ooooroshi-blog

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かぎりなく雰囲気 聖闘士のミロっぽくないです。注意 ＊＊＊ 「俺たちこれからどうするつもりなんだろーな」 俺とアイオリアは「想い人」どうし。いわゆる恋人というやつ。半年くらい前に、友達以上恋人未満から昇格した。 あっという間に聖域－－－天蠍宮は夏を迎え、空からの日差しが眩しかった。天蠍宮の白い床に反射して、遠くの木々は映え、俺の目は痛い。 ふたりで並んで座って、任務帰り、しばしの休憩をしていた。 ちなみにアイオリアの手には女神から（恐れ多くも）頂いた「らむね」という珍しい日本の飲み物が握られている。 「いきなりどうした」 「いやだってさ、聖闘士たるものいつどーなるかわかんねえわけじゃん」 想い人だなんだと言う前に、俺もアイオリアも女神の聖闘士であることは間違いなかった。 こうして今ふたりでいる時でさえ、何があるかわからないのだった。 「……まあな」 否定はしない。聖闘士になると決めた日から、わかっていたことだったから。 考えても答えは出ず、ごろん、と仰向けになった。 天蠍宮のその上の、真っ青な空を見上げる。ついでにリアの膝も借りたりして。 「うわ、つめた！」 「勝手に人の膝を借りるからだ」 アイオリアのせいでおでこに「らむね」が当たる。あとでカミュにもっと冷やしてもらおうか。 瓶に光が当たって、不安定な淡く青い光が消えたり現れたりした。 ぼんやり考える。 今まで女神に忠誠だけを誓っていた俺の心には、ほんの少しだけヒビが入ってしまっている。 アイオリアは、自分の身より大切な存在だった。 時にはもしかしたら、たった一つの自分の「使命」より大切に想えるような。 そんな感情を持っていることに、頑なだとか頑固だとか言われる俺自身が一番驚いているけれど。 「あーーー。クールになりてー」 「クールになりたいと言ったか」 「今言った」 ちょっと待ってろ、とアイオリアが俺の頭をどかし、にやにやしながらその場を離れる。 「なんだあいつ……」 「っどりゃーーーーー！！！！」 「うわーーーー？！」 アイオリアの大声とともに、突然、大量の水しぶきが襲いかかってきた！！ 振り返ると、花壇の水やりに使っている水色のあのホースを持ったアイオリアがえらそうに立っていた。 「大丈夫！ ミストですよ」 「大丈夫じゃねぇ！ クールってそういうことじゃねーし」 「いいじゃないか」 アイオリアは、いたずらが成功したのがよほど嬉しいらしく、腹を抱えて笑っている。 そんな姿をみて、これから起こりうることだとか、聖闘士である俺とか、アイオリアが好きな俺とかは一旦どこかにふっ飛んでいってしまって。真面目に考えていたのもなんだかおかしくなった。拍子抜けというやつ。 とりあえず、今だけは、この目の前の瞬間を精一杯楽しめばいいか。 きっと答えはついてくるだろう。 素直に、そう思った。 「……くらえ！」 ミロが笑って、アイオリアも笑った。取り返したホースから水しぶきが上がり、陽の光にどこまでもきらめいていた。 ＊＊＊ らむねの瓶が寂しく放置されている。 「喉乾いたー」 「あ、らむね、早く飲まないとだめなんじゃないか」 「めっちゃ振っとくか！」 「早速開けてみよう」 ……ぶしゅーーーーーー！ アテナ（……ラムネは振ってはダメですよ……） 「…………」 ベタベタになった二人に、ありがたい小宇宙通信が虚しく届いた－－－