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ASA-CHANGインタビュー(後編)
3月16・17日、吉祥寺シアターのプロデュース公演として行われる、吉祥寺ダンスLAB.vol1『シノシサム』。 そこに先立ち、出演者の北尾亘さん、ASA-CHANGさんにお話を聞くことができました。 今回が初顔合わせとなる、お二人。 それぞれ話はお互いの印象や表現者としての信念、プライベートな想い出にまで発展しました。 今回は ASA-CHANG さん編(後半)をお送りします。
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■突然ですが、好きな所作、癖みたいなものはありますか。 
あー、それは凄くありますね。ダンサーのというわけではなく、日常の所作になってしまうのですが、手をちょっとモジモジしてしまうような動きや感覚が好きですね。それって日本人的な所作だなぁと思っていて〜僕のパフォーミングアーツの先生とも言える「イデビアン・クルー」の真骨頂ともいえますね。
例えば欧米だと初対面は握手から始まると思うんですが、日本人だとそうならない。 まぁ別に日本人だからというわけではないのですが、恥ずかしがってかしこまってしまうところで出ちゃう一瞬の所作というか、心の揺れみたいなモノを舞台で表現出来ている様が好きなんです。  
■ASA-CHANGさんの音楽では、言葉の使われ方が独特であるように感じます。 
言葉って、音の部分と意味の部分はいわゆるステレオタイプに分けられないと思っているんです。 例えば、言いよどんだり、逆に伝えたいことがワーと洪水のように押し寄せてきたりする。その時は、スピードやリズムが変わってきますよね。僕はそういうことが凄くパーカッシブだと思うんです。
言葉だけに限らず、表現って、勉強したり習得したものの根っこが見えなくなって何だかわからなくなった地点にこそ、伝わる何かがあると思っています。得体の知れないバケモノみたいな、理解を超えたところまでいったものに惹かれますね。 
その意味ではダンスにも当然共通するところがあるのかなと思います。各々に形式というかルーツがあると思うけど、それが見えてしまう表現よりも、そういうものが見えない地点で踊っている人に面白さを感じます。パフォーミング・アーツって、上手かどうかではなく、何年も人の心に残るようなものである、もっともっとなにかを伝えられるものであると思うんです。
 ■北尾さんとの創作もまさしくそういう方向性のものになりそうですね!
そうなる様に稽古している訳で〜
というか、「吉祥寺シアターさんは面白いことをしたなぁ」と個人的には思っています。多方面でご活躍をしていながら年齢的には若い北尾さんに、彼よりかなり古い時代からダンス音楽の提供をしていた僕のような人間をマッチ メークするのかと。今回オファーをいただいた時に「参加してみたい」と思った理由はそこにあります。
今回吉祥寺シアターさんが初のプロデュース公演をするにあたり、なるべく出会わない人たちの方が面白いんじゃないかということで僕らを選んだそうなんです。普通ならば、お互い活動を共にしてきた相手同士を選んでもいいですよね。 それをあえて、北尾さんと僕という選択をしたところに、吉祥寺シアターさんの心意気みたいなものを感じました。北尾さんも僕もそれに応えたいという気持ちがあります。
今回、挑戦や実験を特に大切にしているのは、そういう劇場側の想いを感じるからこそだと思います。 ただし、挑戦や実験をしたから OK だというものには絶対にしたくない。様々な角度でチャレンジしていって、刺激だったり、ワクワクしたり、ニヤニヤというかギャラリーの心を動かしてもらったり、何かしらの感情を持ち帰ってもらえるような時間や空間をつくっていきたいと思います。
ここで、この二人でどんなことが出来るのか、乞うご期待!といったところです。
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                      (取材・文:ながやこうた)
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北尾亘さんインタビュー(後編)
3月16・17日、吉祥寺シアターのプロデュース公演として行われる、吉祥寺ダンスLAB.vol1『シノシサム』。 そこに先立ち、出演者の北尾亘さん、ASA-CHANGさんにお話を聞くことができました。 今回が初顔合わせとなる、お二人。 それぞれ話はお互いの印象や表現者としての信念、プライベートな想い出にまで発展しました。 今回は北尾亘さん編(後半)をお送りします。 ***
■武蔵野市や吉祥寺シアターについて何か思い入れはありますか。
漠然としたイメージですが、ぽかぽか晴れてる場所という印象があります。あとは、井の頭公園ですね。昔、仲の良い俳優と平日の昼間から飲んでたんです。そして何故だかその場の流れで男二人でボートに乗ることになって、そのまま楽しくなってきてボートの上で小躍りしてたんですね。そしたら案の定、思いっきり池に落ちちゃいまして、iphoneなどを全てダメにしてしまったっていう、今となってはいい想い出があります。そういえば、これは今まで誰にも話したことがなかったです。
真面目な話に戻すと、実は踊りを始めた頃から吉祥寺シアターという劇場には大きな憧れがありました。それは以前、(同じ武蔵野文化事業団の施設である)武蔵野芸能劇場で『TERAMACHI』という公演をやらせていただいてから、さらに一層感じるようになりました。
  ■吉祥寺シアターという場所についてはどう考えていますか。
最初の打ち合わせの際から「空間についてどうアプローチするか」という話が出ていました。普通の劇場として使うだけではもったいないというか、「普通ではない観劇体験ができる環境を作ってみたい」というのが、ASA-CHANGさんとの中に共通の意識としてあったように思います。劇場スタッフさんも「こんな風に劇場を使うのは初めてだと思います」と言っていました。僕としても非常にワクワクしています。
  ■“言葉”というものについてどのように感じていますか。
言葉はとても力を持っていると感じていて、とても大事にしています。演劇から舞台を経験しはじめていることもあり、たとえダンスだとしても「言葉無くしては立ち上がって来ないのではないか」とすら思っています。ただ、それは舞台上で発語するということとは別の次元の話ですが。特に創作時において言葉が重要だと考えています。
 ■ASA-CHANGさんの音楽は、言葉の使われ方が独特であるように感じますが、どう思われますか?
ASA-CHANGさんの楽曲を聴いていると、時に胸が苦しくなったりするような言葉の鋭さを感じます。情景が浮かんでくるのにイメージは固定されず、とても詩的にも感じます。
音楽とダンスは切っても切れない関係で、だからこそASA-CHANGさんとご一緒する際は楽曲との距離間を大切にした方が良いのではないかと感じています。一定の距離を保つ訳ではなく、「どう距離を遊べるか?」ということに特に意識を働かせていっていますね。
  ■突然ですが、好きな所作、癖みたいなものはありますか。
職業病なのか、体のことはいつも考えてしまいます。その中でも僕は特に「歩き方」が気になります。例えばヒールを履いてる女性がいたとして、履き慣れてスッスッと歩いている方がいる一方、あまり履き慣れずに転びそうになっている方もいたりして、そういう歩き方の一つ一つに様々な人間模様がみえるんです。ドラマを感じますね。 僕自身も歩き方の研究みたいなことをずっとしています。僕は身体が小さいのもあって、新宿や渋谷の人混みをどうやったら上手く歩き抜けられるかについて、もう10年くらいずっと考えています。例えば、ヤンキーみたいにガニ股で歩いたり、逆に小さくなってスルリと抜けられるかを実験してみたりしました。「変なことしてるな」って自分でも思いますけど(笑)。最近は、良い姿勢でちゃんと前を見て歩く、というシンプルな答えに行き着こうとしています。歩き方を一つ変えるだけで、意外とすっと道が開けたりするのは面白いですね。 研究すればするほど、舞台上で「歩く」という行為は本当に難しいなぁとも感じます。 *** 次回は、ASA-CHANGさん編(後編)をお送りします。                      (取材・文:ながやこうた)
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ASA-CHANGインタビュー(前編)
3月16・17日、吉祥寺シアターのプロデュース公演として行われる、吉祥寺ダンスLAB.vol『シノシサム』。 公演に先立ち、出演者の北尾亘さん、ASA-CHANGさんにお話を聞くことができました。 今回が初顔合わせとなる、お二人。 それぞれお話はお互いの印象や表現者としての信念、プライベートな想い出にまで発展しました。 今回はASA-CHANG編(前編)をお送りします。
(2月上旬、電話にてインタビュー)
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■今回が北尾さんと初顔合わせですね。 
はい、失礼ながら北尾さんのことは存じ上げていませんでした。でも、こうやって吉祥寺シアターさんが作ってくださったご縁を舞台にどう反映するかを考えると、これから刺激的なことが起こっていくような期待がありますね。
■実際にクリエーションが始まってみて、北尾さんにどんな印象を抱かれましたか。  
すごくバネのある方だと思いました。それはダンサーとしての身体能力はもちろん、舞台への拘りなどなど、とても刺激をもらっています。
  ■北尾さんとのクリエーションが始まってみていかがですか。 
 今はなるべく、舞台だけでなく、シアターの空間全体をイメージしています。結果を気にしないで挑戦と実験をたくさんしてる最中ですね。もちろん最終的に何かを伝えるだけのクオリティは求めていきますが、まずはそこからですね。 僕としては、音楽担当としてだけではなくて演出面の話にも深く関わっています。
  ■吉祥寺という街について思い入れはありますか。 
 吉祥寺には結構縁がありまして、東京スカパラダイスオーケストラを立ち上げた頃、30 年ほど前になりますが、ライブをした事は忘れられません。他にもエアガレージというスタジオでの定例レッスンも、かれこれ10数年続けています。
そのように、自分が活動しているなので、今回お話をいただき不思議な感覚があります。 また、吉祥寺シアター自体、この規模の主催公演を行うのは今回が初めてだと聞きました。こんなに有名な劇場が初めてプロデュースを行う企画ということで、大きな責任があるように感じます。 「吉祥寺シアター初のプロデュース公演」ということ、今回はそのことを強く意識してクリエーションしていますね。
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次回は、北尾亘さん編(後編)をお送りします。                       (取材・文:ながやこうた)
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北尾亘さんインタビュー(前編)
3月16・17日、吉祥寺シアターのプロデュース公演として行われる、吉祥寺ダンスLAB.vol『シノシサム』。 公演に先立ち、出演者の北尾亘さん、ASA-CHANGさんにお話を聞くことができました。 今回が初顔合わせとなる、お二人。 それぞれお話はお互いの印象や表現者としての信念、プライベートな想い出にまで発展しました。 
今回は北尾亘さん編(前編)をお送りします。
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■今回が初共演ですが、北尾さんは以前からASA-CHANGさんとはご面識はありましたか。
<北尾>“康本雅子×ASA-CHANG&巡礼”で参加されていたフェスティバルで一緒になったことがあったのですが、その際は見ることができませんでした。その後も様々な場所でお名前を耳にし、どんなことをしているんだろうと興味を持っていました。なので、今回吉祥寺シアターさんからお話をいただいた時はびっくりしたんです。何故だか「出会えるはずがないだろうなぁ」と感じていた方だったので、まさかこのような形で出会いが訪れるのか、と。
 ■東京スカパラダイスオーケストラ時代も含め、ASA-CHANGさんの音楽についてはどのような印象をお持ちですか。
<北尾>実は失礼ながら今まで聞いたことがなかったんです。もちろんASA-CHANGさんも東京スカパラダイスオーケストラさんもお名前は知っていました。しかし、僕らの学生時代はJ-ラップというか、HIP-HOPが流行っていた時代で、僕もそこにハマっていたのでほとんど触れることがない音楽でした。
ただ、知り合いのダンサーさんがイベントで面白い曲を使っていて、気になり聞いてみたらASA-CHANG&巡礼さんの『ウーハンの女』だった!なんてことはありました。そういう意味では、僕の中にも何か引っかかる部分はあったのかもしれません。
 ■今回ASA-CHANGさんとのクリエーションが始まってみていかがですか。
<北尾>ASA-CHANGさんは初めてお会いした際の印象が「強面な方だな」と感じ緊張してしまったのですが、 お話させていただくとマイルドな方で安心しました。ただ、その中でも「こういうことは避けたい」「こういうことをやったらどうか」ということをストレートに話される印象でした。
 楽曲は、ASA-CHANGさんが僕やBaobabの映像などをみてくださり、そのイメージを踏まえてセレクトしてくださった曲をもらい聞いています。その中には、ASA-CHANGさんが「僕にチャレンジしてみて欲しい」と選んでくださった曲もあります。面白いなぁと感じるのは、そうやってASA-CHANGさんがセレクトしてくださった曲には、“北尾亘”というダンサーを見透かしているかのような鋭さがあるんです。今の僕自身にあるものないものというか、ダンサーとしての僕が凄く刺激を受ける投げかけを、楽曲がしてくれているように感じるんです。
 今回、主催として吉祥寺シアターさんが入るということで、“ASA-CHANG×北尾亘×吉祥寺シアター”という三者の作品になっていくんじゃないかなという期待を持っています。それはASA-CHANGさんも話していました。
詳しいことはまだ話せないのですが、ただの“ダンサーと音楽家のセッション”という領域で終わったらつまらないという共通の想いがあって、そのための試行錯誤を楽しんでいます。
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 次回は、ASA-CHANGさん編(前編)をお送りします。                       (取材・文:ながやこうた)
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