#猫が食べると���ない食品植物家の中の物図鑑
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honnakagawa · 9 days ago
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6月18日(水)open 12-18
私ごとですが、久々の歯科治療が今日から始まりました。 なかなかの工事を午前中にしたので、ちょうど開店時間頃に麻酔が切れる…とドキドキしていたのですが、もらった痛み止めを飲む事もなく、現在に至ります。 先生の腕が良いのだなぁ…と感謝。 暑くて歯が痛いなんて、ちょっとグレちゃうよね、良かった。
今日もたくさん本が届いたので黙々と棚し出し��ました。 今日もストーリーズでなく、こちらに投稿します。 届くのを今か今かと待っていた高研さんの『隙間』完結4巻が届き、喉から手が出て、読了。 しばし放心。 何度も何度も読むだろう漫画作品です。 私の初めての投票は、緊張こそはしたけれど、こんなに切実ではなかった記憶。胸に迫る… 映画になったらいいなぁ…動いているヤンちゃん(主人公)に会いたい。 そしてきっと、音楽も素敵なものになるだろうと想像します。
早速届いたばかりの本をお会計に持ってきてくださった方もいて、嬉しい定休日明け。 今週もよろしくお願いいたします。 とにかく暑い毎日となりそうです。 どうぞ皆さまお気をつけて、無理なくお出かけくださいね。 出口かずみさんの新作絵本『ビーバーのギイコははこびたい』原画展は29日(日)まで!
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2ttf · 13 years ago
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itokawa-noe · 3 years ago
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ねこはいるだけでいい
「お母さん」をめぐるSF。
Kaguya Planet公募(ジェンダーSF特集��参加作品でした。(1,1802文字/2021年12月12日)
ーーー
【マーサ】
 信じるもんかと彼女は思った。  白い肌に金の髪に青い瞳などという不気味な色をした人間が、まともであろうはずがない。向こうは向こうで緑の肌に銀の髪に紫の瞳という彼女の外見にぎょっとしたようだが、表情に出したのはほんの一瞬、のぞきかけた腹のうちを笑顔の下にしまいこんだそのすばやさが、かえって彼女を警戒させた。相手の女の口から出てくる妙ちきりんな音の連なりは自動翻訳機によると友好的な文句ばかりで、それがまた胡散臭さに輪をかけた。  女はしつこかった。おなじ色をした子どもとふたりで朝な夕な彼女を訪ねてきた。  彼女は船に立てこもり、まともにとりあおうとしなかった。  扉の前に置いてゆかれた物資は、慎重に検めたうえで使えるものだけ船の中にひっぱりこんだ。燃料や毛布は害なしと判じた彼女だけれど、食べものには手を出さずに我慢した。冷凍睡眠明けの飢えは、草や実や根を食べてしのいだ。同じ未知なら人間よりも植物のほうがまし。それが彼女の見解だった。  連中が大きなバスケットを抱えて現れたときは、心が揺らいだ。  子どものほうが「ほら」と目の前であけてみせたバスケットの中身は彩り豊かで匂いもよく、ちらとのぞくなり口の中が唾でいっぱいになった。思わず手をのばしかけたとき、女のほうが言った。 「私はマーサ。この子はチリル。あなたの名前を訊いてもいい?」  彼女はふたりに背を向けた。それから数日というもの、一歩も船から出なかった。  堅牢な要塞は、だけど突然やぶられた。敵が飛び道具を持ち出したのだ。  マーサと名乗った女が使ったのは火。燃やしたのは彼女の船、ではなく、拾い集めた枯れ枝や落ち葉だった。焚き火の上に吊るされた小鍋から立ちのぼる匂いに鼻先をくすぐられるや、投げ縄に捕まったみたいにぐいと体が引き寄せられた。そこから記憶が曖昧になり――気がつくと、からっぽの鍋が目の前に転がっていた。 「うちにくればもっとあるよ」 「でっかい鍋にたっぷりとね」  最後はあっさり陥落された。
 浮遊車で連れてゆかれた先は、赤い三角屋根の家。  マーサは彼女を風呂に入れ、温かい服を着せ、鍋��っぱいの煮こみ料理を食べさせてくれた。 「しちう」というらしいそれは、緊張にこわばっていた顔が一瞬でとろけてしまうほどおいしかった。味のしみた野菜や舌のうえでほろりとほどける肉をとろみのついた汁と一緒におなかの中へと送りこむにつれ、体がぽかぽかぬくもってくる。夢中で掻きこみ「おかわり!」と視線をあげ、やわらかく細められた瞳に見守られていたことに彼女は気づいた。〈お母さん〉みたいな人だ。耳が火照るのを感じながら、そう思う。自分の〈お母さん〉のことは、なにひとつ知らないけれど。 「どうして親切にしてくれるの」彼女には、それが不思議でたまらない。 「困ったときは助けあうものでしょ」横っちょにしちうをくっつけた口で、こともなげにチリルが返した。 「でも私は異星人だ。もっと疑ったり怖がったりするものじゃないの」 「でもおなじ人間だ。生まれた星が違うだけで」 「しかも、あなたはまだ子どもじゃない。たったひとりで遠くからきて、心細い思いをしているでしょう」 「子どもじゃないし」むっとして、彼女は頬をふくらませた。「年齢的には〈お母さん〉にだってなれるぐらいだ」 「おかあさん?」 「そうだよ」と尖らせたくちびるが、ぽろりと続きを取り落とす。マーサの肩越しに見えたものに、彼女の瞳は釘づけになる。  まるい顔、三角の耳、長いしっぽに光るまなこ。  へんてこな姿をした毛むくじゃらが、窓の外から彼女を睨んでいる。 「あれはなに」 「なにって、猫だよ。知らないの」  知らない。四つ足の獣なんて、彼女の星ではもう図鑑の中にしか存在しない。〈役割〉を自覚する以前、幼かった頃の彼女は図鑑を愛読していた。けれど、こんな意地の悪そうな目つきをした生き物はどこにも載っていなかった。 「どうしたのサミィ。入っておいでよ」  全身の毛を逆立てて、ねこは呼びかけを拒絶する。チリルは困惑しているようだが、彼女にはわかる。射殺さんばかりの眼光、剥き出しの牙と憎悪の唸り。これは糾弾、彼女がここにいることを責める顔。彼女にはわかる。彼女はこの顔を知っている。  彼女は立ちあがった。 「帰る」 「帰るってどこに」 「船」 「船って、まさかあの地面にめりこんでるやつのことじゃないよね」チリルが目を剥き、 「このままうちにいればいいよ」マーサが肩に手を置くも、 「私には〈役割〉がある。馴れあいは不要だ」  ぴしゃりと言ってはらいのけ、彼女は家を飛びだした。    マーサもチリルも追いかけてはこなかった。  ほっとしたような肩透かしを食らったような気分で、彼女は足をとめる。  森の中だった。  彼女の船が不時着した、落葉広葉樹の小さな森だ。  この土地の人々��とってはありふれた風景らしいが、彼女は一向に慣れる気がしない。両腕をまわしても抱えきれない幹に、雨宿りができるだけ茂った枝葉に、ふりそそぐ鳥のさえずりに――自分の背より高い木を見たことのなかった彼女は、何度だって圧倒される。  ひらきっぱなしになっていた口が、ゆっくりと笑みの形になる。  完璧だ。申し分のない環境だ。  約束された未来を思い、彼女は胸を昂ぶらせる。――この星には私たちが失ったものが残っている。きっと誰もが私を見直す。新しい家を見つけた私を、みんなの〈お母さん〉と称えさえするかもしれない。  問題は、この大発見を同胞に報せる術がないことだ。  自動操縦で彼女をここまでつれてきた船は、墜落の衝撃ですっかり壊れてしまった。通信機だけでも早急に修理したいところだが、彼女には機械を扱う心得がない。学ぼうにも学ぶ機会がなかった。彼女に求められる〈役割〉には必要のないことだったから。 「こんにちは」  急に声がして飛びあがった。  いつの間にか、背後に老女が立っている。 「はじめまして。わたしはトキエ。あなた、お名前は?」  不意打ちの問いに彼女は凍る。心臓が乱れ打ち、冷たい汗が噴き出してくる。 「……忘れた。記憶がない。宙から落ちて頭を打って、ぜんぶ忘れた」  言うだけ言って船に逃げこみ扉を閉める。  その場にへなへなしゃがみこみ、膝を抱えて小さくなった。
【ハオラン】
 彼女の星にだって様々な色の人間がいた。  いたにはいたが、ともに暮らす者どうしは同じ色をしているのが普通だったから、ちぐはぐな色に並ばれると居心地が悪くなる。 「はじめまして」ふわふわ喋るのは髪も瞳も黒い女。 「マーサからあなたのことを聞きました」ほわほわ笑うのは赤っぽい髪に緑の瞳の男。 「マーサ、あなたを気にかけていたよ。でも急に出かけなくちゃならなくなって」 「かわりに様子を見てきてほしいと頼まれたんです」 「どうかな、一緒に朝ごはんでも」 「きっとおなかが空いているでしょう」  まんじりともできなかったせいで充血した目で、彼女はふたりを睨めつけた。 「べつにおなかなんて」  空いてない。そう続けようとしたのを遮るように、ぐぎゅうぐるると腹が叫んだ。  頬を赤らめ、彼女は俯く。  ふわふわとほわほわが、顔を見あわせにっこりした。
 ふわふわ女の名はハオラン。ほわほわ男の名はエドゥアル。  ふたりはマーサとチリルの「お隣さん」で、マーサたちの家の屋根だけを青くしたような一戸建てに住んでいた。  改めて見まわしてみれば、周囲の家々はどれも似たり寄ったりの外観だ。こぢんまりとした三角屋根で、塀がない。住宅どうしが共同の庭でゆるやかに繋がったさまが、彼女��目には奇妙に映る。国も街も住居も人も、彼��の星では区切られ隔てられていた。  ハオランの用意してくれた「さんどいち」はおいしかった。だけどマーサのしちうのほうが、彼女はずっとすきだった。
 朝食が済むと、エドゥアルはハオランに口づけをして出ていった。  エドゥアルだけじゃない。窓の外の広い庭は、いつのまにか近隣住民と思しき人たちでいっぱいになっている。「おはよう」「おまたせ」などと挨拶をかわしながら、続々とどこかへ出かけてゆく。 「みんなどこに行くの」  窓辺の花に水をやっていたハオランに、彼女は訊ねた。 「人によって違うけれど、子どもは学校、大人は職場に行く人が多いんじゃないかな」 「ハオランはいかないの」 「いかないよ」  なるほど家で働いているのか。そう考えた彼女は、自分も仕事を手伝いたいと申し出た。 「仕事? そんなのないない。さ、お茶しよう」  冗談を言っているのだと思った。他の人達が〈役割〉を果たしているあいだに自分だけお茶なんて。ところが、ハオランは本当にお茶を淹れはじめた。小皿に焼き菓子まで添え、いそいそとソファへ運び、準備ができたよと彼女を呼んだ。  得体の知れないものを前にしたような気味の悪さに襲われ、彼女はハオランを凝視した。 「どうしたの? こっちにおいでよ」  不思議そうに見返してくる黒い瞳と目があって、そこではっと気がついた。ゆったりした服が体の線を隠しているせいでわからなかったが――そうか! 〈お母さん〉になるのだ! であれば彼女も納得だ。新しい命を胎に宿した〈お母さん〉は、盗まれたり傷つけられたりすることのないよう家に仕舞いこまれるものだから。  彼女はハオランを言祝いだ。  ハオランはきょとんとし、そのあとで吹き出した。 「このおなかに詰まってるのは、ほどよい量の脂肪と内臓だけだよ」  早とちりを彼女は詫びて、 「でも」気まずさを紛らわせようと急いで言った。「いずれ〈お母さん〉になるんでしょう」 「おかあさんってなあに?」  今度こそ冗談だと思った。だけどハオランの表情に悪ふざけの色はない。 「〈お母さん〉は、女の親だよ」面食らいつつ説明するも不十分な気がして「ええと、それから」頭の中にある〈お母さん〉を言葉にしようと試みた。「おいしくて栄養のある手作りごはん、よく手入れされた服、掃除のゆきとどいた住まい、そういうものを整えて、子どもを健やかに育む人。いつも家族が優先で、自分のことは後まわし。愛情深くて忍耐強く、対価は決して求めない。自己犠牲と献身と無償の愛、それが母性、すなわち〈お母さん〉の条件だから」  彼女の演説のなかばから詰めていたらしい息を、ハオランは「……へええ」と吐きだした。「すごいんだねえ。人間というよりも、神様かなにかみたい」 「本当にこの星には〈お母さん〉がいないの?�� 「いないよ、そんなすごい人」 「だったら、子どもは誰が育てるの」 「親と周囲の大人たち。みんなで一緒に育てるよ」ハオランはにこやかに答え「そういう意味なら」と話をもどした。「わたし、親にもならないよ」 「それってつまり」口にしかけた問いが、音になる直前で喉につまる。鼓動が速くなるのを自覚しながら、彼女は訊いた。「あなたも産めない女なの?」 「うーん、どうだろう。そもそも産もうと思ったことがないんだよね。わたしとエドゥアルは、ふたりの暮らしが気に入ってるから」  彼女は絶句した。顔色を失くし、瞬きを忘れ、唇を震わせてハオランを見つめた。 「おかしいよ」やっとのことで出た声は悲鳴みたいに引き攣っていた。「産めるかもしれないのに産まない? そんなのおかしい。ありえない。子を産み育てることが女の〈役割〉でしょう。〈役割〉を果たさない者は罰をうけるよ。生きてる価値がないって責められるよ」  ハオランの瞳がゆれた。  おだやかな笑みに彩られていた顔が、痛みを堪らえるように歪んだ。 「そんなことないよ」ハオランは彼女の手をとった。そっと握って、静かに言った。「他人から押しつけられる役割なんてない。そんなことをしようとする人がいたら、うるせー知るか! って蹴散らしていいんだよ。もちろん罰なんてものもない。この星では、誰もあなたを責めたりしないよ」  ハオランの言っていることが、彼女にはわからない。わかるのは、自分を抱きしめんとするようにさしのべられたまなざしのせいで胸がざわざわすることだけだ。  逃げるように目を逸らす。  窓の外にねこがいた。  陽だまりのベンチで丸くなり、気持ちよさそうに眠っていた。 「そうだよ、ほら」彼女からねこへ、また彼女へ。視線を移し、ハオランが口もとをほころばせた。「猫は、ただそこにいるだけでいいでしょう。人間だって同じだよ」 「違うよ。ぜんぜん違う」彼女は激しく首をふる。「それに私、ねこは嫌いだ」  ハオランが悲しげに目を伏せる。  短い沈黙のあとで、 「訊いてもいいかな」彼女を見据えた双眸は、夜の湖面を思わせた。「あなたは『おかあさん』になりたいの?」 「当たり前でしょ。女に生まれた者は誰だって――」 「そうじゃないよ。あなたの心は『おかあさん』になることを望んでいるの?」  彼女は答えなかった。  心のどこにも、答えがなかった。
【ユースフ】
――あなたの心は『おかあさん』になることを望んでいるの?  それならいいの。でも、もしもね、自分の心の声を聞くより先に外側からそう思いこまされているのだとしたら、それは苦しいことなんじゃないかって。  考えないほうがいい考えるべきじゃない早く追い出してしまえ、でないと頭がぐちゃぐちゃになる、と彼女は思う。だけど何度寝返りを繰り返しても、ハオランの声をふりはらえない。 ――「おかあさん」のことは、わたしにはよくわからない。でもね、産まなくても、同じ家で暮らさなくても、誰かと一緒に子どもを育てる方法はたくさんあるよ。  扉を叩く音に物思いが破れる。  彼女は息を潜め、招かれざる客が去るのを待った。  だが敵は粘り強い。  痺れを切らして起きあがる。追い返してやろうと扉をあけて、驚いた。  ひとつには、いつの間にかすっかり夜がふけていたから。もうひとつには、そこにいたのが予期したのとは違う人だったから。 「夜分遅くにごめんなさい。格好いいおうちを見つけたから、どんな方が住んでいるのか気になって」 「おうちじゃなくて、これは船」 「あら、お船なの。色も形もイルカみたいでお洒落ねえ」くしゃっと丸めてゆるく広げた紙を連想させるしわしわの顔のうえで、きらきらっと瞳が光る。「はじめまして。わたしはトキエ」  昨日も会ったよ。憶えてないの。突っぱねかけて、はっとした。異星人に遭遇したことを憶えてない? そんなの普通じゃありえない。 「あなた、お名前は?」昨日とおなじ質問に、 「ない」昨日とちがう答えを彼女は返した。どうせ明日には忘れられる。そう思ったとたん、嘘をつくのがばかばかしくなったのだ。「昔はあったけど、今はない」  名前を所有できるのは、社会にとって価値のある人間だけだ。  社会にとって価値があるというのは、求められる〈役割〉を果たせるということだ。  だから彼女は、ハオランのような人がのうのうと暮らしていられることが理解できない。どうして名前を取りあげられないのか。どうして役立たずと糾弾されないのか。どうして「不要な」髪を剃られたり「無駄な」腹を蹴られたりしないのか、生きている価値がないと罵倒されないのか。 「おなかが痛いの?」  トキエの声で、無意識に腹をおさえていたことに気がついた。  額に湧き出した脂汗を、ひんやりした指がぬぐってゆく。トキエの体温でぬくもったストールが、すっぽりと彼女をつつみこむ。 「行きましょう」言うなりトキエは彼女を抱きかかえるようにして歩きだした。  細腕に見あわぬ力の強さに彼女はたじろぐ。「行くってどこに」本気で抵抗すれば勝てるのだろうが「ねえったら」年寄り相手にそうもゆかず「離してよ!」そのままどこへやら運ばれてゆく。
 星あかりの下を引かれてゆくうち、男に出会った。  がっしりとした肩のうえの人懐こい笑顔を見あげ、この星の木みたいな人だと彼女は思う。大柄で体格もよいけれど、雰囲気がゆったりしているせいか怖くはない。広々とした胸に抱かれた赤ん坊が、青みがかった澄んだ瞳を彼女に向けた。 「こんばんは、ユースフ。こんばんは、ココちゃん」 「こんばんは、トキエさん。そちらは宇宙から来たお嬢さんだね」  名前を訊かれなかったことに、彼女は内心で安堵する。ほっと息を吐いたその口から、次の瞬間、心臓が飛びだしそうになった。ココが大声で泣き出したのだ。 「ああ、ごめん、ごめんね」ユースフが太い腕を揺らしてココをあやす。「立ちどまっちゃうとだめなんだ」  そう言って歩きだした大きな背中を、彼女は追いかけこっそり告げた。 「このおばあさん、昨日も今日もひとりで徘徊してたんだけど」 「徘徊じゃなくて散歩だよ」 「どっちだっていい。ひとりでふらふら出歩いて、事故にあったらどうすんの」 「平気だよ。トキエさんも僕たちも、トキエさんにできること��できないことを知っている。困ったときは誰かしらが手助けする。ね、トキエさん」ユースフがトキエに向かって首を傾け、 「ね」とトキエも同じ角度に首を倒す。  待ちあわせでもしていたような自然さで一緒に歩きはじめた。  トキエの体が離れ、彼女は自由をとりもどす。ひとりで船に帰ることもできたけれど、なんとんなくそうはしなかった。 「ねえ」ゆきずりの道連れに、歩調をあわせてついてゆく。「〈お母さん〉はどうしてるの。お留守番?」 「おかあさん?」 「その子のもう一人の親のこと」 「ココの親は僕だけだよ」  では、いつもこうなのか。眠らない赤子を抱え、夜な夜なひとりで歩いているのか。ぎゅうと胸が苦しくなって、彼女は思わず呟いた。 「片親なのか。大変だな」 「かたおやって?」ユースフが訊き返す。 「親が一人しかいないってこと」 「うーん、大変なのかな」 「大変じゃないの」 「そりゃ、子育ては大仕事だよ。でも親の数はあんまり関係ないんじゃないかな。一人だろうと二人だろうと三人だろうと、結局はまわりのみんなに助けてもらうわけだし」 「かたおや。おかしな言いまわしね。まるで、親は二人いるのがふつうみたい」 「だってそうでしょ」 「そんなことないよ」「そんなことないでしょう」 「え、そんなことないの?」 「ないね」「ないない」 「私の星では、親は二人そろっているべきだとされてるよ」 「じゃあ、僕みたいにパートナーを必要としない人間は親として失格なの」  失格どころか資格がない。養子をむかえるのも第三者の協力を得て人工的に子をもうけるのも、両親がそろっていることが大前提。彼女の星の彼女の国では、そういうきまりになっていた。  だけど彼女にはそれが言えない。隣りを歩くユースフに言いたくない。  気づまりな間を埋めたのは、おっとりとしたトキエの声だった。 「ところ変われば、考えかたも変わるのね」 「そうか。そうだね。人それぞれ、星それぞれ」  ユースフの顔に笑みがもどり、彼女は胸をなでおろす。  人それぞれ、星それぞれ。心の中で復唱し、なるほどな、と小さく頷く。  その一方で、こんなふうにも思うのだ。  もしもユースフが彼女の国に生まれていたら。ひとりで親になりたいと望み、ひとりでも子を育てられる環境にあったとしたら。  残念、この国ではとおりません。  そんな一言で握りつぶしてしまって、よいのだろうか。    やがて、行く手にぼんやりと白っぽい影が浮かびあがった。  「到着だ」「到着ね」  ユースフとトキエが、同時に言った。
「夜の図書館には、ねむれない人たちが集まってくるんだ」  ユースフがひそひそ声で説明するのを聞きながら、ランプの灯りに照らされた通路を行く。ふかふかの布団が敷きつめられた館内でくつろぐ利用者は大半がユースフのような子連れだが、そうではない人たちもちらほら見えた。耳打ちや筆談でおしゃべりを楽しむ者、ぶあつい本を膝に置いて船を漕ぐ者、天井に投影された星を寝転んで数える者……ぬるめに入れたお風呂みたいな空気に身をひたし、めい���いが思い思いの時間を過ごしている。 「あら、ここは」貸し出しカウンターの前でトキエが足をとめた。「そうそう、そうだった。ちょっと寄ってゆきましょう」  どこに? と訊ねた彼女にユースフが教えてくれる。 「トキエさんは、時々ここでお手伝いをしているんだ」 「楽しいのよ。赤ちゃんにミルクをあげて、おむつを替えて、大人には温かい飲みものや小さなチョコレートをお出しして。あなたもどう?」  彼女は首をふった。赤ん坊はすきじゃない。  トキエにありがとうを言ってストールを返し、ユースフについてゆく。  前方からふわふわした声が流れてきた。絵本かなにかの読み聞かせをしているらしい。声を手繰るようにして奥へとすすみ、驚いた。毛布をかぶって、ぬいぐるみを抱いて、天幕から顔だけのぞかせて――おのおの好きな格好で寝そべる人たちに向かって本を読んでいたのは、彼女の知っている人だった。 「ハオランは、毎晩ここでお話を読んでくれるんだ」  ユースフが床のうえの揺りかごにココをおろす。彼女はとっさに身構えたけれど、ココは泣かなかった。ふわふわした声に聴き入るように、じいっとハオランを見つめている。  ぱっちりひらいていた瞳は、だけどたちまちとろんとし、数分とたたないうちにぴたりとふたをされていた。  ハオランの声は、彼女の耳にも心地よい。 「これがハオランの〈役目〉なの?」子が、親が、一人またひとりと眠りに落ちてゆくのを眺めながら、あくび混じりに彼女は訊ねる。 「役目とか、そういうのはよくわからないけれど」彼女からひきとったあくびをふああと宙に放り、ユースフが答える。「ハオランは、すきでやっているんだと思うよ」    彼女は毛布にくるまって、ハオランの朗読にココとユースフの寝息が合いの手を入れるのを聞いている。とろとろと微睡みはじめた矢先、なにやらもぞもぞうごく小さいやつが懐にもぐりこんできた。大声をあげて図書館じゅうの人たちを叩き起こしてしまわずに済んだのは、毛布の端からはみ出したしなやかなしっぽで、そいつの正体がわかったからだ。  悲鳴を呑みこみ、静かに胸を高鳴らせながら天井を眺めることしばし。 ……ぷう、ぷすうう、ぷすすう、ぷう……  耳に届いたかすかな音が寝息だと気づくや、しちうを食べたときみたいなぬくもりが全身にひろがった。  堪えきれずに笑みがこぼれる。その顔のまま瞼を閉じる。    仄白いひかりの中で、彼女は自然に目をさました。  懐がもぬけの殻になっているのを残念に思いつつ身を起こし――そこでぴたっと動きが止まった。  言伝のように。ささやかな贈り物のように。  マーサから借りた服のおなかのところに、柔い毛がぽそぽそとくっついていた。
【マーサとラウラとアヌシュカ】
 彼女はユースフの家で朝ごはんをご馳走になり、いったん船へと引きあげるところ。  おなかにくっつけたままの毛を落っことしてしまわないよう、そっとそうっと歩いている。一歩いっぽに集中しているせいで「おーい」という声が近づいてくるのに気づかない。特大の「おーい!」によう��く足をとめたのと傍らに停まった浮遊車のドアがひらいたのとは同時だった。 「マーサ! チリル!」  毛のことをすっかり忘れ、彼女はマーサに飛びついた。 「よかった。どうしてるか気になっていたの」マーサが彼女を抱きとめて、 「元気そうだね」チリルもぴとりとほっぺたを寄せてくる。 「元気だよ。みんなに助けてもらってた」でも私は。マーサの腕の中でもじもじと身をよじり、彼女は早口に打ち明けた。「マーサのしちうが食べたかった」 「シチュー?」マーサが首を傾げかけ、ああ、と笑って手を打った。「あれを作ったのは私じゃないよ」 「え?」 「私、料理はからっきしなの。わが家のごはん担当は、このアヌシュカ」  車からおりてきた小柄な人を、マーサが彼女に紹介する。 「あたしのシチューを気に入ってくれたの? 光栄!」  握られた手をぶんぶん上下にふられながら、彼女はぽかんとする。  アヌシュカの後ろから背の高い人がおりてきたことで、困惑はさらに深まった。ラウラと名乗ったその人は、腕に赤ん坊を抱いていた。ココより小さくふにゃふにゃで、まだ目もあいていない、正真正銘の生まれたてだ。 「ぼくのきょうだい」  チリルは胸を張るけれど、それはおかしい、と彼女は眉を寄せる。マーサのおなかは数日前までぺたんこで、出産を控えているようには見えなかった。チリル、マーサ、アヌシュカ、ラウラ、赤ん坊……せわしなく視線を走らせ、口をひらく。  だれが〈お母さん〉なの。  転げ落ちかけた問いが、舌先で止まる。  彼女はもう一度、目の前の人たちを見た。三人の大人は色も顔だちもてんでばらばら、マーサとチリルにしたって面ざしはあまり似ていない。けれど彼女に向けられた八つの瞳は、あったかさがそっくりだ。  そうか、と彼女は理解した。なるほど、と心から思った。こういう形もあるのか、と。  誰が産んだとか誰がごはんを作るとか親は何人とか、そういうことはもう、どうでもよかった。 「……かわいい」  彼女は赤ん坊がすきじゃない。何を考えているのかわからないところやひとつ扱いを間違えたら壊してしまいそうなところが怖くて遠くて落ちつかず、無理やり抱かされたり褒めそやすよう強いられたりするたび、どろりとした苦いものに喉を塞がれて息がつまった。いつからか、そういうふうになっていた。  だけど今。ラウラの胸で眠る小さな命が、彼女は愛おしくてたまらない。 「ほんとうに、かわいい」  眩しさに細めた瞳から、はらはらと涙が落ちる。彼女は気づいていない。気づかないまま、まだ名前のない、性別もさだまらない、まっさらなひかりを見つめつづける。
 この星には、新しい命が生まれると〈お墓参り〉をする習慣がある。  それで彼女たち――マーサとアヌシュカとラウラとチリルに、少し大きくなってミンナという名前をもらった赤ちゃん、そして彼女は、お弁当をもって〈お墓〉を訪ねた。   〈お墓〉は、かつて彼女の星にあったという動物園に似ていた。   動物園は生きた動物に会うための施設。動物たちは檻か柵の向こうにいる。   〈お墓〉はもういない動物に会うための場所。動物たちはすべてよくできた映像で、ゆえに��も柵も必要ない。  まっしろなクマが、思慮深げな顔つきをした大きなサルが、岩と見紛うような甲羅を背負いヒレ状の脚で這うカメが……図鑑でしか知らない生き物たちが暮らす森の中を、彼女は顔を輝かせ、チリルとふたりで駆けまわった。  大人たちが静かなのに気づいたのは、ひとしきりはしゃいだあとだった。 「〈お墓〉に来るとね、考えずにいられなくなるの。ひとつ違えば私たちもあちら側だったんだって」マーサの口調は常に似ずしんみりしていた。 「あたしらがここにいるのは、先人が踏みとどまってくれたおかげだ」日頃は陽気なアヌシュカも神妙な面持ちになっている。  その横顔の向こう、茂みの陰に、緑色の人が視えた。  彼女は息をとめる。まばたきの隙間に緑は消える。だけど呼吸はもどらない。 「私たちは」喘ぐようにひらいた口から、声が落ちた。「踏みとどまることができなかった」  大人たちが彼女を見る。頷き、屈み、寄り添って、言葉の先をじっと待つ。 「競いあい蹴落としあい奪いあい、星をめちゃくちゃにしてしまった」ぽつりぽつりと彼女は続けた。「勝てないものや戦えないものから死んでいった。人も、それ以外のみんなも」 「この星でもそうだったよ」ミンナを抱いたラウラが言った。「このままでは星そのものが駄目になる。わかっていても、当たり前のようにやってきたことにブレーキをかけたり、既に持っているものを手放したりすることは、難しかった」 「そこからどうやって踏みとどまったの」 「いくつかきっかけがあったんだ。たとえば」 「たとえば?」 「猫」 「ねこ?」 「猫がいなくなったの。ある日突然、この星から」 「なにそれ。絶滅したってこと?」 「そうじゃない」「消えたんだって」「溶けるみたいに」 「溶けた? 猫が?」 「溶けた、じゃなくて、溶けるみたいに」 「……どいうこと?」 「猫は臆病で繊細だから」「平穏とやすらぎを好むから」「殺伐とした星に嫌気がさして、出ていったんだろうって言われてる」 「……それで、どうなったの」 「ずっと傍らにいてくれた友を失い、先人たちは悲しみに暮れた」「打ちひしがれたそのあとで、手をとりあって立ちあがった」「この星を、猫がもどってきてくれる場所に作り変えよう」「不均衡をならし、壁を取りはらい、競って蹴落としあう世界から、寄りかかりあい分かちあう世界に」「長い時間が必要だった」「気が遠くなるような時間がね」「何世代もかけてようやく、猫は帰ってきてくれた」「だけど彼らは」  大人たちの語りに聴き入っていた彼女の前に、子どものゾウが立った。耳をぱたぱたさせて彼女を見あげ、握手をもとめるみたいに鼻をさしだしてくる。つられてのばした指の先が、幻影をすりぬけ空を掻く。 「もう二度と、戻らない」
 帰り道、やわらかな夕陽のさしこむ後部座席で、彼女は淡い夢をみた。緑のねこにぐるりと囲まれ、よってたかって詰られる夢だ。  剥きだしの牙にも���悪の唸りにも、彼女はもう怯まない。首をふって受け流し「さようなら」を風にのせる。別れの言葉がねこに届く。彼女の肌とおなじ色の輪郭がふるふると震えてゆらぐ。ゆるんでとけて土に還るのを見送っていると、背後から声がかかった。 「はじめまして」  ふり返った彼女にトキエが訊ねる。 「あなた、お名前は?」  マーサがかけてくれた上着の下で、彼女は微かに身じろぎをする。 「名前はね」にっこり笑って、こう返す。「これから探しに行くところ」
ーーー
【参考文献】
伊藤亜紗他『「利他」とは何か』集英社 小川 公代『ケアの倫理とエンパワメント』講談社 ケア・コレクティヴ 他『ケア宣言』大月書店 渡邊淳司 他『わたしたちのウェルビーイングをつくりあうために』ビー・エヌ・エヌ新社
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bookshasegawa-bookknock · 4 years ago
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猫が食べると危ない食品・植物・家の中の物図鑑 誤食と中毒からあなたの猫を守るために 監修:#服部幸 構成:#ねこねっこ neco-necco刊 室内飼いで猫も人と同じ住居でさまざまなものに囲まれる生活になり、猫が本来口にしない誤食が増えているとのこと。 間違えてメガネ拭きを食べたりソーセージのフィルムを食べたなんて事例も。 高額医療費にならないためにも未然に防ぐ予防に対応した飼い主さん向けの実用書。 中身は東京猫医療センター院長による詳細解説ですが、 表紙が可愛すぎる、飾っておけると話題に😻 価格も税込2222円とシャレがきいてます。 ・ ・ ・ LIScafeに並べてます📕 オンラインショップご購入は画面タップより #ブックスはせがわ #書店 #本屋 #移動本屋 #移動販売 #移動販売車 #bookknock #読書 #雑誌 #書籍 #単行本 #児童書 #エッセイ #小説 #magazine #book #comic #新潟県 #長岡市 #bookstore #猫本  (ブックスはせがわ/移動本屋BookKnock) https://www.instagram.com/p/COK08GHLtUW/?igshid=ftivbgjly8x5
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neko73 · 4 years ago
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@neco_necco_net(猫の本専門出版🐈ねこねっこ🐈3/12新刊発売予定)
『猫が食べると危ない食品・植物・家の中の物図鑑』は飼い主さん向けの本ですが…
•猫の譲渡、販売に関わる
•食品、植物、家庭用品の製造や販売に関わるメーカー、販売店に勤務し、動物の誤食中毒リスクに関心のある
•猫飼いさんに花を贈る機会のある
方にもおすすめです
Twitter for iPhoneから
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arororo44 · 7 years ago
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200題(カメリア)
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めちゃくちゃ暇な人向け。
●キャラについて語る200題
01:身長/体重   157cm/45kg
02:字のうまさ   文字が小さくて丸っこい字。よく綴りは間違えている。
03:絵のうまさ   自称うさぎが変なクリーチャーに見えるくらいには絵心はない。
04:歌のうまさ   音痴ではなさそうだけど自分の歌声を聞かれるのは若干恥ずかしい。   昼間はお客さんがいない時には鼻歌とか歌を歌っているかも。
05:視力   視力はいい。特に夜目が効く。
06:香り   花に囲まれているし、フローラルな香り。
07:声質   ちょっと高めの可愛い声?CV当てていただいたので   三森すずこさんの役とか歌聞いた感じの私の感想なんですけど。   ラブライ��の海未ちゃんくらいしかまともに聞いたことがないのですが、   どちらかというと三森すずこさんの元気な女の子役のイメージなのかも?
08:髪質   やわらかくて細かい、プラチナブロンドの髪。毛先に行くにつれてゆるくウェーブがかっている。
09:美人(美形)度   顏が良いプロバンス兄弟の一人なので整っているのかなと。   昼の方が美人には見える…。
10:プライド   結構一度決めたら貫くタイプなので高い。
11:ハマっていること   枯れてしまった花でドライフラワーを作ること、商品に出せない花を押し花にしてしおりを作ること。出来は微妙。
12:チャームポイント   おくち(・ω・)
13:甘党辛党   甘党。
14:自己紹介の内容   昼「カメリア・プロバンスと申します。兄と弟と一緒に花屋をやっています。よろしければお越しください^^」   夜「グッドイーブニング!皆ご存知の怪盗ブーケ参上~!!今日もこの花と引き換えにお宝を取り戻すからよろしくね!」 
15:最近の悩み   クロワッサン頭のケーサツちゃんによく怪盗活動を邪魔される。当たり前だ…
16:嘘の内容と上手下手   嘘も欺くのも平気、むしろ武器かな…怪盗だしね(?)   本音はあまり見せない。
17:給料(小遣い)の額   自営業どうなんだろ?お兄ちゃんが生活費とは別に少額でもきちんと分配してそうだけど…。
18:特技   瞬間鍵開け。ろくでもねぇ…
19:寝相   よ、横向き? 夜活動した後疲れてるときはうつぶせに突っ伏してそうでもある(笑)
20:最長不眠時間   24時間が限度。お肌にもきっとよろしくない
21:平均睡眠時間   普通に疑問だけどあの世界皆寝てるの???   怪盗やっているのは毎日ではないと思っているので何もない日は7時間くらいは寝ているのではと   思っているのだけど。警察側はそうもいかないのかなと…大変そうだ(小並感)
22:パジャマ   シンプルなネグリジェ、生地は薄い。
23:鞄の中身   昼:持っていない。   夜:脱出用小道具、鍵開け用のピックとかは隠し持っている。
24:いつも身につけているもの   花の髪留め
25:休日の過ごし方   兄弟で買い出しとかちょっとしたお出かけしていたらいいなぁ。   買い出しの途中でたまにトレモロとかでお昼してたら私は幸せ。
26:毎日の習慣   花に水やり、そして毎日どこかでへまをする。
27:集めているものと所持数   リボン。花束用に使うリボンとかの余ったやつを集めている。
28:心から気を許している人   うーん…家族以外はいないかなぁ
29:会ったことがないけど気が合いそうな人   フォロワーかよ…笑
30:本気で嫌っている人   お金を持っているだけでただ威張っている人たち。権力をかざして弱者を虐げる人たち。
31:警戒する人への態度   基本的に普段通りに接するけど   隙を見せないようにしたり、その場にいたら見失わないように視界の端で追ったりはしそう。
32:尊敬する人   幼少期に読んだ絵本の主人公の怪盗
33:客観的に見た性格   昼:落ち着いてて穏やかそう   夜:子供っぽい(笑)
34:他人に持たれている印象   ローカルアイドルっぽい
35:プレゼントしそうなもの   無難にブーケか押し花のしおり…後は大穴で手料理。   36:貰うと喜ぶもの   何でも喜ぶけど、花束かな。
37:お礼を言うときの言葉と態度   昼「まぁ、ありがとうございます!」ってニコニコしながら嬉しそうに   夜「気が利くわねサンキュー!」って軽く言ったり    「あ、ありがとう…」って少し恥ずかしそうに言ったり
38:謝り方   昼「きゃっ!ごめんなさい!私ったらまたやっちゃった…」って申し訳なさそうに   夜「今日も私の勝利みたいね!ごめんね~!!」多分思ってない
39:足の速さ   夜は速い。身体が軽いのか、軽やかにちょこまかとぴょんぴょん飛び回るイメージ。
40:勘の良さ   鈍い。特に自分の事になると。
41:器用さ   怪盗関連のあれこれ以外は基本的に不器用。
42:礼儀正しさ   花屋店員やっているときはそれなりに。
43:涙もろさ/泣く頻度   幼少期とかは弟と兄弟喧嘩したときに泣いてそうだけど   両親が亡くなってからはあまり泣いてないです。
44:大人度/子供度   大人になろうとしてるけどまだ子供
45:オシャレ度   こだわりはなくあまり気にしてない。服は箪笥に入ってた母の昔の服を主に使っている。   でもひそかにコレットちゃんのお店は憧れ…
46:ロマンチスト度   奪還屋みたいな怪盗やっている時点で結構高いのでは?
47:負けず嫌い度   高い。ムキになるし負けるとめちゃくちゃ悔しがる。
48:子供好き度   子供は好き、ただ純粋すぎてあまり自分からは接しない。
49:他人の外見を気にする度   あまり気にしない。本人が好きなものを着ればいいと思う。
50:ツンデレ度   ちょっと夜はっぽい…
51:知名度   怪盗ブーケをよろしくね☆!!!
52:気持ちが顔に出る度   夜は結構表情豊か。嫌そうな顔とかすぐ���ちゃう(笑)
53:ボケ度ツッコミ度   昼:ボケ   夜:ツッコミ
54:ワガママ度   口には出さないけどそれなりに…?
55:友人が愚痴ってきたら   友人いない疑惑が私の中で高く…
56:旅行するなら   プロバンス(フランス)のラベンダー畑
57:疲れたときは   何も考えず咲いてる花をぼーっと眺める
58:他人にされると嫌なこと   身近な人が悪く言われてるのは好きじゃない。   あと、咲いてる花を踏んでいく人たち
59:恐れていること(もの、人)   捕まること
60:言われ慣れていること   「また?」(やらかした時)   「出たな怪盗ブーケ!」(出くわした時)  
61:無人島に三つ持って行くなら   瓶とペンとメモ帳   無人島に咲いているかもしれない花と植物をできるだけ記録して死ぬ。
62:秘密の数と内容   秘密♡
63:実現不可能な願い   殺人のない世の中になること   弱者が虐げられず、皆平等に生きられる世の中になること。
64:神や悪魔の存在について   いないと思っている。いたら両親だって生きているはずだから。
65:幽霊の存在について   信じていないけど、未練を残して死んだら化けて出そうとかは言いそう。
66:虫嫌い度   花屋なので好きではないにしてもまぁまぁ平気。G以外は…
67:好きな時間帯   花が咲いている昼間  
68:現在までの経歴   あまりにもふわっとしか考えてないためわからなくて…   学校とか行ってたのか微妙で?行けた?   とりあえず名護さん設定でカメリア4歳の時に両親が何者かに殺されて   亡くなっている事だけ(事故死って兄に言われてるけど)   15前後から花屋の手伝いやってるんじゃないかな(適当)
69:幼少時代   どちらかというと今の夜姿が近く、結構元気で物怖じせずやんちゃ。
70:二年前   きっと花屋にいる
71:黙っているときの雰囲気   美人
72:トラウマやコンプレックス   コンプレックスは昼間が無能なこと  
73:暑がり寒がり   暑がり
74:目と髪の色   目は赤。髪色は兄弟お揃いのプラチナブロンド。
75:似合わない服   カッコイイ服…とか男らしい服?スーツは似合わなそう。   でも遊びでヴォルフラムさんの女装の対で男装とかはさせてみたいね!
76:怪我する頻度と原因   昼間に何もないところでつまずいて転ぶなどのくだらない理由で小さい怪我はしてそう。    77:スタイル/体つき   良い。細身でグラビア体型
78:服の選び方   母のおさがりなので、流行り要素などはなさそう…
79:喧嘩を売られたら   基本スルー。無用なことにはかかわらない。でも、しつこいと買っちゃう。
80:将来の子供の数   男の子2人女の子1人欲しいという…願望だけなら・・・
81:何歳まで生きそうか   なんとなく両親が死んだ年齢よりは長生きしたいとは思っている。
82:機械操作   アナログ人間なもので
83:自信   ある。特にビオラくんとタッグ組んでるときは基本負ける気がしない。怪盗ブーケは最強だもんね。  
84:自分の好きなところ   決めたことは貫こうとするところ
85:自分の嫌いなところ   頑固ゆえあまり柔軟な考えができないところ  
86:好きな/嫌いな季節   好き:春、花がいっぱい咲いてるから   嫌い:冬、植物が枯れてしまうから
87:好きな/嫌いな色   好き:赤   嫌い:特にない
88:世界一綺麗だと思うもの   プロバンスのラベンダー畑(多分、写真でしか見たことないだろうけど)
89:一度は言ってみたい台詞   縁がないからこそ『盗まれちゃった』とか言ってみたい     ビオラ君は奪われちゃってて可愛いなっていう
90:一度はやってみたいこと   美術館とかにある展示を奪うとかの大型奪還イベントやりたいね!   めちゃめちゃ怪盗っぽくてスリリング!そんな依頼をお待ちしてま~す!
91:動物に例えると   リボンとお口がとてもうさぎ(ミニレッキスあたり)
92:色に例えると   赤
93:使えそうな魔法   逃走成功UP、回避能力UPとかの補助魔法、もしくは相手からのアイテムゲット…これは物理か
94:驚いたときに上げる声   昼「きゃっ!」   夜「えっ!!??!」「嘘でしょ!!!」
95:笑い声   昼「ふふっ」控えめ   夜「あははははっ…!!」気持ちよく笑ってそう
96:よく行く店/場所   たまに買い出しに町へ行く以外はあまり外でない引きこもり。   夜はターゲットの住居付近を偵察。
97:よくする表情   (*´ω`) (`・ω・´)  
98:よく取るポーズ   在さんが描いてくれた腕を腰に手を当ててどや顔してるポーズが私の中で一番しっくり来てる!
99:漢字一文字で表すと   花
100:キャラに合う四字熟語を作るなら    狡兎三窟 ?ごめんなさい詳しくなさ過ぎてめちゃくちゃググりました…
101:好きな音楽   クリスマスの時期に協会から聞こえるキャロル
102:好きな/嫌いな言葉   好き:花言葉   嫌い:死を彷彿とさせる言葉
103:好きな/嫌いな天気   好き:快晴   嫌い:嵐
104:好きな/嫌いな食べもの   好き:お兄ちゃんの作る料理   嫌い:嫌いなものはあまりないけどフランスパンは苦手、硬すぎて中々食べるのに苦労する
105:好きな花   チューリップやガー��ラ。カメリアはあんまり好きじゃない。
106:好きな/嫌いな動物   好き:雀   嫌い:カラスはちょっと怖くて苦手
107:好きな作品の傾向(小説、映画、美術etc。「シリアスな映画が好きそう」みたいな)   今はそんなに活字を読んでいる印象ないけど、   幼い頃に読んだ絵本の印象は強く残ってそう…ファンタジーやわくわくするような冒険もの。   後は花や植物の図鑑とかかな…
108:好きな/嫌いな飲みもの   好き:ローズティー   嫌い:特にない    109:悩みができたら   誰にも何も言わない
110:運命の存在について   運命は自分で切り開く(強い)
111:自分の容姿への感想   「そりゃ当然かわいいに決まってるでしょ!」
112:自分の能力への感想   「昼も夜くらいの精度をキープできれば完璧だったんだけどねぇ~まぁ仕方ないかしら    人間多少欠けてる方が魅力的なものもあるしねぇ~えっ違う?」
113:恋への興味   したことはないけど他人の恋模様とか見てるといいなぁとは思っていそう
114:恋をしたときの様子   無意識だけどきっと相手のことばかり考えているし、別れた後にちょっぴり寂しくなるし   早く会いたいなぁって思う    
115:恋をしたときのアプローチ方法   よく喋ることで、引き留めようとする
116:異性への耐性   兄と弟がいるので耐性はある
117:モテ度   本人は気づいてないけど夜より昼の方がモテている。
118:性的なテクニック   お゛お゛ぉ゛ん…(困ったときのにゃんちゅう)
119:告白するときの言葉   「えへへ…好きになっちゃったみたいです」 な、なんつって…
120:フェチ(マニア)   香り?
121:愛し方   控えめ、そっと寄り添う
122:甘え方   袖を引っ張る
123:一途さ   夜はファンたちが~とうるさい奴だけど、好きになれば一途
124:体の丈夫さ   普通、健康体
125:体力   あまりない。夜活動してる時は感じないけど、昼間に疲れとか反動がくる、次の日に筋肉痛がくるみたいなもん(?)
126:記憶力   悪い、人の名前とかもあまり覚えられない
127:リーダーシップ   ブーケやってるときは(二人しかいないし)お姉ちゃんだしそこそこ発揮される、はず。   でも基本は兄弟の真ん中なのもあって丸投げマン  
128:社交性   花屋にいる時くらいの…最低限の社交性。       129:下着   お゛お゛ぉ゛ん…(困ったときのにゃんちゅう)   19世紀の一般的な下着だよきっと
130:誕生日と血液型   1月2日/A型
131:教え方   花の事なら色々優���く教えてくれますよ
132:詳しい分野   植物
133:これのためなら死んでもいい   「自分の死と引き換えにこの町が良くなるなら考えるわよ」
134:体温(平熱)   36.5度
135:世間知らず度   ���分の身近ばかりしか見えてないから世間全体を本当に知っているとは思えない
136:外出頻度(ペース)   週1、2くらいは昼間も外に出てほしい…
137:声の大きさ   大きくないし、昼は強弱もあまりない。夜はよく叫んでる。笑
138:ゲームの強さ   強い、あまり頭脳戦は向いてないけど筋と運がいい
139:化粧   夜は薄く口紅を引いてる
140:ご飯を一緒に食べる人   兄弟と
141:物を買うときに重視する点   長く使えるものかどうか
142:心の中で認めている人   めげずに自分を捕まえようとしている警察のあの子  
143:気の合う/好きなタイプ   自分の信念を持っている人、諦めずにチャレンジする人
144:合わない/嫌いなタイプ   すぐ人の悪口を言う人、弱い者いじめする人  
145:色々な相手への二人称(目上、部下、友人、敵etc)   基本的には昼間はさんづけ、夜は呼び捨てか勝手に変なあだ名をつけたり
146:寂しがり度   たまに家族連れとか見ると寂しくなる
147:ドジ度   一日一ドジ。もはや日課。
148:好みじゃない物を貰ったら   ありがとうと言ってもらう。何でも貰ったらきっと喜ぶ。
149:カラオケに行ったら   デンモクの使い方に苦戦して序盤で詰む
150:上機嫌なときの様子   すんなり奪還成功した後とか…得意げな顔しながら鼻歌混じりにスキップしながら帰りそう(イメージ)
151:不機嫌なときの様子   逃走邪魔されそうになった時とか…チッって普通に舌打ちとかしちゃう  
152:(学生だった場合に)入りそうな部活   園芸部
153:つい他人にやっちゃうこと   人助け
154:実は嫌いじゃない人   何だそのフェイント…嫌いか、興味ないか、好きかははっきりしている
155:周囲からの人気   現在ファン急増中(本人談)
156:常識人度   普通
157:他人の目を気にする度   自分の事とかは気にしないけど、ヴォルフラムさんと並んだときはあまりにも自分が庶民すぎて気にするかも。  (そんなシーンあるかは別として)
158:可愛いもの好き度   可愛いものも好きだけど変なものとかちょっと変わったものも好き
159:考えを口に出す度   あまり出ないけど、相手に求められたらぽつぽつしゃべるかな。後はそれこそカッとなるとペラペラ喋りそう
160:冷徹度   低い…からアンチヒーローになってでも誰かを助けたくなるのだろうね
161:執着心の強さ   強い、一度決めたもの・引き受けたものは守る
162:持病   なし、健康体。    
163:純情度   唯一の女の子だし…良くも悪くもピュアに育ったかと…  
164:腹黒度   グレー
165:本(書類)を読むスピード   遅いし中々一冊読み���わらない    
166:起きたら最初に   カーテンを開ける
167:告白されたら   ありがとうございますと言って流す
168:精神の強さ   強め
169:敏感な場所   首筋
170:読んでいる雑誌   新聞くらいかな?ブーケの記事ないかついつい見ちゃう
171:必殺技   ビルからビルへハイジャンプ  
172:雑学の量   ほぼなし。
173:恋愛遍歴   お゛お゛ぉ゛ん…(困ったときのにゃんちゅう)
174:S度/M度   どちらかと言えばS?
175:好きな数字   12
176:料理の腕   聞いちゃいます…?作るのは嫌いじゃないけどセンスが…
177:運動神経   夜はいい
178:部屋の様子   こざっぱりしていて必要最低限。あまり女の子らしい部屋じゃないかな?   唯一、大きな鏡が一つあるくらい。
179:癖   よく頬に手当てたり、髪をくるくるいじったりする
180:口癖   「~でしょ!」とか「当然!」とか…断定系…どこからくるのその自信は  
181:あだ名   ブーケ、ブーケさん
182:メールアドレス   bouquet4649あっとまーく…嘘です。
183:メールの内容と文体   業務用の短いで簡単なメール、もしくは楽なスタンプとかの一言(OKとか)
184:(学生だった場合の)得意教科/苦手教科   得意:生物 苦手:体育
185:性経験   お゛お゛ぉ゛ん…(困ったときのにゃんちゅう)
186:腕力   ない
187:趣味   お花の雑貨づくり
188:お金の使い道   食費や花束用のリボン
189:起床・就寝時刻   7時起き、夜は早い日は22時には寝ているのでは
190:家族構成   兄、自分、弟。 弟の事はあまり心配してないけど、お兄ちゃんが地味に心配だよ…
191:怒り方   喧嘩になるくらいなら怒りは軽い、   本当は泣きながら怒るタイプ
192:酒の強さ   弱い。どちらかというと笑い上戸だし唐突に絡む
193:RPGのキャラだった場合の職業   盗賊(笑)私のイメージ、テイルズオブデスティニーのルーティ
194:頭の良さ   もうここまで読んでくれていたらお察しできるかと
195:運の良さ   運はいい
196:もしも現実にいたら   私は、やじうま根性でブーケの活躍を見に行く……!!   昼間は普通に花屋のアルバイトのお姉さんしてそう
197:コーヒーの飲み方   砂糖多め、猫舌なので少し冷ましてから飲む
198:自覚してない欠点   察しがよくない 
199:ここ一週間で一番幸せだったこと   窓際で育ててたサボテンに花が咲いたこと  
200:キャラへのメッセージ   ブーケ窃盗ライブ会場どこ・・・
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lemaire27 · 8 years ago
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彼について Ⅰ
彼について Ⅰ
「じゃ、ほかの子はみんなその子の代替品というわけ」 そう問いながら、代替品などという言葉がじぶんの口から滑り出したことに驚いたし、言ったそばから撤回したくなった。こんな卑俗的な単語をかれに当てはめるのではいけない。かれについて語るとき、ただしいと思って口にしたことさえ一瞬のあいだに嘘になるような気がした。このひとの前では、どうも自分が何か言うたび恥だけを上書きし続けているような、そんな呪いがたしかにあると思う。 〈テラス・メルツェル〉のロビーの一部はカフェとして職員のために開放されている。1階から最上階にあたる17階までの中央はひろびろとした空間で穿たれて吹き抜けになっており、円蓋からはたとえ外がどのような天候であれ、いつでも晴天に相当する光が差し込んだ。白を基調とした建造物の内部はつねに木洩れ日に似た陰翳で彩られ、一瞬一瞬のうちに光によって姿を変える。外部からの光を蓄え、常に一定の光量に変換するようプログラムされた円蓋展開型プラネタと広大な吹き抜けがあってなお行き届いた空調設備、つるりとした壁や床、柱の類。それらは清潔であるほど無機質で、どこまでも生のありかを否定しようとするようにみえた。最初のメルツェル・ドールが設計した神殿。じっさいにそうなのかどうかはわからないが、そのように謳われるこのテラス・メルツェルはたしかに、人間のためにつくられ生を持たないかわりいつまでも美しくある、メルツェル社の人形そのものなのだ。ここには自社の商品のホロ広告も展示もない。ドールは街中に溢れ、誰もがそこに刻まれた社名を知っているし、この建造物じたい���巨大な広告塔だった。 「お待たせいたしました。ほかにご注文は?」 「ありがとう。他にはないよ。そうだ、14時になったら報せてくれないかな」 「ええ。報せはどのように?」 「そうだなーーこの番号へ繋いでくれると助かる」 「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」 少女が注文しておいたヴァン・ショー……熱いワインを二人ぶん運んでくると、かれと少しの言葉を交わしてまた戻って行く。そのやりとりのなめらかさにだっていちいち感嘆する。まるで映画みたいだ。 「なるほど。そうやって通信先を渡すわけだ。勉強になるなあ」 「きみはなにか俺をかんちがいしてるんじゃないかな。それにご存知のとおりー」 「冗談だってば。知ってる」 ワインを口に含む。あたたかなアルコールは喉をくべるようで、たっぷりとしたシナモンのつよい香りがほどよい陶酔をうながした。 たとえばそう、彼女だって人形だ。 なめらかな動作、表情、擬似呼吸と機能的にはまったく意味のないまばたき……もはや一見して人間と区別がつかないけれど、首のうしろ、やわらかな人工皮膚にはネクタイピンほどの銀のプレートが嵌め込まれ、メルツェル社の名が刻まれている。高品質な、人間に近しい無生物。 メルツェル社は工業用のドールをつくらない。あるひとつの仕事のためにだけ特化してつくられたドールは存在しない。ひとりのドールが助手として事務作業をこなすこともあれば、いまのように給仕をすることもあるし、もちろん働かないこと、ただ所有者のそばにひかえるだけの場合もある。ドールたちは所有者となる人間に好みのパーツをえらばれ、設定されたパラメータ・カードを挿入された人工物ではあるけれど、同時にかれらの在り方はメルツェル社によって厳格に規定されていた。すなわち、メルツェル・ドールは娯楽と鑑賞のための美しい人形でなければならず、それ以外の平均された機械のような工業的な在り方、奴隷のような使用はみとめられない。それが何代にもわたって受け継がれてきたメルツェル社のコンセプトだった。ドールを購入して得るものは好きにする権利ではなく、ひとのように愛するための権利だ。 とはいえ、不正な利用が後を絶たないのだってまた事実だった。パラメータ・カードを規定された以上に従順なものに書き換えるパッチはいつになっても駆逐されない。本来存在しないはずの機能を付け加えるガジェットも。からだを弄られたドールの回収と保護も、この施設で行われている。 そういえば、かれはそのセクションで仕事をしているときいたことがある。お互いのセクションの詳細な業務内容を明かすことは職員どうしであっても禁じられているために、具体的にはなにを担当しているのか、それはわからないけれど。 そこでようやくロビーを行き交う人々の視線がかれへと注がれているのに気がついた。ある者は悟られないように、ある者は露骨に、そのすがたを注視する。セクションがちがえば会う機会のない人間は山といるし、ふだん別館にいるかれがこのカフェへ来ることも思えば珍しい。とはいえ、それだけでないのは一目瞭然だった。こぼれかかる銀の髪、美しいがいっそ禍々しい赤いひとみ、その輪郭を象るどの曲線にも意味のあると思わせる、生きた彫刻のような男。会話をしたならその隙のなさにまた驚くんだろう。 「そうそう、さっきのこたえだけどーー」 一度途切れてしまった会話をどうつなごうかと思案していたまさにそのとき、かれはひとくちワインに口をつけると、かちゃりとていねいにカップをおいてそう言った。ほとんど合図だったし、こういう所作こそ隙がないとおもわせる所以だということを、��らためて知らされる。まるでこちらの意図をなにもかも知っているかのような、意識的でさえないエスコート。 それからかれは大げさに、すっと肩をすくめてみせた。 「……まさか。代替品だなんておこがましいよ」 からりとした、重量を感じない調子のこたえ。抜群にひとを安心させる、負の成分を含まない声、そう、その効力は絶対だ。だからこそずるいのだ。ひとこと発するだけで空気を変えてしまう。かれの印象をよりよいものへ近づけ、悪意や嫉みは少なくともかれの声のあるあいだ消え失せる。人を信用させることにおいて一流だ。たぶん、それは生まれついて。フォーマルでありながら野性的であり、そこのところのバランスが完ぺきだった。最上級の信頼ーー同時にだれもそれ以上へは踏み込めない。踏み込もうとした人間がけしていないではなかったが、来る者を拒まずあまやかされただけだといつか気づいて引き返す。それをかれは追うこともなく、ただわらっているだけだ。傷はつかない。誰もかれを傷つけられない。 かれはいつも、自分に好意を向けてくる彼女たち(あるいは彼ら)に対して紳士的かつ柔和な姿勢を崩さないけれど、思うにそれはなんの熱も含んではいなかった。ほどよいタイミングで、ほどよい距離で、ほどよい位置でそこにいて、どんな瞬間に顔を覗いても牙がみえない。だれから見ても隙のない立ち居振る舞い。俳優のような整った在り方。理想の男(アニムス)。なのにどこかで、いちばん人の情や愛と呼ばれるものから程遠い場所に立っている気がしていた。それがどんなに美しいもので、高尚であるかをだれかが語ったとしても、かれがそこにあらわれるだけで途端に陳腐な虚構に成り下がってしまうみたいだった。 かれ自身は気づいていないかもしれないが、自分に好意を向けてくる人間へのかれの想いというのは、道端で戯れてくる猫に対するときのそれと同じなのかもしれない。拒絶はせず、甘えられればのどを撫でてやる。餌をねだれば与えてやる。けれどその行為には目に見えたそれ以上の意味は宿らない。一瞬の交錯がすぎると、結び目がほどけるみたいにそれぞれの日常へかえってゆく。なまえはつけない。そういう種類のいきものだ、「道端の猫」というのは。先週どこかで見かけたのと、一年前別の場所で見かけたのと、遠い昔旅行先で見かけたのとは、「道端の猫」という同じいきものにすぎない。おれたちがある猫を撫でるとき、いつかどこかで撫でてやった別の猫に後ろめたさを感じたりなんかしないように、かれにとっては自分に好意を寄せるどの人間も等しく平均的に映るのかもしれない。それはほとんど、無価値とイクォールだ。やさしいといえばそのように写りもするだろう。だけど決定的ななにかが欠落している。 何人がそれをうめたがり、やがてあきらめたのだろう? だからといってだれかをもののように手ひどく扱��ことなんかないのだって分かっている。やわらかな無関心は博愛と言い換えることだってできるのだから。 代替品などという言葉をえらんだことにたいして、まちがえた、と思ったのはそういうことだ。 「さっきのは言い方がよくなかったよ。忘れてくれ」 「いや、せっかくだからきちんと答えておこう。その子の代わりとして他の誰かを扱ったことはない。 ……というわけで、誤解は解いてもらえた?」 「……誤解、というか、ほんとうに言葉のあやなんだ。怒った?」 意味のない質問だった。ご機嫌とりみたいだ。かれがひとに対して怒ったりしないし、機嫌を損ねたりしないということを知っているのに。おれはじぶんが、せいいっぱいかれに親しくあろうとしている、ということをいやでも意識する。ときどきあるだろう。こちらだけが友人だと思っているのではないかと感じて、よけい砕けたじぶんを演じようとすることが。もうずっとそういうふうに振る舞っている。 「まさか、怒ったりしないよ。でもさ、きみやっぱり俺を何かかんちがいしてるんじゃない?」 くだけた笑いがかれから発せられる。どんな猜疑もあっけなくなかったものにするかろやかさが、そこにはある。かんちがい。そうかもしれないーーそれならどんなによいだろう。 「そうだな、それなら……あんたは優しすぎるだとかぬるすぎるとか彼女たちの言ったようなほんとにそういう理由で毎回振られてるだけで、それ以上もそれ以下もないのかも。そんなはずない、と思っているおれの穿った見方というやつで、おれが思うほどあんたは複雑ではないのかも」 「毎回振られる、ね。事実だけど本人のまえでそれをいうかなぁ、謝ってるんだか貶してるんだか。複雑、ねえ」 それってぜったいいい意味ではないでしょ、とかれは言う。屈託がなく、そのわりに上品で静かな表情、たぶん性別のない天使はこういうふうに笑うんだろうなと思った。 「悪かったってば。だけど、なんていうか意外で。そう、ほんとう失礼なんだけど、俺はあんたを人形なのかとすら思ってたくらいだしーーいや、知ってるんだけど、人間なんだってことは」 「嫌味?それは矛盾しているよ」 「そうなんだけど。でも、だいじにはするけど、好き、には見えなかったから。まるでそういう感情を知らないみたいだったから。それはたぶんほとんどの人間にとって屈辱だよ」 なんというか善人すぎてあんたは胡散臭いんだーー すっかりかれに絆されかけ(そういうことにおいて天才だ)、軽口を叩こうと頬がほころびかけて、ぎくりとした。 ……ぎくりとした? それがじぶんのどんな感情なのか理解するまで、たっぷり数秒はかかったように思う。 紅い目は笑っている。 屈託がなく、そのわりに上品で静かな表情、天使。そう、博愛の目。けして拒絶ではない無関心の目。 ーーほんとうに? 混乱した。突然じぶんが、触れてはいけないものをさわろうとしてしまっているような、なにか大切なものをまちがえたような、そんなような気持ちになっていることに。この混乱の意味がわからなかった。 かれはなんと言っていた?
代替品だなんて、おこがましいよ。
背中にひやりと流れるものを感じた。 かれのせりふがべたりと耳にはりつき、こだました。声が蔓となって鼓膜へ飲食し、このからだをすっかり染め替えて���まうような感じ。 慄えがおこった。
代替品だなんて、おこがましいよ。
かれの発した声の記録をもういちどなぞる。耳の奥にひびくうつくしいテノール。 ふっと窓の外に視線を移した彫刻めいた輪郭に、なにかそらおそろしいものを垣間見た気がした。
彼女たちが・あの子の・代替品だなんて・おこがましいよ。
やわらかな微笑をかれはけして崩さない。
混乱でなくてはっきりとした恐怖だった。あざやかすぎてそうとわからかったくらいの。 かれのその浅く弧を描くように細めた、博愛の象徴みたいな目が、手にしたいという動的な感情を持ってたしかにだれかをみつめることがあるのだということに、恐怖した。いつも微笑むときに細められる静かで優美に見えた目が、意味を変えてゆく。変貌してゆく。なぜ気づかなかったのだろう。かれの目は笑ってなどいなかったのだ。かれがああやって目を細めるとき、目の前にある事象を透過して、「あの子」の像を結んでいたのだろう。だれのすがたに重ねるでもなく、そこにその子自身のすがたをたしかに見ているように。慈しむような視線、けれどそれは寵愛ではなく、昏い憎悪さえ孕んでいる。かれは誰にも踏み入れられない場所を見つめている。
無限に広がる湫。
脳みそをすうっと撫でられたような気がして、ぞわりと全身の毛が立った。 ーーあんた、誰かを手に入れたいとほんとうに願ったことはあるの。 そう聞いたのは、ないと答えられればやっぱりそうかと安堵できるだろうし、あると答えられればかれにも誰かに思いを寄せるということがあるのだ、かれもやはり平凡な一個人にすぎないのだと、そうくすぐったく笑いあうつもりだったからだ。じっさいは、さあ、と曖昧にされると思っていたし、それでもよかった。あまりにもとりとめのない会話のたった一部だった。だけどいざその目が誰かひとりに向けられるということをこうして知ると、なにかそれがおそろしくいびつで間違ったことのように感じられた。その視線は期待したような、じぶんたちが誰かを慕い、慈しみ、愛すときの目じゃなかった。そんな範疇をとっくに過ぎていた。丹念にみがかれたナイフ。ヴァン・ショーみたいな、熱と陶酔と、からだを蝕むアルコールの毒、静かすぎる熱情。 ーーあったよ。 過去形で語られたことにはどういう意味があるのだろう。かれはこんなにもいまだ鋭いものを抱えていて、あきらめただなんてそんなことがあるのだろうか。まるで手に入れたがったもののほうから消えてしまったみたいだ。 「具合が悪い?」 声をかけられて、はっとぼやけていた視界が集束した。なにかを言わなくては、とてもそこにいられなかった。意味のないことでもいい。絞りだすようにやっとのことでことばをはなとうとする。のどがからっからに乾いているのを声を出してはじめて気づいた。 「その子はいまはどうしている? ーー亡くなったの?」 だけど、まただ、まちがえた。 あんた振られたの、そうとでもいえばもう少し冗談にも近づけられたのだろうに、もうおそい。かれはしばらくなにかを思い出すようにして、まっすぐにおれの目を射止めて、笑った。……ああ、そのとおりだ。笑ってなんかいない。 「さあ、どうだろう」 ひどく無責任なことばだったけれど、やわらかくけして突き放すようなもの���なかったことにおどろいた。ほんとうに知らないというみたいで、それが事実におもえた。あるいはそんなことにはぜんぜん興味がないみたいだった。視線を逸らしてしまえれば楽だったろうに、不思議なくらいその赤い色に吸い寄せられる。そこには、蜜でもあるんだろうか。血の色のなかで誰かがみつめかえきている気がした。かれの瞳のなかに、ときどき子どもめいた無邪気な翳りが見える。 「ねえ、死はどこにあるんだろう?」 質問を質問で返すのはずるい。こっちはそれをもういちどは使えないから。答えずにはいられないから。死はどこにーーあるんだろう。どうしてそんなことを聞くのだろう。まるでそんなものどこにもないみたいに。 だけどふと、それが今月の機関誌の論文のタイトルだということを思い出した。死はどこにあるか。 「からだが……いや、主観が消えた瞬間にあらわれるもの……」 「……もうひとつ、聞いてみてもいいかな。他人の主観を、それがたしかにあるとどうやって観測するんだろう。反対に、からだのない主観がないとどうやって証明するだろう。たとえばきみが読む本の登場人物はものを思うだろうか。それが存在したり、消えたりするのを、そのひと以外にだれが観測できるだろう。たとえばからだがほろびて、閉じ込められていたその主観が外へとはなたれてまだそこにあるのだとしたなら、それでも死とよぶんだろうか」 かれが何を言いたいのか、わかるようでわからない。その内容じたいはかろうじて理解出来るけれど、意図はちっとも読み取れない。ただ完全にかれのことばに聞き惚れていた。それはどこかとおい国の詩の朗読、心地よい音楽のようだった。 おれ以外の世界のだれもが、かれでさえほんとうに心なんて持っていなくて、規定通りの演技をする人形のようだとしたなら、そしてかれから見ればおれだってそうで、かれの世界でおれがたしかに意識をもっているということを証明できないなら、だれもがだれかの世界ではそうなら。そうなら、ではない。じっさいにそうだ。心のありかは証明できない。メルツェル・ドールにだってそれはあるのかもしれない。本の登場人物にだって。 死はどこにあるんだろう。 生の死の境はどこにあるんだろう。 夢と、いま夢ではないと信じている景色の、境は? 「ときどき不思議に思わない?眠って起きたら、どうして昨日の自分といまの自分とが地続きだって感じられるのかって。それとこうも思うーーその証拠はどこにあるんだろう?まったくかたちの同じべつのからだに記憶と認識体系とをうつされたのだとしてだれがそうと気づくんだろう?主観の移植と複製。アカウントを別の端末に引き継ぐみたいにかんたんに、どんな器にもインストールできたなら。主観の創造ーー本や夢の登場人物だって、その認識体系を再現できたらからだを持つことだって可能かもしれない」 滑らかなことばたちににつよく惹かれながら、ひどいめまいをおぼえていた。三年前、かれはここへ突然あらわれた。メルツェルに手紙をすでに送ってあるといって通されたかれを案内したのはおれだった。 かれはここで何をするんだろうか? しようと、しているんだろうか? 「現実に存在しないものを手に入れようとするとき、ひとはどうするか俺たちは知っているはずだよ。物語を残したい者は小説を書く。風景を表したい者は絵をえがく。美しいすがたを愛でたいのなら、人形をつくる」 「ーーなんの話を」 「象る、ということ。 ひとの夢からかたちをつくる方法は、ずっとそうだったよ」
それからすぐかれとおれとのあいだに通信モニターがたちあがり、少女のすがたで約束の時間を告げた。実体のないそれはだけどかれとのあいだを阻むやぶることのできない薄い膜、見えない壁のようにおもえた。いまの話さえ途方もないおとぎ話だったかのように、もう行かなくてはねと立ち上がったかれの彫刻めいた顔に浮かぶのはこんどこそ完ぺきな陰ひとつない微笑だった。 結局かれの手に入れようとしただれかが、どんな人物であってどのように関わってどのようにかれの前からすがたを消したのかーーあるいはかれのほうから去ることになったのかを、語られることはなかった。死や主観の移植なんて話はそれとはまったく関係のない話で、おれをはぐらかすためのただの気まぐれだったのかもしれない。 だけどときどきこんなことを夢想する。 その子はほんとうはどこにもいなくて、それさえすべてはかれの一夜の夢だったのかもしれない。かれの中でだけ生き、かれの中でだけすがたを消した、その子はいまはまだえがかれていない物語の人物なのかもしれない。夢の国のアリス。作家が文字を連ねるように、音楽家が五線譜を彩るように、かれはまだ見ぬだれかをあたらしい技法でたしかなものに象ろうとしているのかもしれない。 そうであればうつくしいと思った。 ただしくなかろうと真実でなかろうと、それがおれの中ではもっともかれにふさわしいような気がした。かれのからだを褥として夢はそだち、いつかかれをとおしてかたちを得る。かれは死をきらっているのでも、死者にとりつかれているふうにも見えなかったから。むしろ生のあざやかなにおいすらそこにはあって、手に入れられなかったということじたいがかれにとってはひとつも惜しむべきものではなく、神聖な事実なのではないかと思えた。 その子はかれの瞳の中でだけ住んでいる。博愛と無関心だけがあると思われたかれの瞳の中で、ただ一点の炎をくべつづけている。 象るということーー。 主観の移植、複製、創造ーー夢を捏ねてかれがなにかを生み出そうとする過程で、ひとのありかたはもしかしたら大きく捻じ曲げられてしまうのかもしれない。かれの目的がそうでなくたって、だって夢の人物ではなくひとにとってはそれは死をうしなうことだ。からだが時によってほころんでそれをだれも止められないのならば、いつかみんなからだを棄てるようになるかもしれない。人形のやわらかなつくりものの器に移住するかもしれない。あるいは物語の人物が読まれることによってひとびとのあいだを渡り歩くように、ひともいつかからだを持たず情報の海をゆきかう信号になるかもしれない。これから何百年も先、かれの技法によってまったく新しい命のありかたが定義され、ひとの意識は創作世界と物理世界のあいだでクラウドできるものになり、いつか現実と夢の境界はまざりあってうしなわれるのかもしれない。だけどかれは気にもとめないだろう。なぜだかそれが心地好いものに思えた。かれの技法によって変容することは暴力的な官能だと思った。そのような力を、ふるわれてみたいとさえ思った。 三年前からの友人だ。少なくともおれはそのつもりだ。だけど、おれはこの男のことを、きっとまだ何も知らない。
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frmjetcity · 7 years ago
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第2章 認識過程の意識化とその組み換え
2-1 生活を捉える授業理論の考察
2-1-1 戦後国語教育と主体の問題
 水平的メタ認知は、生徒たちの具体性の中で培われる。具体性、つまり生徒ひとりひとりの生活を捉える学習のためには、それぞれに固有の視点と言葉をもって日常を描き出すことが最初の課題になる。何よりも大事なのは、主体的態度で対象に向き合うことだ。ここでの主体とは、答申が示す「学ぶことに興味や関心を持」ったり、「自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら」課題に取り組んだりする態度とは異なる。それは、学校や社会で共有される価値観に従属することなく、自らのパースペクティブを通して対象に接触しようとする態度を指している。 
 こうした主体の問題は、戦後間も無くの国語教育、とりわけ文学教育においても取り上げられている。アメリカによる日本の植民地化を危惧する時代に、生徒が抱える生活上の矛盾を前景化させることが要請されたのである。伊豆利彦は1952年の論文で、そうした立場から当時の教育界の状況を次のように批判的に説明している。
 かつて、侵略戦争のイデオロギー教育をもっとも忠実にはたした反動的な日本の教育界は戦後もなお健在であり、ことにこの二、三年は急激にその反動性を露骨にして、生徒のあらゆる自主的なうごき、社会批判の芽生えを、さまざまな理由をつけておしつぶして来ている。このことは生徒のもっているなやみをぬけ道のないものにし、内訌させている。彼等は自己の理想をおしつぶすか、それともはてしない泥沼のような希望と絶望の交錯した苦悩の中にのめりこんでゆくかすることを余儀なくされている。
(旧字体は新字体に改めた。以下同じ。)
 戦後の急速に変容する社会を前に、生徒たちは様々な矛盾を自己と社会の間に感じ取っていたと予想される。しかし、当時の学校教育ではそうした矛盾を肯定し発露させることなく、むしろ抑圧していると伊豆は批判した。このような、生徒が社会に吸収される潮流の中で、伊豆が求める文学教育は以下のように示される。
 文学教育は生徒が体験を通して自分のものとしている現実認識-生徒の世界と文学の世界とを結合することであるといってもいいすぎではない。この作業はもちろんコトバの障碍をとりのけることも含むけれどそれがすべてではない。それ以上に、文学作品を現在の問題、生徒が直面しているさまざまの問題と結合し、読ませることなのである。 
 (前略)文学は(中略)具体的に形象的に現実の種々相を追求し、表面的にではなくその底にある社会の本質、人間の本質といったものをえぐり出して、読むものの心にこれらのものを抽象的、観念的にではなく、具体的、現実的に、いきいきと認識させ、そのことによって、この矛盾にみちた、唾棄すべき、変革すべき現実に対する抵抗の意識を読者の心によびさまし、それとたたかうたたかいの道を教えるのである。
 社会に適合するだけの人間を生産するのではなく、文学教育によって生徒個人の内面を抉り出し、社会に抗う主体を育成しようとするのが伊豆の主張である。これは、文学を科学的な客観性と生徒の主観性のどちら側に位置づけて教授するかという問題に通じている。伊豆のいう、戦前の「イデオロギー教育」に加担したことへの反省もあり、1950年代を境に生徒の主観による文学教育理論は盛んに提唱された。その中でも指標となるのは、荒木繁の���民族教育としての古典教育」だろう。
 荒木の授業スタイルは、「一人の生徒に三つか四つずつ歌を分担させ語釈、歌の意味を調べさせ、教壇に出てそれを説明させ、最後に感想なり批評をいわせ、それに対して皆から質問や意見をいわせる」といった、今日のアクティブ・ラーニングにも重なるものだった。しかし、この活動ではクラスによっては意見が出ないまま討論が不活発になってしまうことが多くあったという。そこで荒木は、授業のスタイルよりも生徒の内面を表明させることを優先している。荒木が授業で重視するものは、以下の通りである。
訓話註釈それ自体に意味があるのではなく、究極の目標は作品を鑑賞することにあることはいうまでもありません。(中略)この場合、すぐれた歌というものの、なにがすぐれているかが実は問題です。それは難しい点では作品評価の基準の問題になりますが、そんな意味でではなくとも、たとえば教師が人麻呂を憶良よりすぐれていると考えかたにしても、その考えをおしつけるべきが〈原文ママ〉どうかは問題だということです。これは生徒の年齢の関係もあります。たとえば近代短歌を例にとると、このくらいの年頃の生徒は茂吉や左千夫よりも牧水や啄木を好みます。その際、左千夫の方が牧水よりいいのだというような教え方をすることは、たとえ万一それが正しいにせよ問題だと思うのです。私の考えでは、むしろ生徒が自ら感じいいなと思うのならそれに任せるべきだと思います。
 伊豆が「変革すべき」とした「現実」は、ここではよりミニマルに「教師」として示されている。荒木は、柿本人麻呂や伊藤左千夫に絶対的な優位性を付与する教師を否定し、文学作品の価値を決定するのは生徒の感覚だと主張する。つまり、荒木の狙いも伊豆と同様に、教師の中に用意された正解に導くのではなく、生徒たちが抱える内面の問題を持ち出すことで予定調和を逸脱させることなのである。
 この荒木の理論は、戦後の国語教育(文学教育)で持ち上がった主体の問題に対する1つの解答だろう。しかし、「民族教育としての古典教育」は同時に次の問題を内包している。それは、荒木の報告が「民族教育としての」と形容されるように、既存の状況の外側にある世界もまた、唯一の全体性をもったものとして現れる危険性である。荒木はこの問題に自覚的で、「民族教育」を強調することによって「古典偏重」に陥ることを「逆コース」と呼び、これを否定している。けれども、荒木の理論は確かに戦後の状況下で、アメリカやロシアと日本を対立させる形で生徒が「民族」を意識するよう組み立てられており、多文化の共生が前提の現代社会においては十分ホリスティックな思想といえる。「社会の本質、人間の本質」を措定する伊豆の主張も同様である。
 社会で共有される一般的な価値観からの逸脱を図りながら、表面的で抽象的な学習を拒む主体的態度は、指導者が「変革すべき」現状を梃子にしてあるべき本質を規定してしまえば、すべて水泡に帰すことになる。主体的態度による学習は、どこまでも本質を迂回し続ける運動なのである。
2-1-2 大河原忠蔵「状況認識の文学教育」の展開と問題
 戦後国語教育では、荒木の他にも西尾実や太田正夫などによって、生徒の主体的態度を重視する授業理論が多く提出された。その中で、生徒の生活と文学教育の連結を最もラディカルに実行したのは、大河原忠蔵だろう。田近洵一の言葉によれば、「文学作品を仲だちとして、生徒に自分の現実を認識させるにとどまらず、作品の全然ないところでも、自分と自分をとりまくものを状況として認識する力を身につけさせる」ことを志向したのが大河原の特異性である。現実を自らの問題意識と重ねながら認識することを、大河原は「文学的認識」と呼ぶ。それは以下のように定義される。
 文学的認識といういい方をすると、すぐに文学作品に対する認識と混同されやすい。たしかに、作品に書かれてあることを、読みながら認識していくことも、認識にはちがいない。(中略)しかし、ここでいう文学的認識というのは、作品に向かってはたらく認識作用(鑑賞)を指すのではなく、作品を離れてしまった生徒が、作品の全然無いところで、自分をとりまいている外部の状況や、それに対応している内部の状況を、言葉でとらえていく認識過程のことである。
 荒木らの理論が生徒の問題意識を文学作品の読み方と結びつけたのに対し、大河原は生徒の問題意識を現実の見方、捉え方に繋げた。したがって、大河原理論における文学作品は、現実の捉え方の1つのモデルとして提示される。ここでは、作品と読者の緊張関係から状況と主体の関係へと問題の中心点が移行しているのである。
 以上のように、作品の鑑賞ではなく、作品に至るまでの作者の状況認識過程を学習の目的とする大河原理論は、作家のように生徒が自身の「思想」に基づいて経験を記述することを希求している。この「思想」とは、「理性でも、感性でも、欲望や衝動でも、特有の感受性でも、また倫理的思考でもな」く、それらと関連しながら「人間の行動に直接結びついているもの」であり、本稿で掲げた主体的態度に通じている。ここで大河原が「思想」という概念を用いるのは、「客観性よりも主観性」といったスローガンに厳密さをもたせるためである。大河原は生徒の主観性を「思想」として、それは「認識と価値意識の結合」によって立ち上がるものだと規定している。「認識」とは、視覚や聴覚によって外界を知覚することで、「価値意識」はそうして内面に反映した対象によって動く生徒固有の意識を指す。つまり、客観的な「認識」と主観的な「価値意識」が結合することによって「思想」が現出し、その「思想」によって現実を捉えることが「状況認識」なのである。
 「価値意識」は生徒個人のものであり、人間一般に適用されるものではない。例えば、芥川龍之介の『くもの糸』を読んで「カンダタ」のエゴイズムを普遍的に拡大して認識したり、夏目漱石の『こころ』における「先生」の罪悪感をすべての人間に共通する問題として引き出したりする読み方を、大河原は次のように否定している。
 それは、けっきょく「人間性とはこういうものである」という、あの歴史はかわっても人間性の本質はかわらないという観念的発想の地固めをすることによって、一九六〇年のシチュエーションに必要な具体的な人間理解の視点を追い出してしまっている、ということなのだ。 
 (前略)三十年前も今も、青年の気持の根は変っていないというような非分析的な人間性把握にわたしは賛同しない。
 大河原は、土地や時代を超越する人間の本質に生徒の問題意識を回収することを峻拒する。その理由は、本質へ回収することで人間の具体性が消失してしまうからに他ならない。このように、生徒の主体的態度、大河原の言葉でいえば「思想」を維持するために、本質へとつづく道程は避ける必要がある。
 大河原のこうした主張は、「コブシ型」と「テノヒラ型」という「思想」の分類にも表れている。「コブシ型思想」は、「個物A、B、Cから、共通にはたらく価値意識の対象が抽象的な概念としてぬき出され、その抽象的な概念と価値意識の結合とが」一つのまとまりになったものを指している。「人間の本質」はまさに「コブシ型」に当てはまる。その他にも、「民主化」や「女性解放」といった大きな標語、また、法則やことわざなどもそこに含まれている。上の引用からもわかるように、大河原はこうした演繹性をもった「思想」から距離をとり、具体的状況と結びついた一回性の「思想」に重点を置く。それが「テノヒラ型思想」である。「テノヒラ型」について大河原が述べている箇所を引用する。
テノヒラ型思想は、(中略)一定の状況のなかでの、一回的な、特殊的な事物、関係、構造を把握したコトバのかたちをとって、そこにあって、そこからうごかない。
 「テノヒラ型」の言葉が「うごかない」というのは、その言葉が作者以外の人間には決して適合しないことを意味している。つまり、「テノヒラ型思想」に基づく言葉は、状況と結びついた具体的で一回的な作者のオリジナルでなければならない。また、大河原はそうした言葉で構成される作文を、以下のように作者の「秩序」と表している。
コトバが、状況にはめこまれていながら、同時に、作者の価値意識によって状況からはぎとられ、作者のつくりだす新しい〈秩序〉の有力な構成単位になっていなければいけないということだ。そういうコトバが、テノヒラ型思想になる。
 状況の中で作者は言葉、すなわちイメージを選択し、選び取った複数のイメージをさらに配列して新しい独自の「秩序」を構成することで、状況に対して強固な主体を打ち出す。このイメージの選択と配列が作者にとって必然に実行されたとき、そこに「テノヒラ型思想」が立ち上がるのである。
 大河原が引用する准看護婦養成所の生徒の作文では、彼女が勤める病院の医師に対する嫌悪が、立場の弱い准看護婦としての「思想」によって生々しく描かれている。患者の診察を受けるかどうかを「先生」に訊きに行った際、生徒の視線は「先生」の部屋のテーブル上にある「食べちらかした」サラダを捉える。その描写で選ばれたイメージについて、大河原は以下のように述べる。
「食べ残した」とも「食べ余した」とも書かず「食べちらかした」という言葉でイメージを切り取ったその言葉の構造自体に、すでにいつも使用人には喧しいことをいいながら、自分たちはだらしのないことを平気でやっている医者の人間内容に対する社会的な抵抗感や批判精神を含んでおり、それは金に夢中になって困るという最後の言葉に、有機的に連続している。
 生徒が中途半端に残ったサラダを認識し、そこから「食べちらかした」というイメージを引き出したのは、日頃から「先生」に抱いていた批判的精神の結実であり、これは「食べ残した」や「食べ余した」に変換することができない。つまり、この准看護婦の生徒にとって、中途半端に残ったサラダと「食べちらかした」というイメージの結合は必然なのである。
 ここまで見てきたように、大河原は抽象性を慎重に敬遠しながら、価値意識と現実の結びつき、具体的で一回的な状況の認識を可能にする理論を組み立ててきた。しかし大河原理論には、あまりに主観性を重く見すぎるために実感信仰に陥り、かえって生徒は状況の認識力を失うのではないかという批判もある(例えば、浜本純逸「「状況認識の文学教育」論の展開とその方向」『日本文学』(日本文学協会、1973年12月)では、大河原の「テノヒラ型」への傾倒に向けて、「人間が積みあげてきた知識や抽象化された思想との相互媒介的な往復思考をしないかぎり、実感信仰による状況認識の狭さを越えきれない」と批判している)。荒木の理論が現実の外側に本質的な「民族」を措定してしまったのに対し、大河原の理論は個人の認識が絶対化され、生徒たちが自己中心的にしか現実を捉えられなくなってしまうリスクを抱えている。荒木に見られた全体性の問題は、一転してここでは個別性の問題として現れるのである。
 大河原理論が、生徒の主体的態度の抽出に特化することは広く認められる。その点は、具体性の発露と維持を重視する本稿の授業構想でも有効だろう。ただ、そこでの主体は他の主体から隔離された、孤独な主体となる。それは、他にいつでも同を見てしまうような、極めて強固であると同時に脆弱な主体である。そこで、ここからは第2の段階として、具体性の中でその隔絶した主体と主体を線で結ぶ方法を検討しなくてはならない。
2-2 客体操作による大河原理論の更新
2-2-1 大河原理論における客体の位置づけ
 大河原が開発した「状況認識の文学教育」を水平的メタ認知育成のために再び持ち出すためには、主体的態度(「テノヒラ型思想」)による作文の先に、もう1つの作文を設定する必要がある。それは、「認識」−「価値意識」−イメージの3つが結合する認識過程に意識を向けながら、1度目とは異なる主体への「転移」を経た視点によって書かれる。ここで改めて宣言すると、本稿が目途とするのは、まさしくその「転移」と、その後の作文をこれからの学校教育において有効なものとして実現するための授業理論を提示することである。
 そのためにまず、大河原理論における主体が変更可能であることを��認していく。ここでは、主体に対する客体について大河原が言及した部分に注目する。「状況認識」では、認識する作者、生徒が主体であり、現実、状況、自然は認識される客体として位置づけられる。前節の最後に挙げたのは、客体がすべて主体の主観的認識によって汲み取られてしまう問題である。ただ、「状況認識の文学教育」が成立した背景には、戦後から高��経済成長期にかけての状況に完全に埋没してしまった主体の存在があり、「状況認識」によって以上の問題が示す客体から優位性を奪取した主体を確立することは、大河原の狙いそのものであったと考えられる。
 けれども、大河原による主客の格付けには若干の曖昧さが見られる。例えば、雷鳴を預言者が二輪車に乗って空を駆け回る音として認識する老婆の「状況認識」を大河原は、「老婆が自分をとりまく状況とのかかわり合いの関係のなかで、対象を主体化して、もしくは、自己を客体化してとらえたために、はじめて可能になったもの」と説明している。また、「自己運動するのは、たえず意識ではなく状況であり、意識はその状況と不可分の関係」であるという記述もある。ここでは、認識対象が主体に包摂される客体ではなく、むしろ主体のあり方を決定するものとして設定されている。「自己運動」を行うのが意識ではないという表現は、「テノヒラ型」の言葉が「うごかない」のと同様に、抽象的にイメージだけを状況から切り取ってしまうことの否定として読むことができるが、状況を上位に置くようなこれらの記述は、状況に抗う主体を標榜する大河原にとっては正確さを欠いた言説として受け取れる。 
 この曖昧さを、大河原の恣意的な表現として受け流すこともできるだろう。しかし、このような主客の関係の曖昧さにこそ、新たな主体を生成する契機が隠れているのではないだろうか。老婆が雷鳴を神話的に認識したのは、自然の現象が科学に基づく安定性の外側に脱去したことを意味している。そうした知識や理性では説明不能な不安定な対象を前にしたとき、人間は自己の中にそれを説明しうる固有の「価値意識」を見い出すことができる。認識する主体は、その「価値意識」を発見することでようやく対象から優位性を奪えるのである。田近が「状況認識」の作文の特徴について分析した以下の記述からもそのことは読み取れる。
 状況認識の作文の第一の特質は、自分の体験を題材としながら、その過去のできごとを現在の時点から回想するのではなく、過去の時点に立ち、今の体験としてイメージ化しているという点にある。すなわち、書き手は、そのできごとを体験した時点に立ち、その時点で、今見ていること、耳にしていること、自分がしていることを、虚構の現在としてイメージ化する。そこで出会ったもの・ことをイメージ化することで、過去の時を生きる。言うならば、虚構の視点に立ち、書くことで、過去の時を虚構の現在として生きる、のである。
 書き手は、現実の体験を描きながら、視点を過去のある時点に移すことで、虚構の主体となる。虚構の主体として過去の体験を再現する。過去のもの・ことを現在進行の事実として見る。つまり、現在進行の体験として仮構するのである。
 主体が現在の視点から過去の経験を叙述するのでは、「状況認識」の作文は成立しない。現在の主体からすれば、過去の対象はすでに認識が完了した安定的な客体だからである。前述したように、主体の中に生々しい「価値意識」を付与するのは、既存の概念で捉えようとすれば齟齬が生じる不安定な対象に他ならない。したがって、大河原が目指した状況に優位な主体の成立は、主体を脅かす不安定で強い客体の存在を前提としていることになる。言い換えれば、主体と客体は対立するのではなく、相互に包摂し合う形で成立しているのである。
 このように考えれば、主体を絶えず変容の可能性の内に留めるものは、主体の「価値意識」から逃亡を続ける客体だということができる。1度は自らの「価値意識」によって認識した対象も、そこでのイメージから外れてしまえば、再び不安定に主体を脅かす存在として現れる。そうすれば主体は、自身の内側にそれまでとは異なる「価値意識」を探し出す、もしくは、内側には存在しない「価値意識」を物語の形式を採って新たに創造することになるだろう。つまり、主体と客体の序列を反復的に入れ替えることで、無数の「価値意識」を生成し続ける可塑的な主体を立ち上げることが可能になるのである。
 
2-2-2 イメージの組み換えによる「価値意識」の生成
 主体は客体に伴って変容する。それでは、客体の操作はどのように行うことができるのだろうか。
 ここでは、「価値意識」と結びついて客体を表象するイメージに手を加える。「価値意識」は主体が対象を自らのイメージで認識するために不可欠な要素であり、「価値意識」に依拠したイメージの選択と配列は、その主体にとって必然的に実行されるという大河原の主張は2-1-2で示した通りだ。サラダを「食べ残した」や「食べ余した」ではなく、「食べちらかした」というイメージで捉えた准看護婦の生徒は、日頃から医師への嫌悪を抱いているがゆえに、そのイメージしか選択することができなかった。では、外部からの操作によって、そのイメージが「食べ残した」に変更されたらどうだろうか。また、「きれいにとってある」や「ペットの餌のような」というイメージに組み換えられたらどうだろうか(物事の多義性については論を俟たない。「ルビンの壺」や「ネッカーの立方体」が意味する通り、地と図はさまざまなバリエーションに転回する)。その生徒は、自己の内側にそれらのイメージを必然として捉える「価値意識」が存在しないことに気づくだろう。そこでようやく、新たな「価値意識」を仮構する課題が生徒の実感の中で現れてくる。
 このような、先行する言葉を誘因とした主体の変容可能性は、諏訪正樹・藤井晴行による「からだメタ認知」の研究でも示されている。諏訪・藤井は、情報化社会での記号と身体の乖離を指摘し、現実と対峙した際に生じる身体的感覚を言語化する営み(「からだメタ認知」)の重要性を提示する。「からだメタ認知」の理論は、外界の事象や身体の内部での出来事を分節化し表象する「ことばシステム」と、身体の中で生起する感覚である「身体システム」を対置して、その「共創」が起こることで身体の感覚が新しく生成されていくというものである。
 段階としてはまず、ある言葉を起点として、それに関連するいくつもの言葉が誘発される。諏訪・藤井は「まちかどで猫に相対した」場合を例に挙げて以下のように説明している。
まちかどで猫に出逢うと、「猫」ということばだけではなく、さまざまなことばや概念を連想します。「みゃおん」と「かわいい」声色で鳴くとか、簡単にはひとに「気を許さず」、遠くの「物陰」からこちらを「偵察」する行動をとるとか、「のっそりと」歩くとか、「」で囲ったひとつひとつのことばや概念が、「猫」から連想できます。ことばがことばを生むのです。
 ここで列挙されたのは「連想」による言葉の増幅だが、「状況依存的」や「知識に基づく推論」などのメカニズムによっても言葉の連鎖的生成は行われる。物理的属性である「毛並み」や「丸い瞳」が原初的に知覚され、それらは体感とリンクするが、その間にも言葉は拡散的に誘発されていく。
 そこで対象を認識した主体は、新たに登場する言葉を体感とつなぐ「意識的努力」をすることで、言葉と連結する新規の体感を獲得することが可能になる。諏訪・藤井によれば、言葉に比べ、身体の感覚は習慣に埋没しやすく意識するのが難しい。したがって、それまで無意識の内に消費された体感を意識するための、言葉による方向づけが有効なのである。 
 では、この「ことばシステム」と「身体システム」を大河原の「状況認識」と重ねるとどうなるだろうか。街角で遭遇した猫の鳴き声から誘発される「かわいい」や「醜い」などの言葉と、それに適合する身体的な実感の結合は、選択されたイメージとそれを必然とする「価値意識」の関係と同じ形式だといっていい。そう考えれば、猫の鳴き声から「かわいい」というイメージが引き出され、それを体感とリンクさせた場合、准看護婦の作文と等しく鳴き声のイメージとして同時に現出する「醜い」や「卑しい」といった言葉は捨象されることになる。つまり、「ことばシステム」の中で増幅していくイメージと「身体システム」における体感との結合パターンは有限であり、体感とリンクするイメージは主体固有の感覚に依拠して必然的に選択される。そして両者の接続は、変更がなされない限り、何度か繰り返される中で安定的で排他的なものとして確立されていく。例えば、いくらかの経験から猫の鳴き声は「かわいい」と決まった回路で慣例的に認識するようになると、「醜い」と認識する他者の存在が見えなくなってしまう。
 このように、「ことばシステム」と「身体システム」、選択された言葉と「価値意識」の接続は、その過程で捨象されたイメージを無視すれば絶対化されてしまう。すなわち、身体的感覚が習慣に埋没する傾向が強いという諏訪・藤井の指摘は、生徒の認識の絶対化をもたらすという大河原理論が内包する問題にそのまま繋がっているのである。そこで、体感が志向する言葉を「食べちらかした」から「きれいにとってある」に、「かわいい」から「醜い」に組み換えることで、反対にその言葉に見合う習慣から逸脱した体感を要請する。こうしてイメージを組み換えることで、対象はバランスを失い、安定的な客体から主体に新たな「価値意識」の生成を促す不安定な対象となって再び出現するのである。
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kakuushoten · 4 years ago
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