Tumgik
#沙耶のいる透視図
shihlun · 1 year
Text
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
Akiyoshi Kimata
- Saya: Perspective in Love
1986
52 notes · View notes
lovejapanese80s · 7 years
Photo
Tumblr media
沙耶のいる透視図 (1986)
36 notes · View notes
Text
白い海で溺死(三織)
※事後表現
三好くんの愛が重たい
三好の部屋ではじめて、そういう事をしたあと、隣の作之助がぽつりと独り言のように言った。
「……綺麗にしとるなぁ」
 行為の興奮も醒めて、なおかつ後に湧いてくる強烈な羞恥も薄れてきた頃である。いつもなら掛け布団にくるまりながら、自分のやったことに信じられないような気持ちで縮こまっている三好も、その日は自然と作之助の言葉が耳に入ってきて、素直に首を傾げた。
「何がっすか?」
 三好が体を横向きにすると、仰向けで天井を向いていた作之助もこちらを向いた。豆電球だけがついた部屋のなか、作之助の目の端がうっすらと潤んでいて、それが事の名残だった。
「ん? シーツが。真っ白やし、ぴんぴんやし」
 言いながら、作之助がシーツを軽く叩いてみせる。ああなるほどと三好は頷いた。
「毎日、取り替えとるんで」
 今はふたりの汗やら体液やらを吸い込んで、すこし湿ってしまっているが、三好の寝台のシーツは、いつも真っ白な、染みもないものを使っていた。ああそういえば明日起きたらこのシーツを洗わなければならないな、と思ったら先ほどの行為がぱっと目前に蘇って、意味もなく頭を振った。今は、こういう事を考える時ではないだろう。反芻して、赤面してしまう時間は、いくらでもあるのだ。
「毎日?えらいまめやな」 「だって、毎日替えたほうが気持ちよくないっすか?その方が、よく眠れるし」
 いつも清潔にしていたい性分もあったが、三好が几帳面なまでにそうしているのは、眠りが浅い体質のために、少しでも眠る環境を整えたいからだった。しかし、不思議なことにあまり眠りたがらない作之助にはわからない悩みだろうと思って、打ち明けたことはない。眠れるくせに眠りたがらないなんて贅沢な人だと、少しだけ思っているが、それは理不尽すぎるとわかっているので思うだけにとどめている。
「そら、まあそうやろな。なんやワシが来るから、わざわざ変えてくれたんかと思たのに。ちょっと残念やなあ」
 残念などと思ってもいないことを言って、作之助が口元を緩ませる。
「……ちゃいますよ」
 首は振ったが、本当は作之助が部屋に来るとなった時に、やましさに頬をひっぱたきたい気分になりながら、その日洗ったシーツではなく、予備に残していた新品のシーツを取り付けていたのだった。  話をしてかえるだけかもしれないし、予備をそのままにしておくのは勿体ないし。心に何本も予防線を張ったが、結局こうなった。するかもしれないんで新品に替えましたなんて明け透けすぎること、言えるわけがない。否定だけして、黙った。
「……でも、たしかに、気持ちよかったな」
 含みのある言い方に、再び今しがたまでここで行われていたことが脳裏に蘇って、頬が熱くなった。
ーーなぁ、三好クン、こっち、来て。
 さっきまでは珍しく甘えたようなことを言って見せたくせに、あの作之助は一体どこに消えたのか。汗と同じく、シーツに吸い込まれてしまったのか。  口角が、いつも三好をからかう時のようににいっと上がって、視界の隅に入り込む浮き上がった鎖骨の端についた痕も、自分でつけたにもかからわず、なんだか目に毒だ。二人の体温で温まったシーツに顔を押し付けても、熱は逃げていかなかった。気恥ずかしさから体勢を仰向けに戻して、天井を見つめた。作之助が、横向きのまま肘をついて、三好をのぞきこんでくる。
「なあ、どないしたらこんなに皺なしにシーツ張れんの?ワシこんなんようせんわ」 「それは、まあ、昔取った、杵柄ってやつかもしれないっす」 「むかし?」 「……軍におったときに、鍛えられたんで」 「ふうん。軍隊におったら、そんなことまでやらさせられるんか。まあワシには縁がない話やけど」 「……ないほうがいいっすよ、たぶん」 「そうなん?」 「はい」 「そうか。まあええんやったらええか」
 作之助も肘を戻して仰向けになった。軍にいたころの話を話したのは、ここに来てからはじめてだった。詩を選ぶ前の自分の人生を、久しぶりに思いだした。あのままあそこにいたならば、詩を書くことも、ここで朔太郎と再会することもなかったわけで、すなわち隣の男とこんな関係になることもなかったわけであって、自分のことながら、縁の巡り合わせとは奇妙なものだと思わずにはいられなかった。逃げ出してしまったあの場所も、知らぬ間に、三好を形成する血肉になっていたのかもしれない。  珍しく感慨に耽っていたら、不意にとなりから白く細長い腕がにゅっと伸びて、三好の上半身を絡めとった。軽く抵抗したら、乱れたシーツに更に皺がよった。横に向かされて、思いきり、抱きよせられた。
「ちょっと、オダサクさん」 「嫌なん?」 「……ちゃいますけど」 「ほなええやんか」
 三好の背中に腕をぎゅうぎゅうに回して、作之助がふふふ、と笑みを漏らした。とろけるような熱を帯びていた皮膚はいつの間にか平熱に戻って、いつもの触るとひんやりとした感触のなかに、汗をかいたあとの、しめった名残があった。煙草の煙の向こう側にある、作之助の匂いがする。誤魔化すような、高笑いではなく、なんだか楽しそう笑いかたに、なに笑っとるんすか、とも聞けず、三好はそのまま、作之助の肩口に顔を埋めた。
 結局、しばらくこうしていたら二人とも変な気分になってきて、もう一回そういうことをした。翌日シーツを洗うとき、いろんなものが染み付きすぎていて、三好は終始赤面したまま洗い場に立つ羽目になった。誰かに見られなかったことだけが幸いであった。二度目のときに、耳元で名前を呼ばれた声が、心の奥底までこびりつき、洗濯板でシーツをこすりつづけても消えなかった。干されて乾いた後も、ひなたの匂いのなかに、作之助の匂いが残っているような気がして、しばらくそのシーツは使えず、次に作之助が部屋にくるまで戸棚に仕舞われたままだった。
 三好の部屋で事が終わると、たいていは作之助の方から、ごく稀に三好の方から、二人で湿ったシーツにくるまりながら、取るに足らない話をした。作之助が三好の部屋に来る頻度も徐々に増え、普段は戸棚にしまわれている作之助のためのシーツは二枚になった。毎回心地よさそうに白いシーツに頬をすり寄せて「まっさらやな」と笑う作之助の顔を見ると、一枚だけにするのはどうも相手を大事にしていないような気がしたからだった。  相手の部屋でする時はどうにも決まりが悪く、事の後は寝台のすみに縮こまってしまうのだが、自分の部屋ではすこしは気が休まるのか、話の最中に作之助が手や肩にじゃれつくように触れてきても、あまり恥ずかしがらなくなった。逆に普段は三好をいかにして翻弄するかを画策しているような作之助が、この部屋にくると、三好にそっと甘えるような、受け入れるような態度を取った。いまだに精神的にそういったことに不慣れな三好がまどろっこしく彼のシャツのボタンに手をかけても、作之助は静かに笑って、三好の手つきを眺めていた。  とはいえ作之助の部屋に行くと三好は黙りこくり、作之助は「このために来たんやろ」などと言ってからかいまじりにいきなり三好のズボンをのベルトをひっぺがすような男に戻ってしまう。そのあと、作之助はいつも苦笑半分面白半分に三好の頭を撫でた。借りてきた猫っちゅうやつやな。オダサクさんもそうやないんすか。言い返したくても毎回言葉は出てこず、三好は黙って煙草臭い作之助の掛け布団に潜り、自分の部屋で見る作之助とこの部屋の作之助は果たして同じ人なのかと考えた。部屋に来てくれる作之助の方が、若干三好は気に入っていた。
 話をしばらくすると、お互いの体温で暖まって、やがてまぶたが重くなった。繰り返しているうちに、彼がこう話しかけてくるのは、眠るのが嫌で、訪れる眠りを引き延ばしているのだろうと気が付いた。何故、眠りたがらないのか、理由を尋ねたこともなければ、考えを巡らせたこともなかった。眠りの浅い三好からすれば、安堵のなか眠れるのなら早く眠りたかった。作之助の部屋だと、緊張の方が勝るからだ。相槌も小さく、途切れがちになってくると、作之助がよくとろんとしはじめた三好のまぶたに、そっと口をつけた。その瞬間ばかりは、いつも眠りに落ちるのがすこし惜しくなった。自分が眠った後で、ちゃんとこの人は寝るのだろうかと思った。作之助と自分と足して二で割ることができたなら、ちょうどいいのかもしれない。出来はしないことを眠りの浅瀬で考えた。そうして意識が、白いシーツの海に沈んだ。
 作之助の話は、あまり悪意のない、人の噂ばなしが多かった。 「――そういえば、安吾が」  あんご。その名前を聞くなり瞬時に共通の友人の顔が思い浮かびんだ。いつもは素直に相槌を打っているが、仰向けの体をごろりと体勢を作之助に向けて、思いきり眉を寄せる。作之助の向こうに、あの眼鏡をかけた男が立っているような気さえして、ちょっとばかり、内臓がしまるような心地がした。
「……あの、やめないっすか。さすがに、安吾の話は、ちょっと」 「あれ? いややった? 喧嘩でもしてたんか?」 「してないっすけど。……なんか、安吾の名前がでたら、あの人が枕元に立ってるような気がしてきたっす」 「そんなあほな」
と、作之助は何かを続けようとしたが、途端に口をあけたまま瞳をぱちぱちしばたかせて、やがて小さく言った。
「……それは、なんちゅうか、気持ち悪いっちゅうか」
 逆に作之助が面白がったらどうしようかと三好は考えたが、彼の脳裏にも、お互いの友人たる安吾がこの寝台の側に立っている様が浮かんだのかもしれない。珍しく、言葉の歯切れが悪かった。 「でしょ」  汗ばんだ裸で布団にくるまる二人を見下ろす安吾。どんな表情かまではわかりかねたが、想像しただけで血の気が引いた。共通の二人がいろいろあってこんなことをしているとは、口が裂けても安吾には伝えるつもりがなかった。作之助がどう考えているのかは知らないにしろ。
「なんやそんなん言われたら、今でも安吾がそこにいそうな気いしてまうわ。三好クンすごい発想するなぁ」 「だから、やめてくださいって言うたやないすか」 「せやな。わかった、やめとくわ」
 作之助が頷いた。もしかするとあの安吾ならば驚くにせよぎょっとするにせよ面白がるにせよ、その感情をもとに二人をネタにしてなんぞ書いてしまうかもしれない。そう思ったが、作之助がやめると言ったので三好も黙って頷き返した。題材にしたりされたりするのは物書きの宿命で、三好も散々書いたり書かれたりしたものだが、それでも、秘めていたいこともあるものだ。特に、こういうことは。
 話題は次第に、また別の共通の知人についてに移った。その男にはもう長いこと一人の恋人がいるのだが、彼はとんだ浮気性で、その恋人に一途だった試しがなかった。それでも、恋人は恋人のままで、別れる気配もないとのことだった。そして聞けば、またその男が浮気をしたのだと言った。作之助がなぜその男の浮気沙汰に詳しいのかは、三好は知らない。浮気性の恋人を持った相手を気の毒に思いその男に冷めた気持ちを抱きこそすれ、所詮は二人の寝物語だったからだ。
「あの人、なんで浮気ばっかりするんすかね?」 「さあなあ。それが性なんやろ」
 自分から振った話のくせに、作之助はまるで興味がなさそうだった。本当は安吾の話がしたかったのだろう。今の作之助は、あの眠りをだらだらと引き延ばしたいだけだ。
「……許すほうも、そろそろ愛想尽き果ててたりしないんすかね」 「たぶん、許すんちゃうか。言うて浮気やし、戻ってくるって、わかっとんのやろ」 「言うて浮気って。そりゃあよくある話かもしれないっすけど、はっきり言ってあの人のそういうところは最低やと思うっす」
 軽い気持ちで、反論してみただけだった。しかし作之助は面白がる調子もなく三好を見つめ、数回、まばたきをした。行為の名残で、目のふちがうっすら赤かった。彼の容姿に特段の好き嫌いを見出していなかった三好でも、作之助が恥ずかしげもなく美男子だと自称するのが、わかるような気がした。きっと、多くの人を、魅了してきたのだろうと思った。その彼が、どうして自分とこうしているのか。理由はそれなりに思い浮かんだが、どれも明確な答にはならなかった。
「最低?」 「そうっす、最低っす」 「そうかあ。……ワシは、浮気なんやったら別にええと思うけど。浮気なんやったらな」
 いきなり何を言うのか。瞬時に返す言葉が見当たらず、三好は口を閉じて、作之助を見つめ返した。口元はいつもどおりだが、口調と同じように、瞳は静かだった。さっきまで、お互いの本能を見せ合っていたはずなのに。結局、彼の真意など、三好には読めない。三好の部屋にいる作之助も、三好を部屋に招く作之助も、そして今こうしている作之助も。彼の本音など、どこにも見つからない。
「……浮気やったらって、どういう意味なんすか」
 ひとつひとつ、絡まった糸をほどくような気持ちで、意図を尋ねた。彼の言葉のなかに、すこしでも真実があるとするのなら、その端きれでもいいから掴みたかった。しかし作之助は端に真実に思えそうな言葉をちらつかせておきながら、すぐさま有耶無耶にしてしまう。真実なんてあると思う方が馬鹿なのだとでも言いたげに。
「別の相手に本気になっとるのがわかってんのに、変な情やら責任感で戻ってこられるほうがしんどない?」
 作之助の言葉が、三好の心に染みをつくった。白い海に浮かぶ、赤い血のようだった。すぐさまそれは波に混ざり、鮮やかだった色はあいまいな色にかわって、二つの色すら次第にわからなくなる。けれども、白い海はけっして元には戻らない。作之助を知らない、あのころに、三好は戻れない。
「……わかんないっす、そんな心境、理解したくもないっす。自分は、浮気なんかしないし、そもそもできないっす」
 相手がいて他の人に目が行くとするのなら、それはおそらく、相手に対しても本気なんかではない。三好はずっと、そう思っている。
「せやな、三好クンは、きっと本気になってもうたら、きっぱり向こうに行ってまいそうやもんな。浮気はせんでも、本気になったら全部捨ててまうんやろな」 「……いきなり、なんなんすか」 「思ったから言うただけや。三好クンが本気になったら、たぶん誰にも止められへんやろなて」
 おそろく、作之助の言葉は真実を突いていた。どれだけ相手との日々が輝いていても、穏やかなものであったとしても、心が移ってしまったら、きっと自分は自分を抑えられない。正直にしか、自分は生きられない。周囲をどれだけ悲しませても、嘘はつけない。そういう生き方しか、選ぶことができない。自分の考えは見抜かれているのに目の前の相手の考えすら読み解くことができないのが悔しく、唇を噛んだ。
「なあ三好クン」 「なんすか、もうやめてくださいっす。こういう話は」 「……ワシが浮気したら、三好クンどないする?」
 これは単なる雑談の戯言だ。誰も傷つけない、いつもの噂ばなしの派生にすぎない。と言い聞かせたが、脳裏では悲しい具合に鮮やかにひとつの光景が浮かび上がった。他の誰かと、抱きしめあっている作之助。他の誰かと、隣を歩いている作之助。他の誰かと、シーツの海に飛び込む作之助。他の誰かと、他の誰かと。  想像だけで、胸が詰まった。想像が容易すぎることも、三好の心を締め付けた。恋が人生で一度きり���あるとは、三好も思っていない。しかし作之助以外にこうも感情がざわついて、傷つくとわかっていても指先を掴んでしまう相手が再び現れるかどうかは、わからなかった。現れたら、きっと自分は行ってしまう。なのに、作之助にそんな相手が現れても、自分は許すことができない。許すこともできなければ、手放すこともできない。魔が差したのであろうが、完全な心移りであろうが。感情の矛盾に引き裂かれそうだった。  絞りだした声が、ひどくかすれた。ほどよく張り出した、作之助の白いのどぼとけが、ゆっくりと上下している。生きているから、こんなに悲しいのか。
「……その、時は」 「うん」 「オダサクさん殺して、自分も死にます」
 こんなの、愛じゃない。恋ですらない。ただの執着だった。わかっている。わかっている。けれども激情に身を任せて、作之助の首を絞める光景は、いずれ遠くない未来に訪れるような気がした。視界が水分で揺れだして、寝返りをうって背中を向けた。自分と同じだけの熱量を、相手が向けてくるとは限らない。わかっている。わかっている。求めるほうが、おかしいのだ。感情はいつだって強烈すぎて、まぶしすぎて、波は相手だけでなく自分まで飲み込んでしまう。
「……三好クン」 「ほっといてください。自分でも、変なこと言うたんはわかっとるんで」 「こっち向いてや」 「いやっす、むかないっす」
 どうせなら、誰かと海に沈む前に、捨ててほしかった。三好クン重たいわ、ワシは冗談のつもりやったのに。そう言ってくれたほうがいっそのこと楽だった。
「なあ、こっち向いてや。……せっかく二人できもちようなってこうしてんのに、そっぽ向かれると、ひとりでおるみたいやん。そんなん嫌や」
 後ろから白い腕が胸に回って、作之助の素肌が背中にあたる。痩せぎすで、筋張っていて、別段柔らかいこともない。それどころかやにくささが染みついている気配までする、男の体だ。それなのにどうしてこの肌が恋しくなってしまうのか。  はっとした瞬間に、首の後ろで濡れた気配がした。作之助がさらされているのに白いままの、三好のうなじに口づけたのだった。数回口づけを繰り返して、作之助が言った。
「なあ、ワシ、さびしい」
 嘘つき、あんた俺がいなくたって、生きていけるくせに。他の誰かを笑わせながら、誰にも本音を見せずに、ひとりでふらふら歩いて行けるんでしょう。誰にも、責任をもせたない代わりに、自分も何も持たないんでしょう。
 潤んだ視界を振り切りたかったが、結局無駄で、そのまま再び、三好は寝返りをうった。腕のなかにいるせいで、作之助の顔がさっきより近い。長い睫毛がかすかにゆれて、ちいさな息を吐いてから、目元が笑顔をつくった。熱くなったまぶたに、作之助が口をつける。冷やりとした感覚にとっさに瞳を閉じたら、こらえていた水滴がぽろりと流れた。
「ごめんな、好きやで」
 謝るぐらいなら言わなければいいのにと思った。これが偽りであったとしても、作之助がそういう限り、三好はこの言葉が言霊になって、どこにも行けない。まぶたに落ちた唇がゆっくり移動して、今度は三好の唇を食むように動いた。欲を煽るより、慰めるような調子にいらだって、自分から体に乗りかかった。掛け布団をもみくちゃにして、体を押さえつけたら、作之助は抵抗するでもなく、へらりと笑って三好に腕を伸ばした。どうせ息止められるんなら、こっちがええわ。なあ、三好クン、こっち、来て。
 この人の頭をクルミのようにくだいて、中をみたら。すこしは彼の本音が見えるのか。それとも、中にはなにもないのか。おそろしい考えを止められないまま、三好は作之助の体を暴いた。  殺すなら、苦しまんように頼むわ。最中に、作之助がぽつりと言った。汗とも涙ともしれぬ水滴が、一粒作之助の頬に落ち、白いシーツに染み込んだ。    どうせなら、白い海に溺れて二人で死にたかった。
0 notes
shihlun · 1 year
Text
Tumblr media Tumblr media Tumblr media
Akiyoshi Kimata
- Saya: Perspective in Love
1986
27 notes · View notes
shihlun · 1 year
Text
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
Akiyoshi Kimata
- Saya: Perspective in Love
1986
34 notes · View notes