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大阪環状線での出来事
今日は、私が高校生の頃に大阪環状線で見た珍光景についてお話したいと思う。
大阪市には大阪市の中心部で「キタ」と呼ばれている大阪駅(大阪メトロや他の私鉄では「梅田」駅と呼ばれているが場所は同じ)と、「ミナミ」と呼ばれている天王寺駅を結ぶ鉄道が複数走っている。 その中でも、JR西日本が運行する大阪駅と天王寺駅を結ぶ路線は大阪市内をぐるりと環状に走っており、「大阪環状線」と呼ばれている。 「大阪環状線」を、東京23区をぐるりと走っている山の手線の大阪版と思��てはいけない。 大阪環状線は、洗練された都心部を走る山の手線とは異なり、コアでディープな地域を走っているし、乗客層もしかりである。
そのとき、私は高校2年生だった。 当時、スマホなどは勿論なく、携帯電話やインターネットも普及していなかったので、電車の乗継時刻を調べるには書店で販売されている分厚い時刻表と睨めっこするしか無かった。 青春18きっぷを持って、私は実家の最寄り駅から、今日はどこまで行くことができるのだろうと、最終目的地も決めずに、胸を弾ませながら、大阪環状線で大阪駅へ向かっている最中だった。大阪駅で東海道線に取り換え、その後、関東方面へ向かおう...心の中で私は浮き立っていた。
学生の夏休み期間ということもあり、その日、私の乗っていた車両は人もまばらだった。 私は扉に一番近い席に座り、小さな荷物を網棚に乗せ、時刻表と睨めっこをしていた。
私が乗った次の駅で、数人が乗車してきた。 その中でひときわ目立つ男性客がいた。 年齢は恐らく40代前半ぐらいだろうか?身長は180cm以上はあるであろうかなりの高身長だった。 その男性は、ボディービルダーのようにガチなマッチョで上半身が裸で日に焼けた浅黒い健康的な肉体を惜しみなく晒していた。下半身のファッションはよく覚えていないが、ダメージジーンズにくたびれたサンダルだったような気がする。
普通、上半身裸の大男が乗ってきただけでも、周囲はドン引きするだろう。 だが、その男性は上半身裸ということだけでなく、両乳首に蛍光緑色をした絆創膏を貼っていた。 そして、その男性は私の真正面にドカンと座った。
私の近くに座っていた人はさりげなく席を外し、別の車両へと移って行った。 しかし、私は呆気にとられて、席を外すこともなく、しばらくポカンと馬鹿のような表情をしながら男性を観察してしまった。 普通の肌色の絆創膏を乳首に貼っているだけでも、目立つだろうに、蛍光緑色の絆創膏なんて、一体どこで売っているのだろう?など、どうでもいい疑問が頭の中をよぎった。
私が男性をマジマジと見ていたことに、男性は気を良くしたのか、彼は私と目が合った瞬間、「ふふん♪」と言って、雄っぱいを膨らませ、片腕の力こぶを見せてきた。 何かリアクションしなければならないと、変な義務感に駆られた私が微笑み返すと、男性は更に気を良くしたらしく、ボディービルダーが両腕の力こぶを披��するようなポーズをしてウインクを送ってきた。 私は一応は相槌を送っておいたものの、『関わってはロクなことが無い。見ないふりをしよう』と思って、再び時刻表を読み始めた。
列車は次の駅に停車して3人の若い大学生ぐらいの男性が乗車してきた。 その中の1人は赤いランニングシャツに黒のスウェットを履いている細マッチョな青年だった。ちょうど、私がよくファンアートで描いているミロのような服装である。 ランニングシャツの青年は、私の向かいに座っている上半身裸&乳首に蛍光緑色の絆創膏男を見て大声で叫んだ。
「うわっ?!なんじゃアイツは?変態か???」
声に出して叫ぶかどうかは別にして、ごく当然の反応と感想だろう。私も心の中では全く同意見だった。 だが、乳首絆創膏男はカッと目を見開き、ツカツカとランニングシャツ青年に立ち向かっていった。 乳首絆創膏男はランニングシャツ青年の胸倉を掴むと、「貴様、今、何と言った?この俺様の崇高なファッションを侮辱するつもりか?!」と言うと、ランニングシャツ青年の腹部にキョーレツなパンチを喰らわせた。
私の他にいた乗客はいそいそと他の車両へ移って行った。 だが、私は乳首絆創膏男が言った「崇高なファッション」という言葉が耳に付いて離れず、思わず吹き出したいのを必死で我慢していた。 上半身裸&乳首に絆創膏を貼っていることの一体どこが『崇高なファッション』なのか...このオヤジ、頭は大丈夫なのかな?それにしても面白いことになってきたな~と、のんきな事を考えながら吹き出すのを必死で堪えていた。
腹部に強烈なパンチを喰らった青年は、当然のことながら反撃に出た。「上半身裸なうえに乳首に絆創膏を貼っている格好の、一体どこが崇高なファッションだ!貴様、ふざけんなよ!この変態が!!(怒)」と言いながら立ち上がると、今度は青年の方が乳首絆創膏男の顎に強烈なパンチを喰らわせた。
その後のことは、よく覚えていないが、二人は掴み合いながら、取っ組み合いを初めていたような気がする。勝負は互角で、乱闘はずっと続いていた。列車が停車する度に乗車してくる人はいたが、みんな、すぐに別の車両へ移って行った。 ランニングシャツ青年の連れの若者2人も、乳首絆創膏男と青年との乱闘を止めようとしない。 私に至ってはこのリアルストリートファイト(列車の中だから、ストリートではなく、トレインファイト?)の行く末がどうなるの気になって仕方ないから、顔がニヤつくのを必死で堪え、時刻表を読むふりをしながら、彼らの様子を見学していた。
そうこうするうちに私の目的地である大阪駅に到着してしまった。 彼らの戦いは、まだ続いていた。 私は、この勝負の行く末を見届けたかったが、あんまり深く関わるとロクな事が無いという心の囁きに従い、大阪駅で降りることにした。
その後、彼らの乱闘��結末がどうなったのかは知らない。 勝利の女神は、乳首絆創膏男に微笑んだのか、ランニングシャツ青年に微笑んだのか、あるいは、駅員か車掌に制止されたのか、とても気になるが、知る術は今はもう無い...
念のため、大阪在住民の名誉の為に断っておくが、大阪環状線でこのような珍光景を見たのは後にも先にもこのときのただ一度きりである。 また、このような物騒な乱闘騒動が目の前で起こりながらも、車掌や駅員に通報もせず、逃げずに半ば楽しみながら様子を伺っていた珍乗客も私1人だけである。
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総じて、デレが多めだった気がする1年7ヶ月。変わらずにこうして迎えることができて感謝。ふとした瞬間に、ドカンとデカめのデレが投下されるもんだから、どれだけ月日が経とうが心鷲掴みにされてギュンってなってます。支えてくれてるとか救われてるとか、今月めちゃくちゃ言われた気がするんだけど、そうしてあげてるってつもりは正直全くなくて。好きだから一緒にいるし、好きだから寄り添ってたいし。なんなら、支えてあげたいって思う前に俺が支えられてて救われてるところもあるし。ただ、俺がそうしたいって思ってることで支えになれてるのだとしたら、なによりです。なんだかんだで一緒にドラマも観てくれて、相変わらずあーだこーだ言っておりますが。何を隠そう、うちの彼女が一番可愛いです。マジで、ガチで。変わらず、隣で笑っててくれてありがとう。これからもよろしくね。
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無駄に斜めに切ってみる #ミッキーマウス #ファンタズミック #東京ディズニーシー #魔法使いの弟子 #ディズニー好きと繋がりたい #この瞬間をドカンと言うんだって #ナナメギリ (Tokyo DisneySea)
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📛 1383 「ウルトラマン」 #4。
月に一度ほどのお楽しみ 「ウルトラマン」 の第四話 「大爆発五秒前」 を観ています。「ふしぎな色合いな木製開発用の原子爆弾6個を宇宙ステーションへ輸送する任務を負って基地を飛び立ったロケットは 事故のため、太平洋上に墜落した。そして、そのうちの1個は 日本海溝5,000mの深海で爆発した。残る5個のうち 4個までは発見されたが、1個だけは未だに見つかっていない。現在、海底捜査を続行中だが、発見にはまだ時間��掛かりさうだ。引き上げられた原爆の安全装置は すべて外れていたらしい。だから 残るひとつの原爆も同じ状態だらう。これがその、原爆の外見図だ。原爆にショックを与えると、このパイロットランプが点く。それから 20秒経てば ドカンだ。もし、それが東京で爆発したら、関東地方全部が一瞬で灰になるだらうね」 といった感じのキャップのお話から物語は動き出します。と、そんなところへ 「オッス!」 と 今回もキュートなフジ隊員が現れます。これから旅行に行くらしいフジ隊員は 入隊以来 一日として休んだことがないらしく、東京労働局の労働基準監督署あたりに雇用環境の相談をしたほうが良いやうな気もしますけれど、キャップから特別休暇を与えられたさうで、葉山マリーナで ホシノ少年という “ツレ” を連れて 一泊するさうです。場面は変わり、原爆捜索中の船が 緑色の巨大な怪物に体重をかけられて海中に沈められます。世田谷の国立病院に生存者が運ばれたらしく、ハヤタ隊員が急行します。生存者は 魘されながら 「白い航跡!原爆だ!」 と叫んでいます。そんなころ、休暇中のフジ隊員は ホテルのプールサイドで泳いだりせずに、なぜかイサム少年と科特隊の青い制服姿でバドミントンを楽しんでいます。何処かの他所の子な 腹ペコなミチコちゃんの面倒を頼まれてしまって ゆっくり休暇することもままならないフジ隊員は お部屋の中から 白い航跡を見つけ、キャップにすぐさま報告します。アラシ隊員もビートルで急行、とうきょう丸に乗ってハヤタも向かいますけれど、キャップから 「白い航跡の正体が分かった!ラゴンだ!」 との連絡を受けます。「ラゴン?確か日本海溝に棲む海底原人だ。しかし身長が30mもあるなんて」 とハヤタ。「爆発した原爆の放射能で突然変異を起こしたとしか考えられん。しかもだ!ラゴンは身体に 問題の原爆をぶら下げているんだ」 とキャップ。という訳で、核実験を行なった国とその回数が ほぼ公式発表されているものを インターネッターしてみました。強い国 アメリカ合衆国が 一番核実験を行なっていました (地球が壊れなかったのが不思議に思える 1,111回以上)。つづいて ソビエト連邦 (地球が壊れなかったのが不思議に思える 707回以上)、フランス (200回くらい)、中国とイギリス (ともに45回くらい)、パキスタンと北朝鮮 (合わせて 7回)、インド (2回)、イスラエルと南アフリカ (合わせて 1回) が 様々な場所で様々な 核実験をドカスカと行なったやうで、これからの世に ラゴン��次から次へと現れても何も言えません。
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📛 016 「ウルトラマン」 #4。
月に一度ほどのお楽しみ 「ウルトラマン」 の第四話 「大爆発五秒前」 を観ています。「ふしぎな色合いな木製開発用の原子爆弾6個を宇宙ステーションへ輸送する任務を負って基地を飛び立ったロケットは 事故のため、太平洋上に墜落した。そして、そのうちの1個は 日本海溝5,000mの深海で爆発した。残る5個のうち 4個までは発見されたが、1個だけは未だに見つかっていない。現在、海底捜査を続行中だが、発見にはまだ時間が掛かりさうだ。引き上げられた原爆の安全装置は すべて外れていたらしい。だから 残るひとつの原爆も同じ状態だらう。これがその、原爆の外見図だ。原爆にショックを与えると、このパイロットランプが点く。それから 20秒経てば ドカンだ。もし、それが東京で爆発したら、関東地方全部が一瞬で灰になるだらうね」 といった感じのキャップのお話から物語は動き出します。と、そんなところへ 「オッス!」 と 今回もキュートなフジ隊員が現れます。これから旅行に行くらしいフジ隊員は 入隊以来 一日として休んだことがないらしく、東京労働局の労働基準監督署あたりに雇用環境の相談をしたほうが良いやうな気もしますけれど、キャップから特別休暇を与えられたさうで、葉山マリーナで ホシノ少年という "ツレ" を連れて 一泊するさうです。場面は変わり、原爆捜索中の船が 緑色の巨大な怪物に体重をかけられて海中に沈められます。世田谷の国立病院に生存者が運ばれたらしく、ハヤタ隊員が急行します。生存者は 魘されながら 「白い航跡!原爆だ!」 と叫んでいます。そんなころ、休暇中のフジ隊員は ホテルのプールサイドで泳いだりせずに、なぜかイサム少年と科特隊の青い制服姿でバドミントンを楽しんでいます。何処かの他所の子な 腹ペコなミチコちゃんの面倒を頼まれてしまって ゆっくり休暇することもままならないフジ隊員は お部屋の中から 白い航跡を見つけ、キャップにすぐさま報告します。アラシ隊員もビートルで急行、とうきょう丸に乗ってハヤタも向かいますけれど、キャップから 「白い航跡の正体が分かった!ラゴンだ!」 との連絡を受けます。「ラゴン?確か日本海溝に棲む海底原人だ。しかし身長が30mもあるなんて」 とハヤタ。「爆発した原爆の放射能で突然変異を起こしたとしか考えられん。しかもだ!ラゴンは身体に 問題の原爆をぶら下げているんだ」 とキャップ。という訳で、核実験を行なった国とその回数を インターネッターで カタタタっと調べてみました。強い国 アメリカ合衆国が一番核実験を行なっていました (なんと 1,111回以上)。つづいて ソビエト連邦 (707回以上)、フランス (200回くらい)、中国とイギリス (ともに45回くらい)、パキスタンと北朝鮮 (合わせて 7回)、インド (2回)、イスラエルと南アフリカ (合わせて 1回) が 様々な場所で様々な 核実験をドカスカと行なったやうで、これからの世に 突然変異を起こした いきものが ドバババっと現れても何も言えません。
「ウルトラマン」 #3。
「ウルトラマン」 #2。
「ウルトラマン」 #1。
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当たり前の異常が消えた
最近の私は、どうやらおかしい。 体から、当たり前の異常が消えてしまったのだ。
どれだけ寝なくても眠くならないし、どれだけ食べても体重が増えないし、どれだけ落ち込んでも、あっというまに立ち直れる。なんだか体のホメオスタシスが鋭敏すぎるほどに働いていて、それは生活する分には非常に便利だけれど、同時にちょっと怖くもある。
体には、できるだけ正直でいてほしいなと思う。寝ないと次の日に頭が働かなくなる、食べ過ぎたら胃腸を悪くする、落ち込んだら涙が出る。そういう当たり前の「異常」を、ちゃんとサインで示してくださいよと、そう思う。そうしないと、ギリギリギリのラインまで頑張っちゃって、今のツケがいつかドカンとくるのではないかと��し怖い。
些細な異常を感じられることは能力だ。 そんなことを、最近はいつも思っている。
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今日はひさしぶりに日中の予定が何もなかったので、だらだらと家の掃除をして、原稿を一本終わらせて、昼寝をし、そして出張のために名古屋にきた。
現地に住む高校時代の同級生と待ち合わせ、一緒に味噌カツを食べる。彼の中では私に対する記憶が高校時代でぴたりと時が止まっている(時を止めている、とも言えそうだった)みたいで、「ごめんなさい、今はそんなんじゃないんです……」と心の中で唱え続けながら白米を頬張っていた。だから、せっかくの味噌カツの味はぜんぜん覚えていない。息が、あまりできなかった。
「お前はこういうやつだよな」と言ってくる人の前では、私はよく「そういうやつ」を自然に演じてしまう。
これは一見「相手の期待に答えなきゃ、嫌われたくない」という不安心からくるものに思えがちだけど、最近気づいたのは、それよりも「この人には別に本当の私をわかってもらえなくてもいいや」という諦観や無関心からくる行動なのかもしれない、ということだ。
だって、本当に大切な人にはわかってほしいもの。相手がどんな期待をしていようが、私はこんな人間だということを。それはそれで「受け入れられなかったらどうしよう」という怖さはついてまわるから、なかなかに難しいのだけれど。私は自己開示が本当にへたくそだなあ、と、そんなことを思いながら、夜風に吹かれ歩き、ホテルへと戻ってきた。
帰り道にあったタリーズで買ったアイスコーヒーを飲みながら、今はこれを書いている。たまに一人で過ごすビジネスホテルで机に向かうこの瞬間が、私は何気にとっても好きだったりする。
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ハイブリッド車や電気自動車など高圧大容量電池を搭載している車両にはショートや漏電を検知した瞬間、電気をシャットダウンする高性能のブレーカーが必ず装備されている。家庭などについているブレーカーより圧倒的にレスポンスよく、正確。ショートと同時にシャットダウンされると考えていい。 これで一切電気は流れない。さらに電池本体も衝撃や水への強いプロテクト性能を持たせており、津波に流されて車体がゴロゴロ転がったり、高速道路で衝突事故を起こした程度ならば余裕で耐える。ハイブリッドの数十倍の容量を持つ電池を積む電気自動車も全く同じ。少なくともガソリン漏れて燃える確率よりケタが違うくらい安全だ。 参考までに書いておくと、燃料電池車の安全性はさらに高い。転がっても衝突しても潰されても水素タンクだけ残るほど強固。”ショートして水素に引火してドカン!”なんてことは100%ないとは言い切れないものの、そんなダメージを受けた時点で人が生き残っていられる状況だとは思えない。
電気自動車やハイブリッド車が浸水・冠水すると? 感電の危険性は? | AUTO MESSE WEB
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モンゴル釣り遠征 Vol.5 最後のBIGFISH、誰も信じないホラ話
さーせん!さーせん!とだけ言わせてください。モンゴルから帰ってきてからというものかなりバタバタしていて、諸々の言い訳を並べていたら9月にまたモンゴルへ行ってきてしまいました...。その時の模様は近々別媒体で公開されるのですが、もう忘れちゃいそう、いや、忘れる事は出来ないあの出来事を記事にしてからタイメン編を終わりにしよう!来週からはまた遠征を控えているし...という事で、最終回の始まり始まり〜。
Vol.4はこちらから
翌朝、どこか慣れた感じで3人ともいつも通りに起床し、いつも通りに崖を降りる。そして皆それぞれの「マイウォーター」を打ちながら川を登り降り。先に顛末をお話しすると、結局前日のメーターよりも大きな魚は出なかった。旅の最大魚はペスの釣った125cmのタイメン。しかし、ただの「結果」だけでは消化仕切れず、わずか3ヶ月後にまたこの地を踏んでしまう出会いと別れがそこにはあったんです...
この日も僕が張り付いたのは、前日に大きな魚を逃しているストレッチ。ジョイクロを遠投するれば対岸に届いてしまう程に川は細くなり、流れも強い。
居るのはわかってるんだ。
流石にここ2、3日必ずこちらも顔を出しているし、魚もスレてきたのだろうか?全くアタリがない。表層を攻めた後、今度は一気にクランクでボトムを突き回してみたけど無反応。しかしトラウトって魚、特に流れのある場所の魚はレンジ(水深)が数センチ変わるだけでいきなりスイッチが入ることが多い。これは中禅寺湖でもそうだし渓流でもそう。管理釣り場で、見えている魚がいきなり口を使う事だってありますよね?
腐らずに、板オモリを貼り足したりしながらレンジを刻んでいく。
いや〜釣れない。暑くて上着を脱ごうか迷う。
結構諦めムード(笑)ペスも少し戻りながらランガンを始めた。
いや〜、いるはずなんだよなぁ。
本当に得てしていつもこうなんだけど、もう諦めようって思っていた瞬間に、ココっと前あたりのような手応えがあった。そしてすぐにガチッと岩に挟まったようにルアーが止まった。しかしここはもう迷わない。このコース、この流れ、このレンジに岩は無い。フッキングをした瞬間に巨大な尾ビレが水面を叩いた。
「ぺーーーーース!!」
これしか言えない。
なんか毎回ごめんねと思うこの展開、ペスが少し離れた場所から走って戻ってくる。その間に魚がグングンと流れに乗り、前日の奴とは違い下流に走る。全く止められない。まあリールがクイックファイヤーだからしょうがない(苦笑) 親指でスプールを抑えて、PEが皮膚を研磨しているかのような痛み。だめだ全然止まらない!
そして下流側のペスの方が魚に近かったと思う。その瞬間、あまりに巨大なその魚は全身を出すことが出来ないと言わんばかりに、体の半分を水から出して大きな水しぶきを上げた。その瞬間2人の声が同時に上がった。
「デケーーーーーーーーーーー!!」
ショータ・ジェンキンス氏はその時のことをこう振り返る...
「人がね、ふざけて川から飛び出してきたのかと思いましたよ。小さい頃よくやりませんでした?釣れないからって、誰かが水に入ってフックを取ったルアーを掴んで魚の代わりに泳いだりのたうち回る遊び。まさにあれですよ。だって、頭の幅が本当に僕らよりも全然広いんですから!」
そして逆光に反射する巨大な頭を水に叩きつけてほんの数秒後、手元からフッと重みが消えた。膝から崩れ落ちるとはこの事だと思った。岩に擦られてラインが切られたのかと思ったら、スナップが折られていた。開くとではなく、ポキっと折れていた。今思うと「ラパラのOリングに直結してれば...」しかし時すでに、大幅に遅し...
「ジェンちゃん魂を置いてきてしまいましたな。また取り返しに来ないと。」
ペスとサブリ、色々ありがとう!
AnglingBASSにも書かせてもらいましたが、僕はこのペスが放った一言がずーっと頭から離れない。モンゴルを思い出す度に、この瞬間とこの言葉が蘇る。あまりに釣果がズバ抜けてしまうせいでペスはシンプルに「超釣る人」で終わりそうになってしまうけど、本当は我々のようにたくさんの釣れない日と悔しい瞬間を経て、いつも夢の1匹に辿り着いている。なんか、あの言葉にはそんな事を考えさせられた。
諦めの悪いジェンキンスは、さっきロストしたルアーのレンジまで泳ぐようにオモリを貼ったK-TENを投げ倒した。サブリも追いついて3人でダベリ反省会モードに突入しながら投げ倒した。さっきはここで食ったんだよなぁ。そんな事を思いながら投げていたらゴゴン!釣れてきたのは90cmぐらいの丸々と太ったタイメン。うん、なんていうかあれだ。ありがとう!
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エピローグ
この日の昼頃から、川はみるみる増水し、上流からまるでロイヤルミルクティー(言いたいだけ)のような水がドバドバと流れてきた。この平坦な大地にドカンと拓けた崖、スポンジのような草原だ。どこかで降った大雨は瞬く間に僕らの釣り場を飲み込んでしまった。
翌日、まるで違う場所に来たかのような川を一応釣り歩いてみた。魚からの反応は全くない。そして昨日まではなかった反転流の中をルアーを通し、ドリフトさせていたらビクビクっと手応えがして、なんか結構引く!
ラストは今回の遠征最大のレノック様が顔を見せてくれた。しかし回復の見込みはなさそうである。結局かなり大きな「忘れ物」をしてしまったけれど、メンバー全員が素晴らしい魚に恵まれた。僕らは予定通りチョロート川を後にして、次の目的地に向けて一度ウランバートルへと車を走らせた。
ロストしたルアーは翌日増水で出来たゴミ溜まりの中で浮いているのを発見された。魚にとって非常に迷惑でロマンチックな解釈をさせてもらうと、これはこのモンゴルの大地が「またおいで」と言っていると信じて疑わないのだ。
この魚を思い出して記事を書く時、ティム・バートンの「BIGFISH」という映画を思い出した。映画のタイトルのビッグフィッシュにはホ��話って意味があって、直接的に釣りのストーリーではないけど、とても思い出に残る映画。 僕らの話はホラ話なんかじゃないけどね。
終わり
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3年越しの山。
寒の戻りで若干の積雪があり、気温も低めな今日。いいとこ行けばいいとこ滑れるんちゃうの!?
今日の話をする前にきんなの話から。きんなはちと体を休ませようって事で それぞれ自由に過ごしました。前夜、盛岡で呑んだくれ車で寝た自分はとりあえず福田パンで朝飯と行動食のパンをゲットし、一路東へ向かってみました。なぜなら、ライフワークである巨木ハントに出かけたのです。中学校の校庭にドカンと鎮座するファットなイチョウさん。秋に来たらまた見事なんでしょうね。
そのまま海を眺め��来ました。
極楽浄土のような浜辺です。
そんな極楽を一瞬で地獄へ変える津波に備え各所にでっけえ防波堤が出来ていました。
震災遺産として残されてるホテルなんかも見つつ、また盛岡へ。
前から挨拶に来たかった岩手でGREEN.LABを沢山売ってくれているショップ、パンドラ。店長のオオセキさんは突然の来訪にも関わらず温かく出迎えてくれて色んな話をしてくださいました。国産の板を多く扱い、地元のキッズ達に横ノリの楽しさを伝えているイケてるショップでした。
ほんでもって今日。さ〜てどこ行きますか〜?コーセイ君が昨日、友達のインスタで底付き無しのすげーいいパウダー滑ってる映像あがってた、今日登れば2~30cmくらい積もってるかも!と鼻息荒く言ってきました。え〜昨日は結構ガスってたし、風も強かったじゃん。それほんと?俄かに信じられない俺はその投稿を見せてもらいました。確かに底付きなしのいいパウダー滑ってます。でも添えられてるコメントが「今日です。」
あのさ〜コーセイ君、昨日は何日ですか?…そーゆー事ですね。
それでもこの目で確認するまでは信じない!と、双眼鏡で覗くと…、あ、やっぱたいして積もってないね〜、他のとこ行こ!
という訳で三年前から狙っていた山へ行く事にしました。
最初は小一時間ばかりアスファルトの道を歩かなければなりません。
ようやく登り始めです。
標高低いところは沢割れしていて色々気を使います。
なかなか密な林を抜け
視界が突然開ける。あれ?スキーのライン入ってない?
俺ら以外に入ってる人いるの!?
と、思ったら電線の影でした。なんだよ〜。
イキのいい巨木が立ち並ぶいい林です。
どうやらこの先に沼があるらしい。行ってみよう!!
あら〜なんて綺麗な景色なの😍
桃源��かここは。
桃源郷で一休みして再び上へ。
相変わらずスタイルの入った巨木が立ち並んでいました。
しかしよくこんなに枝が横に伸びてて折れてないもんだな〜
なんて思いながら登っているとやっぱり雪の重さに負けるのもあるんだな〜。自然界も盛者必衰の理をあらわしてますなあ。
ブロック雪崩にも注意せな。
ようやく稜線に出てきました。
おお〜いつもとまた違った景色!新鮮ですね〜。
先日はぼかしが入って見られなかったオッパイも見ることが出来ました。でもこっちの角度から見ると乳輪でかめです。
雪庇を気にする稜線歩きはなかなか骨が折れます。
あまり歩くスペースが無い時は風上側に周りカチカチの斜面をトラバース���これがまたキツい。
いかついクラックに、
どでかい雪庇、
なかなかしんどい歩きですが美しい景色がそれを忘れさせてくれます。
ムヒョーーーー!!
ようやくピークに到着!岩手の街並みが見えます。
秋田方面はちょっと雲がありましたね。
次回はあっちから来るのもアリだなー。
山頂にて福田パンを食らう。
お腹ら満たしたらレッツインジョイ!!
ヒュ〜〜〜〜〜!!上部はわずかばかりパウダー。ちょっとおりてくるとよく走る快適ザラメです!
胃ーーーーーーーーーーーーー寝!!!!
三年越しの山。意外とあっさり来ちゃったね。
もうちょい楽しめそうです。
帰りは探検隊。
それに加えて新しいラインを発見するべく、あえて登った道を使わずに下山!!
今にも崩れそうなチキチキ渡渉ゲームなどもあり盛り上がります。
そんなこんなで無事下山!!
いや〜しんどいけど悪く無いルートでした!色々とバリエーションを変えたルートなんかも出来そうだぞ。色々と収穫はありました。
さていよいよ明日はコウセイ君とのコラボツアー!天気も良さそうだし、こいつは楽しい事になりそうだぜ!!
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魔法少年ゆじキュアの放送いつ始まります?
どこにでもいる平凡な170cm80kg超え男子高校生、虎杖悠仁くん。ある日道端に落ちていた不思議なぬいぐるみを拾ってみると、なんとびっくり!それはマジカルパワーを秘めた喋るちょそぬいだったのだ!!
「悠仁ーー!!会いたかったぞ!!悠仁ならお兄ちゃんを見つけてくれると信じていた!!」
「いや俺、一人っ子なんだけど…」
突然喋るぬいぐるみに兄だと名乗られ不信感でいっぱいな悠仁をよそにぬいぐるみとは思えない声量(ぬいぐるみの声量とは)のちょそぬいの話によれば自分と悠仁は元々呪術界という別の世界に兄弟2人で暮らしていたらしいのだが、ある日突然現れた悠仁の母を名乗る額に傷のあるクソやろゲフンゲフン悪い呪術師によって引き裂かれ気付けばぬいぐるみの姿に変えられてしまったのだというのだ。そんなことあるか、そう思ったその瞬間に外から爆発音が!窓の外を見ると巨大なナマコのような生き物が街を荒らし回っているではないか!「は!?なんだよあれ!!」「あれは悠仁と俺を探すために加茂憲倫が放った呪霊だ」いやなにそれ、意味わからんと慌てふためく悠仁の肩に乗っかったちょそぬいが「悠仁、頼みがある」と言い出すのだ。「え、なになに」「魔法少年になってくれ」「は?」聞き間違いだろうか、可愛らしい見た目には見合わなぬ低音ボイス(CV.浪〇)でなにやら言い出した気がするのだが気のせいだろうか「聞こえなかったか?魔法少年に」「聞こえた!聞こえてたけど!!いや、魔法少年ってなに!!」「簡単に言えば悠仁が失ってしまった呪力を俺の身体に残る呪力で補完して呪霊と戦うということだ、…本当ならば兄である俺が悠仁を守るべきなのだが見ての通りこの姿ではそれが叶わん…すまない…」「お前が何言ってんのかも、俺が何に対して謝られてんのかもさっぱり分からん」ドカン!窓の方を見れば化け物サイズのナマコが今も暴れ回っている。「でも、アイツ倒すのにはそれになるしかねぇんだろ?…いいよ、やってやる、後のことは知らんけどな」「ゆ、悠仁…!さすが俺の弟だ!では早速お兄ちゃんにチューしてくれ!」「は?」(本日二回目)「悠仁に俺の呪力を流し込む為だ、いくぞ!」「は、おいまて」食い下がる悠仁の唇にちょそぬいの唇が!次の瞬間、悠仁の体をキラキラと輝く虹色のオーラのようなものが包み込んでいく、その眩さに思わず目を瞑ってしまう。「悠仁、目を開けてみろ」「ん…??…は、はぁぁ!?」今の今まで身につけていた制服はどこへやら、薄絹でできた淡いオレンジ色のセーラーワンピース、バックには今から化け物と戦闘すると思えない大振りなリボンと頭にはフリルとレースでできたヘッドドレスがはめられているし右手には星の形をした謎のステッキが握られてるではないか!「…いやそれよりも!なんだよこれ!!…俺体ちっちゃくねぇ!?」「仕方ない、呪力の補完にはそれなりに負担がかかるから致し方ない」「お前鼻のところのドロドロになってるけど」「気にするな」そんなこんなで呪霊から街を守るための戦いに身を投じていくゆじキュア、魔法少年を名乗る割に戦い方は星ステッキでぶん殴る感じのバチバチ肉弾戦ばっかりだったら楽しい、私が。続きもオチも考えてない。
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ペトロールズめっちゃ愛す
ペトロールズを観た、去年感染症でツアー流れて行けずでだからすごく久しぶり。喰らった〜。脳内麻薬どぱどぱ。久しぶりに色気のある音楽を生で聴いたな。ペトロールズは去年のツアー流れて以来のライブ?名古屋?らしく、ものすごく珍しく、出てきて曲やる前に喋り始める長岡亮介さん。「なんか、しゃべりたくなっちゃうね。しゃべっちゃった。しゃべるつもりなかったけど。覚えてますか?……シーンとしてるのは慣れてますので。ペトロールズは変わらずありますので」「行きますか。盛り上がって��いりましょう!よろしくお願いします!(なぜかボブさんに頭を下げる)」……。もうほんと〜にすばらしかったけど、雨とかむちくちによかったな……。音楽のテンション上げずに、でも音楽の中身をひたすらカッコよく演る、研ぎ澄まされたリラックス、しれっとした切実さ、こんなことある!?としずかにビビりました。は〜。心が蕩けた。とろとろです。三曲目くらいまでは、夜公演も当日券でぜったい行こう!!って思ってたけど、終わる頃には、もうとろけてこれ以上心がとろけねえ、満ち足りた。長岡さんが「疲れちゃった。2回目やりたくない、今日のいいのもう全部出ちゃった」と笑っていた。魅力えぐ。興奮!とかよりむしろちょっとぼーっとなった。「新幹線久しぶりに乗った、なんか景色とか見ちゃった」と長岡さん、「なんか寝るのもったいなくて起きてたもん」とボブさん。「いつも爆睡するのにね。またすぐ爆睡するくらいに来なくちゃね」と言ったときの長岡亮介、なに。魅力バン、ドカン。つか、開演して出てきた瞬間、久しぶりの長岡亮介直視できんかったもん。笑顔がまぶしかったなあ。魅力やばすぎて。サングラスかけなきゃ。
ペトロールズやからできることでしょうが、サブスクにしない意味というのはもう間違いなくめちゃくちゃあるねきっと。だってあそこに来てる人は多くがCDかレコードを買って聴いて好きになってライブに来ているか、どっかでペトロールズの音楽を聴いてめっちゃいいやん!となって聴き慣れた曲やらあの曲聴きたいとかはなく生で彼らの音楽聴いてみよ!と来てるわけでなんつうか、なんつうかね、ペトロールズの音楽を求めて来ているのよな、老若男女が比較的入り混じっている。
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長野市「伝説のすた丼屋 川中島店」スタミナの伝説 店名 伝説のすた丼屋 川中島店 場所 長野県長野市川中島町原717-1 電話 026-214-2269 ジャンル すた丼屋 バリアフリー ◯ 駐車場 あり 食べたもの 「豪快唐揚げ合盛りすた丼 肉飯増し」1070円 老眼化が激しく、読書量が激減した。とはいつも言っている事だ。あれほど肌身離さず書籍と過ごしていたのに、母親や家内から「少しは本を置け」「朝起きた瞬間本を開くな」と言われたほどの本好きであったのに、少し眼が弱くなっただけで読めなくなってしまったことはまことにもどかしい限りだ。あああ情けない。 書籍だけでなくマンガもだめなのだ。 文字じゃないから大丈夫だろう。などという事はない。どうにもストーリーを追うのが面倒になってしまいふれずにいる。したがって「鬼滅の刃」も「進撃の巨人」も読んではいない。ヲタク・マニアのクセにミーハーだから本来は真っ先に飛びついてしまうのに。 だから最近接するマンガはInstagramで接するコママンガ。インスタだから10コママンガになるだろうか。女性作家が主だから家庭ものが多いのだがこれが楽しくて仕方がない。育児はどうだとか、ママ友との関係、子どもが学校に行けなくなった、義実家(そんな言葉はないけれど)での出来事、姑や舅との関係など、わが家では済んでしまったこと、日常的に出くわさないことが登場するからじつに興味深い。 ああそうだ、これは現代のサザエさんなのだ。 どこにでもある家庭のどこにでもある風景が淡々と描かれる。私の好きなInstagramの作家たちも女性だし、サザエさんの著書 長谷川町子も言わずもがな女性作家だ。こういう視点は女性ならではのものだからかもしれない。 数あるサザエさんの中で好きなのはやはり「食」がテーマの話。第一話でイモを食べながら登場するサザエさんとか、満員電車の中で隣のひとのもつフランスパンを食べちゃうマスオさんとか。とくにユーモラスな回が多い。1番好きなのは、運動会を前にして波平さんがスタミナをつけるために、野菜やら果物やらをたくさん入れたジュースを作ったはよいが、当日になったらお腹をこわして参加出来なかった、という回。そんな簡単にスタミナなんかつかないよなぁ。 すた丼とは『スタミナ丼』のこと。肉炒めを丼めしにドカンとのせた形態は東京 多摩地方が発祥と聞いた。私も多摩方面にはずいぶん長く住んでいたがまったく知らなかった。そんな事はどうでもよいが、この度その代表格が長野市に出来たことはまことに喜ばしい。 「伝説のすた丼屋 川中島店」 以前は『いきなりステーキ』のあった場所にこの4月にオープンしたばかりだ。あっという間にやめてしまったかの店より、業態も売り物もよいのではないか。じつに心地よい。 「豪快唐揚げ合盛りすた丼 肉飯増し」1070円 例によって[期間限定]に弱いのだ。肉炒めと唐揚げの相盛り丼。せっかくの機会だから肉・飯ともに増量バージョンとする。 肉炒めは醤油味の甘い生姜焼きっぽい味わいを想像していたのだが少し違う。甘さはなくニンニク醤油バッチリという感じ。これは美味い、美味いがしばらくすると飽きがくる味でもあるのて、その折に玉子を投入すると、味の変換になってちょうどよくなる。卓上のおろしニンニクやドレッシングを用いてもよいだろう。 これにてスタミナ補給完了。当面はこれで乗り切ることが出来るだろう。え?乗り切る以前に使うのか?そういうヤボな質問には答えないようにしている。気にするな #長野 #長野県 #長野市 #長野グルメ #長野市ランチ #長野市カフェ #長野ランチ #すた丼 #食堂 #定食 #定食屋 #定食屋さん #定食ランチ #伝説のすた丼屋 #スタミナ #スタミナ丼 #丼 #丼物 #唐揚げ #キャベツ #グルメな人と繋がりたい #グルメ好きな人と繋がりたい #食べるの好きな人と繋がりたい #飯 #飯スタグラム #飯テロ #美味しい #コロナに負けるな #좋아요_한국 #좋아요_일본 (伝説のすた丼屋 川中島店) https://www.instagram.com/p/CO8iWWQgd6p/?igshid=1grxuh3rpyf25
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壁を殴る
私は殴られたことがない。
随分甘やかされて育ってきた。大人しい子どもだったから、男子とじゃれ合うこともなかった。私にとって人間関係の摩擦とは、表情や言葉などの形のないものを指す。当然ながら精神的な痛みと肉体的な痛みとでは種類が違うだろう。経験とはそれをくぐり抜けるまでは、見知らぬ他人なのである。
前置きはともかく、当時私は仕事を辞めたばかりで時間をもてあましていた。家にいると気ばかり焦ってよくない。時間の許す限りあちこち歩き回る。無為だと知っていながらも、足を動かしていると心が安らいだ。
初夏だった。風は爽やかだが動くと暑い。火照りを冷まそうと公園のベンチに座ってみるものの、人目が気になって落ち着かない。いい年の女がぶらぶらしていたら不審に思われるのではないか。自意識過剰な考えが脳裏をよぎる。
誰もいない場所を追い求め川沿いを歩いていると、大きな陸橋が目に入った。その下の空間に暗く影が落ちている。これはいい所を発見した。サンダルを汚しながら雑草だらけの砂利道を下り、そこに踏み入る。瞬間、肌に冷気と湿っぽい空気がまとわりつく。天井を這う鉄骨が車のエンジン音を何重にも膨らませる。強い振動に埃がパラパラと落ちてくる。
そこに彼はいた。
彼は渾身の力でコンクリートの壁を殴りつけていた。ぎょっとする。こんなところで何をしているのか。彼はボクサーか何かでトレーニングの最中なのか。それとも怒りを制御できない類の危ない人物なのか。みっしみっしと痛々しい音がする。指の骨が一本残らず折れるのではないかと他人事ながら不安になる。
私は彼を観察した。額に汗を浮かべ唇をぎゅうっと噛んでいる。それに反して目元は穏やかだ。腕をしならせる度パーカーが軽やかにひるがえった。拳を突き出すと上半身はうち震え、ふくらはぎが鋭くよじれる。彼の体は殴るという運動によって、きりきりと捩じ上げられていくようだった。
私は男と女の力の違いに圧倒される。男性の筋肉は誇示せずとも存在を匂わせる。例えば大事な本を大きな音を立てて置いたり、手に持っていた卵を意図せず割ったり、女性をエスコートしようとして「痛い」と叫ばれたりする。本人でさえ思いもよらぬ力に驚いているようだ。彼もまた、行きどころのないエネルギーを持て余しているように見えた。
がしん。もう一発壁に打ち込んだ時、彼は私に気づいた。肩で息をしている。拳は熟れた果物のように真っ赤に腫れ上がり、見るからに痛そうだ。黒目がちの瞳が草食動物を連想させる。先程までの殺気立った雰囲気はどこかに消えうせていた。私達は立ち去る機会を逃し、睨み合った。
私の第一声が沈黙を破る。
「⋯⋯何してるんですか」
彼は首の後ろを撫でる。刈り込まれた後頭部からじょりじょりと青臭い音がした。緊張のせいか黒目が忙しなく泳いでいる。彼はおずおずと口を開く。
「あの。俺は別に。怪しい人間では⋯⋯」
その声は長らく仕舞われていた着物よろしく掠れていた。彼はぎゅっと唇を噛む。壁を殴る際にしていた仕草だ。
「だから警察には」
私は慌てて否定する。
「言わないよ。そんなつもりで聞いたんじゃないから」
彼はまじまじと私を見て、恥ずかしそうにうつむいた。
「は⋯⋯そうですか」
彼はやはり唇を噛むのだった。それは物を殴る代わりの動作なのかもしれない。
私達は隣合って地べたに座り込んだ。ジーンズ越しに土の冷たさが伝わってくる。彼は膝が私の足に当たっているのを気にもせず胡座をかいている。そういえば体が大きい。背を丸めるのですら窮屈そうだ。紫色にうっ血した両手が、痛みのせいか無骨に震えている。
影の向こうはあっけらかんとした昼間の明るさが広がっていた。川の傍の楡の大木が、乾いた風に葉をザラザラと鳴らした。梢からトンビが飛び立ち鳴き声を響かせる。木漏れ日が地面に模様を描いていた。チラチラとした眩しさに私も彼も目を細める。植物の逞しさは私を安らかにも孤独にもさせる。彼らはちょっとやそっとのことでは動じない。自然を脅かすことができるのは無感情で圧倒的な行為だけだ���災害、機械による伐採、果てしない年月。揺るぎない木々に囲まれ、ふいに彼と私だけがこの場所に取り残されているような寂しさを感じる。私は心もとない気持ちを払拭したくて話しかける。
「いつもここに来るの?」
彼はぼうっと宙を見る。言葉が纏まるまで時間がかかるようだ。
「そうですね。時々」
「どうして壁、殴ってたの? トレーニング? 日常生活で嫌なことがあった? それとも訳あり?」
「や。うーん⋯⋯強いて言うなら日課ですかね」
「怪我をしてまで壁を殴ることが、日課?」
「はい。硬いもん殴ると落ち着くんです。コンクリートが一番いいんですが、人通りがあるところでこんなことをしてると通報されかねないんで⋯⋯。ここに来れない時はサンドバッグ殴ったりとか、枕殴ったりとか。もちろん人にはやらないです」
何とも風変わりな男である。横目でこっそり彼を見る。色が白く睫毛が長い。首筋にほくろが散っているのが妙になまめかしい。体格の逞しさと細部のパーツの繊細さが、アンバランスな印象を抱かせる。
「試しに壁を殴ってみたらどうですか」
勧められるがままコツンとやってみる。壁と骨がぶつかり合い、疼きに変わる。私は痛みを逃そうと手をぶらぶらと振った。
「全然すっきりしない」
「血が出るくらいやんないと駄目ですよ」
勘弁してほしい。
「君は誰かを打ちのめすために、壁を殴ってるわけじゃないんだ?」
私の問いに彼はひるんだ。そんなことは思い付きもしなかったと顔に書いてある。両手を落ち着きなく揉みながら、おずおずと言う。
「いえ、どちらかというと⋯⋯殴られた記憶を思い返すために、こうしてるというか⋯⋯」
「殴られた記憶?」
「はい。これだけ聞いても意味不明だと思いますけど⋯⋯」
私は会話の先を促す。
「どんな風に殴られたの?」
彼は重大な秘密を打ち明けるかのように深刻な面持ちでうつむく。その質問が脳の鍵穴に嵌ったようだ。彼の喉の水門が開き、飛沫が鈍い音を立てて流れ落ちていった。
「⋯⋯俺を初めて殴ったのは、親父でした。確か五歳の時だったと思います。
当時の俺はやんちゃでした。家中にいたずらを仕掛けて回るのが楽しくて仕方なかった。親が共働き、おまけに一人っ子だったんで、日中は一人で過ごしてました。ですので寂しさ半分、構ってほしさ半分、といったところでしたね。家中の靴紐を片っ端から切っちまったり、砂糖瓶に雨蛙をぶち込んだり、ひどいことも随分しました。
一通り騒いで気が済んだら、お袋がパートから帰ってくるのを待ちます。すぐに見つかるとまずいんで、押し入れに膝を抱えてうずくまるんです。悪事を発見したお袋が廊下をバラバラと走っていく。足音を聞いていると恐ろしいやらおかしいやらで、冷や汗をかきながら笑いましたよ。
そうこうしているうちに呆気なくつまみ出されて、泣き出すまで説教です。お袋からしたら疲れて帰ってきたところに、厄介ごとの後始末までしなくちゃならない。腹の立つガキだったと思います。
親父は町工場で働いていて、お袋よりも遅く帰宅します。食卓につくと会話もそこそこに、焼酎をしこたま飲んで潰れてしまう。お袋も放っときなさいとか何とか言って、親父を居間に転がしとくんですよ。
親父はずんぐりとした赤ら顔の男でした。酒に酔うと赤を通り越してどす黒くなります。俺には真っ黒になって強烈なイビキをかく親父が、得体の知れない生き物に見えました。あの人が何を考えて生きているのか全く分かりませんでした。恐らく親父も俺のことをそう思っていたでしょうね。
ある日、三人で冷凍ハンバーグを突っついていると、親父がおもむろに、
『赤飯が食いてえ』
と言ったんです。お袋はぽかんとしていました。あれよあれよと言い合いになります。
『何か祝い事でもあんの?』
『ないけど食いてえんだ。明日出せ』
『私は赤飯なんて嫌い。あなたもそうだったじゃない。この子だって好きじゃないと言ってる』
何も言ってやしないんですけどね。好き嫌い以前に食ったことないんですから。生まれてこの方、赤飯が食卓にあがったことなんてありませんでした。それなのに突然『食いてえ』ですからね。お袋も驚いたと思います。けれど食器を片付けたり寝支度したりするうちに赤飯問答も有耶無耶になって、どうするか決まらないまま寝てしまいました。
翌日、俺はどんないたずらをしようか頭を悩ませていました。その時、昨晩の問答を思い出したんです。赤ら顔の親父が嬉しさでしわくちゃになって飯をかきこむ姿が頭に浮かびました。想像ながらに奇妙でしたね。親父の笑顔なんて何年も見てませんでしたから。考えているうちに意地の悪い気持ちがむらむらわいてきて、俺は決めました。親父の箸を折ってやろう。赤飯を楽しみに帰ってきた親父はそりゃ怒り狂うだろう。土塊のようになって真っ二つになった箸を握りしめ俺を追い回すだろう。親父に怒鳴り散らされる場面をイメージしている時、俺は信じられないほど幸福でした。
俺は早速実行しました。台所から親父の箸を、工具箱からペンチを持ってきて、テーブルに並べました。箸は先端の塗装がハゲていました。親父が米と一緒に噛むからです。俺はそれを親父の分身だと思ってペンチで挟みました。両手でグリップを握りましたが、ガキなもんで力が入らず指が真っ赤になります。その色を見ていたら俺は親父の子なんだって実感が、やおらドカンと降ってきたんです。雷みたいに。薄気味悪い感覚でした。俺はろくに口を利いたこともないあの男の子供なんだ。俺も大人になったらあんな風に赤黒くなるんだろうか。
後はあっという間でした。バキッと音がして、箸は真ん中から砕けました。俺はペンチを放り出して息を切らしていました。なぜだか息苦しくてたまらなかった。折れた箸を見ていると、親父が胴体から真っ二つになって血塗れで倒れているような錯覚に陥りました。その光景に心底ぞくぞくしながら、そんな感情を抱く自分が理解できなかったです。俺は慌てて箸を戻し、洗面所の棚に隠れました。戸棚は下水の臭いがしました。自分から臭いが漂ってくる気がして、何度も服を嗅ぎました。
何時間経ったのか分からなくなるくらい、待ちました。お袋が帰ってきて食事の支度を始めました。俺は出て行きませんでした。お袋は俺が何もしない限り幾らでも放っておきましたから、ばれやしません。暑くてぐったりしてきた頃、ついに親父が帰ってきました。箪笥の前でごそごそやっています。着替えているようです。
お袋がご飯よと俺達を呼びました。俺は空腹に耐えかね戸棚から飛び出しました。テーブルに薄紫の米が盛られた茶碗が並んでいました。赤飯です。何だ、思ったより赤くないな。呟いた瞬間、俺は横様に吹っ飛んで、後ろの壁に頭を強く打ちました。親父が殴ったんです。親父は箸を握りしめ、般若のような形相で俺を見下ろしていました。真っ赤な拳がぶるぶる震えていました。
『これをやったのはお前だな?お前だろ!』
俺は返事をする間もないくらい、何度も何度も引っ叩かれました。頬も腕も腹もめちゃくちゃに殴られて熱かった。お袋が後ろでお父さん、お父さんやめて、と叫んでいました。
『そんなに怒らなくてもいいじゃない、割り箸で食べればいいじゃない!』
親父はお袋に羽交い締めにされて、やっと止まりました。俺は鼻血と小便を垂れ流していました。親父は俺に箸を投げつけ、
『お前が折ったんだから責任取って新しいのを用意しろ』
と言いました。この時俺は責任という言葉の意味を知ったんです。
罰として飯を抜かれました。さっさと寝るよう命令され、手当てもしないまま風呂に突っ込まれました。俺は鏡で自分の体を眺めました。殴られた箇所が痣になって、親父の肌のようにどす黒くなっていました。あれだけ叱咤激励される妄想をして悦んでいたのに、現実になってみると、ただ痛いだけでした。親父は俺の箸で、俺の分まで赤飯を食いました。
色んないたずらをやりましたが、この顛末は殊更はっきりと覚えているんです。親父が反応を返してくれたのは、後にも先にもあれだけでしたから。小学校に入学してからは忙しくていたずらどころじゃありませんでしたし、親父とはますます距離ができていましたしね。
親父は俺が卒業する年に癌で死にました。赤かった肌は黄疸で黄色くなっていました。腫瘍が見つかった時点で末期でしたから、あっという間に昏睡して、ぽっくり逝っちまいました。箸のことを覚えているか、聞きそびれてしまいました」
彼は一気にそこまで語り、黙った。
たった二人で座っているだけなのに、私の心は落ち着かなかった。すぐ傍に彼の父が赤い顔をしてぬうっと立っているような気がした。私の網膜に彼の動きが貼り付いていた。上半身をひねる。拳が宙を裂く。壁はそびえ立つ。犬歯が唇に食い込む。彼は打つ。彼は打つ。壁は鳴る。壁は鳴る。私はじれったくなる。泣けばいいのに。自分をぼろぼろにして痛みに耐えるくらいなら、大きな声をあげて泣けばいいのだ。しかし彼は嗚咽を噛み殺すだろう。実父に纏わるわだかまりから、目を逸らし続けるだろう。
例えるならば、彼は一本の若木だ。枝が折れてもびくともしない、太くも細くもない木。力で打ちのめされなければ倒れることもできない。唇を噛み苦痛を溜め込むはめになろうとも、挙げ句の果てに壁を殴りつけようとも、彼の体は梢がざわめくくらいなのだ。あるいは殴る行為は一種の儀式なのかもしれない。それを通じ、確執のあった父親と時を超えて重なり合うことができるのかもしれない。徹底的に拳を痛めつけ痛みを味わい尽くし、その後で始めて、己が倒れることを許すつもりなのかもしれない。
彼は執拗に手の甲をさすった。擦り傷がこすれてひりひりしそうだ。痛みを感じているのかいないのか、はたまたそれを望んでいるのか、彼は手をさすり続けた。
後に私はしばしば高架橋の下に顔を出し、彼の儀式に付き添うようになった。
彼は今でも白い肌で一心不乱に壁を殴っている。
彼は滅多に笑わない。
まるで彼の父親のように。
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損も得も知らない
(1)
映画「本気のしるし」のことを考えてぐるぐるしている。
232分あるけれど、ずっとおもしろくて、途中休憩を挟むことがとても効いていて、見に行って本当に良かった。リミテッドシリーズのビンジみたいな(Fleabagの1シーズンくらいの)もので、しかも劇場に行ってしまえばビンジの快楽に溺れ尽くせば良いわけで、とても楽しかった。
2日間仕事を巻きに巻いて無理やり終わらせて「何卒よろしくお願いいたします。」と打った10分後に家を出て本当に良かった。
どこかで見られたら是非見てください。
損、させませんから。このテキストは消えないし。半年後でも消えないから。
でもネタバレをされてない超楽しい映画を見るという体験は、一生を輝かせる、しかも物と違って絶対になくさない宝石。失われないときめき、一度だけ確約された何者にも奪えない楽しみ。
見ましたか。
一度しかないんですよ、面白いものをものすっっっっっっごく面白いまま、どこへ連れて行かれるとも分からない映画を見るという、最高の体験の方が大切ですよ。
ネタバレのテキストなんて吹いて飛ばす枯葉。
※
本気のしるしの冒頭の辻君は、不安になるほど真面目で、何かがおかしい。彼がつぶやく「めんどくさい」だけは本心に見えて、彼という人間がどんな人間なのか、あまりよく分からない。
女性からグイグイに来られて一応は返す甘い声(森崎ウィン君の声素晴らしいですね、ラジオで話を聞いてても良い印象しかなかった)も、全然気持ちが入っていない。
でも彼に心を開いてくれと迫る側も、エゴイスティックな行いをしているように見える。(森崎ウィン君がチャーミングすぎるので周辺が悪いわけではないけれど、罪深い…と友達としみじみしてしまった、蜜蜂と遠雷のマサルみたいに輝いて見えてしまう瞬間がある)
彼が飼うザリガニのマーロウの水槽が怖い。
浮世さんがマーロウに先に餌をやっていたときに一瞬漂う不穏さが怖い。彼は、ポツンといる1匹のザリガニに、ただパラパラと餌をやるのが好きだったんだなと思う。(閉じ込められた、自分1人からしか餌をもらえず、自分にだけ生存権を握られた水槽の中の孤独な生き物)
私は閉所恐怖症なので、「閉じ込められっぱなしのペット」というのが怖い。魚ならまだ大丈夫だけど、1匹のザリガニと室内に響き続けるポンプの音が怖い。どんどん濁る水の中で、ジリジリと死ななくてはいけないような気がしてきて怖い。
だから辻君が最初は立派な人だった、とは思えない。彼はあのままではいられなかったような気がするから。
彼は何が欲しいのか、自分で自分のことが分からなかったんだと思う。真面目すぎるのは、悪いことだとは言われないんだろうけれども。(もしかしたら彼は、同僚の男性からの陰口を多少受けていたかもしれない)
彼の部屋の水槽の不穏さ、美しい薄い長財布からスルスルと出されるピンとした一万円札、辻君の綺麗な指先、まくられたシャツから覗くしっかりとした手首。
スルスルと出される一万円札はどう考えても彼の会社のサイズ感と合わず、彼の人生は最後まで分からない。愛された過去があったのか、傷ついた過去があったのか、育つ過程でお金があったのか無かったのかも分からない。彼が持っていたのが人当たりの良さとスムーズなセックスだったことは分かる。
けれど結局、欲しいものに出会った時、他の誰かとは違う誰かに出会ったとき、何かが変わってしまう。「崩壊」と呼ぶかもしれないけれど、好きな人に人生の磁場を狂わされるなんて、なんて甘い出来事だろうと思う。
だって浮世だって、辻君を搾取しようとはしていなかった。
浮世は、搾取されていた。搾取され、利用され、甘い部分だけかじり取られ、彼女だけに痛みが残る。あの葉山、クソ搾取野郎だったじゃないか。
だから途中で、浮世さんが、子どもを盾に更なる搾取を狙われたときに、「あ��はよろしく」ときちんと言えて本当によかった。本当に、本当によかった。女性は、妊娠・出産で、本当にスルスルと、骨の髄まで、血をしたたらせながらすぐにすべてを搾取されうる。
それは、犯罪で宿された胎児でも、恋愛の名の下の妊娠でも、少なくとも日本では人生も命も思想も(成人男性が作った仕組みによって)あらゆる形で搾取されるようにできてる。
でもそこは、映画の中で「いや、そこはあとはよろしく」と出てきて本当にホッとした。
浮世は、搾取されていた。
強い口調と腕力がなかっただけで、ボロボロになるまで搾取され、だらしがないなんて言われて。
本当にだらしがないのは、搾取をするくせに無自覚な人間のことだ。
辻君は前半よく分からない人間だったけれども、搾取の感じは薄い。かなり序盤で美しい財布からスルスルとお金を渡し、厄介に巻き込まれ、けれども何度でも疾走してしまう人だからかもしれない。
浮世も、搾取しているわけではない。人に助けてもらっているけれども、全然ズルくない。
『私、辻さんに油断してるのかな』なんて、私には、「辻さんは私のこと搾取しない人なんですね」に聞こえた。
だからか、辻さんも浮世さんも、2人は序盤からタイマンを張っているように見えて、とても好ましかった。
恋愛において、自分はちょびっとしか掛けないのに大勝ちしようなんて、なんて浅ましい。
私はもう、本気なら、持ち金をドカンとかけて、2人で同時にコインを積んで、丁か半かとやって欲しい。賭けに賭けて、結果が出るのが半年後でも10年後でもかまわないから人間関係なんだと思う。(上野千鶴子先生の言う、自我を掛け金とした命懸けの駆け引き ですね)
2人で何かを見つけて、2人で夜も朝も昼も共にして、そして何もかも幻に終わっても、全てが「大勝ち」になるとき、それは損や得なんて知ったこっちゃないよ、と、2人が思っている時なんだと私は思う。
もう夜中なので一旦おしまい、つづく。(たぶんあと2、3倍くらいの気持ち)
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“
俺は雇われ店長やってるとき、経営者に「アホな客は全部切ってもいいですか?」 って言って、実際に常軌を逸したアホには販売してなかった。
しばらくは 経営者「ねえ、なんか苦情の電話凄いんだけど」 俺「全部無視で。無理なら全部こっちにまわしてください」 ってやってたら、1年したら売上3割以上伸びてた。利益も3割とはいわんが伸びた。 アホの売上なんぞなくても問題なしwww
客質は上がるし、アホの相手に使う時間や金も良質なお客様に費やせるしで 言うことないな。アホは買い物できなくしてやった方が地域のため。 代わりに800m離れた同業者は、売り場が壊滅して2年したら撤退したがw 多分うちがはじいたDQN客が加わった分だな。シロアリのような連中だ。 そもそも、アホの悪評に踊らされる奴も、アホネットワークの一員なので 来なくても問題ない。対応する手間が省けたと思っとけばいい。
お客様の要望に応えるのはやりがいがある。 DQNの欲求に応えるのは、すべてが無駄。
” - 客「重いからのせて」私(一瞬悩む)客「嫌なの?」私「?」 : らいふドカン( ゚Д゚)! (via yue)
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夏といえば、リラックス感やヌケ感を醸し出してくれるワイドパンツは必須でしょう。 これに共感してくださる方にぜひおすすめしたい一本です! “STILL BY HANDのワイドテーパードパンツ” アピールしたいことが満載なので、何から紹介すべきかと悩むところですが、まずはシルエットからいきます。 なにせ、素晴らしすぎるので。 画像でも伝わると思いますが、ふんわりとしたエアリーなワイドシルエット。 穿いた瞬間に「良い!」と思ってもらえる自信があります。 十分な太さがありながら絶妙にテーパードされたメリハリあるシルエットは、ドカンなワイドストレートが苦手という方にもおすすめです。 太さに合わせて総丈は長めの設定で、S相当の44で約102㎝あるフルレングスの丈感です。 そして、このふんわりなシルエットを作り出す立役者が、ウエストのインボックスプリーツ。 腰廻りとお尻廻りの見た目の広がりを抑える視覚効果があるので、太さの割に野暮ったくならないのも、このインボックスプリーツが効いているからです。 デザイン的にもカッコいいですよね。 クラシカルだし、通常のボックスプリーツとは逆向きのルックスは存在感ありありなので、タックインスタイルで存分に見せつけるのも激推しさせていただきます。 タックインとなるとバックのルックスも重要になってくるわけですがご安心を。 片方のポケットがフラップ付き、もう片方が玉縁仕様と、カジュアルとドレスが夢の競演を果たしたキャッチーな面構えをしています。 最高のシルエットを生み出すのは、デザインとパターンだけではありません。 同じくらい大事なのが生地です。 同じデザイン&パターンでも、生地感が違えばシルエットがガラッと変わるなんてことはよくある話。 そういう意味では今回の生地・パターン・デザインの相性は相当良いということでしょう。 オリジナルの強撚タイプの糸を使用したコットンファブリック。 すごく柔らかくて、ドライタッチで清涼感抜群、そして少し薄手な仕上がりです。 しかも玉虫コットン。 タマムシの翅(はね)のように、光の加減によって緑色や紫色のようにも見えるアレです。 これがまた大人感をグッと醸し出してくれるんです。 サイズはいつものように44/46/48展開で、今回はサイズ44を着用しています。十分な太さがあるので、基本はいつものサイズをおすすめします。 色はオリーブとベージュ。特にオリーブが玉虫色があって、一方のベージュはグレージュと言った方がピンとくる色味で、どちらもめちゃくちゃ良いですよ。 と、とにかく魅力的なエッセンスがギューッと詰まった一本です! #fashion #fashionphotograpy #instafashion #style #mensfashion #mensstyle #メンズファッション #メンズスタイル #メンズコーデ #コーディネイト#ファッション #今日の服 SELECTBRAND #eelproducts #stillbyhand #avontade #lamond #jackman #manualalphabet #ordinaryfits #audience #fobfactory #military #vintage and more! https://www.instagram.com/p/Cdae6umvx_6/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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