Tumgik
#木調ブラインド
osakiakiko · 1 year
Photo
Tumblr media
#Repost @nichibei.blind ・・・ 成長が早く地球にやさしいエコ素材のバンブー。心地のよい竹の風合いは、モダンにもナチュラルにもぴったり。陽がたっぷり入るリビングダイニングを一息つきたくなる落ち着いた空間にしてくれます。 ウッドブラインド「クレール」 バンブースラット K214(アーモンド) #nichibei#ニチベイ#ニチベイブラインド#ブラインド#ベネシャンブラインド#よこ型ブラインド#横型ブラインド#メカモノ#ウッドブラインド#木調ブラインド#バンブーブラインド#竹製ブラインド#施工事例#マイホーム計画#マイルーム#マイホーム#住まい#住宅#木目家具#ウッドテイスト#北欧インテリア#ナチュラルテイスト#リノベーション#リフォーム#木製家具#竹製家具#ブラインドのある暮らし #osakiakikoworks https://www.instagram.com/p/Co-Fm7UPMZF/?igshid=NGJjMDIxMWI=
0 notes
hashimile09ag · 5 months
Text
ギルガルド、ああギルガルド、ギルガルド
Tumblr media
お前の居ない世界で私はどうやって生きていけばいいんだァアアーーーーーーッッッ!!!!!!!!!!
やァご無沙汰してますかもみいるです。今の今までどこほっつき歩いていたのかと弁明いたしますと、
Tumblr media
ご覧の通りSVとはギルガルドが居ない世界である事が確定したショックで廃人と化してスイカを作っていたり
終わらぬハロウィンという名の「こうかつのあかし」持ち色フワンテ(バイオレットでは出ないので何が何でも欲しかった)探索に数週間ほど明け暮れて無事ゲットしたり(先に「ひそうのあかし」持ちが出て驚いたり)(ボクレーも出ぇ↑たぁ!!ドラえもんバトルドーム感)
Tumblr media
終わらぬイーブイの日という名の「のうむのあかし」持ち色イーブイ探索にフジが原の崖に数週間ほど山籠りしてゲットしたり(天候証が1匹出ればオーライなのを痛感した)
今回でブリザポスがブルレク報酬で手に入るようになったはいいものの、ふと思い立って今度はレジドラゴも(レジ系はSVで出ないけどできればレジエレキも)HOMEの図鑑コレクションに置いとく用で1匹ずつ欲しくなってしまい、サブロムを用意して剣盾2周目を走って捕まえてきたりダイマックスアドベンチャー満喫しつつウルトラビースト各位をやっと自前で揃えたり。まあこれは本アカで「ふじゅんのあかし」持ちガラルフリーザー(その確率なんと約0.107%ほど)を粘りたくて、でもそのままだとウルトラビーストの出現条件を満たせず埒が開かないのでサブアカから走ることで彼らを一通りHOMEに並べるためでもあり。ところでランドロスさんも早く出てきてくださいあなたがレジェアル産シェイミや弟から預かった過去作伝説を除いたHOME図鑑で埋まっていない準伝ラス1なんです対戦でも使いたいんですお願いします
ルナアーラの低A個体を厳選しその上でウルボで捕まえたり(ウルボの捕獲率が低すぎて一番の難関だったけどリセット繰り返してるうちにウルボ一発目でA1個体の捕獲に成功したぜやっほい)バクロォースさんことレイスポスのA0が爆速で出てドリボで捕獲したり
Tumblr media
やっぱり2体目以降の四災ともっこ赫月ミライドン諸々が欲しくなってSV2周目を走って捕獲し番外編まで待機してたり(A0チオンジェンとキチキギスに2匹目のイーユイ厳選とS0赫月の厳選を今度こそ終えたのでありがとう厳選過程note書いてくれた方とA測定担当のフワライド達えっS0ディンルー?また今度で)
他では『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を観に3回ほど映画館へ入村してかつての目玉親父と水木のバディ劇が良すぎて脚本も演技も映像も何から何まで素晴らしくてかつ涙腺ダイレクトアタックしてくるシーンも多くて3回ともきっちり泣いてきたり特典第2弾の配布開始日の翌日の朝イチを迎える前に特典の在庫が全滅してて序盤の某一族の長男みたいに咽び泣いてた所に予測通りだが予想以上に早く公式イラスト集のお知らせが来て喜んでいたりしてました。
Tumblr media
とにかくみんなにゲ謎を観てほしい。
6期の沢城さん演じる鬼太郎くんも観たい……
ちなみに映画の感動とギルガルドが居ないショックでシエルの髪が白くなりました。しれっと変更しててすまない……
Tumblr media
藍の円盤が遂に始まりまして、シナリオもだけど何より野生とトレーナーの戦闘BGMがBWのアレンジになってるしブルベ四天王のプロフといい学園までの“地下鉄”を通る経路といいイッシュの空気を肺いっぱい吸えるとは夢にも思ってなかったのでドードーやサイホーン達に轢かれながらあまりの懐かしさにガチ泣きしてました(しかもテラスタルポケモンのちょっと違う戦闘BGMはBW当時に存在した「揺れる草むら」専用の曲と重なってるとブラザーが指摘して気づいてアガったよね)局所で流れる新規のバトル曲(特にスグリ戦が今作最推しBGMにランクイン)も全部熱くて最高だったけどBP集めはソロだと虚無の極みなので試しにマイブラザーと協力したら小一時間で10000BP集まってホクホクでした
この世界にギルガルドが居ないことが確定して放心しつつも全国図鑑のポケモン達をランドとか一部歯抜けしてるけどHOMEできっち���図鑑番号1から1000〜まで順番に1匹ずつ並べたボックスから歴代御三家や通信進化ポケモン達を引き出して図鑑埋めをする力業に加えてデスメタルB(バンド何故?)ことマイブラザー(向こうもお気に入りのヤンチャムとゴロンダが出禁確定でかなり落ち込んでた何故だこんなにもかわいいのに!!!!)に図鑑埋めの支援をしつつ捕まえてもらったウガツホムラ&タケルライコをテツノカシラ(顔面と首周りと角の構造がどタイプすぎて対戦でもぜひ使いたいタキオンカッターがモーションも性能もエッッで大変ヘキに刺さるなどしてサザンドラなどと合わせた構築を真面目に考えてるけど絶賛難儀中)&テツノイワオ(こっちもパワフルエッジの専用モーションカッコいいし殺意高くてだいすき)と交換で埋めて返してわずか配信3日目にして図鑑完成に漕ぎ着け『あかしのおまもり』をゲットしましたバンザイ🙌🙌🙌ホムラライコも強そうで欲しくなったのではよブラザーもサブロム走ってもろてええですかというか自前でスカーレットDLした方が早い説がここ最近浮上中。2日もあれば余裕で表ストーリー終わるんだカラミンゴが強すぎて!!
Tumblr media
手に入れた証とBPで早速色証ツタージャ探しに明け暮れ、天候証と感情証持ちの子をムンボでゲット!くもをみつめていたりやるきが/Zeroだったりするかわいいちゃんたちですかわいいね!
Tumblr media Tumblr media
ああ〜〜〜ツタージャたんはいつでも超絶かわいいなあ〜〜〜💕💕💕(なお全部♂の模様だがそれがいい)
BP支援で強化したロックオン機能は良い文明。証持ちをオシャボで狙い撃つぜ!!
つまるところポケモン廃人ライフをゼンリョクで謳歌しています(ウルトラムーンもちまちま進めてますイリマくんかわいいねマーレインさんにも早く会いたいポケマスのイリマくんいつ実装ですか??)
P.S.オーガポンちゃんでシンクロして攻撃モーション見てみ??(ギャップで情緒が)飛ぶぞ??
中の人の体調の方は至って元気です 何とかは風邪引かないって言うもんな〜ダハハ
というのが表向き。
しばらく低浮上だった訳を真面目に説明すると、年の暮れは昔の嫌な記憶が重なる時期というのもあってトラウマが再発したり、そのせいで他の人の同ジャンルの作品が見れなくなり浮上も億劫になって、加えバイトではトラブルに巻き込まれ怒りのあまり家の壁に穴を開けて拳をズダボロにするなどして少しづつ外で蓄積した鬱憤が爆発してしまい、仕事はメンタルを割り切って続けられているもののボケっとして何も考えてなさそうな(重要)学生の群れとか話の通じない人間がもっと嫌いになってしまったぶっちゃけ数ヶ月前と比べて健全な精神状態とは言えないので勝手ながら某ポップスター圏からはサイレントに離脱して様子を見つつ、ここや雑多アカ(Xの端花 薫)の方からしばしの間ポケモンや雑多専門で休み休みやらせていただきます。よしなに。
多分鴨見 居の名義のアカウントを作り直すかもしれないししないかもしれない。推しの公式グッズだけは欲しいのでブラインド商品のメル●リに使う費用は欲しいと思っているしププマケの特典もおのれまるくちゃタイミングが合わないよぐぬぬだけどもまあマギレコのクリスマスで資金溶かしちゃったしみことちゃんがめちゃくちゃ強くて可哀想でとてもかわいいので別に後悔はしてないんだただ資金がもっと欲しいだけですもっとだもっと(給料)よこせバルバトス
ちょっと休みたくなって&気持ちの整理をつけたくていきなり無言で自分から距離を取ってしまったのでご心配おかけしました🙇それでも何も言わずそっとしておいてくれてる友人達には感謝しかないので、いずれ元通りにとは約束できないけど何かしらよい形でこれからも繋がりを保てたらなあと思います。
来年はいい加減自分に対して色んな意味で「もういいや、もういいよ」の精神でいこうかと。 長く引きずった思いにもそろそろ飽きが来る頃合いかもしれないし。ところでグッズ熱が落ち着いたら今度はガチャ欲が増したり分厚い本や他の物も欲しくなってきた。魔術の書とか西洋甲冑の本とかVisionとかコルグのマイクロキーとか諸々欲しいし来年も世界は欲しいモノに溢れてるので定期的に読み返してモチベを保ちたい次第。
というわけで今年も大変お世話になりました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
よいお年を〜👋
3 notes · View notes
nostalblue · 1 year
Text
門扉修繕
Tumblr media Tumblr media
2000円にも満たない木製ラティスだったが、強い台風の直撃に何度も耐えて来た。設置から5年経ち劣化も進み、補修や補強しながら何とか延命を図ってきたのだが、この師走の暴風で格子が抜けてしまった。早朝、トイレに起きた時にはまだ健在なのが見えたが、その後数時間のうちにこうなってしまったようだ。
Tumblr media
外れた格子はほぼもとの形を留めているので、また枠にはめ込めば使えるようにも見えるが、これが相当劣化していて引き続き使用するには躊躇する。強引に使って強風や動物の攻撃で大破し痛い目に合うよりは、潮時と考えて別の材料で作り直してしまった方がよいだろう。
Tumblr media
とはいえタイムリミットがあり、日没までにある程度の形にしないと夜間に動物侵入の懸念がある。この冬一番の寒波と止まない強烈な西風で手足がかじかむ中、現場で頭をフル回転させて方法を模索する。使える材料や施工時間などを考慮した結果、圃場の再整備で取り外した細目のワイヤーメッシュが有ったので、それを残ったラティスの枠に取り付けることにした。枠サイズより若干大きいが、ワイヤーの端ををうまく折り曲げて合わせることで、ビスを使わずとも固定できることになりむしろ良かった。
Tumblr media
流用するラティス枠も劣化が進んでいるので四隅には補強を入れておく。とはいえ補強材も解体資材の再利用なので強度的にはさほど無く、気休めみたいな物だ。壊れたらまた付けます(笑)。
Tumblr media
ワイヤーメッシュだけだとすり抜ける動物もいるので、最後にネットを縫い付け。緑色の防獣ネットと迷ったが、100均で買った青い防風ネットのサイズが無駄なく都合良かったのでそれを使った。実は防獣効果もこちらの方が高いのよね(裂けにくい)。心配は風圧だったが、ワイヤーメッシュとの組み合わせでも元の木格子と比較にならないぐらい風圧受けないし、扉開閉も随分と軽くなって快適になった。ラティスのような美観は無くなってしまったけれども、費用も掛けられないから機能性優先になるのは仕方ないわな~。
Tumblr media
番線で作った回転式ドアロックと風鈴を応用したドアベルは引き続き流用。安易に既製品を買わず、カネでなく頭を体を使って同じ機能を実現するのがこの生活の醍醐味であり日常なのよ。
Tumblr media
それにしてもここ数日の風は強烈で、継続して吹いている時間が長いのでいろいろと面倒事を発生してくれる。傾斜地の枯れ大木もこの風で倒壊したが、かろうじて下段の蔓ネットやその支柱から逸れたのは不幸中の幸いだ。枯れてから長いこと経ち水分が抜けているとは言え、太いのはかなりの重さがあるから移動して片付けるは容易ではない。解体できる部分は薪などに流用するとしても、そうもいかない部分は邪魔でも放置して朽ちるの待つしかないかもね。
7 notes · View notes
yasumitani · 1 year
Text
Tumblr media
10年ぶりくらいに栃木県大田原市の琵琶池ゴルフ倶楽部でプレー。ゴルフ始めた初期は、気に入って年度会員になって毎月のように通ってた。当時住んでた神奈川県東部からまっすぐ行っても3時間くらいかかるけど。
(ちなみに仙台からも概ね3時間だな)
東北道沿いでゴルフしようという話になって、なんか懐かしさかここを思いついた。
この近辺、東北道矢板インター付近のゴルフ場は概ねフェアウェイが広め、隣のホールとの間隔広め、全体的にゆったりとしたコースレイアウトで開放感があって、私的には好きな地域。あと3ヶ所くらい良いなと思うコースがある。
同じ栃木県でもここから東京寄りに行くとちょっと窮屈な感じになるんだよね。プレー費も少し高くなるし。
Tumblr media
ちなみにこのコースは全国高等学校ゴルフ選手権の会場に何度かなり、当時高校生だった宮里藍や横峯さくららが参加。そのときの写真が展示(10年前はもう少し展示多かったけど、縮小されてる。もう大会から20年経ってるし)
で、プレーの結果
Tumblr media
(マスキング、手近なもので適当失礼)
IN(10番)スタート、安定したボギーペースで大変順調、しかしドライバーが今一つ安定せず、17番ロングでティーショットのドライバーが100yも飛ばず、3w2連発でも長く上りのこのホール、4打目も残り150y以上、結果トリプルボギー。しかし18番、パーを取り45!!
もしかしたら100切ところか90切れるんでないの?と望んだ1番ホールは、木々にやたらと好かれ(婉曲表現)まさかの9打!!
続く2番で不調だったドライバーティーショットがビギナーみたいなスライスで明らかなOB。
その後も苦戦し、もう思い出すのもしんどく、やっとたどり着いた最終ホール、3mくらいのパットがあと10mm弱く、集計したら後半55、トータル100ぴったり。
ぐぬぬぬぬぬ。
1 note · View note
thelockedbox · 1 year
Text
ワイン会 退官祝
Rare Champagne2002 20年以上熟成しているはずなのに透明感とフレッシュさ。エレガント、きれい系。泡立ちはきめ細かい。
Bourgogne Haut Cote de Nuit1999  Cave Auge 最初は熟した黄色い果実、パイナップル、洋梨、ブリオッシュ、バニラ、ローストしたナッツ。酸味はしっかり。熟成しているが果実、酸味のバランスよく、時間が経っても味わいの輪郭が崩れない。余韻も長い。
長野メルロー1999 メルシャン ブラインドでボルドーの古酒、メルロー多い系かなと思ったがまさかの日本ワイン。赤と黒の果実。プラム、枯葉、香木、ドライフルーツ、レーズン。言われてみると長野メルローの特徴のスパイス、ゴボウのような土の香り。複雑。 Domaine Hurst SY'RO 2020 グラン・クリュ・ブランドの花崗岩区画のシルヴァネールを使用。(SY'RO シロ"はシルヴァネール ルージュの略、突然変異で果皮が赤いシルヴァネール)この品種を赤ワインのように果皮とともに発酵させたロゼ。 バラの花びら、ジャスミン、赤いベリーとスパイシーな香り、紅茶。アルコールを感じない飲み心地よよさ。果皮由来の渋み。苦味のある野菜、中華料理前菜に合いそう。 Ch Branaire Ducru 2019 凝縮感のある果実味中心、杉、スパイス、青いハーブ、スモーク。細かなタンニンがたっぷり。バランスの良い酸味。溶け合うブラックベリーと上品な樽の風味。液体のまとまりが良い。 Chateau Cos d'Estournel1989 エッジに熟成の赤さのある色調。ドライいちじく、プルーン、ウーロン茶、ブラックベリーとコーヒーのような樽の香り。華やかさよりしっとり落ち着きのある味わい。こなれたタンニンと長い余韻。 Littorai Sonoma Coast Pinot Noir 2019 この並びで飲むとブルゴーニュ、エレガント系ピノもカリフォルニアらしい甘さが目立ってしまった。赤いチェリーやベリー系の若々しい果実味、バランスの良い酸味、緻密な構成。もう少し熟成させた方が良かったかも。
Tumblr media
0 notes
lohastahome · 1 year
Photo
Tumblr media
グラフテクトのキッチンとダイニングテーブルを中心としたデザインにこだわったダイニングキッチン。 キッチンの天井は一部下地を作ってその上に木目調のクロスを貼っています。また、そこには間接照明を入れておしゃれ度UP🎉 キッチンフロアタイルは雰囲気に合わせたものを採用。 こちらのキッチンはコンロとシンクが分かれているため、料理中の移動が振り向くだけで済んでとても楽です。 それから、作業スペースも収納スペースも増えてキッチンに立つのが楽しくなりそうです。 最新施行事例はホーム画面のURLから @lohastahome #新築注文住宅 #新築住宅 #ロハスタ #ロハスタホーム #lohastahome #lohasta #lohasstudio #モデルハウス #gooddesign #グッドデザイン賞 #デザイン住宅 #マイホーム #一戸建て #設計士とつくる家 #住宅設計 #部屋作り #耐震等級3 #許容応用力度計算 #ホウ酸防蟻処理 #em漆喰 #em珪藻土 #emセルロースファイバー #外付けブラインド #passivblind #ダクトレス熱交換換気 #家づくりアイデア #グラフテクト #グラフテクトキッチン #木目天井 #キッチン https://www.instagram.com/p/Cqclk1XJL8i/?igshid=NGJjMDIxMWI=
0 notes
obamaharumi · 1 year
Text
THE MAGE OF THE SUN 太陽の像
Tumblr media
When I was a student, I was not very good at science. 
I couldn't be convinced by an experiment or an explanation of the answer before the question came up.
But that's not all. Questions would arise from within me, and when I learned the answers, I would be even more confused.
This year, the question of why the sun is round through the trees came to me.
When I looked it up, I found out that it is the image of the sun.
But I can't get it through my head that what I'm seeing is the image of the sun, not the rest of the shadow.
When I looked at the bed, I found  circles of light leaking from the blinds. I wonder if this is another image of the sun.
I don't know, but when I look at it like that, it changes my view of what I used to see as normal.
私は子どもの頃、理科が苦手でした。疑問が出てくる前に、実験や答えを説明されても納得できなかったのです。
それだけではなく、自分の中から疑問が生まれて答えを知ったとしても、なおさら混乱するのです。
今年、木漏れ日が丸いのは何故?という疑問が湧いてきました。
調べると、それは太陽の像だということでした。
でも私が見ているのは影の残りの部分ではなく、太陽の像なのだということがどういうことなのか頭の中でこんがらがってしまいます。
ふと見るとベッドの上にブラインドから漏れる光が丸く連なっているのを見つけました。これも太陽の像なのでしょうか。
わからないながらもそんな風に見ると今まで普通に見えていたものの見方が変わっていきます。
0 notes
usickyou · 2 years
Text
いつでもおいで
 なんだか心地よくて、目を覚ました。そのときあたしは部屋用のTシャツにショートパンツというかっこうでいて、あたりはすっかり春だった。花のほころびやツバメの声があちこちから聞こえて、空は驚くくらいまっさおだった。すっかり昇った太陽の下を飛行機がつうと横切ると、今日はいい一日になりそうだなあ、とぼんやり思った。  だけど、肌寒い。いくらなんでもこの薄着じゃしゃあない、と毛布を引っぱって、あわよくば二度寝も辞さないつもりでいたのに、毛布はやってこない。あまりかたくなに拒むので、あたしもむきになって続けた。すると、「にゃー」という声がして、解けた毛布からほとんどまっぱだかの志希ちゃんが転がり出て体をちぢめた。日射しがとても優しいので、まるっこい背中がつやつやと輝いて見えた。  あたしは志希ちゃんに覆い被さる。すると毛布の中がお酒のにおいでいっぱいになって、だいたいを理解する。そうっと顔だけを出してみると、やっぱりあたりは春だった。青々した芝生に二桁くらいの酒瓶や缶が転がっていて、そのくせ焦げ茶色の紙袋やおつまみの包装は丁寧に折り畳んである。天然木のベンチにはシャツ、草花の芽吹きあふれる菜園には白いタオルケットがひっかかっている。空中庭園のフェンスを越えた先に見えるオフィスビルのブラインドは、日が射し込むせいかきちんと閉じられていた。 「志希ちゃん」とあたしは言う。  志希ちゃんは答えない。 「志希ちゃん」と、もう一度言う。 「頭痛い」と答える。 「とりあえず起きて」 「むり」 「いやむりじゃなくて」 「ねむっています」 「ええから起きいな」 「吐く吐く吐く吐く」 「よろしい」とあたしは言う。志希ちゃんの頭を揺さぶって、それでずいぶんすっきりした気分になったので「状況、わかる?」とたずねた。 「二日酔い」と志希ちゃんは頭をおさえる。毛布を透過したやわらかな光のつぶが、ほとんど触れるくらい間近のかおを照らしている。  あたしはなぜか、すごく優しい気持ちになって髪をなでた。  まんざらではなさそうだったので、少しの間そうした。
 そこはマンションの屋上で、幸いにも扉にはストッパー代わりのブロックが挟まれていた。まるで動こうとしない志希ちゃんを背負うと、その体は何年か前にそうしたときよりずいぶん重たく感じられる。歳のせいにはしたくないので、「太った?」とあたしは言った。「吐く」と志希ちゃんは答えた。  幸いにも、誰にも見られず部屋には戻れた。そこが思ったよりまともで、お花見の後の公園みたいな荒れ方をしていなかったのでソファに志希ちゃんをおろす。とりあえずコンシェルジュにコールを入れてありのまま話すと、「実は私も最近さぼっていたので、お互い内緒にしましょう」と楽しそうに笑われた。あたしは調べっぱなしだったグレーな鍵の外し方やセキュリティの解除法について眺めながら、「ありがとうございます」と通話を切った。こういうのは日頃のおこないだなあと思いながら、塩見屋のオンラインショップで贈答用の詰め合わせを注文した。  志希ちゃんは眠っている。  あたしはシャワーを浴びたり歯磨きをしたりして、食事の支度をはじめる。おみそしるが仕上がるのと同時にごはんが炊きあがって、完璧だと頷いた拍子にふと気付いてプロダクションへ連絡を入れる。念のため、ではあったけど志希ちゃんの予定は特になかった。ほとんど籍を置いているだけなので、思った通りではあった。  志希ちゃんは、まだ眠っている。空気に溶けてかたちをなくした光にくるまれて、あまり心地よさそうにしているから、起こすにはもったいなくて写真だけ撮った。  支度を続けていると、グリルが鮭を焼き上げたタイミングで志希ちゃんは起きてくる。「トイレ」とだけ言ってふらふら歩く背中に、「吐く?」とあたしはたずねる。指でつくったマルがどっちの意味かはいまいちわからなかったけど、意思疎通ができるのだし大丈夫だと思った。 「いただきます」とあたしが言ったとき、志希ちゃんは戻ってくる。骨をなくした動物みたいにイスに体を預けると、「吐かなかったよ」と誇らしげに言った。 「えらいえらい」 「ちゃんとほめて」 「二日酔いのくせにたいへんよくできました。食べれそう?」 「おなかは減ってる」 「ん、無理そうだったらくず湯とか出すからね。いただきます」 「いただきます」  あたしたちは手を合わせて、おじぎをする。志希ちゃんは驚くくらいよく食べた。あたしのサラダをちょっと奪ったし、焼き鮭は皮まで残さず平らげた。カップのフルーツヨーグルトをほんの数口で食べ終えると、「甘いものほしい」と子どもか純粋すぎるいい大人みたいに手を上げて言った。  ちょうど、冷蔵庫にはいただきもののシュークリームがあった。  あたしはコーヒーを、むうむう言う声を適当にあしらいながら淹れた。そうしてシュークリームを出すと、志希ちゃんは一瞬でかじりつく。指にキャラメルシュガー、口もとにはクリームをたっぷりつけて、「おいしいね」と笑う。  シュークリームをかじって、「おいしい」と同じように言ったときあたしもしぜん笑った。  なんか夢みたいだ、とぼんやり思った。
「乾かしてー」と、お風呂から出てくるなり志希ちゃんは言った。ぽたぽたと、滴はいつ頃かとまるで同じ軌道でフローリングにしたたり落ちた。 「とりあえず、服着い」とあたしは言う。今さら叱る気も起きないし、裸にタオルだけ引っかけた姿も見慣れているのだけど、風邪でもひいたら、と思うとそれはすごく切ないことのような気がした。 「着るのないよ」 「あたしのあげるから」 「にゃはー周子ちゃん好き」 「体も拭いたげよか?」 「してくれるの?」 「別にいいけど」 「んー……自分でする」 「いい子いい子」 「髪はしてね」 「はいよ」  話しながらしていたメイクにけりをつけて、あたしは着替えを放り投げる。適当に選んだTシャツには『京女』と達筆で、でかでか書いてあったので二人して笑った。  志希ちゃんの髪は短い。肩くらいしかない。子どもがひっぱるから、と突然ばっさり落としてきたのはこんな季節だった。それを見たとき、あたしは本当に嬉しくなって「似合うよ」とだけ言った。食べようとしていたアイスが溶けて、指先からしたたり落ちた。志希ちゃんは、とても素直に笑った。そんなことをよく覚えているくらい、過去は遠かったり近かったりした。 「はい終わり」と言うと、「耳のへん」と注文される。その次は、頭のてっぺん。前髪のきわや、えりあし。言いがかりだ、と内心思いながらあたしは非の打ちどころないブローをする。やがて日の当たるさざ波のような髪ができあがると、志希ちゃんはあたしを見てしっかり笑った。鏡でたしかめたりすることなく、「百点あげる」と言った。「なまいき」とあたしが髪をくしゃくしゃにすると、だいたい八十点くらいのスタイリングになった。  それくらいで、時間がくる。  リビングからなにから好きに使ってくれていいけど、その部屋はあたしのじゃないからよろしゅう。ずっといてもいつ出てもいいけど、予備のキーはないからまあよろしゅう。それくらい伝えると、なんと志希ちゃんはソファから起き上がって玄関まで見送りにきた。まじめな顔をして、「ありがとね」とちゃんと言った。  あたしはちょっと返す言葉をなくして、「どういたしまして」とだけ答えた。  それで扉を閉じると、一階から昇ってくるエレベーターを待った。ここは二十九階なのでしばらく時間はかかる。そのあいだ、いろんなことを考えた。仕事のこととか、志希ちゃんのこと。MVの撮りが終わるのは、撮影チームは慣れてるけど、今日のアーティストさんは歴浅めだしあのスタジオは時間にうるさくないから長引くかもしれない。とはいえモデルに決定権はないしマネさんはいるけど、プロダクションの力関係的にもわがままは言えないよなあとか、志希ちゃんのこと。  エレベーターが開く。急かすみたいに待ち受ける。まぶしい光の中へ、あたしを連れていこうとする。  だらだらと過ごしてしまったので、時間はかなり厳しい。  あたしは、「くそう」とつぶやく。  そうして延長のボタンを押すと、部屋に戻る。志希ちゃんは日のあたるソファでまどろんでいて、「おかえりー」とやわい発音で言った。あたしは「夜、ええと」と言って、「夜、仕事の後ごはん行こうよ」と続けた。  志希ちゃんはちょっと笑って、「最高だね」と答えた。  あたしはまた部屋を出る。エレベーターからエントランス、表へ出てタクシーをつかまえると仕事へ向かう。思ったとおり撮影は長引いて、それでもぎりぎり夕ごはんと呼べるくらいの時間には帰れた。そうしたら志希ちゃんは出かけたときと同じかっこうのままソファで寝こけていて、あたしは「くそう」とまたつぶやく。むしろ裏切られた気分で「このあれ、なんか返せ」と言ったら志希ちゃんは寝息で答えた。
 おいしいねおいしいね、と言いながら志希ちゃんがとり皮を食べていくのをあたしは見ていた。タバスコを池ができるくらいかけたり、ありあわせの調味料を混ぜ合わせて前衛芸術じみたお皿を作り上げたりはもうしないみたいで、子どもの成長を見届けたような喜びとかすかな寂しさがテーブルに乗っかった。 「おいしいよね、ここ」とあたしは無難に答える。カシラの塩からは、うっすらと炭が香った。「まあ昨日も来たんだけど」 「ぜんぜん覚えてなーい」 「なんにも?」 「周子ちゃんは」 「ぜんぜん覚えてなーい」  そんなふうに軽く真似をすると、志希ちゃんは「似てない」と信じられないくらい冷たい目をした。昔はうまかったのになあ、と思いながら食べたふた口めのカシラは少し炭が濃い。 「で、なにしに来たん?」 「ちょっと顔合わせ。直接会う必要ないのに、いやになっちゃうよね」 「言いたいことはわかる。いつ?」 「もう終わった」 「は? 今日?」 「うん」 「鍵渡してないよね」 「昨日もらったよ」 「そういうの、こっち見ないで言ってほしいんだけど」 「違法じゃないよ、平気へいき」 「聞きたくなかった」 「にゃはは」  志希ちゃんは、とり皮ばかり食べる。盛り合わせのぶんはとっくに消化して、単品で頼んだぶんもどんどん食べていく。あたしのことなんかぜんぜん気にしない、その様子が妙に嬉しくてお酒は進んだ。このお店は日本酒が自慢らしくて、あたしは銘柄とか蘊蓄のたぐいには特に興味はないのだけど、うまいまずいくらいはわかる。  一方で、志希ちゃんは甘いカクテルばかり頼んだ。かと思えば、突然お店でいちばんアルコール度数の高いお酒を注文しようとして、結果ウォッカベースのリキュールを飲んだりもした。そういう態度でいると顔を覚えられたり、よもや奇行ですっぱ抜かれたりしたら面倒だと思ったけど、考えてみればこの子は慣れている。あたしもまあ、それなりに耐性はある。だいたいお互いいい大人だし、明日は予定も特にない。志希ちゃんの予定は知らないけど、この頃にはもうあたしもすっかり酔っぱらっている。  昔はアルコールに強かった。二十五を過ぎたくらいから、なぜかめっきり弱くなりだした。店員さんに口添えして、ウーロンハイを頼みながらウーロン茶を持ってきてもらう技術を身につけたりした。  志希ちゃんは昔から、典型的な酒に呑まれるタイプだったと思う。下戸で悪酔いして後に残って、それでも呑んでる間だけは誰よりも楽しそうに、まるでそういうクスリでもきめたみたいに楽しい、覚めたらかけらも残らない夢のような時間を生み出した。  志希ちゃんと呑むのが好きだった。ほとんど誰かと一緒にいて介抱役に回ることが多かったけど、ごくたまにふたりで呑むときがあって、中身のないことばかり話した。おたべもちに合うテキーラ選手権とか、ほんとにキスがうまいアイドルは誰だとか、結論はもう一つも覚えてないけどただ楽しかったなあという気持ちだけは永遠に咲き続ける花みたいに今も鼻先で香った。  この瞬間もあたしは、話すはじから話したことを忘れている。酔っぱらいすぎて、言葉はほとんど脳を通らずに喉から直接飛び出しては志希ちゃんの笑い声になって耳に返ってくる。それは昔レッスンの後、クールダウンの最中たまにはじめたフリースタイルダンスによく似ていて、意味はないのに心と心をそっと、決して自覚されないさりげなさで結んでくれた。  あたしは今、そんなふうに踊れるだろうか。  そう思い立って立ち上がると、視界がぐらぐら揺れた。ふざけんな、負けるかとおなかに力を入れてツーステップ、ターンを決めると景色がどろどろに溶け落ちていって、イスや他のお客さんが壁に足をつけているのが見えた。あれと思う間もなく激しい衝撃が襲って、息ができなくなった。背中の痛みはあとからやってきて、ついでに志希ちゃんのげらげら笑う声がやけにはっきり聞こえた。  つられたあたしも笑った。そうして、子どものころに作った宝箱を抱きしめるみたいな気持ちで眠った。
 ひどい心地で、目を覚ました。頭が痛くて気持ち悪くて、おまけに凍えていて、なにしろあたしはマンションの屋上にいた。昨日と違うのはまだ朝じゃないってことくらいで、空にはまるい月が浮かんでいた。  また潰れた、らしかった。  もう自分が信じられなくなって、絶望的な気分でふて寝をしようと毛布をひっぱると、志希ちゃんのかおが鼻の先にある。あたしは息を呑む。  志希ちゃんは目を開いている。海にはじかれた光の色で、あたしをじっと見ている。もしかして、ずっとそうしていたのだろうか。ほの明るいこんな夜に寝そべりながら、ぐでんぐでんに酔っぱらったあたしを、まさかじっと見ていた。 「おはよう」と志希ちゃんは言う。 「おはよう、ございます」とあたしは答える。 「あたしのことわかる?」 「一ノ瀬志希さん」 「自分の名前は」 「塩見……周子」 「うん、大丈夫だね」  そう言ってほほえむと、志希ちゃんはあたしをゆっくり引き起こす。優しく丁寧に、これ以上凍えないようにと毛布を何枚か一緒にかぶって、茶色い紙袋をひっくり返しはじめる。そこには大量のお酒やおつまみが入っていて、「二次会」と志希ちゃんは嬉しそうに言った。  あたしはぼんやりとそれらを見て、顔を上げる。気付かなかったけど、あたしたちはわりと危険な場所にいた。ビルの屋上、フェンスを越えた場所。段差はあるので転がり落ちたりはしないけど、空がよく見える場所。  だけどおかしなことに、夜景があまりにきれいだった。朝、ここからはオフィスビルが見えていて、こんなふうに街のすべてを見渡せるほど開けた景色じゃなかった。 「ここ、うちのマンションだよね」とあたしはたずねる。 「そうだよ」 「ええと、あれは? 向かいのビル」 「……にゃはは、あたしが消しちゃいました」 「……まじで?」 「まじだよ」と志希ちゃんはうしろを指さす。そっちには、フェンスの向こうには今朝と同じかたちをした景色があって、消えてなんていなかったビルの非常灯がばかにするみたいにこうこうと光った。  なんのことはない。屋上の反対側にいたのだ。 「……まぬけすぎる」 「そうだね、周子ちゃん今すごいまぬけづらしてる」 「なんとでも言うて」 「よっぱらい」 「はい」 「連れてくるのたいへんだったんだよ」 「ごめんなさい……ちがうわ、あんたが犯人か」 「あたしがやりました」と言って、志希ちゃんはワインボトルに手をかける。おなかのあたりで抱え込んで蓋を開けると、「ばんざーい!」と叫んであたりにぶちまける。透き通る赤いしずくは月をはじきながら花びらのようにひらひら街を舞い、落ちた。  志希ちゃんはグラスを差し出して、ワインを注ぎながら教えてくれる。店員さんと交渉して自分の頼んだお酒は全部ノンアルコールで代用��てもらったこと。あたしのお酒はちょっと濃いめにしたこと。首尾よく酔い潰してマンションまで連れてきたはいいけど、ぜんぜん起きないから本当に苦労したとか、そういうこと。 「じゃ、かんぱーい!」 「乾杯ちゃうやろ」 「まぬけな犠牲者に」 「……最悪な作戦に」  あたしはなんだかどうでもよくなって、それに、一方的にぶつけられたグラスが歌うように鳴ったので、ワインをあおった。また簡単なことにそれがとてもおいしくて、志希ちゃんも幸せそうに笑うので、まあいいかと思った。酔っぱらいが魔法にかかるのは、なんて簡単なことだろう。  かなり我慢してたらしく、志希ちゃんはひどいペースで飲んだ。あたしは、次は潰してやろうと思いながら体にじゅうぶんアルコールが残っていたので、ほとんど同じテンポで飲み続けた。ワインはジンに、ジンは日本酒に、瓶は次々からっぽになっていった。  先に音を上げたのは、「寒い」と口にしたのは、どっちだっただろう。  ほとんど酩酊したあたしたちは毛布にくるまって、チェイサー代わりのロックアイスをかじりながら「死ぬしぬ」と言い合った。そのうちに空が白みはじめて、空気はどんどん冷たくなっていって、身を寄せた。志希ちゃんの体はあったかくて、やわっこくて、おまけにお酒と眠気のせいでひどい色気をかもしていた。子どもの無垢さと三十年の人生が同居してかたちづくられたその表情は、もともと顔がいいのもあって、人を狂わせるおとぎ話のもののけみたいに美しかった。  人生が変わるならこんな夜だ、とあたしは思った。  だけど、あたしたちは青春をともにしたのだ。  かがやかしい日々、いのちごと燃やすみたいな舞台をたくさん共有して、今もこうして一緒にいる。  それはすごく、かけがえがない。いともたやすく失われてしまうから、うすいガラス玉にするみたいに、手のひらでしっかり包み込まなければいけないことだ。 「ひとりみじゃなくて良かったわー」とあたしはふざけて言う。 「お互いね」と志希ちゃんは明るく答える。  お酒もおつまみも、チェイサーでさえもうない。二次会は終わった。あとは眠るだけ。それだけしかない。  あたしは横になる。ひとつの毛布にくるまっているので、抵抗もなく志希ちゃんも横になる。あたしたちは寝ころがって上の方を見た。かすかなオレンジと白、濃紺の空のグラデーションを眺めて、アルコールをたっぷりたくわえたあくびをした。 「寝よっか」 「いーよ」 「明日は?」 「平気」 「あたしも」 「そっか」  そんなふうに交わすと、あたしは目を閉じる。心を入れ替えたコンシェルジュがこのありさまを見つけないよう祈っていると、「昔あたし、ビルなんて消せたんだよ」という声を聞く。 「やろうと思えば、絶対できた。でも、今はもうむり。あの中にいる人のこととか考えちゃう。でも、まだ、周子ちゃんとなら、もしかして」  どう答えようか、聞こえなかったふりをして寝てしまおうかと考えているうちに、志希ちゃんの寝息が聞こえはじめた。うっすら鼻がつまってるみたいで、ぷうぷういうのがかわいくて手をにぎった。そうして、「あたしはごめんやけど」と答えた。
 酒なんか二度と飲むか、しかもこの女とは絶対に。そんなふうに思いながら部屋へ戻ると、シャワーを浴びて歯を磨いて朝食の支度をする。志希ちゃんはそのうちふらふら起きてきて、焼いたパンをかじったりぬるいココアをちびちび口にしたりする。  それから、あたしは当然のように志希ちゃんの髪を乾かした。 「ちょっと買い物いってくるよ」とあたしは言う。 「うん、行ってらっしゃい」と志希ちゃんは答える。  そうして歩いて数分のコンビニで適当に時間を潰すと、何も買わず部屋に戻った。  志希ちゃんはいなくなっている。  あたしはとりあえず、ソファに腰をおろした。染みついたお酒のにおいの奥底には志希ちゃんのにおいがあって、それをなんだか愛おしく思って、志希ちゃんとおんなじかたちで寝転がった。  キッチンカウンターには、空っぽのボトルがたくさん並んでいる。  だけどそこには、一本だけ中身の残ったラムのボトルがあって、これ見よがしに志希ちゃんのサインが描かれていた。  それで思わず笑うと、静かな部屋にあたしの声はしっかり響いた。  それから、あたしは開封されたラム酒について検索する。劣化の目安とか保存法方について(一応、飲めないレベルになったらどうするかも)調べて、それを野菜室におさめながら「まあそのうちまたおいで」とつぶやいた。
0 notes
Photo
Tumblr media
弘益 ミニヨンパーティション ホワイトウォッシュ 3連衝立 のご紹介 フレンチカントリー&アンティーク調のかわいらしい雰囲気で、 一人暮らしの女性に人気のリビング&ダイニングシリーズ「MIGNON」。 木目が美しいシャビーテイストが魅力的です。 【ホワイトウォッシュの美しい仕上げ】 アンティーク家具のような塗装の擦り減りを再現する仕上げを行いました。 木目を生かすことで天然木ならではの温かみが残り、 お部屋のインテリアとも調和しやすくなっています。 【こだわりのデザイン】 蝶番は両方向に開閉可能です。 お部屋の間取りにあわせて自由に位置を変えれます。 上部はブラインドになっていて、 光が差し込むようになっています。 高さ135cmは、座っている時は目線を遮り、 立った時はパーティション越しの様子が分かります。 天然木を使用しているため、ひとつひとつ異なる色・風合いになっています。 また、古びた風合いを出すため、塗装にムラや剥げに見える箇所がある場合がございます。 商品の仕様として何卒ご了承くださいませ。 サイズ・容量 W435×D22×H1350mm×3枚 興味のある方はプロフィールを覗いてください。 (店舗ではお取り寄せになります) #3連衝立 #3連スクリーン #3連パーテーション #こだわりデザイン #配送します #東北 #山形家具 #米沢家具 https://www.instagram.com/p/Cdz09a7uGt6/?igshid=NGJjMDIxMWI=
0 notes
osakiakiko · 1 year
Photo
Tumblr media
#Repost @nichibei.blind ・・・ 昇降コード穴をなくすことで光漏れを抑え、遮光性能の高さを実現したグランツシリーズ。テレワークや読書などの作業スペースや寝室など、さまざまなシーンにあわせて光をコントロールできます。優しいぬくもりを感じるウッドブラインドで、快適な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。 ウッドブラインド「クレール」 ベーシック K112(アラバスター) #nichibei#ニチベイ#メカモノ#ブラインド#横型ブラインド#ベネシャンブラインド#ウッドブラインド#木製ブラインド#クレール#マイホーム計画#マイホーム記録#アンティーク家具#北欧インテリア#窓際インテリア#テレワーク#寝室#施工事例#リフォーム#シンプルな暮らし#丁寧な暮らし#住まい#住宅#省エネ#快適な暮らし#リビング#ぬくもりのある家#ウッド調家具#窓 #osakiakikoworks https://www.instagram.com/p/CnyxtLpv-Bo/?igshid=NGJjMDIxMWI=
0 notes
Photo
Tumblr media
Sister Elizabeth
シスター エリザベス
カタログ落ちの品種で、弊社でも今の在庫で最後の販売になります。
通販部は完売だったのですが、ショップに在庫があったので数鉢分けて頂きました。
 ほんのりとライラック色を帯びたピンクの花は形の良いロゼット咲きでボタンアイになります。花弁が重なる花の中心部は濃い色になり、クラシック・ダマスク香の心地よい香りがあります。樹形は半横張り制で弧を描く様にシュートが発生し、自然樹形になります。
病気はうどんこ病・黒星病共に強く育てやすい品種ですが、成木になるまで通常のバラと同じ管理では上手く行かないことがあります。
 この品種は、株の小さな時から細い枝に通常では考えられない位沢山の花を付けます。イングリッシュローズでは「グラミス キャッスル」も同じ性質です。通常大苗で購入した品種は花を咲かせながら育てられますが、この様な品種は大苗でも少し我慢をしてもう一年位摘蕾を行い、株作りを優先した方が順調に育てられます。
 もう一つは生育期に不要な枝を「枝抜き」して下さい。
枝の下からシュートが出た場合、シュートの上の枝は生育が衰えたり、ブラインドする事が多いです。生育期に枝の切り返しを行うと順調に大きくなります。
枝抜きをして株を透かすのは大丈夫ですが、シュートを強く切り戻す事は嫌います。シュートは花がらを取るくらいにして、冬季の剪定で調節して下さい。
株づくりを優先して成木になれはさほど難しい品種ではありません。
ぜひ、ご検討下さい。
6寸 ¥4000(税別)
10 notes · View notes
myonbl · 4 years
Text
2020年7月16日(木)
Tumblr media
このところストウブ鍋調理に凝っているが、今度はフライパンを新しくした。いま使っているもののコーティングが剥がれてきたので、ストウブを扱っている ZWILLING のオンラインショップで購入した。20cmと28cm、さて、フライパン料理のレシピも増やさなくては。
Tumblr media
雑炊+ヨーグルト+豆乳。
次男は休み、三男は今日からバイク通勤、ツレアイも自転車で出勤。
職場の授業は今日から15週目、つまり最終週である。
Tumblr media
木曜日1限は「現代社会論」、今日はこれまでの振り返り作業、受講生には試験形式のレポートを書いて貰う。もちろん、教室は窓全開、前方左手の4号館(3階建て)の真ん中辺り、窓の下部だけブラインドの架かっていないのが私の部屋、どうでもいいが。
結局、この授業を最後まで受講したのは19名、すぐにレポートの採点をして評価を出す。
Tumblr media
IM嬢との【木曜料理教室】も今日で最後、今回は「糖質オフ」をテーマとして、昨晩作った「厚揚げチャンプルー」。実は少し焦がしてしまったのだが、美味しそうに食べていただいたのが嬉しい。
3限は「スタディスキルズ(児童教育学科)」、今回はレポートの発表会。評価シートを配布して、「スライドの見やすさ」「発表態度」「主張の理解」の3点を3段階で評価する。隣のO姉のクラスは時間を10分超過する盛り上がりぶり、こちらのクラスは15分前には終了した。みなさん、お疲れさまでした。
いつも通り、O姉と一緒に帰路へ。
3人で担当する「スタディスキルズ」の評価基準について、メールで連絡。
apple からアップデート通知、mac OS 10.15.6, iOS 13.6, iPAD OS 13.6, Watch OS 6.2.8。
Tumblr media
息子たちの夕飯、前日に30%引きで買った豚肉を焼く。ピュアグリルを使うと、焼き上がりがきれいで美味しい。
Tumblr media
ツレアイの帰宅を待って晩酌開始。今日は、天満天神繁昌亭のライブチケット購入済み、早速視聴開始。ところが、3人目の演者の途中から音声が聞こえなくなり、肝腎の露の新治さんの噺を聴くことができない。おいおい、どないしてくれるねん!
途中で三男が帰宅、やはりバイクは便利、普段より15分以上は早く帰ってきた。早速、冷やした白ワインで慰労。
風呂に入ってからのナイトキャップ、さて、後一日頑張ろう。
Tumblr media
帰宅後の買い物に出なかったが、それでも3つのリング完成はラッキー。
5 notes · View notes
shunsukessk · 4 years
Text
あるいは永遠の未来都市(東雲キャナルコートCODAN生活記)
 都市について語るのは難しい。同様に、自宅や仕事場について語るのも難しい。それを語ることができるのは、おそらく、その中にいながら常にはじき出されている人間か、実際にそこから出てしまった人間だけだろう。わたしにはできるだろうか?  まず、自宅から徒歩三秒の���トリエに移動しよう。北側のカーテンを開けて、掃き出し窓と鉄格子の向こうに団地とタワーマンション、彼方の青空に聳える東京スカイツリーの姿を認める。次に東側の白い引き戸を一枚、二枚とスライドしていき、団地とタワーマンションの窓が反射した陽光がテラスとアトリエを優しく温めるのをじっくりと待つ。その間、テラスに置かれた黒竹がかすかに揺れているのを眺める。外から共用廊下に向かって、つまり左から右へさらさらと葉が靡く。一枚の枯れた葉が宙に舞う。お前、とわたしは念じる。お前、お隣さんには行くんじゃないぞ。このテラスは、腰よりも低いフェンスによってお隣さんのテラスと接しているのだ。それだけでなく、共用廊下とも接している。エレベーターへと急ぐ人の背中が見える。枯れ葉はテラスと共用廊下との境目に設置されたベンチの上に落ちた。わたしは今日の風の強さを知る。アトリエはまだ温まらない。  徒歩三秒の自宅に戻ろう。リビング・ダイニングのカーテンを開けると、北に向いた壁の一面に「田」の形をしたアルミ製のフレームが現れる。窓はわたしの背より高く、広げた両手より大きかった。真下にはウッドデッキを設えた人工地盤の中庭があって、それを取り囲むように高層の住棟が建ち並び、さらにその外周にタワーマンションが林立している。視界の半分は集合住宅で、残りの半分は青空だった。そのちょうど境目に、まるで空に落書きをしようとする鉛筆のように東京スカイツリーが伸びている。  ここから望む風景の中にわたしは何かしらを発見する。たとえば、斜め向かいの部屋の窓に無数の小さな写真が踊っている。その下の鉄格子つきのベランダに男が出てきて、パジャマ姿のままたばこを吸い始める。最上階の渡り廊下では若い男が三脚を据えて西側の風景を撮影している。今日は富士山とレインボーブリッジが綺麗に見えるに違いない。その二つ下の渡り廊下を右から左に、つまり一二号棟から一一号棟に向かって黒いコートの男が横切り、さらに一つ下の渡り廊下を、今度は左から右に向かって若い母親と黄色い帽子の息子が横切っていく。タワーマンションの間を抜けてきた陽光が数百の窓に当たって輝く。たばこを吸っていた男がいつの間にか部屋に戻ってワイシャツにネクタイ姿になっている。六階部分にある共用のテラスでは赤いダウンジャケットの男が外を眺めながら電話をかけている。地上ではフォーマルな洋服に身を包んだ人々が左から右に向かって流れていて、ウッドデッキの上では老婦が杖をついて……いくらでも観察と発見は可能だ。けれども、それを書き留めることはしない。ただ新しい出来事が無数に生成していることを確認するだけだ。世界は死んでいないし、今日の都市は昨日の都市とは異なる何ものかに変化しつつあると認識する。こうして仕事をする準備が整う。
Tumblr media
 東雲キャナルコートCODAN一一号棟に越してきたのは今から四年前だった。内陸部より体感温度が二度ほど低いな、というのが東雲に来て初めに思ったことだ。この土地は海と運河と高速道路に囲まれていて、物流倉庫とバスの車庫とオートバックスがひしめく都市のバックヤードだった。東雲キャナルコートと呼ばれるエリアはその名のとおり運河沿いにある。ただし、東雲運河に沿っているのではなく、辰巳運河に沿っているのだった。かつては三菱製鋼の工場だったと聞いたが、今ではその名残はない。東雲キャナルコートが擁するのは、三千戸の賃貸住宅と三千戸の分譲住宅、大型のイオン、児童・高齢者施設、警察庁などが入る合同庁舎、辰巳運河沿いの区立公園で、エリアの中央部分に都市基盤整備公団(現・都市再生機構/UR)が計画した高層板状の集合住宅群が並ぶ。中央部分は六街区に分けられ、それぞれ著名な建築家が設計者として割り当てられた。そのうち、もっとも南側に位置する一街区は山本理顕による設計で、L字型に連なる一一号棟と一二号棟が中庭を囲むようにして建ち、やや小ぶりの一三号棟が島のように浮かんでいる。この一街区は二〇〇三年七月に竣工した。それから一三年後の二〇一六年五月一四日、わたしと妻は二人で一一号棟の一三階に越してきた。四年の歳月が流れてその部屋を出ることになったとき、わたしはあの限りない循環について思い出していた。
Tumblr media
 アトリエに戻るとそこは既に温まっている。さあ、仕事を始めよう。ものを書くのがわたしの仕事だった。だからまずMacを立ち上げ、テキストエディタかワードを開く。さっきリビング・ダイニングで行った準備運動によって既に意識は覚醒している。ただし、その日の頭とからだのコンディションによってはすぐに書き始められないこともある。そういった場合はアトリエの東側に面したテラスに一時的に避難してもよい。  掃き出し窓を開けてサンダルを履く。黒竹の鉢に水を入れてやる。近くの部屋の原状回復工事に来たと思しき作業服姿の男がこんちは、と挨拶をしてくる。挨拶を返す。お隣さんのテラスにはベビーカーとキックボード、それに傘が四本置かれている。テラスに面した三枚の引き戸はぴったりと閉められている。緑色のボーダー柄があしらわれた、目隠しと防犯を兼ねた白い戸。この戸が開かれることはほとんどなかった。わたしのアトリエや共用廊下から部屋の中が丸見えになってしまうからだ。こちらも条件は同じだが、わたしはアトリエとして使っているので開けているわけだ。とはいえ、お隣さんが戸を開けたときにあまり中を見てしまうと気まずいので、二年前に豊洲のホームセンターで見つけた黒竹を置いた。共用廊下から外側に向かって風が吹いていて、葉が光を食らうように靡いている。この住棟にはところどころに大穴が空いているのでこういうことが起きる。つまり、風向きが反転するのだった。  通風と採光のために設けられた空洞、それがこのテラスだった。ここから東雲キャナルコートCODANのほぼ全体が見渡せる。だが、もう特に集中して観察したりしない。隈研吾が設計した三街区の住棟に陽光が当たっていて、ベランダで父子が日光浴をしていようが、島のような一三号棟の屋上に設置されたソーラーパネルが紺碧に輝いていて、その傍の芝生に二羽の鳩が舞い降りてこようが、伊東豊雄が設計した二街区の住棟で影がゆらめいて、テラスに出てきた老爺が異様にうまいフラフープを披露しようが、気に留めない。アトリエに戻ってどういうふうに書くか、それだけを考える。だから、目の前のすべてはバックグラウンド・スケープと化す。ただし、ここに広がるのは上質なそれだ��た。たとえば、ここにはさまざまな匂いが漂ってきた。雨が降った次の日には海の匂いがした。東京湾の匂いだが、それはいつも微妙に違っていた。同じ匂いはない。生成される現実に呼応して新しい文字の組み合わせが発生する。アトリエに戻ろう。
Tumblr media
 わたしはここで、広島の中心部に建つ巨大な公営住宅、横川という街に形成された魅力的な高架下商店街、シンガポールのベイサイドに屹立するリトル・タイランド、ソウルの中心部を一キロメートルにわたって貫く線状の建築物などについて書いてきた。既に世に出たものもあるし、今から出るものもあるし、たぶん永遠にMacの中に封じ込められると思われるものもある。いずれにせよ、考えてきたことのコアはひとつで、なぜ人は集まって生きるのか、ということだった。  人間の高密度な集合体、つまり都市は、なぜ人類にとって必要なのか?  そしてこの先、都市と人類はいかなる進化を遂げるのか?  あるいは都市は既に死んだ?  人類はかつて都市だった廃墟の上をさまよい続ける?  このアトリエはそういうことを考えるのに最適だった。この一街区そのものが新しい都市をつくるように設計されていたからだ。  実際、ここに来てから、思考のプロセスが根本的に変わった。ここに来るまでの朝の日課といえば、とにかく怒りの炎を燃やすことだった。閉じられた小さなワンルームの中で、自分が外側から遮断され、都市の中にいるにもかかわらず隔離状態にあることに怒り、その怒りを炎上させることで思考を開いた。穴蔵から出ようともがくように。息苦しくて、ひとりで部屋の中で暴れたし、壁や床に穴を開けようと試みることもあった。客観的に見るとかなりやばい奴だったに違いない。けれども、こうした循環は一生続くのだと、当時のわたしは信じて疑わなかった。都市はそもそも息苦しい場所なのだと、そう信じていたのだ。だが、ここに来てからは息苦しさを感じることはなくなった。怒りの炎を燃やす朝の日課は、カーテンを開け、その向こうを観察するあの循環へと置き換えられた。では、怒りは消滅したのか?
Tumblr media
 白く光沢のあるアトリエの床タイルに青空が輝いている。ここにはこの街の上半分がリアルタイムで描き出される。床の隅にはプロジェクトごとに振り分けられた資料の箱が積まれていて、剥き出しの灰色の柱に沿って山積みの本と額に入ったいくつかの写真や絵が並んでいる。デスクは東向きの掃き出し窓の傍に置かれていて、ここからテラスの半分と共用廊下、それに斜向かいの部屋の玄関が見える。このアトリエは空中につくられた庭と道に面しているのだった。斜向かいの玄関ドアには透明のガラスが使用されていて、中の様子が透けて見える。靴を履く住人の姿がガラス越しに浮かんでいる。視線をアトリエ内に戻そう。このアトリエは専用の玄関を有していた。玄関ドアは斜向かいの部屋のそれと異なり、全面が白く塗装された鉄扉だった。玄関の脇にある木製のドアを開けると、そこは既に徒歩三秒の自宅だ。まずキッチンがあって、奥にリビング・ダイニングがあり、その先に自宅用の玄関ドアがあった。だから、このアトリエは自宅と繋がってもいるが、独立してもいた。  午後になると仕事仲間や友人がこのアトリエを訪ねてくることがある。アトリエの玄関から入ってもらってもいいし、共用廊下からテラス経由でアトリエに招き入れてもよい。いずれにせよ、共用廊下からすぐに仕事場に入ることができるので効率的だ。打ち合わせをする場合にはテーブルと椅子をセッティングする。ここでの打ち合わせはいつも妙に捗った。自宅と都市の両方に隣接し、同時に独立してもいるこのアトリエの雰囲気は、最小のものと最大のものとを同時に掴み取るための刺激に満ちている。いくつかの重要なアイデアがここで産み落とされた。議論が白熱し、日が暮れると、徒歩三秒の自宅で妻が用意してくれた料理を囲んだり、東雲の鉄鋼団地に出かけて闇の中にぼうっと浮かぶ屋台で打ち上げを敢行したりした。  こうしてあの循環は完成したかに見えた。わたしはこうして都市への怒りを反転させ都市とともに歩み始めた、と結論づけられそうだった。お前はついに穴蔵から出たのだ、と。本当にそうだろうか?  都市の穴蔵とはそんなに浅いものだったのか?
Tumblr media
 いやぁ、  未来都市ですね、
 ある編集者がこのアトリエでそう言ったことを思い出す。それは決して消えない残響のようにアトリエの中にこだまする。ある濃密な打ち合わせが一段落したあと、おそらくはほとんど無意識に発された言葉だった。  未来都市?  だってこんなの、見たことないですよ。  ああ、そうかもね、とわたしが返して、その会話は流れた。だが、わたしはどこか引っかかっていた。若く鋭い編集者が発した言葉だったから、余計に。未来都市?  ここは現在なのに?  ちょうどそのころ、続けて示唆的な出来事があった。地上に降り、一三号棟の脇の通路を歩いていたときのことだ。団地内の案内図を兼ねたスツールの上に、ピーテル・ブリューゲルの画集が広げられていたのだった。なぜブリューゲルとわかったかといえば、開かれていたページが「バベルの塔」だったからだ。ウィーンの美術史美術館所蔵のものではなく、ロッテルダムのボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館所蔵の作品で、天に昇る茶褐色の塔がアクリル製のスツールの上で異様なオーラを放っていた。その画集はしばらくそこにあって、ある日ふいになくなったかと思うと、数日後にまた同じように置かれていた。まるで「もっとよく見ろ」と言わんばかりに。
 おい、お前。このあいだは軽くスルーしただろう。もっとよく見ろ。
 わたしは近寄ってその絵を見た。新しい地面を積み重ねるようにして伸びていく塔。その上には無数の人々の蠢きがあった。塔の建設に従事する労働者たちだった。既に雲の高さに届いた塔はさらに先へと工事が進んでいて、先端部分は焼きたての新しい煉瓦で真っ赤に染まっている。未来都市だな、これは、と思う。それは天地が創造され、原初の人類が文明を築きつつある時代のことだった。その地では人々はひとつの民で、同じ言葉を話していた。だが、人々が天に届くほどの塔をつくろうとしていたそのとき、神は全地の言葉を乱し、人を全地に散らされたのだった。ただし、塔は破壊されたわけではなかった。少なくとも『創世記』にはそのような記述はない。だから、バベルの塔は今なお未来都市であり続けている。決して完成することがないから未来都市なのだ。世界は変わったが、バベルは永遠の未来都市として存在し続ける。
Tumblr media
 ようやく気づいたか。  ああ。  それで?  おれは永遠の未来都市をさまよう亡霊だと?  どうかな、  本当は都市なんか存在しないのか?  どうかな、  すべては幻想だった?  そうだな、  どっちなんだ。  まあ結論を急ぐなよ。  おれはさっさと結論を出して原稿を書かなきゃならないんだよ。  知ってる、だから急ぐなと言ったんだ。  あんたは誰なんだ。  まあ息抜きに歩いてこいよ。  息抜き?  いつもやっているだろう。あの循環だよ。  ああ、わかった……。いや、ちょっと待ってくれ。先に腹ごしらえだ。
 もう昼を過ぎて久しいんだな、と鉄格子越しの風景を一瞥して気づく。陽光は人工地盤上の芝生と一本木を通過して一三号棟の廊下を照らし始めていた。タワーマンションをかすめて赤色のヘリコプターが東へと飛んでいき、青空に白線を引きながら飛行機が西へと進む。もちろん、時間を忘れて書くのは悪いことではない。だが、無理をしすぎるとあとになって深刻な不調に見舞われることになる。だから徒歩三秒の自宅に移動しよう。  キッチンの明かりをつける。ここには陽光が入ってこない。窓側に風呂場とトイレがあるからだ。キッチンの背後に洗面所へと続くドアがある。それを開けると陽光が降り注ぐ。風呂場に入った光が透明なドアを通過して洗面所へと至るのだった。洗面台で手を洗い、鏡に目を向けると、風呂場と窓のサッシと鉄格子と団地とスカイツリーが万華鏡のように複雑な模様を見せる。手を拭いたら、キッチンに戻って冷蔵庫を開け、中を眺める。食材は豊富だった。そのうちの九五パーセントはここから徒歩五分のイオンで仕入れた。で、遅めの昼食はどうする?  豚バラとキャベツで回鍋肉にしてもいいが、飯を炊くのに時間がかかる。そうだな……、カルボナーラでいこう。鍋に湯を沸かして塩を入れ、パスタを茹でる。ベーコンと玉葱、にんにくを刻んでオリーブオイルで炒める。それをボウルに入れ、パルメザンチーズと生卵も加え、茹で上がったパスタを投入する。オリーブオイルとたっぷりの黒胡椒とともにすべてを混ぜ合わせれば、カルボナーラは完成する。もっとも手順の少ない料理のひとつだった。文字の世界に没頭しているときは簡単な料理のほうがいい。逆に、どうにも集中できない日は、複雑な料理に取り組んで思考回路を開くとよい。まあ、何をやっても駄目な日もあるのだが。  リビング・ダイニングの窓際に置かれたテーブルでカルボナーラを食べながら、散歩の計画を練る。籠もって原稿を書く日はできるだけ歩く時間を取るようにしていた。あまり動かないと頭も指先も鈍るからだ。走ってもいいのだが、そこそこ気合いを入れなければならないし、何よりも風景がよく見えない。だから、平均して一時間、長いときで二時間程度の散歩をするのが午後の日課になっていた。たとえば、辰巳運河沿いを南下しながら首都高の高架と森と物流倉庫群を眺めてもいいし、辰巳運河を越えて辰巳団地の中を通り、辰巳の森海浜公園まで行ってもよい。あるいは有明から東雲運河を越えて豊洲市場あたりに出てもいいし、そこからさらに晴海運河を越えて晴海第一公園まで足を伸ばし、日本住宅公団が手がけた最初の高層アパートの跡地に巡礼する手もある。だが、わたしにとってもっとも重要なのは、この東雲キャナルコートCODAN一街区をめぐるルートだった。つまり、空中に張りめぐらされた道を歩いて、東京湾岸のタブラ・ラサに立ち上がった新都市を内側から体感するのだ。  と、このように書くと、何か劇的な旅が想像されるかもしれない。アトリエや事務所、さらにはギャラリーのようなものが住棟内に点在していて、まさに都市を立体化したような人々の躍動が見られると思うかもしれない。生活と仕事が混在した活動が積み重なり、文化と言えるようなものすら発生しつつあるかもしれないと、期待を抱くかもしれない。少なくともわたしはそうだった。実際にここに来るまでは。さて、靴を履いてアトリエの玄関ドアを開けよう。
Tumblr media
 それは二つの世界をめぐる旅だ。一方にここに埋め込まれたはずの思想があり、他方には生成する現実があった。二つの世界は常に並行して存在する。だが、実際に見えているのは現実のほうだけだし、歴史は二つの世界の存在を許さない。とはいえ、わたしが最初に遭遇したのは見えない世界のほうだった。その世界では、実際に都市がひとつの建築として立ち上がっていた。ただ家が集積されただけでなく、その中に住みながら働いたり、ショールームやギャラリーを開設したりすることができて、さまざまな形で人と人とが接続されていた。全体の半数近くを占める透明な玄関ドアの向こうに談笑する人の姿が見え、共用廊下に向かって開かれたテラスで人々は語り合っていた。テラスに向かって設けられた大きな掃き出し窓には、子どもたちが遊ぶ姿や、趣味のコレクション、打ち合わせをする人と人、アトリエと作品群などが浮かんでいた。それはもはや集合住宅ではなかった。都市で発生する多様で複雑な活動をそのまま受け入れる文化保全地区だった。ゾーニングによって分断された都市の攪拌装置であり、過剰な接続の果てに衰退期を迎えた人類の新・進化論でもあった。  なあ、そうだろう?  応答はない。静かな空中の散歩道だけがある。わたしのアトリエに隣接するテラスとお隣さんのテラスを通り過ぎると、やや薄暗い内廊下のゾーンに入る。日が暮れるまでは照明が半分しか点灯しないので光がいくらか不足するのだった。透明な玄関ドアがあり、その傍の壁に廣村正彰によってデザインされたボーダー柄と部屋番号の表示がある。ボーダー柄は階ごとに色が異なっていて、この一三階は緑だった。少し歩くと右側にエレベーター���ールが現れる。外との境界線上にはめ込まれたパンチングメタルから風が吹き込んできて、ぴゅうぴゅうと騒ぐ。普段はここでエレベーターに乗り込むのだが、今日は通り過ぎよう。廊下の両側に玄関と緑色のボーダー柄が点々と続いている。左右に四つの透明な玄関ドアが連なったあと、二つの白く塗装された鉄扉がある。透明な玄関ドアの向こうは見えない。カーテンやブラインドや黒いフィルムによって塞がれているからだ。でも陰鬱な気分になる必要はない。間もなく左右に光が満ちてくる。  コモンテラスと名づけられた空洞のひとつに出た。二階分の大穴が南側と北側に空いていて、共用廊下とテラスとを仕切るフェンスはなく、住民に開放されていた。コモンテラスは住棟内にいくつか存在するが、ここはその中でも最大だ。一四階の高さが通常の一・五倍ほどあるので、一三階と合わせて計二・五階分の空洞になっているのだ。それはさながら、天空の劇場だった。南側には巨大な長方形によって縁取られた東京湾の風景がある。左右と真ん中に計三棟のタワーマンションが陣取り、そのあいだで辰巳運河の水が東京湾に注ぎ、東京ゲートブリッジの橋脚と出会って、「海の森」と名づけられた人工島の縁でしぶきを上げる様が見える。天気のいい日には対岸に広がる千葉の工業地帯とその先の山々まで望むことができた。海から来た風がこのコモンテラスを通過し、東京の内側へと抜けていく。北側にその風景が広がる。視界の半分は集合住宅で、残りの半分は青空だった。タワーマンションの陰に隠れて東京スカイツリーは確認できないが、豊洲のビル群が団地の上から頭を覗かせている。眼下にはこの団地を南北に貫くS字アベニューが伸び、一街区と二街区の人工地盤を繋ぐブリッジが横切っていて、長谷川浩己率いるオンサイト計画設計事務所によるランドスケープ・デザインの骨格が見て取れる。  さあ、公演が始まる。コモンテラスの中心に灰色の巨大な柱が伸びている。一三階の共用廊下の上に一四階の共用廊下が浮かんでいる。ガラス製のパネルには「CODAN  Shinonome」の文字が刻まれている。この空間の両側に、六つの部屋が立体的に配置されている。半分は一三階に属し、残りの半分は一四階に属しているのだった。したがって、壁にあしらわれたボーダー柄は緑から青へと遷移する。その色は、掃き出し窓の向こうに設えられた目隠しと防犯を兼ねた引き戸にも連続している。そう、六つの部屋はこのコモンテラスに向かって大きく開くことができた。少なくとも設計上は。引き戸を全開にすれば、六つの部屋の中身がすべて露わになる。それらの部屋の住人たちは観客なのではない。この劇場で物語を紡ぎ出す主役たちなのだった。両サイドに見える美しい風景もここではただの背景にすぎない。近田玲子によって計画された照明がこの空間そのものを照らすように上向きに取り付けられている。ただし、今はまだ点灯していない。わたしはたったひとりで幕が上がるのを待っている。だが、動きはない。戸は厳重に閉じられるか、採光のために数センチだけ開いているかだ。ひとつだけ開かれている戸があるが、レースカーテンで視界が完全に遮られ、窓際にはいくつかの段ボールと紙袋が無造作に積まれていた。風がこのコモンテラスを素通りしていく。
Tumblr media
 ほら、  幕は上がらないだろう、  お前はわかっていたはずだ、ここでは人と出会うことがないと。横浜のことを思い出してみろ。お前はかつて横浜の湾岸に住んでいた。住宅と事務所と店舗が街の中に混在し、近所の雑居ビルやカフェスペースで毎日のように文化的なイベントが催されていて、お前はよくそういうところにふら���と行っていた。で、いくつかの重要な出会いを経験した。つけ加えるなら、そのあたりは山本理顕設計工場の所在地でもあった。だから、東雲に移るとき、お前はそういうものが垂直に立ち上がる様を思い描いていただろう。だが、どうだ?  あのアトリエと自宅は東京の空中にぽつんと浮かんでいるのではないか?  それも悪くない、とお前は言うかもしれない。物書きには都市の孤独な拠点が必要だったのだ、と。多くの人に会って濃密な取材をこなしたあと、ふと自分自身に戻ることができるアトリエを欲していたのだ、と。所詮自分は穴蔵の住人だし、たまに訪ねてくる仕事仲間や友人もいなくはない、と。実際、お前はここではマイノリティだった。ここの住民の大半は幼い子どもを連れた核家族だったし、大人たちのほとんどはこの住棟の外に職場があった。もちろん、二階のウッドデッキ沿いを中心にいくつかの仕事場は存在した。不動産屋、建築家や写真家のアトリエ、ネットショップのオフィス、アメリカのコンサルティング会社の連絡事務所、いくつかの謎の会社、秘かに行われている英会話教室や料理教室、かつては違法民泊らしきものもあった。だが、それもかすかな蠢きにすぎなかった。ほとんどの住民の仕事はどこか別の場所で行われていて、この一街区には活動が積み重ねられず、したがって文化は育たなかったのだ。周囲の住人は頻繁に入れ替わって、コミュニケーションも生まれなかった。お前のアトリエと自宅のまわりにある五軒のうち四軒の住人が、この四年間で入れ替わったのだった。隣人が去ったことにしばらく気づかないことすらあった。何週間か経って新しい住人が入り、透明な玄関ドアが黒い布で塞がれ、テラスに向いた戸が閉じられていくのを、お前は満足して見ていたか?  胸を抉られるような気持ちだったはずだ。  そうした状況にもかかわらず、お前はこの一街区を愛した。家というものにこれほどの帰属意識を持ったことはこれまでになかったはずだ。遠くの街から戻り、暗闇に浮かぶ格子状の光を見たとき、心底ほっとしたし、帰ってきたんだな、と感じただろう。なぜお前はこの一街区を愛したのか?  もちろん、第一には妻との生活が充実したものだったことが挙げられる。そもそも、ここに住むことを提案したのは妻のほうだった。四年前の春だ。「家で仕事をするんだったらここがいいんじゃない?」とお前の妻はあの奇妙な間取りが載った図面を示した。だから、お前が恵まれた環境にいたことは指摘されなければならない。だが、第二に挙げるべきはお前の本性だ。つまり、お前は現実のみに生きているのではない。お前の頭の中には常に想像の世界がある。そのレイヤーを現実に重ねることでようやく生きている。だから、お前はあのアトリエから見える現実に落胆しながら、この都市のような構造体の可能性を想像し続けた。簡単に言えば、この一街区はお前の想像力を搔き立てたのだ。  では、お前は想像の世界に満足したか?  そうではなかった。想像すればするほどに現実との溝は大きく深くなっていった。しばらく想像の世界にいたお前は、どこまでが現実だったのか見失いつつあるだろう。それはとても危険なことだ。だから確認しよう。お前が住む東雲キャナルコートCODAN一街区には四二〇戸の住宅があるが、それはかつて日本住宅公団であり、住宅・都市整備公団であり、都市基盤整備公団であって、今の独立行政法人都市再生機構、つまりURが供給してきた一五〇万戸以上の住宅の中でも特異なものだった。お前が言うようにそれは都市を構築することが目指された。ところが、そこには公団の亡霊としか言い表しようのない矛盾が内包されていた。たとえば、当時の都市基盤整備公団は四二〇戸のうちの三七八戸を一般の住宅にしようとした。だが、設計者の山本理顕は表面上はそれに応じながら、実際には大半の住戸にアトリエや事務所やギャラリーを実装できる仕掛けを忍ばせたのだ。玄関や壁は透明で、仕事場にできる開放的なスペースが用意された。間取りはありとあらゆる活動を受け入れるべく多種多様で、メゾネットやアネックスつきの部屋も存在した。で、実際にそれは東雲の地に建った。それは現実のものとなったのだった。だが、実はここで世界が分岐した。公団およびのちのURは、例の三七八戸を結局、一般の住宅として貸し出した。したがって大半の住戸では、アトリエはまだしも、事務所やギャラリーは現実的に不可だった。ほかに「在宅ワーク型住宅」と呼ばれる部屋が三二戸あるが、不特定多数が出入りしたり、従業員を雇って行ったりする業務は不可とされたし、そもそも、家で仕事をしない人が普通に借りることもできた。残るは「SOHO住宅」だ。これは確かに事務所やギャラリーとして使うことができる部屋だが、ウッドデッキ沿いの一〇戸にすぎなかった。  結果、この一街区は集合住宅へと回帰した。これがお前の立っている現実だ。都市として運営されていないのだから、都市にならないのは当然の帰結だ。もちろん、ゲリラ的に別の使い方をすることは可能だろう。ここにはそういう人間たちも確かにいる。お前も含めて。だが、お前はもうすぐここから去るのだろう?  こうしてまたひとり、都市を望む者が消えていく。二つの世界はさらに乖離する。まあ、ここではよくあることだ。ブリューゲルの「バベルの塔」、あの絵の中にお前の姿を認めることはできなくなる。  とはいえ、心配は無用だ。誰もそのことに気づかないから。おれだけがそれを知っている。おれは別の場所からそれを見ている。ここでは、永遠の未来都市は循環を脱して都市へと移行した。いずれにせよ、お前が立つ現実とは別世界の話だがな。
Tumblr media
 実際、人には出会わなかった。一四階から二階へ、階段を使ってすべてのフロアを歩いたが、誰とも顔を合わせることはなかった。その間、ずっとあの声が頭の中に響いていた。うるさいな、せっかくひとりで静かに散歩しているのに、と文句を言おうかとも考えたが、やめた。あの声の正体はわからない。どのようにして聞こえているのかもはっきりしない。ただ、ふと何かを諦めようとしたとき、周波数が突然合うような感じで、周囲の雑音が消え、かわりにあの声が聞こえてくる。こちらが応答すれば会話ができるが、黙っていると勝手に喋って、勝手に切り上げてしまう。あまり考えたくなかったことを矢継ぎ早に投げかけてくるので、面倒なときもあるが、重要なヒントをくれもするのだ。  あの声が聞こえていることを除くと、いつもの散歩道だった。まず一三階のコモンテラスの脇にある階段で一四階に上り、一一号棟の共用廊下を東から西へ一直線に歩き、右折して一〇メートルほどの渡り廊下を辿り、一二号棟に到達する。南から北へ一二号棟を踏破すると、エレベーターホールの脇にある階段で一三階に下り、あらためて一三階の共用廊下を歩く。以下同様に、二階まで辿っていく。その間、各階の壁にあしらわれたボーダー柄は青、緑、黄緑、黄、橙、赤、紫、青、緑、黄緑、黄、橙、赤と遷移する。二階に到達したら、人工地盤上のウッドデッキをめぐりながら島のように浮かぶ一三号棟へと移動する。その際、人工地盤に空いた長方形の穴から、地上レベルの駐車場や学童クラブ、子ども写真館の様子が目に入る。一三号棟は一〇階建てで共用廊下も短いので踏破するのにそれほど時間はかからない。二階には集会所があり、住宅は三階から始まる。橙、黄、黄緑、緑、青、紫、赤、橙。  この旅では風景がさまざまに変化する。フロアごとにあしらわれた色については既に述べた。ほかにも、二〇〇もの透明な玄関ドアが住人の個性を露わにする。たとえば、入ってすぐのところに大きなテーブルが置かれた部屋。子どもがつくったと思しき切り絵と人気ユーチューバーのステッカーが浮かぶ部屋。玄関に置かれた飾り棚に仏像や陶器が並べられた部屋。家の一部が透けて見える。とはいえ、透明な玄関ドアの四割近くは完全に閉じられている。ただし、そのやり方にも個性は現れる。たとえば、白い紙で雑に塞がれた玄関ドア。一面が英字新聞で覆われた玄関ドア。鏡面シートが一分の隙もなく貼りつけられた玄関ドア。そうした玄関ドアが共用廊下の両側に現れては消えていく。ときどき、外に向かって開かれた空洞に出会う。この一街区には東西南北に合わせて三六の空洞がある。そのうち、隣接する住戸が占有する空洞はプライベートテラスと呼ばれる。わたしのアトリエに面したテラスがそれだ。部屋からテラスに向かって戸を開くことができるが、ほとんどの戸は閉じられたうえ、テラスは物置になっている。たとえば、山のような箱。不要になった椅子やテーブル。何かを覆う青いビニールシート。その先に広がるこの団地の風景はどこか殺伐としている。一方、共用廊下の両側に広がる空洞、つまりコモンテラスには物が置かれることはないが、テラスに面したほとんどの戸はやはり、閉じられている。ただし、閉じられたボーダー柄の戸とガラスとの間に、その部屋の個性を示すものが置かれることがある。たとえば、黄緑色のボーダー柄を背景としたいくつかの油絵。黄色のボーダー柄の海を漂う古代の船の模型。橙色のボーダー柄と調和する黄色いサーフボードと高波を警告する看板のレプリカ。何かが始まりそうな予感はある。今にも幕が上がりそうな。だが、コモンテラスはいつも無言だった。ある柱の側面にこう書かれている。「コモンテラスで騒ぐこと禁止」と。なるほど、無言でいなければならないわけか。都市として運営されていない、とあの声は言った。  長いあいだ、わたしはこの一街区をさまよっていた。街区の外には出なかった。そろそろアトリエに戻らないとな、と思いながら歩き続けた。その距離と時間は日課の域をとうに超えていて、あの循環を逸脱しつつあった。アトリエに戻ったら、わたしはこのことについて書くだろう。今や、すべての風景は書き留められる。見過ごされてきたものの言語化が行われる。そうしたものが、気の遠くなるほど長いあいだ、連綿と積み重ねられなければ、文化は発生しない。ほら、見えるだろう?  一一号棟と一二号棟とを繋ぐ渡り廊下の上から、東京都心の風景が確認できる。東雲運河の向こうに豊洲市場とレインボーブリッジがあり、遥か遠くに真っ赤に染まった富士山があって、そのあいだの土地に超高層ビルがびっしりと生えている。都市は、瀕死だった。炎は上がっていないが、息も絶え絶えだった。密集すればするほど人々は分断されるのだ。
Tumblr media
 まあいい。そろそろ帰ろう。陽光は地平線の彼方へと姿を消し、かわりに闇が、濃紺から黒へと変化を遂げながらこの街に降りた。もうじき妻が都心の職場から戻るだろう。今日は有楽町のもつ鍋屋で持ち帰りのセットを買ってきてくれるはずだ。有楽町線の有楽町駅から辰巳駅まで地下鉄で移動し、辰巳桜橋を渡ってここまでたどり着く。それまでに締めに投入する飯を炊いておきたい。  わたしは一二号棟一二階のコモンテラスにいる。ここから右斜め先に一一号棟の北側の面が見える。コンクリートで縁取られた四角形が規則正しく並び、ところどころに色とりどりの空洞が光を放っている。緑と青に光る空洞がわたしのアトリエの左隣にあり、黄と黄緑に光る空洞がわたしの自宅のリビング・ダイニングおよびベッドルームの真下にある。家々の窓がひとつ、ひとつと、琥珀色に輝き始めた。そのときだ。わたしのアトリエの明かりが点灯した。妻ではなかった。まだ妻が戻る時間ではないし、そもそも妻は自宅用の玄関ドアから戻る。闇の中に、机とそこに座る人の姿が浮かんでいる。鉄格子とガラス越しだからはっきりしない���、たぶん……男だ。男は机に向かって何かを書いているらしい。テラスから身を乗り出してそれを見る。それは、わたしだった。いつものアトリエで文章を書くわたしだ。だが、何かが違っている。男の手元にはMacがなかった。机の上にあるのは原稿用紙だった。男はそこに万年筆で文字を書き入れ、原稿の束が次々と積み上げられていく。それでわたしは悟った。
 あんたは、もうひとつの世界にいるんだな。  どうかな、  で、さまざまに見逃されてきたものを書き連ねてきたんだろう?  そうだな。
 もうひとりのわたしは立ち上がって、掃き出し窓の近くに寄り、コモンテラスの縁にいるこのわたしに向かって右手を振ってみせた。こっちへ来いよ、と言っているのか、もう行けよ、と言っているのか、どちらとも取れるような、妙に間の抜けた仕草で。
Tumblr media
3 notes · View notes
lohastahome · 2 years
Photo
Tumblr media
軒天を木目調にすると外観の印象が劇的に変わります。外観は家の第一印象になるので納得いくまでこだわりましょう👐 最新施行事例はホーム画面のURLから👉 @lohastahome #新築注文住宅 #新築住宅 #ロハスタ #ロハスタホーム #lohastahome #lohasta #lohasstudio #モデルハウス #gooddesign #グッドデザイン賞 #デザイン住宅 #マイホーム #一戸建て #設計士とつくる家 #住宅設計 #部屋作り #耐震等級3 #許容応用力度計算 #ホウ酸防蟻処理 #em漆喰 #em珪藻土 #emセルロースファイバー #外付けブラインド #passivblind #ダクトレス熱交換換気 #家づくりアイデア #軒天 #軒天木目調 #木目調 #木目窓枠 https://www.instagram.com/p/Ck4u90zyRFq/?igshid=NGJjMDIxMWI=
0 notes
bathask · 3 years
Text
Tumblr media
自閉症スペクトラムASDの感覚飽和や感覚過負荷のパニック発作は弱い中枢性統合の視覚認知特性で局所バイアス働き,眩しさよりコントラスト強調された輪郭の縞模様とか木霊する模様危険。GIF画像は大人の発達障害アスペルガー/自閉スペクトラム症で通うB型作業所ブラインドの感覚過敏的Texture気になる影
0 notes
interiormakita · 4 years
Photo
Tumblr media
<<施工事例>> 今回は玄関口にて木製ブラインドを納めさせて頂きました スラット降下時にスピード調整が付いており従来のヒモ操作よりも簡易的に昇降出来るようになりました 女性の方でも力を入れる事なく快適に操作出来ます 幅・高さのある窓に是非オススメです #blinds#woodblinds #rollerblinds #interiordesign #homedecor #atmosphere #windowtreatment #interiormakita #ウッドブラインド #木製ブラインド #ブラインド #タチカワブラインド #ナチュラルインテリア #シンプルインテリア #モダンインテリア#玄関インテリア #インテリア #インテリアコーディネート #インテリアデザイン #インテリア好き #模様替え #新築一戸建て #暮らしを楽しむ #町田 #インテリアマキタ (Machida, Tokyo) https://www.instagram.com/p/CA9SaXbgqZj/?igshid=54nmm9gernnd
0 notes