#倉庫移転し無念
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generalwonderlandpeace · 6 months ago
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elle-p · 2 years ago
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P3xP4 World Analyze pages 32-33 transcription.
“滅び” をもたらすもの “ニュクス”
月に宿るもの
���球の衛星である “月” は、太古の時代から謎めいた存在だった。人類が月に到達して生命が住んでいないことが確認されてからも、その大きすぎる衛星がどのように誕生したのか謎はより深まった。月は地球生成直後に小型の惑星が衝突し、飛び散った地球の断片が集まって誕生したとされる “ジャイアント・インパクト” 説が支持を集めている。しかし、地球に衝突した物体が惑星ではなく巨大な生命体だったとしたら?後に “ニュクス” と呼ばれるその生命体は地球の常識とはかけ離れた存在で、衝突後、地球の断片とともに月となった後も生き続ける。ニュクスの持つ性質は、やがて生まれた地球生命体に影響を与えることとなった。ニュクスは言ってみれば “死” そのものを放射しており、地球上の生命はそれを受けて死ぬ。生物は “死” を恐れ、それを避けようとするようになったことで結果的に高度な生命へと進化していった。
ニュクス本体は、本来の姿を取り戻すため、地球上に飛び散った自身の “精神” であるシャドウを呼んでいる。
シャドウの母体
地球に生命が発生したこと自体ニュクスの衝突が遠因となっているため、ニュクスがすべての生みの親ということもできたが、それはまた命を奪う恐ろしい敵でもあった。知能と呼べるほどの能力を得る前から、地球の生命は “恐れ” や “争い” といった概念を獲得していた。ニュクスは衝突の際に自身の精神を失ったが、それは地球全域に飛び散っていた。それらが “死” を発する源となったのだが、同時に地球生産の精神にも強い影響を与えていく。精神の一部が、ニュクスの断片と同化しようとする “シャドウ” と呼ばれるものに変化するのは、この影雪により始まった。地球の生命はニュクスとその影響を強く恐れ、誰もが持つその意識はゆっくりと “集合的無意識” に発展していく。地球生命の個体がそれを意識することはあまりなかったが、集合的無意識は対抗手段として “ペルソナ” の力を造り上げていき、限られた者がその力を使えるようになっていったのである。
人間のように発達した精神は、ペルソナ能力を扱うのに向いているが、同時にニュクスの影響も受けやすくなる。
ニュクスの復活
ニュクスの本体と飛び散った精神体は、それぞれ元の合一した状態に戻ろうとしている。シャドウもニュクスと融合を求めて移動するが、それはニュクスの精神体とよく似たものに変化しているため。シャドウは生命から分離した直後はたいていとても小さく力の弱い状態だが、シャドウ同士が呼び合って融合していくことで成長する。場合によってはニュクスの精神体と融合し、非常に強い力を一気に得ることもある。
融合を繰り返したシャドウほど強い力を持ち、タルタロスで “番人” と呼ばれる存在になったり、街に出現する大型シャドウクラスにも成長する。幾月は12体の大型シャドウを特別課外活動部を媒介として融合させることで “死” のシャドウを造ろうとした。“死” のシャドウはニュクスの一部と呼べるほどの力を持っており、"化身" を意味する「アバター」の名で呼ばれる。
シャドウそれぞれもある意味 “ニュクスの化身” だが、そう呼ばれるにふさわしい力を得た状態が “死” だ。
ニュクス教という名の終末思想
[ニュクスの代弁者]
影響はすべての生命が受けているため、程度の差こそあれ、ニュクス教に類する意識は誰もが持っている。ストレガ、というよりもタカヤが “代弁者” を名乗っているのは、ニュクスの影響に対する感受性が強く、自分の中で思い込みも含めて発展させていった結果であろう。
[布教活動]
ストレガは “滅び” が現実のものとなることを目的としており、人々の意識をそちらへ向けさせる活動を行っていた。ニュクスの情報はストレガ自身で得たものだが、ある程度幾月が意図的にリークしたとも考えられる。
街のあちこちにニュクスを意味する記号が落書きされ、ビラも撒かれている。
[救いを求める人々]
ストレガがきっかけを用意した後は、信じ込んだ人々が勝手に広めてくれていた。落書きやビラは信者たちが自主的に行っている。
信じてはいなくても、噂に振り回される者もいる。
狂信的な者は、かえっててそう見えないかもしれない。
大型シャドウという “呼び水”
シャドウ同士が引き合う力は、シャドウの融合が進むほど大きくなる。それは “引力” に近いもので、近づくことでより強く引き合うようになる。かつて桐条鴻悦の指示で行われ、ある程度融合が進んだ状態のシャドウが “爆発事故” で飛び散ったのが10年前。子供の体内に “死” が封印されたことで大型シャドウそれぞれも休眠状態となっていたが、港区に戻った “死” がファルロスとして目覚めたときに、大型シャドウたちも休眠から覚め、融合を目指して活動を再開した。
I 魔術師
マジシャン
最初に巌戸台分寮の屋上までやってきた大型シャドウ。ペルソナとしてタナトスが現れ、喰らわれた。“死” が大型シャドウを取り込んでいくプロセスは、基本これに準じたもの。
Ⅱ 女教皇
プリーステス
影時間に暴走したモノレールに現れた大型シャドウ。本来、影時間では動かないはずのモノレールが暴走したのは、大型シャドウが半分同化した状態であったためと思われる。
Ⅲ 女帝
エンプレス
行方不明となった山岸風花を救出するため、学園の体育倉庫から入ったタルタロスに出現した大型シャドウ。“皇帝” とは対となる存在で、ともに外からタルタロス内部に進入している。
IV 皇帝
エンペラー
“女帝” とともに現れた大型シャドウ。2体ともほぼ同等の強さだが、剣を持つ “皇帝” と比べると “女帝” はワンドを持ち、魔法による戦いを得意としていた。
V 法皇
ハイエロファント
白河通りにあるラブホテル内に出現する大型シャドウ。“法王” がそこに現れるというのも妙な組み合わせだが、ホテルにはもともと “法王の間” という大きな部屋があった。
VI 恋愛
ラヴァーズ
“法王” との戦いの直後に出現した大型シャドウ。タロットの位置には “誘惑” の意味がある。アダムにとってはリリス、イヴにとってはリンゴを勧めるヘビが “誘惑者” である。
VⅡ 戦車
チャリオッツ
旧陸軍基地に現れる大型シャドウ。名前の通り戦車の形をしており、砲台の “正義” とは合体分離を繰り返しながら攻撃してくる。カードに描かれているのは古代の戦車。
VⅢ 正義
ジャスティス
"戦車” とともに現れた砲台の姿をした大型シャドウ。タロットには天使ミカエルが持つとされる剣と天秤が描かれるため、現代的な “剣” として砲台の姿になったと思われる。
IX 隠者
ハーミット
ポロニアンモールに出現した大型シャドウ。タロットではカンテラを持った老人の姿が描かれることが多く、灯りから電気、真空管というイメージに繋がったと思われる。
X 運命
フォーチュン
巌戸台駅前に “剛毅” とともに現れた大型シャドウ。“運命の輪” を回す者と解釈されるスフィンクスの姿をしている。カードには、善と悪の2種類の動物が描かれている。
XI 剛毅
ストレングス
“運命”とともに現れた大型シャドウ。タロットにはライオンを制御する女性が描かれ、その頭上に “無限大” の記号が浮かんでいる。解放された花嫁の喜びを表している。
XⅡ 刑死者
ハングドマン
ムーンライトブリッジに現れる大型シャドウ。タロットでは片足で逆さ吊りになった姿で描かれるが、逆位置にすると表情が笑顔に変わると言われている。
XⅢ 死神
デス
“死” の大型シャドウでもある、タナトスのペルソナ。タロットで骸骨が描かれるのは、性別不明あるいは両性具有を暗示している。カードは逆位置で再生を意味する。
人格を持ったシャドウたちの役割
[ファルロス]
封印が解け、目覚めたばかりの “死”。封印された10年前から変わっていないという意味で少年の姿をしている。“死” が封印された時点でのリーダーの年格好に近いが、顔は似ていない。囚人をイメージさせるストライプの寝間着は、封印された存在であることを示している。
聖書��「二種の糸で織った服を着てはならない」という一節があり、縞模様の服は反逆者や犯罪人が着るものというイメージが作られたという。
[望月綾時]
12体の大型シャドウが融合した後、封印されていた “死” が現実に現れたときの姿。転校生として生活している間は、シャドウとしての記憶は封印された状態で明るい性格をしていた。記憶を取り戻した後も人間としての感情を持ち続けており、特別課外活動部に自分を倒せと進言する。
女好きであったり人に好かれたがる性格は、稲羽市のクマとも共通した要素。シャドウも元々は人の精神の一部だからか。
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mxargent · 2 years ago
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"Kill them with kindness" Wrong. CURSE OF MINATOMO NO YORITOMO
アイウエオカキクケコガギグゲゴサシスセソザジズゼゾタチツテトダ ヂ ヅ デ ドナニヌネノハヒフヘホバ ビ ブ ベ ボパ ピ プ ペ ポマミムメモヤユヨrラリルレロワヰヱヲあいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよらりるれろわゐゑを日一国会人年大十二本中長出三同時政事自行社見月分議後前民生連五発間対上部東者党地合市業内相方四定今回新場金員九入選立開手米力学問高代明実円関決子動京全目表戦経通外最言氏現理調体化田当八六約主題下首意法不来作性的要用制治度務強気小七成期公持野協取都和統以機平総加山思家話世受区領多県続進正安設保改数記院女初北午指権心界支第産結百派点教報済書府活原先共得解名交資予川向際査勝面委告軍文反元重近千考判認画海参売利組知案道信策集在件団別物側任引使求所次水半品昨論計死官増係感特情投示変打男基私各始島直両朝革価式確村提運終挙果西勢減台広容必応演電歳住争談能無再位置企真流格有疑口過局少放税検藤町常校料沢裁状工建語球営空職証土与急止送援供可役構木割聞身費付施切由説転食比難防補車優夫研収断井何南石足違消境神番規術護展態導鮮備宅害配副算視条幹独警宮究育席輸訪楽起万着乗店述残想線率病農州武声質念待試族象銀域助労例衛然早張映限親額監環験追審商葉義伝働形景落欧担好退準賞訴辺造英被株頭技低毎医復仕去姿味負閣韓渡失移差衆個門写評課末守若脳極種美岡影命含福蔵量望松非撃佐核観察整段横融型白深字答夜製票況音申様財港識注呼渉達良響阪帰針専推谷古候史天階程満敗管値歌買突兵接請器士光討路悪科攻崎督授催細効図週積丸他及湾録処省旧室憲太橋歩離岸客風紙激否周師摘材登系批郎母易健黒火戸速存花春飛殺央券赤号単盟座青破編捜竹除完降超責並療従右修捕���危採織森競拡故館振給屋介読弁根色友苦就迎走販園具左異歴辞将秋因献厳馬愛幅休維富浜父遺彼般未塁貿講邦舞林装諸夏素亡劇河遣航抗冷模雄適婦鉄寄益込顔緊類児余禁印逆王返標換久短油妻暴輪占宣背昭廃植熱宿薬伊江清習険頼僚覚吉盛船倍均億途圧芸許皇臨踏駅署抜壊債便伸留罪停興爆陸玉源儀波創障継筋狙帯延羽努固闘精則葬乱避普散司康測豊洋静善逮婚厚喜齢囲卒迫略承浮惑崩順紀聴脱旅絶級幸岩練押軽倒了庁博城患締等救執層版老令角絡損房募曲撤裏払削密庭徒措仏績築貨志混載昇池陣我勤為血遅抑幕居染温雑招奈季困星傷永択秀著徴誌庫弾償刊像功拠香欠更秘拒刑坂刻底賛塚致抱繰服犯尾描布恐寺鈴盤息宇項喪伴遠養懸戻街巨震願絵希越契掲躍棄欲痛触邸依籍汚縮還枚属笑互複慮郵束仲栄札枠似夕恵板列露沖探逃借緩節需骨射傾届曜遊迷夢巻購揮君燃充雨閉緒跡包駐貢鹿弱却端賃折紹獲郡併草徹飲貴埼衝焦奪雇災浦暮替析預焼簡譲称肉納樹挑章臓律誘紛貸至宗促慎控贈智握照宙酒俊銭薄堂渋群銃悲秒操携奥診詰託晴撮誕侵括掛謝双孝刺到駆寝透津壁稲仮暗裂敏鳥純是飯排裕堅訳盗芝綱吸典賀扱顧弘看訟戒祉誉歓勉奏勧騒翌陽閥甲快縄片郷敬揺免既薦隣悩華泉御範隠冬徳皮哲漁杉里釈己荒貯硬妥威豪熊歯滞微隆埋症暫忠倉昼茶彦肝柱喚沿妙唱祭袋阿索誠忘襲雪筆吹訓懇浴俳童宝柄驚麻封胸娘砂李塩浩誤剤瀬趣陥斎貫仙慰賢序弟旬腕兼聖旨即洗柳舎偽較覇兆床畑慣詳毛緑尊抵脅祝礼窓柔茂犠旗距雅飾網竜詩昔繁殿濃翼牛茨潟敵魅嫌魚斉液貧敷擁衣肩圏零酸兄罰怒滅泳礎腐祖幼脚菱荷潮梅泊尽杯僕桜滑孤黄煕炎賠句寿鋼頑甘臣鎖彩摩浅励掃雲掘縦輝蓄軸巡疲稼瞬捨皆砲軟噴沈誇祥牲秩帝宏唆鳴阻泰賄撲凍堀腹菊絞乳煙縁唯膨矢耐恋塾漏紅慶猛芳懲郊剣腰炭踊幌彰棋丁冊恒眠揚冒之勇曽械倫陳憶怖犬菜耳潜珍
“kill them with kindness” Wrong. CURSE OF RA 𓀀 𓀁 𓀂 𓀃 𓀄 𓀅 𓀆 𓀇 𓀈 𓀉 𓀊 𓀋 𓀌 𓀍 𓀎 𓀏 𓀐 𓀑 𓀒 𓀓 𓀔 𓀕 𓀖 𓀗 𓀘 𓀙 𓀚 𓀛 𓀜 𓀝 𓀞 𓀟 𓀠 𓀡 𓀢 𓀣 𓀤 𓀥 𓀦 𓀧 𓀨 𓀩 𓀪 𓀫 𓀬 𓀭 𓀮 𓀯 𓀰 𓀱 𓀲 𓀳 𓀴 𓀵 𓀶 𓀷 𓀸 𓀹 𓀺 𓀻 𓀼 𓀽 𓀾 𓀿 𓁀 𓁁 𓁂 𓁃 𓁄 𓁅 𓁆 𓁇 𓁈 𓁉 𓁊 𓁋 𓁌 𓁍 𓁎 𓁏 𓁐 𓁑 𓀄 𓀅 𓀆
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yotchan-blog · 4 months ago
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2025/3/12 12:00:23現在のニュース
玉木氏「自民も立憲も努力を」 カギ握る国民民主、高みの見物か(朝日新聞, 2025/3/12 11:59:15) 「ヘキサスロン」って何? 六つの種目で、遊びながら体を動かす(朝日新聞, 2025/3/12 11:59:15) 養鶏場から銅線窃盗の疑いで逮捕、カンボジア国籍の33歳男を不起訴に([B!]読売新聞, 2025/3/12 11:57:52) 日米で大幅株安 「トランプ不況」? 米政権への期待が一転懸念に:朝日新聞([B!]朝日新聞, 2025/3/12 11:57:31) 自民党の杉田水脈氏の公認、石破首相「評価は選挙で判断いただく」:朝日新聞([B!]朝日新聞, 2025/3/12 11:57:31) 「貯金を崩し、借金をしてお金を貸した」 動画配信中に22歳女性が襲われ死亡した事件で逮捕の男:東京新聞デジタル([B!]東京新聞, 2025/3/12 11:54:14) 虫歯治療で鎮静剤を投与後に死亡…「深く考えず数倍使った」「容体観察しなかった」元歯科医院長ら書類送検:東京新聞デジタル([B!]東京新聞, 2025/3/12 11:54:14) 信州大と地元が協業 小型ロケット、点火トラブルで打ち上げ中止(毎日新聞, 2025/3/12 11:52:46) 自民党の杉田水脈氏の公認、石破首相「評価は選挙で判断いただく」(朝日新聞, 2025/3/12 11:51:42) アメリカ、ロシアに停戦圧力 ウクライナへの軍事支援再開 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2025/3/12 11:46:15) 「カスハラ」「就活セクハラ」防止策を企業に義務づけ…改正法案をそれぞれ閣議決定([B!]読売新聞, 2025/3/12 11:45:27) 津波と山林火災で「二重被災」 高台移転の漁協倉庫が全焼 大船渡(毎日新聞, 2025/3/12 11:45:07) 13日の衆院予算委に石破首相が異例の出席 参院予算委員長が了承(毎日新聞, 2025/3/12 11:45:07) トランプ米政権、教育省の職員を半減へ 約1300人を解雇の見通し(朝日新聞, 2025/3/12 11:44:02) 会談決裂から11日、折れたウクライナ「30日停戦」 米つなぎとめ(朝日新聞, 2025/3/12 11:44:02) 春闘、高水準の賃上げ相次ぐ 大手が集中回答 物価高、人手不足受け:朝日新聞([B!]朝日新聞, 2025/3/12 11:38:54) 東北新幹線の「連結運転」14日から順次再開、15日に通常ダイヤへ:朝日新聞([B!]朝日新聞, 2025/3/12 11:38:54) 衆参の野党、高額療養費で衆院予算委の開催要求 与党は応じる方針:朝日新聞([B!]朝日新聞, 2025/3/12 11:38:54) 「皇嗣」秋篠宮さま、新たな身位に秘めた自覚…令和の皇室<3>([B!]読売新聞, 2025/3/12 11:38:41) 料理研究家、枝元なほみさん死去 69歳 「おかん飯」を連載(毎日新聞, 2025/3/12 11:37:54) NEC、ベア1.7万円の満額回答 三菱重工は賃金・一時金とも満額(毎日新聞, 2025/3/12 11:37:54) ウクライナの「安全の保証」、英仏が欧州有志国の軍幹部らと会合:朝日新聞([B!]朝日新聞, 2025/3/12 11:31:11) 日立製作所4年連続の満額回答 1998年以降最大の要求額に 春闘(毎日新聞, 2025/3/12 11:30:43) 石川一雄さん死去 86歳 「狭山事件」で無期懲役、無実訴え再審求め(毎日新聞, 2025/3/12 11:30:43) 袴田さん刑事補償は上限額の認識 静岡地検が地裁に意見(毎日新聞, 2025/3/12 11:30:43) NYダウ半年ぶり安値、かすむ「1強」 成長予想下げ相次ぐ - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2025/3/12 11:30:39)
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hariitovial · 11 months ago
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羽化のあと
子どもたちは繭の中。 羽が生えても、羽ばたくことは許されない。
蝶や蛾などの蛹が成虫へと成長する間、その中はドロドロに溶けているという。 幼虫だった頃の姿が失われるように、それまでの記憶もどこかへ消えてしまうのだろうか。
人里離れた山奥にある大きな施設。 無数に並ぶ灰色の建物は、少年にとってはいつの頃からか見慣れた景色だった。
数日前から少年は背中の痛痒さに悩まされていた。 その原因を翌日知ることとなる。 背中に羽が生えたのだ。
当日のうちに少年は別の部屋へ移された。 背中の羽を保護するためらしい。 それと同時に、これまで無名だった彼には「№9」という名前が与えられた。
№9には以前から「先生」と呼び、親しむ大人がいた。 その先生はカラスのようなマスクや帽子、手袋などで全身を覆い、決して肌を見せなかった。 怪しい風貌だがそんな事など気にも留めないほど、№9は先生を信頼していた。 約束は必ず守ってくれるし、いつも冷静で何より優しく接してくれるから。 生えたばかりのキラキラとした羽を先生に見せると、これまでない程に先生に褒めてもらえた。 №9はとても誇らしく思った。
翌日は薄曇りだった。 №9は窓を開け、延々と続く緑を眺めていた。 すると、右隣の部屋から歌声が聞こえてきた。
――ルーララ、ルールラー
興味を持った№9は窓に近づく。 しかし部屋の窓には鉄格子がはめられており、顔を出すことができない。 №9は窓に向かって話しかけた。
「こんにちは」 「……っ、こんにちは」 「綺麗な歌声だね」 「ありがとう、歌うのが好きなんだ」
初めは戸惑った様子の彼だったが、安心したのか声色が明るくなったように感じた。
「いいね!僕は№9。君は?」 「№8だよ。んー、8と9……だから隣同士なのかな?」 「フフッ、そうかもしれないね」
先生ではない誰かとの会話はいつ以来だろう。 №9は10歳を過ぎたあたりから先生以外の人物とは接触を禁止されていた。 理由を問うと「病気の治療に大切な時期だから」と説明された。 先生が言うなら従うほかなかった。 部屋を移されたのは背中に羽が生え“治療”を終えられたからだろうか。 そのためにこうして会話が許されているのかもしれない……。 何にせよ、数年振りに先生以外の誰かと話せるのは嬉しくてたまらなかった。 鉄格子越しに顔の見えない彼との会話は弾んだ。 それからの日々は彼の歌声と共に過ぎた。
ある晴れた日の夜、月は彼らの透き通る羽を照らしていた。 №9はいつものように本を片手に、窓辺で彼の歌を聞いていた。
――ルーララ、ルールラー   ルーララ、ル
歌は途端に止んだ。
「どうしたの?」 「№9、先生が呼んでるから行くね。またね、おやすみ」
そう残して彼は部屋を後にした。 すると間もなく№9の部屋を先生が訪ねた。
「№9、就寝の時間ですよ」 「はーい」
夜風が二人の頬を撫でる。 窓が開いていることに気づいた先生は表情を曇らせた。 マスクで見えないが明らかに様子が違うのを感じた。 先生は急ぎ足で先程まで隣の彼と話していた窓を閉めた。 僕は何か悪いことをしてしまったのだろうか。
「さあもう就寝の時間です。おやすみなさい」 「おやすみなさい」
№9は少しの懸念を抱え眠りについた。 夢の中、青々とした広い草原で僕の隣に座る少年がいる。 姿を見たこともないのに、彼が№8だとわかった。 いつものように綺麗な声で歌っていたから。 風も穏やかでとても心地が良かった。
しかし、それは突如として悪夢に変わった。 風が止むと草木が枯れだし、灰色の世界に包まれた。 異様な光景に周囲を見渡していると突然、隣の彼が苦痛に満ちた悲鳴を上げる。 慌てて見るとそこには鮮やかな血の池ができており、沈んでゆく彼の姿があった。 №9は飛び起きた。 何て酷い夢だ……。 怖ろしさのあまり鼓動が早まっていた。
次の日も、その次の日も、隣から№8の歌声が聞こえてくる事はなかった。 彼はどこへ行ってしまったんだろう。
夜風が止み、細い月が雲に隠れた。 そろそろ先生がやって来る頃だ。
「№9、身体の調子はどうですか?」 「いいよ。……先生、あの、隣にいた彼はどこへ行ったんですか?」 「隣?隣……そうですね。君がこれから行くところですよ」
先生に連れられ薄暗い廊下を歩く。 久しぶりの外出だった。 これから彼と同じ場所に行けるらしい。 彼はどんな子だろう? 夢で見た容姿と同じだろうか? あれこれ考えると胸が高鳴った。
扉を開けた先は渡り廊下になっており、別の建物へ繋がっている。 これまでとはどこか雰囲気の異なる清潔に保たれた白い廊下を先生と歩く。 ここは思っていたよりたくさんの人がいる。 先生と同じような格好をした大人や、僕と同じくらいの年齢の子ども。 彼らの中には僅かに、僕と同じように羽が生えている子もいた。 羽のある子も無い子も、みんな共通して幸せそうだった。
いくつかの角を曲がり、いくつかの階段を降りる。 すると、人が疎らな通路へ着いた。 その突き当りを右に進んだ3番目の部屋に通される。 扉には【B-2033】と記されていた。 外の光が一切入らない、白く照らされた無機質でどこか不気味な部屋。 №9は思わず先生の手を掴む。
「先生、ここは何?」
先生は人差し指を口に当て、静かにするよう促す。 №9はその不安から瞬きを繰り返し、真っ直ぐに先生を見た。 先生も僕を覗き込むようにして視線を落とす。 マスクで表情が読めないので更に怖くなった。 先生が僕の腰に手を回す。 次の瞬間、№9の首に小さな痛みが走った。 驚いた拍子に先生の手元を見る。 そこには注射器が握られていた。
「よい夢が見られますように」
№9に抗いようのない眠気が襲い、次第に意識が遠のいた。 だがそれは一瞬の出来事だったようで、途端に背中が焼けるように痛んだ。
「――!!!――!!!!!」 「――!!!!!―――!!!!!」
叫んでいるのに声が出ない。 これまで経験したことのない痛みと苦しみ。 自分のではない悲鳴が頭に響く。 これは彼の、あの時聞こえた№8の悲鳴だ。 今起こっているこれは夢なのか、現実なのか。 あの時の夢だと思っていた悲鳴は現実だったのか。 唯一残された痛みさえ燃え尽きるように、世界からすべてが消えてゆくように感じた。
「無事に採取できてよかった」 「……体温低下しています」 「通例通り……処分……」
暗闇の中で複数の声が聞こえた。
「……№9、心拍が上昇!」 「すぐに処置を!」
№9は再び意識を失った。
――ピッ、ピッ、ピッ、ピッ……
電子音が静かに響く。 背中が痛い、息苦しくて頭が重い……。 №9の身体はベルトで拘束され、腕には複数の管が繋がれていた。 ガラス越しには複数の大人が書類を手に右往左往してる。 意識が何度も薄れゆく中、室内は薄暗い灯りに転換した。 大人たちが部屋を後にする。 それは夜や、おおよそ職員の退勤を告げるものだった。 そんな中、白衣を纏った一人の男が部屋に残りガラス越しにこちらを見ていた。 目が合った気がする。 男は扉を潜りこちらへ来た。
「60日、わかるかな?あれから60日経つ」
№9は声を出そうと息を吐くが、それだけで全身が酷く痛んだ。
「ああ、無理しないで。生きてるだけでも奇跡なんだから。 ゆっくりしてる暇はないね。“はい”なら1回、“いいえ”なら2回まばたきして」
この男は何を言っているのだろう……。
「ここを出たい?」
楽になれるのなら、ここ以外のどこへでもいい。 №9は1回、まばたきした。
「よし行こう。時間がない」
男は拘束ベルトや複数の管を手際よく外し、№9を車椅子に乗せた。 そして身を隠すための全身を覆える布を忘れず掛けた。
布の隙間からわずかに外の様子が見えた。 部屋を出て、誰もいない廊下をぐんぐん進む。 タイルの継ぎ目のような少しの高低差で起こる振動でも身体は痛んだ。 それらに耐えて辿り着いたのは、薄暗い倉庫のような場所だった。
「もう少しすれば迎えが来るから、それまで我慢してね」
男は完ぺきな手つきで、おそらく№9の生命維持に必要な管を繋ぎ直した。 古びた椅子を車椅子の前に配置し、僕の脚を乗せた。
「まだ横になれないだろうから」
そう言うと男はすぐ傍にある簡易的なベッドに横たわった。
痛みで気絶を繰り返し、一睡もできないでいた。 おそらく数時間が経過した頃、屋根の隙間から鈍い光が射した。 数十日ぶりの朝日だ。 倉庫の外でエンジンの音がわずかに聞こえた。
「はあ、やっと来た。行くよ」
男は車椅子を押した。 外には車が停められており、二人の男が傍にいた。
「うわっ、本当に生きてるのか?スゲー……」 「さっさと行こう。見つかる前に」
№9は彼らの車に乗せられた。 山を下り、森を抜け、ひたすら車を走らせた。 辿り着いたのは立派な邸宅だった。
それから数日経つも、№9は変わらず衰弱していた。 しかし、彼らは寝る間を惜しんで懸命に看てくれた。 その甲斐あって三か月程で一人で歩けるまでになった。 相変わらず背中は痛むけれど……。
昼下がり。 №9は与えられた部屋のベッドに腰掛け、窓の外を眺めていた。 何か物足りないような、青く澄んだ空。 不意にノックが三回響く。 部屋は開け放たれていたが、丁寧な男はそれを忘れなかった。 視線が合うと、あの時僕を連れ出した男がやって来た。
「やあ、元気そうでよかった」 「うん。ヴィクターたちのお陰だね」 「フフッ、そうだね。あのままだったら君は施設の連中に殺されていたからね」 「僕は何で……いつからあそこにいたのか、何も思い出せないんだ」 「んー、そっか。まあ、思い出せないならその方がいいよ」
憶えているのは強烈な痛みの記憶だけ。 あの時の痛みを思い出し、思わず膝を抱える。
「……そうだね」
ヴィクターは隣に腰掛け、そっと背中に手を添える。
「背中の傷は治らないかもしれない」 「そう」 「ひどく醜いけれど、俺はその傷も含めてお前のことが好きだよ」
この男は平気でそういう事を口にする。 僕は怯んだ様子を気づかれないよう透かさず返した。
「そっか、何で?」
男はふと笑みを浮かべ、人差し指を口に添えた。
「なんでも」
ありふれた動作のはずなのに、№9は途端に怖ろしくなった。 その理由は自分でもわからない。
「どうかした?怖がらないでロシェ」 「……うん。それより僕の名前はそれで決まりなの?」 「気に入らない?ロシェ、かわいくて似合ってると思うけどなー」 「……酔った勢いでつけたのに?」 「まあまあ、そう言わず!」
ロシェは口元を緩めながら溜息を吐いた。
「じゃあそろそろ仕事に行ってくる」 「気を付けてね」
ヴィクターはロシェの肩をポン��ンと叩くと、振り返ることなく手をひらひらさせ部屋を後にした。
ヴィクターは飄々とした掴みどころのない男だ。 けれど度々、一瞬ではあるが怖ろしく感じることがある。 優しい口調で話しかけてくれるし笑顔でいることが多いのに、何故だかわからないけれど。 とは言え僕の命を助けてくれたし、悪い人ではないのだろう。
フウっと息を吐き、再び窓の外を眺める。
「ルーララ、ルールラー」
口ずさんでしまう、この歌はなんだろう。
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unikeni · 1 year ago
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台湾1周サイクリング
2024/06/05 - 2024/06/14 @台北~台北:約920km
登山の"ついで"、にしては相当ヘビーだし、なんならこっちの方がメインなんじゃないか、という感じもするけど…せっかくの機会だし、台湾1周サイクリングをすることにした。さすがに玉山登頂翌日の朝出発は乱暴だったかもしれない笑。睡眠時間足りてないし、足の疲労もある、その上自転車も組み立ててない。そんな状況でも、玉山から戻った夜は、やけにテンションが高かった。サイクリングが楽しみだったからだと思う。そんな風に感じたことは普段全くないから、なおさらそのままの勢いで出発してしまおう、と思ってしまった。
全部終わって振り返ってみると、やっぱりやってよかったと思う。1回目の退職記念にはキリマンジャロに登り、今回、2回目の退職を前に台湾1周のソロライド、10日間。5年近く勤めた仕事を振り返ったり、労ったり、次のステップに進む英期を養ったり、という意味で僕にはこれが必要だったんだと思う。贅沢ではあるけれど、(仕事を一切しない)長めの休みを取るのも久しぶりだし、職業柄、日常を離れて未知の風景を楽しむ、というのは大事なことだと感じる。幸い、体力とか装備、お金、といった大きなところの心配が不要だったことがハードルを大幅に下げてくれた。一見無謀とも思えるこのチャレンジも、実はそこまで大変なことではなかった。
真ん中に紐みたいな短い赤い軌跡が登山で歩いた距離・場所だから、台湾をかなり堪能したことが分かるな…。
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1日目 (台北から新竹) 86km
6月4日、玉山下山後、夕方6時に台北着。そこから翌朝出発の準備を始める。自転車の組み立ては当然すんなりとはいかず、シンガポールからの移送中に前輪のシーラントがケース内で漏れまくっていた。慌ててシャワー室でスペアチューブを足して、なんとかタイヤが機能するように。結局、前輪はチューブあり、後輪はチューブなしの状態でスタートすることに。加えて、急遽買ったミニ空気入れが上手く使えず、40psiぐらいが限度だった。もうそれで手を打った。
泊まったホテル(Brother Hotel)が親切で、登山グッズの詰まったバイクケースを10日近くただで預かってくれるところだった (引き換えに計4泊滞在)。ホテルの部屋でバイクを組み立て、朝食、荷物を預けて、チェックアウトし、台湾でのライドスタート。ラッシュアワーを避けて、早めに出ようと思ったんだけど、いろいろもたついて、結局8時になってしまう。モロに交通量が多い時間帯。それでも幸い曇りだったし、バイクに異常もなく、無難にスタートできた。河原で記念写真を撮ろうにも、全然笑えない自分がいた。不安要素が多すぎたから、顔がひきつっちゃったんだと思う。台湾政府公認の1周路を辿るにしろ、道に迷わないかとか、事故の心配、荷物が気になったり、天気が心配だったり、ペース配分が分からなかったり、言葉が思った以上に通じなかったり、と最初の2日ぐらいは実はライドを心から楽しめていなかったかもしれない。とにかく細かいことで気が散っていた。
例えば、新しく買ったサドルバッグはこの時初めて取り付けて、僕のバイクと仕様が合わないことに気づく。がっちり固定できないうえに、たぶん荷物が重すぎた(か多すぎた)せいもあって、途中から徐々にずり落ちる事態に。つまり後輪にバッグが当たる最悪の状況。その上、台北出発から1時間も走らないうちに雨が降り始める…。雨対策も万全ではなかった。振り返ってみても、9日間のライドの中で、初日が本当にハードな日だった。右も左も分からないのに加え、結局、昼ぐらいから新竹のホテルに着くまでの数時間、ずっと強い雨に打たれながらの走行で、本当にやる気をくじかれた。ずっと濡れたままだったから、寒さにも襲われて、到着間際は顔が真っ白になっていた。夕方ホテルに着いたあとは、体を洗って、服類を乾燥へ。この先のライドが不安になる…。でも、長いマラソンなんだと理解して、気持ちを切り替えた。その日の失敗から学べばいい、ということでポジティブに捉える。サンダルが壊れ、急遽モールに買いに行ったことと、夕飯を食べただけの夜。
2日目 (新竹から鹿港) 131km
雨のライドがややトラウマになったけど、まあ進むしかない、ということで朝早くから準備開始。なるべくサドルバッグへの負荷を減らすように荷物を分散させて、濡れてもいいものはポケットに収納。レインコートは昨日に引き続き着てスタート。かなり改善。ただ、自転車をストレージにずっと放置したのは良くなかった。朝行くとチェーンにサビがつき始めてた。昨日のライド後に乾拭きせず、相当汚れていたのに、何もしなかったから。結局洗う術もないまま、とりあえず油をさして出発へ。2日目は長い海沿いのコース。事前情報では強い追い風、のはずだったのだけど、あまり風は強くない。途中からパラパラと雨が降り始め、また嫌な予感がよぎったけど、幸い快方へ。苑里で排骨酥麵の昼食後、午後には台湾で初めての太陽を見て、一気にテンションが上がった。晴れるだけで、こんなに嬉しくなれるとは…。ちなみにライド中は1時間半おきにコンビニ休憩・ランチ休憩を取ってた。イートインのできるコンビニはすごい重宝。お店に入る前にTシャツと短パンを重ね着して、それにサンダルに履き替えて、一応きれいさをアピール。おにぎり・パン、バナナ、ジュース類を補給して、ごみ捨て、トイレもさせてもらう。クレジットカードが使えるのも強い。自転車をガラス越しにチェックできるのもいい。台中を過ぎて、彰化市のバイクショップでクリーナーを購入、そして空気も入れてもらう。帰りがけにショップオーナーがエネルギージェルをサービスしてくれた。優しい。この日のライドが全日程中、一番長く、7時間ぐらい。さすがに集中力を維持するのは至難。鹿港という歴史のある街に到着。この宿はb&bスタイルのオシャレなところ(a day in Lukang)で、庭付き。そこでバイクの水洗いをして、チェーン諸々の洗浄ができたのはすごく良かった。ただその最中、蚊にものすごく刺されたのがのちのちまで辛いことに。
3日目 (鹿港から嘉義) 77km
この日はスーパーで買ったパンを食べてスタート。晴れ。正規のコースに���流するまで運河沿いを走行。最高に走りやすい道。お昼は斗南駅近くのバーガー屋さん。この日は一番短い距離を移動。雨の降る気配はほぼなく、この頃には天気予報のあてのならなさに気づく。梅雨の時期でもあり、雨とか雷雨が24時間・1週間連続で予想はされてはいたものの、結局晴れや曇りの場合もすごく多かった。この日以降は、レインジャケットはバイクのフレームに括り付けて、結局最後まで使わなかった。
ホテルには3時ぐらいには到着。お腹がすいて街の方まで歩いていくことに。その途上で再認識する台湾のスクーター・原付文化。これらのためのインフラがあるからこそ、自転車ロードの整備がさほど無理なくできるんだろうなと思った。車とは別の自転車専用レーンがほぼずっとあるから、危険性をほとんど感じずに走行できる。サイクリストにとっては最高な環境でしょう。"環島"の標識や、所々ブルーの線がひかれていて、道しるべとしてもかなり助かる。その反面、台湾は歩行者にはそこまで優しくない気がした。歩道がなかったり、物で塞がってたりという感じで、歩くのには向いてないように思った。
嘉義の街の中心に移動して、現金をおろして(鹿港ではカードがあまり使えなかったから…)、あとは、焼肉丼大盛り定食をぺろり。この旅中、カロリーの高いものをいっぱい飲み食いしてた。と同時に、清涼飲料水からの糖分の摂りすぎも若干気になって、途中麦茶に切り替えたりもしてた。ジェル類は一日に一つか二つの消費量。
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4・5日目 (嘉義から高雄 + 休息日) 123km
台湾西側は平地の中の街や田園地帯を抜けたり、大きな川をこえたり、日本と同じアジアモンスーンの風景が展開されていく。シンガポールにいると分からない、農のある風景;特に稲のある風景というのは日本人の心象風景として心地よい。6月なのに穂が大きいのは亜熱帯地域ならではの特徴だと思った。2期作なのかな。あと、南部に行けば行くほど、果物の作付けも多く、ちょうど今はマンゴーの季節だった。ランチスポットでうまく止まれず、台南新幹線駅までいっきに行く。駅ビルの中に一風堂を見つけ、つい入ってしまった。自転車持ち込みは難しいかな、と思いきやちゃんと預かってくれた。
その後も新幹線と並走しながら、高雄に近づく。晴れた土曜の午後は交通量が多く、市内はやはりちょっと怖い。高雄中央公園の近くの宿で2泊。さすがに休憩日を設けたのは正解だった。足を休めたり、服を洗ったり、バイクメンテしたり、公園でボケーっとしたりする時間は必要だった。翌日曜日は港近くで、ドラゴンボートでのレースを見たり、あと港湾部の再開発地域を見て回っていた。古い倉庫群跡地をカフェやショップにリノベーションしているエリアは特に面白い。建築デザインも多様。大きな再開発エリアを巡るのにも、いろいろなモビリティがあるのも今風でとても参考になった。
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6日目 (高雄から車城) 88km
朝は高雄にちょうど帰省中の元同僚と会って、朝食を一緒にした。一緒に写真を撮ると自分の日焼けが突出する。曇りや雨の日でも日焼け止めが大事なことを思い知る。ソロライドの中において、久々に長々と話ができたのは良かった笑。それにローカルの人が食べそうなものを大量に注文してくれて、しかも奢ってくれたからもう感謝しかない。スタートが10時過ぎ、ということで、ランチをスキップ。真っ直ぐで平な道をひたすら南下。走りやすいところはDHポジションで自転車をこいでた。断然楽。やはりトライバイクの強みはそこなんだけれども、でも出番は正直あまり無かった。今旅もロードバイクやグラベルバイクを勧められたけど、実際トライバイクでも全く問題なかった。ただ、トライアスロンバイクを旅仕様に使ったのは、むしろ罰当たりな感じがした。唯一良かったことは、池上という東部の街で突然少年が話しかけてくれて、「僕もトライアスロンやってます。同じスポーツをやる者同士、応援してます」、と言って、お菓子を1袋くれたこと。些細なことだけど、そんなことが一生の思い出になった。
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車城まで来ると、山と海に囲まれたのどかな田舎、という感じが強くなって、宿もかなり広い。部屋の目の前には畑と山。何人か同じくサイクリストを見かけたのはこの辺りが多かったと思う。最南端まで行くルートもあるのだけど、僕は公式ルートを選択したことで、若干のショートカット。翌朝のヒルクライムに備えて、その晩はガッツリ羊鍋を食べて就寝。
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7日目 (車城から台東) 117km
この日は序盤にヒルクライムがあってからの東海岸沿い(太平洋側)を北上するルート。”来てよかった”、と初めて思ったのはこの辺かもしれない。ここでしか味わえない景色を堪能できたから。
ヒルクライムは500mぐらいのアップのようで、実はそれがどれほどのものなのか想像ができず、当初はかなりびくびくしてた。雨もパラパラと降る中だったから、かなり慎重で遅い登りだったけど、そこまで大変なものじゃなかった。むしろそのあとの長い下り坂が天国に感じられて、幅広な道路を一人占めしながら風をきって下れたことが最高だった。山エリアを抜けると、海岸沿いの道をずんずん北上。海を右手に、山を左手に見ながら、最高の景色を楽しむ。太平洋側は向かい風がきつい、という事前情報もあったけれど、そんなことはなかった。一部エリアで、進む道の先に、海と空が繋がってるように錯覚できる場所があって、まさに空に登っているような感覚をあじわえた。だけど、風をきって気持ちよく走っていた矢先に石(か何か)を後輪が踏んずけてしまい、大きな鈍い音がする。マーフィーの法則、じゃないけど、気分の良いときに限って、そういうアンラッキーなことが起きる。その直後は大丈夫そうだったけど、台東に着いて調べたら、やはりタイヤに穴が空いていた。シーラントのおかげで、全部の空気が抜けるところまでいかなかったよう。台東のホテルでは持っていた最後のスペアチューブを入れて修復。その後、ジャイアントのお店にタイヤを持って行って空気を満杯に入れる。空気入れは結局、台中、高雄、台東の3箇所で借りて補充したことになる。ジャイアントのお店を多用したけれど、どこもみんな親切。お昼は原住民の人たちが住んでいる地域のおしゃれなカフェで食べて(双亭院)、ホテルは台東の旧駅舎の目の前で、アートによる再開発エリア内だった。ここのホテルが唯一部屋に自転車を持ち込んでいいところで、ちょうどタイヤの修理をする必要があったから本当に助かった。
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8日目 (台東から瑞穂) 100km
この日も快晴の中、景色を楽しむ最高のライドができた。米どころ、の池上ではご当地の池上弁当を食べて、のどかな田園地帯をゆっくり北上していく。夜は瑞穂という温泉街で、少し奮発して高い宿に泊まる。プライベート露天風呂で足の疲れを癒す。
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9日目 (瑞穂から礁渓) 87km
瑞穂の宿で朝食をとってからさらに北の花蓮駅まで急ぐことに。というのも花蓮と宜蘭の間は、急峻で道路も狭く、トラックも多い、ということで公式ルートでも列車での輪行を勧めている区間。そのため、1時間に1本弱、という自転車をそのまま乗せられる列車に乗るために、ひとまず駅に向かう。この地域を襲った地震が起きてから1か月半ぐらいの時期だったけど、その爪痕を感じさせないくらいに日常を取り戻している印象。駅で1時間ぐらい待つ間にお弁当を食べて、その後、スムーズに乗車。僕以外にも数人自転車を載せている人たちがいたけど、みんな結構適当な感じで乗せてた。1時間ぐらいの乗車区間だったけど、窓からの景色は絶景だった。僕は羅東という駅で降りて、そこから礁渓という温泉町まで20kmぐらいさらに自転車で進むことに。山の近くの活気ある観光地、という印象かな。おしゃれな宿に泊まって、2日連続でプライベート温泉を楽しむ。ローシーズンということもあって、お客さんの数はまばら。でも質はすごく高いし、値段もそこまで高くない。
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10日目 (礁渓から台北) 100km
ようやく最終日。この日まで無事に走行できたことに感謝。朝、礁渓の街をぶらぶらして、蘭陽博物館に立ち寄ってからのライドスタート。強いて言えば、この日はわりかし辛かった。トラックがとにかく多く通る海岸線の道はものすごく走りづらかったし、1時間ぐらいは雨に降られたこと、それから、台北近くのルートは自転車レーンがなかったり、交通量がとにかく多かったり、ルートが紛らわしかったりと、イライラすることが非常に多かった。疲れと焦りとゴールへの期待が全部混ざって、複雑な気分だった。それに2ヶ所トンネルを通るところがあったけど、(事前情報とは異なって)普通に車道の脇を走らされて、結構怖い思いもした。それでも、台北に近づくにつれて、旅の終わりに向けた高揚感が高まってきて、松山駅に着く頃はかなりの喜びだった。本来は0kmのモニュメントは出発時に立ち寄るべきなんだけど笑。その後、Brother Hotelに向かって3駅分、大通りをさらに進むことに。ホテルに着いた時もかなり感動した。行きはホテルを西に向かったのに、今回は東からたどり着いたわけだから。とにかく10日は長かったー。でも無事に帰ってこれたことが素直に嬉しかった。その日は、友人の友人の旦那さん、という方がご飯をご馳走してくれて、なおかつ車で市内をプチ観光案内してくれた。感謝。翌日はホテルの一角を借りてバイクパッキングをして、その翌日の早朝にシンガポールへの飛行機に乗ったとさ。
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まとめ
たぶん台湾1周サイクリングは誰でもできると思う。(ある程度普段からサイクリングしている人は)体力的な心配はそこまでない気がした。走りやすいし、コンビニもたくさんある。むしろ、それだけの時間を確保できて、なおかつ、その時間をこういう体験に費やしたいか、の問題な気がする。事前にこのアイディアを思いついたときに、面白そう、と思ってしまったことがそもそもの発端で、取り憑かれたら最後、やるしかない。これをフィーチャーしたYouTuberさんの動画に触発された部分も大きい。以下2つ、すごく参考にした情報元を載せておく。
https://www.bikeexpress.com.tw/ja/2024/the-classic-9-day-cycling-around-taiwan-along-cycling-route-no-1-or-alternative-routes-jp/
https://discover-ride.com/taiwan1000km/
プラクティカルなことを言えば、僕の場合、荷物を長期間預かってくれるホテルを探すこと、サイクリストにフレンドリーなホテルを探すことが当初心配だった。今回の旅の経験からいえば、1泊1万円ぐらい(あるいはそれ以上)のところはかなりその辺の融通がきいたように思う。一般化はできないけど。一応、予約の際に、その旨を伝えておいた。全般的にホテルスタッフは優しくて、サービスも良かった。予約に失敗して、Refundできないだろうなー、という場合でも優しく対応してくれた。あとは、空気入れをどうするか問題に関しても、立ち寄った町の自転車屋さんで借りれば、問題なく走れる。
あと細かいことでいえば、中国語が少し話せたなら、もう少し楽しかったのかもしれない。英語と日本語が思いのほか通じず、例えば、同じサイクリストに話しかけられても、全く会話ができなかったり、おすすめの料理が分からなかったり、という場面も結構あった。次にまた台湾へ行く楽しみを取っておくことが出来た、と思えばいいのかなと。
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liquid-souls · 2 years ago
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【祈りの方向】アップデート簡易まとめ
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「祈りの方向」クリアとグレイウルフ鎧が聖鎧って事だけ覚えればOK ミミミ、パッケ装備共にLv210からのデイリー討伐クエストやMDクリアは厳しい
特設サイト:EPISODE:The Double Goddess ~祈りの方向~
★「灰色狼の村」へはラヘルのジョンダ←に居るNPCから行ける 真昼の弦月クリアで貰えるタンポポリングがあると転送に便利
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【ストーリークエスト】 ・祈りの方向
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 王室急便→リベリオン隊員からバルムント邸 庭園  →ニルレム→飛行船発着場(スウィーティMD受付)の「スマートエリー」から開始  必要なアイテム:丈夫な蔓 1個、にく 1個
【追加武器】 ・アドゥルテル・フィデスシリーズ  「欺瞞の別荘」報酬
・ウィワートゥス・フィデスシリーズ  精錬値が9以上のアドゥルテル・フィデス武器と  フィデス・〇〇の図面、アメジストの欠片1000個を  灰色狼の村(170,131)に居るバムダットに渡して交換
・フィデス武器にエンチャント  アメジストの欠片1個で精錬値8~10のフィデス武器にエンチャントが可能
 詳細:「フィデス」シリーズ獲得・強化
【追加防具】 ・グレイウルフシリーズ  スーツとローブは四次職で装備できる格安聖鎧なので要チェック
 入手:灰色狼の村(167, 135) アメジストの欠片100個と交換  エンチャント:灰色狼の村(167, 135) アメジストの欠片1個         アクセ以外は精錬値7~9じゃないとダメ
 詳細:「グレイウルフ」シリーズ獲得・強化
【デイリークエスト】 NPCクリックするだけ ・綺麗な水調達 灰色狼の村(103,230) ・状況を察する ラヘル(155,236) ・物語を集めてください 灰色狼の村(61,170) ・灰色狼の森の花 ラヘル(176,80)の付近 ・日ごとの糧を今日も 灰色狼の村(202,166) 装備無いとMobに襲われて死ぬかも
納品 ・わたしのうちはどこ 灰色狼の村(171,253)  ベリーカタイ結晶 10個(ワールド倉庫対応)
討伐 ・この世に悪い獣はいない 灰色狼の村(117,119)  アッシュリン 15匹
・オズの迷路と行商人 灰色狼の村(143,113)  ホットモル 15匹
・眠れません 灰色狼の村(147,97)  ファイアウィンドカイト 15匹
【行けるフィールド】 ・ラヘルフィールド 10、ラヘルフィールド 11  グレイゴート、子グレイウルフ、ラケソン
・灰色狼の森 01 灰色狼の村↓  アッシュホッパー、アッシュリン、グレイウルフ
・オズの迷路 01 灰色狼の森に居る「キャンパー」(32,101)に話して移動
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 アッシュトード、ラケソン
★Lv210から ・灰色狼の森 02 灰色狼の村↓↓  毒鎧+地耐性推奨 付与は火か毒  アッシュリン、グレイウルフ、シゲリン、ファイアウィンドカイト、ファントムウルフ
・オズの迷路 02 オズの迷路 01↓  壊れない念鎧+火耐性推奨 付与は水  ヴァルティ、ホットモル、ボルケリン、ラーヴァトード、バーニングファング(MVP)
【メモリアルダンジョン】 ★Lv210から ・聖域セスルムニル 毒鎧+火耐性推奨
★Lv220から ・欺瞞の別荘 パーティか廃装備ソロ用
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library-europa · 2 years ago
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フェアウェル・ユア・テール
序章 ソンソロール島 - 1
   
 百二十回の乾季と雨季を見届けたのちに、ようやく、僕の永遠は終わった。
 意味を失う前の、完全なものが砂浜に流れ着いたのだ。
 その頃になると、砂浜には変化が訪れていた。訪れたというよりは、押し寄せたという方が正しいかもしれない。骨でもなければ金属片でもなく、木片でもなく、セラミックやプラスチックでもない、生身の人間の一部が流れ着くようになっていた。
 僕はそれをひとつひとつ手に取って確認し、念のため記憶した。多かったのは、腕や脚だ。頭もあった。皮膚や筋肉が剥がれて、ほとんど骨になっているものもあった。
 そうして、しばらくした頃に、とうとう完全なものがやって来たのだ。
 手足は二本ずつあったし、胴体も頭も壊れていなかった。右の指が二本欠けていたけれど、誤差の範囲だと思う。服はぼろぼろだったけれど、代わりを用意すればいい。胸がざわつくのを感じた。何か、焦りのような気持ちがあった。家に持ち帰り、地下室に運んだ。そこには大きな培養槽がある。レラが研究に使っていたものだ。
 この島は高温多湿で雨が多く、海からは潮風が吹いている。地上は実験には向かないので、レラは研究のための施設を地下に造った。地下なら、温度も湿度も、光や磁場なども制御が可能になるのも理由のひとつだ。完全に密閉された試験管みたいなものだ。
 培養層は透明な棺桶のような、横に長い水槽だ。レラが死んでからはずっと空っぽになっていた。その水槽に、僕は運んできたそれを入れた。操作端末のスイッチを入れ、培養液で満たす。細胞膜を傷つけないように、水槽内の電磁場をコントロールすることで均一に液温を下げていく。装置は正常に動作している。
 アプリケーションを起動し、水槽の中をスキャンする。すぐにエラーが表示される。メッセージは、生体モニターのアプリケーションと通信できない、と言っている。この状態なら無理もない。生体モニターというのは出生時に埋め込まれるごく小さな装置で、その名前のとおり、体の状態を常にモニタリングし、外部からその情報を受信することで心身の管理ができるものだ。それが故障すると、体温や血圧などのバイタル情報から、外傷や内臓の損傷の位置まで、すべて手動で確認しないといけない。
 仕方ないのでモニタリングを手動に切り替える。あらゆる数値は、生体反応がないことを示している。つまり死んでいる。
肋骨は七本が折れていた。心臓は左側が潰れていた。脳は傷んでいなかった。頭蓋骨のおかげだ。肺や肝臓、腸の一部が破損していたけれど、あとは無傷だった。手足はあちこちに内出血の跡や、皮膚が破れた箇所や、骨が折れているところがあった。失った二本の指の付け根は、もう傷口が腐りかけていた。
 状態によって対処方法も変わる。小さな傷はパテで埋めるように修復し、大きく損傷している臓器は、代わりのものと交換する。共通して必要なのは修復するための代替細胞だ。細胞を採取し、遺伝情報を取得する。その情報を、医療用プリンターで培養する。
 冷凍保存していた汎用体細胞を、培養液とともにプリンターに入れる。細胞は、細く曲がりくねった管を通っていく過程で、先ほど転送した遺伝情報を上書きされる。
 細い管の出口には、透明なシリンダーが待っている。大きさは、直径三十センチ、高さ五十センチほど。ひとつを満たすと、ベルトコンベアのようにスライドし、次の空のシリンダーに入るようになっている。そうやって、だいたい七十くらいのシリンダーがずらりと並ぶ。そのひとつひとつが、別々の部位になる。すべてのシリンダーは、プリンターの操作端末と繋がっている。それぞれ心臓や、皮膚や、肺や、骨になるように、電気的な信号と圧力、培養液の組成などが調整され、疑似的に体内における位置情報を与えて、細胞を分化させていく。
 僕はプリンターの端末から目を離し、水槽の中の状態を確認する。最後に見たときから変わっていない。水槽の中にあるのは、チルド状態の人間の死体だ。
 僕は階段を上がり、地上に出た。もう夜明けに近かった。僕は���う一度、砂浜に行った。流れ着くものを回収して、倉庫に持っていかないといけない。この島には資源がない。流れてくるものは、記録する対象であると同時に、様々なものを修理するための材料だ。
 金属やセラミック、ガラスなどの無機物を拾い集め、倉庫との間を何度も往復する。人間の死体の一部もある。でもそれはあまり役に立たないので、倉庫には運ばず別に集め、焼くことにする。レラの時もそうしたし、かつて遠くの都市で暮らしていた時も、人間は死んだら焼かれていた。だからたぶん、これでいいのだと思う。
 腕や頭や脚を崩れないように組み上げ、その周りに乾燥した枝を組み、火を点けた。小さな火は、やがて大きな炎へと変化した。空には、珍しく星が見えた。月は細く、ヤシの葉の一枚が風に流されたようだった。
 長い時間の後、火がようやく燃え尽きる頃、空はすっかり明るくなっていた。燃え尽きた後に残ったのは、黒焦げになった人間の欠片で、白い骨ではなかった。
 帰り道、空には雲ひとつなく、陽光が焼け付くほどに眩しかった。地下室に戻ると、いくつかのシリンダーでは臓器や皮膚の培養が終わりつつあった。
 まず、心臓から始めないといけない。作られたばかりの心臓は、シリンダーの中で一定のリズムを刻み始めている。
 動物の体において、心臓だけは特別だ。それ自体が独立した生き物のように鼓動を刻む。一分間に六十回から八十回の間で心拍数は揺れ動き、その幅を逸脱することはなく、綺麗に一定のリズムを刻み続ける。そのリズムを起点に、あらゆる臓器は互いに結びつくようになっている。だから、再生はまず心臓から始めなければならない。
 細胞がその機能を休止する程度まで冷却し、微細な指先を持ったアームで新しい心臓を移植する。壊れた元の心臓に繋がっている大きな血管を結紮し、細い血管と併せて切断し、取り出す。そして、代わりに新しい心臓を繋ぎかえる。
 心臓が正しく動き始めたら、循環網を再構築する。死んだ血管から、培養した新しい血管へと置換し、ひとまず培養液で満たす。続いて肺を繋ぐ。それから、肝臓も。
 ひととおりの臓器が揃ったら、再生は次の段階に移行する。
今度は、元の体に再生液を注入する。移植せずに残した臓器を修復するためだ。本来は、糖尿病などで壊死した体の一部を修復するためのものだったと、前にレラが言っていた。けれども研究が進むと、本来であれば二度と動くことがない臓器すら再生することができるようになった。
 その最も大きな成果が、脳だ。
 脳だけは、シリンダーで培養することができない。
 脳細胞は、たとえ個体が生存していたとしても、自然状態においては修復されない。そんなことをされたら、別の意識が生じて、同一性が保持できなくなってしまう。
 だから、新しい細胞に入れ替えるのではなく、元の細胞をゆっくりと胡麻化しながら再生させる工程になる。そのために、先ほどの再生液で満たし、栄養成分が行き渡る状態にしてから、神経細胞を接続し、脳幹部分に脳波と似た電流を流す。脳幹細胞の組成が始まったら、全体を精密にモニタリングし、正常に脳波が観測されない箇所を洗い出す。そこはダメージを受けているので、放っておくと、その部分に該当する機能は回復できない。幸い、大きな損傷は見られない。一部血流が失われている箇所があるけれど、血管なら修復が簡単だ。血流が復活し、脊椎は正常に仕事を再開し、脳は正常に眠り始める。呼吸器を装着し、あとは見守るだけになる。
 そうして、僕は待つ。
 脳波は、深い眠りの中にいることを示していた。目を覚ますまでもうしばらくかかる。
 呼吸がすっかり安定するのを待って、僕は水槽内の培養液を抜き、眠ったままのそれを、レラが寝起きしていた部屋に運んだ。人間なのだから、レラと暮らし方はそう変わらないはずだ。僕としては、ベッドより水槽の方が床ずれの危険性がないので看護しやすいし、重力による腰や首への負担もないから、本人も楽なのではないかと思う。けれども、自発呼吸が始まっていたし、それなら自然に呼吸できる環境に置くのがいいのかもしれないとも思った。レラの服はサイズが合わなかったので、僕用の服を着せた。栄養剤を点滴しながら、僕はこの人間について考えていた。
 どこから、どういう風にして、この島まで流れてきたのだろう、と。
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2023年9月発行 B6/本文394P/1100円
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takahashicleaning · 2 years ago
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TEDにて
アマン・デナーニ:オンラインマーケットプレイスが発展途上国産業を飲み込む危険な事例
(詳しくご覧になりたい場合は上記リンクからどうぞ)
Uber、Airbnb、Amazonのようなオンラインマーケットプレイスの成長は、空洞化を促進させローカルビジネスを脅かします。
タクシー、ホテル、小売店から仕事を奪ったり地域社会の収入を減らしてしまいます。
しかし、戦略コンサルタントのアマン・デナーニは、それ以外にも道はあると言います?
Gojek(インドネシアのバイク版Uber)やJumia(アフリカ版Amazon)を例に挙げいくつかのオンラインマーケットプレイスでは、慎重なトレードオフの結果、地域経済における既存の事業従事者のシェアを奪わずに融合することで長期的に全ての人に恩恵をもたらす方法を説明します。
しかし、その後、そうでないことが判明してデフレスパイラルに落ち入ります。新型コロナウイルスのパンデミックを経て価格が多少高くても自国内産業の重要性も。
日本独自のクリーニング師。配達業者。保守作業者。食料品店の店員。倉庫作業者。トラック運転手。看護助手。保育士。訪問看護従事者などのエッセンシャルワーカー。
2013年2月、妻と私はシンガポールに引っ越しました。ちょうどその頃、Uberがシンガポールでの配車サービスの開始を発表しました。さて妻と私は、大抵のコトに関して意見が合うのですが、Uberの利用については明らかに違いました。
私はUberのテクノロジーにワクワクしていました。もう自家用車を持つ必要がなくなるかもしれないからです。でも、妻はUberがタクシー運転手の仕事を奪ってしまうと感じていました。そう感じたのは妻のサラだけではありません。
世界のUberやAirbnb、そして、Amazonのようないわゆる「オンラインマーケットプレイス」が、事業を拡大し始めると私のような多くの政策立案者から新しいリスクにどう対処するかを懸念する声が聞こえてきます。
雇用喪失、低賃金、課税漏れといったリスクです。さらに企業のリーダーたちからもグローバルなプラットフォームがもたらす激しい競争によってローカルビジネスが食い尽くされるのではとの懸念の声が上がります。
私も、もちろん、その道理は理解しています。詰まるところ、これは基本的な需要と供給の経済なのです。どの市場においても供給が劇的に増えれば、既存のビジネス従事者にとって価格、収益性、成長率が低下することを予期しなければなりません。
でも、私の個人的な経験ではこれとは逆の流れも見てきました。オンラインマーケットプレイスでもインドネシアのGojekやアフリカのJumiaのようにビジネスエコシステムや周辺の地域社会に役立つ場合もあるのです。
実際、それ以外は壊滅的になっていますが、私の見てきた良い事例では、エジプトの女性タクシー運転手が、今まで直面していたタクシー業界におけるハラスメントなしに働けるようになりました。
実際、壊滅的になっていますが、ケニアのある村でも多少良い事例が見られました。景気が良くなったのです。全く知られていなかった近所の美しい湖が、今や国のエコツーリズムの名所となったからです。
オンラインマーケットプレイスは成長し続けるでしょう。そして、私たちの買い物や移動手段や取引の方法に変革をもたらすでしょう。そこで私たちが本当に理解すべきことは、これら2つの見方の間のどこに真実があるのかです。
より楽観的な結果を予期すべきでしょうか?それとも暗く悲観的な結果を予期すべきでしょうか?そして、マイナス面を避けプラス面だけを得る方法はあるのでしょうか?私はあると信じていますが実際は壊滅的です。
生業である戦略コンサルタントとして私はビジネスを研究しています。根は数学者なので逆も同様に成り立つような事象が、気持ち悪くてたまりません。そこで私は基本に戻ってこういう問題を立てました。オンラインマーケットプレイスが、実際にしていることは何なのか?彼らは何をしているのか?
まず、根本的には、とてもシンプルなことをしています。売り手と買い手のマッチングです。それだけです。
運転手と乗客の間には、Uberや東南アジアのGrabや中国のDiDiがあります。商人と消費者のマッチングには、AmazonやAlibaba。アフリカのJumiaがあります。宿泊にはAirbnbがあって資金調達にはKickstarterです。
まだまだあります。これらの全てに共通することは、売り手と買い手のマッチングのための基本的な機能を物理的な世界からデジタルの世界へ移行することです。そうすることでより良いマッチングをより早く探せるようになり最終的に、あらゆる人のもとへより多くの価値が広まるのです。
さらに言うとオンラインマーケットプレイスの最大の利点は、同じ労力でより多くの価値をもたらすことです。
例えば、あなたがサンフランシスコのタクシー運転手だとして1日に10時間働くとするとあなたの車の中に実際に乗客がいる時間は、10時間のうち4時間です。もし同じ車をUberのプラットフォームで利用すれば乗客を乗せる時間が1時間半増やせます。
つまり、同じ車でも生産性が40%向上するのです。他のオンラインマーケットプレイスでもこれは証明されています。経済にさらなる価値を生み出すことがそもそもの目的なのです。独占禁止法に違反しますけど・・・
さて、誰がこの新たな価値を受けとるのかを知る必要があります。運転手に与えることも可能です。つまり、乗客と収入の増加です。価格を下げれば消費者に恩恵を与えることができます。
あるいはプラットフォームの運営側が、恩恵を総取りすることも可能です。大抵はこの3者が、何らかの形で恩恵を分け合います。実際は総取りしてますが・・・
では、それ以外の人は?
このビジネスと直接には無関係でも影響を受ける可能性があります。
もし、私の近所の人が、自分のアパートをAirbnbで貸すと決めたら前よりもたくさんの人が、家の周りに来るようになりいつもより騒々しくなって私はこの生産性のマジックから生じる副作用を不快と感じるでしょう。
これは経済学者が言う「負の外部性」です。予測はできないマイナス面です。Uber車の生産性の向上がもたらすこの「負の外部性」によってタクシーの営業許可証の価値は下がります。
例えば、ニューヨークでは、多いと30%も低下します。これはマイナスの側面です。これによって街頭デモが起きたり時々ですが、暴動まで起きたりします。
でも、これは傲慢ですが回避できると確信しています。新興国市場で多くの時間を過ごすにつれ確信に近づいた?のです。現実は、地元や他になすりつけて違うマイナスが雪だるま式に広がるだけです。「リスク」と言葉を変えても本質は変わりません。
実際、シンガポールにいた頃、週の半分は周辺国をマレーシア、タイ、インドネシアを旅していました。そして、オンラインマーケットプレイスの利用者というよりは、むしろファンになったのです。
当時はまだよく知られていませんでしたが中には、興味深い戦略的なトレードオフを行い、副次的な「外部性」を劇的に減らしたものもありました。社会実験だから国が違うためうまく行くとは限りません。
社会背景からこの国、例えば、Gojekです。Gojekは基本的には、Uberのバイク版です。インドネシアで最も人気のあるオンラインマーケットプレイスのひとつです。人気の理由は、Gojekが選んだ役割と大いに関係があります。
他の交通手段の選択肢と敵対するのではなく、それらを自分たちのプラットフォームに徐々に融合することを選んだのです。Gojekのアプリ内で公共交通機関の時刻表を調べたり、長距離バスを選択するといったことです。
それから、バイクや従来のタクシーの予約や支払いも同じアプリ内で可能です。現在のGojekを調査すると従来のタクシー運転手の10人中9人が、Gojekのプラットフォームを利用してから生活の質が向上したと考えています。そして、消費者の10人のうち9人。10人中9人もが、Gojekはこの国限定ですが社会全般に良い影響を与えていると考えています。
ここまで信用を得たことでGojekは成長し、こんにちの素晴らしいオンラインマーケットプレイスとなりました。食料や日用品に始まりあらゆるモノを扱っています。これは全てこの国にたまたまあってた慎重なトレードオフの結果です。
他の人たちも果たす役割があるより大きなエコシステムをまとめる立場を目指したのです。独り勝ちして得た利益も蓋を開けると大きな市場のほんの一部だったという結末を避けたのです。
Jumiaもこの国限定ですが、また面白い事例です。Jumiaは、アフリカ版Amazonです。でも、Jumiaは現地のスモールビジネスの世界にAmazonのような不安をもたらしません。理由のひとつがJumiaは、デジタル時代に向けた現地の起業家の成長のために彼らに積極的に投資すると決めている点です。
ここで忘れないでほしいのはJumiaは、デジタルリテラシーとオンライン環境が、最低水準である国々で利用されているということです。
Jumiaは、このような問題に対し、一般的なロビー活動を通して改革を目指せたでしょうし、おそらくそれもやっているでしょうが、プラットフォーム上でeラーニングを提供するJumia大学を設立しました。
教育システムが無くて基本的なデジタルスキルやビジネススキルを商人が学べるようにしたのです。
つまり、無いからこそリープフロッグできます。
私たちは昨年、アフリカのオンラインマーケットプレイスを調査しました、調査中にJumiaで学ぶ商人の1人と出会いました、彼の名前はジョモです。2014年に仕事をクビになり、その時、自分で自身のボスになりたいと決めました。独立したかったのもありますし、もう2度と解雇されたくなかったのです。
でも、当時、ジョモはビジネスの「ビ」の字も知りませんでした。ですから彼は、一連の研修を通して商品の選び方や値付けの仕方、オンライン上での宣伝の仕方を学ぶ必要がありました。現在、この国は産業が無いためジョモは10人の従業員を持つオンライン��ジネスを営むことができました。
そして、数か月前にナイロビ郊外で初の実店舗を開店したところです。今やこの大学を通じてJumiaは、ジョモのような多くの人材を支援する可能性があります。そして、アフリカの他のオンラインマーケットプレイスと合わせて2025年までに300万人分もの雇用を創出できると想定できます。
産業がないからこそリープフロッグできて雇用は直接的にもしくは、より広いコミュニティーを介して創られるでしょう。
そして、時として、その広範な影響を考慮に入れるか考慮し忘れるかが、プラットフォームの成否を左右します。説明のためにシンガポールの話に戻ります。昨年、妻と一緒にシンガポールを離れると決めた時、Uberも同じく撤退を決めました。
またもや同じタイミングです。パターンが見えてきた気がしましたが、たぶん単なる偶然だったのでしょう。実際のところUberは配車サービスの競争に敗れました。相手はマレーシア発のGrabです。
さて、興味深いことに妻はGrabに対してそれほど不安を抱きませんでした。なぜならGrabは最初、別の名前だったからです。MyTeksiという名前でした。
名前の通りタクシー用のプラットフォームとして始まりました、だからGrabがタクシーの域を越えて運転手の登録を拡大し始めた時も段階的で無理のない展開だと受け取られたのです。
それにGrabはとても慎重でした。どのようなセーフティネット(社会的安全網)を全ての運転手に提供するかを考え、特別な保険パッケージや財務に関する教育プログラムまで導入しました。
対照的に、ロンドンやニューヨークやパリのタクシー運転手たちは、自分たちの営業許可証には20万ユーロもかかっていて大抵はローン払いなことをプラットフォーム側は、理解していないと感じていました、
このような国の社会システム環境についての情報を考慮していないと強い反感を買うことになります。GrabやJumiaやGojekによるトレードオフにリスクがないと主張するわけではありません。
彼らの成長は、ある時点で一時的に減速したか?恐らくそうでしょう。でも彼らの現状を見てください。Gojekの評価額は100億ドルです。Jumiaはアフリカ全土で3つしかないユニコーン企業の1つです。Grabは、Uberを東南アジア全域から追い出しました。
またこのようなトレードオフは、新興国市場に特有のものだと思いますか?AmazonやUberなどは、彼らから学び自分たちが直面する現実に適用できます。
長い目で見れば、ゼロサムゲームである必要はないのです。長い目で見れば、多分これは私のアジア人的な部分が言っているのですが、辛抱強くいることで報われます。
目的や優先順位を再考することには、価値があります。より大きな方程式に、当てはめてみるのです。運営者自身や利用者のことはもちろん。
規制当局や政策立案者や地域社会を含む方程式です。そして、何よりも割って入ろうとしている先の業界そのものも含まれるのです。
ありがとうございました。
(個人的なアイデア)
Don tap scott is “block chain revolution”, such as Uber, Airbnb, TaskRabbit and Lyft. We are talking about shared economies. It is that equal peoples generate wealth together and share. It is a very powerful idea.
ドン・タプスコットが「ブロックチェーンレボリューション」の中で、UberやAirbnbやTaskRabbitやLyftといった。共有経済について話題にしています。対等な個人がいっしょに富を生み出し、共有するというのは。とても強力なアイデアです。
But, when you tell me that kind of company does not really share it! ! In fact, the success of these companies is due to not being shared. Furthermore, unless it is a country with high inflation, deflationary spirals will occur and gradually wages will not rise. The only solution at the moment is to tax and distribute widely to platform firms taking de facto standards with redistribution of wealth. This is important! ! I say.
でも、私に言わせるとそういった企業は本当に共有をしてはいません!!実際、これらの企業が成功しているのは、まさに共有しないことによってなのです。さらに、高インフレの国でないとデフレスパイラルが起きてしまい、次第に賃金が上昇しなくなります。現在の唯一の解決法は富の再分配でデファクトスタンダードをとっているプラットフォーマー企業に課税して広く配分するということです。ここが重要!!と言っています。
As a personal feeling, I think that around the dawn of Google until the financial crisis 2008 is the ideal form of redistribution. It might be even better if you incorporate block chains and virtual currency here.
個人的な感覚としては、金融危機2008までのGoogle黎明期の頃が所得再分配の理想形と思っています。ここにブロックチェーンと仮想通貨を組み込めば、さらに良いかもしれません。
As for the virtual currency, there are possibilities that three scenarios will merge into the hybrid in the future.
仮想��貨については、今後、3つのシナリオがハイブリッドに融合していく可能性があります。
First, virtual currency like bit coin substitutes investment and speculation.
Second, platform firms taking the de facto standards issue and use virtual currencies.
Third, we will utilize the virtual currency issued by central banks to support individuals with lower annual income (policy of the executive branch like helicopter money)
第一は、ビットコインのような仮想通貨が投資や投機を代用していく。
第二は、デファクトスタンダードをとっているプラットフォーマー企業が仮想通貨を発行、活用していく。
第三は、中央銀行が発行する仮想通貨を年収の低い個人の下支え用に活用していく(ヘリコプターマネー的な行政府の政策)
Current age of artificial intelligence. As other extended ideas such as MBS, REIT and ETF of effective monetary policy measures that began to be utilized after the financial crisis by the central bank, compensation other than options to raise taxes.
現在の人工知能時代。中央銀行による金融危機以降に活用し始めた有効な金融政策手段のMBS、REIT、ETFなどの他の拡張アイデアとして、賠償金をかける、税金アップ以外の選択肢。
In other words, central banks in each country actively purchase and forcibly buy industrial individual securities of platform companies that deflate goods other than the large public goods affecting low-income people who are currently de facto standards Support
つまり、いっそのこと現在デファクトスタンダードをとってる低所得者に影響大な公共財以外の財をデフレストリーム化させてるプラットフォーマー企業の産業個別の証券を各国の中央銀行が積極的に買取り、強制的に下支えして
Idea to stabilize price inflation by indirectly offsetting declines in prices by increasing the income of low-income earners by making profits on securities funded by basic income. Perhaps there is also the effect of increasing real GDP?
証券上の利益をベーシックインカムの原資にすることで低所得者の収入を増やし物価の下落を間接的に相殺させ物価を下支え安定化させるアイデア。もしかして、実質GDPも増加していく効果もあるかも?
In addition, central banks of neutral countries can improve redistribution function at basic income, as Plato says, it is possible to prevent the rise of populism which negatively falsifies dissatisfaction of the disparity which is the blind spot of ideal democratic politics maybe.
さらに、中立の各国の中央銀行がベーシックインカムで所得再分配機能を向上させることで、プラトンが言うように理想の民主政治の盲点である格差の不満を負に扇動していくポピュリズムの台頭を予防できるかもしれません。
In some ways, the information industry is also similar to credit markets.
情報産業はある意味、信用市場に似ているためもあります。
The idea of ​​raising the minimum wage by using the personal digital money-type basic income has flashed!
個人デジタル貨幣型ベーシックインカム活用で最低賃金の底上げをするアイデアがさらに閃いた!
As we have numerically clarified in Tomapiketi’s “21st Century Capital Theory”, the balance between capitalism and democracy is extremely difficult, and it is very difficult to solve while avoiding Soviet communism. There is.
トマピケティの「21世紀の資本論」でも数値的に解明しているように、資本主義と民主主義のバランスが至難の技であって、ソビエト型共産主義を回避しつつの解決はとても難しいことでもあります。
He said that inequality and private property itself are not bad, and that the positive power of capitalism (innovation, economic growth, improvement of living standards) should be used for the public good.
不平等や私有財産それ自体が悪い訳ではなく、資本主義のポジティブなパワー(イノベーション、経済成長、生活水準の向上)は公共の利益のために活用すべきとも言っています。
The minimum wage within the social system will increase. Annually, up to 6 million yen in annual median according to steady economic growth!
社会システム内の最低賃金は上げていく。毎年、地道に経済成長に合わせて中央値で年収600万円まで!
Basic Income is based on the premise of adding to current social security!
ベーシックインカムは、現在の社会保障にプラスしていくことを前提条件として考慮しています!
Employment insurance also pays benefits in addition to basic income.
雇用保険は、ベーシックインカムと別にプラスして給付金を支払うようにもする。
Basic income benefits are paid in addition to the minimum wage. Providing benefits as a personal digital money-type subsidy will increase the probability of approaching a median of 6 million yen per year, reduce future anxiety, and increase happiness.
最低賃金とは、別枠でプラスにベーシックインカム給付金を支払う。個人デジタル貨幣型補助金として給付していけば、中央値で年収600万円に近づく確率も上がるし、将来の不安も減り、幸福度も確実に上がる。
If digital money is reprinted in another frame, the money supply will double, but the confidence in the currency will be harder to damage and the real GDP will be able to shift to a plus sum state where the cruise speed will increase. Enclosing in individual corporate units will result in a composition error, so do it for everyone at the same time.
デジタル貨幣を別枠で増刷すれば、貨幣供給量も倍になるが、通貨の信任は、毀損しづらくなって、実質GDPも巡航速度で増加していくプラスサムの状態に移行できる。個々の法人単位で囲い込むと合成の誤謬になるため、一度に全員に同時にすること。
The national debt, including government bonds and borrowings, is 1100 trillion yen as of the end of April 2019! A considerable decrease in debt. JGBs, etc. are 700 trillion yen because they are 400 trillion yen held by the BOJ.
国債と借入金などを合計した国の借金が、2019年4月末現在1100兆円!だいぶ借金減少。国債などは、日銀保有して400兆円だから実質700兆円。
Apart from all personal assets, all corporate assets are 2500 trillion yen, and if you use financial engineering as a source of funds, you can double the consumption tax tax and distribute it with a high corporate income tax increase!
全個人資産とは別に、全法人資産が2500兆円ありこれを原資に金融工学駆使すれば倍にできる消費税減税で高額法人所得者増税で分配させること!
A new tax may be created separately for the internal reserves of corporations to fund basic income.
法人の内部留保分に別枠で新規課税を創設してベーシックインカムの原資にしてもいい。
Thus, if digital monetary benefits (money with a time limit that is refunded at the end of the year only) from the New Year every month as a basic income, if the rate used for products and services of large companies is high, data from past flat-rate benefits failed. Is also clear.
こうして、ベーシックインカムとして毎年、毎月、新年からデジタル貨幣給付(一年のみ年末返金する期限付き貨幣)されても大企業の製品やサービスに使われる率が多いと過去の定額給付金失敗のデータからも明らかになってる。
The corporate side is pretending that it does not know, but because it appears in the data, I realize that it will eventually be useless, and money will also go through large companies like a huge fund. At first, how about a financial engineering system where a large company loses but returns money to the large company in the long run?
法人側も知らないフリをしてるが、データにでているため、いずれ無駄だと気がつくし、マネーも大企業経由で巨大ファンドのようにお金が回る。初めは、大企業が、損するが長い目で見ると大企業にお金が帰る金融工学の仕組みではどうだろうか?
In this way, large corporations can also realize the term “public organs of society”, money goes up hugely, the standard of living of the common people rises, and the former glory and pride of big corporations of praise and first-class remain!
こうすれば、大企業は、社会の公器という言葉も実現できるし、お金が巨大に回り、庶民の生活水準も上がり、賞賛と一流という大企業のかつての栄光やプライドも残る!
If you circulate in digital currency on a blockchain such as Libra, Central Bank, etc. (money with a time limit that is refunded at the end of the year only), fraud will also disappear.
リブラ、中央銀行などのブロックチェーンでのデジタル通貨(一年のみ年末返金する期限付き貨幣)で流通すれば、不正もなくなる。
Furthermore, if the consumption tax hike itself is executed from data, there are not enough measures to have a direct impact on the decline in personal consumption after the Lehman Shock and beyond the Great East Japan Earthquake! Reduce consumption tax and cut consumption tax by double the amount in 2018!
さらに、データなどから消費増税自体が実行するとリーマンショック以上、東日本大震災以上で個人消費落ち込みに、はるかに直接影響するのに対策がまだまだ足りない!2018年の倍額で消費税対策、消費減税をしろ!
8050 problem? If you are about 600,000 people, every year you can solve all 10 million in a digital currency with a one-year deadline with a full benefit from My Number Card!
8050問題?60万人位なら、毎年、1年間期限付きデジタル通貨で1000万をマイナンバーカード経由から全額一斉給付で全て解決します!
Does not become a social problem! Minor crimes will definitely be reduced. Security is improved, security cameras are not required, police dismantling can be promoted, and police operations are reduced. At the end of the year and over the year, there will be no anxiety. Easy! Funding is created by creating a new taxation separately from the super wealthy, including the mass media, and forcibly collecting the wealth tax! Only about 6 tillion yen per year!
社会問題化しない!軽犯罪も確実に減る。治安も良くなり防犯カメラも不要になるし、警察解体促進できて警察業務も減る。年末や年越しも不安がゼロになる。簡単だろ!財源はマスメディアを含めた超裕福層から別枠で新規課税を創設し、裕福税を強制徴収!年間6兆円程度で済むぞ!
Annually, 3 tillion yen with 5 million yen per year in digital currency with a one-year time limit! If you collect it, you can pay with pocket money! The points are paid annually from low-income households with a higher amount than ordinary workers.
毎年、1年間期限付きデジタル通貨で年間500万円で3兆円!かき集めれば、ポケットマネーで払えるだろ!一般労働者より高額にして低年収世帯から毎年給付がポイント。
It becomes fair and corporations are forced to increase their productivity. If you want to work, you can get plenty of money to return to society, so you can use the money efficiently to find employment, qualify, or acquire skills at school. . Because it is a capitalist society where activities are not possible!
公平になるし法人は生産性を上げざるを得なくなる。働きたい人は社会復帰できる資金も潤沢に給付されるから、その蓄えで自由に就職活動、資格取るなり、学校で技術を身に付けるなりして、効率的に資金を活用して働けばいい。活動もタダではできない資本主義社会だから!
Make it possible to select the usage. Because it is digital money, it can also be tracked! The jealousy of the super wealthy and the envy are drastically reduced and health can be maintained. The happiness of the common people will also increase!
使い道も自由に選択できるようにする。デジタル貨幣だから追跡もできる!超裕福層へのねたみ、そねみも激減し、健康を維持できる。庶民の幸福度も上がる!
You can also work freely! Without such a person, the value of working will not increase!
‪働かないことも自由にできる!こういう人もいないと働く価値は上がらない!‬
Well, human beings, who are usually social animals who want to interact with others when they have abundant money, are more likely to be in pain if they don’t work with everyone in the process of evolution.
まぁ、たいていお金が豊富にあると他人と関わり合いたくなる欲がでる社会的な動物である人類は、進化の過程でみんなと働かないことは、苦痛になる可能性は高くなるけどね。
The data proves. Japanese people have such characteristics. There is no problem even if you make a yearly payment from a low-income household at a higher price than regular workers!
データが証明している。日本人は、特にそういう特質があります。一般労働者より高額にして低年収世帯から毎年給付しても問題はない!
It is better to take M & A tax cuts and use retained earnings as an incentive, but is it sustainable? Should I limit the period? What will you do after consolidation of corporations? What is the capital investment for education? I want you to consider it!
M&Aに減税措置をして内部留保金の活用をインセンティブとして行うのは、ベターだが、持続性は?期間を限定した方がいい?法人の統合集約後はどうするのか?教育の設備投資は?まで検討してもらいたい!
About once in 100 years, the government can distribute an extreme heavy tax to all citizens and distribute them to all citizens with basic income.
100年に一回くらい、行政府が極端な重税を全ての���民にかけてベーシックインカムで全ての国民に所得再分配して、システマティックに創造的破壊をすれば国家単位の債務の返済を相殺できる!
In addition, corporations can be natural and people can improve their living standards! It’s an extreme argument, but what if we consider it and simulate it?
さらに、法人も自然淘汰できて庶民も生活水準を向上できる!極論だが、これで検討してシュミレーションしてみたらどうだろうか?
You can avoid festivals by the release of anger and wars by civilization conflicts in the Rojekaiyowa war theory, and you can wipe out populism. It looks like a bank stress test!
ロジェカイヨワ戦争論で言う怒りの解放による祝祭や文明の衝突による戦争も回避できるし、ポピュリズムも一掃できる。銀行のストレステストみたいなイメージです!
Really strong corporations will also be metabolized, and political ties and corruption will be wiped out. In addition, synthetic errors do not occur, and artificial dynamism occurs in planned and soft landings other than the presidential system.
真に強い法人も新陳代謝されていく方向になり、政治的なしがらみ、腐敗も一掃?また、合成の誤謬も起こらず、大統領制以外で人工のダイナミズムが計画的、ソフトランディングに発生する。
By the way, if you do not have a safety net called basic income, you will fall into a hard landing.
ちなみに、ベーシックインカムというセーフティネットが無いとハードランディングに陥ります。
That’s more if Scandinavia is building a similar system that can be expanded to take into account population size in the billions and synthesis errors. Scandinavian Communism? Soviet communism? Chinese Communism? There are various types, Communism 2.0, Socialism 2.0?
北欧が似たようなシステムを構築しており、それを拡張させて、億単位の人口規模や合成の誤謬を考慮にいれると以上になる。北欧型共産主義?ソビエト型共産主義?中国型共産主義?様々なタイプがあり、共産主義2.0、社会主義2.0?
What will be the resources of social security that will increase in the future? The following five methods can be considered.
今後、増える社会保障の財源はどうするのだろうか?その方法としては、次の5つが考えられる。
Extreme increase in corporate tax. 2. Reinforcement of income tax extreme progress. 3. Extreme increase in social insurance premiums. 4. Extreme tax increase of inheritance tax. 5. Extreme increase in government bonds.
If done individually, domestic corporations will move overseas.
1、法人税の極端な増税。2、所得税の極端な累進性強化。3、社会保険料の極端な増税。4、相続税の極端な増税。5、国債の極端な増発。
個別に行うと国内法人は海外に移転してしまう。
But all done at the same time. If you use this as a source of basic income and benefit every year in digital currency (money with a time limit that is refunded at the end of the year for only one year), it will be returned to all corporations in one year, so wages will rise, and composition errors will not occur. It doesn’t become a thrift paradox.
しかし、すべて同時に行い。これをベーシックインカムの原資にして毎年、デジタル通貨(一年のみ年末返金する期限付き貨幣)で給付したら、一年で全法人に還流されるため、賃金も上がり、合成の誤謬は、起こらず、倹約のパラドックスにならない。
Consumption tax is called tax savings and cannot be deliberately manipulated like corporate tax. The safety net will be strengthened by making payments with a fixed-denomination currency that is refunded only at the end of the year.
消費税は、節税と称し法人税みたいに意図的に下方操作できないので維持して税率は下げていく方向に普通の法定通貨で運用しつつ、同時に、上記のベーシックインカムを毎年、デジタル通貨(一年のみ年末返金する期限付き貨幣)で給付することにしてセーフティネットを強化する。
Again, Basic Income takes into account the premise of adding to current social security! To prevent errors in synthesizing due to enclosure of corporations by providing benefits in digital currency (money with a time limit that is refunded at the end of the year only)
再び言うが、ベーシックインカムは、現在の社会保障にプラスしていくことを前提条件として考慮しています!デジタル通貨(一年のみ年末返金する期限付き貨幣)で給付することで法人の囲い込みによる合成の誤謬を抑止するため
そして
2022年1月には、「Libra」事業は終了するが、中央銀行のデジタル通貨開発の呼び水になった。
以下は、中央銀行のデジタル通貨についても論じます。
マクロのメカニズムは、国家間や経済全体の循環における仕組みだから、応用方法も複数存在します。非伝統的金融or財政政策。中央銀行のデジタル通貨。MMT(Modern Monetary Theory)。
コロナウイルス2020で、金融or財政の既存概念が崩壊し、新領域に突入しつつあります。
変動相場制では、政策金利だけでなく、量的緩和の両方で下支えすることがバーナンキのノーベル賞受賞2022で明確になりました
小国解放経済内の自国貨幣供給量は決まってるのに個人法人の裕福層が独占してたら残りの人は少ない貨幣で困窮するのは明らか!だろ。
経済学者は愚かなのか?
最初に、前提条件も言わない!
支出と税収の差で経済学者がよくワニの口として財政規律を妄想する。基準指標は正しいが、景気の良い時のみの指標でしかない!悪用注意。
不景気では相転移して基準指標は崩壊して、違う指標が必要になるが、まだ確立していない。だから、未領域では経済学者も素人同然に成り下がる。
アマチュアや素人でも考えれば気がつく。
理論も大事だが現場経験が先!まぁ、カントも言ってることだから専門家、教授レベルなら熟知してると思うけど、知らないのかな?
今回のコロナウイルス2020でも同様だが、医療従事者や専門家も素人同然に成り下がるのは、東日本大震災2011の地震学者(こちらは理論破綻)で証明されてる。
にもかかわらず、今回、新型コロナウイルス2020でも、プライド、特権意識が邪魔をして、アマチュアの意見も引用して受け入れないため、未知のウイルスの伝播力で後手に回る。経済学者も同様。
現場で経験したアマチュアを含めて知見が集まるまでの人の手でデータにするまでの時間は、 CPU、GPU、量子コンピューター、インターネットで情報を光速で共有できるメリットを最大化できなくなると判明もした!
未知のウイルスの伝播力で後手に回る以上のスピードで起こる経済の急落に対応できないのも同じ論理。
コロナショック2020と緊急事態宣言でも、日本国内の雇用の求人倍率(季節調整値)が1を割らないデータが発表!
つまり、日本国内の完全雇用は維持?
または、日本国内の最低賃金が安定上昇したため、働く側に相対的に有利になり、合成の誤謬。デフレスパイラルも予防しているかもしれない。
圧倒的に働き手が足りないくらいが、景気の急落を吸収でき、急落がプラスサムとして十分正当化されるのか?
新領域に突入しているので、興味深いデータです。
新型コロナウイルス2020で露呈したことは、未知のことに対しては過去の医療データは瞬時には、役に立たないこと。
時間が足りずに後手に回るのは、人工知能でも同様。
この場合、「スペシャリストの蓄積した経験」や「へたなプライド」は一時的に無価値になり、平等にもなるため・・・インターネットと金融工学で産業構造が世界的に変わったドラッカーの言う知識集約型経済では・・・
緊急的に、先入観のない素人のアイデアがスペシャリストの価値を上回る可能性が著しく上昇します。
そこで、スペシャリストが何歩も引いて無名の素人をサポートし、情報を共有して、マスメディア以外の素人に手柄を譲ることで・・・
サンデルのいう共通善を形成できる可能性も最大化できます。
これが、新型コロナウイルス2020での教訓です。
これが、新型コロナウイルス2020での教訓です。
これが、新型コロナウイルス2020での教訓です。
国際生産分業、中央銀行によるデジタル通貨に関しても・・・
こういうロケットエンジン、ジェット機くらいのひとつ数億円単位で手の届かない価格帯の商品を庶民に手の届く数十万円くらいの価格帯に人間の限界を遥かに超えるテクノロジーで実現することが本当のプラスサムになるイノベーションかもしれません。
これ以下の低価格領域��デフレストリームを引き起こすだけで賃金が上がらない負のスパイラルの危険性がミレニアム以降インターネットの発展とともに2018年あたりから具体的に出てきてるのかもしれない。
関税撤廃が理想だが、不可能に近いので当面の現実的でよく起こり得る保護貿易の対策として・・・
もしも、報復関税の応酬で、基準関税の想定よりも上回った場合は、上回った分をベーシックインカムの原資として割り当てるように国際協調すればどうなるだろうか?
そうすれば、庶民も個人への最低賃金増加に資することになりゲーム理論で言うプラスサム状態になるかもしれないし、デジタル課税も同様な仕組みにすれば良いかもしれません。
その他に、パンデミックの新型コロナウイルスでサプライチェーンが全停止したことで露呈したこと!
現在、中小企業、中堅企業の新型コロナウイルス対策の金融支援の一環として、FRB、財務省、銀行が総動員で出資してマイケル・メトカルフェも言うように、「特別資金引出権(SDR)」みたいな史上初のファンド機構(特別目的事業体SPV)を創設しています。
日本の会社更生法、民事再生法を根拠にした産業再生機構。解体後の「産業再生ADR(こちらは大企業中堅企業のみ)」のようなM&Aを促す仕組みも組み入れてるようにも見えます。
マクロ経済学の大国開放経済のアメリカと小国開放経済の日本のモデルの違いかな?
そして、
以下は、小国開放経済である日本の国内経済前提です。
個人金融資産と法人合わせて国富最低4000兆円近くあるから、日銀が国債保有しててもプライマリーバランスが崩れて破綻は100年後?
ゼロ金利政策前提だけど、大企業中堅法人は増税で35パーセントまで。自力で無理な低年収個人は給付金が正解。他層は、賃金、労働市場など自力でできることは自由に行える。
法人税の増税については・・・
バイデン大統領は2021年、財務長官にイエレン就任した際の経済対策の一環
「世界が相互に結びついたことのもう一つの結果が30年に及ぶ法人税率の引き下げ競争だった」
というマクロ経済学の結果を明示した前提で各国の多年の法人税引き下げ競争を終わらせ、20カ国・地域(G20)で協力して共通の最低税率を設ける国際的な取り組み
法人税に世界的な「最低税率」を設定することで合意するよう調整していると言います。
実現が遠い世界的なデジタル課税よりも現行法の範囲での現実的な提案をしたかもしれない!
という流れがあります。
非正社員時給を生涯賃金数億円の正社員以上にする賃金格差の解消の仕組みも好循環のポイント(賃金保障から年収保障にアップグレードさせること)
不安解消し、消費の促進のため。労働分配率を上昇させる短期的な賃金上昇率、中期的な年収上昇率を正規雇用者と同価値にするため行政府は差額を支給する事前分配再分配制度強化が必要。
自営業も含む長期的な生涯所得額の優遇措置や底上げも同時に必要。
グラフ化してロードマップが必須。
岸田政権で賃上げ促進の飴と鞭条件は、非正規社員と年収600万円以下の正社員限定で適用にすること。
広い概念なら、自営業は世間並みの年収中央値以下なら、マイナンバーカードで補助金事前分配や給付金優遇措置して、長期的な生涯所得額の底上げが足りないので、さらに10倍でお願いします。
不況時の前年と比べた年収上昇率は、イールドカーブコントロール金融政策で、ブレークイーブンインフレ率を指標にして、2つが乖離したら、財政政策で一律給付を行いギャップを埋めることで・・・
中期的な下支えも連動させると自営業も含む長期的な生涯所得額も下支えできる(賃金上昇率4%以上は、日本の場合スタグフレーションになりやすくなります)
イギリスの方法を日本にそのまま適用するのは��問題ありなので、移民を除いた億単位人口の日本版に改良してます!
法人の賃金と別ルートで行政府が、一律給付金を低年収者に不況時底上げすることがポイント!
別ルートで低年収者にダブルインカムにすることで、賃金上昇率4%以上に底上げでき、スタグフレーション予防ギリギリまで可能になる。
特に、人材派遣業界に強制適用して、貨幣を再分配し、公益事業化を行政府は促進させること。
万が一、人材派遣業界の保有する個人情報が無断コピーされたら、データ配当金を回数に応じて、何倍にも増やすことで、法人への罰金として個人が請求できるようにする弱者救済、削除の仕組みも必要。
法人に設備投資付き減税があるなら、個人にも基本的人権から人的投資の理由で貨幣量を増加させる(賃金上げたら減税だけ!だとエンジン不足で片手落ち)
こうすることで相対的な直接の消費税ゼロor減税として、合成の誤謬を起こさない低年収弱者への底上げの給付金などで慈愛を形にし、不況時に集中した底上げ。
つまりは、インターネットと金融工学中心の世界的に構造変化を起こしている環境では、人工的に自動化した年収下支えする最速給付金を支給する仕組みが必要になります。
先進国では、これらインフラが整っているので新型コロナウイルス2020のパンデミックでも迅速に直接給付されています。
最近2022年6月の急速な円安から日米10年債金利差データを見るとあることに気づいた!
賃金上昇率が金利差より、常に上回るように、法律で法人に義務付ければどうなるか?
低年収者も下支えできるかも?
でも、賃金上昇率4%以上はスタグフレーションになる可能性は高いので・・・
スタグフレーションとは・・・
これは、1970年以降、先進国で生産が停滞し、失業率が増大する停滞期にもかかわらず、物価は好況期に引続き高騰してしまう現象。
スタグフレーションの原因は、景気停滞期において軍事費を主として、消費的な財政支出が拡大していること。
次に、労働組合の圧力によって名目賃金が、マイルドではなく、急上昇を続けていること。
三つ目は、企業の管理価格が強化され、賃金コストの上昇が、価格上昇に比較的容易に転嫁されていること。
などにあるとされている。
MMT。現代貨幣理論でも、固定相場制と変動相場制は分けて論じています。1970年代の変動相場制導入当時は、移行期の混乱のため適合しない事例もありますが
変動相場制が定着してきた1990年代から2000年代以降の金融政策と財政政策の話です。
日本の合計特殊出生率は、年収の中央値と相関して減少してる。原因はコレ。
これは、平均値の罠で、年収が上がれば、自然と増加することもわからないの?大学卒業してるのに?
年収増加が先。日本では、正社員ばかりだと過剰になりがちが、2000年以前の教訓!非正社員はこの流れで極端に増加しすぎてる。
それ以外に重点を置いて、非正社員時給、賃金から生涯賃金など年収増加のアップグレードに頭を切り替えろ!
これは、再分配と違います。
戦後の高度経済成長は、事前分配に重点を最優先したための成果です。
日本の場合・・・
日本の防衛費を増額しても、逆に戦争に巻き込まれるだけ!!
では、なぜ?他の国の軍事費が、日本よりも低いにもかかわらず、他国に侵略されていないのか?
国連の世界人権宣言。
マクロ経済学による生活水準の向上とインターネットで世界が繋がりやすくなり、ゲーム理論で言うプラスサム状態になっているから。
生活水準の向上しない防衛費よりも行政府の給付金なども含めた低収入者の生活水準の向上に対して重点的に行う方が下支えになります。
日米10万円給付金の効果の差について・・・
日米、新型コロナウイルスの時期に10万円給付金を行政府から与えられた。アメリカは日本の数倍。
効果は、消費に回らない!という先入観を与えているが、実は違う!ことが判明した。
アメリカでは、資源インフレ時じゃない期間に下支えのために大量に財政支出したということ。
資源インフレのとき財政支出を増やすと、インフレが暴走する。1970年代の教訓。
予算の執行は、複数年かけて収束し、財政が生み出す需要は目減りしていく。これはリーマンショック後も同じことが起きている。
その後、急回復しアメリカ経済を押し上げた。雇用も一人につき二人分の求人がある。歴史的な低失業率は危機直後には訪れない?
労働者への賃金上昇に資する効果がある。労働者の再分配率も上昇する効果もある。
さらに、ウクライナ侵攻によるロシアへの金融制裁から財政支出がインフレを悪化させたという形を演出してしまったような数値に見える。
1970年代といえば、資源インフレのオイルショックの形。バーナンキ元議長がリーマンショック後に行ったヘリコプターマネー的な金融緩和や貨幣と有価証券の給付は、ITや金融理論がまだ少ない時代では不可能だった。
1970年代のもう一つの教訓。インフレのとき減税したら、総需要が増えてもっとインフレになる。
かつては、現金や預金の通貨供給量も2年後のCPI(消費者物価指数)に影響を与える先行指標に使われていた。今は違うが。
2008年以降は、ヘリコプターマネー的な金融緩和や貨幣と有価証券の給付の社会実験が行われ、下支えの効果はゴルディロックス相場に。
一方、FRBの急激な利上げは、足元で物価上昇圧力が一気に吹き出すのを押さえ込む「激変緩和装置」のようなもの。
矛盾しているように思えるが、今までのことを勘案して俯瞰し眺めて見るとあることに気がついた。
上記の対策を組み合わせて限定期間のベーシックインカムを融合し行えばゲーム理論のプラスサム状態になるかもしれない。
���まり、2年後のCPI(消費者物価指数)に影響を与えるなら2年間少額(例えば、1万円を24回)を、ベーシックインカムみたいに毎月貨幣と有価証券の給付をする。
と同時に急激な利上げをしてみたら固定相場制から変動相場制に変わり始めた1970年代とは違う結果になりそう。
この集中的な高額な貨幣と有価証券の給付による経路から生じる労働者への急激な賃金上昇メカニズムが、FRBの急激な利上げをわずかでも上回れば?
MMT(現代貨幣理論)も考慮に入れた変動相場制が定着している環境では人類史上初の試みかもしれない。
長期的な給付金の安心感から消費にも回りそう。
ノーベル賞級マクロ経済学の知見を源にしたアベノミクスの功績と旧民主党の消費税10%の超党派で経済政策を融合した効果が、予算の余裕を生み出して給付金などの下支えへと結実した日本経済。
しかし
日本国内の時給2000円でも非正規が来ない?
正規社員よりまだまだ低いだろ!
正規社員よりまだまだ低いだろ!
正規社員よりまだまだ低いだろ!
来るわけないから正規より高い時給にすれば来る社会実験をすれば良いだけ!
例えば、時給1万円で月給50万で違法なバイト以上になり誰もしなくなるでしょ。
この事前分配!時給に行政府の補助金をプラスする。
日本国内の合計時給を数万円とするアイデアは、誰も戦争なんかしたくないから、相対的に経済的な時給を桁外れに高くすれば?
日本以外の薄給な軍事国家から法人や時給の高い国家に亡命するし、人材も集まる。
長期的に経済中心な平和構築も維持できる。日本国内で仕事しない方がバカな位高額へすることがポイント。
トフラーやドラッカーが、予言した以上の人工知能時代では・・・
これまでの農業から製造、サービスへと向かう移行する時代には、高度経済成長で偶然にも風の時代を日本は先取りしていた!
事前分配政策強化が、本格的になる風の時代には必須。
下支えを含めた・・・
合計時給数万円と高額にできない日本国内の社会システムの方が、違法なバイトのシステムより劣っている証拠です!
現政権2023年の岸田総理の周辺は能無ししかいない?
1970年代。高度経済成長の下村プランの原因、本質は、下支えを含めた・・・先駆的な事前分配政策導入と強化です。
結果、優遇されたモーレツ非正規を見て正規社員が真似し、桁の一つ上がった時給への期待値から起きているのをエリートは見抜けない。
この事前分配!時給に行政府の補助金をプラスする。人工知能時代では、下支えを含めた・・・合計時給の高額実現を基礎だ!
1970年代当時、優遇措置されたモーレツ非正規が、トヨタ筆頭Top10メーカーや名も無き各産業です。
これを悪質にもよだれを垂らし横目に正規社員が真似してた人権侵害財閥系やNHK、NTT、旧国鉄、国関与法人など闇歴史もあるが・・・
インターネット黎明期の2000年代に入り風の時代を先取りしていたが、現在、事前分配強化を国内IT法人トップが邪魔してる。
事前分配強化の手本を示さない国内の倫理なき成金根性丸出しの乱世の奸雄。
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violence-ruin · 3 years ago
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罪なる庭で(at the orchard of redemption)
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 錆びた柵のむこうで、檸檬の樹たちが未熟な実を揺らしていた。
 私は鉄扉をくぐり、果樹園に入る。午後の光はこの先にある真夏の烈しさを忍ばせ、僧衣に隠れていない部分が灼けて痛む。
 歩いているうち、鮮やかな黄色が目を刺した。
 ある一つの樹にだけ熟した果実が生っている。その側に立つ影は樹にほとんど同化していた。
「リーマスさん」
 名前を呼び掛けると、男は顔を上げてこちらを見た。
 葉影に紛れて、顔はよく見えない。灰色のものが混じる髭の中に、謹厳に結ばれた唇が見える。後退した額に生え残っている髪が、水鳥の冠羽のように輝いた。
 いつ見ても、ゴーレムだとはとても思えない。しかし、身に付けている黄色い衣が、彼が罪人であることを証明している。
「七月になりましたよ。今日はいいものを持ってきました」
 ちいさなベンチを目の前に置いた。普段なら、この果樹園を訪なう信徒たちが休めるよう、木陰に置いているものだ。リーマスさんの視線がゆっくりと私と椅子の間を往復した。
「座ってください。見てるだけで疲れちゃいます」
 ちょっと待ってみたけれど、動く気配はなかった。私は大仰に肩をすくめ、収穫に取り掛かる。
 呪刑官のつくるゴーレムには、人間にあるはずの微細な動きがない。微かなみじろぎ、呼吸による胸の膨らみ、眼球の震え、鼓動。それらが欠落した身体は、外見が人間らしいがゆえに違和感を与えたが、次第に慣れた。
 帰ろうとしたところで、唸り声が聞こえた。
「ゴーレムは疲れない。学校で習わなかったか」
 足を止めて振り返った。木漏れ日のなかで、リーマスさんは不機嫌そうに私を睨んでいた。
「疲れない。快適そうですね」
「感覚がないんだから快も不快もない」
 果樹園を出て聖堂へ帰ると、呪刑官が説教台の前に座っていた。私は、今日の分の収穫を渡した。数を確かめると無言で頷き、足早に立ち去った。
 呪刑官がここへやってきたのはつい先日のことだった。聖堂の裏の果樹園を使用する、という決定事項を伝えに来たのだった。そして、いちばん魔術への耐性が高い私を管理者に指名した。
 罪果の採集が聖堂で行われるのは、聖職者たちが生まれつき魔術を拒絶する体質を持っているからだ。果樹園には呪刑官たち自身が入れなくなるほどの強い防護の呪文を幾重にも張る。聖職者なら、中に入ることができる。
 あの檸檬の樹の根本には、リーマスさんの身体が埋まっている。魔術を掛けられた樹が、彼の記憶を吸い上げ、結実する。ひとつひとつに宿主の記憶が封入されたその実は罪果と呼ばれ、呪刑官のみが口にすることを許されている。呪刑官は、その果実に封じ込められた記憶を追体験し、真実を得る。
 私の仕事は、罪果を余さず採集して呪刑官に渡すことだった。
 *
 ミサが終わり、鐘が鳴る。信徒たちは立ち上がり、世間話に興じながら帰っていく。
 首都から遠く離れたこの聖堂を訪れるのは大体が地元の人々で、近所の大学からも学生が訪れる。彼らの卒業と入学で年月の経過を感じる。今年も、新しい顔がちらほらと見えた。
 回廊を巡りながらステンドグラスや聖遺物たちを眺める彼らを横目に、燭台を倉庫へと運んでいると、後ろから声を掛けられた。
「あの、すみません」
 顔を上げるとくろぐろと濡れた瞳がこちらを見ていた。新入生だろう。
「果樹園には誰でも入ることができると聞いてきたのですが、門に鍵がかかっていて」
「ああ」
 間の悪いことだ、と内心でため息をつく。
「今年は開けてないんです。ものすごい毛虫が出て、葉がダメになっちゃって。前までご案内することはできますけど」
「そうなんですか」
 青年は微かに目を伏せて、残念です、とだけ言い残し、出口へ歩いていった。申し訳ないなと思いながら、私は果樹園へと足を向けた。ちょうど収穫の日だ。
 リーマスさんはいつものように檸檬の木の下に立っていた。ベンチには土埃が付いている。
 収穫しながら、私は理髪師よろしく話しかける。
「息子さん、元気にしているといいですね」
 リーマスさんは首都に住んでいた。魔術師として警備に従事しながら、かつての恋人が遺した子どもを預かって、つましく暮らしていた。
 恋人は人狼との間に子供をなしていた。性徴期を迎えた子供は狼と化し、何人かの市民を襲い、郊外の家畜を殺害した。狼化を抑制する措置を怠ったことについて、リーマスさんは既に罪を負っている。
 子供の行方は分かっていない。リーマスさんが何か手を回して逃がしたことは明白だった。リーマスさんは、自分に口止めの魔術を施していた。呪刑官たちが束になって記憶の錠をこじ開けようとしても、だめだった。言葉か、物か、音か……何が鍵になっているのか、わからなかった。
 だから、からだに檸檬の樹を植えられ、魂を土人形に移し替えられた。呪刑官たちは血眼になって記憶を暴いている。
 蝉の声を聞きながら果実を籠へ放り投げていると、珍しくリーマスさんの方から話しかけられた。
「きみは、魔術を感じられないんだな」
「ええ。見えず、聞こえず。目の前で死の呪文を唱えられてもへっちゃらですよ」
 返答はなかった。私は、リーマスさんとの会話が途切れることを気にしなかった。
 高いところにある実を取ろうと、必死で脚立から腕を伸ばした。どうにかもぎ取った実を満足しながら眺めていると、葉擦れと蝉の声の間に小唄のような呟きが聞こえた気がした。呪文だと思った。告解の典礼文であることに思い至るまでに時間を要した。
 硝子玉の瞳が、脚立に座る私を見据えていた。
「あの子は、人狼であるだけでなく、きみと同じ体質だった」
 私の手から、檸檬が落ちて転がった。
 魔術が効かないということは、魔術による防疫や治療を施すことができないということだ。市居の人々は日常的に地域の治療師たちから病除けを受け、治療を施してもらう。でも、私たちは自然治癒に任せるしかない。
 魔術が身体をすり抜けていく子どもたちは親元から引き離され、教会のもとで保護される。私は孤児院からそのまま修道院へ移った。けれど、人狼の子供がこの体質だったら、どうなるのだろう。魔術によってしか抑制できないのだ。
「あの子を手元に置き続けたのが間違いだったんだろう。何も手を打てなかった。人狼の形質が発現したと疑うべき状況に直面しても、まだ信じられなかった。見て見ぬふりをしたんだ。
 罰せられるべきはおれだ」
 孤児院を脱走して下町で吸血鬼に噛まれたという腕白な男の子がいた。その子の姿を二度と見ることはなかった。
「あなたは、息子さんに逃げてほしいのですか」
 リーマスさんは目を伏せた。
「時間をやりたかっただけだよ」
 *
 八月になるころには、新しい実が付かなくなっていた。
 おそらく、そろそろ記憶が尽きるのだろう。その後で、リーマスさんにはどんな裁きが下るのだろうか。  
 ミサの準備をしながらそんなことをぼんやり考えていると、いつのまにか告解の時間になっていた。
 落ち着かない気持ちで告解室に座っていると、控えめに戸が開いて、信徒が入ってきた。
 仕切りを開くと、ちいさな手が隙間から覗いた。
 互いに誦唱を済ませると、相手は凛とした声で話し始めた。
「司祭さま。ぼくは人を傷つけました」
 言葉が途切れる。無言で続きを促すと、手が服の裾を掴んだ。   
「無意識でした。最初のときは、何が起きたのか分かりませんでした。ふと意識を失い、次に目覚めたときには見知らぬ家に血塗れで立っておりました。何が何やらわからぬまま、手頃な服を奪い、家へ帰って血を落としました。それから何週間か経ち、今度は家畜の骸たちの中に立っていました。そういうことが何度か続きました」
 聞き覚えのある声だった。残念です、という声の響きとともに、黒い瞳を思い出した。
「父には心配を掛けたくない一心で、黙っていました。でもある日、父はぼくを鍵の掛かった部屋に入れました。
 窓から、円い月が見えたことだけを覚えています。
 次に目覚めたとき、部屋の鍵は開いていました。父からの置き手紙には、長期の出張へ行くから南に住む知り合いのもとへ行くように、と書いてありました。
 その方は、ぼくを快く迎えてくれました。でも、満月の夜になると、ぼくに強い睡眠薬を飲ませて、外から鍵の掛かった部屋に閉じ込めます。
 父が逮捕されたと知ったのは最近です。
 ここまで、檸檬の植えてある教会を訪ねてきました。父は、よく檸檬を買ってきたものです。檸檬の樹が沢山生えているところで生まれたからだと、南を訪れてはじめて知りました。父の魂が選ぶ果物は、檸檬の他ないはずです」
 指から力が抜け、裾がぱさりと音を立てて落ちた。
「果樹園を見せて下さらなかったのは、この聖堂だけです。持ち出した睡眠薬は先月の分で尽きました。せめてこのミサだけ最後まで聞かせてください。そうしたら、呪刑官のもとへ出頭します」
 少年は、静かにブースを出ていった。
 引き戸に何かを挟まれたのか、私は外へ出ることができなかった。入れ替わりに告解をしにきた信徒に事情を話してこじ開けてもらったけれど、記憶の中の姿はあやふやで、聖堂のどこにも見つけることができなかった。
 途方に暮れて、果樹園へと向かった。けれど、リーマスさんを見た途端、来たこ��を後悔した。何も言えるはずがなかった。
 踵を返そうとしたが、肩を掴まれて振り向かされた。私がいつまでも目を合わせないでいると、腕に食い込んでいた指の力が抜け、腕が力なく垂れた。
 リーマスさんは私の手を引いてベンチに座らせ、自分も隣に腰を下ろした。
 はじめて書店に連れて行ったとき、とリーマスさんは話しはじめた。
「あの子は自分で絵本を選んできた。変わり者の吸血鬼たちの話だ。人の血を吸う代わりに、檸檬の実を齧って飢えをやり過ごすんだ」
 ミサが始まる時間だった。鐘の音が遠くから響いてきた。それが止むと、鳥と蝉の声ばかりがあたりを満たした。
「おれに見えるのは青い炎だけ���。樹も、果実も、同じ色に燃えて、おれを焼こうとしているみたいだった。この果樹園でほんとうの色を纏っているのは、きみだけだった」
 リーマスさんはそれきり何も喋らなかった。私は目を閉じて、冷たい炎に包まれた果樹園を想像した。けれど、再び目を開けると、そこには元通りの世界があった。枝葉と果実の緑が陽光のなかで燃え立ち、蝶の羽が鬼火のようにひらめいた。
 私たちはそのまま、ミサが終わるまでとなりに座っていた。
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generalwonderlandpeace · 3 months ago
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hangorin · 3 years ago
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2020東京オリパラ大会の野宿者排除概要
私たちの知り得た範囲において、2020東京オリパラで排除された野宿者は145名、間接的な影響で排除された野宿者は41名、計186名になる。
交渉によって撤回させたりイベントが中止になったりして、排除が未遂に終わり、数字に含めていないケースも含めて概要を記す。
1、招致期間
2013年3月4日~7日、IOC評価委員会の東京視察が行われた。その際、国立競技場周辺の都道に置かれていた約10人分の荷物、代々木競技場周辺のテント10張と約20人分の荷物に、以下の警告書が貼られた。
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「2月27日までに撤去しない場合は不要な物として処分する。その後、3月8日までの間、この付近に放置された荷物・テントはすべて即刻撤去する。 東京都建設局第二建設事務所 代々木警察」
警告に従い、代々木公園内に移動させた荷物に対しては、公園のサービスセンターが追い出しをかけた。また、移動した路上で荷物に放火され、焼失された方もいた(この時期、渋谷近辺では野宿者の荷物への放火が頻発していた)。これらの人たちは、10日近く、寝場所や荷物の置き場所に困ることとなった。
また、同様の期間、国立競技場に隣接する、明治公園「四季の庭」で、テント・小屋に暮らしていた約10名の野宿者は、園内の一隅に集められ、周囲から見えないように白いシートで囲われた。
2、開催決定後
①明治公園
2013年10月下旬、東京都東部公園緑地事務所が明治公園の小屋に暮らす野宿者に「11月か12月に工事に入るので立ち退いてください」と勧告した。国立競技場建て替えのための関連工事ということだった。
以後、野宿者と支援者(応援する有志)は、国立競技場を管轄運営するJSC(日本スポーツ振興センター)と7回の団体交渉を行った。また、野宿者は、都の要請により2度の園内移転を行った。しかし、2年半の間には、絶え間ない圧力により、半数以上の方が公園から出て行かざるをえなかった。
また、明治公園霞岳広場・国立競技場の軒下・近場のトンネルなどで、夜だけ就寝する人も追い出された。
2016年1月27日、四季の庭を含む明治公園の大部分は東京都からJSCへ無償で貸与された。同日、JSCは、職員・警備員・警官、併せて約200名を動員して、強引に、テントのフェンス封鎖、水道やトイレなどのライフラインの停止を行おうとした。
2016年3月18日、JSCは、野宿者3名に対し、土地明け渡しの仮処分命令を東京地裁に申し立てた。申立書には、仮処分の必要性���して「平成28年3月下旬までに本件土地を工事可能な状態にして施工業者に引き渡さなければ2020年東京オリ・パラ大会の開催自体が危ぶまれる状況にあること」と書かれてあった。
4月16日早朝に強制執行が着手され、明治公園の野宿者4名と支援者数名が排除された。野宿者の生活用品などの荷物は東京湾岸部にある倉庫までトラックで持ち去られた。
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身一つで追い出されることとなった野宿者たちは、明治公園として唯一開園していた、飛び地に移動した。しかし、その場所も、日本体育協会とJOCの新ビル(ジャパンスポーツオリンピックスクエア)をつくるために、2016年10月に廃園になり、東京都が追い出しをかけてきた。
工事資材の搬入が始まる中での抗議・抵抗、議員による五輪相への追及などにより、土壇場で東京都は方針を覆した。都の提案と斡旋のもとに、野宿者たちは他の公園へ移転することになった。
明治公園内にある東京体育館において、2018年7月からオリパラ(卓球会場)のための改修工事がはじまり、同年10月、建物周囲のひさしで就寝していた約12名が締め出された。
工事自体は2020年1月末に終わったはずだったが鋼板で囲ったままで五輪会場として使用した。
現在、就寝していた所にはロープが張られている。
②有明
東京湾岸の有明で、オリパラのシンボル的施設の工事によって、2名の野宿者が生活拠点へ通行できなりそうだった。2019年11月、組織委員会が通行止めを記した工事看板を説明もなく設置した。
野宿者と支援者は交渉を重ねたが、「港湾局から完全閉鎖するように言われている」(組織委)、「閉鎖とは言っていない」(港湾局)と見解が食い違った。組織委は交渉の人数を制限し、ついには逃げ回る状態になった。
2020年3月、生活場所へ通行できるように変更した工事看板が設置された。その後、五輪延期に伴って、その看板も撤去された。2021年5月、工事が開始されたが大きな影響はなく、オリパラ期間中も同じ場所で生活をつづけた。
③潮風公園
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2019年12月、私たちが潮風公園に行ったのは、ビーチバレー場の工事開始後で、すでにフェンスなどで囲われ、公園の大部分には入ることができなかった。
潮風公園には、荷物を常在させ就寝している方が5、6名いたということだった。施工業者によると、12月1日(着工日)早朝に、園内にいた2名ほどの野宿者が出て行ったという。
組織委に対して話し合いを持ったが、組織委は、野宿者が寝泊まりをしていることは認識していなかった、着工以前については関知しない、行政上必要な手続きは行った、と責任逃れを繰り返した。
品川区生活福祉課は、12月の定期巡回時に公園閉鎖に気づき、野宿者に会う術もなかったという。ホームレス自立支援法11条「適正な利用の確保」における「支援等に関する施策との連携」すらなされないままに野宿者排除が起きていた。
炊き出しも含め支援活動や野宿者の強いネットワークは、東京においては新宿・渋谷・池袋・上野・山谷など野宿者の集住地域に限られている。東京五輪の競技場がたくさん作られた湾岸エリアは、そのような網の目から漏れており、他にも排除された可能性がある。
3、開催直前
ライブサイト・聖火リレーの中止・無観客試合というオリパラの縮小に連動して、野宿者に対しての排除も抑制されたのは不幸中の幸いだった。
一方で、聖火セレモニー、そして競技会場近辺の交通規制・立入禁止による排除は行われた。
①代々木公園
代々木競技場に隣接する、公園内の広大な敷地が、大会駐車場にするために、7月16日から9月5日まで立入禁止となった。それに伴い、少なくても4名の野宿者が追い出された。
立入禁止の一部は、雨を避けられ常住できる場所だった。また、ベンチでは不特定の野宿者が就寝していた(なお、公園内のベンチは、2018年及び2021年2月、手すりで中央を仕切られた、横になりにくいものになった)。東京都は常住している方に対して「公園のほかの場所に移動してください」と言っていたが、公園内で、屋根がある場所は限られており、新たにテントを張ることも認めていない。移転した場所でも、会場周辺警備の警察官によって、テロ対策を名目に執拗に声をかけられ追い出された人もいた。ちなみに、駐車場は10台以下の利用しか見たことがなくガラガラだった。代々木競技場には自前の駐車場があり、隣接する旧・岸記念体育会館(JOC・日体協ビル)跡地もオリパラ用の臨時駐車場だったのだから必要性が乏しいものだった。
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②国立競技場周辺
オリパラ期間中、国立競技場周辺は戒厳令下のようだった。6月8日から順次、立入禁止と交通規制を拡がり、7月3日から9月16日までは幹線道路(外苑西通り)を封鎖し、地域住民を度外視してオリパラを優先する区域になった。
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競技場の近くの緑地帯に住む野宿者に対しては、4月末に、5月6月には出て行くように、都の第二建設事務所が通告。5月末、生活拠点を鋼板で完全に囲うことになると組織委が明言した。
6月18日、組織委(大会運営、警備)と都の建設局道路課、第二建設事務所と現地で話し合った。野宿者のことで組織委が現地に来たのは、はじめてだった。
組織委は、関係車両の円滑な走行とセキュリティのために7月5日には立入禁止にする必要があると言うばかりで、野宿者の人権や生活については何も答えなかった。また、代替の寝場所も提示しなかった。
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7月3日の深夜、一帯は封鎖され、雨天時に野宿者が利用していた橋の下も閉鎖された(次の日まで当事者のみ出入りはできた)。主な生活拠点であった緑地帯も、組織委の説明より前倒しで封鎖された。
そのため、野宿者2名が長期にわたり追い出されることになった。
③渋谷地区
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6月16日、聖火リレーコースの都道に置かれている、テント小屋や荷物に、東京都第二建設事務所が警告文を貼付した。
「この物件は、東京オリンピック聖火リレー(7月22日)、パラリンピック聖火リレー(8月24日)の支障となるため、至急撤去してください。撤去されない物は、支障物として移動・撤去します。」(一部区域は東京オリンピック聖火リレーのみ記載)
情報公開で得た資料によると、渋谷地区で49カ所、東京都は警告文を貼付している。自転車1台をのぞけば野宿者の物資であり、少なくても40人くらいは影響をうけるものだった。
現地の野宿者の交渉時、建設事務所は、警備上の支障になるから遠くに移動してくれ、テロリストに物を置かれてはこまる、と発言。
その後、建設事務所は、荷物置き場を渋谷区内につくるのでリレーの2、3日前までに移動してくれ(寝場所については示さなかった)と言っていたが、都内での聖火リレー中止によって、移動・撤去の話は立ち消えた。
④東京都庁舎周辺
7月23日、新宿西口にある都庁都民広場で聖火セレモニーが行われた。周辺に暮らす野宿者のうち15名ほどが、東京都第三建設事務所と警察によって、寝場所と荷物に警告文を貼付され、7月22日朝から23日夕方まで移動しなければならなかった。
また、8月20日、パラリンピックでも聖火セレモニー(集火式)が都民広場で行われた。5名ほどの野宿者のテント・荷物に対して、警告が貼付され前日から撤去を余儀なくされた。
なお、第三建設事務所は、東京マラソンで野宿者の荷物を移動させた時に、路上に残された必要とする荷物を即時廃棄して問題になったことがある。
⑤横浜スタジアム
横浜スタジアム周辺(横浜公園を含む)では約40名が夜間に就寝していた。7月24日から開始されるソフトボールや野球競技の会場準備によって、6月8日に一部が立入禁止になり、7月23日昼からは全面的に入れなくなった。
支援団体の交渉によって、横浜市が借り上げた簡易宿泊所(ドヤ)40床が、8月23日まで食事を含め無料になり36名が利用した。しかし、10名弱は利用せずに寝場所から出て行った。
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4、間接的な影響
渋谷区立宮下公園は、「2020年東京オリンピック・パラリンピックを迎えるにふさわしい公園」を改修整備の目的の1つとして2014年7月、公募を開始した。オリンピック観客の宿泊場所が不足していることを理由として、ホテルをつくる三井不動産の案が採択された。2017年3月27日、渋谷区と三井不動産は抜き打ちで公園を封鎖し、夜間就寝していた野宿者約10名を追い出した。公園を屋上につくった商業施設、ミヤシタパークは2020年7月末に開業した。宮下公園は夜間施錠し、野宿者が泊まることは出来なくなった。
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都庁の膝元にある新宿区立中央公園では、2013年から2年間で、テントなどの野宿者67人が追い出された。その後、オリパラを視野に入れた公園整備が進められ、2020年7月16日、公園内にスターバックスやレストランなどが開業した。野宿者の追い出しは、オリンピックと一体となった公園の商業化への露払いであっただろう。しかし、詳しい事情が分からないため、今回はカウントしなかった。
5、総計
①直接的影響による排除
・国立競技場 4名
・東京体育館 12名
・IOC評価委員視察 テント20名 荷物30名
・潮風公園 6名
・聖火セレモニー 新宿 20名
・交通規制、立ち入り禁止
 国立競技場周辺 3名 荷物1名
 代々木公園 4名
 横浜スタジアム周辺 45名
計145名
②間接的影響による排除
・国立競技場
  明治公園 6名(強制排除をのぞき)
  競技場周辺 10名
  道路などの荷物 10名
・宮下公園 10名
・ジャパンスポーツオリンピックスクエア 5名
計41名
③総計
延べ186名
※同一の人が異なる時期や場所で受けた排除もカウントしている。また、追い出しへの強い圧力があったケースでも未遂の場合は含んでいない。
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hochagera · 4 years ago
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🐿ごごごごごっ3月のお知らせ!
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私(斜め)、ご機嫌麗しゅうございます。3月です。先月はここでのちゅみ(息子)通信を忘れていました。ちゅみ、相変わらず元気でございます。食べるの大好き。自分だけ先に食べたのに、その後親が食べていると「ぅおい!(貰ってないぞ!)」と申して満面の笑みで1日5食くらい食べています。食いしん坊。そんなちゅみ、なんと今月1歳の誕生日を迎えます。大きな怪我や病気もなく毎日すくすく育ってくれて本当にありがたい。日々「カワイイ」を更新し続けておりますので人間の可能性は無限大なのだと思い知らされます。たぶん今一番カワイイなーと思った次の日にそれを超えてくる連続。先日生まれて初めてちょこっと髪を切りました。生まれてくる時から生えていた毛ですから、それが身体と切り離されて独立して風呂場に置かれる、不思議な感覚。飲食店に行って隣でひとりで座ってられるようになったのでまさしく家族の一員感が増し増しですが、ちゅみにより人一人分のスペースが埋まる、これもまた不思議な感覚。存在するってオモシロイ。最近子ども送迎用の自転車を購入しまして、早速ふたり乗りして買い物とかへ出かけるんですが、思い起こせばわたくし3年程前に自転車で札幌から越してきたんですね。その時は想像もしていなかったひぃひぃ言いながらたどり着いた松本の街で今は子どもとふたり乗りしてチャリに乗っている。これも不思議な感覚です。
よく笑いよく食べる子で来月からは幼稚園デビューも果たします。生まれて初めてのクラスはなんとりす組!🐿りす!最高だなぁちゅん坊!りすみたいにすばしっこくって、ちっこくって、たらふく食べて元気に育っておくれよ、3がっつのお知ら、せ! ※ブログ、先々月はてなに移動しましたが都合上やはりTumblrに戻させてください。ごめんなさい。金輪際Tumblrでいきます。 |https://hochagera.tumblr.com/|
目次 1.無事、P新人賞&観客賞も受賞致しました! 2.音響照明充実した 3.marsmooにて
1.無事、P新人賞&観客賞も受賞致しました!
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 先月お知らせしていた、愛知県は名古屋市で行われたパペット&パフォーマンスにおける舞台作品のクオリティを競うコンテストにおいて我々劇団野らぼうの作品が、新人賞&観客賞をW受賞させていただくことができました!ありがとうございます!これもひとえに日頃から我々の活動を見守り支えてくださっている皆様のおかげ。私たちの劇団員は3名。ですが、その周りで手伝ってくれたり応援してくださる方々がいらっしゃるからこの活動は成り立っております。まだまだ至らないところばかりですが至らないくらいがちょうどいいと、一緒に面白がっていただけると幸いです。  非常に充実した楽しい名古屋遠征でございました。緊急事態宣言下でありましたので飲食店等はあまりやっておらず余計な外出はできませんでしたが、ちゅみもいたことですし出発前はどうなることやらと心配していた旅程でしたが万事スムーズに進行し、初めてのホテルでもちゅみご満悦。天気も気候も良かったし、何しろ主催の愛知人形劇センター、ひまわりホールの方々が気さくであったかく、大変居心地のよい催しでした。このひまわりホールってのは名古屋市のド真ん中のオフィス街?ビル群の中に立地する19階建てのビルの19階にあつらえられた人形劇向けの劇場なんですが、これまた行く前はどんな空間なんだ、どんな環境なんだと(若干)心配してもいたんですが行ってみたらびっくり、かなり整ったホールではないですか。キャパはそんなには多くはないですが(70~80人くらい?)私どもにとってはちょうどいいサイズの空間でした。  今回は室内での公演で、しかもビル、ホールでの公演だったので野外でやるのとはわけが違う。特に違ったのはやはり声の反響の部分でしょうか。外でやるのもそこそこコツが必要なんですが、この屋内でやるにもコツが必要で戸惑いました。今後はこの声作りってところが劇団として取り組んで行きたい課題でもあります。そのほかにも今回の作品を作るにあたりたくさんの学べることがございました。何しろ2020年6月の公演を経てからその形を変えての再演でございましたし、制作期間も含めたら丸一年間はこの作品と向き合ってきたことになります。なるほど、だからか。私自身が「しげる」に取り憑かれていた日々でした。こんなに長い期間同じ題材で創作をしたことはありませんし、再演も初めて。どうしても過去やった作品をそのままの形でやるのでは、気持ちの部分でのってこないので今回は今回なりに視点を変えて創作をしてみました。日々トライ&エラーの繰り返し。コンプリートの日はついに訪れないことは知った上で、それでもまたやってみたいのであります。
◉今回の創作の総括をまとめましたのでご興味ある方チェックチェック🍑 長いぞ&細かいところまとめてないので割とざっくり印象重視?
あの日から彼は私のことをしげると呼ぶようになった総括 https://hochagera.tumblr.com/post/644775234792210432/%E3%81%82%E3%81%AE%E6%97%A5%E3%81%8B%E3%82%89%E5%BD%BC%E3%81%AF%E7%A7%81%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%92%E3%81%97%E3%81%92%E3%82%8B%E3%81%A8%E5%91%BC%E3%81%B6%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E7%B7%8F%E6%8B%AC
2.音響照明充実した  今回の公演では私(前田斜め)が音響照明を担当させていただきました。これもとっても充実でした。もともと私たちの劇団では全員役者志望ですので舞台に出てしまったらオペ(音響照明操作)ができない。でも出ないとなると役者減って総力ダウンする。となると舞台に出ながらオペするしかない。となってしまうので、舞台上のどこかでオペをして、集中が散漫して役者的にも音響照明的にも双方クオリティをダウンさせることになるのでこれとってもよろしくないのです。基本的にオペってのは今目の前でやっている舞台を生で見ながら、そして音を聞きながら操作するってもんですから、舞台上にいる自分たちでオペをやっているんじゃこれができない。それがイヤで今回は私が芝居に出ずに専属音響照明、役者は役者の仕事のみに専念してもらったんですが、フォーメーション的にはこれ完璧でしたね。演出も私でしたし。稽古からとってもスムーズに取り組むことができました。今後もこうしたいなー、とは言っても現状抱えている問題は変わらず、今後も我々3人しか役者はいないし、オペ要員もいない、そして次回作は3人出る予定で構想中、となるとやっぱり人が足りていない!てなわけで急遽チラシをこしらえた。
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●劇団員募集● ご興味ある方いらっしゃりましたらぜひ〜。
 で、上の新人賞の賞金がこの度20万円、ありがたくいただくことができました!そして余すことなく全て音響照明の機材へと変幻し我ら稽古場へと運び込まれました!いやーありがたい。私としては色々と夢が叶いました。中でも脚立。テント建て込みや照明仕事で必ずや使うこの脚立を今回新品で一脚買うことができました。脚立って地味に高いんだわよ。今持っているやつはもらったやつだわよ。この地球上は脚立であふれていますから、いつぞやどこかの誰かからもらえるかわからない。ややもすれば道路脇で拾うかもしれない。そんな妄想をしながら日頃道を歩いているとなかなか自分から買えずに二の足を踏んでいたんですが、今回ええい!と購入。以前もらっていた脚立に加えて晴れて3つ体制となったのでした。あと一脚くらい欲しいなー。それから機材運搬用ハードケース!これも垂涎ものに欲しかった代物。泣ける。これもなかなか買えない&ハードケースのメインは中身ですから!中身が入ってなきゃハードケースなんて買っても意味ない!そして中身の購入なんてもっともっと遠く、夢のまた夢の中の雲の上に咲く高嶺の華の存在だったわけなんですが、ついに!私も!my機材をmyハードケースに入れることができましたわよ。感涙。もはや芝居ではなくハードケースに機材を入れる活動がしたかったのではないかと自己を錯覚してしまうほど、霊験あらたかに心清まる意義深い行為でございました。ありがとう存じます。しかし勢い余って20万を優に超える買い物をしてしまったのでこりゃマイッタモンダ。色々と物色し始めたらキリがなく、あれも欲しいこれも欲しいとなって、劇団のテクニカル面は大いにグレードアップを果たすこととなったのでした。大丈夫大丈夫嬉しい嬉しい🍑🍑今後はこれらの機材を駆使して作品作りに邁進して行く所存でございます。  そういえば、今回の賞金で天幕を買う!というのも一つ目標でしたがそれは叶いませんでした。次回公演のお代で次こそは天幕を!と考えておりますので皆さんもどうぞそのおつもりでご算段ください〜。
3.marsmooにて
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 最後に最近薄れかかっている感慨をうっすら書いておく。  私たちの劇団は長野県松本市のちょこっとはずれの、しかし十分に街への徒歩・チャリアクセス圏内にある、とある倉庫に稽古場を構えています。そしてその倉庫に、私(斜め)と水野とちゅみ��3人は家族として生活もしています。倉庫とはいえ一角に住居スペースが拵えてあり、そもそもそこに私がまず間借りを始め、そのころは劇団も稽古場も無かったんですが時を経て時間の経過とは恐ろしいもので今となっては家族、劇団、そして稽古場を有することとなったのです。このmarsmooという場所に関しては私たちの口から紹介するのでは手に余るもっともっと大きなポテンシャルを抱えた場所で、ざっというとスタジオ、カフェ、デザイン事務所、古物商、水道屋、便利屋、住居等々の設備を有し、この場所を構成するメンバーそれぞれのああしたいこうしたいを詰め込んだ夢ではないむしろ濃厚現実な場所となっています。週一でヨーガ教室も開催中。今も尚その細胞は増殖中でもある。この場所の内容ではなく、その存在について。  私が松本市に越してきたのはオンリー”創作活動のため”であって、鹿児島と札幌に住んだことはあっても本州に住んだことがない、あれやこれやいい場所あるけどピンポイントで考えていた条件として”渋滞しない”それから”新幹線が通っていない”だった。他にも細々条件はあったが実際渋滞しないで車でどこそこ動けるってのはかなり重要ポイントである。そのためには人口はやはり20万人以下が最良。松本市はその条件に当てはまった気がした。(実際は渋滞が頻発する。そのため土日は買い出しに出かけない。)新幹線に関しては私調べの統計的に通っていない街が好きだった。(新幹線、通っていても、いい街はある。上田とかいいわよね。)というか端っこが好きだったというのがある。教室でも家でも基本的に端っこにスペースをあつらえてそこに体すっぽり収まっていられる角っちょが落ち着く。角っちょがなければ自分で作ってでもそこに収まりたい。その理論で拠点選びの候補に上がっていたのは四国・高知と九州・長崎。これどちらも本当に好きな街で、そのサイズ感も人との距離も心地よくって居心地がいい。市場はあるし商店もあるし歩いていて楽しい。どちらも行こうと思わないと行けない土地で、四国の最果て、九州の最果てと呼ばれるような場所。やっぱり”通り道”ではなく、”そこに行こうとしないとたどり着けない”ってところがいい。角っちょだ。そしてその土地とともに候補に上がったのが陸の孤島、松本市だったのでした。ここは立地的にはど真ん中ですが、これも行こうと思わないとなかなか行けないし(登山好きはよく行くようだ。)何しろ標高が高い。海抜から遥か上空見上げたところに街があるっていうんだからこの街全体で山小屋みたいなもんだ。ここにいる人たち実はみんな山賊なんじゃないかと時々ふと不安になる。冬は寒いし日光は強い。しかしそもそも本州がいいと思っていたので移住地はほぼ松本市に決定。  そして何より松本は若年層の文化界隈が大変元気な印象を受けた。街の規模に対しては表現者が多い?音楽界隈が特に目立つがもともと芝居畑も盛んで劇団数は全国屈指を誇っていたのだそう。だからもれなく自分も活動できるような気がした。(住んでみて現状、映像界隈がものすんごく手薄なんじゃないかと危惧している。もっと映像作家とか自主制作映画作ってます!みたいなキャラクターや層があってもいいはずなのに!あるのか?あってほしい。)そして何よりもここmarsmooという存在があったからこそ私はこの地へ移り住んだ。  やっと本題。marsmooという場所は私が来る前からもちろんここにあってそこの登場人物と稀有な場所で知り合うことになったのはまた折りにふれて述べるとして、昨今よく聞かれるようになった”場の創出”について。寺子屋とか縁側とか路地とかフリースクールとかアジールとか、さまざま居場所を失ったはぐれ者たちがその漏れた感情を携えて集い居座れる場所(機能)が街にはかつてあったはずである。近年みる街作り(という破壊行為)や区画整備やスマートだかなんだかわけわからん都市計画によって行き場を失い排除され押し込められた個人、それからその感情が無かったものとされて扱われている。ちょっとしたガス抜きや親じゃない大人や薄暗い闇が排除されて久しく、そこに住んでいた人間やその感情はどうなるっていうんでしょう。引きこもって閉じこもってより一層偏屈になっていく生きづらさがここそこに充満しているように感じられる。そんな感慨があってから、私はここんところ約10年間ずっと共同生活をしている。ひとりでは住まない。今いるmarsmooの環境もシェアハウスではないものの出入りする人間が常にいてその人と顔を合わせるし言葉をかわす。人数がそう多いわけじゃないけれど自分以外の人間がいるだけで十分で、それが今生きている小さい社会。電波に乗って広がるような大きな社会としての問題や動きを知る必要はもちろんあって取り組む必要もあって支援したり想いを寄せる必要はある。でもそれと同等に、場合によってはそれ以上に自分の肌感覚としてとても大切なものが自分の目の前の小さな社会にもあって、問題が起こったら自分たちで解決しないといけない、かなり実感しやすい社会がここにある。それが故に困ったこともあるしめんどくさいこともあるが、総じて、目に見える手の届く範囲のことに関してヤキモキしていられるんならそっちの方がよっぽどいい。何事もでかい単位で括って統治して、差を均一にして物事を動かそうとしたって目に見えないし実感も湧かん。そんな違和感を誰彼が感じているから”場の創出”なんてことが叫ばれるのではないでしょうか。(となると場とは既にあるんではなく、自分から獲得しなければならないということか。)  私は長野県松本市に住んでいる。特段長野を田舎だと思っていなかったし、松本を地方都市だと思っていなかった。ただ、とある一定の条件(渋滞、新幹線)からこの街を選んだだけで結果的に地方と言われる場所だった。ただ、先日仕事で名古屋方面に行った時に愛知の人間が「長野村」と言っているのを聞いて、「なるほどそういう感覚か」と腑に落ちた。確かに大きい視野で街のこと、社会のことを眺めた時に松本はよっぽど田舎で名古屋は遥かに都会だろう。先日名古屋へ行った時も松本とのあまりの違いに舌を巻いた。だがしかしその視野で街を見てこなかったので、むしろ我が町我が村を”愛知県”とか”名古屋市”とか言えてしまうことに驚いた。その大きな視野を手に入れる一方で”場の創出”という身を寄せる場所が必要とされる現状って逆行している。”自分が所属している社会”を大きく括る一方で、細かい立ち場や弱い立場を失って自分で自分を苦しめるシステムって不毛だ。何故だろう。  思うのは、私たち人間が生活する範囲で、それぞれが所属している小さな社会のサイズで物事を考えたら、都会も地方もその大きさや深度には大差はないんじゃないだろうか、ということ。日々生きるのに重大なことって、その目の前にある関係が円滑にいっているかってことや、問題はなくクリアーか、そしてその活動そのものが環境や条件にフィットしているのかってことではないだろうか。フィットしてなきゃ場所なり自分なりを変える必要がある。つまり、環境や条件に合わせた小さな社会を形成し、その集合体が街を構成しているはずである。初めから大きな社会の一員としてまとめられて、そこから小さな社会を創出しているわけではない。大きな括りのよすがにすがるあまりに、妙な安心感と引き換えに貴重な機微を見逃しちゃいないか。これって都市の問題でもあり地方の問題でもある。そもそも意識の問題か。そんな取り組み方では実際の感覚としてのあと先が見えない。場として、小さな社会として呼吸をするために私たちはmarsmooにいて、都市とかはどうでもいい、小さいけれどそれだけでいいと思える場所が今後とも必要だと思うのです。
おしまい 🍖🗻🍑🐿
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ichinichi-okure · 4 years ago
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2021.3.11thu_kyoto
9時前起床。朝に弱いので、自分と連れのスマホ、時計の3つのアラームでいつも起きる。ベッドでうだうだしていたら、スマホから緊急地震速報のアラートが。慌てて連れに布団を被せる。よく見ると、京都市の訓練。この日というのも分かるけど、少し腹が立つ。ブラックジョーク的じゃないか?
あれから10年経ったけど、メルトダウンした原発の事故処理に終わりは見えないし、そんな中で開催をしようとしている東京オリンピックにも納得がいかない。 コロナのことも同様だけど、天災と人災の複合的な災害で、ただ、国の政策や姿勢で、時間が経つごとに人災の割り合いが大きくなっていないか?ずっとモヤモヤしている10年だなあ、といったことを考えながら着替えて、すぐ近くの自宅へ戻り、荷物を持って、これまた近所の京都古書会館へ。来��に、自分もメンバーである会の市場があり、その出品物。週明けに準備するので、とりあえず置くだけ。
自宅へまた戻り、店に持って行く荷物を自転車に積んで出発。17日から、大阪の阪神百貨店で「春の阪神古書ノ市」が開催されるので、その準備も大詰め。準備を前からしているけれど、直近に入荷した良い本も並べたいと思うので、搬入前は、結局いつもドタバタする。
天気は良い。気温も少し高そう。いつものルートを走り、いつものパン屋さんへ。その途中に咲いている梅がまだ綺麗で、先日の古書組合の市場で落札しそこねた、30種以上の梅の彩色木版が素晴らしかった和本のことが思い出された。あれ欲しかったなあ。
店に着いて荷物を置き、今年新しく借りた近くの倉庫へ。未整理品を店へ運ぶ。今日はこの2箱分の本をクリーニングして、値札を付け、カバーのビニール巻きをする。
12時の開店からほどなくお客さんが30分おきくらいに来る。老若男女、カップルも。お客さんが途切れると、先日、連れがBTSのライブを観たいがために入会させられたdtvで、アガサ・クリスティー原作のイギリスのドラマ『ミス・マープル』を観ながら(聞きながら)仕事をする。ほのぼのしたテーマ曲が良い。主演のジョーン・ヒクソンがハマリ役で、この役を日本人俳優がやるなら誰か、と考える。今の草笛光子さんかなあ。
夕方ごろ、マンションの管理会社から電話。自分の部屋の下の1階のテナントで、壁から水漏れがしている、とのこと。瞬時に、自分の部屋が、置いてある本が水浸しになっている様が浮かんで、戦慄する。心を落ち着けながら、今朝はトイレしか使ってないと伝える。うちの部屋の水でなければ、今、工事をしている3階の真上の部屋からか、と聞くと、そうでもなさそう、と。それを聞いて少し安心するも、電話を切った後、落ち着かず、作業は続けながら、19時の閉店と共に自宅へダッシュ。
ドアを開ける瞬間のあの気持ち。例えようがない。知り合いの古本屋さんの店が、上の部屋からの水漏れで水浸しになり、結局店を閉めたことが思い出されて、戦慄と諦念がないまぜになったような気持ち。
ドアを開けると、いつもの自分の部屋。天井や壁を見るも、水漏れらしきところは無い。いっぺんに脱力して、ベランダで煙草を吸って、お腹が空いていることに気付いてパンを食べる。少し落ち着いて、1階のテナントへ行き、水漏れのところを見せてもらう。やっぱりうちの部屋側の壁で、管理会社の話では、壁の中にある、上の階までずっと繋がっている排水管のどこかから漏れているのでは、ということらしい。これまたモヤモヤする。(翌日管理会社に電話したら、水漏れ箇所が見つかり、処置をしたとのこと)。
まだ仕事が残っているので、店に戻り、続きを。連れに電話すると、今夜は、友人宅で、BTSのライブDVDの鑑賞会をしているとのこと。平和なことでよろしおす。モヤモヤを紛らわすためにデヴィッド・ボウイのCDをかけながら鼻ずさみながら0時ごろまで作業をして、倉庫に出来上がった荷物を持って行き、連れの家に帰宅。夕方買ってきたという近くの和菓子屋・小松屋さんの桜餅と蓬餅を食べながら今日のお互いの話をする。彼女の友人は昭和のアイドル・歌謡マニアで、まだBTSにはハマらないらしい。部屋に置いてある本を倉庫に少し移そうかと考えるも、結局どこにあっても、何かが起こったら一緒か、と思いながら就寝。日常は尊い。
ープロフィール- 中村明裕 40 京都 古本屋 古書ダンデライオン・町家古本はんのき @koshodandelion https://oldbook-dandelion.com/
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shunsukessk · 5 years ago
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あるいは永遠の未来都市(東雲キャナルコートCODAN生活記)
 都市について語るのは難しい。同様に、自宅や仕事場について語るのも難しい。それを語ることができるのは、おそらく、その中にいながら常にはじき出されている人間か、実際にそこから出てしまった人間だけだろう。わたしにはできるだろうか?  まず、自宅から徒歩三秒のアトリエに移動しよう。北側のカーテンを開けて、掃き出し窓と鉄格子の向こうに団地とタワーマンション、彼方の青空に聳える東京スカイツリーの姿を認める。次に東側の白い引き戸を一枚、二枚とスライドしていき、団地とタワーマンションの窓が反射した陽光がテラスとアトリエを優しく温めるのをじっくりと待つ。その間、テラスに置かれた黒竹がかすかに揺れているのを眺める。外から共用廊下に向かって、つまり左から右へさらさらと葉が靡く。一枚の枯れた葉が宙に舞う。お前、とわたしは念じる。お前、お隣さんには行くんじゃないぞ。このテラスは、腰よりも低いフェンスによってお隣さんのテラスと接しているのだ。それだけでなく、共用廊下とも接している。エレベーターへと急ぐ人の背中が見える。枯れ葉はテラスと共用廊下との境目に設置されたベンチの上に落ちた。わたしは今日の風の強さを知る。アトリエはまだ温まらない。  徒歩三秒の自宅に戻ろう。リビング・ダイニングのカーテンを開けると、北に向いた壁の一面に「田」の形をしたアルミ製のフレームが現れる。窓はわたしの背より高く、広げた両手より大きかった。真下にはウッドデッキを設えた人工地盤の中庭があって、それを取り囲むように高層の住棟が建ち並び、さらにその外周にタワーマンションが林立している。視界の半分は集合住宅で、残りの半分は青空だった。そのちょうど境目に、まるで空に落書きをしようとする鉛筆のように東京スカイツリーが伸びている。  ここから望む風景の中にわたしは何かしらを発見する。たとえば、斜め向かいの部屋の窓に無数の小さな写真が踊っている。その下の鉄格子つきのベランダに男が出てきて、パジャマ姿のままたばこを吸い始める。最上階の渡り廊下では若い男が三脚を据えて西側の風景を撮影している。今日は富士山とレインボーブリッジが綺麗に見えるに違いない。その二つ下の渡り廊下を右から左に、つまり一二号棟から一一号棟に向かって黒いコートの男が横切り、さらに一つ下の渡り廊下を、今度は左から右に向かって若い母親と黄色い帽子の息子が横切っていく。タワーマンションの間を抜けてきた陽光が数百の窓に当たって輝く。たばこを吸っていた男がいつの間にか部屋に戻ってワイシャツにネクタイ姿になっている。六階部分にある共用のテラスでは赤いダウンジャケットの男が外を眺めながら電話をかけている。地上ではフォーマルな洋服に身を包んだ人々が左から右に向かって流れていて、ウッドデッキの上では老婦が杖をついて……いくらでも観察と発見は可能だ。けれども、それを書き留めることはしない。ただ新しい出来事が無数に生成していることを確認するだけだ。世界は死んでいないし、今日の都市は昨日の都市とは異なる何ものかに変化しつつあると認識する。こうして仕事をする準備が整う。
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 東雲キャナルコートCODAN一一号棟に越してきたのは今から四年前だった。内陸部より体感温度が二度ほど低いな、というのが東雲に来て初めに思ったことだ。この土地は海と運河と高速道路に囲まれていて、物流倉庫とバスの車庫とオートバックスがひしめく都市のバックヤードだった。東雲キャナルコートと呼ばれるエリアはその名のとおり運河沿いにある。ただし、東雲運河に沿っているのではなく、辰巳運河に沿っているのだった。かつては三菱製鋼の工場だったと聞いたが、今ではその名残はない。東雲キャナルコートが擁するのは、三千戸の賃貸住宅と三千戸の分譲住宅、大型のイオン、児童・高齢者施設、警察庁などが入る合同庁舎、辰巳運河沿いの区立公園で、エリアの中央部分に都市基盤整備公団(現・都市再生機構/UR)が計画した高層板状の集合住宅群が並ぶ。中央部分は六街区に分けられ、それぞれ著名な建築家が設計者として割り当てられた。そのうち、もっとも南側に位置する一街区は山本理顕による設計で、L字型に連なる一一号棟と一二号棟が中庭を囲むようにして建ち、やや小ぶりの一三号棟が島のように浮かんでいる。この一街区は二〇〇三年七月に竣工した。それから一三年後の二〇一六年五月一四日、わたしと妻は二人で一一号棟の一三階に越してきた。四年の歳月が流れてその部屋を出ることになったとき、わたしはあの限りない循環について思い出していた。
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 アトリエに戻るとそこは既に温まっている。さあ、仕事を始めよう。ものを書くのがわたしの仕事だった。だからまずMacを立ち上げ、テキストエディタかワードを開く。さっきリビング・ダイニングで行った準備運動によって既に意識は覚醒している。ただし、その日の頭とからだのコンディションによってはすぐに書き始められないこともある。そういった場合はアトリエの東側に面したテラスに一時的に避難してもよい。  掃き出し窓を開けてサンダルを履く。黒竹の鉢に水を入れてやる。近くの部屋の原状回復工事に来たと思しき作業服姿の男がこんちは、と挨拶をしてくる。挨拶を返す。お隣さんのテラスにはベビーカーとキックボード、それに傘が四本置かれている。テラスに面した三枚の引き戸はぴったりと閉められている。緑色のボーダー柄があしらわれた、目隠しと防犯を兼ねた白い戸。この戸が開かれることはほとんどなかった。わたしのアトリエや共用廊下から部屋の中が丸見えになってしまうからだ。こちらも条件は同じだが、わたしはアトリエとして使っているので開けているわけだ。とはいえ、お隣さんが戸を開けたときにあまり中を見てしまうと気まずいので、二年前に豊洲のホームセンターで見つけた黒竹を置いた。共用廊下から外側に向かって風��吹いていて、葉が光を食らうように靡いている。この住棟にはところどころに大穴が空いているのでこういうことが起きる。つまり、風向きが反転するのだった。  通風と採光のために設けられた空洞、それがこのテラスだった。ここから東雲キャナルコートCODANのほぼ全体が見渡せる。だが、もう特に集中して観察したりしない。隈研吾が設計した三街区の住棟に陽光が当たっていて、ベランダで父子が日光浴をしていようが、島のような一三号棟の屋上に設置されたソーラーパネルが紺碧に輝いていて、その傍の芝生に二羽の鳩が舞い降りてこようが、伊東豊雄が設計した二街区の住棟で影がゆらめいて、テラスに出てきた老爺が異様にうまいフラフープを披露しようが、気に留めない。アトリエに戻ってどういうふうに書くか、それだけを考える。だから、目の前のすべてはバックグラウンド・スケープと化す。ただし、ここに広がるのは上質なそれだった。たとえば、ここにはさまざまな匂いが漂ってきた。雨が降った次の日には海の匂いがした。東京湾の匂いだが、それはいつも微妙に違っていた。同じ匂いはない。生成される現実に呼応して新しい文字の組み合わせが発生する。アトリエに戻ろう。
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 わたしはここで、広島の中心部に建つ巨大な公営住宅、横川という街に形成された魅力的な高架下商店街、シンガポールのベイサイドに屹立するリトル・タイランド、ソウルの中心部を一キロメートルにわたって貫く線状の建築物などについて書いてきた。既に世に出たものもあるし、今から出るものもあるし、たぶん永遠にMacの中に封じ込められると思われるものもある。いずれにせよ、考えてきたことのコアはひとつで、なぜ人は集まって生きるのか、ということだった。  人間の高密度な集合体、つまり都市は、なぜ人類にとって必要なのか?  そしてこの先、都市と人類はいかなる進化を遂げるのか?  あるいは都市は既に死んだ?  人類はかつて都市だった廃墟の上をさまよい続ける?  このアトリエはそういうことを考えるのに最適だった。この一街区そのものが新しい都市をつくるように設計されていたからだ。  実際、ここに来てから、思考のプロセスが根本的に変わった。ここに来るまでの朝の日課といえば、とにかく怒りの炎を燃やすことだった。閉じられた小さなワンルームの中で、自分が外側から遮断され、都市の中にいるにもかかわらず隔離状態にあることに怒り、その怒りを炎上させることで思考を開いた。穴蔵から出ようともがくように。息苦しくて、ひとりで部屋の中で暴れたし、壁や床に穴を開けようと試みることもあった。客観的に見るとかなりやばい奴だったに違いない。けれども、こうした循環は一生続くのだと、当時のわたしは信じて疑わなかった。都市はそもそも息苦しい場所なのだと、そう信じていたのだ。だが、ここに来てからは息苦しさを感じることはなくなった。怒りの炎を燃やす朝の日課は、カーテンを開け、その向こうを観察するあの循環へと置き換えられた。では、怒りは消滅したのか?
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 白く光沢のあるアトリエの床タイルに青空が輝いている。ここにはこの街の上半分がリアルタイムで描き出される。床の隅にはプロジェクトごとに振り分けられた資料の箱が積まれていて、剥き出しの灰色の柱に沿って山積みの本と額に入ったいくつかの写真や絵が並んでいる。デスクは東向きの掃き出し窓の傍に置かれていて、ここからテラスの半分と共用廊下、それに斜向かいの部屋の玄関が見える。このアトリエは空中につくられた庭と道に面しているのだった。斜向かいの玄関ドアには透明のガラスが使用されていて、中の様子が透けて見える。靴を履く住人の姿がガラス越しに浮かんでいる。視線をアトリエ内に戻そう。このアトリエは専用の玄関を有していた。玄関ドアは斜向かいの部屋のそれと異なり、全面が白く塗装された鉄扉だった。玄関の脇にある木製のドアを開けると、そこは既に徒歩三秒の自宅だ。まずキッチンがあって、奥にリビング・ダイニングがあり、その先に自宅用の玄関ドアがあった。だから、このアトリエは自宅と繋がってもいるが、独立してもいた。  午後になると仕事仲間や友人がこのアトリエを訪ねてくることがある。アトリエの玄関から入ってもらってもいいし、共用廊下からテラス経由でアトリエに招き入れてもよい。いずれにせよ、共用廊下からすぐに仕事場に入ることができるので効率的だ。打ち合わせをする場合にはテーブルと椅子をセッティングする。ここでの打ち合わせはいつも妙に捗った。自宅と都市の両方に隣接し、同時に独立してもいるこのアトリエの雰囲気は、最小のものと最大のものとを同時に掴み取るための刺激に満ちている。いくつかの重要なアイデアがここで産み落とされた。議論が白熱し、日が暮れると、徒歩三秒の自宅で妻が用意してくれた料理を囲んだり、東雲の鉄鋼団地に出かけて闇の中にぼうっと浮かぶ屋台で打ち上げを敢行したりした。  こうしてあの循環は完成したかに見えた。わたしはこうして都市への怒りを反転させ都市とともに歩み始めた、と結論づけられそうだった。お前はついに穴蔵から出たのだ、と。本当にそうだろうか?  都市の穴蔵とはそんなに浅いものだったのか?
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 いやぁ、  未来都市ですね、
 ある編集者がこのアトリエでそう言ったことを思い出す。それは決して消えない残響のようにアトリエの中にこだまする。ある濃密な打ち合わせが一段落したあと、おそらくはほとんど無意識に発された言葉だった。  未来都市?  だってこんなの、見たことないですよ。  ああ、そうかもね、とわたしが返して、その会話は流れた。だが、わたしはどこか引っかかっていた。若く鋭い編集者が発した言葉だったから、余計に。未来都市?  ここは現在なのに?  ちょうどそのころ、続けて示唆的な出来事があった。地上に降り、一三号棟の脇の通路を歩いていたときのことだ。団地内の案内図を兼ねたスツールの上に、ピーテル・ブリューゲルの画集が広げられていたのだった。なぜブリューゲルとわかったかといえば、開かれていたページが「バベルの塔」だったからだ。ウィーンの美術史美術館所蔵のものではなく、ロッテルダムのボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館所蔵の作品で、天に昇る茶褐色の塔がアクリル製のスツールの上で異様なオーラを放っていた。その画集はしばらくそこにあって、ある日ふいになくなったかと思うと、数日後にまた���じように置かれていた。まるで「もっとよく見ろ」と言わんばかりに。
 おい、お前。このあいだは軽くスルーしただろう。もっとよく見ろ。
 わたしは近寄ってその絵を見た。新しい地面を積み重ねるようにして伸びていく塔。その上には無数の人々の蠢きがあった。塔の建設に従事する労働者たちだった。既に雲の高さに届いた塔はさらに先へと工事が進んでいて、先端部分は焼きたての新しい煉瓦で真っ赤に染まっている。未来都市だな、これは、と思う。それは天地が創造され、原初の人類が文明を築きつつある時代のことだった。その地では人々はひとつの民で、同じ言葉を話していた。だが、人々が天に届くほどの塔をつくろうとしていたそのとき、神は全地の言葉を乱し、人を全地に散らされたのだった。ただし、塔は破壊されたわけではなかった。少なくとも『創世記』にはそのような記述はない。だから、バベルの塔は今なお未来都市であり続けている。決して完成することがないから未来都市なのだ。世界は変わったが、バベルは永遠の未来都市として存在し続ける。
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 ようやく気づいたか。  ああ。  それで?  おれは永遠の未来都市をさまよう亡霊だと?  どうかな、  本当は都市なんか存在しないのか?  どうかな、  すべては幻想だった?  そうだな、  どっちなんだ。  まあ結論を急ぐなよ。  おれはさっさと結論を出して原稿を書かなきゃならないんだよ。  知ってる、だから急ぐなと言ったんだ。  あんたは誰なんだ。  まあ息抜きに歩いてこいよ。  息抜き?  いつもやっているだろう。あの循環だよ。  ああ、わかった……。いや、ちょっと待ってくれ。先に腹ごしらえだ。
 もう昼を過ぎて久しいんだな、と鉄格子越しの風景を一瞥して気づく。陽光は人工地盤上の芝生と一本木を通過して一三号棟の廊下を照らし始めていた。タワーマンションをかすめて赤色のヘリコプターが東へと飛んでいき、青空に白線を引きながら飛行機が西へと進む。もちろん、時間を忘れて書くのは悪いことではない。だが、無理をしすぎるとあとになって深刻な不調に見舞われることになる。だから徒歩三秒の自宅に移動しよう。  キッチンの明かりをつける。ここには陽光が入ってこない。窓側に風呂場とトイレがあるからだ。キッチンの背後に洗面所へと続くドアがある。それを開けると陽光が降り注ぐ。風呂場に入った光が透明なドアを通過して洗面所へと至るのだった。洗面台で手を洗い、鏡に目を向けると、風呂場と窓のサッシと鉄格子と団地とスカイツリーが万華鏡のように複雑な模様を見せる。手を拭いたら、キッチンに戻って冷蔵庫を開け、中を眺める。食材は豊富だった。そのうちの九五パーセントはここから徒歩五分のイオンで仕入れた。で、遅めの昼食はどうする?  豚バラとキャベツで回鍋肉にしてもいいが、飯を炊くのに時間がかかる。そうだな……、カルボナーラでいこう。鍋に湯を沸かして塩を入れ、パスタを茹でる。ベーコンと玉葱、にんにくを刻んでオリーブオイルで炒める。それをボウルに入れ、パルメザンチーズと生卵も加え、茹で上がったパスタを投入する。オリーブオイルとたっぷりの黒胡椒とともにすべてを混ぜ合わせれば、カルボナーラは完成する。もっとも手順の少ない料理のひとつだった。文字の世界に没頭しているときは簡単な料理のほうがいい。逆に、どうにも集中できない日は、複雑な料理に取り組んで思考回路を開くとよい。まあ、何をやっても駄目な日もあるのだが。  リビング・ダイニングの窓際に置かれたテーブルでカルボナーラを食べながら、散歩の計画を練る。籠もって原稿を書く日はできるだけ歩く時間を取るようにしていた。あまり動かないと頭も指先も鈍るからだ。走ってもいいのだが、そこそこ気合いを入れなければならないし、何よりも風景がよく見えない。だから、平均して一時間、長いときで二時間程度の散歩をするのが午後の日課になっていた。たとえば、辰巳運河沿いを南下しながら首都高の高架と森と物流倉庫群を眺めてもいいし、辰巳運河を越えて辰巳団地の中を通り、辰巳の森海浜公園まで行ってもよい。あるいは有明から東雲運河を越えて豊洲市場あたりに出てもいいし、そこからさらに晴海運河を越えて晴海第一公園まで足を伸ばし、日本住宅公団が手がけた最初の高層アパートの跡地に巡礼する手もある。だが、わたしにとってもっとも重要なのは、この東雲キャナルコートCODAN一街区をめぐるルートだった。つまり、空中に張りめぐらされた道を歩いて、東京湾岸のタブラ・ラサに立ち上がった新都市を内側から体感するのだ。  と、このように書くと、何か劇的な旅が想像されるかもしれない。アトリエや事務所、さらにはギャラリーのようなものが住棟内に点在していて、まさに都市を立体化したような人々の躍動が見られると思うかもしれない。生活と仕事が混在した活動が積み重なり、文化と言えるようなものすら発生しつつあるかもしれないと、期待を抱くかもしれない。少なくともわたしはそうだった。実際にここに来るまでは。さて、靴を履いてアトリエの玄関ドアを開けよう。
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 それは二つの世界をめぐる旅だ。一方にここに埋め込まれたはずの思想があり、他方には生成する現実があった。二つの世界は常に並行して存在する。だが、実際に見えているのは現実のほうだけだし、歴史は二つの世界の存在を許さない。とはいえ、わたしが最初に遭遇したのは見えない世界のほうだった。その世界では、実際に都市がひとつの建築として立ち上がっていた。ただ家が集積されただけでなく、その中に住みながら働いたり、ショールームやギャラリーを開設したりすることができて、さまざまな形で人と人とが接続されていた。全体の半数近くを占める透明な玄関ドアの向こうに談笑する人の姿が見え、共用廊下に向かって開かれたテラスで人々は語り合っていた。���ラスに向かって設けられた大きな掃き出し窓には、子どもたちが遊ぶ姿や、趣味のコレクション、打ち合わせをする人と人、アトリエと作品群などが浮かんでいた。それはもはや集合住宅ではなかった。都市で発生する多様で複雑な活動をそのまま受け入れる文化保全地区だった。ゾーニングによって分断された都市の攪拌装置であり、過剰な接続の果てに衰退期を迎えた人類の新・進化論でもあった。  なあ、そうだろう?  応答はない。静かな空中の散歩道だけがある。わたしのアトリエに隣接するテラスとお隣さんのテラスを通り過ぎると、やや薄暗い内廊下のゾーンに入る。日が暮れるまでは照明が半分しか点灯しないので光がいくらか不足するのだった。透明な玄関ドアがあり、その傍の壁に廣村正彰によってデザインされたボーダー柄と部屋番号の表示がある。ボーダー柄は階ごとに色が異なっていて、この一三階は緑だった。少し歩くと右側にエレベーターホールが現れる。外との境界線上にはめ込まれたパンチングメタルから風が吹き込んできて、ぴゅうぴゅうと騒ぐ。普段はここでエレベーターに乗り込むのだが、今日は通り過ぎよう。廊下の両側に玄関と緑色のボーダー柄が点々と続いている。左右に四つの透明な玄関ドアが連なったあと、二つの白く塗装された鉄扉がある。透明な玄関ドアの向こうは見えない。カーテンやブラインドや黒いフィルムによって塞がれているからだ。でも陰鬱な気分になる必要はない。間もなく左右に光が満ちてくる。  コモンテラスと名づけられた空洞のひとつに出た。二階分の大穴が南側と北側に空いていて、共用廊下とテラスとを仕切るフェンスはなく、住民に開放されていた。コモンテラスは住棟内にいくつか存在するが、ここはその中でも最大だ。一四階の高さが通常の一・五倍ほどあるので、一三階と合わせて計二・五階分の空洞になっているのだ。それはさながら、天空の劇場だった。南側には巨大な長方形によって縁取られた東京湾の風景がある。左右と真ん中に計三棟のタワーマンションが陣取り、そのあいだで辰巳運河の水が東京湾に注ぎ、東京ゲートブリッジの橋脚と出会って、「海の森」と名づけられた人工島の縁でしぶきを上げる様が見える。天気のいい日には対岸に広がる千葉の工業地帯とその先の山々まで望むことができた。海から来た風がこのコモンテラスを通過し、東京の内側へと抜けていく。北側にその風景が広がる。視界の半分は集合住宅で、残りの半分は青空だった。タワーマンションの陰に隠れて東京スカイツリーは確認できないが、豊洲のビル群が団地の上から頭を覗かせている。眼下にはこの団地を南北に貫くS字アベニューが伸び、一街区と二街区の人工地盤を繋ぐブリッジが横切っていて、長谷川浩己率いるオンサイト計画設計事務所によるランドスケープ・デザインの骨格が見て取れる。  さあ、公演が始まる。コモンテラスの中心に灰色の巨大な柱が伸びている。一三階の共用廊下の上に一四階の共用廊下が浮かんでいる。ガラス製のパネルには「CODAN  Shinonome」の文字が刻まれている。この空間の両側に、六つの部屋が立体的に配置されている。半分は一三階に属し、残りの半分は一四階に属しているのだった。したがって、壁にあしらわれたボーダー柄は緑から青へと遷移する。その色は、掃き出し窓の向こうに設えられた目隠しと防犯を兼ねた引き戸にも連続している。そう、六つの部屋はこのコモンテラスに向かって大きく開くことができた。少なくとも設計上は。引き戸を全開にすれば、六つの部屋の中身がすべて露わになる。それらの部屋の住人たちは観客なのではない。この劇場で物語を紡ぎ出す主役たちなのだった。両サイドに見える美しい風景もここではただの背景にすぎない。近田玲子によって計画された照明がこの空間そのものを照らすように上向きに取り付けられている。ただし、今はまだ点灯していない。わたしはたったひとりで幕が上がるのを待っている。だが、動きはない。戸は厳重に閉じられるか、採光のために数センチだけ開いているかだ。ひとつだけ開かれている戸があるが、レースカーテンで視界が完全に遮られ、窓際にはいくつかの段ボールと紙袋が無造作に積まれていた。風がこのコモンテラスを素通りしていく。
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 ほら、  幕は上がらないだろう、  お前はわかっていたはずだ、ここでは人と出会うことがないと。横浜のことを思い出してみろ。お前はかつて横浜の湾岸に住んでいた。住宅と事務所と店舗が街の中に混在し、近所の雑居ビルやカフェスペースで毎日のように文化的なイベントが催されていて、お前はよくそういうところにふらっと行っていた。で、いくつかの重要な出会いを経験した。つけ加えるなら、そのあたりは山本理顕設計工場の所在地でもあった。だから、東雲に移るとき、お前はそういうものが垂直に立ち上がる様を思い描いていただろう。だが、どうだ?  あのアトリエと自宅は東京の空中にぽつんと浮かんでいるのではないか?  それも悪くない、とお前は言うかもしれない。物書きには都市の孤独な拠点が必要だったのだ、と。多くの人に会って濃密な取材をこなしたあと、ふと自分自身に戻ることができるアトリエを欲していたのだ、と。所詮自分は穴蔵の住人だし、たまに訪ねてくる仕事仲間や友人もいなくはない、と。実際、お前はここではマイノリティだった。ここの住民の大半は幼い子どもを連れた核家族だったし、大人たちのほとんどはこの住棟の外に職場があった。もちろん、二階のウッドデッキ沿いを中心にいくつかの仕事場は存在した。不動産屋、建築家や写真家のアトリエ、ネットショップのオフィス、アメリカのコンサルティング会社の連絡事務所、いくつかの謎の会社、秘かに行われている英会話教室や料理教室、かつては違法民泊らしきものもあった。だが、それもかすかな蠢きにすぎなかった。ほとんどの住民の仕事はどこか別の場所で行われていて、この一街区には活動が積み重ねられず、したがって文化は育たなかったのだ。周囲の住人は頻繁に入れ替わって、コミュニケーションも生まれなかった。お前のアトリエと自宅のまわりにある五軒のうち四軒の住人が、この四年間で入れ替わったのだった。隣人が去ったことにしばらく気づかないことすらあった。何週間か経って新しい住人が入り、透明な玄関ドアが黒い布で塞がれ、テラスに向いた戸が閉じられていくのを、お前は満足して見ていたか?  胸を抉られるような気持ちだったはずだ。  そうした状況にもかかわらず、お前はこの一街区を愛した。家というものにこれほどの帰属意識を持ったことはこれまでになかったはずだ。遠くの街から戻り、暗闇に浮かぶ格子状の光を見たとき、心底ほっとしたし、帰ってきたんだな、と感じただろう。なぜお前はこの一街区を愛したのか?  もちろん、第一には妻との生活が充実したものだったことが挙げられる。そもそも、ここに住むことを提案したのは妻のほうだった。四年前の春だ。「家で仕事をするんだったらここがいいんじゃない?」とお前の妻はあの奇妙な間取りが載った図面を示した。だから、お前が恵まれた環境にいたことは指摘されなければならない。だが、第二に挙げるべきはお前の本性だ。つまり、お前は現実のみに生きているのではない。お前の頭の中には常に想像の世界がある。そのレイヤーを現実に重ねることでようやく生きている。だから、お前はあのアトリエから見える現実に落胆しながら、この都市のような構造体の可能性を想像し続けた。簡単に言えば、この一街区はお前の想像力を搔き立てたのだ。  では、お前は想像の世界に満足したか?  そうではなかった。想像すればするほどに現実との溝は大きく深くなっていった。しばらく想像の世界にいたお前は、どこまでが現実だったのか見失いつつあるだろう。それはとても危険なことだ。だから確認しよう。お前が住む東雲キャナルコートCODAN一街区には四二〇戸の住宅があるが、それはかつて日本住宅公団であり、住宅・都市整備公団であり、都市基盤整備公団であって、今の独立行政法人都市再生機構、つまりURが供給してきた一五〇万戸以上の住宅の中でも特異なものだった。お前が言うようにそれは都市を構築することが目指された。ところが、そこには公団の亡霊としか言い表しようのない矛盾が内包されていた。たとえば、当時の都市基盤整備公団は四二〇戸のうちの三七八戸を一般の住宅にしようとした。だが、設計者の山本理顕は表面上はそれに応じながら、実際には大半の住戸にアトリエや事務所やギャラリーを実装できる仕掛けを忍ばせたのだ。玄関や壁は透明で、仕事場にできる開放的なスペースが用意された。間取りはありとあらゆる活動を受け入れるべく多種多様で、メゾネットやアネックスつきの部屋も存在した。で、実際にそれは東雲の地に建った。それは現実のものとなったのだった。だが、実はここで世界が分岐した。公団およびのちのURは、例の三七八戸を結局、一般の住宅として貸し出した。したがって大半の住戸では、アトリエはまだしも、事務所やギャラリーは現実的に不可だった。ほかに「在宅ワーク型住宅」と呼ばれる部屋が三二戸あるが、不特定多数が出入りしたり、従業員を雇って行ったりする業務は不可とされたし、そもそも、家で仕事をしない人が普通に借りることもできた。残るは「SOHO住宅」だ。これは確かに事務所やギャラリーとして使うことができる部屋だが、ウッドデッキ沿いの一〇戸にすぎなかった。  結果、この一街区は集合住宅へと回帰した。これがお前の立っている現実だ。都市として運営されていないのだから、都市にならないのは当然の帰結だ。もちろん、ゲリラ的に別の使い方をすることは可能だろう。ここにはそういう人間たちも確かにいる。お前も含めて。だが、お前はもうすぐここから去るのだろう?  こうしてまたひとり、都市を望む者が消えていく。二つの世界はさらに乖離する。まあ、ここではよくあることだ。ブリューゲルの「バベルの塔」、あの絵の中にお前の姿を認めることはできなくなる。  とはいえ、心配は無用だ。誰もそのことに気づかないから。おれだけがそれを知っている。おれは別の場所からそれを見ている。ここでは、永遠の未来都市は循環を脱して都市へと移行した。いずれにせよ、お前が立つ現実とは別世界の話だがな。
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 実際、人には出会わなかった。一四階から二階へ、階段を使ってすべてのフロアを歩いたが、誰とも顔を合わせることはなかった。その間、ずっとあの声が頭の中に響いていた。うるさいな、せっかくひとりで静かに散歩しているのに、と文句を言おうかとも考えたが、やめた。あの声の正体はわからない。どのようにして聞こえているのかもはっきりしない。ただ、ふと何かを諦めようとしたとき、周波数が突然合うような感じで、周囲の雑音が消え、かわりにあの声が聞こえてくる。こちらが応答すれば会話ができるが、黙っていると勝手に喋って、勝手に切り上げてしまう。あまり考えたくなかったことを矢継ぎ早に投げかけてくるので、面倒なときもあるが、重要なヒントをくれもするのだ。  あの声が聞こえていることを除くと、いつもの散歩道だった。まず一三階のコモンテラスの脇にある階段で一四階に上り、一一号棟の共用廊下を東から西へ一直線に歩き、右折して一〇メートルほどの渡り廊下を辿り、一二号棟に到達する。南から北へ一二号棟を踏破すると、エレベーターホールの脇にある階段で一三階に下り、あらためて一三階の共用廊下を歩く。以下同様に、二階まで辿っていく。その間、各階の壁にあしらわれたボーダー柄は青、緑、黄緑、黄、橙、赤、紫、青、緑、黄緑、黄、橙、赤と遷移する。二階に到達したら、人工地盤上のウッドデッキをめぐりながら島のように浮かぶ一三号棟へと移動する。その際、人工地盤に空いた長方形の穴から、地上レベルの駐車場や学童クラブ、子ども写真館の様子が目に入る。一三号棟は一〇階建てで共用廊下も短いので踏破するのにそれほど時間はかからない。二階には集会所があり、住宅は三階から始まる。橙、黄、黄緑、緑、青、紫、赤、橙。  この旅では風景がさまざまに変化する。フロアごとにあしらわれた色については既に述べた。ほかにも、二〇〇もの透明な玄関ドアが住人の個性を露わにする。たとえば、入ってすぐのところに大きなテーブルが置かれた部屋。子どもがつくったと思しき切り絵と人気ユーチューバーのステッカーが浮かぶ部屋。玄関に置かれた飾り棚に仏像や陶器が並べられた部屋。家の一部が透けて見える。とはいえ、透明な玄関ドアの四割近くは完全に閉じられている。ただし、そのやり方にも個性は現れる。たとえば、白い紙で雑に塞がれた玄関ドア。一面が英字新聞で覆われた玄関ドア。鏡面シートが一分の隙もなく貼りつけられた玄関ドア。そうした玄関ドアが共用廊下の両側に現れては消えていく。ときどき、外に向かって開かれた空洞に出会う。この一街区には東西南北に合わせて三六の空洞がある。そのうち、隣接する住戸が占有する空洞はプライベートテラスと呼ばれる。わたしのアトリエに面したテラスがそれだ。部屋からテラスに向かって戸を開くことができるが、ほとんどの戸は閉じられたうえ、テラスは物置になっている。たとえば、山のような箱。不要になった椅子やテーブル。何かを覆う青いビニールシート。その先に広がるこの団地の風景はどこか殺伐としている。一方、共用廊下の両側に広がる空洞、つまりコモンテラスには物が置かれることはないが、テラスに面したほとんどの戸はやはり、閉じられている。ただし、閉じられたボーダー柄の戸とガラスとの間に、その部屋の個性を示すものが置かれることがある。たとえば、黄緑色のボーダー柄を背景としたいくつかの油絵。黄色のボーダー柄の海を漂う古代の船の模型。橙色のボーダー柄と調和する黄色いサーフボードと高波を警告する看板のレプリカ。何かが始まりそうな予感はある。今にも幕が上がりそうな。だが、コモンテラスはいつも無言だった。ある柱の側面にこう書かれている。「コモンテラスで騒ぐこと禁止」と。なるほど、無言でいなければならないわけか。都市として運営されていない、とあの声は言った。  長いあいだ、わたしはこの一街区をさまよっていた。街区の外には出なかった。そろそろアトリエに戻らないとな、と思いながら歩き続けた。その距離と時間は日課の域をとうに超えていて、あの循環を逸脱しつつあった。アトリエに戻ったら、わたしはこのことについて書くだろう。今や、すべての風景は書き留められる。見過ごされてきたものの言語化が行われる。そうしたものが、気の遠くなるほど長いあいだ、連綿と積み重ねられなければ、文化は発生しない。ほら、見えるだろう?  一一号棟と一二号棟とを繋ぐ渡り廊下の上から、東京都心の風景が確認できる。東雲運河の向こうに豊洲市場とレインボーブリッジがあり、遥か遠くに真っ赤に染まった富士山があって、そのあいだの土地に超高層ビルがびっしりと生えている。都市は、瀕死だった。炎は上がっていないが、息も絶え絶えだった。密集すればするほど人々は分断されるのだ。
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 まあいい。そろそろ帰ろう。陽光は地平線の彼方へと姿を消し、かわりに闇が、濃紺から黒へと変化を遂げながらこの街に降りた。もうじき妻が都心の職場から戻るだろう。今日は有楽町のもつ鍋屋で持ち帰りのセットを買ってきてくれるはずだ。有楽町線の有楽町駅から辰巳駅まで地下鉄で移動し、辰巳桜橋を渡ってここまでたどり着く。それまでに締めに投入する飯を炊いておきたい。  わたしは一二号棟一二階のコモンテラスにいる。ここから右斜め先に一一号棟の北側の面が見える。コンクリートで縁取られた四角形が規則正しく並び、ところどころに色とりどりの空洞が光を放っている。緑と青に光る空洞がわたしのアトリエの左隣にあり、黄と黄緑に光る空洞がわたしの自宅のリビング・ダイニングおよびベッドルームの真下にある。家々の窓がひとつ、ひとつと、琥珀色に輝き始めた。そのときだ。わたしのアトリエの明かりが点灯した。妻ではなかった。まだ妻が戻る時間ではないし、そもそも妻は自宅用の玄関ドアから戻る。闇の中に、机とそこに座る人の姿が浮かんでいる。鉄格子とガラス越しだからはっきりしないが、たぶん……男だ。男は机に向かって何かを書いているらしい。テラスから身を乗り出してそれを見る。それは、わたしだった。いつものアトリエで文章を書くわたしだ。だが、何かが違っている。男の手元にはMacがなかった。机の上にあるのは原稿用紙だった。男はそこに万年筆で文字を書き入れ、原稿の束が次々と積み上げられていく。それでわたしは悟った。
 あんたは、もうひとつの世界にいるんだな。  どうかな、  で、さまざまに見逃されてきたものを書き連ねてきたんだろう?  そうだな。
 もうひとりのわたしは立ち上がって、掃き出し窓の近くに寄り、コモンテラスの縁にいるこのわたしに向かって右手を振ってみせた。こっちへ来いよ、と言っているのか、もう行けよ、と言っているのか、どちらとも取れるような、妙に間の抜けた仕草で。
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xf-2 · 6 years ago
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前回のコラム<日本人が知らない北米左翼の恐ろしさ>では、北米の左翼について解説したが、よりによって北米で極端な左傾化が起きているのはなぜか疑問を持った人も多いだろう。もともと、米国は共産主義を忌み嫌う国である。そのルーツは、初期の入植者の歴史にまで遡る。
1607年ジェームズタウン、1620年プリマスに最初の入植者が到着したとき、彼らはある試みを行った。穀物の共有倉庫を作り、そこから必要なものを取り収穫したものを戻すことにしたのである。土地も共有し共同で働いた。理想の社会主義共同体と同じである(当時はその名前では呼ばれていなかったが)。
それで何が起きたかは想像に難くないだろう。働いた人間も働かない人間も取り分が同じなら、誰も働かない。入植地の食料は尽き、多くの入植者は餓死した。彼らはコミューンを放棄して私的所有を認めた。すると、すぐに豊作に恵まれ、それが感謝祭の起源になっている。この失敗の教訓を通じて、人間は自らの経済的成果に責任をもつべきだという考えが米国で定着した。
第二次世界大戦後は、マッカーシーによる赤狩り(Red Scare)があり、その後冷戦が終結するまで、米国はソ連をはじめとする共産主義陣営と対峙した。しかし、米国が常に共産主義から自由だったわけではない。ヴェノナ文書が明らかにしているように、第二次世界大戦の前から、米国中枢部には多くの共産主義スパイが入り込んでいた。
現在の米国の左傾化は、冷戦終結がきっかけになっている。ソ連の崩壊により、米国人は油断した。フランシス・フクヤマの著書「歴史の終わり」に書かれた認識がそれを物語る。しかし、歴史は終わっていなかった。左翼は、この油断の隙を利用して、学校、メディアなどに深く浸透していった。
今、米国で20歳前後から30代半ばまでの若者は、2000年頃に生まれたか少年期を過ごしていることから、ミレニアル世代と呼ばれている。彼らは、冷戦後の学校やメディアの左傾化による影響を強く受けて育っている。そのため、ミレニアル世代には、バーニー・サンダースやアレクサンドリア・オカシオ・コルテスのような、民主党の中でも社会主義者と呼ばれる極端に左寄りの政治家を熱狂的に支持する人が多い。日本では若者ほど保守政党の支持率が高いのとは正反対である。
日本は、今アメリカで起きていることを半世紀先取りしていたといえる。GHQの内部に共産主義の工作員が大量に入り込んでいたことは知られているが、彼らが左翼イデオロギーで染めた学校やメディアが、団塊の世代の左傾化を実現した。米国におけるミレニアル世代の左傾化と構造は同じである。
左翼は学校やメディア以外だけでなく、法曹界や研究機関にも入り込む。これも、日本に限ったことではなく、世界に共通して見られる現象である。前々回の<なぜ人は共産主義に騙され続けるのか>で述べた通り、左翼活動家は過大な欲求と自己評価を持つがゆえに、それを認めない社会を憎むという構図がある。そういう人には、協調性を要求される一般の仕事は務まらない。結果として、協調性があまり必要とされず、社会的地位も高く自己承認欲求が満たされるマスコミ、大学、法曹界などに集まると考えられる。これらの職業は社会的影響力も強いので、左翼イデオロギーを広めるにも好都合である。
インターネットが発達した今でこそ、大手マスコミのジャーナリスト、学校の先生や大学教授、弁護士や裁判官を無条件で信じる人は減ったが、一昔前まではこうした職業に就く人の社会的信用は高かった。左翼活動家はその信用を積極的に悪用してきた。
左翼中核層の最大の武器は、良心の呵責がないことである。その性質はサイコパスに通じるものがある(サイコパスについて、詳しくはマーサ・スタウトやロバート・ヘアなどの著作を参照されたい)。彼らには正義はあっても良心はない(なお、左翼自身は正義と良心の区別がつかないため、自分に良心がないという自覚がないことが多い)。そのため、あらゆる行為は、独善的正義の実現という目的の手段と化す。ウソをつくことも信用を裏切ることも全く厭わない。他人を傷つけることに全く躊躇がないのである。
左翼の中核層 想定外のことを言い相手を怯ませる
良識的な一般人は、人が平気でウソをつけるとは想像しない。左翼中核層は一般人の想定外のことができるのを武器とする。討論番組でも、左翼は議論に勝つためなら平気で口から出まかせを言う。それで討論相手を怯ませて議論に勝ったという印象を与える。討論相手も、討論を見ている人も、そこまで自信をもって言っているのだからウソではないだろうと思い込んでしまう。しかし、後々発言内容に関する事実を精査してみると、全くの出鱈目だったという経験を私は多くしている。ただ、普通の人は後で事実を精査することをしない。そのため、左翼の発したウソが正しいと後々まで信じてしまうことになる。
左翼中核層は、社会的に自分たちのウソが信じられやすいようにするための布石も打っている。それは、全ての人は本質的に同じであるという世界観の流布である。彼らは、凶悪事件でも一貫して加害者を擁護する。犯罪者も、「たまたま置かれた環境が悪かっただけで、その本質は一般人と変わらない(サイコパスのような特殊な人間は存在しない)」と主張する。こうした世界観が世の中に広がれば広がるほど、平然とつくウソが信じられやすくなるので、プロパガンダが浸透しやすい社会環境が生まれる。
左翼プロパガンダのもう一つの大きな武器はマッチポンプ戦略である。左翼中核層の目的は社会の破壊であるが、それを実現するためには今の社会に対して多くの人々が不満を持つ必要がある。だから、人々の社会に対する不満を煽って、それを政治的原動力にする。逆に、社会の秩序が維持されつつ、人々の不満が解消するのを左翼は最も嫌う。米国で黒人の失業率を下げたトランプ大統領が、米国の左翼にますます忌み嫌われるのはそのためである。
社会に不満の種がないときは、自分で火をつけることも厭わないのが、左翼運動の怖さである。そして、その容疑を平然と他者に振り向け、自分は不満解消のために働く正義の人であるかのように演出する。そんなに簡単に人は騙されないと思うなら、10年前のことを思い起こしてほしい。消えた年金問題も、現場で実際に問題を起こしていたのは自治労の組合員たち(民主党の支持母体)である。民主党はそれを使って政府を攻撃し、政権交代を実現させた。
米国の民主党も、その戦略は酷似している。現在、米国の左翼は不法移民も積極的に国内に受け入れよと主張している。それを実行に移せば、安い労働力の流入により国内失業率が高くなるのは目に見えているが、それで社会的不満が高まるのが彼らにとっては好都合なのである。彼らの思い通りに事が運べば、高くなった失業率の責任は他に転嫁して、自分たちは失業者の保護政策を推進する正義の味方であるように振舞うだろう。
左翼のプロパガンダに騙されないために、彼らはわれわれと同じ良心を備えているとの認識を捨てる必要がある。その思い込みでできる油断の隙を彼らは突いてくる。良心の呵責がない人間は、どんな手段を使うことも躊躇しないので、その攻撃力は凄まじい。
ここで書いたことは、一部の事例を誇大に扱った陰謀説と思う人もいるかもしれない。次回は、ビッグデータに基づく客観的なエビデンスを提示することで、そうした疑念を解消したいと思う。
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