#昨日何食べたの再現レシピ
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250214 金
【4:30】
結局あれから自宅で寝てしまい、1:30くらいに起きた。6h30min睡眠。本睡眠としては十分だが昼夜逆転気味である
阿修羅ちゃんが予想外に伸びて嬉しい。3hの過去絵レタッチであの利益回収率なら全然お得。自信+0.12V 総自信2.15V
始発まであと少し。肉を身体に入れるとする
----------------------- 【4:50 - 5:30】
絵描きは画力ある負け組のネガティブに引きづられます
だから実力あるアニメーターが放つ毒は絵描きに無茶苦茶効く
今はまともな事言ってるけどこいつがもし暗い事言い出したら���、それを否定できるクリエイター的実力も人徳も持ってねぇ…ってなる
だから実力派闇落ち画力マン界隈は「存在しないこと」にして無視してます。さもないと飲まれます。睡眠時間がバカみたいに伸びて仕事するのも趣味絵描くのも嫌になります
え? 私がそれ? ないない、画力カスっすから私
うん、多分闇落ち画力マン界隈も「そういう主観(謙遜とかではない無力感)」抱えてんだろね。だから応援できない。一般人と比べりゃ技量あんのに上を見過ぎて精神腐らせ嫌な発信しまくってる
で、結局「金が全て」となり、そっち方向でも特に一般サラリーマンに敵う要素ないので自尊心カスになってる
うわぁぁぁぁッ‼︎
格好よくなれ、強くなれ、キモいヘテロ男性中年が抱えがちな最悪なパーソナリティをパージしろッ
あれになりたくない! 痺れない憧れない‼︎
あいつにだけはなりたくないよ、かがり火じゃない、毒饅頭オア道に吐かれた高級料理のゲロ‼︎
吐瀉物なのにいい匂い⁈ ダメだ、舐めるな、恍惚とした表情で舐め回すな‼︎ そんなとこで咲くんじゃない!
温みを探せ、許してくれる人を探せ
あのなあ、ニヤニヤしながらあんたをウォッチしてるやつらは味方じゃないし友達候補でも恋人候補でもねぇ‼︎
間違ったコミュニケーションボールの投げ方すんな‼︎
馬鹿野郎。なんでそんな格好悪い事しちまうんだよ。これも追い詰め強迫行為かもしれん。いや、間違いなくそうだな
関係ないよな、自分の幸運を利用して生きる事のズルさ受け入れた、今の汚い私とは…
もったいねぇ… くだらんプライドと悪意抱えて自分を幸せに導いてくれるはずの他者を憎み散らすその醜態、弱さ、ルサンチマン
余計なお世話、同情するなら金をくれってか…
・
まあ、プライドこじらせ悪意マニアの人々がライフプラン立て直す為のヒント発信だけはやっていく
結局自分で自分の意地悪さを内省する事でしか先には進めないから
ライフステージ上げる上で画力は重要ではないという残酷さ受け入れられない作業者達が画力を凶器に変えて同族が抱くルサンチマンに火をつける
pixivと妻にプライド殺されるまで私もそちら側の人間でした
どうせ自分の方を向いてくれない価値や平和や温みならいっそぶち壊してやる、という
自分にとって役立たないしらねー他人の平和維持の為の税金払うのもう一切御免だ、という悪い決意
とにかく… 社会と人間心理を学んでくれ
自分の寂しさの本質を見据えてくれ
・
私は無責任でバカな自分を許す事で応援される機会を得てきた
意地悪な人は「意地悪な他者と社会に対する適応力が高過ぎる」んだと思う
意地悪とは平和で余裕ある社会の中で暇な貴族達が転がす生産性皆無なおもちゃなのに、貧乏で余裕ない立場のくせしてそれで遊んじゃうからバッファがどんどん減ってしまう
悪意ってほんと贅沢品だから
怒りとは裏切られた愛に対する被害感情の発露。まずね、戦略組まず野放図に愛を他人にばら撒いた自分の浅さと甘さを内省するとこから始めてもらいたい
あなたの中の悪意支える怒りを抱くきっかけとなった出来事を掘り下げて向き合ってほしい
その逆鱗に触れるものすべてを許さないという怯えとまずは向き合ってほしい
まあ、加藤諦三氏の本を数冊読めば容易に理解できる話ではある
私はゲームと漫画の鑑賞体験から外堀埋めてここへ辿り着いた
----------------------- 【6:00】
運任せで生き延びてきた人は敗けることに慣れてないから歳食っていざライフステージ上げる為の勝負に出て(明らかに自分より不運な出自の他者に)敗けると自信喪失し鬱になってしまう
だから幸運な人ほどその立場におんぶに抱っこで生きるのではなく実力を余裕を持って伸ばす為のバッファとしてそれを使うべき
自身を恵まれた立場だと自覚する者は努めて脅迫的状況に己を放り込み主観的不幸抱えた方が将来的には幸せになれる(どんなに無理しても死ねない幸運に支えられてるのだからその無茶な戦略が通るのだ)
----------------------- 【7:00-12:00】
記憶を遡る。まず、7:00くらいにすき家でハイキューコラボのビビン丼食べた。超美味い
そんで9:00には会社についたはず。そこから作画時短レシピ組みつつ娘のアバターに着彩した(アクション:加工画編集アセット参照)。娘にプレゼントするものだからあまりSNS特化の奇をてらった塗りにはしてない。線画状態から仕上げまで2h30min
まあ、なんでもいじりはじめたらそんくらいはいじる。1hでスパっと終わる絵なんてのは客観性切り捨てた駄画にしかならない(私の審美眼のレベルでは)自信+0.02V 総自信2.17V
もう11時間くらい起きてる。あと2時間(14:30)で眠気限界かー さあどうする?
[file:250209_2036avatar.psd]
【13:00-15:45】
2h30min寝てた。朝ビビン丼を食べてる割には動けてた方じゃないかな。自信変動ゼロ
寝て覚めると直前に描いた絵で何をどうすればスコア盛れたかを思いつく。その際の発想ポイントは時間描けず��れができて再現性があることだ
基本、時間かけたらそりゃマシになるかんな
今思いついた...もとい「思い出した」のは手書きブロックノイズだ
半分自動処理でフォトショで作ってもいいけど、最後は手描きでやった方が今の時代はスコア伸びる。作業時間は+10minってとこだろ。時短アクションは作ろう
----------------------- 【16:35】
寄せラクガキ会みたいに、毎日ちまちまいじってるうちになんか見栄えするものが出来上がるっていうフォーマット作らんと同人誌完成しないぞ。基本、誌面の中に「住む」ことでしか本は完成しない
描くとか作るとかじゃなく「住む」
いまここで私がこうしてテキストを絶え間なく書けるのも、この場所に「住んでいる」というマインドセットがあるからだ
これがゲスト枠で訪れた他人の土地なら「どうせすぐ去るのだから感情移入コストかけたくない」って思う
表SNSはそれっす。スコア低いもんはどうせすぐ消すんだし環境に感情移入したくない
ただ、比較的高スコアな成果物で足場固められたら、それはそれでそこそこ丈夫な「トーチカ」になるし、それを育てていけば「要塞」にもなる。さすがに「城」にはならない(所詮、サービス運営者の城下町だから)
・
表SNSにおいてスコア低い投稿は「壁に空いた穴(ナメられフラグであり弱点)」だ。そこからトーチカや要塞のエネルギー漏れるし手榴弾投げ込まれるし悪いやつらに侵入される
だから画像は450いいね以下削除。どんなにアカウントのレベル低くとも100いいね以下は削除だ。そんで早急に1000いいね以下削除にハードル引き上げた方がいい。1万フォロワーくらいならもうその運用でいい
私は同人誌作る際ぜったいに1000円で売ると決めて作る
なぜなら1000円か5000円か1万円じゃないとイベント開催中に「数」をさばけないから
お釣りの計算コストは限界まで下げる
だからどんなにやる気なくとも「1000円ぶん」の圧を持たせなきゃならない。だからページ数はどんなに削っても28P以上必要だし、理想は36Pだ
決意と覚悟は大きく借り入れる。そうすれば上のステージの経験値を先んじて学べる
自分を律し、仕事と趣味で赤字を出さない為にはハードルと締切は変動させない...
おいおいおいおい... 昨年11月締め切りのもんがいまだに終わってない私が言っていいアレではないぞ。いくら妻が引き受けてくれていたぶんの1/5くらいの子育てコストを今私が担っているとはいえ
・
いま、サブ垢は17000フォロワーくらいだが、投稿消しまくってフォロワーの500人くらいに嫌われたとしてもなんも問題ない
5万フォロワーくらいになればそれくらいのワガママ��動普通に許してもらえる。評価されてから急にふんぞり返るんじゃあなく最初から傲慢で独善的な態度ならそれを貫けば貫くほど信頼度は上がってゆく
寄付を習慣化している大金持ちは大してお金持っていない頃から寄付をし続けているというアレがある。「評価得て立ち位置築いて余裕できたらやってみたい」ではなく「評価低く余裕もないシーズン」からやりたい事はどんどんやる
・
どんな事であろうと「行動の一貫性」こそが信頼と評価に繋がるのだ
私は「皆の時間を奪う箱」を作りたい。その為の布石を打ちまくって生きたい。他者の時間を奪う...もとい「分けてもらう」ことにもっともっと積極的になりたい。人は時間を奪われれば奪われるほど、それを奪った相手を好きになる
なぜか。それは嫌いな相手に時間を奪われたと認めたら「自分がバカ」って事になっちゃうからだ。脳は基本的に自分をバカと認めたがらない。だから大量の時間を溶かしたコンテンツや人に対して「好意と愛着」を抱くように出来ている(だから感情移入促す仕組みとしてゲームはユーザーに対しくだらないおつかいを何度も繰り返させる)
これと似たアレで「頼み事を安請け合いするお人好しな相手」よりも「丁寧な理由つけて頼み事を断ってくるばかりか逆にお願いをしてくる相手」の方を好きになるという法則がある
人は「負荷」を自らの覚悟と決意をもって受け入れた時、その負荷にまつわる全てを好きになってしまうのだ
あなたを許してくれてる人々も、あなたが垂れ流す「どう考えても美味しくない料理」をバクバク食べてくれているでしょう?
それが愛されるって事なんす
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心と体においしいレシピ~その148
2回続けて「七草がゆ」についてお伝えしてきました。今回が最終回。といっても「七草がゆの日に作ろう」と準備してきたという、友人からのとっても貴重なお料理のお話。
友人から届いた、まずは写真。

『私は山形風に納豆汁を作りました、色々いっぱい入れようって年末から準備してて、
大根・人参・ごぼう・里芋・こんにゃく・かのか茸・なめこ・干し椎茸・蕨・芋がら・油揚げ・豆腐で12種類ですね。
これにすりつぶした納豆と味噌、吸い口はセリとねぎのみじん切りで4種類プラス、16種類となりました。あっ七味もふりかけると😉
かのか茸は月山の麓西川町産の缶詰で閉業につきラストひと缶、蕨の塩漬けは昨秋にパンジーの苗を薬莱へ買いに行った時に物産館で、それに絶対に忘れてはならない芋がら、山菜たっぷりが山形の味です。
山形を離れてもう40年ほど、どうしても食べたくなる母の味です。
仙台の人はあまり山菜を食べないイメージでしたが物産館などで手に入ることを知り味の再現が出来てとっても嬉しい。』
「七草がゆ」の日に作ろうと年末から準備していたという「お母さんの味」でもあり「ふるさとの味」でもあるという納豆汁・・・そんな料理や味があることはなんと豊かで幸せなことでしょうか。
ひとつひとつの食材を「これも揃った!」と喜んでいる様子も目に浮かびます。
そんな貴重な「納豆汁」、実は私もお福分けいただいたんです。「夕方にお鍋持ってきて」と・・・この頃ではお鍋持ってお福分けいただきに行��、ということあまりないのではないかしら?そのメールが届いただけで胸がいっぱいに・・・
この納豆汁、一緒に食べた家族と「美味しいねえ」「何もかもが完璧なバランス!」と感動しました。そして心も体もあったくなって、思わずホロリ、となりました。
ちょっとよそゆきの器でいただきました。

ご飯は、夏に仕込んだこれまた野菜いっぱいの味噌漬けのお茶漬けにしました。

友人のメールに「吸い口はセリとねぎのみじん切り」とありましたが、それは別にしてあって、よそった後に乗せられるようになっていました。(お茶漬けにも吸い口ちょっといただきました)
「七草がゆ」の日に、こんなに栄養たっぷり、愛情たっぷりのお料理をいただけたこと、本当にありがたく思いました。
素敵な素敵な美味しくあったかい「お福分け」ありがとうございました。ご馳走様でした!
今年元気に過ごせること、間違いなし、です!
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#高校生男子弁当 #塾弁当 コラーゲン手羽に裏から切れ目入れて食べやすく。あとインゲン人参に #岩下の新生姜 の千切りをベーコン巻きに。新生姜は豚巻きが上手いからこれもありだ。あとは豚ソテーに、ピーマン塩昆布和え。人参は手羽の汁で煮たからなまら美味し。 #昨日何食べた #昨日何食べたの再現レシピ #昨日何食べた読んでたら料理作りたくなる #晩御飯の献立 #朝御飯の記録 #うちごはん #手作り料理 #lunchbox #朝時間 #obentouLife #obento #お弁当作り楽しもう部 #作り置きおかず #つくおき #そとごはん #ランチボックス #野菜を食べよう #常備菜弁当 #bentobox #packedlunch #obentou #obentopark #今日のお弁当 #写真日記 #lunch_time #share_for_share #dinner #lunchbox #tastyjapan #delishfood #delicious_food デザイン用別垢 → http://instagram.com/crayons_and_pencils0114 (Sapporo-shi, Hokkaido, Japan) https://www.instagram.com/p/BxeX8mdgL4l/?igshid=1bi527xm5vzlv
#高校生男子弁当#塾弁当#岩下の新生姜#昨日何食べた#昨日何食べたの再現レシピ#昨日何食べた読んでたら料理作りたくなる#晩御飯の献立#朝御飯の記録#うちごはん#手作り料理#lunchbox#朝時間#obentoulife#obento#お弁当作り楽しもう部#作り置きおかず#つくおき#そとごはん#ランチボックス#野菜を食べよう#常備菜弁当#bentobox#packedlunch#obentou#obentopark#今日のお弁当#写真日記#lunch_time#share_for_share#dinner
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【3574日目②】2022-10-30 おいしさを忘れないうちにRスリランカの再現に挑戦しようと、食べたその足で新大久保へ。 @自宅 ____________________________________ スリランカのストリート中華料理の定番フライドヌードル、何度食べていますが作るのは初めてです。僕の拙い中国料理の知識と適当に調べた手順で、なんとなくレシピを起こしチャレンジ。新しいことは、手を動かすだけで楽しいものですね。 カレースープは、昨日お店で食べているときに想像で書き起こしてみましたが、作ってみると、いろいろ間違いに気がつきました。プロの料理はそんな簡単にたどり着けるものではないですよね。 *シーフードヌードルカレー うーん、スープの方向性はけっこう似てるけど…見た目と雰囲気が違う。とくにフライドヌードルはちゃんと勉強したい。 まぁ、そこそこおいしくできたから今日のところはいいかな^^ 有名なお店なので、ネットに再現レシピの情報などありそうでしたが、今回は調べずに作ってみました。 お店のオペレーションを考えて、どこで効率化してるかなぁーとか想像しながらレシピにしてみたけれど…きっと、もっと手数に少ないに違いない。 おいしさだけの追求とは違う、質と効率のバランス探し、面白いのでまたやってみようと思います。 ____________________________________ 🇱🇰 #srilanka #srilankanfood #asia #asianfood #tasty #spice #curry #currystagram #スリランカ #神保町 #カレー #カレースタグラム #スパイス #フクドローン #ふくすたぐらむ #Rスリランカ https://www.instagram.com/p/CkcUdCmrady/?igshid=NGJjMDIxMWI=
#srilanka#srilankanfood#asia#asianfood#tasty#spice#curry#currystagram#スリランカ#神保町#カレー#カレースタグラム#スパイス#フクドローン#ふくすたぐらむ#rスリランカ
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第二集中佳代子太太的食譜,加上史朗的食譜。 本來以為鮪魚加上日式美乃滋,放進日式沾麵醬中會很怪,結果是意外的好吃。在台灣很難買到茗荷和紫蘇,所以就用跳過,好想知道全加進去的味道。 涼麵超難拍,這是第三頓才拍好,不過這樣的味道吃個幾頓都不成問題。 不過這樣的涼麵有個大問題,吃的時候飽足感不夠,我還燙了大量的青菜🥬來補,但這樣吃即使吃飽,也超容易餓。 #昨日的美食 #きのう何食べた #きのう何食べた再現レシピ #きのう何食べたレシピ #food #foods #foodie (在 中和環球購物中心) https://www.instagram.com/p/BwZHXxShV9G/?utm_source=ig_tumblr_share&igshid=1makzo0nb922k
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裕くんが三日月亭でバイトする話(タイトル)
定晴ルート入った辺りのお話。
委員会イベやら本編の描写やらとあるルートネタバレやら有。
「なぁ裕。お前、数日ここでバイトしねえか?」 「は?バイト?」
いつものように三日月亭に買い物に来ていた俺は、店長から唐突な申し出を受けた。
「お前ドニーズでバイトしてたって言ってたよな?調理スタッフとしてもやれるだろ?」 「はあ。まぁ、確かにキッチンもやってたのでやれなくはないですが。どうしたんです?随分と突然ですね」
三日月亭は店長が一人で回している。 繁盛している時間は確かに忙しそうではあるが、注文、調理、配膳と見事に捌いている。 港の食堂を稼働させていた時の俺のような状態ではとてもない。 これが経験の差というものか。 いや、それは兎も角人員を雇う必要性をあまり感じないのだがどうしたというのだろうか。
「いや、その・・・ちょっと腰が・・・な」 「腰?店長腰悪くした��ですか?ちょ、大丈夫ですか!?海堂さん呼んできましょうか?あの人ああ見えてマッサージ得意なので」 「あー・・・そういうワケじゃ、いや、元はと言えばお前らがブランコなんか・・・」
なんだかよくわからないが随分と歯切れが悪い。 腰悪くしたことがそんなに言いにくい事なのか? 言葉尻が小さくて上手く聞き取れない。
「・・・あー、海堂の旦那の事は頼む。屈んだりすると結構痛むもんでな。基本はホール、こっちが手一杯になったらキッチンもやってもらうつもりだ。で、どうだ?まかない付きで給料もしっかり出すぜ。時給は・・・こんくらいでどうだ?」 「おお・・・意外と結構な金額出しますね」 「臨時とは言えこっちから頼んでるわけだしな。その分コキ使ってやるが」
海堂さんの事を頼まれつつ、仕事内容も確認する。 まぁ、ドニーズの頃と左程変わらないだろう。お酒の提供が主、くらいの違いか。 時給もこんな離島の居酒屋とは思えない程には良い。田舎の離島で時給四桁は驚きだ。 内容的にも特に問題ない。直ぐにでも始められるだろう。 とはいえ、屋敷に世話になっている身。勝手に決められるものでもない。
「非常に魅力的ではあるんですが、即断即決とは・・・。申し訳ないですが、一度持ち帰らせてください」 「おう。言っとくが夜の居酒屋の方だからな」 「キッチンの話出しといて昼間だったらそれはそれでビックリですよ。わかりました、また明日にでも返事に来ますよ」
話を終え、買い物を済ませて三日月亭を後にする。 バイト、かぁ・・・。
夕食後。皆で食後のお茶をいただいている時に俺は話を切り出した。 夜間の外出になるのでまずは照道さんに相談するべきだし、海堂さんにもマッサージの話をしなければならない。
「成程。裕さんがやりたいと思うなら、私は反対はしませんよ。店長には日ごろからお世話になっていますし」 「ほー。ま、いいんじゃねぇの?懐があったかくなることは悪いことじゃあねえじゃねえか。マッサージの方も受けといてやるよ。店長に借り作っとくのも悪くないしな」
難しい顔をされるかと思ったが、話はあっさりと通った。 海堂さんに至っては難色を示すかと思っていたが、損得を計算したのかこちらもすんなりと了承を得た。 ちょっと拍子抜けしつつ、改めて照道さんに確認する。
「えっと、本当にいいんですか?」 「ええ。ただ、裕さんの事を考えると帰りだけは誰かしらに迎えに行ってもらった方がいいかもしれませんね」
確かに。禍月の時ではなくても、この島は気性が荒い人は少なくない。 まして居酒屋で働くのだ。店長がいるとはいえ何かしらトラブルに巻き込まれる可能性もある。
「じゃあ、俺が迎えに行くぜ。なんなら向こうで普通に飲んでてもいいしな」
お茶を啜っていた勇魚さんがニカッと笑う。 あ、湯呑が空になってる。 急須を取り、勇魚さんの湯呑にお茶を注ぎながら問い返す。
「俺は助かりますけどいいんですか?はい、お茶のおかわり」 「お、さんきゅ。いいんだよ、俺がやりてえんだから。俺なら酔いつぶれることもねえしな。それに、そういうのは旦那の仕事だろ?」
自然な流れで旦那発言が出てきて驚きつつ、その事実に一気に顔が火照る。 うん、そうなんだけど。嬉しいんだけど。そうストレートに言われると恥ずかしいというかなんというか。
「え、と・・・ありがとうございます」 「けっ、惚気は余所でやれってんだ」 「ふふ・・・」
海堂さんのヤジも、照道さんの温かな眼差しもどこか遠くに感じる。 ヤバい。凄い嬉しい。でもやっぱ恥ずかしい。 そんな思いに悶々としていると、冴さんがコトリと湯呑を置いた。
「で、バイトはいいんだけど、その間誰が私達のおつまみを用意してくれるの?」 「はっ、そういやそうだ!オイ裕!お前自分の仕事はどうする気なんだ」
冴さんの一言に、海堂さんが即座に反応する。 ええ・・・酒飲みたちへのおつまみの提供、俺の仕事になってたの・・・?
「それこそ三日月亭に飲みに来ればいいのでは・・・?」 「それも悪くはないけれど、静かに飲みたい時には向かないのよ、あそこ。それに、この髭親父を担いで帰るなんて事、か弱い乙女の私にさせるの?」
確かに三日月亭は漁師の人達がいつもいるから賑やか、というかうるさい。 ゆったり飲むには確かに向かないかもしれない。ましてや冴さんは女性だから漁師たちの視線を集めまくることだろう。 さり気なく、海堂さんを担ぐのを無理ともできないとも言わない辺りが冴さんらしい。
「ふむ。俺��裕につまみのレシピを教えてもらっておけばいいだろう。新しいものは無理だが既存のレシピであれば再現して提供できる」 「それが無難ですかね。すみません、洋一さん。今日の分、一緒に作りましょう。他にもいくつか教えておきますので」 「ああ、問題ない」
結局、洋一さんが俺の代わりにおつまみ提供をしてくれる事になり、事なきを得た。
翌日、午前中に店長へと返事をした後、島を探索。 少々の収穫もありつつ、昼過ぎには切り上げ、陽が落ち始める前には三日月亭へと足を運んでいた。
「説明は大体こんなもんか。不明な点が出てきたら逐一聞いてくれ」 「はい。多分大丈夫だと思います」
注文の仕方、調理場の決まり、会計の方法。 業務の大半はドニーズでの経験がそのまま役立ちそうだ。 むしろ、クーポンだのポイントだのない分こちらの方がシンプルで楽かもしれない。 渡されたエプロンを付けて腰紐を後ろで縛る。うん、準備は万全だ。
「さ、頼むぞルーキー」 「店長が楽できるよう努めさせてもらいますよ」
そんな軽口をたたき合いながら店を開ける。 数分も経たないうちに、入り口がガラリと音を立てた。
「いらっしゃい」 「いらっしゃいませー!」
現れたのは見慣れた凸凹コンビ。 吾郎さんと潮さんだ。
「あれ?裕?お前こんなとこで何してんだ?」 「バイト・・・えっと、店長が腰悪くしたみたいで臨時の手伝いです」 「なに、店長が。平気なのか?」 「動けないって程じゃないらしいので良くなってくと思いますよ。マッサージも頼んでありますし。それまでは短期の手伝いです」 「成程なぁ・・・」
ここで働くようになった経緯を話しつつ、カウンター近くの席へご案内。 おしぼりを渡しつつ、注文用のクリップボードを取り出す。
「ご注文は?まずは生ビールです?生でいいですよね?」 「随分ビールを推すなお前・・・まぁ、それでいいか。潮もいいか?」 「ああ、ビールでいいぞ。後は―」
少々のおつまみの注文を受けつつ、それを店長へと投げる。
「はい、店長。チキン南蛮1、鶏もも塩4、ネギま塩4、ツナサラダ1」 「おう。ほい、お通しだ」
冷蔵庫から出された本日のお通し、マグロの漬けをお盆にのせつつ、冷えたビールジョッキを用意する。 ジョッキを斜めに傾けながらビールサーバーの取っ手を手前へ。 黄金の液体を静かに注ぎながら垂直に傾けていく。 ビールがジョッキ取っ手の高さまで注がれたら奥側に向けてサーバーの取っ手を倒す。 きめ細かな白い泡が注がれ、見事な7:3のビールの完成。 うん、我ながら完璧だ。 前いたドニーズのサーバーは全自動だったから一回やってみたかったんだよなぁ、これ。
「はい、生二丁お待たせしました。こっちはお通しのマグロの漬け���す」 「おう。んじゃ、乾杯ー!」 「ああ、乾杯」
吾郎さん達がビールを流し込むと同時に、入り口の引き戸が開く音がした。 そちらを向きつつ、俺は息を吸い込む。
「いらっしゃいませー!」
そんなスタートを切って、およそ2時間後。 既に席の半分は埋まり、三日月亭は盛況だ。 そんな中、またも入り口の引き戸が開き、見知った顔が入って来た。
「いらっしゃいませー!」 「おう、裕!頑張ってるみたいだな!」 「やあ、裕。店を手伝っているそうだな」 「勇魚さん。あれ、勇海さんも。お二人で飲みに来られたんですか?」
現れたのは勇魚さんと勇海さんの二人組。 俺にとっても良く見知ったコンビだ。
「勇魚から裕がここで働き始めたと聞いてな。様子見ついでに飲まないかと誘われてな」 「成程。こっちの席へどうぞ。・・・はい、おしぼりです。勇魚さんは益荒男ですよね。勇海さんも益荒男で大丈夫ですか?」 「ああ、頼むよ」 「はは、裕。様になってるぞ!」 「ありがとうございます。あまりお構いできませんがゆっくりしていってくださいね」
勇魚さんは俺の様子見と俺の迎えを兼ねて、今日はこのままここで飲むつもりなのだろう。 それで、勇海さんを誘ったと。 もう少しここにいたいが注文で呼ばれてしまっては仕方ない。 別の席で注文を取りつつ、すぐさまお酒の用意を準備をしなければ。
「いらっしゃいませー!」 「おッ、マジでいた!よう裕!遊びに来てやったぜ!」 「あれ、嵐の兄さん、照雄さんまで。何でここに?」
勇魚さん達が来てからしばらく経ったころ、店に見知った大柄な人物がやってくる。 道場の昭雄さんと嵐の兄さんだ。
「漁師連中の噂で三日月亭に新しい店員がいるって話を聞いてな」 「話を聞いて裕っぽいと思ったんだが大当たりだな!」 「確認するためだけにわざわざ・・・。ともかく、こっちの席にどうぞ。はい、おしぼりです」
働き始めたの、今日なんだけどな・・・。 田舎の噂の拡散力は恐ろしいな。 そんな事を思いつつ、2人を席に誘導する。 椅子に座って一息ついたのを確認し、おしぼりを渡しクリップボードの準備をする。
「おお。結構様になってるな。手際もいい」 「そりゃ照雄さんと違って裕は飲み込みいいからな」 「・・・おい」
照雄さんが俺を見て感心したように褒めてくれる。 何故か嵐の兄さんが誇らしげに褒めてくれるが、いつものように昭雄さん弄りも混じる。 そんな嵐の兄さんを、照雄さんが何か言いたげに半目で睨む。ああ、いつもの道場の光景だ。
「はは・・・似たようなことの経験があるので。お二人ともビールでいいですか?」 「おう!ついでに、裕が何か適当につまみ作ってくれよ」 「え!?やっていいのかな・・・店長に確認してみますね」
嵐の兄さんの提案により、店長によって「限定:臨時店員のおすすめ一品」が即座にメニューに追加されることとなった。 このおかげで俺の仕事は当社比2倍になったことを追記しておく。 後で申し訳なさそうに謝る嵐の兄さんが印象的でした。 あの銭ゲバ絶対許さねえ。
「おーい、兄ちゃん!注文ー!」 「はーい、只今ー!」
キッチン仕事の比重も上がった状態でホールもしなければならず、一気にてんてこ舞いに。
「おお、あんちゃん中々可愛い面してるなぁ!」 「はは・・・ありがとうございます」
時折本気なのか冗談なのかよくわからないお言葉を頂きつつ、適当に濁しながら仕事を進める。 勇魚さんもこっちを心配してくれているのか、心配そうな目と時折視線があう。 『大丈夫』という気持ちを込めて頷いてみせると『頑張れよ』と勇魚さんの口元が動いた。 なんかいいなァ、こういうの。 こっからも、まだまだ頑張れそうだ。
「そういえば、裕は道場で武術を学んでいるのだったか」 「おう。時たまかなり扱かれて帰って来るぜ。飲み込みが早いのかかなりの速度で上達してる。頑張り屋だよなぁ、ホント」 「ふふ、道場の者とも仲良くやっているようだな。嵐の奴、相当裕が気に入ったのだな」 「・・・おう、そうだな。・・・いい事じゃねえか」 「まるで兄弟みたいじゃないか。・・・どうした勇魚。複雑そうだな」 「勇海、お前さんわかって言ってるだろ」 「はは、どうだろうな。・・・ほら、また裕が口説かれているぞ」 「何っ!?ってオイ!勇海!」 「はははははっ!悪い。お前が何度もちらちらと裕の方を見ているのでな。あれだけ島の者を惹きつけているのだ、心配も当然だろう」 「裕を疑うわけじゃねえ。が、アイツ変なところで無防備だからよ。目を離した隙に手を出されちまうんじゃないかと気が気じゃねえんだよ」
何を話しているのかはここからじゃ聞こえないが、気安い親父たちの会話が交わされているらしい。 勇魚さんも勇海さんもなんだか楽しそうだ。
「成程な、当然だ。ふうむ・・・ならば勇魚よ、『網絡め』をしてみるか?立会人は俺がしてやろう」 「『網絡め』?なんだそりゃ」 「『網絡め』というのは��な―」
あまりにも楽しそうに会話しているので、まさかここであんな話をしているとは夢にも思わなかった。 盛大なイベントのフラグが既にここで立っていたのだが、この時点の俺にはあずかり知らぬ出来事であった。
そんなこんなで時間は過ぎ、あっという間に閉店時刻に。 店内の掃除を終え、食器を洗い、軽く明日の準備をしておく。 店長は本日の売り上げを清算しているが、傍から見ても上機嫌なのがわかる。 俺の目から見ても今日はかなり繁盛していた。 売り上げも中々良いはずだろう。
「いやぁ、やっぱお前を雇って正解だったな!調理に集中しやすいし、お前のおかげで客も増えるし財布も緩くなる!」 「おかげでこっちはクタクタですけどね・・・」 「真面目な話、本当に助かった。手際も良いしフードもいける。島にいる間定期的に雇ってもいいくらいだ。もっと早くお前の有用性に気づくべきだったな」
仕事ぶりを評価してくれているのか、便利な人材として認識されたのか。 両方か。
「俺も俺でやることがあるので定期は流石に・・・」 「ま、ひと夏の短期バイトが関の山か。ともかく、明日もよろしく頼むぜ」 「はい。店長もお大事に。ま��明日」
金銭管理は店長の管轄だし、もうやれることはない。 店長に挨拶をし、帰路につくことにする。 店を出ると、勇魚さんが出迎えてくれた。
「さ、帰ろうぜ、裕」 「お待たせしました。ありがとうございます、勇魚さん」 「いいって事よ」
三日月亭を離れ、屋敷までの道を二人で歩いていく。 店に居た時はあんなに騒がしかったのに、今はとても静かだ。 そんな静かな道を二人っきりで歩くのって・・・何か、いいな。
「・・・にしてもお前、よく頑張ってたな」 「いや、途中からてんてこ舞いでしたけどね。飲食業はやっぱ大変だなぁ」 「そうか?そう言う割にはよく働いてたと思うぜ?ミスもねえし仕事遅くもなかったし」 「寧ろあれを日がな一人で捌いてる店長が凄いですよ」 「はは!そりゃあ本業だしな。じゃなきゃやってけねえだろうさ」
勇魚さんに褒められるのは単純に嬉しいのだが、内心は複雑だ。 一日目にしてはそれなりにやれたという自覚もあるが、まだまだ仕事効率的にも改善点は多い。 そういう部分も無駄なくこなしている店長は、何だかんだで凄いのだ。
「にしても、この島の人達はやっぱり気さくというか・・・気安い方が多いですね」 「そう、だな・・・」
酒も入るからか、陽気になるのは兎も角、やたらとスキンシップが多かった。 肩を組んでくるとかならまだいいが、引き寄せるように腰を掴んできたり、ちょっとしたセクハラ発言が飛んできたり。 幸か不幸か海堂さんのおかげで耐性がついてしまったため、適当に流すことは出来るのだが。
「裕、お前気を付けろよ」 「はい?何がですか?」 「この島の連中、何だかんだでお前の事気に入ってる奴多いからな。こっちは心配でよ」 「勇魚さんも俺の事言えないと思いますけど・・・。大丈夫ですよ、俺は勇魚さん一筋ですから」 「お、おう・・・」
勇魚さんは俺の事が心配なのか、どこか不安そうな顔で俺を見る。 モテ具合で言ったら寧ろ勇魚さんの方が凄まじい気がするので俺としてはそっちの方が心配だ。 でも、その気遣いが、寄せられる想いが嬉しい。 その温かな気持ちのまま、勇魚さんの手を握る。 一瞬驚いた顔をした勇魚さんだが、すぐさま力強く握り返される。
「へへっ・・・」 「あははっ」
握った手から、勇魚さんの熱が伝わってくる。 あったかい。手も。胸も。 温かな何かが、胸の奥から止まることなく滾々と湧き出てくるようだ。 なんだろう。今、すごく幸せだ。
「なぁ、裕。帰ったら風呂入って、その後晩酌しようぜ」 「閉店直前まで勇海さんと結構飲んでましたよね?大丈夫なんですか?」 「あんくらいじゃ潰れもしねえさ。な、いいだろ。ちょっとだけ付き合ってくれよ」 「全くもう・・・。わかりましたよ。つまむもの何かあったかなぁ」
という訳でお風呂で汗を流した後、縁側で勇魚さんとちょっとだけ晩酌を。 もう夜も遅いので、おつまみは火を使わない冷奴とぬか漬けと大根おろしを。
「お待たせしました」 「おっ、やっこにぬか漬けに大根おろしか。たまにはこういうのもいいなあ」 「もう夜遅いですからね。火をつかうものは避けました」
火を使って���問題は無いのだが、しっかりと料理を始めたら何処からかその匂いにつられた輩が来る可能性もある。 晩酌のお誘いを受けたのだ。 どうせなら二人きりで楽しみたい。
「お、このぬか漬け。よく漬かってんな。屋敷で出してくれるのとちと違う気がするが・・・」 「千波のお母さんからぬか床を貰いまして。照道さんには、俺個人で消費して欲しいと言われてますので・・・」 「ああ、ぬか床戦争って奴だな!この島にもあんのか」
ぬか漬け、美味しいんだけどその度に沙夜さんと照道さんのあの時の圧を思い出して何とも言えない気分になるんだよなぁ。 こうして勇魚さんにぬか漬けを提供できる点に関しては沙夜さんに感謝なんだけど。 というかぬか床戦争なんて単語、勇魚さんの口から出ることに驚きを感じますよ・・・。 他の地域にもあるのか?・・・いや、深く考えないようにしよう。
「そういえば前にからみ餅食べましたけど、普通の大根おろしも俺は好きですねえ」 「絡み・・・」
大根おろしを食べていると白耀節の時を思い出す。 そういえば勇魚さんと海堂さんでバター醤油か砂糖醬油かで争ってたこともあったなぁ。 と、先ほどまで饒舌に喋っていた勇魚さんが静かになったような気がする。 何があったかと思い勇魚さんを見ると、心なしか顔が赤くなっているような気がする。
「勇魚さん?どうしました?やっぱりお酒回ってきました?」 「いや・・・うん。なんでもねえ、気にすんな!」 「・・・???まぁ、勇魚さんがそう言うなら」
ちょっと腑に落ちない感じではあったが、気にしてもしょうがないだろう。 そこから小一時間程、俺は勇魚さんとの晩酌を楽しんだのであった。
翌日、夕方。 三日月亭にて―
「兄ちゃん!注文いいかー?この臨時店員のおすすめ一品っての2つ!」 「こっちにも3つ頼むぜー」 「はーい、今用意しまーす!ちょ、店長!なんか今日やたら客多くないですか!?」 「おう、ビビるぐらい客が来るな。やっぱりお前の効果か・・・?」
もうすぐ陽が沈む頃だと言うのに既に三日月亭は大盛況である。 昨日の同時刻より明らかに客数が多い。 ちょ、これはキツい・・・。
「ちわーっとぉ、盛況だなオイ」 「裕ー!面白そうだから様子見に来たわよー」 「・・・大変そうだな、裕」
そんな中、海堂さんと冴さん、洋一さんがご来店。 前二人は最早冷やかしじゃないのか。
「面白そうって・・・割と混んでるのであんまり構えませんよ。はい、お通しとビール」 「いいわよォ、勝手にやってるから。私、唐揚げとポテトサラダね」 「エイヒレ頼むわ。後ホッケ」 「はいはい・・・」
本日のお通しである卯の花を出しながらビールジョッキを3つテーブルに置く。 この二人、頼み方が屋敷の時のソレである。 ぶれなさすぎな態度に実家のような安心感すら感じr・・・いや感じないな。 何だ今の感想。我が事ながら意味がわからない。
「裕。この『限定:臨時店員のおすすめ一品』というのは何だ?」 「俺が日替わりでご用意する一品目ですね。まぁ、色々あってメニューに追加になりまして」 「ふむ。では、俺はこの『限定:臨時店員のおすすめ一品』で頼む」 「お出しする前にメニューが何かもお伝え出来ますよ?」 「いや、ここは何が来るかを期待しながら待つとしよう」 「ハードル上げるなァ。唐揚げ1ポテサラ1エイヒレ1ホッケ1おすすめ1ですね。店長、3番オーダー入りまーす」
他の料理は店長に投げ、俺もキッチンに立つ。 本日のおすすめは鯵のなめろう。 処理した鯵を包丁でたたいて細かく刻み、そこにネギと大葉を加えてさらに叩いて刻む。 すりおろしたにんにくとショウガ、醤油、味噌、を加え更に細かく叩く。 馴染んだら下に大葉を敷いて盛り付けて完成。 手は疲れるが、結構簡単に作れるものなのだ。 そうして用意したなめろうを、それぞれのテーブルへと運んでいく。 まだまだピークはこれからだ。気合い入れて頑張ろう。
そう気合を入れ直した直後にまたも入り口の引き戸が音を立てたのであった。 わぁい、きょうはせんきゃくばんらいだー。
「おーい裕の兄ちゃん!今日も来たぜ!」 「いらっしゃいませー!連日飲んでて大丈夫なんですか?明日も朝早いんでしょう?」 「はっは、そんくらいで漁に行けない軟弱な野郎なんざこの打波にはいねえさ」 「むしろ、お前さんの顔見て元気になるってもんだ」 「はァ、そういうもんですか?とは言え、飲み過ぎないように気を付けてくださいね」
「なぁあんちゃん。酌してくれよ」 「はいはい、只今。・・・はい、どうぞ」 「っかー!いいねぇ!酒が美味ぇ!」 「手酌よりかはマシとは言え、野郎の酌で変わるもんです?」 「おうよ!あんちゃんみたいな可愛い奴に酌されると気分もいいしな!あんちゃんなら尺でもいいぜ?」 「お酌なら今しているのでは・・・?」 「・・・がはは、そうだな!」
「おい、兄ちゃんも一杯どうだ?飲めない訳じゃねえんだろ?」 「飲める歳ではありますけど仕事中ですので。皆さんだってお酒飲みながら漁には出ないでしょう?」 「そらそうだ!悪かったな。・・・今度、漁が終わったら一緒に飲もうぜ!」 「はは、考えておきますね」
ただのバイトに来ている筈なのに、何だか何処ぞのスナックのママみたいな気分になってくる。 それも、この島の人達の雰囲気のせいなのだろうか。
「あいつすげぇな。看板娘みてぇな扱いになってんぞ」 「流石裕ね。二日目にして店の常連共を掌握するとは。崇といい、これも旺海の血なのかしら?」 「もぐもぐ」 「さぁな。にしても、嫁があんなモテモテだと勇魚の野郎も大変だねぇ」 「裕の相手があの勇魚だって知った上で尚挑めるのかが見ものね」 「もぐもぐ」 「洋一、もしかしてなめろう気に入ったのか?」 「・・・うまい。巌もどうだ?」 「お、おう」
料理を運んでいる途中、洋一さんがひたすらなめろうを口に運んでいるのが目に入る。 もしかして、気に入ったのかな? そんな風にちょっとほっこりした気持ちになった頃、嵐は唐突に現れた。 嵐の兄さんじゃないよ。嵐の到来って奴。
「おーう裕。頑張っとるようじゃのう」 「あれ、疾海さん?珍しいですね、ここに来るなんて」 「げ、疾海のジジィだと!?帰れ帰れ!ここにはアンタに出すもんなんてねぇ!裕、塩持って来い塩!」
勇海さんのお父さんである疾海さんが来店。 この人がここにやってくる姿はほとんど見たことがないけれど、どうしたんだろう。 というか店長知り合いだったのか。
「なんじゃ店主、つれないのう。こないだはあんなに儂に縋り付いておったというのに」 「バッ・・・うるせェ!人の体好き放題しやがって!おかげで俺は・・・!」 「何言っとる。儂はちょいとお前さんの体を開いただけじゃろが。その後に若い衆に好き放題されて悦んどったのはお前さんの方じゃろ」
あー・・・そういう事ね。店長の腰をやった原因の一端は疾海さんか。 うん、これは聞かなかったことにしておこう。 というか、あけっぴろげに性事情を暴露されるとか店長が不憫でならない。
「のう、裕よ。お主も興味あるじゃろ?店主がどんな風に儂に縋り付いてきたか、その後どんな風に悦んでおったか」 「ちょ、ジジィてめぇ・・・」 「疾海さん、もうその辺で勘弁してあげてくださいよ。店長の腰がやられてるのは事実ですし、そのせいで俺が臨時で雇われてるんですから。益荒男でいいですか?どうぞ、そこの席にかけてください」 「おい、裕!」 「店長も落ち着いて。俺は何も見てませんし聞いてません。閉店までまだまだ遠いんですから今体力使ってもしょうがないでしょう。俺が疾海さんの相手しますから」 「―ッ、スマン。頼んだぞ、裕」
店長は顔を真っ赤にして逃げるようにキッチンへと戻っていった。 うん、あの、何て言うか・・・ご愁傷様です。 憐れみの視線を店長に送りつつお通しと益荒男を準備し、疾海さんの席へと提供する。
「よう店主の手綱を握ったのう、裕。やるもんじゃな」 「もとはと言えば疾海さんが店長をおちょくるからでしょう。あんまりからかわないでくださいよ」
にやにやと笑う疾海さんにため息が出てくる。 全く・・・このエロ爺は本当、悪戯っ子みたいな人だ。 その悪戯が天元突破したセクハラばかりというのもまた酷い。 しかも相手を即落ち、沈溺させるレベルのエロ技術を習得しているからなおさら性質が悪い。
「にしても、裕。お前さんもいい尻をしておるのう。勇魚の竿はもう受けたか?しっかりと耕さんとアレは辛いじゃろうて」
おもむろに尻を揉まれる。いや、揉みしだかれる。 しかも、その指が尻の割れ目に・・・ってオイ!
「―ッ!」
脳が危険信号を最大限に発し、半ば反射的に体が動く。 右手で尻を揉みしだく手を払いのけ、その勢いのまま相手の顔面に左の裏拳を叩き込む! が、振り抜いた拳に手ごたえは無く、空を切ったのを感じる。 俺は即座に一歩下がり、構えを解かずに臨戦態勢を維持。 チッ、屈んで避けたか・・・。
「っとぉ、危ないのう、裕。儂の男前な顔を台無しにするつもりか?」 「うるせえジジイおもてでろ」 「ほう、その構え・・・。成程、お前さん辰巳の孫の���こに師事したんか。道理で覚えのある動きじゃ。じゃが、キレがまだまだ甘いのう」
かなりのスピードで打ち込んだ筈なのに易々と回避されてしまった。 やはりこのジジイ只者ではない。 俺に攻撃をされたにも関わらず、にやにやとした笑いを崩さず、のんびりと酒を呷っている。 クソッ、俺にもっと力があれば・・・!
「おい裕、どうした。何か擦れた音が、ってオイ。マジでどうした!空気が尋常じゃねぇぞ!?」
店内に突如響いた地面を擦る音に、店長が様子を見に来たようだ。 俺の状態に即座に気づいたようで、後ろから店長に羽交い締めにされる。
「店長どいてそいつころせない」 「落ち着け!何があったか想像はつくが店ん中で暴れんな!」 「かかかっ!可愛い奴よな、裕。さて、儂はまだ行くところがあるでの。金はここに置いとくぞ」
俺が店長に止められている間に、エロ爺は笑いながら店を後にした。 飲み食い代よりもかなり多めの金額が置かれているのにも腹が立つ。
「店長!塩!」 「お、おう・・・」
さっきとはまるきり立場が逆である。 店の引き戸を力任せにこじ開け、保存容器から塩を鷲掴む。
「祓い給え、清め給え!!消毒!殺菌!滅菌ッ!!!」
適当な言葉と共に店の前に塩をぶちまける。 お店の前に、白い塩粒が散弾のように飛び散った。
「ふー、ふー、ふーッ!・・・ふぅ」 「・・・落ち着いたか?」 「・・・ええ、何とか」
ひとしきり塩をぶちまけるとようやく気持ちが落ち着いてきた。 店長の気遣うような声色に、何ともやるせない気持ちになりながら返答する。 疲労と倦怠感に包まれながら店の中に戻ると、盛大な歓声で出迎えられる。
「兄さん、アンタやるじゃねぇか!」 「うおッ!?」 「疾海のじいさんにちょっかいかけられたら大体はそのまま食われちまうのに」 「ひょろっちい奴だと思ってたがすげえ身のこなしだったな!惚れ惚れするぜ!」 「あ、ありがとうございます・・・はは・・・」
疾海さんは俺と勇魚さんの事を知っているから、単にからかってきただけだろうとは思っている。 エロいし奔放だし子供みたいだが、意外と筋は通すし。 あくまで「比較的」通す方であって手を出さない訳ではないというのが困りものではあるが。 そんな裏事情をお客の人達が知っている訳もなく、武術で疾海さんを退けたという扱いになっているらしい。 けど、あのジジイが本気になったら俺の付け焼刃な武術じゃ相手にならない気がする。 さっきの物言いを考えると辰馬のおじいさんとやりあってたって事になる。 ・・・うん、無理そう。
「おっし!そんなあんちゃんに俺が一杯奢ってやろう!祝杯だ!」 「いいねえ!俺も奢るぜ兄ちゃん!」 「抜け駆けすんな俺も奢るぞ!」 「ええっ!?いや、困りますって・・・俺、仕事中ですし・・・」 「裕、折角なんだし受けておきなさいな��
どうしようかと途方に暮れていると、いつの間にか冴さんが隣に来ていた。 と、それとなく手の中に器のようなものを握らされた。
「冴さん。あれ、これって・・・」
横目でちらりと見ると『咲』の字が入った器。 これ、咲夜の盃・・・だよな?
「腕も立って酒にも強いと知っとけば、あの連中も少しは大人しくなるでしょ。自衛は大事よ」 「はぁ・・・自衛、ですか」 「後でちゃんと返してね」
これって確か、持ってるだけで酒が強くなるって盃だったっけ。 その効果は一度使って知っているので、有難く使わせてもらうとしよう。 店長もこっちのやりとりを見ていたのか何も言うこと無く調理をしていた。
「おっ、姐さんも一緒に飲むかい!?」 「ええ。折角だから裕にあやからせてもらうわ。さぁ、飛ばしていくわよ野郎共ー!」 「「「「おおーっ!!」」」」 「お、おー・・・」
その後、ガンガン注がれるお酒を消費しつつ、盃を返す、を何度か繰り返すことになった。 途中からは冴さんの独壇場となり、並み居る野郎共を悉く轟沈させて回っていた。 流石っス、姐さん。 ちなみに俺は盃のご利益もあり、その横で飲んでいるだけで終わる事になった。
そんな一波乱がありつつも、夜は更けていったのだった。
そんなこんなで本日の営業終了時刻が近づいてくる。 店内には冴さん、海堂さん、洋一さんの3人。 冴さんはいまだ飲んでおり、その底を見せない。ワクなのかこの人。 海堂さんはテーブルに突っ伏してイビキをかいており、完全に寝てしまっている。 洋一さんはそんな海堂さんを気にしつつ、お茶を啜っている。 あんなにいた野郎共も冴さんに轟沈させられた後、呻きながら帰って行った。 明日の仕事、大丈夫なんだろうか・・・。
後片付けや掃除もほぼ終わり、後は冴さん達の使っているテーブルだけとなった時、入り口が壊れそうな勢いで乱暴に開いた。
「裕ッ!」 「うわっ、びっくりした。・・・勇魚さん、お疲れ様です」
入り口を開けて飛び込んできたのは勇魚さんだった。 いきなりの大声にかなり驚いたが、相手が勇魚さんとわかれば安心に変わる。 だが、勇魚さんはドスドスと近づいてくると俺の両肩をガシリと掴んだ。
「オイ裕!大丈夫だったか!?変な事されてねえだろうな!」
勇魚さんにしては珍しく、かなり切羽詰まった様子だ。 こんなに心配される事、あったっけ・・・? 疑問符が浮かぶがちらりと見えた勇海さんの姿にああ、と納得する。 というか苦しい。掴まれた肩もミシミシ言ってる気がする。
「うわっ!?大丈夫、大丈夫ですって。ちょ、勇魚さん苦しいです」 「お、おう。すまねえ・・・」
宥めると少し落ち着いたのか、手を放してくれる。 勇魚さんに続いて入って来た勇海さんが、申し訳なさそうに口を開いた。
「裕、すまないな。親父殿が無礼を働いたそうだな」 「勇海さんが気にすることではないですよ。反撃もしましたし。まぁ、逃げられたんですけど」 「裕は勇魚のつがいだと言うのに、全く仕方のないことだ。親父殿には私から言い聞かせておく。勘弁してやって欲しい」 「疾海さんには『次やった���その玉潰す』、とお伝えください」 「ははは、必ず伝えておくよ」
俺の返答に納得したのか、勇海さんは愉快そうに笑う。 本当にその時が来た時の為に、俺も更なる修練を積まなければ。 ・・・気は進まないけど、辰馬のおじいさんに鍛えてもらう事も視野に入れなければならないかもしれない。
「裕、今日はもう上がっていいぞ。そいつら連れて帰れ」 「え、いいんですか?」 「掃除も殆ど終わってるしな。色々あったんだ、帰って休んどけ」
俺に気を遣ってくれたのか、はたまたさっさと全員を返したかったのか、店長から退勤の許可が出た。 ここは有難く上がらせてもらおう。色々あって疲れたのは事実だ。
「じゃあ、折角ですので上がらせてもらいます。お疲れ様でした」 「おう。明日も頼むぞ」
店長に挨拶をし、皆で店を出る。 勇海さんはここでお別れとなり、俺、勇魚さん、冴さん、海堂さん、洋一さんの5人で帰る。 寝こけている海堂さんは洋一さんが背負っている。
「裕、ホントに他に何も無かったんだろうな!?」 「ですから、疾海さんにセクハラ受けただけですって。その後は特に何も無かったですし・・・」
で、帰り道。勇魚さんに詰問されております。 心配してくれるのはとても嬉しい。 嬉しいんだけど、過剰な心配のような気もしてちょっと気おくれしてしまう。
「俺に気を遣って嘘ついたりすんじゃねえぞ」 「冴さん達も一緒にいたのに嘘も何もないんですが・・・」 「裕の言ってる事に嘘はないわよ。疾海の爺さんに尻揉まれてたのも事実だけど」 「・・・思い出したら何か腹立ってきました。あのジジイ、次に会ったら確実に潰さなきゃ」
被害者を減らすにはその大本である性欲を無くすしかないかな? やっぱり金的か。ゴールデンクラッシュするしかないか。 あの驚異的な回避力に追いつくためにはどうすればいいか・・・。 搦め手でも奇襲なんでもいい、当てさえすればこちらのものだろう。 そう思いながら突きを繰り出し胡桃的な何かを握り潰す動作を数回。 駄目だな、やっぱりスピードが足りない。
「成程、金的か」 「裕、その、ソイツは・・・」
洋一さんは俺の所作から何をしようとしているかを読み取ったようだ。 その言葉にさっきまで心配一色だった勇魚さんの顔色変わる。 どうしました?なんで微妙に股間を押さえて青ざめてるんです?
「冴さん。こう、男を不能寸前まで追い込むような護身術とかないですかね?」 「あるにはあるけど、そういうの覚えるよりもっと確実な方法があるわよ」 「え?」 「勇魚。アンタもっと裕と一緒にいなさい。で、裕は俺の嫁アピールしときなさい」
嫁。勇魚さんのお嫁さん。 うん、事実そうなんだけどそれを改めて言われるとなんというか。 嬉しいんだけど、ねぇ?この照れくさいような微妙な男心。
「裕。頬がだいぶ紅潮しているようだが大丈夫か?」 「だ、大丈夫です。何というか、改めて人に言われると急に、その・・・」 「ふむ?お前が勇魚のパートナーである事は事実だろう。港の方でも知れ渡っていると聞いている。恥ずべきことではないと思うが?」 「恥ずかしいんじゃなくて嬉しくも照れくさいというか・・・」 「・・・そういうものか。難しいものだな」
洋一さんに指摘され、更に顔が赤くなる。 恥ずかしいわけじゃない。むしろ嬉しい。 でも、同じくらい照れくささが湧き上がってくる。 イカン、今凄い顔が緩みまくってる自覚がある。
「流石にアンタ相手に真正面から裕に手を出す輩はいないでしょう。事実が知れ渡れば虫よけにもなって一石二鳥よ」 「お、おお!そうだな!そっちの方が俺も安心だ!うん、そうしろ裕!」
冴さんの案に我が意を得たりといった顔の勇魚さん。 妙に食いつきがいいなァ。 でも、それって四六時中勇魚さんと一緒にいろって事では?
「勇魚さんはそれでいいんですか?対セクハラ魔の為だけに勇魚さんの時間を割いてもらうのは流石にどうかと思うんですが」 「んなこたあねえよ。俺だってお前の事が心配なんだ。これくらいさせてくれよ」 「そう言われると断れない・・・」
申し訳ない旨を伝えると、純粋な好意と気遣いを返される。 実際勇魚さんと一緒に居られるのは嬉しいし、安心感があるのも事実だ。
「裕、あんたはあんたで危機感を持った方がいいわよ」 「危機感、といいますとやっぱりセクハラ親父やセクハラ爺の対処の話ですか?」
冴さんの言葉に、2人の男の顔が思い浮かぶ。 悪戯、セクハラ、煽りにからかい。あの人たちそういうの大好きだからなぁ。 でも、だいぶ耐性はついたし流せるようになってきたと思ってるんだけど。
「違うわよ。いやある意味同じようなモンか」 「客だ、裕」 「客?お店に来るお客さんって事ですか?」
え、海堂さんとか疾海さんじゃないのか。 そう思っていると意外な答えが洋一さんの方から返って来た。 客の人達に何かされたりは・・・ない筈だったけど。
「店にいた男たちはかなりの人数が裕を泥酔させようと画策していたな。冴が悉くを潰し返していたが」 「何っ!?」 「え!?洋一さん、それどういう・・・」
何その事実今初めて知った。どういうことなの。
「今日店に居た男たちは皆一様にお前をターゲットとしていたようだ。やたらお前に酒を勧めていただろう。お前自身は仕事中だと断っていたし、店長もお前に酒がいかないようそれとなくガードしていた。だがお前が疾海を撃退したとなった後、躍起になるようにお前に飲ませようとしていただろう。だから冴が向かったという訳だ」 「疾海の爺さん、なんだかんだでこの島でもかなりの手練れみたいだしね。物理でだめならお酒でって寸法だったみたいね」 「えっと・・・」 「食堂に来てた立波さん、だったかしら。ここまで言えばわかるでしょ?店長も何だかんだでそういう事にならないよう気を配ってたわよ」
あァ、成程そういう事か。ようやく俺も理解した。 どうやら俺は三日月亭でそういう意味での好意を集めてしまったという事らしい。 で、以前店長が言っていた「紳士的でない方法」をしようとしていたが、疾海さんとのやりとりと冴さんのおかげで事なきを得たと、そういう事か。
「えー・・・」 「裕・・・」
勇魚さんが俺を見る。ええ、心配って顔に書いてますね。 そうですね、俺も逆の立場だったら心配しますよ。
「なあ裕。明日の手伝いは休んどけ。店には俺が行くからよ」 「いや、そういうワケにもいかないでしょう。勇魚さん、魚は捌けるでしょうけど料理できましたっけ?」 「��、料理ができない訳じゃねえ・・・なんとかなるだろ」
あっけらかんと笑う勇魚さんだが、俺には不安要素しかない。 確かに料理ができない訳じゃないけど如何せん漢の料理だ。店長の補助とかができるかと言うと怪しい。 この島に来てからの勇魚さんの功績をふと思い返す。 餅つき・・・臼・・・ウッアタマガ。 ・・・ダメだ、食材ごとまな板真っ二つにしそうだし、食器を雑に扱って破壊しそうな予感しかしない。 勇魚さんの事だからセクハラされたりもしそうだ。 ダメダメ、そんなの俺が許容しません。
「様々な観点から見て却下します」 「裕ぅ~・・・」
そんなおねだりみたいな声したって駄目です。 却下です却下。
「裕、ならば俺が行くか?」 「お願いしたいのは山々なんですが洋一さんは明日北の集落に行く予定でしたよね。時間かかるって仰ってたでしょう?」 「ふむ。ならば巌に―」 「いえ、海堂さんには店長のマッサージもお願いしてますしこれ以上は・・・」
洋一さんが申し出てくれるが、洋一さんは洋一さんで抱えてる事がある。 流石にそれを曲げてもらうわけにはいかない。 海堂さんなら色んな意味で文句なしの人材ではあるのだが、既にマッサージもお願いしている。 それに、迂闊に海堂さんに借りを作りたくない。後が怖い。
「洋一も無理、巌も無理とするならどうするつもりなんだ?高瀬か?」 「勇魚さん、三日月亭の厨房を地獄の窯にするつもりですか?」 「失礼ねェ。頼まれてもやらないわよ」
勇魚さんからまさかの選択が投げられるがそれは無理。 冴さんとか藤馬さんに立たせたら三日月亭から死人が出る。三日月亭が営業停止する未来すらありえる。 頼まれてもやらないと冴さんは仰るが、「やれないからやらない」のか「やりたくないからやらない」のかどっちなんだ。
「明日も普通に俺が行きますよ。ついでに今後についても店長に相談します」 「それが一番ね。店長も裕の状況に気づいてるでしょうし」 「巌の話だとマッサージのおかげかだいぶ良くなってきているらしい。そう長引きはしないだろう」 「後は勇魚がガードすればいいのよ」 「おう、そうか。そうだな」
そんなこんなで話も固まり、俺達は屋敷に到着した。 明日は何事もなく終わってくれればいいんだけど・・・。 そんな不安も抱えつつ、夜は過ぎていった。
そしてバイト三日目。 俺は少し早めに三日月亭へと来ていた。
「ああ、だよなぁ。すまんな、そっちの可能性も考えてなかったワケじゃ無いんだが・・・そうなっちまうよなあ」
俺の状況と今後の事を掻い摘んで説明すると、店長は疲れたように天井を仰ぐ。
「何というか・・・すみません。腰の具合はどうです?」
別に俺が何かをしたわけではないけれど、状況の中心にいるのは確かなので申し訳ないとは思う。
「海堂の旦那のおかげでだいぶ良くなった。もう一人でも回せそうだ。何なら今日から手伝わなくてもいいんだぞ?」
店長はそう言うが、完治しているわけでもない。 悪化するわけではないだろうが気になるのも事実。 なので、昨日のうちに勇魚さんと決めていた提案を出すことにする。
「でも全快というわけでもないんでしょう?引き受けたのは自分です。勇魚さんもいますし、せめて今日までは手伝わせてくださいよ」 「心意気はありがてえが・・・。わかった、面倒ごとになりそうだったらすぐさま離れろよ?勇魚の旦那も頼むぜ」 「おう!」 「はい!さ、今日も頑張りましょう!」
昨日話した通り今日は開店から勇魚さんも店に居てくれる。 万が一な状態になれば即座に飛んできてくれるだろう。 それだけで心の余裕も段違いだ。
「裕、無理すんなよ」 「わかってますよ。勇魚さんも、頼みますね」 「おう、任せときな!」
勇魚さんには店内を見渡せる席に座ってもらい、適当に時間を潰してもらう。 俺は店長と一緒に仕込みを始めながら新メニューの話も始める。 途中、勇魚さんにビールとお通しを出すのも忘れずに。
「新しいメニュー、どうすっかねぇ」 「今日の一品、新レシピも兼ねてゴーヤーチャンプルーでいこうかと思うんですよ」 「ほー。確かに苦瓜なら栽培してるとこはそこそこあるしな。行けるだろう」 「スパム缶は無くても豚肉や鶏肉でいけますからね。肉が合わないなら練り物やツナでも大丈夫です。材料さえあれば炒めるだけってのも高ポイント」 「肉に卵にと寅吉んとこには世話になりっぱなしだな。だが、いいねえ。俺も久しぶりにチャンプルーとビールが恋しくなってきやがった」 「後で少し味見してくださいよ。島の人達の好み一番把握してるの店長なんだから。・・・でも、やっぱり新メニュー考えるのは楽しいな」 「・・・ったく、面倒ごとさえ無けりゃあこのまま働いてもらえるってのに。無自覚に野郎共の純情を弄びやがって」 「それ俺のせいじゃないですよね・・・」
調理実習をする学生みたいにわいわい喋りながら厨房に立つ俺達を、勇魚さんはニコニコしながら見ている。 あ、ビールもう空きそう。おかわりいるかな? そんな風に営業準備をしていると時間はあっという間に過ぎ去り、開店時間になる。 開店して数分も経たないうちに、店の引き戸がガラリと開いた。
「いらっしゃいませー!」
「裕、お前まだここで働いてたのか」 「潮さん、こんばんは。今日までですけどね。あくまで臨時なので」 「ふむ、そうか。勇魚の旦那もいるのか」 「おう、潮。裕の付き添いでな」 「・・・ああ、成程な。それは確かに必要だ」
「おっ、今日も兄ちゃんいるのか!」 「いらっしゃいませ!ははは、今日で終わりなんですけどね」 「そうなのか!?寂しくなるなぁ・・・。なら、今日こそ一杯奢らせてくれよ」 「一杯だけならお受けしますよ。それ以上は無しですからね」
「裕の兄ちゃん!今日でいなくなっちまうって本当か!?」 「臨時ですので。店長の具合もよくなりましたし」 「兄ちゃんのおすすめ一品、好きだったんだけどよ・・・」 「はは、ありがとうございます。今日も用意してますから良かったら出しますよ」 「おう、頼むぜ!」
続々とやってくる常連客を捌きつつ、厨房にも立つ。 店長の動きを見てもほぼ問題ない。治ってきてるのも事実のようだ。 時折お客さんからの奢りも一杯限定で頂く。 今日は以前もらった方の咲夜の盃を持ってきているので酔う心配もない。
「おう、裕のあんちゃん!今日も来たぜ!」 「い、いらっしゃいませ・・・」
再びガラリと入り口が空き、大柄な人物がドスドスと入ってくる。 俺を見つけるとがっしと肩を組まれる。 日に焼けた肌が特徴の熊のような人だ。名前は・・・確か井灘さん、だったかな? 初日に俺に可愛いと言い、昨日は酌を頼まれ、冴さんに潰されてた人だ。 スキンシップも多く、昨日の一件を考えると警戒せざるを得ない。 取り合えず席に案内し、おしぼりを渡す。
「ガハハ、今日もあんちゃんの可愛い顔が見れるたぁツイてるな!」 「あ、ありがとうございます。注文はどうしますか?」 「まずはビール。食いモンは・・・そうさな、あんちゃんが適当に見繕ってくれよ」 「俺が、ですか。井灘さんの好みとかわかりませんけど・・・」 「大丈夫だ。俺、食えねえもんはねえからよ。頼むぜ!」 「はあ・・・分かりました」
何か丸投げされた感が凄いが適当に三品程見繕って出せばいいか。 ついでだからゴーヤーチャンプルーも試してもらおうかな。 そんな事を考えながら、俺は井灘さんにビールとお通しを出す。
「む・・・」 「どうした旦那。ん?アイツ、井灘か?」 「知ってるのか、潮」 「ああ。俺達とは違う港の漁師でな。悪い奴では無いんだが、気に入った奴にすぐ手を出すのが玉に瑕でな」 「そうか・・・」 「旦那、気を付けた方がいいぞ。井灘の奴、あの様子じゃ確実に裕に手を出すぞ」 「・・・おう」
こんな会話が勇魚さんと潮さんの間でなされていたとはつゆ知らず。 俺は店長と一緒に厨房で鍋を振っていた。
「はい、井灘さん。お待たせしました」 「おう、来た来た」 「つくね、ネギま、ぼんじりの塩の串盛り。マグロの山かけ。そして今日のおすすめ一品のゴーヤーチャンプルーです」 「いいねえ、流石あんちゃん。で、なんだそのごーやーちゃんぷうるってのは?」 「内地の料理ですよ。苦瓜と肉と豆腐と卵の炒め物、ってとこでしょうか。(厳密には内地の料理とはちょっと違うけど)」 「ほー苦瓜。滅多に食わねえが・・・あむ。うん、美味え!美味えぞあんちゃん!」 「それは良かった」 「お、美味そうだな。兄ちゃん、俺にもそのごーやーちゃんぷうるってのくれよ」 「俺も!」 「はいはい、ただいま」
井灘さんが美味しいと言ってくれたおかげで他の人もゴーヤーチャンプルーを頼み始める。 よしよし、ゴーヤーチャンプルーは当たりメニューになるかもしれない。 そう思いながら厨房に引っ込んでゴーヤーを取り出し始めた。
それからしばらくして井灘さんから再びゴーヤーチャンプルーの注文が入る。 気に入ったのだろうか。
「はい、井灘さん。ゴーヤーチャンプルー、お待たせ」 「おう!いやー美味えな、コレ!気に入ったぜ、ごーやーちゃんぷうる!」 「あはは、ありがとうございます」
自分の料理を美味い美味いと言ってもりもり食べてくれる様はやっぱり嬉しいものだ。 作る側冥利に尽きる。 が、作ってる最中に店長にも「アイツは気を付けとけ」釘を刺されたので手放しに喜ぶわけにもいかない。
「毎日こんな美味いモン食わせてくれるなんざあんちゃんと一緒になる奴は幸せだなあ!」 「はは・・・ありがとう、ございます?」 「あんちゃんは本当に可愛い奴だなあ」
屈託ない笑顔を向けてくれるのは嬉しいんだけど、何だか話の方向が急に怪しくなってきたぞ。
「おい、裕!早く戻ってきてこっち手伝え!」 「ッ、はーい!じゃあ井灘さん、俺仕事に戻るので・・・」
こっちの状況を察知したのか、店長が助けを出してくれる。 俺も即座に反応し、戻ろう��足を動かす。 が、その前に井灘さんの腕が俺の腕を掴む。 あ、これは・・・。
「ちょ、井灘さん?」 「なあ、裕のあんちゃん。良けりゃ、俺と・・・」
急に井灘さんの顔が真面目な顔になり、真っ直ぐに俺を見据えてくる。 なんというか、そう、男の顔だ。 あ、俺こういう顔に見覚えある。 そう、勇魚さんの時とか、立浪さんの時とか・・・。 逃げようと思うも腕をガッチリとホールドされ、逃げられない。 ・・・ヤバイ。そう思った時だった。 俺と井灘さんの間に、ズイと体を割り込ませてきた見覚えのあるシャツ姿。
「なあ、兄さん。悪いがこの手、離してくんねえか?」 「勇魚さん・・・」
低く、優しく、耳をくすぐる声。 この声だけで安堵感に包まれる。 言葉は穏やかだが、どこか有無を言わせない雰囲気に井灘さんの眉間に皺が寄る。
「アンタ・・・確か、内地の客だったか。悪いが俺の邪魔・・・」 「裕も困ってる。頼むぜ」 「おい、アンタ・・・う��腕が動かねえ!?」
井灘さんも結構な巨漢で相当な力を込めているのがわかるが、勇魚さんの手はびくともしない。 勇魚さんの怪力はよく知ってはいるけど、こんなにも圧倒的なんだなあ。
「こいつ、俺の大事な嫁さんなんだ。もし、手出しするってんなら俺が相手になるぜ」
そう言って、勇魚さんは俺の方をグッと抱き寄せる。 抱き寄せられた肩口から、勇魚さんの匂いがする。 ・・・ヤバイ。勇魚さん、カッコいい。 知ってたけど。 知ってるのに、凄いドキドキする。
「っ・・・ガハハ、成程!そいつは悪かったな、旦那!」 「おう、分かってくれて何よりだぜ。さ、裕。店長が呼んでるぜ」 「あ、ありがとうございます勇魚さん。井灘さん、すみませんけどそういう事なので・・・」
勇魚さんの言葉に怒るでもなく、井灘さんは納得したようにあっさりと手を放してくれた。 井灘さんに謝罪しつつ、促されるまま厨房へと戻る。
「おお!あんちゃんも悪かったな!旦那、詫びに一杯奢らせてくれや!」 「おう。ついでに裕のどこが気に入ったのか聞かせてくれよ」
漁師の気質なのかはたまた勇魚さんの人徳なのか。 さっきの空気はどこへやら、そのまま親し気に話始める2人。
「ちょ、勇魚さん!」 「いいぜ!旦那とあんちゃんの話も聞かせてくれよ!」 「井灘さんまで!」 「おい裕!いつまで油売ってんだ、こっち手伝え!」
店長の怒鳴り声で戻らざるを得なかった俺には二人を止める術などなく。 酒の入った声のデカい野郎共が二人、店内に響かない筈がなく・・・。
「でよ、そん時の顔がまたいじらしくってよ。可愛いんだこれが」 「かーっ!羨ましいこったぜ。旦那は果報モンだな!」 「だろ?なんたって俺の嫁さんなんだからな!」
勇魚さんも井灘さんも良い感じに酒が入ってるせいか陽気に喋っている。 可愛いと言ってくれるのは嬉しくない訳ではないけれど、連呼されると流石に男としてちょっと悲しい気分になる。 更に嫁さん嫁さん連呼されまくって複雑な心境の筈なのにどれだけ愛されているかをガンガン聞かされてオーバーヒートしそうだ。
「何故バイト中に羞恥プレイに耐えなければならないのか・・・」 「おい裕、いつまで赤くなってんだ。とっとと料理運んで来い」 「はい・・・いってきます・・・」
人が耐えながらも調理しているというのにこの銭ゲバ親父は無情にもホール仕事を投げて来る。 こんな状況で席に料理を運びに行けば当然。
「いやー、お熱いこったなあ兄ちゃん!」 「もう・・・ご勘弁を・・・」 「っははははは!」
茶化されるのは自然な流れだった。 勇魚さんと井灘さんのやりとりのお陰でスキンシップやらは無くなったが、祝言だの祝い酒だの言われて飲まされまくった。 咲夜の盃が無ければ途中で潰れてたかもしれない。
そんな揶揄いと酒漬けの時間を、俺は閉店間際まで味わうことになったのだった。
そして、もうすぐ閉店となる時間。 勇魚さんと一緒にずっと飲んでいた井灘さんも、ようやく腰を上げた。 会計を済ませ、店の前まで見送りに出る。
「じゃあな、あんちゃん。俺、マジであんちゃんに惚れてたんだぜ」 「はは・・・」 「だが、相手が勇魚の旦那じゃあ流石に分が悪い。幸せにしてもらえよ!」 「ありがとうございます・・・」 「また飲みに来るからよ。また今度、ごーやーちゃんぷうる作ってくれよな!」 「その時に居るかは約束できませんが、機会があれば」
からりとした気持ちの良い気質。 これもある種のプレイボーイなのだろうか。
「じゃあな!裕!勇魚の旦那!」 「おう!またな、井灘!」 「おやすみなさい、井灘さん」
そう言って手を振ってお見送り。 今日の三日月亭の営業も、これにて閉店。 店先の暖簾を下ろし、店内へと戻る。
「裕。そっちはどうだった?」 「こっちも終わりました。後は床掃除したら終わりですよ」 「ホント、この3日間マジ助かった。ありがとうな」 「いえいえ、久しぶりの接客も楽しかったですよ」
最後の客だった井灘さんも先程帰ったばかりだ。 店内の掃除もほぼ終わり、閉店準備もほぼ完了。 三日月亭のバイトももう終わりだ。 店長が近づいてくると、封筒を差し出してきた。
「ほい、バイト代だ。色々世話もかけたからな。イロ付けといたぜ」 「おお・・・」
ちょろっと中身を確認すると、想定していたよりかなり多めの額が入っていた。 店長なりの労いの証なのだろう。
「なあ裕。マジで今後もちょくちょく手伝いに来ねえか?お前がいると客足増えるし酒も料理も注文増えるしな。バイト料もはずむぜ」 「うーん・・・」
店長の申し出は有難いが、俺は俺でまだやらなければならない事がある。 悪くはない、んだけど余り時間を使うわけにもなぁ。 そんな風に悩んでいると、勇魚さんが俺の頭にぽん、と掌をのせる。
「店長、悪いがこれ以上裕をここにはやれねえよ」 「はは、旦那がそう言うんなら無理は言えねえな。裕の人気凄まじかったからな」 「ああ。何かあったらって、心配になっちまうからな」
今回は勇魚さんのお陰で事なきを得たけど、また同じような状況になるのは俺も御免被りたい。 相手に申し訳ないのもあるけど、どうすればいいか分からなくて困ったのも事実だ。
「お店の手伝いはできないですけど、またレシピの考案はしてきますので」 「おう。売れそうなのを頼むぜ。んじゃ、気を付けて帰れよ」 「はい、店長もお大事に。お疲れ様です」 「旦那もありがとうな」 「おう、おやすみ」
ガラガラ、という音��共に三日月亭の扉が閉まる。 店の前に残ったのは、俺と勇魚さんの二人だけ。
「じゃ、帰るか。裕」 「ええ、帰りましょうか。旦那様」 「おっ・・・。へへ、そう言われるのも悪くねえな」 「嫌味のつもりだったんだけどなァ」
そう言って俺と勇魚さんは笑いながら屋敷への帰路につくのであった。
後日―
三日月亭に買い物に来た俺を見るなり、店長が頭を下げてきた。
「裕、頼む・・・助けてくれ・・・」 「ど、どうしたんです店長。随分疲れきってますけど・・・」 「いや、それがな・・・」
あの3日間の後、事あるごとに常連客から俺は居ないのかと聞かれるようになったそうな。 俺がまだ島にいるのも事実なので連れて来るのは不可能だとも言えず。 更に井灘さんがちょくちょく仲間漁師を連れて来るらしく、『姿が見えない料理上手な可愛い店員』の話だけが独り歩きしてるらしい。 最近では聞かれ過ぎて返す言葉すら億劫になってきているそうな。 ぐったりした様子から、相当疲弊しているのがわかる。
「な、裕。頼む後生だ。俺を助けると思って・・・」 「ええ・・・」
それから。 たまーに勇魚さん同伴で三日月亭にバイトに行く日ができました。
更に後日。
勇魚さんと一緒に『網絡め』という儀式をすることになり、勇海さんに見られながら致すというしこたま恥ずかしいプレイで羞恥死しそうな思いをしたことをここに記録しておきます。
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【S/D】サムと忘却の呪い(仮)1~4
ツイッターに画像で投稿しているS/D小説です。一万文字超くらい。まだ続きます。
もし魔女のロウィーナが、将来自分を殺す男になると知って攫い、殺してしまうつもりだった幼少のサムに情がわいて、自分の子として育てることにしたら? そしてハンターが”魔女狩り”に特化した集団だったら? という妄想から生まれた小話です。シーズン12の11話「忘却の呪い」をオマージュしています。アリシアやマックスという12から登場する魔女キャラにも出てもらってます(彼らはハンターだけどここでは魔女として)。
連載中の小説を書きたいとは思うんだけど宿便状態なので、ガス抜きに小話を書いてる現状です。なのでお気楽な感じで読んでもらえると。。
1
サムの養い親である魔女いわく、日のあるうちの森は獣の領域。だから理性ある魔女や魔法使いは夜に活動し、昼間のうざったい太陽が地上を照らしている間は絹のシーツに包まって体力の回復に努めるのだという。サムにいわせれば怠惰の言い訳にすぎないが、夜更かしな魔女たちの生態がいとおしくもあった。何より夜の彼女らはサムなど足元にも及ばぬほど鋭い英知と魔力の使い手だ。ならば彼女たちと少しばかり生態の異なる自分が、早起きして夜の”活動”の手助けをするのは義務であるし喜びでもある。獣の領域というなら早朝の森は狩りをするのに恵まれた環境だ。彼女たちはウサギのシチューが大好きだけど、そのウサギがどこで泥の毛皮を脱いできて鍋に飛び込んでくれたのかは考えたがらない。
自分が何者であっても���森を歩くのが好きな男に変わりはなかっただろうかとサムは想像する。下草を踏むたび立ち上る濡れて青い土のにおい。罠にかけた小さな獣をくびくときすら、森はサムと獣のどちらをも憐れんで祝福してくれる。森はサムのびっくり箱だ。彼は自分の生まれた場所を知らない。だけど彼の親がこの森の入口に彼を捨てたとき、赤ん坊と森のあいだに絆が生まれ、その瞬間から森がサムの故郷になったのだ。※
そうだ。森はいつもサムを驚かせてくれる。かくれんぼで遊んでいた七歳の彼を、その懐の深さで半月のあいだかくまってくれ、養い親をすっかりやつれさせてしまった時のように。
その日、狩りを終えたサムの目の前を、遅寝のウサギが飛び跳ねていった。茂みの奥に逃げ込んだウサギを彼は追いかけた。腰には今日のぶんの収穫が下げられていたけれど、もう一匹恵まれたって困ることはない。
茂みの中から黒い毛皮が現われた。サムは手を伸ばそうとしてひっこめた。黒くもなかったし、毛皮でもなかった。朝露で濡れた短いブロンドがゆっくりとサムのほうを向いて、彼はアッと息をのんだ。魔女がウサギを化かして僕をからかおうとしているのか。そうでなければなぜこんな場所に、サムの知らない男がいる?
ところがブロンドの男の懐からさっきのウサギがぴょんと飛び出して、サムの脇を通ってどこかへ行ってしまった。「バイ、うさちゃん」と男はいった。寝ぼけたように、低くかすれ���、それなのに、ぞっとするくらい、やわらかな声だった。
「僕はサム」と、サムはいった。まぬけ、と森がささやくのが聞こえた。もしくは自分自身の心の声だったかもしれない。
男は重たげなまぶたを持ち上げて、サムを見上げた。
「やあ、サム」
新緑、深い湖、砂金の流れる小川。男の瞳は輝いていた。
森はまたもサムに驚きを与えてくれた。彼は恋多き魔女たちに囲まれながら、自分が恋することが出来るとは思っていなかった。
この時までは。
2
昼過ぎから始まるブランチの席で、気もそぞろなサムに、養い親のロウィーナはけげんな視線を送る。
「今朝のウサギ、ちょっと血抜きが甘いじゃない? 生臭いのは嫌よ、われわれは吸血鬼ではないのだから」
「そう?」 サムはぼんやりと答える。「そうかな? それ、缶詰の肉だけど」
「サミュエール」 ロウィーナの視線がますます冷たくなる。
「今朝の狩りは空振りだった?」 行儀よくパンをちぎってアリシアがたずねる。彼女は見た目だけではなく、実年齢もサムとさほど離れていない若い魔女だ。母親のターシャ、双子のマックスとともに、ここロウィーナの屋敷に下宿している。
「今朝の狩り……」 思いもかけぬ収穫があったことを姉弟子にどうやって伝えればいいだろう。いや、とサムは意識の中で首を振る。
魔女のな��ばり意識の強さといったら、狼人間が可愛く思えるほどだ。人間が――しかもどうやら”記憶があやふや”な、身元の怪しい――神聖な魔女の森に入り込んだと知れたら、ロウィーナははっきりと戦化粧をして森へ勇み、彼を排除しかかるだろう。双子のアリシアとマックスも、彼らは敵とみなした人間に容赦はしない。つまり、明日のシチューの中身が決まるってことだ。
サムはぶるっと震えた。靴の底から顎の奥まで震えは伝わってきた。春の始まりに色づく枝先のように初々しく、美しい彼の瞳が、よく炒めてから煮込んだ紫玉ねぎの横に浮かんでいるさまを思い浮かべて。彼の肉つきのよい白い二の腕を調理するときの甘い香りを想像して。彼の肉を食べる――残酷なはずの行為が甘美な誘惑に感じる自分にうろたえて。
だめだ、だめ。そんなことにはさせない。彼のことは秘密にする。
「今日は、思ったより暖かくて」 サムは本当のことだけを口にする。「血を抜くのが遅すぎて、ダメにしちゃった。毛皮だけはいで、肉は捨てたよ」
「また寄り道をしたんでしょう。狩りのあとはすぐに帰ってこなきゃだめよ。獲物を持ったままウロウロしないの」 ロウィーナは血のような葡萄ジュースで唇を湿らせる。
「でないとあなたが獲物にされるわ」
サムはこっそりと屋敷を抜け出し、森の男を見つけた場所まで急ぐ。
彼はそこにいなかった。けれどたどり着いた茂みの変わりようを見て、逃げたわけじゃなさそうだと安堵する。ただの茂みだったそこは、下草が踏みならされて空き地に変わり、中心の地面は掘られていて、男が簡易なかまどを作ろうとしていたことが見て取れた。
がさがさ音がして、薪になりそうな枝を腕に抱えた男が戻ってきた。サムの顔を見ると一瞬で表情が明るくなる。「サム!」 男は枝を足元に落としてサムに近づいた。その両手がわずかに広げられているので、サムは自分がハグされるんだと気づいた。
サムが躊躇いながら上げた腕の下に、男の腕が入り込んできた。肩甲骨の下に巻き付いた腕がぎゅっと彼の胴体を締める。”抱きしめられた”んだ。魔女たちはサムによく触れたがるけど、頬にキスしたり腕を組んだりするだけだ。
こうして誰かに真正面から抱きしめられるなんて、初めての経験だ。他人の体温を腹で感じるのも。
なんて心地がいいんだ。
「また来てくれたんだな」 男はそのまま顔だけを上げて、同じくらいの高さにあるサムの目を見てにっこり笑った。
サムはまぶしくてクラクラした。まるで、ああ、彼は太陽みたいだ――魔女や魔法使いが忌み嫌う太陽――けれど彼らが崇める月を輝かせる光の源。
「来るっていったじゃないか」 サムはゆっくりと、舌が絡まないようにいった。ハグに動揺したなんて、彼の笑顔にクラクラしたなんて、知られたら、あまり恰好がつかない気がした。恋に長けた魔力使いの男女のスマートな駆け引きを思い返し、取り澄ました顔を作る。「ほら、パンとジュースを持ってきた。昨日から何も食べてないって、ほんとう?」
「ありがとう!」 男はサムのぺたぺたと頬を叩いて感謝を表した。――状況を考えれば、それは感謝のしぐさで間違いないはずだ。サムにとってはあまりに親密すぎたので、すぐには思い当たらなかった。だけど、男は四六時中、出会った人間の頬をぺちぺちしてますとでもいうように平然として、その場に屈むとリュックの中を探りだす。
サムは早まる動悸を抑えるため、こっそり深呼吸を繰り返した。
「どうかな、憶えてないんだ。何も憶えてない」 男は瓶の蓋を捻って開け、すぐに半分を飲み干した。よほど喉が渇いていたんだろう。きれいに反った喉のラインを必要以上に凝視しないようにサムは気をつけた。「ほんとに、参ったよ。腹が減って、おまえの捨てていったウサギを焼こうと思ったんだ。でも火を熾す道具が見つからなくて」
「何も憶えてないって、どうしたの? どうしてこの森に入ったんだ? 町からそんなに遠くはないけど、ここが魔女の森だってわかってるだろう? それとも、よそから来たの?」
「それが、わかんねんだ」
「何も憶えてないの? 自分の名前も?」
彼は、驚いたように目をしばたかせた。まるで自分に名前あることすら、失念していたように。
その様子に異様さを感じて、サムはまさか、と思った。記憶喪失の人間が、”自分の名前を思い出せない”と悩むことはあっても、”自分に名前があること”を忘れて明るく振る舞うなんてことがあるだろうか。この異様さは、まじないの気配に通じる。彼の様子は、身体的、精神的な後遺症による記憶喪失であるというよりも、呪いによるダメージを受けている状態だと思ったほうがしっくりくる。
でも、まさか。だれが彼を呪うっていうんだ? 中世ならともかく、このセンシティブな時代に魔女が人間を呪うなんてありえない。
「うーん、たぶん、Dがつく気がする」 男が考え込むと眉間にしわができた。「D、D……ダリール、ディビット、違う……。デ……デレック? パッとしねえなあ……」
「ダンカン? ダドリー?」
「うーん?」
「ドミニク? ドウェイン?」
「ドウェイン? いいかもな。おれをそう呼ぶか?」
「それがきみの名前なの? 思い出した?」
「うーん? 多分違う気がする。でもいかしてるよな」
サムは首を振った。彼の愛嬌に惑わされてはいけない。「もう少し、思い出してみようよ。デイモン、ディーン、ダライアス、デイル……」
「それだ!」
「デイル?」
「いや、もう一つ前の」
「ダライアス? ディーン?」
「ディーンだ!」 男はうれしそうに歯をむき出して笑った。「おれの名前はディーンだ。それに、思い出したぞ。おれには弟がいる」
「いいぞ。どこに住んでいたかは?」
男はさらにしわを深くして考え込んだが、しばらくしても唸り声しか出てこない。
サムはちらばった薪を集めて、かまどの枠を組み立てた。気づくとディーンがじっと見つめていた。
「何も思い出せない」 あっけらかんとしていた少し前と違って、悲しみに満ちた声だった。「どうしちまったんだろう。おれ。ウサギを抱いて、おまえを見つけた。それ以前のことが、何も思い出せないんだ」
「たぶん……たぶんだけど、きみは呪われたんだ」 サムは慎重に言葉を選んでいった。「魔女のことは、憶えてる……というか、知ってるだろ? 今ではそんな悪さをする魔女は少ないけど、トラブルになる自覚もないまま、彼女ら――彼かもしれないけど――を怒らせて、呪われるってことも、ないわけじゃないんだ」
「呪われた?」 ディーンは大きな目を限界まで開いた。「おれが? どうして?」
「わからない。もしかしたら違うかも。でもきみ、どこにも怪我はないようだし、記憶がないっていうのに、やたら気楽だったろ。それにここは魔女の森だよ。人間は入ってこない。基本的にはね。なのにきみがここにいるっていうのが、魔女が関わっているっていう証拠にならない?」
「おまえはずいぶん賢そうに話すんだな」 ディーンは鼻をすすった。水っぽい音がした。「何が証拠になるっていうんだ。おれはどうすればいい? どこに行けばいい」
「ここにいればいい」 サムは火種のないかまどを見つめて、それから首を振った。「ここじゃだめだ。ここは屋敷から近すぎるし。僕の家族に見つかったらディーンが危ない」
「何をいってるんだ? 怖いぞ」
「大丈夫。もっと奥に、今は使ってないあばら家があるんだ。たぶん僕しか知らない。そこにディーンをかくまってあげる。僕は魔法使いなんだ――まだ一人前じゃないけど。いろんな本を読める。それに、僕の親はすごい魔女なんだ、ディーンにかけられた呪いを解く方法をきっと知ってる」
「まて、待てよ。おまえが魔法使い? おまえの親が魔女? おれに呪いをかけたのはその魔女じゃないのか? ここはその魔女の森なんだろ?」
「ロウィーナは人に呪いなんてかけないよ。そんなにヒマじゃないんだ」
「わかんないだろ」 ディーンの声に水っぽさが増した。と思ったら、彼はぽろりと涙をこぼしている。サムは頬を叩かれた時以上に衝撃を受けた。こんなに静かに泣く人は見たことはなかった。
「ディーン、ごめん。泣かないで」 折れた薪の上に尻を乗せて、膝を折りたたんで小さくなっているディーンの横にしゃがみ込む。「大丈夫だよ。僕が守ってあげる。記憶を取り戻してあげるから」
ディーンはサムを見つめて、まばたきもせずまた二粒涙を落した。サムを奇跡を見守っているみたいにじっと彼を待った。やがて彼は赤いまぶたで瞳を覆って、小さくうなずいた。
「わかった。おまえを信じるよ」
3
あずまやに移動して寝床を整えた頃にはもう日が暮れかけていたので、サムは急ぎ屋敷に戻らないといけなかった。夕食にはコックを雇っているとはいえ、実際に食卓を作るのは女主人であるロウィーナの指示をうけたサムだ。
「また何か食べ物を持ってくるよ。遅くなるかもしれないけど、夜中までには必ず」
「サム、おれの記憶、戻るよな?」
小屋の質素な木戸を開けたサムは振り返る。戸の影で彼の不安そうな顔��半分が隠れてしまっている。サムより年上に見えるのに、心内を素直に伝えてくる瞳だけをみるとディーンは幼い子供のようだ。このまま留まりたい思いでいっぱいになる。
彼が人間ではなかったら。彼が記憶ではなく、過去を持たない精霊だとしたら、それは森がサムに与えた贈り物なのではないか。
彼を森の精霊だといって屋敷に連れ帰り、ターシャやマックスが連れているような使い魔として側に置く。何も知らず、誰と繋がりもない彼の唯一の主人となる。彼の食べるもの、着るもの、行動の範囲の一切をサムが指図し、彼のすべてを支配する。それがサムに、許されているとしたら?
あるいは彼をこのままここに留め置いて、二人で秘密の生活を続ける。ディーンには記憶を取り戻す方法がなかなか見つからないといっておけばいい。小屋を出ればいかに危険かを言い聞かせれば、逃げられることはないだろう。
違う。僕は彼を支配したいんじゃない。ただ彼に――
「キスしたいな……」
「えっ」
「えっ、あっ、いや」 妄想が強すぎて声に���ていたと知ってサムは慌てた。
「き、君の記憶は戻るよ、僕にまかせて。でも、いったん戻らなきゃ。ロウィーナは僕が家にいると思ってる。彼女は僕の部屋に勝手に入ったりしないけど、ディナーの準備に遅れたら魔法の鏡で覗かれるかも。僕がいないことがばれたら大騒ぎになる、森に捜索隊が出されたら大変だ。僕が行方不明になったのはもうずっと前のことなのに……」
「サム、おれにキスしたいのか」
「えっ」 サムは片手で戸にすがりつきながら唇をこすった。「なんで?」
「なんでって、そういっただろ? おれは、憶えてる」
そういって、自分の唇の感触を確かめるように、ディーンは舌をそろりと出して下唇を噛む。赤い舌と、暗がりでもきらりと輝く白い歯が、熟れたベリーのような唇から覗いた。サムは狩人の本能で手を伸ばした。指先が唇に触れ、湿った感覚がした。頬を滑った指が、耳たぶに触れると、そこは唇よりも熱かった。ディーンはため息を吐いた。
「サムの手、でっかいな」
ディーンは少し俯いて、サムの手が自分の項を包み込めるようにした。サムは夢心地で一歩近づき、両手でディーンの頭を抱く。後ろで木戸が閉まる音がする。ガラスの嵌っていない窓が一つあるだけの小屋の中は真っ暗になった。
ディーンは目を閉じたままゆっくりを顔を上げた。親指の付け根に彼の穏やかな脈動を聞く。野性の鹿に接近を許されたときのように誇らしく、謙虚な気持ちになった。サムは初めてキスをした。
4
何をいわれるかとひやひやしながら屋敷に戻ったが、ロウィーナは不在だった。かわりにアリシアがキッチンを取り仕切っていた。気が緩んだサムは今度はアリシアににやけ顔が見られないかと心配するはめになった。味見をして、雇いのコックにしょっぱいわね、でもこれでいいわ等と指示を出しながら、アリシアはサムを観察している。魔女というのはみんなそうだ。気安いふりをして他人の心を探��のに余念がない。
食卓が完成するころにロウィーナとターシャが帰ってきた。二人が揃って出かけていたことにサムは驚いた。何か大きな事件があったのかと思い、それからあずまやのディーンのことがばれたのではないかと怖くなる。
ロウィーナは冷静を装っていたけどイライラしているのは明らかだったし、ふだん泰然としているターシャもどこか落ち着きがない。
「二人でどこに行ってたんだ?」
食事が始まってしばらくして、マックスが尋ねた。サムは二人の魔女の答えを待つ間、ろくに呼吸もできなかった。ロウィーナがグラスを煽ったので、ターシャが話し出した。
「ロックリン家よ。招待状を出しに行ったの。とんでもないことを聞かされたわ。大事が控えているから心配ね。おかしなことにならなければいいけど。ロウィーナ……」
「ギデオンが死んだこと?」 ロウィーナはその話題を口にするのも腹立たしいとばかりにターシャをにらんだ。「大したことじゃないわ、あの腐った三つ子が今までそろっていたことが不吉だった。わざわざ私たちに話したのはサムの儀式にケチをつけるためよ。なめられたもんだわ、たかが数十年ばかりアメリカに入植したのが早いからって」
「ロックリン家? 私もあいつらは嫌い。でもしょうがないわ、あっちは由緒正しいドルイドのスペルを持ってる」 アリシアがみんなの顔を見回す。「私たちにあるのは……実地で身に着けた薬草学に、星占術、たくさんの水晶。あちこちの流派を回って極めた最先端の魔法術。あれ……全然悪くないかも?」
「さしずめ野草派ってとこだな」 マックスが調子を合わせる。「雑草と自称するのはやめておこう。でも、サムの儀式は予定どおりやるんだろ?」
「もちろんそのつもりよ」
「僕の儀式って?」 みんなが当然のようにいうから、サムは何か重要な予定を自分だけ聞き逃していたのかと焦った。ロウィーナとターシャ親子はともに定期的に魔法の儀式を行う。サタンへの忠誠を示し、魔力を高めるためだ。子どもにはまだ早いといって、いつものけ者にされていたから、どうせ自分には関係ないと思ってよく聞いていなかったのかも。
「僕も儀式に参加できるの?」
それを熱望していたのは覚えているが、ディーンを匿ってる今は避けたい。
「いいえ、そうじゃない。サム。”あなたの”儀式よ」 サムが言い訳を探す間もなくロウィーナはいった。
彼女は背筋をピンと伸ばしてサムを見た。「あなたはもう十六歳。サタンに忠誠を誓って一人前の魔法使いになる時が来たの。小さいころに教えたでしょ、森のストーンサークルで儀式を行う。この土地に住まう全ての魔女と魔法使いの立ち合いのもと、新しい魔法使いの誕生を祝うのよ」
サムはあっけにとられた。「そんな――大事なことを、なんで――もっと前に、言ってくれなかったんだ」
「逃げちゃうと困るでしょ」 アリシアがあっさりといってのける。「多感な思春期の子どもに”おまえは十六歳になったら”死の書”にサインしてサタン様の下僕になるんだ、それまで純潔を守れ”なんていったら大変なことになる。私もマックスも、知らされたのはその日の夕方。まあそれまでも、男の子と仲が良くなりすぎないように見張られていたけどね」
「その反動が今きてる」 マックスが気だるそうに顔を向けて、双子はほほ笑んだ。
「その日の夕方だって?」 サムは仰天した。「まさか、今夜?」
「まさか。今日は招待状を出しただけ。儀式は明日の夜」 ロウィーナはため息を吐いて再びカトラリーを持つ手を上げる。「まあ、だから、明日の昼間の勉強はお休み。あなたは寝ていなさい。真夜中に始め、明けの明星が昇るまで行うのが通例なの。初めての儀式だから特に長く感じるものよ。主役が居眠りなんて許されませんからね、しっかり寝ておくことね」
「私たちもその助言がほしかったわ」 双子が嘆くと、ターシャが「私の若いころなんてもっとひどかった。真夜中に叩き起こされて……」と話を始める。サムはそれを耳の端で聞きながら、味のしない肉を噛み締めた。大変なことになった。
ストーンサークルはディーンをかくまっているあずまやのすぐ近くにある。ただの天然のアスレチックジムだと思っていた古ぼけた巨石にそんな使い道があったなんて知らなかった。
ディーンを別の場所へ移す? いや、他に森に彼を隠せるような場所なんて思い当たらない。もしも永久に彼を森に閉じ込めておくっていうなら別だ――大木のうろ、崖下の洞窟、そういった場所を幾つか知っている――そこを拠点に家を作ることができる。何週間、何か月、何年もかけていいなら、サムは彼のために新しい屋敷だって建てられる――だけどそうじゃない。そうはならない。ディーンの記憶を取り戻して、彼の帰る場所を思い出せてあげるんだ。
「ロウィーナ……聞いていい?」 サムは何でもないふうに装って質問した。「人の……記憶を消す魔法ってあるだろ? 難しいのかな?」
当然ながら、何でもないふうに答えてくれる魔女はいなかった。みんながサムの顔を見るので、サムは急いで唐突に変な質問をした正当な理由を披露しなければならなかった。
「思春期に……」 喉にパンが詰まったふりをして咳をする。「その、儀式のことを聞かされたって、ああそう、って受け入れる子もいるかもしれないだろ。まずは話してみないと。隠すのはあんまりだ。それで、すごくその子が嫌がったり、自暴自棄になるようなら、その時は記憶を消す魔法を使えばいいんじゃないかと、そう思ったんだ。ただ思いついたんだよ」
一瞬、間があいて、マックスが「ひゅー」と口笛を吹くまねをする。「その考え方、俺は好きだな。冷酷で、合理的で。さすが、ロウィーナの一番弟子」
ロウィーナは口元でだけ微笑み、ゆっくりと首を振った。「そうね、でも少し、短絡的よ。一時的に記憶を奪うことは、ハーブの知識があれば簡単にできる。だけど人の記憶を完全に消し去るのはとても難しい魔法なの。呪いというべきね。そんなものは仲間に使うべきじゃない」
「一時的なものだったら、ハーブを使えば治る?」
「ええ。ジュニパーベリー、それとほんの少しのベラドンナ……」 ロウィーナはスープをすすりながらすらすらと必要なハーブの種類を挙げていく。サムは記憶しながら、どれも屋敷の薬草庫や温室から拝借できるものだと思って安心した。「……マンドレークの頭をすり鉢にしてそれらを混ぜ合わせ、魔力を溜めた水に浸す。それを飲むのよ。簡単でしょ」
「それは記憶を失わせるほうのレシピじゃない?」 薬草学に長けたターシャが口を出す。ロウィーナはそうだったわと頷いた。「記憶を戻すほうなら、ベラドンナを入れちゃだめだった。だけどそういったハーブの魔法は時間とともに解けるから、ふつうはわざわざ作らないのよ」
「記憶をあれこれする魔法はドルイドが得意だったわね。ロックリン家にも伝わってるはずよ、あの書……」 ターシャは訳ありげな微笑みをロウィーナに向ける。「”黒の魔導書”。あれのせいで多くの魔女が高いプライドを圧し折ることになったわ。まあ、でも、今ではちょっと時代遅れね」
「あいつらの頭は中世で止まっているのよ」 ロウィーナは憎々し気につぶやいて、ツンと顎を上げた。
その夜中、各々が部屋に戻ってそれぞれの研究や遊びに没頭している時間、サムが眠っていることを期待されている時間に、彼はこっそりとベッドを抜け出してキッチンに忍び込んだ。用意したリュックサックにパンと果物を詰め込む。早くディーンのところに戻りたかった。空腹で不安な思いをさせたくないし、新しいランプを灯して暗闇を払ってやりたい。それになにより、彼と話がしたかった。記憶がなくてもかまわない。彼の声を聞いていたい。彼にどうして僕とキスをしたのと尋ねたいし、どうして僕がキスをしたのかを話して聞かせたい。もう一度キスをさせてほしいといったら彼は頷いてくれるだろうか。サムは期待でうずく胸を押さえた。断られないだろうという確信がそのうずきを甘いものにした。
「サム?」 暗がりからロウィーナが現われてサムの心臓は押さえたまま止まりかけた。冷蔵庫のドアを開けてうずくまる養い子をしばし見下ろして、ナイトドレスにローブを羽織った彼女はふと目元をやわらげた。
「眠れないのね。儀式の話をしたから」
「う、うん。そうなんだ。喉が渇いて……」 サムは冷蔵庫のドアを閉めて立ち上がり、足元のリュックを蹴って遠ざけた。暗いから見えないはずだ。
「心配することはないわ。あなたはただそこにいて、”死の書”にサインをすればいいだけ。あとは私たちの長い祝福を聞いていればいいのよ。夜が明けるまでね」
「勉強はたくさんさせられてるけど、夜更かしの授業はなかったな」
「何をいってるの。あなたが毎日遅くまで本を読んでいること、呪文や魔法陣の勉強をしてることは知ってるわ」 ロウィーナはそういってサムを驚かせた。彼女は手を伸ばしてサムの伸びた前髪を撫でつけてやった。
「情熱のある、熱心な生徒を持って光栄だわ。あなたはきっと、偉大な魔法使いになる。私にはわかる。あなたがほんの赤ん坊のころからわかってたわ」
「森で僕を拾った時から?」
んー、とロウィーナは目を細めて考えるふりをした。「やっぱり、あなたが自分の足でトイレまで歩いていけるようになった頃かしらね」
サムは笑って、自分を育てた魔女を見つめた。彼女の背丈を追い越してもうずいぶん経つ。彼女がサムの身体的な成長に���いて何かいったことはなかった。けれど時々、彼女が自分を見上げる目が、誇らしく輝いているように思える瞬間があって、サムはその瞬間をとても愛していた。
「ロウィーナ」
「なあに」
「僕、成人するんだね」
「魔女のね。法律的にはまだ子ども」
「ロウィーナのおかげだ。僕、あなたの子どもであることが誇らしいよ」
ロウィーナの目が輝いた。
「まだまだ独り立ちはさせないわ。もう少し私のしごきに耐えることね」
「覚悟しとくよ」
ロウィーナは冷蔵庫を開けて水のデカンタを取り出した。キッチンを出ていこうとする彼女の柳のような後ろ姿に息を吐いて、踏みつけていたリュックを引き寄せる。何か思い出したようにロウィーナが振り向いて、サムは慌ててまたリュックを後ろ脚で蹴った。
「いくらでも夜更かししていいけど、明日の朝は狩りに行っちゃだめよ。食事の支度は双子に任せるから」
「なんで?」
ロウィーナは肩をすくめた。「ロックリン家のギデオン。彼が死んだのは夕食の時にいったわね。死体が森で見つかったのよ。彼らの領地は森の東側だけど、ハンターはそんなこと気にしないわ」
サムはギクリとした。「ギデオンはウィッチハンターに殺されたの?」
「魔女を殺せるのはウィッチハンターだけよ」
「だけど、そんなのニュースになるだろ」
「正当な捕り物ならハンターは死体を残さないし、カトリーナの様子じゃ何かトラブルを隠してる。だけど巻き込まれるいわれはないわね。しきたりだから、明日の儀式には彼ら――生き残った二人の嫌味なロックリン家――も呼ぶけれどね。森にはハンターがひそんでいるかもしれない。目撃者がない状況でハンターと遭遇したら、やつらがいうところの違法行為がなくても逮捕されるわよ。だから、サミュエル、明日の儀式にみんなで行くまでは、森に入っちゃだめ」
「わ、わかった」
ロウィーナが行ってしまうと、サムは念のために一度部屋に戻って、ベッドサイドのランプを付けた。それから温室に忍び込み、ハンガーに吊るされているマンドレークを一根、それと必要なハーブを掴んでリュックに詰める。温室の裏口からこっそりと抜け出したサムは、二階で休むロウィーナに心の中で詫びながら、パーカーのフードを深くかぶって、まっすぐ森へ向かった。
◇ ◇ ◇
ツイッターにも書いたけど設定だけは壮大。このあと・というかいま書いてるのは三部作のうちの一部でディーンとは別れて終わる。そしてサムは魔女の権利向上のために戦う革命戦士もどきになり、ハンターのディーンとは敵対関係に。。というロミジュリな。でも大ボスはUKの賢人か悪魔かチャックにでもして魔女もハンターも同じ側で戦うんだな。(そのあたりはボヤボヤ)最終的な問題は二人が兄弟だってどうやってばらすか、ばらした時の反応はどうするかだけど、その時にはもうやることやっちゃって覚悟できてるサミさまになってるだろうからきっとなんとかなる。
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<コーヒーを沸かすほどの熱い愛> ・ こんばんは!スタッフしぶいです。タイトルは某映画から拝借しましたが、今日はそんな愛を感じる、わざわざの賄いのお話。昨日のゴロゴロウィーク特集で、わざわざの賄いマガジンをお届けいたしましたが、最近になってわざわざを知った方や知らなかった!という方もいらっしゃるかと思いますので、ここで改めてわざわざの賄いについてご紹介させていただきます! ・ 同じ釜の飯を食う https://note.mu/wazawazapan/n/na1aa0c7a68a4?creator_urlname=wazawazapan ・ 賄いに対するヒラタの思いはこちらの記事をお読みいただければと思いますが、今まで作ったことのない料理を作る時のレシピやヒラタがその時々で感じていることを社員に共有してくれています。ほぼ毎日です。しかも毎回1000文字程、、とんでもない愛だと感じています。深謝。 ・ わざわざのまかないはそんなにすごいのか。と思われるかもしれませんが毎日そういうわけではないです。慌ただしい日には、目玉焼きとわざわざのパンとサラダという日ももちろんあります。 ・ そもそもこのレシピを送る仕組みですが以前はありませんでした。というのもスタッフの人数がだんだんと増え、賄いの意味が単純に「社食的」になってきたのを彼女が危惧したからです。上で例えるなら「なんだ、今日は目玉焼きだけか」とかですかね。僕は一切思ったことないですよ?あくまで例えですからね? ・ 何かが出てくるということは誰かが裏で動いてくれているということや、賄いに込められている思いや商品の特性をしっかり感じながら食べてほしいということが発端です。毎日、忙しいのに朝早くから準備してもらっていたにもかかわらず、そんな思いにさせてしまって申し訳ない気持ちとありがたみを芯から感じました。なんか自分のお母さんに言ってるみたいですね。笑。 ・ ともあれ現実的な話をしてしまうと、一人暮らしの僕としてはこの賄い制度、食費や用意する手間が省けて本当にありがたいです。なにより、食材やら作り方やらレシピがめちゃめちゃシンプルだから自分でも気軽に挑戦できるということ。ただ、なかなか再現できないんですよ、、不思議。長野の野菜や肉の滋味もあるでしょうが、ヒラタがモットーとしている「味を引き出す調理法」がコツなんだと思います。 ・ まずは食材をそのまま味見して期待する味や食感をイメージ、そこから極力調味料は加えないということを念頭に調理する事がコツとのことです。なのでヒラタから送られてくるレシピには分量がありません。分量を細かく図る手間がまず省けるので楽なのですが、逆に難しい、、笑。魯山人になりたかったと語るくらいなので圧倒的な経験が関係あるのでしょう。唯一、気をつける点としては味見のし過ぎでお腹いっぱいにならないことでしょうか。 ・ と、ここまでお話しましたが、まずはぜひご一読くださいませ。有料コンテンツですが損はないかと思います。300円なので、とりあえずさら���っとお読みいただき、合わなければそのまま解約してしまっても全然OKです。ただ、購読いただくとヒラタのテンションが上って僕らの賄いが美味しくなるかもしれませんので、何卒ご協力いただけると、、!あ、あと写真を見てもらえればわかりますが、カメラマン・ワカナンの腕前ももちろんありますが、結構インスタジェニックというのもポイントでしょうか。笑。 ・ まだ4/3分までしか公開されていませんが、10本程ストックはありますので、興味ある方はどうぞ〜 https://note.mu/wazawazapan/m/m07769cf0b25f ・ #info (パンと日用品の店 わざわざ) https://www.instagram.com/wazawazapan/p/Bw_0cORAL9B/?utm_source=ig_tumblr_share&igshid=1xrsudl49xwb2
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2019年上半期にはまった海外の料理動画まとめ
ベトナム生活8年目です。2012年の3月にホーチミンに来た当初はYouTubeがまだそれほど一般的ではなかったような?気がするのと、ベトナムのインターネットもえらい遅く、不安定だったので、地元の衛星チャンネルで欧州サッカーと毎日夕方のChannel News Asiaの英語ニュースを頑張ってみていました。毎週土曜17時の日本の旅番組で「そういえばいたな〜」くらいの芸能人が温泉つかったり旅館で晩飯食べたりするやつがめちゃくちゃ楽しみだったのを覚えています。
時は過ぎて、2019年、今や日本の番組も月に5000円ほど払えばインターネットで自由に見ることができるようになりました。しかし、うちはその契約してません。なぜならYouTubeがあるからです。子供はヒカキンとかセイキンとか大好きですが、親世代は料理動画ですよね。
「美味しい肉料理のレシピをマスターする」という今年の目標からスタートして、ぜんぜん違う方向に行ってしまった2019年前半にはまった世界の料理動画を発表します。
1. インドのサッポロ一番塩らーめんの作り方 / Sapporo Ichiban Sio Ramen
youtube
定番から始めてしまいました。「今日ヤバイやつにあった」楽しいですよね。インドらしさから始まって、ゆるく楽しめる感じが好きです。
「サッポロ一番の作り方」は驚きがあって好きなんですが、大量のカレーやチャーハンを作ったりするやつもインドロマンを感じます。
「カンカン」とか「緑色のやつ」みたいな字幕?が特徴だと思いますが、フォントに哀愁があってなぜかインドっぽさを感じるという。
2. A bowl of rice and a cup of corn liquor have accompanied grandpa for half of his lifetime
youtube
「Dianxi Xiaoge」なんて読むのかわかりませんが、中国雲南省の田舎暮らしの料理です。すごく時間をかけて料理をしています。まず、食材の収集から入ります。池に行って魚釣ったり、山に行って山菜採ってきたり。あと、料理も丁寧で湯葉みたいなやつを1枚づつ乾かしてたりとか、豚モツを何回も洗浄してうす〜くなるまで繰り返したり、「こんなことしてたら1日日晩飯作るだけで終わっちゃうんじゃないか?」と思いながら見ているんですが、実際、「3日後」みたいな字幕がちょいちょい出てきます。
こないだ、スペシャルバージョンで「おばあちゃんにハンバーガーを食べさせてあげる」という回があったんですが、ケチャップを作るところから始まりました。
ただ、この生活になんとなく憧れる自分もいて、いいな〜と思いながら見ています。 とにかくあの大鍋のある生活をやってみたい。みたいな。
あの大鍋、最後鍋底に溜まった食材とか油とかどうすんのかな〜と思ってたら、スコップみたいなやつで地味にすくうんですよね。そういうところも最高です。
動画のクオリティの高さがすごいなと思っていて、田舎の家の風景や料理中のシーンとかもすごく臨場感が会って見やすいんですが、野菜を切るときや炒めるときの音とかもキレがあって美味しさを増します。
できあがる料理は毎回相当辛そうなので、実際食べることができるかは微妙です。
3. MEAT BAKED IN THE GROUND. LAMB in an overheated PIT.
youtube
「GEORGY KAVKAZ」は多分ロシア動画です。でかい庭のある家で豪快な料理を毎回やってくれます。この回は「ヤギを解体して地面に埋めてで焼く」という豪快すぎる一品です。途中、「次はお前だよ。」みたいなヤギも出演します。おじさんにちょっとした富豪感があって、それが素敵すぎます。
ちょこちょこお手伝いしてくれる娘たちがやけに可愛かったりするのがロシア感を強めます。ただ、奥さんは一切動画に出演しないので、「これだけのビューがあるYouTuberおじさんの豪快、かつ、世間で人気の趣味なのに、ぜんぜん奥さんに認められてないんだろうな〜」みたいな印象で、富豪感の中の哀愁��なり、好感を持てます。
他の動画もそうなんですが、料理中にワイン(多分自家製)を飲むんですが、そのときに絶対、「あまーーーい」みたいなことを言います。そしてドヤ顔します。
よく考えたら撮っている人がいて実はけっこう動きながら撮っているんですが、ぜんぜんそれを感じさせないんですよね。このロシア人のおじさんが自分の目の前にいるような引き込まれる感じが上手だな〜とか思います。
4. Chicken & Lamb Mixed Biryani | Royal Mixed Biryani | Traditional Biryani Recipe | Grandpa Kitchen
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「Grandpa Kitchen」は毎回、歯の抜けたインドのおじいちゃんがタイトルコールやってくれるんですが、料理のときはそれほど戦力になりません。逆に、アシスタント?実行部隊?の若い人たちは有能です。着々と料理を進めていってくれます。とにかく大量にご飯を作るっていうところが良いんですよね。裏山みたいな人気のない野外で料理するんですが、毎回、火をおこしてブロックなどでコンロ?を作ります。鍋のサイズがたりなくて、コンロを2つ作って並行で料理するのも定番の流れです。
最後は子供たちに振るまうんですね。ちっちゃい子も手で食べてたりしてて、そこは純粋に可愛いです。
カレーとかインド料理はとにかく美味しそうで、ぜんぜんいけそうなんですが、パスタ、ピザやヌードル系がたまにあって、それはそれほど美味しそうではなかったりしますが、作り方が面白くて、2つの楽しみ方があるチャンネルです。パスタ、ピザ系も子どもたちは美味しそうに食べます。かわいい。
食材の量がとにかく多いのと、野外で料理しているせいか、「びちゃびちゃ」「ねちょねちょ」みたいな音が聞こえてきて、なぜか料理中の音はあまり気持ちよくなかったりするんですが、結局最後の子どもたちに癒やされることになります。
5. ULTIMATE EGGS BENEDICT! - Made in the Forest
youtube
とにかく設定が謎です。「The Kitchen」から始まりますが、『なぜ???』となっても答えてくれません。何本動画を見ても答えはありません。それが。「Almazan Kitchen」です。食器もできるだけ使いません。なぜかはわかりません。炭の上に直接フライパンを乗せます。火加減はそうとう大変そうで���。そういうもんです。男たちはパーカーをきています。そういうものです。でも出来上がりはめちゃくちゃ美味しそうです。
このチャンネルに関しては「何をつくるか?」はまったく関係ないと思っていて、ただただ設定の謎さと、再現不能な調理法に翻弄される日々になります。でも最終的にパーカーのお兄さんが手で食べます。うまそうなのでよいんでしょうね。お兄さんは一切話しません。顔もほとんど映ることはありません。でも料理は上手なんですね。なぜか。どういう人なのか、まったく謎です。
6. Deep Fried Ham Bomb by the BBQ Pit Boys
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「BBQ Pit Boys」、大好きです。とにかくアメリカです。謎の無声動画+多分本人のナレーションっていうのもなんか楽しいんですが、料理がアメリカです。これはハムを塊のまま、油に入れて黒焦げにするという料理です。揚げ時間は20分とかです。煮物ぐらいに長いので、一回ビール飲みに行ってます。切ったら中はジューシーだとかナレーションで言うんですが、そこそこ乾いているようにも見えます。それ以前に表面を丁寧にカットしないと焦げが相当苦いような気がします。表面は焦げというより、炭になっています。料理の道具として注射器がでてきます。最終的にサムズアップなので、たぶんうまいんでしょう
他にも、「牛100%ミンチを丸めてベーコンで巻く料理」とか、「チーズバーガーを作って、潰して、衣つけて揚げる料理」とかワイルドさだけを追求したんじゃないかという感じの料理が続きます。ナイフとか包丁ではなくて、『剣』で料理します。「この剣どっかで見たかもな〜」と思っていたら、トルコの塩ふる料理人のやつでした。でもそれよりさらに刃渡りがでかいかも。肉はとにかく牛100%で、オリジナルスパイスが毎回のようにでてくるんですが、さり気なくパッケージにBBQ Pit Boysのロゴが入っています。ワイルドなので肉は素手で触りますが、問題ありません。
料理人以外にも食べる人がでてきますが、全員同じ格好です。全員、最終的にサムズアップなので、確実に楽しそうです。毎週末楽しみでしょうがないんだろうなぁ。と言う感じです。あと、BBQの器具をいろいろ使いこなしているところはさすがだな。昨日今日のにわかではないな。と感心してしまいます。
あんまりカメラワークみたいなのはなくて、ただ正面から撮ってる感じなんですが、やっぱりこの、ナレーション形式が逆に、「異世界のおっちゃんたちのクールさ」みたいなのを増してる気がします。「ボブの絵画教室」を見てるみたいな。「コワモテだけどいい人たち」という確信があります。
まとめ
最近は中国雲南省のあの家で一緒にご飯食べるか、BBQ Pit Boys の集会に参加するか、どちらかなんとかしてできなかな〜なんてことを知恵を振り絞って考えています。 海外在住って楽しいですよ。
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クリームに対するものすごい考え方
ロザンナ・マクラフリンによるエッセイとタルト・ディジョネーズ���レシピ
コベントリーのど真ん中に住んでいたにもかかわらず、祖父母の家の玄関は日中いつも開いていた。画家であった祖父は、人と会い、スケッチすることに貪欲で、それでさまざまな人物が予告なしに家にやってきた。全身緑の異教の衣装を身にまとい、バグパイプを担いで玄関で大音量で演奏していた「グリーンマン」のバリーだったり。祖父が電動車椅子で外出中に仲良くなったパンクスだったり。近所に住む問題児のオペラ歌手は、パーティでわざとワインをカーペットにこぼしたところを祖母に見つかって以来10年間も出入り禁止だったが、やがて再び仲間に迎え入れられた。
コーラスガールと工場労働者の娘だった祖母は、1954年に祖父��結婚した。祖母は生涯、文学愛好家であり、家族で初めて大学に進学した。祖父は、ロンドン周囲の保守的なホームカウンティーズの家庭には思いがけない子孫であり、素晴らしく風変わりだった。慢性的に不衛生な男で、バスタブは汚れた皿を入れるところ、手は絵筆を持つために存在し、プディングは天からの贈り物だと信じていた。二人とも、家庭的な世間話など大嫌いだった。お客が美とか詩のような高尚なことを議論していないことに苦々しく思った祖父が、「学位を持っているのにゴミ箱の話をしているのか」と言ったことがある。でも、そんなふうに表向きは下世話な話を嫌っていたにもかかわらず、祖母はものすごく料理が上手く、キッチンは祖父母の社会生活の心臓部だった。
そのため、来客はいつ来るのがベストなのか、すぐに察しをつけるようになった。午前11時ならコーヒーとビスケット、正午ならラムシチューやクレソンスープ、プレイス[***カレイの一種]のパン粉焼き、洋ナシと赤ワインゼリー、チョコレートプディングなど、祖母が日常的に作っていた素晴らしい昼食を食べるチャンスがあった。ある夏の朝には、祖父母の生活で転倒が頻発するようになり、定期的に呼ばれるようになった救急隊員が、あまりの楽しさに無線を切って数時間、庭にいたのを覚えている。私は祖母に頼まれてフランス産のバタービスケットとコーヒー(いつもクリーム入り)を皿に載せて持って行き、救急隊員はそれを蔦の陰でくつろぎながら楽しんでいた。
祖父の死から数年が経った昨年11月、祖母が亡くなった。今、二人のことを思い出すと、最後まで親しい人々で賑わっていた家のことが思い出される。祖父は救い難い甘党で、糖尿病で片足を失った後も道路を隔てたリドル・スーパーマーケットからルール違反のヌガーを入手していたことを思い出す。祖母の台所に座り、食事の準備を手伝いながら、文化や政治に関するあらゆる事柄について祖母の強い意見に耳を傾けたことも。あるとき、エンドウ豆の鞘とったり、ジャガイモの皮を剥いたりしながら、肥満に対処するためのおせっかいな戦略に関する記事について話し合ったことがある。「たとえ顎をワイヤーで固定されていたとしても、ストローでダブルクリームを吸うわ」と彼女は宣言した。また、80代後半になって、サリー・ルーニーの小説を読んだ後に、「英語は完全にあきらめた、これからはフランス語の小説しか読まない」と宣言したこともあった。
でも私がいちばんに思い浮かべるのは、タルト・ディジョネーズだ。チーズ、マスタード、卵、クリームを混ぜた濃厚なソースをシュー生地に塗り、玉ねぎとパプリカを重ねたもの。妻のメリッサと私が訪れると、祖母はよくこのレシピを選んだ。私たち夫婦はベジタリアンという恐ろしいものの手中に落ちており(祖母はあるときそれを選ぶことは「反社会的な行為」だと表現していた)、それはオムレツと並んで、彼女が作る数少ない肉や魚を使わない主食のひとつだったのだ。昼になり、私たちが祖母の料理と文化的見解と無尽蔵の赤ワインを求めて集まった客人たちに混じると、そのタルトが台所のテーブルに頻繁に並んでいた。
晩年、祖母の足が不自由になると、台所が心許ない場所になることがあった。パントリーの棚に腐ったクリームケーキが置かれ、その横のジャガイモはあまりに青く芽吹いていてまるでウニのようだった。その頃には、祖母は口述でほとんどの料理をするようになっており、リビングルームの肘掛け椅子から家族に指示を出した。祖母は年をとるにつれてほとんど家から出なくなったが、気前のいい食卓が、世界を彼女の方へと連れてくるのだった。祖母は、料理が友情とコミュニティを維持するために果たす役割を知っていた。料理は、人々を結びつける善意と優しさの行為だった。
数年前、メリッサに頼まれ、祖母はタルト・ディジョネーズのレシピを書き出した。パントリーにあったデリア・スミスの料理本の表紙の裏に挟んであった黄ばんだ新聞の切り抜きを写し、括弧書きで自分のコメントを加えた。メリッサと私は自宅で何度もこのタルトを作ったが、祖母の死後数か月間は、このタルトを作るとほろ苦い気持ちになった。タルトの生地は、クリームとマスタードとチーズを乗せる土台であると共に、悲しみの受け皿でもある。それでも料理は、コヴェントリーから数百マイル離れたサセックス海岸の私たちの台所へ、祖母を呼び寄せる手段なのだ。
タルトを包丁で切るときのカリカリという音は、祖父母の台所の小さな食卓を囲むグラスの音や、チラシやバスの時刻表や古い果物の種が山積みになった本棚に囲まれたダイニングルームでの食事を思い起こさせる。炎のように赤いパプリカは、祖母のもてなしと同じように鮮やかで、マスタードの刺激には祖母との会話と同じような満足感がある。タルトはいつもおいしくできるが、クリームに対するものすごい考え方を持った祖母が手順を見守っていた時のおいしさとは、比べようがない。
***
タルト・ディジョネーズ (「メゾン・ベルトー」のタルトをベースにしたマーク・ヒックスのレシピ)
シュー生地 250g(20×30cmの大きさに伸ばしたもの。わたしは既製品を使う)
玉ねぎ 大1個(みじん切り)
赤パプリカ 2個(種を取り除き、細かく刻む)
オリーブオイル 大さじ2
ミディアムまたはストロングチェダー 150g(細かくすりおろす)
卵 2個(軽く溶きほぐす)
ダブルクリーム 大さじ2
ディジョンマスタード 小さじ2(好みでもっと加えてもいい)
塩���適量
挽きたての黒胡椒 適量
オーブンを200℃に予熱しておく。20×30cmくらいのベーキングトレイを用意する。深さ1~2cmの浅いものが理想的。ベーキングシートを敷いておく。
中くらいのフライパンに、みじん切りにした玉ねぎとピーマンとオリーブオイルを加える。蓋をして中火にかけ、よく混ぜながら約15分、野菜が柔らかくなり、焼き色がつくて前まで炒める。火からおろし、そのまま冷ます。
野菜が冷めている間に、ベーキングトレイにペイストリーを敷き、10分焼く。ペストリーは少し盛り上がって淡い黄金色になり、冷めるとまた沈む。
玉ねぎとピーマンを炒めたものに、チーズ、卵、クリーム、ディジョンマスタード、塩、コショウを加える。混ぜ合わせ、味を整える。
トレイの中のペイストリーシートを裏返し、その上にトッピングを厚く、均等に広げる。オーブンに戻して18~20分、縁に軽く焼き色がつくまで焼く。
できれば温かいうちに、サラダと一緒にでも召し上がってください。
Vittlesに掲載 2023.5.31
ロザンナ・マクラフリンは、イースト・サセックスを拠点とするライター兼編集者。著書に『Double-Tracking:Studies in Duplicity』(Carcanet、2019年)、『Sinkhole:Three Crimes』(Montez、2022年)がある。『The White Review』[***アートと文学の雑誌]共同編集者。
Vittlesは、レベッカ・メイ・ジョンソン、シャランヤ・ディーパック、ジョナサン・ナンが編集し、ソフィー・ホワイトヘッドが校正と副編集を担当している。『Cooking from Life』のレシピは、ルビー・タンドウによって試作されている。
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生ハムでユッケを作るというのは,考えもしませんでした。これは名案ですね(^^♪ 僕が子供の頃は「牛肉や馬肉は生食出来るが,豚肉は絶対に生食してはいけない」というのが一般的な理解でした。僕も周囲からそのように叩き込まれたのを,昨日のことのように明確に覚えています。実はこの「牛肉・馬肉は生食出来る」というのは甚だ危険な誤解です。本当はそれが可能なのは生食用に特別な食肉処理されたものだけなのですが,当時は一般の人々はおろか専門店でもそのあたりの理解が曖昧でした。普通の肉を平気で牛刺しやタルタルステーキとして提供しており,僕たちも何の疑問も抱かずにそれを頂いていたのです。今にして思うと,よく無事で済んだものですね。 そんな時代ですから,食肉の加熱についてもいい加減な理解が罷り通っていました。ご承知のとおり食肉は比較的低温で加熱すれば赤みと瑞々しさとを残したままで充分安全に火を通せるのですが,当時はそのあたりの理解も実に曖昧で,料理人ですら「レアステーキというのは表面だけ炙って内部は生」などと誤解して中の冷たいままのビフテキを提供したり,一方で豚肉はといえばせっかくの上等な肉なのに中が完全に真っ白になるまで火を通してカチカチになったものを提供するなどということが普通に見られたものです。これらは危険ではありませんが,今なら到底通用しないような質の低い料理が街の食堂で堂々と提供されていたということで,当時の食文化がまだまだレベルの低いものだったということは間違い無く断言出来るでしょう。因みに現代でも読み継がれている雁屋哲氏原作・花咲アキラ氏作画の劇画「美味しんぼ」の連載が始まったのは1983(昭和58)年,その時代のことです。同作品に対しては「誰でも知っていることを,さも特別な知識・情報のように大袈裟に強調して取り上げている」という批判がありますが,僕は当時を知る者として「そうではない」と声を大にして言いたいと感じます。「美味しんぼ」に書かれていることは当時の読者にとっては全く未知の知識であり情報でした。同作品に書かれている内容が「誰でも知っている」ようになったのは当時から40年近くを経て人々の間に知識が普及し社会の見識が深まったからですし,そうした知識・見識の底上げに「美味しんぼ」が果たした役割は決して小さくないでしょう。 僕が初めて生ハムに出会ったのも,その時代のことです。祖父や父に連れられて行ったレストランで「ほう,生ハムがあるのか!(^^)!」と声を上げたのが祖父だったか父だったか,もう記憶がありません。ただ「これはとても美味いものだ。お前も食べろ」と勧められて注文するや大きなメロンに1~2枚載せられた生ハムが登場し,肉を果物と一緒に食べた経験も無ければ非加熱の豚肉を食べたことも無い僕が仰天したことだけは,今もハッキリと覚えています。そして「これは豚肉だが,特別の加工をして非加熱でも安全に食べられるのだ」と教えられておっかなびっくり口に運び「おお!(。・о・。)!」とその美味に驚いたのも,同じく忘れられない思い出です。祖父も父も仕事でヨーロッパに行ったことがあり,そこで生ハムの美味を知ったのでしょうね。 今回この文章を書くに際して興味を持って調べてみたのですが,生ハムが食品衛生法に明確に位置付けられて公式の安全規格が出来たのが1982(昭和57)年のことで,そのお店はやっと日本で流通が公認されたばかりの生ハムを提供していたのだと思われます。そして僕も非常に驚いたのですが,生ハム輸入が解禁されたのはイタリア産について1996(平成8)年・スペイン産について1999(平成11)年と,まだ全くの近年のことに過ぎません。今ではちょっとしたレストランでも,またスーパーやコンビニエンスストアでも生ハムは普通に供されていますが,そうなったのはごくごく最近のことに過ぎないということですね。以前に「僕の子供時代,イタリア料理などというものは現在のエスニック料理のように全く馴染みの薄いものだった」と申し上げたことがありますが,こうした事実からも僕の話が決して大げさなものではないということをお判り頂けるのではないでしょうか。 この記事で取り上げられているユッケについても,以前は焼肉屋さんに行けばごく簡単に賞味することが出来ました。ユッケというのは牛肉で作るもので,その牛肉は「生食出来る」と誰もが信じて疑っていなかったのですから。しかし現在ではそれが衛生上の大問題であることが知られるようになり,生食用の特別な牛肉を入荷している高級店で相当の対価を払わなければ口にすることは叶いません。このため最近では鮪で作ったユッケを提供するお店もあって,それはそれで美味ではあります。しかしユッケというのは漢字て「肉膾」と書くことからも明らかなように,本来は生肉を頂くお料理です。「昔のように,気軽にお肉のユッケを食べたいものだなぁ(。・_・。)。oO」という思いをずっと抱いておりました。 「それならば生ハムを使えば良い」というのは,言われてみれば全くの道理ですね。生ハムは豚肉ではありますが,鮪よりはずっと牛肉に近い存在です。そして食肉でありながら,安全に生食出来るのですから。しかし僕などはこのアイデアを全く思いつきもしませんでした。古い言葉ですが「コロンブスの卵」というのはこういうことをいうのでしょうね。 この記事で取り上げられているハマごはん氏のレシピでは「生ハムを細切りにして胡麻油・おろし大蒜・おろし生姜・豆板醤をしっかりと絡め,大葉・白胡麻・卵黄と盛り付ける」という簡便な方法でユッケを作っています。「お味のほうはどうかな(・・?)」と思いましたが「口に運んだ瞬間にごま油の香りとねっとりと濃厚な黄身、そしてピリッとする豆板醤がユッケを彷彿とさせて本当においしい」とあり,読んでいて思わず空腹を覚えてしまいました(๑˃̵ᴗ˂̵) 久々にユッケを手軽にお腹一杯,しかも極めて安全に頂くことが叶いそうです(﹡ˆ ᴗ ˆ﹡) この記事にはどんな生ハムを使うのが良いかについては,特に記載がありません。僕ならば敢えて安価な生ハムを使いたいところです。イタリアやスペインの高級品はしっかりと熟成されていて独特の風味を感じさせられるのに対し,安価なものはその熟成があまり進んでおらず「これでは塩味をつけた生肉のようだ(・ω・`)」などと感じさせられることも稀ではありません。しかしユッケというのは本来生肉を頂くお料理ですから,その「熟成が進んでいない」というのが逆に長所になるでしょう。また仮に熟成のしっかり進んだ高級品を使っても,胡麻油や大蒜・生姜・豆板醤の香りや味でその熟成の味は消し飛んでしまう可能性が高いと思われます。「生ハムは高級品についてはそのまま,安価なものについてはユッケにして頂く」というのが,各々の特質を最大限に生かした美味しい食べ方なのではないか。僕はそのように予想致します。 このハマごはん氏による「生ハムユッケ」,是非早急に頂きたいものです٩(๑˃̵ᴗ˂̵๑)۶ ° そしてこの「生ハムユッケ」を頂けば,僕は子供時代に馴染んだ生ハムとユッケという2つの食べ物を同時に味わうことにもなるわけです。そしてそれに併せて,子供時代の懐かしい思い出を再び味わうことも出来るのではないかな,などという期待をも感じさせられているところです♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪
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ひとみに映る影 第七話「紅一美に休みはない」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 段落とか誤字とか色々とグッチャグチャなのでご了承下さい。 書籍版では戦闘シーンとかゴアシーンとかマシマシで挿絵も書いたから買ってえええぇぇ!!! →→→☆ここから買おう☆←←←
(※全部内容は一緒です。) pixiv版
◆◆◆
ただただ真っ白な空と海があった。 天地を分かつ地平線すら見えないほど白いその空間に、私、ワヤン不動という影だけが漂っていた。
未だ点々と炎がちらつくその身体は、浅い水面に大の字に浮き、穏やかなさざ波に流されていく。 ここはどこだっけ、私はどうしていたんだっけ。 そういった疑問は水にさらされた炎と共に鎮静していった。
遠くに誰かがいる気配がした。軋む身体を起こすと、沖縄チックな紅型模様の恐竜が佇んでいる。 濡れて重たい両足を引きずり、そこに近づくにつれて、段々と海は深くなり、かつ水が温かくなっていく。 立ったまま胸まで浸かる程深くなると、まるで露天風呂に入っているように、頭がぼーっとしてくる。
恐竜の隣には小さな足場とベンチがあり、可愛らしい白装束を着た金髪ボブカットの女性が座っていた。 丸く神々しい後光がさしていて、顔は逆光でよく見えない。天女だろうか。 ベンチから足だけを温水に投げ出し、足湯を楽しんでいるようだ。私は水中からそれを見上げている。 (ああ…誰だっけこの人。どこかで会ったことがある気がするけど…) 挨拶するかどうか迷う。気まずい。いずれにせよ、何か声はかけよう。 ここはどこですか、とか、あなたは誰ですか、とか… 「…アガルダって、何なんですか」 いや、どうしてそうなるの。私。完全に変な人じゃん。 だめだ、頭が回らない。案の定天女は苦笑した。 「いきなり凄い事聞くよね」
「知らないんですか?金剛楽園アガルダ」 「あんただって知らないんじゃん。 まあでも…金剛有明団(こんごうありあけだん)っていう、なんかこう、黒魔術師達の秘密カルトがあるらしいよ。 世界中から霊能者の魂を収集してて、何かにつけて金剛、金剛ってウザい喋り方するんだって。それじゃない?多分」 「ああ。それですね」 「てか、そんなの聞いてどうするの」 「滅ぼす」 「ウケる」 天女はコロコロと笑った。
「ここは何なんですか」 「私の夢の中…それかあんたの夢かも? ま、どうでもいいんじゃない?」 「あなたも金剛の使者?」 「まさか。私だって昔、観音和尚様にはお世話になったんだよ?」 「え…」
逆光の影をエロプティックエネルギーでどかして、私は改めて天女の顔を見た。 ああ、そっか…金髪にしたんだ。中学の時はさすがに黒髪だったよね。 髪、そうだ、髪だよ。私はその天女…いや、その祝女に問うた。
「あのさ。どうでもいいけど…ゴムか何か持ってたりしない? さっきから髪がメチャクチャお湯に入ってるんだ」
◆◆◆
何の脈絡もなく目覚めると朝になっていた。 私は怪人屋敷エントランスのソファで眠っていたらしい。 サイレンや話し声が騒々しい。外光が射しこむ窓越しに、救急車や数台のセダンが見える。 「一二、三!」 救急隊員さん達が、担架からストレッチャーに何かを乗せた。白い布にくるまれた、岩のような何かの塊を… そうか。ああやって外に出せているという事は、全て終わったんだ。 私達は殺人鬼を見つけて、悪霊を成仏させて…たくさんの命を救ったんだ。
「あ…紅さん」 譲司さんがこちらに駆け寄る。 「紅さん起きましたーっ!」 <ヒトミちゃん!>「オモナ!ヒトミちゃーん!」 オリベちゃんとイナちゃんも…みんなボロボロだ。全身煤埃や擦り傷だらけの譲司さんに比べればマシだけど。 オリベちゃんに肩を借りて立ち上がると…バシン!私は超自然的な力に頬を打たれ、衝撃で尻餅をつく。 「リナ…」
「アナタ、ワヤン不動になって、何回死んだの?」 「…」 「何人分殺されたの」 殺人被害者達の死の追体験。あの時はハイになっていて恐怖を感じなかったけど、今思い出そうとすると、身の毛もよだつ感覚が鮮明に蘇る。 「うう…数えればわかるけどさ…」 「じゃあ、二度と数えないことね。 アナタは…ちゃんと生きて帰ってきたんだから」 「え?」 宇宙人体のリナは長い腕で私を影ごと抱きしめ、子供をあやすようにぐしゃぐしゃに頭を撫でた。 「良かった…。アナタの精神がアレと相打ちにでもなったら、アタシ観音和尚に顔向け出来ないもの…」 初めて見た、いつも気丈なリナの泣き顔。彼女は涙を流しながら、人間の姿に縮んだ。 それはとても綺麗だった。美人だった。
その後私達は警察やNICの職員さん達から聴取を受け、昼過ぎにようやく解放された。 水家曽良は表向き被疑者死亡で書類送検とされ、未だ脳細胞が活動し続けている遺体は研究対象としてドイツのNIC本部に収容されるらしい。 待ちに待ったお蕎麦屋さんに私達が到着した時、既にテレビではニュース速報が流れていた。 皆神妙な顔で画面に見入っていたが…
ぐぎゅるるるる…
私の腹の虫が重い沈黙を破った。慌ててトートバッグを抱きこんでも、もう遅い。 「くくく…やるなぁ、あんた…」 ジャックさんやリナの表情にじわじわと含み笑いが浮かんでくる。 普段なら恥ずかしいとか、タレントとしてはオイシイだとか思うけど、なんかもうダメだ。 ぐぎゅぅぅぅるるる…空腹と疲労と寝不足で、私はリアクションの一つも取れない。 「笑うなや。ワヤン不動様昨日飲まず食わずで、あんだけ働いてくれとったんやから。なあポメ?」 「わぅん」 譲司さんとポメちゃんの優しみ。有難い。 でも、すいません。もう限界です。糸が切れたように私はテーブルに突っ伏した。 <や、やだ、ヒトミちゃん!? ていうか何その手、ダイイングメッセージ!?> 霞む意識の中、私はお品書きを指さしていた。 最後の力を振り絞ってオリベちゃんにテレパシーを送る。 <お願い、こ、これを…注文して下さい…!> <いや、私日本語読めないんだけど。 イナちゃん、これ(鴨南蛮)なんて書いてあるの?> 「アヒルナンバン大盛り」 「かもなんばん!!」 なんかノリツッコミしたら自力で復活できた。 代わりにリナ、萩姫様、ジャックさん、譲司さんが抱腹絶倒した。
ようやく腹ごなしを済まし、私達は民宿に戻った。 荷物を下ろすやいなや、全員示し合わせたように脱衣所へ直行。 昨日も入った露天風呂だけど、めちゃくちゃ気持ちいい! 「あーーーー!染み入るーーーーっ!」 「本当よぉ!アナタ達バカだわ、せっかく磐梯熱海に来たのに、ちっともお風呂入らなかったんだもの!ねえ萩ちゃん」 「同感同感!イナちゃんは日本の温泉初めて?韓国の方々も温泉好きなんですってね?」 「そです、私達オンセン大好きヨ!気が清められるですねー!」 <うちの風呂もこれぐらい広かったらなぁー。そっちはどう、ジョージ?> すると衝立一枚隔てた男湯からレスポンス。 「pH結構高いなー!」 <いやダウジングしてどうすんのよ!> 「冗談冗談。あのねー!そもそも空気がめっちゃええの! 湯気で保湿されとるし肺まで癒されるわ!なあポメ?」 「あぉーん!」 ポメちゃんも上機嫌のようだ。
私も男湯に声をかけてみる。 「ジャックさーん!うちのおんつぁどうしてますー?」 おんつぁは会津弁でバカの意。実は、プルパ型に戻った龍王剣をさっき男性陣に預けたんだ。 霊泉と名高い磐梯熱海温泉を引っ掛ければ、あれも少しはマシな性格になりそうだけど、女湯に入れるのはさすがに嫌だったから。 「おう、同じ湯船に入れたくねーからよ、言われた通り洗面器で漬けておいたぜ。 真っ黒なのは治んねえな!ハッハ…うおぉ!?」 「わぁ!」「きゃわん!」 男湯で異変!女子一同がそれぞれタオルや霊能力を身構える。 「ど…どうしたんですか?ジャックさん!」 「い、いや、その…龍王剣の中から…」 「中から…?」 「アー…剣じゃなくて、持ち手からなんだがな…あんたの和尚が馬頭観音になって出てきた」 「はぁ!?」
そんな馬鹿な。和尚様は成仏されたはず。 まあ、既に観音菩薩になられた和尚様が『成仏』というのもおかしな話だけど…。 「ま、まさか観音和尚、お風呂入ってるの?裸!?」 リナが衝立を覗こうと飛び上がった。私は咄嗟に影手を伸ばし、阻止する。 「こらっリナ!和尚様の前でそっ、そんな破廉恥をっ!!」 「うるさいわね!いいのよアタシはインターセクシャルだから、どっちに入っても! これは美的好奇心であって猥褻な気持ちは一切ないわよ!」 「ヒゲと声以外ぜんぶ女のクセに何言ってるんだっ!やーめーなーさーいってのーっ!」 「アイタタタ、暴力反対!アナタだって本当は見たいんじゃないの?」 「んなわけあるか!!そりゃもう一度会いたいけど…っていうか小さい頃は一緒にお風呂入ってたもん!!」 「ずるい!このスキモノ!!」
すると衝立越しにヒョコッとポメちゃんが掲げられた。 もみ合っていた私達は不意をつかれて膠着する。 ポメちゃんの口には、何の異変も起きていない龍王剣プルパが咥えられていた。 「ハーイ、ドッキリ大成功!したたびでーす!」 譲司さんが裏声で腹話術する。 私とリナも、いつもテレビでやっているリアクションを返した。 「「…ぎゃーっ!また騙されたーーっ!!」」
そうこうしているうちに、また日が沈み始めた。 夕方五時。荷物やお土産をミニバンに詰めこみ、私達は民宿を後にする。 本当は猪苗代湖や会津方面の観光案内もしたかったけど、NIC職員のオリベちゃんや譲司さんが警察で事件の後処理をするため、私達はもう東京へ戻らなければならない。 そこでまず、萩姫様を大峯不動尊へ送りに行った。
「あんな事があったけど、また遊びに来てね」 萩姫様はまた正装である着物に戻っている。けど、帯飾りや例のロケットランチャー型ポシェットといった小物に、オルチャンファッションの影響が残った。 「もちろん、また来るですヨ。ハギちゃんがバリとか韓国来る時も私呼んで下さいね」 そう言うイナちゃんの耳にも、萩姫様を彷彿とさせる黒い紐飾りピアスが揺れる。 通りがかりに寄ったお土産屋さんで売っていたやつだ。 私達一同と固い握手を交わし、萩姫様はお社へ消えていった。
◆◆◆
車に戻ると、道路沿いに小さな原付屋台があった。 ポッ、ポポポポ…ガラスケース内で、ポップコーンが爆ぜている。バターの香りが漂う。 その傍らではエプロンを着たジャックさんが、フラスコ型喫煙具を吹かしていた。 彼は私達が戻ってきた事に気付くと、屋台についている顔とお揃いのマスクを被り、スイッチを入れる。 ブゥーン…屋台の顔に仕込まれたスピーカーから、電子的ノイズが漏れる。
「アー、アー。ポップコーン、ポップコーンダヨ…ヨォ、ガキンチョ共! ポップコーンダッツッテンダロオラ!ポップ・ガイノウェルシー・ポップコーンガオデマシダゼェ!」 ボイスチェンジャー声に合わせて、屋台の顔ポップ・ガイはガコガコと顎を上下する。 何でちょっと逆ギレ気味なのかはよくわからないけど、これが彼の定型口上文なのだろう。 「今日ハ閉店セールダ、トビッキリノポップコーンヲ食ワセテヤル。 マズハオ前ダ、紅一美!」 ガコンッポン!ポップ・ガイの顎が大きく開き、口から焼きたてのポップコーンが一粒飛び出した。 それは物理法則に反して浮遊し、私の手の中に落ちる…あっつ! 「ソラ食エ、騙サレ芸人!アッコラ、フーフースルナ!」 「だ、誰が騙され芸人ですか!…あつつ!」 ポップ・ガイにそそのかされて、私は熱々のポップコーンを口に運んだ。 …結構しょっぱい。そして胸焼けするほど油っこい。けど、麻薬的な美味しさ。 アメリカ人の肥満率が高い原因の片鱗に触れた気がする。
ポップコーンを嚥下すると、私の足元で、影が独りでに蛇の目模様を描いた。 「これは…」 見覚えがある。安徳森さん…ファティマンドラの種に見られる模様だ。 ジャックさんはマスクを被ったまま、スイッチを切った。 「そいつはファティマの目、トルコではナザール・ボンジュウと呼ばれるシンボルだ。 邪悪な呪いや視線を跳ね返し、目が合った悪しき魂を抜き取る力がある。 あのクソの脳内地獄で、安徳森が俺達タルパを保護するためにばら蒔いてたやつだ。 あんたが本気で金剛ナントカと戦うつもりなら、持っていけ」 蛇の目模様は影に沈んでいった。 つまりジャックさんのポップコーンは、彼の命を構成する欠片だったようだ。 「ありがとうございます」 私はファティマの目という霊能力を授かった。
ジャックさんが再びスイッチを入れる。 「次ハオ前ダゼ、ジョージ・アルマン!」 ガコンッポン!射出された新たなポップコーンは、譲司さん目がけて飛んでいった。 アルマンは、譲司さんがイスラエルに住んでいた時の旧姓だ。 「あっつ、はふっ…ん? …ポップコーン種総量に対してバターが七〇%、レッドチェダーパウダーが五%、更に米油が…って、嘘やろ!?こんなに油使うん!?」 「バッカ、この野郎!読み上げるんじゃねえ!企業秘密だぞ! 養護教諭になるなら美味いポップコーンの一つも作れねえと、ガキ共にナメられるだろ」 「せ…せやな…?けどこれ、食べさせすぎたらあかんやつや! ほどほどに振る舞わせて貰うわ、ありがと」 譲司さんが授かった魂の欠片は、ポップコーンの秘伝レシピのようだ。 いずれバリ島に遊びに行って、ご馳走になりた��な。
お次はオリベちゃんだった。 <うわ、確かに凄くジャンクな味だわ。 これは…ああ、懐かしいなあ…!> オリベちゃんは目を煌々と輝かせて、ぼーっと中空を眺める。 「ちょっとアナタ、何が見えてるの?一人で浸ってないで教えてよ、ねーェ」 リナがオリベちゃんの眼前で手を振った。 <ごめんごめん。あまり懐かしいものだから… 私が貰ったのは、これ。テルアビブ・キッズルームの、たくさんの楽しかった思い出よ> オリベちゃんが淡い紫色に発光し、周囲がテレパシー幻影に包まれた。
オーナメントやおもちゃで彩られたカラフルな家で、様々な脳力を持つNICの子供達が遊んでいる。 人形ジャックさんは、幽霊の女の子とアドリブで物語を話し合い、それを器用そうな男の子が絵本に綴る。 幼いオリベちゃんは、人に感情を与えるエンパス脳力者の女の子と、脳波をぶつけ合いながら睨めっこをしている。 その勝敗を判定しているのは、弱冠八歳で医師免許を持つ天才少年だ。 部屋の奥では彼らの様子を、二人の優しそうな養護教諭さんが暖かい視線で見守る。 「まあ。アナタ、子供の頃から素敵なファッションセンスしてたのね」 <もちろん!なにせテレパシー使いはシックスセンスが命だもの!> 「うふふふ」 こうしてリナと会話するオリベちゃんを見ると、彼女のキラキラした笑顔は子供の頃から変わらないものだったんだとわかる。 『出てこいよ、ジョージ。みんないるぞ』 長い髪のサイコメトラーの少年が、クローゼットの扉をノックした。 すると、中から…分厚い眼鏡をかけた小柄な男の子が、前髪で顔を隠しながら、遠慮がちに現れた。 「オモナ!ヘラガモ先生、とてもちっちゃいなカワイイ男の子だったの!」 イナちゃんが両手を頬に当てた。確かに子供の譲司さんは、精悍な今の顔からは想像がつかないほど可愛い。 というより、先程のサイコメトラーの少年…例の殺された『アッシュ兄ちゃん』の方が、大人になった譲司さんによく似ている。 この二人の少年の魂が混ざりあって、今の彼があるという話を、まさに象徴しているようだ。
「ねぇジャック、アタシ達にはないの?」 「わう!わう!」 リナとポメちゃんがジャックさんの周りをくるくる回る。 「ア?ドーブツ共ニヤルポップコーンハネエヨ、帰ッタ帰ッタ」 「馬鹿野郎、ポップ・ガイ。宇宙人のお客様なんて上客じゃねえか。無下に扱うんじゃねえぞ」 「ショーガネー、コイツヲ食ライナ!」 器用にポップコーン機構を操作しながらマスクスイッチを切り替え、ジャックさんが腹話術を披露する。 ガコンッポポン!射出された二粒のポップコーンはそれぞれ異なる軌道を描き、リナとポメちゃん目がけて飛んだ。 「先に言っておくとな。リナ、あんたには、水家の中にいたタルパ共の情報だ。 あいつは記憶を失った後も、金剛の呪いの影響で、無意識にあらゆる霊魂を脳内地獄に吸収していた。 人間だけじゃなくて、土地神やら妖怪やら色んな奴を吸い取っていたから、見ていて退屈しなかったぜ。 タルパを作るのがあんたの本能なら、何かの役に立つかもな。だが物騒な怪物だけは作るんじゃねえぞ」 「わかってるわかってるゥ!ああっ凄いわ! ツチノコからゾンビまで…あーっ妖怪亀姫もいるじゃない!」 妖怪亀姫って…猪苗代湖を守る神様の一人じゃん。 まさか、ハゼコちゃんが暴れた時に逃げ出して、そのまま水家に魂を奪われたとか!? 私、昨晩とんでもない方を成仏させちゃったかも…リナが福島の神々を再建してくれる事を祈るばかりだ。 「ポメラー子のは夢の中で発現する。フロリダの農村の記憶だ。 何も無くてだだっ広いだけのクソ田舎だと思っていたが、犬にとっちゃ最高のドッグランになるだろうよ」 「ほんま最高やん!良かったなあ、ポメ。俺仕事さっさと済ますから、今夜は早く寝ような」 譲司さんがポメちゃんの頭を優しくなでた。ポメちゃんは黙々とポップコーンを食べている。 彼女と譲司さんが夢の中の大自然で駆け回る、微笑ましい光景が目に浮かんだ。
「じゃあ、最後はお前か」 ジャックさんがイナちゃんを見る。でも、イナちゃんは目を逸らした。 「私いらない」 「あ?」 マスクスイッチをオン。 「バカヤロー、オ前。俺ノポップコーンガ食エネエッテカ? 安心シロ、幽体デデキテルカラ、カロリーゼロダゾ」 「いらないもん」 「アァ!?」 スイッチオフ。 「何なんだよ?」 「だって…食べたらジャックさん消えちゃう」 「!」
ジャックさんとポップコーン屋台は、既に薄れかけていた。 自分の魂を削って私達に分け与える度に、彼は少しずつ摩耗していったんだ。 ジャックさんがマスクを脱いだ。 「あのな、俺は二十年以上前に殺されたんだ。もうとっくにいない筈の人間なんだよ。 だから、そんな事気にするな」 「ウソ。じゃあどうして、ジャックさんずっと成仏しなかった? 本当は、オリベちゃん達が見つけてくれるの待てたでしょ」 「…どうだかな」 「せかく会えたなのに、どうして消えなきゃいけない? これからオリベちゃんの子供育つを見ればいい、これからヘラガモ先生バリで頑張るを、傍で見守ればいい! どうしてあなた今消えなきゃいけない!?」 イナちゃんが握りしめた両手が、ジャックさんの胸を無情にすり抜ける。 ジャックさんは掠れた幽体でその手を優しく掴んだ。 「イナ」 「!」 そして、初めて彼女を名前で呼んだ。
「霊魂が分解霧散する事を、仏教徒共がどうして成仏だなんて呼ぶか知ってるか? 役目を終えて砕け散った魂は、エクトプラズム粒子になって、自然界に還る。そして、新たな生命に吸収される。 宇宙の営みってやつだ。宗教やってる連中にとっちゃ、それは宇宙や仏と一つになる、尊い事なんだそうだ。 俺は既にジャック・ラーセンじゃねえ。クソ野郎に霊魂を切り貼りされた、人工のクソ怪物だ。 それでも…お前みたいなガキの笑顔に弱い性格は、生前と変わらなかったんだよなあ…」
ジャックさんの目から涙が零れ始める。彼の霊魂が更に希薄になっていく。 「…オリベ。ジョージ。俺の事…諦めずに見つけてくれて、ありがとう。 おかげで、お前らと遊んだ記憶をまた思い出せた。 歪な関係だったけど…短い時間だったけど…クソ楽しかったよな。 …なあ、イナ。そんな顔するなよ。魂を清めるのが、お前の力なんだろ? だったら祈ってくれよ。俺が世界中に飛び散って、宇宙と一つになって、もっともっと沢山のガキ共を笑顔にできるように。 綺麗な花を咲かせる生命力になって。人間を動かすハッピーな感情になって。…最高に美味ぇポップコーンになって。 スリスリマスリ…って、祈ってくれよ。頼む…!」 ガコンッ!コロロロ…ぼろぼろに涙を零し、声をきらしながら、ジャックさんは最後のポップコーンを作った。 それはポップ・ガイの口から力無くこぼれ落ち、イナちゃんの足元を転がる。 「…頼むよ…」
イナちゃんはしゃがみこみ、そのポップコーンをそっと拾い上げた。 それはもはや喫煙具から立ち昇る煙のように、今にも消えてしまいそうな朧な塊だった。 「スリスリマスリ。スリスリマスリ」 ポップコーンはイナちゃんの両手に優しく包み込まれ、そのまま彼女の魂に溶けた。 「…それでいい。カナヅチは今日で卒業だ。もう溺れるんじゃねえぞ」 「ウン」
「イナ」 抱き合って、ぼろぼろに泣く二人。イナちゃんは顔を上げた。 薄れ行くジャックさんが、半魚人から人間の顔になる。 水家に似せられた髪型や背格好。ただ、彼はよりがっしりとした体格で、首が太く、彫りの深い黒い目を持つインド・ネパール系人種の男性だった。 「ジャックさん」 「…おっと、違う。これじゃねえ。これも作られた顔だったな」 魂がほぐれていくにつれ、より深層に眠っていた、彼の自意識があらわになる。 ジャックさんは、ジャック・ラーセンさんは、私達の前で初めて素顔を見せた。
「アイゴー…!」 「な、諦めがついたか?俺みたいなチンピラにこだわってねえで、もっと良い男を見つけろよ、イナ」
最後にそう言って、ジャック・ラーセンさんは分解霧散した。 本来の彼は…殺人鬼の言う通り、確かにちょっと魚っぽかったかも。 全身を鱗のような細かいタトゥーで覆い、オレンジ色に染めたモヒカンを側頭部に撫でつけ、ネジや釘が煩雑に飛び出した屋台やマスクと同じようにピアスまみれな… 言うなれば、ポップ・ガイのお父さんみたいな人だった。
こうして、私達は熱海町を後にした。 リナは千貫森に帰り、タルパ仲間と共に福島のパワースポットを復興する。 オリベちゃんは水家の遺体と共にドイツへ飛び、譲司さんはバリ行きを延期して警視庁公安部に向かう。 その間、イナちゃんは私の家に泊まって待機する事に。私の次のスケジュールは…連ドラ『非常勤刑事(デカ)』のロケで福井へ行くのが、明明後日。それまでは自由だ。 そして明日は私の誕生日!やっとイナちゃんと渋谷や原宿で遊べるぞ。 私はそう思っていた…渋谷スクランブル交差点にあのロリータ服の悪魔が現れるまでは。
◆◆◆
十一月六日、正午〇時。 ヴー、ヴー…トートバッグ内でスマホが震えた。画面には、『イナちゃん』。 「紅さん鳴ってるよ、ほら出てあげなさいよ」 ディレクター兼カメラマンのタナカDが、ファインダーを覗いたまま言う。 私は不貞腐れて電源を切った。 「二十歳になった���に、まだまだ大人げないなー。ま、ヘリコプターは機内モードってのも正解だけどね」 座席にふんぞり返ったアイドル、志多田佳奈さんが言う。 「私はヘリに乗せられるだなんて聞いてないです。 どうして誕生日にこんな所にいなきゃいけないんですか」
ここは東京上空千メートル、小型ヘリコプターの中。 だいたい私は非常勤刑事のロケで福井に行くんじゃ…多分、それすら事務所が用意した偽スケジュールなんだろうけど。 今度、ドラマ主演の伶(れい)先輩に言いつけてやるんだから! そもそも、どうしてこんな事になったのか。それは遡ること二時間前。
私はイナちゃんを連れて、竹下通り(たけしたどおり)でウインドウショッピングをしていた。 あそこはロリータファッションの聖地で、個人的にロリータにはあまり良い思い出がないから、普段足を踏み入れる事は無い。あくまで観光地だから連れて行くんだ。 そう思っていたけど、実際に行くと、普通に楽しかった。 猫の額ほど狭い路地に、各種ファストファッションの直営店から、煩雑なノーブランド品を売るセレクトショップまで所狭しと詰め込まれている。 更に中空には、死後ポップな姿を取るようになった霊魂や、人々の感情の結晶らしき可愛いモンスター、誰かが作ったマスコットタルパなどがひしめき合い、イナちゃんがそれを見て飛び跳ねながら歓喜する。 さながら多感で繁忙な思春期の女子高生の心を、そのまま結界にしたようなカオス空間だった。
服やアクセサリーなど、両手に戦利品入り紙袋を大量に持って、私達は電車で渋谷駅へ。 (この時、やたらめったら嵩張るロングブーツを二足も買って後悔したのは、言うまでもない。) そのまま観光を続行するのは難しいため、荷物は駅中にある宅配サービスカウンターに預ける事に。 ついでにイナちゃんが、コインロッカーからスーツケースを取り出し、それもバリへ配達して貰えるように手続きしたいと言う。
「テンピョウ書けました、お願いします」 「はい、少々お待ち下さい」 私はカウンター脇でイナちゃんが送り状を預けるのを眺めていた。 スーツケースの分と、原宿で買った荷物分。 「あと、これもお願いします」 「はい、かしこまりました」 ん、もう一枚?覗きこんでみると、そこにはこう書かれていた。
『お届け先 ゆめみ台 志多田佳奈様 品名 紅一美 ナマモノ/コワレモノ/天地無用 お届け希望日 今日 したたび通運』
『ヌーンヌーン、デデデデデン♪ヌーンヌーン、デデデデデン!』 天井スピーカーから阿呆丸出しなイントロが聞こえてくると同時に、私は条件反射でイナちゃんを置いて宅配カウンターから逃走していた。
『ヌーンヌーン、デデデデデン♪ヌーンヌーン、デデッデーン!』 階段を下り外に出る。こんなところで捕まってたまるものか。
『背後からっ絞ーめー殺す、鋼鉄入りのーリーボン♪』 出口付近にある待ち合わせスポット、モヤイ像が見えた。 …奇妙な歌を垂れ流すスピーカーと、苺の髪飾り付きツインテールが生えている。あのロリータ悪魔のシンボルが。私は血相を変えて更に走った。
『返り血をっさーえーぎーる、黒髪ロングのカーテン♪』 私を嘲笑うアイドルポップと、ただただスマホカメラを向ける無情な喧騒。 それらはまるで、昨日までの旅を締めくくるエンディングテーマのようだ。 但し、テレビ番組ではエンディング後に次回予告が入る。
『仕込みカミッソーリー入りの、フリフリフリルブラーウス♪』 そして次回が来たら、また過酷な旅に出なければならない。 嫌だあああぁぁ!行きたくないいぃぃ!! 私はイナちゃんと渋谷で遊んで、お誕生日ケーキを食べて、空港に見送りに行って、お家に帰ってゆっくり寝て、福井で女優をするんだああぁぁぁ!! ていうか考えてみたらイナちゃんもグルだったあああぁぁぁ!!!裏切り者おおおぉぉぉぉ!!!
『防刃防弾仕ー様の、コルセットーもー巻ーいてる♪』 スクランブル交差点に、爆音を撒き散らすアドトラックが現れた。…天井に、なんか生えてる。 『…ご通ぅぅぅ行ぉぉぉ中の皆様あああぁぁ!!』 渋谷駅に響き渡るロリータ声。諸行無常の響きあり。 ドゴッ!…体が乱暴にすくい上げられたような浮遊感。背後を振り向くと、宅配業者制服の男達が私を神輿みたいに担ぎあげている。 「オーエス!オーエス!」 『こんにちはァー、したたび通運でーーーす!!』 私はあれよあれよとスクランブル交差点へ運ばれ…トラックに集荷された!
『あーあー♪なんて恐るべきー、チェリー!キラー!アサシンだ!』 「何!?何!?何なんですか!!?」 男達が私に何かを背負わせ、トートバッグごとベルトで固定していく。 目の前では、いつの間にか宅配業者制服に着替えたイナちゃんが敬礼している。 「ヒトミちゃん、したたび通運空輸便だヨ!」 「え?は?は!?」
『破壊されしーオタサーからー…』 トラック天井に運ばれる。棒とロープが生えたバルーンクッション。 ああ。空輸便って。察した。『…遺族ーのー声はー確かに届ーいたー♪』
…わたし 童貞を殺す服を着た女を殺す服を作るよ もっともっと可愛くて 殺傷力も女子力も高い服を…
サビに差し掛かったアイドルポップが遠ざかっていく。 私は…飛んだ。逆バンジージャンプで射出されて、渋谷のど真ん中で空を舞った。 あーあ、結局また騙された。ばーかばーか。テレビ湘南に水家曽良の腐乱死体送りつけてやる。ばーかばーか。
そして無限にも思える長い一瞬の後、私は再び渋谷の地へ…落ちず。 なんとそのまま、上空を旋回していた小型ヘリに空中で捕縛され、拉致されてしまったのだ…。
「はーい、ドッキリ大成功!毎度おなじみ、志多田佳奈のドッキリ旅バラエティ、したたびでーす!」 放心状態の私をよそに、悪魔的極悪ロリータアイドル、志多田佳奈さんが『ドッキリ』と書かれたプラカードを掲げた。 異常が、事の顛末だ。(これは誤字じゃない。異常なんだ。) 「ちなみに今回のドッキリは視聴者公募で、ペンネーム『ビニールプール部』さんのアイデアをやらせて頂きました!ありがとうございました~!」 「何が視聴者公募ですか。あんた達全員ビニールプールに沈めてやろうか!? だいたい、どうしてイナちゃんまでグルなんですか!」 「あの子はねぇ」 タナカDが画角外から、私と佳奈さんの会話に割って入る。 「昨夜SNSに紅さんと福島観光してる写真をアップしてたから、アポを取ってみたら、あっさり快諾してくれてですね。 今日あなたが渋谷に行く事も洗いざらい教えてくれたよぉ。『カナさん一番好き日本のアイドル!』とか言ってね」 げ、そうだった!忘れてたあああぁ!! 宅配サービスカウンターに行くのも予定調和だったのかあぁぁ!! 「目的地に着いたら電話かけ直してあげなさいよ」 「目的地じゃなくて渋谷に帰して下さい」 「そう言うなよ、一美ちゃん。 今日から記念すべき新企画が始まるんだから」 「新企画?」
佳奈さんが座席の下からフリップを取り出す。 おどろおどろしいフォントで『調査せよ!綺麗な地名の闇』と書かれたフリップを。 「じゃじゃーん!新企画、『綺麗な地名の闇』!」 「何ですか、物騒な…」 「一美ちゃんはさ、ゆめみ台って行ったことある?」 「ゆめみ台?電車の乗り換えで通った事ぐらいはありますけど」 「ゆめみ台の旧地名は知ってる?」 「知らないです」 「ジャジャン!これです」 佳奈さんがフリップ上の『ゆめみ台』と書かれたポップなシールをめくる。 するとネガポジ暗転カラーで『蛇流台』と書かれた文言が現れた。 「じ…じゃりゅうだい…」 「蛇流台a.k.a.(アスノウンアス)ゆめみ台は、元々土砂崩れが起きやすい場所だったんだって。 だから今は人が住めるように整備されて、ゆめみ台って綺麗な地名になった。 それって涙ぐましい努力の歴史だと思わない?」 「はぁ」 「そこでね!この企画では、そーいう一癖あるスポットのいい所も暗部も、体を張って紹介していけたらなーって思うの! というわけで一美ちゃん、今日はゆめみ台国立公園でロッククライミングね」 「ああはいはい…はい!?」 「大丈夫!もう蛇流台じゃなくてゆめみ台だから崩落しない!」 「それ以前の問題です!ロッククライミングなんてやった事ないですよ!? どーして突然拉致されて、挙句崖まで登らなきゃいけないんですか!? 私まだ一昨日までの疲れが抜けてないんです!!」 「え?一昨日まで何してたの?」 除霊…とはさすがに言えない。 「…徹夜で…別番組の、廃墟探索ロケ」 「あ、その企画いいね」 しまった!鬼に金棒を与えちゃった! 「い、いえ、私はクライミングがいいな!その方が健康的だし!」 「ひょっとして一美ちゃん、お化けが怖かったのかい?」 「うるさい!」 カメラ外からタナカDにチャチャを入れられた。 怖いも何も、実際は私が分解霧散させちゃったけど。 そんな事より…
私はフリップ下部に書かれた幾つかのご当地ゆるキャラ達を見ていた。 ゆめみ台の物と思しき台形のパジャマ姿の子や、他にも鳩みたいなもの、犬みたいなものもいる。 その中に一つだけ異質な…毛虫らしきキャラ���ターを見て、私は戦慄を禁じ得なかった。 灰色の毛、歯茎じみた肌、潰れた目、黄ばんだ舌… 似ている。金剛倶利伽羅龍王に、あまりにも似ている。 「佳奈さん。この下に描かれたゆるキャラ達…まさか、今後これ全部まわるんですか?」 「ん?知ってるキャラがいた?」 どうやら…私に休息の時はないみたいだ。 これもイナちゃんが導いた、『気』の巡り合わせなのかもしれない。
金剛有明団、きっとすぐ近い将来相見える事だろう。 私はトートバッグの中で、静かにプルパ龍王剣を燃やした。
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#何食べ の真似して #手羽先 の鍋にしたろかでも気温暑いしな、と思って手羽だけ買ってゆっくり煮てるウチにこれは #みりん と麺つゆと顆粒だしパラパラして朝まで放置プレイの方が絶対良いな、って思ったらアタリ!しみっしみ #プルンプルン ❤️めっちゃくちゃ美味い。#コラーゲン の海🍗 そしてなんかエロいw #昨日何食べた #昨日何食べたの再現レシピ #昨日何食べた読んでたら料理作りたくなる #晩御飯の献立 #朝御飯の記録 #うちごはん #手作り料理 (Sapporo-shi, Hokkaido, Japan) https://www.instagram.com/p/BxeXr_EAtxb/?igshid=si16afctglco
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「きのう何食べた?」正月スペシャル楽しかったですねー。新刊16巻も届きました。 そして今日のランチ。 昨夜仕込んでおいた、「何食べ」15巻掲載の鮭の柚庵焼きをメインに、昨日の副菜と玉子焼きを添えて完成。 柚庵焼きの漬け地はすき焼きのタレとレモン汁、柚子ジャムを混ぜたオリジナルです。焼いてから漬けるのがシロさん風。 #るまい #お弁当 #きのう何食べた再現レシピ https://www.instagram.com/p/B6_h3U_Jlh7/?igshid=m01cpnc4mi84
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昨日は昼からアニメ飯再現 天気の子に出てきたチキンラーメンのサラダ☺️ 昨日作ったミートソースにカプレーゼ、明太子ディップはシロさんのレシピ 昼から豪華だったわ で、初めて君の名はをみて号泣しました でも天気の子のほうがすきだな たぶん君の名はのほうが一般うけはするとおもうけど #アニメ飯 #天気の子 #天気の子サラダ #きのう何食べた再現レシピ #きのう何食べた #自炊生活 #おうちごはん #君の名は https://www.instagram.com/p/B5y3eMoBPQc/?igshid=1t9854ouef56g
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台風15号を受けての提言①
2019年9月に関東地方を襲った台風15号は千葉の農業に壊滅的なダメージをもたらしました。なかでも、パイプで作ったビニールハウス(以下パイプハウス)の被害は深刻で、多くのパイプハウスが倒壊、撤去をよぎなくされることになりました。
キレドでも冬場に霜よけで活躍するパイプハウスですが、多くの農家は霜よけではなく、抑制・促成栽培と呼ばれる旬をはずした時期に野菜を作るために使っています。本来夏野菜であるトマトは夏は放っておいてもできるくらいですが、春や冬には何らかの方法で保温しないと作ることが出来ません。そのために、パイプハウスを使用してきたのです。
しかし、台風15号で壊滅的な被害にあい、これを再建することは簡単なことではありません。また、激甚災害に指定されたことで再建には多くの税金が使われることが見込まれています。台風15号に限らず、昨今の自然災害の大きさは以前とは比較にならず頻発しています。また来年、この規模の災害が千葉県を襲わないとは誰にも言えません。そのような中で、再建を選択することが本当にいいことなのでしょうか?
農家である私達も、また来年災害が来るかもしれないのに借金を背負ってパイプハウスを建てることが本当にいいことなのか、消費者であるみなさんも、来年災害が来るかもしれないのに税金を出して再建することが本当にいいことなのか、一度立ち止まって考える必要があると思います。
○そもそもなぜ抑制・促成栽培なのか? 農家の立場からいえば、「高く売れるから」という身も蓋もない答えになりますね。旬の時期は誰が作ってもあるので供給量が少ない旬を外した時期に売ろうというわけです。
小売店の立場から言えば、年中変わらない売り場にすることができますね。トマトもほうれんそうもスイカもいつも売り場に並べておければ消費者も困らないということなのでしょう。
そんな農家と小売店のおかげで消費者はいつでもほしい野菜を手に入れることができます。夏場にクックパッドのレシピを見て、ほうれんそうを使おうと思ったのに売ってないじゃない!ということがないわけです。
○抑制・促成のデメリット 農家は露地では作れない野菜を無理やり作るために設備投資が必要になります。40〜50mのパイプハウスを1棟建てるのにおよそ100万円かかるでしょう。専業農家として市場に出して暮らしていくためには1棟では足らず、3棟、4棟と必要になるでしょう。冬場に暖房が必要な野菜は暖房設備や燃料に多額の費用がかかります。
これに加えて今回の台風のような大きな災害リスクがあるわけです。
消費者からすると、味のデメリットがあります。すべてがとはいいませんが多くの農家は味ではなく形を作っています。市場で売るためには規格という決められた形に準じていることが必要だからです。旬をはずしたものは一部の特殊に栽培されたトマトなどをのぞけばおいしくはありません。私からすれば30点の夏野菜が冬場もたくさん並んでいるなという感覚です。冬のスーパーで70点の冬野菜がある中で、30点の夏野菜を選ぶ理由が私にはわかりません。
でもこれは家庭菜園をはじめる前の私なら理解できます。
旬を知る機会がないので、旬の野菜をもとに料理を考える習慣がないのです。多くの方がなんとなくテレビで紹介されてたとか、今読んだレシピ本にあったなどの理由でその日の夕飯のメニューを考えています。たとえばピーマンですが、ピーマンは夏が旬の夏野菜ですがそのことすら知らない人が多いのです。私は家庭菜園をはじめてようやく旬を知り、そもそも自分の冬の畑にはピーマンがありませんから、そこではじめて青椒肉絲(チンジャオロースー)を冬から春にかけては作らなくなったのです。
同じようにほうれんそうは暑さが苦手で霜に当たるほどおいしくなる冬野菜といってもいい野菜です。自分で畑で作って夏にはおいしいもの��できないのを知ってはじめて、ほうれんそうとベーコンのソテーを夏には作らなくなったのです。
それを知るまでは夏と比べるとまったくおいしくないピーマンも「こんなものだろう」と思って疑問を持たずにいました。
○旬を知ってもらうことで成り立つ設備投資のいらない露地栽培 旬を知り、旬以外のときの味との差を知れば、旬の野菜を中心としたメニューを考えるようになるはずです。消費者の多くが旬の野菜を知り、その多様な調理の仕方を覚えれば、旬の野菜を選ぶだけで毎日の食卓は成り立つのではないでしょうか?よりおいしい食卓になるのではないでしょうか?現にわたしはスーパーで野菜を買うことはまずなく、自分が作った露地野菜だけで楽しくおいしい食生活をすることができています。
農家も旬にしたがった露地野菜を作るだけで済むようになればリスクを背負って大きな設備投資をする必要はなくなります。消費者はおいしい料理を作ることができ、農家は無理なく、今度は消費者が驚くようなおいしい野菜を作ることに集中することができる。これこそが本来目指すべき農業なのではないのでしょうか?
消費者が近い千葉県の農業ならそれが可能なのではないでしょうか?
②へ続く
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