウナギ漁には密漁に加えて、正規にシラスウナギ採捕の許可を持っている者が、正規の買い取り業者ではなく闇業者に流すという「密流通」の問題もある。これには、正規の買い取り価格が市場価格によって決定されておらず、闇価格と乖離しているという問題も背景にある。
シラスウナギの流通は各地域により異なっている。筆者は高知県に足を運び、県庁や業界関係者に取材を試みた。高知県では、採捕の許可は県内漁協もしくは県内の同一市町村内に住所を有する者で組織する採捕団体に交付される。
そもそも、シラスウナギの採捕は原則として禁止されており、限定的・例外的に採捕が認められる。これを「特別採捕許可」と言う。この「特別採捕許可」を受けた漁協や採捕団体は、集出荷業務を代行する「指定集荷人」を置くことができ、許可を受けた漁協や採捕団体ごとのシラスウナギの「採捕従事者」の数は、前年度の採捕従事者数を上回らないものとし、削減に努めることが求められている。現在、高知県内で採捕されたシラスウナギは、高知県漁業協同組合連合会及び高知県養鰻生産者協議会で構成する高知県しらすうなぎ流通センターへ出荷しなければならない(高知県「平成30年度うなぎ稚魚(しらすうなぎ)特別採捕取扱方針(内水面) 案」) 。
つまり、高知県は漁協あるいは採捕団体にシラスウナギの特別採捕許可を出し、これにもとづいて指定集荷人をおき、県内に約2500人いる採捕者からシラスウナギを仕入れる。私がインタビューした四万十川流域でシラスウナギ漁をする採捕者によると、採捕を希望する者は適宜関係者に申し込んで採捕の許可を得るとのことだった。
{{ 図版 4 : 高知県「平成30年度うなぎ稚魚(しらすうなぎ)特別採捕取扱方針(内水面) 案」 }} {{ 図版 5 : 暴力団や役員が暴力団員などである団体が指定集荷人になることを禁じている }}
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■《シラスウナギ漁業者の不満》
採捕されたシラスウナギはしらすうなぎ流通センターへ出荷される。高知県では養鰻業者間で最も高い値段を出した者からシラスウナギを流通センターから仕入れてゆく。流通センターがキロ当たり10万円の手数料を取り、指定集荷人は自分の利益分を差し引いた「浜値」で採捕者からシラスウナギを仕入れる。
しかしこのシステムでは、シラスウナギの仕入れ価格に採捕者が関与できる余地が少ない。指定集荷人は流通センターでの価格に基づいて浜値を設定するからである。採捕者はいくら値段に不満でも、定められた集荷人に卸す以外にない。「シラスウナギを買っている側は何であんなに安く買うのだろうか」とこの採捕者は憤る。
「全国相場の1割低いとかいうのならまだ良いが、半分とかも普通にある」とある別の関係者は言う。
「高知県の養鰻業者は規模が小さくて、お金もないとか、いろいろな理由があるのだろうが、『なるべく安く買おう、安く買おう』とするのが見え見えだ。値段を上げたら買えないのが出てくるとか、なかには、これは養鰻業者のための採捕だ、安くするのが当たり前だ、というのが養鰻業者のほうから聞こえてきたりする。それはちょっといかがなものだろうか」
これに比べて「裏のほうに流せば儲(もう)かります、はっきり言って」と先ほどの採捕者は断言する。価格差は、キロ数十万円から100万円くらいまであると言う。1匹の単価に直すと、130円~150円ほどの差が出るそうだ。これでは密流通に流れるのは、経済合理性の観点からむしろ当然ともいえる。密流通の責任を採捕者側のみに帰するのは酷というものである。
なおこうした問題は高知県に限らない。ウナギ養殖が盛んな静岡県、宮崎県、鹿児島県などでも採捕されたシラスウナギの県外流通が制限されており、これらの県では県内流通価格が市場価格より低く設定されている(海部健三『結局、ウナギは食べていいのか問題』岩波書店) 。結果、これがむしろ闇流通を促進させているとも言えよう。
{{ 図版 6 : ウナギの稚魚が採捕されている仁淀川河口(筆者撮影) }}
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■《高知県での取り組み》
高知県はシラスウナギ採捕許可期間が12月22日から3月11日までと他府県に比べて短く、密漁対策にも積極的に取り組んでいる。
面積が7105平方キロと国内第18位の面積を有する高知県は、東西にも長く、シラスウナギの採捕地も点在している。こうしたなか、現在合計3隻の船を用いて水産振興部漁業管理課の職員などが手分けをして密漁の取り締まりに当たっている。
県庁担当者は「シラスウナギの密猟事案が多いのは高知の中央部のあたりなので、そこに手厚く人員を配置している」と教えてくれた。
また、「2000年から密漁事案一般の司法手続きに明るい、県警のOBに頼んで来てもらうようにしている。以降は、県警との間の意思疎通もスムーズにいくようになった」と取り組みを振り返る。
現在は県警の刑事課や生活環境課など、シラスウナギ事案を扱う部署に、毎年密漁の実態把握と取り締まりを要請するとともに、シラスウナギのシーズンが近づいてくると、県警と情報交換をしながら、合同捜査も実施しているそうだ。「全国的にもうちが一番、強制捜査で通常逮捕や現行犯逮捕を行っているのではないかと思う」と担当者は胸を張る。
{{ 図版 7 : 高知県はシラスウナギ採捕許可期間を12月22日から3月11日までと限定している(高知県「平成30年度うなぎ稚魚(しらすうなぎ)特別採捕取扱方針(内水面) 案」) }}
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今後の対策は? さらに県は2017年に漁業調整規則・内水面漁業調整規則に基づく特別採捕取扱方針に新たな審査基準を追加し、暴力団員や暴力団に利益・便宜供与をした者、暴力団が経営に関与していると知りながら、それを利用した者はシラスウナギを採捕できないとしている 。
また、業界側での取り組みとして、仁淀川と四万十川の採捕許可名義人である県淡水漁業協同組合が今シーズンから、採捕人には顔写真付きの腕章着用を義務付けている。こうした対策のかいもあり、例えば禁止されている定置網によるシラスウナギ漁は「県や県警の取締が厳しくて割に合わなくなった」と高知県のあるシラスウナギ採捕者は語っている。
18年4月、高知県知事はニホンウナギ流通の透明化を図るため、全国的なウナギトレーサビリティーシステムの構築を提言、今年度水産庁の事業として行われるシラスウナギトレーサビリティー確立のための事業に、千葉、愛知、宮崎とともに参加した。シラスウナギの採捕や流通の実態把握を行うとともに、学識経験者、養鰻業者、シラスウナギ採捕者、自治体職員等で実証手法等地域検討会を組織し、トレーサビリティー手法の検討や実証試験を行う予定だという(高知県「にほんうなぎの流通の透明化について」) 。
高知県を例に、採捕・流通に関する問題や県による対策を紹介したが、特定の都道府県に限らず国全体・全国的な規模でのウナギ資源の保全と持続可能な利用のための対策としてはどのようなものがあるだろうか。次回の後編ではこれを取り上げてみたい。
{{ 図版 8 : 高知県「にほんうなぎの流通の透明化について」 }}
●著者プロフィール 真田康弘(さなだ やすひろ) 早稲田大学地域・地域間研究機構客員主任研究員・研究院客員准教授。神戸大学国際協力研究科博士課程前期課程修了(修士・政治学)。同研究科博士課程後期課程修了(博士・政治学)。大阪大学大学教育実践センター非常勤講師、東京工業大学社会理工学研究科産学官連携研究員、法政大学サステイナビリティ研究教育機構リサーチ・アドミニストレータ、早稲田大学日米研究機構客員次席研究員・研究院客員講師等を経て2017年より現職。専門は政治学、国際政治史、国際関係論、環境政策論。地球環境政策や漁業資源管理など幅広く研究を行っている。著書に『A Repeated Story of the Tragedy of the Commons: A Short Survey on the Pacific Bluefin Tuna Fisheries and Farming in Japan』(早稲田大学、2015年)、その他論文を多数発表。
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【「土用の丑の日」に憂う【前編】: 絶滅危惧のウナギーー横行する“密漁・密輸”がもたらす「希望なき未来」】 - ITmedia ビジネスオンライン : https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1907/24/news026.html 2019年07月24日 05時00分 公開 [真田康弘,ITmedia]
今年も「土用の丑の日」が7月27日にやってくる――。
昨年、日本はかつてないほど、ウナギ稚魚(シラスウナギ)の不漁に見舞われた。水産庁の調べによると1963年に232トンを記録していたシラスウナギの採捕量は年を追って減少、2017年漁期には15.5トン、18年漁期には8.9トンにまで落ち込んだ。13年に環境省はニホンウナギを絶滅危惧種に指定、翌年には国際NGOの世界自然保護連合(IUCN)も絶滅危惧種に指定している。昨年の不漁の問題については、ちょうど一年前にレポートした通りだ( {{ ウナギ業界の「異常」にイオン、岡山のベンチャーが立ち向かう理由 : https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1807/20/news025.html }} )。
報道の面でも昨年、「うなぎ絶滅キャンペーン」なるツイッターのアカウントが登場、「うなぎを安く食べ尽くそう」という皮肉を込めた呟きに1万人以上のフォロワーがつき、NHKも含め一般メディアが広く報じた 。最近も「(ウナギを)大事にいただきましょう」という環境省公式ツイッターでの投稿が「炎上」、僅か数時間で投稿が削除されるなど、ネット上でも話題に事欠かない。
ネット上での話題もさることながら、現実世界でも、今年の状況は去年をはるかに凌ぎ、採捕量はわずか3.7トンの過去最悪を更新した。これは1963年の1.6%にすぎない。「クロコ」と呼ばれるシラ��ウナギが成長して黒色になった幼魚が含まれている可能性がないとされる72年以降で採捕量が最大だった75年の96トンと比較しても、今漁期の採捕量はその3.8%にすぎない。尋常ではない減り方である。
{{ 図版 1 : 今年も密漁と密輸に支えられた「土用の丑の日」が7月27日にやってくる }}
天然ウナギの内水面での漁獲量も3000トン前後を推移していた1960年代に比べ、2018年には68トンにまで落ち込んでいる。最盛期の1961年(3387トン)比でわずか2%である(図1参照)。
シラスウナギ採捕数��減少は価格にも反映される。水産庁の調べによると、2003年にはキロ当たり16万円であったシラスウナギの取引価格は、今年は219万円にまで上昇した。現在の金取引価格がグラム当たり約5300円であることから、1キロのシラスウナギを持ってゆけば約410グラムもの金が買えることになる。こうした稚魚の高騰は、当然スーパーに並ぶウナギ蒲焼の価格にも反映されることになるだろう。
{{ 図版 2 : 採捕量と漁獲量が急減している一方、稚魚の取引価格は高騰している(以下、資料は水産庁の資源などから筆者作成) }}
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■《「完全養殖ウナギ」の稚魚は1匹5400円 量産化には程遠い》
現在ウナギの養殖は天然の稚魚に頼る以外にはなく、われわれが食べるウナギは全て天然のシラスウナギから成長したものだが、完全養殖のための取り組みも進められてきている。02年に独立行政法人水産総合研究センターは、卵からシラスウナギまでの人工飼育に世界で初めて成功、10年には人工の親魚から得た卵をふ化させた「完全養殖」に成功している。
16年には計画的な産卵と年間数千尾のシラスウナギ生産が可能となり、水産総合・研究センターの後継機関である国立研究開発法人水産研究・教育機構は19年6月、人工的にふ化したシラスウナギを使って養殖したウナギの試食会を水産庁で開催している。しかし、現在の技術で生産した場合、シラスウナギは1尾5400円と、コストは天然ものの10倍以上になるのが現状だ(みなと新聞 19年6月25日)。しかも人工のシラスウナギは天然物に比べて生存率や成長率に劣っている。量産化はまだ先のことと言えそうである。
もし量産化が実現できたとしても、それだけではウナギの減少に直接歯止めを掛けられるわけではない。量産化が進み、天然物よりも安いシラスウナギが流通するようになれば、天然シラスウナギの価格は市場競争上、より安くなる可能性がある。安くなると、シラスウナギの採捕者が以前と同じ程度の利益を上げるためには、より多くの天然シラスウナギを獲らなければならなくなる。
したがって持続可能なウナギ利用のためには、人工シラスウナギが量産化された場合であっても、十分に資源を保護できる水準のシラスウナギ採捕・池入れ上限の設定が必要になってくるだろう。
{{ 図版 3 : ウナギの稚魚が採捕されている高知県・四万十川の河口(筆者撮影) }}
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■《緩すぎる規制と「密漁・無報告ウナギ」の蔓延》
現在シラスウナギの採捕は基本的に各都府県レベルで規制されていて、漁期や採捕上限などの規制も都府県別だ。ただしウナギ養殖業は農林水産大臣の許可を要する指定養殖業に指定されていて、この許可に基づき国は合計21.7トンの池入れ割当量を設定、各都府県に配分している。
問題なのは、その採捕上限などの規制が緩すぎる場合が少なくない点だ。例えば茨城県では17年漁期に1283キロ、18年漁期に1239キロのシラスウナギ採捕が県に報告されている 一方(日本養殖新聞 19年6月15日)、18年漁期の採捕上限はこれらを遥かに上回る6200キロに設定されている(みなと新聞 19年3月20日)。茨城県内に限れば6200キロものシラスウナギ需要はなく、枠は明らかに過大だ。
加えて、一部の県ではそもそも採捕上限すら設定されていない。14年に定められた国全体の池入れ上限21.7トンは、同年漁期の池入れ量(27.1トン)を2割削減した数字だが、水産庁の資料によると、過去10年で池入れ量がこれを上回った年は2回しかない(図2参照)。そもそもこの池入れ上限の数字に科学的根拠はなく、資源保護のための役割を十分に果たしているとは言い難い。
{{ 図版4 : (図2)池入れ量を制限しても規制が緩すぎて全く機能していない }}
さらに問題なのは、罰則が密漁から得られる利益に比べて緩すぎる点だ。現在ウナギの採捕は都道府県が制定する漁業調整規則(海の場合)及び内水面漁業調整規則(河川・湖沼などの場合)により規制されている。しかし漁業法で定められているこれらの規則の罰則上限は「6月以下の懲役若しくは10万円以下の罰金」に過ぎない。
たとえ密漁の罪に問われたとしても、多くの場合は略式起訴され、略式命令で数万円程度の罰金となるだけだ。ウナギの稚魚を違法に採捕した場合、その利益は場合によっては数十万円単位から百万円単位にもなり、密漁で摘発される可能性は多くない点を考慮に入れて利害得失を考えた場合、「密漁したほうが得だ」という計算が働いてしまう。
事実として密漁や無報告のシラスウナギの採捕が広範に行われていると考えられている。例えば18年漁期の水産庁が算出した採捕量は8.9トンである一方、各都府県からの採捕報告量はその約6割の5.3トンにとどまり、約4割に当たる残りの3.6トンは、密漁か未報告のものだと推測される(図3参照)。
19年も水産庁発表による採捕量は3.7トンであるのに対し、各都府県採捕報告量は2.2トンで(日本養殖新聞 19年6月15日)、やはり約4割の1.5トンが密漁・無報告由来の「黒い」シラスウナギの可能性が高い。
{{ 図版 5 : (図3)採捕量のうち半数近くが密漁・無報告由来の「黒い」シラスウナギの可能性が高い }}
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■《違法由来の「ウナギロンダリング」 過去最高の76%》
日本のウナギ養殖で最大の問題とも言えるのが「ウナギロンダリング」である。現在、日本のウナギ養殖は国内で採捕されたウナギの稚魚(シラスウナギ)だけでは養殖池を埋められない状況で、外国からの輸入に頼っている。極端な不漁に見舞われた今漁期についていえば、池入れされた稚魚の輸入は過去最高の「76%」にのぼっている。
問題なのは、その輸入元である。財務省貿易統計によると、今漁期の池入れに用いられる去年の11月から今年の3月までに輸入されたウナギ稚魚約11.7トンのうち、99%の11.5トンは香港から輸入されている(図4)。しかし、香港にウナギの稚魚が遡上する川は存在しない。従って、香港から輸入されている現状自体が「おかしなこと」なのだ。
{{ 図版 6 : (図4)2007年に台湾がウナギの稚魚の輸出を禁止した瞬間、今度は香港から輸入されるようになった。普通に考えれば「台湾→香港→日本」というロンダリングされたウナギを日本の消費者が食べている可能性が高い(財務省貿易統計から筆者作成) }}
香港からのウナギ稚魚輸入が急増するのは07年になってからだが、この年はそれまでウナギ稚魚の主たる輸入先であった台湾が輸入を原則として禁止した年に当たる。以来、台湾のウナギ稚魚は一旦香港に密輸され、香港から日本に再び輸出されるという「ウナギロンダリング」が行われているのである。
ということは、今年池入れされたシラスウナギの76%、つまり実に4分の3以上が違法な「ウナギロンダリング」を経た台湾産である可能性が高いことになる。台湾からの密輸にもマフィアなどの反社会勢力が絡んでいる場合があるとも言われている。資源が激減しているニホンウナギは台湾でも絶滅危惧種に指定されている。
水産庁の統計などをもとに18年にワシントン条約事務局が公表した報告書によると、17年漁期に池入れされたウナギ稚魚のそれぞれ57%は違法や無報告の漁獲、あるいは違法取引にある可能性が高いと指摘されている。同様の統計を用いた場合、去年池入れされた稚魚の62.4%、今年池入れされた稚魚に至っては実に85.5%が密輸・密漁・未報告由来の可能性が高いことになる。通常ウナギの養殖期間は半年から1年半であるため、現在販売されている国産養殖ウナギは、今年か去年の漁期にシラスウナギとして池入れされていることになる(図5)。
ということは、今年のスーパーに並ぶ国産養殖ウナギの蒲焼10匹のうち6匹以上が違法・無報告のシラスウナギに由来する可能性があるという驚くべき状態にあるのだ。
{{ 図版 7 : (図5)日本で養殖されている「違法」なウナギ稚魚の割合は、2019年では8割を超えている可能性がある }}
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■《養殖ウナギの放流は「ウナギの供養」?》
絶滅危惧種に指定されたニホンウナギに対し、国や地方自治体あるいは民間のイニシアティブとして全国で種々の資源増殖のための取り組みが行われてきている。その最もポピュラーなものがウナギ放流であろう。漁業法では河川や湖沼で漁業を営む免許を有している者に対して水産動植物の増殖を行う義務を課している(第127条)。この義務を果たす一環として漁業協同組合によりウナギの放流が行われるほか、養鰻業者などによっても放流が行われている。
ところが、放流されたウナギによって資源が増加するとの科学的証拠は、実は存在していない。北大西洋などにおける国際的な水産資源科学アセスメント機関である国際海洋探査委員会(ICES)のウナギ放流ワークショップ報告書では、「放流の純利益を評価する知識的基盤は極めて弱い」と結論付けている( ICES, “Report of the Workshop on Eel Stocking (WKSTOCKEEL), 20?24 June 2016, Toomebridge, Northern Ireland, UK. ICES CM 2016/SSGEPD:21,” p. 54. ) 。
中央大学法学部准教授・中央大学研究開発機構ウナギ保全研究ユニット長の海部健三博士はこれを引用しつつ、養殖ウナギ放流がウナギ資源量を回復させる効果について��とんど明らかにされていないと指摘している(海部健三「 {{ 2018年漁期 シラスウナギ採捕量の減少について その5 より効果的な放流とは : http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/blog/kaifu/2018/02/26/2018%E5%B9%B4%E6%BC%81%E6%9C%9F-%E3%82%B7%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%82%A6%E3%83%8A%E3%82%AE%E6%8E%A1%E6%8D%95%E9%87%8F%E3%81%AE%E6%B8%9B%E5%B0%91%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%80%80%E3%80%80-2/ }} 」、18年2月26日) 。
事実、ウナギ問題を担当する水産庁増殖推進部栽培養殖課の中奥龍也・内水面漁業振興室長も「ウナギの放流効果については科学的に明らかになっていません」と認めており、「効果がないからやめたほうが良い」との批判に対しては「放流は“供養”の意味合いもありますし、効果がないからすぐにやめろ、とも言い難い」と答えている(日本養殖新聞 19年1月10日) 。
科学的根拠に乏しい点において、類似の増殖対策としては、「石倉かご」と呼ばれる人工構築物の設置事業が挙げられる。「石倉」とは石を積み上げて網で囲った工作物で、石の隙間をウナギが隠れ場所として利用することから、ウナギの伝統的な漁法として用いられている。この石倉を河川に設置することで、ウナギの生育環境の改善が目指されている。
しかし現在の科学的知見に基づくと、石倉カゴにニホンウナギの生息環境を改善し、再生産速度を増大させる効果は期待できないと海部准教授は指摘する ( 海部健三「 {{ 2018年漁期 シラスウナギ採捕量の減少について その3 生息環境の回復 ?「石倉カゴ」はウナギを救うのか���~ : http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/blog/kaifu/2018/02/12/2018%E5%B9%B4%E6%BC%81%E6%9C%9F-%E3%82%B7%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%82%A6%E3%83%8A%E3%82%AE%E6%8E%A1%E6%8D%95%E9%87%8F%E3%81%AE%E6%B8%9B%E5%B0%91%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%80%80%E3%80%80/ }} 」2018年2月12日)。そもそも石倉カゴはタコツボのように、魚の隠れ家を作って捕獲するための漁具である。タコツボをいくら増やしたところでタコが増えないように、ウナギの隠れ家をいくら増やしたとこでウナギは増えない。
16年12月に {{ 自民党の行政事業レビューチームが出した提言 : http://www.taira-m.jp/%E8%A1%8C%E6%94%BF%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0%E6%8F%90%E8%A8%80.pdf }} でも「水産庁は石倉の設置事業を実施しているが、適切なエビデンスに基づいた効果検証がなされているとは言えない」と厳しく批判している 。科学的に意味が不明の増殖対策をしてもウナギ資源が増えないのは当たり前だ。
●著者プロフィール 真田康弘(さなだ やすひろ) 早稲田大学地域・地域間研究機構客員主任研究員・研究院客員准教授。神戸大学国際協力研究科博士課程前期課程修了(修士・政治学)。同研究科博士課程後期課程修了(博士・政治学)。大阪大学大学教育実践センター非常勤講師、東京工業大学社会理工学研究科産学官連携研究員、法政大学サステイナビリティ研究教育機構リサーチ・アドミニストレータ、早稲田大学日米研究��構客員次席研究員・研究院客員講師等を経て2017年より現職。専門は政治学、国際政治史、国際関係論、環境政策論。地球環境政策や漁業資源管理など幅広く研究を行っている。著書に『A Repeated Story of the Tragedy of the Commons: A Short Survey on the Pacific Bluefin Tuna Fisheries and Farming in Japan』(早稲田大学、2015年)、その他論文を多数発表。
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【日本の年金、37カ国・地域中31位 米社、持続性に疑問】 - 日本経済新聞 : https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51768110T01C19A1NN1000/ 2019/11/3 20:00 日本経済新聞 電子版
米コンサルティング会社マーサーがまとめた2019年度の年金制度の国際ランキングによると、日本の年金制度は先進国を中心とする37の国と地域のうち31位だった。年金の持続性を問う項目の評価が低かった。マーサーは日本の年金制度を「改善がなされなければ、年金制度の効果と持続性には疑義が生じる」と指摘している。
{{ 図版 : 上位には北欧諸国が並んだ }}
日本の総合指数(0~100)は48.3となり、18年度に比べると0.1ポイント上昇した。改善は3年連続。総合の格付けは7段階で2番目に低い「D」で変わらなかった。
評価が低かったのは、私的年金の加入率や国の借金などから成る「持続性」の項目だ。格付けは最低ランクを表す「E」だった。政府債務の多さや私的年金の加入を強制していない点などが評価を押し下げた。
一方、年金の所得代替率(現役会社員の賃金水準に対する高齢夫婦世帯への年金額の割合)などを評価する「十分性」は「C」となり、指数も改善した。確定拠出年金などに税制優遇措置を設けていることや、株式といった成長性の見込める資産に年金資金を投じていることなどが評価された。
ランキングの首位はオランダ、2位はデンマークで前年と変わらなかった。平均余命に合わせて公的年金の支給開始年齢が変動する仕組みを取り入れており、「持続性」の評価が高かった。
もっとも、今回の調査は、少子化の進展などに合わせて給付額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」の導入や退職金制度の普及などを評価する仕組みになっていない。マーサージャパンの北野信太郎プリンシパルは「スコアだけを見て他国の制度をまねるのではなく、雇用なども含めた社会保障全体の枠組みをどう改善すべきか議論するきっかけにしてほしい」と話す。
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【「電子タバコ」パンデミック~米国で何が起きているのか】 - Yahoo!ニュース : https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20191005-00145393/ : https://archive.is/QtAQT 石田雅彦 | ライター、編集者 10/5(土) 9:00
{{ 図版 : (写真:アフロ) }}
米国では電子タバコによる呼吸器疾患の患者が急増し、亡くなる人も2桁になっている。パンデミック(伝染性の大流行)という表現も使われ、大きな社会問題になっている。いったい何が起きているのだろうか。
■《電子タバコでどんな病気になるのか》 米国CDC(疾病予防管理センター)によれば、電子タバコによる健康被害は、 {{ 2019年10月3日の時点で48州と1つの米国領において1080の肺損傷症例と15の州で18人の死亡を報告 : https://www.cdc.gov/tobacco/basic_information/e-cigarettes/severe-lung-disease.html#what-we-know }} している。患者の約70%が男性、約80%が35歳未満(18~20歳が約21%)だという。
タバコを吸うと気管や肺などの呼吸器に吸い込んだ物質が触れ、あるいは身体中の細胞に入り込み、直接的に悪影響を及ぼす。その結果、肺がん、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、気管支喘息、鼻腔や口腔などの頭頸部がん、といった病気になる(※1)。だが、最近の電子タバコによる呼吸器疾患の場合、少し病気の種類が異なるようだ。
ニコチンが添加されたリキッドを使う電子タバコは、日本を除く各国で売られている。電子タバコで病気になった事例はいつ頃から現れてくるのだろうか。
例えば、急性好酸球性肺炎(Acute Eosinophilic Pneumonia)という病気がある。日本から加熱式タバコ(アイコス=IQOS)を吸ったことで急性好酸球性肺炎になったという症例報告があるが(※2)、電子タバコでもこの病気になる危険性はありそうだ。
以前から、タバコを吸うと急性好酸球性肺炎という重篤な肺炎になることが知られていたが(※3)、この病気はわりに珍しく(※4)、他の肺炎と紛らわしいため、症例報告に上がりにくかった可能性もある。好酸球というのは白血球の一種でアレルギー反応を制御する。タバコに含まれる物質が劇症のアレルギー反応と好酸球の活性化を引き起こすのではないかと考えられている。
■《好酸球性肺炎よりもリポイド肺炎か》
では、電子タバコを吸ったことによる急性好酸球性肺炎の症例報告はあるのだろうか。
過去の文献を検索すると、2009年に出版された急性好酸球性肺炎の症例報告のレビュー(※5)には、紙巻きタバコによる論文は紹介されているが、まだ電子タバコについての言及はない。
電子タバコを吸って急性好酸球性肺炎になったという症例報告は、2014年に男性で1例(※6)、2019年に女性で1例(※7)あるだけだ。最近の電子タバコ騒ぎで入院した患者17人の肺細胞の臨床検査によれば、好酸球はあまり見られなかったらしい(※8)。
結論を出すのは早いが、おそらく今回の電子タバコの健康被害は急性好酸球性肺炎ではないのかもしれない。
ところで、電子タバコを吸うことによる呼吸器疾患の問題がクローズアップされるのは2012年になってからだ。しかし、2012年前後の段階では電子タバコによる健康への害は不明で、リキッドに含まれるグリセロール、プロピレングリコール、ニコチン、添加された香料などを容疑者として探索が続けられていた(※9)。
電子タバコによるグリセリンはリポイド肺炎(Lipoid Pneumonia)という、これも珍しい呼吸器疾患との関連が示唆され、例えば呼吸困難とひどい咳、発熱で入院した42歳の女性の事例では、約7ヶ月前から電子タバコを吸い始めてから症状がひどくなり始めたという(※10)。
リポイド肺炎というのは外因性の場合、パラフィン(流動パラフィン≒ベビーオイル)などの油性物質を吸い込んだり誤嚥したりして起きる急性の肺炎だ(※11)。肺の内部にべっとりと油成分が貼り付いて呼吸機能を阻害する。幼児が誤飲することが多く、火を噴くパフォーマーがパラフィンを使って誤嚥し、リポイド肺炎になるという症例も報告されている(※12)。
2016年に出された電子タバコを吸った症例報告のレビュー(※13)では、25人の患者に健康への悪影響があった。そのうち呼吸器系の症例報告が6例あり、内訳は外因性のリポイド肺炎2例、気管支炎、急性好酸球性肺炎、肺炎、過敏性肺炎がそれぞれ1例となっている。
今年2019年7~8月に米国ノースカロライナ州の2つの病院で、電子タバコを吸ったと思われる呼吸困難の患者5人が治療を受けたが、5人とも急性の外因性リポイド肺炎との診断だった(※14)。だが、前述の肺細胞の生検のレポートでは、外因性のリポイド肺炎の特徴を示していないという指摘がなされていて混乱している。
■《複合的な作用かもしれない》
こうした報告をざっと眺めた印象では、電子タバコに含まれるグリセロールやプロピレングリコールといった化学物質が気化して呼吸器に送り込まれ、肺の中に貼り付いてしまい、好酸球性肺炎やリポイド肺炎のような症状を引き起こしたのかもしれない。
ただ、9月24日の米国46州の患者805人を調べたCDCの疫学週報(MMWP、罹患率と死亡率の週報)によれば、男性69%、13~72歳(中央値23歳)となっていて、さらに患者514人を調べてみるとTHC(Tetrahydrocannabinol、テトラヒドロカンナビノール)という大麻成分の入ったリキッド使用者が76.9%、ニコチン添加リキッド使用者が56.8%となっている(※15)。
また、イリノイ州とウィスコンシン州の患者127人を調査したMMWPによれば、項目に回答した86人のうち75人(87%)がTHCリキッドを使用し、61人(71%)がニコチン添加リキッドを使用していた。また、THCリキッドを使用した人の89%が友人や家族、路上の違法売人などから入手していたこともわかったという(※16)。
こうしたことから米国の電子タバコによる健康被害は、THCとグリセロールやプロピレングリコール、さらにニコチンといった複合的で複雑な作用で起きている危険性が考えられる。
2019年10月4日、米国FDA(食品医薬品局)は、電子タバコのどの成分が影響しているのか現状では不明としつつ、 {{ THCを含んだ電子タバコを使用しないように警告 : https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/statement-consumer-warning-stop-using-thc-vaping-products-amid-ongoing-investigation-lung-illnesses }} し、自分でリキッドに変更を加えず、違法なルートからの購入を止めるよう指示している。THC成分の添加を米国政府(FDA)は禁止しているが、合法的に認可している州も多い。実質的には野放し状態といっていいだろう。
また、 {{ カナダのケベック州でも電子タバコによる重篤な肺疾患の患者が出て : https://www.msss.gouv.qc.ca/ministere/salle-de-presse/communique-1927/ }} いる。米国での事例を含め、2019年9月28日に {{ カナダ保健省は電子タバコを吸うことの健康上のリスクについて警告 : https://www.healthycanadians.gc.ca/recall-alert-rappel-avis/hc-sc/2019/70919a-eng.php }} した。
電子タバコのリキッドにTHCを添加することは、以前から健康への悪影響が指摘されてきた(※17)。米国内のタバコ産業は、同国内の大麻の合法化の流れを受け、THC成分を加えたタバコ製品を全米で発売しようとしている。
日本ではニコチン添加リキッドを電子タバコで使用することは規制されているが、加熱式タバコはかなり広まっている。加熱式タバコからもニコチンはもちろんグリセロールやプロピレングリコールが吸収され、複合的な作用の起きる危険性は高い。
前述したように実際、アイコスを吸うことによって、急性好酸球性肺炎という重篤な呼吸器疾患になった症例報告もある。日本でタバコ製品の安全性について行政機関の審査などは全くない。米国と同じ状態にならないという保証は何もないのだ。
============≫ ※2019/10/05:15:37:内容を部分的に修正し、文献を3つ追加した。
※2019/10/06:15:12:英国の医学雑誌「BMJ(the British Medical Journal)」に2019年9月30日に出た論文(※18)によれば、電子タバコを吸うことによる長期的な悪影響は研究されていないが、呼吸器疾患の症例が増加している現状をみれば、電子タバコが肺に何らかの悪影響を及ぼすことは十分考えられるという。その理由として、電子タバコを吸うことで、肺に脂肪蓄積マクロファージ(lipid-laden macrophage)による泡沫細胞(Foam Cell)ができることが関与しているのかもしれないとする。マクロファージは白血球の一種で、死んだ細胞など生体廃棄物のスカベンジャー(腐肉あさり)の役割をする。脂質をあさって泡だった状態になったのが脂肪蓄積マクロファージだ。脂肪蓄積マクロファージはアテローム性動脈硬化症の原因になることが知られている。また、この論文では電子タバコの成分が免疫機能を抑制するかもしれないとも述べている。 ≪============ ============≫ ※1-1:Irfan Rahman, William MacNee, "Lung glutathione and oxidative stress: implications in cigarette smoke-induced airway disease." Lung Cellular and Molecular Physiology, Vol.277, Issue6, L1067-L1088, 1999
※1-2:Anupam Kumar, et al., "Current Concepts in Pathogenesis, Diagnosis, and Management of Smoking-Related Interstitial Lung Diseases." CHEST, Vol.154, Issue2, 394-408, 2018
※2-1:Takahiro Kamada, et al., "Acute eosinophilic pneumonia following heat‐not‐burn cigarette smoking." Respirology Case Reports, Vol.4, Issue6, 2016
※2-2:Toshiyuki Aokage, et al., "Heat-not-burn cigarettes induce fulminant acute eosinophilic pneumonia requiring extracorporeal membrane oxygenation." Respiratory Medicine Case Reports, Vol.26, 87-90, 2019
※3-1:Hiroshi Uchiyama, et al., "Alterations in Smoking Habits Are Associated with Acute Eosinophilic Pneumonia." CHEST, Vol.133, Issue5, 1174-1180, 2008
※3-2:Federica De Giacomi, et al., "Acute Eosinophilic Pneumonia. Cause, Diagnosis, and Management." American Journal of Respiratory and Critical Medicine, Vol.197, No.6, 2018
※3-3:Beenish Fayyaz, "Acute eosinophilic pneumonia associated with smoking: a case report." Journal of Community Hospital Internal Medicine Perspectives, Vol.8, Issue3, 2018
※4:Federica De Giacomi, et al., "Acute Eosinophilic Pneumonia: Correlation of Clinical Characteristics With Underlying Cause." Chest, Vol.152, Issue2, 379-385, 2017
※5:David R. Janz, et al., "Acute eosinophilic pneumonia: A case report and review of the literature." Critical Care Medicine, Vol.37, No.4, 1470-1474, 2009
※6:Darshan Thota, Emi Latham, "Case Report of Electronic Cigarettes Possibly Associated with Eosinophilic Pneumonitis in a Previously Healthy Active-duty Sailor." The Journal of Emergency Medicine, Vol.47, Issue1, 15-17, 2014
※7:Zhaohui I. Arter, et al., "Acute eosinophilic pneumonia following electronic cigarette use." Respiratory Medicine Case Reports, Vol.27, 2019
※8:Yasmeen M. Butt, et al., "Pathology of Vaping-Associated Lung Injury." New England Journal of Medicine, DOI: 10.1056/NEJMc1913069, 2019
※9:Dominic L. Palazzolo, "Electronic cigarettes and vaping: a new challenge in clinical medicine and public health. A literature review." frontiers in Public Health, doi.org/10.3389/fpubh.2013.00056, 2013
※10:Lindsay Mccauley, et al., "An Unexpected Consequence of Electronic Cigarette Use." CHEST, DOI: 10.1378/chest.11-1334, 2012
※11:Kevin Davidson, et al., "Outbreak of Electronic-Cigarette-Associated Acute Lipoid Pneumonia-North Carolina, July-August 2019." Morbidity and Mortality Weekly Report, Vol.68(36), 784-786, 2019
※12:I Weinberg, Z G. Fridlender, "Exogenous lipoid pneumonia caused by paraffin in an amateur fire breather." Occupational Medicine, Vol.60, Issue3, 2010
※13:My Hua, Prue Talbot, "Potential health effects of electronic cigarettes: A systematic review of case reports." Preventive Medicine Reports, Vol.4, 169-178, 2016
※14:Sonia L. Betancourt, et al. "Lipoid pneumonia : spectrum of clinical and radiologic manifestations." American Journal of Roentgenology, Vol.194, Issue1, 103-109, 2010
※15:C G. Perrine, et al., "Characteristics of a Multistate Outbreak of Lung Injury Associated with E-cigarette Use, or Vaping- United States, 2019." Morbidity and Mortality Weekly Report, Vol.68(39), 860-864, 2019
※16:I Ghana, et al., "E-cigarette Product Use, or Vaping, Among Persons with Associated Lung Injury- Illinois and Wisconsin, April-September 2019." Morbidity and Mortality Weekly Report, Vol.68(39), 865-869, 2019
※17:Christian Giroud, et al., "E-Cigarettes: A Review of New Trends in Cannabis Use." International Journal of Environmental Research and Public Health, Vol.12, Issue8, 2015
※18:Jeffery E. Gotts, et al., "What are the respiratory effects of e-cigarettes?" the BMJ, Vol.366, doi.org/10.1136/bmj.l5275, 2019 ≪============ ============≫ ※筆者は喫煙者を批難しない。喫煙者は、日本では国によって推進されてきたタバコ政策とタバコ会社のビジネスの犠牲者だからだ。禁煙外来などで処方されるニコチンパッチやニコチンガム、ニコチン代替薬には免疫系への悪影響がないことがわかっている(1)。ある物質は毒にも薬にもなる。医師の適切な指示に従って処方されるなら、ニコチンは禁煙にとって重要な薬物となる。1)Kate Cahill, et al., "Nicotine receptor partial agonists for smoking cessation." Cochran Database of Systematic Reviews, 2008 ≪============
●石田雅彦 ライター、編集者 Masahiko Ishida:医科学修士(MMSc)。近代映画社で出版の基礎を学び、独立後はネットメディア編集長、紙媒体の商業誌編集長などを経験。ライターとして自然科学から社会科学まで多様な著述活動を行う。法政大学経済学部卒、横浜市立大学大学院医学研究科修士課程修了、同博士課程在学中。JASTJ会員。1日20本25年の元喫煙者。サイエンス系の著書に『恐竜大接近』(集英社、監修:小畠郁生)、『遺伝子・ゲノム最前線』(扶桑社、監修:和田昭允)、『ロボット・テクノロジーよ、日本を救え』(ポプラ社)などが、人文系著書に『季節の実用語』(アカシック)、『おんな城主 井伊直虎』(アスペクト)などがある。
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【「漁獲可能な魚20%以上減少も」IPCC報告書】 - NHKニュース : https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190925/k10012099061000.html : https://archive.is/y1xXB 2019年9月25日 20時21分
世界各国の科学者で作る国連のIPCC=気候変動に関する政府間パネルは地球温暖化によって海洋環境が変化することで、今世紀末までに世界の海の漁獲可能な魚の量が20%以上減少しうるとする報告書をまとめました。 温室効果ガスの削減など、各国間での協調が必要だと警鐘をならしています。
IPCCは今月20日から24日にかけてモナコで総会を行い、世界各国の科学者や政府の担当者など400人以上が参加して、地球温暖化が海洋や南極などの極域に与える影響をまとめた初めての報告書を承認しました。
報告書では、温暖化によって世界の海面の平均水温が上昇し海の温度の分布が変化したり、海が酸性化したりするなどして、今世紀末までに世界の海全体の生物の量が最大で20%減るほか、漁獲可能な魚の量も最大で24%減少しうるとしています。
そのうえで漁業に依存する地域では、食糧をめぐる紛争や対立の引き金にもなりうることなどを指摘しています。
さらに海洋保護区を設けるなどの個別の適応策では断片的で限界があるとして、世界全体で温室効果ガスの削減を進めることや、海洋に関するデータや予測などの情報の共有を国や地域を越えて進めること、またそうしたノウハウのない地域への支援の必要性を指摘しています。
また報告書では、温暖化によってグリーンランドや南極の氷が溶け続けることなどで、世界の平均海面水位が、今世紀末までに最大で1メートル以上上昇する可能性を指摘しています。
報告書によりますと海抜の低い沿岸部には、2050年までに世界で10億人以上が住むと予測されていますが、そのころまでには海面の上昇によって台風の高潮などによる「100年に1度」とされる大規模な災害が、人口の多い都市や島しょ国で毎年のように起こるようになると指摘し、警鐘をならしています。
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