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#音降る幻想郷 ~ あなたの東方イラストに曲を書かせてください合同
touhoutunes · 2 years
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Title: 鬼謀の都 (City of Conspiracies)
Arrangement: 白鷺ゆっきー
Album: 音降る幻想郷 ~ あなたの東方イラストに曲を書かせてください合同
Circle: 針の音楽
Original: Tortoise Dragon ~ Fortune and Misfortune, Prince Shoutoku’s Pegasus ~ Dark Pegasus
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itumizu0126 · 2 years
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https://www.youtube.com/watch?v=p9r19jRzKWA
白鷺ゆっきーさん主催の絵×音楽の合同誌『音降る幻想郷 ~ あなたの東方イラストに曲を書かせてください合同』のロゴデザインをしました。
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keikoshiga · 5 months
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オリジナル楽曲の音源・楽譜を販売しています
ご希望の商品をEメールにてお知らせください。Eメールでご注文確認の返信をさせていただき、商品はお振込を確認した後に発送いたします。送料・お振込手数料はお客様のご負担とさせていただきます。
ご注文いただいた方でご希望者には、志娥慶香がイラストを描いたオリジナルステッカーをプレゼントいたします♪(ステッカーがなくなり次第終了)
どうぞ、Eメール [email protected] までご連絡ください。
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【CD】
映画「骨なし灯籠」オリジナル・サウンドトラック(¥2,500 税込)
木庭撫子監督作品 映画「骨なし灯籠」のオリジナル・サウンドトラック。志娥慶香が書き下ろした音楽や、山鹿民謡など挿入曲を収録した映画の世界観を味わえる内容となっています。
【収録曲】
1. 骨なしさんのかばん 2. オードブルを囲んで 3. ゆかりへの想い 4. 想起 I 5. 想起 Ⅱ 6. 灯籠師 I 7. お父さんのカメラ 8. ゆかりの好きなもの 9. 疑念 10. あかりの想い 11. 骨なし灯籠 12. 灯籠師 Ⅱ 13. おもいでのアルバム 14. 蘇峰 -骨なし灯籠バージョン 15. おもいでのアルバム -ピアノバージョン- 16. よへほ節 17. 米原長者くどき唄 18. 鹿北茶山唄 19. 山鹿灯籠盆踊り
【発売元・お問い合わせ】熊本やまが映画プロジェクト
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【音源とピアノソロ楽譜のセット】
蘇峰(1,100円税込)
志娥慶香 作曲・演奏の「蘇峰」ピアノソロバージョン。エフエム・クマモトの長寿番組「朗読〜声の贈りもの」メインテーマとして親しまれています。音源(WAVまたはmp3)とPDF楽譜のデータファイルのセット販売です。楽譜は表紙を含めて全3ページあります。ご自身でプリントアウトしてご利用ください。YouTubeにてご視聴できます。 《曲について》 わたしのふるさと熊本の、阿蘇の山々にそよぐ風をイメージして創りました。阿蘇山は、世界でも有数の大型カルデラと雄大な外輪山を持ち「火の国」熊本のシンボルとして親しまれています。その豊かで穏やかな山々の峰と包容力はまるで母なる大地のよう。一面に広がるススキの草原に吹く風がシンフォニーを奏でます。美しいこの風景がいつまでも続きますように。
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【アルトサックス&ピアノ用の楽譜】
蘇峰(1,100円税込)
志娥慶香 作曲・演奏の「蘇峰」アルトサックス&ピアノバージョン。上記のピアノソロバージョンとは曲アレンジが違うバージョンです。PDF楽譜ファイルです。(音源は含まれません。)表紙を含めて全5ページの実音スコア譜と2ページのアルトサックス用のパート譜をお届けします。ご自身でプリントアウトしてご利用ください。下記リンクよりご試聴と音源のダウンロードができます。https://ryoichiyamaki.bandcamp.com/track/sohou
《曲について》 大編成のオーケストラやJazz Big Band からソロ演奏まで、美しいサウンドを目指して演奏活動をするサックス奏者、八巻綾一。大自然からのインスパイアによってその心象風景を音楽で描く作曲家、志娥慶香。この「蘇峰」のデュオバージョンは2020年のコロナ禍において、それぞれの住む東京と熊本で制作されました。この音楽が風に乗って遠く離れた大切な人へ届きますように。
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【CD】
Piano Works Vol. 01(¥1,100 税込)
ピアノソロ5曲入りCDアルバム。四季を感じ、自然や人間の営みから多大なインスピレーションを得て長年あたためていた志娥慶香ピアノソロ作品集。「穀雨」は映画「NOT LONG, AT NIGHT 夜はながくないサウンドトラック」の別テイクバージョン。YouTubeにて全曲ご試聴できます。 【収録曲】(すべて志娥慶香作曲) 1. Evergreen  2. Kokuu (穀雨)  3. Thawing (雪解け)  4. The Moon and Pierrot (月とピエロ)  5. Komorebi (木漏れ日)
【ピアノソロ楽譜】
Evergreen(¥1,100 税込)
上記のピアノソロ5曲入りアルバム「Piano Works Vol.01」に収録されている「Evergreen」のピアノソロ用楽譜のPDFファイルです。表紙を含めて全6ページあります。ご自身でプリントアウトしてご利用ください。 《曲について》 エバーグリーンには、ずっと美しいままで、という願いがあります。命の讃歌。大切な人が天国へ旅立ったとき、わたしの心の中にこのメロディーがおりてきました。透きとおった綺麗な緑色の風と共に。生まれたての美しい心で、わたしたちの魂はワルツを踊ります。
youtube
Komorebi(¥1,100 税込)
上記のピアノソロ5曲入りアルバム「Piano Works Vol.01」に収録されている曲「Komorebi」のピアノソロ用楽譜PDFファイルです。表紙を含めて全7ページあります。ご自身でプリントアウトしてご利用ください。 《曲について》 木漏れ日の織りなす光と影の戯れからインスパイアされました。幻想的な影の動きを見つめていると、いつのまにか夢のようなことをとりとめもなく思う瞬間が訪れます。ペダルをたっぷり使って弾いてみてください。
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【音源と三部合唱楽譜のセット】
みずのうた(¥1,650 税込)
志娥慶香 作詞作曲・演奏の「みずのうた」。歌入り音源とカラオケ音源(WAVまたはmp3)の2種類・三部合唱楽譜PDFファイルのデータファイルのセット販売です。楽譜は、簡易ピアノ伴奏つきスコア譜・歌パート譜(3パート)、簡易ピアノ伴奏譜のPDFファイルをお届けします。ご自身でプリントアウトしてご利用ください。歌入り音源は、YouTubeにてご視聴できます。 《曲について》 みずはめぐる いのちはめぐる 生きている今 それは奇跡 たったひとつのこの地球で お母さんから生まれてきた 僕も魚も鳥も虫も 同じ喜び分けあっている (歌詞より抜粋) ある日、私は江津湖(熊本県熊本市)のほとりを本当に久しぶりに歩きました。あちこちから聞こえる水と戯れる子どもたちの声、ボートを漕ぐ恋人たち、掃除をするおじさん、湖に住んでいる魚や鳥や虫、そして植物。目の前の癒しの風景と懐かしい記憶が交差する中、風が水面を揺らすように、私の心が揺り動かされました。「この美しい風景を守りたい・・・」天から降りてきた言葉とメロディを書きとめ、「みずのうた」という曲ができました。 2009年にリリースされた「みずのうた」。歌っていただいたのは「音の和」をテーマに全国でライブ活動を展開している川原一紗さん。そして、国際的にご活躍中の21絃箏奏者・藤川いずみさんに雅な水の表現を奏でていただきました。リリース時には、水と命の尊さを讃えた歌のメッセージをより多くの市民に伝えたいことから、CDを熊本市長に寄贈したことは地元紙でも取り上げられた他、環境新聞や月刊下水道、熊本市水道局便りなどの多くのメディアで紹介していただきました。様々な県内外での環境イベントのBGMやテレビCM、熊本市役所の終業時の音楽などにも使用されています。みなさまにこの歌のメッセージが浸透し、水へのいのちへの意識が高まりますよう願っています。
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【CD】
こもりうた3~世界のうた 日本のうた~(音の和music)(¥2,000 税込)
【2曲のアレンジとピアノ演奏で参加しています】 「音の和」をテーマに全国でライブ活動を展開している夫婦ユニット、音の和music 川原一紗さん◎藤川潤司さんの歌い継ぎたいこもりうたの3作品目に、参加させていただきました。志娥慶香は、②「我が故郷スオミ」(フィンランド民謡)と、③「カレリアの丘」(フィンランド民謡)のアレンジとピアノ演奏で参加しています。YouTubeにて全曲ご視聴できます。                            【収録曲】 1. 世上只有媽媽好 2. 我が故郷スオミ(志娥慶香/編曲・ピアノ) 3. カレリアの丘(志娥慶香/編曲・ピアノ) 4. 五木の子守唄 5. Suo Gun 6. The Rose 7. 月桃 8. 野菊 9. Mama Africa 10. Amazing Grace 11. ふるさと 12. 森のようちえん朝のうた 13. 森のようちえん帰りのうた
【発売元・お問い合わせ】音の和music
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【DVD】
短編映画「冬の蝶」完成版DVD(¥1,500 税込)
遠山昇司監督作品「冬の蝶」(2016) の全編の音楽を作曲・演奏した作品のDVDです。映像特典:特別予告編。
収録時間:本編19分。
第33回テヘラン国際短編映画祭 アジア・コンペティション部門 グランプリ受賞 九州の秘境、熊本県五家荘を舞台に描かれる美しくも儚い命の物語。 【CAST】 Una 五十嵐靖晃 岩崎幸代 大西靖子 【発売元・お問い合わせ】 「冬の蝶」製作委員会
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【CD】
映画「NOT LONG, AT NIGHT -夜はながくない-」オリジナル・サウンドトラック(¥2,500 税込)
遠山昇司監督作品「NOT LONG, AT NIGHT -夜はながくない- 」(2012)の全編の音楽を作曲・演奏。ピアノの音色と旋律は主人公の女の心情を表しており、序盤の音色と旋律が、終盤にはどのように変化していくか、ストーリーとともにどうぞお楽しみください。 【収録曲】 1. ユートピア  2. 落下する心  3. 残夢  4. 指輪のあと  5. 少しだけ近づいて 6. 二人でみる夢 7. 夢の重さ  8. 海からきたのか。海に向かうのか。 9. どこかへ 10. 海のまち 11. ノアの方舟  12. かさなる心、波に包まれて 13. 私がみた夢 14. 目覚め  15. 夜はながくない 16. 希望の記憶 17. 穀雨 
【発売元・お問い合わせ】「NOT LONG AT NIGHT」製作委員会
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【DVD】
映画「NOT LONG, AT NIGHT -夜はながくない-」完成版DVD(¥3,000 税込)
遠山昇司監督作品「NOT LONG, AT NIGHT -夜はながくない- 」(2012) の全編の音楽を作曲・演奏した作品のDVDです。映像特典:予告編。
収録時間:本編95分。
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toymacky · 7 years
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街の報せが聞こえるかい? ceroがケリをつけた2016年のシティ・ポップ
2016年、日本の音楽業界で最も耳にした言葉のひとつにシティ・ポップがある。なんて便利な言葉なのだろう!流行を定義付ける有用的な単語が一人歩きして、括られることを嫌うアーティストまで現れている状況には、かつての渋谷系の流行とも近しい雰囲気を感じる。 シティ・ポップ。どうやら1970年代以降にそんなムーヴメントがあったらしい。とはいえ僕が生まれたのは1991年なので、言うなればセカンド・シティ・ポップ(と、愛を込めて名付けたい)の潮流をリアルタイムで体験していない。シティ・ポップって、なんだ?都会的で洗練された音楽?シュガーベイブ?ティンパンアレイ?最近流行っているのは、当時の音楽を現代風にアップデートしたり、違った方法論で生み出した曲たちなのか?オリジンはどこにある?2016年はそんなことをずっと考えていた。 時にアーティストもそれぞれの実験と欲求を満たして鳴らしたい音を鳴らしているのだから、こんなふうに街を彩ろうとか、ジャンルを定義付けようとか、そんな男性的で法的な活動をしているわけではないと思う。そして想像が及ばないような彼らの意図や遊びを飛び越えて、或いは汲まぬまま、僕たちは部屋のレコードプレイヤーで、帰り道にヘッドホンで、恋人とイヤホンを半分こして、音楽を享受する。そのとき瞳に浮かんでいるのは学術でなく、人であり、生活であり、街だ。だからこそ今日は、リズムや楽器などの音楽性やバックボーンの話は割愛して、街に生きるリスナー目線でこんな話をしたい。 「現代日本に、シティ・ポップは存在する。」 悩める2016年も終わる頃、ceroが気付かせてくれたんだ。 本題に入る前に、シティ・ポップについて僕が思っていることをいくつか。 何がシティ・ポップで、何が否か。そんな話ではなく、まずはどうしてこの言葉が2016年、数多のバンドに適用されていたのか、そんなことを考えると、やはりシティという言葉の汎用性に行き着く。この言葉からは六本木の摩天楼もニューヨークの街並みも想起される。そして今では、郊外だってシティになりつつある。情報にすぐ手が届き、場所の持つ意味や優位性が、どんどん均一化されているからだ。それがベッドタウンでも南国でも東京でも港区でも「街に根ざした」音を奏でているということ。元々汎用性が高い言葉が均一化されていることが、シティ・ポップが乱立していた理由の1つかもしれない。 一方、エスケーピズムというのも2016年のシーンで多く聞いた言葉だ。どこか1つ理想郷を設定して、逃避の音楽を奏でるということ。恐らく「シティ」と「エスケープ先」の移り変わりが、元祖シティ・ポップとセカンド・シティ・ポップの性質の違いを生み出しているのはないだろうか?と考えてみた。 シティ・ポップの、1970年代のいわゆる四畳半フォークに対する、あまりにもクールで無機的で逃避的で、何より余りにも「お洒落」なカウンターカルチャーとしての定義が、Suchmosをシティ・ポップの辞書に書き加えたのではないかと、僕は思っている。2010年代初めに興ったファンク・ディスコ再評価の日本への波及と言うより幾分リアリティがあるし、これは半分想像に過ぎないのだけれど、70年代の終わりにに茅ヶ崎から波の音を運んでくれたグループも同じような感覚ー「ここではない、どこか」を持って迎えられていたのではないだろうか? 都市幻想が発展したPARAISO(楽園)への憧れを彩る永井博や鈴木英人、わたせいぞうらイラストレーターが担っていた役割を惣田紗希や本秀康が引き継いでいるように、ジャケットの世界観も合わせて、それぞれの時代の「シティ観」「エスケープ先」を形作っているのだろう。 さらに言及すると、生活や社会、そして戦争への直接的な批判というよりクールで、無機的な音楽が流行する理由はきっと、政治的無関心や無感動などのキーワードで、当時シティ・ポップを愛した(とされる)しらけ世代と僕たちゆとり世代が繋がっているから、というのも言い過ぎでは無いはずだ。きっと元祖シティ・ポップ時代には「ベトナム戦争後の世界」は終わっていて、今は「イラク戦争後の世界」は終わっているんだ。通奏低音として鳴り響く軍靴の音には気付かずに、<雨を見たかい?>でも<アメリカンイディオット>でもないものが時代に好まれ、僕たちに好まれているのだと思う。 ーシティ・ポップは、つかの間の都市幻想に過ぎないのだろうか? 随分と脇に逸れてしまったが、話を元に戻そう。 ceroに初めて出会ったのは「WORLD RECORD」が発表された2011年、とある大学で行われたフェスに、サニーデイ・サービスを見に行ったときだった。その時からずっと僕はceroが描き出す街の住人だ。停電になっても(“大停電の夜に”)船が座礁しても(”Yellow Magus”)、時には学校を抜け出して、秘密の逃避行をして(”Orphans")。 この街は架空なのだろうか。どこにあるのだろうか。と、それこそエスケープ的な想像を張り巡らせながら、彼らのルーツが西東京にあるということ、"武蔵野クルーズエキゾチカ"や"Comtemporary Tokyo Cruise"などの曲名から、ああきっと東京のどこかにあるのだろう、と解釈していた。 そんな折、2016年12月7日に発売されたceroの3rdシングル「街の報せ」。 フックになっているのが、《Can you hear the calling from the city?》という一節だ。そしてVIDEOTAPEMUSICが監督を務めたMVには、東京の街やツアー先の風景が美しく収められている。このとき僕は衝動に駆られて、地元埼玉の、駅から家までの映像をいくつも撮影した。そして街の報せをBGMにしてみた。そうするとこれまで以上に、自分の街が好きになった。街の報せが、聞こえた気がした。ceroが描き出す街は、現実に、こんな近くにもあったんだ。 そしてこれが、彼らの描き出すシティ・ポップなんだ。そう思った。 70年代のシティ・ポップが 「きっと街は素晴らしい。」という都市幻想なら、 現代のシティ・ポップを表現するとしたら 「それでも街は素晴らしい。」 シティという言葉や範囲が洗練されて、憧れのボーダーが低くなった今だから、逃避先はアメリカだったり、南国だったり、ロマンティシズムとヒロイズムにまみれた知���ない土地だったりする。それも最高だ。時間に真っ向から抗う同年代のバンドマンもいるし、今だからこそラウドな声で、何度でもオールライトと歌い続けるバンドマンだっている。 一方で、かつて若者が憧れた都会が均一化されて魅力が相対的に減ったように見えても、ちょっと立ち止まって街の声を聞いたら、こんなにも美しく映るのだ。かつて歌われていた「シティ」が存在しない世界でまだ見ぬリゾートだったのだとしたら、ceroの歌う「シティ」には、現実がある。彼らの曲を聞いているとき、ライヴを見ているときに込み上げる涙の中にほんの少しの「悲しみ」が混じっているのも、余りにもそれが「僕たちの物語」だからなのかもしれない。そして何より、幾ら反戦歌を作っても防げないという天災後の世界だからこそ一層、街が美しく、愛おしく、そして切なく映し出される。 《みんなも年を取り/いつかはいなくなるけど また誰かがやってきて/音楽をかけてくれるよ 何度も》 ("街の報せ”) 2016年は愛するサニーデイ・サービスも名盤「Dance To You」を(永井博のイラストと共に!)生み出したが、酸いも甘いも嚙み分けて、逃避も激情も経験した「大人」のすがたを、彼らには感じる。「諦めた後」の達観した世界を、見せてくれる。きっと世界は良くないし、良くならないかもしれない。そして年を取り、いつかはいなくなる。それを分かっているからこそ無機的=美しき無情を孕んだ音楽を作れるのだと思うし、そんな音楽からは密かに「若いうちは十分に焦っていいし、抗って良いんだよ」というメッセージも汲み取ることが出来る。 24歳から、25歳へ。シティ・ポップの定義の前に大人の定義さえ分からなくなっている年頃だけれど、「それでも街は素晴らしい」「それでも人生は素晴らしい」というメッセージを”街の報せ"から受け取って、少しだけ大人の世界に、次の解釈に、足を踏み入れた気がしたんだ。 何度も言うように言葉を定義づけることが目的ではないのだけれど、2016年ずっと考えていた「シティ・ポップってなんだ?」という僕の問答に1つのケリを付けてくれた出来事について、少しでも伝わって、何かを考えるキッカケになってくれたら嬉しい。 最後になったが、現代の日本に、確実にシティ・ポップは存在していると言える。少なくともceroが街の報せを届けてくれるのだから、今年の日本も、東京も、街も、音楽も、本当に楽しみだ。
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gghghhgghgghhg-blog · 7 years
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 知人が奄美大島に行って夏ですねとか海ですねとか言ってて妬ましさのあまりプロポーズしに行くぞ畜生とか思ってたんですけど、どこかでなにかがねじ曲がって、南の島には女子中学生がいて都会で疲れた人が行くと癒やしてくれるという都市伝説を思い出しまして、妄想がさらに発展して止まらなくなったのでなんか書いておきます。なお資料はウィキペのみなのであまり深く突っ込まないでいただけると幸いです。さすがに1記事で15000字越えはちょっと頭おかしいかなと思いました。なおまだ完成してません。気が向いたら続き書きます。
 俺の名は田中(仮名)。東京の都心で働く仕事に疲れた会社員である。年齢は27歳であり、年収は550万程度であり、結婚はしておらず、彼女とかはいない。いたことがない。まあ首尾よく社員としてそこそこの企業に潜り込めたはよかったが、なんかもう疲れた。どのへんに疲れたかというと、仕事をすることになんの意味も感じられないあたりである。金を稼ぐ。自分を養う。ではその自分はそんなに大事な存在なのかというと、けっこうどうでもいい。最近ベルトがちょっときつくなって��たわりと死んだ目をした独身のアラサーなどこんなに真剣に養ってやる必要がどこにあるのだろうか。  そう思った俺は発作的に会社をやめることにした。やめるにあたってはけっこういろいろあったのだが、なんかもうすべてがめんどくさいので「故郷の親が危なくて」で押し切った。まあこの時代、先のことを考えておかないと、いざとなったときに社会復帰できないという恐怖がないではなかったが、いざとなれば実家に戻ってフリーターでもやりゃいいやくらいの気分しかなかった。どうせ自分ひとりを食わせればそれで充分なのである。まあ親が帰ってこいとやかましいのは事実であるし。  というわけで、必要な手続きすべてを終えた帰り、ドトールに入って、その場でスマホで航空券の予約をした。夏とはいえお盆も過ぎて八月も終盤となると、格安航空券も取り放題である。出発はあさってということになった。
「あづい……」  実のところ、南の島とかに来てもやることはなんにもないのである。空港から島いちばんの都会までは、直行のバスがある。昼下がりの南の島は、圧倒的な直射日光の下、静まり返っていた。いや、車はけっこう通るんだけど。  印象といっても、特になにかあるわけではない。いってみれば、市街地である。大きな違いといえば、建物が平均的に低いせいか空が広く思える。あと道端にも南国っぽい木が平然といることだろうか。それ以外は、見慣れないチェーンながらもコンビニもあるし、ファミレスもある。なんなら筆文字で看板書いた「こだわってます」的な雰囲気を醸し出したラーメン屋もある。 「でも、まあ……」  俺は目を細めて空を見上げた。  空が青い。この青さは、いっそばかげている。いくらお盆は過ぎたとはいえ、しょせん日本は高温多湿、さらにこの島は降水量がやたら多いことでも知られている。豪雨災害なんかでもよく名前が挙がる島だ。いまも空にはおそらくぼんやりと水蒸気がかかっているのだろうが、そういうことは抜きにして、純度の高い青空だと思った。絵に描いたような入道雲なんて、いったい何年ぶりで見たんだろう。東京で、あるいは関東地方で見れないということもないと思うのだが、海というのは、自分とは違う民族の半裸族が闊歩する恐怖の場所、みたいな価値観の自分では、あまり見ることはなかった。  そして空気だ。  俺には年の離れた妹がいる。その妹というのがけっこう重度の喘息持ちで、東京都内に入るとてきめんに発作を起こす。そばにそういう存在があると、空気の汚れにはかなり敏感になる。かすかな潮の香りは、都会のそれのように淀んだ感じはまったくなく、どこまでも清々しい。  どこからか子供の笑い声がする。どうやら空を見て呆然と口を開けていた俺を見て笑ったものらしい。わりと気まずい。  なので、目の前にある、なんか筆文字で「一生懸命営業中」みたいなこと書いてあるラーメン屋に入った。 「らっしゃい!」  おっちゃんの威勢のいい挨拶に迎えられた。あとエアコンのものすごい冷気。壁面には鹿児島とんこつラーメン的なことが書いてある。ふだん家系しか食わない俺ではあるが、わざわざこんな場所まで来て家系にこだわる理由はない。それに鹿児島はラーメン激戦区でやたらレベルが高いという話を聞いたことがある。 「チャーシュー麺で」 「麺と脂は」  え、選べるんだ?  にしてもだ。  こういうところに来るときっと方言すごいんだろうなーとか思ってたのだが、おっちゃんの言語は別にふつうだった。ただ、イントネーションのことごとくが俺からするとおかしい。 「お兄さん、観光かい」  おかしい。圧倒的におかしい。まったく聞き慣れないイントネーションである。なんならいっそのこと異国情緒感じるレベルである。つーかおっさんの顔すごい濃い。 「まあ観光のー、人はーすぐぅわかるからねー」  な、なんとか俺のこの違和感を感じ取ってほしい。 「なんか、あるんですか。その、観光名所とか」 「うーん……地元の人間にはよくわからんな。だいたいほら、観光の人はまず鶏飯食べに行くでしょ。わざわざラーメン食べに来る人は珍しいよ」  そう言いながら、大島紬記念館、金作原生林、などとぽつぽつと観光名所らしきものを列挙してくれた。 「あそーそー。うちの姪っ子がさ」  とつぜん身内話が始まった。  なにごとかと思って身構えると、ラーメンの丼が出てきた。ものすごい腰の折られかたである。  出てきたラーメンは、白濁したスープでいかにも豚骨風。そこに大量のネギ、豚バラっぽいチャーシュー。れんげはカウンターに立ててあるから、それを使ってスープをすくって飲む。 「うわ、うっま」  思わず声に出た。  豚骨の臭みはある。あるのだがコクがやばい。そしてコクがあるのにあっさりとスープが喉を通る。 「いや、うまいっす」 「ありがとう。都会の人なんかもっとうまいラーメン屋いくらでも知ってるだろうに」  謙遜も甚だしい。固めの細麺はスープとの相性もばっちりであり、なによりチャーシューがやばい。なにこのやわらかさ。しばらくは俺が麺をすする音だけが店内に響く。 「あ、それでな。うちの姪っ子が」 「はいはい」  ラーメンに夢中なので話半分にしか聞いていない。 「あの、ほら、MPS? ボランティア?ってのやってて」  なんの略だろう。ボランティア……まさかNPOじゃねえよな……。 「土日に、地元の中学生が観光案内するっつー、なに、その企画みたいなのあんのよ。社会勉強みたいなもんかね」 「はあ」 「行くとこ決まってないなら、そういうの、どうかね」  まあ子供のやることなんだから、素人同然なんだがね、などと付け加えながら、なんかこう、某いらすとが有名ないらすと屋さんの絵とかワードとか使ったような素朴な味わいのA4のチラシをいただく。出現!創英角ポップ!! 「ごちそーさんでした」 「あぃやとーざいゃした!!」  代金900円を払いつつ、元気のいい声に送られて店を出る。  そしてまた灼熱の地獄である。エアコン効きすぎの店内で食ってたせいか、汗ひとつかいていなかったものが、ここに来てどっと汗が出た。喫煙者の俺としては一服したいところだったが、あいにく見える範囲に吸えそうなところはない。もっとも自転車のじーちゃんめっちゃタバコ吹かしながらふらふら走ってるけど。あれいいのか。  裏道では人もあまり通らないことであるし、ガードレールなんぞに腰掛けて、もらったチラシを見る。  地名はよくわからない。が、市街地からはそこそこ距離があるようだ。  少し考えてから、スマホの検索ウィンドウに「レンタルバイク」と入力する。結果、1件ヒット。  とりあえずの行動方針が決まった。あとはスマホの電源を切ればいい。もう、俺を束縛するものは、なにもない。
「ああああああああ……きーえるひこーきぐもー……��  バカみたいに声が出る。  海辺の道やばい。夏の空気突っ切って原付で走るのまじやばい。もうこれはほぼセックスといっていい。夏とセックス。セックス。煮詰まった独身男の思考はろくな方向に向かわない。ここには女性はいない。  気分いいなんてもんじゃない。  そもそも原付なんてものに乗るのが学生以来だから、もう10年近くだ。最初はおそるおそるアクセルを回していたものの、慣れてきたらコツを思い出した。そして市街地を出ると車の数は激減する。幅の広い二車線道路、路面状態も良好。車も少ない。そんな海辺の道を風を切って走ってたら国歌のひとつも口をついて出そうになるというものだ。いや、出てた。  もう、やばいの。濃密な緑色と、そこから飛び出しように生えているバナナみたいな木。エメラルドグリーンの海。スクーターで曲がるにはちょうどいいカーブで少し内陸に入ると、山のあたりでは切通しがある。その切通しを抜けると、また眼下には海が広がる。海に飛び込むようにまっすぐ下りていく道路。  とうの昔に営業をやめたような食堂めいた建物があって、その前に、こちらはぴかぴかの例の赤い自販機がある。ラーメン食ってからなにも飲んでいなかったので、そこにスクーターを横付けにして、飲み物など買う。  携帯灰皿は持参しているし、これだけ人がいないのなら、まあ一服くらいしても文句は言われないだろう。スクーターのシートに横向きに腰掛けて、海を見ながらタバコに火をつける。目線の高さに、海がある。とても近い。  チラシに目を通す。「わたしたちが、ご案内します!」という文字と、制服姿の女の子のイラスト。学校やPTAの名前も並んでいる。ぶっちゃけ最初に「姪っ子の中学生がご案内」という文字列を聞いたときには、迂闊に乗ったらそのまま交番に連れていかれる系のやつかと思ったが、地域ぐるみともなれば、そういうこともないのだろう。それにまあ、中学生といってもかならずしも女子が出てくるとも限らない。つーか年齢関係なく女子と名がつくものは苦手なので、積極的に避けていきたいスタイル。  どのみち予定なんか決まってない。なんなら帰りの切符の手配すらしてない。だとしたら、なりゆきで行動を決めてしまってもいいわけだ。なぜなら俺は自由なのだから。  ……などと言いつつ、やはり連絡が入ってないかどうか不安になって、スマホの電源を入れてしまうのは現代人の悲しい習性である。 「……」  着信6件。  え。  めったに見ない数字を見て呆然としていると、すぐにスマホが震えた。 「はい?」 『お兄ちゃん!?』 「え、ええ、ああ、おう!?」  切羽詰まった声にスマホを取り落としそうになった。  電話は、妹からだった。 『いったいいまどこにいるの!? 連絡しようと思ったらつながらないし、会社に電話したらやめたっていうし、心配したんだからね!?』 「あ、ああ、すまん……」 『法に触れるようなことはしてないんだよね!?』 「安心しろ。そんな度胸はない。つーかおまえは自分の兄をなんだと思ってるんだ……」 『ロリコン』 「ちげーよ!」  二次限定だし。 『シスコン』 「そっちはもっと違う」 『死ね!』  なんでいきなりキレるんだよ……。 「つーか用事なんだよ」 『お母さんが、週末には帰って来いって』 「あ、無理。いま俺、南国の島」 『どういうこと……』 「アローハー」 『うっざ……。ていうか、ちゃんと説明してよ……なにやってんのお兄ちゃん』 「あーうん、まあ……」  確かに実家への連絡を忘れていたのは俺の落ち度だった。ここまでの事情をかいつまんで説明する。が、やめた動機については、自分でも曖昧すぎてうまく説明できない。 『……なんか、よくわかんないけどさ』  妹が電話の向こうで深々とため息をつく。 『実家、戻ってきてもお兄ちゃんの居場所なんてないからね』 「そんなんわかってるよ。ただでさえ敷居高いんだし」  実家に戻るのは、あくまで最終手段である。 『……』 「なんだよ」 『お兄ちゃんのバカ!』  電話が切れた。  意味がわからない。  思春期?  17歳にもなって思春期はねーよな……。 「でもまあ……」  俺はスマホをポケットにねじ込む。  なんか少し、ほっとした気がする。遠く離れた南の島で、聞き慣れた声を聞く。ここもまた、日常と地続きである。考えてみれば、なんだか俺は無理にはしゃいでいた気もする。  そりゃまあ、特に問題なく勤めていた会社をやめて、不安がないといったら嘘になるのだ。不安をごまかすいちばんよい方法はなんであるか。  そりゃ、不安なんて存在しないんだと、なかったことにしてしまうのがいいに決まっている。  また、スマホが震えた。LINEの着信である。  妹さまからだ。 『バカ!』  と書いてあった。だからなんなんだよおまえは。
 目的地はまでは40キロほど。車だと1時間弱の道のりだが、スクーターだともう少しかかる。通年で営業している民宿があるようだったから、予約の電話を入れる。今日は金曜だから少し不安はあったが、問題なく予約できた。そして電話越しに聞くとイントネーションの不思議さは決定的である。  現地に着いたのは夕方の5時。  そこには、ちょっと冗談のような光景が広がっていた。  海岸線ぎりぎりのあたりを、緩やかなカーブを描いて貫く、真新しい舗装の道路。その海岸線まで山が迫っていて、わずかな平地に家が一列に建ち並んでいる。どこまでも続く石塀と、低くて黒ずんた屋根の平屋建て。海側にはさほど高くない堤防があり、堤防の向こうには、真っ白な砂浜が広がっている。その向こうには、こんな時間だというのに真昼の輝きを失わない、透明度の高い海が、どこまでも、本当に見渡す限りどこまでも広がっていた。 「おあー……」  堤防に座った俺は、なぞの呻きをあげた。  海を抱くように、両側に長く岬が伸びている。その岬が太陽の光を遮り、海を二色に分けていた。透明度の高い海は、光の乱反射で、なんの色ともいえない複雑な色味を呈していた。ただ、圧倒的で、きれいだった。日差しはかなりやわらいでいて、海から吹く微風がここちよい。 「夏だわ……」  正しい夏。本当の夏。  学生のころに思うぞんぶん夏を楽しまなかった、楽しめなかった人間は、すぐにそういうことを言い出す。それが幻想だということを百も承知でだ。  なんだ、あるじゃん、ここに。  これが本物でなくて、いったいなんだというのだろう。  宿さえ予約していなければ、ここでこのまま眠ってしまいたいくらいだった。  大学を卒業して、働きはじめて、長期休暇は混雑がいやだからどこにも行かず、冷静に考えてみれば、俺をそこまで束縛するものはなにもなかったかもしれないのに、それでもなにもせず。穴蔵みたいなワンルームで腐っていく。そんな妄想をいつもしていた。  飛行機に乗って、ここにたどりつくまで、半日も経っていない。  俺はいったいなんのために、なにに束縛されていたのだろう。  背後に人家さえなければ、俺は力の限り、大声で海に向かって叫んでいたと思う。それくらい、なにかの箍が外れたと思った。  てゆうか、その人家のほうに人影がある。数人が集まって、俺のほうを指差してなんか言ってるのが見える。  あ、これ知ってる。たぶん不審者扱いだよね。  俺は堤防から身軽に飛び降りたつもりで運動不足の下半身がしたたかなダメージを受けたのを感じつつ、道路の反対側にいる人たちに手を振った。小走りで走ったつもりになりつつ重力をその身で感じながら、道路を横切りつつ、声をかける。 「すいませーん、よしだ旅館ってこのへんですかー?」  警戒もあらわにしていた人たちが、その名前を聞いて、お互いの顔を見合わす。構成メンバーは、ばーちゃん一人、中年のおばちゃん二人、あと中学生くらいの女の子が一人である。 「まあまあ、それじゃあなたが予約の方ですか?」 「はい。って、え? じゃああなたが」 「はい。よしだ旅館の女将です」  よかった……名乗ってよかった……これから世話になる民宿の女将に不審者扱いされかけてた……。
 民宿ってのは初めて泊まった。あんまりプライベートが確保できなさそうなイメージだったが、まあだいたいそのとおり。食事は食堂というよりほとんど居間みたいなところで、経営している家族と一緒に食べる。メンツは、さっきの女将と、その旦那さん(やっぱり顔が濃い)。あと、さっき一緒にいた中学生の子は、ここの子だったらしい。そんで宿泊客は俺だけ。  つーかやばいのはメシ。魚介類まじやばかった。俺は本来あまり海鮮は好きじゃないのだが、好き嫌い無関係にうまいものはうまいのだと今日知った。女将さんいわく「急だったから大したものは用意できなかった」とのことだったけど、あれが大したものじゃないのだとしたら、大したものはいったいなにが出てくるんだ。想像がつかない。黒糖焼酎なるものを生まれてはじめて飲んだ。もともと酒は強いほうではないし、飲むとしてもチューハイくらいである。とうぜんストレートやロックはきつかった。そこで出てきたお湯割りってやつが、意外なくらいうまかった。クセはあるのだが、なんというか、まろやかで、香ばしい感じがする。  というわけで俺はいま、自分の部屋としてあてがわれた6畳間でひっくりかえっている。食い過ぎである。飲み過ぎというほどではないが、めったにないこと酔った。  時間は7時半。驚くべきことに、窓の外の海は、まだぼんやりと夕暮れの名残がある。窓を開けると、意外なくらい涼しい風と、奇妙な虫の声が聞こえてきた。あれはセミ……なんだろうか? 俺の知ってるセミと違う……なんかこう、セミ?的な。電子音っぽい……。  そして潮騒の音がここまで届く。  ときおり、車のエンジン音がして、セミが鳴きやむ。車が通り過ぎると、またセミの声。それ以外は、本当の無音である。  と、思いきや、なにか太鼓のような音が響いてきた。闇夜を揺るがすくらいの大音量だ。それに続いて、民謡の節回しが聞こえる。かなりの人数で歌っているのだろうか、太鼓に負けないくらいの音量である。メロディとしては、沖縄の民謡というよりは、俺が知っているふつうの「民謡」に近い。ただ、メロディが実に陽気だ。太鼓のリズムはどんどん速くなっていき、それに応じて歌も高揚していく。  ほとんど、異国に来たような気分だった。  俺は、呆然と、その響くような音楽を聞いていた。  ぎし、と背後で音がした。  思わず振り向く。  その音そのものには心当たりがあった。というより、古い木造家屋で育った人間なら、その音は馴染みが深いものだろう。  廊下へと続く襖は開けっ放しだった。そこに、ぎくりとした顔で立ち止まっている少女がいる。食事のときも見かけた、この宿の娘さんだった。  部屋の蛍光灯に照らされたその顔は、よく日焼け��ていて、ぽかんと開いた口から覗く歯が、やけに白く見えた。 「あ、ども」  曖昧に挨拶をする。  ぺこりと、娘さんは首だけを曲げた。そのまま立ち去ろうとするのを、なんとなく呼び止めてしまった。 「あの、音楽って」  娘さんは振り返る。 「いま鳴ってる、太鼓の音、あれ、なに?」  体ごとこちらに向き直すと、つまらなさそうに答えた。 「八月踊り」  こちらがまったく理解してないのを察してくれたのか、ぽつぽつと続けた。 「八月に、踊る」 「ああ、うん……」 「ごはん食べたり」 「うん」 「お酒飲んだり」 「うん」 「屋根に上ったり」 「……うん?」 「なんか、お祭り」 「そ、そうなんだ……」  ぺこっと頭を下げて、娘さんは床を軋ませながら走り去る。  なんか、ぜんっぜんわかんねーな……。  ちなみに、この宿の娘さんがなぜこの廊下を通っていたかは、酔いが覚めてめっちゃトイレ行きたくなったら判明した。そうよね……古い木造家屋ってトイレっていちばん奥まってる場所にあるもんな……。
 朝は、起こさなくてもいいと伝えてあった。  が、自然に6時くらいに目が覚める。つーか暑い!! エアコンなしでもあんがい寝れるもんだなーとは思ったけど、朝になったらこの日差しである。太陽まじ容赦ねえ。  セットしてあったスマホのアラームも意味がなかった。ちなみにスマホだが、驚くべきことに、こんな海辺の小さな漁村であるにもかかわらず、ちゃんと電波は来る。そしていつ届いたのだろう、妹からは「実家にはもう、お兄ちゃんの居場所なんてないんだからねっ」というツンデレのようなメールが入っていた。なんのキャラを演じてるんだろう……いや待て、もともとそういう傾向あったような気がする……。  その後、軽く調べてみた。  八月祭りというのはなんちゃらペディア様ほかを参照すると、鹿児島から沖縄にかけてよく行われる祭りであるらしい。動画もあったので確認してみたが、まさに昨日聞こえてきたアレである。BPMは最終的には相当のレベルまで上がる。日本の民謡のようだといったが、ものによっては指笛なんかも入っていて、そのへんはやはり沖縄の雰囲気を感じる。このあたりでは旧暦の8月、つまり9月の末から10月の頭にかけておこなわれることが多いようだった。  朝食は8時からとのことだったので、顔を洗って、周囲を軽く散歩してから宿に戻る。  食堂には女将だけがいて、食事は俺のぶんだけが用意されていた。どうということのない旅館朝食メニューだが、中央にどっかーっとなんか巨大な白身魚の焼いたやつが置いてある。あと娘さんがテーブルの反対側に用意されている。別に俺のためじゃないからこれは関係ないか。あいかわらずむすっとしてるのでちょっと気まずい。 「この魚……なんですか?」 「ん? アオマツだよ」 「ほー」  聞いてもわからん。すぐにでもウィキペ先生に聞きたくなるが、まああとでいい。  そんでまあ、うまい。白身魚っていうと、すぐにぼろぼろとなるような印象があるんだけど、噛みごたえがしっかりしていて、旨味すごいある。必死に食ってると汗が出てくる。家のなかは意外なくらいに涼しくはあるのだが、しょせんは夏である。南国である。ちなみにこの食堂、エアコンあるんだよね……なんでつけてくれないんだろう……。  なんとか食い切ると、女将さんが麦茶を持ってきてくれ。礼を言ってコップを持つと、手を思わず引っ込めるほどキンッキンに冷えている。飲むと体からすーっと熱さが抜けていく感じがする。なお娘さんはプリンをちまちまと食っている。こればかりには日本全国どこでも同じ、例の底の穴がプッチンするとプリンが出てくるやつだ。 「お客さん、今日は?」 「いや、特に予定ないです」  宿はいちおう2泊取ってある。つまり、今日一日はまるごとフリータイムである。 「じゃあさ」  女将さんが、娘さんの肩に手を置いた。 「今日は、この子がガイドやるから」 「はい?」 「だから、ボランティア」 「……え?」
 実はもらったチラシは、昨日の夜に女将さんに渡してあった。わざわざ書くまでもないだろうと思ったのは、もう実質的にその制度は廃止になっていたからだ。 「田舎の人間はねえ、こういうのぱーっとやりたがるんだけど、反響がないとすぐに放り出すんだよー」  まあ田舎に限らずそんなもんであろう。  俺としては、別にそれ目当てで来たわけではない。単にきっかけに過ぎない。女将さんもその話はそれで切り上げてしまったので、まあそういうもんだろうと思っていた。  そんで、なぜかいま、炎天下、俺は宿の娘さんと二人で立っていた。  この子、ちっこい。中学生にしてもちっこい。さらに日焼けした肌と、わりとてきとーに短く切った髪と、アディダスとか書かれたどうでもいいTシャツにハーパンで子供っぽさ役満である。どうかすると小学生に見える。虫取り網似合いそう。俺と並ぶとほぼ親子である。  ……親子ならまだしも、犯罪臭漂ってねえよな?  親子と言い切るにはちょっと微妙な感じだ。俺が27歳。この子が中学生。お兄ちゃんでギリギリ行けるでしょうか。  奇妙な電子音っぽい鳴き声のセミが鳴いている。潮騒の音と、背後の山が風でざわめくかすかな音。圧力すら感じる直射日光。ここは静かだ。すっげえ間がもたねえ。 「あ、あのさ、その、俺、別にひとりでかまわないし、女将さんにそう言ってくるから」 「……」  娘さんは首を横に振った。 「お母さん、怒ると怖いから」 「あー」  うん……なんか断れない雰囲気あるっていうか、押し強そうだしね……。 「おじさん」 「……」 「……おじさん」 「……俺?」 「うん」  俺は思わず娘さんをガン見した。  つむじ見えた。  ……ですよね。ええ。うん。いいんだけど別に。わかってるから。これくらいの年の子から見たら俺もうおっさんですよね……。でもなあ、同期のなかじゃ比較的童顔で通ってるんだけどなあ……。 「おじさん、どこ行くの?」 「どこって……え、それはガイドさんが案内してくれるのでは?」 「だって、観光しないし」 「ですよねー。あと俺は27歳です」 「……?」 「27歳は、世間的にはおじさんかなー?」 「うん」 「あーうん。そうですか……。ちなみに君は……えっと……」 「中2」 「まじで!?」  言った瞬間、抗議の視線が飛んできた。踏んじゃいけないもの踏んだらしい。まあデリカシーのなさには自覚がある。まあ自覚あったところで治るものでもないんですけどね!  ともあれ、場の空気はもっと悪くなった。 「んー、じゃあさ、とりあえずふだんよく行くところとか案内してよ。こっちはなにも知らないし、こんな場所まで来たの初めてだから、なに見たって退屈しないし」 「私がつまんない」 「いや、そこは折れようよ……」 「……」  娘さんは、ちょっと考えたあと、学校、店、海、おじさんち、むらかみさん、などの単語を挙げた。後半ちょっとよくわからないな。 「ほんとに、こんなんでいいの?」 「なんでもいいって。ほら、君だって別に来たくて来てるわけじゃないし、俺も無理させてるようで気が引けるし、ちゃっちゃと済まして、やることやったよーってお母さんに報告すればいいじゃん」 「別に、いやなわけじゃない」  ふてくされた顔で言った。あ、いちおうそういう建前を言う感覚はあるんだ。  娘さんが歩き出す。俺もそのあとをついていく。  ゴオオと空気を切り裂くような重低音が響いてきた。思わず空を仰ぐと、かなり低い空を飛ぶ飛行機が見えた。その金属質のボディと、轟音と、夏の空とは、なぜか調和しているように見える。
 人っ子ひとり通らない海沿いの道を淡々と歩く。セミの声となんかよくわからんけどとにかくやかましい鳥の声。ときたま通りかかる車の音以外はほんとうに自然の音しかない。こんな場所を知らない人間と二人で歩いていると、現実感みたいなものが失われてくる。あと娘さん、歩くペース速い……。  ふくらはぎが痛くなってきたのを自覚しつつ、俺は娘さんに話しかけた。 「そういえば、名前聞いてなかった」 「……?」  娘さんは振り返った。振り返って、不思議そうな顔をした。 「おじさん、足遅いの?」 「……ハハハハおじさんだからね」  いま気づいたけど、人に言われるより自分で名乗るほうがグッサリ来るなこれ……。 「もうちょっとゆっくりしたほうがいい?」  気遣われました。ありがとうございます。死にたい。  そうは言ってもこの直射日光、けっこう来るものがある。気温そのものは、たとえば東京都心の昼下がりなんかと比較すると、そこまでやばくはない。なにしろここでは心地よい風が吹く。ただ日差しな。直射日光ってのがここまで人体にダメージ与えるものだとは思ってなかった。 「暑いの?」 「暑い。つーか君、よく平気だね」 「だって、10月くらいまでずっとこんな感じだし」 「南の島やべー。あーコンビニとかないのかな」  タオルとか飲み物とかすっげー欲しい……。 「あるよ。町に」 「歩いていける範囲には……」 「ない。お父さんの車で30分くらい。お母さんだと20分」  女将さん、やばい。そもそもさっき地図見たときに、ここまで1時間弱って出てた気がするんですが。どこかほかの場所にコンビニがあることを祈ろう。  タオル欲しい。あと飲み物欲しい。まじで熱中症心配になってきた。 「自販機とかは?」 「あと10分とか、15分くらい」 「おー……」  がんばろう。行軍再開である。 「あ、よしだ」 「……え?」 「名前。よしだ」 「ああうん。よしだ旅館の娘さんだもんね……」  なんだろう、名字呼びしたほうがいいんだろうか。  俺にペースをあわせると退屈なものらしく、歩道の縁を歩いたり飛び降りたりしている娘さんに呼びかけてみた。 「よしださん」 「ぅえー」  露骨にいやな顔をされた。 「どう呼ぼうか」 「梨衣でいいよ」  果物の梨に、衣類の衣で、りえ。そう説明してくれた。 「梨衣ちゃん」 「……」  梨衣ちゃんとやらの動きが落ち着かなくなった。もじもじとあっち見たりこっち見たりしたあげくに、 「ちゃんとか、恥ずかしい」  ぷい、と視線を逸した。  やだなに、かわいいこのいきもの……。  まあそういえばこの梨衣ちゃんとやら、あまりに素材そのまんまなものでうっかりスルーしてたが、けっこうかわいいのである。髪の毛はバサバサだし、日焼けしまくりだし、眉毛はしっかり主張してるんだけど、目元とかぱっちりしてて、わりとアイドル顔っぽい感じである。ただし80年代くらいの。でもまーかわいいものはかわいい。そういや女将さんからして、鄙には稀な、といってはアレかもしれないが、まあちょっと目を引く感じの美人さんではある。 「なんとかそれで慣れてください。俺も呼び捨てとか気がひけるんで……」 「……なんかやだ」 「まあ、観光客だから。すぐいなくなるから」 「……」  唇をとがらせて黙り込む。いちおー承諾と受け取っていいんだろうか。
 歩くこと15分ほど。  道路は海沿いから内陸に入っていた。この見るからに山だらけの島で、内陸に入るということは、つまり上り坂ということである。トンネルなんかも潜った。すでに路肩に車道はない。とはいえ、道はあいかわらずの高規格で、車もめったに通らないから、不安はない。でも人家まったくない。なんとかヤマネコとか出てきて食われそう。やっぱ怖い。  問題は俺の体力である。つーかさすがに30分ばかり歩いた程度でここまでバテるとは思ってなかった……。  もうだめだ。  そう弱音を吐きそうになったときに、先を進んでいた梨衣ちゃんが呼びかけた。 「おじさん、自販機」 「おお……」  よろよろと前のめりに速度を上げる。  山側を大きく削りこんで、車の10台は止められそうな砂利敷きのスペースがあった。そのいちばん奥に、例の真っ赤な自販機が1台、ぽつんと立っている。そしてそのワキにプラスチック製のベンチが5台くらいずらずらと並んでいる。なんだこのシュールな光景。 「す、すぽど……」  500円玉ぶちこんで、アクエリアスのボタンを連打。ガコンと音がして出てきたペットボトルを速攻で取り上げて一気飲み。 「ぷっはーーーー生き返るわーーーー」  もちろん梨衣ちゃんが物欲しそうにこちらを見ている。 「梨衣ちゃんは? なに飲む?」 「え、いいの?」 「そりゃまあ、ガイド代払うわけでもなし、飲み物くらいは……」 「じゃ、じゃあ……」  梨衣ちゃんは、周囲を窺うようにしてから、こっそりと言った。 「コーラ、飲んでいい?」 「? いいんじゃない? 真っ赤な自販機のアレだし」  ぱーっと梨衣ちゃんの表情が明るくなる。怪訝に思いながら自販機に200円を投入。梨衣ちゃんが、祈りでも込めるようにボタンを押す。  黒い液体の入ったボトルを見て、感動の表情を浮かべる。 「……コーラ、そんなに好きなの?」 「えっと……飲んだことない」 「え」  なにこれ。若者のコーラ離れ? 「お母さんが、骨溶けるからって……。でもお父さん、いっつも飲んでるし」  女将さん……まじか……いつの時代の話だよ。  まあ飲みすぎていいもんではないだろうが、よそから来た人間がこっそり飲ませるくらいはいいだろう。 「お母さんには、内緒だからね」  真剣な顔で梨衣ちゃんが言った。  ウッ。かわいい……。  俺は、追加でアクエリを買って、ベンチにどっかと腰掛ける。梨衣ちゃんがちょっと距離を開けて、ベンチに座る。神妙な顔でキャップを開ける。すると、コーラ最初の儀式が始まった。 「あわっ、あわっ、あわすごいっ」  ベンチにペットボトルを置いて、飛び退る。泡はじきに収まる。梨衣ちゃんは、おそるおそる近寄って、俺を見上げて不安げに聞く。 「爆発しない?」  なんかもう、純朴そうな日焼け少女がそんな顔でこんなこと言ったら反則である。  コーラで汚れたぶん、もうちょっと俺の近くに座る。べたべたするのか、指で支えるようにして両手でペットボトルを持って、慎重に飲む。 「ぴりぴりする」 「炭酸だからね」 「変な味」  舌をべっと出す。動作のいちいちがかわいいなこの子。 「でも、ちょっとおいしい」 「それはよかった」  コーラ初体験の梨衣ちゃんが全部を飲み終えるまでは時間がかかるだろう。俺としても、ちょっとは休憩していきたい。水分が体に浸透してきたのか、疲れは相当にましになっている。  風が、心地よかった。  BGMは、あいかわらず謎の鳴き声のセミがメインである。昨日調べたところによると、オオシマゼミというやつらしい。このへんになると、聞き慣れたニイニイゼミだとかクマゼミの声も聞こえる。時間帯とか棲み分けとかあると思うんだけど、なんかごっちゃになって鳴いている。  ベンチにもたれかかって空を仰ぐと、あいもかわらずの容赦なしの青空である。  夏休みって、こんな感じだろうか。  子供のころ、夏休みって、なにをやってただろう。個々の記憶はあるのだが、全体のイメージは漠然としている。40日もあるあの長大な休み。あの膨大な休みは俺の記憶のどこに消えたのだろう。ただ、気分だけは残っていたらしい。こんな年になって、俺の上に夏休みが降ってくる。この瞬間が永遠に続くような錯覚を覚えた。 「おじさん、東京から来たの?」  ちびちびとコーラを舐めるように飲んでいた梨衣ちゃんが言った。 「あー、うん」 「東京って、原宿?」  把握が雑だった。 「原宿にオフィスはあんまりないなー」 「秋葉原?」  どうやら知ってる地名を言ってるだけのようである。  どうやって東京を説明しよう。 「えーと、そうだな、東京は、この島よりちょっと狭い」 「ふーん?」 「で、そこにここの200倍くらいの人が住んでる」 「にひゃくばい……」  よくわからなくなったようだ。 「そうだなー、島全部が、あの町みたいなのでべったりと埋め尽くされてて、もっとビルとかたくさんあって、人間がいる感じ」 「……」  小さく首をかしげる。 「じゃあ、どこで泳ぐの?」 「うーん……泳がねーなー」 「じゃあ、夏はなにしてるの?」 「……ゲームとか? あと……なんだろ……」  なんだろう。  いわれてみれば、俺はなにをしていたのだろう。  いったいあの町で、俺以外にも無数の人間がいるあの町で、俺は、何者だったのだろう。 「わかんねーなー」  俺は苦笑してみせた。  あまりに強い直射日光は、人から思考能力を奪う。濃い緑のにおいが、それを肯定する。おまえはちっぽけだと、大したことのないものなんだと、大きくて深い声を浴びせてくる。それを一緒に聞いているのが、たとえば将来を誓いあった女性でもなく、親友でもなく、昨日会ったばかりの見知らぬ女子中学生だというこの状況が、少しおもしろかった。少なくともここでは俺は俺以外ではありえない。なぜなら、ほかに人間がいないのだから。 「さてと」  ゴミ箱めがけて空のペットボトルを放り投げる。数メートルの距離だったが、見事に命中。目を見開いた梨衣ちゃんが真似をする。これも命中。俺に対してちょっとドヤ顔をしてみせる。やだかわいい……。
「学校」  道は海沿いに戻っていて、ちょっとした集落に差し掛かっていた。目の前の鉄筋コンクリート2階建てのごつい建物。どんな台風が来てもびくともしなさそうな重厚さがあるが、あちこちひび割れて補修の跡もある。そして敷地をぐるりと取り囲む石垣。この場所では、学校すら石垣のなかである。  梨衣ちゃんはすたすたと校門を通って敷地内に入る。俺はもちろん立ち止まる。 「おじさん?」 「部外者とか、まずいでしょ」 「? 別にいいと思うけど」 「あとで見つかって文句とか言われない?」 「なんで? おじさんうちのお客さんだよ」  すごいなー。ゆるいなー。地域全体がそうだってことは絶対にないと思う。単にこの子が警戒心ないだけなんじゃないだろうか。  地域で開放されているのかなんなのか、玄関も開きっぱなしである。梨衣ちゃんは自分の下駄箱とおぼしきところまで行き、とぼとぼと帰ってきた。 「うわばき、うちだった」 「あー、夏休みだからね……」  来客用とおぼしきスリッパを2つ持ってくる。 「ほんとにいいのかな……」  スリッパのひんやりとした感触。床の素材は、これリノリウムってやつじゃないだろうか。この妙に光沢ある感じと、ちょっとやわらかい感触。  民宿でも思ったのだが、室内はほんとうに過ごしやすい。廊下をぺたぺたと歩いていくと、梨衣ちゃんが教室の扉を開けた。 「ここが、私の教室」
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