Tumgik
#地撒き帆立
kotobatoki-arai · 28 days
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ひどくもろくみえづらくさわれないもの
 たとえば  /むきだしの内臓  /メモワールの墓標  それなりの垂移にSpinを捧げる   この『たまらなく はがゆいうた』  あなた自身を映し出すわたしの瞳が存在を憶えているから、それ以上も、逸らすことも不能だった。ひらかれた例題にも、観測できず くそったれな月光の結合を視するうちに、(自嘲を溢している。)念入りな退屈の宙吊りを見物しながら……驚きのあまりに際して、睡ネブるのみ/では、影絵の受け答えはつづきもの、あの子はまだ遠くを眺めながらおはなししているらしかった。  あの摩耗したグリーンハウスの、ぬるめ触れ書きは無学の昔を留置している波が、羽根が、梢が躊躇うばかりの類例を喚ぶのだとおもった。死後に伴う永い切符を、いま、わらう主人を――芽生えだしたものは、また唄い肇めるまでわずかの差異を。   憐れな___を。跨ぐばかりで  振り子時計の針も戻った気がして。あんな虚ろな風貌を見せかける弱さを寂しさとして。ざらざらと遮るもの/ふわふわと授かること。隠蔽色に赤らめて(やまない)幸せを抱いたげて/こう平然とした古書だけが残る。斜向かいの馴染の靄に後ろが荒ぶるといえる駄物である。  見世物に記するグロテスクな溝にある関係をこうしてあらわにさせるが、今更 ないような感覚 思い浮かべたメロディを等分した インチキは贈呈品の一泡にすぎない。すべて空々しい鋳露に 色彩ができるなら。  やわらかな殖えは貧しさと撒く、入江に張り詰める、自我と対象と比べられない。水平線が熔けゆく有り様を来訪者と、見紛う 経帷子の花のきみわるさをチラつかせる、〝夕暮れ・朝焼け〟などに/余すところなく震えている。   海龜の泪をみた気がする  これは無自覚な両腕が掬う古びた箱。じかに封にするには。おそらくは乱暴ないい方では底の浅い人間 丁寧なわらい肩で。口元だけ温むけれども。掻爬したものの、きれぎれのいっぺんは荒野を泡立て無垢ないしのかけらを求め、喉に絡まる観賞魚を養いながら。垂れ込める鱗翅類の大池、むさぼり眺める、むしのいどころ/止め処無く、憐れむのですが。  なんていっても 帆を上げれない・なんて。おもえば・座敷に経る波紋に抜かれる。(もう掴めない風通しの両足、枝々と祀られる卑しい蛇を消せない、恋人が溺れている)〝有り触れて〟ゆずらない ほんとうのことは。手のひらで著アラワすけれども。迂曲するばかりに蔑んだ価値判断を、確かに。胸苦しい山頂には残照が灰で煤で、泥を吐く冬戯フユザれに、ある寂寥の旋律はふと咲ワラう。   意識朦朧の閃光でしょうか  あまり立見席はまだを識らないが。切ないおもいででも、途して締まって。塊の体系をまた肩紐の堅物の片方の形見だけ傾きつつある。白栲シロタエの余情だなとやはり責め立てるこのザマだ。引きだしの天井にのしかかり、わななく粒子と気体は こきあげるように巡り、両の眼だけ傍で在り続けるなら、しまいを頂戴。とあちこち空々しいばかりの雨 ぽつぽつと染み込んだあの、   よこしまな序文について (いままでを畏れ、従いましょう)  忘れ果て 無感覚になる 浮薄時半  徒労もないくせに、物静かに褪色する体言・壇 少焉は、薔薇色だった亡骸を。  描写するおろそかな滑車に軋み、うつ伏せの息吹の音一本ずつ。目眩に窃ヌスまれる砂を房で、咲かせたら? 餞ハナムケに由来するたなざらしの、ありきたりの見解や、次第に薄れゆく生形キナリ海図に応じて。複雑で干潮で頼りない朽葉が仰山、渇いた枝に絡まる名残/なんぼかの膨らみ。慢性的な土壌が折れ半角の目合い、相場より。あとが/ものが。どちらかを――刺し抜いた薄紫の風が気だるさに削られたほど小刻みに押しつぶされて。いきをのむ島へ、  けれど燦燦と域の音を絆ホダし残響を鳴らした鴉は? あたりいちめんそれきり。しどろもどろの――むこうは知っていたのでしょうね。こう揃えられた腹と腿と、つばさとハンカチと、言いなりの耳朶。まぁ小さな蜘蛛でしたわ。たったひとつだけ展望台で、しげく。 (いくつかの私物の糸があった。)  近く遺作の計画は前髪が濡れている  あらやだ。/「襟が汚れているな。」  ……末尾の賑やかなこと (さきもみえない/私は/あとがない)  たまゆらに咲きかけた水面下に、  『いまにして大地に、作り笑い 慎ましく 寂しかったよ』   ――おそらく輪郭は僅かにヌメる累の血を    磨りガラスの表紙に    やぶれかぶれと当たり散らしました  平行線の綱渡りと、たまらなく かゆいうた  それはきっと浜昼顔のように易しく有りましょう 私は 息苦しい みぎてのゆびきり。  すまなそうに被る月はそっとおぼろげ、意固地な人形の 星を鏤め埋め戻した、遊戯の最中でなきやんで。手渡されたこのごろも晴れて あえかに寄せた情景を鮮やかに遷した、完璧な欠乏がこうして呼吸を投げ出すとき。――それほどの多岐に亘り。  気が遠くなるほど 波をひきしだいて、いきものの美星は狭間で、無作為リズムひとつ。切手を貼らずに〝ふむ、潰す、つまむ、捻る〟黙想の腕、中だるみに痺れた約束とこれはもう雪の華だろうかねぇ。  不条理はその見栄を戸に預け、ひょろひょろと櫂をしずくを、崩れ落ちた小言を並べていった。一度にあたえる心臓のあたりが軽薄な童謡を焦らないように 譜を生きて往く尽きか展翅だった。たからかな理念か痩果・容姿類似がおおく夙に奔放とも閉口して。天明アシタにいいなおせるから、  そうだろ。感傷的なオラシオンならまだ追い縋る、暗外。完結済の。出入り口だというのに理コトワるまでもなく、手順を通りすがりの流行りにのせ。脈の目撃者の凹みを緩衝するこの完全な密室では、またずいぶん人馴れしていて暮色の濃淡とほおずりする、宴席がある。  どの少女も寝言なんて華やかな悪知恵だって  とんと音は溶けて、瞬間の真ん中に転がりこむ 『詞先シセンの助手は台本と斎サイを留めた罪人の献花をはじめる』   碑が透る思惑は鉛の頭が引き起こします。  またあなたは郵便受けから、かすかに若草の展望にひらかれた。浮世、ほのかにあふれる丘の靴音だけを期待し、踏み惑う木の葉と散り歩くこと。いくつもの汀線を/視線を気にして/眼尻を決して。闇に湾曲した傷だからこそ、空々しい獣を抱きかかえてみせるのに。この手を離れた影を再び見つけ全身に戯れてた香りはなんというか、伝わるのだろうが。――切り開いた気配として未来を天に還し、そして過去としてひかりを探りあて海に翔けることができます。  詩篇が胚を箸に変えることは指を汚すけれど、慌ただしく泥濘むだけで。延延とむずがる諦めだろ、と罵る鼓翼。事実より塵架かる。蛍火が細濁ササニゴり、惨い/ともしび。と夜を混めて流れ落ちた襞の暁は、「果たして衝動的な気分なのか。」 2024/06/15
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yoko-fr · 3 years
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大きな帆立で カルパッチョ☆
肉厚で大きな帆立‼︎
地撒き(じまき)式と言って 生まれて一年育てた稚貝を海に放し,海底でゆっくり2〜4年間成長させてから漁獲した物。
大きいだけでなく 旨みもあり美味しい帆立です♪♪
カルパッチョを作って味わう事に。
サッと炙った帆立を 厚さ半分に切って(半分に切っても 厚みがありますよ)
アボカド,レモン,それにスモークサーモンも一緒に盛り付けてみました。
あとは 美味しいオリーブオイルをたっぷり回しかけて。
レモン汁を絞り 塩,粗挽き胡椒をかけて完成です。
サッと炙った帆立が香ばしくて しかもふっくらです。
紫玉ねぎのピクルスを乗せると これも又 サッパリいただけますね。
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lostsidech · 3 years
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1-①
 日沖翔成の日々は至って平穏に始まり、平穏に終わる。
 秋口のある日、土曜日なので学校は休みだ。そういう日に行く場所はしばらく前から決まっており、それはとある会員制の町のオープンスペースだった。  秋風を嗅ぎながら紅葉の始まった街路を自転車でゆく。ありふれたビルのワンフロアを締めるそこの会員になるには、既にいる会員の紹介を受けるか、あるいはとある企業の一定部署の社員であることが必要だ。  その企業の名は株式会社帆村商事といい、世界的にネットワークを持つ薬品系商社・ホムラグループの中核企業である。  親も関係者であるからして比較的アウェー感はない。オープンスペースには会員同士のフォーラムが常に何か組まれているが、個々人が好きなことをやっている席もある。翔成はお決まりの窓際席へ宿題を持ち込んで、人々の歓談を聞きながら気ままに過ごすのが好きだった。  時おり、このあくまで会員レベルの使用が主なスペースにホムラグループのお嬢様がやってきて場がざわめくことがある。彼女は遊びに来ているそうなのだが、おそらく多少騒がれるのを確信犯でやっている──とはいえ、ここ最近彼女はずっと国外にいた。だから、翔成が特段、取締役令嬢に構われているあの子は誰だという分不相応な注目を受ける機会もない。安心して集中する環境がある。  と、今日はそこに一本の電話があった。  フリースペース内で電話が禁止されているわけでもないが行儀は良くない。翔成は携帯を手に席を離れた。移動しながら画面を確認する。……待てよ、この相手から電話というのは些か良い予感がしない。  少々渋面で画面と見つめ合ってから腹を括り、通話ボタンを押す翔成の耳に、見知った少年の声が聞こえてきた。  開口一番、 『アメリカ行かない?』 「は?」  しばしスマホを握りしめぽかんと沈黙した。  なんだって勢力の跡取りというのはどこもこうトラブルが好きなのだろう?  事の起こりは九月の半ば。  ヒイラギ会を名乗る子供たちの「声明」がメディアに映し出されたとき、望夢は家である協会宿舎でネットニュース越しにそれを見た。望夢のペアにして、当事者も当事者の瑠真は一方、数日間断固として帰寮を拒否しており、消息が周辺人物への電話越しでしかわからない状態だった。補足しておくと周辺人物へのというのは本人が意地でも連絡を取ってくれなかったせいだ。望夢は俺がなんでこいつに毎日ご機嫌伺いしなきゃならないんだと思いながら日々知り合いの門下生に電話を掛けて瑠真の様子を聞いた。  といっても望夢も暇をしていたわけではない。学校は相変わらずサボりがちだったが、協会名誉会長こと神名春姫のお守りもしなければならなかったのだ。九月初旬に八ツ留村で起こったヒイラギ会との一件以降、怒りっぽくなった春姫は会長室に訪れる望夢を捕まえては管を撒くようになった。老人じゃあるまいにと思うが老人ではある。 「あやつら、調子に乗りおって」  怨嗟の声を吐く春姫が見つめているのはヒイラギ会が流布している「宣戦布告」だ。  九月一九日、インターネットとマスメディアで一斉に公開された映像は、四人の幼い子供たちのキャッチーな語りであっという間に一世を風靡した。  かつての協会(リヴィーラーズ・ライト)と同じです。みなさまの世界の視えかたに、ちょっとだけお手伝いを差し上げる。  わたしたち、そしてあなたも『ホーリィ・チャイルド』です。  一本目に公開された、その動画のあと、ヒイラギ会の子供たちはひらひらと春姫の捜査の手をかいくぐって、深夜番組やアングラ動画サイトに出現し続けた。  どの動画でも主張は変わらない。自分たちの世界解釈を語るもの。その布告内容は日本の協会トップ層、そして全世界の協会や同じ活動をしてきた組織群に、多大な衝撃を与えるものだった。  現行の協会秩序、また世界で言うリヴィーラーズ・システムは、決して完全ではありません。いえ、むしろ少数の既得権者の手によって恣意的に決められ、押し付けられたものと言わざるを得ません。  彼らは、わたしたち『協会のやりかたでは生きていけない異能使い』を塗りつぶして発展してきたのです。  そう言ってヒイラギ会の少年少女は、春姫たち現行異能権威を意図的に挑発した。つまり彼女たちは、戦後協会があらゆる手で秘匿してきた解釈異能についてのあれこれを、たいへん分かりやすい言葉で世界一般に向けて喋ってしまったというわけだった。  正直なところ。  望夢がすかっとしなかったといえば嘘になる。 「秘匿秩序の崩壊じゃぞ。お主ももっと怒るところじゃろうが。秘匿派警察」  最初の動画から何日目にか、現行の日本の協会を自ら作り上げてきた神名春姫はそう言って激高を見せたが、 「悪いけど俺はもう秘匿派警察やめてる」  肩を竦めて見せたら涙目ですんすん言っていた。望夢も仲間だと思ったら裏切られたように思ったのかもしれない。よく言う。秘匿派の権威である望夢の実家は春姫自身がリヴィーラーズ・ライトとして潰した。  実際のところ、望夢はそれほど動画に対して文句を言う立場ではない。秘匿派警察が残っていたとして、大した変化は無かったんじゃないかと思う。  秘匿派というのは協会に対置するための便宜的な名前だ。もともと、必ずしも解釈異能の存在の秘匿を目的とする派閥ではないのだ。  高瀬式の役目は解釈異能同士の争いを調停し、バランスを取ることだ。かつて、高瀬式をトップとした秩序が生きていた頃には、ある勢力が異能の秘匿を破って広まれば高瀬式に狩られたらしい。秘匿派警察というのはその頃の名残の呼び名だ。しかし、その頃とはそもそも世界の権力の在り方も、情報の遍在度合いも異なる。  かつて、今ほど異能界でも一般政治でも、中央権力が強くなく、また情報技術も発展していなかった時代には、開花異能者に対しては、高瀬家が介入しながら、個別に適切な居場所を斡旋する必要があった。これは望夢の考えでもあるが、だからこそ不平等に蜜を吸う勢力は存在を許されなかったのだと思うのだ。現代では平等なアクセス環境さえあれば、多様な組織が乱立し、個々人が情報収集して所属先を選ぶことができる。それならそのほうがずっと健全だ。現代における協会一強体制はバランス上誤っている。少なくともその結論だけは、戦後秘匿派の共通認識のはずだった。  ヒイラギ会の言うことには一理あるのだ。やり方が直接的で、何の根回しもなくことが始まったから、世界を騒がせているだけで。  いや、根回しは無かったのだろうか? 気づかれていなかっただけかもしれない。  所属者が子供たちだけあって、表社会では彼らへの世間の批判も手ぬるい。世界中で、いつの間にか彼女たちを応援するヒイラギマークのバッジやアイコンが使われ始め、SNS上では、まだまだ少数派とはいえヒイラギ会への賛同意見が日常的に見られるようになっていた。また数か月前からのホムラグループ社員失踪事件も無関係とは思えない。巨大組織で末端までは統率が行き届きづらく、それも心理系が専門で研究が盛んなホムラグループ内では、随分前からヒイラギ会の存在が浸透していたようなのだ。  協会などの統括組織側は火消しの旗を振っているが、これほど一般人に知られれば変化はとどめようもない、と望夢は思う。  ──そんな折に。 「世界大会をするぞ」  春姫が言い出したのだった。 「は?」  いや正確には春姫が言い出したのではないのだろう。それは春姫と、春姫の昔馴染みらしい協会の隠居会長、それから秘書の杏佳が、オンラインで何やら会議したあとの発言だった。  それが実は、海外の異能統括組織と繋いだ国際会議だったことをその後の説明で知った。  ほどなくして協会の関係者全体に、それから世間一般にも布告されることになるそれの名前。  超常世界大会、E-Ⅰ-C。  日本におけるいわゆる協会式──世界においてはリヴィーラーズ・システムと呼ばれる超常術の異能体系の中で、「いかに多様な可能性が開かれているか」を大衆に向かってアピールする──それは、アトラクションだった。
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kachoushi · 3 years
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各地句会報
花鳥誌 令和3年7月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和3年4月1日 うづら三日の月句会 坊城俊樹選 特選句
春彼岸阿弥陀背にして説法を 柏葉 母編みし毛糸のベスト解いて編む 由季子 解く帯に桜一片舞ひ落ちぬ 都   人に酔ひ酒にほろ酔ふ花の園 同  初蝶の行きつ戻りつ旅立ちぬ 同 
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 
令和3年4月1日 花鳥さゞれ会 坊城俊樹選 特選句
天蓋は万朶の桜愛子の忌 かづを 最古てふ天主や花の海に浮き 同  椿落つ秘めたる想ひ絶ち切れず 笑   花の寺御仏こぞりて笑み賜ふ 同  走り根の��む老木の花淡く 希   鐘楼門栄華の花は盛りなり 同  初蝶の止まつてばかりゐる黄色 雪   ぽつたりと云ふ落ち様の肥後椿 清女 濠は今満月のもと花万朶 数幸 ねむたげな目をして地蔵花の寺 天空
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 
令和3年4月3日 零の会 坊城俊樹選 特選句
花屑の起伏を流れたる音頭 要   あかんばうだらんと垂れて八重桜 いづみ カーブへと都電の軋む花の駅 眞理子 霾やホテルアスカのネオン消え 光子 白き指触れれば老いてゆく桜 順子 花山のお狐さんの花見酒 きみよ 風光る都電カーブに傾けば 光子 花追うてちんちん電車下��へ きみよ 丁字路に男惑へば花ふぶき 和子 貨車つづく花の昼なら長々と 和子 春惜しむやうに各駅停車かな いづみ 花衣花の音頭に揺れ止まず 慶月
岡田順子選 特選句
花屑の起伏を流れたる音頭 要   花吹雪その一瞬の神かくし 久   北病棟梟徘徊する深夜 公 世 山頂は花の冠雪なりしかな 俊樹 春昼の子爵の気配する館 きみよ 動くたび翠玉に化け春の蠅 小鳥 落つ花も落ちざる花も狐憑く 俊樹 お屋敷は棕櫚の置かれし復活祭 いづみ 山吹や古き稲荷に鬼女の謂 千種 都電行く花のレールを懇ろに 俊樹
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 
令和3年4月7日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
愛子忌や花の仏の目鼻だち 世詩明 陽炎や聖火近づく靴の音 ただし 尼様の逝かれて久し花の庵 清女 春愁や廊下に邪魔なすべり台 同  屋根の上猫を消し去る花吹雪 誠
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 
令和3年4月9日 芦原花鳥句会 坊城俊樹選 特選句    塵芥浜に打ち寄す涅槃西風 よみ子 紅椿落ちしまゝなりいくへにも 寛子 朧の夜磨りて薙刀月なりぬ 依子
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 
令和3年4月9日 札幌花鳥会 坊城俊樹選 特選句
亀鳴くや狸小路といふところ 清   子猫には知らぬ値札の差でありき 同  新しき街にもなれて朧月 同  いつの間に少女は乙女初蝶来 晶子 ほつとする出会ひに似たり蕗の薹 寛子 鮨屋出てちよいと歌碑まで啄木忌 のりこ 舞姫の余波の浜の桜貝 岬月 空海の学びし都霾れり 雅春 花は葉に大樹あくまで孤高なる 同
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 
令和3年4月9日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
葱坊主砂丘の畑に海を見て 栄子 縮こまりゐしが色めき勿忘草 史子 妹の炊く釘煮の味や春の潮 佐代子 花曇貝殻拾ふ習はしに 幸子 チューリップ閉ぢて乗せゐる細き月 都   払暁の厨に水を撒く浅蜊 宇太郎 大手門潜り落花の畏まる 悦子 鞦韆や正面にある日本海 益恵 大土手に游がせ青き鯉幟 益恵 囀や赤子は喃語はなしかけ 和 子
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 
令和3年4月10日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
もこもこと花に潜りし虻の尻 三無 著莪咲くや十年祭のとしあつ師 文英 石楠花の色の溢れて空の青 同  虻戻る宙の一点違へずに 秋尚 野の草も木々も輝く寺うらら 瑞枝 影淡く残しほぐるる牡丹かな 秋尚 若楓日に透けて師の十年祭 文英 蜃気楼より戻りくる大漁旗 三無 手のひらに残花ひとひらとしあつ忌 同  花筏小鷺の暫し石の上 文英
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 
令和3年4月12日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
笑ひ皺深き自画像山笑ふ 清女 ヘリコプター右往左往の霾ぐもり ただし 一輪の菜の花明り無人駅 英美子 二百羽の白鳥去りて水落とす さよ子 となりからグラタン届く蝶の昼 清女 黒々と土掘り起こす夫の春 錦子 お姉さんと呼ばれし母の古浴衣 清女 昭和史を読み継ぐ窓や冴返る 上嶋昭子 落花浴び二人の会話とめどなく 中山昭子 風光る子の背で踊るランドセル 英美子 霾れり外は砂塵の匂ひあり 中山昭子 日差し受け新樹ふくらみ山太る みす枝 牡丹の土くろぐろとごろごろと 信子 調停を終へて出で来る白日傘 上嶋昭子 四月馬鹿小さくなりし力こぶ 三四郎 豊麗といふ重さあり八重桜 上嶋昭子
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 
令和3年4月12日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
草団子つかまり立ちし子の笑ふ 実加 花の雲散りては隠れ鳥の群 あけみ 空色のファーストシューズ若草に 登美子 自転車で駆け抜けてみる花吹雪 紀子 花の下貨物列車がゆつくりと 同  リード張る犬の目の先青葉萌ゆ あけみ 草餅を炙るおばあの手の記憶 同  春の灯や見覚えのある泣きぼくろ 登美子
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 
令和3年4月12日 伊藤柏翠俳句記念館 坊城俊樹選 特選句
花万朶天守の高さ残し散る かづを 天主てふ高さ支へし花の雲 同  天帝の機嫌のよしや雲雀また 同  散る花に戦争語る皺深く みす枝 はじめての大地歩む児風光る 同  春愁や黒が似合ふと云ひし人 雪   鳥帰る古墳の山を越えて行く 千代子 涅槃図の嘆きの蛇の舌赤し ただし 葱坊主蝶遊ばせて三畝ほど 高畑和子 天に紅地に錆色の落椿 英美子 鯉幟青空支配してゐたる 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 
令和3年4月12日 福井花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
妻の座に一人占めなる春炬燵 世詩明 巣立鳥軒離れるに啼き叫ぶ 同  春水の池も小川も老舗宿 和子 風の中ゆつくり曲がる花筏 千加江 チューリップどんな空にも納まりて 同  吾が前にチューリップ揺れ百八色 昭子 児の描く屋根より高いチューリップ 啓子 春塵や踏台見ゆる古本屋 泰俊 義士祭や夕日の端に寺箒 同  黒髪の如くつらつら椿かな 雪
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 
令和3年4月12日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
とりどりの緑の若葉森太る 三無 淡く透け風を誘ふ栃若葉 秋尚 初蝶は白でありけり水辺ゆく 和魚 地を漁る鳩嬉嬉として躑躅燃ゆ 三無 サッカーの声を散らして若葉風 怜   若芝を歩く足裏に気の満ちる 貴薫 東屋の池の水枯れ著莪の花 せつこ 傾きし午後の日集め山吹黄 秋尚
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 
令和3年4月13日 萩花鳥句会
秀吉を偲ぶ醍醐寺春の星 祐子 入寮す荷解きの窓春の月 美恵子 金の座の柔人生花吹雪く 健雄 明日発つ子に取り分ける桜鯛 陽子 春の月言葉少なに客送り ゆかり さくらさくら今は無人となりし駅 克弘
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 
令和3年4月18日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
囀のやみておくつき土匂ふ ゆう子 鶯の声の滴の落つる句碑 三無 大空を抱きて長閑母の塔 亜栄子 法鼓鳴る終の牡丹のいよよなる 慶月 鯉幟岡本太郎の目がふたつ 千種 武士の如蘖ゆる城址かな 斉  
栗林圭魚選 特選句
年尾来よ陽子の墓へ虹架けて 俊樹 シーサーの睨みの門扉松の芯 亜栄子 初蝶来うすむらさきの影を追ひ 久   若楓威を持ちて守る年尾句碑 文英 葉の蔭に香り残して花通草 秋尚 春行くやおほよそおうてゐる時計 久   武士の如蘖ゆる城址かな 斉   枡形の山峡深く藤懸かる 亜栄子
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 
令和3年4月22日 鯖江花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
うららかや女医に診られてゐる鼓動 一涓 グクと泣く鍬先に詫び畑を打つ 同  訪へば由利に左内に花吹雪 同  ことごとく合掌解きて紫木蓮 同  初蝶の黄のあまりにも濃ゆきこと 雪   雨上がり燕大きく十字切る 信子 天を指す指より甘茶光り落つ みす枝 化粧水顔を叩けば夏めきぬ 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 
九州花鳥会 坊城俊樹選 特選句
風光る帆を張る船は膨らみて 佐和 風光る紙飛行機の未知の空 久美子 胸もとへ闇はゆるやか花衣 佐和 風光る臍の緒ほろと母の手に 睦子 花屑を浮かべ流離の水となり 朝子 星月夜帰船に満ちし博多港 佐和 ゆるゆると緋鯉にゆらぐ春の雲 勝利 いつまでも止めぬ石蹴り風光る 久美子 花蘇枋久女多佳子のこゑ聞こゆ 美穂 風光り手押しポンプは水を吐く 洋子 空までも君と一緒の半仙戯 さえこ 炊出しに悪漢もゐて彼岸寺 喜和 かくれんぼいつかひとりの春の暮 ひとみ たちがみの天馬とまがふ仔馬生れ 千代
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 
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私は現在26歳の大学院生、男です。 私は少年院に通っていました。
スレタイは通ってましたの方が良かったかもしれませんね。 今でも昨日の事のように思い出されます。
中学一年の頃、私は虐めにあいました。 初めて受けた屈辱に自分の弱さが大嫌いになりました。
小学生の頃、私は勉強も出来るほうでスポーツもかなり得意でした。 そのためか割りと友達も多く順風満帆といった感じの生活を送っていました。
その頃から理論物理に非常に関心を持っていたため将来は大学教授になるのが夢でした。 親にもよく話をしていました。すると親は、 「そんな勉強したいなら中学も受験したら?」 と言いました。私はあんまり考えもせず「受験」という言葉に惹かれて私立の受験を決意 してしまったのです。 小学6年の7月のことでした。
小学生最後の夏休み私は大手の進学塾に通いよく勉強しました。 そこの塾は皆優秀で同じ私立中学を目指す友達も多くいました。 7月から入塾したためなかなか話し相手が見つからず、休み時間は静かなものでした。 周りの話し声を遠くに聞きながら机の上でよく社会の年表をみて過ごしたものです。
学校の知り合いは一人もいません。 夏休みの或る日全国模擬テストが開催されました。
「努力の甲斐あってか塾内では3位という好成績をとることが出来ました。 塾では一気に有名になり、これを機に多くの友達も増えました。
母親はどちらかと言うと甘い人で昔から若干親馬鹿といった感じでしょうか、この時も 異様なまで私を褒めちぎるのです。私もとても嬉しく次も頑張ろうと思いました。 一方父親は寡黙な人で褒めることなんてありません。
翌日から塾では休み時間に友達と弁当を食べたり話したり出来るようになり塾でも学校でも 本当に楽しい日が続きました。
そして中学受験。倍率は7.8倍とかなり高かったのですが何とか合格出来たのです。 家ではお祝いもし、私はこれから始まる中学生活は希望で満ち溢れていました。
中学ではやはり塾と同じように知り合いは見当たりません。 小学校からエスカレーターであがってきた生徒が多く校区出身の生徒はあまりいません。 私のような校区出身者は静かに席に座っている人が多かったです。
でも私は皆とお喋りをしたりするのが大好きなので何回も自分から友達を作ろうと話しかけたりも しました。でもそう上手くはいかず、約1ヶ月半そのような状態が続きました。 そして最初の中間テスト。 各教科の担当の先生は成績優秀者を上から数名挙げる人が多く私は理科と数学で名を挙げられ ました。顔には出せませんが心の中では本当に万歳でした。 塾の時と同じようにこれでまた友達が出来るのではないか」 とも思いました。 その翌日からです。すべてが狂い始めたのは。
私はいつものように席に座ります。しかしいつもと何か違う。 机の中の教科書が一冊もありません。 そればかりかロッカーの中の体操服も。 それからというものやたら物が無くなっていきました。 小学時代は全てが上手くいき何も問題なく過ごしてきたのでまさか虐めなどとは思いもしませんでした。 しかしそんな私でも実際に暴力を受ければ気付きます。 最初のうちは頭をうしろからしばかれる程度でした。 段々度が増してきて背後から膝で背中を蹴られたりし呼吸が出来なくなる事もありました。 私は学校が嫌いになりました。
でも親はいつものように親馬鹿ぶりを見せるのでまさか虐めなんて事は言えません。 なるべく家では明るく振り舞うように努力しました。 一学期が終わりになる頃、私はとうとう虐められているグループ(10人ほど)に呼び出されました。 こうして対面して何かを話すのは初めてです。今度は何をされるのかと怖さ故に足がガクガクしました。
虐めグループ「これからお前はクラスで一番下の位になれ。」
私はそれを聞いた時、正直ホッとしました。これで済むのなら何てこと無いなと思ったからです。
   私    「うん、わかった。」 虐めグループ「あとこれを読め」
そう言って一枚の紙を手渡し去っていきました。 私は脱力感に見舞われその場に座ってしまい、手渡された紙に目を通しました。 私は目を疑いました。紙には次のような事が書かれてありました。
1・毎日必ず上納金を渡す。 2・サンドバックは抵抗してはならない。 3・誰の言うことにも「はい。」と返事をしろ。 4・タメ口を使うな。 5・弁当を食べてはいけない。 6・自分から話しかけてはいけない。 7・召使として精一杯努力しろ。 8・口外するな。 9・前を通るときは失礼しますと言え。 10・以上の事を守れなければ即処刑。
最後の「処刑」という言葉に私は恐怖を感じた
次の日から受ける虐めは強くなりました。 今まではどちらかと言うと無視や物を盗られるのが多かったんですがそれからは、 あからさまに殴られるようになりました。 朝教室に入ると髪を掴まれトイレで袋にされたり水をかけられたり鼻や口からよく 血を出したものです。顔は目立つからと言ってわき腹を殴られることが多く、何度も 地面に倒れ呼吸困難になりながら上から蹴りをくらいました。
夏休みに入り勉強合宿というのが始まりました。 そこは学校とは違い皆開放された感じで虐めも酷くなりました。
食堂のような所でも虐め��受けました。私のご飯は茶碗に半分の白飯だけです。 二日間で食べたご飯は約茶碗3杯程度。流石に空腹に耐え切れず食堂の係員さん に頼んで残り物のご飯を頂きました。 当然合宿先で風呂に入れてくれません。私は雑用係を任され片付けや掃除をよくしました。 寝る時も床です。しかし硬い床でもゆっくり休めるので本当に落ち着ける貴重な時間でした。
二学期が始まってもいっこう酷くなりました。
或る日の弁当の時間のこと。 母親は毎日きちんと弁当を作ってくれているのですがいつものように食べさせてはくれません。 しかしその日はいつも以上でした。 弁当を机の上にひっくり返されその上に牛乳を撒かれ髪を掴まれ顔をその上に叩きつけられました。 しかし驚いたのはその後の事です。 一部始終見ていた担任が発した言葉です。 「おいOO(私の苗字)。ちゃんと雑巾で拭いとけよ。」
私は全てから見放されホントに絶望を感じました。 そしてこの頃からでしょうか、私の心の中に憎しみがこみ上げてきたのは。
教師とは全く何の力にはなってくれませんね。 別に助けを借りようなんて思いませんがこの人格を問いたくなります。 今までは虐めグループに対し恐怖の念しかありませんでしたが、段々仕返しという気持ちに変わって いくのです。
二学期も終わりを迎え大分、虐めにも慣れてきました。 が私の怒りは決して風化することはありません。
そんな鬱憤たまったある日、いつものように私は痣が残るまで輪にされ暴行を受けていました。 そして虐めグループの副リーダーがある事を口走ったのです。
「こいつの弟もボコボコにしちゃおうか?えっ?」
私はこの一言で「こいつを殺らなければ弟がやられる。」と思いました。
しかし身体の大きい人ばかりのグループだったのでまさか正々堂々戦えるわけがありません。 その週の土曜、私は少し離れた街へでかけバタフライナイフとスタンガンを購入しました。 後から、何故思いとどまることが出来なかったか何度も自問しましたが、このときは弟を巻き添えにしようとした、あいつが憎くて仕方なく無我夢中でした。
二日後の月曜、朝っぱらから私はリンチに遭いました。(体育館の倉庫の中です) 約5~6分でしょうか、暴行され続け、私は今しかないと思いました。
ポケットに入れていたスタンガンで輪を作っている4人全員に反撃しました。 物凄い音とその場に倒れる虐めグループに戸惑いはしましたが中途半端にすると後が怖いので思うがままにしました。 3人は痙攣し、指や足先がピクピクしていたのを覚えています。しかしあと一人は上手く当たりませんでした。私は義務感とも言うべきか逃げ腰のその一人の首を目掛けて失神するまでスタンガンを当て続けました。 しかし本当の戦いはここからです。私は覚悟を決め体育館入り口にいるリーダーと副リーダーに制裁を加えようと思い、倉庫を出ました。しかし倉庫内の音は外にはなかなか漏れないようでターゲットの二人は、気づいていないようでした。
私はズボンのポケットに入れていたバタフライナイフを出し、まずリーダーに襲い掛かりました。 逃げられたらいけないと思い、太ももを切りつけました。 リーダーの叫び声が響き渡ります。と同時に登校してきた女子生徒の悲鳴も聞こえたような気がします。 人が集まる前にやらなければと(冷静でした)思い足を切りつけた後、胸板から腰にかけてナイフで 約50cmほどシャットやりました。血が滲み出てきてリーダーは喘いでいました。 とそのとき形相を変えた副リーダーが背後から肘鉄で背骨を攻撃してきたのです。 私は激しい痛みと意識が飛びそうになるのを耐えてカウンター気味に両手でしっかり持ったナイフで腹部を 思いっきり刺しました。ナイフが刺さったままそいつの口から血が出てきてその場に倒れました。 思っていたよりナイフは簡単に刺さりました。副リーダーは運良く冬服を着ていなかったからでしょう。 そのあともがく副リーダーの意識を飛ばすために1秒ほどスタンガンをあて私は倉庫へ逃げました。
3分ほどの出来事でした。倉庫へ戻った私は今までされた事と、弟を狙おうとした憎しみを倉庫に居る 虐めグループにぶつけ何度も何度も泣きながらのしかかって殴りつけました。
そして少しして私は誰かから口頭部を殴られました。体育教師でした。
その後はもうほとんど記憶はありません。 何日も何日も調書作成のためにしつこく質問されて私はもうその学校の生徒ではなくなり、鑑別所に入れられ幾多と精神分析をされ少年院に入れられました。
母親は倒れ精神科へ通院が必要となり半年起きに面会に来る父親はもうほとんど口を聞いてはくれません。
リーダーは全治1.5ヶ月で副リーダーは内臓からによる出血多量で意識不明の重体で一週間後に亡くなったそうです。
私は13歳にして人殺しになりました。
少年院の中で私は静かに暮らしていました。 プールの授業などは本当に楽しかったです。学校では顔を水の中に押し付けられ多くの水を飲まされ吐くこともありました。ここではそんな事はありません。
何人か友達も出来ました。しかし皆、決して自分の過去について話すことはありませんでした。 でもその友達は喧嘩をして何度も反省室に入れさせられていました。
(反省室とはほとんど光が入らず寝るスペースしかなく猫が出入りするような小さな小窓から時間が来れば 飯が出てくるだけ、というまさに静寂と孤独の空間でした。一週間居れさせられます。)
一年半が経ち私は外の世界に出ることが出来ました。 私は人殺しという荷を背負ってこれ以上親族に迷惑をかけないよう独りで上京し遅れながら高校へ進学しました。
父に学費を払っていただいたがやはり生活できないため朝昼は仕事、夜は学校という生活を続けました。
しかし、定時制の授業だけあってなかなか大学に合格できるだけの授業はしてくれません。 私は独学ながら頑張って勉強しました。
高校3年になろうかと言う頃、夜学校から帰りポストを覗くと珍しく手紙が一通入っていました。 父親からの手紙でした。
「いきなりですまない。 嫌がらずに最後まで読んでくれ。
昔から勉強もよく出来て何も習わさずにいたがスポーツも優秀でそんな息子を俺は何よりも誇りにしていた。俺はお前を叱った記憶はほとんどいない。それも信用をしていたためだ。 言わずもがな。お前は物分りが良かったから敢えて俺は何も言う必要はなかった。 母さんはあの日勉強を頑張るお前のためにと年末旅行を計画していた。 しかし連行されたお前の話を聞いた母さんは倒れ入院した。 もう何日も寝込んでやっとまともに話が出来るようになったのだが精神がいかれてしまい今度は精神病院へ行った。 この時、俺は正直お前が憎かった。我が子ながら俺の愛する母さんにこんな目を遭わせたお前が憎かった。
しかし警察の調査によって段々俺にも報告が来るようになった。 俺はそれを聞いたとき涙が止まらなかった。 もし俺がお前だとしても、やはり家族にそんなかっこ悪いとこ見せられないだろうからいえなかったと思う。 そんなお前に気づいてやれない俺には父親の資格はない。そんな事は今更という感じだが、何度も何度も面会のときに謝ろうとしたんだが、情けない俺は何も言えずにただただお前の話を聴くだけしかできなかった。面会が終わり部屋を出ると俺は崩れ落ち餓鬼のように泣いた。 地面に拳をぶつけ悔しさと辛さで居た堪れない気持ちでいっぱいだった。 自分の息子をこんな形でしか気持ちを伝えられない俺は本当に駄目な親だと思っている。 しかし、俺は今お前に会う勇気はない。俺は、かいまお前を憎みさえした。 見す見す息子が暴行受けているのを見逃す親だ。お前も会いたくはなかろう。
すまなかった。 金銭面だけしか援助してやれないが俺を許してくれ。 お前ときちんと会話したのはもう4年以上も前だ。 これだけ愛する我が子なのに会うことが出来ないのは本当につらい。 ひょっとしたらもう一生話すことが出来ないかもしれない。 しかし俺はお前を世界で一番の自慢の息子だと誇りを持って言える。 どんな事があっても自慢の息子だ。
雑筆で長くなってすまんかった。じゃぁ健康に気をつけて頑張ってくれな。」 父親の手紙は涙で所々ボールペンの字で滲んでいました。 私もその手紙を読みながら夜通し泣き続けました。 今までで一番父親を側に感じることが出来た瞬間かもしれません。 何度も何度も私はこんな息子を愛してくれている父親にお礼を言いました。
それから二年が経ち一浪し旧帝国大学に何とか合格することが出来ました。
大学では割りと自由に行動でき、充実していました。 家庭教師をしながらボロアパートで友達と同居していました。 そんなある日、私はポロッと前科があることを友達に口外しました。 あまり隠しておきたくはなかったんですが無意識の内に喋ってしまい私も同居している友人も一瞬、戸惑いはしましたが、そのまま会話は続き内心ホッとしていました。
翌日は日曜で特に用事も無く私はここぞとばかりに昼近くまで眠っていました。 少し寝すぎたと思いながらふと目をサマストいつもは狭いと感じていたアパートの一室が妙に広いのです。
辺りを見回すと一枚の紙切れと一か月分の家賃が置かれてありました。同居している友人からでした。
私の前科のことは触れていませんでしたが、明らかにそのことで出て行ったのでしょう。 一人の大切な友人を失いはしたのですが私はそれでいいと思います。 このように自分に対してしっかり気持ちを伝えてくれる友達が居たことは嬉しかったです。
それから半年が経った冬の日、故郷の病院から電話がありました。 私は新幹線に乗って雪の降る中急いで帰省しました。
もう病院へ着いたときは集中治療室で面会謝絶でした。脳・心臓疾患だそうです。
数日後、父は過労死で他界しました。結局手紙の通り父との会話は小学6年生の時が最後でした。
通夜、葬儀は速やかに行われました。 葬儀が終わりようやく一段落し、弟とゆっくり話す機会が出来たのです。 本当に久しぶりで色々謝らなければならない事もありこれからの事も話し合おうと思い声をかけようとした時、弟から、
「もう縁を切ってくれ。あと3ヵ月後結婚をするんだが呼ぶつもりはない。」
と言われました。私はこの一言でこの世の唯一の家族を失ったのでした。
仕方ないことかもしれません。犯罪者が同じ家族に居ればどれだけの迷惑がかかるかしれません。 弟のためとはいえ人を殺した事実は変わらないので私は素直に弟に従いました。 「迷惑をかけて申し訳なかった」 と言い、私はその場を去りました。 もう親戚も私に関わることありませんでした。
しばらく父の遺産と家庭教師のアルバイトと夜中の土方仕事で学費を払っていたのですが、流石に将来の不安もあり故郷の実家にかかる固定資産税も馬鹿にならないので親不孝と思いつつ取り壊すことに決めました。
久しぶりに実家に戻るとポストの中には「死ね」「犯罪者」「魔物一族」などの書かれた紙で溢れていました。 私にはいつ何処でも犯罪者というものを回帰させてくれるものがあります。
部屋に入るとひんやりした空気が私の肌を刺激しました。 昔、私が生活していた空間を目の当たりにしながら家族の笑い声が耳の中でこだまします。 昭和の頃から使われていた円い円卓は変わらず堂々と居間に座っています。
全て私が家族と過ごした最後の日と変わっていませんでした。
私は思わず泣き崩れました。 あの幸せな日々は一体何処へ行ってしまったのだろうか。 もう一度だけこの円卓で家族と夕飯を囲みたい。 幸せだった小学生の頃・・・。 後悔の念が込み上げてきてやっと離れていった家族を実感してきました。 独りだけどやっていけるなんて強がっているふりをしていましたが、私は今でも家族が好きだ。
私のせいで母は精神が滅入ってしまい衰弱死。 私のせいで父に心配をかけ無理をして過労死。 そして犯罪者の弟とレッテル張られ楽しい生活を失った弟。
みんな私の責任です。私は自分の大切な物を自分の手によって失ったのです。
私は決して戻らない家族と離れることが嫌で仕方ありませんでした。 その家族と語りつくせないほどの多くの思い出が詰まるこの家が恋しくて2、3日此処で生活していました。
しかし自業自得。私は家族と気持ちの上でも別れる決意をしました。 もうお別れです。生前全くお礼を言うことが出来なかった父に深くお礼を言い、私の事を本当に大事にしてくれて可愛がってくれた母に感謝の気持ちをこめたお礼をし、何も兄らしい事をしてやれず更に一生迷惑をかけてしまった弟にも謝罪をし、その家をあとにしました。
家は取り壊され、そこは草一本生えていない空き地と化しました。もう何も残ってはいません。
今、私には家族も親戚もいない。友達もいない。恋人もいない。 あるのは履歴書に残る前科と未だ消えることのない、いや一生消えることのない人殺しという代名詞。 自分の手によって決断したあの若き頃の事件。それも永久に私に付き纏うだろう。
私は中学生にして人を殺した。
院(大学院)の研究室でそれを知る者は私以外にはいない。 知る必要もない。私は一生独りで生きていくからだ。 家族の幸せと同級生の人生を破壊した私に命があるだけまだ神に感謝すべきである。 何も贅沢は言わない。勿論結婚などはしない。
私は凶悪犯罪者であり殺人者だ。
私は本来なら世のため弟のため遺族のため死ぬべきなのかもしれない。 自分でも誰のために生きているのか解からない。
もし後世があるのなら、私は家族の温かみを一生の宝物にするつもりだ。 もう家族の笑顔を失いたくはない。
私はまだ未熟でこんな形でしか虐めを止める術を知りませんでした。 しかし確実に虐めは無くなりますが、一生を変えてしまいます。 家族というのは身近にいると何でもない存在ではありますが、私は、 ある日を境に家族を失いました。 家族のいない、誰からも相手にされない孤独がどれほど辛いか解って 頂きたかったです。
” - てんこもり。 【少年犯罪】私は少年院に行ってました。 (via nobody-nogroup) (via iyoupapa) (via oharico) (via x-117) (via fishandmush) (via precall) (via 908908) (via skaholic) (via brccolsy) (via petapeta) (via mitukiii) (via quote-over100notes-jp) (via takeori) (via yue) (via knnr, nobody-nogroup-blog-blog) (via gkojay) (via nowater-nolife)
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eidolon1087 · 7 years
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十六夜 01  (佐櫻 / 第二子妄想注意)
十六夜     いざよい
     今宵,月は海を渡る君の想い運んでゆく.
今夜,月色映照著海洋,將你的思念傳遞了過來。
  一名深藍色髮的男人閉眸,以手為枕,側躺於和室,紙拉門渲染了花散月的光影,他熟睡著,俊俏白皙的容顏倒映著木格窗紋,薄唇微抿,幾綹髮絲半掩於面龐。
  這裡,是水之國,執行任務的暫居所。
 空蕩的左袖之下,粉緋色髮的嬰孩躺落於他的懷抱,稚氣白皙的睡臉是如此柔和。
  同じようにまた朝がきて, 同じようにまた夜がくる.
早晨如同往常一般到來,夜晚如同往常一般到來。
  「爸爸,你當公主。」
 清朗的嗓音笑著說,一名粉緋色髮的小男孩倚坐於簷廊,以雙手拿起了故事書繪本,他穿著火扇家紋的立領上衣,相似於母親的綠眸與男人對視,笑彎著眼。
  宇智波朔也(うさはサクヤ),5歲。
  ……….。
 佐助沉著臉,閉眸,小朔也執以一只紅色髮夾,將幾綹深藍色髮絲抓起,紮成了束,湛藍色天空之下,父親與兒子坐在簷廊,櫻花飛落,紙障子映照著兩人的剪影。
  羽色黑黃相間的鷹隼,絆(キズナ),圓亮的黑瞳注視著他們。
  頼りなく,風に揺られるだけの不安定な愛で.
沒有依靠,只能感受到風的吹拂搖曳,這不安定的愛。
  「兔王子要騎著馬去拯救公主了,呼啊呼啊呼啊。」
 小朔也抱著兔子玩偶,將娃娃騎在絆身上,牠驚嚇的拍動著羽翼,掙扎的想逃。
  離れていても,傍にいても.
即使離開了,即使在身邊。
  幽深的玄黑色眼眸倒映著兒子的笑顏,回憶著妻子、以及女兒,悵然輕掩。
  いつも,いつも,君を守りたくて.
一直、一直,想守護著你。
    *
    「小絆,爸爸快要回來了,我們必須做好準備才行。」
  一名粉緋色髮小男孩抱著兔子玩偶,可愛白皙的容顏相似於父親,抬眸,笑彎了眼,他穿著火扇家紋的立領上衣,小小的背影走入和室,木格窗渲染了黃昏的微光。
  宇智波朔也,7歲。
  羽色黑黃相間的鷹隼,絆,鳴叫著,拍動了展開的羽翼,跟隨於他的身後。
  「第一個工作是,擦地板。」
 稚氣白皙的容顏輕咬著唇緣,小朔也執以一方白色毛巾,沾濕了木桶的清水、擰乾,他將毛巾放在地面,以腳部的力量,推著前進,來回擦拭於簷廊,以及茶室。
  「然後是、洗衣服……」
  庭院,粉緋色髮小男孩坐在木椅,哈、哈啾,搓揉衣物的泡泡讓他忍不住打了噴嚏。
  夕染暮色的光影之下,鷹隼拍動著羽翼,以嘴喙扣著白色床單的一角,幫忙曬衣服,小朔也佇立於一只架高的木梯,將洗好的衣物懸掛於竹竿,卻不自覺驚呼。
  「啊,不好了、不好了,我忘記準備晚餐了。」
 誒?搖晃的木梯傾斜著,哇啊、他重心不穩的摔了下來,跌落於草地。
  廚房,小小的指尖於水盆中搓洗著葉菜。
  小朔也站在椅凳,穿著尺寸有些過大的白色圍裙,將洗好的蔬菜瀝乾,放置於盤中,嗯?他回眸,似乎是聽見紙拉門輕啟的聲響,可愛白皙的臉容綻放了笑顏。
  「我回來了。」
 一名深藍色髮男人走入玄關,閉眸,幾綹髮絲半掩於輪迴眼。
  他抬手,以指尖解開了黑色斗篷的搭釦,俐落的卸去外衣,將懸掛於身的刀刃取下,俊秀白皙的容顏抬起,幽深的玄黑色眼眸望著執行任務的暫居所,薄唇輕抿。
  宇智波佐助不語,傾聽著門廊傳來奔跑的腳步聲,嘆了口氣。
  「爸爸,歡迎回來。」
 小朔也笑著,飛撲於父親的懷中,以雙手抱緊了他,尺寸過大的圍裙下襬拖於地面。
  「……說了很多次,不要那樣抱我。」
 佐助沉著臉,嘆息,以手心撫著兒子的髮絲,反身脫離了他的懷抱,走入客廳。
  嘿嘿,粉緋色髮小男孩笑了,將雙手放在身後。
  晚餐時間。
  年幼白皙的容顏噘起了嘴,澄澈的青綠色眼眸看著瓷盤之中,一尾細長的烤秋刀魚,他坐在餐桌的椅子上,左看、右看,就是無法喜歡這個魚刺很多的食物。
 唔……
 小朔也吐舌,以雙手捂著嘴,推開了盛裝著烤秋刀魚的盤子。
  柔和的燈光之下,佐助坐在餐桌的另一側,閱讀著忍術卷軸,用餐的空碗放在桌緣。
  「爸爸。」
 稚氣的嗓音輕聲說,小朔也羞怯的笑了,小小的雙腳在椅邊盪著,眼神是如此期待。
 「你答應我的,今天要告訴我媽媽和姊姊的事。」
  ……….。
 幽深的玄黑色眼眸抬起,佐助怔忡著,與那雙相似於櫻的綠眸對視,一時語塞。
  他嘆了口氣,俊秀白皙的容顏別開了視線,黯然的歛下目光,幾綹髮絲半掩於面龐,簷廊,父親與兒子坐在桌緣的身影倒映於紙障子,螢火飛散,夜顏之花凋落。
  「朔也,地板擦了嗎?」
 佐助放下卷軸,閉眸,似乎在思忖著如何開口。
  「擦了。」
 小朔也收拾著餐桌的空碗盤,笑彎了眼。
  「衣服洗了嗎?」
 拖延戰術。
  「全部的衣服都洗好了、也曬好了,我知道爸爸一定會這麼說,所以家事都做完了。」
 小朔也笑著說,小小的背影走進了廚房,將空碗盤放入水槽之中。
  ……….。
 完敗,佐助沉著臉,無奈的嘆了口氣,幾綹深藍色髮絲半掩於白皙側顏。
  「吶,爸爸,媽媽是怎樣的一個人呢,長得很漂亮嗎?」
 小朔也走近了父親,以雙手撐著桌緣。
  「姊姊喜歡玩偶嗎?我有好多的玩具哦,等我回村了,就可以和姊姊一起玩……」
  佐助沉默著,幽深的玄黑色眼眸望著兒子的笑容,悵然輕掩,隱忍的別開了視線,他深吁了一口氣,俊秀白皙的容顏與粉緋色髮小男孩對視,溫柔,卻悲傷。
  修長指尖像是要輕戳小男孩的額頭那般,抬起。
  小朔也怔忡著,害怕的閉眸,以雙手蓋住了額頭,躲避似的向後退。
  「不行不行,不給你戳,爸爸每次都這樣敷衍我,我會討厭爸爸的。」
  他哭喪著臉,澄澈的青綠色眼眸與父親對視,以雙手護著額頭,小小的唇瓣緊抿。
  ……….。
 佐助一時語塞,黑瞳倒映了與櫻相似的綠眸,雙指併起的指尖顫抖著,停止於空中。
  沉默。
  他放下手,幾綹深藍色髮絲掩去了白皙側顏。
  「……朔也,你該睡了。」
 低沉嗓音輕聲說,佐助起身,穿著紫色立領上衣的身影與兒子錯肩,走出和室。
  小朔也怔忡著,澄澈的青綠色眼眸濡濕了淚痕,視線逐漸模糊,淚水緣著側緣落下,他咬著小小的唇瓣,失落的低下頭,以指尖緊扣於手心,隱忍著不哭出聲音。
  澡堂。
  熱氣之中,一名粉緋色髮的小男孩抱著膝,浸泡於浴缸,小小的裸背沾染了泡沫,稚氣白皙的容顏半掩於水面之下,青綠色眼眸看著自己的倒影,悵然輕掩。
  他失神的抬眸,一只紅色的泡澡玩具小鴨漂浮著,鴨嘴碰觸了小男孩的鼻尖。
  今天,7月20日,是宇智波朔也的生日。
  「爸爸,為什麼我的頭髮、眼睛的顏色,和你的不一樣呢?」
 回憶之中,小朔也好奇的說著,澄澈的青綠色眼眸望著男人的側顏。
  「……那是你的母親,櫻的髮色,瞳色。」
 佐助沒有回頭,走入森林的綠茵深處。
  「姊姊也是嗎?」
 他追著父親的腳步,黑色立領上衣的背影穿越了枝梢,火扇家紋隱沒於樹叢之中。
  「紗羅妲是黑髮,黑瞳。」
  兩人走出了森林,羽色黑黃相間的鷹隼,絆,拍動著翅翼,飛翔於蔚藍色的天空,溪涼之間,生苔的踏腳石浸染於水中,悠游的魚影倒映了柔和的微光,水紋粼粼。
  「我們什麼時候可以回去找媽媽和姊姊呢?」
 小朔也欠身,以雙手撐於膝蓋,喘著氣息,似乎有些吃力。
  「任務結束之後。」
 佐助步上了踏腳石,穿越杉之國的河川,黑色立領斗篷的身影倒映於水中。
  「那、那,我可以再多問一些媽媽和姊姊的事嗎?」
 哇啊,他驚呼了一聲,踉蹌著,重心不穩的跌坐於河中,濺出了水花。
  ……….。
 幽深的玄黑色眼瞳、以及輪迴眼,凝望著兒子,深藍色髮絲飛舞於風中。
  小朔也喘息著,稚氣白皙的容顏抬眸,粉緋色髮絲沾染了飛濺的水花,滴落水痕,他跌坐於河川的淺水中,澄澈的青綠色眼眸與父親的黑瞳對視,無聲的顫動。
  ……爸爸的表情,好悲傷。
  佐助不語,俊秀白皙的容顏是如此悵然,卻又一瞬間掩藏了情緒,別開目光。
  如果問了更多媽媽的事,爸爸就會沉默,一次又一次……
  對不起,小朔也失落的輕聲說,低下了頭,像個做錯事的孩子。
  「朔也。」
 佐助輕輕的嘆了口氣,穿戴著黑色手套的指尖招了招手。
  涓細的水流之中,小朔也怔忡著,稚氣白皙的容顏綻放了笑容,有些吃力的起身,他踩著生苔的踏腳石,穿著黑色立領上衣的身影倒映於水中,奔向了對岸。
  下一秒,修長指尖抬起,以雙指輕戳了小小的額頭。
  唔、小朔也閉眸,停下了腳步,以指尖撫著額頭的戳痕,有些不解的看著父親。
  「下次再告訴你。」
 佐助輕聲說,收回了指尖,旋身,黑色立領斗篷的背影走入森林之中。
  ……我,一直期待著「下次」,想像母親的容貌,嘴角,就會不自覺勾起了笑容。
  臥室。
  一名粉緋色髮的小男孩整理著床褥,稚氣白皙的容顏是如此的失落,拭去了淚痕,他反身,仰躺於枕心,以衾被掩去了小小的身影,蜷縮在其中,隱忍著哭泣。
  這裡,是執行任務的暫居所,只有簡單的家具,以及隨身可以帶走的用品。
  「……你和櫻,很像。」
 低沉嗓音輕聲說,一名深藍色髮的男人斜倚在門旁,俊俏白皙的容顏渲染了月色,他嘆息著,幽深的玄黑色眼眸歛下目光,空蕩的左袖垂落於身側,環抱著雙臂。
  佐助看著散落於和室的紙張,畫上了一家四口的塗鴉。這是……?
  「爸爸?」
 小朔也怔忡著,坐了起來,白色的被單於髮絲之間滑落。
  紙張上,以彩色的蠟筆畫著像是火柴人的塗鴉,父親的黑髮遮去了側顏,穿著斗篷,想像的母親容貌是粉緋色長髮,以及黑髮、黑瞳的姊姊,戴著紅色的眼鏡。
  宇智波一家,四個人牽著手,簡單的線條畫上了有些歪斜的微笑。
  「爸爸,請告訴我,媽媽是怎麼樣的一個人呢?」
 小朔也端坐著,澄澈的翠綠色眼眸是如此堅定,與父親抬起的黑瞳對視。
  ……….。
 佐助不語,似乎是在思忖著如何開口那般,閉上了眼眸,回憶著妻子的一切。
  波之國。
  粉緋色長髮垂落於少年的蒼白容顏,千本刺穿了他的身體,血痕沾染著立領上衣,石橋,她俯身於他的胸膛,單薄的肩膀顫抖著,小小的唇瓣緊抿,放聲大哭。
  佐助失神的睜開了眼眸,與櫻的泣顏對視,她淚崩著,抱緊了他。
  死亡之森。
  求求你,快住手……
  狂烈的紫焰之中,佐助回首,血紅色眼眸倒映了濡濕的綠瞳,淚水落下於白皙側顏,櫻哭泣著,以雙手從後方緊抱著他,顫然的臉容沾染著塵泥,削去了長髮。
  他不語,俊俏白皙的側顏放緩了神色,咒印退去,暴戾之息逐漸消散。
  月下離別。
  清冷月銀之下,一名深藍色髮少年手插口袋,立領上衣的背影瞬即出現在她身後,他傾身,低沉嗓音輕聲說,翠綠色眼眸無語的顫動著,淚水濡濕了長睫。
  ……謝謝妳。
  第四次忍界大戰。
  粉緋色髮的少女無力倒落,他抬手,於後方抱住了她,指尖撫觸於酸蝕灼傷的肌膚,兩人對視著,沙漠之風吹散了迷離的視線,一只褪下的中忍背心遺落在異空間。
  佐助平靜的歛下目光,寫輪眼倒映了櫻的綠眸,沉默、卻溫柔。
  旅立之日。
  木葉忍者村的阿哞正門之下,一名深藍色髮少年走出了村子,黑色立領斗篷翻飛,他面對著她,幽深的玄黑色眼眸悵然輕掩,低沉嗓音訴說著自己的決定。
  抱歉,佐助輕聲說,櫻懊喪的低下頭,沒有關係嗎……她失落的低語。
  修長指尖抬起,以指尖輕戳了她的額際。
  ……下次吧。
  粉緋色長髮的少女屏息著,絕美白皙的容顏羞紅了臉,澄澈的翠綠色眼眸無語顫動,他淡笑,深藍色髮絲飛舞之間,黑瞳、輪迴眼與她的綠眸對視,眼神是如此柔和。
  謝謝妳……
  「你的母親,櫻,是一個充滿著愛的人。」
 佐助回憶著妻子的笑顏,黯然的歛下目光,緊扣著手心,指節泛白。
 「我,做了不被原諒的事,一直到現在,仍然身負著罪咎,可是,她……」
  現在已經沒有人恨你了,櫻微笑著,雪白的側顏躺落於佐助的胸口,與他對視。
  「……不被原諒的事?」
 小朔也輕聲說,澄澈的青綠色眼眸望著男人的身影,父親從未談論自己的過去。
  「我曾經是木葉忍者村的敵人。」
 佐助啞著嗓音,閉上了眼眸。
  「宇智波一族滅亡之後,我背棄了村子,被列為叛逃忍者。」
  ……爸爸、背叛了村子?
 粉緋色髮小男孩怔忡著,太多陌生的名詞衝擊了內心,一時之間無法反應。
  「媽媽一定原諒爸爸了,對吧?」
 小朔也有些急切的說,起身,小小的指尖緊扣著手心。
 「如果我做錯事了,爸爸也會原諒我,所以,沒有什麼事情是一定不能被原諒的,爸爸很溫柔的,這不是你的錯……」
  他低聲的說,稚氣白皙的容顏別開了視線,悲傷的歛下目光。
  ……….。
 原諒、嗎,佐助伸出了手,幽深的玄黑色眼眸看著自己的手心,失神的掩起。
  不,或許櫻從未恨著這樣的我……
  「姊姊呢?」
 小朔也走近了父親,姊姊是怎麼樣的一個人?他輕聲說,小小的唇瓣緊抿著。
  佐助沉默著,俊秀白皙的容顏歛下目光,與兒子對視,搖了搖頭。
  「我在紗羅妲懂事之前就離開村子了。」
 他說,俊秀白皙的容顏別開了視線,似乎是隱忍著掩藏於心中的情感。
  ……….。
 粉緋色髮的小男孩怔忡著,有些失落的低下頭,看著散落於房間的紙張塗鴉。
  沉默。
  「……我,很開心,爸爸願意告訴我媽媽和姊姊的事。」
 月色之中,小朔也以手背拭去了側顏的淚痕,稚氣嗓音輕聲說,溫柔的笑了。
  他欠身,小小的指尖拿起了塗鴉,紙張上畫著一家四口的歪斜微笑,牽著手。
  「對我來說,這樣……」
 小朔也微笑著,閉起了眼眸,以指尖戳了自己的額際。
 「……就像是爸爸和我的約定一樣,爸爸沒有忘記這個約定,所以我,真的很開心。」
  粉緋色髮的小男孩輕聲說,年幼白皙的容顏笑了,澄澈的青綠色眼眸是如此柔和。
  ……….。
 佐助怔忡著,幽深的玄黑色眼眸與他對視,放緩了神色,嘴角,是一綹好看的淡笑。
  「吶,爸爸和媽媽有沒有親嘴呢?」
 小朔也笑著說,一臉期待的注視著父親。
  「朔也,你該睡了。」
 下一秒,佐助沉著臉,有些困窘的以雙手抓著門想逃走,卻被兒子抱住了雙腳。
  「不行!」
 小朔也大喊著,小小的雙手緊抱了父親,拼命的不讓他逃跑。
 「爸爸不怕媽媽被其他的男人拐走嗎?」
  ……….。
 佐助不語,有些僵硬的回眸,深藍色髮絲之下,黑瞳與兒子的綠眸對視,瞇起了眼。
  「水、水月叔叔說的……」
 小朔也低聲說,噘著嘴,心虛的別開了視線。
  那傢伙……
 佐助煩悶的嘆了口氣,捂著臉,一面想著自己為何要帶孩子去大蛇丸的根據地。
  「爸爸不想念媽媽和姊姊嗎?」
 小朔也拉扯了父親的衣角,澄澈的青綠色眼眸望著他,小小的唇瓣緊抿。
  「忍者以任務為第一,私人情感只會妨礙任務的進行。」
  低沉嗓音輕聲說,佐助垂首,悵然的閉上了眼眸,幾綹深藍色髮絲半掩於白皙側顏,月色之中,父親與兒子站在門旁,兩人的剪影倒映於紙障子,螢火飛散。
  小朔也沮喪的歛下目光,看著手中的塗鴉,媽媽與姊姊的輪廓被指尖暈開了顏色。
  「爸爸,你愛著媽媽和姊姊嗎?」
 他啞著嗓音,如果爸爸深愛著她們的話,為什麼都不回家呢……?
  沒有回答。
  .………。
 小朔也怔忡著,澄澈的青綠色眼眸濡濕了淚痕,無聲的顫動,隱忍著別開了視線。
  不愛、嗎……?
 小小指尖緊扣著手中的塗鴉,淚水落下,沾染了蠟筆的線條,歪斜的笑臉模糊不清。
  佐助沉默著,幽深的玄黑色眼眸望著兒子的泣顏,悵然輕掩。
  他欠身,穿著紫色立領上衣的背影跪落,一手環抱了小朔也的肩膀,將他擁入懷中。
  「……這就是我的答案。」
 佐助輕聲說,閉上了眼眸,深藍色髮絲半掩於側顏,傾聽著兒子的心跳聲。
 「朔也,對於你、紗羅妲���以及櫻,我的回答都是如此。」
  小朔也偎身於父親的懷中,小小的唇瓣顫抖著,視線逐漸模糊。
  「如果有一天,我可以回去木葉忍者村,再次與紗羅妲見面的話,我也會……」
 佐助回憶著妻子與女兒的笑顏,將兒子抱緊了些。
  「嗯……」
 小朔也哭著說,伸出手,緊抱了父親,兩人的剪影倒映於紙障子。
    *
    你知道嗎?五隻手指代表著家人。
  和室,一名粉緋色髮的小男孩躺落於枕心,稚氣白皙的容顏渲染了金魚缽的光影,他回憶著書中看到的字句,伸出手,澄澈的青綠色眼眸望著小小的指尖,笑了。
  ……大拇指代表著我們的父母,食指代表兄弟姐妹、中指代表自己,小拇指是子女,無名指則是夫妻。
  「朔也,該走了。」
 另一名深藍色髮的男人走入玄關之中,穿上了黑色斗篷,懸以刀刃。
  「來了。」
 小朔也笑著說,起身,羽色黑黃相間的鷹隼,絆,拍動了翅翼,跟隨於他的後方。
  絕對不可以自己出門,是父親唯一要求的,必須遵守的規定。
  水之國的街巷,霧氣暈染著天空,攤商的市集擺放了漁獲、水產,帆船繫於港灣,海鷗在船桅鳴叫著,漁夫站在船尾收起魚網,進口的外國貨物堆放在木棧道。
  這裡,是忍者五大國之中的島國,居民以傳統的漁業為生。
  「小絆,好久沒有出來玩了呢。」
 小朔也奔跑著,穿梭於人群之間,稚氣白皙的容顏抬眸,與鷹隼對視,笑彎了眼。
  佐助走入聯絡點,詢問著是否有木葉忍者村的信息。
  「哎呀,粉緋色的頭髮好可愛呢,是女孩子嗎?」
 攤販之中,一名老婦人微笑著,慈藹的面容佈滿了皺紋,幾綹白髮垂落於側顏。
  「婆婆,我是男孩子哦。」
 小朔也笑著說,鷹隼,絆,飛落於他的肩膀,收起了羽翼。
  「真是有精神呢,小弟弟,你叫什麼名字?」
  「宇智波朔也。」
 他羞怯的輕聲說,將雙手放在身後,可愛白皙的側顏渲染了淡淡的紅暈。
  「……誒?」
 老婦人推了推眼鏡,傳說,木葉忍者村的火扇一族都是黑髮黑瞳,擁有強大的瞳術。
 「宇智波一族的人,不是黑髮?你有寫輪眼嗎?」
  小朔也張口,想說些什麼的時候,卻被父親推著離開了市集。
  「……不要說一些多餘的事情。」
 佐助沉著臉,幽深的玄黑色眼眸歛下目光,嘆了口氣,逕自走向前方。
  街巷之中,市集的人影錯落,父親、以及兒子,兩人的身影逐漸拉開了距離。
  「爸爸,你的右眼可以變成紅色,是叫做寫輪眼嗎?」
 小朔也站在原地,澄澈的青綠色眼眸望著父親的背影,小小的唇瓣緊抿著。
  佐助沉默著,停下了腳步。
  「我是不是沒有寫輪眼?我的眼睛,是綠色的……」
 小朔也輕聲說,有些失落的歛下目光,以手心半掩著相似於母親的眼眸。
  宇智波一族的人,不是黑髮……
  我,真的是宇智波一族的人嗎?他看著自己在水坑中的倒影,青綠色眼眸悵然輕掩。
  「寫輪眼,是強烈的情感在大腦產生特殊的查克拉,反映於視覺神經發生的變化,與虹膜的顏色沒有關係。」
 佐助沒有回頭,穿著黑色斗篷的背影向前走去。
  ……….。
 小朔也怔忡著,稚氣白皙的容顏垂首,火扇家紋的背影隱沒於人群之中。
  夕曛的微光暈染了天空,孩子們踢著足球,笑聲、打鬧聲,拉長的影子映照在牆垣。
  街巷,小朔也注視著一群與自己年齡相仿的孩子,小小的背影不自覺停下了腳步,他沉默著,澄澈的青綠色眼眸望得出神,似乎是渴望與孩子們一起遊戲那般。
  佐助不語,幽深的玄黑色眼眸看著兒子的側顏,悵然輕掩。
  「朔也,如果你想要和那些孩子一起玩的話……」
 他說,未被深藍色髮絲掩去的黑瞳歛下目光,欲言又止。
  小朔也看著踢足球的孩子們,微笑的,搖了搖頭。
  「沒關係的,這樣會延誤到爸爸的時間吧?」
 他輕聲說,澄澈的青綠色眼眸抬起,與父親對視,笑彎了眼。
  「我可以自己玩……」
 小朔也望著孩子們最後一眼,別開了視線,有些寂寞的笑笑,嘴角的弧度逐漸黯淡。
  .………。
 佐助不語,深藍色髮絲飛舞之間,黑瞳與輪迴眼看著兒子,心,好似隱隱的痛著。
  你是一個脆弱的孩子,怕黑、愛哭,總是想著撒嬌,就像是下忍時期的櫻一樣。
  霧凝之風吹動著兩人的足跡,鳶尾花搖曳,烏鴉飛散。
  夕染暮色的光影之中,一名深藍色髮的男人走入森林,回眸,觀察兒子是否跟上,山坡,粉緋色髮的小男孩欠身,喘息著,鷹隼拍動了羽翼,飛翔於黃昏的天空。
  你也是一個溫柔、堅強的孩子,忍受與母親、手足,同儕疏離的孤獨,卻仍是笑著。
  佐助回憶著兒子撐起的笑顏,幽深的玄黑色眼眸悵然輕掩。
  ……就像是櫻一樣。
  寂靜之森,一名棕髮的男人隱身於岩壁,山洞入口以蛇首的燈飾照亮了陰暗走道,他穿戴著臉部的護具,有些蒼老的容顏回眸,黑瞳倒映著男人與孩子的身影。
  「佐助、嗎……?」
 低沉嗓音輕聲說,木葉忍者村之暗部,大和,負責監視大蛇丸的據點。
  佐助欠身,小朔也緊挨著父親,稚氣白皙的容顏半掩於黑色斗篷之下,羞怯的回望。
  「……你的兒子已經這麼大了啊。」
 大和微笑著,放緩了神色,小朔也羞紅了臉,瑟縮著躲入父親的身後。
  「我需要查詢一些機密的資料。」
 佐助走近了山洞的入口,昏黃的燈光映照於蛇紋石柱,曲折的走道不斷延伸。
  「我明白了。」
 大和低聲說,穿戴著護具的容顏歛起了神色,側身,讓出道路。
 「抱歉,我無法離開這裡,如果發生什麼事的話,我會在這裡支援。」
  佐助點頭,走入大蛇丸的據點之中。
  「……這裡可不是帶孩子出來郊遊的地方啊。」
  地下室,一名銀髮男人走出了黑暗,清秀白皙的容顏抬起,紫���注視著男人與孩子,他穿著黑色的立領襯衫,繫以白色的腰帶,忍靴在冰冷的地面踩出了聲響。
  大蛇丸之下屬,鬼燈水月,瞇起了眼,率性的以手扣於身側。
  「好久不見,佐助。」
 他哼笑,唇緣咧開了一整排的尖牙。
  另一名橘髮的男人沉默著,穿著長袍的身影倒映於牆垣,走近了男人與孩子。
  「佐助,你是來找大蛇丸的嗎?」
 天秤重吾低聲說,橙橘色眼瞳與男人對視。
  佐助不理會水月與重吾,俊秀白皙的容顏閉眸,與他們錯肩,走入據點的深處。
  小朔也緊挨著父親,稚氣白皙的容顏半掩於黑色斗篷之下,有些畏怯的看著兩人,他咬著唇緣,澄澈的青綠色眼眸與紫瞳對視,似乎很害怕這個陰暗的地方。
  「哦,長高了呢。」
 水月輕浮的笑了,上次看到這個粉毛的小鬼是……兩年前?
  地下室的燈光之中,小朔也瑟縮著,別開了視線,與父親一起步入走道的轉角處。
  「那傢伙,真的是佐助的兒子嗎?」
 水月沉著臉,紫瞳看著他們走入轉角的身影,以手心半掩於側顏,向重吾抱怨。
  「每次來這裡都一臉快嚇哭的樣子,看起來超弱的啊……」
  玻璃圓缸,實驗中的克隆人沉睡著,液體的氣泡模糊了屈起的裸身。
  「哎呀,佐助,沒想到你還會再次光臨。」
 實驗室,一名黑長髮的男人放下了試管,蛇目般的金眸望著男人與孩子,瞇起了眼,他穿著寬鬆的綁帶和服,柔美白皙的容顏微笑著,勾玉的飾品懸掛於耳垂。
  大蛇丸走近了他們,金眸注視著黑色斗篷之下的小男孩,意味深長的笑笑。
  「晚上好。」
 他柔和的笑了,沙啞的嗓音輕聲說,小朔也顫抖著,躲入父親的身旁。
  佐助無視於黑長髮的男人,走向書櫃,以指尖取下了一本厚重的書,翻找著資料。
  「因為是沒有寫輪眼的孩子,所以才帶在身邊嗎?」
 大蛇丸斜睨著他的背影,蛇目般的金眸歛下目光,瞇了起來。
  粉髮、綠瞳……宇智波的基因就這麼淡化了呢,他輕輕的哂笑,看著小男孩的身影。
  修長指尖緊扣著書本,指節泛白。
  佐助沉默著,回眸,俊秀白皙的容顏目光一凜,幽深的玄黑色眼瞳幻化為寫輪眼,他放下了書本,似乎是隱忍著怒氣那般,與大蛇丸對視,冰冷的瞪視著他。
  ……沒有寫輪眼的、孩子?
 小朔也怔忡著,澄澈的青綠色眼眸無聲顫動,有些失神的踉蹌了幾步,說不出話來。
  所以才帶在身邊……
    *
    「爸爸。」
  稚氣的嗓音輕聲說,兩人走出了實驗室,蛇首的燈飾照亮著長廊。
  「我是不是……很弱?」
 小朔也啞著嗓音,低下頭,小小的唇瓣緊抿,粉緋色髮絲掩去了白皙側顏。
  「我長得和宇智波一族的人不一樣,沒有寫輪眼,也不會忍術……」
  「……媽媽是因為這樣,才不要我這個孩子的嗎?」
 他哭喪著臉,濡濕的青綠色眼眸抬起,淚水緣著側顏落下,沾染了黑色的立領上衣。
  佐助沉默著,停下了腳步。
          _To be continued.
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oldkwaidan · 6 years
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グゼ船(六)
 以降は、船幽霊について私が直接聞いた話をご紹介していく。
 我が藩に馬の世話役として仕えている喜三右衛門という者がいる。  国許では壱岐がその勤務地であり、また彼が暮らす土地である。  私は隠居してから、ずっと江戸屋敷で暮らしているが、あるとき厩に行くと、勤番で江戸に詰めていた喜三右衛門がいた。  そのとき、どういう流れだったか、彼が体験した船幽霊の話になった。 「わしは此度の江戸への航海中、グゼに出くわしました」 「グゼとはどんなものだ」 「はじめは遠くから大勢の人の声が聞こえてきました。船頭はいち早くそれを聞き取りまして、こう言うのです」  これからグゼが来るが、絶対に見てはいかん。  必ず祟られるから、チラッとでも見てはいかん。 「何度も何度も言いますので、わしら皆、顔を伏せておりました」  そうしていると遠くでしていた声が少しずつ近づいてくる。  やがてすぐそばで、とても喧しく聞こえるようになった。  船頭からきつく制止されていたが、喜三右衛門は我慢できず、つい顔を少し上げてしまったのだという。 「すると帆をいっぱいに張った船が、わしらの船の横っぱら目がけて走ってくるのです。その船には人が大勢乗っていましたが、全員、影みてえにぼんやりして、しかも腰から下が見えません。そんなのが手に手に何か持っていて、こちらの船に海水を汲み入れるような動きをしていました」  こちらの船頭は、と喜三右衛門が目をやれば、舳先に立っていた。  守り札らしきものを持ち、何かを一心に唱えていた。お祓いをする体であったという。 「それから船頭は灰を四方に撒き散らしました。わしらが乗っていた船はグゼをかわしたようで、さっきまで左に見えていたグゼが、今は右に見えて、しかもどんどん離れていきました」  そのとき、船頭の、もう大丈夫だ、という言葉があったので、喜三右衛門が顔を上げると、もうすでにグゼは跡形もなかったそうだ。
 (松浦静山『甲子夜話』巻之廿六 「船幽霊の事」)
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yoko-fr · 4 years
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自粛生活が続き,会いたい人に なかなか 会えない日々。
思いがけず 嬉しいプレゼントが 送られてきました。
オホーツク海の地撒き式で 漁獲された帆立。
とにかく 大きい。そして肉厚‼︎
早速 料理を。
帆立は サッとあぶり、ひと塩したかぶと一緒に サラダを作りました。
ドレッシングは トマトと新玉葱を刻み,白バルサミコ酢とリンゴ酢,オリーブオイルで。
肉厚で甘い帆立に マイルドなドレッシングが すごく合います。
優しい味わいのサラダを堪能しました。
ありがとう🎶🎶
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lostsidech · 6 years
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5: ワン・アイ・ラヴ、トゥー・アイ・ラヴ
 濁流のように流れ込んできた「感情」が、景色をつくってばちばちと瞬いていた。
「ぁ……………………」  声にならない呼気が肺から溢れ出す。ひりひりと変に矮小に疼いている傷口から一緒になにかがこぼれているのがわかる。  なんで。かちかちと信号が頭の中で明滅する。  わからない。  「あの子」……あの子から、瑠真も知っている場面が流れ込んでくる。これは記憶なのだろうか。記憶が見えている。あの夏、前の冬、見慣れた研修教室。そこには幾つもの感情が紐付いていて、花火みたいに次々と弾けて瑠真にあのときのともだちの見ていたものを教えてくれる。  なのに。 (わか、らない……)  理解できない。  何も理解できない。  あの子が生まれて、育って、瑠真に出会って別れたことをどんなに知っても。その過程を内側から、その時抱いた感情まで受け取っても。  瑠真にはその繋がりが、有機性が、意味が、あの子の考えていることが、理解できない、何もわからない、受け入れることができない。  視界の端に見えた「あの子」は、赤い髪で、快活な笑顔で、だけど、何かが、絶対に、違って。 「おまえ…………ッ」  背後から掠れた声があった。  空中に縫い留められたまま目だけで振り向いた。掠れて当惑した、それでも反発の意思を込めた言葉。  後輩が寿々を守るように抱きしめて相手を睨んでいる。 「おれに電話した奴でしょう」 「あぁ、久しぶり。翔成くん」  やっぱり、と翔成が唇を噛む。  答えた少女は、奇妙な服を着ていた。短いスカートに季節外れなブーツスタイル、背中に何か大きな機械のようなものを背負っていて、そこから一つの線が瑠真へと伸びている。  顔はあの子と似ていても、絶対的に別人に感じさせるなにかがそこにはあった。 「カノ……」  反対に、妙に抑えたりゅうとした声音が別の方向からあがる。 「お前……お前、『華乃』は」  ペアからだった。ベンチから立ち上がって少女を睨んでいる。くすりと笑った少女がスカートの裾を持ち上げてみせる。新しいお洋服を見せびらかすように。  記憶の中のあの子より少し背が伸びただろうか。声音はやはり違うと思う。  あの子はこんな楽しそうな甘い声を出さない。 「カノはわたしだよ」 「お前の話を聞いてるんじゃない」 「『華乃』も"わたし"だよ。瑠真もしかすると見たかな。"わたし"は『わたし』と『あたし』の半分こなの。ねえ証明してあげようか、『望夢くん』」  少女はとんっと地を踏むと、一歩望夢のほうに近寄って手を差し出した。芝居みたいな動作に望夢のほうは一歩下がった。  悪寒がする。腹に重い『これ』のせいかもしれない。  彼女はすうっと喋り方を変えると、 「『最後くらいきちんときみの先生になりたいんだ』」  女優さんがセリフを読むみたいにそう言った。  聖女みたいな完璧な笑顔で。  ペアはぴくりとも動かなかった。  意識は濁流に押し潰されていて、だけど片隅で思う。  ああ、このときのペアの顔が見えていなくて良かった。 「つまり」  重々しくペアが口を開く。乾いて圧し殺した声。 「お前が、華乃を殺したのか」 「あの子」は含み笑いで顎を引いて後ろに手を引いた。  瑠真の視界が七色に眩んでいる。 「強情。たしかに形としては『わたし』は『あたし』を殺したかもしれない。だけどね、『お姉ちゃん』は最初から『わたし』のコピーなの。『わたし』は『お姉ちゃん』を回収してね、一つにこうやって」 「分かった」  ペアが遮った。その声音は冷え切っていた。いや、反対だ。煮えたぎっていたのかもしれない。 「もういい。黙れ」  朦朧とした瑠真の意識でも、息が止まるような声だった。  膠で固めたように空気は凍る。瑠真の突っかかる呼吸音、ペアの鋭い警戒、後輩のとまどった気遣いで空間が満ちる。  その隙間にまるで萎縮した様子もなく、 「カノ」  重ねるように、別の声がその場に呼びかけた。  高い、たぶんそれは少年の声だった。 「カノ、結局出ていっちゃったの。まだ試作だって言ったじゃない」  割り込む声はビー玉をばら撒くようにその場を動かす。  瑠真の正面から、小学生と思しい少年が近づいていた。堤防にのぼる階段をあがって、臨海公園の小道に佇んでいる。人形みたいな容姿。髪を銀色に染めていて、ライトブルーのゴーグルを頭の上にかけている。小綺麗なシャツに半ズボンをサスペンダーで釣った胸元には、じゃらじゃらとストラップのついたスマホをふたつ下げている。同じく奇妙な……いっそ、異様な少年。  少女が応じた。 「ホムラグループに通ったじゃない。なら、もういいかなって」  ホムラグループという呼びかけで莉梨のまぶたがぴくりと動いた。少年は構わず、首から下げたスマホのひとつを忙しなく弄りながら、話題を変える。 「スズどうする、カノ」 「あぁ、あの子」  少女が視線を転じる。完全に忘れていた、とでも言いたげな声だ。当惑した顔の後輩が、それでも寿々を譲らないとでも言いたげに抱き上げたまま背中にかばった。  少女はひとつ頷いた。 「回収しよ」 「回収してどうするの」 「そうね、わたしが話をする」 「勝手に話を進めないでっ……」  後輩が食って掛かった。が、その声が途中で途切れる。視線が斜めに動く。  小さな女の子がひとり、眠る寿々の浴衣の袖を不思議そうにちょんと摘んで立っていた。水色のワンピースに大きなひまわりのワッペンをつけた、たぶん小学校にあがって間もないか、それくらいの女の子。  女の子は大きな目をぼんやりさせて翔成を見上げる。 「あ……」  翔成が何かを言いかけた。表情が一瞬の間に目まぐるしく入れ替わる。  迷い込んだ女の子。そう思ったのかもしれない。瑠真は何も考えられない。だが、翔成が迷うように手を伸ばして��その子に触れようとしたとき、ペアが冷然と制止した。 「やめろ翔成。そいつ、いちばんヤバい」 「え」  翔成は戸惑ったように手を止める。望夢の感知能力がこの中で群を抜いていることは全員が把握している。  怯んだようにその肩がこわばる。その隙を見たのだろう。女の子が寿々の手を引っ張って尻餅をついた。  引っ張られた寿々は眠ったままベンチの下に引きずり落とされ、慌てた翔成が手を伸ばす前に別の手に引き取られた。いや、手というのは表現の一つだ。一行の隙間を縫ってぎんと伸びたのは、瑠真に伸びているのと同じ無数の金属アームだ。  尖った端のパーツが四つ又に割れて寿々の腕を掴み、腰の下に滑り込んで持ち上げ、空中をしゅるしゅると巻き上げる。振動が伝わって身体を揺さぶられた瑠真は歯を食いしばる、電流のような不快感が走り汗がぼたぼた伝う。  あっと言う暇もなく、瑠真と莉梨の二人で浴衣を着せたおさげの少女が遠くへ持ち去られた。ついでに寿々の傍にいたひまわり少女も猫の子のように釣り上げられてくるくると回転しながら回収される。  足元に寿々と女の子を降ろした少女は、アームの動きに満悦らしかった。 「うん。上出来だわ。じゃあ、そろそろ帰ろうか」 「待てよっ」  ほとんど語尾を食うようにペアと後輩が同時に声を荒げた。  ペアはさらに食い下がって、 「勝手に終わらせんな。お前は何なんだ」 「あぁ。いいわ、ほんとうは答えなくたっていいんだけど。『きみ』に聞かれると話したくなっちゃう」  少女はことことと声を立てる。近くを取り巻く少年少女は、まるで姫君を見守るように愛情をこめた目でカノを見つめていた。 「わたしはね、わたしたちは、世界を終わらせる子供たち(ホーリィ・チャイルド)。あなたたちが無邪気に信じ切っている世界解釈から弾き出された子羊の群れ」  大仰な言い回しが耳の上をつるつる滑っていく。 「きみたちに言ったって仕方ないんだけどね。わたしたちは、世界の終端(ワールドエンド)からやってきて、世界の終末(ワールドエンド)を待っているの。早い話が、」  少女は両手を広げ、 「こんな世界、なくなっちゃえばいい」  その言葉の残響がまだ、風に吹き散らされる前に。  別の少女が素早く跳ね起きた。きらりと金髪が宙を泳いだ。  いつから目覚めていたのか。帆村莉梨だった。彼女は素早く何かの歌を詠唱し、その手をカノに向ける。  カノは少し驚いたように目をぱちくりした。無数のアームが莉梨の手の動きに合わせたみたいに力を失って、がちゃがちゃと地に落ちる。一瞬引きずられた瑠真が苦痛の呻きをあげるが、莉梨の操作に従ってアームはひとつだけが元の位置に残った。  莉梨は眉尻を下げて優しく言った。翠眼が振り向いていた。 「瑠真ちゃん、ごめんなさい。抜いたらきっと出血するから、少しだけ我慢して」  彼女の洗脳か。ひりついていた脳内が徐々に平常に戻り、爆発していた感覚が落ち着いていく。かえってそれゆえに妙にリアルな金属と接触の感覚が気持ち悪く伝わってきた。たぶん気が付かないうちに吐いていたけれどなりふり構う余裕はない。 「……あぁ」  伏し目でカノが呟く。身動きが取れないみたいに直立したまま。  莉梨はりんと両脚で立っていた。さっきまで、泣いた痕も鮮明に眠っていたちいさなお姫様が、再び女王として屹立していた。カノに相対して、高らかに声をあげて。 「私はホムラグループの跡継ぎ。時を待たず長になるものです。あなたたちのように人を操り、愚弄し、人の思いを軽視する人々を、許してはおけない」  どれだけ心強い言葉か。それなのに、嫌な空気は拭われない。 「そうねえ」  カノは笑っていた。妙に昏い、魔性に似た顔で。 「莉梨ちゃん。あなたは思念ベース、わたしは感情ベース。どっちが強いと思う?」 「……なに」  莉梨が眉をひそめる。 「ううん、質問を変えよっか」  カノの表情はあでやかだ。その微笑みが、頭ががんがんするほど、瑠真の知る女の子には似つかわしくなくて、やっぱりここにいるのは別人なのだと、気持ち悪さが体内を掻き回す。  カノは嘘っぽい笑顔を貼り付けたまま、 「恋破れた女の子と恋をしている女の子、どっちが強いと思う?」  そう言った。 「え」  頼りなげに莉梨の表情が揺れた。何を言われたのか、今ひとつ理解しがたいという表情。それでいて、直観的に不利を悟ったように。  低い声でカノが呟いた。 「大人になりすぎた女は嫌ね」  莉梨が、悲鳴をあげた。  落ちていたはずのアームの一つが蛇のようにうねって莉梨の目の前でぱかりと鏃を開き、その真ん中で不規則に色のついた光がまたたいた。別のアームが妙に紳士的に彼女の背中を支えたが、それが離れると莉梨の腰がへたりと地面に崩れる。 「や……だ、違う、ごめんなさい……」  それまで聞いたこともない、怯えたような莉梨の声があった。  後輩とペアもぎょっとして莉梨を見つめた。ごめんなさい、と肩を抱く莉梨の表情が、叱られた子供みたいに歪んでいく。  構う暇もなかった。カノは足音を立てて向き直り、 「じゃあ、せっかくだから、一人ずつに餞別をあげようか。まず、翔成くん」  薄く笑った。 「は……」 「あなたに教えてあげたいのは、あなたが身を呈して守ったものになんの意味もなかったということ」 「何を言いたいんです」  翔成の表情がこわばる。 「ホムラグループは長くを待たず分裂するわ。そしてその引き金にいたのはあなた、それからあなたの家族だって。覚えておくといい」  少年の肩がびくりと震える。背負わされたものの大きさにふと思い至ったらしい。  チカ、光が瞬く。カメラのシャッターを切るように、映画のフィルムを回すように。 「望夢くん」  少女は歌うように節をつけて次の標的を呼んだ。キャラメル色のものうい双眸がペアをとらえた。 「あなた。あなたにはね、言いたいことがたくさんある。『あたし』からも」 「……華乃の名前を使うな」  低く少年が応じる。カノはかまわなかった。 「あのね、『お姉ちゃん』は聖女だから言いやしないんだけど。良い妹が代弁してあげよう。『あたし』は『きみ』のことがずっと怖かったわけ」  小さく、ペアの背中が動く。瑠真は口を出したくて唇をぱくぱくする。でも出てくるのは細い呼吸ばかりだ。 「『きみ』には何かが欠けている。自分で分かっているのかな。あのね、逃げられなかったのは、『きみ』のせい」  誰も動かない。カノの言葉に縛りつけられたように、時間そのものが止まっている。 「『あなた』もね、『わたし』と同類なんだよ」  それは溶けるような囁き。人をまどわす悪魔の。  ペアは黙りこくっていて、カノの言葉をどう受け取ったのかは分からない。  瑠真は薄靄の意識の向こうで必死に呼びかけている。実際に声は出ないのだけれど。  聞いちゃダメだ、「そいつ」の言葉なんか。  階段から、ざ、とひとつ足音が響く。 「……お主」  それが、この場にいなかった最後の一人の足音だと、気づいたときには瑠真の視界には彼女が映っている。  神名春姫。異変に気づいたのだろう、遅れての到着だった。  彼女の目は冷徹に、平板に、なんらの表情を映すこともなく、カノを見据えている。  金色の瞳の女の子。瑠真たちの長。時に味方として、時に制止役、時に憎まれ役として、常に目の前にいてくれた友達。 「……春ちゃん」  なのに、心強さが足りない。小さな声で、カノが呼ぶ。 「春ちゃんにも、ご挨拶だね」  一人一人に餞別をと言った、その言葉の続きなのだろう。その声は、瑠真たちに対するときの不遜な調子に比べ、春姫に対してだけかすかな敬意のようなものを孕んでいる。  答える、春姫の声音は静かだった。 「聞こえた言葉が間違っておらぬなら。お主ら、協会秩序の転覆をはかっておるのじゃな」  そう応じていいのは、ある意味で彼女だけだっただろう。現況の世界の守り人である彼女だけ。 「妾の作り上げた世界にあだなすと。お主はそう言うておるのじゃな?」  一瞬でも、背筋が震えるような圧力だった。  カノは動じなかった。蕾の綻ぶようにずっと笑ったまま。 「あなたがやってくれたこととおんなじでしょう?」  長いこと言いたかったとでも言いたげな感慨が口ぶりに籠もっている。春姫は伺うようにじっとカノを見つめた。 「意味を問おう」 「ねえ、春ちゃん。わたしはこうして暮らしていて気づいたの。ひとつの世界をつくるということは、ひとつの世界を壊すということだよね。色んな人は、そういうふうに世界を描いてきたんだね。あなたも」  言い含めるような、姉のような言い方。それはまるで、歴史の教科書を生徒に教え込む家庭教師の優しい女の子みたいな口調で、瑠真の頭がぐちゃぐちゃになって吐き気がした。  少女はそのまま少しだけ頭を振り向けて、別の人物に呼びかける。 「そうだよね、望夢くん。壊された側ならわかるよね」  望夢は瑠真の見たこともない鋭い目で少女を睨んだ。  その表情を眺めてか。ふふっと、どこか場所のわからない近くから、新しい笑い声が聞こえた気がした。カノのものではない。付き従っている子供たちのものでもない。ハスキーな少女のような、あるいは声変わり期の少年のような、性別が曖昧な声音だ。まだだれか仲間を連れているのか。 『春ちゃん』  その声が呼んだ。どこか電子音みたいなノイズを混ぜながら。  春姫の顔色が変わった。その変化が何を示すものなのか、まだ瑠真たちには分かり得ない。 「お主」  信じられない、とでも言いたげな声で春姫が呟いた。いや、信じたくない、かもしれない。  そのときの春姫は、年相応の、小さな子供に見えた。  中性的な声は歌うように続ける。 『いつまでも待ってるって言ったでしょ? いつまでも、地獄の底で』  ぞくぞくと、嫌な予感が、場の足元からせり上がってくる。 『君は果たしてくれるのかな。あのときの約束を』  その言葉は、瑠真たちには到底意味も前提も分かり得ない、不可解な響きを帯びていた。  考える前に、春姫が声にならない咆哮をあげた。  その手が目にも止まらぬ速さで拳をつくってがんと振りまわしたかと思うと、名前も判別できない無数の花が棺を埋めるように夜いっぱいに咲いて、それがすべて一斉にカノたちのほうへ落ちていった。  落ちる、というのは正しいだろうか。落とす、爆弾をばら撒くように、星を夜空に走らせるように。苦悶の声をあげた瑠真の身体の中で銀のアームがズっと音を立てた。カノの防御の動きに引きずられたのだ。いくつものアームがカノたちの上にドーム状に寄り集まって先端を開いている。  チカ、とフィルムが回った。それでまるで映像を消すみたいに、花々が降り注ぐ傍から掻き消えていく。  限りなく美しいのに、涙も忘れるほど絶望的な光景だった。 『あはははは! だめだよ、春ちゃん!』  高い声は笑っている。 『これはね、クオリアフィルタっていうんだ、もとはといえば君をサンプルに作った反装置だからね! 敵うはずがないのさ! シロガネ、試作にしちゃやるじゃない。お手柄だよ』 「えへ」  呼ばれて照れたように微笑んだのは銀髪の少年だ。  「ありがとう、ホマレ」 「ほまれ? 誉(ほまれ)と言うたか?」  手を差し向けたまま、春姫はぶるぶると震えていた。その唇から漏れるのは、疑惑か、怨嗟か。 「殺した、お主はこの手で殺した。相対してその心臓を突いて、刺し殺したはずじゃ。その肉を斬りその血を浴びたはずじゃ! あ奴が生きておるはずがないッッ!!」 『今の『俺』が生きてるのか死んでるんだか、俺にもわかんないんだけど』  誉と呼ばれた声は楽しげだった。ごろつく地面に頬をつけながら、瑠真は微かな既視感を覚える。  誰かに、似ている。 『それでもね、『俺』はずっと君を見ていたよ』  愛情深く、あるいは性根悪く、どこまでも歪(ひず)んで壊れた言葉。  その歪んだ形をもし真っ直ぐに伸ばせたら。元の形に戻すならば―― 「……誉?」  望夢がぽつんと呟いた。風に吹かれるように呟いた。 「『高瀬誉』?」  ――この少年に、似ている。  空気は凍っていた。こちら側にとってだけ冷たい時間が流れていた。  相手の一行は我関しない。 「さぁ、『わたし』からのお別れがまだだったね。瑠真」  少女が仕切り直すと、軽やかに地を踏んで、同時に跳ね上がった。がちゃがちゃと地に突いたアームがぐんと持ち上がって、少女の身体を宙に舞わせる。  一瞬で目の前に少女が迫る。スカートがはためく。「あの子」によく似た顔。汗だくの瑠真の頬に少女の指が愛おしげに触れる。 「ねえ、『あなた』のことが好きだったって『わたし』が言ってるよ。こっちの"わたし"のことはまだきちんと分かってないけど。あのね、わたしは『わたし』のためにこういうことを思うの。あなたがもう二度と戦わなくていいようにしたいって。あなたが拳を握る理由を、あなたが魅せられたナイフを取り上げて守ってあげたいって」  穏やかに清らかに、少女はわけのわからない言葉を囁きかける。瑠真の思考能力をぐずぐずに溶かす。 「だからね、今はさよなら。いつかあなたのために世界を作るわ」  そうして、とどめに。  少女は愛おしげに頬を擦り寄せて、その花のような唇が一瞬触れて。  きっと真っ青に乾いていただろう瑠真の唇では、何らの感触も受け取ることができなくて。ただ『友達だった』と思っていた誰かの顔が視界いっぱいに近づいてそのまま離れていった。  誰もが髪の毛一本だって反応する余裕がないままに、カノは可愛らしくきゃらっと笑って身をひるがえすとアームを伸ばしてぐんと身体を持ち上げ、同時にヘリポートのほうから夜間の低空飛行で近づいてきたヘリの一台からばらばらとハシゴ紐が投下されてきた。カノは片手で紐を掴んでアームを伸ばし、お母さんに抱っこをねだるように両手を挙げている少年少女をアームで掴んで引き上げる。 「さよなら!」  カノが叫び、悪魔じみた別の笑い声が重なる。  最後の最後に瑠真の背中を串刺していた鏃が雑に引き抜け、ぬらりと色も分からない光沢を夜間灯に照らしながらヘリに追随していった。  ようやく意識を失うことを許されたように体が地に落ちる。かえって安心したみたいに身体の中心からどくどくと力が一斉に抜けていくのがわかる。  いちばんに反応して駆け寄ってきたのは意外か順当か、後輩の少年だった。いっぱいいっぱいの顔で瑠真を覗き込み、 「おれのかじっただけの貧相な治癒系じゃなんともなりませんっ。誰が何をできるんですか、しっかりして!」 「……ホムラグループは医療ビジネスですっ。灯火記念病院よりも、ここから近い病院に顔がきく」  続いて莉梨が真っ青な顔で再起して、 「春ちゃんっ。動転するのはわかります。私だって情けないです。でも」  自分も目にいっぱいに涙を溜めながら、それでも気丈に別の少女を呼んだ。 「一般治癒含め技術がいちばん高いのはあなたです。全力でサポートします、動いてください!」  そこから先のやり取りは混濁してしまって何一つ思い出せない。  けれど、薄く落ちていく意識の中で、ひとつだけ瑠真の網膜に最後まで焼き付いていたものがあった。  ペアの少年の後ろ姿。瑠真の救護に走る一行に何故だか参加しようとせずに、夜闇に光って遠ざかっていくランプをずっと見つめている。  後輩が一度拳を握って何をしてるんだよと掴みかかっていって、それでようやくきょとんとした目で振り向いてあぁ、とかそういう反応をしたのじゃないかと思う。ごめん。ぼうっとしてた、と。ぼうっとする場面じゃないでしょと後輩が噛みついていたような気がするが、瑠真には不思議に望夢の抱いているものが分かっていた。  あなたもね、わたしと同類なんだよ。  そうだよね、望夢くん。壊された側のきみなら分かるよね。  否定すればいい、と瑠真は思う。だけどずっと隣で戦ってきたペアの少年がここで首を横に振らないことを、瑠真はおぼろげに知っている。
×××
 ヘリコプターの操縦席から戦果を問われて、報告している間に倉持寿々が目を覚ました。カノは座席から振り向いて、後ろの寿々に笑いかけた。 「寿々。ありがとう」  ぼうっとしていた寿々の目が、ぱっと色を帯びて頬を朱に染めた。単純なくらい分かりやすい変化。 「カノっ。私、あなたの課題に合格したわ。ホムラグループを騙して、クオリアフィルタを一度使ったわ。……これで、私も一緒に行っていいかな」  うっとりと、こっちを、カノだけを視界いっぱいに見つめる両目。それは酷く冷静を欠いた瞳だ、とカノは笑う。わたしの言ったことを、なんでも信じる子。 「あのね。あなたには感情がありすぎるの」  だからまず、突き放した。 「え……」  寿々は肩をちょっと固くして戸惑った。  カノは安楽椅子みたいに座席の背中を揺らしながら、 「わたしたちはね、基本的に感情の死滅をベースに仲間を探してくるの。あなたにもその素養があった。だけどあなた、いつからかわたしのこと『好き』になったでしょう。そのせいで、あなたの心には、喜怒哀楽のすべてが復活してしまったの」  寿々に意味が分かるだろうか。恋する少女なら分かるだろう、とカノは思う。恋はいつもそれまでの自分の世界を終わらせ、その残骸の上に新世界を創造する。 「そういう存在は、危険すぎる。予想できないからね。『ふつうの』存在というのはね、わたしたちの、立ち向かうべき敵であり、わたしたちを虐げてきた支配者なの」  理論的なことは何も分かっていないはずの、寿々の顔がそれでも絶望に落ちていく。カノが寿々を拒絶し、試しているのが直観的に分かるのだ。 「待って。まだ、私あなたと一緒に……」  世界を作りたい、だろうか。あるいは、世界を壊したい。壊したいなら歓迎できる。 「だから、寿々、あなたが信頼できることを知りたい」  ぱちんと、カノは指を鳴らした。  取り外していたクオリアフィルタ発生装置が動いて、後部座席のシロガネが持っていた大判タブレットにアームの一本を伸ばした。鏃が割れて収納されていた接続端子がくるりと回り、タブレットに映像を投影する。  カノはその画面を寿々のほうに向けてやりながら、ナレーションを付けた。 「あなたのお母さま、事故に遭うんだって」 「……え」  寿々の目が映像に奪われる。たぶんそこには、彼女にだけ見える母親の姿が映っているだろう。ホムラグループの少女に人の悪意を凝縮して見せたときと同じように。 「事故時刻は今夜八時二十分。今は何時? そう、もう数分になるわね。仕事帰りのお母さんを大型車の側輪が巻き込むんだわ。想像できる? 見えてる? これは実際に起こる未来だからね」 「カノ、何を……」 「あなたは、お母さんに支配された自分の人生が嫌だって言った。それを理由にわたしたちに合流した。そうだったよね?」 「……」  茫然と寿々がこちらを見る。カノは指を揺らして画面を切り替えていく。 「あなたがそれまでの『世界』を捨てるつもりだったなら、それほどまでに『わたしのことが好き』なんだったら。平気だと思うわ、お母さんなんてもう要らないでしょう? あなたはお母さんの満足のために進学校に入れられて、やりたくもないのに勉強をしてくすぶっているのだっけ。そんな世界、もう捨てちゃいましょう。全部捨てられるって、あなたはそう言ったはずなのよ」 「や……」 「嫌? それなら、あなたのことはここから放り出すしかないね」 「違うっ、そうじゃない!」  寿々は血相を変えた。口角から唾が飛び、その瞳はいっぱいに見開かれて身を乗り出す。 「いいわ、捨てていい、お母さんなんてもう要らない! ――死んじゃえばいい!」  その言葉を待っていた。  ギイイィっと、不吉な、ブレーキ音と悲鳴がカノの耳にも聞こえた。  この瞬間、映像は現実とリンクする。ばちりと画面が切り替わり、寿々にだけ見える抽象的な景色ではなくてカノたちにも見て取れる実際の交差点の景色が映し出される。 「平気、大丈夫、大丈夫。すぐにお母さんが死ぬわけじゃないからね。わたしたちがきちんと病院を手配するからね」  甘い調子でカノは言う。寿々は己の口にした言葉に打たれてぼうっとしている。 「あなたの覚悟が分かればそれでいいのよ。『好き』は強いよね。たとえ自分がいるのにふさわしくない場所でも、『好き』だから頑張れるっていうのなら、わたしはそんなあなたを大切にしたいの」  席を立って、寿々を抱き寄せて、その前髪をそっと撫でる。少女の反応はない。 「そうやって、『わたし』たちは生きてきたのだから」  少女の頭越しに窓が見える。  闇空が青い。カノの好きな色。口角があがる。新たな世界の始まりに胸が高鳴る。
×××
「……わか、らない」  治療を受けているのを感じ取って何度か目が覚めた。そのとき、自分がうわごとを言っていることに気が付いていた。 「また自己完結して、なんにも説明しないで、ゆるさない。許さない、絶対に追いかけてやる……!」  こんなに全部がぐちゃぐちゃで、こんなに頭も身体も動かないのに。  その感情だけは明晰だった。怒り。いつだってこのエゴがここにある。それがずっと瑠真の真ん中の支えだった。  なのに、納得できない。説明できない。この怒りすらもなぜか、さっきの襲来で、カノと名乗る少女に奪われてしまったような。まだ整理がつかない、だけどそんな気がしてぼろぼろと涙が零れる。喪失感があった。もう顔を汚している液体がいったい何なのか考える余裕もなかった。友人たちの声が鼓膜の遥か上を飛び交っている。  私は、いったい、何者なのだ。何を携えてここまで歩いてきたんだろう。
×××
 シロガネの掲げたタブレットに、その風景は映し出されていた。  青い青いあの子。彼女を傷つけ放り出したのは、いつだって『わたし』のことを覚えていてほしいからだ。  あの子は『わたし』のことをなんにも知らなくて、分かってくれない。それでも『わたし』しか『友達』を知らなかったから、そこになんとか満足を見いだしてきたのだ。  なのに、とカノは思う。あの子が『わたし』を忘れないように仕掛けたいくつかの事件で、ことごとく彼女は別の誰かと仲良くなってしまった。  ずるい、と思う。いつだって『わたし』が根っこにいることを、あの子は忘れないでほしい。 『……わか、らない』  映像の中のあの子が言っている。 『また自己完結して、なんにも説明しないで、ゆるさない。許さない、絶対に追いかけてやる……!』  分からない。絶対に許さない。  いつだってあの子が繰り返してきた言葉だ。その瞳は綺麗な炎に燃え、そうやって抱いた怒りが彼女の軸になる。  カノは知っている。あの子はいつだって、ふにゃふにゃの自分自身をなんとかものごとに対する怒りだけで保って生きている。怒りそのものが、彼女の存在意義になってしまうくらいに。なんて愛おしいんだろう。矮小で、愚かな瑠真。 「あぁ、可愛い。ほんとうに可笑しい」  カノは、くすくすと、くすくすと笑いを堪えていっぱいに肩を震わせる。こうやって笑うとき、自分の声があの悪魔に似ていることはとっくに自覚している。 「その『怒り』だって、『わたし』があげたものなのにねえ!」
 それは、いつか『わたし』の教会で、悪魔が教えてくれた言葉。 『だって、あの子は、君の呪いのせいで、怒りしか抱けなくなったんだ』  あのとき、その言葉は、大切な友達を歪めてしまったっていう絶望として耳に触れた。  だけど、今は違う。あのときの『わたし』はしょせん文字通りの半人前で、未熟きわまりなかった。世界をマイナスにしかとらえることができなかったのだ。  カノはものごとを楽しむことを覚え��。どうせ壊れる世界だとしても、楽しめるならそのほうがいい。  あの子の怒りがわたしのものだと言うのなら、それはすなわちあの子はゆくゆくわたしのものになるってことだ。
 ずっと背後で、倒れたあの子の傷を塞ぐために慌ただしい作業が開始されたのが分かった。
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