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#こなき爺列車
salixmagick · 2 years
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日付が変わりましたが、10月14日は「鉄道の日」です。
今年、2022年は、日本初の鉄道が開業してから150年の節目を迎えました。 鉄道150周年を記念して、過去撮影した列車をUPします。
撮影:2013年11月
米子駅、境港駅、岡山駅 他
花と緑の博覧会・第30回全国都市緑化とっとりフェア「水と緑のオアシスとっとり2013」に
https://www.pref.tottori.lg.jp/171065.htm
出かけた際に、米子・境港まで足を延ばしました
#鉄道の日 #鉄道150周年 #JR境線 #ねこ娘列車 #目玉おやじ列車 #こなき爺列車 #砂かけ婆列車 #鬼太郎列車 #ねずみ男列車 #キハ40 #キハ40系 #キハ40形 #ヘッドマーク #出雲 #はくと #SL出雲路 #わかとりライナー #しまねライナー #やくも #381系 #ドクターイエロー #923形
https://www.instagram.com/p/Cjsw3wCP4n1/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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canty-essay · 3 months
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考えてみる、サバイバル
              
                                  
 今年は元日に突然携帯の地震を知らせるアラームが鳴り出し、ギョッとなった。まもなく、能登で大きな地震があったことを知った。本当にいつどこで地震に遭うのかわからない今日この頃だ。日頃の備えが大事というが、どんな備えをすればいいのだろうか。どうすれば、自分や家族や周りの人の命や財産を守れるのだろうか。
 「サバイバルファミリー」という映画を観た。どういう話かというと、主人公は東京のマンションに住む、中年の夫婦と高校生の息子と娘の一家。お父さんは平凡なサラリーマンで、会社から帰れば、晩酌しながらテレビをみている。息子と娘は親に関心がなく、勝手なものを食べている。お母さんはひとり台所で、実家の鹿児島から送られてきた大きな丸一匹の魚を捌こうと格闘しているけれど、誰も手伝わないし、食べたがらない。
 そんなある日朝、突然電気という電気がみな停まってしまう。電気ばかりでなく、乾電池や車のバッテリーも全く働らかなくなる。お父さんと子どもたちは、文句を言いながらとりあえず会社や学校に向かう。自分のマンションだけでなく、かなり広範囲に停電していることがわかってくる。スマホで検索しようと思っても、画面には何も映らない。お母さんがスーパーに行くと、みな買い出しに来ているが、レジが動かずそろばんで計算するので、長蛇の列となる。
 三日ぐらいは、ロウソクとカセットコンロとレトルト食品で凌いでいるが、水道からの水も出なくなり、会社や学校も休みとなり、多くの人がだんだんと東京脱出を始める。大勢の人が家族を伴って、ガラガラとスーツケースを引いていく。この一家はお父さんがうまく調達したおかげで、一人一台自転車がある。途中の商店では、ペットボトルの水が一本2500円の高値で売りに出されている。この家族も高値承知でありったけを買い占め、旅を始める。お母さんの実家の鹿児島を目指して。途中のお米屋さんでは、水や食べ物を持って行くと、お米一合と交換してくれる。そこにロレックスや高級車の鍵を持って交換に来る人物が現れるが、「そんなもの食えるかい! 」と突き返される。
 「大阪から先の関西では電気が来ているらしい」という噂が飛び交い、今や車の走らない東名高速道路を大勢の人が歩いたり、自転車だったり、中には荷車を引く人も、西に向かう。途中のサービスエリアで野宿。寒い季節ではないのが、まだよかった。寝ている間に、水を一本盗まれて、息子がすぐに追いかけるのだが、盗んだ家族には赤ちゃんがいて、取り返すのをやめる。
 脱出から16日目高速道路を降りて、川で洗濯をする。水が一見きれいだからと飲んだお父さんが下痢をする。強風に煽られて転倒し、自転車やお母さんのメガネが壊れる。次に通りかかったちょっと大きい街の無人のホームセンターを覗くと、食べ物はとうに無いが、キャットフード、精製水( コンタクトレンズに使うもの? )、自転車の修理材料などを手に入れる。火おこししようとしたもできないお父さんを横目で見つつ、おいしくないキャットフードを食べる。
 さらに高速道路を走り続ける。長いトンネルの入り口で報酬と引き換えに、トンネルの案内を買って出る盲目のお婆さんたち。無視してトンネルに入るも、真っ暗な中、停まっている車や障害物に阻まれて進めなくなり、盲目のお婆さんに手引きしてもらう。
 次はいやに元気な家族と遭遇する。彼らは日頃サイクリングしながらキャンプをしているらしく、装備も揃っていて、みなで楽しそうに食事をしている。「食料や水はどうしているんですか」と尋ねると、山の中の岩場の間から湧き出ている水は、周りに苔が生えていればそれは安全な証拠なのでそういう水を汲んだり、地面から直に生えているオオバコのような植物は食べられますよ、セミなどもおいしいですよ、と教えてくれる。
 43日目、やっと大阪に到着。電気は来ていない。通天閣のタワーの入り口には、たくさんのメモ紙が貼ってある。「岡山のおじさんのところに行く。◯◯」などの伝言が。娘がブチ切れて「もう嫌だ! お父さんが大阪に来ればなんとかなるって言ったよね?」「そんなこと俺いったか? 」「ほら、そうやってまたいつもの責任のがれ」「親に向かってなんだ、その口の聞き方は! 」すると息子が「親らしいことしてくれたことあったかよ! 」今度はお母さんが、「いい加減にして! そんなこととっくにわかっているじゃないの、お父さんがそういう人だってこと」ここでお父さんはがっくりとなってしゃがみ込んでしまう。水族館の前で、飼っている魚を調理した炊き出しの列に並ぶも、自分たちの前で終わってしまった。お父さんは調理していた人に、土下座をして「せめてこの子たちだけにでも何か食べ物を」と懇願するが、「無いものは無い」と断られる。
 67日目、食料も水も無くなり、岡山あたりの田舎道をとぼとぼ歩いている。と、一頭の豚が目の前を通り過ぎていく。えっ、となり夢中で追いかける。四人でやっと捕まえてみたものの、どうやってとどめを刺すのと手間取っているところ、後ろから「うちの豚に何をする! 」とお爺さんの怒鳴り声。お爺さんのうちの電気柵が働かなくなり、豚たちが逃げ出したのだった。お爺さんが、持っていたナイフで手早くとどめを刺し、豚を運ぶのを手伝い、そのお爺さんの家に。庭先の井戸水を汲ませてもらい、ごくごく飲む。久しぶりの白いご飯に、卵や野菜のおかずに豚肉の燻製。近所のお婆さんがキャベツや大根を届けてくれる。「あれまあ、お客さん? お孫さんたちが帰っているのかと思った」お爺さんの家族はアメリカにいて、連絡もつかないのだ。
 ご飯の後は、さっきの豚の解体を手伝う。バラバラにした肉に塩をすり込む。一週間ほど熟成させてから燻製にするのだそうだ。逃げた他の豚も、みんなで追いかけ回して捕まえる。井戸水をバケツで汲んでは、お風呂に運び薪でお風呂を沸かす。何十日ぶりのお風呂に入り、夜はお孫さんたちが着る予定だった新しい寝巻きを貸してもらい、これまた久しぶりの布団に横になる。
 毎日薪割りしたり、洗濯をしたり、お爺さんの手伝いをして過ごす。一週間後、豚肉を燻製にしながらお爺さんが語る。「お前さんたちさえよければ、ここにずーっと住んでもいいんじゃぞ。わしも年取って、一人で車も洗濯機も使えない生活では大変でなぁ・・」と誘われるが、この一家は鹿児島にいるお母さんの実家のお父さんの安否も気になっていて、結局お爺さんの申し出を断り、たくさんの食料をもらって、また自転車の旅を続ける。
 そのあともいろいろあって、命の危険にも晒されて、奇跡的に誰かが動かしてくれたSLに拾われて、ようやく108日目に鹿児島のお祖父ちゃんの家にたどり着く。お祖父ちゃんは元気だった! お祖父ちゃんは浜で魚釣りをしていた。それからは村人同士助け合って、魚を捕りに行ったり、畑をしたり、鶏の世話をしたり、お婆さんに機織りを教えてもらったりして、みんなで元気に楽しく一生懸命に暮らし始める。
 それから、2年と126日目の朝、突然村のスピーカーから埴生の宿のメロディーが流れてくる。みんなが驚いて家を出てみると、街灯が次々と点き始めた。すっかり忘れていた電気が戻ってきたのだ。そして場面は変わって、東京の一家のマンション。日常を取り戻し、以前の生活に戻る。テレビからは、「世界同時停電の原因は、太陽フレアか彗星の異常接近ではないかと、専門家からは語っている。サイバーテロの疑いはなくなったとのことです・・」停電前はそれぞれ勝手に心もばらばらに生きていた家族だったのが、思いやりのある温かい家族になっていた。
 とまあ、そういう話であったが、いろいろといいヒントがあった。非常時にはアナログが強いこと。キャンプ生活などに慣れておくこと。北杜市に住んでいて、地震などで自分の家が壊れていない限りは、ここにいた方が湧き水もそばにあるし、薪や焚き木を燃やして暖を取ったり煮炊きすることもできる。むしろここは、首都圏からの避難地域となるだろう。今できることといったら、いつでも人を迎えられるように、家の中を整えておくこと、食料や薪を備蓄しておくこと?
 もうひとつ気になるのが、「年長者としての知恵」のようなもの。年長者はパソコンやスマホに弱く、操作方法などは若者に訊かないとわからないことばかり。でももしパソコンやスマホが一切使えない世の中になった時に、どこまで年長者がサバイバルの知恵を出せるだろうか。本当に長く生きた分だけいい知恵があればいいけど。
 さっきの映画の話では、最初はばらばらだった家族の気持ちもだんだんとひとつになり、お互いにかけがいのない家族として心が結ばれる。停電が終わり東京に戻るのだけど、本当に戻る必要はあったのかなぁ。鹿児島にいた二年半は、みなで漁をしたり、畑をしたり、はた織りしたりして、お金も介在せずに生きていたわけだ。これからこの地震や災害の多い日本で生き抜くには、都会を出て地方でコミュニティを作って、いろんな年齢の人が、各々出せる力を合わせて生きていく以外の得策は無いのではないかしら。
 2024年1月
映画「サバイバルファミリー」は、2017年2月に公開された。監督 矢口史靖。
主演 小日向文世、深津絵里、泉澤祐希、葵わかな
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tttttan-drawing · 9 months
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202308150656
122×174㎜skbk
今日は、あの時、満州、シベリアまで行き帰ってきた爺ちゃんのことを思い出す日。
幼い俺に何度も戦争のことを話してくれた爺ちゃんのことを思い出す日。
人生の最後、あの日の後は外にも出れず椅子に座りテレビに映る津波や原発事故に遭っている地元を眺めるしかなかった爺ちゃんのことを思い出す日。
亡くなる1ヶ月前、大工だった曾祖父が建てた諏訪神社で挙げた俺の結婚式に、車椅子で参列してくれて喜んでくれた爺ちゃんのことを思い出す日。
最後に病院に運ばれたのは8/16日だった。
爺ちゃんが死んだ1ヶ月後に息子が生まれた。
爺ちゃんの畑が、幼い俺の遊び場だった。
#duringdrawing #drawing #abstraction #monochrome #blackandwhite #japanesedrawing #calligraphy #sumi #improvisation #ドローイング #線描 #墨 #水墨 #肉筆画 #tttttan
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kachoushi · 1 year
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各地句会報
花鳥誌 令和5年5月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年2月2日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
厨女も慣れたる手付き雪掻す 由季子 闇夜中裏声しきり猫の恋 喜代子 節分や内なる鬼にひそむ角 さとみ 如月の雨に煙りし寺の塔 都 風花やこの晴天の何処より 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月4日 零の会 坊城俊樹選 特選句
暗闇坂のチャペルの春は明日あたり きみよ 長すぎるエスカレーター早春へ 久 立春の市の算盤振つてみる 要 冬帝と暗闇坂にすれ違ふ きみよ 伊達者のくさめ名残りや南部坂 眞理子 慶應の先生眠る山笑ふ いづみ 豆源の窓より立春の煙 和子 供華白く女優へ二月礼者かな 小鳥 古雛の見てゐる骨董市の空 順子 古雛のあの子の部屋へ貰はれし 久
岡田順子選 特選句
暗闇坂のチャペルの春は明日あたり きみよ 冬帝と暗闇坂にすれ違ふ 同 大銀杏八百回の立春へ 俊樹 豆源の春の売子が忽と消え 同 コート脱ぐ八咫鏡に参る美女 きみよ おはん来よ暗闇坂の春を舞ひ 俊樹 雲逝くや芽ばり柳を繰りながら 光子 立春の蓬髪となる大銀杏 俊樹 立春の皺の手に売るくわりんたう 同 公孫樹寒まだ去らずとのたまへり 軽象
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月4日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
敬􄼲な信徒にあらず寒椿 美穂 梅ふふむ野面積む端に摩天楼 睦子 黄泉比良坂毬唄とほく谺して 同 下萌や大志ふくらむ黒鞄 朝子 觔斗雲睦月の空に呼ばれたる 美穂 鼻歌に二つ目を割り寒卵 かおり 三􄼹路のマネキン春を手招きて 同 黄金の国ジパングの寒卵 愛 潮流の狂ひや鯨吼ゆる夜は 睦子 お多福の上目づかひや春の空 成子 心底の鬼知りつつの追儺かな 勝利
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月6日・7日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
潮騒を春呼ぶ音と聞いてをり かづを 水仙の香り背負うて海女帰る 同 海荒るるとも水仙の香の高し 同 坪庭の十尺灯篭日脚伸ぶ 清女 春光の中神島も丹の橋も 同 待春の心深雪に埋もりて 和子 扁額の文字読めずして春の宿 同 砂浜に貝を拾ふや雪のひま 千加江 村の春小舟ふはりと揺れてをり 同 白息に朝の公園横切れり 匠 風花や何を告げんと頰に触る 笑子 枝川やさざ波に陽の冴返る 啓子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月8日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
雪を踏む音を友とし道一人 あけみ 蠟梅の咲き鈍色の雲去りぬ みえこ 除雪車を見守る警備真夜の笛 同 雪掻きの我にエールや鳥の声 紀子 握り飯ぱりりと海苔の香を立て 裕子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月10日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
東風に振る竿は灯台より高く 美智子 月冴ゆる其処此処軋む母の家 都 幽やかな烏鷺の石音冴ゆる夜 宇太郎 老いの手に音立て笑ふ浅蜊かな 悦子 鎧着る母のコートを着る度に 佐代子 老いし身や明日なき如く雪を掻く すみ子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月11日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
朝光や寺苑に生るる蕗の薹 幸風 大屋根の雪解雫のリズム良き 秋尚 春菊の箱で積まれて旬となる 恭子 今朝晴れて丹沢颪の雪解風 亜栄子 眩しさを散らし公魚宙を舞ふ 幸子 流れゆくおもひで重く雪解川 ゆう子 年尾句碑句帳に挟む雪解音 三無 クロッカス影を短く咲き揃ふ 秋尚 あちらにも野焼く漢の影法師 白陶 公魚や釣り糸細く夜蒼し ゆう子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月13日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
犬ふぐり大地に笑みをこぼしけり 三無 春浅しワンマン列車軋む音 のりこ 蝋梅の香りに溺れ車椅子 三無 寒の海夕赤々漁終る ことこ 陽が風を連れ耀ける春の宮 貴薫 青空へ枝混み合へる濃紅梅 秋尚 土塊に春日からめて庭手入 三無 夕東風や友の消息届きけり 迪子 ひと雨のひと粒ごとに余寒あり 貴薫
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月13日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
浅春の眠りのうつつ出湯泊り 時江 老いたれば屈託もあり毛糸編む 昭子 落としたる画鋲を探す寒灯下 ミチ子 春の雪相聞歌碑の黙続く 時江 顔剃りて少し別嬪初詣 さよ子 日脚伸ぶ下校チャイムののんびりと みす枝 雪解急竹はね返る音響く 同 寒さにも噂にも耐へこれ衆生 さよ子 蕗の薹刻めば厨野の香り みす枝
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月14日 萩花鳥会
水甕の薄氷やぶり野草の芽 祐子 わが身共老いたる鬼をなほ追儺 健雄 嗚呼自由冬晴れ青く空広く 俊文 春の園散り散り走る孫四人 ゆかり 集まりて薄氷つつき子ら遊ぶ 恒雄 山々の眠り起こせし野焼きかな 明子 鬼やらひじやんけんで勝つ福の面 美惠子
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令和5年2月15日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
吹雪く日の杣道隠す道標 世詩明 恋猫の闇もろともに戦かな 千加江 鷺一羽曲線残し飛び立てり 同 はたと止む今日の吹雪の潔し 昭子 アルバムに中子師の笑み冬の蝶 淳子 寒鯉の橋下にゆらり緋を流す 笑子 雪景色途切れて暗し三国線 和子 はよしねまがつこにおくれる冬の朝 隆司 耳目塗り潰せし如く冬籠 雪 卍字ケ辻に迷ひはせぬか雪女 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
指先に一つ剥ぎたる蜜柑の香 雪 大寒に入りたる水を諾ひぬ 同 金色の南無観世音大冬木 同 産土に響くかしは手春寒し かづを 春の雷森羅万象𠮟咤して 同 玻璃越しに九頭竜よりの隙間風 同 気まぐれな風花降つてすぐ止みて やす香 寒紅や見目安らかに不帰の人 嘉和 波音が好きで飛沫好き崖水仙 みす枝 音待てるポストに寒の戻りかな 清女 女正月昔藪入り嫁の里 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月17日 さきたま花鳥会 坊城俊樹選 特選句
奥つ城に冬の遺書めく斑雪 月惑 顔隠す一夜限りの雪女郎 八草 民衆の叫びに似たる辛夷の芽 ふじほ 猫の恋昼は静かに睨み合ひ みのり 薄氷に餓鬼大将の指の穴 月惑 無人駅青女の俘虜とされしまま 良江 怒号上げ村に討ち入る雪解川 とし江 凍土を突く走り根の筋張りて 紀花 焼藷屋鎮守の森の定位置に 八草 爺の膝捨てて疾駆の恋の猫 良江
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月19日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
古玻璃の奥に設ふ古雛 久 笏も扇も失せし雛の澄まし顔 眞理子 日矢さして金縷梅の縒りほどけさう 芙佐子 梅東風やあやつり人形眠る箱 千種 春風に槻は空へ細くほそく ます江 山茱萸の花透く雲の疾さかな 要 貝殻の雛の片目閉ぢてをり 久 古雛髪のほつれも雅なる 三無 ぽつねんと裸電球雛調度 要
栗林圭魚選 特選句
紅梅の枝垂れ白髪乱さるる 炳子 梅園の幹玄々と下萌ゆる 要 濃紅梅妖しきばかりかの子の忌 眞理子 貝殻の雛の片目閉ぢてをり 久 古雛髪のほつれも雅なる 三無 老梅忌枝ぶり確と臥龍梅 眞理子 山茱萸の空の広さにほどけゆく 月惑 八橋に水恋うてをり猫柳 芙佐子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月21日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
師を背負ひ走りし人も雪籠 雪 裏庭開く枝折戸冬桜 同 天帝の性こもごもの二月かな 同 適当に返事してゐる日向ぼこ 一涓 継体の慈愛の御ん目雪の果 同 風花のはげしく風に遊ぶ日よ 洋子 薄氷を踏めば大空割れにけり みす枝 春一番古色の帽子飛ばしけり 昭上嶋子 鉤穴の古墳の型の凍てゆるむ 世詩明 人の来て障子の内に隠しけり 同 春炬燵素足の人に触れざりし 同 女正月集ふ妻らを嫁と呼ぶ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月26日 月例会 坊城俊樹選 特選句
能舞台昏きに満ちて花を待つ 光子 バス停にシスターとゐてあたたかし 要 空に雲なくて白梅すきとほる 和子 忘れられさうな径の梅紅し 順子 靖国の残る寒さを踏む長靴 和子 孕み猫ゆつくり進む憲兵碑 幸風 石鹸玉ゆく靖国の青き空 緋路 蒼天へ春のぼりゆく大鳥居 はるか
岡田順子選 特選句
能舞台昏きに満ちて春を待つ 光子 直立の衛士へ梅が香及びけり 同 さへづりや鉄のひかりの十字架へ 同 春の日を溜め人を待つベンチかな 秋尚 春風や鳥居の中の鳥居へと 月惑 料峭や薄刃も入らぬ城の門 昌文 梅香る昼三日月のあえかなり 眞理子 春陽とは街の色して乙女らへ 俊樹
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月 九州花鳥会 坊城俊樹選 特選句
ポケットの余寒に指を揉んでをり 勝利 黒真珠肌にふれたる余寒かな 美穂 角のなき石にかくれて猫の恋 朝子 恋仲を知らん顔して猫柳 勝利 杖の手に地球の鼓動下萌ゆる 朝子 シャラシャラとタンバリン佐保姫の衣ずれ ひとみ 蛇穴を出て今生の闇を知る 喜和 鷗外のラテン語冴ゆる自伝かな 睦古賀子 砲二門転がる砦凍返る 勝利 小突かれて鳥と屋や に採りし日寒卵 志津子 春一番歳時記の序を捲らしむ 愛
(順不同特選句のみ掲載) …………………………���…………………………………
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orhpee-annex · 9 days
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旅行の話
 先日、山梨へ一泊二日の旅行をした。
 自然美を目当てに旅をした最初期の西洋人はルソーだった。それ以前の観光旅行はピラミッドやギリシャの神殿などの文明の建築物が目当てで、どちらかというと自然は煩わしいものだったと、石川美子が『旅のエクリチュール』に書いている。
 わたし自身は昔から旅行がそれなりに好きで貧しい財政と時間の許す範囲で様々な場所に足を運んだが、「海を見たい」「未踏の北海道を巡りたい」など若い頃ほど人並みの動機に支えられていた。とはいえ、「ひとの居ない場所に行きたい」「何もせず行き当たり任せに自然美のある地域に行きたい」など、最近は次第に漠然とした逃避欲が頭をもたげるようになった。今般の旅行にしても、何でもよいので煩雑な人と街から距離を置きたい、と思っての出立だった。
 中央線の高尾から大月で乗り換えて富士急行線で赤坂という駅で降りた。高尾も大月も、いつの間にか外人観光客で賑わっており、逃避どころではないのに閉口したが、流石に赤坂は無人駅なだけあり降車するひとのまばらで、町の様子も普通の田舎だった。
 車道は広く、マクドナルド、ローソン、コーエイというスーパー、「園芸と資材」という英国古典小説のように簡潔な看板の巨大ホームセンターが駅周りに集結している。この一帯が地元のひとの生活基盤なのだろう、菅野川という細い川に沿って宿まで歩くと程なく一軒家が点在するだけになった。御正体山に囲まれた地だけあり、四方を見渡しても山が迫っている。
 一泊して翌朝、菅野川沿いを散歩していると、幾人かの老人たちが釣りに励んでいた。わたしたちの頭上を鳶が笛のように鳴いて旋回している。
 光景の一々に満足している傍ら、「自分はなぜ自然美に惹かれるのだろう」という自問が並走していた。静かで、ひとの声に混じって川のせせらぎを耳にするだけでも東京より遥かに静かで充分に安らいではいるのだが。
 河口湖へと列車で向かう為に、赤坂の無人駅に赴くと地元の老爺と老婆の二人が会話していた。話は縦横無尽だったが、ふと爺さんが金に窮した知人の話題で「生活保護とか受ければいいんだよなあ。金のない時は、仕方がないよなあ」と言い、婆さんも「仕方ないよ」と頻りに相槌を打っていた。それで、わたしは養老孟司の『手入れという思想』という古い講演録を思い出していた。何故都会で虫を見ると嫌な気持ちになるのか、という切り口で都市と地方における人心の対比を語った講演だ。そこで養老は、都市ではすべてが人間のコントロール下にある。舗装された道路や規則的な列車のダイヤ。そして不確定な要素を可能な限り排斥した。だから都市の人間が、何か我慢できない事が起こったとき、誰かの所為にして、責任を追及する。無論、仕事の上でも然りで、これが都市生活者の基底を為している。しかし田舎の自然に生きるひとはそうはいかない。天気や動物による災害まで、誰かの責に帰すことの出来ない不幸は日常茶飯事のように起きる。そうした暮しのなかで田舎の人の心映えを象徴として「仕方がない」という言葉を、養老は挙げている。先の赤坂駅の老人たちの会話に自然と息づいた「仕方がない」を聞いて、そのようなことを思い出していた。
 自分は何故惹かれるのだろう?
 河口湖へと向かう行路の観光客の充満ぶりに辟易しつつ、一方で河口湖一帯から富士山が見える、という事実を知らなかった自分の無知にも呆れながら河口湖駅から徒歩十分ほどで湖畔に辿り着いた。そこにはここ数年ではなく、何十年前から観光地として栄えてきた、という歴史を偲ばせる古いが清潔な食事処や土産屋が並び、外国語の案内も揃えて国籍問わず訪れた人間を漁っていた。人間の気配から離れたい為に旅をしていたわたしは失望していた。湖畔で飯を頬張ったり、写真を撮ったりする人々のあいだを縫うように湖畔を歩く。湖にせり出すように黒い岩が雪崩れていた。岩の表面には気泡が浮かんでいる。ふと、富士山が火山であり、次いで湖畔沿いに浅間山神社のあることを思い出した。ふたたび大噴火すれば、ポンペイ遺跡のような風景が現れるかも知れない。
 岩の上に座って湖面を眺めていた。それが火山岩であることを気に留めることなく、観光客が次々と岩に載って写真を撮っていた。が、その眼前の風景は現実であるのに、遠い昨日のように見えた。わたしたち人間は自然の時間に一瞬登場した短命の生き物に過ぎない、という事実をそこに見る思いがした。想念というより、岩場が見せてくれた現実の風景として。そのとき、旅の目的を達した気がした。
 人類という括りや、そこに伴う責任、資本、文明生活は常に虚構であり、いつか地上からは一掃される。故に、我々がどのように生きても構わない。岩や花や水辺には、後世の地球には関係ない。だが、都市は人類の文明や社会が堅固で絶対であると錯覚させる。都市の煩雑な物や音に囲まれて、わたしもいつしかそのように思い込まされてゆく。でも、いつか消える。全部。それは悲観の滅びとしてではなく、もっと静かで当然の風景として。だれも居ない、のびやかな白昼の庭園。君たちはその庭園を通過するだけでいいんだよ、と地表は語ってくれる、それが自然美に惹かれる理由であり、そしてわたしは安堵の中で生命感を取り戻していった。
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kennak · 4 months
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直江津駅は国鉄時代から鉄道の要衝として栄えた場所で、当時は特急や急行列車が長編成でしたから、その名残で今でもホームは15両編成が停車できる長さです。 JRの車両は基本的に1両20メートルですから15両となると300メートル。 春先など陽気が良い季節には、私は昼休みにウォーキングがてらに3本のホームを歩きますが、片道300メートル、往復600メートル、3本のホームを隅から隅まで歩くと1.8kmになるほど広いのです。 その広いホームには当時はお客様が多かったんでしょうね。 待合室が2つ並んであって、今は1つで十分なんです。 でも、せっかくだから何かに利用できないか。 そう考えていた時に、どこからか図書館から高校生や中学生が締め出されているという話を聞きました。 お爺さんやお婆さんたちが、「図書館は本よ読むところで勉強するところじゃないだろう。お前たちが居るから俺たちの場所が無くなるんだ。」というようなクレームがあったらしい。 そして、世の中のしきたり通り、声のでかい意見が勝つわけで、中学生、高校生たちが勉強する場所が無くなってしまったらしいのです。 もし本当だったら、とんでもない話でしょう。 とんでもない爺たちですよ。 まぁ、高齢化で日本がどんどん力が無くなって行っている話と同じことがローカルでも起きているということなのでしょう。 暇を持て余して夏などは図書館に涼みに来ている老人たちの意見が通って、将来ある子供たちが締め出されるようなことが許されるのであれば、この国は亡びるわけですが、今の時代の老人たちはバブルの価値観を持った人たちが多く居ますから、30年後、50年後がどうなろうが知ったこっちゃないというのもある意味事実でして、直江津が本当にそうかは知りませんが、世の中の一般論としては、国の将来を憂う時代になっているわけです。 というようなことを考えまして、2つある待合室の1つを自習室にしようかと思ったのです。 トキめき鉄道の一番のお客様は通学の学生さんたちですから、その一番のお得意様へのサービス向上というわけです。 でもって、今の時代は高校生はタブレットで勉強しますから、電源も必要だしWifiだってないといけません。 もちろん冷暖房完備。 そんな自習室を作ったのです。 実は、この自習室は私がトキ鉄の社長になって最初の仕事なんですよ。 D51レールパークよりも、観光急行よりも前に作ったので、もう4年になります。 それがなんで今頃話題になってるか不思議ですが、まぁ、今の時代のネットというのはそういうものなのでしょう。
直江津駅の自習室 | えちごトキめき鉄道社長(いすみ鉄道前社長) 鳥塚亮の地域を元気にするブログ
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kurano · 4 months
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お爺さんやお婆さんたちが、「図書館は本よ読むところで勉強するところじゃないだろう。お前たちが居るから俺たちの場所が無くなるんだ。」というようなクレームがあったらしい。
そして、世の中のしきたり通り、声のでかい意見が勝つわけで、中学生、高校生たちが勉強する場所が無くなってしまったらしいのです。
もし本当だったら、とんでもない話でしょう。
とんでもない爺たちですよ。
まぁ、高齢化で日本がどんどん力が無くなって行っている話と同じことがローカルでも起きているということなのでしょう。
暇を持て余して夏などは図書館に涼みに来ている老人たちの意見が通って、将来ある子供たちが締め出されるようなことが許されるのであれば、この国は亡びるわけですが、今の時代の老人たちはバブルの価値観を持った人たちが多く居ますから、30年後、50年後がどうなろうが知ったこっちゃないというのもある意味事実でして、直江津が本当にそうかは知りませんが、世の中の一般論としては、国の将来を憂う時代になっているわけです。
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32j · 10 months
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2023/07/10
今日も朝から快晴、国に帰ってきたので安心しているのもあり少しゆっくり起きる。朝から田舎の教会に行ったり、国を横断していろいろ寄りつつ帰る予定、荷物も重い市疲れも溜まっているのでちょっとだるいが、宿に朝飯がついているとのことだったので食堂に行ってみるとバイキングだった。これは、と思って2食分くらい食べる、ミューズリやらハムやらチーズやら、という感じだがこれは大満足。時間もぼちぼちなのでそそくさとチェックアウトして、駅に向かうバスに乗る。山の方に向かう列車のターミナルでもあるようだ、しかし普通の国鉄に乗って、1時間くらい、バスに乗り換える駅に着く。バスターミナルがわりに大きくて、集成材のハニカムでできた屋根が印象的だった。バスがちょっと遅れてきたが一路山の集落へ向かう、途中見覚えのあるシルエットの山が谷の向こうに見える、と思って調べたらマッターホルンだった。シンボリズムがある。集落に着いたらこれがなかなか印象的な集落で、この間野外博物館で見たような伝統的な建物がたくさん残っている。教会を早速みる、なかなか力強いが異様に綺麗、ちゃんと補修されているのか、最近メンテナンスされたのか。地形をうまく使った断面配置で、造形はなかなか厳しい。バスの時間が微妙で、谷の下にある道のバスに乗ることにしていて、近くに石灰岩の特徴的な地形があるので小一時間のハイキング、と考えていたが、20分くらい行ったところで道がないことがわかり、行けるところまで行ったものの結局行き止まり、獣道みたいなものは続いていたが、チャレンジしてろくなことがなさそうだったのでもとの集落に戻り、バスを待つことに。ところが時間を見間違えていて、バス停で1時間の待機、レストランにでも入ろうかと思ったが作業することはたくさんあるのでやめる。バスが来るまでダラダラしていたらあんまり何も進まなかった。しかし元の予定していたバスでも次の目的地の到着は20分ほどしか変わらないのでまあ大丈夫か、と思い、バスに乗って駅に戻る。疲れが溜まっていてしばし寝てしまう。鉄道を乗り継いで首都へ、すこし郊外にある集合住宅作品へ、実際行ってみると草木が茂っていて外観はもはや分からず、しかしなかなか良質な公共住宅だった。デザイン的にはあまりじっくり見られなかったが図面で見たほうがわかるな、と思いそそくさと次の目的地にいくことに、もう暑さで限界に近く、次の街に行ってもさっさと目的の建物に行ってもう次に行こうかな、という感じになってしまう。逆光で写真も撮りづらい、ところで信号待ちの時いいカメラだね、と声をかけてきたお爺ちゃんがいた、普通に対応して緊張感が欠けていることに気づく、大丈夫だったが。駅に向かって、このまますぐ列車に乗れば次の目的地に直接行けるのがある、がしかし駅の逆側に湖があってそちらも面白そうだったので、せっかくの一日券だからと思い、ビールを買ってゆっくり次の列車で行くことに。浜辺まで歩いてみるとこれがまた大変でうんざりし、結局着いたらビーチが有料だった。入場せず時間と時間だったので駅に戻ることに、調べたらバスがすぐ近くに来るタイミングだったので急いで乗って駅に無事つく、隣の都市に向かう列車で、その街にもみたいものはあったが、その郊外にもう一つ見たいものがあり、どちらを先にしようかと思っていたが、ちょうど乗っているのが遅れていて郊外行きの列車がすぐくるタイミングになったので先に回ることに、全くの郊外の町、という感じの駅で降りて、畑の中を歩いて目的のガソリンスタンドを見に行く、もう汗だくだし完全に疲れ切っていて、高速の向かいに回ろうかとも考えていたのだけど柵越しに見られたので満足して帰る、さっき乗り換えた駅に戻り、最後の目的地のビルへ。これがほとんどどうでも良かった、インテリアを見ると違うのかもしれないが。少し神殿っぽい構成とプロポーション。駅に戻ってICに乗って帰宅、中央駅までほとんど寝てしまう。スーパーで少し買い出ししたい、と思って急いで閉店間際のスーパーに駆け込むもあまり目ぼしいのがなく、トルコのヨーグルトドリンクと割引のパンを買う、トラムで家に帰る。帰ると意外と綺麗で、洗濯機が使われていたので先にシャワーと夕飯をとることに、手羽先をなんとなく雑にスパイス煮込みにした。パンはレーズンパンだと思って買ったらチョコパンだった、2個入りだったので明日の朝に一つ残す。ダラダラしているとルームメイトも帰ってきて、世間話と郵便ポストの鍵の相談など。洗濯機が空くタイミングでもう深夜になっていたがなんとか洗濯を回す、ダラダラと荷解きをして、洗濯終わり、乾燥機を待つ元気もないし使われていたので一晩干すことに。明日は夜行なので乾くといいが、1時過ぎに寝る。
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nnnt · 1 year
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鉄道でGO ~函館本線~
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バイクに乗れない乗らない冬は鉄道旅だッ!北海道LOVEパスを入手したので、春で廃止になる路線を回ることにした。
函館本線編ということで、北海道新幹線が開通するにあたり廃止となるいわゆる山線(小樽~倶知安~長万部)に乗る。
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札幌市内から汽車(電車ではない)に揺られ、まずは小樽へ。駅のホームの柱には小樽らしくランプが灯っていて素敵だった。
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ラッセルラッセル!
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小樽から1両編成のワンマンカーに乗り換えて、羊蹄山麓の町んゃちっくへ向かう。駅前の雪だるまにも雪がこんもり積もっている。
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駅からも羊蹄山が見えるのだが、残念ながらハイパー逆光になってしまった…
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倶知安の駅のホームからはニセコの山々(何ヌプリだろう?)が見える。蘭越行きに乗り換えニセコへ。
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駅のホームからはニセコ大橋が見える。橋の上からは確か羊蹄山が見えたはず、橋の上を目指す。
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と、その前に一応連絡橋もわたってみる。羊蹄山がチラみえしてる。
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農業倉庫のほうへ向かってみたけれどこっちからは橋にはアクセスできなさそうだったので引き返す。
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せっせと雪道を歩いて…
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振り返ると羊蹄山がドーン!気分は箱根駅伝の8区だね。
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橋の上からの写真。蝦夷富士と呼ばれるだけあって本当に美しい山なのだが、その周りで人が営んでいる様子がたまらなく好き。
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倶知安に向かうDECMOさんが来たので撮り鉄ごっこをしてみる。あってよかった望遠レンズ。
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ニセコ駅を東側から撮るとバックにはニセコ連邦があるのがわかる。山のふもとメルヘンな駅舎、いいじゃないか。
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駅前の通りから。この時期はウインタースポーツ目当てで来る人も多そうだ。駅前に温泉もあるし。
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お腹が空いたので駅の中に入った喫茶店でカレーを食べる。
折角LOVEパスを買ったので特急に乗りたい…ということで北斗が止まる長万部まで移動する。
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ここも新幹線が止まる予定の駅である。車両についた雪が冬の険しさを体現しているようだ。
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乗り換えまで1時間ほどあるので海を見に行く。いつもバイクに乗って通る道を歩く、ちょっと不思議な感じ。
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駅に戻り特急北斗を待つ。向かいのホームに見えるのは函館行きの普通列車だろうか。
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乗車口案内がかわいい。
函館は出張で行くことがあるので、北斗に乗ってしまえば「いつもの」という感じ。海側の函館本線もいつか鈍行旅して見たいような気がする。洞爺あたりで夕日がきれいだったのは覚えているけど、いつの間にかぐっすりだったようだ、南千歳まで記憶がない。
こうして振り返りながら書いていて思うことだが、非常に充実した一日だった。初めての経験が多くて新鮮だったのかな。バスと同じ支払いシステムのワンマンカー、車窓から見る雪景色、冬の羊蹄山…すべてが面白くて楽しくて、もっと早くやっておけばよかったと後悔したぐらいであった。
とはいえ初めてのことで心配事が沢山あったのも事実で。防寒、食糧、水分、時間etc… 今回はその点を加味して駅前に温泉と飲食店があるニセコ駅をチョイスした。次回への予行練習も兼ねていたが、大成功で良かった。
LOVEパスを有効活用しよう。次回、大本命留萌本線へ!今度はガチ秘境駅揃いだぞ!!
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【ボーイミーツガール4】
頂点を超え帰路に着く太陽が長い廊下を照らしている。
「この後は何処に行くの?」
アリスはまたもや無垢な目をして聞いてきた。
「んー。そうだなあ。授業も中途半端にサボってしまったし今日は煙草でも吸って帰って来たる戦に備えて準備に勤しむ事にしようかな。」
「私も喫煙所に同行して宜しい?」
「嫌煙じゃあ無いなら良いけど。」
「犬と猿じゃあ、あるまいし大丈夫だよ。」
「雉がいた頃は共闘していたのにな。」
「前後の時系列によって解釈が変わってきちゃうね。」
“そうだな”と、この空気に返事をして2つ並んだ影帽子は歩み始めた。
喫煙所に向かう途中でアリスは知らない女生徒の集団に声をかけられていた。
有り余る人望を振り撒いて歩いていればこんな顛末になるのは大いに予想出来たもんだが今日の俺には不可能である。
ごめんねとウインクをして詫びた後小走りでその集団の輪に打ち解けていた。
あっけらかんと遠くなる集団を眺めていたが自分には未だ山積みのタスクが残っていた事を思い出し足早に憩いの場へと向かう。
この時間の喫煙所は授業中ということもあってか人は居なかった。
寧ろ心の整理をするにはうってつけの場であった。
胸ポケットに入れたソフトパッケージを振って一本だけ飛び出させて口元に迎え火で燻す。
ふうと一息つくと肺胞を覆う煙に大層な満足感を覚える。
上の方を向いて煙を宙に舞わせる。
脳内が澄んできた頃、視覚外から突然声をかけられた。
吃驚して声が上手く出せず反応が遅れてしまったが視覚神経を辿って脳内に届いた情報はもっと反応速度を鈍らせるには過不足無かった。
何を隠そうとも目の前にはキサさんが立っていたからだ。
色んな言葉や感情がびゅんびゅんと駆け巡る。
人はソレを困惑と呼ぶのだと理解した。
困り果てている俺をよそにキサさんは再度“ライター貸して頂けませんか?”と言った。
喫煙所というフィールドでは他のスモーカーには何かの仲間意識からか何かをお願いされるとどうも断り難い。
実際、草臥れたお爺さんが若者に煙草の一本をせがむ様子を見た事が何度もある。
この様に俺には断る義理が何一つ無い。
増してや意中のキサさんだ。
「あ、どうぞ。」
「有難う御座います。」
ジッと砥石を回し火を付け終え直ぐに返してくれた。
ふうと息を吐いたのを確認してから俺は、こう尋ねた。
「どうしてそんなに他人行儀なんですか。」
「あら、バレちゃってた?」
「バレるとかの問題じゃあ無いです。何の迷いも無くキサさんだと認識出来ました。」
「そっかあ。流石だね。」
「如何してここに居るんですか。」
「如何してだと思う?」
「鸚鵡返しじゃあないですか。そうだなあ。偶然同じタイミングで居合わせたとか?」
「そんなつまらない理由じゃあないわ。退屈しちゃうでしょう?」
「全く見当も付きません。脳が完全に思考を放棄しています。」
「じゃあ秘密ね。」
「悪戯っ子ですね。幼少期の渾名は悪童とかでしょう?」
「残念だなあ。私これでも生徒会長とかやってるタチだったんだよ。」
「はあ。生徒達じゃあ飽き足らず学校もろともを支配していた訳ですか。」
「私は君が切望する様な母性は持ち合わせて無いよ。」
「増してや僕はチェンソーを持っていないのでママにもならないですよ。」
「古い漫画なのに知っていたの。流石だね。」
「凄いのはあの作品でしょう?何年経っても民間伝承のように言い伝えられているんだから。」
「それもそっか。有り余る寓話も誰かの創作な訳だからね。」
「そんなことよりもどうしてここにいらっしゃるのですか。この謎を解き明かさないと今日ご飯に集中出来ないと思います。」
「んーじゃあ教えてあげよっか。先ず手始めに私から質問しても良い?」
「何とでも訊いてください。それが答えに繋がるのであれば。」
「君はどんな恋愛を望む?」
「そうですね。いざ答えを出すとなると難しいですけど強いて挙げるなら劇的な恋がしてみたいですね。」
「そう言うと思った。君は知らないと思うけど劇的な出来事は必ず双方どちらかの能動が無ければ成立しないの。受動的に待っているとなあんにも世界は変わらないんだよ。」
「ただ、それとこれとがどう繋がるのかさっぱりです。」
「だから私からわざわざ会いに来てあげたんだよ。言わせないでよ、こんなこと。」
赤らんだ頬を持つ顔は綺麗であったが直ぐに煙に隠されてしまった。
「それはそうとどうするの?これから。」
「任せてくださいよ。わざわざ会いにまで来て頂いている訳ですし。」
どう足掻こうとも見切り発車の嘘だ。
実際問題、教授やアリスに訊いても理想的な答えは得られなかったからだ。
「頼りになるね。今日の私はなーんにも考えないからね。」
「取り敢えずゴブルにでも向かいましょうか。」
“うん”と相槌を受け取り根元まで火元が迫った煙草を消して大学から出た。
この大学からゴブルまではモノレールが通っている。
始発駅から終着駅へと向かうので道中は快適そのものだ。
自分でもびっくりしたが気がつけばゴブルに着いていた。
普段活発的では無い人が突如活発的になるとどうも身体が追いついてこないらしい。
初デートに寝てしまうのは心底申し訳なかったけど満更でもなさそうな顔して起こしてくれた。
電車からホームに降り立つ。
「寝ていてしまってすみません。」
「ううん。滅多にお目にかかれない貴重な姿を見れたから良しとするよ。」
「優しすぎやしないですか。」
「君こそ優しさに耐性でも無いの?」 
「そんな事は無いと思うんですけど移動時間に寝ると大概、憤慨されるかなとお思いまして。」
「三大欲求は誰にも邪魔されたく無いじゃんかあ。」
「その思想、素敵過ぎますね。」
切符を投入口に投げ入れて駅構内から出た。
駅のホームからもそうだったがこの辺りは眠らない街と謳われるだけある。
人の数がうんと多くなる。
これだけの人に囲まれれば自分の存在がまるで思っていた程尊大なもので無いと気付かされる。
「ちなみに行く当てはあるの?」
「見栄ばかりで申し訳ないです。」
「君らしいなあ全く。」
「いや、今決めました。兎に角ついてきて下さい。迷子にならない様、手を繋い���て下さい。」
「繋いだその手は離さないでね。」
「任せて下さい。」
まるで花火大会の帰り道みたいなやり取りをして一心不乱に俺は人の波を縫って目的地へと向かう。
キサさんの手はほんのり冷たかった。
人盛りを抜けても言われた通りに繋いだ手を離す事は無かった。
この時間は永遠に続けと心底から願った。
その願望も虚しく直ぐに目的地が目下まで迫っていた。
店内の喧騒が外に漏れ出している。
勘の良いキサさんは“ここ?”と訊いてくれた。
「癪に触りましたか?」
「ううん。君が懸命に考えたデートなんだから私は満喫するよ。」
「ありがとうございます。楽しみましょう。」
そう言って赤い暖簾を潜った。
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zakka-tekuteku · 2 years
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⁡ ハンガリー最終日🇭🇺 発送が早く完了して1日空いたので 日帰りでSzentendre へ。 そこからバスを乗り継ぎ Village museum へ行ってきました🛖 ⁡ 広大な土地にハンガリーの歴史的な建物が 本当の村のように配置されていて 敷地内はかわいい列車で移動出来ます🚃 ⁡ 当時使われていた民俗家具やインテリア 台所用品、農具などなど 暮らしの様子を再現した建物を 自由に見学できる素晴らしい施設でした。 ⁡ 何より見晴らしが開けていてとても気持ちのいい所で 気分転換になってとても良かったです。 ⁡ 所々に居る民族衣装をきたお爺さんお婆さんが 気さくに挨拶してくれ、親切に道案内や 場所場所の説明をしてくれるのも良くて 人との触れ合いも楽しめちゃう。 ⁡ 最後にミュージアムショップで 資料として民族衣装の本をゲットして ほくほくで帰って来ました📚 ⁡ HEVとか可愛い列車とか 乗ったことのない乗り物にも沢山乗れて 最終日最高の1日となりました。 ⁡ ⁡ #ハンガリー #雑貨買い付け #買い付け #ヴィンテージ #アンティーク #ヴィンテージ雑貨 #アンティーク雑貨 #東欧雑貨 (Szentendrei Skanzen) https://www.instagram.com/p/Cj3l4fHsEVz/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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feelfreetocme · 2 years
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220917(記入29日)
さて
久しぶりに長く電車に乗るのでやっと日記が書ける。
17日から1週間休みを作ったので、カナダに行くことにした。1週間でここまでの行動力が生まれるのは社会人になったからだと思う。
16:30羽田発のアトランタ経由トロント行き。エスタ、イータ、接種証明、チケット、ホテル、etcが必要なこの時代の海外旅行しばらくもうできる自信はない。5度確認くらいしてから空港に行く。
チェックインカウンターで、「留学ですか?」と聞かれ、「いえ、旅行で」と言ったら、すごく懐かしいような顔をされた。そのくらい長距離の海外旅行は珍しくなったようだ。空港内の食事屋さんやお土産屋さんは結構閉店していた。しょうがないのでチェックイン後に低クオリティのうどんを高価格で食べた。
久しぶりの14時間フライト。映画をあらかじめダウンロードするくらいは慣れている。ラストナイトインソーホーを見た。びっくりするシーンが多くて飛行機内で1人で悲鳴とかあげてしまった。デルタ航空の映画は種類が豊富だった。ずっと見たかったフリーダを見た。一番尊敬する画家だと思う。飛行機のご飯は意外と好きな方だ。味のないキヌアとかすごく好き。社会人になってから視点が変わって、ナプキンに書いてある下手なダジャレとかに少し感動するようになった。
アトランタからトロントまでのトランジットは5時間くらいだった。トランジットだけなのに厳しい入国審査があるのはアメリカ。並ぶ列がアメリカ人と外国人で分かれてて、明らかにアメリカの方がスムーズなのもアメリカ。列に並びながら、おそらくペルー人のお爺さんがパスポートをなくし、そんなお爺さんをサポートするたくさんのやさしいペルー人たちを見た。列の前の日本人カップルは歳は30代そうだったけど、やけに女の人の声が高いし、10代のようなイチャイチャをしていた。ディズニーワールドに行くらしい。ちょっと見てて気持ち良くはなかった。
入国審査のおじさんは、私に必要以上に質問した気がした。どこに住んでるのとか。喋れる相手が欲しいのだろう。写真撮って指紋を取られて、最後に、「おでこもつけようか」と言われて、「まじですか?笑」と言った。空港の人たちは暇すぎて人をいじるのが好きなんだと思う。その後の列では日本人のおじさんと話した。NYの友人に会いに行くらしい。アメリカ人の列が早く進むのを差別ですよね!って言っていて、苦笑した。
アトランタに着いてアメリカらしいことがしたいと思い、久しぶりにリースを食べて、FIVE GUYSのハンバーガーを買った。円安のおかげで、サラダよりハンバーガーが安いという感覚をようやく理解できた。
アトランタからトロントまでは2時間。キルビルをギリ見れる。トロントに着いたのは24時。
今回のメインイベントは、高校時代のブラジル人友人に会う���と。お金の問題とコロナも相まって、中高の友人に会える機会は滅法なかった。空港出た瞬間にビッグハグした。変わったのに変わってないね!と言い合う。双子の友人の傍が家まで車で送ってくれた。話すことが多すぎて話が飛びすぎる。これが再会だなと思った。
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kachoushi · 5 months
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各地句会報
花鳥誌 令和6年1月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年10月2日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
日本海見ゆる風車や小鳥来る 泰俊 駅近の闇市跡に後の月 同 山門を標とするや小鳥来る 同 師の墓の燭新涼のほむらかな 匠 渡り鳥バス停一人椅子一つ 啓子 紫に沈む山河を鳥渡る 希 ひらひらと行方知らずや秋の蝶 笑 なりはひの大方終了九月尽 数幸
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月4日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
朱の色に蝋涙たれし日蓮忌 ただし コスモスのたなびく道を稚児の列 洋子 抱かれて稚児は仏よ日蓮忌 同 めらめらと朱蝋のうねり日蓮忌 同 ピストルの音轟ける運動会 誠
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月5日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
友の墓秋空の下悠然と 喜代子 棟上げの終はりし実家や竹の春 由季子 菊人形幼き記憶そのまゝに さとみ 長き夜や楽し思ひ出たぐり寄せ 都 強持てに進められたる温め酒 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月6日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
蜜と恋どちらも欲しく秋の蝶 都 八幡の荘園かけて飛ぶばつた 美智子 彼岸花軍馬の像を昂らせ 都 露の手に一度限りの炙り文 宇太郎 杖の歩や振返るたび秋暮るる 悦子 露けしや既視感覚の病棟に 宇太郎 コスモスの乱れ見てゐて老いにけり 悦子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月7日 零の会 坊城俊樹選 特選句
天高く誇り高きは講談社 きみよ 華やかに滅びゆく香や秋の薔薇 和子 秋冷を暗くともして華燭の火 千種 白帝は白い梟従へて きみよ 薔薇は秋その夜会より咲き続け 順子 肘掛に秋思の腕を置いたまま 光子 爽やかや罅ひとつなきデスマスク 緋路 一族の椅子の手擦れや秋の声 昌文 邸宅の秋に遺りし旅鞄 いづみ 洋館に和簞笥置いて秋灯 荘吉
岡田順子選 特選句
栗の毬むけば貧しき実の二つ 瑠璃 流星を見ること永きデスマスク いづみ 正五位のまあるき墓を赤蜻蛉 小鳥 秋天の青は濃度を増すばかり 緋路 月光の鏡の中で逢ふ二人 きみよ 聖堂は銀に吹かるる鬼芒 いづみ 実石榴をロイヤルホストで渡されて 小鳥 石榴熟る女人の拳より重く 光子 秋の灯を落して永久のシャンデリア 俊樹 毬栗を踏み宰相の家を辞す 緋路
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月9日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
コスモスの島にひとつの小学校 修二 檸檬の香そは忘れざる恋なりき 美穂 嫁がせる朝檸檬をしぼりきる 朝子 母乳垂る月の雫のさながらに 睦子 タンゴ果て女は月へ反りかへる 同 護送車の窓には見えぬ草の花 成子 やはらかく眉をうごかし秋日傘 かおり 天と地を一瞬つなぐ桐一葉 朝子 流れ星太郎の家を通り過ぎ 修二 正面に馬の顔ある吾亦紅 朝子 傘たゝみ入る雨月のレイトショー かおり 幾千の白馬かけぬく芒原 成子 古備前に束ねてさびし白桔梗 睦子 糸芒戻れぬ日々を追ふやうに 愛 黒葡萄いつもの場所の占ひ師 修二
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月9日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
新生姜甘酢に浸り透き通り のりこ 風を掃き風に戻されむら芒 秋尚 足音にはたと止まりし虫の声 怜 朝露に草ひやひやと眩しかり 三無 出来たての色の重たき今日の月 秋尚 徒競走つい大声で叫びたり ことこ 秋落暉炎のごときビルの窓 あき子 秋祭り見知らぬ顔の担ぎ手に エイ子 秋霜や広がる花を沈ませて のりこ 面取ればあどけなき子や新松子 あき子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月9日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
万葉の歌碑一面に曼珠沙華 信子 金木犀優しき人の香りかな みす枝 昇る陽も沈む陽も秋深めゆく 三四郎 廃線の跡をうづめて草紅葉 信子 駅に待つ猫と帰りぬ夜寒かな 昭子 天の川下界に恋も諍ひも 同 ひらひらとバイクで走る盆の僧 同 蟋蟀の鳴く古里や母と歩す 時江
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月10日 萩花鳥会
夜鴨なく門川暗くひろごれり 祐子 サムライ衆ナントで決戦秋の陣 健雄 これ新酒五臓六腑のうめき声 俊文 露の身や感謝の祈り十字切る ゆかり 虫食ひのあとも絵になる柿落葉 恒雄 すり傷も勲章かけつこ天高し 美惠子
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令和5年10月14日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
魁の櫨紅葉の朱句碑の径 三無 花よりも人恋しくて秋の蝶 幸子 咲き初めし萩の風呼ぶ年尾句碑 秋尚 女人寺ひそと式部の実を寄せて 幸子 豊年の恵みを先づは仏壇へ 和代 篁を透かし二三個烏瓜 三無 日の色の波にうねりて豊の秋 秋尚 曼珠沙華に導かれゆく道狭し 白陶 二人居の暮しに適ふ豊の秋 亜栄子 林檎好き父と齧つたあの日から 三無
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月14日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
ガシャガシャと胡桃を洗ふ音なりし 紀子 秋日和小児科跡は交番に 光子 歩かねば年寄鵙に叱咤される 令子 稲の秋チンチン電車の風抜けて 実加 不作年新米届き合掌す みえこ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月15日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
街騒も葉擦れも消して秋の雨 三無 大寺の風を擽る榠櫨の実 幸風 尾を引きて鵯のひと声雨の句碑 秋尚 水煙に紅葉かつ散る結跏趺坐 幸風 菩提樹を雨の宿りの秋の蝶 千種
栗林圭魚選 特選句
観音の小さき御足やそぞろ寒 三無 絵手紙の文字の窮屈葉鶏頭 要 駐在も綱引き離島の運動会 経彦 小鳥飛び雨止みさうにやみさうに 千種 秋霖や庫裏よりもるる刀自の声 眞理子 句碑の辺に秋のささやき交はす声 白陶 秋黴雨だあれもゐない母の塔 亜栄子 梵鐘の撞木の先や秋湿り 眞理子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
考へる事に始まる端居かな 雪 おは黒を拝み蜻蛉と僧の云ふ 同 道草の一人は淋しゑのこ草 同 朝霧の緞帳上がる音も無く みす枝 秋灯火優しき母の形見分け 同 役目終へ畦に横たふ案山子かな 英美子 孫悟空のつてゐるやも秋の雲 清女 穴感ひ浮世うらうら楽しくて やす香 栗食めば妹のこと母のこと 同 天高し飛行機雲の先は西 嘉和 屋根人を照らし名月たる威厳 和子 秋深し生命線の嘘まこと 清女 蜩に傾きゆける落暉かな かづを
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月18日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
枯れて行く匂ひの中の秋ざくら 世詩明 一声は雲の中より渡り鳥 同 見えしもの見えて来しもの渡り鳥 同 菊まとひ紫式部像凜と 清女 越の空ゆつくり渡れ渡り鳥 和子 秋扇に残る暑さをもて余す 雪 山川に秋立つ声を聞かんとす 同 鳥渡る古墳の主は謎のまま 同 鳥渡る古墳は謎を秘めしまま 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月20日 さきたま花鳥句会
SLの汽笛を乗せて刈田風 月惑 寝ころびて稜線を追ふ草紅葉 八草 残る海猫立待岬の岩となる 裕章 大夕焼分け行く飛機の雲一本 紀花 曼珠沙華二体同座の石仏 孝江 白萩の花一色を散り重ね ふゆ子 秋の野や課外授業の声高に ふじ穂 秋寒し俄か仕立てのカーペット 恵美子 秋空や山肌動く雲の影 彩香 爽籟や赤子よく寝る昼下り 良江
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令和5年10月21日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
生身魂梃子でも動かざる構へ 雪 古団扇此処に置かねばならぬ訳 同 飾られて菊人形の顔となる 同 亭主運なき一枚の秋簾 一涓 菊の香に埋り眠る子守唄 同 叱りてもすり寄る猫や賢治の忌 同 友の家訪へば更地やそぞろ寒 みす枝 叱られて一人で帰るゑのこ草 同 朝霧が山から里に降りて来し やすえ 隣家より爺の一���大くさめ 洋子 菊師��も判官贔屓あるらしき 昭子 人の秋煙となりて灰となる 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月27日 月例会 坊城俊樹選 特選句
靖国の秋蝶は黄を失ひて 愛 柿に黄をあづけ夕日の沈み行く 緋路 神池の何処かとぼけた鯉小春 雅春 細りゆく軍犬像や暮の秋 愛 うらがへり敗荷の海のなほ明し 千種 英霊の空はまだ薄紅葉かな 愛
岡田順子選 特選句
秋蝶に呼ばれ慰霊の泉かな 愛 鉢物はしづかに萎れ秋の路地 俊樹 年尾忌も近し小樽の坂の上 佑天 道幅は両手くらゐの秋の路地 俊樹 秋天へ引つ張られたる背骨かな 緋路 老幹の凸凹としてそぞろ寒 政江 板羽目の松鎮まれる秋の宮 軽象 御神樹の一枝揺らさず鳥渡る かおり
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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hi-highmt · 2 years
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妙法ヶ岳で開運登山
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白馬岳で痛めた左手も漸く回復したので、半月振りにお山に復帰!新調したトレッキングシューズの履き慣らしも兼ねて「山の日」に三峯神社奥宮の妙法ヶ岳に登って来ました。 
実は前日までは山梨方面に行くつもりでいましたが、夕方TVerで「仁志松本の酒のツマミになる話」を観ていたら三峯神社の話が。 そう言えば幼児の頃に家族旅行で行ったきりだな…とハイキングコースを調べてみると、表参道から奥宮の妙法ヶ岳へのピストンが木陰歩きで丁度良さげ。
 そんな感じで、前日の夜に思いつきで行き先を変更し、沢沿い&木陰歩きの涼しい真夏の低山ハイキングを楽しんで来ました♬
秩父鉄道の三峯口駅からバスに乗り、大輪バス停で下車。ここが表参道の入り口なのですが、同乗者は殆どが三峯神社へ直行する観光客の皆さんで、ここで降りたのは私を含め4人だけ。
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鳥居を潜って程なく、狼の狛犬が。痩せてるなぁ。
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登竜橋という赤い欄干の橋を渡って行きます。
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橋の上から見下ろした渓谷。
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参道っぽい石畳。途中、渓谷に降りられる箇所がありました。
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ここから急に山道っぽくなって来ました。
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チョロっと水の流れる滝と木の橋。
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休憩ポイントもあります。
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心許ない細い鉄パイプの橋。
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また木の橋…という感じで、この後も幾つか橋を渡りながら進みます。
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滝、登場。
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その上流には大きめの滝��マイナスイオンがバンバン出てます。 涼しい〜♬
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前を歩いていた健脚のお爺さんが、パンツ一丁で滝壺に入って行きました…。気持ち良さそうだけど…???
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ここにはサンショウウオもいるようです。 お爺さん、滝行にでも来たのかしら? と気になりつつも、山頂目指して進みます。 ここは標高570m。
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さらに山道っぽくなって来ました。 でも、木陰だから風が吹くととっても気持ち良い♬ 沢の音も聞こえて涼やかです。
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苔があちこちにあって、どれを撮ろうか迷います〜。
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滝の所にもありましたが、ここにも東家。 向かい側にはベンチも並んでいて、良い休憩ポイントになっています。
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本日初の、木段ゾーン。 緩い坂なので脇を歩きました。
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いよいよ三峯神社まで0.6km! この辺りは廃屋が数軒ありました。 こんな所に人が住んでいたって凄い…。
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可愛いピンクのオオセンチコガネ。 今日は何度か出会いました。
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三峯神社の見晴台から。 雲が多いけど風が気持ち良い♬ お詣りしようとしたら、往きの電車とバスでご一緒だった観光客のご夫婦が!
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色鮮やかな山門方面へ降りて行きます。
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本殿に向かうつもりが、間違えて日本武尊像の所に来てしまいました。 せっかくなので記念に1枚。 それにしても、手が大き過ぎないか? 下から見上げるから、わざとそうしたのかな?
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三峯神社本殿のお参りは、大行列が出来ていました。 こちらの狛犬も痩せた狼。というか、犬っぽい。
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本殿も色鮮やかだけど、色数が絞られているので下品じゃない。 色遣い、勉強になります。
開運で有名な神社なだけって、参拝者が多いし皆さん真剣。 私も色々とお祈りして来ました。
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こっちの狛犬は狐っぽい。 もちろん狼なんだろうけど。
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立派な山門ですねー。 ちなみに「三峯山」という山は無くて、妙法ヶ岳、白岩山、雲取山の3つを纏めて「三峰山」と呼ぶそうです。
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三ツ鳥居の前の狛犬は、背中まで痩せています。 日本狼って、痩せてたのかな? どの狛犬も、みんな尻尾が長めですね。
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鳥居の先にはお茶屋さんが。 こちらは「さんろく亭」で…
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こちらは「大島屋」。 わらじかつ丼が有名らしいです。
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こちらはビジターセンターの中に居たツキノワグマの剥製。 幼児の頃に泊まった三峯の旅館にも剥製があって、一緒に撮った写真がアルバムにあったのを思い出しました。
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他にも、ハクビシンやアライグマ、タヌキやテンなどの剥製が。
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秩父多摩甲斐国立公園のジオラマもあり、山の位置関係が一目瞭然。 赤いピンが「鬼滅の刃」の竈門炭治郎の出身地で、黄色いピンが嘴平伊之助の出身地である大岳山だそうですよ。
ビジターセンターって高尾山や御岳山、奥多摩駅にもあるけれど、今まで一度も入ってみたことなかったなぁ…。 その山域で見られる植物や動植物のことが知れて、なかなか楽しいですね。
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ビジターセンターを出て左手の小径へ入ると、茅葺き屋根の古民家がありました。
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石畳で整備された道。
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いよいよ奥宮への入り口です。 鳥居の先には、登山者カウンターと登山届のポストがありました。
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歩き始めて程なく、歩きにくい根っこ道に。 鹿の食害防止用なのか、根本の幹にはネットが巻かれています。
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またまた鮮やかなピンクのオオセンチコガネ。
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雲取山・霧藻ヶ峰との分岐。 雲取山にも早く登りたい〜!
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さらに鳥居を潜って進みます。やっぱりここも参道なんですね。
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暫く進むと、また鳥居。 後から知りましたが、雲取山から直接妙法ヶ岳へ向かう分岐だったようです。
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さらに鳥居。 山岳信仰の色が濃く残っています。
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鉄パイプの階段。 この辺からは、軽装だとチョイ厳しそう。
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急角度の階段を降り…
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緩い角度の階段を登り…
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超急角度の石段を登ると…
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山頂手前に短い鎖場。 手摺もあるので、私は鎖は使いませんでした。 でも、底にグリップ力の無い靴だと下りは滑るかも。
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ここが奥宮なんですね。 ここの狛犬は前掛けをしていて、1番コロッと肥えていました。
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お社からの景色。ガスガス…。
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お社左手奥の景色。ガスガス…。
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お社右手奥の景色。少しだけ遠くが見える…。
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「さんろく亭」まで戻って来て、白桃のソフトクリームを食べました。 暑い日はソフトクリームに限る!(カキ氷は頭が痛くなっちゃうので)
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再び三峯神社の見晴台。 さっきより雲が晴れてますねー
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表参道を黙々と下り続け、滝まで戻って来ました。 流石にお爺さんはもう居ませんね。
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手を入れ��みたら、冷たくて気持ち良い!
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バスの時間まで余裕があったので、疲れた足をアイシング。 10本中8本の爪が血豆or生え変わり中のお見苦しい足でスミマセン! 足首が赤いのはスポーツタイツかぶれです…体質的に合ってないみたいで。
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下ろし立てのASOLOのトレッキングシューズ。 中敷きはB+を入れています。
今日はこの靴の慣らし登山も兼ねていました。 馴染むまでにもう少し時間が掛かるかな?
前のKEENのブーツより、細かく紐の締め具合を調整出来るのは良い感じ。 ベージュなんて汚れが目立つかと買う時は心配だったけれど、乾いた泥なら馴染んで意外と目立たないかも?
ちなみに観光山にありがちな光景ですが、スニーカーで登っている人が殆ど。 果てはビーサン、スポサン、ヒラヒラのワイドパンツ、タイトなロングワンピース…。 荷物はサコッシュや小さな手提げバッグ1つだけ、などなど、見ているこっちがハラハラしました(寧ろ私みたいな登山装備の人の方が少数派)。 最低限、スニーカーは履いた方が良いのでは?と思う道でした。
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登竜橋まで戻って来ました。 この後、バスが15分も遅れて予定の電車を逃しましたが、楽しい「山の日」を過ごせて大満足です♬
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shigerunakano · 2 years
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忘れうる伝承
まず第一には家族主義的傾向を挙げることが出来ます。ー家族主義というものがとくに国家構成の原理として高唱されているということ。日本の国家構造の根本的特質が常に家族の延長体として、すなわち具体的には家長としての、国民の「総本家」としての皇室とその「赤子」によって構成された家族国家として表象されること。
‐丸山眞男「日本ファシズムの思想と運動」
ここはどこなのか。もちろん富山県東部を走行中であることは分かっている。しかし横で車を運転する妻の存在も忘れてしまうほどの混迷に襲われていたことは確かだ。辺りはほとんど真っ暗闇である。私は思い出していた。幼い頃「祟りの子」と呼ばれ忌み嫌われていた旧友の存在を。私は山梨県の生まれだが、その響きが妙に頭に残り結局この歳まで度々思い出すことになった、その存在を、再度思い出していたのは偶然ではない。これから調べることになる地域の人びとが信仰心や土着の慣習に基づいて私に依頼をしていることだけは確かなのだ。かつて、森博嗣が「すべてがFになる」で冷戦構造の脅威を描いた時代とは異なるとはいえ、実際の探偵業は理詰めではなく迷信に満ちているというわけだ。
ちなみに、彼の作品群はアンチ・ミステリーという系譜或いは系列に含み入れるべきであると考えているが、これは探偵としての自負でもある。思弁的探偵小説というわけだ。もっとも仮に冷静なミステリー作家がこの世にいればの話だが。
車が目的地である民宿に着いた。駐車場があることは既に聞き及んで���り、そこに車を停めた。宿泊料金は向こうが持ってくれるという。「はじめまして、遠藤さんですね」と言いながら女が出てきた。
お察しのとおり、私は遠藤秀 (みのる) である。どうやらここは朝日町と呼ばれる地域のようで、依頼主である、施設を管理する普通の主婦のような見た目の女性は高橋と名乗った。見た目は可もなく不可もなくといった感じの初老ほどの女性だ。髪型はショートだが、服装が浴衣のようなつなぎでクロックスのような踵を覆うサンダルを屋内で履いていた。彼女の名前は関東地方に多い名前なのではないかと思ったのだが、話の腰を折るのも億劫なので黙っていたがどうやら関東の出身のようであった。
「主人にとっては普通のことが私にとっては不思議なことだらけで……」
大きな声で話す女だと思った。関東の女の印象とは異なるが、指摘しないことにした。その代わりと言っては何だが彼女から事のあらましを語ってもらうことにしよう。
食事を採り、応接間のような場所に通された後に30分ほど世間話に興じることとなり、妻の美貌などの話で盛り上がった。私は否定したが恐らく多くの者にとって妻は美人だろうということは付け加えさせていただく。悪しからず。彼女は庶務だと思って欲しいと言った。事実ではあるが、元々出掛けの際は一人にしておきたくなかったという事情がある。名前は遠藤夫人とでも読んでいただきたい。それにしても声の大きな女だと思った。依頼の件を話すことは可能ですかと彼女に問われ私は快諾した。先程眠っていたからだ。元はといえば5日前に私の事務所に「複雑調査」の依頼が来たことが始まりだった。「複雑調査」というのは私が名付けたサービスの名前で通常の興信所では行わない複雑な依頼のつもりなのだが、実のところ私の理解では特殊な面はない。ただ単に煩雑な調査だと思って頂ければいい。電話越しの彼女が言うには市内3ヶ所の神社に藁人形が釘で刺された上に「レイ破廉恥、座敷男と交わった」という脅し文句のようなものが書かれた貼り紙が貼られていたというのだ。私は実のところその貼り紙に書かれた言葉が気になってわざわざ日本の反対側である日本海に面した富山県にまで来たのであった。
彼女は言う。「初めは近所の人が気付いて話題にしていたのを耳にしたのですが、貼り紙にあるレイというのが他ならぬ私の娘なんです、10歳になります」
「それで、私に依頼したわけですね」
「はい。座敷男と交わったという表現はうぅん、何ていうんでしょう、お前の母ちゃん出臍みたいなこの地域における慣用表現なんです。ひょっとしたら娘に危害を加えるつもりの人物が書いたのではないかと思ったのです」
「ちょっと待ってください。座敷童ではなく、座敷男ですか」
「そうなんです。大人の男は時々見境が無くなるという教訓を込めたと言われています」
「なるほど、警察にはまだ言ってないんですね」
「娘の為にも大事にしたくなかったのでまだ通報はしていません。近所の噂程度です」
「町内会のようなものへは」妻が聞く。
「話していません。私と夫を除いては見つけた近所の方とその方と仲良くされているお宅の方だけではないでしょうか。貼り紙を見つけた橋下という方が言っていました」
「とりあえず、分かりました。また話がある場合はまた明日伺うので、今日は休ませてもらいます。調査もぼちぼち始めます」
「分かりました。それではおやすみなさい」
翌日、私は女将さんに件の神社の住所を聞き妻と一緒に向かった。近年の富山は雨や曇りではなく、むしろ晴れている印象なのだが、その印象に違わず晴れていた。子どもの頃には日本海側は雨や曇りの印象があったが、なぜこうなったのだろうと思う。そのことを妻に話したら無視された。
3件の神社を回ったが、どれも何の変哲もない神社だった。土地の価値の関係か都会にあるものよりも大きく感じた。こんなところに藁人形が打ち付けてあったら驚くだろうなと思った。特に今日のような晴れた日には。しかし正直他には何も分からない。3件目の神社は他のものとは違い鳥居が黒く塗られていたの。既に大分禿げかけていたがそれがかつて黒かったことはよく分かった。
民宿に着いて女将さんに実行した人に身に覚えはないか、と聞いたが身に覚えはないと言う。
3件目の神社の管理を任されているという、橋下というお宅へ向かった。その方が藁人形と貼り紙を持っているというからだ。まだ元気そうなお爺さんが出てきて怪訝な表情を浮かべている。早速用件を伝えると例の貼り紙を持ってきて頂いた。どれも白い紙に黒いマジックのような跡で「レイ破廉恥、座敷男と交わった」と書かれてある。大体前情報の通りだ。今度は藁人形を見せてもらった。藁人形が着いて私はあっ、という声が出た。藁人形が紫色に塗られていたのだ。何かのペンキだろうか。
私と妻は、民宿の部屋に腰を落ち着け、話し合う。
「どういうことなんだろうね」私は言う。
「まぁ、大きな事件というわけではないみたいだし、ゆっくり事に当たればいいんじゃない」
「確かに」
そして私たちはその日は食事を採るまでゆっくり過ごし、その後は寝ることにした。食事は美味しかった。
翌日、私たちは女将さんの許可を貰いレイちゃんの通う小学校に向かった。今日も晴れていた。担任の先生と待ち合わせしたのが午後0時10分で、ちょうど昼休みである。親の許可を得たと伝えた上で探偵であることを述べると大人しく同意してくれた。コンプライアンスがあるだろうがある程度は融通が利くようだ。
職員室に通され「何があったんですか」と単刀直入に尋ねられた。電話越しに分かる通り、若い女性だった。
「近所の神社3件にレイちゃんを誹謗する内容の貼り紙が為されていたんです」
「それは大変ですね、彼女には何と言えばいいですか」と彼女が言う。
「とりあえずレイちゃんには黙っていてあげてください。ところでここからが本題なのですが彼女に過剰な関心を持つ人ないしは生徒に心当たりはありませんか」
「いえ、分かりませんがここ1か月ほどかなり怪しい風貌そして挙動の人が学校の周りで生徒によって確認されています」
「どのような人ですか」
「はい、サングラスをかけており生徒の方を見ながらぶつぶつ独り言を言っていたとのことです。学校の者が確認に当たりましたが残念ながら見つけることは出来ませんでした」
「そうですか。参考になりました。食事の時間も必要でしょうから今日は退席させて頂きます。何かありましたらこちらまで」と言って私は名刺を手渡した。事務所の名刺だ。
「はい、どうもありがとうございました」と彼女は言っていた。
翌日事件は起きた。民宿で妻とテレビを見ていたら、女将がちょっと待っていてくれ、と言って下の方へ降りていきしばらくすると警官が私たちの部屋に来た。警官が部屋まで来て、ちょっと話を伺いたいと言ってきた。民宿の部屋で私たちは警官に、レイちゃんが帰宅途中、何者かに突き倒され背中の辺りに小さな樽一杯分ほどの紫色のペンキをかけられ、軽い擦り傷を負ったと述べられた。目撃者はおらず捜査を進めており、そのことに関して何か知っていることはありませんかと。それと並行して自分たちのこと、すなわち探偵という身分であることについても細かく質問を受けた。必然、話題は神社の藁人形と貼り紙のこととなり、私たちはそのことについて調べていたことを話した。するとどうやら、警官は用を終えたと判断したらしく、部屋から出て行った。
「レイちゃんがそんなことに」妻は言う。
「あまり怪しまれない内に俺たちも撤収することになるかもしれないよ」私は言う。犯人と自分たち、一体どこが違うのかという疑問は口にしないことにした。
「え、自首」
「えぇ、今朝警察から電話がありました。これから、署に向かいます」部屋に入ってくるなり、申し訳なさそうにぶつぶつと声を漏らした後で、女将さんは言う。
犯人が警察に自首したのだそうだ。神社の件も自分がやったと認めていると。警官が民宿に来ており、その説明の合間女将さんから聞かされた。犯人は近所に住む20代の若い男で、レイちゃんに好意を抱く無職だったそうだ。彼女への好意以外に何もなかったと。何の意外性もない展開に驚かされたが、案外、世の中そんなものなのかもしれない。今回の件は自分の手を介在させずに解決したので、初期の費用には達しないが着手金は頂くので、半分程度は料金を頂くことになる。
「こんなふうに帰っちゃっていいのかな」私は妻に言う。
女将さんは料金は後日指定の口座に振り込むと述べ、今回のことでは誠にご感謝致します、と言ってくれた。私が翌日帰ることを告げると、彼女は会釈しながら部屋から去っていった。
翌日宿を離れる際、女将さんに異様に感謝されたのが少し気にかかった。
走り出した車の助手席に座りながら外が曇っていることに気がついた。これでこそ富山。妻に話すとそうだね、と笑ってくれた。
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feitai · 2 years
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【coffee tour】 映画「アンダードッグ」に登場した喫茶店。一瞬しか出てないシーンだけど、その空間に惚れてしまったから、最終のエンドクレジットに必死にお店の名前を探してた。外に陳列された料理模型から興味津々と見てた。中に置いてあった少女漫画も私の大好きな作家の物ばかり。店員のおばちゃんもいい感じだった。 迷わず映画主人公が座った席に着席して、両側のイスを座り変えたりして、角度を探して、描き始めた。途中から隣の席に車いすのおじちゃんとおおばさんが座って、会話を盗み聞いた感じだと、お家が近い親子らしい。娘さんがやっと晴れた午後にお父さんを喫茶店まで連れてきて、一緒にランチしながら、最近どうって話をする、超普通の日常なのに、 何も特別な事がなかったからこそ、私が幸せだった。その時間に思わずずっと微笑んでいた。 電影敗犬拳王(百元之戀導演的作品)裡登場的咖啡店,大概只有5秒的場景,但是光線跟聖代都看起來太美,所以努力在結尾彩蛋中搜尋了店名,然後得以拜訪。 最讓我感到心動的是書架第一排全都是我最喜歡的少女漫畫家的單行本,從來沒有看過這麼齊的庫存。我選了電影主角當時入座的位置,四張椅子我輪流做了三張(一張椅子因為濕掉舖了一條毛巾😂),找了最好的角度開始畫圖。途中進來了一位奶奶與爺爺,原本以為是夫婦,但是仔細偷聽了對話,原來是住得很近的父女。最近一直在下雨的東京,終於有了一個放晴的午後,女兒推著爸爸來店裡一起共享午餐話家常⋯ 明明沒有什麼特別的事情發生,我卻因為可以遇見這樣的日常而感到幸福,一直偷偷地笑。 #藝術 #創作 #速寫 #ドローイング #スケッチ #アート #喫茶店巡り #レトロ喫茶店 #珈琲 #urbansketch #drawing #sketch #coffeeshop #coffee #artwork #artist #taiyifei https://www.instagram.com/p/CeoQJ9avW0_/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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