野澤ゼミの休日 in にこたま ②
皆さんこんにちは!
今回は、年末に3期生の有志で行った
『街歩き in にこたま』のレポートの後半編をお届けします!
※前半編まだご覧になっていない方はこちら
都会でありながら、国分寺崖線や多摩川といった自然あふれるエリアの二子玉川。
今回は、屋上緑化や生物多様性への取り組みについて2人のメンバーが執筆してくれました!
5. 周辺の自然環境との一体感 と 心豊かな街づくり (なめこ)
6. 玉川高島屋の緑化・デザインについて (OT)
それではぜひ最後までご覧ください!!!
5. 周辺の自然環境との一体感 と 心豊かな街づくり (なめこ)
ここからは、ブログ初参加の なめこ が書かせていただきます!
読みづらい点が多々あると思いますが、どうかご容赦ください。
まず、二子玉川の自然環境や生物多様性について語るには、
二子玉川まちづくりのベースである
「国分寺崖線と多摩川をつなぐ」
という考え方は欠かせません!
そこで、二子玉川ライズは、環境に配慮した取り組みも多く行っています。
それを象徴する一つが、「ルーフガーデン」
眺めの良い広場やデッキだけでなく、めだかの池や菜園広場もあるんです!
ただ緑があるだけではなく、多摩川の生態系を学んだり、食育にも貢献できたり、盛りだくさんな楽しみ方をもつ屋上です。
これによって、
“周辺の学生が生態系や自然への関心を持つきっかけづくり”
にもつながっているのではないでしょうか?
また、このルーフガーデンが、国分寺崖線と多摩川の中間地点として
国分寺崖線の「みどり」
↓
二子玉川ライズの「ルーフガーデン」
↓
多摩川の「みず」
となることで、周辺の自然との連続性が維持され、一体感が生まれています。
以上のことから、二子玉川ライズの取り組みは、
「自然と人が繋がる場」と「自然同士が繋がる場」
の二つの役割を果たしているのではないか、と思いました!
広場を抜けてまっすぐ歩いていくと、二子玉川公園に到着します。
まず感じるのは、圧倒的な見晴らしのよさ!
ここが東京であることを忘れてしまう程の空の広さです!
そんな二子玉川公園は「みどりとみずをつなぐネットワーク実現」のため、元々あった道路の一部をトンネル化し、その上部を公園にすることで“多摩川河川敷との一体性” を確保しています。
そして、その影響で生まれた
“高低差を活かしたゾーニング”がされているのが特徴です。
憩い・くつろぎがテーマの「静のゾーン」には、
落ち着いた雰囲気の空間にベンチが多数設けられています。
また、日本庭園や旧清水邸書院もあり、歴史を感じられます。
一方で、にぎわいがテーマの「動のゾーン」には、
開放的な広場や遊具が沢山あります。
さらに、公園内にはスタバもあるんです!
お気に入りの飲み物を片手に、多摩川の夕焼けを眺めることもできます。
まさに、都会の喧騒を忘れるにはもってこいの場所ですね。
どの世代の人でも、多様な楽しみ方ができる二子玉川公園。
みなさまも、ぜひ一度訪れてみてください^^
6. 玉川高島屋の緑化・デザインについて (OT)
ここからは、私、OTが玉川高島屋についてレポートします!
玉川高島屋については、前半編のブログでハナマルくんもレポートしているので、まだご覧でない方はぜひ見てください。
・本館ファザード
駅からほど近くの二子玉川交差点に立つと、高島屋の本館を覆う、白くて有機的な構造物が目に飛び込んできます。
「なんかもにょもにょしててお洒落」としか私には表現しようがなく、駅をでた瞬間から圧倒されてしまいます。
これは、2010年の本館ファザード改修でできたもの。
手がけたのは隈研吾さん。
(ファサードとは、建物を正面から見たときの外観のこと。)
調べてみると、
「玉川髙島屋の中層棟に、歩行者用のアーケードを増築し、都市と建築(ハコ)をやわらかく接合しようと試みた。(中略)アーケードの下部にはプラントボックスを設け、やがて「緑の洞窟」となって、心地良い立体的遊歩道となるであろう。」
(隈研吾建築都市設計事務所HPより)
玉川高島屋S・C本館ファサード改修 | 隈研吾建築都市設計事務所 (kkaa.co.jp)
有機的なデザインには、直線的な建築物と緑を接合するという意味が込められているのでしょうか。
単なるオシャレさではなく、アーケードという機能があり、都市と建築の接合や緑化という意味とデザインがリンクしているのが素敵です。
さて、このファザードからは上のフロアに上がることができます。
中から見ても日に照らされた板がなんかお洒落です。
・ローズガーデン
上には居心地のいい空間が広がっています。
ここはローズガーデンという名前で、たくさんのバラが植えられていて、ヨーロッパっぽい雰囲気ですね!
壁面も緑化されていて木目調と相まっていい感じです。
天気のいい日には公園みたいな感じで読書しながら滞在できます。
訪れたときには、平日ということもあってかあまり使っている人は多くなかったようにも。
しかし、玉川高島屋の緑化はこれだけではありません。
・本館・南館にまたがる屋上庭園
玉川高島屋 本館屋上庭園 | 子連れのおでかけ・子どもの遊び場探しならコモリブ (comolib.com)
屋上には入園料を払わなくていいの?と思ってしまうような庭園が広がっています。
それもそのはず、玉川高島屋は1969年の開業当初から屋上緑化を行っているそう。
現在の本館の庭園は、2003年に本館と南館の屋上の連絡が可能になる際にリニューアルされたんだとか。
かなり凝った空間です。エリアごとに分かれていて、滝が流れていたり、丘のような高低差があったり!子どもも大人も楽しめる空間です。
詳しくは玉川高島屋のHPがあるので興味のある方はぜひご覧ください!
フォレストガーデン - 玉川高島屋S・C (takashimaya.co.jp)
連絡橋を渡って南館に入ってもきれいな庭園が続いています。
こちらはPARK&TERRACE OSOTOという名前で、2019年と最近リニューアルされました。
飲食店のテラスと一体となったような作りで、ブランコのようなベンチがあったり。
ちょっと遊園地みたいなビアガーデンみたいな、新しいけれど昔ながらの百貨店を彷彿とさせるように私は感じました。
最後の晩餐が出来そうなテーブルも置いてありました。
8階には見晴らしのいい空間が広がっています。富士山も見えました!
ここでは天体観測などのアクティビティが行われることもあるそうです。
・マロニエコート
そして本館のはす向かいにも、高島屋の一部であるマロニエコートがあります。こちらも隈研吾さんによるもので、「緑の庇」により建物のバルコニーが囲われています。
隈研吾さん曰く、
「普通、建築物は、一番目につくところには、石やレンガを貼ります。しかし、建物の主役を緑にしたことで、その緑の印象が建築全体のイメージを決めることになります。建物の主役を緑にすることで、建物全体の印象を柔らかくしたい。そうやって自然豊かな玉川の街に自ずと馴染む建物にしたかったのです。」
玉川高島屋S・Cでつながる人と建物、街への思い | 玉川高島屋S・C (tamagawa-takashimayasc-sdgs.com)
たしかに、道路の街路樹の延長に緑が続いている感じですよね!
本館のファザード、庭園、そして西館(駐車場と店舗が入っている建物です)も含めた玉川高島屋全体を通して一貫しているコンセプトなのではないかと感じました。
↑西館も緑化されてます
ということで、玉川高島屋全体を見てきたわけですが…とにかく盛りだくさんです。私の要約力不足もあるのですが、
S・Cという言葉では片づけられないスケールの大きさ。
それでありながら、植物・白・ガラスを用いて都心にある百貨店がもつ重厚感とは対照的な軽やかさを全体から感じる、とんでもなく完成された一連の建物群であると感じました(偉そうにすみません)。
そしていろいろな意味で余裕を感じさせる贅沢・ゆとりのある空間設計です。
さて、先ほどからたびたび引用している隈研吾さんのインタビューからのこの一節を。
「玉川SCは、いつも街全体のことを考えているのです。この街で人間がどう歩くか、どのように生活するのか。常に、総合的な視点を持って考えているなと感じました。その思いは、開発に携わった担当の方々とのやり取りからもすごく伝わってきました。」
玉川高島屋S・Cでつながる人と建物、街への思い | 玉川高島屋S・C (tamagawa-takashimayasc-sdgs.com)
私も高島屋全体を見ていて、回遊性の高さに驚きました。
本館のファザードからはローズガーデンへ、南館の階段からは7階の屋上庭園へと、建物の中を通らずにたどり着くことができますし、本館と南館は2フロアごとにデッキが設けられている充実ぶり。
そして二子玉川駅方面からも、地上デッキと地下通路でしっかりとつながれています。
高島屋の建物に入らなくても、屋外にたくさんのベンチ・テーブルがあって、そこで憩うことができるつくりになっていて、形骸的ではなく開かれた空間になっていると思います。
治安などの問題が発生しないのか気になってしまうくらいです。しかも庭園にはゴミ箱も充実していて、デザインまで凝っていてすごい。これらが可能なのは二子玉川の土地柄ゆえなのか…
少し話がそれましたが、実は玉川高島屋は「日本初の本格的な郊外型ショッピングセンター」だそう。
このことが、街全体を考えたショッピングセンターづくりや緑化に対する先進的な取り組みに関連しているのかもしれません。
そして、二子玉川ライズなどの後続の開発をみても、
玉川高島屋の開発こそが、二子玉川の街の在り方そのものを基礎づけた
といっても過言ではない、と感じます。
同時に、そのような開発を可能にしたものは何なのかについても考えさせられます。
百貨店だから当然ということもできますが、贅沢な空間の使い方ですよね。
「入園料を払わなくていいの?」と途中で書きましたが、庭園であればメンテナンスにも相応のコストがかかるはずですし、解放感のある空間づくりをするにも、そこをテナントにした方が儲かる、と考えることもできそうです。
第一にはブランディングの一環であるという風に言えると思います。でもそれだけなのでしょうか…別の要因があるのなら知りたいです。
最後に二子玉川街全体の緑について。
「緑というのは、生き物です。周辺に住んでいる方々、ここに遊びに来る方も、ある意味同じ‟生き物“です。生き物同士が色々と会話をしたり、友達になったりしているという感じがします。人間だけで住んでいる街と、人間と緑が一緒に住んでいる街は、豊かさの質が違うと思います。」
またまた引用。
私は一日FWをして、美しく整えられた植栽や広々とした空間の中にいる居心地の良さを満喫しました。
同時に、
二子玉川の魅力は、自然が豊かでありながら同時に都会的だということにあると思いました。
都会的という言葉を使ったのは、二子玉川の緑が洗練されていると同時に、それを可能にするものとして都心近郊の潤沢な需要が大前提となっていると思ったからです。
例えばただでさえ百貨店の存続が厳しい地方部に同じものを作るのは難しいのではないでしょうか。
ところで、マロニエコートのテナントにこんな掲示が。
↑「豊かな生活を送るのに大金は必要ありません」
「豊かさ」って難しいですね…
これから災害の激甚化などが見込まれる中、洪水リスクも抱える二子玉川。単に堤防で洪水を防ぐのではなく、河川流域周辺の保水力に注目する必要もでてきています。
自然を単に私たちを豊かにしてくれるものとしてではなく、脅威も含めたものとして捉え、それも含めて共存していく街になったらもっと面白い、と勝手に妄想してしまいました。
7.おわりに
いかがだったでしょうか。
5人それぞれ、全く異なる視点からブログを執筆できるほど、二子玉川というエリアは街歩きスポットとして抜群の環境でした。
事前学習として、二子玉川エリアのまちづくり関係の資料集めをする中で、様々なデベロッパーや住民、行政の想いが詰まったまちづくりの姿を知ることができ、そして実際に歩ている中でもまた新たな発見があることを実感し、とても刺激的な経験になりました。
ふらっと思いのままに街を歩くことももちろん、
事前に設計者や様々な人の想いをインプットしてから二子玉川という街を歩いてみるのもぜひおすすめしたいと思います!
このように野澤ゼミには、まちづくりや都市政策を軸として様々な分野に関心を持つメンバーがたくさんいます!
そして、Instagramでもゼミ活動や、休日に行うまち歩きなどについて発信しています!
ぜひ、Instagramや他のブログ記事も覗いてみてください!
それではまたの機会にお会いしましょう!さようなら~
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