2024年8月19日
手指6本のシーンも…マクドナルドが作ったAI広告動画に「不気味」「なぜ作った」ツッコミや批判相次ぐ(オタク総研)
日本マクドナルドが17日に自社の公式SNSアカウントに投稿した「生成AI」を活用したプロモーション動画に賛否やさまざまな意見が寄せられている。
映像はXアカウントなどで公開されており、本日8月19日(月)から始まる「マックフライポテト」の250円セールを告知するために作成されたもの。音楽に合わせて「お得に食べられる」ことを伝える内容になっているのだが、その映像には画像生成AIが用いられているという。
映像には実写を思わせる若い女性が数秒おきに登場するものとなっており、AIクリエイターを名乗る架空飴氏がイラスト生成とアニメーションを担当している。全編見られるので実際に見ていただきたいが、それぞれのカットのアニメーションはほとんど動いておらず、若干揺れているように見せるモーションとズームイン/アウト程度のものだった。
加えて、一部のカットには不必要な物体が映り込んでいたほか、ごく一瞬のシーンだけ女性の左手の指が6本あるなど、視聴者からは「不気味」などとの感想が寄せられていた。
画像生成系のAIは近年急成長を遂げる一方、その出力結果が「不気味の谷」に陥りやすいことが知られている。不気味の谷はロボットやAI等の人工物が人間に似せる過程で、ある時点で急激に嫌悪感や不気味さを感じる現象を指し、「指6本」といったわかりやすいものだけでない、全体から感じる雰囲気も「不気味さ」を醸し出す要因になっているようだ。
このほか、今回のように生成AIをクリエイティブ、特に広告類に用いることへの是非も寄せられており、同投稿はリポスト数よりも引用投稿の数が多いほどに議論を呼んでいる。
生成AIは高品質なコンテンツを出力するために多くの学習データを要する。特に画像分野では学習に他者のイラスト、写真を用いることが多いほか、生成物の著作権を巡る日本の現行法などの現状から、クリエイターが多く活動するXでは「AI派」「反AI」とも称され、幾度となく議論が交わされている。
また、映像クレジットの表記について、18日現在、作成者の「@メンション」が無効になっており、マクドナルドや関係者も批判的な意見が寄せられることを予知していたとの指摘もあった。さらに、一部では「広告代理店の実績作りにやったのではないか」との可能性も予想されていた。
「気持ち悪い…」「マックもAIかよ」マクドナルドの「AI広告」が炎上。「お~いお茶」や「AQUOS」は許されたのに…なぜ人はAIに嫌悪感を抱くのか検証してみた(東洋経済オンライン 8月20日)
AIクリエイター架空飴(Kaku Drop)氏が手がけた日本マクドナルドのAI広告。AIで生成された美少女が多数登場する(画像:日本マクドナルド公式Xより)
8月17日に日本マクドナルドが公式X(旧Twitter)上にアップした、マックフライポテトのプロモーション動画が批判を浴びている。
この動画は、生成AI(人工知能)を活用して制作されたものだが、X上では、「気持ち悪い」「買う気がしなくなった」といった批判がされている。動画への批判を扱ったネット記事に関しても、そのコメント欄には同様な意見が多く、擁護的な意見は少数だ。
広告の業務にAIを活用するのは、いまや一般的になっている。その活用方法には、大きく2つの方向がある。
1. データを活用した業務の効率化
2. 広告表現の制作
前者に関しては、個人情報の活用に関して批判されることはあるものの、インターネット広告を中心にすでに活用は一般化しているし、広く受け入れられてもいる。
■最近、批判が起きたAI広告
最近批判を浴びているのが後者のケースだが、広告表現の制作に生成AIを活用している事例も、すでにいくつも存在する。今回のマクドナルドのケースのように、批判を受けることもあるが、好意的に受け入れられる場合も多い。
最近の主な事例としては、下記が挙げられる。
<批判を受けなかった事例>
伊藤園「お~いお茶 カテキン緑茶」(テレビCM)
大日本除虫菊「キンチョール「ヤング向け映像」篇」(テレビCM)
シャープ「AQUOS」(テレビCM)
マッチングアプリ「オタ恋」(インターネット広告)
<批判を受けた事例>
映画レビューサイト「Filmarks」(動画広告)
米GoogleのAI「Gemini」(パリ五輪向けテレビCM)
米トイザらス(動画広告)
同じAIに寄る広告でも、人びとから受け入れられる表現と、批判を受ける表現が生じてしまうのはなぜなのだろうか?
上に挙げた事例も読み解きつつ、その要因を解明してみたい。
■なぜマクドナルドの広告は叩かれた?
AIによって生成された広告への批判的な意見として、下記のようなものが挙げられる。
表現(映像・画像)のクオリティに関する批判(「不自然」「人工的」等)
「不気味の谷現象」(人間に近い“人工物”への嫌悪感)
AIが表現活動を行うことに対する違和感や抵抗
AIに仕事が奪われることに対する懸念や反発
今回のマクドナルドの動画に対する批判は、1と2に関するものが目立つ。1と2は相反するように見えて、表裏一体だ。
実写と比べるとリアリティに欠けるため、人は「不自然」��親しみが湧かない」という感情を抱く。一方で、アニメやマンガとは異なり、実物の人間に近いがゆえに反発を覚えてしまうという側面もある。
なお、「不気味の谷現象」とは、ロボット工学者の森政弘氏が提示した概念だ。
ロボットが人間に近づくほど、人は親しみを覚えるが、人間に近づきすぎると、急速に「不気味」に感じる現象のことを示している。ロボットに限らず、AIが生成した“人物”に対しても同様の現象が起きていると見られる。
実際、批判を受けた米トイザらスの動画も、マクドナルドと同様に1、2の批判を受けている。
一方で、伊藤園「お~いお茶 カテキン緑茶」、シャープ「AQUO」、マッチングアプリ「オタ恋」の広告も人物のイメージをAIで生成しているが、激しい批判は受けていない。
たしかに、「お~いお茶」や「AQUOS」の広告は、テレビCMとして放映されるだけあって、普通に見ていても実写と区別できないくらいクオリティが高い。「不気味の谷現象」を超えて、視聴者が違和感を持ちにくくなっていることもあるかもしれない。
「オタ恋」の広告はまったく逆で、一見していかにも不自然な印象を受けるのだが、逆にそれがネタになって人びとに受けたという側面があるだろう。
マクドナルドの動画は、Xに限定して配信していることを考えると、AI広告の反応を見るためのテストマーケティング(実験)的な意味があったと考えられるし、ある程度の批判が来ることは予想していたようにも思える。ただし、ここまで反発を受け���とは考えていなかったのではないだろうか?
���い話になるが、2011年にCGを活用したタレントがテレビCMに登場している。江崎グリコの「アイスの実」のCMにAKB48の“新メンバー”として登場した江口愛実だ。彼女は他の選抜メンバーを従え、いきなりセンターのポジションで出演して、大きな話題となった。
「江口愛実はCGではないか?」という論争は当初から巻き起こっていたが、後日、江崎グリコ社から、江口愛実は他のメンバーの顔のパーツを合成して作られたCGであることが明らかにされた。
このときも、賛否両論の議論が巻き起こったが、最終的には「炎上スレスレの成功事例」とされている。
ただし、いま生成AIを使って同じことをやったら、「炎上」で終わる可能性が高い。世相や人の気持ちをAIで読み解いて、反応を正しく予測することは、現段階ではできていないようだ。
■批判されるAI広告の特徴
マクドナルドの動画においても、上記3のAIが表現活動を行うこと、4のAIによってタレントやクリエイターの仕事が奪われることに疑問を抱く声も見られた。
映画レビューサイト「Filmarks」のAIを活用した広告では、ハリウッドで起きているストライキを理由に批判する意見が目立っていた。ハリウッドのストライキでは、AIによって仕事を奪われることを恐れた俳優や脚本家が、AI利用制限を求めていた。
広告表現の是非以前に、映画レビューサイトが、映画業界の仕事を奪いかねないAIを活用して広告を作ることに対して映画ファンの反発を招いたのだった。なお、批判を受けたFilmarksの動画は取り下げになっている。
GoogleのAI「Gemini」のテレビCMでは、五輪選手にファンレターを書こうとしている娘を持つ父親が、Geminiにファンレター執筆の手伝いを頼むという設定になっている。
当然のことながら、「(人の気持ちを伝えるものである)手紙の執筆をAIに頼むのは不適切だ」といった批判が相次いだ。
AIで作られた広告ではないが、米Appleの「iPad Pro」の動画広告「Crush!」では、巨大プレス機が楽器、芸術作品、カメラなどを押しつぶすシーンが大きな批判を浴びている。
「人間的なもの」を否定する表現、「人間性が感じられない」表現が、広告に限らず反発を受けてしまうのは、当然と言えば当然のことである。
AIを活用した広告で人びとから評価されているものは、どこか面白かったり、親しみが持てるものだったりする。
■AI活用の際に覚えておきたい「マクナマラの誤謬」
話は変わるが、NHK『映像の世紀 バタフライエフェクト』シリーズで、昨年5月に「ベトナム戦争 マクナマラの誤謬」が放映された際に、筆者の知り合いのマーケター数名が、SNSで本番組に共感する投稿を同時に行っていた。
マクナマラは、米国防長官を務めた軍事エリートで、データを駆使してベトナム戦争を戦ったが、敗北してしまった。マクナマラは、データの裏側にあるベトナム人の愛国心や戦意、アメリカ人の反戦感情が見えていなかったのである。
将来的にAIがどの程度まで進化するのかは完全な未知数だ。しかしながら、広告に限らず、人びとの心を動かす表現を生み出すためには、背後にある「人の気持ち」を汲み取る能力が必要となる。このことは、技術の進化にかかわらず、不変の真理であるはずだ。
中古販売店で「CCCD」を見つけた!買っても大丈夫?パソコンの取り込み時や再生時に壊れない?(オトナライフ)2024年8月19日
(画像は「ビクターエンタテインメント」公式サイトより引用)
先日、筆者はとある中古店で「コピーコントロールCD(CCCD)」を見つけました。CCCDとは00年代に流通したコピー防止技術を取り入れた音楽再生媒体の1つ。厳密には「CD」の規格とは異なる媒体です。
大塚愛さんやロックバンド「ASIAN KUNG-FU GENERATION」といった国内の有名アーティストの作品から男性アイドル、洋楽では00年代にリバイバルヒットしたQueenのベストアルバムまで、CCCDでリリースされたシングルやアルバムは多数に及びます。
こうしたアーティストの作品を愛してやまない方は、いまでも当時リリースされたCCCDを手に取ってしまう機会があるかもしれません。厳密には「CD」とは言えない「コピーコントロールCD(CCCD)」。CCCDは買っても大丈夫なのでしょうか?
CCCDとは?CCCDで発売された有名な作品の例
Queenの「クイーン・ジュエルズ」(画像は「Amazon」公式サイトより引用)
前述の通り、CCCDは00年代に主に流通したコピー防止技術を取り入れた音楽再生媒体です。厳密には音楽用CDの規格とは異なる媒体であったため、CCCDの登場以前に発売されたCDの再生機器では「正常な再生が保証されない」ケースが多発しました。
CCCDでリリースされた代表的な作品としては、たとえば2004年の月9ドラマ「プライド(木村拓哉さん主演)」の主題歌が収録された、Queenの「クイーン・ジュエルズ」が挙げられます。このベストアルバムは累計170万枚という爆発的なヒットとなりました。
J-POPでは、まずBoAさんの「Every Heart -ミンナノキモチ-」が国内初のCCCDとして有名です。その他、たとえば大塚愛さんのヒット曲「さくらんぼ」のシングルがCCCDでリリースされたことで有名です。
またASIAN KUNG-FU GENERATIONのメジャーデビュー後初のシングル「未来の欠片」もCCCDでリリース。
(画像は「ASIAN KUNG-FU GENERATION」公式サイトより引用)
なおASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さんは後年、自身のブログで「我々は当時、CCCDで『未来の破片』をリリースする際、本当に納得できないのなら自主レーベルを作って自分達でいちからやることだってできたんだ。でも、何年もかかってようやく辿り着いたメジャーとの契約を破棄する度胸はなかった。」と振り返っており、CCCDでのリリースに葛藤があったものと推察されます。
CCCDは「音楽用CDの規格に準拠していない」ため中古でも要注意
00年代に波紋を呼んだ「CCCD」ですが、2024年現在でも音楽CDを取り扱う中古店では「通常のCD」に混ざるようにして店頭に並んでいるケースがあります。CCCDを中古で購入してCDプレーヤーで再生したり、パソコンでリッピングすることに危険性はないのでしょうか。
結論から言えば、CCCDは「音楽用CDの規格に準拠していない」ため中古でも要注意です。
通常のCD規格であるCD-DAとは異なり、CCCDはエラーデータを意図的に含むことで、パソコンでのリッピングやコピーを防ぐ仕組みになっています。よって「CDの再生機器」では「CCCDの正常な再生」は保証していない場合が多く、故障を誘発するリスクがあります。
たとえば2002年にはカシオが自社のCD再生機でのCCCDの再生について「動作や品質の保証はしかねる」という警告を公式サイト上に掲載しています。なおこうした問題は2004年には衆議院の国会質問で取り上げられ、問題視されるほど大きな騒動となりました。
■消費者契約法に基づく問題点
00年代当時、CCCDが再生できない場合や機器に故障が発生した場合でも、レコード会社や業者は返品や返金に応じない姿勢を見せていました。この点について、2004年には民主党の川内博史衆院議員(当時)が「消費者契約法上、問題があるのではないか」という内容の質問状を政府に提出しています。
消費者契約法では事業者側に故意や過失がある場合、消費者は損害賠償を請求できます(消費者契約法第8条)。CCCDが再生できなくとも返品や返金に応じないのは、消費者契約法に基づいて考えると「おかしい」という見方もできるでしょう。
つまり法的な観点でも問題点を抱えており、政界でも問題視された媒体であると言えます。たとえ中古であろうと、少なくとも通常のCD-DAよりCCCDを優先して購入する理由はないでしょう。
■「くるり」の岸田繁さんはCCCDによる「CDコンポの故障」「音質劣化」を問題視
ミュージシャンの間では「音質の悪さ」や「CCCDの再生によるコンポの故障」を問題視する声もあります。
(画像:「岸田繁さん(@Kishida_Qrl)」Xの投稿画像から引用)
たとえばロックバンド・くるりの岸田繁さんは2016年6月にTwitter(現X)で、CCCDの音質の悪さをめぐってレコード会社と対立したことを告白。岸田さん自身もCCCDにより自宅コンポも故障したとも明かしているほか、一連の投稿の中で「結局出したらあかんモンを出したら負け。勝ち負けやないけど、本気で譲れへんもんを譲ったら負け。」とも述べています。
■CCCDのセキュリティ上の問題
CCCDはセキュリティ上での重大な問題も抱えていました。2005年、ソニーBMG製のCCCDにマルウェアの類似する技術が仕込まれていたことが問題に。この問題は、セキュリティ企業F-Secureが指摘したもの。具体的には2005年3月からソニーBMGがCDに採用していたコピー防止技術が、マルウェアの一種であるrootkitに極めて近しい技術であるというものでした。
この問題はアメリカ全土で訴訟に発展しました。SONY BMGはマルウェア類似技術を採用したCDを2005年に1200万枚以上販売したと言われており、中古輸入盤の形でその一部が日本で流通しているおそれもあります。
CCCDでリリースされた作品は「再販」されているケースも多いので通常のCDで購入しよう
このように再生機器やパソコンのCDドライブが「CCCD」を想定して設計されておらず、CDコンポに故障リスクがあることや、法的な問題、セキュリティ面での問題などCCCDは多数の問題を抱えていました。
つまりCCCDは中古販売店でCDの棚に並んでいようと、規格上は正式な意味での「CD」とは言えないでしょう。つまり音楽CDをお求めの方には、中古CCCDの購入は必ずしもおすすめできません。
CCCDでリリースされた作品は後年CD-DAとしてもリリースされたものや、長い年月が経ったことでリマスタリングされたうえで再販されたケースもあります。たとえばロックバンド「L’Arc~en~Ciel」のアルバム「SMILE」は2004年に国内で、CCCDでリリースされました。しかし同作は米国でもリリースされ、米国盤はCCCDではなくCD-DA盤で販売されました。
また同作は2022年にリマスタリングされ、2024年現在はダウンロード配信などで楽しむことができます。このように「CD-DAとして再販されたものを探して購入する」か「同じ作品をダウンロード配信で楽しむ」ことを基本的にはおすすめします。
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