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#飢餓の兆候
ari0921 · 3 years
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和三年(2021)12月29日(水曜日)弐
     通巻7175号 
  
 中国の食糧買いだめ、買い占めは飢餓が迫った兆候だろうか?
   小麦、大豆、トウモロコシの輸入は未曽有の規模に達している
**************************
 習近平自ら出席の下、中央農村工作会議が12月25日と26日に北京で開催され、そこで習主席が演説している。
「2025年までに豚肉の95%の自給を達成せよ」と。あれっ?「2025 中国製造」での目標は半導体自製化、AI、量子コンピュータなどではなかったのか。
 この「2025 中国製造」を格好の対象として、アメリカは制裁品目などを決定したが、エネルギー、バイオ、ロボット、EVなど10の分野が重点とされ、第一段階が「2025までに中国は製造強国の仲間入りを果たす」、第二段階は「35年までに製造強国の中位に到達し」、第三段階は「2045年までに製造強国の主導的地位を確立する」ことになっていた。
 ところが打って変わって食糧安全保障が前面に出た。
なかでも習近平が具体的に大豆、菜種油の作付けを増やし、農村を救済し、農業を再活性化せよと発破をかけた。
これは異常事態である。
 従来の中国の国内政策は「都市化」だった。都市人口はいまや51%と言われ、農業は廃れ、食糧を外国からの輸入に依存するようになった。農民が都会へ出稼ぎにでて工事現場に就労したからである。
 改革開放を開始した頃、中国はおおむね食糧自給ができていた。
 それが昨今は世界から食糧を買いあさり、世界の在庫量に占める中国のトウモロコシの買い占めは69%、米が60%、小麦が51%、大豆34%である。食品輸入総額は2020年度統計で981億ドル。輸入量はおよそ7億トン。
 武漢肺炎、台風、洪水、土砂崩れで農地は荒れた。そのうえ都市開発の団地造成、農地には案山子の替わりにマンションが林立。山間部や棚田も太陽光パネルだらけとなって、農耕地は激減した。
 食料輸入は大豆、トウモロコシ、小麦、豚肉であり、米国、ブラジル、アルゼンチン、ウクライナなどから大量に輸入している。たとえば大豆は2010年比較で2021年は十倍、トウモロコシは過去三年で三倍、それでも豚肉は着実に値上がりし続け、庶民の不満は「豚肉が食べられない日が来るのではないか」と、当局の政策の不備を突く。
 日本もこの煽りで、マヨネーズ、食用油、麺類、パン等が値上がりしている。大豆不足となると、豆腐も納豆もいずれ価格高騰となりそう。醤油も。
中国料理に欠かせない餃子、シューマイ、肉まん、小龍包などは小麦が絶対不可欠の食材だ。
 あまつさえ豚肉は2018年に疫病が発生し、大量を殺処分したため、それ以後、養豚業が凄まじく停滞した。そのうち鶏肉も不足となれば、日本でも焼き鳥の価格も上昇するだろう。
 蛇足に下記の時事電記事。
「【ソウル時事】北朝鮮で開会中の朝鮮労働党中央委員会総会は28日、会議2日目の日程に入り、金正恩総書記が報告で、農村振興の目標達成に向けた中長期的発展戦略や課題などを提示した。総会参加者の「全面的な支持と賛同を受けた」という。朝鮮中央通信が29日伝えた」(引用止め)。
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2ttf · 12 years
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monqu1y · 4 years
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王様の自滅  自国を滅ぼす方法など
⦅操縦七術[韓非]から続く⦆
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〖国を滅ぼす王様の特徴〗 01_王様が宮殿や庭園の建築にうつつをぬかし、車や衣服珍品集めなどの道楽に凝って、国民から絞りあげては浪費する。   殷 ( いん ) の 紂 ( ちゅう ) 王が象牙の箸をつくらせた。   箕子 ( きし ) (紂王の叔父。狂ったふりをして身を守った)は恐怖を覚えた。  彼はこう思ったのだ。  象牙の箸となれば、汁のうつわも素焼きの土器ではすまなくなる。  きっと 犀 ( さい ) の 角 ( つの ) か玉でできた豪華なうつわを使うだろう。  玉のうつわに象牙の箸ということになれば、豆や豆の葉という質素な料理ではすまなくなる。  きっと 旄牛 ( からうし ) ・象・ 豹 ( ひょう ) の胎児などの美味珍味とならざるをえない。  こうした美味珍味を食べるとなれば、着るもの住む家も普段着や 茅 ( かや ) 葺きではすまなくなる。  きっと 錦 ( にしき ) を重ね、広大な屋敷をつくるだろう。  こうして釣り合いを求めていけば、いつしか天下の富を根こそぎつぎ込んでも、まだ不足する。  ほんの小さな兆候候をも見逃さず、始まりを見て結末を察知するのが聖人だ。  箕子が象牙の箸を見て恐怖を覚えたのは、その段階で、天下全体ものを使っても不足する結果を見抜いたからだ。   殷 ( いん ) の 紂 ( ちゅう ) 王は、部屋の窓を閉ざして明かりを灯��、百二十日を一夜として「酒池肉林」の宴を続けたために、日がわからなくなってしまった。  「さて今日は何日だったかな」と、お側の者にたずねたが、誰一人としてわからない。  そこで、 箕子 ( きし ) のもとに使いを出して、たずねさせた。  箕子は家臣にこう言った。  「天下の 主 ( あるじ ) となりながら、国中誰も日がわからないという。  これでは天下は保てまい。国中誰もが知らないことを、わたし一人が知っていたとなれば、わが身があぶない」。  そして、自分も酔ってわからない、と使者に答えたという。  桓公が管仲に尋ねた。「富には限界があるのだろうか」。  「水の限界は水のなくなるところ、富の限界は人がそれに満足したところ��す。ところが、人間は満足することができず、富をむさぼって、ついには身を滅ぼしてしまいます。これが富の限界でしょうか」。   紹績昧 ( しょうせきまい ) は酒に酔って寝てしまい、皮の上着をなくした。   宋 ( そう ) 王が不思議に思って、彼に聞いた。  「酒に酔ったくらいで皮の上着までなくすものか」。  「 夏 ( か ) の 桀 ( けつ ) 王は酒で天下をなくしました。それゆえ 康誥 ( こうこう ) (書経の一篇)には『酒を 彛 ( い ) するなかれ』とあるのです。酒を彛するとは、酒を常にするという意味です。酒を常飲すれば、天子は天下を失い、庶民も自分の命を失うのです」。  昔、 弥子瑕 ( びしか ) という美少年が、 衛 ( えい ) の 霊 ( れい ) 公の寵愛を受けていた。  衛の法律では、許しなく王様の車に乗った者は、足切りの刑に処せられる。  ところが、弥子瑕は夜中に母が急病だという知らせを受け、君命といつわって王様の車を使った。  それを聞いた霊公は、罪を問うどころかほめるのだった。  「親孝行なことではないか。母を思うあまり、自分が足を切られるのさえ忘れるとは」。  また、ある日、霊公のお供をして果樹園に散歩に行ったとき、弥子瑕が桃を食べたところ、あまりにおいしいので、半分残して霊公に薦めた。  霊公は、「王様思いではないか。自分が食べるのを忘れてまで、わしに食べさせてくれるとは」。  だが、やがて弥子瑕の容色が衰えて、霊公の寵愛がうすれてきた。  すると、霊公は、弥子瑕が前にしたことに腹を立てて、「こいつは、嘘までついてわしの車を使ったことがある。またいつぞやは、わしに食いかけの桃を食わせおった」。 02_吉だ凶だと日柄を気にし、 鬼神 ( きしん ) をありがたがり、占いの結果を真に受けて、何かといえば、 祭祀 ( さいし ) をやりたがる。亀の甲に穴を開けて火であぶったり、 筮竹 ( ぜいちく ) を数えて占った結果に従って戦をした 燕 ( えん ) や 趙 ( ちょう ) は、負けることが多かった。 03_限りない欲張りで、利益とみれば見さかいなく飛びつく。   宋 ( そう ) の国に 監止子 ( かんしし ) という金持ちの商人がいた。  あるとき、他の商人と時価百金の 粗玉 ( あらたま ) を 競 ( せ ) りあったことがある。  監止子はまちがったふりをして粗玉を落とし、傷をつけた。  百金の弁償をして引き取り、きれいに傷を磨き落として売ったところ、千金あまりの大金を得た。  一般に、何かを行って失敗しても、何もやらなかったよりもましな場合がある。  監止子のように、タイミングよく責任を引き受けた場合がそれだ。 04_法に基づかず、無原則に刑罰を加える。空理空論に耳を傾け、現実に役立つかどうかを考えない。外見を飾り立てて、実用を無視する。 05_独善的で協調性がなく、 諫言 ( かんげん ) されればむきになる。国家全体のことを考えずに軽率に動き、しかも自信満々だ。  食客のなかに、不老長寿法を教えるという者がいたので、 燕 ( えん ) 王は家来のひとりに習わせたが、その家来がまだ習い終えないうちに、食客は死んでしまった。燕王は怒って家来を殺した。食客が自分を騙したのに気づかず、習い方が遅いといって死刑にしたのだ。道理に合わないことを信じて罪のない家来を殺すとは、また浅はかなことであった。  誰でも一番大切なのは自分の体のはずだ。その自分が死を免れないでいて、他人の燕王を不老長寿にすることなどできるはずがない。 06_王様がずぼらで、およそ反省ということをせず、どんなに国が乱れていても自信満々で、自国の経済力を考えずに、隣の敵国を組みしやすしとする。 07_国が弱小であるのに、尊大にふるまい、強国を警戒しない。国境を接している大国をバカにして、礼をもって対しようとしない。  昔、晋の公子 重耳 ( ちょうじ ) が亡命し、曹に立ち寄った。  曹の王様は服をはだけさせて重耳を見せ物にした。  そのとき 釐負羈 ( きふき ) と 叔瞻 ( しゅくせん ) が曹の王様に付き添っていた。  叔瞻は曹の王���に申した。私、晋の公子を観ましたところ、ただ者ではございません。王様はこれに無礼をなさいました。彼がもし時を得て国に帰り、挙兵すれば、恐らく曹の害となりましょう。王様はこれを殺してしまうのがよいでしょう、と。  しかし曹の王様は聴き入れなかった。  釐負羈は帰って浮かぬ顔をしている。  妻が問うた。あなたは外から帰ってきて浮かぬ顔をしておられるのは何故ですか、と。  釐負羈は言った。私はこう聞いている。良いことには 与 ( あずか ) らず、悪いことには連なる、と。今日我が君は晋の公子を招き、無礼をはたらいた。私はそのとき付き添っていたので浮かぬ顔をしているのだ、と。  妻は言った。私が晋の公子を観るに、大国の主のようです。その左右の従者は大国の宰相のようです。それが今、窮乏して曹に立ち寄り、曹はこれに無礼をはたらきました。これがもし国に帰ることになりますと、必ずや無礼を 誅 ( ちゅう ) しましょう。曹はその手始めとなりましょう。あなたはどうぞ今のうちに 誼 ( よしみ ) を通じておきなさいませ、と。  釐負羈は言った。よろしい、と。  黄金を壺に盛り、食べ物で蓋し、玉壁をその上にのせ、夜、使者を公子に遣いさせた。  公子重耳は使者に会い、再拝の礼で食べ物を受け取り、玉壁は辞退した。  公子は曹から楚に入り、楚から秦に入った。  秦に入って三年、秦の 穆公 ( ぼくこう ) は群臣を集め 謀 ( はかりごと ) をして言った。昔、晋の献公と私が仲良く交流していたことは諸侯のうちで知らぬ者はいない。献公は不幸にも群臣から離れて亡くなり、十年が経つ。その 世嗣 ( よつ ) ぎは出来が良くない。私は心配だ。このままでは晋の 宗廟 ( そうびょう ) は清く保たれず、 社稷 ( しゃしょく ) の供物が絶えはせぬかと。このような状態にもかかわらず晋の足元を固めてやらないのは、献公との交流してきた道に反する。私は重耳を助けて晋に入れようと思うが、どうであろうか、と。  群臣は皆言った。よろしゅうございます、と。  穆公はそこで挙兵した。  革鎧の戦車五百乗、騎兵二千、歩兵五万、重耳を助けて晋へ入れ、立てて晋君にした。  重耳は即位して三年後、挙兵して曹を 伐 ( う ) ちに向かった。  そこで重耳は使者を送って曹の君主に告げさせた。叔瞻を城壁から懸け下ろして出せ、私が殺して処刑してやる、と。  また使者を送って釐負羈に告げさせた。我が軍勢が城に迫っている。私はあなたが礼に 背 ( そむ ) かなかったことを知っている。あなたの住まいに目印をたてておかれよ。私は命令して軍勢がそこを攻めぬようにさせよう、と。  曹の人々はこれを聞き、親戚をかき集めて釐負羈の住まいへ逃げ込む者が七百余家にも及んだ。 08_王様が臆病で信念が貫けない。すなわち予測するだけで決断ができず、やらなければと思うだけで手が下せない。   呉 ( ご ) 王の 闔廬 ( こうりょ ) が、 楚 ( そ ) の都の 郢 ( えい ) を攻め、三戦三勝した。  呉王は 伍子胥 ( ごししょ ) に意見を求めた。  「このぐらいで引き揚げてよいだろう」。  「いけません。人を 溺死 ( できし ) させようとするとき、一飲みさせたところで、止めたのでは、溺死するわけがありません。手をゆるめず押さえつけ、このさい、徹底的に沈めてしまうべきです」。 09_都合が悪ければ理屈をつけて法をまげ、何かにつけ公事に私情をはさむ。その結果は 朝令暮改 ( ちょうれいぼかい ) 、次から次へと新しい法令が発せられる。   斉 ( せい ) が 魯 ( ろ ) を破ったとき、魯の宝である 讒 ( ざん ) という 鼎 ( かなえ ) を要求した。  魯はニセ物を持って行かせたが、見破られてしまった。  「ニセ物ではないか」。  「いや本物です」。  「それでは貴国の 楽正子春 ( がくせいししゅん ) ( 曾子 ( そうし ) の弟子)を連れて来てもらいたい。彼なら信用できる」。  魯王は楽正子春にうまくごまかしてくれるように頼んだ。  楽正子春は魯王に尋ねた。  「なぜ本物を持って行かせなかったのです」。  「本物は惜しいからさ」。  「わたしも自分の信用を惜しみます」。 10_もともと地の利に恵まれないうえに、城郭も欠陥だらけ、物資の蓄えはなく、生産力も低い。すなわち長期戦に耐える力がないのに、軽挙妄動して戦いをしかける。 11_視野が狭くてせっかちで、 些細 ( ささい ) なことで簡単に行動を起こし、すぐにカッとなって前後の見境がつかなくなる。 12_怒りっぽいうえに戦好きで、本務たる農政に力をいれず、何かといえば武力を発動する。  大臣を侮辱してプライドを傷つける。庶民に厳しい刑罰を加えて、過酷な使役に駆り立てる。これを当然のこととして繰り返せば、謀反を 企 ( たくら ) むものが、必ず現れる。 13_王様が大利を目前にして傍観するばかり、また禍いを予測していながら対策を立てようとしない。そして防衛ということにまったく無知でありながら、「仁義」によって自己の行為を飾り立てようとする。 14_雄弁だが「法」という筋が通っていない。聡明ではあるが、肝腎の「術」を心得ていない。能力そのものはあるのだが、「法」によって事を運ぼうとしない。 〖本心を隠す〗  王様が心の 裡 ( うち ) を見透かされると、 家来 《 けらい 》 たちに付け込まれる。   楚 ( そ ) の霊王が細い腰の美人を好むと、 楚 ( そ ) の都には絶食して痩せようとする者があとをたたなかった。   臥薪嘗胆 ( がしんしょうたん ) の故事で有名な越王 勾践 ( こうせん ) は、勇者を好んだ。越の決死隊は、呉の陣の前で一斉に自分の首を 刎 ( は ) ねた。呉軍の兵卒は、あっけにとられ、その隙に奇襲攻撃をかけられて総崩れとなった。   斉 ( せい ) の桓公は好色で嫉妬深かった。 豎刁 ( じゅちょう ) は、自ら去勢手術を受けて、後宮の 宦官 ( かんがん ) になり、信頼を得て大臣に任命された後、謀反を起こして桓公を部屋に閉じ込め飢え死にさせた。  桓公は食い道楽でもあった。料理人の 易牙 ( えきが ) は、自分の長男を蒸し焼きにして差し出した。易牙も、豎刁の謀反に参加した。   燕 ( えん ) の 子噲 ( しかい ) は人格者を好むと思われていた。大臣の 子之 ( しし ) は、国を譲られても受けないと公言して信頼を得、政治を任されて実権を奪った。伝説時代に、 堯 ( ぎょう ) という天子がいて、 許由 ( きょゆう ) という隠者に天下をゆずろうとしたが、許由は受けず、耳が穢れたといって耳を洗ったという。子噲は子之が辞退するのを確かめておいて、堯のまねをしたのに、子之の方が上手だった。  王様が好悪を見せなければ、家来は素を表わし、王様はだまされない。   堂谿 ( どうけい ) 公が、 韓 ( かん ) の 昭 ( しょう ) 侯に尋ねた。  「 価 ( あたい ) 千金の 玉杯 ( ぎょくはい ) があったとする。もし底がなかったとしたら、これに水を入れることができるでしょうか」。  「だめだ」。  「では素焼きの器があるとする。これには底があって漏らないとしたら、酒をつぐことができるでしょうか」。  「できる」。  そこで堂谿公は言うのだった。  「素焼きの器はとるにたらぬ粗末なものですが、漏りさえしなければ酒をつぐこともできます。価千金の玉杯はまことに貴重なものですが、底がなくて漏るとしたら、水さえ入れることができません。まして、これに飲み物を入れる者があるでしょうか。家来の言葉を他人に漏らす王様は、ちょうど底の抜けた玉杯のようなものです。いくら王様に知恵があっても術をつくすことができないのは、人に漏らしてしまうためです」。  それからというもの昭侯は、大きな計画を考えているときには、必ずひとりで寝た。  寝言を聞かれて、他人に計画が漏れることをおそれたのだ。  斉国の正室が亡くなったとき、大臣の 薛 ( せつ ) は、 威 ( い ) 王の意中の人を新しい正室に 推薦 ( すいせん ) しようと考えた。薛は、玉の耳飾り九組に特に美しい耳飾りを一つ加え十組にして王に献上した。翌日、薛は、特に美しい耳飾りをしている側室を確認して王に推薦した。 〖信ずる者は 騙 ( だま ) される〗  王様が妻を信じたら、腹黒い家来は王様の妻を利用して私欲をとげようとする。   優施 ( ゆうし ) という役者は、 晋 ( しん ) の 献 ( けん ) 公の愛妾 麗姫 ( りき ) に取り入り、世継ぎの 申生 ( しんせい ) を殺して、麗姫の子 奚斉 ( けいせい ) を擁立した。  王様が我が子を盲信すると、腹黒い家来は王様の子を利用して私欲をとげようとする。  趙の武霊王(在位 前325年~299年)は 胡服騎射 ( こふくきしゃ ) (騎馬民族の戦法)をいち早くとりいれ、趙を軍事的に発展させたが、寵愛した恵后のために後継問題の処理を誤った。太子に決まっていた長子 章 ( しょう ) を廃嫡して、恵后の子 何 ( か ) (恵文王)に王位を譲り、自分は 主父 ( しゅほ ) と称して院政をしいたが、恵后の死後、廃嫡した長子 章 ( しょう ) の処遇に迷い内乱を起こさせてしまった。主父も、 沙丘 ( さきゅう ) の別宮で三箇月包囲されて餓死した。そのときの包囲軍の指揮官は 李兌 ( りたい ) だった。  妻子でさえ裏切ることがあるのに、他人である家来を信じたら、 悲惨 ( ひさん ) な結果が待っているかもしれないことを知らなければならない。  王様の世継ぎが立てられたら、妻は、我が子の即位を待ち望むもの。  男は五十になっても色好みはやまないのに、女性は三十になれば容色は衰える。  衰えた容色で色好みの夫に仕えれば、疎まれ 貶 ( さげす ) まれるようになり、「これでは我が子は、あとを継げないのではないか」と、妻は疑う。我が子が王様の座につけば、何でも命令できるし、嫌なことも禁止できる。男女の楽しみは、夫の死後も以前にも増して楽しめる。大国を思いのままに動かしても、誰からも文句は出ない。  毒を盛ったり、闇打ちをしたりのお家騒動が尽きないのも、こういうところに原因がある。   桃佐春秋 ( とうさしゅんじゅう ) には、「まともな死に方をする王様は半数に満たない」と書かれている。   魏 ( ぎ ) 王が 楚 ( そ ) 王にひとりの美女を贈った。   楚 ( そ ) 王はこの美女がすっかり気に入った。   楚 ( そ ) 王の側室 鄭袖 ( ていしゅう ) は王がこの美女を可愛がるのを見て、王が可愛がる以上に自分も可愛がり、衣裳でも何でも彼女の欲しがるままに与えていた。  王はそれを見て言った。  「 鄭袖 《 ていしゅう 》 はわたしがあの女を可愛がるのを知って、わたし以上に可愛がってやっている。まるで親孝行な子が親をおもい、忠臣が王に仕えるようではないか」。  …「王様は自分が嫉妬していないと信じている。これでよし」と思った 鄭袖 《 ていしゅう 》 は美女に「王様は女性が手で口を覆う仕草が好きだから、王様に近づくときは手で口を覆うようにしなさい」と教えた。美女はその話を信じ、始めて王様とのお目見えする際にさっそくその仕草を実行する。事情を知らない王様がその理由を周囲に尋ねると、鄭袖が「あの女は王様の匂いを嫌って手で鼻を覆っているのです。」とウソを付いた。王様は、激怒し、美女の鼻を削ぐよう命じた。 〖人材活用〗   楚 ( そ ) が 陳 ( ちん ) を攻めたとき、 呉 ( ご ) は陳を助けた。   楚 ( そ ) ・ 呉 ( ご ) 両軍は三十里をおいて 対峙 ( たいじ ) した。  ある夜、十日も降り続いた雨がやみ、星が見えた。   楚 ( そ ) の 左史 ( さし ) の 倚相 ( いしょう ) は将軍の 子期 ( しき ) に言った。  「十日の雨のあいだに、呉軍は準備をととのえたはずです。きっと攻めてくるにちがいありません。備えた方がよろしいでしょう」。  そこで、 楚 ( そ ) 軍は、陣形をととのえたが、はたして、準備が終わるか終わらないうちに、呉軍がやって来た。  しかし、 楚 ( そ ) 軍に備えがあるのを見ると、戦わずして引き返した。  左史は言った。  「呉軍は往復で六十里歩かなければなりません。帰れば疲れて将軍は休む、兵士は食事をするはずです。一方わが方は三十里ですみます。すぐ攻めれば勝てましょう」。   楚 ( そ ) 軍は呉軍を追いかけ、これを破った。  孟嘗君率いる斉・魏・韓の連合軍が函谷関に攻めてきたとき、秦の昭襄王は大臣に「三国の兵が秦に深く攻め込んでいる。河東郡の数県を与えて和睦しようと思うが、どうか」と尋ねた。  大臣は、「河東郡の数県を与えるのは、大きな損失です。王子様とご相談なさってはいかがでしょうか?」と答えた。  王様から相談された王子は、「和睦してもしなくても、後悔は避けられません。…和睦したら、『三国はもともと引き上げようとしていたのに、むざむざ三城もただでやってしまった』と、後悔するでしょう。…和睦しなかったら、 韓 《 かん 》 に集結した三国軍に大損害を与えられ、『しまった、三城をやらなかったばかりに、こんなことになってしまった』と、後悔するでしょう。」と答えた。  昭襄王は、「後悔するのなら、三つの城を失って後悔する方が、国が危険な状態になって後悔するより余程マシだ。」と考え、和睦を決めた。   管仲 ( かんちゅう ) と 鮑叔 ( ほうしゅく ) が相談をした。  「このご乱行では 斉 ( せい ) の 御代 ( みよ ) も変わるにちがいない。斉の公子のなかで、将来性のあるのは 糾 ( きゅう ) さまか、 小白 ( しょうはく ) さまだ。この二人にわれわれは一人ずつ仕え、先に出世した者が他を引き立てることにしよう」。  こうして管仲は糾に、鮑���は小白に仕えた。  はたして斉は混乱状態におちいり、王様が殺された。  そしてまず小白が亡命先から帰国して王様の座についた。  管仲は糾とともに 魯 ( ろ ) に逃れていたが、魯の人につかまって小白に引き渡されたが、鮑叔の口添えによって宰相になることができた。 〖王様への意見の出しかた〗  [説得]は、相手の心を正確に見ぬき、自分の意見をそこに合わせることが必要。知識や弁舌だけでは不十分。  名声の高さを求める相手に、利を得る術を説けば、下劣で卑しい奴と思われ、遠ざけられる。利を求める相手に、名声の高まる術を説けば、気配りできず現実に疎い者と思われる。  名声を大切にしているように見せかけながら、内心では利を求めている相手に、名声の高まる術を説けば、得心した様子を見せられながら、実際には疎んじられるだろう。逆に利を得る術を説けば、得心させても、用いられることはない。 01_王様が自分の利益を満たそうとしているときには、国法を述べてそれを強制する。それでも欲望を捨て切れないときは、欲望に理屈をつけてやる。実行に移せない道義には、とやかく言わないでおく。 02_理想が高すぎて非現実的なときは、理想の欠点をあげ、実行しない。それは難しいでしょうなどと、ケチをつけてはならない。 03_知識・見識に自信もってる相手には、同類の別の事例を挙げて下地を準備しておき、相手が自ら選ぶように仕向けて、そしらぬ顔をする。 04_他国と友好関係を保つように説得するには、立派な名目を上げてやり、それとなく自分の利益にもなることを示す。 05_国の害になることを分からせるには、道義に反しているとはっきり言い、自分の損にもなると分からせる。 06_直接相手を誉めるよりは、相手と同じ事をしているものをほめ、他の事で王様の計画と同じものがあれば、そのことを議論で取り上げた方が効果がある。 07_王様と同じ失敗をした者は、たいした過失ではないと言って弁護しておく。相手がよい計画だと思っているのに、悪いところをあげつらって追いつめてはいけない。 08_長い月日を経て、王様の信任も厚くなり、立ち入った策を奏上しても疑われず、王様と言い争っても罰せられなくなったならば、堂々と利害を判断して述べ、自分の意見を実現化して事の是非をずばりと述べることを身上とする。こうして王様と対等の関係を保てるようになれば、これこそが献策の最上のものとなる。 〖 和氏 《 かし 》 の 璧 ( へき ) 〗  昔、 楚 ( そ ) の国に 和氏 ( かし ) という男がいた。  あるとき、彼は 楚 ( そ ) 山の山中で 粗玉 ( あらたま ) を見つけ、これを 厲 ( れい ) 王に献上した。  厲王は宝石師に鑑定させた。  「これは、ただの石でございます」。と宝石師は言った。  厲王は和氏をペテン師として足切りの刑を命じ、左足を切らせた。  厲王が死に、 武 ( ぶ ) 王が即位した。  すると、和氏はまた同じ粗玉を献上した。  武王は宝石師に鑑定させた。  「石でございます」。と宝石師が言った。  武王は和氏をペテン師として足切りの刑を命じ、右足を切らせた。  武王が死に、 文 ( ぶん ) 王が即位した。  今度は和氏は粗玉を抱き、 楚 ( そ ) 山のふもとで泣き続けるのだった。  三日三晩がたった。  涙は枯れはてて、眼に流れるものは血であった。  文王はそのことを聞くと、和氏のもとに人をやってわけを尋ねさせた。  「世の中に足切りの刑にあった者も多いが、どうしておまえは、そんなに悲しげに泣くのか」。  「わたくしは足を切られたことが悲しいのではありません。宝石が石ころだと言われ、正直者がペテン師だと言われた。それがわたくしは悲しいのです」。  文王は、宝石師にその粗玉を磨かせてみた。  はたしてそれは宝石であった。  その宝石は、彼の名をとって、「 和氏 ( かし ) の 璧 ( へき ) 」と呼ばれた。  宝石というものは、王様が喉から手が出るほど欲しがるものだ。  そして 和氏 ( かし ) が献上した 粗玉 ( あらたま ) が、もし宝石でなかったとしても、王様が何の損をするわけでもない。  それにもかかわらず、和氏は両足を切られてから、はじめてその粗玉が宝石であると認められたのだ。  王様が欲しがる宝石でさえ認められるのは、これほど困難なのだ。  ところが[法・術]となると、王様は「和氏の 璧 ( へき ) 」のようにこれを欲しがってはいない。  王様たちは、それほど熱心に家来や国民のかげの悪事を抑えようとはしていないのだ。  [法・術]を主張する者が、王様に殺されずにいるのは、彼がまだ[法・術]という粗玉を献上していないからにすぎない。  王様が「術」を使ったとしたら、大臣が政治を専断することも、側近が王様の威を借りることもなくなるだろう。  「法」が国に行きわたれば、流民の 類 ( たぐい ) は姿を消し、すべての国民は農耕に追いやられ、事あるときには戦場で生命の危険をおかすことになるだろう。  つまり[法・術]は、家来と国民にとっては、 禍 ( わざわい ) となるものだ。  したがって、王様が、大臣の反対と国民の非難を押しきって、[法・術]に耳を傾けようとするのでなければ、たとえ命を進言したとしても、[法・術]が王様に取り上げられる見込みはない。 〖使いこなせない者とは〗  もし人が衣服を着ることもなく、食事をとることもないのに、餓え凍えることがなく、また死もこわくないとすれば全て満ち足りており、お上に仕える気はとんとならないであろう。すると、王様によって支配されることを嫌う気持ちになる。そのような人物は、臣下として使いこなすことはできない。 〖小さな信用を重ねる〗   呉起 ( ごき ) は外出先で知人に出会い、食事に招いた。  知人は承知して、「のちほど伺うから、それまでお待ちいただきたい」。  「では、あなたがおいでになるまで、お待ちいたしましょう」、呉起はそう答えた。  その知人は日暮れになっても来なかった。呉起は食べずに待った。  そして、翌朝、知人を呼びにやり、彼が来てから食事した。  越王 勾践 ( こうせん ) が呉王 夫差 ( ふさ ) を攻め、 降伏 ( こうふく ) させた。  呉王夫差が謝罪して 赦 ( ゆる ) しを願った。  越の大臣たちは、越王勾践に、「天命が[越]を与えようとしたとき[呉]が受け取らなかったから、今、天命は[呉]を[越]に与えようとしているのです。天意に 背 ( そむ ) いてはなりません。」と言った。  呉の大臣は、越の大臣に手紙を送った。「すばしっこい兎が狩りつくされてしまうと、猟犬は煮て食べられる。敵国が滅びると、軍師は殺される。呉を赦して残せば、貴方はまだまだ仕事ができる。」  越の大臣は、これを読んで大きくため息をつきながら、「呉が滅べば私は用無しになるのか…」とつぶやいた。
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野口悠紀雄『中国が世界を攪乱する ―AI・コロナ・デジタル人民元』(2/3)
■新たな段階を迎えた「最強国の条件」■
覇権国の歴史はローマ時代に遡る。世界最強の国はただ経済力や軍事力だけで覇権を手に入れたわけではない。近未来の最強国を占うには覇権国の歴史を辿り、その成立を探ることが重要な手立てになる。野口氏は、エイミー・チュアが『最強国の条件』1) で示した「国家の寛容性」を切り口に考察を進めている。本書を読み進める上で重要なポイントなので、ここではチュア氏の視点を参考にしながら話を進めて行きたい。
「中国は覇権国家となりうるか?」という問い
アメリカが警戒するように、はたして中国は覇権国家になるのだろうか? 未来のことは誰にも分からない。しかし、現在までのGDPの推移を見れば、多くの人は中国建国100周年の2049年を待たずして、中国が経済力で世界の覇者になると思うだろう。そのとき、中国の実質的な豊かさは日本をはるかに超えることになる。野口氏は、現在のトレンドが続けば「中国が日本と同じ豊かさになる「Xデイ」が訪れる。それは2046年だ。これは、それほど遠い未来のこととは言えない。」(No.1428-1429)と予測している。経済的な豊かさは覇権国家に至る不可欠のステップだ。
問題は、中国が覇権国家となったとき、どのような理念のもとで国家の運営に当たるかである。覇権国の理念は、世界の属国に直接的な影響をもたらす。この問題をめぐって著者は、エイミー・チュアの『最強国の条件』、エドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』、ハンナ・アーレントの『革命について』などを引き合いに、概略次のような見解を示している。
ローマ帝国は寛容政策で強くなった。アメリカはローマの真似をし、ローマ精神を模倣しようと意識的に努力した。その証拠にアメリカ上院議員はローマ元老院と同じ「セネト(Senatus)」という名で呼ばれ、アメリカの国章はローマ帝国の国章と同じ鷲である。こうしてアメリカ合衆国はローマの伝統を受け継ぎ、「寛容な覇権国家」となった。その正反対にあったのが、ナチスのユダヤ人抹殺政策だ。(「中国は覇権国家となりうるか?」の要旨)
一方の中国は、長い歴史において寛容政策を取ることで成功を収めた。だが、中国の寛容は、外国からの移民を認めて中国国民にしなかったという点で「内なる寛容性」でしかなかった。中国は経済大国にも軍事的にもアメリカに並ぶ大国になる可能性はあるが、歴史の動きの基本構造は、「ローマ的寛容」を引き継いだアメリカの寛容主義と、外に向かって「非寛容」な中国の全体主義の対立だ。(No.3152-3153の要旨)
チュア氏は覇権国の最も重要な要件は寛容性にあり、現代社会で寛容主義を体現しているのはアメリカであって、非寛容な中国は覇権国家にはなれないという。こうした考えを著者も踏襲しているように見える。しかし、そのうえで著者は、覇権を達成したあと、非寛容になって衰退したローマ帝国を例に挙げ、覇権の中身が変質する可能性に言及している。さらに、この兆候はアメリカにもあるとして、トランプ大統領が進める人種的非寛容政策とイスラムの排除を挙げている。
経済力が整ったうえで覇権自体がこのように変質するのなら、中国だけがその例外だと考えることはできない。チュア氏がいうように、非寛容なままでは覇権国家になれないとしても、覇権の進展とともに寛容性が増せば、中国が過去とは異なるあり方で覇権国家になる可能性が出てくる。これは中国に対する微かな期待につながる。これはあり得ることだろうか?
覇権国家の十分条件と必要条件
そもそも、国家が寛容であるとはどういう状態を意味するのだろうか。そこで、本書にしばしば登場するエイミー・チュアの『最強国の条件』を読んでみた。非常に興味深い内容で、一読して前近代のローマ帝国、近代の大英帝国、そして��代のアメリカが最強国であれたのは、国家の寛容さが力を発揮したからだというチュア氏の主張に納得した。
しかし、チュア氏は寛容でありさえすれば覇権国になれると言っているわけではない。国家の寛容は世界支配の必要条件であっても十分条件ではなく、過去の最強国の多くは文化的な寛容性も持ち合わせていなかったという。十分条件とは、地理的な優位性がもたらす経済力といったものだ。食糧や資源、あるいは人口の豊かさなどがこれにあたる。極寒のバルト海にローマ帝国は築けなかったことになる。このためオランダや英国は、海運を活用した通商により十分条件を確保し、自国への人材流入に寛容さを発揮することで帝国を築いたというのも納得できる。
またチュア氏は、ローマ帝国が寛容政策を取るようになったのは、偏狭さと人種差別によって憎悪の連鎖を生み、しばしば戦争に至った古代ギリシャ帝国を反面教師として学んだからだという。そして、ローマ帝国はかつての敵にローマの市民権を与える寛容さを発揮した。しかし、この寛容さはあくまで世界支配のための手段であって、現代の先進国が尊重する自由や平等、民主や自治などの、近代的な基本的人権を考えてのことではなかったと指摘している。つまり、ローマ帝国の寛容さは同化政策に他ならなかったことになる。
私は現代の人権論的な意味で寛容という言葉を使っているわけではない。これらの帝国に政治的・文化的平等が存在したので葉はないのである。(…)つまり、寛容とはいっても、現代の先進国におけるように、人は誰もが等しく尊厳を持つという前提にもとづいたものではないのだ。2)
こうした点を考えると、現代に当てはめるべき強国のマトリックスには、寛容さと基本的人権(���人を中心とする文化的要素)の最低でも二軸が必要になる。具体的には下表のようなものになるはずだ。このなかで最強国のポジションは、国家として寛容で人権的に平等な第二象限のアメリカになる。かつてのナチスドイツはその対極にある。そして、ローマ帝国は国家として寛容でも、現代から見れば人権的に差別的な同化政策の国家として第三象限に位置する。
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しかし、中国の位置には異論がありそうだ。チュア氏が指摘する、中国が建国の過程で示した内向きの同化は、同じ同化でもローマ帝国よりはるかに他国に不寛容だ。また、現在の香港や台湾に対する中国の攻撃的な姿勢は、国家的不寛容というしかないものである。しかし、その一方で中国は、経済的には資本主義を採用して海外に門戸を開き、十分条件の基礎となる経済力を高めている。また、アーリア民族のみを優越とし一切の他民族の根絶に狂奔したナチスドイツに比べれば、56もの民族と14億の人口を束ねる中国は、多様性(といっても、これも内向きだが)で世界をリードするアメリカに近いとさえいえるだろう。こうした要素を勘案して、ここでは中国を第一象限に置いた。
このような歴史的強国の位置付けのもとで、十分条件を満たす現代の強国はアメリカと中国ということになる。このとき、近い将来に最強国の必要条件となる寛容性がどう変化するかが問題になる。アメリカがより自国主義や民族的な不寛容を強め、一方で中国が国外に向けた同化政策を進めれば、表の矢印のように、第一象限と第二象限のあいだで強国のポジションを入れ替えようとする力が働く。
例えば、中国が最強国になるには経済のさらなる発展が欠かせないが、これは交易を必要とする。このことは、交易に不可欠な信用を通じて寛容を促し、中国が第二象限へと移動する傾向を後押しすることになる。当然ながら中国はオランダや英国の歴史から多くを学んでいる。中国は国力の誇示と有事のための軍備というパワーを着実に増強しつつも、平時に継続すべき覇権の手法を古典的な征服から通商へとシフトさせた。矢印の傾向はこれからも弱まることなく維持されるだろう。
しかし、こうした寛容性が期待される一方で、中国は人権や民族自決の原則に不寛容だ。このことは、中国がとりわけ先行する国家運営の手段であるデジタル技術に関連する。中国にとってデジタル技術は国民監視の強力な手段だ。これは一党独裁の維持と直接的につながっている。たとえ経済の寛容性を覇権の足がかりとしても、デジタル技術への寛容性を高めることは容易ではないはずだ。中国が経済とデジタルの両面で寛容性を高め、最強国の地位をアメリカと交換することは容易ではないだろう。これについては本記事の3/3で詳しく取り上げたい。
最強国アメリカの行方
それでは、いまのところ最強国の位置にあるアメリカはどうなるだろうか。これについてチュア氏は「最強国アメリカが進む道」の項で、自由主義的な帝国というものはそもそも不可能かもしれないと民主主義のジレンマを示した上で、現状で考えうる最強国のあり方は「アメリカ帝国の否定」しかないと逆説的な考えを示している。3) 以下は、チュア氏のこの考え方についての、わたしの恣意的な要約である。
世界中にアメリカ製品や生活スタイルが溢れているが、スウォッシュのスニーカーを履いて双尾の人魚の店でコーヒーを飲むすべての人が、アメリカ人になりたいと思っているわけではない。アメリカ人が思うほどには、アメリカは世界から愛されていないのだ。
また、イラクへの軍事介入は多くの人々にアメリカへの反感と怒りを呼び起こした。実際にイラクやアフガニスタンの紛争地では、何万人ものアメリカ兵がすべての陣営から憎まれ、標的にされている。
こうした思い違いの根底にあるのは、民族自決の原則を超えた民主主義の押しつけであり、この問題を解決するには、民主的な立場からアメリカ自身がアメリカ帝国を自己否定するしかない。(恣意的な要旨)
押しつけがましい「アメリカ帝国」をやめ、「究極的には正統性と、支配される側の同意によって成り立つ民主主義本来の姿」4) に帰る必要があるというのだ。ひとことで言えば、自惚れが高じたアメリカは自らの間違いを正し、新しい時代の民族自決を見出すということだろう。
しかし、だからといってチュア氏は、アメリカが孤立主義や理想論的な非戦主義の立場をとることを望んでいるわけではない。「正統性と支配される側との同意」を可能にするための新たな「絆」が必要だという。「絆」とは帝国を離脱したあとのアメリカが、真にグローバルな問題の解決に立ち向かう際に必要とする他国との連帯意識を指す。その具体例としてチュア氏は、地球環境問題、感染症対策、テロリズム、ジェノサイド、飢餓などの問題を掲げ、新しい多角主義として他国と連携するアメリカに期待している。
この「絆」はマイケル・ハートの「コモン」を思わせる。ハート氏は「コモン」とは何かについて次のように述べている。5)
地球というエコシステム全体を「コモン」として考えたいのです。地球の未来を決めることができるのは、私的所有でもなければ私的所有者でもない、またそれは国家であるはずもありません。決めるのは、わたしたち全員です。だからこそ、地球環境について決定する、民主的で新しい仕組みが必要です。
これはまさに、帝国を離脱したあとのアメリカにチュア氏が展望する、国家を超えた近未来の多角主義にもとづく連帯そのものではないだろうか。ただし、そこでは「民主的で新しい仕組み」が必要になる。民主主義社会が持ち合わせているはずのこの条件が、実は危機に瀕している。
(1/3:世界覇権への中国の歩みとアメリカの対応) (2/3:新たな段階を迎えた「最強国の条件」) (3/3:中国とアメリカが抱える逆説的ジレンマ)
1)エイミー・チュア『最強国の条件』講談社, 2011.(原著の出版年は2007年)
2)前掲書, p.8.
3)前掲書, p.426.
4)前掲書, p.428.
5)斎藤幸平・編『未来への大分岐』集英社新書, 2019, p.69.
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hoshikawahikari · 5 years
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5. 夢
 4/14(Mon) 晴れ
 また飛鳥とヨリが戻る夢を見て目が覚める。なんでこんな事を私は期待しているんだろう。頭ガンガン。
 15:00ーバイト サユリにブチ切れ。無神経女。
私が悪いのだから。
私が悪いのだから。
私が悪いのだから。
 4/16(Wed) 晴れ
 昼の明るさも怖くて
夜の暗さも怖い
1人で寝るのが怖くて堪らない
誰かに手を繋いでもらいたい
 4/17(Thu) 晴れ
部屋の模様替え。
19:30ー王国会館。審理委員会。
どのような経緯でどのような罪を犯したのか2人の長老の前で事細かに話させられる。
一人の長老は2世の未婚=童貞。
エホバ、こんな事になんの意味があるのですか。
 4/18(Fri) 晴れ
メールが誰からも来ない日にも慣れていく。
頑張らなくちゃ。私頑張らなくちゃ。
 4/19(Sat) 晴れ
3am。バイト中に全然オーダーが回らなくて焦って店から出ようとしたら車に撥ねられる直前で汗だくで目が覚める。
自分が悍ましいケダモノみたいに思える。吐き気がすごい。
 11:00ーエホバの証人の交わり
 4/22(Tue) 雨
今日も5amまで寝られなかった。
掃除。夜ご飯食ってから異常に眠くて寝る。
 4/23(Wed) 雨
私は何に劣等感を覚え何に優越感を覚えて生きてきたんだろう。
 私には可能性なんてなかった。だから心を頑なに閉ざしてきた。
 それでも傷はつく。その傷を必死に隠して、自分はこういう生き方が一番合っているのだと、その事に誇りを持とうと「シアワセ」な奴達をバカにした。
 ただの劣等感の塊のクソ。
 15:00-バイト
 4/24(Thu) 雨
  20:00- 王国会館
  排斥にならなかった。
 その代わり週一で野田姉妹と聖書研究をしなければいけないらしい。
 野田Sの特別開拓者になった娘は、隣の会衆の長老と結婚してパニック障害になったと風の噂で聞いた。気狂いに育てられたら気狂いにしかならない。
 4/25(Fri) 晴れ
排斥されなかったことで母は満足している。これでいい。これでいいんだ。こうして生きてきたじゃないか。いつだって。
 19:00- 集会 とことん墜ちる。
 4/26(Sat) 曇り
寝られない。
この世から快感なんて無くなればいいのに。
15:00-バイト
 4/29(Tue) 晴れ
5:30amにようやく寝られたと思ったら飛鳥とヨリが戻る夢を見た。
19:30- 集会
 4/30(Wed) 雨
9:30-10:30 奉仕
昼寝
15:00- バイト
 5/1(Fri) 晴れ
19:00-集会
王国会館入り口で立ち眩み。
私は一体ここで何をやってるんだろう。
 5/2(Sat) 晴れ
10:00- 名古屋市美術館にホロコースト展を見に行く。
15:00- バイト
 5/3(Sun) 晴れ
小さい時から定期的に見る夢がある。何処かの道路を歩いていると、突然「お前らはエホバの証人だろう!」と、ナチス軍人みたいな男達に追いかけられる。周りにいた会衆の人間達は聖書を片手に持ちながら逃げ惑っている。戦時中みたいに何処かで火の手が上がっている。私はいつもその中で弟を必死に探す。5、6歳の時のままの小さな大輔の手を掴んで一緒に逃げているのだが彼は必ず転んでしまう。泣いている大輔を抱きしめながら「助けてー!」と叫んでいるところで飛び起きる。
 9:30- 集会 誰とも喋らないし誰の顔も見ない。
12:30 アカリと大須に買い物
その後、エホバの証人の若者達で企画された食事会に形式上のみの招待を受けたので、わざと参加してやった。F姉妹とM姉妹にブチ切れ帰宅。エホバの証人と喋っているよりもアカリと喋っている方がよっぽど築き上げられる。
 5/6(Wed) 雨
奉仕に行こうと思ったのに寝坊。
全然夜に寝られない。
夢に野田姉妹の娘が出てきた。なんか私がボロクソ彼女に叫んでた。
小学校5年生だった時にエホバの証人の群れのレクリエーションに行った。
私は野田兄弟の群れで、野田兄弟の娘率いるグループから無視されていた。私は1泊2日のレクリエーションなんて行きたくなかったが、母はエホバの証人主催のイベントは必ず参加していたため私も強制的に参加させられた。みんながキャンプ場でわいわい楽しくやっている中、私は一人孤立し少し離れたところにあった寂れた公園のブランコに座っていた。それに気付いた野田姉妹が自分の娘を呼んだ。「サッちゃんが一人じゃないの。ちゃんと声掛けてあげなさい」「えー、別にいいじゃん。一人になりたいんじゃないの?」「そんな訳ないでしょ。せっかくの交わりなんだから」「なんでいつも私なの。他の子が行けばいいじゃん。こっちに来たきゃ自分で来ればいいんだし。根暗なんだよ」「長老の娘としてあなたにやりなさいって言ってるの。やりなさい。早く行きなさい。根暗でもなんでも全ての人に平等にクリスチャン愛を示す模範となりなさい」そんな彼女達の様子がこちらから丸見えだった。
物凄く不本意そうにこっちに来た彼女に、あの時の私は何も言えずただブランコを漕ぎ続けてた。
私は誰にも何も言えなかった。
駄目だ。
もっと頑張らなくちゃ。
飛鳥は雨の中バイクで頑張っているだろうか。
15:00- バイト
 5/8(Fri) 曇り
一睡も出来なかった。
一日中バイト。
カップルだらけで発狂しそう。
帰り際疲れ過ぎていた事もあり、気が付いたら泣いていた。
 5/9(Sat)晴れ
爆睡。こんなによく寝られたのはいつぶりだろう。
 5/12(Tue)晴れ
本屋。適当に雑誌立ち読みしてたら、バンドグループの一人の愛読書が聖書って書かれてた。
金持ちのクリスチャン学校行ってただけのお前なんかに聖書の何が分かる。
聖書なめんな。
神なめんな。
宗教なめんな。
13:30-野田姉妹との研究。
19:30-集会 母は文句ばかり。ブチ切れる。
 5/14(Thu) 雨
めちゃくちゃ気持ち悪い夢を見た。
ウゲー、気持ちわりー。
9:30-奉仕
19:00-集会 サタンはヨブに「人は幸福な時は神を讃えるが苦しい時は神を非難する」と言ったが、それは嘘。幸福な時は神など思い出しもしないで、苦しい時にだけ、「あー神様神様」って言ってる。
 5/17(Sun)晴れ
 特別一日大会。
 題:霊的弱さを見極めて克服しましょう
 悪魔との闘いに日々直面している。
 特に若者は様々な圧力にさらされている。
 性の不道徳
 悪魔からの勝利を勝ち取る為霊的武器をきちんと身に付ける必要がある。
 エレミヤ17:9 人間の心は不実。
 コリント第二13:5 自分自身がどんなものであるかを絶えず吟味しなさい。
 霊的な弱さを示す兆候
 1、個人研究の習慣が疎かになる。
 2、緊急感を失う。
 自問自答
 Q1.奉仕に携わる事に関して遊ぶ時の様な熱意 を示しているか。
 Q2. テレビを見るのと同じ程集会の予習に時間を充てているか。
 Q3. バプテスマを受けた時に後にしたチャンスを手にしたいと思っているか。
 Q4.他人のいわゆる“良い暮らし”を羨んでいるか。
 エホバをもっと身近に感じる様に。おじさんでは無く父の様に神に親しくなれ。
 エホバをよく知ればエホバに惚れる。
 惚れた人の為なら何だって出来る。
 こんな話を真面目くさった顔をして聞いている人達。
 駄目だ。もう駄目だ。
 5/18(Mon)晴れ
飛鳥と仲良く買い物をしている夢を見た。夢の中でも母親にブチ切れて泣き叫んでた。 
 ✉️サクラがいれば大丈夫❤️❤️
 ✉️大好きサクラ❤️❤️❤️
✉️はやく会いたいよー❤️
✉️サクラの全部が好き❤️
✉️おやすみサクラ❤️
✉️二人で暮らしたいねー❤️天白区に住もう❤️❤️
✉️すきすきすきすき❤️❤️❤️
 誰が打っても同じ字。ちっぽけな画面に表記さ  れるだけの文にしか過ぎないのに。
15:00-バイト
 5/19(Tue)晴れ
出よう。ここを。
もういい。
私はいない。
生まれてきてから今までやってきた事は全て無駄でいい。
それでいいじゃないか。
私は負けた。
私は飛鳥を喜ばせる事も出来ないし、神も母も喜ばせられない。
もういい。もうやめよう。
もう偽らなくてもいい。
私はいない。
もう頑張らなくていい。
好きな様にしたらいい。
ふしだらな人間でいい。
 20(Wed)曇り
朝から天白区のニッショーで一人暮らしのアパート探し。
  いい部屋あった。ここに決まり。
 なんとまあ!体がこんなにも軽いなんて!
生まれてからこの方、私はこんなにも得体の知れない重い何かを背負っていたのか、、。
本当にこんなに心が穏やかなのは生まれて初めてなんだ。
いつも心にモヤモヤと立ち込めていた深い霧がさーっと晴れて、全身の緊張が一気に緩んでいく。
こんなに深い霧に覆われながら、こんなに全身に力を入れながら私は生活してたのかと19歳で初めて気付く。
 5/21(Thu)晴れ
一人暮らしの事を母に言うと駄目だの一点張り。
ニッショーに入金。
15:00-バイト。
寝られない。
 5/22(Fri)雨
今日は大輔の誕生日。
もしこの先我が子を持つことがあれば、その暁には精一杯誕生日を祝ってあげよう。
ケーキ屋さんになりたい、お姫様になりたい、サッカー選手になりたい、、。そんな細やかな夢を精一杯抱きしめてやろう。
毎日楽しいと感じることがあって、好きな色があって、友達がいて、、そんな幼少期を精一杯守ってやろう。
 5/23(Sat)曇り
アカリと買い物。
アカリが最近始めたバイト、時給1200円だって。錦3丁目の料亭。来週面接してもらうことになった。
 5/26(Mon)晴れ
 会いたい
 会いたい
 会いたい
 5/29(Thu)晴れ
 また今日も飛鳥が夢に出てきた。飛鳥に新しい彼女が出来てた。
 なんで彼ばかりが夢に出てくるの。
 エホバは出てこない。
 一度も出てきたことなんかない。
 5/30(Fri)晴れ
 野田姉妹と研究。
 やたらにこの組織から離れさえしなければという話をされる。
 5/31(Sat)晴れ
 神からの是認が欲しいなんて一言も言ってない。
 地上の楽園での永遠の命が欲しいなんて一言も言ってない。
 アカリと買い物&面接。
 女将さん綺麗な人。
 2週間後から働くことになった。
 6/1(Sun)雨
  9:30-集会
ここに立っているのもやっとなのに進歩なんか出来るわけない。歩き方が分からない。
  自己犠牲の愛。犠牲にする自己もない。
 引越しの準備。
 6/2(Mon)曇り
わたしは不幸なんだと気付く。
 わたしは戦争を体験した事もないし、自然災害で全てを失った事もない。
親が離婚したわけでもないし、飢餓で苦しんでいるわけでもない。
レイプされた事も、親に捨てられた事も無い。
五体不満足なわけでも、不治の病で子供を亡くしたわけでもない。
 これらの不幸な人間たちは胸を張って不幸者として生きて、堂々と人々からの同情をかってこう言われるんだ。
 「大丈夫。一人じゃないよ。助けてあげるよ。痛かったね。辛かったね。苦しかったね。でもあなたは悪くないよ」
そう言って一緒に泣いてくれる人すらいるかもしれない。
わたしの不幸に同情してくれて手を差しのばしてくれる人なんてどこにもいない。
自業自得でしょって言われてそれで終わり。
 それでも私は確実に不幸だ。
 15:00ーバイト
 
 6/3(Tue)曇り
体調不良。
全然知らない男とセックスをする夢を見た。
何を馬鹿正直に長老と審理委員会なんかやったんだろう。飛鳥は結局最後までいかなかったんだから、別にわたしは淫行を犯したわけじゃない。
いつまで良心の呵責に苛まれなければならないのか。
バカじゃん。
 
 
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