サクラが咲きました。
久しぶりの更新になりました。
私事ですが、
平成最後の桜が満開だった今年の春の日に結婚しました。
編集者、ライター、プランナーに加え、
もうひとつ「若女将」という肩書きが増えました。
大らかで朗らかで優しい旦那さまの隣で
私もニコニコ過ごしていきたいと思います。
お仕事はこれまで同様頑張ります。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
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新しい年の始まりと「おせち」について。
遅ればせながら。あけましておめでとうございます。
「平成」最後の年、本年もよろしくお願いいたします。
お正月。
社家に生まれ育ったため「家族でゆっくりお正月」を体験したことがなく、「お正月の過ごし方」が未だにいまいちピンときていませんが、ひとつだけ、私が大切にしているのが「おせち料理」です。
実家にいた頃は、栗きんとんのサツマイモをつぶしたり、胡麻を擦ってたたき牛蒡にまぶしたり、簡単な作業が私の担当。
「おせち料理は主婦がお正月楽ちんに過ごせるように考えれたのよ」
なんて母から教わりながらも、
「料理を大晦日にまとめてやってるだけで、この労力を3日間に分散させれば同じことじゃないのだろうか」
なんて子どもながらに思っていましたが、
「献立を考えなくていいというだけで随分と主婦の負担は減るものだ」
と、今ならわかります(笑)。
黒豆の皮がつるんっ!と皺なくキレイに炊けたとき、数の子の塩抜きがうまくいったときは母の機嫌がよかったことも、当時の私には意味がよくわからなかったのですが、自分で作るようになった今は、少し気持ちがわかるようになりました。
今年のおせちはこんな風。
献立そのものは毎年ほぼ同じです。
・のっぺ(お雑煮代わり)
・出汁巻き玉子 ・ローストビーフ ・鶏ロール
・松前漬け ・いくら醤油漬け ・菊花の酢の物
・飾り蒲鉾 ・お煮しめ ・スモークサーモン
私が何より大切にしているのは「うつわ選び」で、実は、1年間さまざまなところを訪ねながら「次のお正月用の器」を少しずつ買い集めています。
今年は、昨年秋に島根県の雲南市を中心に行われた「名工探訪2017」で出逢った、深田建具店さんの漆塗りトレイを中心に盛り付けを組み立てました。
木目を活かした「拭き漆」で仕上げられた木製のトレイ。
素材は洋栗、凸凹とした木地にのせられた漆の濃淡が美しい手仕事の品です。
(何より、木製トレイを作られた深田さんご本人の人柄が本当に最高なのです。職人さんとたっぷりお話できるのも、名工探訪というイベントの魅力)
大・小どちらのサイズも使いやすそうで、悩んで悩んで結局選びきれず……。
2つとも買うことにしたときの自分への言い訳が
「来年のおせちの盛り付けのメインをこれにする」というものでした(笑)。
せっかくなので、他も島根の器ばかり使ってみようかとも考えたのですが、いざ並べるとなんとなくしっくりこず。
「お正月の晴れやかな食卓には赤い漆器がないと!」と思い直して昨年も使った骨董の漆器を組み合わせました。
ちなみにこの漆器たちも、一昨年に石川県の能登を旅したとき、骨董品店を巡り買い集めました。
今年の新入りとしては
鷹と松と富士山の菱形の印判皿と、
松前漬けをのせた漆器の器は東寺のがらくた市にて。
ローストビーフをのせた扇形の皿は湯町窯。
ソースを入れた片口は出西窯。
煮しめの海老をのせた蓋物は石州嶋田窯。
といった感じ。
私にとって1年の最初にいただくお食事=おせちは、過ぎた一年に出会ったさまざまな人・場所・物を振り返る時間でもあるのです。
今年のお正月はちょっと遅めに起き、ゆったりとした気分で盛り付け。
新年の抱負を述べながらいただく、晴れやかな食卓となりました。
また新しい1年の中の出逢いが、来年のおせちを彩ってくれると思うと、今から楽しみです。
皆さまにとっても、善き1年となりますように。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
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【兵庫】出石永楽館と出石の町
兵庫県北部、但馬國唯一の城郭「出石城」の城下町。
豊岡市出石伝統的建造物群保存地区に指定された風情ある街並みの中に立つ、近畿最古の芝居小屋・出石永楽館。
六代目片岡愛之助が、毎年11月上旬に興行することでその名を知られていますが、実は時代の流れとともに一度は閉館の憂き目にも。
しかし、44年の時を経て蘇った芝居小屋は、今や但馬のエンターテイメントの発信地として、重要な役割を担っています。
私は毎年「茂山狂言会」で訪れる出石永楽館。
外観は、独特の赤茶色の土壁と大きな切妻壁、約26mの長い壁面と大きな建物のように見えるのですが、 いざ中に入ってみると本当にこぢんまりとした芝居小屋で、客席は約300席強。
舞台と客席の距離が近く、大きな装置を使わない狂言などは演者の細やかな表情や指使いまでしっかりと見ることができます。
明治41年竣工の出石永楽館は、歌舞伎興行を中心に、剣劇や壮士劇、新派劇、寄席、政談演説会場などで賑わいました。
ちょうど放送中の朝の連続テレビ小説「わろてんか」の頃と同じですね。
ドラマの中でも、ヒロインの許婚だった伊能栞氏が活動写真の輸入や制作に精力的に取り組んでいますが、出石永楽館も昭和初期には映画上映が中心となっていきます。
そして戦争を経て、カラーテレビが登場して……人々の娯楽が移り行く中で、ついには閉館を余儀なくされてしまいました。
運がよかったのは、閉館後にこの建物が取り壊されたり売却されたりしなかったこと。
使われることはないものの、出石永楽館は、出石の町の片隅に在り続けました。
そして時は平成に。
改めてその価値に気付いた地元��外たくさんの人の尽力により、出石永楽館は復活します。
平成の大改修では、芝居小屋として���番華やかだった大正11年頃の姿へと忠実に復元され、廻り舞台、奈落、花道、すっぽん、ぶどう棚など、装置も昔の仕様そのままに補修。
もちろん、現在の公演で使用されています。
おもしろかったのは、鳥屋の入り口にある揚幕をかける棒が刀鍛冶による誂えだということ。
勢いよく開け閉めをすることによって鳴る「チャリン」と独特の音は花道に俳優が出てくる合図で、この棒でなければいい音がしないのだそう。
出石永楽館のいろんなお話を聞かせてくれたのが、41歳という若き館長・赤浦毅さん。
ご本人は大阪出身で、奥さまの実家にUターンする「嫁ターン」で出石へ移住。復活した出石永楽館の館長に就任されました。
ばりばりの大阪弁で(笑)案内してくださるバックヤードツアーはテンポよく、わかりやすく、とっても楽しく舞台について知ることができました。
なお、永楽館では公演がないときは館内の見学が可能です(有料)。
花道、奈落、すっぽん、セリ、囃子場、太夫座、衣装部屋、道具方部屋、カヅラ部屋、化粧部屋、湯殿、枡席、桟敷席。隅から隅まで見ることができます。
役者さんたちの落書き。お見せできないような卑猥なものも。
いつの世も、落書きとはそういうものなのですね。
桝席の仕切りかと思えば、歩いて移動するためのもの。いわゆる廊下みたいなものでしょうか。さすが館長、すいすいと歩いて行かれます。「おー!さすが!」と思ったら、友達もすいすい歩いてました(笑)
一見の価値ありがいろいろ。
畏れ多くも舞台に上がることもでき、役者さんの目線も体感できます。
歌舞伎役者気分で、ぜひ見栄のひとつでもきってみましょう。
狂言を見て、舞台裏を見学したらすっかり夜。
出石の夜の町はもう少し賑やかだとうれしいのだけれど、年に数回しか訪れないので注文は付けますまい……。
ちなみに、昼間は見所いっぱいです。
ランチにはぜひ出石の名物・皿そばを。
江戸時代に出石藩主松平氏と信州上田の仙石氏がお国替えとなった際、仙石氏にそば職人が帯同したことから、そば打ちの技法が伝えられました。そして、出石焼の発展とともに皿そばのスタイルが確立されたのだとか。
町中には約50軒ものお蕎麦屋さんがあります。
この日は白い蕎麦と黒い蕎麦を食べ比べられる輝山さんでいただきました。
お蕎麦を食べ過ぎたなら出石城跡を散策して腹ごなしを。
本丸跡に隅櫓が復元されており、秋は紅葉の名所なのだそう。
10分くらいであがれる稲荷台からは城下町を一望できます。城下町は上から眺めても美しいですね。
ちなみに城壁マニアな友達が何か一生懸命語っていたのですが……(記憶にありません・笑)
ちなみにさらに登ったところにある有子山城までは片道40分と聞いてしまい「行く?どうする?」なんて話すらしませんでした……。
出石の歴史を知るなら出石家老屋敷がおすすめです。
出石城に行く前に必ず立ち寄って欲しいくらいです。
お殿様の籠に実際に乗ることができ、体験しましたが決して乗り心地のいいものではありませんでした……。
電車のアクセスが難しいので車がないと訪ねづらいのですが、ぜひ出石永楽館の芝居鑑賞をひっかけて出石の町の散策をお楽しみください。
小屋で見る芝居、本当に楽しいですよ★
出石永楽館
〒668-0234 兵庫県豊岡市出石町柳17−2
TEL/0796(52)5300
phot by. fuyu kashioka (TEN films)
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【兵庫】日本玩具博物館
姫路城から車で約30分ほど離れた香寺という町にある日本玩具博物館。
白壁土蔵造りの建物6棟に約9万点のコレクションを所蔵する、「玩具」に特化した博物館です。
所蔵点数の多さには目を見張るばかりですが、何に驚くってこの博物館が「個人運営」であるということ。
現・館長の井上重義さんが、約50年かけて世界約160か国から集めたさまざまな玩具は、お菓子のおまけから伝統工芸まで多岐にわたります。
奥深き玩具の世界、魅せられずにはいられません。
1号館から6号館まで6棟の建物があり、季節によって内容の変わる企画展や、伝統手芸、日本と世界の郷土玩具、実際に玩具に触れて遊べるコーナー、ミュージアムショップなどに分かれています。
ショーケースの中には小さなものから大きなものまでとにかくぎゅぅぎゅぅに玩具が並べられているので、1点1点みていると1日あっても足りません。
私が萌えたのは雛人形の勝手道具。
江戸時代後期、京阪地方では身近な台所道具が雛飾りに用いられ、女児の家庭教育の道具として位置づけを持っていたと考えられます。
神棚のある台所(=勝手)、井戸、かまど(=くど)などが当時そのままの姿で小さく作られた雛道具は、京阪地方の町家を中心に明治・大正を通じて人気を博し、昭和初期の頃まで雛段の下部に置かれました。「黒漆塗りの雛道具はお雛さまのためのもの、白木の勝手道具は女児たちのためのもの」---そのように言われて親しまれ続けました。
と解説されていますが、驚くほど精巧につくられたおくどさんは、薪をくべたら本当にごはんが焚けそうな完成度。
おひつ、ざる、甕、水屋なども細かく細かく作り込まれていて、マイクロスコープを近づけて隅々まで見たいという欲求にかられました。
そしてあのおくどさんの玩具と同じコーナーには、私も馴染み深いリカちゃんと共に、こんなモダンな台所用品たちが。
「おままごと道具も、時を経るとこうなるのね……」
という比較をするのもとても楽しいと思いませんか?
玩具というものがただ遊ぶためだけのものではなく、その時代や文化も背景として色濃く映しているものなんだということがよくわかります。
ちなみに、館長の井上さんが個人で日本玩具博物館を開くに至ったのは、郷土玩具が文化財として認知されずに消えつつある現状への危惧が理由だったのだとか。
本を読んだことがきっかけで、玩具に魅せられていた井上さん。
しかし、日本各地にある民俗資料館や博物館で玩具や人形が展示されていることは稀で「このままでは失われてしまう上に、価値あるものであると示す場がない!」と、個人的に集めた資料が5000点に増えた1974年に自宅の一部を展示館とする「井上郷土玩具館」(現在の日本玩具博物館)を開設されました。
開設後も意欲的に資料を集め、現在ではミシュラングリーンガイド二つ星に選ばれ、国内外から高い評価を受けています。
私が今、仕事の拠点のひとつにしている「城崎温泉」ゆかりの麦藁細工で作られたおままごとセットやおもちゃも。展示されていました。
隣に飾られている長崎の郷土玩具ポコペンとの大きさを比べたらわかると思いますが、とても小さな麦わら細工なんです。これ。
ミニチュア好きにはたまりません。
日本玩具博物館は、コレクションも素晴らしいのですが6棟の建物のひとつひとつも素晴らしく、民藝好きには建物や建具、家具そのものも眺めて楽しい要素のひとつでしょう。
ランプが灯る囲炉裏のある5号館 「ランプの家」 は休憩施設として開放されています。縁側に座り、山野草が素朴に彩る庭をぼんやりと眺めていると、うとうと昼寝をしてしまいそうな心地よさ。思わず長居してしまいます。
企画展は年4回も内容が変わり、所蔵品の中からテーマにあった選りすぐりの品々を見ることができます。
ぜひゆっくり時間をとって、訪ねてみてください。
日本玩具博物館
〒679-2143 兵庫県姫路市香寺町中仁野671−3
TEL/ 079(232)4388
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【兵庫】砥峰高原
陽の光を浴びると、白金のように輝く芒の穂。
直前に2度も台風が直撃したためか、訪ねたときには穂がだいぶ減ってしまっていたけれど、それでも感動的だった砥峰高原(とのみねこうげん)。
ノルウェイの森、平 清盛、軍師 官兵衛と、さまざまな映画やドラマのロケ地にも選ばれています。
大きな空、山の稜線、そして白金の芒が目の前に広がる非日常感。
田舎暮らしをしていてもなかなかお目にかかれない「抜ける」景色。
90ヘクタール(東京ドーム約20個分)におよぶ芒の群生地は、もともとは茅葺屋根材の茅の伐採地でした。
芒が群生するには、良質な茅が育つ環境を維持する為に山焼きを行うため。
山焼きには害虫とともに低木を焼き払い、地表があらわになることで陽射によって温められ、植物の発芽を促す効果があるのだそう。
茅の伐採がなくなった現在では、芒の大草原を維持するために毎年4月頃、山焼きが行われています。
群生地内には遊歩道が設けられています。
木製の遊歩道なので、スニーカーでなくても散策できますが、やはり一部は砂利や土の部分もあるためハイヒールだと大変です。
せめてフラットシューズで行きましょう。
高原を見下ろす位置に立つ「とのみね自然交流館」では、高原内を巡るハイキングコースを紹介するMAPも配布されているので、参考にし��がらじっくりと巡るのもいいかもしれません。
芒以外にも貴重な高原植物がたくさん。植物には明るくないため、見つけることができませんでしたが(笑)。
見ごろを迎える時期はたくさんの人が訪れるのですが、とにかく広いためぎゅうぎゅう感もありません。
この日も、観光バスのお客様がいましたが混み合う印象もなくたっぷりゆったり深呼吸しながら楽しめました。
芒の見ごろは10月中旬~11月中旬頃。
私たちは11月24日に訪れましたが、今年はあと1週早い方がよかったかなという感じです。ご参考まで。
砥峰高原(とのみね自然交流館)
〒679-3103 兵庫県神崎郡神河町川上801
TEL/0790(31)8100
phot by. fuyu kashioka (TEN films)
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【島根】暮らす宿 他郷 阿部家
他郷遇故知(ターシャンイーグージィー)。
「不思議の縁」と云う意味を持つ中国の古語がその名の由来である他郷 阿部家。
島根県西部、世界遺産に登録されて今年でちょうど10周年を迎えた石見銀山・大森の街並みの中に立つ他郷 阿部家は、寛政元年(1789)に創建されたとされる武家屋敷を改装した1日3組限定の小さなお宿です。
屋号に込められた「阿部家が、あなたにとってもう一つの心の故郷になれますように……」との願い通り、私にとってももう一つの心の故郷となり、何度も何度も訪ねている大切な場所です。
石見銀山には、日本各地の百貨店等に「群言堂」を出店している「株式会社石見銀山生活文化研究所」という会社があります。
現会長・所長の松場大吉・登美ご夫妻が、パッチワークで作った手作りのキッチン・インテリア小物など雑貨を売ることからスタートした会社は、約30年の時を経て日本全国から「ここで働きたい」と若者が集まり、地方創生の流れの中、今、大きな注目を集めています。
群言堂は アパレルを中心に、人々の暮らしになくてはならない「衣食住」に寄り添う商品を開発・提案してくれるお店です。
土地に根ざし、捨てられていく古き良きものから学び、時代に合わせて生かす「復古創新」という考え方で、暮らしを第一に考え、日本の技術を活かしたものづくりに取り組んでいます。
というモノサシの下で生み出される商品は、素材選びからはじまります。
衰退しつつある日本の織物産業を後生に受け継ぐため、全国の織物産地から優れた織りや染め技術を持つ会社や職人とともに物作りに取り組み、現代のライフスタイルに合うセンスのもと、新しい価値のあるものを作り出す。
登美さんとお話をする度にほれぼれするのは、そのバランスのよさかもしれません。
日本の古きよき、里山の美しい生活文化をそのまま再現するのではなく、現代にある便利なものやいいものもきちんと取り入れているところは、本当にすごいなぁ、と思います。
他郷 阿部家は、石見銀山の街並みの中にあり、平成14年に母屋の改修を終え、翌15年から所長・松場登美さんの住まいとなりました。
ご主人の大吉さんは別の所に住み「仲良し町内別居なの」と登美さん。
そして平成20年からは宿泊施設ととしての営業をスタートされました。
わたしが暮らすこの家に、「よかったら、どうぞ」という気持ちで、
お客さまをお迎えしたいと思っています。
まさに、他郷 阿部家はそんな感じ。
旅館ほど格式ばらない、ゲストハウスほど簡素じゃない。
他郷 阿部家でしか感じられないほどよいおもてなし感。
まさに久々に帰る実家のような親戚のおうちのような、なんともいえない居心地のよさなのです。
到着するといつも、大好きな女将見習いの瑞さんをはじめ他郷 阿部家のみんなが「おかえりなさーい」と迎えてくれます。
その瞬間、日々の些細なことで無意識に張り詰めてしまっている私の中の何かが、ゆる~っと緩むのです。
他郷 阿部家の客室は洋室・和室・茶室の3タイプ。
私はいつも茶室を予約するのですが、自称「私の部屋」。
「私の部屋」と呼んでいることがなぜか登美さんにばれていて、この間うかがったときは「あなた、茶室を私の部屋って呼んでるそうね」って笑われました。
茶室は1階の居間と2階の寝室の2部屋を利用でき、ほどよい狭さでひとりでも広すぎず、心地よく過ごせます。
茶室の一番の魅力はパッチワークでできた窓。
昔作られていたいろんな柄のガラスがはめ込まれていて、それぞれに光の入り具合が異なり、いつみてもほれぼれする美しさです。
「繕う」ということが布だけではない、と教わったのはこのパッチワークのガラス窓からでした。
目覚めの景色。
朝、起きて目を開くと、こんな風景が一番最初に飛び込んできます。
この景色を見る度に「あぁ、これを見るためにここに来たんだよなぁ、私」といつも思います。
他郷 阿部家は寝間着も寝具も本当に心地よいものを選んでくれているので、夜はぐっすり。なんなら自宅のいつものお布団より深く気持ちよく眠れます。
他郷 阿部家の特徴は、その日一緒にお泊りする他のゲストと一緒に夕食の食卓を囲むこと。登美さんが町内にいらっしゃるときは登美さんも一緒にばんごはんをいただきます。
美味しいお酒と料理だけでなく、「新しい出会い」をいただけるのも他郷 阿部家の魅力のひとつではないでしょうか。
前々回、宿泊したときには東京で沖縄料理のお店をされてる方とご一緒して、後日そのお店を訪ねてみたりも。
料理は旬の地元の野菜や日本海の海の幸を使った「田舎の家庭料理」。
宿をはじめるとき、登美さんは日本各地の郷土料理の本をたくさん買って研究されたそう。今は拓さんという料理人の方が、私たち宿泊客のためにばしばし腕をふるってくれています。
他郷 阿部家に行く度に「今度こそ!」と思うのだけど、毎回料理の写真を撮るのを忘れます(笑)。次回こそ絶対に撮ろう。
メインディッシュは、竈で炊いたごはんをアツアツのうちにむすんでくれるおむすび。これが本当に美味しくって、もうお腹いっぱい!ってときでもついつい手がのびる美味しさです。
前回の滞在時のおむすびは栗ご飯でした。栗がゴロンゴロン入ってて、めちゃくちゃ美味しかった~!
他郷 阿部家はお風呂もステキなんです。
冬はストーブの石にお湯をかけてサウナを楽しみながら、夏は窓を開けて虫の声と夜風を感じながら。
和ろうそくのほの明るい灯りの中で入るバスタイムは、極上のリラックスを授けてくれます。
アメニティも数種類置いてあって好みで選べるのですが、この数種類が置いてあるあたりがなんとも「人のおうち」っぽい感じで和むんですよね。
そしてどれも使い心地のよさをちゃんと考えて選ばれたものばかり。
このあたりのさじ加減は、他の宿泊施設にはない心地よさかもしれません。
他郷 阿部家は、日本家屋の陰影の美しさが堪能できます。
春、夏、秋、冬、すべての季節に訪ねましたが、どの季節もその季節ならではの美しさに溢れています。
満天の星、冬の静寂の中で誰かの存在感を感じる小さな物音、開け放した窓から部屋を抜ける風、窓から見える重なり合う屋根、湯気で曇るおくどさん、掘りごたつのじんわりとした温もり。
いろんな場所で、いろんな時間帯に、心地よさがある。
でもやっぱり、私が一番好きなのはおくどさんかな。
この風景を眺めているのが、一番好きなひとときです。
あぁ、また帰りたくなってきました。
「いってらっしゃい」って見送ってくれたみんなの笑顔に、次に会えるのはいつだろう。楽しみで仕方ありません。
暮らす宿 他郷 阿部家
〒694-0305 島根県大田市 大森町ハ159-1
TEL/0854(89)0022
http://www.takyo-abeke.jp/
群言堂
〒694-0305 島根県大田市大森町ハ183
TEL/0854(89)0077
http://www.gungendo.co.jp/
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【島根】袖師窯
宍道湖の畔に立つ袖師(そでし)窯。
明治10年開窯、約140年の歴史をもつ窯元で、現在は5代目になる尾野友彦さんを中心に作陶されています。
袖師窯の器は、和食器のような洋食器のような。
きっと作り手はどちらを作っているつもりもなく、「その時々の暮らしに馴染む器」を作ってらっしゃるんだろうなぁ、といった印象。
さまざまな色の釉薬、さまざまな型と模様を作る技法が掛け合わされ、つい使いたくなる、そして日々の暮らしにしっくりとくる器に出会えます。
築100年以上という工���。
うかがう度に思うのですが、いつ訪ねても庭はきちんと整えられているし、展示室にあがる三和土も隅々まで掃かれていて、本当に清々しい場所です。
窓から見える工房もいつも整えられていて、これだけでもう、袖師窯さんのモノづくりを信頼できる気がしてしまいます。
現在の袖師窯の作風の礎を築かれたのは3代目・尾野敏郎さん。
民藝運動に参加し、柳宗悦、河井寛次郎、浜田庄司、バーナード・リーチなど各師の指導を直接受けらているのだそう。
民衆的で、健康で、実用的…用の美の器。袖師窯の器はまさにそんな感じです。
成形したものを庭で乾かしているときも。
この日は勾玉でしょうか。箸置きのようなものがずらずらと並んでいました。
私は勝手に「袖師カラー」と呼んでいるのですが、袖師窯の器によく使われている2色を使って染め上げたのれんをくぐり、靴を脱いで2階に上がると、購入もできる展示室があります。
酒器にお皿にカップ……今回もかなり悩みました。
写真にもある袖師カラー(黄と紺の2色)を使ったオーバルのお皿は、すでに1枚持っているのですが本当に使いやすくて、今回もう1枚買おうか悩みに悩みました。しばらくこの形、出てなかったんですよね。「あ!ある!!!」っといったように、いちいち「運命の出逢い」を感じられるのも手仕事物のよさではないでしょうか。
いついってもあるわけじゃない、まさに一期一会。
今回は、そを丸囲みした「(そ)シリーズ」という、色や形がシンプルで少し安価なラインが登場していました。
まずはここから始めてみるのもいいかもしれません。
松江からもほど近く島根の窯元の中では比較的利便性の高い立地にある袖師窯、ぜひ訪ねてみてください。
袖師窯
〒690-0049 島根県松江市袖師町3-21
TEL/0852(21)3974
phot by. fuyu kashioka (ten films)
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【島根】湯町窯
山陰を代表する温泉街「玉造温泉」の近くに、ひっそりと立つ窯元。
こっくりとした飴色、明るい黄釉、そして時には深く特には柔らかな青を作り出す海鼠釉。
ぽってりとした厚みのある器は手触りが柔らかで優しく、バーナードリーチ直伝のスリップ模様は湯町窯の器の魅力のひとつでしょう。
湯町窯をきっかけに民藝にハマる人が多いというのも、納得です。
大正11年に開窯した湯町窯。松江藩7代目藩主であり、茶人としても有名だった松平不昧公が広めた「布志名焼(ふじなやき)」の窯元のひとつです。
昔は大名好みの茶器を作っていましたが、昭和初期に柳宗悦などの民芸運動に参加。イギリスのバーナード・リーチの指導や助言によって、西洋風の陶技をとり入れるようになりました。
現在は3代目の福間琇士さんと、息子の庸介さんが器作りをされています。
湯町窯を訪ねると、必ずお抹茶でもてなしてくださいます。
もちろん器は湯町窯のもの。実際に使ってみると、ますます欲しくなるんですよね(笑)。
お抹茶をいただくテーブルには、古い「暮しの手帖」がありました。
湯町窯の代表作ともいえるエッグベーカーの紹介記事です。
エッグベーカーとは、その名の通り「卵焼き器」。
美味しい目玉焼を焼くために作られた、なんとも贅沢な調理器具です。
これもバーナード・リーチ氏のアドバイスから生まれたもの。
薄く油をひいたら卵をぽとりと割り入れ、直火にかけて使います。
少し時間はかかりますが、エッグベーカーで作るとろりとした目玉焼きを一度食べたら、もうフライパンでは作れません!
あ、私、もちろん2台持っています(笑)。
店内は何点あるのかわからないくらい、たくさんの商品が。
小皿、大皿、お茶碗、湯呑、マグカップ、花瓶、土瓶、ピッチャー……ありとあらゆる暮らしの陶器が並んでいます。
決して気取ることなく、作品っぽく飾られているわけでもなく、雑然と積まれていたりするのも湯町窯のいいところ。
ここにある器たちはあくまでも「実用品」であるということが伝わってきます。
この日は小皿を6枚購入しました��小皿っていくつあっても欲しくなるんですよね。困る(笑)。
選んだ小皿を包んでもらっていたら、奥の工房から福間琇士さんが出てこられました。「どこから来たの???」「遠いところからありがとう」「食器が好きなの?」と少しお話。にこやかでフレンドリーで、あの湯町窯の器に漂う温かい雰囲気は、琇士さんの人柄なんだろうなぁ、と思います。
カメラマンのふゆちゃんが「おとうさーん!写真撮っていいですかー?」と声をかけたら「やめてやめてー」と言いながら、ちゃっかりピース。この笑顔。
琇士さん、いつまでもお元気で、いい器を作り続けてください。
湯町窯
〒699-0202 島根県松江市玉湯町湯町965-1
TEL/0852(62)0726
phot by. fuyu kashioka
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【島根】宮内舎と阿用というところ
松江の中心部から車で約40分。
島根県雲南市大東町東阿用という、田園風景広がるのどかなところで「宮内舎(みやうちや)」を運営する、健ちゃんこと小倉健太郎さんに会いにいってきました。
宮内舎のオフィスは、まるで健ちゃんのおうちの居間にお邪魔したみたいな、リラックス空間。床、壁、天井にいたるまで島根県内でとれた材木を使うという贅沢というか、宮内舎のこだわりを感じられます。
現在は事業の中心が「食」にまつわることだけあって、大きなキッチンが印象的です。ここでさまざまな試作をしたり、まかないを作ったりしているのだそう。
(画像は宮内舎オフィシャルFacebookから借用しました。 https://www.facebook.com/miyauchiya/ )
宮内舎の現在の主力商品は「玄米麺」。
その名の通り、麺の主原料は玄米。なのにグルテンフリー。
小麦や蕎麦のアレルギーの人でも食べられます。
原材料は玄米(島根県雲南市産)、澱粉、蒟蒻芋抽出物ととてもシンプル。
続いてリリースされた「白米麺」の原材料は、白米(島根県雲南市産)と澱粉のみとさらにシンプルさを極めています。
というのも、白米麺は「こんにゃく芋のアレルギーの方もいると聞いて」と開発されたから。こちらももちろんグルテンフリーです。
これらはある日の我が家のお昼ごはん。すべて玄米麺を使っています。
茹で時間は2,3分。コシが強いので多少茹ですぎても問題なし。
パスタやラーメン、おうどんなどいわゆる麺類としてだけでなく、ごはんのようにカレーやおかずをどかっとのせても美味しく食べられます。
「あ!ごはん炊いてない!」ってときにさっと茹で、ごはん代わりとして重宝しているため、玄米麺&白米麺は我が家の常備食です。
何も作りたくないときは、東マルのうどんスープかラーメンスープで玄米麺を食べたりすることも。インスタントラーメンを食べるより、ちょっと罪悪感が少ないのもうれしいところです。 あと、すごい腹持ちがいい!
あ、前に健ちゃんに教えてもらった、ゆでたての玄米麺に生卵と美味しいお醤油をたらりとかけて、釜玉みたいにしたのも、究極にシンプルで美味しかったなぁ。
最近、パンケーキミックスとビスコッティがラインナップに加わりました。
これも「さっと食べられる」ことを大切に商品開発されていて、牛乳と玉子と粉をボウルでぐるぐるっと混ぜたらフライパンで焼く。
簡単だけど、カラダに優しい。つまり正比例して心にも優しい商品です。
「惜しみなく手間ひまをかけること=ていねい」
昨今の「ていねいな暮らしブーム」はこの図式に当て込まれがちですが、宮内舎の提案する「ていねい」は、「楽しちゃっていいよー!」と言ってくれる、シンプルで肩に力が入ってないのがすてきなところだなぁ、と思います。
新商品ももちろんグルテンフリー。
ちなみに、商品がすべてグルテンフリーなのは、宮内舎を���ちゃんとともに創業した綾ちゃんこと三原綾子さん(現在は健ちゃんとご結婚されて小倉綾子さん)が小麦アレルギーを発症したことが、そもそもこの事業をはじめるきっかけになっているから。
玄米麺も、綾ちゃんが自分で食べるように、家の台所で手作りしたところがはじまりなんですって。
そして綾ちゃんの手作り玄米麺は、古米に商品としての価値をよみがえらせ、地域の休耕田に再び稲が植えられることになり、「ラーメンを食べたい」と願う小麦アレルギーの人たちに笑顔を授けることになり……いろんな場所でいろんなことを繋いだり生み出したりしています。
「人との出会いといろんな人が助けがあってこそです」って健ちゃんは言うけれど、誰もが助けてもらえるわけじゃない。
やっぱりふたりの人柄と想いがあってこそだなぁ、なんて思います。
この日は次の事業展開についてもお話を聞くことができました。
宮内舎らしいとっても素敵なプロジェクト!
宮内舎のお客さんとして、とってもとっても楽しみです。
宮内舎のオフィスには牛舎があります。
綾ちゃんのご実家は、パスチャライズ牛乳で有名な木次乳業さんの牛乳を作る酪農家さん。ちょうどお昼休憩の時間帯で、牛さんたちはすやすやお休み中でした。いつも美味しい牛乳をありがとう。
健ちゃんにお礼を伝えて宮内舎を後にしたら、何の運命のいたずらかこの日は阿用のキーマン2人に会うことができました!
ひとりは黒崎さん。
健ちゃんと綾ちゃんを引き合わせた張本人で、宮内舎ができたのは黒崎さんがいたからこそと言っても過言ではありません。
本業は住宅リフォームなどを請け負う会社「テクニカルプラン・クロサキ」の社長さん……のはずなんですが、「佐世だんだん工房」というコミュニティスペースを運営していたり、「うんなん恵沢塾」という若者と政治を考える会をやっていたり、手話サークルをやっていたり、最近では「いとやど」という人と人や場と人を繋ぐ事業をはじめられました。
大東町阿用の活性化のために、とにかくいろんなことをされています。
見た目は怖そうですが(笑)、中身はとっても乙女。
会うと思わず「くろさきさーーーーーーーーん!」とハグを求めてしまう、大好きな人です。
もうおひとかた。
阿用地区振興協議会会長の永瀬さん。
阿用を照らす太陽のようなはじける笑顔がすてきなおじさまです。
3年前、ソトコトプロデユースで島根県が行っている「しまコトアカデミー」の関西講座の第1期生として参加した際、現地インターンシップの訪問先として訪ねたのがこの阿用地区振興協議会。
60枚を超えるパワーポイントでの活動報告、振興協議会が開発したアヨさん体操をみんなでやってみるなど、本当に楽しく、何より振興協議会の人たちのイキイキとされている様子を見て、すっかり阿用のとりこに!
しまコトアカデミー関西講座卒業後も、協議会開催の米作りイベントに参加したりするなどして、関わりを続けています。
健ちゃんの手掛ける宮内舎の商品の原材料のお米は、この振興協議会のメンバーさんの田んぼで育てられたものもつかわれています。
田植えもいいけど、何より夜の宴会がこの米作り体験の楽しみです(笑)。
来年5月にも開催決定!誰か一緒に行きませんかー????
いつでも訪ねられる「ふるさと」がもうひとつ、できますよ^^。
宮内舎
〒699-1243 島根県雲南市大東町東阿用162
玄米麺は通販や道の駅 さくらの郷 きすき、奥出雲ワイナリー売店などで。
http://miyauchiya.com/
いとやど
http://itoyado.com/index.php
阿用地区振興協議会
〒699-1224 島根県雲南市大東町東阿用33−1
TEL/0854(43)2811
http://user.yoitoko.jp/ayo-c/
phot by. fuyu kashioka
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【島根】温泉津温泉と路庵
「温泉津温泉」と書いて「ゆのつおんせん」と読む。
島根県大田市にある温泉地で、「石見銀山遺跡とその文化的景観」の一部として世界遺産に登録されています。
温泉津港から山側へ広がる温泉地で、車が1台通れる程度の細い路地の両側に和風旅館が立ち並ぶ、風情ある鄙びた街並み。
実は世界遺産登録よりずっと前、平成16年7月には国内の温泉地としては初めて国の重要伝統的建造物群保存地区として選定され、 「温泉津町温泉津伝統的建造物群保存地区」として守り続けられてきた地域でもあります。
温泉津温泉には2つの公衆浴場があり、そのひとつが「元湯」。
もうひとつ日本温泉協会の天然温泉の審査で最高評価の「オール5」を受けた「薬師湯」もありますが、いつも元湯の方に入ります。
元湯の源泉温度は49.4度。
源泉からの距離はわずか2,3mと、もはや「生」状態の温泉に浸かれますが、めちゃくちゃ熱い。
毎回「挑む」ような気持ちで入口の扉をくぐります。
(写真は島根県西部公式観光サイトより借用 http://www.all-iwami.com/modules/guide/index.php?action=SpotView&spot_id=64 )
とても簡素な脱衣場で服を脱いだら浴室へ。
シャワー設備もなく、とにかく「Simple is Best、ここに極まれり」とばかりの空間で、浴槽は座り湯、ぬるい湯、あつい湯の3種類。
元湯には入浴作法があり、
1、体を洗う
2、浴槽の湯を洗面器にとり、かけ湯を4、5杯。ざぶざぶと。
3、ぬる湯に肩まで入り、2,3分浸かる。
4、湯からあがって休憩する。
5、またかけ湯をしてから浸かる、を繰り返す。
番台のお母さん曰く
「考えちゃだめ。熱いとか思っちゃだめ。とにかく何も考えず肩までざぶっと漬かりなさい。そしたら本当に気持ちいいお湯だから。ここは家のお風呂じゃないから、同じ入り方しちゃダメよ。」とのこと。
言われた通りにするとぬる湯はびりびりするものの、なんとかクリア。
途中「どう?入れた?だいじょうぶ?」とお母さんが様子を見に来てくれました(笑)。
あつ湯は手をつけただけで断念。いつか入れる日が来るんだろうか。
体が温もったら、夜ごはんは「Cafe & Bar 路庵」へ。
以前、取材でうかがったことがあり、オーナーの小川さんが偶然にも大学の先輩ということがわかり、一気に懐いた私(笑)。
この旅では超絶多忙で、松江から帰ってきたばかりの小川さんに約束をとりつけるという図々しさを発揮してみました。
小川知興(ともおき)さん。
有限会社小川商店の代表取締役で、
http://www.t-ogawa.com/
まー、パワフルというかなんというか。かっこいいのです。
地域総合サポート企業を掲げる小川商店の事業は多岐に渡ります。
ガソリンスタンドや地域密着スーパーの経営、運送業、空き家対策のために不動産業まで。
ちょうどこの日の前日に温泉街の古民家をひとつ契約されたとかで「どう?借りてなんかせん?」と勧誘されました(そして一瞬心が揺らぎました・笑)。
事業拡大と同時に、採用もばんばんされています。
「地元に元気でいてもらわらわないとうちの商売も成り立たない」なんて以前おっしゃっていたけれど、地域への愛情と尽力はもうすでにそれ以上。
そして本業はもちろん、地元でのイベントにはお金も人も、何なら本人がどんどん出ていき、温泉津はもちろん大田市、江津市などの盛り上がりに大きく貢献されています。社長自ら焼きそば焼いてたりするから、おもしろい。
そしてなんと保育園の保護者会の会長までやってるんだとか(笑)。
「何やっても勉強になるわー」と大笑いされてました。
「Cafe & Bar」なんてついてるけど、そのフードメニューの多さ、バラエティの豊かさに地元では「居酒屋」と紹介されている路庵。
地魚や地野菜、地元の肉をバンバン仕入れ、ばんばん使います。
温泉津港の漁船は小さいため少しでも時化ると漁に出られず、うかがった数日も船が出られていなかったのですが、地魚を用意しておいてくれました!
タコが瑞々しくってぷりぷりで、めっちゃ美味しくて感動。
あと、 小川さん曰く「半ば強引に150キロくらい買わされた」という温泉津産のブルーベリーを使ったピザ(美味しそうすぎて写真撮り忘れました)は、どう見ても原価度外視メニューなので、路庵を訪ねたらぜひ注文してください♡
温泉津温泉の魅力をもうひとつ。
温泉街にある龍御前神社では、毎週土曜日に石見神楽を見ることができます。
石見神楽は、温泉津温泉のある島根県西部・石見地方に伝わる伝統芸能で、全国津々浦々さまざまな神楽がありますが、石見地方は全国屈指といわれる神楽どころです。
元々は他地域の神楽と同様、毎年秋祭りに五穀豊穣への感謝として氏神様に奉納されていましたが、���代とともに勇壮にして華麗な郷土芸能へと進化。演目は30種類以上、社中と呼ばれる神楽の団体は今でも200近くあり、時には県外へ遠征して磨き上がれらた舞を披露しているのだそう。
神楽の在るべき姿……本物の神社の、しかも本殿で舞われる石見神楽を見るだけでも貴重な上に(神主さんと氏子さんの懐の深さを感じずにはいられません)、温泉津温泉の夜神楽はとにかく近い!!!
演者との距離が近すぎて、小さい子どもたちがその迫力に泣いてしまうことも。「おぉ~」とか「うわ!」と大人も思わず声をあげ、会場全体が熱気に包まれます。
神楽面や衣装を間近に見られるのも、温泉津の夜神楽のいいいところではないでしょうか。衣装の刺繍とか、ほんとすごいです。まるで文化財みたい。
びりびりする湯に浸かり、地物でお腹を満たしたら、夜神楽で一興。
まさに非日常なひとときが温泉津温泉にはあります。
ぜひおでかけください。
元湯温泉
〒699-2501 島根県大田市温泉津町温泉津ロ208-1
TEL/0855-65-2052
http://www.yunotsu.jp/oyu/index.htm
路庵
〒699-2501 島根県大田市温泉津町温泉津ロ31
TEL/0855-65-2777
http://www.cafe-roan.jp/
温泉津温泉 夜神楽
https://iwami-kagura.jimdo.com/
phot by. fuyu kashioka (路庵)
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【島根】シマシマしまね。
今ほど島根に足しげく通いだす前から、ずっとずっと気になって、訪ねたいと思っていた「くらしアトリエ」さん。
きっかけは安来を取材で訪ねたときに偶然手にとった、それはそれはかわいらしい観光パンフレットでした。
「地方にこんなすてきなデザインが!」
決して地方をバカにしているわけではありませんが、当時(確か5、6年ほど前?)の地方自治体制作のパンフレットにしてはずば抜けたセンスに驚いた私は、つてを駆使して制作会社を調べ、行きついたのが「くらしアトリエ」さんだったのでした。
2017年4月、「島根を知る・学ぶ・楽しむ」場として、「くらしアトリエ」さんが雲南市にオープンしたシマシマしまね。
念願の初訪問です。
島根県雲南市大東町畑鵯(はたひよどり)。
なんともかわいらしい地名、まわりほぼ田んぼ、お店の窓からは美しい棚田の風景が広がる場所に、シマシマしまねはありました。
ぱっと見はふつうのおうち。
もともと「くらしアトリエ」さんが事務所にしていたものをリノベーションしたのだそう。
ぐねぐねした一車線の山道を進みながら、「ほんまにある…?」と不安になった頃に、この看板が迎えてくれました。
お店の中に入ると、なんとお茶のおもてなし!
ざら茶という津和野のお茶と、龍岩さんのあられ。器は袖師窯。
島根はうかがう先々でお茶を出してくださいます。松江城主だった不昧公さんの精神が受け継がれてているのでしょうか。
この龍岩さんのあられ、食べるとちょっとびっくりするというか、二度裏切られる味(笑)。そしてその裏切りが癖になる感じでもう、止まらない。
ついお土産に買ってしまいました。いいお茶請けです。
店内には、島根県内19市町村のおいしいものや素敵なものがいっぱい!
何度も何度も訪ねている私にとってはお馴染みのものも、ヘビロテしているものも、「こんなんあったんやー!」と新発見のものも。
こうやって眺めていると、島根県は本当に豊かな場所だなぁ、再認識しました。食もモノも、そして人も、本当に滋味深いというか。
確かに派手さはないけれど、しみじみと「いいなぁ」と思える出逢いに溢れています。
私が感動したのはこのご当地カード。
島根県の19の市町村の形が描かれ、裏には見所など市町村の魅力が紹介されています。手にとりたくなるかわいい色み、1枚1枚裏返して読むのが楽しいし、読むと立ち寄りたくなる。パンフレットもいいんですけど、こういう「ささやき」みたいなアプローチ、素敵だなぁと思います。
シマシマしまねのオリジナル「しまね かたち パズル」。
離島なんかもちゃんとトレースされていて、なかなか難易度が高そう(笑)。
東西に長く、横移動するとはしからはしまで3時間以上かかる島根県。地元の人でこれをすんなりできる人、どのくらいいるんでしょう。
ぜひタイムトライアルイベントとかやってもらいたい!
店内に差し込む陽の光のように、とても柔らかで優しい空間。
本当に居心地がよく、話もはずみ、ついつい長居してしまいました。
島根の魅力がぎゅっと詰まったこの場は、旅のはじめに島根を知るとっかかりに訪ねるのにとてもいい場所です。
ノープランでやってきて、ここで見つけた気になるものを作る場所を訪ねる旅、なんてのも楽しいかもしれません★
ちなみに、購入時に発行してくださるお店のポイントカードは、「しましまのものを身につけている」とサービスポイントをもらえるのでシマシマしまねさんを訪ねるときはぜひしましまアイテムを身につけていきましょう♪
シマシマしまね
〒699-1243 島根県雲南市大東町畑鵯 733
営業日はWEBで要確認
http://www.shima-shima.net/
phot by. fuyu kashioka
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【島根】石州 宮内窯
石見焼の窯元をもうひとつ。
こちらも大きな飯銅や甕を作るのがお得意な窯元さんです。
石州 宮内窯さんの器は、まるで洋食器のようなモダンなものも。
温かみのある乳白色の白掛けシリーズの洋皿、角皿、ポットなどは、 現代民藝運動を牽引した久野 恵一さんと一緒に作った「現代の暮らしに合う新しい石見焼」。とても素敵です。
さ、ご紹介しましょう。
昭和45年に開窯した石州 宮内窯。
実は石州 嶋田窯さんとご親戚の窯元で、開窯したの宮内謙一さんは、石州 嶋田窯の二代目 嶋田春男さんの弟さんで、石見焼随一の大物づくりの名手として知られました。
昭和60年からは 岐阜県・実相窯で修行した息子の孝史さんが家業に入り、現在は二代目として宮内窯を継がれています。
石州 宮内窯を訪ねる魅力は、とにかくその商品数!
ショールーム(ってヨコ文字の雰囲気ではないけれど)にはびっくりするほどたくさんの器や甕がずらり。
角皿、丸皿、蓋物、お茶碗、ポット、土瓶、湯のみ、マグカップ、丼、甕、花瓶、コップ、カップ、お猪口、ぐい飲み、徳利……大きなものから小さなものまでとにかく豊富。
しかもそのリーズナブルさには驚きます。
「うちは土がたくさんあるからね、値段も手頃でしょう?」とお母さん。
B級品コーナーとされたお部屋に置かれた器たちなんて、「手頃」なんてもんじゃありません。飛び鉋の五寸皿で600円弱程度、五合サイズの蓋物が1200円程度と、びっくり価格。「えっと…いいんですか?」と思わず恐縮してしまうほどです。
手前にある白い丸皿は、2015年に逝去された前もやい工房のオーナーであり、 現代民藝運動を牽引した久野 恵一さんと一緒に作り上げられたもの。
シンプルな白い器ですが、成型し、釉薬をかけ、 一枚一枚丁寧に宮内さんの手で作られたお皿には、一見洋食器のようですが手仕事ならではの温かみがあります。
私が一番好きなのは「 打ち刷毛目」のシリーズ。刷毛目はもちろん、上からすっと青磁釉で描かれたアクセントが1点1点異なるため、選ぶ私も真剣です(笑)。前回訪ねたときは五寸皿、そして今回は八寸皿を購入。
お皿2点、蓋物3点を購入したら「電車?車?」と聞かれ、「車です」と答えところ、お母さんが奥の部屋へ。「なんだろう?」と思っていたらダンボールを持ってきて、「がちゃがちゃ動くとよくないからね」と包んだ器たちを手際よく詰めてくれました。
「気を付けてね。また来てね。」と笑顔で送りだしてくださったお母さん。
ありがとうございました。また行きます!
石州 宮内窯
〒695-0024 島根県江津市二宮町神主2211-3
TEL/0855(53)0304
phot by. fuyu kashioka
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