#蔦の淵
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月例会報告
2024年10月27日

坊城俊樹選 岡田順子選
於:千代田区立九段生涯学習舘
十字架に届かぬ小鳥かもしれぬ 和子 能舞台素風を入れてまた昏し 光子 鳥渡る硝子細工となりし首都 光子 行く秋の天に呼ばれし人恋し 伸子 入江たか子高峰秀子と新走り 佑天 乙女らの梨食む音の鈴めきて 真知子 小雨来る靖国の杜小鳥来る て津子 秋声を鐘の音としミサの朝 はるか
この空の青き果てへと秋の逝く 順子 秋声や深き影おく清水門 はるか 末枯の野に青き花青き玉 千種 兵士とて母に抱るる菊日和 慶月 破れ蓮影のみ揺るるほどの波 千種 天高し太鼓も桴も当たりよく としゑ 鬼の子のぶらり宇宙にぶら下がる 佑天 行く秋の坂に沈みて人また人 和子 神留守の池の闇より真鯉かな 雅春 北濠の今も彼処に烏瓜 炳子
世之介の放蕩三昧藪枯らし 幸月 輪台へ怒濤のごとく菊を盛り 順子 松羽目へ菊の香そよと迷ひ込む 裕章 カノン砲桜紅葉を乗せたまま 光子 ほの青き白菊の香の沈みたる 和子 楽団を遠く流して薄紅葉 順子 青空の余白にそつと真弓の実 昌文 天窓に切り取る空や赤とんぼ 真知子 零戦の会とあり天高き日に 慶月 銀杏に右往左往の小径かな 和子
祈りの手結ぶかたちに敗るゝ蓮 順子 露の世を九段会館また灯る 光子 十字架のうしろ青鈍の秋雨 和子
鳥渡る硝子細工となりし首都 光子 艪をこぎて千鳥ヶ淵の秋惜む 政江 菊の供華黄なり男の子のものかとも 俊樹 乙女らの梨食む音の鈴めきて 真知子 秋声を鐘の音としミサの朝 はるか 年尾忌を厚物咲の黄と白と 光子 くろがねの大鳥居にも小鳥来る 佑天 末枯の野に青き花青き玉 千種
路地裏は小さき花街や鉢の菊 俊樹 靖國の裏はマリアの枯葉道 俊樹 菊の香の道を辿りて神池へ 伸子 あり余る過去かさこそと落葉掻く 昌文 松羽目へ菊の香そよと迷ひ込む 裕章 ほの青き白菊の香の沈みたる 和子 木守柿古き町の名残る路地 幸月 行き交ひて青年の胸赤い羽根 伸子 天よりの使者か蜻蛉と眼合ふ 伸子 天窓に切り取る空や赤とんぼ 真知子
ぽつてりと花弁厚き菊花かな 佑天 零戦の会とあり天高き日に 慶月 一穢なき如雨露に記す菊師の名 光子 集英社あたり真昼の蚯蚓鳴く 俊樹 人それぞれの月の大きさむら芒 真知子 鯉太り残んの萩の色深く 政江 パリ五区のごと青き路地壁の蔦 みもざ 秋の蝶朝のひかりを纏ひ来る はるか 晩秋の日に粲々と菊御紋 政江 旅立てる神の家とは素寒貧 俊樹
銀杏を踏み踏み地霊喜ばす 千種 柿百やドッジボールの校庭に 音呼 露の世を九段会館また灯る 光子 秋蝶の対の乱舞や教会下 慶月 十字架のうしろ青鈍の秋雨 和子 大鳥居の強く切り取る秋の青 雅春 十字架に届かぬ小鳥かもしれぬ 和子
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最近の電柱写真。
最近の電柱写真。 1枚目:近所のサッカー場近く。植物が絡むのは停電の原因、よろしくない。私道ぽいから放置されてる? 2枚目:送電線、インフラ線の分配が賑やかな電柱。これも蔦が忍び寄る。 3枚目:町田駅と国道16号狭間の住宅街。クロージャ3基が密集、下のインフラ線はクルクルが乱れてるので恐らく光でなくメタル。 4枚目:古淵ヨーカドー近く。多すぎる腕���が人目を引く。ケーブルが追加されるたびに間隔調整のため増えたのか?
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18-September,2020 まだちょっと避暑だった頃 #蔦の淵 #東栄町 #奥三河のナイアガラ #ママと娘とドライブ🚙💨 #okumikawa (蔦の淵) https://www.instagram.com/p/CF7UxbpHhuq/?igshid=1qn85tsd5uskf
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OFFを利用して、"奥三河のナイアガラ"こと『蔦の淵』へ。 おぉっと思ったものの、人がいない・・・・・・♪ #東栄町 #蔦の淵 #奥三河のナイアガラ #奥三河 #ナイアガラ #my_eosm100 (蔦の渕) https://www.instagram.com/p/CF2V5wqH6pt/?igshid=1l1rnht6i2frs
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龍ノ啼ク箱庭拠リ / The Dragon Roars from the Miniature Garden by YowaneP https://www.nicovideo.jp/watch/sm1804377
I'm not dead?
I think I would like to go back and do some translations of old vocaloid songs that I don't fully understand by ear. Songs with poetic and complicated lyrics that are outside of my comfort zone. So... probably not the most accurate of translations.
I'm choosing Blacksaingrain's translation for the embedded video. I don't consider it "worse" than mine, but it reads strangely to me as a native English speaker. I'm happy to defer to it as a second translation done by someone more fluent in Japanese.
夜の帳下りて 月が舞台 照らす The curtain of darkness falls and moonlight sets the stage 私は一人踊るの Where I alone dance これは影の叙事詩誰も知らぬ 物語 This is an epic of shadow, a tale known by none 語られることなき 記憶 A memory that should never be spoken
今宵拝跪す 地の徒が為 Tonight, for you kneeling people of the earth 龍刻縛す 意思の暗闇 I've cursed and bound a dragon in the darkness of my mind 深淵く根を張り Where the roots reach deep
閉ざされた森の中 息潜め待つ Hold your breaths and wait, in the depths of this forest 絡まる蔦断ち 楔外る For you know what it means 意味を 知りて When the bindings and snaking ivy are cut
茨草喰い込む Holding its thorn-eaten body 身体抱き 昇る The dragon rises 災う���解けせど Unable to break the power of the curse 遠く龍啼く空 届かぬ声重ね Its voice cannot reach the sky where distant dragons roar いつか 碧空に帰らん Never to return to the blue skies
此の身体回紆す 血の軌跡を The sound of its squirming heartbeat 准り蠢く 其の鼓動は Lurks deep within 深淵くへ 潜み In the blood circling this body
私の中で彼方 息潜め待つ It holds its breath and waits, in the depths of my body 戒められし身体羨望む Yearning for its bound body 意思の 宿命 Thus is our fate
暗き泉の淵 月が水面 照らす The moon lights the surface of the spring 私の姿映るわ Reflecting my form in the dark depths 今宵流れるのは誰も知らぬ円舞曲 Tonight a waltz known to none is played 歌われることなき 旋律 A melody never to be sung
原始の記憶誘う彼の地を想い It thinks of a faraway place enticed by primordial memories 煌く星達彩る天空は遠く The heavens colored with glittering stars are so far 龍啼く箱庭の中 In this miniature garden where the dragon roars 吐息は灼熱の焔を喚びて It sighs a burning hot flame
深き森の最奥で In the deepest part of the forest 独り彷徨う日々 It wanders day after day 道標は見えると信じて Believing it has found the way 翼の戒めに 秘められし存在 A being isolated by the binding of its wings 制し空へ帰らんと Never to return to the skies it commanded
双頭の龍舞う 遥かなる彼の地は The faraway land where two headed dragons dance 古より変わらずに Has been unchanged since ancient times 月が紅く染まる 約束の其の日を Yearning for the promised day when the moon is dyed red 恋焦がれ焼けた涙頬を伝い堕ちる A burning tear follows its cheek and falls
茨草喰い込む Holding its thorn-eaten body 身体抱き 昇る The dragon rises 災う力解けせど Unable to break the power of the curse 遠く龍啼く空 届かぬ声重ね Its voice cannot reach the sky where distant dragons roar いつか 碧空に帰る日 想い 祈る Praying for the day it returns to the blue skies
#龍ノ啼ク箱庭拠リ#the dragon roars from the miniature garden#the sandplay singing of the dragon#yowanep#translation#(repost due to tumblr issue)
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#蔦の淵 #写真の好きな人と繋がりたい (とうえい温泉) https://www.instagram.com/p/BoDib0enrjX/?utm_source=ig_tumblr_share&igshid=9juquoweb12o
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竜口をゼロ距離で撮影 #風に吹かれて #錦川横山側 #錦帯橋と臥龍橋の中間 #龍江、龍江淵とも #古くは、汲江、吸江とも #水難事故多発の看板が #蔦と草に覆われて見えない (Iwakuni) https://www.instagram.com/p/CWJkFegB6xo/?utm_medium=tumblr
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とにかく配れるところにはチラシを配り、警察、役所、保健所など、長野はもちろん、山梨県側にも全て連絡済みです。 学校や保育園、お店等にもチラシをお渡ししました。 一人での捜索は限界があるので、とにかくもっと目撃情報が欲しいです。 富士見町の木の間地区、若宮地区、栃の木地区で昨日までは目撃情報がありました。 お近くの方、見かけましたらすぐにご連絡をいただきたいです。 どうかどうかよろしくお願いします🙇♀️ ・ #長野 #諏訪郡 #富士見町 #迷い犬 #山梨 #北杜市 #小淵沢 #白州 #蔦木 #犬 #保護犬 #いぬ
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秋晴れ☀️ #蔦の渕 #東栄町 #滝 #waterfall #water #river #水 #愛知県 #北設楽郡 #nature #風景写真 #川 #landscape #大千瀬川 #奥三河のナイヤガラ #写真好きな人と繋がりたい #写真撮ってる人と繋がりたい (蔦の淵) https://www.instagram.com/p/CGvtVpdgcO4/?igshid=1jylcz3a17u0g
#蔦の渕#東栄町#滝#waterfall#water#river#水#愛知県#北設楽郡#nature#風景写真#川#landscape#大千瀬川#奥三河のナイヤガラ#写真好きな人と繋がりたい#写真撮ってる人と繋がりたい
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18-September,2020 ちょっと前 #彼岸花 #曼珠沙華 #ママと娘とドライブ🚙💨 (蔦の淵) https://www.instagram.com/p/CF7T7AOHSzQ/?igshid=190nemyzh1b04
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稲葉振一郎 × 長谷川裕一トークイベント「「終わらない物語」「終わる物語」」 『ナウシカ解読 増補版』(勁草書房)刊行記念
「冒険の物語には2種類あるのではないかと思っている。永遠に続く終わらない旅の冒険の物語と、始まったときに帰還が約束された、終わる冒険の物語。」 (長谷川裕一)
奇しくもまんが版『風の谷のナウシカ』��のメディアミックス展開となった歌舞伎『風の谷のナウシカ』の千穐楽後に、『ナウシカ解読』の四半世紀ぶりの増補版が刊行されました。 本書では『ナウシカ解読』初版の他SFまんが家長谷川裕一を取り上げた『オタクの遺伝子』の本論部分、更に『エヴァンゲリオン』、虚淵玄、そしてなにより「ゼロ年代最良の成果」と呼ばれた『虐殺器官』『ハーモニー』を遺して夭折したSF作家伊藤計劃をめぐる論考を収録しています。
本イベントでは著者の稲葉振一郎さんと、ゲストとして『オタクの遺伝子』の主人公、まんが家 の長谷川裕一さんをお迎えして、長谷川さんご自身、そして宮崎駿、虚淵玄をも含めた、虚構世界の物語の作り手誰もが抱える創作の秘密と困難について、存分に語りたいと思います。
【参加条件】 代官山 蔦屋書店にて、対象商品をご予約・ご購入頂いたお客様がご参加いただけます。
【お申込み方法】 以下の方法でお申込みいただけます。 ①代官山 蔦屋書店 店頭 (1号館1階 レジ) ②お電話 03-3770-2525 (人文フロア) ③オンラインストア
【対象商品】 ・書籍『ナウシカ解読 増補版』(勁草書房・2,970円/税込)+イベント参加券(550円/税込)セット 3,520円(税込) ・イベント参加券 1,600円(税込)
【ご注意事項】 *参加券1枚でお一人様にご参加いただけます。 *イベント会場はイベント開始の15分前から入場可能です。 *当日の座席は、先着順でお座りいただきます。 *参加券の再発行・キャンセル・払い戻しはお受けできませんのでご了承くださいませ。 *止むを得ずイベントが中止、内容変更になる場合があります。
【プロフィール】 稲葉 振一郎 (いなば・しんいちろう) 明治学院大学社会学部教授。 一橋大学社会学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得満期退学。 専門は主に社会哲学。 著書に『AI時代の労働の哲学』(講談社選書メチエ)、『銀河帝国は必要か? ロボットと人類の未来』(ちくまプリマー新書)、『社会学入門・中級編』(有斐閣)『「新自由主義」の妖怪』(亜紀書房)、『政治の理論』(中公叢書)、『宇宙倫理学入門』(ナカニシヤ出版)、『不平等との闘い』(文春新書)、『社会学入門』(NHKブックス)など多数。
長谷川 裕一 (はせがわ・ゆういち) 漫画家。 主な作品に『マップス』『マップス ネクストシート』『轟世剣ダイ・ソード』『機動戦士クロスボーン・ガンダム』『クロノアイズ』『クロノアイズ・グランサー』がある。 『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』第10巻(KADOKAWA)が最新刊。
会期 / 2020年2月19日(水) 定員 / 70名 時間 / 19:00~21:00(15分前に開場) 場所 / 蔦屋書店1号館 2階 イベントスペース 主催 / 代官山 蔦屋書店 共催・協力 / 勁草書房 問い合わせ先 / 03-3770-2525
チケットのご予約はこちら オンラインショップでの受付2020年2月17日(月)午前9時の受注分までとさせていただきます。

イベント情報の詳細はこちら
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畫の悲み
畫を好かぬ小供は先づ少ないとして其中にも自分は小供の時、何よりも畫が好きであつた。(と岡本某が語りだした)。
好きこそ物の上手とやらで、自分も他の學課の中畫では同級生の中自分に及ぶものがない。畫と數學となら、憚りながら誰でも來いなんて、自分も大に得意がつて居たのである。しかし得意といふことは多少競爭を意味する。自分の畫の好きなことは全く天性といつても可からう、自分を獨で置けば畫ばかり書いて居たものだ。
獨で畫を書いて居るといへば至極温順しく聞えるが、其癖自分ほど腕白者は同級生の中にないばかりか、校長が持て餘して數々退校を以て嚇したのでも全校第一といふことが分る。
全校第[1]一腕白でも數學でも。しかるに天性好きな畫では全校第一の名譽を志村といふ少年に奪はれて居た。この少年は數學は勿論、其他の學力も全校生徒中、第二流以下であるが、畫の天才に至つては全く並ぶものがないので、僅に壘を摩さうかとも言はれる者は自分一人、其他は悉く志村の天才を崇め奉つて居るばかりであつた。ところが自分は志村を崇拜しない、今に見ろといふ意氣込で頻りと勵げんで居た。
元來志村は自分よりか歳も兄、級も一年上であつたが、自分は學力優等といふので自分の居る級と志村の居る級とを同時にやるべく校長から特別の處置をせられるので自然志村は自分の競爭者となつて居た。
然るに全校の人氣、校長教員を始め何百の生徒の人氣は、温順しい志村に傾いて居る、志村は色の白い柔和な、女にして見たいやうな少年、自分は美少年ではあつたが、亂暴な傲慢な、喧嘩好きの少年、おまけに何時も級の一番を占めて居て、試驗の時は必らず最優等の成績を得る處から教員は自分の高慢が癪に觸り、生徒は自分の壓制が癪に觸り、自分にはどうしても人氣が薄い。そこで衆人の心持は、せめて畫でなりと志村を第一として、岡本の鼻柱を挫いてやれといふ積であつた。自分はよく此消息を解して居た。そして心中ひそかに不平でならぬのは志村の畫必ずしも能く出來て居ない時でも校長をはじめ衆人がこれを激賞し、自分の畫は確かに上出來であつても、さまで賞めて呉れ手のないことである。少年ながらも自分は人氣といふものを惡んで居た。
或日學校で生徒の製作物の展覽會が開かれた。其出品は重に習字、※畫[2]、女子は仕立物等で、生徒の父兄姉妹は朝からぞろ/\と押かける。取りどりの評判。製作物を出した生徒は氣が氣でない、皆なそは/\して展覽室を出たり入つたりして居る自分も此展覽會に出品する積りで畫紙一枚に大きく馬の頭を書いた。馬の顏を斜に見た處で、無論少年の手には餘る畫題であるのを、自分は此一擧に由て是非志村に打勝うといふ意氣込だから一生懸命、學校から宅に歸ると一室に籠つて書く、手本を本にして生意氣にも實物の寫生を試み、幸ひ自分の宅から一丁[3]ばかり離れた桑園の中に借馬屋があるので、幾度となく其處の廐に通つた。輪廓といひ、陰影と云ひ、運筆といひ、自分は確にこれまで自分の書いたものは勿論、志村が書いたものゝ中でこれに比ぶべき出來はないと自信して、これならば必ず志村に勝つ、いかに不公平な教員や生徒でも、今度こそ自分の實力に壓倒さるゝだらうと、大勝利を豫期して出品した。
���品の製作は皆な自宅で書くのだから、何人も誰が何を書くのか知らない、又互に祕密にして居た殊に志村と自分は互の畫題を最も祕密にして知らさないやうにして居た。であるから自分は馬を書きながらも志村は何を書いて居るかといふ問を常に懷いて居たのである。
さて展覽會の當日、恐らく全校數百の生徒中尤も胸を轟かして、展覽室に入つた者は自分であらう。※畫室[4]は既に生徒及び生徒の父兄姉妹で充滿になつて居る。そして二枚の大畫(今日の所謂る大作)が並べて掲げてある前は最も見物人が集つて居る二枚の大畫は言はずとも志村の作と自分の作。
一見自分は先づ荒膽を拔かれてしまつた。志村の畫題はコロンブスの肖像ならんとは! 而もチヨークで書いてある。元來學校では鉛筆畫ばかりで、チヨーク畫は教へない。自分もチヨークで畫くなど思ひもつかんことであるから、畫の善惡は兔も角、先づ此一事で自分は驚いてしまつた。その上ならず、馬の頭と髭髯面を被ふ堂々たるコロンブスの肖像とは、一見まるで比べ者にならんのである。且つ鉛筆の色はどんなに巧みに書いても到底チヨークの色には及ばない。畫題といひ色彩といひ、自分のは要するに少年が書いた畫、志村のは本物である。技術の巧拙は問ふ處でない、掲げて以て衆人の展覽に供すべき製作としては、いかに我慢強い自分も自分の方が佳いとは言へなかつた。さなきだに志村崇拜の連中は、これを見て歡呼して居る。『馬も佳いがコロンブスは如何だ!』などいふ聲が彼處でも此處でもする。
自分は學校の門を走り出た。そして家には歸らず、直ぐ田甫へ出た。止めやうと思ふても涙が止まらない。口惜いやら情けないやら、前後夢中で川の岸まで走つて、川原の草の中に打倒れてしまつた。
足をばた/\やつて大聲を上げて泣いて、それで飽き足らず起上つて其處らの石を拾ひ、四方八方[5]に投げ付けて居た。
かう暴れて居るうちにも自分は、彼奴何時の間にチヨーク畫を習つたらう、何人が彼奴に教へたらうと其ればかり思ひ續けた。
泣いたのと暴れたので幾干か胸がすくと共に、次第に疲れて來たので、いつか其處に臥てしまひ、自分は蒼々たる大空を見上げて居ると、川瀬の音が淙々として聞える。若草を薙いで來る風が、得ならぬ春の香を送つて面を掠める。佳い心持になつて、自分は暫時くぢつとして居たが、突然、さうだ自分もチヨークで畫いて見やう、さうだといふ一念に打たれたので、其儘飛び起き急いで宅に歸へり、父の許を得て、直ぐチヨークを買ひ整へ畫板を提げ直ぐ��外に飛び出した。
この時まで自分はチヨークを持つたことが無い。どういふ風に書くものやら全然不案内であつたがチヨークで書いた畫を見たことは度々あり、たゞこれまで自分で書かないのは到底未だ自分どもの力に及ばぬものとあきらめて居たからなので、志村があの位ゐ書けるなら自分も幾干か出來るだらうと思つたのである。
再び先の川邊へ出た。そして先づ自分の思ひついた畫題は水車、この水車は其以前鉛筆で書いたことがあるので、チヨークの手始めに今一度これを寫生してやらうと、堤を辿つて上流の方へと、足を向けた。
水車は川向にあつて其古めかしい處、木立の繁みに半ば被はれて居る案排、蔦葛が這ひ纏ふて居る具合、少年心にも面白い畫題と心得て居たのである。これを對岸から寫すので、自分は堤を下りて川原の草原に出ると、今まで川柳の蔭で見えなかつたが、一人の少年が草の中に坐つて頻りに水車を寫生して居るのを見つけた。自分と少年とは四五十間隔たつて居たが自分は一見して志村であることを知つた。彼は一心になつて居るので自分の近いたのに氣もつかぬらしかつた。
おや/\、彼奴が來て居る、どうして彼奴は自分の先へ先へと廻はるだらう、忌ま/\しい奴だと大に癪に觸つたが、さりとて引返へすのは猶ほ慊だし、如何して呉れやうと、其儘突立つて志村の方を見て居た。
彼は熱心に書いて居る草の上に腰から上が出て、其立てた膝に畫板が寄掛けてある、そして川柳の影が後から彼の全身を被ひ、たゞ其白い顏の邊から肩先へかけて楊を洩れた薄い光が穩かに落ちて居る。これは面白ろい、彼奴を寫してやらうと、自分は其儘其處に腰を下して、志村其人の寫生に取りかゝつた。それでも感心なことには、畫板に向うと最早志村もいま/\しい奴など思ふ心は消えて書く方に全く心を奪られてしまつた。
彼は頭を上げては水車を見、又畫板に向ふ、そして折り/\左も愉快らしい微笑を頬に浮べて居た彼が微笑する毎に、自分も我知らず微笑せざるを得なかつた。
さうする中に、志村は突然起ち上がつて、其拍子に自分の方を向いた、そして何にも言ひ難き柔和な顏をして、につこり[6]と笑つた。自分も思はず笑つた。
『君は何を書いて居るのだ、』と聞くから、
『君を寫生して居たのだ。』
『僕は最早水車を書いてしまつたよ。』
『さうか、僕は未だ出來ないのだ。』
『さうか、』と言つて志村は其儘再び腰を下ろし、もとの姿勢になつて、
『書き給へ、僕は其間にこれを直すから。』
自分は畫き初めたが、畫いて居るうち、彼を忌ま/\しいと思つた心は全く消えてしまひ、却て彼が可愛くなつて來た。其うちに書き終つたので、
『出來た、出來た!』と叫ぶと、志村は自分の傍に來り、
『をや君はチヨークで書いたね。』
『初めてだから全然畫にならん、君はチヨーク畫を誰に習つた。』
『そら先達東京から歸つて來た奧野さんに習つた然し未だ習ひたてだから何にも書けない。』
『コロンブスは佳く出來て居たね、僕は驚いちやツた。』
それから二人は連立つて學校へ行つた。此以後自分と志村は全く仲が善くなり、自分は心から志村の天才に服し、志村もまた元來が温順しい少年であるから、自分を又無き朋友として親しんで呉れた。二人[7]で畫板を携へ野山を寫生して歩いたことも幾度か知れない。
間もなく自分も志村も中學校に入ることゝなり、故郷の村落を離れて、縣の中央なる某町に寄留することゝなつた。中學に入つても二人[8]は畫を書くことを何よりの樂にして、以前と同じく相伴ふて寫生に出掛けて居た。
此某町から我村落まで七里、若し車道をゆけば十三里の大迂廻になるので我々は中學校の寄宿舍から村落に歸る時、決して車に乘らず、夏と冬の定期休業毎に必ず、此七里の途を草鞋がけで歩いたものである。
七里の途はたゞ山ばかり、坂あり、谷あり、溪流あり、淵あり、瀧あり、村落あり、兒童あり、林あり、森あり、寄宿舍の門を朝早く出て日の暮に家に着くまでの間、自分は此等の形、色、光、趣きを如何いふ風に畫いたら、自分の心を夢のやうに鎖ざして居る謎を解くことが出來るかと、それのみに心を奪られて歩いた。志村も同じ心、後になり先になり、二人で歩いて居ると、時々は路傍に腰を下ろして鉛筆の寫生を試み、彼が起たずば我も起たず、我筆をやめずんば彼も止めないと云ふ風で、思はず時が經ち、驚ろいて二人とも、次の一里を駈足で飛んだこともあつた。
爾來數年、志村は故ありて中學校を退いて村落に歸り、自分は國を去つて東京に遊學することゝなり、いつしか二人の間には音信もなくなつて、忽ち又四五年[9]經つてしまつた。東京に出てから、自分は畫を思ひつゝも畫を自ら書かなくなり、たゞ都會の大家の名作を見て、僅に自分の畫心を滿足さして居たのである。
處が自分の二十の時であつた、久しぶりで故郷の村落に歸つた。宅の物置に曾て自分が持あるいた畫板が有つたの[10]見つけ、同時に志村のことを思ひだしたので、早速人に聞いて見ると、驚くまいことか、彼は十七の歳病死したとのことである。
自分は久しぶりで畫板と鉛筆を提げて家を出た。故郷の風景は舊の通りである、然し自分は最早以前の少年ではない、自分はたゞ幾歳かの年を増したばかりでなく、幸か不幸か、人生の問題になやまされ、生死の問題に深入りし、等しく自然に對しても以前の心には全く趣を變へて居たのである。言ひ難き���愁は暫時も自分を安めない。
時は夏の最中自分はたゞ畫板を提げたといふばかり、何を書いて見る氣にもならん、獨りぶら/\と野末に出た。曾て志村と共に能く寫生に出た野末に。
闇にも歡びあり、光にも悲あり麥藁帽の廂を傾けて、彼方の丘、此方の林を望めば、まじ/\と照る日に輝いて眩ゆきばかりの景色。自分は思はず泣いた。
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八ヶ岳高原ラインライド
八ヶ岳高原ラインライドです。
さて今回は八ヶ岳高原ラインです。
八ヶ岳高原ラインとは
山梨県道・長野県道11号北杜富士見線(やまなしけんどう・ながのけんどう11ごう ほくとふじみせん)は、山梨県北杜��の国道141号清里交差点を起点として八ヶ岳南麓を通過して中央道小淵沢インターを経由し、長野県諏訪郡富士見町の国道20号下蔦木交差点に至る県道(主要地方道)である。八ヶ岳高原ライン[注釈 1]や八ヶ岳横断道、八ヶ岳公園道路、八ヶ岳高原道路[2]などの愛称がある。
wikipediaより引用
という感じで山梨県と長野県の境を通る舗装路です。
起点としては小淵沢の道の駅から行く感じですね。
今回は舗装路なのでさらっと紹介。
まず景色が良いです。
次に道幅が広くてキレイ
更に車の往来も少ない
本当に適度なアップダウンで飽きさせず疲れさせないほどほどな感じ
とここはロードバイク初心者にロード…
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