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#シリアル接続
poleprincess-news · 6 months
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「劇場版 ポールプリンセス!!」-Complete Album-発売記念イベント 開催決定
「劇場版 ポールプリンセス!!」-Complete Album-の発売を記念したリリースイベントの開催が決定いたしました! 期間中、対象店舗にて対象商品をご購入いただいたお客様に、シリアルコード付き応募券をお渡しいたします。 ご応募いただいたお客様の中から抽選でイベントにご招待いたします! さらに!本イベントはオンライン生配信も実施いたします!イベントにご応募いただきました方は全員、オンライン生配信でのご視聴が可能です! 以下詳細をご確認いただき、みなさまのご参加をお待ちしております。
ゲーマーズ特設ページ https://www.gamers.co.jp/contents/event_fair/detail.php?id=4897
【イベント日時】 2024年6月29日(土)  ※イベント時間につきましては、後日、もしくは当落のご連絡の際にご案内とさせて頂きます。
【開催場所】 AKIHABARAゲーマーズ本店6Fイベントスペース 東京都千代田区外神田1丁目14-7 宝田中央通りビル
【出演者】 土屋李央さん(星北ヒナノ役) 
【イベント内容】 ・トーク&生コメンタリー&特典お渡し会 ※当日はリアル参加以外に配信でも一部イベントの様子をお届け予定になります。 ※視聴方法については当選発表にあわせてお知らせいたします。 ※配信は当落の有無にかかわらずご応募頂いた方全員へ視聴URLをお送りさせて頂きます。 ※商品購入の方で、配信のみを希望される方は、応募時に「配信のみ」をご選択ください。 ※トーク&生コメンタリーのみの配信となります。特典会の模様は配信いたしません。 ※配信終了後、アーカイブ公開予定です。
参加方法 下記対象店舗にて 対象商品を ご購入 頂きましたお客様にシリアルコード付き応募券を対象商品1枚につき1枚お渡しいたします。 お渡しした応募券に記載されている二次元コードをお読み取り頂き、申込ページ内の応募要項に従って必要事項をご記入の上、ご応募下さい。 ご応募いただいた方の中から抽選でイベントにご招待いたします。 抽選結果はゲーマーズマイページ内の「フェア・イベント申込履歴」にてご確認頂けます。
※イベントご応募はゲーマーズ会員登録(無料)が必要です。https://www.gamers.co.jp/corner/cc/event_entry/cd/507/
※既にご予約いただいている方は、配布中にご予約いただいた店舗にてご購入時に、応募券をお渡しいたします。
■応募券配布期間 ※オンラインショップでご予約・ご購入の場合、ご案内期間が異なります。ご注意ください。 *ゲーマーズ店舗:2024年3月26日(火)開店時~ 2024年6月9日(日)閉店時まで ※AKIHABARAゲーマーズ本店に関しては取扱いフロアの開店時間からの配布開始となります
*ゲーマーズオンラインショップ:2024年6月2日(日)23:59までのご注文 ・オンラインショップでは、商品と一緒にシリアル付応募券発送いたします。 ・応募ご希望のお客様は、お受取日時にご注意いただきますようお願いいたします。 《応募締め切りに間に合わないご注文例》 ・「お取り寄せ」や「通常○~○日以内に入荷」でのご注文 ・「お取り寄せ」や「通常○~○日以内に入荷」の商品と同梱でのご注文 ・「まとめて発送」をご利用のご注文 ・「コンビニ・郵便局・はこぽすで受け取る」または「店舗受取り」を選択されているご注文 ・発売日以降出荷、商品追加入荷待ちでのご注文 ・決済手続き・ご入金確認のタイミングにより、発送時期が遅れる場合 ・お客様ご不在により、荷物が持ち戻りされた場合 ・その他、不測の事態により商品の発送が遅延する場合 ※応募ご希望のお客様は、お受取日時にご注意いただきますようお願い致します。 ※発売日当日までにお受け取りいただけないご注文の場合、イベントやキャンペーンの  応募締め切りに間に合わない場合がございます。予めご了承の上、ご注文をご検討下さい。
※対象商品はいかなる理由があっても、返品・キャンセルは受け付けておりません。 ※商品自体に不備があった場合のみ、交換または返品の対応をさせていただきます。 予めご了承の上ご予約ください。
<お問合せ先> ゲーマーズユーザーサポート https://www.gamers.co.jp/contact/ ※直接、会場である店舗へのお問い合わせはお控えください。
■応募締切 2024年6月9日(日)23:59
■当選発表 6月中旬予定 (ゲーマーズマイページ内『フェア・イベント申込履歴』)
■対象店舗 ゲーマーズ全店(オンラインショップ含む) ※ゲーマーズ池袋Bookstore、ゲーマーズ札幌店、ゲーマーズラボアバンティ京都店、蓮ノ空ゲーマーズは対象外となります。
【対象商品】 2024/3/27発売 劇場版 ポールプリンセス!! -Complete Album- / EYCA-14317~8 価格:3,850円(税込み)
新型コロナウイルス感染防止のための注意事項 ※イベント参加の際にはマスク着用のご協力を頂く場合もございます。イベントご参加の際は不織布マスクをご持参頂きますようお願いいたします。 ※入場時、検温・アルコール消毒のご協力を頂く場合がございます。 ※ご自身に発熱の症状や体調不良がみられる場合はイベントの参加をご遠慮頂きますようお願いいたします。 ※その他、当日の状況により、お客様、出演者、スタッフ等の安全確保のため、様々な制約やご協力をお願いする場合がございます。ご了承の程、お願い申し上げます。 ※今後の状況次第では、イベントが中止または延期になる可能性もございますので予めご了承ください。 ※本イベントが延期・中止になった場合でも、商品の返金等は一切お受けできませんので予めご了承下さい。
注意事項 ※当日、会場受付でご本人確認をさせて頂きます。本人確認【お名前・登録住所】ができる顔写真付身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、学生証など)をご提示いただきます。 顔写真付身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、学生証など)をご提示頂けない場合、入場をお断り致します。 期限切れの身分証明書やコピーのものは無効です。 ご本人確認ではゲーマーズへご登録のお名前・住所と身分証明証が一致しているか確認させて頂きます。 一致する身分証明証をお持ちでない場合は入場をお断りさせて頂く場合がございます。ご了承ください。 ※イベント当日はマイページ内の該当イベント詳細ページ(当選画面)をイベントスタッフへご提示頂きますようお願い致します。スクリーンショットやキャプチャ等は無効となります。オンライン画面の提示のみ有効となります。 ※施策に関わる応募券等は、全て第三者への譲渡・オークション等の転売は禁止とさせて頂きます。 ※ご本人様以外の入場は不可となります。 ※イベント会場詳細は当選の方にご案内差し上げます。 ※当選権利の転売、譲渡、委任は固く禁止させて頂きます。転売、譲渡、委任された当選権利は無効となり、ご入場をお断り致しますので、あらかじめご了承下さい。 ※当選権利は、ご当選されたお客様(小学生以上)1名様のみ有効です。 ※イベント応募券1枚につき1口(1席分)ご応募頂けます。複数ご応募された場合は、複数口での抽選となりますが、ご当選はお一人様1口(1席)となります。 ※イベント応募券を紛失/盗難/破損された場合、再発行はいたしませんのでご注意下さい。 ※イベント応募券の転売行為、コピー、偽造は固く禁止致します。 ※各店舗で予約された商品はその店舗でのお受け取りとなります。発送は承っておりませんので、あらかじめご了承ください。 ※店頭でのご予約のキャンセル・返金は一切承れません。 ※商品のお受け渡しは、商品発売後となります。 ※原則としてお一人様につきお席は一つのご用意となりますので、未就学児をお連れの際は膝の上などに抱いて頂く可能性がございます。 ※本イベントの参加にあたり、必要となる交通費、宿泊費などの費用は参加者のご負担となります。 ※徹夜や早朝からの整列は近隣へのご迷惑になりますので、固く禁止させて頂きます。 ※安全面・防犯面・警備強化の為、開場時にお客様のお荷物検査をさせて頂く場合がございます。皆様のご理解とご協力をお願い致します。 ※イベント中は、いかなる機材においても録音/録画/撮影は禁止となります。 ※出演者様へのプレゼントはお手紙のみのお預かりとなります。直接お渡しする事は出来ませんので、入場時にスタッフにお渡しください。 ※会場内にロッカーやクロークはございません。手荷物の管理は自己責任にてお願い致します。 ※会場にトイレはございませんので、予めご了承下さい。 ※荒天、自然災害や出演者の都合により、予告なくイベントの内容が変更、中止となる場合がございます。 ※お渡し会ではスタッフがお客様の肩や腕などに触れて誘導する場合があります。ご了承の上、ご参加下さい。 ※イベント会場内外で発生した事故・盗難等には主催者・会場・出演者は一切責任を負いません。貴重品は各自で管理して下さい。 ※イベント当日会場では、スタッフからの指示にご理解とご協力をよろしくお願い致します。当日スタッフの指示に従って頂けない場合はイベントの中止もしくはご退場を頂く場合がございます。予めご了承の上ご参加下さい。 ※当日は、当選通知に記載のある集合時間に合わせてご来場ください。 ※上記が守れない場合、イベントの参加をお断りする場合がございます。 ※注意事項、及びお客様へのご案内事項は追加・変更する場合がございます。 ※不可抗力その他イベントの中止/延期が必要と判断した場合には、イベントは中止/延期される場合があります。その場合、一切の返品・返金はお受けできかねます。 ※こちらの注意文言は、予告なく変更になる場合がございます。 ※必要に応じて応募者情報を主催メーカーへ共有させていただく場合がございます。
【生配信視聴の注意事項】 ※インターネット回線やシステム上のトラブルにより、配信映像や音声の乱れ、イベントの一時中断・途中終了の可能性がございます。 ※やむを得ずイベントが変更・中止・中断となった場合、それによるいかなる損害にも主催者、出演者は一切の責任を負いません。予めご了承下さい。 ※お客様のインターネット環境、視聴環境に伴う不具合に関しては責任を負いかねます。 ※視聴に伴う通信費(パケット代)はお客様のご負担となります。 ※生配信イベント中は、いかなる機材においても録音/録画/撮影(スクリーンショット含む)は禁止とさせて頂きます。 ※動画サイトなどへの無断転載・共有は禁止とさせて頂きます。 ※映像を商用利用することは禁止とさせて頂きます。これには、飲食店、広間等で聴衆から料金を受領して配信映像を流すことを含みます。 ※イベント応募券、および視聴URL、コードなどの転売・譲渡等は固くお断りさせて頂きます。 ※不可抗力その他イベント・フェアの中止/延期/変更が必要と判断した場合には、イベント・フェ���の中止/延期/変更される場合があります。その場合、一切の返品・返金はお受けできかねます。
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mesotokyo · 1 year
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USB-BLE MIDIインターフェイスを作る② - iOSのBLE MIDI接続設定を調べる
USB-BLE MIDIインターフェイスを作る際に気になる遅延とiOSの接続設定の話です。
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前回のお話:
無線MIDI接続を利用する際に気になってしまうのが反応の鈍さではないでしょうか。鍵盤を押してから音が鳴るまでに一瞬でも間があったり、ジャストなタイミングで弾いているはずなのになぜか音がずれる、的なことがあると致命的です。
BLEの技術的な話
Bluetooth LE(BLE)では、親機(セントラル)と子機(ペリフェラル)という概念があり、たとえばiOS機器とBLE MIDI機器を接続する場合はiOS側がセントラル、BLE MIDI機器がペリフェラルになります。BLEが特徴的なのは、セントラルが出した信号に対しペリフェラルが応答する形でデータを送信するという形態です。つまり、セントラルが信号を出さない限り、ペリフェラルからデータを送ることができないのです。通常セントラルは一定間隔でペリフェラルに対し信号を送信しますが、この間隔(Connection interval、Interval)はセントラル側に決定権があります。ペリフェラル側からも、「こういう間隔で信号を送って欲しい」という要望をセントラル側に送信することはできますが、その要望通りのIntervalを利用するかどうかはセントラル側が決定します。
ちなみに、BLEでの接続パラメータはIntervalに加えて「Connection slave latency(Latency)」と「Connestion supervision timeout(Timeout)」というものもあります。セントラルが信号を送信した際に、ペリフェラルはその信号を無視することもできるのですが、Latencyはこの無視できる回数の最大数を指定するパラメータです。また、Timeoutは接続が失われたと判断する時間を指定するパラメータで、通信を行えずにここで指定した時間が経過すると、通信の切断を行います。
これらのパラメータとして指定できる値は規格で決まっており、Intervalは規格上は最短7.5ミリ秒、最長4秒、1.25ミリ秒の倍数、と決まっています。また、Latencyは0以上500以下(かつTimeout/Intervalより小さい値)、Timeoutは最短100ミリ秒、最長32秒、10ミリ秒の倍数です。また、Intervalの値をリクエストする際には最小値(Min)と最大値(Max)を指定する形になっています(つまり、ペリフェラル側がセントラル側にパラメータ設定をリクエストする際はInterval Max、Interval Min、Latency、Timeoutの4つのパラメータを指定する)。
BLEでは7.5ミリ秒より短い間隔での通信は行えないため、規格上は少なくとも7.5ミリ秒の遅延が発生する可能性があります。さらに、iOSではBLEに関する独自の制約があります。これによると、Interval Minは15ミリ秒以上(かつ15ミリ秒の倍数)、Interval MaxはInterval Max+15ミリ秒以上(ただし15ミリ秒は許容)などとなっています(詳しくはAppleのドキュメントを参照)。ということで、iOSデバイスと通信する場合、どう頑張っても最長15ミリ秒の遅延が発生することになります。
実際の接続パラメータを調べてみる
さて、ここまではあくまで仕様上の話で、実際にiOSでBLE MIDI接続を利用する場合に、どういった接続パラメータが利用されるかは公表されていないようです。ということで、iOSデバイスとBLE MIDIデバイスを実際に接続して接続パラメータを調べたり、接続パラメータ変更リクエストが受け入れられるかをチェックしてみました。
基本的なコードは前回記事で使ったものと同じですが、ここで使用しているArduino BLE-MIDI Transportには、BLEの接続パラメータ変更機能がありません。ということで、Arduino BLE-MIDI Transportのコードをコピペして、接続時やデータを受け取った際に処理を追加できるように改造した「BLEMIDI_ESP32_NimBLE_Custom」というclassを作成しました(本来は継承したclassを作るべきなのでしょうが、コードが煩雑になりそうだったのでコピペで作成)。
このクラスはテンプレート引数でBLEServerCallbacksクラスの派生クラスとBLECharacteristicCallbacksクラスの派生クラスを指定するようになっており、接続時や各種イベント発生時にこのクラスで実装したコールバックメソッドが呼ばれる仕組みです。
メインのコード(ble_midi.ino)では(テスト目的なので)USB MIDI関連のコードをコメントアウトし、代わりにシリアル通信でBLE関連のイベント発生時に接続パラメータを送信するように実装しています。これは、EPS32 Arduinoで用意されているlog_i()の関数を使っています。この関数を実行すると、USBシリアル通信経由で指定した値がログとして送信されます(この機能を利用する場合、Arduinoの設定でUSB Modeを「Hardware CDC and JTAG」に、「Core Debug Level」を「Info」以上に設定する必要があります)。
ちなみに、NimBLE-Arduinoはデフォルトでログ用のコードが実装されており、「Core Debug Level」の値に応じてUSBシリアルでデバッグ情報を送信してくれます。便利!
テスト結果
まず、接続パラメータの変更リクエストを送信しないケースでは、接続時の接続パラメータはIntervalが30ミリ秒(1.25ミリ秒×24)、Timeoutが720ミリ秒(10ミリ秒×72)、Latencyが0となっていました(Intervalの単位は1.25ミリ秒、Timeoutの単位は10ミリ秒なので、取得した値にそれぞれ1.25、10を掛けた値が実際の時間になります)。
[ 13624][I][ble_midi.ino:49] onConnect(): interval: 24, timeout: 72, latency: 0 on startup
その後、こちらからは接続パラメータの変更要求を出していないにも関わらず、接続パラメータの変更が行われました。変更後の値はIntervalが15ミリ秒(1.25ミリ秒×12)、Timeoutが2秒(10ミリ秒×200)、Latencyが0となっていました
D NimBLEServer: >> handleGapEvent: D NimBLEServer: Connection parameters updated. D NimBLEServer: >> handleGapEvent: I NimBLEServer: subscribe event; attr_handle=12, subscribed: false I NimBLECharacteristic: New subscribe value for conn: 1 val: 0 [ 20477][I][ble_midi.ino:83] onSubscribe(): interval: 12, timeout: 200, latency: 0 on subscribe
これはあくまで想像なのですが、BLE MIDIはリアルタイム性が求められるため、iOS側でBLE MIDIデバイスに対してはデフォルトでこの値を利用するように決められているのではないかと思います。
また、接続時に接続パラメータの変更リクエストを送信した場合についても同様に確認してみました(コード上でコメントアウトしている「pServer->updateConnParams(desc->conn_handle, 15, 15, 0, 400);」の部分が変更リクエストを送信するメソッド)。
まず、iOSのドキュメントで定められている接続パラメータに則った値で接続パラメータの変更リクエストを送信した場合ですが、この場合はそこで指定された値に接続パラメータがセットされました。たとえば「Interval Min=12, Interval Max=12, Timeout=400, latency=0」でリクエストした場合、次のような値に設定されています。
[ 23490][I][ble_midi.ino:80] onSubscribe(): interval: 12, timeout: 400, latency: 0 on subscribe
「Interval Min=48, Interval Max=72, Timeout=400, latency=0」のように、15ミリ秒より大きい値を指定した場合は、Interval Maxで指定した値が設定されました。
[ 17025][I][ble_midi.ino:81] onSubscribe(): interval: 72, timeout: 400, latency: 0 on subscribe
また、iOSのドキュメントで定められている接続パラメータに適合しない「Interval Min=6, Interval Max=8, Timeout=400, latency=0」という値を指定した際は、指定したIntervalには設定されず、代わりにIntervalとして24が使われました。
[ 27836][I][ble_midi.ino:80] onSubscribe(): interval: 24, timeout: 400, latency: 0 on subscribe
接続直後のIntervalの値が24(1.25×24ミリ秒=30ミリ秒)なので、これがiOSのデフォルト値で、適切でないIntervalが指定されるとこの値が使用されるように見えます。
結論
ということで、少なくともiOSでBLE MIDI機器を利用する場合、特に機器が接続パラメータの変更をリクエストしなくとも、15ミリ秒間隔で通信するように設定されるということが分かりました。つまり、前回テストした際もiOSでの最短Intervalである15ミリ秒間隔で通信が行われていたわけで、そこで発生した遅延は少なくとも接続設定変更では解決できないように思われます。
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tumnikkeimatome · 12 days
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組込み機器開発者必見!TeraTermを使ったシリアルデバッグテクニック
TeraTermの基本設定 組込み機器開発において、シリアル通信を介したデバッグは不可欠です。 TeraTermは、この目的に最適なツールの一つです。まず、TeraTermの基本設定から始めましょう。 新しい接続を開始する際、「新しい接続」ダイアログでシリアルを選択し、適切なCOMポートを指定します。 次に、「設定」→「シリアルポート」で以下のように設定します: ボーレート: 115200 bps(一般的な値) データ: 8bit パリティ: none ストップビット: 1bit フロー制御: none ログ機能の活用 TeraTermのログ機能は、デバッグ作業を効率化します。 「ファイル」→「ログ」を選択し、ログファイルの保存先を指定します。ログファイルは後で詳細な分析に使用できます。 ログファイルの例: 2024-09-14 10:30:15 [INFO] System…
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namansharma0950 · 2 months
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ビタミン B2 市場概要: 現在の価格、傾向分析、将来の予測
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ビタミン B2 の価格を監視することは、医薬品、食品・飲料、栄養補助食品業界の企業にとって非常に重要です。ビタミン B2 はリボフラビンとも呼ばれ、人間の健康に不可欠で、エネルギー生成、細胞機能、代謝に重要な役割を果たしています。ビタミン B2 の価格変動は、この重要な栄養素に依存している企業の生産コストと価格戦略に大きな影響を与える可能性があります。
ビタミン B2 の価格にはいくつかの要因が影響します。商業用ビタミン B2 の主な供給源には、食品源からの天然抽出と合成生産の両方があります。原材料のコスト、作物の収穫量に影響を与える農業条件、抽出プロセスの効率は、生産コストに直接影響します。発酵や化学合成などの合成生産方法の進歩も、コストと市場価格に影響を与えます。さらに、食品安全基準、医薬品規制、環境ガイドラインなどの規制要因も、価格決定に重要な役割を果たします。
さまざまな業界でのビタミン B2 の需要は、価格に影響を与えるもう 1 つの重要な要因です。製薬業界では、ビタミン B2 はリボフラビン欠乏症の予防と治療のための医薬品やマルチビタミンの配合に使用されています。食品・飲料業界では、ビタミン B2 を利用してシリアル、乳製品、飲料を強化し、栄養価を高めています。栄養補助食品業界では、ビタミン錠剤やエナジードリンクの製造にビタミン B2 を利用しています。インフレ率や為替レートなどの経済状況は、ビタミン B2 の価格に大きく影響します。景気後退により業界全体で需要が減少し、価格が下がる可能性がありますが、経済成長により価格が上昇する可能性があります。
2024 年半ば現在、ビタミン B2 の価格は中程度の変動を経験しています。健康を維持し、栄養不足を防ぐという重要な役割により、さまざまなセクターからの需要は依然として堅調です。ただし、持続可能性への懸念と環境要因が市場の動向にますます影響を与えています。農業や化学製品生産における持続可能な慣行への移行、および環境に優しい代替品の開発は、将来の価格動向に影響を与える可能性があります。生産効率とサプライチェーン管理の革新も、供給動向に影響を及ぼし、価格に影響を与える可能性があります。
ビタミンB2の価格をリアルタイムで追跡: https://www.analystjapan.com/Pricing-data/vitamin-b2-1406
企業にとって、ビタミン B2 の価格動向を理解することは、情報に基づいた意思決定を行うために不可欠です。安定したサプライヤー関係を確立し、市場予測を監視することで、価格変動のリスクを軽減できます。サプライヤーとの長期契約により価格が安定し、一貫した供給と予算を確保できます。サプライヤーを多様化し、代替調達オプションを検討することで、サプライチェーンのリスクを管理し、コストを最適化することもできます。さらに、規制の変更や技術の進歩について最新情報を把握しておくことで、競争上の優位性が得られ、持続可能なビジネス慣行をサポートできます。
市場動向を監視し、戦略的対策を実施することで、企業はビタミン B2 の価格設定の複雑さを効果的に乗り越えることができます。このアプローチにより、競争力のある価格でビタミン B2 を確実に供給でき、ビジネス��成長と持続可能性がサポートされます。ビタミン B2 の価格に関するより詳細な洞察と最新情報については、ニュースレターを購読して、市場で一歩先を進んでください。
ANALYST JAPAN
Call +1 (332) 258- 6602 1-2-3 Manpukuji, Asao-ku, Kawasaki 215-0004 Japan
Website: https://www.analystjapan.com
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jeepstyle · 7 months
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ステアリングシャフトに関わる改善措置
届出日種別届出番号2023年09月29日リコール外 – 3694 ※ 画像の写真が該当車種の型式を表すものではない可能性があります。 不具合の内容 かじ取り装置において、製造管理が不適切なため、ステアリングシャフトがギヤボックス接 続部の所定位置まで挿入されない状態で組立てられたものがある。そのため、接続部の固定が不十分となり、そのままの状態で使用を続けるとステアリングシャフトが外れ、操舵不能になるおそれがある。 改善の内容 全車両、ステアリングシャフトとステアリングギヤボックスの接続部を点検し、不適切な場合は、ステアリングシャフト接続に関わる部品を交換する。 対象車両 型式通称名リコール対象車の車台番号(シリアル番号)の範囲及び輸入期間対象台数3LA-WL20グランド…
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ayukoitakura · 10 months
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メチレンブルーの記憶力増強と神経保護のための神経代謝メカニズム その2
メチレンブルーによる記憶力強化 メチレン ブルー (MB) による記憶保持の改善は、ラットが空間的手がかりを使用してさまざまな穴に置かれた甘いシリアルの位置を学習するホールボード空間記憶課題で調べられました (Callaway et al.、2004)。 A) 一貫した餌付けパターン (パターン 1) を使用した学習セッションの後に、MB USP 1 mg/kg を毎日与えました。黒丸は餌を与えられた穴を表します。その後、餌なしのプローブ試験で記憶保持がテストされました。餌を与えない試験の後、餌を与えるパターンを逆転させ(逆転)、動物は課題を再学習した後、再度試験された。 B)グラフは、ビヒクル対照群およびMB治療被験者の群における記憶能力(ホールを修正するための訪問率)の平均(±標準誤差バー)を示す。 MB グループは、最初の餌付けパターン (パターン 1)、2 番目の餌付けパターン (反転)、および平均合計 (全体) について、対照群の 2 倍の正答率を示しました。 *p = 0.037、**p = 0.000014、***p = 0.00017
3.2. MBの記憶に対する効果はホルメティックな用量反応曲線に従う 記憶に対する MB の用量反応効果のさらなる分析は、Riha らによる研究で評価されました。 (2005)。この研究では、一般的な活動レベルや不安に対する効果など、記憶スコアの向上を説明できる非特異的変数に対する MB の効果も分析しました。異なる用量の USP MB を Long-Evans ラットに投与し、MB 投与の 24 時間後に 2 つの一般活動試験と 2 つの記憶試験で評価しました。一般的な活動測定には回し車走行と餌やりが含まれますが、記憶テストには野外での慣れと物体認識テストが含まれます。この研究で使用されたMBの用量は1〜100 mg/kgの範囲であり、トレーニング後に単回用量として腹腔内投与されました。 MB 100 mg/kgを注射されたラットは薬物に対する有害反応を示し、この高用量MB投与後に被験者1名が死亡した。同様に、50 mg/kg を注射された被験者は、輪行活動の減少と毎日の食物摂取量の減少を示しました。ホルモン薬理学によって予測されているように (Bruchey および Gonzalez-Lima、2008)、これらの研究では、MB の 50 mg/kg 以上の投与には悪影響があることが確認されました。実験対象者の一般的な運動行動や健康に影響を与えるため、避けるべきです。対照的に、低用量 (1 ~ 4 mg/kg) および中用量 (10 mg/kg) の MB では、非特異的な行動効果は生じませんでした。注目すべきことに、4 mg/kg の用量が単回投与後の記憶力増強において最も信頼性が高く、長期的な行動習慣と物体記憶認識の両方を大幅に改善しました (Riha et al., 2005)。 )。同量の MB がヒトに慢性的に投与されても副作用はありません (Naylor et al., 1986)。
3.3. MB の記憶改善効果は、神経細胞の酸化代謝能力の強化によって媒介されます。 MB とヘモグロビンの間の酸化還元相互作用はよく知られています。 MB は、ヘモグロビンのヘムグループの鉄原子を非酵素的に還元または酸化することができます (Smith and Thron、1972)。この相互作用は、メトヘモグロビン血症を治療するための MB の臨床使用の基礎です。前述したように、Martinez Jr. et al. (1978) は、低用量の MB がメトヘモグロビンを酸化し、それによって酸素運搬能力を持つヘモグロビンの濃度を増加させることによって記憶を促進する可能性があると仮説を立てました。それにもかかわらず、正常な動物では、血中のメトヘモグロビンの減少はせいぜい 2 ~ 0% です (Juffermans et al., 2010)。これは、特にヘモグロビン飽和度が 90% 以上になるとヘモグロビン解離曲線において酸素がプラトーに達するため、血液中の酸素含有量がわずかに改善されるだけであると考えられます。実際、MB は、血中酸素分圧やメトヘモグロビン濃度に大きな影響を与えることなく、平均心拍数、平均動脈血圧、酸素消費量などの血行力学的パラメーターを改善することが実証されています (Juffermans et al., 2010)。しかし、記憶力増強効果は、MB が酸素運搬系だけでなく、酸素を消費する組織とも直接相互作用するという事実によって簡単に説明できます。ニューロンには、アロステリック特性と酸素に対する優れた親和性を備えたヘム/銅含有金属酵素であるシトクロムオキシダーゼが豊富に含まれています。好気性代謝の目的では、シトクロムオキシダーゼはヘモグロビンの非循環型です。シトクロムオキシダーゼは、ミトコンドリア呼吸鎖の末端酵素です。電子と分子酸素を使用して水を生成することにより、電子輸送が完了します。これは高度に保存された分子で���り、好気性生活にとって重要な酵素です (Michel et al., 1998)。各赤血球のヘモグロビン含有量が固定されているのとは対照的に、脳内のチトクロムオキシダーゼ活性はエネルギー需要に応じて大きく変化します (Wong-Riley、1989)。シトクロムオキシダーゼは絶妙な分子可塑性を示し、ニューロンの活性化に応じて発現レベルを変化させ、酸化代謝能力の最もよく知られたニューロン内マーカーを構成します (Gonzalez-Lima and Cada、1998) ; ウォン・ライリー他、1998 年; ウォン・ライリー他、2000 )。これに基づいて、少なくとも正常な脳においては、MB とシトクロムオキシダーゼの直接相互作用がその記憶増強効果の根底にあると考えられています。以下で説明するように、このメカニズム仮説は、神経化学、システム、行動を含むさまざまなレベルの分析にわたる大量の実験データによって裏付けられています (Callaway et al., 2002; キャロウェイ他、2004 年; ゴンザレス=リマとブルシェイ、2004 年。 Riha 他、2005 年。 Wrubel 他、2007a; 2007b; Riha 他、2011)。このようなデータにより、MB による記憶力の増強がシトクロムオキシダーゼの増加によって直接媒介されないとしても、このミトコンドリア複合体の変化が少なくとも記憶効果の信頼できるマーカーを構成することが証明されます (Gonzalez-Lima 、1992; ポレンバ他、1997、1998)。
MB の投与後、記憶力の向上に関連した脳のシトクロム オキシダーゼと酸素消費量の増加が実際に実証されています。たとえば、Callaway et al. (2004) は、MB 投与後の脳シトクロムオキシダーゼ活性の有意な増加を最初に報告しました。ラットに 1 mg/kg の MB を 1 回生体内注射��ると、24 時間後に脳のシトクロムオキシダーゼ活性の 30% 増加が検出されました。 MB 注射後 1 ~ 2 時間ではありません。同様に、MB をラット脳ホモジネートにインビトロ適用した場合、500 nM MB はシトクロムオキシダーゼ活性を 25% 増加させました。このナノモル濃度インビトロは、空間記憶実験でラットに投与された 1 mg/kg の用量に相当すると推定されました ( =9>Callaway 他、2004 年)。さらに、MB のホルメティック薬理効果は、5 μM MB 濃度ではインビトロシトクロムオキシダーゼ活性に変化がなく、さらに高い MB 濃度でも確認された。 10 μM のシトクロムオキシダーゼ活性は有意に減少した。この研究で脳のシトクロムオキシダーゼ活性と空間記憶保持の両方を改善した低 MB 用量 (1 mg/kg) は、前述のMartinez の抑制回避反応の記憶保持を改善した用量と同じです。ジュニアら。 (1978) 研究。これらの結果は、餌付きホールボード迷路における空間弁別記憶に対する毎日の MB 投与の影響を分析した別の研究でも再現されました (Wrubel et al., 2007b)。 。 3日間の識別訓練の後、訓練後MB(1 mg/kg、腹腔内)を毎日投与した成体雄ロングエバンスラットは報酬試験と非報酬試験を確実に識別したが、生理食塩水で治療した被験者は識別できなかった。毎日 3 回の 1 mg/kg MB 注射で治療したラットの脳におけるチトクロムオキシダーゼ活性を、最後の注射から 24 時間後に分光測光法を使用して測定しました。低用量のMB注射を3回繰り返すと、生理食塩水を注射した対照と比較して、シトクロムオキシダーゼ活性が約70%増強されることが判明した。正常な健康な動物におけるこのような MB 誘発性のシトクロム オキシダーゼの大幅な増加は、シトクロム オキシダーゼ触媒活性の初期増加によって最もよく説明されます。これは、酵素の誘導とホロ酵素サブユニット プールのアップレギュレーションにつながります (Wong -Riley et al.、1998)。
核呼吸因子とシトクロムオキシダーゼ発現の増加は、持続的な神経活性化によって発生し、神経伝達やシナプス形成などの記憶固定に関わる高エネルギー需要を伴う細胞内プロセスをサポートするために脳の酸素消費を調節すると考えられています( a>) (ダールとウォンライリー、2009 年; a、Dhar 他、2009b; Govindaiah 他、2000図5)。 リハら。 (2005)は、ラットの脳ホモジネートに低濃度 (5 および 10 μM) のロイコメチレン ブルー (MB の還元型) を適用すると、脳の酸素消費量が増加することを示しました。ビトロ。同グループはまた、低用量MB の生体内が、用量を使用して投与後24時間の脳酸素消費量の有意な増加と関連していることを最初に報告した。それは行動の習慣化と物体認識の記憶を改善しました。したがって、低用量 MB は生体内、酸素依存性の脳エネルギー形成の呼吸プロセスを標的とすることにより、強力かつ一貫した記憶増強効果を示すと考えられています。ミトコンドリア呼吸と脳内の好気性代謝能力の増強に基づくこの提案された MB の作用機序は、MB の生化学的特性と記憶の神経生物学の現在の理解との間の最適な適合を構成します。
メチレンブルーの活性依存的な影響
A) MB はシナプス前およびシナプス後ミトコンドリア (Mit) に作用し、高いエネルギー要求と活性ミトコンドリアを持つ活性化ネットワーク内のニューロンに優先的に蓄積します。この一般的であると同時に活性依存性の増強効果は、細胞内のMBの位置を駆動する高活性ミトコンドリアにおける上昇したプロトン勾配の存在によって説明される。 B) MB は電子伝達系の活性を高め、一酸化窒素合成酵素 (NOS) を調節します。 NOS は通常、グルタミン酸作動性受容体 (AMPAR および NMDAR) によって活性化されて一酸化窒素を生成します。一酸化窒素はセカンドメッセンジャーとして機能し、とりわけチトクロムオキシダーゼ活性を調節するため、呼吸に強い影響を及ぼします。代謝的に活性なミトコンドリアは、核ゲノムおよびミトコンドリアゲノム(赤い矢印)と通信して、すべてのチトクロムオキシダーゼ(COX)および一部の一酸化窒素シンターゼ(Nos1)、NMDA受容体(Grin 1およびGrin 2b)およびAMPA受容体(Gria2)サブユニット遺伝子を上方制御します。 、すべて核呼吸転写因子NRF-1の影響下にあります。 C) したがって、NRF-1によって調整される遺伝子発現は、シナプスの強化と記憶機能の改善を助けるエネルギー代謝とシナプス伝達に重要なタンパク質の共局在を可能にします。
3.4. MB の脳に対する増強効果は潜在的に広範囲にわたるが、活性化特異性を示す
ネットワーク レベルでの脳の代謝能力に対する MB の効果の研究により、MB の記憶増強効果がシトクロム オキシダーゼの増加によって媒介されるというさらなる証拠が得られました。恐怖消去パラダイム (Gonzalez-Lima and Bruchey、2004) では、雄の Long-Evans ラットが緊張条件刺激と嫌悪足を関連付けるように訓練されました。衝撃的な無条件の刺激。続いて、対象者は消去訓練を受け、対象者がその音に対して非常に低い条件反応を示すまで、強化されていない音を繰り返し提示しました。次に、被験者に生理食塩水または MB 4 mg/kg を腹腔内注射し、次の 5 日間にわたって 24 時間間隔でトーン単独プローブ試験を実施しました。 MB は、恐怖消去の定着段階をターゲットとして、各プローブ試験の後に投与されました。予測どおり、MB 処理動物は、4 回目と 5 回目のプローブ試験中に生理食塩水処理動物よりも優れた消去記憶保持を示し、全体的により良好な消去記憶保持を示しました。消去の保持率が高いラットは、消去の記憶処理に寄与すると考えられる前頭前野皮質領域のみでシトクロムオキシダーゼ活性の相対的な増加も示した。この種の記憶への寄与が弱い他の脳領域では、このような効果はあまり顕著ではありません (Barrett et al.、2003; Quirk et al.、2006)。選択された地域の代謝増加は、絶滅の維持を評価するために使用される条件付け反応の行動指標とも相関していました。これは、消去トレーニング後に投与された MB が、脳のシトクロムオキシダーゼ活性の領域特異的な増加を通じて消去記憶の保持を強化したことを示唆しています。
リハら。 (2011) は、シトクロムオキシダーゼ阻害剤であるアジ化ナトリウムを後帯状皮質に直接注入したラットで、全身性の低用量 MB (4 mg/kg) の局所記憶増強特性をテストしました。皮質(PCC)。 PCC は、後に AD を発症する健忘性 MCI 患者において、エネルギー代謝低下の初期の兆候を示します (Minoshima et al., 1997; 石渡他、2006)。シトクロムオキシダーゼの組織化学に基づく代謝マッピングと脳機能のネットワークレベルの計算モデリングを使用して、MBの代謝促進効果は神経の状況に依存し、その記憶改善効果は損傷後のネットワーク適応と並行して起こることが実証されました。具体的には、アジ化ナトリウムの注入は、帯状体-視床-海馬の有効な接続の破壊を通じて、ホールボード食物探索課題におけるPCC代謝低下と視空間記憶の障害を誘発しました。アジ化ナトリウムは、PCC の機能ネットワークと視床内に見られる正常な機能の冗長性も減少させました。対照的に、MBは記憶障害を防止し、この効果は帯状部-視床-海馬の有効な接続性の維持と関連していた。さらに、この研究で使用されたモデリング戦略は、MB が空間記憶タスクに遠隔的に関与している領域には影響を及ぼさない一方、関与している領域では機能的接続において顕著なサブネットワークの変化が示されたことを示しました (図6)。
視空間記憶に関連するMBのネットワーク効果
軽度の認知障害のある患者は、早期に視空間記憶に障害を示します。 A) この図は、視空間記憶の処理に関与する神経解剖学的ネットワークであるパペスの回路の主要な構造を示しています。視床と海馬の両方における代謝活動の増加は、後帯状皮質における代謝活動の増加を誘発します(実線の矢印)。後帯状皮質は、視空間機能の神経ネットワークの主要な「ハブ」と考えられている領域であり、多数の投影を送受信します。 B) 後帯状皮質の代謝低下(十字)はネットワークの破壊を誘発し、視床と海馬の高い代謝活動が後帯状皮質の活性化のさらなる低下(破線の矢印)を誘発します。この混乱は、視覚空間記憶の微妙な回復障害として行動的に明らかです。 C) メチレンブルーは代謝活動の高い部位に集中し、エネルギー代謝を促進します。これにより、MB は視床と海馬内の接続性の適応的な変化を促進します。これは、これらの領域に示されるパッチワーク パターンで表されます。このような変化は、サブ領域が機能クラスターまたは独立した機能ノードとして機能する傾向から構成されます。この内部の小領域の再構成により、欠陥のある接続を「補い」、適切な行動出力を仲介できる追加の脳領域の動員が可能になります。これらのネットワーク効果は、もともと代謝低下の影響を受けた領域で MB によって発揮される直接的な局所神経保護効果に加えて発生する可能性があります (Riha et al., 2011)。
これらのデータは、MB の効果が脳代謝の全体的な強化によって媒介されるのではなく、使用に依存して起こることを明らかにしています。このデータは、MB 分布のパターンが細胞内コンパートメント内、特に電子輸送中にミトコンドリア内で生成される電気化学的勾配によって決定されるという概念と一致しています。したがって、特定の課題における記憶の固定化中に代謝要求が最も高い脳領域は、シトクロムオキシダーゼ活性の最大の増加を示し、それらの領域はMBの代謝促進効果から最も恩恵を受けることになります(ゴンザレス-リマとブルシェイ、2004 年)。 MB のこの特異性は、MB が脳内で潜在的に均一な分布と生物学的利用能を持っている場合でも、特定の計算タスクに従事する領域である代謝要求の高い領域に優先的に蓄積することを意味します。これらの刺激的な発見は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、健忘性MCIおよびADを含む神経精神疾患の多くの動物モデルにおける治療的介入としてMBを使用する試みを促進した。 MB の記憶増強効果は、現在、アルツハイマー病の認知能力の改善と PTSD の消去学習を目的とした臨床試験でもテストされています (NIH 臨床試験 NCT00684944)およびNCT01188694)。たとえば、消去記憶の固定と保持を強化するMBの可能性は、不安障害に対する曝露療法の結果を改善する新しい方法として、心理療法の補助としてテストされています。我々は、曝露療法後に恐怖症の被験者にMBを投与したところ、トレーニング後のMB投与により曝露後1ヶ月での恐怖の再発が減少することが判明した(未発表データ)。さらに、MB治療を受けた被験者は、プラセボ治療を受けた被験者よりも、治療の文脈で提示された空間的手がかりをよく覚えていたことから、MBの記憶増強効果は1種類の記憶に限定されず、治療中に処理されているあらゆる記憶の固定化に影響を与える可能性があることが示唆されました。 MB が脳のミトコンドリア内に酸化還元剤として存在する時間。
3.5.急性および慢性MBは、異常なチトクロムオキシダーゼ活性に関連する状態での記憶を促進します
MB がシトクロム オキシダーゼと相互作用することによって代謝促進効果を発揮する場合、異常なシトクロム オキシダーゼ活性の状態での機能の回復を促進するはずです。この仮説を検証するために、PTSD とうつ病に対する脆弱性の動物モデルである先天性無力ラットに MB が使用されました (Wrubel et al., 2007a)。先天的に無力なラットは、PTSD 患者で検出される神経生物学的異常に似た局所的な脳代謝能力の変化により、劇的な恐怖消去障害を持っています (Shumake and Gonzalez-Lima、2003)。 5 日間にわたる各消去試��後に 4 mg/kg MB を全身投与すると、先天性無力被験者の獲得状況における消去の記憶保持が大幅に改善されました。 MB は消去コンテキストでの消去学習を改善しませんでしたが (おそらく消去コンテキストでの条件付き応答に対するフロア効果のため)、別のコンテキストへのその学習の一般化は改善しました。ラットにおける MB の半減期は 5 ~ 6.5 時間であるため (Peter et al., 2000)、絶滅が促進される可能性は低い。最後の MB 注射から 24 時間後に観察された記憶は、薬物の継続的な作用を反映しています。むしろ、この研究における低用量 MB の記憶保持効果は、記憶固定の重要な時期に起こる酸化エネルギー代謝の強化によって説明できます。
慢性的なMBの記憶に対する有益な効果は、慢性的なシトクロムオキシダーゼ阻害を使用して示されています。行動的なラットにおけるアジ化ナトリウムの全身投与によるチトクロムオキシダーゼ活性の慢性阻害は、アルツハイマー病に見られる記憶障害とシトクロムオキシダーゼ阻害のモデル化に使用されています (Bennett et al., 1992; ベネットとローズ、1998 年; ゴンザレス リマとカダ、1998 年; ゴンザレス-リマ他、1998a; 1998b ; Berndt et al.、2001)。シトクロムオキシダーゼの欠損を防ぐ MB の能力をより直接的にテストするために、Callaway et al. (2002) は、特定のチトクロムオキシダーゼ阻害剤であるアジ化ナトリウムで慢性的に治療された動物に MB を投与しました。アジ化ナトリウムは、脳組織の酸素消費を減少させ、酸化ストレスを増加させ、神経変性を誘発することが示されています (Riha et al., 2008)。雄の Sprague-Dawley ラットに浸透圧ポンプを移植し、アジ化ナトリウムを 0.9 mg/kg/h で 28 日間皮下注入しました。浸透圧ポンプの埋め込み後、被験者は空間記憶をテストするために設計された餌付きのホールボード迷路で5日間訓練され、続いて餌なしのプローブ試験、さらに5日間の訓練、そして別のプローブ試験が行われた。一部の被験者にはトレーニング後に 1 mg/kg MB を腹腔内投与しましたが、対照被験者には偽手術を受け、生理食塩水の注射を受けました。予想通り、アジ化ナトリウムの慢性投与は、トレーニング試験中の学習能力の低下と、プローブ試験中の空間記憶保持の低下を引き起こしました。各トレーニングセッション後の記憶定着期間中にMBを繰り返し投与すると、トレーニングトライアルのパフォーマンスは改善されずに、プローブトライアルにおける記憶保持が改善されました。慢性MBのこれらの顕著な記憶増強効果は、後に上記のように後帯状皮質の代謝低下によって誘発される健忘性MCIの急性モデルでも再現された(Riha et al., 2011)。まとめると、これらのデータは、MB の慢性および急性投与の両方が、正常な状態および異常なミトコンドリア機能に関連する状態での記憶を改善できることを裏付けています。同時に、このデータは、ミトコンドリアの代謝機構が記憶形成のプロセスにおいて重要な役割を果たしており、MB の記憶増強効果の主要な機構の標的を構成する可能性があることを示唆しています。
3.6. MBは、コリン作動性枯渇およびタウおよびアミロイド凝集の動物モデルにおける空間記憶を改善します
スコポラミン治療は、神経系で最も豊富な神経伝達物質であるアセチルコリンに拮抗するため、記憶機能障害を誘発する神経科学研究で頻繁に使用されます。 デイアナら。 (2009) は、NMRI マウス (スコポラミン治療に特に感受性のある系統) を 0.5 mg/kg のスコポラミンで治療し、水迷路課題で空間参照記憶をテストしました。スコポラミンの腹腔内注射とMB 4 mg/kgの腹腔内注射を受けたマウスは、スコポラミン単独で治療したマウスと比較して学習曲線の改善を示しました。 MB 治療を受けた被験者は、4 日間のトレーニング後の空間記憶プローブ試験でも有意に優れた成績を収めました。この研究では、コリン作動性破壊の既存の状態を逆転させる薬剤として作用することを目的として、スコポラミンの 5 分後と学習トライアルの 30 分前に MB を注射しました。 MB は、スコポラミン誘発の空間学習と記憶障害の予防において、コリンエステラーゼ阻害剤であるリバスチグミンと同じくらい効果的でした。これらのデータは、急性コリン作動性障害の状態では、MB が学習中に増強効果があることを実証しました。著者らは、彼らのデータが MB によるインビトロで観察されたコリンエステラーゼ阻害と一致していると示唆した (Pfaffendorf et al., 1997)、生体内 MB () によって生成される脳シトクロム オキシダーゼ活性の増加Callaway et al.、2004)、しかし、脳のコリンエステラーゼとエネルギー代謝に対する MB の影響は、この研究ではテストされていません。
さらに 2 つの研究で、タンパク質の凝集に関連するヒト神経変性の動物モデルにおける MB の記憶増強効果がテストされました。 オレアリーら。 (2010) は、ヒトのタウオパチー、進行性核上性麻痺、および染色体 17 に関連するパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症のトランスジェニック マウス モデルを使用して、MB の記憶増強効果をテストしました。彼らは、ミニ浸透圧ポンプを使用して、1 mM MB または生理食塩水を生後 7 か月の rTg4510 マウスの右海馬に 1 か月間注射しました。治療の最終週におけるモリス水迷路試験では、MB治療を受けたマウスの脱出プラットフォームの位置の学習が大幅に改善されたことが示されました。また、ターゲット象限の識別、プラットフォームの横断回数、検索戦略に基づいて、プラットフォームの位置の記憶保持が大幅に改善されたことも示されました。このグループはまた、経口MBが投与後4時間で血漿よりも100倍高い脳内濃度を示したことを確認した。 MB は、1 日あたり 9.3 mg/kg の推定用量で、12 週間にわたって飲料水に入れて自由に慢性的に投与されました。 MBで処置されたトランスジェニックマウスは、未処置のトランスジェニックマウスと比較して、空間記憶および運動学習の改善を示した。注目すべきことに、脳内のMB濃度は、治療群の空間記憶と高い正の相関を示した。 MB 治療を受けた被験者は、未治療の被験者と比較して、海馬、皮質、線条体の細胞数の増加も示しました。脳内のタウの沈着は影響を受けませんでしたが、MB は海馬内の可溶性タウのレベルを低下させました。
メディナら。 (2011) は、AD のトランスジェニック マウス モデルである 3xTg-AD マウスを使用し、MB の慢性経口投与により、記憶障害を示すこれらのマウスの空間学習と記憶が大幅に改善されたことも報告しました。残念ながら、この研究で使用された MB の用量は不明でした。正常な齧歯動物における MB のホルミシス用量反応は 1 ~ 4 mg/kg で行動的に有効で、10 mg/kg で無効になるため、用量は非常に重要です (Bruchey and Gonzalez-Lima、2008) a>) a>)。Poirier et al.、2011; Valla et al., 2010)。この研究で使用された明らかに高い 1 日用量の MB は、可溶性 Aβ40 および Aβ42 フラグメントの減少、ならびにプロテオソーム系のトリプシンおよびケモトリプシン様活性の増加と関連していました。これら 2 つの研究は、タンパク質の凝集が組織病理学によって検出できるようになる前に、記憶における MB の潜在的な有益な効果を実証しました。両方の研究は、MB がタウまたはアミロイドの可溶性レベルを低下させるという証拠も提供しました。これらの結果は、アミロイド沈着モデルにおいて、シトクロムオキシダーゼ発現の変化を含むミトコンドリア機能不全がタンパク質凝集病理に先行することを示す証拠と一致するため、興味深いものである (ゴンザレス=リマとカダ、1998 年; Hevner et al., 1993) 、この MB 治療はリン酸化タウまたは体樹状タウの局在化の定常状態レベルに影響を与えませんでした。また、シトクロムオキシダーゼ活性は、MB 処理トランスジェニックマウスでは確実に有意ではないわずかな増加を示しました。これは、おそらくより高い MB 用量が使用されたこと、または最適化された方法と比較して感度と信頼性が非常に低い酵素活性の測定に使用された市販のキットが原因である可能性があります (O'Leary らによって示されたものとは対照的に、 (2010))。標準的な齧歯動物の飼料には、16 週間毎日飼料 100 g あたり 25 mg の MB が補充されました。体重 25 g のマウスが毎日 3 g の餌を食べると仮定します。これにより 30 mg/kg の MB が供給されることになりますが、著者らは用量の推定値を示していません。トランスジェニックマウスが約 30 mg/kg の MB を摂取した場合、これは正常なマウスにとってはかなり多量の用量になりますが、マウスは集団飼育されていたため、マウスが毎日どのくらいの MB を摂取したかを知ることはできませんでした。さらに、マウスの体重は初期の未報告体重の割合としてのみ報告されており、体重 1 mg あたりの MB の用量を正確に推定することは不可能でした。それにもかかわらず、MB 栄養補助食品は、3xTg-AD モデルのモリス水迷路における空間参照記憶を改善しました。マウスには 5 日間、1 日あたり 4 回のトレーニング試行を与えました。プローブ試験中、MBで処理したトランスジェニックマウスは、対照食を与えたトランスジェニックマウスよりも早くプラットフォームに到達し、標的象限でより多くの時間を過ごし、隠れたプラットフォームをより多く横断した。
MB がタンパク質の凝集に及ぼす影響によって記憶力が向上するという議論が成り立ちます。それにもかかわらず、これが MB が記憶力を向上させる唯一のメカニズムではないことを説得力のあるデータが裏付けています。まず、上で議論したように、正常な被験者における MB の記憶増強効果を説明する一連の広範な証拠があります (表1)。 MB は、タウやアミロイドの病理が役割を果たしていないミトコンドリア機能不全に関連する記憶機能不全および神経変性のモデルにおいて効果的です。タンパク質凝集に対する MB の影響が認められる場合は、タウ様フラグメントがシトクロムオキシダーゼ活性を損なうことを示すインビトロ研究に照らして検討する必要があります。 (Atlante et al., 2008) そして、アミロイド ベータはインビトロの両方でシトクロムオキシダーゼ活性とエネルギー産生を減少させることがわかっています。 /span>)。興味深いことに、Medinaらによるトランスジェニックマウスの研究では、タンパク質の凝集を防ぐためにより高い用量と濃度のMBが必要でした。およびオレアリーら。これは、正常な動物におけるシトクロムオキシダーゼ活性の増加に伴う低用量MBの記憶増強とは異なる可能性があります。これらの発見を一致させるための 1 つの方法は、MB がタンパク質凝集の動物モデルにおけるタンパク質凝集体の存在によって誘発される酸化還元ストレスを主に標的とするかどうかをテストすることです。このような効果は、タンパク質凝集体が記憶障害の病態生理学において主要な役割を果たしていると想定されている状態において、実際に関連している可能性がある。しかし、タンパク質凝集体が酸化ストレスや代謝障害に対する生理学的反応のみを表すのであれば、タンパク質凝集に対する高用量 MB の効果は、記憶改善に対する低用量 MB の効果とは別のものになる可能性があります。 MB の記憶に対する効果と、タンパク質凝集に対する効果との関連性や、記憶におけるエネルギー代謝の生理学的メカニズムはまだ解明されていません。Du 他、2010 年 (生体内) およびRhein et al.、2009 (
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4. 神経保護剤としてのMB
上で議論したMBの記憶増強効果をテストした研究のいくつかは、MBが構造的および機能的な神経損傷を特異的に防ぐ可能性があることを裏付ける興味深いデータを提供しました。過去数年間に、代謝性傷害によって引き起こされる神経変性を予防するための MB の使用に関する先駆者となった追加研究が多数あります。以下で説明するように、入手可能なデータは、ミトコンドリア機能不全および低酸素症の状況における神経保護剤としての MB の可能性を裏付けています。
4.1.イホスファミド誘発性脳症に対する神経保護
クッパーら。 (1994) は、ヒトの化学療法剤イホスファミドに関連する代謝性脳症の予防に MB を使用して成功した 2 例を報告しました。イホスファミドは、固形腫瘍の治療に単独または組み合わせて使用​​されるアルキル化剤です。イホスファミドを投与されている患者の約 10% は、数日 (3 ~ 7 日) にわたって傾眠、昏迷、昏睡の臨床症状を呈し、死に至る可能性があります (Pelgrims et al., 2000< a i=3>)。この脳症は、ミトコンドリア毒素であることが証明されている第 II 相イホスファミド代謝産物によって引き起こされると考えられています。イホスファミド代謝産物の 1 つは強力なフラボタンパク質阻害剤であり、NADH から NAD への酸化障害を引き起こします。いくつかのアルデヒドデヒドロゲナーゼの補因子である NAD の減少は、有毒なアルデヒド関連化合物の蓄積を引き起こします (Kupfer et al., 1996)。最初の報告の後、いくつかのシリーズで、脳症発症後に静脈内または経口 MB を 50 mg/日 × 6 回投与するか、イホスファミド誘発性脳症の予防のために 50 mg/日 × 4 回投与しても、脳症の症状が軽減されることが確認されています。脳症の持続期間が 1 日未満 (Pelgrims et al., 2000; Dufour et al., 2006< /span>)。 MB がフラボタンパク質欠乏を補い、イホス���ァミドの代謝中に形成される NADH 酸化を促進する可能性があります。これらの報告と一連の症例は、ヒトにおけるミトコンドリアの代謝傷害によって引き起こされる急性の脳機能変化の予防と治療に、MB の全身投与を効果的に使用できるという証拠を提供しました。
4.2.ミトコンドリア機能不全によって誘発される実験的視神経障害に対する神経保護
効率的な毒物学的スクリーニングのために設計された網膜視神経障害の新しい生体内マウス モデルの使用 (Rojas)および Gonzalez-Lima、2010)、Zhang 他。 (2006) は、MB がロテノンの 1 回の硝子体内注射によって誘発される形態学的網膜損傷を効果的に防止することを実証しました。ロテノンは、ミトコンドリア複合体 I の天然阻害剤であり、酸化ストレスとエネルギー枯渇を誘発することによって神経毒性を引き起こす潜在的な環境神経毒とみなされています。ロテノンの神経毒性作用は、パーキンソン病やレーベル遺伝性視神経症などの神経変性疾患の発症に関係していると考えられています (Larsson et al., 1991; < /span> は、ラット網膜におけるロテノン誘発神経変性に対する MB の長期効果を分析しました。構造的損傷に加えて、視覚誘導行動と中枢視覚経路におけるエネルギー代謝の両方の変化を分析することによって網膜機能も評価しました。 14日目に、硝子体内の70μg/kg MBは、ロテノンによって誘発される網膜層の厚さとGCL細胞密度の約50パーセントの減少を防止した。行動的には、MB は治療前およびビヒクルで治療された動物と同等のレベルで視覚機能を維持しました。具体的には、MB は、視覚誘導タスクの成功率の 44% 減少と、ロテノンによって生じる対数照度感度閾値の 3.8 倍の増加を防ぎました。さらに、MB の形態学的および機能的効果が網膜エネルギー代謝の改善と関連していることが示されました。ロテノンで治療した被験者は対照と比較して平均網膜シトクロムオキシダーゼ活性の32.6%減少を示したが、MB共治療した被験者は網膜シトクロムオキシダーゼ活性の17.2%増加を示した。これらの研究は、神経変性疾患の発症に関係する電子伝達鎖複合体の阻害によって引き起こされる構造的および機能的欠損を防ぐためにMBが効果的に使用できるという関連原理を検証しました。Rojas et al. (2009a))。網膜における MB の神経保護効果は、用量反応様式で観察されました。 24時間の時点で、70μg/kgの硝子体内用量は、ロテノンによって誘導される神経節細胞層(GCL)厚さの40%減少およびGCL細胞密度の30%減少を防止した。 7μg/kgのMB硝子体内用量は、網膜損傷の予防において同様に有効であったが、0.7μg/kgの用量では効果がなかった。同様の視神経障害モデルを使用して、Betarbet et al.、2000
4.3.心停止による脳損傷に対する神経保護
低用量 MB を用いた一連の優れた研究により、低酸素再灌流によって誘発される神経損傷を防ぐ生体内の潜在的価値が実証されました。けが。 Miclescu ら。 (2006) は、心筋および神経損傷に対する全身性 MB の影響を研究するために、拡張循環停止の実験ブタ モデルを使用しました。 MB を補助治療として高張食塩水 - デキストラン溶液に添加しました。この治療は、心停止の 1 分後、心肺蘇生が施されている間、および心停止後の最初の再灌流期間中に行われました。 MB は 7.5 mg/kg/h の負荷速度で与えられ、その後 2.25 mg/kg/h で最長 50 分間維持され、総用量は 3 mg/kg となりました。 MB は 4 時間の停止生存率を改善し、自発循環の回復の最初の 1 分間後の血行動態変数を改善しました。さらに、対照群と比較して、低酸素性脳損傷のアストログリアマーカー(プロテインS-100β)の血漿レベルの低下によって実証されるように、MBは神経損傷を防ぐことが示されました。 MB 治療を受けた被験者では、酸化傷害のマーカーである全身性 8-iso-PGF2α のレベルの低下も示されており、MB の神経保護効果が影響している可能性があることが示唆されています。 生体内抗酸化作用に関連します。追跡調査でMiclescuらは、 (2007) は同じ動物モデルを使用して、8 分間の心肺蘇生を含む 12 分間のより長時間の心停止後の再灌流傷害が MB によって減少することを示しました。追加の研究では、同じブタ動物モデルにおいて、MB 治療が血液脳関門の破壊、脳浮腫、ミエリン損傷、心停止後のアルブミン漏出を改善することが実証されました (Sharma et al., 2011 も、ブタの脳における MB 治療後の再灌流傷害に対するゲノム反応を調べました。彼らは、低用量のMB治療がCX43、THBD、CARTなどの重要な神経保護遺伝子の発現を誘導することを発見した。さらに、低用量のMB治療は、生理食塩水のみで治療した動物の脳で観察された小胞体ストレスによって誘発される翻訳の停止を逆転させた。 MB 治療はまた、いくつかの抗アポトーシス遺伝子を刺激し、多くの脳修復/再生遺伝子を活性化しました。 MB による可溶性グアニル酸シクラーゼの発現制御も確認され、MB は小胞体、ゴルジ、細胞骨格、小胞間の輸送を仲介するタンパク質の制御を通じて機能的な細胞輸送を回復することが判明しました。Martijn and Wiklund (2010))。
4.4.線条体神経変性に対する神経保護
ロハスら。 (2009b) は、神経毒ロテノンを使用して、先天性代謝異常患者に観察される「代謝性脳卒中」に似た、ラットの線条体の大きな解剖学的病変を誘発しました。 MB の投与により、これらの病変のサイズが大幅に縮小し、シトクロムオキシダーゼ活性の低下と、線条体へのロテノン注入に伴う病変周囲の酸化ストレスの増加が防止されました (図7)。さらに、MBは、ロテノンによって誘発される大脳基底核と視床皮質の運動回路の機能的切り離しを防ぎ、黒質や脚橋核などの運動領域におけるシトクロムオキシダーゼ活性に対するロテノンの損傷誘発性の間接的な影響も防止した。機能的には、MB はロテノンによって引き起こされる行動の感覚運動の非対称性を部分的に防止しました。これらの発見は、脳実質における神経毒性損傷に対する MB の保護効果のさらなる証拠を提供しました。
メチレンブルーによる神経保護
MB は、脳内で神経毒ロテノンによって誘発される神経変性を防止しました (Rojas et al., 2009b)。図は、ロテノン単独(左半球)およびロテノンとMB(右半球)の両側線条体内注入を受けたラットの前脳の前脳のニッスル染色冠状切片である。ロテノン処理した半球には、反応性神経膠症(アスタリスク)の縁に囲まれた液状化壊死の空洞を特徴とする、広範囲の神経変性が見られました。この病変は側脳室の拡大を伴っていました(黒い矢印)。対照的に、MBを同時治療した半球では損傷が著しく少なく、比較的小さな病変が脳梁に限定されていました(白い矢印)。同様の劇的な神経保護効果が、眼内にロテノンと MB を併用した場合と比較して、ロテノンの両側または片側注入を使用したラットおよびマウスを用いた他の実験でも見られました (Zhang et al., 2006)。 ; Rojas et al.、2009a) または脳内 (Rojas et al.、2009a) 2009b)。
追加の研究では、MB が神経毒性代謝物の急性の生化学的および電気生理学的影響を生体内で防止することが実証されました。メチルマロン酸 (MMA) は、メチルマロン酸血症の患者で上昇する内因性代謝産物です。メチルマロン酸血症は、酵素メチルマロニル CoA ムターゼの欠損とコバラミンの代謝の欠陥によって引き起こされます (Morrow et al. 、1975)。 MMA は、酸素消費量の減少、エネルギー枯渇、アシドーシスを引き起こすミトコンドリア毒素であり、複合体 II 活性の障害とクレブス回路の破壊に関連していると考えられるミトコンドリア阻害効果を伴います ( Brusque 他、2002; Okun 他、2002; フリアン他、2007)。メチルマロン酸血症は、成長不全、嗜眠、筋緊張低下、低血糖、ミオパチーを特徴とする臨床像を引き起こす可能性があります (Henriquez et al., 1994)。最も重要なことは、メチルマロン酸血症は、発作や、舞踏病アテトーゼ、ジストニア、構音障害、嚥下障害などの急性線条体損傷の兆候を特徴とする神経障害を引き起こすことです (Heidenreich et al., 1988 )。 フリアンら。 (2007) は、MMA の線条体内注射によりメチルマロン酸血症の神経毒性関連発作活動をモデル化し、このミトコンドリア神経毒に対する MB の神経保護効果をテストしました。 MB による線条体内前治療は、MMA 投与後の発作潜時​​を増加させ、発作持続時間を短縮しました。 MB 治療は、MMA によって引き起こされる脳波変化も防止しました。総量 560 ng の MB は、MMA によって誘発される線条体タンパク質のカルボニルおよび亜硝酸塩/硝酸塩含有量の 35% 増加を防ぐのにも効果的でした。同様に、MMA は Na+/K+ ATPase 活性のほぼ 50% の減少を誘導しましたが、MB の同時投与によって逆転しました。これらすべての生化学的影響は、MB 用量が 1 および 2 log 単位低い場合には観察されませんでした。
MB の有益な使用が神経変性の他の状況に一般化できるかどうかは、さらに調査される必要があります。驚くべきことに、MB の劇的な神経保護効果を実証する上で概説した研究は、神経保護に関する文献で一般的に引用されたり認められたりすることはありません。たとえば、Wen らによる最近の論文。 (2011) ロテノン誘発性パーキンソニズムおよび脳虚血の動物モデルにおける MB の神経保護効果を報告している研究では、ロテノン誘発性の神経変性および虚血/再灌流損傷に対する神経保護を示した以前の MB 研究のいずれも引用していません。さらに、Wen らによって提案された作用機序。 (2011) は、神経保護に関する以前の MB 研究で提案されている、上記で検討したミトコンドリアのメカニズムと同じです (Zhang et al., 2006< a i=6>; Bruchey および Gonzalez-Lima、2008 年; Rojas 他、2009a ; 2009b; ロハスとゴンザレス リマ、2010 年).
次の場所に移動します:
5。結論
まとめると、これらの研究は、低用量の医薬品グレード(USP)MBが、さまざまな形の記憶を改善し、ミトコンドリア阻害や酸化ストレスに由来するさまざまな神経化学的、構造的、機能的欠陥の予防に効果的であるという決定的な証拠を提供します。著者の研究室で進行中の実験では、神経変性と健忘症の他のさまざまな動物モデルにおける神経保護剤としてのMBの有効性、およびヒトボランティアにおける向知性薬としてのMBの有効性が判定される予定である。これらおよび同様の研究は、記憶力を改善し、神経変性障害を予防するためのMBの潜在的な臨床使用のさらなるテストを提供するはずです。 MB または類似の神経代謝作用機序を持つ関連化合物は、特にヒトのミトコンドリア機能不全に関連する急性または慢性症状の治療において、記憶力を強化し、加齢関連および疾患関連の記憶喪失を防ぐために使用できる可能性があることが提案されています。​
ハイライト
メチレンブルーには、独特の抗酸化作用と代謝を促進するホルモン作用があります。低用量のメチレンブルーは定着を促進することで記憶保持を改善しますメチレンブルーの記憶改善効果はシトクロムオキシダーゼによって媒介されるミトコンドリア機能に対するメチレンブルーの局所的な脳への影響は活性に依存する低用量のメチレンブルーは代謝傷害によって引き起こされる神経変性を予防します。 
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am0818 · 1 year
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2023.10.15
最近のまいにちは、たまごっちでブリーダーみたいなことをして日々違うかたちのたまごっちの育成をしている。
最新の機種は育て方によって異なるキャラクターに進化するだけでなく、ランダムに振り分けられた性格の違いにより、同じキャラクターでも好きなものや画面上での振る舞いが全くもって異なるのだ。
わたしが手に入れたいのはあまえんぼうのみるくっちなのだけれど、性格の不一致、あとは育て方を間違えたり他のことに夢中になってネグレクトをしてしまったりして未だかつて邂逅したことはなく、思い通りに成長しなかった個体はたまっちんぐパーティーで無理やり結婚させて追い出してはあらたなたまごを迎え入れることを繰り返している。
24にもなってこんなくだらないゲームをしているなんて、と思われるかもしれない。
だが、いつかの将来もしわたしが結婚して子供を育てるという状況になったとき、彼/彼女を自分とは切り離された一個人だと認識した上で、一人前になるまで気を抜かずに育て上げられるのか、望んでいた容姿や人となりではなくても愛し続けることができるか、独り立ちしたいと言い出した時に素直に背中をおしてやれるのか、と不確かな未来に対して辟易しながら生活するたまごっちのいる日々は、とてもではないが若年層には負担がかかりすぎると思う。
しかも状況はシングルマザー、シリアル以外の食事を摂らせたまの旅行に連れていけるほどの生活水準にもっていくにはハンバーガー屋で鬼バイトをするかクラブで踊ってお金をつくるしかない。
わたしにも平日は本職があり自分自身の時間を削ってたまごっちを養っているため、仕事中ほとんどの時間をたまシッターにお世話になっているが、少なくとも放置して死なせてはだめだという責任感がわたしにはある。
それがたとえあまえんぼうのみるくっちに進化する個体でないにしても。
そもそもたまごっちを購入したのは、仲のいい会社同期が退社したことにある。
彼女は頭がきれ仕事がかなりできる(タイピングも鬼速い)一方でプライドも低けりゃ驕りもしないし、人と比べてなにかをしたり感じ取ることもない。
わたしはいつも人と比べてしまうし妬み嫉みが原動力となってものごとに取り組むけれど、彼女は院卒で歳が2つ上なので、彼女が自分より優れていることに対して素直に尊敬できることも居心地の良さを感じる理由のひとつだったのだと思う。
それに加えて彼女も中高女子校育ち、大学以降はブラジルについて研究していて環境が似通っているためか価値観の根底が近い部分に張っている気がする。
彼女の好きなところを挙げるときりがないが、どうしてもまだ書き足りないのであと3つだけ知ってほしい。
①   見つめあっても素直におしゃべりができるところ
わたしは嘘をつかない、隠し事をしない性格だけれど素直か、と言われればおそらくそうではなくて、話すことは言わんとしていることの毛をそぎ落として皮も厚めに剥いたあとに残ったおいしい部分だけ提供するか、あとは既出の話題だったら今の感情や意見ではなく、他人からどう見られるか、またそれによって築かれた自分像と矛盾しないように、過去に話したことと辻褄をあわせて答えているのでいつまでも幼い問答を繰り返していて、結局のところ嘘ばかりをついて本心を隠していることになる。
(だからおしゃべりは苦手で、文章を書いたりメッセージで伝えることが好き。直接相手側の反応を見ずに済むし、いくらでも推敲できるから。)
だけれど、彼女といるときは自分自身が本来の姿よりも高尚な人間であるように見せたいという邪な考えを持たずに、たとえわたしの考えや価値観が認められなかったとしてもきっと受け入れてもらえるという気持ちで思いついたことを何でも話すことができるの。
そうしてすらすら言葉が出てくるし、もともと口数が多いほうなのにもっ とたくさん話すようになって、彼女は引き出しが多くて大容量だからわたしだけがたくさん話すわけでもなくほぼ同じ分量で言葉を並べてくれるのもとても嬉しかった。
それと、彼女は交友関係が広くわたしよりよっぽど友達が多くて、多種多様なお話全部が興味深かった。
②   友達が多いところ
わたしは多分ひと、もの、ことにおいて依存しやすく、日々のルーティーンはやめられないし、一か月毎日お弁当にカオマンガイを持っていっているし、彼女を頻繁にご飯/遊びに誘っていた。
だけれど彼女はドライな性格且つ友達が多くて予定が詰まっており、気分が乗らなかったり予定が入っていたりで3~5回の誘いにつき1回しか会ってくれなくて、
それで逆に気を負わずに誘えたし、当たって砕けるのが定番になっていたので彼女に依存しすぎることなく適度な距離感と100%の気持ちで接することが出来ていたのだと思う。
③   一緒に一番くじをしてくれるところ
お酒を飲みに行った帰りに近くのコンビニで、たとえ知らないアニメやキャラクターだったとしても無駄にたくさん引いて運を確かめ合うのが楽しかった。
おそろいのドラゴンボールZのハンカチはまだ大切にとっておいてあるし、いらないからと引越の時に譲り受けたどうぶつの森のタイマーは本棚の裏に飾っているよ。
内容が薄っぺらくなってきたところでいったんやめて、これ以降は推敲を重ねてまたいつか直接言えたらいいな。
絶対言えないけど。
彼女が会社を辞めると8月に聞いたとき、当たり前ではあるけれどほんとうに悲しくてやめないでほしいと思っていた。
なのに人前で感情をうまく表現できないがゆえに結局辞めないでほしい気持ちを十分に伝えられずたわいのない話ばかりしてにこにこ解散してしまったけれど、その後何時間もつらつら泣きながらヒトカラして、それでも気持ちが収まらなくてもはや吐きそうになりながら夜通しジムで猛ダッシュしていたりとか、��たしが人前で泣きたくないのはダサいから、というのと普段泣かないほうがいざというときに切り札になるかも、という卑しさからなのに、何の効果も発揮しないまま終わりを迎えてしまって悲しい。
しかも彼女の前で泣いたのは一緒に彼女の部屋で劇団四季の子役オーディションの密着番組を見ていた時だけで、ただダサいだけだったのが悔しい。
そして何よりも、彼女のいない日常も、前と何も変わらずたのしく過ごせそうだと簡単に予測できてしまうことが嫌だ。
実際に9月と10月、それなりに楽しさを追い求めて生きてきたし、楽しかったし、このあともコンスタントに楽しみなイベントを控えて前のめりになって生きているけれど、彼女がいない毎日なんて真っ暗であってほしいのに、簡単に他の予定に取って代わられてほしくないのに、いつか近いうちに彼女と過ごした楽しい時間もフルサイズでは思い出せなくなるんだろうね。
彼女は自己開示して余計なことを知らせたくない、とかたしかそういう理由でライン以外のSNSをやっていないのだけれど、彼女からメッセージを送ってくれることはないし、9月に送ったメッセージにも未だ返信はない。
でもわたしは近くにいなくてもたくさんくだらない話をしたいな、と思っている。
ずっとA型だと思って生きてきたけど、実際に検査をしたらO型だったよ、とか、髪が伸びてくくりたいけど姫カットにしているせいでポニーテールにすると古のおたくになっちゃうんだ、とか、ちょっと命が重すぎるからたまごっち引き取ってくれないかな、とか、
ワーホリ先だったら日本のこういったゲーム機ってうけると思うんだよね。
はるかちゃんの代わりに依存できると思って買ったたまごっち、わたしはもう満足したから代わりにどうかな。
じゃあまた、気長に返信待ってるね。
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hideki0145 · 1 year
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RG35XXのADB機能を有効化してUSBデバッグしてみた
RG35XXとPCをUSB接続してデータ転送したかった
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最近お気に入りのRG35XXですが、前回導入したGarlicOSにはADB機能を有効化してUSBデバッグする方法が提供されているのです!
ADBとは正式名称「Android Debug Bridge」で、デバイスと通信する為の多用途のコマンドを提供するものです。 Androidはご存じの通りLinuxカーネルがベースとなっています。GarlicOSもLinuxカーネルがベースとなっていまして、Androidのソースをベースにしているのかどうかはわかりませんが何かしら共通する部分があるのだと思われます。違っていたらごめんなさい…。
さて、そんなADB機能が有効となっていると何ができるかというと、「RG35XXとPC(OSはWindows/macOS/Linuxすべてで理論的に可能)をUSB接続することで、PCからRG35XXを操作できる」のです! 普段RG35XXで遊んでいるゲームのセーブデータバックアップや、これから遊びたいゲームのデータをコピーする際にはmicroSDカードをPCにマウントする必要がありました。ということはRG35XXから毎回microSD��ードを抜き差ししなければならず、microSDカードの表裏を間違えてイラッとしたりする経験を何度もしてきた訳です。 それが、ADB機能を有効化してPCとUSB接続するだけで、PCからmicroSDカードの中身を直接触ることができるのです!
それでは、ADB機能の有効化から始めていきましょう。
更新履歴
2023/05/25 : GarlicOS 1.4.7で本記事の内容を検証済みです。
自分の環境
Windows 11 Pro 22H2 (OSビルド 22621.1702) 64bit : 2023/05/25時点
ADB Explorer v0.8.23050 : 2023/05/25時点
今回合わせて紹介する「ADB Explorer」はWindows OSのアプリですが、ADBコマンド自体はmacOS/Linuxでもセットアップ可能です。 是非本記事を参考にして試してみてください!
ADB機能を有効化するには…
それではGarlicOSのADB機能を有効化していきましょう。 ADB機能有効化のヒントは、前回解凍したファイルに含まれていた README.txt に記載されています。
. . Enabling ADB support: To enable ADB support, create a file named enableADB in the misc partition. Enabling ADB disables USB gamepad support but allows developers easy access to the device.
miscパーティションに enableADB という名前のファイルを作成すると、ADB機能が有効になるよ~と書いてありますね。 また、ADB機能を有効にするとUSBゲームパットは使用できなくなるよ~と合わせて書いてあります。USBゲームパッドを普段ご利用されている方はご注意くださいね。 (※最後まで読んでいただければ、RG35XX本体のみでGarlicOSのADB機能をON/OFFする方法をご説明しています!)
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TF1/INTスロットに挿入しているSDカードをWindowsに接続してください。 GarlicOSをセットアップした際、 BIOS CFW Roms フォルダが存在した H: パーティションの他に、画像のように kernel.dtb や uImage ファイルが存在するパーティションが実はあったのですが、こちらがmiscパーティションです。 今回の場合はドライブレターが E: でした。
miscパーティションが何か解れば、後は enableADB という名前のファイルを作成すれば完了です。 ここで注意が必要なのは、拡張子無しのファイルでないといけないという点です。
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エクスプローラの「ファイル名拡張子」を表示するように設定変更した上で…
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E: パーティションの直下にテキストドキュメントを新規作成しましょう。 ファイル名拡張子が正しく表示されるようになっていれば、 E:\新規 テキスト ドキュメント.txt という名前のテキストファイルが作成されるはずなので、 E:\enableADB という名前に変更しましょう。 .txt を忘れずに取り除くこと、 enableADB は enable を半角小文字、 ADB を半角大文字とすることを必ず守ってください。 GarlicOSはLinuxカーネルがベースのOSですので、小文字と大文字を厳密に区別します。Windowsは小文字と大文字を区別しないので慣れないと混乱しますね。 尚、 .txt を取り除くと「拡張子を変更すると、ファイルが使えなくなる可能性があります。変更しますか?」と確認されます。気にせず[はい(Y)]ボタンを押下しましょう。
以上、SDカードをRG35XXの「TF1/INT」スロットに挿入して電源ONすればADB機能が有効化された状態でGarlicOSが起動します。
PCにADBコマンドをセットアップしよう
GarlicOSのADB機能が有効化されても、PCの準備が整わないとUSB接続しても何も起きません。 PCからADB機能が有効なGarlicOSを操作する為に、Android Debug Bridge(adb)コマンドをセットアップしましょう。
ADBコマンドは、Android StudioというAndroidアプリ開発用 統合開発環境をセットアップしてダウンロードする他に、Android SDK Platform Toolsパッケージを個別にセットアップすることでも利用可能になります。 日常的にAndroidアプリ開発を行っていない場合は、Android Studioをセットアップすると無駄にPCのディスク容量を圧迫してしまいますので、後者のAndroid SDK Platform Toolsパッケージを個別にセットアップする方法がおすすめです。
SDK Platform-Tools リリースノートより利用中のOSに適したSDK Platform Toolsをダウンロードします。 今回の手順ではWindows OSを使用しますので、SDK Platform-Tools for Windowsをダウンロードします。 利用規約に同意する必要があるので、規約をしっかり読んで「□上記の利用規約を読んだうえで利用規約に同意します。」にチェックを付けた上でダウンロード実行しましょう。
次に、ダウンロードした platform-tools_r##.#.#-windows.zip ファイル( ##.#.# の部分はダウンロードしたバージョンに依存)を解凍すると、 platform-tools フォルダの中に adb.exe 等のファイルが入っていることが確認できるかと思います。 この platform-tools フォルダ毎、任意の場所に移動します。例えば、 C:\Program Files フォルダ以下に移動しましょう。 C:\Program Files\platform-tools のようにフォルダが移動していれば成功です。
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その後、システム環境変数の Path に C:\Program Files\platform-tools を追加します。 これで準備完了です!
PCからADBコマンドを使ってRG35XXを操作してみよう
それではRG35XXとPCをUSBケーブルで接続して、ADBコマンドを実際に使ってみましょう! RG35XXは電源ON状態でUSB接続しても、OFF状態でUSB接続した後に電源ONしてもどちらでも大丈夫なようです。
USB接続できたら、コマンドプロンプトで下記を実行してみましょう。
REM ADBコマンドがちゃんとセットアップできているか確認します。 $ adb version Android Debug Bridge version #.#.## Version ##.#.#-####### Installed as C:\Program Files\platform-tools\adb.exe
上記のように Installed as ... 等と表示されていればセットアップ成功です。 もし上手く表示されないようであれば、システム環境変数の Path に正しく追加できているかどうか確認してみてください。 若しくは、 "C:\Program Files\platform-tools\adb.exe" version とフルパス指定で実行しても動作確認できますが、後述するADB Explorerは利用できないかと思います。
さて、引き続きコマンドプロンプトで下記を実行してみましょう。
REM 接続している端末を一覧表示します。 $ adb devices List of devices attached 0123456789ABCDEF device
(RG35XX以外に端末をUSB接続していない前提ですが、)上記のように出力された場合は 0123456789ABCDEF がシリアル番号で、 device がデバイスの接続状態(adbサーバに接続されている状態)です。 GarlicOSのADB機能が正しく有効化されていないと、そもそも何も一覧表示されません。その場合は enableADB ファイルに拡張子が残っていたり、大文字小文字や綴りを誤っていないか確認してください。
ちなみに、 0123456789ABCDEF というシリアル番号はGarlicOS上の /sys/class/android_usb/android0/iSerial ファイルに記述されている内容のようです。つまり、シリアル番号は皆様等しく 0123456789ABCDEF だと思われます。 ということは2台のRG35XXにGarlicOSをセットアップして同時にUSB接続するとシリアル番号が重複する…? 気になるのですが私の環境では検証しようが無いので、もし2台RG35XXをお持ちの方いらっしゃれば検証してみてください。
それでは、対話型シェルを起動してGarlicOSを操作してみましょう!
REM 対話型シェルを起動します。 $ adb -s 0123456789ABCDEF shell REM `root@xxxxxx:/ #` 等と表示されれば対話型シェル起動成功です! REM 試しに `ls` コマンドでディレクトリ内容を一覧表示してみます。 # ls bin boot cfw charger d data default.prop dev etc fstab.gs705a home init init.extra_modules.rc init.rc init.wifi.rc lib loadapp.sh misc mnt proc res root sbin sys system tmp ueventd.rc usbdbg.sh usbmond.sh usbtest.sh usr var REM 上記のような出力が確認できれば正しくGarlicOSを操作できています! REM 対話型シェルを終了する場合は `exit` コマンドを実行します。 # exit
GarlicOSのディレクトリ内容を一覧表示するだけの簡単な操作でしたが、念願だったRG35XXとPCをUSB接続して操作するという目的を達成しました! ここまで確認できれば、例えばコマンドプロンプトで下記を実行すると「TF2/EXTスロットに挿入しているSDカード上のSavesフォルダをPCにコピーする」というバックアップ処理の第一歩を踏み出せます。
REM PC上の空のフォルダである `C:\Temp` にセーブデータをコピーしてみます。 $ cd C:\Temp REM 空のフォルダなので、 `dir /B` コマンドを実行しても空白行が出力されるだけです。 $ dir /B REM それでは、TF2/EXTスロットに挿入しているSDカード上のSavesフォルダをコピーしてみます。 $ adb pull /mnt/SDCARD/Saves . /mnt/SDCARD/Saves/: # files pulled, 0 skipped. #.# MB/s (###### bytes in #.###s) REM Savesフォルダがコピーされて、 `dir /B` コマンドの実行結果が変わりました! $ dir /B Saves
もし「TF1/INTスロットに挿入しているSDカード上のSavesフォルダ」をコピーする場合は adb pull /mnt/mmc/Saves . となります。 /mnt/mmc 以下がTF1/INTスロットに挿入しているSDカードの Roms フォルダ等が存在した場所、 mnt/SDCARD 以下がTF2/EXTスロットに挿入しているSDカードの Roms フォルダ等が存在した場所と対応しています。
GUIで簡単にデータ転送できる「ADB Explorer」
ということで、ADBコマンドを使用してRG35XXを操作することができるようになりました。が、普段からCUI操作に慣れていないと取っ付きにくい…ということで、GUIで簡単にデータ転送できる「ADB Explorer」を紹介します。このアプリはWindows OS専用ですので、その点ご了承ください。 ADB ExplorerはMicrosoft Storeからインストールすることが可能です。ソースコードも公開されていて、おそらく怪しくないアプリですが、ご心配な方は使用をお控えください。
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ADB Explorerを起動すると、画面左端の「Devices」に「ToyCloud」という名称の端末が見つかると思います。これがRG35XXです。 「ToyCloud」をマウスでクリックし、表示される[Browse]ボタンを押下すると…
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このようにGarlicOS上のディレクトリが参照できます。[Root]と表示されている箇所をマウスでダブルクリックすると、
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エクスプローラのようなUIでファイルにアクセスすることができます!
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例えば先ほどADBコマンドでTF2/EXTスロットに挿入しているSDカード上のSavesフォルダをコピーしましたが、ADB Explorerを使用して /mnt/SDCARD フォルダまで移動し、 Saves フォルダ上でマウスを右クリックして表示されるメニューより[Pull]を選択することでPC上の任意の場所にコピーすることができます。
ここまでは pull という操作でRG35XXからファイルをコピーする例のみ紹介していますが、RG35XXにファイルをコピーする push という操作も実行することが可能なので、例えば『テーマ画像をPC上で作成してコマンド操作 又は GUI操作でRG35XXに画像をコピー』みたいなことが気軽に実施できます!
ADB機能をON/OFFするスクリプトを書いてみよう
ADB機能は便利なのですが、あくまでも「デバッグ用途」であるという点と、ADB機能を有効にすると「USBゲームパットは使用できない」という点には注意が必要です。 特に後者のUSBゲームパットが使用できないという点については、多用される方にとっては致命的かと思います。
ということで、RG35XX本体のみでGarlicOSのADB機能をON/OFFするシェルスクリプトを作成してみましょう!
実はGarlicOSは ./Roms/APPS フォルダ以下にシェルスクリプトを配置すると、ゲーム一覧から任意のタイミングでスクリプトを実行することができるんです。 これは、 ./CFW/config/coremapping.json ファイルの中で "APPS": "/bin/sh" とデフォルトで紐付け設定されているので実現可能となっています。 例えば coremapping.json に "SCRIPTS": "/bin/sh" と紐付けを追加すれば、 ./Roms/SCRIPTS フォルダ以下にシェルスクリプトを配置することも可能かと思います。
今回作成するのはどのようなシェルスクリプトかというと、ADB機能を有効化する ./Roms/APPS/enable_adb.sh と、ADB機能を無効化する ./Roms/APPS/disable_adb.sh という2つのファイルを作成します。 この2つのファイルはPC上で作成して、先ほどのADBコマンドやADB Explorerで ./Roms/APPS フォルダ以下にコピーすると楽々です。 スクリプトファイルは文字コードをUTF-8、改行コードはLFとしてください。
まず、 ./Roms/APPS/enable_adb.sh の内容は以下の通りです。
#!/bin/sh mount -o rw,remount /misc touch /misc/enableADB mount -o ro,remount /misc sync
本記事冒頭では手動で enableADB ファイルを作成しましたが、スクリプトでは touch /misc/enableADB で空の enableADB ファイルを touch コマンドで作成しています。 ポイントは mount -o rw,remount /misc です。 /misc フォルダ以下はデフォルトで読み込み専用となっており、明示的に読み書きできるよう再マウントしなければなりません。 enableADB ファイルの作成後は、念の為 mount -o ro,remount /misc として改めて読み込み専用として再マウントします。 最後に、 sync コマンドにてキャッシュ上に存在する未処理データをSDカードに書き込み確定させます。
そして、 ./Roms/APPS/disable_adb.sh の内容は以下の通りです。
#!/bin/sh mount -o rw,remount /misc rm /misc/enableADB mount -o ro,remount /misc sync
変わった点は rm /misc/enableADB で、 enableADB ファイルを rm コマンドで削除しています。
これらのスクリプトファイルを ./Roms/APPS フォルダ以下にコピーしたら、ゲーム一覧から「enable_adb」又は「disable_adb」を実行し、画面暗転して元に戻った時点で本体右横のResetボタンを押下してGarlicOSを再起動してください。 GarlicOSの起動と同時にADB機能がON/OFFされるはずです。
色々と夢が広がるADB機能
以上でざっくりADB機能の解説でした。 海外の方のGitHubリポジトリを参照すると、ADB機能を使用してGarlicOSのアップデートを自動化する例もあるようです。 PCとUSB接続してバッチ処理を実行するだけでセーブデータバックアップ!みたいなことももちろん実現可能なので、興味がある方はadbのドキュメントに目を通してみてください!
それでは!
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yaasita · 4 years
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(第639回 Ubuntuに「トラブル時に」ログインするいろいろな方法:Ubuntu Weekly Recipe|gihyo.jp … 技術評論社から)
障害が発生したリモートのマシンにログインする ここまでの手順はマシンに物理的にアクセスできることが前提でした。たとえばシングルユーザーモードやInitramfsは,マシンにディスプレイやキーボードが繋がっていないと使えませんし,ライブインストーラーを使用したり仮想マシンイメージを構築する方法は,USBデバイスを接続したりストレージデバイスを取り外す必要があります。
サーバーのようにリモートにあるマシンにトラブルが発生し,どうしても正規の方法以外でログインしたい場合はどうするのが良いでしょうか。この手のものは重要度が高いと冗長化されており,たとえ何かが故障したとしても待機系に自動的に切り替わってそのまま接続できたりします(※8⁠)⁠。
※8 ただしその待機系ですら,たとえマニュアル通りに設定してあったとしても,トラブル時に自動的に切り替わってくれるとは限りません。いやほんと。設定を行ったあとはきちんとテストしましょう。 待機系を用意する余力も,「⁠どこでもドア」を用意できる運も備えていない場合は,「⁠何らかの方法でリモートからGRUBやInitramfsの画面に到達する」しかありません(※9⁠)⁠。
※9 別にこれだけでなく,他にも回避策は考えられるのですが,今回の記事も長くなってしまったのでまた次回以降に。 機材を問わず実現できる可能性が高いのは,「⁠シリアルコンソールを別のマシンにつないでおく」方法です。前回の記事の最後の「シリアルコンソールからログインする」では,UbuntuのGRUBとログインプロンプトをシリアルコンソールに出力する方法を紹介しました。この方法を使えば常にシリアルコンソールから操作できるようになっているので,あとはそれを別のマシンから操作できるようにしておくのです。
最近だとシリアルポートのないマシンは多いですが,USBシリアル変換ケーブルを使えば比較的簡単に増設できます。たとえばRaspberry Piか何かを起動しておいて,マシンがうまく起動できなくなったらRaspberry Pi経由でシリアルコンソールを見る,といった使い方が考えられるでしょう。Wake on LANも合わせて設定しておけば,「⁠不意に電源が切れた時の暫定リカバリー策」ぐらいにはなるはずです(※10⁠)⁠。
※10 Wake on LANに関しては第135回のPowerWakeとgWakeOnLanでWake-on-LANも参考になるはずです。 リモートのマシンがサーバースペックであれば,BMC(Baseboard Management Controller)が載っていることも多いでしょう。これはCPUとは独立して動くコントローラーで,サーバーが通電していれば(≒電源ケーブルが繋がっていれば⁠)⁠,CPU的には電源断状態であってもサーバーをネットワーク経由でコントロールできる仕組みです。
BMCがあればシリアルコンソール経由の操作,BIOSメニューの操作,サーバーの電源管理,温度などセンサーの確認などもCPUの状態とは独立してネットワーク経由で操作できます。
BMCはIPMI(Intelligent Platform Management Interface)の仕様に基づいてコントロールできることが一般的です。よってBMCとIPMIはあまり区別なく言及されますし,DellならiDRAC,HPならiLOみたいなブランド名で説明されることもあります。
BMC/IPMI経由でマシンをコントロールするための口は大抵の場合は,いわゆる「LANケーブル」がつながるようになっていることでしょう。接続口そのものは,BMC/IPMI専用だったり,通常のネットワークインターフェースと共用だったりとサーバーマシンや購入オプションによってまちまちです。後者の場合,BMC用のIPアドレスとCPUから見えるネットワークのIPアドレスは異なるアドレスを独立して設定できます。ただしBMC/IPMI専用の口と比べて,ネットワークケーブルやその先にトラブルが発生した場合に対応できないという問題はあります。
Ubuntuの場合,IPMIの操作にはipmitoolコマンドを利用できます(※11⁠)⁠。
※11 他にもipmiutilとかfreeipmiとかOpenIPMIとかさまざまな実装が存在します。 $ sudo apt install ipmitool テストには電源状態の確認コマンドを使うと良いでしょう。
$ ipmitool -I lanplus -H <BMC/IPMIのIPアドレス> -U <ユーザー名> power status 「-I lanplus」はどのようにBMC/IPMIにアクセスするかを指定します。ネットワーク経由ならlanplus(IPMI v2.0)かlan(IPMI v1.5)になるでしょう。指定しない場合,「⁠-H」が使われていたらlanが,そうでなければopenが指定されたものとします。openの場合,/dev/ipmi0経由でローカルマシンのBMCにアクセスするため,管理者権限が必要です。
ネットワーク経由だとアクセス時にBMC/IPMIのパスワードが問われます。「⁠-P <パスワード>」で指定も可能ですがコマンド履歴に残るためあまりおすすめはしません。
これで電源のオン/オフがわかりますし,statusの代わりにonやoff,resetなどを指定することで電源を操作することも可能です。
IPMIで運用上おそらく一番よく使うのがシリアルコンソールへのログインです(SOL:Serial Over LAN⁠)⁠。
$ ipmitool -I lanplus -H <BMC/IPMIのIPアドレス> -U <ユーザー名> sol activate solがSerial Over LAN関連の設定であることを意味し,activateによって実際にSerial Over LANを有効化します。Ubuntu側が正しく起動していて,なおかつシリアルコンソールが有効化されていたらログインプロンプトが表示されるはずです。表示されなかったら,何回かエンターキーを押してみてください。それでも表示されないなら何らかの設定に問題があります。
シリアルコンソールから抜けるのは「~.」(⁠チルダドット)を入力します。ただしSSH経由でipmitoolを実行していると,SSH側をログアウトしてしまいます。SSHの先のIPMIのシリアルコンソールを抜けたい場合は,SSHの段数の数だけチルダを入力しましょう。たとえばSSHでリモートマシンにログインし,その上でipmitoolでさらに先のリモートサーバーにコンソールログインしているとき,コンソールを抜けるには「~~.」(⁠チルダチルダドット)と入力することになります。
サーバー側のBIOS設定で「シリアルコンソールリダイレクト」を有効化しておけば,本来VGAに表示されるデータがアスキー文字に変換されてシリアルコンソールにも出力されます。つまりBMC/IPMIのSOLとシリアルコンソールリダイレクトを組み合わせれば,リモートからBIOSメニューを操作することも可能です。
ちなみにBMC/IPMIのIPアドレスやパスワードは,BIOSメニューや起動時に選択できるサーバー固有の管理インターフェース,サーバーマシンによってはウェブブラウザー経由で設定可能です。通常は物理的にアクセス可能な,サーバーの設置時に設定することになります。しかしながらローカルマシンからのipmitoolコマンドによってコマンド経由でも設定できるのが一般的です。つまりサーバーマシンそのものにipmitoolコマンドをインストールしておけば,Ansibleなどの構成管理システムからサーバーごとのBMC/IPMI設定も管理できるのです。
他にもいろいろなことができるので,一度はipmitoolのmanページを読んでおくと良いでしょう。
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nemosynth · 5 years
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<海外シンセ興亡記 I : Oberheim Xpander review>
●メーカー名
Oberheim
●機種名
XP-1 "Xpander" 1984 年発売。定価 69 万8千円
「オーバーハイム・エクスパンダー」という名称が有名だが、実は XP-1 という型番がある。
MIDI 生誕1年後に発売された MIDI 音源モジュール。そんな早い時代に鍵盤を無くすとは、いさぎよい! しかもデスクトップ型なので、操作しやすい。
●音源方式
アナログ減算方式 + マトリクス・モジュレーション
・VCO 2基 ・VCF 1基ステートバリアブル仕様 ・VCA 2基 ・EG  5基 ・LFO 5基 ・FM プロセッサー1基 ・ラグプロセッサー1基 ・ランププロセッサー4基 ・トラッキングジェネレーター3基
恐らく史上初の、複雑モジュレーションを可能にした単体(非モジュラー)シンセ。そのモジュレーションの仕組みは、音創り用パラメーターの数々を、変調源たるソースと変調先たるデスティネーションとに振り分け、それらの間を、あたかもモジュラーシンセであるかのようにパッチングすることで成立。たとえば、EG をソースに、VCA をデスティネーションにすれば、VCA が EG によって開閉する。そんなんあたりまえやん、と思うなかれ、そこはデフォでは切り離されていて、いちいちユーザーがつながないといけない。つまりモジュラーシンセと同じ。
むろん、ものほんのモジュラーとは違い、Xpander では、パッチコードでつなぐのでは無く、ソフトウェア処理。操作も、表示画面上にあるデスティネーションヘ、ソースをアサインし、デプスを設定してゆく。音声経路こそ、従来のヴィンテアナログシンセと同じく、オシレーター、フィルター���アンプという順番に固定されているが、変調経路は縦横無尽に、ユーザーが決定できる。
この、膨大な可能性を提示する複雑なモジュレーション・システムを、Oberheim 社は 「マトリックス・モジュレーション」 と呼び、これは同社の商標であるとともに、のちにはメーカーを越えて同様の機能が広がって採用され、これらに対し 「モジュレーション・マトリクス」 というふうに単語をひっくり返した表現が、広く一般に使われるようにまでなった。
●同時発音数 
6音。
1パート6音ポリとして使う他、6パートマルチ音源にもなり、そのとき各パートはモノシンセになる。MIDI 制定の翌年、早くもマルチティンバーを実現していたのも、先見の明。
●内蔵エフェクトの性能と傾向
無し。
でも VCO は元来ピッチが不安定だから、和声時に自然にコーラスかかるね。
●内蔵波形、プリセットの傾向
三角波、鋸歯状波、PWM 波。VCO2にはホワイトノイズもある。なお各波形は独立して On / Off できるので、組合せて出力する事もできる。
プリセット音色からは、ややおとなしく音圧に欠けるような誤解を受けてしまうが、本来はフィルターでこもらせても抜けてくる厚い粘りのある音。 音を自作してみれば分かる。バンド・アンサンブルの中でもしっかり抜けて聞こえ、下から支えてくれる良い音。FM 変調なども過激。時としてマトリクス・モジュレーションならではの、変態な効果音がプリセットされているところは流石。
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●エディットの自由度と可能性
なんと言っても目玉は、史上初のマトリクス・モジュレーション。
音色ごとにメモリー可能で、ソース 27 個、デスティネーション 47 個、最大モジュレーション系統数は 20 系統。今でこそ当然だが、単一のソースを複数のデスティネーションへパラったり、複数のソースから単一のデスティネーションへマージしたりなんていうのが簡単にできるのもソフト処理ならでは。
このおかげで、ヴァーチャルモジュラーシンセの先駆者的存在と、よく言われる。しかも何がすごいって、モジュレーション部分はソフトウェア処理であるにしても、演算結果の全てが最終的にはフルアナログの VCO、VCF、VCA へ反映されるのが凄い。今でこそモジュレーションマトリクスを持ったシンセは多くのメーカーから出ているが、この当時はそんなものは他に例が無く、なおかつすべてが純アナログ音声経路に反映されるところが、'80 年代ならではの過渡期なハイブリッドぶりを思わせるとともに、今となってはトレンドになった、時代に先駆けた、あたらしいポイント。 以下、これについて、要所要所にて解説する。
オシレーターから音声経路順に、各ブロックを解説すると、まず VCO の直後にて「FM VCA」と銘打たれた FM 変調プロセッサーがあり、VCO2で、VCO1ないし、VCF カットオフをリニア FM 変調できる。自己発振させたフィルターにかけると、線形 FM とはいえ、アナログならではの下品な FM 音色になる。これは後の時代に、なんと AKAI をふくむ種々の Oberheim 系の機種に受け継がれた。
なお「FM VCA」の名は、FM 変調のデプスを専用 VCA にて制御することに由来し、その仕組み自体は普通だが、名前の付け方がきちょうめんと言えるかも。
「Multimode VCF」と名づけられたフィルターは、多彩なステートバリアブルフィルターであり、それまでの常識をやぶる計 15 タイプもある。フルアナログにして、こんだけ多彩な VCF というのも凄い。フェイザーっぽく位相を変える一種のオールパス・フィルターになるモードまであり、'80年代らしくないどころか、今でも遜色なく多彩。 またノッチフィルターでレゾらせばとんでもないドンシャリも出るところが、他機種のノッチフィルターとは違う。他のシンセにおけるノッチフィルターでは、単にノッチの幅が可変するだけなのだが、Xpander のそれはノッチとして凹むヘリとなる「両岸」が強調され、結果、上に凸のレゾナンスピークを2つつくるため、ど迫力のドンシャリになる。と思うのだが、ソフトによるエミュレーションを見てると、どうも挙動がちがう。なんで?
VCA が2基もあるのも、他に例をみない。2基あるおかげで、マトリクス・モジュレーションの中で真価を発揮する。なんせ VCA へエンベロープなどをいちいち手作業で接続し、それで VCA を駆動しない限り、VCA が開かないのでなんの音すら出てこないという徹底ぶりは、お手軽シンセに溺れた自分に喝を入れてくれる。まさにモジュラーと同じ。
ラグ・プロセッサーは、入力された制御信号を遅延させる、要はポルタメントなどに使えるモジュール。
EG は5基もあり、ADSR 型だが、打鍵によるゲート信号だけでなく、LFO などで周期的に EG へトリガーをかけることもできるため、繰り返し EG をループさせることが可能。マトリクス・モジュレーションによって、最大半時間におよぶ長大なるエンベロープを実現可能。それを途中で止めるには、チューニングボタンを押せば良いという裏ワザがあった。
LFO も5基あり、たとえばそれらをヤマハ FM 音源で言うところのオペレーターに見立て、LFO でアルゴリズムを組み、LFO 同士で周波数変調や振幅変調をかけることにより、ありえないくらい複雑な LFO 波形を得ることができる。ややゆっくりしたレート同士で乗算すると、なお面白い。
LFO 波形には、上昇鋸歯状波、下降鋸歯状波、三角波、矩形波、S/H 波、ノイズ、そしてさらに他のモジュレーションソースからの信号をクォンタイズするモードまであった。独自のラグ・プロセッサーを装備しているので、ディレイヴィブラートなども簡単。
3基のトラッキング・プロセッサーでは、5つのポイントにて値を設定することで、たとえば複雑なキースケーリングに使えたりした。
4基のランプ・プロセッサーもあり、これはアタックタイムだけの EG と思えば良い。
これらのおかげで、モジュラーばりに自由度の高いモジュレーションの組合わせが可能。
ただし、全般的な音のキャラとしてはブラスや厚いパッド向き。これは、EG が初期のソフトウェア処理であるためにアタックが遅くなまってしまうためで、食いつきが良くなく、シンベなどには、あんまり向いてはいない。
プリセット音色には、ありきたりなエンベロープで VCA を駆動するなんてフツーのシンセみたいな事をせず、VCO、VCF、VCA の全てを前述の複雑怪奇な変調をかけた LFO 群のみで、くすぐっているものあったりする。すると、最初にポロロンと適当に弾いただけで、あとは延々と音が小粒に細切れになりながら無限に鳴り続ける。まるで無数のゴム球スーパー・ボールが無限階段をはねまわり、各々勝手きままにバウンスしながら、そこいらじゅうに散らかっていくかのようで、文字どおり、おもちゃ箱をひっくりかえすように楽しい。言わば、シンセ版ししおどし。
怪奇 LFO 群を低速にしホワイトノイズを通した VCF を変調すれば、宇宙からエンゼル・ヘアーが降って来たような騒ぎになる。エンゼル・ヘアー? '70年代 UFO 現象ネタ、といっても「本物」は音がしないらしいが。
この、のちの時代で言う「モジュレーション・マトリクス」のために、Xpander には当時の IBM パソコンの倍の処理能力を持たせたという。が、それでも最大 20 系統までしか使えないのでご理解ください、というような謙虚な表現が、取扱説明書に書いてあったりする。おおらかな時代。
操作系は、いわゆるツマミストなアナログとは違い、メニュー・ダイヴせねばならないが、階層が表裏の2つしかないのと、デスクトップ型の形状、三つもある蛍光管表示、そして6基の無限エンコーダーノブに助けられて、まだ楽な方。その蛍光管ディスプレイ(FLD, VFD)にしても、16 セグメントもあり、英数字しか表示しないとはいえ、いわばハイレゾ表示。しかも LCD のような視野角が無いために、どこからでも視認できるのが長所。
フロントパネル右半分には、モジュラーぶりを示すブロックダイアグラムも描いてあるばかりか、その図解のなかに各ブロックに直結したエディットページへ一発で遷移するボタンまで配置されているので、分かりやすい。
●拡張性
直接に拡張できる機構は無いが、MIDI 受信可能メッセージ種数は多い。CV / Gate も受信できて、しかも MIDI へ変換送信できるため、CV / Gate to MIDI インターフェイスになる。
CV / Gate 入力は、6ペアもあり、6音ポリに対応する。Oct / V 対応であり、リアパネルに、ずらっと計 12 個もの入力端子がならぶさまは壮観。
マルチ音源にもなるので、6パートを個別に CV / Gate で制御することもできるばかりか、2パートは MIDI で、4パートは CV / Gate で制御するという芸当もできる。これにより、MIDI  とアナログ制御信号とのネットワークの中で、かなめとなる音源モジュールとして活躍できる。
MIDI によるバルクダンプのみならず、カセットテープ・インターフェイスも装備し、それで音色データをセーヴ / ロード可能。
●あなたにとっての長所
マトリクス・モジュレーション、しかもアナログ回路で音を加工できて、なおかつ MIDI で演奏可能。
VCO シンセでベロシティで表情がつくというのは、実は結構レア。ヴィンテで言えば、クローマやポラリス、ローランド MKS-80、AKAI VX600、AX73 とか VX90 くらいか。でも裏を返せば、他にあまりなくてレアなのである。
この機種における、フィルターでこもらせても抜けて聞こえる音の太さや、アナログならではのホワイトノイズのきめ細かさなどなど、胸がすくような素性の良さは、やはり他に代えるものがない。 で、そこへきて音色ごとに切り替え可能なマトリクス・モジュレーションによる、複雑��つ繊細な表現が、最後には VCO、VCF、VCA に反映されるという、まさに逸品同士の組合せも感動的。
音やキャラが違うとはいえプロフェット5より安定してるし、ヴィンテージにしては比較的軽量コンパクトだから、リハスタに Xpander と MIDI ケーブルだけ持っていくというのも、おもいっきりツウでかっこいい。
音源モジュールではあるが据置型なので、エディットしても手が疲れない。演奏中に、各オシレーターのローテーション・トリガーの実態が、ディスプレイに表示されるのも面白い。しかもボイスごとにパンニングを決定できるので、アルペジオを弾くと音像がアニメのように左右に動くのもおもしろい。 
また、ROM バージョンにもよるらしいが、サービスモードに入ってディスプレイチェック機能を駆動すると、1セグメントずつ単独に発光し���チェックさせてくれるあたり、踊る蛍光表示がクリスマスツリーなんかより、ずっとずっとずーっと楽しい。
意外にリアパネルがクール。これは観客に見せたい。ロゴもかっこ良ければ、ずらりと並ぶ端子群も壮観。そのリアパネルに並ぶ怒濤の端子群に証明された CV-MIDI 変換機能も良い。なんせかつて私の機材の四分の三は、MIDI に対応して無かったので!
ある日、オシレーターが1基だけ「ぱぁ」になって、5音ポリになった。でも暫くすると自然治癒して6声に戻った! たましい入っとんのちゃうか!? これわ長所か!?
●あなたにとっての短所
どこをどうモジュレートしているのか常に把握するのは、慣れないと難しい。慣れるのも難しい。探そうにもデスティネーションからソースをいちいちたぐるしかないので、ソースをいじろうにも、どこまで影響範囲が及ぶのかが、なかなか分からない。のちの Matrix-12 では、逆引き機能があったという。ここはコルグ Z1 などに軍配が上がる。
理屈っぽく考え込まないと音づくりできない、というのも、なかなか構えさせる。
ほんとうのモジュラーというわけでは無いので、例えば 10 基の VCO からの音を1基の VCF に突っ込むことで音色を太く歪ませるような、おきて破りなモジュラーの醍醐味が味わえるわけでは無い。あくまでモジュレーションの経路が、想像を絶する自由度を有し、しかも音色ごとにメモリー可能で CV / MIDI 対応なのがメリット。それもアナログの分際で、MIDI 対応と。
MIDI でピッチベンドかけると、操作子を動かしつづけない限り値がゼロに戻る! ベンドアップしてホールドするような奏法をすると、ホールドに入るや否や、突如としてピッチが元に戻る。これは MIDI 黎明期ならではの、規格解釈の混乱か?
CPU が初期のトロいしろものなので、MIDI によるリアルタイムぐりぐりさせると、もたるらしい。マトリクス・モジュレーションにまかせるのが吉。
EG アタックも、初期のソフト演算によるものなので、とろい、アタックもなまるのでシンベではなくブラス向き。
フィルターを閉じても抜ける良い音してるのに、プリセットからは、そうは感じられにくい。
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●その他特記事項
Xpander は、VCO、VCF、VCA からなり、音声経路で言えばフルアナログシンセなので、とかくアナログ原理主義者からも崇拝される伝説的な名機として、語り継がれている。
だがその威力は、アナログにとどまらず、先進的かつ野心的なデジタル技術の恩恵によるところが大。
そのデジタルとは、MIDI であり、史上初のマトリクス・モジュレーションであり、FLD を用いた操作性である。
まず、MIDI。
Xpander よりさらに前にも、Oberheim は、OB-Xa をデスクトップ型音源モジュールに改造し、OB-Expander という機種名で発表した事があったが、実際には販売されなかったらしい。どっかで写真だけ見たことがある。この幻の機種には、MIDI 前夜に Oberheim が企画していた独自のデジタル通信インターフェイスが搭載されており、MIDI 以前にして、MIDI のように情報を送受できるシステム提案の一環として発表されていた。その実用化は、さらに前の OB-X 後期型、シリアル番号 803600 以降にはじまり、独自のパラレル通信プロトコルであった。
そもそも Oberheim 社を創設したトムおじさんは、'72 年に、史上2番目のデジタルシーケンサー DS-2 を発売。それでミニモーグや Odyssey を CV/Gate 駆動しているうちに、シーケンサー駆動時には手弾きできないというので、音源モジュールの名機 SEM こと Synthesizer Expander Module を開発したのが、同社シンセの発端だったのだから、音源モジュールや電子楽器データ・ネットワークについては老舗も老舗。独自の通信プロトコルを開発するに到ったのも、MIDI 音源モジュール Xpander を、さしずめ MIDI 時代の SEM のように開発したのも、当然のことであろう。
ネットワークの中で動作するシンセ、その在り方を、始祖 DS-2 から、SEM から、パラレルバスから、OB-Expander から、ついに Xpander にいたるまで模索。モーグに象徴される、内在するモジュラーではない。外部にモジュラーをもとめる電子楽器。
しかしその通信ケーブルたるや、パラレル転送による高速通信を重視するあまり、当初あたりに電波をばりばりにまき散らすフラットケーブルだったらしく、それはその後、MIDI の登場によりついえ去った。'83 年のナム・ウィンターにて、シーケンシャルの prophet-600 とローランド Jupiter-6 そして JX-3P とが MIDI 接続されるというセレモニーが行われ、MIDI は公式に誕生したのである。
MIDI 以前から、情報通信ネットワークの中で動作するシンセのあり方を模索し、DCB をつくったローランドと同じく、その道では老舗の Oberheim。老舗すぎて、自分たちの通信システムのほうが MIDI より高速であるため、ネットワークとしての優位性から MIDI 制定には参加せず、乗り遅れたのであった。自社フォーマットの優位性にこだわりすぎて MIDI に乗り遅れたメーカーは、他にも PPG などがある。
MIDI 制定にかかわったのは、海外ではデイヴおじさんの Sequential Circuits 社のみであり、それ以外はすべて日本企業、ヤマハ、コルグ、カワイ、ローランド、この合計5社だけであった。
ただ、MIDI 制定を遠巻きに眺めるだけだったトムおじさんは、やはりただものではなかった。MIDI 制定に乗り遅れたくせに、その翌年には Xpander という MIDI 音源モジュールを開発、成功している。しかもその機種がまた、ただものではない。たった1年で開発したとは思えない。
ここで MIDI を使うことで、音源モジュールという概念が、あらためて大きくはっきり打ち出された。
だがコンパクトにまとめるなら、別にただの箱でいい、OB-8から鍵盤を取り外すだけでいい。しかしそこを工夫し、その結果、他にはない抜きん出た個性を思いついてきたのが、Oberheim 社のえらいところ。
その、かなめが、次のデジタル技術、史上初のマトリクス・モジュレーション。
MIDI 誕生からたった1年後、それまでの OB シリーズから一転、史上初のマトリクス・モジュレーションを搭載したのが、この Xpander。MIDI が誕生してからわずか1年後に、いわば MIDI モジュラーシンセをつくってやろうという、先見性というか、もはや野心すらをも垣間見れる。
かつてモジュラーシンセであれば、ひとたびパッチングし終わったら、演奏中リアルタイムにケーブルをかえるのは至難のわざ。しかしマトリクス・モジュレーションであれば、音色ごとに一発で複雑怪奇なパッチングも呼び出せる。しかも、MIDI で遠隔操作で音色切替ができる。
ベロシティのようなリアルタイム MIDI 制御で表情がつくのも、大きな利点。既存の発想を超えて、MIDI でトリガーされたノートが、音源モジュール内部にてドミノ倒しの如く各部へ伝播し、あやつり人形のように多数の糸を引いて膨大なパラメーターをモジュレートするというコンセプトは、すさまじいの一言に尽きる。
マトリクス・モジュレーションの次は、それをコンパクトにまとめるための、デジタル技術を利用した操作性。
FL 管ディスプレイを三つも搭載し、さらにエンドレスにぐるぐる回る、ロータリーエンコーダーノブを6つも配することで、モジュラーシンセなら当前だったおびただしい数の物理操作子やスパゲティ工場爆発状態のパッチケーブルを、一切排することに成功。すっきりとコンパクトなデスクトップ型の音源モジュールに、まとめあげることができた。
なんせ:
・VCO 2基 ・VCF 1基ステートバリアブル仕様 ・VCA 2基 ・EG  5基 ・LFO 5基 ・FM プロセッサー1基 ・ラグプロセッサー1基 ・ランププロセッサー4基 ・トラッキングジェネレーター3基
計 24 基ものモジュールを内蔵。しかも6ボイス分が必要となれば、144 基のモジュールからなる巨大モジュラーシンセ。各モジュールがユーロラック 10 HP 幅だとすれば、1,440 HP すなわち、標準的な 84 HP ユーロラック型の収納ラックで 17 個分以上と、ありえないビッグサイズ。それをデスクトップ型とはいえ、小脇にかかえられるコンパクトかつ軽量な音源モジュールに収納したのだ。
この、MIDI、マトリクス・モジュレーション、そして新タイプの操作性。
これら三つのデジタル技術の恩恵により、それまで存在しえなかった新感覚のシンセモジュールが誕生。
つまり MIDI とは、単にマスターからスレーヴを鳴らす、というだけの単純なものではなく、演奏中ですらリアルタイムで音色を切り替えられる「プログラマブル・モジュラーシンセ」とでもいうべき、ありえない壮大な可能性と表現力とを秘めていたのだ。それを見事、具現化した Xpander。MIDI の可能性を見抜き、それを熟知していた Oberheim。さすが、MIDI に先駆け独自の通信インターフェイスを開発していただけのことはある。音色は変化してこそ音色、動きのある音、動いてナンボである。
時間軸上で動く音、それを実現するための、デジタルであり、それこそが、楽器におけるデータ通信の本質。するどく本質を見抜いたトムおじさんの眼力、そこに見えていたものとは?
MIDI ネットワークの中で泳ぎ回り、本体内部にも巨大なモジュレーションのネットワークが複雑怪奇に存在する。外在するモジュラー、内在するモジュラー。外部ネットワークの中で泳ぎ回り、内部ネットワークでもって変調し音創りする。入れ子になったネットワーク。フラクタルネットワーク網、フラクタルシンセ、などと言ってもいい。
まさに新感覚の音源モジュール。
そしてこれはデジタル、すなわちソフトウェアの勝利。他の米国製シンセたちと同様、単体機でありながらも搭載されているソフトウェアの勝利であった。MIDI への反応も、マトリクスモジュレーションも、どちらもハードシンセ内部にてソフトで処理されて行われる。まだまだ PC / Mac 上のソフトが生まれたての存在でしかなく、専用ハードウェアの存在が揺るぎなかった時代に、時代に先駆けてソフトウェアによる可能性をみせつけた、最初の成功例。
さらには、かつて TOTO が3台4台とスタックして愛用したという音の良さも、特筆すべきであろう。
MIDI とマトリクスモジュレーションという、2つのデジタル・ネットワーク、2つのデジタルモジュラー・アーキテクチャー。これがヴィンテ・アナログシンセ最後の栄華をいろどることになる。
それら新しいテクノロジーの勃興、すなわちモジュラー、ネットワーク、ソフトウェア、これらが生み出されるにいたった背景とは、なんだったのか。
それは、テクノロジーが世界を結びつける、テクノロジーによって世界はつながる、という、ここにも約束された技術社会的未来を無邪気に信じた、健全な未来観である。そのかなめは、つながる、であった。
’70 年代の終わり、映画「スターウォーズ」と「未知との遭遇」が封切られたとき、あの箱庭宇宙に登場するおびただしい数のけったいな異星人たちとの共存が、まだまだ夢見られていたこと。世界は多様性に富み、それをテクノロジーがつなげ、多彩な夢のような未来社会を率先して切り拓くのだ。あたかも現代ネット社会にて、片時も肌身離さずモバイルギアを握りしめてつながりたがる若い世代のように、人々もまた若く時代の最先端に飛びこみ、尖端にて風を切り、テクノロジーによって世界がつながるのだ!と無邪気に信じ込んでいた。
MIDI によって、電子楽器は、単に通信できるようになっただけでなく、音源モジュール、各種 MIDI コントローラー、単体シーケンサーなどへと因数分解していったように、これまでになく多彩な存在へと分化した。まさに生物多様性の如く、カンブリア爆発の如く、多種多様な進化をうながされ、電子楽器は多彩な黄金時代を迎えた。
そして、多様な地球社会を鏡に映し出したかのような当時の未来観が今、未来を信じられない人々に対し、たとえ信じられなくとも、理解できなくとも、それでもなお(denn noch!)、少なくとも共存はできるはずなのだと、メッセージを投げて託す。
世界はつながりたがっていた。
だからこそ、みんなでテクノロジーに裏打ちされた楽器でもって、テクノロジーに裏打ちされた音楽をかなでようと。
その帰結はさておき、そのこと自体は、今も昔も変わらないはず。
その後に発売された Matrix-12 は、Xpander を2台分搭載した史上最大規模のアナログ・ポリシンセだが、高価なわりに入出力系の端子は大幅に削除されてもいるあたり、ひょっとしたらモジュールである Xpander をスタジオ仕様、Matrix-12をステージ・モデルと位置付けたのかも知れない。 やがて6音ポリの鍵盤モデル Matrix-6が発売されるにあたり、 Oberheim は日本製の低価格路線を研究したようで、1ボイスあたり2基の DCOを採用し(それでも音は太かったような気がする)、マトリクス・モジュレーションも 20 ソース 32 デスティネーションに整理、LFO の数なども限定することで使いやすくスリム化した。それでも 29 万8千円。当時このマト6を DX7と併用するのが、カネ持ち息子ハコ入り娘のあかしであった(私ではない)。ほんとうのカネ持ちは Xpander と DX とを併用した(私ではない)。当時、大学の学園祭を Matrix-6たった一本だけでがんばるという、こだわりのキーボーディストな学生が時々いたものである。 続く Matrix-1000 では、Matrix-6の機能をそのままに1,000音色をプリセットして1Uに押し込め、事実上プリセット音源に徹することで、手軽に多彩な音を提供した。
Oberheim のアナログシンセ技術は、AKAI へも提供された。AX73 以降の AKAI の VCO シンセ AX73、VX90、VX600では、VCO 出力で VCF のカットオフを周波数変調するワザが使えるが、これぞ Oberheim からもたらされたもの。さらに VX600 には、16 ソースと 18 デスティネーションが駆動できるモジュレーションマトリクスが搭載された。その後しばらく、同社のウィンドシンセ用に VCO 音源モジュールが発売されるが、中には7ソース 10 デスティネーションの簡易モジュレーションマトリクスをさりげなく採用した機種 EWI3020m があったり、ニッチで面白かったものである。
いずれにせよ「モジュレーションマトリクス」という発想は、程度の差こそあれメーカーを越えて普及。エンソニック VFX や、Oberheim から転職したエンジニアを持つ Alesis、Waldorfの諸製品、コルグ Z1、ローランド XV シリーズなどへと、姿形を変えて受けつがれ、21 世紀に入って大々的に再発見されることになる。
さて、そのモジュレーションであるが。
わざわざマトリクス化しなくとも、例えばベロシティやアフタータッチで PWM をかける、つまり弱いタッチで太い矩形波 → 強いタッチで個性的なパルス波にするなどは、デジタルであってもすでにローランド D-50 で可能であった。ヴィンテアナログの Jupiter-8 / JUNO-6にいたっては、エンベロープによる PWM、つまり最初はパルス波 → ディケイするに従い音が太い矩形波になるという、フィルタースィープと似て非なる効果を演出することができた。
なぜかその後しばらく、忘れられがちな、ささやかな機能一つで、音の表情は生き生きとするもの。音はネタで勝負か? 確かに面白い波形を選ぶセンスは重要。ライブラリー全盛期の今ならなおさら。DJ が所有する膨大なアナログ盤の数々だってライブラリー。だが、DJ だってスクラッチもする。ややもすると平板になりがちな PCM 波形でも、ensoniq VFX のようにスタートポイントをベロシティでずらす事で、驚くほど動的に表情がつく。この動的な音色変化という醍醐味! しかし、ささやかながら気が効いたモジュレーションを隠し味に、表現力を持たせることの重要性は、めんどうくささもあってか、しばらく忘れられていたらしい。
私が知るなかで、はじめて Xpander を凌駕したであろう大規模なモジュレーションマトリクスを搭載してきたのは、KORG Z1 のモジュレーションリスト機能、あれは便利! そして、そのあとしばらく間をおいて、21 世紀に入ってからソフト・ハードを問わず多くのシンセに「モジュレーションマトリクス」の名で、装備されていくことになる。Arturia がアナログシンセ・ルネッサンスの波に乗って、ミニ鍵アナログシンセ MicroBrute を出したときに、小さなパッチパネルを用意し、それに「モジュレーションマトリクス」と銘打っていたのは、象徴的ですらある。
けっきょく Oberheim 社は倒産したが、Xpanderは、きたるべきソフトウェアの時代をじゅうぶんに予感させるものでありながら、ほんとうに凌駕されるまで十数年も待たなければならなかった。
そして Xpander の音は、今後も永遠に新しいであろう。
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774 · 5 years
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MPI for Python* (mpi4py) は、MPI にオブジェクト指向のアプローチを提供します。このインターフェイスは、標準 C++ MPI バインドの MPI 構文とセマンティクスを Python* に変換するように設計されています。 一般に、mpi4py は、Python* オブジェクトのシリアル化機能を使用して、任意のビルトインまたはユーザー定義の Python* オブジェクトと通信します。特に大きなバッファーを転送する場合、シリアル化によりメモリーやプロセッサーの利用に著しいオーバーヘッドが発生します。幸い、mpi4py は、一部の型 (文字列や数値配列など) で提供される標準 Python* メカニズムを備えたオブジェクトの直接通信をサポートしています。この機能は、C 側で、関連データを含む連続するメモリーバッファーへのアクセス (アドレスと長さ) を提供します。この機能を、複雑なメモリーレイアウトを記述するユーザー定義の MPI データ型を構築する機能とともに利用すると、オーバーヘッドを気にすることなく多次元数値配列を含む多くのアルゴリズムを Python* で直接実装して、コンパイルした Fortran、C、C++ コードとほぼ同じ速度で実行することができます。
インテル® MPI ライブラリーを利用した Python* の並列プログラミング | iSUS
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crydayz · 4 years
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200601
自分メモ:そろそろセルシスのGOLD会員が11ヶ月目でクリスタのずっと使えるシリアルが送られてくる。それと同時にGOLD会員を解約
--- 【9:00】
朝。ちょっとメンタルが優れなかったのでTumblrを少しやる(これを飽きるまでやると少し冷静になれる)。洗濯をし、昨日半分残しておいたサービス弁当をレンチンして食す。そして昨日のラクガキのつづきを描く。
オリジナルのメカは一日置くと足したい要素が増える。
--- 【20:30】
缶詰めロボの企画名を「#姫密兵弾(きみつへいだん)」に決定。英タイトルはKnight of Sealds
殉骨のドグル(#姫密兵弾 正史シナリオのタイトル)
密兵姫譚(みっぺいきたん)サブシナリオ
◆姫密兵(きみつへい)/ Seald Knight:
姫兵(きへい)とも呼ばれる。
オリジナル骨格から身体各部のパーツを伸長させ、出力補助装置、アブソーバーを搭載した全高3m前後の戦闘用ドグル。
胴体中央のカプセルチャンバーに弾姫(たまひめ)を込める事で「テンション」が上昇し稼働する。
「テンション」は  人間の骨に宿る自然エネルギーで、人が近くに居る事で活性化、人骨を組み込んだドグルを自律行動可能にする。
姫密兵はそのエフェクトを最大化する事を目的として作られた兵器である。
カプセルチャンバー内は呼吸可能な液体で満たされている。これはドグルが持つ「盾効果」が隣接する液体にも作用する為、弾姫を護る為の装甲としての効果を期待してのものである。
/// ◆弾姫(たまひめ)
弾姫巫女(たまひめみこ)の略称。姫兵のテンションを保つ為にカプセルチャンバー内に収められる。
/// ◆ドグル / Dogle:
「魔人の骨」を組み込んだ人形。自然エネルギー「テンション」を宿し、人間が近づくことでテンションが上がり動き出す。自律稼働する為には半径10m以内に人間が居る必要がある。魔人の骨は貴重な為メインフレームを除く部位はアルケー種(一般的な人類)の骨を混ぜて使用する。全パーツを魔人の骨で構成したドグルは「純骨(じゅんこつ)」と呼ばれ、教会によって「霊番」というIDと、それに紐付いた名前を与えられている。
T界では、基本的に遺骨は人間が近づく事で動く。特に魔人の遺骨は強力なテンションを宿し、ドグルのメインフレームとして活用される。遺骨の表面に人間の器官に相当するパーツを配置すればそれらも「それっぽく」動く。
よって、魔人の遺体は関節構造が崩れない限りドグルとして活動し続ける。ドグルを不活性化させるには頭部を胴体から30cm以上離す、もしくは首と胴の間に銀でできた物質を挟めばよい(ドグル化させたくない遺体には頚椎に銀のナイフを刺しておく)。
遺骨は例え部分的に折れていたとしても、全てのピースが揃った状態であれば「その部位のパーツ」として機能する。この特性を応用し、遺骨をいくつかのピースに分断したものを一定の間隔で外骨格内に配置し、オリジナル遺骨よりも長い「パーツ」を作成する事が可能。頭蓋骨以外は同カテゴリの遺骨をダブらせても稼働するので、例えば複数人の脊椎を用いて首の長いドグルを作成する事も可能。
ドグルに生前の記憶はなく、ドグル化した瞬間からドグルとしての記憶をそれぞれの「遺骨」が持ち始める。ドグルの人格は頭部の記憶が基準となるが、別ドグルの骨を組み合わせればその骨が持つ記憶もフィードバックされる。
ドグルは10代の少年少女が近づいた際に最もテンションが上がり、出力 / 知能ともに安定する。
一体のドグルに頭部を2つ接続する事はできない(腕と脚は複数接続できる)。
魔人男性の骨をベースに作られたものをドグル、魔人女性の骨をベースに作られたものをドグラと呼ぶが、連骨術師やマニアを除く一般人の認識としてはどちらも「ドグル」である。
「魔人の遺体(肉がついた遺骨)」をそのままドグルとして運用する事は教会によって固く禁じられている。 
/// ◆盾効果 / 剣効果:
ドグルにはドグル自身を構成する素材の強度を上げる特性があり、テンションが高ければ高いほどその効果が強く発揮される。盾効果は液体にも作用する為、装甲と衝撃緩和の目的を兼ねて姫兵のカプセルチャンバーは液体で満たされている。
武器にも当然盾効果は宿り、刺突 / 切断系武器は貫通力 / 切断力が上昇する。この場合はその効果の特性上「剣効果」と呼称される。
/// ◆T界(テンション界)
人間の骨に「テンション」という力が宿っている世界。なぜ人骨にだけその力が作用するのかは不明。
「テンション」は当人の感情の昂り、周囲に子供、もしくは護るべき対象がいる場合に活性化し、本来の身体能力を越えた運動を可能とする。
テンションは死体になったあとも失われず骨に宿り続けるが、死体がドグルとして稼働する為にはアゴの骨を除く頭蓋骨が90%以上残っている事、脊椎が全て残っている事が必須条件である。
魔人の骨には強力なテンションが発生し、遺体となっても鉄製の外骨格を動かすほどの力を持つ。その為、ドグルのメインフレームに用いられる。魔人が本人の筋肉量を遥かに越えた力を発揮できるのは骨に宿る「テンション」のお陰。
テンションが高ぶった魔人の手刀は分厚い鉄板さえも貫き、テンションコントロールを極めた魔人は身体から鮮やかな色の「アウラ」を放つ。一般人類がその域に達する事はまずない。
魔人の多くは貴族 / 王室関係者であり、死後その遺骨は教会地下のカタコンベにて厳重に管理される。
/// ◆連骨術 / 連骨師
ドグルを生成する為の技術の総称。連骨術を扱う者を連骨師、または連骨術師と呼ぶ。8割の連骨師は国(教会)に属しているが、中にはモグリの連骨師も存在し、興行師や犯罪者の為のドグル修理 / 開発を担っている。
連骨師のアトリエはその性質上カタコンベ内に併設される。
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namansharma0950 · 2 months
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ビタミン B12 市場概要: 現在の価格、トレンド分析、将来の予測
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ビタミン B12 の価格を追跡することは、製薬、栄養補助食品、食品および飲料業界の企業にとって不可欠です。ビタミン B12 はコバラミンとも呼ばれ、赤血球の形成、神経機能、DNA 合成に必要な重要な栄養素です。ビタミン B12 は全体的な健康の維持と欠乏の予防に重要なため、ビタミン B12 の価格変動は、この必須栄養素に依存する企業の生産コストと価格戦略に大きな影響を与える可能性があります。
ビタミン B12 の価格にはいくつかの要因が影響します。商業的に使用されるビタミン B12 の主な供給源は、特定の菌株を含む発酵プロセスです。細菌の成長に必要な栄養素を含む原材料のコストは、生産コストに直接影響します。バイオテクノロジー、発酵技術、製造効率の進歩も、コストと市場価格に影響を与える可能性があります。さらに、品質基準、安全規制、承認プロセスなどの規制要因も、価格を決定する上で重要な役割を果たします。
さまざまな業界でのビタミン B12 の需要も、価格に影響を与える重要な要素です。医薬品および栄養補助食品業界では、ビタミン B12 は健康上の利点と、貧血の予防や健康な神経系の維持に不可欠な役割のため、広く使用されています。食品および飲料業界では、ビタミン B12 はシリアル、植物性ミルク、栄養酵母などの製品に添加され、欠乏症を避けたい消費者、特にベジタリアンやビーガンのニーズを満たしています。インフレ率や為替レートなどの経済状況は、ビタミン B12 の価格に大きく影響します。景気後退により、栄養補助食品や強化食品への消費者支出が減少し、価格が下がる可能性がありますが、経済成長により価格が上昇する可能性があります。
2024 年半ば現在、ビタミン B12 の価格は中程度の変動を経験しています。全体的な健康を維持し、欠乏症を防ぐ上で重要な役割を果たすため、健康とウェルネス部門からの需要は依然として堅調です。ただし、持続可能性への懸念と環境要因が市場動向にますます影響を与えています。持続可能な生産方法への移行と環境に優しい代替品の開発は、将来の価格動向に影響を与える可能性があります。生産効率とサプライチェーン管理の革新も、供給動向に影響を与え、価格に影響を与える可能性があります。
ビタミンB12の価格をリアルタイムで追跡: https://www.analystjapan.com/Pricing-data/vitamin-b12-1292
企業にとって、ビタミン B12 の価格動向を理解することは、情報に基づいた決定を下すために不可欠です。安定したサプライヤー関係を確立し、市場予測を監視することで、価格変動のリスクを軽減できます。サプライヤーとの長期契約は、価格を安定させ、一貫した供給と予算を確保するのに役立ちます。サプライヤーを多様化し、代替調達オプションを模索することで、サプライチェーンのリスクを管理し、コストを最適化することもできます。さらに、規制の変更と技術の進歩を常に把握しておくことで、競争上の優位性を獲得し、持続可能なビジネス慣行をサポートできます。
市場動向を監視し、戦略的対策を実施することで、企業はビタミン B12 の価格設定の複雑さを効果的に乗り越えることができます。このアプローチは、競争力のある価格でビタミン B12 を供給するのに役立ち、ビジネスの成長と持続可能性をサポートします。ビタミン B12 の価格に関する詳細情報と最新情報については、ニュースレターを購読して、市場で一歩先を進んでください。
ANALYST JAPAN
Call +1 (332) 258- 6602 1-2-3 Manpukuji, Asao-ku, Kawasaki 215-0004 Japan
Website: https://www.analystjapan.com
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ryogo-9910 · 5 years
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ラズパイをケーブル1本で使えるようにする
目標
できるだけシンプルな環境でラズパイをセットアップできるようにする
用意したもの
PC(Windows10)
16GB SDHCカード
Raspberry Pi Zero WH
MicroUSBケーブル(OTG対応)
Wi-FiのSSIDとパスワード
SDカードについては、ラズパイが対応しているフォーマットがFAT32までなので、最大32GBまでしか使用できないことに注意すること。
インストールしたOS
Raspbian Buster Lite (カーネルバージョン:4.19、リリース日:2019年09月26日)
手順
必要なソフト類をPCにインストールする
SDカードをフォーマットする
イメージファイルをSDカードに書き込む
SSHを有効にするための設定を加える
Wi-Fiに接続するための設定を加える
「config.txt」に設定を書き加える
「cmdline.txt」の内容を変更する
ラズパイを起動する
PCにラズパイを認識させる
Tera TermでラズパイとSSH接続する
1. 必要なソフト類をPCにインストールする
以下に、今回使用したソフト類をまとめる。 なお、各ソフト類のタイトルをクリックするとそのサイトに移動する。
Raspbian Buster Lite
ラズパイ用のOS。これがなきゃ何も始まらない。 今回はデスクトップ環境を使用しないため、Lite版(CUIのみ)のZIPファイルをダウンロードした。なお、ZIPファイルは解凍せずにそのままでよい。
SD Card Formatter(SDアソシエーション)
SDカードをフォーマット(初期化)するためのソフト。 エクスプローラーからもフォーマットが可能であるが、ラズパイ公式がこれを推奨してるっぽいので、あらかじめインストールしておく。
balena etcher(balena)
ラズパイSDカードにOSを書き込むためのソフト。 たったの2,3ステップでできちゃう優れもの。 ダウンロード後、インストールを完了しておく。
Pi Zero OTG Ethernet 
ラズパイをPCに認識させるためのドライバー。 真ん中あたりで説明文中にいきなりダウンロードリンクが出てくる。 どこにあるか全然分かんねーよって人はこちら(ダウンロードリンク)。 使い方は後述する(ZIPファイルは解凍しておくこと)。
Tera Term
ラズパイと通信(SSH接続)するためのソフト。 SSH接続ができれば何でもよいが、Tera Termなら後々使える便利機能が備わっているので、これをインストールした。
2. SDカードをフォーマットする
SDカードをPCに入れ、先ほどインストールしたSD Card Formatterを開く。「カードの選択」でSDカードを選択し、クイックフォーマットを実行する。ボリュームラベルは空欄のままで構わない。
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↑フォーマットボタンが完了すると情報を確認できる。ファイルシステムがFAT32であることを確認すること。
3. イメージファイルをSDカードに書き込む
SDカードのフォーマットが完了したら、balena Etcherを開く。左側の「Select image」ボタンを押し、先ほどダウンロードしたRaspbianのZIPファイルを選択する。
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↑画像ではZIPファイルを解凍したimgファイルを選択しているが、ZIPファイルのままでも問題ない。
SDカードが正しく選択されていることを確認したら、「Flash!」ボタンを押し、完了するまで待つ。途中でSDカードが再認識され、エクスプローラーが開く場合があるが、書き込みが完了すれば自動的に認識が解除されるので、そのままにしておく。
4. SSHを有効にするための設定を加える
書き込みが完了したら、SDカードを一度PCから抜いて、再び入れる。このとき、「ドライブD:を使うにはフォーマットする必要があります。フォーマットしますか?」というメッセージが(なぜか2つ)表示されるが、「キャンセル���を選択する。その後表示されるエラーメッセージも無視して構わない。
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↑ここでフォーマットしてしまっては意味がない。
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↑これも気にしなくてよい。
エクスプローラーを開き、SDカードのルートディレクトリ(一番上の階層)に「ssh」という名前の空フォルダを作成する。
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↑ファイルを何も選択していない状態で右クリック、「新規作成→テキスト ドキュメント」を順次選択し、名前を「新しいテキスト ドキュメント.txt」から「ssh」に変更する。
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↑他のファイル名に拡張子がついていることを確認する。
このとき、 「拡張子を変更すると、ファイルが使えなくなる可能性があります。変更しますか?」という警告メッセージが表示されるるが、気にせず「はい」を選択する。 
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↑気にせず「はい」を押せる勇気を持って。
※デフォルトのファイル名の最後に「.txt」がついていなかった場合は、拡張子が非表示の設定になっている。このまま空ファイルを作成しようとしても「ssh.txt」が完成してしまい、ラズパイに読み込まれないので注意すること(解決方法の参考:google検索結果)。
5. Wi-Fiに接続するための設定を加える
次に、先程と同様の手順でルートディレクトリに「wpa_supplicant.conf」というファイルを新規作成する。そのファイルを開き、次のコードを入力する。
なお、「接続したいWi-FiのSSID」と「パスワード」は適宜書き換えること(""は残しておく)。
ctrl_interface=DIR=/var/run/wpa_supplicant GROUP=netdev update_config=1 country=JP   network={ ssid=“接続したいWi-FiのSSID” psk=“パスワード” key_mgmt=WPA-PSK }
6.  「config.txt」に設定を書き加える 
SDカードに既にある「config.txt」を開き、最後に次のコードを書き加える。
dtoverlay=dwc2
これよりラズパイでOTG機能が有効になるっぽい。
7. 「cmdline.txt」の内容を変更する
次に、「cmdline.txt」を開き、途中にある ”rootwait ”の直後に、以下の文を挿入する。
modules-load=dwc2,g_ether
Raspbian Buster Liteの場合、cmdline.txtの中身は次のようになる。
console=serial0,115200 console=tty1 root=PARTUUID=6c586e13-02 rootfstype=ext4 elevator=deadline fsck.repair=yes rootwait modules-load=dwc2,g_ether quiet init=/usr/lib/raspi-config/init_resize.sh
8. ラズパイを起動する
ここまでできたらようやくPCからSDカードを取り外す。安全な取り外しを忘れずに。ラズパイのSDカードスロットにSDカードを入れ、MicroUSBケーブルをラズパイの2つあるポートのうち、基盤に白い文字で「USB」と書かれている方に繋ぎ、PCとラズパイを接続する。
ラズパイのボード上にある黄色いLEDが点滅しだすので、点灯に代わるまで待機する(途中でPCからUSBメモリを接続したときと同じ音が出るが、すぐには認識できないので焦らず待つ)。
9. PCにラズパイを認識させる
ラズパイの黄色いLEDが点滅に代わったら、PCでデバイスマネージャーを開き(開き方分からんって人はこちら)、ドライバの登録をする。
「ポート(COMとLPT)」の中にある「USB シリアル デバイス(COM〇)」(〇は番号)を右クリックして、「ドライバーの更新」を選択する。 ドライバーの検索方法に「コンピュータを参照してドライバー ソフトウェアを検索」を選択し、最初にダウンロードし、解凍した「Pi Zero OTG Ethernet」を指定する。
ドライバーの設定が完了すると、「ネットワーク アダプター」の「USB Ethernet/RNDIS Gadget」としてラズパイがPCに認識されるようになる。
10. Tera TermでラズパイとSSH接続する
いよいよラズパイとの通信を行う。Tera Termを開き、ホスト欄に「raspberrypi.local」を入力し、「OK」を押す。ここでしばらくして「無効なホスト」というエラー表示が出たら、ラズパイの方でSSHの準備ができていないので、しばらく待ってから再接続するとよい。
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初回接続時は「セキュリティ警告」が出てくるので、「続行」を選択する。「SSH認証」が出てきたら、「ユーザ名」に「pi」、「パスフレーズ」に「raspberry」を入力して、「OK」を押す。いろんな英語がずらーっと出てきて、最後に「pi@raspberry:~$」と表示されていれば、無事完了である。
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↑初回のみ出てくるセキュリティ警告。「既存の鍵を、新しい鍵で上書きする」にチェックを入れて「続行」を押すと、次回から表示されなくなる。
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↑「ユーザ名」に"pi"、「パスフレーズ」に"raspberry"を入力する。初期のパスワードではセキュリティ上よろしくないので、後々変更しておくこと。
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↑この画面が出たら無事完了!
おまけ:最初に実行するとよいコマンド
今回インストールしたOSは、現時点でラズパイのサイトから入手できる最新のものだが、細かいアップデートがある場合があるので、以下の二つのコマンドを「pi@raspberry:~$」に続いて入力、実行する。
sudo apt update
sudo apt upgrade
upgradeの方は、結構処理に時間がかかる(15分程度)。途中でYとかqとか押すところが出てくる。
おまけ2:再起動とシャットダウンの方法
ラズパイもPCの一種なので、いきなり電源を切るという行為は避けるべきである。以下に、CUIにおける再起動とシャットダウンのコマンドを示す。
sudo reboot
sudo poweroff
rebootの方は再起動コマンドで、実行するとTera Termは閉じるが、ラズパイのLEDが点灯し始めてから再度接続することができる。
poweroffはシャットダウンコマンドだが、PCとの接続が解除されてもしばらくはPCから給電を行っており、処理が終わっていないので、ラズパイのLEDが完全に消灯するまではケーブルを繋いだままにしておくこと。
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sorairono-neko · 5 years
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今日、婚約した。本当に結婚してくださる?
 勇利は水を止めると、丁寧に手をぬぐい、かけていたエプロンを外して振り返った。 「じゃあ、ぼく帰るね」  食事を終え、洗い物をしたら、勇利がすぐに「帰る」と言い出すのがヴィクトルには不満だった。おかげで、できるだけ長く時間をかけて食べようと、行儀の悪い癖がついてしまったくらいだ。 「もうすこしいいだろう?」 「だめ」  勇利は笑った。 「あんまり長居したら、それが習慣になっちゃうでしょ?」  それの何がいけないのか、ヴィクトルにはさっぱりわからなかった。かえって、それならなんとしてでも引き止めたいというふうに思った。 「あんまり長居したら、離れがたくなっちゃうでしょ?」  承服できかねるというヴィクトルの気持ちを感じ取ったのか、勇利はそんなふうに言い直した。ヴィクトルはますます何がいけないのかわからなくなり、ますます勇利をまだいさせたいという気がした。 「帰ってからやりたいこともあるしね」  勇利が付け足した。 「それはなに?」  ヴィクトルは語気も鋭く問い返した。 「どうせ、俺の動画を見るとか写真集を眺めるとか、そんなたわいもないことだろう。くだらない。本物を見ればいいのに」 「ぼくがしたいのは今日の反省だよ。自分の映像を見て、ノートにいろいろまとめたいんだよ。注意点とか、そんなことをね。それをときどき見返すと、自分の考えや目標が整理されてすごくためになるんだ」  言ってから勇利は楽しそうに笑い、腰に手を当てた。 「この会話、何度目?」 「送ろう」  ヴィクトルはしぶしぶ了承し、溜息をつきながら上着を取った。勇利は自分のリュックサックを取って、マッカチンに挨拶をした。 「マッカチン、またね」  勇利がロシアに移り住むとき、ヴィクトルは当然自分の家に彼を住まわせるつもりでいた。それが当たり前だと思っており、勇利の住居に関しては問題ないときめつけていた。だから、勇利が自分で住むところを探してきたときは驚き、それ以上にうろたえた。 「いい場所なんだよ。リンクからも近いし、建物も古くておもむきがあるし。あと、家賃も手頃で、なんとかなりそうだから」  ヴィクトルは、ただちに癇癪を起こし、きみは俺の家に住むべきだと主張しようとした。しかし、もうすこしのところで思いとどまった。勇利は自立心の強いたちをしている。自身に必要以上に踏みこまれることを好まない。長谷津ではともに暮らしていたけれど、家族がいるのと、ふたりきりで生活するのとではまた勝手がちがうだろう。長谷津へ行った当初だって、勇利の性質が難しいと知ってからは、ごく慎重に、真剣に仲を進展させたのだ。環境が変わるのだから、いきなりへだたりをうめるようなことをするのはよくない。また警戒されてしまうかもしれない。勇利はすぐにひとりで考え、勝手に思いつめるのだ。「もう終わりにしたい」といつ言い出すことか。 「そ、そう」  ヴィクトルは超人的な努力で平静を装って返事をした。 「その場所は知ってるよ。確かに静かでいいところかもしれない。でも、何かあったらすぐ俺に言ってね」  ヴィクトルの自宅から車で十分程度というところも、譲歩の理由だった。もっと遠かったら文句を言っていただろう。しかしつまりは、もっと遠ければ「勇利にとって好ましくない」と却下することができたということなので、それもヴィクトルにとっては不幸だった。 「勇利がさぁ……、ひとりで部屋を借りたとか言うんだよ。どうかしてると思わない? あの子頭おかしいんじゃない?」  ヴィクトルはヤコフにぐずぐずと愚痴を言ったものだ。ヤコフはつめたく応じた。 「普通のことだろうが。何が気に入らんのか理解できん」  ヤコフは何もわかってない、とヴィクトルは思った。  そういうわけで、ヴィクトルと勇利は現在、別々に暮らしている。勇利と知り合ってからなかったことなので、ヴィクトルは不満と不安でいっぱいだった。  だが、何の手立ても講じず、のんびりとしていたわけではない。勇利が来てから、ヴィクトルはすこしずつ、彼と過ごす時間を増やしていった。まずは外食に誘い、それが頻繁になると家に招待してごちそうし、近頃では、ふたりで買い物をして食事の支度をする、というところまで進歩していた。そしてヴィクトルはある日、とうとう提案したのだ。 「勇利、これを持っててくれないか」 「なに? 鍵?」 「俺のところの鍵だよ」  勇利は驚いた。 「え……。そんな大切なもの、だめだよ」 「ちがうんだ。これは俺のためでもあるんだ。俺だってひとりなんだから、たまには助けが必要になることもある。ほら、たとえば病気のときとか、留守にするからマッカチンの世話を頼みたいときとか。具合が悪くて動けないとき、誰かに連絡するとしたら、それは勇利なんだよ。勇利がいちばん近くに住んでいるからね。そうなったら、それ、必要でしょ?」 「うーん、そうだね……」  勇利はためらいながらも鍵を受け取った。ヴィクトルはそれでたいへん満足したのだが、しかし、勇利はけっして勝手にヴィクトルの家に入ってこようとはしなかった。彼のほうから訪問してきたときも、必ず呼び鈴を押して礼儀正しくふるまう。ヴィクトルがどきどきしながら「鍵を持ってるんだから入ってくればいいのに」と言ったら、笑顔で「そんなの失礼でしょ」と返された。失礼だったら鍵を渡したりするわけないだろ! ヴィクトルは、勇利はなんにもわかってない、と拗ねたものだ。  そんなふうに、一定以上に親しくはなれなかったけれど、ヴィクトルが注意深く距離を縮め続けたこともあって、いまでは、勇利はヴィクトルの自宅で過ごすのが当たり前になっていた。練習のあとふたりで一緒に帰ることもあるし、ヴィクトルに別の仕事が入っていたりすると、勇利がひとりで買い物をしてやってくることもある。そんなとき、ヴィクトルは幸福に包まれる。 「市場へ行ったらね、すっごく新鮮な野菜があったから、名前もわからないやつも一緒くたにして買ってきちゃった。これ、どうやって調理すればいいのかな? ヴィクトル知ってる? 知らないなら一緒に調べてよ」  カウンターに買い物袋を置きながら言われると、ぼうっとなってしまう。 「勇利……」 「なに?」 「タダイマって言ってみて」 「え? 入るときにお邪魔しますって言ったよ」 「言って」 「た……ただいま?」 「オカエリ」  もう勇利、俺といるのが普通になってない? 自分の部屋になんて、寝に帰ってるだけじゃないか。ヴィクトルは、勇利もここで暮らせばいいのに、一緒に暮らせばいいのに、とそんなことを毎日考えていた。  しかし、勇利のほうはそう思わないようで、毎日、夕食の洗い物が済むと、すぐに帰ると言い出す。ヴィクトルは、もうすこし堕落すればいいのに、とうらめしく思った。 「あ、なんだか混んでるみたいだね」  勇利は助手席の窓から、彼の住む建物の前に何台か車が停まっているのを見た。 「ここでいいよ。歩いて帰る」 「前まで行くよ」 「でも、時間かかりそうだよ。すぐそこだから大丈夫」  勇利はにっこり笑ってヴィクトルを見た。 「ヴィクトル、どうもありがとう。気をつけて帰ってね」 「ああ……」  勇利は車から降り、リュックサックを背負って、それを揺らしながら駆けていった。ヴィクトルはその子どもっぽい後ろ姿を、窓越しにずっと見守っていた。古めかしい階段を駆け上がると、戸を開ける前に、勇利はさっと振り返った。彼はヴィクトルに向かってにっこり笑い──はっきりわからなかったけれど笑っているはずだ。そうにきまっている──肩のあたりでちょっと手を振った。それから建物の中へ入った。  ヴィクトルは溜息をついた。なんで勇利を見送らなきゃならないんだ、とふてくされた。勇利が「おなかすいたぁ」と言いながら家に入ってくるときのときめかしさとは正反対の気持ちを、いつもこのとき味わう。  勇利、おかしいと思わないか? 毎日リンクで一緒にいて、そのあとは俺のところへ来て、ふたりで料理をして、食事をして、笑いあって、そして俺はきみをきみの部屋へ送る。きみはひと晩眠って、朝になるとまた俺とリンクで会うんだ。 「もう一緒に住めばよくない?」  ヴィクトルは不満だった。  それにしても、勇利はどういうつもりでいるのだろう? ヴィクトルには勇利の気持ちが謎だった。彼がヴィクトルのことを愛しているという事実は疑いようもなく、それについては安心しきっている。なにしろ彼は、テレビカメラの前で、「初めてつなぎとめたいと思ったひとはヴィクトル」「そのヴィクトルへの気持ちを愛と名付けることにした」と言い切ったのだ。日本語だったので何を言っているかはわからなかったし、勇利もそのことについてはひとつも教えてくれなかったけれど、あとでミナコが説明してくれた。それでヴィクトルは楽々とした気分になり、加えて勇利は離れずにそばにいてなどと言ってくるし、指輪など渡してくるしで、もう愚かなほど浮かれきっていた。  しかし、このところ、その愛というのはどういう愛なのだろうと心配になってきた。勇利はヴィクトルのスケートを昔から愛している。その延長線上にあるものではないだろうかという気がしてきた。勝生勇利ならあり得ることである。彼の愛情に偽りの混じる余地はないけれど、それはヴィクトルの望むたぐいのものではないのかもしれない。  ヴィクトルは勇利に尋ねてみようか、どうしようかと迷った。だが、どうにも踏みきれなかった。人の本音を知るのがおそろしいと思ったのは初めてだ。勇利は本当に、ヴィクトルのこころをかきみだす子である。どうしてこう次から次へと難題を突きつけてくるのだとヴィクトルは溜息をついた。 「ヴィクトル、なに食べたい?」 「うーん……この前つくってくれたやつかな。生クリームの入ってるスープで、じゃがいもがごろごろの……」 「ああ、あれね。じゃがいもの皮むくの手伝ってね」  市場でじゃがいもを手に取りながら、勇利はにっこり笑った。これなんてもう、普通の友人同士の会話じゃないだろう? 特別な関係の者しかこんな話しないぞ。セックスしたふたりの話しあいだ。ヴィクトルは独り合点した。  まじめにじゃがいもの皮むきにいそしみ、ヴィクトルは勇利の美味しいスープを食べた。 「今日のお昼、俺が食堂へ行ったとき、勇利、女子選手に囲まれてたよね」  ヴィクトルは、こころの狭いところを見せないようにしなければ、と思いながら話した。 「なんだか盛り上がってたようだけど、あれ、何についてのことだったの?」 「あのさ、囲まれてたって、ぼくが座ってるところにミラたちが来ただけだからね。しかもあとからヴィクトルが割りこんできて、彼女たち迷惑そうだったじゃん。話してたのは結婚の話だよ」  ヴィクトルはスプーンを取り落としそうになった。 「へ、へえ……」 「結婚観? 理想の結婚? なんかそんなことを話してたよ」 「勇利に訊いたの?」 「ううん、彼女たちが好きにしゃべってただけ」 「それ、勇利に語る必要ある?」 「知らないよ。ぼくに話してたっていうより、たまたま空いてる席に座ったらぼくがいて、ぼくに関係なく話題にしたんじゃないの」 「そうか……」  ヴィクトルは勇利の薬指にある指輪を見た。でもこれ、お守りだったな……。  勇利は何か結婚について考えてることはある? その質問がなかなかできない。 「ヴィクトルはさ」  勇利が顔を上げた。ヴィクトルはどきっとした。 「……なに?」 「結婚するとなったら」 「うん……」 「結婚式の日を忘れちゃいそうだよね」  勇利が笑った。 「忘れっぽいでしょ? 花婿が式場に現れなくて大騒ぎなんていうこと、ヴィクトルならあり得るかもね」  ヴィクトルはスープをのみこんだ。急に味がわからなくなった。 「……俺の結婚がきまったら」  ヴィクトルはつぶやいた。 「勇利がおぼえていて、式はこの日だよ、って注意してくれればいい」  勇利がヴィクトルを見た。ヴィクトルは真剣に彼の目を見返した。勇利はほほえんだ。 「ぼく、ヴィクトルの生徒っていうより、マネージャーみたいだね」 「…………」 「ごちそうさまでした」  ヴィクトルは洗い物を勇利と一緒にしながら、どういう意味だ、とずっと���えていた。勇利が「そろそろ帰るよ」と言い、「送るよ」と応じて車を運転しているあいだも思案していた。出た結論は、「勇利は俺の意図とはちがう受け取り方をしている」ということだった。  勇利のアパートメントが近づいてくると、彼はふと窓に顔を寄せ、「あ」とつぶやいた。 「どうかした?」 「ううん……」 「なに?」 「いや、いま中に入っていった人、この前、親しくなった人だから。カフェで声をかけられたんだ。同じアパートメントに住んでるって」 「……女?」 「いや、男の人だよ。ぼくよりずっと年上で、プロレスラーみたいな体格なんだ。髭も生えててすっごく強そうなんだよ。でも気は優しくて、奥さんと娘さんの写真をうれしそうに見せてくれた。仕事でひとりでここへ来てるんだって。家族に会いたいって言ってた」  ヴィクトルは不愉快になった。たぶんその男は気のいいたちで、いかにも子どもっぽい東洋人がひとりで暮らしているのを気遣ったのだろう。だから話し相手になろうとした。べつにヴィクトルが心配するようなことはないし、勇利にとっても、そういう友人ができるのは喜ばしいなりゆきだ。だが、それでも、いい気持ちはしなかった。勇利が自分の知らないところで人間関係を築いていくことが我慢できなかった。  すこし、まずいな、と思った。勇利との境界線がわからなくなっている。彼のすべてを把握していないと気が済まない。これはあまり健全な感情ではない。制御しなければ。きっと勇利との間柄が不安定だからこんな気持ちになるのだ。彼の愛を勝ち得ていると信じられるなら、ここまでのことは思わない。 「じゃあヴィクトル、どうもありがとう」  勇利が言って扉の取っ手に手をかけた。 「とっても楽しかった。おやすみ」  彼は車から降りようとした。ヴィクトルは勇利の手首をつかんでひきとめた。勇利が振り向き、なに? というようにヴィクトルを見た。ヴィクトルは顔を近づけ、黙ってキスした。 「え……」  勇利がヴィクトルを凝視した。ヴィクトルは彼の黒い瞳をのぞきこみ、まじめにみつめた。勇利はふらつきながら車を降りた。習慣のように彼は戸を閉めた。  ヴィクトルはくらくらした。とにかく、安全に運転して帰らなければ、と思い、殊更にそのことに意識を集中した。  さて困ったことになった。 「マッカチン、勇利にキスしちゃったよ」  勇利はどう思っているだろう。怒っている? あきれている? 照れているだろうか? 自分でしたことなのにヴィクトルらしくもなく動揺し、赤くなったり青くなったりした。そして「俺らしくない」という判断に腹を立てた。自分らしいとはなんだろう。いままでの経験からくる言葉なのか? 愛したのは勇利が初めてだ。これまで積み重ねてきたことなんて関係ないだろう。ヴィクトル・ニキフォロフは、人を愛したらこうなるのだ。これが「俺らしい」のだ。  しかし、開き直っても事は進展しない。翌日、ヴィクトルはどきどきしながらリンクへ行った。勇利はもう来ていた。彼はヴィクトルに気がつくといつものように笑い、「おはようヴィクトル!」と駆け寄ってきた。 「今日はどんなふうに進める? ぼく、午前中はリンク使っていいんだよね」 「ああ……」  ヴィクトルの悩みなど知らぬといったふうに、勇利は明るかった。ヴィクトルもどうにか普段のようにふるまいながら、これはどういうことだ、と困惑した。キスされて平然としているなんてちょっと普通じゃない。冗談だとでも思っているのだろうか。そういえば、前にキスしたときも、勇利はほのかに笑ってさえいた。突然くちづけられたというのに落ち着いて、清廉な感じで、それを受け容れて──。  ヴィクトルはどきっとした。前にキスをした。そうだ。リンクでキスをしたことがある。試合のあと。ヴィクトルは「驚かせるにはこれしか方法がなかった」というようなことを言った。勇利は「そっか」という態度だった。べつにいやがってもいなかったし、そういうものなんだね、と言いたげだった。  もしかして──あれと同じと思われているのでは?  突然頭を抱え、手すりに突っ伏したヴィクトルに、隣にいたヤコフが「なんだいきなり」といぶかしげな視線を向けた。ヴィクトルはそれに気づかなかった。  なんというか──勇利にとってキスは習慣になりつつあるのではないだろうか。まだ二度目だけれど、その可能性が高い。ヴィクトルが頻繁にくっついていったり、さわったり、耳元にささやいたりするものだから、キスもそのうちのひとつ、と受け取っているのだ。そうにきまっている。 「あぁあ……」 「だから何なんだおまえは」  いや、待て。待って。たとえそうでも、好意がなかったらそんな気持ちにはならないのではないだろうか? 接触過多なところだって、いやなら拒絶するだろう。あの勝生勇利だ。ヴィクトルにだって遠慮しない。普通、「驚かせたかった」とキスされて「そうなんだ」とうなずく者はそうそういない。誰だってそういうのには感心しないだろう。とくに驚かせる必要もない別れ際などに、理由もなくされたらなおさら──。  しかし、勇利なのだ。そう「あの勝生勇利」だ。ヴィクトルを愛しているのである。ヴィクトルの望む愛かは別として。人生をヴィクトル・ニキフォロフに捧げきっている勇利なら、キスくらいどうということもないのではないか? たとえ、キスしたいという気持ちで愛していなくても──。 「ヴィーチャ、聞いとるのか」 「気分が悪くなってきた」 「なんだと」  そのとき、トレーニングルームで基礎訓練をしていた勇利が戻ってきた。彼はヴィクトルを見ると、「どうしたの?」と心配した。 「気分が悪いそうだ」 「そうなの? 大丈夫? 病院行く?」 「いや……そういうのじゃない」 「すこし早いがもういいだろう。上がれ」  勇利は帰り道で、熱はないのか、頭痛はするかとヴィクトルの体調を気遣った。 「勇利の顔を見たら治った」 「そういう適当なこと言ってないで、まじめに答えてよ」 「本当だ」  その日は出来合いのものを買って帰ってふたりで食べた。ヴィクトルがいつも通り話すようになったので、勇利は安心したらしかった。 「ヴィクトル、ちゃんと寝てる? 忙しいんだからたくさん睡眠とらないとだめだよ。今日は送らなくていいよ。ゆっくりやすんで」  もう耐えられなかった。ヴィクトルは帰り支度をととのえる勇利の手首をつかむと、じっと彼をみつめ、低くかすれる声でささやいた。 「帰したくない」  勇利は目をみひらき、それからかすかな苦笑を浮かべた。 「そんなこと言って。さびしいの?」 「ここにいてくれ」 「マッカチンがいるじゃない」 「泊まっていって」 「もう具合は悪くないんでしょ」 「勇利」  ヴィクトルは勇利にキスした。勇利がぽかんとした。 「絶対に帰さない」  ヴィクトルは勇利を寝室へ連れていった。そこで服を脱がせたけれど、彼はとくに何も言わなかった。ベッドに押し倒しても黙っていたし、あちこちさわっても、身体じゅうにくちづけても、誰も知らないようなところへ入りこんでも、やっぱり文句は言わなかった。 「おはよう」  目がさめると勇利が笑っていた。ヴィクトルはまくらに顔を押しつけた。 「どうしたの?」  朝一番に勇利の笑顔を見るのは心臓に悪い……。ヴィクトルはうめいた。 「目ざめたらヴィクトルが隣にいるっていうのは心臓に悪いね。綺麗すぎてどきどきするよ」  勇利はヴィクトルが思っているのと同じことを言い、そっとベッドから抜け出した。 「どこ行く?」 「朝食の支度してくる。ヴィクトルはもうすこしゆっくりしてて」 「勇利」 「んー?」 「その……身体は大丈夫かい?」  ヴィクトルは心配した。勇利が笑った。 「うん。ちょっとだるいけど、とくに差し障りはないよ。優しくしてくれてありがとう」 「いや……」 「パンがいい? シリアル?」 「……パン」 「了解。悪いけどシャワー貸してね」  勇利はヴィクトルのバスローブを羽織ると、かろやかな足取りで寝室を出ていった。扉の向こうから、「おはよう、マッカチン。ごめんね、ひとりで寝させちゃって」と謝る声が聞こえた。 「…………」  ヴィクトルはぽすっとまくらに頭をつけた。白い天井をみつめてしばらくぼんやりとした。それからわき上がる喜びを抑えきれず、ごろんと寝返りを打って、勇利の寝ていたところへおもてをこすりつけた。  勇利とセックスした! セックスしたんだ……。  ヴィクトルは浮かれ、まくらを抱きしめてベッドの上を転げまわった。あまりおぼえていなかった。ただ、勇利がかわいかった。その感想でこころは埋め尽くされていた。  ヴィクトルは、勇利との甘美な時に思いをめぐらせながらあちこちへ転がる、ということに時間を費やした。勇利が戻ってきて、「ヴィクトル、ごはんできたよ。ヴィクトルもシャワー浴びたら?」と言ったとき、彼は目をまるくした。 「なんだか、さっきよりベッドがめちゃくちゃになってない?」 「シャワーを浴びるよ!」 「ああ、どうぞ……」  勇利は、食事のすぐあとには帰らなくなった。毎日というわけにはいかないけれど、夕食後、居間のソファや寝室のベッドで過ごす時間はじゅうぶんにあった。ヴィクトルは浮かれて安心しきった。これで勇利はヴィクトルのものになり、ヴィクトルは勇利のものになったのだ。 「材料、全部そろったよね?」  いつものように夕飯のための買い物を済ませた勇利は、袋をのぞきこみながら言った。 「そうだね」 「今日は失敗しないようにしないとね。前のときは、すこし焦がしちゃったから」  言ってほほえむ勇利が、ヴィクトルには天使にしか見えなかった。ヴィクトルはふいに彼の肩を抱き寄せ、耳元にくちびるを寄せた。 「食事の材料はそろったけど、まだ足りないものがあるよ」 「なに?」 「スキン……前ので最後だったんだ」  勇利はまっかになって、ヴィクトル買ってきてよ、とそっぽを向いた。ヴィクトルはしあわせを感じた。  望み通りヴィクトルが買って、今夜は焦がさずに鶏の香草焼きをつくり、そのあと、購入したばかりのゴムをふたつ使った。勇利は静かにヴィクトルの下から抜け出ると、「シャワー貸してね」と言って浴室へ行った。 「一緒に浴びよう」 「だめ」 「なんで」 「恥ずかしいから」 「さっきまでもっと恥ずかしいことをしてたよ」 「シャワーを一緒に浴びるほうが恥ずかしいよ」 「ふたりで温泉にも入ったのに」 「シャワーのほうが恥ずかしい」  勇利は絶対にヴィクトルと浴室へ行ったりはしないのだった。 「ねえ、勇利」  ヴィクトルは勇利を送る車の中で提案した。 「たまには泊まっていったら?」 「ああ、ごめん。めんどうだったら送らなくてもいいよ。ぼく大丈夫だから」 「そういうことじゃなくて」  一緒にいたいと言っているのだ。相変わらずにぶい子だ。 「こんなのは手間でもなんでもないけど、勇利だって、慌ただしく帰りたくないだろう?」  勇利は窓にもたれて外を眺めていた。 「だめ」 「なぜ?」 「朝、困るよ。着替えもないし」 「持ってくればいいだろう?」 「いいよ、そんなの……」 「よくわからないな」  勇利が振り返った。彼はかすかな微笑を浮かべた。 「いいの。だって、そんなことしたら、だんだんあいまいになってくるでしょう?」 「何が?」 「ぼくはリンクへ行って、ヴィクトルと一緒に帰って、ヴィクトルと食事をしてるんだよ。そのあと泊まったりしたら、そのままリンクへ行くことになる。ぼくはいったいいつ自分の部屋に帰るの?」  その通りだ。だから泊まっていって欲しいのだ。勇利は何もわかっていない。 「線引きはちゃんとしなきゃ」  勇利がきっぱりと言った。線引きとはなんだろう。何と何のあいだに彼は線を引いているつもりなのか。 「今夜もどうもありがとう。いつもごめんね」  車が停まると、勇利は優しく言った。 「勇利」  ヴィクトルは彼を引き寄せ、情熱をこめてキスした。勇利は目を閉じ、それからうすくまぶたを開けてほのかに笑った。 「……おやすみ」 「おやすみなさい。気をつけて」  勇利は最初の夜以来、けっしてヴィクトルのところへ泊まっていかない。私物だって持ちこまないし、合鍵も相変わらず使おうとしない。浮かれていたヴィクトルも、すぐに不安になってきた。  ヴィクトルは、勇利と特別な関係になれたと思っていた。奥まで踏みこんだ、かたく結ばれた間柄だと。たとえば勇利に何か個人的な問題が持ち上がったら意見を言うことができると思っていた。助言も、反対する考えも述べられる。その権利を得たと確信していた。しかし、本当にそうだろうか? 勇利はヴィクトルをそういう相手として取り扱っているだろうか? なるほど、愛は交わすようになったかもしれない。けれど、それだけではないか。勇利の態度に、これまでと何かちがうところがあるだろうか? 勇利はいつだって──謙虚で、どこか遠慮がちで──。  ヴィクトルはこわくなってきた。勇利はヴィクトルのことをどう思っているのだろう? コーチ。親しい相手。そして──セックスをする関係。 「セックスフレンド?」  ヴィクトルの顔が引きつった。まさか。勇利はそういうものの考え方はしない。そんなたちではないのだ。もっと純粋で、健全で、ごく��よらかだ。身体だけのつながりなんてよしとするはずがない。  でも……。  帰宅したヴィクトルは、台所や居間や寝室を眺めた。ここにさっきまで勇利がいた。しかし彼の痕跡はまるでない。おまえの夢だ、と言われれば、そうかもしれない、という気になってくる。勇利は自分の存在をかけらも残さない。  まるで──いずれ離れるのだから、と言っているみたいに──。 「そんなばかな」  ヴィクトルは次の休みの前夜、いつものように勇利と過ごし、ベッドでは激しくふるまった。勇利は驚いており、普段よりたくさん泣いたが、いやがることはなかった。疲れきった勇利が眠ってしまうのを見て、ヴィクトルは安心した。これで勇利はどこにも行かない。ヴィクトルは彼を抱きしめ、みちたりた気持ちで眠りに落ちた。  翌朝、勇利はベッドにいなかった。台所のカウンターの上に、書き置きがあった。 『よく眠っていたので起こさず帰ります。今日は一日寝てるから、電話してきちゃだめだよ。貴方のせいなんだからね』  ヴィクトルは溜息をついた。どうして勇利は泊まっていってくれないのだ。  もしかしてセックスも同じなのだろうか、とヴィクトルは気がついた。これもヴィクトルが勇利に多くする接触の一種なのか。もちろんヴィクトルはそんなつもりはないけれど、勇利はそう受け取っているかもしれない。 「へえ。ヴィクトルってさわったりキスしたりするだけじゃなく、えっちなこともするんだぁ」  そんな勇利の声が聞こえるようだ。ただの生徒にそんなのするわけないだろ! ヴィクトルはいらだった。セックスも驚かせる方法のひとつだとでも思っているのだろうか。そんなことを言い出すやつは頭が変ではないか。  どうにかしなければならない。勇利はおかしい。どこかがおかしい。何かすれちがっている。勇利と愛を交わしたつもりになっているのに、甘い雰囲気にならないのはどうしてだ。  ヴィクトルは勇利と話しあいたかった。しかし、なかなか言い出せずにいた。言おう、とこころをきめたのは、勇利と一日一緒にいられなかった日で、外での仕事をして帰宅する途中、ヴィクトルは勇利の部屋へ寄ることにした。  車を停め、石段を上って建物の中へ入る。狭い内廊下を歩き、階段を上り、奥の勇利の部屋を目指した。  そのとき、すぐそばの扉の向こうから、女性の甲高い笑い声が響いた。ヴィクトルは気にしなかったが、それに続いた青年の声にびくりとし、足を止めた。  勇利の声だった。  頭の中が真っ白になった。勇利がいる。自分の部屋ではない部屋に。女性の部屋に。夜に。楽しそうに話している。何をしているのだ。何をするのだ? ──これから。  ヴィクトルはくるりときびすを返した。気がつくと自分の家におり、かたわらにマッカチンが座っていた。どうやって帰ってきたのかまったく思い出せなかった。  どうしよう。  落ち着きなく、うろうろと部屋の中を歩きまわった。どうしよう。どうしよう。勇利はヴィクトルのことをどう思っているのだろう。やはりセックスするだけの相手なのか。彼はヴィクトルの誘いを断ったことなんてないけれど、自分から抱いて欲しいと言ったこともない。  どうしようもなくて、ヴィクトルは電話をかけた。クリストフが出るなり、挨拶もせず、洗いざらいぶちまけた。勇利が鍵を使ってくれない。勇利が泊まっていってくれない。勇利が抱いて欲しいと言ってくれない。勇利が女の部屋にいた。勇利が──勇利が。  クリストフは黙って聞いていた。ヴィクトルが口をつぐむと、彼はひとしきり楽しそうに笑った。 「ヴィクトル、俺はね、ヴィクトル・ニキフォロフにそんな泣き言を言われる日が来るなんて、思ってもみなかったよ」 「皮肉はいいんだ」  ヴィクトルは文句を言った。 「単純明快な解決方法がある。聞きたい?」 「ああ」 「勇利に訊けば?」 「は?」 「勇利に訊けばいい。おまえは俺を愛してないのか? なんで泊まっていってくれないんだ? セックスフレンドのつもりなのか? どうして女の部屋にいた? ──全部訊けばいいんだよ。ばかばかしい。そんなの、相談のうちにも入らない」  クリストフは通話を切ってしまった。 「りんごを買ってきたよ。美味しそうだったから」  翌日もヴィクトルはちょっとした用事でリンクへ行けず、しかし帰りは早いと勇利に連絡していたので、彼は練習のあと、ひとりで買い物をしてヴィクトルの部屋へやってきた。 「今日は肉じゃがをつくろうと思うんだ。どう?」 「ああ、いいね」  ヴィクトルはうなずいた。勇利はにっこりして「玉ねぎはヴィクトルが担当ね」と言った。以前、玉ねぎを切って泣いているのをからかったので、根に持っているらしい。なんてかわいい勇利、とヴィクトルは胸が甘く痛むのを感じた。  料理のときも、食事のあいだも、勇利はいつも通りだった。いや、いつもより機嫌がよいくらいだった。もしゆうべヴィクトルが勇利の住むアパートメントへ行っていなかったら、「一日俺に会えなかったから、今日は会えてうれしいんだな」などと浮かれた考えを起こしていただろう。しかしヴィクトルは知ってしまった。だから別のことを想像する。勇利はあの女性と一緒にいたから、そのことを思い出して今日も楽しそうにしているのだろうか。俺より彼女のほうがいいのだろうか。あのあと、ふたりは夜をともに過ごしただろうか? いやなことばかりが頭を占める。 「りんごをむこうか」  食事のあと、勇利がつやつやしたりんごを持ってヴィクトルに笑いかけた。とても可憐で、そのまま絵に描いてしまいたいくらいみずみずしい笑顔だった。 「いや、いらない」  ヴィクトルは上の空で答えた。 「せっかく買ったのに」 「そんなことより」  ヴィクトルは勇利を抱きしめた。勇利はおとなしくキスを受けたけれど、焦らすようにヴィクトルのくちびるを指一本で押し戻し、「シャワーを貸して」とささやいた。 「今日、クラブで浴びられなかったんだ」 「なぜ?」 「順番待ちだったんだよ」 「そう」  これも、以前なら、早く俺に会いたくてシャワーをあきらめたんだな、などとはしゃぐところだ。  ひとりになったヴィクトルは、居間のソファに座り、そこに置いてあった勇利の携帯電話をなにげなく取り上げた。他人には操作できないようになっているが、ヴィクトルは別だ。彼は手早く目当てのものを起動させた。  勇利の自分以外とのつながりを調査しようとしたわけではない。そんなみっともないことはしたくない。ただ、勇利の予定を確認したかったのだ。確か来週、取材や撮影が何本か入っていた。ヴィクトルは予定表を調べ、満足すると、携帯電話を戻そうとした。しかし、ふと思いとどまった。とくに目的があったわけではない。なんとなく、過去のカレンダーをひらいてみた。適当にめくったら、去年の十二月が表示された。それを眺めたヴィクトルは、どきっとして手を止めた。グランプリファイナルショートプログラムの前日。そこに何か書きこみのしるしがある。  勇利に日記をつける習慣はない。ただのおぼえ書きだろう。だがヴィクトルは、吸い寄せられるようにそこに指をすべらせていた。その日の詳細がひらいた。 『今日、婚約した。ヴィクトルが長谷津に来たときのような驚き』  ヴィクトルは目をみひらいた。手がふるえた。思わず携帯電話を伏せ、呼吸を深くして自分を落ち着かせなければならなかった。それからもう一度ディスプレイをのぞきこみ、カレンダーに戻した。その翌日にも書きこみがあった。ショートプログラムの日だ。ヴィクトルは憑かれたようにそれを表示させた。 『昨日の婚約という言葉は正しくない。ヴィクトルは冗談で言ったのだし、それはぼくもわかっている。だけど、そういうことにしてみたかった。ヴィクトルと結婚はできない。でも金メダルは獲りたい。もうヴィクトルはぼくにキスしてくれないだろうけど、メダルにはしてもらいたい。彼はぼくのメダルにキスし、永遠にぼくから去るだろう』 「ごめんね、わりと時間かかっちゃった」  勇利がバスローブ姿で寝室へ入ってきたとき、ヴィクトルはベッドに横になってぼんやりしていた。 「ヴィクトル? 寝てるの?」 「……いや……」  勇利が隣にすべりこんできた。彼はヴィクトルのほうを向き、ほのかに笑った。ヴィクトルの頬にふれ、それからバスローブをはだけようとした。 「勇利」 「なに?」 「きみは俺のことをどう思っているんだ?」  勇利が目を上げた。ヴィクトルは真剣に彼をみつめた。にらんでいるといってもよい目つきだった。 「……どうって?」 「なんで俺とこんなことをする?」 「ヴィクトル、したくないの?」 「俺との関係を勇利がどう受け止めているのか知りたい」 「…………」  勇利はもぞもぞと起き上がった。ヴィクトルも身体を起こして座った。勇利はうつむき、それからヴィクトルをちらと見てほほえんだ。 「ヴィクトルはどうなの?」 「…………」 「なんでぼくとこんなことするの」  勇利が左右の手を組み合わせ、ぎゅっと握った。ヴィクトルは、その手がふるえているのを見た。  ──勇利。別れを告げようとしたのはきみだ。なのになぜ、俺のほうが去ってゆくと感じているんだ? 「勇利は何も言ってくれない」  ヴィクトルは苦しく吐き出した。 「俺が求めることに従うばかりだ。きみは自分の意思でこうしているのか? それとも、俺が望むから慈愛の精神で身を捧げるのか?」 「…………」 「どうして鍵を使わない? なぜ泊まっていかない? セックスだけすればいいのか?」  勇利はくちびるを引き結んでいる。 「とても不安だ。勇利の気持ちがさっぱりわからない。何を考えているんだ? 笑ってるだけじゃなく、ちゃんと思っていることを口に出してくれ。そうじゃなくてもきみは難しいんだから」  勇利はうつむいていた。ヴィクトルは待った。やがて勇利は口元をふるわせ、ちいさな声で「なんだよ……」とつぶやいた。 「え?」 「なんでぼくが責められるんだよ。ぼくが悪いの?」 「悪いなんて言ってないだろう。わからないと言ってるんだ。俺は勇利と一緒に目ざめた朝は一度しかない。勇利はこういうことをするのがいやなんじゃないかって──」 「自分はどうなんだよ!」  勇利が顔を上げ、激しく言った。彼の目は、透明なしずくがこぼれそうなくらいにうるんでいた。 「ぼくが何も言わないって、ヴィクトルだって言わないじゃん!」 「俺は──」 「ヴィクトルがなんでぼくとセックスするのかわかんないよ! 意味なんてないのか、遊んでるのか、交流の一環なのか、──それくらいしかぼくに価値がないからなのか!」  勇利の目から涙があふれた。ヴィクトルはあぜんとした。勇利は何を言っているのだ? 「ヴィクトルはまるで愛してるみたいにぼくを抱くから、ぼくだって混乱するじゃないか! なんでこんなことするんだろうって。何が目的なのかなって。でもこわくて訊けないんだよ! 進歩のないおまえのスケートにはうんざりしてる、性欲の解消くらいしかおまえは役に立たないって言われたらどうしようって──もうコーチやめたいんじゃないかって!」 「そんなわけないだろ……」  ヴィクトルはぼうぜんとしてつぶやいた。ますます勇利がわからなくなった。なんでそんな考え方する、ととりみだした。そういうつめたい態度を取ったことがあっただろうか? 「そんな──そんなひどいことを、俺が──」 「わかってるよ! ヴィクトルはそんなこと考えないよ! でも不安なんだよ!」  勇利は泣きじゃくった。 「ロシアに来て、クラブの人たちのスケート見て、みんなすごく上手いし、どんどん新しいことを取り入れてるし……。ぼくなんかがここにいていいのかってこわいんだよ! ぜんぜんかなわないんじゃないかって……ぼくだけ幼稚で、ぼくなんかを生徒に持ってるヴィクトルが笑われてるんじゃないかって……」  ヴィクトルはものが言えなかった。勇利は知らないのだろうか? 彼の言う「上手いクラブのみんな」は、勇利のスケートを見てうっとりしているのだ。流れるようなスケーティングに感銘を受け、ステップシークエンスの足捌きをうらやみ、彼の音楽性に魅了されている。わからないのだろうか? 「そんな中でもヴィクトルはいちばん上手で、ぼくはそれがうれしいんだけど、こんなひとをコーチにしてていいのかなって憂鬱になるし、ぼくがいなかったらヴィクトルはもっと練習できるんじゃないかとか、ぼくがもろいから気にして毎日家に呼んでくれるけど、本当はもうちょっと自立して欲しいって思ってんじゃないかとか、苦しくて……。毎日自分の動画見直して、修正できるところを書き出して、ひとりでもちゃんとできるとこを見せなきゃってがんばってるんだけど、上手くいかなくて、でもヴィクトルに抱きしめられると安心して、ぼくはヴィクトルに甘えて逃げてるんじゃないかって気がして、そんな自分がいやで、でもヴィクトルが優しくしてくれるとうれしくて、もしこのひとがぼくから離れたらぼくはどうなるんだろうって……、」  勇利の頬から、大粒の涙が次々と流れ落ちた。 「そんなことばっかり考えるんだよ!」  彼は激しくしゃくり上げた。 「ヴィクトルこそ、なんでぼくを抱いたりするんだよ! かわいそうだから? そうして寄り添わないと、ぼくがいかにも崩れてめちゃめちゃになりそうだから!?」 「…………」 「ヴィクトルはぼくにどんな自分でいて欲しいか訊いたよね。恋人がいいならがんばってみるかって。がんばれば恋人のふりもできるんでしょ? そんなつもりなくても、ぼくが望むならそういうお芝居ができるんでしょ?」  ヴィクトルは目をみひらいたまま、ゆるゆるとかぶりを振った。 「ちがう、そういう意味じゃない……あれは……」 「自分の教え子にならそんな親切ができるんでしょ……」 「そうじゃない……」  勇利の身体がひときわ大きくふるえた。 「……ぼくに訊かないでよ……どんなつもりかなんて……。こんなみじめなことしか言えないよ……」  勇利はうつむきこむと、手の甲で目元をこすり、ちいさな嗚咽を続けて漏らした。ヴィクトルは口が利けなかった。  愛していると言ったことはなかっただろうか。勇利に。──なかったかもしれない。いつも、まなざしで、しぐさで、ふるまいで伝えているつもりになっていた。勇利は「ヴィクトルの愛は知っている」と言うから、それに絶対的な信頼を寄せていたのだ。  勇利に「完全」なんてないのに。彼はいつでも不安定で──その均衡のあやうさにヴィクトルは惹かれたというのに。 「勇利」  ヴィクトルは両手を差し伸べ、勇利の頬を包んでおもてを上げさせた。勇利の幼い顔は、痛々しくおびえた表情だった。 「金メダルで結婚というのは、冗談なんかじゃない」  勇利がつらそうに瞬いた。 「俺は本気だ」  彼はひとつしゃくり上げた。 「勇利を優勝させると言っただろう? そして勇利が金メダルを獲ったら結婚だ。どちらもまじめに言ってる。俺の口から言ってるんだ。このふたつの意味、わかるよね?」  勇利が目をこすった。 「……わからないよ」  彼はつぶやいた。 「ちゃんと、はっきり言ってよ。ぼくはフィーリングとかいうので生きてないよ……」 「勇利、きみを愛してる。結婚しよう」  勇利の目から新しい涙がこぼれた。ヴィクトルは彼を抱きしめ、ベッドに倒してささやいた。 「俺は勇利のコーチだ。きみを必ず優勝させる。でも強敵がいる。ヴィクトル・ニキフォロフだ。どちらの俺も手加減はしないよ。それが俺の愛だからね」  ヴィクトルは勇利の涙を指でぬぐい、かすかに笑ってささやいた。 「勇利。ヴィクトル・ニキフォロフを倒して俺と結婚してくれ」  その夜勇利は、最初に結ばれた日以来、初めてヴィクトルの部屋へ泊まった。朝、甘い余韻を帯びながら、ベッドの中でたわむれるのは、なんという楽しさだろう。 「勇利……、一昨日の夜、誰といた……?」 「んー……?」  勇利はヴィクトルに抱きつき、裸身をぴったりとくっつけていた。ヴィクトルは彼の素肌の体温がここちよく、ひどく幸福だと思った。 「えっと……、ああ、前に話した同じアパートの人……」 「え?」  ヴィクトルはびっくりした。 「また忘れちゃったの?」  勇利がくすくす笑う。 「言ったでしょ。プロレスラーみたいな人だよ」 「いや、それはおぼえているが……」 「珍しくぼくが早く帰ったから、いつも送ってくれる彼氏にふられたのかってすごく心配してくれたんだ。ちがうって言ったんだけど聞かないの」  勇利の肩が楽しそうにふるえる。 「ぼく、一昨日ちょっと調子悪くて気が滅入ってたから、まあいつふられてもおかしくないですけど、って言ったら、ますます気になったらしくて……うちでごはん食べろって招いてくれたんだ。そのときちょうど彼の娘さんが来て、一緒に食べたの」 「あ……」  その女性の声か! ヴィクトルは合点した。 「彼女はぼくを知ってたみたい。ヴィクトル・ニキフォロフの教え子よって彼に言ったんだけど、彼はヴィクトルのことは知ってたけどぼくはわからなかった。ヴィクトルが日本のスケーターを連れて帰ってきたってあんなにニュースになってたのになんで知らないの、って彼女は大笑いしてたよ」 「そうか……」 「それがどうかしたの?」  勇利はヴィクトルの肩に頬をすり寄せて甘えた。たちそうだ、とヴィクトルは思った。 「いや……」 「あ、わかった。ヴィクトル、ぼくが浮気でもしたんじゃないかと思ったんでしょう」  勇利はゆうべの彼からは想像もつかない、明るい声を上げて陽気に笑った。 「ばかみたい」  ヴィクトルはほほえんだ。 「そうだ。ばかだ」 「なに、開き直っちゃって……」  勇利がヴィクトルの肩口を指先でなぞった。 「やめてくれ」 「どうして?」 「たちそうなんだ」 「はしたない」  言いたくないな、とヴィクトルは思った。あんなみっともないこと……。でも、言おうとヴィクトルはこころぎめをした。 「勇利、きみに白状しなきゃいけないことがふたつある」 「なに? もしかして隠し子がいるの? 何人?」  ヴィクトルはぎょっとして勇利をみつめた。勇利はくすくす笑っている。 「勇利……」 「ちがうの? じゃあもう奥さんがいるの?」 「精神攻撃をやめてくれ。ゆうべから、もう……」 「ゆうべ? ぼく、何か言った?」 「涙にはよわいんだよ」 「苦手なんでしょ」 「いや、勇利の涙にはよわいんだ」 「そう言うと聞こえがいいね。何を白状するの? さっさと言いなさい」 「ひとつめはね……、一昨日、俺はきみの部屋へ行ったということ」  勇利はきょとんとした。 「え? ぼくを待ってたの? いつごろ? いなかったよ」 「いや、部屋の前までは行かなかった。行けなかったんだ」 「どうして?」 「行き着く前に、ほかの部屋から、きみの声と女性の笑い声が聞こえたから……」  その恥ずかしい告白を聞いて、勇利はひどく長いあいだ笑っていた。ヴィクトルも笑った。いまは何が起こっても可笑しい。 「おもしろい?」 「うん、おもしろい」 「俺という男に幻滅した? みっともないって……」 「ううん、すてき……」  とりつくろいではないようで、勇利はうっとりとヴィクトルをみつめた。朝のひかりにきよらかに輝いている彼の可憐な頬のほうがすてきだった。 「もうひとつは……?」 「もうひとつはね……、きみの十二月のカレンダーを見てしまったということ……」  勇利は瞬いた。すこし考え、それからはっとし、わずかに口をひらいた。彼は信じられないというようにヴィクトルをみつめ、それからおそろしい顔でにらみつけ──、そして最後に上品にほほえんだ。 「怒らないのかい?」 「ゆるしてあげる」 「こわいな……」 「どういう意味かな……」 「いや、意味はない。とくには」 「最初にけなげな告白をしてくれたからね。そっちで帳消しにしてあげる。ぼく優しいでしょ?」 「ああ、優しい」  ヴィクトルは笑って、勇利のまくらにしていた腕で彼のつむりを抱き寄せ、髪にそっとくちづけた。 「勇利のほうは、俺に告白しておくことはない?」 「うーん……」 「いまのうちだよ。いま言ったらゆるしてあげる」 「本当?」  勇利が顔を上げた。 「本当さ」 「じゃあ言うけど……」 「なに?」 「ぼく、じつは……デトロイトにいたころ……」  ヴィクトルはどきっとした。どうやら勇利はこの機会に、本当に懺悔らしいことをするつもりのようである。何もないと信じていたから言ったのに、とんだ事態になってしまった。どうしよう。何かあったのだろうか。誰かと──親密な愛を交わしていたとか? まさか結婚していたなんてことは──。 「これはピチットくんしか知らないことなんだけど……、ぼく……、デトロイトで……」 「あ、ああ……」  ヴィクトルはごくっとつばをのんだ。 「写真立てにヴィクトルの写真を入れて、ずっと机に飾ってたんだ……そして毎晩寝るときは『おやすみ』って言ってキスしてたの……」 「…………」 「ごめんね……だから、ぼくのファーストキスの相手は、ヴィクトルなんだ……」  ……なんだ。  なんだ。  なんだ……。  ヴィクトルは安堵の深い溜息をついた。額に手を当てる。 「おまえね……」 「あははっ、びっくりした? どきどきした? 心臓止まりそうだった?」 「俺をもてあそんで……」 「いま、すっごくうろたえた顔してたね。ヴィクトルでも動揺するんだぁ……」 「いい加減にしないと……」 「ぼく、いやなやつでしょ」  勇利がヴィクトルの頬に手を当て、ぐいと自分のほうを向かせた。 「ああ、困った子だ」  ヴィクトルは彼をにらむ。 「もうこりごり?」 「そこまでは言ってない」 「本当に?」  勇利は目をほそめてほほえんだ。 「ぼくはめんどうくさくて、すぐ泣く扱いづらいやつです。コーチ、それでもぼくと結婚してくださる?」  それから数日後のある休日、勇利が家にやってきた。彼は自分の鍵で勝手に扉を開けて入ってきて、大きなトランクとリュックサックをどさっと床に置いた。 「なんだいその大荷物」  ヴィクトルはきょとんとした。 「ぼく、今日からここで暮らしますから」 「え?」 「部屋は引き払ってきた。だって結婚するんでしょ? ぼくは慎重なんだ。ヴィクトルって変なひとだし、わけのわからないこといっぱいしそう。結婚したあと慌てないように、いまから教育しておかなきゃね」  勇利は腰に手を当て、それからヴィクトルを得意げに見た。彼のきらきら輝く瞳に、ヴィクトルはいっぺんにのぼせ上がった。 「困った?」  ヴィクトルは勇利を夢中で抱きしめた。 「そういうの、大好きだよ!」
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righteoustuff · 5 years
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「過去はどうでもいい」:ハーモニー・コリンが語る、絵画、タコベル、時間論
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薄暗い9月の夜のニューヨーク。アッパーイーストサイドにある〈ガゴシアン・ギャラリー〉の前に、人びとが列を成していた。カクテルドレス姿の社交界の婦人方、そして映画を学ぶ学生たちのお目当ては、「ブロックバスター」展のオープニングに登場するハーモニー・コリン。みんな彼の姿をひと目見ようと、そしてあわよくば写真やサインをもらおうと待ち構えていた(コリンは案の定、登場予定時間に遅れてきた)。『ガンモ』(97)や『Trash Humpers』(09)などのカルト的アート映画を世に放ってきた彼は、今や〈カルト的〉という枠にとらわれないほどの人気を誇っている。そのきっかけは乱痴気騒ぎをポップに切り取った『スプリング・ブレイカーズ』(12)だろう。そしてそれ以来となるコリンの作品は、マシュー・マコノヒーがフロリダでマリファナパーティに耽溺する、壊滅的に服のセンスがない詩人〈ムーンドッグ〉を演じるコメディ映画『The Beach Bum』。ナッシュビルで家族と過ごしながら、マイアミではヘミングウェイさながらの豪奢な生活を送っているコリンの日記からそのまま引っ張ってきたような脚本だ。
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ラリー・クラーク監督の『KIDS/キッズ』(95)の脚本で一躍名を上げて以来、コリンは彼独特の世界と美学を構築するストーリーテラーとして技術を磨いてきた。彼の映画は、アメリカの暗部へと観る者を誘う現実離れした旅だ。彼が生み出す、印象深く、なぜか抗えない魅力をもった登場人物は皆、運命や選択の誤りという重荷を背負いながらも前に進む。コリンが描く不快極まりないユースカルチャーは、彼自身が体験した鬱やドラッグ依存との闘いを反映していた。米映画界きっての悪ガキは大人になった(少なくとも心機一転した)が、それでもなお彼の映画、絵画、生活はすべてつながっている。すべては同じひとつのイカれた頭脳から生まれている。だがその頭脳が今じっくりと浸かっているのは、人間の暗部ではなく、「明るいほう」のようだ。
「ブロックバスター」展もまた然り。これは廃棄されたVHSテープに描いたカラフルな絵画群で、コリンのこれまでの作品のような、抽象的なサウンドや幻覚のようなヴィジュアルとははっきりと違う。過去の幻影はもちろん消えてはいないが、しかるべき場所に収められているイメージだ。コリンはザラザラした想いや寂しい気持ちを、意味のあるものへ転化させた。その裏にある意図はこれまでとすこしも変わらない。つまり、現実がどれほど残忍で容赦なくてもそのなかに美しさを探すこと、だ。
人生の似姿としてのアート、涅槃への接近、果てなきタコベル愛をハーモニー・コリンが語る。
──ここ数年、アーティストとして作品の発表が続いています。なぜ映画ではなくアートに注力しているのでしょうか?
最近はアート制作のほうが楽しいんだ。釣りにもよく行ってる。フロリダ州のキー・ラーゴでボートを1台と、そこ用に電動ポーカーマシンを買ったんだ。マシンの横にイーゼルを置いて、1日中マシンとイーゼルを行き来してる。マウンテンデュー1ケースも用意して、ボートで島をぐるっと周って。最高のルーティンだよ。
──「ブロックバスター」シリーズはこれまでの作品に比べてわかりやすいように思いました。意識的な選択だったのでしょうか。
いや違う。僕は基本的に朝も昼もタコベルしか食べない。行きつけのタコベルの横にレンタルビデオ屋があって、そこのショーウィンドウを毎日眺めてたんだけど、置いてあるVHSのジャケットの雰囲気が良いなと思ったんだ。ひとつの大きなインスタレーションみたいで。客がいるのは見たことがないし、ジャケットにもホコリが積もってたんだけど、それが逆に、白くかすんだような美しさを与えていた。そこでVHSのジャケットに絵を描いてみようと思いついた。もちろんVHSのなかにはストーリーが収められているんだけど、それを変えて絵画で表現できるのは楽しかった。
──それって映画監督としてのあなたの仕事のやりかたにもつながってませんか? ヴィジュアルにストーリーを語らせる、脚本もどんどん変えてく、俳優に即興芝居を求める。
そうだね。あとカクテルのメキシカンウォーターも飲んでる。
──酔っぱらいそうですね…。ところで映画の話ですが、前作からかなりあいだが空いているのはどうしてですか?
もともと仕事が遅いんだ。人生を楽しんでるしね。映画づくりはかなりしんどい。今フロリダに住んでて、毎日新しいモノをつくろうとしてるけど、野心が欠けてるひともあこがれる。野心が欠けるってかなり反抗的な行動だから。ひとつの立派な人生のスタイルだ。知人に毎日ビール飲んでボート漕いでるだけの男がいてさ。よく気を失ってるけど、目が覚めてもハイ、みたいな。
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──その男性がムーンドッグのモデルなのでしょうか? 『The Beach Bum』の着想はどのように得たのでしょう?
キーウェストをぶらぶらして、常に酔っぱらってる人たちを見てたかな。
──あなたの映画作品は観客を不安にさせます。次作も同じですか?
いや、今回は観終わったあと、みんなに気分良くなってほしいと願ってる。
──あなたは時代精神をつかむことに長けています。どうやって現在起きていることに常についていってるんですか?
キッズたちの活動にワクワクしてるだけ。常に注目してる。
──現在取り組んでいる活動について教えてください。
今は主に絵画だね。あとフルーティー・ペブルス(※めちゃくちゃカラフルなシリアル)を食べてる。食べると元気が出るんだ。それから毎日タコベルに行ってチージー・ゴルディータ・クランチを注文してる。週末は趣向を変えてトリプル・ダブル・クランチラップ。食べてるあいだのBGMはCITY MORGUEとヴァイブス・カーテル。食べ終わったら詩を書いて、ぼーっとして。これこそが未来だ。
──多彩な才能を誇るアーティストとして、何かやってみたいことってありますか?
これまでいろいろやってきたからな。オペラとか? でもオペラ嫌いだからな。
──過去を懐かしんだりはしますか?
しない。過去はどうでもいい。僕は未来が好きなんだ。未来では一日中ココア・パフ(※チョコ味のシリアル)を食べられるし、シガーも吸いまくり。ダイヤモンド泥棒といっしょにジェットスキーだってできる。いまや時間は任意なものになってる。インターネットが時間を破壊したんだ。だから僕は明るいほうに歩いていってる。
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