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ASD(自閉スペクトラム症)当事者のおばさんが、ふと蘇る自分の記憶について個人的に観察・記録しているものです。
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evoke-noise · 2 months ago
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誤解されることがストレスになる
私は小さい頃から、母や叔母が、私や兄弟、父のことを面白おかしく話すのが嫌だった。
当時ははっきりわかっていなかったけれど、ASDの特性がある私にとって自分の言葉や行動が意図とは違うかたちで受け取られることは、とてつもないストレスなのだ。
自分が話題にされるたび、「そんなつもりじゃなかったのに」ともやもやした気持ちを抱えながら、黙って聞いているしかなかった。 感情的に反論したこともあったけれど、うまく伝わらないどころか、「冗談が通じない」と不機嫌そうに言われ、かえってもっ��傷ついた。 そんな思いをするくらいなら、何も言わないほうがましだと思うようになった。
私は聞こえてきた大人たちの会話を強く記憶してしまう。 とくに感情が動いた場面は、どんなに時間が経っても、忘れることができない。
だから私はいつも、「またあんなふうに笑われるかもしれない」「誤解されるかもしれない」と不安を感じながら行動するようになり、それが驚くほど長いあいだ、私の思考や振る舞いに影響を与え続けていた。
やがて私は、自分の気持ちを口にしなくなった。 母や叔母に笑われないように、否定されないように、常に相手の期待を先回りして察し、その通りに振る舞うようになった。
今、幼稚園に通う息子を育てているけれど、彼がどんなふうに物事を記憶し、どんなふうに受け取るのか、まだはっきりとはわからない。ASDの特性がどれだけ遺伝しているのかも、まだ見えていない。
けれど息子が、母親である私との関係の中で、かつての私が感じていたようなストレスや苦しさを経験することだけは、どうしても避けたいと思っている。
彼の気持ちを考えずに言葉をかけてしまったり、無意識に笑ったり、彼の言動を勝手に解釈して否定してしまったりして、「そんなつもりじゃなかったのに」と悔しい気持ちを抱えさせるような関係にはしたくない。
息子には自分の気持ちを安心して言葉にしてほしい。彼の自由な意思や表現を萎縮させる存在に私がなってしまわないように、できるかぎり注意深くいたいと思っている。
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evoke-noise · 2 months ago
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知らない場所が懐かしい
私は基本的に家で過ごすのが好きだが、家族がいるので旅行に出かけることもある。今年のゴールデンウィークも帰省を兼ねて地方に数日滞在してきた。
ASDの私は、新しい環境とか予測できない状況が苦手だ。知らない場所に行くと、風景や音、匂い、人の動きなんかが一気に押し寄せてきて、頭の中がいっぱいになってしまう。気をつかう人が一緒だったりしたら完全に終わりだ。気づかないうちに脳がオーバーヒートして、ぐったりしてしまうこともある。だから旅行なんてできれば行きたくない。
でも、不思議なこともある。移動中にふと車の窓の外を見ると、「あれ?ここ見たことあるかも」って感じる瞬間がある。実際には初めての場所でも、天気、道の広さ、植え込みや建物の形なんかがどこか昔の記憶と重なって見えるのだ。
そのときに湧いてくるのは懐かしさだけじゃない。「知ってる風景」と脳が判断してくれることで、身体の中にじんわり落ち着きが広がっていく。脳にとって「見慣れた景色」というのは、処理の手間が少ないラクな入力なのかもしれない。ASD傾向のある自分にとって、そういう既視感のある風景との出会いが知らないうちに心をゆるめてくれる。
今回の旅行でも、「どこかで見た風景」にいくつも出会った。たとえば、小学生の頃、母の隣で車に乗って小児科に向かっていた時に見た景色とか、大学時代に通っていた本屋の近くの大通り、10年前に住んでいたアパートのそばのドラッグストアの風景とか。ただ風景を見ているだけなんだけど、脳が勝手に当時の空気や道の感じをまるごと再生してくる。
だから私にとって外出や旅行は、「非日常」っていうより、「過去と現在が自然につながる場所」だ。初めての場所のはずなのに、なんとなく安心できたり、忘れていた記憶がふと顔を出したりする。
もともと旅行や外出はあんまり好きじゃないけれど、そうやって思いがけず記憶と再会できることもあると思うと、最近はちょっとだけ気が楽になる。まあ、自分から進んで行くことは、たぶんこれからもないけど。
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evoke-noise · 2 months ago
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vis_250514 金の斧銀の斧
※この記録は、ASD当事者が日常の中でふと蘇る感覚や映像の記憶をそのまま観察して残しているものです。
【記憶が出てきた時の状況】
息子が幼稚園から帰ってきて、「金の斧銀の斧」の絵本を読んだという話をしてくれた。特にその絵本について自分が昔好きだったとか、何か記憶があると思っていたわけではない。
【トリガー】
息子の口から「金の斧銀の斧」という言葉を聞いたとき。内容ではなく、その題名そのものがきっかけになったようだ。
【再生された映像】
いわゆる“映像記憶”として、母親が絵本を読んでくれたシーンや絵本のページが浮かんだわけではない。本当にぼんやりと挿絵のようなものが浮かんでいるだけ。 代わりに、小さい頃にその物語を聞きながら自分の中でイメージしていた銀の斧と金の斧の質感のようなものが突然ふわっとよみがえった。幼児だった自分の内側にあった世界にワープしたような不思議な感覚。
【身体感覚】
体のどこかが反応したわけではないが、非常に静かな興奮のようなもの。思考や言葉では説明できないが、「確かにこれは35年前の私の中にあった」と深く納得しているような感覚が残った。
【メモ】
・ASDの特性かもしれないが、記憶というより、“かつての自分の知覚の質感”が一瞬だけ浮かび上がった感覚。
・視覚的なイメージというより、幼児期特有の想像の中で作った世界にあった感覚が蘇った。
・頻繁に蘇る映像記憶にも当時の感覚は伴うので、今回の記憶が他と何が違うのか説明する語彙力がなくてもどかしいが、誰とも共有していない幼かった自分が作り出した内側だけの感覚だけが残っているということ自体に驚いている。
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evoke-noise · 2 months ago
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vis_250513 ドラッグストア
※この記録は、ASD当事者が日常の中でふと蘇る感覚や映像の記憶をそのまま観察して残しているものです。
【記憶が出てきた時の状況】
晴天。外の風景はカラッとしていて、植物の緑がキラキラしていた。気温も高めで、初夏のような心地よい空気感だった。
【トリガー】
明るく澄んだ晴天、きらめく緑、乾いた空気、穏やかな気温といった感覚的な風景。かつての心療内科通院時に体験した気候と一致すること。
【再生された映像】
大学近くの心療内科に通っていた16〜17年前。
ある晴れた日、診察後に立ち寄った新しくできたに広いドラッグストア
中を歩いたときの空間の広がりや静けさ、通路。 人はほとんどいない。レジで商品(何を買ったかは覚えていない)の大きさに不釣り合いな大きいビニール袋を渡されてシャカシャカ音がする
店を出ようとしたとき、入り口の左にあるトイレに、子どもを連れた女性が妊娠検査薬のパッケージを開けながら入っていった。
後日、大学前のコンビニでその女性がバイトしているのを見かけた
【身体感覚】
特に強い感情は伴わないが、景色や空間に対する感覚の鮮明さ(広さ・静けさ・手に持ったビニール袋の軽さ)と、空気の乾き、光のきらめきなど、穏やかな五感レベルでの質感が強く残っている。
【メモ】
この映像が出てきたときは、なんでこんなもん残ってるんだ?という疑問しかなかった。この記憶は過去の断片(ドラッグストアの女性)と現在の出来事(コンビニで見かけた女性)が同一だったという情報が重なりあっている。記憶していたものと何かがリンクするという出来事が、もしかしたら自分で気づかないほどの快感になっていて、それが記憶として固定されてしまったのかもしれない。
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evoke-noise · 3 months ago
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vis_250507 データCD
※この記録は、ASD当事者が日常の中でふと蘇る感覚や映像の記憶をそのまま観察して残しているものです。
【記憶が出てきた時の状況】
寝る前。横になって目を瞑っていた。
【トリガー】
生理前で精神状態が不安定となり、様々な過去映像が頭に浮かんでは消え、浮かんでは消え、、、を繰り返していた。
【再生された映像】
中学校の教室。 貸したデータCDを次の授業で使うので返してほしくて同級生の席の前にいる。表情が不自然で目を合わせてくれず、返事もない。いつもと違う変な雰囲気に、不安感を覚える。  
↓ 空き教室。床に貸したCDが落ちていて、拾い上げると傷だらけになっているのが見える。悲しくなり、少し怒りがこみ上げるが、どこか仕方ないとも感じている。「こういうことをするのはあの人かな」と別の同級生の顔を思い浮かべている。   ↓ 何時間か前、「CDを貸してくれない?」と私のところに来たその同級生の姿、顔の表情
【身体感覚】 不安感、悲しさ、怒りが再現され身体に響く。しかし当時すでに「CDを傷つけたのはこの同級生本人ではない」と直感で分かっていたので彼女に対する怒りは湧かなかったし、CD自体もまた作れるからいいかと思っていたためトラウマのように深く傷ついた感覚はなかった。そのため再生時にも感情の飲み込まれ感や長期的な影響はほとんどなかった。
【メモ】 ・感情的インパクトの強い場面(=不安と違和感)を起点に、関連する映像が時間をさかのぼって出現した。時系列よりも“感情強度の優先順位”で映像が再生されていた。 ・およそ25年前の記憶であり、これまで想起されたことがなかったためこの記憶が残っていたという事自体に自分でも驚いた。 ・とにかく生理前の不安定な心理状態は様々な過去の記憶を呼び覚ます。この状態は一種の“記憶の解凍条件”として働いているのかも。
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evoke-noise · 3 months ago
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vis_250503 おもちゃ
※この記録は、ASD当事者が日常の中でふと蘇る感覚や映像の記憶をそのまま観察して残しているものです。
【記憶が出てきた時の状況】
車の中
【トリガー】
こどもが「バンバン!」とゲームの武器の効果音をまねたことによる
【再生された映像】
ボタンのたくさんある、様々な効果音の鳴るおもちゃ
祖母と週末によく買い物に行ったスーパー
当時の祖母の姿。買い物かごを持っている。
後日、そのスーパーのお菓子の陳列棚(おもちゃが置いてあった場所)。自分の目線と同じぐらいのところを見ている。「これ、前に買ってもらったやつだ」とおもちゃを見て気づく。
【身体感覚】
懐かしさ、安心感
【メモ】 おもちゃは祖母に買ってもらったもの。形やボタンの配置などのディテールは曖昧だが、複数の効果音が鳴る仕組みで、それを鳴らして祖母の家でよく遊んでいた。祖母が新居に引っ越す前の古い家での記憶であることから、11歳以前の体験と推定される。
「おもちゃ」の映像から「おもちゃが置いたあったお菓子売り場」に戻ってくるので出発点と終着点が重なっているようにも見えるが、出てきたときの感覚としてはこの音の出るおもちゃに関連する記憶がただ一気に飛び出てきただけであるような気がする。
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evoke-noise · 3 months ago
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vis_250428 市の図書館
※この記録は、ASD当事者が日常の中でふと蘇る感覚や映像の記憶をそのまま観察して残しているものです。
【記憶が出てきた時の状況】
3連休の中日で平日のルーティンが崩れイライラしいた。過去の映像が理由もなく再生されている状態
【トリガー】
3連休中で平日のルーティンが崩れ、理由もなく映像記憶が再生されている最中、ASD診断時の母とのやりとりを思い出した。 母が「小さいころから初めて読む本の内容がなかなか理解できなかった」と話していた場面の記憶が流れ、私自身もそうだったと思ったことがきっかけになる
【再生された映像】
小学校東側の入り口前に止まっている、市の移動図書館の車 ↓ 外はとても暖かい日差しがさしていて、車内で私は本を開いている ↓ その本の裏表紙には女性のイラストが描かれている ↓ 市の図書館の本棚の映像に切り替わる ↓ 独特の匂いが漂う空間。低い本棚が左右に広がっている。奥は薄暗い。
【身体感覚】 嫌な記憶というわけではなく、全体を通して暖かく心地よい空気感が蘇る。開いている本は借りた本で、すごく読みたかったのに読み進めるのが難しかった。移動図書館の車内の匂いは学校の図書館とは違う匂い。そこから市の図書館の強烈な匂いに記憶が飛んで市の図書館の映像に映った。
【メモ】 意味付けや再解釈は行われなかった。
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evoke-noise · 3 months ago
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vis_250421_03 忘年会
※この記録は、ASD当事者が日常の中でふと蘇る感覚や映像の記憶をそのまま観察して残しているものです。
【記憶が出てきた時の状況】
前日夜に別オフィスの忘年会に参加して飲酒し、就寝。
【トリガー】
朝方睡眠が浅くなったことがきっかけとなる
【再生された映像】
1.忘年会中の様子※反復再生 「(某テーマパーク)に行ってきた」という別オフィスで働く後輩女性に「(同じオフィスの男性後輩)も行ったらしいよ」と話しかけた。→彼女からの反応はなし。なんとも言えない表情をされ無視された。
2.働いているオフィスの様子※1が何度も反復再生された後に再生 ・「(某テーマパーク)に行ってきた」と言ってお菓子をくれた後輩男性と私の会話 ・過去のその後輩男性と上司の会話(ほぼ音声)
【身体感覚】 反復再生された映像は見せられている感覚が強く自分で止めることはできなかった。 その後に続いた記憶はリアルタイムで連結していった感じ。映像が繋がる過程で、脳内で何かが繋がっている感覚があった。
最終的に、過去に自覚のなかった情報同士が繋がり、「彼女と彼が社内で付き合っていたのでは」という解釈に至る。
【メモ】
・「なんで無視されたんだろう?」という小さな違和感から映像が残った。こういう違和感は記憶に残りやすい。
・反復する映像記憶がきっかけとなり、断片的な記憶がリアルタイムでつながりはじめ「彼らが付き合っていた」という意味の構築に至った。記憶がリンクし、繋がったという感覚(快感)を得た。
・定型の人はおそらく忘年会での彼女の反応を見たあたりですぐ気づくことなのだろう。空気の読めないASDの私が、相当な時間がかけて状況を理解していることがわかる例でもある。
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evoke-noise · 3 months ago
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vis_250421_01 街並みと職場
※この記録は、ASD当事者が日常の中でふと蘇る感覚や映像の記憶をそのまま観察して残しているものです。
【記憶が出てきた時の状況】 子どもと車で移動中
【トリガー】 ドライブ中、窓から目にした街並みがかつて働いていた職場の最寄り駅付近に似ていると気付いたことによる
【再生された映像】 かつての職場の最寄り駅周辺の街並み ↓
職場のオフィス。その職場の空気感、匂い、室内の明るさ。 ↓
年上の同僚女性の姿。私に対し嫌悪感を持っているとみられる態度をとる ↓
ほかの同僚達の姿
【身体感覚】
その職場にいた時に感じていた緊張感、不快感、居心地の悪さが蘇る。気持ち悪くなる。
映像が浮かんだあとも、ずっと気持ち悪い感覚を引きずった。
しばらく気分が戻らず、記憶映像を“押し出す”ことができなかった
【メモ】
意味付けや再解釈は特になし。
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evoke-noise · 3 months ago
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vis_250420_01 畑
※この記録は、ASD当事者が日常の中でふと蘇る感覚や映像の記憶をそのまま観察して残しているものです。 【記憶が出てきた時の状況】 息子と寝る前に話をしていた
【トリガー】 先日実家に帰省した時に、息子が母と野菜の種を植えたことについて話したことによる
【再生された映像】
・私の実家、夕方。母と兄弟と一緒に畑にいる。
・母が育てた野菜を収穫している。兄弟の笑い声、畑の土のにおい。足で畑の土を踏む感覚。
・ふと視線を向けると、少し離れた場所に車。大人が二人おりてくる。
・叔母と母が話をしている。「土地を借りあげて」「考えていて」という言葉が断片的に聞こえる。赤とんぼが飛んでいる。母の表情は困ったような、曖昧な感じ。空気は温かい。よくわからないが不快な気持ちになる。
・おじさんは遠くにいて、こちらには近づいてこないのが見える。
・叔母が、野菜を取っていた私たちに向かって「(もしおじさんが)ここを借りあげることになったら、もうこんな風に野菜を植えたり出来ないからね」と言い残して立ち去る。とてつもない悲しさと怒りを感じる。
【身体感覚】 ・小学生の頃の私 ・野菜を収穫していて、楽しい、安心している感覚 ・叔母が現れてから空気が変わり、不快な気持ち→怒りがそのまま蘇る。 ・当時の怒りの感情がそのまま再生され、さらに現在の私の怒りも重なる。映像が終わったあとも、その怒りがこびりついたように残った。
【メモ】
意味付けや構築はされず、当時の感覚がそのまま再現された。
「ただの再生」だが、現在の自分の事のように怒りを感じ、それを手放せない状態となる
今現在、叔母との関係は良好である。
母や叔母に対する怒りを伴った記憶は複数あり、ことあるごとに再生され、その時の怒りが蘇ると同時に、現在の自分もその感情に飲み込まれるように怒りを感じるが、出産し子育てするようになってからはその気持ちが長びくことはない。
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evoke-noise · 3 months ago
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vis_250420_02 木綿豆腐のお味噌汁
※この記録は、ASD当事者が日常の中でふと蘇る感覚や映像の記憶をそのまま観察して残しているものです。
【記憶が出てきた時の状況】
気温が高く、キッチンの窓を開けていた。夕食の準備中、小松菜と木綿豆腐入りの味噌汁を味見した。
【トリガー】
・木綿豆腐入りの味噌汁の味
・開いた窓から入る外の暖かく柔らかい空気
・季節外れの温かさ(4月にしては暖かい日)
【再生された映像】
最初は映像ではなく「感覚」が先に来た。後から、「昔の祖母の家の広間でご飯を食べていた頃かもしれない」という映像が浮かんできたが、断片的で不明確。
【身体感覚】
味噌汁を口に入れた瞬間、体の内側にふわっと“昔の何か”(現在の祖母の家ではなく、昔の祖母の家で過ごしている感覚)が広がった。内側から満たされるような、包まれるような質感で、空気の感じや心の静けさまで再現されたように感じた。驚きが強く、思わず立ち止まってしまった。
【メモ】
「祖母の味を思い出した」という記憶ではない。
味・空気・内的状態などが一体化した“内的な質感の記憶”が蘇った。映像や言葉より先に感覚が立ち上がったのが特徴的だった。
その後、探るように映像や具体的な記憶が付随してきたが、最初に再生されたのは「昔の祖母の家(30年以上前)でその味を感じていた時の内的な世界」だった。言葉にするのが本当に難しい。
ASDの私にとって、こういった“内側の質感”が突如蘇る現象は、記憶がただの情報ではなく「再体験されるもの」であることをあらためて実感する出来事だった。
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evoke-noise · 3 months ago
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vis_250419_03* 急な仕事依頼
※この記録は、ASD当事者が日常の中でふと蘇る感覚や映像の記憶をそのまま観察して残しているものです。 *5年前の出来事です
【記憶が出てきた時の状況】
上司に朝突然、予定とは異なる仕事を頼まれる。上司は説明だけして会議へ。私は思考停止しうまく質問もできなかった。上司が去ったあと極度の緊張で心臓の音しか聞こえないような状態になるが、20分~30分程度経った頃にとりあえず落ち着くためにトイレへ向かう。そのあたりから上司が説明していた場面の映像が流れ始める。
【トリガー】
「緊張状態+過負荷な情報量」の状態から「落ち着き」を取り戻し始めたこと
【再生された映像】※反復再生
・PCに映るグラフを指さし説明する上司の声、様子 ・その時の私の見当違いな質問、それに対する上司の返答など
【身体感覚】
強い緊張状態だったが落ち着きを取り戻し始めたところから映像再生が始まる
上司の説明シーンが「映像として」繰り返し頭に再生される。思い出そうとしているわけではなく勝手に再生される。
映像が繰り返される中で内容がゆっくりと整理され、席に戻る頃には話の全体をほぼ理解し、仕事に取り掛かれる状態となった。
【メモ】
緊張と記憶が結びついている?
時間が経過している現在、映像記憶が反復して再生された感覚は覚えているが、あれほど反復したわりに映像の詳細はそれほど鮮明に思い出せない。
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evoke-noise · 3 months ago
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vis_250419_02 工作
※この記録は、ASD当事者が日常の中でふと蘇る感覚や映像の記憶をそのまま観察して残しているものです。
【記憶が出てきた時の状況】 買い物に向かうため車に乗っていた
【トリガー】 車の窓から見た親子連れ。男の子が箱状の工作を持っていたのを見たことによる
【再生された映像】 夏休み明けの小学校 教室の前の廊下に夏休みの宿題の工作が並べられている。 下級生の教室前にあった作品 ビー玉迷路と思われる工作。完全に手作りではない、既製品のような出来上がり。たくさんのギミックが施されている。同じ地区の男の子の名前。 彼の姉の顔 その工作を見ている小学生の私のあたまの中には彼の姉のことが頭に浮かんでいた
【身体感覚】 ・夏休み明け、湿度が高く暑い午後の空気 ・ビー玉が材料のボール紙に当たって出る音がする
【メモ】 単純な再体験型。新たな発見や再解釈もなし。
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evoke-noise · 3 months ago
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vis_250418_01 息子の寝かしつけとポスター
※この記録は、ASD当事者が日常の中でふと蘇る感覚や映像の記憶をそのまま観察して残しているものです。
【記憶が出てきた時の状況】 息子の寝かしつけ中、一緒に横になり目を閉じた状態。
【トリガー】
視界の暗さ/空間の静けさ/横になったときの姿勢
【再生された映像】
実家の寝室
母の箪笥の上にあったポスター(夕焼けとヤシの木、南国風。)
【身体感覚】 ・小学生の頃、2段ベッドの上から寝る直前にそのポスターを毎晩見ていた感覚・匂い ・小さい頃の「家で眠る前の感じ」そのまま
【メモ】
完全な視覚トリガーではなく、「横になる/目を閉じる/音がない」などの身体状況や感覚的環境もトリガーになったと考えられる
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evoke-noise · 11 months ago
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vis_240824 いとこの結婚前から離婚まで
※この記録は、ASD当事者が日常の中でふと蘇る感覚や映像の記憶をそのまま観察して残しているものです。
【記憶が出てきた時の状況】 外出先から車の後部座席に乗って自宅に向かっていた。車内はクーラーが効いていた。
【トリガー】 夕焼けの空を見たことによる
【再生された映像】
いとこのお姉ちゃん(以下「お姉ちゃん」という。)のアパート お姉ちゃんが結婚している間住んでいた新しいアパートの外観。夕焼けを背景に建物が浮かぶ。階段を上る母や小さい兄弟の姿。 ↓
アパート内の寝室 このアパートの室内は独特の匂いがする。ベッドフレームに置かれた漫画本を開く。開いたページの内容が青年向けで、生々しい描写に不快感を覚える。 ↓
叔母の家 叔母に「お姉ちゃんはいないの?」と尋ねると、「デートよ」と笑顔で返される。その反応に少し嫌な気持ちになる。 ↓
叔母の家の駐車場 温かい空気。夕方。お姉ちゃん・その後の夫となる人・叔母・母などが談笑。白い車と特徴的なナンバープレート(数字が光る)、ヘッドライトが格納型だった。 ↓
お姉ちゃんの結婚式 その夫が酔って彼女の頬にキスする。非常に不快に感じる。 ↓
叔母の家の玄関 お姉ちゃんが座って「あかちゃんができたんだよ」と母子手帳を見せてくれる。 ↓
お姉ちゃんのアパート 部屋はがらんとしている。お姉ちゃんが引っ越し業者に指示を出している。幼い私は「離婚したの?」と尋ね、お姉ちゃんは「恥ずかしいからみんなに言わないでね」と返す。
【身体感覚】 幼いころ感じた違和感・不快感・微かな嫌悪が蘇る。ただし現在の自分に大きく影響することはなかった。
【メモ】 ・車の後部座席で揺られながら次々と流れる映像を見ていた。 ・時系列がバラバラだった。感情の強度と意味が時間順よりも優先されていた? ・いとこのお姉ちゃんに関する過去の映像が流れただけで、新たな発見や解釈が追加された感じはなかった。
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evoke-noise · 11 months ago
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vis_240822 給湯器リモコンとグラフ
※この記録は、ASD当事者が日常の中でふと蘇る感覚や映像の記憶をそのまま観察して残しているものです。 【記憶が出てきた時の状況】 息子と入浴中。洗髪していた。
【トリガー】 浴室内の給湯器リモコンをいじっていた息子が、電気やガスの使用量のグラフを表示させた。
【再生された映像】 以前働いていた職場のPCに、月1で作成していた売上レポートが表示されている ↓
その職場のオフィス、関わっていた人々の顔や姿 ↓
引き継ぎ作業中、泣き出した女性社員
【身体感覚】
オフィスの空気感、匂い、デスクの手触り、引き出しを開けた時の音やその場で感じていた身体的な居心地の悪さが蘇る
現在の私の精神状態にもそのネガティブな感覚が影響を及ぼした。
【メモ】
意味付けや新たな理解はなく、単なる過去の映像と感覚の再生にとどまった。
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evoke-noise · 1 year ago
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vis_240518 女性との会話
※この記録は、ASD当事者が日常の中でふと蘇る感覚や映像の記憶をそのまま観察して残しているものです。 【記憶が出てくる前の状況】
息子が友達と公園に行きたいと言い、付き添うことになった。
息子のお友達の母親たちとは面識が浅かったため、心理的抵抗があった。
実際には母親たちはとても親切で気を使って話しかけてくれたが、不安・緊張・焦りといった状態にあり、当たり障りない返答で精一杯だった。
2時間程度公園で過ごし、帰宅した。
脳がオーバーヒートしたため、1時間睡眠をとる。
【トリガー】 家事をこなしているとき (脳がオーバーヒート状態+緊張状態がほぐれてきた瞬間)
【再生された映像】
公園にいる息子の友達のお母さんたちの姿
彼女たちがこちらに話しかけてくる声、表情やしぐさ
それに対して返答している自分自身の声
それに対するお母さんたちの反応(声、表情)
【身体感覚】
脳が疲れ切っているのに、強制的に見せられているような感覚。映像は何度も反復し、自力で止めることはできない。
映像を見ながら返事をしてしまうことがあった。息子から「誰と話しているの?」と聞かれた。
あくまで「過去の映像」だと分かっているが、再生されている最中はその場にいるような感覚となる。
【メモ】
この映像記憶を体験してからしばらく経過したが当時あれほど反復して再生されたわりに鮮明に思いだせないし、その映像を思い出すこともほとんどない。
他の遅延処理型と同様に、緊張状態から解放された後何度も反復して再生された。気が付いたら再生がなくなっていたので、処理済or解釈済となったか。
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