Tumgik
#靴バカ
themaccheroni · 6 months
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【 The Swanky's 】
先々週の店休日に
スワンキーズの映画を見てきました。
「めんたいロック」ムーブメント後に現れ、
後に海外にまで影響を与えた
ローカルパンクバンドのドキュメンタリー映画です。
そうそうたる著名人の方が出演・コメントされており、
その衝撃たるもの強烈だったんでしょうね。
私も感化されて見終わったあとに
サングラスを買ってしまいました(笑)
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(氣志團の綾小路翔氏いわく「ギュイーン」とのことです)
さて、本日のご紹介は
そのスワンキーズでベースをされてた、
現在はThe Hellvettesでご活躍中の
TVさんのテディボーイスーツのご紹介です。
今回お選びいただいたのは、
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画像では色味が伝わりにくいですが、
グレーがかったグリーンの生地に、
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切替しのベルベットはグレーの
組み合わせでご注文いただきました。
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日本でよく見る
王道の組み合わせではありませんが、
そこがまたリアルテッズっぽくて
シビレますね!
裏地は表地のグレー味を引っ張り、
グレーの方のレオパード柄にて
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お作りいただきました。
TVさん、この度は遠路はるばる佐賀まで、
そしてご注文誠にありがとうございました。
そしてご興味ある方は是非映画見られてみてくださいね!
キノシネマ天神(福岡市)でまだ上映中で、
その他全国で順次公開中とのことです。
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simamamoru · 2 months
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戦闘服の男たちNo.0
現職自衛官の告白体験手記
「遠くで突撃喇叭が」
原題「遠くでラッパが」
作  島 守
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新隊員の便所はノリだらけ
 朝五時、起床まであと一時間である。いやあ、変な夢を見たるんだなと思って、ギンギンになっているセガレに手をのばすと、ああ、やっちゃった。まったくしょうのない奴だぜ、昨日センズリかいたばっかりだろうが!
畜生!今起きると、となりのベッドの奴が目をさましてカッコ悪いし、しょうがネーな、起床で戦闘服に着替える時にでも一緒に履きかえるか。
 それにしても新隊員は外出が制限されてるせいで、夜なんかとても遊びに行けないし、極度に欲求不満の日々が読いている。
雄臭い野郎を見るだけならここは本当にいい所だけれど、それ以上のことはちと不可能。けっきょく、夜、誰もいないトイレにはいってシコシコ激しくセンズリをカクしかないのだ。風呂で見たガッチリしたオアニイさんや、カワユイ隊員たちがチラチラ浮かんできたりする。
 でも終わってみると、やっぱりむなしいな。なんか小便とたいしてかわりないみたいで。それでもけっこうさかんなようすで、この間も班長から、
「新隊員の便所はノリだらけでたまらん!」
なんて怒られてしまった。マア、ノリは冗談としても、エロマンガのちぎれたのや、ビニ本なんかが時々モロ、トイレにおきっぱなしになってたりする。金があれば普通の隊員はトルコにでも行くんだろうけど、そこはまだペイペイの新隊員、月給は少ないし、貯金はしろとうるさいし、とてもとても…
 それでも、あけっぴろげな男だけの世界。
「これからセンズリ行くゾー」
と、エロ本片手に走って行く奴もいる。
 そんで���って自分もけっきょくその日のタ方、バラしてしまうのだった。
「昨日の夜、爆発しちまったでェー」
「いやー、エッチだなあ。勝見二士がいないからじゃないのォー」
 前期の教育隊から一緒に来た北村二士にいうと、思わぬ返事が返ってきた。まいったなあ。
「このヤロォー、勝見と俺はそんなに深い仲でネェゾ!」
「エへへへ、でも勝見二士は、島二士のダッチワイフだったんじゃないのォー」
 まったく北村の野郎、口のへらない奴だ。
まっ、べつに勝見二土はダッチワイフだなんてのは冗談だからいいけど、でも俺は、やっぱりドッキン!そう、あいつはいい奴だったもんな。この俺に、男と男が精神的に強く結ばれることがどんなに素晴らしいことか数えてくれたから・・・•・・ネ。
 それは3ヶ月前
 桜のつぼみがまだ硬い三月の下旬、俺は陸上自衛隊のある駐屯地に入隊した。出身県の関係で他の県の出身者より四日ほど遅い入隊だった。勝見二士とはこの時に初めて出会ったのである。
〈三月某日〉
 なかなかできてる奴
今日から俺の自衛隊員としての生活が始まる。まわりの環境は、想像していたのとそれほど変りはない。でも一部屋四十人というのは多すぎるようだ。
 それから自衛隊ではバディという仕組があって、二段ベッドの上下でペアを組み、訓練面や私生活でいくそうだ。
 俺のバディは勝見次郎。ガタイが良くてイモの煮っ転がしみたいな顔をした奴だが、なかなか性格はよさそうだ。
 この時はまだバディの重要さなんか知るよしもなかった。
 勝見二士は俺より年下だが、四日も早く入していただけあってちょっと先輩気取りで、ベッドのとり方から戦闘服のネームの縫い物まで俺に協力してやってくれた。早くもリードされっぱなし。それでもけっして悪い顔をしないで黙々と手伝ってくれる彼を見て、
「なかなかできてる奴だワイ」
と内心思ったものである。
<四月某日>
ビニ本でぬいて来い
 入隊式も終わり、訓練も徐々に本格的になってきた。銃こそまだ持たされていないが、戦闘服を着て半長靴をはいて走り回るさまは、一人前の兵隊さん・・・・・なんちゃって。
 そんな時、体育の時間に勝見の野郎がすっころんでけがをした。運動神経いいくせにまったくそそっかしい奴だ。おかげでその晩、俺がヨーチン片手に手当てしてやる。 
 両足おさえつけて、ヨーチンをぬるさまはSの気分。ムフフフと不敵に笑って、「グチェッ!」とぬってやる。勝見の奴たまりかねて、「ギャアー!」
 苦痛にゆがんだ顔って、ちょっとエロチックやなアー。
 
 四月にはいっても外出は下旬にならないとできない。新隊員とはつらいもんである。ああ、自衛隊には自由なんてない!これでは縛られるのが好きなMじゃなきゃ向かないんじゃないだろうか。そんなわけで貴重な休みも隊舎のベッドでゴロゴロ、これじゃ夜寝られるワケがない。
 消燈もとっくに過ぎた十二時半、なんとなく昼間寝すぎたので寝つけない。緑色の毛布の中でごそっと寝返りを打つと、上のベッドでもごそっと寝返りを打ったようだ。安物のベッドがグラッとくる。これじゃセンズリかいてようもんなら、片っぽのベッドの奴は地震かと思って起きちまうだろうななんて思ってると、
「オイ、島さん寝たかい?」
と、勝見が小さな声で話しかけてきた。
「なーんか、こうムラムラして寝られネェんだョオ」
と俺。すると、
「島さん、最近やってないんでしょ、アレを」
「まっ、まあな」
と、二人はムクッとベッドから起き上がて話を始めた。まったく目がさえてしかたいない。すると、その時へやの戸があいて、だれかがはいってきた。なんと班付(つまり上官)の上田士長である。よーく見ると、片手にビニ本を持っている。
「お前ら、まだ起きとるんか」
「エエ、寝られないんですヨ」
と勝見二士。すると上田士長、恥ずかし気もなく片手でもってるビニ本二冊を差し出すと、
「これでちょっとぬいてこい、そうすればバッチリ寝られるゾ。俺も抜いて来た」
 思わず俺と見、顔を見合わせてニヤリ、もちろん俺はあんまりビニ本には興味はないが、そこはノンケの顔をしていなければならないのがツライところ。
 ともかく、俺と勝見の二人はビニ本片手に仲よくトイレに直行。そこで二人は同じ個室に••••••てなわけにはいかなくって別々の目室に。ハイ、でも、ガマン!
「オッ、スケニ本だぜ、もうビンピンだァ」
「タマンネニナー。でもあんまりおっきな声だすなァ、不寝番がびっくりして飛んでくるゾォー」
 なんてことを話しながら、お互いに実況中継をし合う。洋式トイレなのですわってカケるのでらくなのだ。となりの個室からのすっとんきょうな声がとだえた。奴も本気になってきたようだ。こっちがたまんなくなるようなあえぎ声が聞こえてくる。思わず俺の手の動きも早くなる……。
 すると、突然奴の声、
「ウッ!ウッーウ」
 畜生、俺より早く終わりやがったな。
奴の家は海辺の町で漁師をやっている。中学、高校と、よくアルバイトを兼ねて家の手伝いをしたそうだ。そのためか潮で鍛えられた体は浅黒く、区隊で誰にもまけないくらいの逞しさを持っている。そんな奴から海の話を聞くのが俺も好きで、いろいろと聞いたものだった。サザエの採り方なんか、実に詳しく話をしてくれたもんだった。
<5月某日>
好きになったのかな?
 知らないというのは恐ろしい。いつものように勝見二土から海の話を聞いていた俺は、なにげなく聞いてしまった。
「じゃ、なんで家の仕事を継がなかったんだい?」
「親父が許してくれなかったんだよ」
「どーして?」
「・・・・・・兄貴が海で死んだからさ••・・生きてれば二十七歳さ。よく晴れてベタなぎの海にもぐったきり、サザエ採りにネ、兄貴、上がってこなかった」
 淡々と話し続ける奴は、やっぱりいつもと違っていた。
「やっぱり親は親なんだな。二人も海で死なせたくはないんだろうな。いくら俺がねばってもだめだった。今の俺なんて、丘に上がったカッパさ・・・・・・・」
と、彼は言う。いやいや、丘に上がったカッパなんてとんでもない。奴の体力は区隊のトップをいつも争っている。俺だって気力じや負けないつもりだが、やっぱり体力検定だとかではっきり数字に出されると、どうも一歩も二歩もゆずってしまう。
「漁仲間の人から最近よく言われるんだ、兄貴に似てるって」
 彼はこう最後に明るく付け加えた。なんか、この話を聞いているうちに、自分が奴に引かれていることに気がついてきた。なんとなく奴のことを、俺は他の班員とは違う目で見ているということに・・・・・・。
 俺、奴のこと好きになったのかな?
まだ五月の下旬だというのに、真夏のような暑さが続く。そんな太陽の下での戦闘訓練は、まだ自衛官として一人前の体力を持ち合わせてない俺たちには、とてもキツイ。 
 たかが4.3kgの小銃が自分の体じゅうの汗を吸いまくる。気がつくと小銃から滴がしたたるほどに汗でぬれている。 
 地面だってこんな間近に見つめることなんてあったろうか。地にふせた俺の目の前にあるのは、青々とした草が高々と繁っている姿と、小さな虫たちの世界だった。
 一瞬、自分が虫けらになったような気がする。ふと隣を見ると、3メートルほど離れて奴がこっちを見てニヤリとした。埃にまみれた顔から白い歯がチラリとのぞく。ほんの数秒の間の静けさが何時間にも感じる。
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 すると突然、頭上で班長の大声が響く!
「目標、前方の敵!」
「突撃!前へ!」
 銃をかまえると全力で走りだす。核の時代にこんなことが役に立つのだろうか、もうバカになるしかないな。班長の号令が頭の中を素通りして直接手足に伝ってゆく。俺も奴も、そして愛すべき仲間たちも、死ぬ時はみんな一緒・・・・・なんだろうな。
<六月某日>
レイプごっこ
 3ヶ月の前期教育も大詰めをむかえてきた。今月の末には、俺も奴もバラバラになって全国の部隊のどこかの駐屯地に配属されることになるだろう。なんか、そう思うと、とてもせつない。でも、俺と奴は違う道をたどらなければならない。希望も適性も違うから。だからあと数週間、思いっきり悔いのないようにガンバッテいく。それが今の俺たちには一番なの
だ。
 営内近は1班12名前後いる。学校の教室の約2倍ほどの大きさの部屋に、実に40人の隊員が詰め込まれ、2段ベッドで毎日の訓練生活を送っている。もちろん性格もさまざまであるが、そんな隊員たちが40人も一つの部屋にいる姿は、なんとも壮観で異様でもある。しかも全員、スポーツ刈りか坊頭で、体格もこの六月ごろになると個人差こそあれ、すっかり逞しくなってくる。
 その中にはやっぱり俺以外にも、男が好きな奴がいるらしい。時々どっかからか、〇〇二土と二士が二人でトイレにはいって行くのを見たなんて話を耳にすることがある。
 うまいことやってるなあなんて思うけど、やっぱり毎日寝起きしている仲間の前ではなかなか、そんなことできるワケがない。それでもよく俺たち二人は皆の前で冗談を飛ばし合う。
「オッ、いいケツしてんなあー、たまんねえぜ!」
「バーカ、今夜はもう予約ズミダヨ」
「ベッドあんまりゆらしてこわすなヨ。下で俺が寝られネェからヨ」
「じゃペーパー貸してやっから、センズリでもかいてきな!」
 なんてやり合ってると、周りの仲間も悪乗りしてきて、なにがなんだかわからないうちにレイプごっこ(つまり解剖というやつ)が始まったりする。どんなバカ力の持ち主でも二十人ぐらいにせめられたんじゃ手も足もでない。アッというまにスッポンポン。一回やられるとくせになるみたいで、次の獲物をさかす。でも気がつくと、一番必死でやってるのは俺みたい。
<六月中旬某日>
こみ上げてくるような話
 今日から前期教育で最初で最後の野営(泊まりがけの野外訓練)が始まった。
 午前中に寝泊まりするテントを設営する。
 午後からは小銃手用の掩体(一種の個人用の隠れ穴…ここに隠れて首と銃だけ出して、敵を狙う)を掘った。
 1グループ6人で3時間ほどで仕上げなければいけない。
 もっぱら俺は現場監督のように地面に穴を掘る設計図を引く。そして奴は、パワーショベルのようなバカカで他の仲間四人とともに穴を掘る。もちろんきっかり時間内に仕上がった。
 野営で俺たちが使うテントは、二人用の小さなもので、朝起きてみると足が外に出ていた、なんてことがしょっちゅうある。もちろん奴、勝見二士と一緒である。
一日めの夜は夜間訓練もあり、ビールも一本入ったので、二人はろくに話しもしないで寝てしまった。
 二日の夜、目が冴えて眠れない。久しぶりに奴と俺はいろんな話しをした。酔うと滑舌になる勝見。入隊する前の事や、これからのこと、もちろん女の話しだって出てくる。俺は当然聞き手に回るわけだが、それでも奴は初体験の話や、彼女にふられてしまったことを、こっちが感心するほど克明に話してくれた。
なんかこみ上げてくるようなものも感じるけれど、それは明日の厳しい訓練にとかして流してしまおう。
 三日めは、昼間の行軍が災いして床についたら、またまた、あっという間に寝てしまった。それでも就寝前、点呼に来る班長が、
「お前ら、あんまりいちゃつくなよ!」
「いやーあ、昨日なんて島さんが寝かしてくれないんスよ。まいったなあ」
なーんて冗談も飛ばしてくれて、言葉の中だけど、楽しませてくれた。
<前期教育終了7日前>
愛すべきパワーショベル
 今日は最後の体育だ。項目はなんと苦手の障害走。外見に似合わず(?)体力のちと足りない俺には恐怖の時間である。だが、今回はなんと二人でペアになってやれというのである。当然勝見二土と組むことになる。よし、やるぞ!
 隊長の合図でスタートし、戦闘服姿で障害物を切りぬけていく。高さニメートルの垂直の壁あり、幅一・五メートルの溝あり、まったくとんでもないコースだ。やっぱり勝見の奴は早い。確実に障害をこなしてゆく。時々日に焼けた顔でこっちをふり向く。そうだ、奴がいるから今俺は、三カ月間ここまできたんだ、汗と埃は今、大きなエネルギーと変わって俺たちに吸い込まれてゆく。奴が好きだ、そう、心の中で叫んでやる、
「好きだ」と。
 ふと気がつくと、目の前にロープが下がっていた。最後の難関のロープ登りである。畜生!俺が最も苦手とするやつだ。それでも登らなければならない。一段階一段階と手足を使って登るのだが、なかなか上へ進まない。
 畜生!もうだめだ、あと五十センチでロープのフックに手が届くに・・。すると、そ畜生!もうだめだ、あと五十センチでロープのフックに手が届くのに…。
 すると、その時である��足をなにか、すごい力で下からさ押れた。グーッと上に上がる。フ、フックに手が届いた。やったあ!思わず下を見る。そう、俺の足の下には勝見のこぶしがあった。奴は満身の力で、俺を下から押し上げてくれたのである。
この野郎!お前はやっぱりパワーショベルなんだなあ。
<前期教育終了6日前>
 自衛隊部隊はラッパの音と共に、毎朝8時に国旗掲揚、夕方5時に国旗降納がある。
 俺の前に整列している奴の後ろ姿の敬礼を見るのもあと数回しかない。教育終了後に別の部隊に進む事に決まったからだ。
 日に焼けたうなじを目に対み込んでおこうと思う。毎日、一緒に行く食事も別れが近いせいか会話が少なくなったような気がする。
 そろそろ身辺の整理を始める。ダンボールに荷物をつめる時、背中に後ろで見ている奴の視線がやけに気になる。
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<前期教育終了4日前>
 パンツの隙間から半立ちのものが…
 教育打ち上げの研修旅行で、ある山奥の温泉に行った。
 やはり百名近い短髪の青年集団というのは一般の人���に奇異に見えるようで、必ず「お仕事は何ですか」なんて聞かれる。もちろん醜態をさらす飲み会に制服なんて着ていくワケがないから、わからないのは無理もない。
「皆さんお若いですネ。今年入社したのですか?」
「ハアー、そうです」
「いい体している人ばかりですけど、どんな仕事ですか」
「まあー(モゴモゴモゴ)」
「ガードマンかなんかですか?」
「似たようなもんですネ」
と、けっこうおもしろがって遠回しに話をするんだけど、後ろから当然、
「島二土!」
なんて階級で呼ばれるもんだから、わけ知りの人にはバレちゃう。そしてその夜ー。
 バカ騒ぎのうちに飲み会も終わり、各班ごとにひっそりと部屋に集まって二次会が始まる。ビールの本数が増える��従って、歌が出る。かわるがわる歌う員の歌声をバックにして、俺も奴も仲間たちも、この三カ月間の訓練をいろいろ思い出していた。苦しかったことしか浮かんでこない。
でも、俺たちはその中で同期愛ということを学んだ。
 いつのまにかみんな寝てしまっていた。もう外は白みかかっている。
 突然、俺の寝ている毛布に奴が割り込んできた。肌がふれ合う。奴の匂いがする。すぐいびきかく。でも、なんとなく手が出せない。チラリと下を見る。パンツのすき間から、奴の半立ちしたものが見える。そういえば、いつか俺も言われたっけなあ。
「島さん、立ったチンポぐらいしまって寝てろよナ。思わずさわりたくなるだろが!」 
 奴が不寝番をやっていた時見られてしまったようだ。まったく助平な奴だと思った。でも俺のほうが助平だったりして。
「俺、眠ってる時って何されてもわかんねえんだよなあ」
と奴がカマをかけてくる。
「バーカ、もうやっちゃったヨ。でも1万円のダッチワイフのほうが気持ちよかったぜ」
と俺。してやられたというような奴の顔。
 そんなこと思い出しながらいいチャンスの中、俺も寝てしまった。
<前期教育終了日>
 再会をめざして頑張ろう
 とうとう、今日という日が来てしまった。
 俺も奴も違う部隊へ行ってしまう。場所も離れているので、顔も見られなくなるかもしれない。両手で握手をして別れた。
 遠くでいラッパが鳴っている。戻は出なかったが、心で泣いてしまった。ありがとう、リスの目をしたパワーショベル、勝見次郎よ。日に洗けて埃にまみれながら走り続けた道を、ふり返りながら前を行く。奴だから、今日まで.....。
そして今…
 新隊員後期教育が始まって1ヶ月半。前期教育から一緒に教育を受けている北村二士が手紙を見せてくれた。勝見二士と同じ部隊に行った高田二士からだった。
<あ、そうそう、この間の手紙に島さんが夢精したって書いてあったネ。あの文、勝見二士に見せたら、「まいったなあー」って口ではいってたけど、ニヤニヤしてたぜ。島さんに会いたいって伝えといてくれとのこと>
 俺も奴に会いたい。こんど会うのはいつのことだろうか。
「士、別れて三日を経たるは刮目して待つべし」
お互い、目をみはる再会をめざして頑張ろうじゃないか。人は出合いと別れを通じて成長するのだから。
 そして後日談…2024年
 題名「遠くで突撃喇叭が」は第二書房が付けた題名。
 原題は「遠くでラッパが」である。今どき戦闘訓練で突撃喇叭なぞ吹かない。この時代の薔薇族には戦記物を書ける文字通り百戦錬磨の先輩がたくさんいたから仕方ないが、俺の指したラッパの音は毎日部隊で鳴らされる国旗掲揚、国旗降納のラッパである。
 勝見二士(仮称)は俺が見込んだとおり自衛隊員募集パンフレットの表紙を飾った。
残念ながら2任期(4年)で退職。
再会は果たせなかかった…親父の後を継いで海に出たそうだ。
新隊員当時の写真。小説に出てくる面々。
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 その他の隊員と再会したのは地下鉄サリン事件。不幸な事件であったが、それぞれが一線で任務についていた頼もしさを感じた。
 もちろん俺も新隊員の教育をする先任陸曹になった。
 その後俺も2等陸曹で依願退職。約15年の自衛隊生活を終了。鳶職となり予備自衛官で約10年、1曹まで務めた。
 2024年現在、自衛隊に残った同期たちは全て定年退官している。
 俺を薔薇族、さぶに引っ張ってくれた木村べん氏も他界された。
 読んでもらって分かる通り、肉体関係は無くとも男同士の愛情はある事への感動を自衛隊で得ることができた。
 職務上死の覚悟を要求される世界。
 その感動をセックス描写のない小説でも構わないからと木村べん氏に書いてみないかと言われて作ったのがこの作品。
 べん氏に銃を持つ手ではイラストは描けなくなると言われて、好きなメカ画も共同で作品表紙等で書かせていただいた。もちろん最初で最後。ben &tetsuは勉&(鳶)徹って言うこと。
 文中漢数字が多いのは縦書きの影響。
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「遠くで突撃喇叭が」掲載誌表紙
もう一つ参考にしてさせていただいた本。
1974年芥川賞受賞作品「草のつるぎ」
実はエロ度こちらの方が数段上。戦闘訓練の打ち上げで全員でセンズリこくシーンがある。実話だからノーカットなんだろう。
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emeraldecheveria · 2 months
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月の光と海うさぎ【5】
染まれない教室で
 春の空は青く澄み切っていた。校門の周りに植えられた桜が、今年もふっくらと蕾をつけている。
 一年生が終わって、きっと、絶好のキリがいい逃避行の日。でも私は結局、学校に行かないなんていう選択肢を取る勇気もなく、校門をくぐって今日からこの学校で中学二年生になる。
 いったん向かった旧一年生の教室は相変わらずで、まだ来るよあいつ、と言いたげな嗤笑が聞こえた。金子さんも「お、同じクラスだと、いいね」とか話しかけてきて、私はあやふやに咲うしかなかった。
 体育館での始業式のあと、クラス発表は点呼形式で伝えられた。私の名前を呼んだのは、二組の担任教室となる若い男の先生だった。
 その先生の引率で、新二年生の教室に向かう。大量のプリント配布。教壇で挨拶している新しい担任が、私への疎外に何もしなかった一年生の担任ではなかったことに、私は安堵した。
 けれど、今回の担任は何もしないというか、何もできないといった感じだった。やけにおろおろしていると思ったら、まだ二十代なかばの新任教師なのだそうだ。かわいい感じの顔立ちをしていたけれど、あまりにもいつも困っているので、その後、特に女子からの人気が出る様子もなかった。
 一年生のときのクラスメイトとは、わりあい離れることができた。特に金子さんがいないことにほっとした。でも、この学校は学年たった二クラスだし、私がよそ者なのはみんな知っている。私への反応は、遠巻きにひそひそ言うばかりで、仲良くなれる子がいないことに変化はなかった。
 この学校は、ローカルルールというか、暗黙の了解が多い。別に禁止されているわけでもないのに、靴下は黒でなく白とか。鏡はトイレに見にいくもので手鏡は気取ってるとか。飲み物はペットボトルで水筒はださいとか。
 どう考えても変なものもあって、予測もつかないので、私はそれをほとんど知らない。黒いソックスを履いていった日もあったし、胸ポケットに手鏡が入っていたこともあった。そういうとき、「黒はダメなのにねえ」と皮肉を言われたり、「鏡が必要な顔なのかよ」とバカにして嗤われた。
 でも、その翌日に私が白のソックスを履いたところで、「あいつ必死すぎる」とどのみちみんなで笑ってくるのだった。
 担任は頼りにならない中、頭に落下してくるように渦巻く笑い声に私が唇を噛んでうつむいていると、「リップは色つきも香りつきもダメだからね」という声が不意にかかった。
 顔をあげると、栗色の長い髪に綺麗にパーマをあて、白い肌に睫毛の長いぱっちりした瞳の女の子がいた。そう言うこの人のリップクリームは色つきではないのかと思うほど、唇はいちご色をしていて、手足も腰つきも華奢だ。とにかく、はっと目の覚める美少女がそこにいた。
「マリー、何構ってんの」
「ほっときなよ」
 そんな声がかかると、彼女は「何でよ」とそちらを睨んだ。
「あたしが光谷に話しかけるのは、あたしの勝手じゃない」
 マリー、と呼ばれた美少女を見つめると、「分かんないことはあたしに訊いていいから」とえんじのスカーフの自分の胸に手を当てた。すでに胸のふくらみまで豊かだ。私がぎこちなく、「ありがとう」とぼそりと答えると、「うんっ」とマリーはにっと笑ってみせた。
 松部万里衣という名前の女の子だった。万里衣という名前からして何だかお洒落だし、この田舎町に見合わない、垢ぬけた美貌でちょっと有名な子だった。男の子にはもちろん好かれていたし、女の子たちにも羨望より憧憬を持たれてそこそこ友達がいる。ただし、自分の意見を言うというか曲げないせいか、先生たちには嫌われていた。マリイだからマリーと呼ばれている。
 二年生になって同じクラスになったこのマリーが、話しかけてきたこの日から、なぜか私の面倒をよく見るようになった。あるいは、私なんかの世話をする物好きな生徒だから、先生たちには疎まれる厄介な生徒だったのかもしれない。
 しかし、私はマリーに良くしてもらっても、素直に喜べずにとまどった。正直、あんまり感覚が合わなかったのだ。たとえば、トイレに行くこと。私はトイレくらいひとりで行くし、ひとりで行けと思う。マリーは違った。トイレは必ず人と行くものだった。わけが分からないけど、マリーにはトイレとはそういうものだった。
 休み時間、マリーは「一緒にトイレ行こ」と話しかけてくる。私もそういうタイミングなら構わないけど、別に自分は用がなかったら「私は別に、今トイレ行かなくていいから」と答える。するとマリーは、「何でそんなこと言うの!」とめちゃくちゃに怒った。
 それどころか、私が誘いをかけずにひとりでトイレに行って、帰った教室ではマリーが目を見開いて怒り心頭している。確かにやっと、金子さんとは異なり、私に良くしたいと思って話しかけてくれた人だけど、この子にはつきあっていられない、というのが本音だった。
 だって、トイレくらい自由に行っていいでしょう? 何で人に合わせてトイレに行けたり、行けなかったりするの? でも、マリーがそんな感覚だから、ほかの女子もそういう子が多かった。
 私はマリーに従わず、勝手にトイレに行った日、つくえに白いチョークで『裏切り者』を書かれていた。��が書いたのか分からない。ただ、マリーの字ではなかった。トイレに行った私を例によって叱責しようと近づいてきたマリーも、それを見て、「何だよ、これ!」とそちらに怒りはじめた。
「だってあいつ、マリーを裏切ってるじゃん」
 そんなささやきが聞こえてはっと教室を見渡したけど、誰の声だったのか分からない。黒板消しを取りに教壇に向かったマリーには、聞こえなかったようだ。
 マリーは落書きを丁寧に消してくれて、「ありがとう」と言った私に、「というか、希夜、トイレひとりで行ったの?」と結局マリーは蒸し返して怒った。この人のそういうところがしんどいと思った。
 マリーはかわいい。優しいし、私の面倒を見てくれる。なのに、「いい子だなあ」と感激したことは一度もない。していたら、私はマリーと友達になれて、中学生活も変わっていたのかもしれない。しかしやはり、マリーは性根はあまりよろしくない子だとつねづね感じていた。
 その愛らしいルックスやシュガーボイスをマリーは自覚していた。声をかけられた男の子たちはたやすくなびいて、たくさんの男子とマリーは仲がよかった。それ校内に飽き足らず、他校や高校生、社会人とつきあっていることさえあった。中学生が社会人とつきあったら犯罪なのではと思ったけど、閉口していた。
 マリーはその体験談を交換日記に生々しく綴り、私に次々と披露した。一応それを読んだ私は、この交換日記が親に見つかったら危ないとまで感じた。私がこんなあからさまなものを読んでいると知ったら、母は怒るどころか嫌悪してくるに違いない。
 マリーの過激な内容に刺激されて、他の交換日記のメンバーもあれこれと書いた。私はそんなことは何の経験もなく、当たり障りないことしか書かなかった。何で私がみんなの、特にマリーの性体験に詳しくなっているのか、よく分からなくなるときもあった。
 以前の中学は家から十五分だったけれど、今は片道、徒歩で二時間近くかかる。田んぼと畑しかない道を、ひたすら歩く。近所の友達もいなくて、登下校はいつもひとりだった。
 そもそも、「近所」というものが近所にあると言えず、それでも一応「近所」の家には、子供がいなかった。この景色の通り、私の家は田舎町のさらなる辺境、隣町との境にある。つまり、校区外に限りなく近く、とにかく学校から離れていた。
 引っ越してきたときは、雄大な風景の中の家が嬉しかったのに、そんな登下校のせいでますます学校が嫌になった。拷問のように歩きつづけ、クラスに友達もおらず、勉強は分からず、また脚がふらふらになるほど歩いて帰宅する。
 朝はふとんを頭にかぶって、起こしにきた母と格闘した。怒鳴られたり、なじられたり、ときにはぶたれたり──母は何が何でも私を学校に送り出す。母も仕事を始めていたのだけど、出勤前でばたばたしていても、私を車に押しこめて学校に連れていくのは譲らなかった。
 父は相変わらず単身赴任で家にいなかった。かなりいそがしく働いているようだった。だいたい、この大きな家が我が家に見合わない買い物でもあった。父がいくら働いても家計は苦しくなり、それで母も仕事を始めたのだ。父の出稼ぎは昔からだから寂しくなかったし、家にいなくてよかったと思う。学校に行くのをぐ���る私のことを知ったら、面倒なことになっていた気がする。
 去年、しばらく家で一緒に暮らしていた頃、父は私や美夜が門限を少しでも過ぎて帰宅すると、ものすごい勢いで怒った。そして、遅い帰宅を怒っているはずなのに、外出禁止どころか家から締め出す。
 娘である私や美夜が、夜道を歩いたりするなんてと憂慮してくれているのは分かる。だが、言動が過剰すぎて迷惑だった。母より愛情表現があったということかもしれない。しかし、愛されているという温かさはなく、ひとつも嬉しくなかった。
 父も母も懸命に働いていたわけだけど、四人ぶんの生活費や家や車の維持費で、やがてお金は尽きた。私たちには、お金を借りるあてがない。せいぜいサラ金くらいだ。
 かくして、両親はついに借金を始めた。不払いもあり、その対応をさせられるのが私だった。電話が鳴っても、柄の悪そうな人が訪ねてきても、「おかあさんは留守です」と白々しい嘘をつく。しぶしぶ許してくれる人もいたけれど、中には執拗に文句を言う人もいたし、脅すように怒鳴りつけてくる人もいた。まだ十四歳にもなっていない私は、そのたび恐怖が刻まれ、玄関のチャイムや電話のコールに怯えるようになった。
 そんな家庭内だったから、私がいじめられているなんて、まったく問題として話題にのぼらなかった。父は知ったらあの怖い顔で学校に怒鳴りこんでいたかもしれないけど、それは嫌だったので、知られなくてよかった。
 母も美夜も、父が私の学校に乗りこむのが嫌で、何も告げなかったのだろう。この田舎町において、人前で激怒する父がたとえばヤクザということになったら、もう居場所なんてない。父自身、私に学校生活について訊いたりしなかったので、興味も心配もなかったのだと思う。
 夏になっても、私は学校に行きたくなかった。マリーがいようが、そんなの何の心の支えにもならない。それ以外の女子は遠巻きに私を眺めるか、存在していないみたいに無視か、私のつくえに『裏切り者』と書いたみたいにたまに嫌がらせする。男子は勉強ができないとか顔がかわいくないとか言いたい放題で、私をいじめるようになってきた。
 夏休みをはさんで二学期になり、最悪の事態が起きた。前の学校にいる子と今の学校にいる子に、親戚だか何だかの接点があって、私が以前いじめられていたことが現在の中学に知れ渡ってしまったのだ。そして、私はまた、「あいつはいじめてもいい奴だ」と認識されるようになった。
 美術の授業で作った粘土細工を、次の時間には叩きつぶされていたこともある。そのときの美術の先生の対応で、私は先生たちも味方ではないことを思い知った。美術の先生は新しい粘土を用意し、「これで頑張ってね」と目をそらして言っただけだった。
 どうも先生たちは、私をよく思っていないみたいだった。私と少しでも関わった子は、すぐさま生徒指導室に呼び出され、「光谷希夜と仲良くするな」「あいつの友達にはなるな」と厳しく言い聞かせられるらしい。
 何で、とそれを知ったときはショックだったけど、理由は簡単だった。以前の学校が、素行の悪い生徒が多い不良中学校だったからだ。あの学校から来て、遅刻欠席が目立ち、勉強もできない──先生の目には、そんな私もまた、「不良」として映っているようだった。
 私という人間を見てくれることはなかった。見ていたら、引っ込み思案な私なんかが、不良なんていう物騒なものにはなれないのは分かっただろう。私自身もまた、前の学校の知り合いとは関わってはいけないと先生たちに警告された。
 マリーはそういう、生徒を取り締まる横行みたいなことが嫌いだ。だから、反抗したいのもあって私の面倒を見ていたらしい。しかし、それでマリーはますます先生たちに嫌われるハメとなっていたから、なぜそこまでして私と仲良くするのかは、やはりよく分からなかった。
 やっと涼しくなってきた九月中旬、その日も二時間近くかかって帰宅し、私は誰もいないリビングでふらりとソファに横たわった。制服のままで、紺のプリーツスカートから投げ出した脚が重苦しく痛む。膝をさすって、今日も学校が息苦しかったことを思い、二度と学校に行かなくていいほどの病気にでもなりたいと唇を噛んだ。
 病気だってつらいのは分かっている。でも、学校がつらいのは家族さえ分かってくれないけど、病気がつらいのは他人でも分かってくれるでしょう?
 ゆらゆらする意識が目障りで目をつぶったとき、電話が鳴りはじめて私はびくんと身をすくめた。
 また、サラ金の人かな。今、母は本当に留守だ。無視していいだろうか。いや、そうしたら家に来るかもしれない。それはもっと嫌だ。
 私は仕方なく起き上がり、廊下に出て電話を取った。
「もしもし、光谷です」
 私のこわばった声の応答に、相手は無言だった。それで相手が誰なのかは分かった。一応ほっとしたあと、私はくすりと咲ってしまう。
「さくらでしょ?」
 やわらいだ私の口調の呼びかけに相手は息を飲み、『ええー……』と嬉しそうな声がやっと聞こえてくる。
『すごい。何で分かるの?』
「さくらのことは分かるよ」
『へへ、何か嬉しい』
「どうかしたの」
『んー、希夜どうしてるかなって』
「あ、ごめん。手紙、私で止まってるね」
『いそがしい?』
「ううん、ただ──まあ、楽しくない」
『そっか……私もあんまり楽しくない』
「会いたいね」
『うん。また会おう。話聞くし』
「私もさくらの話聞きたい」
 ──白雪さくら。小学校のときの友達だ。さくらが小学生のときに転校していったので、中学は最初から別々だった。それでも、いまだに手紙をやりとりしている、仲良しの子だ。
 さくらの家には電話がないので、私から電話をかけることはできない。代わりに、さくらがどこかの公衆電話から、こうして私の家に電話をかけてくる。そして私たちは、ささやかに話をした。さくらと話していると、不思議と心が安らかになって、ああ友達ってこんな感覚だったなあと思い出せて嬉しくなれる。
 その日も少しだけ話をして、『ああ、もう百円切れる』とさくらが言ったことで電話を切った。かちゃ、と受話器を置き、私はため息をつく。このやりとりが学校に、いや親にばれたって、顰蹙されるのだろうなと思う。
 さくらはすごくいい子なのに。私のことだって心配してくれる。話聞くよって言ってくれる。なぜ私は、そんなさくらとのつながりを隠して、学校では先生たちにほかの子と親しくなるのを邪魔されて、近づいてくるのはあのマリーくらいなのだろう。
 友達が欲しいよ。そばにいてくれる友達が欲しい。
 窓ガラスの向こうの稲穂の波を見た。この町に越してきたとき、ここは海で、仲間がいて、帰る場所になると思った。
 ねえ、ルル。私たち、やっぱりひとりぼっちだね。どこも私たちを受け入れてくれないね。
 泣きそうだよ。涙はもう出ないけど。そのぶん、ルルが心に雨を降らす。暗く、冷たく、じめじめと──私の心が、再び浸蝕されていく。このまま崩れ落ちたら、私は心を失って何も感じなくなるのかな。それって、死ぬのと同じじゃないかな。
 電話を見つめた。さくら。「会いたいなあ」とひとりごちた私の耳に、窓越しにもざあっという潮騒に似た音が虚しく響いた。
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europiumoon · 11 months
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信愛
iphoneの写真には去年の恋人が唇を突き出した動画がモーメントとしてあがっていた。
昨年の祝い方は地方で互いに車もなく、ローカル線に乗って豪華なホテルに泊まってケーキを買って小さく祝う、尚且つその直前には大喧嘩をするという最悪な誕生日会だった。苦すぎる過去がずっと頭に残っていて、かつ今は彼が出張中なのでこれを機に都内でできることを沢山してあげたいと思った。去年もしてあげれたらいいものの旅行やなんやらで金銭的に余裕がなく私の心も狭くなっていたのでしてあげられなかった。去年なんて愚痴の何かしらここで刻んでいるかと思ったけど見ら���るのを恐れてか書いていなかった。その当時のドロドロとした考え方も思い出せはするんだけど。今回はこちらとして大きめのプレゼントは用意せずに相手が欲しいものをあげることにした。先週末に都内に出張があったので夜は帰らずホテルに泊まった。翌日に食べたい、と言っていた焼肉をテンプレートのように輝く街で予約した。少し綺麗めな服を、と思って黒い格好をしたら彼も全身黒でお揃いになってしまって笑ってしまった。彼は恥ずかしいと言っていたが、1年記念にと買ったポロシャツを着てくれていた。欲しいものを探しに色々とまわって、革靴を買った。まあ、これは何気ないプレゼントと、前に私が言っていたことを忘れずにいたので誕生日プレゼントではないんですけどね。もっと稼がないと。ただ、去年と違うなって思ったことは相手を許せることができるようになったこと。独りよがりの恋人分析から、対話を増やしたり、意地を張らなくなったら二人でいても生き心地が良くなった気がする。それと比例して恋人に会うと自分が泣き虫になることをやめたいのだけど。高級肉を食べたばかりなのか、前日の不調からか、疲れからかわからないけど急激な腹痛に倒れたくなったけど、ずっと背中をさすってくれて気を紛らわしてくれるように動画を見せてくれたりした。不器用な彼なりのしぐさに私はありがたさを感じた。きっと彼にとっていつも体調が悪くて泣いてて揺らぎがある自分なんだろうだし、私からは口が悪いし、すぐ嫉妬して起こるし、寂しがり屋でわがままで傍から見たらしょうもない赤ちゃんなんだけど、愛おしさが増して許しちゃう。嫌悪から変わったなっていう気付きになった。まっすぐこっち���見て話を聞いてくれたり博識だけどバカだし行動に下品なこともあるけど、ありのままを隠さずに昔から見せてくれてたのね。自分にも偽りなく、自分の言葉を伝えてくれて。このまま突っ走ってしまうといけないと制する冷静な私もいるので気持ちの揺らぎは色々とあるけど、彼と生活を過ごしていきたい。ここ数週間の不安や揺らぎは彼といる時間はなく落ち着いていた。なんやかんやでさ避けてきた自分の人間らしさや我儘を彼に伝えられるようになっているのは成長だと思う。損得勘定なしに。不器用な彼のそばにいたいと感じた週末だった。本当に誕生日おめでとう。と、これからの日跨ぎの時に伝えたいと思う。私の可愛いばぶちゃん。
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1枚2,000円のお肉↑涎が出てくる
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kennak · 4 months
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東京は住宅が狭すぎて家の中に文化がない。 まともな本棚を置けない。絵を飾るスペースがない。靴はひとり数足しか保管場所がない。 大きな冷蔵庫を置けないのでヨーロッパや東南アジアの珍味を貯めておけない。 ホームベーカリーを置けない。ピアノを置く場所がない。食器が一家で20枚もない。 子供が学校で作った紙粘土の鳩を飾れない。五月人形やひな人形を飾れない。 結婚式で作ったドライフラワーはクローゼットの奥にしか置き場がない。 ダブルベッドを2つ置ける部屋がない。もう使わないゴルフバッグを念のため置いておける物置部屋がない。 狭すぎて子供を作れない。それでも仕事のために東京にしがみついている。 生殖を制限してまで働いているという意味で、本当の社畜だと思う。 それでいて地主にバカ高い家賃を払い続ける。 弟夫婦が練馬区に住んでおり上に書いた状況だった。心底気の毒だと思う。 プライベートのかなりの時間は自宅で過ごすのだから、家を文化的にすべきだ。 俺は人口30万人の地方都市に住んでいる。上に書いた程度のことはすべて実現できている。 東京は、家の外は文化的だ。俺も昔東京に住んでいた。 しかし美術館や博物館は何回も通って飽きた。お気に入りの画集を家に置けば十分だ。 飲食店は多いが、どこもすし詰め状態で居心地が悪い。高い金を払って不健康なものを食べたくもない。 図書館の数や取り寄せサービスは素晴らしいが、借り出し・返却の時間が勿体ないのでネットで買えばいい。 文化都市・東京にあって粗末な家に住む方々は本当に不思議な存在だ。家の中と外とで文化水準が大きく異なることに疑問を抱かないのだろうか。 俺が思う最適解は、東京・名古屋・大阪あたりに本社を持つ大企業の、地方の事業所周辺に住むことだ。 俺が勤務する事業所は3000人以上働いている。近所には大手電機メーカーの1万人近い事業所もある。 こうした町は企業城下町の様相を呈しており生活には困らない。しかも家が広くて安い。 以下は追記---- 共感するコメント、共感しないコメントを予想外に多く頂けて嬉しい。 もう少し詳しい説明の必要性を感じたため追記する。 共感しない旨のコメントに多いのは、モノを家に集めることは文化ではないという趣旨。 しかし文化は基本的に媒体としてモノを必要としていることを認識してほしい。 二、三例示すると、 たとえば節分の豆まきには鬼の仮面、大豆、大豆をまけるスペース、掃除道具が必要だ。これらのモノ無しに「鬼は外、福は内」を口誦するだけの風習ならとうの昔に途絶えていると思う。現に口誦するだけの文化が身の回りにどれだけあるだろうか? そうした文化は歌くらいだ。 次に、小説などの文学作品は雑誌に掲載されても単行本や文庫にならない。芥川賞を受賞した作家でさえ、そのほとんどは、半分以上が雑誌掲載のみで終わる。その雑誌が電子書籍で出ていなければKindleで読むことは出来ない。ましてや詩歌は99%は雑誌掲載のみ。Kindleで閲覧できる文学作品は実はごくわずかでしかない。 最後に、美術に触れる経験を子供に与えるには画集のように家に置けるモノがあると都合がよい。いきなり美術館へ連れて行っても高い確率でほぼ全部素通り、帰りの外食の方をよほど楽しみにしている。画集が家にあれば日頃から絵画というものの存在を認識するし、すごく暇なときに開いて読んでいることも稀にある。大人が楽しむにも、プロの解説付きの画集は何度も読み返して理解を深めることができる。 以上のように、個人として文化を深く楽しむにはモノが必要だし、それを子供に伝えるにもモノが必要。モノがいつでも目の前にある、手で触れることができる環境は文化への距離を縮めてくれている。だから私は家にモノを置きたい。 東京が文化を家の外に"外注"していることと出生率が低いことは関連していると思う。
東京は家の中に文化がない + 追記
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jaguarmen99 · 5 months
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464 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:24/03/18(月) 04:42:55 ID:D4.cj.L1 オカルトなのかもしれないけど。いまだに私も信じられない。 当時私は高2で、どこにでもいるアホなギャルだった。 携帯(当時はスマホじゃなかった)で友達とメールしながら化粧してて、あ、彼氏と待ち合わせの時間だと思って慌てて準備して、 玄関から母に今日帰らないからご飯いらないと叫んで、父がいい加減にしろバカ娘みたいなことを怒鳴り返してきたのが 最後の記憶。 当時流行ってた20センチくらいのヒールの靴がひっかかってコケて、爪のデコレーションが欠けたのを あーネイル行ったばっかなのにーこんな重いのとれやすいって言ってたネイリストの言うこと正しかったわーと思ったのも覚えてる。 次にふと気がついたら、知らない家にいて、めちゃくちゃ頭が痛いのと、変なゲームボーイみたいなやつが光って 電話マークが出てた。 画面になんちゃら幼稚園みたいなの書いてあって、え?でもボタンないのにどうやって出るの??みたいに思ってたら切れた。 とりあえず知らない人の家だけど、おもちゃとかがあったから、誘拐とかじゃなさそう →昨日彼氏と飲みすぎて記憶を失って、これは彼氏の先輩の家とかなのかな?と思って少し待ってたけど、 彼氏も家主らしき人も誰も来ない。 とりあえず外に出ようと思ったけど鍵もないし携帯もない…と思いながらぼーっとしてたら、知らないおっさんが小さい子つれてきた。 「お前何やってんの?」「お迎えは?早退して行ったんだけど」「いるなら電話でろよ、心配したわ」とか言うから、 は?みたいなこと言ったら、小さい子がママとか言ってまとわりついてきた。 訳が分かんなかったけど、よく見たら魔女みたいな長いネイルも全部とれてるし、金髪とピンクメッシュのロングだった髪も 暗い茶髪のボブだった。 は?変身サプライズ?とか思ってたけど、彼氏も友達もこないし、説明してもおっさんは訳わかんないこというし、 私もパニックになった。 電話貸してもらって彼氏と親に電話してみたけど、この番号は使われておりませんになるし。 とりあえず警察にいこうと思ったら止められて、おっさんが大きな病院に連れて行ってくれた。 ここからは割愛するけど、検査したら要はくも膜下出血的なやつだった。 本当の私は37歳で、記憶を司る期間がやられてしまって、高2以降の記憶がなくなったらしい。 で、ここも不思議なんだけど、高2のギャルだった時の記憶も真実とは違ってて、 私はギャルだったことはなく、彼氏と外泊したりすることもなく、何より記憶だと外泊に怒って怒鳴ってた父はおらず 母子家庭だったこと。 今でも鮮明にギャルだった自分の記憶があるんだけど、高校生の時の写真とか見ても全然ギャルでもないし系統が違う。 子供のことも全く思い出せなくて、可愛がれないし、 見た目はママなのに中身がママじゃないという状況は子どもに悪いだろうと思って半ば無理やり
466 名前:名無しさん@おーぷん[sage] 投稿日:24/03/18(月) 10:27:59 ID:Sd.qx.L1 >>464 無理やり…の続き気になる!
469 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:24/03/22(金) 03:28:05 ID:qb.ft.L1 464です。 ごめんなさい、書き込めてると思ってた
そう。半ば無理やり離婚して、子供はその旦那らしき人に引き取ってもらった。 見た目がママなのに中身がママじゃないのはさすがに残酷すぎると思って。 今も昔のことはほとんど思い出せないけど、30代の私は美容師とかそういう技術の仕事だったみたいで、 やってみたら普通にできたから、離婚後はそれで働いて養育費は払ってる。 旦那らしき人は、「お母さんは病気で全部忘れてしまって思い出せなくなった」と説明してくれたみたいだけど、 納得はいかないよね。 子供も必死にママこれ覚えてる?これは?とかずっと何度も思い出を言ってくれたんだけど、その健気さが辛いのと 思い出せる気もしなくて、もう離れることにした。 今はもうそこから10年くらいたってて、子供も大きくなってて、元旦那も再婚してるし、離婚後は会ってない。 本当はこっちを修羅場として書きたかったんだけど、実は少しだけ結婚生活の記憶が戻ってる気がする。 何度も聞かされたから記憶と勘違いしてるだけかもしれないけど、子供が小さかったときに近所の公園に行ったことや パンケーキの上にジュースをこぼしたことや、子どもが塩昆布が好きだったから試しにパンに乗せて朝に出したら チョコレートパンと勘違いして食べて、子供が怒ったことなどを思い出した。 今更どうこうするつもりはまた全くないけど、申し訳ない気持ちと幸せに暮らしてほしいからこそ連絡はしないと決めてる。
470 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:24/03/22(金) 03:38:02 ID:qb.ft.L1 ちなみに私は今でも独身で、この10年では彼氏がいたこともあったけど、結婚はしてない。 母とはたまに連絡を取り合うけど、記憶は薄いからどこか他人行儀になってしまう。 父とはし別らしいけど、母が言った「しんだらあきらめがつく、でも生きてて見た目も声も同じなのに、記憶が全部ないっていうのは 中身だけが他人になったみたいで辛い」と��うのがすべてを表していると思う。 この言葉を思い出すと離婚の判断は間違ってなかったと思うし、これからもせめて金銭面だけはしっかり償いたいから 養育費は送り続ける。
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rosysnow · 5 months
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火炎がはじけて
我慢できない、あなたに触れたい
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 欲しくて、喉が渇いて、息が切れる。
 あなたに触れる。そんな夢を見る。何度も。あなたと恋に落ちる夢を見る。
 きっと叶わないんだ。それでも求めて、飢えて、潤いに包まれたいと願う。
 果肉みたいに咬みつきたい。シロップのように舐めたい。香り立つその肌の熱を、俺の熱でめちゃくちゃにしたい。
「にーちゃん、俺、今日もゆったんのとこだからなっ」
 牛乳をぶっかけたコーンフレークをがつがつ食らいながら、弟の光斗はそう言った。制服に着替えながら歯を磨き、さらに光斗が食べこぼしをやらないか見張る俺は、歯ブラシを含むまま「またかよ」と答える。
「いいだろー。にーちゃん待ってるだけなの、つまんないもん」
 俺は肩をすくめて、「勝手にしろ」と光斗に背を向ける。
 だって、やばい。顔が笑ってしまうのをこらえられない。
 単にそれだけだったのに、「にーちゃん、怒ったの?」と光斗は急に不安そうな声を出す。だから俺は、何だかんだ弟に甘い。「怒ってねえよ」と歯ブラシを吐き出してきちんと言うと、「よかった!」と光斗はすぐ笑顔になり、コーンフレークにラストスパートをかける。
 こないだ連休が過ぎて、高校生になった春は終わりかけている。早くも熱中症アラートが出る初夏だ。窓からの朝陽は、レーザーみたいに視覚を焼く。
 光斗は、俺が小六のときに生まれた弟だ。妊娠を聞かされたとき、性教育済みの俺は「え? とうさんとかあさん、今もやってんの?」と真っ先に思った。そんな複雑な吐き気も覚える中、光斗は誕生して、二歳になるまでは育休を取ったかあさんが面倒を見ていた。
 しかし、仕事というものは無情なものだ。これ以上育休するならいったん退職してくださいと、かあさんにお達しが来た。俺の親ものんきなタイプではないので、元から保活はしていたのだが、これがなかなか決まらない。
 光斗は人見知りなところがある。勇気を出して、同じ組の子に話しかける努力はするのだが、あとから「俺、もしかしてうざかったかもしれない」とか盛大に反省会を始める。「うざかったら一緒に遊ばないだろう」ととうさんが言っても、「みんな我慢してたかもしんないじゃん!」と泣き出すこじらせっぷりだ。
 だから、今の保育園に体験入園して、「ゆったん」こと早田勇多くんと光斗が見事に打ち解けられたときは、家族総出で喜んで入園希望を申し込んだ。空きがまわってきたのがこの春で、やっと光斗は楽しげに保育園に通うようになった。
 俺は俺で高校に進学したところだったが、それは二の次だった。両親は朝六時半には家を出て、電車で長距離通勤をしている。だから、光斗を起こし、食わせ、支度を手伝い、ちゃんと保育園の送迎バスに乗せるまでは、暗黙の了解で俺の仕事だった。
 高校に着くのは遅刻寸前だ。弟の面倒を見ていると言っても、生活指導の先公はいい顔をしない。どこから聞きつけるのか、俺のその弁解を知って、女子には「言い訳がブラコンだよねー」とか言われている。分かってくれるのは、男友達だけだ。
 でも、いいんだ。同クラの女子連中なんか、俺も興味はない。俺には好きな人がいる。
 保育園は十五時で終わるが、家庭の都合がある子供たちは、夜まで預かってもらえる。最初、光斗には保育園に残ってもらい、俺が放課後に連れ帰る予定だった。ところが、光斗愛しのゆったんは、十五時にゆったんママが迎えに来て帰ってしまうのだ。
 ゆったんが去ったあとの光斗は、真っ白な灰らしい。「にーちゃん、学校辞めて迎えに来いよ!」と光斗は家で半泣きになって、わがままを言い出しはじめていた。
 そのことを保育士さんに聞いたゆったんママが、「光斗くんのご家族さえよければ」と俺の放課後まで光斗を預かることを申し出た。もちろん恐縮すぎる話で、両親は気持ちには感謝して断ろうとしたが、「勇多も光斗くんを置いて帰るのが心配そうなので」とゆったんママは言い添えてくれた。
 かくして、光斗はほぼ毎日ゆったん宅にお邪魔して、やっと機嫌を直した。ゆったんの家が都合悪いときは、遠慮なく光斗を置いていってくださいとは伝えてある。だから、たまに保育園に迎えにいくこともあるが、基本的には俺はゆったんの家に光斗を迎えにいっていた。
 ゆったんママと初めて顔を合わせたときは、地味だな、と思った。目を引く美人ではない。長い髪は黒く、眼鏡もかけている。高校生の俺にとっては、子持ちの時点で若さすら感じない。
 俺が迎えに来ても、光斗はおとなしく帰るわけではない。ゆったんと長々遊び、そのあいだ、俺は一軒家の玄関先でゆったんママと世間話をしている。いい加減遅いと、俺は家に上がらせてもらって、子供部屋から光斗を強制連行する。
 その日も、光斗はなかなか子供部屋から出てこなかった。夕陽が射してくるのを合図に、「遅いっすね」と俺が言うと、ゆったんママは苦笑して「連れてきてあげてください」と俺を家に通す。俺はスニーカーを脱いで、二階の子供部屋に向かった。
 ため息をついて、少し茶色を入れた髪をかきむしり、今日はどう言って引っ張るかな、とドアの前で思案した。そのとき、不意に「みっちゃん」とゆったんが光斗に話しかける声が聞こえてきた。
「みっちゃんは、自分でおまた触ったりする?」
 俺は動きを止め、板張りのドアを見た。
「んー、ちんちん触るってこと?」
「分かんないけど……」
「にーちゃんは触ってるときがあるな」
 何この弟、ちょい待て、それ以上言わんでくれ。
「ほんと?」
 何で食いつくんだよゆったん、もうやめてくれ。
「やっぱり、大人は自分のおまた触るのかなあ」
「ゆったん触るの?」
「僕は触んない……だって、おしっこするとこだもん」
「俺もそう思うからあんまり触らない。洗うだけ」
「そうだよね。でもね、ママは自分のおまた触ってるの。眠ってるパパの隣で──」
 俺は目を開き、とっさに、その先を聞く前に、「おい、光斗っ」と俺はドアに向かって声をあげた。
「帰るぞっ。その……もう、暗いしっ」
「えー……」とか言う光斗の声が聞こえたが、「早くしろっ」と俺は乱暴に言う。
 やばい。やばいやばいやばい。
 頭の中が暴れるみたいにそう思っていると、ちょっと不安そうな顔になった光斗が顔を出した。
「にーちゃん──」
「お、怒ってねえよっ。腹減ったしさ。遅いと、かあさんが先に帰ってくるかもしんねえし。あ、ゆったん、今日もありがとな」
 細身で背の高いゆったんはこくんとして、「見送るね」と立ち上がった。ゆったんが隣に来ると、「行こっ」と光斗ははしゃいだ顔になって、ふたりは一階に降りていく。
 ふーっと息をついて、ばくばくと腫れ上がる心臓を抑え、俺も一階に降りた。子供たちが靴を履いている玄関に、足を向ける。
「あ、克斗くん。ごめんなさい、今日も遅くしちゃって」
 ゆったんママが普通に話しかけてくる。俺は顔をあげられないけど、「え……っ」とぎこちない声は出す。
「あ、『暗いし』って言ってるの、ここまで聞こえて」
「……あ、いや。すみません」
「ううん、本当に暗くなっちゃったもんね。よかったら、私が車で送ろうか」
「そんな……ぜんぜん、大丈夫っす」
 今まで何とも思わず、聞き流していたゆったんママの声が、急に艶やかな大人の女性の声だと気づく。視線の先が定まらない。せわしなくまばたきをしてしまう。「克斗くん?」とゆったんママの声が近づいて、俺はびくんと顔をあげてしまう。
「どうしたの?」
 あ……けっこう、肌、綺麗じゃん。すっぴんでその肌なら、化粧を覚えてきた女子連中より、ずっといいかも。黒髪も腰がありそうだから、指ですくったらさらさらしてんのかな。唇だけさっと色が乗せられて、桃色がうるうるしている。そして、吸いこんでしまいそうな黒い瞳は、無垢なくらいに澄んでいる、のに──
 ……この人、自分でしてるんだ。
「あ……の、」
「うん?」
「名前……」
「え?」
「あ、いや、そういや俺、ゆったんママって呼んでて、名前知らないなって」
「ああ、そんな……ゆったんママでいいですよ」
「でも」
 すがりつくみたいに、彼女を見てしまう。俺のそんな瞳を受けて、彼女の瞳も揺れる。ややとまどったのち、「咲花です」と彼女ははにかんで答えてくれた。
「咲花……さん」
「呼びにくいでしょう? ゆったんママでいいですから」
 そう言って咲花さんが微笑んだとき、「靴履いたよっ」と光斗の声が割って入った。「僕も!」とゆったんも言い、「勇多は履かなくていいでしょー」と咲花さんはあきれたように咲う。
「にーちゃん、帰ろっ。俺も腹減った!」
「お……おう。そうだな」
 俺は動作がぎすぎすしないように、スニーカーを履く。「明日もおいでね」と咲花さんが光斗の頭を撫ででいる。
 白いすらりとした指。あー、どんな味がするんだろ。
 無意識にそう思って、俺は慌てて目をそらした。「じゃあ、失礼します」と頭を下げて、咲花さんの眼鏡の奥まで直視できないまま、俺はゆったん宅をあとにした。
 ──その夜、俺は咲花さんを想って、した。何度も。口元から咲花さんの名前がこぼれた。返事なんかない。それでも、誰かの──求める相手の名前を口にしながらすると、手の中に吐く瞬間、たまらなく気持ちよかった。
 ダメだ。バカみてえ。ガキの話を盗み聞きしたのが切っかけとかマジでアホか。
 でも、俺は一気にあの人が欲しくなった。自分でしなくても、俺がなぐさめるのにとか思ってしまう。あの人と恋に落ちれば叶うなら、すべてから奪って、俺の腕の中にさらいたくなる。
 そして、自分のシーツに熱い吐息をこすりつけて、俺はまた自分の右手でなぐさめる。
 咲花さんに報われぬ恋をするまま、梅雨は過ぎて夏が来た。夏休みは自由登園になる。「おにーちゃんとおうちで過ごせるね」とかあさんが言うと、光斗はびっくりした顔をして、「俺、ゆったんと遊ぶから保育園行くよ!」と当然のように答えた。「振られたな」ととうさんが笑って、「うっせ」と俺は吐き捨てつつ、じゃあ夏休みも咲花さんに会えるんだ、と内心浮かれた。
 が、よく考えたら、俺は夏休みにはもちろん学校を休むので、十五時に光斗を迎えにいけるのだった。咲花さんとは、保育園で立ち話ぐらいはするが、ロミジュリみたいに光斗とゆったんを引き離すのが主な仕事だった。
 二学期が始まり、ようやく元通りの毎日になった。俺はもう咲花さんの前でぎこちなくなったりはしなかったけど、つい照れて目を伏せたり、優しい言葉に頬が染まったり、こめかみに響くほど鼓動が脈打ったりしてしまう。どんどん咲花さんのことが好きになっていく。その手に手を伸ばして、指を絡めたくなる。
 ゆっくり、日が短くなっていく。夕暮れが早くなる。もっと咲花さんといたいのに。俺は焦がれて苦しい胸に息を吐きながら、光斗と家に帰る。
「──克斗、明日どうしても仕事で残らなきゃいけなくてね。おとうさんも遅いだろうし、好きな出前でも取ってくれる?」
 九月が終わりかけた夜、風呂上がりの俺をつかまえて、かあさんが申し訳なさそうにそう言った。俺は握らされた紙幣を見て、「んー、了解」と深く考えずにうなずいた。翌朝、光斗にそれを言うと、「ピザ食いたい!」とのリクエストも承った。ピザは確かに悪くない、とか俺も思っていたのたけど──
「それなら、うちで食べていきなよ」
 例によってゆったん宅に光斗を迎えにいき、世間話の中で今夜は出前だというと、咲花さんは当たり前のように言った。
「え、でも」
「今からでも、買い足し行けば間に合うから」
「いや、けど、かあさんに金もらっちゃったし──」
「気になるなら返せばいいし、何なら、克斗くんがもらっちゃってもいいんじゃないかな」
 悪戯っぽく咲花さんが咲って、「そ、そうなのかな」と俺も現金ながら揺らいでしまう。そんな俺に、「もらっちゃえ」と咲花さんが少し俺の耳元に近づいてささやいた。
「私、ちゃんと秘密にするから」
 俺は咲花さんを見た。咲花さんはすぐ身を離し、「じゃあ、急いで買い物行かないと」と言った。
「俺、せめて荷物持ちますよ」
「ありがとう。でも、子供たちがいるから。家にいてくれると安心かな」
「あ、そっか。そうっすね……」
 別に寂しそうに言ったつもりはないのだが、咲花さんにはそう見えたのだろうか。少し考えたのち、「じゃあ、みんなで買い物行こうか」と咲花さんは提案して���れた。俺はぱっと顔をあげて、つい笑んでしまいながらうなずく。すると咲花さんもおっとり微笑してくれて、また、俺の中がちりちりと焦がされる。
 そんなわけで、俺と咲花さん、光斗とゆったんで近所のスーパーに行った。光斗とゆったんは、一緒にお菓子を選べるのがそうとう嬉しかったようで、はしゃいでいた。そんな子供たちを、咲花さんは愛おしそうに見つめている。
 子供たちのリクエストで、夕食はチーズハンバーグに切り替わり、結局買い足しでなく一から食材を買った。帰り道、俺は宣言通り荷物を持たせてもらった。咲花さんは遠慮しようとしたけど、ちょっと強引に俺がエコバッグを奪うと、「ごめんね」と言いつつ任せてくれた。
 秋の夕暮れが景色を染めていた。一軒家が並ぶ住宅街に、茜色が透けて映っている。空は高く、沈みゆく太陽が滲ませるオレンジにしっとり���られて、明日も晴天のようだった。
 道端で遊んでいた小学生は、夕飯の匂いや灯った明かりに気づいて、手を振りあって家に帰っていく。すうっと抜けていく風は、すっかり涼しい。
 俺は隣を歩く咲花さんをちらちら見た。眼鏡のレンズに触れそうな長い睫毛、柔らかそうな頬やしなやかな首。高校生の俺には若くないなんて前は思っていたけど、やっぱり子供ひとり生んだだけだから、まだ腰も綺麗にくびれている。
 俺の視線に気づいたのかどうか、咲花さんはこちらを見て微笑む。夕陽に蕩けそうな、優しい笑顔だ。俺は切ないくらいにぱちぱち灯る心に、つい照れたような笑みになってしまう。
 家に到着すると、咲花さんはすぐキッチンに立った。「手伝いましょうか」と料理ができるわけでもないのに言ったら、「大丈夫、子供たちを見てて」と咲花さんは俺にリビングにうながした。
 光斗とゆったんは、DVDでアニメの劇場版を観始めていた。俺も幼い頃は夢中になったアニメだ。そんなふうにきらきらした目でこのアニメを観ていたのに、いつから観なくなったっけ。
 じゅーっというハンバーグの焼ける音と、そのおいしそうな匂いがただよってくる。さすがに俺も盛りつけくらいは手伝えるので、キッチンに立った。チーズハンバーグ、ほかほかのライス、マカロニサラダとコーンスープ。子供たちはちょうどアニメを観終わり、歓声を上げてダイニングのテーブルで待機に入った。
 テーブルに並べた料理は、俺と光斗とゆったん、三人で食べはじめた。「咲花さんはいいんですか?」と気になって問うと、「旦那と食べるから」と返され、俺の心にはちくりと影が射した。
 いや、でも、好きな人の手料理を食えるのは幸せなことだよな。そう思って、とろりとハンバーグからあふれるチーズをフォークですくっていると、玄関のほうで物音がした。咲花さんはすぐそちらに行き、もしや、と俺が緊張すると、現れたのはビジネススーツの男──「パパ」とゆったんがその男を呼んだ。ということは、やっぱり咲花さんの旦那か。
 旦那は真っ先に俺を見た。俺は頭を下げ、「すみません、お邪魔してます」と月並みに言い、「ゆったんパパに挨拶しろ」と光斗にも「こんばんは!」と言わせた。「勇多のお友達と、そのおにいさんなの」と咲花さんが言うと、旦那はそちらには「そうか」とそっけなかったが、「ゆっくりしていってね」と俺と光斗には笑顔で言って、ゆったんの頭も撫でた。
「あなたも勇多たちと食べる?」
「いや、食ってきたから」
「えっ、……ごめんなさい、夕飯いらないって連絡もらってたかな」
「あー……どうだったかな。ばたばたして、してなかったかもしれない」
「……そう。じゃあ、私、この子たちと食べようかな」
「ああ、そうしろ。俺は風呂に入ってくる」
 ビジネスバッグを置いた旦那は、ネクタイを緩めながらリビングを立ち去っていった。元気に振る舞っていた咲花さんが、一瞬、哀しそうに視線を伏せる。
 ああ、あいつが好きなんだ。そうだよな。気持ちが冷めてたら、そんな顔はしない。ましてや、寝てる隣でみずからなぐさめるなんて──
 よく分かっていても、それ以来、俺は光斗を迎えにいったとき、世間話の中で積極的に咲花さんを褒めたり励ましたりした。咲花さんが、そういう言葉を言ってほしい相手は俺じゃない。知っていたけど、俺は咲花さんをせめて言葉で癒やしたいと思った。
 玄関に橙色が映り、夕陽が射す。相変わらず、それがお別れの合図だ。咲花さんとゆったんに手を振り、俺と光斗は家路につく。
 俺に手を引かれながら、「何か、帰る時間早いよ」と光斗はむくれる。「これから日が短くなるからなー」と俺は雑に説明する。俺だって咲花さんと話す時間が減るの寂しいんだよ、とは言わない。
「ねー、にーちゃん」
「んー?」
「ゆったんのパパとママ、昨日喧嘩してたんだって」
「えっ」
「おっきい声が怖くて、ゆったん部屋で泣いてたんだって。そしたらパパが来て、『今度、違うママに会わないか』って言われたって」
「は……?」
「ゆったん、意味が分からなくて泣いてて、そしたらママが来てまた喧嘩してたって」
「……そう、か」
「ゆったんのママは、ゆったんのママしかいないよね? 『違うママ』って何? 俺、分かんなくて。にーちゃんには訊いてもいいよって、ゆったん言ってたから」
 俺は口をつぐむしかなかった。月が浮かぶ夜道に、ふたりぶんの足音だけ残る。「にーちゃん」と答えをせがまれたが、「俺も分かんねえよ」と言うと、光斗はただ不安そうな表情になった。
 ……あの男、ほかに女いるのか。ぼんやりそう思って、とっさに瞳に怒りが揺らめいた。が、それはすぐに鎮まった。
 だったら、俺が咲花さんを奪えばいい。咲花さんの孤独の隙間に入って、そこにひそみ、あの熟した唇を奪うのだ。
 そうしたら、あの唇はどんな味がするのだろう。そう思っただけで、妄想がはちきれそうになる。欲しい。どうしても欲しい。ぱちぱちと弱く灯っていった欲望が、ばちばちと強い火炎になっていく。
 咲花さんが欲しくて気がふれそうになる。抱きしめたい。キスしたい。つらぬいて俺のものにしたい。
 だが、どんな事実があっても、俺と咲花さんの距離は一向に縮まらなかった。俺は見ているだけだった。不意に苦しそうにうつむく咲花さんを、見ているだけ。
 やっと残暑が身をひそめた十月半ば、その日も俺は、玄関先で咲花さんととりとめなく世間話をしていた。今日も今日とて、光斗が二階から降りてくるのは遅い。
 ふと会話が沈黙になり、俺は咲花さんを見た。
「なあに?」
 何事もないみたいに、咲花さんは笑みを作る。俺には、そんな無理はしなくていいのに。
「何でも……ないっす」
 少し声がかすれた俺を、咲花さんは見つめる。
 抱きしめたい。咬みつきたい。奥まで突き上げたい。俺があなたを満たしたい。そして、その心をあんな旦那からさらってやるんだ。
 バターみたいに柔らかそうな肌と、蕩けるほどに肌を重ねたい。水蜜のように瑞々しい肌に歯を立て、俺の痕跡を残したい。
 食べたいんだ、俺はあなたを食べてしまいたい。
 想いがどんどん強い火炎になって、意識も心情も視界も焦がされてしまう。
「……光斗、遅いっすね」
 かすかなため息と刹那のまばたきで、気だるくなりそうなめまいをはらうと、俺はそう言った。
「そう、だね」
「ちょっと、呼んできます」
「うん」
「失礼します」と断って家に上がった。咲花さんと、顔を合わせられない。こんな、泣きそうに恋に愁えた目。そのまま階段を向かうと、不意に、咲花さんが俺の名前を呼んだ。
 俺は足を止め、咲花さんを振り返る。
「まだ、待って」
「えっ?」
「まだなの」
 俺はきょとんとした。けれど、咲花さんの瞳に宿るものに気づいて、はっと息を飲む。
 ──俺と同じ、恋に愁えた潤み。
 思わず、玄関に駆け戻っていた。腕を伸ばす。咲花さんの腰をつかまえる。強く引き寄せ、ひと息にキス。
 果実を貪るようなキス。壁に抑えつけ、立ったまま行為に至ってしまいそうなキス。
 でも、咲花さんはそうなる前に俺と軆を離した。
「まだよ」
 頭の中が、甘い発熱にくらくらする。まだ? まだってことは、いつか俺は許されるのか? その皮膚をちぎるみたいに咬んで、彼女に深く深く届けることができるのか?
 引き攣った息がこぼれる。「我慢できない」と口走っていた。自分でも驚く、低い男の声だった。でも咲花さんは、「まだ見ていて」と意地悪を言う。
「今は、ダメ」
 ああもう。そんな優しい声で言わないでくれよ。俺は言うことを聞くしかないじゃないか。
 そのときだった。階段を駆け下りてくる足音に、「にーちゃん、帰ろーっ」と光斗の声が重なった。我に返った俺は、はたとそちらを見て「お、おう」と何とか自然を取りつくろう。
「え、と……じゃあ、失礼しました」
 スニーカーを履き直した俺が言うと、何もなかったみたいに咲花さんは笑顔を作る。「また明日ね」と言ったゆったんに、「うんっ」と光斗は笑顔で答えている。
 緩やかに暗くなる夕暮れの中で、咲花さんは微笑んでいた。ちゃんと言うこと聞けるかな、と思った。我慢なんて、本当にできるのか? だって、火炎がはじけて止まらないんだよ。
 あなたと恋に落ちたい。獣みたいに皮膚に歯を立てて、果汁を飲み干して潤いたい。俺はからからだ。飢えて、渇いて、おかしくなりそうだ。
 あなたもそうなんだって分かった。だったら、俺たちのやることはひとつじゃないか。
 夕陽が射しこむ部屋で、熟れたあなたはオレンジ色で。俺はきつく抱きしめて、俺はその果肉を食べる。誰よりも味わって食べるよ。この火炎をぶつけて、焦がれるような想いを思い知らせ、あなたの濃い蜜をこくんと飲みこむ。
 まだ待って──そう言うなら、ぎりぎりまでこらえるけど、待つほど俺が獣になるのは分かるよな? だから、あんまり待たせないでくれ。焦らさないでくれよ。俺はあなたの心を、軆を、優しく奪いたい。
 あるいは、あなたは獣になった俺にめちゃくちゃにされたいのだろうか。だとしたら、俺は──
「にーちゃん」
 光斗��、歩きながら何も言わない俺を手を引っ張る。心配性な弟に、「怒ってねえから」と俺は苦笑していつも通り言う。
 マンションの群衆に入り、もうすぐ家に着く。吐息が疼く。呼吸ができないほど。
 熟れきった心と軆を交わし、恋に落ちていく。ずっと夢に見ていた。あなたと恋に落ちる夢を見ていた。いつのまにか馨しい夢は目の前にあり、俺の理性は、爆発して壊れてしまいそうだ。
 欲望の火炎がはじける。あなたを求めるその熱に、俺の頭はもう狂ってしまう。
 立ち並ぶマンションの合間に月の光を見つけた。その輪郭は、燃えているみたいに、あるいは潮騒みたいに、ざわめいて見えた。
 FIN
【SPECIAL THANKS】 メロウ/杉野淳子 『成長痛』収録
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lumi-kissa · 2 years
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寒いねー☃🌨️❄️
あまりにも寒いので今ベッドに入りました。
今月の電気代、44000円😱
オール電化でもないし、エアコンの暖房もファンヒーターも一切使わないのにこの金額。調整費っていうのがバカ高いです。
冬場の夕飯はほぼ毎日鍋なんだけど、それ電気鍋でやるのやめてカセットコンロに切り替えた🔥
値上げラッシュもすごいね。こないだスーパーで見たらスパムが1缶698円。…あなたがひとつその値段なら私は迷わず、スパムにぎりを諦めて牛丼をテイクアウトします。さよならスパム。絶交よ。
こんなにあれもこれも高くなるのにお給料はそのままってなに?🙃
って文句を言ってもはじまらないから、がんばって生き抜こう💪
モコモコアウターにズボンと靴下2枚ずつ履いて、元気いっぱい節電生活を送ります。
そして、遊ぶ時は思い切り遊ぶ🗽
明日は友達と飲み🍻
夜のお出かけ久しぶりで嬉しいな💕焼き鳥食べてきます🤗
Tumblr media
服もネイルも準備OK👗💅✨楽しみ🥰
🫰
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5000yenbicycle · 11 months
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20231107火曜日 雨のちくもり
朝 ごはん、お味噌汁、納豆、みかん、豆乳
昼 お弁当(ごはん、梅干し、味玉、ミニハンバーグ、イカ天、かぼちゃの煮物、ブロッコリー)、ワンタンスープ
夜 ごはん、お味噌汁(豆腐、白菜、なす、きのこ)、豚肉とエリンギ炒め、みかん
雨が強かったから長靴で会社に来たけれど、あっと云う間に上がって、バカみたいだった。
仕事はまた更新されるのではないかと云う話が出た。
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short-sleeperdesu · 11 months
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『🥣🛌📝』
2023.10.21の日記とする。
朝、走っていた。5:32だった。目が覚めて雨が降っていた。なぜか興奮して走る準備をした。靴がぐちょぐちょになることも憚らず。前日の筋トレの『おかげ』で、胸が痛かった。走るたびに揺れる胸。俺、今何してんだー。走ってる時も思考をしてた。
「〇〇は、バカじゃないし、アホじゃないよ」
パートナーに言われた言葉。そういえば、木曜日に会ったなー。聞き返すことはしなかったし、顔も緊張して上手く見ることができなかったけど、彼女が僕の方を見ていたのは感じ取れた。
その言葉の『せいか』、最後の500mぐらいは歩いていた。
シャワーを浴びて、洗濯をした。雨だなー。
作業をした。50分くらい。終わることもなく、洗濯機がピーってなった。「スピーディーモードにするの忘れてた。」この言葉を発したのを明確に覚えている。
雨だった。だけど、外に干す。10:47
おそらく同じアパートに住んでる人からは、変な目で見られてるかもしれない。
寝て、起きた。15:41
あー寝てしまった。3時間ほど。ご飯食べてないなー。プロテインを飲む。ここ数年、お金に興味がない僕が、唯一贅沢と感じるものを買った。『エナジードリンク』を買う。僕は、『〇ンスター』の味が大好きだ。例えば、他の人がそこらへんの黒い色の水(コーヒー)や清涼飲料水や、お酒を好んで飲むように、僕は、前記した飲み物が好きだ。ただ、高い。だから、贅沢だ。
夜暇だなー。
とりあえず、ジムに行った。なぜだか歩いて。17:31
脚の日で吐きそうになりながらトレーニングをしてた。18:50
腹減ったなー。固形物食べてないなー。シャワーをしながら、そう思った。あー、飲みに行くか。アパートにあった、パスタ2人前に、一人前のパスタ用ツナマヨを混ぜながら、そう思った。準備をした。(本と鍵を入れた財布と懐中時計を持って)20:01
なぜだか、ワクワクしていた。一人で飲みに行くの久しぶりだなー。3ヶ月ぶりくらいかなー。そう思いながら、歩いていた。雨も上がって、ひんやりしてるなー。良い天気だなー。口元が緩んだ。『ー』☜口調も穏やかになる。やっぱり独りも良いな、向いてるなぁ。だけど、独りでいる時も必ず、僕の中にはパートナーがどこかにいて、彼女の基準と僕の基準と二人の基準で物事と接してしまうと気付かされる。
一軒目、本当にたまにしか行かないバーに行った。一年に2回とか。人がいないし、マスターも���らみたいに人見知りだから気に入っている。1杯目にホットミルク、2杯目にジントニック、3杯目にネグローニを飲んだ。1,800円だった。美味しかった。22:12
二軒目に、よく行くオーセンティックバーに行った。必ず僕の話のネタになる事が発生する。マスターに挨拶をしたら、「今日は一人?」って言われた。「はい」と答えたら、「そういう日もあるがー」って言われた。カウンター席に案内された。マティーニを頼んだ。
「バーで本読むってマナー違反ですかね?」
「わからんけど、暗いけん読みづらいでしょ。」
たしかに、一軒目でも、二軒目でも読みづらかった。今日の収穫はそれだなぁと思った。22:41
土曜日ということもあって、それなりに人がいた。ソファ席が2セット(4〜5人用)とカウンターが6席ぐらいの店だ。
カウンター  女 男 男 女 〇 僕
こういう並びでカウンター席が埋まっていた。ソファ席は、大学生くらいの人たちのグループとスポーツ少年団の保護者会だった。
(なぜ、二軒目のことを詳しく書いているかというと変なことが起きたから)
マスターも一人でやっているし、本を持っていってたので、読書をしていた。マティーニがきた。相変わらず紳士の味だった。まだ美味しいとは、思えなかったので僕は紳士ではない。
2杯目に、チャイナブルーかソルティドックどっちにするか迷っていたら、女性に話しかけられた。カウンターの一番奥の席にいる女性に。
「お兄さん、体大きいね、鍛えてるの?」
「鍛えてませんよ。酔っ払ってますか?笑」
「少しね。ほぉーら、腕の筋肉凄いね。」
「ここのお店、お触り禁止らしいですよ。僕は有料制にしてるので、お酒ご馳走してもらいますから次からは気をつけてくださいね。」
タンブラーのネタができたなーと思ってると、
「絡んですみません」と男性が言ってきた。「良い夜ですね」と言っておいた。
2杯目にチャイナブルーを飲むことにした。23:15
内容が頭が痛くなるようなものだったので、読書をやめて、ぼーっと飲んでると、次は、隣の席の人たちに声をかけられた。
「面白いですね、お兄さん。笑」
「季節の変わり目ですからね。」
「彼女とかいるんですか?」
「俗にいう彼女はいます。お二人はカップルですか?」
「会社の同僚です」
「良い夜にしてくださいね。烏滸がましいけど。」
二組とも男性の目が怖かった。僕に向ける目が。
最後にギムレットを飲んで店を後にした。23:45
家に着いた。24:00
学んだことは、二つ。
一つ目は、バーで読書はしたらダメ。
二つ目は、バーでは、自分に酔ったらダメ。
タンブラーの書き方真似してごめん、誰かへ。
おやすみ。
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tanakadntt · 1 year
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グッズのマリン三輪隊の話(二次創作)
あなたの詠唱はどこから?
 三輪秀次はビリジアングリーンの毛先を持つデッキブラシをぐるりと回して、コツンと甲板に突き刺した。風がデッキを渡り、身につけたセーラー服の襟がふわりと浮いて首を包む。腰の金ボタンが僅かに震え、陽光を反射し、古寺が一瞬目を瞑った。
 『詠唱』が始まる。
 しかし、その詠唱はお粗末なものだった。
「……世界を繋ぐ青い空‼ えーと、希望の空から降り注ぐおひさまのシャワー‼ ……んん、きらめくソード‼ キュア…」
「違います!」
「違う!」
「違うってよ〜」
「違うのか?」
 隊員たちからすぐさまダメ出しされ、隊長は詠唱を途中で遮られたことに不服のようだ。
「それは詠唱じゃないな」
 奈良坂は手旗をバツ印に重ねながら言う。こちらもセーラー姿だ。本日、三輪隊は嵐山隊他と一緒に広報の撮影に来ている。メインはやはり嵐山隊で、三輪隊も「他」に入る部類なので待ち時間が多い。
 スタジオ撮影ではない。わざわざ海近くの公園まで来て、観光用に係留されている帆船を借りての野外撮影だ。そんな場所だから、隊服の撮影ではない。隊それぞれに衣装が用意されている。マリンを意識した、水兵服風だ。
 そういうのは、広報部隊だけでいいだろうと思う人間は結構いるはずだが、どうしても必要だから、とメディア広報室長の根付から、ではなく、営業部長の唐澤に爽やかに笑ってポンと肩に手を置かれると誰も断れない。三輪も同様だった。
 時期を違えて、他の隊でも撮っていると聞けば尚更だった。
「さっきから何をやっている」
 やはり撮影待ちの風間が船底からデッキに出てくる。隣には緑川もいる。嵐山隊他の「他」の仲間はこの風間蒼也と緑川駿で、なぜこの二人が隊ではなく、それぞれ呼ばれたのかは唐澤にしかわからない。
 風間は蒼也の蒼にちなんでブルーの、緑川は緑にちなんでグリーンのセーラー服を支給されている。三輪隊は隊服カラーの紫だ。皆、まったく一緒という訳でなく、少しづつ違っている。
 そのことに言及すると、奈良坂から何を当たり前のことを?と言いたげな視線を送られたので黙った。
例えば、緑川と風間のセーラー服は造りはほぼ一緒と言えるが、色はもちろん、金ボタンの位置やズボンのデザインが違う。さらに風間はつばを深く折ったような帽子を被っていた。セーラーハットというそのままの名前の帽子らしい。一方、緑川は縁にリボンの付いたベレー帽だ。彼の衣装は横ボーダーのインナーと短い丈のセーラージャケットで、両襟をアクセサリーで留め、まるでアイドルのようだった。
「先輩たち、暇だから遊んでるんでしょ」
 中学生に訳知り顔に指摘されて赤面する。尊敬する風間の前で言われるのも恥ずかしい。しかも、図星だった。
「棒が二本あるだろ? だから、オレが槍の使い方を教えてたんだけど、スタッフさんに危ないって怒られてさあ」
 米屋陽介が説明する。
「陽介、棒じゃなくてデッキブラシだ」
「棒だろ」
 デッキブラシは撮影の小道具で三輪と古寺のふたりがブラシ係だ。奈良坂は旗係で、二本の旗を持たされている。気に入っているようでずっと持っていた。米屋は何故か皮袋だ。デッキブラシを持たせても槍にしか見えないと思われたのだろう。ネクタイも腰に引っ掛けていて、休日に出かける船乗りという設定なのか、ラフな感じがよく似合っていた。
「それで、この棒を槍じゃなくて杖ってことにして、詠唱ごっこしてた」
「詠唱?」
 風間が首を傾げる。三輪が横から説明する。
「魔法使いが杖を使って呪文を唱えるじゃないですか?」
「ああ」
「最初は適当な呪文を言ってたんですが、今度は何かを召喚してみようって話になって」
「召喚?」
 緑川が面白そう、と言っている横で さらに風間が首を傾げる。三輪は申し訳なくなってきた。元々、考えついたのは三輪ではなかったから説明もしづらい。今度は奈良坂が助け舟を出す。
「魔法使いのごっこ遊びみたいなものです。魔法で精霊を呼び出す呪文を、一番それっぽく言えた奴の勝ちというルールです」
 奈良坂は進学校の学生らしく説明が上手い。しかし、明快に言語化するとますますやっていることのバカっぽさが際立った。
「それで三輪先輩ダメ出しされてたのかぁ」
 緑川がニヤニヤする。
「……」
 彼は迅以外には大体こんな感じだから三輪も気にしないことにして���る。
「三輪は全然ダメだった」
「……」
 それには反論しようもない。三輪が魔法と聞いて連想するのは、昔、姉と観ていた魔法で変身する女児向けアニメしかない。
「今度は奈良坂がやってみろよ」
米屋が言った。
「ああ」
 コホンと奈良坂は咳払いをして、旗を上に構えた。デッキブラシではなく、こちらにするらしい。奈良坂の衣装はダブル六つボタンの付いたジャケットのようになっていて、カチッとした印象だった。
 長い腕で、二本の掲げた旗をくるり回すと舞踊を見ているかのようだ。奈良坂の詠唱は短かった。
「エクスペクト・パトローナム!」
「へ? 短くね?」
 ハリーポッターに全く興味のない米屋が無表情になる。元々、目に感情が入らないから少し怖い。
「守護霊生成ですから召喚とはちょっと違うかと」
 古寺が遠慮なく指摘する。
「ダメか」
「精進しろ」
 風間もわからないながらも審査に参加する気になったらしい。
「はーい、次オレ〜」
「よねやん先輩、頑張って」
 三輪からデッキブラシを渡され 嬉しそうにひと振りする。ぶんと勢いよく、棒がしなった。槍にしか見えない。彼の上着もジャケット仕立てで、奈良坂と違うところはシングルボタンである。大きく開いた上着から青の縞模様を見せている。足元はビーチサンダルで裸足同然だ。
 彼は魔法、魔法だよなあと呟いた。
「陽介、ちちんぷいとかじゃあダメだからな」
「と、思うじゃん?」
 米屋はニヤリと笑って、デッキブラシの柄でカンッと床を叩いた。そのまま、柄を丸く滑らせていく。
「魔法陣グルグル トカゲのし…」
「パクリでしょう!」
 また古寺が突っ込む。弟が二人もいて、少年漫画に詳しいのは彼しかいないのだ。
「そういえば、作戦室で観てましたね」
「テストで誰もバトってくれねえんだもん」
「勉強しろ」
「よねやん先輩かっこ悪い」
「ちぇー、奈良坂はパクリじゃねえのかよ」
「おれが許します」
「贔屓ィ」
 古寺は咳払いだけして無視する。
「じゃあ、次は古寺だな」
 風間は冷静に順番を数えた。
「はい、風間さん」
 途端に古寺が自信のなさそうな表情をする。三輪は「がんばれ」と励ました。
 後輩はデッキブラシを三輪から受け取って、杖を握り横に構える。目を閉じる。他の隊員たちよりひとつ下の年齢を意識してか、かわいいデザインになっていた。サスペンダーをし、ネクタイもリボンのように結んでいる。靴も軽快なスニーカーだ。
 しかし、その時、周りの者には風にはためく不吉な黒いマントの幻想が見えた。
「原初の時空に彷徨う白き者よ、我が誓願を聴きたもう。我が名を持ってここに顕現せよ。我は古寺章平、黄昏の支配者にしてこの地の放浪者なり」
 みんなポカンとしていた。
「これより一切の慈悲なく我が敵を殲滅よ!」
「ハーイ、カットぉー、木虎ちゃんお疲れ様ぁ」
 向こうから嵐山隊と撮影スタッフの声が聞こえる。
「えーと、終わりました」
 デッキブラシのブラシ部分を床に下ろして、こちらを見る。いつもの古寺だ。
「なんで、そんな本格的な……」
 三輪がうめくと、メガネの縁に手をかける。
「弟とやるカードゲームによく出てくるんで覚えちゃいました」
 絶対に読み上げなければいけないルールで、と付け加える。
「スゲエよ」
 と、米屋。
「カッコイイ、古寺先輩」
「お前が優勝だな」
 奈良坂は旗をパタパタと振った。
 風間もウムとうなづく。
 頃合いよく、スタッフから声がかかる。
「そろそろ撮影に入りまーす」
「ハーイ」
終わり
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oharash · 1 year
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余花に吉兆
1.  友人あるいは恋人のようなことを始めたら、もっと分かり合えて親密な空気だとか柔らかな信頼みたいなものが生まれるかと予想していたが、俺らの空間は特段何かが変化することもなく、近すぎず遠すぎずの関係が果てなく伸びていくのみだった。  大切なものを手のひらに閉じ込めるような日々だった。彼の大きな体は存在感だけでもどこか騒々しかったが、無音より心地よかったのだ。
 うずたかく積もった瓦礫がようやく街から消える頃、俺は人生初の無職デビューを飾った。事務所は畳んだし復興支援委員会の任期も終わった。警察や公安、行政から相変わらず着信や不定期な依頼はあれど、様々な方面からの誘いを断り所属する場所がなくなった俺はぼんやりと初夏を迎えることとなった。  無職になりまして。とセントラルの定期通院の帰り、待ち合わせた居酒屋で焼き鳥をかじりながら言うと彼は呆けた顔で俺を見た。エアコンの効きが悪いのか、妙に蒸し暑くてふたりとも首筋にじんわり汗が滲んでいる。 「お前が?」 「はい。しばらくゆっくりしてから次のこと考えようと思って」 「お前にそんな発想があったとは」 「どういう意味ですか」 「休もうという発想が。いつも忙しく働いとったろーが。そもそも趣味や休みの過ごし方をお前の口から聞いたことがない」 「それ元SKたちにも言われましたわーー。人を仕事人間みたく言わんでくださいよまあその通りですけど。今までやれなかったこと全部やったろ、と思ってたんですけど10日で飽きました。福岡いるとどうしても街の様子気になっちゃうしホークスだ〜〜♡ て言われるし、どっか旅行でも行けばって言われるんすけど全然そんな気になんないんすよ。来月には引きこもりになってるかもしれねっす」  そしたら会いに来てくださいね♡ と言ったら、彼は釈然としないような、そして何かに耐えるような、そんな顔をした。  店を出ると強い風が頬を打った。まだほんのわずか残っていた春の気配が吹き飛んでいく。じゃあ、と手をあげかけたところでデカい手が伸びてきて顎を掴まれた。「飲み直すぞ、うちで」「ひゃい?」かくて俺はそのままタクシーに突っ込まれ(この人と乗る後部座席は超狭い)、轟邸へお持ち帰りされることとなった。
 暗闇の中でうずくまる恐竜みたいな日本家屋。数奇屋門と玄関の間だけで俺の1LDKがすっぽり入りそう。靴を揃えて上り框に足をかけると今度は首根っこを掴まれた。連行されるヴィランそのままの格好で俺は廊下を引き摺られ居間の隣室へ放り込まれる。今夜は何もかも展開が早い。「なになに? 俺には心に決めた人がいるんですけど⁉︎」「使え」「は?」 「この部屋を好きなように使え。しばらく置いてやる」 「もしかしてあなた相当酔ってますね⁉︎」 「あれくらいで酔わん。お前が、ヒーロー・ホークスが行くところがないなんて、そんなことがあってたまるか」  畳に手をついて振り仰ぐ。廊下から部屋に差し込む灯りは畳の目まではっきりと映し出しているけれど、彼の表情は逆光でわからない。 「俺、宵っぱりの朝寝坊ですよ」 「生活習慣までとやかく言わん。風呂を沸かしたら呼びに来てやるからそれまで好きにしてろ」  けれど俺が呼ばれることはなく、様子を見に行くと彼は居間で寝落ちていたのでやっぱり酔っていたのだと思う。デカい体を引きずって寝室に突っ込んだ。風呂は勝手に借りた。
 酔ってはいたものの彼の意思はしっかり昨晩にあったようで、そして俺も福岡に帰る気が全くおきなかったので、出会い頭の事故のように俺の下宿生活は始まった。  「うちにあるものは何でも好きに使え」なるありがたいお言葉に甘えて俺は巣作りを開始した。足りないものはAmazonで買った。徹夜でゲームしたりママチャリで街をぶらついたり(帽子をかぶってれば誰も俺に気づかなかった)ワンピース一気読みしたり豚肉ばかり使う彼からキッチンの主権を奪いそのまま自炊にハマったりもした。誰を守る必要もなく、誰かを気にかける必要もない。誰を満足させる必要もなかった。彼が出かける時間に俺は寝ていたし夕飯も好きな時間に食べていたので下宿より居候の方が正確だったかも知れない。誰かとひとつ屋根の下で暮らすことへの不安はすぐ消えた。早起きの彼がたてる足音や湯を使うボイラー音、帰宅時の開錠の音。そんな他人の気配が俺の輪郭を確かにしていったからだ。  ヒーローを引退した彼は事務所を売却したのち警備会社の相談役に収まっていたがしょっちゅう現場に呼ばれるらしく、出勤はともかく帰り時間はまちまちだった。まあわかる。治安維持に携わっていて彼に一目置いていない人間はまずない(治安を乱す側はなおさらだ)。「防犯ブザーのように使われる」とぼやいていたが、その横顔にはおのれの前線を持つものの矜持があった。どうしてか俺は嬉しい気持ちでそれを見ていた。
2.  ある夜、俺は玄関で彼のサンダルを履き外へ出た。引き戸を開けると明るい星空が広がっていて、それが妙に親しかった。縁側に腰掛けてぼんやり彼方を眺めると星の中に人工衛星が瞬いている。ほとんどの民家の明かりは消えていて、夜は少し湿りそして深かった。紫陽花だけが夜露に濡れて光っていた。  知らない街なのに、他人の家なのに、帰らんと、とは微塵も思わなかった。俺はここにいる。知らない場所に身ひとつで放り出されてもここに帰ってくる。呼吸をするたびに心と体がぴったりと張り付いていった。  気配を感じて振り返ると、あの人がスウェットのまま革靴を引っ掛けて玄関から出てくるところだった。 「風邪をひくぞ」と言われ何も答えずにいると犬か猫みたいにみたいに抱えられ、家の中に連れ戻された。  それからほとんど毎夜、雨でも降らない限り俺は外に出て彼方を眺めた。そうすると彼は必ずやってきて俺を連れ戻した。ある夜「一緒に寝てください」と言ったら彼は呆れたように俺を見下ろして「お前の部屋でか」と言った。そうかあそこは俺の部屋なのか。「あなたの部屋がいいです」と言ったら視線がかちあい、耳の奥で殺虫器に触れた虫が弾け飛ぶみたいな音がして、目が眩んだ。 「そんで、同じ布団で」 「正気に戻ってからセクハラだとか騒ぐなよ」  彼の布団にすっぽりおさまると目が冴えた。やっぱこの人なんか変。そんで今日の俺はもっと変。分厚い背中に額をあてて深く息を吸った。おっさんの匂いがして、めちゃくちゃ温かくて、甘くて甘くて甘くて足指の先まで痺れる一方で自分で言い出したことなのに緊張で腹の奥が捻じ切れそうだった。  彼の寝息と一緒に家全体が呼吸をしている。眠れないまま昨夜のことを思い出す。俺が風呂に入ろうとして廊下を行くと、居間で本を読んでいた彼が弾かれたように顔を上げた。その視線に斥力のようなものを感じた俺は「お風呂行ってきまぁす」となるべく軽薄な声で答えた。一秒前まであんな強い目をしていたくせに、今はもう血の気の失せた無表情で俺を見上げている。妙に腹が立って彼の前にしゃがみ込んだ。「一緒に入ります?」「バカか」「ねえエンデヴァーさん。嫌なこととか調子悪くなることあったら話してください。ひとりで抱え込むとろくなことないですよ。俺がそれなりに役立つこと、あなた知ってるでしょ?」 「知ったような顔をするな」 「俺はド他人ですが、孤独や後悔についてはほんの少し知っていますよ」  真正面から言い切ると、そうだな、と素っ気なく呟き、それきり黙り込んだ。俺ももう何も言わなかった。  ここは過ごすほどに大きさを実感する家だ。そこかしこに家族の不在が沈澱している。それはあまりに濃密で、他人の俺でさえ時々足をとられそうになる。昨日は家族で食事をしてきたという彼は、あの時俺の足音に何を望んだのだろう。  いつぞやは地獄の家族会議に乱入したが、俺だって常なら他人の柔らかな場所に踏み入るのは遠慮したいたちだ。けれどあの無表情な彼をまた見るくらいなら軽薄に笑うほうがずっとマシだった。これから先もそう振る舞う。  きんとした寂しさと、額の先の背中を抱いて困らせてやりたい怒り。そんなものが夜の中に混ざり合わないまま流れ出していく。
3.  涼しい夜にビールを飲みながら居間で野球を眺めていたら、風呂上がりの彼に「ホークス」と呼ばれた。 「その呼び方そろそろやめません? 俺もう引退してるんすよ。俺はニートを満喫している自分の��とも嫌いじゃないですが、この状態で呼ばれるとホークスの名前がかわいそうになります、さすがに」「お前も俺のことをヒーロー名で呼ぶだろうが」「じゃあ、え……んじさんて呼びますから」「なぜ照れるんだそこで」「うっさいですよ。俺、けーご。啓吾って呼んでくださいよほら」「……ご」「ハイ聞こえないもう一回」「け、けいご」「あんただって言えないじゃないですかあ!」  ビールを掲げて笑ったら意趣返しとばかりに缶を奪われ飲み干された。勇ましく上下する喉仏。「それラスト一本なんすけどお」「みりんでも飲んでろ。それでお前、明日付き合え」「はあ」「どうせ暇だろ」「ニート舐めんでくださいよ」  翌日、俺らは炎司さんの運転で出かけた。彼の運転は意外に流れに乗るタイプで、俺はゆっくり流れていく景色を眺めるふりをしてその横顔を盗み見ていた。「見過ぎだ。そんなに心配しなくてもこの車は衝突回避がついている」秒でバレた。 「そろそろどこいくか教えてくださいよ」 「そば屋」  はあ、と困惑して聞き返したら、炎司さんはそんなに遠くないから大丈夫だ、とまたしてもピンぼけなフォローで答えた。やがて商業施設が消え、国道沿いには田園風景が広がり出した。山が視界から消え始めた頃ようやく海に向かっているのだと気づく。  車は結局小一時間走ったところで、ひなびたそば屋の駐車場で止まった。周りには民家がまばらに立ち並ぶのみで道路脇には雑草が生い茂っている。  テレビで旅番組を眺めているじいさん以外に客はいなかった。俺はざるそばをすすりながら、炎司さんが細かな箸使いで月見そばの玉子を崩すのを眺めていた。 「左手で箸持つの随分上手ですね、もともと右���きでしょ?」 「左右均等に体を使うために昔からトレーニングしていたから、ある程度は使える」 「すげえ。あなたのストイックさ、そこまでいくとバカか変態ですね」 「お前だって同じだろう」  俺は箸を右から左に持ち替えて、行儀悪く鳴らした。 「んふふ。俺、トップランカーになるやつってバカか天才しかいねえ、って思うんすよ。俺はバカ、あなたもバカ、ジーニストさんも俺的にはバカの類です」 「あの頃のトップ3全員バカか。日本が地図から消えなくてよかったな」  そばを食べて店を出ると潮の匂いが鼻を掠めた。「海が近いですね?」「海といっても漁港だ。少し歩いた先にある」漁港まで歩くことにした。砂利道を進んでいると背後から車がやってきたので、俺は道路側を歩いていた炎司さんの反対側へ移動した。  潮の香りが一層強くなって小さな漁港が現れた。護岸には数隻の船が揺れるのみで無人だった。フードや帽子で顔を隠さなくて済むのは楽でいい。俺が護岸に登って腰掛けると彼も隣にやってきてコンクリートにあぐらをかいた。 「なんで連れてきてくれたんですか。そば食いたかったからってわけじゃないでしょ」  海水の表面がかすかに波立って揺れている。潮騒を聞きながら、俺の心も騒がしくなっていた。こんな風に人と海を眺めるのは初めてだったのだ。 「俺を家に連れてきたのも、なんでまた」 「……お前が何かしらの岐路に立たされているように見えたからだ」 「俺の剛翼がなくなったから気ィ使ってくれました?」  甘い潮風にシャツの裾が膨らむ。もう有翼個性用の服を探す必要も服に鋏を入れる必要も無くなった俺の背中。会う人会う人、俺の目より斜め45度上あたりを見てぐしゃりと顔を歪める。あの家で怠惰な日々を過ごす中で、それがじわじわ自分を削っていたことに気づいた。  剛翼なる俺の身体の延長線。俺の宇宙には剛翼分の空白がぽっかり空いていて、けれどその空白にどんな色がついているかは未だわからない。知れぬまま外からそれは悲しい寂しい哀れとラベリングされるものだから、時々もうそれでいいわと思ってしまう。借り物の悲しさでしかないというのに。 「俺より先に仲間が悲しんでくれて。ツクヨミなんか自分のせいだって泣くんですよかわいいでしょ。みんながみんな悲壮な顔してくれるもんだから、正直自分ではまだわかんなくて。感情が戻ってこない。明日悲しくなるかもしれないし、一生このままかも。  あなたも、俺がかわいそうだと思います?」 「いいや」  なんのためらいもなかった。 「ないんかい」 「そんなことを思う暇があったら一本でも多く電話をして瓦礫の受け入れ先を探す。福岡と違ってこの辺はまだ残っとるんだ。それから今日のそばはおれが食いたかっただけだ」 「つめたい!」 「というかお前そんなこと考えとったのか。そして随分甘やかされとるな、以前のお前ならAFOと戦って死ななかっただけ褒めてほしいとか、ヒーローが暇を持て余す世の中と引き換えなら安いもんだと、そう言うだろう。随分腑抜けたな。周囲が優しいなんて今のうちだけだ、世の中甘くないぞ、きちんと将来のことを考えろ」 「ここで説教かます⁉︎ さっきまでの優しい空気は!」 「そんなもの俺に期待するな」  潮風で乱れる前髪をそのままにして、うっとり海に目を細めながらポエムった10秒前の自分を絞め殺したい。  彼は笑っているのか怒っているのか、それともただ眩しいだけなのかよく分からない複雑な顔をする。なお現在の俺は真剣に入水を検討している。 「ただ、自分だけではどうしようもないときはあるのは俺にもわかる。そんな時に手を……  手を添えてくれる誰かがいるだけで前に進める時がある。お前が俺に教えてくれたことだ」 「ちょ〜〜勝手。あなたに助けてもらわなくても、俺にはもっと頼りたい人がいるかもしれないじゃないですか」 「そんな者がいるならもうとっくにうちを出ていってるだろう。ド他人だが、俺も孤独や後悔をほんの少しは知っている」  波音が高くなり、背後で低木の群れが強い海風に葉擦れの音を響かせた。  勝手だ、勝手すぎる。家に連れてきてニートさせてあまつさえ同衾まで許しといて、いいとこで落として最後はそんなことを言うのか。俺が牛乳嫌いなのいつまでたっても覚えんくせにそんな言葉は一語一句覚えているなんて悪魔かよ。  俺にも考えがある、寝落ちたあんたを運んだ部屋で見た、読みかけのハードカバーに挟まれた赤い羽根。懐かしい俺のゴミ。そんなものを後生大事にとっとくなんてセンチメンタルにもほどがある。エンデヴァーがずいぶん可愛いことするじゃないですか。あんた結構俺のこと好きですよね気づかれてないとでも思ってんすか。そう言ってやりたいが、さっき勝手に演目を始めて爆死したことで俺の繊細な心は瀕死である。ささいなことで誘爆して焼け野原になる。そんなときにこんな危ういこと言える勇気、ちょっとない。 「……さっきのそば、炎司さんの奢りなら天ぷらつけとけばよかったっす」 「その減らず口がきけなくなったら多少は憐れんでやる」  骨髄に徹した恨みを込めて肩パンをした。土嚢みたいな体は少しも揺らがなかった。  
 車に向かって、ふたりで歩き出す。影は昨日より濃く短い。彼が歩くたびに揺れる右袖の影が時々、剛翼の分だけ小さくなった俺の影に混じりまた離れていく。 「ん」  炎司さんが手でひさしを作り空を見上げ、声をあげる。その視線を追うと太陽の周りに虹がかかっていた。日傘。 「吉兆だ」
4.  何もなくとも俺の日々は続く。南中角度は高くなる一方だし天気予報も真夏日予報を告げ始める。  SNSをほとんど見なくなった。ひとりの時はテレビもつけず漫画も読まず、映画だけを時々観た。炎司さんと夜に食卓を囲む日が増えた。今日の出来事を話せと騒ぎ聞けば聞いたで質問攻めをする俺に、今思えば彼は根気よく付き合ってくれたように思う。  
 気温もほどよい夕方。庭に七輪を置き、組んだ木炭に着火剤を絞り出して火をつける。静かに熱を増していく炭を眺めながら、熾火になるまで雑誌を縛ったり遊び道具を整理した。これは明日の資源ごみ、これは保留、これは2、3日中にメルカリで売れんかな。今や俺の私物は衣類にゲーム、唐突にハマった釣り道具はては原付に及んでいた。牡丹に唐獅子、猿に絵馬、ニートに郊外庭付き一戸建てだ。福岡では10日で暇を持て余したというのに今じゃ芋ジャージ着て庭で七輪BBQを満喫している。  炭がほの赤く輝き出すころに引き戸の音が聞こえ、俺は網に枝豆をのせた。 「今日は早いですね〜〜おかえりなさい」 「お前、無職が板につきすぎじゃないか?」 「まだビール開けてないんで大目に見てください」  家に上がった彼はジャージ姿でビールを携えて帰ってきた。右の太ももには「3-B 轟」の文字。夏雄くんの高校ジャージだ、炎司さんは洗濯物を溜めた時や庭仕事の時なんかにこれを着る。そのパツパツオモシロ絵面がツボに入り「最先端すぎる」と笑ったら「お前も着たいのか?」とショートくんと夏雄くんの中学ジャージを渡され、以来俺はこの衣類に堕落している。遊びにきたジーニストさんが芋ジャージで迎えた俺たちを見てくずおれていた。翌々日ストレッチデニムのセットアップが届いた(死ぬほど着心地がよかった)。  焼き色のついた枝豆を噛み潰す。甘やかな青さが口の中に広がっていく。 「福岡帰りますわ、ぼちぼち」  彼の手からぽとりとイカの干物が落っこちた。砂利の上に不時着したそれにビールをかけて砂を流し、網の上に戻してやる。ついでにねぎまを並べていく。 「……暇にも飽きたか」 「いや全然、あと1年はニートできます余裕で」  ぬるい風と草いきれが首筋をくすぐり、生垣の向こうを犬の声が通り過ぎていく。いつも通りのなんでもない夕方だ。そんななんでもなさの中、現役の頃は晩酌なんてしなかっただろう炎司さんが俺とビールを開けている。俺らはずいぶん遠くまで来た。 「福岡県警のトップが今年変わったんですけど、首脳部も一新されて方針も変わったらしくて、ヒーローとの連携が上手くいってないらしいんすよね。警察にもヒーローにも顔がきいて暇な奴がいると便利っぽいんで、ちょっと働いてくるっす。そんで、俺のオモチャなんですけど」整理した道具たちに目をやる。「手間かけて悪いんですが処分してくれませんか?」 「……どれも、まだ使えるだろう」 「はあ。リサイクルショップに集荷予約入れていいです?」 「そうじゃない。処分する必要はないと言ってるんだ」  的外れと知っていてなお、真っ当なことを言おうとする融通のきかなさ。その真顔を見て俺この人のこと好きだな、と思う。子どものまま老成したような始末の悪さまで。 「それは荷物置きっぱにしてていいからまたいつでも来いよってことでしょーーか」 「……好きにしろ」  唸るような声はかすかに怒気をはらんでいる。さっきまで進んでたビールは全然減ってないしイカはそろそろ炭になるけどいいんだろうか。ビール缶の汗が彼の指をつたい、玉砂利の上にいびつな模様をつくっていく。 「じゃあお言葉に甘えて。それとツクヨミが独立するってんで、事務所の立ち上げ手伝ってほしいって言われてるんすよ、なんでちょくちょくこっちに滞在するので引き続きよろしくお願いします具体的には来月また来ます♡」 「それを先に言え‼︎」  今度こそ本物の怒りが俺の頬を焦がした。具体的には炎司さんの首から上が燃え上がった。七輪みたいに慎ましくない、エンデヴァーのヘルフレイム。詫びながら彼の目元の皺を数えた。青い瞳にはいつも通りに疲労や苛立ち、自己嫌悪が薄い膜を張っている。今日も現場に呼ばれたんかな。ヒーロースーツを着なくなっても、誰かのために走り回る姿は俺の知ったエンデヴァーだった。腕がなくなろうが個性を使わなかろうが、エンデヴァーを許さぬ市民に罵倒されようが。だから俺も個性なくてもできることをやってみっかな、と思えたのだ。ここを離れ衆目に晒されることに、不安がないわけではないけれど。  疲れたらここに帰ってまたあの部屋で布団かぶって寝ればいい。家全体から、やんわり同意の気配が響くのを感じる。同意が言いすぎだとしたら俺を許容する何か。俺のねぐら、呼吸する恐竜の懐の。 「その……なんだ、頑張れ」 「アザーース」  帰属していた場所だとか、背にあった剛翼だとか。そんなものがごっそりなくなった体は薄弱で心もとない。だから何だ、と思う。俺はまだ変わる。  空があわあわと頼りない色合いで暮れていく。隣にしゃがんだ炎司さんの手が俺の背に添えられた。翼の付根があったあたりにじわりと熱が広がり、そのまま軽く背を押されて心臓が跳ねる。 「来月はそば打ちでもしましょうね」  短い肯定が手のひらの振動から伝わる。新たな命を吹き込まれる俺の隣で、炭がぱちりと爆ぜた。
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pockysuburbia · 2 years
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Instagramが嫌い
Instagramが嫌いである。
実は2012年頃に一時期Instagramをやっていたことがある。
当時はカメラを趣味とする人達が、ものすごく個性的なコンセプトで写真を撮り投稿していたように思う。毎日の弁当や、風景、服や靴、美しいお菓子など、どの写真を見ても美しく楽しかった。プロが集っていたように思う。
ところがいつ頃からだろうか。
女性が妙な踊りをしていたり、文字がデカデカと書かれた投稿が増えたり(アフィリエイトや宣伝が目的で、コスメ、住宅、ファイナンシャルプランナーなどがよくやる)、 TikTokと違いが分からないようなDQNじみた投稿まで大量にある。また多分知り合い同士でつるんでいるのであろう、内輪ウケのものもある。特に田舎に住むお友達同士で。「おしゃれな写真」を意識するあまり自意識の腐敗臭が漂ってくるものも多い。
ここはスラムなのか。
ちょっと昔のInstagramと違い過ぎてもう見ていられない。
友人が言うには、不快な投稿を見かけたら表示させないように操作し、自分のアカウントを「調教」していけばいいということなのだが・・・ちなみに友人のアカウントは昔ながらの雰囲気を残している。慎重に自分が望む世界観を作っていたおかげだろう。
ふと思った。
これって、リアルの人間社会と同じなのかもなと。
リアルの世界では俺は底辺階層の生まれで、低学歴で、レベルの低い環境に身を置いて生きてきた。だからクソくだらないものしか視界に入らない。
見栄を張って10年ローンで高級車を買い、自動車保険すら入っていないバカ。多重債務で何度も債務整理をするだらなしない女。男を見ると我慢が出来なくなるヤリマン女。嘘ばかりつく男。古い価値観を捨てきれない田舎の男。物を買うことがお洒落だと思い込むイナカッペ。安いスーツにポケットチーフをしてビジネスマンを気取る保険屋の男。
そんなスラムの光景を見てきたのが、やはりスラムに住む俺だったわけだ。
Instagramで俺が見るのは、やはりスラムの光景なのだ。
友人が言うように、自分の視界は自分が操作していかないと変わらないということだろう。スラムの中で臭いたつようなものを見て、烏合の衆の中で競争をしても自分が嫌になるだけだ。
Instagramを嫌ってもどうしようもない。Instagramでもリアルでも、環境を主体的に選択する必要があるわけだよね。
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新しい靴👟購入💕 さんぽで片方落としてびっくり⁉️ 見つけて安心😁 新しい靴あるある🐶 素敵な一日になりますように💕 Buy new shoes 🎉💕 I was surprised to drop one of them in the walk!?️ It's safe to find it😁 I have new shoes🐶 I hope you have a wonderful day💕 #ペトこと犬部#いぬ部#いぬバカ部#トイプー#犬のいる暮らし#いぬすたぐらむプードル #ドッグウェア#おしゃれワンコの会 #おしゃれわんこ服  #てぃーかっぷぷーどる #toypoodle #dog #dogstagram #instadog #doglover #petstagram #doglovers #dogsofinsta #きょうのわんこ#ハグログ#cachettepet#dogyoutuber#ビューティープロコンテスト#モデル犬になりたい #wanqol#ゆーちゅーばー#サンデイ#秋さんぽ#rifraf https://www.instagram.com/p/CkPFc7ovsWI/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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kennak · 9 months
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https://anond.hatelabo.jp/20231129081226専業主夫になりたいと願い、夢を叶えた増田です。思った以上にバズってしまい恥ずかしいけど誰かの参考になったなら嬉しい。今後ダラダラと続きを書きはしないので、今回は補足と自分語りをさせてほしい。おれは主夫になりたい男性を応援してるし、主夫を養える女性も尊敬している。もちろん主婦とその夫も、共働き夫婦も独身男女も。今までどこに出すでもなかった婚活の学びだが、今回も誰かの参考になれば幸い。 「婚活」そのものについてはてなには男女とも婚活で酷い目を見たエントリーが目立つ気がするが、おれ的には会った女性は7割まともだと感じた。2割がコミュニケーション能力に難ありで、残りの1割はモンスターかな。だからそんなに構えなくていい。ネットでは変わった体験をした人の記事が面白がられて伸びるだけで、大概の人は良くも悪くもわざわざ書くに及ばない平凡なお見合い(デート)をしているはず。 ■「悪くない」が大事目が合った瞬間この人だ!!という出会いもあるらしいが、おれは期待してなかった。印象が悪くなくて、相手も嫌じゃなさそうであれば、とりあえず次のデートを打診する。ただし、盛り上がったけどお互い何となく次はないなーで終わることも、逆に全然話してくれなくても後から「すごく楽しかったです!」という長文メッセージをもらうこともある。 デート中でも話していく内「多分おれのことナシなんだろうな」と察することもある。それはもう仕方がないことだ。露骨に態度に出すやつは性格が悪いが、漏れ出してしまうことがあるのはおそらくお互い様なのだ。 ■積極的に誘おう!婚活では基本女性が優位だ。おれたちが良い(悪くない)と思う女性は、他の男性にもそう思われてる。誘って断られるのが嫌なのはわかるが、相手の印象が悪くなければ、次の約束をサクッと打診するまでがデート!そういうもん!と割り切るのが良いと思う。出会いは基本同時進行なので、相手にも「悪くない」程度の相手が数人はいるはず。その中で頭ひとつ抜けるには、特別な何かがない限りは積極性しかないのでは。断られても、自分とはマッチしなかった/自分よりマッチする人がいたというだけの話だから、落ち込まなくて大丈夫。結婚したいのは同じなはずなのに、どうしていつもこちらから…と思う気持ちもわからなくないが、そう言うもんだから仕方がない。 顔合わせ・デートの支払いについて婚活をしていて思ったけど、女性って意外と奢られたいと思ってないかも。勿論、おれは自分より年上かつ収入の多い女性と会っていて、アプリや相談所のシステム上、こちらの収入が少ないことを相手も知っていると言う特殊なケースではあったのだが…。 一応、毎回初回はお礼のつもりで奢る気で会ってはいた。なので自分で場所をセットする場合は、適当なカフェ(※1)でのランチかお茶に誘っていた。単純に単価が低いのもあるけど、わけのわからん男(おれ)と初めて会う女性も明るいうちのが安心かと思って。 おれと会ってくれる人は金銭面での頼りがい的なものを求めていなかったのでw、割り勘どころか「出しますよ〜」とサクッと払ってくれる人も意外といた。その場合は素直にご馳走になって、「次はお茶くらいご馳走させてください」とデート延長or次の約束を取り付けることにしてた。これは男女問わずぜひ使ってください。 付き合うとなんとなく、支払いは割り勘〜彼女8割くらいになることが多かった。気持ちよくご馳走してもらうための基本はこれ。・ちゃんとお礼を言う(会計直後と解散後のLINEとかね)・「ごめん」じゃなくて「ありがとう」(相手は喜んでもらいたいだけで謝らせたり引け目を感じてほしいんじゃない)・飯はうまそうに食う・店・飯のポジティブ感想を意識して伝える改めて書くと当たり前すぎるな。長い付き合いになっても奢られて当然なってはならない。大原則は、「自分がされて気分が悪くなることはしない」。 また、いくら収入に差があったとしても支払いを彼女10:自分0にするのは勧めない。・飯を奢ってもらった⇨お茶ご馳走する・高いプレゼントをもらった⇨何かしらの差し入れをするなど自由に使える金が少なくてもできることは全然ある。 ※1:適当なカフェと言っても、それはドトールやサンマルクではない。相手がアクセスが良い場所の、チェーン感の少ないところが良いと思う。よくXで話題に上がるデートでサイゼ問題だけど、低収入だったおれとしても少なくとも初回はなしかな。サイゼは着心地最高の部屋着みたいなものだが、初めてのデートに部屋着で行かないのと一緒。付き合いが深くなったら、思いっきり部屋着でダラダラを楽しんだらいいよ。 何よりも自分のメンタルを守れ!!!!!!おれが推奨したいこと↓・辛くなったら休む(目標は決めてもノルマを決めない)・フラれても縁がなかっただけで、自分の価値とは無関係だと心に刻む・婚活以外の人間関係をより大事にする 学びがあったし妻に出会えたのでよかったけど、基本的に婚活はしんどい。特に最初はかなり辛い。婚活を始めた当初は、なんだかんだ結構モテてしまうのでは…と思ってたんだが甘かった。傲慢でした。やっぱり人気があるのは高収入・高身長でどっちも持っていないおれは本当に、本当に需要がなかった。前回も書いたが最初に会ったのが一回り上の女医だったんだが、長い婚活の中で一番キツかったのはこの人かもしれない。「アタシは本来婚活?とかする必要のない人間なんだけど〜どんなもんかな〜と思って〜」「今まで医者3人にプロポーズされたけどバカばっかだから振ってやったw」「今日は主夫になりたいとか言う男がどんなもんか見に来たw」終始こんな感じ。震えたね。婚活がマジで怖くなった。おれが道明寺司ならおもしれー女…になったかもしれんが弱者男性なのでそれは無理。 当然こんな人ばかりじゃなくて、その後に会った人は常識的な人がほとんどだった(でもたまにいる凄いのが)。ただ、申し込み(いいね)を送っても返ってこない、この人たちにとって自分は無価値なんだと思い知らされる経験は、それまでの人生にないものだった。良い感じでデートしてたのに連絡が取れなくなったりとかね…。仕方のないことだ。おれが吉沢亮だったとしても、大泉洋が大好きな女性には選ばれない。それはもちろん、吉沢亮に価値がないという話じゃない。おれをふった女性は、どこかで大泉洋と幸せに暮らしている…それで良いのだ。 婚活ばかりしていると病むので、自分から声をかけて学生時代の友人と飲みにいく機会を増やした。婚活に関しては話したくない人もいるだろうが、おれは婚活芸人を名乗って笑ってもらうと気が晴れた。友人に話すと意外な紹介があったりもする。それで一回彼女ができた(半年付き合ってフラれたけど)。おれは交際ステータスの人がいなければ、週に1度は新しい人に会う!を目標にしていたけども、それはメンタルと相談して…。 ■卑屈になったらさようならフラれが続いたり、あと主夫志望の場合は収入の良い女性ばかりと出会って「この人はこんなに頑張ってるのに俺は…」などという気持ちになったら即刻休んだ方がいい。卑屈な人間はシンプルに魅力的じゃない(これはマジで女性も同じ!「私なんか…」を連発されるのは本当にキツイ)。だから卑屈になればなるほど婚活は厳しくなり自尊心が削られる負のループ。稼げる能力はひとつの要素であってすべてじゃない。おれにはおれの、お前にはお前の長所がある。先の「目の前の相手がこちらをナシ判定したのがわかる」時も、メンタルが好調なら「貴重なお時間感謝ァ!」だし、悪ければ内心ムカつくし、卑屈だと「あーもうごめんなさいごめんなさい」になる。 これは俺の個人的な失敗談だが、同棲までして破局した彼女をモラハラ化させたのは当時のおれの卑屈さに一因がある気がしなくもない。彼女は全ての能力が高くて、料理をしても手際はよかったし仕事もバリバリ成果を出していた。おれは知らず知らずに萎縮して、彼女の前では自分の意見など無価値に思え、顔色を伺っていた。飯を作って待っていても「仕事後にこんな重いもの(彼女の好物のビーフシチュー)食べれるわけない!!」とキレて流しに捨てられたり、出ていけと言われて出て行こうとしたらキレて泣き喚いたり、起きるのが遅いという理由でビンタされたり、祖母からもらったマグカップをセンスが悪いとわざと割られたり…今もかなりトラウマになってる。パワハラは属性関係なく、支配的な環境になると起こりやすいんだろうと思う。 卑屈になったら一時婚活から撤退すべきだし、卑屈にさせられる相手とは距離をとってほしい。これは主夫おじさんとの約束だ。 容姿身だしなみについて容姿は良いにこしたことはない。でもおれの肌感としては、女性がパートナーに求める容姿のレベルは高くない。俺はどこにでもいる顔のチビだが、清潔感と言うものを婚活を始めてから理解したように思う。清潔感とは、清潔そうに見えること。・服にほつれやシミがない・極力シンプル、アクセサリーなどで主張をいれない・服のサイズが合っている・靴や小物が汚くない・臭くない・奇抜な髪型じゃない・なるべくニキビを作らない・食べ方が汚くない基本減点をなくす方向に動けばいい。あとは体型も太りすぎてない方がいい。でもそんくらい。勿論イケメン好きもいるだろうが、そう言う人とは初めからマッチしないので、プロフィール写真との落差が激しすぎない程度でいいと思う。男性の中にはマジで身なりに構わない人もいるから、ちょっと気をつければ大概の人は『普通』の枠内には入れると思ってる。姉についてみんな書いてたけど、おれの婚活がうまくいった要因のひとつは姉にあると思う。昔から何をやらせても優秀だったから張り合う気持ちすら起こらなかった。ただ姉は婚活して結婚したわけじゃなく義兄は大学の先輩だった。学生時代から付き合っていて相手の転勤を機に退職して結婚した。姉も姉でかなり良いとこに勤めていたから潔すぎて家族は唖然。ただ姉が専業だったのはたったの1年くらいで、今は自分でビジネスを立ち上げ子育てしながらバリバリやってる…俺とはキャパが全然違う。 妻について義兄と同じく、妻も頻繁に転勤のある公務員。この職種の人と会うのは初めてだった。婚活もずっとしていたわけじゃないので、よく出会えたなと思う。感情の波が少ない人に見えて結構抱え込むタイプ。真面目でしっかりしてるけど、家では結構ふざけたりもする。 子供ができたら勿論子育てのメインはおれになるだろうなーと思っていた。完璧にやれるとは思わないが姉含め周りのお母さんたちもわからないことだらけなのは同じだろうし、出産のダメージがないぶんおれだってちゃんと動けるはず…と覚悟して婚活をしていたが、妻は子供は欲しくない人だった。理由は聞いたがここには書かない。おれも納得している。 妻がおれのどこを気に入ったかと言うと、まずは条件ありきだと思う。転勤について行けるのが大きかったんじゃないか。彼女はバツイチなんだけど、前のパートナーは同業だったそうな。新婚当初から喧嘩が絶えなかったと言っていた。家では難しいことを考えたくない…と言う希望におれがマッチした。おれとしては仕事に誇りを持っていること、可愛いギャップがあること、主夫のおれを対等のパートナーとして見てくれるところが好きなとこ。お互い恋愛よりも生活を重視するタイプだけど、思ったより仲良くやれている。休みの日にふたりで散歩しているとマジで結婚してよかったと思う。今度保護犬の譲渡会に行く。妻と二人で世界一幸せな犬にする。(追記)男とか女とか書きたいと思ったの忘れてた。前の記事へ「男はここまでしなくちゃ主夫にもなれない(だから女は恵まれてる)」「こんな努力は女なら誰でもしていることだ(だから男の方が楽)」などというコメントを見かけた。おれの努力を女叩きに使って欲しくないし、男をバカにする道具にもしないでほしい。 専業主婦(夫)は��んどん減っている。それでもまだ、誰かを養う覚悟があるのは男性の方が多いと思う。だから女性は誰でも主婦になれる嫌な仕事は辞めれるイージー!ってことは別になくて、例えるなら大企業の求人はいくつも出てるけど採用される人はひと握り…という話に近いと思う。条件のいい会社には応募も多くて若さやビジュアルや育ちや学歴の書類選考を通らないと何も始まらない。婚活市場で1番価値のある若さ・美しさを持つ婚活エリートの戦場だ。その上、男性は(女性ほど、という意味で)子供を急ぐ必要がない。だから10年募集中だが採用ゼロでも平気でいられるわけだ。女性側がどんなに1人にコミットしても手のひら返される場合が全然ある。 主夫志望者が男性の場合は、そもそも求人が少ない。いや、ほぼない。だから自分を雇えそうな会社に片っ端から電話をかけて「おれを採用しませんか!〇〇ができます!」をやってくしかない。門前払いが多いけど、中には話を聞いてまあ面接くらいは……という企業があるって感じ。とにかく求人がなさすぎる。求人を出せる体力のある会社がそもそも少なく、その中でも求人を出すなんて考えたこともない所がほとんど。もちろんこちらも手のひら返しは日常茶飯事だ。   収入があって、私生活が充実してる人は男女共、結婚なんかしてもしなくてもいいんだよ。一方おれの理想の暮らし(主夫生活)にはパートナーが不可欠だ。その不均衡があるわけだから、こちらが頑張る他はない。男女どちらが婚活するにしろ、その性別、年齢、条件、本人にしかわからない地獄がある。 おれは友達の中では婚活芸人やってたけど、まあ有名な会社をやめて主夫になりたい!って奴はやっぱ一段落ちた感じはあったよ。男社会の脱落者と言うか。おれはそんなに気にしなかったが、これは人によっては死ぬほど辛いことだと思う。「俺なら絶対無理」って笑ってた奴は激務の末に自殺未遂を起こした。働きたくないって言えない奴だった。彼の恋人もエリートだったし、女性であれば結婚退職も少なくとも頭には浮かんだだろう。でも彼はそれができなかった。何か環境や考えが違えば、おれだってこうなっていた可能性はある。これは男性特有の問題とは言わないけど、おれの心には強く残った。 女性は妊娠とキャリアの壁とかあるし、もうどっちも本当に辛いよ!だから家族になって助け合おうよ!が婚活であるべきだと思う。すべての人が生きやすくなるように願いつつ本当にこれで最後にする。 (追追記)家のこと、名字のことしつこくてごめん!コメント見て確かに家の事書いてねぇー!と気付いた。改姓してません。 彼女は両親とあまりうまくいってなく、詳しくは言えないが最初の結婚が早かった理由の1つはそれ。だからおれは彼女の家族は母親にしか会ってない。結婚報告に対しても「そうですかお幸せに(棒読み)」という態度だったので継母か…?と思ったが実母らしい。まぁそういう家もあるってことで…。 妻の旧姓はカッコよかったし、おれは全然改姓OKだった。おれは名前だけはイケメンなのでアニメの主人公みたいな名前になるな…と妄想していたが、妻の方が改姓したいと言うので俺の名字に変えてもらった。 意外だったのは、妻の改姓についてうちの親がけっこう喜んでたこと。うちの親は主夫に関しては「マジかこいつ」という顔をしつつも結婚や妻に対してはありがたく思ってくれてたが、改姓だけは内心抵抗があったらしい。わかるようなわからんようなだが、妻も両親も喜んでるのでWin-Winってことで。
(追記あり)主夫になるまでの婚活での学びと自分語り
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getrend · 13 days
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中学生の新郎妹が披露宴前にロビーで泣いてた。理由を聞くと、制服でいいと言われて来たら「葬式にでも来たつもりか」「TPOすらわきまえないバカ」と責められたみたいで→
697: 修羅場まとめ速報 2021/06/30(水) 20:16:45.93 ID:KjPP8VfV 新郎妹が不幸になりかけた結婚式出席未満。 まだ中学生の新郎妹(私の従姉妹)が披露宴前にロビーで泣いてた。 その理由が服装。従姉妹の中学ってセーラー服だけど かなり暗い色の紺の服に紺の衿、ラインは濃い紫、そこに紺のリボン、 さらに校則で靴は黒一色(ワンポイントやラインもダメ)靴下は紺か黒、 地元では「カラス女子」と呼ばれるほど喪服ぽいものだった。 責めた連中(新郎新婦親戚のクソババア&新婦同僚)は 髪も黒いまま、化粧もしてない中学生らしい従姉妹に 「葬式にでも来たつもりか」「TPOすらわきまえないバカ」 「新婦も怒ってる、出ていけ」と泣くまで責めてたみたい。 頭にきて従姉妹連れ出して、新郎の部屋に行って散々罵倒し そのまま披露宴どたキャンして従姉妹連れておいしいもの食べて帰ったわ…
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