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#朽葉の塔
mskdeer · 7 months
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全編の魔法設定
渓谷竜全編通した魔法の設定。
すべてのはじまりは生誕編「朽ち葉の塔」。そこから建国編「木洩れ日竜」、選帝編「聖アヴァ」、本編「ルア花」、異邦編「星の落日」と変化していく魔力について。
▼生誕時代
魔力の源は異界クーアよりもたらされた。それは「鱗粒子ラトナ」と呼ばれている力。ラトナが本編世界に流れ込むと「分子を動かす力」へ変化していく。
魔法の源は粒子状をしており、拡大するとひとつひとつが鱗に似ている。粒子同士は互いに力を及ぼしあい様々な図像を象って存在。組み合わせによって特定の図形が作られると属性を宿し「元素」ないし「ラトナ」と呼ばれる力となる。
代表的な図形は八つ。これらは八大元素と呼び、炎・水・風・土の基礎元素、蝕・識・香・空の高位元素に分類される。
上位:蝕(紫爪)・香(銀背)・空(金背)・識(白翼)     |    |    |    |
基礎:火(赤尾)・水(青腹)・風(茶首)・土(黒翼)
各元素に干渉されぬ元素は「光鱗粒子」と呼ばれる。変化自在であり、他元素の構造に入り込んで無理やり変形させることが可能な粒子。元素を超える力――世界の理を超える力として畏怖され、或る名家にのみ受け継がれる。力の持ち主は光鱗粒子が体内より輝きを放つ為、まばゆい黄金の瞳を持つ。
大陸竜スマラグドもまた光鱗粒子の持ち主だった。
▼神話時代
神話の時代、異界より竜がラトナ元素を身に纏って現れた。多少変化すれども、基本的な属性や力は異界クーアの鱗粒子と対応していた。それらはアハシュカルに広まると性質を変え、分子と結合しやすくなった。
ラトナに適した者は物質を繰ることが出来た。例えば水は密度や大気の分子を大きく動かし流れを作る。炎は熱運動により高温を作り炎を生み出す。
かくて炎を起こすもの、水を操るもの、風を生み出すもの。分子単位に干渉して魔力のような現象を引き起こすため、分解も創造も自在だった。人々は大いに繁栄した。こうして神代の時代が興った。
新たな力は問題を生み出した。質量保存されていたはずの世界が自分勝手に動かされるのだ。大災害や病が頻発するのは当然の帰結だった。そうして空間が揺らがされるうち、世界に偏りが起こり、各属性に特化した特異な土地が少しずつ形成されていった。
己の出現による滅亡を危惧した竜は、特異な土地に身体や魂魄の一部を埋めて特異な命を芽吹かせた。それが巨大な翼を持つ「羽翼獣」だ。白黒青金銀茶紫赤。現代において竜の子孫と呼ばれる彼らは、本来、唯一竜の身体の一部だった。ゆえに姿かたちは竜に似ていた。竜の身を分けて生まれた彼らは、自然と親を模して生まれ落ちることになったのだ。
白は魂魄から、黒は頭から、青は腹から、金銀の双子は背から、茶は首から、紫は爪から、赤は尾から。八体の翼持つ生き物は特異な土地の力を宿して作り出された。彼らの中には反抗的な存在もあったが、次第に最も力あるスマラグドを親と認め慕うようになった。かくて唯一竜は八匹の子を持ち、家族を得た。
青:水
赤:炎
白:識(創造)
黒:土(肉体)
双:香(癒)
双:空(雷)
茶:風
紫:蝕(分解)
魔力干渉により崩壊の一途を辿る土地で、翼持つ子らは新たな生命を芽吹かせんと奔走した。そこでヒト、猫、虫、大鴉、魚、蜥蜴…他にも狼や、名もなき巨大生命など、羽翼獣たちは竜に代わり、秩序を守るための種族を創り出した。
異物として存在していたラトナ(魔法)は、竜よりも世界に近しい存在である羽翼獣を通して、少しずつ世界へ融合していった。お陰で世界は緩やかな安穏を享受するまでになった。
だが、この世界においても光鱗粒子は竜スマラグド以外に操ることは出来なかった。
▼建国時代
竜や羽翼獣同士が相打ちとなった戦いの後。生存者はわずかだった。彼らは大洪水でほとんどの土地を失った。生き残りは仕方なく光鱗粒子に満ちた竜の死体の上で暮らすことにした。これが竜大陸の始まりである。
魔法をもたらした竜が死んだことで各地で魔力に変化が起きた。生き残った羽翼獣が司る力――土の黒、炎の赤、水の青、わずかな残滓の識の白――四つの力以外、魔法の力が失われてしまったのだ。
必然、人々は二度と力を失うまいと研究を始めた。そうして大陸における最初の王国、黄金郷リランディアはより深くラトナや異界に繋がる門を建立した。
門は、生き残った羽翼獣にあやかり4つの属性を司った。
土の聖門マグノリア
炎の大門カレンデュラ
識の法門オマンサス
水の魔門サイネリア
一方、大陸には「恵みの力」と呼ばれる独自の力が存在していた。金眸の民。門を媒介して得る魔力ではなく大陸竜に属する力を持つ者たちのことだ。彼らは植物を大きく育てたり自然を豊かにしたりと「恵み」をもたらすことが出来た。なぜなら、瞳に宿る光鱗粒子を通じて土壌たる竜の体(大陸)に接続できるからだ。
▼光鱗粒子の変化
異界クーアでは「理を動かす」と畏怖された光鱗粒子。これらは、力の持ち主だった大陸竜スマラグドを通じて金目の民へ「恵みの力」として受け継がれた。
一方、光鱗粒子を通してのみ認識できた世界の澱、「昏き波」。朽ち葉の塔主を蝕む悪役だったそれもまたこの世界に流れ込んでいた。しかし昏き波は異界クーアにあった頃と異なる変化を始め、人々の生活を支えるようになっていた。
光があれば影は増し、影があるから光は見える――あちらで光鱗粒子を阻害していた昏き波の力が、こちらの世界では「恵みの力を補強するもの」となっていたのだ。
かくて互いに反目するのではなく補強する。いわば金目の力を一層強くさせる力。すなわち「金眼の異邦人」の力の源であった。
昏き波は光鱗粒子と共に宿り、静かにたゆたう。そのため異邦人の金目は紫かがっている。
▼以降の時代と金目
竜大陸内では青・赤・白・黒までの属性が見つかっている。しかし大陸の外に出ると、黒・双・茶・紫の属性も見つかり、全属性が発見される。
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yotchan-blog · 26 days
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2024/8/28 8:01:32現在のニュース
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jak0-log · 8 months
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朽ち葉
魔法の設定を作る時には数学要素を絡めたい…そんな春。
新しい世界観の「朽ち葉の塔の公子」で、魔法=粒子が形作る多角形の構図みたいなネタ作っててはたと気づく。粒子が様々な形に変化していく設定は明らかにダーク・マテリアル(ライラの冒険)の影響ですね。
朽ち葉の設定がじわっと出来てきた感。
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kachoushi · 9 months
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零の会
2023年9月1日
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於:浅草文化観光センター
坊城俊樹選 岡田順子選
坊城俊樹出句
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坊城俊樹出句
いなせなる俥夫に惚れたる秋袷 秋袷恋に疲れて吉備団子 仲見世に小鳥招きぬまねき猫 大黒屋食べ損ねたり柏翠忌 柏翠忌ならば機嫌の簪屋 小鳥来よ五重塔を越えて来よ 風神はどこか雷神より秋思 俥夫いつも屯すあたり小鳥来る 羊羹に群がる乙女馬肥ゆる 路地に入り幽霊となる夏柳
坊城俊樹選 特選句
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坊城俊樹選 特選句
売られゆく親子達磨の秋思かな 三郎 初秋の六区へ向かふ荷風かな 佑天 浅草にもの食ふ匂ひして厄日 和子 秋の風六区をふけばあちやらかに 光子 蟬一つ堕つ混沌の日溜りに 昌文 中国語英語独逸語みな暑し 美紀 神谷バーにはバッカスとこほろぎと 順子
坊城俊樹選 ▲問題句
そのすぢの人の逢瀬や橋の秋 慶月
坊城俊樹選 並選句
浅草の淡島さまへ菊灯し いづみ 蔦の秋バーの屋号を絡めけり 光子 秋日傘言問橋を渡り切る 六甲 安すぎて売れぬ気配の秋の服 久 夏の果て茶寮別館宴果て 荘吉 団子買ふ簾名残の仲見世に はるか 秋潮を曳く朽ち舟の齢かな 三郎 灯を待つは蔦の中なるショットバー 光子 人力車より耳門にたたむ秋日傘 昌文 ましら酒六区あたりで商はれ 久 空つぽの六区交番秋日和 光子 演歌歌手のポスター褪せて秋暑し 美紀 六区へと金の首輪の露けしや はるか 秋暑くおもちや箱なる花やしき いづみ 秋天へしやかしやかと振るみくじ箱 眞理子 蔦絡む天国てふ名の純喫茶 美紀 秋の服としスカジャンは売れもせず 小鳥 秋旱勝手にしろとベルモンド 軽象 六区より簾名残の酒場へと はるか ポマードで白の脚半で俥夫の秋 和子 まねき猫ひとつ売れては秋を呼ぶ はるか 半七像に想ひありしか小鳥来る 三郎 水上バス葉月潮ごと浅草へ 光子 六区てふ狭き街より秋の声 眞理子 江戸前の秋風鈴や寄れば鳴る 美紀 捨て扇派手にあふぎて匂ふひと 和子 秋簾掛けて売り出す婦人服 いづみ 秋暑し楽屋裏にはなべやかん きみよ もんじや屋はもとスナックや水中花 美紀 提灯は秋暑に重く雷門 佑天 隅田川二百十日を臭ひけり 光子
_____________________
岡田順子出句
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岡田順子出句
秋暑し背高のつぽが吾妻橋 ケバブ売る浅草暮らし赤とんぼ 異国語の唄も誦経も秋の声 架橋揺れ泡沫は秋声となり 神谷バーにはバッカスとこほろぎと 望郷の秋水となる日は何時か 馬道の果てゝ六区の秋千草 男優の秋声遺す算盤屋 豊の秋三枚のせるパンケーキ 蔦紅葉金字に飾り昼のBAR
岡田順子選 特選句
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岡田順子選 特選句
ましら酒六区あたりで商はれ 久 レプリカのカレーライスの傾ぐ秋 緋路 鉄橋をごくゆつくりと赤とんぼ 小鳥 ぺらぺらの服をまとひて竜田姫 久 橋に立てば風に微量の秋の粒 緋路 秋江を並びてのぞく吾妻橋 久 提灯は秋暑に重く雷門 佑天 浅草の淡島さまへ菊灯し いづみ
岡田順子選 ▲問題句
初秋の六区へ向かふ荷風かな 佑天
岡田順子選 並選句
遠来の民に秋思の施無畏印 昌文 俥夫いつも屯すあたり小鳥来る 俊樹 江戸の世の馬道なりし露の径 はるか 秋風を連れ濹東の詩人たり 秋尚 仲見世の風柏翠忌修しをり 荘吉 秋灯闇ふかくなる般若の目 きみよ 浅草にもの食ふ匂ひして厄日 和子 風神はどこか雷神より秋思 俊樹 秋暑くおもちや箱なる花やしき いづみ 秋の服としスカジャンは売れもせず 小鳥 まねき猫ひとつ売れては秋を呼ぶ はるか 足の爪切つて残暑の浅草を 緋路 六区てふ狭き街より秋の声 眞理子 閉め切つて二百十日のそろばん屋 小鳥 角打ちのあては枝豆里話 三朗 入潮の渦ともならず秋思かな 光子 観音の功徳に縋る秋の蠅 眞理子 捨て扇派手にあふぎて匂ふひと 和子 助六の壁画見上げて秋の空 はるか 秋風に吹かるるものに岸の鵜も 光子 人群れて托鉢僧の鈴涼し 軽象 遥拝の項にタトゥー新松子 昌文 柏翠忌ならば機嫌の簪屋 俊樹 蔦の秋バーの屋号を絡めけり 光子
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a2c4k · 2 years
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クリスマスの足音。
夜が好き。
年齢は関係なくずっと好き。
見えにくい光の中で、街や人をファインダー越しにみていると、昼間に見えないものが見えるような気がします。
空気も少し違うような。
昼の、希望や意志が漂う感じではなくて、人の残滓や思い出、あるいは?みたいなものが空気の中に混じり込んでるような。
とくにクリスマスや師走の暮れの夜は、慌ただしさと楽しみと、新しい年への希望とかで、いろんな感情が街の空気に混じり込んでる。
屋上の鉄塔や路地裏の湿気、忘れ去られた道具や朽ちた枝葉を見ながら、それでも明るく輝こうとするもの、輝いてあることを忘れないためのものがひとつの景色のなかに同時にある。
そうしてそれは一瞬のうちに訪れて、2度と同じ状態になることはなく、刹那のうちに流れ去っていく。
絶え間なく動くのに、そこに想いだけがこびりついているような美しさ?あるいは醜さ?それは人そのもの。
写真を撮る時いつも、人と自然の織りなす日常がかくも不思議に共存してることに驚きます。
夜を撮る時、いつもそれに近い感情を抱く。それは若くて未熟だった時からずっと。
成熟したからと言って、何が変わるわけでもなく、ただ感じ方がさらに豊かになって、やたらときゅっとする。
ああ、写真があってくれてよかった。
心底そう思う。
人に残せることで、たとえ誰にみられることはなくても、未来に向けてなにか一つ残せると思うだけで、救われたような気になる。
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ophelia333k · 2 years
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2022年7月4日
すべてが言葉にされる前にほどけ、朽ち果てていくことが生活になってしまって気持ちいい、気持ち悪い、吐き気がするくらい、と乖離する。
「殺してほしいの、いまここで」 「ありのままの世界を見ていて」 「存在しない」 「鳥の死骸、バラの花、平面的に折りたたまれた宇宙」 「台風が来るらしいの」 「みんなおかしくなっちゃった」 「町はずれのあの電波塔から発されている電波」 「いでおろぎーって、何?」 「チョコレート、溶かしてほしい」 *** 「殺してほしいんです、私のことを」 「はやくいなくなりたい」 「夕暮れの光を見ていると全部どうでもよくなる」 「鋭角の光、天使、窓辺には通り過ぎたあとの空白だけ」 ***
「何が不安なんだろう、何がこわいんだろう」 「すべて、なんて曖昧な答え方をするくらいなら、今ここで喉を掻っ切った方がいい」 「薬物よりもきもちよくない文学なんてぜんぶやめた方がいい、と声が聞こえる」 「こわい、こわい、と言っている間にすべて終わる」
***
「野良猫のように生きたいし、野良猫のように死にたい」
 猫になること、猫のように歩いて、猫のように喉を鳴らして、猫のように身体を掻いて、猫のようにエサを食べたい。猫になる、猫以外のものでなくなる、やわらかくなる、もう取り返しがつかないくらいに。
***
 眼鏡が完全に壊れたから眼鏡を買わないといけないし、携帯が壊れかけているから新しい携帯を買わないといけない/きみの頭の中にある思いは決して誰に伝わることがない(きみとは「私」のことだった、嘘、何も信じていないから、生ゴミを見ていると、「これになりたい」と思う。
 陰謀論を信じたい、爬虫類型の人型宇宙人に人類が支配されていると信じたいし、イルミナティがすべてを陰謀していると信じたい。信仰を掲げる老人の目には光がある、中学生のpussyには穴が空いている(百億の毛穴からは湖が意志する、国道線にはBGMが欠けている、逆に、過剰なのは意味、空洞をくーどう、と聞き間違いたい)
***
最近聴いたhiphop
「アヤワスカ/志人」 「あの海/降神」 「避難訓練(パーフェクトブルー)」 「MSC - あれよという間に feat. 志人, 心, ナノルナモナイ」 「BUDDHA BRAND 人間発電所」 「刃頭 aka DJ Hazu – 野良犬」 「新宿ストリート・ドリーム/漢a.k.a GAMI」 「イリ―ギャル/Marukido」 「medieval/Dos Monos」 ***   「もちろんこれはたとえ話です」  マタニティ・ブルーをほんとうに理解できるのはもちろん妊娠と出産を経験したことのある人だけだろうし、さらに言えば、出産を終えてその青色が目の前にある、その連続的な瞬間の中にいる人だけでしかなくて、「パーフェクトブルー」は、(今敏のあのアニメ映画がそうであるような)地点まで行かないと絶対に分からない青色だし、「限りなく透明なブルー」が見えるのも、奥の奥の方にある一瞬だけ。 ***
 夜行バスに乗ってこっち(関西)に帰って来たのは7月4日(今日)の8時くらいで、夜行バスの中では結局、睡眠薬を6、7tくらいは飲んでしまっていた気がする。そのあと、ある「先生」と会った。  とにかく、身体がしんどいし、眠たい、たくさん寝たい。そう思うけど、それはそうとして、身体のそれと精神のそれは何だか乖離している。現代思想の「陰謀論特集」の回を読んでいる。すべてのことがほんとうにどうでもいいと思いながら、それなりにたくさんのことを引き受けている。一日にやるべきこと(タスク)の量が100だとしたら、実際には10くらいしかこなせない。「平家物語」を最後まで見たいな、と思うけど到底それどころではない、お金があれば不安なんてなくなるのかもって、思う。スワロウテイルの最後の方で札束を燃やすところとか、リリイ・シュシュのすべての沖縄でお金を海に捨てるところとか、ホドロフスキーの「ホーリーマウンテン」でテーブルの真ん中にお金を集めて燃やすところとか、それになりたい。  生きていくためには共同体しかないのかもだけど、共同体が怖い。というか、しんどい。発達障害なんて言われすぎていて疲れる。身体からいなくなりたい。もっと欲望したい、死体、気体みたいに掴みどころのない、子宮、になりたい、子宮のタトゥー、を入れたい。薔薇の花、枯れる前の、言語より前、到達しない、速度、濃度、飽和した砂糖水のように、壊れた比喩を集めて届ける、絵ハガキ、石油ストーブ、真夏の住宅街の、草っぽい匂い、
 髪を切るにも、服を買うにも、眼鏡を買うにも、携帯を維持するのにも、ただ何かを維持するだけでたくさんのお金が掛かる、いま存在し続けるだけでたくさんの気力と体力を消費する、存在し続けることは根本的にしんどくて、やっぱりまともな精神をしていると生きることなんてできないし、何かをよっぱらうとか(それはお酒、精神安定剤、睡眠薬、レトリック)してないと生きていけないと思う。って、これ何回目に話したんだろう? 覚えてない? そっか。まあ何回目でもいいんだけどね、と曖昧に笑う。おやすみなさい。
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kirin-lemonade · 3 years
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去年の8/15頃に書きためた駄文を手慰みに。
書かずにいられない心持ちで吐き出す様に何かを書いたのは、随分久しぶりな気がします。
錠剤
油紙を敷いた缶に、錠剤を分けて入れる作業が私の日課。持病の硝子症の薬だ。雨が降った後は塵が雨に絡めとられるので空気が澄んで遠くまでよく見える。でも私が発した言葉が行き着く先までは見えない。
時間はこの家を通り過ぎて裏庭で散り散りになった後、結晶化されていく。持病の原因はその結晶だと医師はいう。
亡母#1
アルミニウムは新しい金属です、と亡母が呟く声が聞こえる。夕餉の為に圧力鍋を用意している私は、何?と聞き返すが、亡母はアルミニウムは新しい金属ですと繰り返す。私は夫の好物が鶏の煮物だったか急に自信がなくなる。原子番号ハジュウサン原子量ハニジュウロクテンキュウハチ。夫はまだ帰らない
瓦斯#1
先程からこの部屋に充満している蒸気はきっとそのままにして良いのだろうと
眠りから覚めた私はぼんやりと思う
肌に付着する水の粒子の中に瓦斯の匂いが混じっていることが気になるが、左利きの私にはどうすることもできない
仕方なく真新しい鋏の切れ味を試す事にする
昨日近くの荒物屋で買った鋏だ
プレス機#1
漸く気が付いた。私は巨大なプレス機の中に横たわっている、いつからかは思い出せないが。ナックル構造のこの機械は、地球の自転という回転運動をピストン運動に変化させ、ゆっくりと私の上に鉄の塊を下ろしてくる。ピストンが下死点に達するまでに、私は私の原子番号を思い出さなければいけない。
受付#1
何かご不明な点はございますかと係の女性が笑顔で訊くので、ずっと気になっている事を訊く事にした。妻の猫は無事なのでしょうか。ええ大丈夫ですよと、綺麗に貼られた切手のような笑顔で彼女が答える。ならば良いのだ、7年前に天寿をまっとうした、あの雉猫が無事ならば。先着順です。彼女は笑う。
お神籤#1
今日、神社で御神籤をひいた。偏頭痛が酷かったのだ。札には「怨嗟に苛まれ続けよ」とあったので掛り付けの医師に見せることにした。
医師が、高血圧みたいなものです、その札は黄色のボウルに水を張り、浸しておくといいというので帰りにボウルを買った。色は白だがその位は大目にみてくれるだろう。
亡父#1
昨夜亡父が福引で当たったと云って持ち帰った其れは呻き声をあげる、見たことのない生き物でした。一見、烏鷺の木のようにも見えますが生き物です。おい何か云いたい事があるなら云いなさいと、亡父は其れの首と思われる場所を菜箸で突くのです。其れにとって私達は卒塔婆のように見えていたのです
亡父#2
等間隔に立つ街灯が一斉に灯を落とした。亡父に頼まれ凧糸を買いに行った帰りだ(彼は其れで髪を結う)
確かに今朝の新聞に報せが載っていた。冷蔵庫の中に溜め込んだ羊歯の葉(亡父の主食)を地下の氷室に移さないと。歩調を早める私の目に汗が滲みいる。宙に浮く監視機の小さな赤い光だけが、頼りだ。
亡父#3
何となく息苦しいと思ったら、案の定、天井のプロペラが回っている。この部屋は真空なので気が付かなかった。でもな、それを見続けていると音が聞こえてくるから気をつけろ、亡父が言う。こう在るべきだと、脳が勝手に音を鳴らすんだ。構わず私は見続ける。その時私の頭の中ではどんな音が鳴るのか。
迎え火#1
あの子は私を妹と呼びました。歳はおろか、体の大きさだって私の何十倍もあるのですから、それも当然です。いちねんぶりに懐かしいよびごえがキこえたので、あのコのところに戻りまス今クらしているだいせいどウは居心地がいいでスああ泣いているのはワタシでしょうか尻尾のないあのコでしょうわかりま
老母#1
頭蓋骨を微細な波長で揺らすそれがwhiteroomで暮らす老母からの信号と気づいた朝
彼女は何を伝えようとしていたのか
古えの話を伝えようとしていたのか
それはまだ、元号があった頃
(今は勿論、樹暦1337年)
もう誰も摂氏で気温を測らない
ああ、いつまでも続く彼女の振動
亡父#4
私は壁の木目から此方を覗いている叔父と視線があったまま動けないでいる。叔父の葬儀はそれはもう、豪奢なものだった。ヒヤシンス、亡父が泣く、木目には記憶が存在しないのに。映る筈のないテレヴィジョンが、ぷつっと息を吹き返した。画面の中に咲き誇る花が見える。ヒヤシンス、亡父の涙は止まない
読書#1
落ち着いて、集中して、と彼女は私の手の甲を摩りながら云う。落ち着いて、集中して。彼女の内部には私が想像しているこの部屋しか存在しないことが愚かな私にも分かる。先生、それは、と私は言葉を探す。彼女は首を擡げる。それは机の上で開かれた本が、自らその頁を閉じる様な、ゆっくりと静かな動き。
ラジオ講座#1
「先週は」、ラジオの向こうの先生が云う。「発した言葉が土壌の中でどのように分解するかを学びましたが、今週はもっとシンプルに発した言葉の熱量がテーマです」この講座を聴くのは四回目。家事の合間に丁度良い時間なのだ。冷蔵庫からアイスクリンを出す。上手く溶けますようにと、私は言葉を準備する。
#亡父5
私は亡父を散歩に連れ出す。彼は近くの植物園が好きなので、何時もそこを散歩のルートにしている。園内の池にたどり着くと、彼は小石を詰まらなそうな顔でひとつふたつと、池に投げ込む。沈澱している、等と思ふのは我等が水面の上から臨んでいる故だ。私は曖昧な笑顔のまま彼の首輪の紐を曳く。
傘#1
ラジオで天気予報を聞きながら、停車場のベンチに座っていると、足元を摂氏70度の水が波打ち流れていきました。ああまただ、また裏庭に無数の傘の残骸が集められるのかと、私は情けない気持ちで歩き始めます。傘のビニールはすぐに朽ちて、植木鉢の裏底のような哀しい臭いを放ち始めるので苦手です。
名前#1
亡父が以前縁日で手に入れた生き物は、亡父が世話をしないので、私が食事を与え散歩に連れて行くようになりました。ラジオで、物体には必ず名前をつけた方が良い、と聞いたので、二人で考えて「シジマ」にすることにしました。私が彼に「亡父」と名付けた時は私一人で考えたので至って楽な作業でした。
執務室#1
ずっとその存在を疑っていた世界に、今日呼び出された。書状にある撮影所に向かい、彼の執務室を訪れると、彼は無言で次々と書類にサインし続けながら時折視線を此方に向けた。服の土埃を払うことも口を開くことも許されずペン先の掠れる音を聞いていると、確かに私も世界も存在していると実感できた。
海図#1
最初、彼は自らを「シテン」と名乗った。視点、支点、始点、死点。訝しむ私に彼は言う「航海士が海図にコンパスの針を突き立てると、船を取り巻く海がその動きを止めるように、お前がこの場所に私を突き立てれば、お前を取り巻く全てがその動きを止める」納得した私は彼を亡父と名付け、家に上げた。
輪転機#1
裏庭で野晒しの輪転機がごおんとゆっくりと回り始めました、纏わりついた水滴を振動で弾き飛ばしながら。私だの君だのこざかしい、亡父が私の背後で呟くと忽ち、輪転機からは火柱が吹き上がり、亡父の体臭は異国の空港の匂いの様に懐かしく哀しく。私の残照は失墜して悲しみに溢れ、葉脈へと行き着きます、やがて
市場#1
デスクの抽斗には裏庭で掻き集めた硝子の粉が敷き詰められていて。通り過ぎたじかんが結晶化し地面に落ちて砕けたものです、ゆえ、市場に卸します一斤三円で何処かに売られていく曾てじかんだったものを悼みます。空腹を恥じこの躰を呪いつつ誰かの傘に入れてもらいつつ。終わったじかんを売り〼、ココ
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cosmicc-blues · 3 years
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2021/7/24
朝、目覚ましより先に目を覚ます。相変わらず遠足が楽しみで早起きしてしまう子どもです。すると雨が降りはじめ、なぬ! と思っていると、すぐに雨は止んで、むしろ陽射しが窓から注いでくる。浮きうきで支度をしていると、Nから連絡が来ている。Tが美容室に行くから午後からにしてほしいと。それならカリー食べられるじゃん、となり、予定通りに家を出る。今日も積雲の多い晴れ。上昇する夏のイマージュ。熱気球や光のきらめきを感化しながら、ふたりに会えるのが楽しみで仕方ない。
オープンと同時にOさんのお店に入る。今日は早いですねって驚かれる。この時間はいつもお客さんが少ないらしく、ほんとうにひとりもお客さんがやってこない。久しぶりに音楽談義に華を咲かせる。一昨日ひさしぶりに聴いたAC/DCが凄いかっこよかったってはなしから、Oさんは意外にもAC/DCの大ファンだと知れる。こう言っちゃあれですけど、AC/DCってバカのひとつ憶えっていうか、そんな感じだからバカにされがちだと思うんですけど、あの潔いギターがかっこいいですよねって。すると、Oさんも同じ意見で、そうなんですよ、アンガス・ヤングって腹くくってギター弾いてるんですよね、そういう姿勢に惹かれるんですよ、どの曲も同じような感じなんですけど、ある意味でミニマルミュージックなんですって、かなり良いことを言う。ものすごく共感する。アンガス・ヤングのように腹をくくっているギタリストをもうひとり思い付き、キース・リチャーズもそんな感じですよねって。すると、Oさんも同じ意見で、そうなんですよ、僕のなかではアンガスとキースは同類ですね、キースのギターもミニマルミュージック、ひとつのことをどこまでも突き詰めた職人芸ですよねって。お客さん、ほんとうに一人もやってこず、音楽談義が白熱する。
湘南新宿ラインで待ち合わせ。毎度のこと待ち合わせがめちゃくちゃ下手くそなわれわれ。時間を過ぎても誰とも会うことができず、平行世界(パラレルワールド)のことを考える、じぶんだけがいま待ち合わせの存在していない世界線にいるのではないか、と。偶然会うことは得意なのになぁ。そしたらNから連絡が来ていて、Nの居るらしいプラットホームの場所に向かう。Tにも連絡をする。遠足スタイルのNにようやく会うことができる。TからはOKサインがきている。ところが待てども待てどもTの姿が見えない。乗るつもりだった電車が行ってしまったそのあとすぐにTがひらひらとやってくる。バッド・タイミングすぎて、ある意味でグッド・タイミング。そんなのも関係なくTが久しぶりのNをわぁーーっと抱きすくめる。こんな光景を見られただけで大いに大満足で、わざわざこれから海に行かなくてもいいくらいに今日という一日を達成してしまう。これは勝手な偏見かもしれないけれど、ふたりはいい意味に左右対称というか左右非対称で、たぶん、おたがいに自覚していない長所をそれぞれに強く持ち合っている(コントラの感想もきれいさっぱり真逆だったし)。だから、ふたりが一緒にいると最強(最狂?)という感じがするし、ふたりはほんとうにいい友であると思う。
湘南新宿ラインのボックス席、昨日セブンでNに教えてもらったアンダー・ザ・シーをTも知っているかどうか5月8日のピアノの録音をTにも聴いてもらう。録音の日付を見ながら2カ月以上も気になり続けていたんだなぁと思う。電車で音が聴こえ辛いこともあってか、Tはまったくわからない模様。Nにも聴いてもらうと、すぐに昨日のあれねっとなる。Nとふたりでメロディを口ずさんでTに聴かせる。そんなこんなでディズニーやジブリのはなしになる。すでに何回も観ている映画にコメントを付けたり、ツッコミを入れながら観るやつやりたいなぁと思う。窓の外は積乱雲がものすごい。移動の時間が大好きだなぁとあらためて思う。どこかに行くっていう目的も目的でいいけれど、それに伴う移動の時間は目的に付随する二義的なものではなくて、むしろ、移動の時間のなかにこそ目的の限定的な立場からはみ出してそれを包摂するような自由な豊かさがあるような気がする。究極的には行って帰ってくるだけで充分なのかもしれない。
京急線に乗り換える。新幹線スタイルの座席、しかも、先頭車両の一番前の座席がロマンスカーのような��望座席になっている。生憎、展望座席は埋まっていて、後方の席に三人横並びで座る。トンネルの多い路線、トンネルの影のアーチが見えてきて、列車がトンネルの外に走り出て車内がそぞろ明るくなるたびに『恋恋風塵』の冒頭のショットを思い出す。Nは席を離れて、展望座席の後ろから展望窓の風景を覗いている。Tが今日のNちゃんの後ろ姿って小学生の遠足みたいだよね~って。前々からNが何かに似ていると思い続けてきて、ついにこの謎が解けた、トトロだってことを打ち明ける。展望座席が空いたから、そっちに移動する。窓の外は積乱雲がものすごい。線路の周りは緑にあふれ、山間の町並みは茶畑のように段々に家々が連なっている。遠くのほうに海が見えてきそうで、なかなか見えない。停車駅のひとつで、Tがその町並みを眺めながら、すごーい外国に来たみたいって。それは言い過ぎかってすぐに撤回する。大笑いしながら、まあ、イオンあるからねって。ついに車窓から海の濃いブルーが見えて三人とも大はしゃぎ。
三崎口駅に到着。電車から降りると、線路の途切れる終着地がある。バスで水族館に行く。終着点の水族館の名前のバス停で下車すると、空き地みたいなところにマリモをでかくしたみたいな変な植物たちが疎らに群れをなしている。なにこれかわいいと三人とも大興奮。植物が生えているというより、植物のような動物がジッと立ち止まって群れをなしているというほうがピンとくる。もののけ姫のこだまみたいな感じでジッとこちらの様子を窺っている。基本的には疎らに群れをなしていながら、三体がぴったりくっついて仲良し三人組みたいになっているのもいる。マリモのなかからエノコログサが飛び出ている。Tが夜になったらきっとここには誰もいないよ、みんな森に帰っちゃうんだ、みたいのことを言う。大笑いしながら、ほんとうにそんなふうに思われる。水族館のバス停のはずなのに、水族館はまだ先にあって、しかも、けっこうな距離がある。なんで水族館の前まで行ってくれないのって何度もブーたれる。入園してすぐ、でっかいアシカが眠っている。アシカってこんなにでかいんだってびっくりする。Nはアシカにも似ているような気がする。なんだろう、ヒゲの雰囲気がそう感じさせるのかな。まずは、当水族館の押しであるらしいカワウソの森に行く。想像とだいぶ違っていて、カワウソも一匹しか見られず、ちょっとショックを受ける。自然公園みたいなところに野生のヘビに注意の看板が出ていて、さっそくハンターことTの心が燃え上がっている。ヘビ捕まえていいの?! って言うから、野生のヘビならいいんじゃないって。水族館の屋内に入る。入口のところにサメの口の骨のとげとげしい模型があって、すぐ近くまできて、その大きさにびっくりして思わず仰け反るような姿勢になると、Nになんで~って突っ込まれる、ずっと見えてたのにって。いや、近くまできたら思ったよりでかいのにびっくりしてって弁明する。館内に入るなり、いきなりでっかいチョウザメがいて目が点になる。数体の古代魚が水槽のなかでゆらゆらと身を踊らせている。それから個々の小さな水槽を順番に見てまわる。大勢の魚がスクランブル交差点のように錯綜と泳ぎまわっている水槽で、TかNのどっちだったかが全ての魚たちが誰ひとりとしてぶつかることなく泳ぎまわっていることに感心している。チンアナゴがエイリアンみたいな動きでおもしろい。二階に上る。二階は円形の壁沿いにぐるっと大きな水槽が張り巡らされていて、魚たちが回遊できるようになっている。水槽の上からは太陽の光が注いでいて、フロアのあっちこちに光や虹のきらめきが踊っている。サメが特に目を引く。凶悪そうなギザギザの口に、何よりも眼球がひっくり返ったような冷徹な目。鼻に瘤のようなものを付けているサメがいて、あれは何だろうとしばらく後を追ってみるも、よくわからない。ノコギリザメがいて、ふたりにも声をかける。ノコギリザメはけっこうかわいい感じ。見にいくとノコギリザメは泳ぐのやめて、ジッとこちらの様子を眺めている。その瞳の動きで三人を順番に見渡しているのがわかる。ノコギリザメから離れると、ノコギリザメのほうも泳ぐのを再開させる。一階に戻ると、シマ吉くんの催しが行なわれている。魚も芸を覚えることにびっくり仰天。シマ吉くんかわいい。館内を出て、キムタクみたいなペンギンを見に行く。からだを唐突にブルブルッと震わせたり、羽を暢気にひよひよさせたり、ペンギンの動きには変なメリハリがあって見応えがある。そしたら、一羽だけ気ちがいのようにからだを意味不明にくねらせながら泳いでいるペンギンがいる。意味不明に水飛沫を立てるその一羽に三人とも釘付けになる。Nが私もこんなふうに動いてみたいけど人間だからなぁ、みたいなことを残念そうに口にする。でも、Nはたまにいきなり唐突に、衝動的に常軌を逸したような動きを見せるよなぁと思う。件のことで警察署に行くまえ、小川のところで連絡待ちしているときに、いきなりNがわあああっと手に持っていた葉っぱを小川に投げつけたのはほんとうに美しかった。いったん駅に戻って、三戸浜を目指すことにする。なんでバスは水族館の前まで来てくれないんだって相変わらずブーたれながら歩いていると、車がきて道を開ける。車が過ぎて、遠いバス停に向けて再発進しようとすると、Nがいきなり手に持っていたエノコログサをわああっと振り乱しながら急接近してきて、うわわわっと腰を抜かしそうになる。なんで、なんで、いきなりそんなことするの?! Nは悪い笑みを浮かべ、だってKさん、とここでいったん絶妙な間を置き、素直にそのことを言うべきか言わないべきか迷っているような、あえて間を置くことでそのことを強調するような感じで、ビビりなんだも~ん! って。この野郎、ひとをバカにしやがって、いつかぜったい仕返ししてやるからなって心に強く思いつつ、ほんとうに最高だなって思う。ビビりなんだも~ん! いままでNからもらった言葉でいちばん嬉しいかもしれない。
バスで駅に戻り、三戸浜を目指す。収穫が済んで畑にきれいに整列しつつも朽ち果てている植物たちの残骸をTが戦時中の死体のようだと形容する。あるいは向日葵の蛍光色の質感、夜になったら光り出しそう。子猫の亡骸。急に夏の終わりが顕在化する。いまが夏でよかったと思う、すぐに骨に還ってしまうから。Nが持ち歩いていたエノコログサを子猫に捧げる。持ち歩いていて、よかったなぁと心の底から思う。ねこじゃらしはそこらへんにも普通に生えていて、すぐにでも摘んでこられるけども、これは人間側のエゴかもしれないけれど、大事に持っていたそれを捧げるというのはせめてもの救いになる。意気消沈しながらも海への歩みは止まらない。海への入口の畦道を通り抜けると、大きな海が広がっている。夕陽を受けた波のまにまが橙色の光のすじを浮かべている。三人とも大はしゃぎで海のほうに駆けてゆく。サンダルのNが早速パンツの裾をたくし上げて海のなかに入っていく。勢いのある波を受けたNがこっちへ振り返って驚きと喜びの入り混じったようなとってもいい笑顔をみせる。さらにずいずい海のほうに身を入れてゆく。Nのからだが踊っている。このあいだと同じくらいの時間なのに波の寄せ方がぜんぜん違っている、浜のかなり深いところまで波が来ていて、くつで歩ける場所がほとんどない。そればかりではなく、このあいだは空の高いところにずっと見えていた月がどこにも見当たらない、昨日の感じからして今日はおそらく満月だろうと思われるけれど。じぶんもスニーカーと靴下を脱いで波打ち際を歩く。波はけっこうな勢いで、裸足だからと油断していると下半身がびしょ濡れになってしまう。びしょ濡れになって色々諦めたらしいTがサンダルを脱いで裸足になる。Nも裸足のほうが気持ち良さそうとサンダルを脱ぐ。まずは廃墟を目指す。でっかい丸太が波打ち際に落ちている。海のほうに蹴ってみるものの、重すぎてぜんぜん動いてくれない。それだというのに、ひとたび波が丸太に届くと、波はいとも簡単に丸太をさらって、さらに次の波が丸太を波打ち際に叩きつける。あっぶな! と三人で丸太をよける。Tが海の殺意を感じるよーとはしゃいでいる。波打ち際をずいずい歩いていると、後ろのふたりから何これすごーい! 魔法使いみたいって歓喜の声があがる。何かと思えば、じぶんの足が濡れた砂浜に触れるたびに、フワッと空気の膨らみのようなのがあたりに拡がっている。まさに魔法使いが歩いているかのよう、もののけ姫のシシ神様の歩き方みたいってはなしにもなる。波の勢いにかなり苦戦しながらも廃墟が近づいてくる。廃墟の辺りを境に砂浜が岩場に変わっていて、岩にぶつかった波が壮絶な潮砕けとなって舞い上がっている、絶句して、ゴクンと唾を飲み込む。廃墟に到達。Tからもらったウエットティッシュで足の砂を落として靴下とスニーカーを履き直す。いざ、廃墟に潜入! 底の抜けた階段の脇をロッククライミングのように慎重によじ登る。続いてTも。続くNが半ばの空中で動けなくなってしまい、あわわ、あわわ、この次どこに足をもっていったらいいのー?! って。どうにかこうにか登りきる。廃墟にもかかわらず落書きなんかがいっさいない、純然たる野生の廃墟。下から見る限り、底が抜けそうな感じがしたけれど、踏んでみるかぎり最初のフロアは問題なさそう。ところが、その先に伸びている廊下は底抜けしそうというより、すでに床の木肌がひび割れて底が見えている。あっぶな! と咄嗟に引き下がって、そばに来ていたTにも注意を促す。ここで行きにも少し話題になった(そんなことはすっかり忘れていた)Nの「ばけたん」なるお化け探知機がついに初お目見えになる。「ばけたん」が赤く光れば悪霊がいる、青く光れば天使がいる、緑に光れば平常でとくに何もない。どう考えても赤く光りそうなシチュエーションでありながら、どういうわけか青く光る。底抜けの大丈夫そうな場所をひと通り探索して外にもどる。出るときもNは半ばの空中で動けなくなってしまい、あわわ、あわわ、どうにかこうにか地面に帰ってくることができる。続いて洞窟。入り口の岩場にはでっかいフナムシが無数に蠢いている。ふたりから虫がだめなのに、なんでフナムシは平気なのって不思議がられる。セミが夏の天使なように、フナムシは海の天使だからって思っていることを素直に応えながら、でも、だとしても何で平気なんだろうって不思議に思う。ひとりでは怖すぎて一歩しか中に入れなかった洞窟も三人いれば心強い。スマホのライトで先を照らしながら、ちょっとずつ、ちょっとずつ、中のほうに入ってゆく。洞窟の側面にも天井にも隙間なく無数のフナムシが蠢いている。Nがここでも「ばけたん」を発動させてみる、結果は緑の光。洞窟は大広間の先に細い小路が続いている。その入口まで行って引き返そうとすると、Tがこの先まで行ってみようよって。もう無理、もう無理、これ以上は無理って断ると、さすが度胸のあるTはひとりで小路に入ってゆく。小路の突き当たりまで行ってもどってくる。小路の突き当たりはさらに左右に枝分かれしているらしい。
夕陽は海上の雲にのまれ、空は暗くなりつつある。岩場をさらに進んでゆくと、一人キャンパーが三組だったか四組、おたがいに微妙に距離を取りながら座っている。焚火のいい匂いがする。岩場にはフナムシなかにカニもたくさんいる。そんな岩場の一角にどんなカニとも比べものにならないでっかいカニをTが発見、すぐさまハンターの心が燃え上がり、捕獲に向かう。カニの捕まえ方なんて知らないよ~(だったらヘビの捕まえ方は知っていたのか……)と弱音を吐きながらも果敢にカニに立ち向かってゆく。数分の格闘のすえ、見事にカニを捕獲、持っていたビニール袋に入れる。Nはその場に腰掛け、じぶんは岩場の先端のほうまで行き、Tはその中間くらいから三者三様に暮れてゆく空と海を眺める。岩にぶつかる波の潮砕けがもの凄い。しばらく経って、Nのいる地点まで戻ろうとすると、Nが大きく手を振る、大きく手を振り返す。ふたたび三人が集まると、Nが家が恋しくなっちゃうって泣きそうな声で言う。たしかにそうなのだ。こんな最果ての辺境で、しかも、もうすぐ夜が来ようとしている。どうして、じぶんはいつもこんなところにわざわざひとりで赴いているのかってことをこのとき初めて考える。それからNがいい写真撮れたよって、ふたりがそれぞれに海を眺めている写真を見せてくれる。そろそろ帰ろうか、来た道を引き返すことにする。廃墟の辺りで海を離れて、上の道路を歩くことにする。Nだけ足の砂を落としていなくてどこかで洗いたい、いちどは海に下りていこうとするけれど、あいだには砂浜があるから海で洗ってもまた砂だらけになってしまう。きっと、そこらへんに水道があるでしょってことになり、そのまま上の道路を歩いてゆく。しばらくすると、マリンスポーツの拠点みたいな施設がある。水道はありそうでなくて、人間はじぶんたちを除いて人っ子ひとりいない。そんな施設のさなかに芝生のお庭がある。芝生のお庭になら水道あるでしょって探すけど、水道はどこにもない代わりに芝生の隣に敷居に囲われたプールがある。その敷居は簡単に跨いでいける感じで、だあれもいないし、あのプールで洗っちゃえば。Tが敷居を跨ぐまでもなく普通に入口を発見して、勝手に入口の鍵みたいのを開けて中に入っている。足を洗ったNがプールの水すごいきれいだったって戻ってくる。ふふ。とうに日は暮れて、暗い夜の山道を駅に向かって引き返す。Nが暗いよぉ、怖いよぉと頻りに泣きそうな声で連呼する。そんなつもりじゃなかったけども、仕返しを無事に達成。Nのスマホのライトでできるでっかい影。とりわけ樹々の左右から覆い被さる真っ暗な坂道、ここで「ばけたん」をやってみようになるけれど、Nのかばんから「ばけたん」が消失してしまう。どこかに落としてきちゃったかなぁ。自動車のヘッドライトからほとばしる影に驚いたりしながら、街灯のある明るいところに移動して「ばけたん」の捜索。かばんを隈なくひっくり返しても見つからず、「ばけたん」の性能には半信半疑ながら三千えんのお買い物がたったの二日で消失してしまうのにはさすがに気の毒な感じがして、色んな可能性を示唆していると、かばんのポケットのひとつから「ばけたん」が発見される。よかったぁ。その場で「ばけたん」を発動させると緑色に光る。山道を経て、畑道のところまで来ると、びっくりするぐらい赤い光線を発する怪しい満月が空のかなり低いところにのぼっている。Tがどこかのタイミングで(たぶん廃墟だったかな)口走った『夕闇通り探検隊』の一言が胸に突き刺さる。月のなかを鉄塔の陰翳が横切る。
帰りの電車でも頻りに「ばけたん」のはなしになる。乗換駅でも発動させてみる。緑色。廃墟でいちどだけ出た青以外はぜんぶが平常の緑色を示す。Nから、こんな胡散臭い商品なのに何故か高評価のアマゾンのレビューを見せてもらう。それでもまだ胡散臭さは拭えなくて、いっぽうで廃墟のときだけ色が変わったことがどうも引っかかっている。帰り際になってNがぽろっと口にした「乱数の偏り」という言葉にアンテナがビビッと反応して、これはきっと何があるぞと思う。帰ったらじっくり調べてみようと心に決める。
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xf-2 · 5 years
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<台風により千葉県で大規模な停電が発生。被害に対する即効性のある対策とともに、電力インフラの長期的な「強靭化」が求められる>
関東史上最強という台風15号の上陸から1週間余り、各地に大きな爪痕を残し、千葉県で今も多くの家庭が停電している。東京電力は復旧作業を急ぐ一方、見通しの甘さを指摘され、初動や計画の立て方に課題を残した。国や自治体などの対応を含め、今後検証が必要となる。
世界的に見て停電が少ないことで知られていた日本は、昨年以降大規模な事故が相次ぎ、災害対策が急務だと電力大手は再認識している。国も電力インフラのレジリエンス(強靭化)を掲げ、台風による倒壊が問題となった電柱をめぐっては、電線類を地中化する議論が再び持ち上がってきた。ただ、要する時間と費用の観点から即効薬にはなり得ない。電力を供給する側に今求められているのは、停電発生を前提とした、確かな被害情報と応急策の把握、そして発信の態勢強化だ。加えて、需要家側にEV(電気自動車)という「非常用電源」の備えがあれば、強い味方になると期待される。
東日本大震災より長期化
今月5日に発生した台風15号��関東地方で猛威を振るった。家屋や護岸の損壊など大きな被害を出し、特に千葉県を中心に大規模な停電を引き起こした。一時最大で90万戸超が停電し、18日10時現在、5万戸弱でまだ停電が続いている。高さ40メートルを超す鉄塔の倒壊や、2000本以上に及んだ電柱の損壊が停電の拡大、長期化を招いたようだ。
2011年3月に発生した東日本大震災では東電管内で405万戸が停電した。ただ、この時でさえ停電は7日で解消しており、今回の停電の深刻さを物語っている。
日本は本来、先進国の中で最も停電が起こりにくい国とされてきた。1世帯当たりの停電は2017年度に年間で平均0.4回、16分だった。特に東電管内は8分と国内屈指の低水準で、ドイツの13.26分、イギリスの46.53分、フランスの52.60分(各16年)と比べても、その短さが際立つ。
※日本は16年度実績、海外は悪天候時を含む16年実績
相次ぐ大規模停電
しかし、2018年度の実績値は悪化することも予想される。秋に大規模停電が相次いだためだ。
18年9月に発生した台風21号で関電管内の延べ220万戸、台風24号で中部電の延べ119万戸がそれぞれ停電した。関電の被害は阪神大震災に次ぐ規模、中部電も平成以降で最大だった。そして9月に最大震度7の地震に見舞われた北海道では、基幹電源の苫東厚真発電所(厚真町)が止まり、道内全ての295万戸が停電した。この管内全域での長期にわたる「ブラックアウト」は、電力業界にとって太平洋戦争後初めての異常事態となった。
相次ぐ重大事案を受け、各社はドローンを活用した被害状況把握の迅速化やスマートフォンのアプリを通じた情報発信の強化、災害時に自発的に被災地へ向かう「プッシュ型応援派遣」といった対策を取りまとめ、それらを実行に移してきた。特に北海道電は、19年度からブラックアウトを想定した全体訓練を行うとした。
経済産業省も「電力レジリエンス��ーキンググループ」を18年に立ち上げた。老朽化したインフラなどの再点検、強靭化(レジリエンス)を掲げている。
災害に強い都市、道半ば
そうした改善を進めるさなか、今回の台風15号による大停電が起きた。
あらためて見えてきた課題は多い。取り得る対策は、長期的な取り組みと短期的な措置とに切り分けて考える必要がある。
長期的には、レジリエンスに資するとされる「仮想発電所」(VPP; バーチャル・パワー・プラント)や、電線類を地中に埋める「無電柱化」が挙げられ、いずれも国が主導している。
VPPは一定エリア内の太陽光パネルや蓄電池といった電源システムを結び付けて一体的に統御し、1つの発電所に見立てた電力需給の仕組み。需給調整の効率化とエリアごとの自立化が図れると期待される。京セラがITによる電力取引を手掛ける米企業と実証に取り組むなど、先進的な知見は欧米に多い。アメリカのエネルギー事情などに詳しいコンサルティング会社「Bluevision Inc.」の藤本光CEOは、「先行するアメリカやイギリスの取り組みを学び、日本でも適用できるかを探る日本企業が増えている」と説明する。
無電柱化は、電柱や電線の損壊被害が減るとの利点が見込まれる半面、高い工事費などが難点とされる。小池百合子都知事が推し進める東京をはじめ、名古屋、大阪、京都など各都市に推進計画があるものの、はかばかしくない。
これら長期的な対策は地道に実現を図るとして、昨年、今年と大規模災害がこうも立て続けに起きている状況下、まずは先述した被害把握の迅速化と情報発信の強化といった実効的な措置が求められる。今回の千葉の一件でも、送電設備の被害実態と停電長期化の見通しがより早く、正確に分かっていれば、地域住民の避難行動や、域外から届く支援も違ったものになっていたかもしれない。
他にも電力各社は近年、山間部での倒木を未然に防ぐ「計画伐採」や、電線の耐久性を高めるケーブル化といった対策が有効として注力してきた。停電リスクを低減するこれら電力各社の自発的取り組みは、順次進めるべきだろう。
加えて各家庭の停電対策として期待されるのは太陽光発電だ。昨年の北海道での大停電時でも「自立運転機能等の利用により、停電時においても電力利用を継続できた」(経産省)といい、一段の普及が望まれる。さらに蓄電池と組み合わせれば、外部電源が遮断された後も当面の間、予備的に電気を賄うことができる。
その蓄電機能を兼ね備え、停電時の切り札になり得るのがEVだ。三菱自動車が「アウトランダーPHEV」を「一般家庭の最大約10日分の電気量を供給」とアピールするなど、自動車各社は災害に対するEVの利点を強調している。事実、東電は16日、スマホの充電などに使ってもらうべく、停電地域にEVを配備した。
三菱自動車ホームページより
太陽光も蓄電池もEVも、VPPのシステムの実現のカギとされており、さらなる普及が必要だ。依然高い初期コストが拡大のハードルだが、経産省は家庭用蓄電池の価格を20年度に16年度比で3分の1以下にする目標を掲げるなど、低コスト化に向けて動いている。一方、一戸建てと異なり、集合住宅は太陽光もEVの充電器も各世帯の意向だけで設置できないため、条件はより複雑となる。
「非常災害の取り組み状況」(中部電)や「台風21号対応検証委員会報告の取り組み状況について」(関電)など電力各社は今年の台風シーズンを前に対策をまとめ、東電もPDF版で約50ページにわたる「防災業務計画」で災害の程度などにより3段階に分けて「非常態勢」を整えるとしていた。
そうした備えを進める中、停電が広範囲で長引いてしまったのはなぜか。大停電の教訓は、電力各社のみならず、国や多くの関係者の行動を振り返りながら、追ってつぶさに検証されることになるだろう。
電気の復旧後の漏電による火災などの二次災害も発生し、予断を許さない状況が続いている。まずは全域での無事の停電解消が待たれる。
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2ttf · 12 years
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mskdeer · 1 year
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アーラ・ラエティンシア
「朽ち葉の塔の公子」の設定。主人公について。
▼概要
ラエティンシア家の娘。悪女の姪。スマラグドゥスの従姉。中身は別世界から来た異邦人。大魔法使いの一生を描く長編ファンタジー小説を愛読していたら小説内へ入り込んでしまった――と思い込んでいる。
小説タイトルは「朽ち葉の塔」。文明が進んでいるため異世界の知識を流用することは不可能。与えられたカードで頑張る必要がある。お相手はキルクルス。
▼娘の生い立ち
両親は既に他界。叔母ハエレシスが母親代わりに育ててくれた。叔母が聖塔の主・リンテウス大公伯と離縁した後も、かの地に残り、スマラグドゥスの姉として彼を育てながら聖都で暮らしている。
叔母とは引き続き良好な関係を築き、聖都とラエティンシア名家を繋ぐ役目を担う。
▼外見
漆黒の髪をゆるく巻いて左肩から垂らす。幅広のカチューシャを着用。金の瞳。遠慮がちで表情が乏しい。母の形見の薄いスカーフを肩に纏う。このスカーフはラエティンシア家に受け継がれる青緑色をしている。子育てに奮闘しているため、動きやすさを重視した軽快なドレスが多い。
金色の瞳はラエティンシア一族の証。この世界において当家以外に金目は存在しない。だがラエティンシアだからと言って金の瞳をしているとは限らない。実際、現当主の伯父は金目を受け継いでいない。(叔母がアーラを愛する理由はここにある。)
後世でスマラグドゥスはこう語る。「人々は私の金の瞳が美しいと言う。だがこれは、彼女に貰ったものだ」と。
以下続き。
*
▼ラエティンシアの目覚め
アーラ・ラエティンシアという少女が自身を思い出した時、齢14歳だった。雪山遭難した従弟スマラグドゥスの行方を追っている時のことだ。従弟を抱きしめるため、屋敷から持ち出した分厚いコートを両手に、単身、雪山を彷徨う彼女がいた。
娘はかじかむ手を擦りながら困惑していた。私はこんなシーンをどこかで見たことがある。否、想像したことがある、と。ようやく従弟を見つけた時、アーラは自身の運命も思い出した。己は従弟を守って死ぬのだ――。
実際に物語が動くのは19歳から。
▼小説世界と思い込む理由
※序盤ですぐバラすことなので隠しません※
ラエティンシアの瞳は光鱗粒子と呼ばれる力によって黄金に色づき、世界を形作る元素を自在に操る。そのため「理に触れる力」と呼ばれる。アーラもまた父親からこの力を受け継ぐ。
ラエティンシア家しか持たぬ特異な力ではあったが、未来や異界を垣間見るような力では決してなかった。……はずだった。通常は。しかし朽ち葉の塔に適応したスマラグドゥスと光鱗粒子が触れ合った瞬間、反物質同士が触れ合ったがごとく、光鱗粒子は異質な変化を起こした。
世界中の元素が集い渦巻く朽ち葉の塔の力がスマラグドゥス少年を通じて入り込み、彼自身も知らぬ老魔法使いの悲しき物語が眼下へ広がった。それを、アーラは「ここは小説の世界で、自分の従弟こそ物語の主人公である」と思い込んでしまったのだ。
▼小説を読んでいたのは誰?
その世界が小説世界だとアーラが勝手に思い込んだとして、ひとつ疑問が残る。小説を読んでいた人物……つまり「アーラ=自分」だと認識していた人物は誰なのか? ここが小説世界ではないなら、どうし��「読んでいた人物」が存在するのか? 
���ーラの脳内だけに記憶される人物であるのか。勝手に作り出した人物だとすれば、その人物はどういった経緯で生み出されることになったのか。
あるいは、 確かに実在する人物であるか。ただし、この女性が存在するとして、どうやって彼女は、スマラグドゥスやこの異界の地の物語を知りえることができたのだろう。アーラは常々述べる。「自分はこことは異なる世界で彼の小説を読んでいた」と。ならばその女性も異界に住まう人物ということにならないだろうか。
この女性こそ、すべてを繋ぐ鍵かもしれない。
▼小説内の彼女
老年のスマラグドゥスが読者へ語り掛ける形で小説は幕を開ける。1ページ目にはホワイトアウトの描写。わずか6歳の幼児が手探りで雪を掻き分ける様を私情を交えず伝える彼に、読者は他人事として読みくだす。その中で何度も繰り返される文面がある。これは公女が息子に贈った「朽ちぬ呪い」だ、と。
不意に空白が続く。それから名を呼ぶ声が聞こえた。と一言。従姉のアーラだった。8つ歳上の娘は、少年を捨てた公女よりも母親らしい愛情を向けてくれた人だった。伸ばした掌が繋がれば金の瞳のぬくもりがたちまち彼を包み込んだ。
突然、スマラグドゥスの語り口が少年時代に変わる。僕は姉様が居れば良かったんだ。僕が朽ち葉になるまで、ずっとずっと一緒に居て欲しかった。……と。独白が続く。その数行あと、ぽつりと娘の台詞が登場する。
「君は、温かいお家に帰れるよ」
ああ、ラエティンシア。金の瞳のラエティンシア。我が生涯で最も輝かしい刻よ。金の光に浴する栄光よ。……等と饒舌な言葉が姿を現せば、読者は不快なノイズを感じ取るだろう。熱に浮かされるなんて彼らしくない、と。
スマラグドゥスは初めに自身についてこう語っていた。「私は無口な男だった。砂塵の蜃気楼を追うても形なく掻き消えるように、覆えらぬ未来だと受け入れては、何もかも投げ捨てた傲慢な翼だった。朽ち葉の塔に閉じ籠めた苦痛さえ、何か曖昧なものでくるまれて無味乾燥な姿をしていたよ――そう、それが私という存在の全てだった」と。それなのに、彼はラエティンシアの名へ熱烈なまなざしを向ける。
「君は帰れる。大公伯のお家に。さあ、おいで」
不意にまたも登場するアーラの言葉。記憶の中で形を成す娘の台詞が興奮冷めやらぬスマラグドゥスを現実に引き戻すかのように。ここから先は淡々とした語り口に戻るのだが、その様が降りしきる雪を彷彿とさせると有名なシーンでもある。
ラエティンシアの一族は理に作用する。彼女の告げたとおり、少年は生きて戻れるのだ。しかし、帰る帰ると言いながら従姉は一歩も動こうとしなかった。幼いながらも従姉の真意に気付いた彼はかけがえない金色を抱き締め返した。ありがとうも、ごめんなさいも。何ひとつ言えず――絶対零度の世界では言の葉すら銀涙となって砕け散ると知っていたから。
僅かでも永く共に在れるよう。自身の熱が彼女を一刻でも永く生かすよう。触れれば触れるほど娘は冷たくなることに少年は眉をぎゅっと寄せた。
数時間後、父親である大公伯が白亜に立ち尽くす影を見つけた。ひとつ。否、目を凝らすとふたつ。従姉は眠るように瞼を閉じていた。理を繰るラエティンシアの黄金は少年の生を実現させた――小さく儚い命を燃やして。
全てが朽ち葉になれば良いのに。従姉の死を知った瞬間から、そう願い続けてきたと告白するはスマラグドゥスである。
▼家族構成
アーラから見たラエティンシア家の家族構成。
長男グラウクス(現当主)→アーラの叔父、名ばかりの後見人
妹 ハエレシス(叔母)→リンテウス大公伯へ嫁ぐも離縁
次男ウィリディス(前当主)→アーラの父、他界
金の瞳を持つ者は、アーラ父、叔母、アーラのみ。親兄妹では伯父のみが金目を受け継がず、本来、家督を継ぐ資格はなかった。
▼家督継承問題
父親ウィリディスは次男でありながら当主の座を譲られた。兄には光鱗粒子を操る力がなく、弟である彼にはあったからだった。彼亡き後、実子たるアーラに家督が移る。彼女もまた金色の瞳を持っていたから。しかしあまりに幼いとして伯父グラウクスが一時的に家���を継ぐことを宣言した。
成人後、家督はアーラに戻る予定だが、それを厭う伯父から存在を疎まれるようになる。
一方、父親と仲が良かった叔母はアーラを忘れ形見として実の娘のように扱った。そんなある時、叔母に竜公国への輿入れ話が持ち上がる。「私が育てるのだからアーラを連れて行くのは当然だ」と聞く耳持たない叔母、「連れ子のいる初婚娘など嫁に出せるか」と反対するラエティンシア家。
結局は彼等は「この子は私の監視役。彼女が居なければリンテウスを殺してしまうだろう」という叔母の脅しに屈し、共に聖都マグノリアへ引っ越す許可が降りた。(公女が大公伯を心底嫌っていたこと、当時は聖塔の跡継ぎがまだ決まっていなかったので殺されては困ることを鑑みた結果だった)
叔母はラエティンシア家へアーラを置いていけば長男に殺されるかもしれないと思ったのだろう。
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20190515
御坂山・三ツ峠(御巣鷹山・開運山・木無山)登拝
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三ツ峠入口バス停、御坂山(1596m)、御坂峠、八丁山(1580m)、清八山(1593m)、清八峠、大幡八丁峠、大幡山(1531m)、茶臼山(1513m)、御巣鷹山(1775m)、開運山(1785m)、木無山(1732m)、府戸尾根、霜山(1301m)、天上山(1139m)の順に縦走した。標高差780m、総歩行距離約19km、歩行時間は約7時間。
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ミズナラの巨木。
以前と同じ様な場所でカモシカと遭遇する。目の前をガサガサと音を立てて飛び出して行ったので最初熊か猪かと焦った。カモシカを青鹿(アオシシ)とかマタギ言葉でアオとか呼ぶらしいが、あの黒褐色の毛並みを青と表現することの妙が今は何となく分かる。あれは青でしかなく、それでいてよくわからない曖昧な感覚。
昔は赤白黒しか色の区別が無くて、残りはそれに比べて淡い色ということで「淡し」となり「青」となったというのをラジオ深夜便で聞いた事があるが、なんか関係しているのかもしれない。寝入りだったのでうろ覚えだが。
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何故人は石を積むのだろう。妙な存在感に毎度毎度考えてしまう。
記事の最初の写真、恐らく明治期に廃仏毀釈で打ち壊されたであろう不動明王像にも頭の代わりに石が積んであったが、形が壊されることでその身にまとう意味から解き放たれた石そのものに宿る魂や意志や、それに対する畏れを感じるが故に凄みがある。破壊されることで逆にイコンとしての強度を増すという皮肉。造形的には二個積んであるのが肝だと思う。一昨年黒岳に登った際に見かけた頭だけの石仏は無くなっており、もしかしたら誰かが持って帰ってしまったのかも知れない。死んだ祖父に似た面影があって思い入れがあり、その不在に一抹の寂しさを感じた。しかしあの時あの場所で石を依り代にして祖父が現れたのだと思うと妙に納得もする。結局「間」というかタイミングなのだ。
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送電塔の下、河口湖を眺むる。富士山は雲の中。
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ブナの巨木。内側が朽ちる事で結果構造的に風に対して強くなるという。2010年のNHKのEテレの里山の特集で見た。日本狼の特集「見狼記」など震災の前後にやっていたEテレの番組は何故か印象が強い。
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八丁峠から御坂山。
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ヤブレガサ。食べられるらしいが付近に大量に自生するトリカブトに葉の形が似ていて心なしか恐いっちゃ恐い。発芽の仕方に菌類の趣がある。
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霧というか雲の中。
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御巣鷹山山頂。NTT等のアンテナ群。施設の中から職員の声がしていた。ちなみに日航機事故の御巣鷹山とはまた別の山であります。
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多くの者に絵を送り月々戸口にあらわれて、取り立て歩くは絵の代金。 誰が言ったか押し売りとされど払わにゃなるまひと、渋々さし出すその代金。NHKのアンテナ。
甲斐駒でバテないようにと荷物を余計に詰めたリュックを担いで7時間登り下りを繰り返したが、最近体力的にも精神的にもレベルが一段上がった様な気がする。一年以上続けてきたスクワット、腹筋、また瞑想の効果だろう。今まで見た事の無い場所に筋肉が盛り上がってきて、自分の身体に対してよそよそしさすら感じる。
地下足袋のコハゼは三枚増えて15枚コハゼ。地下足袋が疲れないのはふくらはぎを締め付けて鬱血を防ぐからかも知れない。旧日本軍が足にゲートル(巻き脚絆)を巻く理由が分かった。
登りの苦しい時に折坂悠太の「鳥」という歌をふいに口ずさむ。サビの「鳥よ」というリフレインは洋楽やカントリーのように聴こえるのに、大まかな節はまるで杣人に伝わる民謡のようでもあり歩行のリズムを邪魔せず歩調に寄り添うので苦しい時に力となって有り難かった。かつて歌とは生活の知恵でもあったのだろう。
思うに、折坂悠太や坂口恭平といった表現者は知らない事すら人に思い出させる。
山歩きすると途端にどこからともなく詩というか言葉の断片がふらりとやってくる。ただそれが実景を詠んでいるのか観念なのかは判断がつかない。宮沢賢治もメモと早川式の繰出鉛筆をぶら下げてかなり実景を忠実に詠んだということを「宮沢賢治の真実」という本で知ったが、その詩は実景とも観念ともつかない世界であり、そもそも詩は詩であってそのどちらかということなどないのかも知れん。
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jak0-log · 2 years
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3H
「聖アヴァルクの儀仗官」を英表記したら「Holy Horn of Honour」でフフッとなりました。ちなみに「朽ち葉の塔」は「the Tower of Decayed Leaves」でTDLです。アウトっ。(正確には英語表記では「朽ち葉の公子」なので「The Prince of Decayed Leaves(PDL)」となります)
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kachoushi · 1 year
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各地句会報
花鳥誌 令和5年6月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年2月2日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
厨女も慣れたる手付き雪掻す 由季子 闇夜中裏声しきり猫の恋 喜代子 節分や内なる鬼にひそむ角 さとみ 如月の雨に煙りし寺の塔 都 風花やこの晴天の何処より 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月2日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
山焼きの煙り静かに天昇る 喜代子 盛り上がる土ものの芽の兆しあり 由季子 古雛や女三代つゝましく 都 青き踏む館の跡や武者の影 同 日輪の底まで光り水温む 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月4日 零の会 坊城俊樹選 特選句
桃の日のSt.Luke’s Hospital 光子 パイプオルガン天上の春連れませり 順子 指を向け宙に阿弥陀の春の夢 いづみ 春の川大東京を揺蕩ひぬ 美紀 聖路加の窓ごとにある春愁 眞理子 雛菊もナースキャップも真白くて 順子 聖ルカを標としたる鳥帰る 三郎 印度へと屋根とんがりて鳥雲に 佑天 鳥雲に雛僧の足す小さき灯 千種 学僧は余寒の隅に立つてをり きみよ
岡田順子選 特選句
春陽に沈められたる石の寺 美紀 春空に放られしごと十字架も 同 春潮の嫋やかな水脈聖ルカへ 三郎 鳥雲に雛僧の足す小さき灯 千種 涅槃西風吹きだまりては魚市場 いづみ 聖路加の鐘鳴る東風の天使へと 俊樹 皆春日眩しみ堂を出で来たり 千種 桃の日のSt.Luke’s Hospital 光子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月4日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
春愁の揺れてをるなりだらり帯 愛 立子忌や飯とおさいにネモフィラ猪口 勝利 春眠し指に転がす砂時計 かおり ゆらめいて見えぬ心と蜃気楼 孝子 春潮のかをり朱碗の貝ひらく 朝子 ファシズムの国とも知らず鳥帰る たかし 立子忌の卓に煙草と眼鏡かな 睦子 毛糸玉ころがりゆけば妣の影 同 わが名にもひとつTあり立子忌よ たかし 波の綺羅とほく眺めて立子の忌 かおり 灯を消してふと命惜し雛の闇 朝子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月6日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
この空のどの方向も春日燦 和子 思ひ出はいろいろ雛の女どち 同 うららかや卒寿に恋の話など 清女 鳥帽子の小紐手をやく京雛 希 耳よりの話聞きゐる春の猫 啓子 地虫出づ空の青さに誘はれて 雪 意地を張ることもなくなり涅槃西風 泰俊
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月10日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
裏路地の古屋に見ゆる雛祭 実加 子等笑ふお国訛りの雛の客 登美子 彼岸会の約束交はし帰る僧 あけみ 筆に乗り春の子が画く富士の山 登美子 うららかな帰り道なり合唱歌 裕子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月10日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
春夕焼浜の民宿染めてをり すみ子 青粲粲空と湖面と犬ふぐり 都 水車朽ちながらも春の水音して 和子 朝東風や徒人の笛は海渡る 益恵 枝垂梅御幣の揺れの連鎖して 宇太郎 春の婚オルガン春の風踏んで 都
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月11日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
啓蟄やボール蹴る子は声がはり 恭子 海近き山の椿の傾きて 和代 啓蟄の光を帯びし雲流る ゆう子 鳥鳴いて辛夷の甘き香降る 白陶 一人言増えたる夕べ落椿 恭子 小気味よき剪定の音小半日 多美女 一端の鋏響かせ剪定す 百合子 ふる里の椿巡りや島日和 多美女 剪定や句碑古りて景甦る 文英 剪定や高枝仰ぐ褪せデニム ゆう子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月13日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
雪吊の縄の解かれて睡り覚む 世詩明 家康公腰掛け松や地虫出づ ただし 捨鉢な女草矢を放ちけり 昭子 屋号の名一字継ぎし子入学す みす枝 花冷や耳のうしろといふ白さ 昭子 坐りゐて炬燵の膝のつつましく 世詩明 対座したき時もあるらん内裏雛 みす枝
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月13日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
摘草のさそひ届きぬ山の友 ことこ 蒼天に光の礫初燕 三無 陽炎のけんけんぱあの子をつつむ あき子 朝戸風見上げる軒に初つばめ 同 摘み草や孫を忘れるひとしきり 和魚 かぎろへる海原円く足湯かな 聰 陽炎や古里に建つ祖母の家 ことこ 我家選り叉来てくれし初つばめ あき子 陽炎ひて後続ランナー足乱る のりこ 新聞を足してつみ草ひろげたり あき子 つみ草や遠くの鉄橋渡る音 史空
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月14日 萩花鳥会
熔岩の島生き長らへし藪椿 祐子 寝静まり雛の酒盛り夢の間に 健雄 田楽や子らの顔にも味噌のあと 恒雄 雑草も私も元気春日向 俊文 猫抱いてぬくぬく温し春炬燵 ゆかり 子自慢の如く語るや苗売よ 明子 雲梯を進む子揺らす春の風 美惠子
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令和5年3月15日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
雪吊りのほどけて古木悠然と 笑子 落椿きのふの雨を零しけり 希子 夜半の軒忍び歩きの猫の恋 同 立雛の袴の折り目正しくて 昭子 桃の花雛たちにそと添はせたく 同 口笛を吹いて北窓開きけり 泰俊 手のひらを少し溢るる雛あられ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
雪吊の縄のゆるみに遊ぶ風 雪 奥津城の踏まねば行けぬ落椿 同 まんさくに一乗川の瀬音かな 同 よき言葉探し続ける蜷の道 すみ枝 春眠の赤児そのまま掌から手へ 同 足裏に土のぬくもり鍬を打つ 真喜栄 強東風の結界石や光照寺 ただし 裸木に降りかかる雨黒かりし 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月17日 さきたま花鳥句会
春雨に黙し古刹の花頭窓 月惑 震災の地に鎮魂の東風よ吹け 一馬 春昼や女房のうつす生あくび 八草 ととのへし畝に足跡朝雲雀 裕章 路地裏の暗きにありて花ミモザ ふゆ子 薄氷や経過観察てふ不安 とし江 拾ひよむ碑文のかすれ桜東風 ふじ穂 水温む雑魚の水輪の目まぐるし 孝江 薄氷の息づき一縷の水流る 康子 二月尽パンダ見送る人の波 恵美子 ほろ苦き野草の多き春の膳 みのり 梅園に苔むし読めぬ虚子の句碑 彩香 強東風老いてペダルの重くなり 静子 鉛筆はBがほどよき春半ば 良江
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令和5年3月19日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
一族の閼伽桶さげて彼岸寺 芙佐子 隠沼に蝌蚪のかたまり蠢きぬ 幸風 セスナ機の音高くして地虫出づ 月惑 この山の確と菫の一処 炳子 石仏に散華あまねく藪椿 要 年尾とはやはらかき音すみれ草 圭魚 茎立の一隅暗き室の墓 千種 春塵の襞嫋やかに観世音 三無
栗林圭魚選 特選句
ビル影の遠く退く桜東風 秋尚 古巣かけメタセコイアの歪みなし 千種 寄せ墓の天明亨保花あけび 同 色を詰め葉の艶重ね紅椿 秋尚 ひとつづつよぢれ戻して芽吹きけり 同 信号の変り目走る木の芽風 眞理子 助六の弁当買うて花人に 千種
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月21日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
元三大師夢のお告げの二日灸 雪 新しき雪夜の恋に雪女 同 恋てふも一夜限りを雪女 同 懐手もつともらしく頷けり 昭子 石庭に音立て椿落ちにけり 同 雛簞笥何を隠すや鍵かけて 同 貸杖の竹の軽さや涅槃西風 ただし 石どれも仏に見えて草陽炎 同 泰澄の霊山楚々と入彼岸 一涓 制服も夢も大なり入学児 すみ枝 露天湯に女三人木の葉髪 世詩明 歩きつつ散る現世の花吹雪 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月26日 月例会 坊城俊樹選 特選句
門出祝ぐ花の雨とてももいろに はるか 花色の着物纏ひて卒業す 慶月 街の雨花の愁ひの透き通り 千種 蹄の音木霊となりて散る桜 政江 フランス語のやうにうなじへ花の雨 緋路 大屋根をすべりて花の雨となる 要 花屑へまた一片の加はりぬ 緋路 永き日のながき雨垂れ見て眠し 光子 宮裏は桜の老いてゆくところ 要
岡田順子選 特選句
金色の錠花冷えのライオン舎 緋路 漆黒の幹より出づる花白し 俊樹 白々と老桜濡るる車寄せ 要 花揺らし雨のつらぬく九段坂 はるか 漆黒の合羽のなかに桜守 光子 花の夜へ琴並べある神楽殿 はるか 春雨や無色無音の神の池 月惑
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月 九州花鳥会 坊城俊樹選 特選句
今昔の小川にしのぶ蜆かな 成子 薔薇の芽の赤きは女王の予兆 ひとみ 潮こぼしながら蜆の量らるる 朝子 餌もらふ鯉をやつかみ亀の鳴く 勝利 突きあげし拳の中も春の土 かおり 持つ傘をささぬ少年花菜雨 ひとみ 涅槃西風母も真砂女も西方へ 孝子 亀の鳴く湖畔のふたり不貞だと 勝利 口紅は使はれぬまま蝶の昼 喜和 長靴の子はまつすぐに春泥へ ひとみ パグ犬と内緒のはなし菫草 愛 息詰めて桜吹雪を抜けにけり 孝子 ふと涙こぼれてきたる桜かな 光子 健やかな地球の匂ひ春の草 朝子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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vstranslations · 6 years
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IA - Insania Argenti - Lyrics
original video Japanese/Romaji/English lyrics under the cut
Title: Silver Insanity
風を浴びて崩れ行く砂の塔 鳥の歌呼ぶ声が遠く消え 昨日見た夢を想い出す胸の奥 いつか見る銀の陽が天を焦がす
魂の灯火数多の叫びを 激しく舞う花妖しく彩り 荒野に煌く流れ星に 心の中目醒める鼓動 幻想の森に響く慟哭 永久に続く輪廻は狂気と化し 嘆きの谷大木は朽ち果てて 木の葉舞う大空は遥か上に いつか見た夢の終わりから続くような 天高く銀の陽が全て覆う
悲しみの丘に響く歌声は あの日の蒼穹を彼方へと閉ざし 夜の海深く潜む闇に 心の奥綻びて行き 自夜の静寂に響く叫び 頬を伝う涙は果てなく堕ち AQUA [water], VENTUS [wind], IGNIS [fire], STELLA [stars], SPES [hope], LACRIMA [tears], VITA [life], FATUM [fate], IRA [anger] INSANIA [insanity]
魂の灯火数多の叫びを 激しく舞う花妖しく彩り 狂気の瞳に映る真実は 滅びの呪文を光へと変えて 終わり無き夢の巡る先に 自き焔劫火が包み 心だけ残り見える世界 最後の朝奇跡が生まれる
INSANIA ARGENTI [silver insanity]
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kaze o abite kuzure yuku suna no tou tori no uta yobu koe ga tooku kie kinou mita yume o omoi dasu mune no oku itsuka miru gin no hi ga ten o kogasu
tamashi no tomoshibi amata no sakebi o hageshiku mau hana ayashiku irodori kouya ni kirameku nagareboshi ni kokoro no naka mesameru kodou gensou no mori ni hibiku doukoku towa ni tsudzuku rinne wa kyouki to kashi
nageki no tani taiboku wa kuchihatete ko no ha mau ouzora wa haruka ue ni itsuka mita yume no owari kara tsuzuku you na sora takaku gin no hi ga subete oou
kanashimi no oka ni hibiku utagoe wa ano hi no sokyuu o kanata e to tozashi yoru no umi fukaku hisomu yami ni kokoro no oku hokorobite yuki byakuya no shijima ni hibiku sakebi hoho o tsutau namida wa hate naku ochi
AQUA, VENTUS, IGNIS, STELLA, SPES, LACRIMA, VITA, FATUM, IRA INSANIA
tamashi no tomoshibi amata no sakebi o hageshiku mau hana ayashiku irodori kyouki no hitomi ni utsuru shinjitsu wa horobi no jumon o hikari e to kaete owarinaki yume no meguru saki ni shiro ki homura goouka ga tsutsumi kokoro dake nokori mieru sekai saigo no asa kiseki ga umareru
INSANIA ARGENTI
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The tower of sand collapses under the wind The bird’s singing disappears in the distance Within my heart, I remember the dream I had yesterday That someday, I’ll see silver light burn the heavens
The cries of many glowing souls Flowers dance violently, coloring the many cries of glowing souls The shooting stars that sparkle in the wilderness awaken the beating in my heart Shrieks echo in the forest of illusions Eternal reincarnation turns to madness
In the valley of grief, large trees rot away The sky where leaves flutter is high above It’s like it’s continuing from the end of the dream I had From on high, everything is covered in the silver light
The singing voice echoing in the hills of sadness shuts us off from the other side of that day’s blue sky The darkness hidden deep in the ocean at night tears at the back of my mind In the silence of the night, screams are heard Resulting in tears rolling ceaselessly down your cheeks
AQUA [water], VENTUS [wind], IGNIS [fire], STELLA [stars], SPES [hope], LACRIMA [tears], VITA [life], FATUM [fate], IRA [anger] INSANIA [insanity]
The cries of many glowing souls Flowers dance violently, coloring the many cries of glowing souls The truth reflected in the eyes of madness changes the spell of destruction into light At the point the endless dream repeats, the white flames wrap around me Only my soul remains to view this world On the final morning, a miracle is created
INSANIA ARGENTI [silver insanity]
originally translated: july 29 2013
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toshiki-bojo · 2 years
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俊樹五百句
虚子の「五百句」と対峙したい。虚子はそれを五十年ほども掛けたが、この作句期間は一週間に過ぎない。出来不出来以前にこの名著なる存在と対峙したかった。俳句の存在意義だけがこの試行錯誤の源である。短い人生である、我が愚行を是非批評して頂きたい。
坊城俊樹 令和4年8月
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弔ひの夜に横たはる暑き襤褸 浮浪者の襤褸に星降る夜となりぬ 弔ひの夜の白服なる異形 弔ひの杖に樹海の町暑し 浮浪者の眠る窓とて朧なる 夏の灯のまたたき琴座鳴るといふ 幽霊や露台に支那の戦没者 幽霊の招く小路の風死せり 夏の路地女幽霊絢爛に 星の降る夜へ英雄の霊かぎろふ
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国士無双あがる男へ星流れ 夏の夕遺族は骨を探索す 夏夕べ黒き連鎖の遺族たち 遺族らは夜���り黒し星流れ 哀しさは真夏の盆へ地震きたる 地震の町に吠える家守の夜でありし 恋人も濡れる家守の夜となりし 母死して星も死すてふ家守の夜 家守らの目の爛々と星見上ぐ 家守らに昭和の記憶ありにけり
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金色の家守は母の野望とも 父がつけし渾名の犬へ星流れ 大蛇の我が天井を護りたる 姫蛇の碑へと真夏の夜の夢 蛍火に意思といふものありにけり 山泣くも山笑へるも蛍へと 犬死して総理も死して蛍へと 一億の蛍の一つ死してをり ほうたるの火に照らされて万華鏡 ほうたるの乱舞を待てる半旗かな
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火蛾ひとつ火焔の中を舞うてをり 蛍来る夜は両親へ星降る夜 死ぬ匂ひして晩年の蛍籠 怪しげな教会へ入る蜥蜴かな 万華鏡の色の蜥蜴や月を追ひ 猊下そは百歳に死し蜥蜴また 猊下死す百一の星流る夜を 猊下逝く蜥蜴は天の星仰ぐ 猊下逝く十の契りを夏の夜に 総理逝きしばらく夜の火蛾として
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猊下逝く祇園の夏の夜の契り 星流る方へ杖つき神楽坂 夏の夜の三味の灯しは籠もらざる 懇ろに幽霊を待つ簾上げ いつも見てゐて見てゐない裸かな 貪りて夜の怨霊の裸とも 風通す裸の窓をすべて開け 恩讐もある傷跡の裸体とも カンバスに幾何模様なる裸体 日当たるとやはらかくなる裸体かな
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陰翳の裸の体囁ける 因果なる裸体を褒めてゐて死せり 裸体なる女カオスの縮図とも 茅舎忌の我を白痴と思ふかな ヌードデッサンせんと孤高の茅舎の忌 茅舎忌といふ忌まはしき忌なりけり 俳壇に生けるも死ぬも茅舎の忌 茅舎忌の猿股を日に干してあり 金剛の露現今の茅舎ゐて 口唇に薬挿し入れる茅舎の忌
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河童忌の屋根に墜ちたる龍之介 河童忌といふ祝祭のやうなもの 蚕豆に天使の翼ありにけり 蚕豆の妻の故郷はカタルーナ 蚕豆といふ処女作のやうなもの 蚕豆を剥き深緑やや遺憾 蚕豆の筋のあたりを背骨とも 蚕豆のやうな赤子を授かりし 蚕豆とは一卵性双生児 バンクシーの絵は白黒に夜の秋
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我が瞳孔まもなく朽ちて夜の秋 丑三つのマンゴーゆつくり熟すなり 丑三つの蜘蛛透明な糸を吐く 斬られる待つ丑三つの熟柿かな 愚かなる夢の中なる熱帯夜 しづかなる女の舐める熱帯夜 黒蛇が白蛇を呑む熱帯夜 括れざる腰振る真夜の熱帯を 母さんが父さんを呑む熱帯夜 口唇を襞と思へる熱帯夜
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熱帯夜朱き口唇とて腐臭 熱帯夜とはずぶ濡れの吾子の夢 峠路に幽霊を待つ月見草 裏切りの美人薄命月見草 月光やちやん付けで呼ぶ影法師 月見草火星より木星が好き 月見草路地の子やがてゐなくなる 星の降る夜はひとつきり月見草 月見草恐らく祖母は浮気した 新婚の路地の匂へる月見草
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日覆を立てる穴とて深淵に 日覆のおほひて赤子腐敗せり ビルよりも高き日除けを立てにけり 男一人日除けを出でず老いにけり 裸族らし我が家の下の夫婦かな 裸にて人に逢ひたく皮を脱ぐ しづかなる蛇しづかなる自死をせり 蟻と蟻獄を出でたる如出逢ふ 灯の蟻といふ見当たらず羽蟻とす あの蛇を保育園へと見失ふ
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青条揚羽より高き蝶のなき 金輪際黒筋揚羽見失ふ 黒揚羽より正装の男かな 瑠璃揚羽祖父の遺墨を飛び立てり 暑き電線暑き電線と出逢ふ とぐろ巻く蛇地境を管理せり 大いなる物の崩れががんぼの死 青き星流れて白き星流れず 蟷螂と格闘をして日記とす 暁に麦飯を食ふ祖父の髭
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亡霊が炊いた麦飯吾れのため 麦飯の茶碗に描くただの柄 麦飯に卵二つの豪華さよ 麦飯を母は嫌がり父も嫌がり おばQを見て麦飯を食ふ至福 箸は茶で洗ふ麦飯たひらげて 麦飯を父は食はずにバタを食ふ 麦飯といふ軍縮のやうなもの 麦飯にのりたまかけて邪気かけて 仏教にあらず神道麦飯を食ふ
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麦飯を御霊に捧ぐことならず 麦飯で鉄腕アトム見てをりぬ 昭和三十六年の麦飯豪華なり 麦飯といふ神道のやうなもの 瑠璃鳴くや御霊のやうな声溢れ 神域を歌へる瑠璃のすきとほる 殉職の御霊へ瑠璃の鳴きにけり 銃弾に斃るるときに瑠璃鳴けり 天照大神きて瑠璃鳴かせ 天辺の虹の上より瑠璃鳴けり
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虚子とのみ彫られし墓へ瑠璃鳴けり 坊城家六代目へと瑠璃鳴けり 勾玉の青のひとつは瑠璃の声 瑠璃何か喩へてみれば金剛に 夏燕折り返し来る消防署 三次元を四次元に斬る夏燕 生れ替るなら岳麓の夏燕 青空を巻き込んでゆく夏燕 夏燕鏡を斬りてさかしまに 天辺に仏来給ふ朴の花
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朴の花白く翳りて懇ろに 朴の花の中に釈迦尊をらざりき 虎尾草に毛並のありて逆立ちて 虎尾草の揺れて待ちたる未通女かな 金輪際虎尾草と縁切ると言ふ 虎尾草の先くねくねと蠅を追ふ 梧桐に影といふもの濃かりけり 樹海めく梧桐たちに迷ひたる 梧桐を仰ぐ超高層仰ぐ 梧桐の葉とは天狗の団扇かな
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梧桐やブランコは立ち漕ぎ続け 梧桐の翳に不良の煙草吸ふ 梧桐に青春である疵を彫り 梧桐の伐られ虚空の天となる 山笠の波動花鳥子より届く 山笠の句の勇壮な波動来る 山笠に恋といふものありにけり 博多つ子純情の夏なりしかな 山笠の日と生誕の日と隣る 純情の山笠に夢馳せてをり
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山笠に天神颪とは来たり 金亀虫裏返りたる真夜の褥 黄金虫夜を引き摺りて灯へ入りぬ 灯に入手夜の帝国の黄金虫 羽蟻の夜玻璃にべたりと都市の闇 羽蟻翔ちお日様に溶けなくなりぬ 子を捨てし母は戻らぬ羽蟻の夜 羽蟻の夜金輪際の父は帰らぬ 羽蟻の夜弔問はなほつづきをり 茅舎忌の卍となりて日章旗
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露の世へ消ゆる人あり茅舎の忌 茅舎忌の夜が流れてしまひたる 隻眼が見えなくなりぬ茅舎の忌 龍子の絵どこか稚拙な茅舎の忌 茅舎忌の流れ流れて星ゐない 吾妹子の胸やはらかき虎が雨 吾妹子の海へ尿する虎が雨 煙草屋もとうに死に絶え虎が雨 土用波恋愛はもう星屑に 岬越え来る土用波白々と
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土用波いよよ怒濤となり崩れ 子が一人攫はれてゆく土用濤 土用濤灯台を越え来たりけり 元総理死にて土用の波濤へと 波怒濤土用の夜の人攫ひ 伝説の出水川とはこの小川 子を攫ひ妹を攫ひて出水川 出水川と記憶流れて悪夢とも 出水川恋の破綻も流しゆく 虚子塔に人来ぬ日なる最澄忌
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最澄忌千日回峰終るころ 叡山は星の降る夜の最澄忌 叡山をさ迷ふ夜の最澄忌 最澄の忌の極楽の湯舟かな 最澄忌灯す頃の先斗町 祇園にて猊下と酌みし最澄忌 萍の隠沼として河童棲む 萍を髪に見立てて河童立つ 萍の茂り月光留めたる 妖精が腰掛けてゐる蛭蓆
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丑三つの月光にある蛭蓆 優曇華へ星やさしくて月やさし 優曇華のいのち揺らぎて月を待つ 儚きは優曇華の茎なりしかな 優曇華にいのちあかりの灯せり 優曇華に神降臨すひとつづつ 母死して優曇華の情なしとせず 優曇華へ言葉少なき真夜の人 ケルン積む星降る夜となりしかな ケルン積む大岩壁と対峙して
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ケルン積むひとつひとつに女の名 行李から恐らく祖父の登山帽 恋をして山登りして死に逝けり ロッククライミングの刹那あの夏を しづかなる人しづかな死夜の秋 夜の秋幽霊ももう寝静まり 恋をして失恋をして夜の秋 瞳の奥の闇へと星の流れゆく 星の降る中に月降る夜の秋 蟻ひとつ彷徨うてゐる夜の秋
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死顔の威厳なるかな夜の秋 曾祖父も祖父も今宵は夜の秋 星ひとつ艶然とある夜の秋 夜の秋網膜剥離みたいな灯 羅を着て恋などに惑はされず 浴衣着て金魚の柄を泳がせて 羅を着て老いらくの恋をせむ 羅に序破急といふ恋のあり 妙齢は達磨柄なる浴衣着て 浴衣着て恋に窶れてしまひけり
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祖父と祖母らし残像の藍浴衣 羅の包んでをりぬ裸体かな 羅の包み適はぬ恋をして 浴衣着て恋の乳房となりしかな 浴衣着て恋人と逢ふ浜の路地 羅を着て蝮酒召し上がる 浴衣の子星とおしやべりしてをりぬ 後ろ手に団扇はさんで恋浴衣 白兎波間に跳ねて卯波くる 人死して星の卯波となりしかな
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卯波寄す森田愛子の臥所へと 九頭竜の卯波漣ほどのもの 夏の波真砂女の卯波とぞなりぬ 月光が卯波流してをりにけり 滴りの金銀の粒金剛に 滴りに輪廻転生ありにけり 滴りて岩壁となる日本海 東京スカイツリーの天辺滴りて 滴りて浅草線の三ノ輪駅 ゆつくりとしづかに歩む蛇ひとつ
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蛇の夢見てその蛇を見てをらず 蛇酒といふ極楽の中に死す 滴りの岩壁を行く数学教師 滴りの後ろ姿の女体山 蛇女邪心となりて星流れ 蛇ふたつ絡んでをりぬ月光に 蛇絡みつつ愛欲の中にあり 権現の無数の蛇の降る社 炎帝の統べるままなる総理の死 炎帝へ斬首の鴉羽ばたけり
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炎帝いま月の裏側焼きにけり 炎帝といふ今生の大宇宙 勲一等正一位なる墓灼けて 勲一等の軍馬の墓は緑蔭に 暗夜行路書きし墓とて茂り中 暑き固き墓石の如き絵画館 イザベラの墓に彫られし薔薇香る 銀杏並木の緑蔭もとんがりて 茂りてはいつも探せぬ乃木の墓 坊城は俊ばかり付く墓涼し
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殉教の墓へマリアの南風吹く 寝棺そのものを横たへ夏の墓 緑なる線対称の銀杏かな 八月の面対称の絵画館 サンドレスとは青山のあつぱつぱ 青山の墓みな灼けて無言なる 夏日燦超高層といふ墓標 無機質の超高層を旱とも ソファーめく茂吉の墓へ夏蝶来 茂吉いま夏蝶となり利通へ
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墓に挿す供華も明日より秋薔薇 秋の蝶クルスの墓を懇ろに 夏果てて石より重き絵画館 緑蔭のハチ公の墓何処なり ハチ公の供華はおそらく水羊羹 異国なる地下に眠りて薔薇の墓 夏の蝶マリアの指に触れてより 喪主だけが半袖で乗る霊柩車 蟬の音は聞かず真昼の野辺送り 蟬死して蝙蝠ばかり飛んでをり
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蝙蝠は帰る逆さになるために 蝙蝠の裏切る音を聴いてゐる 蝙蝠も消え失せグリム童話の夜 めまとひはめまとひとして囁けり めまとひは無責任なる大家族 婆の眼の脂にめまとひ親しめり めまとひを払ふ多情の口を閉ぢ めまとひの中を葬列続くなり 朱烏夏の夜の夢覚めし頃 茅舎忌の月光ことに夢を食ふ
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茅舎忌の虫の音といふ哀しけれ 茅舎忌のシュミーズは幽霊の自慰 そこはかとなく隠微なる茅舎の忌 キリストと生きる男へ茅舎の忌 茅舎忌に金子みすずを読んでをり 白鼻心白夜の夢を見てをりぬ おぼこ今白夜の夢を見てをりぬ 白夜とは神の数だけありにけり 熊に似る男涙の炉辺話 雪女帰らず解けてしまひたき
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金輪際なき眼光の鯖を食ふ 鯖を食ふ恋愛をした夢を見て 銀色に無限のありし鯖を食ふ 恩讐の臭みの鯖を食ふ女 鹿島灘あたり怒濤や鯖を食ふ 鯖を食ふ女臀部を揺らしつつ 鯖を食ふ潮の香りを煮てをりぬ 黒潮を炊いて鯖煮となりしかな 鯖食ひ男鯖食ひ女淫靡なる 鯖食うて惜別の情無しとせず
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我が生の金輪際の虹に逢ふ 虹死して首都凡庸の空となる 奈落より虚子の墓へと虹の橋 蚊柱となりて青山墓地を舞ふ 吾妹子の子宮男の子を生みにけり 我が家より大いなる虹架かりけり 苔の花とは妖精の小さき眼 苔の花喋るぺちやくちやぺちやくちやと 苔の花海に流れてしまひさう 我が生も淋しからずや苔の花
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大漁の夜の纜に苔の花 苔の花阿呆の黄色楽しくて 苔の花金輪際の生にあり 苔の花哀しくなれば咲いてをり 苔の花苔を大地として咲けり 苔の花の夜は近づく大宇宙 未熟児に産まれる人へ苔の花 そよぐことなき苔の花小さすぎ 流星と同じ色して苔の花 苔の花咲きて天動説となる
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苔の花影といふものありにけり 囁きの夜に閉ぢたる苔の花 河童忌を星の吹雪と思ふなり 河童忌の蛇口ひねれば湧いてをり 河童忌に砂糖を舐める女あり 河童忌のしんがりの児は引き込まれ 河童忌にベートーベンを聴いてをり 河童忌を皇后陛下畏くも 河童忌の童は杓子定規かな 怒濤とし童押し寄せ河童の忌
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滴りて山又山を濡らしをり 絵画館の壁の隙より滴れり 夏の水汲み元勲の墓域へと 滴りに栄枯盛衰ありにけり 滴りて富嶽をすこし潤せり 滴りに奈落といふは先のこと 滴りてゆつくり濡れてをりにけり 滴りて巌の命を疑はず 幻か滴る先に河童の子 滴りて四国三郎ありしかな
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蟻ひとり穴ひとつあり佇みぬ 増上寺国葬にあり蟻ひとつ 群衆の蟻群衆の蟻に逢ふ 山蟻の威厳の黒に死してをり 黒蟻と赤蟻言葉交さざる 蟻ひとつ地下迷宮を出で来たる 蟻塚に蟻の声のみ充満す 蟻塚の掘りたての土匂ふなり 蟻地獄静謐といふ美しき あとづさりして身を隠す臆病に
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岳麓へ行者道めく蟻の道 蛾の破片ゆらゆら運ぶ蟻の道 ビール飲む眉間に皺を寄せながら 麦酒飲むますます法螺を吹きながら 白魚のやうな指もて麦酒注ぐ 我が世とぞ思ふ望月の麦酒かな 麦酒のむいつか焼かれし喉仏 女ひとり化粧濃くして黒麦酒 蛇苺姉の我が儘永遠に 蛇苺庭に埋めし金魚へも
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侯爵の墓の片隅蛇苺 蛇苺男鰥の庭の恋 山笠の西の便りを句に乗せて 博多つ子純情いまも山笠に 山笠の男だらけの怒濤なる 傀儡の関節錆びて夏の雨 白雨きて蛍光灯の切れかかり 関節はぎしぎし老ゆる夏の雨 飴玉が降る音のして夏の雨 連続の数珠の音して夏の雨
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夏の雨身の内の獅子唸るなり 旋律はボブマーリーに似て夏の雨 戦後すぐ膣より産まれ夏の雨 白雨きてボサノバの雨合体す 白雨きてコーラの壜の女体めく おそらくは黄泉の国とて夏出水 夏出水遺品の遺書の何処へと 高貴なる神に押し寄せ夏出水 最果ての鵺の夜へも夏出水 土用波七里ヶ浜で祖父に抱かれ
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土用波みたいな嬶の乳房かな 柏翠の療養所へと土用波 土用波森田愛子の身の内へ 土用波虚子と愛子の物語 髪洗ふ乳房の先を湿らせて 髪洗ふ妬み嫉妬を流すとか 女百態懇ろに髪洗ふ 髪洗ふ幼き頃の金盥 あんな女に嫉妬して髪洗ふ 犬洗ふ即ち犬の髪洗ふ
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昼寝して夢の合戦破れたり 元首相撃たれし頃の大昼寝 夜よりも昼寝彼の世に近かりし 貪るは蛸か女体か昼寝覚 昼寝して夜には死んでをられたる 昼寝覚女百態消失す 昼寝覚地獄の釜を押し上げて 昼寝覚一年損をした気分 昼寝して虚子と話をして戻る 昼寝覚范文雀と別れ来て
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蝙蝠の彼の世此の世と飛翔せり 蚊食鳥煙のやうなる蚊を追へり 蚊食鳥夕焼け小焼けの唄に乗り かはほりの逆さに夢を見る昼間 かはほりに迷子探してもらふ夕 蚊食鳥夜の女は出勤す かはほりは街の電波と交錯す 蚊食鳥幼稚園児はもう家へ 友人の納骨を終へ蚊食鳥 学習院初等科の上蚊食鳥
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あぢさゐの萎れし夕べ蚊食鳥 かはほりと月と金星置きどころ 青林檎みたいな乳房持つ少女 青林檎囓る気もなく接吻す 青林檎真夏の夜の夢の中 昭和とはヌード写真と青林檎 麗人の口怖ろしく青林檎 漆黒の夜は青ざめて青林檎 青林檎堅しと思ふ瑪瑙より パテイーデュークショーを観ながら青林檎
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青林檎がさつな漢の手に堕ちる 夏の夜の夢とはならず老いゆけり 夏の夜の罪ある墓標御影石 唇は濡れて真夏の夜の夢 夏の夜のネオンサインはジジと切れ 漆黒の真夏の夜の夢となり 入れ墨の夏の女を持て余し 金魚玉夜に入る頃の小宇宙 絢爛の金魚は恋をしてをりぬ 絶縁の夜に浮きたる金魚玉
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和服着て振り袖を振る金魚かな 勲一等正二位の飼ふ金魚かな 飛魚の飛んで越え行く隠岐の島 隠れキリシタン飛魚となり戻りけり 飛魚の流刑の島を飛び越えて 炎帝に見つからぬやう昼に寝る 日輪が炎帝をまた拐かす 炎帝に翳といふものありにけり 白日夢とは炎帝が司る 炎帝が紛れ込んだり夢の中
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盆栽といふ炎帝の置き土産 炎帝も銀河の裾の一部分 我が霊も炎帝となり銀河へと 観音の笑みて溽暑を遠ざけて 観音の炎暑の唇を赤しとも 陽炎へる陽子の墓や禁色に 墓の苔とて万緑の一部分 観音の胸乳あたりへ夏の蝶 五輪塔とは緑蔭のただの石 乾きたる稲毛氏の墓とて旱
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一山の万緑なだれ年尾句碑 薔薇咲かせ流行り遅れの服を売る 昔から麦酒が好きな人の墓 蛍光灯切れかかりゆく夏の果 夏行くや皆んな貧しき灯して 人を待つ心にも似て夜の秋 涼しさの雨の粒とは淋しくて 街の灯の蒼く点りて夏の夜 灯して何読むでなき夜の秋 夜の秋義兄は生れ替りしや
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涼しさの夜の灯の鈍色に 堕胎の子いつも走りて汗哀し 夏逝くや雨の音符の翳色に 夜の秋眼の衰への文字歪む 夜の秋炎集めて住む川原 夜の秋己れ空しく酒を飲む 涼しさの夜雨の音の蓄積す 涼しさは恨みに似たり灯を消せば 幽霊坂うすむらさきの夜の秋 幼稚園死んだ子が居る夜の秋
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夜の秋やがて孤独の誕生日 蛍光灯切れかかりゆく死者の秋 老いてなほ秋めく恋の行方かな 新涼の飴の色とは濃紫 秋めきて失恋をする七回目 新涼の鏡に映す吾の死顔 頭痛して秋めく我の髑髏 新涼の驚き顔となりし天 新涼の犬に哀しき堕胎過去 八月の女ものものしく太り
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