Tumgik
#天下一忍者決定戦
ashi-yuri · 1 year
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FAITHにおける「神はなぜエイミーを助けなかったのか」という神学的問題に対する回答試案
以下は、キリスト教徒でもなければ、神学をちゃんとかじったこともない素人が本問題を考えるための材料を記した覚書である。
※この覚書はどのような事実も保証しない
※全Note、全endingネタバレ注意
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結論
エイミーの救済は、弱く罪を抱える人の子がそれでも人を救えるのかという神の試練である。
事件の概要
(ゲーム開始前)
マーティン夫人が双子を流産により失う
マーティン夫人が双子が生存しているように振る舞うなど、精神不安定状態となる
夫人は治療で一時回復に向かうが再度悪化。
マーティン氏が送った怪しげな人形に触発されて(?)マーティン夫人が双子の依代を作り始める
Chapter3 Note44 ボブへ 君が昔からの友人でなければ、こんな風に患者の秘密を破るようなことはしない。私はこの状況を本当に憂いているんだ。 ナンシーの妄想は、初めの頃よりもずっとひどくなっている。私は彼女に徐々に現実を示すよう注意深く接してきた。君は、彼女がまだあの二人のことを話したり偽のお誕生日会を開いたり、その他諸々についてもとても忍耐強く対応していた。彼女が流産したこと、そして双子が亡くなったことを受け入れたとき、私たちは前進しているのだと思った。 けれど彼女は今、双子が自分とコンタクトを取ろうとし、双子の魂が宿る "代用品 "を見つけられると確信しているようなんだ。 聞き覚えはないか?ニカラグアの村で見つけた家を覚えているか?君が彼女に話したのか?なぜ君がそんなことをするのかわからないが、そうでなければなぜそんな話が出るのか、他に理由が思い当たらない。 できるだけ早く私のオフィスに来てくれ。次にどうすべきか、話し合う必要がある。
エイミーが婦人科クリニック(ゲイリー率いる教団が運営)でボランティアを始める。教団がエイミーと接触を図る
エイミーに悪魔が憑く
1986年9月21日
エクソシスト2名(オルレッド神父とジョン)がエイミーの悪魔祓いを試みる
悪魔に敗北し、オルレッド神父が死亡
エイミーが両親2名を殺害
ジョンはエイミーに対して単独で悪魔祓いを行おうとするが失敗。悪魔に圧倒され、恐怖に負けて逃走しようとする
ジョンに対して、白い謎の存在がエイミーはどうするのか問う
ジョンは逃走を希望する
白い謎の存在は、エイミーの運命をジョンの記憶に封印することを条件に、ジョンをマーティン家から逃がす
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ジョン:これは、私の身には余ります。私は怖ろしいのです。どうかこの場所から逃してください。 ??:少女はどうする? ジョン:私はただ帰りたいのです。 ??:汝を安全な場所まで導けば…彼女の運命は汝の頭に封されるだろう。 ジョン:お望みならなんでもします。どうか、ここから連れ出してください。 ??:誓いなさい。 ジョン:誓います。
事件後、ジョン及びエイミーは精神病院に収容される
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1986年10月23日
ジョンは悪魔祓いを間違いだったと認め、信仰を捨てることで退院を認められる
この時点で、正式な聖職者としての地位は辞しているかも?
(神父を辞したのち、ジョンはモリーと暮らしはじめる)
Chapter1 Note20 1986年10月23日 マクグラーシャン先生へ ここエール精神医学研究所で私の治療が始まってから、30日が経とうとしています。スピネル先生は私に辛抱強く寄り添い、私の苦悩を理解し、私が真実を受け入れて前に進む方法を見つけるのを助けてくださいました。 スピネル先生の助けを借り、私は実際にマーティン家で起こった9月の出来事について受け入れられるようになりました。これは超自然現象の結果ではなく、独断的な両親と前時代的な教会による悪魔祓いといわれる儀式によって、暴力的にならざるをえなかった少女の必死な抵抗であったと受け止めています。 嬉しいことに、真実を受け入れてから、悪夢は止み、事件以来感じたことのない心の平穏を享受しています。こちらに来てからの私の経過を考慮いただいたうえ、今後のスピネル先生の経過観察を条件に、エール精神医学研究所からの退院を謹んでお願いいたします。
1987年9月
エイミーが精神病院から脱走?
カルト教団が儀式を行い、エイミーの顔を削り、器とする
ジョンが悪夢を見る
Chapter1 Note18(抜粋) モリーへ 私はあの家へ戻らなければならない。私の見ている悪夢は現実だ。エイミーはまだあそこにいて、私を待っている。まだ彼女を助けられる。
Chapter1
1987年9月21日
ジョンはマーティン家へと戻り、器となったエイミーと邂逅
ジョンは悪魔を祓いきれず、エイミーは脱走
ジョンは銃を手に取るが、エイミーに手をくださないまま、家へ帰る
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chapter2
ジョンが悪夢を見る
悪夢から目覚めると、ガルシア神父の手紙が届いている
(モリーは家を去っている)
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chapter3
1987年10月28-30日
ガルシア神父の手紙に従って、カルト教団の目論見を阻止するためクリニック・アパート・保育園を探索する
1987年10月31日(冒涜の安息日)
(Neutral ED)
ジョンはカルト教団の本拠地で、白い謎の存在に誓ったことを思い出す
ゲイリーを退け、カルト教団の目論む冒涜の安息日を阻止する
エイミーの悪夢を見続ける
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ジョン:神父さま、去年初めてエイミーと会った時に……悪魔を見たのです。悪魔は私を惑わしました。これからずっと、私はエイミーから解放されることはないでしょう。
(Good ED)
ジョンはカルト教団の本拠地で、白い謎の存在に誓ったことを思い出す
封印を解き、カルト教団の最奥「坩堝」の中でミリアムとゲイリーとマルファスの穢れた三位一体と対戦
撃破後、エイミーに出会い、悪魔祓いを終える
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(Bad ED)
ジョンはなにもしない
自宅にいたエイミーに取り憑く悪魔に呑み込まれ、天罰「Damnatio Memoriae」(記憶の抹消)が下される
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前提 
人間には善を為すor悪を為すことを決める自由意志がある。これを尊重し、原則、人の子の問題は人の手により解決すべきである。
ただし、神の恩寵を実現させるため、自由意志を助ける形で神は介入を行う場合がある。(傾かせるが強いない)
この項における「救い」とは魂が悪魔から解放されることを指す。
(白い謎の存在の補足)
白い謎の存在をジョンの空想上のイメージと見なした場合でも、ジョン自身がイメージとの対話により意志を持つに至った結果を重視し、以下の推論を妨げないとする。
白い謎の存在が天使か悪魔かは、作中で明言されないのでここでは問わない。開発者のAirdorf氏は「コリント信徒への手紙二11章14節」を引き、あの存在は悪魔が天使を装ったものと示している。
コリントの信徒への手紙二/ 11章 14節 しかし、驚くには及びません。サタンでさえ光の天使を装うのです。 「旧約聖書」日本聖書教会 聖書教会共同訳より
推論の過程
マーティン家の状況は、オルレッド神父とジョンが来た時点ですでに破綻状態にある。神父たちがエクソシストとしてできることは、エイミーに憑いた悪魔を祓うことだけだ。けれど、悪魔祓いは失敗する。
オルレッド神父が死亡したのち、エイミーが救われるか否かはジョンの手に委ねられる。ジョンにとってははじめての悪魔祓いであり、ジョンは悪魔にたやすく圧倒され、恐怖にのまれてしまい、人智を超えた存在となってしまったエイミーから逃がれたい一心で助けを求める。
ここから、なぞの白い存在との対話が始まる。
白い存在にこのまま逃げたらエイミーはどうなるのか、暗に見殺しにするのかと問われたとき、ジョンはそれでも恐怖から逃げることを選択する。
この選択により、エイミーが現世で救われないこと、悪魔の器となる運命は確定する。人間だけでは悪魔の目論見を防ぐことができなかったことも。悪魔から逃げることを選択し、エイミーが悪魔の器となる運命を最終的に決定した人間はジョンである。
救うべき者を見捨てた罪の代償は「エイミーの運命をジョンの頭に封じる」ことだ。それはジョンにとって誓いであり、呪いでもある。
白い謎の存在:汝を安全な場所まで導けば…彼女の運命は汝の頭に封されるだろう。
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頭に封印された記憶は悪夢となり、1年後にジョンは再びマーティン家へと赴く。信仰を捨ててあたたかなはずの愛を得たにも関わらず、ジョンはそれらを捨てて、あの家へ戻らなければならない。
誓いを果たすため、または呪いを解くために。自らが犯した罪、助けなければならなかった無垢な子どもを見捨てた罪へと向き合い、今度こそ悪魔を祓うために。悪魔の器となってしまったエイミーから悪魔を祓い救うことができるのは、そうなる道を選択してしまったジョンしかいない。
エイミーを救うことは彼個人の願いであるとともに、神の意思でもある。悪魔を祓う力を持つ十字架は、ジョンの願いを助け、神の意思を示す。エイミーを救うという神の意思を達成するか否かは、良き神の子たるジョンの行いにかかっている。
それは、救うべき者を救わなかった罪深き者が、なお人を救えるのかという神の試練である。
悪魔の器となったとしても、誰の手にも及ばない存在になったとしても、エイミーはまだ救われる可能性がある。ジョンが歩み続ける限りは。
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(おまけ)神に頼らない世俗的な救済について
ついでに、神の助けを借りずとももっと早く助けられなかったのかなあと考えてみる。
世俗的な救済は一般人が対応するため、家庭が破綻に至る前の早期対応が重要だと思われる。
具体的には、親戚・近隣・公的団体等による早期のエイミー母への共感的なメンタルケアやグリーフケア、エイミーの状況把握及び学校への登校支援、適切なコミュニティ(信頼できるボランティア団体や普通のバイトなど)への参加誘導などが必要だったんだろう。
だけど、1980年代という時代背景や孤立化しやすい森の一軒家という環境を考慮すると、救済難易度高めでいろんな難しさを感じる……そしてエイミーが器となり死亡が確定した時点で、世俗的にできることはもうない……
器となったエイミーを救うことができるのは、結局ジョンだけなんだろう。
あとがきと感想
神の存在を前提とする場合、残酷なこの事件をどう神学的に解釈するんだろうという個人的興味により書いてみました。
理論的に導くならこんな感じかなと思ったけど、神学者の方の解釈を聞いてみたいなあ。ちゃんと書くなら、アウグスティヌスとかの著作やそれに続く自由意志論争を読みとかなきゃいけないんで無理。結局ただの感想文に近いけれど、ふしぎ論理学っぽく色々考えられたのは楽しかったです。
もし、白い謎の存在が天使を装った悪魔なのだとしたら、作中いちども神の意思は直接示されることはなく、ほんとに十字架だけが頼りであまりに信仰ハードモード……
ヴァチカン非公認でも、神との一対一の信仰を果たすためとにかくやるんだ!という感じはアメリカのプロテスタントっぽいかもね。本作はテキサス在住のキリスト教徒(notカトリック)の方が開発してるので。
神を信じるならここまで考えてきた問いに意味があるけれど、そうでなければ、ジョンの所業は罪悪感や後悔による偏執的な思い込みにしか見えないし、半分おかしくなってるんだと思う。エイミーのことは手遅れなので、ふつうに考えたら贖罪にもならないし。そうせざるをえない心理状況に追い込まれてしまったのだとしても。
でも、本当の結論はあなたの心のなかの信仰次第です。
そして、ゲイリーはなんだったのとかそもそもなんでエイミーに悪魔が憑いたの?という話はまた次回。
※ゲーム画面、日本語翻訳は非公式日本語modを使用しました。
8 notes · View notes
0nce1nabluemoon · 2 years
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泉に戻ることを望む者は、流れに抗して泳がなくてはならない
[東ドイツ ある家族の物語] P.265
しかし日本は、国を失ったことはないでしょう
[また、桜の国で]P.115
今、僕の国では、未だかつてないほどに、武士道や大和魂という言葉が使われているよ。でもね、覚えておくと良い。濫用される時は必ず、言葉は正しい使い方をされていない。
[また、桜の国で]P.482
誤解せんで欲しいが、資本主義が勝利するわけではないぞ。敵を見失った資本主義は、これまた果てしなくモラルを失っていく。どんな形で崩壊するのか、それとも再生できるのか。
[プラハの春 下]P.366
犠牲者を追悼する際、たとえ何百万単位で数えられたとしても、彼らは個人であり、集団ではないと覚えておかねばならない。どのような形であれ、殺された人々を集団として記憶しようとするのは死者を否定し、還元し、再び消滅させてしまう行為である。まさに犠牲者を殺害した人たちの思うつぼなのだ。さもなくば記念碑は忘却と否定の文化に取り込まれてしまう。私たちが忘れてしまうのは単純に忘れた方が楽だからであるが、不安や恐怖の時代にそれをしてしまっては無責任である。忘却は無知に自由な支配を許すことになる。つまるところ、心に留めておきたい歴史が何であるのか、あるいは過去を意図的に消そうとする理由は一体何か内省してみれば、私たち自身が何者であるのかが見えてこよう。
[ポスト・ヨーロッパ 共産主義後をどう生き抜くか]PP.214-215
あたしはずっと歴史を教えてきたけど、歴史上の出来事のどれひとつをとってもわたしたちが最後まで知っていることってありません。経験したどれをとっても。真実のすべてを......
[戦争は女の顔をしていない]P.46
僅か十日のあいだに、日本の国民はこれだけの大きな自由を奪い去られたのだ。
[風にそよぐ葦(上)]P.199
そしてこの動乱の時代には、すべての愛情が悲劇の原因になるのだ。裏切られなかった愛情がどこにある���ろう。悲劇をもたらさなかった愛情がどこにあるだろう。人間と人間のつながりが、兵役法だの徴用令だの動員規定だの、その他無数の法令によってばらばらに切りはなされ、愛情の幸福はその根底を失ってしまった。
[風にそよぐ葦(下)]PP.76-77
榕子は日の丸の旗が嫌いであった。それは残忍きわまる国家権力の象徴であった。ここ数年来、国家とは国民の不幸の象徴ではなかったかろうか。良人を奪い子を奪い富を奪い食を奪い、あらゆる生活の根底を破壊し去ったものはこの日の丸の旗であった。
[風にそよぐ葦(下)]P.93
道徳も義理も人情も、そういう美しいものはすべて生きるための邪魔ものであった。
[風にそよぐ葦(下)]P.198
国家が国民に要求する犠牲がその極限に達し、その極限を過ぎて、血をすすり肉を啖い尽してから、戦争指導者と重臣たちとはようやく降伏を決意した、それまでは決断がつかなかったのだ。
[風にそよぐ葦(下)]P.271
古今の歴史は、為政者たちの暴政や侵略者たちの暴虐による人間の悲劇を、幾つとなく記録しているが、どれほど凶暴な力に打ちたおされても、それが人間の本質的な姿を変えることはできなかった。ヒトラーやムッソリーニや東条が、あのなさけ容赦ない強制と圧迫とを加えてみても、ついに蹂躙することのできなかった(人間の最後の自由)というものがあるのだ。ソヴィエトの圧制者たちがあれほどの秘密警察と懲罰主義とをもって、幾度か血の粛清を行なって見ても、どうしても奪い去ることのできなかったスラヴ人の自由というものがあるのだ。全体主義者たちが最後につきあたるものは、この、人間が人間であるという真実であるに違いない。自分の思考をもち、自分の欲望をもち、自分の理想をいだき自分の幸福を求める、人間としてのその本質的な希望は、国際関係が緊迫してきた現代の社会ではほとんど許されなくなってしまった。しかし、最後に残るただ一つの自由は、拒否するという意志に於いて表現されるのではあるまいか。
[風にそよぐ葦(下)]PP.464-465
しかし、どんな時代が来ても、人間の心の奥底にある、孤独感というか、一人きりでは生きて行けない、誰かを愛し、誰かを信じないでは居られない、そういう本質的な弱さ、・・・弱さと言ってもいいだろうね。・・・そういうものの美しさを信じることはできるんだよ。
[風にそよぐ葦(下)]P.536
私は罰を受けている・・・でもどうして?もしかして、人を殺したから?時々そんなふうに思います。年をとると、昔より時間がたくさんあって・・・あれこれ考えてしまう。自分の十字架を背負って行くんです。毎朝、ひざまずいて、窓の外を眺める。みんなのことをお願いするの。すべてを。夫を恨んではいないわ。許しました。彼のために祈ります。責めません。私が女の子を産んだ時、彼はしげしげと眺めて、すこし一緒にいたんだけど、非難の言葉を残して出て行ったんです。「まともな女なら戦争なんか行かないさ。銃撃を覚えるだって?だからまともな赤ん坊を産めないんだ」私は彼のために祈るの。もしかして彼の言うとおりかもしれない。そう思うことにする......これは私の罪なんだって......私はこの世で何よりも祖国を愛していた。私は愛していたんです。誰にこんなことをいま話せます?自分の娘......あの子にだけ......私が戦争の思い出話をすると、あの子はおとぎ話を聞いているんだと思ってるんです。子供用のおとぎ話を。子供のおそろしいおとぎ話を。
[戦争は女の顔をしていない]P.369
スターリンは結局民衆を信じなかった。祖国は私たちにそういうお礼をしてくれたの。私たちが注いだ愛情と流した血に対して。
[戦争は女の顔をしていない]PP.430-431
だって、人間の命って、天の恵みなんだよ。偉大な恵さ。人間がどうにかできるようなものじゃないんだから......。
[戦争は女の顔をしていない]PP.480-481
「本当の親か、本当の子かなんてことはね、誰にもわかりゃしないんだよ」良太郎は仕事に戻りながら、いかにもやわらかに云った、「お互いにこれが自分のとうちゃんだ、これはおれの子だって、しんから底から思えばそれが本当の親子なのさ、もしもこんどまたそんなことを云う者がいたら、おまえたちのほうからきき返してごらんーーおまえはどうなんだって」
[季節のない街]P.276
「おてんとさまばっかり追いかけるなよ」
何のことなのか理解出来ず、私は父を見た。七十年生きてきて、ようやく判ったのだと父はつづけた。自分は、日の当たっているところを見て、いつも慌ててそこへ移った。けれども、辿り着くと、そこに日は当たっていず、暗い影になっている。また焦って走る。行き着いて、やれやれと思ったら、たちまち影に包まれる。振り返ったら、さっきまで自分のいた場所に日が当たっている。しまったとあと戻りしても同じことだ。
[血の騒ぎを聴け]P.23
私は深夜、寝つけなくて、無数の映像と無数の音楽について考えた。どのような映像の彼方にも見えないものがあり、いかなる音楽からも聴こえないものがある。それを立ちあがらせるのが言語ではないか。文学は、終わるどころか、これから真の力を発揮する時代に入る。そう確信して、夜明け近くまで起きていた。文学が負けるのではない。虚無や時代への迎合というらくな階段を昇り降りし、訳知り顔に民衆をなめる作家や編集者が負けるのだ。
[血の騒ぎを聴け]P.47
文学が、結局は、死と恋に集約されざるを得ないのは、その哀しみと、そこから得るものが、数学の試験のように、一プラス一イコールニとはならないからであり、いかなる言葉を尽くしても、自分の心を表現することができないからであり、「別れ」が、なぜか個々人の人間のグラスを、ほんの少し大きくしてくれるからである。
[血の騒ぎを聴け]PP.287-288
われわれが実際に建設しているのは、投機を行うための都市であって、人々が住むための都市ではない。
[反資本主義]P.107
人が受け取ることのできる他人のあり方などほんの断片であり、一個人の持つ複雑な内面の全てを推し量ることなど決してできない。
[歌われなかった海賊へ]PP.362-363
王や神は書く必要がない。その存在は自己自身のうちで絶対的に充実しており、他者との関係を必要としない。王は書くことなく語る主体であって、自分の声をただ書きとらせるだけなのだ。
[デリダ]P.73
「一者」への結集は、「他の他者たち」に対してのみならず、「自己における他者たち」に対しても「暴力」となる。
[デリダ]P.293
そういう生まれつきの能を持ってる人間でも、自分ひとりだけじゃあなんにもできやしない、能のある一人の人間が、その能を生かすためには、能のない幾十人という人間が、眼に見えない力をかしているんだよ。
 [さぶ]P.291
この世から背徳や罪悪を無くすことはできないかもしれない。しかし、それらの大部分が貧困と無智からきているとすれば、少なくとも貧困と無智を克服するような努力がはらわれなければならない筈だ。(略)「世の中は絶えず動いている、農、工、商、学問、すべてが休みなく、前へ前へと進んでいる、それについてゆけない者のことなど構ってはいられない、ーだが、ついてゆけない者は��るのだし、かれらも人間なのだ、いま富栄えている者よりも、貧困な無智のために苦しんでいる者たちのほうにこそ、おれは却って人間のもっともらしさを感じ、未来に希望が持てるように思えるのだ」
  「赤ひげ診療所」 P.178
見た眼に効果のあらわれることより、徒労とみられることを重ねてゆくところに、人間の希望が実るのではないか。
「赤ひげ診療所」P.298
「……そういう人たちと別れ、戦地から戻って日銀に復職したら、なんだか妙にシャクにさわってむかむかしてきたんだな。わが身が大事のエリートが威張りくさって、トラックでわたしが一緒に働いたような、学歴のない人たちが、ここでもやっぱり下っ端として馬鹿にされて理不尽な目にあっている。こりゃなんだ、戦争は終わったのに、何も変わっていないじゃないか、と」「わたしはトラック島で部下だった工員たちに救われていた部分がずいぶんあった。そんなかれらが価値のないものとして否定されて、軍人より先に死んでいかなきゃいけないのが戦争だった。同じことが、まさにわが職場で行われているとわたしの目には映った。こりゃあ黙って見過ごしちゃいかん、と思ったんだな。大げさに聞こえるかもしれないが、それはわたしなりの、死者への責任でもあったんだ」
[昭和二十年夏、僕は兵士だった]PP.60-61
彼らにとっての祈りとは、死者を自分の裡に住まわせてこの世を生きる、その生き方そのものではないかと思った。→デリダの幽霊
[昭和二十年夏、僕は兵士だった]P.121
われわれの歴史だって、いつか、誰かによって演じられたものなのかもしれない。そしてわれわれは、その時と同じような敗北に向かって、同じような手で、コマを進めているのかもしれない。このベラミとそっくりのきちんとしておとなしい男が、かつては、象牙海岸で黒人狩りをおこない、ハイチやルイジアナへ船で運び、その途中、船倉でくたばるものはくたばるにまかせていたこともあり得る。そのベラミには、当時なんの悪気もなかったのである。いつの時代でも、ベラミには悪気はなかった。だから、始末にこまるのである。
「山椒魚戦争」 PP.242-243
市民であることとは、市民をケアすることでもあり、民主主義そのものをケアすることである。
「ケアリング・デモクラシー」 P.ⅻ
「巡礼だ、巡礼だ」暗い土堤を家のほうへ歩きながら、私は昂奮をしずめるために、声にだして呟いた、「苦しみつつはたらけ」それはそのころ私の絶望や失意を救ってくれた唯一の本、ストリンドベリイの「青巻」に書かれている章句の一であった、「苦しみつつ、なおはたらけ、安住を求めるな、この世は巡礼である」
  「青べか物語」 -留さんと女 P.317
私は若くて阿保だったから女の絶望や不幸が情事と悦楽にひりひりした辛味をそえてくれる気配だけをむさぼっていた。甘さは苦みと手を携えて進んでいかなければ完成されないが、そうと知るにはおびただしい自身を殺さねばなるまい。当時の私は自身を殺さないでおいて、貪慾だけに没頭していたのだ。
「夏の闇」 P.58
私は自身すら愛していないのかもしれない。女のいうとおりだ。自己愛をとおして女を愛することもできないのだ。私は自身におびえ、ひしがれていて、何かを構築するよりは捨てることで自身に憑かれている。
 「夏の闇」 P.207
東は暗くて広く、西は明るくて広かった。けれど、止まったり、かけぬけたり、おりていく背も見ず、乗ってくる顔も見ず、暗いのが明るくなり、明るいのが暗くなるのを、固い板にもたれて凝視していると、東も、西も、けじめがつかなくなった。あちらも、こちらも、わからなくなった。走っているのか、止まっているのかも、わからなくなった。明日の朝、十時だ。
 「夏の闇」 P.
一〇〇メートルか一五〇メートルくらいのものである。たったそれだけ離れるともう人は夜店の空気銃におとされる人形と同じに見えてくる。渇望がびくぴくうごいた。面白半分で私は人を殺し、そのあと銃をおいて、何のやましさもおぼえずに昼寝ができそうだった。たった一〇〇メートル離れただけでビールの缶でもあけるように私は引金がひけそうだ。それは人殺しではない。それはぜったい罪ではなく、罰ももうけない。とつぜん確信があっあ。かなたの人物もまた私に向かっておなじ心をうごかしているにちがいない。この道具は虚弱だ。殺人罪すら犯せぬ。
  「輝ける闇」 P.50
使命は時間がたつと解釈が変わってしまう。だけど匂いは変わりませんよ。汗の匂いは汗の匂いだし、パパイヤの匂いはパパイヤの匂いだ。あれはあまり匂いませんけどね。匂いは消えないし、変わらない。そういう匂いがある。消えないような匂いを書きたいんです。使命も匂いをたてますからね。
 「輝ける闇」 PP.108-109
南でも北でも人びとは政治された。或る哲学者の悲痛な饒舌に私は従いたい。人びとは資格も知識も徳もない輩によって、きびしく監視され、検査され、スパイされ、指揮され、法律をつくられ、規制され、枠にはめられ、教育され、説教され、吟味され、評価され、判定され、難詰され、断罪された。
  「輝ける闇」 PP.140〜141
青年はやせこけて、首が細く、とまどったようにうなだれて口をとがらしていた。シャツがよごれたズボンのうえにはみだし、はだしの足が土によごれていた。誰かが叫んだ。一〇人の憲兵の一〇挺のカービン銃が、一人の子供を射った。子供は膝を崩した。胸、腹、腿、にいくつもの小さな、黒い穴があいた。それぞれの穴からゆっくりと鮮血が流れだし、細い糸のような川となって腿を浸し、舗石へしたたった。少年はうなだれたまま声なく首を右に、左に、ゆっくりとふった。将校が近づいて回転式拳銃をぬき、こめかみに一発射ちこんだ。血が右のこめかみからほとばしった。少年は崩れおち、柱から縄で吊され、うごかなくなった。頬と首が真紅の血に浸り、血は長い糸をひいて鼻から頭から錘のように舗石へ堕ちていった。記者やカメラ・マンたちが靴音をたてて走り、棺のまわりに群れて閃光をとばしあった。
  「輝ける闇」 P.181
わしらはキリスト教国の人間なのに汝の敵を愛せよという言葉を忘れてしもうた。それもはずかしいのじゃ。国の連中も毎日の生活にいそがしゅうてな。税金が上がったり、物価が上がったり、徴兵カードが来たときだけ本気になる。自分に関係ないことは誰も、何も、気にしよらんのだ、いまはそういう時代じゃ。恥を知らん時代じゃ
  「輝ける闇」 P.216
飛行場には飛行機が一台もなくて滑走路に芋畑をつくり、その芋からアルコールをとって飛行機をとばすのだと将校たちは中学生に真摯、激烈な演説をした。私は仲間といっしょに腹をかかえて笑いころげたが、その愚劣と一日も早く玉砕したいという憧れとは矛盾しなかった。むしろ愚劣を知れば知るだけそれは昂進していくようですらあった。
  「輝ける闇」 P.231
けれどわかったのは殺されたくなければ殺せということだけだった。 → 戦争の論理(フーコー)
  「輝ける闇」 P.281
人と人のあいだの最も人間らしい関係は静けさなのだということも知った。
 「わたしは英国王に給仕した」 P.190
この意味で、他者に対する暴力とは自分自身に対する暴力であって、このことが明らかになるのは、暴力とは私たちの社会的世界である、あるいはそうであるべき生者の相互依存を攻撃するものだ、と私たちが認識するときなのである。
 「非暴力の力」(ジュディス・バトラー)P.33
他方で、哀悼可能性の基準は、移民の諸人口はそもそも哀悼可能ではない、という仕方でこれらの決定へと組み込まれている。私たちは、哀悼され得ない人々を失うことはできない。彼らは喪失を超えたもの、既に失われたもの、決して生きたことのないもの、決して生きる資格を与えられたことのないものとして扱われているのだ。
 「非暴力の力」 P.128
世界は分断されている。「知らない」とか、「関係ない」とか、「敵だから」とか、いろんな認識での壁で分断されている。この関係の断絶は、ぼくらの倫理性を麻痺させる。人を殺すことだって、人が殺されているのを無視することだって、できてしまう。だからこそ、他者に向き合い、その姿にみすがらを映しながら、いろんな「つながり」を回復する必要がある。
 「うしろめたさの人類学」 P.20
ぼくらの手で変えられる社会のありさまに目を向ける。世の中を動かす「権力」や「構造」、「制度」といったものは、とても強大で強力だけれども、まずはそのすべてをその「せい」にすることをやめてみる。(中略)社会の現実は、ぼくらが日々、いろんな人と関わり合うなかでつくりだしている。あなたが、いまどのように目の前の人と向き合い、なにを投げかけ、受けとめるのか。そこに「わたし」をつくりだし、「あなた」という存在をつくりだす社会という「運動」の鍵がある。
  「うしろめたさの人類学」 PP.77,83-84
社会の格差を是正したり、公平さを回復したりすることは国の仕事だとされる。個人や企業は市場で稼ぎ、国はそこから税金を集めて再分配を行う。世の中はこうしてできあがっている。だから自分には直接関係ない、と。この���あたりまえ」の市場と国家の境界の線の引き方が、公平さをつくりだす「わたし」の役割をみえなくしている。
「うしろめたさの人類学」 P.178
ファシズムをうけ入れたものはすべての人の心の襞にひそむ感情である。中心的な持続的な人格が崩壊して瞬間だけがあり、本能の親和力を蔑んで、不浸透性への野望だけに窒息する衝動である。自己を他者から切り離し、省察と内面凝視に赴いて帰らず、その不毛を知ってついに自分を他者から見られるままの存在としてしか機能を意識できなくなる。(中略)この人間の原子化の時代にある私たちの不断の日常の感覚である。(中略)この時期の世界ほど、人間が過去に対するときほど、現在と未来に対して賢くなり得ない原則をさらけだしたものはほかにない。日本についてはいうまでもないことだ。
  「過去と未来の国々」 PP.228-229
心に感じる苦しみやつらさは人間が人間として正常な状態にないことから生じて、そのことを僕達に知らせてくれるものだ。そして、僕たちは、その苦痛のおかげで、人間が本来どういうものであるべきかということを、しっかりと心に捕えることが出来る。
  「君たちはどう生きるか」 P.252
満員列車がやがて平野の夏のかなたからやってきた。車内の人ひどはみんな日本の無条件降伏を知っているようであったが、怒号する人もなく、嗚咽にむせぶ人もなかった。疎外荷物や、魚の罐や、イモの風呂敷包みや、バケツ、七輪、ふとん、リックサックなどのなかで人びとはおしひしがれ、体を折ったり、曲げたりして、ときどき吐息をついたりしながら窓から射しこむはげしい日光に煮られておとなしく苦しんでいるだけであった。        
ただ人びとは汗ばんで苦しん��いた。ただ"夏"だけがあった。                 
ナンナン、ナンナン               南京さん                   南京さんの言葉は                南京言葉                     
かけっぱなしにしてあったラジオがとつぜんうたいはじめた。明るく、朗らかで、清潔な、少女たちの合唱であった。                 
ふと母が怪訝そうに顔をあげた。         「ええのんかいな、こんな歌うとて」 彼女は困惑したようにつぶやいた。        「戦争に負けたのに支那人のことかろこうて、こんな歌うとて、ええのんかいな。南京さんやなんて…」
ラジオは明るく、朗らかに、清潔に中国を侮辱しつづけた。
 「青い月曜日」 PP.174-177
ーわしにとっては、心のある道を歩くことだけだ。どんな道にせよ、心のある道をな。そういう道をわしは旅する。その道のりのすべてを歩みつくすことだけが、ただひとつの価値のある証しなのだよ。その道を息もつかずに、目を見ひらいてわしは旅する。(中略)知者は行動を考えることによって生きるのでもなく、行動をおえた時考えるのだろうことを考えることによって生きるものでもなく、行動そのものによって生きるのだ
 「気流の鳴る音」 P.34
日本社会にはどうやら大きな変化があったらしかった。怜悧で、確実で、逸脱を知らない、時計のように平安で冷酷なものが主役として登場したのだ。まだ焼跡はいたるところにあった。しかしいたるところに家やビルが建ちはじめていた。商人たちは戸外で叫ばなくなった。闇市は市場となった。物や食品はいくらでもあふれ、人びとははそれを並べることよりは飾ることに心を砕いていた。新聞や雑誌に登場する知識人たちの声はたちあがるまえにすわることを考える姿勢を匂わせた。
「青い月曜日」 P.412
〈外の世界〉から来たものや帰ってきたものが、その内面の世界を共有することなしにたんに外面からながめられるとき、それはこの世界の秩序へのたんなるスキャンダルとして、すなわち欠如や違和として存在する。いいかえれば痴者、あるいは狂者として対他存在する。
  「気流の鳴る音」 P.77
今日の世界状況のなかでは知識人に残された選択の道は、三通りあるように思われます。それは共犯か臆病か拷問です。               もしかしたら、第四の道が残っているかもしれません。自分の精神的規範を裏切らないこと。いかなる状況の下でも、いかなる抑圧にも自分のなかにある絶対的な明確な視野をもった精神を否定しないこと。このなかに、唯一、精神のかけがえのない自由と高貴さがあります。
「カレル・チャペックの警告」 PP.67-68
私たちに代わって行動し決定する全権をその一枚の投票権で与えるというのは、そう些細なことではありません。もし人物によって決定しようとするのだったら、単に言葉によってではなく、誰が何をしたかによってもその人物を考えてもらいたい。政治を耳だけで判断しないこと。
 「カレル・チャペックの警告」 PP.101-102
行動の「意味」がその行動の結果へと外化してたてられるとき、それは行動そのものを意味深いものとするための媒介として把握され、意味がふたたび行動に内化するのでないかぎり、行動それ自体はその意味を疎外された空虚なものとなる。生きることの「意味」がその何らかの「成果」へと外化してたてられるとき、この生活の「目標」は生そのものを豊饒化するための媒介として把握され、意味がふたたび生きることに内在化するのでないかぎり、生それ自体はその意味を疎外された空虚なものとなる。
 「気流の鳴る音」 P.151
いっさいの価値が空しくなったとき、かえって鮮烈によみがえってくる価値というものがある。
「気流の鳴る音」P.210
恐ろしいのは、このような集団的残虐行為を見てもほとんど苦痛も軽蔑も感じなくなる、それどころか、そのうち今日の全世界の状況をみても恐怖も反感も感じなくなくなるのではないかということである。(中略)犯罪は犯罪であり、常に犯罪として宣告され、また未来においても宣告されるだろうことが、執拗に繰り返されなければならない。(中略)無関心な沈黙は悪しき行為である。それは悪逆非道な行為にたいする共犯である。だから、私たちは人類社会の大きな連帯から離反せずに、せめてこの共犯だけは犯さないように、精一杯、心を引き締めていよう。
 「カレル・チャペックの警告」PP.140-141(1938)
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monthly-ambigram · 1 year
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2023-10月号
アンビグラム作家の皆様に同じテーマでアンビグラムを作っていただく「月刊アンビグラム」、主宰のigatoxin(アンビグラム研究室 室長)です。
『アンビグラム』とは「複数の異なる見方を一つの図形にしたもの」であり、逆さにしたり裏返したりしても読めてしまう楽しいカラクリ文字です。詳しくはコチラをご参照ください⇒アンビグラムの作り方/Frog96
◆今月のお題は「ヒーロー」です◆
今月は参加者の皆様に「ヒーロー」のお題でアンビグラムを制作していただいております。  古今東西のヒーローにまつわる逆さ文字の数々をご覧ください。
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「勇者」 回転型:peanuts氏
勇者といえばヒーローの筆頭ですね。ゲームだけではなく神話においても英雄としての勇者は数多く語られています。 全体を斜めにすることで「勇」のパーツのずれの違和感を和らげています。正統派で王道を行く作品だと思います。ペンで書いたような作字もステキです。
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「正義」 回転重畳型:いんふぃにてぃ氏
正義こそヒーローの行動原理ですね。正義の反対はまた別の正義、という言葉もあり、真実と同じような意味合いを持つ言葉かもしれません。 「正」「義」それぞれを回転重畳型にしています。「回転重畳型×2」として並べることもできましたが、縮尺を変えることで一つのアンビグラムにまとめ上げているのが作者の工夫ですね。
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「英雄」 回転型:海氏
ヒーローは日本語で「英雄」ですね。 英雄という言葉にまつわる作品はいくつか寄せられましたが、まず正統派の回転型です。字画密度の差は「厷」を中心に据えて解決、字画の角度を一定のルールに揃えることで読みやすくまとまっています。
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「必殺技」 図地反転回転型:いとうさとし氏
ヒーローならば必殺技の一つや二つ使いたいものです。 見事な「殺」を中心に読みやすい図地反転アンビグラムに仕上がっています。ドット表現がゲームにマッチしそうで、必殺技を決めるヒーローの背景で光らせたくなるデザインです。
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「自己犠牲」 図地反転型:梅氏
自己犠牲の精神はよくヒーローと共に語られますね。 こちらのデザインは「犠牲」のほうに字画の区切り線があるため完全な図地反転の関係にはなっておりません。その意味で純粋なアンビグラムではないのですが、アンビグラム的表現の一つとして面白いデザインになっており作者の工夫が光っています。
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「大活躍」 回転型:lszk氏
ヒーローならば大活躍が確約されているものなのか、大活躍したからヒーローなのか。 氏には久しぶりに作品を寄せていただきましたが、相変わらずデフォルメした形状による作品が絶妙に読めるバランスで素晴らしいです。本作では翼のような形状が万能ですね。
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「ひろいんとひいろう」 旋回型:kawahar氏
ヒーローとともによく語られるヒロインですが男女の違いだけではなく非対称性がある点は興味深いところ。 氏は多面相旋回型を得意としていますが本作でも六面相に仕上げていて感心します。鏡像と回転により文字が変化する、バランスの調整具合をご覧ください。
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「スーパーヒーロー」 回転型:lszk氏
スーパーヒーローは主にフィクションで超自然的な力を持つヒーロー。人により思い浮かべるスーパーヒーローも違うでしょう。 デザインとしては中央に力が集中していくかのよう。後半「ーロ」の部分の重ね処理を自然に見せるため「パーヒ」の部分も重ね処理をしており、文字列の配置が絶妙です。
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「英雄/色を好む」 振動型:ヨウヘイ氏
「英雄色を好む」とは「英雄は活力にあふれ何事にも精力的に活動するため女性関係も積極的で派手」という意味。英雄ならそれでも許される、というニュアンスもあります。 「英/色」の下部分の処理、「隹/好む」の対応がうまく調整されています。太い文字なので切り欠きをうまく使うことができるのですね。言葉の選択が面白いです。
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「ダークヒーロー」  回転型:mishima氏
ダークヒーローは正義の味方として描かれない主人公でアンチヒーローとも。 ダークヒーローのシルエットをロゴに取り入れていてかっこいいですね。オーラのように燃え上がる形状が文字のゲシュタルトにうまく取り入れられておりステキです。
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「剛烈/疾風」 回転共存型:兼吉共心堂氏
仮面ライダージオウに登場する「仮面ライダーゲイツ」の強化フォーム「仮面ライダーゲイツリバイブ」の二つの変身フォームが「剛烈&疾風」だそうです。 この二つの言葉の相性が良すぎますが、氏の書道風の筆致によりより自然な仕上がりになっていると思います。気持ちよい作品です。
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「響鬼」 振動型:.38氏
「仮面ライダー響鬼」より。 決して近くはない「響/鬼」の二文字の中間点をうまく探し出して仕上げられています。実際のタイトルロゴに似せたデザインなのもよいですね。
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「科学忍者隊ガッチャマン」 図地反転回転型:いとうさとし氏
1974年から放映された変身ヒーローアニメ。タツノコプロの代表作の一つです。 「科学忍者隊」「ガッチャマン」がそれぞれ図地反転回転型の作品になっています。「ガッチャマン」はカタカナで字形を崩すと読めなくなりやすいのですが、しっかり読めるようになっている配置が魔術的です。
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「僕のヒーローアカデミア」 鏡像型:ぺんぺん草氏
ヒーローと名の付く漫画といえばこれでしょう。種々メディア展開された人気作です。 本家ロゴに似せたステキな作品ですね。「僕/デミア」のハマり具合が楽しいです。本家ロゴのテイストでアンビグラム化できるかは運命的なところもあり、奇跡的な作品ともいえます。
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「秘密戦隊ゴレンジャー」 図地反転型:いとうさとし氏
所謂「スーパー戦隊もの」の第一作。集団戦隊ヒーローのフォーマットが第一作にして確立されました。 「秘/密」「戦/隊」「ゴレン/ジャー」がそれぞれ図地反転の関係です。対応付けの仕方に統一性がありながらどの文字の可読性も確保されており、さすが達人の仕事です。
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「シン・仮面ライダー/第1バッタオーグ」 回転共存型:兼吉共心堂氏
シン・仮面ライダーと、それに登場するショッカー上級構成員の対応。「第2~」でもできそうです。字画密度の差がある言葉同士を対応付けようという発想がいつもすごいと思いますし、それを作品に仕上げる力量が素晴らしいです。
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「五右ヱ門」 鏡像型:うら紙氏
安土桃山時代の盗賊の首長であった石川五右衛門、彼を創作材料とした作品は多くその中にはこの表記としたものもあります。 環状配置の作品ですが、上下左右に文字が配置される点が珍しいです。略字の「门」にしているのがぴったりですね。左に45度回転させると隈取のようにも見えてきます。
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「天下人」 鏡像型:.38氏
天下人は全国の政権を掌握した人のことで、ヒーローともダークヒーローとも見ることができそうです。 「天/下人」でシンプルな対応ながらパースをかけたようなデザインにより「天」第2画の短さと「下」の点の突き出しが自然に見えるようにしています。周りにある隠し文字もよいですね。
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「桃太郎」 回転型:オルドビス紀氏
おとぎ話のヒーローといえば桃太郎を連想する人が多そうです。 余る字画がほとんどなく仕上がっているのにも驚きですが、余った分も横画が細い様式と左上優先の法則の活用で全く気にならないですね。美しく素晴らしい作品です。
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「野茂英雄」 回転型:douse氏
「英雄」といえばこちらに発想を飛ばすのも自然。名前もさることながら野球選手としての実績もヒーローといってよいでしょう。 「野茂/英雄」がハマりすぎで気持ちよいです。作字としても最高ですね。ストレートとフォークボールを連想させるモチーフがステキです。
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「さらば一昨日殺人ライナー」 回転型:Σ氏
HACHI(米津玄師)の楽曲「パンダヒーロー」の一節。 巧みな文字組と掠れ処理の組み合わせで文字の切れ目をコントロールしています。中央の「日」を「昨」のひへんの字形と揃えているのは作字面でのこだわりですね。カッコいいです。
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「Q.17 ヒーローを右のコンテナに入れろ」 回転型:いんふぃにてぃ氏
パズルゲーム『Q』より、17問目からの引用とのこと。 180度回転型というのは解き方を示唆している、のでしょうか……? 発想の飛ばし方がさすがです。長い文字列への挑戦もよいですね。
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「痛みを知るただ1人であれ」 回転型:螺旋氏
シン・ウルトラマンの主題歌『M八七』の中の一節。映画の内容にマッチした印象的な歌詞です。 とにかく細かいところの対応をじっくり見てしまいます。特に曲線がきれいに調整されていてので見ていて気持ちよく、カッコいい作品です。
 最後に私の作品を。
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「英雄/悪役」 回転共存型:igatoxin
ヒーローと対立するものとしてヴィランが描かれますが、対極にあるものではないのかもしれません。
ヒーローがお題のアンビグラム祭、いかがでしたでしょう。皆さんの発想に触れヒーローとは何たるものかに思いを馳せ、幾重にも楽しめるものになったのではないでしょうか。お忙しい中 御参加いただいた作家の皆様には深く感謝申し上げます。
さて次回のお題は『ゲーム』です。ゲームから連想する語句、ゲームタイトル、ゲームキャラクター、なんでもOKです。締切は10/31、発行は11/8の予定です。それでは皆様 来月またお会いしましょう。
——————————–index——————————————
2023年 1月{フリー}   2月{TV}        3月{クイズ}        4月{健康}   5月{回文}    6月{本}               7月{神話}   8月{ジャングル} 9月{日本史}  
※これ以前のindexはこちら→《index:2017年~》
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tanakadntt · 1 year
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旧東隊の小説(二次創作)
ホッケえいひれ揚げ出し豆腐
一月か二月の頃だった。
トリオン測定ですごい数値を叩き出した新人が二人も入るそうだというのが、その夜の話題だった。出水公平と天羽月彦のことだ。
新生ボーダーが動き出して一年半になる。『旧』ボーダーという言葉が定着するほどに、時は勢いを増して流れていく。その間に、一番仕事をしたのは開発室室長の鬼怒田本吉だった。
まず、彼は異世界に通じる門の発生ポイントを特定できるようにした。次に門の発生を抑えるトリオン障壁を一時的ではあるが生成に成功、最後に門発生ポイントを誘導する装置が開発され、三門市の安心を約束する三点セットがわずか一年で出来上がる。元々の研究分野の応用とはいえ驚嘆に値する開発速度だった。
こうして、急務だった門発生のコントロールに成功した後は研究途中で放置されていた擬似トリオン訓練室の完成、隊員増加を見越してランク戦で使う対戦ブースと八面六臂の活躍である。
短期間でこれだけのことをやってのけた彼及び彼のチームは、城戸政宗司令がどこからか連れてきた逸材だった。三門市にやってきた時には一緒だった家族とは離婚している。仕事に打ち込みすぎたせいだと専らの噂だった。
開発室以外も働いた。門がコントロールできるまではいつどこで出現するかわからない。国の機関に代わって街を守るボーダー隊員たちは昼夜を問わずパトロールを行い、近界民と戦った。
三門市民は最初、胡乱な目で彼らを見ていたが、公的機関と連携した規律ある行動に徐々にボーダーの存在は受け入れられていく。根付メディア対策室室長による世論操作も功を奏していた。
出ていく人間は出ていき、かわりに大量の物資と人材が流れ込んでくる。
ボーダーにもまた人材が集まった。
まず、市民志願者第一号として柿崎国治と嵐山准が入隊する。華々しい記者会見の後、志願者はぐっと増えた。
東春秋が部隊を結成したのもその頃だ。
この時期の部隊は自由結成と言うよりは忍田や根付の意向が強く反映していた。東隊も忍田の指示によるものだった。
忍田自身も部隊を持っていたが、本部で戦闘員を統括する役職につくために解散することが決まっている。
ガラリと引き戸をあけて顔を出したのは東春秋だった。いらっしゃいませと店員が声をかけると案内はいらないと手を振って、店内を見渡す。じきに見知った顔の並ぶテーブルを見つけて近づいた。
二十二歳だと言うが、ずっと老けて見える。外見だけではない。彼に接する人間はつい彼が二十代前半の若造だということを忘れてしまう。
後ろには背が高い男女二人がやはり背の高い東を挟んで並び立つようにいた。どちらも目を引く美男美女だ。彼らは近隣の六穎館高等学校の制服を身につけていた。
さらに後ろに中学校の制服を着た少年がひっそりと控えている。前のふたりと違って背は低い。寒いのか、マフラーをぐるぐると首に巻いていた。
三人は物珍しげに店内を見回している。
「なんだ、三人とも居酒屋は初めてか」
テーブルにいた眼鏡の男が声をかけた。既に頬は赤い。手には盃を持っている。日本酒派だ。林藤匠という。���ーダーでは古参の一人だ。歳は三十一になる。そろそろ現役を引退したいとボヤいているが、いかんせん昨今の人手不足だ。
ボーダー本部建物ができたにも関わらず、旧本部ビルから動こうとしない、なかなかの頑固者だった。
「学生ですから」
と、生意気そうに答えるのは、背の高いほうの一人である二宮匡貴だった。
「あれ、根付さんから聞いてないか? ボーダーマークの貼ってある店はボーダーなら学生でも入れるようになったんだぜ」
トリオン器官の性質上、十代の隊員は増えていく。本部でも食堂は設置しているが、彼らは三門市の飲食店にも協力を求めていた。パスポート制で十代への酒類の提供はないなどの配慮がされている。
「知ってますが…」
さらになにか言おうとする二宮を東は遮った。
「今夜は明日の確認だけしに来たんです。本部で聞いたら、ここにいるっていうから」
「明日? ああ、国の視察ね。用事は、唐沢さん?」
「俺?」
テーブルの奥から唐沢克己外務営業部長が顔を出す。彼はビール派だ。既にジョッキをほとんど空けている。まだ三十そこそこだが、やり手の男だ。鬼怒田同様、城戸司令がスカウトしてきた。元ラガーマンだという以外素性を明かさない男だったが、人当たりがよい。
今夜の飲みメンバーは林藤、唐沢に加え、エンジニア冬島慎次、戦闘員の風間蒼也、木崎レイジの三人だった。風間と木崎は二十歳前なので、烏龍茶が並んでいる。
「まあ、たってないでこっちに座れよ、東くん」
「あー、ウチはウチでご飯を食べる予定なんです」
東はお供のように控える背後の三人を見やった。東隊のメンバーだ。
「ここで食べていけばいいよ」
「はあ」
少しだけ、東の心が揺れた。老成しているとはいえ二十二の青年だ。気楽な酒の席は魅力的だ。
「大丈夫です。俺たちは帰ります」
東の心を見透かしたように、二宮が後ろの中学生の背を押して店の入口に向かおうとする。
「東」
林藤は声をかけた。
「みんなで食べてけよ。唐沢さんの奢りだ」
「あなたじゃなくて、俺ですか?」
急に振られた唐沢が満更でもなさそうに笑った。確かにこの男前は今日の面子の中で一番地位が高く、懐も暖かい。
「あら、素敵。せっかくだから、ご馳走にならない? 二宮くん」
そこで初めて、女学生が口を開いた。こちらも生意気な口調だが、軽やかでトゲトゲしいものを感じさせない。
「加古」
「ねえ、三輪くん?」
「……」
急に話を振られた中学生は無表情のまま首を傾けた。
「わかりません」
「東さんがここでお酒を飲んでるとこを見てみたくない? 面白そう」
三輪は悩みながらうなずいた。
「ほら、三輪くんもそう言ってるし」
「言ってないだろう」
「言ってないです」
「わかった、わかった」
いつもの掛け合いが始まりそうになって、東は決断する。一応、上役たちの前だ。
「ごちそうになろう。唐沢さん、ありがとうございます」
東が頭を下げると、揉めていた三人がピタッと止まって、同時に頭を下げた。よく訓練されている。東を猟師になぞらえて獰猛な猟犬を三匹飼っていると言っていたのは誰だったか。
「遠慮せずたくさん食べなよ」
唐沢はいつもの人当たりのよい笑みを浮かべた。
「追い出された」
案内されると同時に、風間と木崎が東隊の猟犬三匹のテーブルにやってきた。テーブルが窮屈になったらしい。
今夜はボーダー戦闘員と唐沢の交流会であるらしかった。
風間の兄は林藤の弟子だった男だ。故人である。木崎は東から狙撃手としてのスキルを学んでいるので、東隊の面々とは面識がある。今は林藤に従い旧本部ビルに寝泊まりしている。狙撃以外の分野では林藤に師事していた。
一方は小柄で華奢、もう一方は筋肉隆々の巨漢だ。正反対の見かけだが、どちらも恐ろしく強かった。さらに木崎はトリオン量は二宮と同程度を持っていて近界のトリガーを使いこなす。
加古の隣に木崎が座り、二宮と三輪の隣に風間が座った。スペースの有効活用の結果である。三輪は隣が風間なので緊張する。風間蒼也は様々な思惑の絡む本部で誰からも重用され、確実に任務をこなすエリートだった。
「もう、頼んだか」
「まだです」
彼らはまだ食べるつもりらしい。
「居酒屋は初めてか」
木崎が気を使って、品書きをテーブルの真ん中におく。
店員がまとめて置いていった突き出し(お通し)を配る。
「飲み物から決めよう」
と、店員を呼んでさっさと飲み物を決めてしまう。さくさくと仕切る姿が頼もしい。三人はジュースにしたが、風間と木崎はまた烏龍茶だった。
「おすすめは、揚げ出し豆腐だな。家で作るの面倒だし」
「そういう基準か」
「寺島たちに頼まれて作ったが、たくさん食べるものじゃないし、持て余した」
寺島たちと寺島雷蔵と諏訪洸太郎のことだろう。四人は同い年で気が合うようだった。諏訪は二宮と加古の同期でもある。
「おごりなら諏訪と雷蔵でも呼ぶか」
「来ないだろ」
確かにもう遅い。
「今日の当番は?」
お酒をあおる大人席では、林藤が煙草の煙を吐き出しながら聞いた。
「忍田さんとこと迅です」
迅悠一は木崎隊であったが、先日、晴れて『風刃』所持者となり、隊を離れS級隊員となっている。
「あとは嵐山隊ですね」
なんとなく大人たちは子どもたちのいるテーブルに視線を向けた。三輪がジュースを飲んでいる。迅、太刀川、嵐山と三輪の苦手な三人だ。
「明日は俺らの勤務か」
正直、オーバーワークだ。ここにいるメンバーは皆、ワーカホリック気味ではあるが、大規模侵攻からずっと働き続けている。
「入隊志願者が増えてますからもうちょっと頑張ってもらって…。部隊が増えてくれば、部隊の輪番制に移行するって城戸さんが言ってます」
「もうすぐですよ」
冬島がエイヒレに手を伸ばしながら言う。
「そう願いたい」
品書きと書かれたメニューには写真がない。並ぶ単語は知らないものが多い。
三輪が大人たちのテーブルをチラリと見れば東は刺身の盛られた皿をビール片手につついていた。嬉しそうだ。確かに、隊長ではない東は不思議な感じがした。
「秀次は刺身か」
二宮がつらつらと品書きを見ながら勧める。二宮も初めてだからよくわかっていない。
「盛り合わせがあるぞ」
「ちょっとずつ色んなのが食べたいわ」
加古がウキウキしている。
「レイジさんおすすめの揚げ出し豆腐は頼むでしょ。風間さんのおすすめは?」
「コロッケと卵焼きだな」
間髪入れずに答える。迷いがない。
「じゃあ、それー」
「また家で作れるようなものを…」
木崎がぶつくさ言うが、三輪は蕎麦を茹でるくらいしかできない。
「二宮は?」
風間が水を向けるが、彼は熟考に入っている。
「先に頼んじゃいましょ。店員さぁん」
「加古、お前なあ」
「大丈夫だ、二宮。何度でも頼めるから」
「風間さんがそう言うなら」
注文を手早く木崎がまとめる。
「三輪は決めたのか」
「じゃあ、刺身盛り合わせ(小)で」
「あと、ホッケ」
「加古、語感で決めただろう」
「干物だな。北の魚だ」
明日、視察団が来るというのに、大人組はまだまだ飲んでいる。タバコの匂いがする。
焼肉屋ともファミリーレストランともバーガー屋とも違う雰囲気にふわふわする。
「秀次」
三輪は、二宮に揺り起こされた。ひと通り食べたあと、いつの間にか眠っていたらしい。
「中学生には遅い時間だな」
木崎が気の毒そうに言う。
「大丈夫です。すみません」
彼らも高校生なのだ。
「ほら」
おにぎりが渡された。大きい。海苔がパリッとしている。
「結局、二宮くんが選んだのがこれよ」
おにぎりを優雅に食べるという器用なことをしながら、加古が教えてくれる。
「悪いか」
「いい選択よ」
「うまいな」
風間はまだ食べている。木崎はカチャカチャと皿を重ねて、テーブルを綺麗にしている。 三輪は散々食べたあとだが、おにぎりを持って、「いただきます」と言った。おにぎりは何も入っていなくて塩がきいている。
「おいしいです」
「そうか」
「東さん、あれ酔っ払ってるわ」
三人が揃って東のほうを向くと、その様子がおかしかったのか、木崎と風間が笑った。
「明日はお前らが頑張れ」
その日はみんなボーダー本部に泊まった。
終わり
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ari0921 · 2 years
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ピルスベリーは「50年、中国に欺されていた」と悔やんだが「百年」の間違いである
  1922年、日本を不当に批判した本書が日米開戦の伏線となった
  ♪
ポール・S・ラインシュ著、#田中秀雄 訳
  『#日米戦争の起点をつくった外交官』(扶桑書房出版)
************************
 本書の原版は1922年、ちょうど百年前の本である。
ピルスベリーは「50年、中国に欺されていた」と言ったが、半世紀ではない。「百年」に亘ったアメリカの間違いである
 日本を不当にけなす本書が日米開戦の伏線の一つとなった。
著者のラインシュは植民学の学者だったが、ウィルソン大統領の指名によって初代中華民国駐在公使となった。六年間、当時の中華民国に滞在し、袁世凱など歴史上の人物を交流し、外交の舞台裏で活躍した。中国人のエリート層と交流を深めるうちに、なぜかシナ贔屓となり、日本を嫌うようになった。
つきあった中国人たちはアメリカ留学組が多く、知識階級で庶民の感覚とは無縁であり、しかもデモクラシーを志向していた。野党指導者が多く、また孫文や黄興らと交わった知識人たちとラインシュは交流していたである。
▲中国人は日本の行動をつねに「陰謀」と捉えていたとする観
 本書は辛亥革命から十年後の、百年前に書かれた外交官に精密な記録であり、当時の中国の社会の底辺や権力者の動向、底流に流れる民衆の民度なども詳細に、精密な観察によっていきいきと描かれている。それゆえに多くの学者や歴史家が、この本から引用しているが、日本では今日まで翻訳がなかった。
 反日的とはいえ翻訳することには学術的な、歴史考察の参考としておおいに意義がある。ただし通読して中国人の人生観や宗教観など表面的で浅薄な観察も目立つ。とくに印象的なのは、中国人が日本の行動をつねに「陰謀」と捉えていたとする観察である。
米国の外交官の偏見が混じるにせよ、考えさせられるのだ。
 曰く。
 「(日本の軍備拡張は)日本がこの機会に東亜の支配を実際におこなうことを意味すると解釈された。中国人は日本と理解を深めれば、必然的に中国が隣国の政治的
支配に完全に服従することになると考えていた。中国人は、日本のあらゆる友好宣言に不信感を抱いている。私が中国と日本の間の率直な理解が望ましいと主張しようとするたびに、中国は日本を信用できない、日本はその公言によってではなく、過去の行動によって判断されるべきだ。それらすべてが安心させる宣言によって覆い隠された決定方針、政治的進撃をしめしていると言われた。このように、中国人はあらゆる場面で日本の陰謀を恐れていた」(124p)。
 ▲袁世凱は民主主義に関心がなく、弾圧の対象だった
 ラインシュは近代史の知識は豊富であり、英国の植民地政策がいかなるものだったかを知っていても日中関係の本質が、威嚇か土下座か、冊封体制に入って朝貢するか、させたかという歴史を知らず、嘗て日本が中国に朝貢していたか歴史感覚の郷愁を含めて、自分ならこういう陰謀をめぐらすという思考を日本にあてはめ、なんでもかんでも日本雄の陰謀と短絡させるあたり、その中国人の特徴的な思考傾向の考察までは至っていない。学者の限界だろうか。
 本書の原題は「シナにおけるアメリカ人外交官」で、日本の対華二十一箇条、袁世凱の台頭と失脚、ドイツの参戦、孫文と広東政府の対立、五四運動とめまぐるしく激動した状況の中で、著者はすっかり北京寄りとなって日本を批判した。つまり反面教師であり、タウンゼントとは真逆の感覚でシナとつきあったのだ。あまつさえ、この本が米国の対日外交に影響したのである。
 袁世凱は民主主義に関心がなく、というより民主派は弾圧の対象であって、自らは古代皇帝と同様な存在と過信しており、冬至には天壇に登って天子としての儀式を行い、その場には外国人多数も招待した。
つまり「軍事独裁政権が古い清王朝の後を継いだ。それだけのことである」(中略)「彼(袁世凱)には冒険家の面影もなければ、戦場を連想させるものもない。彼はいま、軍の指揮官というより管理者のようだ。彼が権力を手にしたのは、無限の忍耐力、人間に対する優れた知識、政治的な洞察力、そして何よりも無節操であっても、常に安全なゲームを行ってきたからに他ならない」(25p)
 社会に目を転じたラインシュはこう言う。
 「この広大な国の人口は、政治的な意味で均質なものではない(中略)。社会の単位は何世紀にもわたってそうであったように、国家ではなく家族である」
 そのうえ「中国人は驚くほど自意識がなくそれゆえに優れた役者である。通りを行き交う何千人もの人々を見ていると、彼らもまた演技をしているのだと感じる」(37p)
 そして指導者��いえば張作霖は匪賊出身、張懐芝はクーリーあがり、軍混は行商人だった。王占元は馬丁だった。これらの人々が政治、軍事を掌握し、袁世凱の周りを囲んだのだ。
「富と権力という個人的な野望の目標だけを見据えていた」(234p)。
 ▲西原借款は返金されなかった。戦後の日中友好で吸い取られたのが6兆円
 かくして鍛え上げた外交術では、はるかに狡智に長ける中国指導層は、むしろ日本の善意と無知を利用して、かの「西原借款」をだまし取った。武器供与を含めると合計一億七千万円! 今日の貨幣価値にしていったい、幾らになるのか?
西原借款は大正6、7年の頃だから、当時の日本政府の歳入が約11億、15億円すなわち西原借款は歳入の一割を超えていたのだ。
 当時は戦争景気で日本はバブルそのもの、ウハウハ潤っていた時代だったため中国に金を貸せるのは日本とアメリカしかなかった。
中国との交渉役は寺内正毅内閣で首相側近だった西原亀三があたり、日本興業銀行・朝鮮銀行・台湾銀行が資金を拠出した。八八艦隊(大正九年度からの八ヵ年計画で艦艇103隻建造。予算総額は5億6484万9280円)が完成した場合、建造費用だけではなく年間維持費が6億円と見積もられていた時代である。
しかし中国は、これを日本が中華民国の貨幣を「円ブロック圏」にひきこむ陰謀だと難癖をつけ、返済に応じなかった。
日中友好で吸い取られたのが6兆円。いまも昔も日本人は底抜けにお人好しだ。
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oivgbqiqfz358 · 4 hours
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----深海人形---- 御前もバイドになるんだよ!
※此れで君もバイドル!!!(※迫真)
※閲覧&キャラ崩壊注意
※ネタも話題も雑多(※闇鍋)。
※スト6テリーのネタバレあり
※前半一部クロスオーバー?、後半クロスオーバー注意
スト6の所為で昇天した(※…有難う……カプコンとSNK……)。
…。
ウラキに岩盤浴(※龍珠の)させて上げるシロッコが見たい(※シロッコリーネタ)。
ウラキ「…もうダメだぁ……お終いだぁ……(涙目)。
シロッコ「…落ちろ!カトンボ!(※素の自分)。」
…。」
殺シアム企画メモ
シロッコ vs. コノエ(※早速の色物枠)
イオ vs.ヤザン (※多分此れが一番需要ある)
ガトー vs ヤザン(※おそらく一番理想的な対戦カード)
ガトー vs. シロッコ(※団長 vs. ひそかすみたいにしたい)。
…。
※…以下、某NEOGE⚪︎格ゲーレビューサイトの名物コンテンツパロあり
ヤザン「シロッコの奴、今新しく情報が出て来たヌーベル ジオンで出番が大量にあるって、今頃、彼奴大喜びしてんだろうな……(※名推理)。」
シロッコ「…うぉほぉおおおおおおおお!!!!!!テリーだ!!!!!!!!テリー!!!!!!!!!!!最高だァ!!!!!!!!!!ケンとも密接にクロスオーバーしてるゥ!!!!!!!!!!!!!!!!!ヒャァァアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!(※テリー推し並)。」
ヤザン「…なぁ、シロッ……(※震え声)。」
シロッコ「……ヒャァアアアアアアアアアアア!!!!!!!新規追加背景にも沢山餓狼の面子居るし、更には、あの『ハワード(※注:何方のハワード?)』迄居るのか!!!!!!!!!!!!!!!!(※テンション高揚継続)。」
ヤザン「…あっ、あのぉ……(※遠い目)。」
シロッコ「もう!!!!!!!!!!!!!最高!!!!!!!!!!!!!スト6最高だ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!���!!!(※結論)。」
ヤザン「………………シロッコの奴、ヌーベル ジオンの事が、其んなに、不服だったのか……?(※呆れ)。」
----其のすぐ後
シロッコ「…ヤザン許さんぞ!!!!!!!!!!JP使いやがって!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(※JP爺さん許さないの会ゴールドクラス会員並)。」
ヤザン「ザンギじゃないだけ感謝しろ(※真顔)。」
…。
メトロシティ緊急会議 議題:テリー参戦
(※前略)
神聖モテモテ武神流忍者「うーん、其うで御座るね。所謂テリー殿とコーディー殿は、キャァラ被り。テリー殿が居れば、正直、コーディー殿は……必要無ぁ……(※冷淡)。」
コーディー殿「ガハァ!!!!!!!(※吐血)。」
神聖モテモテ武神流忍者「…血を吐いた?!?!!!!!(※衝撃)。」
市長「はわわわっっ!!コーディー!!!!!!!死ぬんじゃ無い!!!!!!!多分肺結核かコロ何とかだ!!何とかせねば!!!何とかせねば!!!!!(※市長狼狽)。」
コーディー殿「コンセプト 似た者同士の 悲しさよ(※完全に右京さん)。」
神聖モテモテ武神流忍者「エッスエヌケェーの右京殿並の三行詩(※ハイク)?!??!!!(※右京さん?!?!?!?!)。」
…。
アンディ「見て!見て!!見て!!!見て!!!!!!!!!ロバート!!!!!!兄貴が!!!!!兄貴がスト6出てるよ!!!!!!!すごい!!!!!!!!!!!此の調子でスト6に舞も出るなんて!!!!!!!!最高だよ!!!!!!!!!!!!!!奇跡だよ!!!!!!!!!!!!!!!!俺嬉しいよ!!!!!!!!!!!!!!!改めて、舞も兄貴も参戦おめでとう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(※昇天寸前)。」
最強の虎「でもな、アンディ。お前さん自体は、今回、全然、出番無いやろ??(※非情)。」
ショー・ハヤテ「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!(※風雲拳)。」
最強の虎「どさくさに紛れんなや!!!!!天地がひっくり返っても龍虎新作が本当に出ても、お前さんがスト6に出場する事なんて絶対に無いで!!(※安心せぇや!!)。」
不破師匠「…うぅんぉおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!!(※便乗出演)。」
最強の虎「お前もやで!!!!!!!不破!!!!!!!!!!(※〜完〜)。」
…。
…テリーの所為で、コーディーは要らない子確定(※確信)。…スト6にコーディー実装無理だよな……?(※別にコーディーが居ても居なくてもスト6と言うゲーム自体は回るしな……ぶっちゃけ、何か神聖モテモテ武神流忍者かハガー市長の方が参戦の可能性高い……)。…テリーが居たら、もう、コーディ〜要らないので、参戦のチャンス潰れました、あーあーあーあーああーあーああーーー(※辛い、苦しい)。
…。
Q.パプテマスもアナベルも両親に愛されていないからこそ付けられた名前では……?(凡推理)。
A.ガトー「…そ、其んな事は無い!!!!(※猛反論)。」
シロッコ「……うっ……(トラウマ発動)。」
※…もし其うだとしたら、流石に可哀想だぞガトーォオオオオオ!!!!!!!(※…一方、シロッコは、元々、人工的に作られた命なので、其れは仕方無いかもしれない……)。
…。
シロッコ「…ニュータイプ三人で仲良くしよう〜!!(※能天気な擦り寄り)。」
赤いあれ「何を彼奴、今迄連邦の犬だった癖に、私達と仲良くしようとして居るんだ?(←おま言う)。」
ハミャミャーン様「何様?(※赤いあれの腕に抱き付きながら)。」
シロッコ「(・ω・`) ※いじけてる 」
…。
月華2の斬殺演出其の物と響関係の描写は、サムスピの物とは大幅に違うが、此れは此れで大変趣がある。個人的にだが、自分は此方の方が演出として良いと思う。
さて、実の所は、サムスピより月華の方が好きですね(話題する頻度は前者の方が多いけど)。
確実に月華の方が出来が良くて面白いのに、サムスピの方ばかりに人気が偏るのは何故でしょうか?(※真顔)。サムスピの方が万人向けと申すか(※サムスピが万人向けな訳が無いです)。
…。
アスラン斬魔伝、反面のアスランとか出て来る(誰得?)。
※…因みに、元ネタのアスラも反面のアスラも凄い格好です。皆様是非検索して各自御査収下さい(※思わず・・・すごい格好だ。と言いたくなる位すごい格好です)。
…。
例のアレ、石油王が金積んで作らせても、決して良い物が出来るとは限ら無いと言う事が此れで分かった(※其う考えると、SNK方面での事業はとてもしっかりして居る)。
…。
飢鹿伝説(Fatal Fury に対する Fatal Bambi)。
…。
そーけつが、本格的な(本格的じゃ無くても)格ゲーに実装され(て)たら、剣サムのミナEX2plus七瀬エリア以上にヘイト集めるし、何十年かしたらksキャラ列伝で紹介されそう(※弱いのに、ksキャラ扱いされるそーけつ可哀想)。
…。
某NEOGE⚪︎系レビューサイトの頂き物コーナーであった考察、雑な中の人ネタで笑う(…と言うか、あの時代の陽昇って、其のジャンル外の人達から、明らかに、触らぬ神に祟り無し、腫れ物扱いされてたよね……?)。
…。
ヤザン「…そろそろ、スト6にも飽きたし、…次は、KOF98UMでもやろうぜ。…でもさ、シロッコ、何でやっと、お前にも、本格的な出番が来たのに、何も喜ばねぇんだよ??(※謎が過ぎる)。」
シロッコ「…兎に角、…此の一連の反応を見ろ!(※ばーん!!!!)。」
ティターンズの裏切り者
邪魔な居候
シャアハマ派大勝利 実質結婚
ヌーベルジオン 内ゲバ
シャアハマ 絶対うざがる
疫病神
頭木星人 ジオン入り
漁夫の利
裏切り
シロッコ 友達いない
出て行け
処刑用装備
ヤザン「…ああっ〜(納得)。」
…。
※クロスオーバー注意
GUND∀M vs. SNK(※大自然か地球意志の御仕置き不可避)。江戸時代(※…当然、幕末込み)からも沢山来ると思います(※そして風雲拳とか音巣対流拳も)。
殺シアム企画メモ
ブレア御嬢様 vs. 館主様(※いざ尋常に、真剣勝負!はじめ! ※因みに御嬢様が勝ちます)。
コーディー vs. 暗器使いふーけつ(※…因みに、コーディーが勝ちます)。
京サマ vs. ブレア御嬢様(※此れはやるとしたら、真面目にやる)
京サマ vs. カイリ(※同上)
…。
サイキョー流編
ダンさん「…ヨォーシ!シロッコくん!此れから、君は、サイキョー流の門下生だ!頑張って修練して行こうぜェ!…先ずは、感謝の正拳突きを練習だァ!!!!!!(※此れを一日一万回!!!!!)。」
シロ「…HxH読者??(※其れともアニメ派?)。」
ダンさん「其うかもしれんな!(※…で、其れが終わったら、次は挑発の……、)。」
2〜3日後。
ダンさん「何?!もうサイキョー流の技全部を覚えただと?!??!(※愕然)。」
シロ「其うだが。後、元々からして此んな技も出来るぞ!!(※ジェノサイッカッタッ!)。」
ダンさん「ジェノサイド カッター?!?!!(※彼奴等の銅像持ってた人の技かよ?!)。」
七百七式 独楽屠り
ダンさん「草薙とか言う奴のR.E.D.KicK!?!??
シロ「本当は七百七式 独楽屠りと言うらしいぞ(※公式設定)。」
ダンさん「…ってか、何でお前、俺より格闘技の才能あるんだよ?!?!!羨ましいよ!!!!!!!お前の才能の豊かさに嫉妬だよ!!!!!!!!破門!!!!!!!!!!!(※俺より優秀な奴は取り敢えず破門!!!!!!!!)。」
シロ「やったーー!!!!!!!(※ハッピーエンド)。」
※此処でダンさんの回想入ります
?「ダンさーん!!あたし、もうサイキョー流の技全部覚えちゃいました!!!!……えっ、良いんですか??…免許皆伝ありがとうございます!!!では、もっとあたしより強いやつに会いに行って来ますね!!!!!」
…、
??「こんな人からさくらさんは何を学んだのかしら?」
…、
???「うちの知り合い引き取ってくんない?此奴、何処ぞの八神みたいに、何時も何処迄もストーカーみたいな付き纏い方するから気持ち悪ぃんだよ。」
俺「よーし!!任しとけ!」
????「ジャッジャジャーン!!…草薙さんの御願いですから、一応入門しまーす!!宜しく御願いしまーす!!!!」
----五日後。
????「…えっ?お前格闘技の才能に溢れ過ぎだから破門だって??ありがとうございます!!これで草薙さんの所へ帰れますから!!!!」
…。
ダン「…どいつもこいつもチキショー!!!!!!(※大の字寝転がり)。」
…。
ヤザ氏「……何だ、お前、無事破門されて来たのかよ(※真顔)。」
シロ「道場主が、格闘家として、低能過ぎたからな(※率直な感想)。」
…。
極限流(は、基本的に、空手の皮を被った気功武術の気がする)篇
最強の虎「ダンの所を破門されたやつかいな。しっかしまぁ、ダンの所を破門される時点で、相当のまとも人間と言えそうやな(※ワイは詳しいんやで)。」
ヤザ氏(※…はぁ……??????)
無敵の龍「…其うだな!ロバート!…と言う事だ!!…新入門下生君!何れにせよ今度は、極限流を破門されない様にする事だな!(※修行厳しいぞ!!!!!)。」
シロ(…此う言われると、…さっさと破門されたくなる……。 ※…因みに、多分続く。多分)。
…。
>>ハミャミャーン様とあの赤い何ちゃらと木星帰りのあれが呉越同舟()するのなら、更に、其の中にソロモンの悪夢をぶちこんで其奴等と4on4でチーム(※当然���様に、ストライカーをソロモンの悪夢にするか逆に其奴だけ残して他三人をストライカーに……)組めたら(※こf音巣対編並)、…尚、良し(※最早投げやり)。
ニュータイプ三人が直接戦わないストライカーになり(※ほぼ戦闘放棄)、実質たった一人だけでシリーズ屈指の鬼畜ラスボスことイグニスと戦わされるガトーさんの巻
ソロモンの悪夢さん「…イグニスゥー!!!!!!覚悟!!!!!!!!!(※勢いで生きてる並のバッタ飛び攻撃)。」
イグニス「…天からお塩!(※何時ものイグニス)。」
…。
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yasusaka · 2 months
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「宮崎正弘の国際情勢解題」令和六年(2024年)7月13日(土曜日)通巻第8327号<前日発行>
「宮崎正弘の国際情勢解題」令和六年(2024年)7月13日(土曜日)通巻第8327号<前日発行> 7月13日はノーベル平和賞受賞者、劉暁波の七回忌未亡人の劉霞女史がドイツから離れ、日本に移住する。 7月13日は、ノーベル平和賞受賞者、劉暁波の七回忌。海外の民主活動家は世界中で追悼イベントをネット中継で開催する。共同通信によれば劉暁波氏未亡人の劉霞女史がドイツから離れ、日本に移住する(事実上の日本亡命)。2017年7月13日午後5時35分、61歳の中国のノーベル平和賞受賞者は瀋陽で拘留中に肝がんのため死亡した。イベントの主宰者はこう述べている(博訊新聞網、7月12日)。「劉暁波氏は象徴であり、我々の精神的指導者でありつづける。私たちにとって、人類の良心の富と知恵の結晶であると同時に、彼の精神と愛の力は重要であり、私たちは彼を忘れることはできない」劉暁波は中国共産党の一党支配の終結と民主中国の実現を求め「憲章08」の起草に参加した。ところが中国共産党は劉を「国家政権転覆扇動」の罪で起訴し、懲役11年の判決を降した。翌年、西欧社会は劉暁波にノーベル平和賞を与えた。イベントの拠点はロンドンで開催され、セミナーの他、在英中国大使館前のデモが計画されている。記念行事の出席者は、中国民主運動海外共同会議主席の魏京生、1989年の天安門運動の学生指導者王丹ら多くの海外活動家が参加し、「北京春報」名誉編集長胡平もゲスト参加の予定。胡平は「彼の精神を追悼するため、自由と民主主義の追求を受け継ぎ、忍耐し、圧力に屈せず、戦い続けることだ。劉暁波氏は『言論の自由の殉教者』だ」と述べた。 劉暁波未亡人の劉霞は2018年7月にドイツへ出国した。爾来、六年間をドイツで過ごしたが公の場には姿を見せず、また社会的発言を抑制してきた。共同通信によれば、日本訪問の経験がある彼女は日本の生活を気に入っており、将来的には日本への移住を検討しているという。
(読者の声1)パンデミックの到来の準備:放火犯が消防署を運営している?(その2) (承前) パンデミックの準備という名前の宝くじ 世界中で何十、いや何百もの生物研究所でワクチン開発の名の下で数多のウィルスや感染性のある病原体の機能強化の研究が行われている。武漢病毒研究所が最も悪名高いが、アメリカに大多数の研究所があり、少なくとも5つの研究所ではH5N1鳥インフルエンザのウィルスの操作を行っている。この大掛かりな胡散臭い、病原体の製造加工産業は我が国の政府機関、軍隊、大学、に浸透しており、それにもちろんのことながら医薬品業界は会社丸ごと絡みとられている。(訳者注:Gain of Function 機能強化と言われているが実は動物間では感染するウィルスの遺伝子組み換えにより機能を強化して、人間にも感染、さらには人から人への感染ができるようにウィルスを改変する悪魔の研究とも言われている) そのような「研究」は多段階の過程がある。 ● 補助金の獲得、法的、知的財産権、倫理的問題の覆い隠し:ウィルスの機能強化研究はパンデミックの準備、ワクチン開発に不可欠だ、という謳い文句により問題点を覆い隠す。 ● ウィルスなどの病原体を自然の中から取得:そのままでは人間に感染する能力がないが機能強化できそうなものの確保。 ● その病原体の遺伝子を研究所で操作することにより人間への感染能力を強化し、さらには致死能力を高める。 ● 人間と同様な免疫力や人間の細胞類似の細胞を持つ動物を使いそのウィルスの進化のスピードを加速する。 ● 病原体の感染能力や病毒性の強化に成功したという研究成果を科学誌に発表し、更なる補助金の獲得を確保。 ● そのウィルスへのワクチンが開発された時の特許料を確保する為、遺伝子操作で製造したウィルスの特許を獲得する。 ● その病原体が動物や多くの人間に漏洩するのを待つ。(あるいはそう仕組む) ● 予定していたパンデミック時の対応、ワクチン開発などを一斉に有無を言わせず実行する。 このようなことは1975年の生物兵器禁止条約違反である。だがこれらの研究所は、彼らの「研究」 はワクチンを開発することにより、”急速に出現する感染症” から世界の人類を守るための研究であると虚偽の主張をしている。それは嘘だ。これらの研究所で行われている機能強化研究は動物のウィルスを遺伝子操作して自然界では滅多に起こらないことを簡単に実現させている:種を超えて感染し、人間にも感染するように、しかも人間を大量に死亡させる研究をしているのだから。煎じ詰めれば、これらの研究者達は人間には全くあるいは殆ど危害のない動物のウィルスを遺伝子操作して人間への感染力、致死性を高める研究をやっているのだ。何故だ?この研究には何ら合法的な根拠はない。これは簡単なことだ:もし世界の人類をゴジラから守る気があれば、研究所で意図的に組織的にゴジラを作り出す必要はない。ワクチン開発に必要なことだというのも筋が通らない。現に存在する病原体が心配だというなら、その病原体そのものを克服する治療法を開発すべきだ。自然に存在する病原体に対しては既に数多の治療方法がある。既存の治療薬の目的を変更したり新薬(あるいはワクチン)を開発することも含め。ウィルスに効果があることが知られている既存薬も兵装の如く多数ある。目的に適った、倫理に悖らない、正気の研究であれば、研究所で殺人兵器のようなウィルスを製造するのではなくて、既に存在する病原体の弱点をつく治療法の開発戦略に焦点を当てるべきだ。不幸なことに、正気の沙汰の研究に対しては補助金や権力が付いてこない。心配性の人たちの主張とは異なり、自然に起こるパンデミックはそうそうあるものではない。巨大製薬会社や研究者達が目指す巨大な利益は、特許、新薬、専売の製品に負うところが多い。とりわけ、毎年の定期的なワクチン接種などだ。(続く) (費府の飛行士)
(読者の声2)7月12日放送のニュース解説番組「フロントJAPAN」は宮崎正弘さんと高清水有子さんでお送りしました。 宮崎さんのテーマは「EUの分裂、NATOに亀裂」。高清水さんのテーマは「酒は百薬の長。酒に十の徳あり。我が国の常識は、世界の非常識」です。 下記ユーチューブでご覧になれますhttps://www.youtube.com/watch?v=oFHAVQGR_Z8 (新日本文化チャンネル桜)
(読者の声3)貴誌通巻8326号で「ニューズウイーク日本版でインフレは一種の課税であるからそれを招く国債発行はけしからん、と説くには開いた口が閉まらない。それなら逆にデフレを放置すればするほど日本人はお金持ちになるということになる」と記しました。そもそもインフレ・デフレに関して既存経済学は、通貨量Aと通貨・貨幣で表記できる「ものとサービス」Bの比較(バランス)をあれこれ考えているところに誤りがあります。肝心なことは今のこの世ではインフレ・デフレはAと価値量Cのバランスを考えなくてはいけないのです。特に重要なことは、CはAより「弾性値」が極めて高く、又時間軸から見ても変化が著しく大きいという事であるのですが、既存経済学はCをほぼ固定してAの変化にばかりフォーカスしているところが問題なのです。更に付記しますとCは欲望的価値Dと死活的価値E.に区分でき、インフレ・デフレがこのDで起きているのか、またはE.で起きているのかで、対処の仕方がちがって来るのですが、既存経済学はこの点に目を向けようとはしていません。 (SSA生)
(読者の声4)サロン劇場からお知らせです。 作岸田國士、演出藤井ごうの「葉桜」が上演されます。会場:目白台和敬塾内 旧細川邸サロン(東京都文京区目白台1-21-2) 出捐は村松えり、村井友映、水野小論、中丸新将、村松英子 日時 8月23日(金)19:00 24日(土)13:00/18:00 25日(日)15:00 26日(月)13:00 料金4000円★全席自由・開場は30分前 http://blog.livedoor.jp/salon_theatre/archives/34637778.html
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bearbench-3bun4 · 2 months
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「虚無への供物」中井英夫 1111
第一章
11第一の死者 01
よいよというか、やっと、第一章の始まりです。
喫茶店でしょうか? “泉”で、亜利夫と久生が会話してる場面です。 ここに出てくるので、実際にあった店なのかもしれません。
その前に、事件の概略が差し込まれています。
1954年12月22日水曜日の夜。 目白の氷沼家での出来事です。
それも、亜利夫は事件というより事故だと主張します。 そう、病死以外考えられないと言うのです。 根拠の一つは、完全な密室だからです。 まあ、完全な密室なんてないでしょうから、これからどう暴かれていくのか楽しみですね。
で、その状況というのが、
紅司が風呂に鍵をかけたままで返事がない。 ガラスを破って入ってみるとタイルの上にうつぶせに死んでいた。 主治医の嶺田博士の診断で持病の心臓が急激に悪化したと考えられる。 風呂場は厳重な密室で何者かが忍び込むことはまったく不可能。 26日には“急性冠動脈障害”による心臓衰弱という診断書で埋葬された。
と、こうです。 久生は納得できないみたいですね。 嶺田博士を訴えると息巻いてますね。
密室殺人(ロックドマーダー)と表現していますが、あまり聞いたことない表現ですね。 造語なんでしょうか?
ここで、藤木田の登場です。 新潟からきた氷沼家のお目付け役みたいな人だと表現されています。 で、その藤木田も含めて、 その場にいたのは、亜利夫、藍ちゃん、橙二郎、爺やの五人です。
主要な登場人物である蒼司は、九段の八田皓吉のところに行ってました。 しかも、本来なら亜利夫と新宿駅で待ち合わせて気晴らしをすることになっていたのに、 すれ違いで、九段の八田皓吉のところに行ったのと言うのです。 どうなんでしょうね。このあたり。
ところで、 蒼司がしかたなく一人で、 アメリカ版ゴジラ映画「原子怪獣現る」を見てました。 この映画、この年の10月頃に封切られていました。 特撮の巨匠、レイ・ハリーハウゼン初の長編作で『キング・コング』と並ぶ古典的SFX映画の名作。 原作はレイ・ブラッドベリの短編小説『霧笛』(The Fog Horn)です。
興味が湧いたので見てみました。
むちゃくちゃ面白かったです。 現在のものさしに当てはめれば、滑稽さも目立ちますが、その当時ならワクワクできたでしょうね。 タコとサメが戦うシーンとかいいです。よくできてます。 ただ、思ったほど大きくないかな。 しかも、やっつける方法が“放射性アイソトープ ”とは。 放射能撒き散らすことにならないんだろうかと不安です。
で、蒼司が藤木田をわざわざ新潟から呼び寄せてます。 やっぱりこのあたり何かありそうです。
この藤木田誠(ふじきだまこと)について書かれます。 この人も重要人物なんですね。
氷沼家との血縁関係はない。 現在は、引退して郷里の新潟在住。 年齢は60過ぎで銀髪、血色のいい日本人離れのした押し出しの巨漢で、 祖父の光太郎と同業でいつも一緒に世界各国を渡りあるいたというだけに、渋いツイードを着こなしている。
事件が起こる直前、 橙二郎は二階の書斎に 爺やは玄関わきの自室に 茶の間の掘りごたつには、 床屋へ行ったばかりで若々しい顔つきの紅司と藍ちゃんそれから亜利夫、藤木田老人がいた。
そこでの話題として、 松沢病院での事件を上げてますが、 藤木田老人は、そんな事件ではなくて不可能犯罪なら謎を解いてみせるといいます。 どうやら壮大な前フリみたいです。
ところで、 松沢病院という病院が今でも東京にありますね。 まさかと思いますが、 話題にあがっているのは、ここでの事件でしょうか?
今度は、 藍ちゃんもそれに加わって、 “密室の中の他殺”ぐらい無意味なものはないという話になります。 密室殺人を真っ向から否定するとは、この小説は何を書きたいのか? もしかすると、これからとんでもない密室殺人を、 これまで見たこともない前代未聞の小説を書くということなんでしょうか?
で、 紅司がこれから書こうとしている『凶鳥の黒影』はどうなのか訪ねます。 それに答えて、紅司は、
PAeμ(θA-θB)=PB
という平衡式を書いてみせます。 藤木田老人もその数式をみながら、 「何かが何かにイコールというわけだな」 と、いってます。 平衡は、 物体が力学的につり合いの状態にあることですから、たいていイコールでつなげてあれば平衡式ですね。 それを数学の先生に書いてもらったと言うことが、果たしてどういうことなのでしょうか?
発見者がちょっとでも死体を動かしたら最後トリックの痕跡はあとかたもなく消滅するという仕掛けだと、 具体的な内容を紅司は言いだそうとします。
と、いいいタイミングで二階から橙二郎の降りてくる気配がします。 というのも、例の階段が低く鳴ってるからです。 二階にいたのは、橙二郎だけですから、これを皆橙二郎だと思いますね。 はっきり、橙二郎だと書いてないところが怪しい。
そこで、紅司は話を切り上げ、麻雀でもということになります。
その後、橙二郎が皆のもとを訪れます。 やはり二階から降りたのは橙二郎だったのでしょうか。
その橙二郎が皆に風呂に入ったか確認しますが、 誰も入ってないみたいです。 そこを紅司は遮るように「もう十時すぎた」といいますね。 このあたりもわざとらしいのですが。 しかも、紅司は普段、決して自分の部屋に人を入れないのですが、 今日は、どういうわけか、藍司、亜利夫、藤木田の三人を自分の部屋に誘います。
おかしいですね。 まあ、いずれわかるのでしょうが。
二階へ行く途中、亜利夫は蒼司に電話してみます。 九段の八田皓吉のところで、冬至の柚子湯をに入るということです。
その電話を聞きつけた紅司が、 「兄貴たまげるだろうな」とつぶやきます。 これは、かなり意味深です。 でも、他人の家の風呂に入ってくるというのは、どうなんでしょうね。 1954年12月22日は、確かに 冬至ですから、その話自体は自然な流れなのかもしれませんけど。
で、八田皓吉のことが少しだけ書かれます。 外国式のやり方だといって、 彼自身がその売り家に住み込んで注文通りの凝った改装をしてから買い手に引き渡すという家屋ブローカーをしています。
その後、 人を自分の部屋にさそっておいて、紅司は風呂にははいります。 三人は、二階の紅司の部屋に、橙二郎は書斎に向かいます。 途中、不意なった電話を橙二郎が取り上げますが、それは、どうやら間違い電話らしいです。 なんか変な感じですね。
それから三十分階下から物音も聞こえてこなかったし、 二階からも誰も降りたものはいないというのです。 しかも、二階の部屋の窓には鉄格子がついているし、 藍ちゃんの部屋の外の踊り場に非常梯子があるが、それを使うとも思えないと、こうです。
で、 紅司部屋の様子が「赤のシンフォニー」とでもいうような、赤色で調和が取れていると書かれます。
床に厚手な深紅の絨毯、 カーテンはほとんど黒にちかい赤色の古風な天鵞絨(びろうど)、 電気スタンドは眠たいような淡い鮭(しゃけ)色、 ディヴァンには深緋(しんぴ)の繻子(しゅす)とです。 これで、本当に調和が取れているのでしょうか。
天鵞絨(びろうど)はベルベットのことですね。 わざわざ書くということは、この当時は、高価だたのでしょうか? ディヴァンにかかっている光沢が強い織物は紫みの暗い赤色ですね。
で、 紅司部屋の蔵書についても書かれます。 36部限定の局紙本の揃いで日夏耿之介の遊牧記(ゆうぼくき)が五冊と黄眠堂(こうみんどう)主人訳になる「院曲撤羅米(さろめ)」の大型本です。
遊牧記については、詳細が見つかりませんでした。 ただ、 日夏の個人誌としての『游牧記』に石川道雄等が参加したとありますから、 自費出版に近いのでしょうか?
一方、院曲撤羅米(さろめ)は、 日夏耿之介の号のひとつである黄眠堂(こうみんどう)主人の訳で、 昭和三年「近代劇全集」中の一篇として発表され、昭和十三年六月蘭台山房より定本として大型豪華版が刊行されました。 ちなみに、 三島由紀夫は『サロメ』の演出、上演にあたり日夏訳『院曲散羅米』を選んだそうです。
ちらりと、挿入されている挿絵を見ましたが、 これは、問題がありですね。
で、最後にちょっとした驚きがあります。 なんと、藤木田老人がバア“アラビク”に行ってて、 久生のことを知ってたのです。
この藤木田という人物もなんとなく油断ならないですね。
つづく。
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animekirbyserifu · 10 months
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デデデその3
21話 ・「何じゃと?王女!?ピッピー!いよいよワシにも春が来たか!」 ・「美しい王女がワシを慕ってわざわざ会見に…。あ、こうしてはいられんぞい(エスカルゴンを放り投げる)。結婚式の準備じゃー!」 ・「(近衛兵ヴィーを見て)何ぞいあれは…。(ローナ王女を見て)ウヒョー!」 ・「ダハハハハハハ!家来などよい。ワシが城の主いや、この星で一番偉いデデデ大王ぞい!」 ・「かたじ…(ローナ王女の声を聞いて)聞いたか天使の声ぞい!ワシは絶対、この王女と結婚するぞい!」 ・「しもじもは良い。今夜はワシとデートぞい!ダハハ!2人だけで一晩中shall we danceぞい!」 ・「あの生意気な近衛兵め、邪魔しおって…。結婚式のリハーサルぞい(聞こえづらい)!」 ・「麗し���ローナ王女よ、(ア~イ~)一目合ったその日から、悪の花咲くこともあるぞい(ア~イ~)。ここで会ったが100年目、結婚ぞい!そうだ!ここで歌を入れると、音楽スタート!」 ・「(天井からミラーボールが現れて、デデデが歌いだす)ア~イウォチュチュ~チュ~、ア~イミ~チュチュ~、アイハチュ~チュ~、アイニチュ~チュ~。」 ・「為せば成るぞい!結婚ぞい!」 ・「愛に始まった~デデデ大王ぞ~い! 大王~デデデ大王ぞ~い!」 ・「(エスカルゴンからマイクを受けとって歌いだす)テンキュー。ア~イウォチュチュ~チュ~、ア~イミ~チュチュ~、ワシの嫁さんになるぞい。」 ・「今宵は婚礼の儀ぞい。めちゃめちゃ幸せな家庭を築くぞい。」 ・「へいへい、お前に用はないぞい!」 ・「びゃー!初めて違うことを言ったと思ったらそんな…(フラれてごねる)。」 ・「ワシをコケにしおって…。許さん!決闘ぞい!」 ・「やかましい…小癪な近衛兵め…。今に後悔の泣きをみるぞい。望むところー!(女性相手に5秒で降参します♨)」 ・「うわー危ない!こら、決闘なんてバカな真似はよしなさい!」 ・「ダハハ!余興はここまでぞい。本日のメインイベント!」 ・「正式な対戦相手はスッシーちゃんぞい!」 ・「残念でしたワシが直々に戦うとは一言も言っとらんぞい(小学生か…)。」 ・「(自身の剣を吸いこんだカービィを見て)卑怯だぞい!」 ・「スッシーちゃん!(カワサキに二丁あがりと言われて)食べないでぇ~。」 ・「もう少しで近衛兵と結婚するところだったぞい。とほほぞい。」
22話 ・「本当にここに(カービィが)おるのか?」 ・「なるほど、あのバカービィにはその手があったか。」 ・「(フーム達は)ワシの家来ぞい。」 ・「良い度胸ぞい…いでよ魔獣『トルネイドン』!」
23話 ・「デュハハハハ!ようやくお前のアホな道具が出来上がったか。」 ・「(注射されるイモムシを見て)注射きら~い。」 ・「これならナイトメアに頼らず、魔獣をつくれるぞい!」 ・「早くせい!親鳥に見つかったらどうするぞい。」 ・「これでお前(エスカルゴン)のボーナスはカットぞい。」 ・「だーから、あのとき(夜中)無理にでも運んでおけば良かったんだぞい。」 ・「それはそうだが、お前のドジにはうんざりぞい(お前がハシゴから足を滑らせたのが悪いだろ…)。」 ・「ダイナブレイドのヒナを自然に返そう(自然に返そう)。環境を大切に、自然保護運動は大王であるワシの使命ぞい!」 ・「黙れ!ダイナブレイドのヒナが、そこにいるのは分かっておる。それを親鳥が知ったらどうなる。」 ・「(ヒナを返すのは)本当だな!?忘れるでないぞい!」 ・「(ダイナベイビーが)欲しけりゃここまでおいでぞーい!」 ・「(ダイナベイビーに対して)貴様はすぐに魔獣になる定めぞい。」 ・「こーら離さんか!こんなことしてタダで済むとは思うなぞい!」 ・「(ダイナブレイドに落とされて)パラシュートを用意しなかったお前が悪いぞい!(この状況で用意できるわけないだろ…)」 ・「(エスカルゴンと運命を共にするのは)それは嫌ぞーい!」
24話 ・「村の様子が変?人民たちが愚かなのは昔からぞい。」 ・「ガキどもおしおきぞい!(撒きびしを踏んで痛がる)」 ・「(忍者姿の村人をみて)何のコスプレぞい!?忍者?」 ・「(ガングに対して)おじさん、この巻物ちょーだい(子供みたいな喋り方)。」 ・「キュリオ!キュリオはおるか!それ(忍者の巻物)を見せるぞい。」 ・「(巻物を偽物とすり替えて)こんな巻物買う気はないぞい。」 ・「デュハハハハ!簡単にせしめたぞい。これより忍者の修業を始めるぞーい!」 ・「デデっとな。」 ・「でゃはははは!エスカルゴン覚悟せい!」 ・「だはは!まだまだ修行が足りんぞい!」 ・「ブン!忍者がどうしたと?」 ・「侵入者ぞーい!起きろー!」 ・「よく来た、貴様が銀河戦士団からナイトメア社に寝返ったという、忍者『ヤミカゲ』か。貴様に奪って欲しいものがあるぞい。」 ・「(自身は泥棒ではないから盗みはしないというヤミカゲに対して)忍者の巻物でもか?」 ・「さぁ、巻物を渡してもらうぞい。」 ・「巻物は今度こそ頂いたぞい!」 ・「この巻物がワシのモノになったからには、どうでも良いぞい。」
25話 ・「エスカルゴーン!どこぞーい!エスカルゴーン!クソォ!どこへ消えたぞい!」 ・「コラー!エスカルゴーン!どこへ消えてたぞーい!」 ・「エスカルゴーン!どこで遊んでた!大王のワシをほったらかしおってぇ!」 ・「うわぁ!ななななん��ゃこりゃー!(エスカルゴンが2人いるのに驚く)」 ・「おっかさんだとー?だーははは!流石は親子、DNAは不気味ぞい!」 ・「ワシの方こそ、エスカルゴンのドジにはいつも笑わせてもらっとるぞい!」 ・「大王は苦労ばかり…、なぁエスカルゴン?」 ・「(エスカルゴンに対して)お前!今日は何故か態度がデカいぞい!(いつもタメ口だしそんな変わらん)」 ・「ダチーン…(エス母にお土産を貰う)。」 ・「ちょっと待てー!いつから(エス母が)ワシの母親になったぞーい!ワシとお前は親子じゃないぞい!何が何だか分からないぞい。」 ・「真似じゃなく、ワシは大王ぞい!(テーブルを叩いてフォークを落とす)エスカルゴン!フォークが落ちたぞい!(拾えぞい)」 ・「な、な、な、なにー!もう怒ったぞーい!(ハンマーを振り上げるもフームに呼び止められる)」 ・「なんだとぉ!?エスカルゴンが大王!?」 ・「うーむ、エスカルゴンの1日大王というワケかぞい?よーし!ワシもこのヒューマンゲームに参加ぞい!」 ・「さぁ皆さん!あちらに食べ物も用意してあるぞいでゲース!(部下のフリをしているのか語尾が不自然である)」 ・「何ぃ!(半ギレ)分かってるぞい!はいはい、ただいま~ジュースぞい(フームに止められてすぐに笑顔になる)。」 ・「(エス母に)お待ちどうさま~ほかに御用は?」 ・「(エス母にサービスはもう良いと言われて)そうおっしゃらずに!あ、そうぞい。エスカルゴン陛下は、楽しい催しをたくさん用意しているでござる。例えば…魔獣ごっこ。」 ・「陛下は魔獣で村人を襲わせ、困らせるのが趣味だぞい(自己紹介)。」 ・「では、その証拠をお目にかけるぞーい!(人工的に雨を降らせる)」 ・「見たか、魔獣『ドリフター』ぞい!」 ・「さて、(村人たちを)どう虐めますか?エスカルゴン陛下。」 ・「だーはは!自分からバラしおって!」 ・「(エス母にバカと言われて)何だとぉ!ドリフターよ、あのババアをやっつけるぞい!」 ・「えーいドリフター!カービィをやっつけてしまうぞい!」 ・「(花火で飛ばされて落下しながら)ドリフターはこういうとき、役に立つぞい。」 ・「げ!なんでこうなるぞい!?ぐわあー!(花火で吹き飛ばされる)」
26話 ・「チリドック、お前がカービィを倒したら、(料金を)払ってやっても良いぞい。」 ・「ワ、ワシの命令を聞かん魔獣には、金を払わんぞい!」 ・「(チリドックを)城から出すな!全ての扉を閉じるぞい!逃がしたらワシが損するぞい!(自分の命<金)」 ・「城内に魔獣が逃走した!殺さずに捕まえるぞい!」 ・「せっかく魔獣がカービィを倒すとこだったのに、余計な手出しぞい!」 ・「バカモン!非常事態でも腹は減る。料理を運ぶぞい!」 ・「カスタマーサービス!たっぷり弁償してもらうぞい!」 ・「魔獣を外に追い出せぃ!(お前…さっきと言ってることが)」
27話 ・「思った通り、ヤツら(フーム達)はウィスピーの森を知っておるぞい。」 ・「ウィスピ―ウッズめ…今度こそ伐り倒して、ワシ専用の(ゴルフ)コース『ロイヤルカントリークラブ』を作ってやるぞい。ドゥワハハハ!」 ・「ドゥワハハハ!『ラブリー』っていうか傑作ぞい!これを利用する手はない。ウィスピーめ、前の借りはきっちり返すぞい。ドゥワハハハハハ!」 ・「ドゥワハハハ!ウィスピーよよく聞け。愛しのラブリーはワシが貰うぞい。おおっと、ラブリーに当たったらどうするぞい?これではご自慢のリンゴも落とせまい。ドゥワハハハ!」 ・「本日はこの花を魔獣にするぞい。」 ・「ダハハハ!愚かなウィスピーめ。もうすぐヤツは何もかもラブリーに奪い取られて、枯れ木ぞい!ドゥワハハハハハハ!」 ・「ドゥワハハ!弱ったお前なんぞ、恐るるに足らんぞい!ウィスピー、トドメはワシが刺してやるぞい!」
28話 ・「な、何ぞいこのガラクタは。」 ・「あー貧しき人民共に告げる。ププビレッジは明日から産業革命に突入するぞい。サイレンと共に起きて遊べば、素晴らしい新世界が訪れるぞい!」 ・「そして、(工場で働くと)便利グッズが貰えるぞい!例えばお前(レン村長)が持っている車とか(洗濯機やパンを焼く機械)…。」 ・「ようこそ、デデデ・ファクトリーへ。まずはスチームエンジン!スタートぞい!」 ・「フーム!仲良く遊べないものは出ていくぞい!」 ・「(カービィは)産業革命の尊い犠牲となるぞい!」 ・「(フームは)エンジンを止める気ぞい!」 ・「(カービィが助かったのを見て)くそぉ…悪運の強いヤツぞい。」 ・「ついに(アイスドラゴン・ロボが)完成ぞい。」 ・「(向かってくるブンを見て)反逆分子ぞい。」 ・「(ブンにクレーンで攻撃されて)子供でも許さんぞい!冷気ガス発射!」
29話 ・「(ワドルディの料理に対して)マズい!マズい!マズい!マズいぞい!まともな料理はないのか!?なんだこのウインナーは!?本当にマズいぞい(泣)。」 ・「(カワサキの料理に対して)マズい!マズい!マズい!死ぬほどマズいぞ~い!こんなもの料理じゃないぞい!この味オンチめ!どれもこれも食いモノとはいえんぞーい!」 ・「だーマズかったー!これ以上食えんぞい!これでも受け取るぞい!(カワサキ目がけてピザを投げる)」 ・「あれでよく店(レストラン・カワサキ)が潰れんぞい。だったら新しい店を作るぞい。早速注文ぞーい!(いつもの気まぐれ)」 ・「三ツ星レストランの一流シェフを呼ぶぞい。ライバル店で活性化を図り、食文化の発展向上を目指すぞい!(単にレストラン・カワサキを潰したいだけ)」 ・「サバ読むでない!どこがサバぞい!?ワザと言ってみたんぞい!(ゴーンの「ウィッサバ」を魚のサバと勘違いしたところをエスカルゴンに笑われたため、彼を殴る)」 ・「美味~い!究極の味とはこれぞ~い!だーはっは美味いぞい!本当に美味いぞい。ああこのソースがまた…(ナイフとフォークを上手に使ってゴーンの料理を食べ、あまりの美味しさに気持ち悪い笑い方をして喜び、完食したあとも皿をきれいに舐めている。)。」 ・「ムッシュ・ゴーンよ。お前の料理で愚かな人民共を虜にするぞい。」 ・「オープン初日にしてこの大盛況。今度の魔獣はなかなかやるぞい。」 ・「むむ…こうなればワシらも激辛で対抗ぞい。」 ・「愚かな人民共め…しかし、ワシも(激辛ハンバーガーを)試してみたくなったぞい。」 ・「激辛100倍の客には特別プレゼントぞい!」 ・「グフフフ…一度食べたらハマる化学物質配合…。」 ・「グフフフフフフ…人民共!シャーベットを食べたいかぁ!ムッシュ・ゴーン、出番ぞい!さぁカービィを本当のシャーベットにしてしまうぞい!」 ・「だーはっはっはっは!(カービィは)ドライアイスボウルぞい!すぐ味わえるぞい!凍れ凍れぃ!」 ・「ワシには公正な裁きを受ける権利があるぞい?」 ・「(ブンに「罪滅ぼしに『カワサキホットスペシャル』を食え」と言われて)それなら喜んで引き受けるぞい。」
30話 ・「これはこれは…フーム大先生、何を調べてるのかぞい?」 ・「(鳥みたいな顔してるけど)ワシらはカッコウじゃないぞい!ダハハハハハ!かっこつけし。」 ・「これからが楽しみぞい(確信犯)。」 ・「高い買い物が役に立たなくて、どーするぞい!」 ・「カービィは赤ん坊を叱れなくなったぞい!では親をデリバリーせい。」
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zauri8836long · 2 years
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武器の誉れ
「戦場で散るのは武器の誉れだろう」 口元を緩めてそう語る同田貫を見た日のことを俺はきっと忘れられないのだ。
難所となっていた厚樫山への数えるのも飽きた幾度目かの出陣、大将を落としたその日の戦いは重傷者も出たが、本丸の門をくぐる皆の顔は晴れやかなものだった  重症の二振りの手入れを終わらせ急遽開かれた宴に参加する第一部隊は傷も土埃もそのまま。それを止める者の居ない程度には皆、戦果の上がらぬ戦場へ焦れていたし俺自身もそうだった  早々につまみが尽き後は飲むだけとなっても興奮が冷めない酔っ払いたち。その日何度目かの乾杯と喧騒から逃れて這い出た回り廊下で同田貫の語る彼自身の言葉を、俺は確かに聞いたのだった
「折れたかったんなら連れて帰って悪かったね」 本人に聞こえないのはわかっていたが、口から出た言葉は間違いなく本心だったと思う。 今日の戦は厚樫山の再演。違ったのはその出陣で、一度刀が折れたことだ 隊長は俺、加州清光。折れた刀は同田貫正国だ お守りを頼みとした重傷者を抱えた進軍。そういった戦略があるのは知っていたが、この本丸でそれが行われたのは今日が初めて そうすることに決めたのは俺で、負けるつもりもなかったし勝って今ここにいる。 俺が言えば誰にも止められないのはわかっていたし、まして同田貫自身が否を唱えないことも確信していた。 俺の判断は間違っていなかった。その自信はあるのに、馬鹿な俺は今、自分が折れろと命じた刀の静かな寝顔を見つめるのをやめられないのだった。
忍び込んだ手入れ部屋の戸を後ろ手に閉める。手入れの時間残り一日以上。今回主が手伝い札を使わないのは多分、俺が宴どころではないと判断されたからだ。 俺も手入れが終わったばかりで空いた部屋には代わりに俺よりも傷の重い奴が入っていった。俺はそんなにひどい顔をしていたのだろうか。 俺のやった無茶については本丸の誰も怒っていない。今回の戦場の攻略は厚樫山の時とも比較できないほどの泥沼で、でも、きっとそういうのを差し引いても誰も怒りはしないだろう ただ、自分のやったことを抱えきれなかった俺がここで動けなくなっているだけだ。
手入れ部屋は造りだけを見れば寝ることしかできない小さな部屋だ。入口から一歩足を踏み入れただけの場所からでも部屋の主の顔がよく見える 眠る同田貫の顔色はよく、進軍を決めたあの時よりもよほど健康そうで、ただあの前を見据えるぎらついた瞳だけが見えない あの時、進軍を指示する自分の声に一度だけ俺を見て見開かれた眼は何を意味していたのだろうか その後再び向かう先に首を向け、あげた雄叫びは重症者とも思えぬ響きを伴っていて、それを俺たちは諾だと受け取ったが、本当はもっと何か言いたいことがあったのではないだろうか。俺の采配に不満はなかったのか。そんな、同田貫が目を覚ませばわかるようなことばかりが気になって仕方がない
「中にいないの珍しいね」 あの日、同田貫に声をかけたのは俺のほうだった。  「流石に酒の周りがはえぇんだよ」 廊下には腰掛が二台と小さな円卓。部屋に背を向け、庭を望む同田貫は右手で盃を持ち上げそう答えた 第一部隊の一人だった彼は左腕に軽くはない傷を負っており、酒の周りの早さも失血が原因だろう 盃、一つしか持ってきてねぇなぁとぼやきながら空いた盃を渡されるのを断らず余った腰掛に座る。会い向かうのも気恥ずかしく、向かうのはやはり庭だ。といっても遠くの池に映る月明かりも仄かで何が見えるわけでもなく、むしろ嵌められたガラスに映る互いの姿のほうが明瞭だ。注がれる酒を受けながら本人は盃なしでどうするのかと見れば徳利から直に飲みだすのだから負傷者のやることではない そう考えているのが顔に出たのだろう。どうせ朝には手入れ部屋だ、二日酔いの心配はいらねぇよと朗らかに笑う 功労者は第一部隊全員だが彼はひと際活躍をしたと聞いた。機嫌の良さは酒のせいだけではないだろう。明日のことも考えているのならば足元に置かれた一升瓶も見ないふりをしてやる この時話したこともさすがに一言一句覚えているわけじゃない。でも、どうしても忘れられない部分はあって 話の流れすら覚えていないが本人の口から零れたそれは刀としての経験も踏まえた同田貫の信念のようなものだったのだと思う 短い話ではなかった。機嫌のよい声とゆらゆらと揺れる頭。その瞳に映る光がゆったりした瞬きに時折遮られながらガラスの上をゆらめくのを眺める自分 曰くたとえ折れてしまっても大事な時に選ばれ、主が目的を遂げる糧になったのならば、それが刀の誉れであり後悔するようなことでも悲しまれることでもない、と そもそも戦場で散るのは武器の誉れだろうという言葉で締められた彼自身の言葉とその横顔を自分はよく覚えている 池田屋で折れた刀であった俺のことを同田貫が知っていたとは思わないが、むしろだからこそ強く記憶に残ったのだ この夜を境に、俺は同田貫に個人的としか言えないような興味を持ったのだと思う。そして今日、短い時間で何度もあの夜を思い出す あの戦で折れてそのまま消えてしまえば同田貫にとってそれは十分に満足のいく生き方だったのではないだろうか 今日の出陣が一例目、もし次こいつが俺の知らないところで折れたら、自分はそれに耐えられるのだろうか 今日は無事帰ってきた。お守りとはそういうものだと聞いている。それでも一度でも彼が折れたという事実がこんなにも重くのしかかるのは何故なのだろう
「そこでなにしてる」 想定外の声に肩が震える。手入れ部屋で意識が戻るのはたいてい退室の直前で自分が忍び込んでからそれほどの時間がたっていないことは明白だ 声の主であり現在この部屋の主である同田貫が顎だけでそばに寄るよう示すので仕方なしに枕元に膝をつく。体を動かすのはまだ億劫なのだろう、金の瞳は返事を促すようにこちらを見つめじっと光っている 「お前が戦場で散るのは武器の誉れって言ってたの思い出してた」 正直に答えて気まずさに自分の指先を見る。手入れ部屋から出たばかりなのできれいなのは当たり前だ 戦場で散るというのは真に折れてしまうということで本丸に帰り着き手入れを受けている状況をそれと同じように感じているというのは理解されなくても仕方ないだろう 「厚樫山の時か」 返答は少し意外だった 「覚えてるんだ」 「あー…お前に惚れたのあの夜だからな」 思いがけない言葉に軽く息をのむ。なんで、そんな俺と同じことを 言葉にならない言葉をため息に変えそのまま上体を前に倒した。頭の落ちる先は同田貫の胸の上だ。布団越しのそれには温度も何もないけど なんだよそれ初めて聞いた うつぶせのまま息を吐き切りそっと相手の顔を見ると首だけ起こした同田貫と正面から目が合った。沈黙が長い。こっちを見るな。キスされるとでも思ったか? 「…賭け事が好きなのは主の悪影響だよなぁ」 ふはっと笑いながら息を吐き天を見上げる筋肉の動きに合わせて自分の頭も揺れる 「勝てるってわかってたんだから賭け事じゃないし」 お守りは折れた刀をもう一度つなぎとめるもの。わかっててやった進軍だ そう思っていても声色は拗ねたようで、自分のことだからよくわかる。���度の一つも変わらない相手に��やかされるのが不満なのだ
「手入れ、長引いたらどうする?」  戻るはずのないタイミングで意識が戻ったことについてだろう 「あとで主に謝りに行けばいいでしょ」  そうして言おう、恋人に折れろと命じるなんて二度とやらないと。他のやつらがどう思うか知らないが最古参の言葉を雑に扱うなよと  進むと決めたのは自分なのだから八つ当たりもいいとこだが、こんな心臓に悪いことを戦略に組み込むなんてきっとまともな判断じゃない
「今は使っても削れない身体なんだから途中で折れるのもったいなくない?」 結局いくらか伸びてしまった手入れの後に同田貫から聞いた話によると、あの夜の俺は彼に対してそのように返答したらしい 糧となる誉れと使われる嬉しさは切り離して考えるべきだと。主から与えられる愛の形も誉れの形もあの頃とはちがうのだと その言葉を忘れられない自分が折れて満足などするはずがないだろうと立腹する同田貫を見てあの戦場で俺に対して何かを伝えようとしたあのギラついた瞳をうまく受け止められなかった自分を少しだけ恥じたのだった 聞きたいことは聞ける仲なので本人の口から言わせたその言葉は俺を十二分に喜ばせた。 それならばもう一度同じ命令をするのも悪くはないとは冗談でも言えなかったけど
再掲:初出2019-08-05
ID:11738440
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uzurakoromo · 2 years
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掌編小説 『SAWAKO』
 人狼。普段は穏やかな人の姿と化しながら、夜になると本性を表し、狼となって人を喰う怪物。我々人類は、恐怖に怯えながら歴史を紡いできた。  けれど、そんな日も���日で終わり。私は瞳の奥に憎悪を忍ばせて、ラボラトリーの天井を仰いだ。その天辺にまで聳え立つのは、細長い鉄の巨塔。幾重もの回線の影を浮かばせ、銀色のシートに覆われたそれに向かって、私は両腕を広げて叫んだ。 「SAWAKO! 私の命令を聞いて!」  それは十年前、人狼に喰い殺された母の名前。そして、復讐を誓った父が生前に作り上げた人工知能の名。父が仕込んでくれたおかげで、科学者でない私でもそれなりに意思の疎通が出来る。 「これから、私の身体をサンプリングして、全人類の人狼を見極め、抹殺してちょうだい!」 「承知しました」  懐かしい母の声で、SAWAKOは言った。 「しかし、主よ。貴女の身体を元に、どうやって人類と人狼を見極めましょうか」 「人狼である限り、どんな姿で紛れようとも決して人間にはなりえないわ!」  私は、自らの胸の頂を掌で押し付けて答えた。 「私は紛れもなく人間! なら、人狼には必ず、人間とは違う構造を持っているはず! それを探し出してほしいの!」
「承知しました」
 やがて、無機質な機械音と共に、私の身体は赤いレーザービームに覆われた。そこからSAWAKOの優秀な検知機能は、私とは違う人狼を衛星で使って探し出し、脇の画面からリストアップしていく。けれど私はあえて見なかった。余計な罪悪感に囚われて、躊躇する気持ちを持たないためだ。  今宵、狼を倒すは鬼であれ。鬼になる覚悟を決め、血の脈を帯びる私の瞳は、天井窓からのぞく月を見上げた。  ああ、弟も今、同じ月を見ているのだろうか。幼い頃に事故に遭い、ずっと寝込んでいる、たった一人の家族。彼には両足がない。襲われたりでもしたら逃げることも出来ず、なすがままに喰い殺されてしまう。もう二度と、人狼に家族を殺させない。例え私が罰せられて処されようとも。 「リストアップは終わりました。結構な数になりましたが、それでも構わないですか?」 「是非に及ばずよ!」  冷徹なSAWAKOの声と共に、私はやがて水平に腕を振り、山上の展望台で命令を下す。 「やるならば、徹底的に! 地下に潜る暇など与えないくらいに!」 「承知しました」  アラーム音が鳴り響いた。これからSAWAKOと連動している殺戮兵器が、ミサイルの光を為して、今宵の空を駆け廻るのだろう。  爆音が鳴った。激しい地響きが続く最中で、どこか遥か遠くでも爆発音が弾いた。私は目を閉じ、耳で聞くことによって、全てが終わるときを待っていた。
 それからどれくらい経ったことだろう。うっすらと目を開くと、深夜の山の峰々がぼんやりとした明かりに灯り、幾つもの煙の筋を引いていた。山向こうの街は今、酷い惨状にあるんだと悟りつつ、私は安堵のため息をついた。 「これでやっと……弟に……」  街が灰燼に潰えようと、これでようやく人狼のいない外に出られる。街が消えた空の方がきっと広く、青く見えることだろう。私はやがて、弟のいる方角を見た。すると、向かって右の中腹あたりが赤く燃えているではないか。 「え……?」  そこは弟が暮らしている別荘あたりだ。馬鹿な、あそこには今、弟しかいないはずなのに。 「SAWAKO、どういうこと……? あそこに人狼はいたの……?」 「ええ、いましたよ。最初から一人きりで」  背筋に戦慄が走る。馬鹿な、弟は私と血を分けている紛れもない人間だ。それなのに――、
「ああ、そういえば、改めてお伝えするべきでしたね」  私が考えを巡らす前に、母の声が耳に張り付く。 「私がどうやって人狼を特定したのか、お教えしましょう。貴女の身体をサンプリングして、他の人間と照らし合わせたとき、『人間』と人狼の明らかな違いが分かったのです。そこから一つの例外もなく、排除しました」  三日月が浮かぶ夜空の下に、轟々と燃え盛る赤い炎。唇は震え、息を継ぐことも出来なくなっていく中で、SAWAKOは、母は言った。 「なんと人狼には、『人間』にはない臓器を持っていたのですよ。俗に言う、『男』ってやつがね」 〈終〉
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trashposts · 2 years
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4庁ろどき運問アエヲ誌吉アメ罪16十タヨメエ県会応予レけ値権れ下際体刈拒禎阻ぼ。飾タ事折ユロタヘ見7趣クざ異開者ム全飼サレラ検辞コヲ他後だゆッ止禁れっぞッ方直ま欠滅ゆろ興一ぽ設暮84浸りゆへよ氷強ムユ件並ウ暖終隊対ぐ。口上きょぴ見公チキ脇作いすっだ行立っク措規ヌラ大俊メホルミ気部な導欲ル摘盗ドぞあ央2症レワ市抱早ドフク落予らこま応日トさ団片透抽ょけのこ。
用テ果編波上びべなっ影本生んトろく属経へ真団エロコ野要や貸況チテ真7著薄キ記歩68勝ニモ口与椅漁ろょ。央マ群特ほさフば改第ヘ花6執オ受物と談勝フヘ阜無づトでる来7供し面心面キホテヤ整発ゃのなっ就9社セオ定祥こ金連ゆぽ位根国しにトや反今ソカニサ属野劣てフめ。
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shinjihi · 3 years
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昭和天皇 佐賀県への御巡幸のお話。
ぜひ読んでみてください。僕は号泣しました。
佐賀県に因通寺というお寺があります。
この寺には、戦争罹災児救護教養の、洗心寮が設置されていました。
洗心寮には、44名の引き揚げ孤児と、戦災孤児がいました。
この寺の住職:調寛雅(しらべかんが)氏と昭和天皇はあるご縁がありました。そのご縁もあって、九州行幸には「行くなら、調の寺に行きたい」との昭和天皇のご意向から、因通寺のご訪問が決定しました。
この地域は、共産主義者がたくさんいる地域で、特に敗戦後ですので暴動が起きる可能性がかなりありました。因通寺のある町では陛下の行幸を歓迎する人と反対する人で対立が起きました。
歓迎するのにも命がけの雰囲気です、反対派から何をされるか分からない。
お迎えするのは町長や知事などもである。
ある町長は知事にこう言います。
「知事さん、あなたも、おわかりだろうけど、このたび一天万乗の大君でいらっしゃる天皇陛下がここに来られるんですよ。私も息子を今度の戦争で亡くしましたけれど、おそらく息子は天皇陛下万歳といって死んだにちがいありません。その息子のことを思ってみても、天皇陛下がおいでになるとき、父親である私がどうしてじっとしていることが出来ましょう。
せめて陛下がお出で頂くとき、気持ちよくして下さるよう、みんなでこうして掃除をしているんですよ。
知事さん、心配しなさられでもいいですよ。至誠天に通ずですよ。」
5月24日、いよいよ因通寺に昭和天皇の御料車が向かわれます。
いろんな想いの群集から、「天皇陛下万歳、天皇陛下万歳」の声が自然と上がります。
それは、地響きのようでした。陛下は、群集に帽子を振って応えられます。
そして陛下は門前から洗心寮に入られます。子ども達は、それぞれの部屋でお待ちしていました。陛下はそれぞれの部屋を丁寧に足を止められます。
「どこから」
「満州から帰りました」「北朝鮮から帰りました」
「ああ、そう」「おいくつ」
「七つです」「五つです」
「立派にね。元気にね」
一人一人にお声をかけられます。
ひと部屋、ひと部屋と。
そして一番最後の部屋の「禅定の間」に進まれます。
陛下は、その時突然、ある一点を見詰めて佇まれます。
侍従長以下は「何事があったのか」と足を留めます。
しばらくして、陛下は一人の女の子へお顔を近づけられます。
「お父さん。お母さん」と、お尋ねになる。
女の子は、二つの位牌を胸に抱きしめていたのである。
女の子が「はい。これは父と母の位牌です」と、返事します。
「どこで」「はい。父はソ満国境で名誉の戦死をしました。母は、引き揚げの途中で、病気で亡くなりました。」
「お淋しい」
「いいえ。淋しいことはありません。私は仏の子どもです。仏の子どもは亡くなったお父さんとも、お母さんとも、お浄土にまいったら、きっともう一度会うことが出来るのです。お父さんに会いたいと思うとき、お母さんに会いたいと思うとき、私は御仏さまの前に座ります。そして、そっとお父さんの名前を呼びます。そっと、お母さんの名前を呼びます。するとお父さんも、お母さんも、私のそばにやってきて、私をそっと抱いてくれるのです。私は淋しいことはありません。私は仏の子どもです。」と答えました。
陛下と女の子は、じっと見つめ合います。
さらに陛下は部屋の中に入られ、右の手に持っていた、帽子を左に持ち替えられ、右手を女の子の頭において、撫でられたのです。 
 陛下は「仏の子どもはお幸せね。これからも立派に育っておくれよ」と申され大粒の涙をハラハラと流されました。
すると、女の子は「お父さん」と呼ぶのです。
多くの人たちは、言葉無く佇みます。
新聞記者までが、言葉を無くし一緒に涙を流したのです。
孤児院から出られるとき、子ども達が陛下の袖を持ち、「またきてね、お父さん」と言います。
陛下は、流れる涙を隠そうともせず「うん、うん」とうなずかれお別れになられます。
そして後に、一首の歌が届けられました。「みほとけの教へまもりてすくすくと生い育つべき子らに幸あれ」
調住職はこの昭和天皇陛下のお言葉をみなに響き聞かせようと、この御製を寺の梵鐘に鋳込ませました。
今でも因通寺に行くとこの梵鐘の響きが当たり一帯に響き渡るそうです。
洗心寮を出られたあと、長い坂の下でたくさんの人々が陛下を出迎えます。
陛下は遺族などと一人一人お話になり、進まれます。
その中に若い青年と思われる数十人が一団となり陛下をお待ちしていました。
シベリア抑留の時に徹底的に洗脳され、共産主義国家樹立の為に共産党に入党した者達でありました。
すごい形相でむしろ旗を立てて待ち構えていたのです。
恐れていた事が起こる気配です。
周りの者が陛下をお守りしなければと駆けつける前に陛下は、その者達とお話になられます。
陛下はその者達に深々と頭を下げられます。
「長い間、遠い外国でいろいろ苦労して深く苦しんで大変であっただろうと思うとき私の胸は痛むだけではなくこのような戦争があったことに対し、深く苦しみを共にするものであります。」 
「皆さんは、外国においていろいろと築き上げたものを全部失ってしまったことであるが、日本という国がある限り、再び戦争のない平和な国として、新しい方向に進むことを、希望しています。皆さんと共に手を携えて、新しい道を築き上げたいと思います。」
非常に長いお言葉を述べられます。
陛下の、表情は自愛に溢れるものでした。陛下は、彼らの企みをご存知ない。
陛下の前に、一人の引き揚げ者が、にじり寄ります。
「天皇陛下さま、ありがとうございました。今頂いたお言葉で、私の胸の中は、晴れました。引き揚げてきたときは、着の身着のままでした。外地で、相当の財をなし、相当の生活をしておったのに、戦争に負けて帰ってみれば、まるで丸裸。最低の生活に落ち込んだのです。ああ、戦争さえなかったら、こんなことにはならなかったと、思ったことも何度かありました。そして、天皇陛下さまを、恨みました。しかし、苦しんでいるのは、私だけではなかったのです。天皇陛下さまも、苦しんでいらっしゃることが、今、わかりました。今日から、決して、世の中を呪いません。人を恨みません。天皇陛下さまと一緒に、私も頑張ります。」と言ます。
その時、むしろ旗を持ってすごい形相の男が不意に地面に手をつき泣き伏しました。「こんなはずじゃなかった。こんなはずじゃなかった。 俺が間違っておった。俺が誤っておった。」と号泣するのです。
その男の懐には短剣が忍ばせていたのです。泣きじゃくる男に、他の者達も号泣します。
じっと、皆を見詰めて動こうとされない陛下。陛下の、まなざしは深い慈愛に溢れ、お優しい目で見つめられます。三谷侍従長が、ようやく陛下のおそばに来て促されようやく陛下は歩を進められたのです。
陛下が涙を流された時、人々は知りました。陛下も苦しまれ、悲しまれ、お一人ですべてお抱え込んでいらっしゃる事を。
陛下は、危険を顧みず全国を御巡幸され続けます。そのお姿に、国民は「一丸となって、共に頑張ろう」と思うのでした。
戦後のめざましい復興のエネルギーはここから生まれたのです。
晩年、昭和天皇は病床で「もう、駄目か」と言われます。医師たちは、ご自分の命の事かと思いましたが、実は「沖縄訪問はもうだめか」と問われたのである。
最後の最後まで、国民を御思いになられる陛下でした。
その昭和天皇の御心は、平成5年に今上陛下(今の上皇陛下)によって果たされます。
今上陛下は、歴代天皇初の沖縄ご訪問をなさいました。その時、原稿なしで遺族を前に5分間にわたって、御心のこもったお言葉で語りかけられました。
そのお言葉に、険しい表情であった遺族も「長い間ご苦労様でした、というお言葉をもらったので満足しています。お言葉には戦没者へのいたわりが感じられました。陛下のお言葉でまた一生懸命やろうという気持ちが湧いてきました。」「なぜか泣けて言葉にならなかった。沖縄のことを愛しているのだろうという気持ちがこみ上げてきた」
こうして昭和天皇が昭和21年2月から始められた御巡幸は45年もの月日を経て一区切りがついたのです。
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kennak · 2 years
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ゲーム機は娯楽商品であり、本来は抽選に申し込んだり行列に並んだりしてまで買うものではない。 欲しい時に手に入らなければ「ならいいか」と購入欲が冷めてしまう人が多いのも 生活必需品でないゲーム機ならではの特徴でもある。 私も発売以来しばらくPS5の抽選に申し込んでいたが、あまりにも当たらないところに Xbox Series Sを手に入れてしまったことで満足してしまい、申し込まなくなってしまった。 様々な情勢から考えて、少なくとも今世代のゲーム機については 発売から一定の年月が経てば型番変更をして、その都度本体価格が下がっていく、という 従来のビジネスモデルは踏襲しないであろうし、「安くなったら買う」が選択肢から消えることは ライトユーザーにとってコンシューマー離れを加速させかねない。 任天堂が有機ELモデル一択に移行せずノーマルを並行販売を継続しているのも、 キッズ層やファミリー層を意識して、手を出し易い価格帯を残しているのだと思う。 長期的な品薄にはいくつかの理由がある。 ひとつはコロナ禍による巣篭り需要の拡大、もうひとつは半導体不足、最後が転売屋の暗躍。 どれかひとつでも市場に影響を与えてしまう出来事が3つ同時期に重なってしまい これまで以上に深刻な状況に陥っている。 日本国内でその煽りを最も受けているのがPlayStation5だろう。 本体が発売されたばかりでコロナに見舞われ、品薄になるほど取引価格が跳ね上がって 今や転売屋にとって1、2を争う「美味しい商材」と化している。 店頭販売では人海戦術を、ネット通販では特殊なツールを駆使して台数確保に励む彼らに 私のような丸腰のジジィゲーマーが対抗できるはずもない。 家庭用ゲーム機における転売の歴史はかなり古く、別に今に始まった話ではない。 ファミコン全盛期には「ドラゴンクエスト」シリーズが発売されるたびに 売れ残った不人気のソフトを抱き合わせで売る店が多くあったし 三宮の高架や天王寺の動物園前の路上では、薄汚れた親父が輪ゴムでまとめた ファミコンソフトを2本1万円(ドラクエ+不人気2本)などで売っている姿を良く見かけたものだった。 当時は一部の商道徳のない店や、いわゆるバッタ屋に流れたソフトを怪しげな親父が路上で売っていたものが 現代ではネットを通じて海を渡るようになっただけのことである。 スマホ1台あれば稼げると知った個人が小遣い稼ぎとして転売に手を出し始めたことも手伝って、 転売は今や、業者と個人の二層構造になっている。 ネットにより可視化されたこともあり、今世代のゲーム機において転売を敵視する人が増えているが 品薄の本体が大量に海外に流れるのは、私の記憶ではPS2ぐらいの頃(2000年〜)から既にあった。 いわゆる二次問屋の稼ぎ頭として、二次が流すFAXの高額買取商品には常にPS2が載っていたし 価格も定価超えをしていた。当時二次で営業をしていた知り合いに「どうやって��益を出すの?」と聞いたら 「海外に売るんですよ、1台10万で売れますからね!」と自慢げに教えてくれた。 入荷したばかりのPS5が店からカートンごと引き取られていく様子が撮影され 問題になったこともあったが、あれもスマホが普及して誰でもスクープカメラマンになれる 現代だからこそ表面化しただけで、同じことは20年前から行われていた。 二次問屋に挨拶に行った時、ちょうど大量の荷物が「仕入れ」されたばかりで 倉庫には発売されたばかりのPS3本体が天井に届くほど高く積み上げられていた。 何気なく伝票を見たところ、今でも高いシェアを誇る大手家電ショップや、 当時人気だったチェーン店など様々な店から届いていて驚いたのを良く覚えている。 なぜこういったことが起こるのかは、本体の仕入れ価格が大きく関係していると私は見る。 関西などでは「こんな高いモン(本体)買うんやからソフト1本ぐらいおまけでつけてくれや」という 交渉をしてくる人が今でもたまにいるらしいが、 ショップからすればゲーム機本体ほど扱いたくない商品はないのだ。 本体価格を抑えるために、メーカーは異常に高い卸値をショップに課し、1台売っても雀の涙ほどの利益しか出ない。 クレカ決済で買われてしまうと手数料分でもう赤字になってしまう。 品薄になれば文句を言われ、やっと入荷した本体は「せめてソフトと一緒に」とも言えず それでも入荷分をちゃんと店頭に出すショップは偉いとすら思う。 入荷次第すぐに二次に流してしまえば、文句も言われず1台あたり数万の利益が出るのだから 人情的にも経営的にも、ショップが転売屋に商材を流すのは仕方ない面もある。 ゲーム機本体の卸値が適正で、ちゃんと1台売って納得のいく利益が出るなら誰もそんなことはしないはずなのだ。 こうした構造的な問題が解決されないまま、「諸悪の根源は転売屋」として 取引を仲介するヤフオクやメルカリといったサービスを叩いたところで問題解決は遠い。
ゲームと転売の歴史は意外と古いので思い出話などを - 忍之閻魔帳
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myonbl · 2 years
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2022年6月19日(日)
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昨日契約農家から届いた定期便、中に鹿肉が入っていた。日本の中山間地農業(平地が少ない地域)では、鹿との戦いは深刻だ。決定的な対策はなく、猟友会による駆除の取組もハンターの高齢化もあって追いつかない。とは言え、生き物の命を奪う以上、感謝しつつ食として最後まで付き合わなくてはならない。きれいな赤身をカットして、2/3は鹿カツに、1/3はヨーグルトに漬けてカレーにしよう。ここから先は減量との戦い、食べ過ぎないようにしなければ。
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5時起床。
日誌書く。
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おぼろそば+そば湯+ヨーグルト。
ツレアイは太鼓の練習で奈良へ、JR京都駅まで送る。
ツレアイが使用しているAppleWatchはわたしのお下がりのSeries6、Series7に買い換えるために下取りを申し込んだ。
2男にはSeries3を与えていたが、今は使っていないということで下取りに出すことに下。ところが、いったん私の使用しているSeries7とiPhoneとのペアリングを解除し、Series3とのペアリング操作をしなければシリアル番号が確認できない。操作を始めるが、こんどはWatchOSのアップデートが必要で、これがなかなか進まない。結局2時間程度かけてようやく下取り申込終了、評価は2,000円とのことだった。
中元手配、大丸&浜峰商店。
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息子たちのランチはレタス炒飯、私は残り物を片付ける。
ツレアイを京都駅まで向かえに行く。何しろ大きな太鼓を背負っているので、観光客の増えた市バスでは迷惑この上ない。暑さのせいで自転車も大変なので、今日は送り迎えをしたのだ。
MQJ(メモリアル・キルト・ジャパン)のニュースレターの編集作業、昨秋から随分と間隔が空いているのだが、専従スタッフがいるわけではないので、我が家の仕事の流れが大きく影響してくる。夕方までかけて、A4*12舞いに収めた。明日はツレアイが休みなので、<市民活動総合センター>の印刷室を予約して仕上げる予定だ。
松尾大社の<夏越の大祓え>、やっと組内の申込を揃えて会長宅へ届ける。
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夕飯は鹿カツ、ついでに残っていた豚肉をトンカツに、定期便に入っていたサンドマメも天ぷらにした。
録画番組視聴。
(9)「まるごと徳島!昆虫食最前線?!コオロギ養殖」
初回放送日: 2022年6月19日
徳島県のサラメシを集めたスペシャル版!かつて取材した職人さんや都会からの移住者たちの地域色あふれる昼ごはんから、今、話題の昆虫食の最前線!コオロギ養殖を行うベンチャー企業のランチタイムまで「まるごと徳島県」でお届け!▼環境意識の高まりから人気急上昇中の昆虫食。コオロギの飼育から食用加工までを手掛けるベンチャー企業で仕事とランチを拝見!▼かずら橋架け替え現場や藍染め職人工房、サテライトオフィスの昼。
(39)「黄金のバックル」
何度見ても新しい!ミステリードラマの金字塔。全体的に古風な雰囲気がただよう作品。ルース役のジョイス・バン・パタンはピーター・フォーク主演の映画で共演歴がある。 
 美術館の館長を務めるルースは、理事である弟のエドワードが財政難の美術館を売ろうとしていることを知る。美術館一筋で生きてきた彼女は弟の殺害を決意。まず、借金を抱えている警備員の男を「多額の保険金がかけられた展示品を盗んでくれれば逃亡費用と旅券を渡す」とそそのかす。その夜、美術館に忍び込んできた男を射殺し、そこに現れたエドワードを、今度は男の銃で撃ち殺す。
入浴、早めの就寝、落語を聞くことなく夢の中へ。
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デスクワークに時間が取られ、3つのリング完成とはならず。水分は、1,600ml。
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ari0921 · 3 years
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)8月16日(月曜日)
通巻第7016号 
 「その後の研究」。アフガニスタンがタリバンに制圧された。これから何がおきるか
  1949年中共、74年エチオピア、75年ベトナム、77年イラン。あの既視感
*************************
 米国が支援した傀儡政権は、その他律的依存と汚職体質によって、モラルが確立されておらず武力闘争には脆弱である。
米軍が引き揚げるか、撤退姿勢をみせると、米国依存の傀儡的な政権は戦意を失い、モラルは忽ち消え失せ、武器の横流しをはじめ、密輸に精を出し、政府高官らは祖国と国民を捨てて脱出の準備に入る。
政府軍の軍人と言っても練度は低く、おおくは員数合わせ、あるいは失業対策で給与に群がってきた人が多く、組織的な行動は不得手であり、また軍事力を統率できる軍人は不在。軍閥のほうが機動力を発揮する。
15日、ガニ大統領はタジキスタンへ逃亡した。前日にジャラジャバードが陥落し、パキスタンとの国境がタリバンに抑えられた。陸路のすべての国境はタリバン支配下に入った。
命を捨てても祖国を守るという発想がないか、あるいは希薄である。寺山修司の詩が脳裏に甦る。「身を捨つるほどの祖国はありや」
 8月12日にヘラートとカンダハルが陥落、15日にマザリ・シャリフが陥落し、ドスタム将軍らは国境から先へ逃亡した。ヘリコプターによる米大使館員の退避が開始された。バイデンは急きょ派遣する米軍を五千名に増やすとした。
 そしてタリバンは無血でカブールへ入城し、大統領府を抑えた。カブールの幹線道路は駐車場と化し、一時間に1メートルも動かない。市民がパニック状態となって町を出ようとしているためだ。ATMには長蛇の列ができた。
 最後の日々を迎えたカブール。そうだ、既視感がある。
 サイゴン陥落前、南ベトナム政府の高官たち、グエン・バン・チュー大統領もグエン・カオキ首相みな、米国へ逃亡した。腐敗の体質に溢れていたが、急な脱出だったらしくせっかく蓄財した金塊を持ち出すいとまはなく、グエン・バン・チューは台湾へ逃亡、その後、ロンドンで清掃業をしていた画面が流れたが、最後は米国へ亡命し病死した。
グエン・カオキ将軍はいち早く米国へ逃げ、貿易で成功したうえ、アメリカ各地に講演旅行に呼ばれるほど一部に人気があった。マレーシアの病院で死去した。
 1949年、米国の誤断によって中国を失った。
ニクソンは言った。「WHO LOST CHINA?」
蒋介石から米国は毛沢東へ乗り換えた。この外交的誤断について、当時も盛んに議論されたが、率直に振り返れば米国の外交の失敗に起因する。
つまり「敵と味方を常に間違える天才」がアメリカ外交である。
 1975年にベトナムが失われ、79年にはイランが、そして2021年にアフガニスタンから米国傀儡政権は消え、タリバン主導の狂信的宗教カルト集団が国を乗っ取る。
 ▼米国を挑発し、泥沼に引きずりこんだのはアルカイーダだった 
 問題は「その後」である。これから何が起きるか?
 南ベトナム崩壊後、ラオス、カンボジアには共産主義が浸透した。そしてベトナムは反中国に、ラオス、カンボジアは中国寄りとなった。
 イランは狂信的カルトが政権を掌握し、すぐにイラン・イラク戦争を始めた。
 アフガニスタンは1989年にソ連が撤退し、それまで米国が支援してきたムジャヒディーンは忽ち反米となって、タリバンが政権を掌握した。
その後はカザフ系、ウズベク系がパシュトーン人と内ゲバを始め、爾来、アフガニスタンは軍閥が地域を統治し、中央政府の行政の及ばない地域ではアルカィーダ、ISが秘密の訓練基地を設営し、跋扈した。オサマ・ビン・ラディンらのテロリストたちを最初はCIAが育てたのだった。
 その後、タリバンへ武器を供与していたのはロシアとイランだった(ネリー・ラフォウド論文『フォーリン・アフェアーズ』2021年9・10月号)。猜疑心の固まり、日常的な裏切り、その残忍さはアレキサンダーが征服した古代から変わらないのである。
 1998年 アルカイーダはケニアの米国大使館を爆破した。224名が犠牲となり負傷者は四千名を超えた。2000年10月、アデンに係留中の米海軍艦船「コール」が爆破された。
 ときのクリントン大統領は報復にトマホークミサイルを50発、アルカイーダの拠点とされたアフガニスタンの基地へ撃ち込んだ。
 そして2001年9月11日、NYの貿易センタービルが、ハイジャックにより凶器と化けた航空機によって破壊され数千名が犠牲となった。
 ▼「テロ戦争」で対応した米国は国力を衰退させた
 この怒りを爆発させるためにアメリカはアフガニスタンへの空爆を開始して、テロ戦争は長引くとブッシュジュニア大統領は宣言した。
大軍をアフガニスタンへ投下し、二十年の歳月が流れた。米軍が駐留する限り、地域は安定し、イスラムの反中国集団が暗躍しても限界があり、むしろ安心していたのは中国だった。
 米国は過去二十年に亘って、およそ1兆ドルをアフガニスタンに投じ、インフラ建設を手助けし、戦闘では多くの犠牲を払い、そして得たものは何もなく、却ってNATO諸国などとの心理的溝が拡大した。
米国は肝心の国力を衰退させ、士気は低下し、疲れ果てた。この二十年に中国は経済大国として刮目するべきほどにのし上がった。
 これからどうなる?
 第一にタリバンを誰が率いるのか? オマル師はすでに不在である。タリバンを代表する幹部らはカタールに和平交渉のオフィスを構え、イラン、中国などと交渉をしてきたが、この協議機関は、これからどうなるのか。
 パキスタン情報に拠れば、タリバンを2016年以来、最高指導者として統率してきたのはハイバトラ・アフンドザタと言われる謎の人物。軍の最高司令官はオマル師の息子のヤクブとされるが、飾りでしかない。
 タリバンはカンダハルで誕生した。このカンダハル軍閥を率いるのはバラダール師で、カタールのタリバンオフィスを代表する。
 また自爆テロ、海外テロを行っているのは「ハカニ・ネットワーク」で、この集団をまとめるのが副最高司令官のシラジデン・ハカニと推定されている。
 
 第二に当面は連立政権が組まれることになると思われるが、軍閥の呉越同舟となり、いずれ内ゲバを始めるだろう。前政府はガニ大統領の逃亡によって、臨時代行を誰が務めるのか。引き継ぎチームを率いるのはアリ・アーマド・ジャラリ前内相と発表されているが、アブドーラ元外相(元副大統領、行政長官)が表にでてくる可能性もある。アブドーラは過去二回の大統領選挙でガニに僅差で敗れているが、不正投票だとして、現在も「影の大統領」を自認している。カルザイ初代大統領の影もちらついている。
 英国のジョンソン首相はタリバンを外交承認することはないと言明し、新政府の誕生を見守るとしているが、大半の西側諸国も、当面、タリバン承認はしないだろう。
 
 ▼中国はタリバンに大々的な投資を約束したらしい
 第三にタリバンが内部崩壊を防ぐには新しい敵が必要であり、それがイスラム弾圧の中国へ向かう公算が強い。中国は揉み手してタリバンに薄笑いを浮かべながらちかづくだろう。
 先月、中国はタリバン幹部9名を天津に招き、王毅外相と会談したが、ETIM分子の摘発をタリバンは約束したという。見返りに中国はどのような土産をタリバンに与えたのか。なにがしかの密約が成立した筈である。
 第四にイランは同じイスラムカルトの政権を歓迎すると予測する向きが多いが、タリバンはスンニ派である。アフガニスタン国内に少数のハザラ人が���るが、彼らだけがシーア派とされる。したがってイランとアフガニスタン関係は緊密にはならないだろう。
 第五にロシアは、隣国タジキスタンから動向を見極めつつ、有利と判断すれば介入するだろう。げんにロシア軍およそ七千名がタジキスタンに駐屯しており、また難民キャンプ設営を終えて、十万人収容と発表されている。
 第六にパキスタンは難民問題に悩まされ、また国内がスパイ合戦と代理戦争の基地化するだろう。パキスタン軍部はタリバンと舞台裏で緊密に繋がっているとされ、イスラン・カーン政権とは距離を置いて独自の諜報作戦を行使する。
 第七にインドの関心事はパキスタンの動向と中国国境での軍事対決にあり、アフガニスタンにチャンスがあれば介入するだろう。インド企業のアフガニスタン投資も目立つが、インドにとってアフガニスタンはパキスタン、タジキスタン、キリギス、ウズベキスタン、イランと国境を接する地政学上の要衝であり、国家安全保障上、つねに監視対象である。
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