舞台、映画、音楽。 芝居、ミュージカル、ストレートプレイ、ブロードウェイ、ナショナルシアターライブ。 たまに喫茶店。 そしてかき氷。
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ひさびさの更新。
この秋は、かつて年間100本を当たり前としてきた舞台ヲタクのごとく、手当たり次第に劇場に通い詰めているが、自分のルーツを思い知ったような、誰かに
「バカヤロー。お前の場所ここだろ。勘違いしてんじゃねーよ!」
と後ろ頭を小突かれたような、帰る場所を思い出した自分がいた。
舞台は嘘から始まる。
さあここでいまから嘘をはじめますよ、この場所で。
と、ひとつ手を打たれて始まるエンターテインメントは、幕前の客席の緊張感だとか、コートを脱いでメガネをかけて役者の息づかいもろともその空間に入り込んだ自分を品定めする、自分に還ってくる世界である。
と��わけここ最近、流れや結果がお見通しでありながらぐっと心臓の鼓動が不規則になるような舞台ばかりに出会えて、ああわたしの愛おしいものはここにあるんだな、としみじみ帰り道で襟を立てながらいま観てきたばかりの舞台をあれこれ咀嚼するのであった。
わたしは何の取り柄も無いけど(と書くと批判が生まれがちな日本だが)、舞台の知識だけはある。
むかしからこんな仕事やあんな仕事をしていたせいで、いいように使われることは幾度もあった。
そのたび、ああわたしには使われるだけのものがあって良かったなあといい方に考えてそのことを置き去りにしてきたが、最近はそうでも無くなった。
自分の観たいものしか観ず、その時は声をかけてくるけど、他人のすすめるものはすべて穿って一切手を出さないものに出会った。
断り方はいつもこうだ。
「ごめん、バイトはいっちゃって。」
多分このものとはもう一生まともな舞台談義はしないだろう。
でも別に構わない。
わたしのルーツを汚すこともしなければ、あれこれ掘り下げて聞きもしないから、きっとこちらも深入りもせず真摯な話もしないだろう。
通り過ぎていく他人をちゃんと他人と扱えるようになった。
仲間では無い。
側にいる他人だ。
大人になるのも悪くない。
人を他人と思うことが孤独なのだとしたら、
わたしは孤独で、他人とテキトーな話をして生きる、嘘が好きな大人でいい。
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言葉の風呂敷
先日、松井玲奈さんと仕事をする機会があった。
現在公開&放送中の
●ドラマ「100万円の女たち」
●ドラマ/映画「笑う招き猫」
●映画「はらはらなのか。」
これから���開や上演を控える
●映画「めがみさま」「輪違屋糸里」
●舞台『ベター・ハーフ』
と、話題が尽きない女優だ。
彼女は舞台に魅了されて芸能界入りしただけあって、蜷川さんの作品に出演したかったこと、円形劇場に立ってみたかったこと、下北沢に一人で行ったときの興奮を矢継ぎ早に話してくれたが、本多にいくのが精一杯で、劇小も駅前も、スズナリすらまだ未開の地とのこと。
舞台好きならすでに知っているであろう、某TSUTAYAで開催されているあの情報を伝えると
「それはとても良い情報をいただきました!」
と笑顔で返された。
アイドルが役者の世界に溶け込むのは、その看板が大きいほど難しいだろう。
ある程度名前が通ってしまうと、大きい役でしかオファーを受けられなくなる事務所が多いからだ。
アイドル飽和状態の昨今、暇してるぐらいなら青年団のワークショップでも受ければいいのにな。
明日の予定もギリギリまでわからない彼女らにとってはそれも難しいのかな。
玲奈さん、以前お会いしたときより話がまとまってたな。
拙いながらも一生懸命に返答しなきゃ!といろんな方向に散乱して、あれ質問なんでしたっけ、ということも無くなって、身の丈に合った風呂敷を持ちはじめたというか、きっと監督や演出家などいろんな機会にめぐまれて、考えかたも語彙も多様になった感触。
わたしも昔は言葉に話されていたというか、四次元ポケットから取り出したレベルの風呂敷を広げて、たたみながら自分も次元の迷子になったような、たたみ方を知らずに終着点すら包んじゃうようなことがあった。
で、何の話?的な。
気持ちがまとまる前に言葉がでちゃう(しかもかっこつけようとする)から、うまいこと言ったみたいだけどずれてることが多々あったと思う。
大人になって質問の意図が判断できるようになって、考えることと話すことが追いついてきたのかな。
話の面白い人と会話したいと思うのは世の常。
先日あさがみちこさんとお話しさせて頂いて、さすがお片付けタレント、話の風呂敷広げるのも鮮やかだしたたむのも見事だわーと感心してしまいました。
面白い人でありたいなあ。
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売り込み
ちょっとばたばたと夏・秋公演のお手伝いをしておりました。
懐かしい顔に逢えたり、新しいかたとつながれたり。
このところまともに休みがなくて忙殺された日々だったので、ちょっとした暇を見つけては本に没頭していたわけだけれども、そろそろたまったハードディスクとお誘いのチラシを片付けねば。
正月から連休取ってないなあ…。
さてさて某編集長がLINEアカウントを乗っ取られて、みんなでわいのわいの囃し立てているうちにまた色々と仕事を振られてしまったのだが、これをきっかけにいろんな知人と久々に話したり会ったりして、キャスティングの話を振られたときに某女優のたまごを何人かすすめてきました。
私の仕事はこのキャスティング手伝いだけだけど、誰か通るといいな。
やっぱり可愛いだけの子はアピール力が無いと売り込む気持ちになれないなあ、とため息。
才能のある子はいるだけで空気が違うから、ああこの人となにか仕事したい!と思うんだけど、頻繁に会ってても心惹かれない人もいるし、ずっと気になってたけどちょっとしたきっかけで興味が無くなってしまう人もいる。
それでも売り込み力があれば企画書たててるときに名前が思い浮かぶものだけど、そこが弱いと自分の中で淘汰されちゃうんだよね。それは仕方ないか。
と考えているときに某女優からLINEがきて、これもタイミングだな、と秋公演にいれてみました。
ガツガツしてるの、嫌いじゃ無いわ。
ずっと招待の連絡来てるけど放置してた某劇団に連絡してこよ。
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彩瀬まる『骨を彩る』
初めて読む作家がホームランだと万馬券を当てたような気分になるよね。
まぁ片手で数えられるぐらいしか出会ったことが無いんだけど。
見開き2ページでハッとした。
あ、この本もしかして心に入り込んでくるかもしれない、という不安に似た期待で、指先がヒヤリとする。
小説は選び方が難しい。
フォントも装丁も似たような文庫本の中から自分を楽しませてくれそうな1冊を選び抜くために、読書家は何時間も書店の棚を吟味する。
タイトルと背表紙の解説を照らし合わせながら、これは〇〇賞を受賞した作家の処女作だとか、何歳だとか、エッセイだとか実話だとか、目線の高さに合わされた「あ行」から連なる出版社別の棚を端までのぞき込む。
同じように1冊を求めるサラリーマンや主婦の立ち読みを交わしながら、今読みたい本はどれだと自身に問いかけ、ピンとくるタイトルを一つひとつ手に取ってオーディションを行い、勝ち抜いたものがレジに運ばれるが、どれも目に止まらず書店を後にすることも多い。
最初から穿った読み方をする話題作品もあれば、もう少し読み進めたらきっと思いもかけない展開があるのだろうと期待してページをめくる無名作家の本もある。
でもこの本は、文字を追う読者の吐く息の温もりをかすめ取ると同時に口の端から静かに滑り込み、温度を変えず空気のように肺まで落ちて身体になじんでいて、文字を吸い込む度に腹の底まで流れ込む循環した温かい物質のようで、呼吸と同じだけの段落をいま体感しているかのように描き出す。
いわば、呼吸が文字になる。
普段そこで生活し、何気に見ている風景が収められていて、ここに住んでいたことがあるような、その人をすでに知っていたような気分にさえなる。
ここ20年ぐらいで、10代前半に指定された課題図書のような小説が増えた。
描写を簡潔にしたマンガのようなストーリー仕立ての文字を追っていると、それはとても陳腐なもののようにすら感じられるときもあって、自分が歳を積み重ねたという重みを感じる。
時代が変わったのでは無く、きっと私が変わらないのだろう。
分類を先に知ってしまうと楽しみが半減するから、「ミステリー」「恋愛」「時代物」と冠のつくものが苦手だ。
春めいたタイトルの本に花の香りを感じて読み紡ぐと、登場人物が早朝のジョギングの途中でいつもなにげなく挨拶を交わしていた犬連れのご婦人が、夕暮れ時に裾の短い紫のドレスで黒塗りのベンツに乗り込んだところを見かけてから行方知れずになり、野良化しかけていた犬の首輪から銃弾がみつかってはじめてミステリー小説だとわかるような、読書中の出会いが少なくなったからかもしれない。
最初から銘打たれると本そのものの味がわかってしまったような気がして、文庫の背表紙に分類がはいっていないか意識的に探してしまう。
そんな中で出会ったこの作家は、少し奇妙な香りのタイトルに魅せられて開くとそこに自分の通ってきたような風景が広がっていて、人物がつまずいて沈んでいたり涙をこぼすたびにそれはわたしの物語だったかもしれないと、ため息の隙間から這い上がってくる文字の温もりに痛みを感じて胸を抑えずにはいられないのだ。
うん。
いい作者に出会った。
人生にはまだいい出会いがあるんだな。
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最近、再演ものをよく観る。
初演のキャストはこうだとか、大道具の仕様が変わっただとか、当時の時勢を反映した作品ならなおのこと思い返しが多くなる。
観劇した舞台を思い返すということは、寄せては返し、強くなり、弱くなり、とどまること無く記憶にさざめいている海の波のそれに似ている。
重なる思いが深いほど心の階層に沈んで浮かび上がれず、それが古ければ古いほど、はて、この場はこんなだったか、と首をかしげることも多いのだが、それは自分の海に潜っているようで、目の当たりにした波を受けながら想い出に浸ることができ、とても愉しい。
再演で観たい作品がいくつかある。
素晴らしい、というわけではなく(いや素晴らしいのではあるが)、海に浸り��いのだ。
たとえば、夢の遊眠社時代の野田秀樹作品『贋作・桜の森の満開の下』。
毬谷友子の不気味な美しさが光った。
『から騒ぎ』。
斉藤由貴を女優として初めて素晴らしいと思った作品。
というか、それまでは目に入っていなかっただけなのかもしれないが。
樹木希林があんなにかわいく見れるのはあの作品だけなのかもしれない。
あー夢の遊眠社のDVDBOX欲しいなあ…
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観たことある劇団一覧羅列
なんとなく思い立っていままで観たことある劇団を羅列。
アロッタファジャイナ
イキウメ
維新派
voyantroupe
NLT
M&Oplaysプロデュース
演劇集団 円
大人計画
ONEOR8
柿喰う客
加藤健一事務所
カムカムミニキーナ
唐組
演劇集団キャラメルボックス
急な坂スタジオ
ギンギラ太陽’s
空感演人
グリング
クロムモリブデン
グワィニャオン
毛皮族
月蝕歌劇団
KERA・MAP
黒色綺譚カナリア派
ゴジゲン
五反田団
こまつ座
さいたまゴールド・シアター
さいたまネクスト・シアター
桟敷童子
サンシャインボーイズ
3○○
サンプル
シェイクスピア・シアター
ジェットラグ
鹿殺し
時間堂
自転車キンクリート
シベリア少女鉄道
ジャブジャブサーキット
シャンプーハット
少年王者舘
白A
劇団☆新感線
スーパー・エキセントリック・シアター
スタジオライフ
青年座
そとばこまち
第三舞台
大駱駝艦
タテヨコ企画
TEAM-ODAC
TEAM-NACS
地球ゴージャス
地人会
チャリT企画
鳥獣戯画
北区つかこうへい劇団
tpt
デラシネラ
東京乾電池
動物電気
とくお組
扉座
飛ぶ劇場
銅鑼
ナイロン100℃
二兎社
庭劇団ペニノ
猫のホテル
月刊「��本宗子」
ハイバイ
俳優座
はえぎわ
花組芝居
パパ・タラフマラ
パラドックス定数
表現・さわやか
FUKAIPRODUCE羽衣
ふるさときゃらばん
ブルドッキングヘッドロック
プレステージ
ブルドッキングヘッドロック
文学座
ベッド&メイキングス
ペンギンプルペイルパイルズ
ポツドール
MOTHER
ままごと
マームとジプシー
南河内万歳一座
モダンスイマーズ
劇団、本谷有希子
モナカ興業
MONO
モモンガ・コンプレックス
山の手事情社
遊◎機械/全自動シアター
夢の遊眠社
ヨーロッパ企画
ラッパ屋
流山児★事務所
新宿梁山泊
リリパットアーミー
燐光群
ろりえ
ロロ
惑星ピスタチオ
書き損ねてるのも結構あると思うけど一覧にしてみたくて思い起こしながら。
ほにゃにゃらプロデュース、とか事務所公演とか入れてないつもりだから(NODA・MAPとか)純粋に劇団としての数ですが〜有名どころばっかり観てるし、これでもまだ日本の劇団の半分どころか1/4もいってないんじゃないかな?
いま観てみたいのはアマヤドリ、東葛スポーツ。
なにか面白そうなところないかなー。
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Photo


足跡姫
作・演出:野田秀樹
宮沢りえ 妻夫木聡 古田新太 佐藤隆太 鈴木杏 池谷のぶえ 中村扇雀 野田秀樹
幕開き。サルワカの名に、ああ勘三郎をまんま描いたんだ、とさっそく感銘を受ける。
いつもの野田流というか、ポツポツと点を描きそこから一気に線で結び紡いでいく形ではなく、ひとつひとつの線をきちんと筋道立てて歩ませ、1本のまま流し切っていた。
本はさらに泣ける。
あれはいつだったか、勘三郎さんがまだ勘九郎だったころ、テント小屋の終演後に猿若座の話を本人から直接聞いたことがある。
公演はまだ開幕したばかりの平日で、客もまばら、まだインターネットも普及しはじめたミレニアム前の時代だったから口コミも無く、もちろんtwitterも知られていないし、スマホもiPhoneもなかった。
そこに彼はいた。
笑う口元も涙も隠さず、終演後は手が痛くなったんじゃないかと思えるほどの拍手を送っていた。
その後の振る舞い酒に顔を赤らめながら作品の賛辞を並べ、一座で一番下っ端の私に、彼の夢と歴史を語ってくれた。
一升瓶を片手にメイクを落とす暇も無く客人のコップに酒を注いでいた私は、たまたま彼の空いたコップに気がつき、酒をすすめようと声をかけると
「ねぇ、これはいい作品だね。客席側にいてよかったよ。」
と話しかけられ相づちをうつうち、その懐と人間味の大きさに包まれたようで、あれは場内のアンバーがかかった照明の色だったか、それともたばこの煙で黄色く濁ったのか、オレンジがかった彼の口を開いて大きく笑う笑顔をいまでも思い出す。
爪痕どころか、あなたは足跡を遺したんですよ、勘三郎さん。
追いつけない背中を求めて、その後をみなが辿るんですよ。
あなたが中村座と改名した猿若座、ありましたよ。
またその夢続き、どこかで語ってくださいね。
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