夏旅2024 新潟散策 - マリンピア日本海+うみがたり
旅に水族館撮影は欠かせない(?)ということで日本海側の2つの水族館 新潟市水族館マリンピア日本海と上越市立水族博物館うみがたりをはしごしてみた。
新潟市水族館 マリンピア日本海
本州 日本海側最大規模の水族館、マリンピア日本海。新潟駅から比較的運行本数の多いバス 1本で到着。アクセスの良さはありがたい。朝一でも入場券売り場には列が。。。それを見越して前日 コンビニで前売り券を購入していたため、列をスルーして入館。前日の自分に感謝。
入ってすぐ、浅瀬や干潟が再現された潮風の風景から始まり、波立つ日本海を再現した大水槽、暖かい海域のエリア、信濃川の清流ゾーン等、見所いっぱい。もちろんクラゲも激写。
屋外ではアシカやアザラシ、トドのコー��ーへ。海面から顔を出してぷかぷか浮かぶ姿がかわいくて、ずっと見て飽きが来ませんね。
(1枚目のアイキャッチ画像もマリンピア日本海にて)
上越市立水族博物館 うみがたり
直江津駅から歩くこと15分弱の上越市立水族博物館 うみがたりへ。朝一 高田の蓮へ寄り道して出遅れた、+夏休み真っただ中で、「すみっコぐらし」とのコラボ展示の影響もあるのか(?)、なかなかの混雑具合。。。こちらも前売り券を事前手配していたからよかったものの、入場券の窓口は炎天下の中 長蛇の列となっていました、お疲れ様です。。。
こちらの水族館はマゼランペンギンの飼育数が世界一で知られているとのこと。ちょうど到着したタイミングはペンギンさんのお食事タイム、ということでまだかまだかと順番待ちするペンギンさんの様子を撮影してみた。
日本海、上越エリアの豊かな自然の中で育まれる生命の美しさを堪能できました、満足。
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栗浜陽三 (文・写真) 『九十九里浜』 より 雑誌MLMW (ムルム) No.5 (1978年5月号) 掲載記事
栗浜陽三 九十九里浜(写真)
栗浜陽三 九十九里浜(文・写真)
[上のページの画像から自動文字起こしをして、誤判読に気付いた所は修正したけど、誤判読が残っているかも知れない]
九十九里浜・しなやかな風景 写真と文 栗浜陽三
九十九里浜が、何県にあるかを知らない人でも、その名の持つ雰囲気に、何か特別のイ メージをお持ちであろうと思う。太平洋に面した、その茫漠たる長い長い浜の風物は、浜というものが持つ様々の要素を凝縮させて、 我々の期待感や夢を満たしてくれるかのように思える。しかし残念ながら今では九十九里浜の魅力の殆どは、過去のものとなってしま った。一体、十数年前の、あの素朴で夢のよ うに美しかった九十九里浜は何処に行ってしまったのか。この僅か数年の間に、都会人の荒々しい神経で浜は汚され、美しい砂の起伏は姿を消し、近代化の手は浜に沿って長々とハイウエイを引いてしまった。九十九里浜にとって、全く無意味としか思えないこのハイウエイプランを耳にした時、私は自分の心の中の大切な部分を引きさかれる思いがしたが、土地の政治家というある人は、それは芸術的
↑栗浜陽三 九十九里浜(文)
栗浜陽三 九十九里浜(写真)
栗浜陽三 九十九里浜(写真)
栗浜陽三 九十九里浜(写真)
栗浜陽三 九十九里浜(写真)
栗浜陽三 九十九里浜(文・写真)
[上のページの画像から自動文字起こしをして、誤判読に気付いた所は修正したけど、誤判読が残っているかも知れない]
しなやかな風景●九十九里浜
・・・は黒ダンの前袋の両脇から黒々と毛をかき出して男らしさを競ったといい、亦、漁から浜に帰って来る舟は、長い竿を舟の両側につき出して、その先に黒褌を結びつけ、尾長鶏の尾羽根のように海風になびかせてもどって来たと話してくれた。
私がせめて十数年早く九十九里を訪れていたら、目にしたであろうこれは誠に九十九里の匂いのする昔語りであった。 それでも私は消えてゆく残り火の色を見る ように、時折浜で数少ない漁師の浜仕事や、 女達のフラミンゴの踊るような鮮やかな作業っぷりを見る事が出来た。
度び重なる私の九十九里訪問につれて、私の仕事友達や学生達が浜を訪ねるようになり、若々しい彼等の裸身が浜をにぎわすようになった。彼等はアっと いう間に海風にやけ、町中まで褌姿でのし歩き地引網を楽しみ、九十九里独特の丸板の波乗りをし、別人のように生き返った。
私は丸裸で浜仕事をする漁師をたびたび目にしたが、 この風俗は戦後アメリカ人の手前禁じられてしまったその名残りであった。中年の漁師が性器の先をワラシベや布切れで結んで褌の代用としている様も、決して雑でも奇異なものでもなく、浜の風物の中ではごくノーマルに感じられた。これは海水に濡れたままの褌の不衛生さを彼等がきらったからだという。
浜の女達はよく働いた。小柄でたくましいマイヨールの彫刻のような彼女達は、舟を浜に 引き上げる時には男以上の働きを見せた。母 親の仕事を見ている少女の背中の、赤ン坊の顔には、一刷毛はいたようにウッスラと砂が乗っていた。
十年以上訪ね続けている私の目には、浜の舟の数が年々少くなって行くのがよく解った。最初一、二年の間、浜にそびえていた何艘かのK家の船もいつしか姿を消した。民宿が急激に増え、そしてドカンと音のするようにハイウエイが浜に沿って走り、浜と村を引きさいたのである。庭から海に裸で飛び出してゆけた私達もトンネルをぬけて海に出る為に廻り道をしなくてはならなくなった。浜は見る見る中にゴミが打ち上げられ、マイカーが波打ぎわを走りぬけ、ビーチパラソルが立ち、その下で一日中マージャンをするという馬鹿げた男達が東京からやって来た。日本人は本当のゼイタクの楽しさや味わい方を知らないし、知ろうともしない。なぜ九十九里に都会生活をそのままズルズルと引きづって来る必要があるのだろうか。彼等は潮騒をきく代りに、浜でトランジスタラジオをきこうとする訳なのである。民宿になった素朴な土地の家で、海の香りを味い、あるがままの九十九里の生活に思いきり身をまかしてこそ、本当のゼイタクの楽しさではないだろうか。ハイウエイは私如き人間の知らない理由で必要なのかも知れないが、その代り、日本一のあの美しい浜の風景は二度ともどってこないのである。
K家にはその頃四年程続けて、ある外国の大使館の青い目の客が来るようになった。映画スターのような見事な美女達であった。私の友人の若者達とこの美女達は、伸々打ちとけ合う機会がなかったのだが、ある日、彼女達がK家の前庭の椅子に腰をおろして読書を楽しんでいる最中に、この若者達が海からもどってきたのである。彼等はオイルで鋼のように輝く背中をみせてタオルやマットを干し始めた。その姿を一人のブロンド娘がしみじ ・・・
↑栗浜陽三 九十九里浜(文)
以上の写真と文は雑誌MLMW(ムルム) No.5 (1978年5月号) 掲載記事『九十九里浜』より
これらの文章を読むと、栗浜は性的にも、性的な物を離れても伝統を残したままの海やそこに暮らす漁師を愛していたことが判る様だ。また、他の記事を読むと祭りについても性的にも、性的な物を離れても愛していたことが判ると思うよ。
栗浜のオリジナルは持ってないからウェブから集めた画像だけど、九十九里浜は良い画像がなかったんだ
一応拡大して補正はしておいたけど画質はちょっと残念だね
世間一般では本名の藤井千秋でイラストレーターとして有名な人なんだよ~
藤井千秋は画像検索したらいっぱい出てくるよ
2つの名前の作風の違いに驚くよー!
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20240805 天然スライムを見つけた日
夜勤明けの今日、帰宅したらなぜか洗濯かごが山盛りで、どう考えても2回は回さないといけない量だった。なぜ。
すぐ寝れないの確定。
待ちくたびれた猫たちのトイレを片付け、水を換え、餌をあげる。遅くなってごめんね。散らかっている台所を片付けて、庭のあれやこれやに水を撒く。挿し木にした紫陽花はどうなるかな。この暑さで全部ダメかな。なんて考えながら。
シャワーを浴び終わると1回目の洗濯が終わる。干したら2回目を回して、海へ向かう。本を読むとか動画を見るとかは絶対に寝落ちるので、外に出ることにした。
いつもの海には釣り人と貝採りの人がちらほら。夏の海辺は暑過ぎるので毎年あまり歩かないのだけど、今日は頑張って?日傘をさしキャップを被って歩くことに。
乾いた砂の上は歩きにくいので少し湿った波打ち際を歩く。この時期はクラゲの類がよく打ち上がっていてカツオノエボシもたくさん転がってるので怖い。
これとかこれとか。電気クラゲとか言われるクラゲで、触るとアナフィラキシーを起こすこともあるので打ち上げられた死骸でも絶対に触らないこと。
青くてきれいなんだけどね。でも触るには気持ち悪いか。
脱ぎ捨てられたクロックス。少し離れた所にいる釣りしてる人のかな。来た時には無かったはず。
波打ち際は水が近いからか少し冷えた空気も混じった風が吹いていて、湿度はあるけれどまだ歩いていられる。乾いた砂の上は足元からの熱気と全くの熱風が吹いていてとても歩けない。
暑いけ��きらきら光る海面はきれい。毎日海を見に来ると言っていたおじさんがいて、分かるー、と思った。海はいつ来ても違う顔をしているし、いつ来ても美しい。
眠い頭と疲れた体でふらふらと波打ち際を歩いてると大きな水色の丸いものが。
多分クラゲなんだろうけど、とにかく大きい。直径20cm以上はありそう。
スライムじゃない?
天然でこんな色と形って不思議
検索するとビゼンクラゲとかスナイロクラゲとか出てくるけどほんとは何かよく分からない。もうひとつ形の崩れたようなものも落ちてた🪼
真夏の海は散歩には不向きだな、と毎年思う。
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山海塾 東京公演
TOTEM 真空と高み を観る
ああ…
白ってなんて 美しいのだろう
この歳なのに こんなふうに思えるのか?
この歳だから 思えるのか!
昔から ユトリロの 白の時代が好きだった
大好きだった あの一面の白が
どこか不安な どこか鎮まる
そして儚く 波にとらわれた?
…と思うと しぶとく残るのだ
きょう みた白い肉体が
ただただ 美しかった
I watched Sankai jyuku's performance in Tokyo, Japan
〜TOTEM Vacuum and Height〜
Ah…
How beautiful is white color?
Is it possible to think like this at my age?
At this age, I can think so!
I'm always liked Utrillo's white era.
I loved that blanket of white
It's somehow unsettling and somehow calming
Somewhere ephemeral, caught in the waves?
...If I think so, it will remain until the end
The white body I saw today
was just too beautiful
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ES Japanese Transcription
And it starts. This ended up breaking my family's scanner so I bought my own. These are probably going to trickle out sorta slowly because of how much time it takes me to transcribe one of these. Not to mention I'll be doing edited and unedited versions of Yuno's T1 to fix an error and both of Mikoto's for clarity. Anyways, the PDF will be out soon. I've only scanned T1 right now so both books will have it's own page on archive.org.
Feel free to use this how you like with no credit to me required. Credit should go to Yamanaka.
エス: Es
ジャッカ: Jackalope
1 | ミルグラム監獄内 エスの部屋
薄暗いエスの部屋。
深く椅子に座っているエスと、その膝の上に乗っているジャッカロープ。
ジャッカ 「わかったな…...お、 そろそろ囚人どもが気づく時間だな。準備はできてるな?」
ジャッカ 「ミルグラム第1審開始だ」
ジャッカ 「……ってな。さぁ、行くぞエス」
ぴょんとエスの膝から飛び降りるぽふっと間抜けな足音。
エス 「……どこへ?」
まだ少しうつろなエス。
ジャッカ 「『パノプティコン』。囚人共の部屋を一望できる場所だ」
エス 「パノプティコン......」
ジャッカ 「記憶が曖昧なんだろ?道案内がてら色々説明してやるよ」
エス 「あぁ、頭に霞がかかっているようだ。......すまない」
ジャッカ 「良いってことよ。いつもそうなんだ」
エス 「……?大丈夫だ。仕事に支障はない」
ジャッカ 「オッケー。じゃあいくぜ」
エス 「あぁ」
顎でドアの方を示すジャッカロープ。
ジャッカ 「……ん」
エス 「…...どうした?」
更に顎でドアの方を示すジャッカロープ。
ジャッカ 「……ん!!」
エス 「撫でればいいのか?」
ジャッカ 「チゲぇよ!開けろよドア!見りゃあわかんだろ!」
気づき納得するエス。
エス 「あぁ……」
ドアに手をかけるも途中で止まるエス。
エス 「疑問なんだが······ひとりでドアも開けられないのになんでそんなに偉そうなんだ?」
ジャッカ 「うるっせぇなぁ。開けられないのはオマエの寝室だけだ。他の部屋は俺様用の小さい入口があんだよ……誰が小さいんだコラァ!」
エス 「僕は何も言ってない」
エスがドアを開ける音。
2 | ミルグラム監獄内 通路 エスの部屋前
通路に出た2人。
長くて暗い通路が続いている。
エス 「…...長い通路だな」
ジャッカ 「ここ、お前の寝室が通路の端っこだ。この通路を挟むようにしていろんな部屋と施設があるわけ。全部説明してたキリがねぇから、今日ははぶくけどな」
真正面の小さな扉を見て問うエス。
エス 「僕の部屋の向かいは何だ?」
ジャッカ 「俺様の部屋だな。許可なく入んじゃねぇぞぉ」
エス 「予定はないから大丈夫。それに、見たところ人間が通れる大きさの扉がない」
ジャッカ 「ふん、それもそうだ」
通路を歩き始める2人。
コツコツとエスの足音が響く中会話をする。
3 | ミルグラム監獄内 通路
先を行くジャッカロープが部屋を紹介していく。あるきながら会話。
ジャッカ 「ここが囚人用のシャワー室。向かい側が倉庫。必要な備品はたいていココ」
エス 「囚人用......この通路は囚人も出入りするんだな」
ジャッカ 「あぁ。通行を許可する時間やら、シャワーを男女別にするかどうかやら細かい生活のルールはオマエが後で決めりゃあいい」
エス 「僕が決めるのか?」
ジャッカ 「おう、このミルグラムをどう管理・運営していくかオマエに全部任せてる。地獄にするも天国にするもオマエ次第よ」
ジャッカロープの言葉に何の気無しにうなずくエス。
エス 「……わかった」
ジャッカ 「なんでか?とは聞かねぇんだな」
エス 「そういうものなんだろう。僕にはこの監獄を管理する義務ある。不完全な記憶の中でも、それだけは覚えている」
その言葉に満足そうに微笑むジャッカロープ。
ジャッカ 「......上出来だ」
エス 「……なぁ、ジャッカロープ」
ジャッカ 「あんだよ」
エス 「……もっと早く歩いてくれないと踏んでしまう」
ジャッカ 「体のサイズ考えろ!人間様がウサギに合わせろや!!!……誰がウサギだコラァ!!」
エス 「僕は何も言っていない」
ジャッカ 「ったくよぉ……。あ、ここが食堂な」
工ス 「……そういえば誰が食事を用意するんだ?ここに僕とお前以外に管理人がいるのか?」
ジャッカ 「オレ様が作ってんだよ」
エス 「なるほど。……ん?なるほど?」
予想外の答えに若干うろたえるエス。
ジャッカ 「実はオレ様はこの監獄の料理長でもある。和・洋・中なんでもござれさ」
エス 「……ちょっとした疑問なんだがその手でフライパンやら、包丁やら持てるのか?」
ジャッカ 「ぐっっと気合を入れたら持てる」
エス 「持てるのか……。その、毛とか入らないのか」
ジャッカ 「毛の生え変わり時期はすごく入る」
エス 「すごく入るのか……」
話している間に通路の突き当り、大きな扉の前にたどり着いている。
ジャッカ 「おら、馬鹿言ってる間についたぞ。その扉を開ければ、ミルグラムの中心部パノプティコンだ」
扉を開けるエス。ギギギと重い扉が開く音。
4 | ミルグラム監獄内 パノプティコン
円形のホールのような空間。
等間隔で扉が存在している。
エス 「これがパノプティコン。ドーム状になっているんだな」
ジャッカ 「おう。今オレ様たちはこの丸い部屋の北側、22時の位置にある扉から入ってきたことになる」
エス 「それぞれの扉が囚人の部屋か?」
ジャッカ 「そういうこった。この部屋を時計に見立てると、囚人番号と時刻が一致してるってわけよ。覚えやすくていいだろ?」
エス 「なるほどね」
壁にかかっている時計をチラッと見やるジャッカロープ。
ジャッカ 「ふむ。まだもうちょっと時間があるな。軽く囚人どもの紹介をしといてやるよ。つってもオレ様もツラしか見てねぇんだけどな」
こつこつと円形の部屋を時計回りに一周しはじめるエスとジャッカロープ
1時の部屋で足を止める二人。
ジャッカ 「まず、1時の位置の部屋。囚人番号1番サクライハルカ。ややこしい名前だが、男だ」
エス 「サクライ......ハルカ......」
ジャッカ ���根暗そうな顔してやがったな。ま、うまいこと心開かせて色々聞き出してくれや」
エス 「ただ、その顔すら本当かはわからないのだろう?」
ジャッカ 「フン、よくわかってんじゃねぇか。オレ様たちをあざむく擬態かもしれねぇ。ニンゲンは嘘をつく生き物だからな」
エス 「…...覚えておく」
歩きはじめる2人。
2時の部屋の位置に。
ジャッカ 「次、2時の位置。囚人番号2番カシキユノ。若い女だった。高校生くらいじゃねぇかな」
エス 「高校生くらい?囚人の年齢もわからないのか?」
ジャッカ 「囚人のパーソナルなところに興味ねぇからな、オレ様。看守のオマエが把握しとけばいい
3時の部屋。
ジャッカ 「次、3時の位置。囚人番号3番カジヤマフウタ。てアホそうな男だ。オレ様こいつ嫌い」
エス 「……顔を見ただけなんだろう?」
ジャッカ 「ニンゲン、第一印象が9割だよ。俺様に投票権があったら迷わず有罪にしてるね」
エス 「そういうものかな」
4時の部屋。
扉に刻まれている文字を読むエス。
エス 「囚人番号4番はクスノキ、ムウ?女性か?」
ジャッカ 「おう。やたら美人の姉ちゃんだ。逆にこっちは無罪にするな。美しい遺伝子は残すべきだ」
足を止めるエス。
エス 「はぁ……。そんな欲にまみれた判断基準でいいのか?」
ジャッカ 「へっ…...じゃあ何を判断基準にするんだ?ただ法律に照らして裁くんだったらオマエである意味がない」
エス 「む……」
ジャッカ 「言ったろ、オマエ自身の基準で決めればいいって。それが性や愛でも文句は言わねぇよ。監獄内恋愛を禁止しやぁしねぇからよぉ」
いやらしくニヤつくジャッカロープ。
それを見て少し口をとがらせるエス。
エス 「……くだらないな。次は?」
ジャッカロープを置いて歩きはじめるエス。
追いかけるように歩くジャッカロープ。
ジャッカ 「へっ。今回の看守さんはウブだこと。囚人番号5番、キリサキシドウ。歳は三十くらいかな。こいつはオレ様に負けず劣らずの男前だな。......色恋目線でいくと、こういう奴が集団に波乱を巻き起こしたりするんだよなぁ」
エス 「…… (ため息)」
ジャッカロープを無視して歩き6時の位置に。
エス 「真南6時の位置。これで半分か」
ジャッカ 「ここは囚人番号6番、シイナマヒル。20代前半ってとこかな。……オレ様的にはこれくらいの女が一番好みだな」
下世話なジャッカロープにイラつき、足を止めるエス。
エス 「ジャッカロープ。遊びじゃないんだろ、この仕事は」
ジャッカ 「くっくっ…...遊びのつもりはねぇよ。この仕事の本質
は人間を見ることだ。オマエにもいずれわかる」
エス 「……ふん」
釈然としない様子のエス。歩きはじめる。
ジャッカ 「囚人番号7番。ムクハラカズイ。おっさんだ。今回の最年長じゃねぇかな。体格的にも、戦闘になったらこいつがナンバーワンだろうな」
エス 「……そうだ。囚人に襲われたらどうする?その、あまたらどうする?その、あまり言いたくはないが、僕の体格で抵抗できるとは思えない」
足を止め、後半少し恥ずかしげに言いよどむエス。
ジャッカ 「安心しな。囚人どもはオレ様たち管理者への攻撃はできない。そういう仕組みになってる」
エス 「『管理者へ』つまり囚人同士はそうではないと」
ジャッカ 「ふん、冴えてるじゃないか。そういうこともあるかもしれない。お前の判決次第じゃな」
歩きはじめ、8時の部屋。
ジャッカ 「さ、次は囚人番号8番モモセアマネ。聞いて驚け。なんとランドセル背負った女子小学生だ」
エス 「そんな小さな子まで…… "ヒトゴロシ" だというのか」
ジャッカ 「くっくっく、知らねぇけどよ。幼ければ純粋で、無垢で、善良で、ってのもまた思い込みなんだろうぜ。だからこそ……」
エス 「だからこそ」
ジャッカロープの説教をさえぎるように言葉をかぶせるエス。
エス 「それを見極めるのが看守の役目だというのだろう。まるで保護者だな、ジャッカロープ」
ジャッカ 「へぇへぇ。わかってんなら、構わねぇよ」
9時の部屋の位置。
ジャッカ 「次、囚人番号9番。カヤノミコト。男だ。特に特徴がなくて言うことねぇな。量産型ってかんじ」
エス 「逆に気になる」
ぼそりと小声でつぶやくエス。
10時の部屋の位置で足を止めるジャッカロープ。
ジャッカ 「最後が囚人番号10番、ユズリハコトコ。こいつは要注意だな。見るからに只者じゃなさそうな女だった」
エス 「これで10人か」
ジャッカ 「これで囚人紹介は終わりだな。ま。あとは実際話して確かめろよ」
なにかに気づいたエス。
エス 「ジャッカロープ」
ジャッカ 「ん?」
エス 「あそこは?11時の位置。あの部屋には囚人はいないのか?」
11時の部屋に歩いていくエス。
ついていかないジャッカロープ。
エス 「他の部屋の扉よりも古いな錆びついている……外側からの錠もない」
ジャッカ 「あぁ、そこはいい。何もない」
感情の乗らない返しをするそっけないジャッカロープ。
エス 「……それは」
エスの声を遮るようにゴーンと鐘のなる音。
パノプティコンの中に強く反響する。
エス 「何の音だ......」
ジャッカ 「時間だな。囚人共が目覚めるぞ。ついに顔合わせってわけだ」
うろたえるエスに向き直り、真剣なトーンで話すジャッカロープ。
ジャッカ 「いいか、オマエ自身が持つ不安や戸惑いや疑問はすべて殺せ。お前は看守なんだ。おそれるな。囚人共にとっての権威と恐怖であれ」
エス 「……言われるまでもないよ。ジャッカロープ。業はミルグラムの看守だ。僕にはそれしかない」
ジャッカロープに背を向けるエス。
エス 「それに、実は今少しだけ楽しみなんだ。ここに集められた囚人たちと出会うのが。そして彼らの罪を知るのが」
ジャッカ 「……」
エス 「お前の言う通り、僕は僕の意思で彼らの罪を暴こう。僕はどう感じるんだろう。赦したい、赦したくない、どう思うんだろう」
自分の掌を見つめるエス。
エス 「僕は、彼らを通して、僕自身のことも知りたいんだ」
ジャッカ 「……エス」
エスの背中を見つめていたジャッカロープ。
顔を下げ、冷めた声色でつぶやく。
ジャッカ 「哀れなことだ」
突如ガシャンガシャンと囚人の部屋の錠が次々に開いていく。
ジャッカ 「……来るぞ。ぶちかましてやんな」
工ス 「あぁ。看守としての初仕事といこう」
それぞれのドアが開き、囚人たちがパノプティコンへ踏み込んでくる。
囚人たちの足音が響く。
エス 「ごきげんよう、囚人諸君。僕の名前はエス。この監獄の看守をしている」
エス 「ここは監獄ミルグラム。お前たち10人の罪を裁くために存在する」
エス 「僕がお前達について知っていることは少ない。知っているのは、お前たち全員『ヒトゴロシ』だということだけ」
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