折坂悠太:作品リリースに際してのコメントまとめ
・「朝顔」(2019)
もの言わぬ人の想いを汲み取り、代弁し、暗い夜の先に、ひとすじ光を見出す。
主人公・朝顔の「監察医」という仕事は、「歌手」として生きる自分とも重なります。
このドラマを見た人がただ、朝に始まる明日を愛せるように。
物語の登場人物たちの歩む道が、僕や、大切なあの人と交差しますように。
そう願って歌います。
・ライブ音源集「暁のわたし REC2013-2019」(2020)
前を向いている。希望を語る言葉はない。
非常に非情に、生きている限り日常は続く。
わたしに必要なのは、過去の解釈と、今日の選択と、それを正解にする体力だ。
自粛期間が始まってから、録り貯めたライブ音源・未発表曲の整理をしていた。
まだ夜が開ける前の、真っ赤なわたしの姿があった。
今に至るまでの水面下の心が、確かにあった。
この姿を頭に置いて、これからの表現をしていきたいと思ったから
CD二枚に焼き付け、残すことにした。
これらの記憶にふたたび出会わせてくれたコロナ禍、自粛時間への御礼として、
このCDの売り上げを、主に、活動初期に自主企画を開催したお店、ツアーを共に歩んだ個人イベンターさんにおわたししようと思う。作品における表現のひとつとして、理解してほしい。
夜明け前のわたしが、その暁のわたしを歌い、明日に船をわたす。
暁のわたし、ご期待ください。
・ミニアルバム「朝顔」(2020)
楽曲『朝顔』の中でくりかえされる『願う』という言葉は、私が歌うことの本質です。その本質に忠実な歌を4曲おさめました。夜明けを待つ人の元へ、このCDがとどきますように
・中納良恵「待ち空 feat. 折坂悠太」(2021)
中納さんのアルバムを、散歩しながらよく聞いていた。「あの時の自分に聞かせてやりたい」とは、ありがちな表現だけれど本当で、むしろあの時の自分に聞こえるように歌った。聞こえてたんだと思う。中納さんと友達になれるかな。恐れ多いが、多分、同じ怪獣を飼っている。
・元ちとせ「暁の鐘」(※楽曲提供)(2021)
この曲は、アルバム「平和元年」を聞いて着想しました。
戦争や災害、たくさんの途絶えた未来の上に、今の私があることを忘れたくないです。その蓄積に蓋をしてはならない。
過去からの警鐘と、祝福。もういない「あなた」を思い出し、今をどう生きるか考えながら作りました。
・3rdアルバム『心理』(2021)
何かに例えることができない。このアルバムは、簡単な物語に消化される事を拒んでいます。それでも私は表現者なので、表現できなければ終わりです。悩んだ末、「心理」と名をつけました。
どうすることもできない「心」を認めながら、もう一方では、それを道筋立て、自分の選択に「道理」を見出さなくてはなりませんでした。最近の私は、常にこの二つのプロセスの狭間に居て、そこにいつも音楽がありました。
表現には、同じものを見て、感動を共有することの他にも、役割があると思います。いま私がするべきことは、ここに(そこに)ある心を見つめ、問いかけつづけることだと考えます。
新しい画を見せたい。新しい画を見せてください。あなたと私が違う場所で、共有されない物語を作る時、このアルバムが伴走者となる事を望みます。
・展覧会「薮IN」(2022)
そのものらしさでなく、そのもの自体を見てみたかったんです。
薮の中へ投げ入れて、この身体も押入れて。出会い直そうとしたんです。
するとどうでしょう。どうしても見たくない、自覚したくないものまで確認でき、ひどい口内炎ができました。甘かったと思いました。
皆さんをそこへ連れて行ってどうなるか。何があるのか、何もないのか、わからないんです。
いろんな人の顔を想像しています。穏やかな顔ばかりではありません。
進もうとすることと、逃げようとすることは、とてもよく似ているんですから。
ただ私は、薮に入って、そこに居てみます。人生に必要な過程だと思ってしまったからです。そういう勘はあります。
ここへ来るまでの、たくさんの力添えに感謝します。
・「あけぼの(2023)」(2023)
ベルリンにて。この曲をせーのでとった五分間、何かが変わった。それを採取した。
砂は下へ落ちる。また朝が来る。やな夢といい夢がぶつかり、滲みあいながら、今もハモってる。
・(歌)詞集 『あなたは私と話した事があるだろうか』(2023)
詞をまとめる作業は、長年使ってきた道具に手入れをするような感覚でした。
ひときれのパン、ナイフ、ランプ。生き抜くために、今一度持ち物チェック。
どうぞ私のかばんを開けて、私をかばんに忍ばせてください。
編集の山口博之さん、装丁の山田和寛さん、関わってくださった全ての人に感謝します。
・「人人」(2023)
いつもの作業と食卓が、こんなにも世界の真ん中にある。
そう気づきはじめた時、この物語がすっと染み込んできました。
塩だけなのに妙に旨い。そんな音楽を目指しました。
料理を作るときのリズム、包丁で野菜を切るときのような規則正しいが、
人間味のある、どこか懐かしいリズムみたいなものをイメージしました。
ほっと一息つけるような、そういう作品になったんじゃないかなと思っております。
・4thアルバム 『呪文』(2024)
草葉の陰から、台所のつめたい床。
「虚しいね」と言い捨てたすぐ後で、捨てた言葉が気になって、今来た廊下を探して戻る。
生姜とにんにくそれぞれひとかけ。玉葱・りんご、1/4きれ。ミキサーの中へ。
「大丈夫」の代わりに、呪文を唱える。ディダバディ、ディダバディ、愛しています。
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2022年 折坂悠太 インタビュー
【BRUTUS】折坂悠太が初著書『薮IN』を刊行。ただ、薮をそこに置いてみたかった―― 現在地を語る
https://brutus.jp/orisaka_yuta/
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2021年 折坂悠太 インタビュー②
【FNMNL】 【対談】折坂悠太 × butaji|切実な「今」を歌う
https://fnmnl.tv/2021/10/25/138007
※重奏メンバーインタビュー
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2020年 折坂悠太 インタビュー
【WWD】 “みんなが日常を愛せればいい” シンガーソングライター折坂悠太の根底https://www.wwdjapan.com/articles/100083
【QETIC】 『泣く子はいねぇが』 折坂悠太
https://qetic.jp/interview/orisakayuta-201118/376919/
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2019年 折坂悠太 インタビュー
https://www.bigromanticrecords.com/single-post/orisakainterview
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2017, 2018年 折坂悠太 インタビュー
【HMV】無人島 ~俺の10枚~ 【折坂悠太 編】
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