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病臥 を抱き
耳を 側立てる
先まで狂乱に飲まれていた君は
いま 静かに寝息を立てている
部屋の暗がりは遠く藍に延び
夜の底を音を立て流れていく
言葉
時
分節できる全てを憎んで熱を抱く
痛み
赤い痛みが宙を泳いで
嘲る
わたしを嘲る
触れて溶けて
全
傲慢なまで
今がのしかかる
何もかも 同 に呑まれて
なにもかもひとつになって
おれの境界は曖昧
もうあなたどこにもいないようだ
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タイムカプセル
途切れた昨日を掘り返して
夕日が窓辺を照らす
雪解けの川が水塵をあげて
橋桁を揺らす
君に送った手紙
思い出の中を流れていく
作業机で広げたタイムカプセル
繋ぎ目から剥がれた裏庭の砂
見慣れた今日は足早に過ぎて
星が空を覆っている
木蓮が白い花を散らして
緑の葉が芽吹き出す
君を送った昨夜
熱を残して去っていく
作業机で広げたタイムカプセル
繋ぎ目から剥がれた裏庭の砂
夢見た明日に立ち尽くす
春風が高く鳴る
鼻先を土塊が薫って
田に煙が舞う
君の手を握りしめた
薬指の冷たさ
作業机で広げたタイムカプセル
繋ぎ目から剥がれた裏庭の砂
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馬上の私は遠く空を見る
青に白は透け
雲の陰
陽に黄が薫る
朝の喧騒が駆け抜け
頬を揺らす音
乾く冷たさ
胸に抱いた昨日は
今日を送るのに充分だろうか
今日は明日に耐えうるのだろうか
目の前の現実から逃げ出すだけの
不純な倫理的結論を導き出す
清濁はもうわからない
風景は涙に透け
滲んだ視界��土が薫る
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イルカの水槽
君は骨を観に博物館に行きたいと言った
月曜日は博物館は休みなのだ
グーグルに聞くと水族館はやっている
君は喜んで水族館に行くと言う
水族館は喧騒の中
ナレーションも聞こえない
君は気後れしたのか
妙に上機嫌
説明なんて読まないで
人の喉が鳴らす音から逃げだした
逃げついたのは
イルカの水槽の前のベンチ
イルカショーの観覧席は満員
その遥か下の水中 小窓から差す青
君は小窓に寄ってイルカを追う
息をするのも辛くなり
人から逃げたのは私に違いなかった
青い小窓に小さな手と頬を押し付ける君
胸に青が刺す
視界は白
世界は閉じて、閉じて
私はここにいたのだった
とじたかっただけで
わたしはここにいたのだった
ゆれる
きみはいう
だいじょうぶ
ただ
おとから
にげたかった
すべてがゆれる
手のひらに温かさを握りしめて
涙する
なみだする
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交わる視線
私たち 知り合って
届かない思い 胸を抉る
皮膚の先端のほんの手前の
すぐそばのお互いの熱を感じる近さ
悲しいのか
嬉しいのか
これから訪れる孤独を嘆くのか
細く交わされるのは
あいさつみたいな そんな話し
震える声
前のめりに突き出した胸
熱を帯びて 早くなる呼吸
離れがたさが別れを加速して
逃げ出すよう その場所を去る
予感めいた期待だけをお互いに持ちあい
いつとなるかわからない次に夢をみる
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風に蝶と花舞って
青葉
林の鶯 土塊の蛙
陽は白く 空は蒼
春の風の音は涼やか
畑には口笛が聞こえる
寝ぼけたイタチ
這い回るヘビ
元気に育てよ
と 君をみる
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黒
雨のプラットフォームは黒の波
半径五メートルの沈黙
やり切れない顔
知らない顔
誰も彼も消えた
北風
細雨が舞う
黒
雨のプラットフォームは黒の波
半径五メートルの沈黙
喜びも、哀しみも、楽しさも押し黙って
静かに無力さが風に舞う
何者かであった私は黒に溶解する
冷め切ったままの心が彷徨い歩き
枯れ木を雨は濡らす
私を呪ってくれ
寂しさは空に散って
何者かが私を包み込む
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頬を濡らす風立って
海に黄月浮かぶ
波音に声は消え
体の熱の近さを知る
頬を濡らす風立って
嬌声は遠く
触れ合う指先はお互いを示す
渇いた口 出ていかない言葉
頬を濡らす風立って
汐の香りに髪が濡れ
星々は沈黙と降り注ぐ
胸打つ鼓動 耳をそば立て
頬を濡らす風立って
過ぎし日の熱を残し
夏の夕べの虫の音が
蒸した風と窓に吹く
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四
陽は高く
アスファルトが焼ける
道ゆく人の汗が目に香り
雲の白の地に空が青い
動くために動く脚の行き先に疑問は持たず
わたしが身体に乗せられ運ばれていく
振られる手の重さ 投げ出されたリンゴ
意味の拡張の先の境界
統合を欠く視野の中に浮かび上がる
どこまでも続く世界
見えなければ消えていく世界
一端の綻びに足元から全てが瓦解する
挨拶を交わす
みたことのあるような ないようなヒト
愛を交わす
知っているようで 全然知らないヒトと
統制を欠いた主体的動性
意思する先には何が象られているのか
アスファルトが焼ける
雲の白の地に空が青い
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三
目の前に浮かぶ顔
懐かしさの向こうに暗がりが延び
一点の光線に七色が舞う
過ぎし時の眩さ
深く息を吸い 耳をすませ 味わい
駆け 掴んだ
分別がなく
全てがそのものだった
ただそれだけをしっていた
つまり言葉がなかったその時代
わたしが現すことのできない
無
たしかにそこに有ったそれ
目の前に浮かぶ顔
懐かしさの向こうに暗がりが延び
一点の光線に七色が舞う
わたしはあなたを知らないし
いまあなたを見つめているのではない
言葉が私たちの間を飛び交って
意味の糸が辺りを覆う
愛しているの?
息を詰まらせたわたしの顔を
あなたは覗き込む
あなたはいつに戻れたらと思う?
いつかそこに着く
わたしはわたしのこの身体
(便宜的にそう呼ぶそれ、これ、あれ)
を降ろす
背後で扉が閉まる
後戻りはできない
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ニ
おしゃべりは止む
まっつくに伸びた線路
線路の凹凸を背中に感じ
わたしが浮遊する
音が消え 意味ある人が消え
信じていた全てを宙に投げ出した
薫るのは
生を満たすには満たない
その少しのそれ
焦げた 煮詰めた 花開いた
水々しい なめし革 トロピカル
チェリー 煙々 乾いた 相反する
それ それ それ
どこまでもクリアな思考が
まっつくな線が 少しの凹凸に揺れて
断ち切られた瞬間の後と前とは全く違うのだ
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一
通勤ラッシュの喧騒が
目の前で遠く聞こえる
瞼を閉じて
車内アナウンスは聞き逃さないように
心は半開きにして
昨晩が名残惜しく薫り迫り
街の吐瀉物が辺りを行き交う
気怠さが
10分早く家を出ろと背中を押して
ぽっかり空いたその席に座ったのだった
過ぎていく明日に今日が居座って
浮遊した時間がおしゃべりに埋め尽くされる
首筋に感じる陽の暖かさ
ますます硬く
いまの襞がどこまでも膨れ上がる
押し潰された後でわたしは
まるでほとんどありはしないのに
確かにそこに留まるしかできないのだ
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朝
こぶしの花 濡れて
いつぶりかの休日
光が水滴に透ける
カメラのシャッタは
フィルムの不在に空を切る
イマは遥か後ろで立ち止まって
陽は高く登る
蒸れた土と花の香り咲いて
羽虫が耳を掠めていく
忘れかけた色が
置いてきた記憶が
青の空に浮かんで
枯れた喉は歌を歌う
コンビニのアルコール
ひび割れた指先
痛みと生きることの執着を感じ
覇気のない人を見て
鏡映しの世界を錯覚する
幻のバイブレーション
ポケットの中には埃の塊
何も無いはずの場に未練の��滓が漂っている
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愛を囁く君の声が
目覚めを呼び
萎びた週末の朝が欲望に沈んでいく
乾いた風が窓に吹き付けて
湿った布団の冷たさに夢をみる
高い空に飛ぶ鳥が
飛行機の爆音に苛立ち
楡の梢に墜落した
昨夜兎の付けた足跡を踏み潰して
コーヒーがきつく昼を刻しつける
街の臭いは足速に
オフィスの渇いた時間
枯れた花が香る
愛を囁く君の声が
空を暗くして
膨れ上がる闇に星が深さを刻み込む
乾いた喉をアルコールで痛めつけて
湿っぽい歌が冷たく響いてる
低く大地を這う蛇が
路地の暑さにのた打って
最後には飢えて息絶えた
その上に車が行き交って
白線がここを飛び越えろと誘惑する
そんなことには誰も気付かず
震える空気なんかまるで無いように
一つの静寂がこちらを覗き込む
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夢の底で
君の手に触れる
指先に伝わる温もりが幻想と知ると
遙かなる遠さがそこにある
花の香り
風の音
窓の外の冬
忘れられた街の残骸
拠り辺のない心が漂う
喉の渇き
暇の虚しさ
捨てられた言葉の余韻
宛先なく宙を行き交う
目覚めの後で
窓辺の一輪挿しに光が踊るのを見た
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言葉より光が溢れた
声が空を押し広げ
歌が星の在処を創りあげた
��届かなかった言葉は
暗がりに隠され
聞かれることのない歌声は
見上げられることもない
虚空を振り向く焦燥が
忘れられた悲痛の残骸を拾い集める
たとえそのひとときだけでも
裸のままに抱き合って
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秘密の隠れ場所
黒い路地
夜闇の森の影
ただまっすぐなハイウェイ
眠気が明日を隠して
今日は忘れ去られた
どこまでも膨れ上がる今
どこまでも膨れ上がる欲
どこまでも膨れ上がるわたし
走る列車の光の軌跡に轟音が追従し
さっきまでのわたしを置き去りにした
秘密の隠れ場所
街灯の光の境界
星を映した水たまり
まだ見ぬヘアピンの先
不眠の不快が今を曖昧に
身体はどこまでも離れていく
いつまでも追いつかない今
いつも届かない言葉
いつまでも留まり続けるわたし
響合う沈黙と静寂の底の澱に深呼吸して
わたしの中心にわたしを感じようとする
指の先端が今の巨人に支配される
目の前の唇に溶け合う時
耳元で囀る遠い国道
まだ見ぬ昨日が空を覆い尽くすと
指先は退屈に濡れていた
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