アガサ・クリスティ作の名作ミステリーの映画化、『オリエント急行殺人事件』を観てきました!
原作を読んだことがないなら、絶対に予告とネタバレを回避したほうがいいという話を聞いて、一切情報をいれずに劇場へと足を運んでみました。
『名探偵コナン』が好きなくせに、実はミステリー小説はろくに読んだことがなく・・・
ミステリー系って、常に状況や人間関係を頭で考えてなくちゃいけないと思っていて、昔読んだなんかのミステリー小説はあまりの複雑さに、ことあるごとに登場人物のページに戻ったりして大変だった記憶しかなくて、苦手だったんですよね(笑)
今回は映像作品ということで、話についていけるかかなり不安なのですが、行ってきます!
オリエント急行殺人事件(Murder on the Orient Express)
監督 ケネス・ブラナー 脚本 マイケル・グリーン 出演者 ケネス・ブラナー
ペネロペ・クルス
ウィレム・デフォー
ジュディ・デンチ
ジョニー・デップ
ジョシュ・ギャッド
デレク・ジャコビ
レスリー・オドム・Jr
ミシェル・ファイファー
デイジー・リドリー 公開 2017年 製作国 アメリカ合衆国
あらすじ
エルサレムで教会の遺物が盗まれ、鮮やかな推理で犯人を突き止めた、名探偵のエルキュール・ポアロ。
イスタンブールで休暇をとろうとした彼だが、イギリスでの事件の解決を頼まれて急遽、オリエント急行に乗車する。
出発したオリエント急行でくつろぐポアロに話しかけてきたのは、アメリカ人富豪のラチェットだ。
脅迫を受けているという彼は、ポアロに身辺の警護を頼む。
しかしポアロはラチェットの要請をあっさりと断るのだった。
深夜、オリエント急行は雪崩のために脱線事故を起こし、山腹の高架橋で立ち往生してしまう。
そしてその車内では殺人事件が起こっていた。
ラチェットが12ヶ所も刺され、死体で発見されたのだ。
乗り合わせていた医師のアーバスノットは、死亡時刻を深夜の0時から2時の間だと断定する。
鉄道会社のブークから捜査を頼まれたポアロは、乗客たち一人一人に話を聞き始める。
ラチェットの隣室のハバード夫人が「自分の部屋に男が忍び込んだ」と訴えるなど、乗客たちの証言によって、さまざまな事実が明らかになってきた。
しかし乗客全員にアリバイがあり、ポアロの腕をもってしても犯人像は浮上しない。
ラチェットの部屋で発見された手紙の燃えかすから明らかになったのは、彼がかつてアームストロング誘拐事件に関わっていた事実だった。
少女を誘拐し、殺害したラチェットが、復讐のために殺されたのか?
殺害犯は乗客の中にいるのか、それとも・・・?(公式サイトより)
ミステリー作家、アガサ・クリスティの名作『オリエント急行殺人事件』を実写化。
名作に挑むのは、イギリスの名優ケネス・ブラナー。
彼は主演だけでなく、監督も務めています。
また製作には『エイリアンシリーズ』や『ブレードランナー』などのリドリー・スコットも名を連ねています。
衝撃の結末、これぞミステリー
いやー、見応えあり、面白かった!
名作と言われるのがよくわかりました。
原作を1ミリも知らなかったので、なおさら面白く、夢中になってのめり込んじゃいました。
脚本と演出がすごく好みでした。バランスがうまい!
ケネス・ブラナーが主演と監督を兼任しているんですね。
今まで意識していませんでしたが、彼めちゃくちゃ才能ある方じゃないですか・・・
だらだら推理するんじゃなく、軽快なテンポで進むのでストーリーも飽きないし、またうまいタイミングで新たな展開に移るんですよ。
ミスリードや伏線もしっかり組み込まれています。
ミステリーサスペンスというより、人情ドラマの側面があるのも、ミステリー初心者にとっては面白く感じられた要因かと思います。
ポアロは初めてお目にかかったのですが、お茶目だけど切れ者っていかにも探偵らしいキャラですね〜
しかしあのヒゲすごくない?現実的にあんなに長く伸ばせるものなのかな?(笑)
登場人物全員も、それぞれの登場時間は短いのに、きちんとどんなキャラクターかわかるように魅力的に描かれていました。
それプラス役者陣の演技がよかったですね!
ミステリー小説は全然読む気が無かったのですが、これを機に本格的に読んでみようかなとかなり強く思いました。
コナンファンなので、『そして誰もいなくなった』とか『ABC殺人事件』とか、タイトルはいっぱい知っているんですけどね・・・(笑)
いくつもの点が、一本の線になる
名探偵として名高いエルキューレ・ポアロが、列車という密室の中で起きた殺人事件の犯人を探していくミステリー。
容疑者となったのは、スタッフを含め13名。
最初に本筋に全く関係のない、エルサレムでの事件を通してポアロの人となりを描き、そして中盤から畳み掛けるように本来の物語が動き出す。
初見としてはこの構成はありがたかったです。
ポアロというキャラクターが私の中できちんと作られたし、魅力的に感じられました。
事件が起き、容疑者となった乗客一人一人に話を聞くポアロ。
そして散らばっていた点が徐々に一つの線に繋がっていきます。
勘がいい人、というか、きちんと頭の中で整理しながら鑑賞できる方は途中でオチが予想できるのでしょうか。
私は、そうなんだ〜みんなそれぞれ繋がりがあるんだな〜とふわっとした頭で考えていて、クライマックスのポアロの推理を披露するシーンで鳥肌が立ってしまいました。
そもそも犯人というものに対する固定観念があって、まさかあんな結末になるなんて思いもしなかったんです!
物語を第三者的に観る、普段ミステリーを読まないというのが重なって、ラストの種明かしはより強いショックを受けました。
さらにその結末を知って驚いたのが、思っていたよりも人間ドラマの部分が色濃く描かれていたこと。
もっと、典型的なミステリーを想像していたので、自分が思っていた展開と違って胸にグサッときました。
犯人の動機には、善悪を判断することが難しく、ポアロですらその判断はできずにラストを迎えます。
探偵は、真実を暴くものであって、善悪を判断することはできないんですね。
単純なミステリーでなく、複雑な過去が絡み合って、重厚で胸に響く内容でした。
ちなみに第三者的な目線で観ているのは、単純に私が推理してやるという意思がない、ミステリーを楽しんでいないダメなところ(笑)
映画自体は、ポアロの視点からみた乗客や現場、上から全体を俯瞰するようなカメラワークが随所に組み込まれていて、自分が名探偵になったような気分も味わえます。なかなか面白い演出です。
ミステリー好きじゃないとこういう受け身な感想になっちゃうんですよね〜・・・反省。
原作を読んでいたらまた違う感想になるんでしょう。
原作とどの部分が異なるのか、なんてのも気になりますね。
エンディングは、エジプトのナイル川で事件が起きたと、ポアロが新たな依頼を受けるところで終わるのですが、これはアガサ・クリスティの『ナイルに死す』という作品を指しているようです。
続編の話も上がっているようなので、楽しみですね〜
チャーミングで切れ者なポアロ
私が思っていたポアロより(良い意味で)、かっこよくてチャーミングなおじいちゃんでした!
変人だとは思っていましたが、もっとおっとりした人だと思っていたのです。
どうやら原作のポアロは、小柄で小太りで潔癖症で、ユーモアのある人物のようですが、今作のポアロは、スマートでスタイリッシュな、現代風のキャラクターでしたね。
ポアロがキレッキレのアクションをみせてくれるのは、確かに現代の映画作品らしいかもなあ。
あとはやっぱりあのヒゲ!
予告でみた時にすごいヒゲだな〜と思っていましたが、実際に本編みるともっとすごかったですね!(笑)
あのヒゲはさすがに貼ってるんだと思うけど、どうやればああ生えるんだ・・・
思わず笑ってしまったのが、寝ているときにヒゲのプロテクター?みたいなやつをつけてたシーン。
あんなものあるの??あれって現実に存在したものなのかな?
容疑者となる乗客たちも、みなキャラが濃い。
特にジョニー・デップ扮するラチェットは存在感がすごかったですね。
ケネス・ブラナー大金星!
シェイクスピア俳優として有名な、ケネス・ブラナー。
俳優だけでなく、監督、プロデューサーと多彩な才能を発揮している演劇界のプロですね。
舞台俳優として活躍していたというだけあって、やはり舞台映えする演技が特徴的でした。
語りが多くなるミステリー作品では、彼の演技は素晴らしく映えますね。
特にクライマックスのシーンでの立ち回りはとても良かった。
まるで舞台のワンシーンを見せられているような彼の長ゼリフは、圧巻されますね。
笑ったり怒鳴ったり、苦しんだり、ポアロの事件に対する葛藤をみれるシーンがあるのですが、そういった感情を荒げたときの演技もまたうまいんですよ〜
ケネス・ブラナーの演技を2時間たっぷり楽しめました。
ジョニー・デップを始めとした、ほかの出演陣も素晴らしい。ゴージャス。
しかもみんな演技がうまいときた。
結末がわかっているはずなのに、それを感じさせずに、少しずつ匂わせていく表情や仕草、口調などのバランスが完璧。
見事にしてやられました。
どの役者さんもどっしりとした安定感のある演技をしていて、安心して作品にどっぷり浸かれますね。
特にジョニー・デップは『ブラック・スキャンダル』ぶりの渋〜い役柄で、似合ってたな。
今回のメンバーの中だとジュディ・デンチとか結構好きなのですが、相変わらずつんけんした役が似合うよな〜(笑)
『スター・ウォーズシリーズ』でおなじみのデイジー・リドリーも出演していたのですが、今作ではまた違った雰囲気の役を演じていて面白かったです。
ああいうちょっと影を抱えた役も似合いますね。
カメラワークと質のある美しい映像
本作は、衝撃のストーリー、名優たちの演技だけでなく、美しい映像もオススメポイント。
荘厳でずっしりとした質感と、どこか物悲しい寂しさを感じさせる色合い・質感がとても美しいんです。
独特の画面の色合いや質感は、リドリー・スコットの影響なのかな?
撮影は、ほとんどのシーンをスタジオで撮影したのだそうですが、とてもセットだとは思えないクオリティ。
エルサレムのシーンや、列車が雪崩で脱線しているシーンもスタジオでセットを作って撮影したんだとか。すごすぎ!
また、本編にのめり込めるカメラワークが印象的でした。
上から俯瞰で現場をとって、状況をこちらに把握させたり、容疑者に詰め寄る時はあえてポアロの顔は外したり、容疑者の目線までカメラを落としたりと、特徴的なシーンが多かったです。
一番圧倒されたのは、やはりクライマックスのシーンですね!
まるでダ・ヴィンチの『最後の晩餐』のような構図に、目がくらみそうになりました。
あのシーンはすごいわ。
そしてあのテーブルへ、乱れた髪も気にせず一人颯爽とむかっていくポアロ。
そこからのクライマックスですから、内心もうお腹いっぱいだ勘弁してくれ〜ってな気分でした。
良かった点
・テンポいいストーリー
・役者の素晴らしい演技
・美しい映像
これ三拍子揃うってなかなかないですよ!
かなりクオリティ高い!
悪かった点
・特になし
現代風のアレンジがあるように感じたので、原作ファンだったらまた違った印象を持つのかなとは思います。
まとめ
原作未読な上に初見というのもありましたが、かなり面白かったです!
ミステリーってこんなに面白いのか!と感動すら覚えました。
いやー、ようやく名作ミステリーに触れる機会をもらえたことに感謝です(笑)
役者陣の演技や、美しい映像も必見。
今年の映画見納めにぴったりの、見ごたえありな名作です。
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