snhmar
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ピアスと湖底
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seno hitomi
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snhmar · 5 months ago
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私の中の時間がどんどん加速していきます。手遊びしなくなったオモチャは急速に色を失くしてしまいました。二日前のことは二ヶ月前で、二ヶ月前のことは二年前。あなたはなにがすきですか? あなたの得意なことはなんですか? どうして赤の靴下を履いているのですか? さいきん耳が少し聞こえにくくなった気がするんです、たぶんぬるいお湯のなかにいるんだと思います。お湯のなかなので一���吐いた息はどれだけ急いで吸い戻そうとしても戻ってきません。ごぼこぼと耳の横で音が鳴ります。そのときだけ私の中の時間が歩みをゆるめてくれます。ゆらめく天か��生成りのタオルがひだをつくって私が浮かんでくるのを待っています。あかりはちか、ちかちかと不規則です。ここは体温私のまんなか。はんぶん赤の靴下が脱げた足は天を蹴ってもまた明日。
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snhmar · 2 years ago
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5w3d 産まれたきみのこと
産まれた。一月が経った。目まぐるしい一ヶ月で日記を更新する暇もなかった。 今日は電車に乗って病院まで書類を取りに行くので、子から離れて一人、カフェでこの文章を書いている。
出産は難産も難産で三日もかかった。最後には腹を切った。陣痛も進まないお産もとても苦しかったのに、やわらかな産声とたしかな体温に触れたら一瞬で吹き飛んでしまった。五年間、何度も何度もつかんでは離れていった命をようやくしっかりとこの手で抱きしめることができた。自然と涙があふれた。こんなにやさしい涙を流したことはこれまでにあっただろうか。 抱いた我が子はしっかりと重みがあり、呼吸をしており、小さな手をかたく結んでいる。こんなに小さいのに、疑いようもなく生きている。なんとかこの子を死なせないように細心の注意をはらって生活している。一月が経ち新生児をめでたく卒業し乳児になってからは、すぐにほどけそうなか弱さは影をひそめ、まんまるなビー玉の目でこちらを見つめるようになった。ミルクを拒否する際の泣き声も、ばたつく手足の力もしっかりとしてきた。あたらしい世界に触れ、戸惑いながらも彼女はそれに適応しようとしている。新生児微笑とはいえ満足してほほえむ姿はいとおしい。真のいとおしさとはこういう感情なのだと教えてくれる。 ようこそこの世界へ。きみの人生はきみだけのものだよ。どうかよろこびに満ちた人生を歩めますように。
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snhmar · 2 years ago
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39w1d まだ外に出たくない
出産のため入院。今回は計画誘発分娩なので、昼前には分娩のための処置を行う。お腹が痛い。助産師さんが明るい人でとても助かる。
ようやく産めるなあって思っていた。が、スムーズにいかないのが出産だと思い知らされた。
処置をした途端にお腹の子が大暴れし、2時間頻脈が続いたかと思えば突然心拍が急降下。ちょうどお昼ご飯を食べようとしていたところで待ったをかけられ、早足でオペ室に連れていかれる。医師、助産師、その他スタッフがぞろぞろ集まって酸素マスクとルートを取られ、「赤ちゃん苦しそうなので緊急帝王切開になるかも」と伝えられる。赤ちゃんが苦しい原因は処置のストレスかもと言われ、いったん誘発分娩のための処置を外され、並行して帝王切開の準備が進められる。しばらくして、赤ちゃんの様子が落ち着く。とりあえず帝王切開は回避し、しばらくオペ室で休んでからまた陣痛室へ戻る。
今日は分娩を諦めて明日また仕切り直しと言われた。お腹の子はすっかり元気になってモニター上でもゴキゲンである。
もしかして、まだ産まれたくなかった? 夫に事の顛末を連絡すると「引きこもりしてるのね。明日は心の準備ができるかもしれないね」と返ってきた。
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snhmar · 2 years ago
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39w0d 前夜
今日が最後の日。
明日、遅くともあさってには赤ちゃんを産む。4回妊娠して、ようやく出産までこぎつけそうだ。今もお腹の子は元気に動いている。
出産はゴールではなくスタートだと言うけれど、わたしにとっては間違いなくゴールだ。だって今までそこに立つことができなかったのだから。別れた小さな、小さな子たちのことを思う。ごめんねとありがとうが入り混じる。
どうか元気な産声を聞かせて。満たされたからっぽのわたしのお腹を撫でさせて。ああ本当に、完璧に終わったんだって。
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snhmar · 2 years ago
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ここ1年半くらいで、思い煩うことがあまりなくなった。ふしぎだ。きっと20代のうちに30代のぶんまでいろいろ悩みきってしまったんだろうか。
Twitter改めXはなんだか居心地が悪くなってしまい、マストドンに逃げている。マストドンは十数年前のTwitterという感じがする。
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snhmar · 3 years ago
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むかしより自分のことが好き。諦められるようになって満足できるようになって、他人への期待が薄れたから。
むかしの自分の感性のほうが好き。危うげだけどたしかに芯のある言葉を紡いでいたから。
いまの自分のガワが好き。悪くないと思えるようになったから。
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snhmar · 4 years ago
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ここ一週間くらい、加虐心に蝕まれることがたびたび起こる。道ゆく乳飲み子だとか、同居人だとかにとにかく酷い仕打ちをしたくなる。ただその感情は一過性のもので、三十分や一時間ほどすればゆるゆると抜けていく。春だから気が触れているのか、不摂生な生活で早すぎる更年期が来たのか。理由はわからないが不安定な日々だ。表向きは安定しているし自分もそう信じて疑っていなかったので少し動揺した。
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snhmar · 4 years ago
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昨日から頭が痛くて、でも鎮痛薬を飲むほどではなく何となくやり過ごしている。明日はかなり気圧が下がるらしい。
今日は春のようか暖かさで上着もいらないほどだった。あれだけ遠くにいたような気がした春も確実にこちらに近づいてきている。あちらが近づいてきているのか私たちが近づいていっているのかよくわからない。なんとなく輪郭だけがわかる不安を押し殺して淡々と家事を片付けた。こうした頭を使わない作業は余計なことを考えずに済むから好きだ。でも家事をずっと仕事にしててねって言われたら無理だなと思う。今の文章を書く仕事も運良く何年か続いているだけでこれからどうなるのかわからない。世の中には私よりももっと文章が書けて文章を書く体力がある人がたくさんいる。そうした人たちの中には文章を書くことを生業にしていない人もたくさん、いる。生業にしたがっている人もたくさんいる。私はたまたま需要に対して供給の少ない領域に潜り込めたから今こうしていられるだけ。これがやりたいことなのかと聞かれるとわからない。歳を重ねるうちにやりたくないことばかりはっきりしてきてやりたいことはわからなくなる。そうしてポジティブな感覚が鈍麻していって意味もなくそれぞれの寿命まで何となく生きてしまうんだろう。
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