Tumgik
#狸坊本棚
tanukiboya · 6 months
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目の見えない白鳥さん、出雲を撮る 2024年 著:白鳥建二 発行:しろいとり@しまね実行委員会 企画・編集・表紙撮影:高嶋敏展 デザイン:石川陽春
SHIRATORI Kenji Photobook in Izumo 2024 publisher: Shirotitori @ Shimane  author: SHIRATORI Kenji planning, editing and cover photo: TAKASHINA Toshinobu design: ISHIKAWA Kiyoharu
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myonbl · 5 years
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第19回露新軽口噺
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露の新治・新幸師弟の研鑽の場「露新軽口噺」、近頃は奈良・西宮・京都でも同じ趣向の会が増えましたが、こちらの本家は数えて19回目。普段よりゆったりとした客席で、ゆっくりと足をのばして楽しむことができました。次回は12月13日(金)、みなさまよろしくお願いいたします。
「権兵衛狸」露の新幸(15分)
上方の開口一番は「石段」で登場するのが一般的、ところが、聞こえてきた出囃子はいつもと違い、あれ? これについては、後ほどご本人にお尋ねしました。思いおこせば5年前、2014年12月27日のこと、「立花家千橘・露の新治二人会」が新幸さんの初高座でした。そして、2017年11月23日の「露の新幸年季明け記念落語会」を経て、若手落語家としてのキャリアを積まれています。今夜のネタは、ご本人が入門のきっかけになったものとおっしゃっていた記憶があります。夕日に照らされ水車小屋へ走る若き日の権兵衛さん、ひょっとして本人の体験談かと思わせるほど、客を噺の世界に引き込みます。まさに「体に入った」噺ですね、研鑽の成果を可視化した立派な高座でした。
「不動坊」露の新治(35分)
一昨日のさん喬師とのふたり会、昨日からの動楽亭昼席の出番と、緊張の安まる暇のない毎日だと思います。そんななかのネタおろし(だと思う)、本当に大変だろうと思います。東京ではあまり季節に関わりなくやられますが、上方では冬の噺の代表格、これからの時期には需要の多いネタですね。さすがにまだ口慣れていない様子で、探り探りといった印象。「幽霊稼ぎ人」で下げられましたが、これは「遊芸稼ぎ人」というかつての鑑札名との地口、マクラで紹介される方もおられますね。「池田の猪買い」も冬のネタですがこちらは旅ネタ、「不動坊」は遅い出番でも使える立派な商品。ぜひ、持ちネタとして頂きたいものです。
「写真撮影」新幸(6分)
師匠の着替えを利用した撮影タイム、せっかくなので「出囃子」の件を質問しました。使われたのは、映画「明日に向かって撃て」の挿入歌「Raindrops Keep Fallin' on My Head」でした。私など、高校生の頃に観て感動した覚えがあります。キャリア丸5年となる新幸さん、すでに30名以上の後輩が出来たとのこと。これまでは「開口一番」が当たり前だったのが、それ以外の出番も増えたことで、「これなら」と勧められたものだそうです。まだご本人の出囃子と決まったわけではないようですが、ミュージシャンらしいいい選択だと思います。
「阿弥陀池」新治(26分)
こちらも冒頭数分間は撮影タイム、その後、急死された桂三金さんの告別式の様子を紹介されました。噺家の出棺時には出囃子を流すとのこと、ふと自分をかえりみて・・・「金比羅は賑やかすぎる」。
このネタは「第10回露新軽口噺」で聴いています。その時も大変弾けた好演でしたが、今夜も笑い所満載で結構でした。旅/子/酒/女/情・・・、噺には多様なタグ付けが出来ますが、見え見えの地口で引っ張るこのタイプ、新治さんにはけっこう合っているように思えます。個人的には、「つる」「竜田川」と並ぶ「三大軽口噺」だと思っています。
仲入り
「井戸の茶碗」新治(36分)
上方では出番が少なく評価も低い武士ですが、このネタは武士の高潔さが描かれるという立ち位置の異なる噺。近頃は手がける人が増えましたが、この点では新治さんの功績大。正蔵(彦六)→五郎兵衛、さん喬→新治、二代にわたる東西交流の大きな成果ですね。何も用意していないところへ急な賓客、それならと、戸棚から取り出した老舗の羊羹、変な例えですが上品な和菓子のような噺に感じられます。なんてこというと、お茶が飲みたくなりますね。残念ながら、我が家には「時代のついた」茶碗はありませんが。
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neconoshippo · 5 years
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おはようゴールデン
ロングコートダディを好きになってから3回目の単���「おはようゴールデン」。とけるミッドナイトからの、これはいい名前やなあ。今回は2日間慢劇で開催するってことで、絶対に両日行きたくて、死ぬ気でチケットとった。先行でわたしのぶんは外れてしまって夜の部屋ですっごい落ち込んで、あんなに落ち込んだの最近ではさくらももこが亡くなったときくらいかもしれん。でもあきちゃんが土曜日のぶんを当ててくれた!女神やと思った。一般ではサーバーが死ぬと聞いたから、10時前からファミポートの前で待機してなんとか立ち見を2枚とった。ふだんからのファンは強いよ。またもや、こんなに動悸がするのは最近ではさくらももこが亡くなったと知ったとき以来やったな。
前の単独観られなかったひとがたくさんいたからっていうふたりらしいやさしい理由での2日間開催やったけど、それでも、どうしても両日行きたかったし、1日がまんすればほかに観たい人が行けるんかもしれんけど、ちょっと譲るのは無理やったな。というか、ふだんからスッカスカのライブも継続して行き続けてるわたしらがみれないってちょっと、やっぱり納得できん。まずは自分!兎がライブは俺たちがつくるもので生き物じゃないってラインライブで言ってたけど、同じネタでもやっぱり全然違ったわ。変に遠慮してチケット譲らんでよかった。
当日までにプレゼントとお花などの手配をする。前フリスクつくったのがむっちゃよかったから、うまい棒をつくる、3980円(2日目に配送がギリ間に合ってよかった…)。うまい棒を渡したときの反応、堂前「うわなにこれキモ!」兎「えっきもちわる!」。最高やな。でも喜んでくれてよかった!お花は前もつくってもらった高島屋のお店で頼む。5400円。フライヤーを見せて、朝日のようなひまわりを入れてほしいとか、この紺色を再現してほしいとか、手づくりのピックを入れたいとか伝えたら、ひとつひとつお花を見せてくれてうまくまとめてくれた〜。お姉さんの友達にも芸人のおっかけがいるとかで気持ちがわかると。やさしかったなあ。お花もらって劇場のスタッフさんに渡しに行くと、お花は業者からのものじゃないと掲示はできないらしくて断られる(前回はギリギリに行ったから善意で出してくれた?みたい)。そのときはショック受けたけど、最後公式の写真撮るときだけ兎が手に持ってくれて、涙がこぼれかけた。とけミナは堂前が、今回は兎が。え?わたしらからのやつって伝わってる?って思ったもん。報われたと思ったなあ。花屋のお姉さんに伝えようと思う。というか、ふたりにも時間がなさすぎて花のこと言えなかった。次会ったとき、絶対言う!
本編はコント7本、あいだにブリッジV5本の計90分。
まずはキリンジのエイリアンズが流れるなか暗転する会場。とけミナからの流れやな、連続して来た人にはたまらん粋なはからい。
コント①ムラムラスイッチ
明るくなって、まず女装した堂前と規模がでかすぎる小道具(ピタゴラでうまいこといくと最後に手で持った包丁の絵が飛び出すしかけの怪しい男撃退装置)が登場しておもろすぎる。兎が5日かけてつくったらしい。やっぱり「怪しい男だぞ〜!」「きゃ〜!怪しい男よ〜!」。かわいい。1日目は5回くらい止まったり落ちたりで堂前が拾って再開してて、それもそれでおもしろかったけど、2日目はストレートでゴール。そういう予定やったんやな。兎が帰ってくるとき、2日目はドアに引っかかってた。「俺お前のこと……まじで好きだわ!」「ちょ、ベッド行こ」「きゃ〜おそわれちゃ〜う」がいい。ばかばかしいのに、単なるなんでやねん!で終わらんのがいい。その後くるりが流れて、OPV。
OPV
bgmがキイチビール…!じつは、バレーボウイズとキイチビールはこっそりと予想していた。鰐肉飛行は好きな曲。2日目でOPVに出てくるてんとう虫に気づく。たのしい!このときから始まってたんやなあ。
コント②3万
堂前が兎にお金を貸してくれと頼むときに、絶対笑っちゃうというゆるゆるコント。「何のためにはらたいてんの!骨折り損のくたびれ儲けや!」→「そんなん実際には言わんやろ」、「取らぬ狸の皮算用、苦虫を噛み潰したような、己の欲せざること〜、万事休すやで」→「辞書やん」、「ヘイSiri、いっちゃん近くの銀行おしえて」→「いっちゃんで検索してるやん」、(マスクつける)「これで2万、これで2万何円〜…あと3000円はクオカードで」(マスクとる、にやけてる)→「人のマスクってずらす?」、「貸す前にマジックみてくれ」→「なんで驚いてないの?どういうつもり」→バイトしよ!の流れ。なんで笑ってんの?どういうつもり?がむちゃむちゃふだんの兎やったし、笑ってしまう堂前はむちゃむちゃふだんの堂前やった。
ブリッジV①何の音でしょう?
①兎ジッパー上げ下げ、②兎使わなくていい小道具、③兎諦めた、④兎痩せないことに嫌気がさす、⑤兎5個目のアイス、⑥兎欲しいものがなかったとき、⑦堂前マキバオー8巻。バレーボウイズが流れて暗転。
コント③愛のセミナー
講師役の堂前と生徒の相川さん役兎のやりとり。堂前のしゃべり方と、愛のない返答をされたときの兎の顔で笑える。好きなところは、堂前「(愛が)もう〜愛が、溢れちゃってるんじゃないかな?」「な〜んやそれ」「いくらです」「みどりっ」「残念ということで、ね、はい」、兎「相川って、愛ではなくて、相反するの相なんですが、あ、でも愛と相反ということではなくて、あの、残念です」。
ブリッジV②がんばれ さかもっちゃん
マユリカ坂本が1日を有意義に過ごすためのゲームをふたりがするV。どの選択肢を選んでもだいたい坂本に車が衝突する(またこの道やんけ、もうええわってなる)。「車道に出る」を選ぶと直で衝突する。中谷出てきてからは「え?今日何もないやんな?休みやんな?え?えーっと、昨日で終わったやんな?」「何回言うねん」「以前何かやらかしたんか?」まだいじられる謹慎ダルマ。一緒に踊るしかない選択肢、※専用のプレイマットが必要です、選択肢のチョイスも運びかたもセンス抜群!
コント④we can take a trip
と、ここまで書いたところで終わっていました。いまは2020年の1月…!でも覚えていた、次のVの伏線となるコント。堂前を励ますふりして歌を歌う兎。お前ここサビやろ、いま間奏やろ、ラップ入ってんなって突っ込んでいく。奥歯のナムル。そして怒涛のねえそうだろ?そこそんな言わんねん。
ブリッジV③we can take a trip
コントからの流れで、まさかのMVがあった。寂れたシャッターの前で佇む兎、コントの中で出てきた歌が流れる。ラップ部分で堂前がいきなり出てくる瞬間肺が死んだ。サビは千日前の公園です。
コント⑤時狭間のボクサー
タイムスリップ&記憶が錯綜するSF的コント。堂前がボクサー(時狭間の住人)、兎が少年。兎が風船を木に引っ掛けて泣いている。堂前「どないしてん坊主!何泣いてんねん!」、事情を説明すると、堂前は兎のアゴを殴り、「風船の記憶消したで!」。兎は風船のことを忘れて悲しくなくなり、喜んで家に帰ろうとする。でも、今度は家の場所を忘れている。また泣いていると「どないしてん坊主!何泣いてんねん!」。事情を説明すると、また堂前は兎のアゴを殴り、「帰る家があるという記憶、消したで!」。これを2509回繰り返しているという。このくだりをしすぎて、時間の流れに置いていかれたらしい。どんな設定やねん。堂前が兎にこの説明をするのは457回目。説明を聞いた兎は「何言ってんだおじさん!気持ち悪いよ!」それを聞いた堂前「それは3回目や」。とりあえずわかるのは、兎のアゴの耐久力がえぐいということだけ。堂前は提案する。「坊主、プロボクサーにならへんか?」。そのとき、風船が割れてすべてが元に戻る。堂前「わしの名前はシロー。坊主は?」兎「僕の名前は、コウキ!」
ブリッジV④堂前文章題チャレンジ
算数の文章題を堂前が絵を描きながら考えていくという内容。りんごの数の問題とか、リボンの長さの問題とか、ひたすら可愛かった。「秀樹があるいた道のり……?それは人生の…?ん?ヤボ!」
コント⑥キモいギター
ギター(男、兎)とドラム(女、堂前)の恋愛コント。声なし、楽器の音のみで感情をすべて表現。教室でドラムの机にキモいことしてたギターは結局振られるけど、終わりかたもなんとも言えず悲しくてよかった。
ブリッジV⑤エセ芸術家NYへ行く
ケント、きんちゃん、中野くんがゲストで、エセ芸術家をしたV!最初のお題は「コナン」。謎の線(のちに椅子だとわかる)を描くケント「どうだっ!」、謎の線(のちに麻酔銃だとわかる)を描く兎、包丁のようなものを描いたのを見たケント「棒にちょんってなってるやつ、最悪ですこれは…」きんちゃん「いや、これ描いてどうだっ!っていったんですよ!」と争う、弱小ディベート高。しまいにはコナンのKを描くきんちゃん。いや、絵を描くねん。エセ芸術家は堂前でした。2回目のお題はミッキー。中野くんからはじまる…と思いきや、むちゃくちゃちゃんとミッキーを描いていく……「中野…???中野〜〜〜?」。
コント⑦おはようゴールデン
堂前と兎は高校の友達の結婚式の前日、部屋で余興の準備をしている。てんとう虫のサンバを踊るために、羽をつくっている。まさかようすけと金田さんが結婚するなんてなあ、と話すふたり。ふたりとも彼女はおらず、兎の最近の合コンは7時スタート8時お開き。そっから速攻でAV借りるらしい。合コンに来てた子とできるだけ似てる女優を選ぶのが兎のスタイル。まじでそれはしんどいという堂前。そこで兎が思い出したかのように、「そういえば、金田さんにそっくりなAV女優おるわ!あさあさみ!代表作は『口づけせよとはやしたて』!」。結婚式終わったら見よかなとか言い出した兎に、人生で一回の結婚式をそんな風に使うな!と怒る堂前。深夜のため、眠たくなってきたふたりは雑学を出し合うことに。苦虫の話、てんとう虫が敵に襲われたら黄色い汁を出す��……(ここで兎が舌打ちするけど、わざとらしすぎて堂前が笑ってしまった、最高)。高校時代の思い出話になる。190cmある巨大谷岡先生。悪いことしたら私物を高い棚に置かれるから、その棚のことを谷岡棚と呼んでいた。文化祭で谷岡先生の模型を作ったけど、220cmになってしまって、みんなで交代して支えていた。一回堂前が支える番を忘れてしまって、それを代わってくれたのがようすけ。ようすけと金田さんが委員をやってた。そういえば、文化祭で金田さんに告白したという兎。金田さんは「いや、だから……ごめんなさい!」と言って、兎は「おうおうおう…オッケオッケ」となった。なんで一回しか告白してんのにそんな反応やねんってなったと(これは後でわかる)。今も好きなん?という質問に、まあ結構好きという兎。ちょっとまったあ!ってするんちゃう?生でみるのはじめて!とか言って盛り上がってるうちに、堂前のてんとう虫が完成。体も丸く、羽もついている。兎はだいぶしょぼいから、おいちょっとモテるようにしてるやん!俺は黄色い汁出るようにしよかな、とか言ってまた作業し始める。その後休憩することになり、兎がてんとう虫のサンバを歌いながらゴロゴロしてると、堂前の部屋の棚に「『口づけせよとはやしたて』?!?!」。走って取りに来る堂前「あ〜〜!これがそのことやったん?!」(しらじらしい)。兎「しかも、卒アルの横に置いてるやん!俺のシステム使ってるやん!!」。堂前はいまの金田さんのことが好きだと話す。谷岡先生を支える番のとき、忘れていたのではなく本当は金田さんに告白してたとのこと。それは午前中だったから、午後に告白した兎にあんな反応だったこと。それを聞いた兎「後のこと考えろよ!谷岡支える番さぼって、なんも支えてへんやん!それをいまはようすけが支えてるってか!」「ちょっと待ったー!俺が午前で、お前が午後する?また言われるやんか!」。そんなこんなで朝になる。くるりの「忘れないように」が流れて、忘れるんじゃなくて、受け入れて前に進もうって話すふたり。余興のとき、俺らもキスするか!口からガンガン黄色い汁出して!とか言って笑う。結婚式が終わったら、このDVD高いところにおこか!と言って一旦暗転してエンディング。時間は結婚式が終わったあとに。余興はむちゃくちゃすべった。とりあえず、DVDみるか!といって、ふたりで笑う。
これにて終わり。文字では1ミリも伝わらない。あの瞬間、あの場所にいれたことが、本当にしあわせ。
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ii29-ohana · 6 years
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ヴェネツィア
5月29日
  授業も終わり、残すは旅行と帰国のみとなった留学。この時期に、渡仏以来初めての一人旅をしている。思えば、一人で飛行機に乗ったのが初めてであったのに、やけにあっさりしていた。多少の遅れ以外は問題もなく到着したヴェネツィアはなんとも美しい街であった。水の都と呼ばれるにふさわしいこの儚い、淡い街はその明かりと共にたくさんの観光客を迎え入れている。24時近くであっても眠らない中心地は煌びやかに私を安心させ、同時に落ち着かなくさせる。
 ヴェネツィアに憧れを抱いたのは小学生の頃。マジックツリーハウスシリーズの大ファンであった私は、それらを読み漁ってはお気に入りの場所や人の所縁を必ず訪れると心に決めていた。今回の一人旅の目的は専らそれを達成するためである。「ラグーナの貴婦人」というなんとも空想的な夢のような響きの���所は、いざ来てみるとそれに惹かれるのは必然であったのかもしれないと思わせる程誘惑的な街(マダム)なのだ。
転がり込んできた情報で向かったビエンナーレはとても楽しく、歩き疲れるのも忘れて夢中になって周った。明日は金獅子賞の作品が見られそうなので大層楽しみにしている。映画祭の時期にも来たいと思ったが、込み具合や時期を考えると、それはかなり厳しそうだ。明日は当初の目的であったドゥカーレ宮殿、サンマルコ寺院、ダヴィンチ博物館を堪能し、残りのビエンナーレを見てくることにする。欲を言えば、フェニーチェ劇場で催される椿姫を当日券で見たいものだ。初オペラがヴェネツィアとはなんと贅沢なこ���だろう。今はまだ捕らぬ狸の皮算用だが。一日の食費を5€に抑えるという食いしん坊を極める一日三食派の私には過酷な食生活になっているが、これもそれを上回るほど魅了されているヴェネツィアのためと腹の虫が泣くのを無視して眠りに就くことにする。
5月30日
 悲しいことに、というよりやはり大寝坊をかました私は朝食付きのホテルにもかかわらず食いっぱぐれ、結果としてサンマルコ寺院を見られずに終わってしまった。ダヴィンチ博物館があんなにも陳腐で遠くになかったのなら見にいけたかもしれないと自分の寝坊を棚上げする。
ビエンナーレの各国の展示を見にいくために40分かけてダヴィンチからジャルディーニへ。本当にこの博物館の遠いこと(ジャルディーニが遠いだけ)。金獅子賞を受賞したスイス展へ直行。大小さまざまなドアが印象的で入り組んでいない構造なのにどこか迷路のような感覚を思わせる造りで、白い「不思議の国」のような家だった。自分が巨人になった気分で一番小さなドアをくぐりぬけて外へ。日本の展示は結構人気で人が絶えず出入りしていた。展示物も「日本くさい」ものばかりで懐かしい匂いの中、その几帳面さ、繊細さに久しぶりに触れた。同時に、高校の授業で書いた家の設計図が下手すぎたことも思い出した。私の二大お気に入りはハンガリーとフランス。フランスの展示はポップで、シンプルで、混沌の中に秩序がある整頓されたものだった。目に映るものが楽しすぎて、ひっきりなしにシャッターを切っていた気がする。ハンガリーは、主に、90年代に現在の共和国になったハンガリーの成長と、自由の橋の封鎖について。外観がすでに美しく、東欧の大理石が眩しい。
嬉しいことに、満席により当日券が割引になっていた椿姫の開場までドゥカーレ宮殿へ。この宮殿の広さと充実さをすっかり舐めてかかったら案の定滞在時間3時間近くになってしまった。終盤はスーツ姿の日本人がガイドさんを連れていたので、すかさずにそば耳を立ててちょこちょこと付いて周った。
いよいよ待ちに待った椿姫。さすがに100€は出せないので一番安い5階席の後方を25€で。前に人がいなかったため、舞台全体が見えてオペラビギナーの私にもってこいの席であった。重厚感があるなかでも軽やかな金管楽器が歌声のようで、繊細なオーケストラ。やはり生オケを見る時の最初の音合わせが一番高揚し、好きな音だと思いながらピットを覗くために立ち上がる。物語自体は予習していたので、現代風にアレンジされていることを知らなかった私は、少し戸惑いながらもオペラ鑑賞デビューを果たした。現代風のアレンジはキャバレーを彷彿させ、オペラのイメージとしては新しいものでオペラ鑑賞経験が少ない私は上手い事評価しづらいのだが、総合的に見てライトの演出がとても素敵であった。特に、第3幕で朝日を見せるシーンがあるのだが、扉の隙間からこぼれ出る光が扉を全開にした瞬間、舞台の設定である部屋に入り込み、ヴィオレッタを包み込むシーンは息をのむほど美しく、ヴィオレッタの儚い命がその光に溶けていくようであった。E Stranoもばっちり聞き逃すことはなかった。
雨が降ったのか、帰りのサンマルコ寺院の前には大きな水たまりがいくつか出現していた。これを鏡にサンマルコ寺院を撮らない手はないとカメラを出すと、既に先客がちらほら。みんな考えることは同じであったようだ。翌日が早いので早々に切り上げて、ヴェネツィア最後の夜を終えた。
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同居してる三織(※いかがわしい)
ボロアパートで作之助が金魚飼ってる話と繋がってます
 ストーブがついていない部屋は、二人布団を並べて眠っていても寒々しかった。寝返りをうつと喉にむずむずとした感覚が沸き上がり、作之助はけほ、と空咳をもらした。慣れ親しんだ嫌な音ではなかったことに安堵したものの、視線の先の背中がもぞもぞと動いたのが見え、思わず動きを止めた。起こしてしまったかもしれない。  しばらく息を殺して、作之助は隣の布団で眠っている三好の様子を伺う。動いたのは作之助が咳をした直後だけのことで、彼はまたしずかになった。豆電球の明かりでもわかる、彼のしろいが健康的な首筋を、そっと見つめた。肩の辺りが、ゆっくりと上下している。  彼がちゃんと眠っているのか気にかかり、作之助は衣擦れの音にも神経を使って、布団から抜けでた。わずかばかり離れた隣の布団に近づいて、後ろから三好の口元の近くに手をやった。指先に、ほのかに暖かい寝息がかかった。我ながらこんなに縮こまらずともいいだろうに、と自嘲したが、前に同衾した際に作之助がごくごく軽い空咳を漏らしただけで、三好が飛び起きたことを思い出すと、そういうわけにもいかなかった。  三好とはそういう関係になってそれなりにたち、もう数えきれないほど同じ布団で眠ったが、彼がそれほど眠りが浅い体質であることに気がついたのは、同居するようになったつい最近であ��た。図書館にいたころは共に朝を迎えることが早々なかったし、お互いの部屋を行き来していたころは会う頻度の少なさも手伝って部屋にくるたびにそういうことをして疲労で眠っていたから、わからなかったのだった。三好も、そうしたことは作之助に一言も漏らさなかった。眠りたがらない作之助を諫めたり寝かしつけようとすることはしょっちゅうでも、自分の体質のことは言わなかった。あまり、知ろうともしていなかった。作之助自身、眠りたがらない己を三好に気づかれないようにする保身の方が中心だったからだった。同居をはじめたころはほぼ毎晩三好の布団に潜り込んで寝ていたが、彼の体質を知ってから、そういう行為目的以外では行かなくなってしまった。気遣いではなかった。起きている己を知られたくない、利己心からだった。それでも、何もせずともすぐそばに三好の体温がある感覚を時折どうしようもなく思い出されて、布団の中で身を縮こませるようにして、作之助は三好の寝姿をこっそり見ているのだった。きっと、共に住むことがなければ知ることもなかっただろう。知ってよかったのか、知らないほうがよかったのか。いまだに、答えはでない。  音も出さずに立ち上がり、忍び足で窓の方へ歩いた。風呂で暖まってすぐに寝床に入ったはずなのに、作之助のからだはもう冷えてしまっていた。つま先が畳に触れるだけで、ひんやりした感覚が突き抜けてくる。カーテンの隙間から、外をながめた。煌々と照らす街灯のまわりに、静かに白い塊がまとわりついて、風に流されて暗闇に消えていった。雪が降っているのだ。どうりで寒いはずだ。指先で隙間の窓ガラスに触れると、それだけで結露がつうっとガラスを伝って、窓枠の部分に落ちた。   部屋の隅に置かれたストーブも、音を立てると思えば点けられなかった。窓の側から振り返って、三好が寝ている様子を伺った。彼の眠りは静かだった。あとすこしすれば、彼はぐっすり寝つけるかもしれない。そう思うともう布団に潜り込むことはおろか、寝顔を覗きこむこともできなくなった。眠りが浅いのが、自分であればよかったのに。そうすれば、二人同じ部屋にいて寂しさを感じることなどなかったはずだ。抜け出たあとが残る自分の布団を見ると、なんだかやけにこの部屋にいることが息苦しく感じ、作之助はそっと、襖を開けた。
 同居する前に明け渡して貰った自分の部屋に行って本でも読むかと考えたが、気分が乗らなかった。先日部屋に五日間ばかり籠って、一作書き上げたばかりで、書きたいものも今は浮かばなかった。寒がりの癖に上着を持ってくるのを忘れたので、庭先に出て煙草も吸えない。寝間着の着物一枚では、この家のどこにいても寒かった。裸足の足をぺたぺたとつけて、電気もつけずに廊下をふらふらと歩いた。意味もなく、部屋の扉を開けたり閉めたりしてみたりしたが、入る気はしなかった。とかく、することがない。   廊下の角を曲がると、応接間に続く隅から、こぽこぽ、こぽこぽと音が聞こえた。暗い廊下に青白い光が浮かんでいる。水槽につけた照明が光っているのだ。そばによって、しゃがみこんだ。こじんまりしたこの家には不釣り合いなほど大きな水槽には、赤い金魚が一匹だけ住んでいる。作之助が狭い部屋にいる頃から飼っていた、尾ひれの長い、美しい金魚だった。祭りの金魚すくいの屋台で泳がされるには、すこし勿体ないほどの。作之助が目を止めて、三好が掬い上げた。そうして金魚は作之助が貰い受けて共に夏を過ごしたが、秋になって三好の家に作之助ともども引っ越してきた。三好は作之助を家に迎え入れるとともに、場違いなほど大きな水槽を金魚に与えた。彼の、喜びと歓迎の証だった。そうして冬になり、金魚はまだ作之助と三好とともに暮らしている。  水槽の中に金魚の尾ひれを探したが、すぐには見つからず、ガラスに額をこすりつけて作之助は目をこらした。すると水草に身を隠すような形で、金魚は底のあたりでじっとしていた。金魚が人間と同様に睡眠をとるのかは知らないが、休んでいるのだろうと思った。水流を受けて、尾ひれがかすかに動いていた。   作之助がガラスをつつくと、金魚はいつも水槽越しにそばにやってくる。前に三好が、ようなついとるんですね、と感心したように言った。餌くれるからやろ、と素っ気なく返したが、よってこられて悪い気はしなかった。真似をして三好がガラスをつついても金魚が無視して平然と泳ぐので、しゅんとした様子を見せるのも楽しかった。今は、作之助の気まぐれで起こすのも酷なように思えて、ガラスに預けた額も外してしまった。作之助が両手で抱えてやっと持ち上げられる大きさの水槽に、この金魚一匹は広すぎるように思えた。  今の生活は、それなりに楽しい。狸寝入りをして三好にたたき起こされるのも、執筆をしているとそっと部屋に暖かいコーヒーが差し入れられるのも、お互い信じられないとぼやきながら好みの違うカレーを食べるのも。すこし前に、やろうと思ったらすぐそばにやれる相手がおるんはええなと下品なことを言ったらまたそればっかりと苦虫を噛み潰したような顔をされたが、それもまた真実だった。喧嘩も小競り合いもそれなりにあるが、性格の違う人間がすんでいるのだから当然のことに思えた。  それでもたまに、小さな水槽と本棚と机を置けばいっぱいになってしまうような、前に住んでいた狭い部屋を思い出すことがある。気にせずに三好に手を伸ばすことができた、あの部屋を。ふと作之助の心にずけずけと訪れるだけだった三好は、いつのまにか隅っこに住み着いて、大きく育ってしまった。たまに会ってそういうことをして、それだけで充分であったはずなのに、共に住みはじめてしまった。どうなるだろう、と最近よく思う。まだ冬も越えていないのに、何故だか作之助の頭には、音もたてずにこの家を出ていく自分の姿がこびりついて離れなかった。  膝を抱えて、ぼうっと水槽を見ていた。いまだに夜は長く、水槽が空気を吐き出す音だけが聞こえている。夏には涼し気な半透明の赤い尾ひれも、雪の降る夜には寒々しかった。指先もつま先も、冷えきってかじかみ、息を吐き出すと家の中だというのにうっすらと白くなった。もうすこししたら部屋に帰ろう、もうすこししたらと思うのに、からだは動かなかった。おかげで、廊下から足音が聞こえてきても、作之助はなかなか気づかなかった。  曲がり角のほうからぺた、と裸足の音が聞こえて、心臓を掴まれた心地になって、ぎょっとして振り返った。青白い光に照らされて、三好が突っ立っていた。咄嗟に、何か言い訳でもするかのように声をかけた。 「ごめんな、起こした?」  三好が首を振る。 「いえ、起きたら見当たらんかったんで、便所にでも行ったんかなと思ったんすけどオダサクさんなかなか戻ってこなかったんで……。なに、しとるんすか」 「ちょっと、金魚見ててん」 「金魚?」  ぺたぺた三好が近づいてきて隣で水槽を覗き込んだ。 「……寝とるんすかね」 「たぶん」  しゃかんだ瞬間に、肩先が触れた。布団の中にいた三好の肩は、暖かい。しかし三好には作之助が冷たく感じたのか、さっとこちらを向いて、顔を覗き込んでくる。 「眠れないんすか」 「いや、ちょっと目が冴えただけやで」  寝られへんのは、あんたのほうやろ。その言葉は飲み込んだ。 「……やったら、もう寝ないっすか」  三好の手に手首を掴まれた。その温度の高さに、自分のからだが冷えきっていることに気がついた。知らぬ間に長いこと、ここにいたのかもしれない。視線を合わせてくる三好には、不安の色が見えた。作之助が空咳をして、飛び起きた時と、同じ顔をしていた。ああ、また、心配させてしまった。申し訳なさよりも気づかれてしまったことの恐ろしさが勝った。 「……三好クンの布団行っていい?」 「それで、オダサクさんがちゃんと寝るんやったら、いいっすよ」  そうしてまた、結局は三好に甘えてしまう。家の中だと言うのに手を引かれて部屋に戻った。廊下を曲がる前に、一度だけ振り返った。大きすぎる水槽に、一匹だけの金魚。やはり、寂しすぎる気がした。
 部屋に戻って、三好の布団に共に入ると、ふとした拍子でつまさき同士が触れあった。三好が複雑そうな顔を作って、作之助に問いかけてくる。 「オダサクさん、長いことあそこにおったんすか」 「なんで?」 「だって、冷たいっすよ、脚」 「……そないに長い時間ちゃうって」 「やったら余計に悪いっすよ」 「そうか?三好クンがあったかいからちゃうの」 「かもしれませんけど。……冷えんようにしてくださいよ。今年の風邪、咳が酷なるらしいんで」  三好が肩まで布団を引き上げてくる。布団の中にこもった匂いが柔らかく鼻腔をくすぐった。体温で温められた、三好の肌の匂いだった。洗い立ての石鹸。取り替えたばかりのシーツ。薄荷味の歯みがき粉。三好の匂いは、そういったもので出来ている。けれども、清潔な香りのなかにひとさじ、別のものが混ざることがある。しわひとつない服を剥いで、白いシーツの上で絡み合った時しか、感じることができない。いろんなものをひっぺがした、三好そのもの。思い出すだけで、作之助の本能を燻らせる。 「……やったら、三好クンが暖めてくれたらええやん」  なあ。視線を合わせたまま、体を近づけた。つま先だけでなく脚を絡ませると、三好は冷たさか驚きで体をすくませた。  絡ませた三好の脚は暖かかった。なにもせずとも、このままこうしているだけで、作之助のからだもじわじわと温められて、ゆっくり睡魔が迎えに来てくれるに違いなかった。しかし今の作之助にはそれでは足りなかった。行為の時しか触れることのできない、三好の燃える肌が欲しかった。何も、考えられなくなりたい。抱き合って、あたたまって、お互いの心音を聞いて眠る以外のことを。  作之助が何を誘っているかは、さすがに三好も理解したらしい。��を見開いてはっとした表情を作ってから、視線がぐるぐると思案するようにさ迷った。 「……これからしたら、明日確実に寝坊っすよ」 「明日なんも予定ないやろ」 「そりゃあ、ないですけど」 「ええやん一日くらい。……なあ、ワシ、寒いねん。このままやと、どうせあんまり寝られへんし。な、三好クン、おねがい」  首を傾げて甘えるようにねだると、三好が断れなくなるのはもう覚えてしまった。元来の世話焼きの性質がそうさせてしまうのだろう。どれだけ自堕落な相手でも、頼られると三好は突き放すことができないのだ。そのぶん、三好は甘え下手な少年だった。そこがまた、作之助にはかわいく見えた。自分くらいは甘やかしてやりたいと、いつだって思っている。しかし、こうしていると、甘えているのは自分ばかりな気がした。まったく頼りにならないお兄さんとやらもいたものである。眠りの浅い彼を、安らかに寝かしつけてやることもできないし、それどころか眠りを引き延ばそうとしている、ひどい年上だ。  指先を三好に伸ばした。柔らかさを失ないつつある、それでもいまだ丸みのある頬を、指先で軽くひっかいた。三好の喉元が大きく動いた。唾を飲み込んだのだ。清潔さの奥にある動物的な本能を垣間見た気になって、作之助の背筋に期待に似たなにかが走った。 「……一回だけっすよ」 「うん」 「これ、終わったら、ちゃんと寝ますからね。その、前みたいに、朝までとかは、しないっすよ」  言いながら以前のことを思い出してしまったのか、三好は決まりが悪そうに視線を下げてしまった。性的なこととなるとすぐに顔を赤くして、いつまでたっても慣れない。そこが、とても好きだった。自分が少年の頃に捨て置いた部分を、彼は大切に持っている。この含羞もいずれ成長のうちに喪われるのだとしたら、自分が全部さらってしまいたかった。ずっと、このままでおって。ずっと、ワシのこと好きでおって。きっとこれからも言えない言葉を心の中で呟く。代わりに、唇だけでかすかに笑ってみせた。 「わかっとるって。三好クンの好きにして、ええから」  せやから、あったかくして。囁くように言うと、三好が再び唾を飲み込んだ。咽下する音が聞こえたかと思うと、恥じらうような顔つきが真剣な目付きを帯びた。冷えた頬に、三好の手が添えられる。視線が、作之助の唇に動いた。あ、キスされるな。そう感じた瞬間には唇が重なって、三好のまつ毛が震えているのが視界に入り、作之助も目を閉じた。石鹸が香るうなじを引き寄せ、自分から唇に吸い付いた。三好も吸い返してきた。角度を変えて吸いあっているうちに、自然と三好が上になった。濡れた音と、荒くなった吐息が耳に響いて、作之助の思考を次第にしびれさせる。 「ん、んっ」  咥内に、三好の舌が入り込んでくる。歯みがき粉の気配のする、清潔な舌が、作之助の歯をそろりと舐めた。自分から、誘い出して煙草で苦くなった舌を絡めた。ちゅうと吸い上げてやったら三好の背中が魚のように跳ねた。舌先が、どんどんと熱を持って作之助にも移るようであった。絡まりをほどいたかと思うと、上顎のざらついたところをくすぐられた。咥内で、弱いところだ。背筋を震わせくぐもった声を漏らして、どちらとも知れない唾液を飲み込んだ。情けない。気持ちいい。苦しい。止めてほしくない。矛盾した感情がぐるぐると胸のうちを駆け巡った。快感が下に降りていって、腰のあたりにたまっていく。快楽の神経を剥き出しにされて、遠慮なく触れられているような心地だった。作之助にされるがままだった三好は、すっかりやり方を覚えてしまったのだった。それも作之助が教えこんだ、一番気持ちがいい作法を。いまの三好のからだは、作之助しか、覚えていない。彼の行為はすべて、作之助と自分の快楽のためのものだった。  ずっとこうしていたいような気もしたが、やがて酸素が足りなくなった。ひときわ卑猥な濡れた音が立って、舌が離れた。お互いの荒い呼吸が、静かな部屋に響いた。ゆっくり目を明けると視界がぼやけ、作之助は自身の目が潤んでいたことを知った。豆電球のあかりのした、同じく潤んだ三好の瞳がこぼれんばかりに光った。快感への本能と、作之助への気遣いがない交ぜになった表情をしている。真っ直ぐで、ひたむきで、熱っぽい視線。それがたまらなく作之助の胸を締め付けるのだった。作之助の濡れた口許を拭った手が、布団の中に伸びて、作之助の着物の帯に添えられる。 「脱がしても、いいっすか」  無言で頷いて、腰を浮かせた。丁寧な手つきで、三好は着物を剥いだ。帯も着物も軽く畳んで、脱がせた下着は恥じらうように俯いて、布団の脇に置いた。三好の作法はほとんど作之助に基づくものだが、これは三好自身が勝手に覚えたものである。相手の服を脱がせても、わざわざ畳むことなど作之助には思い付かない。余裕ないくせに、優しいよな、こういうとこ。羞恥など本能に任せて吹っ飛ばしてしまえばいいのに、三好は行為の中でも妙な律儀さとともにそれを忘れなかった。  剥き出しになってしまった腕を、からだを起こした三好の襟元に伸ばした。へらりと笑ってみせる。三好クンも脱いで。言葉にせずに視線で訴えたら、三好ははっとした表情になって、慌てた調子で自らの着物の帯に手をかけた。ほどく様をじっと見ていると、視線に気づいた三好が困ったように眉を下げた。 「あの、あんまり、見んとってください」 「なんであかんの?」 「……恥ずかしいんで」 「なんでやねん。着替えてる時とか別に普通にしてるやんか。それにこれからもっとやらしいことすんのに」 「それとこれとは話が別……ああもうほんまに!」  からかいつつもじいっと見てやると、三好がやけくそになったのかぱっと帯を外して一気に着物を脱いだ。白い肌が上気して、ほんのり赤かった。着物は畳まれた作之助の着物の隣に、下着ごと雑に放り投げられた。顔の横に手をつかれる。眉を寄せた険しい表情が妙におかしくて、失礼ながら笑ってしまった。 「三好クンが恥ずかしがるとこ、ワシいまだにようわからんわぁ」 「わからんでいいっす。オダサクさんがあっけらかんとしすぎなんちゃうんですか」 「そうかなぁ。ま、ええやん。……なあ、もっとこっち来て」 「でも、重いっすよ」 「ええの。それより、こっちおいで」  うすい胸の上に、三好がもたれかかった。痩せぎすの作之助とは違い、三好のからだにはきれいに筋肉がついている。だから体を預けられると、それなりに重かった。しかしそれが命の重さのように思えて、作之助は嫌いではなかった。欲しかった、三好の肌とようやく直接触れあう。湿り気を帯びて熱い肌にあたるだけで、からだ全体に軽く電流が走った。背中に腕を回して抱き締めた。大きな湯たんぽでも抱えているような、そんな温かさだった。首元に顔を埋めた三好が、息を吐いた。 「なんか自分、ずっとオダサクさんに丸め込まれとるような気がしてきたっす……」 「まあ気にせんとき」 「そういうわけにもいかないっす」 「まあまあ。続きは? せんの?」 「……こういうところなんすよね」  なにが、と問いかけた言葉は三好が口づけてきたので声に出なかった。顔をがっちり固定されて、主導権を握られてしまった。咄嗟に舌を奥に引っ込めたが、追うように侵入してきた三好の舌が絡めとった。先程よりも、熱が高いように思えた。脳裏に、金魚の赤い尾ひれがちらついた。三好の舌の味は、不思議と作之助を清潔な水槽にいるような心地にさせる。こすりあって、からめて、すいついて。まるでふたりして金魚になって、尾ひれで戯れているような。お互いの手で、耳を塞いだ。鼓動と、粘膜が擦れる音しか聞こえない。  二人きりで、水槽の中で泳いでいる。けれどもずっと同じままでいるわけにもいかないことも、作之助にはわかっていた。三好は成長している。いまだに初心で、潔癖で、率直すぎるが、きっと今の彼は、どこに出しても恥ずかしくない。素直さゆえに生きづらい思いもすることもあるだろう。万人に愛されるような男ではないからだ。しかし、どこにいっても三好の美点を愛するものが現れるに違いない。恐らく、ねじくれた自分より、三好が望むような真っ直ぐさを持って、彼を愛する人が。その時が来る前に、手放してやらなければならない。けれども自ら去ってしまうには、三好のからだは暖かすぎる。  忘れてほしい。忘れないでほしい。嫌ってほしい。好きでいてほしい。離れてほしい。そばにいてほしい。三好への感情は、いつも両極端な気持ちが作之助の中で振り子のように揺れている。  全身がじわじわと汗ばんだ。かさついた作之助の肌も湿り気を帯び、前髪が額に張り付いた。肌を触れあわせているとまるで全身が粘膜になってしまったかのようで、お互いのからだが軽く動くだけで腰が浮いた。  舌の付け根が痛くなるほど吸いあって、やっと顔を離した。酸欠でぼんやりした頭で、口から透明の糸が引いて、切れるのを見た。三好の手が、耳から離れた。荒い呼吸を整えるように、再び三好が作之助の首筋に顔を埋める。三好の頭を抱えて、作之助も呼吸を整えながら、天井を見上げていた。彼の首の後ろから、石鹸とは違う匂いが漂ってくる。清潔さの奥に潜んだ男の匂いだ。  呼吸を落ち着かせた三好が、作之助の顔の横に手をついて、からだを起こした。手が、そっと肩先から肌を滑る。 「寒いっすか」 「ん。だいぶましなった」 「布団、被っときますか」 「どっちでもええよ……なあ、痕つけて」  ちょうど三好の指先が鎖骨に触れたときだった。そこには、先日三好がつけた情痕が、いまだにうっすらと痣となって残っていた。血の巡りのせいか、はたまた肉付きのせいなのか、作之助の肌からなかなか痕は消えなかった。図書館にいたころは補修を受けるとそうしたものは綺麗さっぱり無くなっていたものだから、あまり気にもとめていなかったし、三好と住むは会う頻度もあって、そういうことをする時には前の痕が消えているのが常だった。しかし、共に住むとなってそういうことがあまり日をおかず繰り返されるようになると、三好はあまり痕を残さなくなっていった。理由はすぐにわかった。興奮に任せた独占欲の発露より、痕を見て事の後に想起される気恥ずかしさより、作之助の貧相なからだに痣をつけた罪悪感の方が勝るのだ。  言葉にぴくりと手をとめて、三好が困ったような表情を浮かべた。 「でも、この前つけた痕、まだ消えてないっすよ」  先日作之助が三好につけたはずの情痕は、今はすっかり透き通ってしまっている。 「ええから」 「オダサクさん、最近銭湯行けとらんでしょ。いまつけたら、またしばらく行けんなりますよ」 「そんなんええって」 「でも」 「銭湯は、もうちょっとぬくなってからでええから。……なあ」  また、ねだるような視線を向けた。彼が拒否しないことを、知っていながら。いつだって、求めてばかりだ。三好がひたすら与えてくる思いに溺れて、何も返せてはいなかった。彼が望む愛しかたを、決してできはしないのに、そのくせ三好のものはなんでも欲しかった。恋心も、欲望も、嫉妬も、優しさも、全部自分に向けられなければ嫌だった。彼の激しい感情を詩作に向ける情熱以外は、自分のものにしておきたかった。いつか、手放さなければならないとするなら、これぐらいの独占欲は許して欲しかった。二人が水槽に、いるあいだぐらいは。 「後で後悔、せんとってくださいよ」 「するわけないやろ、……ん」  ぴりっとした感覚が肌に走った。三好が肌に吸い付いたせいだ。待ち望んでいた感覚に額がのけぞった。思わず三好の短い髪に指を差し入れる。じんわり汗をかいて、頭皮が湿っていた。からだ全体から、三好の香りが立ち上ってくる。匂いで興奮しているうえに肌を唇で触れられて、痕を残されて、たまらなかった。同時に、三好の硬くなった指先が胸の尖端に触れて、作之助は体をすくませた。 「んっ、三好クン、ちょっと、そこは、ええから……あっ」  拒否にも関わらず、唇で尖端を挟まれ、女のような声を漏らした。からかい半分で、男も胸に触れられると感じるのだと三好に教えたのは作之助だった。しかし気付けば布越しに胸が擦れただけでも身をよじらせるからだになってしまった。元からそういった資質があったのか、それとも三好との行為でこうなってしまったのか、もう判断がつかない。 「ん、まって、っ……!」  今だってそうだ。舌で転がされて、軽く吸われただけでからだをくねらせて、腰が浮いてしまう。こうしているうち反応しきった性器を三好のからだに無意識におしあててしまう。ばさばさ首を振ったところで快感は逃げていかなかった。からだの輪郭がふやけて、どろどろに溶けてしまう。 「あ、あっ、あ、いや、まって」  まって、まって、と続けると手と口は胸から離れたが、触れられるのはとまらなかった。作之助の手も、結局は三好を止めなかった。  上半身の、あらゆるところに痕を残された。二の腕のところ、肋骨のところ、わき腹の、皮膚がうすいところ、薄っぺらい骨ばった腰。三好は丁寧だった。羞恥を奥底に残しつつも、真剣な目付きで、作之助のからだを開かせた。まってと願ったわりに、作之助のからだは三好に悦んだ。気遣いと、独占欲の間に揺れている、この視線が欲しかったのだ。言葉だけの制止にも疲れて、本能が求めるままに三好にねだった。 「脚んとこにも、つけて」  上半身を起こした三好の手をとって、内腿に滑らせる。それだけで、膝が軽くわなないた。肌の中でも、格別に弱いところ。作之助が立てた膝を誘うように開くと、息を飲んだ三好がかあっと顔を赤くした。ものの数十秒前まで、からだじゅうに痕を残していたはずなのに、まるでこれがはじめての行為であるかのような表情だった。そこがいい。そこが好きなのだ。いつまでも、まっさらな気持ちで、好きでいて欲しかった。三好は願いを聞き入れた。震える吐息がかかったかと思えば、三好の短い髪があたる感覚がして、腿で頭を挟んでしまいそうになる。右に、左に。少しづつ、痕をつけられた。当初三好が被っていたはずの掛け布団は、いつのまにか隅にはねのけられてしまっている。もう寒さなど感じようがなかった。三好の熱が伝わって、作之助のからだも内から火がついてしまったように、熱くなった。それでも、まだ足りない。息を整える間もなく性器に触れられた。散々反応しきって、直接触れられてもいなかったのに、既に先走りがだらだら先端から溢れていた。 「あ!あっ、んっ、なにすんね、うあ」  軽くしごかれるだけでぐちゅぐちゅ音がなる。キスとはまた違う、直接的すぎる快感に思考がついていかない。三好の手首をつかんで止めようとするが、結局手を添えただけになった。 「んっ、三好クン、ええから、前は、もう、ええから……あ、あっ」 「いっぺん出しとかんと、辛いんちゃうんですか。こんな状態やったら」  痴態を揶揄するつもりはなかったのだろうが、思わずかっとなった。今さらそんな心配してどないすんねんあほんだら。罵倒が口をついて出そうになったがさすがにただの八つ当たりだったのでやめた。自分はこんなに振り回されているのに、三好にまだ作之助を気遣う余裕があるのが気に障る。いつも自分は三好を振り回して泣いたとて止めてやらないくせに、されるがままは気にくわない。矛盾していることはわかっている。沸き上がってくる射精感を必死にこらえて間隔の短い呼吸を繰り返し、流れた汗を落とすように首を振った。 「もう、ほんまに、あっ、前はええから、うしろ……」  膝頭で三好の脚のあいだを探った。作之助のものと同じぐらい張りつめた熱量があたる感覚がすると、三好はうわ、と声をあげて逃げるように思いきり腰を引いた。 「ちょっと、いきなりもう、なんなんすか!」 「はは。三好クンかて、しんどそうやん、ここ」  慌てる三好の様子に少しだけ余裕が戻って、今度はつま先で触れた。ぱっと手で勢いよく払われてしまったがそれはそれで別にいい。どうせからかいたかっただけだ。にやにや笑いを浮かべると三好は思いきり顔をしかめて唇をとがらせる。 「オダサクさん、あんたほんまに……」 「なんや」 「いえ、もう、いいっす。……あの、慣らすの、とってきますんで」 「うん」  はあ、とため息をついて三好がそそくさと布団の側にある箪笥の前に移動して、一番下にある引き出しを探り始めた。一応最後まできちんとやるつもりなのがなんだかおかしい。ボトルを手にして赤い顔をした三好を、からかうのはやめておいた。お互いもう限界なのだ。  次があればうんと甘やかしてやろうと決めて、濡らした三好の指が潜り込んでくるのを耐えた���さすがにこればかりは、先の快楽を知っていたとしても、いつまでも慣れない。  三好の指先が、ゆっくりなかを慣らした。探るように確かめるように動いたあとで、作之助のいい場所をかすめた。はっと息を詰まらせたのが合図になって、いつの間にか増えていた指先が、なかのしこりを柔らかく押した。目を閉じるとまぶたの裏にぱっと光彩が散った。赤い尾ひれをくすぐる、三好の白い、健康的な指。見たこともない光景が頭に浮かぶ。押されて慣らされるたびに自然に腰が揺れて、いいところを三好の指に押し付けてしまう。冷たかった潤滑剤は気づいたら熱をはらんでどろどろになり、本来使わない場所を受け入れるためのものに変えてしまった。 「あ、あ、みよしくん、ゆび」 「大丈夫っすか」 「んっ、んっ。大丈夫やから。せやから、はよ、来て」 「……ちょっと、待っとってください」  指を引き抜いた三好の手首を今度こそしっかり掴んだ。なんで、という顔が隠せない三好の腰に、脚を絡ませる。 「……つけんでええ」  直の熱がほしい。たとえ薄かろうと、隔てるものはもどかしい。三好が赤い顔のままぶんぶん首を振る。 「だめっす、さすがに、それは」 「なんで」 「だって、後から大変なん、オダサクさんでしょう。こんなんでからだ、壊したりしたらだめっすよ」 「いやや、今日ぐらい、三好クンの熱、ワシにちょうだい」  三好クンがええの、三好クンやないと駄目なん、三好クンがええの。これはある意味本音で、嘘だった。きっと離れても、水槽から出ていっても二人は生きていける。依存したふりをして、三好に少しずつ思考を埋め込んだ。愛しくなりすぎると、失った時に辛くなる。わかっている、わかっているのに、心は三好に作之助を忘れないよう呪いをかける。好きだと、言ったこともないのを盾にして。  そうして、今回なんどめなのか、三好にねだった。みよしくん、おねがい。見下ろしてくる三好のこめかみから、汗がぼたぼたと落ちてくる。石けんの匂いが奥に引っ込んで、少年の気配が消えつつある、男の匂い。額に、汗で湿った短い前髪がぺたりと貼りついていた。白い指が、腰を掴んだ。 「辛かったら、言うてください」  頷くより先に、なかに熱いものが入り込んだ。指とは、比べ物にならない質量だった。慣らされたとは言え、さすがに圧迫感がきつい。深く呼吸して、三好の顔を見上げた。きゅっと唇を噛んで、腰を進めながら、快感に耐えているようだった。なか、あつい、と独り言のようにつぶやかれた言葉に何故か心臓が鳴り、背中にすがりついた。繋がりが深くなり、いきなりなかが善いところにぶつかった。前のめりになった三好の腹に、立ちあがった性器が擦れた。快楽が強すぎて体がついていかない。 「……んっ、んっ」 「……つらいっすか?」  唇を噛んで荒い呼吸をこぼしたら、見下ろす視線としっかりかち合った。濡れた瞳で、作之助を覗き込んでくる。そんな不安そうな顔せんでええのに。気遣うように肩先を撫でてくるのが妙にいじらしい。吐息で笑って頭を引き寄せた。片手で前髪を払い、生え際のあたりに口をつけた。ほのかに塩からい。三好がはっとして、空いた手で額を抑える。 「あ……」 「……大丈夫やで、ちゃんと、気持ちええから」  頬が柔らかさを失いつつあっても、額だけはまだ少年の丸みが残っている。ここだけは、変わらんな。変わらんといてほしいけど、どうなるやろ。  動いて、とまたねだった。何も言わずに、胸をぴたりとくっつけたまま三好が作之助のからだの上を動き出した。互いの心臓が、ばくばくとうちつけている。作之助の性器からはだらだらと先走りが流れ、汗をかいた三好の腹をぬるぬる滑った。性急ではなかったが、三好は焦らすこともあまりしなかった。作之助が感じ入るところを見つけると、的確に、そこを突いた。三好は熱に浮かされた目で作之助の名前を何度か呼び、作之助も三好の名前を呼んだ。思ったよりも、か細い声になった。  三好クン、気持ちいい。みよしくん、きもちいい。みよしくん、みよしくん、みよしくん。徐々に白んできた頭で名前を呼ぶと、俺も、と小さく声が返ってきた。オダサクさん、きもちいい。耳元で囁くように言われるとそれだけで達しそうになって、思いきりシーツをつま先で踏みしめて耐えた。いつもより、少し低くなった、それでも楚々とした声が、快楽で掠れている。動きが次第に早くなると、それに合わせて性器も擦れた。三好の汗が、いっそうからだに落ちかかる。  キスをねだるのも忘れて、ひっきりなしに喘いだ。達する瞬間に声を上げるのが嫌で、そばに見えた、三好の鎖骨を噛んだ。快楽が波のように襲ってきて、からだが魚のように跳ねた。オダサクさん、オダサクさん。突いてくる三好の声が、遠くで聞こえた。まって、置いていかんとって、気持ちよくなるなら、一緒がいい。腕も脚も使って三好に抱きついた。うあ、と情けない声を出し、三好も達した。なかに生暖かい感触がひろがった。そんなこと気にもとめず、二人で波に攫われぬように、しばらく抱き合っていた。外の風が、強くなった。これから、吹雪くのかもしれない。
 行為後に急激に襲ってきた倦怠感で重たいからだを引きずるようにして、あまり話さずに後処理をした。一度だけ、三好は中に出してしまったことを、作之助は、鎖骨を噛んでしまったことを謝罪した。お互い相手のしたことは、気にもしなかった。三好の鎖骨から血は出なかったものの、それでも赤い歯形がくっきり残った。情痕より、質が悪かった。作之助が謝った時、三好は首を振り、自分もしばらく銭湯行けないっすね、と言った。  着物を着せようとしてくる、三好の手は柔らかく制した。 「風邪引きますよ」 「くっついとったら大丈夫やろ」  三好は何も言わなかった。二人とも下着姿で、隣の作之助の布団に入った。三好の布団は、汗やら体液にまみれすぎて寝られたものではなかったからだ。最後の几帳面さで三好がシーツだけは外したが、明日にするといって畳んだだけで部屋のすみに置いてしまった。  火照ったからだに清潔なシーツは心地よかった。けれどもまだ離れるのは名残惜しく、作之助は三好に抱きついた。行為中に感じた男の匂いは落ち着きつつあり、また清潔な、少年らしい三好の匂いがする。三好は黙ったまま、作之助の肩口に額を擦り寄せてきた。甘えるような態度がかわいく思えて背中をとんとんと叩いたら、やめてくださいと言われてしまった。 「もう、寒くないんすか」 「うん、なんか、これでやっと寝れそうな気ぃする」 「なら、よかったっす。自分も、もう眠いっす」 「三好クン」 「なんすか」 「付き合ってくれておおきに」 「……こんなん、感謝されるようなことじゃないっす。あの」 「どないしたん?」 「寒いんやったら、いつでも入ってきたらいいじゃないすか。最初は、そうしとったでしょう。別に急に入ってこられても、もう気にしないっす」  一言、眠りが浅い三好が心配だからと、何故言えないのだろう。それも真実の一面であるはずなのに。最終的にはいつだって利己心から動いているからだ。寝ない自分を見られたくない。心配されたくない。弱い自分を、見せたくない。 「……ほな、また、寒いと思ったら三好クンのとこいっていい?」 「はい。……夜中にひとりで、あんなとこにじっとおらんとってください」 「うん。わかった」  それでも、三好の気遣いに、ほだされてしまうことがある。弱いところを全部見せてしまって、甘えたり甘えられたりして、戯れあいながら、ずっとこの水槽の中を泳ぐ。そんな夢をふっと描いてしまう。人の心は、厄介だと当たり前のことを当たり前に思った。  三好のまぶたがとろんとしはじめて、作之助の背中に腕が回った。作之助にも二人目の睡魔がやって来たが、最後にこれだけはと口を開いた。 「なあ三好クン、金魚のことなんやけどな」 「どうかしたんすか?」 「ううん。いや、三好クンが買うてくれた水槽な、大きいやろ。あいつ一匹じゃちょっと広すぎなんちゃうかって。せやから、もう一匹、飼うのはどやろ」 「……でも、二匹になったら大丈夫なんすかね?喧嘩とか」 「そうやなぁ。……せやけど、一人より二人の方が、いいと思わへん?寂しいより、喧嘩しとるほうが、ワシはええと思うで」 「そうっすね。あの、オダサクさん」 「ん?」 「ここ、確かに元は自分の部屋っすけど、もうオダサクさんの部屋でもあるんで。だから、オダサクさんも、好きに生活してください。あっ、安吾みたいな、部屋が汚いんは勘弁してほしいですけど」 「ちょっと、相談してみたかっただけや。金魚、一緒に見に行ってくれる?」 「わかりました。……詳しいことは、また、あした……」  三好の声が蚊のなくような調子になった。これ以上、会話を続けるのは酷だ。それに自分も、もうまぶたが睡魔に負けそうだった。また明日。二人で寝坊して、寒い部屋のなか縮こまるように着替えをして、とっくに日が高くなった時間に、朝食を食べるのだ。三好は染みのついたシーツを必死に洗い、作之助は金魚に餌をやる。雪が積もっていたなら、散歩に行くのもいいかもしれない。すべては、明日になってから、考えるとしよう。  腕の中で寝息をたて始めた三好のまぶたにそっと口をつけた。起きる気配はなかった。よう、おやすみ。そうして、作之助の意識も穏やかに眠りに引き込まれていった。
 眠りに落ちてすぐ、作之助は夢を見た。水槽ではなく、どこともしれない暖かい海を金魚になって泳いでいた。金魚は海では生きられないはずなのに変な夢もみたものである。さらに奇妙なことに、夢の中で作之助はこれが夢だと気づいていた。そうして、何故か三好も同じ夢を見ていればいいと思った。起きた時には、もう忘れてしまったが。
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tanukiboya · 2 years
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NHK BSプレミアムとBS4Kの『新日本風土記』「松江」の回にゃ、小泉八雲記念館の館長さん、小泉凡さんが登場。 おはなししてた館長室の本棚にならぶ、へるんさん(小泉八雲、ラフカディオ・ハーン)関連の本にゃ、ワタクシがデザインしたモノもいくつか見っけたノダ( ・∀・) ま、映ってたのはぜんぶ背表紙なんで、見分けられるのはワタクシくらいカモ(^_^;) どの本も、記念館2階のライブラリーで読めるし、一部の本は記念館で買えるノダ。 八雲会発行の本は、八雲会事務局で注文受け付けてるノダ。 ◆『小泉八雲の怪談づくし』(八雲会、2021) 小泉凡(監修・解説)、渡辺亮(画)、小泉八雲記念館(編集) ◆『小泉八雲の怪談BOOK』(日本の面影「松江」実行委員会、2020) 小泉凡(監修・解説)、渡辺亮(画)、小泉八雲記念館(編集) ※『小泉八雲の怪談づくし』のもとになったパンフレット。 ◆『ラフカディオ・ハーン 西田千太郎 往復書簡』(八雲会、2020) 常松正雄(訳)、村松真吾(編) ◆『ハーンを慕った二人のアメリカ人』(小泉八雲記念館、2019) ※展覧会図録。 ◆『小泉八雲、開かれた精神の航跡。』(小泉八雲記念館、2019) ※常設展図録。 ◆『シンシナティ時代のラフカディオ・ハーン』(八雲会、2012) ロジャー・S・ウィリアムソン(著)、常松正雄(訳) ◆『改訂 新・小泉八雲暗唱読本』(八雲会、2009) 八雲会(編)、常松正雄(校閲)、村松真吾(編集) #新日本風土記 #NHK #小泉八雲記念館 #八雲会 #狸坊松江 #狸坊出雲 #狸坊山陰 #文学 #怪談 #本 #図録 #小泉八雲 #石川陽春 #デザイン #松江 #島根 #literature #book #exhibitioncatalog #kwaidan #ghoststories #lafcadiohearn #ishikawakiyoharu #design #matsue #shimane (Lafcadio Hearn Memorial Museum) https://www.instagram.com/p/CjpvyTKLkDT/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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tanukiboya · 5 years
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背骨の関節炎の痛みは落ちついたけど、夏以来の疲れがたまってる感じで、生活再建道半ばってトコナノダ。 夏以来といやー、タヌキ部屋のシルクロード関連本が絶賛増殖ちゅー(^_^;) 床に置いたまんまなのは、本棚不足なのと、気分転換で手に取りやすい場所がココだってのもあるけど、背骨の関節炎の影響で、重いモノの持ち運びをしんちょーにしてるのが最大の理由だニャ。函入りセットは1冊ずつ函から出さんと動かせんノダ。右のシルクロード大文明展図録3冊セットなんて、本文用紙がエラい重くて、1冊あたり1kg以上ありそーな気がするノダ((((;゚Д゚)))) #狸坊文庫 #シルクロード #本 #silkroad #book https://www.instagram.com/p/B31RCrgnHzX/?igshid=cu3rk34sq7nt
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tanukiboya · 5 years
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今井書店出雲店で9/16までやってる「ふるさとブックフェア」にゃ、タヌぼーがデザインした小泉八雲記念館の図録(販売:山陰中央新報社)も出品予定って、フェア主管でもあーる中央新報社のサイトにゃのってるノダけど、行った時点じゃ置いてなかったノダ(^_^;) ま、ほかにも並んでない本はあったし(手にとれんかったおめあての本あり)、開催期間も長いから、とちゅーで入れ替えがあのカモ。 でもフェアのコーナーの近くにある郷土出版の棚にゃ、表紙を見せて置かれて目立ってたんで、出かけたときにゃゼヒそっちも見てやってちょ(*´∀`*) #ふるさとブックフェア #今井書店 #小泉八雲記念館 #狸坊文庫 #狸坊出雲市 #狸坊出雲 #狸坊松江 #狸坊山陰 #石川陽春 #出雲市 #松江 #島根 #文学 #本 #図録 #lafcadiohearn #ishikawakiyoharu #izumocity #izumo #matsue #shimane #literature #book (今井書店出雲店) https://www.instagram.com/p/B00XurqH_X8/?igshid=18tx4gz5k3vcz
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weblack6668 · 4 years
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[閒聊] 聖艾蒂安 @ 蘭斯 (法甲場中)
新發財情報已發佈到 http://black66.com/4094/
[閒聊] 聖艾蒂安 @ 蘭斯 (法甲場中)
[閒聊] 聖艾蒂安 @ 蘭斯 (法甲場中)
作者RekklesLoL (隨意飄)
看板SportLottery
標題[閒聊] 聖艾蒂安 @ 蘭斯 (法甲場中)
時間Sun Dec 8 22:10:20 2019
法國甲級聯賽
聖艾蒂安 1:3 蘭斯 FT 10′ 59′ 67′ 90+2′
開個閒聊
— ※ 發信站: 批踢踢實業坊(ptt.cc), 來自: 111.251.158.30 (臺灣) ※ 文章網址: https://www.ptt.cc/bbs/SportLottery/M.1575814222.A.407.html
推 tingchi : 蘭斯進了 12/08 22:10
推 johnson7103 : 手機版可以登入了 12/08 22:10
推 petertree : 主goalllllll 12/08 22:11
推 Popaieric : 蘭斯1 12/08 22:11
→ gintoki1231 : 503到進很會欸 12/08 22:11
推 wl02061274 : 網站這麼爛 真的該收手了 我看威剛也不想賺我們的錢 12/08 22:11
※ 編輯: RekklesLoL (111.251.158.30 臺灣), 12/08/2019 22:11:42
推 yuiweq1999 : 真爛客隊= = 12/08 22:11
推 jimbank : 還好網站503沒買到上半0.5小 12/08 22:11
→ gintoki1231 : 真的戒賭網站 12/08 22:11
推 kaimah0912 : 503到進真靠北 12/08 22:11
推 fly55 : 還好503 沒下到上半0.5小+1 12/08 22:12
推 oops7655 : 鎖到進,呵呵 12/08 22:12
推 V9911014 : 拜託大家將無法登錄的官網畫面以及網頭轉圈等待的 12/08 22:12
→ V9911014 : 花畫面截圖起來並且表明時間日期以及當下下注時是 12/08 22:12
→ V9911014 : 否有開場中並且將他PO在底下的置底文 12/08 22:12
推 omgbase0914 : 不開欸幹 12/08 22:12
→ chys : 置底然後呢 12/08 22:12
推 freak6910 : 很想截圖啊,但真的有用嗎? 12/08 22:13
推 junibookye : 來不及 好快 12/08 22:13
推 luna2000sea : 不用網投就不用開垃圾剛的網站阿 12/08 22:13
噓 kaimah0912 : 球進了還是繼續鎖 垃圾 12/08 22:13
推 wl02061274 : 跟買過年高鐵票一樣難買 12/08 22:13
推 petertree : 老話,狂鎖的話要進球了@@ 12/08 22:14
→ nmjkluiop : 要買大1.5還沒買到就踢進了 乾你老師 12/08 22:14
→ sukida : V大很有心,但只能說狗吠火車 12/08 22:14
→ Despairile : 我覺得主會贏 連和局都不會發生 12/08 22:14
→ kaimah0912 : 超級拐氣的這網站 12/08 22:14
推 freak6910 : 直接503了欸 12/08 22:14
→ Despairile : 這周感覺就是 數據上穩的 全部都要這周破光光 12/08 22:15
→ Austin05 : 3×5 真的完勝 ……… 12/08 22:15
→ nmjkluiop : 標的沒了 先離開了 大家加油 尻起來 12/08 22:15
→ freak6910 : 開賽前十分鐘就一直進不去了 12/08 22:15
→ nmjkluiop : 而且打開國際盤 那玩法 那賠率 看到高潮 12/08 22:15
推 luna2000sea : 他就故意讓網站爛掉 完全不想弄好 那幹嘛還看爛官網 12/08 22:16
→ petertree : 客隊防守真的不好,但是,客隊有球的!!這樣踢不大 12/08 22:16
→ petertree : !?? 12/08 22:16
推 showstar : 一直503 怕人家下就別經營 12/08 22:16
噓 THcp : 垃圾公司 12/08 22:17
推 wl02061274 : 戒賭中心真棒 來退坑了 12/08 22:17
推 V9911014 : 你不做誰來幫你 12/08 22:19
→ V9911014 : 道理就這樣 12/08 22:19
→ Austin05 : 真想看大家玩3×5 開個教學註冊班讓威剛沒生意好像 12/08 22:19
→ Austin05 : 很爽 12/08 22:19
推 oops7655 : 全臺最大戒賭網站上線啦 12/08 22:19
推 freak6910 : 這場都沒直播欸? 12/08 22:19
推 johnson7103 : 網頁版好了 12/08 22:21
推 Basacar : 真的 有時後威剛還沒開 會先參考3X5 看那賠率真心動 12/08 22:22
→ Basacar : 不過小小1~2百仔 一週小玩幾次 就沒動力弄了 12/08 22:22
推 V9911014 : 資料累積到過量的時候多少還是有用的就像私菸要不 12/08 22:23
→ V9911014 : 是一次買到這麼多條會給人有機會抓到嗎? 12/08 22:23
推 blue8d83n : 他就今年業績已經到了 愛玩不完隨便你們 12/08 22:23
→ sukida : 私菸案終究會沒什麼結果啦 下面的頂掉就結了 12/08 22:24
推 redbullwings: 狐狸讚讚 支持冠軍 12/08 22:25
推 wl02061274 : 威剛賠率少別人0.20左右 網頁還爛到炸 還常常關場中 12/08 22:26
推 omgbase0914 : 私煙違法 但是孬鋼故意爛網沒有違法啊 12/08 22:26
→ wl02061274 : 真心佩服大家 12/08 22:26
→ wl02061274 : 還要串關 玩法少 問題一大堆 12/08 22:27
→ omgbase0914 : 開放國外合法下注 孬鋼瞬間沒人啦 12/08 22:27
推 csgod41 : 合法 才敢邱阿 12/08 22:28
推 Brolaf : 笑了,轉轉轉 12/08 22:28
推 Basacar : 真的 只要國外合法 早就去了 光賠率就差太多 12/08 22:28
推 jazzysport : 一直買不到 算了 12/08 22:31
推 k760827g : 買的好痛苦。休息。糞網站 12/08 22:32
噓 kobeliu : 想買柏霖聯讓ㄚ 買不到 12/08 22:32
推 freak6910 : 所以還是1:0啊? 12/08 22:33
推 jazzysport : 剛剛2.5小 1.95時想要下 下到現在還是下不了 12/08 22:34
推 Daniel0712 : 還是1:0 12/08 22:34
推 oops7655 : 503 12/08 22:35
推 V9911014 : 一年2了 12/08 22:35
推 gh29903260 : 這網站到底是三小XD 12/08 22:36
→ V9911014 : 打錯了 12/08 22:36
推 csgod41 : 讓大家去睡覺明天好上班的網站 12/08 22:36
→ V9911014 : 是我看到另外一場2了 12/08 22:36
推 venter125 : 又503 12/08 22:36
→ rayes : 標準烈日卡里亞里都開2-3球樓下168P 12/08 22:37
推 gh29903260 : ok 12/08 22:37
推 all035 : 來個尾吧 12/08 22:41
推 csgod41 : 沒再踢吧 12/08 22:41
→ csgod41 : 射門都不動了 12/08 22:42
推 kobeliu : 來切斯特城 12/08 22:42
推 redbullwings: 盤王狐狸盤王/盤王/ 12/08 22:42
推 BeauNick : 狐狸真的猛 12/08 22:43
推 omgbase0914 : 是要503多久 12/08 22:43
推 qaz442002 : 之前網站都正常 為啥這一年多來都會當機? 12/08 22:43
推 fucckk : 德甲紅牛 英超狐狸 感謝各位支持 12/08 22:44
推 all035 : 來球啊 12/08 22:45
→ Alexchen0704: 幹法甲都開到無聊場 12/08 22:45
→ all035 : 直接吹… 12/08 22:45
推 freak6910 : 老實說英超那場好看多了 12/08 22:46
推 omgbase0914 : 孬鋼發現503可以少輸一點啊 12/08 22:46
→ omgbase0914 : 大球場進球熱區前503 小球場上下半開賽503 12/08 22:46
→ ryantw77 : 在轉轉轉之下買了10k 0.5小收了@@ 12/08 22:46
推 Daniel0712 : 英超真的好看多了 12/08 22:46
推 raysbuck : 這場不錯啊 12/08 22:47
推 cool88 : 0.5小不是爆了? 12/08 22:47
推 gh29903260 : 0.5小? 12/08 22:47
→ Daniel0712 : 他買聖吧 12/08 22:48
推 fucckk : 可能是0.5大筆誤吧 12/08 22:48
→ four26 : 10k 0.5 你那邊還來得及下1.5小 12/08 22:48
→ fucckk : 狐狸大了 12/08 22:48
推 omgbase0914 : 能買到的已經是天選之人了 你還敢嘴 12/08 22:48
推 weller45 : 乾,好像買到和局4倍了@@ 12/08 22:50
推 luna2000sea : 實體都有開阿 不要拘泥那個拉基網投了 12/08 22:50
推 freak6910 : 天選之人好好笑 12/08 22:50
→ ryantw77 : 喔 抱歉 1.5小 @@ 12/08 22:51
→ freak6910 : 買到2.5小,我應該可以去睡了 12/08 22:51
推 Basacar : 天冷 當然在家用網投 還好這場沒一直F5 不然中風 12/08 22:51
→ freak6910 : 偷渡一下愛隔壁棚英超上半2:1,大分看了就是開心 12/08 22:52
→ ryantw77 : https://i.imgur.com/SwEyrxU.jpg 低賠 12/08 22:52
推 fucckk : 低陪沒差 尻死孬剛就是爽 12/08 22:53
→ ryantw77 : 因為一直轉 也不確定有沒有買到 結果賽到 12/08 22:54
推 FASorange : 主3買一張 看能不能再尻78剛一單 12/08 22:55
→ fucckk : 可以唷~ 12/08 22:56
推 shenasu : 手機下不到啊~~~ 12/08 22:59
推 oops7655 : 開踢 12/08 23:01
推 all035 : 下半繼續 12/08 23:01
推 Basacar : 幹 笑死 上一場END到現在還是壞的 想買NBA都不行 12/08 23:03
推 jackpig : 能買到真的天選之人 12/08 23:03
推 all035 : 鎖了 12/08 23:05
推 wl02061274 : 客0感覺簡單 12/08 23:08
推 fucckk : 隔壁棚英超狂叫 12/08 23:09
推 qvt : 英超兩場都要4+?! 12/08 23:10
推 fly55 : 感覺要進球了 12/08 23:10
→ gyhsiao : 這場是威剛精選嗎 12/08 23:10
推 s9601469 : 幹諾里奇垃圾 2.5小馬上爆… 12/08 23:11
推 wl02061274 : 客完全攻不了 買蘭斯好了 12/08 23:12
推 kaimah0912 : 客! 12/08 23:13
推 Alexchen0704: 水啦 聖伊天 12/08 23:13
推 k760827g : 2.5大3.75沒買到。再等一下好了 反正都是賭 12/08 23:13
推 cesarean : 客進 12/08 23:13
推 JAYLIHSU : 進了~~剩一天….接下來鎖好吧… 12/08 23:13
→ k760827g : … 12/08 23:13
推 asd1114 : 1:1 12/08 23:13
推 fucckk : 嘿嘿 12/08 23:13
→ Alexchen0704: 別退 12/08 23:14
→ kaimah0912 : 2.5大加油啊 12/08 23:14
→ fucckk : 得意的一天 12/08 23:14
推 petertree : 客goallllllllllll 12/08 23:14
→ k760827g : 靠北 原來是被進球 12/08 23:14
推 gtvbsg : 噗,沒買2.5大@@,剛買1.5大 12/08 23:14
推 tingchi : 剛買客下一球3.1 12/08 23:14
→ kaimah0912 : 沒退 12/08 23:14
推 oops7655 : 正要買下球主,好險 12/08 23:14
推 hsb23 : 買太少 12/08 23:14
→ Alexchen0704: 聖伊天第二球收 12/08 23:14
推 fly55 : 舒服 12/08 23:14
推 all035 : 1:1 12/08 23:14
→ petertree : 2.5大分預備~~~ 12/08 23:14
噓 kobeliu : 幹你媽的正要買 12/08 23:14
推 e73103999 : 網頁沒進? 12/08 23:15
推 wl02061274 : 笑死 原來我真的是反指標 12/08 23:15
推 twchih018 : 噗 12/08 23:15
→ e73103999 : 有了1:1 12/08 23:15
推 Stojakovic16: 主隊加油一下阿 12/08 23:15
→ twchih018 : f5鍵壞了 12/08 23:15
噓 peterha5491 : 垃圾網站 12/08 23:15
※ 編輯: RekklesLoL (111.251.158.30 臺灣), 12/08/2019 23:16:19
推 maxlove0152 : 3.5都不開 孬 12/08 23:16
推 fly55 : 還有一球 12/08 23:16
推 petertree : 本場還30分鐘,等等又不小心踢到4+了@@ 12/08 23:17
推 wl02061274 : https://imgur.com/a/wTJL1l7 拉基威剛 抖收 12/08 23:18
推 hsb23 : 數大妳都偷偷來~~這樣不行XD 12/08 23:18
推 Lin82219 : 鼠大猛 12/08 23:19
推 csgod41 : 好厲害 鼠大這張我503一直買不到 12/08 23:19
推 gtvbsg : 等等00:30廠有推的嗎? 12/08 23:19
推 JAYLIHSU : 我本來以為我有買到2-3球…靠~結果沒買到..太扯了. 12/08 23:19
推 wl02061274 : 我重新整理按到快爛了 12/08 23:20
推 Brolaf : 為什麼鼠鼠買得到= = 12/08 23:20
→ rayes : 比甲荷甲2-3球都被絕殺淦 12/08 23:20
推 Alexchen0704: 標準列日吃兩紅還能進球喔 12/08 23:20
推 angelgarden : 鼠鼠真的猛 12/08 23:21
推 yeisyuan : 鼠王 天選之鼠 12/08 23:22
推 BeauNick : 3333 12/08 23:22
※ 編輯: RekklesLoL (111.251.158.30 臺灣), 12/08/2019 23:22:34
推 kaimah0912 : 2.5大收米! 12/08 23:22
推 fucckk : 舒服拉~~~~~~~~~~~~~ 12/08 23:22
推 gtvbsg : 不是先503嗎XD 12/08 23:22
→ yeisyuan : 這輪法甲真的好大喔 擋不了=_= 12/08 23:22
推 petertree : 主goallllllllll 12/08 23:22
推 wl02061274 : 哎唷 3球了 我記得莊家超看小 12/08 23:22
推 fly55 : 舒服 12/08 23:23
→ fly55 : 應該沒球了 12/08 23:23
推 twchih018 : 水 2.5大 3.25倍收 12/08 23:23
推 oops7655 : 乾,買不到半張 12/08 23:23
推 JAYLIHSU : 別進了…進球就要503一陣子= =快瘋了~~~Y 12/08 23:23
→ hsb23 : 鼠大葉大怎麼看 12/08 23:23
→ fucckk : 剩一天目前進20球掉20球 可以賭賭看追平@@ 12/08 23:23
→ ranbank : 水啦!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 12/08 23:23
→ wl02061274 : FA大的主3有機會了 12/08 23:23
推 venter125 : 哇操 上半不踢下半才踢哦 12/08 23:23
→ Alexchen0704: 賽前2.5大過 3.5大聽牌。。 12/08 23:24
推 luna2000sea : 大爆射 12/08 23:24
推 Stojakovic16: 守好吧 就這樣到底 12/08 23:24
→ wl02061274 : 問葉大比較準XD 網站壞了我沒辦法看 12/08 23:24
→ twchih018 : 可以換新鍵盤了XD 垃圾剛 12/08 23:24
推 ROCOL : 蘭斯本季法甲還沒4+ 今天要來惹?? 12/08 23:24
推 Daniel0712 : 守好阿 12/08 23:24
推 bluestack : 幾比幾阿網站根本卡著不動 12/08 23:24
→ wl02061274 : 1:2 12/08 23:24
推 angelgarden : 1:2 12/08 23:25
→ fucckk : 現在2:1 主2 12/08 23:25
推 csgod41 : 鎖到結束了吧 12/08 23:25
推 s2042335 : 乾,單對大小買錯邊..買到客對還有救嗎? 12/08 23:25
→ bluestack : 網站1:1 67分鐘xd 12/08 23:25
推 oops7655 : 垃圾網站 12/08 23:25
推 petertree : 2.5大~~收 12/08 23:25
推 FASorange : 主逆轉買到12倍XD 12/08 23:25
推 sumfm921 : https://i.imgur.com/weBBRLO.jpg 哈哈怕被退球請 12/08 23:26
→ sumfm921 : 老闆秒刷 12/08 23:26
推 wl02061274 : 加油 祝大家都轟 12/08 23:26
→ AAApower : 可以去睡摟…..沒啥好追了…剩下鳥鳥的^0^ 12/08 23:27
→ sumfm921 : 在來怎麼壓 12/08 23:27
推 gtvbsg : 追大啊 12/08 23:27
→ gtvbsg : 我沒得追了,又無法登入 12/08 23:28
推 petertree : 3.5大~~~進場(半注) 12/08 23:28
推 fly55 : 無球吧 12/08 23:28
推 white8520 : 3.5大一起上車 12/08 23:29
推 bluestack : 想進3.5小買不到 12/08 23:34
推 sumfm921 : 4+ 1k 12/08 23:34
推 twchih018 : 狐狸讚 12/08 23:35
推 Alexchen0704: av被打爆 12/08 23:35
噓 kobeliu : 為什麼下半場勝艾蒂安停在25倍 12/08 23:35
推 redbullwings: 狐狸太猛啦 支持英超冠軍 12/08 23:35
推 fly55 : 那是全場賠率吧 12/08 23:35
→ Rinorune : 繼續買狐狸冠軍 … 12/08 23:36
→ twchih018 : 狐狸讓分拜託給吃 12/08 23:36
→ carter323 : 感覺3顆到頂了 加油啊 12/08 23:36
推 kobeliu : 對拉 全場 以前不是都40倍嗎 停25庭超久 12/08 23:36
推 oops7655 : 下半場一張都沒買到 12/08 23:37
→ kobeliu : 柏霖聯真的要開讓了 操 12/08 23:38
→ Alexchen0704: 小玩個客4好了 12/08 23:38
推 wl02061274 : 剛剛我喜歡的歌手掛了QQ Juice WRLD 12/08 23:40
推 bluestack : QQ節哀 12/08 23:40
推 hb050317 : 剛剛發現主審是女人! 12/08 23:41
推 Basacar : 買到明天nba了! 耶 我贏了 12/08 23:42
推 lia910229 : 感覺應該沒有球了 12/08 23:43
推 savior25 : 皇家社會在搞什麼.. 12/08 23:43
推 FASorange : 再貓個主尾 看看 12/08 23:44
推 kaimah0912 : 主尾快送幸福吧 12/08 23:44
推 oops7655 : 買到關盤一張都沒買到,呵呵 12/08 23:44
推 twchih018 : 阿三場難道今天又要無腦小了? 12/08 23:45
推 Alexchen0704: +3 12/08 23:45
噓 kobeliu : 剩一天快ㄚ 12/08 23:45
推 BeauNick : 333333 12/08 23:46
→ Alexchen0704: goal 12/08 23:46
推 asd1114 : 3:1 12/08 23:46
推 kaimah0912 : 主尾送囉! 12/08 23:46
推 JAYLIHSU : 絕殺 12/08 23:47
→ Alexchen0704: QQ開主 12/08 23:47
推 gtvbsg : 爽 12/08 23:47
推 s2042335 : 幹進錯邊 12/08 23:47
→ albert1225 : 2-3爆 12/08 23:47
推 petertree : 44444444 12/08 23:47
→ carter323 : 有嗎 拜託別退啊 12/08 23:47
推 twchih018 : 水 12/08 23:47
推 cesarean : 4+大收 12/08 23:47
推 hp5566 : goal 12/08 23:47
→ gtvbsg : 恭喜FA大 12/08 23:47
推 fucckk : 哈哈哈哈 12/08 23:47
推 gh29903260 : 絕殺 爽啦 12/08 23:47
推 dragonking8 : 爽舒服4+ 12/08 23:47
推 FASorange : 爽 這球抽的漂亮 12/08 23:47
推 randy2903 : 世界波 12/08 23:47
→ fucckk : 恭喜恭喜FA!!!!!!!!!!!!! 12/08 23:47
推 qazxcvb : 爽收.5大 12/08 23:47
→ qazxcvb : 3.5大 12/08 23:47
→ gtvbsg : 下半全收,感動 12/08 23:47
→ carter323 : 可能要一波4+魂了 上車吧 12/08 23:47
推 V9911014 : 鼠大別難過 12/08 23:47
推 oops7655 : 恭喜尻鋼 12/08 23:47
→ twchih018 : fa大恭喜啊,再補一張3.5大也收 12/08 23:47
推 jhanshihk : 爽尾球吃到啦 12/08 23:48
推 omgbase0914 : FA大猛啊跟一波賺一波 12/08 23:48
→ kaimah0912 : 算! 12/08 23:48
推 ranbank : 水啦!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 12/08 23:48
→ dragonking8 : 有跟到 謝謝FA大 12/08 23:48
→ petertree : 3.5大~~~收 12/08 23:48
推 Vincent3561 : 週末尾場好常大 殺 12/08 23:48
→ hp5566 : 3.5大買到2.7 爽 12/08 23:48
→ FASorange : 客禁區外掉球XD 12/08 23:48
→ fucckk : 主尾加碼送幸福 12/08 23:48
推 wl02061274 : 世界波 帥 12/08 23:48
推 andyyung : 3.5大舒服收滿手啦~ 12/08 23:48
推 kobeliu : QQ 買厝邊 12/08 23:48
推 Stojakovic16: 希望3:2 拜託 12/08 23:48
推 rowe0527 : 暈了2-3球被尾這次沒補 12/08 23:48
推 hb050317 : 竟然有尾球,沒買,可惡 12/08 23:49
推 freak6910 : 1:3還是2:3啊? 12/08 23:49
→ omgbase0914 : 3.5大 主下球收收 感謝FA尻鋼列車 12/08 23:49
→ wl02061274 : V99大謝謝 12/08 23:49
→ petertree : ft 12/08 23:49
→ Stojakovic16: 結束了哦 3:1 12/08 23:49
→ gtvbsg : 1:3 12/08 23:49
推 BeauNick : 1:3 12/08 23:49
→ wl02061274 : FA大又重尻了 12/08 23:49
→ FASorange : 敢跟我車的也厲害…我不看盤的說 12/08 23:49
※ 編輯: RekklesLoL (111.251.158.30 臺灣), 12/08/2019 23:50:15
推 dragonking8 : 哈哈大笑 運氣問題選對邊比較重要 12/08 23:50
※ 編輯: RekklesLoL (111.251.158.30 臺灣), 12/08/2019 23:51:17
推 oops7655 : 整個下半場1.5大要買到3.5大都被偉哉孬鋼轉到沒買 12/08 23:50
→ oops7655 : 到 12/08 23:50
推 omgbase0914 : 剛剛要買3.5大+客下球 想到FA大買主3 馬上改主XD 12/08 23:51
推 wl02061274 : 這場莊家看超小 結果4+ 各種開高賠 12/08 23:51
推 savior25 : 紐卡��絕殺2:1 12/08 23:51
噓 jackyforchao: 客隊爛死了 12/08 23:52
推 fucckk : 好多場有尾球XD 12/08 23:52
→ wl02061274 : 假日晚場都4+ 太屌了 12/08 23:52
→ wl02061274 : 恭喜~~ 12/08 23:52
推 omgbase0914 : 上一場下半各種爛網 只買到上半1.5大 12/08 23:53
推 petertree : http://i.imgur.com/nww5PFZ.jpg 12/08 23:54
推 sumfm921 : https://i.imgur.com/lgg73PN.jpg 爽收 12/08 23:55
→ petertree : 刷到3.5大,3倍的! 12/08 23:55
推 twchih018 : 狐狸和阿三場也都收啦~呼 12/08 23:56
→ wl02061274 : 還是要造福一下大分控 12/08 23:56
推 ranbank : 買到一張跟921大一樣的3.5 爽 12/08 23:58
推 blueskymilk : 真有趣 有買的時候各種小球 在忙沒買的時候各種大 12/08 23:59
→ blueskymilk : 球QQ 12/08 23:59
推 ROCOL : 孬肛真的會開。本季蘭斯第一場4+就來了 12/09 00:00
推 sumfm921 : 恭喜大家,不過這場追小的…..多保暖了 12/09 00:01
推 qpqp1 : 連殺4場2-3,厲害了 12/09 00:02
推 twchih018 : 我朋友被我救了2.5小,還真的第一次4+ 12/09 00:04
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tanukiboya · 6 years
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地震で落っこちた神棚が原状復帰(・∀・) #小泉八雲熊本旧居 #狸坊熊本 #狸坊九州 #狸坊建物探訪 #熊本ばケーション #熊本 #建築 #小泉八雲 #文学 #kumamoto #architecture #lafcadiohearn #literature (通町筋停留場) https://www.instagram.com/p/Bn0RbktBy8E/?utm_source=ig_tumblr_share&igshid=1v5f5fyh6q3xi
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tanukiboya · 7 years
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創刊以来買いそろえてる熊本の文藝誌『 #アルテリ 』5号おとりよせ。こないだ亡くなった #石牟礼道子 さんが毎号登場してて、今号にゃ1970年前後の(たぶん)未発表の詩や俳句がのってるノダ。8月ぐらいに出そーな次号は、おのずと追悼号になるノダろニャ。 #book #本 #literature #文学 #kumamoto #熊本 #33fan #狸坊本棚 (blackbird books)
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