寄生された昆虫は生殖機能を失う。成虫になったハリガネムシは宿主の脳にある種のタンパク質を注入し、宿主を操作して水に飛び込ませる[9]。宿主が魚やカエルなどの捕食者に食べられた場合は共に死んでしまうが[10]、その前に宿主の尻から脱出すると、池や沼、流れの緩やかな川などの水中で自由生活し、交尾・産卵を行う。
ハリガネムシ - Wikipedia
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第3回 寄生虫ハリガネムシはどうやって宿主の心を操るのか | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト
ハリガネムシはどうやって宿主を水に飛び込ませるのだろうか。
いずれも、フランスの研究チームによる先行研究がある。カマドウマではなく、手に入りやすく研究室でも扱いやすいコオロギを使って、2002年には行動学的な面での研究、05年には神経生理学的な研究をそれぞれ発表している。
「フランスの研究者が、一番はじめにやったのは、Yの字みたいな分岐する道があって、先に水を置いてあるところと置いていないところがあるような実験です。
寄生されたものを遠くから歩かせると、ワーッと歩くうちに、水のある方にもない方にも行ってしまう。ただ、水がある方に行ったやつは、ほぼ100パーセント飛び込むということがわかってきて、おそらく、最後のところでは水がキラキラ反射するのに反応しているのではないかといわれていました。
そこで、台の上に寄生されたコオロギを置いて光をバーッて当ててやると、そこに向かって行くことも示されて、じゃあ、やっぱり光に応答してるんやろう、というふうになってきたわけです」
「脳内で発現しているタンパク質をチェックできる技術が2000年以降に出てきたので、それを使った研究がされています。
いろんな段階のコオロギ──ハリガネムシに寄生されてるやつ、寄生されてないやつ、寄生されているけれどもまだ行動操作を受けていないと思われるやつ、あるいは寄生されてお尻からハリガネムシを出してしまった後のやつ。そういうものを集めてきて、脳内に発現しているタンパク質を徹底的に見たわけです。
すると、まさに飛び込もうとしているようなコオロギの頭の中でだけ、発現しているものがいくつか見つかりました。それをさらに『ホモログ解析』という手法で調べると、神経の異常発達にかかわったり、場所認識にかかわったり、あるいは光応答にかかわる日周行動に関係したりするタンパク質と似ていると分かったんです。
他の生物の研究で機能が確かめられているものと似た構造を持っていたという意味です。その中には、ハリガネムシのほうがつくったと思われるものも含まれていたんです」
これまた出来すぎな話なのだが、ハリガネムシはまさにそれをやってのけている可能性がたあるのだそうだ。
「行動実験と分子生物学的な実験の結果を合わせて考えると、おそらく神経発達をグチャグチャにして異常行動をさせながら、光応答の仕方を変えて、水辺に近づいたら飛び込むというような、2ステップで行動操作を巧みにしてるんやってことが、今は想像されてます」
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❝ 𝐢𝐟 𝐭𝐡𝐢𝐬 𝐰𝐚𝐬 𝐣𝐮𝐬𝐭 𝐚 𝐬𝐭𝐨𝐫𝐲, 𝐭𝐡𝐞 𝐠𝐮𝐲𝐬 𝐰𝐡𝐨 𝐠𝐨 𝐭𝐨 𝐧𝐚𝐭𝐢𝐨𝐧𝐚𝐥𝐬 𝐰𝐨𝐮𝐥𝐝 𝐛𝐞 𝐭𝐡𝐞 𝐩𝐫𝐨𝐭𝐚𝐠𝐨𝐧𝐢𝐬𝐭𝐬, 𝐚𝐧𝐝 𝐭𝐡𝐞 𝐫𝐞𝐬𝐭 𝐨𝐟 𝐮𝐬 𝐰𝐨𝐮𝐥𝐝 𝐣𝐮𝐬𝐭 𝐛𝐞 𝐞𝐱𝐭𝐫𝐚𝐬. 𝐛𝐮𝐭, 𝐫𝐞𝐠𝐚𝐫𝐝𝐥𝐞𝐬𝐬… 𝐰𝐞 𝐭𝐨𝐨… 𝐩𝐥𝐚𝐲𝐞𝐝 𝐯𝐨𝐥𝐥𝐞𝐲𝐛𝐚𝐥𝐥. ❞
𝐤𝐚𝐧𝐨𝐤𝐚 𝐚𝐦𝐚𝐧𝐚𝐢.
・゚: *. — 天内 叶歌
today is the day! (headcanons)
𝐭𝐚𝐤𝐞𝐫𝐮 𝐧𝐚𝐤𝐚𝐬𝐡𝐢𝐦𝐚.
・゚: *. — 中島 猛
what would they do, if not for volleyball? (headcanons)
today is the day! (headcanons)
enemies to lovers with them be like… (headcanons)
𝐬𝐡𝐮𝐧𝐤𝐢 𝐤𝐚𝐰𝐚𝐭𝐚𝐛𝐢.
・゚: *. — 川渡 瞬己
what would they do, if not for volleyball? (headcanons)
today is the day! (headcanons)
𝐤𝐨𝐫𝐚𝐢 𝐡𝐨𝐬𝐡𝐢𝐮𝐦𝐢.
・゚: *. — 星海 光来
what would they do, if not for volleyball? (headcanons)
today is the day! (headcanons)
𝐬𝐚𝐜𝐡𝐢𝐫𝐨 𝐡𝐢𝐫𝐮𝐠𝐚𝐦𝐢.
・゚: *. — 昼神 幸郎
what would they do, if not for volleyball? (headcanons)
today is the day! (headcanons)
𝐠𝐚𝐨 𝐡𝐚𝐤𝐮𝐛𝐚.
・゚: *. — 白馬 芽生
what would they do, if not for volleyball? (headcanons)
today is the day! (headcanons)
𝐬𝐮𝐠𝐮𝐫𝐮 𝐝𝐚𝐢𝐬𝐡𝐨.
・゚: *. — 大将 優
what would they do, if not for volleyball? (headcanons)
today is the day! (headcanons)
enemies to lovers with them be like… (headcanons)
𝐤𝐚𝐳𝐮𝐦𝐚 𝐧𝐮𝐦𝐚𝐢.
・゚: *. — 沼井 和馬
what would they do, if not for volleyball? (headcanons)
today is the day! (headcanons)
enemies to lovers with them be like… (headcanons)
𝐤𝐨𝐣𝐢 𝐡𝐢𝐫𝐨𝐨.
・゚: *. — 広尾 倖児
what would they do, if not for volleyball? (headcanons)
today is the day! (headcanons)
𝐧𝐚𝐨𝐲𝐚𝐬𝐮 𝐤𝐮𝐠𝐢𝐫𝐢.
・゚: *. — 潜 尚保
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today is the day! (headcanons)
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𝐡𝐚𝐲𝐚𝐭𝐨 𝐢𝐤𝐞𝐣𝐢𝐫𝐢.
・゚: *. — 池尻 隼人
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𝐤𝐢𝐲𝐨𝐨𝐦𝐢 𝐬𝐚𝐤𝐮𝐬𝐚.
・゚: *. — 佐久早 聖臣
what would they do, if not for volleyball? (headcanons)
today is the day! (headcanons)
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𝐦𝐨𝐭𝐨𝐲𝐚 𝐤𝐨𝐦𝐨𝐫𝐢.
・゚: *. — 古森 元也
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today is the day! (headcanons)
𝐲𝐮𝐝𝐚𝐢 𝐡𝐲𝐚𝐤𝐮𝐳𝐚𝐰𝐚.
・゚: *. — 百沢 雄大
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enemies to lovers with them be like… (headcanons)
❝ 𝐨𝐧𝐞 𝐦𝐨𝐫𝐞 𝐭𝐢𝐦𝐞… 𝐣𝐮𝐬𝐭 𝐥𝐞𝐭 𝐦𝐞 𝐩𝐥𝐚𝐲 𝐨𝐧𝐞 𝐦𝐨𝐫𝐞 𝐭𝐢𝐦𝐞. ❞
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P3 Club Book Akihiko Sanada short story scan and transcription.
真田明彦の難攻不落伝説
某日深夜---ここ、月光館学園巌戸台分寮のと ある一室で、その恐ろしくもおぞましい謀略は、徐々に形を現わそうとしていた。
「許せねえ······絶対に許せねえぜ、真田サン。いや、真田明彦ぉ!」
「じゅ、順平くん。そこまで怒らなくても······」
「甘いわよ、風花!私も順平に同感。食い物の根みが恐ろしいってこと······真田先輩の骨の髄まで思い知らせてやらなきゃ!」
「別に僕は、甘いものがそれほど好きって訳じゃないですが······美味しそうでしたよね。お土産のー日限定100個の特製プリン」
「わん!」
「コロマルさんも、ひとりで10個は食べすぎだと申しているであります」
「トレーニングで疲れてたか何だか知らねえけどよ、フツー全部食うか?俺たち仲間だろ?みんなの分残しとくとか考えるだろ!?」
「あ、あうう。り、リーダー、皆さんを止めなくていいんですか?え?······別にどうでもいい? ううううう······」
あまり恐ろしくもおぞましくもないようだが、ここからが恐ろしい。
「よっし!んじゃ、満場一致で “真田先輩をギッタンギッタンにしてギャフンといわせてグウの根も出なくさせる計画”、略してトリプルGプロジェ クトの発動を宣言します!」
「おーっ!」
この今どきどうよ、というネーミングセンスのなさが恐ろしい。
ともあれ、真田の天然ぶり---というより鈍感さに端を発する、特別課外活動部メンバーの怒りの鉄槌が、真田の頭上に振るわれようとしていた。だが彼らはやがて思い知る。真田明彦の天然もまた、ボクシングの腕前と同じように、超高校級であるということを······。
~フェイズ1 伊織順平&山岸風花~
「オレの武器は······これだ」
そう言って順平が取り出したのは、普通ならスポーツドリンクなどを容れるのに使う、ストローつきの白い円筒形のボトルだった。
「トレーニングで疲れたセンパイに飲ませるための、特製栄養ドリンクって訳だ」
「あんた······敵に塩送ってどうすんのよ?」
ゆかりの言葉に、順平はちっちっちと指を振って、恐るべき事実を公表した。
「これはな 風花の······手作りだ」
「そうなの。頑張って、作ったんだよ」
どよつ。
場の温度が下がり、驚愕のどよめきが走る。
「そ、そんな······順平さん。そこまで酷いことをしなくてもっ······!」
「こ、これは、ワシントン軍縮条約に抵触する可能性すら考えられるであります!」
「きゅ~ん······」
「順平······本気ね······?恐ろしい男······」
この液体がもたらす惨劇の予感に、その場にいた全員の顔が着白と化す。ちなみに、兵器開発もとい調理担当の風花は、皆の評価によって心に深い傷を負い、壁際でしくしく泣いていた。
「お!来たぜ!」
順平の言葉どおり、朝のトレーニング帰りの真田が寮の玄関から姿を現わした。すかさず順平がタオルとボトルを持って歩み寄る。
「センパイ!お疲れさんッス!どうスか?運動あとに特製ドリンクなんて?」
「おお、順平。ありがたいな、ちょうど喉が渇いていたところだ」
「しめしめ······じゃなくて、どーぞ!いい感じに冷えて、飲み頃ッスよ!」
何の疑いもなく、真田は順平からボトルを受け取ると、ストローに口をつけて中の液体を勢いよく吸い込んだ。
ずずずずずずずず!
何だか、嫌な感じに粘度を感じさせる音が響き······そうして、真田が口を開いて叫んだ。
「美味い!これはいけるな!」
「······へ?」
予想を裏切る真田のセリフに、唖然とする順平。そこに、真田の歓声を聞きつけ、何ごとかといった表情で桐条美鶴が���われた。
「どうした、明彦?」
「いやな、順平が作ってくれた特製ドリンクが、なかなか美味だったからな。美鶴も飲むか?」
ごく自然に、真田が美鶴にボトルを手渡し、そしてごく自然に、美鶴もストローを口にくわえる。付き合いが長い上、精神年齢的に成熟しているふたりは、間接キスなど気にはしない。······してくれれば、順平の制止は間に合ったろうし、その後の悲劇も防げたのだが
ずずずずず······。
やや飲みにくそうに、美鶴は頬に力を込めて体を吸い上げ、次の瞬間。
ぶびっ。
表情を変えないまま、美鶴の鼻の穴から腐った沼のような色の液体が噴出した。
「き、 桐条センパイっ!!」
美鶴の顔色が、黄土色から紫色、さらにはオレンジ色から緑色へと目まぐるしく変化する。そして最後は、ぐりんと白目を剥き、棒が倒れるような勢いでばたんと倒れ伏した。
「せ、せんぱぁあああいっ!!」
順平の悲痛な叫びがこだまする。それは、この後に来るはずの、美鶴の報復を予感し
ての、早すぎる断末魔のように聞こえた······。
~フェイズ2 岳羽ゆかり~
「えー、牛丼をプロテイン茶漬けで食べる、真田先輩の味覚を甘く見すぎてました。そこで、食欲以外のアプローチで行きたいと思います」
「順平さんはどうしたでありますか?」
「解凍に、あと半日はかかります。ついでに、風花も部屋にこもってしまい戦力外です」
計画の第1フェイズで、すでに彼らの戦力は激減している。あまつさえ、善意の第三者であるところの美鶴まで巻き込み、もはや失敗は許されない状況へと追いやられていた。
「で、あの······ゆかりさん、今度の作戦は?」
そう言う天田は、ゆかりから目線をチラチラと外しては戻すという、不審な動きを続けていた。し かし、それも無理からぬことだった。
「ズバリ!色気で落とすっ!」
きっぱりと宣言したゆかりの服装は、いわゆるボンデージ風のタイトな超ミニワンピース。服というより、数枚のラバー生地を紐で大雑増に繋ぎました、という感じの露出過多のデザインである。胸元や背中そして左右のサイドから、これかというくらいに眩しく、白い素肌を見せつけている。日ごろ弓道部で鍛えた均整の取れたプロポーションを誇るゆかりが着ると、これが意外と悪くなかった。第二次性徴期が来たかどうか微妙な年頃の天田ですら、頬を赤らめてぼうっとなるほでの色香を放っている。
「これで真田先輩をメロメロにして、さんざんしてあそんだ挙句に捨てるという、自分の非情が恐ろしくなるほどに完璧な作戦よっ!メイクバッチリ、ヘアスタイルもオッケー!」
「胸部の追加装甲も問題なしであります」
「アイギス、ひと言余計! 」
ちなみに、いま彼女らがいる場所は、白昼のポロニアンモールのど真ん中。真田は辰巳東交番の中で、黒沢巡査と話している。出てくるところを狙って、作戦開始という段取りである。
「あ、出てきた出てきた。んじゃ、みんな。行ってくるよーっ!」
何も知らずにやってくる真田を確認し、ゆかりがゆっくりと接近していく。2メートルほど近づいたとき、ついに真田がこちらに気づき、ゆかりと目が合う。すかさず身体をくねらせ、ほどよい弾力を感じさせる太ももを見せつけるように、グラビアアイドル風のポーズを取った。
「······」
つゆつゆつゆ。
······見事に、真田はそれをスルーした。
「んなっ!?」
たとえ色気が多少足りなかったとしても、後輩このゆかりをシカトするとは······。プライドを傷つけられ、ゆかりの中の女の意地が覚醒した。
立ち去ろうとしつつある真田をダッシュで追い抜き、くるりと振り向いて真田の進路を塞ぐように対峙する。さすがに歩みを止める真田。そしてその真田の目の前で、ゆかりは前かがみになり左右の腕でバストをぎゅっと中央に圧迫した。寄せて底上げした胸が、さらに押し付けられて豊かな双丘を形作る。そして---。
「セ•ン•パ•イ (はぁと)」
微動だにしないまま沈黙する真田。手ごたえあり!と、ゆかりが心の中でガッツポーズをしかけたとき、真田がゆかりに話しかけた。
「あー······月光館の生徒か?すまんな、覚えがない。しかし平日は制服着用が定められているはずだぞ?生活指導に見つからないうちに着替えに戻ったほうがいい。それじゃ、な」
つかつかつかつか。
再び見事にスルーし立ち去る真田。取り残されるゆかり。ひゅるりら~と風が吹いた気がした。完敗、というか惨敗、というか勝負にすらなっていなかった。あろうことか、ちょっと髪型を変えて化粧をし、いつもと違う服を着ただけで、真田はゆかりを知人だと認識できなかったのだ。よく年配のオジサンたちが、若い女の子はみんな一緒に見える、などと言うが、それのさらに酷いやつである。予想の斜め上を突っ走る真田の朴念仁ぶりと言えよう。
「せ、せんぱい······会ってからもう半年たつっていうのに······もてあそばれたー!酷いぃぃ!!」
真田の無心ゆえの見事なカウンターアタックで、ゆかりは精神を破壊されかねないほどの敗北感を感じていた。その再起には、まだしばらく時間がかかりそうだった······。
~フェイズ3 アイギス&コロマル~
「ホントに、大丈夫ですか?」
残る戦力となる、天田、アイギス、コロマルの3者が、夕方のランニングをしている真田を遠くから追跡しつつ作戦会議を行なっていた。
「大丈夫であります。私とコロマルさんがいれば、十全と言えるでしょう」
今度の作戦はシンプル。真田にコロマルをけしかけ、ズボンの尻でも破いてトホホな目にあわせてやろうというものだ。
「では、アイギス行きます!」
コロマルの首に結びつけたリードをしっかりと握り、アイギスが走り始める。さすがに運動性能が高いアイギスは、天田が見守る中、どんどんと真田に接近していく。
あと20メートル。10メートル。5メートル。4、3、2、1······あっさり追い抜いた。
「あ······」
見ている天田の額から、汗が一筋垂れる。その間も、アイギスとコロマルは走る走る。どうやら、久々の広い場所が嬉しくてしかたないコロマルが、目的を見失って猛ダッシュしているようだ。念入りにリードを手に絡めていたアイギスは、前に倒れそうになりながら振り解くことも止めることもできずに引っ張られ。
コケた。
そしてそのまま。
ずるずるずるずるずるずるずる。
1機と1匹が巻き上げる砂煙が、遠く地平線の向こうに夕陽とともに消えていくのを、ただ天田は見つめるだけしかできなかった。
~最終フェイズ 総攻撃~
「正攻法で行きましょう」
各々の理由で叩きのめされ疲れ果てた面々に、天田は溜め息交じりに提案した。だが。
「ダメだ······勝てる気がしねえ······」
「見た目はともかく声ぐらい覚えててよ······」
「ぜっはっぜっはっ (散歩して満足)」
「もはや、ベコベコであります······」
部隊の士気は、嫌が応にも低かった。
ちなみに、前髪が長い現場リーダーは、フェイズ2の頭あたりで、ばったり会ったクラスメイトの友近と、はがくれのラーメンを食べに行ってまだ帰ってきてはいない。ぐだぐだである。
全員が集まった寮のラウンジに、どよんと重く苦しい空気が沈殿する。と、そこに。
「おう、みんな。何だか元気がないようだが、どうした?風邪か?食中毒か?」
攻撃目標 • 真田明彦が現われた。トラウマがかった「ひぃ」という悲鳴を、誰かが上げる。
いったい、どうやって戦えば······どうすれば、勝てるんだ······。この、痛みを感じない (それ以外のものもあまり感じない) バケモノのような人に、どうやって太刀打ちすれば······?いっそ復讐代行サイトにでも依頼を······。
そこにいる全員が、絶望に覆われ心を闇に侵食されかけた、そのときである。
「おう、こら、アキ!」
「ん?どうしたシンジ?」
今日は朝からどこかに出かけていた荒垣真次郎だった。いつの間にか寮に帰ってきていたらしく、二階からドスドスと音を立てて降りてくる。そして、鋭い声がラウンジに響いた。
「てめぇ······昨日美鶴が買ってきた限定プリン、全部食いやがったんだってぇ!?」
「ああ、悪かったな。まぁでも普通のプリンと味は変わらなかったぞ。牛乳と卵と砂糖の味だ。今度コンビニで代わりを買ってきて---」
順平たちが問い詰めたときと同じ。謝っているようで、まったく謝罪の意味をなさない、それどころか被害者の神経を逆なでする、無神経な言葉の羅列。昨日は、この真田の態度にさんざん文句をつけたのだが、“たかがプリン” に目くじらを立てるということが、どうしても真田には理解できず、最後までこちらの怒りが伝わらなかったのだ。荒垣も真田の無反省な態度には怒り心頭に······発してはいなかった。むしろ、またかよ、と呆れたような 顔。そして。
「おい、アキ。ちゃんと謝らねえと······」
何を怒られているのか、わからない風の真田に、荒垣が投げかけた言葉は。
「絶交だぞ」
「ごめんなさい!」
真田のリアクションは、これがまた早かった。
「もう、人の分まで食うんじゃねえぞ」
「あ、ああ、わかった」
「食った分、おめえが買ってこいよ?」
「もちろんだ!」
その様子を見て、呆然となるラウンジの面々。
「あんなんで······良かったんですか?」
「今度から······荒垣先輩に頼もうね」
「その作戦を推奨するで、あります······」
そして、力尽きた後輩たちは、バッタリとソファに倒れこみ、そこからしくしくとやるせない泣き声が漏れ始める。その泣き声は、翌日の朝から行列に並んだ真田が、限定プリンを人数分買ってくるまで続いたのだった。
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