#素晴らしいエネルギーを受け止めて次に待つ人に伝え
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第13回常陸の国・里山&野外ワークショップ&マインドフルネスアート合宿【初秋特別編】(2023年9月18日-19日 in 茨城県常陸太田)

第13回常陸の国・里山&野外ワークショップ&マインドフルネスアート合宿【初秋特別編】 (2023年9月18日-19日 in 茨城県常陸太田) https://kanglohoops202309.peatix.com/view https://www.facebook.com/events/690266253005922
今年で12年目を迎えたオープン合宿。今回は、初秋特別編です。「160年の古民家荒蒔邸、300年の菊地邸などの里山古民家、1000年古神社で過ごす心鎮めるマインドフルネス、本格有機農体験、手仕事ワークショップ、深い森と滝散策リトリート、参加者との交流ダイアローグ、創業200年八幡太郎義家ゆかりの湯で心と体を癒すなど、今年もゆったりと過ごす企画にする予定です。
茨城県の常陸の国は、元は日高見国とされていた土地。7世紀に令制国として常陸国が誕生。『常陸国風土記』によれば大化の改新(645年)直後に創設されました。ここは、古い里山だけに多くの文化遺産が残っています。昨年には、NHKの朝ドラマのあの「ひよっこ」の舞台にもなりました。今回は、天候、状態にもよりますが、御岩神社への巡礼も行う予定です。
そして、160年古民家荒蒔邸を拠点に、ゆったりとマインドフルネスな時間を体験をします。地元でも秘境の深い森や滝、古神社でゆっくりと過ごします。また、就農25年目となる布施大樹さんと美木さんご夫妻の経営する有機栽培農園「木の里農園」の有機野菜と共に、夜は本物の火や囲炉裏を囲んだ談義と自分達で仕込んだ自然食を頂き下鼓を打ち、焚火の灯で温まりながら、夜の思い出を刻みます。今も住人が住み続ける300年を超える古民家「菊地邸」(ご主人の話を聴けるかな?)で安土桃山時代の空気を味わいます。
このような素晴らしい里山で2日間共に過ごす程、贅沢な時間はないでしょう。里山の人たちとの交流や自然・大地の恵みを得ながら、ライフコーチ、スピリチュアルカウンセラー、アーティストの森夕花先生と共に人生の本���の目的を思い出し、明日への道を見出したいと考えています。今回も素晴らしい機会となることを確信しています。ご参加をお待ちしております。
主催:カングロ株式会社 HOOPS!事業部 https://www.facebook.com/hoops.kanglo
■旅の案内人: ★マインドフルネス&ライフコーチング担当:森夕花(もりゆうか)先生 ●ライフコーチ/アーティスト/カングロ(株)取締役執行役員、尚美高等音楽学院ピアノ科卒業 京都芸術大学芸術学部卒業。ピアノ、声楽、シナリオ、演劇、ジャズダンス、日本舞踊などの自己表現を通して自分自身を探求する。1993年ドイツ、イタリアへの留学。その後、21世紀に入り、ハワイ、セドナ、インドのアシュラムを巡礼する。心理学、哲学、美学、手相、インド占星術、代替医療(中医学・ヒーリング)などを学び、 ヒーリングカウンセラーとして23年間、企業のライフコーチとして9年間、セッション、研修を行う。現在、「大人のためのアート思考講座」「Philoarts研究会」を主宰。趣味は、声楽、読書、人間観察、そば栽培、ヨガ、瞑想。特技、人・動物の心を読む、直観力、探求。好きな言葉は、「自由」「日日是好日」
★企画&案内人担当:藤井啓人(ちょろお) ●茨城県東海村出身。高卒後、上京し新聞配達をしながら予備校に通い筑波大学に入学。4年間、体育会硬式野球部に所属し選手と2軍監督を経験。1992年に株式会社リクルート入社。12年間、組織・人事コンサルティング事業に従事し、約2000社の企業の変革に携わる。社内表彰制度で全国MVP・部門MVPの受賞計8回。2004年に独立し、事業再生コンサルティングのマネジメントリコンストラクション社を設立。2010年5月カングロ株式会社 代表取締役に就任。独自のサステナビリティ・イノベーティブ・コンサルティング事業を開始。米国で「今最も羨望の注目を浴びる企業」とされるオンライン・リテーラーのザッポス社のハピネス経営、「社員をサーフィンに行かせよう」「レスポンシブルカンパニー」の題材となっているアウトドア用品メーカーの米パタゴニ��社を研究し続け、約1000社3000名のビジネスパーソンにセミナーや勉強会等でその真髄を伝えている。2013年には西アフリカのナイジェリア連邦共和国にて合弁会社を設立し、水問題、エネルギー問題、食糧問題、環境問題を日本のテクノロジーで解決するソーシャルビジネス事業も行う。実地の中から発信される指南は、斬新・先駆的でかつパワフルであり、魂を揺さぶるものとなっている。2013年以降、システムD研究会、自転車事故防止委員会、セブメディの会を設立。2015年より同士と共に「懐かしい未来プロジェクト(HOOPS!)」「サステナ塾」を開始し、持続可能な地域社会の実現のために人間本来の役割を思い出すためのあらゆる「体験」の場と機会を提供している。自転車のある生活をこよなく愛し、年間約1万kmを走破する。マラソンランナー、トライアスリート。趣味はゴミ拾い、俺のベランダ菜園。
★有機野菜:木の里農園 http://konosato.com/
■開催日:2023年9月18日(月)- 19日(火)1泊2日 ※下記集合場所に10時頃に集まり、翌日16時頃に現地解散予定です
■集合場所: 道の駅さとみ(茨城県常陸太田市小菅町694-3) http://www.hitachiota-michinoeki.jp/page/dir000003.html
■スケジュールイメージ: ※天候などの状況により変更となる場合があります <8月26日(土)> *10時:集合場所(道の駅さとみ) ※電車組は、JR常磐線東海駅からの送迎有り *10時15分~:手打ち蕎麦ワークショップ *12時~13時:自分の打った蕎麦で昼食&オリエンテーション *13時15分:大中町の荒蒔邸へ移動しチェックイン ・1000年以上前に建立された大中神社にご挨拶 *13時30分~22時頃: ※概ね下記のメニューをゆるりと実施していきます。 ・里美の滝散策(美しい秘境の滝を巡ります) ・300年古民家「菊地邸」訪問 ・全員で夕食準備&自然食料理での夕食&片付け ・荒蒔邸の囲炉裏と焚火を囲んでのダイアローグ(対話) ・横川温泉 中野屋旅館 で入浴(入湯料は個別清算) *22時頃:自由時間 *23時頃:就寝
<8月27日(日)> *06時:起床~朝のさんぽ(朝陽を拝むマインドフルネスウォーク) *07時:全員で朝食準備&朝食(禅イーティング)&片付け *09時~:森夕花先生のマインドフルネスアートセッション *11時~:清掃・片付けをし移動 *12時~:御岩神社巡礼 *14時~:ゆっくり昼食&対話&クロージング *16時頃:解散(電車組は近場のJR常磐線内の駅まで���迎します)
■宿泊場所: 里美 160年古民家の宿「荒蒔邸」 茨城県常陸太田市大中町1547 【地図】https://www.aramakitei.com
■当イベントの参加資格:どなたでもご参加可能です。 お気軽にお申し込みください。以下は参考です。 どなたでもご参加可能です。お気軽にお申し込みください。 ※エコビレッジ、パーマカルチャー、トラジションタウン、半農半X、 スローライフ等に関心のある方 ※マインドフルネス、スピリチュアル、メディテーション、ヨガ、 リトリート等に関心のある方 ※お子様は、小学生高学年以上が良いと思います(過去参加有)。 お子様を同伴されたい方は、事務局に事前にご相談下さい。
■参加料:お一人様 3万800円(税込)※小中大学生は1万5400円(税込) ※上記には、参加費、宿泊費、夕食のBBQ及び翌日の朝食付き代が含まれています (アルコールは最低限用意をしますが、多めに飲まれる方は持参頂いています) ※上記には、交通費、夕・朝食以外の食事、入湯料、工芸料などは含まれておりません ※小中高大生はお一人様半額となります(お子様同伴の方は、事前にご相談下さい) ※必要に応じ、領収書をご用意致します
■注意事項:※必ず目を通しておいて下さい ※コロナ対策のご準備をお願い致します ※当企画は、現地集合・現地解散企画です ※電車組は、JR常磐線「東海駅」にてピックアップ致します ※宿泊は、状況に応じ、女性専用部屋を用意します(枕、敷/掛布団あり) ※横川温泉 中野屋旅館 で入浴(入湯料は500円、個別清算となります) http://www.satomi-nakanoya.com ※工芸ワークショップは「常陸蕎麦・本格手打ち蕎麦教室」を予定(昼食込みで一人2000円程度) ※参加者同士、車での乗り合いをお勧めしております ※参加料は、事前振込制となっております(申込後にお知らせ致します) (前日キャンセルは50%、当日100%のキャンセル料を徴収致します)
■定員:8名限定 ※先着順。定員になり次第締切ります。 ※最小携行人数は5名。参加者が5名を下回る場合、開催を見送る場合があります。 ※小学生未満同伴の場合は、事前にご相��下さい。
■当イベントの申込方法【重要】: ※ 下記をご一読いただきお申込み下さい。 ①下記URLの申込フォー��により正式エントリー 申込フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSft1YNO6SP4C-YGlgpacoHgGK-wLQ9t-NOybyJuhsVg8sNbjg/viewform
②お申込後、24時間以内に参加受付受領のe-mailを事務局よりご返信させて頂きます。 e-mail: [email protected]
③②の返信メール内にある振込み先に前日までにご入金
(現地でのお支払いも可能です)
④これにて「申込完了」となります。
■協力:木の里農園さん、地元の仲間たち ■主催:カングロ株式会社 HOOPS!事業部 https://www.kanglo.co.jp
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昨日の夏至に持ち前の明るさでポジティブエネルギー!✨ #素晴らしいエネルギーを受け止めて次に待つ人に伝え #常に動き循環を作り出し走りながら発展的に考える #多くの人に癒しと解放を促していくという使命に #どうやら専念する時期に突入したようですので #今後益々精進しお役目はたせるよう致します #昇龍祈願法要に行った翌日に早速良い流れ #龍神さまのお力もいただきながら転換期 #見えない世界と見える世界を繋ぐもの #宇宙と自然と八百万の神々と自分と #この地球を愛と光の惑星にします #今が楽しくてワクワクすること #すべては波動からなっている #意識の集合体が世界平和に #自然セラピーコーチング #自然を守りつながれば #思いのままに生きる #新しい自分を開花 #見えない世界と #見える世界を #融合させて #どこでも #自由に #生き #愛 #光 #神 https://www.instagram.com/p/CQZ3elwNrUq/?utm_medium=tumblr
#素晴らしいエネルギーを受け止めて次に待つ人に伝え#常に動き循環を作り出し走りながら発展的に考える#多くの人に癒しと解放を促していくという使命に#どうやら専念する時期に突入したようですので#今後益々精進しお役目はたせるよう致します#昇龍祈願法要に行った翌日に早速良い流れ#龍神さまのお力もいただきながら転換期#見えない世界と見える世界を繋ぐもの#宇宙と自然と八百万の神々と自分と#この地球を愛と光の惑星にします#今が楽しくてワクワクすること#すべては波動からなっている#意識の集合体が世界平和に#自然セラピーコーチング#自然を守りつながれば#思いのままに生きる#新しい自分を開花#見えない世界と#見える世界を#融合させて#どこでも#自由に#生き#愛#光#神
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Anytime, Ainutime!体験記①プロローグ
身近すぎるからこそ…
初めて行った阿寒は、中学校の研修旅行だった。
北海道内でも屈指、蛇のごときワインディング・ロード「阿寒横断道路」を超えた先、温泉の湯気とともに漂う独特の異世界感。
約15万年前の噴火により生まれた阿寒湖と、マリモとの遭遇。昭和レトロな旅館で大騒ぎしたこと、地元・知床とは比較にならないほど軒を連ねる民芸品店に仰天したこと、悩んだ末にマリモ羊羹をお土産に買って帰ったこと。そんな他愛もない、断片的な記憶がある。
▼1934年、阿寒国立公園のポスター第1号(via. 弟子屈なび)
▲こちらも昭和の観光ポスター。アイヌのお姉さんがムックリを弾く姿がかわいい。阿寒湖の典型的なイメージのひとつ。
その後、再び阿寒との縁が生まれたのはここ5、6年ほどのこと。
ナチュラリストの友達の誘いで、きのこ・粘菌写真家でもある自然ガイド新井文彦さんの案内で森を散策したり(きのこ観察に絞ったツアー、めちゃくちゃ楽しかった!)阿寒町商工会青年部主催のハイキング(地場産食材のランチバイキングが素晴らしい…あまり教えたくない…)に参加したりと、断続的に遊びに行っていた。
…とは言うものの、実はこれまで阿寒湖の代名詞でもあるアイヌ文化に触れる観光は、ほぼしていない。
興味がないわけではなく、むしろ、アイヌの歴史や文化は道産子の自分にとっては身近なものだ。そもそも道内の地名に代表されるように、アイヌ語ルーツの言葉も周囲にあふれている。言い訳すると、当たり前に受け止めてきたからこそ、あらためて向き合う機会を逃してきたといえる。
かつて、関口宏が司会の「知ってるつもり?!」という教養番組があったが、まさにそんな心持ちでこのほど、阿寒湖でアイヌ文化ガイドツアー「Anytime, Ainutime!」に参加してきた。
阿寒湖温泉のアイヌコタンを舞台に、「森」「湖」「ものづくり」の3つの要素を通して、一日いっぱいアイヌ文化を体験する試みだ。
コタンはアイヌ民族が暮らす集落を指し、阿寒湖は36戸、約120人からなる道内最大のアイヌコタンとして知られている。ガイドは、そこに暮らすアイヌの方々。もうそれだけで気持ちが引き締まる。
ぶらり、夜の阿寒湖温泉
せっかくだから身も心も阿寒にどっぷり浸ろうと、張り切って前日入りした。
霧の阿寒横断道路を冷や汗をかきながら車でひた走り、ホテルのチェックインもそこそこに「Anytime, Ainutime!」ツアーの前哨戦として、「阿寒の森ナイトウォーク カムイルミナ」と「阿寒ユーカラ ロストカムイ」を体験した。
いずれも2019年から始まった取り組みで、カムイルミナは阿寒湖のほとりにある「ボッケの森」を舞台にした散策型のアトラクションだ。
ちなみに、ボッケとはアイヌ語で「煮え立つ場所」。熱い泥が地下から噴出する、地質現象の「泥火山」があることを指している。まさに阿寒の大地のエネルギーが感じられるスポット。
森の中ではアイヌのユーカラ(叙事詩)をベースにしたプロジェクションマッピングが展開され、光と音と動植物の物語に彩られた約1.2㎞の道のりを歩く。
案内役のフクロウに誘われる内に、さながらRPGの主人公になった感覚に陥り、心と体がバチバチに覚醒してしまった���今日、眠れるだろうか…。
続いて「ロストカムイ」。
阿寒湖アイヌシアター「イコロ」で行われる、アイヌ古式舞踊とデジタルアートが融合した演目だ。
動植物はもちろん、自然現象のあらゆるものにカムイ(神)があると信じられているアイヌの世界観を表現した舞台で、特に敬ってきた「ホロケウカムイ(アイヌ語で「狩りをする神」。エゾオオカミを指す)」にスポットを当てている。
youtube
「天から役目なしに降ろされたものは一つもない」…アイヌのことわざから伝わる、(人間の都合で絶滅させられた)エゾオオカミへの思い、そして自然と人間の共生への願いが凝縮された渾身のパフォーマンス。
特に、女性たちが長い黒髪をバッサバッサと振り回して、嵐で揺れる松の木を表現した古式舞踊「黒髪の踊り」の肉体的グルーヴ感にすっかり魅了されてしまった。
アイヌの人々はこうして、歌で、踊りで、心身に動植物のスピリットを刻みこんできたのだろう。
「Anytime, Ainutime!」のプロローグとして、最高の夜を満喫した。
帰り道、ぶらり温泉街。
非日常の世界へ誘う気満々のアイヌコタン入り口。 阿寒湖周辺では工芸品に目を奪われて、なかなか宿までたどり着かない。

コタンの「実践工房アシリ」さんでは、作りかけの作品を見せてもらった。かっこいい。
「来たぜ阿寒…」と実感させられる建物。
Anytime, Ainutime!「湖の時間」
さて、前置きが長くなりましたが。いよいよ、翌朝から「Anytime, Ainutime!」ツアーが始まった。私のほかの参加者は、札幌で子ども服ブランドや旅行会社を営んでいるイギリス人のピタさんと、同じく札幌在住、会社員の傍ら北海道内の観光や生活の情報を発信している、台湾人のベアさん。
朝のアイヌコタンは、昨夜の幻想的ムードとは打って変わった爽やかさ。
合流して歩き出してからすぐに、ピタさんとベアさんが「あっ!!」と同じ場所で立ち止まって大喜びしている。
おねだりきつね。 観光客のSNSなどで人気らしい。知らないこと色々あるなあ…。
集合場所のアイヌシアターイコロに到着すると、今日のガイドの一人、アイヌ民族の自然ガイドで木彫作家、瀧口健吾さんが民族衣装をまとって待っていた。かっこいい。
「これから皆さんに、ムックリを作ってもらいます」
わー…学生時代、技術の授業が一番苦手だったんだよな…と、一瞬ひるむが、何のために自宅から100㎞の道のりをドライブしてきたのだ!と己に喝を入れる。
<次回予告> 果たしてムックリは無事作れたのか?そして鳴らせたのか?期待半分でお楽しみに。12/12(日)更新予定。
▶️アイヌ文化ガイドツアー「Anytime, Ainutime!」
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一 はじめに
(日本オリンピック) 五輪史上初の衛星生中継。世界が見守る中、聖火を手に、国立競技場に入ってきたのは、最終ランナーの坂井義則(よしのり)さんでした。 八月六日広島生まれ。十九歳となった若者の堂々たる走りは、我が国が、戦後の焼け野原から復興を成し遂げ、自信と誇りを持って、高度成長の新しい時代へと踏み出していく。そのことを、世界に力強く発信するものでありました。 「日本オリンピック」。坂井さんがこう表現した六十四年大会は、まさに、国民が一丸となって成し遂げました。未来への躍動感あふれる日本の姿に、世界の目は釘付けとなった。 半世紀ぶりに、あの感動が、再び、我が国にやってきます。 本年のオリンピック・パラリンピックもまた、日本全体が力を合わせて、世界中に感動を与える最高の大会とする。そして、そこから、国民一丸となって、新しい時代へと、皆さん、共に、踏み出していこうではありませんか。
(新しい時代へ踏み出す) 「日本はもう成長できない」。七年前、この「諦めの壁」に対して、私たちはまず、三本の矢を力強く放ちました。その果実を活かし、子育て支援、教育無償化、更には働き方改革。一億総活躍社会を目指し、まっすぐに進んでまいりました。 厳しさを増す安全保障環境を直視しながら、平和安全法制を整備し、防衛力を抜本的に強化しました。地球儀を俯瞰(ふかん)する視点で、世界を駆け回り、ダイナミックな日本外交を展開してきました。 我が国は、もはや、かつての日本ではありません。「諦めの壁」は、完全に打ち破ることができた。その自信と誇りと共に、今、ここから、日本の令和の新しい時代を、皆さん、共に、切り拓いていこうではありませんか。
二 復興五輪
二〇二〇年の聖火が走り出す、そのスタート地点は、福島のJヴィレッジです。かつて原発事故対応の拠点となったその場所は、今、我が国最大のサッカーの聖地に生まれ変わり、子どもたちの笑顔であふれています。 常磐自動車道に続き、本年三月、JR常磐線が全線開通します。これに合わせ、双葉町、大熊町、富岡町の帰還困難区域における避難指示の一部解除に向け、準備を進めます。 浪江町では、世界最大級の、再生エネルギーによる水素製造施設が、本格稼働します。オリンピックでは、このクリーンな水素を燃料とする自動車が、大会関係者の足となります。そして、大会期間中、聖火を灯し続けます。リチウムイオン電池、AIロボット。未来を拓く産業が、今、福島から次々と生まれようとしています。 津波で大きな被害を受けた、宮城県を訪れる外国人観光客は、震災前の二倍を超えました。岩手県では三倍となっています。昨年九月に陸前高田市で開業したばかりの道の駅では、僅か一か月で十万人の観光客が訪れ、賑(にぎ)わいを見せています。 来年度で復興・創生期間は終了いたしますが、次のステージに向け、復興庁を司令塔に、政治の責任とリーダーシップの下で、福島の本格的な復興・再生、東北復興の総仕上げに、全力で取り組んでまいります。 九年前、ファーディーさんは、ラグビーチームの一員として、釜石で、東日本大震災を経験しました。 「ここで帰ったら後悔する」 オーストラリア大使館から避難勧告を受け、家族から帰国を勧められても、ファーディーさんは、釜石に残り、救援物資の運搬、お年寄りや病人の搬送。困難に直面する被災者への支援を続けました。 その感謝の気持ちと共に、本年、釜石は、オリンピック・パラリンピックに際し、オーストラリアのホストタウンとなります。岩手県野田村は台湾、福島県二本松市はクウェートなど、二十九の被災自治体が、支援を寄せてくれた人々との交流を深めます。 心温まる支援のおかげで力強く復興しつつある被災地の姿を、その目で見て、そして、実感していただきたい。まさに「復興五輪」であります。 東日本大震災では、百六十三の国と地域から支援が寄せられました。我々が困難の時にあって、温かい支援の手を差し伸べてくれた世界の方々に、改めて、今、この場から、皆さんと共に、感謝の気持ちを表したいと思います。
三 地方創生
(観光立国) 全体で五百近い市町村が、今回、ホストタウンとなります。これは、全国津々浦々、地域の魅力を世界に発信する、絶好の機会です。 北は北海道から、南は沖縄まで。アイヌの皆さんが受け継いできた伝統音楽や食文化、琉球舞踊など、我が国が誇る全国各地の地域文化に触れていただく「日本博」を、本年、開催いたします。 国の文化財を積極的に活用できる制度を設け、地域のアイデアによる観光地づくりを後押しします。自家用車による有償の運送サービス制度について規制緩和を行い、外国人観光客の皆さんの地方での足もしっかりと確保いたします。 首里城の一日も早い復元に向け、全力を尽くします。三月には、那覇空港第二滑走路の供用を開始します。発着枠を十万回以上拡大することにより、アジアのゲートウェイ���して、沖縄の振興に取り組んでまいります。 オリンピック・パラリンピックに向けて、サイバーセキュリティ対策、テロなど組織犯罪への対策に万全を期すことで、安全・安心をしっかり確保いたします。五年後の大阪・関西万博も視野に、多言語化、Wi‐Fi環境の整備など、観光立国の基盤づくりを一気に進めます。高い独立性を持った管理委員会の下、厳正かつ公平・公正な審査を行いながら、複合観光施設の整備に取り組みます。 更には、外国人観光客の多様なニーズに応える宿泊施設など世界に冠たる観光インフラを整え、二〇三〇年六千万人目標の実現を目指します。
(農産物輸出) 世界に目を向けることで、地方に新しいチャンスが広がります。 昨年、EUへの牛肉やコメの輸出は、約三割増えました。TPP諸国への乳製品の輸出も、二割を大きく上回る伸びとなりました。甘い「紅はるか」は、シンガポールやタイで大人気です。さつまいもの輸出は、昨年、四割以上増加しました。 先月、中国への牛肉輸出について、解禁令が発出されました。今月発効した日米貿易協定も活かし、おいしくて、安全な、日本の農林水産物の世界への挑戦を、力強く後押しいたします。 農地の大規模化、牛の増産や、水産業の生産性向上など、三千億円を超える予算で、生産基盤の強化を進めます。販路開拓など海外への売り込みを支援します。 神戸牛、ルビーロマン、ゆめぴりか。農家の皆さんの長年にわたる努力の結晶である、日本ブランドを、海外流出のリスクからしっかりと守ります。 CSF対策を一層強化します。野生動物の感染が発見された場合にも、家畜伝染病予防法に基づき、移動制限などのまん延防止措置を実施できるようにします。ASFについても、海外から持ち込まれる肉や肉製品の検疫を強化し、水際対策を徹底します。
(地方創生) 昨年の台風十九号では八ッ場ダムが利根川の被害防止に役立ちました。水力発電や農業用水などを目的とするダムについても、緊急時には省庁の縦割りを打破し、一元的に活用するための対策を、全ての一級河川を対象に、この夏までに取りまとめます。 相次ぐ自然災害の教訓を活かし、全国で、川底の掘削、堤防の整備、無電柱化を進めます。送電線の計画的な更新、電力会社、自衛隊、自治体の平時からの連携などにより、強靱(じん)な電力供給体制を構築します。防災・減災、国土強靱(じん)化を進め、災害に強い��郷(ふるさと)を創り上げてまいります。 東京から鉄道で七時間。島根県江津市は「東京から一番遠いまち」とも呼ばれています。二十年以上、転出超過が続き、人口の一割に当たる二千八百人が減少した町です。 しかし、若者の起業を積極的に促した結果、ついに、一昨年、転入が転出を上回り、人口の社会増が実現しました。 原田真宜(まさのり)さんは、パクチー栽培を行うため、東京から移住してきました。農地を借りる交渉を行ったのは、市役所です。地方創生交付金を活用し、起業資金の支援を受けました。農業のやり方は地元の農家、販路開拓は地元の企業が手助けしてくれたそうです。 「地域みんなで、手伝ってくれました」 地域ぐるみで若者のチャレンジを後押しする環境が、原田さんの移住の決め手となりました。 「地方にこそ、チャンスがある」。そう考え、地方に飛び込む若者を、力強く応援してまいります。東京から地方に移住して起業・就業する場合に最大三百万円支給する制度を、更に使いやすくします。「移住支援センター」を全国一千の市町村に設置し、移住へのニーズを実際の人の動きへとつなげてまいります。 都市に住む皆さんの地方での兼業・副業を促すため、人材のマッチングや移動費の支援を行う新たな制度を創設します。関係人口を拡大することで、将来的な移住につなげ、転出入均衡目標の実現を目指します。 企業版ふるさと納税を拡充し、地方における魅力ある仕事づくりを一層強化します。独占禁止法の特例を設け、まちづくりの基盤である地方の金融サービス、交通サービスをしっかりと維持・確保してまいります。地方の創意工夫を、一千億円の地方創生交付金で、引き続き応援します。 若者が将来に夢や希望を持って飛び込んでいくことができる。地方創生の新しい時代を、皆さん、共に、創り上げようではありませんか。
四 成長戦略
(中小・小規模事業者) 「東洋の魔女」が活躍したバレーボール。そのボールを生み出したのは、広島の小さな町工場です。その後、半世紀にわたり、その高い技術を代々受け継ぎ、今なお、五輪の公式球に選ばれ続けています。 全国各地の中小・小規模事業者の皆さんが、長年培ったオンリーワンの技術で、地域経済を支えています。しかし、経営者の多くが六十歳を超え、事業承継は待ったなしの課題であります。そして、若い世代の承継を阻む最大の壁が、個人保証の慣行です。 この春から、先代の経営者と後継者から個人保証を取る、いわゆる二重取りを原則禁止いたします。商工中金では、今月から、年間三万件、二兆円の新規融資について、個人保証なしの融資を原則とする運用を開始しました。 信用保証協会では、個人保証なしで後継者の皆さんの融資を保証する新制度を、四月からスタートします。経営の磨き上げ支援も行い、専門家の確認を得た���継者には、保証料をゼロとします。個人保証の慣行は新しい世代には引き継がないとの強い決意で、あらゆる施策を総動員してまいります。 七年前、十年ぶりの大改正を行った下請振興基準を、更に改正し、対象を拡大します。大企業に対しても、新たに金属産業、化学産業で、自主行動計画の策定を求めます。業界ごとの取引慣行に詳しい専門人材を下請Gメンに採用し、下請取引の更なる適正化に取り組んでまいります。 デジタル技術の進歩は、中小・小規模事業者にとって、販路拡大などの大きなチャンスです。デジタル取引透明化法を制定し、オンラインモールでの出店料の一方的引上げなど不透明な取引慣行を是正します。
(規制改革) IoT、ビッグデータ、人工知能。第四次産業革命の大きな変化の中で、デジタル時代の規制改革を大胆に進めます。 本年から、無人自動運転を解禁し、中山間地域の皆さんに、安全で便利な移動手段を提供します。自動制御ブレーキを備えたサポートカーに限定した新たな免許制度を設け、その普及を拡大します。 AIが解析するデータのボリュームが、競争力を左右する時代です。個人情報を匿名化し、その詳細な分析を可能とすることで、ビッグデータの世界をリードしてまいります。 フィンテックによる多様な決済サービスが登場する中、金融分野の業法による縦割り規制を抜本的に見直します。マイナンバーカードの取得を促し、来年度中に健康保険証としての利用を開始します。あらゆる行政手続の電子化を進め、対面での確認が必要なものなどを除き、二〇二四年度までに完了いたします。 技術の進歩による急激な変化に対し、消費者の安全・安心を確保していきます。個人データの利用停止を可能とするなど、個人情報保護を強化します。あおり運転を刑罰の対象とし、道路へのカメラ設置などにより、悪質な運転者の取締りを徹底します。空港施設へのドローン飛行を禁止し、飛行経路の安全を確保してまいります。
(イノベーション) 吉野彰(あきら)先生のノーベル化学賞受賞を、心よりお慶び申し上げます。 吉野先生に続く、未来を担う若手研究者に、大胆に投資します。自由な発想で挑戦的な研究に打ち込めるよう、資金配分を若手に思い切って重点化します。安定的なポストを確保し、海外留学を含めたキャリアパスを確立することで、若者が将来に夢や希望を持って研究の世界に飛び込める環境を整えます。 変化のスピードを先取りし、これまでにない価値を生み出す鍵は、ベンチャー精神です。大企業などからベンチャー企業への投資を税制で支援し、いわゆる自前主義からの発想の転換を図ります。国の研究機関によるベンチャー企業への出資を促すことで、蓄積された研究成果や技術を新しい産業へと成長させてまいります。 第四次産業革命がもたらすインパクトは、経済のみに��どまらず、安全保障をはじめ、社会のあらゆる分野に大きな影響を及ぼします。国家戦略としての取組が必要です。 その基盤インフラは、通信です。5G、ポスト5G、更にその先を見据えながら、大胆な税制措置と予算により、イノベーションを力強く後押しします。安全で安心なインフラが、これからも安定的に供給されるよう、グローバルな連携の下、戦略的に取り組んでいきます。 次世代暗号などの基盤となる量子技術について、国内外からトップクラスの研究者・企業を集める、イノベーション拠点の整備を進めます。 月を周回する宇宙ステーションの整備、月面での有人探査などを目指す新たな国際プロジェクトに、我が国として、その持てる技術を駆使し、貢献いたします。将来的な火星探査なども視野に、人類の新たなフロンティアの拡大に挑戦します。 Society 5.0の時代にあって、教育の在り方も、変わらなければなりません。本年から小学校でプログラミング教育を開始します。四年以内に、全ての小学生、中学生に一人一台のIT端末を揃(そろ)えます。企業エンジニアなど多様な外部人材を登用することで、新しい時代の教育改革を進めます。
(アベノミクス) 今般取りまとめた新しい経済対策は、まさに、安心と成長の未来を切り拓くものであります。事業規模二十六兆円に及ぶ対策を講じることで、自然災害からの復旧・復興に加え、米中貿易摩擦、英国のEUからの離脱など海外発の下方リスクにも万全を期してまいります。 日本経済は、この七年間で十三%成長し、来年度予算の税収は過去最高となりました。公債発行は八年連続での減額であります。経済再生なくして財政健全化なし。この基本方針を堅持し、引き続き、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化を目指します。 この六年間、生産年齢人口が五百万人減少する一方で、雇用は三百八十万人増加しました。人手不足が続く中で、最低賃金も現行方式で過去最高の上げ幅となり、史上初めて全国平均九百円を超えました。足元では、九割近い中小企業で、賃上げが実現しています。 雇用環境が好転している今、就職氷河期世代の皆さんの就業を、三年間集中で一気に拡大します。この世代に対象を絞った求人を解禁するなど、あらゆる施策を講じ、意欲、経験、能力を活かせるチャンスを広げていきます。 兼業や副業をやりやすくするため、労働時間に関するルールを明確化します。労働施策総合推進法を改正し、大企業に中途採用・経験者採用比率の開示を求め、多様で柔軟な働き方が可能となるよう、改革を進めます。 経済社会が大きく変化する中、ライフスタイルの多様化は時代の必然であります。今こそ、日本の雇用慣行を大きく改め、働き方改革を、皆さん、共に、進めていこうではありませんか。
五 一億総活躍社会
(全世代型社会保障) この春から、大企業では���同一労働同一賃金がスタートします。正規と非正規の壁がなくなる中で、パートの皆さんへの厚生年金の適用を更に広げてまいります。三千億円を上回る、ものづくり補助金、IT補助金、持続化補助金により生産性向上への支援、社会保険手続の負担軽減を行いながら、従業員五十人を超える中小企業まで段階的に拡大します。 高齢者のうち、八割の方が、六十五歳を超えても働きたいと願っておられます。人生百年時代の到来は、大きなチャンスです。働く意欲のある皆さんに、七十歳までの就業機会を確保します。 こうした働き方の変化を中心に据えながら、年金、医療、介護全般にわたる改革を進めます。 年金受給開始の選択肢を、七十五歳まで広げます。在職老齢年金についても、働くインセンティブを失わせることのないよう、見直しを行います。 二〇二二年には、いわゆる団塊の世代が七十五歳以上の高齢者となる中で、現役世代の負担上昇に歯止めをかけることは、待ったなしの課題です。 年齢ではなく、能力に応じた負担へと見直しを進めます。七十五歳以上であっても一定以上の所得がある方には、窓口での二割負担を新たにお願いすることを検討します。併せて、かかりつけ医機能の強化を図るため、大病院の受診に定額負担を求めることで、現役世代の負担上昇を抑えます。 医療や介護について、予防への取組を強化することで、いつまでも健康で、活躍できる社会づくりを行います。 子どもたちから、子育て世代、現役世代、そしてお年寄りまで、全ての世代が安心できる「全世代型社会保障制度」を目指し、本年、改革を実行してまいります。
(子育て支援) 子どもたちの未来に、引き続き、大胆に投資してまいります。 昨年の幼児教育・保育の無償化のスタートに続き、この四月から、真に必要な子どもたちの高等教育の無償化が始まります。私立高校の実質無償化も実現し、子どもたちの誰もが、家庭の経済事情にかかわらず、夢に向かって頑張ることができる社会を創り上げてまいります。 保育の受け皿整備を進め、待機児童ゼロを実現します。これまでの取組により、待機児童の数は、昨年、調査開始以来、最少となりました。いまだゼロが実現できていない自治体には、保育ニーズに応じた整備計画の策定を求め、取組を強化していきます。 妊娠、出産、子育てへの切れ目ない支援を行います。来年春までに、子育て世代包括支援センターを全ての市町村に設置します。所得の低いひとり親世帯への支援を拡大し、子育てしやすい社会づくりを更に強化します。「希望出生率一・八」の実現を目指し、深刻さを増す少子化の問題に真正面から立ち向かってまいります。
(一億総活躍社会) 我が国には、意欲と能力あふれる女性たちがたくさんいます。全ての女性に活躍のチャンスを創り、その持てる可能性を十二分に開花することができれば、日本の経済社会は一変するはずです。 この六年で、女性の就業者数は、新たに二百九十万人増加しました。就業率は、二十五歳以上の全ての世代で米国を上回っています。M字カーブは確実に解消に向かっています。引き続き、女性活躍の旗を高く掲げ、女性の皆さんが働きやすい環境づくり、女性リーダーの拡大に向けた取組を一層進めます。更に、民間シェルター支援によるDV対策などに取り組んでまいります。 女性も男性も、若者もお年寄りも、障害や難病のある方も、更には一度失敗した方も、誰もが多様性を認め合いその個性を活かすことができる社会、思う存分その能力を発揮できる社会を創る。一億総活躍社会の実現こそが、まさに少子高齢化を克服する鍵であります。 バリアフリー社会の実現に向けて、公共交通機関における取組を強化します。耳の聞こえない方に対する、無償で手話通訳を利用できる電話リレーサービスを整備します。重度障害者の皆さんの就労の意欲を後押しするための仕組みを強化します。 「その能力は磨けば無限である。」 中村裕(ゆたか)医師は、長年、障害者雇用に熱心に取り組んでこられました。 「身障者の社会進出のためにもスポーツを奨励しなければならない。」 中村先生の情熱によって、一九六四年、東京パラリンピック大会が実現しました。その後、パラリンピックは四年おきに継続的に実施されるようになりました。中村先生の思いは受け継がれ、半世紀以上の時を経て、再び、日本へと帰ってきます。 本年のパラリンピックを、世界中の人々に夢や感動を与える、素晴らしい大会とする。障害のある皆さんが、世界で最もいきいきと生活できる国・日本を、皆さん、共に、創り上げようではありませんか。
六 外交・安全保障
(積極的平和主義) 日本が、初めてオリンピック精神と出会ったのは、明治の時代であります。その時の興奮を、嘉納治五郎はこう記しています。 「世界各国民の思想感情を融和し以て世界の文明と平和とを助くる」 オリンピック・パラリンピックが開催される本年、我が国は、積極的平和主義の旗の下、戦後外交を総決算し、新しい時代の日本外交を確立する。その正念場となる一年であります。 日朝平壌宣言に基づき、北朝鮮との諸問題を解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指します。何よりも重要な拉致問題の解決に向けて、条件を付けずに、私自身が金正恩委員長と向き合う決意です。 もとより、我が国の国民の生命と財産を守るため、毅(き)然として行動していく。その方針はしっかりと貫いてまいります。米国、韓国をはじめ国際社会と緊密に連携してまいります。 北東アジアの安全保障環境が厳しさを増す中で、近隣諸国との外交は、極めて重要となっています。韓国は、元来、基本的価値と戦略的利益を共有する最も重要な隣国であります。であればこそ、国と国との約束を守り、未来志向の両国関係を築き上げることを、切に期待いたします。 プーチン大統領と長門で合意した、元島民の方々の航空機によるお墓参り、そして四島での共同経済活動は、着実に前進しています。一九五六年宣言を基礎として交渉を加速させ、領土問題を解決して、平和条約を締結する。この方針に、全く揺らぎはありません。私と大統領の手で、成し遂げる決意です。 日本と中国は、地域と世界の平和と繁栄に、共に大きな責任を有しています。その責任をしっかり果たすとの意志を明確に示していくことが、今現在の、アジアの状況において、国際社会から強く求められています。首脳間の往来に加え、あらゆる分野での交流を深め、広げることで、新時代の成熟した日中関係を構築してまいります。
(安全保障政策) いかなる事態にあっても、我が国の領土、領海、領空は必ずや守り抜く。安全保障政策の根幹は、我が国自身の努力に他なりません。 この春から、航空自衛隊に「宇宙作戦隊」を創設します。更には、サイバー、電磁波といった新領域における優位性を確保するため、その能力と体制を抜本的に強化してまいります。 昨日、日米安全保障条約は、改定の署名から六十年を迎えました。日米同盟は、今、かつてなく強固なものとなっています。その深い信頼関係の下に、二〇二〇年代前半の海兵隊のグアム移転に向け、施設整備などの取組を進めます。抑止力を維持しながら、沖縄の基地負担軽減に、一つひとつ結果を出してまいります。 日米同盟の強固な基盤の上に、欧州、インド、豪州、ASEANなど、基本的価値を共有する国々と共に、「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指します。
(国際社会の課題解決) この七年間、八十の国・地域を訪問し、八百回を超える会談を重ねてまいりました。各国首脳との信頼関係の上に、国際社会が直面する共通課題の解決に向け、世界の中で、主導的な役割を果たしていく覚悟です。 中東地域における緊張の高まりを深く憂慮します。我が国は、全ての関係者に、対話による問題解決と自制的な対応を求めます。これまで培ってきた中東諸国との友好関係の上に、この地域の緊張緩和と情勢の安定化のために、これからも、日本ならではの平和外交を粘り強く展開いたします。エネルギー資源の多くをこの地域に依存する我が国として、こうした外交努力と併せて、自衛隊による情報収集態勢を整え、日本関係船舶の安全を確保します。 自由貿易の旗手として、二十一世紀の経済秩序を世界へと広げてまいります。EUから離脱する英国とも、速やかに通商交渉を開始します。TPPの更なる拡大や、インドを含めたRCEP交渉を主導します。データ流通の新たな国際ルールづくりを、大阪トラックでリードしていきます。 G20で合意したブルー・オーシャン・ビジョンには、既に五十九の国から賛同を得ています。この流れを更に世界へと広げていくことで、二〇五〇年までの海洋プラスチックごみによる新たな汚染ゼロの実現を目指します。 我が国は、五年連続で温室効果ガスの削減を実現いたしました。二〇一三年度比で十一・八%の削減は、G7の中で英国に次ぐ削減量です。長期戦略に掲げた脱炭素社会を早期に達成するため、ゼロエミッション国際共同研究拠点を立ち上げます。米国、EU��どG20の研究機関の叡智(えいち)を結集し、産業革命以来増加を続けてきたCO2を、減少へと転じさせる、「Beyondゼロ」を目指し、人工光合成をはじめ革新的イノベーションを牽(けん)引します。 世界の平和と安定、自由で公正で開かれた国際ルールの構築、気候変動をはじめとした地球環境問題への挑戦。より良き世界の実現に向かって、新しい時代の日本外交の地平を、皆さん、共に、切り拓いていこうではありませんか。
七 おわりに
「人類は四年ごとに夢をみる」 一九六四年の記録映画は、この言葉で締めくくられています。新しい時代をどのような時代としていくのか。その夢の実現は、今を生きる私たちの行動にかかっています。 社会保障をはじめ、国のかたちに関わる大改革を進めていく。令和の新しい時代が始まり、オリンピック・パラリンピックを控え、未来への躍動感にあふれた今こそ、実行の時です。先送りでは、次の世代への責任を果たすことはできません。 国のかたちを語るもの。それは憲法です。未来に向かってどのような国を目指すのか。その案を示すのは、私たち国会議員の責任ではないでしょうか。新たな時代を迎えた今こそ、未来を見つめ、歴史的な使命を果たすため、憲法審査会の場で、共に、その責任を果たしていこうではありませんか。 世界の真ん中で輝く日本、希望にあふれ誇りある日本を創り上げる。その大きな夢に向かって、この七年間、全力を尽くしてきました。夢を夢のままで終わらせてはならない。新しい時代の日本を創るため、今日、ここから、皆さん、共に、スタートを切ろうではありませんか。 御清聴ありがとうございました。
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第34話 『旧き世に禍いあれ (2) - “ブラストフォート城塞"』 Catastrophe in the past chapter 2 - “Blastfort Citadel”
ブラストフォート城塞を見渡せば、『城』という華やかな言葉の印象とは遠い、石造りの堅牢な風貌は砦のそれと言っていいだろう。
スヴェンはこの建造物も元は修道院だったと噂では聞いていた。ただ、城塞に研究所を設けた時には既に砦として使われていて、実際のところどうだったかは、皆目見当がつかない。むしろ験を担いだ誰かの作り話ではないかと考えていた。作り変えられた施設にしては、礼拝堂だったと見られる建物もなく、険しい斜面をわざわざ切り出して作られた来歴の割には、この地に作られた由来すら記録に残されていないのも疑念の余地がある点だった。
城塞と名を冠しながらも、城壁の内側に市街はない。居並ぶのは兵舎や倉庫、そして厩舎などの背の低い軍用の建物で、全てが同じように暗い色をしていた。
はぁと深い息を吐く。その息は白く、スヴェンは体をぶるりと震わせた。外套の襟を直し、足を早める。
短い秋は瞬く間に過ぎ去り、もうすっかりと冬だ。視界に入る山岳はすっかりと白い雪に閉ざされている。ブラストフォートは年中気温が低く、1年の半分以上は雪に覆われている。
この城塞は、トラエ、ラウニとソルデの三国間で起きた紛争の中心地となった。三国の国境線が交わる丁度中央地点で、思惑も戦線もぶつかり合った。互いの国へ進攻するに際しても、ここを通らず他二国に兵站を送るにはどうあってもリスクの高い迂回が生じる関係で、攻めるも守るも、話はまずこの城塞を手中にしてから、という事情もあった。この要塞を抑えた国が勝つと信じられ、激しい争奪戦が目下進行している。
トラエがこの城塞を維持し続けられているのは、”軍神”ゴットフリートのおかげだ。不敗を誇るゴットフリートは、皇帝の厚い信望を受け、ブラストフォート城塞に陣を敷いた。ここを確実に堅持し続けることが、即ち勝利を意味する。武勲で比肩する者のいないゴットフリートが此度の采配を受けたのも、当然の帰結であり、疑いを示す者もいなかった。
対するラウニやソルデもそれを理解していたからこそ、戦火はさらに激しくなって行った。トラエ無双の英雄が、史上最も堅牢を誇る城を守護している。つまり、ここを打ち崩したもの、あるいは守り抜いたものが、この戦争を制するに等しい。この三国戦争の顛末を決定づける、天下分け目の決戦地の様相を呈していった。
ゴットフリートは戦場で一度もその膝を地面についたことはなかった。スヴェンが城に派遣されて3年、ブラストフォート城塞は今もトラエ帝国領のままだ。各地で名を馳せたどんな名だたる英雄が攻めてこようとも、この城塞を越えた者は未だかつていなかった。
(砦としての適切なつくりと、それを最大限に生かす武将……。理屈で言うは容易いが、それがこうして揃い立つと、これほどまでに守り抜けるものなのか)
スヴェンは眼鏡のブリッジを押し上げて、先を急ぐ。その手は幾冊もの分厚い魔術書があ���た。
激戦地とはいえ、兵糧が乏しくなるこの季節には大きな動きも見られなくなる。天候によってはなお一層、双方ともに大人しいものだ。攻めあぐねた敵軍に二面三面と包囲されながらも、ブラストフォート城塞はまるで平時のように静まり返っていた。
(ああ……どうしてうまく行かないのだ……)
城塞の中にある研究室の扉を開ける。
真っ暗な部屋を、たったひとつのランタンが照らしていた。本来はもっと採光がいい窓があったのだが、スヴェン自身が本棚で潰してしまっていた。外光は観測を伴う実験に不向きだ。
城塞の中の、私の城。眼鏡を再度押し上げて、ふふと短く笑う。
「次はうまくやってみせる……この書こそ本物だ、今度こそ……吾輩が見つけるのだ」
ぶつぶつと言葉を口の中で繰り返しながら、長い執務机の上に置かれていた書類や本を床にすべて落とし、新しい本を置いた。
本棚やコートハンガーにかけられた外套、並んだ靴などは嫌と言うほど規則正しく、寸分のずれもないように置かれているというのに、余程気が高ぶっているのか、今は床に落ちた本たちを気にして直すそぶりもない。
大きな椅子に腰かけて、その本を開いてページを手繰り始めた。
世界を知るということに限りはあるのだろうか。スヴェンは幼い頃からずっと考えていた。世界を知るためにありとあらゆる本を読み解き、特例を受けて最高学府に進級したときも、当然のこと、以外には特に何も思わなかった。神童と呼ばれ、世界の知識を見る間に吸収し、未知の研究に邁進し、知性で遥かに劣る両親とは縁を切り、知こそが価値とする者達とこそ縁を深め、生きてきた。
――この世界は、一個の生命だ。
そう悟ったのはいつのころだろう。それからスヴェンの関心は世界の表層を辿ることではなく、世界の成り立ちの根源を掴むことに移った。
この感覚までも理解し共有できる者はさすがにいなかったが、スヴェンは気にすることはなかった。目的と到達点は明確だったからだ。
世界が生まれた瞬間を見る。つまり、過去へ遡行しその瞬間を観測することが出来れば、世界が生命であり、巨大な有機体であり、何がどうやってそれを作り出したのかを証明できるのではないか、と考えた。菌類はそれぞれの菌根で膨大な情報網を作り上げることで知られている。ならば世界は? 世界と世界を構成する生命や物質との関係も、似たものではないのか?
夢を見ていると言われた。気が狂ったとも。けれど、スヴェンは時間を移動することに執着し、トラエ皇帝はスヴェンの情熱に理解を示した。思えばこんな突拍子もない目的に意義を見出す皇帝というのもまた、妙ではあるとは思った。皇帝にもまた、過去に遡行する事で成し遂げたい、”過去に戻ってでもやり直したい何か”が、心中にあったのかもしれないが、それを聞き出す術をスヴェンは持たないし、スヴェン自身興味もなかった。少なくとも、時間遡行がもたらしうる皇家の安定、全ての危険を排し、あるいは時を超えて未来の悲劇を食い止め続けて、皇家そのものを永遠に君臨させる、という”表向きの”理由――そのために、皇帝はスヴェンを支援することを決定し、臣君達も、やや半信半疑ではありながらも、それを支持した。
「これだ」
今日も皇帝に頼んでいた奇書が届けられた。
スヴェンはブリッジを押し上げ、眼鏡の位置を直す。正常な観測のためには、眼球とレンズの距離は常に1.5cmを保たねばならない。立ち上がろうとして自分が先程叩き落した本を見やり、露骨に眉をしかめる。頭の中を整理し終えて一息ついたら、急に普段の几帳面さが顔を出した。手早くそれらを元あった場所へそそくさと戻して、室内を完璧に揃え、部屋の中心に立った。
「まず、魔石を用意して……」
木箱に詰めてある魔石を取り出し、机に置く。魔石は貴重な資源である。研究には大量の魔石が不可欠だった。魔石なしには、相当な魔力量を消耗する実験を繰り返し行うことは出来ない。ブラストフォートは戦地だ。当然、魔術師部隊が使うために魔石も大量に集められていたが、落城までには湯水のごとく消費されていた魔石も、入城し防衛に転じてからは、ゴットフリートを中心とした白兵戦主体の迎撃戦において、これらが投入される機会も乏しく、結果余剰が出ていた。山と積まれた荷物を運び出すにも、労力がかかる。それならば、国内にいる魔石を必要とする人員が、逆にブラストフォートまで来れば良い。研究をする場所としては些か物騒な地ではあったが、自由にできる大量の魔石が得られる機会には代えがたかった。スヴェンは二つ返事で前線まで足を運んだ。研究には様々な代償がつきものだ。それを理解してくれる後ろ盾を得たスヴェンは、他の誰よりも恵まれていると言えるだろう。
取り上げたいくつかの魔石の中から、更に質の良いものを選ぶ。一番大きいものはナリだけで中身は薄く、魔力自体は少ないようだ。ページをたぐる仕草に似た動作で、一粒ずつ指を触れては次の石に触れ、研ぎ澄ませた感覚で内容量を確認していく。最後に触れた人差し指ほどの魔石が最も密度が高く、多くの魔力を秘めていた。
「よし……よし……まずは一時間前に戻る……そうだ……」
長い間研究し、様々な方法を用いたが、まだ成功させたことがない。
スヴェンも焦り始めていた。戦火は年を追って激しさを増している。今は冬期で戦線が膠着しているが、雪が溶ける頃にはまた激化される。2国がこの城塞を攻め、帝国は防戦し続ける。魔石の余剰が出ているのも今だけだ。魔石の消費量も年々増え続け、そうなればいつ自分に回してもらえる分が枯渇するとも知れない。そう考えれば、時間は限られている事になる。一度でも成功させられれば、魔石を消耗する前の時間に何度でも戻って、ほぼ無限の実験を繰り返し、術式完成を確実なものにすることが出来る。それが理想であり、今の目標だ。勿論この方法は戻る人間の肉体時間の経過は加味されておらず、スヴェン本人の寿命の解決という課題が残ってはいるが、禁術に手を出せば、その辺りは時間遡行に比べれば造作もないだろうと見当がついていた。
本のページを睨むように再度読み上げようとした時、パチン、と何かが弾ける音がした。ふぅっと風が頬を撫でる。
音がした方向を振り向いて、スヴェンは動けなくなった。
空間に大きな渦が現れたのだ。
その渦に向かって風が吹き込んでいる。
「おお!」
未知なる光景に弾んだ声を上げる。
まず渦から出てきたのは、手だった。男の両の手が伸び、時空の切れ目をこじ開けて、その姿を現した。これから始めようとしていた実験によって、数分か数時間の未来から自分が戻ってきたのではないか。どうやら、今実験している術式は成功したのではないか。歓喜に身が打ち震える。
単純な転移魔術など、スヴェンも何度も見たことがあるし、日常的に行使している。周辺空間に生じた歪の性質や姿の現れ方から、今目の前で行われているものは、通常のそれとは質が異なることは一目で判断できる。それは”理論上、時間遡行が成功すればこのような形で転移が成されるだろう”と想定した結果そのものだった。
「スヴェン博士か?」
渦から現れた男に尋ねられ、スヴェンは驚いて身を竦めた。
男は自分の身なりに気が付いたのか、ゴーグルの中の目を丸めて、被っていたマスクを外した。城��の戦士たちよりも重装備だが、防寒具として見ても、防具として見ても、異様な姿をしていた。それはむしろ、ガスや毒に汚染された領域に立ち入る者が使う防護服に似ていた。
男は軽く会釈した。
「僕はフィリップ。スヴェン博士で間違いありませんか?」
「いかにも、吾輩はスヴェンだが……」
答えながら、興奮で何度もメガネを押し上げる。
「僕は未来から来た」
「おお、やはり! では、未来では時間移動の方法が確立されたのか! 素晴らしい! 素晴らしい!!」
スヴェンは無邪気に飛び跳ねた。
悲願だ。
奇跡が目の前で起きたのだ。経緯こそまだ判然としないが、宿願が果たされたのだ。
「その方法が知りたいか?」
「ああ、無論だ。吾輩にとって、生涯をかけた研究の成果だ!」
「僕の生きる時代にはその技術は確立している」
身の内��ら湧きあがる感動に震える。長い時間をかけた研究が実を結ぶのだ。喜ばない人間がいようものか。
スヴェンはズレたメガネを何度も押し上げ、唇をペロリと舐めた。
「未来では、あなたの完成させた基礎を発展させ、実際に過去に飛ぶことが出来るようになった」
「そうか……そうか……! それで」
「研究資料はある。それを渡してもいい」
フィリップと名乗った男は荷物からひとつの本を取り出して見せた。スヴェンは手を伸ばしたが、ぴたりと手を止める。
「……吾輩は、基礎を完成させた……?」
「ああ、そうだ」
「つまりは吾輩が術式を確立させたわけではないのだな」
基礎を完成させた研究者が自分だとして、その先、実際に技術転用することは別の次元の話になるはずだ。魔術、火薬、物理……この世の全ての技術はそうして生み出されてきた。小さな研究の成果を種として多くの科学者が取り組み、発展的に理論を大成させていく。芽吹いたものを育てひとつの大樹とするにはそれだけの手間と時間と閃きが必要になる。
今までもスヴェンは『時間遡行の第一発見者』『行使者』となるために、寝食を忘れ、周囲から気味悪がられるほど、研究に必死で取り組んできた。
それでも時間が足りないと感じていた。その肌感覚は間違いではなかったのだ。
目の前に提示された本は確かにスヴェンを求めた結果に導くだろう。
だが、同時に自身の敗北を決定づけるのだ。己の力量だけではここには辿り着けなかったのだと、認めることとなる。
フィリップは静かに逡巡するスヴェンを見ていたが、やがて、微笑みながら頷いた。
「これは’’真実’だ。研究者としての矜持はさておき、”真実”を知りたくはないか?」
スヴェンはハッとして顔を上げた。
真実。
私は何のためにここまで進み続けてきたのか。
彼が言っていることが正しく、自身で術式を完成することがなかったとしても、それは過程に過ぎない。私が目指していたものは、あくまで”真実”ではないのか?
「もしも、それをいただくと言ったら? 何が望みだ?」
心のどこかで、素直にそれを受け取る事に呵責が生じていたのだろう。だから、それを受け取る事を、無意識に合理化したがっていたのかもしれない。未来から来た男に対価を返すことで、”真実”を受け取ってしまう自分に理由を与えようとしていた。
予見した通りにスヴェンの瞳に灯った貪欲な光を見出して、フィリップはにやりと笑った。
「城塞内の警備情報をいただこう」
「警備の? 何故だ?」
「知らない方がいい。あなたには関係のないことだ」
「……そもそもお前は、何のためにここにいるのだ?」
「知れば、来たるべき未来のことも伝えねばならなくなる。必要以上に過去を変える事は避けたい……ただ、必要なものがあるとだけ。それを持ち帰る事だけなら、この時代の歴史には影響しない、それは保証しても良い」
まるで台本があるかのように、フィリップは淀みなくスヴェンに語り掛ける。
未来から来た。それは間違いないだろう。スヴェンが口外もしてい��かったはずの、仮説段階の転移の様子そのものが目前に展開したことで、疑う気持ちなど寸分もなくなっていた。受け取った資料に目を通せば、そこからもまたフィリップが未来から来た事が真実であるという証拠を得る事もできるだろう。ただ、もう一声、フィリップが信頼に値するという、自身が”真実”を受け取る事に感じる呵責を打ち消すだけの理由を求めたかった。
「受け入れたいのは山々だが、警備情報をとなると難しい。未来から来た事が仮に真実でも、君がトラエ以外の人間であったならば、私の立場からすれば利敵行為に与しかねない事になる。理解してくれるか」
スヴェンはこう言い放ちながら、内心で自嘲した。スヴェンは、フィリップがトラエの人間である事を証明してくれる事を期待していた。彼があらかじめ私の呵責を砕く準備までした上でここに来ていると、察しが付いていた。その上でこんな事を方便にするのは、戯曲を棒読みする姿を見透かされるようで、歯がゆかった。
フィリップは答えをやはり用意していたようで、間髪入れずに分厚い上着のポケットから、ひとつのネックレスを取り出した。金色のネックレスは傷がつき、古いものだった。スヴェンはその取り出す様を見ながら、やはり見透かされていたのだと、思わず赤面した。
「開けてみてくれ」
スヴェンはおずおずと受け取り、開いた。そして息を飲む。
「これは……!」
「一緒に映っているいる赤ん坊が僕だ」
一目見て分かった。写真に写った男は、ゴットフリートだ。城塞の食堂で目にした、岩でも噛み砕きそうな厚い顎、豹を思わせる眼光、右頬と左こめかみに負った特徴的な傷跡。スヴェンの知るゴットフリートよりもかなり年を重ね、白髪や白髭を蓄えた風貌で笑っていた。
――未来だ……。
スヴェンは、ごくりと息を飲んだ。
「あのゴットフリートが、人の親、果ては老人か……。戦場で死ぬような者ではないとは、思っていたが」
「祖父は一族の誇りだ」
「……分かった。警備情報を渡そう。だが、本当に面倒事は起こさないのか……?」
「表立っては何も起きないから、安心していただきたい。この時代には捨て置かれたものを、持ち帰るだけだ」
スヴェンには、その言葉の意味まではわからなかった。
その後の逡巡を見越したように、ゆっくりと研究書をスヴェンに差し出す。
「戻れる先は魔力の量に左右される。魔力を1点に集中すればいい。杖を使えばいいだろう」
「お……おお……」
「この本に詳しくまとめられている。運命は、未来は変わらない」
「本当に?」
「あなたが、あなたのために使うだけに留めれば、自ずとそうなるだろう」
答えないスヴェンの胸に、ドンと本が叩きつけられる。
その感触に、スヴェンの理性はぐらりとふらついた。
月が高く上ったのを見上げて、フィリップはゆっくりと山岳の斜面を進んだ。姿勢を低くし、音を立てないように。
(……不安はあったが、狙ったタイミングに戻れたな……)
グレーテルと徹底的に城塞の歴史を調べた。
激しい攻防戦から間がなく、その後しばらく戦闘がない、天候が落ち着いている時期。かつ、当日の天気が晴天で満月であること。
いくら協力を得ることが出来て警備の状況が把握できていても、誰もいないはずの山の斜面で灯りを用いて、遠目にでも見つかる危険を冒すことは避けるべきだ。暦を遡り、目途をつけたのが今日この日だった。
斜面には雪が積もっている。この積雪から数日、戦線に動きはなかったと記録されている。束の間の平和。だが、その直前には、この斜面で、たくさんの人と人が殺し合ったのだ。静寂に包まれた雪景色の中、あちこちに矢が突き刺さったまま放置されていた。戦闘の跡だ。
左右を見渡してから、フィリップは一番近くの雪を掻いた。そこにも矢が刺さっている。
(……矢先の雪がほのかに赤い)
山岳地の雪らしく、水を含まないさらさらとした雪で、払えば埋もれたものが簡単に姿を現す。
「……あった」
雪の下には、傷の少ない兵士が眠るように倒れていた。
念のため体を検めるが、四肢も無事で、背中に矢を受けた痕があるだけだ。専門外だが、転がした下の赤黒い土の色から察するに、死因は失血だろう。
こんなに状態のいい屍体を見たのは、いつぶりか。
ここはまさに、フィリップにとって宝の山だ。
見渡す限り、無数の屍体が隠されている。先日攻め入ってきたが退路を断たれ、殲滅の憂き目にあったラウニの一個師団がこの斜面に眠っている。
ざっと見積もっても数千から万を超すだろう。 この雪の下にある屍体さえあれば、それらは全て、二人が未来で戦うための手足となる。計り知れないほどの戦力だ。
グレーテルも転送を待っているだろう。と言っても、未来で待つ彼女の方からしたら、突然数千の屍体が目前に現れるような形になるのかもしれないが。
兵士を完全に雪の上に横たえてから、フィリップは術式を展開した。過去に遡行することに比べ、未来に送ることは難しくはない。状態が劣化しない静止した時空間に屍体を閉じ込める。そして、ある特定の時期に来たら、閉じた時空間から屍体を現実に表出させるように仕込んでおく。川の流れを下るように、時の流れに逆らわずに未来へ向かうのであれば、身を任せるだけで良い。逆に、流れに逆らって上流に向かおうとするには、莫大なエネルギーを要する。それが、時間遡行研究者たちがたどり着いた、ひとつの答えであった。
遺体はぼぉっと青白い光に包まれて、ふっと消えた。
成功だ。
こうして閉じ込めた屍体全てが、グレーテルの元で姿を現すだろう。彼女も状態のよさとその数に感動するはずだ。周囲を見渡し、笑みが溢れる。
屍体の数は多ければ多いだけいい。フィリップは近くの雪中を再び探り始めた。
「ん? なんだぁ?」
突然降ってきた声に、フィリップはぴたりと動きを止めた。
振り向けば、豪奢な装備に身を包む屈強そうな男が、首を傾げながらこちらを見ていた。ありえない。
「――……巡回はいないはずじゃ……」
スヴェンから得た警備資料は棚から即座に取り出されたものであって、あの場で嘘を取り繕うためにあらかじめ用意できるようなものではなかったはずだ。
だからこそ、その内容を信じたフィリップは夜を待って行動を開始したのだ。
「巡回なんざしてねえさ。散歩してただけだ」
男は野太い声で言った。
「しっかし、誰だ、お前は。さっき屍体を掘り返してたよな?」
「……何のことだ」
「おいおい、しらばっくれても無駄だ。見てたぞ。目の前から消えたんだからな」
失敗した。
頭の中で思考が急回転を始める。どうやってこの場を切り抜ける? 取り繕うか、命を奪い口を封じるか、逃げるか?
「転送魔法か? それで屍体を運んで何しようってんだ」
「それは……」
なにかうまい口実はないか、言葉を手繰ろうとするフィリップを待たずに、男は叫んだ。
「戦場泥棒は重罪だぜ!」
雪をギュッと踏みしめる音を立てて、男はフィリップに飛び掛かる。
やるしかないか。
咄嗟に、重力歪曲《グラビティプレス》の術式を展開する。
跳躍し上向いた兜の中の顔を、月明かりがはっきりと照らす。豹のような眼光がこちらを見据えていた。一瞬、フィリップの胸中に幼い日が去来した。
(――……ゴットフリート爺さん!)
逃げなければならない。話も通じない。殺してはいけない。
月明りを背に大きな影が落ちる。
フィリップは咄嗟に術式を変じて、空間移動《テレポート》に切り替えた。短い距離であればすぐに展開して移れる。
鈍い音を立てて、ゴットフリートが鞘から引き抜いた剣が雪に突き刺さる。さきほどまでフィリップが立っていた雪の跡は、衝撃で爆ぜて消え失せる。そのまま、目線を数歩先のフィリップに向ける。
「はっ、やっぱり転移か。ラウニの連中は知っ��こっちゃねぇが、ここには俺の隊の奴も幾人か眠ってんだ…」
雪から剣を振り上げるように引き抜き、巻き上げられた細かい雪がまるで煙幕のように広がる。視界が真っ白に染まる。
フィリップは咄嗟に腕で顔を庇ったが、視界に影が過る。
(まずい!)
二度目の転送が一瞬遅れ、避け切れなかった。ゴットフリートの剣先は肩から胸にかけて切り裂く。傷は浅いが痛みによろめく。
雪の影から突きを繰り出したゴットフリートは、目をぎらりと輝かせる。
「魔術師相手は滅多にやれねえんだ。面白えな……!」
まともにやり合ったら、殺される。
運が悪すぎる。
本気でやり合ったところで、ゴットフリートに勝てるわけもない。仮に勝てたとしても、祖父である彼を今この場で殺したら、未来から来た自分は一体どうなる? 前例がなく、全く予想がつかない。年老いてからも人の話を全く聞かなかったあの男が、戦場跡をうろつく怪しい男が語る”理由”なぞ、おとなしく聞いてくれるはずもない。殺さずに無力化出来るような術も持ち合わせてはいない。
なんとかやり過ごして、逃げるしかない。
再度テレポートをしようと身構えたフィリップに向かって、ゴットフリートが大きく踏み出そうとして、ぴたりと止まった。
「……なんだ? 臭ぇな……」
眉をぐっと止せ険しい表情で辺りを見渡す。
確かに何か匂いがする。嗅いだことのない匂いだ。
「屍体の臭いでもないな……なんの臭いだ……?」
唐突に、その匂いが一層強くなった。
屍体は確かに掘り返した。けれども、この気温で、雪の下にあった兵士の体は腐敗するはずがない。凍てつき、匂いもなかったはずだ。
腐ったような、けれどももっと酷く脳を直接刺激するような……嗅いだことのないほど異臭。
「……うっ」
胸が悪くなる。
ゴットフリートも片手で鼻を抑えながら、周囲を見渡した。
ふたりの視点が1点にとまった。打ち捨てられた盾だ。放り出されて地面に突き立ったままのそれが、奇妙な黒い靄に包まれている。
「おい、小僧、お前の術か、ありゃあ?」
ゆらゆらと噴き出ていた黒い煙の密度が増す。
フィリップは自分の背中が粟立つのを感じた。
あれは、だめだ。
理由はわからない。ただ、本能が叫ぶ。けれど、足が竦んで動かない。
盾を包んでいた煙は次第に細くなり、盾と地面が成す角から勢いよく噴き出した。そして、その煙が見たこともない不気味な黒い猟犬の姿を取った。
~つづく~
原作: ohNussy
著作: 森きいこ
※今回のショートストーリーはohNussyが作成したプロットを元に代筆していただく形を取っております。ご了承ください。
旧き世に禍いあれ(3) - “猟犬の追尾”
「ショートストーリー」は、Buriedbornesの本編で語られる事のない物語を補完するためのゲーム外コンテンツです。「ショートストーリー」で、よりBuriedbornesの世界を楽しんでいただけましたら幸いです。
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デジタル音楽論
科研報告書(『poi vol.2』)のために書いたデジタル音楽論の本文です(脚注と図版は省いてあります)。デジタル音声合成などの動向を、メディア考古学的に初期蓄音機の言説と関連づけようとしたのですが、やや中途半端に終わってしまいました。このテーマは現在も研究中。進んだらまたアップします。
秋吉康晴「サイボーグの歌声−−デジタル音楽をめぐる試論」
不滅の声からサイボーグの声へ
1877年12月6日の早朝、トーマス・エジソンは数名の部下とともに一台の機械を囲んでいた。フォノグラフと名づけられたこの試作品は、最古の録音再生機として知られている。録音用の錫箔をシリンダーに巻きつけ、その上に針を落とすと、エジソンはクランクを回しはじめた。彼が最初に録音したのは、よく知られた童謡《メリーさんの羊》だったと言われている。ラッパ型の吹き込み口に向かって大声で歌い終わると、エジソンはクランクを回す手を止めて、今度は再生用の針を錫箔の上に置いた。再びクランクを回しはじめると、わずかに甲高いながらも、確かに彼自身の歌声が鳴り響いたという。エジソンはこの瞬間を後に回想して、「人生であれほど驚天したことはなかった」と述べているが、機械が発する声をはじめて聞いたひとびとの驚きはどれほどのものだったろうか。録音技術にすっかり慣れてしまった現代のわたしたちには想像すべくもないが、フォノグラフの発明が当時のひとびとにとって「驚異」として受け取られたことは確かなようだ。その理由の一端は、試作品の完成から遡ることおよそ三週間前、エジソンの部下が『サイエンティフィック・アメリカン』誌で発表した声明文からうかがい知ることができる。エドワード・ジョンソンという名の技師はそこで、フォノグラフのもたらす可能性を次のように述べている。
フォノグラフの吹き込み口に向けて話したことがあるか、これから話すかもしれないひと、つまり言葉をフォノグラフによって記録されるひとなら誰でも、彼自身が塵と化してからずっと後に、音声を再生されることを保証されている。その可能性は単純に驚くべきものである。ぎざぎざの入った一片の紙が小さな機械を通り抜け、機械の音が増幅されると、わたしたちの孫や数世紀後の子孫はまるでわたしたちがそこにいるかのようにはっきりとわたしたちの声を聞くのだ。音声はいわば不滅になったのである。
ジョンソンがエジソンに代わって言うには、フォノグラフがもたらすであろう最大の驚異は、未来に向けて声を保存できることにあるという。フォノグラフが発明される以前、あらゆる人物の声は死とともに永遠に失われてしまう定めにあった。故人の声は残されたひとびとの記憶のなかにしか存在しないものだった。ところが、フォノグラフが発明されるやいなや、ひとの声はその主がたとえ亡くなってしまっても、生き生きとした響きをもって保存されるようになる。そうすれば、未来のひとびとは彼らの声を「まるでわたしたちがそこにいるかのように」聞くことになるだろう。ジョンソンいわく、フォノグラフの発明によって声は死を超越し、「不滅」になるのだ。もっとも、人類ではじめてその恩恵に与ったはずのエジソンの歌声は、現存さえしていない。というのも、そのとき録音媒体として用いられた錫箔は、数回の再生にも耐えられないほど脆い代物だったからだ。エジソンの声は不滅になるどころか、それを刻んだ錫箔もろとも失われてしまったのである。とはいえ、ジョンソンの記事はフォノグラフと最初に遭遇したひとびとが録音技術に何を期待したのかを知るうえで興味深い。いつかは消え去ってしまう声を物体に定着させ、保存するという可能性を、彼らは夢見たのだろう。録音技術を利用することが日常化した現在、わたしたちはそうした可能性にもはや驚きを感じないが、ときおりふとそれに気づくこともある。たとえば、古いレコードをかけて、引退して久しい歌手の歌声に耳を傾けるときや、その歌手が故人となってしまったとき、録音は最大限の効力を発揮するはずだ。歌唱や演奏を老化や死のような、避けがたい時間の���力から救い出し、くりかえし何度でも「再生」できること。そうした力はいまでも確かに録音技術がもつ大きな魅力のひとつであり続けている。
ところが、録音のデジタル化が進行しつつある現在、インターネットを介して無数に増殖していく「不滅の声」たちのあいだから、それらとは別種の声が漏れ聞こえてくるようになってきた。そうした声のひとつとして、たとえば「初音ミク」のそれをあげることができるだろう。「初音ミク」とはヤマハが開発した音声合成技術「VOCALOID2」を応用し、2007年に発売されたDTM(デスクトップミュージック)用のソフトウェアを指している。周知のように、このソフトウェアではあらかじめライブラリに登録されている音声データを素材として利用し、歌声そのものを合成できることが売りになっている。つまり、「初音ミク」を用いれば、作曲した楽曲を自分で歌ったり、誰かに歌ったりしてもらうことなく、いわばコンピュータに歌わせることができるのだ。「初音ミク」を開発したクリプトン・フューチャー・メディアが一種のキャラクター商品としてVOCALOID製品をパッケージ化し、可愛らしい少女のデザインをあしらったことから、このソフトウェアは「ニコニコ動画」のような動画共有サイトを媒体とするオタク的な受容の文脈において「架空のアイドルに歌わせる」という新しい表現方法を生み出した[図1]。発売から10年が経過した現在、「ボカロ系」として定着しつつあるそうした表現方法は、一部に録音技術を利用しているとはいえ、「不滅の声」のような声の表象からはかけ離れているように思われる。というのも、そこでは録音は誰かの歌声を記録するのではなく、誰かの歌声を使って、新たに別の歌声を生成するための手段として用いられているからだ。そのいささかたどたどしい歌声を耳にするとき、筆者は人間が歌っているのか、それともコンピュータが歌っているのか、そのいずれとも決定したがいような感覚に襲われることがある。わたしは「初音ミク」のライブラリに登録された音声データが藤田咲という実在の声優に由来することを確かに知っている。だが、人工的な響きをもったその歌声には、彼女自身の声としてそれを聴くことを拒むような何かがある。その何かを指して、本稿では仮に「サイボーグ」という言葉を使ってみたい。「初音ミク」の声を聴いていると、人間と機械とが互いに融合してしまっているかのような、そんな印象を受けるのだ。
ところで、そうしたサイボーグ的な声の表現は「初音ミク」に限らず、近年ではさまざまなところで聞こえるようになってきた。この小論では、録音のデジタル化によって可能になった声の表現をいくつか紹介しつつ、それらの表現の文化史的な背景として人間と機械の脱境界化をめざすような傾向があることを確認してみたい。わたしたちの声はデジタル化の進行につれて、いわばサイボーグ化の方向へと必然的に向かっているかのように思われるのだ。まずは、「初音ミク」の合成技術を例に、録音のデジタル化が声の表現に何をもたらしたのかをみていくしよう。
デジタルな音響処理
「初音ミク」というソフトウェアはどのようにして音声を合成するのか。開発者の剣持秀紀によれば、そのもとになっている「VOCALOID」の技術は、音声素片を接続するという発想でつくられたという。たとえば、「朝」という単語の発音は、ローマ字で表現すると[a]+[s]+[a]となるが、実際の音声に即すなら[#a]+[a]+[a-s]+[s-a]+[a]+[a#]という素片によって構成される。簡単に言ってしまえば、「朝」という音声を合成しようと思えば、これら6つの素片をあらかじめ録音しておき、順番に再生すればよいのだ。ただし、実際にはそう単純ではない。発音が滑らかに聞こえるためには、素片のピッチ(音の高さ)を同じに必要があるし、たとえピッチが同じであっても、ただ接続するだけでは2つの素片の音色の差がノイズとして表れてしまうからだ。つまり、素片同士を滑らかに接続するには、それぞれの素片のピッチと音色の両方を調整する必要があるのだ。そうした処理をおこなうために合成のプロセスに組み込んだ工夫を、剣持は主にふたつ挙げている。ひとつは音色の変化を滑らかにするために、素片同士を接続する際、クロスフェードしながら接続するという工夫である。加えて、素片によっては最初もしくは最後の部分の音色をくりかえすなどして、時間的に引き伸ばすこともおこなっているという。もうひとつは素片のピッチを変えても、音色が変化しないようにするための工夫だ。周波数帯を全体的にずらすと、ピッチを変えることができるが、このやり方では音色も変化してしまう。単純にピッチを上下させると、音色を決定するスペクトル(周波数毎の強さの分布)が全体的に変化してしまうからだ。このような音色の変化を防ぐため、「VOCALOID」の合成エンジンではピッチを変更する際に、もとの素片のスペクトル特性が維持されるように調整しているという。それによって、素片にメロディを与えても、もとの音色は保たれるのである。剣持のグループが開発した最初のヴァージョンは作曲用のソフトウェアに応用され、2004年にイギリスのZERO-Gから「LEON」と「LOLA」として、日本のクリプトン・フューチャー・メディアから「MEIKO」として発売された[図2][図3]。これらのソフトウェアは歌詞と音符のデータを入力することで、比較的簡単に歌唱を合成できるようなインターフェースを与えられており、その基本仕様は先に触れた後続の「初音ミク」にも引き継がれている[図4]。
「初音ミク」をはじめとする「VOCALOID」製品が「ニコニコ動画」を媒体とするオタク系文化において人気を獲得し、DTM用のソフトウェアとしては異例の注目を浴びた理由を問うことは、これまで散々議論されてきたので他に譲るとして、ここで注目してみたいのは「VOCALOID」における録音のあり方である。「VOCALOID」の技術は、録音のデジタル化にともなって、音の扱い方が大きく変化したことを示している。たとえば、録音の断片を繋ぎ合わせるだけなら、ヴァイナル・ディスクでは難しいとしても、磁気テープを用いれば、アナログ・メディアにおいても比較的容易におこなうことができた。だが、音色を変えずにピッチだけを変えることは、アナログ録音においては難しいというより原理的に不可能に近い。アナログ録音でピッチを変える最も簡単な方法は、再生速度を変えることだが、このやり方ではピッチだけでなくテンポも変わってしまう。それだけでなく、周波数スペクトルもやはり変わってしまうので、音色にも変化が生じる。ヴァイナル・ディスクやカセット・テープに触れたことのあるひとの多くは、そうした遊びに興じた覚えがあるのではないだろうか。たとえば自分の声をテープに録音して再生速度を変えると、テンポ、ピッチ、音色といった複数のパラメータが同時に変化し、印象に劇的な変化をもたらすだろう。それに対して、デジタル的な音の処理では、任意のパラメータを個別に変化させることができる。もとのピッチや音色を保ったまま、テンポを変えることや、反対にもとのテンポを保ったまま、ピッチを変えることは、現在のソフトウェア技術においてはそれほど難しいことではない。同様の技術は「VOCALOID」においても、ピッチの変更や音色の調整をおこなう際に利用されている。では、アナログ録音では不可能だったそうした操作は、なぜデジタル録音の導入によって可能になったのだろうか。
これまで何度も指摘されてきたように、録音技術において「アナログ」と「デジタル」の最大の違いのひとつは、記録の性質がその媒体の物質的な条件によって左右されるかどうかにある。たとえば、レコード盤や磁気テープがくりかえしの使用によって摩耗したり、劣化したりすると、再生音に変化が現れることは周知の事実だ。また、ある媒体から別の媒体に録音を複製しても、音質が変化することも周知のとおりだろう。ところが、デジタル録音の場合には、たとえばCDに傷がついてその部分の音が再生できないということがあっても、音質が劣化するということがない。また、CDのデータをいくら複製しても、音質が変わることはありえない−−データを圧縮したり、再生ソフトウェアを変えたりする場合、話は別だが。こうした違いはもちろん素材の違いではなく、記録の原理の違いに起因する。エリック・ローゼンバーグとジョン・ピータースが言うように、「アナログ」の録音とは文字どおり、音の「相似物analogue」を意味し、記録の方式に違いはあれ、音波のエネルギーを利用してそれに相似した痕跡をつくりだすという特徴をもつ。最も分かりやすいのは蓄音機の例だが、エジソンが発明したフォノグラフは音波のエネルギーを針に伝え、その針の振動によって記録媒体の表面を削り取るような仕組みをもっていた。音波のエネルギーを利用して削られた溝が、ここでは音の痕跡すなわち記録ということになる。磁気録音の場合、記録の仕組みはより複雑になり、音波のエネルギーを電気エネルギーに変換し、さらにそれを磁気エネルギーに変換するというプロセスをとるが、発想の根幹にあるものは変わらない。蓄音機も磁気録音機も音波のエネルギーを物理的に利用して、音に相似した痕跡をつくりだすという点では共通するからだ。そのため、アナログな録音では音の「相似物」としての痕跡が劣化したり、変質したりすることで、再生音にも変化が生じるのである。これに対し、デジタルな録音技術は音波のエネルギーを電気エネルギーに変換したうえで、さらにそれを計測し、数値として記録するということをおこなう。digitalの名詞形であるdigitはそもそもラテン語で「指」を意味し、指を折って数えることから転じて、「数」を意味するようになった言葉だ。この語源が示唆するように、デジタル録音の本質とは物理的な痕跡ではなく、数値として表現されたデータにある。CDにも採用されているPCM(パルス符号変調Pulse Code Modulation)方式を例にとるなら、そうした数値化は次のようにおこなわれる。音波のエネルギーはまず電気エネルギーに変換される。この状態でのオーディオ信号(電気信号)は電圧の波として表される。PCM方式ではその電圧を一定の頻度で測定し、数値として記録するのである。このとき測定された数値は、二進数(0と1)によって表現されるバイナリー・データとして記録される。これらの数値をグラフ化し、線で結ぶと、音の波は階���状の線によって表現されるだろう。数値化の頻度を増やし、数値化の尺度を細かくすれば、階段状の線は徐々に滑らかな波のかたちに近づいていくはずだ。デジタル録音の本質とはこのように、音波を非連続的に数値によって表現することにある。デジタル録音の音質が、記録媒体の物質的な条件によって左右されないのはこのためである。たとえば0という数字を紙に書いても、道路に書いても、スクリーンに写しても、その字義的な意味は変わらないように、記録された数値さえ保持されるなら、どのような記録媒体に保存しても再生音の質は変わらない。また、記録媒体がどれだけ劣化しても、数値さえ読み取れるなら、同様に音質は変わらないだろう。このようにデジタル録音は「数」と「計算」にその基礎を置くことで、記録媒体の物質性に左右されることなく、音を処理することができるのである。
記録の原理におけるこうした違いは、デジタル化によって録音の耐用年数が向上したとか、音質の劣化を気にせずに録音をコピーできるようになったということを単純に意味するだけではない。録音の基礎が「痕跡」から「数値」へと移行したことは、音を操作するあり方に根本的な違いをもたらしたのである。その違いはたとえば、先に述べたように、ピッチを変えるという操作においても明瞭に表れている。アナログ録音においてそうした操作は、再生速度を物理的に変えるというやり方でおこなわれていた。ヴァイナル・ディスクの回転数を下げれば、ピッチは下がり、カセット・テープを文字どおり「早送り」すれば、ピッチは上がる。こうした特徴は、録音とその媒体となる物質がまさしく一体であることを意味している。だからこそ、再生速度を変えれば、ピッチだけでなく、テンポや音色といった要素も全体的に変わってしまうのである。それに対して、デジタルな音の操作は物理的な領域ではなく、「数的な領域」においておこなわれる。「VOCALOID」を例にあげるなら、音声素片のピッチ操作はFFT(高速フーリエ変換Fast Fourier Transform)による計算処理を利用している。FFTとはフーリエ変換をおこなうアルゴリズムの一種であり、音の分析では、複雑な波形をより単純な波形(正弦波)に分解するために用いられる。この処理をおこなえば、ある波形を複数の周波数成分に分解し、それらの強度の分布(スペクトル)を細かく数値化できる。「VOCALOID」の合成エンジンでは、このアルゴリズムを利用し、スペクトルを周波数軸上で動かすことでピッチを変えるのである。先述したように、この方法では音色が変わってしまうが、アナログの場合と違って、テンポが変わることはない。また、「VOCALOID」では音色の調整にも同じくFFTが利用されており、今度は周波数成分の強度を調整することで声質を変えるのである。このように、デジタルな方式においては、音の操作は数的なデータの計算処理と書き換えによっておこなわれる。そのため、記録媒体の素材や形状その他諸々の物質的な条件にかかわりなく、音を変化させることができるのだ。
このようにデジタル技術に特有の方法で合成された歌声は、まるで誰かが実際に喉を震わせて歌ったような実在感をともなっている。それもそのはずだ。「VOCALOID」の合成音は、実在する人物の声にもとづいているのだから。だが、どこかぎこちなさを残したその声は、人間の声としてそれを聞くことを拒むような人工的な響きをともなっている。実在する人物の声を利用しているとはいえ、断片的な素材として格納された彼らの声のデータは書き換えられ、パッチワークのようにつなぎ合わされて出力される。そのとき混入する独特の歪みは、どれだけ入念にパラメータを調整しても、完全に消えることはなく、コンピュータの介在性に気づかずにはいられない。人間の声のようでありながら、純粋に人間の声とは言いがたい、独特な印象をその歌声は与える。人間の声がコンピュータと結合することで生まれた、奇妙な歌声。そうした声を指して、ここでは仮に「サイボーグ的な声」と呼んでみたいと思う。
サイボーグ的な声
人間の声とコンピュータの結合によって生まれた「サイボーグ的な声」は、実のところ「VOCALOID」の例に限らず、さまざまなところで聴くことができる。むしろ、そうした声のあり方は現在のポップ産業ではありふれたものになっているとさえ言えるかもしれない。たとえば、先にみたようなピッチ操作の方法は、レコーディングの際、音程を補正するために利用されるようになっている。分かりやすく言えば、たとえ音程を外しても、ソフトウェアで「音痴を直す」ことができるのだ。その種のソフトウェアで有名なものに、Antares Audio Technologies(アンタレス・オーディオ・テクノロジー)社が販売している「Auto-Tune(オートチューン)」がある。このソフトウェアには、ユーザが指定したスケールに合わせてピッチのずれを自動補正する「オートマティック・モード」と、グラフ化されたピッチのデータを手動で調整できる「グラフィカル・モード」があり、「音痴」の程度によってモードを使い分けることができる[図5][図6]。だが、このソフトウェアを有名にしたのは、そうしたいわば「正当」な用途ではなかった。「Auto-Tune」はピッチのずれを補正するだけではなく、特殊な効果をボーカルに加えるために使われることもある。米国の女性歌手・俳優のCher(シェール)が1998年にリリースした「Believe」は、そうした効果を有名にした楽曲として知られる。「Auto-Tune」のインターフェースには、ピッチ補正の変化スピードを調整する「スピード」というパラメータがあるが、その値をゼロにすると、ポルタメント(ある音から別の音に移る際に音程を滑らかに変化させる技法)がなくなり、音程の変化が直線的になる。すると、歌声はもとの音色をある程度保ちながらも、人間的な声の滑らかさを失い、ある種の電子楽器の演奏音のような硬直した音に変化するのである。こうした効果はその後、「シェール・エフェクト」として知られるようになり、Daft Punk(ダフト・パンク)、T-Pain(T・ペイン)、Kanye West(カニエ・ウェスト) といったクラブミュージック系のミュージシャンによって用いられてきた。日本の例では中田ヤスタカがプロデュースするアイドル・ユニット、Perfume(パフューム)のボーカルに同様の効果が用いられている。その効果は人体の構造から逸脱した、直線的なピッチの変化を与えることで、ボーカルに人工的な響きを加えることに寄与している。
また、日本では彼らほど知られていないが、音楽産業の外側で活動するミュージシャンのなかには、音楽的にというだけでなく政治的に興味深いやり方で「Auto-Tune」を利用しているひとびともいる。マイケル、アンドリュー、エヴァンのグレゴリー三兄弟とエヴァンの妻サラの四人によって2007年に結成されたThe Gregory Brothers(ザ・グレゴリー・ブラザーズ)は、動画共有サイト「YouTube」を作品リリースの主な媒体として活動するグループだが、ほとんど無名であった彼らを有名にしたのは、2010年頃から発表を続けている「Auto-Tune the News(オートチューン・ザ・ニュース)」というシリーズだ。このシリーズで彼らはニュース番組から切り取った映像の音声を「Auto-Tune」で加工し、伴奏とコーラスを加えることで、ポップソングのように仕立て上げている。そこではニュースキャスター、政治家、評論家などが演説や答弁をしている声は、歌やラップのように変えられ、The Gregory Brothersのメンバーとセッションしているかのように編集されている−−動画のなかで彼らはしばしばニュースキャスターやインタビュアーの役割を演じている[図7]。政治的なテーマについて歌った楽曲はこれまでも多くあったが、The Gregory Brothersの楽曲はそれらとは一線を画している。彼らは政治的なテーマについて歌うのではなく、政治家みずからに歌わせることで、政治的な事柄というよりも政治的な行為そのものを音楽的に批評するという手法をとっているのだ。
こうした「Auto-Tune」の用法は「音痴を直す」という本来的な用法よりも強力に、サイボーグ的な効果、つまり人間と機械の境界を溶解させてしまうような効果をもっている。「シェール・エフェクト」を多用する楽曲において、ボーカルの声質は伴奏に用いられている純粋な電子音とまったく区別できないところまでとはいかないまでも、きわめて近いところまで接近しており、両者の境界を聴覚的に曖昧にしている。また「Auto-Tune the News」においては、インタビュアーや政治家の声はあたかもコンピュータで身体をハッキングされてしまったかのように無理やり操作され、歪められてしまっている。もちろん事実はそうではないが、少なくとも聴覚的な印象においては、人間の喉と機械のあいだに境界など存在しないかのようである。
「Auto-Tune」から離れて、ほかの例もみてみよう。プログラミングに長けたミュージシャンのなかには人間の声をコンピュータの電子音に近づけるのではなく、その逆のプロセスをたどって作曲に利用している作家たちもいる。たとえば、三輪眞弘と左近田展康のふたりによって2000年に結成されたフォルマント兄弟は、「テクノロジーと芸術の今日的問題を《声》を機軸にしながら哲学的、美学的、音楽的、技術的に探求し、21世紀の《歌》を機械に歌わせること」を目指し、独自の手法で合成した音声を創作に活用している。彼らの活動のなかでも最も興味深いものに、『フレディーの墓/インターナショナル』(2009年)という作品がある。この作品においてフォルマント兄弟は1991年に亡くなったQueen(クィーン)のボーカル、フレディー・マーキュリーがあたかも亡霊のように墓地に現われ、歌いはじめでもしたかのように、彼の歌声を蘇らせている[図8]。彼らはマーキュリーの歌声がもつ音響的な特徴を解析し、独自に開発したデジタル音響合成のプログラムによって復元したのだ[図9]。ただし、彼らが亡霊として召喚しようとしたのは、かつて存在した「フレディー・マーキュリー」そのひととは微妙に異なる。召喚された「フレディー」が歌うのは、彼が歌ったはずのない楽曲だからだ。フォルマント兄弟の「フレディー」が歌うのは、共産主義の革命歌として知られる「インターナショナル」である。彼らは冷戦期に米国の文化産業を代表するスターとして生き、冷戦の終結とともに死んだフレディー・マーキュリーの声に、その対極にあるような楽曲を、しかも日本語で歌わせたのだ。作品とともに発表したテキストのなかで、フォルマント兄弟が『フレディーの墓』を「死者なき亡霊」の歌と呼ぶのはこのためだ。ロラン・バルトが写真の本質としてあげた「それは-かつて-あった」という時間性を敷衍して彼らが述べるように、録音技術がもたらしたのは「かつて生者であった者の痕跡」としての声を「いま-ここ」に再現することで、過去に生���たひとびとを亡霊のように召喚するという体験であった。フォルマント兄弟はそのような録音の体験を逆手にとり、デジタル的に合成された歌声によって、かつて生きたあの「フレディー」のようでありながら、しかし実のところ誰でもない何者かを聴き手の感覚のなかに呼びだした。録音という痕跡の効果として事後的に召喚されたその何者かを指して、フォルマント兄弟は「死者なき亡霊」と名づけたのである。こうした試みはデジタル技術の発達によって、音声情報を詳細に数値化し、その解析データを音響合成に活用することが可能になったことを意味するだけではない。むしろ、フォルマント兄弟がラディカルに主張するのは、声による「現前」の感覚はメディア技術によって構成されうるものになりつつあるということだ。
本稿の冒頭でとりあげた「不滅の声」という表現が、死者の亡霊的な現前という事態を録音技術の偉力として言祝いだものだとすれば、フォルマント兄弟が提唱する「死者なき亡霊」はそうした効果を最新の技術のもとで読み替えようとする試みだと言うことができる。そして、同様の試みは彼らほど自覚的ではないかもしれないが、筆者がここでとりあげてきたデジタル的な声の表現にもあてはまるだろう。それらはみな「かつて-あった」者たちのようでありながら、しかし実のところ「かつて-あった」誰でもない何者かを召喚してしまうような側面をもっていたからだ。だが、筆者はここでその何者かを「死者なき亡霊」と呼ぶよりも、あえて「サイボーグ」と呼んでみたい。なぜなら、現在起きつつあるのはメディア技術がもつ亡霊化の作用が新たな段階を迎えつつあるというだけではなく、人間が機械に、機械が人間に近づいていくような事態だからだ。「VOCALOID」や「Auto-Tune」を用いた作品において、人間の声はコンピュータによってデータ的に生成され、出力される電子音へと接近していく。他方、フォルマント兄弟の作品では逆に、コンピュータによって生成される電子音のほうが人間の声へと接近していく。こうした事態を名指すには亡霊化という表現よりもむしろ、サイボーグ化という表現のほうが筆者にはしっくりくるのだ。
サイボーグ化する声の系譜
1877年に蓄音機が発明されたとき、録音技術にはじめて遭遇したひとびとはその魅力を声の不滅化という言葉で表現した。そうした表現は写真映像の力を時間の「防腐処理」という言葉で言い表したフランスの映画評論家アンドレ・バザンの主張とどこか似ている。バザンによれば、写真や映画を生んだのは、人類が古代よりとりつかれてきた「ミイラ・コンプレックス」の衝動であった。それは永続化しうる人物の似姿をつくることで、死の恐怖を乗り越えようとする衝動であり、その起源としてバザンは古代エジプトのミイラを挙げ、その末裔あるいは完成として写真と映像を挙げる。遺体に防腐処理を施すように、写真と映像は時間に防腐処理を施し、「持続のさなかでせき止められ、死の運命から解き放たれた生命」の姿をわたしたちに与えた。蓄音機がもたらしたのはある意味でそうした「防腐処理」の音声版であったと言うことができる。蓄音機は声を死や腐敗といった時間の暴力から救い出したのみならず、主体の亡霊的な現前という驚くような効果をもたらした。エジソンが蓄音機を発明した当時とは異なり、その効果はすでに日常化し、人間にとって第二の自然と化していると言っても過言ではない。ひとたび「再生」をはじめれば、往年の歌手たちも、流行りのアイドルたちも当人の生死や老いにかかわりなく、当たり前のようにわたしたちのために歌ってくれる。そうしたある意味で奇跡のような体験は、鳴り響くなり消えてしまう声という儚い現象を物体に刻み込み、痕跡化する技術によって可能になった。
ところが、録音のデジタル化が進んだ現在、スピーカーからは「不滅の声」とは別種の声が聞こえるようになってきた。あるところでは、ソフトウェアで歌唱データを入力し、電子楽器を自動演奏するように歌声を操るということがおこなわれ、別のところでは、音声のデータを書き換え、歌声をシンセサイザーの電子音のように変えたり、話し声を歌声のように変えたりするということが当たり前のようにおこなわれている。またあるところでは、デジタル処理される音響のデータを人間の声に近づけ、無から歌声を生成するということさえおこなわれている。つまり一方では、人間の歌声が機械によって生成される音響に接近していくという状況が生まれており、他方では、機械によって生成される音響が人間の歌声に接近していくという状況が生まれているのだ。人間と機械とがあたかも互いに結合するようにして生まれる声。そうした声のあり方を、本稿ではサイボーグ的な声と呼んできた。
こうした状況はなぜ生まれたのか。その背景をゆっくり考える紙幅の余裕はもはやないが、デジタル技術の歴史をたどっていくと、そこにはもともと人間と機械の融合を志向するような思想をいくども垣間見ることができることは指摘しておきたい。たとえば、「サイボーグ」という言葉の由来として知られる「サイバネティクス」は、そうした思想を代表するものとして挙げられるだろう。1948年にこの学問を提唱したアメリカの数学者ノーバート・ウィーナーは、動物と機械を通信工学と制御工学の観点から総合的に扱うことをその目的としたが、彼はそこで動物の神経系を高速計算機すなわちコンピュータと同列に置くという考えを提示している−−「われわれに明らかになったことは、つぎつぎにスイッチの操作を行なう超高速計算機が、神経系に生ずる問題をほとんど理想的にあらわす模型となりうるにちがいないということであった」。彼いわく、神経系のニューロンは発火するか、しないかという二者択一的な性格をもつが、この性格は0と1という二進法に従って作動するコンピュータと共通するというのだ。また、ノイマン型コンピュータの父として知られるジョン・フォン・ノイマンは、1957年に死去するまで脳とコンピュータの類似性を数学的に証明する試みに従事していた。その遺稿においてノイマンは脳の働きにアナログ的な側面があることを認めつつも、ウィーナーと同じく、神経パルスがデジタル的な性格をもつことを主張し、中枢神経系の働きを記述するためのプログラム言語の可能性を指摘している。彼らが主張したのは、人体とコンピュータは類似した働きをもつということだった。だからこそ、コンピュータを人間のように扱い、人工知能や自動制御の技術に応用することが可能になったのであり、人間をコンピュータに接続し、人工臓器によって制御するようなことも可能になったのだ。人間の声をコンピュータ技術と結合させ、両者の境界を曖昧にしてしまうような表現は、人間と機械を同じく「計算」というタームでくくるような思想が社会に浸透したことの現われだと言えるかもしれない。
だが、人間と機械との接近をもたらすような技術やそれを用いた表現は、何も今にはじまったことではない。メディア研究者のジョナサン・スターンが指摘するように、そもそも蓄音機の発明からしてすでに、人間と機械の境界を揺るがすような側面をもっていた。その発明は人体をある種の機械とみなし、実物の機械として再構築しようと目論むようなさまざまな探求の成果としておこなわれたのであり、局所的にみれば、電話や蓄音機は鼓膜の模造品に起源をもつ。また、筆者が別の論文で書いたように、さらに遡れば、18世紀にはすでに口や喉といった音声器官を人工的に再現することで、人間の声を機械化しようとするような試みもおこなわれていた。ジョンソンが「不滅の声」について語ったとき、それはすでにかつての人間の声ではなく、フランケンシュタインの怪物があげた産声のごとく、人間と機械の境界を乗り越えようとするさまざまな実践の積み重ねによって誕生した声だったのだ。以来、人間の声は機械との結合と融合をくりかえし、美的に洗練され、マイクロフォンを通して聞こえる声こそが自然な歌声として受け容れられるような文化さえ成立した。そう考えると、本稿で「サイボーグの歌声」と呼んだものは、アナログとデジタルとの断絶を意味するものというより、録音技術の誕生以来(あるいはそれ以前から)くりかえされてきた試みの延長にあるものとみなすべきかもしれない。
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買えなかった方、お待たせ致しました🙌 到着です🐇 本日の新商品はこちら💁♀️ リクエスト入荷のピンクオパールうさぎ🐇 前回と同じ、6cmサイズ👍 パッチリクリクリお目々👀 ご希望の方はコメントに記載の上、ご紹介時配信に来て下さい🙌 (発送方法や商品確認頂く必要があるので、配信のみの販売となります。) 彫りの深さ、品質もトップクオリティです👍 それでは、ピンクオパールについて👩🎓⤵️ オパールは愛と神秘の宝石。中でもピンクオパールは「キューピッドストーン」とも呼ばれ、古来より愛を叶える石として女性に大切にされてきました。柔らかなピンク色の優しい雰囲気とは裏腹に、芯の強い、パワフルで豊かなエネルギーを感じる事ができます。ピンクオパールを身につけると、女性らしい美意識や慈愛の気持ちが高まり、内面的な美しさを引きだし、愛する人との出会いをもたらして、恋愛を成就させてくれるといわれています。 また、ピンクオパールには「やり直し」のパワーがあると伝えられています。「やり直し」とは、物事をリセットして一から修復できるという意味ではありません。時間を巻き戻して、都合よく未来を変えることはできませんが、今の状態から抜け出し、より良い方向へ変えることは可能だと教えてくれているのです。特に恋愛面においては、パートナーとの関係がぎくしゃくしていたり、倦怠期に陥った時に身につけると良いでしょう。問題点がはっきり見えてくるので、悪循環を断ち切り、少しずつ良い方向へと導いてくれます。 よく「ピンクオパールは失った恋を取り戻せる」とか「復縁の石」などといわれます。間違いではありませんが、さらに付け加えると、例えば数年たってから「結果的にあの時の事はあれで良かったんだ」と思えるような方向へと恋を導いてくれる…という方が近いと思います。復縁するにしても別れるにしても、現実を静かに受け止め、あまり流れに逆らわない方が賢明です。最後に本当の愛を掴んだ時、はじめて この石の素晴らしさに気づくことができるでしょう。 ※オパール系の石は乾燥や衝撃に弱い性質があります。熱や太陽光に当てすぎないよう気をつけて下さい。また、乾燥に弱いので、オイルやクリームを塗る事をお勧めします。 リクエスト頂いてた、『 LA LA LA lovesong』も載せておきました🎤 人生初の久保田利伸さんの楽曲歌ってみました✨ ワンフレーズしか覚える時間ありませんでした🙇♂️ オパールご希望コメントの方、数量限定で取り置きも出来ないので、配信時来てくださ〜い🙌 ※コメント頂いた方優先にはなりますが、ご紹介日当日にいらっしゃらなかった場合は、次の方へとなってしまいます。 ご理解の程宜しくお願いします🙇♂️ #順次配信にてご紹介 #ポストした日がご紹介日ではありません #デカくて安い#可愛くて安い#綺麗で安い#送料込み#送料無料 #天然石#オパール#ピンクオパール#6センチ#大サイズ#60mm#インテリア#置物#きれい#かわいい#うさぎ#ラビット#兎#ぴょんぴょん#パワーストーン#浄化#癒し#ストーンダブル#久保田利伸#ララララブソング #カバー#歌ってみた#リクエスト曲 https://www.instagram.com/p/Ck3KskWSnSJ/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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焼きそばハロウィンはいかにして無敵のアイドルになったのか(2)
ごうごうと音を立てて裏庭の果樹園が赤く蠢いていた。永遠に収穫されることのなくなったりんごたちは次々に���え落ちていった。光線を歪めて通すガラス窓がちらちらと女性の顔に炎を落としていた。質素なドレスからむき出しになった上腕を伝い、デスクの上へとおびただしい血が流れていた。その女性はみずから三重四重にナイフで切り口を開いて、金属のボウルに血を溜めていたのだった。ふわりと娘の方を振り向いた彼女のかんばせは、尊い使命を神から与えられて、地獄に遣わされた人の純真を示すヴェールのように白く輝いていた。最も高い天にたなびく雲よりも美しく結われたプラチナ・ブロンド。晴れた日のエーゲ海の上下を混ぜ合わせてしまったような知性に溢れたブルーの瞳。 ボウルから血をおさない娘に何口か含ませると、「絶対に声を出してはだめよ」とその女性は言った。腕の痛みで眉はひどく歪み、額には乱れた前髪が数本張り付いていた。娘はこくこくとうなずいた。母親が言うことを忠実に守るために、口元には両手が当てられて、目には涙が浮かんでいた。母親が「いい子」と言って微笑んだのを見て、ああ、愛しいママ、とその娘は思った。ママが苦しむのを、見たくない。ママが喜んで、嬉しい。 その娘は、かつての志希だった。 そうだ、これはあたしの物語だった、と志希は思った。志希はその鉄臭い液体を口いっぱいに含み、母親の言う通りベッドの下に潜り込むと息を殺した。そこにはカビ臭い本が何冊もあって、それは志希が数ヶ月前にそこに隠したあと、忘れてしまった本たちだった。志希の母親は「いい子だから。きちんと、隠れていてね」ともう一度言いながら、悲痛な表情で彼女の手を握った。血でいっぱいのボウルが横っちょに押し込められた。志希は本の内の一冊を大事に抱えて、ついでボウルを脚の下に隠した。 こく、と血を少しだけ飲んだ。 「ごめんなさい」と彼女は言った。 「許してね。力のない私を許してちょうだい」と、囁いた。 そうして彼女が足早に去っていくのを志希は見送った。 自分の息がうるさすぎて、ごうごうと知恵の実が燃えていく音は遠くなった。 やがて重々しい足音で、数人の兵士たちがやってくる。全員が、統制された動きで部屋を荒らし回った。クローゼットに整然と並んでいたお気に入りのドレスたちは床にぶちまけられ、踏みつけられた。ベッドシーツはめちゃくちゃに切り裂かれ、本棚の本も同様にすべてが投げ捨てられた。がしゃんと窓が割れる騒々しい音がして、家具たちが外に放られているようだった。 志希はそれらをすべて、そのベッドの下の小さな隙間から見ていた。こく、と血を飲む。ボウルの血を口に含めば、まだ少しは、保つはずだった。誰に祈ればいいのか、志希にはもう分からなかった。 そして、母親が戻ってくる。 母親は自分の脚で歩いていない。 つま先はずるずると引きずられている。二人の兵士たちが彼女の両脇をきっと抱えている。そして、彼女は木でできた床に打ち捨てられる。志希の愛したドレスと同じように、本たちと同じように。死の直前、ひどい苦悶に喘いだであろうその美しかった顔や目に、もはや生命のしるしは無く、志希は約束を破って、「ママ」と小さな声で呟きながら、ベッドの下からその死体に手を伸ばした。志希の周囲で、正体のわからない激しい火がぼうぼうっと燃え盛っている気がした。 伸ばされた彼女の手は、炎の向こうで、親しい人にそっと取られた。 「志希」と美嘉は言った。涙で歪んだ視界の奥で、志希は母親の代わりに美嘉を見つけた。 すべてはかつてあった真実が夢に溶けた姿だった。 友愛に満ちた顔には、不安が滲んでいた。ベッドから離れて光るデスクライトだけに照らされて、美嘉の尖った鼻が作る陰翳は、記憶の中の母親のそれに少しだけ似ていたが、おさなさが濃かった。 志希はじっと美嘉の輝く瞳を覗いて、微笑んだ。「泣いちゃった」と、くすくす笑った。そのまま、ぐす、と鼻を啜って、「あー」と意味なく呻きながら人差し指で目の下を拭い、 「美嘉ちゃん台本見てたの? 今何時?」 「一時過ぎ」 「明日も撮影なんだから、早く寝ないとだめだよ」 ふ、と美嘉は笑って、「いつもとなんだか、逆だね」と静かに言った。 そっと美嘉が手を離したとき、志希の手はわずかに空を掻いて、去っていったそれを求めた。求められた美嘉の温もりは、デスクライトをか、ち、とゆっくり消したあと、志希のベッドへと戻ってきた。 志希は美嘉の胸元に抱かれて、少し恥ずかしそうに「ちょっと、美嘉ちゃん」と言った。「お母さんの夢を見ていたの?」と美嘉は聞いた。短く迷って、志希は柔らかな美嘉の胸の中でうなずいた。 「志希のお母さんは、どういう人?」 「……よく、覚えてない」 「そう」 美嘉はそのまま黙って、腕の中の志希の頭を撫でていた。 いつまでも、ゆっくりと撫でていた。 やがて、発作がやってきた。悲しみの発作が作る苛烈な嵐に、志希はほとんど息ができなくなった。ぎゅうっと美嘉のシャツを握りしめて、志希は激しく嗚咽した。その泣き方には、激しい生命の力が込められていた。生きるためには、そうするしかなかった。 「ママ」と、志希は母親を求めて泣き続けた。 結局のところ、志希はそういう星の下を選んで、産��れてしまったのだ。
* * *
何時間も回り続けるように精巧に作られた独楽が回転しているとき、巨大な運動エネルギーを秘めたまま一見静止しているように見える。それと同じように、美嘉は志希の方を向いたあと、口をくっと結んで動かなかった。心中の感情がこれほど苛烈に渦巻いているひとを見たことがなかったから、志希はその熱量の凄まじさに気がつくと、食べかけのゼリーが載っていたスプーンを咥えたまま、動くことができなくなった。 やがて、野生の動物の子どもが襲われた瞬間の母親のように、美嘉は素早く立ち上がると一言も言葉を発さずにベンチから立った。「え」と志希は小さな悲鳴めいた声を上げると、「ゼリー……」と呟いて、手元のそれを大事そうに両手で持ち、そのまま焦ったようすであとを追いかけた。 きめ細かい乾いた土の上を早足で歩く美嘉に小さな歩幅で走って追いつき、志希は「美嘉ちゃん、ゼリー」と言ってそれを差し出そうとした。美嘉は「いらない」と言うと、「着いてこないで」と表情のない声で彼女を拒否した。志希は「う」とひるんで、それでも「美嘉ちゃん……」と呟きながら美嘉の肘をそっと取ろうとした。 ばし、と腕を払われて、志希が持っていたゼリーが土の上にカップごと飛び散った。二人の向いからちょうどやってきた室内犬が低い声で唸りはじめ、その飼い主の子どもは慌てて犬を抱えると、足早に去っていった。 「どうせ、アタシがなんで怒ってるかもわかんないんでしょ」 美嘉に言われて、志希は答えを探そうと必死に頭を巡らせた。志希は半年ほどの彼女との付き合いの中で、何度も何度も美嘉を怒らせたことがあった。ふざけてわざと怒らせたことも、意図せず怒らせたことも、怒っている理由がぼんやりとわかるときもわからないときもあった。しかし今日ほど彼女を怒らせた理由が知りたいと思ったことはなかった。彼女がその魂の底から真剣に怒っていることがわかったからだった。 ほとんど一番に大事な友人にどうしても何かを言わなければならないはずなのに、なんと言っていいのかわからずに志希は下を向いた。 美嘉は、ふっ、と鼻で笑った。「……ごめんねも言わないんだ」と、掠れた声で言って、志希を見つめた。志希は何も言えずに眉を寄せて、何か見るべきものを探し、しばらく地面の上で飛び散ったゼリーが一列の蟻に運ばれていくのをじっとなぞっていた。やがて視野の端をかすめた何かに気づくと、ゆっくりと顔を上げ、その視点は美嘉の手に留まった。 志希は美嘉に駆け寄ると「ちょっと!」と美嘉が振りほどこうとするのに構わず、彼女の手を引いて近くにあった水飲み場まで連れて行った。蛇口を捻って水を出すと美嘉の左手をその下に寄せた。美嘉の手のひらは、文香に倒されたときに傷ついて、皮膚が人差し指の爪ほどの範囲でめくれていた。その傷口に、美嘉は冷たい水が触れたときに初めて気づいたのだった。桃色の皮下組織が乾いた土の下から現れて、「いつっ」と小さな声で美嘉は呻いた。志希は何も言わないまま、大事そうに傷口を水の下で何度か拭うと、綺麗になったその手に顔を近づけてよく確かめてから、美嘉を見上げた。 「なに?」と美嘉が言うと、志希は「バンソウコー、ない」と悲しそうに言った。美嘉はため息をついてタオルハンカチで傷口を拭いながら近くのベンチまで歩いていき、バッグを片手で探ると絆創膏を取り出して志希に渡した。それが自分の親指の付け根へと丁寧に貼られるのをじっと待った。 すべてを終えると、志希はほっと息を吐いた。美嘉は手を引いて「ありがとう」と言った。志希は美嘉におびえているかのように、何も言わずそのまま地面をつま先で軽く擦っていた。 「なんで今日、レッスンに来なかったの」と美嘉は言った。 志希はびくりと身を固くした。数秒のあとにもう一度、拗ねたように土をかき回し初め、やがて「……忘れてた」と一言言った。 はああ、と長いため息を美嘉はついた。 「……ちょっと勘弁してよー、ほんとにもー……あのさ」 美嘉は立ち上がると、ずっと地面を向いていた志希の視線をひらひらと治療の終わった手のひらで遮って上を向かせた。「何回も何回もチャットで言ったでしょ。明後日は最終確認だよー、明日は最終確認だよー! って。志希は全部振り覚えてるかもしれないけど、アタシは不安なの。文香さんは……」 美嘉は一瞬言葉を区切って、何か痛みに耐えるかのような表情をした。志希が不思議そうにそれを見つめているのを無視して、 「文香さんはかなりダンスが不得意だし、三人で合わせる機会はすごく大事だと思ってる。明日からの本番で、失敗しないように」 新たなため息が美嘉の口から音もなく出ていった。 「……ま、ほんとは志希もちゃんと分かってるよね……」 美嘉は志希の青い目を覗き込んだ。「なんで、忘れたの? なにかすごく大事な用事があったの? それでいつもみたいに頭からスポーンって抜けちゃったんでしょ」 はく、と志希の口が動いた。「怒らないから、言ってみな」と美嘉は小さな笑みを口元に浮かべて言った。 長い沈黙があった。 「……マ、ママ、に……呼ばれたの」と、志希は途切れ途切れに言った。 「……どういうこと?」 「……あの、ママ、今日東京に出てきたから、それで……最近はどうしてるのって、何か変わったことない、って、電話で……言われたから……あ……」 志希はベンチに座ったまま、美嘉を見上げていた。彼女の顔が変わっていくのを、どうすることもできずに見つめていた。そして、「死ね」と彼女に言われたとき、もともと白かった顔色はまっしろに変わって、口元は悲鳴の形を作り、首だけが二、三回、静かに振られた。 「馬鹿みたいじゃん」と美嘉は言った。 「アタシ、馬鹿みたいじゃん!」と、叫んだ。絆創膏が貼られたばかりの握りしめられた拳が、ぶるぶると震えていた。 「ほ、ほんとに呼ばれたんだよ! ほんとだよ!」と志希が必死の声で言うと、「アンタアタシにお母さんは死んだって言ったでしょ! それも忘れたって言いたいの!?」と美嘉は叫んだ。 小さく風が吹いて、二人の頭上を覆うクスノキの枝がざあっと揺れた。激しい太陽の光が木々の間から顔を出し、呆然と立ち尽くす志希の姿をつかの間、真実を暴くかのようにぎらっと照らした。怒りのあまりに美嘉の声は震えて、両眼には今にも溢れ出しそうなほど涙が溜まっていた。 「志希、マジ、なんなの? 全部ウソなの? ……沖縄で同じ部屋、泊まってさ、アイドル楽しいね、ずっとやっていきたいねって語って……あの夜……」 光る瞳を残酷な形に曲げて、志希を睨みつけたまま、ぐ、と言葉に詰まり、また口をひらいた。 「アタシだけが本当のこと言ってたの? アタシだけがアンタに騙されて馬鹿みたいに身の上話して……ねえ、志希」 美嘉は笑った。途轍もない悲しみを隠して、涙を零しそうになりながら笑っているので、志希はその凄惨なようすにほとんど耐えられなくなり、く、と唇を噛んだ。 「志希、アタシのこと馬鹿にしてるでしょ」 「してない」 「馬鹿にしてる! アタシの何もかもを、志希は絶対馬鹿にしてる! 馬鹿だ、馬鹿だ、真面目に人生語っちゃって、アイドルなんて真面目にやってって、馬鹿だって!!」 「馬鹿になんかしてない!」 「もういい! 志希なんか死ね!」と言って踵を返すと、美嘉はそのまま早足で歩き始めた。 「……なんでそんなこと言うの……」 志希がそう声をかけたとき、美嘉はついに両腕のすべてを使って志希からは見えなくなってしまった顔を拭った。とうとう溢れ出した涙を、どうにかしようと努めながら、その場から消えゆこうとしているようだった。去っていくその背中を見つめて、「ほんとなのに!」と志希は叫んだ。ぐっと涙をその瞳に湛えて、「あたし、ママいっぱいいるんだもん、ほんとだもん。い、今のママに呼ばれたんだもん!」ともう一度叫んだあとも、美嘉が脚を止めないのを見た。 そして、何もかもが決壊した。 「美嘉ちゃんの馬鹿ー!」と大声で詰ったあと、志希は子供のように泣き出した。嗚咽しながらぽたぽたと地面に落ちていく涙の粒をどうにかしようともせずに、ぎゅっとカーディガンの袖口を握りしめたまま志希は泣いていた。ああーという長い泣き声は公園の隅々まで響いて、遠い通路から脚を止めて彼女を見ている人々が何人もいた。志希はそのまま泣きながら立ち尽くし、葉の間の小さな隙間から漏れる燦然とした光を全身に点々と受けていて、やがてそのままどこかへとふらふら歩き出した。美嘉とは違う道を選び、泣き声のトーンをまったく落とさないまま十メートルほど歩いたところで、早足で戻ってきた美嘉が志希に追いつくと、その両手を握って「ほんとなんだね」と言った。 「ほんとだって、言ってるのに!」と志希は言って、振りほどこうと少しだけ暴れた。 「わかった」 美嘉はもう泣いてはいなかった。しゃくりあげる志希を、前からぎゅっと抱きしめて、後頭部をやさしく撫でながら「ごめんね、信じなくて」と耳元で囁いた。そのまま火を放ち続ける石炭のような志希の感情が落ち着くまで、目をつむって抱き続けていた。
子どもたちの陽気な声が空へと抜けていった。美嘉と志希の二人は疲れ切って、出口近くの噴水の縁に座り込み、一歩も動けずにいた。志希は赤い目をして、ぼうっと噴水がきらきらと落ち始めた太陽の光を反射するのを眺めていた。時折、彼女はきらりと美しく輝いた。美嘉はじっとその顔を見つめながら、 「志希のお母さん……いっぱいいるのね」 さらさらとした水音に、志希は沈黙を乗せて答えた。 「何人いるの、お母さん」 「……わかんない。もう数えてない」 はあーっと、美嘉は呆れてため息をついた。「ちょっとそれホントでしょうね……」と呟いたあと、テレビヒーローの真似をしながら追いかけっこをしている小さな子どもを眺めながら、「アタシにはわからん世界だなー」と言った。 「お母さんと、何の話してたの?」 「今度、焼きハロでやるライブ、インターネットとかで流れるかもしれないよって。だから見てねって」 「おーっ、いいじゃん」 「言おうとして……なんか怖くて、話せなかった」 がくっと下を向いて、「すっぽかされ損じゃん、アタシ……」と、美嘉は軽く笑った。 拗ねたようにずっときれいな水の流れを見ている志希を、美嘉はもう一度見上げた。きっとこの子は、どこかの喫茶店でお母さんと話しているときもこうなんだろうなと思った。目の前で起きていることに、とことん興味のなさそうなその視線。たどたどしい返答。退屈そうにほうっと吹かれる、ただ生きるための微かな吐息。だがその中心で、何かを求めようとする強い願いが燃え盛っているのを、少なくとも美嘉だけはもう知っていた。 「美嘉ちゃんはさー」 「ん?」 「美嘉ちゃんがアイドルやってるのをすごーく見てほしい人っている?」 「んー、このアタシを日本中に見せつけてやろう! とは思ってるけど」 「うまくできてる?」 「どうだろうね」 美嘉はくすくす笑った。「努力はしてるよ。マジで」 「……あたし、アイドルやっててほんとにいいのかなー」 「なんで?」 志希はゆっくりと美嘉の方を向いた。水面が彼女の顔を怪しく照らしていた。 「ママ、あたしがアイドルやってるってこと、知らないんだ」 またそのパターンかー! と美嘉は思った。くうー、と下を向いて、ガシガシ頭を右手でかきむしったあと、 「あのさ、実は文香さんも――」 ぐううう、ととてつもなく大きな音が美嘉の声を遮った。着崩したシャツのおなかのあたりを抑えて、志希は少し悲しそうに美嘉を見た。美嘉はしばらく目をぱちぱちとさせていたが、にこりと笑うと、「アタシの家、行こうか!」と陽気に言った。 「美嘉ちゃんのアパート? 手料理?」 「手料理は正解。アパートは不正解」 美嘉は勢いよく立ち上がると、志希に手を差し出して「行こ」と言った。志希は吊るし売りの人形のように美嘉を見上げたあと、弱々しくその手を取った。
「なんか、幼稚園みたい」と志希は言った。 『児童養護施設 飛翔』と書かれた看板の横の壁に、子どもたちがペンキで描いた絵が連なっていた。志希はそれに顔を近づけながら「美嘉ちゃんはどのへん描いたの」と聞いた。 「その壁建て直したのけっこう最近だから、アタシのはないよ」 「なあんだ」 つまんないの、と言いながら、志希は熱心に横歩きをして、壁をじっと見つめていた。美嘉は腰に手をかけると、ふふ、と笑って、何棟もの宿泊棟へと視線を移した。裏庭で遊んでいるのだろうか、姿の見えない子どもたちの声が建物に反響していて、美嘉は活気を感じた。 「おっ、美嘉ねえじゃん!」 遠くから声をかけられて、美嘉は志希の先から歩いてくる少年のほうを振り向いた。志希もそれに気づいて、壁から離れると美嘉の後ろにさっと隠れた。 「トオル、今部活終わり?」 「そうだよもー、めちゃつかれた」 巨大なバッグを背負い直すと「昨日ぶり〜」と言ってトオルは美嘉に上腕を差し出した。ごつ、とぶつけて「いえい」と二人は親しげに声を合わせた。 「美嘉ねえの友達? こんちは」と、トオルは子供らしさの微かに残る笑顔を志希に向けた。 「トオルは志���の二個下だよ、バドミントンがうまいんだ」と、美嘉が志希に紹介すると、志希は「こんにちは、一ノ瀬志希です」と小さな声で挨拶した。差し出された大きな手を恐る恐る握る。 「志希はねー、アイドル仲間」 「うおー、マジか!」 トオルはぱあっと顔を輝かせると、「一ノ瀬さん、お会いできて感動っす!」と言うと、握ったままの手をぶんぶん振り回した。志希はあうあうと焦ったあと、さっと美嘉の背後にもとのように隠れてしまった。 「ちょっとアンタ、あんま乱暴しないでよ。つうかアタシも一応アイドルなんだけど、なんだと思ってんの?」 「やー、本物はやっぱ全然違うね! めちゃかわいい!」 「あんま調子乗ると彼女に言いつけるよ。昨日ライン交換したんだから」 「すみません、やめてください」 神妙な言葉��は裏腹にあははと笑うと、トオルは口元に手を添えて、小声で「ほんとは初彼女のことみんなに自慢しにきたんじゃないの〜?」と美嘉に囁いた。 「初彼女……」 志希は目を丸くした。数秒ほど固まった美嘉は全身を真っ赤にして「んなわけないでしょ! バカ!!」と叫び、既に宿泊棟のほうまで逃げていたトオルを追いかけていった。 「昨日のお返し〜! 美嘉ねえのアホー!」 トオルが宿泊棟に駆け込むと、はー、とため息をついた美嘉はとぼとぼと戻ってきて「ごめんね、バカで」と志希に謝った。 「美嘉ちゃん、昨日も来てたの? よく戻ってきてるんだ」 「ん? んー、今日はほんとにたまたまだよ。アタシは家が場所的に近いからすぐ来れるっちゃ来れるけど、フツーは一回外に出たら、あんまり戻らないかな」 「なんだか、不思議な家だね」 志希の正直な感想に、美嘉は少しの間黙った。黄金に色を変えつつある太陽光線が、ピンクに染められた髪を掠めて志希の瞳を焼いたので、志希は微かに目を細めた。「そうかもね」と言って、美嘉は猛烈な光の中心で笑い声を上げた。 「さて……チサはどこにいるかな……」 美嘉は志希を促して敷地の中を歩いていった。何人もの子どもたちが美嘉を見つけると親しげに挨拶をして、志希はそのたびにたどたどしく自己紹介をした。女の子たちばかりが遊んでいる場所をいくつか通ったあと、美嘉はついにちいさな図書室の暗がりで、赤い絨毯の床にぺたりと座って図鑑を読んでいる女の子を見つけた。 「チサ」 図書室の中にはほかに誰もいなかった。からからと引き戸を大きく開けながら、小声で美嘉が彼女の名前を呼ぶと、チサは顔を上げて、「美嘉ちゃん」と嬉しそうに言った。 「あさ、起きたら美嘉ちゃんいなくて、悲しかった」 「あはは、ごめんね。お仕事があって忙しかったんだ」 「そっかー……」 チサは下を向いて、「わがまま言って、ごめんなさい」と言った。「昨日の夜、アタシに帰るなってみんなが言ったこと?」と言いながら、美嘉は靴を脱いで中庭から図書室へと上がった。 「大丈夫、遅刻とかはしなかったから」と、チサの頭をぽんぽんと叩いた。チサは悄然として床を見ていた。美嘉は苦笑いを浮かべながら「さて」と言った。 じゃじゃーん、と、美嘉は大きく手を広げて志希を指し示した。 「アタシが連れてきた、この子は一体誰でしょう!」 「……知らないおねえさん」 「や、まあ、見たことないだろうから、そうなんだけど」 「美嘉ちゃん」 志希も訝しげに美嘉を呼んだ。美嘉は志希に向かって笑みを浮かべ、 「覚えてない? 夏休み子供アイドル相談室で、石鹸のつくり方を聞いてきた……」 あ、と志希は声を出した。 「そうか、キミはあの子か」と、靴を脱ぎながらふふ、と笑うと、急に自信に満ちた態度で図書室に上がった。膝で立って目線を合わせ「こんにちは」と挨拶をすると「一ノ瀬志希です。夏休みのラジオ番組で、キミの質問にこたえたのは、あたしだよー」と言うと、床に置かれていたチサの手にそっと触れた。 チサはぼうっと志希を見ていたかと思うと、ぱあっと顔を輝かせた。「石鹸、できました! あぶないって言われたところは先生たちに手伝ってもらって――」と、流れる川のように喋り始めた。やがていくつかのあらたな質問が溢れ出て、志希はそのひとつひとつに丁寧に答えていった。美嘉は微笑みながら二人のようすを見ていたが、志希に「ご飯作ってくるから」とひとこといい添えて、図書室を出ていった。 中庭を楽しげな長い影が、小さな鼻歌と共に横切っていった。
「ハンバーグ美味しかった? 時間かかっちゃってごめんね」 「ううん。みんなとお話してたから、楽しかったー」 皆に挨拶を済まし、二人は施設をあとにしていた。日はすっかり暮れて、薄暗い中に街灯がぽつぽつと点いていた。志希はカーディガンのポケットからセロファンの袋に包まれたマーブル模様のきれいな直方体を取り出すと、街灯にかざしてほうっと息を吐いた。 「いいなー。それ半分に切ってアタシにもちょうだいよ」 「絶対だめ」 「ええー」 けち、と言いながら、美嘉はとても嬉しそうに笑った。志希は赤く細いリボンを少し緩めて、すっとその香りを鼻腔に満たした。 「ダージリン、ヘーゼルナッツ、ハニー。このブラウンはココアか……」 しばらく余韻に浸ると、大事そうにそれをポケットに戻して、 「きっとこれで身体を洗ったら、お菓子みたいになっちゃう」と言うと、泡だらけになった自分を想像したかのようにふふふ、と笑って、くるっと回った。 「美嘉ちゃん、ありがとう!」と美嘉の目を見て言い、また歩き出した。美嘉は驚いてしばらく立ち止まっていたが、「びっ……くりしたあ。志希がお礼を言うなんて……」と、あとを追った。 「次はごめんねが言えたらもう一歩成長かな……ていうか、元気が戻ってよかったよ」 「んー、どうだろにゃー」 志希は機嫌の良い子どものように大きく手を振って歩く。しかし、目を細められ、口元は薄い冷笑を作っているのがわかった。いつまでも消えないそのアンバランスさがひどく哀れに思えて、美嘉は悲しくなった。 「ママ……ママたちね、きっとみんな、あたしのこと嫌いだと思う」 「……なんで?」 「みんなあたしがほんとうの子どもじゃないということを、おなかの底からよくわかってるんだと思う。だから嫌いなの」 「……そうかなあ」 言葉を区切ると、近くの草むらで秋虫が鳴く声がはっきりわかるようになった。美嘉は次の街灯が自分の身体を照らし始めるところまで黙って歩いた。 「アタシは逆に血縁のことなんて信じてないから、もっと大きなつながりのほうを強く信じてるよ。だから志希は大丈夫だと思うんだけど」 「大きなつながり?」 「愛だよ、愛」 「うっわ」 恥ずかし、と茶化すと、にゃははと笑った。 「まー、よくわからないけど、今日のあたしは、アイドルできてた! すっごく嬉しかった!」 たたっと走って、次の街灯に先にたどり着くと、 「だから、あたし、アイドルを馬鹿になんかしてないよ。美嘉ちゃんのこと、馬鹿になんてしてない」 「もー、わかったから」 その街灯に美嘉が歩み寄ったので、二人はお互いがはっきりと笑っていることを知った。 「早いとこお母さんに言いなよ」 「努力しまーす」 「ったく、保護者の同意書どうやってくぐり抜けたのよ」 「署名のギゾー」 何かを言いかけた美嘉はぴた、と止まって、数秒してから「忘れてたあ……」と座り込んだ。 「なになに、なにかトラブル?」 「今日の練習、文香さんも来なかったんだよ」 「ほほー」 「午後に文香さんち行ったんだけど、『親にやめろって言われたから、アイドルやめる』って言われちゃって」 「あは〜ん、で、それを今の今まで忘れていたと」 志希はふむふむ、と何かを考える振りをしながらくるくると視線を動かしていたが、やがて、「美嘉ちゃんは、馬鹿なのかにゃ?」と言った。美嘉はゆっくり立ち上がると、思い切り振りかぶった拳を志希の頭に振り下ろしながら、「お前が言うなっ!」と叫んだ。
その駅のホームに降り立ったとき、志希はすうっと一息空気を吸い込んで、立ち止まった。「どうかした?」と美嘉が聞いて、志希は首を振ってこたえた。炎が暴れ狂う匂いだ、と志希は思った。どこかでだれかの財産と生命が、燃えているのだ。蛍光灯に照らされながらとんとんと階段を降りていく、志希の顔は暗い。 東口を出ると、美嘉は「ちょっと、とりあえず作戦立てよ、作戦」と言った。 「ファミレスはそこにあるけど、えーと……」と、スマートフォンを取り出して操作していると、志希は「美嘉ちゃん」と遮った。 「文香ちゃんの家って、あっちのほうだったりする?」 「ん、んー? 多分そうだと思うけど……」 志希が指さした方で、空や建物が恐ろしげに赤く照らされているのが美嘉にもわかった。遠く、何台もの緊急車両のサイレンが聞こえた。「行こう」と、微かに不安の滲む声で、美嘉が言って走り出したとき、志希はその場で過去の体験がぐわあっと自分を追い越していくのを感じた。あの燃え盛るりんごの木々、てんてんとボウルに血液が落ちる音、本に生えたかびの臭い、錆びた鉄の味、床に捨てられたママの美しかった瞳が、恐怖に歪んであたしを見ていて、彼女はその口を開き「いい子」と――。 「志希!」と激しい声で呼ばれて、はっと顔を上げた。「くっ」と声を漏らすと志希は美嘉を追って走り始めた。 やがて、二人はその家にたどり着く。 「嘘でしょ……」と美嘉は最後の角を曲がると呟き、志希は「ああ」とその激しさに絶望して、声を上げた。 分厚い人垣の向こうで、鷺沢古書店は燃えていた。屋根は柱を何本か残して既に落ち、二階にあったはずの文香の居室は跡形も無くなっていた。一階の店舗部分からは今もめらめらと恐ろしい勢いで炎が吹き出し、庭木のいくつかはすべての葉を落としていた。太い電線がまさしくちょうど焼け切れて、ばぢん、という何かを切り落としたような音が辺りを裂いていった。何もかもが燃え尽きていく凄まじい臭気が空間を満たしていた。 美嘉がだっと駆け出して人混みをかき分け、そこに近付こうとすると、すぐに警察の張った黄色い規制線に遮られた。開けた周囲をぐるりと見渡し、救急車、消防車、警察車両がすでに到着して、必死の消火活動が行われていることが分かった。 「すみません!」 美嘉はテープを広げようと忙しく働く警察官に声をかけた。「危険だから、少し下がって!」と強く言われた。 「友達が、住んでた家なんです! けが人とか……どうなったのか教えてください!」 「なんだって……近所の人には、持ち主が帰ってこない空き店舗だと聞いたけど」 その警察官が無線でどこかへ連絡し始めたとき、美嘉はぎゅうっと両手を胸の前で組んだ。文香がまだ見つかっていないということがはっきりと分かった���らだった。 「お願い……」 美嘉の開ききった目は燃え盛る火宅をじっと見つめ、震える喉からは悲しい祈りが漏れ出た。そうやってぼうぼうと踊り狂う炎が何もかもを奪っていくのを、力無く見守っていた。祈ることしか、彼女にはできなかった。 志希は、そうではなかった。 志希は美嘉が背中を丸めて、全霊で何かに祈っているのを見つめていた。やがて、ふ、と踵を返すと、元来た道を走って戻った。冷たい空気が肺で暖められて、彼女の周りに形無くたなびいていた。いくつもの街灯が、規則的に彼女の冷静な顔を明滅させていた。角へと立つたびに、彼女は、すん、と鼻をうごめかした。 四つの角を曲がり終わると、彼女は人通りの少ない道へと出た。誰も目にすることのない狭いビルとビルの間で、やがて志希は目的のひとを見つけた。 かちゃ、と、ノブが回される音が鳴った。 乱れた呼吸を、ふ、ふ、と戻すように努力して、志希はその奥を見つめながら、ふ、と自嘲気味に笑った。 通る者のいない路地を囲む植木鉢と、枯れた植物の奥、トマソンと化したドアの奥、ブゥーンと低い音で鳴る室外機、ゆっくりと回るガスメーター、なにかよくわからない液体の汚らしい流れと、何年もの間繰り返し捨てられて拾うもののいない缶や瓶のごみのさらに奥に、まさにそこに、文香はいた。 焼け焦げて濡れたストールに身を包んで、服も炭で汚れていた。背を壁にぴたりとつけ、地面に座り込み、小さな空間で彼女は一心不乱に広げた本を読んでいた。角が焼けてしまったその青い表紙のソフトカバーを、文香はまるで数日ぶりの食事をしているかのように、大事そうに一行一行をなぞっていた。志希が目の前に現れたことにも気づかない様子で、時折その文を小さく声に出して読み上げていた。 そして、今や彼女がふつうの人間ではないことは明らかだった。その頭で、猫のような大きな耳が揺れていたからだ。 文香が感覚の一切を集中してその本に身を投じているのに、その耳だけが別個の意志を持っているかのようにく、く、と動いた。志希がちり、と音を鳴らして耳に下がっていたピアスを片方外すと、文香の右耳がこちらの方を向いて、あたかも獲物を凝視する一匹の肉食獣であるかのようにそのまま止まった。志希はピアスについていた小さなアンプル状の装飾をぱきっと砕いて開けながら「キミも、そうだったんだね」と文香に向かって言った。 瓶の中で、ぬらりとした液体が怪しげに揺れていた。 パトカーが一台サイレンを鳴らしながら現れて、志希の姿をばあっと照らした。その光を志希は一瞬眩しそうに見つめて、そのまま猛スピードで通り過ぎていくのを目で追った。 文香のいる谷間に一歩入りこんでから、志希は液体をこくりと飲み干した。志希の身体は、それで仄かな緑色に光り輝きはじめ、両側の壁面を美しく照らした。 ぴちゃ、ぴちゃ、とローファーで汚水を踏みしめて、志希はその隙間のもっとも奥へとたどり着くと、文香の頭をやさしく撫でた。彼女の頭で、ぴ、ぴ、と大きく動いていた耳は、志希が両手でそれをそっと包んで、何事かを唱えながらゆっくりと触っていると、やがて透明になっていき、消えた。 「あたしたちみたいなのが、アイドルだなんて、笑えるよ」と言って、志希はほんとうに笑った。 文香は志希のやわらかな光にようやく気づいたのか、顔を上げると「志希さん」と言った。 猛烈なスピードで近づく電車の前にみずから佇む人は、頭の中が後悔でいっぱいになり、自分がなぜそこにいるのかついには理解できなくなる。それと同じように、文香は何もわからないようすで志希の表情を反射するかのように笑みを浮かべた。口元は笑っているのに、すだれのようにすべてを覆い隠す前髪の奥で、ロシアンブルーのそれのような瞳が彼女の魂を映しているかのように悲しげに瞬いていた。
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200Miles
群馬県を中心に活動するサイクリングコミュニティCycleClub.jp(ccjp)は、関東圏から多くの参加者を集めるクラブライドを活動の中心に、前橋シクロクロスをはじめとしたイベントを何度も成功させ、自転車のまちを標榜する前橋市との信頼関係を築くなど、地元の自転車仲間という枠組みを超えた存在感を示している。そんな彼らが過去2年で2度クローズドで開催した200miles、320km/4300mUPというビッグライドのことは友人であり同じくRaphaアンバサダーを務めるccjpの中心人物の1人、Tkeyから話は聞いていた。僕は自身の最高距離も平坦基調で260km程度が一度あるぐらいで長距離走にも別段興味はなく、半笑いで彼に「自転車好っきゃな〜」と賛辞を送るに過ぎなかったのだけど。聞くところによると、満を持してということかはわからないが、その200milesをオープンなイベントとして開催するという。4人を1チームとして群馬県は前橋からスタートし、平坦を東へ栃木県小山市まで進んだところで北上、日光いろは坂・中禅寺湖を経て、国道日本3位の標高である金精峠の2024mをピークとし、群馬の沼田へ下り、中之条・東吾妻とアップダウンを繰り返し前橋へと戻ってくる320km、獲得標高4300mの道のり。朝3:30のスタートで、完走が認められるのは夜22:00まで。という話を聞いた頃には、なぜか僕も走る流れになっていた。長距離走が自分の関心外だったこともあり、特に走りたかった訳でも無いけど、なりゆきでそうなったら走らない理由は無い。運命が選んだんだ、と静かに受け入れた。走ることが決まったら、それはそれで楽しみだと感じていた。結局は「自転車好っきゃな〜」ということである。 そうこうして決まったチームは、Rapha Japanのヒロ、Onyourmark MAGAZINEのユフタ(もちろんこのライドも記事にしている)、RaphaCyclingClub(RCC)の東京チャプターを牽引する落合さん、そして僕という4人で、ヒロとユフタはCANYON Japanから新作のグラベルバイクGRAILを借り受けていて、オンロードでのインプレッションするという事になっていた。落合さんもまたCANYONライダーだという。チーム3人がCANYONで参加するのなら僕もということで、CANYON Japanのご厚意でハイエンドのカーボンディスクロードUltimate CF SLXを借り受けた。彼らが持つテストバイクのパーツを利用して市販のアッセンブルより軽く仕上げてもらったこのディスクロードは、油圧ディスクにeTapとまさに最先端の装備。僕のクロモリバイクとは対極の価値観で生まれたスーパースポーツは、ディスクブレーキで驚きの7kgちょうどという軽さで、このビッグライドを少しは楽にしてくれそうだった���結果として、このバイクは僕を強く支えてくれることになる。そうしてチーム全員がCANYONにまたがり、Raphaの新作カーゴビブショーツとテクニカルTシャツをチームキットとして身にまとい、プロモーション臭をそこはかとなく漂わせつつ、我らがCANYON//シャカヶ岳チームは準備万端で5月4日午前3時35分にスタートしたのだった。この時には知る由もないが、この日、北関東圏の一部を襲った異常気象は、ちょうどそこを走っていた僕たちを雨、雷、霰、雹、吹雪、氷点下の気温と、気まぐれに様々なカード(もちろん晴れも)でもって翻弄した。最初の試練はスタートしてたったの30分後に天気予報で伝えなかった雨として現れる。未だ明けぬ宵闇の中で弱まることのない雨脚は、徐々に僕たちを削っていくが、とにかく前へ前へとペダルを回していく。ジャケットを雨予報ではなかったけど2000mからのダウンヒルの防寒と万が一の雨に備えてお守り的にRaphaのClassic Rain Jacket IIをチョイスしたのは幸いだった。これもこの日、僕を強く支えてくれることになる。 別のチームと出会って抜いたり抜かれたり、トレインを組んだりして走り続けると、やがて空は白み始めるが、雨雲は厚くなり雷を呼び込み、真夏の夕立のように様相を変えた。最初の平坦路で長い休憩を取る予定は無かったが、雨宿りに入ったコンビニで足留めをくらってしまう。既に全身は水浴びをしたようにぐっしょりと濡れていて、靴にも水が溜まっているような状態だが、ジャケットのおかげで胴がドライなのはありがたい。しかしまだ平坦を70km程度しか走っていない。先はまだまだ長く、ダウンヒル向けの装備が既に濡れていて、窓の外はさながらスコール。これからの旅の困難さに眩暈を覚えていた僕の横で、仲間たちはインスタントラーメンを食べながら晴れたらすぐ乾くだろうと笑っていた。 雨脚が弱まってきたところでリスタート。小雨になったとはいえ雨が降っている状態で自転車を漕ぎ出すなんて、税金を支払いに金融機関に行くぐらいに完全なる億劫でしかないが、日光方面に向かうにつれ、雨は止み雲はちぎれ、太陽が控えめに顔を出してきた。しかし先程のスコールは相当な雨量を広範囲にもたらしたようで、どこまでも路面はウェット。水捌けの良くない路肩は浅い川のような状態。前走者や自身の跳ね上げる飛沫で、体感としては雨の中を走っているのと変わらず、タフな状況はまったく変わらない。既に僕の意識と身体は切り離され、ただペダルを回し続ける機械としての自己を認識することで、かろうじてこのストレスフルな状態に耐え、歩みを進めていたのだが、北へと進路をとる頃には徐々に登り勾配を感じることになる。前半の100kmに及ぶ平坦区間が終わろうとしていた。 日光のコンビニで休憩していた他チームの友人と談笑すると疲れも少しは和らぐが、135km地点のここからピークの金精峠まで50kmほど登り続けることになる。いよいよ山岳コースか、と静かに気合を入れて走り出したのだが、見上げると、僕たちの進む道の先には黒々とした雲がかかっている。山頂は全く見えない。誰も何も言わないが、あれはどうみても雨雲、むしろ今日これまで雨を降らせてきた雲よりもどす黒く、嫌な予感しかしないが、雨が降っていないとそこそこ暖かく、このあたりは例のスコールが降っていなかったようで路面も乾いており、久しぶりにストレスを感じずにペダルを回すことができるので、僕は意識的に無意識を操作して前方の暗雲を消し去ることにした。そうして淡々と登り続けると、すぐに日光東照宮を超え、いろは坂へとさしかかる。チームメイトは皆ジャケットを脱ぎTシャツ姿だ。思えば、この日ここだけがチーム4人が揃ってチームキットを見せることができたタイミングだった。とても短い時間だったが、かっこいいと思った。本当はずっとTシャツ姿でいるつもりだったんだけど。 連休中ということもあり、車もとても多いが、いろは坂は2車線の一方通行で交通量が多くても比較的登りやすい。とにかく負荷をかけずに淡々と。それなりにヒルクライム的な気持ちよさを感じていたところ、ふと顔に水滴がかかると、僕が操作した無意識はあるべき場所へと立ち戻り、残された意識はすぐさま状況を判断する。気づけば周りは真っ暗だ。見上げていたあの悪意すら感じる色の雲に飛び込んだ格好だ。すぐに雨脚は強くなる。せっかくなんとなく乾いてきたウェアやシューズがまた濡れるのかとうんざりしていると、早々に本降りになりそうで慌ててレインジャケットを着る。チームキットのTシャツはまたおあずけだ。 15分後、山頂あたりで雨脚は弱まった。他チームも山頂に設けられた駐車場で休憩をしている。苦しそうな顔、色んな感情が混ざった無表情、伏し目がちで立つ姿、様々に入り交じっているが、そこに笑顔はない。そりゃそうだ。気まぐれに降った、たった15分程度の強い雨でまた濡れ鼠にされ、残りは150km以上ある。あんな短時間に強く降るならせめて僕たちが居ないタイミングでやってくれという話で、ここでヘラヘラしてるヤツなんてネジが一本飛んだと表現されるような人間だ。幸い、チームメイトもそれなりに渋い表情をしているし、僕もそうだ。思いっきり渋い顔をしてやった。皆無言だが、その表情から様々な感情を吐露している。誰も口を開かない。ここで弱音を吐く意味が無いことは皆理解していたし、何を言おうが今ここにいるのは自分の判断で、天候なんて誰の所為でもない。誰も何も言えないから、一様に無言で、吐息で毒を吐き、表情で文句をたれる。それぐらいは許してくれ。 ここは頂上に見えるのだか、ここから下るわけではなく、標高1,250mあたりの中禅寺湖を横目に少しばかりの平坦を走り、いよいよ本日のピーク金精峠へと向かう。この後はコンビニ的なものはしばらくないと言うので、中禅寺湖のほとりにあった小さな商店で補給をすることにした。気まぐれな天気はここで晴れ間を見せ、雨の中でカップラーメンやおにぎりを食べるなんてバカバカしいことにはならなかったが、身体は冷えている。僕は身体の中から暖めるイメージでカップヌードルのカレーと豚キムチ丼を選択した。少しでも暖かいところへと日が当たるところで皆で座って食事をするが、弱音のようなものは出てこない。僕たちにとって暖かい食事と太陽というのは太古の昔からいつだってそういうものだ。 腹が満たされ、太陽に暖められると、なんとなく走り出そうという気持ちになるのだから不思議なものだ。さっきまで努めて渋い顔をしていたというのに、冗談なんか言って笑い合えるようにもなったりする。ここはちょうど半分ぐらいの地点。思ったよりも身体に疲労はなく、このまま天気が良ければと空を見上げるが、太陽は厚い雲の切れ目から顔を出しているだけであり、山岳というのもあってどうにも楽観的ではいられない。むしろ厚く複雑な形をした雲が浮かぶ空はもう一雨ぐらい持ってきそうに見えてしまう。それはまるで、お気に入りのシャツにいつの間にか付けてしまった染みのように、僕の心には気づいたら不安がこびり付いていて、指でなぞっては、もう取れないことを確認するような作業だ。そんなネガティブな気持ちと休憩明けの重い脚で中禅寺湖のほとりを進むのだが、路面は乾いておりストレスなくペダルを回すことができる。そうそう、これこれ。このまま後半戦を進めていこうよ、と心の染みに向かってつぶやいてみるが返事は聞こえない。��地の気温は低く、乾ききらず湿ったままの靴は足先を冷やす。香辛料をもってしても足先までは温まらないし、むしろ体温もいまいち上がらないが、いよいよ本日の最高点の金精峠へのヒルクライムがスタートする。分かれ道を右へ進路をとると、すぐに勾配が強くなった。ゴールを探し空を仰ぐように見上げるとただ真っ白な雲の中へと道は続いていくのだった。 ところで、さきほどから小さくヘルメットやカーボンフレームを叩く音がしていて、それは金精峠を登るにつれて降ってくる雹とも霰ともつかないものが僕を打ち付ける音だ。マイペースで登ろうと序盤でチームからあえて遅れたが、この天候に心はバキバキに折られている。サイコンが示すパワーの表示は150W程度だ。軽量級の僕とは言え、こんな省エネルギーで登れるわけはなく、その歩みは亀のように遅い。僕はふたたびペダルを回し続ける機械と成り果て、一切の感情を持たずに登り続ける。そうだ、僕がいま、こんな天候でこの峠を超えていることに意味なんてないし、ただWahooのサイクルコンピュータが塗ったルートをトレースしているだけで、むしろ僕はサイクルコンピュータの一部で、パワーメーターが示す値の通りに僕の脚が回っている。それは僕の脚が150Wの出力をしているのではない。パワーメーターが150Wと僕に指定しているのだ。電子機器に支配されたサイクリストはいつのまにかパワーメーターに乗っ取られ主従関係が逆転していることに気づかず、今日もこうしてディスプレイに示された値を視覚から入力し、それを自らの脚で出力しているだけに過ぎない。 と��う状況に至るまで感情を身体から切り離したところで、ピークの金精トンネルが見えてきた。チームメイトが雹とも霰ともつかないものから逃れるようにトンネルの入り口にいるのが見えると、感情が一気に戻ってくる。待たせてごめん。さっきまでパワーメーターに乗っ取られていたんだ、とは言わなかったが、お互いにこの苦しいヒルクライムをクリアしたことを称え合い顔が綻ぶ。やはり孤独はだめだ。仲間がいればパワーメーターに乗っ取られることなんてなかった。さぁ、このトンネルをくぐればあとは30kmにも及ぶダウンヒルで、ご褒美的に一気に210km地点まで気持ちよくワープできるのだ。この下りこそディスクロードの本領を発揮するところ。いつもより安全に気持ちよくダウンヒルを楽しめるだろう。そう思いリスタートした。前方のトンネルの出口が近づくにつれ、僕たちは違和感を覚えだす。色がおかしい、あまりにも白いのだ。その色に「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」なんて昭和初期の小説の冒頭が思い浮かぶが、彼は列車に乗っていたはずで、僕たちは自転車だ。このトンネルを抜けた先に美しい物語の始まりはなく、地獄のダウンヒルが待ち受けているだけだった。 トンネルの出口からその雪国とやらにつっこむと、完全に吹雪で気温はマイナス2度を指している。ニーウォーマーもなく、ペラペラのグローブはすぐに氷結した。少しでも体温が上がるかとペダルを回すが、膝に電気のような痺れが走ったので止めておいた。ここで選択を誤ると、とんでもない故障をしてしまいそうな気がする。指先も足先も痺れるような痛みがあるが、油圧ブレーキはこの極限状態でも優秀で、安全なスピードをキープすることができる。すぐに山小屋が見えてきたので退避する。もう限界だ、これ以上どうして下ればいいというのか。まだ山頂から3kmしか下っていない。時間にしても5分も経っていないと思う。ずぶ濡れの身体がガタガタと震え、手足の痺れと痛みが取れることがない。チームメイトが暖かいコーヒーを買ってきてくれ、山小屋の方がストーブを付けてくれたので、なんとか震えは収まってくる。 寒さ耐性というのは個人差があり、僕は昔から冬に痩せて夏に太る体質が示すように、寒さが苦手で暑さが得意である。こういう極限状態を経験するまでは寒さも暑さも趣味嗜好かと思っていたが、低体温症になった経験もあり、どうやらそういうことのようだ。以前にシクロクロスのレース会場で低体温症になり救護された時と比べると、レインジャケットを着ていることによって胴が濡れていないことで相当に冷えは軽減できているように思えた。先が見えない状況だが、いつまでもここに居るわけにはいかない。吹雪は収まりそうになく、標高が100m変わるごとに気温は0.6度変わるというので、今が1番辛いんだと言い聞かせ、山小屋のお土産物として売られていた群馬県のゆるキャラ、ぐんまちゃんが描かれた手袋を買い、チームメイトと吹雪の中に飛び出して凍りついた自転車にまたがり重力に任せて下り始めた。サバイバルの鉄則は現地調達だ。新しいグローブをゲットして少しは楽になるだろう。 山小屋で取った暖は一瞬で消え去り、地獄のようなダウンヒルが続く。子どもの頃に読んだ絵本のようなもので、様々な地獄出てくるお話があったのを覚えていて、その中に灼熱地獄はあったが、逆のものはなかった。これからは極寒地獄も追加するべきで、なぜならここは地獄のようだからだ。すでに知覚が鈍っていて痛みのディティールを感じることは出来ないが、身体のあらゆるところが痛い気がする。手足は先程まであった痺れを伴う痛みを感じなくなったが、それは感覚が無くなったということだろう。得意の無意識を発揮して、何も感じずに下るだけの機械になることが出来ればいいのだが、あまりにも僕はそこで人間だった。ここでパンクしたら死ぬだろうなと思った。ましてや落車なんか。5月の装備でマイナス2度の吹雪で走行不能になったら死ぬに決まっている。チームメイトの命だって危険に晒してしまう可能性もある。そんな人間的な考えばかり溢れてくるが、そのぶん意識は冴えてくる。感覚がなくても油圧ブレーキはしっかりと仕事をしてくれるので、危険を感じることはなく、パンクのリスクがありそうなところを避けたラインを取ることができた。自転車を借りて本当によかったと心の底から思った。心の底というのはこの深さにあるのかと自覚したほどに。これまでディスクロードに対して特に必要性を感じていなかったけど、とにかく安全でいるということに関しては圧倒的だった。5月に氷点下で吹雪のダウンヒルなんてあまりに極限状態であることは確かだが、それでも油圧ディスクブレーキがもたらす安全マージンはかなりのものだ。しかし身体は冷え切っている。もう限界だと何度も思ったが休めるところはなければ話にならない。ふと先にリフトが見えた。どうやらスキー場があって休憩できそうだ。ここまで10kmで約15分。永遠のように長かった。 ガタガタと震えて建物に逃げ込む。5月ということもあり暖房はあまり効いておらず、灯油のストーブみたいな暖を取るものもない。激しく震える身体と、おぼつかない手元で凍結したグローブと靴と靴下を脱ぎすてた。全身びしょ濡れだが、スキー場の食堂だけあって気兼ねなく座れる感じの椅子なのは助かった。暖かい飲み物や蕎麦をかきこむ。空腹ではなく、温度に飢えていた。なかなか回復しないが、それでもここにいれば大丈夫だと実感する。実際にここに入ってきた時よりも震えは小刻みになっているし、なんとなく、これから先のことを考えたりもする。今は約190km地点。残りは2,000mほどの獲得標高となるアップダウンを130kmほどとなる。そして、僕はふと「次、雨が降ったらもう帰るから」と口にした。何度も心は折れそうになったし、パワーメーターに意識を乗っ取られるなど実際に折れたこともあったかもしれないが、諦めた訳ではない。だけど固執はしていない。こんな連休の遊びのライド、いつでもリタイアすればいいと思っていたし、退路をつくるのも役割かなと、くらくらする頭で考えたはずだけど、チームメイトはそれでも果てしなくポジティブで、その時、僕たちは完走するんだなと思った。ほうぼうの体で吹雪から逃げ、低体温に震え、手も足も感覚なんて全くなくて、それでも僕はここでそう確信したんだった。この苦痛の先になにがあるかはわからないし、栄光なんて確実にない。だけど、こいつらと、このクソみたいな状況で前しか向かない連中と、やりきってみたくなったんだ。今日やろうとしたことすべて、ひとつのこらずだ。 ようやく回復したと感じる頃には1時間も経っていた。その頃には吹雪も止んでいて、なんて運のない日なんだろうと苦笑いする。なんとなく暖かくなった気がする下りを進むと、ほどなく雲は予めそうであったかと思わせるほどに、一片も残らずに消え去り、このライドではじめて見る晴天となる。さっきまで震えていたのが嘘のようだし、馬鹿みたいだ。いつも、いつだって意味のあるように見えるものは、あっけなく消え去って、結局は何も僕たちにもたらすことはない。でも、だけど僕たちはこんなにも青い空の下で、行き先なんてどうでも良くなるのかもしれないし、なるようにしかならないのかもしれないが、つまり自由だということなんだ。 群馬県の沼田まで降りきって久しぶりのコンビニで補給すると、参加者の連絡用のメッセンジャーにリタイアの連絡が飛び交い始める。そうか、そうだよな。だってあんな地獄で、そこに何を見出せるというのだろうか。いや、無い。そこにあったのは、ただ、この青空のように底抜けに明るいチームメイトのことばだけだった。もし君のチームにそれが無かったなら、残念だがそのリタイアは決まっていたことだったんだ。それは僕たちが生まれた年月日で、運命が予め決められているように語るほどに、なんら意味のあることではないし、そんなものは道化師か占い師に任せるしかないのだから。 コンビニの駐車場で大の字に横たわって感じる。太陽の暖かさを、その恵みを。僕の細胞に葉緑素があったとしたら、きっと光合成はこんな気分だろう。僕の肌を焼く陽光を、こんなに全身で待ち望んだことはなかった。靴下を雑巾のようにしぼり、レインジャケットを脱ぎ、僕は今日ここにまた生まれる。残りは110kmだ。もうなんの迷いもない。あの時に交わしたことばのとおりだ。だから、ここから先の全てを僕が引き受けよう。この先で何が起きても、その事実に誰の心が折れたとしても、僕の真実で、その事実を捻じ曲げよう。もう僕は無意識を操作したりはしない。さぁ共に進み登ろうぜ。リタイアした彼らを指差す腰抜けどもに、勇敢な彼らの証人となる為に、じき訪れる宵闇に向かって走りだそう。登りきった先に何も見えなくたっていい。 そうして僕たちは進みだした。それから、いくつもの苦しい登り坂があり、同じだけ下り坂があった。気づけばもう真っ暗だ。太陽が登る前に走り出し、果たしてその太陽は再び地平線に沈んだ。ひたすらに前を引くヒロの背中に僕たちのライトが光を落とす。彼が着るジレは、まるではためく旗のようで、そこにはあのロゴが見える。あぁ、そうだった。いつだってサドルの上で僕たちに多くのもの、それは、発見であり、学びであるし、多くの気づき、または苛立ち、諦め、哀しみ、喜び、畏れ、感動、妬み、あるいは愛情かもしれないし、おそらくこの世界のあらゆる感情だった。そして、僕にとってそれはいつだってRaphaという文字列の延長線上だった。光を追い抜いて消えてしまいそうなヒロの背中を追い続ける。やがて僕たちは街に降りていく。22時の制限時間に間に合うのかと考えたりもするのだが、僕にとってそんなことはもはや些細な事象に過ぎない。ただ太陽が動き、時間が過ぎただけで、それ以上でも、それ以下でもない。 見覚えのある前橋の街並みを走っていた。やっとここに帰ってきて、それは長い長い旅路の終わりだった。幸福を求めた少年が世界の素晴らしさに気づいたその時にスプーンの油をこぼしてしまったように、果たして僕たちはゴールした時に何かを見出すのだろうか。スタートして最初に曲がった交差点を逆に曲がる。みんなが待っていた。それもそのはずだ、僕たちは21時58分にゴールしたのだから。走行時間は18時間24分。チームメイトと肩を組み、皆で破顔する。ありがとう、ありがとう、こんなにもクソみたいな1日は人生で初めてだ。バカヤロウ、ファック!本当に最高だし、同時に最低でもあって、やはり全ての感情がここにはある。それを言語化なんて到底出来そうにもないし、チャレンジすることも愚かなことかもしれない。でも、こうして書き残そうと思ったんだった。もし君がスタートする時のために。どこか遠くへと乗り出すその日のために。その時、僕たちがどこにいるのかは、まだわからない。 10日ほど経って、未だに痺れが残る指先でこの文章を書いている。あれ以来、自転車には乗っていない。いま振り返ってもやはりこのライドの核心は氷点下の金精峠のダウンヒルだ。あまりにも不安定な天気はおそらく1時間早かったら、または遅かったら表情を変えていただろう。しかしあの日、多くのチームが地獄の時間にそこを下っていた。スキー場で会った他チームの友人もみな憔悴しきっていたのを覚えている。あらためていま、参加者の連絡用のメッセンジャーを見て、リタイアの文字が飛び交う様を見て、涙が出そうになった。わかる。ここでリタイアを決意する気持ちは痛いほどわかる。人の想いは良し悪しを問わずに伝播する。もし僕があの時、次に雨が降ったら、と言わずに、今すぐ帰る、と言っていたら。誰かひとりのその判断は諦めで��ないし、弱音でもない。あの日、あの時、あの場所であの状況なら至極真っ当なものだ。僕もそう言われると否定せず、もう辞めようか、と思ったかもしれない。だからこそ僕は、底なしにポジティブなチームメイトたちに本当に感謝し、尊敬する。僕はこの過酷な環境で、それでもここに立つことになった運命を信じ、その輪を回し続けるために、次に雨が降ったら、と話したとき、こう返してくれたことを。「じゃあ、もう雨が降らなかったら?」 結局、雨は降らなかったし、その光はいつだって眩しかった。
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【トランプ大統領】 2021/1/20 6:36 JST
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大統領:アメリカ人同胞のみなさん。4年前、我々は国を再建し、その精神を新たにし、この政府の忠誠を市民に対して取り戻すための偉大な国家的取り組みに着手しました。手短に言えば、アメリカを再び偉大にするための使命に乗り出したのです―アメリカ人全員のために。
第45代合衆国大統領としての任期を終えるにあたり、みなさんの前で我々が共に達成してきたことを心から誇りに思います。我々はここに来て行うべきことを行いました―またそれ以上のことも。
今週新政権が発足しますが、新政権がアメリカを安全に豊かに保つことに成功することを祈ります。我々は成功を祈るとともに、幸運―とても重要な言葉です―に恵まれることを願います。
私はまず、我々の並外れた道のりを可能にしたわずか数名の素晴らしい人々に感謝したいと思います。
最初に華々しいファーストレディ、メラニアの愛と支援に圧倒的な感謝の意を述べさせてください。また、娘のイバンカ、義理の息子のジャレッドに、それからバロン、ドン、エリック、ティファニー、そしてララにも心からの感謝を伝えさせてください。あなたたちは私の世界を光と喜びで満たしてくれました。
またマイク・ペンス副大統領、その素晴らしい妻のカレン、そしてペンス一家全員にも感謝したいと思います。
マーク・メドウズ首席補佐官、ホワイトハウス職員と閣僚の献身的なメンバー、それからアメリカのための戦いに全身全霊を注ぎ込んだ政権の驚くべき人々全員にも感謝いたします。
また、全く並外れた一団の人々、合衆国シークレットサービスにも取り急ぎ感謝したいと思います。家族と私は、みなさんに永久の借りがあります。ホワイトハウス警護室の全員、マリーンワンとエアフォースワンのチーム、軍隊の全員、そして全国の州と地方の法執行機関にも心から感謝しています。
とりわけ私は、アメリカ国民に感謝したいと思います。大統領としての務めを果たすことは筆舌に尽くしがたい名誉でした。この類まれな恩恵に感謝いたします。そして本当にその通りです―偉大な恩恵であり偉大な名誉です。
アメリカ人は常に意見の相違がある一方で、我々は、国が繁栄・発展し大きく成功して良くなることを全員が願う、途方もなく礼儀正しく誠実で平和を愛する市民の国であることを忘れてはなりません。本当に高尚な国です。
アメリカ人全員が議事堂への襲撃に恐怖を覚えました。政治的暴力は我々がアメリカ人として大事にする全てに対する攻撃です。決して容認することはできません。
今我々は、かつてないほどに、共通の価値観を中心に団結し、党派的な敵意を乗り越え、運命共同体を築かなければなりません。
4年前私は、これまでで唯一全くの部外者として大統領の座を勝ち取った者としてワシントンにやってきました。私は政治家としての経歴はなく、建設者として開かれた地平線を見つめ、���限の可能性を想像してきました。私が大統領選に出馬したのは、アメリカにはまだ大きく伸びるのを待っているだけの高くそびえる新しい頂点があると知っていたからです。私は、アメリカを第1に置く限り国の可能性は無限だと知っていました。
ですから私はこれまでの半生を置き去りにして、とても困難ではあっても、適切に行えばあらゆる可能性を持つ活動の舞台に足を踏み入れたのです。アメリカは私に非常に多くの物を与えてくれましたので、何かお返しをしたかったのです。
この国の各地の何百万人もの勤勉な愛国者とともに、我々は国の歴史上で最も偉大な政治運動を築きました。また、世界の歴史上で最も偉大な経済を築きました。我々全員がアメリカを再び偉大にしたかったため「アメリカ・ファースト」が必要でした。我々は、国は市民に仕えるために存在するのだという原則を取り戻しました。我々の議題には右や左は関係なく、共和党や民主党も関係なく、国の利益が目的でした。つまり国全体のことです。
アメリカ国民の支持と祈りによって、我々は誰もが可能だと考える以上のことを成し遂げました。我々が近づくことすらできると考えた人は誰もいませんでした。
我々はアメリカ史上で最大の減税と改革の法案を成立させました。雇用を損なう規制を、かつてどの政権が行ったよりも多く廃止しました。壊れた貿易協定を修復し、最悪の環太平洋戦略的経済連携協定とあり得ないパリ気候条約から離脱し、一方的だった韓国との協定を再交渉し、NAFTAを画期的なUSMCA―メキシコとカナダのことですが―という、非常にうまく機能する協定に置き換えました。
またとても重要なこととして、我々は中国に歴史的で画期的な関税を課し、中国と新しい偉大な協定を結びました。しかし署名から間もないうちに、我々と世界は中国ウイルスの打撃を受けました。貿易関係は急速に変わっており、アメリカに何十億ドルも流れ込んでいましたが、ウイルスのために我々は別の方向に行くことを強いられました。
全世界が被害を被りましたが、アメリカは驚くべき経済と我々が築いた経済のために経済的に他国をしのいでいました。基盤と足場がなければ、このような結果は出なかったでしょう。我々はこれまでで最高の数字の一部を果たしていなかったでしょう。
また我々は、エネルギー資源を解き放ち、群を抜いて世界第1位の石油と天然ガス生産国となりました。こうした政策を原動力に、我々は世界の歴史上で最高の経済を築きました。アメリカの雇用創出を再燃させ、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系アメリカ人、アジア系アメリカ人、女性―ほとんど全員―で過去最低の失業率を達成しました。
所得は急上昇し、賃金は高騰し、アメリカン・ドリームは復帰し、わずか数年で何百万人もの人が貧困から脱出しました。奇跡でした。株式市場は次から次へと新記録を出してこの短期間で148回の最高値を記録し、全国の勤勉な市民の退職金と年金が増加しました。401(K)はかつてないレベルに達しています。このような数字を見たことがありませんが、それはパンデミック前とパンデミック後のことです。
我々はアメリカの製造業基盤を再建し、何千もの新工場を新設し、「メイドインUSA」という美しい言葉を取り戻しました。
労働者の家庭の生活を改善するために、我々は児童税額控除を2倍にし、過去最高の育児・発達のための支援拡大に署名しました。我々は将来の雇用のために1600万人以上のアメリカ人労働者を訓練するという約束を守るため、民間企業と協力しました。
国が悲惨なパンデミックに見舞われた時、我々は記録的なスピードで1つではなく2つのワクチンを作り出しましたが、すぐにもっと増えるでしょう。不可能だと言われましたが、我々は行いました。「医学上の奇跡」というのですが、そういう理由で彼らは今「医学上の奇跡」と呼んでいます。
別の政権ならワクチン開発に3,4,5年、ことによると10年も掛かっていたかもしれません。我々は9カ月でやりました。
失われた全ての命を悼み、彼らのことを忘れずにこの恐ろしいパンデミックを今回限りで一掃することを誓います。
このウイルスが世界の経済に厳しい損害を出した時、我々はこれまで経験した中で最速の経済回復に着手しました。経済支援に約4兆ドルを可決し、5,000万人以上の雇用を救済または支援し、失業率を半分に削減しました。これらはこの国でこれまになかった数字です。
我々は医療における選択と透明性を生み出し、特に最恵国約款を追加しようという取り組みにおいて、非常に多くの方法で製薬大手に対して立ち向かいましたので、やがて世界のどの国よりも安価な処方薬価格が実現するでしょう。
我々はVA Choice法、VA Accountability法、Right to Try法、そして画期的���刑事司法改革を成立させました。
我々は合衆国最高裁判所の3人の新裁判官を承認しました。憲法を書かれたとおりに解釈する約300人の連邦裁判官を任命しました。
長年、アメリカ国民はワシントンが国境を最終的に保護するよう求めて来ました。我々がその願いに答えて歴史上で最も安全な国境を実現したといえることを嬉しく思います。我々は、国境警備員と勇敢なICE職員が、これまで以上に職務を果たし、法を執行してアメリカを安全に守るために必要な道具を提供しました。
我々は、これまでで最も強く堅固な国境安全策が導入された状態を次期政権に引き継ぐことを誇りに思います。これには450マイルの強力な新しい壁に加えて、メキシコ、グアテマラ、ホンデュラス、エルサルバドルとの歴史的な合意も含まれています。
我々は国内でアメリカの力を、海外でアメリカのリーダーシップを取り戻しました。世界は我々を再び尊敬しています。その尊敬を失わないでください。
我々は国連でアメリカのために立ち上がり、決して我々の利益にならなかった一方的な世界協定から離脱することで、主権を取り戻しました。そしてNATO加盟国は今、私が数年前に到着した時より何千億ドルも負担しています。とても不公平でした。我々は世界のために費用を負担していました。今世界は我々を助けてくれています。
そしておそらく全ての中で最も重要なこととして、約3兆ドルで、我々はアメリカ軍を完全に再建しました―すべてUSA製です。我々は75年来で初めて新しい合衆国軍を立ち上げました。宇宙軍です。そして昨年の春、私はフロリダ州のケネディー宇宙センターに立ち、長年の間で初めてアメリカの宇宙飛行士がアメリカのロケットで宇宙に復帰するのを見守りました。
我々はかつてないほどに、中国に立ち向かうために同盟国を活性化させ、世界の国々を再結集させました。
我々はISISのカリフ国家を全滅させ、その創設者で指導者であるアル・バグダディの惨めな人生を終わらせました。イランの圧政的政権に立ち向かい、世界の代表的テロリストでイランの殺戮者であるカセム・ソレイマニを殺しました。
我々はエルサレムをイスラエルの首都として認め、ゴラン高原についてイスラエルの主権を認めました。
大胆な外交と原則に沿った現実主義の結果、我々は中東における一連の和平協定を達成しました。誰もが現実になるとは思いませんでした。アブラハム合意は、暴力と流血ではなく、平和と調和の未来への道を開きました。新たな中東の夜明けであり、我々は兵士たちを帰国させています。
私は特に、ここ数十年で新たな戦争を全く開始しなかった初めての大統領となったことを誇りに思います。
何よりも我々は、アメリカにおいて、政府は国民に答えるものだという神聖な考えを再び主張しました。我々の導きの光、北極星、揺るぎない信念は、我々はアメリカの高潔な一般市民に仕えるためにここにいるのだというものでした。我々の忠誠は、特定の利益団体、企業、あるいは国際機関に対するものではありません。子供たち、市民、そして国そのものに対するものです。
大統領として、私の最優先事項、不変の関心事は常に、アメリカの労働者とアメリカの家庭の利益を最優先させることでした。私は最も容易な道を追求しませんでした。実際間違いなく、最も困難でした。私は最も批判されることのない道を追求しませんでした。私は大変な戦い、最も厳しい戦い、最も困難な選択を引き受けました。それが、みなさんが私を選出して行わせようとしたことだったからです。みなさんのニーズが、私の最初で最後の揺るぎない焦点でした。
これが我々の最大の遺産となることを願います。ともに我々は、アメリカ国民が再び国を任されるようにしました。我々は自治を取り戻しました。我々はアメリカでは誰も忘れ去られることはないという考えを取り戻しました。なぜなら全ての人が重要であり、全ての人に発言権があるからです。我々は、全ての人が神によって平等に造られたために、全ての市民には平等な尊厳、平等な待遇、平等な権利の資格があるという原則のために戦いました。全ての人は尊敬を持って扱われ、意見を聞いてもらい、政府に話を聞いてもらう資格を持っています。みなさんは国に忠実ですが、私の政権は常にみなさんに忠実でした。
我々は、全ての市民が素晴らしい仕事を見つけて、素晴らしい家族を支えることのできる国を築くために努力しました。我々は、全てのアメリカ人が安全に暮らせるコミュニティと、全ての子供たちが学ぶことのできる学校のために戦いました。法律が守られ、英雄が尊敬され、歴史が守られ、法を順守する市民が気に掛けられないことのない文化を推進しました。アメリカ人は、我々がともに達成したこと全てにこの上なく満足を覚えるべきです。信じがたいほど素晴らしいことです。
さて私はホワイトハウスを去りますが、私は我々全員が共有する���ても貴重な遺産を脅かす危険について思案してきました。世界で最も強力な国として、アメリカは常に海外からの脅威と課題に直面しています。しかし、我々が直面する最大の危険は、我々自身が自信を失うことであり、国の偉大さに自信を失うことです。国の強さはその精神と同じ程度にしかなりません。活力は自尊心と同じ程度にしかなりません。我々は、人々の心の中で脈打つ信念と同じ程度にしか活気に満ち溢れることはないのです。
価値観、歴史、英雄に対する信頼を失う国は、長く繁栄することはできません。というのも、これらがまさに団結と活力の源だからです。
アメリカが常に過去の大きな課題を克服して勝利することができたのは、国の高潔さと歴史上の固有の目的に対する揺るぎなく臆することのない信念のおかげでした。我々は決したこの信念を失ってはなりません。我々はアメリカに対する信念を決して捨ててはなりません。
国の偉大さの鍵は、国共通のアイデンティティを維持し植え付けることにあります。つまり、我々が共通して持っている物に集中するということです。それは全員が共有する遺産です。
この遺産を中心にあるのは、自由な表現、自由な言論、そして開かれた議論に対する断固とした信念でもあります。自分たちが誰であり、どうやってここに到達したのかを忘れる場合にのみ、政治的な検閲とブラックリスト化がアメリカで起こるのを許すことも起こり得ます。想像することもできないことです。自由でオープンな議論を締め出すことは、我々の核心的な価値と最も揺るぎない伝統を汚すものです。
アメリカでは、絶対的な一致を強く要求したり、柔軟性に欠ける正統性と過酷な言論規約を強制したりしません。我々はとにかくそのようなことはしません。アメリカは、同意しない人から守られ、保護される必要のある従順な人の臆病な国ではありません。我々はそのような者ではありません。我々はそのようになることはありません。
約250年間、あらゆる課題に直面して、アメリカ人は常に比類のない勇気・自信、断固とした独立心を奮い起こしてきました。これらは、かつて何百万人もの平凡な市民が、荒れ果てた大陸の各地に旅立ち、偉大な西部で新生活を切り開くことにつながった驚くべき特質です。それは、兵士たちを戦場に向かわせ宇宙飛行士を宇宙に向かわせたのと同じ、神から与えられた自由に対する深い愛でした。
この4年間を振り返ると、とりわけ1つのイメージが心に浮かびます。私が車列で道を移動するといつも、何千人ものたくさんの人たちがいました。彼らは家族と一緒に来て、我々が通過する時に立って、誇らしげに偉大なアメリカの国旗を振っていました。私が深く感銘を受けなかったことはありませんでした。彼らは単に私への支持を示すために来たのではないと知っています。彼らが来たのは、国に対する支持と愛を私に示すためでした。
ここは、アメリカは歴史上ずっと偉大な国であるという共通の確信によって団結した誇りある市民の共和国です。我々は、全世界に対して希望、光、栄光の国であり、常にそうでなければなりません。これは我々が事あるごとに守らなければならない貴重な財産です。
この4年間、私はただそのために取り組んできました。リャドのイスラム教指導者の大集会場から、ワルシャワのポーランドの方々の大きな広場に至るまで、韓国の議会議場から国連総会の演壇に至るまで、そして北京の紫禁城からラシュモア山の麓に至るまで、私はみなさんのために戦い、みなさんの家族のために戦い、国のために戦いました。とりわけ私はアメリカとアメリカが支持する全てのために戦いました―それは安全で、強く、誇りある、自由なものです。
さて私は、20日の正午に新政権に引き継ぐ用意をする中で、我々が始めた運動は始まったばかりなのだということを知って欲しいと思います。そのようなものはこれまでありませんでした。国は市民に仕えなければならないという信念は、縮小するのではなく日に日に強く高まっていくしかないでしょう。
アメリカ国民が国に対する深く熱心な愛情を心に持つ限り、この国が成し遂げられないことはありません。コミュニティは繁栄するでしょう。国民は豊かになるでしょう。伝統は大事にされるでしょう。信仰は強くなるでしょう。そして未来はこれまでよりも明るくなるでしょう。
私は忠誠心と喜びに満ちた心、楽観的な精神、そして国にとって、子供たちにとって、最高なことが起きるのはまだこれからだという最高の確信をもって、この雄大な場所から出発します。
ありがとう、そしてさようなら。みなさんに神の祝福がありますように。アメリカ合衆国に神の祝福がありますように。
translated by ドナルド・トランプNEWS https://www.trumpnewsjapan.info/2021/01/20/remarks-by-president-trump-in-farewell-address-to-the-nation/#wrapper
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2020.11 宮之浦岳(2日目)
1日目の続き

宮之浦岳山頂より全周、訳あって2日連続で登った
まわりは4時くらいから起きて出発の準備をしており、そのときに目が覚めてしまったがシェラフの中でゴロゴロしていた。5時に起き上がったときには、小屋の半分くらいの人たちはすでに出発していた。たぶん荒川登山口へ向かうんだろうけど、バスが10時の次は15時?と、すごい間が空いてしまうから早く出ないといけないんだろう(この日に飛行機や船で帰るのかもしれない)。けどこの時間はまだ真っ暗で、1時間くらい歩いた先にある縄文杉も全然見えないんじゃないかな。
自分は荒川登山口ではなく白谷雲水峡へ抜けるので7時くらいに出発すれば問題ないし、��んな出てしまった小屋の中で一人だけゆっくりしている。

7時になり小屋を出発したところ、とんでもない晴天・・・え、このまま下山しちやっていいのか!?屋久島に来てこれだけの天気は滅多にないんじゃないかな、少なくとも自分が今後訪れるかもしれない中でこんな快晴は無いと思ったほうがいい・・・ということで、昨日は若干消化不良であった宮之浦岳からの最高の景色を求め、予定を変更してもう一度登ることを決心!!昨日ガスった山頂で、これが屋久島らしいじゃないかと自分自身を説得させたのだが、5年くらい前学生の時に来た時にもまさしくこれくらいの晴天の日を逃しており、再びそのチャンスが来たわけだ、なんという島の神のお取り計らい。
昨日は山頂から山小屋まで下るのに1時間くらいだったので、登り2時間と想定、下山も併せて本来の予定+3時間の追加となる。北アルプスで鍛えられた体を今使わないでどうする。必要ない装備は小屋内にデポし、飲み物と上着と行動食をザックに残して出発、かなり身軽さを感じる。
荷物を全て背負ったまま昨日入山した淀川登山口へ下山することも考えたが、あちらの最寄バス停は1日2便しかバスが来ず到着してもかなり待たされることと、やっぱ屋久島に来て縄文杉を見ないのはモグリですよ!
【コースタイム】 新高塚小屋(0720)→第2展望台(0745)→平石岩屋(0805)→平石(0815)→宮之浦岳(0840-0900)→焼野三叉路(0910)→平石(0920)→平石岩屋(0925)→第1展望台(0955)→新高塚小屋(1010)→縄文杉(1100-1120)→大王杉(1140)→ウィルソン株(1200)→大株歩道入口(1215)→楠川分れ(1255)→太鼓岩(1345-1355)→白谷雲水峡(1500)
約8時間とかなりハードに見えるが、大部分はハイキング的な要素で占められている。

昨日はガスって山頂ほとんど見えなかったのに今日は凄いな、期待できる!
昨日はこの道を通過したのがお昼近かったので溶けてしまっていたんだろうが、さすがに九州とはいえ標高が1500m以上では夜から朝にかけて氷点下となり、道がツルツルに凍っていて凄く滑るところが何ヶ所かあった。何度も転びそうになり危うく怪我をするところだった。

途中の道は昨日の分の方に書いてあるので省く。新高塚小屋から山頂までは予想よりも早い1時間半くらいで到着。山頂には自分を含めて3人。

いや、これはもうヤバい。屋久島は洋上のアルプスと言われているが、360°海で囲まれており、見えるべくものは全て見える、100パーセント。5年の歳月を経て屋久島の神々に受け入れられたかのよう。
写真中央には富士山に似た鹿児島県の百名山 開聞岳と、その少し右には桜島(写真では見えづらい)。そのまた右には横に幅広く大隅半島。

手前は永田岳と、その奥にはお隣 口永良部島。

眼下には先程歩いてきた道と平石岩屋の巨岩群がみえる(中央左)。写真中央から右にかけては屋久島原始林。右上の海には細長く種子島が見える。

左上には3つほど島が見えているが、奄美諸島の口之島、中之島、諏訪之瀬島だろうか?

鬼界カルデラは大昔、九州南部の縄文人を絶滅させたことで有名な火山の跡で今は海底に沈んでいるが、それの外輪山である硫黄島(写真中央)と竹島(右、見えづらい)。

淀川登山口方面。
どの方向を見渡しても町が見えず、逆にいうと屋久島のどの町からも宮之浦岳を臨むことはできない。このような山は奥岳と呼ばれている。
山頂ではちょっと早めの昼食をとり20分滞在。この後は白谷雲水峡まで長時間の歩行(白谷雲水峡まで14km)が待っているので、快晴の下でとても惜しいのだが下山する。本当に、登り返してきてよかった、この選択は間違っていなかった。計画に3時間の工程が急遽加わるというのは流石に躊躇したが、自分の体力・実力を熟知し実行可能であると判断した上であり、登山歴5年目くらいにしていろんな意味で成長したと言えるだろう。

昨日は山頂がずっと雲で覆われていた永田岳がばっちし、どこを見てもすばらしい景色。けどね、なにか物足りなさを感じるんだよね。そう不思議なことに、ガスがかかっていたほうが屋久島らしいという感じがするのであった。(贅沢な要望だな!)もちろん年間降水量が非常に多い屋久島で、これだけの晴天の下で山頂を踏めたことは大変感謝している。

昨日も(今朝も)通った下山ルート。中央手前の白い空間が平石、左奥の巨岩群が平石岩屋、海には大隅半島(左)と種子島(右)。贅沢ー!

第1展望台より。昨日はここを通過した際は天気が悪くなりつつあったので景色が見えず、一体何が見える展望台なのか全くわからなかったが、なるほど、宮之浦岳が見えるわけですな。ここまで山頂から約1時間。あとは森に突入するので道中の説明は省く。
山頂から新高塚小屋までは約1時間。荷物が軽かったので昨日より少し早い到着。デポっていた荷物を回収し、3時間遅れで本日の予定に戻る。

新高塚小屋から縄文杉までは森の中を約1時間歩くが、その前に縄文杉のすぐ近くにある高塚小屋の見学。自分が泊まった小屋は「新高塚小屋」で、こちらは名前に「新」と付いていない方の小屋なのだが、こちらのほうが多分新しい。しかもなんとこの小屋、個人の方の寄贈である。

3階構造となっており、定員は20名くらいと新高塚小屋の半分くらいか。テン場が無さそうなのと、トイレが1つしか無い(?)という違いがある。

高塚小屋から10分��縄文杉に到着。これ以上近づけないのでその大きさがいまいち実感がわかないのだが。

こちらの看板に大きさの比較がわかりやすく描かれている。

幹の直径はこの展望デッキとほぼ同じくらいという巨大なもの。ちなみに2017年にデッキが新調されたらしい。たしかにきれいかも。仙人のような奇抜な格好のガイドさんが周りにいる人たち10人くらいで手繋いで輪になろうということで(縄文杉の幹周り16mは大人10人が手をつないだくらいの太さ)、たまたまその場にいた自分も人数に入っていたらしく、全く知らない人と手をつないで輪になった。縄文杉の巨大さが大変よく実感できるのと、その様子を写真で是非撮りたかったが両手がふさがっていたから残念。
縄文杉について少しうんちくを。
ガイドの話を盗み聞きしていたが、遺伝子検査の結果3000年以上であることは確かであるが、7300年前に鬼界カルデラが噴火したときは火砕流でここも焼け野原となっていたので、それ以降に生まれただろうと、すなわち3000~7300歳。なお、落ちた枝を調べてみたら1000歳だったとのこと。樹齢1000年以上の杉を屋久杉と呼ぶが、枝だけで屋久杉級って・・・。
別の杉の切り株が縄文杉の近くで発見され、江戸時代に伐られた株であることがわかったらしい。けれどその近くにある巨大な縄文杉の存在に当時の人も気づかないわけがなく、江戸時代から地元の木こりたちには縄文杉の存在が知られていたと思われる。しかしなぜ縄文杉は木材として伐られることなく残っていたのか、一説によると、形が歪なので木材として売り物にならないとされていたかららしいが、ガイドさんの個人的な想像というか願望としては、やはり島の御神木として残されたのではないか、とのことである。自分もこっちの説がいいなー。

新しい展望デッキも建てられており、縄文杉とほぼ同じ高さで横から見ることができる。
20分くらい休憩し縄文杉を後にする。今日は宮之浦岳に登り直したことで3時間も工程が追加されているから、帰りの最終バスには間に合わせないと。

ここから先は学生時代も通ったことがある懐かしの道。相変わらず道が整備されていてハイキング気分。歩きやすく、帰りのバスまでに余裕をもって到着しておきたいので自然と速歩きになる。自分が縄文杉に到着した時刻は、ちょうど荒川登山口から登ってきた第一陣の人たちが到着した時刻と重なっていたらしく、自分は早々に下山したため、これから登ってくる人たちとのすれ違いが多かった。といっても、全部で100人くらいか?道が狭いのですれ違う度に下山者である自分が登山者を通すために一時停止(登り優先がマナー)。この回数がかなり多かった。

とはいえ縄文杉から40分でウィルソン株に到着。高校生くらいの女の子3人組と少しお話して心がさらに癒やされました(グヘヘ)。

ウィルソン株の中からハートに見える位置がよくわからなかったので、女の子たちに教えてもらった(本当は知っていた)。てか、冷静に考えてみればこの株の太さもすごいよな。屋久杉の大きさを一番実感できる場所ではないかと思う。

縄文杉から約1時間で登山道入り口である大株歩道入り口に到着。荒川登山口へ下山する人はここから延々とトロッコ軌道となる。

前後には誰一人として歩いていない。みんなまだ縄文杉の方向にいるだろうし、この時間から入山する人もまずいない。聞こえるのは軌道の上に敷かれた木道を歩く自分の足音だけ。とても気持ちがいい。ただ、退屈といえば退屈なのである。せめて動物が出てくれれば気が紛れるのだが、今日は遭遇しなかった。

40分ほどトロッコ軌道を歩くと楠川分れに到着。白谷雲水峡へ向かう場合はこの分岐点で再び山道に入る。

楠川分れから太鼓岩までは延々と上り坂、傾斜は普通だがこの荷物ですでに何時間も歩いてきた身としては辛い。標高が低いせいか気温が高い15℃くらい?今回初めて汗が出てきた。

途中ですごい岩があった。登山道の真上を屋根のような岩が7mくらい張り出している。しかもその岩の上には普通サイズの杉が生えている。撮影スポットらしく、登山客が岩を持ち上げているポーズで写真を撮られていた。太鼓岩のすぐ近くにあったのだが、前回来たときはここまで足を伸ばさなかったので初めてこの岩の存在を知った。

楠川分れから約1時間登り続け、最後のピークである太鼓岩に到着。とりあえす無心で登っていたらあっという間だった、トロッコ軌道から来るとこんなに近いのか(前来たときは白谷雲水峡から)。ご覧の通り柵などは設置されておらず、他人にザックを当てて転落するなんてことがないようデポったほうがよい(昔ガイドが客のザックに押されて転落して大怪我したことがあるんだと)。

相変わらず素晴らしい天気で、むしろちょっと逆光気味。写真奥の方から安房川?に沿って歩き、写真中央辺りで右手前に向かって登ってきた。縄文杉は写真右の山の中にあるらしい。
写真最右上端に朝登ってきた宮之浦岳山頂が写っている。左上端にピッと立っているのが天柱石で、あとでネットで調べてみると凄い形をしている。

天柱石は大忠岳の山頂に立っているらしく、ヤクスギランドから片道2時間くらいで登れるらしい。種子島から発射されるロケットをあそこから見ることができるらしい。

宮之浦岳。その左にこれまた大きそうな岩が立っているのが翁岳かな。
太鼓岩では10分くらい休憩、本日初めて座った。岩の上で昼寝したいくらい景色も天気も素晴らしい。

白谷雲水峡へ向けて下山する。基本的に足元に水が流れているか湿っている。縄文杉同様に、こちらもガイドを連れている登山者が結構いる。途中に奉公杉コースという、プラス2kmくらい追加していろんな杉が見れるルートがあるのだが、さすがに疲れたので今回は直帰。

くぐり杉

白谷雲水峡は屋久島で1番好きな場所かもしれない。足元に水が流れる音が優しい、しっとり湿った空気、深い森、苔・・・とても心が落ち着く。
対して縄文杉へのコースはなんか殺伐としている感じ。早朝の登山バスで一斉に登山開始する登山客の殺気立つ空気、荒々しい川、太古の杉達。同じ島の同じ森の中なのに、だいぶ異なる自然の側面である。

橋

水・緑・太陽の日差し。ほんと自然に癒やされるー。

白谷雲水峡に到着、活動開始から7時間半かかった。全体的に道が整備されていたとはいえ、テント泊装備を背負っての山行お疲れ様でした。屋久島の神々よ感謝申し上げます。おかげさまで最終のバスの1時間以上前に到着した。

白谷雲水峡から宮之浦の町まではバス。途中の道からは宮之浦の町を見下ろすことができる。

本日は「やくすぎ荘」に宿泊。1万円(Go To割引で6500円+2000円の商品券付)で夕食と翌日の朝食が出てくる。

夕食に出てきたのは・・・でた~!屋久島名物トビウオの姿揚げ。頭からシッポまで全部かじれる。外食するよりも、ちゃんとした宿で朝も夜も出してもらった方が全体のコスパいいな。
宿の目の前に地元のスーパーがあり、お疲れ会の夜食を購入。酒はもちろん屋久島で有名な三岳(焼酎)、屋久島産のタルメ。魚コーナーの店員さんにタルメって何ですか?て聞いたら …わからないですって言われて、まあこっちの人はタルメはタルメでしかないのね、目鯛のことらしい。

翌日はお土産を買って帰るだけ。朝から風がかなり強く雨がパラついており、台風の接近を思わせるかのよう。案の定海はかなり荒れており、沖に出たらなんと3mの波。帰りも鹿児島までは高速船なわけだが、とにかくすごい動揺で前後左右全てに大きく揺れる。そこまで大きい船ではないのでかなり煽られている。エチケット袋もってトイレに向かう人が5人くらいいたし、さすがに自分も気持ち悪かったな。まぁ帰りの羽田行きの飛行機のこともあるし、出航してくれただけマシだが。鹿児島に近づくと波は穏やかになり安定してきた。
13時くらいに鹿児島港に到着。昼食は「ラーメン小金太」の 豚骨入りラーメン(豚骨ラーメンではない)。 名前のとおり骨付きの大きなチャーシューが入っており、その骨が軟骨よりも柔らかくて全部かじることができる。・・・煮込んだだけでこんなに柔らかくなるの?薬品に漬けてるわけじゃないよね笑

鹿児島空港では滑走路の先に韓国岳やら高千穂峰やら新燃岳がそびえ���っているのが見える。もちろん上空からも見ることができた。あちらも百名山なのでいつか登ることになるだろう。
近年まれに見る、素晴らしい旅だった。文句の一つもつけようがない。今回ほどまでを望まなくとも、やはり数年に一度は訪れたい場所である。いくら本州の山々を登っても、(北アルプスの山々でさえも)屋久島の自然の威厳を超えるところはなかった。コロナ禍ということもあり比較的人が空いていたのかもしれない、こんな屋久島は二度とないのだろう。おそらく何度かこの記事を見返す度に、屋久島の自然から勇気と元気をもらうことだろう。 屋久島は今回で2回めだけど、また着たいなと毎回思わせてくる。ここまで自然からエネルギーを貰える場所は無い。飛行機は2ヶ月くらい前までに予約すればかなり安くとれるし、鹿児島~屋久島間も船で乗り継ぐよりはラクだからやっぱ飛行機がいいな(酔わないし)。
屋久島のいろいろ
下山して宿へ向かって道を歩いているとき、地元の小学生や中学生とすれ違ったんだけど、みんな「こんにちは」と挨拶してくる。すごい文化だ。
宮之浦岳山頂には登山には明らかに場違いの服装の人が一人いた。舐めているならまだしも、登山とはどういうものなのか何も知らないんだろうから注意のしようも無い。宮之浦岳をあの格好で登れたのは幸運にも天気が良かったからで、とにかく雨が多いこの山では低体温症になっても不思議ではなく、いかに危険な行為なのかわかってほしいんだけど。多分、縄文杉とセットで軽い気持ちで来てしまうんだろう。そんな軽い気持ちで登ってしまう人ほど、ちゃんと装備を整えて本格的に登山始めてしまえばもっと楽しめるのに、と毎回思うのである。
タクシーのうんちゃんの話によると、屋久島のガイドは島民よりも、むしろどこからか来た外部の人間が多く、シーズンを終えて仕事が少なくなってくなると自分たちの故郷へ帰っていくから、稼いだお金が島に落ちていかないのだとか。実は縄文杉のデッキでガイドの人たちが「今年はいつ戻るのか」みたいな話をしているのが聞こえ、あぁこのことかと。法律に違反しているわけではないし特に悪いことはしていないんだけど、考えさせられる。
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cTrader専門のブローカーFondex(フォンデックス)について詳しく解説!

Fondex(フォンデックス)は、2017年に設立され、キプロスのリマソルを拠点とするオンラインの外国為替およびCFDブローカーです。 Fondex(フォンデックス)は、TopFX Ltdグループが運営しているブローカーであり、顧客の資金は、TopFX Ltdグループの資金を保管している口座と完全に分別保管しており、マイナス残高保護(ゼロカットシステム)を採用しています。 TopFX Ltdは、長年の専門知識と規制されたライセンスを使用して、最新のテクノロジーと組み合わせた高性能の取引体験を提供しています。 本来、TopFXは、2010年に営業を開始して、法人およびブローカーのクライアントに流動性ソリューションを提供するマルチアセットプライムブローカーであり、流動性プロバイダーと規制機関仲介サービスを専門とする国際的な証券会社でもあります。顧客に対するブローカーとしてのサービス提供業務は、2015年に始めて、Fondexはアジアの主要市場で取引を開始しました。 TopFX Ltdは、キプロス投資会社(CIF)として登録されており、キプロス証券取引委員会(CySEC)により、金融商品市場指令(MiFID II)に基づいて、ライセンス番号138/11で規制されています。 また、Fondex Limitedは、セーシェル共和国の法律に基づいて登録された会社でもあり、セーシェル共和国の金融サービス機関(FSA)から証券ディーラーライセンス番号SD037のライセンスも受けています。 Fondexはクライアントに対して、外国為替、インデックス、株式、金属、エネルギー、ETFという1,000以上取引商品をすべて1つの取引口座で提供しています。インデックス取引は、手数料無料で、外国為替、エネルギー、貴金属、株式、ETF取引の手数料はかなり低いです。 Fondexは、デスクトップ、ウェブ、モバイル向けに、世界的に認められ、受賞歴のあるcTrader取引プラットフォームのみを提供していて、cTraderを専門に使うトレーダーにかなり利用されています。 cTraderプラットフォームを専門にしているだけあって、cTraderプラットフォームに導入している取引ツールがかなり豊富です。cTraderを採用しているすべてのブローカーの中で、Fondexがずば抜けて一番多くの取引ツールをcTraderに挿入しています。また、Fondexは、FondexのトレーダーがcTraderのすべての機能を使いやすいように設計しています。 その結果、Fondexは、とりわけBest Trade Executionの賞を受賞しました。
取引プラットフォームを通じて、ユーザーはTrading CentralおよびAutochartistからのプラットフォーム内の無料の取引シグナルにアクセスでき、取引をコピーしたり、cBotを使用して取引を自動化したりすることもできます。 Fondexは、以前Kawase Exchangeとして知られていたキプロスを拠点とするヨーロッパのオンライン取引ブローカーです。信頼・柔軟性・シンプルさ・良いサービスの提供など日本独自の素晴らしい概念に倣って運営されています。Fondexは、MaxFXブローカーのブランドも含まれています。

Fondexは、Kawase ExchangeとMaxFXが統合してリブランドされたTopFXが運営するブローカーです。 また、Fondexは、cTraderプラットフォームをボーナスをもらって取引することができます。cTraderプラットフォームを取り入れているブローカーの大部分は、cTraderを利用する場合、ボーナスやプロモーションが適用されないことがほとんどです。cTraderをボーナスを利用して取引ができるのは、Fondexだけです。
メリットデメリット
外国為替、インデックス、株式、金属、エネルギー、ETFをcTraderで取引できる
ECN取引だけなので取引手数料がかなり安い
Trading CentralやAutochartistをcTraderで無料で利用可能
ボーナスを利用してcTraderを利用できる
cTraderを採用しているすべてのブローカーの中で、cTraderに挿入している取引ツールが最も多い。
cTraderが提供している本来のすべてのツールが利用可能。
CySECによって完全に規制されているので、投資家補償基金のメンバーである
日本語対応がない
cTrader以外のプラットフォームはない
派手なプロモーションは少ない
ラテン文字以外で書かれたKYC書類を提出するときは、原本と翻訳の2つを出す必要がある。
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Fondexの概要
法人名TopFX Ltdサービス開始2017年 (TopFXは2010年に設立)営業拠点・3rd Floor, Stratigou Gianni Timagia 19, Limassol 3107, Cyprus ・North Eastern Properties, HIS Buildings, Office No.10, Providence, Mahe, Seychellesライセンス (金融監督機関)キプロス:CySEC(138/11), MiFID II, セーシェル:FSA(SD037)預託証拠金の取り扱いTier1の銀行で顧客の資金を完全分別保管最大レバレッジ500:1初回入金額 (最小入金額)特になし口座通貨建てAUD,CAD,CHF, EUR, GBP, JPY, PLN, USD, THB追証についてゼロカット対応のため追証がないマージンコール50%ロスカット (ストップアウト)5%取引モデルECN,NDD所在国キプロスサポートデスクライブチャット, メール, 電話 (日本語対応なし)口座タイプFondex cTraderの1種類入金方法銀行送金,クレジットカード(VISA,MasterCard),ビットコイン出金方法銀行送金,クレジットカード(VISA,MasterCard),ビットコイン取扱マーケット外国為替,株式CFD,インデックス,仮想通貨, ETF, 金属, エネルギー取扱通貨ペア(FX)80ペア以上取扱株式銘柄900種類以上取引プラットフォーム (取引ソフト)cTrader表示桁数5桁表示最小取引単位 (最小取引ロット)0.01Lots=1,000通貨ソーシャル・トレード (コピー・トレード)cTraderにコピートレード機能が装備されている。 AutomateやcBotで自動売買可能
Fondexの口座タイプとその性質

Fondexの取引口座タイプは、ただ一つで「cTrader」だけです。しかし、cTraderに特化しているだけあって、例外的な取引条件、標準および高度な注文管理の複数のオプション、および取引効率を高めるためのツールをcTraderプラットフォームに装備しています。
取引プラットフォームFondex cTrader取引手数料
FX, エネルギー, 貴金属: 1Lot=100000USDの片道取引あたり2.5USD
株式, ETF: 1Lot=100株の片道取引あたり1USD
インデックス, 仮想通貨: 無料
スプレッド0.0pips~レバレッジ1:500まで最小取引量
FX, 貴金属, エネルギー, 仮想通貨: 0.01Lot=1000通貨
株式, ETF: 1Lot=1株
取引できる商品FX, 貴金属, エネルギー, 仮想通貨, 株式, ETF, インデックス取引できる商品数1000以上ストップアウトレベル (ロスカットレベル)5%必要最低入金額なしワンクリック取引○チャート取引○ヘッジング取引○ゼロカットシステム (Negative Balance Protection)○現在の市場価格とストップロス(テイクプロフィット)の差の最小��0注文実行のタイプ
成行、ストップアウト設定、指値、指値注文
オープン時の成行注文
ストップロスとテイクプロフィット注文
トレーリングストップロス注文
片方がもう片方をキャンセル
取引手法手動, コピートレード, プログラミングによる自動取引対応デバイスcTrader Webブラウザー, デスクトップ, モバイルスワップフリー対応Fondexは、イスラム教信仰のすべてのクライアントにスワップフリーのオプションを提供しています。 申請するには、スワップフリーの申請フォームに記入し、信仰の証拠とともに[email protected]に送信してください。
Fondexのライブクオート&スプレッド一覧
Fondexが保有するライセンスと規制
FondexはTopFX Ltd.の商標名であり、キプロス投資会社(CIF)として登録されており、金融商品市場指令(MiFID II)に従ってライセンス番号138/11の下でキプロス証券取引委員会(CySEC)によって、以下のように規制されています。 さらに、Fondexは、Fondex Limitedの名前で、セーシェル共和国の金融サービス機関(FSA)から証券ディーラーライセンス番号SD037のライセンスを受けています。
取引量が多ければ多いほど、取引手数料が安くなる
Fondexは、常に透明な価格設定と信頼性の高い執行をトレーダーに提供しています。 さらに、以下の表に示すように、トレーダーは、取引量が多ければ多いほど、取引手数料が安くなるというメリットを得ることができます。
1Lotあたりの取引手数料$2.5$2.250$2$1.75取引量(Lots)0-500500-25002500-50005000以上還元率0%10%20%30%取引商品FX, エネルギー, 貴金属
Fondexにおける取引量の単位1Lotの定義とは?
FX, 仮想通貨
取引量の単位1Lotは、特定の取引で取ることができるロットまたは通貨単位の量を指します。 Fondex cTraderで、FXと仮想通貨を取引できる最小取引量は、0.01ロット=1000USDです。
貴金属
基金属を取引する場合、取引量は特定の取引で取るロットまたはオンスの量を指します。 Fondex cTraderで取引できる最小サイズは0.01ロット=1オンス(oz)=31.1034768 gです。
エネルギー
エネルギーに関しては、原油はバレルまたはロットで取引されます。 取引可能な最小サイズは0.01ロット=10バレルです。 天然ガスは、MMBtuまたはロットで取引され、取引可能な最小サイズは0.01ロット=100 MMBtuです。MMBtuは、イギリスの百万英国熱量単位であり、 MMBtu =100万Btu=\(1,054\times 10^{6} \)J = \( 252 \times 10^{6} \)cal です。
株式とETF
株式とETFを取引する場合、取引量はロットまたは株式の量を指します。 Fondex で株式とETFを取引できる最小取引量は、1ロット=1株です。
インデックス(株式指数)
インデックスに関しては、これらはロットまたは契約で取引されています。 Fondex cTraderで取引できる最小サイズは、1ロット=1契約です。
アクティブなトレーダーの過去のスプレッドを公開透明性のある取引環境
Fondexでは、スプレッドの上乗せや取引商品の価格の意図的な操作などのブローカーの意図的な操作をしていないことを明確に証明するために、透明性のある取引環境をすべてのトレーダーに明示しています。 Fondexは、すべてのアクティブなクライアントに対して、狭いスプレッドと取引に有利な価格を提供しています。 EUR/USDに関する次のサンプルグラフは、アクティブなトレーダーの過去のスプレッドをわかりやすいグラフで示し、15分間の日中加重平均スプレッドを計算して示したものです。
ボーナスも提供中!

Fondexは、初めて口座��設した方全員に、100%初回入金ボーナスを提供しています。このボーナスは、2000USDまでの入金額に対して適用されます。Fondexの口座をコチラから開設した後、100%初回入金ボーナスをくださいという旨を英語で、ライブチャットもしくはカスタマーサポートに、名前と口座番号と同時に請求してください。すると、必要証拠金が2倍になります。英語で伝えられない方は、Google翻訳を積極的に利用しましょう!
ライブチャット/カスタマーサポートに伝えるべき内容
名前
ボーナスが入金される口座番号
「100%初回入金ボーナスをください」という主旨
100%入金ボーナスの概要
最大2000USDまでの100%入金ボーナスが適用されます。 一括入金しても、分割入金してもトータルしても、最大2000USDまでの100%入金ボーナスが適用されます。 つまり、入金額を\( x\) USDとしたとき、\( 0\leq x \leq 1000\)の場合は、もらえるボーナスが\( x\) USDとなり、取引に利用できる必要証拠金は、\( 2x\) USDになります。 入金額が、\( x > 1000\)の場合は、もらえるボーナスが2000USDとなり、取引に利用できる必要証拠金は、\( x+2000\) USDになります。
100%入金ボーナスの利用規約
入金ボーナスは、クライアントがカスタマーセンター/サポートセンターに申請してから、クライアントのライブ取引口座に入金した後に、その口座のボーナスクレジットに追加されます。この入金ボーナスは出金することができませんが、取引による損失に補填されることもないので、取引に利用しない限り、失うこともありません。
入金ボーナスは、オープンポジションに残高と組み合わせて取引のみに使用することができます。クライアントのボーナスが「残高+未実現損益」を超える場合、この超過ボーナスは利用できなくなります。たとえば、クライアントが出金をした場合、ボーナスは自動的に無効になりますが、失われることはありません。ボーナスを再度有効にするためには、クライアントは、取引口座の基本通貨に応じて、最低額のUSD1000同等額を再入金した後に、サポートセンターもしくはライブチャットでボーナスを申請する必要があります。
ボーナスプロモーションに参加するためには、クライアントは、コチラからボーナスプロモーションの利用規約を読み、Fondexの標準の顧客契約とポリシー、およびその他のすべてのビジネス利用規約に同意しなければなりません。
この利用規約が様々な言語に翻訳されていて、英語で書かれた原本と相違がある場合、英語で書かれた利用規約が優先されます。
FondexのcTraderを利用するメリット

Fondex cTraderプラットフォームに装備された機能&ツール
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最も要求の厳しいトレーダーでも満足できるように構築されたFondex cTraderは、手動取引の究極のプラットフォームです。 FondexのcTraderプラットフォームでは、正確かつ簡単に市場を分析するのに役立つ専門的な分析およびチャート作成ツールを用意しています。
26の時間枠を用意。 1分から1か月までカスタマイズできます。
インジケーター、オシレーター、ライン、ボラティリティメジャーなどの70以上のテクニカル分析ツールも用意
Automateに組み込まれたカスタムインジケーターを実装する機能も用意。
大衆心理をつかむためのライブセンチメントデータも用意。
複数の画面での取引に使用できるカスタマイズ可能なレイアウトと取り外し可能なチャートを装備。
チャートのスクリーンショットをワンクリックで取得してソーシャルメディアで共有できるChartShotsツール。
戦略を使用してグラフテンプレートを作成し、将来使用するために保存する機能。
注文の執行、監視、変更のための複数のオプションも用意!
お気に入りの取引商品で無制限の数のウォッチリストを作成し、クラウドに保存することによって、PC, スマートフォン タブレット端末などの様々なデバイスからでも簡単にアクセスできます。
クイックトレードツールを使用すると、注文を開いたり、閉じたり、変更したりするときにスピードが向上します。
Fondex cTraderのMarket Depthでは、流動性プロバイダーからストリーミングされる実行可能価格の完全な板情報を表示できます。
複数の注文を入力し、それらを順番待ちをせずに、一度に注文できます。
取引、注文、ポジションに関する最大50までの情報フィールドにアクセスできます。
利益を確保し、損失を最小限に抑えることができる高度なリスク管理ツールが備わっているので、損失を少なくし、多大な利益を得られるようにコントロールできます。
Advanceバージョンの「テイクプロフィット」を使用して、1から4までのレベルの「テイクプロフィット」を定義し、ポジションから徐々にスケールアウトします。
Advanceバージョンの「ストップロス」をアクティブにすると、価格が特定のピップ数を上回った後に「ストップロス」が損益分岐点レベルに移動します。
銘柄の価格が特定のポイントに達したときに通知されるように、価格アラートを設定できます。
Fondex cTrader Copyでコピートレードしよう!
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自分を取引するのが面倒な人は、Fondex cTrader Copyでコピー取引をしましょう! 他のトレーダーをコピーするだけで、取引できるのがFondex cTrader Copyです。Fondex cTraderは、他のトレーダーからの1000を超えるパフォーマンスの高い戦略から選択して、コピー取引の醍醐味を体験するオプションを提供しています! Fondex cTrader Copyは、独自の市場分析を行う代わりに、取引を簡素化して時間を節約します。戦略の選択する過程は、非常に簡単で素直です。
高度なツールを使用して、利用可能なすべての戦略を評価します。
利益率に従ってランク付けします。
プロファイルと取引目標に合った戦略を選択してください。
「コピーを開始(Start copying)」をクリックすると、すべての取引が自動的に実行されます。
取引とリスク管理を自分好みで管理することができます!
1つのボタンをクリックして、いつでもコピーを開始したりコピーを停止したりできます。
テイクプロフィットとストップロスのレベルを自分好みのリスクや報酬比率に設定できます。
ROIチャート、バランス&エクイティチャート、トレーディングパフォーマンス統計を使用して、どのトレーダーを選択した方が利益が得られるのか、どの戦略に従うかを決めることができます。
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cTrader Copyは、新しいコピー取引サービスであり、柔軟な投資プログラムです。 トレーディングと分析に効果的なテクノロジーを使用し、資金から資金へのコピーモデルと多様な料金体系により、トレーダーに透明性と柔軟性を提供します。 cTraderの場合、MetaTraderと同様に、パソコン、スマートフォン、タブレットなどのデバイスの電源をOFFにしている場合は、取引がとまります。デバイスの電源がOFFの状態でもcTraderを稼働させてコピートレードを行いたい場合は、VPSを個別に利用する必要があります。
Fondex cTrader Automateで自動売買Botも作れる!
取引ロボットを使用して取引を自動化し、人的エラーを排除します。 トレーダーのポジションは自動的にオープンしたりクローズしたりしますが、トレーダー自身の根拠のない感情任せによる取引は行いません。 cTrader Automateは以前はcAlgoという名前でしたが、cTrader Automateは、アルゴリズムトレーディングソリューションであり、cTraderとシームレスに統合されており、他のcTraderプラットフォーム機能ともシームレスに連携します。 トレーダーは、取引戦略を適切にバックテストおよび最適化するために必要なツールを備えたプラットフォームから高機能のcTrader APIを使用して、一般的なC#言語で自動取引ロボットとカスタムインジケーターを構築できます。 他のプラットフォームを利用している場合は、Fondex cTraderで使用できるように変換することができます。MQL4インジケーター、エキスパートアドバイザー(EA)、またはその他のロボットをC#言語に変換して、Fondex cTraderで使用することできます。 これを行うことができるcTDNコミュニティのコンサルタントにコチラから連絡してください。 また、Fondex cTrader AutomateのcBotによる自動取引を利用すると、最大のスピードと正確さで取引を実行できます。 Fondex cTrader Automateを利用して取引を開始するのに必要な手順は、以下の2つだけなので、経験の浅い初心者やプログラミングが全くできない人にとって理想的な自動取引ソリューションです。
Fondex cTrader のプラットフォームにある「Links」 » 「cTDN」 » 「cBots」をクリックすることにより、自分の好きなロボットをダウンロードします。
「Play」をクリックすると、即座に取引を開始できます。 技術的な知識や複雑な設定は必要ありません。 cBotを選択して「Play」をクリックすると、すべての取引が自動的に行われます。
C#言語のプログラミングができるプロのトレーダーは、FondexのcTraderが提供している強力なツールを利用して、独自のcBotまたはカスタムインジケーターを開発できます。
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FondexのcTraderには、Trading CentralやAutochartistが装備されている!
FondexのcTraderには、Trading CentralやAutochartistが装備されていて、Fondexのライブ口座を持っているだけで、無料で利用できます。 取引を開始するための重要な瞬間には、戦略を強化するための適切なツールをすべて入手することは非常に重要です。 Fondex cTraderには、Trading Centralからの無料のプラットフォーム内シグナルが装備されています。 Trading Centralの毎日のプラットフォーム内シグナルを使用して、Fondex cTraderで取引を行う方法を以下の動画で解説しています。
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Trading Centralは、主要な外国為替ペアで2時間ごとに更新されるシグナルと広範囲の株式に関するシグナルを提供しています。 また、Autochartistも装備されています。Autochartistは、世界で最も高度なテクニカル分析ツールの1つであり、Forexと金属に関して、幅広い選択に対応する幅広いパターンを提供します。
入出金方法
Fondexでは、すべての入金をほぼ瞬時に処理し、安全な取引を保証します。選択した支払いプロバイダーから請求される料金が発生する場合があることに注意してください。
入金方法基軸通貨 取引タイプ手数料反映時間銀行送金EURSEPA・SEPAの地域内では無料 ・SEPAの地域外では、国によって手数料が異なる1から5営業日ビットコインBTCWallet to wallet無料即座
Fondexは、銀行振込による入金手数料を請求しませんが、銀行が取引の完了に手数料を請求する場合があります。
入出金プロセスの乱用が検出された場合、Fondexは、支払い方法によって発生した処理手数料をアカウント所有者に請求する権利を留保します。
出金方法基軸通貨 取引タイプ手数料反映時間銀行送金EURSEPA・1000ユーロを超える出金の場合:無料 ・1000ユーロ未満の出金の場合:0.9%24時間ビットコインBTCWallet to wallet無料24時間
銀行振込による最低出金額は20ユーロです。
銀行振込の最低出金手数料は10ユーロ、1回の取引あたりの最大出金額は60ユーロです。
90暦日の取引活動がない、またはまったく取引活動がない口座の場合、出金する時に5%の手数料がかかります。
入出金プロセスの乱用が検出された場合、Fondexは、支払い方法によって発生した処理手数料をアカウント所有者に請求する権利を留保します。
Fondexのソーシャルメディア
まとめ
Fondexは、キプロスのリマソルを拠点とするオンラインの外国為替およびCFDブローカーです。 Fondexは、Kawase Exchangeとして知られていたキプロスを拠点とするヨーロッパのオンライン取引ブローカーとMaxFXブローカーの2つがリニューアル・強化されて2017年に設立されました。 信頼・柔軟性・シンプルさ・良いサービスの提供など日本独自の素晴らしい概念に倣って運営されています。 FondexはTopFX Ltdのブランド名であり、認可されたキプロス投資会社(CIF)であり、キプロス証券取引委員会によって規制されており、分離されたクライアント資金とマイナス残高保護ポリシーを提供しています。 ブローカーはユーザーに、外国為替、指数、株式、金属、エネルギー、ETF全体で1,000以上の取引可能な資産で取引する機能を提供します–すべて1つの取引口座から。インデックスでの取引は手数料無料で、外国為替、エネルギー、貴金属、株式、ETF取引の手数料は低いです。コミッションは非常に競争が激しく、ユーザーは未加工のスプレッドへのアクセス、およびスワップフリーのイスラム取引口座を開く機能も提供されています。 Fondexは、デスクトップ、ウェブ、モバイル向けに、世界的に認められ、受賞歴のあるcTrader取引プラットフォームを提供しています。取引プラットフォームを通じて、ユーザーはTrading CentralおよびAutochartistからのプラットフォーム内の無料の取引シグナルにアクセスでき、取引をコピーしたり、cBotを使用して取引を自動化したりすることもできます。 また、Fondexは入金ボーナスも提供しているので、積極的にこのボーナスを利用しましょう。 Fondexは、cTraderを使って取引したい初心者からプロトレーダーまで利用価値のあるブローカーです。 cTraderに特化して取引したいトレーダーやcTraderのあらゆる機能を利用して取引したいトレーダーにとって、Fondexは最適のブローカーとなります。 source https://kaigai-invest.blog.jp/fondex/introduction
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TEDにて
ケビン・ケリー: なぜ人工知能で次なる産業革命が起こるのか
(詳しくご覧になりたい場合は上記リンクからどうぞ)
デジタル業界の予言者ケビン・ケリーは「ひとつの雨粒が谷間へ流れていく道筋は予測できないが、その大まかな方向性は不可避なものである」と言い、テクノロジーも同様に驚きはもたらしても不可避なパターンに突き動かされているのだと説きます。
そして、あらゆるものをスマート化するという流れは、今後20年で私たちの活動ほぼすべてに大きな影響を与えると語ります。
ケリーは、人工知能(AI)を受け入れ その発展の舵を取るために押さえておくべき、AIにまつわる3つの傾向を紹介し、「20年後に最も人気になり誰もが持つようになるAIを使った商品は、まだ発明されていない。だから皆さんもまだ間に合う」と締めくくります。
テクノロジーはどこへ向かうのか!少しお話ししたいと思います。新たなテクノロジーが、次々に到来し、それがもたらすものには驚かされます。でも、実は、テクノロジーの大部分は思っているより、ずっと予測できます。テクノロジーの仕組みには、必ず傾きがあるからです。
特定の方向に働くパワー。流れがあるのです。こうした流れは、ワイヤーやスイッチ、電子にある物理、化学的な特性そのものに由来するものです。これにより同じパターンが繰り返し生み出され、このパターンによって流れや傾きができるのです。
これは、重力のようなものと考えていただいても良いでしょう。谷間に落ちていく雨粒を想像してみてください。ひとつの雨粒が、谷間へと流れていく道筋は予測できません。どこを通るかなど分からないのです。でも、大まかな方向性は、不可避なもので下へ下へと向かいます。
テクノロジーにまつわる仕組みには、流れや必然性なるものがこうして刷り込まれているので、物事がだいたいどう進むのか推し量ることができます。ですから、大きな意味ではこう言えるでしょう。電話の出現は不可避であったが、iPhoneはそうではなく、インターネットは不可避だったがTwitterはそうではなかった。
今、さまざまな流れが同時進行しているわけですが、そのなかでも特に重要だと思うのが、「なんでもかしこくする」という流れです。私は、これを「認知化」と呼んでいるのですが、人工知能(AI)としても知られています。私はこれこそが、今後20年で社会に最も影響を与える発展であり傾向、方向性、原動力のひとつになると考えています。
もちろん。それはすでに始まっています。私たちは人工知能(AI)をすでに手にしていて、AIは目に見えないところで動いています。病院の管理棟では、AIがレントゲン画像を人間の医者より正しく診断しています。法律事務所でも法的証拠をくまなく調べるのに、人工知能(AI)が使われ人間のパラリーガルよりよくやっています。
皆さんが会場に来るときに乗った飛行機の操縦にも人工知能(AI)が使われています。人間のパイロットが操縦するのは7、8分だけで残りは人工知能(AI)が操縦しているんです。もちろん、NetflixやAmazonでは裏でAIが動いていろいろお勧めをしてくれます。今は、こんなところでしょうか。
それから、ご承知のとおり。もっと先進的な側面をあらわす例としてAlphaGoが世界トップ棋士に勝利をおさめたことがあります。でも、それだけではありません。ビデオゲームをすることは、人工知能(AI)と対戦することでもあります。
さらに、最近では、Googleは人工知能(AI)を訓練し、ビデオゲームのプレイ方法を学習できるようにしました。ビデオゲームのやり方は、すでに教えていたわけですが、ビデオゲームのプレイ方法を自ら学ぶのは新たな段階になります。
これが「人工知性」です!!
私たちは、今、この「人工知性」をどんどんかしこく高めていこうとしているのです。古代からの人類が蓄積した膨大な概念。
この大きな流れのなかで十分認識されていない側面が3つあります。この3つのことを理解すれば、人工知能(AI)に対する理解もぐっと深まるはずですし、AIも受け入れやすくなるでしょう。AIを受け入れなければ、AIの舵取りなどできませんから大きな流れを受け入れてこそ実務的なことも動かして行けるのです。
それでは、この3つの側面についてお話ししましょう。
1つ目は、私たち自身の知性は、何が知性たるかをほとんど理解していないことです。私たちは知能をとかく1次元で考えがちです。音で言うなら、音量がどんどん上がるようにです。
知能指数(IQ)がまさにそうです。ネズミのような単純で低いIQに始まり、つぎが、チンパンジー頭の悪い人と高くなって行き、私のような平均的な人間が来て、それから天才といったように、このIQだけで表される知能は高くなる一方です。これは、完全な間違いです。
これは、知能ではありません!!少なくとも人間の知能ではないでしょう。知能は、むしろ、いろんな音のシンフォニー、交響曲に近いもので、さまざまな認知機能で奏でられる音が集まったものです!!
人間には、多種多様な知能があります。演繹的な思考や感情的な知能。空間的知能など。おそらく、100種類くらいの知能をみんな持っているのですが、それぞれの知能レベルの高さは、人によって違います!
そして、動物は動物でまた別の一式。さまざな知能をひと揃え持っています。私たちと同じ機能を持っていることもあるでしょう。動物も人間と同じように思考できますが、持っている知能レベルの組合せが違うので、人間より動物の方が優れている場面もあります。
例えば、リスの長期記憶は、本当に卓越したもので木の実を埋めた場所をずっと覚えていられますが、それ以外の知能はより低いかもしれません。
私たちが機械を作るにあたっても同じように設計することになるでしょう。つまり、ある種の知性は、人間よりぐんと高くするけれども、ほかの多くは必要ないので人間には遠く及ばないままという風にです。私たちは、このようにしてさまざまな知能を 人工的に寄せ集め、より変化に富んだ人工的認知能力をAIに与えようとしているのです。そして、それはもっと特化したものになっていくでしょう。
計算においては、計算機の方が、すでに、限界をはるかに超えて人間よりかしこいですね。空間ナビゲーションは、GPSの方が 限界をはるかに超えてかしこく、長期記憶においては、GoogleやBingが、限界をはるかに超えて人間より上です。
私たちは、こうした様々な思考を、人工的に取り出し抽出して、今度は、自動車に搭載しようとしています。自動運転のためですが、そうするのも、それが人間のように運転しないからです。人間と同じようには考えない。そこがミソなのです。妄想、雑念、気が散ることもなければ、フラッシュバックでコンロの火の消し忘れを心配したり、会計学を専攻したら良かったと悩んだりもしません。ただ!運転に集中するだけです。
ただ、運転に集中するだけですよ?もしかしたら、こんな宣伝文句で販売されるか��しれません。「意識ゼロ」その車には、意識がないので、さっき話したようなことに雑念はなく気が散らないんです。
つまり、私たちがやろうとしているのは、できるだけ多くの種類の特定思考を作り出すことなのです。この空間をあらゆる種類の特定思考でいっぱいにしようというのです。
ビジネスや科学の最先端の世界では、難しすぎて、人間自身の思考だけでは、手に負えないような問題も実際にあることでしょう。そんなときは2段階で対処します。新たな種類の特定思考を作り出して、私たちがそばで協働しながら、とても大きな問題。暗黒エネルギーや量子重力といった問題を解いていくのです。
つまり、未知の特定知能を創造するというわけです。意味で違った考え方をする(think different)のに、役に立つはずです。違った考え方が、創造や富、新しい経済の原動力なのですから。
2つ目の側面は、私たちが人工知能(AI)を使うことで、次の産業革命が起きようとしていることです。
最初の産業革命が起こったのは「人工動力」とも言うべきものの発明があったからです。それより前の農業革命においては、何かを作るとしたら、すべては、人間の筋肉か動物の力を使わねばなりませんでした。それ以外にやりようがなかったのです。
産業革命における大きな革新は、蒸気や化石燃料を使って、この人工動力を生み出し、それを使って何でもできるようになったことです。ですから、今では、高速道路を走りながら、スイッチをポンと押すだけで250馬力を意のままに操れます。250馬力ですよ!
さらに、そうしたパワーを応用して、高層ビルや都市、道路を作り、工場では、人力では到底、作れないほど、大量の椅子や冷蔵庫などが生み出されるようになったのです。こうした人工動力は、また送電網を通じて、すべての家庭や工場、農場に届けられ、ただ、何かを接続するだけで、誰でもその人工動力を買うことができます。
これは、新たな革新の源にもなりました。農場では、手押しポンプにこの人工動力。つまり、電気を合わせて電気ポンプが生まれました。そんな変化が、何千、何万と膨れ上がる中で、その公式が生み出したのが産業革命でした。身のまわりのあらゆるもの。私たちが享受しているこの発展は、そのかけ合わせの産物なのです。
そして、今、同じことを人工知能(AI)でやろうとしています。人工知能(AI)はネットワークを通じて、届けられますから、あの電気ポンプを手に取って、それに人工知能を足せば、スマート・ポンプができます。そんな変化が何百万と生じれば、次なる産業革命となるのです。
高速道路を走る車は、250馬力を積んでいましたが、それに250の知力が加わって自動運転車になります。人工知能(AI)は、新たな公共資源となります。人工知能(AI)は「クラウド」という、ネットワークを流通していきます。電気がそうして広まったようにです。そして、かつて電化したあらゆるものを、今度は認知化するわけです。
ここで言いたいのは、これから出てくる1万のベンチャー企業の公式は、とてもシンプルなもので何かにAIを加えるだけです。この公式こそが、私たちがやろうとしていることです。それによって、これから、次なる産業革命を起こそうとしているのです。ところで、今、この瞬間ですが、すぐにGoogleにログインすれば、AIを自ら購入して6円で100回の処理をできます。すでに手に入るんですよ。
さて、3つ目の側面ですが、それは、この人工知能(AI)に体を与えることでロボットができることです。
ロボットがボットになり、私たちが、これまでやってきた多くの作業をこなすことになります。仕事も作業の集まりですから、私たちの仕事も再定義されるでしょう。一部の作業は、ロボットがするわけですから。でも、ロボットが入ることで新たなカテゴリーができ、新たな作業も大量に生まれることになります。
これまで必要だと気づかなかったものです。ロボットによって必要になる新たな仕事。新たな作業が生まれてくるのです。ちょうど自動化によって新たに作り出されたものの多くが、それまで必要とは思っていなかったのに、今では、当たり前になくてはならないのと同じです。
ロボットは、人間から奪う以上の多くの仕事を生み出していきます。大事なのは、アイデアで、ロボットに託す作業の多くは、効率性や生産性という観点で定義されるものであることです。肉体労働であれ、頭を使うものであれ、ある作業が効率性や生産性に落とし込めるものであれば、それはボットがやります。生産性は、もうロボットのものです。私たちはとかく時間の無駄遣いに長けていますから。
私たちは、非効率なことがすごく得意なんです。科学なんて、そもそも非効率なものでしょう。次から次へと失敗することで、前に進んで行くのです。試験や実験をしてうまく行かないから進展するのであって、それがなければ進歩しません。
科学はそれ自体に効率性がほぼ、ないことで構築されています!!効率性、生産性が無いのにイノベーションや幸福を創造している?どう言うことでしょうか?おかしいことでしょうか?考えさせられますね。
技術が、すべてのことを解決できると言いますが、我々が、100倍エネルギー効率のいい乗り物を作ることができるとすれば、大枠としてこれは正しい意見です。
しかし、エネルギー効率ではなく、生産性を高めた結果、イギリスは見事に産業が空洞化してしまいました!
革新も本質的には非効率、非生産的なことです。プロトタイプを作って、うまく行かない機能しないものを試すんですから、探検も元来、非効率、非生産的ですし、アートも効率的、生産的ではありません。人間関係も効率的、生産的ではありません。こうしたことに私たちが引き付けられるのは、それが、効率的、生産的でないからです!!
もう一度言います!!エネルギー効率ではなく、生産性を高めた結果、イギリスは見事に産業が空洞化してしまいました!!
何度でも言います!!エネルギー効率ではなく、生産性を高めた結果、イギリスは見事に産業が空洞化してしまいました!!
これでもバカのひとつ覚えのように、生産性を高めますか?基本的人権も無視して・・・
効率性は、もうロボットのものです。今後、私たちはこうした人工知能(AI)と協働していくことになるでしょう。人工知能(AI)は人間とは違う考え方をしますから。ディープ・ブルーが、チェスの世界チャンピオンを破ったとき、これでチェスも終わりと思われていました。でも、実際のところ、今のチェスの世界チャンピオンは人工知能(AI)ではありません!
人間でもありません!人間と人工知能(AI)のチームです!医療診断に最も長けているのは、医者でも人工知能(AI)でもなく両者のチームです!私たちは、これからこうした人工知能(AI)と協働し、将来は、どれだけボットとうまくやれるかで給料も決まってくるでしょう。
これが3つ目の側面でロボットは私たちと違い、誰もが使うものだから敵対するのではなく協働するものだということです。敵対するのではなく協働していくのです!
さて、これからの未来はどうなるんでしょう?
今から25年先にいる人が、過去を振り返って私たちがAIを語るのを見たとしたらこう言うでしょう「それは人工知能(AI)なんかじゃない インターネットだって、25年先に使っているのと比べたらないのも同然だ」
現在、人工知能(AI)の専門家はいません。AIには多額のお金が流れており、何兆円ものお金がつぎ込まれています。非常に大きなビジネスです。でも、今後20年で期待される大躍進に見合うだけの専門家がいないのです。まだまだ始まったばかりです。まだ、すべてが始まって1時間。インターネットが始まって1時間。これから来たる未来が始まって1時間です。
これから20年後に最も人気を博し、誰もが使うようになる人工知能(AI)を使った商品はまだ発明されてもいません!!
つまり、皆さんもまだ間に合うということです。ありがとうございました。
キャシーオニールによると・・・
思考実験をしてみましょう。私は、思考実験が好きなので、人種を完全に隔離した社会システムがあるとします。どの街でも、どの地域でも、人種は隔離され、犯罪を見つけるために警察を送り込むのは、マイノリティーが住む地域だけです。すると、逮捕者のデータは、かなり偏ったものになるでしょう。
さらに、データサイエンティストを探してきて、報酬を払い、次の犯罪が起こる場所を予測させたらどうなるでしょう?
あら不思議。マイノリティーの地域になります。あるいは、次に犯罪を犯しそうな人を予測させたら?あらら不思議ですね。マイノリティーでしょう。データサイエンティストは、モデルの素晴らしさと正確さを自慢するでしょうし、確かにその通りでしょう。
さて、現実は、そこまで極端ではありませんが、実際に、多くの市や町で深刻な人種差別があり、警察の活動や司法制度のデータが偏っているという証拠が揃っています。実際に、ホットスポットと呼ばれる犯罪多発地域を予測しています。さらには、個々、人の犯罪傾向を実際に予測しています。
ここでおかしな現象が生じています。どうなっているのでしょう?これは「データ・ロンダリング」です。このプロセスを通して、技術者がブラックボックスのようなアルゴリズムの内部に醜い現実を隠し「客観的」とか「能力主義」と称しているんです。秘密にされている重要で破壊的なアルゴリズムを私はこんな名前で呼んでいます「大量破壊数学」です。
民間企業が、私的なアルゴリズムを私的な目的で作っているんです。そのため、影響力を持つアルゴリズムは私的な権力です。
解決策は、データ完全性チェックです。データ完全性チェックとは、ファクト(事実)を直視するという意味になるでしょう。データのファクトチェックです!
これをアルゴリズム監査と呼んでいます。
ヨーロッパでの一般データ保護規則(GDPR)でも言うように・・・
年収の低い個人(中央値で600万円以下)から集めたデータほど金銭同様に経済的に高い価値を持ち、独占禁止法の適用対象にしていくことで、高価格にし抑止力を持たせるアイデア。
自分自身のデータを渡す個人も各社の取引先に当たりデータに関しては優越的地位の乱用を年収の低い個人(中央値で600万円以下)に行う場合は厳しく適用していく。
情報技術の発展とインターネットで大企業の何十万、何百万単位から、facebook、Apple、Amazom、Google、Microsoftなどで数億単位で共同作業ができるようになりました。
現在、プラットフォーマー企業と呼ばれる法人は先進国の国家単位レベルに近づき欧米、日本、アジア、インドが協調すれば、中国の人口をも超越するかもしれません。
法人は潰れることを前提にした有限責任! 慈愛や基本的人権を根本とした社会システムの中の保護されなければならない小企業や個人レベルでは、違いますが・・・
こういう新産業でイノベーションが起きるとゲーム理論でいうところのプラスサムになるから既存の産業との
戦争に発展しないため共存関係を構築できるメリットがあります。デフレスパイラルも予防できる?人間の限界を超えてることが前提だけど
しかし、独占禁止法を軽視してるわけではありませんので、既存産業の戦争を避けるため新産業だけの限定で限界を超えてください!
最後に、マクロ経済学の大目標には、「長期的に生活水準を高め、今日のこども達がおじいさん達よりも良い暮らしを送れるようにする!!」という目標があります。
経済成長を「パーセント」という指数関数的な指標で数値化します。経験則的に毎年、経済成長2%くらいで巡航速度にて上昇すれば良いことがわかっています。
たった、経済成長2%のように見えますが、毎年、積み重ねるとムーアの法則みたいに膨大な量になって行きます。
また、経済学は、大前提としてある個人、法人モデルを扱う。それは、身勝手で自己中心的な欲望を満たしていく人間の部類としては最低クズというハードルの高い個人、法人。
たとえば、生産性、利益という欲だけを追求する人間。地球を救うという欲だけを追求する人間。利益と真逆なぐうたらしたい時間を最大化したいという欲を追求する人間。などの最低生活を保護、向上しつつお金の循環を通じて個人同士の相互作用も考えていく(また、憎しみの連鎖も解消する)
多様性はあるが、欲という側面では皆平等。つまり、利益以外からも解決策を見出しお金儲けだけの話だけではないのが経済学(カントの「永遠平和のために」思想も含めて個人のプライバシーも考慮)
(個人的なアイデア)
アメリカのノーベル賞受賞経済学者ミルトン・フリードマン、元FRB議長であったベンバーナンキの書籍「大恐慌論」も言うように、金融危機2008、コロナショック2020などの急落に直面する対策として、ゼロ金利、マイナス金利、金融政策が出尽くした後に、よく登場する最速実行再分配政策が、個人への緊急的な現金給付!!!
各国によってスピードは異なるが、政策閣議決定後、人間の限界を遥かに超えるスピード。1秒以内で現金到着が理想。各国競争してみれば、今後の恒久対策として中央銀行のデジタル通貨なども考慮しつつ、新産業が産まれプラスサムになるかもしれません。
MMT(Modern Monetary Theory)によると、現状の貨幣での現実的なアイデアとして、社会保障に還元される日本の消費税は現状維持しつつ、現金給付額にも消費税がかかるので現金給付額を上げて、毎月給付にすると消費税率と社会保障費下支えとが均衡状態になる?と同時に、実体経済の経済成長率「g」の下支えにも寄与する?
これらの総量が、急激な不況時の資本収益率「r」以上なら、もしかして?回復して正常な経済環境に戻る期間も短縮できるかもしれません。
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0月24日、ワシントンの政策研究機関「ウィルソン・センター」で行われた、ペンス副大統領の「米中関係の将来」についての演説を全文翻訳にてご紹介します。 スピーチに引用されてるカデットの祈りも翻訳しました。 <ホワイトハウス 2019/10/24>
フレデリック・V・マレック記念講演でのペンス副大統領の発言
コンラッド・ホテル ワシントンD.C. 東部夏時間11:51 AM
副大統領: 温かく歓迎に感謝いたします。そして、新しい議長のスコット・ウォーカー知事、元下院議員ジェーン・ハーマンさん、この歴史的中心の役員全員の皆さん。 ウィルソン・センターは、アメリカのリーダーシップと世界の舞台にとって、自由の素晴らしいチャンピオンであった大統領の名にちなんで名付けられました。
そして同じ精神で、今朝は米国内および世界各地の自由のチャンピオンであるもう一人の大統領からのご挨拶から始めさせていただきます。第45代アメリカ合衆国大統領、ドナルド・トランプ氏のご挨拶を申し上げます。(拍手)
今日は極めて重要な週の終わりにここに来ました。トルコ軍がシリアを侵攻した後、米国大統領の強力な経済的および外交的行動とトルコとクルドの同盟国の協力のおかげで、シリア防衛軍はトルコの軍事支配下にある国境地域から無事撤退することができました。
そして昨日、トルコ国防省は、恒久的な停戦とすべての攻撃的な軍事作戦の中止を確認しました。(拍手)
我が国の部隊が戻ってきます。私は、この停戦を通して、トルコと我が国のクルド人の同盟国が、戦争で破壊されたこの地域のすべての人々の平和と安全を回復すると信じているセーフゾーンを、国際社会が設ける機会を作り出したことを喜ばしく思います。確かに前進ですね。
ですから、本日ここにお集まりいただき、誠にありがとうございます。また、第1回フレデリック・V・マレック記念講演会をお届けできることを大変光栄に思います。
フレッド(フレデリック)を知っている人なら誰でも、彼が誇り高きウェストポイント*(訳注*:陸軍士官学校)の息子で、「義務、名誉、祖国」という言葉で人生を生きていたと述べるでしょう。 彼は他の人に相談する時、彼は、母校のカデットの祈り1)を引用し、「安易な間違った方ではなく、より困難な正しい方を選んでください」と促していました。
フレッドは、何人たりとも―何よりも、国家が自らの価値観を捨てて自国の利益を守ることはできないことを理解していました。今日は、フレッドを偲んで、21世紀の運命の大部分がかかっているテーマ、すなわち米国と中国の関係について議論したいと思います。
トランプ大統領は政権発足当初から、「より公正で安全で平和な世界」を実現するために、誠実さ、公正さ、相互尊重を基盤に中国との関係を構築することを決意していました。
1年前の今月、私は中国の債務外交と軍事拡張主義など、米国の利益と価値に最も有害な中国の政策について多くのことを話しました。信仰の国民への弾圧、監視国家の構築、そしてもちろん、関税、割当、為替操作、強制的なテクノロジー移転、産業補助金など、自由かつ公正な貿易とは相容れない中国の有利な政策についてです。
過去の政権は早くも終わってしまいましたが、皆このような不正乱用を知っていました。こうした不正乱用を容認するだけでなく、それによって利益を得る事が多かったワシントンの既得権益を覆そうとする者はいませんでした。この政治的なエスタブリッシュメントは、中国の経済的侵略と人権侵害に対して沈黙していただけでなく、ほぼそういったことを可能にしました。毎年、アメリカの中心値域では各工場が閉鎖し、北京では新しい超高層ビルが建てれるたびに、アメリカの労働者たちの士気はますます低下し、中国はますます勢いづいてきました。
20年足らずの間に、トランプ大統領が「世界史上最大の富の移転」と述べたように、中国のGDPは過去17年間で9倍以上成長しました。世界第2位の経済大国になりました。この成功の大部分は、米国の中国への投資によってもたらされたものです。
中国政府の動きは、米国の昨年の対中貿易赤字が4000億ドルを超え、米国の世界貿易赤字の半分近くを占めたことの一因となりました。トランプ大統領が何度も述べているように、我が国は過去25年間に中国を再建しました。 まさにそのとおりで、その時代は終わりました。
歴史が示すように、3年も経たないうちに、ドナルド・トランプ大統領はその物語を永遠に変えてしまいました。米国とその指導者たちはもはや、経済的関与だけで共産主義中国の権威主義国家が、私有財産、法の支配、国際通商規則を尊重する自由で開かれた社会に変わることを期待しないでしょう。
その代わりに、2017年の国家安全保障戦略に明示されているように、米国は今や中国を戦略的・経済的ライバルとして認識しています。そして、私が直接証言できるのは、アメリカ国民の圧倒的多数が、都市部と農場で、米中関係に関するトランプ大統領の明確なビジョンを支持しているということです。大統領の立場は議会でも超党派の幅広い支持を得ています。
この支援を受けて、トランプ大統領は過去の失敗した政策を正し、米国を強化し、中国政府に説明責任を負わせ、米中関係を両国と世界のために、より公平で安定した建設的な方向へと導くために、大胆かつ断固たる行動をとってきました。
我々の政権が発足したとき、中国は世界最大の経済大国になる軌道に乗っていました。専門家らは、中国経済が数年内に米国経済を追い抜くだろうと予測していました。しかし、トランプ氏の大胆な経済政策のおかげで状況は一変しました。
この政権の初期から、この大統領は米国史上最大の減税と税制改革に署名しました。米国の法人税率を引き下げたのは、世界中の他の法人税率を反映させるためです。我々は、過去最高水準で連邦規制を後退させました。我々はアメリカのエネルギーの束縛から解き放ちました。そして、トランプ大統領は自由で公正な貿易を強く支持してきました。
その結果は? アメリカは世界の歴史の中で最強の経済力を持っています。(拍手) そして、我が国の歴史の中で最強の経済力。
現在の失業率は50年ぶりの低水準にあります。今日、かつてないほど多くのアメリカ人が働いています。過去2年半の平均世帯収入は5,000ドル以上上昇しました。そして、それは大統領の減税や勤労世帯のためのエネルギー改革による節約を考慮に入れていません。
大統領の政策のおかげで、米国は米国経済に数兆ドルの富をもたらしましたが、中国経済は依然として立ち遅れています。
米国人労働者と理不尽な貿易慣行との公平さを図るため、トランプ大統領は2018年に中国製品に2500億ドルの関税を課しました。そして今年初め、大統領は、もし米中の貿易関係における重要な問題が今年の12月までに解決されなければ、さらに3000億ドルの中国製品に関税を課すと発表しました。
知的財産権と国民のプライバシーを保護し、国家の安全保障を守ために、ファーウェイやZTEなどの中国企業の違法行為を抑制するための強力な措置を講じてきました。また、世界中の同盟国に対して、最も機密性の高いインフラやデータについても中国政府の管理下に置かない安全な5Gネットワークを構築するよう求めてきました。
そして、経済的に力をつけてきた今、トランプ大統領は、一世代を超えて、国防費の大幅な増加にも署名しました。過去三年間だけで国防に2兆5000億ドルの新たな投資が行われました。世界史上最強の軍隊をさらに強化しました。
そして、いかなる国も海洋公共財を領海であると主張する権利を持たないことを中国に明確に示すために、米国は昨年、航行の自由作戦のペースと範囲を拡大し、インド太平洋における我が国の軍事プレゼンスを強化しました。
あらゆる場所の自由を愛する人々の価値観を守るために、我々は中国共産党に対し、中国人の信教の自由を抑圧していることを非難してきました。中国では、何百万人もの少数民族や宗教的少数派が、宗教的・文化的アイデンティティを根絶しようとする共産党の取り組みに抵抗しています。
中国の共産党は、キリスト教の牧師を逮捕し、聖書の販売を禁止し、教会を破壊し、100万人以上のイスラム教のウイグル人を投獄しました。
我々は、先月、トランプ大統領が中国共産党当局者にビザ規制を課した際、中国政府は新疆のイスラム少数民族に対する扱いについて責任があるとしてきました。また、ウイグル人やその他の中国系イスラム教徒への迫害に加担したとして、中国の20の公安局と8社の中国企業に対する制裁も行なっています。(拍手)
そして我々は、台湾がやっと手にした自由を守るために同国を支持してきました。現政権下では、追加の軍事有償援助を承認し、台湾が世界有数の貿易経済国であり、中国文化と民主主義の象徴であることを認めました。
そして、何百万人もの人々が平和的に抗議のデモを行う中、我々は香港の人々を代表して声を上げました。また、トランプ大統領は、1984年の中英連合声明にもあるように、香港の人々の権利を尊重する平和的解決が必要であることを早くから表明してきました。
これらは、すべて歴史的な行動です。中国との関係において、米国の国益をこれほどまでに積極的に推進した大統領はいません。
米国の行動と決意に対して、一部の多国籍企業は、米国の経済政策は厳しすぎるし、米国の利益や価値観を推し進めることは中国とのより良い関係に反すると主張している者もいます。
しかし言うまでもなく、我々はそれに非常に異なる見方をしています。覇権争いが進行中であり、米国の力が増しているにもかかわらず、我々は中国にもっと良いものを求めています。そのため、米国は数十年ぶりに、ドナルド・トランプ大統領のリーダーシップの下、中国の指導者たちを厳密に扱っています。世界の大国の指導者はどのように扱われるべきか―敬意をもって、だが、一貫性と誠実さをもって。
そして、その誠実な精神において、私がハドソン研究所でスピーチを行ってから、中国政府は経済関係を改善するための大きな行動をまだ取っていないことをお伝えしなければなりません。我々が提起した他の多くの問題に関して、中国政府の行動はより攻撃的になり、不安定化しています。 貿易面では、この5月、何カ月にもわたり苦心した交渉の結果、多くの重要事項について合意に達しましたが、最終的に中国は150ページに及ぶ合意を撤回し、双方、振り出しに戻りました。
今でもトランプ大統領は、中国政府が合意を望んでいると信じています。また、我々は、新たな第一段階の協定における米国の農業に対する支援を歓迎し、今週チリで開催されるAPECサミットの直後に署名されることを希望します。しかし、中国は、両国の間には構造的な問題や重要な問題が広範囲に存在しており、それらにも対処しなければならないことを知っています。 例えば、中国の指導者が2015年にローズガーデンで行った一次停戦の合意にもかかわらず、中国は我が国の知的財産の窃盗を支援し助長し続けています。
昨年7月、FBI長官は議会で、1,000件の知的財産盗用に関する現在の捜査の大半は中国が関与していると述べました。米国の企業は、知的財産窃盗によって毎年数千億ドルもの損失を被っています。
このような統計の背後には、企業だけでなく、人権侵害や才能の窃盗によって脅かされる人々や家族、そして夢も含まれています。自由企業体制は、リスクを取る市民が自らの野心を追求し、犠牲から得られる報酬を得るかどうかにかかっています。彼らの労働の産物が盗まれたり、彼らの額の汗が無駄にされたりすると、それは我々の自由企業システム全体を弱体化させます。
昨年だけでも、中国を巻き込んだ知的財産窃盗事件が相次いでいます。テスラは今年3月、元エンジニアが、中国の自動運転車会社に転職する前に、米国で開発した自動操縦システムに関連する30万件のファイルを盗んだとして、元エンジニアを提訴しました。
そして昨年12月、司法省は、中国国家安全部内の悪名高いハッキンググループによる4年近くに及ぶ活動を終結させたことを明らかにしました。これらの中国政府関係者は、10万人の米海軍関係者の名前と資料、船舶の整備情報などを盗み出し、国家安保に深刻な影響を及ぼしました。
中国が中国製のフェンタニルやその他の合成オピオイドを取り締まると約束したにもかかわらず、実際には、これらの致死性の高い薬物が国境を越えて流れ込み、毎月何千人もの米国人の命を奪っています。 そして今日、中国の共産党は、世界がかつて見たこともないような監視国家を建設しています。何億台もの監視カメラがあらゆる視点から見下ろしています。少数民族は、警察が血液サンプル、指紋、音声記録、複数の角度からの頭部撮影、虹彩スキャンまで要求される任意の検問所を通過しなければなりません。
中国は現在、独裁政権で使用しているのとまったく同じ技術ツールをアフリカ、ラテンアメリカ、中東の国々に輸出しています。これらのツールは、新疆ウイグル自治区のような地域に配備されています。多くの場合、米国企業の支援を得て導入されています。 また、中国政府は、民間技術分野と軍事技術分野の障壁も打破しました。このドクトリンは、中国政府が「軍民融合」と呼ぶものであり、法律と大統領令により、中国の企業は、民間、国有、外国を問わず、自国の技術を中国軍と共有しなければなりません。
中国のこの1年間の同地域での軍事行動と近隣諸国に対するアプローチも、ますます挑発的なものになっています。 2015年に中国の指導者がローズガーデンに立ち、中国は南シナ海を「軍国化するつもりはない」と発言しましたが、中国は人工島に建設された軍事基地からなる列島の上に高度な対艦ミサイルと対空ミサイルを配備しました。
また中国政府は、フィリピンやマレーシアの船員や漁師に定期的に脅威を与えるため、「海上民兵」と呼ばれる船舶の利用を拡大していいます。また、中国の沿岸警備隊は、ベトナムが自国の海岸から石油や天然ガスを採掘するのを阻止するために、ベトナムに圧力をかけようとしています。 2019年の東シナ海では、中国の挑発行為に対応して、我が国の親密な同盟国である日本は、過去最多の戦闘機の緊急発進を予定しています。中国の海洋警察も、日本施政権下にある尖閣諸島周辺の海域に、連続60日以上も艦船派遣しています。
中国はまた、「一帯一路」構想を利用して世界中の港に拠点を設けていますが、これは、表向きは商業目的ですが、最終的には軍事目的になる可能性があります。今では中国の国旗がスリランカからパキスタン、ギリシャまでの港に掲げられています。 今年に入り、中国はカンボジアに海軍基地を建設する秘密協定に調印したと報告されています。また、中国は大西洋の海軍基地になる可能性のある場所まで狙っていると報告されています。
そして、米政権は 「一つの中国」 政策を尊重し続けていますが、3つの共同コミュニケや台湾関係法に反映されているように、中国は、札束外交によって、この1年間で、外交承認を台北から北京に切り替えるようさらに2カ国を誘導し、台湾の民主主義に対する圧力を強めています。
国際社会は、台湾との関与が平和を脅かすものではないことを忘れてはなりません。台湾と地域全体の平和を守ります。米国は、台湾の民主化がすべての中国人にとってより良い道を示すと常に信じています。(拍手)
しかし、この1年間、香港の騒乱ほど自由に対する中国共産党の反感を露呈することはありませんでした。 香港は150年間、中国と世界の重要な窓口の役割を果たしてきました。香港は、強力で独立した法律機関と活発な報道の自由を持つ、世界で最も自由な経済圏の1つであり、何十万人もの外国人居住者が住んでいます。
香港は、中国が自由を受け入れる時に、何が起こり得ることかという実例です。それにもかかわらず、中国はここ数年、香港への介入を強化し、「一国二制度」という拘束力のある国際協定によって保証された国民の権利と自由を縮小するための行為に取り組んできました。
しかし、トランプ大統領は、「合衆国は自由の象徴だ」と明言していいます。(拍手) 我が国は、国家の主権を尊重します。しかし、米国は中国政府がそのコミットメントを守ることを期待しており、トランプ大統領は、当局が香港の抗議者に暴力を行使した場合、米国は、貿易協定を結ぶのははるかに困難になるだろうと繰り返し明言しています。(拍手)
その後、香港当局は、デモの発端となった強制送還法を撤回し、中国政府も自制を示したことを喜ばしく思います。 これからも、米国は中国に対し、自制を示し、コミットメントを守り、香港の人々を尊重するよう、引き続き求めていくことをお約束します。そして、この数カ月間、自らの権利を守るために平和的にデモを行ってきた香港の何百万もの人々と、我々は共にいます。(拍手) 我が国は、あなた方に感銘を受けています。我々は、あなた方が非暴力の抗議の道を歩むよう求めます。(拍手) だが、あなた方には何百万ものアメリカ人の祈りと称賛があることを知っておいてください。
昨年私が述べたように、中国は地域や世界に影響力を行使し、中国共産党も米国の企業、映画スタジオ、大学、シンクタンク、学者、ジャーナリスト、地方、州、連邦政府の当局者に報酬を与えたり、圧力をかけたりして、米国における国民的論議に影響力を与えています。
今日、中国は数千億ドルもの不正取引された商品を米国に輸出しているだけでなく、最近、中国は検閲を輸出しようとしています。これはその政権の特徴です。企業の貪欲さにつけ込み、中国政府は米国の世論に影響を与えようとし、米国企業を支配しています。
そして、あまりにも多くの米国多国籍企業が、中国共産党に対する批判だけでなく、米国の価値観を肯定的な表現さえも口を閉ざすことよって、中国の資金と市場の誘惑に屈しています。
ナイキは「社会正義の擁護者」と自称していますが、香港に関して言えば、社会的良識を入口でチェックすることを好んでいます。実際、中国のナイキ店舗は、ヒューストン・ロケッツのゼネラルマネージャーの「自由のために戦え。香港を支持する。(Fight for Freedom. Stand with Hong Kong)」という7語のツイートに抗議して、ロケッツの商品を棚から撤去し、中国政府に加わりました。
また、日常的にこの国を批判する自由を行使するNBAの大物選手やオーナーの中には、中国国民の自由と権利に関して声を上げることができない人もいます。中国共産党の肩を持ち、言論の自由を抑圧するNBAは、独裁政権の完全子会社のように振る舞っています。
人権侵害を故意に無視する進歩的な企業文化は進歩的ではありません。抑圧的です。(拍手) アメリカの企業、プロスポーツ、プロアスリートが検閲を受け入れることは、間違っているだけではありません。非アメリカ的です。米国企業は、米国の価値観を支持して、米国内だけでなく世界中で立ち向かうべきです。(拍手)
そして、中国の経済的、戦略的行動、米国の世論を形成しようとする試みは、私が1年前に述べたことを証明しています。今日まで、まさに真実です。中国は異なる米国大統領を望んでおり、それはトランプ大統領のリーダーシップが機能しているという究極の証です。 米国経済は日増しに成長し、中国経済がその代価を払っています。大統領の戦略は正しい。大統領は、これまで誰も経験したことのないような、アメリカ国民のため、アメリカの仕事のため、アメリカの労働者のために戦っています。そして、私は皆さん方にこの政権が決して屈しないことをお約束します。(拍手)
とはいえ、大統領は同様に、米国は中国との対立を求めないことを明確にしました。私たちは公平な競争の場、開かれた市場、公正な取引、そして我々の価値観の尊重を求めます。
我々は中国の発展を封じ込めようとしているのではありません。我が国は、何世代にもわたって中国国民と享受してきたように、中国の指導者と建設的な関係を築くことを望んでいます。もし中国が一歩踏み出し、この歴史上ユニークな瞬間をとらえ、アメリカ国民をあまりにも長い間利用してきた貿易慣行を終了させ、新たなスタートを切るならば、私は、ドナルド・トランプ大統領が新しい未来を始めるための準備、意欲があることを知っています。—(拍手)—アメリカが過去にそうしたように。
鄧小平の「改革開放」政策が外部世界との関与と交流を奨励した時、米国はこれに積極的に応じました。我が国は、中国の台頭を歓迎しました。我が国は6億人の人々が貧困から抜け出すという驚くべき成果を祝いました。米国は、中国の経済回復に、どの国よりも多くの投資を行いました。
アメリカ人は中国国民ためにより良いものを望んでいます。しかし、そのためには、我々は、中国がいつかそうなるかもしれないと想像したり希望したりするのではなく、現実のあるがままに受け入れなければなりません。 また、トランプ政権が中国から「デカップル(分断)」を望んでいるかどうかを問われることもあります。その答えは明らかに「No」であり、米国は中国と中国のより広い世界への関与を求めています。しかし、公正さ、相互尊重、国際的な商取引のルールに合致した方法での関与です。
しかし、これまでのところ、中国共産党は真の開放や世界的な規範との融合に抵抗し続けているようです。 中国政府が今日行っていることは、サイバースペースにおける共産党の巨大なファイアーウォールから、南シナ海の砂の万里の長城(グレートウォール)まで、香港の自治に対する不信から、あるいは信仰心の抑圧からも、すべて、何十年にもわたって中国共産党が世界から「デカップル(分断)」していることを示しています。
習近平国家主席自身も、党総書記に就任した直後に非公開の演説で、中国は「2つの社会システムの間の長期的な協力と闘争のすべての側面に対して誠実に準備するべきだ。」と述べたと聞いています。彼はまた、当時の同僚たちに、西側の回復力を過小評価しないようにと述べました。そして、それらの言葉には分別がありました。
中国は、自由を愛する米国民の回復力や米国大統領の決意を過小評価してはなりません。(拍手) 中国は、米国の価値観が深く根付いていること、これらの価値観に対する米国のコミットメントが建国の父たちに対するコミットメントと同じくらい強力であること、そして米国に民主主義と自由の明るい光が消える日は決してないことを知るべきです。(拍手)
アメリカは抑圧と専制に対する反乱から生まれました。我が国は、並外れた勇気、断固たる決意、信仰、そして火のような独立と意志を持つ人々によって建国され、定住され、開拓されました。何世紀にもわたって何も変わっていません。
米国人は、すべての男性と女性は平等に創造され、創造主によって、生命、自由、幸福の追求という、不可分の権利を与えられていると信じています。そして、これらの信条を変えるものは何もありません。(拍手) これらの信条こそが我々です。我々はずっとこれらの信条を持ち続けるのです。
そして、我々は、民主主義の価値観―個人の自由、宗教の自由、良心の自由、法の支配―が米国と世界の利益に役立つとこれからも信じます。そして、人類の野望を解き放ち、世界のすべての国家と国民の間の関係を導くための最良の政府であり続けるでしょう。
米中関係において我々が直面している多くの課題にもかかわらず、ドナルド・トランプ大統領のリーダーシップの下では、米国はこれらの挑戦が中国との具体的な協力を妨げることは許さないと断言できます。
我々は、中国との経済関係において長年待望されてきた構造改革を実現するための誠実な交渉を継続します。そして、今朝、再び大統領から伺ったように、トランプ大統領は合意に達することができると楽観的なままです。
我々は、教育、旅行、文化交流を通じて、両国国民の間に絆を築き続けます。 また、中国と米国は、北朝鮮の完全かつ最終的かつ検証可能な非核化を確保するために協力するための関与の精神を維持し続けます。 また、ペルシャ湾における軍備管理及び米国の制裁措置の実施について、より一層の協力を求めます。
米国は中国との関係改善を模索し続けるでしょう。その際には、率直にお話ししたいと思います。なぜなら、これは米中両国が正さなければならない関係だからです。
米国は引き続き、中国との関係の抜本的な再構築を追求するでしょう。そして、ドナルド・トランプ大統領のリーダーシップの下、米国はこの方針を維持します。米国民と両党の選出議員は、今後も決議を維持します。我々は、我が国の利益を守ります。我々は、我が国の価値観を守ります。そして、我々は慈善と万人のための善意の精神でそうします。(拍手)
トランプ大統領は習主席と強い個人的関係を築いています。その上で、両国国民のより良い暮らしのために両国の関係を強化する方法を模索し続けます。 そして、我々は、米国と中国が共に平和で繁栄した未来を共有するために努力することができ、またそうしなければならないと強く信じています。しかし、率直な対話と誠実な交渉だけがその未来を現実にすることができます。
1年前にスピーチを締めくくったように、今日は終わりにします。アメリカは中国に手を差し伸べています。そして我々は、中国政府が近いうちに、今度は言葉ではなく行動で、そして米国への新たな敬意で立ち返ることを願っています。
「人間は目の前を見ているが、天は遠い将来を見ている。」という中国のことわざがあります。我々が前に進むとき、決意と信念を持って平和と繁栄の未来を追求していきましょう。トランプ大統領のリーダーシップと米国経済と世界における米国の地位に対するビジョンへの信頼、そして中国の習近平国家主席と築いた関係への信頼、そして米国民と中国国民との永続的な友好関係への信頼。 そして、天が遠い将来を見るという信念、そして神の恵みによって、アメリカと中国はその遠い将来に共に出会うでしょう。
ありがとうございました。神のご祝福がありますように。アメリカ合衆国に神の祝福がありますように。(拍手)
END
(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子)
カデットの祈り¹⁾ 神よ、私達の父なる神よ、人間の心の探究者は、私達が誠実さと真理であなたに近づけるよう助けてください。私達の信仰が歓喜に満ち、また私達があなたを自然に賛美しますように。 誠実なふるまいと清廉な思考への称賛を強め、高めてください。偽善と見せかけに対する嫌悪がなくならないようにしてください。私達が一般的な生活水準以上の人生を送ろうと努めることを勇気づけてください。安易な間違ったものではなく、より困難な正しいものを選ぶようにし、全てが得られるときには、半分の真理で決して甘んじることがないようにしてください。高潔で価値のあるすべての人への忠誠心から生まれた勇気を与え、悪と不正に妥協することを軽蔑し、真理と権利が危険にさらされても恐れを知らない勇気を私達に与えてください。命の神聖なものにおける軽薄さと不敬さから私達を守ってください。新しい友情の絆と新しい奉仕の機会を私達に与えてください。明るい表情の人たちと心を共にし、悲しみ苦しみを受ける人たちへの同情で心に明りを灯してください。 無機質で汚されていない陸軍工兵隊の名誉を維持し、汝と我が国に対する義務を果たす上でのウェストポイントの理想を私達の生活の中で示すために、私達を助けてください。これらすべてを、偉大な友とすべての陸軍修士の名においてより頼みます。 アーメン (樺島万里子訳)
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あなたのことを占うと、いつもハートを持つ男性(逆)と金貨を持つ女性(逆)or 考える女性(逆)のカードが出てきた。
あなたの息子と妻だと思った。
ハートを持つ男性(逆):怒りやすかったり、人を騙したり、すぐに批判的な言葉を向けてくる男性。
そんな人格の人なのでしょうか?
Q:ソラは、息子との関係をどうすればいいでしょうか?

めちゃピンボケだったw
1枚目:ママキラ 月
インカの女神ママキラは月の女神であり、周期と季節の力を統轄しています。月は夜空を支配し、1年に12回か13回の周期で満月に戻ります。古代の人たちは、月によって時を刻みました。種を撒き、収穫し、食物の保存の時期を月の周期で決めていたのです。
あなたは現在の状況を見つめて、それを変えるべきか、そそままの状態にしておくか決めなくてはなりません。タイミングや周期も考慮しましょう。自然の周期という考え方は、人間関係、ビジネスの計画、個人の成長などにも適用することができるのです。自然の周期はコントロール不可能なので、その創造的なエネルギーを利用するしかありません。
今、恋愛関係が曖昧な状態であっても、今後進展する可能性が大いにありそうなら、あなたは人生の春を示す新月のエネルギーを利用すると良いでしょう。その場合は、愛が自然に育まれるように、あなたの意図を明確にしておきましょう。
問題ばかり起こって、何をしても不調なら、抵抗するのは止めましょう。今は天に与えられた休息期間だと思って過ごしましょう。自分の意図や目的を見直し、周期が移り変わるのを待っているのが賢明です。
どんことであれ、月の周期と同じように、あなたの人生の出来事すべてに神の秩序が働いています。これを忘れないでください。月の女神ママキラは、あなたの幸せな人生の創造に手を貸しています。
2枚目:イシス 再生
魂の回復、復活、再生というプロセスは、エジプトの女神イシスの伝説に繰り返されるテーマです。そして今、イシスはそのプロセスをあなたにも体験してほしいと言っています。それは、失ってしまったと思っていたものが復活を遂げる素晴らしい瞬間です。
過去のつらい経験のなかで失ったあなたの魂の欠片たちが、成長してあなたのもとに戻ろうとしています。願望が支配していた場所には希望があります。不信感で満ちていた心が癒されます。不公平と不正が正されています。見捨てられていたあなたを、あなた自身が優しく抱きしめます。
あなたは、自分が受けた傷に向き合う準備ができています。新しくなったあなたは、創造性も高まり、仕事や人間関係も順調でしょう。勇気を出してください。他者を責める気持ちを捨ててください。主体性を持ち、より良い世界を創ってください。あなたならできます。女神イシスはそばにいてあなたを助けています。
3枚目:モリガン 死と魔法 逆
魔法は、至るところにあります。そして私たちの人生にも魔法が満ちています。それには、死や私たちの持つ闇の部分も含まれています。現代において、死という自然の摂理を必死で避けようとしています。その結果、私たちは多くの知恵を失いました。
あなたの人生のどこかの分野で、もう必要のなくなったものはありますか。その後何が取って代わるのかわからなくても、それはもう消えないといけません。あなたは誰かから距離を置く必要はありますか。止めるべき行動はありますか。捨てるべき考え方はありますか。
どのような方法で蝶になるのか全く知らない毛虫のように、変容のプロセスに身を委ねましょう。確かな保証を求めずに、奇跡が起こるスペースを作るのです。
死の女神モリガンは、あなたに自分を見つめてほしいと言っています。あなたは、今、どのような死に抵抗していますか。あなたはどんな闇を抱えていますか。不安のあまり、不本意な選択をしたことはありますか。人生をありのままに受け止める勇気があるなら、あなたはどんな人間になりたいですか。
想像以上に、あなたの魔法は力強いのです。勇気を出して、夢に向かって進んでください。モリガンは、あなたの歩みをずっと見守っています。
(前にも話したけど、あなたの息子はシグルドを殺した人と私のコードカットでは出てきた。だから、私と私の母(シグルドと結婚していた人)との関係と同じように、上手くいかないんだと思うよ。私の母は、常に私を侮辱していじめ続ける。私の邪魔ばかりする。あなたの息子は、あなたにとってどんな人なのかはわからない。でも 前世からの因縁があるから、世間一般が考えるような親子を当てはめなくていいと思う。)
ママキラが出たので、新月の願い事のスプレッド。

ぜんぶ書くのは大変だから短縮形で。
あなたの願い事について、どんなことを知っている必要がありますか?
ダヌ 約束 逆
自分が正しい道を進んでいるのか、不安になるときもあるでしょう。自分の夢は叶うのか、力不足なのではないかと、疑問に思うこともあるでしょう。今、あなたは不毛な時期にいて、自信を失いかけているのかもしれません。
この不毛な時期は大切な準備期間です。あなたの人生の奥底には種が育っていると信じて、いつもの日々を送ってください。ダヌが、あなたの願いは叶うと保証しています。それは天のタイミングで、あなたの予想もつかない方法で実現するでしょう。
あなたはどのようにパワーを得て、宇宙と共同で創造することができますか?
アリアンロッド 時間 逆
あなたは時間が足りないと不安になっているのですか。目的を達成したいのに、計画より遅れ気味だと感じていますか。きっと大きなプレッシャーやストレスを感じているのでしょう。恐れはその状態を悪化させます。そして不思議なことに、時間も縮小していくのです。
時間の女神アリアンロッドは、あなたに次のようなアドバイスをしています。深呼吸して、物事のプロセスを信じてください。あなたが一時的に苦しんでいたとしても、状況を変えることができます。あなたが時間に追われて苦しい時は、女神アリアンロッドを呼んでください。
願い事を叶えるために、どんな行動が必要ですか?
イシュタル 神聖なつながり
あなたは、未知の領域に足を踏み入れようとしています。見えない世界との関係を深めてください。宇宙とつながるサインを受け取りやすくなります。頭で考えても全体像がつかめないときは、シンクロニシティに注意してください。
メソポタミアの女神イシュタルは、昔、自分の神殿では、女司祭たちが神託を授かる役割を担っていたと話しています。女司祭たちは女神と対話し、ガイダンスを求める人々に知恵を授けていたのです。
聖なる存在とつながる機会はたくさんあります。自己中心的な考えを捨ててください。交流するとき、あなたはひざまづき嘆願するのではありません。世界を共に創造するパートナーとして対話するのです。強いあなたは、誰かに救ってもらう必要はありません。あなたは自分が宇宙の一部であることに気づいているからです。
あなたは、今。幸せになるために何をするべきですか?
エレン パターン 逆
あなたが同じ行動ばかりしていたら、同じ結果の繰り返しになります。あなたは同じことを何度も学びたいのですか。いつもと違うことをしてみませんか。違う考え方や行動をしてみましょう。
道の女神エレンは、あなたに課題を用意しています。自分のこれまでのやり方を変えてみてください。新しい道を選んでください。満足していないのに馴染んだ場所から離れようとしないのはなぜでしょうか。エレンは、あなたにいつものパターンからの抜け出し方を教えます。
(私があなたの悪習のパターンを教えるよ。
・いちばん欲しいものを選ばない。→多少の困難があってもいちばん欲しいものを選びなさい。
・私に話しかけたい気持ちが高まったとき、アウチな人に話しかける。→素直に私に話しかけなさい。
・自分が間違いを起こしてもスルーする→間違っていたと思ったら、それを修正する行動を取る。
)
あなたの願いは、どのような結果になるでしょうか?
アテナ 集中
長居を叶えるためには、タイミングが何より大事です。今はあなたにとって絶好のタイミングです。ギリシア神話の狩りの女神アルテミスが、矢を放とうとしているあなたを助けています。
今、あなたの望んでいるものは何ですか。その実現のプロセスを信じてください。あなたは自分がすべきことを一生懸命にしてください。あなたが心を開いて、与えられている恵みに感謝するのなら、心からの願いが魔法のように叶うでしょう。
幸せになるために、どのように軌道修正するべきですか?
ペルセポネー 未熟
ギリシアの女神ペルセポネーは、あなたに心を開いて学んでほしいと言っています。今は、あなたに知識がないことを認めてよいのです。学びたいと言う意欲を持って、教えに耳を傾けてください。女神ペルセポネーは、あなたが軽はずみに大事な契約をしたり、危険な人たちと関わりを持ったりしないよう見守っています。ペルセポネー自身も無知だったせいで、冥界の神と恐ろしい取引をしてしまったからです。
(女神ペルセポネーは、シグルドと全く同じなんだよ。軽はずみに大事な契約をしたり、危険な人たちと関わり���持ったりしないようにしなさい)
さらに軌道修正のカード。
ニュクス 秘密
何でも知りたがってはいけません。秘密には、明かされるべきタイミングがあるのです。無理に暴こうとしないでください。
(なんかね、またあなたは危険な人たちのもとに戻って、同じ行動を繰り返しているような気がするよ。相手がどんな相手かきちんと見極めなよ。ペルセポネーは、さらわれて解放されるときに、親切に丁重にもてなされたから信じて、出されたザクロの実を食べてしまったんだよ。誘拐するってそれだけでアウチでしょ。その瞬間だけ親切に丁重に扱われたからって信じてはいけないよ。その人の過去の行動を考えなさい)
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2020 上半期 Best Albums 12

2020年上半期は未曾有の事態の連続で目まぐるしい日々を送りました。歴史的な1年になるであろう令和2年。決して忘れてはいけない継いでいくべき事実の裏では素晴らしい音楽もまたリリースされており、その中でも個人的によく聴いた&聴いてほしい AL を12枚(10枚に絞り切れなかった)記録としてここに残します。(順不同) 相変わらずロック色強め!
King Krule - Man Alive!

他の有象無象を蹴散らす程の異様に研ぎ澄まされた存在感は圧巻そのもの。絶賛されつくした名盤 2nd『 THE OOZ 』が進化した唯一無二なロック・サウンドに蕩けてしまえ!
King Krule - Cellular
ジャズ / R&B / ポスト・パンク / ダブ 等を飲み込み、着飾らないぶっきら棒な声でそれらを歌い上げる様は本当に20代なの?と疑わざるを得ない。そら孤高の天才なんて大仰な二つ名であらゆるメディアから呼ばれるのも仕方がないですね。King Krule のスタイルが完全に確立したといっても過言ではないです。圧倒されること間違いなしの作品です。
King Krule が創り上げる世界はあまりにも非現実的で。少なくとも僕が生活している日常には決して寄り添わないブルージーなロック・サウンドです。しかし本作はそんな語ることのない日々を特別に仕立て上げるような甘さも兼ね備えており、陶酔的です。それは M-1 “ Cellular “ を聴けばすぐに理解できるでしょう。しかし楽曲は勿論、彼の出で立ちやインタビューから醸し出すまるでベテラン・ミュージシャンが纏う無条件の説得力を齢25歳で既に身に着けたのかと思うとゾッとしますね。憧れます。
楽曲に話を戻します。M-3″ Stoned Again “ の生々しい感情がのった肉声&管楽器と陰鬱にリズムを刻む楽器隊のアンサンブルは狂気的であまりにもセクシー。無論クリーンに鳴るギターもたまらないです。M-4 “ Comet Face “ の未来的なポスト・パンクや黴臭いアンダーグランドの煙っぽさ薫るジャジーなサウンド M-7 “ Alone, Omen 3 “ や荒廃と化した都会でぼそぼそと呟くように唄う M-11 “ Theme For The Cross “ が特にお気に入りで、ぬるっと流れ出す全ての音が甘美な M-12 “ Underclass “ を聴けば恍惚となること必至。
彼の音楽にはいつも憂いが帯びていて。それは人が密集している都会特有の孤独に寄り添う妙な愛にも結び付くと思うんですよね。冷たいが決して突き放しはしない。彼の気難しさが宿るロックン・ロールに酔い痴れる夜があっても良いと思います。2020年は Man Alive! で酩酊しましょう。
Yves Tumor - Heaven To A Tortured Mind

2020年。新しい時代が始まった!さぁ、この快楽的で神々しくもあるフックの効いた異質な ロック・アルバム を聴いて感性のアップデートを行いましょう!
Yves Tumor - Gospel For A New Century
前作、数多の音楽評論家を唸らせた『 Safe In The Hands Of Love 』と同様 Warp Records からのリリース。
Yves Tumor 改め Sean Bowie の脳内から生み出される楽曲たちは新しいのか古いのか、、いや時代を感じさせないのか、、非常にカオスなんですが、でもこの混沌とした何でもありな現代だからこそ生まれた音なんだろうなと何故かそう思わせてくれるんですよね。奇を衒うとかではなく音楽が好きだというピュアな精神から産み落とされた非常にエモーショナルな1枚だとも思います。彼は稀有な存在です。
M-1 “ Gospel For A New Century “ のタイトルからもうワクワクさせてくれますね。どんな音楽が、いやどんな世界に連れて行ってくれるんだろうかと期待で高く上がったハードルを優に超えてくるクオリティー。高らかに響く管楽器と不機嫌そうなベース・ラインが印象的なのですが何より生き物としての暑苦しい程のエネルギーに満ちているんですよね。M-4 “ Kerosene! “ や M-8 “ Super Stars “ の泣きのギターはぜひ聴いてほしい。この2曲を筆頭に楽曲から匂ってくるゴージャスさと人間臭さが混ざった独特な世界観に興奮します。ポスト・パンクのカラーと哀愁を兼ね備えた M-2 ″ Medicine Burn ” も勿論聴き逃せないですね。黒いグルーヴも感じるしあらゆる音楽の熱さが入り混じっています。
そして、全曲キャッチーなのがまた素晴らしい。特に M-6 “ Romanticist “ ~ M-7 “ Dream Palette “ が大好きです。畳みかけるように吐くヴォーカルとノイジーかつグルーヴィーなメロディーは Yves Tumor の素晴らしさが凝縮しているといっても過言ではないでしょうか。また、こんなにも心情をかき混ぜられる曲で溢れているのに M-12 “ A Greater Love “ のぶつっと切れるかのようにあっさりと終わってしまう本作の流れも聴いていて違和感を感じる大きな理由かもしれません。
でも結局、音楽好きしか辿り着けない音楽だし気楽に人に薦めることができる AL でもないとも思ってしまいます。ただそれでも、やっぱりいろんな人に聴いてほしいなと思う作品です。全く Yves Tumor のことを知らなかった人がこれを聴いて特別な感情を抱いてくれたらとても嬉しいな、、
Disq - Collector

USはウィスコンシン州マディソン出身の若き5人組インディー・ロッカーたちがストレートにかき鳴らす哀愁やアイロニーをふんだんに込めたバンド・サウンドを聴いて心揺すぶられること間違いなし!名門 Saddle Creek から満を持して Debut・Album をリリース!
Disq - Daily Routine
胸がスカッとするパンキッシュでダンサブルなバンド・サウンドと冷め切った暗い日々をがなり立てるように歌う M-1 ″ Daily Routine ” を聴いて Shame や Sports Team 辺りと共鳴すると感じたところからロンドンのバンドなのかなと思っていましたがまさかのアメリカなんですね。上記に挙げた2バンドもそうですが、この斜に構えた若者特有のいなたさ、あるいはやさぐれ感がたまんないです。
「全ての曲は、私たちが人生の中で経験してきた葛藤をテーマにしています」とフロントマンである Isaac deBroux-Slone が語るように本作は、生きていれば誰もが抱えるであろう鬱憤を吐き出��んとする気だるそうなヴォーカルと共にノイジーな楽器隊が目立ちます。しかしメロディー・ラインはとてもポップでそれがまた愛おしい。M-3 “ I’m Really Trying “ や M-7 “ Gentle “ を聴いてみてほしい。メロディックなポスト・パンクとでもいうのでしょうか。シニカルで荒々しくも馴染みやすいメロディーに思わず涙腺が緩みます。
また M-4 “ D19 “ はフォーキーなロック・サウンドで歌としてもしっかりと聴かせてくれるし、M-5 “ Loneliness “ や、Deerhunter がよぎる M-6 “ Fun Song 4 ” はフレイバーを一味変えたサイケデリックなナンバーもあり、一筋縄ではいかないセンスがまた光ります。
数あるデモからセレクトされた曲たちが彩る本作を締めくくるにふさわしい M-9 “ I Wanna Die “ と M-10 “ Drum In “ は彼らのアンセムにもなるであろうポテンシャルが秘めていると感じました。Disq は間違いなく将来スタジアムを揺らすことができるロック・バンドになると思います。
彼らの愚直であるがこそ真っ直ぐな音楽とメッセージは未だ人生に方向性を見出せていない、いい歳した大人たちにはおもいっきり刺さるのではないでしょうか。
Sorry - 925

2017年 名門 Domino Record からデビューし、オルタナ好きの音楽ファンを虜にしてきた4人組 バンド Sorry が遂に Full Album をリリース!
待ってました。そして期待を優に超える名盤です。Wolf Alice を代表に、ポスト・パンク バンドの Squid や Black Country New Road (この2バンドも Full Al が待ち遠しい...!!) など続々と頭角を現しているノース・ロンドン シーンの一角のバンドです。
Sorry - Rock 'n' Roll Star
幼馴染の男女二人組から始まった Sorry。インタビューでは、バンド名はただ何となく面白そうだからつけたらしく、またタイトル『 925 』には「完璧じゃなくてもいい」というメッセージが隠れながらも別にただのランダムな数字の羅列として受け取ってもらってもいいなどと話していて、どこか緩い雰囲気を感じます。
しかし、そんな雰囲気とは裏腹に彼らの生み出す音楽は非常にヘヴィーです。
不意を突かれるピアノと管楽器から始まる M-1 “ Right Round The Clock ” を聴けばすぐに彼らのヤバさがわかると思います。100点のトラック1です。
Sorry の魅力といえば、重々しく歪むドラムやギター、聴き手をあざ笑うかのようなポップなメロディー、気だるげな男女のコーラス・ワーク、不快に鳴り響く管楽器など枚挙にいとまがないですが、一言で表すならば「不穏」ですね。M-4 “ Starstruck “ や M-8 “ Wolf “ とか最高です。M-5 “ Rosie “ のおどろおどろしいAメロからサビで切なくなる展開も良い。M-9 “ Rock ‘n’ Roll Star “ とかエラー・コードが表示されまくったポップ・ソングのようでマジでクールです。
Debut AL ってやっぱり作り手の集大成を全て詰め込む作品になると思います。本作がまさにその通りですがただ詰め込むだけでなく、今まで受けてきたインスピレーションを大味にすることなく曲に反映している点が本当にハイセンスだなって思います。そしてそんなアイデアが詰め込められた曲たちは、ローファイでグランジ/ヒップホップの影響を感じたり、ピアノや管楽器や多彩な効果音などを絶妙に駆使したりと、独創的なセンスからはルーツの深さも窺えます。
また、バンドというよりも自分たちの活動はプロジェクトだと言うように、MVも自ら手掛けています。そういった DIY 精神、または心の底から活動を楽しんでいるところも Sorry の魅力の1つです。
THE NOVEMBERS - At The Beginning

各メディアから絶賛された 7th AL『 ANGELS 』からわずか1年程でリリースされた 8th AL『At The Beginning 』は前作を更に昇華させたノイズと耽美性が蠢く壮大なロック・アルバムです。
僕は THE NOVEMBERS はずっと曲単体では好きだけどアルバム通してはそんなにだなという印象だったんですが『 ANGELS 』でカッコいい、、と興奮しての本作『At The Beginning 』で完全にノック・アウトさせられました。
THE NOVEMBERS - 理解者
THE NOVEMBERS といえば、シューゲイズ / ノイズ・ロック などの非常にダウナーな轟音をかき鳴らすオルタナティブ・ロック バンドのイメージがあったのですが、ここ最近の彼らの作品からはシンセ・ポップ / ニューウェーブ / インダストリアル などを感じさせるエレクトロニック・ミュージックとも調和しており、1曲1曲がより一層濃密になっていると感じます。
凶暴なドラムンベース的なビートと神々しいメロディーが共存し最終的には洪水に呑まれるかのように音が渦巻く M-1″ Rainbow “ を聴いた瞬間、自分の中で「名盤に出会った」感覚になって一瞬で虜になりましたね。
M-3 “ 理解者 “ なんてマジで最高です。『 ANGELS 』の M-5 “ DOWN TO HEAVEN “ や M-6 “ Zoning ” が大好きで、こういう音楽をずっと作っていってくれ~と思っていた僕の思惑を見事叶えてくれたまるで BOOM BOOM SATELLITES をよりごつくさせたようなヘヴィーなサウンドが疾走するナンバーから矢継ぎ早に M-4 “ Dead Heaven ” のフロントマン 小林祐介 の破壊的なシャウト& 楽器隊がかき鳴らす轟音に腰が砕けるほど高揚してしまいます。
そして M-5 “ 消失点 “。正体不明の民族が奏でるようなトライバルな音と力強いリズム隊の上にのるメロディーはあまりにも美しくて切ない。かなり風変りな曲なのにどうして涙を誘うほどに綺麗なんでしょうか。M-8 “ Hamletmachine “ も破壊力が高くて好きです。音圧に押しつぶれる程に重い曲ですがサビがまたアンセミックで本当に素晴らしいですね。これぞインダストリアル・ロックです。
ライブハウスでこの美しい轟音を早く全身で受け止めたいです。。
Caribou - Suddenly

2014年振りの新譜はあまりにもパーソナルな1枚でひどく不規則に揺れ動くエモーショナルなエレクトロニック・ミュージックです。
CARIBOU - You and I
本作はタイトル通りトラックの流れや展開が「突然」変化するのですが、Caribou こと Dan Snaith は彼の人生に起こった予測不可能な人生の変化について作曲された曲たちで構築されています。
それは前作『 Our Love 』と本作の間に起きた最愛の妻の兄弟の死と、その姉妹の離婚、そして実の父の大病といった出来事など、、人生の予測ができない経験から影響されています。
例えば、タイトル「Suddenly」は娘の口癖からつけられていたり、母親がまだ幼い姉に歌う童謡をサンプリングしたという M-1 “ Sister “ から始まり、妻の母親の死を悼む M-2 “ You and I “ や M-4 “ New Jade “ では離婚を経験した義妹に向けて書かれていたりなどしています。それはまるで彼の人生のターニング・ポイントを記録していったかのような作品にも感じます。
上記に書いた通り本作にはコンセプチュアルなテーマが通底されているのですが、やはりどこか捉えどころがないんです。
艶めかしく響くグランド・ピアノの音を急に怒涛のラップが邪魔をする M-3 “ Sunny’s Time “ や M-6 “ Lime “ では野暮ったくも心地よいビートが急に消えてガラッと展開が変わったと思ったら、テンポも曲調も全く違うハウス・ミュージック M-7 “ Never Come Back “ が続けざまに流れてきたり。また、甘くドリーミーな M-2 “ You and I “ やファンキーなリズムとトレンディなストリングスがダンスを誘う M-5 “ Home “ に、切ない歌モノ的ナンバー M-9 “ Like I Loved You “。ラストは悲哀を帯びたメロディーが徐々に開花していき最後は光をみせてくれる非常にエモーショナルな M-12 “ Cloud Song “ など曲調も展開もトラックの流れも良い意味で読めないです。Dan Snaith の奇想なアイデアがちりばめられた素晴らしい一枚です。
Dan Snaith が本作を語るときに「船酔いするかのような」と形容していましたが、オール・タイム43分後はたしかにそれに似たような感覚に陥り、頭がくらくらしますね。
NNAMDÏ - BRAT

ユーモアとシリアスが交差するエクスペリメンタルなヒップ・ポップ アルバムが炸裂! シカゴのマルチ・インストゥルメンタリスト/SSW が NNAMDÏ 名義で2nd をリリース
この音楽は全てがなんか引っ掛かる。
例えば、情熱的だが精緻なドラミングやプログラムされたビート、器用なギタープレイ、鋭く尖ったラップ、そして遊び心のあるヴォーカルアレンジや創意工夫を凝らしたリズム...と非常に自由度が高く、そんな多彩で巧みなサウンド・プロデュースに耳を奪われがちなんですが、聴き終わった時には何故だか心に切ない蟠りが残ります。本当に不思議な音楽だと思います。
NNAMDÏ - Wasted
子供たちの叫声のような ヴォーカル・エフェクト が色んな曲に散りばめられているのも非常にユニークで、NNAMDÏ 改め Nnamdi Ogbonnaya ( ナムディ・オグボナヤ ) は SEN MORIMOTO を輩出したレーベル SOOPER RECORDS の創始者と知り、俄然納得しました。本作が『 BRAT (餓鬼) 』と名付けられているのも面白いです。
しかし、1曲1曲は全体的にはポップなんですね。だけどその曲たちを構成する下地にはロック(それも非常に難解な)やヒップホップやゴスペルなどジャンルの垣根を超えたバラエティーに富む様々な要素が明らかに感じられます。
そこで、Nnamdi の存在自身に興味を惹かれ彼のキャリアを少し調べてみたのですが、まず マス・ロック バンドのベーシストから始まって、それから ポスト・ロック、ヒップ・ホップ グループの一員でもあったり、ポップ・パンクのドラムスであった時期もあり、その他数多くの パンク/マス ロック/フュージョン/スクリーモ 等のバンドで活躍したりと、まぁ経験値が豊富。
繊細にかき鳴らされるアコースティック・ギターから始まる M-1 “ Flowers To My Demons “ を聴いたときの胸の高鳴りといったら。。徐々に音色が重なっていき最後は激情的に叩くドラムと切ないストリングスが曲を加速させる。と終ったと思ったらこれまたユーモラスなビートの上を面白おかしくミックスされたヴォーカルが重なるオルタナティブ・R&B 調の M-2 “ Gimme Gimme “ と変貌する。チャーミングな(奥でリズミカルに叫ぶあらゆるミックスを施されたヴォーカルの応酬は狂気とも捉えられるか)イントロから重々しく展開する M-3 “ Bullseye ” はわずか1分弱でこの存在感かと思わず笑ってしまいます。リード・トラック M-5 “ Wasted ” も本作の中でも突出して不思議なナンバーです。リズムやビートは聴き心地がよくメロディーも悲しげなのですが、その上にのるアレンジされたヴォーカルがまたシュールなんです。でも何故か気持ちよく聴けるんですよね。
僕のようなロック畑出身からすると、それこそ マス・ロック / ポスト・ロック の趣がある M-7 ″ Perfect In My Mind ” がたまらないですね。展開に追いつこうと耳を傾けるが追いつけない程に不可解で、うねるような楽器隊の怒涛のアンサンブルは最高です。また M-8 " Semantics " 〜 M-10 " Really Don't " の Nnamdi の鬼気迫るシャウトやシリアスなムードを作る曲展開は最後まで聴き飽きることをさせない魅力の一端を担っています。
そして、1枚の作品が終わることを知らせるかのような寂し���が伝わる M-11 “ It's OK “ から続いて、鳥のさえずりが聞こえてくる爽やかなイントロ 〜 Aメロから雄大な景色を想起させる重厚感のある ロック・ナンバー M-12 “ Salut “ で大団円を迎えます。
この強靭ともいえるクオリティー。Nnamdi のミュージシャンとしての仕事っぷりからひしひしと伝わってくる、野心的または偏執的とも捉えられることができる本作は、今まで彼が積み上げてきた経験や知識やセンスなど血肉になったもの全てが結晶化したような1枚といえると思います。
毎年1枚ヒップ・ホップ 作品でお気に入りが見つかるのですが、今年は BRAT一択になりそう。
The Homesick - The Big Exercise

オランダで異彩を放っていたオルタナティブ・ロック バンドが Sub Pop Records と契約して 2nd AL をリリース!ヘンテコなリズムがクセになります!初期 Vampire Weekend を彷彿とさせるドタバタ感!
難儀なことをスマートにやってのけているヤバいやつら。予想のできない展開や奇妙な音使いも気になりますが、何よりあえて音数を少なくして隙間を作っている曲構成にセンスを感じます。
The Homesick - Male Bonding
しかし、彼らの音楽は何と形容すればいいのでしょうか。水流の音?と何かを攪拌しているようなSEからゆるりと始まる牧歌的な M-1 “ What's In Store “ ( この曲はあらゆる国歌から着想を得たらしい。どおりで無駄に荘厳なんですね ) や忙しく叩かれるドラムにとぼけたように吹かれたラッパ音?やご機嫌に響くピアノなどが面白い M-9 “ Kaïn “ を聴くと「子供たちが無邪気に作曲したバロック・ポップ」なんていうフレーズが浮かびました。とにかく彼らを既存のジャンルにカテゴライズするのは難しいです。ですが、そういった時代を先取ろうと試みるアティチュードも最高です。(マイペースな感じが初期 OGRE YOU ASSHOLE っぽくもあるなぁ..)
また、パンキッシュなサウンドも魅力的で、例えば M-5 “ Leap Year “ や M-7 “ The Big Exercise “ や M-8 “ Focus On The Beach “ 辺りはポスト・パンクからの影響が窺える粗さが良いです。M-10 “ Male Bonding “ も最高ですね。軽快なドラミングの上をノイジーに歪むギターとシャウトで感情を爆発させたかと思えば、アウトロは息の合った見事なアンサンブルでリスナーを惹きつけて終劇。素晴らしい発想力と演奏力です。
情報量は多いのにしつこさを感じさせないのは湿度0%のカラッとした録り方にあるんでしょうか。やりたいことはやっているけどリスナー側にも立つことも忘れない。クレバーだと思います。まぁ単純にそういう音が好きなだけだと思いますが...
もう一つ最大の魅力を挙げるとすれば M-4 “ I Celebrate My Fantasy “ を筆頭に この手数の多いサウンドを3人で演っている点ですね。People in the box にも通ずるクールさ。(さっきから何故か日本のバンドばかり思い出すな..) 3ピース・バンドってやっぱりカッコいいなと改めて思わせてくれました。
余談ですが、フロントマンである Elias Elgersma のソロ名義 Yuko Yuko もチルくて良いです。 Lo-Fi / Vaporwave 特有のしょぼさがたまらん。
Yuko Yuko - Purple Pace
Georgia - Seeking Thrills

UKはロンドンの次世代エレクトロ/シンセ・ポップ シンガーの 2nd AL は多幸感ある未来的なダンス・チューンが満載!
Georgia - Feel It
クラブにも行かないしポップスを好んで聴かない僕が本作に魅了されたのは、キャッチーなメロディーを支えるサウンドの味わい深さです。
エレ・ポップのキャッチャーな部分とあらゆるクラブ・シーンで脈々と受け継がれてきたであろう多彩なメロディーが混ざり合ったサウンドには、エスニックな香りが漂っており、そこがクセになります。それでいて未来的だし、ジャケットのようにハイになること間違いなし!
パーティーが始まることを告げる M-1″ Started Out ” から鈍く疾走するベース・ラインとポップだがどこか儚げなメロディーが気持ちいい M-3″ Never Let You Go ” や アッパーなんだけど気品のある M-4 ″ 24 Hours ”。それからクラブ・ミュージックのヘヴィーなグルーヴを感じさせてくれる M-5 ″ Mellow (feat. Shygirl) “ といった前半の流れに一気に掴まれました。Shygirl のダウナーなラップもエロい!
個人的なベスト・トラックは M-7 ″ Feel It ”。妖艶で煙いサウンドから突如彼女のエモーションが溢れるかのような熱い展開が最高です。
インタビューを読む限りどうやら彼女の人生はダンス・ミュージックで出来ているようです。父親は レフトフィールド の創立者である ニール・バーンズ で彼の影響でドラムを学びまた、初めて行ったクラブに衝撃を受け解放的な気分を味わったとのこと。たしかに本作にはその体験の熱をそのまま詰め込んだかのような初期衝動を感じます。
懐古的にはならずしっかりとアップデートするセンスに脱帽です。
Pinegrove - Marigold

USインディー シーンの至宝 Pinegrove が UKを代表する老舗レーベル Rough Trade から 4th AL をリリース!
Pinegrove - Phase
マリーゴールドといえば僕はあいみょんではなく Pinegrove なのですがそんな戯言はさておき、��変わらずの温かみのある フォーキーなアルバムに仕上がっています。前作『 Skylight 』をよりしんみりさせた雰囲気がありますね。
本作の魅力といえば、雑味がなくなったミニマルな インディー・ロック といえばいいのでしょうか。無駄な音がないんですね。非常にシンプル。だからこそ深く耳を傾けたくなります。
しかしファンとしてはアナウンス通りに『 Skylight 』に続き新譜をリリースしてくれたことに感謝は勿論、それ以上に安堵感を覚えました。それはフロントマンである Evan Stephens Hall が 強制わいせつ罪で訴えられていた事実があったからなんです。問題が解決されるまでは活動休止状態になっていた時期があって、それを含め他のパーソナルな問題と向き合ったメンバーたちがようやく世にだしたという経緯があり、様々な背景込みでより染みわたります。
本作のコンセプトは「忍耐」だそうです。たしかにタイトル通り、酒とドラッグを我慢する様相をうたった M-4 “ no drugs “ や不眠症をテーマとして眠るためにいろいろと試行する M-7 “ Phase “ や何一つ変わらない日常の虚無感をうたった M-8 “ Endless “ など圧迫された日々に対する陰鬱を嘆くような曲が多いのかと思いました。エンディングを飾るアンビエンスな��ンバー M-11 “ Marigold “ が終わった後の余韻といったら、、、
Pinegrove の音楽を聴くと、普遍的で変化のない一日常をプラスαでほんの少しだけ特別にしてくれる、、まるで人肌に包まれるかのようで本当に心地がいいんです。完全にひいきにしてますが、クソ個人的な短評だし文句の言うやつなんていないからこれからも持ち上げまくってやります。そしてぜひ来日してくれ!!
今年リリースした新譜で The 1975 が Pinegrove について言及した曲をクレジットしたのは2020年のハイライトの1つだったな。。
Nada Surf - Never Not Together

28年選手のブルックリンが誇るメロディックなロック バンドの4年振り通算9枚目の AL は心の奥底まで優しく響き渡るグッド・メロディーで溢れている至福の1枚。
Nada Surf - So Much Love
Nada Surf を今まで通ってきていなかったことを後悔するぐらい、このALは本当に心から良い曲だなと素直に思える曲ばかりでファンになってしまいました。
1曲目 M-1 “ So Much Love “ からしてもうズルいですよ。青いピュアなサウンドで心が震えて Matthew Caws (Vo&Gt) の優しく包み込むような歌声でいつも泣きそうになる。彼らをジャンル付けすると パワー・ポップ / ギター・ポップ あたりになるのですが、M-2 “ Come Get Me “ やリード・トラックに相応しい M-5 “ Something I Should Do “ を聴くと、彼らの音楽性を語るときに引き合いに出されたジャンルたちの醍醐味が詰まっているなと感じました。M-3 “ Live Learn and Forget “ や M-7 “ Crowded Star “ の耳に馴染む懐かしくて切ないメロディーも沁みます。特に M-4 “ Just Wait “ はあまりにも感傷的で永遠に浸っていたい。
そして、子供たちの美しいコーラスから始まる童謡にも似たメロディーから壮大なバラード・ロックへと開花する M-6 “ Looking For You “ でいつも作業している手が止まる。本作のハイライトです。また、疾走感あるキャッチーなロック・ナンバー M-9 “ Ride In The Unknown “ がゆっくりとフェードアウトして本作は終わりますが、それはまるで「ここは一つの到達点でありまだ終わりじゃないんだ。」というような示唆をも感じ、既に次回作に期待してしまう。。
ベテランの安定感といいますか、この円熟したアンサンブルから伝わってくるロック・バンドの力強さは何十年も音楽と真摯に向き合ってきたからこそなんでしょうね。何だか年を重ねていくことへのネガティブな気持ちがすっと無くなった気がします。
Nada Surf を掘る下半期になりそうだ。
Pet Shimmers - Face Down in Meta

謎多きUKはブリストンの7人組バンドの Debut・Album は青春にも似た小っ恥ずかしさ及び衝動をローファイに味付けした煌びやかなインディー・ロックです。
Pet Shimmers - Post-Dick Circle Fuck
なんなんでしょう、このどうしようもない青春感は。どうしてか焦燥的で故にメランコリー。わざとらしいキッチュな音質も憎いし本作を聴くと Los Campesinos! を彷彿とさせるんですよね。(Sandy) Alex G がツアー・ゲストに呼んだのが納得のバンドです。余談ですが、最近改名して(Sandy)がなくなったらしい。。。RIP (Sandy)。。
まぁとにかくこの「ごった煮感」を堪能してほしいです。フロントマン Oliver Wilde のフェイバリットかつ素敵なものをこれでもかとふんだんに詰め込んで Like a パワーパフガールズ’s オリジン 生まれたこの曲たちにはどれもが作り手の愛が濃縮しています。多彩な楽器たちとエレクトロニカと 8 bit がまぜこぜになったインディー・ロックをぜひとも一聴してほしい。
詞の乗せ方とかもリズミカルで例えば M-4 “ Duvet Day ” や M-6 “ Angel Made “ は特に気持ちが良いですね。浮遊感があってアナログTVの砂嵐にも似た粗いサウンドがお気に入りです。
またここ数年のロックを語るには外せない サウス・ロンドン シーンの中心的な小さいヴェニュー The Windmill でも活躍する Goat Girl を呼んでの M-5 “ Feels Hz “ も横のつながりが見えて良いですね。
丁度ALの真ん中にあるハーフ・タイム的な要素も持ち合わせる M-7″ Cheat Codes (THPS2) ” も良い味を出しています。アコースティック・ギターと合わせて呟くように重ねる男女のコーラス・ワークはしっぽりと酒をなめる時の最高のアテです。
M-9 “ Nobody: Me: “ や M-10 “ Post-Dick Circle Fuck “ が顕著なローファイなサウンドの疾走感と絶妙に熱がこもっていないヴォーカルの不思議なハーモニーもぜひ味わってほしい。彼らの音楽性が詰まってます。 ラストの M-12 “ Crash Tense Dummy “ が10分と長尺なところも青臭くて良いですね。めっちゃノスタルジー。。
純粋無垢に音楽をインターネットで漁っていたあの頃の十代が漠然と脳裏によぎり、無駄に感傷的になってしまいました。。これは長く聴いていくやつだわ。。。
今年は割と意識的に音楽が聴けているし、何より6月7月と一気に聴きこみたい期待のALが続々とリリースされていったので、これからが非常に楽しみだ!
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