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okdsgr · 9 months
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パイロットの話
https://goo.gl/jbcg4v https://goo.gl/JVEbYM  ------------------------ 三菱重工MHI名古屋航空宇宙システム製作所のテストパイロットの読み物です。 圧倒的な非日常の世界を仕事場にする選ばれた男たちの世界の話です。 マッハの世界なので、大戦期のレシプロ機のエースたちの手記とはまた違った凄み、つまり怖さがあります。 MHIのサイトで閲覧できなくなっていて一部のみのログが残っているのみなので、消えてしまう前に原文まま転載します。 おそらく今後読むのことが難しい作品を、このような形ではあれ広く読めるようにしていくことは、ささやかではありますが意味のあることではないかと思っています。ですから「関係各位」も大目にみてくださったら、ありがたいなあ(敬具)と思っています。
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コックピットから その1 「超音速飛行 GO GATE」 「BINGO」
【超音速飛行 GO GATE】
高度40000フィート速度0.95マッハこれが音速への入り口です。 この付近は遷音速域と言われ、機体の一部分ではすでに音速を超える部分も出てきています。このため飛行機によってはやや不安定な動きをする場合があります。当然パイロットにはそれに対応するために、特別な操舵が必要となります。
例えば、F-4では縦の静安定が逆転します。
飛行機は通常、加速をすれば機首が上がってきます。逆に減速すれば機首が下がってきます。これを縦の静安定が有ると言います。
F-4も音速以下もしくは音速以上では同じ特性があります。しかし遷音速域ではこれが逆転します。加速すれば、機首が下がろうとして、減速すれば、機首が上がろうとします。
具体的イメージが湧かないと思いますが、例えば、超音速飛行で右の5G旋回をします。旋回をすると抵抗が増えますので飛行機は徐々に減速します。減速してくると普通は、機首が下がろうとしますので、パイロットはさらに操縦桿を引きます。しかし、音速を切った瞬間、その特性が逆転します。
同じ力で操縦桿を引いているとパイロットの入力+飛行機の機首上げ特性で飛行機には、突然、パイロットが予想もしていない大きなGがかかってしまいます。G制限ぎりぎりで運動しているような場合はこれだけで飛行機が壊れてしまいます。ですから、超音速状態で敵に遭遇して空中戦に入った場合は、自分の速度に注意しながらの操縦をしなくてはいけないのです。
お話を音速飛行に戻しましょう。
左手のところにあるレバー(スロットル)を最大パワー位置にします。
戦闘機の場合、最大パワーは2種類あります。(謎笑)
1つは、エンジンの最大回転数を得られる位置です。民間機などでは離陸の時などに使われます。戦闘機乗りは、「BUSTER」と呼びます。技術屋さんは、MIL(ミリタリー)位置と呼びます。
しかし、戦闘機のエンジンにはさらにその上があります。(笑)
この位置は、エンジンの回転数はそのままで、エンジン排気口にさらに燃料を流し込みます。これによって、燃料流量は2倍になり推力が1.5倍ほどになります。これを「GATE」と呼びます。もしくは、MAX(マックス)と言います。
スロットルをこの位置にします。エンジンの排気口には、大量の燃料が再投入され、エンジンノズルが段階的に開いて、アフターバーナーが正常に着火したことを知らせます。
これに伴い、飛行機は急激に加速を始めパイロットを座席に押し付けます。燃料流量計が読み取れない速さで増加していきます。昇降計が小刻みに上下に震え始め、高度計も何を示そうか迷い始めます。
次の瞬間、突然高度計が激しく回り始めて大気の状態をモニターしている、エアーデーターコンピューターが計算が追いつきませんと警報を出します。しかし、目を速度計に移すと機体が音速を超えたことを何も無かったかのごとく平然と示しています。
これが超音速への第1歩です。
50年ほど前まではここまでが人間に許された最大速度でした。多くの勇敢なパイロットたちは壁の向こうを覗いても帰らぬ人になっています。そして、チャック・イエガー氏が最初にこの壁の向こうから帰ってきた男なのです。
しかし、現在はスロットルさえ前に出せば誰でも簡単に訪問できる世界になりました。知識も経験も勇気も必要ありません。玄関ドアを開ける程度の力があれば、音速を超えられるのです。これが、技術者の努力の結果なのでしょう。
音速を超えた飛行機は益々元気になって加速を続けます。後ろを振り返ると、濃紺の空に自分が引いてきた飛行機雲が白い1本の線としてくっきりと見えます。コックピット内もちょっと静かな気がします。何しろ、音より速く飛んでいるのですから!(笑)
機体近傍に目を向けると、自分の横に衝撃波が立っているのが観察できます。それでも、飛行機はさらに加速します。
1.2マッハ付近では飛行機はとても安定しています。あたかも硬い氷の上を滑っている感じです。振動も騒音もありません。対象物が無いので、速度感もありません。ただ青い空が広がるだけです。 多くの飛行機は1.5マッハ付近から、機体を守るために各種リミッターが作動し始めます。
これによってペダルや操縦桿が重くなったりエンジン回転数が変化したり機体全体の特性が著しく変化します。
また、この付近で機首を30度ぐらい引き上げれば、減速しながらも80000フィートぐらいまでは簡単に上昇してしまいます。そこはもう濃紺の宇宙空間です。
高高度のお話は別の機会にまわして今回は、そのまま加速します。
1.8マッハ付近になると、機体が「ギシギシ」ときしみはじめます。機体の色々な場所から短い金属音が出始めます。
この辺の燃料流量は、F-15などでは80000lbsPPH。消防車で、水を撒く程度の燃料を燃やします。
さらに加速していくと金属の焼ける臭いがしてきます。
「いやーこれはやっぱ限界だねーこれ以上行ったら分解?」
こんな思いが脳裏をかすめます。その頃には、すでに音速の2倍以上で飛んでいます。
特別な戦闘機を除き速度限界は2.2マッハです。時速2600キロメートルぐらいでしょうか。
この速度は名古屋~東京間を約8分で通過しますが、これ以上に加速するとアルミ合金が熱によって強度を失います。言い換えれば熱によって機体が融けてしまうのです。ちなみに、飛行機は車と違って最大パワーのままにしておくと、機体が分解するまで加速してしまいます。
【BINGO】
加速開始から、約3分飛行機は「BINGO」と叫びます。「燃料がありましぇーん!」と言っているのです。
そこで、スロットルをアフターバーナーレンジから通常レンジへ引き戻します。しかし、飛行機はこれを無視するかのように超音速飛行を続けます。エンジン回転数もスロットルをIDLEにしているにもかかわらず最大回転数を維持しています。燃料計はみるみる下がっていきます。
「このままでは飛行場まで帰れなくなる!なんとかしなくてはー」
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コックピットから その2 「BINGO」 「ZOOM UP」 「BLACK OUT」 【BINGO】
さて、今回は超音速からの帰還のお話です。 超音速飛行でスロットルをIDLEにしてもエンジン回転数は100パーセントです。車で言えばアクセルから足を離してもフルスロットルでエンジンが回り続けているようなものです。飛行機は「BINGO」を叫んでいます。
【ZOOM UP】
しかし、このままでは本当に燃料が尽きてしまいます。そこでなんとか機体を減速させなくてはいけません。 まず、頭に浮かぶのはスピードブレーキです。F-15の場合は機体上面に畳1畳ほどの板を立ち上げて空気ブレーキを使います。しかし時速2,000キロメートル以上の向かい風で畳を立てるのには、かなりの力と強度が必要です。 そこでF-15の場合は高速では僅かしか開きません。このため効果はそれなりです。次に別の方法を考えます。飛行機は3次元を運動しています。そこで今度は速度のエネルギーを高度に変更します。坂道を自転車で登るときに坂道の手前で加速してからかけ上がるのと同じです。飛行機の場合は操縦桿を手前に引いて自分の前に上り坂を作って減速させるのです。
ここで、高度のお話をしてみましょう。 このあたりの高度では水分はすでにありません。ですから雲もありません。生命活動もありません。ただ無限に広がる濃紺の孤独で静寂な空間です。頭上を見ると単にギラギラ輝く太陽、眼下を見ると水色の丸い地球とそれを包む薄い大気と白い雲が見えるだけです。一言で4万フィートと言いますが、約12キロメートルです。この高度はもうどんなに頑張っても人間が生活できる環境ではありません。-56℃1/7気圧、すでに飛行機はこんな中を飛んでいます。 ここで機外に放り出されると「ちょっと寒いじゃん」って思っているうちに血液が沸騰して体の中は泡だらけになっています。これはかなりきついかもしれませんね!でもご安心を!酸素も無いので有効意識時間は5秒程度ですから「あれー?なんか変」と感じる時にはすでに黄泉の国に旅立っています。ですからパイロットにとってこの場所で一番怖いのはキャビン圧の漏れなのです。急激に減圧されればだれでも気がつきますがちょろちょろ漏れると知らず知らずのうちに意識がなくなっています。世界的には、今でも減圧もしくは酸素欠乏に起因するであろう高高度事故が時々報告されています。 半宇宙旅行を楽しんでいると、飛行機は音速を切ってくれます。そこで降下に移ります。飛行機は上昇するより、降下するほうが何倍も大変なのです。スピードブレーキを開いて、パワーを最少にして降下を始めます。ここで降下角を大きく取るとまた音速を超えてしまうので速度計を見ながらの降下になります。先ほど実施したズームアップは弾道飛行で、空気のほとんど無い所を飛んでいますから操縦は思うようにはできません。操縦桿はスカスカ状態です。だましだまし降下を続け、3万フィートを切ると、飛行機は俄然元気になります。エンジンパワーも操縦感覚もグライダーから戦闘機に劇的に変わります。
ついでに衝撃波のお話もしてみましょう。空気は音速よりも速く圧力変動を伝えることが出来ません。このため音速よりも速い物体が空気中にいるとエネルギーが溜まった壁が出来あがります。これが衝撃波です。何らかの原因でこの衝撃波が減衰前に地上に伝わるとドカーンドカーンと2回音がして窓ガラスが割れるような現象を発生させかねません。ですから超音速飛行試験は小松から北へ200キロメートルも沖合に出て細心の注意を払いながら実施されています。
【BLACK OUT】
さて、ここで元気になった飛行機の操縦特性を見てみようかとGをかけてみます。90度バンクに入れてスティックを手前に引いて、2G、3G、4G「うん、すごっく調子いいじゃん」さらに5じー6じー…ん? 「あれー?目が、目が見えなーぃ!まっくらだー!」
さて、今後の運命やいかに!次回に続く!
------------------------ コックピットから その3 「BLACK OUT」 「VERTIGO」 【BLACK OUT】
戦闘機の命は機動性です。 いかに相手よりも素早く動くかで勝負が決まります。この機動性を決定するた��の大きな要素の1つがG(ジー)です。Gとは地球の重力加速度をあらわす単位です。それではG変化はどのように感じるのでしょうか。私の体験からご説明しましょう。 皆様が日常体験できるG変化ではエレベーターがありますが、多分これで0.1G程度の変化だと思います。もし興味があるならば、体重計をエレベーターに持ち込んで測定してみてください。0.1Gの変化でも体重が1割増減する筈です。 飛行機に話を戻しましょう。民間の飛行機に乗って旋回時に感じるGは最大でも1.2G程度です。しかし戦闘機ではちょっと操縦桿に触るだけで1.5Gぐらい簡単にかかってしまいます。2GになるとGスーツが膨らんできてGがかかり始めたかなという感じでなかなか心地よい雰囲気です。ジェットコースターなどでは最大2~3G程度かかるようですので普通の人でもこれぐらいまでは許容されるのだと思います。3Gは戦闘機が上空で動くときの基本Gです。
2Gから膨らむGスーツはパイロットの下半身を圧搾空気によって締め付けるためのものです。Gがかかると血液は下に下がって脳に血が行かなくなります。これを物理的に防止するために下半身をしめつけて血液の降下を防止しています。Gスーツは1.5グラム程度の耐G能力を上げると言われています。
さて次は4Gです。これ以上はやはり戦闘機でなくては体験できません。通常の飛行機はこの辺で翼が折れてしまいます。 4Gは簡単なアクロバットなどをする場合にかかります。下腹にぐっと力を入れていれば特に問題はありません。さらに5G宙返りなどのアクロバットにはこの程度のGを使います。体全身に力を込めて頑張ればそれなりに耐える事ができます。そして6Gこの辺からやはり人間の構造的限界が自覚できます。ちょっと気を抜くと視野が狭くなって景色が白黒になってきます。これは目に十分な血液が供給されなくなっていることを示しています。「グレイアウト」と呼びます。
そして7G。ここからは根性との勝負です。 Gスーツはギリギリ下半身を締め付けます。体の力を抜くとブラックアウトと言って目が全く見えなくなります。そこを根性で頑張ります。操縦桿を持つ右手の二の腕でピシピシと音がして毛細血管が切れるのが分かります。何しろ自分の体重の7倍が体中にかかっているのです。 さらに8G。この辺の1Gの変化は劇的です。まず息が出来ません。まぶたも重くてあけているのがやっとです。 そして9Gもう本当に限界です。生きているのがやっとです。あと0.5G増やしたら心臓もお休みしてしまいそうです。9Gはすでに拷問です。「なんでもするから許してー」と叫びたくなります。まあ息はしていないので唸り声しか出ませんがね!(笑)
現在ここが戦闘機の限界です。 いや戦闘機の限界ではなく人間の限界です。戦闘訓練を終えて降りてくると腰は痛いし首は動かないし肩にはくっきりとハーネス痕が残り、足の裏・ふくらはぎ・二の腕など軟らかい部分は内出血しています。いやーまともな商売ではないなーと感じる時です。
しかしここで一番危険なのは意識喪失です。急激にGが立ち上がると人間の体はついてきません。こうなると脳に血液が突然行かなくなるので意識を失う感覚も無く、瞬時に意識を失います。戦闘機乗りが一番恐れている現象です。
マイナスGはさらに愉快です。 この状況を作るにはスティックをちょっと前に押します。普通の人は+0.5G程度で降参します。0Gで目の前で鉛筆が浮かんでいます。体の中身も浮き上がるので食後には気分のいいものではありません。 スティックをもうちょっと押します-1Gです。逆立ちをしているのと同じですごみなどの固定していないものはすべて頭上のキャノピーに張り付きます。そして-2G。これはもう限界です。頭に血が集まるためにひどい頭痛がしてきます。さらに-3G。飛行機はここが限界です。人間は限界を過ぎています。数十秒間この状態が続くとレッドアウトといって景色が真っ赤になって目から血が噴出します。ですからパイロットはこの状態をあまり好みません。 多くの飛行機の戦闘ゲームがありますが、これで実機と一番違うところは押し舵を操縦者が多用することです。もしこの種のゲームを愛されておられる方がおられましたら一度押し舵を使わないで戦闘してみてください。そうすればより実戦的なゲームが楽しめると思います。
【VERTIGO】
さーって、飛行機の調子も良いし帰ろうかなーん?なんかいつもと景色が違う?なんで姿勢指示器が裏返しなの?飛行機壊れた?いーえ、あなたが壊れています。
さて、今後の運命やいかに!次回に続く!
------------------------ コックピットから その4 「VERTIGO」 「Fingertip」 【VERTIGO】
バーティゴは空間識失調と言われています。 パイロットはこの現象から逃れることはできません。どんなベテランでも必ず陥ります。上と下が分からなくなるのです。いや分からなくなるというより間違って認識してしまうのです。 今あなたにとって下はどっちですか?足元が下ですよね!なぜかと言えば地球があなたを引っ張っているからそう思っているのです。この感覚が飛行機を操縦する上では大きな障害となってきます。飛行機は3次元を自由に運動します。運動するとそれと反対側に遠心力が働きます。人間はこの力と重力との合成を重力として感じてしまいます。そこで運動の外側が下だと勘違いするのです。 大型民間機の中央の座席に座って離陸時に「すっごーい急上昇!」と思ったことはありませんか?これも一種の勘違いです。前進する加速度をお客様は背中で感じます。するとその加速度と重力の合成が腰の付近に感じるのであたかも急角度で上昇しているように思ってしまうのです。ここで窓の外をちらっと見ると自分が思っているほど急角度で上がっていないのがすぐに分かります。
私の実体験では雲がポツポツある日、空中戦訓練を終了して帰る時に何か景色が記憶と違うのです。確か雲は下だったのに今は自分の頭の上にあります。お天気が変わったのかなーと思いながら姿勢指示器を見ると背面姿勢です。「そうかぼくは上と下を間違えてたのねーぇ!」この場合、飛行機は地上に向かって背面で2G降下をしていたのです。 これだとちゃんと床方向に1Gかかっていますので感覚的に全く違和感はないのです。水平飛行と2Gの背面との区別がつかないのです。このとき私は海と空をも見間違えているのです。地上では海の方が空よりも青いのですが上空では空の方がはるかに青いのです。人間一旦信じ込むとなんでもそれが真実だと感じてしまうのです。
ちなみにこの写真を見て違和感を感じますか?背面飛行しながらOKサインを出しているように見えませんか?もしそう見えたらあなたはすでにバーティゴです。 ではこの勘違いを防止するためにはどうしたら良いのでしょう。それは常に計器を信じる事です。しかし計器も機械ですので壊れているときもあります。「そんじゃーどうするのー?」それでも計器を信じます。
飛行中、自分の姿勢を知るためには姿勢指示器が一番簡単です。外界が見えようと見えまいとこの計器は常に飛行姿勢を示しています。しかしパイロットはすぐには信じません。次に高度計を見て高度変化を確認して次に高度計を確かめるために昇降計をチェックします。そこで何か疑いがあれば次に速度計エンジン計器などもチェックします。 飛行機には沢山の計器がついています。そして各々は別々の情報を指示しますが何らかの関連をもっています。速度計と高度計は別物ですがパワーをいじらずに上昇姿勢にして高度を上げれば必ず速度は減ります。それなのに速度に変化がなければ必ず何かがおかしいのです。 このようにして飛行中は常に多くの計器から1つの真実をいつも探り出そうとしています。そしてその結果が自分の感覚と違っていても計器を信じて自分を否定しなくてはならないのです。
命がかかっている時に自分の感覚や信念を曲げて機械を信じて行動することは至難の業です。それも数秒のうちに判断しなくてはいけません。10秒も悩んでいたら飛行機はすでに取り返しのつかない領域に入っています。飛行機に許されている余裕時間は2秒です。何かが発生して2秒以内に正しい手順を実施すれば故障で飛行機が落ちないようには設計されています。
車で、ここでは感じとしては右に曲がらなくてはいけないんだけどカーナビは左に行けと言っています。この場合あなたはどちらに曲がりますか?まあ、車ならどちらを選んでも「なーんだやっぱ違うじゃん!」って思った時に止まってやり直せますが、飛行機ではそうはいきません。「なーんだ、やっぱ違うじゃん!」って思った時には全てが終わっています。 空間識失調は訓練では克服できません。どんな訓練をいくらやっても結局上下は分かりません。そこでパイロットはいかなるときにも計器を信じるように訓練します。先ずは机上で教育を受け次にシミュレーターで訓練しそして実機で外界の景色を遮断して徹底的に訓練します。だからこそ計器の誤差や故障は許されないのです。 フライトを終わって「この飛行機ここが変だったよ!」と報告しているときに「あーそれは単に計器の故障ですよ!」ってなことを言われるとパイロットが血相を変えて怒るのはこのためなのです。(笑)
【Fingertip】
Fingertipは戦闘機の基本隊形です。手の指をくっつけた時の親指以外のつめの位置が各機の位置です。この隊形で離陸をしてアクロバットもこなし雲の中も飛んで着陸までします。この間ウイングマン(2番機)はリーダー機しか見ません。特に若いパイロットは他を見る余裕などは全くありません。 「このリーダー超へったくっそーいつまで旋回するの?疲れちゃうよー!」こんな思いが頭に浮かびます。 しっかーっし!これもあなたがまたまたバーティゴです。
さて今後の運命やいかに!次回に続く!
------------------------ コックピットから その5 「IN Popeye」 「HOME BINGO」 【IN Popeye】
ポップアイ?出目金のお話ではありません。セーラーマンのお話です。 雲の中を飛行していることを「インポパイ」と言います。雲の中では何も見えません、多分牛乳のプールの中に潜ってる感じだと思います。(私はそんなプールに潜ったことないので正確に比較はできませんが…笑)
ここで雲のお話をしましょう。 雲は雲があるのではなくて空気の乱れがあるから雲に見えると言ったほうが良いかもしれません。川でいえば瀬に白波が立ちます。これは白波があるのではなくて、流れが乱されて白波に見えるのです。空気の場合も同じで、流れが乱されると雲ができます。 このため雲の中は気流が乱れているので回りとは性質が全く異なります。それでは頑張って雲の中を飛んでみましょう!
目の前に雲が迫ってきます。キムタクはドラマの中で「雲の頂点が左に流れているから風上側の右に迂回する」と言っていましたが、超正解です。 しかし状況によって避けられない場合もあります。そこで仕方なく雲に突入することになります。先ず前方に山とか障害物が無いことが第一条件です。「あったりまえでしょうー」と、思われる方も多いと思いますが、雲に入ってそのまま山に激突する事故は毎月のように発生しているのが現実です。 次に準備することはシートベルトをしっかり締め直すことです。そして計器飛行に移る準備をします。雲の中では景色が全く見えませんから計器飛行以外に無事に飛ぶ方法はありません。
そして覚悟を決めてズボッ!と雲に入ります。 案の定、回りは真っ白です。そして揺れが始まります。揺れは心地よい軽い揺れから飛行機が分解するような揺れまで様々です。この揺れを正確に前もって予想することはできません。 まぁ90パーセントはそれなりに安全ですので適当に心配しておけば問題ありません。
揺れが始まって数十秒たつと風防が白くなってきます。これはアイシングといわれる現象で、雲の中にある過冷却の水が機体にぶつかって瞬時に凍り、どんどん成長していくために発生します。外が見えない程度なら、それほど大きな問題ではないのですが、氷は機体全体に付着します。翼についた氷は翼の形状を変化させ飛行機の特性を変えてしまいます。エンジン付近についた氷は、大きくなってはがれ落ち、エンジンに吸い込まれて大きなダメージを与えます。そして何よりも機体自体が、氷でだんだん重くなります。 こうなってくるともう飛ぶことはできません。このため飛行機には、いろいろな防氷装置があります。あるものは氷をヒーターで融かし、あるものは風船を膨らませて氷を壊します。 機体へのアイシングは外気温が-3~-10度程度で発生します。また気温は高度を1000フィート上げる毎に2度下がります。ですからこの高度帯を避ければアイシングは発生しません。しかしアイシングを避けようとして、安易に高度を上下すると、もっとひどい目にあうこともありますので、注意が必要です。
雲にはいろいろな種類がありますが、パイロットにとって一番怖いのが入道雲です。入道雲に入ってしまったことはすぐに分かります。先ず、上下左右に大きく振られます。飛行機が木の葉のように舞い踊ります。その次に来るのは、激しい音です。最初は「大粒の雨かな?」なんて思っていますが、実際は氷の塊です。 地上に落ちてくるとヒョウとかアラレと呼ばれるものです。時によっては拳大の氷も浮かんでいます。「ひょえーひどい所にきちゃったなー」なんて思っていると、回りがだんだん暗くなって、雲が緑色に見えてきます。「あれーなんかいる!」「長い蛍?」「光るミミズ?」。そうこうしていると、前方の風防が青白く光り始めます。その中を細長い光が飛び交います。良く見ると機体全体が青く光り始めています。これが「セントエルモの火」と呼ばれるものです。 帆船時代の船乗りは、この光は嵐を知らせる兆候としていたようです。飛行機でも同じです。この光を楽しんでいると「ピシッパシッ」というラップ音が聞こえてきます。そして腕や足の毛が逆立ってきます。こうなってくると、もう近いです!「こりゃーくるぞー!」テレビなどではここでVTRが終わって、結局「霊」は出てこないのですが(笑)、現実は違います。来ちゃうんですねートラのパンツをはいた鬼が! 目の前でそれまで見た事もないような閃光が走ったかと思った瞬間ドッカーンと、大きな音がして自分の体から電気が抜けていくのがわかります。飛行機は比較的雷には強く設計されています。上空で飛行機に雷が落ちても通常この程度です。ただし、着陸後機体を点検すると何か部品がなくなっています。ですから、何があっても入道雲に入るのは避けたほうが良いと思いますよーっ!
【HOME BINGO】
本当に燃料がなくなっていることを飛行機が叫び始めました。燃料の余裕はもうありません。直ちに帰るように言っています。 「でもまだやることあるんだけどなー」
さて今後の運命やいかに!次回に続く!
------------------------ コックピットから その6 「Cockpit」 「Control」 【Cockpit】
今回は我々の職場紹介です。 戦闘機の操縦席はコックピットと呼ばれています。日本語で言えば鳥小屋です。中に鶏のようなやつがいるからではなくて、多分極端に狭いのでこのように呼ばれているのだと思います。ほとんどのスイッチやレバーには、そのままの姿勢で届くようになっています。座ったままでなんでも出来る!横着者にはピッタリの職場です(笑)。
コックピット中央にはいざという時に機外に脱出するための射出座席が鎮座しています。正面下には多くの計器、操縦席左右のパネルには無数のスイッチがついています。そして右手用にスティック(操縦桿)、左手用にスロットル(加減速器)、足用にはラダ-ペダルがついています。 またスティックとスロットルにも、やたらとスイッチがついています。これら全てを迷い無く使っていかなくては、戦闘機は動かせません。可能ならパイロットに手がもう1本あって、かつ親指が2本づつあれば理想的です。
このコックピットへは、車などとは違ってキャノピーを開けて、上から乗り込みます。 まず座席に足を置いて、スイッチなどを蹴飛ばさないように注意しながらゆっくり座り込みます。座ったら座席下にあるサバイバルキットと自分を左右つなぎます。そして今度は自分をシートベルトで固定します。この際同時にGスーツを機体ともつなげます。最後にパラシュートと自分を連結させます。飛行機によっては足にも固定装置を付ける場合もあります。もう、がんじがらめ状態です。これにヘルメットをかぶって無線コード1本と2本の酸素ホースをつなげれば、やっと準備完了です。 夏場などはこれだけでダイエット効果が望めます。
座って正面を見ると、HUD(Head Up Display)があります。これは飛行中、パイロットが必要であろう情報を常に表示しています。その上焦点は無限遠点になっているので、あたかも文字や絵が空中に描かれているように見えます。これによって、発見した目標から目を離さずに、自分や相手の状況を知ることができます。 最近のゲームでは、HUD表示がほとんどですから、見慣れている方も多いと思いますが、本物とはかなり違います。
コックピットは冷暖房完備です。フルオートエアコンがついています。夏場地上では35度、そこでキャノピーを閉めれば灼熱地獄、上空にあがれば外気温はマイナス52度、この環境範囲をカバーするように設計されています。また皆様が戦闘機で一番気になるのが騒音だと思います。 エンジンはものすごい音を出しています。しかしコックピット内で聞こえる音は、エンジン音ではなくて意外にもエアコンの噴出音なのです。それも、かなりの音圧です。まあ、パイロットは完全閉鎖型のヘルメットを常時装着しているのでその騒音もほとんど聞こえません。しかし、コックピットには、超おしゃべりなお姉さんが1人住んでいます。エンジンスタートからしゃべり始めます。やれエンジンが調子悪いだとか、はたまた、敵にロックオンされたとか、もう燃料が無いから帰れとか。分かってるって言うのに、しゃべリ続けます。昔は男性の声でしたが、最近はどの飛行機も女性になっています。この方が、パイロットが素直に従ってくれるからでしょうか(笑)。 他に、いろいろな音色の音が出ます。それも連続音であったり、断続音であったり、それらの混合であったりします。「ピッ」と音がしただけで、パイロットは飛行機が何を言いたいのか直ぐに分からなくてはいけません。ですから、我々はやたらと単音の電子音には敏感になっています。
さて話は変わって、コックピットからの景色のお話です。 一言、「それは最高でーす!」何しろ自分の腰より上は全部透明なのですから、民間機に乗って小さな窓から覗くのとは大違いです。景色360度見放題です。そのままでは、さすがに床があるので真下は見られませんが、飛行機を裏返しにすれば下も丸見えになります。昼間は大パノラマ、夕方には燃えるような夕焼け、夜間には全天溢れんばかりの星空が楽しめます。
しかし、この職場の最大の欠点は、孤独なことです。常に1人の世界です。喜びも、感動も、驚きも、恐怖も、すべて1人で受け止めなくてはいけません。何があっても、1人で判断して1人で対処します。地上には存在しないこんな職場が、そこにはあるのです。
【Control】
それでは次回は、飛行機の操縦についてのお話です。お楽しみにーぃ。
------------------------ コックピットから その7 「Control」「Instrument」「Flying Quality」 【Control】
今回は、操縦のお話です。あまり詳しくお話すると、だれでも飛行機の操縦が出来てしまって我々の仕事が奪われる可能性があるので、今回はほどほどに!(笑)
さて飛行機の操縦は、車とさほど変わりません。行きたい方向に操縦桿を傾ければ良いのです。右に行きたければ操縦桿を右に、上に行きたければ操縦桿を手前に!加速したければスロットルを前に進めます。しかし、車と決定的に違うのは、三次元的に変化してしまうことでしょうか。例えば、旋回すると高度は自然に落ちて、速度も変わってしまいます。ひとつを変えると、全部が変わってしまうのです。この現象を防ぐために具体的には、旋回に入るときには、操縦桿を適量倒すと同時に、機首を僅かに上げて、パワーを少々変更しておくことが必要です。すでにお気付きの方もおられると思いますが、今の文章でのキーポイントは、適量、僅かに、少々、ここにあります。この量が会得できればあなたはもうパイロットです。ちなみに 車の免許は18歳からですが、飛行機の免許は16歳から取得可能です。私自身も、車の免許よりも飛行機の免許の方が先でした。
ご自分が、ケッタ(名古屋弁で自転車)に乗れるようになったときを思い出してください。理由は分からないのですが、ある日突然乗れるようになりませんでしたか?飛行機も同じ感覚です。ある日突然着陸が出来るのです。とても不思議な感覚です。それまでは、悩んで勉強して練習して、試行錯誤を繰り返すのですが、いくらやっても着陸はできません。しかし、ある時突然着陸が見えるのです!
ご存知の方は少ないと思いますが、80年代の映画でスピルバーグ監督の「オールウェイズ」というのがあります。この映画で、若いパイロットが、ある日突然操縦が出来るようになります。私は「あー!ぼくもそうだったのかー」と感動したのを覚えています。しかし、友人に話すと「ん?あれってただのラブストーリーじゃん」全く観点がちがいましたー(汗)。いずれにせよ、飛行機の操縦は、ある日突然出来るようになるのです。
1つの飛行機を完全に手に入れると、後はどんな飛行機でも同じです。慣れるまでは上手な操縦はできませんが、安全に飛ぶ程度でしたら機種が変わってもさほど影響はありません。車で言えば、ミニカの運転が完璧にできれば、プラウディアの運転も出来るのと同じです。まあ飛行機は基本的には、機種毎に免許がありますから、法的にはちょっと問題はありますが…。
【Instrument】
飛行機には、無数の計器があります。「あんなに沢山の計器を見るのは大変でしょう?」と質問を受けます。しかし実際は、全部は見ないのでそれほど大変でもないのです(笑)。全ての計器を常にチェックしていたら操縦など出来ません。計器はあくまでも、飛行の参考とするものです。むしろ自分のやった操舵の結果を見るための物です。必要なときに 必要なものだけを見る。これも操縦の極意です。車でも同じですよね!いつもメーターを見ているのではなくて、パトカーを見つけたら、速度計!灰皿が一杯になったら燃料計!おなかがすいたら時計!この程度ですよね?
それでは、飛行機の計器の中で、何が一番大事だと思いますか?高度計?速度計?姿勢指示器?エンジン計器?航法計器? 私は昔から、それは速度計だと思っています。速度だけは、人間にはわからないのです。特に上空には、対象物がありませんから、速度は全くわかりません。お天気が良ければ、高度は、地上の物の大きさで分かります。例えば人間の形が見えれば1,000フィート、車の形が分かれば2,000フィート、家の形が分かれば5,000フィート…。また、速度計がなければ、着陸はできません。飛行機には失速があります。失速とは飛行機がただの金属の塊になることを意味しています。色々な理由で着陸は、出来るだけ低速でしなくてはいけません。そして何があっても 失速速度以下にしてはいけません。このために 速度計は不可欠な計器なのです。
【Flying Quality】
失速��話が出てきたので、次回はちょっと知的に飛行機の特性のお話をしてみたいと思います。簡単に言えば、飛行機の癖?特徴?性質?みたいなものです。皆様が「へー」とうなるような、トリビアを!お楽しみにぃ!
------------------------ コックピットから その8 「Air Speed」「ALTITUDE」「STALL」 【Air Speed】
「飛行機の速度計は…速度を示していない!」「へーへーへぇーっ…!」(笑)
飛行機の速度計と車の速度計には、大きな違いがあるのをご存知でしょうか?まあ機構的にも全く違いますが、それよりも大きな違いは、示している速度が違うことなのです。車の場合は、地面に対する速さを示していますよね!時速100キロメートルで走っている場合、目的地まで100キロメートルなら、到着は1時間後となります。飛行機はピトー管(写真○印)という機械で速度を感じます。自転車に乗って、ゆっくり走る時と、全速で走る時では、体で感じる空気の抵抗は違いますよね?この圧力変化を飛行機は速度に換算しています。また高原では、空気密度が低くなるのは経験上ご存知だと思います。これらの組み合わせで飛行機の速度計は、その高度の空気の密度に対する速度を示しています。
うーん、ちょっと難しいかな?それでは、超具体的にお話しましょう。車で速度計が時速100キロメートルを示しています。この場合走っている場所が、海沿いの道路であっても、山の上のスカイラインであっても、時速100キロメートルですよね!しかし飛行機の場合は違うのです。同じ速度を示していても、高度が違うと、実際の速度も違ってくるのです。飛行機が地上付近で200キロメートルを指示して飛んでいるときは、時速200キロメートルですが、高度が約10キロメートルだと、同じ200キロメートルの指示でも実際の速度は時速350キロメートルぐらいなのです。
ですから目的地までの飛行時間を計算する場合は、先ず計器を見て速度を読んで、計器の誤差補正をして、それに高度補正のために温度補正と密度補正をして、対地速度を求めてから、飛行時間を算出しなくてはいけません。風がある場合はさらにその補正もしなくて���いけません。「それなら今はコンピューターが発達してるんだから、最初から対地速度計にして表示すればいいじゃん!」っと思われる方も多いと思います。でもこれも大きな間違いなのです。
パイロットが最も必要な速度は、コックピット内にある計器の速度で、対地速度ではありません。その理由は飛行機の特性が、この計器に表示される速度で決まるからです。地上付近で、計器時速200キロメートルで失速する飛行機は、高度10キロメートルでも計器時速200キロメートルで失速します。ですから操縦する上においては、対地速度はあまり必要ではなくて、あくまでも計器が示す、空気の密度に対する速度が必要なのです。
一般の乗客の方は飛行機の速度は車と同じだと思って話を聞いているし、パイロットは、特性を示す計器速度だと思っているし、技術者は性能計算用の等価対気速度だと思って話をします。ですから、この3者で話が全く通じないのは当然です(笑)。
「速度計、ガッテンしていただけました?」「ガッテン ガッテン ガッテン!」おっといつのまにか番組が違っていますぅ。
【ALTITUDE】
今度は、高度計のお話です。飛行機は、毎日同じ高度を飛んでいるのではありません。それは、飛行機の高度計が気圧高度を使っているため、気圧の高い日は、同じ高度計指示でも高い高度を、そして低い気圧の日は、低い高度を飛んでしまいます。この結果、飛行機の飛行高度は実際の高度とは違うのです。「ん?なんか危険な香りがしますよねー」。富士山の高さが3,776メートルだからといって、高度計で3,800メートルだから絶対ぶつからない!と思うのは危険です。地球上の気圧変化を考えれば、最低でも500メートルぐらいの違いはあると思って飛んだほうが無難です。しかし飛行機同士の場合は、同じ理論の高度計を使っている筈なので、同じ場所で、違う高度指示ならば衝突することはまずないでしょう。将来、実高度や対地高度で飛行する機体が出てきたときには、高度計も考え直さなくてはいけないかも知れません。
【STALL】
次回は、飛行機で避けて通れない失速のお話です。本格的飛行機の特性のお話です。かなり専門的用語の多発が予想されます(笑)。事前に是非とも航空工学書の1冊でも読破しておいてくださいねー!それではー。
------------------------ コックピットから その9 「STALL」 【STALL】
今回は、お約束どおり失速のお話です。通常の会話で「失速しちゃったよー」というのは、それまでのペースが急に落ちた時や、なんかやる気が無くなった時などに使いますが、飛行機の失速はそんなに甘いものではありません。イメージとしては、高速道路を車で快適に走っていて、ある速度を切ると、突然道路がぬかるみになってしまうような感じです。
飛行機は、皆さんが想像されているよりも、空気にしっかりと支えられています。普通に飛んでいる限り、飛行機を支えている空気と、車が走っている道路と感覚的違いはありません。むしろ空気の方が安定していて揺れもありません。あたかも 平らな氷の上を滑っているような感じです。しかし一旦ある速度を切ると、それまでしっかりと飛行機を支えていた空気が、突然普通の空気になってしまうのです。こうなると飛行機はただの金属の塊です。地球に向けて一直線に落ちていきます。
それでは実際に、飛行機を失速させてみましょう。基本的には速度を減らしていけば良いのですが、失速後のことを考えると、飛行機の形態、エンジンの推力、補助翼などの中立位置、失速した瞬間の姿勢、残燃料量など、多くの条件を我々に有利にしておかなくてはいけません。これを間違えると取り返しがつかなくなる可能性があります。それと当然十分な高度が必要です。
予想失速速度の1.3倍ぐらいの速度からスタートします。通常はエンジンを絞っていけば徐々に減速していきます。先ず現れる現象は、バフェットと呼ばれる現象です。主翼で剥がれた空気が、胴体や水平尾翼に当たって、機体全体を振動させます。この大きさは、飛行機によって異なっていて、心地よい振動から、飛行機の構造物を壊してしまうような振動まで様々です。一般的には失速速度の1割程度前から発生して失速まで継続します。
「おーこれがバフェットね!おもしろいじゃん!」ってなことを考えていると、失速は突然やってきます。失速そのものの現象は、単に機首が真っ直ぐ下に落ちるものから、機首が横に流れて激しい回転運動を始めるものまで、千差万別です。いずれにせよ一番の問題点は、突然来ることです。「ありゃー」などと思っている時間的余裕はありません、直ぐに定められた手順で回復操舵をしないといけません。5秒も迷っていれば東京タワーの高さぐらいは簡単に落ちてしまいます。
もし、ここで高度に余裕があって、さらに探究心があるならば、さらに操縦桿を引き続けます。おまけで操縦桿を左右どちらかに最大操舵して、反対側のラダ-を踏み込みます。すると「ゴー」という音と共に激しく揺られて、上下左右何がなんだかわからないような運動に入ります。そこで手足を緩めても、同じ激しい運動が続くようなら、スピンモードに入っています。通常スピンは、自然現象として安定しています。木の葉がゆらゆらと揺れながら落ちて行くのと同じです。違いは木の葉が数グラムなのに対して、飛行機は数十トンなだけです(笑)。スピンは、何も対応しなければそのまま継続します。このとき計器類を見ると、姿勢指示器はぐるぐる回り、高度計は読み取れない速度で減少し、速度計だけは極めて低い速度で安定しています。運動が激しい場合は飛行機の構造を破壊しまので適当な所で止めるのが得策です。
スピンモードからの回復操舵は、飛行機によって全く異なります。そのため十分な予習が必要です。スピンを抜け出すと、自動回転運動というのに入ります。これもスピンだと思って、さらに回復操舵をしてしまうと、好ましくないモードに入りますので、正確な状況判定が必要です。自動回転運動に入ると、速度が増加してきて、失速領域から自然に抜け出すことができます。
失速自体は、それほど危険なモードではありませんが、離陸直後や着陸前などは、失速速度の2~3割程度の余裕速度しかありません。ここで何らかの原因で、ちょっとでも減速してしまうと失速してしまいます。ですから、パイロットは離陸後3分、着陸前5分は最高に緊張しています。うーん 今回はちょっと難しかったかな?先月号の予告どおり予習していました?(笑)
次回は、その離着陸の緊張をお伝えしたいと思っています。ご期待ください。
------------------------ コックピットから その10 「Take Off」 【Take Off】
今回は大空への第1歩である離陸についてのお話です。
離陸は飛行機を操縦する上では、比較的やさしいい操舵になります。しかし、その代わりにパイロットには多くの即断が要求されます。それでは実際に、戦闘機を使って離陸してみましょう。
滑走路進入許可をもらって、ゆっくり滑走路に進入します。この時には着陸しようとしている飛行機がいないか、そして滑走路上に障害物などはないかを、自分の目で確認します。またここで大切なのは、出来るだけ滑走路を長く使えるように、無意味に前進しないことです。通常軽装備の戦闘機は4~500メートルで離陸してしまいます。大型民間機でも2,000メートルもあれば離陸します。しかし普通滑走路は3,000メートルもあります。それなのに何故、滑走路は長く使える様に、進入するのでしょう?それは、離陸を断念して、停止するための滑走路長を確保するためで、飛行機は離陸するのに必要な長さの倍以上の距離が停止するためには必要になるからです。
滑走路に進入して停止したら、しっかりブレーキを踏んで、針路計や磁気コンパスを確認します。次に、エンジンチェックを実施します。先ずは、手順書に示されているパワーまでスロットルを進めます。エンジンの計器を素早く読み取って、正常に動いているかどうか確認します。エンジンチェック中に、電気系統、エアコン系統なども確認します。さーって 飛行機はOKなようです。そして管制塔から離陸許可が来ました。離陸です。
再度前方に障害物などがないか確認します。指定されたパワーにして、ブレーキを離します。ゆっくり飛行機は動き始めます。動き始めたのを確認したら、100パーセントパワーにします。このときにも、エンジン計器を確認するのを忘れてはいけません。100パーセントパワーにすると、急に飛行機は加速し始めます。そして必要ならば、スロットルをアフターバーナ領域へ進めます。急激な加速感と、エンジンノズル計器の開きが、アフターバーナへの正常点火を教えてくれます。ブレーキを離してから約5秒後、すでに飛行機は、時速100キロメートルを軽く超えています。空中まであと数秒。
しかしこの付近で飛行機は一番不安定なのです。滑走中は3輪車、そして空中へ飛び出せば飛行機、その変化点なのです。ここで最も影響するのが、風です。特に横風は地上を離れようとしている飛行機にとっては、「嫌がらせ」以外の何ものでもありません。僅か数メートルの横風でも、この場所ではパイロットを真剣にさせるのに十分です。
また、戦闘機にとってはこの地点が大きな決心ポイントです。これまでに機体に異常があれば、離陸を中止して、残滑走路上で止まることを決心し、この点を過ぎてしまえば、何があっても飛び上がらなくてはいけません。(厳密には、もうちょっと複雑な計算が必要ですが…)
さて 離陸速度が近づきました。ゆっくりと機首を引き上げて、離陸姿勢にします。この操作を急激にしたり、過度にすると、思いもかけない事態が発生しますので、細心の注意が必要です。離陸姿勢を維持していると、自然に飛行機は浮きあがります。浮揚を確認して、脚とフラップを格納します。その間も、飛行機はどんどん加速していきます。そのままの姿勢では、滑走路エンド上空で、音速を超えてしまいます。(笑)そこで、決められた上昇速度になるように、機首をさらに上げて速度を維持するようにします。しかしながら今の戦闘機は、膨大な推力があります。速度を維持しようとすると、機首がどんどん上がって、最終的には垂直になってしまいます。搭載物の無いF-2などは真上を向いても加速していきます。そこで適当なところで、アフターバーナをキャンセルして 音速の0.9倍ぐらいの速度で上昇するのが良いでしょう。
これが一連の離陸になりますが、ブレーキを離してから15秒程で、全ての離陸操作が終わります。この間に、パイロットは環境の変化を素早く感じ取って、状況に応じた操舵をしなくてはいけません。そして、この間一瞬も気を緩めることができないのです。ある程度高度が取れれば、やっと、ちょっとひと安心です。
次回は、さらに難しい着陸についてです。飛び上がってしまった飛行機は、何が何でも降ろさなくてはいけません。さて、どのような事態が発生するのでしょう。お楽しみに!
------------------------ コックピットから その11 「Landing」「Final」 【Landing】
着陸は飛行の最終段階です。そして、飛行中一番天候の影響を受け、また飛行機の速度が極めて低く且つ地上に近いために、瞬時の判断の遅れなどが航空事故を引き起こす可能性が最も高い部分でもあるのです。これらの理由から、着陸はパイロットに瞬時の正確な判断が要求されます。
実は、パイロットは離陸する時から、着陸のことは考えています。なぜなら、一度飛び上がってしまえば、何があっても必ず着陸はセットになっているからです。他のミッションは飛行機の状況などで中止が可能ですが、着陸だけはパスできませんからー(笑)。
滑走路の手前約2キロメートル程度からが勝負になります。ここまでは、飛行機の種類や、飛行方法によって様々ですが、この先は、どんな飛行機でもほとんど同じです。それでは実際に着陸してみましょう。接地まで30秒前の地点からです。
ここまでに、自分の飛行機が、着陸できる形態になっているかを確認します。次に飛行場の状況を確認します。特に、気象状況、他機の状況は大切な事項です。これら全てを確認し終えて、着陸操作に専念します。
着陸のための滑走路への接近でやるべきことは、滑走路延長線上を、決められた降下角度で、決められた速度で飛行することです。ですから、この3つの条件さえ満足できれば、着陸は簡単です。しかし「そうは問屋が許しません」(かなり古い表現?)。それは、これら全てが関連しているからです。1つがズレたので直そうとすると、必ず他の2つが乱れるのです。その上、地上付近の風は複雑なので、常に飛行を邪魔しようと狙っています。
1例を見てみましょう。正面に滑走路が見えます、風が右前方から吹いています。飛行機はだんだん左に流されます。そこで右に飛行機を戻すために、浅い右傾斜で飛行機を右に持っていきます。しかしそれと同時に飛行機の向きも右を向いてしまいます。この修正に今度は左ラダーを踏んで飛行機を滑走路方向に向けます。すると今度は揚力の減少と向かい風成分のために、思っていたよりも多くの高度低下を招きます。それを修正しようとして、機首を上げると今度は速度が減ってしまいます。そこでパワーを足します。このように着陸は、修正操舵の繰り返しになります。修正が遅れると、修正量が多くなって、失速ぎりぎりの速度で飛んでいる飛行機にとっては、より危険な状況に近づく可能性があります。
そうこうしていると、滑走路は目の前に迫ってきます、このままでは、かなり激しく滑走路に接地してしまうので、徐々に降下率を小さくして、できるだけソフトに接地させるように操舵します。この辺の操舵は、ほとんどパイロットの経験と勘です。自分のタイヤと滑走路の距離があとどれぐらい残っているかを肌で感じるのが大切で、その許される誤差は数センチメートル程度だと思います。10センチメートルも勘違いしていると、「ドシャン」と接地してしまいます。まあこれでも特に問題はないのですが、プロ意識が許しません(笑)。
接地したからといって安心してはいけません、飛行機はまだ時速300キロメートルぐらいありますので、不意に横風を受けたり、ちょっと操縦桿を引いたりするとまた飛び上がってしまいます。時速150キロメートル以下になるまでは飛行機です。そこで、早急に減速する必要があります。減速方法は色々ありますが、一番簡単なのが、車と同じブレーキです、しかし20トンの重さで時速300キロメートルの機体を止めるのはかなりのテクニックが必要です。残りの滑走路の長さを確認しながら、自分の飛行機の速度を徐々に減らしていきます。時速100キロメートルを切ればひと安心です。ちなみにブレーキは、左右別々です。右ペダルは右ブレーキ、左ペダルは左ブレーキです。このためパイロットは、飛行機を滑走路上で直進させるために、左右のブレーキをちょうどいい具合に加減しています。すごいでしょ?(笑)。
着陸で、着陸操舵よりも大事なことがあります。それは着陸復行です。着陸をやめて、再度着陸進入するための操作です。この決心は早ければ早いほど安全です。着陸に何らかの疑問や不安を感じたら、直ちに着陸復行して着陸をやり直すべきです。ここで迷うのが一番危険です、着陸しようかどうしようか迷ったら着陸中止!こうパイロットは決めています。これが、安全への第一歩です。
【Final】
すでにこの連載も、あと1回を残すだけとなりました。次回は最終回!さーって、何をお伝えしましょうか?ご期待下さーい。
------------------------ コックピットから その12 「EMERGENCY」「Knock It Off」 【EMERGENCY】
緊急状態は、通常状態でないときです。あたりまえの話ですが…。飛行機にとっては、日常茶飯事です。機体の故障ばかりではありません。天候の悪化や、パイロットの体調不良、地上支援施設の故障など様々な状況が考えられます。
緊急事態が、発生したときの原則は、 (1)飛行機の操縦を続けなさい (2)状況を正確に判断して、適切な手段をとりなさい (3)出来るだけ早く、着陸しなさい 先ずはこの3つがあります。
あなたは、今空を飛んでいます。突然、何らかの警報灯が点灯します。同時に警報音や、機体に変化が生じます。これはかなりラッキーです。なぜならば、警報灯が点灯するということは、設計段階から予想されていた故障だからです。このため妥当であろう手順が、すでに作られています。しかし一番厄介なのは、警報等などが点灯しないけど、「なんか変だなー」と、感じるときです。機体後方から「コツン」と音がしました。車ならその場に止まって、後方を確認しに行けばいいのですが、飛行機では不可能です。ここからは、パイロットの知識量と経験に基づく判断が、その後を左右します。
原則(1)は、極めてあたりまえのように感じますが、原因追求に頭がいってしまうと、つい忘れがちになります。実際に脚の警報灯の球切れで、それに全員が集中して落ちてしまった機体もあります。ですから、何が起こっても、先ずは飛行機の操縦に意識を向けていることが大切になります。
原則(2)は、簡単に書いてありますが、かなり難しい原則です。「コツン」と音がしたのを考えても、その原因は、山ほど考えられます。そしてその状況判断を間違えると、間違った対処手順を実施してしまいます。私の恥ずかしい経験では、射撃終了で目標から離脱したときに、発電機の警報灯が点灯しました。「ありゃー 電源故障だー」「発電機リセット!」「あれー?リセットできない」「完全に発電機壊れちゃった?」「もーやっぱ○○製品はだめだね!」なんて思っていると。「ん?なんでエンジン温度が低いの?」「あれぇーエンジン止まってるジャン!」「エンジン止まった警報等をつけて欲しいよねー」。
原則(3)は、状況はその後どうなるかわからないので、出来るだけ早く降りるのが得策です。このためパイロットは常に、ここで何か起こったら、どこに降りようかを考えています。言い換えれば自分がその日に飛ぶコース近くにある飛行場については事前に調べてあるのです。そして、何かあれば直ぐにそちらに機首を向けながら、状況の判断を始めます。
飛行機を操縦する上で大切なのは、あらゆる面で余裕を持つことです。知識・技量はもちろん、心も体も、そして時間にも余裕を持つことが、安全への第1歩です。ぎりぎりでやっていると、何か発生したときに直ぐに限界がきてしまいます。そして、状況を判断するときには、1つの原因に限定せずに可能性があるものは、全て念頭に置くべきです。
【Knock It Off】
さて、今回で私の連載も終了になります。1年間、中年パイロットのたわごとに、お付き合いしていただきましたことを心から感謝いたします。
自由に大空を飛びまわる、この憧れは人類の永遠のテーマです。ライト兄弟が初めて飛んでから約100年、そして今、私たちはその一部分を手に入れました。しかし、まだまだ大空は限られた人々だけの特別な世界です。飛ぶためには、特殊な機械と、それを操る特別な技術が必要です。このために、多くの人々がこれを支えています。そしてあなたもその大事な1人なのです。
それでは、またの日まで…「R.T.B.」(Return To Base)
------------------------ コックピットから その13 「ENGINE START」 以前の連載から約10年、思うところあって連載を続けることになりました。よろしくお願いいたします。今回は開始ということで、スタートから!
【ENGINE START】
一世代前の戦闘機のエンジンスタートには、それなりの装置と知識と技量が必要でした。たとえば、F-4とかF-1にはスターターが搭載されていません。ですから、何らかの理由で、その飛行機を運��していない飛行場に着陸してしまうと、エンジン始動ができないので、飛び上がるには、かなりの時間と努力が必要となります。また、それ以前の戦闘機では、エンジンスタート中、常にエンジン温度をモニターして燃料量をパイロットがコントロールしなくてはいけないので、素人さんにはちょっと無理でした。
しかし、最近の機体のエンジンスタートには、特別な装置や技量・知識は全く必要ありません。だれにでも簡単に、エンジンスタートが楽しめます。それでは実際に、エンジンを始動してみましょう。でも、キーを入れて回すだけでは動きませんけどね!
その前に、確認すべきことがあります。まずは自分の機体内の状況です。戦闘機は、エンジンが動くまでは単なる高価な金属の塊です。操縦桿を動かしても、引き金を引いても、脚ハンドルを上げても、何も起こりません。動いているのはゼンマイ仕掛けの時計ぐらいです。特にF-15などは、バッテリーも搭載していないので、どこのスイッチを操作しても、電気的には何も起こりません。
しかし、エンジンが回ると、電気と油圧が供給されて、戦闘機は生き返ります。この瞬間が結構やばいんです。仮に、何かのスイッチが入ってたりすると、即座に作動して好ましくない状況が発生する可能性があります。もしかすると、皆様も時々やってしまっている、車のエンジンキーを回したらワイパーが動いてしまったとか・・・・ウインカーがカチカチ作動してしまったとか・・・この手の事象です。
まあ、設計者も操縦者を信じていないので、簡単には作動しないようには作ってあります。しかし、その安全装置がもし壊れていたりすると、とんでもないことが起こってしまいます。エンジンをかけたら、脚をたたんでしまったとか、ミサイルが出てしまったとか・・・・車のような笑い話では済まなくなってしまいます。これを防ぐには、やはり真面目なスタート前点検が必要となります。
次に確認すべきことは、飛行機の周りに固定されていない物が無いかどうかです。仮に、空気取り入れ口付近に、小石や工具などがあれば、必ず吸い込みますし、機体後方に車や人がいれば、必ず吹き飛ばします。このようにして、まずは、飛行機の内側と外側の安全を確認してからのスタートになります。それでは、待ちに待ったエンジン始動です。
どんな戦闘機でも同じですが、前方に「START」と書いてあるスイッチがあると思います。その形状は色々あって、倒す場合もあれば、押す場合もあれば、ハンドルを引く場合もあります。いずれにしても「START」と書かれていると思います。これをそれなりに操作します。
すると、「ぷしゅ~っ」と音がして、圧縮空気が流れて、軽く振動が伝わってきます。これは、エンジンを動かすための小型ジェットエンジン(JFSと呼ばれます)が作動したことを意味しています。JFSがスタートして数秒で、電気が流れ始めます。これでやっと、飛行機は目覚めて、計器や警報等が使える状態になります。
言い換えれば、ここまでは機体のどこかが壊れていても、油が漏れていても、火災になっても、何の警報も出てくれないのです。
その上この瞬間に、全ての電子機器に電気が流れるので、各機材が自己診断を始め、多種の警報や音が無意味に発生するのです。まあ慣れてしまえば、心地よいBGMに聞こえてきますがね!「ぴ~~うおーにんぐ!ヒャラヒャラこ~しょんぴろぴろふぁいや~ぽろんぽろんぴんぽ~んロック!びんご~・・・・etc」これに対しては適当に「は~い」と答えておけば良いでしょう(笑)。
JFSが安定したら、この力をエンジンに送る操作をします。すると、エンジン回転計が動き始め、ゴトゴト音がして、エンジンが動き始めたのが分かります。ジェットエンジンの回転数は、車などのレシプロエンジンと違って、最低回転数でも毎分数万回転です。安定するまで1分ほどかかります。
IDLEで、エンジンが安定してしまえば、もう心配はいりません。戦闘機のエンジンは、燃料がある限り、何があっても回り続けます。最近の機械では少しでもなにか変だと、自分自身を守るために勝手に止まってしまう機材がありますが、戦闘機のエンジンは違います。、自分がぼろぼろになるまで最高出力を出し続ける努力をします。
ですから、戦闘機でエンジンが止まってしまったら、それはもう何をしても動かないと思えば良いでしょう。それなのに、空中再始動手順ってあるんですよね~(笑)。まあ、何らかの理由でパイロットが故意に止めてしまった場合は、この手順に従って、再始動しなくてはいけません。
また、車のような、押しがけも可能です。皆で力をあわせて時速400kmぐらいまで加速して、上記の再始動手順をすれば、問題なくエンジンは始動するはずです。
これでエンジンスタートは完了です。エンジンをかけるだけならほんの数分ですが、飛ぶまでには機能チェックや各種点検など、やるべき事がたくさんあります。通常戦闘機は、乗り込んでから離陸開始までに30分~40分かかります。ですから、近所のコンビニにお菓子を買いに行くには、ちょっと不向きかもしれませんね。
こんなに時間がかかるのに、5分以内に離陸するスクランブルにはどうしているのでしょう? この疑問には次回お答えしましょう。
------------------------ コックピットから その14 「SCRAMBLE」 【SCRAMBLE】
それは、「じゃ~~~ん」という、けたたましい非常ベルの音から始まります。 とりあえず、パイロット、整備員��武器員の全員が、飛行機に向かって全力で走り出します。 「何をやっていても、ベルが鳴ったら、向こう側の扉に向かって走る!」これだけを体に覚えこませています。
皆、走りながら、次にやることを考えています。 パイロットは、装具をつける順番、エンジンスタート手順などを思い出しています。 整備員は、発進手順や武器のアーミング方法などを思い出しています。
10秒後には全ての人間が決められた位置に到着して、息を整えながら、エンジンスタートのために動き始めます。この辺からやっと、脳みそが動きはじめます。ここまでは単なる条件反射です。ワンちゃんが、ピンポンが鳴ると、とりあえず吠えながら、玄関に走っていくのと同じです。
アラート勤務についていた頃は、大きな音がするだけで、体が反応して、いつもビクンビクンしていました。普通の日でも、飛行隊の中で金属製のお盆でも落とそうものなら、パイロット全員が瞬時にその場に立ち上がります。しかし、その後、そいつは先輩の方々からボコボコにされてしまいますがね!
さて、スクランブルに話を戻しましょう。エンジンスタートは通常手順とほとんど同じです。但し、F-4だけは両エンジンほぼ同時にスタートできるので、時間は通常の半分になります。エンジンを始動しながら、ハーネスなどの装具を着けていきます。この順番を間違えると、全部外して、最初からやり直しになります。ヘルメット、股帯、胸帯、シートベルト、脚帯、Gホースなど、これらを全てつなぎます。つなぎ終えた頃、エンジンはIDLEで安定します。ここまでで約2分、残された時間は3分です。
ほとんどの電子機器は、最初からONにしてありますが、ある種の電子機器は、色々な理由で、エンジンスタート後に電源を入れなくてはいけません。その代表がINS(慣性航法装置)です。ここで少し、INSについてご説明いたします。この装置は常に飛行機にかかる加速度を感じています。それを積分して、速度にして、さらにそれを積分して、距離にしています。まあ理論的にはわかるような気もしますが・・・・(笑)。
このINSの自立が一番時間がかかります。普通にINSを立ち上げると、7~8分かかります。それはジャイロの回転が安定して、地球の自転を感知して真北を探し出すのに、これぐらい時間が必要だからです。これでは5分以内の発進には間に合いませんので、事前に北の方向だけは、INSに覚えこませておきます。これだと2分程で、立ち上げることができます。その上、現在はジャイロも機械的なものから光学的なものに変わっているので、さらに立ち上がりは早くなっています。
このように、スクランブル用に準備された機体は、すでに全てのチェックが終了している状態でスタンバイしているので、エンジンをかけさえすれば、飛行可能状態になります。
エンジンも安定し、アビオニクス関係の自動チェックが終了すれば、発進可能です。飛行機OKのサインを整備員に送ります。すると今度は、武器員の出番になります。アラートは実任務です。本物の武器を搭載しています。ミサイル、ガンなどを発射可能な状態にします。これをパイロットが確認をして、発進準備完了となります。
発進は通常最優先で許可されます。アラートハンガーを出て滑走路に入って、スロットを最大位置にします。そしてエアボーン。1番機が地上を離れた瞬間が、5分以内でなければいけません。
飛行機が飛び上がっても、アラートハンガーに静寂は戻りません。すぐに、次に発進させるべき飛行機の準備にとりかかります。10分ほどで次の飛行機の待機が完了して、全く同じ待機が始まります。このため、アラートハンガーには常に4機の戦闘機が準備されています。
スクランブルは訓練ではありません。実任務です。世界的には、戦闘時間に計算されます。私の飛行履歴書には戦闘時間92時間と記載されています。このため、米国へ行ったときなど「どこで戦ったの?」とか聞かれて、答えに困ったことがあります。
また、実任務のゆえに、天候が極めて悪くても決行されます。通常飛行機は、着陸時の天候を判断して飛行します。しかし、スクランブルは着陸可能な飛行場がなくても、離陸命令が出ます。民間機の場合、いくら日本が小さくても、国内の全ての空港が天候などのために閉鎖になっている事は考えられません。福岡に降りようとしたけど、お天気が悪いから、羽田にしようとか、千歳にもどろうかな~とか変更可能です。しかし、戦闘機は足が短いので、名古屋に降りようと思っていたのにお天気が悪いと言っても、変更できる飛行場は、浜松か岐阜ぐらいに限られてしまいます。こうなると、降りられる飛行場が全く無いのと同じになります。それでもスクランブルは命令されます。
離陸上昇フェーズが終わって、通常の管制機関から離れて防空管制に移行すると、任務開始です。飛行機を最短会合点まで進めます。離陸から十数分で、自分のレーダーに相手が映ります。徐々に距離を縮めて接近します。そして最終的に、相手機の真横の日本領土側に位置します。2番機は相手機の後方で、かつ、やや上方に位置して、いつでもミサイルを発射できる位置に占位します。もしかすると、第3次世界大戦の始まりが、今なのかもしれません。かなりの緊張です。
ここで大事なのは本気であることです。向こうも本気です。冗談とか遊びではないことです。2番機は、1番機が落とされたら、必ず相手機を落とさなくてはいけません。
幸いなことに、わが国にはスクランブルから戦闘行為が始まった歴史はありませんが、世界的には戦争の始まりが、スクランブルからの場合も多いのです。
(今回の写真は、デュラム氏のご協力を頂きました。)
次回は、戦闘機に搭載されている機銃は当たるのか? この永遠のテーマに挑戦です。
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コックピットから その15 「AIR to AIR GUN」 【AIR to AIR GUN】
今回は、GUNによる空中戦についてお話しましょう。
第2次世界大戦までは、飛行機同士の戦いは鉄砲だけでしたが、それ以降はミサイルが加わり、今ではミサイル戦が主流になりました。このように、搭載武器は時代とともに変化しています。さて、30年ほど前のお話ですが、私が米国でF-4に搭乗したときの出来事です。
写真:GUN 1対1の空中戦訓練でした。相手とヘッドオン(正面同士)で交戦に入りました。相手が私から見て、右に急旋回したのが見えました(相手としては左急旋回)。そこで私も、右に上昇急旋回。上昇すると速度が減り、 旋回半径が小さくなって、 相手の後ろに入りやすくなります。180度回ると、 また相手とヘッドオンですれ違います。この瞬間に旋回を切り返して、お互いに逆の旋回に入ります。これを繰り返して、S字を描きながら絡み合うのがシザースです。
この結果、僅かでも相手の後ろに入れれば、GUNを撃つことができます。運よく私は、相手の後ろ2000フィートに位置できました。「そこでGUNを選択!FOX-III!」とCALLしようとすると、後席の米軍のパイロットが大笑いするのです。「ちみは何をするの?」
私が日頃乗っていたのはF-4EJ、米国で乗ったのはF-4D、ほとんど同機体ですが、決定的に違ったのは、F-4DにはGUNが装備されていないのです…(大汗)。ですから、近接戦で使う武器を持っていないのです。
飛行後のブリーフィングで、飛行隊内は大爆笑!「さすが日本人はすごい!空中で飛行機から出てナイフで戦うのかと思った」と…。
写真:GUN ベトナム戦争での教訓から、F-4E以降の戦闘機には、20ミリメートルの機関砲を搭載するようになりました。その多くは、油圧もしくは電動モーターで作動する回転式機関砲です。砲身は6門あり、これが回転しながら弾を発射します。
発射速度は毎分6000発程度となっています。弾自体は、マッハ3~4ぐらいで飛んでいきます。毎分6000発ですから、1秒間に100発撃ちます。射撃感覚は「バン・バン・バン」という感じではなく、「ブーン」という振動と音になります。また、1回の射撃は1秒間ほどになります。
戦闘機のGUNの照準は、先ずは相手をレーダーでロックオンして距離を測ります。 次に自分の機体にかかっている荷重から、相手の運動を推測します(相手を追い続けていると仮定して計算)。その状態で、着弾時間を計算して、その時間で移動するであろう相手の予想位置に重力落下分を加えて、HUD(ヘッドアップディスプレー)に 照準点として表示します。パイロットはその照準点を、実際の目標の飛行機の上に乗せることで、銃の方向は相手の将来位置に着弾するようになります。
戦闘用計算機は正確なデータさえ与えれば、確実に正解を出します。第2次大戦中に戦った戦闘機はレーダも積んでないので、曳光弾を見ながらの射撃でしたが、通常弾と曳光弾では、その重さも空力特性も違っているので、弾道が違ってきます。実際は参考程度にしかなりませんでした。結局、空中での射撃は100パーセントパイロットの勘で撃っていましたので、まさに神業です。
このように考えて行くと、計算機制御の機関砲って、なんか当たりそうですが、そうは問屋が許してくれないのです。
音速の3倍で飛んでいる弾は、1秒間で100発撃っても、その弾の間隔は約1000メートルに100発ですから、10メートルおきに1発存在している計算になります。これは直線飛行をしているときの計算ですが、実際は急旋回して戦闘するので、角速度がこれに入ります。戦闘加重時は50メートルに1発程度の密度になります。戦闘機の大きさはせいぜい20メートルほどですから、戦闘機から見れば、弾はかなりまばらな感じで撃たれている感覚になります。
写真:GUN その上、計算機で行う照準は、その計算と表示に4秒ほどかかります。相手が4秒間安定した機動をしてくれた時は正確ですが、そうでない場合は、最初から照準点は 不正確となります。ですから、4秒に1回何らかの回避機動をすれば、 照準は定まりませんので、 弾の当たる確率はほとんど0パーセントとなります。強いて言えば、もし運悪く相手の弾に当たってしまった時は、日頃の行いのせいかもしれません。
これらをまとめて考えると、ほぼ同性能の戦闘機同士の戦いで、相手をGUNで落とすことは、ほとんど不可能になります。ですから、対空武器としては、GUNはお守り程度の効果があると思えば良いでしょう。
但し、相手が動かないものとなると話は違ってきて、GUNは極めて有効です。相手がトラックならば、100発撃てば50発は当たるでしょうし、全速で走っている戦車でも 30発は当たると思います。相手が駆逐艦程度の船ならば、90発は命中するでしょう。その上、20ミリメートル弾は鉛の塊ではなく、中に火薬が装填されていて、命中後、爆発するので、その威力はかなりなものです。
このように対戦闘機戦闘では、GUNはそれほど有効な装置ではありません。最も有効なのは、ご存知のようにミサイルになります。
(今回の写真はMasato氏のご協力を頂きました。)
次回は、このミサイルについてお話しましょう。
------------------------ コックピットから その16 「MISSILE」 【MISSILE】
今回はミサイルのお話をしましょう。
まずはイメージを作りましょう。
あなたは学校の校庭の真ん中に立っています。 校庭の端には野良犬が1匹います。 何故か、あなたは野良犬と目が合ってしまいます。すると、野良犬が突然うなりながら、あなたに向かって走りだしました。 あなたなら、どうします? これがミサイル戦の始まりです。
対戦闘機戦で、最も有効であろう武器がAAM(空対空ミサイル)です。 F-15世代の戦闘機のほとんどは、8本のAAMを搭載することができます。4本のMRM(中距離ミサイル)と4本のSRM(短距離ミサイル)です。
また目標1つに対して、2本のミサイルを発射するのが基本ですから、1機の戦闘機は4回のミサイル射撃が可能となります。何故2本撃つかと言うと、1本のミサイルの撃墜確立が80パーセントだとすると、2本目は1本目で外した20パーセントの80パーセントを落とせるので16パーセントとなります。こうなると、2本で96パーセントの確立で相手を撃墜することができるので、かなり有効な手段となります。仮にもう1本撃ったとしても、残りの4パーセントの80パーセントが落とせるので、さらに3.2パーセント増となりますが、1本目と2本目に比べて大変少ない数字になるので、あまり意味を持たなくなります。そこで通常は、1目標に2発撃つのが妥当とされています。これは撃つほうの理論です。
ここで、先ほどの野良犬に話を戻しましょう。あなたは犬に追われています。さてどう���ます?先ずは反対側に走り出します。時間稼ぎです。走りながら考えます。どうしたらいいか…。 ポケットを探ると、お菓子が入っていました。犬に向かって投げてみます。ラッキーだと、犬はお菓子を食べ始めて、あなたを追うのをやめるでしょう。これがフレアー(火の玉)でしょう。ミサイルが赤外線追尾式だったら、これで逃れられます。 しかし運悪く、この犬が満腹だったら…。 次にあなたは上着を脱いで、それを放り投げます。犬がそれに向かって走ってくれれば、またまたラッキーです。これがチャフ(銀紙)です。これで電波誘導式ミサイルは向かってこないでしょう。
このような方法でミサイルをだますのが、撃たれるほうの理論になります。それともう一つ、ミサイルの最大の欠点は惰性で飛んでいることです。ミサイルは数秒しか燃料がありません。長くても5秒程度です。このため通常は、慣性力だけで飛んでいます。 その結果、何回も飛行方向を大きく変えての飛行はできません。もしミサイルを1度、自分からそらすことができれば大成功です。なぜなら、そのミサイルが180度方向転換して追ってくるのは、映画の世界だけの話ですから。
しかし、これで安心してはいけません。ミサイルには近接信管というものがついていて、相手に直接当たって爆発するのではなく、近くに来たなとミサイルが感じた時に、勝手に爆発するのです。この爆発で小さな金属の破片が四方八方に飛び散って、その1つでも飛行機に当たれば、あなたはまともには飛べなくなります。
今回は空対空ミサイルの話でしたが、実際は地対空、水対空ミサイル等の多種のミサイルが、戦闘機に向かって飛んできます。パイロットはこれらに対して、有効であろう多種の方法を使って回避しなくてはいけません。
また、その回避行動は技術的に立証されているわけでもなく、パイロット間で伝説のように言い伝えられているものです。たとえば、「SA-3(地対空ミサイルの一種)が撃たれたら、白煙が見えてその先にミサイルがたぶん見えるから、その大きさがタバコの大きさになったらキャノピーの右端に置くようにして、最大Gで右降下旋回しなさい。」と言うような手順です。この手順で回避できたパイロットがいるのも事実ですが、帰って来れなかったパイロットもいるでしょう…。しかし、後者は証言できませんので、この手順が正解となってしまいます。
あんなこんなで、色々な攻撃から無事回避して任務を終了し、基地に帰ってきます。しかし、ここで安心してはいけません。それは味方の基地防空用のミサイルです。1人で操作可能で、肩に担いで発射するタイプの携行対空ミサイルです。これらの発射の最終責任者は携行者自身です。特に戦時となれば、情報も混乱するでしょう。目の前に突然戦闘機が現れたら、あなたならどうします?翼に日の丸が無いのを確認してから撃ってくれますか?
古来より矛盾という単語があります。現代に言い換えると、誘導弾と戦闘機になるのでしょうか。お互いの技術者は常に自分たちの技術の方が優秀だと思っています。でも現実はやってみないとわかりません。
パイロットの私としては、常に戦闘機のほうが優秀だと信じていますがね!(笑)。
次回は「そこまでしてダイエットするの?」 戦闘機の重さについてお話しましょう。
------------------------ コックピットから その17 「DIET」 飛行機は空中に浮かばなくては意味がありません。このため、1グラムでも軽く作らなくてはいけないのです。特に戦闘機にとっては、この1グラムで勝敗が決するといっても過言ではありません。
今回は軽量化への努力の中でも、超オタッキーな話題である脚のダイエットについてお話したいと思います。
飛行機にとって、飛んでいるときに全く必要の無いものは脚なのです。飛行中の脚は単なる無駄な重量物なのです。ですから、いかに脚を軽く作るかが飛行機の大きな課題の1つとなります。
軽量化の究極の答えは、離陸と同時に脚を捨ててしまう手段です。持って飛ばないのですから、めちゃ合理的です。ライト兄弟の「ライトフライヤー号」や第2次大戦中の「秋水」などが、この方法を取り入れました。脚は離陸と同時に、機体から外れて地上に捨てられます。これで身軽になり飛行を続けます。すごいアイデアです。着陸は、胴体下に取り付けられているソリによってなされます。かなり革新的な方法ですが問題が1つ…。
次の離陸に際しては何らかの方法で、再度脚を取り付けなくてはいけません。また、その装置と脚が準備された飛行場にしか降りることができません。ですから、極めて特殊な使い方の飛行機だけに許される手段となります。
そこで次に思いついたのが、脚をできるだけキャシャにして軽量化することです。通常の運航では、脚にかかる最大の荷重は着陸の時です。この際には、自分の重さの1.5倍程度の荷重が接地と同時にかかります。ですから、基本的にはかなり頑丈に作らなくてはいけません。
ここで技術者は考えました。 「そうだ!かなり軽くなってからじゃないと、着陸はしちゃいけないことにしよう!」
これなら、そこそこの強度があればOKです。たとえば、自重が10トンの戦闘機で、残燃料量が3トンの場合、重さは13トンです。この機体が着陸するときには、約20トンぐらいの荷重が脚にかかります。この重さに耐えれれば、飛行機としては着陸できるので、設計者はこの数字を目標に設計すればいいのです。
皆様も経験したことはあると思いますが、民間機などで離陸直後に何か問題が起こって、着陸しなくてはいけない状況でも、着陸するまでにかなりの時間がかかったという記憶がおありと思います。これは、離陸した直後の重量では重過ぎるので着陸できません。そのため、燃料をある程度使ってからの着陸になりますので、時間が必要となります。これほどまでにして、脚は軽く作ってあります。
さて、戦闘機の一般論を…。通常、自重10トンの戦闘機には、8トンぐらいの燃料が積めます。これとは別に、ミサイルとか爆弾とかも8トンぐらい搭載できます。全部合計すると26トンになります。
ここで 「それって、おかしくない?」 「さっき、10トンの飛行機が耐えれる重さは、着陸時の最大20トンだって説明したジャン!」 「それなのに全備重量が26トンって、すごい矛盾!」…っと思われた方は、このコーナーを熟読していて、かなりの戦闘機通と言えます。(笑)
これまではプロローグです。ここからが本日のメインテーマとなります。
20トンまでしか耐えられない脚を持った戦闘機に、合計26トンのものを乗せる。これが技術者に与えられた命題です。このままだと、地上で燃料と武器を搭載しただけで、脚が折れてしまいますので、絶対何らかの方法が必要となります。
簡単な答えは、「脚を強くしよう!」ですが、これでは今までの努力が無駄になりますし、だれにも「すごーいい!」って、言われません。飛行機を軽く作ろうという目標からもずれてしまいます。そこで技術者が次に考えるのは、最大離陸重量を脚の強度限界の20トンにすることです。
「燃料とか武器とかの合計を10トンにしちゃおう!」 「そうだそうだ。それがいいよ!」 「それじゃ、どうやって積む?」 「燃料を乗せるのやめちゃおう!」 「そうなると、搭載物を8トンにして残りの2トンを燃料に割り当てるようにしよう。」 「これで、みんな丸く収まるねー!」
ここで初めて、パイロット君登場。
「あのね。君らは知らないと思うけど、飛行機は燃料がないと飛べないんだよ!」 「えー そうなんですか?知らなかった…。」 「そんじゃ、武器とか下ろします?」 「それだと、何のために飛んでるか、わからないじゃん。」
まあ、この会話は100パーセント嘘ですが。(笑)このような矛盾が生まれてきます。
(撮影:謎の黄色さん)
そして、答えは…。
すでに上の写真でお気づきと思いますが、本当に武装関係は全部積んで、燃料はちょっとしか搭載しないで離陸します。離陸後は、脚の強度制限は関係なくなります。その状態で、空中で燃料を満載にします。この方法だと、機体の重量の最大設計限界の26トンまで重くすることができます。空中給油は、単に戦闘機などの行動半径を伸ばすためのものではなくて、燃料満載で且つ完全武装をした戦闘機を任務へ向かわせるために、絶対的に必要な装備なのです。
蛇足ながら、わが国ではフォーメーション飛行ができない人は戦闘機乗りには不適ですが、米軍では空中給油ができない人が、先ずエリミネートされます。だって、戦闘機が飛び上がって最初の仕事が、空中給油なのですから!
【EPILOGUE】
急ではございますが、長い間、老パイロットのたわごとにお付き合いいただきありがとうございました。 今回をもちまして、このシリーズを終了いたします。いままでお付き合いいただいた方々に深く感謝するとともに、さらなる航空技術の発展と飛行の安全を祈りつつ、ペンを置きたいと思います。
それでは Knock It Off! 、 RTB 、 Pigeon to Mama? (作戦は終了!、帰ろう、ところでおうちはどっち?)
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himeno-x0 · 1 year
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こんちゃ!!!!
今回は初回投稿時にお知らせしていた、私の詳しい自己紹介をしたいと思います!!
Twitterに現れてから早4年いくばくか過ぎていて、自己紹介動画どころかちゃんと自分が何かをまとめておらずただのダウナー系低音お姉さんとなってましたからね!!←
名前からお察しの通り、妖怪「酒呑童子」が私のモチーフになっています。
酒吞童子がモチーフなんですが、私は「酒吞童子の魂と共存している人間」です。
妖怪や伝説がお好きな方はご存じかと思いますが、酒呑童子と呼ばれていた存在は討伐されたため魂だけを守り永い時を旅しています。
恨みから成仏せず人間の身体に憑依をしながら今に至る、という感じですね!!!
身体は人間らしく脆く、普通に風邪もひくし事故や病気で簡単に命を落としてしまいます。
そんなのが何故妖怪のコミュニティにいられるのか、それは酒呑童子の魂のおかげで基本身体能力が向上している上に瞬間的に身体を壊さない程度にリミッター解除が自由にできるから!!
身体は人間だからとちょっかいかけてくる化物どもをつb……ごほん、追い払ったりして何とか生きてきました!
そんなこんなでいろんな人間と共に過ごしていると情がうつるもので、とある時代からは「自分で命を投げ捨てようとしている人間」のみ選んでます。
今の時代は本当に生きにくい、楽しいことを知らずに召されるなんて寂しいだけだから、せめて天命をまっとうするとき「くそくらえな世界、愛おしいね」と中指立てて笑えるようにしてやろうというね!!!
口は悪いけど、充実した終わり方を目指してます。
そうそう、今の身体になってからふらふらと彷徨ってるときに【化け猫[ @kuroineko0000 ]】と出会いましてね、のんびりと過ごせるようになりましたよ。
感謝感謝、でもTwitterでよくケンカしてます。
親子のじゃれあいを覗いてくだされ((´∀`))ケラケラ
ついでになんですが、お酒めっちゃ好きです。
おつまみのとか作るので勝手に料理がうまくなってました(/・ω・)/
……これぐらいかなー、私がちゃんと紹介できてなかった部分。
あとは演技や歌が好きで、ボイスドラマとかに参加させてもらったりしてます!
そういうのも紹介していきますね!
配信……はちょっと今動けてないけど、ショート動画とかとまた違った私を見てもらえると思います!!
今年も歌ってみたを投稿する予定なので、ぜひぜひ楽しみにしてください\( 'ω')/
化け猫パマのところでのんびりとやってる酒飲みを、これからもよろしくお願います。
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crydayz · 2 years
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230216 STRETCH
今は情けない自分を見つめ直す為のフェイズなんだろう。自分がズルくてダサいやつだと十分認めて内省した上で、気高い誰かの真似事して外向けの自分をデザインしてゆく。
それだけだ。
内省だけしてても誰も褒めちゃくれない。告解ばかりしてても応援はされないしテンションも上がらん。
覚醒はした事ないし今後もしないだろう。地道な気づきが怖気を少しずつ解体し元々自分に備わ��ていた力を引き出してくれるだけ。リミッターが少しずつ解除されるだけ。
我々の年齢になってから爆発的成長や覚醒はあり得ない。
夢想は夢想、ロマンはロマン、現実は現実。
独りで自分を鼓舞し続ける事には意味があったな。自分が何の誇張もなしに無能な底辺だって事痛感できてるもの。
他人からの評価なんてどうでもいい。自分で感じる自分こそが自分にとっての真実なんだ。
幸い、他者評価より自己評価の方が低いみたいなので社会的にアレな事にはならない。逆だとただの誇大妄想になっちまう。
「自虐」は客観的データに基づくアレじゃあない。自分が犯した「いまだバレてない罪やズル」に基づく負い目が 煮えたヘドロのようにぐつぐつと 悪臭放って喉奥から湧き上がってくるのだ。
どの年齢でもその年齢ごとの「最適な自虐」が湧いてくる。だから今の自分の経験値を持って過去に戻ったところでまた別の自虐が湧くに決まってる。
常に今の最新の自虐とどうにかして折り合いつける以外どうしようもないんだ。 フラッシュバックの対処法といっしょだ。
底辺で暮らす敗北者には「酷い自分の姿を認識しすぎない為のテクニック」ってもんがある。自分だってそれを知っている。
なのに今、ン十年ぶりにその補正を剥がしているから苦しいのだ。
急に全部剥がしすぎだバカ。皮膚と癒着してんだから簡単には取れないっつの。
独りはよい。独りで自分の醜さと弱さと向き合う時間はよい。苦しいが何かがデトックスできているのを感じる。
これは「嘘剥がし」だ。醜い生き方にフィットした自己洗脳を解除し、少しでも自分を誇れる生き方にシフトする上での通過儀礼だ。
認める。僕は友達には勝てない。勝てる道理がない。彼らの肉なんか喰えないし喰う資格も才能も権利もない。
ましてや自分より若い人間を喰うなんてとんでもない。
自分にできる事はなんだ。素の自分を裏で誰かに認めてもらいつつ 表舞台で理想の自分を演じることか。この数年ちゃんとやれてたじゃないか。ああ、この数年間まさにちゃんとやれていたよそれを。
もっと巧く演じられるだろうか 理想を。
予約日記が今の自分の心理状態より明らかにバージョンが下だ。
過去を忘れる努力、弱さ棄てる努力すればするほど、嫌な過去や自分の弱さと向き合う羽目になる。向き合わずに忘れたフリしたらそれは「巨大な違和感」となって死ぬまで自分を縛るだろう。
逃げちゃダメ、か。自分がモブでしかないという事実から。
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lyrics365 · 2 months
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リミッター解除
運命の分かれ目 命懸けの綱渡り 「褒めてやろう。後悔もしろ… ここまで本気にさせたことを」 指鳴らす刻 封印が解かれ 全ての力 制限解除 烈火の如く 怒り 爆ぜる 覚醒の瞬間 闇に堕ちる ONLY UP!! 高み 目指すだけ 誰に陰口を言われようが 何もかも 踏み台にして コスモの果てへ 何度も這い上がれ 絶対���命 まだ消えぬ闘志 最後の力 制限解除 呼び覚ませ 空を泳ぐ メシア 飛び込んた瞬間 涙堕ちる ONLY UP!! 夢を目指すだけ スローモーション 感じる世界 闇雲でもいい 恥を捨てて 銀河の果てへ 何度も舞い上がれ ONLY UP!! 高み 目指すだけ 誰に陰口を言われようが 何もかも 踏み台にして コスモの果てへ 何度も ONLY UP!! 夢を目指すだけ スローモーション 感じる世界 闇雲でもいい 恥を捨てて 銀河の果てへ 何度も舞い上がれ 立ち上がれ
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niyuuhdf · 4 months
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行屋家:遺伝的要素メモ
メモ
◾️遺伝・体質・生まれつき・解決が難しいもの ・頚椎側彎症っぽい猫背の骨格。 ・全感覚過敏。 ・不死身のような頑丈な身体。 ・長命。ほっとくと90年以上は生きる。 ・美形。(視覚情報優位で視覚的に美しい相手を自然に求めてつがうため) ・長身。 ・目が大きい。 ・顎が細く小さい。 ・老人のような手。(かなり幼い年から) ・手と指に不気味な可動性と柔軟性とコントロール能力あり。 ・共感覚、見えないものを見る目(脳)。 ・筋肉が細くても強い。 ・怪力。常に死の淵に立つ精神状態→いつでも火事場の馬鹿力を発揮できる。脳のリミッター解除が容易。 ・脱皮する。 ・細菌感染など起こしにくい。 ・怪我の治癒、回復が早い。 ・高体温、発熱状態。 ・頻脈。 ・尿道が短い。 ・蟻走感。コークバク。 ・蒼白い色白の肌。日焼けするとサンバーン起こす。 ・不眠症。目の下にクマ。 ・発達が生まれてから早い。 ・運動神経抜群。 ・湿性の髪。 ・体毛まっくろ。 ・収縮・膨張の差が激しい。性器など全身、勃起すると巨大になる、普段との差が激しい。 ・腑を弄ばれる奇病の発症。(年齢差あり) ・目への激痛、光に耐えられなくなる。(年齢差あり)
・皮下脂肪が溜まりにくい。骨と筋と血管の浮く身体。(常に弛緩できずフルに使ってるせいもある) ・体幹、腹筋が特に強い。(頸椎を庇って育つ中でそうなる例が多い) ・早熟。(自慰行為を5歳ごろで覚える。身体を少しでも楽にしようと必死に育つため。イキヤは快楽ではなく首吊りになった) ・身体の不調とストレスが常態化して育つため、身体の不調を感じ分けにくく、自覚しにくい。 ・視覚認知に偏りがある。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ↓それによって起きることと、家に伝わるその対処。
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666blackpanther · 6 months
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リミッター解除
無事帰還
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stormfrozen · 8 months
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決戦!双拳の塔11
遂に辿り着く13階。アヴェック・スターの6人と、[Aile]の王達は先に辿り着き、フェリンソワ、エオレンスタ、アイヴァンヌの3人がエレベーターの近くにある椅子に横たわっていた。
イヴ、大丈夫?
13階にいた雑兵を一通り片付け、少し休んでいたジニーエイラとサンディエゴ。2人は蒼剣神、紅盾神、無限神、豊穣神、そしてファジーフェの5人が全力で挑める様に道を作るべく、戦っていたのだった。
う、うん………結構やられちゃった………。 それは僕も同じだよ。 やはり、あの3人が相手では相当に危険ですからね…。
………そう言えばシーン様とマリナ様は?
何かに気付いたトラヴェリアが、辺りをキョロキョロと見渡す。そして、サンディエゴとジニーエイラは目を瞑り、大掛かりになっている巨大な扉の先を見る。
2人なら、あの先にいる。だけど………グゥエルの事だ。何をしてくるか分からない。多分俺達の情報ですらも掴み、手を打っているはず。あくまで俺とジニーエイラは道を作っただけ。あの先で、どんな戦闘が繰り広げられているのかは分からない………。
では先に私達で………。 待て。
「アヴェック・���ター」が行こうとするが、サランバートだけは止めに入った。彼がエレベーターの方に指を差すと、ぐったりしている4人が後から来た。
雨見さん、黒飴さん…。
さっきの巨大兵器との戦いでふらふらの雨見と黒飴。2人は対ユミル用の毒を受け、弱っている。おまけに力を使い果たした相当な激闘だったのか、椅子に寄りかかる様に倒れていた。 
ご、ごめんね…。ちょっと休ませて。私は少し休んだら行けそう。 俺と雨見は後回しで良いから、先に行ってくれ。そして…回復したらこの辺を見張ってる。
ぶっ倒れながらそう言っていた雨見と黒飴。そして、エレベーターの方からもう2人も。
ペルピーニャさんと…ブリオッシュさん?
服がぐっしょりと濡れ、精神が乱れているペルピーニャと、見るや否や直ぐにそんな彼女の元へと駆け寄るブリオッシュ。そんな2人には、既に戦う元気は無い。
はぁー………はぁー………見ないで下さい………!うぅぅ………! ………ペルピーニャについては俺が何とかする。だから、先行ってくれ。
顔が真っ赤になり、相当恥ずかしい思いを受けてしまったのか、ペルピーニャにとってはただのダメージでは済まない様である。
随分大変そうですね………。 大丈夫かな。 俺の事は気にするな。 …あー、そうだ。3人にはこれを見て欲しい。クラムとアーシアから託された品だ。2人はさっき俺の所に来て、11階と12階にあったこいつを渡した後、クラムが持ってた天界の笛でI.A.に帰るとか言ってたな。 11階と12階………。確か、「テン・ジュエルズ」が決戦兵器[R769-Y36]と戦っていた場所ですね。一体何故?
そして、サンディエゴから渡されたのは何かのディスクドライブと強い宝石のエネルギーが宿された結晶。フェリンソワとエオレンスタはそのディスクドライブを結晶に差し込み、映像を確認する。
………
「[R769-Y36]………『ラグナロク・ユミル』か。随分と悪趣味な名前だな」
「一旦、俺が壁になる。その間にコガネ達が攻撃を頼む」
「了解しました」
最初に動き出したのはクルシュ、ブリュッセル、コガネの3人。敵の行動パターンを見るべく、壁役の前衛をブリュッセルに任せ、その間にクルシュとコガネに削ってもらう…と言う算段である。
「ラグナロクだか何だか知らんが、此処で貴様を終わらせる。覚悟しろ」
「まだ行ってはなりません、恐らく何かしてきます」
戦闘を様子見し、作戦を立てるヨハンとキャンベル。その間にも、他の6人は宝石を用意する。
「ゲンシカイキ…見せてやろうぜ。最後になるかもしれない」
「いや、その台詞は何か嫌な予感が…まあ良いでしょう。私もやります」
「そう来るなら…俺はメガシンカを見せよう」
バレンシア、パルテノン、リューベックの3人はゲンシカイキとメガシンカで戦う予定の様だ。Ωの紅い光、αの蒼い光、そしてΔの翠の光が迸る。
「負けてられないね。僕達もやろう、ゲンシカイキと言うのを」
「あの、グリニッジ。私達は『原始回帰』じゃなくて『原点回帰』ね。微妙に違うよ」 
「本気出しましょう。この機体を止めなければなりません」
グリニッジ、ウィランドラ、ヴァージニアの3人も宝石の力を浴びる。水色の輝き、桃色の輝き、そして白金の輝きの光が、これまで見た事の無い姿へと変える。
「ブリュッセルが敵の攻撃を受け止めたら、まずはクルシュとコガネの2人が攻撃を仕掛けて、後の6人は一斉に撃って下さい。ヨハンと私と、キャンベルは後に続きます。いざ!」
細かく指令を出したヴェルサイユ。そして、ブリュッセルにはあの機体には神をも殺す特殊な血統に効く猛毒が仕込まれている事を指摘して、なるべく倒されない様な立ち回りを手掛ける事を推奨した。
「たとえ絶望的な状況だとしても………私は諦めません」
メガストーンに触れ、メガシンカするヴェルサイユ。最後の止め撃ちがどうやら彼女の役回りの様だが、同時にこの作戦について上手く行くかどうか………それは彼女自身が最も気にしていた。
………「R769-Y36」起動。敵を確認………排除する。
直後、撃たれた膨大な破壊エネルギー。受けた事の無いその攻撃は、生命のエネルギーを変換して撃ち出している無限大の出力だった。そもそもこの機体自体が、巨大化した秩序神の真の姿に酷似していた事も、その恐ろしさに拍車を掛けている。
「ぐっ………………ぐおおおッ………!!此処で、負ける訳には………!!!」
白銀の潮水を周囲に展開し、必死に耐えるブリュッセル。そして、シリアルキラー[Ragnarok150]の胴体部分にコガネが黄金の火炎を放ち、クルシュは裁きの光弾で攻撃を仕掛けた。
「あれを壊せば………!」
両脚を壊しにかかるのはバレンシア、パルテノン、リューベック。隆起する地面の刃と、無数の水流の波動、そして天空落下の暴風。
「私達であの場所を撃ちましょう」
両腕に照準を向けたグリニッジ、ウィランドラ、ヴァージニア。時を狂わせる程の破壊光線、その場で空を切り裂く斬撃、そして見えない裏取りからの闇討ち。
「ヨハン、キャンベラ。今です」
待機状態にいたヨハンは常闇の世界の入り口を開き、キャンベラは突撃態勢に入る。此処で沈め!
暗黒の竜巻で機体の動きを止め、紛い物の突撃が鋭く突き刺さる。そして、ヴェルサイユが止めの攻撃を繰り出した。
「吹き荒びなさい」
ピンク色のダイヤの嵐が、機体を切り刻む。しかし、彼女は何故クリスタルがあるのに撃たないのか、それはこのRagnarok150の真の恐ろしさにあったからだった。
バリア全破壊………リミッター解除。
そう。「テン・ジュエルズ」達の攻撃はただこの兵器のバリアを破壊しただけに過ぎなかった。そして同時にリミッターも解除されてしまい、此処からが本当の戦いとなる。
「うっ!………一体何が………」
さっきの攻撃で苦しみ出すブリュッセル。神の血に対抗する手段、それこそがこのR769-Y36の特殊な猛毒だったのだ。一体どの様にしてそんな恐ろしい物を手にしたのか、それはグゥエルしか知らない。
「全て、邯鄲の夢だ」
直後、機体から発射されたのは「エレメントアロー」。これも対神用に作られたもので、全ての敵に対して驚くべき効果を発揮する。
「月日も」
手始めに狙われたのはブリュッセルとコガネだった。しかし2人も黙ってはおらず、潮水の大砲と爆発の火炎で反撃する。だが、同時に矢に被弾してしまう。
「がふっ………!!」「きゃああっ!!」
「自然も」
次に狙われたバレンシア、パルテノン、リューベック。だが攻撃を喰らう前に3人から噴き出す火山、海水、そして昇竜のエネルギーが飛ばされる。
「うわあっ!!」「いやあぁぁ!!」「ぐぅ……っ!!」
「宇宙も」
続けて狙われるグリニッジ、ウィランドラ、ヴァージニア。それでも、命を削る一撃で徹底的なビーム砲を撃ち出し、大きな波を起こす程の勢いで突撃する。
「がああぁっ!!」「きゃああぁ!!」
その間に幻影を見せ、倒された「テン・ジュエルズ」の亡霊の如き姿をぶつけていくのはヴァージニア。
「何とか間に合って下さ………きゃああっ!!!」
「悪夢も、そしてその栄光も輝きも」
クルシュは光弾で矢を破壊するのが精一杯の状態であった。その隙に、ヨハンとヴェルサイユは次の戦術を考える。
「俺が何とか、動きを止めます。後の3人で機体をどうか破壊して下さい」
「でも………それならば………」
そして単身、突撃するヨハン。その間にも、キャンベラはヴェルサイユに何かを話す。
「………。あの、ヴェルサイユ様。私にも1つだけ、お願いがあります」
「?」
「この戦いで私は、賭けに出ます。どうか、最後まで信じていて下さい」
どういった趣旨の事を言っているかはこの時未だ分からなかったが、それでもヴェルサイユはキャンベラを信じる事にした。
「しまった………不覚を………!」
そして遂に、クルシュが矢に被弾し倒されてしまう。だが時間稼ぎには十分であり、ヨハンは機体を暗黒の世界に引き摺り下ろした。
「ぐああぁっ!!!………これで何とか………止まってくれ」
同時にヨハンの方も攻撃に当たり倒されるが、その隙を見逃さなかったヴェルサイユ。機体が停止したのを確認し、彼女は水晶の光の砲撃、クリスタルレイを発射した。
しゅばああぁぁぁ………
「死を迎え入れろ」
損傷甚大………機体出力低下………
機体を半壊まで追い込んだが、未だ終わりでは無い。機体のコアが剥き出しになり、とうとう弱点が見えた。のだが………
「きゃっ!?」
追加のサウザンウェーブが飛び、エレメントアローがヴェルサイユとキャンベラを襲う。
「うわあっ!!」「きゃあああっ!!!……まずいですね………」
機体を後一歩まで追い込んだにも関わらず他の「テン・ジュエルズ」の人達は全員「R769-Y36」のダメージで既に戦闘不能であり、止めにクルシュやヴェルサイユさえも倒されたとなれば、既にもう為す術が無い。
「………まで………した」
………だが。
「え………?キャンベラ………?」
「………今まで、有難うございました。短い間でしたが私は────『テン・ジュエルズ』の仲間でいれて幸せです。彼らにどうにか、伝えて下さい」
矢によるダメージを受け、既に満身創痍のキャンベラは覚悟を決め、機体のコアに取り付く。
「クルシュ様………貴方に憧れて一緒に戦いましたが、私は最後まで貴方の様にはなれませんでした。ごめんなさい」
起爆装置を作動し、キャンベラは最終手段に出た。
「やめろ………キャンベラ………!」
「では………さよならです………!!」
どごおおおおおぉぉぉぉぉん!!!
機体が大爆発に巻き込まれ、コアが破壊され残骸と共に爆散した。命を賭けたキャンベラの作戦が、グゥエルの最高傑作の機体[Ragnarok150]を撃破する事に成功したのだった。クルシュの紛い物でありながら、最後まで役に立たないかもしれないと言っていた彼女だったが、最期の場面でその言葉は否定された。
「………。私達も、今一度帰りましょう」「………そうだな………」
既に戦えないクルシュとヴェルサイユは、その傷を癒すべく倒れた9人と共に神界へと帰る事になった。………1つのディスクドライブと、水晶を残して。
………
クラムとアーシアはかなり焦っていた様子だったが、彼らも下にいた敵との戦いで結構なダメージを受けたらしいぞ。だからこそ俺達にこれを託し、先に帰ったんだろうな。
ディスクドライブを仕舞い、サンディエゴは扉の先を見る。
そ、そんな………。 うわっ!?
話が終わった矢先、ドアの向こうから爆音が聞こえた。
………何だろう。行ってみようか?
ジニーエイラは未だにぐったりしていた雨見、黒飴、ブリオッシュ、ペルピーニャの4人に話を進めた。
ちょっと待ってね。4人は此処に残って、少し安静にしてほしい。此処から先は危険だから、私達で先に行く。良い?
…‥ああ。好きにしろ。
どの道もう戦えないと言う顔で、そう返したブリオッシュ。
良し。では行くぞ!
最後の戦いに挑むべく、サンディエゴ、ジニーエイラ、フェリンソワ、エオレンスタ、アイヴァンヌ、そして「アヴェック・スター」の6人は扉を開け、先に進んだ。
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ykwathced · 1 year
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一億総リミッター解除バラエティ 衝動に駆られてみる - 出来立ての崎陽軒シウマイ弁当が食べたい [テレビ朝日][7月16日(日)放送分][epa4bvu05h].mp4
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chaukachawan · 1 year
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じゃあ、私からでいいか
こんにちは。こんばんは。おはようございます。スチル兼、肆桜逸です。役者紹介したいので、役者紹介します。我らがD脚本のとっっても怖いメンバーを紹介するよ。
・海泥波波美
あさぎ。1人目の35期。1人目の同郷。発想がぶっ飛んでる。楽ステでなにするかわからないくらい。稽古場で黍さんに提案した時の演技が、だいたいどれも「それはやりすぎかも…」って言われてる。演劇未経験者とは思えない恥じらいのなさで、突き進んでて最高。みんなに言えるんだけど、発声がめっちゃ強くなった。なかなかむずい役をやってて、むずいだろうなと思う。普段のキャラとは違うキャラやってる分、普段と似てる演技をするってなった時の暴れっぷりがやばい。ぶっ飛んでる。「ぼくせせさん潰してきます」って言いながら箱に雀牌置きに行って、帰ってきたら「やっぱせせさんには勝てねえっす」って言ってたの本当に最高すぎる。多分、舞台上で逆にリミッターかけてるかもしれん。だから本番の舞台の空気を浴びた時にきっととんでもないことができる奴だと思う。頑張ってくれよな。
・近未来ミイラ
みいら。2人目の35期。2人目の同郷。なんと共演者。つったかたーを天才的な扱いしてる。まじでみいらの稽古日誌天才すぎた。本当に好き。文学部がなぜ文学部なのかを見せつけられた。いろんなところにちょう細かい身内ネタとも言える小ネタが仕込まれててまじで脱帽させられる。もとから演技がうめえと思ってたけど、やっぱうめえんよ。稽古を重ねるにつれじわじわリミッター解除していってて、よく通る声がまーーじで聞き取りやすい。みいらが1人でやりたい放題するシーンが若干トレンドになってるらしくて、後方で腕組んでさすがだな…ふふふみたいな表情をさせてもらってる。多分みいらも場の流れにのって楽しめるタイプだと思う。本番でもあさぎに頑張ってついていくんだ。あれが暴走するのを止められるのは、きみとこふくだけだ。頑張ってくれよな。
・大福小餅
こふく。3人目の35期。3人目の同郷。めちゃいい子。35期は、おれらが言ったアドバイスをスポンジみたいに吸収していく子が多いけど、特にスポンジな子。実は舞台上でやりたい放題する役なんだけど、全然普通にやりたい放題してて最高。これはいままでの2人にも言えるけど、やっぱり伸び幅がすごい。演劇未経験者のとるテンポ感じゃないし、演劇未経験者ができる動きじゃない。みんな本当に成長してる。大道具にもめちゃくちゃきてくれるし、本当に助かってる。怖い話のメンバーのぶっ壊れたノリについて来れるのはすごい才能だよ。後ろでうるせえこるくさんに負けねえ感じでいこう。頑張ってくれよな。
・君安飛那太
こるくさん。35期ではない。アルセギラに嫌われてしまった人。こるくさんの信じたあのデッキはたねポケモンをこるくさんの手札にくれなかった。ちなみに俺と戦った時はけっこうおれのことボコってた。でもその後、おれもちゃんとこるくさんに勝った。またD脚本でこるくさんに誕生日祝ってらもらえて、とても嬉しかったです。久しぶりに稽古場でがっっつり話してやっぱりとっても楽しかった。ストッパーをかけないと舞台上で暴れてしまうこるくさんは最高だ。でも35も暴れて欲しい。いつか、コルクさんに6-0で勝ちます。秋まで覚悟しててください。頑張りましょう。
・ミル鍋
ゆに。4人目の35期。NOT同郷。工学部仲間。吹田は遠い。引っ越そう。まじで。暴れるこるくさんの横で優雅にあばれるゆに。経験者とはいえ、こるくさんと一緒に暴れられるのはやっぱりすげえよ。いやほんとにすげえよ。でもきっと、こるくさんに見劣りせずに暴れられるのはゆにくらいしかおらん。なんならちゃんと黍さんの演出聞いてセーブしてるの天才。こるくさんが変なだけ。多分。発声が強すぎて、先輩の居場所はなくなっちまった。35期の女子たちとわいわい大道具楽しんでくれてて、とっても嬉しい。ぜひ楽しんで大道具やってくれ。遠いのは知ってるので無理せずに。頑張ってくれよな。
・舞原まひろ
まほろ。キボウノハナーまじですき。じわらいなしで。がんばろ。
・Aru=R
ほばさん。ほよよよ。��だち。頑張りましょう。
・たぴおか太���
なすか。世界に感謝。天才たぴに感謝。がんばろ。
・黍
きびさん。初めての黍さん演出めっちゃ楽しかったです。すべての稽古が本当に楽しかったです。また演出つけてください。今度trpgしましょう。頑張ります。
・肆桜逸
ぼく。はい。
1ヶ月早かった。この1ヶ月めっちゃ楽しかった。新入生が同じように1ヶ月楽しかったのなら、とても嬉しい。でもまだ終わってないから、がんばろう。頑張ってきたのは知ってるから、本番はいつも通りでいこう。
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【機動戦士ガンダム】追加機体はシスクード【バトルオペレーション2】
春のバトオペ祭りも終わり、無料ガチャを引くためにログインすることもなくなりました。 機動戦士ガンダムバトルオペレーション2。 2023年4月27日追加機体はシスクード ■モビルスーツの特徴 コスト550の支援機 ティターンズが推進した「プロジェクト・セイレーネ」の中心となるMAの護衛機として開発され、ガンダムフェイスにモノアイという特徴的な外観を持つ試作MS この時代のMSとしては大型の部類ながら機動性を重視した機体となっており、専用複合武装であるIフィールド・ランチャーを用いて、広範囲に渡り敵の攻撃を無効化し、さらに強力な火砲により迎撃する 機体スペックはコスト度外視で開発されたため、リミッターを施さないと強化人間ですら対応できない性能となっており、通常はリミッターの制限下となるリミッター解除状態は「オフェンスモード・フェイズ1」と呼ばれ、さらにフル稼働状態である「オフェ…
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774 · 1 year
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原付として公道を走る場合「保安基準」を守る必要があり、安全に走るためにさまざまな物を装着したり、免許を取得したりする必要があり、代表的なものは以下の通りです。 免許 ヘルメットの装着 ウィンカー バックミラー ナンバープレート クラクション フェンダー ミラー
電動自転車の改造は違法?リミッター解除や速くする方法について!
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crydayz · 7 days
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240916 月
そうだ、月曜だった
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物語を畳む
人生を畳む
その上で「1世代で」必ずしも解決しなければならない問題というものはない
今ここで命を燃やさないと過去何世代分もの努力が無駄に、未来何世代分もの負債遺すことになるって時のみ、寿命3年分くらい消費して全力で「なんか」すりゃあいい
全力でなんかするにしたって意思の力で全力出せるだけの「リミッター外し」テクニックを習得しとかなきゃならない
肉体と脳は無駄に寿命減らさぬよう行動と思考に常に「制限」をかけている
底抜けの「恐怖」か「怒り」か「圧倒的希望」感じた際に、初めて肉体のリミッターというものは解除される
それら感情がミックスされ最高に昂った状態が「熱い / 燃える」と評される状態なのだ
クソデカい責任負いつつ絶体絶命の締め切りが迫る状況。それこそが「燃える」のだ
脅迫的シチュエーションに冷や汗たらしながら「おもしれぇ事になってきやがった」と嘯く時ほど楽しい瞬間はない
全力を出すに足る「内的理由」と「外部との関係性」
それらを突き詰め重層化させ回転率上げる事で自然とやる気は湧いてくる
情熱燃やす上で「敵」の存在は不可欠だ。自分の視界に収まるチンケな敵ではなく、圧倒的で「畏敬の念」抱けるレベルの神がかった、あるいは悪魔めいた敵が
無いものねだりしてヘイト転がす暇があったら「あるもの磨き」してロマン昂らせ「積極 / 能動 / 暴力」的に生きていけ
伏線回収など他人任せでいい。手塚漫画の半分くらいは打ち切り曖昧エンドのままクロスフェードで新作始めてる。熱を失った物語など無責任に棄てろ。棄ててはならない物語に熱を注ぐ手間を惜しむな
回せ、回せ、回せ!! らららららららら螺旋
【✓】
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thyele · 2 years
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2023年1月27日
YOSHiPON※1/27池袋手刀tears主催G.P.G 2ステさん「いよいよ今週すぐ! 2023年01月27日(金)池袋手刀にて TEARS OF THE REBEL pre"GIGS PIGS GIGS No.23"開催です!! tears久しぶりに演る曲もセトリに、、、 自分はGimme Some Truthと2ステ🔥 お久しぶりのFOOD、DJ Masaru君も非常に 楽しみな1日。 是非遊びに来て下さい! https://t.co/LUphLFEp0z https://t.co/rQTSi9nR8w」https://twitter.com/YOSHIP0NxxxTOR/status/1618188407653695488
Ryuichi Kawamuraさん「スティーブガット🫶🏻 ブログ更新しました! https://t.co/3iH830962F」https://twitter.com/RyuichiKawamur2/status/1618230940744179713
中島卓偉さん「YouTubeメンバーシップ生配信!今夜もありがとうございました。やる度にどんどん楽しくなってきてます。次回は2月24日の金曜日20時から!今夜のアーカイブも楽しんでください! #中島卓偉」https://twitter.com/takuinakajima/status/1618233425017843712
森 翼mori tsubasa/MIMIZUQさん「YouTube撮影。 CAMPFIREブログ(全体公開) https://t.co/nvJOftL1Jn」https://twitter.com/mori_tsubasa/status/1618236040241872896
タカツキさん「『首振神社』新宿参りに向けて本日最終調整中。チケットもまだ販売中です! 前回の小倉編ともガラッと変えてますので配信組の方もお楽しみに! 首振りDollsのライブデビューがワンマンというのも全く悪くないしむしろ良い気もしますので、まだ考え中の方も是非に…!気合いかなり入ってるみたいです」https://twitter.com/attsu_of_death/status/1618223196985233409
KINGRYOさん「KING RYO キャス配信中 https://t.co/AqTUWvhKgE」https://twitter.com/kingryoworld/status/1618241084974587904
ヴィジュアル博士のる@監修オムニバスCD2種発売中さん「沢山の方に見ていただけて、6歳児もすごく喜んでいます。ありがとうございます。 6歳児はTHE LAST ROCKSTARSに入りたいそうで、父親としては子供の夢はできるだけ叶えてあげたいんですが、それはさすがに叶えてあげられそうにない気がする…ごめんよ息子🥲」https://twitter.com/vr_noru/status/1618241735989297152
ヴィジュアル博士のる@監修オムニバスCD2種発売中さん「あと「YOSHIKIもHYDEもSUGIZOもMIYAVIもツイッターやってるよ」って教えたら、「よしきとはいどとすぎぞーとみやびも見てくれるかなあ」って言ってました。「見てくれるといいね」って言っておきました。」https://twitter.com/vr_noru/status/1618242589198815233
源 依織さん「CRAZY PUNK KIDサポートでした。 しんでぃーにかかればミッフィーも… また新しい扉を開いた人(うさぎ((ぬいぐるみ))が現れてしまった。 https://t.co/vmIoYToSHr」https://twitter.com/prin_guitarist/status/1618243696704786433
ryoさん「個人のも追加📷 https://t.co/Qx7SdTIlCk」https://twitter.com/ryo_dalli/status/1618247402795986945
UNCLOCK LOVER 頼田陵介さん「とりあえず Chick Corea /Spain BRANDROID/アリエルミー か😊 皆さまお待ちしてます🙋‍♀️ 送り辛い方はDMでもいいし Twitterやってない方は [email protected] に『リクエスト』 と記載してくれたら良いよ✌️ このままだとなる様リクエストに早々に取り掛かる事になるから頼んだ。笑」https://twitter.com/yorita_ryosuke/status/1618249001450758144
Hydeさん「#YOSHIKI #HYDE #SUGIZO #MIYAVI #THELASTROCKSTARS #会場ゲネ #有明アリーナ #ライヴまであと1日 #いよいよ明日 @YoshikiOfficial @SUGIZOofficial @MIYAVI_OFFICIAL @LAST_ROCKSTARS https://t.co/kqA4UCjOky」https://twitter.com/HydeOfficial_/status/1618249248432345088
ヴィジュアル博士のる@監修オムニバスCD2種発売中さん「【人魚姫/NAMELESS】 12ヶ月連続リリースの第2弾。 3月のワンマンのタイトルにもなっている楽曲だが、麗しさを見せると思いきやデスボイスに彩られたヘヴィなV系メタルコア。音はとことんまで激しさを見せるが、綴られる旋律と歌詞は哀しげなそれ。このギャップこそが彼らの一つの武器であろう。 https://t.co/b1yjMtUaK7」https://twitter.com/vr_noru/status/1618249714193039360
中島卓偉さん「2人の共作曲をこの日に初披露致します! 作詞 植田真梨恵 作曲 中島卓偉  是非いらして下さい! #植田真梨恵 #中島卓偉」https://twitter.com/takuinakajima/status/1618253614832832512
UNCLOCK LOVER 頼田陵介さん「あ。そいえばDM解放してなかった的な😅😅😅 たぶんできた✌️」https://twitter.com/yorita_ryosuke/status/1618257625644433411
伊藤コウスケさん「2/24(金)下北沢CLUB251 「(not)a ”one-man GIG”」 DJ:小林賢司(Large House Satisfaction) Ba. 伊藤コウスケ Vo. イノクチタカヒロ(hotspring)@ino_hotspring Gt. ジョニーダイアモンド(首振りDolls)@Tracisixteen Dr. SEO(PAPRIKAN) https://t.co/uM5TxOlgHy https://t.co/2Kb5mWRgTQ https://t.co/BetdHzausT」https://twitter.com/kosuke_ito_/status/1618222328311316481
ジョニーダイアモンド首振りDollsさん「リハでした 明後日は楽しみましょう🕺」https://twitter.com/Tracisixteen/status/1618264622704001030
SUGIZOさん「TLRS怒涛のゲネプロ。 いよいよ明日‼️ うー、時間超足んねー😵 SGZ #THELASTROCKSTARS #TLRS #YOSHIKI #HYDE #SUGIZO #MIYAVI @YoshikiOfficial @HydeOfficial_ @MIYAVI_OFFICIAL @LAST_ROCKSTARS https://t.co/3NZFas0ikx」https://twitter.com/SUGIZOofficial/status/1618265400625754112
KOUKI🇯🇵 ダウト🗻さん「今日はKISAKIさんイベントのリハ初日でした👹 とても良い刺激とテクニックではないヴィジュアル系に対する熱をいただきました。 俺のライブのリミッターも解除してくれるライブになりそう。 俺の憧れたビジュアル系がここにある、お楽しみに。」https://twitter.com/kouki_d_out/status/1618228685764702210
真緒さん「本日はリハーサル初日でした。初めての音合わせ。楽しかったです。 https://t.co/wCgO6RWpJS」https://twitter.com/mao_Sadie/status/1618262185297481731
HIZAKIさん「29日のリハでした。めっちゃ久しぶりにヴィジュアル系やってる感覚ですねw 続いてVersailles練習へ。40曲くらい叩き込まないと!」https://twitter.com/HIZAKIofficial/status/1618231978775687168
UNCLOCK LOVER 頼田陵介さん「リクエストありがとう❗️ 一旦20曲で締め切ります😊 残り13曲🙋‍♀️」https://twitter.com/yorita_ryosuke/status/1618266091930935303
キリ(luin)🥁さん「…。【リハ】でした🌃 ちょうど1週間後の2/2(木)池袋手刀です◎ 御予約受付中です↓ https://t.co/ye6Mx4vFhb 今更ちょっと節々が痛い🤣笑」https://twitter.com/kiri_drums/status/1618267562558750720
lucy+peter=esolagoto / 中村真悟さん「きちんと疲弊していたし低気圧のダメージも凄かったのに何故だか2夜連続で全く眠れず、笑 先程遂に電池が切れた様にダウン(※寝落ち)。 2時間程寝て回復したのは良いんだけど、それによりまた今夜眠れなくなりそうな予感がしちゃってるネ😉😉😉」https://twitter.com/lucy_peter/status/1618271412720136193
森 翼mori tsubasa/MIMIZUQさん「モイ!iPhoneからキャス配信中 - https://t.co/TcR9AqBmqC」https://twitter.com/mori_tsubasa/status/1618275052654587904
森 翼mori tsubasa/MIMIZUQさん「ライブバー https://t.co/TcR9AqBmqC」https://twitter.com/mori_tsubasa/status/1618275106689802241
RENAさん「THANK YOU REX! https://t.co/4m5Amtp6cj」https://twitter.com/RENA_BASSMAN/status/1618265711612399618
森 翼mori tsubasa/MIMIZUQさん「6分間でしたが、ライブBARから配信しました。今津くーん!連呼キャスでしたね。今日もありがとうございました♪」https://twitter.com/mori_tsubasa/status/1618277576908365824
YOSHiPON※1/27池袋手刀tears主催G.P.G 2ステさん「tearsリハ帰りに駅前で偶然ルーシーに会ったんだけど、暗闇の中大分手前でなんとなく気付きました。。。見慣れたシルエット👤 https://t.co/FuqMtru0UK」https://twitter.com/YOSHIP0NxxxTOR/status/1618275475759198209
ライブ・ビューイング・ジャパンさん「#THELASTROCKSTARS 有明公演 #ライブビューイング 📅1/27(金)19:00~ 📌チケット一般発売明日1/26(木)12時まで📢 🎫https://t.co/mE4hvreQ4H 🎫全国のファミリーマート店舗 @LAST_ROCKSTARS @YoshikiOfficial @HydeOfficial_ @SUGIZOofficial @MIYAVI_OFFICIAL #TLRS #YOSHIKI #HYDE #SUGIZO #MIYAVI」https://twitter.com/Live_Viewing_jp/status/1618171953772101633
UNCLOCK LOVER 頼田陵介さん「あれ?DM解放できてない?? 来たけどな。 わからん😞」https://twitter.com/yorita_ryosuke/status/1618294943872876544
高橋 浩一郎(Kaiki)さん「たかしと、3日間ありがとう、またね しょう、ゆなも。 https://t.co/pHJwAHtHOc」https://twitter.com/STakahashi0823/status/1618351482621034496
Deshabillz2023年4月29日(土) 名古屋 MUSIC FARMさん「●透明繭〜すかしまゆ〜 綿菓子の繭に包まれ透明な飴にすかしたチーズケーキ ●博雅の翼 漆黒のトロトロチーズがかかったグラタンパンに漆黒のチーズクッキーの翼が羽ばたく ●灼熱の蒼 蒼いソーダに灼熱の炎を灯して。 ラムのカクテルとノンアルをお選びいただけます(炎はラムを少し使用します) https://t.co/bJaARVIGPc」https://twitter.com/Deshabillz2022/status/1618358157453164545
ヴィジュアル博士のる@監修オムニバスCD2種発売中さん「【#ヴィジュアル系今日は何の日】 Janne Da Arcがオフィシャルサイト上で、バンド活動と並行したそれぞれのソロ活動の開始、Janne Da Arcの活動休止を発表した日。 (2007.1.26) https://t.co/us0AgcdTyQ」https://twitter.com/vr_noru/status/1618368167667204096
ヴィジュアル博士のる@監修オムニバスCD2種発売中さん「#Nowplaying COSMO FLOWER - CRY《MU》 (ATOMIC AIR ANDROID) 今日の一曲。 電子音楽を基盤としたインダストリアルミュージックにも色々なタイプがあるけれど、このバンドは中でも貴重なhideフォロワーが感じられるバンド。 https://t.co/2vmfqAgDqD」https://twitter.com/vr_noru/status/1618372516795547648
金髪豚野郎K助(偽殿下)さん「皆様、ワタクシ無事に帰宅いたしました 九州の道は全然大丈夫でしたよ これで演者としてのおはるさんイベントは無事に終了 裏方として、もう少しだけやる事ありますので、あと少しお付き合いください ひとまず ありがとうございました! 感謝と愛しかねぇっす! (°_°)」https://twitter.com/goldenpigdrumer/status/1618373406818439171
Ryuichi Kawamuraさん「おはよう☀ https://t.co/Q1gmO6vEiw」https://twitter.com/RyuichiKawamur2/status/1618377494973018112
Yoshikiさん「Vote for your Classic Rock Track of the Week: January 23 https://t.co/ERyt83c6B7 @ClassicRockMag @LAST_ROCKSTARS @YoshikiOfficial @HydeOfficial_ @SUGIZOofficial @MIYAVI_OFFICIAL #YOSHIKI #HYDE #SUGIZO #MIYAVI #TheLastRockstars #TLRS」https://twitter.com/YoshikiOfficial/status/1618381775537078273
Yoshikiさん「Tokyo, see you tonight! 今夜から @LAST_ROCKSTARS の日本公演、始まる! #YOSHIKI https://t.co/F3VHfjlU2W #TheLastRockstars #TLRS #TOKYO #NYC #LA #HYDE #SUGIZO #MIYAVI #SHIBUYA #東京 ⁦@WOWOW_SOGO⁩ https://t.co/BUYejBZXDg」https://twitter.com/YoshikiOfficial/status/1618382556982046725
MIYAVIさん「Caught a beautiful sun light on my way to the venue yesterday. Blessing. Love you all. #UndertheSameSky 昨日、会場に向かう道中で見た空と太陽が綺麗だったのでおすそわけ いつもありがとう 😌 #同じ空の下で https://t.co/r7hr6ILqTY」https://twitter.com/MIYAVI_OFFICIAL/status/1618389455894884353
MIYAVIさん「🤘🏻🤘🏻」https://twitter.com/MIYAVI_OFFICIAL/status/1618392103750623232
UNCLOCK LOVER 頼田陵介さん「@goldenpigdrumer お疲れ様でした😆✨✨」https://twitter.com/yorita_ryosuke/status/1618397383884406785
UNCLOCK LOVER 頼田陵介さん「おはよございます 昨日より寒さは和らぎましたね😊 それでも風邪退かないよう皆さまお気をつけ下さい🙋‍♀️ リクエストも朝起きたらだいぶ来てたw 鋭くのKENTAからキチクなリクエスト来てたw こーゆー時バンドマン仲間からのリクエスト怖い。笑 K助さんも無事帰宅できたようで一安心😊 皆さま良き一日を✌️」https://twitter.com/yorita_ryosuke/status/1618399774214062083
deadman_officialさん「【受付は本日まで!】 FC限定ライブのチケットは 本日1月26日21:00までの 抽選受付になります。 official fan club FUZ会員限定 deadman 2023 tour 「dead reminiscence」 2月21日(火) 渋谷PLEASURE PLEASURE 2月25日(土) 名古屋MUSIC FARM 2月26日(日) 名古屋MUSIC FARM https://t.co/Li3ITgjr2F」https://twitter.com/deadman_fuz/status/1618409770708525056
UNCLOCK LOVER 頼田陵介さん「さて、 何から手をつけるかな😊 https://t.co/O58rD9Fjsq」https://twitter.com/yorita_ryosuke/status/1618412735519416320
森 翼mori tsubasa/MIMIZUQさん「おはよう! 森翼タイで家を探す!(後編)1/26-1/30 応援チケット🇹🇭✨ https://t.co/ewYx6c9RXM 前編1/19-1/25は オフショット:40枚 ムービー:約10分 をお送りさせてもらいました。 応援ありがとうございます♪ 引き続きよろしくお願いします!😆👍 https://t.co/3n4zuu8fFW」https://twitter.com/mori_tsubasa/status/1618413041787482114
aieさん「遂に今夜・・・。 kein、23年振り(たぶん)の ジャパンツアー最終公演・・・。 Zepp DiverCity TOKYO、 19時開幕・・・。 https://t.co/E64axZxq5S https://t.co/re7Udtr9GZ」https://twitter.com/THEGOD_aie/status/1618421581700812806
GOATBED.officialさん「XA-VATのチケット優先は本日までみたいですよ THE BAT のDL販売も月末で終了予定です カッコ面白いので皆様 是非 https://t.co/zEKtR26HOB」https://twitter.com/GOATBEDofficial/status/1618405392555573251
kein-officialさん「【LIVE情報】 本日TOUR 2023「木槿の柩」ツアーファイナル! 1月26日(木) Zepp DiverCityTokyo 18:15 / 19:00 当日券販売します! 18:15より当日券窓口にて販売。 チケット料金: 指定席¥8,300(税込) ※入場時Drink代別途必要 先行物販は16:30より開始予定。 お待ちしております! https://t.co/mRFHTXLG0y」https://twitter.com/kein_official_/status/1618424606746107904
ヴィジュアル博士のる@監修オムニバスCD2種発売中さん「Chu! かわいくてごめんゴメン御免なさいごめんごめん許してください 僕が俺がボクがオレがぼくが生まれてきちゃってごめん」https://twitter.com/vr_noru/status/1618426134236127236
ZIZ.officialさん「NEXT GIG!!!!! 1.27 EDGE Ikebukuro cultivate common values #4 https://t.co/pppS5w8JCw https://t.co/LvY8RzMuqy」https://twitter.com/ZIZofficial/status/1618266218267545601
KINGRYOさん「こんにちは✨ 2023.1.26(木)12:00 改めてhappy birthday to Loa🎂 素晴らしい一年になりますように🦍 みんな今日も一日頑張って👍 https://t.co/1kCkUN9zGj」https://twitter.com/kingryoworld/status/1618443648764612609
【Phobia】 KISUIさん「Phobia/abyssの集い https://t.co/RZNpfeHVVx」https://twitter.com/KISUIxxx/status/1618445323931881472
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hatohonoka · 2 years
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各キャラ能力詳細まとめ
戦闘能力等の最新更新事項と覚書
─────────────────────────
ワン  NonCREDIT
パワードスーツによる肉体強化。 特注のアドレナリン注射を使用し、パワードスーツによる強制的な身体能力の向上、それに伴う高速移動による高速戦闘。 高速移動使用中の使用者の感覚はほぼ時間停止に近い 弱点
・特注のアドレナリン剤を注入しなければならない  注入しなくてもパワードスーツの肉体強化は使用できるが、高速移動をするためには注入しなければ自身の意識が高速移動について行けない。
・高速戦闘時は銃火器が使用できない  特注のアドレナリン剤を使用し通常の身体能力を遥かに超越する感覚強化を行い行動するため、銃火器の射撃と高速移動のスピードがかみ合わない。(弾が発射されるまでも遅く感じる為) そのためワンは刀を用いた戦闘が主体になる。
・高速移動に使用制限がある  強制的身体能力の向上、特注のアドレナリン剤を使用するために物理的な回数制限と肉体的回数制限がある。日に8回使用できれば上出来。1回の使用で12秒間高速移動が可能。連続使用は基本的にできず、最低でも2分インターバルを置く必要がある。インターバルを置かずに使用すると鼻血と呼吸不全が起こる。上限8回使用したら24時間インターバルを置かねばならない。9回目からは身体が耐えられず意識が飛ぶ。
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佐伯茉里奈 φ オルフェン
瞬間記憶能力による相手の動きの記録、保存、再生 相手の動きを記録、保存、再生することによるコピー 記録からの行動予測による先読み 相手の癖やパターンを予測し、未来予知に近い先読みを可能とする。
弱点
・目視で相手の行動を見なければならない  速すぎる動作やそもそも見えない行動はコピーすることはできない  動画などの記録媒体を介して行動を確認しても能力は完全には発動しない。(相手の身体の動き方や癖などが完全に読み取れないため)
・初見の相手に弱い  上記の理由の為、初見の攻撃は確実に受けなければならず初撃でやられる可能性がある。相手が延々姿を見せない場合能力を発動させることが延々できず、そのまま詰む可能性がある。
・特別な能力が必要な行動は完全再現は不可能。  自身の身体能力は一般的な女性よりある程度なので、力を必要とする行動や特殊な道具を使用しての行動は再現不可能。
────────────────────────────── 西野姫良 λ オルフェン いつでも火事場の馬鹿力を発揮できる超パワー 文字通りいつでも超人的なパワーを発揮できる 常に5%出力で日常生活が送れる。 10%出力で安全にハイエース1台を持ち上げることができる 弱点
・力を制御しきれていない  薬物乱用による脳の異常によりリミッターが解除されてしまっており、完全に力を制御しきれていない。茉里奈と組むまでは日常生活もままならない程であった。
・100%以上で超パワーを使用すると身体が耐えられない  使用自体は問題ないが身体自体が力に耐えられず自壊してしまう  例えば100%で使用してパンチを繰り出すと当たろうが外れようが腕が壊れる。
・力の出力を上げていくと45%以上から制御が雑になる  40%まではある程度制御ができるように訓練できているが45%以上出力を上げると身体にダメージを受け始める。 例えば大体50%でパンチを繰り出すと腕の関節のどこかが打撲を負う。 茉里奈に危害が加わると、力の制御を崩しやすい
・自身の能力をフル活用するにはインファイトの徒手空拳の格闘戦が必要。  超パワーで戦う場合のみ。道具を使用すると力が伝わる前に道具が壊れてしまうため。 ──────────────────────────
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stormfrozen · 9 months
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巨大兵器との激闘・頭脳の間
双拳の塔、7階の「頭脳の間」。そこにいる超能力が強い機体を見つける為、ブリオッシュは1人、だだっ広い部屋を歩く。
…幾ら1人とは言え、ペルピーニャが心配だ。しかしもう決めた事…俺は逃げない。
奥の方に進むと、頭部が大きな人の姿をした機体がそこに鎮座していた。本来ならこの部屋の先にあるエレベーターへと向かえるのだが、この配置の仕方ではどう見ても通せん坊している様にしか見えない。
…もしかして、こいつだよな?
敵の動きに警戒しつつ、矢を抜いたブリオッシュ。そして、彼が近付いた時にその機体は動き出した。
前方…生体反応を確認。データ無し。敵と断定………行動を開始。
このタイプの機体は4機全て、管理者がAIに「刷り込み」を行う事で膨大なデータバンクにアクセスし、更にそこから製作者、機体の管理者等を次々と登録して、敵味方の区別をAIに付けさせている。そして、そこから登録の無い生体反応があれば、基本的には「敵」と断定される仕組みの様だ。
来い。バラバラに叩き壊す。
動き出した機体、その名は「No.OP」。ブリオッシュは弓矢を構えて、早撃ちで敵を牽制する。
エネルギー………充填。目標を捕捉。
大型の頭部から放出された膨大なエネルギーの奔流が、ブリオッシュを襲った。この攻撃こそサイコキネシスであり、これが実にシンプルながらかなり強い。
星を飲み込む闇という奴を…食らわしてやろう。
そう言うとブリオッシュは矢で敵の影を縫いつける。放った矢が機体の動きを封じ、行動を制限させた。
突撃する。
その大きな頭部を使い、素早く突撃して頭突きを繰り出す。思ったよりも動きは速く、逃げるには難しい。
くっ!?
頭突きにぶつかったブリオッシュ。大きく吹き飛ばされ、倒れそうになる。彼が体勢を立て直し、翼で飛び上がろうとすると、No.OPは次の手を打つ。
リミッター解除………重力展開。支配する………
この部屋全体に、大きな重力が掛かる。と言うのも、この部屋の天井には重力発生装置があり、それは機体の方から合図を送る事で起動する物であった。それと同時にこの部屋の床には、足元に宇宙空間にも似た不思議なエネルギーが放出されると言う物で、超能力が高まる効果を持つ。
何っ………!!飛べない………!!
上の方に行く度に体が一気に重くなる感覚があり、ある意味ブリオッシュの持ち味でもある飛行が使えない。だがそれでも、黒い両翼を展開し動き回る。
それでも、これなら!!
一瞬だけ姿を消し、不意打ちの一撃で矢羽根を敵の装甲に貫く。思わぬ闇討ちで、No.OPのエンジンとCPUにダメージが入った。
損傷甚大………衝撃波を放出。
No.OPは数機の小型端末を展開し、突撃させる攻撃でブリオッシュを追い詰める。そして、彼の足元からは範囲の広い衝撃波が放出された。
ぐあああっ!!………ちぃ……っ!
そんな中でも彼は矢を2本放ち、先ずは敵の端末を破壊する。そして無数の木の葉を翼の羽 撃きで巻き上げ、敵を拘束する。
此処で一気にやってやる。覚悟しろ!
翼から数千本の矢を展開し、一斉に撃ち出すブリオッシュ。矢は次々と機体の至る所に刺さり、No.OPを撃ち落とした。
プログラム破損………修復中………ブレード展開。
割と深いダメージを負った敵は無数の刃を生成し、カッターとして撃ち出す。撃った刃は1枚1枚の動きがランダムで、空中を掠める様に飛ぶ物や、真っ直ぐ飛ぶ物、そして地面を削る様にして這う物などが数枚来る。
何とか喰らわしたが………俺もそろそろきつい………
さっきの衝撃波には当たってしまい、耐えるのがやっとと言う場面でブリオッシュの所に飛んできたのは休み無く飛ぶ刃の応酬。
しまった………うわあああぁぁぁっ!!!
逃げる事も叶わず、切り裂かれる体にもがれた左の翼。ブリオッシュは背中に強い傷を負い、真っ赤な鮮血を噴き出して倒れた。そして、そんな彼の頭部には飛び散った黒い翼の羽根が何枚も落ちる。
まずい………仕方無いか。本当は使いたくなかったが………!
直後に、彼の左の背中には白い翼が広がった。翼をもがれても��立ち上がるブリオッシュに、No.OPは更に解析を進める。
本来のデータに無い、未知のエネルギーを確認。解析中………
あ。言��忘れたな。序でに言うが俺はたとえ翼をもがれても………攻撃手段として使えるぜ。行くぞ。
重力発生装置を破壊する為、もがれた翼を再利用して無数の羽根を浮かび上がらせる。そして、それらを使い…先程撃った「サウザンド・ドラゴンアロー・スコールド」の2射目が天井に向かって飛ばされた。
どがあああぁぁ!!
そしてこの攻撃が重力発生装置を破壊し、自由に動ける様になるブリオッシュ。矢は何本かがNo.OPにも刺さった。
うわっ!と…まだ行くぜ。
噴き出すエネルギーの奔流をかわし、ブリオッシュは再び無数の葉っぱで竜巻を起こす。
敵から危険なエネルギーを確認。防御態勢に突入………
無数の葉っぱを超能力を使って防御しようとするが、彼の狙いは残念ながらこの葉っぱの竜巻をメインの攻撃手段として使っている訳では無かったのだった。
こいつで終わりにしてやるよ………沈め!!
無数の光と闇の矢の応酬。彼の最後の大技「シャイニングシャドーアローズ」がNo.OPを囲む様にして襲い掛かる。
深刻なダメージ………制御不能………
さっきとは比べ物にならない無数の矢が次々と機体を串刺しにして、同時にCPUとAIを共に貫いた。そして、最後の一矢はブリオッシュが飛ばし、コアを破壊する。機体は火花を散らし、最後に大爆発を起こした。
ずどおぉごぉぉぉん………!!!
破壊された機体の残骸が、黒焦げとなりこの部屋に落っこちた。ブリオッシュはそれに見向きもせず、エレベーターに向かう。
………行くか。あの機体とかなりの激闘を…いや、激闘なのか………?だが、そうでなければこの後の奴との戦いが………あっ………。………待ってくれ………ペルピーニャ………今行く。はぁ………はぁ………
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pudknocker · 3 years
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みずほの報告書 ・システムの把握してる人がいない ・時間がないのでテストすっとばし ・休日に障害起きた時の対応マニュアルがほぼノープラン ・エスカレーションの仕組みが機能してない ・エラーでたから出ないようにリミッター解除して悪化 「現場猫欲張りDX盛り合わせセット」案件で草も生えない
椋木さんはTwitterを使っています
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