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#狸ヶ原ぽん子
milehighdad · 1 year
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地球屋。耳をすませば(Whisper of the Heart 1995)。予約は取れなくて中には入れなかったけれど、無料エリアから写真だけ。 柊 あおい(ひいらぎ あおい)原作。原作とアニメは設定等が一部異なる。続編「猫の恩返し Cat Return 2002」(月島雫が書いた物語のイメージ)。
アニメ映画の舞台、東京都多摩市。雫の団地(愛宕2丁目)、京王線、向原駅(百草円駅)。杉の宮駅(聖蹟桜ヶ丘駅&西口&ファミリーマート&発車メロディがカントリーロード&青春のポスト&霞ヶ関橋&いろは坂&桜ヶ丘ロータリー(地球屋がある場所)&ノア洋菓子店)、中学校(小金井第一中学校)、図書館(多摩市立東寺方図書館)、金毘羅宮。登り坂が多いため、小田急線永山駅→愛宕団地→桜ヶ丘ロータリー→いろは坂(おすすめされていた)。
平成狸合戦ぽんぽこ(1994)。
聖蹟桜ヶ丘駅(三長老到着)。 ベルコリーヌ南大沢。 龍生寺阿弥陀堂。
ジブリパーク。ジブリの大倉庫。
2022年オープン。愛知県。青春の丘、どんどこ森。 もののけの里(タタラ場の五平餅体験 2023年11月-)、魔女の谷(2024年)。
Ghibli Park (2022-). Chikyu-ya (Whisper of the Heart 1995).
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touch196 · 1 day
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どうもー!
「石橋は叩き壊す派☆ミ
しかも、自力で泳いで渡ってから金槌(泳げない)だったと気づいて、溺れて、助けてもいない亀に拾われて…
竜宮城へ来てみれば…
(童謡:浦島太郎の歌詞を5番まで読んだら、あまりの報われなさぶりに、
I can't stop the loneliness !
どうしてなの 悲しみがーとまらなーいぃ…♪
長嶋さんなの? 同じ意味のこと2回だね……略)
または、
「予防線クリエイター」
の…、名乗らないね、そういえばね。
一応、イラスト活動やってた時に、
決めたけどね、あってないものとして取り扱っていますね。
やあ、どうも。
適当人間です。
AIによる概要
泳げない人を「カナヅチ」と表現するのは、木槌は水に浮くのに対し、金槌は水に入れると沈み浮かび上がらないことに由来しています。
泳げない原因としては、次のようなことが考えられます。
水に浮くことがうまくできない
・体に力が入り過ぎている
・水中で正しい姿勢が取れていない
・泳げるようになるには、次のような方法が考えられます。
・全身の力を抜いて浮く練習をする
・怖ければ、すぐに立てる深さのところで練習する
・水慣れをするためにも、顔を水につける練習をする
・息を止めて顔に水をつけるが、水を飲み込まないよう注意する
・水から顔を上げた際、息をパッと吐き出すように吐く
・体を真っすぐ伸ばして、水面と体が水平になるように意識する
・肘をしっかりと伸ばして手のひらを重ね、頭を腕の下まで下げる姿勢(ストリームライン)を作る
親切心が行き届きすぎてやしないか、AI…。
私も泳ぐの苦手なんだけど、
いつか“推しの子“として、生まれ変わったら実践してみるね!
感謝!!
(推しとか特定の人が居ないけど…)
えっと、なんか面白い自分のキャッチコピー?
思い付いたかもって、勢いで書き始めたから、脈絡もない、出オチだけの投稿になってしまいました。
たまには短くていいじゃんと思ったら、本当に中身なくてすいませんね。
売れる前から、
「もしめっちゃ売れて、サイン色紙頼まれたらどうしよう!
サインの練習しとこう♪」
て、引き寄せの法則的な、
狸の皮算用(妄想)をする、
上京したてのキャッキャウフフが止まらない、何かのタマゴを想像しといてください。
売れたい?
いや、伸び代があるなら、
遊びでも良いから、
試したもん勝ちだろうという。
それなら、オーディエンス(受け手)がいると過程して、
ユーモアをきかせて……
説明したとたんにつまんなくなるから。
もー、やだーー。
※そもそもが出オチてます。
***
あと、ふと疑問なんですけど。
「AIによる概要」って誰に著作権があるのかと?
・いろんなWEBサイトなりブログから引っ張ってあるんだろうけど。
・それ(AIの概要)を更に引用した場合、
引用元の引用元のページのプライバシーポリシーに乗っ取って、
転載元をいちいち、
リンク貼るのが礼儀というか、
守らなかったら私は捕まるのか?
とか、思ったら、夜も眠れないし(完徹中)、
安易に引用しない方が良いのか悩むし。
でも、一度WEBに上げた情報って、
言葉間違ってるかもだけど、
なんか公共の利益となりますようにって、願いみたいな、気持ちもあったりなかったりするから。
ガチガチに法律とかで責められてもなぁとか、
そもそも言葉は誰の所有物なのよ…て、答えのない問いとか。
「借り物の言葉」と、
「自分のフレーズ(自分しか辿り着かない…と思い込んでく程の、自画自���できる表現)」
の境目はどこなんだよ?
もちろん、商標登録だとか、意匠登録? ってのもあるのは知ってるけども。
この情報が飽和している社会の、
もはや出所不明
(詠み人知らず=歌をよんだ人が誰かわからないこと。それから転じて、それをした者が誰かわからないこと@コトバンク)
みたいな有益情報とか、感動エピソード(体験談)とか、面白い都市伝説(作り話)とか、
絶対あって、逆に「あんた最高だよ!」って、伝えたいのに相手がわかんない…。
みたいな、謎の残念さが生まれたり、忘れたり。
うん、まぁ、
過去に創作活動とかしてたんだったら、
著作権法くらい理解してた方が、いろんな意味で良かったかな、て、思うけどね。。
どんだけの分量かはわからないけど、
著作権法の本、未来の積ん読のスペースを、
予約しておきますね。。
AI による概要
意匠登録とは、物品や建築物、画像などのデザインに対して与えられる権利で、登録が認められることでそのデザインの独占的な生産や販売が可能です。意匠登録には、次のような特徴があります。
・維持にかかる費用が、3年を超えると特許や実用新案より安価になる
・特許と異なり出願審査請求が不要で、新規性をクリアできれば審査通過の難易度は比較的低め
・意匠登録出願は、特許事務所に依頼するか、自分で書類を作成してダイレクトに提出するかの2つの方法がある
意匠登録のメリットは、次のような場合に得られます。
・製品のデザインや部品の形状で差別化したい場合
・他社にデザインをまねした模倣品を販売されると困る場合
・ソフトウェアなどの画像デザインについて自社オリジナルのデザインを独占したい場合
意匠登録の手続きは、次のとおりです。
1. 特許庁に所定の様式に基づいた書類を提出(「出願」)する
2. 様式のチェック(方式審査)と、意匠審査官による審査(実体審査)が行われる
3. 審査を通過した場合、登録査定を受けることができる
4. 登録料を納付してから意匠の登録証が発行される
意匠登録にかかる期間は、出願から審査結果の最初の通知が届くまで平均8~10ヶ月程度、登録料を納付してから登録証が発行されるまでは約1ヶ月程度です。
引用:
■浦島太郎(うらしまたろう)/ゆめある
https://www.yumearu-ehon.com/rhymes/3376/
浦島太郎(うらしまたろう)
海の世界に行った浦島太郎の、不思議で楽しい童謡。
歌詞
むかしむかし浦島は
助けた亀に連れられて
龍宮城へ来て見れば
絵にもかけない美しさ
乙姫様のごちそうに
鯛やひらめの舞踊り
ただ珍しく面白く
月日のたつのも夢のうち
遊びにあきて気がついて
おいとまごいも そこそこに
帰る途中の楽しみは
みやげにもらった玉手箱
帰って見れば こはいかに
元いた家も村も無く
みちに行きあう人々は
顔も知らない者ばかり
心細さにふた取れば
あけてくやしき玉手箱
中からぱっと白けむり
たちまち太郎はおじいさん
■杏里 悲しみがとまらない 歌詞
https://g.co/kgs/SC7pcjb
*******
編集後記?:
ここは、自学(学習)ノート的に、
あわよくば、文章力=伝える力を鍛えるための場にする!
とか言ったけども、
なんでそう、
文語っぽい雅さとかを目指さないわけ?
とか聞かれたらば、
だって、話し言葉(LINEやTwitt●r=X)の方が言葉や考えが、するっと出てきやすいし。
受けとる側も、大体そういうのに慣れてるよね?
っていう半分は甘えだねぇ。
でも、伝わらない言葉に、意味はあるのかい?
そこに、ダムはあるのかい?
あ、心の方のやつですよ(昭和ネタ)。
そもそも、
純文学と親しむ学生時代ではなかったから、知らないもの、わからない言葉は使えないっていう。。
池上彰さん監修の、語彙力の本(うろ覚え)を今こそポチる時なのかい?
どうなんだい?!
「心にダムはあるのかい」は、
1997年の連続ドラマ『ひとつ屋根の下2』で、江口洋介さん演じる6人兄弟の長男・達也のセリフ。
シリーズ第1作での「そこに愛はあるのかい」という問いかけから転じた? 熱いメッセージ、ハートで感じて(解釈して)ください。
たぶん、優しさや思いやりがあるのか? 的なことかと思われ。
※文字列��違えたら、ひとりで6役みたくも読めるけど、違うよ。。
引用元
■ひとつ屋根の下2(ドラマ) | WEBザテレビジョン
https://thetv.jp/program/0000003526/
ひとつ屋根の下で暮らす柏木家兄弟たちの物語、続編。長男・達也が出した“ぜいたく禁止令”の撤回を求める声が兄弟からあがる。しかし、達也は大学進学を目指す小梅の学費もあり、これまでどおり倹約を徹底させる。さらに達也は、小雪への見合い話を勝手に決めていた。小雪は怒るが、雅也は小雪に見合いを勧めるのだった。
↓ 正しくは、
「ひとつ屋根の下2」(前半の概要文中)
AI による概要
「心にダムはあるのかい」は、ドラマ「ひとつ屋根の下」のセリフで、心に潤いがある人は、周りに悲しかったり辛くて心が枯れそうな人がいれば、自分のココロの水を分けてあげられるという意味です。
「ひとつ屋根の下」は、7年前の両親を亡くして以来バラバラになっていた柏木家6人兄弟がクリーニング店を営む長男・達也のもとで暮らし、様々な困難や葛藤を乗り越えて懸命に生きる家族の姿を描いたドラマです。
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ayatter · 6 years
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ぽん子お誕生日おめでとう~!
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ydotome · 6 years
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Tanukigahara Ponko (狸ヶ原 ぽん子) - Inazuma Eleven: Ares no Tenbin - Episode 23
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cvhafepenguin · 5 years
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ミコとマチ
 リビングで目が醒めた瞬間あわてて手元のスマホで時間を見た。5時31分、やばい、40分には家を出ないとバイトに遅刻する。渾身のスピードで歯を磨いて顔を洗い自室に駆け込みばたばたとスウェットを脱ぎ床に脱ぎっぱなしの縒れたデニムを穿きYシャツを全力で着て一張羅の苔色のカーディガンを羽織ってほとんど空っぽのリュックを背負う。化粧は諦めて大きめの風邪マスクでごまかすことにした。幸い原稿を作成してるうちに座椅子に座ったまま寝落ちしていたので髪は乱れていなかった。平日ならマチが起こしてくれるのに、今日は土曜日だから私の部屋の向かいの彼女の部屋で、マチは一週間分の疲れを取るべく昼までおねんねだ。私は「いってきます」とぼそっと呟いて全力でドアから飛び出しオレンジのチャリに跨がり立ち漕ぎで駆けた。早朝の澄んだ空気を抜ける冷たい風が私の全開のおでこに当たる。三月の霞がかった曖昧な風景を私は右、左、右、とぐっとペダルを踏んで追い越して行く。それにつれ眼がだんだんと冴えて来た。息を切らしぐんぐんと駅までの道を走りながら私は書きかけの原稿の続きのことを考え出していた。どきどきと小さな心臓が高鳴り血が巡り、私の身体に熱が漲ってくるのを感じる。まだ人がまばらな駅前のロータリーを抜け、高架を潜り、なんとか出勤時間ぎりぎりに店に着いた。ドアを開くとコーヒーの温かくて甘い香りがふわっと鼻を突く。これを嗅ぐと私の頭はたちまちだらしがなくてうだつの上がらないワナビー女から「「鯤」のウエイトレスモード」にかちっと切り替わる。「おはようございますっ」私は店に入るなり弾丸のように一直線にバックヤードに突っ込みエプロンを着る。「おー、毎度のことながら作家さんは朝に弱いねえ」店長の蓮さんが茶化す。「朝まだなんだろ?これ食っちまえ」蓮さんは厨房からカウンター越しに私にロールパンを投げ渡した。「いただきます」私は風邪マスクをぐいとずらし、拳大のそれを口に詰め込んだ。それから蓮さんに渡された水をぐっと飲み干す。「鯤」は駅前の喫茶店なので、平日は開店するなりモーニングをしにくるサラリーマンなんかがぞくぞくと来て大童なのだが、今日みたいな休日は最初の30分なんかはかなり暇だ。コーヒーにつけて出すゆで卵もいつもならあらかじめいくつか小皿に分けて置くのだけど、今日はカウンターのバスケットにまだこんもりと盛ってある。その光景はまるで平和の象徴のような安心感を私に与える。しばらく待っても客が1人も来ないので、私はトイレで簡単な化粧を済ませ、カウンターにかけて蓮さんが淹れてくれたアメリカンをゆっくりと飲んだ。「原稿はどんな感じ?」「うん、方向性はだいぶ定まってきたからあとはそれを形にしていくだけかな」「なるほど、ついに俺の息子がミコが手がけたゲームをやる日がくるんだなあ、あっ今のうちサイン貰っとこうかな、店に飾るわ」「蓮さんってば気が早すぎ」蓮さんはことあるごとに茶化すけど、芯のところでは私のことをそのつど気にかけてくれているのが私にはありありとわかった。嬉しいことだ。
 そうしていると、程なくして客がちらほらと入り出した。休日の朝は老人ばっかりだ。常連のみんなはお話し好きで、四方山話や身の上話を滔々と聞かせてくださる。いつものように私は給仕や食器洗いをこなしながらそれにふんふんと頷いた。でも頭の中は原稿の続きのことでいっぱいだった。先週、駆け出しライターの私に初めてクライアントからSNSのダイレクトメッセージで、ソシャゲのシナリオの執筆依頼が来たのだ。それは聞いたことないような小さな会社で、その依頼されたゲームも予算的にみてメインストリームに敵うポテンシャルがあるとはとうてい思えなかったが、なにせ執筆の依頼が来ることなんて初めてだったので、私は半端ない緊張ととめどなく沸いてくる意気込みでここ一週間ギンギンだった。原稿のことを考えると下腹のあたりがヒュンとする。これは誰もが知っているRPGのシナリオを手がけるという私の夢への第一歩だし、なにより、就職せずに創作活動に専心することにした私の決意が報われた心持ちだった。それはどう考えてもぜんぜん早計なのだけれど。とにかく、私は今とても浮かれていた。
 正午前あたりから客足が徐々に増しなかなか忙しなり、あっという間に15時になった。退勤まであと1時間だ。
「いらっしゃい。おっ荘くん」だしぬけに蓮さんの朗らかな声が厨房から客席に向け広がる。荘くんが来ると、蓮さんは私を茶化す意味でわざと私に呼びかけるような声音で叫ぶのだった。これもいつものことだ。
 私はお気に入りの窓際の2人がけのテーブルにギターケースをすとん立てかけて座る荘くんのところへ注文をとりにいった。心臓の音が高鳴るのが荘くんにばれている気がした。
「いらっしゃい、今日はスタジオ?いよいよ来週だね。」
「そうだな、あっ、チケット忘れんうちに今渡しとく」
荘くんにひょいと渡された黄色いチケットにでかでかと、
「jurar 初ワンマン!」と書いてあった。その楠んだチケットのデザインは全体的に少し古くさい気がした。
「ついにだね」
「うん、絶対に成功させるよ、やっとここまでこれたんだ。そろそろ俺たちもプロへの切符を勝ち取りたいな」
「うん、私応援してるから」荘くんの襟足から煙草とシャンプーの混じったえも言われぬ匂いがかすかに漂う。それは、ほんとうのほんとうに良い匂いだ。
「サンキュな、ミコちゃんも頑張ってるもんな、俺も負けてらんないよ。あっ、そうそう、そういえば…明後日柴さんにアクアマターのライブ来ないかって誘われたんだけど、ミコちゃんあのバンド好きだったよね、もし暇だったら一緒に来る?蕗川ビンテージだよ。柴さんももう一人くらいだったらチケット用意できるから連れて来ていいって」
「いいの?行きたい!」
「よっしゃ、じゃあまたラインするわ」
「まじか…」私は心中でひとりごちた。まさかのまさか、こんな地味な女が荘くんにデートに誘われたのだ。注文伝票をレジに持って行き蓮さんのほうをちらと見てみた。すると蓮さんははにかみながらしゅっと素早く腰のところでガッツポーズを出した。私は心中でもう一度、「ま、じ、か…」と丁寧にひとりごちてみた。
 荘くんはブレンドを急いで飲み干して会計をし、「じゃあ」と去って行った。そうこうしているうちにやがて退勤時間となり、出勤してきた蓮さんの奥さんに引き継ぎをして、私はタイムカードを切った。「お疲れさまです」挨拶をして表口から店を出ると、スプリングコートのポケットに両手を突っ込んで含み笑いしているマチが立っていた。目が合った私たちはそのまま見つめ合った。一瞬、時間が止まったようだった。ピィ、ピィ、とけたたましい鳥の声が、狭い路地裏にこだました。
「オハヨ」マチは宣誓のように右手をしゅっと突き出してそう言った。
 マチの手は真っ白で、春のひかりをぼんやりと帯びていた。ぼんやりとその手を見ていると、なんだか眠くなった。
「マチ、何してたの?」
「さんぽ」
「起きたばっかり?」
「寝すぎちった」
 私は自転車を押してマチととぼとぼと散歩した。外は朝は肌寒かったけれど、今は歩いていると少し汗ばむほどの気温まで上がっていた。電線と雑居ビルたちに乱雑に切り取られた街の高い空を、鳴き交わしつつひっきりなしに飛び交う春の鳥たち、私たちはゆっくりと歩きながらそんな風景を見るともなく見ていた。
 私たちはそれぞれあたたかい缶コーヒーを自販機で買い、駅から少し離れたところにあるたこ(多幸)公園へたどり着いた。私とマチは予定のない天気のいい日にはよくここで何となく過ごす。
「そういえばさ」
「ん?」
「さっき店に荘くんが来てね」
「なになに?」ブランコに座っているマチは両足をばたばたとせわしなく蹴っている。
「「明後日アクアマターのライブに誘われたんだけど一緒にこないか」って」
「デートか!」
「そういうこと」
「やったー!」マチはブランコからたんっと飛び降りて両腕を上にぐんと伸ばして叫んだ。
「いや、誘われたの私だし」
「わがことのようにうれしいっ」
「よーし今日はなべだー」マチは私に背を向けて起き上がった猫のように盛大なのびをした。
「なべ、若干季節外れじゃない?」
「めでたい日は鍋パって相場がきまってるのよっ。ミコの恋愛成就を祝って今日は私のおごりで鍋だー」
「マチってば気が早すぎ」
私たちはスーパーでたくさん鍋の具材と酒とつまみを買って、大きなレジ袋を2人で片側ずつ持って帰った。2人でわいわい作った鍋は多すぎて全然食べきれなかった。飲みまくって酔いつぶれた私たちはリビングでそのまま気を失い、翌朝私は風邪を引いていた。私がなにも纏わず床で寝ていたのに対して、マチが抜け目無く毛布を被ってソファーを独占していたのが恨めしかった。
 荘くんは待ち合わせの駅前のマクドナルドへ15分遅刻してきた。10分でも20分でもなく15分遅れるというのがなんだか荘くんらしいなと私は妙に感心した。「蕗川ビンテージ」は私の家の隣町の、駅のロータリーから伸びる商店街の丁度真ん中のあたりにある。私はこの街に来たことがなかったのでライブハウスまで荘くんが先導してくれた。風は強く、空は重く曇っている。商店街や幾本かの路線でごちゃごちゃしたこの街は、私とマチが住んでいるところに比べてなんだか窮屈な感じだった。前を歩くやや猫背の荘くんに付いて駅からしばらく歩くとやがて「蕗川ビンテージ」に辿り着いた。荘くんが「あそこ」と指を指してくれなかったら私はそれがそうだと気付かなかっただろう。「蕗川ビンテージ」はどう見てもただの寂れた雑居ビルだった。よく見ると、ぽっかりと空いたビルの地下へと続く入り口の前に「アクアマター」のワンマンの掲示があった。その入り口の前に、いかにもバンドマンといった出で立ちの5人の男女が談笑していた。若いのか、それとも私たちよりずっと歳上なのか、いまいち判然としない風貌の人たちだった。その5人はやって来た荘くんを認めると手を振り、荘くんはそれに応えて私をほったらかしてポケットに手を突っ込んだまま5人に駆け寄った。荘くんが1人の男の横腹を肘で小突く、するとその男は笑いながら荘くんにヘッドロックを決め、ほかの人たちもげらげらと盛り上がった。どうやら荘くんととても親しい人たちらしい。少し話すと荘くんは突っ立っている私のほうに戻って来た。それから私の手を引いて、地下への階段を降りて行く。荘くんが近い、かつてないほどに近い荘くんのうなじから、シャンプーと煙草が良い塩梅に混じった私の好きな匂いが漂ってくる。匂いはたしかに近いけれど、暗すぎて当の荘くんの姿がよく見えない。なにかがずれている気がした。私たちは、どこか歪な気がした。私たちが、というか私だけが明らかに場違いだった。「マチは今どうしているだろう、そろそろ帰ってる頃かな、晩ご飯は私がいないから今日は外食なんだろうな」好きな男に手を引かれているというのに私の頭に浮かんで来るのはマチのことだった。やれやれ。
 2人分のチケットを荘くんが受付の初老の男に手渡す、そして荘くんはまたその男としばらく談笑し始めた。「ちょっとお手洗い行ってくるね」と私はその間に用を足した。戻ってくると受付の前に荘くんを中心に人だかりが出来ていた。荘くんの周りにおそらく10人以上はいたが、その中の誰1人として私の知っている顔はなかったし、荘くんを含め、そこに誰1人として私のことを気にする人はいなかった。私はまるで透明人間にでもなったかのような心持ちだった。あそこで人の輪に囲まれ楽しそうに話しているあの人はいったい誰なんだろう。いつも「鯤」に来て親しく話してくれるあの人。私がいつか「アクアマター」が好きだとこぼしたことを覚えてくれていて、デートに誘ってくれたあの人。でも冷静に考えると当たり前のことだったのだ。界隈で突出した人気を誇る若手バンドのフロントマンの荘くんと、街の隅でこそこそと暮らしている私みたいな誰も知らない地味な女なんて、そもそもステージが違うのだ。私は知らないライブハウスの柔らかくて厚い防音材の壁にもたれながら、誰にも知られず夜空でひっそりと翳りゆく月のように、緩やかに卑屈になっていった。誰かここから連れ出してくれないかな、これがまさしく「壁の花」ってやつね。卑屈の次にやってくる自嘲。思えば幾度も覚えたことのある感覚だ。いままでに縁のあった男はみんな、折々こんな風に私のことをないがしろにした。
 ほどなくしてライブが始まった。ライブは、よかった。横にいた荘くんは頻繁に何処かへ消えた。たぶん、知り合いの誰かと話しに行っているのだろう。そう、ここでは私以外のみんなが知り合いなのだ。ライブの終盤、ストロボが瞬くクライマックスの轟音の中荘くんは強く私の手を握ってきた。私はそれを知らんぷりした。スモークの甘ったるい匂いがやけに鼻についた。ライブ自体は、本当によかった。
 外に出ると小雨が降っていた。荘くんはライブの終わりからずっと私の手を握ったままで、駅の方へ私を引いて歩いていく。私はなにも考えずにそれに従う。疲れて、頭がぼーっとしていた。商店街の出入り口のアーチの辺りで、荘くんは「じゃあいまからウチで飲もっか」と切り出した。私はまっぴらごめんだと思い「えーと今日はもう帰ろうかな、明日も朝早いし…」と丁重にお断りした。
「別にいいじゃん、ご近所さんなんだしバイトは朝、俺の部屋から出勤すれば」荘くんはしつこかった。
「いやーやっぱ何だか悪いしルームメイトもいるんで今日は家に帰ります。今日はほんとにありがとう」
 私は返答に窮して言い訳にならない言い訳を口走っていた。そのとき私ははっと息をのんだ。荘くんは怒っていた。彼の表情こそ変わらないが、私なんかにプライドを傷つけられたこの男が激怒しているのがわかった。
 それから突如荘くんは声を荒げ
「んだよ、俺とヤりたいんじゃなかったのか?」
 と今まで私が聞いたことのない荒荒しい声音で言い放った。そのとき私は頭が真っ白になった。私はこの人が何を言ってるのかわからなかった。信じられなかった。この人も自分が何を言っているのかきっとわからないに違いない。そうであってほしい、と私は願った。
 私はいつの間にか私の肘を強く掴んでいた彼の手をばっと振り切り、夢中で駅まで走った。後ろであの人がこっちに向かってなにか喚いている気がした。私はそれから逃げるために全力で走る。とつぜん視界がぐにゃあと歪んだ。音のない雨は、いつのまにか本降りになっていた。頬を伝って落ちる生温いものが春の雨なのかそれとも涙なのか、わからなかった。
 マチは私に何も訊ねなかった。あの夜ずぶ濡れで帰ったきた私の
様子を見て何となく察したのだろう。お風呂から上がってきた私に何も言わずに中華粥を作ってくれた。荘くんはあの日以来鯤に来ることはなくなった。蓮さんは
「まあ今回は縁がなかったってだけさ。月並みな言葉だが男なんて星の数ほどいるんだぜ」と慰めてくれた。
 でもそれを言うならば女だってそうだ。それこそ私は荘くんにとって星の数ほどいる「都合のいい女候補A」にすぎなかったんだ。私はまた卑屈になっていた。このことをマチに話すと「処置無しね」の表情をされた。マチの「処置なしね」の表情。白いつるつるの眉間に少し皺が走りいたましげに私の顎辺りに視線を落とすこの仕草が私は密かに好きだ。ソシャゲの依頼はなんとか納期に間に合ったが、私は次の賞に挑む気力が沸かなかった。���ランプに陥ってしまったのだ。なんだかどうしても力が入らなくて、私は湯葉のようにふやけてしまっていた。このままなんの意思も目的も持たず、たゆたうクラゲのように何処かへ攫われてしまいたかった。あの失恋で、まるで私とこの世界とを繋いで私を立たせているピンと張った一本の糸が、ぷつりと切れてしまったようだ。私は休みの日のほとんどを寝て過ごすようになった。
 私が一ヶ月以上もそんな状態だったので、放任主義のマチもさすがに見かねたらしく、「ミコ、餃子をやろう」と私に切り出した。パジャマの私はソファでクッションを抱いて寝転びながら「うぇえい」と曖昧に返事した、ミコが「マチはかわいいなあ」と言って後ろから抱きつこうとしてきたが私はそれをひょいと躱し、勢い余ったマチはフローリングでおでこを打ち「ぎゃっ」と叫んだ。そのとき私に被さったミコの身体はとてもひんやりとしていた。
 餃子の買い出しから仕度まで殆どミコがやってくれた。私はソファに寝転んで夕方のニュースを見ながらミコが手際よく餃子を包んで行くのを背中で感じていた。辛い時は甘えられるだけ相手に甘えるのが私たちの生活の掟なのだ。私とマチは、いまままでずっとそうやってきた。
「いざ!」待ちくたびれて私がうつらうつらし出した時にマチは意気込んで餃子を焼き出した。しゅわあと蒸気が立つ音とともに、むわっとした空気がリビングに立ち込めた。私は薄目でせかせかと餃子を焼くマチの背中を見ていた。「このまま帰りたくないな」そんな素朴な気持ちが不意に、去来する。私たちには他にいるべき場所があって、いつまでもこの生活が続くわけないのはお互い、何処かで理解していた。けれど私たちはそれに気付かないフリをしている。
 マチの背中って小さいんだなあ。そんなことを考えると何だか目頭が熱くなってきたので、私は寝返りをうち、狸寝入りを決め込んだ。クッションに顔を埋めてきゅっと眼を瞑っていると、まるで幽霊になって、空中を漂いながらミコのことを見守っているような、ふわふわと暖かくて寂しい気持ちになった。
「ほらほら引きこもりさん、餃子が仕上がって来たわよ。テーブルにお皿とビール出しといて」
「あいさー」
テーブルの皿に綺麗に連なって円になっているマチの餃子はつやつやでぱつぱつだった。マチは餃子の達人だ。マチよりおいしい餃子を作る女を私は知らない。
「じゃあ、餃子にかんぱーい」
「かんぱーい」
最初の一皿を私たちはあっという間に平らげた。
「じゃあ第2波いきまーす」
「いえーい」
マチは餃子をじゃんじゃん焼いた。私がもう食べられないよと喘いでも取り合わず焼きまくった。マチは何かに取り憑かれたようにワインを呷りつつ、一心不乱に餃子を焼き続けた。「餃子の鬼や…」私がそう呟くとマチはこっちを振り向いてにいっ、と歯を出して笑った。
 餃子パーティも無事に終わり、私たちはソファで映画を見ながらワインをちびちびと飲んでいた。
「ミコ、この映画つまらないね」
 マチがずっと見たいと言っていたから私がバイト終わりに借りてきてあげた映画だった。
「たしかに、脚本は悪くないけど演出が単調だね」
 マチは冷蔵庫から新しい缶チューハイを持って来てぐびと勢い良く飲んだ。それから酒の勢いを借りたようにこう言った。
「ミコ、屋上に行こうか」
 私は缶ビール、マチは缶チューハイを片手に最上階の廊下のフェンスを跨いだ。マチは私の手を引いて真っ暗で何も見えない中、屋上へと続く鉄骨階段を上がっていく。あれだけ餃子を焼いたにも関わらずマチの手は冷たかった。たん、たん、と微妙にずれたふたつのゆっくり階段を踏む冷たい音が闇の中密やかに響く。酒気を帯びたマチのにおいがする。なんだか懐かしいにおいだ。毎日のように嗅いでいるはずなのに��私はマチをぎゅっと抱きしめたかった。
屋上は無風だった。しんとしていて、まるで世界が止まったみたいだった。私たちの住むマンションは台地のてっぺんに建っているので、屋上からは街が良く見渡せる。酒の缶を持った私たちは並んで囲いの柵に凭れて、街の灯をぼんやりと眺めていた。不意にささやかな音で聞き覚えのあるイントロが流れ出した。最初はか細い月明かりのような調子のその曲は、やがて雲の隙間から抜け出して鮮烈な満月となる。
「Tomorrow never knows」
 私はこの曲を聴いた時にいつもこんな印象を受ける。いつかマチはこの曲のことを夜の森の奥で誰にも知られずに燃える焚き火みたいと言っていた。思えば、性格がまるで違う私たちを繋ぐきっかけとなったのはこの曲だった。
 
 あれは私がまだ大学一年生のときの冬だった。私はサークルの先輩に合コンに来てくれと頼まれて不承不承承知した。相手は同じ大学の違うサークルの連中だった。明らかに人数合わせで参加した合コンだ、面白いはずもなく、私はうんざりした。いつ「じゃあ私はこの辺で…」と切り出そうかずっと迷っていたが、二次会のカラオケにも流れで行くことになってしまった。そしてそのカラオケに遅れてやって来たのがマチだった。先輩の説明によると、マチは男側の知り合いだそうだ、それで先輩とも面識があったので呼ぶ運びとなったのらしい。部屋に入って来たマチを見て私は「きれいな女の子だなー」とうっとりとした。マチは空いていた私の横にすとんと座った。思わず頬が緩むようないいにおいがした。スキニーを穿いた華奢な脚のラインが綺麗で、横に座っていると、私の若干むくんだそれと比べずにはいられなかった。マチは終止にこにこしていた。男たちは明らかにみんなこの場で一番綺麗なマチを狙っていた。私は半ばいやいや参加したとはいえ、やはりみじめな気持ちだった。下を向いて鬱々としていると私にマイクが回って来た。あまり歌は得意ではないのだが…と思いつつ私は渡されたマイクを掴み、ええいままよとミスチルの「Tomorrow never knows」を歌った。歌っている時にマチがじっとこっちを見ていたのを不審に感じたが私は気付かないふりをして歌いきった。合コンはつつがなく終わった。解散してターミナル駅のコンコースを歩く私たちの集団は1人ずつ空中分解していき、やがて私とこの初対面で良く知らないマチという女の子だけが残った。私たちは無言で微妙な距離を保ちながら並んでしばらく歩いた。
「私って合コンとか苦手なんだ~」やにはにマチが間延びした調子で呟いた。それからふわあと大きなあくびをした。私はその様子を見てなんて美しいひとなんだろうとうっとりした。合コンのさなか、表面上は取繕っていたが、明らかに退屈そうにしていたのも見て取れたので、私はマチに好感を抱き始めていた。
「なんか私同世代の男の子って苦手だな、何話したら良いかよくわからないし」
「私もああいう場は少し、苦手」
「ねえ、お腹空かない?」
「ちょっぴり」
「ラーメンでも食べにいこっか」
「うん、いいよ。この辺?」
「うん、北口からちょっと歩いたところにおいしいラーメン屋があるんだ。塩ラーメンなんだけど、大丈夫?」
「大丈夫、塩ラーメン好きだから」
「それではお嬢さま、エスコートいたします。」
 とマチは腰を落として片足を後ろに引く紳士の挨拶のポーズをした。
「で、では、よろしく」
 私もコートの腰のところを両手でつまんで膝を曲げ淑女の挨拶でぎこちなく応じる。
 私たちは改札の前で踵を返し、ラーメン屋へと向かった。
「ミスチル、好きなんだね」
「うん、親の影響なんだけど」
「私も好きなんだ。だから、君がさっき歌ってたとき嬉しかった。周りに音楽の趣味が合う人がいなくってさ、ミスチルとか今の若い人もうあんまり聴かないもんね」
「うん、カラオケとか行くとみんな今時の曲ばっかり歌うもんね。特に合コンなんかだと顕著」
「男も女もなんだかんだ言っても最終的に画一性を自分に強いたほうが楽なのだということなのかも知れんね。ところで君、名前は?」
「私はフジサワミコ。あなたは?」
「私も名前二文字なんだ。湊マチ」
「みなとまち」
「マチでいいよ」
「わかった、私のこともミコって呼んでよ」
「そうだ、ハタチになったら一緒に飲みにいこうよ。ライン交換しよ」
 
 それがきっかけで私たちはことあるごとに2人でつるむようになった。私がこっぴどく振られた時も、マチの就活が難航を極めていたときも、いつも酒なんかを飲みながら互いに慰め合った。ルームシェアをしようと言い出したのはマチのほうからだった。それは私が就職を諦め夢を追うことにするとマチに打ち明けた次の日だった。
「私はミコがどんなでもそばにいてあげるよ」
 マチはことあるごとにこんなことを言うのだった。
「どんなのでもって、もし私がアメーバみたいな真核生物でも?」
「アメーバでも好きだよ」
「私も、マチがアメーバでも好き」
 赤ら顔の私たちは屋上で「Tomorrow never knows」を歌った。
「はーてしなーいやみのむーこうへーおっおー てをのばそー」
呂律の回らない舌で私たちは叫びながら柵の向こうへ両手をぴんと伸ばした。伸ばした指の先に、滲んでぼやけた街の灯りたちが、きらきらと輝いていた。
 
 私はそのプロポーズを受けることにした。相手は麗さんという人で、マチの紹介で知り合った10歳上の高校の生物の教師だった。マチはあの失恋以来落胆している私を励ますために、荘くんとは真逆のタイプの男を紹介してくれたのだった。交際は、以前の私ではとても考えられないくらいにうまくいった。私は素敵な男をあてがってくれたマチに心の底から感謝した。彼はとても良く尽くしてくれたし、私も彼のことがとても好きだった。彼と付き合い出してから、彼の家に泊まって部屋に帰らないこともしばしばあった。そして私と対照的にマチはその頃からだんだんと不安定になっていった。なにかといらいらしてたまに私にあたるようになったのだ。私は何故そうなったかマチに聞くこともなかった、何となく察しがつくだけに余計聞く気がしなかった。��嘩も私が帰らなくなった日のぶんだけ増えていった。
 ある日3日間麗さんの家に泊まってから帰ると、私の部屋のものが全部廊下に放り出されていた。
「なにこれ」私はこっちを振り向きもしないリビングでソファにかけてテレビを見ているマチに問いかけた。
「もう出て行くのかと思って部屋を片付けといてあげたよ」
「ばかじゃないの?ほんとガキだね」
 なんてみっともないんだ。私にいつまでもこだわって、ばかばかしい。
 ずかずかと歩いてリビングに入ると不意にマチが振り向いてこっちをきっと睨みつけたので私は立ち竦んでしまった。
「ミコ、ミコの夢は、努力は何だったの?なんで…そんなに簡単に諦めるの?」
 マチの声は掠れていた
「前にも言ったけど私には才能がないんだしもう筆を折ったんだよ」
「なんでも手に入れることのできるマチには私のことはわからないよ。知ったような口を聞かないで」
 私はいつしか心の何処かで自分の夢と、マチから解放されたいと思い始めていた。
「そういえば言ってなかったんだけど私あの人にプロポーズされたんだ」
マチはまたテレビの方を向いて石像のように固まって何も言わなかった。
「おめでとうとか、ないの?」
マチは依然としてだんまりだった。
 そのとき、私の頭のなかでぐわん、という音がした。誰かに後頭部を殴られたような衝撃だった。それから涙が、とめどなく溢れてきた。私は泣きながら廊下に放り出された荷物を出来る限りまとめた。それから麗さんに電話をしてワゴンを出してもらい部屋の私の家具や持ち物を全て、3往復して麗さんの家に運んだ。それっきり、あの部屋には二度と戻らなかった。それはあまりにもあっけない幕切れだった。麗さんは「人のつながりなんて、そんなもんさ」とやけに達観した口ぶりで私を慰めてくれた。3ヶ月後に披露宴の招待をマチにラインしてみたが既読すら付かなかった。
 
 「もう、終わりにしよう」
 別れを切り出したのは英治のほうからだった。英治はセックスが終わってしばらくして呟くようにそう言った。実のところ私は、英治のほうからそう言ってくれるのをずっと待っていた。いかにも安ラブホテルの調度品といった感じのチープなガラスのテーブルの上の、パフェ皿の底に残って溶けたソフトクリームがピンクの照明を反射しててらてら光るのを、私は裸でシーツも被らずに茫然と眺めている。英治がシャワーを浴びる音が聞こえる。英治が上がったら私もシャワーしなくちゃ。…どうしてこうなっちゃったんだろう…どうして。やにわにテーブルに起きっぱなしのスマホが震え出した。ガラスの上でがちゃがちゃ騒ぎ立てるそれに私はいらっとして。ぱっと手に取った。その画面には「麗さん」と表示があった。
「来月の裕太の体育祭どうする」
 メッセージの内容はこれだけだった。私はスマホの画面を暗転させて枕元にぽんと投げ捨てベッドに潜り込んだ。麗さんと英太にはもう一年以上会っていなかった。毎日仕事漬けで夫と子供を捨てて出て行き、愛人と日中に安ラブホにしけこんでいる私のような女が今更どの面下げて元伴侶と息子に会いに行けばいいんだ。いやだ、このままなにもしていたくない。この地の底のような穴ぐらで、誰にも干渉されずにずっと踞っていたい。
「ミコ、ミコ、ミーティングに遅れちゃうよ。起きて」
そうだ、私は次の作品の企画ミーティングに行かなければならない。何せビッグタイトルのナンバリングだ。集中しなければ。
ミーティングはかなり難航したもののなんとかまとまった。私も英治も、いつものようにメンバーに振る舞った。私たちの関係に気付いている人は、どうやら1人もいないようだった。帰りがけに私と英治は小さな居酒屋に寄った。ここは私たちが関係を持ちだしたころ英治が教えてくれた店だ。
「今度のプロジェクト、うまく行くといいな」英治は燗を呷って少し上機嫌になっていた。昼間のラブホテルでの言葉を取繕うためなのかもしれない。
「なんたってミコには実績があるもんな。大丈夫、ミコならこの先一人でもうまくやっていけるさ」
「聞きたくない…」
「え?」
「「聞きたくない、そんな言葉」」
 私は思わずそんなことを口走りそうになったが、かろうじてそれを飲み込んだ。
「英治はどうなの」
「どうって?」
「この前も辞めたがってたじゃん。この仕事、自分に向いてると思う?」
 そうだ、私が英治の仕事や家庭の愚痴を聞いてあげるようになったのがこの関係の始まりだった。
「うーん…向いていようが向いてまいが、俺にはやるしかないな。やっぱり何度も言ってるけど、自分の夢のために邁進してきたミコと俺はスタンスが違うよね、それに俺…」
「俺?」促しても英治は先を言うのを躊躇うので私はいらいらした。握りしめた水割りを私はぐいっと飲んだ。
「俺…2人目ができたんだ…」
「ふうん、おめでとう、ね」
「そうなんだ、だから、この関係もそろそろ潮時なのかなって。」
 私はカウンターに万札を叩き付けて店をあとにした。なにも英治に腹が立った訳ではない。私は全てがいやになってしまったのだ。夢も、仕事も、家族も。
「違う…私は…私は…」
 私は無意識にそう呟きながら明後日の方向へ駆け出していた。後ろで英治が私を呼びかけながら付いてきていたが私はその声がしなくなるまで走り続けた。走って走って、私は知らないバーに駆け込んだ。それからジャックダニエルのロックを注文した。なにも考えたくなかった。ぼうとそれをちびちびなめていると、やにはにスマホがポケットのなかで震えた。英治がなにか取繕うためのメッセージを送ってきたのかと思い私はうんざりしながら画面を見た。しかしそこに表示されていた名前は「英治」ではなく「マチ」だった。
私は反射的にスマホをカウンターに伏せて置いた。そしてウイスキーを飲み干しておそるおそる画面をタップして内容を確認すると。
「久しぶり、突然ですみません。今度会えませんか。」とあった。
私は胸がざわざわした、けれどもう何も考えないことにした。すぐにマチに「いいですよ」と返信した。
 待ち合わせは2人が分かりやすい場所が良いとのことで「鯤」にした。私は待ち合わせの時間より少し早くに鯤に来た。
「いらっしゃい。おお、ミコ」
 蓮さんは最近白髪が増えたものの相変わらず元気だった。私は鯤には昔のなじみで今でもたまに来るのだ。
「ごぶさたじゃないか。仕事忙しいのか。なんか、顔が疲れてるぞ」
「うん、ちょっと最近いろいろあって、でも大丈夫だよ、ありがとう」
 蓮さんはいつでもぶれずに蓮さんなので話していると私は安心する。蓮さんって私にとってオアシスのような人だ。
「今日ね、マチと会うんだ。ここで待ち合わせしてるの」
「マジで!すごいな、何年振りだ?」
「10年振り…」
「そうか、あれから10年も経つのか…なんかあっというまだな」
「うん、いろいろあったね」
本当にいろいろあった。でも、私とマチの時間はあの時のまま止まっている。私が部屋を飛び出したあの日のまま…マチはいったいどうしていたのだろう。
 私は緊張してテーブルにかけて俯いていた、しばらくしてドアに取り付けたベルがからん、と鳴った。顔を上げると、入り口にスプリングコートを着たマチが立っていた。そのシルエットは背後から射す春の陽射しに象られていた。
「おおお、マチちゃん!久しぶりー!」
「マスター、お久しぶりです。」
「相変わらずべっぴんさんだね。ここに2人がいるとなんだかあの頃に戻ったようだな。ゆっくりしていってな」
「マスターも相変わらずみたいで。ありがとうございます」
マチははにかんだように微笑みながら、私の向かいに掛けた。私は気恥ずかしかった。何を話したらいいのか全くわからない。マチもそうなのだろう。ずっとそわそわして後ろを振り向いたりしていた。私はマチが少しだけふくよかになっていることに気が付いた。
しばらくしてマチが話し始めた。
「最近いろいろあって考えたの…私どうしてもあのときのこと謝っておきたくて…寂しくてミコを傷つけることしかできなかった。ミコがいないとだめなのは自分のほうなのに、そして、そう思えば思うほど心細かった。こんな風にミコを呼び出して謝るのも独りよがりだけど。どうしてもそれだけは伝えたくて、ほんとにごめんね、ミコ」
そう言ったマチの眼から涙がひとすじ流れ落ちた。
 そうか、みんな寂しかったんだ。私とマチだけじゃない。麗も、英治も、それから荘くんだって。ミコの涙を見て私のなかで何かがはらりと落ちていった。それはたぶん、いつの間にか私の心に巣食っていた「あきらめ」のようなものだった。
「いいんだよ、マチ、もういい」
「あ、あり、ありがとう��ミコ、うわーん」
 マチはぐしょぐしょに泣いてバッグから出したハンカチで顔を抑えていた。ほかの客もびっくりして、カウンターに掛けているおばあちゃんも「あれあれ」と茶化してきた。私もつられて泣きそうになったがこらえてマチの手をとって店の外へ出た。
 私は泣き止んできたマチの手を引いてしばらく歩いた。
「見てマチ、ここのスーパーでよく買い物したよね」
「あっこの公園覚えてる?よくブランコ漕ぎながら酒飲んだよね」
 マチは鼻をすすりながら「うん、うん」と相槌をうつ。
春の気持ちのいい暖かい風が、懐かしい気持ちを呼び起こす。マチの手は、あの頃と同じで冷たい。
 私はマチの手を引きながらマチとの部屋を後にしてからのことを吶吶と話した。結婚して間もなく、昔穫ったグランプリの作品を目にしたディレクターに大手ゲーム会社のシナリオライターとして抜擢されたこと…麗さんとの子供が産まれたこと…仕事が多忙なのが原因で離婚したこと…仕事が忙しすぎて疲れていること…同僚の不倫相手との関係が終わったこと…
 マチは私のところどころくすりと笑いながらただ聞いてくれていた。
「ぜんぶミコだね」
「え?」
「恋愛でポカするのも、仕事や夢に疲れて参っちゃうのもぜんぶあの頃と同じミコだ。ミコは私が知らない間もミコをやってたんだね」
「たしかに、全部わたしだ。わたしらしい…わたし」
 そしてマチもずっとマチだ。あの頃と同じ、強い肯定も否定もせずただ私に寄り添ってくれる。そんなマチを見ていると今日の朝までずっと私を苛んでいた罪の意識や漠然とした憎悪が緩やかに解れていった。
「ねえマチ」
「ん?」
「屋上に行かない?」
私たちの住んでいたマンションはまるでタイムスリップしたかのようにあの頃と同じで、どこも全く変わっていなかった。
 いけないことと知りつつ、私はマチの手を引きそうっと忍び足で、屋上への階段を昇る。
 私たちは昔のように並んで囲い柵によりかかり街を見渡した。
「どこもかしこもなーんにも変わっていないね」
「そだね、あ、でも私は少し変わったかも」
「どんなところが?」
「私、結婚するんだ。式は挙げないことにしたんだけど。それでね、今お腹に赤ちゃんがいるの」
「え?」
私は不意をつかれて唖然とした。
「何ヶ月?」
「3ヶ月」
「えーっと…夫さんはどんな人?」
「優しい人だよ、今の職場で知り合ったの」
「おめでとう、マチ」
「ありがとう、ミコ」
私たちは手を繋いだまま顔を見合ってくしゃっと笑った。
「これ、覚えてる?」
 私はスマホのプレーヤーを開いて再生をタップした。
「うわ、懐かしい、私今でも聴いてるよ」
「私も聴いてる」
 あの夜この屋上でマチと一緒に歌った…そしてマチと私を繋ぐきっかけになったこの曲。
「Tomorrow never knows」
 私たちはあの頃を思い出しながら小さな声で一緒に歌った。これまでと、これからの全てが、発酵するパン生地みたいに私のなかでふわり広がって行った。
 心のまま僕は行くのさ、誰も知ることのない明日へ
 そうだ、私とマチは私とマチのままで、あの頃のような万能感はなくともしっかりと歩いて行くんだ。癒えない傷を抱えながら。あらゆる柵に絶えながら。
 私たちの目の前には、霞がかってぼやけたなんでもない街が広がっていた。
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usinonikki · 3 years
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刀剣の漫画セリフうち(27話の2)
(注意、この本丸の主くんは辰巳という名前ですが、今回名前を呼ばれるシーンいっぱいあるかも)
おはよう、一期さん
おはようございます、主
学校に行ってくるから留守番よろしく
他のみんなも、夜には遠征から帰ってくると思うけど
はい…主、少しよろしいですか
何?
……お願いが、あります
うん?また秀吉の本借りてきて欲しいの?
…前の主に関わることではありますが、今回は……
主が通われる学び舎…ご学友や先生方に「秀吉はどんな印象?」と聞いてきてもらえますか…?
い、いきなりだな。どうして?
………秀吉というのは、あまりに有名な人物です
彼が登場する物語は、数えきれないほど作られました
そうだね
主は、たまに動画で能楽をご覧になっていますが、秀吉も能を好んでいたことをご存知ですか?
知らなかった
彼は、彼自身の人生を物語にして…能舞台で演じたことがあるのです
へ〜
あまりに他の人から物語を与えられた人であり、また自分でも自分を演出した人だったので…
…そっか一期さん、本当の秀吉はどんな人か、まだまだ調べたいんだな
でもそれだと、俺の友達に印象聞いてもしょうがなくない?
本当の彼というのも知りたいですが
現在は、どのように伝わっているのかも知りたいのです
わかった。聞けるだけ聞いてくる
ありがとうございます
ただ、友達は…サルサル言うかも…
構いません。ありのままをお伝えください。ここまでが、私のわがままです
わ、わがままってことはないけど…
※学校にて
おはよー
おお、おはよう
ねえねえ、また今度遊びに行っていい?あの戦国武将のアクションゲームやりたい
いいよー明日来る?
やったー!俺は本多忠勝ね
持ちキャラ忠勝かよ。トロいけどパワーあるみたいなのが好きなんだな
というか、デカいから強いって思ってるだけ。……そういえば、秀吉は早かったな
秀吉はチビでサルっぽいからな
チビでサルね
(※別の友達)あと、ハゲネズミ〜!
ははは
(えっと…友達二人の印象は、チビとサルとハゲネズミっと…)
※休み時間
(隣の席の子に)今なんかドラマ見てる?
なんで?
俺、全然見てないんだけど、面白いのあるなら見てみようかなって
ならね〜、〇〇が出てるこれと、△△が出てるこれと…
…えーと
ごめん、わかんない?
…うん、その俳優はどんな役やってた人?
この映画でこの役、あとこれと…
あっこの映画ならわかる。面白かった。そっかこの役の人か、なんか…迫力あったよね
でしょ⁉︎
うわっビックリした
ぜひハマって!
うーん、じゃあ、この人の作品なんか見る
……この人、時代劇は出たことある?
時代劇?時代劇がいいの?
えっ…あーうん…ゲームやってるし。信長とか秀吉とか出てくるやつ
えーでも歴史物は暗い感じだから、やだ
この俳優さんが出るなら見るかもだけど…あんまり…
今んところは出てないんだ
この人だと、信長か秀吉か家康だったら…うーん、家康が似合いそうだけどね
その三人なら信長がいい
だって秀吉はスケベだし、家康は狸親父だし
(スケベ…)
※国語終わった後
先生、古典って平安時代のやつばっかりなんですか?
そんなことないよ。三年生になったら徒然草とかもやるよ
何、もっと勉強したい?
あの、えっと…実はちょっと…
あー……家族が…能とか狂言好きだから、俺も真面目に古典勉強してたら、あれ聞き取れるようになるのかなって…
聞き取れるかは保障できないけど…
能は源氏物語とか平家物語を題材にしてるのもあるから、授業ちゃんと受けてたら理解しやすくなるかもね
(※友達)辰巳の家族、すげー和風な趣味してんな
ま、まーね。あっでも、能は豊臣秀吉も好きだったらしいですよ
それは初耳かも
あっそうなんですか、先生も
まあ秀吉って器用そうだし、趣味も多そうとは思うけどね
(器用そうで、趣味が多そうなイメージか)
※放課後、職員室
体育倉庫の鍵返しに来ましたー
はーい
※鍵を戻して
最近、部活始まったと終わったらすぐ終わる…
暗くなる前に生徒を帰さないといけないから
あとちょっとだけ、おしゃべりするのはオッケーですか?先生
えっ俺?
先生、社会の先生だから…あの…えーと…
歴史の授業が戦国時代に入るのって、あとどのくらいですか?
えっまだ先かな、なんでそんなこと
(※司書の先生)最近、秀吉の本借りていってるよね?
(※国語の先生)あっ今日も秀吉の話してたね
なに、ハマったの?
あ、えっと、はい…
(※さらに別の先生)秀吉なんて最低だぞー!というか、あの時代の人間は、みんなカッとなったら人殺すような奴ばっかりだぞ〜
えっ…
(※社会の先生)ちょ、〇〇先生…
(※〇〇先生)秀吉は、若い頃からじじいになっても、ずーと色ボケの猿野郎だぞ。でも晩年になるまで子どもができなくて…
やっと子どもができた時、その前まで跡継ぎにしようと思ってた甥っ子が邪魔になって…
殺してしまった。その甥っ子の妻も子どもも全員殺した
………
(※社会の先生)辰巳、諸説あるんだ。その事件も…
(※〇〇先生)鳥取城攻めも酷かった。秀吉は残酷だ
信長は寺を焼いた魔王だし、家康は三方ヶ原でうんこもらした。戦国武将なんて、実物はかっこよくないんだよ
そ、そうですか…そ…う…
お、お、教えてもらって…ありがとう、ございました…先生…
(※社会の先生)…辰巳、玄関もうしまってると思うから開けるよ。おいで
※職員室を出て
なんだか、ごめんな。ゲームとかでかっこいいイメージだったんだろう、戦国武将
は、はい…あの…
家康が三方ヶ原で、ていうのは…
あーあれなら、今は作り話って言われてるから大丈夫!
じゃあ、あの…鳥取城っていうのは、なんですか?
………。秀吉は兵糧攻めが得意だったんだ、兵糧ってわかる?ご飯のことだよ。ご飯が入ってくる道を全てストップしてしまって、敵が何も食べられなくした
鳥取城というお城は、秀吉に兵糧攻めされた
…敵になった人は、どのくらいご飯食べられなかったんですか?
……あの、それこそ残酷な話になるから、ちょっとボカすけど…餓死する人がいっぱいでるくらいだよ…
………
…秀吉って、お話でも好き勝手キャラ作られてますけど…歴史を聞いても、いい気分じゃないですね…
お話……
辰巳。覚えておいてほしいことがあるんだけど
歴史が好きな人と言ってもいろんな人がいるんだ。まずどの時代が好きとか、人が好きとか城が好きとかいろいろあるし…
史料を読みまくって、史実を知ることが好きな人もいるし、お話が好きな人もいる
大半の歴史好きは、歴史を題材にした物語も好きだと思うけど…
…先生は基本的に、どんな風に歴史が好きでも、目の前の人を不快にしなければ、別にいいと思う
(※ため息をついてボソっと)だから今日の〇〇先生はちょっと、ムカついちゃったね…
…俺は、どうすればいいのかな…
どう?
あー、あのね。これからもゲームや漫画で描かれる歴史物語が好きでいいよ
物語で歴史人物のイメージがついちゃうのも、まあ、いいんだよ
ただ、その場合は「織田信長ってこういう人だ」と言うんじゃなくて、「このドラマを見たから、俺は織田信長ってこういうイメージ」みたいに言えばいい。それでオッケー
…まだよくわかんない、けど
ありがとうございました、先生
うん。じゃあもう遅いから、気をつけて帰れよ
※校門を出たあたり
(どうしよう…)
(穏やかで丁寧な一期さんが、わがままですが…なんて言うから…)
(むしろ叶えてあげるぞーって、頑張ったのに)
(こ、こんなの報告するの?絶対一期さん傷つくじゃん…)
(というか俺も結構、メンタルぼろっぼろなんだけど…)
“ありのままをお伝えください。ここまでが、私のわがままです”
どうしよう、もおおお〜〜‼︎
(3に続く)
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anjerako · 8 years
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振り返る2016
明けましておめでとう、今年も宜しく。 遅れてしまったけど昨年を思い起こ��て12ヶ月を振り返ってみよう。何よりも自分の為。 意外がられるのだが僕は割りと生存願望が強いというか「死にて~」と心の底から思った事は過去1度だけ。 色んなニュースを見ていると、人間の生命の力強さに驚くこともあれば、「人ってこんな簡単に死ぬのか、ふ~ん」と他人事のように爪を切りながら思うこともある。 僕はきっと長生き出来ない。そんな気がする。あれよあれよと死んで、消えていく。怖いなあ。永遠に思考が出来ないって怖いなあ。考えたくないなあ。でも考えることは続けたいなあ。死後の世界とかあればいいなあ。 今でも覚えてる、小4の雨の日、田んぼでおたまじゃくし捕まえようってA・Y君と約束して傘を差して待ち合わせてる途中から急に死ぬのが尋常じゃなく怖くなった。 もし80際まで生きられたらその時は全力で総てに感謝しよう。 その時の為に書いておこう。多分忘れちゃうから。誰も居ないかもしれないから。僕の心もそこにないかもしれないから。
でもツアーの話は別枠で振り返ろう。 そしてその他ライブの感想は過去記事があるやつは割愛して、裏の細かい事を残そう。相談しよう、そうしよう。 てか今年の冬ってそんなに寒くなくない?
1月 ・新年会で人生で一番酔っ払った。本当に急性アル中寸前だったと思う。次の日計40回位吐いた。酒がトラウマになり、3/5の七針のライブまで酒の匂いを嗅ぐだけでえづくようになる。
・エフェクターでBIG MUFFを導入。パッチケーブルはソルダーレスに。何気に結構な額がお財布から消える。2015年に火傷と切り傷を量産しながら作成したケーブル達よ、南無。
・年明け1発目のライブは吉祥寺シルバーエレファントだった。スタッフのI.P.Uさんブッキングデビューだったらしい。何よりもシルエレ至上初の「演奏中にブレーカーが落ちる事件」が記憶に新しい。youtubeにライブ動画あげてるんだけど、これは電源復旧後です。実はこの前にハコがざわついてました。
・2016年2本目のライブは新宿アンチノックだった。The life plantとborderline caseと対バンだった。確かborderline caseの下手ギターのずっきさんが超体調悪かったようで、出番終わったら帰ってたと思う。お大事に~(1年越しの気遣い)
・自分的に勢いに乗っていたウォーキングデッドがここに来て急速にダレる。本作に出てくるタフガイの名前はダリル。この頃シーズン5に突入したのに、未だにシーズン5の真ん中位。
2月 ・ライブが計4本と何気に多い。内1本大阪。ちょっとワクワクしてた。
・さらばルバート、空を飛ぶの企画に出演。今はギタボさん以外が別のメンバーに代わったらしいが、きっと相変わらずにカッコイイだろうなって勝手に思ってる。そして4月と12月に対バンしたあの娘の代わりのベースさんと実はここで出会っている。ジントニックをありがとう。
・The life plant主催のフェス@新宿アンチノック。テンション上がってめちゃめちゃにストロークして、終わった後に右手見たら出血してた。終電を乗り間違える痛恨のミスで超遠回り&最終的にタクシー使って帰宅。ちなみにタクシーに乗った駅は前のバンドのボーカルの家近くで懐かしい気持ちに浸った。タクシー降りた瞬間にガラの悪い兄ちゃんに話かけられて、まさかのバンド応援された。
・初の遠征。大阪は心斎橋FANJ with vieakend。地元三島から車でスタート。前日、実家にも関らず自宅と違う睡眠環境で一睡も出来ず。本番終了後のビジホもメンバーが一室に集っているというだけで精神的ストレスが高く(仲悪いとかじゃなくて、誰かが近くにいるという事実が余りに辛すぎる)これまた眠れず。結果帰りの車内で頭ぐわんぐわんになってた。オバ君の実家の車をお借りしてたんだけど、オバ君が皆を家や駅に送ってくれて最後に僕と2人になった。眠すぎたせいか謎の茶目っ��というかイタズラ心が発動して、オバ君に「家近くなったら教えてね」って言われてたのにあえて黙ってて、とっくに家を過ぎて山奥に入ったあたりでカミングアウト。そしたら結構デカい声で「も~っ!!!(イラつき)」って言われてちょっとビビった。ごめん(1年越しの謝罪)
・さらにもう1本。渋谷乙でライブ。これは日記書いてないね。全体的に出来が悪かった。でもこのライブの反省が次の七針でのライブにとても活かされているんだ。皆は電車で帰ったけど僕はケイジさんとWonderLandのメンバーとラーメン食べて終電逃して、ケイジさんはチャリで帰って、独りで渋谷のネカフェでメイクしてスカート履いたままヒロアカ読んでました。
・主催を振り返る日記にも書いたが、このあたりで本当にこのままで良いのか?と黒い疑念が僕に芽生える。
3月 ・七針でダンサーのnanaさんとコラボ。この日は凄く良かった。バーで買ったジンジャエールが辛すぎた。そして池袋で終電逃し、これまたメイクしたまま知り合い達のカラオケに合流して、歌うの恥ずかしいから歌わずに酒を呑む。その後またネカフェで独り朝まで。この日は確かキングダム読んだかな。
・新機材、MASFのSCMを導入。今でもビキュウで大活躍。
・そしてそのビキュウをちょうどこの頃スタジオで練習してた。中々揃わなくて難しかったなあ、、、。僕以外が。(僕は適当にノイズ鳴らすだけ。)
4月 ・大好きなborderline caseの主催ライブに出演@新宿motion。nanaさんも来てくれた。打ち上げでケイジさんが激辛の何か(何か忘れた)を食べて、それが本当に辛かったらしくてずっと汗書いてた。余談だが、ここの近くのローソンの太った店員さん、絶対他のコンビニで店員として観た事あるんだよな。しかも大分前に。恐らくはV系時代だし、新宿と考えると歌舞伎町のHOLIDAY向かいのローソンか?これは未だに気になってます。そしてこの日雨に打たれて帰宅したことが原因で風邪をひく。
・nanaさんのダンスイベントに遊びに行った。沢山いた客の中で酒量ぶっちぎりのナンバー1だったと思う。昔、稲田堤に住んでいたのだけれど、会場の橋本は割りと近く、且つ半端な栄えっぷりでとても良い気分になった。帰りに池袋の狸穴というつけ麺屋に行き、「ザ・小物系クズ」と呼ぶに相応しい男性客が隣でちょっと嫌な気持ちになった。でもこの日得られた物はもっと大きいから良いんだ。
・マンガワンでうしおととらを読んでハマる。
・多方面からオススメ頂いた小説「凍りのくじら」はハマらず。
・乙で印藤さんと対バン。主催を振り返る記事にも書いたが、この日の終演後は折居さんと印藤さんに色々相談した。そうせずにはいられなかった。僕にとっては凄く大事な日。特別な日。そっからはお2人にお世話になりっぱなしだな。
5月 ・乙でしっぽりとGWライブ。ワンミリとまた対バンしたい。 ・新宿アンチノックで深居優治さんや家畜と対バン。この日家畜を見て、主催に誘うか決めようと言っていたのだが、そんな上から目線が申し訳なくなる位最高にかっこよかった。もっと皆に知って欲しい。そして深居さんのバイタリティに勝手にケツを叩かれた気になる。
6月 ・6/9ロックの日とかいう日に乙でライブ。やっぱりcigarette in your bedはかっこいいよ。シューゲイザーなんだけどマインドはパンキッシュで、それがとても良い。2/14のファイナルが楽しみすぎる。 ・久々の高円寺HIGH。plant cellと対バン。実は女性Voシューゲイザーって初めてだったから、新鮮だった。シューゲイザーはほど女性が合うジャンルは無いなと思う。終電逃したオバ君を自宅に招いて近所のラーメン屋に行く。 ・ストラップの長さを変え、ギターの位置がより低く。これが今のスタイル。マジ弾きづらい。このバンド始めてからギターの位置高い人多くて食傷気味だった。やっぱ低いのが好き。 ・家畜の主催にて、裸体のシルエットとは別にゲロとブチでノイズセッション。ノイズの奥深さを痛感。
7月 ・インスト形態での新宿ナインスパイスデビュー。藤村さんに2年ぶりに会う。そして清算時、しょうもない事しか言えない自分が悔しすぎて泣きたかった。まだナイスパでは2回しかライブ出来てないけど、もっとやって行きたい。僕は藤村さんが好きだ。 ・スタジオ後、ファミレスでバンド会議。続ける事とはどういう事?先日のナインスパイスの悔しさもあり、自問自答の日々を過ごす。 ・インスト形態での大宮ヒソミネデビュー。これも2年ぶりに。帰りに終電が一駅手前までしか無く、そこからフル装備で徒歩帰宅。脱水症状起こしかける。 ・アンチノックでフランスのMYCIAAと対バン。これぞアンチノックと言わんばかりのカオスな面子。やっぱりアンチはこうでなくっちゃ。 ・ゲロブチ単体でアンチノックでライブ。3ピース。前よりはノイズ出せたかな。 ・確か2ndEP「ヒトアクニヌレル」のタイトルが決定したのは7月だった。
8月 ・高円寺HIGHで青天の霹靂と対バン。嬉しい。そしてterminal stageのサポートドラムのカズマ君と知り合う。ex-HALOのアデル君も来てて、オバ君と4人で近くの中華料理屋で朝まで。この日は新年会に次いで2016年2番目に酔っていた。中華料理屋到着して即行トイレでゲロ。20分くらいトイレで固まってた。終電?何それ?の精神。 ・新宿アンチノックの深夜イベントに。alt of the societyや、今回のツアーでお世話になった堀口君率いる群馬のBLACK RAINと対バン。本番前に4人でゴーゴーカレーに行き、謎の恋バナ。さらにゲロブチでも演奏。急遽ケイジさんも参戦して今までのゲロブチで一番カオスで良かった。タカシさん、コウタさん、勉強させてくれてありがとう。またいつかやりたいな。 ・ゴキブリ対策でブラックキャップを導入。 ・明らかに2015より読書量が減っている事に焦燥感。正直ディスコ探偵水曜日に超絶時間取られたのが原因の一つ。 ・オバ君の家でMV撮影。そうです、ゴルドです。2016年一笑ったのはゴルドの一番激しいセクションをヤケクソになって撮影して、リプレイした映像のあまりのヤケクソ感を目の当たりにした時かな。 そしてここで僕から皆にツアーの構想を話す。それは後に印藤さんと折居さんの力を借りて自利利他ツアーへと繋がっていく。
※2017年一笑った事の最有力候補がツアー中に大阪であったのだけど下品すぎて書けない。残念。これ以上の笑いが起きる事に期待。
9月 ・独りでヒルバレースタジオに出向き、印藤さんにバンTについてアドバイスを受ける。同時にツアーの話もする。ためになった。その後前々から気になってたラーメン屋「独歩」へ。旨い。基本を極めた感。 ・池袋手刀にてpresence of soulと対バン。エグすぎる轟音に圧倒され主催にお誘いする。yoshiさんのギターは是非生で体感してほしい。これを聴かずして轟音語ることなかれって感じ。 cigarette in your bedとpresence of soul、どっちが音でかいかな?
・レコーディングが佳境に。ノイズ録音で絶叫する。 ・6月以来の乙に出演。安心感凄い。さすがにホームって名乗っていいよね? ・主催にMOJAの出演が確定。尊敬する先輩。彼らとの出会いが無ければフロアライブじゃなかったかもしれない。考え方にも凄く惹かれる。ラブコールは前から投げてて、何とか決まって本っっ当に嬉しかった。 ・アルバムミックスダウン作業で諏訪家に行った帰りの中華料理屋で辛すぎて悶絶するオバ君みて爆笑。人って本当に辛いもの食べたとき「嘘だ~!!」って叫ぶんだよ。んなアホな。でも本当。 ・自宅にヤモリ出現。 ・borderline caseと折居さんの共同企画観にいった。夕凪に沈むを初めて観る。みんなかっこよかった。ライブやりたくてしょうがなくなった。
10月 ・新宿ナインスパイスに出演。恐らくは自分の人生で出演した全ライブの中で一番アンダーグラウンドだった。宮殿さん。ヤバいって、、、。 ・dues新宿に遊びに行く。goghstや深海600m、Ry等を観る。お客さんに知った顔も沢山いてなんだか温かい気持ちになった。実は深海600mの村岡さんは2月のFANJに居たらしい。いつか対バンしたいな。 ・行き着けの銭湯で初めて番頭のおばあちゃんと会話する。 ・今更マイナンバー通知カードをもらいに徒歩で市役所へ。途中で服買ったり、くら寿司でお寿司食べたり。そしてびっくらポンでマイメロの絆創膏が当たる。2016年一歩いた。知らない道をテクテクと。好きな音楽を聴きながら。幸せ。 ・異色の野郎4人で池袋からちょっと歩いた所のお祭りに。野外で呑みながら万灯の練り歩きを眺める。そうか、これが生きるということか、と勝手に達観してしみじみ。生への執着、それがお祭り。もちろん帰ってからゲロ吐く。 ・誕生日。去年と違って嫌な気持ちにならなかった。それどころか色んな方から誕生日プレゼントを頂いて、その事実にちょっと戸惑いつつも素直に嬉しかった。ありがとうございます。 ・10/29主催「負ヲモッテ善トスル」
11月 ※ここからの自利利他ツアーの話は後日書くので割愛 ・新宿アンチノックとdues新宿で開催のGOLDEN PEAK Ⅵへ遊びに行く。camelliaを観る。これ対バンんしないと。ついでに独歩と同じ位気になっていたラーメン屋「鈴蘭}へ。煮干ラーメン最高。次のターゲットは「凪」 ・南池袋公園のサンマ祭りに乗り遅れる。 ・高田馬場club phaseにSTMTを観に。去年motionで対バンしたバンド。ドラムの萌さんはたまにライブに顔出してくれる。音楽を上ずべりではなく芯まで愛するのが伝わってくる楽曲。良いバンドだと思う。 ・総じてなんだか平和に過ごす。
12月 ・ツアーの一貫で出演した吉祥寺WARPの打ち上げで中華料理屋へ。バンドマン御用達らしい。うちのメンバー、印藤さん、深居さん、マーくんで朝まで。しかも途中でカズマ君とアデル君も偶然来店。苦手だった吉祥寺が少し好きになる。 ・散髪。切りすぎる。 ・四谷アウトブレイクにレペゼン6というトークイベントを観に。ハコの人の想いをここまで聞くことはなかったので純粋に興味深く、面白かった。自分がどうしたいのか、どうするべきなのか、そんな事を思いつつ。 ・ライブ納めは12/30の乙の年末イベント。年末イベントデビュー。ちなみに僕はライブ納めという言葉があまり好きではない。 ・大晦日にめっちゃダサい靴下履いてる人を見る。
以上。 去年は一昨年よりも意思の強さを試される1年だった。今年はさらに試されそう。 僕は強くなりたいです。全体的に。
2016年、影響を受けた本 特になし
影響を受けた動物 オウサマペンギン
影響を受けた音楽 ・HASAMI group ・lightning bolt ・borderline case
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sidecarinfo · 6 years
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うしろ前さかさ族のダークネスアファメーション発売記念全曲解説インタビュー
「パンクとは自ら考えて行動する事」という先人の教えのもと、考え過ぎてこんがらがった思惑による"知恵の輪ハードパンク"あるいは"恐怖のパワープログレバンド"うしろ前さかさ族による2ndアルバム『うしろ前さかさ族のダークネスアファメーション』完成を記念し、全曲解説インタビューを決行。 聞き手:ヤミニ(サイドカーレコード)  
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↑右上から時計回りに関口マーフィー、歯垢太郎、渡辺周、わだしんぺい
1.ダークネスアファメーションのテーマ
関口マーフィー(以下、マ):アルバムの題名が『ダークネスアファメーション』ということで、暗黒の自己肯定というところがテーマなんですね。 ――そもそもアファメーションって言葉をこれで知った口なんですけど。 マ:「肯定文による断言」の意味ですね。だから、歪んだ願望を肯定しましょう、自分を否定するな、という強烈な生のメッセージ。 ――……性!? (一同爆笑) マ:セクシャリティのほうも、ちょっとある(笑)。生きることへの愛です。その辺のことをわかってもらいたくて、すべての曲を録音し終わった後に入れました。 ――実はかれこれ1年近く前、2017年の8月末にベーシックな録りは終えていたという。 渡辺周(以下、渡):そっから結構かかりましたね。この曲は最後に、三鷹のタンジェリンスタジオのミキサーを使って録ったっていう。 ――これリアルタイムでミキサーで掛けたエコーなんだ。 歯垢太郎(以下、歯):サンレコ的な話になってる。 わだしんぺい(以下、わ):元は1分半くらい長さあったんですけど「長くないすか?」ってことで短くしましたね。 マ:ノンオミットバージョンは3rdアルバムの1曲目にね、『ジ・エンド・オブ・ダークネスアファメーション』っていうタイトルで入れる構想があるので、楽しみにしててください。 ――終わるんだ(笑)。ピーズの復活1発目のアルバムの最後の曲が『グライダー』で、その次出たアルバムが「アンチグライダー」の流れですね。 わ:あと『Soldier Side』みたいな。 渡:ああ、System of a Downの。 ――System of a Downって俺、空耳アワーでしか聴いてない。 歯:僕も空耳アワーで知って聴き始めましたよ。 ――『Fuck the System』って曲、System of a Downでしたっけ?「はーいみんなバカでーす!」ってやつ。 歯:あ、先生がテストの答案に「5点」とか付けてるやつですよね! マ:この話はなんなんですか……? 歯:でも、この話後につながるんで。 ――つながるんだ(笑)。 マ:まあ入れてよかったですよねこの曲。1曲目でアルバム全体のコンセプトをちゃんと演出するのが重要だと思うんですよ。「人を救うバンド」であることをみんなに示しさないと。 渡:いやー、俺は別に救済しようと思ってやってないですけど……。 マ:僕は、そう思ってる。 渡:そっすか。 マ:お前のことも救ってやるからな! 渡:いや自分のことを救ってやってください(笑)。 ――じゃあ次行きますか。
2.君の復讐は失敗
マ:事実上、これがアルバムの1曲目ですね。曲調としては「俺の中のBLACK FLAG」を全部、ここに詰め込みました。 ――やっぱBLACK FLAGってデカいと思うんですよね。何回目かにライブを観たときに、BLACK FLAGのあのデタラメやけくそな“性格の悪いパンク”っていう、あの感じがすごくにじみ出てて、素直に好きになった。 マ:ありがてえ話ですよ。やっぱり、不穏さ、不協和音、そしてどこまで行ってもパンクの暴力性という、グレッグ・ギン大先生のギターを私はずっと大学時代から追い続けて、その集大成としてできたのがこの曲。 わ:この曲は何年前くらいにできたんですか。 マ:これはねえ、会社入ってからだから、2012年~2013年。作ったときにね、さんざん昔のメンバーにバカにされました。 ――今ここにいない人ですか? マ:……いる人もですぅ~!! (一同爆笑) 歯:僕はね「リフが認識しにくい」って言ったの。 マ:そう。でもね、この人は褒めてもいました。「何度も弾いてくうちにだんだん、代表曲的な感じになるだろう」という予測も立てていて……見事そうなりましたぁ~! ――してやったりが出ました(笑)。 渡:代表曲になったかどうかはよくわからないですけど(笑)。 歯:いやまあ、なってるでしょ。あと、わだくんが最初に聴いたときに「サルガッソー・コア」っていう感想を。 ――ははは(笑)。 渡:なんすかそれ。 わ:メインのリフが、別に変拍子じゃなくて4拍子なんだけど、拍がズレ込んでる感じが……。 マ:一応、変拍子のつもりで作りました。 渡:まあ、ちょっとポリリズムというか、食ってますよね。 歯:ディシプリン感がある。足元に絡みついてくる感じ。 マ:でもメインリフのテーマは、あっぱれグレッグ大先生の不穏な音作りと、それを高速に弾くことによる暴力性の両立。これがテーマ。 ――単音リフに対する執着というか、自然にそうなってしまうっていうジレンマも含めて、そこに対するアティチュードみたいなのがめちゃくちゃ含まれてる曲ですよね。 マ:それが何故かというと、その裏にあるのがグレッグ大先生ですよ。 ――あと俺これ聴いたときに、中学生棺桶だと思ったんだよね。 歯:あ、これタイトル上がってきたときに、『君を必ず沈める妖怪の名は後悔』じゃないすか、って言った。 ――俺も連想した。その辺は意識してない? マ:実はあんまりしてなかった。 ――それがいいよね~。身内褒めになってるけど(笑)。サウンド的な面は。 渡:半音で動く感じが多い。ああ、なんか『ROCKET DIVE』っぽいですよね(笑)。 (一同爆笑) わ:この曲も、もともと長かったよね。 歯:そんなにではなくない? わ:1番目のサビがひと回し分短くなった。まあそれだけだけど。 ――これ、大塚くん(初代ベーシスト。結成時~2016年秋まで在籍。現在育休中。)がいた頃からやってた曲ですか? 歯:いたときからやってた曲ですね。 マ:ベースは2番のサビのとこで、こうギターとクロスするところがドラマチック。(手をX字に交差させる) わ:ギターのコードは半音ずつ上がっていってるのに、ベースは半音ずつ下がってる(笑)。最初にスタジオで練習したときに、まさかそんなふうになってないだろと思って、ふつうにギターとユニゾンで弾いてたら、二人から「いや、それは違うんだ! こういう感じなんだ!」って、その動きをされましたね(笑)。 マ:この前ムチオさん(現サポートドラマー)が、その部分が素晴らしいよって言ってくれまして。 渡:さすがX(笑)。 ――この動きに関しては一家言ある(笑)。 マ:あと歌詞はね、このアルバム、ダークネスアファメーションの壮大なるテーマのね、メインに位置するテーマを歌ってると思ってる。これは肯定の歌なんですよ。 渡:いや肯定の歌じゃないでしょ(笑)。 ――失敗つってる(笑)。 マ:結局ですね、やっぱパンクなんてねどこまで行っても否定しなきゃダメ。否定が肯定です。 わ:禅問答化してきた(笑)。 マ:何を否定してるかだよ。本当は何かを欲しがってるのに「いらない、俺いらない」っていうポーズとってる人間に「失敗でしたね! おめでとうありがとうございました!」っていうための曲。 ――肯定ではない(笑)。 マ:だからね、決して否定はしてない。ここは講釈垂れますけどね、ホントに心の底から「別にそんなものはいらないです」って思えてる人間をディスってるわけじゃないんですよ。ただ僕の中では、そういう人のほとんどは本当の意味で「戦い」を超越できてないんですよ。負けたり恥かいたりするのが怖いだけ。で、一生懸命頑張ってる人間に対して横槍入れちゃう感じ、根底にはほぼ全て嫉妬があります。ホントに質が悪い。そういう人に対して「ざまあみろ~!」と。まあ私から言いたいのはね「欲しいものは欲しいと言え!」と。で、勇気やら才能やら、情熱がないやらで「モテる・売れる」ができないからと言って、「無価値なものこそがカッコ良い」なんてうそぶかずに、ちゃんと戦って負けて死のうよと。そういうことです。
3.Zangetsu
渡:もともとは歯垢さんのSoundCloudに上がってる曲ですよね。あれノーマルチューニングなんすか? 歯:そうだね。 ――うしろ前より先にあった曲? 歯:いや、2013年~14年くらい。当時新曲をやる時は、基本的には曲を作った人がほぼ完璧にデモを作って、それをメンバーに渡すって感じでやってたんですけど、SoundCloudにあるのはそのデモですね。 マ:『底止』と『ささくれ』が同じくらいにできた曲で、『Zangetsu』と『復讐』が第二波ってくらい。 歯:そうすね、で、もともと僕が2012年くらいに作った元曲があって、それはなんか全然こういうパンクじゃなくて、ハッピーハードコアなんですよ。 渡:カービィコア。 歯:そう。まあジャンルとしてはハッピーハードコア。音源は「星のカービィ」から取ってるんだよ。 わ:そうなんだ(笑)。 渡:SoundCloudに上がってるやつはほんとにカービィですよ。 歯:その元曲の途中のコード進行を1フレーズ引っ張ってきて、その続きを別の流れで作ったら、これパンクっぽい曲にできるなと思って、サクッと作ったのがこの曲なんすよ。 ――大本の曲があって、そっから派生してできた曲。 歯:そう。なんで、SoundCloudにある曲には『Zangetsu(AKEBONO True Appearance Edition)』って書いてあるんですけど。 わ:申し訳ないけど、どこを引っ張ってきてこの曲にしたのかまったくわからない。 渡:俺もわかんない(笑)。 歯:イントロの部分が一部分だけ出てくる。 わ:この進行あったかな? 関口さんわかります? マ:わからない。 歯:『AKEBONO』の序盤に出てくる。 渡:もっかい聞かないとな。 歯:Zangetsuを探せだ(笑)。 https://soundcloud.com/fxkx/zangetsu
https://soundcloud.com/fxkx/akebono
――これレコーディング入る前に、ライブで観てて印象に残ってた曲ですね。マーフィー曲があって、歯垢曲がある中で、多分ルーツが全然違うと思うんですけど、その中で変な一���というか、統一感みたいなのがあるのが不思議で。ルーツみたいなのはあるんですか? マ:最終的に二人ともメタルとかハードコアとか、そういう攻撃的なところに落とし込むっていうのが割とあったのと、やっぱり「日本語パンクです」っていう認識は共通であったんじゃないかな。 ――やっぱりそういう共通言語があるってのがデカいですよね。これはレコーディングする側の意見なんですけど、ミックスで音の感じをどうするかって段階になったときに、歯垢くんから「アレルギーの「El Dorado」みたいに」って要望が出てきて。俺はガッツポーズを取ったんですけど(笑)。 歯:これですよ(アレルギーのロゴ入りスマホカバーを取り出す)。 ――え? あ、そうそうそう!! 歯:ああいうパンクのバンドが、メジャーの資本でやったときの音質の違和感みたいな(笑)。実はこのアルバムに入れる曲を今度録る、って思ってる段階で、頭の中にアレルギーの「ElDorado」があって。 ――あのスネアとかドラムの、80年代風のゲートリバーブがかかってる感じですね。歯垢くんの曲はそういうミックスになってます。 渡:この曲に関しては、あさきの曲の引用なんでしたっけ? 歯:そう。あさきっていうのは「BEMANI」の作曲家なんですけど、『Zangetsu』を作ってたときに自分がゲームで攻略していたあさきの曲のフレーズを、無意識に引っ張ってきてる。 わ:歌詞とかは。 歯:割とすんなり出てきた歌詞で、その時に観てたアニメだったか映画だったかで、裕福な家が急に破産しちゃったかで、使用人とかもみんないなくなっちゃって、子供だけ取り残されて。で、今までみんな遊んでくれてたけど、誰もいなくなっちゃったってシーンがすごく頭に残ってて。そのモチーフを記憶頼りに、いろいろ再構築して入れたってイメージ。 マ:それをご自身に投影したと。 わ:なんでそんな聞き方なの(笑)。 歯:あとね、この曲をP-IPLEのコンピに入れたりして結構やってた時期に、なべしゅうが参加して「これは自分自身のことを歌ってるんじゃないか」と。 渡:イオロス(早稲田大学のバンドサークル。歯垢、わだ、渡辺がかつて在籍。)って割とOBが跋扈してるサークルなんですけど、最近は歯垢さんくらいしかライブに出なくなっちゃったので。 歯:ライブは全然出てないよ(笑)。 渡:歯垢さん出てるイメージありますけどね。 歯:顔は出してる。 マ:いや~俺から紹介させてもらうと、この曲は老害ソング。 渡:かなと思ったという話です(笑)。
4.24歳
歯:初めてデモ聴いたときに、ベースがすごいYBO2っぽいなと。YBO2 vs CONVERGEみたいな。 マ:CONVERGEは意識しました。やりたかったのは、ポスト・ハードコアとかカオティック・ハードコアみたいな感じで、歌詞はナゴム系。 ――これ、ナゴムかなあ? 渡:そんなにカオティックでもない。 マ:まあ、アメリカとかの乾いた感じっていうか。 歯:イギリスではない。 マ:イギリスは湿ってますからね。 ――アメリカですよね完全に。 マ:ボストンとかの屈折した感じもあるじゃないですか。そういうのに日本語の歌詞入れたいなっていうコンセプトが昔あったんですよ。それを割と体現してるのがこれだなと。 ――で、歌詞は……。 渡:24歳で何があったんですか(笑)。 マ:これはね、歌舞伎町の路上で寝ている女性を連れ込んで、肉だるまんじゅう二人前追加、その日がたまたまお誕生日だったと。24歳おめでとう。っていう歌詞。 わ:私小説なんすか? マ:さあどうでしょうね。 ――(笑)。 マ:まあこれでこの曲は大体語り尽くしましたね。深夜二時くらいに歌舞伎町の奥行くと、私は個人的に「蝶々の死骸」って呼んでるんですけどね、みんな寝てるわけですよ。その死体回収業者の話。 わ:明大テニスサークルみたいな感じね。 ――ありましたねそんなの。え、そういう場面に遭遇するような学生生活を送ってた? 渡:回収したって話でしょ(笑)。 ――あ、業者の方ですね(笑)。 マ:私はでもそういう、団体に属したりはしなくて個人事業主だから。 ――一人親方だ(笑)。 マ:今度は26歳とか、シリーズ物にしましょう。 わ:三十歳やりましょう。人間椅子。 渡:ビートルズにもね、64歳になってもって曲ありますからね。 歯:『DON'T TRUST ANYONE OVER 30』だ。 マ:次行こう!
5.フィックション大魔人
マ:問題の曲ですよ。このアルバムにおける討ち果たさないといけない敵はこれですよ。このアルバムのコンセプトは「夢じゃない、あれもこれも」なんで。 ――はっはっは(笑)。 わ:なんでB'zなんすか。 マ:ノンフィクションじゃないんですよってこと。じゃなかった、フィクションじゃないんですよってこと。それを真っ向から否定するフィクションを討ち倒すことで、ノンフィクションをこの世に取り戻すのがこのアルバムの物語なので、大事な曲ですよ。 歯:だから僕は、この曲が入ってアルバム全体のテーマがそうなるっていうことは、かなり不本意。 (一同爆笑) 歯:「全部ウソだ!」って言いたい。常に。 渡:戦いが始まった(笑)。 歯:これがさかさイズムだ。 ――でもこれ曲としてはだいぶ前からやってますよね。 マ:不本意ながらね、結構やってますよ。 渡:YouTubeに上がってる秋葉原グッドマンの動画とかね。 マ:あれ、よかったよね。 歯:あれが一番よかった。これ、Twilogを遡ると、作ったの2011年なんですよ。グッドマンでやってる映像は2013年なんですけど、つまり演奏として完成するまで2年くらいかかった。 ――全フレーズに元ネタがあるという話ですけど。 わ:えっ、全部あるの? 歯:いやまあ、元ネタから思い浮かんだ流れっていうか。なるべく全部デタラメにいこうと。歌詞もなるべくデタラメなこと言おうと思って作った曲。 渡:この曲、CDに歌詞が載ってないっていう(笑)。 わ:これ耳コピした歌詞があるんすよ。
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わ:これ、精度はどれくらい? 歯:う~ん、8割位かな。 わ:(しばしの間)…あっ……。 渡:なんの間なんすか(笑)。 わ:意外とダメだった……。 歯:8割、これもまたウソ。 ――ややこしくなってきたぞ(笑)。 歯:まあ、筋はあってる。 マ:そういう自分を解読させようとしてるとこがダサいんだよ(笑)。 歯:いやだから、ちょっと言わせてくださいよ。僕はやせ我慢してポーズつけてるのが一番かっこいいと思ってるから。 マ:いらねえよ。みんな楽になれよ(笑)。まあでもこの曲でね、アルバム全体のコンセプトがわかっていただけたと思いますよ。 歯:結局敵役みたいな形に回収されちゃったけど、そういうこと。パプテマス・シロッコみたいな位置づけですよ。 マ:まあジ・Oのイメージはある。ささくれ問答はジオングなんですよ。僕ね、一個だけこの曲に言うとしたらね……。 歯:もうさんざん言ってるじゃん(笑)。 (一同爆笑) マ:こういうツーツーの話ができなくなったのは寂しい。 歯:で、まあいろいろネタが有るという曲なんだけど、なんだっけな。 渡:最初、Gang of Four から System of a Downに行きますよね。 歯:そう、さっきSystemof a Down の話がつながるって言いましたけど、イントロに『Chic 'N' Stu』ぽいフレーズが入ってるってだけなんすよ。 わ:あ、確かに。言われて初めて気づいた。 マ:ああ似てるかもね。 歯:で、その次は「花子さんがきた!!」のフレーズ。 マ:俺さあ、最初聴いたときに「ホワホワホワホワ花子さん」だと思ったんだけど。 歯:大正解。で、それを無理やりホールトーンに置き換えて弾いたと。その前の「ゲゲゲの~」とか言ってるところのギターフレーズは、いろんな童謡。『証城寺の狸』と『ハトポッポ』と『めだかの学校』とか、4つくらい同時再生したらこうなるかなとかそういう、人力サンプリング曲みたいな感じ。ヒップホップですよ。あるいはJohn Oswaldみたいな。 ――ミックス時の要望として、後半は「幻の名盤解放歌集」みたいなリバーブを掛けてほしいってのがあったと思うんですけど。 歯:想定したのは、『蒸発のブルース』ですよ。あれの「あなたなしじゃ、だめ~」ってところが「だぁだぁめ~」みたいに。 渡:そんなに遅れて聞こえてくるんすか(笑)。 ――俺、『スナッキーで踊ろう』のイメージだったんすけど、そこは不正解だった(笑)。 わ:大塚くんが一番暴れてるのがこの曲なんすよ。練習するときにまず、歯垢くんからデモ音源とTAB譜が送られてきたんすけど、グッドマンの動画観ると、大塚くんが弾いてるベース、まず一音目から音程が違う。 ――(笑)。 マ:あのね、Aという演奏を完璧に演奏しきれる人がやるA’って演奏はすごくいいと思うんですけど、Aという演奏を覚えない人間がするBとかCとかを、私は信用してませんからね。 ――俺、それけっこうやっちゃうんだよな(笑)。 歯:この曲に関しては、それを見越して作ってる。 わ:大塚くんの演奏聞きながらやったんですけど、まあ6割くらいですよ。再現できてる部分。あとね、大塚くんのコードの順列組み合わせみたいなの、すごいなと思うもん。 渡:順列組み合わせ? わ:例えばさ、ギターがABABみたいな進行で弾いてるとするじゃん。大塚くん、AABBみたいな感じでずらしてくるから。あと、関口さんが大塚くんのベースを「違法改造」つっててね。 ――プロアクションリプレイ(※ゲーム改造ツール)? (一同爆笑) 渡:完全にバグったフレーズ(笑)。 わ:いやでも、プロアク使わないとできない面白い現象ってあるじゃない(笑)。 ――何の話だ(笑)。
6.お前がキャッシュインしている時に
――これ、割と思いつきみたいな感じで録ったんですよね。その場の流れで。 関:ヤミニさんにギター弾いてもらって、なべしゅうドラムだけど、うまいことまとまってるよね。 渡:俺がドラムで入るとは思わなかった。いや~これねえ。俺自慢していいっすか? わ:どうぞ(笑)。 渡:俺、これヴァイオラ伊藤くん(amalakamala、曇ヶ原など)に初めて聴かせたときに、「これムチオさんが叩いてるの?」って。 (一同爆笑) 渡:ヤッターッて思いましたね(笑)。別にツーバス叩いてないのに。 ――彼は何を思ってムチオさんだと思ったの? 歯:普段あんな近くでムチオさんのドラム聴いてる人がね。 わ:ヴァイオラくんの適当さがいい方向に作用した例だ。 歯:一曲目もですけど、こういうプロセスでできた曲があるのが、アルバム全体としてはすごくいいと思うんですよ。グルー(接着剤)になってる。 マ:まあサンドイッチ構造にしなきゃいけないって意識はあった。 わ:「腹ふり」でいうと。 ――『言うてるやんか』(笑)。 渡:最初はこれのバック演奏に『ダークネスアファメーション』を入れるってアイデアもありましたね。 ――一緒に録ったらボーカルが音割れするくらい大きかったから、インストで録り直したやつの上に、ボーカルを後回しにして入れましたね。ギター弾いてる側としては何も考えずにやってるから、ガセネタですよね。 マ:そう、ガセネタできましたよね。 ――これギターはアンプ直ですからね。 渡:それでもこんなかっこいい音が。 わ:ベースも借りたやつだった気もする。 ――馬場のゲートウェイスタジオでね。ちなみに歌詞のモチーフは? マ:もともとSFC版ウルトラマンのベムラーステージの曲をカバーしてて、それに載せる用の歌詞。だから一人称はウルトラマンなんすよ。ハヤタ隊員です。 ――怪獣と戦ってる間に、第三者はバイトしてたと。 マ:おっぱい揉まれてたと。自分は自己犠牲してるのに、まわりの人間は自分に感謝なんか一切せずに、のうのうとおっぱい揉まれてやがる。俺が守ってやってるからお前の未来があるのに。っていうその、恨めしい感情ですね。 ――そんなテーマが。 わ:ちょっとそれは聞き捨てならねえぞ、ハヤタはそんな狭量なやつじゃねえぞ! ――HERE COME THE NEW CHALLENGERだ(笑)。 マ:いや、俺の中でのハヤタっていうか、ヒーローの悲しみ像ね。まあでも、そんなにおっぱい揉まれてる女を否定してるわけじゃなくて、やっぱりヒーローたるものそういうやせ我慢的苦悩が大事ですよね。という、これもアファメーションです。みなさんも肯定してください。
7.nonation
――割と、どパンクな曲ですよね。 わ:これベースけっこう変えましたよね。 ――最初、どんな感じだったんですか。 歯:AメロがDビートだったんですよ。 わ:このテンポでDビートで弾くの無理! ってなって今のどパンクな感に。 歯:これはけっこう古い曲で、原型は2009年ぐらいにもうあった。 マ:『ささくれ問答』に対する『nonation』、『底止』に対する『三男坊』みたいなもん。 歯:確かに『三男坊』くらいのポジション。これもまた引用フレーズがあって……ていうか、後から気づいた。中間部のフレーズが、SLAYERの『RAINING BLOOD』。 渡:最近気づいたんでしょ。 歯:そう、レコーディングでボーカル録ってる時に気づいたんですよ。 渡:俺は初めて聴いた時から「これ完全にSLAYERじゃん」って思いましたけど(笑)。 歯:その後、悪ふざけ的なノリでテトリスも入れちゃえと。ホントはここにも歌詞があった。ハンナ=バーベラの「スーパースリー」ってアニメがあるんですけど、それの曲で「ラリホーラリホー ボヨヨのヨン」っていうのを。 渡:なんすかそれ(笑)。 ――ハンナ=バーベラってあれですよね、「チキチキマシン」とかの。 歯:ああいう感じのアニメですよ。でも弾き語りしてたら、キメのフレーズが決まらなくなってきたんで、歌抜いてテトリスに落ち着いたと。 ――すげえ曲だな。 歯:あと、歌詞なんすけど、これは国歌なんすよ。昔、この歌詞を書いてたときのmixiの日記が出てきて、これはタイトルから連想されるような、いわゆる「♪~(※ここには『IMAGINE』(John Lennon作詞・作曲の歌詞を掲載する予定でしたが、事情により掲載することが出来ません。『IMAGINE』は国境や戦争や宗教を否定し、すべての人々が兄弟として平和に、世界を分かち合って生きることを願った曲です)」的なことじゃなくて、ちゃんとそういう、解放された人の国みたいな。 マ:Bad Brainsに正面から喧嘩を売ってる曲。 歯:そうなんすか(笑)。 マ:なんでかっていうと、『Build a nation』って曲があるから。 歯:いやだから、no の nationを作ってるんですよ。 マ:……禅問答ですよ! 歯:つっかかりたがる(笑)。 渡:まあ「no の nationを作る」ってのは禅問答ですよ(笑)。 ――“Build a nonation”だと。 渡:mixiの日記にはどういうことを書いてたんですか? 歯:落葉焚の歌っていうのは、稀人の人たちが外側からやってくるときの歌なんじゃないか、っていう。 ――稀人こぞりて的な。 歯:的な歌ですね。コスモポリタン讃歌みたいな。ニュータイプです。 マ:コスモ・バビロニアってことですね。 歯:だから、重力に引かれた人々と、重力から解放された人々の歌。 マ:彼はねえ、カロッゾ・フナという別名がありまして……(以下、機動戦士ガンダムF91の話が続く)
8.ねむれねむれ
歯:最初は僕がギター弾いてて、関口さんがドラムボーカルだった。 ――逆だった。作曲は? 歯:関口マーフィー。元はもっと短い曲だったんすよ。 マ:なんだろうなあ。ジャパコアともふつうのハードコアとも言えない感じの。 歯:もともとすごい中学生棺桶っぽい感じのリフだったんすよ最初は。 マ:ツービートの上に乗せて、けっこう短いハードコアの曲だったよね ――この位置にあるからってのも含めて、このアルバムのハイライト感は出てますよね。 マ:自分が出した中では一番構成がきれいにまとまってる曲、これなんじゃないかな。 歯:ポップチューンの曲ではありますね。 マ:歌詞はね、私の部活動の苦しみを歌ってます。 ――何部だったんでしたっけ。 マ:陸上競技部。中距離走。やっぱり肉体が痛い競技ですからね、怖いんですよ。 ――でも重要なファクターっていうか、こういうことやってる人で体育会のとこに首突っ込んでるのって珍しいじゃないすか。 マ:それよく言われるんですよね。どっぷり体育会系なんですよ。 渡:話を聞くとみなさん、スポーツは全然。 ――からっきしですね。 歯:ぼくテニス部だったよ。中学。 わ:なべしゅう柔道部でしょ? 渡:僕は柔道部です。 歯:アイアンリーガーみたいになってきましたね。 ――けっきょくそういうとこに落ち着いちゃうんだ(笑)。 マ:(主題歌を歌い始める)。 ――そういう曲なんだ(笑)。 歯:この形になってより棺桶感は増しました。 渡:今はロックマンっぽい。 マ:なべしゅうにギターでロックマンフレーズ弾いてもらおうと。 ――ロックマンみんな好きですよね。でも不思議なのがね、みんなカービィとかロックマンとか音楽聴いてますけど、俺ゲームはやってたけどそういうのないんだよね。 渡:えっ、口ずさんだりしないんですか? ――全然ない! FFとかクロノトリガーとかもやってたけど、BGMがどうとか思ったこと一度もないから! マ:ホントに? 渡:俺、トイレで口ずさんだりして親に怒られたりしましたよ! わ:あっはっは(笑)。 マ:歯垢くんねえ、ロックマンX1、X2、X3に関しては、俺達は何ステージって言われたら大体口で真似できるよね。 歯:じゃあ言ってくださいよ、今一緒に歌いますよ! マ:まずランチャー・オクトパルドからいこう! 歯:ワンツースリーホイ! 関口&歯:(歌い始める)。 ――それいつの? 歯:X1です。 マ:(歌い続けている)。 ――俺X1もやったけど、BGMまで覚えてない(笑)。 マ:(歌い続けている)。 歯:え、アーマー・アルマージとか覚えてないすか? ――いたのは覚えてる。 マ:ワン、ツー。 歯:ちょい待ってください、あれはDビートですよ。はい、ワン、ツー。 関口&歯:(歌い始める)。 ――はっはっは(笑)。おっさんの宴会だよ! 歯:僕、記憶してる意識はなかったんですけど、高校大学くらいのときに、昔こういうのあったなと思って聴いてみたら、当時遊んでた頃の記憶がワーッと蘇ってきて。で、一回全部聴き直そうと思って。 渡:この前、曇ヶ原の人たちと飲んでて、ショウタさんが昔のスーファミの話とかしてたんですけど、みんな昔やってたゲームの曲をYouTubeとかで掘り起こして記憶を確かにしているみたいな感じが……。 ――それがフェイクだと。 渡:いや(笑)。フェイクだとは言ってなくて、なんでうがってるんすか(笑)。 マ:今日は攻めますね(笑)。まあこんなもんすかね。 わ:ねむれについてほとんど何も言ってない(笑)。あ、ベースソロのところ、大塚くんは無理やり変拍子にしてた。 ――ポリリズム的な? わ:6拍子のフレーズを最初だけ5にして最後を7にするみたいな。 マ:やってたね。 歯:そういうのは全曲あるからね。 マ:まあロックマンXが背骨にあって、スポーツは糞だなって曲です。ニュースポーツセミナーが必要だと。 ――3rdアルバムに繋がると。
9.チャーチベル
歯:この曲はもともと大塚くんが弾いてたフレーズが元。だから一番大塚くんのエッセンスが生きてる曲。 マ:最初は完全インプロだった。「ドンッ ドンッ ドンッ ダカダカダーンッ」っていうドラムをやったら、すごく大塚のフレーズにハマって。それで、ちゃんとした曲にしようって話になって、俺と大塚だけでスタジオに入って、二人で原型となる曲構成を作った。で、そのあと歯垢くんがサビみたいなとこを作って完成形になった。 わ:最初はもっとグルーブで押すみたいな曲だった。 渡:大塚さんのときの音源は残ってないんですか? わ:YouTubeにライブ動画あるよ。 歯:断片的にだけどね。 わ:僕もそれ見て、この曲いいじゃん、やりたいつって。 マ:で、やってたら「なんかちょっとのっぺりしてない?」みたいな話をして。元はサビのところは「ドンガンドドガン」みたいな感じだったんだけど、そこを「ガンガンガンガンガン」みたいなブラストに。 渡:ブラックメタル感が出たのはいつくらいですか? わ:その時期じゃないですか? マ:そう。 ――じゃあ割と最近。 わ:レコーディングする3、4ヶ月前くらい。 歯:抜き差しみたいなのは何回もやってて、そういうのも含めてみんなで作った曲。それで、最終的になべしゅうのボーカルが入り。 渡:なんか「教会の鐘の前で死にそうになってる人を表現してくれ」とか言われて。レコーディングのときには2回目のサビの時に裏声になるんですけど、それは歯垢さんから「SILENCERをやってくれ」っていう指示が(笑)。 マ:ボーカル入れたの正解だったよね。 歯:うん。 マ:一番異文化コミニュケーション、人種のるつぼ。 ――これ全体一致みたいな。挙げ句メロトロンまで入る。実質この曲がラスト曲みたいな位置づけですよね。 歯:ホントはこれ最初にしようって案もあった。ライブで1曲目にやったりしてましたし。 マ:めんどくさいフィクションは全部淘汰した後に、残った焼け野原の上でみんなが祈ってるっていうね。 渡:(笑)。 マ:あの鐘を鳴らすのはあなた。CDカセットの前のあなた。人はみな悲しみの中。 歯:そして目が覚めると、実はそれが始業のベルだったと。 マ:そういうフィクションに落とし込もうとする……。
10.陰口専門学校校歌
歯:最初は、関口さんがスタジオで「もう『陰口専門学校』っていう曲ができてるんだ」って言って、いきなり歌いだしたりしてたんです。「じゃあ今度僕が採譜して、大塚くんにも送って、こういうふうに歌うっていうのを決めます」って言ってて。それで、ある日関口さんが電話してきた時に「じゃあ、今からちょっと録音しましょう」つって、電話口で歌ってもらったんですけど(笑)。一回歌ってもらったら、レコーダーが動いてなくて(笑)。 (一同爆笑) 歯:「すいません、もっかい歌ってください」「ふざけんなよ!」みたいな会話をしました。 ――幻のファーストテイク。 歯:「じゃあ次は風呂場行くからな!」つって、風呂場で歌ってもらった。それで最初の形の、全員同じラインで歌うオリジナルバージョンができた。 ――これ、俺がうしろ前を初めて観たライブですでにやってましたね。 歯:『復讐』『フィックション』よりもうちょっと後くらいにできた曲ですね。2012~13年くらい? で、これ歌詞は3番まであるんですが、最初にライブでやったときには、すでに3番あったんです。 マ:でも実際ライブでやったら、「長くねえ? 2番までにしよう」と。 歯:で、2番までのライブエディットができた。 ――レコーディングのために3番作ったと思ってました。 マ:3番以降も公募してるんで。 渡:わださんが作ったのが。 わ:「おもしれえからたくさん作るか」つって勝手に作ったのが7番まである(笑)。 ――(笑)。 渡:わださんのやつ自己批判し始める。 マ:内省的になってきてた。作る人の精神性をあぶり出す。 渡:作家性がすごく出る(笑)。 マ:ちなみに3rdは英語版ですね。 歯:インターナショナルバージョン(笑)。 ――あはは(笑)。 マ:ウィーア~、シャドウワーズ。シャドウワーズ……サーコォー。 ――あと、みんなで歌おうってのいいですね。 歯:これメンバー4人とヤミニさんとで、5人で歌ったテイクを多重録音して。6回分、一クラス分やったんですけど、5テイク目ぐらいで色んな人が憑依してきて。 ――そうすね、ベンジーがいたり、ショコタンがいたり。ウィーアーザワールドですよね。 マ:で、最終的にみんなアファメーション完了と。 渡:わださんが間違えるとこも。 歯:あれも入ってる。 わ:我ながら笑の神が降りてきてた。 ――完璧なタイミングで完璧に間違えてましたからね。転校生って感じの。俺も、初めて録音した時みんな歌い慣れてるけど、俺だけ歌い慣れてないからすごい転校生感出てた。4回目くらいには慣れてましたけど。 渡:今はムチオさんが転校生ですからね。 マ:ちなみにムチオさんは「喧嘩で入院してて、結果的に留年しちゃった不良の怖い人」って設定。 歯:テクニカルなとこも話すと、この曲のオケは僕がFairlightのモデリングの音使って作ってるんですけど、レコーディングのときはもうちょっと、プリセットの音使ってたのを、最終的に全部音源差し替えて。 ――TR-505? 歯:いや、リズムは707。そこからカシオトーンの音に差し替えたんですけど、タイミングも僕の手打ちに変えて。それですごいなんかうねりが出ていい感じになったんです。でも通しで聞いたらゴージャスになりすぎたなって感じがしたんで、今ライブで使ってる2番までのオケは、レコーディングのときのペラペラでかつリズムがすごく硬質なオケを再現してます。 ――それも再現なんだ(笑)。 歯:っていう感じで作ってますので、ぜひライブにも足を運んでください。
アルバム全体(総括)
マ:総称させていただきますと、アルバムの中で多彩な楽曲が並んでますけど、忘れないでもらいたいことは、アルバムのテーマです。「夢じゃないあれもこれも」。 ――……それ? マ:ノンフィクションじゃないんです。じゃない、ノンフィクションなんです。 歯:(笑)。否定したいがためにひっくり返っちゃってる。 ――メッタメタになっちゃってる(笑)。 渡:心理学的にありますよね、何回も間違えるってことは、本心ではそう思ってるみたいな(笑)。 マ:まあね、最後にまとめさせてもらうと「これもまたウソ」。 歯:おあとがよろしいようで。 渡:仲良くしてくださいよ(笑)。
ライブ情報: 11/3(土)新宿モーション、11/24(土)中野ベースオントップスタジオ、12/14(金)大塚ミーツ
twitterアカウント→ @sakasazoku
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taklami · 7 years
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有頂天家族2 第3話「欧羅巴の香り」感想
天満屋の奥の手
前回、まんまと化かされてしまった天満屋に一矢報いるべく鬼に化けた矢三郎ですが、思わぬ反撃にあってしまいます。 天満屋の手には、二代目の探していた空気銃が。 さしもの鬼矢三郎も銃相手では分が悪い。鬼の顔も強面からいつもの顔に。 このあたり、映像化ならではの表現ですよね。 『焦ると化けの皮が剥がれてしまう』 その過程が見えるというか。
腐れ大学生姿に戻った矢三郎に、更に天満屋が迫ります。 銃口がゆらゆらと揺れたと思ったら、なんと月を奪われてしまいました。 手ぬぐい・提灯・銃口と天満屋の幻術は催眠みたいなものなのでしょうね。 道具を選ばないようなので油断なりません。
さて、1期をご覧になった方はおっと思ったのではないでしょうか? 寺町通商店街のアーケード上、月と言えば1期5話の弁天様との夜の散歩ですね。 「お月様が欲しいな。ほら、取ってきてご覧」と強請る弁天様に無粋な返しをする矢三郎。 私、あのシーンがとても好きだったのですが、まさか天満屋が弁天様の願いを(間接的にせよ)叶えてしまうとは。前回のラストでカクテルを持って月を眺めていたり、1期5話と対になっていてニヤニヤしてしまいます。 天満屋さんは弁天様の不在に際して 『人間以上の存在』 であること以外にもヒロイン属性まで乗っ取るつもりなのでしょうか? そうは問屋が卸さない、あの方の登場フラグですよ!
天満屋は、弁天様に対して複雑な感情を抱いている様子。美人で魅力的だが地獄絵に放り込まれてはたまらないと。 やはり地獄絵の所有者は寿老人で、天満屋は弁天様に関することで寿老人を怒らせたのが 『地獄落ち』 の原因だったようです。寿老人も幻術使いだったんですね、1期で見せた蛇のような縄とか三階建の叡山電車を持っているという話からもうなずけます。 演説がヒートアップしたところで、空からスーツケースが。我らの弁天様が帰ってきた!
弁天様の帰国と手のひらの月
ちょうど1話二代目の帰朝と同じ構図ですね。矢三郎が窮地に陥ったところで 『天狗つぶて』 と共に天狗が京都に帰ってくる。 舞台が昼の如意ヶ岳(二代目のホーム)と夜のアーケード(1期で弁天様のキャラクターを象徴する場所)という対比も美しい。 二代目が一分の隙もない姿だったのに対し、 弁天様は金閣銀閣に貰ったと思しき 『美人長命』 (佳人薄命のパロ)Tシャツにホットパンツの砕けた姿。 作品屈指の衣装持ちである弁天様ですが、デタラメ四字熟語Tシャツ結構気に入ってますよね。 (趣味の悪いTシャツって言ってたのに…) 二代目と同じように、矢三郎を害していた存在=天満屋に迫ります。 真っ赤なヒールで天満屋の頭を踏みにじる姿は、弁天様の面目躍如ですね。踏まれたいと思った方も多いのでは。あっという間に場を支配する弁天様、さすがです。天満屋が反撃とばかりに放った銃弾をペイっと弾いて吹っ飛ばす。 天狗の力って、怪力も含まれているんですかねえ。それとも重力を操るような術なのかしら。
天満屋さんの退場も面白かった!あれって肉襦袢だったの!?たしかに袖口のようなものは見えていましたが何故… 意外に細身でアンバランスなのが江頭みたいだったし、吹っ飛ばされながらウインクしてるし、次の登場が楽しみです。 「天狗よりも偉いのだ!」という台詞通りに天狗・狸・人間の 『三つ巴』 の一角をババーンと張っていただきたいところ。
やっと二人きりになった矢三郎と弁天様。奪われた月を弄ぶ弁天様の描写が丁寧です。 図らずも夜の散歩のワガママが叶った形ですが、矢三郎はその月を戻すようお願いしました。 月に関する一連のやり取り、象徴的な感じがします。 1部で矢三郎は弁天様の願いを一蹴し、今回は弁天様が手に入れた月を戻してもらおうとする。 矢三郎って、阿呆と自称する割に狸であることを弁えていて、実はあまり境界に対して踏み込んできませんよね。 月は、矢三郎自身なのかなと思ったり。モチーフとして3部でも出てきそうな気がします。 月は満ち欠けをするし、変化の象徴でもあります。今後どう変化するんでしょうね。
波風立てよう、うーんと立てよう
場面は変わって、狸谷不動に降り立つ母・桃仙と矢三郎。次男・矢二郎の化け力を回復させる薬を貰いに来たようです。 狸谷不動といえば、お母さんの実家ですよね。削れた石段一つにも思い出話が咲くようです。 相変わらずツチノコには全く興味がないようで笑えます。お父さんとの出会いのきっかけだったのにね。 お母さんの兄(伯父さん)も初登場。どんどん新キャラが出てきます。人間の化け姿ではありませんが、結構年配みたいですね。お母さんが若い化け姿なので忘れちゃいますが、三男までは成人している四児の母だもんなあ。 伯父さんに案内された先は狸の楽園でした。桃仙の母(おばあ様)は真っ白ふわふわの毛玉で、触ったら柔らかそう。おばあ様の長生きにあやかって、狸たちが集まってきているようです。さながら長生き教の教祖様ってところでしょうか。
おばあ様、可愛いです。さすが有頂天家族の真ヒロイン・お母さんの母親だけある。 時間の流れが他者と違う感じとか、予言めいた言葉とか気になる。 『流れが悪い』 ってどういうことなんだろう。 やはり天満屋にやり込められている現状とかなのかしら。矢三郎最近やられっぱなしですし。 早く矢三郎が 『波風立て』 て活躍する姿が見たいなあ。 帰り道に納涼船の話題も出ましたね。まずはそこで夷川とドンパチするのかな。 1部だと長老連中はみんな爺さんばっかりなので、狸社会における女性たちがクローズアップされるのは楽しいですね。
矢二郎におばあ様の薬を届けようと、六道珍皇寺の井戸に向かう矢三郎。 井戸にみっしりとハマった偽叡山電車には笑ってしまいました。 偽叡山電車なら井戸サイズにもなれるのね。知らずに覗き込んだら腰を抜かしそうです。 矢二郎は化ける練習をしているようですが、なかなか上手く行かない様子。矢三郎も蛙姿で井戸の底へ。 蛙サイズの将棋盤で詰将棋。矢一郎が準備に奔走している南禅寺の将棋大会に出場するそうです。下鴨家で唯一将棋をするのが矢二郎ってところがいいですよね。やる気はないけど教養は高そう。お父さんとも仲が一番良かったみたいだし、お父さんから将棋の手ほどきを受けたのでしょうか。 来週の将棋大会で実力が明かされるのかな。そろそろ矢二郎の人間バージョンが見たいです。
天狗の邂逅
矢二郎からの情報で、矢四郎と共に二代目の新居を訪れる矢三郎。 烏丸通りから少し入った場所のようです。あのビルは実在の建物だったりするんでしょうか? 屋上まで登ると、炎天下に佇む二代目の姿が。屋上、どれだけ広いんでしょう。 そして、唐突に始まるエクストリームアイロニング(笑)。二代目のテーマと相まってやたら壮大なアイロンがけです。このシーンで、几帳面で神経質っぽいのにどこか変な二代目のキャラクターが���現されている気がします。 矢四郎の挨拶が、矢三郎と同じだけどたどたどしいところが微笑ましいです。
お茶会に誘われる矢三郎と矢四郎。屋上に豪華なお屋敷が建っている! 1期3話で登場した西崎源右衛門商店の時計台のように空間が歪んでいるのかもしれません。 英国紳士らしく、格調高い家具に囲まれたなんとも二代目らしいお宅です。 こんなに広く快適な邸宅がありながら、なぜ殺人的に暑いであろう屋外でアイロンがけしていたのでしょうか…。
アフタヌーンティーも本格的で美味しそう。有頂天家族は全般的に食べ物が美味しそうなのがいいですよね。そんな中、豆餅をほおばる二代目。手が汚れるのは好きじゃないけどでもちゃんとお土産を食べるのが律儀。赤玉先生ならば、気に入らなかったら見向きもしないだろうところも対照的です。豆餅は、きっと下鴨神社近くの出町ふたばのもののはず。私も好きです。いつも行列していますが。
お茶会の場でも電磁気学の本にかじりつく矢四郎、意外に肝が座っています。 そんな無礼にも関わらず、同じ電磁気学を研究した者として矢四郎にゴーグルを与える二代目。懐が深いです。(赤玉先生の名前を出したときの冷ややかさは相変わらずですが…矢三郎は機嫌を損ねるのを恐れずあえて比較したとしか思えない) ゴーグルはこれから矢四郎の装備アイテムになるのかな?活躍しそうな気配がします。
しかし、そんな和やかなままお茶会が終わるはずがなかった! 冒頭で帰国したあの人が黙っていません。するりと邸宅に入りこんだと思ったら二代目の長椅子で嫣然と横たわる弁天様。 あの長椅子、1話で二代目と矢三郎たちが出会うきっかけとなったものですね。 弁天様のお眼鏡にかなうほどの逸品のようです。 ちょうど件の長椅子で昼寝をしようとしていた二代目と、弁天様の初邂逅。混ぜるな危険の二人がついに出会ってしまいましたね。 長椅子を巡って寒風吹きすさぶようなやり取りの後、なんと弁天様が床に転がされてしまいます。突然のテーブルクロス引きもちょっとシュールでしたが、まさか弁天様を転がすための準備だったとは。直接弁天様に触れないところは紳士?ですが、情け容赦がありません。
今までの弁天様って 『天下無敵』 の象徴だったと思うんですよ。 赤玉先生を追い落とし、鞍馬天狗を従えて、金曜倶楽部を魅了し狸鍋を食らう。 三つ巴の頂点で天狗笑いするジョーカー、それが1部の弁天様だったのです。 しかし、二代目には今までの手法が通じない。この感じ、覚えがあります。対天満屋の矢三郎だ!弁天様は、ヘラヘラしながらも一矢報いるべく計略を巡らせた弥三郎のように甘くはありません。 長椅子を取り戻し、弁天様に見向きもしないで昼寝を始める二代目。見下ろす弁天様は今までにない表情をしています。眉根一つ寄せていないのに、めちゃくちゃ怒ってるよこの人!危ない!逃げて!
ここで引きってずるいわあ。気になってしょうがない。
三つ巴について
今回気になったのは、 『三つ巴』 を担う役者たちの言い分です。 矢三郎は、「天狗に遠く憧れて人間を真似るのも大好き」な狸であり、 弁天様は、かつては「ただの鈴木聡美」だったけれど、場合によって「だって私は人間だもの」「だって私は天狗だもの」と嗤う。 そして、2部で登場したこの二人。 二代目は、如意ヶ嶽薬師坊の息子でありながら「私は天狗ではないよ」とうそぶき、 天満屋は、「俺は天狗よりも偉いのだ」とのたまう。 彼ら全てが、境界を超えようとする者なんですよね。裏を返すと自分ではない何かになりたい者とも言えます。 天満屋の口から寿老人もかなりの幻術使いであることが語られたり、菖蒲池先生は狸に格別の敬意を払われていたりすることからも、これからどんどん境界の曖昧な役者たちが増えていきそうです。 (そういえば、1部の偽右衛門選挙は狸が人間の真似事をしていると表現されていましたね) 前述の通り、実は憧れをいだきつつ領域から出るのに一番ためらいがあるのが主人公の矢三郎なのかもしれません。
次回は初回から話題に登っていた将棋大会。玉瀾先生と矢一郎の活躍が楽しみです。
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