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愛について
ユウトと最初どこで会ったかは覚えてない。『誰かカラオケしましょ』ってヤリモクいっぱいで有名なマッチングアプリのプロフィールに書いてあって、こんなんヤリたい口実に決まってんじゃんって思ったのは覚えてる。
いつ頃だったか、2人で夜の青山霊園墓地を歩いてた。自分達以外は誰もおらず、街灯の間隔が広く、暗過ぎないけど明るくもない、墓地の区画と区画の間の広めの道を歩いてた時にトイレに行きたくなった。どうしよ?と考え、道の先を見ると視界の遠くまで墓地しか見えない。しばらく我慢してみたが、思い切ってユウトに「ちょっとトイレに行きたい!」と挙手をしながら大きい声で言った。
広い道をしばらく行くと暗い墓地の中で明るく光るトイレの灯りを見つけた。ホッとしたと同時に墓地の中のトイレに1人で入って行かなくてはならないことに気付き、切羽詰まった顔��ユウトの方を見て、トイレの入り口に立って待っててとお願いするとダッシュで個室の中へ。出し切るまでずっと泳ぐ目。やたら気になる飛んでる小さい虫達。用を済ませて手を洗い始めたら、清潔で明るいトイレの様子に、なあんだ明るいトイレじゃんと今の状況がおもしろくなってきて、目の前の鏡に映る自分の顔を見て少し笑う。入り口で待つユウトのとこに行き、「おまたせ!普通のトイレだった!あはは!」と笑った。「だろうよ」と猫背でポケットに手を入れながら、横を向いたまま笑うユウト。
そのままブラブラ歩きながら、墓地を抜けて、住宅街に出て、コンビニに入り、一番くじを買い、「これどうなの?」なんて話しながら、駅近くのもうどのお店も閉まってる飲食店ビルの広場のベンチに座って、なんでもない話をする。話しながら片手をひらひらさせて見つめる。指の隙間から見えるユウトと自分の太ももの間の距離を見て、ここの太ももと太ももがくっつくことはあるのかな?などと考える。たまに顔を上げて、ユウトの目を見つめて、目を軽く見開いて「なに?」と言うユウトに笑う。
駅の改札で、どこ乗り換え?何線?などと話し終えるとお互い無言に。見つめ合ってるうちに首を傾げてしまった。するとユウトも同じ方向に首を傾げた……瞬間にチュッてされた!満面の笑み。笑顔で改札に入って行き、別方向のホームに分かれて帰宅した。
ユウトとはそんな感じの日を数ヶ月に1回か、半年に1回過ごす。それだけの関係をもう4年くらい続けている。カラオケには1回行ったが何を歌たったかは覚えてない。一度、今より関係を踏み込みたくて迫ってみたがやんわり退けられ、それがショックでユウトの連絡先を消してしまったことがあったが、1年後くらいにLINEの自分のアカウントを間違えて削除してしまい、復活させたら、ユウトのアカウントも復活するという現象が起きて、その頃には拒否られた悲しみは癒えていたので「ユウトーー!!!」と普通に再開を喜べた。
連絡が復活し、最近読んでおもしろかった漫画の話をしてるとユウトが「アキと連絡取れなくなって、桜木町でアキがいないか探しちゃったんだよね」と言った。「え?なんで桜木町?2人で行ったことないじゃん」「よくわかんないけど、桜木町。歩きながらアキ歩いてないかなってめっちゃ探した」「そうなんだ」。
再開してからはチューはしなくなった。ただ話す。それだけ。ほとんど会わなくもなった。LINEは毎日はしないけど、よくしてる。お互いLINEが来るとすぐ��す。
アキはユウトと連絡を取らなくなった間に2人の男性と付き合った。本当は1人だったんだけど、彼氏には内緒で続けてたセフレが途中でアキの彼氏に嫉妬するようになり、ゴリゴリのゴリで押し切られて彼氏と別れて付き合った途端に捨てられた。自業自得ってこういうこと?ってアキは仕方なく笑った。
ユウトに、ユウトがいなかった間にそんなことがあったんだよと話すと「大冒険してたんだな」と笑うユウト。「そうなの、大冒険しちゃった」と笑うアキ。
アキはユウトと話してる時がいちばん落ち着く。安心する。好きとも下心とも違う感情。これって愛なんじゃないかな?とチラリと思う。別に今のままずっといられればいいなって思うんだよね。でもそれってやっぱ愛なのかな?こういう形の愛もあるのかもとアキは考える。アキはアキの人生を送って、ユウトはユウトの人生を送る。それだけでいいって気がしてくる関係。
ユウトに「前に行った川辺のカフェあるじゃん」とLINEする。「うん、覚えてるよ」とすぐ返ってくる。「あの時に撮ったユウトの写真たまに見る」「写真撮ったっけ?」「ケーキ撮るついでに撮ってた。ユウトいい顔だよね」「まあな」「このスタンプみたいな顔してる」「それかよ。アキは顔は地味だけど全体的に派手だよな」「派手なおばあちゃん目指してるから」「アキはそれくらいがいいかもな。未来に期待だな」ってところで眠くなったから寝る。
やっぱここには愛がある。
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Q vol.1
Q子はセックス研究会を発足した。会員はQ子1人だ。 目を閉じて歴代のちんちんを思い出す。細いの、ひょろいの、でかいの、短いの…。一緒に顔も思い出したらニオイまで思い出してニオイと一緒に記憶が蘇る。身長は190近くて顔は濃いめで渋く、無造作に生えた風のヒゲがよく似合う。服装はシンプルでパーカーに黒のロングコートがオシャレ。連れて行ってくれた、よく行くというバーでは代わる代わる友達が話しかけてくるし、自分のテリトリーにQ子を連れて行く、隠さなさにも好感を持つ。Q子が気を遣って積極的にしゃべらなくても適度に話しかけて笑わせてくれてラクだし、仕事は音楽関係。モテそうな要素の詰め合わせだった人。 カッコイイし、楽しいし、女に不自由はしてなさそうなのにちんちんがめちゃくちゃ短かった。 この図体でこの短さ…。神様なんていたずらを…と思わず手を組んでお祈りしたくなった。小さくはない。短い。毛に埋もれてしまいそう。どうしてこんなことに?とあまりの珍しさにちんちん一点を見つめ何回か瞬きをしてから、「なにちんちんだしてんの?」と笑いながら言った。きっとこんな反応を今まで何度も受けてきたのであろうと察せられる態度で「だよね」とサッとちんちんを閉まった。その場に残るちんちんのニオイ。「もーちょっと〜!」って2人で笑いながら笑い話にしていく。 世の中って、理不尽なことがある。このいかにもモテそうな人は一生ちんちんがコンプレックスなのだ。しかも誰かを好きになったら、いつかちんちんを見せねばならず、好きになる前がいいのか、好きになった後がいいのか、きっとその答えは永遠に出ない。 目がクリッとキラッとして可愛いフェイスをしてるけど頭髪がちょっとハゲあがっていて身長はQ子と同じくらいの小さめで、しゃべり方がとにかく優しい癒し系だけど、長男気質でなにかとワガママだった人は、初めての夜にLサイズのコンドームを買って来ていて、「ほほお…Lね…」って口に出さずにサイズ表示をさりげなく見ていたら、現物は予想の上をいくデロンのボロンだった。口に出さずに「まじかあ〜」と感心して、手のひらに乗せて軽く上下させてその質量感を確かめた。セックスはガツガツしていて、俺様な態度がよかった。可愛い顔しているのにちょっとハゲた頭の男という少し残念な感じの男としているという状況に興奮した。ただ回数を重ねるうちにベイビーハゲが好きな体位ばかりをさせられるので、セックス中に退屈を感じるようになった。 人の手や足は体のサイズに比例していて、人と極端な差はでないのに、ちんちんだけは脱がせて��ないと、どんななのかわからない。開けてみるまで何が出るかわからないワクワクボックス���個性が強い。 そういえばマカロニみたいなCカーブしたちんちんもあった。なんでこんな曲がっちゃってるの?と思い、Q子は密かにGoogleで検索した。すると強い力でオナニーし過ぎると曲がってしまうことがあると知った。知った後に曲がってる方向と利き手がどっちなのかをチェックしたら、右利きで、右外側に強くカーブしていて、オオ!と納得がいって感動した。しかもその人はセックスがめちゃくちゃ下手だった。独りよがりのセックスで、Q子にあれこれ要求するばかりで、Q子が楽しんでいるかは全く気にしない。そうかオナニーばっかしてるからAVみたいなセックスを求めてくる上に、強い力で握りなれちゃってるから、生身の女とのセックスで気持ちよくなれないんだな。だから、Q子のカラダを使ったオナニーみたいなセックスしか出来ないんだ、とちんちんから分かる新事実を考察して満足した。
Q子がなんでこんなことを始めたのかというと、人の隠された部分を覗き見出来るのがたまらなくおもしろいというのが1つある。あと婚活に疲れたというのもある。1人で生きていく寂しさを感じて始めた婚活だったが、週1ペースで何人も何人も「面接」していくうちに馬鹿らしくなった。相手の理想の女性と家庭像をヒアリングして、その条件に自分があてはまるのか察し、あてはまるように振る舞う。そして交際を申し込まれる。そうした後は、相手は自分の理想の男性像に全然あてはまっていない事実を極力見ないように気づかないようにする。お互いの表面的なことを静かに値踏みし合い、ずっと上滑り。つるつるつるつる舗装した路面だけを滑っていく。コースアウトは出来ない。そんなの好かれたって全然うれしくないし、相手の理想通りにすることしか、Q子には価値がないのか、とはいえ、本当のQ子を表面に出して多くの人に否定され続けるのは想像するだけでしんどい。Q子はそんなQ子自身を眺めて、ただ黙っていた。そのうち、もーどーでもいいやー!と単純にシンプルにただ「男」を楽しむことした。そこからQ子のフィールドワークが始まったのだ。
つづく
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