Tumgik
#薔薇の姉妹団
kentahayashimusic · 2 years
Photo
Tumblr media
7月8日(金)石垣島にて!😊🌈 敬愛する素晴らしきライトワーカー木盛龍彦さん🌟とミラクルシフトワークショップを僕のタキオンミュージックと🌈更に‼️ドラゴンサウンド🔥のコラボレーションにて開催致します!✨ とても楽しみです!!🤩🌟 イベントページに詳しい説明が載っています♪ https://fb.me/e/1XOAYnHjr 翌日7月9日(土)は同会場にて女神フェスin石垣島第2弾開催します!😊🌹 https://tachyonmusic.hatenablog.com/entry/2022/06/15/181508 Victory of the Goddess!🌹 Victory of the Light!🌟 #木盛龍彦 #tatsuhikokimori #ミラクルシフト #ドラゴンサウンド #ドラゴンサウンドシステム #ドラゴンサウンド🐉 #女神 #女神フェス #薔薇の姉妹団 #ライトワーカー #アセンション #地球開放 #地球の黄金時代 #黄金時代 #銀河連合 #プレアデス #シリウス #アルクトゥルス #光の戦士 #石垣島  (at 石垣島) https://www.instagram.com/p/CfCKXX-vnKa/?igshid=NGJjMDIxMWI=
0 notes
trans8vr · 10 months
Text
3 notes · View notes
kachoushi · 3 months
Text
各地句会報
花鳥誌 令和6年2月号
Tumblr media
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
………………………………………………………………
令和5年11月1日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
星の出るいつも見る山鳥渡る 世詩明 人の世や女に生まれて木の葉髪 同 九頭竜の風のひらめき秋桜 ただし 太陽をのせて冬木の眠りけり 同 生死また十一月の風の音 同 朝湯して菊の香に上ぐ正信偈 清女 懸崖の赤き菊花の流れ落つ 誠
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月2日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
秋空の深き水色限りなし 喜代子 故里は豊作とやら草紅葉 由季子 菊花展我等夫婦は無口なり 同 しぐれ来る老舗ののれん擦り切れて 都 狛犬の阿吽語らず冬に入る 同 謎々のすつきり解けた小春の日 同 杣山の織火となりぬ紅葉山 同
(順不同特選句のみ掲載) ��……………………………………………………………
令和5年11月4日 零の会 坊城俊樹選 特選句
綿虫と彼女が指せばそれらしく 瑠璃 梵鐘のはらわたに闇暮の秋 緋路 逝く秋をくづれゝば積み古書店主 順子 綿虫や浄土の風が抜けるとき はるか 太き棘許してをりぬ秋薔薇 和子 弥陀仏の慈顔半眼草の花 昌文 綿虫のうすむらさきや九品仏 小鳥 参道で拾ふ木の実を投げ捨てる 久 綿虫は仏の日溜りにいつも 順子 香煙はとほく菩提樹の実は土に 小鳥
岡田順子選 特選句
腰かける丸太と秋を惜しみけり 光子 九品の印契結ぶや冬近し 眞理子 古に大根洗ひし九品仏 風頭 綿虫や浄土の風が抜けるとき はるか 奪衣婆の知る猿酒の在り処 光子 神無月ならば阿弥陀も金ぴかに 俊樹 蚤の市に売る秋風と鳥籠と 和子 下品仏とて金秋の色溢れ 俊樹 綿虫と彼女が指せばそれらしく 瑠璃 梵鐘のはらわたに闇暮の秋 緋路
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月4日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
ありきたりの秋思の襞を畳みをり かおり 秋日入む落剝しるき四郎像 たかし 返り花ままよと棄つる文の束 美穂 凩や客のまばらな湖西線 久美子 凩のやうな漢とすれ違ふ 睦子 小鳥来る小さなことには目をつむり 光子 流れ星キトラの星は朽ちてゆき 修二 凩に雲や斜めにほどかれて かおり 人肌を知らぬ男のぬくめ酒 たかし 老人が老人負うて秋の暮 朝子 冬の日や吾が影長く汝に触れて 同 身に入むや妣の財布の一セント 久美子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月10日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
秋思消ゆ「亀山蠟燭」点せば 悦子 この町へ一途に滾り冬夕焼 都 新蕎麦を打つ店主にも代替はり 佐代子 添ふ風に方位はあらず狂ひ花 悦子 HCU記号音満つ夜の長し 宇太郎
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月11日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
トランペット響く多摩川冬に入る 美枝子 竹林の風音乾き神の留守 秋尚 公園の隣りに棲みて落葉掃く 亜栄子 句碑の辺の風弄ぶ式部の実 同 新のりの茶漬に香る酒の締め 同 歩を伸ばす小春日和や夫の癒え 百合子 朔風や見下ろす街の鈍色に 秋尚 ぽつぽつと咲き茶の花の垣低き 同 リハビリの靴新調し落葉ふむ 多美女 濡れそぼつ桜落葉の華やぎぬ 文英 露凝りて句碑に雫の朝かな 幸風 大寺の庭きりもなや木の葉散る 美枝子 山寺の風の落葉を坐して聞き 三無
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月13日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
風除の日だまりちよっと立ち話 和魚 風除の分厚き樹林影高き 秋尚 揚げと煮し切り干やさし里の味 あき子 薄日さす暗闇坂に帰り花 史空 渦状の切干甘き桜島 貴薫 切干や日の甘さ溜め縮みたる 三無 風除けをせねばと今日も一日過ぎ 怜 切干や少し甘めに味継がれ 秋尚
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月13日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
確かむる一点一画秋灯下 昭子 幽玄な美女の小面紅葉映ゆ 時江 釣り糸の浮きは沈みし日向ぼこ 三四郎 六地蔵一体づつにある秋思 英美子 赤い靴なかに団栗二つ三つ 三四郎 着飾りて姉妹三人千歳飴 ただし 正装で背中に眠る七五三 みす枝 雪吊の神の恐れぬ高さまで 世詩明 七五三五人姉妹の薄化粧 ただし トランペット音を休めば息白し 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月14日 萩花鳥会
夜鴨鳴く門川住居六十年 祐子 捨てられて案山子初めて天を知る 健雄 ゴルフ玉直ぐも曲るも秋日向 俊文 山茶花や現役もまた楽しかり ゆかり 舟一艘ただぼんやりと霧の中 恒雄 献茶式津和野城下や朝時雨 美惠子
………………………………………………………………
令和5年11月14日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
秋の暮百均で買ふ髪飾 令子 虫食ひの跡そのままに紅葉かな 紀子 背の丸き鏡の我やうそ寒し 同 小春日や杖つく母を見んとする 令子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月15日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
小春日や日々好日と思ひたり 世詩明 禅林を通り来る風秋深し 啓子 何事も無き一日や神の旅 同 炉開きの一花一輪定位置に 泰俊 一本の池に煌めく櫨紅葉 同 三猿を掲ぐ日光冬日濃し 同 立冬こそ自己を晒せと橋の上 数幸 小六月笏谷石は饒舌に 同 如何にせん蟷螂は枯れ僧恙 雪 猫じやらしもて驚かしてみたき人 同 一匹の枯蟷螂に法の庭 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月17日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
小鳥来る赤き実に又白き実に 雪 幽霊の出るトンネルを抜け花野 同 おばあちやん子で育ちしと生身魂 同 見に入みぬ八卦見くれし一瞥に やす香 時雨るるやのつぺらぼうの石仏 同 近松忌逝きし句友の幾人ぞ 同 季は移り美しき言葉白秋忌 一涓 菅公の一首の如く山紅葉 同 落葉踏み歩幅小さくなる二人 同 冬ざれや真紅の句帳持ちて立つ 昭子 今日の朝寒む寒む小僧来たりけり やすえ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月17日 さきたま花鳥句会
からつぽの空に熟柿は朱を灯し 月惑 白壁の色変へてゆく初時雨 八草 六切の白菜余すひとり鍋 裕章 一切の雲を掃き出し冬立ちぬ 紀花 小春日や草履寄せある躙口 孝江 柿を剥く母似の叔母のうしろ影 ふゆ子 いわし雲よせ来る波の鹿島灘 ふじ穂 鵙たける庵に細き煙たつ 康子 雲切れて稜線きりり冬日和 恵美子 水鳥の羽音に湖の明けにけり 良江
………………………………………………………………
令和5年11月18日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
紫のさしも衰へ実紫 雪 蟷螂の静かに枯るる法の庭 同 二人居て又一人言時雨の夜 清女 母と子の唄の聞こゆる柚子湯かな みす枝 還りゆく地をねんごろに冬耕す 真栄 帰省子を見送る兄は窓叩く 世詩明 人に無く芒にありし帰り花 同 香水の口よりとどめさす言葉 かづを 時雨をり故山の景を暗めつつ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月19日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
浮寝鳥日陰に夢の深からむ 久子 呪術にも使へさうなる冬木かな 久 無敵なる尻振り進む鴨の陣 軽象 冬日和弥生も今も児ら走る 同 冬蝶の古代植物へと消えぬ 慶月 谿の日を薄く集める花八手 斉 冬天へ白樫動かざる晴れ間 慶月 青空へ枝先細き大枯木 秋尚 旋回す鳶の瞳に冬の海 久 冬の蜂おのが影這ふばかりなり 千種 水かげろうふ木陰に遊ぶ小春かな 斉
栗林圭魚選 特選句
竹藪の一画伐られ烏瓜 千種 遠富士をくっきり嵌めて冬の晴 秋尚 白樫の落葉急かせる風のこゑ 幸風 切り株に鋸の香遺る冬日和 久子 四阿にそそぐ光りや枯れ芙蓉 幸風 白樫の木洩れ日吸ひて石蕗咲けり 三無 小春の日熊鈴つけしリュック負ひ 同 青空へ枝先細き大枯木 秋尚 寒禽の忙しく鳴ける雑木林 貴薫 草の葉を休み休みの冬の蝶 秋尚 逞しく子等のサッカー石蕗咲けり 亜栄子 甘やかな香放ち桂紅葉散る 貴薫 あづまやの天井揺らぐ池の秋 れい
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月26日 月例会 坊城俊樹選 特選句
薄き日を余さず纏ふ花八手 昌文 耳たぶに冬の真珠のあたたかく 和子 黒松の肌の亀甲冬ざるる 要 雪吊をおくるみとして老松は 緋路 冬空を縫ふジェットコースターの弧 月惑 ペチカ燃ゆフランス人形ほほそめる て津子 上手に嘘つかれてしまふ裘 政江 嘘つつむやうに小さく手に咳を 和子 手袋に言葉のかたち作りけり 順子
岡田順子選 特選句
池一枚裁ち切つてゆく鴨の水尾 緋路 黒松の肌の亀甲冬ざるる 要 自惚の冬の紅葉は水境へ 光子 玄冬の塒を巻きぬジェットコースター 同 光圀の松は過保護に菰巻きぬ 同 ペチカ燃ゆフランス人形ほほそめる て津子 雪吊を一の松より仕上げをり 佑天 不老水涸れをり茶屋に売る団子 要 遊園地もの食ふ匂ひある時雨 俊樹
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
0 notes
trinityt2j · 3 years
Quote
ダ-ティ・松本 不健全マンガ家歴30年[-α]史 ●はじめに  この文章は同人誌「FUCK OFF!7」において書かれたものをベースにして逐次増補改定を加えていき、いずれ歴史の証言として、[というほど大袈裟なものでは無いが…]一冊の本にまとめたいという意図のもと、近年どんどん脳が劣化していくダ-松の覚え書きとしても使用の予定。事実関係は間違いに気付き次第 訂正。同人誌発表時のものも今回自粛配慮して、実名、エピソード等を削除した箇所有り。有り難い事に某出版社よりすでに出版打診があったがまだまだその時期ではない、マンガを描く事が苦痛になったら活字の方も気分転換にいいかも…。 /*マークは今後書き加える予定のメモと心得たし。 ●前史/修行時代・1970 さいとうプロの短くて濃い日々……  1968年に上京。数カ月後東京は戦場に。熱い季節の始まりだった。 2年後親元を飛び出し友人のアパートに転がり込む。場所は渋谷から井の頭線で駒場東大駅下車、徒歩5分。地図で見ると現在の駒場公園あたり。昼間でも裸電球を付けなければ真っ暗という馬小屋のような部屋。数メートル先には当時の建設大臣の豪邸が…。前を通りかかるだびに警備のおまわりがじろり。  いつまでも友人に迷惑もかけられないのでとりあえずアシスタントでも…と手元にあったマンガ誌をひっくり返し募集を探す。幸いさいとうプロと横山まさみち氏のところでアシ募集があり両方応募。どっちか一つ通れば…と思っていたら何と両方受かってしまい、双方に条件を聞く。当時高円寺 のアパート、風呂無し4畳半の部屋で相場12000円の時代。前者一ケ月の給料10000円、後者20000円との事。給料の方がボロアパートの家賃より安いとは…!どう考えても前者は食う方法がないと判断し、後者さいとうプロへ入社。  ここに居たのはたったの半年に過ぎないけれど今思えばこれだけで本が一冊描ける位の濃い半年だった。しかしこのあと2X年分も書かねばならないことを思えば今回はいくつかのエピソードを書くだけに留めよう。  ダー松が入った時は小池一夫氏[クビ?]、神田たけ志氏や神江里見氏、きしもとのり氏[現・松文館社長]等と入れ替わりの時で、きし氏の女遊びの凄さと神江氏の絵のうまさは伝説になっていた。現在「亀有」「ゴルゴ」が歴代単行本の巻数の多いベスト1、2位だが[ともに100巻を越えた]、3位は神江氏の「弐十手物語」[70巻以上]だという事は知ってる人は少ないだろう。  当時の制作部は、さいとうたかを[以下ゴリ]をトップに石川班[ゴルゴ13、影狩り]、甲良班[バロム1]、竹本班[シュガー、どぶ等]の3つに分かれ、それぞれのキャップにサブ・チーフが一人づついて、ヒラが2~6人いるというシステムで総16名。独立し現在も活躍中の叶精作、小山ゆう、やまさき拓味の3名がそれぞれの班のサブ・チーフ。ダー松は石川班で左右1メートル以内に叶氏とゴリにはさまれ、のんびり出来ない状態で、はなはだ窮屈。叶氏はほとんどマンガ家になりたいとも思った事のなかった人で、設計事務所みたいなところで図面を引いていた人がなぜマンガプロダクションに来たのか不思議だった。格別マンガ好きというわけでもなかったせいか現在まで全ての作品が原作もので、オリジナルは一本もないのはそのせい?祭りなどの人がうじゃうじゃ出てくる群集場面が得意。 やまさき氏は大の競馬好き、現在競馬マンガを多く描くのは当時からの趣味が生きたというべきか。もう一つの趣味である風俗についてはここでは書くのは差し控えよう。小山氏は後日ここの事務の女性と結婚するが、当時はつき合っているとは誰も知らず、スタッフの一人がやめる時その女性に交際を申し込んだら、茶店に呼び出されて小山氏からと凄まれたと聞いたが嘘か本当かは不明。  ここでの生活は新入り[ダー松を含めて3名]は朝の9時前に会社に行き、タイムカードを押し、前日のごみをひとまとめして外に出し、トイレ掃除をして、16人分のお茶を2Fで入れて制作部のある3Fへの狭い階段をふらふら昇り、机ごとに置いて歩き、終れば、一息ついて買っておいたパンと牛乳を3分で食べて、やっとそれから仕事。しかし新入りの3名の内1人折茂は常に遅刻なのでいつも佐藤と2人でやっていた。佐藤も遅れる時はダー松1人で。辞めてから10年位、16人分のお茶を持って階段をふらふら歩きお盆をひっくり返す夢をよく見たものだが、実際ひっくり返したのは折茂と佐藤の2人で、よく茶碗を割っていた。 たまには夕方6時には帰れるが、普通は夜10時までで、アパートに帰って銭湯に行けばもう明日にそなえて寝る時刻、このくり返しの日々。週1日は徹夜で明け方に帰り、その時は当日の昼12時出勤。休日は日曜日のみで忙しい時はそれも取り消し。つまり休みは月3日。[これで給料2万円!]そんな日々の繰り返し。  夕方までは皆和気あいあいと仕事していたが、ゴリが夕方6時頃に「おはようさん」と現れると、全員無駄口がたたけなくなり、仕事場はシーンと静まり返り、以下その日が終わるまでは疲れる時間がただひたすら流れるのみ。 当時石川班は「ゴルゴ13」と「影狩り」を描いていたがゴリは主人公の顔と擬音のみ。マジックで最後に入れる擬音はさすがに入れる位置がうまいと感心。ゴルゴの顔はアルバムに大小取り混ぜてコピーがとってあり、忙しい時は叶氏がピンセットで身体に合わせて「これが合うかな~」といった感じで貼り付けていた。  その頃すでに「ゴルゴ」は近々終わると噂されていたが、現在もまだ続いているとは感嘆ものだ。 ゴリと石川氏が「ゴルゴ」の最終回の終わり方を話しているのを聞いたら、何ともつまらない終わり方。しかしあれから20年以上も経つ事だし、きっともっといい終わり方を考えてあるだろうなと思っていたら、先日TVで本人が最初から考えてある終わり方だと言うのを聞き、がっくり。企業秘密だろうから書かないが、作品の最初の方に伏線が数度出ているのでわかる人にはすぐわかる筈。  辞めた小池一夫氏とさいとうプロに何があったかは知らないが、漏れ聞く話では結構もめ事があったみたいだ。 「子連れ狼」で「ゴルゴ13」と同じ設定の回があった時、「小池のガキャー訴えたるー!」とゴリが吠えていたものだが、結局たち消え。さいとうプロ作品で脚本を書いた本人が辞めた後、他の作品で同趣向の作品を書いても著作権は脚本を書いた原作者のものだと思うがどんなものだろう。その回のタイトルは忘れたが、ある場所に居合わせた人々が武器を持った集団の人質となり、その中に素人だと思われていた主人公、実は殺しのプロフェッショナルがいて、次々とその集団を殺していく、といったプロットで、ミッキー・スピレーンの短編に同じような作品があり、本当に訴えていたら恥をかいたと思うが・・・。  そういえば事務の方には山本又一郎という男がいたが、後年映画プロデューサーとして 「ベル薔薇」や「太陽を盗んだ男」等を創る事になるが、この野郎が生意気な男で当時皆に対して10歳は年上、といった感じの振る舞いだったが後日俺と一つしか年が離れてなかった事を知り、そんな若造だったとは、と皆怒ったものだ。以来奴の事を「マタさん」から「クソマタ」と呼ぶようになる。  さて半年後に先輩たちが積もり積もった不満を爆発させる反乱事件が勃発し、2年は居るつもりでいたここでの生活も、辞めるか残るかの選択を迫られる。残ればさいとうプロの現体制を認める事となるので、ダー松も退社。 しかし反乱グループとは別行動をとって一人だけの肉体労働のアルバイター生活へ突入。超ヘビーな労働の製氷工場、人使いの荒い印刷所、命綱もない高所の足場で働く建設現場等々。トラックの助手をしていた時は運ちゃんが「本宮ひろしって知ってるか?うちの息子の友達でさぁ、昔、おっちゃんメシ食わしてくれーなんて言ってきたもんだが、今は偉くなっちゃってさー、自分のビル建てたらしいよ。赤木圭一郎みたいにいい男なんだ。」とうれしそうに話してくれたが、運ちゃんには悪いがそいつは今も昔も一番嫌いなマンガ家なんだ。あの権力志向はどうにかならんか。天下を取る話ばかりだもんなぁ。  ところで後日、単行本の解説で高取英が「さいとうたかをのヤローぶっ殺してやる!」とダー松が言ったなどと書いているが、小生はそんな危ない事言った覚えはないのでここできっちり訂正しておきます。 「会社に火ィつけてやる!」位は言ったかも・・・[嘘] 。 悪口は言っても別に怨みなど無い。ところでアシスタントとしてのダー松は無遅刻、無欠勤以外は無能なアシだったと反省しきり。理想的なアシスタントとはどんなものか、それはまた別の機会に。 *入社試験はどんな事を? *さいとうプロには当時ほとんどろくな資料は無かった? *ハイジャックの回の飛行機内部の絵は、映画「大空港」を社内カメラマンが映画館で写してきたものをもとに描く。 *当時のトーンは印刷が裏面にしてあり上からカッターでけずったり出来ない。 *トーンの種類は網トーンが数種、それ以外はほんの3、4種類位しかなかった。 *仕事中のB.G.M.はアシの一人が加山雄三ばかりかけるので大ひんしゅく。好評だったのは広沢虎造の浪曲「次郎長三国志」、初代桂春団次の落語。眠気もふっとぶ位笑えた。 ダ-松が岡林信康の「見る前に跳べ」をかけてるとゴリは「何じゃー!この歌は!」と怒る。名曲「私たちの望むものは」はこの男には理解不能。 ●1 9 7 1 ~ 1 9 7 4  持 ち 込 み & 実 話 雑 誌 時 代    当時は青年劇画誌全盛時代で、もともと望月三起也氏や園田光慶氏のファンで活劇志向が強く、 主にアクションもののマンガを描いて持ち込みに行っていた。今のようにマンガ雑誌が溢れかえって、山のようにマンガ出版社がある時代ではなく、数社廻るともう行くところがない、という状態で大手では「ビッグコミック」があっただけで 「モーニング」も「スピリッツ」も「ヤン・ジャン」も当然まだない。テーマを盛り込んだ作品を持って行くと編集から「君ィ、うちは商売でやっているんだからねぇ」と言われ、アクションに徹した作品を持って行くと「君ぃ、ただおもしろいだけじゃあねぇ」と言われ 「おい、おっさん!どっちなんだ?」とむかつく事多し。この辺の事は山のように書く事があるが、有りすぎるのでパス。 *そのうち書く事にする。  ただ金属バットで頭をカチ割って脳みそをぶちまけてやりたいような奴が何人もいたのは事実。今年[’97]「モーニング」に持ち込みに行って、断られた奴が何万回もいやがらせの電話をかけて逮捕された事件があったが、そのうちトカレフを持って殴り込みに行く奴が出てくるとおもしろい。出版社も武装して大銃撃戦だぁ!などと馬鹿な事書いてどうする!とにかく持ち込みにはいい思い出が何もない。そんな中、数本だけ載った作品は渡哲也の映画「無頼」シリーズの人斬り五郎みたいな主人公がドスで斬り合う現代やくざもの[この頃の渡哲也は最高!]、ドン・シーゲルの「殺人者たち」みたいな二人組の殺し屋を主人公にした『汚れたジャングル』、陽水の「傘がない」が好きだという編集さんの出したテーマで車泥棒とブラックパンサーの闘士とのロード・ムービー風『グッバイ・ブラザー』、拳銃セールスマンを主人公にした『ザ・セールスマン』、等々10本ちょい位。  さてその頃並行してまだエロマンガ専門誌といえるようなものがなかったような時代で、実話雑誌という写真と記事ページからなる雑誌に4~10ページ位を雑誌の味付けとして描かせてもらう。当時、お手本になるようなエロマンガなど皆無で、エロ写真雑誌を古本屋で買ってきてからみのポーズを模写。マンガで裸を描く事はほとんど初めてで、これがなかなか難しいのだがエロシーンを描くのは結構楽しい。当時出版社に原稿持って行き帰りにグラフ誌をどっともらって帰るのが楽しみだった。SM雑誌の写真ページも参考になる。なお当時のペンネームは編集部が適当につけた池田達彦、上高地源太[この名前はいけてます。また使いたい]等。その数年後、逆にマンガが主で記事が味付けというエロマンガ誌が続々と創刊される。 *さいとうプロをやめたあと編集や知人に頼まれて数人のマンガ家の所へ手伝いに行く。秋田書店「漫画ホット」で『ジェノサイド』を連載中の峰岸とおる氏の所へ行き、仕事が終わったあとまだ売れてない頃の榊まさる氏も交え酒を飲む/川崎のぼる大先生のところへ数日だけ/3000円たこ部屋/小山ゆうオリオンププロ *当時のアルバイトは記憶によると時給150~200円位/大日本印刷市ヶ谷駐屯地/坂/ *一食100円/どんなに貧しい漫画家もみかん箱の上で書くやつはいない/TV萩原サムデイ *ろくでなし編集者 ●1 9 7 5 ~ エ ロ マ ン  ガ 誌 時 代 に 突 入   実話誌は意外とエロは抑え目で描くように口すっぱく言われていたのだが、以前活劇っぽい作品を描かせてもらってたが潰れてしまった出版社にいた児島さんが編集する「漫画ダイナマイト」で打合せも何にもなしに好きに描かせてもらい、ここでエロマンガ家としての才能[?]が開花する。描いてて実に楽しく眠る時間がもったいない位で、人に睡眠時間が必要な事を恨んだ程。出来る事なら一日中休まず描いていたい気分で完全にはまってしまう。  初の連載作品「屠殺人シリーズ」はこの頃から/『漫画ポポ』。中島史雄氏は大学時代にこの作品を見ていたとの事で、トレンチコートにドクター・ペッパー模様のサイレンサーつきマグナム銃で遊戯人・竜崎一也が犯しまくり殺しまくり、サディスト、マゾヒスト、殺人狂、まともな奴が一人も出てこない性と暴力の祭典。ちなみにタイトルページは描かないでいい、との事でどうするのかと思っていたら編集部が中のワンカットを拡大してタイトルページを創り、1ページぶんの原稿料をけちるというせこいやり方だ��た。けちるといえば、原稿の1/3にCMを入れる際、原稿料を1/3削った会社もあり。 ●1 9 7 6 ~   後に発禁仲間となる高取英と出逢い、『長編コミック劇場』で「ウルフガイ」みたいのをやろうと、怒りに震えると黒豹に変身してしまう異常体質の主人公を設定し、獣姦のイメージで「性猟鬼」なるエロマンガをスタート!しかしその号で雑誌が潰れる。この路線は今でもいけそうな気がするがどんなものだろう。  この頃の珍品に「快楽痴態公園」がある。タイガースに11-0とワンサイドで打ちまくられ、怒ったジャイアンツファンのおっさんが公園でデート中の女をずこずこに犯りまくり、その間にジャイアンツは9回裏に12-11とゲームをひっくり返してしまうのである!その時のジャイアンツの監督はもちろんミスター長嶋、先発堀内、打者は柴田、土井、高田、王、張本等々がいる。タイガース監督は吉田、ピッチャー江本、キャッチャーフライを落球する田淵、そしてあの川藤もいる。解説は牧野…… ●1 9 7 7 ~   上記2作品を含む初の単行本「肉の奴隷人形」が久保書店より発行。後にリングスの会場で逢った佐竹雅昭氏はこの本が一番好きとの事だった。  「闇の淫虐師」もこの年スタート。一話完結でバレリーナ、バトンガール等々、毎回いろんな女たちをダッチワイフのごとくいたぶりまくるフェチマンガとして1979年まで続け、単行本は「堕天使女王」「裂かれた花嫁」「エロスの狂宴」「陶酔への誘い」「終りなき闇の宴」の全5巻。ちなみに今年「闇の淫虐師’97」を『コミック・ピクシィ』にて発表。いつか『闇の淫虐師・ベスト選集』でも出したいところ。 [’98に実現、’99には続刊が出る] ●1 9 7 8 ~   久保書店より第2弾の単行本「狂った微惑人形」。収録作品の「犯された白鳥」は持ち込み時代に描いた初のバレリーナもの。結構気に入っていた作品なのに、後年再録の際、印刷所の掃除のおばさんが捨ててしまい、この世にもはや存在しない不幸な子となる。[’99に宝島スピード・ブックに本より直接スキャンして収録]  エロ、グロ、ナンセンスの会心作「恍惚下着専科」を発表。サン出版より同名の単行本発行。また同出版より「コミック・ペット/堕天使画集」として今までの作品を続々単行本化。全10巻位。これは今でも古本屋で流通しているとの事で、まだまだ世間様のお役にたっているらしい。  この年、「堕天使たちの狂宴」を描いていた『漫画エロジェニカ』が発禁処分、来年でもう20年目となる事だし、当時の人たちと集まってその大放談を収録し「発禁20周年特集号」でも創ってみようかと計画中。さて当時の秘話としてもう時効だろうから書いてみるけど、前述の『堕天使画集』に「堕天使たちの狂宴」は収録される事となり、当然修正をガンガン入れて出版されるものと覚悟していたら、米国から帰国後出来上がった本を見ると発禁になった状態のまま再録されている!以下桜木編集長との会話 ダ/いや~、いい度胸してますね。 編/だって修正してあるじゃない。 ダ/その修正状態で発禁になったんですよ 編/・・・・・ ダ/・・・・ 以下どんな会話が続いたのか失念…… それにしてもサドの「悪徳の栄え」の翻訳本は発禁後20年以上して復刻されたけれど、「堕天使たちの狂宴」は半年もしない内に単行本になっていたとはエロ本業界とは何といいかげんな世界!しかし作品そのものは、今見るとリメイクする気にもならないどうという事もない可愛い作品で、結局あれもあの時代の姑息な政治のひとかけらに過ぎなかったのだろう。いい点があるとしたら一つだけ、それまでのエロマンガになかった瞳パッチリの少女マンガ的ヒロインを登場させた事位か。今の美少女エロマンガは本家の少女マンガもかくや!という位眼が大きいが当時としては画期的だったかも。 ●1 9 7 9 ~   この年の「淫花蝶の舞踏」は「堕天使たちの狂宴」よりずっといい/『漫画ソフト』。今年出た「別冊宝島/日本一のマンガを探せ!」でベスト2000のマンガがセレクトされているが、ダー松の作品の中ではこの作品が選ばれている。教師と生徒、二人の女たちが様々な男たちの手によってに次々ともてあそばれ、闇の世界を転々として再び巡り会う時、女たちは蝶と化し水平線の彼方に飛び去り、男たちは殺し合い血の海の中で屍と化す。ダー松作品にはこのように男根が女陰の海に飲み込まれてに負けるパターンが多い。[性狩人、遊戯の森の妖精、美少女たちの宴、人魚のたわむれ・・等々]  この年からスタートの「性狩人たち」シリーズ[劇画悦楽号]はバレエ、バイオレンス、SEXの三要素がうまくからみあい、それぞれが頂点まで達する幸福な神話的作品だ。ここから派生した路線も多く、美少年路線は’83の「聖少女黙示録」へ。身体障害者路線は’80の「遊戯の森の妖精」、’84からの「美姉妹肉煉獄」へと繋がる。’81の最終話「ハルマゲドンの戦い」ではせりふなしで24ページ全てが大殺戮シーンという回もあり、中でも一度やりたかった見開きで銃撃戦の擬音のみという事も実現。こんな事がエロマンガ誌で許される時代だった。ちなみにこの回は[OKコラルの決闘・100周年記念]だが、何の意味もない。単行本は最初サン出版より、その後久保書店より「白鳥の飛翔」「少女飼育篇」「ヘラクレスを撃て!」「眼球愛」「海の女神」の全5刊。現在入手出来るのは後の3刊のみ。[「海の女神」も最近在庫切れ]  この年出た「人魚のたわむれ」の表題作は性器に{たこ}を挿入するカットを見た編集長が「・・・[沈黙]・・・頭おかしいんじゃ・・ブツブツ・・気違い・・・ブツブツ・・・」と呆れてつぶやいていたのを記憶している。たこソーニューは今年出た「夜顔武闘伝」で久しぶりに再現。なおこの作品は’83にマンガと実写を噛み合せたビデオの珍品となる。水中スローモーションファックがなかなかよい。 ●1 9 8 0 ~   なぜか「JUNE」の増刊として作品集「美少女たちの宴」がサン出版より出版され、その短編集をもとに脚本化し日活で映画が創られる事となる。[「花の応援団」を当てたこの映画の企画者・成田氏は日活退社後「桜の園」等を創る。]その際、初めて映画撮影所を見学し、せこいセットがスクリーン上ではきちんとした絵になってるのを見て映画のマジックに感心。タイトルはなぜか「性狩人」で、’96にビデオ化された。監督・池田敏春のデビュー第2作となり現在までコンスタントに作品を発表しているが、出来のいい作品も多いのになぜか代表作がない。初期の「人魚伝説」が一番いいか。  この映画に合わせて「美少女たちの宴」を2~3回のつもりで「漫画ラブラブ」で描き出すがどんどん話がふくらみ、おまけに描いてる出版社が潰れたり、雑誌が潰れたりで雑誌を転々とし条例による警告の嵐がきた「漫画大飯店」を経て、「漫画ハンター」誌上で完結したのは’83になる。この作品でクリトリスを手術してペニスのように巨大化させるという人体改造ものを初めて描く。  この年の「遊戯の森の妖精」は身体障害者いじめ鬼畜路線の第2弾!森の中の別荘に乱入したろくでなしの二人組が精薄の少女の両親達を虐殺し、暴行の限りをつくすむちゃくちゃな作品で、雷鳴の中、少女の性器に男達のペニスが2本同時に挿入されるシーンは圧巻!しかしこのとんでもない男達も少女の性のエネルギーに飲み込まれ、朽ち果てていく・・・。 ●1 9 8 1 ~   美少女マンガ誌のはしり「レモン・ピープル」誌創刊。そこで描いたのが「白鳥の湖」。虚構の世界のヒロインを犯すというコンセプトは、アニメやゲームのヒロインをずこずこにするという今の同人誌のコンセプトと同じかも。バレエ「白鳥の湖」において悪魔に捕われたオデット姫が白鳥の姿に変えられる前に何にもされてない筈がないというモチーフにより生まれたこの作品は、悪魔に男根を植えつけられたヒロインが命じられるままに次々と妖精を犯して歩き悪魔の娘となるまでを描くが、あまり成功したとは言えない。ただ人形サイズの妖精をしゃぶりまくり淫核で犯すアイデアは他に「少女破壊幻想」で一回やっただけなのでそろそろもう一度やってみたいところ。「ダーティ松本の白雪姫」はその逆をいき、犯す方を小さくした作品で7人の小人が白雪姫の性器の中にはいり、しゃぶったり、処女膜を食べたり、と乱暴狼藉![ちなみに両者をでかくしたのが同人誌「FUCK YOU!3」の「ゴジラVSジュピター」]この童話シリーズは意外と好評で続いて「ダーティ松本の赤い靴」を上記の単行本に描き下ろして収録。童話は結構残酷なものが多く、この作品も切られた足だけが荒野を踊りながら去って行くラストは原作通り。 *近年童話ブームだがこの頃もっと描いておけば「こんなに危ない童話」として刊行出来たのにとくやまれる。 「2001年快楽の旅」もこの本に収録。快楽マシーンを逆にレイプしてしまう、珍しく映画「2001年宇宙の旅」風のSF作品。  掲載誌を決めずに出来る限り多くのマンガ誌で描こうというコンセプトで始めたのがこの年スタートした「怪人サドラン博士」シリーズ。「不死蝶」シリーズや「美少女たちの宴」シリーズの中にも乱入し、「漫画ハンター」最終号では地球をぶっ壊して[その際地球は絶頂の喘ぎ声をあげ昇天する!]他の惑星へ行ってしまう。今のところ10誌位に登場。いつかこのサドラン・シリーズだけ集めて単行本化したいところ。ちなみに「サド」と「乱歩」を足して「サドラン博士」と命名。作者の分身と言っていい。 [後年、「魔界の怪人」として全作品を収録して刊行、04年現在品切れ中]  この年描いて’82の単行本『妖精たちの宴』に収録の「とけていく・・」はレズの女たちが愛戯の果てに、肉体が溶けて一匹の軟体動物と化す、タイトルも内容も奇妙な作品。作者の頭もとけていた? ●1 9 8 2 ~ 1 9 8 3   ’83年に「美少女たちの宴」が完結。全てが無に帰すラストのページは真っ白のままで、このページの原稿料はいりません、と言ったにもかかわらず払ってくれた久保書店、偉い![明文社やCM頁の稿料を削った出版社=某少年画報社なら払わなかっただろうな……と思われる……]この作品以外は短編が多く、加速度をつけてのっていく描き方が得意のダー松としてはのりの悪い時期に突入。また10年近く走ってきてだれてきた頃でもあり第一次落ち込み期と言っていい。マンガがスタンプを押すように描けないものか、などとふとどきな考えまで湧いてくる。思えば一本の作品には、いったい何本の線を引いて出来上がっているものなのか。数えた馬鹿はいないだろうが数千本は引いている筈。一ヵ月に何万本とペンで線を引く日々・・うんざりする筈です。  この頃のめぼしい短編をいくつか書くと、少女マンガ家の家に税務調査にきた税務署員が過小申告をネタにねちねちいたぶるが、アシスタントに発見された署員は撲殺される。そして板橋税務署は焼き討ちにあう、といった作品「[タイトル失念]xx税務調査」。[後日読者よりこのタイトルを「色欲ダニ野郎」と教えていただく。ひどいタイトル *編集者のつけるタイトルはその人のセンスが実によくわかる。しかしサイテ-の題だなこりゃ…。 果てるまで「おまんこして!」と言わせながら処女をやりまくる「美処女/犯す!」はラスト、狂った少女が歩行者天国の通行人を撃ちまくり血の海にする。「嬲る!」はパンチドランカーとなった矢吹ジョーが白木葉子をサンドバッグに縛りつけ、殴って、殴って、殴りまくる。段平おっちゃんの最後のセリフ「・・ブスブスくすぶっちゃいるが・・・」「打てッ!打つんだ!ジョー!」「お前はまだ燃えつきちゃいねえ!」とはエロ・ドランカーの自分自身に向けて発した言葉だったのかも。トビー・フーパーばりの「淫魔のはらわた」は電気ドリルでアナルを広げてのファック!とどめにチェーンソーで尻を切断!いまだに単行本に収録出来ず。[’98の「絶頂伝説」にやっと収録]「からみあい」は夫の愛人の性器を噛みちぎる。「危険な関係」はアルコール浣腸をして火をつけ尻から火を吹かせる。この手は『FUCK YOU!2』の「セーラー・ハルマゲドン」で復元。そういえばこの作品の序章と終章だけ描いて、間の100章位をとばすやりかたはこの頃の「禁断の性獣」より。女性器にとりつき、男性器に変身するエイリアンの侵略により地球は女性器を失い滅亡する、といったストーリーで当時聞いた話では谷山浩子のD.J.でこの作品がリスナーの投書でとりあげられ、ダー松の名はダーティ・杉本と読まれたそうな。ヒロインの少女がひろ子という名前なのでこのハガキが選ばれたのかもしれないが、作者は薬師丸ひろ子からとったつもりだったのだが・・。[別にファンではない。] 「女教師狩り」は映画館で観客に犯される女教師とスクリーン上の同名のエロ映画の二本が同時進行し、一本で二本分楽しめるお得な作品。 ’83は’80に「漫画エロス」にて描いた「エロスの乱反射」の最終回の原稿が紛失したため単行本が出せないでいたのを、またまた「仏の久保さん」に頼んでラスト近くをふくらませて「漫画ハンター」に3回程描かせてもらい、やっと’85に出版。見られる事に快感を覚えるファッション・モデルが調教される内に、次第に露出狂となっていき、街中で突然裸になって交通事故を起こさせたり、最後はビルの屋上でストリップショー。そしてカメラのフラッシュの中に飛び降りていき、ラスト1ページはその性器のアップでエンド!  本格美少年・ゲイ・マンガ「聖少女黙示録」も’83。レズの姉たちの手によって女装に目覚めた少年がホモのダンサーたちに縛られなぶられ初のポコチンこすり合いの射精シーン。そして性転換して女となった主いるが、その中の’84の「白い肌の湖」はタイトルで解る通りのバレリーナものだがポコチンを焼かれた男が、一緒に暮ら人公が手術で男になった少女と暮らすハッピーエンド。この作品は単行本「美少女ハンター」に収録されてす二人の女と一人の男に復讐するエンディングがすごい!まず男の性器を切り取り、片方の女の性器にねじ込んだあと、その女の性器ごとえぐり取る。そしてその二つの性器をつかんだまま、もう一人の女の性器にフィストファック!のあげく、その二つの性器を入れたままの女性器をナイフでまた切って、ほとんどビックマック状態でまだヒクヒクうごめく血まみれの三つの性器を握りしめるとんでもない終り方!全くダー松はこんな事ばかりやっていたのかとあきれかえる。もう鬼畜としか言い様がない!しかし「ウィンナー」を二枚の「ハム」で包むなんて・・GOODなアイデアだ、又やってみよう。 ●1 9 8 4 ~   「漫画ハンター」で「闇の宴」前後篇を描き、後日これをビデオ化。雪に包まれた六本木のスタジオで痔に苦しみながらの撮影。特別出演として中島史雄氏が絶妙の指使い、東デの学生時代の萩原一至が二役、取材に来たJITAN氏もスタジオに入ってきた瞬間、即出演で生玉子1000個の海で大乱交。カメラマンが凝り性で照明が気に入るまでカメラを廻さず、たった二日の撮影はやりたい事の半分も出来ず。撮影が終ると痔はすぐに完治。どうもプレッシャーからくる神経性だったみたいでこれに懲りてビデオは一本のみ。 この年の「肉の漂流」は親子丼もので、近所の書店のオヤジからこの本はよく売れたと聞いたが、一時よく描いたこのパターンは最近では「FUCK YOU!3」の「母娘シャワー」のみ。熟女と少女の両方が描けるところが利点。「血の舞踏」は久しぶりの吸血鬼もの。股間を針で刺し、噛んで血を吸うシーン等々いい場面はあるが、うまくストーリーが転がらず3回で止める。短編「果てるまで・・」は核戦争後のシェルターの中で、父が娘とタイトル通り果てるまでやりまくる話。被爆していた父が死んだ後、娘はSEXの相手を捜して黒い雨の中をさまよう。  またリサ・ライオンの写真集を見て筋肉美に目覚め、マッチョ女ものをこの頃から描き出す。しかしなかなか筋肉をエロティックに描くのは難しい。 ●1 9 8 5 ~   くたびれ果ててすっかりダレてきたこの頃、8年間働いてくれたアシスタント女史に代わってパワーのかたまり萩原一至、鶴田洋久等が東京デザイナー学院卒業後加わってダーティ・マーケットも第2期に突入!新旧取り混ぜておもしろいマンガをいろいろ教えて貰って読みまくる。「バリバリ伝説」「ビーバップハイスクール」「ペリカンロード」「めぞん一刻」「わたしは真悟」「Be Free!」「緑山高校」「日出処の天子」「吉祥天女」「純情クレイジー・フルーツ」「アクター」「北斗の拳」「炎の転校生」「アイドルをさがせ」「綿の国星」「いつもポケットにショパン」「バツ&テリー」「六三四の剣」永井豪の絶頂期の作品「バイオレンス・ジャック」「凄之王」「デビルマン」等々100冊以上とても書ききれない位で、う~ん・・マンガってこんなにおもしろかったのか、と感動! そこで眠狂四郎を学園にほうり込んで、今まであまり描かなかった学園マンガをエロマンガに、というコンセプトで始めたのが「斬姦狂死郎」。「六三四の剣」ばりに単行本20巻を目指すものの、少年マンガのノリは今では当たり前だが、当時はまだエロマンガとして評価されず、ほんの少し時代が早すぎたかも。’86に中断、今年’97に「ホリディ・コミック」にて復活!果たしていつまで続けられるか? →後に「斬姦狂死郎・制服狩り」、「斬姦狂死郎・美教師狩り」として刊行完結  前年末から始めた「美姉妹肉煉獄」は身障者いじめの鬼畜路線。盲目の姉とその妹を調教して性風俗店等で働かせ、娼婦に堕していく不健全・不道徳な作品で、肉の快楽にひたっていく盲目の姉に対し妹も「春琴抄」の如く己の眼を突き、自らも暗黒の快楽の世界にはいり、快楽の光に目覚めるラスト。 また、これからは女王様物だ!となぜか突然ひらめき「筋肉女」シリーズの延長としてフィットネス・スタジオを舞台に「メタル・クイーン」シリーズも開始。これは単行本2冊分描いたが、連載途中でヒロインの髪型を歌手ステファニーのヘア・スタイルにチェンジしたり、レオタードもたっぷり描けてわりと気に入っている。  10年近く描いた「美蝶」先生シリーズもこの年スタート!こうしてみるとマンガを描く喜びに満ちた大充実の年だったかも。 ●1 9 8 6 ~   この年は前年からの連載ものがほとんどだが、「エレクト・ボーイ」は空中でファックするシーンが描いてみたくて始めた初の超能力エロマンガ。コメディ的要素がうまくいかず2回で止める。この路線は翌年の「堕天使輪舞」で開花。  「夜の彷徨人」は自分の育てた新体操選手が怪我で選手生命を失ったため、その女を馬肉のごとく娼婦として夜の世界に売り渡した主人公という設定。しかし腕を折られ、女にも逆に捨てられ、そして事故によってその女を失ったあげく不能となってしまう。失った快楽を取り戻すため無くした片腕にバイブレーターを取りつけ、夜の街をさすらい次々と女たちをレイプしていくというストーリー。がっちり設定したキャラだったのにまったく話がはずまず、男のポコチンは勃起しないままに作品も不発のまま終る。  「斬姦狂死郎」が不本意のまま終わったため学園エロス・シリーズは「放課後の媚娼女」へと引き継がれる。当時見ていた南野陽子のTV「スケバン刑事・」とS・レオーネの「ウエスタン」風に料理。ラストの「男といっしょじゃ歩けないんだ」のセリフは一番好きな映画、鈴木清順の「東京流れ者」からのもじり。単行本は最初司書房から出て、数年後ミリオン出版から再販、そして’97久保書店より再々販ながら結構売れて今年また再版。この作品は親を助けてくれる有難い孝行息子といったところ。 ●1 9 8 7 ~   さいとうプロOBで那珂川尚という名のマンガ家だった友人の津田が「漫画ダイナマイト」の編集者になっていて、実に久しぶりに同誌で「堕天使輪舞」を描く。超能力エロマンガの第2弾。今回はエロと超能力合戦とがうまくミックスされ一応成功といっていい。この路線は「エレクト・ボーイ」とこの作品、そして’96の「夜顔武闘伝」も含めてもいいかも。一時、この手の作品は数多くあったが最近はめったに見かけない。しかし、まだまだこの路線には鉱脈が眠っているとにらんでいるがどんなものだろう。 ●1 9 8 8 ~   「放課後の媚娼女」に続いて抜かずの凶一無頼控え「放課後の熱い祭り」を2年がかりで描く。’89に完結し司書房より単行本化。そして今年’97に改定してめでたく完全版として復刊!この頃が一番劇画っぽい絵で、たった2~3人のスタッフでよくこれだけ描き込めたなと改めて感心!エロシーンがちょっと少なめながら中島史雄氏がダー松作品でこの作品が一番好き、とお褒めの言葉を頂戴する。  TVで三流アマゾネス映画を見ている内、むくむくとイメージがふくらみ、昔から描きたかった西部劇と時代劇がこれで描けると、この年スタートさせたのが「不死蝶伝説」なるアマゾネス路線。昔々青年誌の創世期にあのケン月影氏がマカロニ・ウエスタンを描いていたことを知る人は少ないだろう。俺もあの頃デビューしていたらウエスタンが描けたのに、と思う事もあったが、このシリーズでほんの少しだけその願望がかなう。  この頃、アシスタントやってくれてた格闘技マニアの鶴田洋久に誘われ、近所の空手道場通いの日々。若い頃修行のため新宿でやくざに喧嘩を売って歩いたという寺内師範は、もう鬼のような人で、行けば地獄が待っていると判っててなぜ行く?と不思議な位休まず通う。体育会系はマゾの世界と知る。組手は寸止めではなく顔面以外は当てて可だったので身体中打撲のあざだらけ、ビデオで研究したという鶴田の体重をかけたムエタイ式の蹴りをくらい、右手が饅頭のように腫れ上がる。先輩たちの組手の試合も蹴りがもろにはいってあばら骨が折れたりで、なぜこんなヘビーな事をする?と思うが、闘う事によって身体の奥から何か沸き上がってくるものがある。スリランカの元コマンドと組手をやった時、格闘家の気持ちが少しだけ判るようになった。 ●1 9 8 9 ~   ’94まで続く「美蝶」シリーズでこの年は『ノスフェラトウ篇』を描き、シリーズ中これが一番のお気に入り。同人誌の「王夢」はこれが原点。  短編では「悪夢の中へ」はスプラッタ・エロマンガで久しぶりにチェーンソゥでお尻のぶった切り!はらわた引きずり出し、人肉食いちぎり!顔面叩き割り等々でラストに「ホラービデオの規制をするバカは俺が許さん!」などと書いているので、この年が宮崎事件の年か?世間は彼が日野日出志・作のホラービデオ「ギニーピッグ」を見てあの犯罪をおかした、としてさんざんホラービデオの規制をやっといて、結局見てもいなかったとわかったあとは誰一人日野日出志氏にもホラービデオさんにも謝らす゛知らんぷり。残ったのは規制だけで、馬鹿のやる事には全く困ったもんである。先日の「酒鬼薔薇・14才」の時も犯罪おたくの心理学者が、「これはマンガやビデオの影響です。」などと相も変わらずたわけた寝言をぬかしていたが、馬鹿はいつまでたっても馬鹿のまま。少しは進歩しろよ!お前だよ、お前!短絡的で幼稚な坊や、小田晋!よぅく首を洗っとけ!コラ!  「獣人たちの儀式」は退学者や少年院送りになつた生徒、暴走族、ヤクザ達が集まって酒盛りしながら女教師たちをずこずこにしてOB会をひらく不健全作品。編集長が「また危ない作品を・・・」とこぼしたものだが、岡野さん、田舎で元気にお過しでしょうか。この頃の「漫画エロス」には「ケンペーくん」だとか「アリスのお茶会」だとかおもしろい作品が載っていたものです。「爆走遊戯」は伝説のストーカー・ろくでなしマンガ家の早見純が一番好きな作品と言ってくれたが、なぜだかわからない。人の好みはいろいろです。以上3本は単行本「熱き唇の女神」に収録。 「ふしだらな女獣たち」はフェミニストの女二人が美少年をいじめる話。これは「氷の部屋の女」に収録。 ●1 9 9 0 ~   この年の「美蝶」シリーズは『ダンシング・クイーン篇』。マネキン工場跡でJ・ブラウンの「セックス・マシーン」にのせて5人プレイをするシーンや文化祭でのダンスシーン等々結構好きな場面多し。暗くて硬い作品が多いので、この「美蝶」シリーズは肩肘張らずに、かなり軽いノリでキャラクター���動きに任せて、ストーリーも、そして次のコマさえも先の事は何にも考えず、ほとんどアドリブで描いた時もある。  「不死蝶伝説」に続いてシリーズ第2弾「不死蝶」は2誌にまたがって2年位続ける。これも結構お気に入りの一遍。 ●1 9 9 1 ~ 1 9 9 3   「性狩人たち」の近未来版、といった感じの「夜戦士」は学園物が多くなったので、マグナム銃で脳天をぶっとばすようなものが又描きたくなって始めたミニシリーズ。全5話位。松文館より単行本「黒い夜と夢魔の闇」に収録。  この年から知り合いの編集者がレディス・コミックを始める人が多く、依頼されてどうしたものかと思ったが、エロなら何でもやってみよう精神と何か新しい世界が開けるかも、という事から’94位までやってみたものの結果的に不毛の時代に終わる。与えられた素材が体験告白物という事で、非現実的なものは描けないという事は得意技を封印して戦うようなもので苦戦を強いられ、これって内山亜紀氏がやまさき十三原作の人情話を描いたようなミス・マッチングで不発だったかな。今後、もしやることがあれば美少年SMのレディス・コミックのみ。そんな雑誌が出来れば、の話だが。  いくつかやったレディコミの編集の一人「アイリス」の鈴木さんは同じさいとうプロOBで、マンガ・アシスタント、マンガ家、マンガ誌の編集、そして今はマンガ学校の講師、とこれだけ多くのマンガに関わる仕事をしてきた人はあまりいないだろう。これでマンガ評論でもやれば全て制覇だが・・・。  この頃はいつもと同じ位の30~40本の作品を毎年描いていたが、レディコミは一本30~40枚とページが多く結構身体にガタがきた頃で、右手のひじが腱傷炎になり1年以上苦痛が続く。医者通いではさっぱり痛みがひかず、電気針で針灸治療を半年位続けてやっと完治。その後、住んでいたマンションの理事長を押しつけられ、マンション戦争���渦中に巻き込まれひどい目にあう。攻撃するのは楽だが、話をまとめるなどというのは社会生活不適格のダー松には大の苦手で「お前等!わがままばかり言うのはいいかげんにしろー!」と頭をカチ割りたくなるような事ばかりで、ひたすら我慢の日々で血圧がガンガン上がり、病院通いの日々。確実に寿命が5年は縮まる。あの時はマジで人に殺意を抱いたものだが、今でも金属バット持って押しかけて奴等の脳みそをクラッシュしたい気分になる時もある。いつかこの時の事をマンガにしようと思っていて、まだ誰も描いてない「マンション・マンガ」というジャンル、タイトルは「我が闘争」。え?誰も読みたくない?  この間に出た単行本は「血を吸う夜」、「赤い月の化身」「熱き唇の女神」[以上・久保書店] /「牝猫の花園」「真夜中の人魚たち」[以上久保書店]、「美蝶/放課後篇」「美蝶/ダンシング・クイーン篇」「不死蝶/鋼鉄の女王篇・上巻」[以上ミリオン出版]。 ●1 9 9 4 ~ 1 9 9 5   ろくでもない事が続くのは厄払いをしなかったせいか、このままここにいたら頭がおかしくなる、と15年以上いたマンションから引っ越し。板橋から巣鴨へ移動し気分一新!以前からうちもやりましょうよ、と言われていた同人誌創りをそのうち、そのうちと伸ばしてきたものの遂に申し込んでしまい、創らざるをえなくなる。しかもそれが引っ越しの時期と重なってしまい大いに後悔する。しかしいろんな人にお願いして何とか一冊でっちあげ、ムシ風呂のような夏コミに初参加。これが運命の分岐点。レディコミもこの年で切り上げ、以下同人街道をまっしぐら。現在まで「FUCK OFF!」が9まで、「FUCK YOU!」が4まで計10+&冊創る。  ’95からダーティ松本の名前にも飽きてきたしJr,Sam名でも描き始める。 レディコミ時代は松本美蝶。あと2つ位違うペンネームも考案中。  この間の単行本「氷の部屋の女」「双子座の戯れ」[久保書店]、「黒い夜と夢魔の闇」[松文館]、「危険な女教師/美蝶」[ミリオン] ●1 9 9 6 ~   美少女路線の絵柄もこの年の「夜顔武闘伝」あたりでほぼ完成、今後また少し変化させる予定。しかしこの作品は超能力、アマゾネス、忍法エロマンガとでも呼ぶべきか。「グラップラー刃牙」みたいに闘技場での勝ち抜き性武道合戦までいきたかったけれど、残念ながらたどり着けず。  「冬の堕天使」は久しぶりの吸血鬼もの。都営住宅で生活保護をうけている吸血鬼母子のイメージが浮かび、そこから漫画家協会・加藤芳郎を撃つ有害図書騒動のマンガへ。吸血鬼少年が光の世界との戦いに旅立つまでを描き、「闇に潜みし者」は時空を越えて近未来での戦い。その間を描く作品を今後創らなければ。  「FUCK CITY 2006」はクソ溜めと化した近未来のTOKYOを舞台に久しぶりにダーティ・バイオレンスが炸裂!ハード・エロ劇画と同人誌風・美少女路線の合体は果たしてうまくいったかどうか?30ページほど描き足して、’97、9月にフランス書院のコミック文庫にて発売。[「少女水中花」]  「放課後の媚娼女」と「人形愛」刊行。[いずれも久保書店刊]前者は以前、上下巻だったのを一冊にまとめて。後者は近作を集めた同人時代を経ての初単行本で、同人誌を知らなかった読者はショックを受ける。メタルフアンから以下のようなお手紙を受け取る。「これはジューダス・プリーストの『ターボ』だ。ラストの『眠れる森の少女』は『レックレス』にあたる。しかしジューダスもその後『ラム・イット・ダウン』や『ペイン・キラー』という傑作を世に出した事だし、今後を期待したい」という意のダー松のようなメタルファン以外は意味不明の激励をうける。 ●1 9 9 7   同人誌「エロス大百科シリーズ」スタート!いろんな項目別に年2刊づつ計100ページ位を別刊シリーズとして出し続ければ10年で1000ページになり、以前「谷岡ヤスジ1000ページ」という枕に最適の本があったが、これも一冊にまとめて枕にして寝れば、目覚める頃は3回夢精しているなんて事に・・・などとまだたった40ページの段階で言っても何の説得力もないか。飽きたら2~3号でSTOPするだろうし・・。[推測通り「毛剃り」「美少年SM」「女装」3号でストップ中]冬にはやおい系にも進出の予定。  今年出した単行本は厚くて濃いエロマンガを集めた久保書店MAXシリーズ第2弾!「放課後の熱い祭り/完全版」と「夜顔武闘伝」オークラ出版。ともに大幅描き足して25周年記念出版として刊行。ティーツー出版よりJr,Sam名で「昼下がりの少女」、9月にはフランス書院より「少女水中花」の文庫本が出る予定で現在、この同人誌と並行して描き足し中。「斬姦狂死郎」第2部も「ホリディ・COMIC」誌にて6月よりスタート!年内創刊予定の『腐肉クラブ』なる死体姦専門のマンガ誌にも執筆予定。  さてさて25年間、旅行の時を除いて、現在まで2日続けてマンガを描かなかった事はほとんどない。これはその昔、伊東元気氏というマンガ家とお会いしたとき「今月何ページ描いた?」との問いに、「今月仕事ないんでぜんぜん描いてません」と答えたら、「そんな事じゃ駄目だ。仕事があろうがなかろうが、毎月100頁は描かなきゃ。」と言われ、以後その教えを守り[描けるページ数は減ったが]、マンガは仕事ではなくなり、朝起きたら顔を洗うのと同じで生活そのものとなり現在に至る。  今は何でも描けそうなハイな状態で、以前はたまには外出しないと煮詰まってしまうので週いち位ガス抜きをしていたものだが、最近はせいぜい月いち休めば十分の「純エロマンガ体」。[純粋にエロマンガを描くためだけの肉体、の意。ダー松の造語]  こうしてふり返ると、この路線はまだえぐり足りない、これはあと数回描くべし、なぜこれを一度しか描かない!等々、残り時間にやるべき事、やりたい事の何と多い事! 爆裂昇天のその日まで・・・      燃 え よ ペ ン !  なお続きは 1997年後期 1998年 INDEX
http://www.rx.sakura.ne.jp/~dirty/gurafty.html
17 notes · View notes
gaori-m · 5 years
Text
余は如何にしてセクラバとなりし乎
どの大晦日だっただろうか。
私は家族と紅白歌合戦を見ていた。
私は大晦日紅白絶対主義者であり、妹がガキ使を見ていたとしても、視聴予約をしておいて紅白が始まったら即座に切り替わるようになっていた。
小さな頃はチャンネル争いを激しく繰り広げていたが、その頃には妹も諦めきっていた。
かと言って、私は熱心に紅白を見ていたわけでもない。私は流行りの歌手がわからぬ。
唯一聞いていたJ-popと言える音楽は、アンジェラアキぐらいだった。アンジーに関しては、初期のシングルから聞いてきたファンで、最後のライブもチケットを確保してくれた友人のおかげで行くことができた。
その時のライブの衝撃は忘れられない。アンジーのパフォーマンスもさりながら、
「え?コンサート中は席から立つの?」
という質問をするほどの世間知らずだった。それから幾年、立見席で団扇を胸にペンラを片手に “Bravi!!”と歓声をあげるとは1ミリも思っていなかった。
その年の紅白も演歌歌手以外ほとんどわからず、ハロプロ、ジャニーズ、アルファベットと数字のグループも名前を見たことがある程度だった。宜なるかな、アイドルグループは嵐ぐらいしか誰が誰なのかもわからない。
一方で、NHKの歌番組の良いところは、先日の「思い出のメロディー」でミッツ・マングローブさんが指摘していたとおり「振れ幅」である。アイドルの歌と踊りもあれば、聞かせる歌手もいる。それ故に、紅白で感銘を受けて聞くようになった歌手や歌もたくさんある。美輪明宏さんの「ヨイトマケの唄」はその典型的な例である。
だが、私の目は開いていなかった。曲の直前に現れたグループを一瞥して、「また過激な名前だこと。本人たちは意味がわかっているのかしら」などとビチビチ言いながらチビヒチビ酒を舐めていた。
さはさりながら、実はこの年の紅白で、キメッキメの勝利くんの表情にキュンとしていた。
それからとても長い時間が経った。
その間にマイケル・ジャクソンが逝去した気がするし、オバレが解散を強いられた気もするし、宮崎駿監督が引退宣言をしていた気がする。要はいろいろなことがあったのである。
プライベートでも、元来楽天的な自分が精神的に体調を崩したり、家族が他界したり、足を火傷したりした。世間にとってはどうでもいいことだが、個人的にはいろいろなことがあったのである。
ある日、友人がトゥイッターでセクゾの話をし始めた。今考えると撒き餌だったのかもしれない。
「ふーん」と関心があった呟きをファボする。すると友人からLINEが届いて曰く、
「Sexy Zoneを一緒に推しましょうよ」
そして、簡潔かつパッション溢れる概要説明があった。第1の聞法である。
しかし、当時の私は無知であり、ふまけんを区別できなかった。牛タンゲームをしていたのはケンティーだと思っていた。否、ふうまちんである。そして、数々のトンチキソングたちを愛せずにいた。
「『WildがMildになる』のは流石に無理があるし、そもそもなんでsexy summerに雪が降るの?」
そんな未熟な人間にもかかわらず、先輩セクラバたる友人は優しくサンガに招き入れた。コート・ダジュールでリペ魂を見た。第2の聞法である。
帰りのバスの中、私は、スマホでファミクラへの入会手続きを進め、ジャニーズネットに課金し、リペ魂のブルーレイ、リペのアルバム、stageのブルーレイをとりあえずAmazonで注文した。大人であることの特権を振りかざした瞬間である。
あの時の感動を何と言い表せば良いであろうか。私がSexy Zoneに抱いていた全ての偏見が覆された。
ただひたすらに顔がいいと思っていたしょりぽんのお茶目さ(プンププンプン)、ケンティーの一瞬も力を抜くことない、にも関わらず自然でsexyな所作、ぱっと見怖かったふうまちんの多彩な歌声と愉快なトーク、マリちゃんの成長ぶり、そしてソウ・マッシマである。鼻の下投げキッス、ひょっこりさん(最近知った)、圧巻のファンサ、その一方で横アリのスクリーンを我がものとするパフォーマンス...
セクラバという言葉が生まれる前、セクゾのファンは、セクガル、セクメンと呼んでいた。しかし、それに加えてSexy Loversという言葉がケンティーによって生み出されたと聞く。これは、阿弥陀如来の摂取不捨の弘誓に通��るものである。
合掌...いただいた浄なる右手と我が不浄なる左手を合わせ、ただ感謝するしかない。
日を経るごとに円盤が増え、ポポロやMyojoといったドル誌、インタビューが掲載されたこれまで手に取ったこともないような若者向けファッション誌(近しいところでも宝塚関係である)、部屋をsexyたちが埋めていく。
もともとひどく腐っていた私は、本棚からはみ出て本棚の前に本の山を作る愚か者であ��。しかし、同時に語学オタクでもあり、仕事関係の本でも山を作っていた。それまで本の山たちは2つであった。真面目な本のそれと不真面目な本のそれである。ここに新たな山が生まれた。
何番煎じか知らないが、私はその山のことをsexy zoneと呼んでいる。大切なことのため補足するが、小文字のsexy zoneである。
曲を聴き、ライブ映像・特典映像を見て、セクチャンも見て、時に編集者のスクリーニングがなかったとしか思えないようなインタビューを読む。一度読み、反芻してから映像を見ると新たな発見がある。まさしく「學而時習之、不亦説乎」。
そんなある日、友人からLINEが届て曰く、
「ライブに行きませんか」と。
身に余る喜びである。
一方で、ティーンなど遥か彼方に卒業した私がその場にいてよいのだろうか。恥ずかしくて死んでしまうのではないか。また、私は無駄に背が高い、というより長い。背の低いティーンたちに、後ろから石を投げられないだろうか。
しかし、これら懸念はナンセンスであった。セクラバの懐は深い。そして、sexyたちは、ティーネージャーが応援するものと考えること自体がsexyたちの思いに反することであった。
そして、これらの無駄な逍遥を凌駕するほど、sexyのライブは圧巻であった。
初のライブ参戦、第3の聞法である。
プロフィールからもわかるとおり、私は聡ちゃんを中心とした箱推しを自認しているが、今回はしょりぽんの団扇を買うことにした。普段、友人と話す時に使っている勝利くんの愛称「しょりぽん」「しょりり」「ちょり」なんて物販の人に言っても通じないんじゃないだろうか...かと言って「勝利くん」なんて呼ぶなんて馴れ馴れしすぎるし...と思って最終的な結論として「佐藤さん」の団扇とお写真とあとペンラと会報入れを注文することにした。物販のお姉さんも「佐藤さんの団扇です」とリテンションがすごい。
結果として「佐藤さん」の団扇やプロマイドやらを、友人の忠告どおり持ってきておいた大きめの紙袋に入れて物販を出た。
「佐藤さん」の団扇がでかい。そして「佐藤さん」の眼力が強い。これは扇ぐためのものではなくて応援のためのグッズなのだ。確かに普通のサイズの団扇だとステージに立つアーティストからは見づらい。他のファンの邪魔にならずさない最大のバランスを図ったものなのであろう。
そしてペンラである。言葉がない。ただありがたい。今、家の仏壇的なエリアに一緒に飾ってある。
ペジ魂は、近々発売される円盤を以って聞くべきものである。
だが2つだけ、付言することが許されるのであれば、開始前の茶畑、五濁悪世のこの世に数少なき優しい世界であった。
そして、最後のしょりぽんのアクションは、可愛すぎて私の心から永遠に消えない。
帰りの道すがら、私は友人に言った。
「やっぱ、ライブいいわぁ...」
オペラやクラシックのコンサートは、いくらでも円盤になっているが、やはり舞台で聞くと、弦楽器の音の震えや歌手のブレスや間の取り方が空気を通じて感じられる。なかなかお高いため舞台に行けず、ブルーレイで済ますことも多いが、やはりその場で聞くのには敵わない。
ライブも要はそういうことである。
しかもライブの恐ろしいことはそれぞれの一回性がオペラよりも高く、各地各回ごとにMCからパフォーマンスまで違う。
なんということだ。何度も通わなくてはいけないじゃないか。
かつての私は、朝起きてパンとサラダを食べて、昼は職場の近くに来るお弁当屋さん(たまにチキンライスのチキンに火が通っていない。チンすればいいだけの話だが)を食べ、夜はお腹が空かないためサラダを摘みながら酒を飲む質素な生活を送っていた。
ぱっと見ヘルシーでマリのようなご飯メニューに見えるが、酒をとんでもなく煽るので真逆である。マリ様に日々の生活を提出しようものならお説教されそうである(それはそれでいい)。
職場のデスクは、執務資料と辞書、あと両親の写真ぐらいしか置いていない殺風景なものだったが、今ではからテンのMV撮影に臨むチビーズたちのかわいい写真が飾ってある。私は、上司たちに背を向けて座っているため、上司たちは私よりも寧ろ日に何度も麗しいちょりー、ソちゃん、マリの笑顔を拝んでいる。拝観料を取ってもいいのではなかろうか。
私は、多少BL漫画を読んで、多少酒を飲む以外、非常に慎ましい生活を送っていた。
たとえSexy Zoneの功徳を説けど、いくらなんでもセクラバになれば人生薔薇色などというつもりは毛頭ない(効能は強いが、危ない薬として取り締まられてしまうかもしれない。訴因、sexy)。
しかし、何回りも若い子たちから多くのことを学んでいるのは事実である。
1つ例を出したい。
私は年を経るごとに誕生日というものを記憶から抹消し、家族や友人からのメッセージでやっと誕生日を思い出した。家族たちに適当なお礼を伝えて仕事に戻り、案の定日付が越えた頃に帰宅すると、バースデーカードが届いていた。
第4の聞法である。
これは、個々人に届けられ、個々人が聞くべきものであって、私がここで解説すべきものではない。
唯だ1つ、私の変容を伝えることだけ許していただきたいが、私は己の行動を強く恥じた。そんな機会をくれたsexyたちに感謝の念を伝えたい。
人が喜びと苦しみの中(これを「度すること難しき海」、「難度海」に例えよう)でなんとか生きる中で、私の出会ったsexyたちは、そのものが我々を導く無礙の光明というよりも、彼らは、難度海をともに渡り、光明を探すものであるようにみえる。経に曰く
『今生まれたこの時代の中で、僕ら光さがしている』
余は如何にしてセクラバとなりし乎。
竊に以みれば、最初こそ彼らのかっこよさ、美しさに惹かれるも、段々彼らの語る言葉、行動に惹かれていく。彼らの紡ぎ出す言葉の一つ一つに、私は少なからず彼らの直面してきた労苦を見出すとともに、同時に彼らの偉大さを嘆ずる。
今日もまた、円盤やラジオ、会報、雑誌でsexyたちの言葉を聞く。
時々、「変態(笑)」と呼ばれかねない内容を私も投稿したり、ライブで声をあげたりする。
これ、愛しきsexyたちがsexyであり続けられるように、彼らの誓願が広く響き渡るように、祈り申し上げるものなり。
斯くして余はセクラバとなりき。
敬って白す🌹
2 notes · View notes
whitedogqc · 3 years
Link
0 notes
groyanderson · 3 years
Text
ひとみに映る影シーズン2 第三話「招霊上等仏恥義理」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 最低限の確認作業しかしていないため、 誤字脱字誤植誤用等々あしからずご了承下さい。 尚、正式書籍版はシーズン2終了時にリリース予定です。
(シーズン2あらすじ) 私はファッションモデルの紅一美。 旅番組ロケで訪れた島は怪物だらけ!? 霊能者達の除霊コンペとバッティングしちゃった! 実は私も霊感あるけど、知られたくないなあ…… なんて言っている場合じゃない。 諸悪の根源は恩師の仇、金剛有明団だったんだ! 憤怒の化身ワヤン不動が、今度はリゾートで炸裂する!!
pixiv版 (※内容は一緒です。)
☆キャラソン企画第三弾 加賀繍へし子「我等、五寸釘愚連隊」はこちら!☆
?????
 その夜、私は激しい雷雨の音で目が覚めた。雷が鳴る度に地面が微かに振動し、天井から垂れ下がる人天蓋も揺れているようだ。ベッドから起き上がり、着崩れた僧衣を軽く直して様子を見に行く。重たくなった引き戸をこじ開けると、水没した橋のようになった露台から雨水が雪崩込んできた。目の前に見える安達太良山は山頂付近が重い雲で覆われ、普段露台で寛いでいると挨拶をしてくれるトンビやカラスも、当然今日は飛んでいない。妙だ。石筵観音寺(いしむしろかんのんじ)で、天気がこんな風に荒れるのは初めてだ。私は美しい木彫りの観世音菩薩像の御前で印相を組み、真言を唱える。 「オム・マニ・パドメ・フム……オム・マニ・パドメ・フム……」  すると仏像に蛍火のような淡い光が灯り、既に御仏になられた私の恩師、ここ石筵観音寺の和尚様が金剛観世音菩薩として顕現された。 『外で何が起きているのですか』  声ではない波動で、和尚様の言葉を感じる。私は雨が降りしきる露台の方を向き答えた。 「まだわかりません。ですが昨日、散減という怪物と遭遇しました」 『チルベリ』  それはこういう怪物でしたか? と聞かんばかりに、和尚様の手から霞のようなエネルギーが立ち上り散減の姿を象った。飛行機の機内では気がつかなかったけど、散減は毛虫状の体の両端に顔がついていて、どちらも頭になっているようだ。右の顔はまるでミルクを飲む赤ちゃんのように口をすぼめて和尚様の霞を吸い、左の顔はまだらに濁った茶色い液体をゲロゲロと吐き出している。和尚様はそれをグシャッと握り潰した。彼の御顔は穏やかな観世音菩薩から、憤怒相をたたえる馬頭観音に変わっていた。 『行くのです、一美。偽りの金剛を斬るのです』
དང་པོ་
 午前〇時半、ホテル千里アイランドリゾート宴会場。川の字に並べられた中央の布団で、私は目を覚ました。どうやら観音寺の夢を見ていたようだ。外は夢と同じ雷雨。とても嫌な予感がする。様子を見に行きたい。けど、佳奈さんの枕元からスマホの光が漏れている……まだ起きているみたいだ。さてどうしたものか、と考えていると、私の背中側に誰かがコロンと寝転んだ。 <こんばんは! お邪魔していい?>  私の影にテレパシーが伝わってくる。万狸ちゃんだ。 <一美ちゃん、ムニャムニャ寝言言ってたけど大丈夫?> <うん、ありがとう万狸ちゃん。……お願いがあるのだけど>  私は夢や嫌な予感の事を万狸ちゃんに伝えた。そして、私の代わりに少し外を見てきてほしいと。 <散減……一美ちゃんは、お昼の怪物の事知ってるの?> <ほんの少しだけね。昔戦った悪霊の仲間なんだって> <じゃあ、一美ちゃんがパトロールに行った方がいいかな。私がこの体回しておくから、行ってきていいよ!> <頼んじゃっていいの? じゃあ、十分ぐらいお願いしようかな> <オーケー。あ、ちょっと待ってて>  万狸ちゃんは襖をすり抜け、男性側の寝室に入っていった。『体を回��』。つまり霊能者が幽体離脱をする時に心臓や呼吸が止まらないよう、誰か他の霊に体を預けておくことを意味する専門用語だ。普通は親戚とか、余程信頼できる霊にしか頼まないものだけど、彼女はプロ霊能者である後女津斉一さんの娘だ。安心して体を預けられる。  程なくして万狸ちゃんは、斉三さんを連れて戻ってきた。護衛につけてくれるそうだ。私は万狸ちゃんに肉体を預けた後、肉体から念力で影だけを集め、幽体離脱した霊魂に纏う。こうする事によって、影法師使いは影と念力でできた体を持つ強力な霊体になれる。世間では未確認生物シャドーパーソンとも呼ばれる、まさに『影法師』という形態だ。準備ができた私と斉三さんは、ホテルの中庭方面へ見回りに向かった。 「こんな時間にお付き合いさせてしまってすみません」 「構いませんよ。むしろこの島では、一人で出歩かれる方が困る」 「……あの、万狸ちゃんから伺ったんですが、あなたは……斉一さんの、ドッペルゲンガーだとか」  歩いていた斉三さんがピタリと立ち止まる。 「……十年以上前の話です。台風による津波から避難するため、斉一は身重の妻を乗せて運転していた。すると山が崩れ、彼らは土砂で生き埋めになりました」 「土砂災害……!」 「三人は救出されましたが、斉一が次に目覚めた時、妻は酸欠の後遺症で植物状態に。子供も流れていました。それを聞いた斉一の精神は三つに分裂して、そのうち一つが僕……」  斉三さんはゆっくりと振り向きながら、狸から人間の姿に変身した。 「事故当時のまま、時が止まってしまった側面です」  それは十数歳ほど若い頃の斉一さんだった。右半身が血と細かいガラス片でキラキラと輝いていて、右腕は折れているのか肘から下がだらりと垂れている。嫌でも凄惨な事故現場を想起してしまう、痛ましい説得力のある姿だ。 「すいません、そんな過去とは知らずに……」 「お気になさらないで下さい。今の僕達には、万狸がいますから」  後女津万狸ちゃん。流産してしまった水子の魂が妖怪になったのか。十数年前に赤ちゃんだった彼女は今、中学生ぐらいだ。恐らくは、生きている子供と何ら変わらない愛情を注ぎ込まれて育っているんだろう……。何があっても、この島で彼らの縁は守らなければならない。そう思った丁度その時だった。 「きゃああっ!」  ホテル棟とやや離れた中庭奥、業者用駐車場方面から悲鳴が上がった。私達は一瞬顔を見合わせ、声の方向に駆け寄る。斉三さんは小さな化け狸姿に戻ってコンクリート壁をすり抜け、私は壁沿いに灯る照明の光をつたって影体を這わせた。
གཉིས་པ་
 駐車場にいたのは加賀繍さんを取り巻いていたおばさま軍団だ。よく見ると中央のおばさまがナイフを掲げている! 「不思議よねぇ……。今日までずっと一緒に活動してきたのに、なーんかストンと醒めちゃったわ。加賀繍へし子なんかペテン師よ、ペテン師……イヒヒ……」 「な……何を言ってるの!? こんな夜中に急に呼びつけて……ともかくそのナイフを下ろして!」  別のおばさまがナイフを持ったおばさまを宥めている。ナイフのおばさまは口角から茶色い液体を垂れ流し、目も焦点が定まっていない。それを見た瞬間、私の中で二つの手がかりが繋がった。 『右の顔はまるでミルクを飲む赤ちゃんのように口をすぼめて和尚様の霞を吸い、左の顔はまだらに濁った茶色い液体をゲロゲロと吐き出している』 『母乳を奪えば子は親の因果を失い、他人の母乳を飲ませれば、子とその相手は縁で結ばれる』 「そうか、あの液体が縁の母乳なんだ!」 「縁の母乳?」 「はい。どういう仕組みかはわからないですけど、散減は人の縁をミルクみたいな液体にするんです。あの人のは茶色く濁ってるから、散減に縁を奪われて、代わりに悪縁を植え付けられたんだと思います」 「母乳か……エーテル法具と呼ばれる物の類だろう。それじゃあ、散減は何処に……?」  斉三さんが周囲を見渡す。確かに大雨で視界が悪いせいでか、散減本体が見当たらない。おばさまはナイフを舌なめずりし始めた。 「一体どれだけの人間が、あの強欲バブアァァーに毟り取られたのかしら。成敗しなきゃ……共犯者の私達が責任取らなきゃでしょぉ? 暗殺ゥ、あなた達も協力しなさいよォォ……!」  フシャアァァァ! おばさまの口から穢れた母乳が霧状に吹き出す。霧は雨風に飛ばされる事なく、他のおばさま方の方に流れ……すかさず斉三さんが飛び出した! 「そうか、気枯地(けがれち)だ! まずい!」 「気枯地?」 「説明は後!」  斉三さんの尻尾が回転しだす。たちまちそれは極彩色に輝く糸車になった! そこから数本の糸が放たれ、伸長しながらおばさま方を繭状に包み込む。すると繭に触れた穢れ母乳霧は空気清浄機を介したように消滅! 「ふぅ……。気枯地、パワースポットの逆、厄や災いを招く地。木々は曲がりくねって伸び、水が歪んで流れ、磁場も気圧も狂っている。この島に来た時からずっと嫌な感じがしていた。地相学的に言えば、この島全体が大きな悪霊なんです」  斉三さんは極彩色の尻尾を引っ込めた。 「それじゃあ、あの人は……千里が島そのものに取り憑かれているんですか!?」  言われてみると、確かに私も島に来てから体に不快感を覚えていた。しかも今、母乳霧は雨を貫通して漂った。これは明らかに異常だ! 「どうして? どうして仲間になってくれないの! 断ち切ってやる……お前達のその縁、断ち切ってやるゥーーーッ!!」  ナイフのおばさまがおばさま方に襲いかかる! 「きゃあああ!!」 「危ない!」  私は咄嗟に飛び出し、ナイフのおばさまの影を踏みつけた。するとおばさまはスカートの裾を踏まれたようにその場から進めなくなり、べしゃりと転倒した。 「ギャッ!」  影法師の『影踏み』という技術。でも夜は暗く、しかも大雨で影が朧になっているから力が出せない。私にとって最悪のコンディションだ。 「ヒヒヒィーッ……悪霊だあぁぁ! 悪霊が私を押さえつけていて動けない! 誰かあぁーーーっ助けてぇーーー!!!」  おばさまが大声で喚き散らしながら暴れる。私も彼女に必死にしがみつくけど、長くは押さえつけていられない。 「斉三さん!」  叫ぶより前に、斉三さんはおばさまからナイフを奪い取ってくれていた。アンダースローでナイフが投げられたと同時に、私の念力も限界を迎えて影体がおばさまから弾け飛んでしまった。一瞬気が遠くなるような浮遊感を覚えた後、魂が雨に流されないよう何とか街灯の光で影体を繕う。 「今よ、エイッ!」   ナイフがなくなった隙におばさま軍団が暴れるおばさまを取り押さえた。これでひとまず一安心か…… 「……! みんなその人から離れろ!!」  突然斉三さんが叫んだ。しかしカラキシであろうおばさま方には聞こえていない。すると先程まで暴れていたおばさまがビクンと大きく痙攣し、ボキボキ脱臼音を立てて仰け反っていく! 「ゴッ……ゴボッ……ホバアアァァーーーーッ!!!!」  バキミチッ、パァン!! おばさまの体が背中側に折りたたまれ、さながら昔の二つ折り携帯電話を無理やり逆向きに閉じた時のように背骨が砕ける音がした。皮膚伸縮の限界を迎えた胸は裂け、彼岸花状に開いた肋骨が剥き出しになる! そこから天高く鮮血を吹き上げながら、次第に右第二肋骨が膨張しだし……いや、おばさまの魂や血、生命力を吸収しだし、グロテスクな芋虫状の怪物に姿を変えていく! 「きゃああーーーっ!」「誰か、誰かあぁーーーっ!」  おばさま方は蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。雨で足元が覚束ず、何人かは転倒する。 「ボココッ……ポコッ……ンマアアアァァーッビャアアァーーー!!!」  おぞましい咆哮! 細長い芋虫状の体にまばらに毛が生えだした怪物……散減は、逃げ遅れたおばさまの一人に狙いをつけた。 「いぎゃあああ! 何かがいる、何かが私に触ってるのぉーーっ!」  散減は飛行機内で見た物と比べれば遥かに小さい。ただ、それでも全長一メートル程はある。片方の口に二つ折りおばさまを咥えているからリーチは短いけど、足がもつれたおばさまに組み付こうとビタビタ暴れ回っている。 「やめろ!」  斉三さんは咄嗟に二つ折りのおばさまに憑依した。苦痛に歪んだ表情のまま散減を掴むと、力任せに放り投げる! 「ン厶ァッ!」  地面に叩きつけられた散減は陸に打ち上げられた鯉のようにのたうち回る。斉三さんは血反吐を吐きながら脱臼した肉体の姿勢を整え、尻尾の糸で傷口を塞いでいった。 「大丈夫ですか!?」 「はあ、はあ、言ったろ……僕は、止まっている側面……死にかけた人間を未練がましく延命させるのが得意なんだ……妻の、時……」  掠れた最後の一言は雨音にかき消されて、『妻の時』とだけ聞き取れた。しかしそれを考察する間もなく、身軽になった散減が猛烈な勢いで逃げ遅れのおばさまに迫っていた! 「オゲエェェ、ヴォエエエェェェ!」 「ぎゃああああ! くっさあああぁああ!?」  散減が口から大量の穢れ母乳を吐瀉! おばさまを悪縁汚染させようと試みる。 「させるか!」  私はまだ復旧が不完全な影体を振り絞って、おばさまの周囲の影を編みドーム状バリアを張る。行き場を失った光線がメロン格子状に輝き、念力と光エネルギーで多少は霊体からの攻撃を防げるんだ。でも相手が怪物では、数秒しか持たない! 「ンマウウゥゥゥ!」 「う、くぅ……!」  散減がバリアに体を何度も叩きつける! 想像の何十倍もの衝撃に、まるで息が出来なくなるような鈍い激痛が私を襲った。ジリ貧だ。せめて明るい昼間だったら。せめて雨が止んでさえいれば。せめて自分の本体とプルパさえ近くにあれば力を出せるのに! もう、ダメなのか……? 魂の消滅をも覚悟した、その時だった。
གསུམ་པ་
 ブアァァン、ギャギャギャギャギャ!! 張り詰めた状況を突然切り裂くエンジン音。昨日昼に見たイケメンライダーズのバイクが、中庭にドリフトしながら現れた! 爆音に驚いた散減は攻撃を止める。停車したバイクから降りたライダーは、ダマスク柄のフルフェイスヘルメットを脱ぎながら念仏を唱え始めた。 「鬼冥武魎呪女霊……亡武噴火死戯荒……」  それはお経にしては余りにも禍々しく、殺意に満ちた響きだ。ヘルメットの下からライダーの素顔が見えかけた瞬間、ビシャァァーン! バイクの背後に雷が落ち、そのライダーを……特攻服に身を包んだ占い師、加賀繍へし子のシルエットを強烈な後光が照らした! 「加賀繍さん!?」  加賀繍さんは昼間と同じぬか床の壺を地面に置いて開く。そして猛禽のような目つきで散減(がいると思しきアサッテの方向)を睨みつけると、 「救急車を呼びに行け」 「はい!」  逃げ遅れのおばさまを逃がした。そして散減(が実際はいない方向)を睨みつけ、壺からヌラリと光る金属製の何かを取り出す。あれは、五寸釘……? ぬか漬けの色を良くするために入れていたんだろうか。 「よくも私の可愛い仲間を乗っ取ってくれたね……ご先祖様の怒りを知れ!」  更に加賀繍さんはぬか床からナスビやキュウリ等を取り出すと、そこに五寸釘をプスプスと刺していく。まさか、あの形は…… 「精霊牛と精霊馬!?」  そうだ。あれはどう見ても、お盆にご先祖様を送迎するのに使う野菜の牛馬だ! けど脚を丑の刻参りじみた五寸釘で作る事で、何やらとんでもなく罰当たりで禍々しい物体になっている! 「鬼冥武魎呪女霊……亡武噴火死戯荒……」  殺意に満ちた念仏に連動して、ナスビとキュウリはフルフルと震えだす……ブォン……ブォン……バッバッバッバッバッ! するうちまるでエンジン音のような唸り声を上げ、眩いエクトプラズム光を発した! 次の瞬間そこにいたのは……精霊牛馬ならぬ、精霊大型改造バイクに跨る二人のレディース怨霊暴走族だ。 「五寸釘愚連隊(ごすんくぎぐれんたい)総長、悪死蟇魔耶(おじま まや)! 夜露死苦(ヨロシク)!」 「五寸釘愚連隊総長妹、悪死蟇禍耶(おじま かや)! 喧嘩上等!」  レディース二人は目に殺気をたたえ、燃え盛る二本の蝋燭を『五寸釘愚連隊』と極太毛筆フォントで書かれたハチマキで額に巻いている。更にスレッジハンマーを背負い、胸からは藁人形を彷彿とさせる巨大な釘の頭が飛び出している。総長魔耶さんは牡丹が刺繍された特攻服を纏い、針山のようなマスクをつけた薄幸そうな女性だ。一方妹の禍耶さんは薔薇が刺繍された特攻服を纏い、『ナメるな危険』と書かれたスプレー缶を腰に携えた高飛車そうな女性だ。 「ああ、嫌な夜だわ。とっても嫌な夜。それで、今日は誰を祟り殺せばいいのかしら?」  物騒な事を言いながら、バイク上で禍耶さんが色っぽく脚を組んで私を睨む。 「ち、ち、違います! 敵はあっち!」  殺されては困るから、私は慌てて散減を指さした。 「ヤダ、何あの毛虫!? 気持ち悪~い。あっち殺そっと!」  助かった! しかしなんて横暴な即断だろう。そうと決まれば禍耶さんはブォンブォンとエンジンを吹かせ、加賀繍さんが作る他の精霊漬物からどんどん凶悪そうなレディース暴走族を顕現していく。呆気に取られていると、魔耶さんが申し訳なさそうに耳打ちしてきた。 「ごめんね、ごめんなさいね。最近へしちゃんが呼んでくれないから、今日の禍耶は不機嫌なの。手出ししなければ殺さないから安心して」  へしちゃん……って、やっぱり加賀繍さんの事だろうか。手出ししたら殺されるんだから何一つ安心できないけど、いずれにせよ満身創痍な私はただウンウンと頷くだけしか出来なかった。気がつくとぬか漬け野菜は全て立派なレディース暴走族になっている。しかしそこに散減が破竹の勢いで突撃! 「ンマアアァァァ!」 「あらいけない。ちょっと待っててね」  魔耶さんが精霊牛バイクを急発進、散減の横腹に闘牛めいて突撃した! 「ムバァッ!」  バコォン! 散減は五メートル先の自販機まで吹き飛び、機体を大きくへこませた。ガコンガコン、ピヨヨヨヨヨ!! 故障した自販機から缶ジュースが飛び出し、けたたましく非常警報音が鳴る! 「ああ、惨たらしい。私ったらなんて惨い事をするのかしら……」  魔耶さんが恍惚とした表情で呟いた。そこに先程顕現した愚連隊員も寄って集って散減を罵倒し始める。 「ダセェ音出してんじゃねーぞクソ虫が!」「五寸釘愚連隊なめんな夜露死苦!」  ブォン、ブォン! 五寸釘愚連隊はエンジン威嚇音をたてながら散減の周囲を旋回する。一方散減は間抜けにも、頭にりんごジュース缶を乗せたままヒクヒクと痙攣している。 「そうだわ。みんなでジャンプして、あの缶だけを轢けるか勝負しましょ。ねえしましょうよ!」 「「「押忍!」」」  禍耶さんの鶴の一声で五寸釘愚連隊は総員散減目掛けてジャンプ! 集団ウィリアム・テル・チャレンジだ! 「ゴッ……コハッ! ンママ……マバーーッ!」  全員失敗! 缶ジュースもろとも連続轢殺! 「トドメよ、お姐さん!」 「ええ、見せてやりましょ禍耶。目にもの見せてやる!」  魔耶さんと禍耶さんは互いのバイクを横付けして、エンジンを空吹かしながらスレッジハンマーを振り回し始めた。鬼冥武魎呪女霊、亡武噴火死戯荒……ブォン、ブォン、ブゥン……鳳憎墓殺陰意地、罪攻死罪汚物消……ブァブァブァブァ、パラリラパラリラ……殺気に満ちたツッパリ念仏が、空吹かしのエンジン音が、隊員達の掲げる五寸釘愚連隊チーム旗が、総長姉妹を禍々しく高めていく! 「「怒悪羅阿阿阿阿阿阿阿阿阿阿(ドォラアアアアアアアアアアア)!!!!」」  ブァオォォン! 精霊牛馬発進! 勢いをつけた総長姉妹がフルスイングでスレッジハンマーを振るい、散減を吹き飛す! 「マバアァアーーーッ!!」   更に愚連隊総員が一斉に猪突猛進! 散減に追突! 衝突!! 激突ゥゥ!!! 「「「翔進激憑張怨覇霊怒(ショウシンゲツッパリオンパレード)ォォォ!!!」」」  ドガアァァアン……! くぐもった爆発音と共に散減は分解霧散し、あっけなく灰燼と化した。あるいはそれは遠くで鳴った雷の音だったんだろうか。ともかく安心した私は影体を闇に還して幽体離脱した。散減を生み出したおばさまは斉三さんの糸で護られたまま、到着した救急車に搬送される。ふと加賀繍さんを見ると、彼女はまだ念仏を唱えていた。 「いっけなぁい。終わったわよ、へしちゃん。終わったわよーーっ!」  ブォンブォン! パラリラパラリラ!! 魔耶さんが五寸釘愚連隊を率いて、加賀繍さんを取り囲み今日一番の爆音を鳴らした。 「ン……」  そこで初めて霊の存在に気付いた加賀繍さんは、先程作った精霊達から釘を回収し壺に収めた。残った漬物は手近な生垣の土に埋め、悪鬼除滅水をばら撒く。私はそれがお清めの水だったのだと今更理解した。
བཞི་པ་
 それから数時間後、私は宴会場の布団の上で目が覚めた。傍らには万狸ちゃんが寝ていて、玲蘭ちゃんと佳奈さんも布団の中。外はうっすらと明るくなっている。洗面所に向かうと、途中ロビーのテーブルで誰かが話していた。近づくと、魔耶さんと禍耶さん、それに斉一さんだった。 「おはようございます、紅さん。ご無事でなによりです」 「おはようございます。あの、皆さん、昨夜は本当にありがとうございました」 「『皆さん』? あなた見えてるの?」  禍耶さんと目が合った。 「あ、私が昨夜の影法師です」 「あら、あの命知らず! よくもまあ、あんな夜に影の体で出歩こうと思ったわね」 「そんな言い方無いじゃない、禍耶。この人達がいなきゃ、へしちゃんのお弟子さん今頃は死んでたんだから」  今頃は? という事は…… 「魔耶さん、あのおばさま助かったんですか?」 「ええ、そうよ! そうなの。おかげさまで一命は取り留めたわ。あなたと、この狸ちゃんのお陰でね」  魔耶さんの視線を追うと、斉一さんの膝の上で斉三さんが横たわっていた。尻尾は竹串みたいに細くなって、モフモフだった毛並みも養鶏場の鶏みたいに所々禿げてしまっている。 「だ、大丈夫ですか!?」 「……峠は越えました。依然重体だが命に別状はない」 「いやお前の事心配して下さってるんだよ」  斉一さんが白いパワーストーンの指圧棒で斉三さんをマッサージしながらツッコむ。禍耶さんも乗じて斉三さんのお腹をムニムニつまみ始めた。 「あなた達ってとんだお人好しね。そんなボロボロになるまで、敵の私達を助けるなんて。理解できない。全然理解できないわぁ」 「あはは、私達コンペには興味ないので。そう言う禍耶さんと魔耶さんはその、加賀繍さんのご先祖様……なんですか?」 「やだぁ、違うわ! 違うわよ。私達がそんなに大昔の人間に見えるってーの?」 「いえいえそんな! でも加賀繍さんが」 「あの子は一人だけ助かっちゃったのよ」 「え?」  魔耶さんが意味深な事を言う。 「天険断崖(てんけんだんがい)でチキンレースしてね……いえ、あれはもう殆ど集団自決だったわ……きっかけは何だったかしら。確か皆で同じ男を奪い合って、殺し合って……ああ懐かしい、懐かしいなぁ……」 「わわ、わかりました! もういいですありがとうございます!!」  これ以上聞いていると、魔耶さんの醸し出す殺気で斉三さんがもっと禿げそうだ。 「ま、いくらへしちゃんでも守護霊が私達だって事ぐらい気付いてるわよ。さすがに昔の族仲間だって言うのは世間体が悪すぎるから、ご先祖様って言ってるだけでさ」 「そうなんですねぇ……」  禍耶さんがついに加賀繍さんを『元レディース』だと明言した。なんだか今後加賀繍さんを見る目が変わってしまいそうだ。 「では、私達はこれで」  斉一さんが席を立つ。壁時計によると、朝食の時間まであと三十分ぐらいか。私も五寸釘の総長姉妹に一旦の別れを告げ、洗面所へ。途中でふと外を見ると、水たまりの上でザトウムシが一匹死んでいた。
0 notes
zunkopic · 4 years
Photo
Tumblr media
RT @extreme_nattou: #東北ずん子深夜の真剣お絵描き60分一本勝負 トーホクブルグの薔薇騎士団 一身上の都合により三姉妹全員男体化、 タコ姉さまに至ってはごっついおじさまになりました https://t.co/QeMMXDnNeJ (via Twitter http://twitter.com/t_zunko/status/1266736818097016832)
0 notes
ki-a-ta-blog · 5 years
Photo
Tumblr media
#誕生日ケーキ NOEnglish. ภาษาไทยฉันไม่รู้ P̣hās̄ʹā thịyC̄hạn mị̀rū̂ (タイ語は知らないです。) 無宗教の人よろしくお願いします。 理由、私と私の家族に 不健康と不運が起こるため、 無宗教の人しか仲良くなれません! 私は、気持ちに起伏がある。 このケーキのネームプレートの隣にある チョコのケーキは、3回食べたよ! イチゴケーキ2回と隣のクッキーケーキは、 2回ずつ食べてると思う! HAPPYLIFE 前髪ポンパドール 1990年9月19日(水)3時13分27歳 O型 干支はMY MOTHERと、同じ午年🏇🐎🐴🔅 星座は♍と書いておとめ座 日本関西出身JAPAN🇯🇵🍣☞kansai☞Osaka 関ジャニ∞,関西ジャニーズJr.,中山優馬,内博貴,NMB48,たこやきレインボー 名前の由来 兄妹?姉妹!口が付く名前にするため。 日を話すとたくさんの口がある事を 親に教えてもらって知った! あと秋(あき)に誕生したからやと思う。 前髪左つむじ、左分け。左少ない右流し! 母35~6歳、父40歳の頃に私が誕生した! 兄1人42~3歳、15歳上。女の中では5番目の末っ子。6人兄妹の末っ子。八乙女光くんも末っ子! 兄1人と姉4人の大好きな数字5番で 奇数が大好き偶数は好き 算数苦手、数学は出来ない! 145.5cm48kg 足23か23.5ものによる。足SかМものによる。 幼稚園きりん、ほしぐみ。きりんと星がこの頃から好き。本当は薔薇とかうさぎとか他のが良かったと本人は星組の時に我慢していたそう!でも、今では高校生の時のクラスにに繋がったのでいい思い出だそう。小学生は6年間2組、中学生は1組3組2組 白いふさふさで邪念を払ってもらった! 高校は推薦で中央学園専門学校に卒業式済み うカールとはいレるモンとキットうカットとToppa食べたから受かった。 携帯電話15歳の4月~27歳。 再来年もau。 8年間ガラケー3種類白黒ピンク。2年間ガラホ1種類ピンク。 3年3ヶ月間、初代スマホ水色。 2018年6月下旬から 1ヶ月目Android新たなスマホ。 高校生の時、男友達にDEATHNOTEの弥海砂と何回も言われてた。 高校生は雪星月、YHT組←宝塚歌劇団が好きな校長先生だから。普通科と保育科にも色々なクラスがあります。1年ごとに組が時と場合で変わったり変わらなかったりします!学校の先輩と後輩の状況とか先生の気分とかで決めているそうです! 星と月でどうやら阪神タイガースのチームマークが出来る。HにTを真ん中に重ねて下さい!←ほら、阪神タイガースのチームマーク。←これは、関係はない! 私の母は宝塚を友だちと過去に見たことがあるそう!知ったのは26歳の春。 私は真琴つばささんを姉におすすめしてもらってから20歳頃から応援始めました! 野球チームにこだわらなくなったのは25歳。 私の父は阪神タイガースの応援してます。 私は、別のチーム応援してます!因みに気分でかえてます。十代のように固定チームをするのをやめたから色々応援してしまいます! 小学6年生の時の、すきな言葉→たのしい 係、飼育係。役員、図書委員。学年委員。 小学生時代家庭科クラブと生活クラブ因みに名前変わる前から名前変わってからもいた!コンピュータクラブ 中学生時代、帰宅部 高校生時代、茶道部→先生転勤のため廃部 向陽台高等学校。ファッション科。専門高校 検定資格 洋裁技能技術検定初級、洋裁技能技術検定中級 AT限定普通免許(ゴールド) 元関西のスーパーレジ店員(うカールとキットうカットとキャラメルコーンさくらんぼ味食べたから合格してた!) 仕事、退職 後に鳳で有名な教習生卒業。 筆記(パソコン)試験仮免許4回で合格。 技術仮免許試験3回で合格。 筆記本試験会場門真にて3回で合格。 ダジャレ下手。毒で死んでる→独身 私は料理出来ない、女性! 好きな物→梅干し、しそ、トマト、納豆、オクラ、長芋、生姜、卵焼き、だし巻き玉子、えんどう豆、ひよこ豆、グリーンピース、黒豆、もも、みかん、りんご、スイカ、メロン、きゅうり、たけのこ(因みに今は、たけのこの里派です。)、きのこ(学生時代は、きのこの山派だった。)、いくら、甘くもしょっぱくも辛くもにがくもない物などなど 嫌いな物→うなぎ、ゴーヤ(苦すぎる奴)、パクチー(ドレッシングのみギリギリ食べれる)、わさび、大葉、カキフライ、たまねぎ(生のみ柔らかく煮てるものとみじん切りで混ぜるハンバーグは食べれる)、厚揚げ、パプリカ(赤のみオレンジ色は食べたことがない)、カプリカどっちが正解?? 苦手な物(たまにでいい物)→からし、麻婆豆腐、皿うどん、麸、しそ、うに、じゃがいも(ソラニンが無理。ポテチは食べれる)、茄子(食べれる。ピリッとする時だけ苦手あと身体冷えるらしいからたまにがいい!)、かぼちゃ(少しなら食べれなくはない!)ゆで卵(温玉は好き)、伊達巻、甘い卵焼き、豆腐(冷や奴はたまにがいい。鍋なら食べれる)揚げ物(体調によるから場合による) 爬虫類 大切な宝物→実家で20匹の猫を飼っています! いのひかの間が私の誕生日 雅紀と大道芸の大毅と壁ドンの勝利の夢見たことあるよ! https://www.instagram.com/p/BSsDDNth71q/?utm_source=ig_tumblr_share&igshid=1m8dn3zi6tqfq
0 notes
kentahayashimusic · 2 years
Photo
Tumblr media
女神フェス茨城大成功でした!😊🌹 女神レポートまたブログにゆっくりあげます💕 女神フェス北上し東北へ!🌟 今週5月21日(土)は女神フェスin宮城川崎町開催です!☺️🎉㊗️🌹 男性も女性もご参加頂けます💕 ご参加予約こちらより💁‍♂️💁‍♀️ https://tachyonmusic.hatenablog.com/entry/2022/05/02/121533 5/22は宮城オーガニックマーケットでもタキオンミュージック奏でます!😊🌈✨ めっちゃ楽しそうです!💕 https://meowing-harmonica-4a8.notion.site/Miyagi-Organic-Market-8e8536a82a934dab93141f77a313f2d5 5/22の夜も藁の家というステキな場所でタキオンミュージックかもします!🌈 キャンプ🏕インで泊まれますよ〜☺️✨ Victory of the Light!🌟 Our 18th Goddess Festival in Miyagi!!!🌹💖 #女神 #女神フェス #薔薇の姉妹団 #ライトワーカー #アセンション #地球開放 #地球の黄金時代 #黄金時代 #銀河連合 #プレアデス #シリウス #アルクトゥルス #kentahayashi #tachyonmusician #タキオンミュージシャン #タキオンミュージック #victoryofthelight #tachyonmusic #tachyon #looppedalninja #japan #japanese #444hz #healing #meditation #lightworker #ライトワーカー #tuning #looper #guitarist #looping (at Miyagi) https://www.instagram.com/p/CdpCVLBv9eh/?igshid=NGJjMDIxMWI=
0 notes
noganeza · 7 years
Photo
Tumblr media
◆◆夜光金魚 第弐拾弐廻◆◆ ◇◇◇◇◇◇◇◇ 大阪ミナミ千日前に鎮座する 昭和のかほりを色濃く残したミステリアスゾーン味園 闇夜のとばりに妖しく輝くアナクロニズムな電飾に虚空に轟くエレキ囃子 年始の静寂をブッ飛ばす和装繚乱フェティッシュパーティー!! おいでませ闇のうつつ耽美なる金魚掬い。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ ■日時■ 2017年1月8日(日) 開演 21:00~ ■場所■ 千日前味園ビル2F ○なんば紅鶴 ○フィメール・フィメール・メール ○indivisual夜香 大阪市中央区千日前2-3-9味園ビル2F ◆◆◆No Pictures Allowed!! 会場内は撮影禁止です。◆◆◆ ■料金■ 前売り:2000円(D別) 当 日:3000円(D別) 和装で御来場頂いたお客様には、秘密結社サキノハカ謹製夜光金魚手ぬぐいを、先着100名様にプレゼント!! -DressCode- ドレスコードでの入場制限は御座いませんが当イベントイメージにあった衣装で御来場頂けると大変嬉しいです。 ドレスコード:和装・着物・浴衣・甚平・水干・褌・和柄コルセット・フェティッシュ和柄アイテム等・etc… ※なんば白鯨にて荷物預かり・着替えブースを用意しております。
☆☆☆★★★ ヘッドマウントディスプレイがアタル!! 味園スタンプラリー同時開催!! その他協賛店提供豪華景品多数!! ★★★☆☆☆
□□□出演者□□□   ◆S・Mshow◆ ・八雲 劉麗華(傀儡堂大阪)&皇ディアナ(傀儡堂大阪)   ×立花 凛&樹々【鬼畜折檻百合緊縛遊戯】 ・超宇宙意思大権現大千三千世界乃玉者幽月×もやし 【超毒電波BL緊縛鬼畜曼荼羅】 ◆◆極漢!!褌一丁ウルトラクイズ◆◆ ☆☆☆優勝賞金10,000円☆☆☆ 【当日受付一般参加者募集!!】 ボチボチ鍛え上げられた肉体と頭脳で諭吉をゲットせよ!! (Operation by 味園クイズ研究会) ◆LIVE◆ ・きゃりー虚無虚無【精神を破壊する日本のファッションモデル、歌手。】 ・絶倫太郎【初降臨!狂気と禁忌の歌うたいマッドネス】 ・仲良真澄美(洋酒喫茶かんから)【和装女装アイドル】 ・うこまる(MixbarEvil) 【ヌルオタ歌い手LGBT】 ・ハルキゲニア【心理汚染型怨霊 瀉血ノ儀式】 ・雄飛×幽月【ギター×DJセッションバトル】 ・男子三楽坊【超モテ狙いJAZZバンド】 ◆ライヴペイント◆ ・橋本 六久【微睡画家】 ・蜜柑【退廃的幻想芸術】 ◆DJ◆ ・****(GauGauGaudy)【サイバーテクノ系スカトロ先生】 ・IBI (テクノ総研株式会社)【テクノシンクタンク】 ・LINDA(GRINDCIRCUS) 【低音どろどろ何でも流す】 ・matres(ReVIBES)【頭がハッピーハードコア】 ・ヤマシタ(DENDO)【ゲーム音楽の鬼!!】 ・風輝(MiDiAN)【暗黒系メタルDJ】 ・wenZZdey(大ウェン団)【東北から来た恋泥棒☆】 ・RAM(ヲタ霊)【テキーラ地獄の主催者】 ・のり(アニコスクラッチ)【アニソンスイーツクラッシャー】 ・G☆E【バキバキGameMusic担当SFC GIRL】 ・黒薔薇【誠に残念】 ・elucuro(ANIDELIC PARTY)【大乱交潮吹き昆布】 ・フェ●チオザウルス(ANIDELIC PARTY)【誠心誠意フロアをおしゃぶり昆布】 ・NON(En-Counter)【アナルスクリーモラウドパンケーキ】 ・やんでぃ(EVIL CIRCUS)【約束のあの丘で待ってる系DJ】 ・弥【わたる糞ころがし】 ・DJ トムクルーズ似【オメガ!!魅惑のブルーチーズ臭・・・】 ・戸塚エイジ【出されたテキーラは全部飲む!】 ・ブリティッシュ・バタードッグ【プロレスをこよなく愛する男】 ・おジャム【おさる大好きハウス野郎】 ・Yokozawa【ミニマルムッツリ】 ・kid.A【世界的に話題のカリスマDJ(詐称)!】 ・偽もなー【アニメと特撮を愛する偽もの】 ・一凛(ヴィジュアルきこうぜ)【リアル双子姉妹によるDJユニット!】 ・ミウマッカートニー【味園のシンデレラミウ・マッカートニー】 ・みるぴる(おはなみるぴ)【ヲタサーの塩アイドル】 ・雪烏【ゲロインtheバリアフリー体形】 ・まなピッピ【V系ケツ穴ホモ野郎】 ・超★幽月【一流のポンコツ!!】 ◆VJ◆ RAM【VJ⇔DJ】 弥【わたるうんころがし】 CAN【ヤンキー魂を持つメガネ女史】 一凛【リアル双子姉妹によるVJユニット】 バツイチ【バツイチゆえに募集中!!】 ◆特別出店◆ ・蛸にし家【たこ焼】 ・蝙蝠庵【着物・和雑貨】 ・GauGauGaudy【エクステ・CD】 ・信長書店【フェチ・サブカル雑貨】
4 notes · View notes
kachoushi · 2 years
Text
星辰選集
花鳥誌 令和4年1月号
Tumblr media
令和3年10月号の掲載句より再選
坊城俊樹選
この星辰選集は、私が各月の掲載句の中で、雑詠選・撰集選・さいかち集の成績などに関係なく、改めて俳句としての価値が優れていると判断したものを再度選句したものです。 言わば、その号における珠玉の俳句ということになります。
Tumblr media
森の翳負ひたる二人静かな 栗林 圭魚 寂として東の大河明易き 渡辺 美穂 籐椅子に虚子の影置く鹿野山 小川 笙力 涼しさや一重まぶたと長き指 上嶋 昭子 ゲルニカの炎のやうに薔薇果つる 野口 孝子 梅雨寒し眼を持たぬ深海魚 沢井 真弓 二枚目の女郎蜘蛛なる夏芝居 斉藤 いづみ 触るるもの青に変へゆく梅雨の蝶 栗原 和子 万緑や遺跡の底に笛の音 山﨑 久子 しぶき上げ滝壺に水沸騰す 山崎 肆子
Tumblr media
蟬時雨ひとり遠くへ来たやうな 大和田 博道 秋の夜いつしか君の生返事 伊藤 ひとみ 梅雨空へ九段会館高く高く 辻 梓渕 蛍川への足取りとなつてゐる 馬場 省吾 アイスキャンデー食ふ子とそれを見てゐる子 田丸 千種 風鈴や木挽町しか知らぬ風 岡田 順子 サングラス白洲正子の朝帰り 有馬 幸月 夏潮に仏蘭西からの帆を張りて 中里 三句 さやうならたつた五音の梅雨送り 渡辺 幸子 父の日の父と偲びぬ母のこと 田上 喜和
Tumblr media
浴衣来て春ちやん秋ちやん三姉妹 荒舩 青嶺 風は髪波は跣足と戯れて 譽田 若菜 海底の岩屋に入りし鮑海女 進士 里昇 運命の流るるままに夕焼けて 久保 光子 反対の車窓にばかり雲の峰 柴田 貴薫 蚊帳の中御伽草子を語る祖母 田辺 て津子 やうやくに楽屋貰ひて夏暖簾 加納 佑天 直木賞芥川賞なめくぢり 河野 公世 草刈の後はのつぺらぼうの午後 池松 伸子 採血の針よく通る薄暑かな 中山 昭子
Tumblr media
寄する波と遊ぶ素跣のまぶしくて 藤田 克弘 藍浴衣横顔ばかり流す川 永野 佐和 夏帽子どちらが姉か妹か 阿部 ひろし 蟻の道細く営々たる無音 尾田 美智子 梅雨じめる下乗の玉砂利を踏みて 下野 美智子 滝壺や太古の熔岩を底に秘め 舟久保 安子 サーフィンの店十薬の陸に立つ 髙橋 晁史 階に蛞蝓のあと雨意の濃き 秋吉 芙佐子 縄文へ吸ひこまれゆくサンドレス 大江 三郎 万緑や黄金の鯉水しぶき 幡生 啓子
Tumblr media
大池の雲に休んでゐる金魚 髙間 ヨシヱ 生きるとは我れも思考やチンアナゴ 蟹江 紅水 雷鳴は大夕焼けの露払ひ 和田 久鼓 水平線きらきら光り海開き 末政 千代子 梅雨の日の事情も知らず万歩計 平澤 蕉 香水に和服姿に覚えあり 小林 敏朗 八月の海に降りゆく足の裏 大村 八重子 雨風の鉄砲百合に容赦なく 岡田 圭子 歯並びのきれいな人や西瓜食ぶ 岩田 好松 白絣こぞの名残の畳皺 松雪 耿子
Tumblr media
さりげ無く団扇の風を送る恋 八木 惠津 万緑に森羅万象沸きにけり 有川 公子 裏木戸の紫陽花に身を細くして 田原 悦子 開け放つ百年の蔵夏燕 古川 時江 高倉健見し昂りに明易し 奥 清女 埒も無き焼酎談義酔ふほどに 杉原 久美子 虚子堂を出て栴檀の日の高し 浅川 走帆 干物干す梅雨の晴間を突堤に 富田 みな子
0 notes
ayanemutuki · 5 years
Text
名も無き森の夢語り
!Fire Emblem Heros Fan fiction!
・カミュとプリシラの話。サイトを閉鎖(もしくは移転)する事に決めたのでぼちぼち再録。 ・異世界交流描写を含みます。独自解釈、ネタバレを含みます。カップリング描写はあまり含みません。
・Image song:名も無き森の夢語り(D)
0.
昔の昔、真白の城には美しい薔薇が咲き乱れていました。その薔薇は、美しい薔薇のお城の象徴でした。そのお城には、たった一人の美しい少女が居ました。ある日、少女は美しい王子様に恋をしました。ですが、少女は掟によって、外に出ることは叶いませんでした。いつかこの外の世界に出たい。そう願った少女は――ある日、魔法使いにお願いをしました。そう、自分の声を代償にして、外に出るお願いを。
 1.プリシラから見た異界の暗夜王国第一王子マークスと、黒騎士の異名を持つパラディンのカミュは、敵から見たら圧倒的に恐れられているが、彼女やアルムと言う少年から視点を見ると、心優しい騎士の姿であった。騎士の中の騎士――敵には容赦ない彼等は、何処か憂いの瞳をしているのに気付いた。誇り高い騎士であれ、まるで御伽噺の王子様の様だ。と誰かが言っていた。召喚士のエクラが神器を持っているように、彼等もまた、ジークフリートと言う剣とグラディウスと言う槍の神器を持っている。カミュは彼女の兄レイヴァンと似た雰囲気を持つ――書物では恐るべき王として描かれていたマケドニアの王ミシェイルと良く会話しており、マークスは自分に時折ナンパしてくる部下のラズワルドを説教していた。だが、彼女から見た二人の騎士は――彼女から見れば、『違和感』しか感じなかったのだ。あれは、��う――この前の戦闘中、異界のイーリスの王女リズが敵の兵士の攻撃を受けそうになった時だ。無防備になった前衛の隙を突き、兵士の一人が雄叫びを上げてリズに剣を振るおうとしたのだ――だが、其れをカミュはグラディウスを持って駆け付け、兵士の胸を一突きして彼女を助けたのだ。一体何故だろうか。とあの時思う。リズはクロムに大丈夫か。と急かされて、リズは「だ、大丈夫」と言っていた。 何故、あの時カミュはリズを助けたのだろうか――無関係な筈なのに、無関係では無い。そう自分の中で直感していた。何か、過去にでも悔しい事や、悲しい事――後悔している事でもあったのだろうか。彼女は当時を思い出し――違和感を拭い、食堂へと急いだ。 食堂は人がいっぱいだった。マシューがヘクトルと会話しながら出された食事を食べていて、あのマークスの臣下のラズワルドが自分と同じトルバドールのクラリーネをナンパしており、クレインが彼の耳を引っ張って退散させているのが見える。 自分はフレンチトーストと南瓜のスープを注文し、席に座った。ふと、隣を見ると暗夜王国の王女であるカムイが、席に座っていた。竜騎士のカミラや、あのマークスが溺愛している(と言うかカミラの彼女に対しての溺愛っぷりは可笑しい)王女であり、ニニアンと同じ――竜の血を引く王女でもあった。 「あっ、プリシラさん!席、一緒なんですね」 「はい、偶然カムイさんと出くわすなんて、思いもしませんでした」 カムイは自分の言葉に言葉が弾み、彼女は色々な話をした。自分の可愛い妹のエリーゼとサクラについての話、自分の馴染みであるエルクと同じ魔導士の弟レオンや、弓使いのタクミ――姉のヒノカとカミラ、そして兄のマークスとリョウマについての話だ。彼女の会話は楽しそうだ。まるで、本物の家族のようだと思っている。ルセアやセーラ、自分の兄であるレイヴァンと比べ――彼女は本当に恵まれていると思っていた。だが、彼女のある言葉をきっかけに、空気は変わった。 「――でも、ある時カミュさんと出くわしたら、私の頭を撫でてくれました。その時の彼の表情は、とても悲しそうでした」 『君はニーナと似ている――運命に翻弄されても、愛しい身近な肉親を失っても、健気に頑張っている。いや、彼女とは――似ていないのだろうな。運命に耐えられたのだから…』 一体どう言う事なのだろう。と思う。あのカミュが、カムイに対してそんな言葉を開くなんて。カムイは健気に、振る舞っているが――何処かぎこちないようだ。 自分はこの事を誰にも打ち明けられずに、そっと心の中に隠して置く事にした。恐らくは、知りたくない事実を知ってしまうのだろう。だから、心の中に隠しておく事にした。 ――ただ、あの黒騎士の身に、過去に、何があったのだろうか。
2.
カムイ王女は、不思議な人だ。と最初に、プリシラが見た感想はこれだった。誰にも優しく接し、不思議な魅力が満ち溢れている。あの捻くれた竜騎士のヴァルターや、ナーシェンにだって普通に接する。竜石を持ち――竜に変身出来る。マムクートの王女チキや無邪気な神竜のファ、ノノとは違い…ニニアンに似た雰囲気をまとった王女だと思った。彼女は、杞憂かな。と思うが――義理の兄であるマークスと会話する時、時折、嬉しそうな表情するのだと思う。そして、実の兄のリョウマと会話する時だって嬉しそうに、楽しげな表情をする。だから杞憂なのだろうか。と思う――が、あの食事の最中にカムイが言った言葉が、未だに引っ掛かっていた。カミュがカムイを見て、何故悲しそうな表情を浮かべるのか――彼が言った『ニーナ』って人は誰なのか。いいや、彼の事情に触れない方が良い。触れてはいけないものと、触れる事さえ許されない事情があるのだから。 そんな矢先の事であった。アスク城の廊下を歩いている最中――洗濯物を引っ提げて歩いている剣士のカザハナが居た。確か杖使いの白夜王国の第二王女サクラの臣下の一人でもあったが、カザハナはプリシラの姿を見ると、駆け寄って来た。 「こんな所に来るなんて、どうしたの?」 「ええと…ちょっと、道に迷っちゃって。自分の自室に戻ろうかと思いまして」 アスク城は広い。道に迷ってしまいそうだ――なので、彼女はカザハナに頼ろうかと思っていた。何となく、だが。 「…カムイさんって、不思議な人ですよね。…あの竜騎士のヴァルターにだって接せられる人なんですもの」 「カムイ様は、不思議な人だと思っていても、仕方ないのよ。…不思議な彼女でさえ、怒る時だってあるのよ」 「怒る時があるんですか?」 するとカザハナは唾を飲み込みながら…重く、口を開いた。 「…あのね、暗夜のガロン王に目の前で、実の父親を殺されているの。それで誘拐されちゃって…。サクラ様、そしてヒノカ様もその時酷く悲しんでいたのよ…特にヒノカ様が荒れてて、ミコト様が泣きながら制止するほどに天馬に乗る訓練をしていたの。…あたしだって、カムイ様を最初見た時は信用していなかったのよ。それに、態度を冷たくしていたから…」 プリシラは、口を開いたままだった。実の父親を殺されていた。 「…不意な事情にね、カムイ様が白夜王国に来た時は、酷く事実を重く受け止めていた…驚いていたの。『白夜に生まれ、暗夜に育てられた』って。事実が判明する前に、ガロン王を父親と慕っていて…。けれど、カムイの母親のミコト様は、…突然の襲撃で殺されてしまったのよ」 再び開いた口が塞がらなかった。不意に、過去の事を思い出した。ネルガルと、その娘と息子のニニアンとニルス。運命によって翻弄された親子。ネルガルによって傀儡と化した暗殺集団の黒い牙。…プリシラは、カムイもニニアンと似た境遇なのだろう。と悟った。 「…それで、カムイ様はそのショックで竜の力が暴走して…竜石が無かったら、本当に危なかったわ。一歩遅かったら大惨事になりかねなかったわ」 「そう、なんですか…」 カザハナは一時顔色を悪くしていたが、顔を上げて「暗い話題になっちゃってごめんね!」と言った。 「…義理の兄のマークス様や実の兄のリョウマ様を慕っているけど、ずっと長く居た義理の兄のマークス様の方に懐いているのよ。だから…カムイ様を、大事に触れ合ってあげてね」 (…竜の力、ですか…) プリシラは自室のベッドに寝転がり、その事を思い出していた。竜の血を引く踊り子のニニアンと、ニルス。そして父親のネルガル…。竜の力に翻弄され、多くの悲劇を生んだ。けれど、その悲劇もまた、運命なのだろうと悟る。それが無かったら、エリウッドやヘクトル、カレルに出会わなかったのだろうから。
3.
その翌日、プリシラは竜舎に向かっていた。あの騎士の言葉の真意が知りたい。だが、どうしても誰にそれを相談したら良いのか悩んでしまう。オグマやナバール、シーダでは彼の一面を知る事は出来ない。理由は簡単だ。彼等はアリティア側で戦っており、ドルーア側ではない――では、元々ドルーアに居たミネルバなら彼の一面を知っているだろうか。そう信じ、竜舎に辿り着いた。 しかし――ミネルバの姿は無い。何処に行ったのだろうか。プリシラが恐る恐る強面な竜が犇めいている廊下を歩くと――不意に、後ろから声をかけられる。 「おい」 後ろを振り返ってみると――マケドニア王であり、シスターのマリアとミネルバの兄であるミシェイルが不機嫌な顔をしながら立っていた。 「此処は貴様の様な女が来る場所ではない」 「…ミネルバさんを、探していました」 「ミネルバだと?」とミシェイルが妹の名前に反応をした。やたら不機嫌な顔をしているが、これ以上妹の名前を出すのは止そう。とこの時思った。 「…少し、カミュさんについての話があるんです。彼についての事を、ミネルバさんなら知っているかもしれません…と」 「…ああ、あいつの事か?あいつはハッキリ言って、無茶が祟って自分に返ってくる事もある、真面目で大馬鹿者の男だ」 …共にアカネイア大陸に反旗を翻した国を束ねる将なのに、何て言い様なのやら。プリシラは、思い切ってカムイの事を話した。 「…カムイを見たカミュさんが、彼女とニーナっていう人を重ねた…過去に何をしたのかは…彼の心に深い傷を負っているのかもしれません。彼に直接問いかける事は、恐れ多くも、出来やしません。なので、他の人に話をしても…そんなに深い話を得られる事は出来やしないと思います」 ミシェイルはニーナという言葉に反応をし、「ああ…あの女の事か」と口を静かに開く。 「ニーナと言う女は…アカネイア聖王国の生き残りの王女だ」 生き残り。嫌な予感がするとプリシラは、この時思った。 「…アカネイア聖王国の王族は、ドルーア帝国によって全て皆殺しにされている。老若男女問わず、な。…ニーナは、カミュの手で救い出された。仕方ないよな、では済まされない。あの男の祖国のグルニアはドルーアの恐怖によって屈したからな。その事を負い目に負ったあいつは、ニーナを救い出し、2年間の間、ささやかな会話をしていたらしい」 プリシラは、黙り込む。虐殺…そんな不穏なワードが飛び出すとは思ってもいなかった。つまり、彼はドルーアに無理やり従わされていたのだ。 「…あいつは、無茶が祟る男だった。ドルーアから彼女の引き渡しが来た際は、自分の身を挺して彼女をオレルアンに逃がした。だが、結果はカミュは指揮全権を剥奪され、ドルーアの言いなりのままだった。英雄になれないまま、大陸一の騎士からドルーアの将に堕ちた。そいつは騎士として生き、騎士として死んだ。…ニーナの悲しみは、深かっただろうな。愛する人がいない世界など、意味はない。」 「…そう、ですか…。」 「だが…ニーナはアカネイアの王女の立場を嘆いた。器に耐え切れられなかった。しかし、仮にも王族の立場だ。大陸を統べる者の立場は無理がある…が、大陸を守る為に、ハーディンと婚約をした」 前に、リンダと話す機会があって、アカネイアについてを教えてくれた。ふいに、気になった言葉があった。 『炎の紋章を行使する者は、愛する者と結ばれない運命を迎える…それが、アルテミスの運命(さだめ)である。』 アルテミスの運命。まさにニーナはその立場だったのだ。プリシラは、ミシェイルの話を聞く事しか出来なかった。 「…あの男は、アルムと言う小僧のバレンシア大陸の者達の話を聞く限り、生きていたのだろう?…生き残ったのは、不幸だっただろうな。死ぬ事すら、許されなかったからな。何の因果なんだろうな」 少し前に、クレーベやマチルダも、カミュと話をしていた。其れを見る限り、微笑ましかった。だが…残された者達の心の痛みは、想像を絶するものだったのだろう。 するとミシェイルは、次の言葉を口にした。 「…その婚約者のハーディンは、ある境に、変貌した…。暗黒皇帝と、化した」
4.
あの時の事を、思い返す。ネルガルと、ニルスとニニアンの姉弟の――竜を巡るあの戦いを。闇に飲み込まれれば、もう元に戻れない事を。彼女は一番それを知っている。 「…ニーナはハーディンよりも、亡き男を追い続けた。ハーディンの愛がニーナに届かなかったと分かった時は全て遅すぎた…がな」 一歩後退りする。怖い、でも…真相を知りたい。真実を知らなければ、何かが分かる気がする。でも、後退りする事さえ許されない覚悟なら…出来ている筈だ。プリシラは、ミシェイルの方を見る。嫌な表情をしている…何か苦虫を噛んだ様な表情をしているが、大丈夫だろうか。 「暗黒皇帝と化したあの男は――あいつの祖国であるグルニアを蹂躙し、俺の妹に酷い事をした。…死にかけた妹を助けたのは俺だ。最も、あいつを許すかどうかは分からないが、妹を殺しかけた事は許さないがな」 プリシラはミシェイルの方を見ている事しか出来ない。彼から語られる真実は、最も残酷な真実でもあった。真実は、知らない方が幸せな時もある。其れは御最もな事なのであろう。だが、知る事も…時に自分自身と向き合わなければいけない事もあるのだから。 「純粋にニーナを愛していた。しかし、彼女の愛が自分に向いていないことを知ったあの男は、ガーネフに心の闇を付け込まれ、闇のオーブの虜となった…英雄戦争の勃発だ。暗黒竜を共に戦った者たちが敵味方に分かれて今度は殺し合いをする、悲惨な戦いだったがな」 「…私は、ハーディンと言う人が、闇に取り込まれて、飲まれ…悲惨な結末を迎えたのを想像してしまうんです。…闇に取り込まれたら一度、元にはもう、戻れませんから…」 ミシェイルは「そうだな」とプリシラの方を見て、竜舎の天井を見る。 「…ハーディンは倒された。少なからず、闇のオーブに対抗出来る光のオーブを持ったマルスの手によってな。だが、ハーディンを裏で操っていたガーネフを倒すまでは、英雄戦争は終わらなかった…俺の妹のマリアが、暗黒竜メディウスの生贄にされかけた」 あの健気なシスターのマリアが。とプリシラは驚きを隠せない。だが、ミシェイルは黙々と話を続ける。 「マリアだけじゃない…マルスの姉エリスと、シスターのレナ…それに、ニーナまでが暗黒竜メディウスの生贄にされていた。俺はマリアを助ける為にガーネフと戦ったが…返り討ちに遭ったがな。だが、ファルシオンとスターライトは奪い返し、マルスに其れを託した…あいつも、姿を変えて、名前も偽っていたが、ニーナを救うと言う信条は変わらなかった」 プリシラは、彼がガーネフに返り討ちに遭ったと聞いて…それ以上は彼に追求する事はしなかった。するとミシェイルは口を開く。 「…カミュは、無茶な男だ。どれ程メディウスやドルーアに酷い目に遭わされても、ニーナを救うと言うのはあまり変わらない。だが…アスク城の書物では彼女が『英雄戦争勃発した原因の一つ』と供述されていたが…俺は、それ以上は追及しない」 ミシェイルは全てを語り尽したと言うように、立ち去って行く。竜舎から出て行った後、一人残されたプリシラは、不意に近くに居た一匹の竜が悲しそうに鳴いているのに気付いた。 「あっ…一人ぼっちは寂しいの?大丈夫です。私が居ます」 竜の頭をそっと優しく撫でる。まだこの世界に来ていないヒースの竜も、最初は怖かったが…よく見れば人懐っこい部分もあった。竜はぐるるるるん。と鳴き、プリシラは「よしよし。」と言った。 「ええと…これは、誰の竜でしたっけ。……?」 そう言えばこの赤い竜は、ミシェイルの竜であった。と言う事は、彼の竜なのだろう。プリシラは彼の竜は可愛い一面もあるんですね。と思った。
5.
「う、うう…」 ヒノカは目の前にある皿に盛ってある真っ黒焦げのクッキーを見て、落ち込んだ。今日は皆に存分にクッキーを配ってもらおうと言うシャロンの提案で、一部のメンバーがクッキーに挑戦する事にした。…オスカーやルカならまだしも、カミラの頼みでヒノカまで参加する事になった。セツナも参加しているが、ピエリの手伝いもあって何とかなっているようだ。 「…これは、黒焦げなクッキー…だよな、ルフレの手料理よりは遥かに怖いような…」 ガイアはそう言い、ちょっと後退りをした。 「わ、私はただ女の子らしくふるまっただけだ!」 「何と言うか、ずっと戦いの訓練をし続けたツケが来ちゃったわね…」とオボロの言葉に対し、カザハナも頷いた。このクッキーは流石に食べられないであろう。そんな風景を見ながら、プリシラはボーッとしながらクッキーを焼いていた。 「…どうしたんですか?プリシラ様…らしく、ありませんよ?」 「あっいえ…。何でも、無いんです」 ルセアの言葉にプリシラは我に返りながら、オーブンからクッキーを取り出した。 「レイヴァン様から聞きましたよ。最近、あの黒騎士と、暗夜の第一王子に対して気になっている態度が見える。と」 「…お兄様は、何でも御見通しなんですね。でも、ちょっと些細な事なんです。だから…」 自分の余所余所しい態度に、ルセアは「…本当に、気を付けてくださいね」とそう告げた。 クッキーを皆に御裾分けする事が出来て、本当に楽しかった――後は、カムイ王女の処だけだ…彼女は、今の時間帯は夜だ。だから、自分の部屋に居るのかもしれないと思い、彼女の部屋に辿り着き、部屋のドアをノックをしようとした処。 「…アクアさんと会えて、良かったです。…私、ちょっと心細かったんです」 ニニアンと似た雰囲気を持った歌姫が、この部屋に居る。そう言えば、アクアと同室だった事をすっかり懸念していなかった。 「そうね、此処は『夢』であって、『夢』ではない世界。私が消えると言うのは、貴女を一人にさせてしまう事。けれど、貴女には「きょうだい」が居る。私を忘れない限り――私は生きているの」 「…でもね、選択を誤ったら…どちらの兄妹と戦って…傷付いた姿を見てしまうのが、怖くて。もしかしたら…マークス兄さんやリョウマ兄さんを自分の手で殺してしまう未来が、あったのかもしれません」 殺してしまう、未来。『もしも』が全てを左右してしまうが、見えてしまう未来がある。…例えば、あの呪術師のレイと言う少年は、ニノの未来の子供であり、クレインとクラリ���ネの兄妹も…考えるだけで、恐ろしい事を感じてしまう。 「だから…元気に振る舞おうと考えたんです。けれど…アクアさんのお母さんや、お母様のあの姿を見ると、辛くて、辛くて…」 カムイの赤い瞳からポタリ、ポタリと涙が零れ落ちる。母親?アクアの母親…?きっとカムイの言葉を聞く限り、辛い事でも、あったのだろうか。 「…カムイ、今日は私の前で泣きなさい。私と会えて…心細かったのでしょう?そして…悲しかったのね。ごめんなさい、つらい思いをさせて」 「良いんです。…でも、こんなんじゃ、マークス兄さんや、リョウマ兄さんに怒られちゃいます…タクミさんに、笑われてしまいます…」 (…ごめんなさい、カムイさん。私、貴女の事を全然知らなくて…かなり、つらい戦いをしていたんですね…) プリシラは泣きじゃくってるカムイの声を聞いて、ふと思った。 ――恋人を失ったニーナ王女も、こんな気持ちだったのでしょうか。 プリシラは彼女らにクッキーを渡す気にもなれず、このクッキーを、お兄様やルセアさん、そしてセーラに分けて貰おうと考え…部屋を後にした。 ――その姿を見た、一人の竜騎士の影に気付かずに。
6.
その翌日。 「おい、其処の女」 プリシラが何時ものように食堂で食事をしていると――高慢な態度を取るリゲル帝国の王子のベルクトが、こちらに顔をのぞかせていた。不機嫌な顔で「其処、席が空いているか?なら俺に譲れ」と言って、勝手に座ってきたのであった。こう言う高慢的な態度をとる王子ってヒーニアスとミシェイルくらいだろう。と心の中で思った。 「…最近、あの黒騎士についてやたら気になる態度をしているな。何かあったのか?」 「いえ、そんな…。私は、彼について知りたいだけなんです…ミシェイルさんから大体の見当は付きましたので」 「あの敵が多い男から話を聞くとはな…あの態度は気に食わん」 中々のブーメランじゃないかとプリシラは思った。貴方も言葉や高慢な態度で敵を作っているじゃないですか。と口にしたら、彼は怒ってしまう。なのでルセアから教わったお口にチャックをする事にした。 「…あの男は、瀕死の重傷を負ってアカネイア大陸からバレンシア大陸に流れ着いた」 …えっ。じゃあ、幸運に生きていたって訳ではないのか。とプリシラはコーンスープを一口飲んで思った。 「瀕死の重傷を負って海岸に流れ着いた時に、ティータと言う女性に助けられたのが幸運だったな…その際に記憶を失っていて、ジークと名乗っていた」 ああ、そうなのかとこの時思った。するとベルクトはパンを一口千切りながら話す。 「正直、陛下に忠誠を尽くすような態度だったな。何処までも真面目な騎士の鏡。俺に対してまで真面目な態度を取る。日々努力をしながら我武者羅に騎士の訓練をしていたが…正直、あいつと手合わせをした時は驚いていた。あの男の実力は本物だ…俺の完敗だ。だが、あいつや陛下に負けていられん!と俺は頑張っていた」 つまり、記憶を失って運命に流れるままにリゲル帝国の騎士になっていたと。運命とは不思議なものだ…とこの時思った。 「だがな――ティータが彼を慕っていたのなら…あの男が、実は異国の騎士だったのなら、彼女はどんな顔をしていただろう――」「ほう、何を話していると思ったら」 「誰だ貴様!?」「えっ!?」と二人が驚きながら後ろを振り返ると、グラドの将軍である竜騎士ヴァルターが、こちらを見て立っていた。 「あの真面目過ぎる騎士の話か…面白い余興を見させてもらった」 プリシラはどんな表情をすれば良いのか、この時分からなかったが――ベルクトは物凄い表情で彼を睨んでいた。 「貴様…立ち聞きとは性格が余程悪いな」 「それは褒め言葉と受け取っておこうか」 「知るかっ!」ベルクトは喚きながら立ち上がる。ヴァルターは飄々とした態度を取っており、ベルクトの態度を把握しているようだった。 「…姫君を思い、最後まで国に忠を尽くしていた騎士は全てを失い…愛おしい聖母に救われるとは、滑稽な御伽噺だとは思わないか?あの男は、過去の光に縋るのか、未来の光を手を取るのか――見物だな」 ヴァルターの言葉に、我慢の限界に達したプリシラは、席から立ち上がる。 「…それは、カミュさんを馬鹿にするようなものです。いくら貴方の言葉でも、限度があります」 それを聞いたヴァルターはフン。と鼻を鳴らし、即刻食堂から後にする――が。 「…ああ、一つ言い忘れていたな。貴様は、自分の育ての母親を目の前で失ったら――耐えられないだろう?それ以上に、肉親を失うのは辛い事だ…まあ、私が其れを言っても説得力など無いがな」 まさか、カムイの会話を聞いて…?プリシラは、歯軋りを起こすベルクトと、姿を消すヴァルターの姿を見る事しか出来なかった。
7.
「すみません、資料室って何処にありますか?」 「資料室…?左を曲がって真っ直ぐ行った処にあるよ…?それが、どうかしたの?」 「ちょっと、調べたいものがありまして…ちょっとした事なんです。御免なさい、些細な事を聞いてしまって…」 「いいや、良いんだよ。僕はアスク王国の王子だし。君に敬意を払っているよ」 アルフォンスから資料室の場所を聞き出し、言われたとおりに資料室へと向かった。資料室は異界の様々な事象が記されている本がびっしりと揃っている。プリシラはアカネイア大陸で起こった事なら、何か手掛かりが書いてあるのではと考えていた。 「ええと…あっ、ありました。アカネイア大陸の暗黒戦争と英雄戦争と、其れにまつわる伝承についてが書いてある本…これですね」 随分と重たいページだ。とふと頭の中に過るも、ずしり。とテーブルに置いたが、重みが響いてくる。ぱらぱらとページを捲り、其処に書いてあった事実を読み取る。 『最初のはじまりは、ある部族の者がラーマン神殿を訪れた際に――後の暗黒竜と言われているメディウスと杯を交わした。男の名はアドラ。後の初代アカネイア王である。しかし、この時のアドラは盗賊であった――アドラは、メディウスを騙し、封印の盾であるファイアーエムブレムと三種の武器であるパルティア、メリクルソード、グラディウスを盗んだ。封印の盾の要である宝玉は全て取り外され――その在処もバラバラになってしまった。やがてアドラは初代アカネイアの王となり、メディウスは人間の所業に怒り狂った。暫くの間、アカネイア大陸は平和であったが――突然、ドルーア帝国がアカネイア聖王国に侵略し…滅ぼした後、王家の者を虐殺した。老若男女問わず』 プリシラは衝撃を受けた。ニーナの血にはアカネイア聖王国の王家の血を引いていると言われているが、メディウスの怒りを買っていたのか。…だから、あんな虐殺が起こってしまったのかと考えている。 『やがて一人生き残ったアルテミス王女がノルダに逃れ、一人の若者と出会った。彼の名は、アンリ。後のアリティア王国設立に至るきっかけとなった者だ。やがて反撃の狼煙が各地で挙げられるようになり、アルテミス王女は反ドルーアの象徴となった。アンリは、そんな彼女に恋に落ちていたが、それと同時に、彼女を守る騎士となった。やがて彼は幾多の試練を乗り越え、ファルシオンを手に入れた。そして――メディウスに打ち勝ち、アカネイア大陸に平和が訪れた。しかし、アンリとアルテミス王女が結ばれる事は無かった。アルテミス王女は、アカネイア大陸の平和の為に――カルタスと結ばれた。アンリは、アカネイアの忠誠のために、アカネイア王国を設立した――これが、世に言われる『アルテミスの運命(さだめ)』の始まりである。』 では、ニーナの血は呪われているのだろうか。そう考えると、恐ろしい事を考えてしまう。原罪故の宿命、王の所業による罪の王冠、アカネイアの偶像にしか過ぎない…深く、考えすぎなんだろうと思っている。プリシラは本を閉じ、元の場所に戻そうとしたその瞬間――カツン。と靴音がした。 「…誰か、居るのですか?」 後ろを振り向くと、イーリス聖王国の王子であり、マルス王子と同じ神剣ファルシオンの使い手であり――マルスの血を引く者であるクロムが居た。 「…いや、すまない。レイヴァンから頼まれたんだ。『妹の様子がおかしいから、見に来てくれないか』とな」 「…兄様がお世話になっています。すみません、態々私のために…」 プリシラが誤ると、クロムが「謝る事なんてない」と言った。するとクロムは、プリシラが読んでいた本のタイトルを見ると――こんな事をぼやいていた。 「…アカネイア大陸の歴史、か。…俺も、あまり本は読まないが、よく姉さんが幼い頃に英雄王マルスの伝説を読み聞かせてくれたな。リズは、姉さんの血を引いているから」 「えっ、そうなんですか?姉さんって…誰でしょうか」 「姉さんの名前は、エメリナだ。聖王国の平和の為に聖王となり、俺やリズ、今は此処に居ないフィレインに優しく接してくれた。ただ…姉さんは、もう…」 次の言葉は、残酷な言葉を接するのだろう。プリシラはクロムが言葉を紡ごうとした瞬間に、口を開く。 「…有難う御座います。でも、私は大丈夫です…クロムさんの言葉に、少し吹っ切れた気がします。だから…気にしなくても良いんです。今は、目の前にある事を考えて下さい」 彼女はそう思い、リズを何故彼が助けたのか――分かった気がしたのだ。 ――彼女と、その姉は…何処かニーナの面影を、重ねていたのかもしれない
8.
アスク城のバルコニーは冷たい風が吹いている。プリシラははーっと息をして、夜空を見る。夜空は格別に綺麗だ。だが、此処を訪れる者は少ない――今は、目の前の現実を見つめるしかないと自分がクロムに言った通り、エンブラ帝国との戦いに備えているから、気紛れで此処を訪れる者は少ない。 「…あれ、プリシラさん?」 聞きなれた声がして、後ろを振り向けば――カムイが居た。彼女は如何して此処に居るのだろうか。すると彼女は「実はですね、星界で見た夜空を思い出しちゃって、此処に来てしまったんです」と説明した。 「綺麗な夜空ですね」「はい、そうですね」 プリシラとカムイは些細な会話をしているだけだが、何やら空気が気まずい。と感じたのは長い時間、沈黙していた――が、先に口を開いたのは、カムイだった。 「…あの、ですね。カミュさんが私に変に接していたのは…私の、生い立ちが関係していたのかもしれませんね」 「えっ?」 プリシラは口をあっけなく開いていた――カムイは、口を開き…言葉を紡いだ。 「私は…本当は、白夜王国の生まれじゃあ…ないんです。透魔王国に生まれたんです」 透魔王国…前に、アカネイアについて調べた際に、カムイの生まれた国の事を調べたいので、書物で調べた事がある。透魔王国――見えざる王国と言われている、不可思議な国。 「母親は…白夜王国の女王のミコトなんですが…、父親は、違うんです…ハイドラと言われる、始祖竜と言われる竜なんです」 カムイから放たれた衝撃な言葉に――ピースが次々と繋がっていく。 「ハイドラは突然暴走して…次々と透魔王国の人達を殺して、自らの眷属にしていきました。生き残った二人の王族の姉妹は――別々の場所に、匿われました。暗夜王国に匿われたのは、アクアさんのお母さんであるシェンメイさんで――白夜王国に匿われたのは、シェンメイの妹である、ミコト…つまり、私のお母さんなんです」 虐殺されていくアカネイアの王族、生き残った王女、暴走し、怒り狂う竜――ピースが、填められていく。 「…でも、お母さんは、突然の襲撃で死んだ…でも、ハイドラの眷属となって、お父様のスメラギと一緒に、私達に立ち塞がったんです」 眷属。その言葉の意味は――十分に知っている。ネルガルによって作り出された…黒い牙のモルフを。あれは…死者を冒涜しすぎたのだ。 「…私が、両親を倒したのです…でも、眷属となったお母さんや、お父さんを呪縛から解放するには…それしかなかった。とても、辛かったんです」 …自らの手で、両親を殺すしかない残酷な決断――其れは、酷く辛いものだろう。 「…あの後、マークス兄さんの所で、いっぱい泣いてしまいました。兄さんは「今は…泣いてもいい」と言っていました。辛くて、悲しくて…それでも、前を向かなきゃ駄目なんです。そうでもしないと…ハイドラを倒さなければ、この戦いは、終わらなかった」 カムイの言葉に、プリシラは前を向く。 「…もしかしたら、カムイさんは…マークス兄さんの事を、大事にしているのかもしれませんね。誰かにも、優しく接していける人なんだと思いました…でも、其れは違った。壮絶な人生を送っていたからだ。本当の母親と父親の温もりを知らず、きょうだい達の愛で育った竜の血を引く少女。カムイは、健気に生きている。けれど、其れでも震えてしまう。ニーナ王女は――運命に耐え切れなかった。愛する人を失い、望まれぬ道を進むのは…決して辛い、絶望な決断だったであろう。彼女の姿を、声を、未だ見た事は無い。この世界に召喚されていない。だけど――彼女の道のりは、決して無駄ではありませんように。とプリシラは祈った。 「…カミュさんを見ていると、何だかマークス兄さんを思い出してしまいます。不器用で、真面目な人間なんだけど…誰よりも優しく騎士である事���、誇っている人なんですね。安心しました」 プリシラは、カムイの言葉に静かに頷き…バルコニーを後にした。
9.
アスク城の外れに、深い森がある。森のざわめきが、冷たい風の音が、蛍の光が――森を包み込んでいる。プリシラは一人、佇んでいた。 ――カミュから見たカムイ王女は、ニーナの面影と何処か重なっていたのだろう。健気で、美しくて、そしてひとりぼっちで――けれど、何も考えても意味が無い。森に佇んでいるのは、ある言い伝えを確かめる為だ。 この森には、人の魂が彷徨っている。異界の者か、或いは死んだ者たちの眠れぬ魂か。と言う、ありきたりな言い伝えだ。 そんな言い伝えを聞いたレイヴァンやヘクトルに「そんなものは迷信に決まっていると」鼻で笑われてしまったのだが。 「…やっぱり此処に、居たんだね」 「!…レオンさん?」 暗夜王国第二王子のレオン。彼が操るブリュンヒルデは強力無慈悲な一撃を与え、他の魔導士や戦士の追撃を許さない青年である。 「…マークス兄さんから、君の行動を聞かされてね。聞いたよ、姉さんの事を」 あの堅物のマークスから、自分の行動を聞かされていたのか。と驚かされた。結構、人を見る目があるのだろうか、彼は――ふと、そんな事を思いながら座り込んでいると。 「…あの騎士の事を気にしているのだろう。正直、異界の王女を身を挺して助けるのは、かなりの無茶振りをしているね…過去の負い目なのは、分かっているのだろうけれど、過去を振り返っても――今は此処の居ない人の事を考えても、何も変わりはしない。…そうだろう?」 「でも、昔の事を振り返ってはいけません…私達も、異界の者が手を取り合って、自分と同じ異界の英雄達と闘わなくては…いや、エンブラ帝国の魔の手から解放されなくては、このつらい戦いは終わらせないと、思うのです」 「…ふーん、君も結構、見る目があるんだね。…姉さんの事、必死で理解しているのを見ると…その甘さは、君の欠点だけど――同時に、長所だと思う事がある。けれど、心から、礼を言うよ――有難う、姉さんの事を思ってくれて」 レオンはそう言い、空を見上げる。 「確かに、暗夜王国では蛍の光は死んだ者達の魂の象徴と言われている。…けれど、思う事がある。死んだ者達の魂は、何処へ行くんだろうね。此処じゃない、何処かか――それとも、此処じゃない、何処かに」 ロイドとウルスラ、そして――変わり果てたゼフィールの姿を見て、思う。何れは寿命で死ぬか、戦いに散るか――二つで一つの結末を選らなくてはならない、魂の事を。アカネイア大陸は英雄王マルスの勝利で長らく平和の日々が続くが――後にイーリス聖王国での戦いを発端に、繰り広げられる争い。マルスやシーダを見ると、何れは人の寿命を考えると、人の命など、蛍の光のように儚く、脆い…けれど、その命の輝きは、光を与える事がある。 「…僕は、マークス兄さんの事を、理解していたけれど…マークス兄さんのほうが、姉さんの事を理解しようと必死に努力していた。血の分けた兄妹の血で血を流す争い――ずっと見てきたから、さ。…姉さんは、種族も血も関係なく、人を隔ててくれる事もなく、理解しようと努力し、辛い思いをしても…自分の心に屈しないように、前を向き続けていたんだ」 レオンの言葉は、悲しく――冷たく森の中に反響していた。やがて、朝は訪れる。それでも、前を向かなくては――死んだ者たちの魂が浮かばれないのは、何故だろうか、誰かに背中を押された気がしたのだ。
10.
後日、プリシラは馬に騎乗し――森の中を歩いていた。この先には、見渡す限りの一面の白い花畑があるとセーラがはしゃいでおり、自分が「じゃあ確認して――本当かどうか見てきますね」と自ら名乗りを上げたのだ。だが、一つだけ奇妙な事に、奇遇かどうかは分からないが――カミュがプリシラの護衛をする。と言ってきたのだ。一人では危険だと言っており、何かあったらいざと言う時に――ふいに、自分の一連の行動に気付いていたのだろう。本当は、自分の疑問に気付いていたのではないのか。 無言のまま、森の奥深くを進んでいく。気まずくはないが、何も喋らない、何も起こらない、風が吹き、リーンリーンと虫の声が響く。 「…少し、君に聞きたい事がある」 「はい、何でしょうか」とカミュの問いかけに、プリシラは答えた。すると彼はこんな言葉を口にする。 「――君は、人が死んだら何処へ行くと思うか?」 「それは、私にも分かりません。…ですが、答えられるのは、アカネイアの未来は、クロムさんや、リズさんが証明しているから、きっと…」 カミュは「そうか」と言い、馬の手綱を引いた。彼の声音が森に響く。 「――君が知りたかったのは、ニーナの事だろう。彼女は、気高くはなかった。脆く、今にでも壊れやすい心を持っていた――けど、私は、そんな彼女を愛していた。だから、カムイ王女に、彼女の面影を重ねていたのだろう」 カミュは、空を見上げる。空には、白い白鳥が飛んでいる。 「私はその人に…もう一度会いたいのです」 プリシラはしっかりと馬の手綱を引き、カミュの言葉に耳を傾ける。深い森には、何も響かないし――魂も、彷徨う事はない。 「だが、君はしっかりとしている。君の選択ならば、未来を掴めるか――その未来を、子孫や、切り開く者に託すか。それ以上の事は出来ないが、歴史は必然的だ…だが、私は、今を生きる事しか出来ない。それでも、何かを掴める事が出来る…未来は、悪い方向に広がっていくか、良い方向に広がっていくかのどちらかなのかもしれないが――彼等なら、私やミシェイルですら切り開けなかった未来を、運命を――切り開けるかもしれない」 クロムやリズ、フレデリク、ルキナ――未来は決定しているが、それでも彼等ならば、運命を切り開き…希望の未来を作れるのかもしれないのだから。プリシラは、手綱をしっかりと引き、目的地へと辿り着いた。  白い花が咲き乱れ、其処には…満面の白い花びらが吹き荒れていた。プリシラは、見渡す限りの景色を見て、空を見た。 もし、その人に会えたのならば、 もし、未来がわかってしまうのならば、 もし――過去に何が起こったのか知ってしまうのならば。 魂は何も答えてくれない。ただ、其処にある事実を記すのみ。 「…それでも、人は何処へ行くのでしょうか」 答えは、まだ帰ってこないままだった。
11.
しかし、姫君が王子に会う事は決して出来ませんでした。王子は、もうとっくの昔に死んでいたのです。姫君は、不老不死の存在でした。太古の呪いを受け、死ぬ事も、老う事も叶わぬ体になってしまったからです。呪いを解く方法は一つ。人の心臓を喰らう事。 嘆いた姫は、一人…森を彷徨う事になりました。そう、いつかは、この呪いを解いてくれる人が現れるまでは。
0 notes
mashiroyami · 5 years
Text
Page 69 : 光る花
 円形に描かれた堀川に囲まれたセントラルは、文字通り街の中心にある中央区、そしてそれを囲むように区画された八つの区域に分かれ、それぞれ東西南北に倣って名が付けられている。  中央区はセントラルおよそ全体を染める高層の建物群の森の中に、ぽっかりと空いたように佇む。政治や経済・防衛等々国の重要機関の核にあたる施設も数多く中央区に詰め込まれている。高層ビルとはうってかわって、見かけには渋い色合いの、どこか古めかしい石造りというアーレイスの歴史情緒をあえて残した建物も多い。国の発展と歴史を織り交ぜたかのようなこの地域では、他の地区とは違った異様な空気を醸し出している。  圭の向かう施設は、この中央区にあった。  アレイシアリスヴェリントン中央区立病院。数あるアーレイス国の病院の中でも医療技術の最先端を走り、規模も国内で指折りの巨大な施設。  異質な場所だ。空から全貌を視界に入れた圭はそう感じた。空から中央区を見下ろした時もそう感じたが、この病院はまた独特だった。人工的に整然と配置された青い木々に囲まれ、対照的に白塗りにされた建物群は、まるで一つの違う世界を創り出しているようだった。  ラーナーが指摘したように、圭は目的場所を完全に把握していなかった。首都の、セントラルの、中央区にある一番大きな病院。そこに居るというひどく曖昧な情報だけ、圭の記憶の片隅に残っていた。それだけを頼りに、なんの障壁も無く直射日光に当てられ、熱に肌が焼けるような感覚に襲われながら滑空していた。  彼は直感した。根拠は無い。それでも、きっとあそこに居る、と。 「エアームド、降りてくれ。あの、一番大きな建物の入り口付近に頼む」  圭は自分を乗せて空を飛んでいるエアームドに声をかける。エアームドは頷くと、滑らかに高度を下げていく。だんだんと地上に近づいていくとその姿を確認する人の姿も増えてきて、自然と視線が集中する。逃げるように無視して圭はただ白い壁を見つめていた。  やがてエアームドの逞しい脚は地面を捉え、軽い衝撃が圭の全身に伝わる。鋭い翼を畳むと、エアームドは軽く鳴いて圭に降りるように促す。 「さんきゅ」  小さく呟くのとほぼ同時に圭は軽々と降り立ち、オレンジ色の瞳はまるで遠くを眺めるように細くなって、すぐ近くの高々とした白い建物を見上げる。倣うように隣のエアームドも顔を上げた。無意識に圭は窓の位置から階数を数える。一、二、三――十、十一、十二。そこでカウントは止まった。ほぼ垂直になっていた首を戻し、圭は肩を落とした。面積も広く、この中で数え入れない人々が病床に臥している。ちらと圭は視線を横にやると、簡易な歩行車に体重をかけて身を支えながらポケギアを操作している男性の姿が見えた。空色の病衣と、纏っている独特の空気が入院患者であると示す。相手は不審な目を圭に向けた。咄嗟に圭は視線を戻す。居たたまれない気持ちに包まれて、彼は小さな溜息をついた。立っているだけで、この空間から邪魔だと弾き飛ばされそうだった。 「俺の世話になってた家の双子の妹、入院してるんだ」  居ても立ってもいられなくなったのか、唐突に圭は口にしていた。隣に立っているエアームドは不思議そうに圭を見下ろす。明るさが持ち前の圭にしては、重い声の響きだったからだ。 「ぶっちゃけ、俺が実際に会ったのは一、二回くらいなんだ。一時帰宅みたいな感じでリコリスに少しだけ帰ってくる機会があったんだよ、ずっと前。でももう最後に会ってからどれくらい経つんだろう…��一年以上は経ってる」  小さく溜息をついてから続ける。 「覚えてくれてるかな、っていうかそもそも、会えるかどうかも分かんないよなあ、もしも面会謝絶、とかだったらなあ……。まあ、まずここにいるかどうかからか。でも、勘だけど、多分ここだ。俺の直感、よく当たるんだ」  わざとらしく肩を大きく竦める。しかし直後、気合を入れるように両の足を両の手で思いっきり叩いた。軽快な一音が重い静寂の中に閃いた。 「っしゃ! せっかくここまで来たんだ、行こう。お前はボールで留守番な。さすがに連れて入れないし」  鋼の体を軽く撫でると、エアームドは表情を変えず頷いた。さすが由緒正しき名家で育てられたポケモンと言ったところか、命令には一点の曇りも無く忠実である。圭はズボンのポケットに入れてあった飴玉サイズほどのハイパーボールを取り出し、スイッチを押して元のサイズに戻すと、すぐにまた開閉スイッチを押す。赤い光線がエアームドに衝突、一気にその巨体を包み込んだと思うとボールの中へと吸い込まれていった。手元のボールに重量感が増した感覚は微塵も無い。相変わらずの一連の鮮やかさに圭は舌を巻く。 「科学の力ってスゲーよな……」  しみじみと彼は実感を噛みしめた。  そして取り残された気分を振り払い、一歩を大きく踏み出した。
 夕陽色の髪はこういう息苦しい程落ち着いた場所では余計に目立つ。が、ちらちらと投げかけてくる視線には慣れたものだし生まれつきのものだ、仕方が無い。あえて胸を張るように廊下を歩く。纏わりつく空気が心なしか重い。消毒用薬品の匂いの中を彼は進む。目に見えぬ威圧感が圧し掛かってくるようだった。  圭の直感は当たっていた。見舞う相手を尋ねたところ、慣れた手取りで氏名等の記入を指示され、場所を紹介された。彼の知らぬ点ではあるが、そもそも中央区にはこの病院しか無い。中央区であるということを刻んでいた彼の記憶力を称えるべきだろう。  やがて受付で紹介された部屋の前までやってくる。九一六番病室。数字の羅列の下に、自分の見舞おうとしている人物の名が書かれているのを改めて確認する。圭はすうと静かに息を吸った。いざ目の前にすると、緊張で足が竦みそうだった。相手が自分を覚えていなかったら。目も当てられないほど、ひどい状態にあったら。その時自分は、どんな反応をすればいいのだろう。底知れない恐怖に似たものが、絡み付いてくる。  しっかりしろ。  怯える自分を鼓舞する。  二度ほどぎこちなく扉をノックした。返事は無い。音をあまり立てないようにそっと扉を横に引いた。拍子抜けするほど滑らかに動いて、すぐにその先の景色は眼前に広がった。  部屋の大部分を占める真っ白なベッド。花瓶に入れられた名も知らぬ花の匂いがした。ベッド横のテーブルにはたくさんのおもちゃが入った箱が入れられている。開放的な大きな窓を真正面に、彼は布団に臥している少女の姿を目に留めた。彼女も来訪者にはすぐ気が付いて閉じていた瞼を開き、そしてすぐに異変に気が付いた。見知った医者でも看護師でもない、そして母でもない。痩せた頬に赤味がさしていくように圭には見えた。  白い。あまりにも白い肌。姉妹と同じ色合いの茶色い髪は、姉妹の誰よりも長い。そして突き刺さる様に印象深く圭の視界に入ってくる、小さな鼻に伸びる透明なチューブ、痩せてこけた頬。それ以外は、彼の知る双子の片割れとまったく同じ顔。故にか、余計に衝撃が走る。初めてその姿を見た時も、思わず言葉を失ったものだった。 「け、けいちゃん」  弱々しくもはっきりと出てきた声に、圭の緊張感が僅かに解かれる。彼女は自分を覚えていてくれた。大きな不安が解決した瞬間、体の内から今度は喜びが溢れてくる。安堵に表情を綻ばせた。 「ユア、久しぶり!」 「ひさしぶり……どうして?」  明らかに動揺している少女――ユアを前に、圭は扉を閉めてからゆっくりと傍まで歩いていく。 「ちょっとな、用事があって首都に来たんだ。で、そのついでに見舞いに来たぜ」  と言っても何にも手土産は無いけど。苦笑しながら圭はベッドの横の丸椅子を見つけ、ショルダーバッグを肩から外してすぐ近くのテーブルに置くと、軽く服を払ってから腰かける。  ユアはまじまじと穴でも開けそうなほど圭の顔を見つめる。まるで彼が本物であるかを確認しようとしているようだった。見張られているようで小さな気恥ずかしさに見舞われた圭は、唐突に腕を組んでおどけたような表情をとる。 「そーんな見られるとさすがに落ち着かないって。体の調子はどうなんだ?」  気軽な口調で話しかけると、緊張で強張っていたユアの顔は僅かに綻んだ。 「う、うん……あの、今日はね、調子いいの。さっきちょっとだけ散歩したから、今は休んでるとこなの」 「おーそっか、散歩か! 気持ち良かったか?」 「うん、えっとね……ちょっとだけなんだけど、うん、今日は、調子いいんだ」 「そっか、そりゃあ何よりだ! いい兆しじゃないか」  何度も嬉しそうに頷く圭。黙っていられないのはユアも同じなのか、顔だけ布団から出していた状態から起き上がろうと、おもむろに体を動かし始める。瞬間、慌てて圭は立ち上がった。 「おいおい、そんな起き上がらなくたって大丈夫だよ」 「うん、でもね、今日はね、調子いいから」  三度目になる言葉を言いきってから、彼女は白い歯を小さく見せて微笑んだ。背後の壁にもたれ掛る様にして上半身を起こすと、ふうと彼女は息をついた。  起き上がった少女を改めて圭は観察する。  リコリスに住むルーク家の姉妹の末っ子、双子の妹の方。それが今彼の目の前にいるユア・ルーク。姉であるミアはリコリスで元気に走り回って過ごしているが、ユアは生まれてすぐに判明した病で長い入院生活を送っている。一方は毎日外を駆けまわり、もう一方は日常の殆どの時間をベッドの上で過ごす。同じ瞬間に生まれた顔も同じの双子で、これほどまでに生き方は変わるものなのか、と圭はユアを目の前にするたびに考える。詳しい病状どころか病名も彼は知らされていないが、最大の病魔は肺に巣食っていることは知っている。常に酸素ボンベによる供給を受け、運動などもっての外である。少し走っただけで酸素が足りなくなるからだ。散歩をしたと彼女は言ったが、ベッド付近に置かれた車椅子に乗ったものであることを圭は分かっている。以前、リコリスで会った時もずっとそうだった。重い病気であることは理解していたが、それ以上踏み込もうとはしなかった。ユアはルーク家にとってガラス細工のような繊細な存在そのものであり、実際には血が同じ家族ではない部外者の圭には無闇に入り込んではいけない世界だと自ら身を引いていた。 「……お母さんは、元気か?」  なんの話題を出すか考えた末、彼はそう尋ねていた。ユアはちょっとだけ表情を曇らせながら小さく頷く。 「お仕事がお休みの時はよく来てくれるの」その後、でも、と彼女は零す。「最近はお仕事忙しいみたいで……でも、ユアね、いい子だからね、へーき」 「……うん、ユアはいい子だ。そりゃ間違いない」 「えへへ」  嬉しそうに彼女は笑った。双子の姉、ミアと瓜二つの笑い方だ。 「ね、圭ちゃん、それ取って。そこの机の上の折り紙」 「折り紙? ……っと、これか」  圭はユアの指差した方向、つまり自分の背後にあるテーブルに目を向けてすぐに気が付いた。黒い立方体の紙箱に入れられた色とりどりな折り紙。箱は高さ十センチほどのもので折り紙はその半分くらいまで積まれており、見ただけで大量に入っていることは分かった。それをユアに手渡すと、彼女は一度枕元に置いて、紙を選りすぐる。すぐにオレンジ色のものが出てきた。 「圭ちゃんはオレンジさんだからね、これで、なんか折ってあげる」 「おおまじかよ、何折ってくれるんだ?」 「ばら!」 「バラ!?」 「うん」 「えっそれって花の? 本気で言ってんのか?」 「うん」 「ひえーまじかよ、すげえな! あ、平らなとこがあった方がいいよな。ちょっと待てよ」  圭は一度立ち上がり、ベッドに取り付けられたスライド式の白いテーブルを手繰り寄せる。そのまま滑らかに動かしてユアの手元まで移動させると、ユアは嬉しそうに笑って、折り紙を半分に折る。そこから一瞬で自分の世界に入り込んでいった。その様子を圭は興味深く観察する。自分よりずっと小さく痩せた白い手はてきぱきと動いて、しかし丁寧に折り目をつけていく。僅かなずれも殆ど見当たらない。慣れているのだろう、ただの一枚の紙だったものは瞬く間に形を変えていった。 「いやあすげーな、ユアは器用だ。俺、鶴も折れねーぞ」 「えー! 嘘だあ」  一度手を止めて、心から驚いたようにユアは今までで一番活力に満ちた声をあげた。 「いやほんと。俺、手先はまじで不器用だかんな。雑さではソフィどころかミアにも馬鹿にされるからな。爆笑だぞ」 「そうなん?」 「そうそう。そもそも鶴、折り方も知らないし」 「え! 嘘だあ、鶴なんて、みーんな知ってるもん」 「いやーほんと、知らん知らん」 「ほんとに?」 「ほんとほんと、神に誓う!」 「ええー」  ユアは目を丸くしながらも嬉しげな表情を浮かべていた。圭ちゃんは知らなくて、自分は知っている。圭ちゃんはできないけど、自分はできる。なんとなく誇らしげな気分になって、背筋をちょっとだけ伸ばす。改めて手元に視線を向ける。オレンジ色の紙は彼女の細い手によって変身を進めていた。 「じゃあね、これが終わったら鶴教えてあげるね」 「お、ほんとか」 「うん、でももう出来ちゃう」 「早!」  圭は思わず声をあげたが、確かに随分折りこまれていったそれはもう完成手前までやってきていた。それから数秒も経たないうちに最後の仕上げに小さく折り目をつけて、ユアは作品を高く掲げた。平らながら丁寧に折られたそれは、多くの花弁を表現したオレンジ色のバラであった。 「できた!」 「おおお!」  圭は歓声をあげた。ユアは少しだけ胸を張りながら圭の方に体を向けると、圭を手招きした。不思議に思った圭は誘われるままに身を乗り出すと、ユアは体を伸ばし腕も伸ばし、圭のオレンジ色の髪にその紙のバラを乗せた。直後、面白げにからからと笑った。 「えへへ、似合ってるっ」 「……いやいや、俺そういうキャラじゃないから!」  しかしその表情は嫌そうなものではなく、むしろ嬉しそうににやけていた。そのことをすぐにユアは目敏く指摘する。 「嘘、圭ちゃん、すっごく笑ってるもん。嬉しいんでしょ」 「いやでもなー頭に花飾りって、俺、男だぜ?」 「でも似合ってるの」 「それ複雑だな!」 「……嫌だ?」  不意にユアは表情に不安な色を注した。瞬間、どきりと圭の心臓は大きく鳴った。頬骨の浮き上がったような痩せた顔が急に色濃く目の前に現れたような気がしたからだ。僅かに垣間見える彼女の生活の端くれに、動揺が走る。しかし瞬時にそれを隠さなければと無意識に判断して、圭は微笑んだ。頭にオレンジ色の紙製の薔薇を乗せたまま、微笑んだ。 「バーカ! 嬉しいよ。ありがとう」 「ほんと?」 「ほんとのほんとだよ。神に誓うさ」  そう言って徐に圭はユアの小さな頭に手を乗せた。  遠きリコリスに住むミアと同じ大きさである感覚が、俄かに掌に焼き付いた。
 *
 ほぼ同時刻、場所はセントラル北区某所。瞳に張り付くように鮮やかな碧空の下、青年はその場に静かに降り立った。暑そうに服を自らはためかせながら、すぐ背後にある手摺に体重をかけた。  吹き抜ける風が騒がしい。そんな錯覚を掴んだ彼は、瞬時にその自分の感覚を嘲笑するように鼻で笑った。ただの思い込みに過ぎないし、柄にもなく詩的な思考が一瞬でも過ったことに呆れすら感じたからだ。何も変わらない風だ。普段と変わらない、未だ鬱陶しい夏の気配を含んだ初秋の空気。  青年は柔らかな金色の髪を風に揺らしながら、眼下の景色を見下ろした。信号に止まっているのか、真下で横一字に敷かれた道路には多くの車が並んでいる。様々な色が道を点々と塗りつぶしているようだ。その脇を虫のような大きさの人々が流れていく。彼等一人一人に命が吹きこまれていて、感情がそれぞれに渦巻いていて、誰とも重なることのない人生の歩みがある。そのことに気味悪さすら感じる。この首都にはアーレイス国の十パーセント以上の人口が押し込まれている、そのことをいつだったか、暇潰しで聞いていたラジオで言っていたのを微かに覚えている。国民の十人に一人はこの街の人間がいる。首都の人口密度は順調に高くなり続けているあるというから、現在はその割合は変わっているだろう。まるで強い力に引き寄せられるように、日々集まってくるのだ。深く考えようとすると、眩暈がしそうになる。  あの中の誰かを捜そうなど、途方も無い話だ。  彼は目線を上げ、近くなった空を視界に広げた。十数階のビルの屋上の手摺の向こう側に立った彼には力強いビル風が攻撃するように吹き抜けていた。噎せ返るような熱が同時に襲い掛かってくる。その足元は僅か。少しでもバランスを崩せば真っ逆さまに落ちてしまう。それは彼自身よく分かっていた。  何を思ったのか、笑みが零れる。嬉しそうに、愉しそうに、快さそうに、歪んだ��うに、笑う。久々に胸に湧き上がってきた高揚感を身体の奥に静かに押し込める。だが、抑えきれずに表情に徐に笑みが広がったのだった。それは長い間求めていた感覚だった。  炎天下、惑う空気に走り抜ける衝動。止める者は誰も居ない。  彼は空中である前に向かって小さく、――自ら、跳ねた。 < index >
0 notes
digdlsnews · 7 years
Text
成年向けPCソフトタイムセール 2/17(金)14:00~24:59
5100作品が安売り! 成年向けPCソフトタイムセール 2/17(金)14:00~24:59 your diary+H[初回限定版]等 道のプロ
成年向けPCソフトタイムセール2/17(金)14:00~24:596195作品中、一部を紹介! your diary+H[初回限定版] PigeonBlood[初回限定版] VenusBlood -HYPNO- フレラバ ミニファンディスク&フルサウンドトラック 珊海王の円環 予約特典アペンドディスク 「薔薇の奏鳴楽団!! DISC」 人形使い2 巨乳JK生主生ハメ生中出し おねだりシェアメイト サノバウィッチ エロ漫画家さんと貧乏姉妹 成年向けPCソフトタイムセール2/17(金)14:00~24:59 こちらへ! (more…)
View On WordPress
0 notes
86ko · 7 years
Text
プレイシナリオ(PL)※随時更新
・夢の音楽家 2016.07.05 ・ロッカー(榎丸1) ・みかん箱(榎丸2) ・Nein(榎丸3) ・毒入りスープ(駒井1) ・パズル(榎丸4) ・ひとりみるひと(榎丸5) ・奇妙な地下鉄(はるこ2) ・虚箱(三吾1) 10鏡の影(榎丸6※ひとりみるひと続編) ---------------- ・占いの館(榎丸7) ・N川殺人事件(榎丸8) ・レッツゴー七不思議チャレンジ(旭1) ・深淵からの呼び声(榎丸9) ・夜は短し飲んでは歩け(駒井2)テキセ ・カクテルの王様(駒井3)テキセ ・冬薔薇に捧ぐ(駒井4)テキセ ・心の軋むとき(三吾2) ・ガラスの電車(榎丸10)テキスト 20大好きな、かくれんぼを(三吾3) ---------------- ・猿夢(静馬1) ・海老祭(旭2)テキセ ・黒猫の白ワイン(三吾4) ・Lucky color(旭3) ・Roof(駒井5) ・もう寝なさい(榎丸11) ・向日葵の向こう(榎丸12) ・盲信者(五百旗頭1) ・スナーク狩りの夜に(五百旗頭2) 30瑠璃島(駒井6)テキセ ---------------- ・裏切り者は…(榎丸13) ・悪霊の家(榎丸14) ・泣かない子(旭4) ・真夜中遊園地(旭5) ・男の子(五百旗頭3) ・A(駒井7)テキセ ・干乾びた水槽の中で(五百旗頭4) ・「あちらのお客様からです」(五百旗頭5) ・異世界エレベーター(静馬2) 40首切り様(榎丸15) ---------------- ・解なし(旭6) ・シュレーディンガーの猫箱(メーベル1) ・君におはようと言えたら(五百旗頭6) ・インコンビニエンスストア(駒井8) ・おじさまオリシナ※ふたり暮らし(猫屋敷1) ・羅生門(美和子1)テキセ ・SwanSong(三吾5) ・さくらのみち(メーベル2) ・罪の身代わり(旭7) 50赤ずきんちゃん(静馬3) ---------------- ・MAD CRAZY MASTER(駒井9) ・槽に堕とす(五百旗頭7) ・きさらぎ駅(榎丸16) ・白布を染める幸福の色彩(静馬4) ・かぷかぷちゅるちゅるごっくんちょ(榎丸17) ・オハナシ(汐梨1) ・幸せな骨董店(藍1) ・「脱法ジャンキーダメ、ゼッタイ」(メーベル3) ・思えば思わるる(三吾6) 60時告鳥はいつ死んだ(藍2) ---------------- ・わくわく体験型博物館(旭8) ・おかえりなさい(三吾7) ・人間レンジ(メーベル4) ・植物園の怪物達(杏子1) ・溶けるような愛をあなたに(五百旗頭8) ・あなたのこえをきかせて(藍3) ・怪物(若・五百旗頭1) ・猫の棲む家(美和子2) ・飛竜の卵(榎丸18) 70ねこの小道(榎丸19) ---------------- ・銀行強盗代理(守1) ・詩集の夢(藍4) ・*ゆけむりのなかにいる*(メーベル5) ・人魚の願い(杏子2) ・おまえがママになるんだよ!(三吾8) ・私の全てをあなたへ(美和子3) ・ガレット・デ・ロア(藍5) ・うしろのしょうめん、だあれ(藍6) ・何かが潜んでいる(杏子3) 80うらおもて(榎丸20) ---------------- ・幸せな結末をもとめて(旭9) ・きさらぎ駅(榎丸21) ・最果てのレイル(メーベル6) ・Where is room key !?(三吾9) ・雪の先(秋史1) ・彼岸に咲く約束の花(駒井10) ・聖母の復活(五百旗頭9) ・機械仕掛けの街(杏子4) ・CALLING(旭10) 90死神に花束を(秋史2) ---------------- ・あなたの重さ(榎丸22) ・忘れられない夏よ(仁1) ・悪夢の行き先(三吾10) ・七色の血(旭11) ・三人の双子(メーベル7) ・ミルキーウェイで抱きしめて(歩歌1) ・これを証明せよ(榎丸23) ・キチガイ村の村祭り(榎丸24) ・will(メーベル8) 100地を這う標(旭12) ---------------- ・延命病院(秋史2) ・八百万の呼び声(榎丸25) ・人生は花のように(秋史4) ・薔薇の館(藍7) ・人魚姫の物語(メーベル9) ・あの踏切にいる(駒井11) ・魔法少女の宴(美和子4) ・パンケーキ食べ切らないと出られない部屋(メーベル10) ・穴あき空の旅(メーベル11) 110太陽と月と眼(榎丸26) ---------------- ・プ◯キュアになる!(三吾11) ・B&B(秋史5) ・悪徳の住人(メーベル12) ・水没列車(旭13) ・ケーキインドリーム(藍8) ・15の扉が紡ぐ恋(榎丸27) ・知ラナイ家(途中2) ・猛毒の隙間(駒井12) ・イチャつけ!(榎丸28) 120DoIL(秋史6) ---------------- ・きゅーばー(三吾12) ・No-tice!(榎丸29) ・獅子の呼び声(メーベル13) ・お前は誰だ(守2) ・冥界への片道切符(メーベル14) ・RED SIGN(旭14)170916 ・誰彼美容整形(藍9) ・Lilium(美和子5) ・王様の命令は?(三吾13) 130瑠璃色絵画(秋史7) ---------------- ・ボスラッシュ(旭15)171001 ・おいしい、!!カリー☆、(旭16)171005 ・泡沫の舟(旭17)171007 ・堕ちた先に在ったのは(旭18)171022 ・Let's Go HalloweenParty!(榎丸30)171022 ・選んでね(美和子6) ・Hand in Hand(旭19)171030 ・ハロウィンイベント開催中!(杏子5)171031 ・Wasted(秋史8)171101 140怪しい住人(コーディ1)171102 ---------------- ・ランタンの灯りは夜の明けない街に灯る(旭20) ・おきつねさま(奏介1) ・美味しいマドレーヌをどうぞ(榎丸31) ・ウェディング・ベルを鳴らして(榎丸32) ・何階から落ちますか?(秋史9) ・紫陽花屋敷(三吾14) ・人生画廊(榎丸33) ・かるんさんオリシナ(美和子7) ・底闇(静馬5) 150りんごはあまい(藍10) ---------------- ・かんおけのなかにいる(旭21) ・○○しないと出られない部屋(メーベル15) ・全部見せます!~USO!あなたの知らない隣の世界~(不来方1) ・お手(榎丸34) ・リボルバー(メーベル16) ・共有情(旭22) ・グッバイ、ハロー。(三吾15) ・花ノ揺リ籠(メーベル17) ・ふたりとも(榎丸35) 160She Wore a Yellow Ribbon(三吾16) ---------------- ・水槽の姉妹(メーベル18) ・切って殺して詰め込んで(旭23) ・汝、死を乗り越え目覚めを渇望せよ(メーベル19) ・マザーグースレストラン(美和子8) ・招かれた家(榎丸36) ・満月のない十五夜(三吾17) ・ハロー、ヴィータ(三吾18) ・嗤う人間師(ロバート1) ・emotional~アイドルを救え~(不来方2) 170Life gose on~人生は続く~(秋史10) ---------------- ・Baby in Coin Locker(美和子9) ・奇妙な動物園(三吾19) ・セーラー服を脱がさないで(三吾20) ・息をしようとして(花菱1) ・首断ちの刀(秋史11) ・チャーリーとチョコレート興行(三吾21) ・星巡アステリズム(藍11) ・なゐふる(美和子10) ・クレイジーガーデン(榎丸37) 180海月ロマンチカ(ロバート2) ---------------- ・パンケーキ夜行(三吾22) ・豊穣神社(旭24) ・白鳥の歌を謡うとき一話(バーナード1) ・神はチップをご所望か(三吾23) ・妖蠶を継がせられる者(暁1) ・フ@=ゐ でis(白雪1) ・苦無茶(美和子11) ・白鳥の歌を謡うとき二話(バーナード2) ・ここで長く生きて(美和子12) 190庭師は何を口遊む(蜂須賀1) ---------------- ・パンケーキ食べきらないと出られない部屋(蜂須賀2) ・よくわかんねえ(蜂須賀3) ・白鳥の歌を謡うとき三話(バーナード3) ・ウルトラジャングル探検記(花菱2) ・Q.E.D(サロメ1) ・白鳥の歌を謡うとき四話(バーナード4) ・Jack's monodrama(不来方3) ・人殺しの家(コーディ2) ・蛇の縁日(五百旗頭10) 200ぐーぐーはんばーぐー(藍12) ---------------- ・虚像の悪夢(メーベル20) ・Shooting on Ruined Earth!(蜂須賀4) ・白鳥の歌を謡うとき五話(バーナード5) ・ぼくらとミゴの夏休み(浅黄1) ・生命の接ぎ木(三吾24) ・良い子にしなさい、ナターシャ・カンプッシュ(三吾25) ・キズナトピア(旭25) ・方程式のプラネ(三吾26) ・異世界転生探索者と神託者の旅(美和子13) 210:13・13(五百旗頭11) ---------------- ・人間の条件(蜂須賀5) ・ゴキゲンサマーバケーション(蜂須賀6) ・エレベーター(メーベル21) ・ぼくのおもちゃ箱(三吾27) ・蟲の揺り籠、母の子守唄(未來1) ・海老祭(蜂須賀7) ・クリエイターズアイランド!(メーベル22) ・信仰、或いは真実の縮図(未知1) ・オーダーメイド(寧々音1) 220ようこそ!忍者村(千夜1) ---------------- ・友よ、永遠に!(未知2) ・ハロウィン・ナイトの悪夢(蜂須賀7) ・紡命論とシンギュラリティー(岸辺1) ・誰彼時狂歌(長與1) ・Chapter:1(長與2) ・セーラー服と機関銃(蜂須賀8) ・ペットは君(椿2) ・宵へ告ぐ(杏子6) ・チャルディーニの法則(運命1) 230科学は人の為ならず(雫1) ---------------- ・クリスマスケーキを召し上がれ(依鞠1) ・Vampire Rose ― 吸血鬼の花嫁 ―(榎丸38) ・救済演説(蜂須賀9) ・懐かしく愛しい家族よ(千夜2) ・狂気山脈─邪神の山嶺─(小鯖1) ・タンサクシャマンガプロジェクト(三吾28) ・ここはだれ(美和子14) ・イケオジfor you(浅黄2) ・T高のU子さん(未知3) 240突然ですが貴方の語彙は死にました。(花菱3) ---------------- ・あそぼうおじさん(秋史11) ・卓上の水掛け論(旭26) ・クルクルン(メーベル23) ・不眠を彷徨う。春の嵐は、蜃のゆめ(秋史12) ・警視庁警察学校体育祭(蜂須賀10) ・闇室(音尾1)ロスト ・死にたがり電車(途中3) ・サイコメイズ(白雪2) ・残夏に啼く(留守1) 250海賊船と大海原の悪魔(クロエ1) ---------------- ・地獄苑(間藤1) ・声なき呼び声(未來2) ・だるま駅(三吾29) ・扉を開いて右に7歩(杏子7) ・魔術師はBARにいる(浅黄3) ・ヒッチハイク(未知4) ・愛は灼熱のアラビアンナイト(寧々音2) ・火点し頃の蜘蛛踊り(白葉1)ロスト ・幾年のこひ(國輝1) 260DEAR ANGEL(岸辺2) ---------------- ・海賊船と空渡る幽霊船(クロエ2) ・Water(榎丸39) ・殺していいのは呼吸だけ(雫2) ・White dish(長與2) ・ボトルメール(麗1) ・紫雲、その先に(駒井13)ロスト ・もっと食べたい(小此木1) ・情報の足枷(鶴来谷13) ・孤独な愛の子供たち(コーディ3) 270真夜中のシークレットサーカス(旭27) ---------------- ・楽園パラノイア(采原1) ・concert hall(浅黄4) ・水媒花(杏子8) ・海賊船と太陽神の花嫁(クロエ3) ・ネームレスカルト(江茉乃1) ・腐っても探索者(翠1) ・チャルディーニの法則2(運命1) ・Bar崖っぷちへようこそ(留守2) ・家の中を歩いてみよう(不来方4) 280トブ老人(千夜3) ---------------- ・鬼の酒宴(メーベル24) ・天国は待ってくれる(暁2) ・喫煙所にて(留守3) ・天竺同行人(長與2) ・Your SHADOW is genuine?(小此木2) ・2人の名探偵(アビゲイル)ロスト ・大正十二年の空になく(無蔵1) ・見果ての論紡(光見1) ・薄暮れの迷い路(國輝2) 290最果ての底庭(浅黄5) ---------------- ・A-X51(グウィン) ・クトゥロンリロード(寧々音3) ・鬼一口(未來3) ・天上落土、堕楽のすゝめ(にえ1) ・海賊船と髑髏島の決闘(クロエ4) ・スモーキンバラッド(留守4) ・燐光の夜間学級(眞鳥1) ・奇禍階段(未知5) ・忘れ去られた刑務所(藤妻1) 300母たるものの証明(眞鳥2) ---------------- ・虚の葉は呪う(アグネス1) ・038(小恋路1) ・My Summer Darling!(榎丸39) ・DEAR MY SUPER DARLING!(浅黄6) ・百年のこひ(國輝3) ・風雲児たちへ一幕(髙木1) ・神隠し(長與3) ・腐肉喰らいの部屋(浅黄7) ・X2Uオカマx甥 310水槽のない水族館(三吾30) ---------------- ・山羊の歌は謡えない1話(ターラ1) ・山羊の歌は謡えない2話(ターラ2) ・進化の穴に潜むもの(秋史13) ・ワン!ワン!ワン!(千夜4) ・風雲児たちへ2幕(髙木2) ・仰ぎ見る遡行(更紗1) ・逃れられぬ地より(寧々音4) ・永禄を君と(長與4) ・R.I.P.(長與5) 320:チャルディーニの法則3(運命3) ---------------- ・かいぶつたちとマホラカルト(砂1) ・隣人(未知6) ・以心電心(杏子9) ・海底電車(岸辺3) ・X2Uアイドルxマネージャー(ゆの1) ・風雲児たちへ3幕(髙木3) ・夜半の口寄せ(蜂須賀11) ・殺人鬼リサイクルのすゝめ(未知7) ・山羊の歌は謡えない3話(ターラ3) 330;誰がロックを殺すのか(福朗1) ---------------- ・オートマタは星に願う。(小恋路2) ・まつろわぬ蛇たちへ(巳影1) ・焼肉飲み放題2時間3000円(未來4) ・カスタマイズラバー(詩朗1) ・そばにいたいよ〜年末SP〜(アグネス2) ・好きです、〇〇さん(留守5) ・真言高校七不思議(にえ2) ・因って件の如し(未來5) ・大正浪漫X2U文豪x現代探索者(泪1) 340:素晴らしき新年(小此木3) ---------------- ・メゾン・ホワイトスノーの逆襲(留守6) ・天露尋(留守7) ・僅差平衡のヴェルダンディ(岸辺4) ・DDG(利王1)ロスト ・山羊の歌は謡えない3.5話(ターラ4) ・君待つ明日に僕はいない(真帆1) ・一から彼方へ(千里1) ・無我の園(守3) ・四谷の気狂い屋敷(遙1) 350:イデアの肖像(國輝3) ---------------- ・大正浪漫X2U怪盗x探偵(皆藤1) ・きまぐれ海賊飯~宇宙的恐怖を添えて~(クロエ5) ・殺骸島事件(一三1) ・不完全なる図書館(留守8) ・惑わぬ星(砂2) ・13・13 INVISIBLE(五百旗頭12) ・シナリオの中心でちりめんじゃこと叫ぶ(旭28) ・夜行(砂3) ・マーチ・クークラの家(千夜5) 360:第二十三号(眞鳥3) ---------------- ・アカナワサマ(岸辺5) ・773(大菊1) ・ヨグの使いやあらへんで!※以下略(メーベル25) ・孤独の密室(光見2) ・山羊の歌は謡えない4話(ターラ5) ・頭夢児殺人事件(那之夏1) ・海賊船と海境の秘宝(クロエ5) ・ハイフェッツをなぞる病(粧1) ・キルキルイキル(晶1) 370:ヤドリギあやかし探偵社:春(雨壱1) ---------------- ・少女の轍(綴日1) ・凶夢に踊れ、グランギニョル(睦1) ・SE◯好きな部屋(砂3) ・「」なんてね(まなと1) ・すきばらの神(秋史14) ・I was...(小此木4) ・近未來のイヴ(泪2) ・ヤドリギあやかし探偵社:夏(雨壱2) ・油を飲む(美和子15) 380事象地平のアストロナウト(直刀1)ロスト ---------------- ・1hour(砂4) ・主人公はもういない(時都1) ・CTHULHU BUSTERS(渉太2) ・常闇の国(遙2) ・CTHULHU BUSTERS2~ルルイエより愛をこめて~(渉太3) ・窮鼠は何を喰らうのか(千草1) ・メイキンウーピーは東京駅で恋をする(國輝4) ・朝までの奥底(小恋路3) ・なぬぬねの国 390:びいどろの国(硝子1)ロスト ---------------- ・化の国(福朗2) ・デウス・エクス・マキナは死んだ(ハニー1) ・Jamming★Channel(福朗3) ・まれびとこぞりて(利理斗1) ・団地鬼(渉太4) ・監禁たる幸福の幸福幸福幸なりなりなり幸 ゆえに監禁(小恋路4) ・えっ!壺を買うだけで幸せになれるんですか!(寧々音5) ・バールのようなもの(寧々音6) ・死境の国 400:苦無茶※二杯目(利理斗2) ---------------- ・舞奏の国(長與6) ・夏に隠れた赤(薄花1) ・凍てつく夜に(渉太5) ・白薔薇邸と時計台 -Rose of relics-(蜂須賀12) ・ヤドリギあやかし探偵社:秋(雨壱3) ・サファイアの月(لُؤْلُؤَة ) ・狸馬鷹の国(暁3) ・一二人の密室(留守9)
0 notes