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#毛髪強化剤配
hiraharu · 2 years
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まだまだ寒い日もありますが、立春が過ぎ、もうすぐ暖かい春がやってきます。この春から一人暮らしを始める方や、転勤するなど新生活が始まる方もいるのではないでしょうか。環境が変化する中で、身の回りの生活道具を新調したいと考えている方もいるかもしれません。
お気に入りのアイテムを取り入れると、なにげない日常もより楽しくすごせますよ。
▼オーガニックエアー|イケウチオーガニック https://wazawaza.shop-pro.jp/?pid=145638965
新生活で、タオルを新調したいと考える方も多いはず。折角新しくするなら使い心地のよいものを選びたいですね。イケウチオーガニックのオーガニックエアーは、薄くて軽い、非常にソフトな手触りのタオルです。
薄いのに吸水性がよく、バスタオルなら風呂上がりにササッと体を拭き、髪もしっかり拭くことができます。水気をきちんと吸い取ってくれるため、ドライヤーで髪を乾かすのも短時間で済みそうです。
コンパクトにまとめられるので、ジムやサウナなど家から持ち出す場面にもおすすめ。速乾性に優れ、タオルがなかなか乾きにくい季節も使い勝手のよいタオルです。オーガニックコットン100%なので、赤ちゃんにも安心。どんな方にも使っていただけるので、引っ越しを控えている友人にプレゼントとして贈るのもいいですね。
▼ボデガ グラス|Bormioli Rocco https://wazawaza.shop-pro.jp/?pid=49273356
美しいデザインもさることながら、重ねてコンパクトに収納することができる機能的なグラスです。 食器棚で場所を取りがちなグラスは、スタッキングできると収納場所に困りません。
全面強化ガラスで耐熱性があり、電子レンジにも対応。冷たい飲みものにはもちろん、温かい飲みものにも使えるため一年中活躍してくれるでしょう。
サイズ展開は、小(220cc)、中(370cc)、大(510cc)の3サイズ。小サイズは、ヨーグルトなどのデザートやちょっとしたサラダを盛ったりと、飲みものを入れる以外にも使えます。ビールの350cc缶がぴったり注げる中サイズ、カトラリーのツール立てにも使える大サイズと、サイズに合わせていろいろな使い方ができるボデガ グラス。きっと長きに渡って暮らしを支えてくれるでしょう。
▼海をまもるバスブラシ 手仕上げ1級品|がんこ本舗 https://wazawaza.shop-pro.jp/?pid=150672230
引越しなどの新生活では、掃除グッズを一新する方もいるのでは? この機会に、環境にやさしい掃除道具を選んでみてはいかがでしょうか。 毛先をゴムラテックス加工してあり、洗剤を使わずに汚れが落とせる人気のバスブラシです。
汚れ落ちのよさの理由は、ブラシの毛に施された「先割れ加工」。細かいところまでブラシの毛が行き届き、汚れをかき出してくれます。しっかりした持ち手は握りやすく、楽にこすることができます。金属メッキやプラスチック、タイルなど、どんな素材にも使え、傷をつける心配がありません。
このバスブラシ一つで、浴槽、ふた、蛇口、床などお風呂場をまるごときれいにすることができます。柄が短いため、収納しやすいことも嬉しいポイント。汚れが楽に落とせるバスブラシは、お掃除が楽しくなりますよ。
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▼わざわざオンラインストア https://waza2.com/
▼わざわざのパン・お菓子 https://kinarino-mall.jp/brand-2482
▼【限定クーポンが届くかも】メルマガ登録はこちら https://wazawaza.shop-pro.jp/secure/?mode=mailmaga&shop_id=PA01189522
#パンと日用品の店わざわざ #わざわざ #新生活 #お気に入りのアイテム #日用品 #暮らしの道具 #ボデガ #イケウチオーガニック
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radstarlightreview · 1 month
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育毛剤の中でも人気のあるプロペシアの効果
プロペシアの主な効果や効果が現れるタイミング、効果を実感するまでの期間など、詳細に解説しています。さらに、効果が期待できる人や効果を最大限に引き出す方法、実際に効果を実感した人の声まで幅広くお伝えしています。プロペシアに興味がある方は、ぜひこの記事をご覧ください。
プロペシアの効果とは
プロペシアは男性型脱毛症の治療に使用される薬で、有効成分フィナステリドが脱毛を抑制し、髪の成長を促進します。定期的に服用することで、薄毛や抜け毛の進行を抑え、髪の密度を改善する効果が期待されます。ただし、個人差があるため、効果の実感には個人差があります。
プロペシアの主な効果
プロペシアは男性型脱毛症の治療薬として知られています。主成分のフィナステリドが、頭皮の毛包における男性ホルモンの影響を抑制し、脱毛を防ぐ効果があります。継続的に使用することで、髪の毛の薄さや抜け毛が改善されることが期待されます。また、発毛効果も期待されることから、多くの男性に支持されています。ただし、効果を感じるまでには時間がかかることや、使用を中止すると改善が逆転する可能性もあるため、定期的な使用が必要です。副作用としては、性機能障害や乳房の腫れなどが報告されていますが、稀なケースです。プロペシアを使用する際には、医師の指示に従い正しく使うことが大切です。
プロペシアの効果が現れるタイミング
プロペシアは男性型脱毛症の治療薬として知られていますが、その効果が現れるタイミングについて知っておきたいですよね。通常、プロペシアを服用し始めてから3ヶ月~6ヶ月程度で効果が現れることが多いと言われています。しかし、個人差があるため、効果が現れるまでの期間は人によって異なります。早い方では1ヶ月程度で効果を感じることもあれば、遅い方では1年以上かかることもあります。また、プロペシアを服用し続けることで効果が持続することもポイントです。定期的な服用が重要ですので、効果が現れるまでの期間は辛抱強く続けていくことが大切です。気になる薄毛や抜け毛の悩みを改善したい方は、プロペシアの効果を期待してみてはいかがでしょうか。
プロペシアの効果を実感するまでの期間
プロペシアは男性型脱毛症の治療薬として知られていますが、その効果を実感するまでには個人差があります。一般的には、プロペシアを飲み始めてから3ヶ月~6ヶ月程度で効果が現れることが多いと言われています。しかし、中には効果を実感するまでに1年以上かかる場合もあります。効果を実感するまでの期間は個人の体質や脱毛の進行具合によって異なるため、焦らずに継続して服用することが大切です。また、プロペシアは効果が現れた後も定期的に服用する必要があります。効果を実感するまでの期間は長いかもしれませんが、継続することで効果を感じることができるので、根気よく治療を続けていきましょう。
プロペシアの効果が期待できる人
プロペシアの効果が期待できる人は、男性型脱毛症(AGA��で進行している方や、薄毛や抜け毛が気になる方です。プロペシアは、男性ホルモンの作用を抑制し、薄毛や抜け毛の進行を抑える効果があります。早めに使用を開始し、定期的に継続することで効果が期待できます。
適応症状
「2-1 適応症状」とは、特定の状況や環境において生じる身体や心理の変化のことを指します。例えば、ストレスや緊張が続くと、頭痛や不眠、イライラなどの適応症状が現れることがあります。また、新しい環境に適応する際にも、不安や緊張からくる適応症状が現れることがあります。 適応症状は、一時的なものである場合もあれば、継続的に続くこともあります。そのため、適応症状が続く場合は、専門家の助言を受けることが重要です。適切な対処法やケアを行うことで、適応症状を軽減することができます。 適応症状は、人それぞれ異なるため、自分自身の体や心の変化に敏感になることが大切です。日常生活でのストレスや緊張を軽減するためには、適切なリラックス法やストレス解消法を取り入れることが効果的です。自分の体や心のサインを大切にし、適応症状に適切に対処することで、心身の健康を保つことができます。
どのような人に効果があるか
美容や健康に関心が高い人やストレスを感じやすい人に効果があると言われている。美容に関心が高い人は、肌や髪の状態を気にしているため、体の内側からのケアができるサプリメントとして興味を持つことが多い。また、ストレスを感じやすい人は、ストレスによる肌荒れや体調不良を改善するために、心と体の両面からアプローチできるという点で魅力を感じることがある。さらに、健康志向の高い人やダイエットを意識している人も、体の内側からのサポートを受けられるという点で興味を持つことがある。そのため、幅広い層の人に効果があると言われており、日々の生活に取り入れることで、より健康で美しい体を目指すことができるだろう。
服用の注意点
2-3服用の注意点について、適切な服用間隔を守ることが重要です。薬の効果が最大限に発揮されるためには、指示された時間間隔で服用することが必要です。また、2-3服用の場合は1日の総量に気をつけることも大切です。過剰摂取は健康リスクを引き起こす可能性があるため、必ず指示通りの量を守るようにしましょう。さらに、他の薬やサプリメントとの併用にも注意が必要です。相互作用によって効果が増強されたり、副作用が引き起こされる可能性があるため、医師や薬剤師に相談してから併用するようにしましょう。2-3服用の注意点を守ることで、薬の効果を最大限に引き出し、安全に服用することができます。
プロペシアの効果を最大限に引き出す方法
プロペシアの効果を最大限に引き出すためには、定期的な服用が重要です。また、食事や生活習慣の改善も効果的です。適切な量を毎日一定の時間に服用し、医師の指示に従うことで、薄毛や抜け毛の改善が期待できます。副作用や注意事項も確認し、適切な使い方を心がけましょう。
適切な服用方法
適切な服用方法は、薬の効果を最大限に引き出すために非常に重要です。まず、医師や薬剤師の指示に従い、指定された用量と頻度で薬を服用することが大切です。また、薬の服用方法には食前や食後、特定の時間帯などが指定されている場合もありますので、それにも注意が必要です。 さらに、薬の飲み忘れや重複服用を防ぐために、服用したことを記録する習慣を身につけることも重要です。特に複数の薬を同時に服用している場合は、混同や誤りを防ぐために注意が必要です。 また、薬の効果を最大限に引き出すためには、定期的に医師との面談を行い、服用状況や体調の変化などを報告することも大切です。医師や薬剤師とのコミュニケーションを大切にし、適切な服用方法を確認しながら薬を服用することで、健康状態の改善につながることでしょう。
副作用を軽減する方法
薬を服用する際、副作用が気になる方も多いと思います。副作用を軽減するためには、まずは医師や薬剤師に相談することが大切です。適切な薬の選択や服用方法を指導してもらうことで、副作用を最小限に抑えることができます。また、薬と一緒に飲む食事や飲み物に気をつけることも重要です。特定の食品と薬が相互作用してしまうことがありますので、飲み合わせについても注意が必要です。さらに、薬の服用時に食事を摂ることで、胃腸に負担をかけることを避けることができます。副作用が気になる場合は、薬の服用を一時中止することも考えられますが、必ず医師に相談してから行うようにしましょう。副作用を軽減するためには、自己判断せずに専門家の意見を聞くことが大切です。
効果を高めるための食事や生活習慣
健康的な生活習慣やバランスの取れた食事は、美容や健康に良い影響を与えます。例えば、肌荒れやシミを改善するためには、ビタミンCやEが豊富な食材を摂取することが重要です。オレンジやレモン、アボカドなどを積極的に取り入れましょう。また、睡眠不足やストレスは肌トラブルの原因になることもあるので、十分な睡眠をとることやストレスを溜めないように心がけることも大切です。さらに、適度な運動を行うことで血行が良くなり、肌の新陳代謝が促進されます。バランスの取れた食事や健康的な生活習慣を心がけることで、美しい肌や健康を手に入れることができます。日々の積み重ねが大切��ので、少しずつ意識して取り入れてみましょう。
プロペシアの効果を実感した人の声
プロペシアの効果を実感した人の声は、薄毛や抜け毛に悩んでいた人が、プロペシアの服用により髪の毛の成長が促進され、薄毛が改善されたというポジティブな体験談が多く寄せられています。また、副作用のリスクもあるため、医師の指導のもとで適切に使用することが重要です。
実際に効果を感じた人の体験談
私は過去に体調が優れない日々を送っていましたが、友人から勧められてある健康食品を試してみることにしました。最初は半信半疑でしたが、数週間経った頃に体調の改善を実感しました。具体的には、疲れにくくなり、集中力もアップしました。また、肌の調子も良くなり、体全体が軽やかになった感じがしました。 この健康食品を摂取し始めてから、日常生活が楽になったと感じます。以前は疲れやすくてイライラしやすかったのですが、それが改善されました。また、仕事の効率も上がり、ストレスも軽減されたように感じます。 今ではこの健康食品は私の生活の一部となり、欠かせない存在となっています。効果を実感できたことで、自分の健康に対する意識も高まり、日々の生活習慣にも気を配るようになりました。健康食品の力を実感した私は、これからも継続して摂取していきたいと思っています。
プロペシアを使っている有名人の事例
プロペシアは男性型脱毛症の治療薬として知られていますが、実は多くの有名人もこの薬を使用していると言われています。例えば、俳優のブラッド・ピットやレオナルド・ディカプリオ、歌手のジョン・メイヤーなどがプロペシアを使っていると噂されています。彼らは薄毛や脱毛症に悩んでいたとされており、プロペシアの効果に満足していると言われています。プロペシアは有名人だけでなく一般の方にも広く使用されており、脱毛症に悩む方にとっては頼りになる存在となっています。
プロペシアの効果に関するよくある質問
プロペシアは男性型脱毛症の治療に用いられる薬で、発毛を促進する効果があります。よくある質問として、副作用や効果の持続期間、適切な使用方法などがあります。医師の指示に従い正しく使用することで効果的な治療が期待できます。
効果が出ない場合の対処法
効果が出ない場合の対処法は、まず原因を特定することが重要です。原因は様々で、適切な方法で対処する必要があります。まずは、使用している製品や方法が適切かどうかを確認しましょう。間違った使い方や適切でない製品を使用している場合は、効果が出ない可能性が高いです。次に、肌質や体質に合っているかどうかも確認しましょう。肌質や体質に合わない製品を使用していると、効果が出にくいことがあります。また、使用期間や頻度も重要です。効果が出ない場合は、使用期間や頻度を見直してみると良いかもしれません。さらに、ストレスや睡眠不足、食生活など生活習慣も影響を与えることがあります。効果が出ない場合は、生活環境や習慣を見直すことも大切です。効果が出ない場合は、一度専門家に相談することもおすすめです。自己判断せずに、専門家の意見を聞くことで適切な対処法が見つかるかもしれません。
効果が出た後の維持方法
効果が出た後の維持方法は非常に重要です。例えば、ダイエットで体重を減らした場合、リバウンドを防ぐためには食生活や運動の習慣を継続することが必要です。定期的な運動やバランスの取れた食事を心がけることで、健康的な体重を維持することができます。 また、美容や健康に良いとされる習慣も同様です。例えば、肌の調子が良くなったと感じたら、スキンケアを怠らずに続けることが大切です。定期的な美容院やエステの利用も効果を維持するために役立ちます。 さらに、心の健康も忘れてはいけません。ストレスが原因で体調が悪化することもありますので、リラックスする時間を確保したり、趣味を楽しむことで心のバランスを保つことも大切です。 効果が出た後の維持方法は、継続することが難しいかもしれませんが、その努力が自分の健康や美しさを守るためには欠かせないものです。自分自身のために、習慣化していきましょう。
プロペシアと他の育毛剤の違い
プロペシアは、男性型脱毛症の治療薬として広く知られていますが、他の育毛剤とは異なる点があります。まず、プロペシアは内服薬であり、毎日一定量を服用する必要があります。一方、他の育毛剤は主に外用薬であり、頭皮に直接塗布することで効果を期待します。 また、プロペシアは特定の成分であるフィナステリドを含んでおり、薬局で処方箋が必要な医薬品です。一方、他の育毛剤は一般的に市販されているため、手軽に購入することができます。 さらに、プロペシアは男性型脱毛症に対する効果が科学的に証明されており、多くの臨床試験でその有効性が確認されています。一方、他の育毛剤は個人差が大きく、効果が出るまでに時間がかかる場合もあります。 つまり、プロペシアは医師の処方を受ける必要がある医薬品であり、科学的に効果が証明されている一方、他の育毛剤は市販されているものが多く、個人の体質によっては効果が異なることがあります。自分に合った育毛剤を選ぶ際には、これらの違いを考慮することが重要です。
プロペシアの効果に関する最新研究
プロペシアは男性型脱毛症の治療薬として知られており、最新の研究では、プロペシアが頭皮の毛包を刺激して毛髪の成長を促進することが示されています。また、長期間の使用により、薄毛の進行を遅らせる効果も確認されています。
最新の臨床試験結果
最新の臨床試験結果によると、特定の薬物治療が特定の疾患に対して効果的であることが示されています。この臨床試験では、治療群と対照群を比較して、治療群の患者が有意に改善されたことが確認されました。特に、副作用のリスクが低いという点も注目されています。 この結果は、今後の治療法の開発や臨床診療の向上に大きな影響を与える可能性があります。臨床試験は科学的な根拠に基づいた医療の進歩に欠かせないものであり、患者の治療法選択においても重要な情報源となります。 今後もさらなる研究や臨床試験が進められ、患者のQOL向上や治療効果の最大化に向けた取り組みが続けられることが期待されます。臨床試験の結果を適切に活用し、患者一人ひとりに最適な治療法を提供していくことが、医療の発展に不可欠です。
プロペシアの効果に関する専門家の見解
プロペシアは男性型脱毛症の治療薬として知られていますが、その効果については専門家の間でも意見が分かれています。一部の専門家は、プロペシアが有効であると主張しています。プロペシアは、男性ホルモンであるテストステロンがジヒドロテストステロンに変換される過程を抑制することで、脱毛を防ぐ効果があるとされています。 一方で、他の専門家はプロペシアの効果に疑問を持っています。一部の研究では、プロペシアの効果が限定的であるという結果が示されています。また、プロペシアには副作用やリスクもあるため、適切な使用が必要とされています。 したがって、プロペシアを使用する際には、専門家の指導のもとで適切な使用方法を確認することが重要です。自己判断での使用は避け、医師との相談を大切にすることが、安全かつ効果的な治療につながるでしょう。
プロペシアの効果について知っておくべきこと
プロペシアは男性型脱毛症の治療薬であり、毛髪再生を促進する効果がある。しかし、効果が現れるまでには時間がかかることや、副作用が起こる可能性があることを知っておく必要がある。医師の指示に従い、適切な使用方法で服用することが重要である。
効果の持続性
効果の持続性は、ビジネスや個人の成果において非常に重要な要素です。一時的な成功や効果ではなく、持続的な成果を得るためには、継続的な努力や計画が必要です。例えば、マーケティングキャンペーンや営業戦略が一時的に成功しても、その効果が持続しなければ次第に競争力を失ってしまいます。また、個人の成長やスキルアップにおいても同様で、一時的な努力ではなく、継続的な学習やトレーニングが必要です。 効果の持続性を高めるためには、目標設定や計画の立て方が重要です。具体的な目標を設定し、それに向かって段階的に行動することで、効果を持続させることができます。また、定期的な振り返りや評価を行い、必要に応じて修正や改善を行うことも大切です。 効果の持続性を高めるためには、継続的な努力やコミットメントが必要ですが、その結果得られる成果は大きいものです。持続的な成功を目指すためには、一時的な成功に満足するのではなく、常に成長と改善を意識し続けることが重要です。
効果が出ない場合の原因
効果が出ない場合の原因は様々ですが、まずは使用している製品や方法が適切かどうかを確認することが重要です。間違った使い方や適切な量を守らないことで、効果が得られないことがあります。また、体質や肌質によって合わない成分が含まれている場合もあります。また、製品の保存状態や賞味期限を守っていない場合も効果が出ない原因となります。さらに、ストレスや不規則な生活習慣、栄養不足なども肌や体の調子に影響を与え、効果が出ない原因となることがあります。効果が出ない場合は、一度使用方法や生活習慣を見直し、適切なケアを行うことが大切です。
プロペシアの効果に関する誤解と真実
プロペシアは男性型脱毛症の治療薬として広く知られていますが、その効果に関する誤解が存在します。一つの誤解は、即効性があるということです。実際には、プロペシアを服用しても効果が現れるまでには数ヶ月かかることが多いです。また、効果が出たとしても、服用を中止すると再び脱毛が進行することもあります。 一方、真実はプロペシアは脱毛を進行させるホルモンの働きを抑制することで、脱毛を抑える効果があるということです。定期的に服用することで、脱毛の進行を遅らせることができるとされています。ただし、効果には個人差がありますので、医師の指示に従い正しい使い方をすることが重要です。
プロペシアの効果を実感するためのポイント
プロペシアの効果を実感するためには、定期的な服用が重要です。また、適切な使用方法や医師の指示に従うことが大切です。効果を実感するまでには個人差がありますが、継続的な使用が育毛効果を高めるポイントとなります。副作用や効果の確認は医師と相談しながら行うことが重要です。
定期的な医師の診察の重要性
定期的な医師の診察は健康を維持するために非常に重要です。定期的な診察を受けることで、病気や症状を早期に発見し、適切な治療を受けることができます。また、定期的な健康チェックを通じて、生活習慣や食事、運動などの改善点を見つけることができます。これにより、病気の予防や健康増進につながります。定期的な医師の診察は、自分の健康管理において欠かせない重要なステップです。自分の健康を守るために、定期的な診察を受ける習慣を身につけましょう。
副作用に対する注意
医薬品を使用する際には、副作用に対する注意が必要です。副作用とは、薬物が身体に与える予期せぬ影響のことであり、人によっては重篤な症状を引き起こすこともあります。そのため、医師や薬剤師から指示された通りに正しく服用することが重要です。 副作用に対する注意としては、まずは医師や薬剤師に正直に症状や体調の変化を報告することが挙げられます。また、複数の医師から処方された薬を同時に服用する場合には、相互作用による副作用が起こる可能性もあるため、必ず医師に相談するようにしましょう。 さらに、薬の説明書や添付文書をよく読み、副作用の症状や対処法について理解しておくことも大切です。万が一、副作用が現れた場合には、すぐに医師や薬剤師に相談し、適切な処置を受けるようにしましょう。 医薬品を安全に使用するためにも、副作用に対する注意は欠かせません。自己判断せず、専門家の指示に従い、適切な服用を心がけましょう。
効果を最大限に引き出すための意識改革
効果を最大限に引き出すためには、まず自分自身の意識改革が必要です。例えば、目標を達成するためには、ポジティブな考え方や行動を心がけることが重要です。ネガティブな考えや感情に囚われず、前向きに物事を捉えることで、効果的な行動ができるようになります。 また、自己肯定感を高めることも大切です。自分自身を信じ、自分の能力や価値を認めることで、自信を持って目標に向かって進むことができます。他人の評価や意見に左右されず、自分の内側からくる自己肯定感を大切にすることが重要です。 さらに、効果を最大限に引き出すためには、常に学び続ける姿勢を持つことも重要です。新しい知識やスキルを身につけることで、自己成長を促し、目標達成に向けてより効果的な方法を見つけることができます。 意識改革を通じて、ポジティブな考え方や自己肯定感、学び続ける姿勢を身につけることで、効果を最大限に引き出すことができるでしょう。自分自身の内面からくる変化が、目標達成に向けた大きな力となることを信じて、意識改革に取り組んでみましょう。
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tamanine · 2 years
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2022.5.3
3991歩+自転車移動
すごく悲しい夢を見て起きる。悲しい夢だったな、と思い、夢の中だけで起きる生々しさを引きずる。昨日焼いた微妙な仕上がりのスコーンに板チョコを挟んであたため、コーヒーを淹れて新聞を読む。
昨日はとても美味しい唐揚げも揚げたが、焼いてみたスコーンはかなり微妙な感じで、焼き立てを食べれば美味しいと言えなくはないが、お店で出されることはありえない小麦粉の焼き菓子として仕上がった。小麦粉ってこんな味だったな、と思うような味。板チョコを食べることが久しぶりで、挟んでみたら想定よりもだいぶ甘く、製品として食べるチョコスコーンはチョコの量もちゃんと調整されているんだな…と噛みしめる。
憲法記念日。改憲と言っても、どこをどうしたいのよ、どういう意図なのよ、が抜けていては意味が何もなく、どこかを何のためにどうしたいのか、そもそも憲法は対住人でなく対政治権力に向かって効力を持っているわけで、人権とかをどうしたいのよ政府、本当の緊急事態が起きた時にガーゼマスクをもっと配りたいのか政府、収支報告をちゃんとしてよ政府、コロナに関連して会見の人数や質問数を制限したままなのは他のイベント制限と全然辻褄が合ってないじゃないですか政府。
2年前くらいに本当の緊急事態が発生した時、じゃあ本当はもっと何をしたかったのか?(何もできなかっただけだろうなということは分かってる、憲法が、なんて3歳児の言い訳みたいだ。3歳児ですらそれを言い訳であると認識しながら言っているが、嘘を言っているうちに嘘と本当の見分けができなくなりそうな人間が政治に手をつけている)
香港での反政府運動弾圧の恐ろしさ、息苦しさはずっと続いている。
TBSラジオに出て喋っていた彼女は、今どんな気持ちで暮らしているんだろう。ラジオクラウドアプリでは、2019年の彼女のインタビューをまだ聞くことができる。雨傘運動について日本で話すことができる彼女。私たちはその後の、弾圧された後の彼女の話を聞くことができない。Twitterアカウントは止まっていて、渡航もできず、彼女は自由な言葉を発信できない。聞きたいのに、ずっと聞きたいのに、私は彼女の話をまた聞きたいのに。音楽は彼女の耳に届いているだろうか、デバイスもネットも管理されているんだろうか?
感染症対策の名目で、社会運動やデモや言論を踏み潰すことは国や政権にとってあまりにも都合が良い。たかが首相会見・官房長官会見ですら人数制限を解かない。改憲の集会の方がずっと人数が多いだろうし、発声だってしていそうだ。この理由もやっぱりただの嘘なのだ。日本の自公政権に対しては心の底からの不信感だけがあり、不愉快極まりない。
嘘は恐ろしい。嘘に飲まれて、嘘で注目されることに慣れてしまっていて、制御がきかなくなっていて本当にやばいと思った人が数名いる。あれは悲しい。人間関係を積み上げていく、ということが全くできないのだ。一部分は優しい、一部分はチャーミングで、だけど人格が組み上がっていない。本人が自分の本心を理解できていない。長く話していると矛盾が出る。話し始めてすごく早い段階で、「私はこういう部分を気にしていない/私はこういう人を憎んでいる/私はこういう人になりたい/こういう人を信用できない」が15分間の吐露の間にぐっちゃぐちゃ、みたいな人の場合はすぐ気がつけるのでうわーと思って離れることが簡単で良い。嘘は恐ろしい。
東京オリンピックも嫌で嫌で仕方がなかったけど、しょぼしょぼのまま始まり、東京では人が死に、そして終わって、決算発表が無い。日本の歳出・予備費の詳細だって分からない。立派なことをしたなら堂々と発表して欲しい。コソコソと隠して誤魔化され、気持ちが悪い。
何年もこのような不愉快さが続き、私はジャーナリストでは無いので、もう無理だと思えば放り出して違うことをする。怒りを持ち続け、ジャーナリストとしての矜持を持ち続け、書き続けたりラジオ番組をずっと続けて優しさを保っているかたを心から尊敬している。酷いことが多すぎる。
今日は鎮痛剤を飲み血まみれになりながら、この臓器取り出せないのかしら、こんな迷惑な臓器のために年間数万円分の薬代と物品費がかかり、あと15年分くらいでいくらかかるんだこれ…メリットが無いのになんで温存してるのよ…としみじみと感じる、嫌すぎる、せめてもっと良い医療を受けられたら良いのに、世界には技術として存在しているのに、女性差別のせいで日本に無い、気持ちが悪すぎる、それだけで保守系政党の全てに対してフレッシュな自分ごととしての強い怒りが溢れる。
何もかも嫌だけれども、でも私が憎み・怒っている人間のせいで死ぬのは癪に触るので、あいつらが死ぬのを見届けなくてはいけない。誇り高く見届けてやる。
怒りと憎しみが、私の手元から、甘やかな「死んじゃおっかな〜」を奪っていった。未来の展望が真っ暗でも、あいつらのために死ぬのは癪に触る。
5月3日
午前10時頃起きて、コーヒーを淹れ、かなり微妙な仕上がりのスコーンを食べ、新聞を読み、『非戦』の全面広告を眺めた。本当の改憲論争になったら、もっともっと大きなお金で広告が出るんだろうなと思う。オリンピックすら止められなかった、小池百合子さんは国政どうするのかしら(都知事、落とせませんでした…)、岸田さんの喋りかたも随分気持ちが悪くなってきたなぁ。
でも参院選で、維新以外の野党はズタボロに負けるだろう。無惨な負け方をするだろう。こんなに贔屓目に見ていても立憲に投票する理由が消えていく。国民民主のコケにされかたもすごい、何故それがうまくいくと思ったのか…?だけど投票をしない決断はするわけにはいかず、自公にもいれない。
ご年配のとても著名な評論家のかたが、「選挙には行かない主義」と堂々と書いていたが、ノンポリのことは評価なんてできない。残念ながらもっと切羽詰まっている。ご高齢なので、逃げ切れていいなぁ、男性だしね、と思う。
美術館には2ヶ所行ったし、映画も明後日見るけれど天気も良いので何を理由に外に出るか迷う。
綺麗な服を着てメイクもして綺麗な街に出るか/ぼちぼちの服を着て近場のショッピングモール的な場所に行くか/自転車に乗って大きめの書店がある場所まで行って書い損ねていたルシア・ベルリンの本を買うか
で自転車に乗る。昨日は顔すら洗わなかったが今日は顔も洗い髪の毛もなんとかして日焼け止めを塗り眉毛を描く。
午後3時半になっており、途中ラーメンを食べる。心地よく過ごしていると、10時に起きてぼちぼち何かを食べ絶対にコーヒーを飲み、何かをして3〜4時にお腹がへる。お店が空いていて都合が良い。
ラーメン屋さんのカウンターにはスポーツ帰りらしい2人組がいたが、食券を出して待っている間に帰ってしまい、店内には賄いを食べる店員さんと私だけになる。カウンター越しの厨房には巨大な寸胴が並び、右の寸胴から左の寸胴へ、骨か何かをザルで濾しながらスープが移されていく。工場製ではない、料理としてのラーメン。千円ぐらいの食事でも、業務用のビニールの中からちまちまとお皿に移されて温められただけの定食らしき何か、から、美味しいものを出す気で作られたラーメンからパスタまで色々ある。全然違う行い。料理を作る気がある場所で、美味しかった場合は、「おいしかったです、ごちそうさまです」と言う。1万円を越えていてとても美味しいものを出していただいた場合はあの料理のあれが美味しかったです、と数十文字増やす。
書店で、ルシア・ベルリンを見つけ、並んでいた「暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて」アーシュラ・K・ル=グウィン著/谷垣暁美 訳 もあわせて買う。私は本が大好きだけれども、分厚い訳書2冊で5000円を越える。高い。本って高い。千円で収まる文字の少ない本の方が売れるのもよく分かる。
父からの誕生日プレゼントに、いつも図書カードを貰う。アマゾンギフトにしようか?と聞かれたのだけど、書店で本を買いたいので図書カードにしてもらっている。書店で本を買いたい。
大学生の頃は、新宿ルミネにあった青山ブックセンターに週4で行っていた。青山ブックセンターが一度倒産したときに本が運び出されるのを見に行ってしまい、リアルに泣いた。
本を読むことにしがみつきたい。本と映画は、ずっと変わらないまま、10年も20年もそこにいてくれる。私という人間が変わってしまっても、本は変わらずにそこにいてくれる。
私という人間は何かの寄せ集めでしかなく、DNAに刻まれた本は、私のDNAが破損しても修復してくれるんじゃないかと思う。肉体よりもずっと確かだ。
「暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて」アーシュラ・K・ル=グウィン著/谷垣暁美 訳 はとても面白い。
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kurihara-yumeko · 4 years
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【小説】The day I say good-bye (1/4) 【再録】
 今日は朝から雨だった。
 確か去年も雨だったよな、と僕は窓ガラスに反射している自分の顔を見つめて思った。僕を乗せたバスは、小雨の降る日曜の午後を北へ向かって走る。乗客は少ない。
 予定より五分遅れて、予定通りバス停「船頭町三丁目」で降りた。灰色に濁った水が流れる大きな樫岸川を横切る橋を渡り、広げた傘に雨音が当たる雑音を聞きながら、柳の並木道を歩く。
 小さな古本屋の角を右へ、古い木造家屋の住宅ばかりが建ち並ぶ細い路地を抜けたら左へ。途中、不機嫌そうな面構えの三毛猫が行く手を横切った。長い長い緩やかな坂を上り、苔生した石段を踏み締めて、赤い郵便ポストがあるところを左へ。突然広くなった道を行き、椿だか山茶花だかの生け垣のある家の角をまた左へ。
 そうすると、大きなお寺の屋根が見えてくる。囲われた塀の中、門の向こうには、静かな墓地が広がっている。
 そこの一角に、あーちゃんは眠っている。
 砂利道を歩きながら、結構な数の墓の中から、あーちゃんの墓へ辿り着く。もう既に誰かが来たのだろう。墓には真っ白な百合と、あーちゃんの好物であった焼きそばパンが供えてあった。あーちゃんのご両親だろうか。
 手ぶらで来てしまった僕は、ただ墓石を見上げる。周りの墓石に比べてまだ新しいその石は、手入れが行き届いていることもあって、朝から雨の今日であっても穏やかに光を反射している。
 そっと墓石に触れてみた。無機質な冷たさと硬さだけが僕の指先に応えてくれる。
 あーちゃんは墓石になった。僕にはそんな感覚がある。
 あーちゃんは死んだ。死んで、燃やされて、灰になり、この石の下に閉じ込められている。埋められているのは、ただの灰だ。あーちゃんの灰。
 ああ。あーちゃんは、どこに行ってしまったんだろう。
 目を閉じた。指先は墓石に触れたまま。このままじっとしていたら、僕まで石になれそうだ。深く息をした。深く、深く。息を吐く時、わずかに震えた。まだ石じゃない。まだ僕は、石になれない。
 ここに来ると、僕はいつも泣きたくなる。
 ここに来ると、僕はいつも死にたくなる。
 一体どれくらい、そうしていたのだろう。やがて後ろから、砂利を踏んで歩いてくる音が聞こえてきたので、僕は目を開き、手を引っ込めて振り向いた。
「よぉ、少年」
 その人は僕の顔を見て、にっこり笑っていた。
 総白髪かと疑うような灰色の頭髪。自己主張の激しい目元。頭の上の帽子から足元の厚底ブーツまで塗り潰したように真っ黒な恰好の人。
「やっほー」
 蝙蝠傘を差す左手と、僕に向けてひらひらと振るその右手の手袋さえも黒く、ちらりと見えた中指の指輪の石の色さえも黒い。
「……どうも」
 僕はそんな彼女に対し、顔の筋肉が引きつっているのを無理矢理に動かして、なんとか笑顔で応えて見せたりする。
 彼女はすぐ側までやってきて、馴れ馴れしくも僕の頭を二、三度柔らかく叩く。
「こんなところで奇遇だねぇ。少年も墓参りに来たのかい」
「先生も、墓参りですか」
「せんせーって呼ぶなしぃ。あたしゃ、あんたにせんせー呼ばわりされるようなもんじゃございませんって」
 彼女――日褄小雨先生はそう言って、だけど笑った。それから日褄先生は僕が先程までそうしていたのと同じように、あーちゃんの墓石を見上げた。彼女も手ぶらだった。
「直正が死んで、一年か」
 先生は上着のポケットから煙草の箱とライターを取り出す。黒いその箱から取り出された煙草も、同じように黒い。
「あたしゃ、ここに来ると後悔ばかりするね」
 ライターのかちっという音、吐き出される白い煙、どこか甘ったるい、ココナッツに似たにおいが漂う。
「あいつは、厄介なガキだったよ。つらいなら、『つらい』って言えばいい、それだけのことなんだ。あいつだって、つらいなら『つらい』って言ったんだろうさ。だけどあいつは、可哀想なことに、最後の最後まで自分がつらいってことに気付かなかったんだな」
 煙草の煙を揺らしながら、そう言う先生の表情には、苦痛と後悔が入り混じった色が見える。口に煙草を咥えたまま、墓前で手を合わせ、彼女はただ目を閉じていた。瞼にしつこいほど塗られた濃い黒い化粧に、雨の滴が垂れる。
 先生はしばらくして瞼を開き、煙草を一度口元から離すと、ヤニ臭いような甘ったるいような煙を吐き出して、それから僕を見て、優しく笑いかけた。それから先生は背を向け、歩き出してしまう。僕は黙ってそれを追った。
 何も言わなくてもわかっていた。ここに立っていたって、悲しみとも虚しさとも呼ぶことのできない、吐き気がするような、叫び出したくなるような、暴れ出したくなるような、そんな感情が繰り返し繰り返し、波のようにやってきては僕の心の中を掻き回していくだけだ。先生は僕に、帰ろう、と言ったのだ。唇の端で、瞳の奥で。
 先生の、まるで影法師が歩いているかのような黒い後ろ姿を見つめて、僕はかつてたった一度だけ見た、あーちゃんの黒いランドセルを思い出す。
 彼がこっちに引っ越してきてからの三年間、一度も使われることのなかった傷だらけのランドセル。物置きの中で埃を被っていたそれには、あーちゃんの苦しみがどれだけ詰まっていたのだろう。
 道の途中で振り返る。先程までと同じように、墓石はただそこにあった。墓前でかけるべき言葉も、抱くべき感情も、するべき行為も、何ひとつ僕は持ち合わせていない。
 あーちゃんはもう死んだ。
 わかりきっていたことだ。死んでから何かしてあげても無駄だ。生きているうちにしてあげないと、意味がない。だから、僕がこうしてここに立っている意味も、僕は見出すことができない。僕がここで、こうして呼吸をしていて、もうとっくに死んでしまったあーちゃんのお墓の前で、墓石を見つめている、その意味すら。
 もう一度、あーちゃんの墓に背中を向けて、僕は今度こそ歩き始めた。
「最近調子はどう?」
 墓地を出て、長い長い坂を下りながら、先生は僕にそう尋ねた。
「一ヶ月間、全くカウンセリング来なかったけど、何か変化があったりした?」
 黙っていると先生はさらにそう訊いてきたので、僕は仕方なく口を開く。
「別に、何も」
「ちゃんと飯食ってる? また少し痩せたんじゃない?」
「食べてますよ」
「飯食わないから、いつまでも身長伸びないんだよ」
 先生は僕の頭を、目覚まし時計を止める時のような動作で乱雑に叩く。
「ちょ……やめて下さいよ」
「あーっはっはっはっはー」
 嫌がって身をよじろうとするが、先生はそれでもなお、僕に攻撃してくる。
「ちゃんと食わないと。摂食障害になるとつらいよ」
「食べますよ、ちゃんと……」
「あと、ちゃんと寝た方がいい。夜九時に寝ろ。身長伸びねぇぞ」
「九時に寝られる訳ないでしょう、小学生じゃあるまいし……」
「勉強なんかしてるから、身長伸びねぇんだよ」
「そんな訳ないでしょう」
 あはは、と朗らかに彼女は笑う。そして最後に優しく、僕の頭を撫でた。
「負けるな、少年」
 負けるなと言われても、一体何に――そう問いかけようとして、僕は口をつぐむ。僕が何と戦っているのか、先生はわかっているのだ。
「最近、市野谷はどうしてる?」
 先生は何気ない声で、表情で、タイミングで、あっさりとその名前を口にした。
「さぁ……。最近会ってないし、電話もないし、わからないですね」
「ふうん。あ、そう」
 先生はそれ以上、追及してくることはなかった。ただ独り言のように、「やっぱり、まだ駄目か」と言っただけだった。
 郵便ポストのところまで歩いてきた時、先生は、「あたしはあっちだから」と僕の帰り道とは違う方向を指差した。
「駐車場で、葵が待ってるからさ」
「ああ、葵さん。一緒だったんですか」
「そ。少年は、バス���来たんだろ? 家まで車で送ろうか?」
 運転するのは葵だけど、と彼女は付け足して言ったが、僕は首を横に振った。
「ひとりで帰りたいんです」
「あっそ。気を付けて帰れよ」
 先生はそう言って、出会った時と同じように、ひらひらと手を振って別れた。
 路地を右に曲がった時、僕は片手をパーカーのポケットに入れて初めて、とっくに音楽が止まったままになっているイヤホンを、両耳に突っ込んだままだということに気が付いた。
 僕が小学校を卒業した、一年前の今日。
 あーちゃんは人生を中退した。
 自殺したのだ。十四歳だった。
 遺書の最後にはこう書かれていた。
「僕は透明人間なんです」
    あーちゃんは僕と同じ団地に住んでいて、僕より二つお兄さんだった。
 僕が小学一年生の夏に、あーちゃんは家族四人で引っ越してきた。冬は雪に閉ざされる、北の方からやって来たのだという話を聞いたことがあった。
 僕はあーちゃんの、団地で唯一の友達だった。学年の違う彼と、どんなきっかけで親しくなったのか正確には覚えていない。
 あーちゃんは物静かな人だった。小学生の時から、年齢と不釣り合いなほど彼は大人びていた。
 彼は人付き合いがあまり得意ではなく、友達がいなかった。口数は少なく、話す時もぼそぼそとした、抑揚のない平坦な喋り方で、どこか他人と距離を取りたがっていた。
 部屋にこもりがちだった彼の肌は雪みたいに白くて、青い静脈が皮膚にうっすら透けて見えた。髪が少し長くて、色も薄かった。彼の父方の祖母が外国人だったと知ったのは、ずっと後のことだ。銀縁の眼鏡をかけていて、何か困ったことがあるとそれをかけ直す癖があった。
 あーちゃんは器用だった。今まで何度も彼の部屋へ遊びに行ったことがあるけれど、そこには彼が組み立てたプラモデルがいくつも置かれていた。
 僕が加減を知らないままにそれを乱暴に扱い、壊してしまったこともあった。とんでもないことをしてしまったと、僕はひどく後悔してうつむいていた。ごめんなさい、と謝った。年上の友人の大切な物を壊してしまって、どうしたらよいのかわからなかった。鼻の奥がつんとした。泣きたいのは壊されたあーちゃんの方だっただろうに、僕は泣き出しそうだった。
 あーちゃんは、何も言わなかった。彼は立ち尽くす僕の前でしゃがみ込んだかと思うと、足下に散らばったいびつに欠けたパーツを拾い、引き出しの中からピンセットやら接着剤やらを取り出して、僕が壊した部分をあっという間に直してしまった。
 それらの作業がすっかり終わってから彼は僕を呼んで、「ほら見てごらん」と言った。
 恐る恐る近付くと、彼は直ったばかりの戦車のキャタピラ部分を指差して、
「ほら、もう大丈夫だよ。ちゃんと元通りになった。心配しなくてもいい。でもあと1時間は触っては駄目だ。まだ接着剤が乾かないからね」
 と静かに言った。あーちゃんは僕を叱ったりしなかった。
 僕は最後まで、あーちゃんが大声を出すところを一度も見なかった。彼が泣いている姿も、声を出して笑っているのも。
 一度だけ、あーちゃんの満面の笑みを見たことがある。
 夏のある日、僕とあーちゃんは団地の屋上に忍び込んだ。
 僕らは子供向けの雑誌に載っていた、よく飛ぶ紙飛行機の作り方を見て、それぞれ違うモデルの紙飛行機を作り、どちらがより遠くへ飛ぶのかを競走していた。
 屋上から飛ばしてみよう、と提案したのは僕だった。普段から悪戯などしない大人しいあーちゃんが、その提案に首を縦に振ったのは今思い返せば珍しいことだった。そんなことはそれ以前も以降も二度となかった。
 よく晴れた日だった。屋上から僕が飛ばした紙飛行機は、青い空を横切って、団地の駐車場の上を飛び、道路を挟んだ向かいの棟の四階、空き部屋のベランダへ不時着した。それは今まで飛ばしたどんな紙飛行機にも負けない、驚くべき距離だった。僕はすっかり嬉しくなって、得意げに叫んだ。
「僕が一番だ!」
 興奮した僕を見て、あーちゃんは肩をすくめるような動作をした。そして言った。
「まだわからないよ」
 あーちゃんの細い指が、紙飛行機を宙に放つ。丁寧に折られた白い紙飛行機は、ちょうどその時吹いてきた風に背中を押されるように屋上のフェンスを飛び越え、僕の紙飛行機と同じように駐車場の上を通り、向かいの棟の屋根を越え、それでもまだまだ飛び続け、青い空の中、最後は粒のようになって、ついには見えなくなってしまった。
 僕は自分の紙飛行機が負けた悔しさと、魔法のような素晴らしい出来事を目にした嬉しさとが半分ずつ混じった目であーちゃんを見た。その時、僕は見たのだ。
 あーちゃんは声を立てることはなかったが、満足そうな笑顔だった。
「僕は透明人間なんです」
 それがあーちゃんの残した最後の言葉だ。
 あーちゃんは、僕のことを怒ればよかったのだ。地団太を踏んで泣いてもよかったのだ。大声で笑ってもよかったのだ。彼との思い出を振り返ると、いつもそんなことばかり思う。彼はもう永遠に泣いたり笑ったりすることはない。彼は死んだのだから。
 ねぇ、あーちゃん。今のきみに、僕はどんな風に見えているんだろう。
 僕の横で静かに笑っていたきみは、決して透明なんかじゃなかったのに。
 またいつものように春が来て、僕は中学二年生になった。
 張り出されていたクラス替えの表を見て、そこに馴染みのある名前を二つ見つけた。今年は、二人とも僕と同じクラスのようだ。
 教室へ向かってみたけれど、始業の時間になっても、その二つの名前が用意された席には、誰も座ることはなかった。
「やっぱり、まだ駄目か」
 誰かと同じ言葉を口にしてみる。
 本当は少しだけ、期待していた。何かが良くなったんじゃないかと。
 だけど教室の中は新しいクラスメイトたちの喧騒でいっぱいで、新年度一発目、始業式の今日、二つの席が空白になっていることに誰も触れやしない。何も変わってなんかない。
 何も変わらないまま、僕は中学二年生になった。
 あーちゃんが死んだ時の学年と同じ、中学二年生になった。
 あの日、あーちゃんの背中を押したのであろう風を、僕はずっと探してる。
 青い空の果てに、小さく消えて行ってしまったあーちゃんを、僕と「ひーちゃん」に返してほしくて。
    鉛筆を紙の上に走らせる音が、止むことなく続いていた。
「何を描いてるの?」
「絵」
「なんの絵?」
「なんでもいいでしょ」
「今年は、同じクラスみたいだね」
「そう」
「その、よろしく」
 表情を覆い隠すほど長い前髪の下、三白眼が一瞬僕を見た。
「よろしくって、何を?」
「クラスメイトとして、いろいろ……」
「意味ない。クラスなんて、関係ない」
 抑揚のない声でそう言って、双眸は再び紙の上へと向けられてしまった。
「あ、そう……」
 昼休みの保健室。
 そこにいるのは二人の人間。
 ひとりはカーテンの開かれたベッドに腰掛け、胸にはスケッチブック、右手には鉛筆を握り締めている。
 もうひとりはベッドの脇のパイプ椅子に座り、特にすることもなく片膝を抱えている。こっちが僕だ。
 この部屋の主であるはずの鬼怒田先生は、何か用があると言って席を外している。一体なんの仕事があるのかは知らないが、この学校の養護教諭はいつも忙しそうだ。
 僕はすることもないので、ベッドに座っているそいつを少しばかり観察する。忙しそうに鉛筆を動かしている様子を見ると、今はこちらに注意を払ってはいなそうだから、好都合だ。
 伸びてきて邪魔になったから切った、と言わんばかりのショートカットの髪。正反対に長く伸ばされた前髪は、栄養状態の悪そうな青白い顔を半分近く隠している。中学二年生としては小柄で華奢な体躯。制服のスカートから伸びる足の細さが痛々しく見える。
 彼女の名前は、河野ミナモ。僕と同じクラス、出席番号は七番。
 一言で表現するならば、彼女は保健室登校児だ。
 鉛筆の音が、止んだ。
「なに?」
 ミナモの瞬きに合わせて、彼女の前髪が微かに動く。少しばかり長く見つめ続けてしまったみたいだ。「いや、なんでもない」と言って、僕は天井を仰ぐ。
 ミナモは少しの間、何も言わずに僕の方を見ていたようだが、また鉛筆を動かす作業を再開した。
 鉛筆を走らせる音だけが聞こえる保健室。廊下の向こうからは、楽しそうに駆ける生徒たちの声が聞こえてくるが、それもどこか遠くの世界の出来事のようだ。この空間は、世界から切り離されている。
「何をしに来たの」
「何をって?」
「用が済んだなら、帰れば」
 新年度が始まったばかりだからだろうか、ミナモは機嫌が悪いみたいだ。否、機嫌が悪いのではなく、具合が悪いのかもしれない。今日の彼女はいつもより顔色が悪いように見える。
「いない方がいいなら、出て行くよ」
「ここにいてほしい人なんて、いない」
 平坦な声。他人を拒絶する声。憎しみも悲しみも全て隠された無機質な声。
「出て行きたいなら、出て行けば?」
 そう言うミナモの目が、何かを試すように僕を一瞥した。僕はまだ、椅子から立ち上がらない。彼女は「あっそ」とつぶやくように言った。
「市野谷さんは、来たの?」
 ミナモの三白眼がまだ僕を見ている。
「市野谷さんも同じクラスなんでしょ」
「なんだ、河野も知ってたのか」
「質問に答えて」
「……来てないよ」
「そう」
 ミナモの前髪が揺れる。瞬きが一回。
「不登校児二人を同じクラスにするなんて、学校側の考えてることってわからない」
 彼女の言葉通り、僕のクラスには二人の不登校児がいる。
 ひとりはこの河野ミナモ。
 そしてもうひとりは、市野谷比比子。僕は彼女のことを昔から、「ひーちゃん」と呼んでいた。
 二人とも、中学に入学してきてから一度も教室へ登校してきていない。二人の机と椅子は、一度も本人に使われることなく、今日も僕の教室にある。
 といっても、保健室登校児であるミナモはまだましな方で、彼女は一年生の頃から保健室には登校してきている。その点ひーちゃんは、中学校の門をくぐったこともなければ、制服に袖を通したことさえない。
 そんな二人が今年から僕と同じクラスに所属になったことには、正直驚いた。二人とも僕と接点があるから、なおさらだ。
「――くんも、」
 ミナモが僕の名を呼んだような気がしたが、上手く聞き取れなかった。
「大��ね、不登校児二人の面倒を見させられて」
「そんな自嘲的にならなくても……」
「だって、本当のことでしょ」
 スケッチブックを抱えるミナモの左腕、ぶかぶかのセーラー服の袖口から、包帯の巻かれた手首が見える。僕は自分の左手首を見やる。腕時計をしているその下に、隠した傷のことを思う。
「市野谷さんはともかく、教室へ行く気なんかない私の面倒まで、見なくてもいいのに」
「面倒なんて、見てるつもりないけど」
「私を訪ねに保健室に来るの、――くんくらいだよ」
 僕の名前が耳障りに響く。ミナモが僕の顔を見た。僕は妙な表情をしていないだろうか。平然を装っているつもりなのだけれど。
「まだ、気にしているの?」
「気にしてるって、何を?」
「あの日のこと」
 あの日。
 あの春の日。雨の降る屋上で、僕とミナモは初めて出会った。
「死にたがり屋と死に損ない」
 日褄先生は僕たちのことをそう呼んだ。どっちがどっちのことを指すのかは、未だに訊けていないままだ。
「……気にしてないよ」
「そう」
 あっさりとした声だった。ミナモは壁の時計をちらりと見上げ、「昼休み終わるよ、帰れば」と言った。
 今度は、僕も立ち上がった。「それじゃあ」と口にしたけれど、ミナモは既に僕への興味を失ったのか、スケッチブックに目線を落とし、返事のひとつもしなかった。
 休みなく動き続ける鉛筆。
 立ち上がった時にちらりと見えたスケッチブックは、ただただ黒く塗り潰されているだけで、何も描かれてなどいなかった。
    ふと気付くと、僕は自分自身が誰なのかわからなくなっている。
 自分が何者なのか、わからない。
 目の前で展開されていく風景が虚構なのか、それとも現実なのか、そんなことさえわからなくなる。
 だがそれはほんの一瞬のことで、本当はわかっている。
 けれど感じるのだ。自分の身体が透けていくような感覚を。「自分」という存在だけが、ぽっかりと穴を空けて突っ立っているような。常に自分だけが透明な膜で覆われて、周囲から隔離されているかのような疎外感と、なんの手応えも得られない虚無感と。
 あーちゃんがいなくなってから、僕は頻繁にこの感覚に襲われるようになった。
 最初は、授業が終わった後の短い休み時間。次は登校中と下校中。その次は授業中にも、というように、僕が僕をわからなくなる感覚は、学校にいる間じゅうずっと続くようになった。しまいには、家にいても、外にいても、どこにいてもずっとそうだ。
 周りに人がいればいるほど、その感覚は強かった。たくさんの人の中、埋もれて、紛れて、見失う。自分がさっきまで立っていた場所は、今はもう他の人が踏み荒らしていて。僕の居場所はそれぐらい危ういところにあって。人混みの中ぼうっとしていると、僕なんて消えてしまいそうで。
 頭の奥がいつも痛かった。手足は冷え切ったみたいに血の気がなくて。酸素が薄い訳でもないのにちゃんと息ができなくて。周りの人の声がやたら大きく聞こえてきて。耳の中で何度もこだまする、誰かの声。ああ、どうして。こんなにも人が溢れているのに、ここにあーちゃんはいないんだろう。
 僕はどうして、ここにいるんだろう。
「よぉ、少年」
 旧校舎、屋上へ続く扉を開けると、そこには先客がいた。
 ペンキがところどころ剥げた緑色のフェンスにもたれるようにして、床に足を投げ出しているのは日褄先生だった。今日も真っ黒な恰好で、ココナッツのにおいがする不思議な煙草を咥えている。
「田島先生が、先生のことを昼休みに探してましたよ」
「へへっ。そりゃ参ったね」
 煙をゆらゆらと立ち昇らせて、先生は笑う。それからいつものように、「せんせーって呼ぶなよ」と付け加えた。彼女はさらに続けて言う。
「それで? 少年は何をし、こんなところに来たのかな?」
「ちょっと外の空気を吸いに」
「おお、奇遇だねぇ。あたしも外の空気を吸いに……」
「吸いにきたのはニコチンでしょう」
 僕がそう言うと、先生は、「あっはっはっはー」と高らかに笑った。よく笑う人だ。
「残念だが少年、もう午後の授業は始まっている時間だし、ここは立ち入り禁止だよ」
「お言葉ですが先生、学校の敷地内は禁煙ですよ」
「しょうがない、今からカウンセリングするってことにしておいてあげるから、あたしの喫煙を見逃しておくれ。その代わり、あたしもきみの授業放棄を許してあげよう」
 先生は右手でぽんぽんと、自分の隣、雨上がりでまだ湿気っているであろう床を叩いた。座れと言っているようだ。僕はそれに従わなかった。
 先客がいたことは予想外だったが、僕は本当に、ただ、外の空気を吸いたくなってここに来ただけだ。授業を途中で抜けてきたこともあって、長居をするつもりはない。
 ふと、視界の隅に「それ」が目に入った。
 フェンスの一角に穴が空いている。ビニールテープでぐるぐる巻きになっているそこは、テープさえなければ屋上の崖っぷちに立つことを許している。そう。一年前、あそこから、あーちゃんは――。
(ねぇ、どうしてあーちゃんは、そらをとんだの?)
 僕の脳裏を、いつかのひーちゃんの言葉がよぎる。
(あーちゃん、かえってくるよね? また、あえるよね?)
 ひーちゃんの言葉がいくつもいくつも、風に飛ばされていく桜の花びらと同じように、僕の目の前を通り過ぎていく。
「こんなところで、何をしていたんですか」
 そう質問したのは僕の方だった。「んー?」と先生は煙草の煙を吐きながら言う。
「言っただろ、外の空気を吸いに来たんだよ」
「あーちゃんが死んだ、この場所の空気を、ですか」
 先生の目が、僕を見た。その鋭さに、一瞬ひるみそうになる。彼女は強い。彼女の意思は、強い。
「同じ景色を見たいと思っただけだよ」
 先生はそう言って、また煙草をふかす。
「先生、」
「せんせーって呼ぶな」
「質問があるんですけど」
「なにかね」
「嘘って、何回つけばホントになるんですか」
「……んー?」
 淡い桜色の小さな断片が、いくつもいくつも風に流されていく。僕は黙って、それを見ている。手を伸ばすこともしないで。
「嘘は何回ついたって、嘘だろ」
「ですよね」
「嘘つきは怪人二十面相の始まりだ」
「言っている意味がわかりません」
「少年、」
「はい」
「市野谷に嘘つくの、しんどいのか?」
 先生の煙草の煙も、みるみるうちに風に流されていく。手を伸ばしたところで、掴むことなどできないまま。
「市野谷に、直正は死んでないって、嘘をつき続けるの、しんどいか?」
 ひーちゃんは知らない。あーちゃんが去年ここから死んだことを知らない。いや、知らない訳じゃない。認めていないのだ。あーちゃんの死を認めていない。彼がこの世界に僕らを置き去りにしたことを、許していない。
 ひーちゃんはずっと信じている。あーちゃんは生きていると。いつか帰ってくると。今は遠くにいるけれど、きっとまた会える日が来ると。
 だからひーちゃんは知らない。彼の墓石の冷たさも、彼が飛び降りたこの屋上の景色が、僕の目にどう映っているのかも。
 屋上。フェンス。穴。空。桜。あーちゃん。自殺。墓石。遺書。透明人間。無。なんにもない。ない。空っぽ。いない。いないいないいないいない。ここにもいない。どこにもいない。探したっていない。消えた。消えちゃった。消滅。消失。消去。消しゴム。弾んで。飛んで。落ちて。転がって。その先に拾ってくれるきみがいて。笑顔。笑って。笑ってくれて。だけどそれも消えて。全部消えて。消えて消えて消えて。ただ昨日を越えて今日が過ぎ明日が来る。それを繰り返して。きみがいない世界で。ただ繰り返して。ひーちゃん。ひーちゃんが笑わなくなって。泣いてばかりで。だけどもうきみがいない。だから僕が。僕がひーちゃんを慰めて。嘘を。嘘をついて。ついてはいけない嘘を。ついてはいけない嘘ばかりを。それでもひーちゃんはまた笑うようになって。笑顔がたくさん戻って。だけどどうしてあんなにも、ひーちゃんの笑顔は空っぽなんだろう。
「しんどくなんか、ないですよ」
 僕はそう答えた。
 先生は何も言わなかった。
 僕は明日にでも、怪人二十面相になっているかもしれなかった。
    いつの間にか梅雨が終わり、実力テストも期末テストもクリアして、夏休みまであと一週間を切っていた。
 ひと夏の解放までカウントダウンをしている今、僕のクラスの連中は完璧な気だるさに支配されていた。自主性や積極性などという言葉とは無縁の、慣性で流されているような脱力感。
 先週に教室の天井四ヶ所に取り付けられている扇風機が全て故障したこともあいまって、クラスメイトたちの授業に対する意欲はほぼゼロだ。授業がひとつ終わる度に、皆溶け出すように机に上半身を投げ出しており、次の授業が始まったところで、その姿勢から僅かに起き上がる程度の差しかない。
 そういう僕も、怠惰な中学二年生のひとりに過ぎない。さっきの英語の授業でノートに書き記したことと言えば、英語教師の松田が何回額の汗を脱ぐったのかを表す「正」の字だけだ。
 休み時間に突入し、がやがやと騒がしい教室で、ひとりだけ仲間外れのように沈黙を守っていると、肘辺りから空気中に溶け出して、透明になっていくようなそんな気分になる。保健室には来るものの、自分の教室へは絶対に足を運ばないミナモの気持ちがわかるような気がする。
 一学期がもうすぐ終わるこの時期になっても、相変わらず僕のクラスには常に二つの空席があった。ミナモも、ひーちゃんも、一度だって教室に登校してきていない。
「――くん、」
 なんだか控えめに名前を呼ばれた気はしたが、クラスの喧騒に紛れて聞き取れなかった。
 ふと机から顔を上げると、ひとりの女子が僕の机の脇に立っていた。見たことがあるような顔。もしかして、クラスメイトのひとりだろうか。彼女は廊下を指差して、「先生、呼んでる」とだけ言って立ち去った。
 あまりにも唐突な出来事でその女子にお礼を言うのも忘れたが、廊下には担任の姿が見える。僕のクラス担任の担当科目は数学だが、次の授業は国語だ。なんの用かはわからないが、呼んでいるのなら行かなくてはならない。
「おー、悪いな、呼び出して」
 去年大学を卒業したばかりの、どう見ても体育会系な容姿をしている担任は、僕を見てそう言った。
「ほい、これ」
 突然差し出されたのはプリントの束だった。三十枚くらいありそうなプリントが穴を空けられ紐を通して結んである。
「悪いがこれを、市野谷さんに届けてくれないか」
 担任がひーちゃんの名を口にしたのを聞いたのは、久しぶりのような気がした。もう朝の出欠確認の時でさえ、彼女の名前は呼ばれない。ミナモの名前だってそうだ。このクラスでは、ひーちゃんも、ミナモも、いないことが自然なのだ。
「……先生が、届けなくていいんですか」
「そうしたいのは山々なんだが、なかなか時間が取れなくてな。夏休みに入ったら家庭訪問に行こうとは思ってるんだ。このプリントは、それまでにやっておいてほしい宿題。中学に入ってから二年の一学期までに習う数学の問題を簡単にまとめたものなんだ」
「わかりました、届けます」
 受け取ったプリントの束は、思っていたよりもずっとずっしりと重かった。
「すまんな。市野谷さんと小学生の頃一番仲が良かったのは、きみだと聞いたものだから」
「いえ……」
 一年生の時から、ひーちゃんにプリントを届けてほしいと教師に頼まれることはよくあった。去年は彼女と僕は違うクラスだったけれど、同じ小学校出身の誰かに僕らが幼馴染みであると聞いたのだろう。
 僕は学校に来なくなったひーちゃんのことを毛嫌いしている訳ではない。だから、何か届け物を頼まれてもそんなに嫌な気持ちにはならない。でも、と僕は思った。
 でも僕は、ひーちゃんと一番仲が良かった訳じゃないんだ。
「じゃあ、よろしく頼むな」
 次の授業の始業のチャイムが鳴り響く。
 教室に戻り、出したままだった英語の教科書と「正」の字だけ記したノートと一緒に、ひー��ゃんへのプリントの束を鞄に仕舞いながら、なんだか僕は泣きたくなった。
  三角形が壊れるのは簡単だった。
 三角形というのは、三辺と三つの角でできていて、当然のことだけれど一辺とひとつの角が消失したら、それはもう三角形ではない。
 まだ小学校に上がったばかりの頃、僕はどうして「さんかっけい」や「しかっけい」があるのに「にかっけい」がないのか、と考えていたけれど、どうやら僕の脳味噌は、その頃から数学的思考というものが不得手だったようだ。
「にかっけい」なんてあるはずがない。
 僕と、あーちゃんと、ひーちゃん。
 僕ら三人は、三角形だった。バランスの取りやすい形。
 始まりは悲劇だった。
 あの悪夢のような交通事故。ひーちゃんの弟の死。
 真っ白なワンピースが汚れることにも気付かないまま、真っ赤になった弟の身体を抱いて泣き叫ぶひーちゃんに手を伸ばしたのは、僕と一緒に下校する途中のあーちゃんだった。
 お互いの家が近かったこともあって、それから僕らは一緒にいるようになった。
 溺愛していた最愛の弟を、目の前で信号無視したダンプカーに撥ねられて亡くしたひーちゃんは、三人で一緒にいてもときどき何かを思い出したかのように暴れては泣いていたけれど、あーちゃんはいつもそれをなだめ、泣き止むまでずっと待っていた。
 口下手な彼は、ひーちゃんに上手く言葉をかけることがいつもできずにいたけれど、僕が彼の言葉を補って彼女に伝えてあげていた。
 優しくて思いやりのあるひーちゃんは、感情を表すことが苦手なあーちゃんのことをよく気遣ってくれていた。
 僕らは嘘みたいにバランスの取れた三角形だった。
 あーちゃんが、この世界からいなくなるまでは。
   「夏は嫌い」
 昔、あーちゃんはそんなことを口にしていたような気がする。
「どうして?」
 僕はそう訊いた。
 夏休み、花火、虫捕り、お祭り、向日葵、朝顔、風鈴、西瓜、プール、海。
 水の中の金魚の世界と、バニラアイスの木べらの湿り気。
 その頃の僕は今よりもずっと幼くて、四季の中で夏が一番好きだった。
 あーちゃんは部屋の窓を網戸にしていて、小さな扇風機を回していた。
 彼は夏休みも相変わらず外に出ないで、部屋の中で静かに過ごしていた。彼の傍らにはいつも、星座の本と分厚い昆虫図鑑が置いてあった。
「夏、暑いから嫌いなの?」
 僕が尋ねるとあーちゃんは抱えていた分厚い本からちょっとだけ顔を上げて、小さく首を横に振った。それから困ったように笑って、
「夏は、皆死んでいるから」
 とだけ、つぶやくように言った。あーちゃんは、時々魔法の呪文のような、不思議なことを言って僕を困惑させることがあった。この時もそうだった。
「どういう意味?」
 僕は理解できずに、ただ訊き返した。
 あーちゃんはさっきよりも大きく首を横に振ると、何を思ったのか、唐突に、
「ああ、でも、海に行ってみたいな」
 なんて言った。
「海?」
「そう、海」
「どうして、海?」
「海は、色褪せてないかもしれない。死んでないかもしれない」
 その言葉の意味がわからず、僕が首を傾げていると、あーちゃんはぱたんと本を閉じて机に置いた。
「台所へ行こうか。確か、母さんが西瓜を切ってくれていたから。一緒に食べよう」
「うん!」
 僕は西瓜に釣られて、わからなかった言葉のことも、すっかり忘れてしまった。
 でも今の僕にはわかる。
 夏の日射しは、世界を色褪せさせて僕の目に映す。
 あーちゃんはそのことを、「死んでいる」と言ったのだ。今はもう確かめられないけれど。
 結局、僕とあーちゃんが海へ行くことはなかった。彼から海へ出掛けた話を聞いたこともないから、恐らく、海へ行くことなく死んだのだろう。
 あーちゃんが見ることのなかった海。
 海は日射しを浴びても青々としたまま、「生きて」いるんだろうか。
 彼が死んでから、僕も海へ足を運んでいない。たぶん、死んでしまいたくなるだろうから。
 あーちゃん。
 彼のことを「あーちゃん」と名付けたのは僕だった。
 そういえば、どうして僕は「あーちゃん」と呼び始めたんだっけか。
 彼の名前は、鈴木直正。
 どこにも「あーちゃん」になる要素はないのに。
    うなじを焼くようなじりじりとした太陽光を浴びながら、ペダルを漕いだ。
 鼻の頭からぷつぷつと汗が噴き出すのを感じ、手の甲で汗を拭おうとしたら手は既に汗で湿っていた。雑音のように蝉の声が響いている。道路の脇には背の高い向日葵は、大きな花を咲かせているのに風がないので微動だにしない。
 赤信号に止められて、僕は自転車のブレーキをかける。
 夏がくる度、思い出す。
 僕とあーちゃんが初めてひーちゃんに出会い、そして彼女の最愛の弟「ろーくん」が死んだ、あの事故のことを。
 あの日も、世界が真っ白に焼き切れそうな、暑い日だった。
 ひーちゃんは白い木綿のワンピースを着ていて、それがとても涼しげに見えた。ろーくんの血で汚れてしまったあのワンピースを、彼女はもうとっくに捨ててしまったのだろうけれど。
 そういえば、ひーちゃんはあの事故の後、しばらくの間、弟の形見の黒いランドセルを使っていたっけ。黒い服ばかり着るようになって。周りの子はそんな彼女を気味悪がったんだ。
 でもあーちゃんは、そんなひーちゃんを気味悪がったりしなかった。
 信号が赤から青に変わる。再び漕ぎ出そうとペダルに足を乗せた時、僕の両目は横断歩道の向こうから歩いて来るその人を捉えて凍りついてしまった。
 胸の奥の方が疼く。急に、聞こえてくる蝉の声が大きくなったような気がした。喉が渇いた。頬を撫でるように滴る汗が気持ち悪い。
 信号は青になったというのに、僕は動き出すことができない。向こうから歩いて来る彼は、横断歩道を半分まで渡ったところで僕に気付いたようだった。片眉を持ち上げ、ほんの少し唇の端を歪める。それが笑みだとわかったのは、それとよく似た笑顔をずいぶん昔から知っているからだ。
「うー兄じゃないですか」
 うー兄。彼は僕をそう呼んだ。
 声変わりの途中みたいな声なのに、妙に大人びた口調。ぼそぼそとした喋り方。
 色素の薄い頭髪。切れ長の一重瞼。ひょろりと伸びた背。かけているのは銀縁眼鏡。
 何もかもが似ているけれど、日に焼けた真っ黒な肌と筋肉のついた足や腕だけは、記憶の中のあーちゃんとは違う。
 道路を渡り終えてすぐ側まで来た彼は、親しげに僕に言う。
「久しぶりですね」
「……久しぶり」
 僕がやっとの思いでそう声を絞り出すと、彼は「ははっ」と笑った。きっとあーちゃんも、声を上げて笑うならそういう風に笑ったんだろうなぁ、と思う。
「どうしたんですか。驚きすぎですよ」
 困ったような笑顔で、眼鏡をかけ直す。その手つきすらも、そっくり同じ。
「嫌だなぁ。うー兄は僕のことを見る度、まるで幽霊でも見たような顔するんだから」
「ごめんごめん」
「ははは、まぁいいですよ」
 僕が謝ると、「あっくん」はまた笑った。
 彼、「あっくん」こと鈴木篤人くんは、僕の一個下、中学一年生。私立の学校に通っているので僕とは学校が違う。野球部のエースで、勉強の成績もクラストップ。僕の団地でその中学に進学できた子供は彼だけだから、団地の中で知らない人はいない優等生だ。
 年下とは思えないほど大人びた少年で、あーちゃんにそっくりな、あーちゃんの弟。
「中学は、どう? もう慣れた?」
「慣れましたね。今は部活が忙しくて」
「運動部は大変そうだもんね」
「うー兄は、帰宅部でしたっけ」
「そう。なんにもしてないよ」
「今から、どこへ行くんですか?」
「ああ、えっと、ひーちゃんに届け物」
「ひー姉のところですか」
 あっくんはほんの一瞬、愛想笑いみたいな顔をした。
「ひー姉、まだ学校に行けてないんですか?」
「うん」
「行けるようになるといいですね」
「そうだね」
「うー兄は、元気にしてましたか?」
「僕? 元気だけど……」
「そうですか。いえ、なんだかうー兄、兄貴に似てきたなぁって思ったものですから」
「僕が?」
 僕があーちゃんに似てきている?
「顔のつくりとかは、もちろん違いますけど、なんていうか、表情とか雰囲気が、兄貴に似てるなぁって」
「そうかな……」
 僕にそんな自覚はないのだけれど。
「うー兄も死んじゃいそうで、心配です」
 あっくんは柔らかい笑みを浮かべたままそう言った。
「……そう」
 僕はそう返すので精いっぱいだった。
「それじゃ、ひー姉によろしくお伝え下さい」
「じゃあ、また……」
 あーちゃんと同じ声で話し、あーちゃんと同じように笑う彼は、夏の日射しの中を歩いて行く。
(兄貴は、弱いから駄目なんだ)
 いつか彼が、あーちゃんに向けて言った言葉。
 あーちゃんは自分の弟にそう言われた時でさえ、怒ったりしなかった。ただ「そうだね」とだけ返して、少しだけ困ったような顔をしてみせた。
 あっくんは、強い。
 姿や雰囲気は似ているけれど、性格というか、芯の強さは全く違う。
 あーちゃんの死を自分なりに受け止めて、乗り越えて。部活も勉強も努力して。あっくんを見ているといつも思う。兄弟でもこんなに違うものなのだろうか、と。ひとりっ子の僕にはわからないのだけれど。
 僕は、どうだろうか。
 あーちゃんの死を受け入れて、乗り越えていけているだろうか。
「……死相でも出てるのかな」
 僕があーちゃんに似てきている、なんて。
 笑えない冗談だった。
 ふと見れば、信号はとっくに赤になっていた。青になるまで待つ間、僕の心から言い表せない不安が拭えなかった。
    遺書を思い出した。
 あーちゃんの書いた遺書。
「僕の分まで生きて。僕は透明人間なんです」
 日褄先生はそれを、「ばっかじゃねーの」って笑った。
「透明人間は見えねぇから、透明人間なんだっつーの」
 そんな風に言って、たぶん、泣いてた。
「僕の分まで生きて」
 僕は自分の鼓動を聞く度に、その言葉を繰り返し、頭の奥で聞いていたような気がする。
 その度に自分に問う。
 どうして生きているのだろうか、と。
  部屋に一歩踏み入れると、足下でガラスの破片が砕ける音がした。この部屋でスリッパを脱ぐことは自傷行為に等しい。
「あー、うーくんだー」
 閉められたカーテン。閉ざされたままの雨戸。
 散乱した物。叩き壊された物。落下したままの物。破り捨てられた物。物の残骸。
 その中心に、彼女はいる。
「久しぶりだね、ひーちゃん」
「そうだねぇ、久しぶりだねぇ」
 壁から落下して割れた時計は止まったまま。��ろうじて壁にかかっているカレンダーはあの日のまま。
「あれれー、うーくん、背伸びた?」
「かもね」
「昔はこーんな小さかったのにねー」
「ひーちゃんに初めて会った時だって、そんなに小さくなかったと思うよ」
「あははははー」
 空っぽの笑い声。聞いているこっちが空しくなる。
「はい、これ」
「なに? これ」
「滝澤先生に頼まれたプリント」
「たきざわって?」
「今度のクラスの担任だよ」
「ふーん」
「あ、そうだ、今度は僕の同じクラスに……」
 彼女の手から投げ捨てられたプリントの束が、ろくに掃除されていない床に落ちて埃を巻き上げた。
「そういえば、あいつは?」
「あいつって?」
「黒尽くめの」
「黒尽くめって……日褄先生のこと?」
「まだいる?」
「日褄先生なら、今年度も学校にいるよ」
「なら、学校には行かなーい」
「どうして?」
「だってあいつ、怖いことばっかり言うんだもん」
「怖いこと?」
「あーちゃんはもう、死んだんだって」
「…………」
「ねぇ、うーくん」
「……なに?」
「うーくんはどうして、学校に行けるの? まだあーちゃんが帰って来ないのに」
 どうして僕は、生きているんだろう。
「『僕』はね、怖いんだよ、うーくん。あーちゃんがいない毎日が。『僕』の毎日の中に、あーちゃんがいないんだよ。『僕』は怖い。毎日が怖い。あーちゃんのこと、忘れそうで怖い。あーちゃんが『僕』のこと、忘れそうで怖い……」
 どうしてひーちゃんは、生きているんだろう。
「あーちゃんは今、誰の毎日の中にいるの?」
 ひーちゃんの言葉はいつだって真っ直ぐだ。僕の心を突き刺すぐらい鋭利だ。僕の心を掻き回すぐらい乱暴だ。僕の心をこてんぱんに叩きのめすぐらい凶暴だ。
「ねぇ、うーくん」
 いつだって思い知らされる。僕が駄目だってこと。
「うーくんは、どこにも行かないよね?」
 いつだって思い知らせてくれる。僕じゃ駄目だってこと。
「どこにも、行かないよ」
 僕はどこにも行けない。きみもどこにも行けない。この部屋のように時が止まったまま。あーちゃんが死んでから、何もかもが停止したまま。
「ふーん」
 どこか興味なさそうな、ひーちゃんの声。
「よかった」
 その後、他愛のない話を少しだけして、僕はひーちゃんの家を後にした。
 死にたくなるほどの夏の熱気に包まれて、一気に現実に引き戻された気分になる。
 こんな現実は嫌なんだ。あーちゃんが欠けて、ひーちゃんが壊れて、僕は嘘つきになって、こんな世界は、大嫌いだ。
 僕は自分に問う。
 どうして僕は、生きているんだろう。
 もうあーちゃんは死んだのに。
   「ひーちゃん」こと市野谷比比子は、小学生の頃からいつも奇異の目で見られていた。
「市野谷さんは、まるで死体みたいね」
 そんなことを彼女に言ったのは、僕とひーちゃんが小学四年生の時の担任だった。
 校舎の裏庭にはクラスごとの畑があって、そこで育てている作物の世話を、毎日クラスの誰かが当番制でしなくてはいけなかった。それは夏休み期間中も同じだった。
 僕とひーちゃんが当番だった夏休みのある日、黙々と草を抜いていると、担任が様子を見にやって来た。
「頑張ってるわね」とかなんとか、最初はそんな風に声をかけてきた気がする。僕はそれに、「はい」とかなんとか、適当に返事をしていた。ひーちゃんは何も言わず、手元の草を引っこ抜くことに没頭していた。
 担任は何度かひーちゃんにも声をかけたが、彼女は一度もそれに答えなかった。
 ひーちゃんはいつもそうだった。彼女が学校で口を利くのは、同じクラスの僕と、二つ上の学年のあーちゃんにだけ。他は、クラスメイトだろうと教師だろうと、一言も言葉を発さなかった。
 この当番を決める時も、そのことで揉めた。
 くじ引きでひーちゃんと同じ当番に割り当てられた意地の悪い女子が、「せんせー、市野谷さんは喋らないから、当番の仕事が一緒にやりにくいでーす」と皆の前で言ったのだ。
 それと同時に、僕と一緒の当番に割り当てられた出っ歯の野郎が、「市野谷さんと仲の良い――くんが市野谷さんと一緒にやればいいと思いまーす」と、僕の名前を指名した。
 担任は困ったような笑顔で、
「でも、その二人だけを仲の良い者同士にしたら、不公平じゃないかな? 皆だって、仲の良い人同士で一緒の当番になりたいでしょう? 先生は普段あまり仲が良くない人とも仲良くなってもらうために、当番の割り振りをくじ引きにしたのよ。市野谷さんが皆ともっと仲良くなったら、皆も嬉しいでしょう?」
 と言った。意地悪ガールは間髪入れずに、
「喋らない人と���うやって仲良くなればいいんですかー?」
 と返した。
 ためらいのない発言だった。それはただただ純粋で、悪意を含んだ発言だった。
「市野谷さんは私たちが仲良くしようとしてもいっつも無視してきまーす。それって、市野谷さんが私たちと仲良くしたくないからだと思いまーす。それなのに、無理やり仲良くさせるのは良くないと思いまーす」
「うーん、そんなことはないわよね、市野谷さん」
 ひーちゃんは何も言わなかった。まるで教室内での出来事が何も耳に入っていないかのような表情で、窓の外を眺めていた。
「市野谷さん? 聞いているの?」
「なんか言えよ市野谷」
 男子がひーちゃんの机を蹴る。その振動でひーちゃんの筆箱が机から滑り落ち、がちゃんと音を立てて中身をぶちまけたが、それでもひーちゃんには変化は訪れない。
 クラスじゅうにざわざわとした小さな悪意が満ちる。
「あの子ちょっとおかしいんじゃない?」
 そんな囁きが満ちる。担任の困惑した顔。意地悪いクラスメイトたちの汚らわしい視線。
 僕は知っている。まるでここにいないかのような顔をして、窓の外を見ているひーちゃんの、その視線の先を。窓から見える新校舎には、彼女の弟、ろーくんがいた一年生の教室と、六年生のあーちゃんがいる教室がある。
 ひーちゃんはいつも、ぼんやりとそっちばかりを見ている。教室の中を見渡すことはほとんどない。彼女がここにいないのではない。彼女にとって、こっちの世界が意味を成していないのだ。
「市野谷さんは、死体みたいね」
 夏休み、校舎裏の畑。
 その担任の一言に、僕は思わずぎょっとした。担任はしゃがみ込み、ひーちゃんに目線を合わせようとしながら、言う。
「市野谷さんは、どうしてなんにも言わないの? なんにも思わないの? あんな風に言われて、反論したいなって思わないの?」
 ひーちゃんは黙って草を抜き続けている。
「市野谷さんは、皆と仲良くなりたいって思わない? 皆は、市野谷さんと仲良くなりたいって思ってるわよ」
 ひーちゃんは黙っている。
「市野谷さんは、ずっとこのままでいるつもりなの? このままでいいの? お友達がいないままでいいの?」
 ひーちゃんは。
「市野谷さん?」
「うるさい」
 どこかで蝉が鳴き止んだ。
 彼女が僕とあーちゃん以外の人間に言葉を発したところを、僕は初めて見た。彼女は担任を睨み付けるように見つめていた。真っ黒な瞳が、鋭い眼光を放っている。
「黙れ。うるさい。耳障り」
 ひーちゃんが、僕の知らない表情をした。それはクラスメイトたちがひーちゃんに向けたような、玩具のような悪意ではなかった。それは本当の、なんの混じり気もない、殺意に満ちた顔だった。
「あんたなんか、死んじゃえ」
 振り上げたひーちゃんの右手には、草抜きのために職員室から貸し出された鎌があって――。
「ひーちゃん!」
 間一髪だった。担任は真っ青な顔で、息も絶え絶えで、しかし、その鎌の一撃をかろうじてかわした。担任は震えながら、何かを叫びながら校舎の方へと逃げるように走り去って行く。
「ひーちゃん、大丈夫?」
 僕は地面に突き刺した鎌を固く握りしめたまま、動かなくなっている彼女に声をかけた。
「友達なら、いるもん」
 うつむいたままの彼女が、そうぽつりと言う。
「あーちゃんと、うーくんがいるもん」
 僕はただ、「そうだね」と言って、そっと彼女の頭を撫でた。
    小学生の頃からどこか危うかったひーちゃんは、あーちゃんの自殺によって完全に壊れてしまった。
 彼女にとってあーちゃんがどれだけ大切な存在だったかは、説明するのが難しい。あーちゃんは彼女にとって絶対唯一の存在だった。失ってはならない存在だった。彼女にとっては、あーちゃん以外のものは全てどうでもいいと思えるくらい、それくらい、あーちゃんは特別だった。
 ひーちゃんが溺愛していた最愛の弟、ろーくんを失ったあの日。
 あの日から、ひーちゃんの心にぽっかりと空いた穴を、あーちゃんの存在が埋めてきたからだ。
 あーちゃんはひーちゃんの支えだった。
 あーちゃんはひーちゃんの全部だった。
 あーちゃんはひーちゃんの世界だった。
 そして、彼女はあーちゃんを失った。
 彼女は入学することになっていた中学校にいつまで経っても来なかった。来るはずがなかった。来れるはずがなかった。そこはあーちゃんが通っていたのと同じ学校であり、あーちゃんが死んだ場所でもある。
 ひーちゃんは、まるで死んだみたいだった。
 一日中部屋に閉じこもって、食事を摂ることも眠ることも彼女は拒否した。
 誰とも口を利かなかった。実の親でさえも彼女は無視した。教室で誰とも言葉を交わさなかった時のように。まるで彼女の前からありとあらゆるものが消滅してしまったかのように。泣くことも笑うこともしなかった。ただ虚空を見つめているだけだった。
 そんな生活が一週間もしないうちに彼女は強制的に入院させられた。
 僕が中学に入学して、桜が全部散ってしまった頃、僕は彼女の病室を初めて訪れた。
「ひーちゃん」
 彼女は身体に管を付けられ、生かされていた。
 屍のように寝台に横たわる、変わり果てた彼女の姿。
(市野谷さんは死体みたいね)
 そんなことを言った、担任の言葉が脳裏をよぎった。
「ひーちゃんっ」
 僕はひーちゃんの手を取って、そう呼びかけた。彼女は何も言わなかった。
「そっち」へ行ってほしくなかった。置いていかれたくなかった。僕だって、あーちゃんの突然の死を受け止めきれていなかった。その上、ひーちゃんまで失うことになったら。そう考えるだけで嫌だった。
 僕はここにいたかった。
「ひーちゃん、返事してよ。いなくならないでよ。いなくなるのは、あーちゃんだけで十分なんだよっ!」
 僕が大声でそう言うと、初めてひーちゃんの瞳が、生き返った。
「……え?」
 僕を見つめる彼女の瞳は、さっきまでのがらんどうではなかった。あの時のひーちゃんの瞳を、僕は一生忘れることができないだろう。
「あーちゃん、いなくなったの?」
 ひーちゃんの声は僕の耳にこびりついた。
 何言ってるんだよ、あーちゃんは死んだだろ。そう言おうとした。言おうとしたけれど、何かが僕を引き留めた。何かが僕の口を塞いだ。頭がおかしくなりそうだった。狂っている。僕はそう思った。壊れている。破綻している。もう何もかもが終わってしまっている。
 それを言ってしまったら、ひーちゃんは死んでしまう。僕がひーちゃんを殺してしまう。ひーちゃんもあーちゃんみたいに、空を飛んでしまうのだ。
 僕はそう直感していた。だから声が出なかった。
「それで、あーちゃん、いつかえってくるの?」
 そして、僕は嘘をついた。ついてはいけない嘘だった。
 あーちゃんは生きている。今は遠くにいるけれど、そのうち必ず帰ってくる、と。
 その一週間後、ひーちゃんは無事に病院を退院した。人が変わったように元気になっていた。
 僕の嘘を信じて、ひーちゃんは生きる道を選んだ。
 それが、ひーちゃんの身体をいじくり回して管を繋いで病室で寝かせておくことよりもずっと残酷なことだということを僕は後で知った。彼女のこの上ない不幸と苦しみの中に永遠に留めておくことになってしまった。彼女にとってはもうとっくに終わってしまったこの世界で、彼女は二度と始まることのない始まりをずっと待っている。
 もう二度と帰ってこない人を、ひーちゃんは待ち続けなければいけなくなった。
 全ては僕のついた幼稚な嘘のせいで。
「学校は行かないよ」
「どうして?」
「だって、あーちゃん、いないんでしょ?」
 学校にはいつから来るの? と問いかけた僕にひーちゃんは笑顔でそう答えた。まるで、さも当たり前かのように言った。
「『僕』は、あーちゃんが帰って来るのを待つよ」
「あれ、ひーちゃん、自分のこと『僕』って呼んでたっけ?」
「ふふふ」
 ひーちゃんは笑った。幸せそうに笑った。恥ずかしそうに笑った。まるで恋をしているみたいだった。本当に何も知らないみたいに。本当に、僕の嘘を信じているみたいに。
「あーちゃんの真似、してるの。こうしてると自分のことを言う度、あーちゃんのことを思い出せるから」
 僕は笑わなかった。
 僕は、笑えなかった。
 笑おうとしたら、顔が歪んだ。
 醜い嘘に、歪んだ。
 それからひーちゃんは、部屋に閉じこもって、あーちゃんの帰りをずっと待っているのだ。
 今日も明日も明後日も、もう二度と帰ってこない人を。
※(2/4) へ続く→ https://kurihara-yumeko.tumblr.com/post/647000556094849024/
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2020年の選挙を救ったシャドウキャンペーンの秘密の歴史
11月3日の選挙直後に奇妙なことが起こった。何もない。
国は混乱に備えていた。自由党グループは、国中の何百もの抗議を計画して、通りに行くことを誓った。右翼民兵は戦いに身を投じていた。選挙日の前の世論調査では、アメリカ人の75%が暴力について懸念を表明しました。
代わりに、不気味な静けさが降りてきました。トランプ大統領が譲歩を拒否したので、反応は大衆行動ではなくコオロギでした。メディア組織が11月7日にジョーバイデンのレースを呼びかけたとき、人々がトランプの追放をもたらした民主的なプロセスを祝うために米国中の都市を襲ったので、代わりに歓喜が起こりました。
Reactions Throughout the U.S. After Biden Wins Presidential Race in Unprecedented Election共有
動画を再生します
トランプが結果を逆転させようとした中で、2番目の奇妙なことが起こりました。企業のアメリカが彼をオンにしました。何百人もの主要なビジネスリーダーは、その多くがトランプの立候補を支持し、彼の政策を支持しており、彼に譲歩を求めた。大統領にとって、何かがおかしいと感じた。トランプ氏は12月2日、「すべてが非常に奇妙でした。選挙後数日以内に、多くの主要な州がまだ数えられているにもかかわらず、勝者に油を注ぐための組織的な努力を目の当たりにしました。」
ある意味、トランプは正しかった。
舞台裏で陰謀が繰り広げられ、抗議行動を抑制し、CEOからの抵抗を調整した。両方の驚きは、左翼活動家とビジネスの巨人の間の非公式の同盟の結果でした。協定は、選挙日に発表された全米商工会議所とAFL-CIOの簡潔であまり知られていない共同声明で正式化されました。双方は、それを一種の暗黙の交渉と見なすようになり、夏の大規模な、時には破壊的な人種的正義の抗議に触発され、労働力が資本の力と一緒になって平和を維持し、トランプの民主主義への攻撃に反対した。 。
ビジネスと労働の間の握手は、選挙を保護するための広大な党派横断キャンペーンの1つの要素にすぎませんでした。投票に勝つことではなく、自由で公正、信頼でき、腐敗しないことを保証するための並外れた影の努力です。一年以上の間、彼らが無慈悲なパンデミックと自主的に傾倒した大統領からの同時攻撃を受けたとき、緩く組織された工作員の連合はアメリカの機関を支えるためにスクランブルをかけました。この活動の多くは左側で行われましたが、バイデンキャンペーンとは別のものであり、イデオロギーの境界を越え、無党派で保守的な俳優による重要な貢献がありました。影の運動家が必死に止めようとしたシナリオは、トランプの勝利ではありませんでした。それは非常に悲惨な選挙だったので、結果はまったく識別できませんでした、
彼らの仕事は選挙のあらゆる側面に影響を与えました。彼らは州に投票システムと法律を変更させ、公的および私的資金で数億ドルを確保するのを助けました。彼らは有権者抑圧訴訟をかわし、投票労働者の軍隊を募集し、何百万人もの人々に初めて郵送で投票させた。彼らはソーシャルメディア企業に偽情報に対してより厳しい方針を取るよう圧力をかけ、バイラルスミアと戦うためにデータ主導の戦略を使用することに成功しました。彼らは、アメリカ人が投票数が数日または数週間にわたってどのように展開するかを理解するのを助け、トランプの陰謀説と勝利の誤った主張がより多くの牽引力を得るのを防ぐ全国的な啓発キャンペーンを実行しました。選挙日の後、彼らはトランプが結果を覆すことができないことを確認するためにすべての圧力ポイントを監視しました。
トランプと彼の同盟国は選挙を台無しにするために彼ら自身のキャンペーンを実行していたからです。大統領は何ヶ月もかけて、郵便投票は民主党の陰謀であり、選挙は「不正」であると主張した。州レベルの彼の手下はそれらの使用を阻止しようとしましたが、彼の弁護士は投票をより困難にするために何十もの偽の訴訟を提起しました。これは共和党の抑圧的な戦術の遺産の強化です。選挙の前に、トランプは正当な投票数をブロックすることを計画しました。そして、彼は11月3日以降の数か月間、敗訴した選挙を盗もうとして、訴訟や陰謀説、州や地方の役人への圧力、そして最終的には致命的な暴力に終わった1月6日の集会に支持者の軍隊を召喚しました。国会議事堂で。
民主主義運動家たちは警戒しながら見守っていた。「毎週、国が解��放たれる本当に危険な瞬間を経験することなく、この選挙をやめようと奮闘しているように感じました」と、超党派の選挙保護の調整を助けたトランプ支持者である元共和党代表ザック・ワンプは言います評議会。「振り返ってみると、これはかなりうまくいったと言えますが、9月と10月にそれが当てはまるかどうかはまったくわかりませんでした。」
11月7日にレースが呼び出された後のフィラデルフィアのバイデンファン ミシェル・グスタフソンfor TIME
これは、2020年の選挙を救うための陰謀の裏話であり、グループの内部活動へのアクセス、これまでに見たことのない文書、および政治的スペクトル全体からの数十人の関係者へのインタビューに基づいています。これは、前例のない、創造的で断固としたキャンペーンの物語であり、その成功は、国がどれほど災害に近づいたかも明らかにしています。「選挙の適切な結果を妨害するすべての試みは打ち負かされました」と、無党派の法の支配擁護団体であるProtectDemocracyの共同創設者であるIanBassinは言います。「しかし、それが偶然に起こったのではないことを国が理解することは非常に重要です。システムは魔法のように機能しませんでした。民主主義は自己実行的ではありません。」
だからこそ、参加者は2020年の選挙の秘密の歴史を伝えたいのです。それは妄想的な熱の夢のように聞こえますが、業界やイデオロギーにまたがる強力な人々の資金が豊富な陰謀団が舞台裏で協力して認識に影響を与え、ルールを変更します。と法律、メディア報道を操縦し、情報の流れを制御します。彼らは選挙を不正に行っていませんでした。彼らはそれを強化していました。そして彼らは、アメリカの民主主義が持続することを確実にするために、国民がシステムの脆弱性を理解する必要があると信じています。
建築家
2019年の秋のいつか、マイクポドホルツァーは選挙が災害に向かっていると確信し、それを保護することを決意しました。
これは彼の通常の権限ではありませんでした。ほぼ四半世紀の間、米国最大の組合連合であるAFL-CIOの会長の上級顧問であるポドホルツァーは、その支持された候補者が選挙に勝つのを助けるために最新の戦術とデータを整理してきました。控えめでプロフェッショナルな彼は、ケーブルニュースに登場するような髪の毛が生えた「政治戦略家」ではありません。民主主義のインサイダーの間では、彼はここ数十年の政治技術における最大の進歩の背後にある魔法使いとして知られています。彼が2000年代初頭に集めたリベラルな戦略家のグループは、政治運動に科学的方法を適用する���密の会社であるアナリスト研究所の設立につながりました。彼はまた、主要なプログレッシブデータ会社であるCatalistの設立にも関わっていました。
ポドホルツァーは、「政治戦略」についてのワシントンでの終わりのないおしゃべりは、変化が実際にどのように行われるかとはほとんど関係がないと信じています。「私の基本的な政治観は、それを考えすぎたり、一般的なフレームワーク全体を飲み込んだりしなければ、すべてがかなり明白だということです」と彼はかつて書いた。「その後、執拗にあなたの仮定を特定し、それらに挑戦してください。」Podhorzerは、そのアプローチをすべてに適用します。DC郊外で、今は大人の息子のリトルリーグチームを指導したとき、彼はほとんどのピッチでスイングしないように男の子を訓練しました。これは、彼らと相手の両親の両方を激怒させたが、チームに勝った一連のチャンピオンシップ。
2016年のトランプの選挙は、かつてAFL-CIOを支配していたブルーカラーの白人有権者の間での彼の異常な強さのおかげで、ポドホルツァーに有権者の行動についての彼の仮定に疑問を投げかけました。彼は毎週数を計算するメモを小さな同盟国に回覧し、DCで戦略セッションを主催し始めましたが、選挙自体について心配し始めたとき、彼は妄想的に見えたくありませんでした。彼が2019年10月のニュースレターで懸念を紹介したのは、数か月の調査の後でした。大統領自身が選挙を妨害しようとした状況では、データ、分析、投票の通常のツールでは不十分でした。「私たちの計画のほとんどは、選挙日を通して私たちを連れて行きます」と彼は言いました。「しかし、私たちは2つの最も可能性の高い結果に備えていません」-トランプは負けて譲歩を拒否し、そしてトランプは、主要な州の投票プロセスを破壊することによって選挙人団に勝ちました(人気投票を失ったにもかかわらず)。「私たちは、この選挙を体系的に「レッドチーム」にする必要があります。そうすることで、私たちが直面するであろう最悪の事態を予測し、計画することができます。」
これらの用語で考えているのはポドホルツァーだけではないことが判明しました。彼は力を合わせたいと熱望している他の人たちから聞き始めました。「レジスタンス」組織の連合であるファイトバックテーブルは、選挙の争いの可能性についてシナリオプランニングを開始し、地方および全国レベルのリベラルな活動家を彼らが民主主義防衛連合と呼んでいるものに集めました。選挙権と公民権団体は警鐘を鳴らしていた。元選出された役人のグループは、トランプが悪用するのではないかと恐れている緊急権力を調査していました。Protect Democracyは、超党派の選挙危機タスクフォースを結成していました。「大声で言うと、人々は同意したことがわかりました」とポドホルツァーは言います。「そしてそれは勢いを増し始めました。」
彼は何ヶ月もシナリオを熟考し、専門家と話をしました。トランプを危険な独裁者と見なしたリベラル派を見つけるのは難しいことではありませんでしたが、ポドホルツァーはヒステリーを避けるように注意しました。彼が知りたかったのは、アメリカの民主主義がどのように死にかけているのかではなく、それがどのように生き続けられるのかということでした。米国と民主主義への理解を失った国々との主な違いは、アメリカの分散型選挙制度は一挙に装備することができなかったということでした。それはそれを支える機会を提供しました。
同盟
3月3日、ポドホルツァーは「2020年選挙への脅威」というタイトルの3ページの機密メモを起草しました。「トランプは、これは公正な選挙ではないこと、そして彼自身の再選以外は「偽物」で不正なものとして拒否することを明らかにした」と彼は書いた。「11月3日、メディアが別の方法で報道した場合、彼は右翼の情報システムを使用して彼の物語を確立し、支持者に抗議するよう促します。」このメモは、有権者への攻撃、選挙管理への攻撃、トランプの政敵への攻撃、そして「選挙の結果を逆転させるための努力」という4つのカテゴリーの課題を示しました。
その後、COVID-19は予備選挙シーズンの最盛期に噴火しました。通常の投票方法は、投票所に通常スタッフを配置する有権者やほとんどの高齢のボランティアにとってもはや安全ではありませんでした。しかし、郵便投票に対するトランプの十字軍によって激化した政治的意見の不一致により、一部の州では不在者投票を容易にし、管轄区域はそれらの投票を適時に数えることができませんでした。混沌が続いた。オハイオ州は、プライマリーへの直接投票を停止し、投票率はごくわずかになりました。ウィスコンシン州の民主党の黒人人口が非常に多いミルウォーキーでの投票所労働者の不足により、182か所から5か所の投票所が残った。ニューヨークでは開票に1か月以上かかった。
突然、11月のメルトダウンの可能性が明らかになりました。DC郊外の彼のアパートで、ポドホルツァーは彼の台所のテーブルで彼のラップトップから働き始め、進歩的な宇宙全体の彼の連絡先のネットワークで1日何時間も連続したズーム会議を開催しました。プランドペアレントフッドやグリーンピースのような制度的左翼。IndivisibleやMoveOnなどのレジスタンスグループ。プログレッシブデータオタクとストラテジスト、ドナーと財団の代表者、州レベルの草の根組織者、人種平等活動家など。
4月、Podhorzerは毎週2時間半のZoomのホストを開始しました。それは、広告が機能していたものからメッセージング、法的戦略に至るまで、すべてについての一連の5分間の迅速なプレゼンテーションを中心に構成されていました。招待制の集会はすぐに数百人を魅了し、困難な進歩的運動のための珍しい共有知識の基盤を作りました。「左についてゴミを話す危険を冒して、良い情報共有はあまりありません」と、世論調査でテストされたメッセージングガイダンスがグループのアプローチを形作ったPodhorzerの親友であるAnatShenker-Osorioは言います。「ここでは発明されていない症候群がたくさんあります。そこでは、人々がそれを思い付かなかった場合、人々は良い考えを考えません。」
会合は、重複する目標を共有したが、通常は協調して機能しなかった、左側にいる一連の工作員の銀河中心となった。このグループには名前もリーダーも階層もありませんでしたが、異種のアクターの同期を維持していました。「ポッドは、移動インフラストラクチャのさまざまな部分の通信と調整を維持する上で重要な舞台裏の役割を果たしました」と、働く家族達の党のナショナルディレクターであるモーリスミッチェルは述べています。「あなたには訴訟スペース、組織スペース、Wに焦点を合わせた政治家がいて、彼らの戦略は常に一致しているわけではありません。彼はこのエコシステムが連携することを許可しました。」
選挙を守るには、前例のない規模の努力が必要です。2020年が進むにつれ、議会、シリコンバレー、そして国の州議会議事堂にまで拡大しました。それは夏の人種的正義の抗議からエネルギーを引き出し、その指導者の多くは自由同盟の重要な部分でした。そして最終的には通路を越えて、民主主義への攻撃に愕然としたトランプに懐疑的な共和党員の世界に到達しました。
投票の保護
最初の課題は、パンデミックの真っ只中にある、アメリカの不安定な選挙インフラストラクチャの見直しでした。選挙を管理する何千人もの地元の、ほとんど無党派の役人にとって、最も緊急の必要性はお金でした。彼らはマスク、手袋、手指消毒剤などの保護具を必要としていました。彼らは、不在者投票ができることを人々に知らせるはがきの代金を支払う必要がありました。州によっては、すべての有権者に投票用紙を郵送する必要がありました。投票用紙を処理するには、追加のスタッフとスキャナーが必要でした。
3月、活動家は議会にCOVID救済金を選挙管理に振り向けるよう訴えた。市民と人権に関するリーダーシップ会議が主導し、150以上の組織が、20億ドルの選挙資金を求める議会のすべての議員に宛てた書簡に署名しました。それは幾分成功しました。その月の後半に可決されたCARES法には、州の選挙管理者への4億ドルの助成金が含まれていました。しかし、救援資金の次のトランシェはその数に追加されませんでした。それは十分ではありませんでした。
民間の慈善活動が違反に踏み込んだ。さまざまな財団が選挙管理資金に数千万ドルを寄付しました。チャンザッカーバーグイニシアチブは3億ドルをチップしました。「2,500人の地方選挙職員が彼らのニーズを満たすために慈善助成金を申請することを余儀なくされたのは連邦レベルでの失敗でした」とホームインスティテュートで無党派の全国投票を率いる元デンバー選挙職員であるアンバーマクレイノルズは言います。
マクレイノルズの2年前の組織は、適応に苦労している国の情報センターになりました。研究所は、両当事者から国務長官に、使用するベンダーからドロップボックスの配置方法まで、すべてに関する技術的なアドバイスを提供しました。地方公務員は選挙情報の最も信頼できる情報源ですが、報道官を雇う余裕のある人はほとんどいないため、研究所はコミュニケーションツールキットを配布しました。ポドホルツァーのグループへのプレゼンテーションで、マクレイノルズは投票所の列を短くし、選挙危機を防ぐための不在者投票の重要性を詳しく述べました。
研究所の仕事は37の州とDCが郵便投票を強化するのを助けました。しかし、人々が利用しなければ、それはあまり価値がありません。課題の一部はロジスティックでした。州ごとに、投票をいつどのように要求して返送するかについて異なるルールがあります。投票者参加センターは、通常の年には戸別訪問を展開する地元のグループが投票を行うのを支援していましたが、代わりに4月と5月にフォーカスグループを実施して、人々が郵送で投票できるようにする方法を見つけました。8月と9月に、主要州の1,500万人に投票用紙を送付し、そのうち460万人が投票用紙を返却しました。郵送やデジタル広告で、グループは人々に選挙日を待たないように促した。「私たちが17年間行ってきたすべての作業は、民主主義を人々の玄関口にもたらすこの瞬間のために構築されました」と、センターのCEOであるTomLopachは述べています。
努力は、いくつかのコミュニティで高まった懐疑論を克服しなければなりませんでした。多くの黒人有権者は、フランチャイズを直接行使することを好むか、メールを信用しませんでした。国の公民権団体は地元の組織と協力して、これが自分の投票が確実にカウントされるようにするための最良の方法であるということを知らせました。たとえば、フィラデルフィアでは、支持者がマスク、手指消毒剤、情報パンフレットを含む「投票安全キット」を配布しました。「これは安全で信頼性が高く、信頼できるというメッセージを発信する必要がありました」と、All Voting IsLocalのHannahFried氏は言います。
同時に、民主党の弁護士は、選挙前の訴訟の歴史的な流れと戦いました。パンデミックは、法廷での当事者の通常の絡み合いを激化させた。しかし、弁護士は他の何かにも気づきました。ブレナンセンターの投票権専門家であるウェンディ・ワイザー氏は、「トランプキャンペーンによって提起された、郵便投票に疑問を投げかけるためのより広範なキャンペーンを伴う訴訟は、斬新な主張を行い、裁判所がこれまで受け入れたことのない理論を使用していた」と述べています。 NYUの正義のために。「彼らは、法的結果を達成するのではなく、メッセージを送信するように設計された訴訟のように読んでいます。」
結局、2020年には有権者のほぼ半数が郵送で投票しました。これは事実上、人々の投票方法に革命をもたらしました。約4分の1が期日前投票を行いました。投票者の4分の1だけが、従来の方法で投票を行います。選挙日に直接投票します。
偽情報の防御
虚偽の情報を広める悪意のある人物は目新しいことではありません。何十年もの間、選挙は選挙が再スケジュールされたと主張する匿名の電話から候補者の家族についての厄介な塗抹標本を広めるチラシまで、キャンペーンはすべてに取り組んできました。しかし、トランプの嘘と陰謀説、ソーシャルメディアのバイラルな力、そして外国のメドラーの関与は、偽情報を2020年の投票に対するより広く、より深い脅威にしました。
カタリストを共同設立したベテランの進歩的な工作員であるローラ・クインは、数年前にこの問題の研究を始めました。彼女は、オンラインで偽情報を追跡し、それと戦う方法を見つけようとした、これまで公に議論されたことのない名前のない秘密のプロジェクトを操縦しました。1つのコンポーネントは、他の方法では気付かれずに広がる可能性のある危��な嘘を追跡していました。次に、研究者は、情報源を追跡して公開するために、キャンペーン担当者またはメディアに情報を提供しました。
しかし、クインの研究からの最も重要なポイントは、有毒なコンテンツを扱うことはそれを悪化させるだけだったということでした。「攻撃されたときの本能は、押し戻して、「これは真実ではない」と言って声をかけることです」とクインは言います。「しかし、エンゲージメントが増えるほど、プラットフォームはそれを後押しします。アルゴリズムはそれを次のように読み取ります。 'ああ、これは人気があります。人々はそれをもっと望んでいます。」
解決策は、偽情報を広めるコンテンツやアカウントを削除することと、そもそもそれをより積極的に取り締まることの両方によって、プラットフォームにルールを適用するよう圧力をかけることであると彼女は結論付けました。「プラットフォームには特定の種類の悪意のある動作に対するポリシーがありますが、それらを強制していません」と彼女は言います。
クインの研究は、ソーシャルメディアプラットフォームをより厳しい方向に向かわせることを提唱する支持者に弾薬を与えました。2019年11月、マーク・ザッカーバーグは9人の公民権指導者を自宅での夕食会に招待しました。そこでは、すでにチェックされずに広がっている選挙関連の虚偽の危険性について警告しました。出席した市民と人権に関するリーダーシップ会議の社長兼最高経営責任者(CEO)であるバニタグプタは、次のように述べています。夕食はツイッターのCEO、ジャック・ドーシーらとも会った。(グプタはバイデン大統領から司法次官に指名されました。)「苦労しましたが、彼らが問題を理解するようになりました。十分でしたか?おそらくそうではありません。思ったより遅かったですか?はい。
言葉を広める
悪い情報と戦うだけでなく、急速に変化する選挙プロセスを説明する必要がありました。トランプ氏の発言にもかかわらず、郵送による投票は詐欺の影響を受けにくく、一部の州が選挙の夜に開票を終えなければ正常であるということを有権者が理解することが重要でした。
民主党の元下院の指導者であるディック・ゲッパートは、強力なロビイストになり、1つの連合を率いた。「私たちは、主に一般市民へのメッセージだけでなく、国務長官、司法長官、知事などの地方公務員との話し合いを目的とした、元選出された公務員、内閣秘書、軍の指導者などの本当に超党派のグループを作りたかったのです。嵐の目-私たちが助けたいと彼らに知らせるために」と、民間部門で彼の連絡先を働いて努力の後ろに2000万ドルを置いたジェファードは言います。
元GOP下院議員であるWampは、無党派の改革グループであるIssue Oneを通じて、共和党を結集させました。「私たちは、自由で公正な選挙を構成するものの周りに、超党派の統一要素をもたらすべきだと考えました」とワンプ氏は言います。選挙の完全性に関する国民議会の22人の民主党員と22人の共和党員は、少なくとも週に1回ズームで会合した。彼らは6つの州で広告を掲載し、声明を発表し、記事を書き、潜在的な問題について地方公務員に警告しました。「これが正直であるという考えに基づいて評議会で奉仕することに同意したトランプ支持者が熱狂的でした」とWampは言います。これは、トランプが勝ったときにリベラル派を説得するためにも同じくらい重要になるだろうと彼は彼らに言った。「どちらの方法でも、私たちは一緒に固執するつもりです。」
Voting Rights LabとIntoActionは、州固有のミームとグラフィックを作成し、電子メール、テキスト、Twitter、Facebook、Instagram、TikTokで広め、すべての投票をカウントするように促しました。合わせて、10億回以上視聴されました。Protect Democracyの選挙タスクフォースは、政治的スペクトル全体で著名な専門家とのレポートを発行し、メディアブリーフィングを開催しました。その結果、潜在的な選挙問題が広く報道され、トランプの虚偽の主張が事実確認されました。組織の追跡調査では、メッセージが聞かれていることがわかりました。選挙の夜に勝者を知ることを期待していなかった一般市民の割合は、10月下旬までに70%を超えるまで徐々に増加しました。過半数はまた、長期のカウントは問題の兆候ではないと信じていました。「私たちはトランプが何をしようとしているのかを正確に知っていました。彼は、民主党が郵送で投票し、共和党が直接投票したという事実を利用して、自分が先を行っているように見せ、勝利を主張し、郵送による投票は不正であると述べ、彼らを捨てさせようとした」とプロテクトは言う民主党の盆地。事前に国民の期待を設定することは、それらの嘘を弱めるのに役立ちました。
アンバー・マクレイノルズ、ザック・ワンプ、モーリス・ミッチェル レイチェル・ウールフfor TIME; Erik Schelzig-AP / Shutterstock; Holly Pickett—ニューヨークタイムズ/ Redux
同盟は、Podhorzer'sZoomsで発表されたShenker-Osorioの研究から共通のテーマを採用しました。調査によると、投票が重要であると思わない場合や、投票が面倒になることを恐れている場合は、参加する可能性がはるかに低くなります。選挙シーズンを通して、ポドホルツァーのグループのメンバーは、有権者の脅迫の事件を最小限に抑え、トランプが譲歩を拒否すると予想されることについてのリベラルなヒステリーの高まりを抑えました。彼らは、彼らを関与させることによって虚偽の主張を増幅したり、不正なゲームを提案することによって人々を投票から遠ざけたりしたくありませんでした。「あなたが言うとき、 『これらの詐欺の主張は偽物です』、人々が聞くのは 『詐欺』です」とシェンカー・オソリオは言います。「私たちが選挙前の調査で見たのは、トランプの力を再確認したり、権威主義者として彼をキャストしたりすると、人々の投票意欲が低下したということでした。」
一方、ポドホルツァーは、世論調査がトランプの支持を過小評価していることを知っているすべての人に警告していた。選挙日の前にポドホルツァーと話をした主要なネットワークの政治ユニットのメンバーによると、彼が選挙を呼ぶメディア組織と共有したデータは、投票が行われたときに何が起こっていたかを理解するのに「非常に役立ちました」。ほとんどのアナリストは、主要な戦場に「青方偏移」があることを認識していました。これは、郵送投票の集計によって引き起こされた民主党への投票の急増ですが、選挙日にトランプがどれほど優れているかを理解していませんでした。 。「不在者投票の規模と州ごとの差異を文書化できることが不可欠でした」とアナリストは言います。
人々の力
5月のジョージフロイドの殺害によって引き起こされた人種的正義の反乱は、主に政治運動ではありませんでした。それを導くのを助けた主催者は、それが政治家によって採用されることを許さずに選挙のためにその勢いを利用したかった。それらの主催者の多くは、民主主義防衛連合と提携した激戦州の活動家から、黒人生活運動で主導的な役割を果たしている組織まで、ポドホルツァーのネットワークの一部でした。
人々の声が確実に聞こえるようにする最善の方法は、投票する能力を保護することであると彼らは決定しました。「私たちは、伝統的な選挙保護地域を補完するだけでなく、警察への通報に依存しないプログラムについて考え始めました」と、働く家族達の党の全国組織ディレクターであるネリーニスタンプは言います。彼らは、従来の世論調査ウォッチャーとは異なり、エスカレーション解除技術の訓練を受けた「選挙擁護者」の力を生み出しました。期日前投票中および選挙日に、彼らは都市部の有権者の列を「投票への喜び」の努力で囲み、投票をストリートパーティーに変えました。黒人の主催者はまた、投票所が彼らのコミュニティで開かれたままであることを確実にするために何千人もの投票所労働者を募集しました。
夏の蜂起は、人々の力が大きな影響を与える可能性があることを示していました。トランプが選挙を盗もうとした場合、活動家はデモを再演する準備を始めた。「トランプが選挙に干渉した場合、アメリカ人は広範な抗議を計画している」とロイターは10月に報告した。そのような多くの話の1つである。Women'sMarchからSierraClub、Color of Change、Democrats.comからDemocratic Socialists of Americaまで、150を超えるリベラルなグループが「ProtecttheResults」連合に参加しました。グループの現在は機能していないウェブサイトには、400の選挙後のデモンストレーションがリストされた地図があり、11月4日からテキストメッセージでアクティブになります。
ストレンジベッドフェロー
選挙日の約1週間前に、ポドホルツァーは予期しないメッセージを受け取りました。全米商工会議所が話したかったのです。
AFL-CIOと商工会議所には長い敵意の歴史があります。どちらの組織も明らかに党派的ではありませんが、影響力のあるビジネスロビーは、国の組合が数億ドルを民主党に注ぎ込んでいるように、共和党のキャンペーンに数億ドルを注ぎ込んでいます。一方は労働であり、他方は経営者であり、権力と資源をめぐる永遠の闘争に閉じ込められています。
しかし、舞台裏では、経済界は選挙とその余波がどのように展開するかについての独自の不安な議論に従事していました。夏の人種的正義の抗議は、事業主にも信号を送りました:経済を混乱させる市民の混乱の可能性。商工会議所の副大統領兼最高政策責任者であるニール・ブラッドリーは、次のように述べています。これらの懸念により、商工会議所は、ワシントンを拠点とするCEOのグループであるビジネス円卓会議、および製造業者、卸売業者、小売業者の協会との選挙前声明を発表し、投票が数えられるにつれて忍耐と自信を求めました。
しかし、ブラッドリーはより広く、より超党派的なメッセージを送りたかったのです。彼は仲介者を通じてポドホルツァーに連絡を取り、両方の男性は名前を挙げなかった。彼らのありそうもない同盟が強力であることに同意して、彼らは公正で平和な選挙への彼らの組織の共通のコミットメントを誓約する共同声明について議論し始めました。彼らは慎重に言葉を選び、最大の影響を与えるために声明の発表を予定しました。それが完成するにつれ、クリスチャンの指導者たちは参加への関心を示し、その範囲をさらに広げました。
この声明は、選挙日に、商工会議所のCEOであるトーマスドノヒュー、AFL-CIOのリチャードトルムカ会長、および全米福音派協会と全米アフリカ系アメリカ人聖職者ネットワークの長の名前で発表されました。「選挙管理人には、適用法に従ってすべての投票を数えるためのスペースと時間を与えることが不可欠です」と述べています。「私たちは、メディア、候補者、そしてアメリカの人々に、通常よりも時間がかかるとしても、私たちのシステムへのプロセスと信頼に忍耐を行使するよう呼びかけます。」グループはさらに、「投票の上下で望ましい結果に常に同意するとは限らないが、暴力、脅迫、または国家としての弱体化をもたらすその他の戦術なしにアメリカの民主的プロセスを進めることを求めて団結している」と付け加えた。
見せて、立って
選挙の夜は、多くの民主党員が絶望したことから始まりました。トランプは選挙前の世論調査に先んじて走り、フロリダ、オハイオ、テキサスを簡単に勝ち取り、ミシガン、ウィスコンシン、ペンシルベニアを呼び寄せることができなかった。しかし、私がその夜彼に話しかけたとき、ポドホルツァーは動揺していませんでした。リターンは彼のモデリングと正確に一致していました。彼は何週間もの間、トランプの投票率が急上昇していると警告していた。数字がドリブルしたとき、彼はすべての票が数えられている限り、トランプは負けるだろうと言うことができました。
午後11時のズームコールのために集まった自由同盟。数百人が参加しました。多くの人がびっくりしていました。「私とその瞬間のチームにとって、私たちがすでに知っていたことが真実であると地に足をつけるのを助けることは本当に重要でした」と民主主義防衛連合のディレクターであるアンジェラ・ピープルズは言います。ポドホルツァーは、勝利が手元にあることをグループに示すためのデータを提示しました。
彼が話している間、フォックスニュースはアリゾナにバイデンを呼んでみんなを驚かせた。啓発キャンペーンはうまくいきました。テレビのアンカーは、注意を促し、投票数を正確に組み立てるために後ろ向きに曲がっていました。次に、問題は次に何をすべきかということになりました。
その後の会話は、抗議戦略を担当する活動家が率いる難しい会話でした。「私たちは、大勢の人を通りに移動させるのに適切な時期がいつであるかを意識したかったのです」とピープルズは言います。彼らが力を発揮することを熱望していたのと同じくらい、すぐに動員することは裏目に出て人々を危険にさらす可能性がありました。激しい衝突に発展した抗議は、トランプが夏の間持っていたように連邦捜査官または軍隊を送る口実を与えるでしょう。そして、同盟はトランプと戦い続けることによってトランプの不満を高めるのではなく、人々が話したメッセージを送りたかったのです。
それで、言葉は出ました:立ちなさい。Protect the Resultsは、「今日、全国の動員ネットワーク全体を活性化するのではなく、必要に応じて活性化する準備ができている」と発表しました。Twitterで、憤慨した進歩主義者たちは何が起こっているのか疑問に思いました。なぜ誰もトランプのクーデターを止めようとしなかったのですか?すべての抗議はどこにありましたか?
ポドホルツァーは、活動家たちの抑制を認めています。「彼らは水曜日に街頭に出る準備をするのにとても多くの時間を費やしました。しかし、彼らはそれをしました」と彼は言います。「水曜日から金曜日まで、誰もが予想していたようなアンティファ対プラウドボーイズの事件は1件もありませんでした。そしてそれが実現しなかったとき、私はトランプキャンペーンがバックアップ計画を持っていたとは思わない。」
活動家たちは、週末のお祝いに向けて、プロテクト・ザ・リザルトの抗議行動の方向を変えました。「私たちの自信を持って彼らの偽情報に対抗し、祝う準備をしてください」と、11月6日金曜日にリベラル同盟に提示されたメッセージガイダンスShenker-Osorioを読んでください。雰囲気:自信があり、前向きで、統一されています。受動的ではなく、不安です。」候補者ではなく、有権者が物語の主人公になるでしょう。
祝賀会の予定日は、11月7日に行われた選挙と偶然に一致しました。フィラデルフィアの街で踊っている活動家は、トランプキャンペーンの記者会見の試みでビヨンセを爆破しました。トランパーズの次のコンファブは、市内中心部の外にあるフォーシーズンズトータルランドスケープに予定されていましたが、活動家は偶然ではないと信じています。「フィラデルフィアの人々はフィラデルフィアの通りを所有していました」と、働く家族達の党のミッチェルは鳴きます。「私たちは、民主主義の楽しいお祝いと彼らのピエロのショーを対比することによって、彼らをばかげているように見せました。」
投票は数えられていた。トランプは負けていた。しかし、戦いは終わっていませんでした。
勝利への5つのステップ
ポドホルツァーのプレゼンテーションでは、投票に勝つことは選挙に勝つための最初のステップにすぎませんでした。その後、カウントを獲得し、認定を獲得し、選挙人団を獲得し、移行を獲得しました。これは通常は手続きですが、トランプが混乱の機会と見なすと彼は知っていました。地元の共和党員に対するトランプの圧力が危険なほど働きに近づき、自由主義的で保守的な民主化推進勢力がそれに対抗するために加わったミシガン州ほど、それが明白な場所はありません。
デトロイトでの選挙の夜の午後10時頃、大量のテキストがArt ReyesIIIの電話を照らしました。多数の共和党選挙監視員がTCFセンターに到着し、そこで投票が集計されていました。彼らは開票台を混雑させ、マスクの着用を拒否し、ほとんどが黒人労働者をやじていた。We the PeopleMichiganを率いるフリント出身のReyesはこれを期待していました。何ヶ月もの間、保守的なグループは都市の不正投票について疑惑を投げかけていました。「言葉は、 『彼らは選挙を盗むつもりです。デトロイトでは、投票が行われるずっと前に詐欺が発生するでしょう」とレイエスは言います。
トランプ支持者は、11月4日にデトロイトのTCFセンターで投票数を混乱させようとしています エレインクロミー—ゲッティイメージズ
彼はアリーナに行き、彼のネットワークに言葉を送りました。45分以内に、数十の援軍が到着しました。彼らが内部の共和党のオブザーバーにカウンターウェイトを提供するためにアリーナに入ったとき、レイエスは彼らの携帯電話番号を削除し、それらを大規模なテキストチェーンに追加しました。デトロイトウィルブリーズの人種平等活動家は、フェムズフォーデムズの郊外の女性や地元の選出された役人と一緒に働きました。レイエスは午前3時に出発し、テキストチェーンを障害者活動家に引き渡しました。
彼らが選挙認証プロセスのステップを計画したとき、活動家は人々の決定権を前景にし、彼らの声を聞くことを要求し、黒人デトロイトの権利を剥奪することの人種的影響に注意を喚起する戦略に落ち着きました。彼らはウェイン郡の選挙運動委員会の11月17日の認証会議にメッセージの証言を殺到した。トランプのツイートにもかかわらず、共和党の理事会メンバーはデトロイトの投票を証明した。
選挙管理委員会は1つの圧力ポイントでした。もう1つは、共和党が管理する立法府で、トランプは選挙の無効を宣言し、自分の選挙人を任命できると信じていました。そのため、大統領は11月20日、ミシガン州議会の共和党指導者であるリー・チャットフィールド下院議長とマイク・シャーキー上院議長をワシントンに招待した。
それは危険な瞬間でした。チャットフィールドとシャーキーがトランプの入札を行うことに同意した場合、他の州の共和党員も同様にいじめられる可能性があります。「私は物事がおかしくなるのではないかと心配していました」と元ミシガン州共和党の事務局長であるジェフ・ティマーは反トランプ活動家になりました。Norm Eisenは、それを選挙全体の「最も恐ろしい瞬間」と表現しています。
民主主義の擁護者たちは、全面的な報道を開始した。Protect Democracyの地元の連絡先は、議員の個人的および政治的動機を調査しました。Issue Oneは、ランシングでテレビ広告を掲載しました。商工会議所のブラッドリーは、プロセスを綿密に監視していました。元共和党議員のワンプは、元同僚のマイク・ロジャースに電話をかけた。マイク・ロジャースは、有権者の意志を尊重するよう当局に促すデトロイト新聞の論説を書いた。ミシガン州の元知事3人、共和党のジョン・エングラー、リック・スナイダー、民主党のジェニファー・グランホルムは、ミシガン州の選挙人票をホワイトハウスからの圧力から解放するよう共同で求めた。元ビジネス円卓会議の責任者であるエングラーは、影響力のあるドナーや、議員に個人的に圧力をかけることができる共和党の長老​​政治家に電話をかけた。
民主化推進勢力は、共和党全国委員会の議長であるロナ・マクダニエルと、元教育長官で億万長者のGOPドナーのメンバーであるベッツィ・デヴォスの同盟国によって支配されているミシガン州のトランピッドGOPに反対しました。11月18日の彼のチームとの電話で、バッシンは彼の側の圧力がトランプが提供できるものに匹敵しないことを発散した。「もちろん、彼は彼らに何かを提供しようとします」とバッサンは考えたことを思い出します。「宇宙軍の長!どこへでも大使!にんじんを提供することでそれと競争することはできません。スティックが必要です。」
トランプが個人的な好意と引き換えに何かを提供した場合、それは賄賂を構成する可能性が高い、とバッシンは推論した。彼はミシガン大学の法学教授であるリチャード・プリムスに電話をかけて、プリムスが同意し、公に議論するかどうかを確認した。プリムス氏は、会議自体は不適切だと考え、州の司法長官である民主党員は調査せざるを得ないだろうと警告するポリティコの論説に取り掛かったと述べた。記事が11月19日に投稿されたとき、司法長官のコミュニケーションディレクターはそれをツイートしました。Protect Democracyはすぐに、議員が翌日トランプとの会合に弁護士を連れてくることを計画しているという知らせを受けました。
レイエスの活動家は、フライトスケジュールをスキャンし、シャーキーのDCへの旅の両端で空港に群がり、議員が精査されていることを強調しました。会談後、二人は大統領に彼らの構成員にCOVID救済を提供するよう圧力をかけ、選挙プロセスに何の役割も見られないと彼に知らせた。それから彼らはペンシルバニアアベニューのトランプホテルに飲みに行きました。ストリートアーティストは、THE WORLD IS WATCHINGという言葉とともに、彼らのイメージを建物の外に投影しました。
それは最後の一歩を残しました:2人の民主党員と2人の共和党員で構成された州の選挙運動委員会。DeVos家の政治的非営利団体に雇われたトランパーである1人の共和党員は、認証に投票することを期待されていませんでした。取締役会の他の共和党員は、アーロン・ヴァン・ランゲヴェルデというあまり知られていない弁護士でした。彼は自分が何をしようとしているのかについての合図を送らず、全員を追い詰めた。
会議が始まると、レイエスの活動家たちはライブストリームを氾濫させ、Twitterにハッシュタグ#alleyesonmiを付けました。一桁の出席に慣れているボードは、突然数千人の聴衆に直面しました。数時間の証言の中で、活動家たちは、公務員を叱るのではなく、有権者の希望を尊重し、民主主義を肯定するというメッセージを強調した。Van Langeveldeは、前例に従うことをすぐに合図しました。投票は3-0でした。他の共和党員は棄権した。
その後、ドミノが倒れた。ペンシルベニア州、ウィスコンシン州、およびその他の州が選挙人を認定しました。アリゾナ州とジョージア州の共和党幹部は、トランプのいじめに立ち向かった。そして選挙人団は12月14日に予定通りに投票した。
私たちがどのように閉じるか
ポドホルツァーの心に最後のマイルストーンが1つありました。1月6日。議会が選挙人団を集計するために会合する日に、トランプは集会のために彼の支持者をワシントンDCに召喚しました。
驚いたことに、彼の呼びかけに答えた何千人もの人々は、事実上反対デモ参加者に会いませんでした。安全を確保し、騒乱のせいにされないようにするために、残された活動家は「対抗活動を激しく思いとどまらせた」と、ポドホルツァーは1月6日の朝、指を交差させた絵文字で私にテキストメッセージを送った。
Incited by the President, Trump Supporters Violently Storm the Capitol共有
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トランプはその日の午後、議員やマイク・ペンス副大統領が州の選挙人票を拒否する可能性があるという嘘を売り、群衆に話しかけた。彼は彼らに国会議事堂に行って「地獄のように戦う」ように言いました。それから彼は彼らが建物を略奪したのでホワイトハウスに戻った。議員たちが命をかけて逃げ出し、彼自身の支持者が撃たれて踏みにじられたとき、トランプは暴動を「非常に特別」だと賞賛した。
それは民主主義に対する彼の最後の攻撃でした、そして再び、それは失敗しました。立ち上がることによって、民主主義運動家は敵を追い出しました。「正直なところ、私たちは歯の皮で勝ちました。それは人々が一緒に座る重要なポイントです」と民主主義防衛連合の人々は言います。「有権者が決定し、民主主義が勝ったと言う衝動��あります。しかし、この選挙サイクルが民主主義の強さを示していると考えるのは間違いです。それは民主主義がいかに脆弱であるかを示しています。」
選挙を保護するための同盟のメンバーは、別々の道を進んでいます。ファイトバックテーブルは存続しているものの、民主主義防衛連合は解散しました。民主主義を保護し、良い政府の支持者たちは議会の差し迫った改革に注意を向けました。左翼活動家は、新たに権限を与えられた民主党員に、彼らをそこに置いた有権者を覚えておくよう圧力をかけている一方、公民権団体は、投票に対するさらなる攻撃を警戒している。ビジネスリーダーは1月6日の攻撃を非難し、バイデンの勝利を証明することを拒否した議員にはもはや寄付しないと言う人もいます。ポドホルツァーと彼の同盟国は、まだズーム戦略セッションを開催しており、有権者の意見を測定し、新しいメッセージを作成しています。そしてトランプはフロリダにいて、2度目の弾劾に直面しています。
私が11月と12月にこの記事を報告していたとき、私はトランプの陰謀を阻止したことで誰が信用を得るべきかについて異なる主張を聞いた。自由主義者は、ボトムアップの人々の力の役割、特に有色人種や地元の草の根活動家の貢献を見逃してはならないと主張した。他の人々は、ヴァン・ランゲヴェルデやジョージア州務長官のブラッド・ラフェンスパーガーのような共和党幹部の英雄的行動を強調しました。真実は、どちらも他がなければ成功しなかった可能性が高いということです。「私たちがどれほ��近づいたか、これがどれほど壊れやすいかは驚くべきことです」と、元ミシガン州共和党の事務局長であるティマーは言います。「ワイリーE.コヨーテが崖から逃げるようなものです。見下ろさなければ、倒れることはありません。私たちの民主主義は、私たち全員が信じて見下していなければ生き残れません。」
結局、民主主義が勝ちました。人々の意志が勝った。しかし、振り返ってみると、これがアメリカ合衆国で選挙を行うのにかかったものであるというのはクレイジーです。
– LESLIE DICKSTEIN、MARIAH ESPADA、SIMMONESHAHによるレポート
訂正が追加されました、2月5日:この物語の元のバージョンは、ノーム・エイセンの組織の名前を間違えました。これは有権者保護プログラムであり、有権者保護プロジェクトではありません。この物語の元のバージョンはまた、ミシガン共和党でのジェフ・ティマーの以前の立場を誤解していました。彼は会長ではなく事務局長でした。
これは、TIMEの2021年2月15日号に掲載されています。
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guragura000 · 4 years
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自殺未遂
何度も死のうとしている。
これからその話をする。
自殺未遂は私の人生の一部である。一本の線の上にボツボツと真っ黒な丸を描くように、その記憶は存在している。
だけど誰にも話せない。タブーだからだ。重たくて悲しくて忌み嫌われる話題だからだ。皆それぞれ苦労しているから、人の悲しみを背負う余裕なんてないのだ。
だから私は嘘をつく。その時代を語る時、何もなかったふりをする。引かれたり、陰口を言われたり、そういう人だとレッテルを貼られたりするのが怖いから。誰かの重荷になるのが怖いから。
一人で抱える秘密は、重たい。自分のしたことが、当時の感情が、ずっしりと肩にのしかかる。
私は楽になるために、自白しようと思う。黙って平気な顔をしているのに、もう疲れてしまった。これからは場を選んで、私は私の人生を正直に語ってゆきたい。
十六歳の時、初めての自殺未遂をした。
五年間の不登校生活を脱し高校に進学したものの、面白いくらい馴染めなかった。天真爛漫に女子高生を満喫する宇宙人のようなクラスメイトと、同じ空気を吸い続けることは不可能だと悟ったのだ。その結果、私は三ヶ月で中退した。
自信を失い家に引きこもる。どんよりと暗い台所でパソコンをいじり続ける。将来が怖くて、自分が情けなくて、見えない何かにぺしゃんこに潰されてしまいそうだった。家庭は荒れ、母は一日中家にいる私に「普通の暮らしがしたい」と呟いた。自分が親を苦しめている。かといって、この先どこに行っても上手くやっていける気がしない。悶々としているうちに十キロ痩せ、生理が止まった。肋が浮いた胸で死のうと決めた。冬だった。
夜。親が寝静まるのを待ちそっと家を出る。雨が降っているのにも関わらず月が照っている。青い光が濁った視界を切り裂き、この世の終わりみたいに美しい。近所の河原まで歩き、濡れた土手を下り、キンキンに冷えた真冬の水に全身を浸す。凍傷になれば数分で死に至ることができると聞いた。このままもう少しだけ耐えればいい。
寒い!私の体は震える。寒い!あっという間に歯の根が合わなくなる。頭のてっぺんから爪先までギリギリと痛みが駆け抜け、三秒と持たずに陸へ這い上がった。寒い、寒いと呟きながら、体を擦り擦り帰路を辿る。ずっしりと水を含んだジャージが未来のように重たい。
風呂場で音を立てぬよう泥を洗い流す。白いタイルが砂利に汚されてゆく。私は死ぬことすらできない。妙な落胆が頭を埋めつくした。入水自殺は無事、失敗。
二度目の自殺未遂は十七歳の時だ。
その頃私は再入学した高校での人間関係と、精神不安定な母との軋轢に悩まされていた。学校に行けば複雑な家庭で育った友人達の、無視合戦や泥沼恋愛に巻き込まれる。あの子が嫌いだから無視をするだのしないだの、彼氏を奪っただの浮気をしているだの、親が殴ってくるだの実はスカトロ好きのゲイだだの、裏のコンビニで喫煙しているだの先生への舌打ちだの⋯⋯。距離感に不器用な子達が多く、いつもどこかしらで誰かが傷つけ合っていた。教室には無気力と混乱が煙幕のように立ち込め、普通に勉強し真面目でいることが難しく感じられた。
家に帰れば母が宗教のマインドコントロールを引きずり「地獄に落ちるかもしれない」などと泣きついてくる。以前意地悪な信者の婆さんに、子どもが不登校になったのは前世の因縁が影響していて、きちんと祈らないと地獄に落ちる、と吹き込まれたのをまだ信じているのだ。そうでない時は「きちんと家事をしなくちゃ」と呪いさながらに繰り返し、髪を振り乱して床を磨いている。毎日手の込んだフランス料理が出てくるし、近所の人が買い物先までつけてくるとうわ言を言っている。どう考えても母は頭がおかしい。なのに父は「お母さんは大丈夫だ」の一点張りで、そのくせ彼女の相手を私に丸投げするのだ。
胸糞の悪い映画さながらの日々であった。現実の歯車がミシミシと音を立てて狂ってゆく。いつの間にやら天井のシミが人の顔をして私を見つめてくる。暗がりにうずくまる家具が腐り果てた死体に見えてくる。階段を昇っていると後ろから得体の知れない化け物が追いかけてくるような気がする。親が私の部屋にカメラを仕掛け、居間で監視しているのではないかと心配になる。ホラー映画を見ている最中のような不気味な感覚が付きまとい、それから逃れたくて��を買い吐くまで酔い潰れ手首を切り刻む。ついには幻聴が聞こえ始め、もう一人の自分から「お前なんか死んだ方がいい」と四六時中罵られるようになった。
登下校のために電車を待つ。自分が電車に飛び込む幻が見える。車体にすり潰されズタズタになる自分の四肢。飛び込む。粉々になる。飛び込む。足元が真っ赤に染まる。そんな映像が何度も何度も巻き戻される。駅のホームは、どこまでも続く線路は、私にとって黄泉への入口であった。ここから線路に倒れ込むだけで天国に行ける。気の狂った現実から楽になれる。しかし実行しようとすると私の足は震え、手には冷や汗が滲んだ。私は高校を卒業するまでの四年間、映像に重なれぬまま一人電車を待ち続けた。飛び込み自殺も無事、失敗。
三度目の自殺未遂は二十四歳、私は大学四年生だった。
大学に入学してすぐ、執拗な幻聴に耐えかね精神科を受診した。セロクエルを服用し始めた瞬間、意地悪な声は掻き消えた。久しぶりの静寂に手足がふにゃふにゃと溶け出しそうになるくらい、ほっとする。しかし。副作用で猛烈に眠い。人が傍にいると一睡もできないたちの私が、満員の講義室でよだれを垂らして眠りこけてしまう。合う薬を模索する中サインバルタで躁転し、一ヶ月ほど過活動に勤しんだりしつつも、どうにか普通の顔を装いキャンパスにへばりついていた。
三年経っても服薬や通院への嫌悪感は拭えなかった。生き生きと大人に近づいていく友人と、薬なしでは生活できない自分とを見比べ、常に劣等感を感じていた。特に冬に体調が悪くなり、課題が重なると疲れ果てて寝込んでしまう。人混みに出ると頭がザワザワとして不安になるため、酒盛りもアルバイトもサークル活動もできない。鬱屈とした毎日が続き闘病に嫌気がさした私は、四年の秋に通院を中断してしまう。精神薬が抜けた影響で揺り返しが起こったこと、卒業制作に追われていたこと、就職活動に行き詰まっていたこと、それらを誰にも相談できなかったことが積み重なり、私は鬱へと転がり落ちてゆく。
卒業制作の絵本を拵える一方で遺品を整理した。洋服を売り、物を捨て、遺書を書き、ネット通販でヘリウムガスを手に入れた。どうして卒制に遅れそうな友達の面倒を見ながら遺品整理をしているのか分からない。自分が真っ二つに割れてしまっている。混乱しながらもよたよたと気力で突き進む。なけなしの努力も虚しく、卒業制作の提出を逃してしまった。両親に高額な学費を負担させていた負い目もあり、留年するぐらいなら死のうとこりずに決意した。
クローゼットに眠っていたヘリウムガス缶が起爆した。私は人の頭ほどの大きさのそれを担いで、ありったけの精神薬と一緒に車に積み込んだ。それから山へ向かった。死ぬのなら山がいい。夜なら誰であれ深くまで足を踏み入れないし、展望台であれば車が一台停まっていたところで不審に思われない。車内で死ねば腐っていたとしても車ごと処分できる。
展望台の駐車場に車を突っ込み、無我夢中でガス缶にチューブを繋ぎポリ袋の空気を抜く。本気で死にたいのなら袋の酸素濃度を極限まで減らさなければならない。真空状態に近い状態のポリ袋を被り、そこにガスを流し込めば、酸素不足で苦しまずに死に至ることができるのだ。大量の薬を水なしで飲み下し、袋を被り、うつらうつらしながら缶のコックをひねる。シューッと気体が満ちる音、ツンとした臭い。視界が白く透き通ってゆく。死ぬ時、人の意識は暗転ではなくホワイトアウトするのだ。寒い。手足がキンと冷たい。心臓が耳の奥にある。ハツカネズミと同じ速度でトクトクと脈動している。ふとシャンプーを切らしていたことを思い出し、買わなくちゃと考える。遠のいてゆく意識の中、日用品の心配をしている自分が滑稽で、でも、もういいや。と呟く。肺が詰まる感覚と共に、私は意識を失う。
気がつくと後部座席に転がっている。目覚めてしまった。昏倒した私は暴れ、自分でポリ袋をはぎ取ったらしい。無意識の私は生きたがっている。本当に死ぬつもりなら、こうならぬように手首を後ろできつく縛るべきだったのだ。私は自分が目覚めると、知っていた。嫌な臭いがする。股間が冷たい。どうやら漏らしたようだ。フロントガラスに薄らと雪が積もっている。空っぽの薬のシートがバラバラと散乱している。指先が傷だらけだ。チューブをセットする際、夢中になるあまり切ったことに気がつかなかったようだ。手の感覚がない。鈍く頭痛がする。目の前がぼやけてよく見えない。麻痺が残ったらどうしよう。恐ろしさにぶるぶると震える。さっきまで何もかもどうでも良いと思っていたはずなのに、急に体のことが心配になる。
後始末をする。白い視界で運転をする。缶は大学のゴミ捨て場に捨てる。帰宅し、後部座席を雑巾で拭き、薬のシートをかき集めて処分する。ふらふらのままベッドに倒れ込み、失神する。
その後私は、卒業制作の締切を逃したことで教授と両親から怒られる。翌日、何事もなかったふりをして大学へ行き、卒制の再提出の交渉する。病院に保護してもらえばよかったのだがその発想もなく、ぼろ切れのようなメンタルで卒業制作展の受付に立つ。ガス自殺も無事、失敗。
四度目は二十六歳の���だ。
何とか大学卒業にこぎつけた私は、入社試験がないという安易な理由でホテルに就職し一人暮らしを始めた。手始めに新入社員研修で三日間自衛隊に入隊させられた。それが終わると八時間ほぼぶっ続けで宴会場を走り回る日々が待っていた。典型的な古き良き体育会系の職場であった。
朝十時に出社し夜の十一時に退社する。夜露に湿ったコンクリートの匂いをかぎながら浮腫んだ足をズルズルと引きずり、アパートの玄関にぐしゃりと倒れ込む。ほとんど意識のないままシャワーを浴びレトルト食品を貪り寝床に倒れ泥のように眠る。翌日、朝六時に起床し筋肉痛に膝を軋ませよれよれと出社する。不安定なシフトと不慣れな肉体労働で病状は悪化し、働いて二年目の夏、まずいことに躁転してしまった。私は臨機応変を求められる場面でパニックを起こすようになり、三十分トイレにこもって泣く、エレベーターで支離滅裂な言葉を叫ぶなどの奇行を繰り返す、モンスター社員と化してしまった。人事に持て余され部署をたらい回しにされる。私の世話をしていた先輩が一人、ストレスのあまり退社していった。
躁とは恐ろしいもので人を巻き込む。プライベートもめちゃくちゃになった。男友達が性的逸脱症状の餌食となった。五年続いた彼氏と別れた。よき理解者だった友と言い争うようになり、立ち直れぬほどこっぴどく傷つけ合った。携帯電話をハイヒールで踏みつけバキバキに破壊し、コンビニのゴミ箱に投げ捨てる。出鱈目なエネルギーが毛穴という毛穴からテポドンの如く噴出していた。手足や口がばね仕掛けになり、己の意思を無視して動いているようで気味が悪かった。
寝る前はそれらの所業を思い返し罪悪感で窒息しそうになる。人に迷惑をかけていることは自覚していたが、自分ではどうにもできなかった。どこに頼ればいいのか分からない、生きているだけで迷惑をかけてしまう。思い詰め寝床から出られなくなり、勤務先に泣きながら休養の電話をかけるようになった。
会社を休んだ日は正常な思考が働かなくなる。近所のマンションに侵入し飛び降りようか悩む。落ちたら死ねる高さの建物を、砂漠でオアシスを探すジプシーさながらに彷徨い歩いた。自分がアパートの窓から落下してゆく幻を見るようになった。だが、無理だった。できなかった。あんなに人に迷惑をかけておきながら、私の足は恥ずかしくも地べたに根を張り微動だにしないのだった。
アパートの部屋はムッと蒸し暑い。家賃を払えなければ追い出される、ここにいるだけで税金をむしり取られる、息をするのにも金がかかる。明日の食い扶持を稼ぐことができない、それなのに腹は減るし喉も乾く、こんなに汗が滴り落ちる、憎らしいほど生きている。何も考えたくなくて、感じたくなくて、精神薬をウイスキーで流し込み昏倒した。
翌日の朝六時、朦朧と覚醒する。会社に体調不良で休む旨を伝え、再び精神薬とウイスキーで失神する。目覚めて電話して失神、目覚めて電話して失神。夢と現を行き来しながら、手元に転がっていたカッターで身体中を切り刻み、吐瀉し、意識を失う。そんな生活が七日間続いた。
一週間目の早朝に意識を取り戻した私は、このままでは死ぬと悟った。にわかに生存本能のスイッチがオンになる。軽くなった内臓を引っさげ這うように病院へと駆け込み、看護師に声をかける。
「あのう。一週間ほど薬と酒以外何も食べていません」
「そう。それじゃあ辛いでしょう。ベッドに寝ておいで」
優しく誘導され、白いシーツに倒れ込む。消毒液の香る毛布を抱きしめていると、ぞろぞろと数名の看護師と医師がやってきて取り囲まれた。若い男性医師に質問される。
「切ったの?」
「切りました」
「どこを?」
「身体中⋯⋯」
「ごめんね。少し見させて」
服をめくられる。私の腹を確認した彼は、
「ああ。これは入院だな」
と呟いた。私は妙に冷めた頭で聞く。
「今すぐですか」
「うん、すぐ。準備できるかな」
「はい。日用品を持ってきます」
私はびっくりするほどまともに帰宅し、もろもろを鞄に詰め込んで病院にトンボ帰りした。閉鎖病棟に入る。病室のベッドの周りに荷物を並べながら、私よりももっと辛い人間がいるはずなのにこれくらいで入院だなんておかしな話だ、とくるくる考えた。一度狂うと現実を測る尺度までもが狂うようだ。
二週間入院する。名も知らぬ睡眠薬と精神安定剤を処方され、飲む。夜、病室の窓から街を眺め、この先どうなるのかと不安になる。私の主治医は「君はいつかこうなると思ってたよ」と笑った。以前から通院をサポートする人間がいないのを心配していたのだろう。
退院後、人事からパート降格を言い渡され会社を辞めた。後に勤めた職場でも上手くいかず、一人暮らしを断念し実家に戻った。飛び降り自殺、餓死自殺、無事、失敗。
五度目は二十九歳の時だ。
四つめの転職先が幸いにも人と関わらぬ仕事であったため、二年ほど通い続けることができた。落ち込むことはあるものの病状も安定していた。しかしそのタイミングで主治医が代わった。新たな主治医は物腰柔らかな男性だったが、私は病状を相談することができなかった。前の医師は言葉を引き出すのが上手く、その環境に甘えきっていたのだ。
時給千円で四時間働き、月収は六万から八万。いい歳をして脛をかじっているのが忍びなく、実家に家賃を一、二万入れていたので、自由になる金は五万から七万。地元に友人がいないため交際費はかからない、年金は全額免除の申請をした、それでもカツカツだ。大きな買い物は当然できない。小さくとも出費があると貯金残高がチラつき、小一時間は今月のやりくりで頭がいっぱいになる。こんな額しか稼げずに、この先どうなってしまうのだろう。親が死んだらどうすればいいのだろう。同じ年代の人達は順調にキャリアを積んでいるだろう。資格も学歴もないのにズルズルとパート勤務を続けて、まともな企業に転職できるのだろうか。先行きが見えず、暇な時間は一人で悶々と考え込んでしまう。
何度目かの落ち込みがやってきた時、私は愚かにも再び通院を自己中断してしまう。病気を隠し続けること、精神疾患をオープンにすれば低所得をやむなくされることがプレッシャーだった。私も「普通の生活」を手に入れてみたかったのだ。案の定病状は悪化し、練炭を購入するも思い留まり返品。ふらりと立ち寄ったホームセンターで首吊りの紐を買い、クローゼットにしまう。私は鬱になると時限爆弾を買い込む習性があるらしい。覚えておかなければならない。
その職場を退職した後、さらに三度の転職をする。ある職場は椅子に座っているだけで涙が出るようになり退社した。別の職場は人手不足の影響で仕事内容が変わり、人事と揉めた挙句退社した。最後の転職先にも馴染めず八方塞がりになった私は、家族と会社に何も告げずに家を飛び出し、三日間帰らなかった。雪の降る中、車中泊をして、寒すぎると眠れないことを知った。家族は私を探し回り、ラインの通知は「帰っておいで」のメッセージで埋め尽くされた。漫画喫茶のジャンクな食事で口が荒れ、睡眠不足で小間切れにうたた寝をするようになった頃、音を上げてふらふらと帰宅した。勤務先に電話をかけると人事に静かな声で叱られた。情けなかった。私は退社を申し出た。気がつけば一年で四度も職を代わっていた。
無職になった。気分の浮き沈みが激しくコントロールできない。父の「この先どうするんだ」の言葉に「私にも分からないよ!」と怒鳴り返し、部屋のものをめちゃくちゃに壊して暴れた。仕事を辞める度に無力感に襲われ、ハローワークに行くことが恐ろしくてたまらなくなる。履歴書を書けばぐちゃぐちゃの職歴欄に現実を突きつけられる。自分はどこにも適応できないのではないか、この先まともに生きてゆくことはできないのではないか、誰かに迷惑をかけ続けるのではないか。思い詰め、寝室の柱に時限爆弾をぶら下げた。クローゼットの紐で首を吊ったのだ。
紐がめり込み喉仏がゴキゴキと軋む。舌が押しつぶされグエッと声が出る。三秒ぶら下がっただけなのに目の前に火花が散り、苦しくてたまらなくなる。何度か試したが思い切れず、紐を握り締め泣きじゃくる。学校に行く、仕事をする、たったそれだけのことができない、人間としての義務を果たせない、税金も払えない、親の負担になっている、役立たずなのにここまで生き延びている。生きられない。死ねない。どこにも行けない。私はどうすればいいのだろう。釘がくい込んだ柱が私の重みでひび割れている。
泣きながら襖を開けると、ペットの兎が小さな足を踏ん張り私を見上げていた。黒くて可愛らしい目だった。私は自分勝手な絶望でこの子を捨てようとした。撫でようとすると、彼はきゅっと身を縮めた。可愛い、愛する子。どんな私でいても拒否せず撫でさせてくれる、大切な子。私の身勝手さで彼が粗末にされることだけはあってはならない、絶対に。ごめんね、ごめんね。柔らかな毛並みを撫でながら、何度も謝った。
この出来事をきっかけに通院を再開し、障害者手帳を取得する。医療費控除も障害者年金も申請した。精神疾患を持つ人々が社会復帰を目指すための施設、デイケアにも通い始めた。どん底まで落ちて、自分一人ではどうにもならないと悟ったのだ。今まさに社会復帰支援を通し、誰かに頼り、悩みを相談する方法を勉強している最中だ。
病院通いが本格化してからというもの、私は「まとも」を諦めた。私の指す「まとも」とは、周りが満足する状態まで自分を持ってゆくことであった。人生のイベントが喜びと結びつくものだと実感できぬまま、漠然としたゴールを目指して走り続けた。ただそれをこなすことが人間の義務なのだと思い込んでいた。
自殺未遂を繰り返しながら、それを誰にも打ち明けず、悟らせず、発見されずに生きてきた。約二十年もの間、母の精神不安定、学校生活や社会生活の不自由さ、病気との付き合いに苦しみ、それら全てから解放されたいと願っていた。
今、なぜ私が生きているか。苦痛を克服したからではない。死ねなかったから生きている。死ぬほど苦しく、何度もこの世からいなくなろうとしたが、失敗し続けた。だから私は生きている。何をやっても死ねないのなら、どうにか生き延びる方法を探らなければならない。だから薬を飲み、障害者となり、誰かの世話になり、こうしてしぶとくも息をしている。
高校の同級生は精神障害の果てに自ら命を絶った。彼は先に行ってしまった。自殺を推奨するわけではないが、彼は死ぬことができたから、今ここにいない。一歩タイミングが違えば私もそうなっていたかもしれない。彼は今、天国で穏やかに暮らしていることだろう。望むものを全て手に入れて。そうであってほしい。彼はたくさん苦しんだのだから。
私は強くなんてない。辛くなる度、たくさんの自分を殺した。命を絶つことのできる場所全てに、私の死体が引っかかっていた。ガードレールに。家の軒に。柱に。駅のホームの崖っぷちに。近所の河原に。陸橋に。あのアパートに。一人暮らしの二階の部屋から見下ろした地面に。電線に。道路を走る車の前に⋯⋯。怖かった。震えるほど寂しかった。誰かに苦しんでいる私を見つけてもらいたかった。心配され、慰められ、抱きしめられてみたかった。一度目の自殺未遂の時、誰かに生きていてほしいと声をかけてもらえたら、もしくは誰かに死にたくないと泣きつくことができたら、私はこんなにも自分を痛めつけなくて済んだのかもしれない。けれど時間は戻ってこない。この先はこれらの記憶を受け止め、癒す作業が待っているのだろう。
きっとまた何かの拍子に、生き延びたことを後悔するだろう。あの暗闇がやってきて、私を容赦なく覆い隠すだろう。あの時死んでいればよかったと、脳裏でうずくまり呟くだろう。それが私の病で、これからももう一人の自分と戦い続けるだろう。
思い出話にしてはあまりに重い。医療���関に寄りかかりながら、この世に適応する人間達には打ち明けられぬ人生を、ともすれば誰とも心を分かち合えぬ孤独を、蛇の尾のように引きずる。刹那の光と闇に揉まれ、暗い水底をゆったりと泳ぐ。静かに、誰にも知られず、時には仲間と共に、穏やかに。
海は広く、私は小さい。けれど生きている。まだ生きている。
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nyantria · 4 years
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2020.1.26~27にかけての深夜、急性カフェイン中毒でのワンチャンを狙ってカフェイン錠を80錠、ハイボール缶でOD(のちのち致死量の倍だと知る。)本当は200錠の予定だったが、買いだめている最中に希死念慮が強くなってしまい、確実に死ねるかはわからなかったが120~140錠飲むことにする。しかし気分が悪くなって喉が受け付けなくなり80でしか飲めなかった(錠剤もでかかったし)。
ところでまわりに高いマンションもない一軒家住みなので突発的に飛び降りはしなかったが、以前諸事情で月の半分くらいを過ごしていた単身の20階建てマンションに今もまだすんでいたら、飛び降りていたかもしれない(14階くらいに住んでいたし)。
80錠のんでぼーっとしてムカムカしてくる。わたしここで死ねないことを悟り親を起こす。服薬から1時間~1時間半経って救急車に乗る、心拍数などはわからないが若干胸がドキドキする、ここで吐き気と嘔吐(夕飯のぶん)。
服薬2時間くらいで病院に到着、嘔吐がとまらず、内容物は薬と血のみ(食べたものは全てもうでた)。インフルエンザのひどいときみたいな吐き気と嘔吐が2時間半後くらいからずっと続く、意識が朦朧としてきて、死ねなさげなのにいたらずらに苦しくて後悔してくる。2時間~2時間半後にかけて先生や看護師さんに質問されるが返せない。2~3時間後から嘔吐をする際に自分の意思で袋にはいたりできなくなりそのへんに吐き散らかす(看護師さんごめん)。
視界がぐらぐらしてブラックアウトする。意識の覚醒と消失を繰り返す(薬が抜ける数日後までこれが続く)。
筋肉の硬直が始まり自分で動けなくなる。わたしの場合は右半身が固まり眼球も右のほうしか向かなくなる。まばたきができなくなり白目を向きながら嘔吐を繰り返す。
3~4時間後から体が完全に固まり、寝たりたったりができず座ったまま硬直する(イメージは重度の脳性まひの人のかたまり方)(指摘をいただいたので訂正します)。思考はまだ動いているので予想以上の後遺症の可能性に怯える。周囲の様子や質問はほぼわからない。
ここでトイレに行きたくなり看護師さんと母に抱えられて行く。体がまっすぐ硬直しているのでズボンと下着は脱げず、脱がしてもらう。排尿の際に筋肉が動いてないのか5~10分かけて垂れ流しのような状態。わたしは女性ですが、ここでおりものが茶色くなる。(もし男性が見ていたときのための補足ですが、おりものは膣からの分泌物で、基本的にはさらさらと白かったり黄色かったりします)
ここからあまり記憶がないがそのまま6~8時間経つ。場所や時間がわからずうわ言を繰り返す。苦痛から気をそらそうと看護師さんたちがわたしの赤い髪やネイルを誉めてくれるが、なにも返せない。
カリウム?などの値が異常になり、一般的な総合病院から死にかけの人間が運ばれるデカイ救急の総合病院(病院からの紹介状がないと入れない、一般的な外来のないところ)に搬送が決まる(おそらく服用から10時間後くらい)。
看護師さんに「もうすぐ迎えがくるからね」と励まされるが、わけがもうわからないので、「死神………………?うれ……しい……」と途切れ途切れに返して「ちがうよ!」と言われてしまう。
全身の硬直、過度の痙攣、暴れがある。暴れているため体を拘束具で拘束される。わけがわからず救急車に乗せられ瞳孔確認されるが眩しいと思えない。
服用から12時間くらいでその病院に着き、尿道にカテーテルをいれられオムツをさせられたりレントゲンとられたりするが恥ずかしいという感情も体のうごきもない。自力で体が動かせないため、レントゲンをとるのも一苦労。3人かかり。
体温計で体温をとられるが、体温計が何なのか理解できず、「なんでこんなもの脇に挟むの?」と真剣に疑問に思う。また、「みんななんでか白い服で不思議だなあ。おそろいなのかな」とも思う。ダメージを得て、知能が著しく下がり始める。
太い動脈に点滴とか採血とか数種類の管をつけられるが痛みもなく、視界が白黒になる。この場所がどこかもわからないがなぜか頭の中で好きなバンドである神聖かまってちゃんが流れ始める。なぜか暗い曲ではなく『彼女は太陽のエンジェル』だった。
嘔吐、吐血、硬直、痙攣が続く。尿は白くて、なんか栄養が全くなさそう(血尿はなぜかなかった)。
とにかく苦しい殺してくれ以外の感情が消え、場所はおろか昼夜の感覚もなく、目の前の人間の性別の区別もあまりつかないし年齢もわからない。
頭の中で音楽とフィクションの映像がとまらなくなる。
胃と食道なども傷つけて血しか吐けなくなる。よくわからないので自分が吐いているという感覚すらなくなり、全身の硬直と痙攣のせいでずっと噛み続けていた口の中と顎が非常に痛くなる。支離滅裂なうわ言しかつぶやけなくなる。
ここから水分を飲むことを禁止され点滴に頼るしかないが水分禁止すら理解できず看護師さんに対して怒りをあらわに暴れだす。体をふたたび拘束具で拘束される。
涙と唾液がとまらなくなる。支離滅裂なうわごととなんだかすごい脳内妄想で無敵感を得はじめる。そこからほぼ意識ないが眠っているのではなく意識レベル低下(おそらく嘔吐、吐血、硬直、痙攣、たまの暴れが続く)。 
服用後1日経つか経たないかくらいで氷水によるうがいを許可される。その頃には暴れがおさまり、自分の水分禁止を理解できはじめるので、飲まないように懸命にうがいをする。が、吐き出すためのトレーには手が届かず、ベッドの上に吐き散らしてしまうことを繰り返す。全身の激しい痛みにより、寝返りはおろか、手を動かすこともできない。看護師さんが忙しいためなかなか口に氷水をいれてくれず泣いたりする。このとき看護師さんに対して怒りより悲しみをなぜか覚える。
意識の消失と覚醒を繰り返し、脳内妄想、えずき(血もでなくなる)、被殺害願望の抱きを得る。
えずく元気もなくなりベッドで死んだように突っ伏す。
時折体勢を変えようと看護師さんが動かしてくれるが、仰向けになるだけで痛みのあまり手が硬直して天井を向き、勝手に「ア~~~!!」と叫んでしまう。
時間、場所、自己存在すべての感覚を失い、本能がわずかに残るのみの感覚。自覚はないがまだ激しい痙攣があり(恐らく)、母音のみの大きな声をずっとあげている。「アー!アー!アー!」を繰り返していて看護師さんに「頑張って静かにしようね」と言われるが、好きでしているわけじゃないのでできない。
とにかく水が飲みたい以外の感情がない。おそらく1日半くらい経ち毒素が抜け始めたのか苦しみを明確に得る。「こんなに苦しいなら殺してくれ」と看護師さんに懇願する。硬直はとけるが激しい痙攣と大声、妄想、えずきがとまらない。
とにかく死より後遺症が恐くてたまらなかったので、自分がまだ文字を読めるかを必死に考えて、ベッドの柵に書いてある「警告 サイドレールをベッドの内側から操作しないでください。サイドレールが急に下がり、転落し、けがをするおそれがあります」という文章を(覚えちゃいました)ずっと目で追って、まだ読める、まだ読める、と必死になっていた。 
(恐らく)医師に「最近恋人と別れたとかない?」と聞かれるが、言葉にならないが「そんなわかりやすい理由なら苦労してね~~~!!」とキレそうになる。(恋人と別れて死ぬ人もいるし辛さは人それぞれだからそれは否定しませんが、そのときは「は!?」となってしまいました)
その後強制的に眠らされる(透析の可能性も浮上)。
2日後~徐々によくなる、まずは妄想が消え、つぎに痙攣の過小化、吐き気の沈静化、自分のおかれている状況の理解。ベッドが少しずつ入り口に近づいていく。
看護師さんの名前が読めるようになる(発音はまだできない)。
時々激しい痙攣のぶり返し、涙、よだれ、また力の加減がまだできず人の手を怪我させてしまう。
筋肉痛の100倍みたいな全身の痛みに気づく。「はやく退院したい」と思う。
少しずつ話せるようになってくるが語彙選びや声量の調整はうまくできず、また吃音の発生。例えば看護師さんに「母は来ましたか?」と尋ねたくても「ウーッウーッ、マ、マ、マ、ママ、ママ、かんごしさん、ママ、」としか言えない状況。
点滴の量が減り料理がだされるが、薄い味噌汁を数口とお水を数口、牛乳1口が限界ですぐに吐きそうになる。
きつい後遺症を覚悟する。
時計の読み方がわからない。それが時間を示すものなのはわかるが、読み方はわからない。なのに自分が排卵期であることは把握できていて、オムツが濡れたときに「は、は、はいらんだから、血が、かも、」と伝える。が、血尿はないが子宮から出血。膣から生理2日目くらい出血があるが生理ではなく、女性にしか伝わらないだろうが、なんか感覚がちがう。内壁が剥がれたとかではなくダイレクトに血管から出ている気がする。
ODしたときの記憶がフラッシュバックし吐き気を催す。
だんだん昼夜の感覚が戻り、人の性別、名前、おおよその年齢、部屋の構造の把握などができるようになってくる。空のえずきが続き、歯磨きをしてもらうが匂いでまたえずいてしまう。楽しみにしていたぺこぱの番組見れんかったなとか考え始める(ここらへんから妄想より現実世界の把握が主になる)。
日付が気になり始める。
後悔が半端なくなり、理性的な涙を流すようになり、心の中で看護師さんの名前を呼びながら謝罪を続けるが声にはならない。あと家族に面会時間がある当たり前のことをようやく理解できるようになる。痙攣が下半身のみになり、腕はベッドの柵を掴んで歯を食い縛る。うがい用紙コップに書いてあった、Comfortableという文字が読めるか必死に考える。意味はわからないが綴りは何となく読めて、意味を理解してないことは理解できていて少し安心する。
その頃には硬直はほぼなく、柔らかい白米を一口だけ食べられるようになる。人工的な味を嫌い、母にローソンで買ってきてもらったりんごゼリーのりんごを一齧り、みかんゼリーの小さなみかんを2つ食べる。
看護師さんにリハビリの話をされるが返事はあまりできず。
1日が24時間なら時計は24表記にすべきだと真剣に考えるようになり、その場合の針の刻み方を考案し始める。「それを看護師さんに伝えなく��ゃ!時計は24にすべきです!わたしが作ります!」という頭のおかしいことを真剣に訴えようとする。
だんだん痙攣が小さくなり、時折の体の硬直を除けば、一般的なくらいの痙攣になるが、痙攣のせいで点滴が抜けたり毛布に血が飛び散ったりするがまだ気にかけることができない。またずっと続いていた痙攣のせいで足の小指の爪がとれる。
えずきが時折になる。未来を考え始める。
2日かけて吐き気と嘔吐がおさまったため、全身の激しい痛みとの戦いになる。苦しいのはわかっていたが、あんなに痛いと思ってはいなかった。激しく運動したあとの筋肉痛の100倍のやつが頭皮から爪先までを支配している。メチャクチャ痛いです。人生で一番痛い。
精神科の先生に精神病棟に入院するか聞かれるが断固拒否する。 
2日半かかり痙攣が僅かになり吐き気の消失、髪と下半身洗いたいな……などを考える余裕ができる。ベッドの周囲を見渡す余裕ができ、髪が激しく抜けていることに気づく。髪ゴムはあったが髪のくくり方が思い出せなくなる。
2日半後にゼリーと汁物を半分くらいなら食べられるようになるが、腕が二倍くらいに腫れ上がっていることに気付く。看護師さんを名前で呼んだり、看護師さんによる採血の結果の数値の説明の理解などが少しずつできるようになってくる。
ストローを使って氷水が自力で飲めるようになり、風呂に入ったりトイレいったりしたいなと思うようになる。先生と看護師さんに「生きるためにがんばれ」と言われそれに素直に応じるようになる。また看護師さんの世間話に「うん」「はい」と相づちを打てるようになる。
かなり頑張ってだが、ゼリーのみかんを8割食べられるようになる。
音を消したテレビを眺め内容をおおむね理解できるようになる。林先生と伊沢さんが出ていた。おいしい唐揚げを作る裏技をしていたので、あとで母に教えてあげようと思ってメチャクチャ真剣に見ていた。
全身の痛みは消えないが痛み以外の症状はほぼなくなる。
まだ知能はおかしく、50÷25の計算をするのに何分もかかる。その一方で、暗記した覚えのない『失恋ショコラティエ』の1巻1ページ目から頭のなかで読み返すことができた。おそらく脳の働く部位が極端におかしくなっていたのだと思う。
服薬から約3日後、昼夜を完璧に把握できるようになり、看護師さんたちに謝罪できるようになり、退院を逆に不安がるようになる。
服薬から3日後~自分で簡単なベッドの操作をしたり寝返りを打ったり声を出して看護師さんを呼んだりできるようになる。
オムツははめたままだがおしっこの管を抜き、点滴を抜き、ふやふやの野菜と豆腐と牛乳なら8割食べられるようになる。
人の手を借りて歩く練習、トイレに行き自力で排泄、時間はかかるがふくこともできるようになる。
痛みと声以外の症状はなくなり、飛び降りした向かいのベッドの別患者の心配をするようになる。
1/29、服薬から3日半くらい、きょう退院しましょうと言われる(重体重傷の人が運ばれる場所っぽいので、命の危機だけは脱したことが伺える)。退院は不安だがそれに従う。
人の手を借りて、なおかつ十メートルごとに休めば歩けるようになり、ああ血がでてるからナプキン買わないとなあとか考えられるようになる。
寝苦しさはあるので、病院では意識の混濁時以外はほぼ寝られず(カフェインだしね)。途切れ途切れだが家族に謝罪できるようになる。
自力着替えは無理だが前開きのものなら自力で着られ、疑問を先生や看護師さんに聞けるようになる。うっすいコンソメスープを濃いなと感じる。
1/29の14時頃退院、自力歩行はできないが、介助を得ればトイレでの排泄、歩行、立ったり座ったり、身の回りのことができるようになる。
生きなきゃなと思い、帰りの車でTwitterの心配をする。
15時頃、10mくらいならふらふらだが自力歩行ができ、トイレでの排泄やナプキンの交換も自力でできるようになる。処理もできるが、拭くだけで数分がかかる。
全身の激しい痛みとうめき声は相変わらずだが、15時頃~自宅ベッドで汁物を進んで摂取し、LINEやTwitterにアクセスする。思考と打つのに普段の10倍くらいかかるが、多少の誤字脱字のみとなる。
ようやく少し眠れる。
1/29(服薬から3日半すこし)、全身の痛み(少しまし)、うめき声はあるが、汁物を接種するなど食欲が少しずつ甦り、日常に戻りつつある。風呂などはまだ不���能。
以上が退院までの地��詳細です。方法にもよるけど、これから死ぬみんなはここに引っ越すし、さらにその先に引っ越すので、わたしは「まあ……その勇気あるなら人生どうにかなるやろ」というわたし自身クソ聞きあきた陳腐なことを言いそうになりますが、とにかくやるならガッツしかない。わたしはもう二度としたくないです。
現在も子宮からの出血や全身の痛み、内臓の痛み、麻痺、うめき声、記憶の混濁などがあるので、また回復したらそちらも「地獄から生還したらそっちもまあまあ地獄だったよ編」としてアップします。
https://highb.hatenablog.com/entry/2020/02/03/155423 こちらです
これから先の人生には不安しかないけど、いまは簡単な計算をアプリでやったり文字を書く練習をしたりしています。 
ま、自殺って結局「自分を殺す」わけだからそんな簡単にはいかないですよね。当たり前。
死の否定は難しくても生命の肯定はしていきたいですね。
メンヘラがODで自殺未遂して地獄を見た(地獄編) - 現金満タン、ハイオクで。
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radstarlightreview · 4 months
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男性必見!抜け毛対策で髪のボリュームアップを実現する方法 
男性も美髪を手に入れる!抜け毛対策のポイントと正しいケア方法 男性の抜け毛対策は重要ですが、その悩みに対して正しい対処法を知っていますか?抜け毛が進行する原因や適切なシャンプーの選び方、食事や栄養補給の方法、ストレス管理、頭皮ケア、医療機関での相談や治療、ヘアスタイルやヘアケアの工夫など、様々なポイントを紹介します。抜け毛対策について知識を深めて、健やかな髪を保つための情報を身につけましょう。
男性の抜け毛対策の重要性
男性の抜け毛対策は、見た目の印象や自信に直結するため非常に重要です。遺伝やストレス、生活習慣など様々な要因が影響するため、適切なケアや予防が必要です。定期的な頭皮マッサージや適切なシャンプー、バランスの取れた食事、ストレス管理などが抜け毛対策に効果的です。早めの対策を行うことで、健やかな髪を保ち、自信を持つことができます。
抜け毛が気になる男性の悩み
男性にとって、抜け毛が気になることは多くの人にとっての悩みです。抜け毛が増える原因はさまざまで、ストレスや遺伝、生活習慣の乱れなどが挙げられます。抜け毛が気になる男性は、まず正しいシャンプーや育毛剤の選び方を知ることが重要です。また、バランスの取れた食事や適度な運動をすることも抜け毛を予防するためには大切です。さらに、定期的な頭皮マッサージやストレスの解消も効果的です。抜け毛が気になる男性は、早めに対策を始めることで将来の薄毛を防ぐことができます。自分の髪の状態をしっかりと見つめ、適切なケアをすることが大切です。
抜け毛が進行する原因とは
1-2 抜け毛が進行する原因は様々あります。まず、ストレスや睡眠不足、栄養不足など生活環境の乱れが挙げられます。また、過度なダイエットや急激な体重減少、ホルモンバランスの乱れも影響を与えます。さらに、頭皮の血行不良や過度な洗髪、ヘアケア製品の過剰使用も1-2 抜け毛を引き起こす原因となります。遺伝的な要因も関与していることがありますので、適切なケアや専門家のアドバイスを受けることが大切です。日常生活の改善や適切なヘアケアを心がけることで、1-2 抜け毛の進行を予防することが可能です。
適切なシャンプーの選び方
適切なシャンプーを選ぶ際には、自分の髪質や頭皮の状態に合ったものを選ぶことが重要です。乾燥した髪には保湿成分が豊富なもの、脂性の頭皮には洗浄力の強いものを選ぶと良いでしょう。また、無添加や天然成分が配合されているシャンプーを選ぶことで、髪や頭皮への負担を軽減することができます。
薄毛や抜け毛に効果的な成分
薄毛や抜け毛に効果的な成分として知られるのは、ミノキシジルやフィナステリドなどが挙げられます。ミノキシジルは、血行促進作用により毛根の活性化を促し、抜け毛を防ぐ効果があります。一方、フィナステリドは、男性型脱毛症に効果的な成分で、男性ホルモンの影響を抑制して薄毛を改善します。これらの成分を配合した育毛剤やシャンプーなどを使用することで、薄毛や抜け毛の改善が期待できます。ただし、効果や副作用には個人差がありますので、使用前には医師や専門家に相談することが大切です。
適切な洗い方と注意点
洗濯物をキレイにするためには、適切な洗い方と注意点が重要です。まず、洗濯表示をよく確認し、洗濯機の設定を適切にすることが大切です。また、色移りや縮みを防ぐために、明るい色と暗い色は分けて洗うこともおすすめです。洗剤の量も適量を守り、過剰な洗剤は洗濯物に残りやすくなります。また、柔軟剤や漂白剤を使用する際は、洗濯表示を確認してから使うようにしましょう。洗濯機のフィルターや排水口も定期的に清掃することで、洗濯槽内の汚れを防ぐことができます。適切な洗い方と注意点を守ることで、洗濯物がキレイに仕上がり、長持ちさせることができます。
適切な食事や栄養補給の方法
適切な食事は、バランスの取れた食事を摂取することであり、主食・主菜・副菜・デザートなどをバランスよく食べることが重要です。また、栄養補給の方法としては、不足しがちな栄養素をサプリメントで補う方法や、食事から摂取する方法があります。自分の体調や目標に合わせて適切な食事や栄養補給方法を選択し、健康を保つことが大切です。
抜け毛を予防するための食事のポイント
抜け毛を予防するためには、食事にも気を配る���要があります。まずは、タンパク質をしっかり摂取することが大切です。タンパク質は髪の毛の主成分であるため、不足すると髪の毛が弱くなり抜けやすくなります。また、ビタミンやミネラルも重要です。特にビタミンA、ビタミンC、鉄、亜鉛などは髪の健康に欠かせない栄養素です。これらの栄養素をバランスよく摂取することで、髪の毛を丈夫に保ち、抜け毛を予防することができます。さらに、食事の中で野菜や果物を積極的に摂ることも大切です。これらに含まれる食物繊維や抗酸化物質が、頭皮の血行を促進し、健康な髪の毛を育てる助けになります。抜け毛が気になる方は、食事にも注意を払いながら、適切な栄養バランスを保つよう心がけましょう。
栄養素やサプリメントの摂取方法
栄養素やサプリメントの摂取方法について、正しい知識を持っていることはとても重要です。まず、栄養素は食事からバランスよく摂取することが大切です。野菜や果物、たんぱく質など、様々な食材を取り入れることで必要な栄養をしっかりと摂ることができます。また、サプリメントを利用する際には、過剰摂取に注意することも大切です。過剰な栄養素は健康に悪影響を及ぼすことがあるため、適切な摂取量を守るようにしましょう。さらに、サプリメントの摂取タイミングも重要です。朝食と一緒に、または食後に摂取することで、栄養素の吸収を助けることができます。正しい摂取方法を守りながら、健康的な生活を送るために、日々の食事やサプリメント摂取に気を配ることが大切です。
ストレス管理の重要性
ストレス管理は、心身の健康を保つために重要です。適切なストレス対処法を身につけることで、ストレスによる体調不良や心の不調を予防し、生活の質を向上させることができます。ストレスを適切に管理することで、仕事や人間関係などの様々な場面で冷静に対処する力も身につけることができます。
ストレスが抜け毛に与える影響
ストレスが抜け毛に与える影響は非常に大きいと言われています。ストレスを感じると、体内のホルモンバランスが乱れ、血行が悪くなることで毛根に栄養が行き届かなくなります。その結果、抜け毛が増える可能性が高まります。 また、ストレスによって自律神経が乱れることで、頭皮の環境が悪化し、フケやかゆみが発生することもあります。これらの症状が続くと、毛根が弱まり、抜け毛が増える原因となります。 ストレスを感じた際には、リラックスするための方法を取り入れることが大切です。適度な運動や食事の改善、睡眠の質を高めることなどが効果的です。また、専門家のアドバイスを受けながら、適切なケアを行うことも重要です。ストレスと抜け毛の関係に気をつけて、健やかな髪を保つために努力しましょう。
ストレスを軽減するための方法
ストレスは誰にでも起こり得るものですが、そのストレスを軽減するためにはいくつかの方法があります。まず、適度な運動をすることが大切です。運動をすることで体内のストレスホルモンが減少し、リラックス効果が得られます。また、ストレッチやヨガなどのリラックス効果のある運動もおすすめです。次に、趣味を持つこともストレス軽減に効果的です。自分の好きなことに時間を割くことで、気分転換ができ、ストレスから解放されることができます。さらに、深呼吸や瞑想などのリラックス法も有効です。深呼吸をすることでリラックス効果が得られ、瞑想をすることで心を落ち着かせることができます。これらの方法を取り入れることで、ストレスを軽減し、心身ともに健康な状態を保つことができます。
適切な頭皮ケアの方法
頭皮ケアの方法は、適切なシャンプーとコンディショナーの使用、頭皮マッサージ、適度な保湿、バランスの取れた食事、ストレス管理などが挙げられます。過度な洗浄や刺激は避け、頭皮を健康な状態に保つことが重要です。定期的なヘッドスパやトリートメントも効果的です。
頭皮マッサージの効果
頭皮マッサージは、頭皮の血行を促進し、健康な髪の成長を促す効果があります。マッサージによって頭皮の血管が拡張されることで、髪の毛に栄養や酸素がしっかりと届き、健康な髪の成長をサポートします。また、頭皮マッサージはストレスを軽減し、リラックス効果も期待できます。日常の疲れやストレスを頭皮マッサージで解消することで、心身ともにリフレッシュすることができます。さらに、頭皮マッサージは頭皮の皮脂の分泌を調整し、頭皮の健康を保つ効果もあります。適度な刺激を与えることで頭皮の環境を整え、フケやかゆみなどのトラブルを予防することができます。毎日のヘアケアの一環として、頭皮マッサージを取り入れることで、健康で美しい髪を育てることができます。
適切な頭皮ケア用品の選び方
頭皮ケアは髪の健康にとって重要です。適切な頭皮ケア用品を選ぶことで、頭皮環境を整え、髪の成長を促進することができます。まず、自分の頭皮の状態を把握しましょう。脂性、乾燥、かゆみなど、頭皮の悩みに合わせて適したアイテムを選ぶことが大切です。また、成分にも注目しましょう。頭皮に刺激を与えない無添加や天然成分が配合された製品を選ぶと安心です。さらに、使用方法や頻度も確認しましょう。正しい使い方で効果を最大限に引き出すことができます。頭皮ケア用品を選ぶ際には、自分の頭皮の状態や悩みに合わせて適切なアイテムを選び、正しい使い方を守ることが大切です。
医療機関での相談や治療の重要性
医療機関での相談や治療は、専門家の知識と経験に基づいた適切なアドバイスや治療を受けることができるため、早期の症状の発見や適切な対処が可能となります。また、医療機関では適切な検査や診断が行われるため、疾患の進行を防ぎ、健康を維持するための手助けとなります。
抜け毛が進行してしまった場合の対処法
抜け毛が進行してしまった場合、まずは専門医に相談することが重要です。抜け毛の原因は様々で、ストレスや生活習慣の乱れ、遺伝などが考えられます。専門医の診断を受けることで適切な対処法が見つかる可能性が高まります。 また、日常生活でできる対処法としては、バランスの取れた食事やストレスを溜めないような心がけが重要です。適度な運動や睡眠も大切です。さらに、ヘアケア製品の選び方にも注意が必要です。頭皮や髪に優しい成分が含まれたものを選びましょう。 さらに、育毛剤や育毛シャンプーを使用することも効果的です。ただし、自己流での使用は逆効果になる可能性があるので、専門家の指導を受けることをおすすめします。 抜け毛が進行してしまった場合でも、諦めずに適切な対処法を見つける努力をすることが大切です。自分に合ったケア方法を見つけて、健やかな髪を取り戻しましょう。
医師による専門的なアドバイスや治療法
医師による専門的なアドバイスや治療法は、健康問題に直面した際に頼りになる存在です。医師は豊富な知識と経験を持ち、患者の症状や状態を正確に診断し、適切な治療法を提案してくれます。また、医師は患者とのコミュニケーションを大切にし、患者の疑問や不安に丁寧に答えてくれます。専門的なアドバイスや治療法を受けることで、症状の改善や病気の進行を防ぐことができます。医師には信頼できるパートナーとして、健康管理に役立てていきましょう。
ヘアスタイルやヘアケアの工夫
ヘアスタイルやヘアケアの工夫として、適切なシャンプーやコンディショナーを選ぶことや、定期的なトリミングやヘアマスクの使用が挙げられます。また、ヘアオイルやヘアセラムを使って髪の保湿をしっかりと行うことも大切です。さらに、ヘアドライヤーやカーリングアイロンの使用頻度を減らすことでダメージを軽減することも重要です。自分の髪質やスタイルに合った工夫をすることで、美しい髪を保つことができます。
抜け毛や薄毛をカバーするヘアスタイルの選び方
抜け毛や薄毛でお悩みの方にとって、適切なヘアスタイルを選ぶことは重要です。まず、髪の毛を分ける際には、できるだけ自然な分け目を作るように心がけましょう。また、前髪を長めに残すことで、頭皮の薄さをカバーすることができます。ボリューム感を出すために、レイヤーカットやパーマをかけるのも効果的です。さらに、ヘアカラーを活用して頭皮の透け感を軽減することも可能です。最後に、ヘアスタイリング剤を使ってボリュームを出すと、より自然な髪型を演出することができます。抜け毛や薄毛を気にせず、自信を持ってヘアスタイルを楽しんでください。
ヘアケア用品やスタイリング剤の選び方
ヘアケア用品やスタイリング剤を選ぶ際には、自分の髪質や悩みに合ったアイテムを選ぶことが大切です。まず、シャンプーやトリートメントは髪の状態に合ったものを選びましょう。乾燥した髪には保湿成分が豊富なもの、ダメージが気になる髪には修復効果のあるものがおすすめです。また、スタイリング剤も髪の長さやスタイルによって選ぶことが重要です。ワックスやジェルはセット力が強く、パーマやカールをキープしたい時に便利です。一方で、スプレータイプのスタイリング剤は軽やかな仕上がりを求める方におすすめです。自分の髪質やスタイルに合ったアイテムを選ぶことで、より効果的なヘアケアが可能になります。
定期的なケアの継続と効果の出方
定期的なケアの継続は、健康や美容において重要です。例えば、定期的なスキンケアやヘアケアによって効果が長期間持続し、肌や髪の状態が改善されます。継続することで、効果が累積され、より良い結果が得られることが期待されます。
抜け毛対策の効果を実感するまでの期間
抜け毛対策を行っても、効果を実感するまでには時間がかかることがあります。一般的には、毛周期に合わせて約2?3ヶ月程度の期間が必要と言われています。まずは、抜け毛の原因を正しく把握し、適切なケアを行うことが重要です。適切なシャンプーや育毛剤の使用、バランスの良い食事やストレス管理など、総合的なアプローチが効果的です。また、毎日の生活習慣に気をつけることも大切です。根気よく取り組むことで、抜け毛が減少し、健やかな髪の毛を取り戻すことができるでしょう。ただし、個人差や状況によって効果が異なるため、早めに専門家のアドバイスを受けることもおすすめです。
定期的なケアの重要性と習慣化のポイント
定期的なケアは、健康を維持するために欠かせない重要な要素です。定期的な健康チェックや予防接種、歯科検診などは、病気や症状を早期に発見し、治療を受けることができるため、健康管理において非常に効果的です。 定期的なケアを継続するためには、習慣化がポイントとなります。毎月、あるいは季節ごとに予定を立て、健康診断や歯科検診などを受けるようにすることで、定期的なケアを継続することができます。また、家族や友人と一緒に予定を立てることで、モチベーションを保つことも大切です。 定期的なケアを習慣化することで、健康状態を常に把握し、病気のリスクを低減することができます。自分の健康を大切にするためにも、定期的なケアを習慣化し、健康を維持していきましょう。
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kkagneta2 · 4 years
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ボツ2
おっぱい、大食い。最後まで書いたけど胸糞なのでここに途中まで投稿してお蔵入り予定。
時: 午前8時05分
所: ○○中学正門前
身長: 標準的。155センチ程度。
衣服: 〇〇中学指定の制服。黒のセーラー。リボンの色より二年生と断定。
年齢: 中学二年生なので14、5。
持ち物: 右手に〇〇中学指定の鞄。左手にスマホを所持。
同行者: 友人1名。興味無しのため略。
背格好: やや細身か。冬服のため殆ど見えなかったが、スカートから覗く脚、そして周りの生徒と見比べるに、肩や腕も細いと思われる。腰回りもほっそりとしていると感じた。正確には引き締まっていると言うべきか。
顔: いと凛々し。小顔。頬は真白く、唇には薄い色付き。笑うと凄まじく整った歯が見え隠れする。この時髪をかき上げ血の色の鮮やかな耳が露出する。
髪: ボブ系統。ほぼストレートだが肩のあたりで丸くなる。色は黒、艶あり。
胸: 推定バスト98センチ、推定アンダーバスト62センチのK カップ。立ち止まることは無かったが、姿勢が良いのでほぼ正確かと思われる。しっかりとブラジャーに支えられていて、それほど揺れず。体格的に胸元が突出している印象を受ける。隣の友人と比べるとなお顕著である。制服のサイズがあっておらず、リボンが上を向き、裾が胸のために浮いていた。そのため、始終胸下に手を当てていた。揺れないのもそのせいであろう。制服と言えば、胸を無理に押し込んだかのように皺が伸び、脇下の縫い目が傷んでおり、肩甲骨の辺りにはブラジャーのホックが浮き出ている。されば制服は入学時に購入したものと思われ、胸は彼女が入学してから大きくなった可能性が大である。元来彼女のような肉体には脂肪が付きづらいはずなのだが、一年と半年を以てK カップにまで成長を遂げたところを見ると、期待はまずまずと言ったところか。要経過観察。名前は○○。胸ポケットに入れてあったボールペンが落ちたので拾ってあげたところ、「ありがとうございます」と丁寧にお辞儀をされる。
  時: 午前10時28分
所: 〇〇駅構内
身長: 高い。170センチ強
衣服: 薄く色味がかった白、つまりクリーム色のファー付きコート。内には簡素なグリーンのニットを羽織る。首元に赤のマフラー。
年齢: 22、3。休み期間中の大学生かと思われる。
持ち物: キャリーバッグ。手提げのバッグ。
同行者: 友人2名。先輩1名。何れも女性。貧。
背格好: 体格が良いと言った他には特に無し。腕も見えず、脚も見えず、首も見えず。肩幅の広さ、腰つきの良さから水泳を営んでいると推定される。
顔: その背に似合わず童顔。人懐っこい。マフラーに顔を埋め、視線を下げ、常に同行者に向かって微笑む。愛嬌よし。
髪: ショート。これより水泳を営んでいると断定。色は茶、染め上げてはいるがつやつやと輝く。
胸: 推定バスト129センチ、推定アンダーバスト75センチのR カップ。冬である上に、胸元が目立たないよう全身を地味に作っており、某コーヒーショップにてコートを取っても、無地のニットのために膨らみが分かりづらかった。さらに、胸の落ち具合から小さく見せるブラジャーを着用しているかもしれない。そのため、推定カップはR カップより3、4カップは大きい可能性がある。コートを取った際、胸元が一層膨らんだように感じられた。机の上に胸が乗って、本人は気にしていないか、もしくは気づいていなかったが、柔らかさは至高のようである。他の男性客の腕が肩にぶつかって、驚いた際に胸で食べかけのドーナツを落とす。以降会話は彼女の胸に話題が移ったらしく、左右に居た友人二名が所構わず触れるようになり、両手を使って片胸片胸を突っついたり、揺らしたりして遊ぶ。「机まで揺れる」と言う声が聞こえてくる。「ちょっとやめてよ」と言いつつ顔は相変わらず微笑むでいる。しばらくして四人とも席を立って、地下鉄筋の方へ消えていく。童顔ゆえに顔より大きい胸は驚くに値するが、体格からして胸元に自然に収まっているのを見ると、やはりなるべくしてなったとしか思えず。
  時: 午後00時14分
所: 〇〇市〇〇にあるスーパー前
身長: 低い。150センチに満たない。
衣服: 所謂マタニティウェア。ゆったりとした紺のワンピースに濃い灰色のポンチョ。
年齢: 26、7
持ち物: 買い物袋。ベビーカー。
同行者: ベビーカーの中に赤ん坊が一人。女の子である。
背格好: 小柄。寸胴で、かつ脚も長くはあらず、そして手足が細く、脂肪が程よくついている。つまりは未成熟な体つき。身長以上に小さく見える。
顔: かなりの童顔。着るものが着るものであれば高校生にも見える。可愛いがやつれていて、目の下に隈あり。子供が可愛くて仕方ないのか、そちらを見ては微笑む。
髪: セミロングを後ろで一束。中々の癖毛であるかと思われるが、目のやつれ具合からして、もしかしたら本当はもっと綺麗なのかもしれない。髪色は黒。可愛らし。
胸: 推定バスト110センチ、推定アンダーバスト58センチのQ カップ。体格が小柄であるのでQ カップよりもずっと大きく見える。というより迫力がある。私が訪れた時は買い物袋をベビーカーに吊っている最中であった。ほどなくして赤ん坊が泣き出したので、胸に抱えてあやしたが、赤ん坊は泣き止まず。片胸と赤ん坊の大きさはほぼ同じくらいであっただろう。また、胸と赤ん坊とで腕は目一杯伸ばされていた。胸に抱いて「よしよし」と揺らすのはしばらく続いたが、赤ん坊が泣き止むことはなかった。そこで、座る場所を求めて公園へと向かおうと、一度ベビーカーへと戻そうとしたのであるが、一度胸に食らいついた赤ん坊は離さない。「さっきも飲んだじゃない」とため息をついて片手で危なっかしくベビーカーを引こうとする。「押しましょうか」と接近してみたところ、意外にもあっさりと「よろしくおねがいします」と言って、私にベビーカーを預けた。中には玩具が数種類あった。道から離れた日差しの良いベンチに腰掛け、ケープを取り出して肩にかけ、赤ん坊をその中へ入れる。それでもしばらくは駄々をこねていたであったが、母親が甘い声をかけているうちに大人しくなった。私が「お腹が空いてたんですね」と笑うと、「困ったことに、食いしん坊なんです。女の子なのに」と笑い返して赤ん坊をあやす。話を聞いていると、母親の母乳でなければ我慢がならないと言う。授乳が終わってケープを外した時、子供はすやすやと眠りについていた。「胸が大きくなりすぎて、上手く抱っこできなかったんです。大変助かりました。ありがとうございます」と分かれたが、その言葉を考えるに、妊娠してから一気に胸が大きくなったのであろう。授乳期を終えたときの反動が恐ろしい。むしろベビーカーの中に居た赤ん坊の方に興味を唆られる。
  時: 午後01時47分
所: 〇〇市市営の図書館。某書架。
身長: 標準的。158センチ程度。
衣服: 白のブラウスにブラウンのカーディガン。
年齢: 30前後か。
持ち物: 白のタブレット
同行者: 無し
背格好: 小太りである。全体的に肉がふっくらとついている。けれども目を煩わすような太り方ではない。豊かである。ただし、著しく尻が大きい。
顔: 目尻は美しいが、柔らかな頬に愛嬌があって、どちらかと言えば可愛らしい方の顔立ち。鼻がやや低く、口元はリップクリームで赤々と照りを帯びている。色白とは言えないが、光の加減かと思われる。眼鏡をかけており、リムの色は大人しい赤。非常によく似合う。
髪: ストレートなミディアムヘア。髪色は黒であるが、不思議なことに眼鏡の赤色とよく合い、前髪の垂れかかるのが美しい。
備考: 司書である。
胸: 推定バスト128センチ、推定アンダーバスト81センチのO カップ。本日の夜のお供にと本を物色中に、書架にて本を正していた。胸が喉の下辺りから流麗な曲線を描いて20センチほど突き出ているばかりでなく、縦にも大きく膨れており、体積としてはP カップ、Q カップ相当かもしれない。頭一つ分背が低いので上からも望めたのであるが、カーディガンで見え隠れする上部のボタンが取れかけていた。本を取る度に胸が突っかかって煩わしいのか、肩を揺すって胸の位置を直す。本棚に胸が当たるのは当然で、文庫本などはその上に乗せる。一つの書架を片付け終わった辺りで、適当に思いついたジャンルを訪ねて接近すると、如何にも人の良さそうな顔で案内をしてくれた。脚を踏み出す度に甲高い音が鳴るのは、恐らくブラジャーのせいかと思われる。歩き方が大胆で胸が揺れるのである。途中、階段を下りなければならないところでは、一層音が大きくなって、臍のあたりで抱えていた本を胸に押し付けて誤魔化していた。そのため、ブラジャーのストラップがズレたかと見え、書棚の方へ目を向けている隙に、大胆にも胸を持ち上げて直していた。なまめかしい人ではあるが、年が年なので望みは無い。
  時: 午後02時22分
所: 〇〇小学校校庭
身長: 140センチ前後か
衣服: 体操服
年齢: 10、11歳
持ち物: 特に無し
同行者: 友人数名
背格好: ほっそりとしなやかである。幼い。腕も脚もまだ少女特有の肉が付いている。今日見た中で最も昔の「彼女」に似ている体つきであったが、この女子児童は単に骨格が華奢なだけで、痩せ細った体ではない。健康的である。脚が長く、短足な男子の隣に立つと、股下が彼の腰と同位置に来る。
顔: あどけなさは言うまでもないが、目元口元共に上品。笑う時もクスクスと擽るような、品の良い笑い方をする。眼鏡はテンプルに赤色が混じった、基本色黒のアンダーリム。そのせいで甚だ可愛らしく見えるが、本来は甚く聡い顔立ちをしているかと推定される。が、全般的に可愛らしい。
髪: 腰まで届く黒髪。ほぼストレートだが若干の癖あり。また、若干茶色がかっているように見えた。髪の質がかなり良く、時折肩にかかったのを払う度に、雪のように舞う。
胸: 推定バスト81センチ、推定アンダーバスト48センチのI カップ。体育の授業中のことである。男子は球技を、女子はマラソンでもやらされていたのか、校庭を走っていた。身体自体は小柄であるから胸はそう大きくはないのだが、無邪気に走るから激しく揺れる。揺れるごとに体操服が捲れ上がって腹部が見えそうである。明らかに胸元だけサイズが合っていない。何度か裾を直しながら走った後、耐えかねて胸元を押さえつけていたのであるが、いよいよ先生の元へ駆け寄って校舎内へ入った。そして出てきてから再び走り初めたけれども、その後の胸の揺れは一層激しくなっていた。ブラジャーに何かあったのだろうと思われる。顔には余裕がありながら、走る速さがこれまでとは段違いに遅く、これまで一緒に走ってきた友人に追い抜かれる。結局、彼女は胸を抑えながら、周回遅れで走りを終えた。しかし可哀想なことに、息を整えていると友人に後ろから手で掬われて、そのまま揉みしだかれる。小学生の手には余る大きさである。寄せあげて、掬い上げて、体操服をしわくちゃにしながら堪能する。私にはそう見えただけで、実際にはじゃれついていただけであろうが、指が深く沈み込んでいる様は男子児童の視線を寄せるのに足る。なされるがままにされていた彼女は、そのうちに顔を真っ赤にして何かを言いつつ手をはたき落とし「今はダメ」と言い、以降はすっかり両腕を胸元で組んで、猫背になって拗ねてしまった。この生徒は要観察である。下校時に再び見えてみれば、制服下の胸はブラジャーは着けていないながら見事な球形を為している。先程の光景から張りも柔らかさも極上のものと想像される。名前は○○。名札の色から小学5年生だと断定。ここ一ヶ月の中で最も期待すべき逸材。
  時: 午後05時03分
所: 〇〇市〇〇町〇〇にある某コンビニ
身長: やや高い。163センチほど。
衣服: ○○の制服。
年齢: 17歳
持ち物: 特に書くべきにあらず
同行者: 無し
背格好: 標準的だがやや痩せ型。恐らくは着痩せするタイプである。一見してただの女子高生の体であるが、肩、腰つきともに十分な量の肉量がある。その代わり腕は細い。右手に絆創膏。
顔: あどけない。非常に可愛らしい顔。人柄の良さが顔と表情に出ていると言ったところ。眉は優しく、目はぱっちり。常に口が緩んで、白い頬に赤みが差す。が、どこか儚げである。分厚くない唇と優しい目が原因か。
髪: 後ろに一束したミディアムヘア。一種の清潔さを表すと共に、若干の田舎臭さあり。後ろ髪をまとめて一束にしているので、うなじから首元へかけての白い肌が露出。これが殊に綺麗であった。
備考: 高校生アルバイター
胸: 推定バスト118センチ、推定アンダーバスト68センチのP カップ。服が腰元で閉じられているので、高さ24センチほどの見事な山が形成されている。そのため余計に大きく感じられる。手を前で組む癖があるのか胸が二の腕によって盛り上がって、さらに大きく見える。レジ打ちを担当していた。面倒くさい支払い方法を聞いて接近。レジにて紙を用いて説明してくれるのであるが、胸元が邪魔で始終押さえつけながらでの説明となり、体を斜めにしての説明となり、終いには胸の先での説明となる。ブラジャーの跡あり。よほどカップが分厚いのか胸と下着との境目がはっきりと浮き出ている。この大きさでこのタイプのブラジャーは、1メーカーの1ブランドしかないため、懐かしさに浸る。大体分かりました、では後日よろしくおねがいしますと言うと、にこやかにありがとうございましたと言う。腕の細さと胸の大きさとが全くもって合っていない。腰つきとは大方合っている。顔があどけないところから、胸に関しては期待して良いのではないだろうか? それを知るには彼女の中学時代、ひいては小学時代を知る必要があるが、そこまで熱心に入れ込めるほど、魅力的ではない。
   本日も予が真に求むる者居らず、―――と最後に付け足した日記帳を、俺は俺が恐れを抱くまでに叫び声を上げながら床へと叩きつけ、足で幾度も踏みつけ、拾って壁に殴りつけ、力の限り二つに引き裂いて、背表紙だけになったそれをゴミ箱へ投げつけた。八畳の部屋の隅にある机の下に蹲り、自分の頭をその柱に打ちつけ、顎を気絶寸前まで殴り、彼女の残した下着、―――ブラジャーに顔を埋めて髪を掻き毟る。手元に残りたる最後の一枚の匂いに全身の力を抜かされて、一時は平静を取り戻すが、真暗な部屋に散乱した日記帳の残骸が肌へと触れるや、彼女の匂いは途端に、内蔵という内蔵を酸で溶かすが如く、血管という血管に煮えたぎった湯を巡らせるが如く、俺の体を蝕んでくる。衝動的にブラジャーから手を離して、壁に頭を、時折本当に気絶するまで、何度も何度も何度も打ちつけ、忌々しい日記帳を踏みしめて、机の上に置いてあるナイフを手にとる。以前は右足の脹脛(ふくらはぎ)を数え始めて26回切りつけた。今日はどこを虐めようかなどと考えていると、彼女の残したブラジャーが目につく。一転して俺のこころは、天にのぼるかのようにうっとりと、くもをただよっているかのようにふわふわと、あたたかく、はれやかになっていく。―――
―――あゝ、いいきもちだ。彼女にはさまれたときもこのような感じであった。俺の体は彼女の巨大な胸が作り出す谷間の中でもみくちゃにされ、手足さえ動かせないまま、顔だけが彼女の目を見据える。ガリガリに痩せ細って頬骨が浮き出てはいるが、元来が美しい顔立ちであるから、俺の目の前には確かにいつもと変わらない彼女が居る。我儘で、可愛くて、薄幸で、目立ちたがり屋で、その癖恥ずかしがり屋で、内気で、卑屈で、でも負けん気が強くて、甘えん坊で、癇癪持ちで、いつもいつもいつも俺の手を煩わせる。冷え切った手で俺の頬を撫でても、少しも気持ちよくは無い、この胸、この胸の谷間が冬の夜に丁度良いのだ。この熱い位に火照った肉の塊が、俺を天に昇らせるかの如き高揚感を與えるのだ。
だがそれは後年の事。床に広がったブラジャーを拾って、ベッド脇のランプの燈を点けて、ぶらぶらと下へと垂れるカップの布をじっくりと眺める。華奢で肉のつかない彼女のブラジャーだったのだから、サイドボーンからサイドボーンまでの距離は30センチ程もあれば良く、カップの幅も中指より少し長い程度の長さしかない。が、その深さと広さはそこらで見かけるブラジャーとは一線を画す。手を入れれば腕が消え、頭を入れればもう一つ分は余裕がある。記念すべき「初ブラ」だった。
それが何たることか! 今日、いや昨日、いや一昨日、いやこの一ヶ月、いやこの一年間、いや彼女が居なくなってから実に6年もの間、このブラジャーが合う女性には出会うどころか、見かけることも出来ないではないか。細ければサイズが足りず、サイズが足りればぶくぶくと肥え、年増の乳房では張りが足らず、ならばと小学生の後を付け回してはお巡りに声をかけられ、近所中の中高にて要注意人物の名をほしいままにし、飽きる迄北から南の女という女を見ても、彼女のような体格美貌の持ち主は居なかった。風俗嬢へすら肩入れをし、ネットで調子に乗る女どもにも媚びへつらった。
恭しくブラジャーを箱へと収めて床に散らばりたる日記帳の屑を見るや、またしても怒りの感情が迸ってくる。今日は左太腿の上をざっくりとやってやろうか。紙屑をさらに歯で引きちぎり、喉に流し込みながらそう思ったけれども、指を切る程度に留め、代わりに床を突き抜ける位力を入れて、硬い板の上に差す。今日書いた文面はその上にあった。
「なんで、なんで俺はあんなことを、……」
気がつけば奇声を上げつつ髪の毛を毟り取っていた。時計を見れば午後11時28分。点けっぱなしにしておいたパソコンの画面にはbroadcasting soon! という文字が浮かび上がって居る。忘れた訳では無かったが、その英単語二文字を見るだけで、怒りも何も今日の女どもも忘れ、急に血の巡りが頭から下半身へと下り、呼吸が激しくなる。まるで彼女を前にした時のようである。急いで駆けつけて音量を最大限まで上げて、画面に食い入ると、直にパッとある部屋が映し出され、俺の呼吸はさらに激しくなった。
部屋はここと同じ八畳ほど、ベッドが一台、机が一つ、………のみ。
机の上にはありきたりな文房具と、食器類が一式、それに錠剤がいくつか。ベッドの上には質の良さそうな寝具、端に一枚のショーツ、その横に犬用のリードが一つ。これはこれから現れる者が、謂わばご主人さまに可愛がられるために着けている首輪につながっているのである。そしてその横に、あゝ、彼女がまだ傍に居ればぜひこの手で着けて差し上げたい巨大なブラジャーが一つ、………。ダブルベッドをたった一枚で埋め尽くすほど大きく、分厚く、ストラップは太く、今は見えないが12段のホックがあり、2週間前から着けているらしいけれどもカップは痛み、刺繍は掠れ、ストラップは撚れ、もう何ヶ月も着たかのようである。
しばらく見えているのはそれだけだったが、程なくしてブラジャーが画面外へ消えて行き、ショーツが消えて行きして、ついに放送主が現れる。病的なまでに痩せ細って骨の浮き出る肩、肘、手首、足首、膝、太腿、それに反して美しくしなやかな指が見える。顔は残念ながら白い仮面で見えないが、見えたところで一瞬である。すぐさま画面の殆どは、中央に縦線の入った肌色の物体に埋められるのだから。その肌色の物体は彼女の胸元から生え、大きく前へ、横へと広がりながら腰元を覆い、開けっ広げになった脚の間を通って、床へとゆるやかにの垂れており、ベッドに腰掛けた主の、脚の一部分と、肩と、首を除いて、体の殆どを隠してしまっている。床に垂れた部分は、部分というにはおかしなくらい床に広がる。浮き出た静脈は仄かに青々として、見る者によっては不快を感ずるだろう。
言うまでもなく、女性の乳房である。主は何も言わずにただそこに佇むのみで、何も行動をしない。仮面を着けた顔も、たまに意外と艶のある黒髪が揺れるだけで動かないのであるが、極稀に乳房を抑える仕草をして、愛おしそうに撫でることがある。けれどもそれは本当に極稀で、一回の配信につき一度の頻度でしかなく、殆どの場合は、一時間もしたらベッドに倒れ込んで寝てしまうのである。
この配信を見つけてからというもの、俺の日中の行動は、その寝姿を見るための暇つぶしでしか無い。彼女そっくりな体つきに、彼女そっくりな胸の大きさ、―――しかもこちらの方が大きいかもしれない上に、彼女そっくりな寝相、………見れば見るほど彼女に似て来て、また奇声を発しそうになる。無言で、手元にあった本の背表紙で頭を打ちつけて落ち着きを取り戻し、画面を見ると、ゴロンとベッドから落ちてしまったその女の姿。彼女もよくやった寝相の悪さに、途端懐かしさが込み上げて来て、
「あゝ、こら、叶(かなえ)、寝るんだったらベッドの上で寝ないと、……。手伝ってやるからさっさと起きなさい」
と頬を叩いたつもりだが、空を切るのみで、消息不明となっている者の名前を呼んだだけ、羨ましさと虚しさが募ってしまった。
   幼馴染の叶が居なくなってから早6年、片時も忘れた事はないのであるが、隣に住んでいながら出会いは意外と遅いものであった。当時俺は11歳の小学5年生、物凄く寒かったのを思えば冬から春前であったろうか、俺の家は閑静な住宅街の中に突如として現れる豪邸で、建物よりも庭に意匠を凝らしたいという父上の意思で、洋館が一つと離れが一つ庭に面する形で建てられ、俺はその離れを子供部屋として与えられていた。球状の天井を持つその部屋は、本当に子供のために閉ざされた世界かのようだった。庭の垣根が高く、木に埋もれる形で建っているのであるから、内は兎も角、外からだとそもそも離れがあることすら分からない。音も完全に防音されていて、車が通りかかるのすら、微妙な振動でようやく分かるくらい外界から切り離されているのである。いつも学校から帰ると、俺はその部屋で母上と共に話をしたり、ごっこ遊びをしたり、���題をしたりする。食事もそこで取って、風呂には本館の方へ向かう必要はあるけれども、学校に居る7、8時間を除けば一日の殆どをそこで過ごしていた。だから、近隣の様子なぞ目については居なかったし、そもそも父上から関わるなというお達しがあったのだから、あえて触れるわけにはいかない。学校も、近くにある公立校へは通わずに、ずっと私立の学校へ入れられたのだから、関わろうにも、友人と言える者も知り合いと言える者も、誰も居ないのである。
そんな生活の中でも、よく離れの2階にある窓から顔を突き出して、燦々と輝く陽に照らされて輝く街並みを眺めたものだった。今はすっかりしなくなってしまったけれども、木々の合間合間から見える街並みは殊に美しい。一家の住んでいる住宅街というのが、高台に建っているので、街並みとは言ってもずっと遠くまで、―――遥かその先にある海までも見えるのである。
そう、やっぱり冬のことだ、あのしっとりとした美しさは夏や秋には無い。いつもどおり、俺はうっとりと椅子に凭れかかって街並みを眺めていたのであるが、ふとした瞬間から、女の子の声で、
「ねぇ、ねぇ、ねぇってば」
と誰かを呼びかける声がしきりに聞こえてきていたのだけれども、それが少し遠くから聞こえてくるものだから、まさか自分が呼ばれているとは思わず、無視していると、
「ねぇ!」
と一層激しい声が聞こえてくる。下を見てみると、同年代らしい女の子が、彼女の家の敷地内からこちらを不満そうに見つめてきている。
「僕ですか?」
「そう! 君!」
と満面の笑みを浮かべる。
この女の子が叶であることは言及する必要も無いかと思うが、なんと見窄らしい子だっただろう! 着ている物と言えば、姉のお下がりのよれよれになった召し物であったし、足元には汚らしいサンダルを履いていたし、髪は何らの手入れもされていなかったし、いや、そんな彼女の姿よりも、その家の古さ、ボロさ、貧しさは余りにも憐れである。流石に木造建築では無いものの、築20年や30年は越えていそうな家の壁は、すっかりと黒ずんで蜘蛛の巣が蔓延っており、屋根は黒いのが傷んで白くトゲトゲとしているし、庭? にある物干し竿は弓なりに曲がってしまっていて、痛みに傷んだ服やタオルが干されている。全体的に暗くて、不衛生で、手に触れるのも汚らわしい。広さ大きさは普通の一軒家程度だけれども、物がごちゃごちゃと置かれて居るのでかなり狭苦しく感じられ、俺は父上がどうし���近隣の者と関わるなと言ったのか、なんとなく理解したのだった。目が合った上に、反応してしまったからには相手をしなくちゃいけないか、でも、できるだけ早く切り上げて本の続きでも読もう。―――俺は一瞬そう思ったが、ようようそう思えば思うほど、彼女に興味を抱いてしまい、小っ恥ずかしい感情がしきりに俺の心を唆していた。
それは一目惚れにも近い感情だっただろうと思う。というもの、その時の叶の外見は、着ているものが着ているものだけに見窄らしく見えただけで、顔立ちは悪くないどころかクラスに居る女子どもなぞよりずっと可愛いかった。いや、俺がそう感じただけで、実際は同じくらいかもしれないが、普段お嬢様と言うべき女の子に囲まれていた俺にとっては、ああいう儚い趣のある顔は、一種の新鮮さがあって、非常に魅力的に見える。どこか卑屈で、どこか苦心があって、しかしそれを押し隠すが如く笑う、………そういう健気な感じが俺の心を打ったと思って良い。また、体つきも普段見るお嬢様たちとは大きく変わっていた。彼女たちは美味しいものを美味しく頂いて、線の細い中にもふっくらとした柔らかさがあるのだが、叶はそうではない。栄養失調からの病気じみた痩せ方をしていて、ただ線が細いだけ、ただ貧相なだけで、腕や脚などは子供の俺が叩いても折れそうなほどに肉が付いておらず、手や足先は、肌が白いがために骨がそのまま見えているかのようである。兎に角貧相である。が、彼女にはただ一点、不自然なほど脂肪が蓄えられた箇所があった。
それはもちろん胸部である。叶は姉から譲り受けた服を着ているがために、袖や裾はだいぶ余らしていたのであるが、胸元だけはピンと張って、乳房と乳房の間には皺が出来ていて、むしろサイズが足りないように見える。恐らく裾を無理やり下に引っ張って、胸を押し込めたのか、下はダボダボと垂れているけれども、胸の上は変にきっちりしている。体の前で手をもじもじさせつつ、楽しげに体を揺らすので、胸があっちへ行ったり、こっちへ行ったりする。俺は最初、胸に詰め物をしているのであろうかと思われた。そう言えば、一昨日くらいにクラスの女子が、私の姉さんはこんなの! と言いつつ、体操服の胸元にソフトボールを入れてはしゃいでいたが、その姿がちょうどこの時の叶くらいであったから、自然にやっぱりこの年の女子は大きな胸に憧れるものなのだと納得したのである。だが、叶の胸は変に柔らかそうに見える。いや、それだけでなく、ソフトボールを入れたぐらいでは脇のあたりが空虚になって、はっきりと入れ物だと心づくが、彼女の体に描かれる、首元から始まって脇を通り、へその上部で終りを迎える曲線は、ひどく滑らかである。手が当たればそこを中心に丸く凹み、屈んで裾を払おうとすれば重そうに下で揺れる。
俺が女性の乳房なるものに目を奪われた初めての瞬間である。
それは物心ついた少年の心には余りにも蠱惑的だった。余りにも蠱惑的過ぎて、俺の体には背中をバットで殴られたような衝撃が走り、手が震え、肩が強張り、妙に臀部の辺りに力が入る。頭の中は真っ白で、少しずつ顔と耳たぶが赤くなっていくのが分かる。途端に彼女の胸から目が離せなくなり、じっと見るのはダメだと思って視線を上げると、さっきとは打って変わって潤いのある目がこちらを見てきている。微笑んでくる。その瞬間、徐々に赤くなって行っていた顔に、血が一気に上る感覚がし、また視線を下げると、そこにはこれまで見たことがない程の大きさの胸。胸。胸。………あゝ、なんと魅力的だったことか。
「こんにちは」
「うん、こんにちは。今日は寒いね」
彼女に挨拶されたので、俺はなんとか声を出したのだった。
「私は全然。むしろあったかいくらい」
「元気だなぁ」
「君が元気ないだけじゃないの」
「熱は無いんだけどね」
「ふふ」
と彼女は笑って、
「君どのクラスの子?」
「いや、たぶん知らないと思う。この辺の学校には通ってないから」
「どおりで学校じゃ、見ないと思った。何年生なの?」
彼女がこの時、俺を年下だと思っていたことは笑止。実際には同い年である。
「へぇ、あっちの学校はどうなの?」
「どうもこうもないよ。たぶん雰囲気なんかは変わんないと思う」
「そうなんだ」
と、そこでトラックが道端を通ったために、会話が区切れてしまって、早くも別れの雰囲気となった。
「ねぇ」
先に声をかけたのは彼女だった。
「うん?」
「またお話してくれない?」
少年はしばし悩んだ。近くの者とは関わるなと言う父上の言葉が頭にちらついて、それが殆ど彼女の家庭とは関わるなとの意味であることに、今更ながら気がついたのであったが、目の前に居る少女が目をうるませて、希望も無さげに手をもじもじと弄っているのを見ると、彼女の学校での扱われ方が目に見えてしまって仕方がなかった。そっと目を外すと、隣に住んでいなければ、多分一生関わること無く一生を終えるであろう貧しい家が目に飛び込んできて、だとすれば、良い育ちはしていないに違いはあるまい。だが、今言葉を交わした感じからすれば、意外にも言葉遣いはぞんざいではなく、笑い方もおっとりとしている。それに何より、自分がここまで心臓の鼓動がうるさいと思ったことはないのである。少年の心はこの時、「またお話したい」などというレベルではなく、彼女に近づきたい気持ちでいっぱいであった。近づいて、もっともっとお話をして、その体に触れて、夜のひと時をこのメルヘンチックな我が部屋で過ごせたら、どんなに素敵だろう。この窓から夜景を見て、手を取って、顔を突き合わして、行く行くは唇を重ねる、………あゝ、この部屋だけじゃない、綺麗に見繕って、二人で遊びに行くのも良い、いや、もはや二人きりでその場に居るだけでも僕の心は満足しそうだ。………実際にはこんなに沢山ことを考えた訳ではなかったけれども、しかしそういうことが、父上の言いつけから少年をすっかり遮断してしまった。つまりは、彼女の言葉に頷いたのである。
「もちろん。こうやって顔だしてたら、また話しかけてよ」
「ふふ、ありがとう。またね」
「またね。―――」
これが俺と叶の馴れ初めなのだが、それから俺たちは休みの日になると、窓を通じて10分20分もしない会話を楽しんだ。尤もそれは俺が父上と母上を怖がって、勉強しなくちゃいけないだとか、習い事があるとか、そういう理由をつけて早々に切り上げるからではあるけれども、もし何の後ろめたさも無かったら日が暮れても喋りあったに違いない。
「えー、……もう? 私はもっとお話してたい!」
「ごめんね。明日もこうやって外を眺めてあげるからさ」
その言葉に嘘はなく、俺は休日になれば、堪えきれない楽しみから朝食を終え、両親を煙に巻くや窓から顔を突き出していた。すると叶はいつも直ぐに家から出てきて、
「おはよう」
と痩せ細った顔に笑みを浮かべる。彼女もまた、楽しみで楽しみで仕方ないと言った風采なのである。
「おはよう。今日はいつにもまして早いね」
「ふふ」
会話の内容はありきたりなこと、―――例えば学校のこと、家のこと(彼女はあまり話したがらなかったが)、近くにある店のこと、近くにある交番がどうのこうのということ、近くにある家のおばさんが変人なことなど、強いて言えば、近所の人たちに関する話題が多かった。というのも、この住宅街に住んでいながら、今まで何も知らなかったので、俺の方からよく聞いたのが理由ではあるけれども、話に関係ないから述べる必要はあるまい。
それよりも、あんまり叶が早く出てくるので、いつのことだったか、聞いてみたことがあった。すると、彼女は心底意地の悪い笑顔で、
「私の部屋から丸見えなんだもん。そんなに楽しみ?」
と言うので、無性に恥ずかしさが込み上げてきたのは覚えている。どう返したのか忘れたが、その後の彼女の笑う様子が、強烈に頭に残っているのを考慮すれば、さらに恥ずかしい言い訳を放ったのは確かである。………
そんなある日のことであった。確か、叶と出会って一ヶ月経った日だったように思う。何でも学校が春の休み期間に入ったために、俺達は毎日顔を合わせていたのであるから多分そうで、非常に小っ恥ずかしい日々を送っていたのであるが、この日は俺しか俺の家には居ないのであった。それも朝一から深夜まで、何故だったのかは忘れてしまったが、両親も居なければ、ハウスキーパーも、確実に居ないのである。然れば初恋に目の暗んだ少年が悪巧みをするのも当然であろう。つまり俺はこの日、叶をこのメルヘンチックな離れに招待しようとしていたのである。
一種の期待を胸に抱きながら、いつもどおり窓から顔を突き出して、今や見慣れてしまった貧しい家の壁に視線を沿わせては、深呼吸で荒れそうになる息を整えようとする。一見、「いつもどおり」の光景だけれども、この時の俺はどうしても、初めての彼女をデートに誘うような心地よい緊張感ではない、恐ろしい罪悪感で押しつぶされそうだった。別に子供が同級生の女の子を連れてくることなど、親からしたら微笑ましい以外何者でもないかもしれない。が、これから呼ぶのは、父上が関わるなと言った、隣家の貧しい娘なのであるから、どうしても後々バレた時の事を考えると、喉が渇いて仕方ないのである。―――出来れば叶が今日に限って出てきてくれなければ、なんて思っても、それはそれで淋しくて死ぬ。まぁ、期待と緊張と罪悪感でいっぱいいっぱいだった少年の頭では、上手い具合に言い訳を考えることすら出来なかったのである。
「おはよう」
そうこうするうちに、いつの間にか外に出てきていた叶が声をかけてきた。一ヶ月のうちに、さらに胸が大きくなったのか、お下がりの服の袖はさらに長くなり、………というのは、服のサイズを大きくしないと胸が入らないからで、その肝心の胸の膨らみは今やバレーボール大に近くなりつつある。
で、俺は焦ることは何もないのに、挨拶を返すこともせずに誘うことにしたのであった。
「ねぇ」
「うん?」
「きょ、今日、僕の家にはだ、だれも居ないんだけど、………」
「え? うん、そうなの」
それから俺が叶を誘う言葉を出したのは、しばらくしてのことだったが、兎に角俺は彼女を頷かせて門の前まで来させることに成功して、庭を駆けている時に鳴った呼び鈴にギョッとしつつ、正門を開けると、さっきまでその気になっていた顔が、妙に神妙なので聞いてみると、
「なんか急に入って良いのか分からなくなっちゃった」
ともじもじしながら言う。それは引け目を感じると言うべき恥であることは言うまでもないが、一度勢いづいた少年にはそれが分からず、不思議な顔をするだけであった。それよりも少年は歓喜の渦に心臓を打たせており、今日という今日を記憶に焼き付けようと必死になっていた。というのは、普段遠目から見下ろすだけであった少女が目の前に現れたからではあるけれども、その少女の姿というのが、想像よりもずっと可愛いような気がしただけでなく、意外と背丈がひょろ高いことや、意外と服は小綺麗に整えてあることや、手も脚も、痩せ細った中にも一種の妖艶さが滲み出ていることなど、様々な発見をしたからであった。特に、胸元の膨らみにはただただ威圧されるばかり。大きさは想像通りだったものの、いざ目の前に来られると迫力が段違い。試しに顔を近づけてこっそりと大きさを比べて見ると、自分の頭よりも大きいような感じがし、隣に並んでみると、彼女の胸元にはこんな大きな乳房が生えているのかと驚かれる。
「ちょっと、どうしたの」
と言われてハッとなって、叶の手を引きながら広大な庭を歩き始めたが、少年の目はやはり一歩一歩ふるふると揺れる彼女の乳房に釘付けであった。
庭の様子は今後必要ないから述べないが、一方はお坊ちゃん、一方は女中にもならない卑しい少女が手を取り合いながら、花々の芽の萌ゆる庭園を歩く様子は、或いは美しさがあるかもしれない。
離れについて、「や、やっぱり私帰るね」と言い出す叶を無理に押し込んで、鍵をかけると、一気に体中の力が抜けて行くような気がした。何となく庭を歩いているうちは、誰かに見られているかのようで、気が気でなかったのに、今となっては何と簡単な���とだったであろう。とうとう成功した、成功してしまったのである、叶を一目見た瞬間に思い描いていた夢が、一つ叶ったのみならず、この心の底から沸き起こる高揚感はなんだろうか。期待? それとも単に興奮しているだけ? いや、恐らくは彼女が隣に居ること、手を触れようとすれば触れられる位置に居ること、つまり、彼女に近づいたという事実が、嬉しくて嬉しくて仕方がないのだ。そしてそれが、自分の住処で起こっている、………俺は多分この時気持ち悪いくらいに笑っていたように思ふ。頭は冷静に叶をもてなしているつもりでも、行動の一つ一つに抜けている箇所が、どうしても出てしまって、土足のまま上がろうとしたり、段差に足をひっかけて転けそうになったり、お茶を溢しそうになったり、最初からひどい有り様であったが、彼女は引け目を感じながらも笑って、
「ほんとにどうしたの、熱でも出てるんじゃ、………」
と心配さえもしてきて、その優しさもまた、俺には嬉しくて仕方がなくって、ますます惚けてしまったように思われる。が、それが出たのは昼前のことだったろう、あの時俺は、目の前ある叶の乳房が大きく重たく膨れ上がっているのに対し、それを支える身体が余り痩せすぎている、それもただ単に痩せているのではなくて、こうして間近で見てみると、骨格からして華奢であるので、身長はどっこいどっこいでも(―――当時の俺は背が低かったのである)、どこか小さく感じられるし、そのために、余計に体と胸元の膨らみとが釣り合っていない上に、胸が重いのか、ふらふらとして上半身が風で煽られているかの如く触れる時がある、それが緊張で体が強張っている今でも起こるので、段々と心配になってきて、
「す、すごい部屋、………」
ときちんと正座をしながら目を輝かす彼女が、今にも倒れてしまいそうに思われたのだった。しかし惚けた少年の頭では、ああ言えば失礼だろうか、こう言えば婉曲的に尋ねられるだろうか、などと言ったことは考えられない。ただ、この眼の前に居るかぁいい少女が、かぁいくってしょうがない。あれ? 叶ってこんなにかぁいかっただろうか? と、彼女の一挙一動がなんだか魅力的に見えて来て、手の甲を掻くのすらもかぁいくって、言葉が詰まり、今や何とか頭に浮き出てきた単語を並べるのみ、彼女を一人部屋に残して外で気持ちを落ち着けようにも、今ここに叶が居るのだと思えばすぐさま頬が燃え上がってくる。再び部屋に入れば入ればで、自分の思い描いていたのよりかぁいい少女が、きちんと正座をしながらも、未だに目をキラキラとさせ、口をぽかんと開けて部屋中を眺めている。そんなだから、一層少年の頭は惚けてしまった。同時に、胸の前で、乳房を押しつぶしながらしっかりと握られている両の手が目について、その細さ、そのか弱さに惹き込まれて無遠慮に、
「ねぇ、前々から気になってたんだけど、どうしてそんなに細いの? どうしてそんなに痩せてるの?」
と、彼女の正面に座りながら聞いた。
「あっ、うっ、……」
「ん? だって手とか僕が握っても折れそうだし」
「え、えとね?」
「うん」
「その、食べては居るんですけれど、………」
叶はここに来てからすっかり敬語である。
「食べても食べても、全然身につかなくって、………その、おっぱいだけが大きくなってしまってるの。だから、こんなにガリガリ。骨も脆いそう。………あはは、なんだか骸骨みたいだね」
「全然笑い事じゃないんだけど」
「うん、ありがとう。それだけでも嬉しいな」
とにっこりするので、
「もう」
とにっこりとして返すと、叶はすっかり普段の無邪気な顔に戻った。
「あ、でね、もちろんお母さんも心配してくれて、お金が無いのに、私のためにたくさんご飯を作ってくれててね、―――」
「たくさんって、どのくらい?」
「えっと、………」
と言葉に詰まるので、
「まぁ、別に笑わないからさ。言ってごらん?」
とたしなめた。すると返ってきた言葉は、俺の想像を軽く飛び越していたのだった。
毎日微妙に違うから昨日のだけと、はにかんだ叶の昨夜の夕食は、米を4合、味噌汁が鍋一杯、豆腐を3丁肉豆腐、その肉も牛肉1キロ、半分を肉豆腐へ、半分を焼いて、野菜はキャベツとレタスと半々に、鶏胸肉2枚、パスタ500グラム、………を食した後に寒天のデザートを丼に一杯、食パンを2斤、牛乳一リットルで流し込んだ、と、ご飯中は喉が乾いて仕方がないと言って、水もペットボトルで2本計4リットル飲んだ、いつもこれくらいだが、それでも食欲が収まらない時は、さらにご飯を何合か炊いて卵粥として食べるのだと言う。
笑わないとは言ったけれども、流石に苦笑も出来ずに唖然とするばかりで、俺は、スポーツ選手でも食べきれない食い物が、一体全体、目の前で顔を覆って恥ずかしがる少女のどこ��入って、どこに消えたのか、想像をたくましくすることしか出来なかったが、そうしているうちに、今日の朝はねと、朝食までおっしゃる。それもまた米が4合に、やっぱり味噌汁を鍋一杯。そして、知り合いが店を構えているとか何とかでくれる蕎麦を、両手で二束、大鍋で茹でてざる蕎麦に、インスタントラーメンを2人前、水を2リットル。言い忘れてけどご飯は大きなおにぎりとして、中に色々と具材を入れて食うと言って、最後に、デザートとは言い難いが、デザートとしてシリアルを、やっぱり牛乳1リットルかけて食べる。その後パンがあればあるだけ食べる。水も何リットルか飲む。で、大体食事の時間は1時間半から2時間くらいで終わるけれども、お腹が空いていたら30分でもこれだけの量は平らげられるらしい。
「いやいやいやいや、………えっ?」
俺のそんな反応も当然であろう。ところで以上の事を言った本人は、言っちゃった、恥ずかしい、と言ったきり黙って俯いているが、益々見窄らしく、小さく見え、やはり可哀想でならなかった。
ポーン、と鳴って、時計が12時を示した。叶の告白から随分時間が経ったように思っていたら、もうそんな時間である。空腹を訴えかけている腹には悪いが、今ここで食事の話題を振れば恐ろしい結果になるかもしれない、一応自分の昼食は、父上が予め出前を取ってくれたのが、さっき届いたからあるし、母上が夕食もと、下拵えだけして行った料理の数々があるので、それを二人で分けて、一緒に食べる予定ではあったのだが、しかし先の話が本当だとすれば、とても量が足りない。だが、恐ろしい物は逆に見たくなるのが、人間の常である。俺は、叶がご飯を食べている様を見たくてたまらなかった。普段、外食は両親に連れられてのものだったけれども、幸い街を歩けばいくらでも食事処にはありつける。日本食屋に、寿司屋に、洋食屋に、喫茶店に、中華料理屋に、蕎麦屋饂飩屋鰻屋カレー屋、果ては創作料理屋まであるから、彼女をそこに連れて行ってみてはどうか。もちろん一軒と言わずに何軒も訪れて、彼女が満足するまでたくさんご飯を食べさせてあげてみてはどうだろうか? 俺はそんなことを思って、心の内で嫌な笑みを浮かべていたのであったが、偶然か必然か、その思いつきは叶の願いにぴったり沿うのであった。
「あはは、………やっぱり引いた?」
と叶がもじもじしながら言う。
「若干だけど、驚いただけだよ」
「ほんとに?」
「ほんとほんと」
「じゃ、じゃあ、もう一つ打ち明けるんだけどね、………あ、本当に引かないでよ」
「大丈夫だって、言ってごらん?」
と言って顔を緩めると、叶は一つ深呼吸してから、もじもじさせている手を見つめながら口を開くのであった。
「えとね、私、………実はそれだけ食べても全然たりなくて、ずっとお腹が空いてるの」
「今も?」
「今も。ほら、―――」
叶が服の裾をめくり上げると、そこにはべっこりと凹んでいる腹が丸見えになる。
「すっかり元通りになっちゃった。君と会うために外に出た時は、まだぼっこりしてたんだけど、………」
「お昼は?」
「え?」
「お昼。お昼ごはん。どうするの?」
「我慢かなぁ。いつもお昼ごはんは給食だから、全然平気だよ!」
この時、図らずも俺の画策と、彼女の願い、というよりは欲望が、同じ方向を向いたことに歓喜したのは言うまでもない。俺はこの後のことをあまり覚えていないが、遠慮する叶に向かって、
「ご飯一緒に食べよう!!」
と無理やり立たせて、取ってあった出前を彼女の目の前に差し出したのは、微かに記憶に残っている。彼女はそれをぺろりと平らげた。口に入れる量、噛むスピード、飲み込む速度、どれもが尋常ではなく、するすると彼女の胃袋の中へと消えていった。母上が下ごしらえして行った料理もまた、子供では食べきれないほどあったが、5分とかからなかった。こちらは食べにくいものばかりであったけれども、叶は水を大量に飲みつつ、喉へと流し込んで行く。それがテレビでよく見る大食い自慢のそれとは違って、コクコクと可愛らしく飲むものだから、俺はうっとりとして彼女の様子を見つめていた。食べ終わってから、俺は彼女の腹部に触れさせてもらった。その腹は、3人前、4人前の量の食事が入ったとは思えないほど平たく、ぐるぐると唸って、今まさに消化中だと思うと、またもや俺の背中はバットで殴られたかのような衝撃に見舞われてしまった。ちょうど、叶の乳房に目を奪われた時と同じような衝撃である。思わず耳を叶のヘソの辺りに押し付けて、たった今食べ物だったものが排泄物になろうとしている音を聞く。ゴロゴロと、血管を通る血のような音だった。
「まだ食べられる?」
「もちろん!」
叶は元気よく答えた。俺は彼女がケチャップで赤くなってしまった口を、手渡されたナプキンで綺麗に拭き終わるのを待って、
「じゃあ、行こうか」
と、財布と上着を取りながら聞いた。
「どこへ?」
「今日はお腹いっぱいになるまで食べさせてあげるよ」
俺の昼食夕食を軽く平らげた彼女は、今更遅いというのに遠慮をするのであった。「いや、私、もうお腹いっぱいで」とか、「お金持ってない」とか、「別にいいって、いいってば」とか、終いには「ごめん、ごめんなさい」と言って泣き出しそうにもなったり、なんとかなだめて離れから飛び出ても、動こうとしなかったり、自分の家に入ろうとする。「だ、大丈夫! 嘘! 嘘だから! 忘れて! もう食べられないから!」など、矛盾に満ちた言葉を放っていたのは覚えている。俺はそれをなんとかなだめて、気持ちが先行してしまって不機嫌になりつつも、最終的には弱々しい彼女の腰を抱きかかえるようにして引っ張って行った。
「ごめんね、ごめんね。ちょっとでいいからね。私よりも君がたくさん食べてね」
と食べることには堪忍したらしい叶が、物悲しそうにしたのは、確か家からまっすぐ歩いて、3つめの交差点を曲がって、広めの県道を西に沿ってしばらく行った所にある小綺麗な中華料理屋だっただろう。前にも述べたが、俺はこの日のことをあまり詳しく憶えていないのである。何故この中華料理屋に訪れたかと言えば、ようやく落ち着いた叶に何が食べたい? と聞くと、渋々、春巻きが食べたいとの答えが返ってきたからであるのだが、この店は昔も今も量が多いとの文句が聞こえてくる名店で、俺はよく、父上が天津飯一つすら苦しんで食べていたのを思い出すのである。とまぁ、そんな店であるのだから、そんな店にありがちな、所謂デカ盛りメニューなるものがあって、例えば丼物、―――麻婆丼だったり、炒飯だったり、それこそ天津飯だったり、そういうのはだいたい揃ってるし、酢豚とか、八宝菜の定食メニューもそれ専用の器すらあったりする。そしてそれを30分以内に食べきったら無料なので、これならお金を気にする彼女も安心してくれるだろうと、少年は考えた訳であったが、いざ入ってみて、奥の席へ通されて、
「この春巻きを10人前と、デカ盛りメニューの麻婆丼一つと、それと僕は、………エビチリ定食をご飯少なめでください!」
と注文すると、
「ぼ、僕? 冗談で言ってる?」
と、まず俺を見、そして叶を見して怪訝な顔をするのであった。
「冗談じゃないよ。ねぇ?」
と叶を見るが、彼女は静かに俯��ている。
「ま、そういうことだから、お金は出すんだから、早く! 早く!」
「でもね、これはとっても量が多いんだよ?」
「うん、知ってる。だけど叶ちゃんが全部食べてくれるから、平気だよ」
「え、えぇ、………? この子が? 嘘おっしゃい」
そういう押し問答は10分乃至15分は続いたのであったが、とうとう店側が折れる形で、俺達の前には山になった春巻きと、山になった麻婆丼と、それ比べればすずめの涙程のエビチリが、テーブルの上に現れたのであった。俺も驚いたし、店員も驚いたし、何より他の客の驚きようと言ったら無い。奥の席だったから、人気はあまりないものの、写真を撮る者、頑張れよと冷やかしてくる者、わざわざ席を変わってくる者も居れば、自分たちも負けじとデカ盛りメニューを頼む者も居る。彼らの興味は殆どテーブルの上に置かれた理不尽な量の料理と、それに向かう華奢な少女であったが、妙に俺は良い気になって、ピースして写真に写ったり、冷やかして来た者を煽ったりして、相手をしたものだった。本当に、あの時の俺は、自分が一時の有名人になったかのような心持ちで、サインでも握手でもしてやろうかと思った。いや、そんなことよりも、もっと写真に撮って、もっと騒ぎ立てて、もっと人を集めてくれという気持ちであった。有頂天と言っても良い状態だった。が、ふと叶の方を見てみると矢張り俯いたままでいる。―――あゝ、こんなに騒がしかったら美味しいものも美味しくは無いだろうな、早く食べないと冷えてしまう、それに、自分もお腹が空いて仕方がない、そろそろ追っ払おうかしらん。叶の様子にいくらか冷静になった俺はそう思ったのであった。
「ごめんね、彼女、恥ずかしがり屋だから、ほら、あっち行ってて」
そう言うと、店主のハラハラした視線だけはどうすることも出来なかったが、皆次第に散り散りになった。叶もまた、周りに人が居なくなって安心したのか、顔を上げる。
「騒がしかったね」
「うん」
「まったく、野次馬はいつもこうだよ」
「うん」
「足りなかったら、もう一つ頼むことにしようか」
「あ、あの、………」
「うん?」
「いただきます」
この時の彼女の心境は、後になって聞いたことがある。たった一言、ああいう状況に慣れていなかったせいで、食べて良いのか分からなかった、と。実際には、中華店へ入る前から匂いに釣られて腹が減って死にそうになっていたところに、いざ目の前に好物の春巻きと、こってりとした匂いを漂わせている麻婆丼が現れて、遠慮も恥も何もかも忘れて食らいつきたかったのだそうである。事実、麻婆丼は物凄い勢いで彼女の口の中へと消えていった。
ところで麻婆丼は、後で聞けば10人分の具材を使っているのだと言う。重さで言えば8.7キロ、米は5合6合はつぎ込んで、女性の店員では持ち運べないので、男が抱えなければならない。時たま米の分量を誤って、餡のマーボーが指定分乗り切らない時があって、そういう時は乗り切らなかった餡だけ別の器に盛って出す。かつて挑戦した者はたくさんいるが、無事にただで食べられたのはこれまで1人か2人くらい、それも大柄な男ばかりで、女性はまだだと言う。
そんな麻婆丼が、11歳の、それも痩せ細った体つきの少女の口の中へ消えていくのである。休むこと無く蓮華を動かし、時折春巻きを箸に取っては、殆ど一口で飲み込むが如く胃の中へ流し込み、真剣ながらも幸せの滲み出た顔をしながら、水をグイグイ飲む。見れば、心配で様子を見に来ていた店主は、いつの間にか厨房に引っ込んで呆れ顔をしている。叶はそれにも気が付かずに黙々と口を動かして、喉が微かに動いたかと思ったら、蓮華を丼の中に差し込んで、幸せそうな顔で頬張る。あれよあれよという間にもう半分である。こういうのは後半になればなるほど勢いが落ちるものだのに、叶の食べるスピードは落ちないどころか、ますます早くなっていく。やがて蓮華では一口一口の大きさが物足りないと感じたのか、一緒に付いてきたスプーンで上から米もろとも抉って食べる。叶は普段から綺麗に食べることを心がけていて、大口を開けて食い物を口へ運んだとしても、それが決して醜くなく、逆に、実に美味そうで食欲が掻き立てられる。優雅で、美しい食べ方は、彼女が言うには、体の動かし方が重要なのだと、かつて教えてもらったことがある。気がついた時には、もう普通の麻婆丼と殆ど変わらない分量になっていた。一個もらうつもりだった春巻きは、………もう無かった。
俺は、叶の料理を食べている姿をついに見ることが出来て、ただただ感激だった。先程は恐ろしい勢いで食べたと言っても、量は大食いの者ならば簡単に平らげる程度しか無かったのである。それが今や10人前の巨大な麻婆丼を前にして、淡々と頬張っていき、残るは殆ど一口のみになっている。彼女はここに来てようやくペースが落ちたのだが、その顔つき、その手付き、その姿勢からして、腹が一杯になったのではなくて、あれほどあった麻婆丼がとうとうここまで無くなったので、急に名残惜しくなったのであろう。その証拠に、一口一口、よく噛み締めて食べている。俺は、またもや背中をバットで殴られたかのような衝撃に身を震わせてしまい、その様子をじっくりと穴が空くほどに見つめていたのであったが、汗もかかずに平然と、最後の豆腐に口をつける彼女を見て、とうとう食欲がさっぱり無くなってしまった。代わりに無性に苛立つような、体の内側が燃えるような、そんな堪えきれない欲が体の中心から沸き起こってきて、今までそんなに気にしてなかった、―――実際は気にしないようにしていた胸元の膨らみが、途端に何かを唆しているように思えて、もっともっと叶の食事風景を見ていたくなった。
「ごちそうさまでした」
と、声がしたので見てみると、澄ました顔で水を飲んでいらっしゃる。俺は慌てて、店主がテーブルの上に乗せて行ったタイマーを止めて時間を見てみた。
「16分39秒」
「えっ? 食べ終わった?」
「ほんまに?」
「本当に一人で食べたんだろうか。………」
気がつけば観客たちがぞろぞろと戻ってきていた。彼らの様子は、もうあんまりくだくだしくなるから書かないが、俺はまたしても注目を浴びている彼女を見て、ただならぬ喜びを感じたということは、一言申し上げておく必要がある。少年は輪の中心に居る少女の手を取るに飽き足らず、その体に抱きついて(―――何と柔らかかったことか!)、
「やったね叶ちゃん。やっぱり出来るじゃないか」
と歓声を放ち、
「ほら、ほら、この子はデカ盛りを16分で食べきったんだぞ。男ならそれくらいできなきゃ」
と、まるで我が手柄のように、奮闘中の大学生らしき男性客に言うのであった。俺の感性はまたしても有頂天に上り詰めて、多幸感で身がふわふわと浮いていた。隣で叶がはにかんで居るのを見ては、優越感で酔っ払ってしまいそうだった、いや、酔いに酔って、―――彼女の隣に居るのは僕なんだぞ。少年はそう叫んだつもりであるのだが、実際には心の中で叫んだだけなようである。俺がこの日の記憶をおぼろげにしか覚えていないのは、そんな感情に身も心も流されていたからなのである。………
騒ぎが収まってから、俺は半分近く残っていたエビチリを叶にあげた。もちろんぺろりと平らげた訳なのだが、しかしその後余りにも平然としてデザートの杏仁豆腐を食べているので、ひょっとしたら、………というよりは、やっぱりそうなんだなと思って、
「もしかしてさ、もう一回くらいいける余裕ある?」
「あ、………もちろん」
もちろんの部分は小声で言うのであった。そして小声のままその後に続けて、今体験した感じで言うと、もう一回あのデカ盛りを食べるどころか、さらにもう一回くらいは多分入ると思う。なんて言っても、まだ空腹感が拭えない。実のことを言えば、あれだけ店主が期待させてくるから楽しみだったのだけれども、いざ出てきてみれば、美味しかったものの、いつも食べてる分量より少なかったから、拍子抜けしてしまった、30分という時間制限も、頑張ったらさっきの麻婆丼2つ分でも達成できると思う。いや、たぶん余裕だと思う、出来ることならもう一回挑戦してみたいが、あの騒ぎを起こされた後だとやる気は起きないかなと言う。少年は彼女の食欲が未だに失せないことに、感謝さえしそうであった。なぜかと言って、この日の俺の願望は、彼女の食事姿を眺めること、そして、街にある食事処をはしごして、彼女が満足するまでたくさんご飯を食べさせてあげること、―――この2つだったのである。しかし、前者は達成したからと言って、それが満足に値するかどうかは別な問題であって、既に願望が「彼女の食事姿を飽きるまで眺めること」となっていた当時の俺には、元々の望みなどどうでもよく、叶がお腹いっぱいになっちゃったなどと言う心配の方が、先に頭に上っていた。が、今の彼女の言葉を聞くに、彼女はまだまだ満足していない。腹で言えば、三分ほどしか胃袋を満たしていない。となれば、第二の願望である「彼女が満足するまでたくさんご飯を食べさせてあげること」を達成していない。然れば、僕が叶の食事風景を飽きるまで眺めるためにも、そして叶が満腹を感じるまでに食事を取るためにも、今日はこのまま延々と飯屋という飯屋を巡ってやろうではないか。そして、あのメルヘンチックな子供部屋で、二人で夜景を眺めようではないか。………斯くして三度、俺の願望と叶の欲とは一致してしまったのであった。
結局叶は、春巻きをもう一度10人前注文して幸せそうな顔で味わい、その間に俺は会計を済ましたのであったが、あっぱれと未だに称賛し続けている店主の計らいで杏仁豆腐分だけで済んでしまった。本当にあの体にあの量が入ってるとは信じられんとおっしゃっていたが、全くその通りであるので、店を出てから叶に断ってお腹に手を触れさせてもらったところ、ちょうど横隔膜の下辺りから股上までぽっこりと、あるところでは突き出ているようにして膨らんでいる。ここに8.7キロの麻婆丼と、春巻き20人前が入っているのである。ついでに水何リットルと、申し訳程度の定食が入っている。そう思うと、愛おしくなって手が勝手に動き初めてしまいそうになったけれども、人通りの多い道であるから、少年は軽く触れただけで、再び少女の手を引いて、街中を練り歩き出した。
それから家に帰るまでの出来事は、先の中華料理屋とだいたい似ているので詳しくは書かないが、何を食べたかぐらいは書いておこう。次に向かった店は近くにあったかつれつ屋で、ここで彼女は再びデカ盛りのカツ丼4.3キロを、今度は初めてと言うべき味に舌鼓をうちながらゆっくりと、しかしそれでも半額になる25分を6分24秒下回るペースで平らげ、次はカレーが食べたくなったと言って、1つ2つ角を曲がってよく知らないインドカレー屋に入り、ご飯を5回おかわり、ナンを10枚食べる。おぉ、すごいねぇ、とインド人が片言の日本語で歓声を上げるので、叶はどう反応していいのか分からずに、むず痒そうな顔を浮かべていた。で、次はラーメン屋が目についたので、特盛のチャーシュー麺と特盛の豚骨、そして追加で餃子を頼んで、伸びたらいけない、伸びたらいけないと念仏のように唱えながら、汁まで飲み干す。この時既に、一体何キロの料理が彼女の腹に入っていたのか、考えるだけでも恐ろしいので数えはしないが、店を出た時に少々フラフラとするから心配してみたところ、
「いや、体が重いだけで、お腹はまだ大丈夫」
という答えが返ってくる。事実、その移動ついでにドーナツを10個買うと、うち9個は叶の胃袋へ、うち1個は俺の胃袋へと収まった。そして今度は洋食屋に行きたいとご所望であったから、先の中華料理屋の向かい側にある何とか言う店に入って、ナポリタン、―――のデカ盛りを頼んで無料となる19分17秒で完食す。とまあ、こんな感じで店をはしごした訳であったが、その洋食屋を後にしてようやく、ちょっと苦しくなってきたと言い出したので、シメとして喫茶店のジャンボパフェを食べることにした。彼女にしてみれば、どれだけ苦しくても甘いものだけはいくらでも腹に入れられるのだそうで、その言葉通り、パフェに乗っていたアイスが溶けるまでにバケツのような器は空になっていた。そして、喫茶店を出た時、叶は急に俺の体に凭れかかってきたのであった。
「あ、あ、………苦しい、………これがお腹一杯って感覚なんだね」
と、俺の背中に手を回してすっかり抱きついてくる。うっとりとして、今が幸せの絶頂であるような顔をこちらに向けたり、道の向かい側に向け��りする。人目もはばからず、今にもキスしそうで、その実ゴロンと寝転がってしまうのではないかと思われる身のこなし。心ここにあらずと言ったような様子。………彼女は今言った量の料理を食べて初めて、満腹感を感じられたのであった。―――あゝ、とうとう僕の願望と叶ちゃんとの欲望が、叶い、そして満たされたしまったのだ。見よ見よこの満足そうな顔を。ここまで幸せそうな顔を浮かべている者を皆は知っているか。―――少年も嬉しさに涙さえ出てくるのを感じながら、抱きついてくる少女のお腹に手を触れさせた。妊娠どころか人が一人入っているかのようにパンパンに張って、元の病的なまでに窪んでいた腹はもうどこにもなかった。胸元だけではなく、腹部にある布地もはちきれそうになっていた。思えばここに全てが詰まっているのである。今日食べた何十キロという食べ物が、………そう考えれば本来の彼女の体重の半分近くが、この腹に収まって、今まさに消化されているのである。少年と少女はついに唇を重ねるや、そっとお腹に耳をつけてその音を聞いてみると、じゅるじゅると時々水っぽい音を立てながら、しかしグウウウ、………! と言った音が、この往来の激しい道沿いにおいても聞こえてきて、この可愛らしい少女からこんな生々しい、胎児が聞くような音を立てているとは! 途端に、股間の辺りから妙な、濁流を決壊寸前の堤防で堰き止めているかのような、耐え難い感覚がして、少年は咄嗟に彼女から身を引いた。今度の今度は背中をバットで殴られたような衝撃ではなく、内側からぷくぷくと太って破裂してしまいそうな、死を感じるほどのねっとりとした何かだった。そしてそれは何故か叶の体、―――特に異様に膨らんだ胸元と腹を見るだけでも沸き起こってくるのであった。少年は恐怖で怯えきってしまった。この得体の知れない感覚が怖くて仕方なかった。目の前でふらふらとしている少女から逃げたくもなった。が、無情なことに、その少女はうっとりと近づいてきて、少年の体にすがりつくので、彼は逃げようにも逃げられず、為されるがままに、その痩せきってはいるけれども上半身の異様に膨れた体を抱いてやって、少女の希望ゆえにお腹を両手で支えながら帰路につくのであった。
「お母さんに何言われるか分からないから、楽になるまで遊んで」
離れに戻ってから、叶はそう言って俺の体に寄りかかってきた。道沿いでしてきた時はまだ遠慮があったらしく、俺はすっかり重くなった彼女の体を支えきれずにベッドに倒れてしまい、じっと見つめる格好になったのであるが、そのうちに堪えきれなくなって、どちらからともなく、
「あははは」
「あははは」
と笑い出した。
「ねぇねぇ」
「うん?」
「さっきキスしてきたでしょ」
「………うん」
俺はこっ恥ずかしくなって、素っ気なく答えた。
「もう一度しない?」
「………うん」
今度はしっかりと叶の顔を見つめながら答えた。
これで俺たちは二度目の接吻をした訳であるが、俺の手はその後、自然に彼女の胸に行った。この時、叶の方がベッドに大きく寝そべっていたので、俺の方が彼女より頭一つ下がった位置にあり、目の前で上下する乳房が気になったのかもしれない。俺の手が触れた時、彼女はピクリと体を震わせただけで、その熱っぽい顔はじっとこちらを向けていた。嫌がっている様子が見えないとなれば、少年は図に乗って、両手を突き出して乳房に触れるのであったが、それでも少女は何も言わない。思えば、少年が恋する少女の胸に手をかけた初めての時であった。やわらかく、あたたかく、頭ぐらい大きく、手を突っ込めばいくらでもズブズブと沈み込んでいき、寄せれば盛り上がり、揉めば指が飲み込まれ、掬い上げれば重く、少年はいつまででも触っていられそうな感じがした。と、その時気がついたことに、着ている物の感触として、女性にはあって然るべき重要な衣服の感覚が無いのである。
「ぶ、ぶ、ぶ、ぶらは、………?」
と少年は何度もどもりながら聞いた。
「高くって買えないの。………それに、おっぱいが大きすぎて店に行っても売ってないの。………」
と少女は儚げな表情を、赤らめた顔に浮かべる。
それきり、言葉は無かった。少年も少女も、大人にしか許されざる行為に、罪悪感と背徳感を感じて何も言い出せないのである。少年の方は、父上の言いつけに背くばかりか、この部屋に連れ込んで淫らな行為に及んでいるがため、少女の方は、相手が自分の手に届かない物持ちの息子であることから、果たしてこんなことをして良いのかと迷っているところに、突然の出来事舞い込んできたため。しかし両者とも、気が高揚して、場の雰囲気もそういうものでないから、止めるに止められない。そして、どうしてその行動を取ったのか分からないが、少年は少女に跨って下半身を曝け出し、少女もまた裾を捲って肩まで曝け出した。玉のような肌をしながらも、はちきれんばかりになったお腹に、少年はまず驚いた。驚いてグルグルと唸るそれを撫で擦り、次に仰向けになっているのにしっかりと上を向く、丸い乳房に目を奪われた。生で触った彼女の乳房は、服を通して触るよりも、何十倍も心地が良かった。少年は、少女の腹を押しつぶさないように、腰を浮かしながら、曝け出した物を乳房と乳房が作る谷間の間に据えた。と、同時に少女が頷いた。右手で左の乳房を取り、左手で右の乳房を取り、間に己の物を入れて、すっぽりと挟み込み、少年は腰を前後に振り始めた。―――少年が射精を憶えた初めての時であった。
叶の腹がほぼ元通りに収まったのは、日も暮れかかった頃であったろうか、彼女を無事家まで送って行き、すっかり寂しくなった部屋で、俺はその日を終えたのであるが、それからというもの、お話をするという日課は無くなって、代わりに、休みの日になると叶を引き連れて、街にある食事処を次々に訪れては大量に注文し、訪れてはテーブルを一杯にし、訪れては客を呼び寄せる。その度に彼女は幸せそうな顔を浮かべて料理を平らげ、満足そうな顔を浮かべて店を後にし、日の最後は必ずその体を俺に凭れさせる。彼女にとって嬉しかったのは、そうやっていくら食っても俺の懐が傷まないことで、というのは、だいたいどこの店にもデカ盛りを制限時間内に食べられれば無料になるとか、半額になるとか、そんなキャンペーンをやっているのだけれども、叶はその半分の時間で完食してしまうのである。「頑張ったら、別に2倍にしても時間内に食べられるよ」と言って、見事に成し遂げたこともあった。その店には以降出入り禁止になってしまったけれども、痛いのはそれくらいで、俺は俺の願望を、叶は叶の欲望を満たす日々を送ったのであった。
だが、叶を初めて連れて行ってから一ヶ月ほど経った時の事、父上に呼ばれて書斎へと向かうと、いつもは朗らかな父上が、パソコンの前で真剣な表情で睨んで来ていらっしゃった。俺は咄嗟に叶との行動が知れたのだなと感づいて、心臓をドキドキと打たせていると、
「まぁ、別に怒りはしないから、隣に来てくれ」
とおっしゃるので、すぐ傍にあった椅子に腰掛けて、父上が真剣に見ていたであろうパソコンの画面を見てみた。そこには家中に配置されている監視カメラの映像が映し出されていたのであったが、その映像をよく見てみると、若い少年と少女が手を繋いで庭を渡る様子と、端に俺が叶を連れ込んだ日の日付と時間が刻銘に刻まれているのである。俺は頭が真白になって、どういい訳をしたらいいのか、どうやれば許して頂けるのか、―――そういう言葉ばかりが浮かんで結局何も考えられなかったが、兎に角、叶と会っていたことが父上にバレた、それだけははっきりと分かった。
「この映像に思い当たる節はないか?」
無いと言っても、そこに写っている少年の顔は俺であるし、後ろ姿も俺であるし、背丈も俺であるし、況や叶をや。言い訳をしたところで、事実は事実である上に、父上に向かってこれ以上見苦しい姿を見せたくなかったし、嘘を言うなんて事は俺には出来ないので、正直に告白することにした。もちろん、彼女に一杯物を食べさせてたなんて言うべきではないから、ただ一言会っていたとだけ伝えることにした。
「ふむ、正直でよいよい。そんなとこだろう。いや、それにしても、いきなり自分の部屋に連れ込むとは」
と、一転して朗らかになったので、急に恥ずかしくなってきて、キュッと縮こまったのであった。
ところで俺がこの監視カメラを甘く見ていたのには、少しばかり理由がある。1つには、庭は木が生い茂っていて見通しが悪いこと、そしてもう1つには、子供部屋として使っている離れには設置していないこと、だから俺はあの日の朝、部屋にさえ連れ込んだらこちらのものと思っていたのであったが、それ以上の理由として、父上がその防犯カメラの映像をあまりチェックし給はないことが挙げられる。父上は抑止力としてカメラを設置していらっしゃるだけで、その映像を見ることは月に一回あるかないか、それもたまに半年間もすっぽ抜かすこともあれば、チェックをするのも適当に何日かを選んで、早送りをして見るだけというずさんさがあった。俺はしばしばその様子を眺める機会があったのだが、いまいち鮮明でない画面であるがゆえに、もはや人が居るかどうかが辛うじて分かる程度であった。だから、俺はあの時、叶を部屋に連れ込んだとしても、見つかるはずは無いと高をくくっていたのである。
で、子供が一人で家の中で何をしているのか気になった父上が、ひょんなことから防犯カメラの映像を、ぼんやり眺めていると、何者かと共に離れにまで入っていく事を確認し、それが何とも見窄らしい格好をした少女であるから、2、3回繰り返して見ているうちに、隣家の貧家の娘であることに気がついたのであろう。
俺はそれから、また真剣な顔つきになった父上に、たんまりと諭されてしまった。この住宅街は、その大半が一般庶民の暮らしている家で埋められているのであるが、とある一画にだけは物騒な人(に売られる)が住んでいる。不幸なことにこの家を建てる時に、上手い土地が無かったために、ある一つの家を挟んで、そこと向かい合わせになってしまった。それならば、せめて家の裏にして、木で生け垣を作って完璧に仲を隔ててしまおうと思って、お前の部屋からも分かる通り、風景は見えるようにだけしたのである。もちろん、それなら別に他の所に住めば良いではないかと思うかもしれないが、しかしこの地は俺が子供時代に何年か過ごしたことがある土地であって、そして、お前のお母さんの生まれ育った土地である。つまりは夫婦の思い出の地であって、(言葉を濁しながら、)つまりは俺もお前と同じ穴の狢であるから、近所に住む女の子を一人や二人呼んだところで何も言いはしない。が、裏にある地区だけはダメだ。別にそういう地区ではないが、何しろ物騒な噂ばかり聞く。で、彼女の家はそんな地区と我々とのちょうど境目に建っていて、一番可哀想な境遇を経ているのであるが、向こうから色々と入れ知恵されていると人はよく言う。もし問題が起これば面倒事になるかもしれないし、お前に怪我でもあったら良くない。実際、昔お前のお母さんの友人が、あの地区にいる人といざこざを起こした時に、上辺だけは丸く済んだけれども、その後に復讐として連れ去られそうになったことがあった。彼らは放っておくとどこまで非情なことをするのか分からない。だからあの言いつけはお前を心配してのことだったのだ。そもそも、俺はお前にはもっとふさわしい女性とお付き合いしてほしい。ほら、一人二人くらい学校で仲良くなった子は居るだろう。いたらぜひ言ってくれと、最終的には学校生活の話をするのであったが、父上は諭している途中ずっと真面目であった。俺はそれをふんふんと頷きながら、その実父上がそういうことを話てくれることが嬉しくて、内容はあまり耳に入ってなかった。ただ叶が可哀想なんだなと思うくらいで、始まった父上の詰りに、すっかり考えを逸らされてしまったのであったのだが、
「しかし、可愛い子だな。あんな家に住ませておくのがもったいない。転校して会えなくなる前に、分かれの挨拶くらいは許してやるから、やっておけよ」
と、突然父上が衝撃的な事を言ってのけるので、
「え? 転校?」
と聞き返してしまった。全く、転校するなどとは俺には初耳で、椅子の上でぽかんと口を開けたまま固まってしまった。
「もう少ししたら、気晴らしに別荘の方で何年か過ごすからな、―――あゝ、そうそう本当に何年間かだぞ、一週間などではなくて。だからそのつもりでな」
俺はぽかんと口を開けたまま固まってしま���た。
それからは急に頭がぼんやりとしてしまって、引っ越しまでどう過ごしたのか憶えて居ない。ただ、最後に叶に会ったことだけは憶えていて、彼女は泣いていたように思う。ようやく自分が満足する量の食事を隔週ではあるけれども、取っている彼女の体つきは、微かに肉付きがよくなっているのだが矢張りガリガリに痩せ細っていた。逆に、胸元だけは一層膨らみ始めていて、その大きさはバレーボールよりも大きかった。俺は木陰に入って、最後にもう一度触らせてもらった。もうこれが最後だと思うと、お腹にも耳を当てた。朝食後直ぐに出てきたというその腹からは、矢張りゴロゴロと中で何かが蠢く音が聞こえてきた。そして泣いて泣いて仕方がない彼女と最後のキスをして、また会う約束を交わして、蕾を付け始めた桜の花を、雲の下にてあわれに見ながら袂を分かった。
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07032350
丁度幼女の左乳房を薄く剥ぎ取ったあたりでふと作業の手を止め、そもそも私は何故女児が好きなのか、と思考を巡らせ始めた。
部屋が寒い。何か羽織りたい。
ピロン、と机に放置していたスマートフォンにポップアップが表示される。ああ、設定していたスケジュールだ、と、ポップアップを消してから、隣の部屋、テレビの前へと座った。手の中にあった冷えた幼女の左乳房(といっても薄っぺらいそれは機能としては乳房だが見た目は投げつけられた水風船さながらだ)を掌で揉んで温めて一口分齧り、そして歯の力で噛み切ることの難しさを思い出して、一旦皮膚へ爪を立て、引き裂くように顎の力を込めて一部をかじり取った。
外皮を下にして舌の腹にそれを乗せれば、微かに感じるふわりさらりとした産毛、そして馴染むような吸い付くような不思議な感触。やはり人と人だと、親和性も高いんだろうか?心地いい、まるで元あった場所に帰ったかのように、私の舌の上で寛ぐ幼女。
口の中でそれを少し転がしたあと、ゆっくりしがみながら、テレビのスイッチを入れる。溢れ出る組織液はほんのりしょっぱく、舌にまとわりつく脂分も少し感じる。子供の方がむしろ皮下脂肪はある方だと、この食感がいつも思い出させてくれる。唾液腺から唾液が溢れ出て口の中に旨味の洪水をどばぁ、と作る様子が脳裏に描かれて、至福の時間が訪れたことを知らせてくれる。
アナウンサーの声が流れた瞬間忘れ物をした!と思い出して慌てて部屋に取りに戻った。いけないいけない。これを背負っておかないと、と、名札付きの赤いランドセルを背に背負う。比較的華奢で良かった。女児用のカバンだが私に背負えないこともない。肩周りが窮屈だけど背負っているうちに慣れるだろう。だってランドセルは丈夫な革で出来てるから小学校の6年間振り回したって持つような代物なんだ。考えついた人の技術に脱帽。ブラボー。スタンディングオベーション。
駆け足でテレビ前のソファー、定位置へと戻り、テレビの音量を連打して上げる。24。私の設定温度は決まって24度だ。何故なら。24は美しい数字だ。偶数、陰陽道ではその昔、陰の数だと揶揄され不吉な扱いすら受けていた偶数。割り切れる、なんて最高に気持ちが良くて素晴らしいじゃないかって私は思うけど頭の悪い世間はそうじゃなかったらしい。今でも結婚式のご祝儀とかじゃ別れることが出来るから推奨されない数らしいね。でもよく考えれば二人で仲良く分けられた方が円満に回りそうじゃない?今後の人生。って思うけどまあ結婚式に出席することなんて今までもこれからもないから気にしないでおこう。
夕方のトップニュース。見出しで一応確認はしていたが、もちろん話題は例のアレだ。分かっていたからわざわざ冷凍庫に眠っているハーゲンダッツや書斎に常備している白い恋人やらを差し置いて女児を肴に、番組の始まる2分前にアラームをセットしておいたんだ。私は予定調和が好きだから、予定通りの姿で幸せを噛みしめたい。
『先日、行方がわからなくなっていた○○県○○市の○学○年生、○○あかりちゃんですが、依然として足取りは掴めないまま、今日も早朝から地元の消防団、警察による大規模な捜索が再開されました。』
映像の中でいかつい顔の男達や年金暮らしで暇そうな年寄りどもが深刻そうな顔で列を成し、山の中、茂みの中を棒をつんつくつんつくしながら声を張り上げあかりちゃんを探している。涙ぐましい光景だなぁ。
そういえば先日近くのドラッグストアでチョコパイの安売りをしていたのに、丁度荷物が多くて買いそびれていたことを思い出した。ああ悔しい。食べたかった。今手元にチョコパイがあれば両手に花なのに。ファミリーパックはなかなかに高くて、特売日じゃないと手が出せないのに。なのになのにが多すぎて反省。あの時手間を惜しんでもう一度買いに行かなかったのは自分に甘い私だ。
何を隠そう私は甘いものには目がない。何をするにも糖分は必要だ。脳を動かすにあたって人間はブドウ糖を摂取する必要があり、身体の最上部、お上に君臨しているこの崇高な脳髄様は、最高の栄養と酸素とが入った血液を余すところなく啜り倒して思考をこねくり回している。まあ、脳髄が実際に思考をしているのかについては私の愛読書、夢野久作先生の「ドグラ・マグラ」にもある通り検証の余地があるが、概ね思考している、と言っても間違いではないだろう。脳には謎が多い。
そんなわけでブドウ糖を多量に消費する私の愛しい脳髄は、時折強烈な糖分を狂ったように欲する。脳が溶けそうな、むしろ頭が悪くなりそうな甘ったるいチョコレートやら、シロップをふんだんに混ぜ込んだココアやらホットミルクやら。果てにはガムシロップやメープルシロップやらまで欲した時には、ついに頭がおかしくなってしまったかと心配したほどだ。つまりは私にとっての甘味は失うことなど考えられない、麻薬のようなもの。上白糖に依存性があるというニュースが巷を駆け巡ったのはいつのことだったかな。
そういえば一人でテレビを見るのは寂しい。と、ニュースを見たい気持ちも引きずりつつ、(どうせ録画してあるし過去のものも含め何度だって時系列を追って見ている)部屋から妹を連れてまたテレビ前のソファーへと舞い戻った。機嫌の悪そうな、伏し目でテレビを見つめる横顔を見ながら、口の中に残っていた残りカスを手のひらに出してみる。なんだか、こう、皮の残りというのは味気のない、口の中にへばりつく薄っぺらい粘性のないガムのようになって不快だ。ガムなら飲み込めるがこれはあまり飲む気にはならない。だからいつも出して適当に捨ててしまっている。活用法がわからず、揚げたり焼いたり茹でたりで���んとか食べることもあるが生食の場合は廃棄一択。勿体無いお化けが出そう。右手に持った幼女の皮膚片から二口目を齧りとり、また口内で転がしてしがむ。じゅわりと溢れ出るしつこい皮下脂肪、この一瞬だけがどうにも至福で美味い。が、食べ過ぎると後々胃もたれを起こすから注意をしないといけない。歳はとりたくないもんだ。
眉毛が痒い。ぽりぽり、とかいたら指先にぬるつく感覚。昨日食べた尻肉の脂が、もう顔に出てきているらしかった。消化出来ないはずはないんだけど、何故か顔のテカリに反映されるあたり私ももうお兄さんではなくおじさん、いや、前言撤回。まだお兄さんでいたい。空いていた左手で顔を拭い、気紛れに隣にいた妹の顔に脂をなすり付けてみた。顔の左側にテカリの線が3本入って、民族のようにも見える。かさかさな肌が心配になって、右手に持っていた皮膚片の内側、皮下脂肪を妹の顔に貼り付け、ごしごしと皿でも洗うように塗り付けてみた。うん、いい。でも汚れてしまった。しまった、洗えないのに。
ニュース番組では事実の報道が終わり、スタジオにいるど素人のコメンテーターが神妙な面持ちで話し始めた。面白い。この瞬間が私はとても好きだ。興奮してきた、と、妹の顔に乳房の皮膚片を貼り付けたまま、妹の背中へと手を差し入れ、中に取り付けた操作用の棒を握り締めた。ふふ。もう楽しい。既に楽しい。
『こういった事件、事故が何故起こるのか、責任は一体どこにあるのか、考えなければいけません。』
「出ました。日本人特有の責任論。責任責任って、じゃあ誰かが代わりに失踪した娘に成り代われば、親御さんは満足するのでしょうか!?」
この場はまるで朝生。妹の首がぐりぐりと回り、上っ面ばかりきれいなコメンテーター達を正論でめった打ちにしていく。
この腹話術人形、作るのにかなり苦労した。初代はただ市販の人形と首を挿げ替えただけだった。動かせないことがひどく不愉快で、次は市販の人形に皮を被せた。剥製や、世界一美しいミイラのような想像をしていたけど、やっぱり素人じゃあそうは上手くいかず、萎びてそれは酷い有様だった。人はいつでも試行錯誤を繰り返し、素晴らしい成果をあげるんだ。先人達の数多の失敗の上にこそ、今の私たちの生活や人生は成り立っている、と思っている。あ、棒動かすの飽きた。喋らせよう。なんてったって今回の妹は特別カスタムを施していて、なんと、口が動く。カラクリを説明してしまえば至極簡単で、丁度舌の裏のあたりに親指が入る位の穴を開けているだけ。それだけ。天才的なアイデアは時として拍子抜けするほど簡単な構造だったりすることを、まさに思いついた瞬間私は実感した。中身をくり抜き、骨と皮を残して中を木の枠で補強して、下顎と首の可動域を広げた。それだけでかなり楽しくなるなんて、初代が知ったらどう思うだろう。私もして!って思うんだろうな。ごめんね妹、来世の私達に期待しよう。
何が面白いって、妹の頭の中に鈴を一つ入れたこのひょうきんな発想。チリン、チリリン!周りを論破するたびに小馬鹿にするように妹が鳴る。バーカバーカ!
「あれ、何の話しようとしたんだっけ。」
テレビの上の空間を暫し見つめて、やっと思い出した。そうだ、何故女児が好きなのか、だ。今日のテーマはそれだった。一旦妹を部屋に返そう。もうテレビは終わったし、朝生ごっこも妹の完全勝利Sで終わったし。最高。そうだ、喉乾いたからアップルジュースでも飲もうかな。冷蔵庫を開ける。ラインナップは水か麦茶かアップルジュース。よし、在庫あり。さすが私の記憶力。アップルジュースは、口内の粘つきやらしつこさやらを全てかっさらってくれる有能な子。オレンジジュースはダメ。酸っぱさが食べたものによっては苦さに変わるし、そもそも私の使ってる歯磨き粉がオレンジ味だから萎えちゃう。アップルジュースをコップに出して机に置いて、妹を部屋に返した。戻ってきた時つい��を蹴っちゃって、倒れかけたコップを咄嗟に支える。
「あばばばば。」
あっぶないあぶない。こんなハプニング望んでないよ私。まったくもう。おっちょこちょい。あ、ほっぺの皮膚片、そのままだ。忘れてた。あちゃー...。カピカピになっちゃうかな。まあいいか、あと片方あるし、それはそれで斬新なメイクみたいになるかな。でなんだっけ。晩ご飯までの時間潰し。あぁそうだ、女児趣味の原因。頭の中が煩雑で、いつも思考があっちこっちに飛び回るのが私の困った癖。
家族構成は、美しい母、そして静かな父、私、だった。しばらくの間は。そう、少し経って、妹が生まれたんだ。妹。初めて見た妹の姿は、夜な夜な父がむしゃぶりついているあの細い足が二本生えた股からひり出されたとはとても思えないでっぷりとした、そして管に塗れた私の可愛らしい妹の姿だった。顔はどちらにも似ていない、そして時々豚のような声を上げて唸り、周りの機械が喧しい合唱を始める。合掌。子供ながらに、「異常」が生まれたと認識した。天変地異、のような感覚だったかもしれない。ともかく、自然界にはあり得ないその異物を、私は己と血の繋がった人間、妹だと正しく認識し、むしろ愛着が湧いた。それはわかりやすくいうなら、近所のデパートの見切り品の中にあった、糸がほつれ綿が飛び出たぬいぐるみを見つけたような感覚だった。ああ、かわいい。可愛い。と、思った。本当に。まさかその可愛い妹が、父にむしゃぶりつかれてるなんて、その頃の私はよもや思うまい。未来から来たと言っても信じないだろう。
中学生だった私が、深夜トイレに起き、少し扉が開いていた寝たきりの妹の部屋を覗いた時、ちょうどこちらへ足を向けて横たわる妹の股倉に、父親が顔を突っ込んでいた。猫背気味で丸い背中。じゅるる、ずぞぞ、と、穏やかで悍しい音が聞こえた。ずぞ、じゅる、じゅっ、じゅるる。
頭を撃ち抜きたいと思った。勿論己の頭だ。衝動だった。日本に銃刀法があって良かったと心から思った。突発的な自殺に走ってしまう人の気持ちがほんの少し分かったような気がした。父は下の服を着ていなかった。
妹は異常だと思っていたが、果たして見た目の異常さと、中身の異常さはどちらが深刻で疎まれるべきものなのだろう。この問いに答えはまだ出ていない。なんて堅苦しくなっちゃったけど結局興味持ったのはあの時覗いた妹と同じくらいの歳の子だししゃぶり尽くしたいのも基本的には股倉ばっかりなんだよね。ああ、ちなみにそのあとしばらくして母が首を吊って、父は妹を置いて逃げたんだ。妹も、数年後に事故で亡くなってね。見事綺麗さっぱり無くなったから、私の人生には「しがらみ」ってものがないんだ。自由はいい。自由に憧れ続けて籠の中で死に絶えるなんて私には耐えられないよ。
考え続けて疲れてきたから、と息抜きにテレビをつけた。リモコンをぽちぽち。レコーダーに残された無数の映像は、どれも夕方のニュースを編集したもの。朝のニュースに比べて、昼から夕方、特に夕飯前のニュースには表現がリアルで、残酷なものが多いっての知ってた?朝は皆嫌なことを見たくないけど、仕事したり家事して疲れた人間たちは誰かの不幸を餌に一休みするんだなって私は思うよ。めんどくさーいって肉放置して腐らせる前に、今度こそはモチベ上げてこ。つって。
『○○は、元気で、すれ違う人に、挨拶をするような、素直な子です、だから、誰かについていってしまったとしたら、お願いですから、あの子を返して...』
と言われても、もう大半は私の内臓を通過して下水に旅立ったし、身につけてた衣類は燃やしちゃったし、髪の毛とか爪はコレクションしてるから返したくないし、どうしようもないんだよな。骨?そんなもん貰ってどうすんの?カルシウム取りたいなら牛乳飲んだ方がいいと思うな、私としては。
なんだか映像を見てたら下半身がむずむずとしてきた。生理現象か?いや、違う。これは性的な興奮のやつだ。暫しトイレにドロン。
はぁ。帰ってきたらまだ母親らしき女が泣いてる。テレビも欲しがるよね、引っ張って泣かせるような質問して。ちょっと眠くなってきた。けど、時間は17時すぎ。晩ごはんには早い、寝るにはもっと早い、昼寝には遅い。こんな時の選択肢は寝る一択。私は己の欲望を抑えるのがとても嫌いだ。寝たい時は寝るに限る。雨の日は休むに限る。でも起きたら流石に処理しないと、さっきからぷぅぷぅと何匹かハエが飛んでて頭がおかしくなりそう。なんたって私は虫が大の苦手で、部屋に殺虫剤を撒き散らして私が殺されかけたこともあるくらいの虫嫌い。よく考えたら別にそこまで美味しくて美味しくて震えるってわけでもないしむしろ顔が脂ギッシュになるのになんで食べるんだろう?分かんないけど、なんか食べたらお腹の奥がじんわり熱くなって、気持ち良くてぽわっとする。孕んだような感覚?孕んだことないけど。だから内臓は諦めるけど可食部はなるべく丁寧に食べたいんだよね。まあいいや、とりあえず眠いし、すごい眠いから一旦寝よう。おやすみなさい。
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sorairono-neko · 5 years
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Good night my love
 ヴィクトルはタクシーの窓敷居に肘を置き、流れてゆくいくつもの灯をぼんやりと眺めていた。窓から見えるほかの車の中は、楽しげな家族のだんらんだったり、恋人同士の甘い時間だったり、友人たちのふざけあいだったりした。通りを歩いている人たちも互いに手を取りあい、笑顔を向けあっていた。 「今季の曲はもうきまったのかい?」  運転席から声が聞こえた。ヴィクトルはゆったりと脚を組み、愛想よく答えた。 「いま、候補を絞っているところだよ」 「楽しみだね。またヴィクトルのひとり舞台が見られるわけだ」 「まだわからないよ。ライバルだってたくさんいるからね」 「そう言って、結局あんたは金メダルを毎回かっさらっていくじゃないか」  ヴィクトルはほほえんで窓の外に顔を向けた。今季の曲。ライバル。ひとり舞台。金メダル……。 「着いたよ」 「ああ、ありがとう」  ヴィクトルはタクシーから降り立ち、すこし歩いて、上品で華麗な建物の最上階を見上げた。そこはヴィクトルの自宅だった。最上階にはヴィクトルひとりしか住んでいない。だからどこの窓もひっそりと暗く沈んでいた。 「…………」  ヴィクトルは何の感情も浮かんでいない目でしばらく黒い窓を眺め、それから明るいロビーへ入った。警備員が「遅くまで大変だね」と挨拶した。ヴィクトルは微笑してちょっと手を上げた。エレベータに乗りこんで最上階のボタンを押し、壁にもたれる。ポケッ���に突っこんだ手で鍵をもてあそんだ。到着し、扉がひらくと、長い廊下をゆっくりと歩いて、しっかりした扉の二重鍵を外した。元気な吠え声が聞こえ、ヴィクトルは口元をほころばせた。 「マッカチン、遅くなってごめんね」  さっきまでとはちがう声、ちがう笑顔でヴィクトルは言った。マッカチンはうれしそうにヴィクトルの脚にじゃれついた。 「明日からはしばらくいられるよ。のんびりしようね。リンクへも一緒に行こう」  ヴィクトルは荷物をソファに置き、コートを脱いで無造作に掛けた。手を丁寧に洗ってから手早く着替えを済ませ、冷蔵庫を開ける。中はほとんどからっぽで、水の入った瓶だけがずらっと並んでいた。ソファに座ると、マッカチンが喜んでそばに寄り添った。 「さびしかったかい?」  ヴィクトルは利口そうなつむりを撫でてやり、それからもこもこした身体を抱きしめて頬ずりした。 「……疲れた……」  そっと目を閉じる。マッカチンはヴィクトルの頬をぺろぺろと舐めた。 「大丈夫だよ。問題ない。ちょっと寝てないだけさ。マッカチンといるとすぐ元気になる」  ヴィクトルは水を飲み、茶色い包みから容器をいくつか取り出した。それは彼の今夜の食事だった。どこかで済ませてこようかと思ったのだが、店に入れば誰かに声をかけられ、ほほえみかけられる。ファンのことはいつだって大切にしたいと思っているし、応援には応えたいが、幾日も仕事をして疲れているときは、いつものような気の利いたことが言えるかどうかわからなかった。 「ヤコフのところは楽しかった?」  ヴィクトルは容器を開けながら尋ねた。 「優しくしてもらったかい? ヤコフはああ見えてすぐ甘やかすからな……」  食欲などほとんどない。しかし食べなければ身体が衰弱する。スケートをするためには強い肉体が不可欠だ。ヴィクトルは機械的に食べた。美味いはずだが、美味いとか不味いとか、そんなことを判断する必要を感じなかった。  部屋はしんと静まり返っている。音楽でも流そうか、と考えたが、そのための行動さえ億劫だった。思った以上に疲れているのかもしれない。  このところ、スケートをしていない。それ以外の仕事ばかりだ。笑顔を振りまいて、写真を撮って、質問に答えて……。それを待っている人たちがいる。いやではない。しかしそれでも、ヴィクトルにはスケートしかなかった。身もこころも氷に捧げている。早くスケートがしたかった。金色のメダルを並べてゆく。メダルの数が増えれば増えるほど、その色は最初ほど輝いていないような気がしてきていたが、しかしやはり、ヴィクトルの頭にはスケートしかなかった。 「だめだよマッカチン。これはマッカチンの身体にはよくないんだ。ヤコフのところでもらっただろう?」  迫ってくるマッカチンをかわし、ヴィクトルは食事を続けた。マッカチンを見ているとほっとする。マッカチンだけがヴィクトルを癒してくれる。 「マッカチン……、いつも俺を待っててくれてありがとう……」  ヴィクトルはフォークを置くと、マッカチンの毛並みに顔を埋め、深く息をついた。マッカチンはおとなしくしており、ときおり鼻を鳴らしてヴィクトルを心配した。 「……ちょっと疲れただけなんだ。それだけなんだ……」  早くスケートがしたい。氷に立てば何もかも忘れられる。俺は氷の上でしか生きられない生きものだ。早く氷に戻らなければ……。  使った容器をまとめて片づけ、瓶の水を飲み干した。瓶を流しのすみに置くと、水道の蛇口から、水がぽたりと落ちた。ひろい台所を眺め、あかりを消す。 「マッカチン、お風呂に入ってくるよ。おまえもちょっと洗ってやらなきゃだめだねえ。いつにしようかな……。おまえを洗うのは大変だ」  マッカチンが不思議そうにヴィクトルを見上げた。ヴィクトルはちょっとだけ笑った。  短い時間で入浴を済ませ、身体をぬぐうと、何も身に着けないまま歩いて寝室へ入った。マッカチンがついてくる。 「さあ寝よう。おいで」  ヴィクトルはマッカチンと並んで横たわった。 「明日は一日じゅう一緒にいよう。俺がスケートしてるところ見ててくれる?」  マッカチンが元気に答えた。ヴィクトルは目を閉じた。疲れているはずなのに眠れない。マッカチンに抱きつき、頬をすり寄せた。  ──夢を見た。ヴィクトルは暗い中、リンクにいてひとりですべっている。自分の思うように演技をしている。長い髪がやわらかくなびき、四肢は伸びやかに踊り、ヴィクトルは笑顔だった。だが、だんだんと足が重く、スケートシューズが前へ進まなくなってきた。なんでこんなに重いんだ、と苦しかった。足が上がらない。ジャンプができない。どうして? スケートとはこれほど難しいものだっただろうか。いつの間にかヴィクトルは、大人の容貌になっていた。なぜ上手くすべれない。俺はあらゆるものをつかんだはずだ。自分の道を信じ、すべきことはすべてしてきた。どんなに苦しいことでも厭わなかった。氷のためならなんでもできた。何もかもを投げ出して、氷で生きることをきめたのだ。それなのにどうしていまになって、これほど重さを感じるのだ。俺は──俺は──。  ヴィクトルは足元を見た。何かがからみついている。眉根を寄せ、目をこらした。ヴィクトルは叫び声を上げそうになった。足にからみついているのは、大量の金メダルだった。  身体が激しくふるえ、ヴィクトルは息をのむようにして飛び起きた。一瞬、自分がどこにいるかわからなかった。だが、すぐに慣れた風景が目に入った。機内だ。あちこちからちいさな話し声が聞こえる。隣の席には誰もいなかった。どうやら、あとすこしでプルコヴォ国際空港に到着するようである。ヴィクトルはふうっと息をついた。疲れているのだ、と思った。いやな夢を見た。  空港からタクシーに乗った。運転手は「やあ、ヴィクトル」と陽気に話しかけてきた。ロシア国民なら、老若男女、誰でもヴィクトルの顔を知っている。 「やあ」  ヴィクトルは笑顔で答えた。 「今季の曲はもうきまったのかい?」  そう尋ねられ、ヴィクトルはどきっとした。 「……いま、候補を絞っているところだよ」 「楽しみだね」  運転手は言った。 「今季はあの子もいるんだろう? えっと、名前はなんていったっけ? ヴィクトルが日本からさらって来た……」  ヴィクトルは笑い出した。胸に安堵がひろがった。 「勇利だよ。ユウリ・カツキ。おぼえてくれ」 「そうそう、ユーリだ。ロシアにもある名前だなって思ったんだよ。かわいい子かい?」 「そりゃあもう」  ヴィクトルは大きくうなずいた。 「文句なしにかわいいよ。どうしようもなくかわいいよ。しかも、かわいいうえにうつくしいんだ。最高だよ」 「へえ、ヴィクトルがそんなに褒めるなんてね。欠点はないのかい?」 「欠点は……」  言うことを聞かないところ。勝手になんでもとりきめてしまうところ。そう思ってヴィクトルは笑った。 「ないよ! すべてが最高さ!」 「へえ。じゃあ楽しみだね」 「今季は彼にも注目して欲しいな。すばらしいものが見られると思うよ。期待しててくれ。勇利の試合、見てくれたかい? グランプリファイナル──ワールドでもいい。ショート、最高にセクシーだっただろう? 普段もあんな感じで俺を誘惑してくるんだよ。俺はもうすぐにまいっちゃうのさ。めろめろだよ。優しそうに見えるのに、ときどき、熱のこもった目つきでじっと俺を見るんだ。そのときのぞくぞくする感じときたらたまらないよ。勇利はどちらかというと無口でね。だから何かを話すとき、全力で耳を傾けたくなる。何も話さないときは──瞳が雄弁だ。俺は夢中でみつめてるんだよ。勇利の目はいつもうつくしく輝いていて──そう、フリーで示すうつくしささ。わかるだろう? あれほどおごそかで神聖な美はないね。静寂と清廉にみちた美だ。あの洗練されたみずみずしさが──」  ヴィクトルの舌がなめらかに動いているうちにタクシーは停まった。 「着いたよ」 「どうもありがとう! 一週間ぶりに勇利に会うんだ」  ヴィクトルははずむ声で言ってタクシーから降りた。すこし歩き、うきうきしながらアパートの窓を見上げる。そこには優しい、まばゆいひかりが輝いていて、ヴィクトルを「早く早く」と手招きしているようだった。ヴィクトルは意気揚々と扉を開け、ロビーに入った。 「やあ、ヴィクトル。お帰りかい?」 「まったくまいったよ! 勇利は元気かな」 「毎日楽しそうにリンクに通って、マッカチンの散歩をしてたよ」 「俺がいないのに楽しそうだなんてどういう了見だ?」  ヴィクトルのおどけた嘆きを警備員はおもしろがり、愉快げに笑い声を上げた。ヴィクトルは踊るようにエレベータに乗りこんで、指揮棒でもふっているかのようなしぐさでボタンを押した。最上階に着くのが待ち���しかった。  扉の前に立ち、咳払いをして、呼び鈴を鳴らした。すぐにぱたぱたと足音が近づいてきて、勢いよく戸が開いた。 「おかえり、ヴィクトル!」 「わうわう!」  黒いかたまりと茶色のかたまりがそれぞれ飛びついてき、ヴィクトルは両手で抱き止めた。 「ただいま!」  ヴィクトルは笑顔で挨拶すると、マッカチンのつむりを撫で、それから勇利を抱きしめて頬にキスした。勇利が「くすぐったい」と顔を上げる。それでヴィクトルはくちびるにも接吻した。 「んー」 「…………」 「んー」 「…………」 「んー」 「……ちょっとヴィクトル!」  勇利がヴィクトルの胸を押しやり、抗議した。 「長いよ!」 「なんで? 足りないくらいだ」 「まったくもう……」  勇利がヴィクトルのコートを脱がせた。ヴィクトルが勇利をじっとみつめると、それに気がついた勇利が困ったように笑い、ヴィクトルに両腕を投げかけた。 「おかえり……会いたかったよ」  ふたりのくちびるがふれあった。勇利はヴィクトルのおとがいにもキスをしてささやいた。 「手を洗って着替えてきて。ごはんの用意をするよ」 「ありがとう」  ヴィクトルが部屋で着替えていると、台所のほうから声が聞こえた。 「マッカチン、これはあげないよ! そんな目をしてもだめ! なんでそう食いしん坊なんだろう。飼い主に似たんじゃないの。……言っとくけどぼくのことじゃないからね。ヴィクトルだよ。ヴィクトルのこと! ぼくに似てたら、食いしん坊どころか、マッカチンはいまごろこぶただよ。……自分で言ってて傷ついた」  ヴィクトルは笑いをかみ殺した。  食堂へ行くと、夕食の支度がととのっており、美味しそうな匂いと湯気とでみちみちていた。 「ワーオ……いいね」 「何が?」 「いただきます!」  ヴィクトルは元気に言って食べ始めた。しかし、ひとくち食べた瞬間、きょとんとした。 「…………」 「どうしたの?」 「……勇利」 「…………」  勇利はしばらく黙ってサラダを食べていたが、そのうち噴き出し、両手を打ち合わせて「ごめん!」と謝った。 「砂糖を入れすぎました!」 「…………」 「あの……手がすべって……」 「…………」 「でも食べられなくはないでしょ? ぎりぎりいけると思うんだ。ちょっと甘めだけどね……」 「…………」 「次からは……気をつけるよ……」  勇利は上目遣いでヴィクトルをうかがった。ヴィクトルはしばらく神妙な顔で食べていたが、そのうち笑いをこらえきれなくなり、身体をちいさく揺らしながらうなずいた。 「いいよ……フクースナだよ」 「無理に言わなくていいから」 「いや、美味しい」  ヴィクトルは熱心に言った。 「美味しいよ……勇利が失敗しながらつくった料理」 「ばかにしてるだろ」 「本気だ」  ふたりはにらむように顔を見合わせ、それからくすくす笑った。 「途中でケーキを買ってきた。あとで食べよう」 「ぼくにこぶたの魔法をかける気だね」 「オフシーズンだからいいさ。ぷにぷにの勇利を見せて」 「オフシーズンっていうけど、毎日リンク行ってるからね。絶対太らないでいてやる……」 「勇利はこれ、食べないの?」 「砂糖が多いから」 「不味いからだろ」 「ああ! 不味いって言った!」 「おっと……」  ヴィクトルは澄まして「こっちはどうかな」と別の料理にとりかかった。ごく平凡な、誰でもつくれそうな料理だが、これはヴィクトルしか食べられない、ヴィクトルが世界一美味いと思う食べ物だった。 「フクースナだよ……勇利」  食事を終え、勇利が食器を洗うのを手伝った。 「ヴィクトルはやすんでていいよ」 「いや、やりたい」 「変な趣味だね。昔から家事好きなんだ?」 「どうだったかな」  一生懸命食器を洗っている勇利がかわいくて、ヴィクトルは彼の頬にキスした。 「いきなりなんだもんなあ……」 「予告したら照れるだろ。ああ、でも、それならかえって予告したほうがいいのか」 「いきなりでいいです」 「ケーキはお風呂の前? あと?」 「あと。ヴィクトルの淹れる紅茶が飲みたいな」 「オーケィ。お風呂は一緒だからね」 「髪洗ってあげる」 「じゃあ身体洗ってあげる」 「ヴィクトルは身体洗ってくれるとき変なところさわるからな」 「変なとこってどこ?」 「まあいいや」 「変なとこってどこ?」  ヴィクトルは湯につかり、湯船のふちに首をのせた。勇利は椅子に腰掛け、鼻歌を歌いながらヴィクトルの髪を洗った。歌をよく聞いて���ると、ヴィクトルがすべったアリアだった。ヴィクトルはくすっと笑った。 「ヴィクトルにシャンプーハットつけさせたいな」 「なにそれ?」 「流しまーす」 「ねえ、なにそれ?」 「目をつぶらないと」  ヴィクトルは目を閉じた。勇利は綺麗に洗い流したあと、「はい、終わり」とてきぱき言った。ヴィクトルはぱっとまぶたをひらいた。 「勇利!」 「わっ、なに?」 「目をつぶらせたらキスするものだろう!?」 「それヴィクトルじゃない。いつもいつもさ……」 「勇利はわかってない」 「ほら、交代交代」  ヴィクトルは湯から上がると、勇利に後ろを向かせ、丁寧に身体を洗ってやった。そうしながら点検してみたが、「こぶたちゃん」になる気配はまるでない。感心である。すこしくらいならいいけどな……。 「ねえ、ヴィクトル」 「なんだい?」 「次のやすみさあ、マッカチン洗おうよ。洗って欲しいって訴えてくるんだよ」 「マッカチンは水が好きだからねえ」 「ぼくがお風呂入ってると、外から毎日催促してくるんだよ。でもヴィクトルがいないと洗えないし」 「オーケィオーケィ。ひと仕事だよね。よし、次のやすみにね」  風呂上がりには、ヴィクトルが紅茶を用意し、勇利はケーキを皿に出した。 「ヴィクトル、どっち?」 「勇利の好きなほうでいいよ」 「じゃあ両方はんぶんこ」 「言うと思った」  ふたりはソファで寄り添い、それぞれひとつのケーキを担当した。片方だけを食べるのではなく、自分が食べ、相手も食べたがったら取り分けて口に入れてやる、ということをするのである。 「マッカチン、次のやすみ、洗ってあげるからね。明日じゃなくて、その次ね。ヴィクトルがいいよって」  勇利は足元に寝そべっているマッカチンに笑いかけた。マッカチンがしっぽでうれしそうに答えた。  テレビに映し出されているのは、ヴィクトルのプログラムだった。勇利の秘蔵DVDである。勇利はよくこれをヴィクトルに見せ、「見て、いまの!」「かっこいい!」「ねえこれぼくもできるかな?」「今度やって!」とひとしきり騒ぐのだ。 「ヴィクトル、なつかしい?」 「俺はあまり演技を見ていない」 「見てよ」 「勇利を見てるほうがおもしろい」 「もー」  勇利はこういうとき、ヴィクトルの手を握りしめ、きらきらした子どもみたいな目でじっと見入っている。しかし時間が経つにつれ、その輝きはなりをひそめ、真剣なまなざしに変化し、最後にはぞくぞくするほど鋭い目つきなる。甘美に誘惑している気配はまるでないのに、ヴィクトルにはそれがこのうえなく魅力的に見える。こころにきめた男を見るときの目だ。こうなると、勇利はひとこともしゃべらない。ヴィクトルは自分の姿にはいっさい注意を払わず、ただ勇利に見蕩れていた。  プログラムが終わると、勇利はふっと息をつき、力を失ったようにぐったりとなった。最後には、ヴィクトルの手は痛いくらいに握りしめられていたのだが、このときようやくそれがほどけた。 「すばらしかったね……」  勇利の視線はうっとりと宙をさまよい、瞳はしとやかに濡れ、頬はひどく上気していた。勇利はヴィクトルのほうを向いて、両手でヴィクトルの頬を包みこんだ。 「ああ……、かっこいい……」  ケーキはもうなくなっていた。ヴィクトルは勇利に真剣なキスをした。 「おいで」 「うん……」  ヴィクトルは勇利を連れて寝室にこもり、二時間ばかり、「おまえがこころにきめた男はどういう男か」ということを教えた。勇利にだけ向ける笑みとまなざしで愛し、勇利にだけ聞かせる声であまくささやいた。 「勇利、もっと俺の愛を知ってくれ。まだあるよ。まだまだあるよ」 「うん、ぼくも……」  勇利もまた、目つきやつぶやき、涙や吐息など、さまざまなものでヴィクトルへの愛情を示し、ヴィクトルのことを喜ばせた。 「はあ、暑い……」 「よかった?」 「うん……ヴィクトルは……?」 「いますぐ『離れずにそばにいて』をおまえのためにすべりたいくらいよかった」 「あはは……」  勇利はヴィクトルの胸につむりをのせ、うっとりと目を閉じた。ヴィクトルは彼の身体をかるく抱いていた。 「汗、すごいね……」 「一緒にシャワーを浴びて歯みがきをしよう」 「うん……寝ちゃいそう……早く行かないと……」 「もうすこしいいだろう?」  ヴィクトルは勇利を引き寄せて接吻した。勇利はくすくす笑っている。ふたりのあいだを、汗が流れ落ちていった。 「……夢を見た」  ヴィクトルはつぶやいた。 「飛行機の中で……」 「どんな夢?」  勇利が目を上げてヴィクトルを見た。 「昔の夢さ」 「昔の、どんな夢?」 「……忘れた」  勇利はくすくす笑った。 「忘れたのに、おぼえてるの?」 「夢を見たことだけね」  勇利がゆっくりと手を上げ、ヴィクトルの頬を撫でた。それからくちびるにふれ、その指でみずからのくちびるをさわった。 「いやな夢だったんだね……」 「…………」  勇利が伸び上がり、目を閉じて優しくくちづけした。いつくしみにみちた、いちずな、愛いっぱいの接吻だった。ヴィクトルは息をつき、きつく勇利を抱きしめた。 「勇利……、もうおまえがいないとだめなんだ……」 「…………」 「どこにも行かないでくれ」 「……うん」  勇利は目を上げ、みずみずしく笑ってうなずいた。 「行かないよ」 「…………」  ヴィクトルは勇利に頬をすり寄せた。勇利の手がヴィクトルの背中にまわる。 「ぼくのいとしいヴィクトル……」  勇利が歌うようにささやいた。 「ぼくはこれまで貴方を想って生きてきたし、これからもずっとそうだし、ぼくはぜんぶ貴方のものだよ……」  彼は額をこつんとくっつけ、ヴィクトルの青い目をのぞきこんだ。 「そして貴方もぼくのもの」  ヴィクトルは夢中で勇利にキスをした。首にくちびるをすべらせると、勇利があえぐような笑い声を上げた。 「ヴィクトル、シャワー浴びて、歯みがきしないと……」 「その前にすることがある」 「もうしたでしょ……」 「まだ……だ」 「足りてない?」 「足りてない……」 「……そう?」  勇利は髪をかき上げてほほえんだ。 「おまえが欲しい」 「貴方のものだって……」 「まだあるだろう……」  ヴィクトルはささやいた。 「もっとよこせ」  翌朝、遅めの朝食をしたためているときに、勇利が元気に言った。 「ヴィクトル、今日買い物行こ!」 「いいとも! なんでも買ってあげるよ。何が欲しい?」 「あの、期待してるとこ悪いけど、個人的なものではありませんので」 「なに?」 「洗剤とかそんなの」 「ああ……」  ヴィクトルはくすっと笑った。それもいいだろう。配達などしてもらうより、よほど楽しい。 「欲しいけど買うには重いものがいっぱいあって……。絶対ひとりじゃ持ちきれないんだよね。ヴィクトルが帰ってくるの待ち構えてたんだ」 「働くよ」  ヴィクトルは神妙な顔をしてうなずいた。 「勇利とマッカチンのために」  勇利が可笑しそうに笑っている。 「お昼は外で食べようか。なに食べたいか考えておいて」 「晩ごはんの材料も買わなくちゃ。夜はなに食べたいか考えといて」 「カツ丼」 「カツ丼かあ……。それだけでいいの?」 「いや、そっちの意味じゃなかったんだが」 「え?」 「えっちなほう」 「あのさ……いまそういう感じだった……?」 「いいだろう、べつに」 「恥ずかしいひとだねえ、マッカチン」  勇利はかたわらにいるマッカチンに話しかけた。それっきりそれで話は終わりかと思っていたら、洗い物のとき、唐突に彼が「いいよ」と言い出した。 「何が?」 「今夜食べたいもの……」 「…………」  ヴィクトルの瞳が輝いた。勇利は頬をうす赤くして言った。 「でもちゃんと、ほんとに夜、食事で食べたいものも考えといて」  ヴィクトルはマッカチンに話しかけた。 「かわいい子だねえ、マッカチン」  その日は一日デートをして、夜にはヴィクトルの希望した肉じゃがを食べて、そのあとはやはりヴィクトルが希望したカツ丼を食べた。充実した時を過ごし、マッカチンと勇利に寄り添われてうとうとしているヴィクトルに、勇利が一生懸命に話しかける。 「ヴィクトル、明日、リンク来るよね?」 「うん……? うん……」 「よかった」  勇利が子どものように笑った。さっきまでの表情とはまるでちがう。 「なんで……?」  ヴィクトルは勇利を抱き寄せながらほほえんだ。 「ヴィクトルがいないあいだに、ぼく、びっくりするようなことになってるから」 「へえ……」 「まじめに練習したんだよ」 「そうか……」 「明日見せてあげるね」 「ああ……」 「ほんとだよ」  勇利が念を押した。 「本当にヴィクトル、めちゃくちゃびっくりするから」 「うん……」 「覚悟してて」 「うんうん……」 「聞いてる?」 「ああ……」 「絶対おぼえてないよこれ」  勇利がこぼした。そんなことはない、とヴィクトルは思った。勇利、おぼえているよ。おまえのことならなんでも……。 「勇利……」 「ん?」 「俺ね……、家へ帰ってくるの、楽しみなんだよ……」  勇利がぱちりと瞬いた。ヴィクトルは勇利にキスし、「おやすみ……」とささやいた。勇利が微笑した。 「おやすみ、ヴィクトル……」  勇利のくちびるが頬にふれた。 「See you in your dreams……」  ヴィクトルはしばしいとしい現実を離れ、現実と変わらずしあわせな夢へと入っていった。
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lanikaihir · 5 years
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LANIKAII.でオーガニクスを導入しました!!!!! 是非オーガニックサロンLANIKAI.の オーガニクス体感して下さいませm(_ _)m 9月はシャンプーをするお客様に全成分中98%自然由来成分、81%が有機植物由来のオーガニック成分のオーガニクスを使用した頭皮トリートメントをさせて頂きます!! オーガニック世界統一基準の【COSMOS認証】【vegan認証】などを取得した商品オーガニクス ◇COSMOSオーガニック認証 完成品の最低20%はオーガニック原料でなくてはならない。 物理的処理をした農産物原料のうち、最低95%はオーガニック原料でなくてはならない。 COSMOS NATURALの基準は全て満たさなくてはならない。 ◇COSMOSナチュラル認証 COSMOSナチュラル認証 使用される全ての原料は、精査された原料でなければならない。 ※精査された原料… 水、ミネラル、物理的に処理された農産物原料、化学的に処理された農産物原料、その他原料 ◇Vegan認証 動物由来の原料は使用しない。 動物実験は行わない。 遺伝子組み換え原料を使用しない。 ※動物由来DNA以外で使用の場合はラベルに表示 12の基準 ◇全ての原料はCOSMOS(化粧品のオーガニック国際統一基準)の厳しい審査をクリアしています。 ◇使用している自然由来原料の産地は可能な限り開示します。 ◇可能な限り環境に配慮した容器や包装を使用します。 ◇水を含む成分の95%以上は自然由来原料です。 ◇石油由来原料、または石油系物質で処理をした自然由来原料は使用しません。 ※COSMOS基準が認めた数点を除く ◇動物由来原料は使用しません。 ※一部商品を除く ◇動物に苦痛を与える動物実験は行いません。 ◇体や環境への影響の可能性のある遺伝子組み換え原料は使用しません。 ◇パラベン(防腐剤)は使用しません。 ◇100ナノメートル以下の無機物の微粒子原料(ナノマテリアル原料)は使用しません。 ◇アルコールは使用しません。 ◇合成色素は使用しません。 強炭酸クレンジングに 頭皮に清涼感を与える メントールとペパーミントのW(ダブル)の清涼感を プラスしたピッタリの冷強炭酸クレンジング(5分程度)を 8月末までシャンプーをする全ての お客様にさせていただきます!涼しいスチームミストと 高濃度炭酸泉とホットタオル等も併用させて頂きます☆ センブリエキスや天然ハーブエキスが 頭皮を健やかに整えます!!!!!! 強く、抜けにくい髪を頭皮から育て抜け毛を予防します! 8つの素材フリー  1.シリコーンフリー  2.アルコールフリー  3.パラペン(防腐剤)  4.フェノキシエタノール(防腐剤)フリー  5.石油系界面活性剤フリー  6.鉱物油フリー  7.人工香料フリー  8.人工着色料フリー 4つのアロマ ・ユーカリ油 ・ラベンダー油 ・ノバラ油 ・スペアミント油 天然精油のラベンダーベースの おだやかで上品な香りです☆ 更に弱酸性!!是非ご利用下さい!! オーガニックコスメと同じように繰り返し使用する ヘア商品もオーガニックがおすすめです!! トリートメントメニューと併用で頭皮と髪の毛も キレイにピカピカ!! LANIKAI.のオーガニックメニューとオーガニック商品は お客様をキレイにさせて頂きます!!^^ 契約店のみが使用できるエッセンシティ☆オーガニクス☆ 炭酸泉発生器トルケアで高濃度の炭酸泉☆ 只今lanikai.では、若干名スタッフを募集してます フリーランスや業務委託などの条件も変わりました ご興味のある方はhttp://staff.cuts.jp/salon/lanikaihair/ 都内の四谷、四谷三丁目、曙橋、信濃町、麹町、新宿御苑、若松河田、 千駄ヶ谷、市ヶ谷、赤坂見附、青山一丁目、外苑、飯田橋、神楽坂周辺の 美容院、美容室を探すならオーガニックのヘアサロンLANIKAI.虹 http://www.lanikaihair.jp 商品通販サイト始めました(LANIKAIの通販サイトです.) http://maikaioafu.wix.com/beauty-care-2 急ぎの方は下記にご連絡ください!! -------------------------------------------------- 東京都新宿区四谷三栄町4-12  大澤ビル1F 三栄通り沿い 03-6380-1903 --------------------------------------------------
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19451130 · 6 years
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パロスティレオ
【ANGEL/スティレオ】
ヘルサレムズ・ロット構築よりも前、「牙狩り」として活動していたスティーブンが任務中に出会った子供。 真っ白な羽根ではなかったけれど、背中に翼がくっついていたんだから、似たようなものだろう。 あの天使みたいな子に出会った時はスティーブンとて夢か幻覚かと思ったが、頬に残っている傷は、天使に出会ったときについたものだ。 実戦で負った傷をいちいち治療するほどの施設も余裕もなく、えぐり取られたような稲妻型の傷は今も頬にくっきりと残っている。 顔に傷を負うような任務の失態より、思い出すのはスティーブンにふれた小さな手のひらのこと。 なにも知らない連中からは、痛ましそうな顔をされることもあるが、スティーブンにとって頬の傷は天使と出会った日の思い出でもある。
時折、こんな世界見捨ててしまってもいいんじゃないかと思うこともあった。 死にかけて、死ぬほどの怪我をして、傷にじくじく痛む身体を引きずりながら戦場に戻る度、何のために戦っているのか時々わからなくなってくる。 世界の均衡を守るためという大義名分は、生まれてきた家の掲げるもので、スティーブン個人の願いではない。 放っておけば自分の生きる世界が壊れるというのなら、戦うべき力を持つ自分がどうにかするか程度の思いはあるが、身を削ってまで守り通したいかと思えば首を横に振る。
考えが変わったのは、心に住み着いた天使がいるせいだ。 スティーブンは決して熱心な宗教家ではないし、それにスティーブンの戦い方は十字架を踏んで神を冒涜するような行為ばかりである。 そんな男が抱いたささやかな願い。 「レオ」と名乗ったあの小さな子供が、幸せに暮らし続けることが出来るように。
*
オークション会場はいやなにおいで満ちていた。 金の臭い、血の臭い。吐き気を催すような醜悪な悪意と虚栄心ばかりで満ちている。
今日、スティーブンがこの会場にやってきたのは、上位存在からもたらされたという神々の宝が、オークションの目玉として競りに出されるという噂を耳にしたからだ。 出来ればガセネタであって欲しいところだが、それなりに信用できるルートからの情報な上に、裏ルートでも話題をさらって、会場は既にトリを前に盛り上がっていた。 早く帰ってうまい酒と飯でも食べてゆっくり寝たい。 スティーブンは興奮の輪からはずれるようにオークション会場の後ろに立ったままあくびをかみ殺す。
「それでは本日の目玉にしてトリの登場です!」と進行役の男によって高らかに宣言され、スティーブンは崩しかけた姿勢を正した。 (いよいよか) ステージの中央に運ばれてくる黒い布に覆われた何か。
そして勿体ぶることもなく取り払われた布の向こう。姿を現したのは巨大な鳥かごだった。 ざわざわと空気が動く中、スティーブンは食い入るようにそれを見つめる。 膝を抱えてうずくまった少年は裸に剥かれて、背中には身の丈ほどの茶まだらの翼が生えていた。
スティーブンは息をのんだ。 瞬きを忘れて、会場の喧騒が遠くなる。 ブルネットの癖毛、跳ねた髪の毛。そして背中に生えた天使のような鳥の翼。 剥き出しになっている背中からは作り物ではないと証明するように晒されて、裸の少年が周囲の視線に身をすくめる姿が視界に入る。
もし、あの子が生きていれば、あのくらいの年になっているかもしれない。 今も大事に思っているが、写真も残っていない当時の記憶は薄れ正確とは言い難いが、あの冬の夜のことは、今でも時折夢に見る。
スティーブンだけの天使の夢。
まだスティーブンが二十代の頃の話だ。 エルダークラスの吸血鬼にやられた傷は深く、自分がまだ生きていることが奇跡のように思っていた。 血を流しすぎて頭はくらくらしている。 息が白くなるほど寒い筈だが、体中熱く血が沸き立ちえぐられるような痛みで眠らせてもくれない。スティーブンの腹から流れ落ちる血が地面を濡らす。 どこに行くのか、どこで死ぬか。 スティーブンは取り逃したが、通信の先で斗流血法の化け物じみた吸血鬼を創始者が叩き潰したと知り、スティーブンの役目もここで終わった。 ざりざりうるさい通信機を耳から外して、空を見上げれば、澄んだ空には星がいくつも光り輝いて見えた。地上で起きている戦争なんか知らないって顔をして、美しく輝くばかりの星。 冬の気配を感じる空気が目と鼻にしみる。 しんとした空気は静かで、うるさいのは自分ばかり。 もう休んでしまいたい。
ふらふらと歩き続けた森の切れ端。開けた場所に出てスティーブンは足を止めた。
星を反射する湖の美しさに目を奪われ、どうせ死ぬならこんなきれいな場所がいいと、漠然と思った。 足は疲れを自覚して重たくなり、すぐそばにあった木を背もたれにして腰を下ろす。 ああもう眠ってしまいたい。 そう思っていたのに、男を揺り動かすを幼い声にスティーブンは一度閉じた瞼を持ち上げた。 目の前にいたのは見たことのない糸目をした少年の顔。 いつからここにいたのか、いや、スティーブンが少年のいたところにやってきたというのが正しいのか。 「あの、こんなところで寝てたらだめですよ」 「……」 「怪我、大丈夫ですか、すぐに人を呼んできますからしっかりしてください」 後ろを向いた少年の背中に広がる小さな翼。 ぼんやりしていた目をぱっと見開いて、瞬きを繰り返す。 幻、ではないようだ。驚いたことに。 天使が迎えにきたのかと一瞬思ったが、頬のひきつるような痛みに現実であると悟る。 「少年、胸のポケットに、薬があるから、飲ませてくれないか」 腹から声を絞り出して少年に声をかけると、少年は口をぽかんと開けていたがすぐにスティーブンの言うとおりに動き始めてくれた。 「えっ、あっ、はい!」
止血剤と増血剤。口に押しつけられるようにして薬を飲まされ、一息。 装備に忍ばせてあった簡易救急セットも十分に役に立った。小さな手で包帯を巻く少年の姿をぼんやり見る。 少年が動けば背中の翼もせわしなく揺れる。 腕に力は入りそうにないし、天使のお迎えまできたのにどうやら死にそびれそうだ。 ざりざりと入ってくる通信機からすれば、増援と救護隊が迎えにくるようだった。死の気配から一歩遠ざかり、ようやく現実が見えてくる。 天使の羽根は健在だが。 泣きだしてしまいそうな少年の手はかたかたと震えている。 どこの子供か知らないが、森で武装した男が倒れていたらそりゃ怖かっただろうに。 「少年、名前は?」 「……レオ。おにいさん、しなない?」 少年の小さな手がスティーブンの顎先にふれる。小さな手に乾ききらない血が付いてしまった。 「大丈夫だよ、ありがとう」 そのあとすぐ、駆けつけた仲間に運び出され、手術に入院と回復すれば事後処理と追い立てられるうちに、森で出会った天使のことは夢だったんじゃないかと思ったが、現場に駆けつけた仲間も駆けつけたときに小さな生き物が走っていくのが見えたと聞いた。 近くの街の子供かもしれないと言う話だったが、民間人に深入りはしないと決まっているので、それ以上のことは調べるなと組織から釘をさされてしまったのだった。 お礼をしたかったが、スティーブンのような裏で生きる男が、礼を死に行くのは余計に迷惑がかかるだろうと言うのは分かり切ったことで、天使との出会いは思い出だけにすることにしたのだ。
オークションの進行役は、警備に命じて少年を籠から引きずり出す。 「まるで天国の神の使いのような少年ですが、この少年はそれだけじゃあありません!ご覧ください!人智を越えた神の至宝の輝きを!」 警備の男に取り押さえられた少年の瞼が無理矢理開かされる。 露わになった瞳からこぼれ落ちるまばゆい輝き、瞳に描かれた緻密な細工は、人間の手で作り出せるような代物ではない。 少年の瞳に見覚えはないが、前を向かされた少年の顔にも姿にも、スティーブンは覚えがあった。 「後ろは初物です。おそらく前も。愛玩するもよし、剥製にして飾るも良し。すべては落札者様の思いのまま!それでは五千から……」
「……誰がさせるか。――絶対零度の地平(アヴィオンデルセロアブソルート)」
吐き捨てるようにスティーブンはつぶやき、強く靴を踏みしめる。 まるで天使のようだと、陵辱してやりたい、あの目をえぐり出して剥製にしたらどうだ、などと興奮にざわめいていた会場は一瞬にして静かなものになる。 十字架を踏みしめ技を繰り出した足が、自分の生み出した氷を踏んでぱきりと音を立てた。
少年のまばゆい瞳、あれは確か『神々の義眼』と呼ばれるものだった。文献で一度見たことがある。今は閉じたように糸目になっている少年の困惑した顔が、一人自分の方へと向かってくる男を見つめていた。
そのままでは寒いだろうと脱いだジャケットを少年に渡す。恐る恐る伸ばされた手に渡したはいいが、少年になんと声をかけるべきか口はうまく動かない。 少年はあの時の『レオ』に間違いがないと思うが、少年がスティ��ブンのことを覚えているとは限らない。そもそもどうして少年がこんなところにいるのか、原因は『神々の義眼』だろうが、ヘルサレムズ・ロットにくるなんて無茶が過ぎると言いたくなってしまう。
ああでもやっぱり、もう一度会えて良かったと思ってしまう。 あの時より体は大きくなったし、翼も大きくなった。 スティーブンを助けた少年を助けることが出来たのが自分であることを、喜ばずにいられない。男が唯一幸せを願った少年。
「……久しぶりだね、レオ」 僕の天使。
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usickyou · 2 years
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さよなら恋人
 【A】
 十七歳の夏に加蓮とキスした。正しくは、された。一方的に。  そのときあたしは起きていた。レッスンを終えてスタジオのロビーで加蓮を待っているうちに横になって、うとうとした。目を閉じて、ほとんど寝てはいたけど加蓮が来たので目を覚ました。なのに、そのままでいた。それが間違いだったと思うことはなくて、もしあの時と思うことはよくある。  加蓮はあたしを呼ぶと、あとは黙って近付いてきた。ローファーがよく響くくらい、あたりには誰もいなかった。自販機のうなりや蝉の声が聞こえて、季節は夏そのものだった。足音が止まっても、加蓮は黙っていた。じっと見下ろす姿を想像しているうちに、衣ずれや関節のきしみでしゃがむのがわかった。目も開けられずにじっとしていたら唇にキスされた。  そうだとわかるまでには時間がかかって、リップでしめった感じとかやわさ、形、あと制汗剤のにおいでやっとわかった。キスされた! 加蓮に! それも一瞬で離れようとはせず、数呼吸のあいだ加蓮の息づかいを感じた。混乱しながらあたしは配役を完璧にやり通した。『無人のロビーで加蓮は奈緒にキスをする。奈緒は気付かずに眠っている。加蓮は黙ってそこを離れる』台本はぷっつり途切れて、あたしは続きを待ちながらいつの間にか上げられた舞台の上で眠りを続けた。  そのうち、加蓮が戻ってくる。今度は「なーお」と明るく呼んでくれたので、あたしも「んあ」ととぼけて答えることができた。それからビッグマックとチキンフィレオのセットを食べて、日が暮れるより早く「また明日」と言い交わして別れた。  あたしにとって、夏はそういう季節だ。  もしもそれが二十歳の夏だったら、あたしはもっとうまくできたと思う。正解なんてかけらもわからないけど、きっと魔法みたいにすべてをうまくやってくれたはずだ。めでたしめでたし。ふたりはそれをきっかけに結ばれて、いつまでも仲睦まじく暮らしました。  今、あたしと加蓮は恋人でいる。十八歳のあたしはばかであほでどうしようもないやつで、それでも加蓮に愛されている。
 【a】
シーン1
○緑道(昼)
   『Welcome Ember City. Water and nature,and trust』と記された汚れたシャツ。イクサの後ろ姿。
   イクサは歩きながら白銀の髪をかき上げると目を見開く。長く伸びた緑道の草木を分けて、木陰に横たわる石像を見つける。男性。眠ったまま石になっている。
   イクサは拾い上げた石で、無表情のまま石像を破壊する(石像は映さない)と、手で十字を切る。イクサは再び歩き出す。小さな破片が、風が吹いてさらさら転がる。オープニングクレジット。
 【B】
 十八歳の、高校三年生の夏休みは忙しい。仕事をセーブしてもらってはいるけど、大学受験が本当にきつい。毎日まいにち何か頭に詰め込んでは出ていかないよう蓋をして、次の日にはまたそっと蓋を開けて頭が破裂しないよう慎重に知識を押し込んでいく。もともと頭も要領も良くないあたしは、方法や効率より時間を信じた。夏は、窓の外で過ぎていった。  加蓮とは週一で会うようにしていた。木曜日の午後、時間は都合次第。同じ週に仕事が重なっても会うし、予定が被ったら金曜に会う。つまり、プライベートで毎週必ず会う約束をしていた。  とにかくひどい猛暑だったので、ふたりとも涼しい場所に行きたかった。それにあたしは、日常を離れたかった。何も考えない時間がほしくて、いろいろと話して水族館に行くことにした。葛西の水族館。京葉線の駅で待ち合わせは十時。ひとまわりしたら併設のレストランで何か食べてあとは流れ、それくらいのゆるいプラン。  前の晩は、うまく眠れなかった。冷房が効きすぎて毛布の中でふるえたり、あまりの寝苦しさに目を覚ましたら一時間も経っていなかったり、そういう夜だった。夢の中の舞台で喉がつかえて歌えなくなったと思うと空は白んでいて、どうにでもなれ、そんな気持ちになるとやっと眠ることができた。生まれてからいちばんというくらい綺麗な空を見たけど、現実かどうかは曖昧だった。  結果、あたしはちゃんと起きると支度を完璧に済ませて、約束の十五分前には葛西臨海公園の駅にいた。加蓮は五分前くらいに来て、スカイブルーのトップスとかそこから伸びた白い腕、屈託のない笑顔が、まぶしかった。 「お揃いじゃん、なおー」と加蓮はのぞき込んでくる。近いちかいと内心焦りながらあたしはキャップから出したポニーテールに触って「暑くてさ、でも重いんだよこれ」とため息をつく。加蓮はあたしの髪をわさわさ揺らすと、声を上げて笑って、「けど、かわいい」と言った。あたしが慌ててみせると、それはうまく冗談に変わった。  水族館までの日傘の下、揺れるスカートが何度も脚に触れた。  平日の早い時間で、思った通り人は少ない。入り口のガラスドームを降りると、あたりは静かになる。ふたり並んでゆっくりと見てまわるには最高の環境で、魚なんて普段はぜんぜん興味ないくせにああだこうだ言いながら歩いた。意外とかわいいんだなとか、魚料理ってここで食べれるのかな、とか。  水槽の宇宙をくぐり抜けて、ペンギンのプールではしゃいだりして、あたしたちは回遊水槽にたどり着く。そこは円筒形の海で、大小さまざまなまぐろが泳いでいる。光の加減でその色は白銀やエメラルドグリーン、あるいは黒く染まったりして、綺麗だし退屈しなかった。あたしと加蓮は席に座ると、やっと手を繋ぐ。そこには映画館みたいな高低差があって、最後尾からはまわりが見渡せたし、誰からも見られる心配がなかった。 「台本、読んでる?」と加蓮は訊く。あたしは「まあまあ」と答えるし、実際そうとしか言いようがない。英単語やイディオムと平行して台本を覚えるのは、自分で選んだとはいえ厳しい話だと思う。「私はかなり順調」と言って加蓮は続ける。『ミト、あなたは私の全部。ミトがいるから私は人間でいられるの。それって、石にならないのとはぜんぜん違う。わかるよね』  あたしは拍手をする。それで加蓮と手が離れる。 「まあ私は受験生でもなんでもないからねー」 「ハラ立つんだけどなんか」 「あはは、ごめんってば。仕事も勉強も両立して奈緒はすごいなあってことだよ」 「どっちも、ものにできないかも」 「やっぱり不安?」 「っていうか、恐いよ」 「ん」 「助かる」  加蓮とまた手を繋いで、肩に寄りかかる。人がすっかりいなくなった今、少しの間だけ。目を閉じると、魚の回遊が生む水中の虹を瞼の裏側で眺めた。  それがまぶしくて、涙が出る。  寝不足のせいにすると、加蓮はちょっとむくれた。楽しみでよく眠れなかったと言うと、喜んだ。子どもみたいにころころ変わる表情が、あたしは確かに好きだった。  団体客が来たので回遊水槽を離れると、まだ早いけどレストランへ入る。あたしは海鮮つみれうどんで、加蓮はイクラとサーモンのクリームスパゲティ。さっきまで見ていたいきものを食べるのはなんだか不思議な気がしたけど、どっちもおいしくて、「ごちそうさまでした」とちゃんと手を合わせて言った。  デザートを食べていると、近くで海水浴ができるという話が隣のテーブルから聞こえてくる。あたしたちは目を合わせて、あっという間に水族館を後にすると砂浜へ降り立つ。そこは照り返しでめちゃくちゃに暑かったから、サンダルだけを脱ぐと急いで波間へ逃げ込んだ。だけど狭い海水浴エリアは人でいっぱいで、水はなんだか濁っているしぬるいし、どこか消化不良なままその場を離れることになった。 「あーあ、泳ぎたい」と木陰の芝生で加蓮が言う。濡れたサンダルが、強い日差しでみるみる乾いていく。 「海水浴場はさすがに厳しくないか? あんま知らないけどナイトプールとか?」 「高校生はだめじゃない?」 「ああ、じゃあ無理だ諦めよう」 「やだやだ絶対行く」 「って言ってもなあ」  お手上げ。そうあたしが示してみると、「ん」と加蓮が小指を差し出した。「指切り?」と訊ねると、まじめな顔をして頷く。 「夏のあいだに泳ぎに行く」 「ジムとかじゃなくて?」 「だめ。デートで」 「ふたりで?」 「そうだよ」 「……事務所で訊いてみるか」 「うん。約束だよ」  小指を離すと、あたしたちはまた手を繋ぐ。木陰には海風が吹き抜けるから、それはあまり苦にならない。波の反射とかドッグラン、子どもたちがはしゃぐ景色をじっと見ていて、そのうちにあたしが提案して台本の読み合わせを始める。
 【b】
シーン5
○ミトの家・リビング(昼)
   火のついていない暖炉。続けて部屋の全景。ローテーブルを挟み、イクサとミトはソファで向かい合う。カーラが紅茶を持ってくる。
カーラ  砂糖は好きに入れてね。ミルクもいる?
   イクサは首を横に振る。カーラはミトの隣に座る。
イクサ  ここには二人で? ミト   そうだよ。近くに街はある。でも、二人だけだ。 イクサ  それで、どうやって。 ミト   どうやってか、はは、確かに。どうだ、ここからは交互に質問に答えていく形にしないか。 カーラ  ミト、焦りすぎ��� ミト   焦りもするさ。だってこいつは、どう急いでも三日かかる道をたった一人で、石にならずに歩いてきたんだ。奇跡だよ。いや、本物の奇跡なのか確かめなきゃならないだろ。
   カーラに袖を引かれて、ミトは口をつぐむ。イクサは頷く。
イクサ  私は石になりません。誰に忘れられてもたった一人で生きていける、そういう人間です。あなたの言う奇跡です。本物かどうかは、わかりませんが。 ミト   そんな奴がいるもんか、だったらどうして……。 イクサ  質問は交互に、ですね? ミト   ああ、悪い。 イクサ  どうして、二人だけで生きていけるのですか? ミト   あたしたち不眠症なんだ。眠らずにいれば、忘れられない。ふたりきりでも石にならずに済む。 カーラ  私から、いい? イクサ  どうぞ。 カーラ  何から逃げてるの?
   イクサは左手を上げる。手首には丸い痣が深く残っている。
イクサ  科学です。奇跡は科学に分解されて自然法則になります。私はまだ、生きていたい。日の光や川のせせらぎに、触れていたい。質問を返しますが、あなたたちの敵は誰ですか? カーラ  街。 イクサ  人間、ということですね。 ミト   不眠症だなんてばれたら、利用される。あたしたちも同じだよ。太陽も月も風も草木も、全部大切なんだ。 イクサ  ですが、関わりを絶つのは難しいでしょう。 ミト   こっちの番。どこへ行くつもりなんだ? イクサ  彼らの手が及ばない場所です。 カーラ  あてがあるの? イクサ  さあ。けど世界は広い、ですから。 ミト   楽観主義なんだな。 イクサ  石化の恐怖を知りませんからね。それで、あなたたちはどうやって街と関わっているのですか? カーラ  私とミトと、体が弱くて遠出できないエヌって子で暮らしてる、ことにしてる。三人家族でひっそり住むのって珍しくないから。 イクサ  エヌ、ですか。 カーラ  その銀髪って天然? イクサ  実験の副産物、らしいですね。 ミト   さあ、他に知りたいことは? イクサ  あと一つ。 ミト   なんなりと。 イクサ  なぜ、私を助けてくれたのですか。
   ミトは口をつぐむ。空になったカップに紅茶を注いで、カーラはミトの手を握る。ミトはゆっくり話しはじめる。
ミト   エヌに、なってくれないか。 イクサ  どういう意味ですか? ミト   この家に、街から人が来る日がある。そのとき、エヌのふりをしてほしいんだ。姿は見せなくていい、家の中からあたしたちと話してくれるだけでいい。 イクサ  エヌを信じさせろと、そういうことですか? カーラ  エヌを人間にしてほしいの。私たちが、二人で生きていくために。 ミト   短い間でいいんだ。三ヶ月、いや、夏の間だけでいい。あたしたちと一緒に暮らしてくれないか。 イクサ  私は、追われる身です。 カーラ  森にいくらでも場所があるよ。隠してあげる。 イクサ  ……もう一つ、教えてください。 ミト   ああ。 イクサ  ふたりは、愛し合っているのですか。
   ミトとカーラは目を合わせる。手を繋ぐと、イクサをまっすぐ見て頷く。イクサが頷き返すと、カーラがミトに飛びつく。イクサはため息をついて、からっぽのカップをかたむける。
 【C】
「イクサ!」とあたしが呼ぶと、アーニャは「ミト!」と大声で言った。高く上げた手をぶんぶん振る姿がぜんぜんイクサと違って、あたしは笑った。イクサはもっと、月みたいに佇む。  大学の、だだっ広い構内をアーニャは迷わず進んでいく。あたしはオープンキャンパスみたいなものだと自分に言い聞かせながら、それでも所在ない心地でいた。なにしろ、アーニャは堂々としている。どこで何をしていても目立つのに、そうだと知っていても、ぴんと背すじを伸ばして全身で日の光をはじく。その姿は誇りみたいな感覚を与えてくれるから、あたしも後ろに隠れたりこそこそ歩いたりはしないけど、時々、ほんの時々だけ羨ましいなと思う。  芝生のグラウンドではもう、両チームがウォーミングアップを始めていた。左のゴール側、水色のシャツの中に美波さんの姿を見つけると、彼女もすぐこっちに気付いて駆け寄ってくる。 「アーニャちゃん、奈緒ちゃん、来てくれてありがとう!」 「ミナミ、がんばってくださいね」 「こっちこそ、誘ってくれてありがとう。なんか、あたしまで緊張してくるよ」 「ふふ、練習試合だから平気だよ。ゆっくり楽しんで、それと、暑いから日焼け対策と水分補給はしっかりね」 「ばっちり、です。ね、ナオ」 「日傘も、ほら」 「良かった、大丈夫そうだね。でも油断しちゃだめだよ」 「ダー、気をつけます」 「うん。じゃあ行ってきます」  そう言って美波さんがチームメイトの輪へ戻っていくと、程なくして試合が始まった。チームは十二人。二十五分ずつの前後半と十分のハーフタイムで、基本的にはサッカーみたいなものだと思えばいいらしい。美波さんのポジションは左のDW、守備をメインにしながら状況を見て攻撃にも積極的に参加していくんだとアーニャが教えてくれる。 「ミナミは右利きですね。左からヴィリズィット、あー、切り込んで、すごくかっこいいです」  アーニャはそんなふうに、目を輝かせて話す。だけど、なかなか思うような展開は訪れない。どうやら対戦相手の攻撃がほとんど右サイドを起点としているらしく、対面する相手の守備に奔走させられた美波さんが攻め上がる場面は一度も見られなかった。  前半を終えてスコアは一対三と、チームはリードを許している。アーニャは途中から無言で、ほとんど祈るような様子で戦況を見つめていたから、あたしは慎重に言葉を選んで言った。 「美波さん、すごいよ。あんな前後左右に振られて、それでもほとんど相手に仕事させてない」  アーニャははっと目覚めたみたいに、あたしを見た。その瞳の中心はあかく燃えたぎっていて、プロミネンスだ、と咄嗟にあたしは思った。焼かれはしないだろうけど、火傷くらいは覚悟した。  ところがアーニャは、「ナオ。でも、ミナミはここからです」とほほえんで、ステンレスマグを差し出してくれた。それであたしも喉の渇きに気付いて、ふたりしてフィールドの人たちよりがぶがぶと飲んだ。  後半が始まって十分もすると、アーニャの言った意味がわかってきた。美波さんの相手の足が少しずつ止まってきて、フリーになる時間ができはじめている。相手チームのシュートをキーパー(ゴーリーというらしい)がブロックして美波さんにパスが通ると、ついにその時が訪れる。  美波さんはがら空きの左サイドを猛然と駆け上がって、相手の一人目をステップで、二人目を味方との一瞬のパス交換で鮮やかに抜き去ると、ゴーリーと一対一になる。あたしは思わず「いけ!」と叫んだ。美波さんはあたしの声と同じタイミングでラケットを振る、寸前に手のひらで回転させると右にステップを踏んだ。タイミングを外されたゴーリーは数コンマ遅れて、また駆け戻っていたディフェンスも数歩間に合わず、美波さんは流し込むようにネットを揺らした。 「ハラショー!」とアーニャが叫んで、青い日傘が宙を舞った。  美波さんは急いでボールを拾うとチームメイトからの祝福を受けながらセンターラインへ戻っていく、その途中で、こっちを見て小さく手を振った。  あたしは手を振り返しながら、たぶんアーニャ宛なんだろうなと思ってつい、苦笑いをする。それから飛んでいった日傘を回収して、試合の続きを眺めた。  美波さんのチームはそこから追い上げを見せて、だけど前半の差を取り返しきれず試合に勝てなかった。
 アーニャは「そろそろ、門限です」と言った。声や表情で心から名残を惜しんでくれているのが伝わるから、あたしは嬉しくなった。「また、現場でな」と伝票に手を伸ばすと、強く掴まれた。不思議に思って顔を上げると、アーニャは冷たい声で言った。「言い残したことは、ありませんか」  それは、あまりに突然だった。さっきまでの、今日の試合のことや演技について話していたアーニャはいなくなって、まるで、彼女はイクサだった。映画の中の、月のように佇むひと。美しく気高い、絶望的な孤独に寄り添われた少女。  あたしが黙っていると、「私には、あります」とアーニャは言った。ファミレスの喧噪は華やかで、細かい棘がびっしり生えていて、告白にはぜんぜんふさわしくないなと思った。「高校を出たらふたりで暮らそうと、ミナミに言われました」  アーニャは続ける。 「私は、泣いて喜びました。本当に、嬉しかったんです。だけど、ひとりになって考えました。ふたりで暮らして、どうするのでしょう。時間を重ねて、どうして、この隔たりが埋まるというのでしょう。問題を先送りにしているだけです。いつ壊れるのか怯えながら過ごす毎日にどんな喜びがあるっていうの。ねえ、奈緒。残酷だよ。ほんとに、ひどいよ」  加蓮の涙がこぼれて、あたしは目を覚ます。心臓があばれていて、息が苦しい。冷房が切れていて、ひどい汗だ。いったい、どこまでが現実だっただろう。アーニャと美波さんが一緒に暮らす、それは事実だったように思える。アーニャは笑っていた? それとも。  それきり目が冴えてしまったので、参考書に向かって朝を迎えた。いつの間にか机で眠っていて、それでも仕事には遅刻せず済んだ。
 【c】
シーン89
○森(夕)
   イクサとカーラは森の中のうろに隠れている。日は翳りを見せはじめている。
カーラ  心配? 大丈夫だから、ね。 イクサ  あいつらが、何をするか読めないんです。本当に、不安で。 カーラ  ミトなら平気、うまくやってくれるよ。
   イクサはカーラに腕や背中を見せる。無数の針の痕を見てカーラが顔色を変える。
カーラ  ……先に戻って、様子を見るよ。 イクサ  ですが、カーラ。 カーラ  打ち合わせ通りにするから、大丈夫。三十分経って戻らなかったら見に来て。慎重にね。 イクサ  いえ、私も行きます。 カーラ  イクサが見つかったらぜんぶ終わりでしょ。任せて、三十分だからね。
   カーラは去る。イクサは立ち上がるが、カーラを見送り両手を重ねて祈る。
シーン91
○ミトとカーラの家・外(夜)
   イクサは開かれたままの家の扉を見る。息を呑んで、中へ入る。
シーン92
○ミトとカーラの家・中(夜)
   イクサは荒らされた屋内を進んでいく。一階をまわると二階へ上がり、ミトの部屋で背を向けたカーラを見つける。
イクサ  カーラ。
   カーラは答えない。
イクサ  カーラ、ミトは……。
   イクサはのぞき込む。その手には山のような錠剤がある。
イクサ  それは……。 カーラ  睡眠阻害剤、知ってる? イクサ  ……はい。
   カーラの手から錠剤がこぼれ落ちる。カーラは静かに泣きはじめる。イクサはカーラの肩を抱いて、天を仰ぐ。
シーン94
○エヌの部屋(深夜)
   イクサはノックに答える。ミトが部屋に入り、ベッドに座る。
ミト   カーラと話した。 イクサ  どう、でしたか。 ミト   考える時間がほしいって。 イクサ  ……そうですね。 ミト   イクサ。頼みがあるんだ。
   ミトは一度俯いて、再びイクサを見据える。
ミト   あたしたちを連れていってくれないか。 イクサ  ここから逃げる、そういうことですか。 ミト   エヌの嘘がばれた。今日は解放されたけど、次はきっと、そうはいかない。 イクサ  睡眠阻害剤があります。それでごまかせないのですか。 ミト   エヌをでっち上げる理由にならない。あたしは、恐いんだ。ひとが残酷になるのは、一瞬だから。 イクサ  私は逃亡者です。 ミト   追われ続ける方が、マシだよ。 イクサ  いえ、そうはならない。あなたたちは違う場所でやり直せる。荷物をまとめて、早い方がいいでしょう。 ミト   ありがとう、イクサ。本当に、ありがとう。
   ミトはイクサの手を握る。イクサもまたミトの手を握り返し、ふたたび祈る。
 【d】
シーン110
○ミトの寝室(夜明け)
   荒々しくドアが開かれてカーラが、次いでミトを背負ったイクサが現れる。イクサは意識のないミトをベッドに寝かせると、顔の殴打痕や両手足の骨折、青黒い腹部の腫れを確かめる。カーラは泣いている。
カーラ  ひどいよ、どうしてこんなこと。 イクサ  カーラ。家中の薬を持ってきて、それと水、布をたくさん。 カーラ  ミト。どうして。 イクサ  カーラ! しっかりしてください、ミトを助けるんです。 カーラ  ごめん、イクサ。どうしたらいい。 イクサ  座って、声をかけ続けて。それと、薬のある場所を教えてください。
   イクサは家中を奔走する。ミトに薬を飲ませ、濡らした布を当て、折った椅子の足で骨を固定し、応急手当をおこなっていく。カーラはずっと、ミトを呼び続ける。
ミト   ……カーラ。 カーラ  ミト! 大丈夫、大丈夫だから。 ミト   ……。 カーラ  大丈夫、だよ。 イクサ  ミト。吐いたものが詰まらないよう体を横にします。いいですね。
   イクサはミトの体を横にする。ミトは口から血の混じった胃液を少し吐き出す。
ミト   イクサ……カーラを、頼む。 イクサ  断ります。あなたが、自分で、支えるんです。 ミト   カーラ、騙して……ごめん。 カーラ  いいの、そんなのいいよ、ミト。 ミト   愛してるよ、カーラ。カーラ。
   再びミトは意識を失う。ミトの苦しげな呼吸音、カーラのすすり泣きが響く。部屋に朝日が射し込んでくる。
シーン115
街・薬局(昼)
   イクサは買い物かごをカウンターへ置く。店主の女性は親しげに笑って、会計を始める。
女性   大風邪でも引いた? それとも怪我? 見えないけど。 イクサ  友人が怪我を。 女性   見ない顔だけど、遠くから? イクサ  エンバーから。モッドへ行く途中です。 女性   そりゃたいへんだ。全部で六十にしたげるよ。 イクサ  助かります。
   イクサは百の紙幣を渡す。女性が釣銭を取り出している間に、キーボックスのインテリジェントキーを確かめる。
女性   道中気をつけて。
   紙幣を受け取る瞬間、イクサには女性がミトを殴打しているイメージが浮かぶ。女性は、笑っている。
イクサ  はい、失礼します。
   イクサは両手で袋を抱えて店を出ると、周囲を見渡す。道は広く、明かりも多くはない。夜になればミトやカーラを連れても逃げられそうだと算段をつける。
   イクサの足下に、柔らかい何かがぶつかる。イクサは見下ろす。黄色いボールが転がっていて、何人かの少年が少し離れて見ている。
イクサ  ごめんなさい、手が塞がっていて。
   少年たちは答えない。イクサはほほえんで、ボールをそっと蹴り返す。その瞬間、軸足に鋭い痛みを感じる。イクサが振り返ると、少女がイクサの脚に注射針を突き刺している。イクサはふらふらと歩いて、倒れる。袋から水のボトルや薬瓶が転がり出す。
少女   ママ、やったよ……。
   少女の声や近付いてくる足音を聞きながら、イクサは気を失う。
シーン144
ミトとカーラの家・外(夜)
   暗闇をヘッドライトが照らす。黒いバンからイクサが降りてくる。首に乾いた血痕をつけたイクサは乱暴に扉を開く。
シーン145
ミトとカーラの家・中(夜)
   暗い室内を手で探り、イクサは照明をつける。リビングは静まり返っている。
イクサ  カーラ! ミト! 行きます、急いで!
   返事はない。イクサは階段を駆け上がり、ミトの寝室を開く。ベッドの上、ミトの死体と寄り添うカーラの石像を見つける。
イクサ  カーラ。ミト。
   イクサはベッドに近付く。『イクサへ』と書かれた紙を取り上げる。そこには徐々に震えを増していく字で次のように書かれている。
   『イクサへ。ミトが死にました。さっき。私も石化が始まって、だからイクサに届くかわからないけど届けばいいなと思って書きます。ミトは私のぜんぶでした。恋人で、家族で、愛していました。だから、いま死ぬのは受け入れられます。イクサには悪いけど。イクサには本当に感謝しています。あと迷惑かけてごめん。金品はカバンにまとめてあるので持っていって。それと、お願いがあります。これを読んだら、私の体を砕いてください。石になると、人のたましいは中にとどまると聞いたことがあります。それだけは、いやだ。私はミトといっしょがいい。空へのぼって、あの、青い空をふたりでおよぎたい。ミト。あいしてるって言いたい。私をよんでほしい。笑って、キスをして。ミト、また私と(判読できない文字が続く)ミト(判読できない)ミト』
   イクサは手紙を置く。机上の地球儀を取り上げると高く掲げ、力なく下ろす。ミトとカーラの体を毛布で覆って、カバンを手に寝室を後にする。
シーン146
ミトとカーラの家・外(夜)
   イクサは助手席にカバンを放り、エンジンをかける。走り出したバンは玄関を突き破ってリビングで停まる。イクサは発電器用の灯油を撒く。灯油で導線を引きながら家を出る。
  イクサは家から充分に距離を取るとマッチに火を点けて地面に放る。火はミトとカーラの家へ続き、リビングで激しく燃え上がる。やがてバンのガソリンに引火し、爆発が起きる。炎が家を破壊するとイクサは去る。振り返らず、森の闇に消える。
 【D】
 十八時の待ち合わせに加蓮は三十分も遅刻してきた。「遅れてごめんね」と謝るだけで、理由は話さなかった。あたしも訊こうとはしなかった。  あたりはひどく暑い。立っているだけで汗が滲んだ。あたしは「行こう」と足早に歩き出して、だけど加蓮はそのままでいた。振り返ったあたしをじっと見て、何も言わず、ただ見ていた。  その瞬間、夢みたいだけど確かに、時間が止まった。停止した時間の中で、視線だけを重ねた。無限に引き延ばされた一瞬の内側で、手を伸ばしても決して届かない距離を隔てて、あたしたちはふたりじゃなかった。  ひとりと、ひとりでいた。  ごお、ごおんと何かの音が聞こえて時間は動き出した。加蓮は「ぼーっとしちゃった。暑くて」と言って歩き出す。今、夏が終わったんだとあたしは思った。こんな鮮やかな季節の移り変わりを、たぶん一生忘れないんだろうなと、心から。 「模試どうだった?」 「判定は来週だけど、手応えはわりと」 「すごいじゃん、もう遊び回ってもいいんじゃない?」 「あたしを落としたいのか?」 「落ちたらどうする?」 「一年間、加蓮とは遊んでやらない」 「あはは、さいあく」  そんなふうに話しながら、あたしたちは目当てのベンチに座る。そこは住宅街の川のそばで、近くには大きな車道があって、加蓮があたしに告白をした場所だった。  それからはふたりして黙ったまま、時間が過ぎていった。ぽつぽつと人が通り過ぎて、舞い落ちた葉っぱが浅い川をざらざら流れていく。少しずつ日は翳りはじめて、頭上の街灯がともったとき「私、ふられるんだね」と加蓮が言った。  はっとして顔を上げるあたしを見ずに、加蓮は続けた。 「いいよ。理由もわかってる、仕方ないよ。だってそんなの、どうしようもないよね。今までガマンさせてごめんね、でも付き合ってくれて、嬉しかった。ほんとに、幸せだったよ」  加蓮は、続けた。 「ねえ、別れても友達でいようね。それくらい、いいよね。私、奈緒といるとやっぱり楽しいし、これからも仕事で一緒なわけだし、変に気遣わせるのもみんなに悪いじゃない? だから、前向きにお別れして、私たち普通の友達に戻りましたってかんじで、ね」  加蓮はずっと、ほほえんでいる。楽しそうに、とは言えないけど普通におしゃべりをするくらいに。それでやっとあたしを見ると、「キスしていい、最後に、一回だけ」と言う。  あたしは、どうにか頷く。加蓮は答える。 「奈緒はさ、優しいよね。そういうところが、大嫌い。優しいって、ひどいよ。つき放してよ。諦めさせて。もう二度ってくらい傷つけてよ。できないよね。奈緒は優しいもんね。そういうところが、大好きだよ。いまも、これからもずっと。じゃあね、さよなら」  加蓮は立ち上がる。すたすた歩き去ったと思うと足早に戻ってきて、あたしの唇にキスをした。ほんの一瞬、触れるだけのキスをして「また明日、現場でね」と笑った。  もう戻らなかった。  あたしはしばらくそのままでいて、あたりが暗くなるとやっとベンチを離れて家に帰る。その夜はすぐに寝付けたし、目覚めることもなく朝までぐっすり眠った。
 【e】
シーン148
○緑道(昼)
   イクサは一人歩いている。荒れた緑道の木陰に石像を見つける。男性。眠ったまま石像になっている。
   イクサは拾った石を振り上げる。頭、両手、両脚、胴体の順に石像を破壊する。腕の一振りごとに表情が歪む。石像を壊し終えると、手で十字を切る。涙を拭って、手のひらを重ねて祈る。
   イクサは再び歩き出す。その姿は遠ざかっていく。行く先には見える限り、道が続いている。暗転。タイトル。『Stones』 エンドクレジット。
 【E】
 誰と誰が付き合ったとか別れたとかそういう情報はまじで光より早いんじゃないかって勢いで巡るから、あたしは何人かとご飯を食べに行ったりみんなから優しくされたりした。映画(三十分のショートフィルムの、そのうち一本)の評判は決して悪くなく、特に主役のアーニャはそれから映画やドラマの仕事が少しずつ増えて、あたしも加蓮もアーニャほどではないけど仕事の幅を広げることができた。それと、あたしはAO入試で早々に進学を決めることができたので、十八歳の秋から冬、春になるまでかなり仕事に集中した。  加蓮とは、仲良くしている。  言っていた通りに、加蓮は普通の友達としてあたしに接した。からかう口ぶりもスキンシップも、女子って感じの仕草もぜんぜん変わらないし、たぶんだけど、あたしも同じようにできていると思う。ただ、ふたりで話したり並んで歩いたりしていると、時々どうしようもないくらい消えたくなる。それか生まれてからの人生ぜんぶをやり直して、まったく違う人間として生まれなおしてもう一度加蓮と向き合いたいと、思うことがある。十九歳のあたしは今もばかであほでどうしようもなくて、二十歳、どころか三十歳や五十歳になっても魔法みたいに全てをうまくできるなんて無理だと気付きはじめている。  今日は、加蓮と遊びに行く。少し前、昔話に花が咲いて思い出した海水浴に、事務所の保有するビーチにふたりで行く。ほとんどプライベートビーチだと聞いたとき、こんなこともあるんだなんて一緒になって喜んだ。  そこが、きれいならいい。まっさおな海が空と見分けがつかないくらい一面に広がっていたら、荷物なんて放り投げて服も着たままで飛び込みたくなるくらいきれいだったら、最高だ。  だって、加蓮の笑顔が好きだ。加蓮が笑っていると嬉しくなる。あたしは生きていてそれが、それだけがどうしようもない。
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