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#エミリー・ロッダ
penn-of-auronrafts · 2 months
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『デルトラのベルト』七つの宝石⑧ラピスラズリ 中編
 長い前置きが終わりまして、「デルトラのベルト」のラピスラズリが使われた具体的な例と、ラピスラズリにまつわるあやふやなあれこれについて考えます。
 「デルトラ・クエスト」シリーズ内でラピスラズリが使われたのは、たったの4回!! オパールもリーフから避けられているため、登場回数が少ないのですが、ラピスラズリが一番登場しない宝石です。避けられてるというより、ほとんど意識されてない、不憫?な宝石です。以下に、登場場面を全て挙げます。
ラピスラズリ使用シーン①
1-4巻『うごめく砂』p.204 魔除け・夜の危険から守る
 ラピスラズリの力が発揮された初回は、『うごめく砂』でラピスラズリを見つけた直後。
 ラピスラズリを手に入れた三人は『うごめく砂』の中心をはなれはじめました。魔除けの力を持つラピスラズリを手に入れたリーフは、『大いなる力』の魔力にまどわされることなく『うごめく砂』を抜けることができた。夜の危険からも守られた。
 夜の危険が具体的になんなのかはちょっとわからないですが……『うごめく砂』の中心にたどり着くまでは不安と苦労の連続でしたが、ラピスラズリを手に入れたことにより、行きほど危険にさらされず、砂丘の出口にたどりつくことができた、と読みとれます。
ラピスラズリ使用シーン②
1-7巻『いましめの谷』p.186 神力の石、お護り石
 リーフたちがお尋ね者の三人組だと気づいたいましめの谷の番人は、リーフを魔力であやつり、デルトラのベルトをはずすよう仕向けた。リーフは、神力の石であるラピスラズリを握りしめ、番人に抵抗しようとします。番人は「ふん、神力の石か、お護り石なんかきかないぞ!」といってベルトをつかみますが、案の上?ベルトの魔力に苦しめられてしまいます。
 ルビーやエメラルドは邪悪を察知しますが、ラピスラズリは、邪悪な力に対抗するなんらかの力があるように思えます。が、リーフがこのようにラピスラズリを使ったのは、この1回のみでした。
 ここからすると、神力の石≒お護り石で、神力の石には邪悪を寄せ付けない力がある、と言えそうです。
ラピスラズリ使用シーン③
3-3巻『死の島』p.86 魔除け・夜の危険から守る
『幸運の女神号』の甲板におりようとしたリーフは、デルトラのベルトを確認する。
 このとき、ラピスラズリは、星のまたたく夜空のように強く光り輝いていた。船にちらつく怪しい幻を見たリーフは、甲板の下に危険が潜んでいても、ラピスラズリがある程度魔除けの力を発揮してくれるだろうと期待した。
 『うごめく砂』と同じパターンですね。でも、実際効果があったかどうかはよくわかりません。
番外編∶使おうと考えたけど使わなかった場面
3-3巻『死の島』p.100 幸運を呼ぶ力?
 ちょっとここで番外編です。ラピスラズリを使った回数は4回と数えているのですが、ラピスラズリはほかの宝石と違って「意図的に使わなかった場面」がある宝石です。
『幸運の女神号』の賭博部屋に閉じ込められたリーフは、部屋から出るためにゲームに参加することにします。ベルトのラピスラズリが明るく輝いていることにリーフは思い至ったが、幸運をもたらすラピスラズリがあっても、運頼みのゲームに参加する気にはなれなかった……といって、運頼みのゲームを選びません。
 もしリーフがラピスラズリをたよりにゲームをやっていたら、どういう結末をたどっていたかはわからないままですが、幸運の女神号が金貸しジャックの船であることを考えてみると、ラピスラズリを使わないリーフの選択は正しいような気がします。
 デルトラのベルトは、どの石をどう使うかが問題になったり、使うことで状況を劇的に打開したりする流れが多いなかで「使わない」という選択は珍しいのですが、「デルトラのベルト」はあくまで持ち主がどう使うかにゆだねられているアイテムです。
 すなわち、間違った使い方や、意味のない使い方をしたら役に立たず、その結果かえって追い込まれる可能性もあります。ラピスラズリが運だのみのゲームには効かず、ゲームに参加したは良いものの船から出られない、という結末もありえるのではないでしょうか。ラピスラズリがありえないような幸運をもたらす可能性もあるのかもしれませんが。ただ少なくともここは、運というものに対するリーフの考え方がかいまみえる貴重なシーンです。
 でもって、ここでは「幸運をもたらすラピスラズリ」などという説明が、地の文でさらっと登場します。ラピスラズリに幸運をもたらす力がある、などということは、少なくとも日本語版ではここまで一度も書かれていません。これは前編に書いたように、「お護り石(タリスマン)」という言葉で説明できるからだと考えていますが、あれ?となる箇所です。
ラピスラズリ使用シーン④
外伝)デルトラの伝説 p.146-147 幸運を呼ぶ力?
 そして最後が、その幸運をもたらす力が使われたとみられる場面です。デルトラ建国前にあった影の大王の侵略のころ、怒れる民衆に迫られていたメア族の長・ズィラーは、首の鎖についた大きな銀の星(ラピスラズリの入った容器)をにぎった。すると、あやしい風体をしたアディンが群衆の中から見つかった。民衆の怒りの矛先がアディンに向けられ、アディンがとらえられると、ズィラーは幸運に感謝して銀の星にキスをした。
 運だのみを嫌うリーフとは対照的に、ズィラーはためらいなくラピスラズリにたよります。アディンが見つかっても、その場しのぎにすぎないのですが、ズィラーは喜んでいます。さらに、どう転ぶかもわからないような出来事ですが、ズィラーはおそらく、ラピスラズリの力でもたらされた幸運だととらえて、アディンが見つかっただけで喜んでいるわけです。これを見ると、「幸運」とはきわめて主観的に思えます。またリーフとズィラーの幸運に対する考え方が、大きく違うのもわかります。ズィラーにはどうやら、ひとたびラピスラズリの力で幸運がもたらされれば、その後はうまく物事が進むというほどの認識がありそうです。
以上!
 『うごめく砂』の死の塔で宝石発見したときをのぞけば、作中で登場人物がラピスラズリを意識している箇所自体も、これでほぼすべてになります。あとはほかの宝石と一緒に、ラピスラズリを見てるときとかですね。
 オパールは不吉な未来ばかり見せるので、リーフはさわるのをいやがってるんですが、ラピスラズリはそもそも眼中になさそう。
『デルトラの書』はラピスラズリのことをまともに書いてない?
 さてこれまで、デルトラのベルトのほとんどの宝石に関する説明は、『デルトラの書』からの引用として数行にわたって記されており、ストーリー上での描写とおおむね一致してきました。なんなら、『デルトラの書』には書いてあるというのに、ストーリー内で登場しない効果もあります。
 しかしラピスラズリについては、「ラピスラズリ……神力の石にして強力な魔除けともなる」たった一文のみ。登場量・説明ともに、7つの宝石のなかで最少。おまけに、幸運を呼び寄せる力も、あるのかないのかはっきりしない感じで登場し、本文で具体的に説明されることはありませんでした。作品のみを頼りにすると、謎の多い宝石です。そこで、ラピスラズリの力への情報をおぎなうために、ありうる可能性を考えてみました。
『デルトラの書』に書いてあることが「デルトラ・クエスト」に書いてない説
 『デルトラの書』は、小さいとはいえそれなりの長さがある本のようです。『デルトラの書』に書かれていても、「デルトラ・クエスト」内で言及されていない可能性はあります。
 ほかの宝石に関しては、今のところ『デルトラの書』からの情報で説明がつくのですが、ラピスラズリだけは地の文で「夜の力から守られる」「幸運をもたらす」と明かされています。リーフはデルトラの書を全部読んだから、このようなラピスラズリの力を知っているけど、読者に向けて説明されていないだけなのかもしれません。
『デルトラの書』の筆者に知らないことがあった説
 あるいは、『デルトラの書』がすべてではないのかも、という考えです。
 『デルトラの書』は、画家のウィシックが調べたことをまとめたものであって、彼が『デルトラのベルト』を使って効果を体感したわけではありません。それに、ウィシックがまとめた宝石の性質は、伝わっている過去の伝承などから読みとれることであって、ウィシックが知りえない効果や特徴が存在している可能性もあります。
 実際、『デルトラの書』には、王位継承に関してウィシックが想定していなかったことが起こったため、結果として説明不十分になってしまった箇所がありました。もしかすると、リーフやジョーカーは『デルトラの書』のあいまいさや情報不足、あるいは誤りを認識していたから、王位継承が『デルトラの書』どおりにいかない可能性を思いついたのかもしれません。
後編は…
 後編は、最後にまとめと、「デルトラのベルト」における幸運の象意について考えます。
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deltoranembassy · 7 months
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今後のサイト運営について
 これまで、在日デルトラ王国大使館の1ウェブサイトのみで、エミリー・ロッダ作品全般とRoddaverse世界観について投稿を行ってきましたが、記事やコンテンツを増やそうとするほど、わかりにくく、更新しにくく感じることも増えてきました。また、使っていたサーバの機能も弱く、長期的にサイト運営するには不安がありました。
 そこで新たに、エミリー・ロッダさんの非公式ファンサイト、そして『Roddaverse』世界観を考察するサイトなどを立ち上げました。在日デルトラ王国大使館の移転も、その一環です。
今後のサイト体制
エミリー・ロッダ非公式ファンサイト「Something Special」…ロッダさんの作品を1冊ずつレビューするのが目標。
the Roddaverse…Roddaverse世界観とファンダムについて。
在日デルトラ王国大使館…これまでとかわりません。
 このほかにも、あといくつかサイトを増やす予定です。まだどのサイトも整備中で、お見苦しい箇所もありますが、これから内容を充実させていく予定です。よろしくお願いします!
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shionshot · 1 year
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デルトラのアクセサリー/Accessories of Deltora
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デルトラのアクセサリー
デルトラのブレスレット
デルトラのネックレス
デルトラのリング
20周年記念イベントのために作ったアクセサリーたち。普段使いできるアクセサリーが目標でしたが、、、
一番気に入ってるのはネックレスです。手芸用の天然石を集めました。しかし6ミリ球しか手に入らなかったので、なかなか存在感があります…。4ミリ球なら、もっとさりげなくつけられそうなんですけどね。
一番気に入ってないのはリング! レジンアートはあまり向いてないことがよくわかった。固まるのが待ちきれないんでそこらじゅうべとべとになるし、色の表現も思うようにいかなかった。
作りかたは忘れましたが手芸屋さんか百均にある材料で作れます。手芸は好きなんでまた何か作ると思います。
Accessories of Deltora
Bracelet of Deltora
Necklace of Deltora
Ring of Deltora
I created this piece for the  Deltora Quest Japanese 20th anniversary Unofficial Fan Event,which took place last September🎆
I tried to create the DELTORA accessories that could be worn when going out.
Of these, I particularly like the necklace.
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h-kyoko · 4 years
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『若草色のポシェット』
タイトルは、わたしが、小学生のときに大好きだった、シリーズものの小説の第一弾のものです。
以下文庫版のあらすじ?をば。
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杉原爽香、十五歳の秋――それは、親友の死ではじまった。「学校で会いたいな」土曜の深夜、爽香が受けた電話は、行方不明中の親友・松井久代からだった。学校へ急行した爽香は、教室で久代の死体を発見する。首に、紐が食い込んだような跡が残る死体の近くには、若草色のポシェットが落ちていた。
主人公が毎年読者とともに成長する画期的シリーズ第1弾!
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わたしが小学生の頃は、探偵小説といえば、「赤川次郎」か「シャーロック・ホームズ」、という雰囲気でした(少なくとも、わたしの小学校の図書室はそんな雰囲気、だった、という、朧気な記憶です)。
「有栖川有栖」を読んだのは大学生になってからでした。
「爽香」ちゃんは、わたしの理想の女の子であり、理想の女性でした。
家庭用ゲーム機がなかった我が家でのわたしの独りの娯楽は、「読書」や「漫画」だった覚えがあります。
(小学校高学年になってから、「ニンテンドーDSライト」を買ってもらいました。当時やり込んだゲームソフトは「どうぶつの森」と「マリオカート」と「ポケットモンスターダイヤモンド」です、懐かしいなあ。)
小学生のわたしを夢中にさせた小説を三冊あげろ、といわれたなら、
・JKローリング著 松岡佑子訳『ハリー・ポッター』シリーズ
・赤川次郎『杉原爽香』シリーズ
・エミリー・ロッダ『ふしぎの国のレイチェル』
の三冊(うちふたつはシリーズものだけれど)になります。
『ふしぎの国のレイチェル』は、短編?単作?なので、読みやすいと思うので、よかったら、是非。
表紙が、だいすきです。
この本は、主人公の「レイチェル」が、異常気象で豚が空を飛ぶ、パラレルワールドに入り込んでしまうお話です。
「異類婚姻譚」や「異世界もの」の系譜に位置づけられるのかな?
まあ、結末は、って言っちゃうのは面白くないので、良ければインターネットやら通販サイトやら図書館やらで検索してみて、できたら手に取ってみてくださいませ、です。
あ、そうそう。
ここまで読んでくれた方に、ささやかながら、プレゼント、です。
(そういえば、「メリークリスマス!」忘れていました(笑))
知っているひとは知っているだろう図書検索ツール、「Webcat Plus」のお話です。
この検索ツールの便利なところは、書籍の「連想検索」ができるところ、だとわたしは思っています。
インターネットの海の中に、「わたしの本棚」をつくることも、できるみたいですね?
最高じゃありませんか?
では、夜も更けてきましたね。
良い聖夜をお過ごしくださいませ、です。
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2019年12月25日 1:15
カネリナノ
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megaantena · 7 years
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外国人「豪州の人気小説『デルトラクエスト』が日本でアニメ化されていたと今日知った」
スレッド「オーストラリアの子供向けファンタジー小説がアニメ化され 日本で結構な人気を博していたという事実を今日知った」より。オーストラリア人のエミリー・ロッダ作の小説が現地で情報がほぼ伝わらないまま日本でアニメ放送されていたこと(数年後には吹替版も)が海外で話題を集めていたので反応をまとめました。 引用: https://redd.it/5n9oi8 https://youtu.be/VFZ2uxWOt-w (海外の反応) 1万国アノニマスさん  オーストラリアの子供向けファンタジー小説がアニメ化され日本で結構な人気を博していたという事実を今日知った 2万国アノニマスさん これにはビックリしたオーストラリア出身で小学校5年生の時にこの本を読み漁ってたけど凄くクールな作品だアニメ化されてるなんて全く知らなかったし信じられない  3万国アノニマスさん …
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lovematoposts-blog · 7 years
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外国人「豪州の人気小説『デルトラクエスト』が日本でアニメ化されていたと今日知った」
スレッド「オーストラリアの子供向けファンタジー小説がアニメ化され 日本で結構な人気を博していたという事実を今日知った」より。オーストラリア人のエミリー・ロッダ作の小説が現地で情報がほぼ伝わらないまま日本でアニメ放送されていたこと(数年後には吹替版も)が海外で話題を集めていたので反応をまとめました。
引用:
https://redd.it/5n9oi8 https://youtu.be/VFZ2uxWOt-w
(海外の反応) 1万国アノニマスさん  オーストラリアの子供向けファンタジー小説がアニメ化され 日本で結構な人気を博していたという事実を今日知った 2万国アノニマスさん これにはビックリした オーストラリア出身で小学校5年生の時にこの本を読み漁ってたけど凄くクールな作品だ アニメ化されてるなんて全く知らなかったし信じられない  
3万国アノニマスさん 
デルトラクエストが…
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hitsujiantena-blog · 7 years
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外国人「豪州の人気小説『デルトラクエスト』が日本でアニメ化されていたと今日知った」
スレッド「オーストラリアの子供向けファンタジー小説がアニメ化され 日本で結構な人気を博していたという事実を今日知った」より。オーストラリア人のエミリー・ロッダ作の小説が現地で情報がほぼ伝わらないまま日本でアニメ放送されていたこと(数年後には吹替版も)が海外で話題を集めていたので反応をまとめました。 引用: https://redd.it/5n9oi8 https://youtu.be/VFZ2uxWOt-w (海外の反応) 1万国アノニマスさん  オーストラリアの子供向けファンタジー小説がアニメ化され日本で結構な人気を博していたという事実を今日知った 2万国アノニマスさん これにはビックリしたオーストラリア出身で小学校5年生の時にこの本を読み漁ってたけど凄くクールな作品だアニメ化されてるなんて全く知らなかったし信じられない  3万国アノニマスさん …
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qiq0tvf5b-blog · 7 years
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外国人「豪州の人気小説『デルトラクエスト』が日本でアニメ化されていたと今日知った」
スレッド「オーストラリアの子供向けファンタジー小説がアニメ化され 日本で結構な人気を博していたという事実を今日知った」より。オーストラリア人のエミリー・ロッダ作の小説が現地で情報がほぼ伝わらないまま日本でアニメ放送されていたこと(数年後には吹替版も)が海外で話題を集めていたので反応をまとめました。 引用: https://redd.it/5n9oi8 https://youtu.be/VFZ2uxWOt-w (海外の反応) 1万国アノニマスさん  オーストラリアの子供向けファンタジー小説がアニメ化され日本で結構な人気を博していたという事実を今日知った 2万国アノニマスさん これにはビックリしたオーストラリア出身で小学校5年生の時にこの本を読み漁ってたけど凄くクールな作品だアニメ化されてるなんて全く知らなかったし信じられない  3万国アノニマスさん …
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deltoranembassy · 7 months
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移転のお知らせ
在日デルトラ王国大使館をご訪問いただきありがとうございます。
当サイトは、2023年10月1日より新サイト(https://something-special.info/deltora/)に移転しました。旧サイトにアクセスいただくと、新サイトにリダイレクトされますのでご注意ください。
新サイトにて「デルトラ・クエスト」・「スター・オブ・デルトラ」シリーズの考察・情報発信を引きつづき行っていきます。サイト内容は大きく変わらず、ほとんどの記事は新サイト等で再投稿をおこなっていきます。どうぞよろしくお願いいたします。
このTumblrアカウントについて
サイト移転にともない、旧サイトの大使館カテゴリ(創作的要素のあるページ)を、こちらのTumblrアカウントに統合します。
旧サイトの記事は、新サイト内にリンクを設置したうえで、順次このアカウントに再投稿していきます。
在日デルトラ王国大使館(新サイト)はこちら
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penn-of-auronrafts · 10 months
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「デルトラ・クエスト」とキリスト教
 「デルトラのベルト」の3つめの宝石、ラピスラズリや、うごめく砂について考えていたら、キリスト教的な考え方の影響が大きいと思うようになってきました。
 ラピスラズリの持つ『神力の石』という呼び名は、エミリー・ロッダの創作ではなく、ラピスラズリという石にまつわる歴史的な言い伝えなのですが、西洋文化圏のキリスト教的価値観が反映されている言葉でもあります。この辺は、今後も触れることがあると思うので、その前提を一度しっかりまとめておこうと思います。
英語とキリスト教の関係
 まず原点に立ち返ると、デルトラ・クエストは、英語を話す人によって、英語で書かれた文章です。キリスト教は英語よりも歴史が古く、英語はキリスト教と深いかかわりを持ちながら発展した言語です。キリスト教を理解することは、英語の本意や、よりネイティブに近い感覚での理解をするためには欠かせません。
 聖書は世界一のベストセラーともいわれますが、世界で一番考察ガチ勢を抱えてる小説みたいなもので、英単語には聖書由来の単語も多くふくまれています。シェイクスピアが英語圏の教養であるのと同じくらい、聖書由来の言い回しは英語圏でなじみ深いものです。「Oh my god!」だってそうだし、英語のスラングにはキリストを侮辱する言葉もあります。神を侮辱してみせるくらいの怖いもの知らずだ!ってわけですね。
 また、聖書のエピソードや言い回しを引用することが、教養のひとつとみなされることもあります。英語の名演説のひとつとされる、キング牧師の「I have a dream」の演説も、聖書にもとづいた表現が繰り返し使われています。多くの人が、引用されている聖書の情景をありありと思い浮かべることができるため、この演説は広く人の心を打つのです。
 さらにキリスト教は、西洋圏の文化、歴史とも非常にかかわりが深く、常識や善悪の観念だけでなく、社会にも大きく影響しています。たとえばアメリカは、日本人からするとごたまぜで自由な国のように見えますが、実は非常に宗教的な国です。世界中から移民が集まっているのに、キリスト教徒以外が大統領になったことはありません。なかでもプロテスタントの支持が篤く、キリスト教であってもカトリック信者の大統領すら、今までに2人だけ。これは政党支持が宗教と深く結びついているためで、似たような国はほかにもあるわけですが、アメリカなど西洋文化圏ではそれがキリスト教だ、ということですね。オーストラリアも同じで、第一次大戦時の徴兵制導入が、キリスト教カトリック信者を基盤とする組織の反対でひっくり返された、なんてこともあるので、キリスト教と社会の関係においてはまったく例外ではないでしょう。
 というわけで、「デルトラ・クエスト」にみられるキリスト教的な要素については、作者個人の嗜好や意図まで掘り下げようとすると、話が違ってきますし、「デルトラ・クエスト」だけを読んで判断することもできません。おそらくエミリー・ロッダの他作品にも、キリスト教要素を見い出そうと思えば見つかると思います。
日本語と宗教
 話がそれますが、このような宗教と言語や文化の深い関係は、英語・英語圏だけにみられる特別なものではありません。
 日本語には、仏教用語が多数含まれています。たとえば、「自由」「退屈」「大丈夫」といった言葉も、仏教の教えが由来だそう。でも、誰かが「自由」「退屈」「大丈夫」と言ったからといって、その人が必ずしも敬虔な仏教信者とは限りませんよね。仏教用語抜きの日本語なんて考えられないのと同様、キリスト教抜きの英語も考えられないんです。
 日本に来た外国の人が、日本の価値観が仏教的で驚くこともあると聞きますが、日本に住んでいる身からすると何に驚くのかさっぱりわからないほどです。だから、英語や西洋文化圏でのキリスト教的価値観や慣習も、その文化圏外の人間からすると目立つけど、そこで生きる人たちにとっては、空気のように当たり前なのでしょう。
ファンタジーとキリスト教
 「デルトラ・クエスト」にもキリスト教色が見出せる理由は、大きく3つほど考えられます。
 ひとつは、作者の無意識です。西洋文化圏でキリスト教そのものが文化や環境と深く結びついている以上、その影響は誰であってもまぬがれることはできません。もし仮にキリスト教を信仰していなくても、信心深い人とかかわったり、キリスト教と関係のある習慣を経験したりすることもありえます。周りの人と協調して生きていくためにも、西洋文化圏の社会では、ある程度キリスト教的価値観になじむ必要があるはずです。キリスト教徒であるかどうかに関係なく、そこで生まれ育てば誰しもが影響を受ける範疇というものはあるでしょう。
 作者は姓からしてもイングランド系の出自だと思われるため、キリスト教の信徒である可能性はかなり高いと思いますが、公言されていない信教を断言するのはやめときます。
 ふたつめは、英語で書いているから。英語そのものがキリスト教の影響を強く受けているため、キリスト教と関わりのある単語や表現を用いることも当然出てくると思います。これは個人的な考えですが、古風でおごそかというか、ちょっと文語的な言い回しをしようとすると、宗教的(キリスト教由来)な単語は多くなるんじゃないかと思います。
 エミリー・ロッダの他作品にも、キリスト教色が見い出せるはず、とする理由も、主にこの作者の無意識や英語という言語の特徴の2つからです。これは、英語で書かれた文章全般にも共通すると思います。
 最後に、みっつめは、物語にファンタジーらしさを出すため。「デルトラ・クエスト」に宗教色があるとすれば、主に3つめの理由からだと思います。
 ファンタジーには、宗教的要素がみられるものが多くあります。有名どころだと『指輪物語』『ナルニア国物語』がそうで、これらはキリスト教・聖書からのテーマを物語で表現していると言われています。あるいは、ファンタジーの代表と言われる『指輪物語』『ナルニア国物語』がそうだから、ファンタジーは宗教的要素があるものだとみなされるようになっていったんじゃないか、って感じもしますね。
 西洋のファンタジーとは何かを真面目に理解しようとするほど、キリスト教に行きあたるのではないかと思います。『指輪』『ナルニア』以外にも、キリスト教色のあるファンタジーはいっぱいあります。「デルトラ」と近い時期のものだと、ドイツの「ネシャン・サーガ」(ラルフ・イーザウ、1995)とかがそうです。
 大きく3つと言いましたが、4つめの物語的な理由も考えられます。聖書は世界最大のベストセラーと呼ばれるということを上で書きましたが、古くから読み継がれている小説のひとつでもあります。古典として聖書を引用することは、物語の格調を高められるのではないかと思います。キング牧師の演説のように、聖書の言い回しや筋をなぞらえると、多くの人が言外に同じイ���ージを共有しやすくなるので、大衆に響きやすくなるという面もありそうです。
「デルトラ・クエスト」とキリスト教
 ですので、「デルトラ・クエスト」でみられるキリスト教色が意図的と言えるほどのものならば、王道・正統派ファンタジーの色合いを強めるためや、物語としての説得力を増すためではないかと思われます。しかし今のところは、キリスト教そのものは、物語のテーマのひとつだとまでは言えません。
 あのハリポタであっても、読む人が読めば、随所にキリスト教的要素が見出せるといいます。ネットで調べると、本職の人たちが解説している記事がたくさん出てきて、なかにはストーリーを通じてJ.K.ローリングの宗派まで推測している人もいます。それでも先ほどのべたように、あくまで書き手の無意識に近いものであって、意図的に取り入れたものではないとする見方がほとんどです。
 「デルトラ・クエスト」のストーリーでも、キリスト教的な信仰心のようなものが描かれたり、善悪の観念などにキリスト教の影響が見られると考えていますが、あえてわざわざキリスト教を選んだというほどでもないと思います。作者も、作者が想定する読み手も、宗教=キリスト教的なものという価値観を共有しているため、伝え方や表現方法がキリスト教的になることもまた、自然に起こりえます。 わざとそうしたというより、外そうにも外せない要素だってことですね。ファンタジーや宝石や魔法を語るうえでも、英語を使って子どもたちに語りかけるうえでも、どこかに必ずキリスト教が結びつくのです。
  先ほど例に出した「ネシャン・サーガ」は、信仰心の獲得がストーリーになっているので、そのくらいど真ん中に置かれていてはじめて、宗教がテーマだ、と言えるのだろうと思います。ですがやっぱり「デルトラ・クエスト」も、キリスト教的価値観を理解することで、より深く読める部分はあると思っています。そしてここでは「デルトラ・クエスト」とキリスト教とのつながりを強調してきましたが、一般的なキリスト教的概念とは異なる思想もあるのではないかという気もしています。しかしそれもまた、キリスト教的なものをよりわけたうえで見つけられるはずです。
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penn-of-auronrafts · 1 year
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ベリティーとベリタスの関係
ベリティー(Verity)
ベリティーが登場する「デルトラ・クエストⅢ」3巻『死の島』では、リーフのセリフによって、ベリティー(verity)という言葉には真実という意味があると説明されています。
では辞書を引いてみると、たしかにリーフのいうように真実という意味なのですが、「真理」という意味が真実よりも先に来ます。加えて、やや古い言い回しでもあるという説明がなされています。
一方で、アメジストの象意である「真実」は、デルトラ・クエストのほかの箇所では(全部見たわけじゃないけど)、truthという言葉で表現されています。
truthは、「真実」という意味の一般的な英単語で、.真実、事実、真相、真実性、真実味、真実であること、真理、誠実、正直、忠誠、正確さ手年などなど、 幅広い意味を持つため、よく使われる語です。
対してverityは、主に文語表現であって、あまり日常会話で使われるような単語ではないんじゃないかと思います。個人的には、truthよりも、厳かな雰囲気を持つイメージです。verityと口に出すと、ちょっと高尚な、もしくは気取った印象があるんじゃないかな。
上のとおり、truthは広い意味での真実なので、verityはtruthの持つ意味に含まれます。
verityは狭義の真実であって、何が事実で嘘かというような文脈での真実ではなく、誰もがたどり着くようなひとつの事実や、何があっても不変の真実、すなわち真理を示すときに使われることが多いのだろうと思います。
Verityは、実際に英語圏の人名にも使われます。主に女性の名前ですが、男女兼用の名であるうえ、姓にも使われることがあるし、イギリスやアメリカなどよりもオーストラリアで特に人気の高い名前だと言われています。
"verity"辞典での英語の意味
エミリー・ロッダさんは、本名のジェニファー・ロウ名義で大人向けミステリー作品も書かれていますが、その代表作は90年代に書かれた「ベリティー・バードウッド」シリーズといって、ベリティーという女性探偵が謎を解決していくお話です。まだ読んだことはないので、デルトラのベリティーと関係があるのかどうか分からないのですが、ロッダさんはベリティーという名の女性キャラクターがお気に入りなんじゃないかな~と思ったりしてます。
ベリタス(Veritas)
ベリタス(veritas)は、ラテン語で真実という意味の言葉です。格言や校訓によく使われている単語でもあるので、ラテン語とはいっても英語の辞典に載ってるような言葉です。
英単語には、ラテン語の言葉が語源になっていることが結構あり、veritasは、verityの語源のひとつです。veryとかも、veritasが語源の英単語です。また、フランス語のveriteも、veritasが語源で、真理・真実という意味の言葉です。
デルトラの七匹の竜は宝石の象意にもとづいた名前を持っていますが、Veritasだけがラテン語で、ほかの六匹は英語です。
デルトラの竜の名前を見てみると、象意の言葉そのものから来る名の竜と、その類義語みたいな英単語があてられている竜がいますが、ベリタスだけが例外です。
ただ日本語版では、英語版から竜の名前が変更されています。英語版だと、象意or類語を人名(竜名?)っぽく変形した名前ですが、日本語版のベリタスホープフォースフォーチュン…は変形が取り除かれており、もとの単語だけになっています。
変形までされていると、日本の読者にとってはもとの単語が非常に推測しにくくなり、トリックを明かされてもピンと来にくいですからね。しかしベリタスだけは、邦訳でもそのままで変更がありません。
verityとveritasのつながり
ともかくフォーチュン(原書ではFortuna)オナー(原書ではHonora)などのように、真実の竜の名も、truthから取った名でも良かったはずです。それこそトゥルータスとか。
そうではなくわざわざラテン語があてられている理由が何かというと、ベリティーとベリタスの名前のつながりは、竜の名前の仕かけに気づかせるフックのひとつだからかなと思います。どんでん返しの伏線というわけですね。
伏線という点をふまえると、先にベリティーという類語があって、竜の名前らしく変形させたら、たまたまラテン語になったとか、あるいはもともとtruth→verity→veritasの連想が頭にあったのかもしれません。推測であり、断言はできませんが。
あともうひとつは、言葉のつながりやバリエーションの豊かさを通じて、言葉や物語の奥深さを表現されているのかなと、あらためて考えて思いました。
竜の名前の仕かけは、おそらく読者が英語話者である前提で作られた設定で (作者は翻訳されることをさほど念頭に置いていない?) 、英語圏の人であればverity→veritasにももう少し気づきやすいのではないかと思いますし、より面白みを感じられるのかもしれません。同じ意味のtruthとverityがあるように、真実という概念ひとつとっても、どのような真実があるかや、真実という言葉で表される事柄はひとつだけではないですし、それはほかの竜も同じです。デルトラⅢでは、デルトラの七つの宝石の象意を別の言葉やエピソードで表し直すことで、デルトラⅠから一段深く掘り下げているのだと思います。
ただ日本語になっているから、意味や面白さが損なわれているかというと、そういうわけではありません。
verity(真理)という言葉の意味合いは、verityという言葉をそれまで聞いたことがなかったとしても、骨岬のベリティーとそのエピソードを思い浮かべれば分かります。ベリティーは名を体現していて、真実に関するお話を残していることは、作中から読み取れます。このように、言葉という無形のものを言葉で表すことができるのが、物語だと言えます。
また、英語が母語の人であれば、言葉に語源などがあることを知れば英語(国語)を学ぶきっかけになりそうですが、そうでない人も英語を楽しむきっかけになるでしょう。
しかし邦訳の竜の名前は、たぶんverity→veritasを踏まえてそこだけ変更なしにされているかと思いますが、日本の小学生向けとしては「Diamond Emelrald Lapis・Lazri…頭文字をとってDELTORA」と比べると、ラテン語と英語の関連はさすがになじみがなさすぎる点は否めません。オナー、フィディリティーなどの語彙もだいぶ難しいです。英語版はひねりも加わっているので、英語で読んだとしても読解の難易度は上がっていそうですけどね。
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エミリー・ロッダ著、岡田好惠訳、「デルトラ・クエスト 1 沈黙の森」、岩崎書店、2002年
エミリー・ロッダ著、上原梓訳、「デルトラ・クエストⅢ 3 死の島」、岩崎書店、2005年
エミリー・ロッダ著、上原梓訳、「デルトラ・クエストⅢ 4 最後の歌姫」、岩崎書店、2005年
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penn-of-auronrafts · 1 year
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『デルトラのベルト』七つの宝石 ④エメラルド 中編2:解毒と痛みを抑える・潰瘍をいやす
 『デルトラのベルト』のエメラルドが持つ力について考えます。「デルトラ・クエスト」シリーズのネタバレを含みます。
 エメラルドの力のうち、邪悪を察知する力と誓い破りを察知する力については、これまでの記事で考えてきました。残るは、解毒する力と痛みを抑え、潰瘍をいやす力の2つです。
解毒
 この力はなかなか強力で、しかも比較的速やかに効果を発揮します。エメラルドが解毒のために使われたのは、作中で大きく2回ありました。
デインの毒(『帰還』より)
ベタクサ村で、デインがバルダに盛った毒。この毒のせいで、数日かけてじわじわと弱ったバルダ。しかし、イカボット乱入のどさくさに紛れてベルトが胸の上に落ちると、バルダは立って動けるくらいまで回復しました。この間は、長くとも数分~十数分です。
パフの毒(『最後の歌姫』)
パフが使用していた、『トーラ病』を引き起こす毒へも、デルトラのベルトのエメラルドが解毒に用いられました。この毒は、摂取した人に対し、高熱と赤い腫物を伴う症状を引き起こします。パフが毒を与える量を調節していたのか、違う毒を使い分けていたのか分かりませんが、症状が出た日のうちに亡くなった人もいた一方で、シャーン妃は数日間かけてじわじわと衰弱します。 
 ともかく、そんなシャーン妃にデルトラのベルトのエメラルドを数十秒押し当てると、みるみるうちに脈が安定し、熱も下がりはじめます(直前に毒を追加されていたため、次に処置されたリンダルほどの回復には至りません)。シャーンと同じような状��で倒れていたリンダルも、数分間エメラルドを当てられると口がきけるほどまで回復。さらに、毒を盛られたからすにも1~2分程度当てると羽ばたき出すなど、かなりの回復が見られました。
解毒作用の使い方
 この解毒の力は、心臓付近に置くことで、最も効果を発揮するようです(『最後の歌姫』より)。
他の宝石の似た効力
 エメラルドがないとき、ほかの宝石を使って解毒が行われた事例もいくつかあります。
ルビー
 ルビーを使っても、ジャスミンの手のひらをかすったゲリックの毒を緩和することができました。これはルビーの持つ、邪悪をかわす能力によるもの。ゲリックの毒が邪悪だったから効いたようなので、デインやパフが使ったような毒にはもしかしたら効かない可能性もあります。
 また、『王国探検記』では、ゲリックと同じ種であろうジクジクヒキガエルの毒を、アディンがルビーの力で癒したことが書かれています。
 逆に、ゲリックの毒をエメラルドで解毒できるかどうかは不明なのですが……そのときエメラルドはゲリックのおでこにはまってましたからね。毒は毒なので、できない理由はないんじゃないかなあ。でもアディンは、ルビーを所持している頃にはすでにエメラルドを手に入れていたはずなので、そこでなぜエメラルドではなくルビーを使ったのかが謎です。このことはルビーについて考えるときにまた触れてみようと思います。
ダイアモンド
 リーフたち3人が、果ての森の出口そばの湖に生えている、催眠作用を持つ金色の実を食べてしまったときも、リーフはダイアモンドを握って毒を弱めることに成功しました(『竜の巣』より)。しかし、ダイアモンドの持つ効果はあくまでも体力増強ですから、完全な毒消しにはなりません。
 だからダイアモンドの力を借りても、リーフの体はほとんど麻痺しており、回復するには解毒作用のあるしぶい皮を食べる必要がありました。さらに、この金の果実は食べても死に至るわけではなく、大量に食べてようやく深い眠りに就く程度のものだったので、他の毒と比べるとやや微弱と言えそうです。
 したがって、力をもたらすダイアモンドの効果は、ルビーとは違って邪悪な毒には効果がないのはもちろん、エメラルドとも違い、強い毒をくだすことはできないのではないかと思います。
毒消しの宝石使い分け
 エメラルドがないときにもしも毒消ししたければ、邪悪な毒はルビー、邪悪でない自然由来の毒等にはダイアモンドで代用することができるでしょう。とはいえ、先に書いた通り、特にダイアモンドの力はあくまで予備として使える程度のものなので、エメラルドがあればそっちを使うのがやっぱり一番安心なんだと思います。エメラルドないけど。
小さなエメラルドにも解毒作用がある
 これはデルトラ産の宝石全体に共通する性質なのですが、デルトラ産のほかのエメラルドたちも、この大エメラルドと同じ力を持っています。
 前述のトーラ病騒動の際にも、患者を治療するために、グラ・ソンが持っていた恐怖の山のエメラルドと、デル城にあったエメラルドのアクセサリーが用いられました。
 グラ・ソンによれば、恐怖の山の小人族は昔から、宝石が持つこの性質をよく知っていました。小人族は、解毒のために、守護石の大エメラルドも普通のエメラルドもどちらも使って来たのでしょう。
痛みを抑える・潰瘍を癒す
 さて、エメラルドは、痛みを抑え、潰瘍を癒す力も持つとされています。
 この2つの力は、『デルトラの書』で触れられているものの、作中ではっきりと使われた場面はありません。しかし、解毒作用と同じように、未開の山中で、しかも危険な生き物だらけの『恐怖の山』で暮らす小人族にとっては、病やケガの治療のために、この力が大いに役立っていたと思われます。
まとめ
 エメラルドが登場する場面は多いし、持っている効果も多い……。中編が2つに分かれるとは思いませんでした。
 今回は、触って役立つ系の力2つについて考えました。最後に、象意である「名誉」ついて簡単に考えてようやくおしまいです。
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penn-of-auronrafts · 2 years
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Dog Tales(誰も知らない犬たちのおはなし)の21周年記念版も今年の6月に出ていました。
私はまだ日本語版も読んだことがないけど、デルトラやローワンの次に出たのが犬のお話という振り幅にはいつも驚かされます……!
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penn-of-auronrafts · 2 years
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「デルトラ・クエスト」シリーズ登場人物の死の描写について
以前気になった、味方キャラと敵キャラの死の描写は異なるのではないか?という説について考えます。
ここでは、作中で亡くなった人物を挙げました。作中時点ですでに故人だったり、本に書かれていない時間帯で亡くなっている人物やオルや憲兵は含めていません。ざっくりなので抜けや勘違いはあるかもです。
【葬儀・埋葬の様子まで書かれている】 ミン(Ⅰ-1)……エンドンはミンの遺体を運んでチャペルに横たえ、おきて通り一晩の番をした エンドン(Ⅰ-8)……皆が見守る前で死去し、リーフとシャーンがおきてに則りチャペルで遺体の番をした。 グロック(Ⅱ-1)……遺言を残し、墓参りまでされ、遺品は無事弟に受け継がれます。 イノシシ男オットー(Ⅲ-2)……仮面の人にやられてしまいますが、一座の仲間に弔われます。怪しげな葬儀の様子は、仮面一座の独特な世界を印象づけます。 ドラン(Ⅲ-3、4)……エンドンやグロック同様、死に際に言葉を残し、墓が作られる。
【死後の様子まで書かれている】 クリアン老人?(Ⅰ-1)……死をきっかけにジャードが鍛冶屋を継いだ。本人も寿命を予期していたためか、転がり込んできたジャードに鍛冶を教え、孫娘の結婚まで見届けたはずだから、幸福な晩年ではないでしょうか。 ジンクス(Ⅱ-2)……疎まれてはいたものの、マリリンがジンクスを思い出して顔をしかめる場面がある。 ロルフ(Ⅲ-1)……埋葬の際、ジャスミンが遺骸を漁り、北の歌姫の地図を見つけたという。 ジョセフ(Ⅲ-4)……チャペルでラネッシュと最後の言葉を交わす。ジョセフの死は、周囲の人たちにとっても悔いの残るものでした。 ラネッシュもその後マリリンを迎えに行かされてるので埋葬は書かれてないけど、ヒラのドロドロ征伐のあとにあったのかな。デルトラの伝説は、作中の時系列でもジョセフの死後に出版されているので、彼の存在は世の中に残り続けている。 パフ(Ⅲ-4)……なかなか劇的な死だったが、あれはパフにとって苦しみからの解放なのでしょう。リーフ、ジョーカーは、哀れみをもってパフの死を仲間たちに話しました。
【死の場面のみ】 ライ(Ⅰ-3)……人間の敵キャラで初の死者。 リ・ナン(Ⅰ-5)……ゲリックにぺっ!と唾を吐きかけられておしまい。 ミルン(Ⅰ-6)……グルーの洞窟に置き去り。 ネリダ(Ⅰ-7)……小川で倒れてた。 アマランツ(Ⅱ-2)……正気を取り戻し、友人シャーンに看取られていたので、温かみの感じられる死に際でした。 オーリス(Ⅱ-2)……個人的にシリーズ中で一番えぐい死に方。リーフが肝心な場面で目を反らすのでどうにか読める。 ベス(Ⅲ-2)……死ぬことよりもその後(仮面がくっついてる)のほうが嫌だ。 クリステン(Ⅲ-2)……これもえぐい。
【番外編・外伝の人物など】 ライゲーン(モンスターブック)……うごめく砂の探検家ライゲーンは、砂丘探索に出かけて帰らぬ人に。いかれライゲーンなどと呼ばれていたわりには、デルトラ年鑑にも記録が残されていたりと、それなりに功績を認められていたようです。 シーラ(伝説)……影の大王の手下同士の仲間割れで死ぬ。 ドッドとライザ(伝説)……幽霊になる。 ベリティー?(Ⅲ-3)……作中の時間軸ではすでに亡くなっていましたが、リーフとバルダの幸運の女神号のエピソード自体、ベリティーが遺したものの話。彼女の場合は船首像が墓標で、海が墓場なのだと思います!
まとめ
表には挙げませんでしたが、うごめく砂で死んだ2人の憲兵を死者と数えれば、デルトラ・クエストでは毎巻誰かが亡くなっています。特に多いのは『幻想の島』と『影の門』で3名ずつ。
抜けはあるかもしれませんが、味方や、敵だとしても温情の持てるキャラクターだと、一言・一文であっても死に関する他の人物からの気持ちや、埋葬や葬儀に触れられているなど、丁寧に書かれているように思えます。 敵キャラや悪役だと必ずしもそうではないので、ストーリーに合わせたらそうなったのか意識的なのかは分かりませんが、やはり生き死にって重要なことですから、ある程度気を遣って書き分けがされているんじゃないかと感じました。特に、埋葬や葬儀といった形式面によく言及されることも印象的です。
でも、デルトラこそダークファンタジーと評されることもありますが、エミリー・ロッダさん自体はそこまで登場人物をバタバタ死なすわけではないと思っています。一作目から六作目(ローワンと魔法の地図)までは今のところ死者ゼロで、ファンタジーでないほかの作品でも、誰かの死がストーリーに大きく関わっているケースはあるものの、登場人物が亡くなることはそんなにないのではないかと思います。ローワンの後半の巻とかどうなんだろう?
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deltoranembassy · 1 year
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2023年1月から3月の更新
新しい記事
【2023】オーディオブック版「デルトラ・クエストⅠ」全8巻配信スタート!
ハッシュタグ#デルトラ再読会
エメラルド|名誉 Honour
リライトした記事
デルトラ侵攻の日
「デルトラ・クエスト」シリーズ 表紙
扉ページ
デルトラ王国の民族
デルトラのベルト
ピラ三島
影の王国
2023年の在日デルトラ王国大使館の抱負-原点回帰
在日デルトラ王国大使館は、おかげさまで、いつの間にか開設4年目に入りました。2022年は、20周年記念イベントの準備や、個人的な多忙でほとんど更新できず、Tumblrもサイトも放置気味になってしまいました。今年は、できる範囲で力を入れたいと思っています。
サイト開設時にはじめ、いまだに作り終わっていない『デルトラ史』『デルトラのベルト』に関する記事は、 「デルトラ・クエスト」シリーズ日本語版20周年記念のひとつとして、今年の9月17日までに完成させる目標で進めています。はじめのころは、思い付きを試しているだけで私自身も楽しめましたが、数年続けていると、手をつけたテーマを途中で放り投げて新しいものに次々手を出してばかりでは、何も完成せず虫食いだらけになるだけ……と痛感しているところです💦
また、記事の基礎や裏付けとなる、地味な調べものやリストアップもめんどくさがらずに取り組むことも、今年の課題です。
考えたことや知っていることを閉ざされた場所で抱え込むのではなく、興味のある人に自由に見てもらえるようにするのが大事だと思っているけど、そのためには、見えないところでひとり淡々とやる作業も必要。去年はアウトプットの年だったので、どちらか一方だけにならないようにバランスよくやっていきたい。
いずれは、エミリー・ロッダ作品について発信されているブログ・SNSなどと相互リンクすることなんかも興味があります。やりたいことはいろいろあるのですが、新しいことを始める前に、準備を整えていく一年になりそうです。どうぞよろしくお願いいたします。
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shionshot · 3 years
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According to this interview with Emily Rodda, Deltora Quest has been translated into 29 languages and 35 countries,does anyone know of this all list?
I have checked the websites of various libraries and mail order sites and can only confirm that the book is published in  22 languages and in 31 countries.
The following is what I have been able to ascertain so far.
Languages translated:
English (US, UK?), Portuguese, Norwegian, Finnish, Swedish, Danish, Dutch, Czech, Polish, German, French, Spanish, Italian, Russian, Turkish, Japanese, Traditional Chinese,Simplified Chinise, Thai, Indonesian
Country of publication:
Australia, New Zealand, USA, Canada, Brazil, Portugal, Spain, France, UK, Denmark, Norway, Sweden, Finland, Russia, Poland, Germany, Netherlands, Czech Republic, Slovakia, Hungary, Romania, Serbia, Italy, Turkey, Iran, China, Korea, Japan, Taiwan, Thailand, Indonesia
Or have any of you read Deltora Quest in a language not mentioned here?I'm writing a blog in Japanese about this,I'm having trouble finding it, even after researching and asking people.
I enjoy looking for Deltra Quests that have been published with different decorations in different editions and with original illustrations on the covers.
Recently I discovered that Deltra Quest III ,「拯救德尔托拉之魔界飞龙:Save the flying magic dragon 」, in simplified Chinese, was published 2020. The Chinese style costumes are very cute.
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このエミリー・ロッダのインタビュー記事によると、デルトラ・クエストは28の言語と35の国で翻訳されているそうですが、このすべてをご存じの方はいらっしゃいますか?
私はいろいろな図書館や通販サイトのホームページを調べたのですが、このうちの22の言語の版と31の国で出版されていることしか確認できていません。
私は、版ごとの装飾の違いや、オリジナルのイラストが表紙になって出版されているデルトラ・クエストを探して楽しんでいます。
このことについて日本語のブログを書いているのですが、長いことわからないままで困っています。
書きかけですが、この件について日本語のまとめはこちらになります。
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