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#法被・袢天
yanawakesenshoku · 6 months
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新年度を迎えました。
新しいブログを投稿しました!『新年度を迎えました。』https://wp.me/p6fOdH-Th
ようこそ岡山の法被と神社のぼりの製造元、やなわけ染色のブログへ 2024年4月を迎えて、やなわけ染色は新年度を迎えました。 個人としては、元旦で1年がリセットされたような気になるのですが、会社となると、やはり年度替わりのときに丸1年が過ぎたということになりますよね。当たり前ですけど…(笑) 新年度を迎えたということで、また新たに1年をがんばっていきます。 お客さまに喜んでもらって、社員さんやパート・アルバイトのスタッフがやりがいと成長を感じながら、地域になくてはならない企業になれるように邁進していく所存であります! ここ最近はブログの更新をサボり続けていたのですが、ただ単にサボっていたわけではありません。 まぁ、もっとも時間の使い方が上手くないので、仕事の方に全力を使い尽くしてしまうと、ブログの更新に使うエネルギーが残っていないという、みっともない状況が続いています(汗 と…
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hachikenyakaiwai · 6 months
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【かいわいの時】宝暦十四年(1764)四月六日:対馬藩通詞鈴木伝蔵、大坂に滞在中の朝鮮通信使節随員を殺害し出奔(大阪市史編纂所「今日は何の日」)
(事件のあらまし) 朝鮮の上々官名ハとううんとうと申を、対州の家中通詞役鈴木伝蔵といふ者、右上々官を鑓の穂先壱尺斗残し是を以て咽を突通し自害の体をしつらいさし殺しけり。右上々官ハ日本にて大目附役の人なるよし其趣を聞に、西国にて人参を荷打せしと偽りて金銀を私欲したる事ありて此役人に伝蔵より返済せねばならぬ金子有しを毎々催促しける、大坂にて相渡べき約束なりしをいまだ相渡さず、よって厳しく催促致しける故、何とやら私欲の義も露顕に及ぶべきやうになりしゆへ止事を得ず、右のごとく害しける由也(『明和雑記』)。
(犯行現場および時刻) 西本願寺津村別院棕櫚の間(朝鮮人来朝大坂旅館西本願寺座割兼小屋掛絵図)。初七日戊子陰寒(『趙済谷海槎日記』)。コメント欄に写真 ▼朝鮮人来朝大坂旅館西本願寺座割兼小屋掛絵図 조선인래조대판려관서본원사좌할겸소옥괘회도 京都国際学園「関西に残された朝鮮通信使の足跡」より。
(殺害方法および凶器) 寝所へ忍入、鑓の穂先壱尺斗残し是を以て咽を突通し、自害の体をしつらいさし殺しけり(『明和雑記』)。関の兼永の槍(『通航一覧』)長さ4寸ほど(『差上記』)。
(事件の目撃者) このとき賊は、三房格軍(水夫)の姜右文の足を誤って踏み、驚いて目を覚ました姜によって目撃されている(『日東荘遊歌』訳注)。
(指名手配) 一 行年廿六歳 一 背ノ高サ五尺三寸中肉にて顏の色白ク眼は少シ大キク張強シ人体骨柄賤からず 一 其節之着類黒羽二重之袷下には群内大嶋の襦袢 右体之者見付次第訴出候ハゝ御褒美被下候間可遂吟味者也 四月九日(「鈴木伝蔵人相書」)。
(犯行の動機) 崔天悰は高麗人参の密貿易に絡んで鈴木伝蔵を叱責した。事の露見を恐れた伝蔵が崔を殺害した(『明和雑記』『摂陽奇観』)。伝蔵の自白によると、人参の取引がもとで殺したというが、真相は到底わからず(『日東荘遊歌』)。
(事件の背景) 朝鮮と対馬の通詞が手を組んで密貿易(積荷の横領)を繰り返していた(『扶桑録』『東槎日記』「海遊録』)。舞台は主に大坂であり、一行はできるだけ長く大坂にとどまろうとした(『扶桑録』)。「裨将の言うままに放っておいたら《略》崔天悰事件のようなこと必ずやまた起こるでありましょう」(金仁謙)。※鈴木伝蔵は通信使が絡んだ密貿易の一味。崔天悰もそうであったかは不明。
(事件の余波) この一件を初めに歌舞伎化したのは並木正三で、67年(明和4)2月大坂嵐雛助座(角の芝居)で《世話料理鱸庖丁(すずきぼうちよう)》を上演。史実に近かったため2日間で中止を命ぜられ、ただちに奥州藤原の世界に改めた《今織蝦夷錦》を上演した。『世界大百科事典(旧版)』【韓人漢文手管始】より。
(写真)「世話料理鰭庖丁 絵番付」1467(『摂陽奇観』所収)
(浜松歌国は)鈴木傳藏の朝鮮信使殺害事件を詳記し、次に其の事件があってから四年目、この事件が角の芝居嵐雛助座に於て、並木正三により新狂言に取組まれたことを書き加へたのみでなく、當時板行の繪番附を其のまゝに貼りつけてゐます。この鈴木傳藏事件が上演されたは、歌國が生れる十年前のことで、その當時の繪番附を手に入れることは容易ではなかつたらうと思はれます(校訂者識)。『浪華叢書 第四』より=写真も。
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yanawakesenshoku · 9 months
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2023年の冬期休暇について
新しいブログを投稿しました!『2023年の冬期休暇について』https://wp.me/p6fOdH-Ta
ようこそ岡山の法被と神社のぼりの製造元、やなわけ染色のブログへ かなりご無沙汰の投稿になります…(汗今年は夏から特に忙しい日が続いて、ブログの更新は完全にストップしてしまいました。 染めの実務の方でエネルギーを使い果たし、繁忙期が過ぎてもいくつかの手の込んだ案件を抱え込んでいたため、気が緩まることがなく、ずるずると今に至るわけでございます(そして、今もいくつかの手の込んだ案件が追加されているッ!)。 さて、それはさておき、今日の高梁はべらぼうに寒かったです。10年に1度の大寒波とかいう触れ込みで、日本全国寒かったと思います。あんまりにも寒いので、肩に力が入り過ぎていたせいか、午後から頭痛が始まってしまいました。明日はもう少し厚着をしようかなと思います。 今日のトピックは、弊社の冬期休暇についてです。 今年は12月28日のお昼まで営業。12月29日〜2024年1月4日まで冬期休暇…
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yanawakesenshoku · 1 year
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今日のお仕事(2023年8月3日)
新しいブログを投稿しました!『今日のお仕事(2023年8月3日)』https://wp.me/p6fOdH-SR
ようこそ岡山の法被と神社のぼりの製造元、やなわけ染色のブログへ 暑い日が続いてましたが、今日はそれほど暑くはなかったかな、と思った1日でした。 おそらく南の方で発生している台風6号の影響でしょう。 今のところ、東シナ海の方へ向かっている台風6号。ところが、週明けにはなぜか反転して沖縄本島へ進路を変える予想が出ているようです…。もう雨は懲り懲りです(涙 今日のお仕事:久々の更新なのですが、ここは淡々と日々の仕事を綴っていきます。 紅白幕の名入れを26枚 法被の衿の顔料捺染 選挙用タスキのプリント 祭り袢天の出荷 こども園の園旗を出荷 新しくできる焼肉店ののれんを出荷などなど 実は、私が先週末に洗面所で(約1年ぶりの)ぎっくり腰になっているので、仕事がなかなか思うように進められていませんが、それでも着実に受注したお仕事は手を抜くことなく取り組んでいます! しかし、ぎっ…
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yanawakesenshoku · 1 year
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今年のGW休暇について
新しいブログを投稿しました!『今年のGW休暇について』https://wp.me/p6fOdH-SB
新型コロナウィルス感染症による、いわゆるコロナ禍もほとんど収まって、3年ぶりにかつてあった日常を取り戻しつつあるのを実感しています。 そんなわけで、有限会社やなわけ染色の2023年のGWは以下の通りです。 4月29〜30日はお休み 5月1〜2日は通常営業 5月3〜7日はお休み 仕事は休暇に入りますが、私の頭の中までお休みにはなりませんキリッ(`・∀・´) まとまった休みのときにこそ、普段できない読書や思索、計画作成などを諸々進めていけるときです。 4月中旬に九州のお客さまから受注した法被の下拵えや、地元のお客さまから受けている神社のぼりや手ぬぐいの型づくりなど、先に進めておきたい案件などあるので、逆に言えばうかうか休んでいられないわけです。。。(汗 まずは、己自身の気持ちを引き締めるために、『経営以前の社長の教科書』(大石豊司…
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kinuya-maturi · 5 years
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串壱竜さん 五周年手拭い 浜松 注染手拭い 〒430-0943  浜松市中区北田町130-20 電話 053-488-4897 #串壱竜 #焼鳥 #遠州#遠州のお祭り#半纏#法被 #藍染め#絹法被#引き染め #袢纏#半天#古風#古布 #絹半纏#化粧半纏#化粧法被 #浜松#浜松まつり#凧#凧まつり #浜松祭り#2020#粋#和服#朱刺し #長手甲#祭用品#きぬや#㐂ぬ屋 #遠州綿紬 静岡県浜松市中区山下町、24-1 Tel 053-471-5810 [email protected] LINE@ ID 「@poa3117w」 お気軽にline下さい。 14時~19時 定休日 月曜日 第三日曜日 (串壱竜) https://www.instagram.com/p/B5fRykDnbG4/?igshid=h0j38rzun6kj
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lazyleave0225 · 3 years
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菊灣合輯
(1)
不知道從何時開始,她的眼神開始望向遙遠的彼方。
即使當我的足音在她身邊停頓時,她會轉頭用比正午的陽光還要燦爛的笑容迎接我,但我感覺到她的心還在遠方飄蕩。
可恥的是,明明知道她的難處,察覺到這一點仍使我感到不安。
「我準備了早膳,稍微吃一點吧。」
「好,一起去吃飯吧!」
眼前的少女比起初見的時候已經變化了許多,稚氣的臉龐已經被玲瓏的面孔取代,深褐色的眼眸依然靈動,澄清的知性在眼波中流轉,已經是一位優秀的女性了。
但因為知道掩飾在奔放熱情底下的內斂和盤算,他寧願這些蛻變沒有發生過。
然而這就是成為國家的宿命,他唯一能做的也是同在亞細亞的海波上輕輕地守望而已。因為自己只是一個連情思都無法述諸於口的無用男子罷了。
「我喜歡菊的味噌湯呢。」
「是嗎?」
「是的,非常溫暖,如果可以喝到這碗湯,我想接下來的諸多煩心事都可以順利解決吧。」
「那麼,明天也是,請讓我來準備早飯吧。」
他是來自北國的太陽之子,雖然有些不器用,但為畏寒的她帶來溫暖也是職責之一吧。
看著對方矯正多年依然像孩童一樣胡亂的使用筷子,不知為什麼心中洋溢起難以言喻的幸福感。好像當初那個不受管教的野ㄚ頭還坐在他身邊的感覺。
陽光在庭院的福木葉面上反射出金黃色的光芒,朝陽已經徹底的升起了。
(2)
我總是不知道妳的眼睛在注視著什麼。
梅雨沿著屋簷稀稀落落的落下,輕柔的打在即將凋零的紅褐色茶花上。
妳似乎只是看著庭園中自然流動的景色,又像是在凝視著遙遠的未來。
明明人就在我的身側,靈魂卻好像已經飄至了遠方。
對於能奪走妳目光的事物我感到嫉妒。
於是故意醜陋的用茶筅在茶碗邊緣發出不和諧的噪音。
妳一定是注意到了,所以馬上回頭用澄澈到令我羞愧的目光看向我。
「失禮了。」妳說。
「不會。」
我不敢再看那雙令我喜愛的眼睛。如果繼續看下去的話,一定會無法抑制的做出更多失禮的事吧。
於是我開始細數在茶湯上流轉的細微泡沫,看它們隨著規律的擾動浮現又消失。
只有藏在植栽間的鳥群膽敢在這時歌唱吧。
不,也許曾經的妳也會。
坐在迴廊的邊緣,任雨水打濕妳白晰的足,然後哼著不成調的、不知名的旋律。
我回憶著也許妳也記不起的調子,放下茶筅,將茶碗上的花樣轉向妳。
妳注意到了嗎,茶碗上溫婉的桔梗是為妳繪製的。
但這是不能問出口的話語。
妳已經不會再抱怨茶湯苦澀了。
曾經的我也許會感到欣慰,但如今我卻懷念那個撒嬌抱怨、不愛吃苦的妳。
妳已經獨自一人走了很遠的旅程,好像只有我一人如同時間的幽靈般駐足在過往。
我知道,柳絮般的雨水無法困住你、泥濘的草地無法困住你,就連我這個孤單的男子也困不住你。
「來年,這裡的茶花會再盛開吧。」
我數落著自己的無聊愁思,直到被妳的話語打斷。我驚訝的看向不是說「謝謝招待」的妳。
我一度以為是我過度的哀思使自己產生可悲的幻覺。直到你朝我伸出了象徵約定的小指。
也許這樣就足夠了吧。
我知道我貪婪的想要更多,但此刻而言,這樣就足夠的。
「來年,請一定要再來看它綻開的樣子。」
(3)
「不逃嗎?」
如果本田菊有意願的話,無須用上全力也足以讓自己動彈不得。她還記得那種無法撼動的、強烈的力量差距。
但他沒有,他只不過是虛握著自己的雙手,面無表情的由上往下俯視自己而已。他是在逼迫自己承認,她是心甘情願被困在他的身旁的。
真是狡猾的人。
於是她的衣扣被解開了,昔日暴君的吻如雷陣雨般猛烈的落了下來。如果還有誰還深刻的記著這個謙遜的男人曾經猶如颶風的一面的話,自己必是這世上最能清晰的描摹他的面孔的人。
那雙眼眸是無法被忘卻的。像洪水般壯烈的,吞噬、支配一切的慾望。即使即將被粉碎的人是自己,也會情不自禁的被那份絕美吸引。
根本無處可逃。
是他的如白瓷般細膩又寬厚的手,在自己的靈魂上烙印上永遠無法抹去的痕跡。
「雖然我不認為到了這個地步妳還會不清楚,但接下來要發生的事情妳是知道的吧?」
林曉梅不屑回答這個問題。
所以她掙脫他對手腕的控制。雙手在他整理的妥貼的鬢角邊摩娑,看著男人露出像是貓科動物被撫摸時的表情。然後是接吻,他所迷戀的唇齒間的嬉戲。他知道這是屬於情人間的互動,和單純的肉體歡愉是不同的,所以他的眉角瞬間鬆懈了下來,鼻腔間發出比女性還要嬌媚的悶哼聲。
直到結束這個吻,男人還陶醉在剛剛的觸覺中,迷離著雙眼喃喃的說著:「還要......更多......」
他抱持著窒息也無所謂的氣勢撒嬌索吻。
為了一時的歡愉死去,確實像是他會做出的選擇。
「還有更舒服的,不想要嗎?」
「......更舒服的?」
「明明是你教導我那些的,是年紀大到記不清了嗎?」
明顯是被調侃的話語刺激了,他的眉角彎曲成不滿的角度。
於是他將慣用手的手掌撐成傘狀,放在女孩的胸脯下方、腹部上面,那塊橫膈膜存在的位置,將她壓倒。因為施力手背上好看的掌骨和青筋浮現。他要女孩為了那句有損他的自尊話語付出代價。
吳服的腰帶被扯開,露出底下的長襦袢,和藏在更下層的鎖骨與胸膛。
「摸我。」
是命令句,是男人神智清醒的時候避免使用的話語。但今晚可沒有像酒精那樣可以擾亂他的心智的東西。
這個事實讓林曉梅感到滿意。所以她從善如流的撫向男人的肋骨旁邊、還有乳頭的周圍,那些男人敏感的部位。
「好舒服、再多一點......我想要......」
男人通常處處壓抑自己,但對性慾的誠實卻直白到了近乎淫蕩的地步。
他將臉埋在女孩的白潤豐滿的胸脯,鼻翼輕輕地撫過渾圓中間的凹槽處,然後開始吮吻那塊陰影的三角地帶。
「妳好香,呵呵......」
簡直就像栽倒在酒罈裡面的貓一樣。
林曉梅繃起左腳的腳掌,往男人兩腿間重要的部位蹭去,那裡早就呈現半勃的狀態。
「菊,給我。」
同樣是命令句。
是女孩展露真心後會使用的句式。
兩人都已經是衣衫半褪的狀態了,雖然撒嬌的男子很可愛,但她已經不想再等下去了。
這一刻就想擁有他的心情急切的滿溢出來。
「真的嗎,想要我?」
這是可能發生的嗎?經過這麼多事情,那幾年間暴戾的自己做過的事情像是昨日才發生過的一樣,歷歷在目。
這樣的自己,也有被憐愛的資格嗎?
這是什麼問句?男人根本不知道自己對她的精神和身體做了什麼。
與其說是怒火,一種強烈的哀傷給她將男子反過來壓倒在地的動力。
這世間沒有人像我這樣的注視者你。
只有我像凝視著翻滾的雲海中浮起的旭日般的注視著你。
只有我像觀望著隨地軸旋轉的星辰般的注視著你。
如果可以讓你也承認我在你心中佔有特別的位置,那麼請從我身上奪走更多吧。
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groyanderson · 3 years
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☆プロトタイプ版☆ ひとみに映る影シーズン2 第七話「復活、ワヤン不動」
☆プロトタイプ版☆ こちらは電子書籍「ひとみに映る影 シーズン2」の 無料プロトタイプ版となります。 誤字脱字等修正前のデータになりますので、あしからずご了承下さい。
☆ここから買おう☆
(シーズン2あらすじ) 私はファッションモデルの紅一美。 旅番組ロケで訪れた島は怪物だらけ!? 霊能者達の除霊コンペとバッティングしちゃった! 実は私も霊感あるけど、知られたくないなあ…… なんて言っている場合じゃない。 諸悪の根源は恩師の仇、金剛有明団だったんだ! 憤怒の化身ワヤン不動が、今度はリゾートで炸裂する!!
pixiv版 (※内容は一緒です。)
དང་པོ་
 ニライカナイから帰還した私達はその後、魔耶さんに呼ばれて食堂へ向かう。食堂内では五寸釘愚連隊と生き残った河童信者が集合していた。更に最奥のテーブルには、全身ボッコボコにされたスーツ姿の男。バリカンか何かで雑に剃り上げられた頭頂部を両手で抑えながら、傍らでふんぞり返る禍耶さんに怯えて震えている。 「えーと……お名前、誰さんでしたっけ」  この人は確か、河童の家をリムジンに案内していたアトム社員だ。特徴的な名前だった気はするんだけど、思い出せない。 「あっ……あっ……」 「名乗れ!」 「はひいぃぃ! アトムツアー営業部の五間擦平雄(ごますり ひらお)と申します!」  禍耶さんに凄まれ、五間擦氏は半泣きで名乗った。少なくともモノホンかチョットの方なんだろう。すると河童信者の中で一番上等そうなバッジを付けた男が席を立ち、机に手をついて私達に深々と頭を下げた。 「紅さん、志多田さん。先程は家のアホ大師が大っっっ変ご迷惑をおかけ致しました! この落とし前は我々河童の家が後日必ず付けさせて頂きます!」 「い、いえそんな……って、その声まさか、昨年のお笑いオリンピックで金メダルを総ナメしたマスク・ド・あんこう鍋さんじゃないですか! お久しぶりですね!?」  さすがお笑い界のトップ組織、河童の家だ。ていうか仕事で何度か会ったことあるのに素顔初めて見た。 「あお久しぶりっす! ただこちらの謝罪の前に、お二人に話さなきゃいけない事があるんです。ほら説明しろボケナスがッ!!」  あんこう鍋さんが五間擦氏の椅子を蹴飛ばす。 「ぎゃひぃ! ごご、ご説明さひぇて頂きますぅぅぅ!!」  五間擦氏は観念して、千里が島とこの除霊コンペに関する驚愕の事実を私達に洗いざらい暴露した。その全貌はこうだ。  千里が島では散減に縁を奪われた人間が死ぬと、『金剛の楽園』と呼ばれる何処かに飛び去ってしまうと言い伝えられている。そうなれば千里が島には人間が生きていくために必要な魂の素が枯渇し、乳幼児の生存率が激減してしまうんだ。そのため島民達は縁切り神社を建て、島外の人々を呼びこみ縁を奪って生き延びてきたのだという。  アトムグループが最初に派遣した建設会社社員も伝説に違わず祟られ、全滅。その後も幾つかの建設会社が犠牲になり、ようやく事態を重く受け止めたアトムが再開発中断を検討し始めた頃。アトムツアー社屋に幽霊が現れるという噂が囁かれ始めた。その霊は『日本で名のある霊能者達の縁を散減に献上すれば千里が島を安全に開発させてやろう』と宣うらしい。そんな奇妙な話に最初は半信半疑だった重役達も、『その霊がグループ重役会議に突如現れアトムツアーの筆頭株主を目の前で肉襦袢に変えた』事で霊の要求を承認。除霊コンペティションを行うと嘘の依頼をして、日本中から霊能者を集めたのだった。  ところが行きの飛行機で、牛久大師は袋の鼠だったにも関わらず中級サイズの散減をあっさり撃墜してしまう。その上業界ではインチキ疑惑すら噂されていた加賀繍へし子の取り巻きに散減をけしかけても、突然謎のレディース暴走族幽霊が現れて返り討ちにされてしまった。度重なる大失態に激怒した幽霊はアトムツアーイケメンライダーズを全員肉襦袢に変えて楽園へ持ち帰ってしまい、メタボ体型のため唯一見逃された五間擦氏はついに牛久大師に命乞いをする。かくして大師は大散減を退治すべく、祠の封印を剥がしたのだった。以上の話が終わると、私は五間擦氏に馬乗りになって彼の残り少ない髪の毛を引っこ抜き始めた。 「それじゃあ、大師は初めから封印を解くつもりじゃなかったんですか?」 「ぎゃあああ! 毛が毛が毛がああぁぁ!!」  あんこう鍋さんは首を横に振る。 「とんでもない。あの人は力がどうとか言うタイプじゃありません。地上波で音波芸やろうとしてNICを追放されたアホですよ? 我々はただの笑いと金が大好きなぼったくりカルトです」 「ほぎゃああぁぁ! 俺の貴重な縁があぁぁ、抜けるウゥゥーーーッ!!」 「そうだったんですね。だから『ただの関係者』って言ってたんだ……」  そういう事だったのか。全ては千里が島、アトムグループ、ひいては金剛有明団までもがグルになって仕掛けた壮大なドッキリ……いや、大量殺人計画だったんだ! 大師も斉二さんもこいつらの手の上で踊らされた挙句逝去したとわかった以上、大散減は尚更許してはおけない。  魔耶さんと禍耶さんは食堂のカウンターに登り、ハンマーを掲げる。 「あなた達。ここまでコケにされて、大散減を許せるの? 許せないわよねぇ?」 「ここにいる全員で謀反を起こしてやるわ。そこの祝女と影法師使いも協力しなさい」  禍耶さんが私達を見る。玲蘭ちゃんは数珠を持ち上げ、神人に変身した。 「全員で魔物(マジムン)退治とか……マジウケる。てか、絶対行くし」 「その肉襦袢野郎とは個人的な因縁もあるんです。是非一緒に滅ぼさせて下さい!」 「私も! さ、さすがに戦うのは無理だけど……でもでも、出来ることはいっぱい手伝うよ!」  佳奈さんもやる気満々のようだ。 「決まりね! そうしたら……」 「その作戦、私達も参加させて頂けませんか?」  食堂入口から突然割り込む声。そこに立っていたのは…… 「斉一さん!」「狸おじさん!」  死の淵から復活した後女津親子だ! 斉一さんは傷だらけで万狸ちゃんに肩を借りながらも、極彩色の細かい糸を纏い力強���微笑んでいる。入口近くの席に座り、経緯を語りだした。 「遅くなって申し訳ない。魂の三分の一が奪われたので、万狸に体を任せて、斉三と共にこの地に住まう魂を幾つか分けて貰っていました」  すると斉一さんの肩に斉三さんも現れる。 「診療所も結界を張り終え、とりあえず負傷者の安全は確保した。それと、島の魂達から一つ興味深い情報を得ました」 「聞かせて、狸ちゃん」  魔耶さんが促す。 「御戌神に関する、正しい歴史についてです」  時は遡り江戸時代。そもそも江戸幕府征服を目論んだ物の怪とは、他ならぬ金剛有明団の事だった。生まれた直後に悪霊を埋め込まれた徳松は、ゆくゆくは金剛の意のままに動く将軍に成長するよう運命付けられていたんだ。しかし将軍の息子であった彼は神職者に早急に保護され、七五三の儀式が行われる。そこから先の歴史は青木さんが説明してくれた通り。けど、この話には続きがあるらしい。 「大散減の祠などに、星型に似たシンボルを見ませんでしたか? あれは大散減の膨大な力の一部を取り込み霊能力を得るための、給電装置みたいな物です。もちろんその力を得た者は縁が失せて怪物になるのですが、当時の愚か者共はそうとは知らず、大散減を『徳川の埋蔵金』と称し挙って島に移住しました」  私達したたびが探していた徳川埋蔵金とはなんと、金剛の膨大な霊力と衆生の縁の塊、大散減の事だったんだ。ただ勿論、霊能者を志し島に近付いた者達はまんまと金剛に魂を奪われた。そこで彼らの遺族は風前の灯火だった御戌神に星型の霊符を貼り、自分達の代わりに島外の人間から縁を狩る猟犬に仕立て上げたんだ。こうして御戌神社ができ、御戌神は地中で飢え続ける大散減の手足となってせっせと人の縁を奪い続けているのだという。 「千里が島の民は元々霊能者やそれを志した者の子孫です。多少なりとも力を持つ者は多く、彼らは代々『御戌神の器』を選出し、『人工転生』を行ってきました」  斉一さんが若干小声で言う。人工転生。まだ魂が未発達の赤子に、ある特定の幽霊やそれに纏わる因子を宛てがって純度の高い『生まれ変わり』を作る事。つまり金剛が徳松に行おうとしたのと同じ所業だ。 「じゃあ、今もこの島のどこかに御戌様の生まれ変わりがいるんですか?」  佳奈さんは飲み込みが早い。 「ええ。そして御戌神は、私達が大散減に歯向かえば再び襲ってきます。だからこの戦いでは、誰かが対御戌神を引き受け……最悪、殺生しなければなりません」 「殺生……」  生きている人間を、殺す。死者を成仏させるのとは訳が違う話だ。魔耶さんは胸の釘を握りしめた。 「そのワンちゃん、なんて可哀想なの……可哀想すぎる。攻撃なんて、とてもできない」 「魔耶、今更甘えた事言ってんじゃないわよ。いくら生きてるからって、中身は三百年前に死んだバケモノよ! いい加減ラクにしてやるべきだわ」 「でもぉ禍耶、あんまりじゃない! 生まれた時から不幸な運命を課せられて、それでも人々のために戦ったのに。結局愚かな連中の道具にされて、利用され続けているのよ!」 (……!)  道具。その言葉を聞いた途端、私は心臓を握り潰されるような恐怖を覚えた。本来は衆生を救うために手に入れた力を、正反対の悪事に利用されてしまう。そして余所者から邪尊(バケモノ)と呼ばれ、恐れられるようになる……。 ―テロリストですよ。ドマル・イダムという邪尊の力を操ってチベットを支配していた、最悪の独裁宗派です―  自分の言った言葉が心に反響する。御戌神が戦いの中で見せた悲しそうな目と、ニライカナイで見たドマルの絶望的な目が日蝕のように重なる。瞳に映ったあの目は……私自身が前世で経験した地獄の、合わせ鏡だったんだ。 「……魔耶さん、禍耶さん。御戌神は、私が相手をします」 「え!?」 「正気なの!? 殺生なんて私達死者に任せておけばいいのよ! でないとあんた、殺人罪に問われるかもしれないのに……」  圧。 「ッ!?」  私は無意識に、前世から受け継がれた眼圧で総長姉妹を萎縮させた。 「……悪魔の心臓は御仏を産み、悪人の遺骨は鎮魂歌を奏でる。悪縁に操られた御戌神も、必ず菩提に転じる事が出来るはずです」  私は御戌神が誰なのか、確証を持っている。本当の『彼』は優しくて、これ以上金剛なんかの為に罪を重ねてはいけない人。たとえ孤独な境遇でも人との縁を大切にする、子犬のようにまっすぐな人なんだ。 「……そう。殺さずに解決するつもりなのね、影法師使いさん。いいわ。あなたに任せます」  魔耶さんがスレッジハンマーの先を私に突きつける。 「失敗したら承知しない。私、絶対に承知しないわよ」  私はそこに拳を当て、無言で頷いた。  こうして話し合いの結果、対大散減戦における役割分担が決定した。五寸釘愚連隊と河童の家、玲蘭ちゃんは神社で大散減本体を引きずり出し叩く。私は御戌神を探し、神社に行かれる前に説得か足止めを試みる。そして後女津家は私達が解読した暗号に沿って星型の大結界を巡り、大散減の力を放出して弱体化を図る事になった。 「志多田さん。宜しければ、お手伝いして頂けませんか?」  斉一さんが立ち上がり、佳奈さんを見る。一方佳奈さんは申し訳なさそうに目を伏せた。 「で……でも、私は……」  すると万狸ちゃんが佳奈さんの前に行く。 「……あのね。私のママね、災害で植物状態になったの。大雨で津波の警報が出て、パパが車で一生懸命高台に移動したんだけど、そこで土砂崩れに遭っちゃって」 「え、そんな……!」 「ね、普通は不幸な事故だと思うよね。でもママの両親、私のおじいちゃんとおばあちゃん……パパの事すっごく責めたんだって。『お前のせいで娘は』『お前が代わりに死ねば良かったのに』みたいに。パパの魂がバラバラに引き裂かれるぐらい、いっぱいいっぱい責めたの」  昨晩斉三さんから聞いた事故の話だ。奥さんを守れなかった上にそんな言葉をかけられた斉一さんの気持ちを想うと、自分まで胸が張り裂けそうだ。けど、奥さんのご両親が取り乱す気持ちもまたわかる。だって奥さんのお腹には、万狸ちゃんもいたのだから……。 「三つに裂けたパパ……斉一さんは、生きる屍みたいにママの為に無我夢中で働いた。斉三さんは病院のママに取り憑いたまま、何年も命を留めてた。それから、斉二さんは……一人だけ狸の里(あの世)に行って、水子になっちゃったママの娘を育て続けた」 「!」 「斉二さんはいつも言ってたの。俺は分裂した魂の、『後悔』の側面だ。天災なんて誰も悪くないのに、目を覚まさない妻を恨んでしまった。妻の両親を憎んでしまった。だからこんなダメな狸親父に万狸が似ないよう、お前をこっちで育てる事にしたんだ。って」  万狸ちゃんが背筋をシャンと伸ばし、顔を上げた。それは勇気に満ちた笑顔だった。 「だから私知ってる。佳奈ちゃんは一美ちゃんを助けようとしただけだし、ぜんぜん悪いだなんて思えない。斉二さんの役割は、完璧に成功してたんだよ」 「万狸ちゃん……」 「あっでもでも、今回は天災じゃなくて人災なんだよね? それなら金剛有明団をコッテンパンパンにしないと! 佳奈ちゃんもいっぱい悲しい思いした被害者でしょ?」  万狸ちゃんは右手を佳奈さんに差し出す。佳奈さんも顔を上げ、その手を強く握った。 「うん。金剛ぜったい許せない! 大散減の埋蔵金、一緒にばら撒いちゃお!」  その時、ホテルロビーのからくり時計から音楽が鳴り始めた。曲は民謡『ザトウムシ』。日没と大散減との対決を告げるファンファーレだ。魔耶さんは裁判官が木槌を振り下ろすように、机にハンマーを叩きつけた! 「行ぃぃくぞおおおぉぉお前らああぁぁぁ!!!」 「「「うおおぉぉーーーっ!!」」」  総員出撃! ザトウムシが鳴り響く逢魔が時の千里が島で今、日本最大の除霊戦争が勃発する!
གཉིས་པ་
 大散減討伐軍は御戌神社へ、後女津親子と佳奈さんはホテルから最寄りの結界である石見沼へと向かった。さて、私も御戌神の居場所には当てがある。御戌神は日蝕の目を持つ獣。それに因んだ地名は『食虫洞』。つまり、行先は新千里が島トンネル方面だ。  薄暗いトンネル内を歩いていると、電灯に照らされた私の影が勝手に絵を描き始めた。空で輝く太陽に向かって無数の虫が冒涜的に母乳を吐く。太陽は穢れに覆われ、光を失った日蝕状態になる。闇の緞帳(どんちょう)に包まれた空は奇妙な星を孕み、大きな獣となって大地に災いをもたらす。すると地平線から血のように赤い月が昇り、星や虫を焼き殺しながら太陽に到達。太陽と重なり合うやいなや、天上天下を焼き尽くすほどの輝きを放つのだった……。  幻のような影絵劇が終わると、私はトンネルを抜けていた。目の前のコンビニは既に電気が消えている。その店舗全体に、腐ったミルクのような色のペンキで星型に線を一本足した記号が描かれている。更に接近すると、デッキブラシを持った白髪の偉丈夫が記号を消そうと悪戦苦闘しているのが見えた。 「あ、紅さん」  私に気がつき振り返った青木さんは、足下のバケツを倒して水をこぼしてしまった。彼は慌ててバケツを立て直す。 「見て下さい。誰がこんな酷い事を? こいつはコトだ」  青木さんはデッキブラシで星型の記号を擦る。でもそれは掠れすらしない。 「ブラシで擦っても? ケッタイな落書きを……っ!?」  指で直接記号に触れようとした青木さんは、直後謎の力に弾き飛ばされた。 「……」  青木さんは何かを思い出したようだ。 「紅さん。そういえば僕も、ケッタイな体験をした事が」  夕日が沈んでいき、島中の店や防災無線からはザトウムシが鳴り続ける。 「犬に吠えられ、夜中に目を覚まして。永遠に飢え続ける犬は、僕のおつむの中で、ひどく悲しい声で鳴く。それならこれは幻聴か? 犬でないなら幽霊かもだ……」  青木さんは私に背を向け、沈む夕日に引き寄せられるように歩きだした。 「早くなんとかせにゃ。犬を助けてあげなきゃ、僕までどうにかなっちまうかもだ。するとどこからか、目ん玉が潰れた双頭の毛虫がやって来て、口からミルクを吐き出した。僕はたまらず、それにむしゃぶりつく」  デッキブラシから滴った水が地面に線を引き、一緒に夕日を浴びた青木さんの影も伸びていく。 「嫌だ。もう犬にはなりたくない。きっとおっとろしい事が起きるに違いない。満月が男を狼にするみたいに、毛虫の親玉を解き放つなど……」 「青木さん」  私はその影を呼び止めた。 「この落書きは、デッキブラシじゃ落とせません」 「え?」 「これは散減に穢された縁の母乳、普通の人には見えない液体なんです」  カターン。青木さんの手からデッキブラシが落ちた途端、全てのザトウムシが鳴り止んだ。青木さんはゆっくりとこちらへ振り向く。重たい目隠れ前髪が狛犬のたてがみのように逆立ち、子犬のように輝く目は濁った穢れに覆われていく。 「グルルルル……救、済、ヲ……!」  私も胸のペンダントに取り付けたカンリンを吹いた。パゥーーー……空虚な悲鳴のような音が響く。私の体は神経線維で編まれた深紅の僧衣に包まれ、激痛と共に影が天高く燃え上がった。 「青木さん。いや、御戌神よ。私は紅の守護尊、ワヤン不動。しかし出来れば、お前とは戦いたくない」  夕日を浴びて陰る日蝕の戌神と、そこから伸びた赤い神影(ワヤン)が対峙する。 「救済セニャアアァ!」 「そうか。……ならば神影繰り(ワヤン・クリ)の時間だ!」  空の月と太陽が見下ろす今この時、地上で激突する光の神と影の明王! 穢れた色に輝く御戌神が突撃! 「グルアアァァ!」  私はティグクでそれをいなし、黒々と地面に伸びた自らの影を滑りながら後退。駐車場の車止めをバネに跳躍、傍らに描かれた邪悪な星目掛けてキョンジャクを振るった。二〇%浄化! 分解霧散した星の一片から大量の散減が噴出! 「マバアアアァァ!!」「ウバアァァァ!」  すると御戌神の首に巻かれた幾つもの頭蓋骨が共鳴。ケタケタと震えるように笑い、それに伴い御戌神も悶絶する。 「グルアァァ……ガルァァーーーッ!!」  咆哮と共に全骨射出! 頭蓋骨は穢れた光の尾を引き宙を旋回、地を這う散減共とドッキングし牙を剥く! 「がッは!」  毛虫の体を得た頭蓋骨が飛び回り、私の血肉を穿つ。しかし反撃に転じる寸前、彼らの正体を閃いた。 「さては歴代の『器』か」  この頭蓋骨らは御戌神転生の為に生贄となった、どこの誰が産んだかもわからない島民達の残滓だ。なら速やかに解放せねばなるまい! 人頭毛虫の猛攻をティグクの柄やキョンジャクで防ぎながら、ティグクに付随する旗に影炎を着火! 「お前達の悔恨を我が炎の糧とする! どおぉりゃああぁーーーーっ!!」   ティグク猛回転、憤怒の地獄大車輪だ! 飛んで火に入る人頭毛虫らはたちどころに分解霧散、私の影体に無数の苦痛と絶望と飢えを施す! 「クハァ……ッ! そうだ……それでいい。私達は仲間だ、この痛みを以て金剛に汚された因果を必ずや断ち切ってやろう! かはあぁーーーっはーーっはっはっはっはァァーーッ!!!」  苦痛が無上の瑜伽へと昇華しワヤン不動は呵呵大笑! ティグクから神経線維の熱線が伸び大車輪の火力を���強、星型記号を更に焼却する! 記号は大文字焼きの如く燃��上がり穢れ母乳と散減を大放出! 「ガウルル、グルルルル!」  押し寄せる母乳と毛虫の洪水に突っ込み喰らおうと飢えた御戌神が足掻く。だがそうはさせるものか、私の使命は彼を穢れの悪循環から救い出す事だ。 「徳川徳松ゥ!」 「!」  人の縁を奪われ、畜生道に堕ちた哀しき少年の名を呼ぶ。そして丁度目の前に飛んできた散減を灼熱の手で掴むと、轟々と燃え上がるそれを遠くへ放り投げた! 「取ってこい!」 「ガルアァァ!!」  犬の本能が刺激された御戌神は我を忘れ散減を追う! 街路樹よりも高く跳躍し口で見事キャッチ、私目掛けて猪突猛進。だがその時! 彼の本体である衆生が、青木光が意識を取り戻した! (戦いはダメだ……穢れなど!)  日蝕の目が僅かに輝きを増す。御戌神は空中で停止、咥えている散減を噛み砕いて破壊した! 「かぁははは、いい子だ徳松よ! ならば次はこれだあぁぁ!!」  私はフリスビーに見立ててキョンジャクを投擲。御戌神が尻尾を振ってハッハとそれを追いかける。キョンジャクは散減共の間をジグザグと縫い進み、その軌跡を乱暴になぞる御戌神が散減大量蹂躙! 薄汚い死屍累々で染まった軌跡はまさに彼が歩んできた畜生道の具現化だ!! 「衆生ぉぉ……済度ぉおおおぉぉぉーーーーっ!!!」  ゴシャアァン!!! ティグクを振りかぶって地面に叩きつける! 視神経色の亀裂が畜生道へと広がり御戌神の背後に到達。その瞬間ガバッと大地が割れ、那由多度に煮え滾る業火を地獄から吹き上げた! ズゴゴゴゴガガ……マグマが滾ったまま連立する巨大灯篭の如く隆起し散減大量焼却! 振り返った御戌神の目に陰る穢れも、紅の影で焼き溶かされていく。 「……クゥン……」  小さく子犬のような声を発する御戌神。私は憤怒相を収め、その隣に立つ。彼の両眼からは止めどなく饐えた涙が零れ、その度に日蝕が晴れていく。気がつけば空は殆ど薄暗い黄昏時になっていた。闇夜を迎える空、赤く燃える月と青く輝く太陽が並ぶ大地。天と地の光彩が逆転したこの瞬間、私達は互いが互いの前世の声を聞いた。 『不思議だ。あの火柱見てると、ぼくの飢えが消えてく。お不動様はどんな法力を?』 ༼ なに、特別な力ではない。あれは慈悲というものだ ༽ 『じひ』  徳松がドマルの手を握った。ドマルの目の奥に、憎しみや悲しみとは異なる熱が込み上がる。 『救済の事で?』 ༼ ……ま、その類いといえばそうか。童よ、あなたは自分を生贄にした衆生が憎いか? ༽  徳松は首を横に振る。 『ううん、これっぽっちも。だってぼく、みんなを救済した神様なんだから』  すると今度はドマルが両手で徳松の手を包み、そのまま深々と合掌した。 ༼ なら、あなたはもう大丈夫だ。衆生との縁に飢える事は、今後二度とあるまい ༽
གསུམ་པ་
 時刻は……わからないけど、日は完全に沈んだ。私も青木さんも地面に大の字で倒れ、炎上するコンビニや隆起した柱状節理まみれの駐車場を呆然と眺めている。 「……アーーー……」  ふと青木さんが、ずっと咥えっ放しだったキョンジャクを口から取り出した。それを泥まみれの白ニットで拭い、私に返そうとして……止めた。 「……洗ってからせにゃ」 「いいですよ。この後まだいっぱい戦うもん」 「大散減とも? おったまげ」  青木さんにキョンジャクを返してもらった。 「実は、まだ学生の時……友達が僕に、『彼女にしたい芸能人は?』って質問を。けど特に思いつかなくて、その時期『非常勤刑事』やってたので紅一美ちゃんと。そしたら今回、本当にしたたびさんが……これが縁ってやつなら、ちぃと申し訳ないかもだ」 「青木さんもですか」 「え?」 「私も実は、この間雑誌で『好きな男性のタイプは何ですか』って聞かれて、なんか適当に答えたんですけど……『高身長でわんこ顔な方言男子』とかそんなの」 「そりゃ……ふふっ。いやけど、僕とは全然違うイメージだったかもでしょ?」 「そうなんですよ。だから青木さんの素顔初めて見た時、キュンときたっていうより『あ、実在するとこんな感じなの!?』って思っちゃったです。……なんかすいません」  その時、遠くでズーンと地鳴りのような音がした。蜃気楼の向こうに耳をそばだてると、怒号や悲鳴のような声。どうやら敵の大将が地上に現れたようだ。 「行くので?」 「大丈夫。必ず戻ってきます」  私は重い体を立ち上げ、ティグクとキョンジャクに再び炎を纏った。そして山頂の御戌神社へ出発…… 「きゃっ!」  しようとした瞬間、何かに服の裾を掴まれたかのような感覚。転びそうになって咄嗟にティグクの柄をつく。足下を見ると、小さなエネルギー眼がピンのように私の影を地面と縫いつけている。 ༼ そうはならんだろ、小心者娘 ༽ 「ちょ、ドマル!?」  一方青木さんの方も、徳松に体を勝手に動かされ始めた。輝く両目から声がする。 『バカ! あそこまで話しといて告白しねえなど!? このボボ知らず!』 「ぼっ、ぼっ、ボボ知らずでねえ! 嘘こくなぁぁ!」  民謡の『お空で見下ろす出しゃばりな月と太陽』って、ひょっとしたら私達じゃなくてこの前世二人の方を予言してたのかも。それにしてもボボってなんだろ、南地語かな。 ༼ これだよ ༽  ドマルのエネルギー眼が炸裂し、私は何故かまた玲蘭ちゃんの童貞を殺す服に身を包んでいた。すると何故か青木さんが悶絶し始めた。 「あややっ……ちょっと、ダメ! 紅さん! そんなオチチがピチピチな……こいつはコトだ!!」  ああ、成程。ボボ知らずってそういう…… 「ってだから、私の体で検証すなーっ! ていうか、こんな事している間にも上で死闘が繰り広げられているんだ!」 ༼ だからぁ……ああもう! 何故わからないのか! ヤブユムして行けと言っているんだ、その方が生存率上がるしスマートだろ! ༽ 「あ、そういう事?」  ヤブユム。確か、固い絆で結ばれた男女の仏が合体して雌雄一体となる事で色々と超越できる、みたいな意味の仏教用語……だったはず。どうすればできるのかまではサッパリわかんないけど。 「え、えと、えと、紅さん……一美ちゃん!」 「はい……う、うん、光君!」  両前世からプレッシャーを受け、私と光君は赤面しながら唇を近付ける。 『あーもー違う! ヤブユムっていうのは……』 ༼ まーまー待て。ここは現世を生きる衆生の好きにさせてみようじゃないか ༽  そんな事言われても困る……それでも、今私と光君の想いは一つ、大散減討伐だ。うん、多分……なんとかなる! はずだ!
བཞི་པ་
 所変わって御戌神社。姿を現した大散減は地中で回復してきたらしく、幾つか継ぎ目が見えるも八本足の完全体だ。十五メートルの巨体で暴れ回り、周囲一帯を蹂躙している。鳥居は倒壊、御戌塚も跡形もなく粉々に。島民達が保身の為に作り上げた生贄の祭壇は、もはや何の意味も為さない平地と化したんだ。  そんな絶望的状況にも関わらず、大散減討伐軍は果敢に戦い続ける。五寸釘愚連隊がバイクで特攻し、河童信者はカルトで培った統率力で彼女達をサポート。玲蘭ちゃんも一枚隔てた異次元から大散減を構成する無数の霊魂を解析し、虱潰しに破壊していく。ところが、 「あグッ!」  バゴォッ!! 大散減から三メガパスカル級の水圧で射出された穢れ母乳が、河童信者の一人に直撃。信者の左半身を粉砕! 禍耶さんがキュウリの改造バイクで駆けつける。 「河童信者!」 「あ、か……禍耶の姐御……。俺の、魂を……吸収……し……」 「何言ってるの、そんな事できるわけないでしょ!?」 「……大散、ぃに、縁……取られ、嫌、……。か、っぱは……キュウリ……好き……っか……ら…………」  河童信者の瞳孔が開いた。禍耶さんの唇がわなわなと痙攣する。 「河童って馬鹿ね……最後まで馬鹿だった……。貴方の命、必ず無駄にはしないわ!」  ガバッ、キュイイィィ! 息絶えて間もない河童信者の霊魂が分解霧散する前に、キュウリバイクの給油口に吸収される。ところが魔耶さんの悲鳴! 「禍耶、上ぇっ!!」 「!」  見上げると空気を読まず飛びかかってきた大散減! 咄嗟にバイクを発進できず為す術もない禍耶さんが絶望に目を瞑った、その時。 「……え?」  ……何も起こらない。禍耶さんはそっと目を開けようとする。が、直後すぐに顔を覆った。 「眩しっ! この光は……あああっ!」  頭上には朝日のように輝く青白い戌神。そしてその光の中、轟々と燃える紅の不動明王。光と影、男と女が一つになったその究極仏は、大散減を遥か彼方に吹き飛ばし悠然と口を開いた。 「月と太陽が同時に出ている、今この時……」 「瞳に映る醜き影を、憤怒の炎で滅却する」 「「救済の時間だ!!!」」  カッ! 眩い光と底知れぬ深い影が炸裂、落下中の大散減を再びスマッシュ! 「遅くなって本当にすみません。合体に手間取っちゃって……」  御戌神が放つ輝きの中で、燃える影体の私は揺らめく。するとキュウリバイクが言葉を発した。 <問題なし! だぶか登場早すぎっすよ、くたばったのはまだ俺だけです。やっちまいましょう、姐さん!> 「そうね。行くわよ河童!」  ドルルン! 輩悪苦満誕(ハイオクまんたん)のキュウリバイクが発進! 私達も共に駆け出す。 「一美ちゃん、火の準備を!」 「もう出来ているぞぉ、カハァーーーッハハハハハハァーーー!!」  ティグクが炎を噴く! 火の輪をくぐり青白い肉弾が繰り出す! 巨大サンドバッグと化した大散減にバイクの大軍が突撃するゥゥゥ!!! 「「「ボァガギャバアアアアァァアアア!!!」」」  八本足にそれぞれ付いた顔が一斉絶叫! 中空で巻き散らかされた大散減の肉片を無数の散減に変えた! 「灰燼に帰すがいい!」  シャゴン、シャゴン、バゴホオォン!! 御戌神から波状に繰り出される光と光の合間に那由多度の影炎を込め雑魚を一掃! やはりヤブユムは強い。光源がないと力を発揮出来ない私と、偽りの闇に遮られてしまっていた光君。二人が一つになる事で、永久機関にも似た法力を得る事が出来る!  大散減は地に叩きつけられるかと思いきや、まるで地盤沈下のように地中へ潜って行ってしまった。後を追えず停車した五寸釘愚連隊が舌打ちする。 「逃げやがったわ、あの毛グモ野郎」  しかし玲蘭ちゃんは不敵な笑みを浮かべた。 「大丈夫です。大散減は結界に分散した力を補充しに行ったはず。なら、今頃……」  ズドガアアァァァアン!!! 遠くで吹き上がる火柱、そして大散減のシルエット! 「イェーイ!」  呆然と見とれていた私達の後方、数分前まで鳥居があった瓦礫の上に後女津親子と佳奈さんが立っている。 「「ドッキリ大成功ー! ぽーんぽっこぽーん!」」  ぽこぽん、シャララン! 佳奈さんと万狸ちゃんが腹鼓を打ち、斉一さんが弦を爪弾く。瞬間、ドゴーーン!! 今度は彼女らの背後でも火柱が上がった! 「あのねあのね! 地図に書いてあった星の地点をよーく探したら、やっぱり御札の貼ってある祠があったの。それで佳奈ちゃんが凄いこと閃いたんだよ!」 「その名も『ショート回路作戦』! 紙に御札とぴったり同じ絵を写して、それを鏡合わせに貼り付ける。その上に私の霊力京友禅で薄く蓋をして、その上から斉一さんが大散減から力を吸収しようとする。だけど吸い上げられた大散減のエネルギーは二枚の御札の間で行ったり来たりしながら段々滞る。そうとは知らない大散減が内側から急に突進すれば……」  ドォーーン! 万狸ちゃんと佳奈さんの超常理論を実証する火柱! 「さすがです佳奈さん! ちなみに最終学歴は?」 「だからいちご保育園だってば~、この小心者ぉ!」  こんなやり取りも随分と久しぶりな気がする。さて、この後大散減は立て続けに二度爆発した。計五回爆ぜた事になる。地図上で星のシンボルを描く地点は合計六つ、そのうち一つである食虫洞のシンボルは私がコンビニで焼却したアレだろう。 「シンボルが全滅すると、奴は何処へ行くだろうか」  斉三さんが地図を睨む。すると突如地図上に青白く輝く道順が描かれた。御戌神だ。 「でっかい大散減はなるべく広い場所へ逃走を。となると、海岸沿いかもだ。東の『いねとしサンライズビーチ』はサイクリングロードで狭いから、石見沼の下にある『石見海岸』ので」 「成程……って、君はまさか!?」 「青木君!?」  そうか、みんな知らなかったんだっけ。御戌神は遠慮がちに会釈し、かき上がったたてがみの一部を下ろして目隠れ前髪を作ってみせた。光君の面影を認識して皆は納得の表情を浮かべた。 「と……ともかく! ずっと地中でオネンネしてた大散減と違って、地の利はこちらにある。案内するので先回りを!」  御戌神が駆け出す! 私は彼が放つ輝きの中で水上スキーみたいに引っ張られ、五寸釘愚連隊や他の霊能者達も続く。いざ、石見海岸へ!
ལྔ་པ་
 御戌神の太陽の両眼は、前髪によるランプシェード効果が付与されて更に広範囲を照らせるようになった。石見沼に到着した時点で海岸の様子がはっきり見える。まずいことに、こんな時に限って海岸に島民が集まっている!? 「おいガキ共、ボートを降りろ! 早く避難所へ!」 「黙れ! こんな島の���こに安全が!? 俺達は内地へおさらばだ!」  会話から察するに、中学生位の子達が島を脱出しようと試みるのを大人達が引き止めているようだ。ところが間髪入れず陸側から迫る地響き! 危ない! 「救済せにゃ!」  石見の崖を御戌神が飛んだ! 私は光の中で身構える。着地すると同時に目の前の砂が隆起、ザボオオォォン!! 大散減出現! 「かははは、一足遅いわ!」  ズカアァァン!!! 出会い頭に強烈なティグクの一撃! 吹き飛んだ大散減は沿岸道路を破壊し民家二棟に叩きつけられた。建造物損壊と追い越し禁止線通過でダブル罪業加点! 間一髪巻き込まれずに済んだ島民達がどよめく。 「御戌様?」 「御戌様が子供達を救済したので!?」 「それより御戌様の影に映ってる火ダルマは一体!?」  その問いに、陸側から聞き覚えのある声が答える。 「ご先祖様さ!」  ブオォォン! 高級バイクに似つかわしくない凶悪なエンジン音を吹かして現れたのは加賀繍さんだ! 何故かアサッテの方向に数珠を投げ、私の正体を堂々と宣言する。 「御戌神がいくら縁切りの神だって、家族の縁は簡単に切れやしないんだ。徳川徳松を一番気にかけてたご先祖様が仏様になって、祟りを鎮めるんだよ!」 「徳松様を気にかけてた、ご先祖様……」 「まさか、将軍様など!?」 「「「徳川綱吉将軍!!」」」  私は暴れん坊な将軍様の幽霊という事になってしまった。だぶか吉宗さんじゃないけど。すると加賀繍さんの紙一重隣で大散減が復帰! 「マバゥウゥゥゥゥウウウ!!!」  神社にいた時よりも甲高い大散減の鳴き声。消耗している証拠だろう。脚も既に残り五本、ラストスパートだ! 「畳み掛けるぞ夜露死苦ッ!」  スクラムを組むように愚連隊が全方位から大散減へ突進、総長姉妹のハンマーで右前脚破壊! 「ぽんぽこぉーーー……ドロップ!!」  身動きの取れなくなった大散減に大かむろが垂直落下、左中央二脚粉砕! 「「「大師の敵ーーーっ!」」」  微弱ながら霊力を持つ河童信者達が集団投石、既に千切れかけていた左後脚切断! 「くすけー、マジムン!」  大散減の内側から玲蘭ちゃんの声。するうち黄色い閃光を放って大散減はメルトダウン! 全ての脚が落ち、最後の本体が不格好な蓮根と化した直後……地面に散らばる脚の一本の顔に、ギョロギョロと蠢く目が現れた。光君の話を思い出す。 ―八本足にそれぞれ顔がついてて、そのうち本物の顔を見つけて潰さないと死なない怪物で!― 「そうか、あっちが真の本体!」  私と光君が同時に動く! また地中に逃げようと飛び上がった大散減本体に光と影は先回りし、メロン格子状の包囲網を組んだ! 絶縁怪虫大散減、今こそお前をこの世からエンガチョしてくれるわあああああああ!! 「そこだーーーッ!! ワヤン不動ーーー!!」 「やっちゃえーーーッ!」「御戌様ーーーッ!」 「「「ワヤン不動オォーーーーーッ!!!」」」 「どおおぉぉるあぁああぁぁぁーーーーーー!!!!」  シャガンッ! 突如大量のハロゲンランプを一斉に焚いたかのように、世界が白一色の静寂に染まる。存在するものは影である私と、光に拒絶された大散減のみ。ティグクを掲げた私の両腕が夕陽を浴びた影の如く伸び、背中で燃える炎に怒れる恩師の馬頭観音相が浮かんだ時……大散減は断罪される! 「世尊妙相具我今重問彼仏子何因縁名為観世音具足妙相尊偈答無盡意汝聴観音行善応諸方所弘誓深如海歴劫不思議侍多千億仏発大清浄願我為汝略説聞名及見身心念不空過能滅諸有苦!」  仏道とは無縁の怪獣よ、己の業に叩き斬られながら私の観音行を聞け! 燃える馬頭観音と彼の骨であるティグクを仰げ! その苦痛から解放されたくば、海よりも深き意志で清浄を願う聖人の名を私がお前に文字通り刻みつけてやる! 「仮使興害意推落大火坑念彼観音力火坑変��池或漂流巨海龍魚諸鬼難念彼観音力波浪不能没或在須弥峰為人所推堕念彼観音力如日虚空住或被悪人逐堕落金剛山念彼観音力不能損一毛!!」  たとえ金剛の悪意により火口へ落とされようと、心に観音力を念ずれば火もまた涼し。苦難の海でどんな怪物と対峙しても決して沈むものか! 須弥山から突き落とされようが、金剛を邪道に蹴落とされようが、観音力は不屈だ! 「或値怨賊繞各執刀加害念彼観音力咸即起慈心或遭王難苦臨刑欲寿終念彼観音力刀尋段段壊或囚禁枷鎖手足被杻械念彼観音力釈然得解脱呪詛諸毒薬所欲害身者念彼観音力還著於本人或遇悪羅刹毒龍諸鬼等念彼観音力時悉不敢害!!」  お前達に歪められた衆生の理は全て正してくれる! 金剛有明団がどんなに強大でも、和尚様や私の魂は決して滅びぬ。磔にされていた抜苦与楽の化身は解放され、悪鬼羅刹四苦八苦を燃やす憤怒の化身として生まれ変わったんだ! 「若悪獣囲繞利牙爪可怖念彼観音力疾走無辺方蚖蛇及蝮蝎気毒煙火燃念彼観音力尋声自回去雲雷鼓掣電降雹澍大雨念彼観音力応時得消散衆生被困厄無量苦逼身観音妙智力能救世間苦!!!」  獣よ、この力を畏れろ。毒煙を吐く外道よ霧散しろ! 雷や雹が如く降り注ぐお前達の呪いから全ての衆生を救済してみせよう! 「具足神通力廣修智方便十方諸国土無刹不現身種種諸悪趣地獄鬼畜生生老病死苦以漸悉令滅真観清浄観広大智慧観悲観及慈観常願常瞻仰無垢清浄光慧日破諸闇能伏災風火普明照世間ッ!!!」  どこへ逃げても無駄だ、何度生まれ変わってでも憤怒の化身は蘇るだろう! お前達のいかなる鬼畜的所業も潰えるんだ。瞳に映る慈悲深き菩薩、そして汚れなき聖なる光と共に偽りの闇を葬り去る! 「悲体戒雷震慈意妙大雲澍甘露法雨滅除煩悩燄諍訟経官処怖畏軍陣中念彼観音力衆怨悉退散妙音観世音梵音海潮音勝彼世間音是故須常念念念勿生疑観世音浄聖於苦悩死厄能為作依怙具一切功徳慈眼視衆生福聚海無量是故応頂……」  雷雲の如き慈悲が君臨し、雑音をかき消す潮騒の如き観音力で全てを救うんだ。目の前で粉微塵と化した大散減よ、盲目の哀れな座頭虫よ、私はお前をも苦しみなく逝去させてみせる。 「……礼ィィィーーーーーッ!!!」  ダカアアアアァァアアン!!!! 光が飛散した夜空の下。呪われた気枯地、千里が島を大いなる光と影の化身が無量の炎で叩き割った。その背後で滅んだ醜き怪獣は、業一つない純粋な粒子となって分解霧散。それはこの地に新たな魂が生まれるための糧となり、やがて衆生に縁を育むだろう。  時は亥の刻、石見海岸。ここ千里が島で縁が結ばれた全ての仲間達が勝利に湧き、歓喜と安堵に包まれた。その騒ぎに乗じて私と光君は、今度こそ人目も憚らず唇を重ね合った。
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yanawakesenshoku · 2 years
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今日のお仕事(2023年2月28日):慣れてきたかなと思ってきたら、次の課題が現れる。
新しいブログを投稿しました!『今日のお仕事(2023年2月28日):慣れてきたかなと思ってきたら、次の課題が現れる。』https://wp.me/p6fOdH-Se
2023年に入って、あっという間にもう2月も今日で終わり。 明日から3月です。 2月は受験があって、3月にはその結果も分かる。 そして、卒業式が控えている。 学生時代のことはすごく昔のことなのに、今でも思い出すときありますね。 やはり、10代の感性というのは、とても研ぎ澄まされているのですね。 ようこそ岡山の法被と神社のぼりの製造元、やなわけ染色のブログへ 今日は2月28日。今日までに仕上げなければいけない案件がいくつかあったので、ガーッと仕事してました。 今日のお仕事: 高梁市競争入札等参加資格審査申請書の提出 大石内蔵助良雄を筆頭に有名な四十七士の法被を出荷 明日染める神社のぼりや法被の衿の型を作成 経営計画書の作成 などなど。 高梁市の入札参加資格の���請は、本来なら2月の初頭に済ませるつもりだったのだけど、いつの間にか忘れてしまっていて、2月も残り10日…
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shakuhachi-kataha · 4 years
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虚無僧天蓋変貌事情
ご存知、虚無僧が被っているのは深編み笠「天蓋」といわれるもの。
天蓋というとこちらを連想されるのでは↓
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(https://komono.me/37225)
 
おお、これこれ。
 
 
 
 
私が言いたいのはこっちじゃなくて、
 
 
 
こちら↓
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(http://www.yamadabutsugu.co.jp/shop/html/products/detail/523)
 
 
お寺の天井からぶら下がってるやつ。 
 
 
  
天蓋とは、仏像や住職が座っている上に翳される笠状の仏具。(wikipedia)
 
 
 
 
調べて始めて知ったのですが、この天蓋↑ってネット売ってるんですね😅
当然ですが、すごく高価💦
 
 
 
 
虚無僧が被っているあの深編み笠も天蓋と言います。
尺八研究家の神田可遊氏によると、「虚無僧を仏に見立てたシャレか権威付けというところでしょう」とのこと。
 
 
 
  
自分を仏に見立てるとはずいぶんと気の大きな事!
前回の「虚鐸伝記」などにも分かるように虚無僧たちは「権威付け」をしないと生きていけない状況であったようです。
      1758年に、江戸幕府による深編笠の触書が出されています。 
虚無僧使用深編笠ニ付触書  1758年(宝暦8年)10月
  一月寺と鈴法寺の両寺で用いている深編笠については,今後,それを売買には虚無僧寺の印鑑が必要.
 
 
 
 
これはニセ虚無僧を取り締まる為に、虚無僧寺の一月寺と鈴法寺(いづれも関東)が連名で、印鑑がなければ天蓋を売ってはいけないということにしようと、寺社奉行に申し出て、寺社奉行側も虚無僧取り締まりのために両寺を使おうと、利害が一致。以後両寺が「普化宗総本山」などと称し、全国虚無僧寺の上に君臨することになったそうな。
 
 
 
 
芝居に虚無僧が出る場合も、座元は虚無僧寺から許可を得て天蓋を借りに行かなければならなかったそうです。
     とにかく、この天蓋が虚無僧の象徴となったわけですね。
  
 
 
 
ただし、虚無僧の始まりの頃、中世の頃の絵を見ると、円錐形笠(熊谷笠)、饅頭形笠、僧侶用笠、と色々です。
熊谷笠とは、擂すり鉢を伏せたような形の深編み笠で、虚無僧や人目を忍ぶ武士などがかぶった笠。
 
 
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こちらは、1600年代に描かれた、岩佐又兵衛画『傘張り・虚無僧図』(旧樽屋屏風) の虚無僧。刀をさしているのは武士であるのを示していますが、ちらりと見えている襦袢が赤いのも、元々の僧侶ではないのが分かります。
 
 
 
 
戦国時代混乱期、関ヶ原合戦の大名潰しによって大量に出現した浪人の受け入れ先が虚無僧寺であり、その虚無僧寺も17世紀始めまでは、権力者側の取り締まりも無く勝手に「普化宗」を名乗り自由に托鉢していたと思われるそうです。
 
 
 
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↑こちらの絵が分かりやすい。(値賀笋童著「伝統古典尺八覚え書」より)
 
 
 
 
要は虚無僧は顔を隠す必要があり、徐々に編み笠が深くなっていったという事ですが、私は実体験を元にもう一つ重要な理由があると思うのです。
 
 
 
 
外は風が強いので、普通の編み笠では風に笠がとられ、尺八で両手が塞がってる虚無僧には都合が悪いのです。
 
  
 
本当に路上でつくづく感じます。
外って結構風強く吹いてるんですね。
 
 
 
 
外で普通に尺八吹いた方なら分かると思うますが、尺八吹くだけでも風の影響はかなり大きいです。真正面から吹いて来られると全く音は出ません。風に背を向ければかろうじて音は出ますが、風というのは南風北風など一定方向から吹いているようで、自由自在にあちこちから吹いてきます。背を向けるのも難しい。
 
 
 
 
まさに普化禅師の偈、四方八面來旋風打 虚空來連架打 を連��させます。 
 
 
 
 
「四方八方から来たら旋風のように打ってやれ」
これは風の事を言っているようにしか思えないと毎度外で吹きながら思います。ただ抗っているだけなんですが。
 
 
 
 
編み笠が飛ばされそうになるのをぎゅっとヒモで縛り、下に置いてある偈箱が何度も倒れるのを何度も直す。
風との戦いです。
 
 
 
 
 
でも風には勝てません。
 
 
 
 
 
最近は天気予報で風速5メートルあったらその日は虚無僧活動を諦めます。
 
 
 
 
雨よりも虚無僧は身分を隠すのと、「風」に抵抗する方を重視したと私は確信いたします。
 
 
 
 
 
グズグズ言ってないで天蓋かぶればいいじゃんとのご意見にお答えすると、私が天蓋を被ると、三等身くらいになってしまいますます怪しくなるし、江戸時代以前の、要は権威付けしていない頃の虚無僧を慕いそれを実現しているのです。本当はコモジョであり、暮露ガールです💕
 
 
 
  
天蓋はうちにまさに天蓋のごとく天井から吊るしてしまってあります。
 
 
 
 
四方八方から来たならば、旋風のように打ち返す!
 
 
 
 
 
気合を入れても無理なものは無理なので、工夫が必要です。
 
 
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ヒモの支点を四つにすると安定が違います。
 
 
 
 
虚無僧は午前中は、托鉢曲を吹き、午後は柔らかめの三谷や鈴慕を吹いたとされ、午後から吹いた曲は「ヒルカラ」と呼ばれています。
 
托鉢は午前中という決まりが仏教的にあるのかもしれませんが、特に夏場は午後になると気象上風が強くなので、托鉢で吹く重要な時は午前中にすまし、午後からは好きな曲を吹いたのでしょう。
 
 
 
 
そろそろ涼しくなってきたので、路上演奏は夕方じゃなく昼間にしようかな。。。
 
 
 
 
帰宅ラッシュの人の多い時間帯の方が激スーパースルーなんです。。。
 
 
 
 
 
参考文献
「虚無僧と尺八筆記」神田可遊
「尺八史概説」山口正義
 
 
 
 
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web-notes · 5 years
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